諸星きらり「4000000000cm」 (48)


武内P×きらりのSSです。

以下のSSとコンセプトが一緒だったりします。
諸星きらり「32cm」
諸星きらり「16cm」
諸星きらり「24cm」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423136303


―346プロ、事務所―

ガチャ

杏「おっはよー」

きらり「きらりん☆ぱわー!」ニョワーン

武内P「き、きらりん……ぱうわ?」

きらり「違うよPちゃん、指はこうだにぃ!」

きらり「それじゃグワシだよー」

武内P「こう……でしょうか」グググ」

きらり「そうそう、それじゃリピートアフターきらりん☆」

きらり「きらりん☆ぱわー」ニョワーン

武内P「きらりん……ぱうわ」グギギ

きらり「もー、Pちゃん、☆が足りないよー」

きらり「あとぱわーの発音よすぎー! すごーい!」

杏「……何やってんの二人とも」


きらり「おはよー杏ちゃん!」

武内P「双葉さん、おはようございます」ペコリ

武内P「諸星さんによるきらりん講座……です」

武内P「私は無愛想で顔つきも強面ですので」

武内P「アイドルの皆さんと打ち解ける為の訓練の一環として」

杏「ああそう……」

杏「……シュールだね」

きらり「んにゅう……Pちゃんはまず笑顔を何とかしないとねー」

武内P「笑顔……」

武内P「……恥ずかしながら、感情全般を表に出すのが苦手でして」

武内P「だからこそ……表情、感情、共に豊かな諸星さんにご教授願おうと考えたのですが」

杏「人選が微妙に間違ってる気がするのは杏だけ?」


きらり「んぅー……あ、そうだ!」ピコリーン

武内P「?」

きらり「こちょこちょこちょー☆」コチョコチョ

武内P「…………」

武内P「……すみません、くすぐりは効かない体質でして」

きらり「うにぃ……」

杏「笑美でも連れて来て漫才でもやろうか?」

武内P「それは真っ先に考えました」

杏「結果は?」

武内P「男性アイドルユニット、ジュピターの『絶対に笑ってはいけない』シリーズを全巻見ましたが、面白いとは思うものの笑えませんでした」

杏「それは……中々だね」

きらり「ハピハピしたらすまいるいっぱい☆になるよ?」

武内P「……なるほど、一理ありますね」

きらり「というわけでぎゅー☆」ギュー

武内P「……」

杏「改めて確認したけど、プロデューサー、きらりよりでっかいんだよね……」

きらり「んぅー☆」ギュギュー

きらり「Pちゃんはおっきくてぎゅーのしがいがあるにぃ☆」

武内P「……あの、諸星さん」


きらり「う?」

武内P「その……諸星さんに抱擁していただけるのは非常に嬉しいのですが」

武内P「私も男ですので……絵面的に不味いのでは、と」

武内P「そんなことばかり考えてしまい気が散ってしまいます」

杏「固いなぁプロデューサー」

きらり「にょわ……」

杏「アイドルが抱きついてるんだからラッキーくらい思いなよ」

武内P「すみません」

杏「いや、謝られても」

杏「大体、笑顔だとか幸せだとかは強制するものじゃないでしょ」

武内P「その通りですが……しかし」

きらり「にょわーっ!」ガー

杏「うわ!?」

きらり「もー! Pちゃんわらうのー!」

きらり「こーやって! ほっぺあげて!」グニニニ

武内P「ほろほしひゃん、いひゃいれふ」グニー

杏「ぷっ、プロデューサーの変顔……」プルプル

杏「あっはははははははは!」ケラケラ


武内P「やはり根本的な問題があるようです」

杏「あー笑った……」

杏「まぁ、いいんじゃないの」

杏「プロデューサーの仏頂面は今に始まった事じゃないし」

武内P「そう言ってもらえると少々気が楽になります」

きらり「むー……」

杏「きらりも諦めなよ」

杏「むしろ常に笑顔のプロデューサーの方が怖いよ」

杏(……笑顔のプロデューサー?)

ポワポワポワーン

武内P『双葉さん……仕事です』

杏『あ、杏は働かないからな!』

武内P『そうですか……』

杏『杏は暴力なんかに屈しないぞ!』

武内P『なら……』スッ

武内P『教育する必要があるなァ』ギシィ

杏『!?』

武内P『双葉さんが自ら働かせてください……と懇願してくるまで……ね』ニヤァァァ

杏「……」ゾクッ

杏「……ダメだ、杏の想像力じゃジュビロスマイルしてるプロデューサーしか思いつかない」


きらり「きらり、絶対Pちゃんを笑わせてハピハピ☆にしたげるからね!」

武内P「ご協力感謝します」

杏「恐ろしいものを想像してしまった……寒気が……」ゴソゴソ

杏「おふぅ……コタツ最高。コタツマイラブ」ヌクヌク

杏「コタツでうたたねこそ冬の……醍醐味……」ウトウト

武内P「双葉さん、お寛ぎのところ申し訳ありませんが、今日は野外ライブのお仕事です」

杏「…………」

武内P「頑張りましょう」

杏「いやだ!」カッ!

武内P「嫌だと申されましても」

杏「杏はコタツから離れないからな!」キシャー

杏「今日からこのコタツが杏の家だ!」

杏「七夕まで起こさないでよ!」モゾモゾ

武内P「…………」

武内P「諸星さん、双葉さんを頼みます」

きらり「はーい☆」

武内P「…………」ガッ

武内P「ん……っと」グイッ

杏「うわあああああ!? 世界は核の光に包まれた!?」

杏「まぶしい! 溶ける! 凍る!」

きらり「ほらほら杏ちゃん、きらりと一緒にライブいくにぃ☆」ムンズ

杏「いーやーだー!」

きらり「れっつごー☆」ズルズル

杏「恵まれない杏に愛の手を!」ジタバタ

武内P「では参りましょう」


蛇足ですが武内Pのキャラにそこまで自信ないので変だったらごめん


杏「さ、さむい……」ブルブル

杏「こんな日に衣装着て野外ライブとか自殺行為だよ」ガタガタ

きらり「んー、でもまだ袖があるだけあったかいよ☆」

杏「なんつーポジティブな……」

杏「……まあ、美優さんのアニマルパークよりはあったかいか」

きらり「それに、運動したらあったかくなるよ?」

杏「うぉう……冬将軍にお肌を辻斬りされる」ピュー

きらり「んもー、しょうがないなー」ヒョイッ

杏「おお肩車……まだくっついてた方があったかいな」ピト

武内P「お疲れ様です」

武内P「お二人とも、温かいココアです」

きらり「ありがにょわー☆」

杏「ありがと……」

杏「プロデューサーより目線が高いって新鮮だな」

きらり「Pちゃんきらりよりもおっきいもんねー」

武内P「恐縮です」

武内P「ですが、人並以上に背が高くてもあまりいいことはありませんよ」

きらり「そーなんだよにぃ……」

杏「そうなの?」

杏「杏は小さいから憧れるけどね」

武内P「まず一番は衣類のサイズです。物理的な問題として必然的に高くつきます」

きらり「おっきいサイズって数が少ないからあんまり選べないしねー」

武内P「足の大きさも背に比例しますから……靴はデザインや値段ではなく、サイズを基準に選ぶことを強制されます」

きらり「かわゆい下着とかほとんどないんだにぃ……」

杏「杏には一生わかりそうにない悩みだな……」


杏「それよりプロデューサー、寒いよー」

武内P「……言われましても、気候を操作することは私には不可能です」

杏「そんなこと望んでないよ」

武内P「では……何か希望があれば、聞きますが」

杏「コタツに入りながらライブ……とか」エヘ

武内P「…………」

武内P「ありですね」

武内P「コタツという日常を取り入れることで親和性が増します」

杏「でしょ!? 杏天才!」

武内P「その件は検討しておきます」

武内P「ですが、今日は頑張ってください」

杏「ですよねー」


ガチャ

武内P「おはようございます」

杏「おはよー」

きらり「おっはよーPちゃん☆」ガバー

武内P「おっと……」ガシ

きらり「おはようのぎゅー☆」ギュー

武内P「…………」

杏「あ、プロデューサーが照れてるー」

きらり「Pちゃんそうなの?」

きらり「いつもとおんなじに見えるけどにぃ?」

杏「プロデューサーなのに、いっけないんだー」ニヒヒ

武内P「……すみません」

杏「いや冗談だよ」

きらり「Pちゃん、きらりにはぐはぐされるのイヤ?」

武内P「……いえ、決してそんなことは」

杏「プロデューサー、きらり相手に曖昧な表現はやめた方がいいよ」

武内P「……そうですね」

武内P「とても嬉しいです」

きらり「やったー☆」ギュー

杏「自分で言っといて何だけど……」

杏「アイドルにハグされて嬉しいですって素直に答える大人もちょっとアレだね……」


杏「今ちょっと思ったんだけどさ」

武内P「何でしょうか」

杏「……プロデューサーって、恋人とか、好きな人っているの?」

きらり「あ、きらりも気になるー☆」

武内P「…………」

武内P「…………」ズゴゴゴゴゴゴ

杏「い、いや無理にとは言わないよ……」

杏「だから殺さないでくださいお願いします」

きらり「Pちゃん顔こわーい」


武内P「……すみません、そういう色恋沙汰のお話は年甲斐もなく恥ずかしくて」

きらり「照れるPちゃんかわうぃー☆」

杏(あれって恥ずかしがってたんだ……)

杏「まぁ、毎日アイドルに囲まれて仕事してる訳だしさ」

杏「ちょっと気になっただけ」

武内P「……そうですね。隠し事はよくありませんし、お話します」

武内P「恋人は、いません。過去にいたこともありません」

武内P「ですが、気になる異性はいます」

杏「えっホント!?」

武内P「はい」

杏「意外だなぁ。仕事一筋みたいなイメージなのに」

杏「やばい、ちょっと楽しくなってきたよ」ニヤ

きらり「だれだれ?」

武内P「…………それは」

杏「仕事関係だとするとアイドルの誰かか……」

きらり「あっ、わかった! ちひろさん!」

武内P「違います」

杏「んー、じゃあ……楓さん……とか?」

武内P「違います」

杏「なんとなく気が合いそうな真奈美さん?」

武内P「違います」


きらり「んもー、いじわるしないで教えてよPちゃーん」

きらり「きらりん、恋のキューピッド☆になっちゃうよ?」

武内P「諸星さんです」

きらり「――――」

杏「へー、諸星さんねぇ」

杏「……えっ?」

きらり「P……ちゃん?」

杏「えっ……えっ?」

武内P「…………」


ガチャ

未央「おっはよー、今日も元気に出撃だよっ!」

武内P「本田さん、おはようございます」

未央「あ、おはようプロデューサー……んっ?」

きらり「  」

杏「  」

未央「ど、どうしたの二人とも固まっちゃって」

武内P「私は少し片付けなければならない仕事がありますので、これで失礼します」バタン

未央「ぷ、プロデューサー?」

きらり「  」

杏「  」

未央「……」ゴクリ

未央「お、おーい……?」ツンツン

きらり「…………にょ」

未央「にょ?」

きらり「にょわ――――――――!!」ドカーン

未央「うわあああああぁぁぁぁぁ!?」ビクッ

きらり「にょわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」ニョワーニンニョワーニン

未央「だ、誰か助けてー!」

杏「  」


武内P「諸星さん、ライブお疲れ様でした」

きらり「Pちゃんお疲れさまー☆」

きらり「今日もさむいねー」ブルッ

武内P「すみません、気を利かせるべきでした」

きらり「そんな時はー……ぎゅー☆」ギュー

きらり「うぇへへー、Pちゃんあったかーい☆」ギュー

武内P「…………」

武内P「諸星さん……」

きらり「なーに?」

武内P「…………」フワ

武内P「諸星さんの髪……綺麗で、とても柔らかいです」ナデナデ

きらり「あ……」トクン

きらり「……ぴ、Pちゃん?」ドキドキ


武内P「私は……諸星さんが笑うのを見ると、とても暖かい気持ちになれます」

武内P「私もそのような笑顔になれるのならば……諸星さんと同じ想いを共有してみたい、と……色々足掻いてみましたが、うまく行きませんでした」

武内P「そして、これからも諸星さんには笑っていてもらいたい」

武内P「このような気持ちは産まれて初めての経験で……その、上手く言えないのですが」

武内P「……先日言った通り……私は、諸星さんのことが、好きなんだと思います」ギュッ

きらり「…………!」

武内P「女性として」

武内P「……生涯を共にするパートナーとして」ギュ

きらり「……いたいよ、Pちゃん」

武内P「す、すみません」パッ


きらり「……きらりは……」

きらり「きらりは、Pちゃんのこと、好きだよ」

武内P「…………!」

きらり「きらりもね、最近Pちゃんのことを考えると胸がきゅってなるんだ」

きらり「Pちゃんのこと考えるだけでニヤけてくるし、一緒にいるとすっごく楽しい」

きらり「だからきらりも、初めてだからよくわかんないけど、Pちゃんが特別な意味で好き……なんだと……思う」///

武内P「……諸星さん」

きらり「……でも、ダメだよ」

武内P「…………」

きらり「きらりはアイドルで、Pちゃんはプロデューサー……」

きらり「きらりはね、トップアイドルになってみんなを笑顔にしてあげたいんだ」

きらり「それがきらりの夢だから」グス

きらり「だから……まだ、ダメ……なの……」ポロポロ

武内P「諸星さん」

きらり「……ごめんね、Pちゃん」タッ

武内P「…………」


―翌日―

卯月「おはよっ、凛ちゃん!」

凛「おはよう、卯月」

凛「期末テスト、どうだった?」

卯月「平均点は取れてると思うよ」

凛「私も大丈夫だとは思うけど……赤点取ったらアイドル活動させてくれないからね」

卯月「そうだねー……って最近未央ちゃん見ない気がするけど……まさか」

凛「ううん、未央は常に上位らしいから大丈夫だと思うよ」

卯月「あ、そうなんだ……」

ガチャ

卯月「おはようございますっ!」

凛「おはよ……う……?」

武内P「…………」ォォォォォォォォォォ

卯月「…………」ゴクリ

凛「…………」タラー


卯月「……ぷ、プロデューサーさん?」

武内P「……あ」ハッ

武内P「すみません渋谷さん、島村さん、おはようございます」ペコ

凛「うん、おはよう」

卯月「どうしたんですか? 調子悪そうですけど……」

武内P「いえ、大丈夫です」

凛「大丈夫じゃないでしょ。この世の終わりみたいなオーラ出してたよ」

武内P「それは失礼しました」

凛「で、何があったの?」

武内P「……いえ、何も」

凛「…………」ジロ

卯月「プロデューサーさんは辛いことがあっても私たちには隠しますもんね」

武内P「…………」

凛「卯月の言う通り。子供の私たちじゃ頼りにならないかも知れないけど、私たちだって世話になってるプロデューサーの力になりたいって思ってるんだよ」

卯月「無理に話せとは言いませんけど……話すだけでも楽になることはありますよ」

武内P「……ありがとうございます」


武内P「実は……少々、失敗をしてしまいまして」

凛「珍しいね。仕事で?」

武内P「いえ……」

武内P「……産まれて初めて、初恋と失恋を体験しました」

凛「へえ……って失恋!?」ガタッ

卯月「ちょ、ちょっと凛ちゃん、声大きいよ……!」

凛「ご、ごめん……」

凛「ね、ねえ卯月……プロデューサーが失恋ってどういうこと……?」ヒソヒソ

卯月「そんなの私が聞きたいよ……!」ヒソヒソ

凛「……相手、誰なのかな」ヒソヒソ

卯月「う、う~ん……想像できないよ……」ヒソヒソ

凛「確かに……」チラ

卯月「…………」チラ

武内P「…………」ズモモモモモモ

凛「あれは……かなりの重症みたいだね……」ヒソヒソ

凛「なんかプロデューサーを中心に黒い渦みたいなのが見える……」ヒソヒソ

卯月「失礼だけど、プロデューサーさんも恋するんだね……」ヒソヒソ


ガチャ

杏「おはよー」

凛「おはよう、杏」

卯月「おっはよー」

武内P「……おはようございます、双葉さん」

杏「ねえプロデューサー?」

武内P「はい」

杏「ちょっと話があるんだけど、いい?」

武内P「……はい」スッ

武内P「失礼します」ガチャ

バタン


凛「……相手は杏?」

卯月「いや……それはない……よね?」

凛「…………あ、きらりだ」ポン

卯月「あぁ、そう言われてみればそうだね」

卯月「きらりちゃんといる時はプロデューサーさん、心なしか嬉しそうだったもんね」

凛「そっか……プロデューサーにも好きな子が……」

卯月「振られたって言ってたけど……うまく行くといいね」

凛「うん……」

凛「…………」

凛「……なんか今、この年にして思春期の息子を持ったお母さんになった気分だよ」

卯月「うん、私も……」


杏「外はまだ寒いなー」ハァ

武内P「どうぞ、カフェオレで良かったですか」

杏「ん、ありがとー」カシュ

武内P「話というのは……諸星さんの事ですね」

杏「うん」ゴク

杏「昨日、きらりから電話が来たから」

杏「きらり、泣いてたよ」

武内P「…………」

杏「プロデューサーにひどいことしちゃった、って」

武内P「……酷いことをしたのは、私の方です」


武内P「アイドルとプロデューサーが恋愛……」

武内P「……許されないことです」

杏「……そうだね。普通はね」

杏「でも、アイドルだってプロデューサーだって人間だよ」

杏「アイドルだからって、愛想を振りまく機械じゃないんだ」

杏「プロデューサーだからって、アイドルをプロデュースすることしかしない管理人じゃないでしょ」

杏「プロデューサーはアイドルに惚れちゃいけない……その逆も……なんて、よく考えたらおかしな話だと思うけどな」

武内P「…………」

杏「杏はまだ誰かを好きになったり、そういうのは経験したことないけどさ」

杏「みんな、恋をして結婚して……そうやって歳を取って死んでいくんじゃないかな」

武内P「自然なこと……ですか」

杏「難しいことなんて杏にはわかんないよ」

杏「でも、誰かを好きになることを否定する必要なんて、全然ないと思うんだよね」

武内P「…………」


杏「きらりはあんな性格だから、杏も手を焼かされっぱなしだけど」

杏「それでもやっぱり、きらりには笑っていて欲しいよ」

杏「……プロデューサーにもね」

武内P「……笑って……」

武内P「…………」グッ

武内P「……ありがとうございます、双葉さん」スック

杏「きらりも彼氏が出来ればちょっとはおとなしくなるでしょ」

杏「きらりがプロデューサーに傾倒して杏への被害が少なくなるといいんだけどなあ」ニヒ

武内P「双葉さん……」

杏「……それに、きらりが凹んだままだと事務所がちょっと寂しいからね」

武内P「行ってきます」

杏「きらりは自分の部屋にいると思うから、がんばってね」

武内P「……はい!」

タッ

杏「彼氏か……」ハァ

杏「杏にもいつか彼氏出来るのかなぁ……」

杏「……誰か一生養ってくれないかな」


ピンポーン

武内P「…………」スッ

ピンポーン

武内P「…………」

武内P「……諸星さん、私です」

武内P「お話を……聞いて頂けませんか」

武内P「…………」

ガチャ

きらり「……Pちゃん」

きらり「どうぞ……」

武内P「…………」

武内P「お邪魔します」ペコ


武内P「先日は、その場の流れとは言い唐突に突飛な事を言ってしまい申し訳ありませんでした」

きらり「…………」

武内P「ですが、私の本音です」

武内P「結果がどうあれ……それだけは、謝りたく」

きらり「……Pちゃんは」

きらり「Pちゃんは、きらりを、どうしたいの?」

武内P「……どう、とは」

きらり「恋人にしたいの? トップアイドルにしたいの?」

武内P「両方です」

きらり「…………両方って」

武内P「……私の結論を、聞いてください」

武内P「急ぐ必要はない……問題の先送りに過ぎないのかも知れませんが、それが私の結論です」


武内P「私は、諸星さんがトップアイドルになる為に全力を尽くします」

武内P「そして、ついて行きます。何処までも」

武内P「例え諸星さんが世界中を飛び回るアイドルになろうと、何処までも追いかけます」

武内P「貴女が何処へ行こうと、地球を何周しようと、必ず貴女の下へ参ります」

きらり「Pちゃん……」ジワ

武内P「……そして諸星さんがアイドルの道を登り詰め、頂に達した時」

武内P「少しだけでいい……私の事を、見てくれませんか」

きらり「…………」グスッ

きらり「きらりがトップアイドルになるまで、ずっと、待っててくれる……?」ポロ

武内P「はい」

きらり「十年経っても?」

武内P「勿論です」

きらり「きらりがおばあちゃんになっても?」

武内P「私が生きているという条件はつきますが、必ず」

きらり「ん……」ギュッ

きらり「Pちゃん……」

武内P「はい」

きらり「だいすき……」キュッ

武内P「……ありがとうございます」ギュ


武内P「…………」

きらり「Pちゃんは、どうしてアイドルのプロデューサーやってるの?」

武内P「……アイドルの皆さんは、私が持っていないものを沢山持っています」

きらり「持っていないもの……?」

武内P「素敵な笑顔に、輝かしい夢……」

武内P「それに何より、誰かを笑顔にする為に一生懸命になる姿に、私は心を打たれました」

きらり「誰かを、笑顔にする……」

武内P「あんな素敵な笑顔が出来るのなら……誰かを笑顔にすることが出来るのなら……」

武内P「そう思い、アイドルのプロデューサーを志しました」

きらり「そうなんだ……」


武内P「その中でも一際、自分の為ではなく誰かの為に頑張っている……」

武内P「私には、諸星さんがそう映りました」

武内P「そしていつしか、惹かれていたんです」

きらり「そ、そう……」カァ

きらり「でっ、でもね、Pちゃん!」

きらり「Pちゃんの夢はもうひとつ叶ってるよ!」

武内P「…………?」

きらり「きらりは、Pちゃんと一緒にいればずっと笑顔でいられるよ!」ニコッ

武内P「……ありがとうございます」

武内P「……この間も言ったように、昔から大きな図体で得をしたことはあまりありませんでした」

武内P「顔付きが強面なのも相まって、無意味に怖がられることも少なくはありませんでした」

武内P「ですが……こうして貴女と肩を並べて歩けるのならば、悪くないと思えます」ニコ

きらり「あ……Pちゃん笑った!」

武内P「あ……」

きらり「またひとつ、叶ったよ!」

武内P「……諸星さんのお蔭です」

きらり「一緒に、いっこずつ、ゆっくり叶えて行こうね」ニコッ

武内P「……はい」ニコ


―1週間後―

杏「おはよー」

武内P「おはようございます、双葉さん」

杏「あれ、きらりは?」

武内P「いますよ、皆さんとお茶をしてます」

杏「…………」

杏「なんかさ、きらり、前よりプロデューサーにベタベタしなくなったよね」

武内P「そうですね」

杏「その弊害なのかプロデューサーに向けられてたきらりのボディランゲージが杏に来るし……」

杏「……こないだ、うまく行ったんでしょ?」ヒソ

武内P「はい。円満に解決しました」

杏「じゃあなんで?」

杏「きらりの事だから毎日ハートマークが飛び散るような超バカップルになると思ってたのに」

武内P「……アイドルとプロデューサーには距離が必要ですから」

武内P「きらりさんがアイドルとして大成するまではお互い距離を取ろう、という結論に至りました」

杏「ふうん?」


杏「距離はいいけどさ……それでいいの?」

杏「仮にもアイドルで女子高生だし……」

武内P「40000km、それが私と諸星さんが二人で定めた、二人の距離です」

杏「なんで40000……?」

杏「…………」ポクポクポク

杏「あ」チーン

武内P「背を向け合って歩いても、零距離です」

杏「……プロデューサーって、案外詩人?」

武内P「そうかも知れません」

杏「まあ、二人で決めたんならいいんじゃないの」

杏「じゃ、杏はコタツに引きこもるから」モゾモゾ

杏「海の日まで起こさないで」ゴソゴソ

武内P「…………」


武内P「困ります双葉さん。今日はきらりさんと一緒にラジオの仕事が――」

きらり「にょわー☆」

武内P「……きらりさん」

きらり「んもー、杏ちゃん、早くお仕事行こうよー」グイー

杏「ふおおおお!?」ズルズル

杏「いやだ……っ! 杏は死んでもこのコタツの足を離さないからな!」ガッシィィィン

きらり「こちょこちょこちょー☆」コショコショ

杏「あはははははっ、ひっ、卑怯だよきらり!」パッ

きらり「……Pちゃん」ボソ

武内P「はい、何か――――」

きらり「――――」チュッ

武内P「  」

きらり「うぇへへー、じゃーね☆」///

武内P「  」

きらり「よぉーし、きらりん☆ぱわー全開で行くにぃ!」

杏「離してよ! 杏は冬眠する生物なんだから!」ジタバタ

きらり「れっつらごー☆」

杏「あっだめっ、せめてトイレ行かせて!」

杏「もれるー! おいいいのか!? きらりの頭の上で漏らすぞ!」

きらり「もーまんたーい☆」

バタン

武内P「  」


ガチャ

未央「おっはよー!」

卯月「おはようございまーす!」

凛「おは――うわっ!?」

武内P「  」

未央「ぷ、プロデューサー……?」

凛「……彫像みたく微動だにしないよ」

武内P「  」

未央「晶葉ちゃんが作ったプロデューサーロボとかじゃないよね?」

卯月「……ううん、心臓は動いてるみたい」

凛「……どうしよう、これ」

武内P「  」


未央「ぷ、プロデューサー……?」ツンツン

武内P「  」グラッ

凛「うわっ!?」ガッ

卯月「きゃああああぁぁぁぁ!?」ググッ

未央「た、たおれるー!」

凛「ちょっと未央、倒した責任として何とかしてよ!」グググ

卯月「起きてくださいプロデューサぁぁぁ!」

武内P「…………む」


武内P「……?」キョロキョロ

凛「あ……動いた」

武内P「おはようございます、皆さん」ペコ

卯月「お、おはようございます……」

未央「プロデューサー……大丈夫ですか?」

武内P「……?」

武内P「私はこの通り、一向に問題ありませんが……」

武内P「すみません、上司に報告がありますので、これで」ガチャ

バタン

凛「…………」

卯月「…………」

未央「…………」

凛「……何だったんだろうね」

卯月「何かあったのかな……」

未央「さあ……」



諸星きらり「40億cm」 END


拙文失礼いたしました。

読んでくれた方、ありがとうごぜーます。


おまけ
ボツになった武内P×きらり父


武内P「…………」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

きらり父「…………」ドドドドドドドドドド

きらり「Pちゃん、えっとね、こっちがきらりのお父さん!」

杏「き、きらりよりでかい……」ゴク

杏「ねえきらり……お父さん身長いくつ?」ヒソヒソ

きらり「んーとねー、たしかー、200と……」ヒソヒソ

杏「あ、わかった、もういい」ヒソソソ

杏(これ『お前のような奴に娘はやらん』的な展開になったらこの店物理的に潰れるんじゃない?)

杏(見たことはないけど、性格と言い身体つきと言いプロデューサーも武闘派っぽいし……)

杏(って言うかなんで無関係の杏がここにいるんだ)

きらり「お父さん、こっちがPちゃんだにぃ☆」

きらり「えっと、あのね……」///

きらり「き、きらりのだいすきな人っ!」///

きらり「うぇへへー☆」///

武内P「…………」ォォォォォォォォォォ

きらり父「…………」ァァァァァァァァァァ

武内P「……Pと、申します」

きらり父「きらりの……父です」

杏「あいさつしてるだけなのにすげー緊張感……」

武内P「…………」

きらり父「…………」

武内P「…………」

きらり父「…………」

武内P「…………」

きらり父「…………」

武内P「後日……二人で、飲みに……」

きらり父「……是非……」

ガッ

きらり「やったー☆ これでふたりはなかよしさんだね!」

杏「二人の間にどんな応酬があったんだろう……」



おしり

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