ある小さな制作会社の一夜(68)

男「先輩ー、もう今日は泊まりですかねー」

先輩「は?私は事務所に泊まり、絶対に嫌ですけど?」

男「でも、今の案件、まだ時間かかるんでしょー?」

先輩「私の作業分は終わるわよ。終わらせる!」

男「そりゃ、終わらせてくれないと、明日の朝困った事になりますけどー」

先輩「なるべく早く終わらせてそっちに回すから」

先輩「おとなしく待ってて!」

先輩「それともあんたがやる?」

男「それはdtpオペレーターである俺を馬鹿にしてるんですかー?」

先輩「しょうがないでしょ、そういう職業なんだから」

先輩「悔しかったらデザイナーになってみれば?」

男「それは、センスのない俺への嫌味ですねー」

男「それに俺は、オペレーターである事に、一応誇りを持ってますからねー」

先輩「誇りで飯が食えれば苦労しなわよ」

男「だから、迅速に作業出来る様に、知識を詰め込んでるんじゃないですかー」

男「そっちの仕事が上がってからが、こっちの仕事なんだからー」

男「早くしてくださいよー」

先輩「うっさい!」

男「何キレてるんすかー」

先輩「あんたのその、だらーっとしたしゃべり方によ!」

男「まぁ、これは昔からなんでー」

先輩「知ってるけど、忙しい時に聞かされると、イラっとする!」

男「俺、手持ち無沙汰なんですよー」

先輩「あんた、そうやって話しかけて、作業妨害して」

先輩「私を家に帰さないつもり?」

男「ははは。ご冗談を」

男「俺は深夜作業大好きですからねー」

男「しかも1人で、何の音もなく真っ暗な中」

男「1人でペチペチとキーボードを打つのが好きなんですよー」

男「だから、先輩、とっとと帰って下さいよ、自宅に」

先輩「…そんなに暇ならさ」

男「あいー」

先輩「次回のプレゼンに使う資料の文字打ちしてよ」

男「そんなのあるなら、もっと早く言ってくださいよー」

先輩「本当なら来週からの作業で十分間に合うんだけど」

先輩「文字打ちでもしてれば、黙るんでしょ?」

男「そりゃあもうー」

先輩「んじゃ、はいこれ」
ドサッ

男「なんすか、この資料」

男「分厚いー」

先輩「そうでしょうよ。何せ資料だけなら200ページはあるからね」

男「字が汚いー」

先輩「それは仕方ない。書いた人に文句言ってよ、自分で」

男「そんな事、平社員の俺が言えるわけないじゃないっすかー」

先輩「いや、あんた普段から結構言ってるでしょ」

男「いやいやーそんな事ないですよー」

先輩「て言うか、さっさとやれ!うるさいから!」

男「そんな怒ると、シワ増えますよー」

先輩「…」

男「それじゃ、作業しますかねー」



1時間後

男「ふー」

先輩「ん?一息入れるの?コンビニ行くならお使い頼んでもいい?」

男「一息っていうか、文字打ち終わったー」

先輩「マジで!?早くない?」

男「本気出したー」

先輩「チェックは?」

男「2回した。あとは先輩がチェックしてくれればー」

先輩「それは来週頑張ります…」

男「テキストのままでいいの?」

先輩「それじゃ、流し込みまでお願いしようかな」

男「手書きでざっくりひな形書いてくれれば、あとはこっちでそれっぽく作るよー」

先輩「あ、そ?んじゃ、前回の企画書を元にして、進めてくれる?」

男「前回データを共有に入れてくださーい」

先輩「はいはい…っと」

男「…相変わらず、ファイル名もフォルダ名もテキトーですなー」

先輩「自分がわかれば良いのよ、そんなの」

男「作業引き継ぐ、こっちが苦労するんですけどー」

先輩「そんな苦労はオペレーター様がしてください」

男「作業する前に、少しだけ名前を変えるのが、そんなに手間な事なんすかー?」

先輩「あぁ、またうるさくなった!」

先輩「あっ!」

男「…もしかして?」

先輩「イラレがクラッシュした…」

男「保存は?」

先輩「30分前…」

男「山場だった?」

先輩「かなり…」

先輩「しくじったー!あーもうっ!」

男「落ち着いて下さいよ、先輩ー」

先輩「時間ロスだわ…」

男「その分、こっちでフォローしますからー」

男「取り敢えずリカバー頑張って下さい」

先輩「はぁ…がっくり来る…」

先輩「この突然クラッシュって何とかなんないのかしら」

男「まぁ、昔からマックにはつきものらしいからねー」

先輩「それはウィンドウズでも変わんないでしょ」

男「そりゃそうだけどさー」

男「マック本体への愛情が足りないと、クラッシュするらしいよ?」

先輩「残念ながら、私の愛は一人分しか無いんでね」

男「そうっすかー」

先輩「あー…あとお腹空いた…」

男「じゃあ、俺とりあえずコンビニ行ってきますよー」

男「何買ってくればいい?」

先輩「…おにぎり。具は何でもいい」

先輩「あと、今おまけが付いてる飲み物、何か」

男「えー?何そのアバウトな指示」

先輩「おまけ付いてるなら何でもいいよ」

男「おまけ…どうせいらないのにー」

先輩「何か得した気分になりたいのよ」

男「なかったら?」

先輩「任せる」

男「任されたー」



先輩「…」

男「…おーい、起きろー」

先輩「ん!寝てない!」

男「じゃあ、この鏡をみてみるといい」

先輩「…」

男「頭に飛行機がささってますよー」

先輩「ちょっと、何してくれてるのよ!」

男「暇だったんで、コーヒーのおまけの飛行機のフィギュアさしてみたー」

先輩「一瞬だけ、意識が飛んだだけだから!」

男「俺がコンビニから戻って既に1時間が経過しているー」

先輩「さっさと起こしなさいよ!馬鹿!」

男「ひでーなー、せっかく起こしたのに」

男「あと、企画書、出来たんで、出力しておきましたー」

先輩「マジで?」

男「またまた本気出したー」

先輩「…チェックは来週頑張ります」

男「あのー、先輩ー」

先輩「何よ」

男「そっちの作業さぁ」

男「作業時間的に見ても、そろそろこっちに渡してくれないと」

男「明日の朝に間に合わないんだけどー」

先輩「もうちょっとだから!」

男「んじゃ、これ食べて、これ飲んで、元気だしてー、頑張ってー」

先輩「ありがと」
モグモグ
ゴクゴク

先輩「…おにぎりとコーヒーって、合わないわね」

男「おまけ付いてるの、コーヒーしかなかったー」

先輩「よしっ!頑張ろうっ!」

男「今、ちらっと見ちゃったんだけどさー」

男「画像処理が必要なデータあるんじゃない?」

先輩「ん!何点か、ある!」

男「それ、先にくださいなー」

先輩「じゃちょっと指示書く」

男「もっと作業効率を考えて下さいよ先輩ー」

先輩「…私の事、先輩って言うの、やめてもらえる?」

男「じゃ、何て呼べばいいの?」

先輩「名前呼び捨てで良いじゃん、今までずっとそうだったじゃんか」

男「そんなー。社長の事呼び捨てにする平社員がどこに居るんすかー」

先輩「ここに居るじゃない」

男「そんな失礼な事言えませんー」

男「じゃ、これからは社長って呼ぶかー」

社長「それは一番最初に却下したでしょ!」

社長「次、社長とか言ったら、蹴っ飛ばすからね!」

男「じゃ、やっぱり先輩で」

先輩「同い年なのに…チッ」

男「舌打ち良くない」

先輩「ほら、指示書けた」

男「了解ー」

先輩「画像合成が12点ある」

先輩「建物切り抜きで、背景青空にしておいて」

先輩「こっちの人物は指示してある分だけ、切り抜きね」

男「わかりました先輩ー」

先輩「…」



男「ふいーっと」

先輩「ん?」

男「久々に集中して切り抜きしたー」

先輩「まさかもう全部終わったとか?」

男「終わったー」

男「背景合成の奴は、色味調整そっちでお願いー」

男「psdデータの奴で、ラベル赤くしてあるのが、そうだからー」

先輩「あとでやります…」

男「他に作業あるー?」

先輩「それじゃあ…ちょと別件なんだけどさ」

男「んー」

先輩「これ、客が書いたサムネなんだけど」

先輩「これ、ちょっとざっくり作ってみてくれない?」

男「サムネって…ぷっ」

男「このボールペンでぐしゃぐしゃに書かれた書類を俺に託すのー?」

先輩「出来る?出来ない?」

男「あー」

先輩「やるの?やらないの?どっち?」

男「まぁ、やるだけやってみるー」

先輩「ちょっとだけ任せたっ」

男「任されたー」



男「なぁなぁー」

先輩「…何?」

男「一応出力してみたけど、こんな感じ?」

先輩「…」

男「どうすか?」

先輩「ちょっと直しの指示するから」

男「お願いしますー」

先輩「やっぱりあんたはデザインのセンスないね」

男「そりゃそうだー。有ったらデザイナーになってるだろー」

先輩「何でも罫線で囲むの止めなよ」

先輩「あと、ホワイトスペースちゃんと取って」

男「そこらへんが出来ないから、dtpオペレータやってるんですけどー」

先輩「…まぁ、スピードだけは褒めてあげる」

男「やったー!社長に褒められたー!」

男「給料上がるかな?」

先輩「それはない」

男「ですよねー」

先輩「はい、こんな感じで直して」

男「了解ー」

先輩「あんたがデザイン出来たら、私がもっと楽出来るんだけどね」

男「そんな無茶なー」

先輩「でも、あの落書きから、そこまで情報読み取れるならさ」

先輩「デザインも出来そうなもんだけどね」

男「お、俺には…無理なんだ…無理、なんだよ…」

先輩「何をためながらしゃべってんの、キモイ」

男「キモイとか言うなー」

先輩「ほら、早く作業して!」

男「了解ー」



男「はい、これでどうすか?」

先輩「ありがと、助かった」

男「そっちそろそろ終わる?」

先輩「うん、あと5分」

男「おっけー。待ってるー」

先輩「…ごめんね、私、結構無茶言ってるよね」

男「何をいまさらー」

先輩「頑張るから!」

男「先輩が頑張ってるの、わかってるからー」

男「この会社、先輩のお父さんから引き継いだ時、ちゃんと決めただろー?」

男「それをフォローする為に俺達が居るんだぜー?」

先輩「ありがとね、男」




男「ふぃー、終わったー」

男「なんとか間に合ったかなー」

男「部長、そろそろ来るかな」

?「おはよう!」

男「おはようございます、部長」

部長「なんだ、部長って」

男「だって、一応肩書きは部長じゃないすかー」

部長「まぁ、部長だけどさ」

部長「形だけなんだから、部長って呼ぶなよ」

部長「急に呼ばれたら、照れるだろ」

男「もう、社長といい、部長といい」

男「ウチの取締役は皆わがままだなー」

部長「おい!平社員!クビにすっぞ!」

男「おー。やれるもんならやってみろー」

部長「この野郎…部長の俺をなめてるな?」

部長「部長権限で命令する事も出来るんだぜ?」

男「何を?」

部長「無期限で休みとか?」

男「給料出るなら、一生休みでもいいー」

部長「怠けんな、ボケ!」

男「部長が言ったんじゃないすかー」

部長「元はと言えば、お前が部長とか言い出すからだろ」

男「まぁまぁ、怒るなよ、友」

部長改め友「元々、俺は部長とか嫌だったんだ!」

友「別に平社員でいいだろ、営業なんて」

男「まぁ、役員決める時にじゃんけんで負けたお前らが悪いー」

友「それはまぁ、そうだけどよ」

男「ほら、プレゼン用の資料、全部仕上がってるよー」

友「二人とも徹夜…だよな?」

友「3日連続か?」

男「まぁ、俺は3日完徹だなー」

男「社長は3時くらいから、爆睡中ー」

友「自宅、2階なんだから、上で眠ればいいのに」

男「俺もそう思ったんだけどさー」

男「それ言い出すと、喧嘩になるからさー」

男「とりあえず、毛布だけかけておいたー」

友「仲良し夫婦だな、お前ら」

男「えっへっへ」

友「頑張ってたもんな、二人とも」

男「うん、このコンペ取れたら、凄いよなー」

友「まぁ、プレゼンは任せておけよ」

友「絶対取ってくるからよ!」

男「きゃー!営業部長、カッコイー」

男「やっぱり仕事が出来る男は背中が違うなー」

友「だろ?」

男「だから給料上げてくださーい」

友「まぁ、この仕事が取れれば、嫌でも上がるさ」

男「税金も上がるけどなー」

友「おっと、それじゃそろそろ行ってくる」

男「絶対…絶対に事故るなよー?」

友「フラグ立てんな、アホ!」

男「いってらー」

男「あ、そうだ。あと一つ言いたい事があるー」

友「何だ?」

男「ボールペン習字でも習って下さいお願いしますー」

友「…そんなに下手かな?俺の字って」

男「下手でも読めれば良いけどさー」

男「友の字は暗号レベルだー」

友「考えておきます…」

男「じゃあ、今度こそいってらっしゃいー」

友「おう!行ってくるぜ!」



男「んー。デザインの勉強、してみるかなー」

男「でもなー」

男「俺は社長のデザインが好きで…」

男「それをサポートする為に、オペレーターとしての腕を磨いてきたんだしなー」

男「今さら路線変更は無いよなー」

男「ふわぁ…」

男「俺もちょっと寝ようかな…」

男「ちょっとだけ…」

男「そろそろ課長も出勤するだろうし…」

男「…ホント、ちょっとだけ…」

男「…」



先輩「おーい、ぼんくらー?」

男「…」

先輩「…寝た?かな?」

男「…」

先輩「あぁ、もう朝かぁ…」

先輩「また寝てしまった…」

先輩「こいつだって同じ時間起きてるはずなのになー」

先輩「くっそう…悔しいのぅ」

先輩「…」

先輩「…ふふっ。社長か」

先輩「久しぶりに言われたなー」

先輩「まぁ、4人しかいない会社で社長もなにもあったもんじゃないけどねぇ」

先輩「こいつが起きる前に、朝ご飯でも作ってみようかな」

先輩「フフフ。びっくりするだろうな」

先輩「あー、でもダルいか…」

先輩「コンビニ飯でいいか…」

先輩「でも、出し抜かれてばっかじゃ悔しいしなー」

先輩「それに、妻としてどうなのよって話しよね」

先輩「よし!ご飯作ってこよう!」

男「…」

先輩「あー、カレー食べたいけど、時間無いなぁ」

先輩「取り敢えず、定番の焼き魚と味噌汁でも作ってみっか!」
パタパタパタ

男「…」

?「おっはよー」

男「おはようございます、課長」

課長「は?課長?」


男「課長は課長じゃないですかー」

課長「あぁ、まぁそうね。私一応課長だったわね」

男「今日も一日宜しくお願いいたします」

課長「何?今日ちょっとテンションおかしい?」

男「さすがに3日も寝てないと、テンションもおかしくなるー」

課長「まぁ、それは仕方ないわよね」

課長「仕上がったの?って聞くのは野暮よね」

課長「あんた達の事だから、きっちりしっかり仕上げたんでしょ?」

男「今回のは自信あるー」

男「取れると思うー」

課長「よく頑張ったと思うよ、本当に」

男「取れなきゃ、売上にならないからねー」

課長「だから売上になる仕事も並行してやらなきゃね」

男「利益率の良いお仕事だけ、やって暮らしたいー」

課長「ウチって一応、広告代理店なんだから」

課長「攻めて行かなきゃでしょ!」

男「夢を追うのは悪くないー」

男「でも、人間なんだから、食って行かないといけないからなー」

男「金になる仕事もしないとー」

課長「解ってるって。で?社長は?」

男「社長って呼んだら、蹴っ飛ばすって言ってたぜー?」

課長「あんたが急に課長とか言い出すからでしょ」

男「それは秋の夜が見せたひと時のマボロシー」

課長「もう朝だけどね。で?社長は?」

男「毒物を製造しに、自宅に帰ったー」

課長「あんたねぇ…自分の奥さんが作った食事を毒物って言わない!」

男「クリエイティブな人だからさー」

男「料理もチャレンジ精神溢れる物になる事が多いー」

課長「まぁ、知ってるけどさぁ」

男「課長、手伝ってあげてくれると助かる。俺が」

課長「はいはい。じゃちょっと行ってくるから」

課長「寝ないで待ってなさいよ」
パタパタパタ

男「よろしくお願いしますー」

男「…」

男「さて、と」

男「そろそろ、利益のある方の仕事でもしますかねー」

男「パチンコ屋のチラシ3本」

男「半5段の新聞広告2本」

男「全3段の協賛広告1本」

男「…そこそこ多いー」

男「でもま、行けるっしょー」

男「やるかー!」

?「おはよう、男君」

男「ありゃ?会長じゃないすかー」

会長「会長?あぁ、そういえば僕、会長だったね」

男「こんな朝早くにどうしたんですか?」

会長「いやあ。年寄りは朝が早くてね」

会長「散歩してたんだけど、事務所の電気が付いてるのが見えてね」

会長「ちょっと顔出してみたんだけど…娘は?」

男「二階で朝ごはん作ってますー」

会長「…それじゃ、僕はそろそろ帰ろうかな」

男「そんな事言わずに、一緒に朝ごはん食べましょうよ、お義父さんー」

会長「…」

男「そういえば、今回の件、どうもありがとうございましたー」

会長「何の事かな?」

男「会長が先方に直接話してくれたお陰で」

男「俺たち、今回のコンペに参加出来たんですよね?」

男「そうじゃなければ、俺たちみたいな弱小会社」

男「参加自体無理だったでしょう」

会長「僕は別に特別な事はしてないよ」

会長「それに、使える物は何でも使った方が良いと思わないかい?」

会長「コネだろうが、金だろうが、ね?」

男「まぁそうですねー」

会長「扉は開いてるんだから、後は君たち次第だよ」

会長「どう?取れそう?」

男「結構自信ありますよー」

会長「それは楽しみだ」

男「良い報告、期待してて下さいー」

会長「…君には本当に感謝してるんだよ」

男「はい?」

会長「この会社は元々は僕と女房の二人でやってた個人事務所だった」

男「はい」

会長「女房が病気であんな事になって、事務所を閉めようとした時」

会長「娘は大手広告代理店の内定を蹴って」

会長「この会社を引き継いでくれた」

会長「僕はそれが嬉しくてねぇ」

会長「そして、それを傍で支えてくれる君達に」

会長「僕はとても感謝してるんだよ」

男「…俺は彼女を守るって、昔から決めてましたから」

会長「本当はね」

男「はい」

会長「娘には、さっさと結婚して、家庭に入って欲しかったんだ」

会長「グラフィックデザイナーなんて、弱肉強食の世界に入って欲しくなかった」

会長「年を取ってから出来た娘だからね」

会長「苦労させたくなかったんだ」

男「はぁ…その願い、半分だけ叶いましたね」

会長「そうだね、半分だね」

会長「君が『娘さんと結婚させて下さい』って言ってくれた時は…」

男「泣いてましたもんね。号泣」

会長「凄く嬉しかったんだよ」

会長「次は孫の顔を見たいんだけどね」

男「それは娘さんに言って下さいー」

男「まだしばらくは無理だと思いますけどねー」

会長「あはは、そうだろうね」

男「…そろそろかなー」

会長「え?」

バタバタバタ

先輩「おらー!起きろー…って、起きてるじゃん!」

先輩「あ、お父さん、おはよう。どうしたの?」

会長「おはよう、朝から元気だな」

会長「散歩の途中に寄っただけだよ」

会長「も、もう帰るから」

先輩「丁度良かった、今から朝ごはんなのよ」

先輩「久しぶりに一緒に食べようよ」

会長「う…」

男「俺の方を見られても、困りますよ、会長ー」

先輩「え?あんたまだそれやってんの?」

先輩「その役職名で呼ぶの、やめなよ」

男「え?そんなに嫌?」

先輩「嫌だわね、はっきり言って」

会長「なるほど、そんなブームが来てたんだね」

会長「僕は会長って呼ばれるの、嫌じゃないけど」

先輩「私が嫌なの!」

先輩「社長命令よ!そのブーム、今すぐ終了させなさい!」

男「はぁ、社長命令なら仕方ないですねー」

男「それじゃ、本日の業務の前にー」

男「朝ごはん食べに行きますか、お義父さん」

会長「う、うん。行こうか」

男「そんな、泣きそうな顔しないで下さいよ」

男「今日は大丈夫ですよ。お手伝いも居るし」

男「ちゃんとしたお味噌汁と、焼き魚が出てくると思いますよ」

先輩「ちょっと!今のどう言う意味よ?」

男「何でもないよ、幼馴染。さ、みんなで朝ごはん食べよう」



おわり

おつおつ



>>1ってもしかして、幼馴染みの人?
酉無いけど、何となく

良い話だ

>>63
そうです
普段幼馴染のssばっか書いてる人です

仕事中、ムシャクシャして書きました
徹夜2日目
早く家に帰りたい…


幼馴染の人、久しぶり
でも前スレの予告と違うね
タイトルではわからなかったよ

おつかれさん
仕事がんばって

乙だたよ

乙!

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