幼女「こんにちは!引きこもり対策センターです!」男「…は?」 (833)

ーーー二日前

母「…男、ご飯よ」コンコン

室内男「…」

母「お母さんねえ、今日は張り切って唐揚げいっぱい作ったの」

男「…」

母「なんでだかわかる?……今日は男の誕生日だから、お祝いしようと思って」

男「…るせぇ」

母「え?なあに?」

男「うるせえ!!いいから黙ってそこ置いとけババア!!」ドンドン!

母「きゃっ、…ご、ごめんね」スタスタ…

男「…ちっ、死ねよ」ぶつぶつ



ーーー

母「…はあ」スタスタ

父「…どうだった」

母「全然だめ。もう、私どうしたらいいかわからない…うう」

父「……なあ」

母「なあに?」ぐすっ

父「ちょっと、これを見てほしいんだが」グイッ


母「………なあに、これ…」



ーーー今日

コンコン

母「ねえ、男。今日はお母さんとお父さん、出かけてくるからお留守番よろしくね」

シーン

母「…」

父「おい、行くぞ」

母「………男、頼むわよ…」ぐすっ

スタスタ、バタン

男「………」

男「…っはぁーーー。うっぜえ」バタ

男「そのまま帰ってくんな!のたれ死ね!!バーカ!」ドンドン

男「あ、そういえば」

男「へへ、今日はアマゾンからフィギアが届く日だったな。あのババア、ちゃんと金払ったのか?」

男「まあいいや。もし払ってなかったらあとで財布から盗もう」ゴロン

男「あーー、楽しみだなあ」

男「さて、録画しといたDVDでも見るか」

ピンポーン

男「…お!きたか!?」ガタッ


ピンポーン、ピンポーン

男「っせえな、今行くわクソが」スタスタ

男「はーい、どちら様ですー?」

?「こんにちは!わたくしセンターから参ったものですけど!」

男「…ん?センター?」

男「クソババアの関係か?……あ、すんませーん今親が」

?「男さんですよね?」

男「え?」

?「男さんですか?」

男「えっなに怖……ええ、まあそうですが」

?「ありがとうございます!では開けてください!」

男「いやいやいや、開けませんよ…誰です?あんた。通報しますよ」

?「そうですか!では無理やりこじ開けさせていただきますね!」

ガチャガチャガチャガチャ

男「ひいっ!?」

ガチャン!

男「………?」

幼女「こんにちは!はじめまして。わたくし引きこもり対策センターの幼女と申します!」

男「………はあ?」

幼女「男さんですね、はい顔の確認も取れま」

男「…ビビらせんなガキ!ここはいたずらしていい場所じゃねえよ!帰れまじ通報すんぞ!」ダンっ

幼女「ありゃ、怒ってます?ごめんなさいね驚かせて」あはは

男「はあ!?てめえの悪ふざけに付き合ってる暇なんてねえんだよクソガキが。おい!親連れてこい!」

幼女「まあまあ落ち着いて」

男「おいお前、マジで親連れてこいふざけんなよ」ブルブル

幼女「……なるほど…」

幼女「ふええ、ごめんなさい…ちょっといたずらしてみたかっただけだったのぉ…」

男「今さら言い訳すんなよクソガキ。いいか?俺はお前みたいなガキが大嫌いなんだ!」ダンっ

幼女「ふええ…ごめんなさい…でもね、幼女の言い訳ちょっと聞いて欲しいのぉ」

男「ああ?じゃあ十秒以内に言えゴミ。まあどうせ聞か」

幼女「一昨日センター管理室に貴方のご両親からお電話をいただきまして貴方を更生してほしいという相談を持ち掛けられました私どもはHTSという国際団体でして主にあな」

男「……」

幼女「……もう十秒いいですか?」

男「……おう」

幼女「たのような一年間のうち14日以上学校や社会団体に登録されているにもかかわらず出勤または登校または登庁されていない日本国籍を持った人いわゆる政府が定めた「引きこもり」に値す」

男「……」

幼女「……」

男「……ど、どうぞ」

幼女「る人をサポート及び生活矯正をさせていただく団体だと思っていただければと思います」

男「……」

幼女「ここまでいいですか?」

男「……おう」

幼女「えっと、でさっき申し上げましたが一昨日あなたのご両親からお電話をいただきました。「男さんを更生させてほしい」と」

男「チッあのクソババア……あのー、悪いけど帰ってもらえます?俺は全然そういうのは必要ないんで」

幼女「無理です」

男「は?」

幼女「そうですね、例えば医療団体の中で一つの規約にあたる「医療保護入院」というのはご存知ですか?」

男「…知らねえよ」

幼女「医療保護入院というのは、入院をする対象者の意向は別に、その血縁者と病院関係者の方で対象者を入院させるというものなんですけど」

男「何言ってるかわから」

幼女「それと一緒です」

男「…はあ?」

幼女「要するに、対象者の意向は聞けないんです。他者から見た判断で「この人は入院が必要だ」と多くの意見が合致したらその人は強制的に入院します」

男「それとなにが一緒なんだよ」

幼女「あなたは社会復帰をするべきと判断されたのです。更生が必要だ」

男「………」

幼女「政府関係者、私どもHTSのスタッフ、そしてご両親」

男「………」

幼女「全ての意見が合致したんです」

幼女「厳しいことを言わせていただきますが、あなたはこの世界に生まれた時から社会の秩序を守らねばならないのです」

男「はあ!?ゴミ両親が勝手に生んだんだからそんなの知らねえよ。てめえらが俺の世話すんのはあたりめえだろ!?」

幼女「なら勝手に生きてください。この世界の秩序が守れないのならそれでいいです。ですが、そのかわりこの世界から出て行ってください」

男「意味わかんねえ。勝手に産んどいて…」

面白いね。
できれば会話だけでなく、描写などもあると更に嬉しいです。

幼女「……コホン。とにかく、あなたは更生が必要だと判断されました。」

幼女「この世界で生きたいなら、これから更生プロジェクトを始めます。この世界を捨てるなら、」

幼女「率直にいえばのたれ死ぬなら」

男「………」

幼女「あなたの勝手にしてください」

幼女「どうしますか?」

男「………くそっ…」

こんなきびきびハキハキしてるの幼女じゃない

幼女「…アリマス二期見るまで、死ねませんよね?」

男「あとでぶっ殺してやる、ババア…」

幼女「では、よろしいですか?」

男「………さっさと上がれ、寒い」

幼女「それでは、プロジェクトを開始します」



ーーー

>>27-29
とりあえず今は突っ立ってただけで会話してたからあんまり描写はなかったなすまんw

>>31
見た目は幼女なんです



ーーー男、部屋

男「それで?そのプロジェクトの内容っつーのはなんなんだよ?」スッ

幼女「えーとりあえず、期間は一ヶ月半を予定しています。あ、座布団借りますね」ガタン

男(ガタン?)

幼女「最初の2週間は、「普通の生活」をしてもらいます。まあ要するに一般人の生活そのものをしてください」

幼女「朝7時起床、ご飯は三食決まった時間、夜10時就寝」

男「おい、夜10時って俺の起きる時間なんだが」

幼女「だめです矯正で強制ですんで。ちなみに眠りに集中してほしいんで、ケータイやパソコン、漫画などの物は全て取り上げさせていただきます」

男「おいおいふざけんなよ。だいたい23時からあやなんのスマ生がな…」

幼女「だめです」

男「おい!」ガタッ

幼女「たった一回あやなんのスマ生を取ってのたれ死にますか?それとも一ヶ月半待って、それからあやなんとたくさん時間を共有しますか?」

男「………」

幼女「これだけは言わせてください。あなたは変わります。」

幼女「必ず。あやなん以上に大切な物が、これからどんどん手に入ります」

男「………マジで恨む」チッ

幼女「それから、これは今、決めていただきたいんですけど」

幼女「一ヶ月半後の男さんに、一言どうぞ!」スッ

男「…お疲れ!さっさと元の極楽生活に戻ろうぜ!」



幼女「わかりました、ありがとうございます」メモメモ

男「はー、なんか腹減ったな……ラーメンでも食うか」

幼女「だめですよ?」

男「は?なんでだよ」

幼女「もうプロジェクトは開始しています。えっと、今が午後1時なんで夕飯まであと6時間ですね」

男「……おい、それまで何も食うなってか?」

幼女「もちろん!おやつの導入は私どもが決めさせてもらいますので」

男「ふざっけんなよ、腹減ってんだよこっちは。死んだらどうすんだ?あ?」

幼女「んーまあ、その時はその時ですねえ」

男「ふざけんな!取ってこよ」

スタッ、ダダダダッ、バタン!

幼女「あっ………仕方ないなあ」



ーーリビング

男「えーなんかねえかなあ」ガサゴソ

男「おっ、ナッポロ一番があるじゃねえか」ガササッ

男「よし、食うか!卵もつけよっかなあ」ビリビリ

幼女「男さん、悪いことは言いませんのでそれを元に戻してください」スタスタ

男「はっ?やだね。食事の自由くらいあってもいいだろ」

幼女「もう一度言います、それを元に戻して、部屋に戻りましょう」

男「しつけえんだよ!てめえになにが出来んだ?なんもできねえガキだろーが」バリバリ

幼女「よし、じゃあせいぜい火傷しないように気をつけてくださいね!」スッ

腕ガシッ

男「お、おいなんだよ」

男(地味に力つええな…)ギリギリ

幼女「えっとたしかこのポケットに……あ、あった」ヌルル

男「…なんだそのスライム」

幼女「えい!」

ヒュッ、バチン!
袋パーッン!

男「どぅあっち!?!?」

シュルルル…
サーッ

男「ナ…ナッポロが……ナッポロが砂状に…」ガタガタ

幼女「これ、便利でしょう?アメリカの理工学の大学が発明した、勢いよく投げつけるとスライムが化学反応を起こして当たったものごと砂状にする特殊道具なんです」ニコ

男「しんじらんねえ…」

幼女「どうしても手に負えなくなったら、止むを得ずですがこれを使わせていただきます」

幼女「パソコンも、ケータイもさらさらにできます」

男「……」ガタガタ



ーーー5時間後

男「……」

幼女「んで、それから次の日は…」

男「………腹減った…」

幼女「聞いてます?」

男「それどころじゃねえよ…マジでこれしぬ…」

幼女「…」

ガチャ、ガチャ
バタン!

母「ただいまー」

男「!、あのクソババア!!」ガタン、ダッ

幼女「あ、男さん待って」グイッ

男「ぬぉ!?」バタン!

男「っつててて……あにすんだよ!!!」

幼女「だめです」

男「なにがだ!!!」

幼女「ご両親との接触です」

男「なんっっっでだよ!!!」グワッ

幼女「何がとは詳しく言えないですけどだめです。この一週間、あなたの生活行動と鉢合わせないように、ご両親には行動をしてもらいます」

男「だーかーらー!なんでだっつってんの!?」

幼女「規約に反するので言えません!!」ギッ

男「ひ!」ズサッ

幼女「……とにかくだめです。この部屋にいてください」


ーーー2時間後、
夜7時


男「あーーー……」イライラ

幼女「…男さん、ここにいてくださいね」スッ

男「………は?どこ行くんだよ」イライラ

幼女「あなたの夕食を取ってきます」

男「………お!?そんな時間か!」ガタッ

男「早くしろ!死ぬ寸前だ!」バタバタ

幼女「……ええ、待っててください」


ーーー

ガチャ

幼女「今日はビーフシチューと、卵焼きだそうです。どうぞ」コトッ

男「いっ、いただきます!」バッ

男「………」バクバク

幼女「…」

男「………」むしゃむしゃ、モグモグ

幼女「…のどに、」

男「ん!?!、んぐぐ!?」ゲホッ

幼女「あー遅かったかー」

幼女「大丈夫ですか?お水持ってきます?」

男「ゲホッゲホッ!ウグッ………ごくん」

幼女「男さん?」

男「…ふぅー。あぶね」

男「なんだこの飯、くっそ美味いな!お前が作ったのか?」チラッ

幼女「……そんなに美味しいですか?」

男「おう、たぶん最近食った飯で一番うめえわ」バクバク

男「作ってるやつに三ツ星あげたいくらいだよ」バクバク

幼女「………お伝えしますよ、彼女に」ボソ

男「あ?なんか言ったか?」

幼女「いえ、なんでも」ニコニコ

バンバンバンバンバンバンバン
バン     バンバンバン
バン (∩`・ω・) バンバン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
   \/___/ ̄ ̄


  バン   はよ
バン (∩`・ω・) バン はよ
  / ミつ/ ̄ ̄ ̄/
  ̄ ̄\/___/

    ; '  ;
     \,( ⌒;;)
     (;;(:;⌒)/
    (;.(⌒ ,;))'
 (´・ω((:,( ,;;),
 ( ⊃ ⊃/ ̄ ̄ ̄/
  ̄ ̄\/___/ ̄ ̄

       /\
      / /|
     ∴\/ /
     ゜∵|/
  (ノ・ω・)ノ

  /  /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ポチポチポチポチポチポチポチ
ポチ     ポチポチポチ
ポチ (∩`・ω・) ポチポチ
 _/_ミつ/ ̄/
    /_/ ̄ ̄ ̄ ̄


ーーー

カラン!
男「ふーっ、食った食った!」

幼女「満腹になってよかったですね」

男「もとはてめえらのせいだけどなっ」ギッ

幼女「ふふ…男さん、8時になったらお風呂です。九時半までにベッドに入って、10時に寝ますよ」

男「おいマジでそれ守んの?」

幼女「もちろん。あなたが、これからも生きたいならば」ジッ

男「……大げさだねぇ」

男「まあ、一ヶ月半経ったら元に戻れんだろ?」

幼女「……まあそういう手もありますね」

男「そしたらお前なんか追い出して、とりあえずババアをボコボコにして、優雅に暮らすことにするわ」バタッ

男「俺はこれからもあやなんとアニマスのために生きたいしな」

幼女「お好きにどうぞ。さ、お風呂の準してください!」

誤字
準→準備

支援ありがとうー


ーーー21時半

男「うはっ……やっべえなこれ…マジアウトじゃんw…」パソコンカチャカチャ

幼女「男さーん」

男「あ?ちょっと待ってろ……ふは、ワロタw…」カチャカチャ

幼女「……スライム」

男「あと十秒でシャットダウンする!!!」ガタガタン!

幼女「はー。明日からインターネットも規制しますよ」

男「なに?おい、そんなことよりお前はどこに寝るんだよ」パタン

幼女「あなたの横です」しれっ

男「……いやいやいや、お前それは」

男「だめだろ」

幼女「何がダメかは具体的にはわかりかねますが、一応規約ですので」

男「おいおい自分がなに言ってるかわかってんの?」ジロッ

幼女「男さん、自分が絶対にパソコンやケータイを触らないと誓えますか?」スッ

男「いや誓えねえし、誓わねえよ。お前がいないなら絶対触るわ」

幼女「どうです?私があなたの横で寝るのにそれ以上の理由がありますか?」ジー

男「お前バカじゃねえの?」

男「俺おとこ、お前おんな。俺が明日の朝ビップに「ついに幼女抱いたったwww」ってスレ立てすることになるけど」

幼女「無問題です」

男「……」

幼女「あなたは私を抱くことはできません、絶対に」ジッ

男「……」

幼女「……」

男「……今夜、知らねえぞ」

いいとこですがすんません、飯食ってきます。

あとで勝手に上げるんでアゲはしてくれてもなくても大丈夫っす。



ーーー22時

幼女「布団入ってください。電気消しますよ」

男「……なあ、マジでお前ここで寝んのかよ」チラ

幼女「ええ。私が今夜、身の危険を感じて起きることはないので」カチカチ

真っ暗

男「……お前、俺がどんな人間か知らねえだろ」ガサ

幼女「どんな人間なんです?」

男「俺はロリコンじゃねえけど、女は好きだ。それがどんな年齢であってもやりてえって思うし、無理やりにでも犯したいっておもうぞ」

幼女「はあ」

男「エロ漫画みてえな展開だって大好きだし、いつか実践したいって思ってるし」バサッ、ガサゴソ

幼女「……ふふふ」

男「は?何笑ってんの?調子乗ってるとマジで犯すぞ」イラッ

幼女「あはは……いえ、私の目が間違っていたなあって思って」ガサ

男「そうだよ、だから怖いならさっさと…」

幼女「いえ、違います」

男「あ?」

幼女「あなたのこと、他人から聞いただけの情報を知っていたんでちょっと勘違いしていたんです……すいませんね」

男「何言ってんだ?」

幼女「男さん」ガサ、ゴロ

ギュ

男「っつ!?おい!!調子乗ってんじゃねえぞ!」ガバッ

幼女「やだなあ、ちょっと肩が触れたぐらいでなんです」パッ

幼女「男さん、あのね、そうやって自分の悪いところを話せるってことは、あなたの本能が「この悪いところをどうにかしてほしい」ってSOSを出してるんですよ」

男「わけわかんねえよ」

幼女「でしょうね、あはは!」

男「おいお前今バカにした?殺すよ?」

幼女「……まあ、大丈夫です。あなたは私を抱けません」

男「なんの根拠がっ」

幼女「さ!寝ましょう!これ以上無駄口叩かないでくださいねースライムお見舞いしますよー」

男「おい」

幼女「さん!にぃ!いち!」

男「っ」




ーーー



プロジェクト開始二日目


ーーー朝7時

バァァアァン!!!!

男「ふごごぅ!??」ガバァッ

幼女「おはよーございまーす!7時ですよ!」

ッグァバァァアァアンッッッ!!

男「っーーーー!!?!?」

男「おい!!なんだそれ!!」

幼女「何って、シンバルですけど」キョトン

男「いやそういう問題じゃねえ!なんで家ん中でシンバル叩いてんだっつってんの!!」

幼女「男さんを起こすためです。昨日はよく眠れました?」

ッヅブァァアァアァァァアン!!!

男「やめろ!!!!」ガタッ

男「なんにもすることなくて眠る以外に時間つぶしがなかったんだよ。眠りに良くも悪くもねえわ!!」

幼女「そうですか、なら良かった」ニコ

幼女「七時半にご飯です。それまでに着替えてくださいね」



ーーー

幼女「男さんー、ご飯ですよ」

幼女「朝ご飯は、スクランブルエッグとソーセージです。オレンジジュースもついてます」コト

男「……あー悪いけど、飯いらねえわ。そんな腹減ってないし…」

幼女「なるほど。では返してきますので5時間空腹にうなされてください」ニコ

男「……おい、食うよ」グイッ

幼女「じゃ、どうぞ」



ーーー8時

男(さーてまとめでもチェックするか)ガタッ

幼女「さーて男さん、まず歯磨きと洗顔、それから髭剃りしましょうか」

男「あー?んなもんあとででいいだろ」パソコンオープン

幼女「……これは止むを得ませんか?」スッ

男「(脅迫乙……)やるよ、今やる」

洗面所

男「おい」

幼女「なんでしょう?」

男「洗顔って、どうすりゃいいんだよ?水で洗えばいいのか?」ジー

幼女「洗顔料を買っておきました。まず水で顔を濡らして、適量を手のひらで泡立てて洗ってください」ヒョイ

男「準備いいね」バシャバシャ

ぐにゅー

幼女「髭剃りもしてくださいね。これ借りましたので」スッ

男「わーってるよ、姑かお前は」

幼女「え?」

男「……そういう比喩だよ」



ーーー

男「あーさっぱり」ふきふき

幼女「男さん、見違えますよ。すっきりしましたね」ジィッ

男「え、マジで?…どう?」

幼女「どうもなにも、素敵なお顔ですよ」しらっ

男「……そ、そうか?」チラ

幼女「では、外に出てみましょうか」

男「……いや…いやいやいや!」

男「いきなり外は無理だって!」グッ

幼女「そうですか?なんでそう思うんですか?」ジッ

男「いや……だって、俺…親と宅配の人としか長年しゃべってねえし……外の人とか、キラキラした人とか見るの…こええし…」ぶつぶつ

幼女「なるほど」

幼女「……ではまだ、外はやめときましょうか」スス

幼女「じゃ、部屋に戻りましょう」

男「……」



男「…なあ、ネットやっていい?」ガタン

幼女「えーと今が9時過ぎか…はい、いいですよ。ちょっと私、出ますので部屋にいてください」ガチャ

男「は?どこ行くの?」

幼女「いろいろと必要なものを取ってきます。すぐに戻りますが、もしなにか不便があったらちょっと待っててください」

幼女「あ、あと」

男「おう?」

幼女「私との生活が始まったことは、インターネット上には漏らさないでもらえるとありがたいです」

男「……おう」

幼女「では。」

バタン

男「……」

男(…さて、あいつについて調べてみよう)

男「えーなんだっけ?HLS?HTS?」カチャカチャ

ターンっ
もしかして→引きこもり対策センター、HTSC

男「あ、これだ」カチャカチャ

男「なになに?……『引きこもり対策センター、現代社会の闇に光の手を伸ばします』……うさんくせえ」

男「へー、マジで国際団体なのか……ん?」

男「『血縁者の皆様へ』…?」

カチャカチャ

男「……」カチャカチャ

男「……これって」

バターン!!

男「!??!」ビクゥッ

幼女「戻りましたー」

男「お前はいちいち心臓に悪いんだよ!!」ガタッ!

幼女「えぇ?なにがです?」ガサゴソ

幼女「さ、あと30分でネット終わらせてください。やることやりますよ」

男「な、なにをすんだよ」ドキドキ

幼女「……これからのこと、考えましょう」

>>1的に登場人物どんな感じに描いてるんだろ


ーーー

幼女「さて、まずはこれをどうぞ」どさっ

埃モワァ

男「…ゲホッ…これ、どう見ても」

幼女「どう見ても本ですね」

男「……本がなんだよ?」

幼女「これから、インターネットをするにも漫画を読むにも、まずこれらの中から出す課題をクリアしてもらいます」

幼女「課題が終わるまで、漫画やゲーム、インターネットはできません」

男「……そうくるか…」

>>94
読んでる人の想像にほとんど任せてるから、なるべく人物の容姿の描写はしないようにしてるよー

幼女「えーでは、さっそくやりましょう!」

男「おいおいおい、ちょっと待て!これ何冊あるんだよ!?」

バササー

幼女「……大好きな物から一秒でも離れたくなければ、こんなの容易いですよね?」チラ

男「(うーんこの畜生)……で?どうすりゃいいんだ?」

幼女「じゃ、いきますよー!では手始めに!」

テテン!

男「!?」ビクゥッ

幼女「芥川龍之介の『羅生門』から出題です。主人公の下人が羅生門の楼の上で見つけたものはなんでしょう!」

(※よかったら読者さんも考えてみてね)

男「らしっ…?えっと、資料どこだっ…!」




ーーー

男(見つけた!)

男「ろ、老婆か!?」

幼女「せいかーい!まあ詳しく言うと髪を抜く老婆ですけど」

幼女「では次!」テテン!

幼女「鎌倉時代末期に作られた『徒然草』の作者の名前は!」

ーーー

男「兼好!」

幼女「正解!では次!」

幼女「美術の基本、「色の三属性」とは何と何となに!」

ーーー



ーーー1時間後

男「ゼェー、ゼェー……あ、アドレナリン…!」

幼女「大正解ですー!」

幼女「では次は」バラバラ

男「ちょっと待て!!!」ガシッ

幼女「はい?」

男「なんだよこれ!意味あるのこんな行為?」ゼェー、ゼェー

幼女「ええ。十分意味がありますよ。脳の活性化、自分で一から調べて答えを出す達成感、右脳の働きをよくしますし、それから」

男「……」

幼女「……」じいい

男「なんだよ!」

幼女「今すごく、さっき以上にすっきりした顔をしてますので」

男「……」

幼女「嬉しいし、楽しいでしょう?インターネットは簡単に答えが出てきて、それはそれで楽かもしれません」

幼女「ですが、こうして一から自分で調べて、自分の力で答えを見つける。それって、とてもいいことじゃありませんか?」ニコ

男「……おまえが」

幼女「はい?」

男「……いや、なんでも」

幼女「男さん」ポンポン

男「なんだよ」

幼女「パソコンの中は、もう世界がほとんど出来上がっています。…この本のように。あなたは、その出来上がった世界をこの数年間歩いてきました」

幼女「ですが、現実(こちら)はそんな出来上がった世界なんてありません。あなたの世界は、人生は、今やった行為みたいに地道に、」

幼女「でも確実に」

男「…」

幼女「あなただけの世界が築けるんです」

男「……まあ正直」

幼女「?」

男「ちょっとだけ、楽しかったよ」

幼女「…現実は」

幼女「インターネットやゲームのようにリセットはできません。なのでその分、失敗はできないしリスクも伴っています」

幼女「正直言って、だいぶ無理ゲーに近いです。RPGの魔法使いは最後まで勇者と共に戦い抜きますが、でも、現実は違う」

幼女「安易に裏切られる」

男「……」

幼女「それでも、」
ピルルル、ピルルル!

幼女「っあ、電話…」ピ

幼女「すいません、ちょっと失礼します」ガチャ

男「………はあ」

男「…俺に」

男(俺になにを期待してるんだよ)ハァー…

男(今更変われって…言われたって。たぶん無理だ、このクズみたいな思考はぜってえ変わんねえもん。二十歳過ぎにもなって……)

男(夢持てっていう方が……)

男「……っ」



ーーー


ーーー昼過ぎ

カチャン

幼女「…ごはん、ほとんど食べてないじゃないですか」

男「……別にいいだろ」フイッ

男「さっきのアレでちょっと疲れたんだよ。このまま寝るわもう」ゴロゴロ

幼女「食後に寝ると太りますよ」

男「へっ、迷信だよそんなの。まあ諸説あるようだけど」

幼女「…午後もプログラムがあります。それまではまあ、ご自由にどうぞ」

バタン

男「…」

男(……俺の……いや)

男(そんなことより。さっき見たサイトは本当にあいつが所属する団体だったのか…?)

男(だとしたら、あいつ……いや、俺には関係ない)

男(そうだ、俺には関係ない。さっさと一ヶ月半こなして、んで追い出せばただの他人だ。俺の生活も元に戻る)ゴロゴロ

男「……俺はどうしたって変われねえよ」ボソ


ーーー

18時

幼女「男さーん」トントン

男「zzz…ゴゴガッ……ん?」よだれベトォ

幼女「男さん、ちょっと見てほしいものがあるんですけど」

男「ンガッ……なんだ、よ」ジュルリ

幼女「これです」

バサッ

男「……雑誌?」

幼女「はい。通販雑誌です。洋服を買いましょう」

男「……アマゾン開くか?」

幼女「いいえ、雑誌で。二人で見ながら決めましょう」パラパラ

男「……これ大人用雑誌じゃん」

幼女「?、ええそうですが」

男「お前、大人用着るのか?」

幼女「はい?」

男「えっ?」

幼女「決めるのはあなたの服ですよ!」

男「…なんでだよ、俺服なんて要らねえもん。金もねえし」

幼女「いえ、こちらの経費で買うものですので。ご心配なく」パラパラ

男「そもそも、服なんて要らねえんだけど」

幼女「これもプログラムのうちですので。さ、こっちに来てください!一緒に決めますよ!」バシバシ

男「なんなんだよもう…」



ーーー

幼女「じゃ、これでいいですね?」

男「おう」

幼女「…ねずみ色のダッフルって…」

男「うっせえなあ!服なんて選んだことないんだから仕方ねぇだろ!」カアア

幼女「あはは、いや私はなにも言ってませんよ?ふふ……いいセンスですねぇ」

男「ぜってえバカにしてんだろ!」

グギュルルル…

男「……あ」

幼女「では!男さんのお腹も空いてきたのでね、ず、み、色のダッフルで決まりですね!」ニッコリ

男「るっせえ!さっさと飯にしろ!」バシッ

幼女「はーい。今いきますよう」バタバタ

ちょっと家のことやってきます。ブルーライトで目が痛い…笑

支援などありがとー!なんか質問とかあったら書いといてー!

てすー


プロジェクト開始3日目

ーーー昼過ぎ

男「……」

幼女「……」

男「……おい」

幼女「はい?」

ヴィィィィイイン
ガタン!
男「はい?じゃねえよ!一体これどういうことだ!」

幼女「どうって……模様替えですよ。スペース作りたいので、このままじゃ場所がないし」ヴィィィィイイン

男「あ!?掃除機の音でなんも聞こえねえわ!!つーかなんでうんこしてる間の五分ちょいでこんな物が移動してんだよ!!お前は超能力者か!?」

幼女「はい?すいません聞こえないのでこの掃除が終わったら聞きますから」

男「今聞けえええ!!!」ガシャーン!


ーーー

幼女「で、なんでしょう?」
カラカラカラ

男「いやいやいや、君ね?まずなんで本人の許可なく……」

幼女「ああ、それはすいません。でも一応聞いたじゃないですか」

男「いつだよ?」

幼女「ほら、さっき……」


~~~~30分前

幼女「……てなわけで、近代文学は進歩していったんですよ!」

男「(全然わかんねえ)ああ、なるほど。なんとなくわかったような」

幼女「じゃあ、今日の課題はこれで終わりです。また夕方におさらいしますがその前に」

男「あーごめん、悪いけどうんこしてくる」スタ

幼女「……じゃあはじめてていいですか?」

男「(おさらいの準備か)ああ、いいよ」


~~~~~

幼女「……って」

男「わ、か、る、わ、け、ねぇだろ!!!!」

幼女「まあ説明不足でごめんなさい。」

男「いや不足とかじゃねえから。完璧説明してねえから」

幼女「でも、ほら」グイグイ

男「あ?」

幼女「これを置きたかったんです」

パカ

男「……なにこれ、箱?」

幼女「はい、箱です。宝箱です」

男「……ははーん。やっぱお前、ガキなんだな」ニヤニヤ

幼女「はい?」

男「宝箱なんて、普通の大人は部屋に置きませんよ?宝物なんてキラキラしたもんねえし、それに、」

幼女「男さん」

男「あ?」

幼女「これは、あなたのための宝箱です。私の大切なものを入れるのではなく、あなたの大事なものを入れる物です」

男「お前俺の話聞いてた?宝物なんて大人にゃ」

幼女「見つけてください」

男「あ?」

幼女「宝物を、見つけてください」

男「おいおい、見つけるなんてどうすんだよ?あ?どーしたらお宝なんて見つかるんだ」

幼女「……コホン。ちなみに」

幼女「あなたが宝物を見つけるまで、このプロジェクトは終わりませんから」ニヤ

男「はあ?おい、話と違うじゃねえか!」グイッ

幼女「言いましたよね?「プロジェクトの期間は一ヶ月半」です。もちろんこれもプログラムに入ってます」

幼女「プログラムを途中で終わらせることは規約違反になります。ねえ、男さん、」

男「はあ?!」

幼女「一ヶ月半の間に、『見つけられれば』いいんですよ」

男「……は?」

幼女「ね?」

男(炭鉱でも発掘しろってか!?)イラ

幼女「さあ、頑張ってください」ニコ

男「ふざけんなよっ。元はといえばお前らが勝手に……」

男(……ほら、みろ。ちっとも変わらねえ)

幼女「男さん?」

男「……ほら、わかるだろ?」

幼女「え?」

男「俺、また人のせいにして……変わっちゃいねえんだよ。変われねえんだよ」グッ

幼女「なに言ってるんです?3日で人間が変われるわけないじゃないですか」

男「……」

幼女「それに私、男さんに変わって欲しいとは思ってません。」

男「は?」

幼女「男さんに「変わりたい」って思ってもらえるように、今ここに居るんです」

ごめん風呂入ってた

男「……それって」

幼女「とーにかく!ひとつ宝物を見つけて、この箱に入れてくださいね」ガタン

男「俺にはぜってえ無、」

幼女「男さん!」グイッ

男「うぉ!?」ビクッ

幼女「これはっ………」

男「……?」

幼女「……いえ、なんでも。さあ!うだうだ言ってないで次のことやりますよー!!」パタパタ

男「な、んだよ……」



ーーー



ーーー別日
某室内


「…ーーーさん」

幼女「…さん、初めまして」

……ーーー

幼女「いえいえ、こちらこそ。…さん、これからよろしくお願いします」ペコ

……ーーー

幼女「はい、今の所、問題なく順調に進んでいます。…さんのお料理も、美味しいとたべていますよ」

……ーーー

幼女「いえ!そんな。私はただ…さんに少しでも力になれればと。ほとんど私だけでは無力ですから」

幼女「あとは…彼次第です」

……ーーー



ーーー

>>129
野暮なツッコミですまんが

>ーーー別日

こういうの書くときは「ー」じゃなくて「―」な

―――別日


ーーー21時

幼女「あれ、そういえばまだお風呂入ってなかったんですか?」ガチャ

男「あーまあ…今日はもういいかなって。汗かいてねえし」

幼女「だめですよ、ちゃんと毎日お風呂に入ることで一般の人は清潔を保っています。同じことしてください!ホラ!」ぐいぐい

男「っせえ!わかったよひっぱんじゃねえ!」しずしず



シャアアアアアアァ…

男「…くぁあ、ねむ…」ワシャワシャ

男(規則正しい生活ってのはすぐに身につくんだなあ)

男(……つーか、俺)

シャアアアアアアァ…

男「……未だにマジであいつに手を出せてないって、どうなんだろう」ギュイ

男(あいつがあんなに自信満々に言うから流れで手ェ出してねえけど、もし一線越えたらどーなんだろ)ワシャワシャ

男(つーかなんであんな自信ありげだったんだ?男を全く理解してないのか?)ワシャワシャ

>>130
ワイスマホ勢、その棒線の出し方が面倒臭くーに頼った模様

男(つーかあいつ、なんでもかんでも自信ありげだよなよく考えりゃ。自分を偉いとでも思ってん………いやいやいや)

男(こういうこと考えてるからいつまでもクズなんだよ……たっく)

男(……『いつまでも』?)

ダンダンダン!!

男「シャケ!??」ビクッ

幼女「おーとーこーさん!いつまで入ってんですか就寝時間ちかいですよ!!」

男「ビビらせんなっつってんだろ!!今上がるわボケ!!」カタン

男「あーーもーー…」




ーーーー

あいほーん以外の機種やパソコンからどう見えてるかわかんないんだけど、

ほんとすまない。スムーズに書きたいので「ー」でいきます。ほんとすまない。



プロジェクト6日目

ーーー10時半

カチャカチャ、カチャ……
男「……おい、マジかよ…」

幼女「パソコン見て、どうかしました?」シャコシャコ

男「いやこれ見……なんで歯ぁ磨いてんだよ」

幼女「いや磨きますよ、一応人間ですし」シャコシャコ

男「そういやお前、どこで飯食ったりしてんの?ふらっといなくなるけどすぐ帰ってくるよな?」

幼女「え、普通に……あなたに何かあったときにすぐ駆けつけられる距離にはいますよ」シャコシャコ

男「ふーん…あ、いやそんなことより!これだよ!」ガタ

幼女「ん?……アリマス二期決定イベント?」

男「そう!幕張で!」

幼女「……これのどこが変なんです?」

男「変じゃなくて、イベント!」

幼女「…私の理解力がお乏しいのでしょうか?」

男「……いや、イベント行きたいけど、行けないなって…いう……」

幼女「……なぜ?」

男「だってこれ、幕張ってかなり遠いだろ。…ただでさえ外に出られねえのに。行きたいけど、無理だから」

男「だから、マジかよって思って、、、」ググッ

幼女「え?行きましょうよ」

男「無理だ」フイッ

幼女「あなたがロミオだったとして、ジュリエットが憎むべき敵でもなくて二階の自室ではなく目の前にいたら手を伸ばしませんか?」

男「………なんの話だよ」

幼女「あなたはアリマスを愛しています。アリマスはいつまでもファンを待ってます。隔てられた壁はあなたの自己的なものしかない」

男「は…?」

幼女「行きましょう。アリマスへの愛が、あなたの心の壁より大きいのなら壊せます!」



ーーーお昼

男(……そうは言ってもなあ)

男(いきなり外に出るなんて無理だよ。こちとら何年出てないと思ってんだ…)

ガチャ

幼女「男さん、お昼ごはんです」

男「おー、腹減ったわ。今日は何?」

幼女「お昼なのに豪華ですよ、唐揚げと、ほうれん草のソテーと…」コト

男「ふーん。いただきまーす」カチャ

男「…」ぱく

男(………あれ?これ…)もぐ、もぐ

幼女「それじゃあ私もちょっと食べてきますので、何かあったら叫んでくださいね」ガチャ

幼女「………男さん?」

男「…あ、おお、いってら」

ごめんなさい。寝ます。
明日で完成させたい!こんな時間まで読んでくれてありがとう、明日も暇だったら見てってくれ。

つーかたった4日の描写でここまで仲良くなれるわけねえだろ。引きこもり設定どうしたんだよw
1はちゃんと設定しないで書いてる無能なんだろうなw文もめちゃくちゃだし。きしょい。

おいおい一夜明けて読み返したら>>149の言う通りマジでくそつまんないなこれ……

でもここまできたんですんません。今日もゆっくり続けます。
よろしく

チュンチュン、
ピーロロロロロ…

男(…あ、鳥)モグモグ

男(なんつー鳥だっけ。ガキの頃よく追っかけてたような…)モグモグ

ごくん。

男「…ふー。ごちそうさま」カラン

男(……)

男「外かあ」ハァー




ーーー


ーーー23時

シーン

男「……」モゾ

幼女「すー、すー」

男(…結局きょうは、外に出ることばっか考えてたな)モゾモゾ

男(こいつの言ってたことも……自分なりに考えたけどよくわかんねえし)

男(ロミオが…なんだっけ?シェイクスピア劇なんて知らねーよ。もっとわかりやすい例え出せ)ムッ

男(そういや、こいつ……)モゾモゾ

チラ、

幼女「すー、すー」

男「……おい」

幼女「……すー」ゴソ

男「……おーい」

男「おい、お前…」スッ

ツン、ツン、
……コン

男「…………『こん』?」

サス
コン、コン

男(おい、なにここ…二の腕だけ、明らかに)サワッ

コン、コツ

男「……え?」

幼女「なんですか?」ガサ

男「うひゃあ!!」ドキィ

男「お、おふぅ」バクバクバク

幼女「自分で呼んでおいてそんなに驚くことないでしょう……どうしましたか?」バサッ

男「あ、えっと………あれなんだっけ?なんでお前を呼んだんだ??」ドキドキドキ

男「お前がビビらせるから忘れたわ!!」バシィッ

幼女「呼ばれた気がしたから起きて反応しただけですよ!!びびらせてなんかいません!!」グワッ

男「うるせえ絶対ビビらせただろ!!だいたいお前の腕そっ…!」

幼女「……」

男「……れ…」ガサ、
サーッ…

幼女「…腕?」サス

男(やばい…)ごくん

男(腕触ったのばれた…?てか、もし触れちゃいけなかったら…)

ドクン、ドクン

幼女「……」

幼女「ああ、これですか」さわさわ

幼女「見えてました?『機械』?」

男「……お、う…?」ドキドキ

幼女「……うーん、」ガサガサ

幼女「まあ、今日は夜も遅いので、寝ましょう。眠れなかったら安眠剤を出しますけど」

男「え…あ、ああ」

男「お、おう。そうだな。寝ようか、いや自分で眠れるから大丈夫」バサッモゾモゾ

幼女「そうですか、では、」

幼女「『またなにかありましたら』、呼んでくださいね」ニコ

男「おー、お、おやすみ…」モゾ

男(………)



男(……機会ってなんだよ…)



ーーー

誤字。
機会→機械。


プロジェクト開始8日目

ーーー夕方

男「………結局」ググ

男(あれがなんなのか聞けず2日経ってる)

幼女「男さん?」ズイッ

男「……あ、なに?聞いてなかった」ドキ

幼女「えっと、ですから。あれから一週間経ったので現状整理をしましょうと」コホン

男「お、おう。そうか」シャキッ

幼女「……さて、まずですが」

幼女「今どんなことが気になるか、どういう気持ちか。パッと思いつくことでいいので教えていただけませんか?」メモッ

男(”気になる"……!!)ググ

男(君のことがいろいろと気になってるんですがねえ)

幼女「思いつくもの全て言ってくださいね」

男「(じゃあお前の)……うーん、特にねえな」ボリボリ

男「ていうか、具体的なこと言ってくれねえとわかんねえや」

幼女「と、言いますと?」

男「例えば、「りんご」についてどう思いますか?みたいな」

幼女「なるほど。では、「ご両親」についてはどう思いますか?」

男「………まあ、別に」

男「最初は殺してえとか思ってたけど、今は……なんつっていいかわかんねえけど、気にしてない?みたいな」

幼女「ふむふむ」メモメモ

幼女「……では、「このプロジェクト」に関しては、どうです?」

男「……」

男(ここで、自分なりに調べたことについて言ったら、どんな反応すんだろ)チラ

幼女「?」じいい

男「……まあ、別に。特に文句はねえわ」ジリ

男「お前に文句はあるけどな!!」ビシィ

幼女「ええ?なんです?精進しますのでどうぞおっしゃってください」きょとん

男「いいやありすぎて1日じゃ話せねえわ。そんだけあるんだよ!!」

幼女「……」ムッ

幼女「わ、私だって男さんに文句はいっぱいありますよ!!」ガバァッ

男「おーなんだよ言ってみろよ」

幼女「まず、高校卒業はしたのにぜんっぜん知能指数が低い!!」ビシィ

幼女「まあだ私の方が頭いいですねっ。それと毎日私があれだけ言ってるのに、歯磨き忘れる!!あんたは赤ちゃんですかあ?」ジロ

男「…!う、うるせえ!そういうお前だって着替えは人間の基本なのに毎日同じ服しか着てねえじゃねえか!!くせえぞブス!!」グワワッ

幼女「はあー?違いますウ。全部三着ずつ持ってて毎日洗ってますウ。臭いのは自分なんじゃ?」

男「てんめえ…!」ガシィ

幼女「きゃーこわーい!暴力はんたあーい!」ガガッ

バタバタ

男「だいたいお前のその八重歯目に焼き付いて仕方ねえんだよ!削れ!」バタンガタン

幼女「男さんこそ肩幅すこし削ったほうがいいのでは?どうやら調べたところアリマスの片瀬はるのちゃんはすらっとしたイケメンが好みらしいですよ?」バシッバシッ

男「うるせえ余計なお世話だ!それとお前のその貧乳もなんとかしたらどうだあ?性格の貧しさが乳にも出てんぞバーーカ」ドシッドスッ

幼女「立派なセクハラですね訴えますよ?そういう男さんだって」バシィッ

ガタッ

男「うおっ!?」

幼女「わあっ」

バターーン

ズウウウゥゥ……

男「っ…いってえ」ガクッ

幼女「あたたた……」

「………」

男「おい!」
幼女「もう!」

男、幼女「……」

男「ふっ……はははっ」バタ

幼女「くぷっ…ふふふ」パタ

男「くっだらねえなあ、お前」

チラ、

幼女「あなたこと。いたいけな女の子と張り合うなんて」ジィ

男「おめーのどこがいたいけなんだよ……はー」ゴロゴロ

男(お互い……気い使ってた気がする)ゴロン

チラリ、
幼女「あははは…バカみたい」ニッコリ

男「………」

男「ほんっとだなあ」




ーーー

わああ誤字ぃぃい
あなたこと→あなたこそ

コメント大変励みになります。ありがとう。


ーーー19時過ぎ

幼女「小松菜の胡麻和え、ポークピカタ、親子丼です」コト

男「おー美味そう!いただきます」カチャリ

幼女「どうぞ、召し上がれ」ニコニコ

男「………」

ヒョイ、

男「ほい」グイッ

幼女「ん?なんです?」

男「ちょっと食ってみろよ。この飯、凄いうまいから」グイグイ

幼女「……いいえ、それはできません」スス

男「なんでだよ」

幼女「規約違反になるからです。それに、私は固形状の食べ物は食べられませんので」

男「おう、そうか……ん?」

男「今なんて…」カチャン

幼女「さあ冷めないうちに食べましょう!冷ますのは作ってくれた人にも農家の人にも失礼ですよ!!」グイグイ

男「わ…わかったよ、わかったから」

幼女「では私はちょっと出ますので、食べていてください」ガチャ

男「え、おい…」

バタン

男「っ、もう」

男(日々謎が増えるな…)キリキリ



ーーー

幼女「……いただきます」

ドロォ


ーーー


プロジェクト開始10日目

ーーー早朝

……が……で、の…

男「……ん?」モゾ

…すので………だ、…と

男(……リビングから?)モゾモゾ

ガバ、スタタ…
ガチャ、キィ

幼女「……なので、そこまでのご心配はないかと思います」

男(あいつの声…)パタ

男(誰かと喋ってる…?)

ーー「そうですか、毎日ありがとうございます」

幼女「いえ、このまま順調に進めば、予定の早期繰り上げが可能かと」

ーー?「ありがとうございます、幼女さん。私たちの……」

男(………あれは、)スタ、

パタパタ、パタ
バタン、



ーーー


ーーー昼前

男「…はぁー」

男(思っていたより、事は簡単に進んでいるのか?考えすぎてたのは俺だったのか?)ぐーるぐる

幼女「男さぁん!」バンッ

男「!、うお、なに」

幼女「この家から約200メートル離れたところに、自販機が新しく出来たんですけど」

男「へー、そうなんだ」窓チラッ

幼女「まずは、そこまで行ってみませんか?」ニコニコ

男「………自販機まで?」

幼女「はい!」

男「………む、」

幼女「『むり』、でしょうか?」

男「、、、」

幼女「…この10日間、私はずっとあなたを見てきました」

幼女「数え切れないほど、変わったところがあります。例えば、初日。言葉の始まりは必ず文句だったのに、今は私の話を聞いてからその考えを話せていたり」

幼女「口数も笑顔も増えましたね。私が部屋を開けてる時でも、あなたはうつつを抜かしてゲームに触る事は決してない」

幼女「歯磨きも頻繁に忘れるけど、でも必ず毎日するし、ヒゲも剃る。洗顔もかかさない」

男「っ」

幼女「あなたはもう、立派に一般の人と変わりません」

幼女「なのに、怖がる事がありますか?」

男「それはおまっ……君が!いたから」ガタッ

幼女「はたして、私だけ成果でしょうか?思い返してみてください」

幼女「私は言葉こそ操ってあなたを脅すこともしばしばありましたが、でも」

幼女「それを行動に移せたのは、全てあなた一人の力です」

男「っ………」

幼女「常に覚えていてください。どんな現状でも、あなたの道を進んでいるのは他人ではありません。あなたの、あなたの足なんです」ジィ

男「……いみわかんねって」クスッ

幼女「さあ、自販機まで、一緒に行きましょう!」

幼女「きっと大丈夫です」

幼女「機械は冷たいです。でも、現実(こっち)は……」スッ

ギュー

男「・・・」

幼女「温もりが、手を差し伸ばせば必ずありますから」ニコ

男「……なんか、言いくるめられてる気がするんだが?」ニィ

幼女「そうでしょうか?私にはわかりかねますが」

ギィ、ガチャ
バタン


ーーー

ちょっとおうちのことやってきますー。



ーーー20時

カチャ、キィ

男「……風呂上がったぞ」パタン

幼女「お!!きましたね!さあさあどうぞどうぞ!」バシバシ

男「おい!そんな急かすなって…大したことじゃねえんだから」しずしず

幼女「いえ、あなたは大きな成果を成し遂げました!!カラピスはもう用意してありますよ、ほらほら」グイグイ~

カラピス「ちょこん」

幼女「自分の手で買った、カラピスですよ!さあさあ最高のお風呂上がりです!!」

男「だから押すなって!!自分でできるよ!」カアァッ

幼女「ささ、どうぞ」ニコニコ

男「……大げさだっつうの」

カシュ、
トクトクトクトク…

男「……」グイッ

幼女「あーーー!!!」

男「ぎゃあ!!」グラァッ

男「なんっっなんだよ!!」グワッ

幼女「なんで当たり前のように飲むんですか信じらんない!!」バシバシ

男「じゃーどう飲めっつうんだよ!!逆立ちで鼻から入れろってか!?ああ?」

幼女「乾杯しましょう!」

男「はあ?」

幼女「今日の多大なる成果に、乾杯しましょう!」

男「………」

幼女「ほら、」こぶしグイッ

男「…か、かんぱい」

コツン




ーーー22時

幼女「電気消しますよー」

カチカチ、
パッ

男「………なあ」モゾ

幼女「なんです?」

男「今日は、ありがとう」

幼女「いいえ、私はなにもしていないですから」ガサ、

男「………」

男「…昼にさ」

幼女「はい」

男「俺の道歩いてんのは俺だって、お前言ってたけど。でも俺は、やっぱ違うと思んだよね」

男「たしかに俺の道は俺にしか歩けない。でも、」

幼女「はい」

男「なんつーかな、こう言ったらクサいんだけどさ……俺は、お前と一緒に、一つの道を歩いてるっていうか…」

幼女「…」

幼女「…そういう見方も、ありますね」

男「…おう」モゾゾ

幼女「では、私とあなたが一つの道を歩くなら、ゴールも一緒でなければなりません」

男「…ん、」

幼女「10日前、あなたは元の生活に戻したいとおっしゃっていましたが…私は、そこがゴールではないと思います」

男「……うん」

幼女「あなたが本当望む未来を、HTSCも政府も、世間体も無視して、」

幼女「男さん”と”私の意志で、ゆっくり決めましょう」ガサガサ

ズズズ

男「…おやすみ」

幼女「おやすみなさい」



ちょっと良くない表現なので修正。

無視して→一旦置いといて


ーーー

プロジェクト開始13日目。
(アリマス二期イベントまであと12日)


男「……よ、幼女」ガサガサ

幼女「はい?………あ!」パッ

幼女「どうしたんです?外行きの格好じゃないですか!」

男「そ、その……なっ……」ガシガシ

男「な……お、俺さ!」ガッ

幼女「はい」

男「や、やっぱ行きてえんだ。アリマスイベント。だか、ら……その……」頭わしゃわしゃ

幼女「……」

幼女「……ふふふ」ニヤニヤ

幼女「この地域のお散歩プランならお任せください!ランニングに適したロードから焼き鳥屋が三件も続く裏道まで、すべて網羅してますので!」バッ

幼女「では行きましょう!徐々に慣れさせるコース.お任せあれです!」ニコニコ

男「お、う!き、期待してるぞ!」ニィ

ちょっとおうちのことやりながら上げてきますんでちまちまになりますーごまんねー



ーーー

幼女「んー、あったかいですねぇ」のびのび

男「そ、そうだな」ドキドキ

幼女「…いつまで緊張してるんですか!あと、そんなに腕掴まれると痛いです」ジィ

男「いや、だってやっぱ怖えもん!…ってかお前痛覚あるんだ」ドキドキ

幼女「私のことロボットかなにかと勘違いしてません?ちゃんと人間ですから!」ジロ

男「いやロボットとは思ってねえけど、びっくり人間とかそういう類かとな、ははは」ドキドキ

幼女「…」

男(………え?)

幼女「あ、高校生カップルが野外なのに当たり障りのないことをしてる!」

男「ぎゃああああああ」ガクガク

幼女「……冗談です」

男「おまっ……!」グワッ

男(…また、はぐらかされたな)

スタスタ




ーーー夜

男「ふー…腹いっぱい」ゲフ

幼女「男さん、今大丈夫ですか?」

幼女「ちょっと調べて欲しいものがあるんですが」チラ

男「ん?なんだよ」ジィ

幼女「『前納』って、英訳するとなんていうんでしたっけと思いまして」

男「おー、待ってろ」ガサガサ

男「たしかここにお前が持ってきた和英辞典が……」ガサガサ

幼女「……!」

幼女「あ、いいです。」スス

男「あ?なにが?」

幼女「prepay。あ、えっと、今思い出したんでいいです」

男「……?そうか。」

幼女「ふふふ、ふふ…」ニヤニヤ

男「な、なんだよいきなりニヤついて…気持ち悪ぃ」ササッ

幼女「いいえ、やっぱり…」

男「あ?」

幼女「男さん、成長してます」バシバシ

男「あ、いて、なんだよいきなり!」




ーーー


プロジェクト開始15日目
(アリマスイベントまであと10日)

ーーー14時、河原前

幼女「そういえば、男さん」チラ

男「ん?」

幼女「今日からおやつの導入を始めます。なにか食べたいものはありますか?」

男「お、おお!マジか!」ウキウキ

男「そうだなあ、やっぱり甘いものかな。ケーキか、ドーナツか、プリンか……」ニヤニヤ

幼女「では、ここから300メートル離れたところにお菓子屋さんがありますので行ってみましょう」ニコ

男「よっしゃ!迷うなあ、なに食おうかなあ」ワクワク



ーーー「洋菓子ささら」

カランカラン

「いらっしゃいませー」

男「…っ、……!」バクバクバク

幼女「いたいいたい…ちょっと、掴むなら服にしてください」ギュウウ

男「よ、洋菓子屋と、か……初めて入るんだよっ…」バクバクバク

幼女「慣れてくださいよ…あ、ほらプリンありますよ」

男「っ…っ、そ、それどころじゃ、」

「わーかわいいー!!」

男「……ん、?」チラ

幼女「ん?」

女子高生「これ?マキが言ってた新作のショート!」

女子高生2「そーそー。マジかわいっしょ?これねーデザインしたの2組のウサミらしいよ」

女子高生「は!?マジで!ええ、ちょ2組のウサミってこことなんか……」

ギャハハハ

男「………っ」

ぎゅううう

幼女「…お、男さん?」

遅くてごめん。
下のチビが起きだしちゃったからなかなか書き込めぬ。。。

男「………」バクバクバク

幼女「……よし」

幼女「男さん?歩けますか?」

男「っ、」ジロ

幼女「歩けますか?歩けるならこの店から出ましょう。顔が青いです」

幼女「手を貸してください」

ギュウウウウゥ

男「……お、おお、おれ….」

幼女「さ、一旦出ましょう」

カランカラン


ーーー



ーーー

幼女「これお水です」

男「……っ」ごく、ごく

幼女「……」

男「……ご、ごめ…」

幼女「大丈夫ですよ、一時的なパニック障害です。ちょっと手を貸してください」

スッ
トク、トク、トク、トク

幼女「……脈90回、体温異常なし…」ボソ

幼女「落ち着くまでここにいましょうね」ニコ

男「……ご、めん…」ビクビク

幼女「私は大丈夫です」

幼女「ただ、手を握っていましょう。人の温もりは、心に安心感を与えますから」ギュウ

男「……っ…」

男「…おれさ」ジィ

幼女「はい?」

男「最初に言った気がすんだけど、怖いんだ。キラキラしてる人とか、現代を生き抜いてる人とか見ると……」

男「ああ、俺とは違う世界に生きてんだなっていつもおもう」

幼女「……」

男「だめなんだよ。なにが楽しいかとか、一般人の人の思考とか、全く理解できないんだ」

男「…だからたぶん、俺が楽しいって思うことは一般人には理解できないだろうし」

幼女「…」

男「俺が好きなものも、好きなことも、なんか全部フツーじゃないんだなって」

幼女「…ふふ。男さん、バカですねえ」ニッコリ

男「は…?」

幼女「普通じゃないなら一般的に生きられないなんてそんなのおかしいです」

幼女「『個性』なんですよ、そういうのは」

幼女「どんな人にだって個性はあります。人と意見がぶつかって、時には言い争いになって、」

幼女「でも、みんなそんな多くの『個性』がふわふわ浮いてる中で、必死に自分を持って生きているんです」

幼女「……人には、相手を理解することができます。自分の個性を軸にして、それから人の思いを聞き、それを自分に受け入れ、さらにオンリーワンの「個性」を引き出すのです」

幼女「男さんは、ちっともおかしくなんかありませんよ」

男「……っ」

幼女「だってこんなに、社会と向き合えるようになっているんですもん」

幼女「人は、言わなきゃわかりません。意思疎通なんてできないし」

幼女「なので、これからどんどん、もっとお話しましょう!」

幼女「私だけではもったいない。ご両親とだって、もっとお話すればさらにあなたの個性が出てくるかもしれないし、相手のことも、本当のことを理解できる」

幼女「現実(リアル)の回路は無限大です!!」バッ

幼女「あとはあなたの心の壁が、砕かれるのを待つだけです」ニィ

男「……おかしいなあ、今日はなんとなくお前の言ってることがわかる気がする」ふふっ

男(でも、知ってるよ)

男(君と話すことができる時間が、限られてること)




ーーー



プロジェクト開始17日目
(アリマスイベントまであと8日)


ーーー昼過ぎ


幼女「さて男さん、今日の午後プログラムですが」

男「げ、げふん!ん”ん!」

幼女「…?」

男「あー、あー、えっと!」

幼女「なんですか?」

男「幼女さん、大事なお話があるんですけど、ん”ん!」

幼女「…はあ、なんでしょう」

男「えっと、その、ですね……」


男「抜いていい?」

幼女「………それは、」

幼女「つまりオ
男「わあーーーー!!!」

男「言うな!!!」バシバシ

幼女「ちょ、いたっ、なんですか!急に恥じらわないでくださいよキミ悪い!」ぎゃー

男「うるっせえ!!これだけは男の嗜みなんだから女に言われるとなんかムズムズすんだよ!!」バシバシ

幼女「股間が?」しらっ

男「でてけーー!!!」

ギイ

幼女「ちょ」

どすっ

幼女「っと」

……パタン。

コンコンコン!

幼女「おとこさーん?別にするのはいいですけど私はどうすればいいんですかー?」

男「あーそうだな……トイレにでも入っててくれ。15分くらいで終わるから」

幼女「はあ。ではなにかあったら叫んでくださいね。ティッシュがないとか」

男「あんでお前は下ネタにそんなに寛容なんだ?さっさと行けよ!」バンッ

幼女「はーい」

スタスタスタ……

男「…行ったか」

男「さて。まあ、オナ……自慰なんてしないけどな」

ガラガラ!

ピシャリ。



ーーー




ーーー15分後、トイレ

コンコンコン

幼女「あ、男さん?」

男「ぜえー、ぜぇー……出てきていいぞ…はぁー」

ガチャ

幼女「どうしたんです?そんな息切れして。そんなに過酷なプレ
男「だからそういうこと言うな!」ゼエゼエ

男「ちょっと、リビング来いよ…はあ…見せたいものがある」

幼女「……別にティッシュは」

男「だーかーら!やめろって!」バシィッ

男「いいからついてこい!」スタスタ

幼女「…?」




男「じ、じゃーん!」バッ

幼女「……?ケーキ?」

男「おう!えっと…洋菓子しららの」

幼女「さららです。…いや、そんなことよりこれ、どうしたんですか?」チラッ

男「買ってきたの!今!」ドン

幼女「……??」

「ささら」やった(´・_・`)
すまそ

幼女「今は紳士の嗜みをしていたのでは?」

男「それはお前を遠ざけるための口実!これを買いに行ってたんだよ」ニヤニヤ

幼女「……でも、どうして?」ジィ

男「え、そ、それは……ただ…」

チラリ
幼女「それは?」

男「お前を、その、……驚かせたかったから」うじうじ

幼女「……~~~っ!!」

ガバァッ

男「おわぁ!?」グラッ

幼女「んーもう!!!さすがです!!すっごいですよ!!!」わしゃわしゃわしゃ

男「ちょ、やめろ!くすぐったっ……はははっ!」

幼女「私いま今世紀最大レベルで嬉しいです!!ひゃー!ブラボー!!」わしゃわしゃわしゃ

男「ははっ!わ、わかった!わかったから降りろよくすぐってえだろ!!」

幼女「さっそく食べましょう!乾杯しなくちゃ!」ジタジタ

男「お前はいちいち大袈裟なんだよバカ!」バシバシ

幼女「自分が大袈裟だと世界も大袈裟に面白くなるもんですよ!!さあ、食べましょう食べましょう!」

男「っ…おう!」



ーーー



ーーー深夜

男「…」もぞ

幼女「すー、すー」

男(……今日は、楽しかったなあ)モゾモゾ

男(洋菓子屋の店員さん、俺が噛みまくってたのに優しく対応してくれたし……)

男(外も…捨てたもんじゃないな)モゾモゾ

ちら、

幼女「すー…すー…」

男「…幼女、ありがとう」ボソ

ーーー君のおかげで、この世界がこんなに楽しい



ーーー


プロジェクト開始21日目。
(アリマスイベントまであと4日)

ーーーー早朝

幼女「…さん、それで本日のことなんですが……」


幼女「ええ、経過から見ても、男さんは順調です。…さんの支えもあります」


幼女「今後のスケジュールでいくと、4日後に彼の大きな躍進、その二日後に、そうですね。………でもしましょう」

幼女「そして、何事もなければ」

幼女「その三日後………プロジェクトは終了します」


幼女「…はい、では………よろしくお願いします」



ーーー


ーーー昼

男「……っああぁ、課題おわーり!!」バッ

幼女「お疲れ様です。もうすぐお昼になりますので、準備しておいてくださいね」

男「おう」ガタガタ

男「……なあ、」

幼女「はい?」クルッ

男「しつこいようだけど、なんで一緒に飯食ってくれねえの?」

幼女「しつこいようですが、規約ですので」

男「(規約、ねえ……)ふーん」

幼女「さ、取ってくるので待っててくださいね」ガチャ

バタン

男「………規約ね」




幼女「…今日は豆のスープと、しそご飯、それからアジの開きです」コトン

男「なあ、これさあ」

幼女「はい」

男「いったい誰が作ってんの?毎日めちゃくちゃうまいんだけど」カチャカチャ

幼女「……ではそのうち、お会いしてみます?その方に」ニコ

幼女「どんな方か知りたいでしょう?」

男「……いいね」もぐもぐもぐ

幼女「じゃあ、今度その人の手料理で晩餐会をしましょう」

男「おう、うまくしゃべれるかわかんねえけど」もぐもぐ

幼女「それだけは心配いりませんよ」

男「……なんで?」ごくん。

幼女「さあ?おいおいわかります」ニコニコ

男「……おかしなやつ」もぐもぐ




ーーー

余談( ̄▽ ̄)
支援、閲覧、コメントありがとう。
ずっと上にアニメ化~って書いてくれてた人がいましたが、もしアニメ化したらイッチ的には男はcv子安がいいです。


プロジェクト開始24日目
(アリマスイベントまであと1日)

男「……っ」ぐるぐるぐる

男「…、……!…っ、」ぐるぐる

幼女「……おーい、おとこさーん!」バシィッ

男「あだっ!?」ビクッ

幼女「なあにうろうろしてるんですか!!イベントまであと1日です、計画を練りましょうと何回言わせるんですか!!」グワッ

男「だ、だってよ……緊張しすぎて…落ち着かねえんだよ…!」オロオロ

幼女「もうっ」

ムギュー

男「あだっ、力強い!」

幼女「手を握ってれば落ち着きますので。そんなことより、ほら、シャキッとしてください!」

幼女「いいですか?まず、これは個人的に調べたことなんですが」

幼女「今回のイベントは幕張の某ドームを全てではなく、一部だけを貸しきってイベントを行うようです」

幼女「観客収容人数はおおよそ三千人」

男「さっさ……さ、三千人!?」オロオロ

幼女「ええ、そしてツブッターでも独自に調査したところ、当日行く予定の人はそれを二倍上回る6700人程度。さらにチェイスブックではその上の……」

男「うっ…気持ち悪い…」オゲゲ

幼女「まあ、なので、要するに早朝から並ばないともしかしたら入れないかもしれません」

幼女「この近くの最寄駅から幕張までは約1時間半。イベント受付開始が朝の9時なので、うーん……5時に出れば間に合うかと」

男「おいおい……アクティブオタクはそんなに苦労してたのか…知らなかった」オロオロ

幼女「それから、服装も大事ですね。大衆の中で動くことになりますので、軽い服装で行かないと」

男「…………あ、あーーー!!!!」

幼女「うおっ」ビク

男「お、俺……やばいことに気づいた…」

幼女「な、なんです?」

男「服がない!!ジーパンと汚ねえニットしかない……」オロオロ

幼女「…あー……やっぱり、」

男「ど、どうしよ、服屋行かないと」

幼女「男さん、お忘れんですね?」じぃ

男「え?な、なにが?」

幼女「『ねずみ色』のダッフル!」

男「……」

ガク

男「はぁー…それがあったか…」



ーーー

幼女「……では、いいですか?話をまとめます」

男「ごくり。……おう」

幼女「明日はプログラム全てを繰り上げて、朝の四時に起きます。ここから最寄駅まで歩いて10分、50分で支度して、5時には駅に着きます」

幼女「3分後の始発に乗って、約40分で東京駅。そこから乗り換えて幕張までです」

幼女「六時半までにはドームに着く予定でいます。東京駅でトイレ休憩と食料確保に10分時間を費やしましょう」

男「……おう!」こくこく

幼女「では、いいですね。異論は?」

男「ありません!」キリ

幼女「それでは明日、最高の1日にしましょう!」バァッ




ーーー

ーーー

ザザァ…ザザァ…

男(……?)

ザザァ…ザザァ…

男(ここは……海か?)

スタ、スタ、スタ

男(……どこまでも海がつづいてる)

スタ、スタ、スタ

男「……ん?」
男「あれは…」ジィイ

幼女「……」ザザーン、ザァーン

男「幼女?」

幼女「……」ザァーン、ザァーン
スタスタ、スタスタ

男(……おい、そっちは海)

幼女「……」スタ、スタ、スタ

男「幼女!」

幼女「……」

男「幼女!そっちは危ないぞ!」ダッ

ダッダッダッ

男「幼女!」

ダッダッダッ
ザァーン

男「幼女ぉ!」

ーーーージリリリリリリ!!

男「うわあ!!?」ガバァッ

幼女「お、おはようございます」

男「っはぁー…」バクバクバク

男(……夢?)キョロキョロ

幼女「男さん?どうしましたか?」ジィイ

男「(ゆ、夢か)……いや、なんでもない」ドキドキ

幼女「?…そうですか。では早めの支度をオススメします。実はあなた、目覚まし時計が最初に鳴ってから15分寝続けているのでそう時間がないですよ」

男「・・・」チラ

04時20分

男「……なあるほど」

男「そういうことは早く言ええええええ!!!」ドンガラガッシャーン



ーーー5時10分前

スタスタスタ

幼女「いいですか?『急がず、焦らず、落ち着いて』。はい」

男「い、急がず焦らず落ち着いて…」

幼女「そうです。始発はともあれ、朝の電車はただでさえ混み合います。もしパニックになりそうだったらなんらかの合図を出してください。薬は常備していますので」

スタスタスタスタ

男「……あのさあ」

幼女「はい?」

男「君、固形状のものは食べないんでしょ?東京駅で朝ごはん買うけど、君は何を食べるの?」

幼女「大丈夫です。あなたが寝ている間にタンクは満タンにしておきましたので」

スタスタスタスタ

男「……は?」



男「た、タンクって…?」

幼女「……言い忘れていましたが、男さん以前、私のことびっくり人間じゃ?って言ってましたよね」

男「あ、ああ…」

スタスタスタスタスタ


幼女「まあ、男さんの疑惑は一部正しいです。私は、栄養を口からではなく胃から取っています」

男「……ごめん全然意味わかんないんだけど」

幼女「胃瘻(いろう)って、ご存知ですか?」

スタスタスタスタスタ

男「……知らない」

幼女「胃瘻というのは、口から栄養源を取れない人間が管を胃にさして直接栄養を流し込むというものです」

幼女「私の胃には、管がささっています。胃瘻で栄養を流し込むため」


スタスタスタスタ

男「……」

幼女「別に、私はこれといって命に限りがあるわけでもないし、口も喉もありますので食べるという行為はできます」

幼女「ですが、私には性器と肛門がありません。」


スタスタスタスタ

男「……」

ファーンホーン…
ーーー『ただいま、電車のメンテナンスにより始発に1分の遅れが出ています。ご乗車のお客様にはーーー』

ピ、

幼女「……詳しい理由は言えないのですが、とにかく、私は排泄することができないのです」

幼女「なので、栄養源は無駄にすることができない。無駄な栄養を流し込んだら排泄物が体内に溜まり、やがて腐敗します」

男「……おう」

幼女「なので、必要最低限の栄養を、二の腕の簡易タンクから流し込んでいるのです」


ーーー間も無く、3番ホームに……

男「……そうか」



ーーーー

タタン、タタン……

男「……」

幼女「……」

男「……なあ」

幼女「はい」

男「なんで、あんなこと言ってくれたんだ?」

幼女「……男さん、気にしてたでしょう?」チラ

男「え?」

幼女「私のこと。なんで抱けないと断言していたんだろう、なんで食べ物を食べないんだろうって」

タタンタタン、タタン…

男「……まあ」

幼女「私のことで、ぐるぐる悩んで欲しくなかったので」ニコ

幼女「だから、言ってしまいました」

幼女「もし、この告白で余計な心配をおかけしたならすいません」

男「……いや、俺は大丈夫だけどさ」

幼女「そうですか」

男「……」

幼女「……」

タタン、タタン

幼女「……ほんとはね」

>>227で食べましょうって…まさか

幼女「言っちゃいけないことなんです。このこと、外部には」

幼女「国際団体にいられなくなるのはもちろん、まず社会から追放されます。そして、私は職をなくすと自分で栄養源を取れないので、そのまま死ぬことになる、というコースが待っていますので」ニコ

幼女「でも……」チラリ

ジイィ

男「な、なに?」アセ

幼女「…男さんがあの日、私を驚かせてくれたとき」

幼女「ああこの人なら、信用できるって思ったんです」

た、タタン…

……つぎはー、…町、…町

>>274
ご指摘ありがとうございます。

>>227で幼女が「食べましょう」と言っていますが、結局幼女は食べていません。
男はケーキを2つ買ってきましたが、規約に違反するのであとでいただきますと言って、こっそりしまった裏エピがあります。

男「…言わないし、」

幼女「え?」

男「言わないし、君を追放させたりなんかしない。絶対に」

ギュウウ…

幼女「……ふふふ」

幼女「ありがとうございます!」ニコッ

幼女「さあ、暗い話をしてすいませんでした!今日は存分に楽しみましょうね!」ブイッ

男「おう、そうだよ!野々瀬ゆんちゃん見に行くんだから、しんみりなんてしてられっか!」

幼女「おや、私が聞いた情報によるとあなたは片瀬はるのちゃんが好きだと伺ったのですが、鞍替えですか?」じと

男「いや、どっちも好きなんだよどっちも……」

あはははは…


男(…ほんとは、アリマスのイベントなんてどうでもいい)

男(君と一緒に居られる時間が、とてつもなく大切だ)


ーーーつぎはー、東京、東京。
終点ですーーー





ーーー6時40分

ドーーン!
ザワザワ、ザワザワ

幼女「ついに来ましたね!幕張某ドーム!」

男「すっげえ混んでんのな、まだ六時半過ぎなのに…」

幼女「合言葉は?」

男「急がず焦らず落ち着いて!」バン

幼女「オッケー。では並びましょう!」

ずらずら、ずらずら


幼女「ひーふー…せん…じゅう…」ひょいひょい

男「なに数えてんだ?」

幼女「……ろく……男さん、」

男「はい」しゃき

幼女「先頭から2436人目です。良かったですね!」ニッコリ

男「……やっぱお前、ちょっとびっくり人間だわ…」ヒキッ



ーーー8時10分


男「……うー」ブルルッ

男「さすがに……」

幼女「どうしました?」

男「と、トイレ行きたくてさ…でももうすぐ受付開始だし」ブルルッ

幼女「……斜め向こうの階段、見えます?」じぃ

男「あ?…おう、あれか」

幼女「あそこ降りるとすぐ男性トイレがありますので、行ってきてどうぞ?」

男「お、じゃちょっと待ってて!すぐ戻るから!」

ダッダッダッ

幼女「はーい」

だんだん男が成長してるのがよくわかるな



ーーー男子トイレ

男「……ふー」ブルブル

男「さすがに何時間も立ちっぱなしだと疲れるな…」

ジャーッ

男「ふう、スッキリした」

男(……あんな話聞いても、ぜんぜんビビらなかったな。あいつだからかもしれない)
スタスタスタスタ

男(むしろ、言ってくれてよかったって思う。そしたら…お互い、気を張らずに済むし)

スタスタスタ

男「………ん?」


幼女「あの、私はだいじょうぶです。お父さんがおトイレに行ってるのをまってるだけですから」

おっさん「いや、危ないよこんなところで一人じゃ。さ、おじさんが交番まで連れて行ってあげるから……」

男「っ!…幼女!」ダッ

おっこれは

幼女「いえ、ほんとうに大丈夫です。もうすぐ帰ってくると思いますので」

おっさん「君、えらくしっかりしてるねえ何歳?いいから、こっちに来なさい。寒いし、危ないよ?」ギュ、

グイッ

幼女「っ、きゃっ…」

周り「ザワザワ」しらーん…


男「っ、幼女!あ、あのお!」

おっさん「……ん?」ジロリ

男「あ、あ、あの…そ、その子…」もごもご

おっさん「……なんだい?君」イラッ

幼女「あ、男さっ…」

ざわざわ、ざわざわ…


男「そ、そそ、その子……」もごもご

おっさん「なんだい?君。不審者か?」

幼女「男さ……じゃない、おとうっ、きゃあ!」グイーッ

ギュウ

おっさん「さあお嬢ちゃん、こっちへ来るんだ。お巡りさんのところに行こう」

幼女「っ、!」

おっさん「今時は危ない人が多いからね」

グイッ

幼女(やば、コンタクトずれっ…)ぶわっ

ポロ、ポロ、
ピチャ

男「……!」プッチーン

幼女「……ちっ(こうなったら)」


ドゴォッッツ!!

おっさん「グヘァッ!?」

幼女「……え?」

シュウゥゥウ

おっさん「グフッ…!?」

男「……クソ野郎、泣かせてんじゃねえよ」イッラァ

幼女「おとこっ…お父さん!」タタッ

男「おいおっさん!いたいけな女の子泣かせて、嘘ついてたのしいか!?」グワァッ

周り「…?」ドヨヨッ

男「この子に近づくな!きしょいんだよ!不審者、ガチで警察呼ぶぞゴラァっ!!」グワッ

幼女「お、男さん落ち着いて…」

ーーーえ、なになに?

ーーーなんの騒ぎ?

ーーーなんか不審者がいたらしいよ

ざわざわ、ざわざわ

男「だいたい人のこと不審者呼ばわりしてんじゃねえよドクソが!!てめえの罪をこっちになすりつけんな!!」

男「ていうかこういうイベントにお前みたいなゴミがいるとなあ!アニメの価値が下がるんだよゴミ!!うちの幼女のことまで泣かせて!!」ぎゃんぎゃん

幼女「男さん、大丈夫です。コンタクトがずれただけです」サスサス

男「でてけ!二度とアリマス関係とうちの幼女に近づくな!それから」

幼女「おーとーこーさーん」

男「あんっだよ!!」グリンっ

幼女「もう大丈夫ですよ、ほら」


お巡りさん「………ちょっと話を聞こうか?」ズオオオ

男「………は、はい」

現実
男おっさんに腹パン→
男「おいおっs」
周り「きゃあああああ!なにこの男!いきなり暴力ふるって!警備員さーん!」
ーーーー
キャスター「次のニュースです。
人気アイドルのイベントが予定されていた日の早朝で、青年が中年男性に暴力をふるう事件が…」

ア、アイマスは…

>>300なんか適当に書いたらそうなった



ーーー2時間後

お巡りさん「では、二人とも今後は気をつけるように」ゴホン!

男「は、はい…お世話になりました」

幼女「ご迷惑おかけしましたわ失礼します」


スタスタ、スタスタ


幼女「………結局、アリマスイベント行けませんでしたね」

男「も、もう散々だ…あのおっさんは警察が来た途端逃げたから行方わかんねえし…」グスグス

幼女「せっかく早起きまでしたんですけどねえ……でも」

チラ

幼女「ありがとうございました」

男「は?」

幼女「正直、あのくらいの男なら私ひとりでもなんとかできました。というか、一人でなんとかするつもりでした」

幼女「…あなたが、勇気を出して挑んでくれたのは想像していませんでしたから」ニコ

幼女「ご迷惑おかけしましたわ失礼します」→幼女「ご迷惑おかけしました。失礼します」

誤字です

幼女「ですから、私はもうじゅうぶんです」クルッ

幼女「楽しみにしていたアリマスは見れなかったけど、でも、あなたとまた一歩進むことができた」

幼女「だから今日は、とても楽しかったです」ニコッ

男「…!お、俺も。」

男「俺も…お前とたくさん話せてよかった」ニヘッ

幼女「…ふふふ、同じですね!」

幼女「さあ!残念ですが、帰って昼寝でもしましょうか!」スタタ

男「え?今日の予定は…」

幼女「なあに言ってるんです?予定繰り上げしたじゃないですか!」

幼女「なので、今日は一日中自由です」

幼女「HTSCという規約にも、社会のルールにも縛られず、2人だけで1日を満喫しましょう!」バッ

男「…さんせーだ!!」



ーーー




ーーーー深夜

男「グガァ…ンゴゴ…」スヤスヤ

幼女「………」

バサッ



幼女「すいません、夜分遅くにお電話して」

幼女「はい、見事な躍進を遂げました。彼はもう、私の手なんか借りなくても大丈夫でしょう」

幼女「…そうですね、ではそれで決定で」


幼女「五日後のプログラム終了とともに、彼の私への記憶を消します」



ーーー

いいところなんですが…
すんませーん。今日で終わる予定だったんですけど、今回はここまでで続きは明日に引き伸させていただきます。

理由は、
もうラストスパートで、話をまとめて終わらせたいからです。

支援、閲覧、コメントありがとうございます。
明日で終了になります。最後までお付き合いくださればと思います。

いちです。たくさんのコメントありがとうございます。

おうちのこととお仕事やりながら、ボチボチ進めていきますー。
最後まで、ゆっくり見守ってくださると嬉しいです。


プロジェクト開始29日目

ーーー明け方


チュンチュン、チチチ…

男「……」

男(……しょんべん)ムクリ

ガサガサ

男「…」チラ

幼女「すー、すー」

男「…くあぁあ」


パタパタ、ガチャ

………ジャー

男「……あ、あれ?」

男「リビングの電気つけっぱだ。幼女か?」パタパタ

カサッ、

男「うおっと、」

男「…なんだこの紙?」

イッチ的には幼女の声はどの声優さんで再生されてるのかな



カササッ

男「け、つけん、者様、各位…」

男「この度、経過じゅん、ちょうの……」

男「………」

男「……」

男「………なん、これ」

グシャアッ




ーーー

>>337
めったにアニメ見ないので女性声優さんわからんw
子安○人は友達の熱弁してた銀○で知った


ーーー8時


男「え?晩餐会?」チラ

幼女「はい。以前言ったでしょう?ご飯作ってくれてる人と、晩餐会するって」シャコシャコ

男「あーそういやそうだったな。いやほんと、飯うまいよ」シャコシャコ

幼女「ええ。それで私、あなたが初めてご飯を褒めた時から、頻繁にその人に男さん褒めてることを伝えているんですよ」シャコシャコ…

ペッ
ブクブク、ブクブク

男「…なんかそれ、照れるな」シャコシャコ

ぺっ
幼女「そうです?…でね、その人、そのことを伝えるたびにとても喜んでいるんです」ふきふき

幼女「味を褒められたことよりも、あなたが美味しくご飯を食べていることの方がうれしいらしくて」

男「…ふーん。変な人だな」

ぶくぶくぶく…



ーーー


ーーー13時

男「よし、散歩行こうぜー」ガタッ

幼女「あ、だめです」ぎゅい

男「は?なんで?」

幼女「午前の課題が終わってないじゃないですか。あなたが『午後一で終わらせるからー』っていってたから、午後にまわしたんですよ?」

男「……そういやそうだな」

男「よし、じゃあやるか!」ストン

幼女「……」

チラ

幼女「……でも、まあ」

男「なに?」

幼女「別に、いいかもしれませんね。課題やらなくても」

男「お、おいどうした。気味悪いぞお前がサボりを催促するなんて…」
ジィ

幼女「別に催促はしてませんよ?ただね」

幼女「ほら、見てくださいよ。パソコンと漫画」スス

チラリ

男「ん…?あれがどうしたんだよ」

幼女「埃かぶってるでしょ?」

幼女「……もとはこの課題、あなたがネット依存ぎみだったから設けたものだったんです。少しでもはなれさせるように」

幼女「でも、必要なくなったみたいなので」ニィ

幼女「毎日三食、食事をして。自分のことをやって、外出をする。勉強もして、しっかり寝る」

幼女「1日は24時間しかないですが、どうです?充実していますか?」

男(……充実していますか)

男「……どうかなあ。お前やかましいし、充実はしてねえかもな」ハハッ

幼女「またそういうこと言う!!あなたがこの世界に満足するまで私は帰れないんですよ?」プンスコ

男「あーじゃあ満足してますぅー。すごい充実してますぅー。」ケラケラ

男(………帰るって、なんだよ)

男(俺の知らないところに帰るなよ……)

ギゥウ



ーーー



ーーー18時


ギュウウウウゥ

男「痛い痛い痛い!!もうちょっと優しくしろよバカ!」ガガッ

幼女「え、そうですか?それはすいません。では少し緩めます」

ギギュゥウウウウ

男「いてえって言ってんだろ!!お前絶対遊んでんだろ!!」

幼女「目隠しなんて生まれて初めて人にするのでわかんないんですよう」ケラケラ

男「こんのっ………」




男「ていうか、なんで目隠しすんだよ。そんなにすごい人が来るのか?」

幼女「ええ。偉大なる人です。なので、驚きをアップさせようと思いまして」ニコ

男「誰なんだよ……俺料理まったくしないから、シェフなんて一人も知らねえぞ」

幼女「それは素晴らしいシェフです。さあ、行きましょう!シェフはもうリビングにいますので」

男「いつの間に家に…」

グイグイ

男「わかったから押すなよっ。ゆっくり歩け」

幼女「はーい。しっかりつかまっててくださいね」



スタ、

スタ、

スタ………


男「あっぐぅ」ドシンッ

男「急に止まんな!」

幼女「ああすいません。さあ、つきましたよ」

ギィ、
ガチャン

幼女「ささ、目隠し外しますよー!」

男「お、おいゆっくりやれ…」


シュルシュル、
パサッ

男「うおっまぶしっ……」

男「………!」

男「……親父、」

男「お袋…?」

ガタン

母「……男、久しぶり」ニコ

父「…」

父「少し、逞しくなったな」ジィ

男「っ、」バッ

幼女「……ふふふ」

幼女「こちらが偉大なるシェフ、そしてシェフを支えている素晴らしい旦那さん!!」バッ

幼女「……あなたの、お父さんとお母さんです」

男「……!」

ウルッ
ブァアッ

男「……っ、ぐぅ…!」グスッ

男「ぅう、ぐぅ……っ…!」

ボタ、ボタ

母「……おとこ」

ギュウ、、、

母「ほんとうに、逞しくなったねえ」ポンポン

男「っ、……ぅ……!」ギュ、

母「……うふふ」


母「お母さんね、あなたをこの世界に産んで、ほんとうに良かったわ」

男「っ、うわぁぁああっ……!」ボロボロ

父「……」

幼女「…ふふ、」ニッコリ



ーーー




ーーー

幼女「さあさあ!あなたの席はここですよ!ほらほら」グイグイ

男「おいっだから押すなって!」カァア

男「……ってなんで俺だけ、テーブルの中央なんだよ」

幼女「誕生日席ですね」

母「男、まだお誕生日お祝いしてなかったじゃない?だからそれも兼ねてね」ニコニコ

父「…早く座れ。料理が冷めるぞ」

男「ケーキ、ローストビーフ、サラダに肉じゃが、刺身……から揚げ」

ズラァァア

男「これ全部、お袋が作ったのか?」

母「そうよー!腕によりをかけたわ!」グッ

幼女「ささっ、始めましょう始めましょう!!」


パンッ
パパンッ

幼女、母「男(さん)!ハッピーバースデー!!」カチャン

男「あ、ありがとう…」

男「……」チラ

父「……お酌ぐらいするぞ」ニィ

男「っ、ありがとう!」

カチャン
ワイワイ、ワイワイ

幼女「もうお母さん、聞いてくださいよ!男さんこの間、私の体をジローッて見てなんて言ったと思います」

母「さあねえ、想像つかないわ。なんて言ったの?」ジロ

男「おっおいその話は…」

幼女「『成長期が人より遅いのか?』って!!酷くないですかあ!?」グワッ

父「……けしからんな」

母「まあ酷い。こんな子に育てた覚えはないんだけどねえ」ハァーッ

男「ち、違うって…ただちょっとからかってやろうかと!!」

アハハハハハ……




ーーー



ーーー

夜。部屋。


男「……けっきょくお袋たち、どっか行くのな」ゲフ

キィー

幼女「ええ。相談を重ねた結果、プロジェクト終了までは私と男さんだけで生活することになりまして」

男「……楽しかった」

幼女「はい?」

男「今日、すごく楽しかった。お袋の飯もめちゃくちゃうまかったし、親父も……楽しそうで。よかった」

幼女「…なぜ、あの日急にお母さんのご飯が美味しくなったかわかります?」

パタン

男「……いや、わかんねえな」

幼女「簡単に言ってしまえば、あなたが空腹で、かつ食事に集中していたからです」

幼女「空腹は最大の調味料とは、よく言うでしょう?あなたはあの日まで、さんざんお菓子を食べながらパソコンに夢中になってご飯を食べていたので、言わば食事のありがたみを知らなかったのです」

幼女「おいしくて栄養のあるご飯があるって、素晴らしいですよね」ニコッ

幼女「食材と、それから毎日あなたのために作ってくれているお母さんの存在は、限りなく大切なものだと思います」

男「……俺も、そう思うよ」ニィ

男「あれだけ、ぞんざいに親に接したことを、今日すげえ悔やんだ」

男「親がどれだけ支えになっているのか、俺ぜんぜん理解してなかったよ。ほんとに、かけがえのない、存在だ」

男「一生土下座しても、足りねえよ」ギュウウ

幼女「……男さん」

幼女「過去を悔やんでも元には戻りません。大切なのは、気づいてからどうするかです」

幼女「あなたは、これからどうなりたいですか?」


ーーーカチッ

男「そうだな……」

男「まずは人に慣れることから始めて、社会で役立てる存在になりたいかな」

男「あの日、おっさんに怒鳴ったとき思ったんだけど…俺、ああいう人を更生させる仕事とかしてみたいかも」

幼女「…いいですね」

男「おう、だからさ」

男「まず一年間社会に慣れて、それからなんか資格取って、就活でもするよ」ニコッ

男「んで、いつか親に恩返ししたいな。へへっ」

幼女「素晴らしいですね」

幼女「陰ながらずっと、応援しています。いいですか?なにか困ったら人に頼ってくださいね」

幼女「あなたが手を差し伸ばせば、必ず取ってくれる人がいますから」ビッ

男「おう!ありがとうな!」ニカッ


ーーーザァアッ、
ピピ、

………対象者の更生を感知しました。

これにてプロジェクト終了の準備を開始します。

………プロジェクト終了まで、あと72時間………



幼女「……」



ーーー


プロジェクト開始31日目

ーーー朝

男「……くぁあ」ガバァ

ちら

幼女「……」シャコシャコ

男「おー、おはよ幼女」

幼女「……」ボー
シャコシャコ

男「…?おーい、ようじょー」

幼女「っ、!あ、」ハッ

幼女「あ、あら、男さん起きました?おはようございます!」ニカッ

男「おう、おはよ…?」

幼女「待っててくださいね、今朝ごはん持ってきますので」ガタガタ

シャコシャコシャコシャコ…


男「…」


ーーー9時

幼女「はい、ではこれ今日の課題です」

ドッスン!

男「…またずいぶんと多く持ってきたな」

幼女「今日の問題はこの紙に書いてありますので、さ、どうぞ」せかせか

ペラリ、

男「…これ」

幼女「は、はい?」

男「電気代の請求書の、この本…知育絵本…」チラ

幼女「あっあれ?」ガタタッ

幼女「あっやだ間違えちゃいました!すいません、今持ってきますので待っててください!」ガタガタ

男「…」

誤字
「電気代の請求書の、~」→「電気代の請求書と、~」

すいません。


ーーー12時半

幼女「お昼、すごく美味しそうですよ!レモネードと、サンドウィッチ、それからソーセージソテーです」カチャ

男「幼女さん、お言葉ですが」スッ

幼女「はい、なんです?」

男「…サンドウィッチに箸は不要です」スス

幼女「あ、ごめんなさい!うっかり…」ヘラ


ーーー16時

幼女「あ、男さん!あの蝶々なんて言う名前でしょうね?」ジィ

男「あれどう見てもとんぼだけど…」

幼女「あれっ?」



ーーーー



ーーー夜

男「お、ま、え、さあ!!!」バンッ

幼女「……なんです?そんな怒り心頭で…」アセ

男「なんです?じゃねえよ。なんか変だぞ?どうしたんだよ?」

幼女「え?そ、そうですか?わかんないなあなんでしょう…」

ガッ

男「しらばっくれんなよ…。明らかに今日、おかしいぞ。なんかあるんだろ?」

幼女「…そんな」

男「言ってくれよ。信頼できるって、電車の中で言ってくれたじゃねえか…」

ガクン

幼女「…」

男「明らかに今日のお前、普通じゃない」

男「……どうしたんだよ?風邪でもひいたのか?疲れてんだったらベッドで休んでもいいんだぞ?」ジイィ

幼女「…」

男「……俺は、」

男「俺は、お前に頼ってばっかで情けねえかもしれない。でも、お前がもし、なにか困ってんなら」

男「そんときは俺が、力になりたい」ギュウ

男「今日のお前は、普通じゃないよ。どうしたんだ?」

ジィイ

幼女「……」ギュ

幼女「…時間が、ありません」ボソ

男「…」

幼女「実は、」キッ

幼女「男さんの算段外の更生の速さにより、プロジェクトの予定が繰り上げられて、予定より早期に終了することになりました」ググッ

幼女「なので、時間がないのです。残された時間は……」チラ、

チッ、チッ、チッ、

幼女「………あと22時間」

男「……っ」

幼女「……今まで、言わなくてごめんなさい」グッ

幼女「本当は、もっとやるべきことがたくさんあります。これからのことを詳しく考えなくちゃいけないし、あなたとご両親のサポートも必要だとおもうし。……それに、」

チラ、

幼女「………まだ、宝箱はからのままです」

男「………」

男「…知ってたよ」

幼女「え、?」

男「知ってたよ、詳しい時間まではわからなかったけど、でも、君といれる日がもう限られてることは、知ってた」

男(全てを、話そう)

男「幼女が来てからすぐに、俺はHTSCについて調べたんだ。なんかうさんくせえって思ってたから」

男「政府が運営する、国際団体。目的は、国が定めた「引きこもり」に値する人の社会的復帰と、更生だよね」

男「被験者の重度により、期間もプランもさまざま。まず二週間は、通常の生活の取り戻し、それから躍進を経て、被験者の更生が確認されたらプロジェクトは終了する」

幼女「……ええ、その通りです」

男「……で、最後」

ドクン

男「俺が読んだ文章は、確かこうだった」

『最終目標は、対象者様の完全なる社会復帰になります。そのため、サポート職員のこれまでの手助けやサポートを思い出すことにより引っかかり、今後の支障になる場合がございますのでーーー』


男「……多くの体験や力になった記憶"だけ"は、そのまま継続として残ります」

幼女「……」

男「……だけは、って」

男「最初はまあ、特に気にしなかったんだ。ちょっと引っかかりはしたけど、別に俺には関係ねえしって思ってた」

男「……でも、今は違う」

ドクン、ドクン

男「その意味が、俺にはなんとなくわかる。でも、なんとなくでしかわからない」

男「君の口から、真実が聞きたい。俺が、この先どうなるのか。そして、」

ギュ

男「幼女が、この先どうなるのか」

幼女「……」

幼女「……HTSCは、何度も言うように国際団体です。ほぼ非営利で国のために動き、国民をサポートしてより良い国づくりをめざします」

幼女「なので、これから未来に向けて歩み出す男さんたちに、私どもがなんらかの形でつまづかせてはならないのです」

ギュウゥ

幼女「人間は、どんな理由で転ぶかわかりません。実際に、過去には何度も私どもが原因でつまずき、せっかく更生したのに挫折してしまった人もいます」

幼女「……国のために、いる人間は、爪痕を残してはならないのです」

男「……」

幼女「……22時間後、私はあなたの記憶を一部抹消します」

幼女「この一ヶ月間であなたが楽しいと感じたことや、ためになったと思うことは全て記憶にのこります」

幼女「ただ」

幼女「ただ、そこに私がいないだけで」

ググッ…
ブルルッ

幼女「……っ」ぶわわっ

ポタポタ、ポタ

幼女「男さあん!!!」ガバッ

男「っ、」

幼女「この一ヶ月、あなたは本当に素晴らしい躍進を遂げました!他人に同じことをしろと言っても絶対にできない、見事な成長を見せてくれました!!!」グスッ

幼女「あなたは希望があります!!未来があります!!そしてそれはとても輝いていて、誰かのために、いいえ!あなたと繋がるこれからの人全てのひとのためになるでしょう!!!」

幼女「絶対に成長できないなんてことは絶対にない!!あなたはその事実を身を以て実現してくれました!!!人間は常に成長しているということを!!あなたは私に教えてくれました!!」グスッ

幼女「この経験と希望は、明日の足跡となり、時に人にささえられながら、あなたは自分の道を歩きます!!どこまでも!!」

幼女「支えてくれる人と!!歩くのです!!!」ガッ

男「っ…」

幼女「うっ……ふぅ…」ずず

ふるふる、

幼女「………」

男「…」

幼女「…なので、」にこ

幼女「私との記憶はなくなります。ですが、"私と経験したこと"は、これからもずっと、あなたの中で生き続けます」

幼女「忘れないでください、」

男「…」ボタ、ボタ

幼女「その勇気を、優しさを。これだけ忘れなければ、あなたはきっと、きっと」

幼女「厳しい世の中を耐え抜き、笑って生きることができます」ニコ

ボロボロ、
ぴちゃ

男「…ぐすっ………ああ、」

男「ありがとう、幼女」ズズッ




ーー!



ーーー22時


モゾ、モゾ

男「……なあ?」

幼女「はい?」

男「あのさ……うで、」

幼女「うで?」ガササ

男「腕のタンク…見せてくれねえか?」モゾ

幼女「…」




男「へー、チタン?でできてんのこれ」

ボオン…

幼女「はい。ここから貯蓄して、それでこう突き抜けて、この管に通ります」なでなで

男「すっげえな。この透明のが栄養?」

幼女「そうです。750ミリリットル入ります」

男「………なあ」

幼女「なんでしょう?」

男「この栄養って、どこで売ってるんだ?」

幼女「政府から直接もらってるんです」さわっ

男「政府から?」

幼女「はい。かなり特殊なものですので、2リットルでウン千万の高値になります」

幼女「なので私は、お金を払えないので代わりに国のために働いているのです」ジィ

男「そうか……どうしても、」

男「どうしても、国に逆らうことはできないんだな」モゾ、

幼女「…?、どういうことですか?」

男「いや、こういう仕事してるじゃん?お前。たとえ辛くなったり感情的になったりしても、お前は国に逆らうことができないんだなって…」

幼女「…ぷっ、ふふふ」

男「な、なんだよ」

幼女「違いますよ、男さん」

幼女「私は、私の限られた要領の中でどれだけ自分の力を発揮できるか挑戦しているんです」

幼女「なので、苦しくても辛くても、次どうすればいいかってことを常に思ってます」

幼女「何事も挑戦です。人生、どの人間にも限られた枠がありますから、その中で最大限に自分を発揮できればいいと思いませんか?」

幼女「私はぜんぜん、辛くなんかありませんよ」ニコッ

男「……おー、そうか」

男「やっぱお前、すごいよ。見た目幼いくせに!」ニカッ

幼女「あなたは一言余計なんです!さあ、寝ますよ」がさっ

男「おー。」


カチャカチャ、
カチン



ーーー


プロジェクト最終日

ーーーー


幼女「ケータイ」

男「持った」

幼女「お財布は?あ、あと予備の靴下も」

男「予備の靴下ってなんだよ。なんで必要なんだよ」ジリッ

幼女「この間ふざけて川に落ちたじゃないですか」

男「あ、あれはあの…あれだよ…」


カチャン、

幼女「さ、行きましょう。今日は河原すいてますかね?」

男「さあなー。祝日だからガキいっぱいいるかもな」

幼女「水遊び、気持ち良さそうですよねえ」

男「お前ガキに交じっても違和感ないから行ってくれば?」ニヤニヤ

幼女「さいてーですっ!」



ーーー

スタスタ、スタスタ


チュンチュン、
ピーチチチチチ…


男「…あ」

幼女「はい?」

男「なあ、あの鳥なんていうんだっけ?」ビ

幼女「……ヒヨドリですね」

ピピ、チチチ…

男「ふーん」

幼女「どうしてですか?」

男「いや、ガキの頃よく追いかけててさ、なつかしいなってこないだ思って」

幼女「そうでしたか」

スタスタ…

男「…俺さ」

男「あの宝箱、これからゆっくり敷き詰めていくよ」

幼女「…そうですねえ。これからいろんな経験を重ねるにつれ、大切なものも増えていくでしょうからね」

男「ああ。ゆっくり、それこそ人生を通して大事なもん見つけていく」

スタスタ、スタスタ

……ガサ、


幼女「さて、ここでいいですかね」

男「ああ。人気もないしな」

幼女「…」

男「…」

男の幼女に対する人称がお前だったり君になったりブレるのが気になる
あとこれ形は違うけど東鳩のマルチのシナリオ思い出した
別れの寂しさとかの部分で

幼女「……男さん」

男「はい」

幼女「今まで、ありがとうございました。私も、多くの経験と大切な気持ちをいただきました」

幼女「私も、このことは一生忘れないでしょう。あなたのご健勝を、心から祈っています」

男「おう」

男「じゃあ、俺からも一言」

幼女「はい」

男「……君のおかげで、人生が変わったと言っても過言ではない、本当に。君との記憶はなくなるけど、でも君と歩いた足跡はいつまでも俺の中に残る」

男「ありがとう。君が好きだ、これからも」

幼女「……はい、わたしもです」

チッチッチッ…

幼女「……」

男「……」

幼女「……では、そろそろ時間です」

男「ああ」

幼女「目を閉じてください。時間が来たら、あなたはもう、立派な普通の人です」

男「……手の震えがとまんねえや」ガタガタ

幼女「かっこ悪いですねえ」

男「…なあ、幼女」

男「あの日、うちに来てくれてありがとう。ともに歩いてくれてありがとう。君の全てに、」

男、幼女「ありがとう」


チッチッチッ…


男「……さよなら」

幼女「ええ。さよなら」



スッ


……………

男「……」


男「……?」

ピー、チュンチュン、
ヒロロロロ…

男「っ…頭いてえ……」グワン

男「あれ、俺なんで…ここ公園…?」


ガサ、

男「……ん?」

男「ポケットになんか入ってる」ガサゴソ


男「紙と……ネジ?」

ガササッ
『お疲れ!さっさと元の極楽生活に戻ろうぜ!』


男「……あんだこれ?俺が書いて入れたのか?」

ぐしゃぐしゃ

男「……ふぁあ、」

男「……さて、帰って資格の勉強しなきゃ」


スタスタスタ…

ダッ



おわり。

ご閲覧ありがとうございました。
ここまで伸ばせるとは思っていなかったので、ひとえに見てくださった方のおかげだと思ってます。

>>149が言ってましたが、このお話、マジで思いつきの行き当たりばったりで始めたので終了できたのがほんとに自分でもびっくりしてます。

穴だらけ矛盾だらけの作品でしたが、少しでもあなたの糧になってればそれは嬉しいです。
無事読了、ありがとうございました。


作者。

>>405
これから男は幼女と1回も会うことはなかったの?
それとも、すれ違うことはあったけど全然気にもしなかったの?

>>394

一応感情的になった時が「お前」、冷静にものを見てる時が「君」っていうふうに分けてたw

よくわかんなかったらごめんよ。

>>411それはみなさんの想像にお任せってことで

>>405
なんで最後にくぅ疲作者みたいなコメント残すかな…
あとこれヒロイン役が幼女である必要あったのか
普通にもっと年齢高くても話つながったのでは

>>417
くぅ疲もなにも事実書いただけだけど。
幼女の設定で、事件やらなにやらいっぱいあったでしょ?幼女でよかったじゃん?

ではまたなんらかの形でお会いできればと思います。
どうもありがとうございました~

さくしゃです。
本日19時前頃から番外編をちろっと書いていきます。

幼女、改めハルが幸せになってほしいとのお声をたくさんいただきましたので、二人が別れたあとのハルの今後の話をひとつ。
作中でハルが「私はぜんぜん不幸じゃない」と言っていましたが、そのことについて詳しく書いていきます。ハルはハルなりに幸せだということを表現できれば、と……

いろんな意見があると思いますが、ご迷惑かけない程度に細々やっていきますので、宜しければ見てくださいまし。

作品に作者がしゃしゃり出てくるのがどれだけキモいかは最近知ったとこなので、あんま顔ださんようにします…

のんびりよろしくおねがいします

新しい設定に関してはこちらにどうぞ。
【お知らせ】幼女「こんにちは!引きこもり対策センターです!」男「…は?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1423834627/l50)


では、ぼちぼち。

深夜
『Hcc人事サポート課』

カタカタカタ、カタカタ……
ハル「……」

カタカタ、カチッ

ハル「……」

ハル「……ふぁあ」ギィ

ハル(今何時だろ…)チラ、

時計「23時56分」

ハル「……」

ハル「もうちょっと、できるな」クルリ

カタカタカタ、カタカタカタ…

ーーーコンコン

「失礼しまあす」ガチャ

ハル「あ、はぁい」

警備員「ああ、ハルさんまだいらしたんですか…すいません、もう鍵閉めたいのですが……」

ハル「警備員さん!…ですよね、すいません。………もうちょっとだけいいですか?」チラ

警備員「……」

ハル「お願いしますっ、もうちょっといや、せめてあと五分…!」

警備員「……もう、仕方ないなあ」ハァ

警備員「本当に、あと五分でお願いしますね。上の人から流れてくる愚痴を聞くのも、つらいんですよ」

ハル「存じています、厳しい世界なので……ありがとうございます。仕上げちゃいますね!!」ババッ

警備員「……」

ーーーー
翌日

ざわざわ、ざわざわ

「ハルさん、お昼行ってきます」

ハル「はい行ってらっしゃい」カタカタ

「ハルさーん被験者1930eの資料はどこに送ればー?」

ハル「ああそれ、直接上に回してください。あと総務部に二枚目のも送っといてください」カタカタ

「ハルさん、一階のミニサーバーが 3つ返還されてないみたいで」

ハル「職員ID逆探知してください、見つかったら受付に絶対連絡して」

プルルルル!プルルルル!

ガチャ
ハル「はい、人事サポート課ハルです」

『あ、もしもしセンター管理室です。……あのぉ』

ハル「はい。あ、すいません出来れば手短にお願いします、忙しくて……オダさーん!!さっさとお昼行っちゃってくださぁーい!!!」

管理室『……あの、非常に言いにくいのですが』

ハル「なんでしょう」

管理室『………被験者ご家族から、クレームの電話が入りました』

ハル「えっ?」

管理室『き、記憶の抹消がされてなかったみたいで……けっこう、いろいろとヤバイでs』
ガチャン!!

ハル「………」

「あ、ハルさんいた…あの、」

ハル「すいません、ちょっと空けます」ガタッ、バサ
スタスタスタ

「えっ!?ちょっとハルさん!?」

ーーーー

バンッ!
女「だから、一体どういうことなのか説明してもらいたいのですよ!!」

ハル「えっと…つまり、こういうことですね?」

ハル「被験者様……いや、娘様が1年前に当サポートをお受けになり、3ヶ月で無事終了。しかし、娘様が再び引きこもりになってしまい、我が団体のことをふと思い出す」

ハル「ご家族もふくめ、我々サポート課の人事が携わったことに関しては全て記憶が消されるのにもかかわらず、なぜ覚えているのか。これは怠慢ではないのか…と」

女「そうよ、その通りよ!私ハッキリ覚えているわ、茶髪の若い女!思えば最初から怠慢で適当屋で、うちの娘のことなんか気にもしなかったわ」

ハル「…」

女「3ヶ月で更生できたのも、今思い返すと娘ちゃんが努力をしたからよ。あの女は、何もしなかったわ、本当に」

女「だいたいねえ、あんたたち。いくら非営利だからってちゃんと政府から金もらってるんでしょ?その金が誰から引かれてるかわかる?国民よ!こ、く、み、ん!!」

ハル「ええ」

女「まったく、税金を上げるだけ上げてこんなとこの職員に使うなんて……払っている方が馬鹿らしくなるわ」

ハル「…」

女「聞いてるの?…ってか、本当にここの職員なの?あなた。ずいぶん幼く見えるけど」

ハル「ええ、傾聴しておりますしここの職員でございます。……お母様、不備がございましたら申し訳ありません」

女「申し訳ないじゃ済まないわよ、ちゃんと契約にも書いてあるんでしょう?」

女「まあ、可哀想だし言わないでおいてあげるわ……その代わり、もらうもんもらうけど」ニタァ

ハル「わかりました、ですがその前に…いくつかご質問させていただきます、よろしいでしょうか?」

女「え?まあいいけど…」

ハル「では、宜しければ、当時担当した職員の名前と風貌をお教えくださると幸いです。厳重注意しなければなりませんので」

女「えっ……えっと……な、名前は忘れちゃったわ。そもそも名前なんて教えてくれなかったし……。見た目は茶髪よ」オド

ハル「そうですか…ありがとうございます。それでは、3ヶ月の間で娘様と何度かHccにご報告に来られた思いますが、何回でしたか?」

女「え、えっと……に、二回だったかしら?」

ハル「…そうですか」ニコッ

ハル「ありがとうございます。それでは、上層部にすぐさまご連絡させていただきますね。後日お電話をさせていただきます」

女「ええ、わ、わかったわ……さっさと連絡しなさいよ」

ハル「本日はお忙しい中、わざわざこちらまで来ていただきましてありがとうございました」ぺこり

ーーーーー


ハル「ではお気をつけて…」

バタン

ハル「…」

ハル「…よし、行こう」

ダダダダダダッ

「ハルさぁん!!!」

バッ!

ハル「うわぁ!」

管理室員「ご、ご、ごめんなさい上手く対応できなくて……」

ハル「ああ、大丈夫ですよ。ただのホラ吹きでしたので」

管理室員「そうなんですk…え?」

ハル「それよりお仕事、大丈夫ですか?まだ勤務時間中じゃ?」

管理室員「あ、大丈夫です。先輩方には言ってきましたので。『ハルさんがピンチなら行け!』って…」

ハル「あはは、管理室の皆さんには本当にお世話になっています……それでは、私は行きますね」
スタスター

管理室員「え!?ちょ、ハルさん!」

ハル「まだ仕事が残っていますので!あ、室長にこの前いただいた洋服、ありがとうございましたと伝えておいてくださーい!」タッタカタッタカ

管理室員「ハルさん!」


スタスタスタ

ハル「……」

((女『思えば最初から怠慢で適当屋で』))

((女『こんなとこの職員に使うなんて』))

ハル(………こんなとこの職員、かあ)

スタスタスタ

「あ、ハルさん」

ハル「おっと…お疲れ様です、今帰りですか?」

「ええ、今日は定時で…ハルさんも、あまり残業しすぎると倒れますよ?」

ハル「そうですね…」

「それに、なんか最近元気ないみたいだし」

ハル「え?……元気ない?私が?」

「ええ、みんな言ってますよ。春頃から元気ないなって」

ハル「……」

ーーー君のおかげで、人生が変わったと言っても過言ではない、本当に。君との記憶はなくなるけど、でも君と歩いた足跡はいつまでも…

ハル「……」

「?……おーい、ハルさん!」

ハル「っ、」

ハル「あ、ごめんなさい。ボーッとしてました」ヘラ

「大丈夫です?今日は帰って、ゆっくり休んだほうがいいんじゃないですか?」

ハル「そうですね…そうします。気をつけて帰ってくださいね」

「はい、では…」

ハル「あ、ちょっと待って!」ぐいっ

「え?はい」

ハル「うちの課に…茶髪に染めているアホなんていませんよね?」

「?……ええ、いませんね」

ーーーーー


ハル「……」カタカタ

ハル「………」カタカタ

ハル(えーっと、被験者ナンバー…)

カチカチ
『被験者:ひろせ|』

『被験者:ひろせりお|』

カチ

ハル「……」

ハル「…………うわあああああああああ!!!」ガタンッ

ハル「削除削除削除削除…」カチカチカチカチ

ハル「えーっと…えーっと」ハァ

ハル「……」

ハル「………」

((春頃から、元気ないなって))

ハル「ああもう、あんなこと聞くからだ…」

チラ、
時計「22時」

ハル(……結局、この時間までやってしまった)

ハル「はぁあ…」

ハル(警備員さん、そろそろくるかなあ…もう帰ろっかなあ)

ハル(よし、これ終わらしたら…帰ろう)

ーーーーー

ハル「シャットダウン……と」カチ、

ハル「よーし、帰ろお」ガタッ

ハル「給湯室……よし。鍵は管理室に返して……」スタスタ

ハル「電気、も……消して」

コンコン!

ハル(あ、警備員さんかな)

ハル「はい!」ガチャ、

ハル「すいません、今帰りますの、で……」

ハル「……」じり、

「よお、ハル」

ガチャン!

ハル「……町田さん、こんばんは」

町田「なんだお前、まだ残ってたのか。サポート課の終業時間は6時のはずだが?」ぐいっ

ハル「……なんです?それを言いにわざわざ、政府直属の上層部であるあなたがこんな、下々のところまで来てくださったんですか?」ギッ

町田「まあ、そう怒った顔をするなよ……な、電気つけてくれ。コーヒーはあるか?」

ハル「私もう出ますので。終業時間は過ぎてますしね」プイッ

ぐっ

ハル「……」

町田「まあそう怒るな」




コポコポコポ……

ハル「はい、どうぞ」ダンッ

町田「下品な置き方だなあ……どうも」カタ

ハル「警備員さんが来る前に用件を済ませてください。どやされて困ってるみたいなので」

町田「ふっ…わかったよ。どうだ?最近は」

ハル「最近って…なんですか?いつもと同じように忙しいですけど」

ハル「今は夏になって、比較的楽な方ではありますが、でも忙しいことには変わらないです。これから冬にかけての準備もありますし、それに…って」

ハル「こんなこと、もうとっくにご存知でしょう」

町田「ああ、知っているよ」

ズズッ
町田「俺が聞きたいのは仕事の状況じゃない。お前の心情だ」

キモオタSSみたい
信者がやんちゃしてるパターン

ハル「……なぜそんなことを、聞くんですか」

町田「お前、最近やけに仕事をしているそうじゃないか。毎日のように残業をして、昼も取らずにパソコンに向かってると聞いたよ」

ハル「………だから、なんです?私も春に昇格して、忙しい立場になったんです。それくらい、わかるでしょう?」

町田「だからといって、上司に愚痴をこぼされるまで残業するのはいささかどうかしていると思うがね。自己満足で仕事をこなすのはかまわんが、周りのことを見ているのか?お前」

ハル「………」

町田「春に、なにかあったのか」

ハル「ないです」キパッ

ズズッ…

ハル「なにかあったとしても、言いたくないです。それに…町田さんなら私の状況くらい全て把握しているでしょう」

ハル「今の私は、確かに町田さん無くしては生きていけません。政府から栄養をいただくのも、仕事ができるのも、家があるのも服を着れるのも全部、町田がいないとできませんから」

ハル「けれど……私は、」
ガチャ

ハル「…」バッ

警備員「…あ、あの…ハルさん、お取り込み中申し訳ないんですけど」

ハル「ああ…今出ます。大丈夫です」チラ、

町田「…」

ごはんたべてきます。

>>563
キモオタSSです、大正解です

>>566
え、作者おんなじなの?

>>568
あ、なんか勘違いしているかも。


続けます

・・・

ハル「では、よろしくおねがいします」

警備員「はい、わかりました。お気をつけて」

ウィーン

ハル「……」

町田「…」

ハル「…行きましょう。夜は危ないです、町田さんも私も」スタスタ

町田「待て、ハル」

ハル「なんです?」くる

町田「用事は、憎まれ口だけではない。……うちのオフィスに来なさい、大事な話があるんだ」

ハル「今聞いてなかったんですか?町田さん、危ないんですよ?私といたら」

町田「……わかっている。車を呼ぶ、オフィスへ行こう」

ハル「嫌です!」

町田「なぜだ」

ハル「どうして、大事な話なら事前に連絡を下さらなかったのですか?……あなたがなにをしたいかはわかっています」

町田「…」

ハル「今月のノルマの変更や、政府からの連絡があるならメールでお願いします。仕事以外であまり会社に来ないでください」

ハル「町田さんは…なにか、私に勘違いをしているようですが、余計な勘ぐりは結構です」

町田「…」

ハル「私は、仕事に私情を挟む人間は誰であれよく思いません。……どうやって、私の監視係になったかは知りませんが、」

ハル「役割を任せられた以上は、その責任をまっとうするべきです。自分の感情ひとつでその大きな誇りを見失うことは、何より恥ずかしい…」

ハル「それでは失礼します。お気をつけてください」くるっ

スタスタスタ……

町田「…」

町田「……チッ」

くる、
スタスタスタスタ…


ーーーー

ハル「……」

スタスタスタ

ハル(………仕事に私情を挟んでいるのは私の方だ)

ハル(しっかりしなくちゃ。第三者から異変を指摘してもらえるのは本当に助かる……ムカつくけど)

スタスタスタ

ーーーー

それってさ、恋じゃない?

ハル「ぶふぅ!」

「うわ、汚い!」

ハル「えほっえほ……ご、ごめん」

ハル「だって同僚ちゃん、あんまりに見当違いなこと言うから…」

同僚「えー?だってさあ、その人のこと思い出してふわふわしちゃうんでしょ?恋だよ!!恋!」キャハハ

ハル「……いや、絶対違うよ。恋なんてしたことないし」

同僚「えー?じゃあ初恋?」にやにや

ハル「……あのねえ」

ハル「そうじゃなくってさ……なんていうんだろ、なんか、なあ…」

同僚「なになに?きになる」

ハル「ふわふわっていうのは、ちょっと語弊かもしれない……でも、他の表現も思いつかない」

同僚「えー?難しく考えすぎてるんじゃないの?自分の本当の気持ちなんてどうせ誰にもわからないんだし、代理なら簡単な言葉でもいいと思うけどなあ」

ハル「変なこと言うね…うーん、まあ、なんていうか」

ハル「ブレる」

同僚「……」

ハル「……」

同僚「……ブレる?」

ハル「うん、ブレる」

同僚「意味わかんないわ!」

ーーーー
18時

ハル「お疲れ様です」ガタ

「あっ……あ、はい、お疲れ様です」
「え?…ハルさん、お、お疲れ様でーす」

ハル(…そんなに珍しがられるほど定着していたのか)

ガチャ、

スタスタスタ
ハル(……あ、まだ街灯がついてない)

ハル(ひさびさだなあ、夕焼け…写真とろうかなあ)

ウィーン

ハル「……ふう」

………~~~♪

ハル「、ん?」

~~~♪

ハル「……懐かしい歌」

ハル「ふーん、ふふん、ふふふん…」

((『ハル、俺さ…』))

スタスタ

ハル(……ブレるというひょう

>>579
すまん途中送信

~~~♪

ハル「……懐かしい歌」

ハル「ふーん、ふふん、ふふふん…」

((『ハル、俺さ…』))

スタスタ

ハル(……ブレるという表現は、合っていなかったかもしれない)

ハル(私が線路の上の列車なら、り…彼は、なんだろう)

ハル(ブレるなんて言ったけど、妨げるような存在じゃない。彼は列車を脱線させる石というにはだいぶ…違う)

ハル(自分がブレているのは誰のせいでもなく、自分の意思が弱いからだ)

ハル「……ダメだダメだ」ふるふる

ハル「あー、考えちゃう!ダメダメ!なんのために生きているの私!!」ブンブン

ハル(こんな体でも生きたい理由は、私自身が……)

ハル「……」

ハル「……わたし、じしんが…」

ピロン、ピロン

ハル「っ、は」バサッ

ハル「やばっ、栄養が足りなくなってきた…」

ハル(急いで帰ろう…!)タッタカタッタカ

タッタッタ

ハル「……はぁ」

((『どうしても、国に逆らうことはできないんだな』))

((たとえ辛くなったり感情的になったりしても、お前は国に逆らうことはできないんだな))

ハル(あのとき、私、なんて答えたんだっけ)

ハル(胸張って、つらくないって言えてたっけ)

タッタッタ

ハル(……つらくはない、苦しくもない)

ハル(ただ、……私にはなかったものを彼は持っていて…)

タッタッタ

ハル(……それで…)

ーーーーー

がやがや、がやがや

「ハルさん、お昼行ってきます」

ハル「はい、いってらっしゃい」カタカタ

「あのハルさん、総務から連絡が」

ハル「複合機の件ですよね?それなら後で掛け直しますと伝えてください」

カタカタカタカタ

ハル「……ふぅ」

ハル(…私もお昼入ろうかな)ガタッ

ハル「お昼入りまーす」

「はーい」

スタスタスタ

今日はここまででででで

ご閲覧しえん感謝します。明日も少し書いてきますのでよろしくおねがいします

なんで18人も常駐してるんだ?
自演か?

リメイク書けなくてもいいから
とりあえず後日談は絶対に書いてくれ、頼む!

なんか毎度すんません…体調くずしてました…
呪い?

明日かー明後日かー書きますん。出来れば。

本当身勝手というか申し訳ない。
ゆっくりやってきます、ありがとうございます。

>>599
死ななければ必ずやり遂げる。

>>592
ありがたい。自演でも18は無理だ。

俺は話が更新されるかより1の体が心配だよ

一気読みして号泣しました!
なんか自分の今の人生について考えるようになってしまいました。
続きを楽しみにしてまってます!><

今日書く予定です(予定)。夜11時過ぎかそこらに、ちょっとですが進められればと。ありがとうございます。

>>604
呪いだよ呪い笑

>>605
ありがとうございます。私もそろそろ人生考えたい

ちょいと早いけど、ぼちぼちはじめていきます

ーーー
非常階段

ジュゴゴゴ…

ハル「………ふー」

ハル(ここ落ち着くなあ。涼しいし、誰もこないし)

ジュゴ、ゴ、ゴゴ

ハル(えーっと、午後は会議がひとつと…あと複合機の連絡と、それから人事総合課のあれも……)

ハル「って、私休み時間でも仕事のこと考えてる……」

キュキュルルル…

ポンッ
ハル「よし、ごちそうさまでした」

ハル「………」

ハル「………うーん」

カチャ、カチカチ
ピポポパポ、ピ……

ハル「………」

ハル(いや、私情でオフィスケータイ使っちゃダメでしょ)パコッ

シーン……

ハル「………はー、落ち着くなあ」

ハル(心が落ち着くと、余計なことを考えちゃう……余裕ができると、どんどん変なものが隙間に入り込んでくる)

ハル(……ダメだ。どうあるべきとかいう固定観念は嫌いなのに)

ドスッ
ズルズル…

ハル「自分を縛り付けてる気がするなあ」ボソッ

ハル(頭が嫌に回転する)

ハル(彼は、こんな私を見たらなんて言うだろうか。バカにするかな、いや、案外心配してくれるかもしれない、バカにしながら)

ハル(「お前、情けないなあ」とか?うーん、もしかしたら……って)

ズルズルズル

ハル「いやいやいやいやいや…違うじゃん…」

ハル(もう、私のことは覚えてないんですって)

カツ、カツ、カツ

「………きゃああああああ!」

ハル「えっ?あっ!」

「な、なんだハルさんか……びっくりしたあ寝転がってるんだもん」

ハル「す、すいません!まさか人が来るとは思わなくて」バッ

「いや、大丈夫ですけど……っていうか、もうお昼終わりますよ?大丈夫ですか?」

ハル「えっ?………」カチカチ

ハル「ああ、ほんとだ。ありがとうございます。すいませんそれでは…」

「あ、はい…」

スタスタスタスタ

ハル「…恥ずかしい……」ボソッ

ーーーー
夕方

カツカツカツ

「あれぇ?」

ハル「ん?」くるっ

同僚「はーるにゃーん。どこ行くの?社員証ぶら下げてるってことはこんな夜中に仕事ですか?」

ハル「同僚ちゃん。うんそう、ちょっと揉め事あったみたいで」

同僚「被験者さん?」

ハル「うん」

同僚「ふーん……そう」じぃ

ハル「…な、なに?」

同僚「…いや……」ニヤニヤ

ハル「?」

同僚「社員証ケース、空っぽだよ」


・・・


スタスタ、スタスタ

ハル(えーっとまず頼まれ物買わないとな…)スタスタ

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル(……ここらへん、栄えてるなあ。そういえば学校が多い町なんだっけ)

ハル(えっと、まずコンビニ探さないと…)きょろ、

ハル(……ん?)

こんな感じかな
と思って描き始めたが…誰か可愛くしてくれ
幼女「こんにちは!引きこもり対策センターです!」男「…は?」 - SSまとめ速報
(http://open2ch.net/p/news4vip-1423470624-617-270x490.png)

あははは
それでさー…

ハル「………」

くるっ
スタスタスタスタスタスタ

ハル(おおっと、危ない危ない)スタスタスタスタ

ハル(更生完了被験者との接触、ダメ、絶対。)

スタスタスタスタ

ハル「はぁっ……は、……」

スタスタスタスタ

ハル(でも、もし………いや、想像はやめよう)

ハル「………コンビニどこだぁ」はぁっ

>>617
わっひょい可愛いありがとうめっさうれP

ーーーー

同僚「これは?」スッ

ハル「………甘い?」

同僚「せいかーい。じゃこれは?」

スッ

ハル「なにこれ……苦い?」

同僚「違うわよー。キャラミレフラペチーノは甘いんです!」

ハル「なるほどねー……この、茶色い部分が苦いのかと」カキカキ

同僚「これキャラメルだよ!あ、そっかホイップなしで頼んだから……」

ハル「え?」

同僚「いや、なんでも」ズズー

>>1
リメイク版はリメイク前の話と
まったく関係ない別の話だと思ってたんだが関係あるの?
また、ハル=幼女なの?どういう話なのか詳しく

>>621
ありがとうございます。
いちおこれはリメイク版ではなく、本編後のハルのその後の話として番外編で書いております。
詳しい設定はお手数ですが

【お知らせ】幼女「こんにちは!引きこもり対策センターです!」男「…は?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.open2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1423834627/l50)

にありまする。どうぞよろしくお願いします

同僚「ひゃーほれは(じゃーこれは)?」スッ

ハル「えぇ…難しいなあ…なにこの形」

同僚「ズココッ……ハル!これ知らなきゃ女子失格だよ?最近の女の子はみーんな知ってる食べ物」

ハル「え、そうなの?知らなかったなあ…なんだこれ。豆板醤みたいな色…だけどなんかお菓子っぽい…し」くるくる

同僚「ヒントはー…デパ地下で一個500円」

ハル「ご、ごひゃくえん!?これに?」

同僚「そう」キリッ

ハル「うーん………甘い?」

同僚「せーいかい!」

>>1
待った待った、結局ハル=幼女なの?

>>619
もっとうまくかければよかったんだけどね…
でもそう言ってもらえるととても嬉しいです!
頑張ってください!見てます!

>>624
そうそう。よろしくね

>>625
絵とかめっちゃ嬉しい。本当に。ありがとう

同僚「マカロンっていうの。覚えときなさい」ひょいパク

もむもむもむ…

ハル「あっ……はーい」めもめも

同僚「……あんたさあ」

ハル「ん?なに?」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

同僚「……ふふ、ふふふ」

ハル「えっなによ、気持ち悪い」

同僚「いやね……仮にもさ、女の子なんだし」

スッ
なーでなーで

ハル「わっ」

同僚「肌荒れてるよ、髪もボサボサだし。そろそろ化粧もしたほうがいいんじゃないの?」なでなで

ハル「え?いや、必要ないよ…てか、くすぐった…ふふっ」

同僚「必要ない、とかさ。そりゃあだいたいのことは自分で決めるもんだけど、でも」

同僚「本当に必要あるかどうかは、案外、外側から見てる人間のほうがわかってたりするよ?」なでなで

ハル「………」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

同僚「…変なこと言うようだけど」

同僚「せっかく、そんな体でも女の子として立派に生きてるんだ。あんたが生きてる理由だとか、意思だとか、私には全くわかんないけどさ」

同僚「そーんな、気ぃ張るようなもんかな?」なでなで

ハル「………」

ハル「………最近ね」

同僚「うん」

ハル「ちょっと自分を見失ってるっていうか、うまく言えないけど…なんか、自分がどう在ったらいいのかわかんなくなる時がある」

同僚「うん」

ハル「自分縛ってるなーって思うんだけど…なんかそれすらも縛ってるように感じて…」

同僚「うん、うん」

ハル「………」

同僚「………悩むのさ、つらい?」

ハル「え?」

同僚「悩んでるの。つらくなっちゃうくらい、疲れたりする?」

ハル「え?……うーん、そういうわけじゃないけど」

同僚「じゃあいいんじゃない?」

ハル「ん?」

同僚「さっきも言ったけど、私はハルの生きる意味とか全くわかんないのよ、だって、友達とはいえ脳みそ共有してるわけじゃないからさ」

同僚「悩んでるってことは、次に進もうとしてるってことでしょ。ハルが今、このままじゃいけないって思ってるから、ハルの脳みそは悩んでるわけでさ」

ハル「…………うん」

同僚「悩め悩め!悩みは自分ひとりでかかえて解決するもんだ!水に濡れなきゃ泳げないって、偉い人も言ってるしね」

同僚「たとえいい方向に転がんなかったとしても、それはそれでまた勉強になるんじゃない?」

ピロピロピロピ

同僚「おっと、昼終わりだ」

同僚「じゃー私そろそろ行くわ。あ、マカロン一個いる?まあ食べられなくても3日くらいは鑑賞できるよ」

ハル「い、いや、遠慮しとく……あのさ」

同僚「ん?なあに可愛い子ちゃん」ガタッ

ハル「あ……いろいろ、ありがとう。なんか、スッキリした」

同僚「それは良かったわ、じゃあ今度ラーメン奢ってね」ぶいっ

カツカツカツカツ

ハル「…………同僚ちゃん!」

同僚「なーに!」

ハル「けっ……」

同僚「……け?」

ハル「けしょーひんってどこで買えばいいんですカッ…!」

同僚「………」

同僚「ぶふっ」

ハル「参考までに!買わないけど!」


・・・

ハル「お疲れ様でーす」

「「お疲れ様です」」

ガチャ、
スタスタスタ…

ハル(久々にゆっくり帰れる~)

本日はここまでで。
次は……いつだろう……明日やりたいけど時間的にわからん……

よろぴこおねげえしまふ。

ありがとうございます。

おつ!体の方を優先してゆっくり書いてくれればいいかんな!

http://i.imgur.com/6cMXcoH.jpg

読み返しがてら自分もハル描き。
明日できればよろしくお願いします

>>637
ありがとう、ゆっくりやってきます

いちおつ。
番外編をまとめたいんだけど、もしまとめていいなら番外編のタイトルが欲しいっす

>>640
えー、うーん…まとめていただく予定がなかったから考えてなかった。
本タイトルに【番外編】ってつけたりとか、あとは最初のハルのセリフをタイトルにする?とか?かな。お好きにやっちゃってください。ありがとうございます。

ありがとうございます。
本日夜はよていがあるので、17時半過ぎ頃からのんびりはじめていきたいとおもいます。

よろしくお願いします。

それでは、ぼちぼち。

スタスタ、スタスタ

ハル(いつもは書類に追われてるけど、今日は帰ったら映画でも見ようかな)

ハル(なに見ようかな…ていうか、最後に見たのっていつだっけ)

ハル「………」

スタスタ、スタスタ



ハル『どんな映画が好きか?』

理生『おう……ルーフーの会員期限が切れるから、一本見とこうかなって思ってさ』

ハル『映画ですか…特に思いつかないなあ。あんまり見ないし』

理生『好きな映画の一本ぐらいあんだろ?なんかさ』

ハル『そうは言いますけど、本当に思いつかないんですよ……あ、じゃあ』

ハル『理生さんオススメの一本ってありますか?それが見たいです』

理生『………俺もあんま、アニメ以外は知らねえ……』

ハル「えー…ふふ』

ハル『別に、アニメでも私はいいですよ。理生さんと一緒に楽しめれば、恋愛映画だろうが、アリマス劇場版だろうが』

理生『そ、そう?じゃあアリマスでいい?』

ハル『ええ、なんでも』



ーーーアリマス劇場版!!第2期決定!!

ハル「っ、わぁ!」ビクッ

ーーーただいまタツヤでは新規会員様限定でオリジナルクリアファイルを……

ハル「……」

ハル(そ、そうだ。映画を借りに来たんだった)ドキドキ

ハル(ダメだなぼーっとしちゃって。新作コーナー見て、なんか一本借りて帰ろう…)スタスタ

~~~♪

ハル(……あ)ピタ

ハル(アリマス映画……もうDVD化したのか)

ハル「………」

ハル(思えば、あの日から私は本当に、仕事ばかりの毎日を送ってきたな)

ハル(だから、自分の頭の中の一番上にある、楽しかった記憶はどれも…彼と過ごした時間の中だ)

~~~♪


ハル(……なんか)

ハル(なんか、違う気がする。こうじゃない気がする。なにかって具体的には言い表せないんだけど…)

カタッ

ハル「……はるのちゃんは、可愛いな」

ハル(私は、彼になにを与えることができたのだろうか)

ハル(威張ってばかりだった気がする。偉そうなこと、それらしいことを言って、鼻高々と威張っていただけだったかもしれない)

ハル(彼があの日からどうなったのか、知らないけど、便りがないということは順調に前に進んでいるんだろうな)

((『悩んでるってことは、次に進もうとしてるってことでしょ。』))

ハル「………わたし…」ポツ


「おねーちゃん!」

ハル「っ、!」ハッ

「おねーちゃん、そこどいてー。あたちもあります見たいのぉ」

ハル「あっ、ご、ごめんね!」パッ

スタスタスタ
ウィーン

ありがとうございましたー

ハル「……」スタスタ

ハル「………あ、映画!」タタッ

ーーーー

ハル「それでは、B案の方針で今後行かせていただきますね」

「ええ。今後ともよろしくお願いします………いやあ、ハルさん」

ハル「はい?」

「今回も見事な発案です。ハルさんくらいの才能なら、総務部に居たってそうおかしくない……まあ、体のことは別としてね」

ハル「あはは、お褒めに預かり光栄でございます」へら

「どうです?来年度の人事異動こそ、希望、出しませんか?」

ハル「いやあ、そうですねぇ……考えたいのですが、いま人サ(人事サポート課)には人がいないんで」

「そうですかあ、うちに引っこ抜きたいと思ったんですがねえ」

ハル「経営部トップからのお誘い、大変嬉しいです」ペコッ

「……どうして、人サに来られたのですか?」

ハル「え?」

「あ、いや、差し支え無かったらでいいのですが…人サに来られてから、ハルさん、もう10年ほど経ちますよね?」

「事情はあるかと思いますが…どうして、人サを選ばれたのかなって思いまして」

ハル「……それは」

ハル(私が、人事サポート課で働きたいと思った理由)

ハル「……」

「………あ、なんかすいません。聞いてはならなかったことでしたかね?」

ハル「……いえ」

ハル「私が、人事サポート課に就任したのは」

ハル「新しいものを、見つけたかったからです」ニコ

「……?、そ、そうですか」


・・・

「ハルー!」

ハル「……同僚ちゃん!」

同僚「なに、今上がり?」

ハル「ううん、ちょっと休憩がてら外に出ようかなって」

同僚「そうなんだ、私は今上がり。ねえ、休憩するなら付き合ってくれない?」

ハル「え?」

同僚「いいとこがあるんだ」ニコ


・・・

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル「いいとこって…駅前のデパートじゃない」

同僚「ただ会社と家を行き来してるあんたにはじゅうぶんいいとこじゃない。こっちよ」グイッ

ハル「わっ…ちょっと、歩くの早いよ!」

スタスタ、スタスタ
カツカツ、カツカツ

いらっしゃいませー

同僚「はい到着!」

ハル「……ここって」

ハル「コスメショップじゃない」

同僚「そーよ。わざわざ予約までしたのよ」

ハル「そう…で、私はどこで待ってればいいの?」

同僚「は?」

ハル「え?」

「いらっしゃいませ、お決まりですか?」

同僚「あ、すいません予約した同僚です」

「ああ、ありがとうございます!それではさっそくこちらへどうぞ」ニコ

同僚「ほら」ドンっ

ハル「わっ!…え?」

同僚「決めるのはあんたのメイク道具よ!お子さま初めてでもできるもんキットよ!」

ハル「えっちょ、聞いてな…むぐ!?」

同僚「まあ、選ぶだけでもいいじゃない。行ってこーい!」

ハル「……」

同僚「こういうのも、なんかのきっかけだと思うぞ?」

ハル「…………はぁ」

ハル「まあ試すだけ、試してくる」くるっ

同僚「行ってらっしゃい!」

・・・


「クーポンをつけておきましたので、次回からご利用いただけます。どうぞ、お試しください」ニコ

同僚「ありがとうございました」

「どうもありがとうございましたー!またのお越しをお待ちしております」

カツカツカツ
スタスタスタ

同僚「……」

同僚「………」

同僚「………なんか、言いなよ」

ハル「恥ずかしい~~~~!」ワッ

同僚「なに!?第一の感想それ!?」

ハル「だって似合ってないもん~~~~!ピンクとか若い子にしか似合わないのにピンク系チークオススメされてぇぇ~~~~~!」ワアワア

ハル「目元についてなんか褒めてくれてたけど全然耳に入らなかったし、なんかどんどん……どんどんあれやこれやと……」

同僚「………はぁ。てぃ!」コツン

ハル「あたっ!」

同僚「お前は娘がはじめて彼氏連れてきて戸惑うお父さんか!ちょっとは落ち着いて考えろ!」

ハル「そのたとえなんか違う気がするけど……ご、ごめん」

同僚「まあそりゃあ、初めてメイクしたんだし、違和感はあるでしょうよ。二十数年、すっぴんで生きてきたんだからね」

同僚「でもさ、お姉さん似合ってますって言ってくれてたじゃん。…私も、ハルの顔にピンク系は合ってると思うよ」

ハル「そんなこと、ないよ……私やっぱり、メイクは…」

同僚「あのねえ、ハル最近、自分を内側から固めすぎ」

同僚「鏡って意味じゃなくてさ、外側から見た自分のこと、知ってる?どんな風に見られているか、どんな気持ちで、他人がハルを理解しているか。知らないでしょう?」

ハル「………うん」

同僚「……私は、ずっとあんたを外側から見てきたよ。入社して初めて話した時からずっとね」

同僚「ハル、自分で気づいてないかもしれないけどさ、ハルが認識してる以上にハルのいいとことか、素敵なとこだとかいっぱいあるよ」

同僚「内側だけの判断もいいと思うけどさ、もっと、なんていうかな……」

ハル「………」

ハル「……心配してくれて、ありがとう」

ハル「同僚ちゃん、こないだからずっと心配してくれてたよね…ほんと、ごめん」

同僚「……いーえ。友達だもん、当たり前じゃん」

同僚「大事な人が困ってるのに、心配しない人間なんていないわよ」

ハル「………」

ハル「………そう、だよね」

同僚「そーよ。当たり前のこと、自然の理、だから謝る理由なんてないわ」

ハル「………ねえ、同僚ちゃん」

同僚「ん?なに?」

ハル「私、ずっと誰にも言ってなかったことがあるんだけどさ」

同僚「うん、なになに?」


・・・

本日ここまでで。
のんびり更新で申し訳ないです。どうぞゆっくりお付き合いください。

http://i.imgur.com/q0b2tn4.jpg
いちおつ
風邪でへばってた時にこれ見て元気出たから
俺もハル描き

私怨ありがとうございます。完結させます!

>>662
嬉しい!ありがとう…かわいい!

誰か理生さんも描いてやってください

なんかでしゃばってる上に図々しくなってしまった…

どっかのスレで誰かが言ってたけど、絵を描いてもらえるって想像以上に嬉しいです。ほんとうにありがとうございます。
作品にちゃんと向き合いたい

3万4千pvおめ

>>668
ここまでくると運営が仕掛けたドッキリなのではと思っている

おはようございます。
本日は夕方頃から夜にかけてのんびり長ーく書いていきたい予定です。よろしくお願いします。

以前、ハルが「ご飯が美味しい理由」について理生に話したことがあります。
今日はそんな感じの話を書いていけたらなあと思ってます。

ニートの登場はまだかな?

>>672
この番外編はハルがメインのお話なので、今後の理生の登場はあんまり期待しないでくれ…笑

地震ありましたね。
本日17時半頃から、よろしくお願いします。

ではぼちぼち始めていきます
よろしくお願いします

ーーーー

ピ、ピ、ポ
テュルルルル、テュルルルル……

ブッ
ハル「……もしもし」

『……ハルか?』

ハル「はい。こんな遅くまで、オフィスに居たんですね……町田さん」

町田『俺がいると思ったからかけてきたんじゃないのか?』

ハル「ええ、そうです。ふふ」

町田『……』

ハル「……」

ハル「………この前は、きつく当たってしまってすいませんでした。ちょっと、大人気なかったです」

町田『…いや、俺もすまなかった。お前は悪くないよ』

ハル「ふ。町田さん、謝れる人なんですね」

町田『……すまない』

ハル「やだなあ、攻めてるわけじゃないですよ。町田さんが、私のことをどう思ってるかは……知っています」

町田『……』

ハル「あなたが私の監視係になったのも、ちょうど春頃でしたね」

ハル「仲の良かった担当が突然やめてしまって、あなたが来たんだ。最初は毅然とした人かと思っていましたが、仕事に私情を挟んでくる大人失格の人だった」

町田『……』

ハル「私、嫌だなって思いましたよ。もちろん今も、気持ちは変わらずにいます」

町田『……今日は、よく話してくれるんだな、お前』

ハル「ふふ。栄養にアルコールを入れたんで、酔っているのかもしれません」

町田『冗談でも面白くないな。……ハル』

ハル「なんです?」

町田『俺は……お前が欲しいんだよ』

ハル「そのようですね。でもきっと、あなたが欲しいのは私じゃなくて」

町田『……』

ハル「………いや、やめましょう。明後日までに乾燥剤と栄養、あとネジを一本送ってください」

町田『ネジ?取れたのか?』

ハル「ずっと前に取れてしまって、代用として別のものを使っていたんですけど…合わなくて、すぐ取れちゃうんです」

町田『おい、部品を無くしたらすぐに報告しろと言われているだろう。…了解、送るよ。上には二日前になくしたと入れておく』

ハル「ありがとうございます、よろしくです」

ハル「………では、切りますね。お疲れ様です」

町田『……お疲れ』

ブツッ

ハル「……はぁ」

・・・

ウィーン

ハル「おはようございます…」

「あ、ハルさんおはよ……あぁ!」

ハル「…」

「ハルさんメイクしてるー!」

ザワッ

え、ほんとー?
わーハルさんおはようございます
えー超かわいい!超かわいい!めっちゃ似合ってる!
なになんの騒ぎ?……あれ、ハル今日かわいいじゃん
ばっかハルはいつもかわいいよ

やんややんや

ハル「…………ごほん、」

ハル「遅出勤の人間が偉そうに言えませんが、今は就業時間です!席に戻ってください!」ワッ

「もーハルさんツンデレなんだから~」

ハル「ほら散った散った!明日の朝1会議までの資料、今日中に仕上げてください!」パッパッ

カツカツ、カツ

同僚「ハルおはよう」

ハル「あれ、同僚ちゃん?なんで人サにいるの?」

同僚「生活課がこっちにファイル流しちゃったから取りに来たのよ。いーくら私が美人で妬ましいからってこんな雑用新人にやらせればいいのにさあ」

ハル「はは、どんまい。大変だねえ美人も」ケラケラ

同僚「本当よ。……あんたも」

ハル「え?」

同僚「あんたも今日は、ヘップバーン顔負けの私に負けないくらいかわいいよ」

ハル「………ぶふっ、ははは!」

同僚「なによー。なに笑ってんの?……あ、資料きたかも」


・・・

「じゃあ、失礼します」

ハル「はい、お疲れ様ー」

………パタン

ハル(さあて、これ仕上げちゃおう)

カチャカチャ、カチャカチャ

ハル「………」

カチャ、カチッ
カタカタ、カタカタカタ

ハル「………」

ハル(10時半までには終わらせたいな……)

カタカタ、カタカタ

カチ……

チラ、
ハル「………あ、爪先割れてる」

ハル「うわあ、全然気づかなかったな。ていうか、爪のびっぱなしだ」

ハル(………おしゃれって、なんだろ。課の女の子を見てると)

ハル(メイクして、ヘアアレンジして、服装にこだわって、スカートを履いて、ネイルして、アクセサリーとかつけて……)

ハル(いつも澄ましてて、大口開けて笑わなくて、おしとやかで、しずかに歩いて、男の子たちを引き立てて…)

ハル「……おおぅ」ズン

ハル(女の子って難しいのかな)

ハル(今まで、女であるために生きるなんて考えたことなかったけど…でも、なった気でいたな。みんな、何倍も女の子でいるために努力していたのか)

((『超かわいい!めっちゃ似合ってる!』))
((『負けないくらいかわいいよ』))

ハル「………ふ」

ギシ

ハル(ああ、この感じ。汚い泥水の中から、透き通ったガラスの石を正確に拾い上げるような……)

ハル(……なんのために、この仕事に就いたのか。私は、あの日からずっと、見失っていた気がするなあ)

ハル「ずっと拾いたかった…綺麗な、もの…」ググッ

ーーーー

同僚「いただきまーす」

ハル「どうぞ」

同僚「マジでラーメン奢ってくれるとは思わんかったわ。しかも…ここめっちゃ有名なとこだし…」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル「私は一切食費とガス代がかからない生活してるから、こういうとこで使わないと」

同僚「なに?自慢?むかつくわ~」

ズズッ
ズルズル

ハル「……」

同僚「………食べる?」

ハル「え?」

同僚「ふふ、冗談。ガン見してるんだもん……口に入れることさえ出来ないもんね、あんた」

ハル「ぼーっとしてただけよ。……うん、ダメだね。スープ一滴でも喉くだったら私死ぬ」

同僚「はは」

ズルズル、ズズッ

同僚「……なんかスパイスいまいち効いてないから、ハルの過去話聞きたいな」

ハル「えー?散々話したじゃない」

同僚「ふふ、忘れちゃったもん」

カチャン

同僚「……幼少期の記憶は、ないんだっけ」フー、フー

ハル「うん。覚えてるのは10歳くらいの時からの記憶しかない。小学校も、中学校も行かなかった」

ハル「毎日部屋の中に居てさ、1日の半分を勉強して過ごして。カーテンの向こう側を知らなかったから、14歳になるまで空の色すら知らなかったよ」

同僚「ほんと、おとぎ話みたいよね。本当に現代人?って聞きたくなる」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル「ほんとにね。……でも、メイドさんにはいつも聞いていた。このカーテンの向こう側がどんな世界なのか。どんな物があって、どんな人が住んでいるのか」

ハル「毎日同じ絵本を読んでいた私には、想像もつかなかったよ。だって、自分の世界はこの部屋の中にしかないって思ってたもん」

同僚「……で、14歳の誕生日に」

ハル「全部を知った。自分が先天的奇形児で、親が捨てて、政府が拾ってくれて、私はこの部屋で14年間育てられたこと。全部」

同僚「……」ズルズルッ

ハル「で、その日、私は初めて外に出たの。何度も外に出て、社会に慣れる練習をして…普通の子と同じで、働けるような年齢になってからここに就職」

同僚「あたしがハルだったら、本書いて一攫千金狙うね」へら

ハル「あはは、同僚ちゃんらしいね」

同僚「……初めて会った時は、新入役員みんなで困惑してたよ。なんで10歳くらいの女の子がいるんだろって」

同僚「でも先輩方が必死に知らない顔してたから、なんか裏あんなとは思ってたけどさ」

ハル「……同僚ちゃん、初めて声かけてくれてすごく嬉しかったよ。はじめての友達だった」

同僚「そうだっけ?覚えてないや」ズズッ

ハル「ええー?ひどいなあ」

ざわざわ、ざわざわ

同僚「……国から、なんかいろいろ言われてんの?」

ハル「え?」

同僚「育ててあげたんだから、一生馬車馬のように働けとか」

ハル「はは、まさか。……まあ、働いてることに関しては私の意志もあるんだ」

ハル「自分のことは別として、政府には今日まで生かしてくれた恩があるし、それに…今の仕事楽しいしね。残業代がもっと増えれば文句ないんだけど」

同僚「言えてる」ふふっ

ハル「こないださ、税金で働いてるくせに仕事がままなってないって言われてさー」

ハル「こちとらちゃんとやってるのに、そういう目で見られてたんだなーって悲しくなっちゃった」

同僚「はあー?まあ、努力をしない人間こそ口は活発に動くからね。無視しとけーそんなん」

ハル「うんまあ、気にしてないけど」ケラケラ

同僚「………ねえ、あのさ」

ハル「んー?」

同僚「見知らぬ親、恨んだりしないの?」

ハル「うん、しないかな。恨んでもどうにもならないし」キパッ

ハル「大事なのは、これからどうするかってことだから。捨てられてしまった過去はもうどうやっても取り消せないじゃん」

ハル「それに、私は今、それなりに幸せだし」

同僚「…………いつものハルだ」

ハル「え?…同僚ちゃんのおかげかな?」ニィ

ざわざわ、ざわざわ
カチャン、カチャ

ハル「……そのラーメン、おいしい?」

同僚「え?うん、おいしいよ」

ハル「……前にね、」

ハル「ある被験者さんに、ご飯が美味しい理由を自分なりに考えて説明したんだけど」

同僚「……ハルが?」

ハル「うん。ご飯食べたことないけど、でもきっとこうだからご飯が美味しいんだろうなって考えて伝えてみたの。そしたら、あながちテキトーでも無かったみたいで」

同僚「うん」

ハル「どうして、ご飯は美味しいんだろう。そんな、重々しい概念を考えたわけではないんだけど、なんとなく、ちゃんとご飯に向き合ってるからだなって」

同僚「うん、その通りだ」ズゾッ

ハル「それってさあ……よく考えたら、ご飯だけじゃないなって」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル「この世の中は、数え切れないほどたくさんのものと、たくさんのことと、たくさんのやらなきゃいけないことで溢れてるけど、でも向き合うべきなのは個々のもので」

ハル「別のことに夢中になりながら食べるご飯がきっと美味しくないように、自分がやること、やりたいことに真剣に向き合わないと、あやふやなまま終わってしまうんじゃないかな」

同僚「………」

ハル「なんかね……あ、ごめん辛気臭いね」

同僚「いや、面白い見解だから続けてどうぞ」

ハル「変なこと言うけどさ……死んでしまう、みたいな」

ハル「真剣にそのことに向き合っていないと、他のことに気がそれちゃうじゃない。で、この世の中はたくさんのもので溢れているから、どんどん新しいものに目がいって、抱えるものが増えてきて」

ハル「そうしていっぱいになったら、溢れてこぼれる。でも、ちゃんと向き合わなかった"それ"が自分の中から落っこちても、気づかない」

ハル「そうして、次第に忘れ去られる。落っこちたままのそれは、いつか雪のように溶けて消える」

同僚「……」

ハル「私は、それがすごく怖い。気づかないうちに消えてしまったそれが、昨日の私の死体で。毎朝転がってるんだ、」

ハル「『自分とろくに向き合わず、死んでしまった昨日の私』が。ベッドの上に」

同僚「……うん」

すんませんいいとこですがちょっと空けます。

のんびりペースで進めていきます

ハル「大事だと、思うんだ。……自分と常に向き合って、意志を持つこと。ひどい裏切り方をしても、どれだけ傷つけても、この命だけは自分を手放さないから」

同僚「うん」

ハル「その被験者さんには、偉そうなこと言ったけど…自分は、ちゃんとできてないなあって思って」

同僚「うん」

ハル「……」

同僚「……このラーメンさ」

ハル「ん?」

同僚「おいしいんだ。豚骨ベースのスープがさっぱりしててスッと飲めるのに、濃厚な風味が鼻腔まで広がってきて何度も口の中で舌舐めずりしたくなっちゃう」

同僚「麺も柔らかすぎず、かといって歯ごたえがあるわけでもなくてね、プリッとしてて弾力があるの。だからズルズルいけちゃう」

ハル「うん…?」

カチャン
同僚「私、ハルのたくさん考えてたくさん想像するとこ大好きだよ。発想も奇抜で他の人には考えられないようなことばっかだし、頭いいからいろんなこと同時にできるとこもカッコいいと思う」

同僚「自分と向き合うってのにも、私は人それぞれにあると思うんだ。ハルが春に何があったのか知らないけど、でもさ、」

同僚「その被験者さんとハルは、違うわけじゃない?」

ハル「……」

同僚「自分がこう発言したから、じゃあすぐに実行しなくちゃいけないなんてルールはないでしょ。ハルはその被験者さんに事実を言ったまでで、なにも自分が重く捉えることなんてないよ」

同僚「自分のペースで、自分のタイミングで向き合えばいいんじゃないの?ていうか、何度も何度も繰り返してて「これじゃあダメだ」って思った時点で、もうハルは自分のこと手放さないよ」

ハル「っ…」

同僚「被験…明日の希望を失った人々を導くのに、常に完璧でいなくちゃなんて思わない方がいい。ハルだって、立派な人間だよ。被験者さんと同じ、人間。悩むことだってくじけることだってある」

同僚「もっと人間らしくいなよ。なあに、たかが口から物食べられないくらいじゃない。そんなの一般の人となんら変わらない」

同僚「きつく縛った固定観念見上げるより、もっとさ、自分がどうしたいかを考えるほうが、『自分と向き合う』ってことなんじゃない?」

ハル「………私」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル「同僚ちゃんと友達でよかった」

同僚「………なに泣いてんのよ」

ハル「いや、同僚ちゃんもたまにはいいこと言うなって感動しちゃって」ほろほろ

同僚「ほんとにいちいちバカにするのやめてくれないー?ってかティッシュ持ってる?ちょっと待ってて今出すから……」

ハル「いいよ袖がある」

同僚「コラコラコラ!!待ちなさいって…ほら」

ハル「あ、ありがと」チーン

グズッグス

同僚「……」

同僚「やっぱさ、好きだったんじゃないの?」

ハル「な、なに?」チーン

同僚「前に話してくれてた、ふわふわするって男の人……その被験者さんでしょ?」

ハル「……」

同僚「……ハルは、二十何年いっさい恋愛してこなかったから、自分の気持ちに気付いてないだけでさ。きっと好きだったんだよ」

ハル「いや、それはない」キパッ

同僚「返事早……私のカッコつけた羞恥心どうしてくれんの…」

ハル「彼は……理生さんは、たしかに私にたくさんのことを教えてくれたし、逆に私が助けられた面もたくさんあった」

ハル「でも……なんだろ。理生さんを思う感情は、そういうのじゃなくて……」

ハル(理生さんが……)

同僚「……」

ガヤガヤ、ガヤガヤ


ーーーー

さて、急な話ですがこれ、よく考えたら頑張れば今日中に終わらせられそうです。

最後までよろしくお願いします。

飯食ったりなんだりしてきます。次は10時半頃に上げていきます。

なんだか読み返して自分が書きたかったこと伝えたかったことが全く書けてないただの勢いSSもどきみたいになっててとても恥ずかしい。
本編からの期待を削いでしまったら申し訳ない。最後で書きたいこと書けたらいいなあ…


ハル「え?泊まり?」

「そうなんです…。納期が3日後で、死ぬ気でやればなんとかなるんですけど…でも、俺明日有給とってて、どうしても実家帰らなきゃなんなくて」

ハル「そうなんですか。しかし、納期は最低でも5日は余裕を持って入れないとダメですよ…泊まりなんて、例外ですし」

「ほんっとすんません!あの……それで、ハルさんの方から守衛さんに伝えてくださるとありがたいんですけど…」

ハル「………」

ハル「変わりましょうか?代筆ということになりますけど」

「は、はい?」

ハル「たぶん、守衛さんが新人さんに一人での泊り込みを許可するとは思えないんです。厳しい場所ですから…あ、君を信用してないわけじゃないんですけど」

ハル「進行具合と、データの入ったUSBだけ教えてくだされば私が代わりにやっておきますよ」

「え!?そ、そんな無理です。ハルさんに仕事押し付けたりなんかしたら…俺ここに居られなくなる……」

ハル「正確に言えば私が代わって作成するので私の仕事ということになります。大丈夫です、受けたことは誰にも言わないし、それに、ご家族の方が大事でしょう?」

「え、でも……」

ハル「進行具合、教えてください」

・・・

守衛長「……じゃあハルさん、鍵の管理と戸締りだけはよろしくお願いしますね……」あせ

ハル「ほんとにすいません、ありがとうございます」ペコ

守衛長「もぉお……ハルさんじゃなかったら絶対に許さなかったですよ?ほんとに…」

ハル「頭上がらないです。本当に、ありがとうございます!」

守衛長「じゃあ、よろしくお願いしますね…」

ガチャ、
パタン

ハル(…やっぱりなー。よかった無謀なことしないで)

ハル「さーてやろう」ガタッ

カチッ
カチャカチャ

ハル(寝不足になると町田さんに殺されかねないから、ちゃちゃっと済ましてしまおう)

ハル「………」カタカタ

ハル「………」カタカタ


ーーー


カタカタ

ハル「ふぁあ……」

ハル(新人の仕事だから軽いものかと思ってたら、意外と難しいな……誰だ押し付けたの~)

カタカタ、カタカタ

ハル「………」

カタカタ

ハル(……あ、静かだ)

ハル(換気扇、冷房、ポットの電源…全部切れてるんだ)


シ………ン

ハル「………」カタカタ

ハル「………なーつがすーぎー…かぜあざみ……」

ハル「誰のたそがれに…さまよう~…」

カタカタ、カタカタ

ハル(……黄昏にさまよう…)

カチカチッ

ーーー……

ターンッ

ハル「よーし…終わった……」ガタッ

ハル「ん~~、っはー。さすがに疲れたな」

時計チラ、
ハル(2時、か)

ハル(そういえば、客室にソファーがあったな…そこで寝よう)

スタスタ

キョロ
ハル(……なんか、人類が滅亡した中で一人で生きてるみたい)

ハル(けっこう、深夜の会社ってさみしいな)

スタスタ
ガチャ

ハル「んーっ」

ボフッ!

ハル「……ふぁあ…眠い……」ごろごろ

ハル(いいソファーだなぁ…さすが客室…)ごろ

ハル「………」

ガタッ

ハル「………あ、」

ギシ、ガタ
ハル「うわ……今日すごい星綺麗…!」

ハル(都会なのに、こんな綺麗に見えたの初めてだっ…)

カタン

ハル「……」

ハル「白鳥座、ヘビ座、こと座……」ひた、ひた

ハル「射手座、ヘビ座…」ひた

ハル「……」

ハル(綺麗なものを、いつも見るのが好きで)

ハル(初めて世界が広がったとき、どんどん美しいものを探そうと心に決めたことがあったな)

ハル「てんびん座…」

ひた、ひた
ひた

ハル(綺麗なものが大好きだ。ずっと。キラキラ輝く星、土を振り切って顔を出した新芽、宝石、花……)

ハル(人間も。)

ハル(多様な感情を持っていて、希望を持っていて、ひとりひとり全く違う生き方をしている人間は、本当に美しい)


………

同僚『人サに来た理由?』

ハル『うん、私が人サを選んだ理由』

ハル『単純に、人間がとても好きだったんだ。だって、不思議じゃない?何億人といるのに、ひとりとして同じ人はいないんだよ』

ハル『ひとりひとりに世界で一つの感情があって、世界に一つの生き方をしてるの。全部知るなんて一生かけても無理なくらい、人は個性で溢れている』

ハル『だからね……自分の自由の限界を知らずに、羽を折ってしまう人がいるって聞いたとき、私が力になれたらって思った』

同僚『うん』

ハル『だって、せっかく元気に生まれてきて、自由に生きることができるのに。自分で予防線を張って、テープでぐるぐる巻きにしてしまう。……体さえ健康なら、人はどんなことだって夢を叶えることができるのに』

同僚『……』

ハル『だから…なんか、うまく言えないけど。彼らを変えるなんて大それたことはできないけど、でも、「変わりたい」って思ってもらえたらって…』

同僚『……うん』ニィ

ハル「……そうだ」

ハル(綺麗なものが好きだった。ただずっとその気持ちが続いていたら、それだけで、よかったんだ)

ハル「………あ」

……シュン

ハル「流れ星!!」ガタッ

ぐらっ…

ハル「えっ」

ガッターン!!


・・・

ぎゃー
すんません体調悪くなってきた(+自分が何書いてるかわからなくなってきた)ので次に伸ばさせていただきますごめんなさい。

いい最後を届けられるように精進します。ありがとうございます

なんで書こうと思ったの…。体調悪いなら無理してやるべきじゃないし、低クオリティすぎてみんながっかりしてるよ?証拠は誰も面白いと言ってないこと

>>725
さすがに胃にくるありがとう、たしかにそうだね。
書くのはやめないけどね。もうほんと自分でもなんでこんな面白くないんだろっておもってるあああああああ(死亡)

明日はちょっと来れるかわからんのですが、続けてはいきます。
よろしくお願いします。

本読んでちょっと寝てた。夜更かし。
自重しつつ発言させていただくならば、面白くないっていうのは欠点なわけで。その欠点を治さないまま放置するのはクズのやることなわけで。私はそんなクズにはなりたくないので書いていきますわ。欠点は治すべき。

雰囲気悪いので引きセンのどうでもいい情報をひとつ。
ハルはオシャレに興味がありませんが、可愛いもの綺麗なものは好きです。アクセサリーは付けずに観賞用として何個か持っています。好きな色はスカイブルー。
理生はオタク趣味ですが、ポスターやフィギュアなどはあまり持っていません。炭酸キツめのジュースが苦手。好きな色は赤とか黒とか。

理生母の年齢は48歳です。

支援などありがとうございます。最後までがんばります。

気長によろしくお願いします。

本日22時過ぎに、体調が良ければ少し進めていきます。
よろしくお願いします。

読み返すたびに本当に自分が何書いてるのかわからなくて鬱。
話の本筋が見えないし支離滅裂だし何一つ書きたいこと書けてない。本当に申し訳ない。ありがとうございますありがとうございます。ちゃんとした作品に仕上げたかった。

本日更新少なめですがよろしくお願いします。

リアル原稿の方がちょっとたまってますのでそっち終わらせてからやります~ごめんなさい22時半過ぎで~

それではそろそろー。

ーーーー

ざわざわ、ざわざわ


スタスタスタ
ハル(経理部と人サ遠いってなんでこんなに遠いんだろ…はぁ)

ハル(えーっと、これ出したら一階の総合課まで行って、ハンコ押してもらわないと…)スタスタ

「あ、ハルさーん」カッカッ

ハル「…ん?」くる

「ハルさんお疲れ様です!……あれ?めっちゃ大荷物じゃないですかー貸してください!」ひょい

ハル「あっ…大丈夫ですよ、経理部までいくだけなので!」

「いや、私ちょうど休憩中だったんでヘーキっす!経理部ですね?一緒に行きましょう」

ハル「あ、…うん、ありがとうございます。すいません」

・・・
スタスタスタ

「……ハルさん、今年の社員旅行も休むんですか?」

ハル「え?……うん、そうですね。さすがに遠くまでは行けないので」

ハル(そうか、もうそんな時期か)

スタスタ、スタスタ

「………私、思うんですけど」

「たまには近場をみんなで散歩がてら旅行するってのも、いいんじゃないですかねぇ」

ハル「………やだ、気遣ってくれてます?」

「え?いや、どっちかっていうとみんなのためですかね」ぽつ

ハル「え?」

スタスタ

「ハルさん気付いてないかもしれないですけど…みんな、毎年ハルさんが欠席提出するたびにちょっと残念がってますから」

ハル「……」

コンコン、
ガチャ

「失礼しますー。人事サポート課です」

「ああ、ありがとうございますこんな重たい物…」スタスタ

ボスッ!

ハル「こちらの書類でお間違いありませんか?」

「ええこれです、ありがとうございましたハルさん。助かります」

ハル「いえ、大丈夫です。優秀な部下が一緒に運んでくださったので」ニコ

ハル「それでは…失礼します」

「失礼しまーす」

ガチャ、
バタン

スタスタスタ…

「……まあ、人望とかっていう理由でそういうこと言いたくないんですけど」

ハル「え、ええ…」

スタスタ

「みんな、ハルさんのこと大好きなんですよ。だから、ハルさんがいないとせっかくの社員旅行も、あんまり楽しくないんです」

「バスに乗るとき、必ず一人誰かこぼしますよ。ああーハルさん今年もいないのかーって」

ポチ、
ウィーーーン……

ハル「……」

「まあ、ハルさん的にはみんなで決めた旅行先を自分が変えてしまうなんて絶対できないと思ってしまいそうですが……でも、まあ」

「これだけ言わせていただくと、ハルさんがいないと、必ず誰かは落ち込んでいるんで」

ハル「そう、ですか…」

「ええ。……まあ、今の話はただの世間話として考えてください!すいませんなんか変なこと言って」ヘラ

ハル「あ、いえ。大丈夫です」

チーン
ーー上へ参ります…

・・・

ヂンヂーン
ハル「すいませーん、荷物取りに来ましたー」

受付「……ああ、ハルさん!ありがとうございます。えっと、ちょっと待ってくださいね……」ガサガサ

ドスッ

受付「これです。あ、ハンコありますか?人事サポート課の」

ハル「ええ、持ってきました」

受付「ではここの受理書にサインとハンコをお願いします。……この荷物けっこう重いですよ、大丈夫ですか?」

ハル「ええ、問題ないです」カキカキ

受付「…あら!」

ハル「はい?」

受付「ハルさん、右手の小指どうしたんですか?」

ハル「ああ…これはちょっと、家で転んで突き指してしまって」さす

ハル(本当はこないだの泊まり込みの日のものだけど)

受付「やだ大変。ちょっとー!!誰か来て!!早く!!」

ハル「え、え?」

わらわら

「どうしたの?」

受付「ハルさん怪我してるの!誰か人サまでこれ持ってけない?」

ハル「えっ!?ちょ、大丈夫ですから!」あせ

受付「いいえ、痛みがなくても動かしたら悪化して最悪医者にかかることになりますから」

ハル「え、でも」

受付「困った時はお互い様ですよ!甘えちゃってください」

「そうですよーハルさん。こんくらいなら誰にも迷惑かからないし」

「っていうか、ハルさんが困ってるならどんなものでも誰も迷惑だと思いませんから」

ハル「い、いえ、でも本当に大丈夫です。私、普通の人と違って治癒も早い方なので、受付さんの貴重なお時間にご迷惑おかけするわけには…」

ひょい

「だーめです。普通の人とか、そんなの関係ないっすよ。みんなハルが心配だからただ運びたいだけです」

受付「そうです。それに、人助けに『ご迷惑』なんてないですから!ハルさんだって、ちょっと体の作りが違うだけで普通の人じゃないですか」ニコ

ハル「……」

「誰もハルさんを普通じゃないなんて思ってませんよ。だからそんな、壁作らないでくださいw」

ハル「…………あ、あの」

受付「はい?」

ハル「ありがとう、ございます」

受付「……」

「……ハルさん!ほらー人サに怒られちゃいますから行きますよー!」

ハル「あ、はい!ありがとうございました!」スタスタスタ

受付「お気をつけてくださいねー!」

ーーーー
深夜

ピ、ピ、
テュルルルル、テュルルルル…

ブッ
町田『はい、ハルか?』

ハル「ええ……よくわかりましたね」

町田『深夜のオフィスに電話寄越すのなんてお前くらいだからな』

ハル「はは、すいません常識知らずで」ケラケラ

町田『……で、なんだ?悪いが今仕事に追われててな。手短に済ませてほしい』

ハル「あの、遠出の許可をいただけないでしょうか」

シ………ン

町田『……なんだって?』

ハル「遠出の、許可が欲しいんです…」ぐっ

町田『……』

町田『……どうして、そんなことを急に』

ハル「社員旅行、行きたいんです。来月末、西日本まで」

町田『……』

ハル「お願いします」

町田『無理だ』

ハル「…………」

町田『………』

ハル「………」

町田『…要件はそれだけか?』

ハル「っ…お願いします…絶対、これっきりにします……」

町田『……』

町田『正確に言えば、許可を下ろすのは俺じゃない。政府側だ』

町田『なぜお前が遠出をできないかは知っているよな。何かあった時に、お前を守っている人間以外は誰も対応ができないんだ』

町田『輸血もできない、酸素マスクもつけられない、経口補給液も飲み込めない、胃瘻の管が外れたら専門の人間しか対応できない』

町田『そんなんで許可を下ろすと思うか?鼻で笑われるだけだ』

ハル「………」

ぎゅっ…

ハル「お願いします!!!」

町田『無理だ。お前はっ……』

ハル「お願いしますっ、お願いします……」

町田『っ、……』

ハル「や、やっと気づけたんです…私……」

ハル「自分が……普通の人と一番近くに居ていい存在なんだって……」

町田『……』

ハル「だから、今までわがまま一つ言わずに生きてきましたが、これだけは…言いたい……」

ハル「もう、決められた領域で上を見るのは、嫌です…」

町田『……』

ハル「……一歩でもいいんです。カーテンの中からじゃなくて」

ハル「自分の、この目で……確かなものを見てみたい」

町田『……』

ハル「お願いします、町田さん」

ハル「掛け合っていただけませんか」

町田『……』

町田『…………俺は』

ハル「…」

町田『俺は、お前を欲しかった』

ハル「…」

町田『お前の監視係になったとき、こんなに可哀想な育てられ方をしたなら、きっと簡単に手に入れられるだろう……なんて思っていた』

ハル「…さいていですね」

町田『ああ、最低だよ。……でも、お前はいつだって揺らぐことはなかった。鉄の塊みたいに』

町田『自分の信念を決して忘れず、できる範囲のことを柔軟にそつなくこなして。政府の監視下にある、限られた中で常に上を見続けていた』

町田『俺は、お前をある意味では人間らしくないと思ったよ……。それでも、そんなお前が、欲しかった。真の人間らしく生きていたから』

ハル「…」

町田『……政府には、明日連絡を入れておく、朝一番に。報告は遅れるかもしれんが、俺なりに粘って見せるから少し待っていてくれ』

ハル「……私が、町田さんを嫌いだったのは、仕事に私情を入れてくるからです」

ハル「それと……もうひとつ。仕事の任務として、私に向き合おうとしなかったから」

ハル「私、以前とある人に、真剣になって話を聞いてもらったことがありました。その人は……とても不器用で、口が悪くて、下品でだらしがなくてどうしようもない人だったんですけど」

ハル「でも、…徐々にですけど。私の話を真剣にきいてくれました、いつも。だから私も、この人となら信頼を置けるって思って、真摯に向き合いました」

ハル「町田さんは、きっと、私の外側だけを見ていたんだと思います」

町田『……』

ハル「そこに壁があって、だから私はどうしても、町田さんを好きになれない。今も」

町田『……』


ハル「……私は…今もまだ、ちょっと、人とは違うんだと思っていますが、ですが、ずっと他人とだけは本気で向き合ってきました。なかなか、自分のことは後回しでしたけど」

ハル「……町田さんも、いつか、かっこ悪くても本気で人と向き合えるようになれたらいいですね」ニコ

町田『……あー、残念だよハル』

町田『もう、今ので完全に、お前が好きになってしまったのに』ふっ

ハル「……ふふふ」

ハル「まあ、今度一緒にお茶くらいなら付き合ってもいいですけど」

町田『そりゃあ、ありがたいな』

(もう勢いついてきたのでこのまま終わらせますよろしくお願いします)

ーーーー

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル「……」

同僚「……」

ハル「……」

同僚「……なーにーよー」

ハル「え?な、なによ」

同僚「なーんかにまにましちゃってー!なにかあったの?あ、彼氏できたとか?」

ハル「はぁ!?違うし、にまにまなんてしてないよ…」

同僚「うーそ、ぜったいなんかあった」

ハル「ほんと何もないって!……あ、生活課長!」

同僚「げっ!?」ガタッ

ハル「………なーんて」にまにま

同僚「こんのー…絶対に許さんぞ…」スクッ

ざわざわ、ざわざわ

ハル「…相変わらず多いには多いけど、最近食堂使う人少なくなったよねえ」チラ

同僚「ああ、駅前にオープンカフェできたからみんなそこ行ってるのよ」ズズー

ハル「え?そうなの?…知らなかった」

同僚「地元新聞くらい読めっての」

ハル「今度行ってみる?」

同僚「……え、なに。どうしたのいきなり」

ハル「あ、いや。いつも私に付き合ってくれて食堂じゃない。たまにはいいかなーって」

同僚「別に、無理して付き合ってないわよ。あんたといたいから食堂でもなんでもいいわけでさ」ズズッ

ハル「……やだ、今キュンってきた…」

同僚「あら、でも私と恋するなら年収2000万じゃないとダメよ?」

ハル「……あんた、そんなんだからいつまでも結婚できないのよ」

同僚「お互い様ー!」バシン!

ハル「……あー、この後憂鬱だなー」へな

同僚「なに?なんかあんの?」

ハル「クレーム。部下の子がやらかしちゃってさ、謝りに行かなきゃなんないの」

同僚「あらあら大変。ご愁傷様」

ハル「ほんと。行きたくない~胃がキリキリするんだもん~」

同僚「…こういう場合ってさ、仕事やめたいなってちょっと思ったりするよねぇ」

ハル「……いや、思わないけど」

同僚「え?……ちょ、目がマジ…」

ハル「何事もそこで諦めちゃったら前に進めなくなるじゃん。……せいぜい、次はどうするかまではちゃんと考えないと」

ハル「人は前に進むものだし」

同僚「あれ?なんかこれ私が文句言って締めたみたいな感じになってる?いやねぇハルちゃん冗談よ」

ハル「うん、知ってる」ニッコリ

同僚「……あんた、最近別の意味でイキイキしてるわね」

……ざわっ

ガヤガヤ、ガヤガヤ

同僚「……ん?」

ハル「窓の方、騒がしいね」チラ

ガタッ
スタスタスタ

ハル「どうしましたか?」グイッ

「あ、ハルさん!鳥が迷い込んできて…」

バタバタッ
チチチチチ……

ハル「あら……ヒヨドリですね。こんな都会の建物にどうして…」

ハル「上の窓を開けておいたら、多分出て行くと思いますよ。総合管理室の人に言ってきてもらえませんか?」

「あ、はい、わかりました!」

ハル「……」チラ

ーーーチチチチチ、チチ…

ハル(……彼の記憶に、ヒヨドリの名前は残ったのだろうか)

((「たとえ辛くなったり感情的になったりしても、お前は国に逆らうことができないんだなって…」))

ハル(……理生さん)

同僚「おーいハル!大丈夫?」

くるっ
ハル「うん、鳥が迷い込んできただけだった!」

ハル(私はあの時、確かあなたにつらくないと言いました。)

ハル(……つらくないです、理生さん。私は今、あなたと過ごした時と同じくらい、楽しく生きています)

ハル「待ってて今行くー!」タッ


~~~~


ハル「……では、お先失礼します」

「お疲れ様でーす」

ウィーン
スタスタスタ…

くっそどうでもいいけど
ヒヨドリの鳴き声にチチチチ・・・という表現はあまり合わない気がする
めちゃくちゃにぎやかに鳴くよ

ハル「ふぁあ……あ、そうだ」

ハル(被験者さんに渡さなきゃいけないものがあったんだ)

スタスタスタ

ハル(…仕方ない、ちょっと行くか)


・・・

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ハル(相変わらず学生が多いな…ここ)

ハル(あ、そうだ。手土産に何か買って行こうかな…一緒に渡せばいいし)

ハル「ふーん、ふふん……」

スタスタスタ

ウィーン

ハル(お菓子でいいかな)

ガザガザ

ハル(えーっと……これと、これと)

ハル「……チョコも食べるかな」グッ

ドンッ

ハル「うぉっ、す、すいませ……」

「……いえ、大丈夫です」

ハル「……」

ハル「っ…………!」

ハル(だめだ、だめだ)

「じゃあ店長、お先に失礼します」

「はいよ!あんま勉強しすぎないようにねー」

バクバクバクバク
ハル(出て行かなくては、だめだ)

「大丈夫っすよ、もう第一試験受かってますから」

ハル(目を)

「そんならもっとゆとり持ちなさいよ」

ハル(目を、離せ、私)

「ぬかれないんすよ!俺は」ニカッ

「じゃあ、お先です!お疲れ様でしたー」

スタスタスタ
ウィーン

ハル「……」

「まったくあいつは………あれ?」

ダダッ
「どうしたのお嬢ちゃん!ママは?店内にいる?」

ズズッ

ハル「大丈夫です、ありがとうございます……」スッ


・・・

ウィーン

スタスタ、スタスタ

ハル(……心の蟠りが、雪が溶けるように消えていく感覚がする)

スタスタ、スタスタ

スタスタ、スタスタ

ハル(……あれは、恋なんかじゃなかった)

ハル(ただ、幻影を、心を、ふわりと羽根のように自分の中に置いていただけだった)

スタスタ、スタスタ

ハル「……」グスッ

ハル(…この気持ちが、消えていくのに。なんでだろうな)

ハル(まったく、怖くない)

ーーーピルルル、ピルルル

ハル「……おっと、電話」

ピ、
ハル「はい、もしもし」

同僚『あ、ハル?私だけど。今夜遅くに会えない?』

ハル「いいけど、どうしたの?』

同僚『なんか例のオープンカフェ、夜は居酒屋やってんだって。でさ、今日偶然、生活課と人サの何人かで集まることになったんだけど、みんなあんたに来てほ
ハル「行く!絶対行く!」

同僚『……そう、わかった。じゃあ駅前待ち合わせね』

ハル「うん、了解。じゃあまた!」

同僚『はいよー』

ブッ
ハル「……」

ハル「……よし、今日も忙しいぞ」


スタスタスタ



番外編おわり。

なんとか不自然に締めました。
お粗末様でした。

>>796
まああれだ、弱ってたから…(言い訳)

1おつかれ
すごい面白かったし見てて楽しかったです

>>807
自分ではうまく書けなかったと思ってるからそう言ってもらえるだけで嬉しい。どうもありがとうございました。

なんかずっと前にまとめさんにお話いただきましたが、なんか自分でも最高にこれはよろしくないと思ってるのでできればやっぱりまとめないでもらいたいです。本当にすいません。

こんな時間まで本当にありがとうございました。良い夢を。


宣伝というか、俺書く側よーって人いたよね。
お話ししたいです。よかったら

あ、さげ

最後にこの話がかけてよかった。
どうもありがとうございました。

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