JB「天空の花嫁」(ドラゴンクエストⅤ&蒼天のソウラ) (23)



登場人物

JB
ドワーフ、男、レンジャー
荒野の快男児と呼ばれるベテラン冒険者。もっさり。

かげろう
エルフ、女、バトルマスター
戦闘狂。みんなの姐さん。

ダン
オーガ、男、魔法使い

トーラ
ウェディ、女、盗賊


デボラ
人間、女、???




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蒼天のソウラ・前回までのあらすじ
ソウラやユルールら後輩冒険者のクエストに立ちはだかったり手助けしたりした、荒野の快男児JBとその一味。
後輩らと別れ、彼らは今日も、風の吹くまま気の向くまま、旅を続けていた。


ヒュォオオオ……

JB「…色々あったが、結局、この荒野に戻ってきちまったな」

ダン「ま、二つ名通りでいいんじゃねーの」

JB「あぁ……この乾いた空気は嫌いじゃねぇさ…」

かげろう「何カッコつけてんだ。ただ単に、結局素寒貧のままだからだろ」

トーラ「また極貧生活…」

ダン「…これまた文字通り、貧乏クジのクエストだったか?」

JB「いや、そんなこたぁねぇさ!宴会で久々にいいもん食ったし。賞金は入らなかったが、受けて正解のクエストだったぜ」

トーラ「ヌフフ、同意」

ダン「全くだ」

トーラ「温泉、気持ち良かった」

ダン「いい酒をたらふく飲めたしな」

JB「あいつらも思った以上に成長してやがったしな。今後が楽しみだぜ」

かげろう「ふふ…そうだな。私もまた婿候補(ライバル)が増えて嬉しいぞ」

ダン(…どんな振り仮名だよ)


かげろう「私も益々精進しないとな。夜の真剣勝負のためにも…」ペラ…

トーラ「夜戦は得意」

ダン「そうじゃねぇよ」

トーラ「?」

ダン「……なんでもないス」

かげろう「いつ斬り合いになってもいいように、勝負パンツは大事だぞトーラ」…ペラ……ペラ…

トーラ「パンツ大事、把握した」

JB「変なこと吹き込むな」

かげろう「そう言うなって、実際大事なんだから。……ふぅんこれなんてなかなか…」ペラペラ…

JB「…ん?姐さん何読んでんだ」

かげろう「あーこれ」バサ

《結婚情報誌「ピクシィ」~仲間を呼んで合コン!結婚式に向けてピオリム!》

JB「……」

かげろう「……」

JB「ついにアンタと本気でやり合わにゃならん日がきたか…」

かげろう「ん…?何言ってるんだもっさり。お前と結婚など死んでもごめんだぞ」

JB「そうじゃねぇ……荒くれな俺でもな、いたいけな後輩達を悪女鬼女から守る良心ぐらいある」

かげろう「あ?」

JB「あいつらはまだ若い!…ソウラもユルールも、これからなんだ。姐さんはもう行き遅れを気にして焦りだす歳かもしれねぇが」

かげろう「……」


JB「だからって後輩達を毒牙にかけさせるわけには」

かげろう「プッ……あははは!」

ダン(やべぇ…)

かげろう「バカだなもっさり、そんな気はないぞ」

JB「…本当か」

かげろう「あぁ、お前の言う通り、あいつらは若すぎる。私の婿になるのは、もっと色んなとこが育ってからじゃないと」

JB「そうか…」



かげろう「で、…………誰がイキオクレだって……?」ゴゴゴゴゴゴ…

JB「え?だって姐さんもうにじゅ」

ダン(やべぇよやべぇよ…ちょっと離れとくか)コソコソ…

トーラ「どこ行くの」

ダン「トイレ」

トーラ「じゃ私も」

コソコソコソ…

かげろう「そのもっさり……私が少し削ぎ落としてやろう…」スラァ…

JB「なんだ、やっぱりやるのか。けどよ…俺の鋼の筋肉に、刃が通るか…?」

かげろう「私も以前とは違う…その身で試せ…!」チャキッ

JB「いいぜ……準備運動が欲しかったとこだ!」グググッ


かげろう「やぁあっ!」ダッ

JB「ぅぬおおお!」グオッ


???「やめるのよ!もっさり!!」バンッ


かげろう「っ」ピタッ
JB「とっと」ドタッ

???「言葉は聞こえるみたいね、野蛮人でも」

かげろう「誰だ?知り合いか?」

JB「いんや。こんな派手な人間のねーちゃんは知らん」

???「ここで暴れないでよ。私の紅茶にホコリが入るじゃない」

JB「おっと、俺としたことが。こりゃスマンかった」

かげろう「向こうでやるぞ」

JB「そうだな」

???「待ちなさいよ!」バンッ

JB「あん?まだ何かあんのか」

???「あんた、お金に困ってんでしょ」

JB「…だったら?」

???「この私が雇ってあげるわ。用心棒として」

JB「最近このパターンで痛い目見たばっかだからな…」

かげろう「いくら出す?」

???「相場は知らないけど、充分な額をパパが用意するわ。この私を、無事サラボナまで送り届けてくれれば」

かげろう「なんだ、どこか富豪のお嬢様なのか。どうりでいいもの着てると思った」

JB「けどサラボナってどこだ。聞いたことねぇぞ」

???「あ、あんた達もなのっ!?誰に聞いてもサラボナは知らないし、ここがどこなのかも分からないっ!!もういや!こんな干からびたとこに1人きり!早く家に帰して!」

かげろう「迷子か?」

JB「けど、ただの迷子じゃなさそうだ。なぁあんた」

???「私はデボラよ!あんたじゃない!サラボナに住む、金持ちルドマンの娘!!なんで誰も知らないの!?」

JB「あー分かった。一旦落ち着きな、デボラさんよ」

デボラ「私に指図しないでくれる?もっさり男」

JB「…」

かげろう「ふふ、こいつはまた、厄介なクエストみたいだな」




ダン「…終わったのかー」

トーラ「周囲が荒れてない…」

かげろう「あぁ、始められなかったのさ。このお嬢様のせいで」

デボラ「……」

JB「……」

ダン「なんだ、べっぴんさんだな。うちの喧嘩を止めてくれたのか。礼を言うぜ」

デボラ「デボラよ。あなたはわきまえてるみたいね、しもべにしてあげてもいいわよ?」

ダン「……」

トーラ「…しもべ?」

かげろう「このお嬢様、私らを雇いたいってさ」

デボラ「お金なら出すわ。パパがね」

ダン「こりゃまた…」

JB「だろ?」

ダン「で、どこまで行くんだ。あまり遠出向きの格好には見えないが」

デボラ「…サラボナ」

ダン「……トーラ」

トーラ「…」フルフル

JB「誰も知らねぇみてーだな」

ダン「どうしてここに」

デボラ「……知らないわよ。私はサラボナの自宅にいたの。それがいつの間にか」

ダン「何か、きっかけみたいなものは」

デボラ「きっかけ…?」

ダン「魔族どもが使う転移術や、ルーラ石みたいな、マジックアイテム……そういうので、転移してきたのかもってな」


JB「ルーラ石じゃ知らない場所に飛べはしないぜ」

ダン「あぁ、そもそも自分の意志で来たわけじゃないしな。俺達の知らない『対象を強制転移させる』呪文やアイテム、ってことだ」

デボラ「話は全然分からないけど、きっかけが分かれば帰れるの?」

ダン「…断言はできないが、それが分かれば手の打ちようもあるかもしれねぇ」

デボラ「きっかけ…」

ダン「焦らなくていい。ここに来る前のこと、覚えてるところから、ゆっくり順番に思い出すんだ」

デボラ「えぇ、分かったわ。ちょっと待って…」

ダン「…」

トーラ「……」ジー

ダン「ん?どうしたトーラ」

トーラ「しもべになったの?」

ダン「ぶふぅっ!」

かげろう「吹くな汚い」



ダン「なってない。どうしてそうなる」

トーラ「親身になって相談に乗ってる」

ダン「金は出すって言うんだ。助けてやればいい。この中で魔法技術に通じてるのは俺ぐらいだしな」

トーラ「……」

かげろう「ま、なかなかにセクシーだからな、このお嬢様」

トーラ「……グヌヌ」

ダン「そんなんじゃねーっての…」


デボラ「……覚えてるのは」

JB「お、なんだ」

デボラ「…結婚前夜だった。ってこと」



ダン「結婚……結婚!?」

かげろう「花嫁さんだったのか。残念だったな」

ダン「違うっての…」

トーラ「……結婚」


デボラ「あぁ、私じゃなくて妹の」

ズコーッ!

ダン「…妹さんの結婚前夜ね。それで?」

デボラ「それが、どうにも雲行きが怪しくってね。眠れずにいたのよ」

ダン「雲行きが?何かあったのか」

デボラ「妹と結婚するって男、そいつが、もう一人女を連れてきたの」

JB「……」

ダン「……」

トーラ「…最低」

かげろう「なんだ?いけないのか?嫁や婿はたくさんいた方がいいだろ?」

JB「姐さんは黙っててくれ」

ダン「……どんな男なんだ?」


デボラ「そうね…。顔は小魚みたい」

トーラ(ソウラ…)ヒソヒソ
かげろう(ソウラか…)ヒソヒソ
JB(あいつは小魚じゃなくてとうげき魚だろ)ヒソヒソ

ダン「…顔はどうでも」

デボラ「あら、小魚っていいじゃない。小さいのに栄養たっぷりで」

ダン「……」

かげろう「残念だったな、デカいおにーさん」

ダン「…外見はいいから、中身や行動をな」

デボラ「行動……そうだ!あいつ最低なのよ!」

JB「お、おう」

デボラ「私の部屋に勝手に入ってくるの!しかも何度も!」

ダン「…それで」

デボラ「その時に少し話したんだけど、ほんの少しね。聞いちゃったのよ」

かげろう「何をだ?」

デボラ「あいつ……モンスターが好きなのよ」

ダン「モンスター…?」

デボラ「魔物を連れてるの」

JB「!」

トーラ「魔物を…」

かげろう「また魔族か?」

JB「ユルールみたいな例もある。まだなんとも…」

デボラ「プチット族やプリズニャンが可愛いっていうのは、私も同意したわ。撫でるとすっごく甘えてきて、猫みたいだった」

ダン「…撫でたのか」


デボラ「でもね!あいつは!ゴーレムでもキラーマシンでも腐った死体でも可愛いって言うのよ!ヤバいわ!」

かげろう「……確かにヤバいな」

デボラ「どのモンスターにも分け隔てなく抱きしめて撫でてチュッてするのよ!信じられる!?」

ダン「キラーマシンや腐った死体にか…」

JB「ヤバいな」

デボラ「しかも……」

トーラ「…?」

デボラ「結婚したら……寝室に、しびれくらげと、おばけキャンドルを連れてきたい…って……」

ダン「……」

トーラ「……」

JB「……」

ダン「ヤバいな」
トーラ「ヤバい」
JB「ヤバすぎるだろ」

かげろう「…なかなかいい趣味してるみたいじゃないか…」

JB「ほんと黙っててくれ、頼むから」

デボラ「さらにはベラって妖精の子が可愛いかったとか言うのよ!妖精よ妖精!そんな小さな種族に何する気よ」

ダン「あー、そいつがいかにヤバいかは、充分伝わった。それで、聞きたいんだが…連れてきた女ってのは」

デボラ「…なんか、幼なじみなんですって」

トーラ「幼なじみ…」

かげろう「ほぅ…」

デボラ「小さい頃、一緒におばけ退治をしたとか言ってたわ」

ダン「どんな子なんだ」

デボラ「いい子よ。宿屋の娘だそうだけど、芯がしっかりしてて、純朴そうで、活発で明るくて。それに綺麗。私ほどじゃないけどね」

JB「比べられるのはあんたじゃなく妹さんだろ」

デボラ「そう…その比べ方が問題なのよ」

ダン「比べ方が…?」


デボラ「2人を天秤にかけて悩んでる時点でひどいのに、あいつ、私の妹のこと、イオナズンやベホイミがどうのって」

JB「どういうこった?」

デボラ「呪文の才能があるのよ、私の妹」

ダン「結婚相手を能力で選ぼうってのか」

かげろう「いいじゃないか。強いほうがイイだろ?私は呪文より剣の腕で選ぶが」

JB「姐さん、うるさい」

かげろう「あ?」

トーラ「…冒険者なら、一緒に旅する相手の能力は大事」

ダン「……それは確かにそうか」

デボラ「なによそれ。そんな打算で一生の相手を選ぶわけ?そもそも気に入らないのはね、妹の婿候補に名乗りを上げたこと自体、パパの持ってる貴重な盾が欲しいだけなんじゃないのってこと」

ダン「結婚したら、その貴重な盾がもらえるのか」

デボラ「そのために危険を冒して、炎のリングや水のリングを取ってきたのはスゴいと思うわよ?案外やるじゃないって見直したわ。でも、でもね」


デボラ「そんな打算や、違う目的の為に結婚して、本当に幸せになれるの…?」

かげろう「……」


デボラ「パパが募集して、宝を取ってきた相手を…って、あの子自身の意志は?」

トーラ「……」

デボラ「あいつは酷い男よ。自分だけ悩んでるような顔で、私に相談してきて……私の妹も、幼なじみの子も、あいつの身勝手のせいで不安で悩んで、そして傷つくのよ!なのにっ」

ダン「ふぅー……」

デボラ「なのに……私、どうして…」

JB「…とりあえず、その男が魔族って線はなさそうだ」

ダン「あぁ。…もしかしたら噂に聞く、魔物使いってやつかもしれねぇな」

トーラ「魔物使い?」

ダン「優しき心で魔物とすら通じ合い、仲間になることができる…そう聞いたことがある」

デボラ「……」

かげろう「…嫁候補の2人はどうなんだ?嫌がってたりはしないのか」

デボラ「…むしろ乗り気よ。だから悩んでるんでしょ。……幼なじみの方は、あいつネーミングセンスないから子供の名前が心配だーとか」

かげろう「妹は?」

デボラ「レースのビスチェと、エッチなしたぎ。どちらがより心に響くのでしょうか…だとか」

かげろう「なんて答えた?」

デボラ「……きぬの裸エプロン」

かげろう「…」ガシッ
デボラ「…」ガシッ

JB「何いきなり握手してんだ…」




ダン「まぁ、なかなかに複雑な事情を抱えてるのは分かったが…」

JB「あぁ、解決策には繋がりそうにねぇな」

デボラ「なによ、こんなに話してあげたのに。役立たずね。さっさとイカす方法を考えなさいよ」

かげろう「そーだそーだー」

デボラ「喉乾いた。紅茶のおかわり持ってきて」

トーラ「…」スタスタ…カチャン

デボラ「ご苦労様。ふぅ…」ゴク…

JB「俺達だけじゃラチがあかねぇな」

ダン「呪文に詳しいやつのとこでも見せにいくか…」

JB「とすると…エルトナに逆戻りか?」

ダン「いや、まずは俺の知り合いの魔法道具職人はどうだ。幸い、今はこの大陸にいるハズだ」

JB「ならそいつから当たってみっか。…お前ら!出発するぞ!」

トーラ「…分かった」

かげろう「へーい」

デボラ「移動するの?…で、誰が私を背中に乗せる栄誉を味わうのかしら?」

JB「……」

トーラ「……」

ダン「……ふぅー」


……



……

JB「らぁ!」バゴォ!

かげろう「ふんっ…」ズバァッ!ドス!

トーラ「…」シュッ…!


ダン「……ふ、ぅ…」

デボラ「あー暑い。お風呂に入りたいわ」

ダン「…そうスか」

デボラ「なんかつらそう。まさか重いとは言わないわよね?」

ダン「言わない言わない」

デボラ「ならいいけど。あんた戦わないの?みんな魔物とやり合ってるわよ」

ダン「この状態じゃ無理だろが」

デボラ「…降りる」

ダン「ん?」

デボラ「楽はしたいけど、足を引っ張るのは嫌。待っててあげるから戦ってきなさい」スタッ

ダン「…そりゃどうも」

タッタッ…ドガガガッ!


デボラ「……ふぅん、あいつもやるじゃない」

…ドガガァー!…ヒュンッ…ドシュ!

デボラ「…………私、何やってんだろ。こんなところで…」

デボラ(好き勝手に生きていたい…そう思ってた。でも身一つで放り出されてみれば、何もできない……他人の足手纏いになってるだけ…)

デボラ「…縛られず、自由に生きたい。けど…それには……」


JB「しまった…!逆からも出やがった!」

ダン「ちぃっ!射線がとれねぇ!逃げろぉおー!!」


デボラ「え…?」


ボストロール「グゲゲェ…」

デボラ「っ!?うそっ…」

デボラ(私…こんなところで、誰も知らないこんな干からびた場所で……)

ボストロール「グオォ!」ブゥン!

デボラ「死んで…たまるかぁ!」ヒュッ

ボストロール「!?」

デボラ「うらぁああ!」ザシュ!

ボストロール「グギャアアッ」

ダン「速詠呪文《メラミ》!」ズガガガガァッ

ボストロール「グギィ…」ドサッ


ダン「大丈夫かっ」

デボラ「はぁっ…はぁ」

JB「へぇ、あそこで咄嗟にかわして反撃できるなんて、肝が据わってるじゃねぇか」

かげろう「箱入りお嬢様にしてはかなり筋が良かったぞ。しかし素手でとは…」

トーラ「違う。あの爪、武器」

JB「爪…たって、ただの付け爪だろ!?」

トーラ「ううん、確かに攻撃力と実用性のある暗器の類」

ダン「マジかよ…」

デボラ「…パパが、護身用にって」

JB「まぁあんたが踏ん張ったおかげでダンも間に合った。パパに感謝するこった」

ダン 「後ろに残すのは危ねぇか…側を離れず、狙撃に専念するかな」

JB「あぁ、それで」

デボラ「待って!」

JB「なんだよ。文句なら」

デボラ「私も戦うわ」



デボラ「私も戦うわ」

JB「はぁあ?」

デボラ「だから…戦い方、教えなさいよ」

かげろう「ふふん…なるほど」

ダン「……さっきのはマグレだ。余計なこと」

デボラ「嫌なのよ!このままじゃ…私」

トーラ「…どうするの」

JB「と言われてもなぁ…」

かげろう「教えてやればいいじゃないか」

ダン「姐さん…あんた」

かげろう「私らのしごきに付いて来れるなら、だけど」

デボラ「……やる。やるわ。やってやるわよ!」

かげろう「ふふ…いい目するじゃんか」

トーラ「……」

ダン「…おいおい」

JB「どうなっても知らねぇぞ…」


……



……

ダン「攻撃呪文ってのはだな…」

デボラ「分からない!もっと分かりやすく教えなさいよ」

……

トーラ「隙をつく…相手の意識の外からの攻撃」

デボラ「まどろっこしいわね。正面からガンガンいけないの?」

……

かげろう「さぁさぁ!戦わないと死ぬぞぉ!」ヒュンヒュンヒュンッ

デボラ「なめんじゃないわよぉ!」シュバァッ!

……



JB「……で、どうよ」

ダン「呪文はからきしだな。補助呪文や幻惑呪文なら行けるが、そこらは専門外だから俺には教えられねぇよ」

トーラ「爪系の武器での戦い方、教えた」

JB「さまになったか」

トーラ「すぐ突撃する。ハンマーの方が良さそう」

JB「そ、そうか」

かげろう「ふぅーいい汗かいたぁー」

デボラ「ぜぇ…はぁ、ぜぇ」

JB「どうだった?」

かげろう「ふふん、驚くぐらい実戦向きだぞ。体に覚えさせるのが一番早そうだ。…私が、手とり足とり…」ジュルリ

デボラ「はぁ…はぁ、最悪。汗でべとべと…」

かげろう「そう、だから水浴しようなー私と、2人で、なぁ…ふひひ」

デボラ「え、ちょっまっ」

かげろう「さぁさぁつま先から耳の穴まで丹念に洗ってやるぞぉ~」グイグイ

デボラ「やっやめ…んあぁーっ」ズルズル…


JB「……」

ダン「……ん、んんっ…ちと、忘れモノを」

スッ…シャキン

トーラ「行かせない」

ダン「…分かったから、ナイフ突きつけるのはやめてくれ…」

トーラ「……」


……



……

かげろう「…というわけで、綺麗になって一休みしたところで……実戦だ」

ダン「しかしなぁ…」チラッ



ストーンマン「…」スゴゴゴ…


ダン「性急すぎるんじゃないか?」

かげろう「ふふ、壁は高くないと成長しないからな。それになにより、本人がそれを望んでる」

デボラ「……」

JB「…ま、サポートはするし、これ以上は無理だって判断すりゃ、いつでも割って入る。それで大丈夫だろ」

トーラ「教えた通りやれば、勝てる」

デボラ「分かってるわ。…行くわよ」

JB「おう、気張ってこい!」


デボラ(やってやる…自分から言い出したことだもの。自分で選んだんだからっ)

ダダッ

ストーンマン「…?」

デボラ「やぁあっ!」ガキィイン!

ストーンマン「ッ!」グゴゴ…


ダン「先制入った…!」

トーラ「いい動き」

かげろう「けど、まだ浅いなぁ」


ストーンマン「グゴッ」ブオォン!

デボラ「っ…マヌーサ!」ジュワァア…

ストーンマン「…!?」


JB「おっ、呪文成功したぞ」

ダン「……あぁ」


デボラ「もらったぁあ!」ビュンッ

ストーンマン「グゴガァ!」グォンッ

ドガッ

デボラ「うぐっ…!」



トーラ「っ!…正面に行くから」グヌヌ

ダン「援護をっ」

かげろう「幻惑呪文のおかげで掠めただけだ。まだ行ける」


デボラ「…はっ…はぁ」

デボラ(やるんだ……やらなきゃ…だって)

~~

かげろう『ほ~ら気持ちいいだろぅ?』モニュモニュ

デボラ『このっどこ触って』

ムギュッ

デボラ『…』

かげろう『なぁ…お前さん……なんで急に鍛えたいなんて思った?』

デボラ『…別に』

かげろう『ふふふ、ここには私らだけ、秘密のガールズトークだ。言っていいんだぞ』フニフニ

デボラ『……ただ、自由に生きたいだけ』

かげろう『ほぅ…』

デボラ『私は、誰かに選ばれるんじゃなく、自分から選びとりたい。けど……そのためには、今のままじゃダメなのよ』

かげろう『…どうしてだ?』

デボラ『強くないと…自由でいるためには。例え、強い誰かを選びとっても、守られてるだけの、籠の鳥にはなりたくないの』

かげろう『ふふん、いい答えじゃないか…惚れ直したぞぉ』ギュウゥゥゥ

デボラ『やっもう!私にそっちの気は』

かげろう『分かってるって。お前、その男のこと…』

デボラ『ふん……』

かげろう『強くなれよ…心も体も……自信を持って、ワガママを通せるぐらい。胸張って、相手を奪えるぐらい…』……モニュ


……



……

デボラ(私はっ…)

ストーンマン「グゴォオ!」ググッ

ズドォオオオン!!


ダン「!?…どうなった!」

トーラ「土煙で…」


デボラ(私はぁっ)

デボラ「負けない!!」ビュオォッ


ズガァアアア!!

ドゴォオオオ……ガラガラガラ…



JB「ストーンマンが崩れたっ」

かげろう「ふふ…やったな」

ダン「…あいつはっ!」ダッ

トーラ「……いない」

ダン「…なんだよそりゃ」

かげろう「帰ったんじゃーないのか?ここでやることは、終わったんだろう」

JB「……あぁ、かもな」

ダン「ふぅー……礼の一言もなしか」

トーラ「…これ」

ダン「…ん?……花の髪飾り…あいつのか」

トーラ「いる?」

ダン「……いらねぇよ。そんなブーケトス」

かげろう「ふふん!なら私が貰おう!…よっ、と。似合うか?」

トーラ「イケイケ」

かげろう「そぅかそぅか。次結婚するのは私だな…あはははは!」

JB「たく姐さんは…………あ"」

ダン「あ?」

トーラ「?」

JB「結局1Gも貰ってねぇえええ!!」

ダン「あ…」

トーラ「…またしばらく粗食ばかり。グヌヌ…」

かげろう「あははは!まーいいじゃないかタマには!」

JB「タマじゃないから困ってるんだろ…」

ヒュウゥウウ……パサッ

JB「ん?姐さんの雑誌から何か落ちたぞ……チラシか?」


《はじける筋肉とかがやく太陽の祭典!「ハッスルパラダイス!」優勝者にはなんと50万G!!》

JB「こいつぁ…!」

ダン「なんだぁ?」

トーラ「ハッスル…?」

かげろう「ふふ…出るのか?JB」

JB「あぁ……もちろんだぜ。50万G…!今度こそだぜ…!!」

トーラ「ヌフフ…一攫千金」

かげろう「私のハッスルの見せ場が来るぞぉ…!」

ダン「ふぅ……全く。…………じゃあな。達者でな…ワガママな花嫁さん」

ヒュオォオオオ……



END

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