聖「あおい先輩のことが好きなんだ…」パワプロ「へー…え゙っ!?」 (53)

聖「みずき…、パワプロ先輩…、私は恋をしてしまったみたいなんだ」

パワプロ「へー…え゙っ!?」

みずき「うそ!? あの聖が!?」

聖「私自身、初めての感覚で戸惑っているんだが間違いない、と思う…」カアアアア

パワプロ「あの冷静沈着な聖ちゃんの顔が真っ赤に!」

みずき「相手は誰!? 鈴本とかいうアレ!?」

聖「違う…。アレってなんだ」

パワプロ「じゃあ友沢! 猪狩!? いや神童さんかも!?」

みずき「まさかパワプロ先輩なんじゃ!?」

聖「どれも違うぞ。第一パワプロ先輩には彼女がいるだろう」

パワプロ「まぁね。俺はカレンちゃん一筋なのさ」キリッ

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みずき「じゃ、じゃあ…」

パワプロ「…」ゴクリ

聖「私の好きな人は――」

パワプロ「まさかの矢部君なのか!」

みずき「聖…相手は選んだ方がいいわよ。あのメガネだけは絶対やめた方がいいわ」

聖「…」

パワプロ「はい、ごめんなさい」

みずき「私も悪乗りしたわ。ゴメン。で? 結局…」

聖「私は…」


聖「あおい先輩のことが好きなんだ…」


パワプロ「へー…え゙っ!?」

みずき「あ、あおい先輩って…」

パワプロ「あのあおいちゃんだよね? 俺達のチームメイトの早川あおいちゃん…」

聖「それ以外に誰がいるんだ…」

みずき「いや、だって! あおい先輩女の子なのよ!?」

聖「女の子同士だということは分かっている。分かっているんだが…」

聖「…///」

パワプロ「それでも好きなのか…」

みずき「っ…!」

聖「すまない、二人とも…。こんな相談をしてしまって」

聖「けどこの気持ちを知って以来あおい先輩とまともに話せてない…野球にも差し障りがあるかもしれない…」

聖「私はどうしたらいいんだ…」

パワプロ「これは…大変な問題かもしれないな」

みずき「うん…。甲子園を前にしてリリーフエースと正捕手が合わないってのも問題だけど」

みずき「あおい先輩は甲子園で優勝して女性初のプロ野球選手になろうって張り切ってる」

みずき「そんな大事な時期に想いをぶつけたら何かしらの影響が出ちゃうと思う…」

みずき「それに、仮にプロ入りするとしても間違いなく客寄せパンダ的な意味合いがあるだろうし…」

みずき「恋人が既にいます! っていうんじゃプロ指名が見送られちゃうかも」

パワプロ「だよなぁ…。女の子同士なのも…どうなんだろ?」

みずき「というわけで聖、辛いかもしれないけど我慢するのよ」

聖「…」

パワプロ「どうしてもって時は俺やみずきちゃんが間に入るからさ。少しの間辛抱してくれ」

聖「分かった…」

つぎのひ

あおい「ねぇパワプロ君、みずき。相談があるんだけど」

パワプロ「うん?」

みずき「何ですか? あおい先輩」

あおい「最近、聖がボクのこと避けてる気がするんだ…」

みずき「!!」

パワプロ「うおぅ…」

あおい「何か心当たりがあるの? 理由が思いつかないし聞いても話してくれないから困ってて」

みずき「え、ええっと…」

パワプロ「そ、そそそんなことないと思うよ!? 二人は仲良しさ!」

あおい「…?」

あおい「聖、一緒にストレッチしようよ!」

聖「うっ…あおい先輩…///」

あおい「みずきは部室でパワプロ君と話をしてて遅くなるらしいから二人で先に準備運動しとこう?」

聖「う、うむ…///」

あおい(良かった…。今日はボクを見ても逃げないでくれた。二人の言う通りただの偶然だったのかな?)

あおい「それじゃあまず聖からね」ピトッ

聖「!!!!」

聖(落ち着け…落ち着くんだ私…!)

あおい「じゃあ前に倒すよー。ぎゅーっと」ギュムゥ

聖「なー…な…」プルプル



あおい「聖!? どうしちゃったの!? しっかりしてぇー!」

聖「きゅぅ…」プシュー

みずき「まさかあの聖がこんなことで気を失うとは夢にも思わなかったわ…」

聖「あまりにも気持ちが良かったんだ…。気付いた時にはもう遅かった」

パワプロ(俺も気持ちよくされてえ)

パワプロ「ここまであおいちゃんのことを意識してるとなると日常生活にまで影響が出そうだな」

みずき「そうね…。これじゃあ部室で一緒に着替えとかも無理かもしれないわね」

聖「着替え…!」フラッ

パワプロ「やめろ聖ちゃん! 想像したらまた倒れてしまうぞ! 妄想は俺が代わりにしとくから!」

みずき「…」

パワプロ「カレンちゃんには黙っておいてくれ!」ビシッ

みずき「最っ低…」

みずき「はぁ…。ねぇ聖? 一体どうしてそこまであおい先輩のこと好きになっちゃったの?」

すこしまえ

不良A「ねぇそこの君、可愛いね~。ちょっとお茶してかない? ケーキ食べに行こうよケーキ」

聖「…」

聖(やっかいなのに絡まれてしまった…。早く帰ってきんつばが食べたいのに)

不良B「おう無視はないだろ無視は」

不良C「待てYO! 逃げんじゃねえって」ガシッ

聖「っ痛…!」

??「マリンボール!」ビシュッ

不良B「うわああああああ! 俺の股間にボールがあああああああ!」ぐちゃっ

聖「え…!? 今のは!」

あおい「ボクの大事な後輩に何をしてるんだ!」

聖「あおい先輩!」

不良ABC「ひええええ!」ダッダッダ

あおい「大丈夫だった!? 聖!」

聖「う、うむ…手首を掴まれただけだ」

あおい「そっか…。それは良かった」ニコッ

聖「///!!」ドキッ

聖(あおい先輩…なんて格好いいんだ!)

あおい「ふぅー。ちょっと運動したら甘いもの食べたくなっちゃった」

あおい「たまにはきんつばもいいなぁ…。聖、今からパワ堂にきんつば買いに行こうよ」

聖「きんつば!?」パアアアアアアア



聖「こうしていつの間にかあおい先輩が頭から離れなくなってしまったんだ」

パワプロ「なんだこのテンプレ展開は…」

聖「それだけじゃない…。いつもあおい先輩は明るく私に声をかけてくれる」

聖「一緒にきんつばを食べたり勉強したり野球もして…気付いたらいつも一緒にいる」

聖「それに…あおい先輩は綺麗で、魅力的な身体で…///」

パワプロ「ストップだ、聖ちゃん。その先の妄想は俺に任せてくれ」

みずき「…」

パワプロ「ごめんなさいみずきさん。ごめんなさいマイハニーカレン」

みずき「はぁ…。聖とは長い付き合いだと思うけど、こんな聖は初めてだわ」

みずき「でもちょっと分かるかもしれないわ。聖の気持ち…」

聖「みずき…」

みずき「もう! しょーがないわね!」

みずき「二人のために参謀みずきちゃんが一肌脱いじゃいますか!」



聖「…」ドキドキ

あおい「聖ー! ゴメン、ちょっと待たせちゃったかな?」

聖「あおい先輩! そんなことないぞ。たったの3時間くらいだ」

あおい「3時間!? 待ち合わせ時間って10時だったよね!?」


みずき「ふふふ。出だしは悪くない感じね」こっそり

パワプロ「みたいだな。しかし3時間って…修行か何かかよ」



みずき『聖、ここに遊園地のチケットが丁度2枚あるから明日二人でデートしてきなさい』

聖『なーっ! デ、デート…』

みずき『今の状態じゃあまともに顔を合わせることも話をすることもできないんでしょ?』

みずき『だから明日一日、しっかりあおい先輩と密着して免疫をつけてきなさい』

聖『なーっ! 密着…///』

あおい「ふふ。聖と二人きりなんて珍しいね」

聖「い、いいいつもはみずきも一緒だからな」

あおい「今日は家の用事で来れないんだったね。みずきには悪いけど今日は二人で楽しんじゃおうか」ニコッ

聖「うむ///」



あおい「ついたー! ここが新しくできた猪狩ランドかぁ」

あおい「遊園地なんて久しぶりだなぁ。小学校の遠足以来かな?」

聖「あおい先輩、マスコットキャラのドリトン君がいるぞ。一緒に写真を撮ろう」


パワプロ「うーん、いい雰囲気じゃないか」こっそり

みずき「そうね。それよりパワプロ先輩、先に入場しとくわよ」

あおい「わぁ…! なんかこう、遊園地ってすっごくワクワクするよね!」

聖「う、うむ。そうだな」

聖(ワクワク顔のあおい先輩も可愛い…)

あおい「まずはやっぱりジェットコースターだよね!」



あおい「なんだろう…このジェットコースター…」

聖「パワプロ先輩の顔にソックリだな…」


パワプロ「おいなんだアレ。俺の顔じゃん」

みずき「パンフレットに書いてあったけど、あれ猪狩コンツェルンの御曹司がデザインしたらしいわよ」

パワプロ「ひっ!? なんか寒気がする!」

聖「なー!」

あおい「きゃー!」



あおい「なかなかスリリングだったね!」

聖「うむ。爽快だったな」


みずき「あの二人イイカンジみたいね。遊園地のワクワクオーラのおかげか聖の緊張もほぐれてるし」

パワプロ「これなら目標達成できそうだな。…ところで」

みずき「?」

パワプロ「俺とみずきちゃんも今イイカンジじゃない?」

みずき「はぁ?」

パワプロ「そんな蔑むような目で俺を見ないで下さい。ごめんなさい」

みずき「はぁ…。私たちはあの二人を見守るために来たんでしょうが。先輩もちゃんと見ててあげて下さい!」

あおい「次はどこ行こっか……。っ!!」

聖「む、お化け屋敷か。ここのお化け屋敷は怖いと評判なんだそうだ」

あおい「…入ってみようか。ボクこういうの平気だし?」フルフル

聖「う、うむ。寺の娘である私はこういうのを怖がったりはしないぞ」ガタガタ



ゲドー君「ギョー!」シュザッ

あおい「何か通った!?」フルフル

ザコプロ「うぅ…」バタッ

聖「なーーっ!? なんだ!? 今、死体が転がって―――」ガタガタ

??「努力ナシニ生マレカワルトイウコトガドンナ痛ミヲトモナウカ…身ヲモッテ知ルガイイデース…」ペカー…

あおい「え? 何この声…」

??「科学ノ進歩、発展ニ犠牲ハツキモノデース―――」ドバババババババババババババ

あおい・聖「きゃああああああああああああああーーー!!!」

あおい「はぁ、はぁ…」

聖「なんて恐ろしいアトラクションなんだ…」ギュッ…

あおい「すごい光だったね。あれ何の光だったんだろ?」キュッ…

聖「!!」バッ

あおい「ん? ああ、ボクたちずっと手を握りっぱなしだったんだね。怖かったもんねー」

聖「う、うむ…///」カアアアアアア

聖(柔らかくて…私とそう変わらない決して大きくない手…)


パワプロ「ザコプロー! しっかりしろおおおおおおお!」ユサユサ

みずき「昨日と比べて物凄く筋力が衰えてるわね…。中でいったい何があったって言うの…」

あおい「洋食のお店で良かったの?」

聖「うむ。ここのオムライスがこの遊園地のレストランで一番美味しいんだそうだ」

あおい「へー、そうなんだ。聖、ここに来る前に色々調べてたんだね」

聖「折角のあおい先輩とのデートだからな。たくさん調べたぞ」

聖(! しまっ…)

あおい「へ? デート…」

あおい「はは。確かにデートだね♪ 女の子同士だけど」

聖「う、うむ…デートだな///」


ザコプロ「お前らは何?デートしてるの?」ニヤニヤ

みずき「違います」イラッ

パワプロ「いやー? 俺はデートでもいいんだよ? みずきちゃん」ニヤニヤ

みずき「ザコプロ先輩、カレンさんに今すぐ電話してもらっていいですか? 番号これです」

パワプロ「やめてえええええええええ! 俺殺される!!」

あおい「美味しい! これは良いね!」

聖「このふんわり感…たまらないな」

あおい「今度家で作ってみようかなぁ…。けどボクまだ料理下手だしこんなに美味しいオムライスは無理かな」

聖「そ、そんなことはないぞ! 私はあおい先輩の料理を食べてみたい…ぞ」

あおい「え?」

あおい「そ、そう? じゃあ今度お弁当作ってくるね?」

聖「うむ…。やった…!」

あおい「もー、変な聖」

あおい「あ! 聖、ほっぺたにケチャップついてるよ。取ってあげるね」フキフキ

聖「え…」

あおい「うん。このケチャップも美味しいんだよね」ペロッ

聖「なーーーーーーっ!!!!」

あおい「わぁ…! 観覧車って凄いなぁ。遊園地全体が一望できるよ!」

あおい「ほら見てみて聖! あの銅像神童さんにソックリ! 猪狩ランドの御曹司設計なんだって!」

聖「…」

あおい「聖?」

聖「すぅ…zzz」

あおい「えっ、聖寝てるの?」

あおい「…」

あおい「そういえば聖、約束の3時間前から待ってたって言ってたっけ?」

あおい「いつもよりオシャレな服着てるしお化粧もしてるし…何時くらいに起きたんだろ?」

あおい「…」

あおい「くすっ…聖の寝顔、可愛いなぁ」

みずき『けどね、聖。これはあくまで免疫をつけるためのデートなんだからね』

みずき『もしいい雰囲気になっても絶対告白しちゃダメ。分かった?』


聖「はっ!」

聖(まさかデート中に寝てしまうなんて一生の不覚! この景色は…?)

あおい「あ、聖起きた?」

聖「なーっ! あ、あおい先輩…!」

あおい「聖ったら観覧車に乗った途端寝ちゃうんだもん。寝顔、可愛かったよ♪」

聖「な…な…」プルプル

聖(膝枕されたうえ寝顔まで見られた…!)

聖「これはもうおムコにいけないぞ…///」

あおい「何言ってるの聖~。お婿さんじゃなくてお嫁さんでしょ」

聖(あおい先輩、あおい先輩、あおい先輩…!)

あおい「ああ、もう夕方かぁ…。そろそろ帰らないとね」

聖「うむ…」

聖(伝えたい…)

あおい「今日は楽しかったね、聖。今度はみずきも一緒に、3人で来よう!」

聖(この想い…あおい先輩に…!)


パワプロ「もう夕方か…。結構いい感じだったな、あの二人」

パワプロ「これなら明日の練習からは普通に話もできるんじゃないか?」

みずき「…」

ザコプロ「どうしたんだ、橘?そんなキツい目して…」

みずき「少し黙ってて」

みずき(聖…)

みずき(ダメよ…! ダメ、なんだからね…!)

あおい「それじゃあ帰ろうか。バスも来ちゃうs――」

聖「あおい先輩!」

みずき「!」

パワプロ「お、おいみずきちゃん!」


聖「私は…あおい先輩のことが好きだ!」

聖「友達とか…先輩としてだけじゃなくて、その…恋人になってほしいんだ…」


あおい「えっ…」

みずき「聖…」

??「…あれは今話題の女投手早川あおい」

あおい「!」

スカウト「初の女性プロ野球選手となれば話題になると思っていたが…レズとなると話は変わるかもしれんなぁ…」

あおい「影山さん…!? なんで大の大人が一人でこんな遊園地に…!」

スカウト「早速球団事務所に帰って報告せねば」

あおい「ま…待ってください! 聖ちゃん、ゴメン…ボク先に…!」

聖「あ…!」


みずき「聖…」

聖「みずき…。私は…何で、言ってしまったんだ…」

みずき「それだけあおい先輩への想いが溢れて仕方なかったってことでしょ。私の作戦が悪かったわ」

聖「そんなわけない! 私が…私が悪いんだ…! 我慢、できなかった私が…!」

みずき「…っ」ギリッ

みずき「そうよ…。その通りじゃない…!」

聖「え…」

みずき「あおい先輩の夢を崩したのは、聖、アンタなのよ!」バン!

パワプロ「みずきちゃん!?」

みずき「打ち合わせで何度も何度も言ったでしょ! 告白するのは絶対にダメだって!」

みずき「何度も何度も…それはあおい先輩の未来を壊すかもしれないから許されないって!」

みずき「どうすんのよ! もう…」グスン

パワプロ「…ザコプロ。みずきちゃんを家まで送ってやってくれ。タクシー代は俺が出す」

ザコプロ「お、おう…。なんかよく分からんが分かった」


聖「みずき…、あおい先輩…」

パワプロ「聖ちゃん、少し話そうか」

パワプロ「聖ちゃん、あおいちゃんは多分大丈夫だ。多分…だけど」

聖「…」

パワプロ「誤解だって分かれば影山さんも理解してくれるはずさ」

パワプロ「ホモビデオレズビデオに出た選手~とかなら流石に指名拒否だろうけどそういうわけでもないんだし」

パワプロ「そ、それにほら! 甲子園優勝投手になれば指名不可避だろ? 俺達甲子園絶対行くし!」

聖「…」

パワプロ「…」

パワプロ「もしあおいちゃんが今回の件で動揺して野球に身が入らなくなってたら俺がどうにかする」

パワプロ「大丈夫。そこは俺に任せてくれ」

聖「うむ…」


パワプロ「問題はみずきちゃんの方だ」

パワプロ「みずきちゃんにとって、あおいちゃんは最も敬愛する先輩だ」

パワプロ「お姉さんと似てて憧れを持ってるって話も聞いたことある」

パワプロ「…で、みずきちゃんはそんなあおいちゃんに是非夢を叶えて欲しいわけだ」

聖「それを私が壊してしまった…」

パワプロ「そう。それに俺が思うに―――」



パワプロ「とにかく、みずきちゃんは聖ちゃんがどうにかしなきゃならない」

パワプロ「もちろん俺も協力するけど、結局は聖ちゃん次第なんだ」

聖「…」

http://i.imgur.com/MWfCbwx.jpg

あおい「おはよう! パワプロ君」

パワプロ「おはよう、あおいちゃん。良かった~、あおいちゃんは元気で」

あおい「…その反応、もしかして昨日のこと見てた?」

パワプロ「え゙っ!? い、いや…その…ハハハ」

あおい「はぁ…。じゃあ昨日ずっと尾行してたのはパワプロ君だったのか。みずきも共犯だね」

パワプロ「はい…」

あおい「…パワプロ君、簡潔にあの後のことを話すよ」

パワプロ「…!」ゴクリ

パワプロ(あおいちゃん、険しい表情してる…! これはまさか…!!)


あおい「あの後球団事務所まで行って…そして」

あおい「ロッテの人に必ずドラフト指名するって言われたんだ♪」ニコッ

パワプロ「え」

スカウト「というわけで早川あおいはレズである可能性が」

あおい「だから話を聞いてって!」カチン

今江「ウチ“和”がウリの球団なんでーそういう特殊性癖の人はマズいんじゃないかなー」

あおい「いやだから話」

井口「まさかそんな性癖で入団してチームの和を乱す気か」

あおい「はな」

監督「チームの和を守れないような投手は入団させるわけにはいかないな」

あおい(今なら150km/hの球が投げられる気がする…!)ブチッ


大松「ホモの野球選手もいるんだから別にいいだろ」


今江「」 成瀬「」 塀内「」

監督「確かにそれはそうだわ。よし、ドラフトで指名しよう」くるっ

あおい「ということがあって。ボク、プロ野球選手になれそうだよ!」

パワプロ「サンキューマッツ。おめでとう、あおいちゃん!」

あおい「ありがとう。どうなるかと思ったけど一安心だよ」

あおい「甲子園優勝はしたいからまだまだ気は抜かずに頑張っていくけどね!」

パワプロ「ああ! 絶対日本一になってやろうぜ!」


あおい「…ところで」

あおい「今日、聖は休みなの?」

パワプロ「…」

パワプロ「ああ。今日は欠席してる。今、聖ちゃんはみずきちゃんの家に行ってるんだ」

聖「…みずき」

みずき「今日は気分悪いの。サボってないで学校行きなさいよ」

聖「すまない、みずき。昨日は私が悪かった」

みずき「…」

聖「みずきは私とあおい先輩のために色々してくれてたのに、全て台無しにしてしまった…」

聖「本当にすまない。私は…」

みずき「いいのよ。そのことは…」

みずき「実は昨晩ね、あおい先輩からプロ入りできそうだって電話が来たの」

みずき「あの後球団事務所で偉い人と話したらしいわよ。だからもう大丈夫なのよ」

聖「本当か! それは良かった…」

みずき「良かったわね、聖。これであとは先輩にもう一度告白するだけよ」ニコッ

聖「…え?」

みずき「どうも球団側が女の子同士の恋愛OKって風潮みたいなのよね。だから」

聖「…だからじゃないぞ、みずき」

みずき「…っ」

聖「どうしてそんな顔で私に告白を促すんだ…。なんで笑顔なのに…お前は…」

聖「涙を、流しているんだ…」

みずき「! 違っ…! これは…」

聖「パワプロ先輩の勘は間違いじゃなかったのか」

聖「みずき、本当はお前も…あおい先輩のことが好きなんじゃないのか?」

みずき「!!」

パワプロ『思うに、みずきちゃんもあおいちゃんのこと好きなんじゃないかな?』

聖『ええっ!?』

パワプロ『男の勘ってやつだけどな』

聖『…』

パワプロ『スマン、根拠はないです。ごめんなさい』



みずき「…ち、違うもん」

聖「本当に違うのか…?」

みずき「違うって言ってるでしょ! 私は…私は……!」

みずき「私はただ、先輩と聖が付き合ったら私の居場所がなくなっちゃうってだけで…!!」

みずき「っ!」ハッ

聖「みずき…お前…」

パワプロ『冗談はさておき、多分みずきちゃんは一人置いてかれるのが怖いんだ』

聖『?』

パワプロ『折角の仲良し3人組なのにうち2人が付き合ったら中に入りづらいだろ?』

パワプロ『みずきちゃんが本当に恐れているのはそこなんだよ』

聖『けど! みずきは今回のデートの計画も立ててくれたし…私と先輩のことを応援しているようにしか』

パワプロ『そうだな。いつまでも3人組でいたいならもっと強引に聖ちゃんに諦めさせれば良かった』

パワプロ『けどしなかったのは…将来2人で幸せになって欲しかったからなんだよ』

パワプロ『遠くない未来に自分が1人になってしまうことも厭わずに…』

聖『…嘘』

パワプロ『そういうジレンマの中で聖ちゃんに裏切られたらそりゃあ発狂もするさ』

聖『みずき…』

聖「我慢してくれてたのか…。私のために」

みずき「…」

聖「私は自分の想いに夢中になっていてみずきの気持ちを考えていなかった」

聖「本当にすまない…。あおい先輩と付き合うのはもう諦める」

みずき「はぁ!? な、何よそれ!」

聖「そうしないとお前は気を遣って私とあおい先輩から離れてしまうだろう。それは嫌だ」

みずき「何言ってんのよ! 折角付き合ってもOKになったんだから付き合っちゃいなさいよ!」

みずき「私みたいな自己中はどうでもいいから…!」

聖「嫌だ。だってお前は…」

聖「みずきは、私の親友…だから…」

みずき「!!」

あおい「そうだね。ボクとしても、みずきが離れていっちゃうのは困るかな」ガチャッ

パワプロ「俺も3人がキャッキャウフフしてる所を見られなくなったら寂しいよ」

聖「え…!?」

みずき「あ、あおい先輩いい!? とパワプロ先輩! なんで私の家に!?」

あおい「たまには授業をサボるのもいいね。なんだかこういうのも学生らしくて」

パワプロ「代返は矢部君とザコプロに任せてあるから安心してくれ!」

聖「な…なな…」

あおい「パワプロ君から大体のことは聞いたよ。最近様子がおかしかったのはそういうことだったんだね」

みずき「パワプロ先輩…!?」ギロッ

パワプロ「テヘッ☆」

あおい「さて、じゃあまずは聖。昨日のお返事だけど」

聖「!」ドキッ

あおい「ボクも聖のこと好きだよ。だから付き合おうか」ニコッ

聖「えっ…!」

パワプロ「ええええええええええええええええっ!?」

みずき「…」

みずき「良かったじゃない聖。想いが通じて」

聖「うむ! 嬉しいぞ…憧れのあおい先輩と恋人同士…!」

聖「って! そうじゃないぞ! それではみずきが」

みずき「いいのよ…。私はどこぞのメガネとでも仲良く――」


あおい「次にみずき! 君に伝えたいことがあるんだ!」

みずき「えっ! はっはいっ!?」

あおい「ボクはみずきのことが好きなんだ! だから付き合おう!!」

みずき「は…はああああああああああああっ!?」

パワプロ「何イイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィっ!?ほわー!ほわあああああああ!」

あおい「なんでパワプロ君が一番驚いてるのさ…」

聖「な…なななななな…」

みずき「ひ、聖と付き合うんじゃなかったんですか!?」

あおい「うん。けどボクみずきのことも大好きだし」

みずき「うっ…///!」

あおい「男女の関係なら1対1じゃないと困るだろうけど女の子同士ならそうでもないでしょ?」

あおい「…多分」

聖「ななな…」プシュー

あおい「どう? みずき? それともボクじゃ嫌かな?」

みずき「…」

みずき「いい、です…///」ポッ

あおい「やった! 2人目の彼女ゲットだ!」

みずき「うぅ…///」カアアアアアア

パワプロ「やっぱりみずきちゃんはあおいちゃんのこと好きだったんじゃないか」

みずき「しょ、しょうがないじゃない! ずっと憧れの人だったんだから!」

聖「あれ…? 想いが通じたと思ったら今度はみずきに…? そうか! これは夢なんだな!」

あおい「夢じゃないよ」チュッ

聖「な…なー! なーーっ! なーーーーーっ!?」

あおい「ほら、この唇の感触は本物でしょ?」ニコッ

聖「きゅぅ…」バタリ

みずき「ちょー! せ、先輩! 聖だけズルいですよ!」

あおい「そうだね。じゃあみずきにも…」チュッ

みずき「ぁんっ…///」

みずき「あおい先輩…///」バタリ

パワプロ「う…わぁ…」

あおい「どうかした? パワプロ君」

パワプロ「こんな妖艶な早川さんは初めて見るッス」

あおい「そう? 一応今まで付き合ったこととかないしさっきのがファーストキスなんだけど」


パワプロ「…それで? これからどうするつもりなんだよ」

あおい「…」

あおい「…幸せにしてみせるよ。2人とも」

パワプロ「あおいちゃんは2人と違ってノンケだろ? 大丈夫なのか?」

あおい「パワプロ君、野球は下手なのにそういうところは鋭いなぁ…」

パワプロ「どうせ俺の仕事は威圧感で相手投手のスタミナを削ぐことだけだよ。…で?」

あおい「…ボク、こういう性格で野球もしてるしさ。女の子に結構モテるんだよね」

パワプロ「自慢か」

あおい「去年11股してたパワプロ君には及ばないよ」

あおい「まぁそんなだから、きっとプロ選手になったらもっと女の子のファンが来るだろうなって予想はしてた」

あおい「まさか聖やみずきがボクのこと好きだったとは思ってもなかったけどね」

パワプロ「…」

あおい「で、男の人と結婚したらきっとファンの女の子たちが幻滅しちゃうでしょ?」

あおい「ボクの夢はプロになって全国の野球女子を元気づけること」

あおい「だから…ボクは男の人と付き合うことなく一生を終えることを覚悟してるんだ」

パワプロ「そう…か…」

あおい「それに、みずきと聖が好きだって気持ちに嘘偽りはないからね♪」

パワプロ「…」

あおい「これから少しずつ、ボクも“恋”をしてみるよ」

パワプロ「そっか。それじゃあ」

あおい「うん。みずきも聖もボクの大事な人なんだ。だから絶対幸せにしてみせるよ」

パワプロ「絶対だぞ、親友。…実は俺も1年の時あおいちゃんのこと好きだったぜ」

あおい「そう。ボクもほんの少しだけ、好きだったよ♪」

ハッピーエンドでよかったがこの場合弾道の代わりに何が上がるんだろう

Epilogue――

パワプロ(その後、テリブルトリオは再び仲良し3人組に戻った)

パワプロ(3人の恋人生活は順調なようで見てるこっちが甘ったるくなるくらいだ)

パワプロ(野球の方もレズパ…ラブパワー常時発動で急激に上手くなっていく有様だし)


みずき「はぁ、はぁ…。あおい先輩、あとはお願いします」

あおい「うん。ここまでよく頑張ったね。あとはボクに任せて」

みずき「そ、その…頑張ったから~、キス、してくれませんか…///」

聖「抜け駆けはダメだぞ、みずき。するなら私にも…///」

あおい「神聖な甲子園のグラウンドでするわけないでしょ。早く持ち場に帰る!」

みずき・聖「はい…」

あおい「さて―――夢の日本一まであと少し! 抑えるぞ!」ズバーン

猪狩守「女でアンダースローなのに僕より速い球を投げるだとっ!? ゴリラか何かか!?」

パワプロ(そしてその後、あおいちゃんはロッテにドラフト1位で入団しめっちゃ活躍した)

パワプロ(聖ちゃん、みずきちゃんも追ってプロ入りし多くの野球女性の憧れとなった)


アナウンサー「このプロ野球界に新たにレ・リーグが開設されてのペナント第一戦」

アナウンサー「先攻は、猪狩カイザース。猪狩兄弟を中心とした実力派のチームです」

解説「ホモ軍団という噂もありますねえ(笑)」

パワプロ「あああああ! なんで俺はこのチームに入っちゃったんだああああ!」

守「うるさいぞ、パワプロ。君のプロ入りは僕の口添えなしでは有り得なかった。感謝してくれ」

守「か、感謝の気持ちは…分かってるだろ?」ポッ

パワプロ「分かんねえよおおおおおおおおおおおおおおお!!」

アナウンサー「対する後攻は…参謀・橘の策略の下、女性球団と化した――」

アナウンサー「橘キャットハンズです!」

アナウンサー「今日の先発は、選手兼投手コーチの参謀・橘」

アナウンサー「キャッチャーは選手兼守備コーチの策士・六道です」

太刀川「策士と参謀って何が違うんだろう…?」

小山「よく分かんないよねぇ」

アナウンサー「そして出てきました! キャットハンズの選手兼任監督…」

アナウンサー「女帝・早川! 今、多田野監督とメンバー表の交換が行われました」

川星「あおい様ー! 格好いいッスーー!」

栗原「あおい様ーー! クイーンオブサブマリーン!」

比奈鳥「はぁ…。今日もあおい様は素敵だ…」


あおい「どうしてこうなった」

みずき「あおい先輩が格好良すぎるからですよ~///」

あおい「ええい! もう!」

あおい「今日は大事な新チームの初戦! 絶対勝つぞー!」

全員「おー!」


あおい「みずき、聖」

みずき「はい?」

聖「なんだ?」

あおい「今日は絶対勝って、家に帰ったら3人でお祝いしようね」

みずき「…」

聖「…」

みずき・聖「はい!」

あおい(今日も明日も、来年も再来年も、一緒に野球して、一緒に家に帰る)

あおい(だって―――ボクたち3人はずっと一緒なんだから)

――――END

レズとホモしかいないじゃないか!(歓喜)

サンキューマッツ

TDN……

優しい世界

新ジャンルか・・・新たな世界の幕開けを見れて満足だ

乙!

やったぜ。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月18日 (金) 18:02:03   ID: hanciNPu

BAD END

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