男「トイレから出たら……」 (20)



男(俺は男……本職はフリーターって、自分で言うのもあれだが、これって本“職”じゃないよな?)

男(まぁそこは置いておこう、とりあえず俺の趣味はSSを書く事だ、単純に話を書くのが楽しくて好きなんだ、だからいつだってネタを考えたり探したりしてる……でもな?)

男「俺は今普通に家のトイレに行って、普通に出て来ただけだぞ?それなのにだ」

勇者「魔王!今日こそお前を倒す!そして世界に平和を取り戻す!」

魔王「クックック、それはこちらのセリフだぞ勇者よ、我に逆らう者を滅ぼしてくれるわ!」

男「なんかいかにもな最終決戦も場に出て来た」

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男「何で?どういう状況?てかここどこ?いつから俺の家のトイレのドアはどこでもドアになったの!?」

勇者「ついにここまで来たな男、いよいよ魔王との決戦だ!」

男「いや知らないよ!?俺ついさっきまで家のトイレにいたからね!?こんなファンタジーな世界観じゃなかったからね!?」

魔王「しかし敵ながらあっぱれよな、よもや二人でこの魔王の前まで来る人間がいようとは」

男「だから知らないって!俺そもそも旅してないからね!?バイトの夜勤明けで、寝る前にトイレ行ったらこれだからね!?」



魔王「まぁ何人いても同じ事だがな、所詮は脆弱な人間よ、どれだけ鍛えても我ら魔族には到底適わんのだ」

男「そもそも鍛えてもいないからね?俺インドアな一般人だからね?」

勇者「ふっ俺達を普通の人と同じと思うなよ?精霊の加護を受けた俺達は、人の限界を超える!」

男「だからそれお前だけだから!俺加護も何もねえよ!精霊って誰だよ!」

精霊『さぁ勇者!男!今こそ世界を救うのです!』

男「誰!?どこから聞こえたの今!?精霊なの!?つか俺を巻き込むな!」



男「てか何!?君達の中では俺も旅をしてた事になってるの!?何で!?」

勇者「今までお前には散々助けられてきたな男」

男「助けてねえよ!つか今正に俺が助けて欲しいわ!」

魔王「貴様等の行動は部下から聞いている、我が配下の魔族を二人で倒してきた事をな」

男「だから知らねえよ!俺いなかっただろ!つかいても何も出来ねえよ!」

側近「魔王様……申し訳ありません……こんな者共に敗れるとは」

男「誰だよ!さっきから唐突に出てくんなよ!あといい加減俺の話を聞けや!」



勇者「だが男、悪いがここだけは……この魔王だけは俺に任せてくれないか?必ず勝つから!」

男「いやそもそも俺がいても意味ないから、むしろ一人の方が絶対いいから!」

魔王「クックック、一対一で決着を着けようと?面白い……いいだろうお前たちも手を出すなよ?」

水の四天王「御意に」

火の四天王「はっ仕方ねぇな」

風の四天王「頑張って魔王様!」

土の四天王「てかあいつ何?どうみても一般人じゃね?俺あいつの報告受けた覚えないんだけど?」

男「多いわ!脈絡無く出てくんな!てか魔王がそんなに引き連れて戦うつもりだったのかよ!てかお前俺の話聞いてきれるの!?」

土の四天王「聞くって言うか、何か俺以外テンション変なのな」

男「マトモな人がいて良かったわ、俺の話聞きやがらないから」

土の四天王「ツッコミ大変だな」



勇者「さぁいくぞ魔王!ハァァァァ!」

魔王「こい勇者!ハァァァァ!」

男「てか待て!一般人いる前で何全力出そうとしてんの!?せめて俺逃げるまで待て!ってドア開かねえ!」

水の四天王「なんという魔力」

火の四天王「はっ流石だぜ!」

風の四天王「すごいわ魔王様!」

土の四天王「あーうんとりあえず俺の後ろにいなよ、何か死なせるのは悪い気がするし」スタスタ

男「あっありがと、つか俺が言うのも変だが、いいのか?」

土の四天王「何か明らかに空気変だしさ、お前巻き込まれた感すごいし」

男「だよな?家のトイレから出たらここだぜ?」

土の四天王「謎すぎるな」



勇者「右ストレート!」バッ

男「何でだよ!魔王相手に何で肉弾戦!?」

魔王「甘いわ!俺のスウェイバックには届かん!」

男「何で!?何で魔王まで肉弾戦!?つかボクシング!?さっき魔力溜めてたのは何だったの!?」

土の四天王「風向きおかしいね」

水の四天王「なんという反応速度」

火の四天王「はっ流石だな!」

風の四天王「素敵よ!魔王様!」

男「お前ら同じ様な事しか言えんのか!?」

土の四天王「あー何か四天王辞めたくなってきた、流れに付いていけないわこれ」

男「大変だな」



魔王「今度はこちらの番だ!くらえ!左ストレート!」バッ

男「何気にサウスポーかよ!」

勇者「こんなもの!」ガシッ

魔王「ふっガードなど無意味!」

勇者「グアァァァッ」ガクッ

男「おいおいまさか腕を折られて」

勇者「右膝の古傷が!」

男「何で古傷!?治してこいよ!」

魔王「更に右フック!」バッ

勇者「くっグアァァ!」ガクッ

男「また右膝か?」

勇者「左膝の爆弾が」

男「両膝やられてるのかよ!何で旅してんの!?」

土の四天王「どうなってるんだか」



勇者「まっまだだ、まだ両膝をやられただけだ」

男「いや普通それ負けたようなモノだからな?両膝やられた時点で普通は勝ち目ないからな?」

魔王「クックック、もはや攻撃を避ける事もできまい、大人しく死ぬがよい」

勇者「ふっ」

魔王「何がおかしい?」

勇者「俺がただ殴られていただけだと?」

魔王「何?くっ?」

勇者「俺の受けたダメージや衝撃を、貴様に受け流していたんだよ!」

男「どうやってだよ?」

土の四天王「まぁ他と比べたらまだ」



魔王「ぐぁっおのれ!勇者!」ガクッ

男「まぁ効いてるのは間違いないみたいだが」

魔王「右膝の爆弾が」

男「お前も膝やられてんのかよ!」

勇者「くらえ!コークスクリュー」バッ

魔王「ぐぁっおのれ!左膝の古傷までも」

男「だから何で勇者も魔王も両膝いってんの!?つか腕でガードしといて何で膝なの!?」

勇者「これで五分だな」

魔王「まさかここまでやるとはな」

男「いやどっちも膝痛めてただけじゃん、この戦いと関係ない所じゃん!」

土の四天王「そもそもどこで痛めたんだ?」



勇者「お互い限界だな」

魔王「その様だな」

男「殴り合い始めてまだ三分経ってないぞ」

勇者「次で決めさせてもらうぞ!精霊よ俺に力を!」

精霊『私の力を全てあなたに』

魔王「我が力の全てをこの拳に!」

水の四天王「互いの全てを込めた一撃」

火の四天王「勝負は一瞬で決まるぜ!」

風の四天王「負けないで魔王様!」

男「何かそれっぽい展開してるけど、お互い膝やられてただけだからな?」

土の四天王「古傷の再発だけだもんな」



勇者「うおおおお!くらえー!」バッ

魔王「うおおおお!くらえー!」バッ

男「クロスカウンター!」

ビキッ

勇・魔「「ぐぁぁぁぁ!」」

男「どっちが勝ったんだ?」

勇・魔「「腰が!腰の爆弾が!」」

男「腰にも爆弾抱えてたのかよ!つか何でマジでそんな奴らが勇者や魔王やってたんだよ!」

土の四天王「これで決着って……」



勇者「……決まりだな」

魔王「そうだな」

男「ダブルノックアウトかよ」

勇者「最後まで立っていた者が勝者だ」

魔王「決着の時の頭部の海抜が高い方が勝者だな」

男「何その地上最強の生物みたいな物言いは?つかお互い倒れてるじゃん」

勇・魔「「お前が勝者だ、男」」

男「よせ!巻き込むな!俺は無関係だ!」

土の四天王「そもそも戦ってもいないのにね」



こうして男の手によって世界に平和が訪れた。

男「何この声?どこから聞こえてるのこのじいさんの声!」

土の四天王「手によってって、何もしてないよ?」

だがいつかまた新たな魔王が誕生するだろう。

男「てか魔王生きてるけどね普通に!」

その時は戦え男!負けるな男!

男「知らねえよ!俺一般人だから!何も出来ないから!巻き込まないでくれ!」

世界に平和をもたらすために!

男「知るかぁ!」



男「俺を巻き込むな!っと」カタカタ

男「よしこれでいいな……あー疲れた」

?「ん?終わったのか?」

男「とりあえずな、読むか?」

?「おう……ははっ何だよこれ」

男「出来は悪くないと思うんだが」

?「確かにそうだけどさ、てか男のツッコミやりすぎじゃないか?」

男「そうか?」

?「もうちょっと減らしてもいいだろ」

男「まぁ仕方ないだろ」

?「そうだけどさ……」

男「あー腹減ったな……飯でも食いにいくか?土」

土「そうだな、しかし事実をそのまま書いて大丈夫なのか?」

男「心配ねぇよ、突拍子もねえしリアリティもねえしで、誰もノンフィクションとは思わないさ」

土「そりゃそうだ」

男「さて……飯食いながら考えるかね、次はどれを書くか」

土「楽しみにしとくわ」

終わり

以上です。
以前ふと思いついて、頭に居座っていた物を、少し手直しして書きました。
ツッコミに関しては自分でもくどいというか、とりあえず某銀髪侍をイメージしながら書いたのに……自分にはツッコミスキルは皆無なようですね。
とりあえず気が向いたら別のを書くので、HTMLはしないでおきます、それでは。

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