錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」銃士「その4!」(991)

■前回のあらすじ!

バターピーナツ器が爆発した。

ワイドレンジピーナツ器が誕生した。

クーと出会った。



錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」
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錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」女店員「その2!」
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錬金術師「経営難に立ち向かう事になった」新人鉱夫「その3!」
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店 】

ポリポリ…

カリッ…

……ポリポリッ

…ゴクンッ


錬金術師「…うむ、今日もピーナツが美味い。」


女店員「…」

銃士「…」

新人鉱夫「…」

 
錬金術師「ねみぃな……。」

錬金術師「だるい…。寝るか……」フワァ


女店員「…」

銃士「…女店員、今日は怒鳴らないのか?」

女店員「……もう、いいかなって」ハァ

銃士「はは…」

女店員「どうせ営業にも着いてこないし、時々しかやる気も出さないし…」

銃士「ま、まぁ…」

女店員「その時々が凄いのは分かってるけど、時々じゃね……」

 
錬金術師「ふわぁ~…。まぁまぁ、バターピーナツ食う?」

女店員「…いりません」

錬金術師「あぁ、そう……」ポケー

女店員「…」ハァ


銃士「…そういえば、店長。この間、私らが販売したのは記帳したのか?」

錬金術師「あぁ、在庫を一部外で売ってくれたやつか…?」

銃士「そうそう。クーのことで、店長たちが出かけてる間に売ったやつだよ」

錬金術師「記帳済みだ…。50万ゴールドの売り上げとは、ビックリしたでよ?」

銃士「うちにある素材は良いモノだし、値段が張っても売れたからね」

錬金術師「…俺より経営に向いてるかもなぁ!」

銃士「はは…。店長の凄腕も見てみたいんだけどな……」

 
錬金術師「…凄腕っつったってなぁ」ンー

銃士「いやいや、店長は錬金技術もさながら、本気を出した時は凄いじゃないか」

錬金術師「…」ピクッ

銃士「私らでは思いつかない案とか、そこに痺れるんだよなぁ~」

錬金術師「…ほう?」ピクッ

銃士「やっぱり、出来る店長って本当にかっこいいと思うしね♪」

錬金術師「……ほほうっ」ピクピクッ

銃士「…ね、みんなもうそう思うでしょ?」クルッ


女店員「えっ!ま、まぁ…うん……」

新人鉱夫「そ、そうですね!店長さんはやっぱりカッコイイと思います!」

 
錬金術師「…」

錬金術師「……さて、眠いとか言っていてはダメだな。」

錬金術師「ちょっと、今後の経営のためにも…色々考えるか」スクッ


女店員「…」

銃士「…」

新人鉱夫「…」


錬金術師「ちょっと裏で、色々考えてくるぜ…」キリッ

錬金術師「万が一お客が来たら、教えてくれ」


女店員「わ、わかった…」


錬金術師「さぁて、どうやって客増やすか……」クルッ

トコトコトコ……

……

 
女店員「…」

女店員「……ちょろい、乗せられすぎ」ボソッ


銃士「女店員、店長がちょろいのは分かってるんだから、怒鳴るだけじゃなくて誉めることも重要だよ」

女店員「そ、それは分かってるんだけど…」

銃士「…何か嫌なのか?」

女店員「うーん…。こればっかりは店長自身が、自分自身でやる気出さないとダメな気がして…」

銃士「ふむ…」


女店員「その、今までの鉱山の件とか、学校の先生とか、クーの件とか……、」

女店員「周りの雰囲気や流れで、そうなってたのが多いから…。」

女店員「やれば出来るのは分かってるから、店長自身でやる気出してやってほしいと思って…」

 
銃士「…うん、まぁ確かにね」

銃士「だけど…、私らは私らであれも仕事なんだよ」


女店員「え?」

銃士「…店長がやる気を出せるよう、環境づくりが今の仕事。」

女店員「環境づくり…」


銃士「ココはお店。店長と店員は、お互いがお互いに良い立ち回りが出来るようにしなくちゃいけない」

銃士「他の大手と比べたら、仲も良いし、何かとのんびりしがちになるのは仕方ないこと。」

銃士「だけど、小さいお店なら…店員同士や上司の性格や、どういう人間かは理解しやすい。」

銃士「だからこそ、やる気を出させるのも私らの仕事だと思う。」

銃士「…なんか言葉が変だけど、理解は出来る…かな?」

 
女店員「う、うん……。」

女店員「そっか…。店長にやる気出させるのも…環境づくりで私らの仕事か……」


銃士「…女店員が頑張って、営業に行ってるのは店長も知ってる」

銃士「その営業の仕事に、店長は甘えてるのかもしれない」

銃士「そして、時々やる気を出し、結果を得る店長とその環境に私らも甘えてるのかもしれない」

銃士「……この状況をずっと続けても、進展はないし、」

銃士「だったら、店長と私らがより良い活動が出来るように言葉をかけることも大切なんだよ」


女店員「…うん」

銃士「だから、すぐ殴っちゃったり、文句言うのはしばらく控えたほうがいいかもね」

…ツンッ

女店員「うっ…」

 
銃士「…っと、説教じみちゃうのは良くないな」ムゥ

銃士「私が少し年上だけど、ココでは女店員が先輩でしたね」フフッ


女店員「ううん。ありがとう、銃士」

銃士「…はは、ギルドに所属していた時は色々言われたからね」

女店員「あ、そっか。働いていたっていう日数でいえばやっぱり銃士が先輩かも……」

銃士「ふむ…?」

女店員「だから、私が足りないようなところはもっと気軽に教えてほしいかな…とか……?」

銃士「…りょーかい」ニコッ

女店員「えへへ…」


新人鉱夫「…いい話です」シミジミ

 
ドタドタドタッ…!


銃士「お…」

女店員「ん…」

新人鉱夫「あ、店長さんが…」


タタタッ…

錬金術師「……うっし!準備完了!」


銃士「店長、いい案がもう浮かんだのか?」


錬金術師「んむ、いい案というか、いい案を求めるっつーか……」


銃士「…?」

 
錬金術師「ま、とりあえず手紙書いたからだしてくる。」

錬金術師「その間、店番よろしく~ん」フリフリ


銃士「う、うん…」

女店員「手紙…?」

新人鉱夫「わかりました、気をつけて行ってらっしゃいませ」

錬金術師「うい!」


トコトコ、ガチャッ!
 
…バタンッ!

 
銃士「…」

銃士「…手紙ねぇ」


女店員「店長から手紙なんて珍しい…。」

銃士「でも、あの時のちょろい店長は必ず何かしらやってきたし…」

女店員「うん。今回も、何か浮かんだんだろうけど…」

銃士「はて…」


新人鉱夫「一体、なんなんでしょうかね…?」


女店員「…まぁ、戻ってきたら聞いてみよっか」

銃士「うむ」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数分後 】
 
…ガチャッ!

錬金術師「ただいまー」


女店員「あ、お帰りなさい」

銃士「お帰り」

新人鉱夫「お帰りなさいですー」


錬金術師「…よし、これで準備は出来た。」

錬金術師「あとは来るのを待つだけだな。来るか知らないが…」


女店員「店長、一体誰に手紙を出してきたの?」

 
錬金術師「まぁ、助け舟っつーか…頼れる人を呼んだっつーか……」

錬金術師「早くて来週頭には来るはずだし、しばし待て」


女店員「…むぅ」


錬金術師「くはは、まぁそんな顔すんなって。」

錬金術師「ハズレなことにはならんはずだし、安心しとけ」


女店員「うん…」


銃士「…本気の出した店長、さぞかし素晴らしいんだろうね。」

銃士「来週にはもっとカッコよく見えるってことを、期待しておくよ」ニコッ


錬金術師「おうよ、期待しておけ!うわっはっはっはっ!」

 
女店員「…」

銃士「…ほら女店員、笑顔笑顔」ボソボソ

女店員「あ、うん…」

銃士「店長を持ち上げることも、仕事の一環と思って!」

女店員「わ、わかった…」

トコトコ…


女店員「…て、店長」

錬金術師「おう?」

女店員「さ、更に普段よりカッコイイところ期待してる…から……」

錬金術師「…おうよ、任せとけっての!」

 
女店員「…」

銃士「…ねっ。上機嫌になれば仕事もしてくれるんだって」ボソッ

女店員「うん…」

銃士「…っと、持ち上げるだけじゃダメかな。モチベの維持をしてあげよっか」

女店員「え?」


錬金術師「…ふんふん~♪」


トコトコ……

銃士「…てんちょっ!」ポンッ!

錬金術師「んあ?」クルッ

銃士「そういや私、ちょっと錬金術について聞きたいこともあったんだけどいいかな?」

錬金術師「おうなんだ、教えてやるぞ!」

銃士「店長の凄腕技術についてなんだけどー……」

錬金術師「俺の凄腕技術だと……!?」

 
女店員「…」

女店員「…」トクン

女店員(……あれ?)トクン


ワイワイ…!!

銃士「へぇ~そうなんだ!さすがだね、店長!」

錬金術師「…おうおう!今度、錬金術教えるか?」

銃士「きちんと教えてくれる~?」

錬金術師「手取り足取り教えてやろう!」

銃士「じゃあ、ぜひお願いしよっかな♪」

錬金術師「おうよ!」


女店員(…なんだろ)トクン

 
銃士「…ぜひ、詳しく教えてほしいな~」

錬金術師「ったく、仕方ねぇなぁ!」テレテレ


女店員(あ…)

女店員(そっか……)

女店員(なんか、長く付き合ってた私より店長に対して知ってる感じがして……)

女店員(それに、銃士はすぐ手が出ちゃったり文句ばっかいう私より、ずっと立派に見えてるんだ)


銃士「へぇ、やるじゃないか……」

錬金術師「うわっはっはっは!当たり前だろ、誰にモノ言ってんだ!」


女店員(…ううん。立派に見えてるんじゃない。本当に銃士のほうがずっとずっと大人で)

女店員(私らが留守の間でも、銃士がいれば安心できて)

 
銃士「…じゃあ、女店員と一緒に教えて貰おうかな~?」

錬金術師「お、いいぜぇ~?」


女店員(……気が付けば、出会ってすぐに私らの輪の中に入って来てー…)

女店員(そ、それに薄々感づいてたけど、銃士はやっぱり店長のことを……)


銃士「…だってさ、女店員!教えてもらおっか?」

女店員「…」

銃士「…」

女店員「…」

銃士「……女店員?」


女店員「…えっ?」

 
銃士「えっ?って……」


女店員「…」

女店員「……あっ!?」ハッ

女店員「う、うんっ!そうそう、私も久々に教えてほしいな!」


錬金術師「おうおう、教えてやるよ!」

錬金術師「それよか女店員は、前に俺が教えた錬成方法きちんと練習してるのか?」


女店員「…も、もちろん!」


錬金術師「ほほう、そうか。なら、練習の成果の拝見といくかぁ?」

女店員「の、望むところ!」

錬金術師「では、裏の倉庫で見てやろう!」

女店員「ふ、ふんだっ!凄いの見せてあげるから!」

 
銃士「…」


錬金術師「ってなわけで、二人に教えるから新人鉱夫は店番頼んだ!」


新人鉱夫「ひえっ!?」

新人鉱夫「は、はい!お任せください!」


錬金術師「さぁて、やるぞ二人とも!」

女店員「う、うんっ…」

銃士「あぁ…」


…………
……

 

……
………… 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして夕方 女店員と銃士の帰路 】


ザッザッザッ……

女店員「…」

銃士「…」

女店員「…」

銃士「…」


ザッザッ……

女店員「…」

銃士「…」

 
ザッザッ…

女店員「…」

銃士「…」

女店員「…」

銃士「…」



女店員「…」

女店員「……あ、あの、銃士」


銃士「…」

銃士「……そうだ、女店員」クルッ

 
女店員「!」

銃士「!」


女店員「あっ!ご、ごめんっ…!どうしたの?」

銃士「い、いやこちらこそ!女店員こそどうしたんだ?」

女店員「そ、そっちからでいいよ!」

銃士「いやいや、女店員からでいいぞ!」


女店員「え、えぇ……」

銃士「む、むぅ……」


女店員「…」

女店員「じゃ…じゃあ、私から……いいかな」


銃士「もちろん」

 
女店員「本当は聞いちゃいけないんだろうけど…、気になって…その……」

銃士「うむ…?」


女店員「…ッ」ゴクッ

女店員「…じ、銃士って!店長のことが好きなの!?」


銃士「…」

銃士「…へっ?」


女店員「…」

銃士「…」

女店員「…」

銃士「わ、私が店長のことを…!?」

女店員「…」コクンッ

 
銃士「…」

銃士「…」

銃士「……別に、どうも思ってはいないよ」


女店員「!」


銃士「……とは、いえないかもしれない」


女店員「…えっ!?」


銃士「…」

 
女店員「…それってつまり」

銃士「…」コクン

女店員「…うそっ!」

銃士「だ、だけど!付き合いたいとか…そういう気持ちじゃないぞ!」

女店員「……えっ?」


銃士「私は正直、自分の気持ちは分からないんだ。」

銃士「いや、きっとこれが異性として好きな気持ちなんだろうけど……」


女店員「…」

 
銃士「だけど、好きだからどうしようとかっていう気持ちもない。」

銃士「確かにドキドキすることもあって、きっかけもあったら気持ちが抑えられなくなるかもしれない」

銃士「……しかし、私は何をどうすればいいとかは分からないんだ」


女店員「銃士…」

銃士「…」

女店員「…そっか。」

銃士「…女店員の気持ちを知っていて、こんなこと言うなんて最低だな」

女店員「う、ううん!そんなことないよ!」

銃士「…」


女店員「…そ、それより!銃士は私に何か言いたかったんでしょ?」

女店員「さっき言いかけたのって、何だったの?」

 
銃士「あ、あぁ…」

銃士「さっき、女店員がどこか上の空だったから…何かしたのかと思って」


女店員「上の空って…」

銃士「店長が、一緒に錬金術の勉強をしようとか言った時に…」

女店員「…あっ」

銃士「少し気になってな…。私が説教みたいなことしたから、落ち込んだのかと…」


女店員「ち、違うよ!」

女店員「あれは、その……!」


銃士「…」

 
女店員「あれは、その……。」

女店員「…じ、自分自身に落ち込んでただけだよ」


銃士「自分に?」


女店員「そ、その…」

女店員「情けない話なんだけど……」


銃士「…よければ、聞かせてくれるかな?」


女店員「…うん」

女店員「そのさ、私って…すぐ手ぇ出すし、慣れたら調子乗るし……。」

女店員「考えも及ばなくて、ずっと働いてたっていうのに、」

女店員「今回のことも、銃士に言われるまで店長に強気で言ってて、環境づくりなんて分からなかった…」

女店員「それで、銃士と私を比較して…勝手に落ち込んでたの……」

 
銃士「…」


女店員「…」

女店員「……それと、店長のことも」


銃士「…店長のことも?」


女店員「…うん。店長が、銃士に褒められて、いつもより楽しく笑ってるように見えちゃって…」
 
女店員「ど、どうしても…。悔しい気持ちになって……っ」


銃士「女店員…」


女店員「ごめんなさい…」

 
銃士「…そうか。ごめん、気が付かなくて」

女店員「ううんっ…。私が勝手に思ったことだし、誰がどうなんて…思ってないよ……」

銃士「…」


女店員「だ、だけど…。」 

女店員「…っ」ゴクッ

女店員「……店長が好きって気持ちは、譲れない…かも…」


銃士「…」


女店員「最初はバカばっかで、まともに働かなくて、変態で、どうしようもないと思ってた」

女店員「だけど、優しく接してくれたり、時々見せるかっこよさとか…」

女店員「……分かんないけど、どういえばいいか分からないけど」

女店員「気が付いたら、そうなってたから……」

 
銃士「…」

銃士「…そうか。じゃあ、私も気になり始めた理由を話さないわけにはいかないな」


女店員「…聞かせてくれるの?」

銃士「もちろん。」

女店員「…」


銃士「…ごほんっ」

銃士「えっとな、私にとって戦いに生きてきたから"強い男"や"凄い男"は当たり前だった。」

銃士「そんな環境だったせいか…、」

銃士「最初出会った頃は、ただの腕と頭が良い、普通の錬金師程度の認識しかなかった。」


女店員「…そういえば銃士ってば、最初はお客さんだったんだよね」クスッ

 
銃士「ふふっ、その通り。」

銃士「だけど、店長と落盤事故で色々とあって、スライムから私をかばってくれてさ。」

銃士「…冒険者でもない人間でも、ここまでしてくれる人は初めてだったから、ビックリしたよ」

銃士「ま…、普段と違う環境の人間だったから、余計に感動しちゃったのかもね」


女店員「…そっか」


銃士「…うん。」

銃士「それで、そこからお店で働いて、改めて店長の凄さを知って…。」

銃士「世界最大の裏機関のアルスマグナから、一人の女性も救って……」

銃士「少しずつ一緒に過ごすうち、少しずつ好きになっていったって感じ…かな」


女店員「…」

 
銃士「…あっ。」

銃士「す、すまん……。なんか気持ちよく語ってしまったな……?」


女店員「…ううん。いいの」

銃士「女店員…」


女店員「…」

女店員「……確かに、本音は複雑だけど…ちょっと安心したところもあるの」

 
銃士「安心?」

女店員「…あんな男を、好きなってくれる人がいたことを」クスッ

銃士「……ぷっ!」

女店員「…そっか、銃士も好きなんだね店長のこと」

銃士「…うん」

 
女店員「話してくれて…ありがとう」ペコッ

銃士「こちらこそ。」ニコッ


女店員「…」

女店員「…はぁ。店長のこと、どうして好きになっちゃったんだろ」

 
銃士「ははは!店長が聞いたら、また仕事しなくなっちゃうぞ」

女店員「…あ、そっか。、しっかり誉めて伸ばさないとダメだったよねっ」

銃士「うん。その意気だよ」

女店員「…私も頑張ろう。もっと、女性らしくなろうっ!」

銃士「私は、女店員はそのままでもいいと思ってるけどね」

女店員「え~…」

 
銃士「その元気も、他の女性と違って魅力的だったりするかもよ?」

女店員「するかも、でしょ!」

銃士「ははっ、女店員がより美しくなれること、期待してるよ」

女店員「む~…」


銃士(…っと、私も頑張ろっと)

銃士(私だってこの気持ち、捨てたくないから……)


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 その頃 錬金術師のお店 】


錬金術師「…ヘッ、ヘブラナァッ!!」


新人鉱夫「!?」ビクゥッ!


錬金術師「…あ゛ぁ゛、くしゃみ出た」ズズッ


新人鉱夫「く、くしゃみ!?」

新人鉱夫「今のくしゃみだったんですかっ!?」


錬金術師「おう、ヘブラナ病だ」


新人鉱夫「…っ!?」

 
錬金術師(…誰かろくでもない噂でもしてんのかぁ?)ズズッ

錬金術師(ったく、有名人はつらいぜ!)

錬金術師(…)

錬金術師(…まぁ、いいか。手紙出ちまったし、さっさと来週の準備も進めないとな)

錬金術師(こんな早い段階で頼むことになるとは思わなかったが、手伝ってくれるかねぇ…)


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
店員の心、店長知らず。


だが、その頃の店長は情けないくしゃみをしつつも、今後の経営について考えていた。



……そして……。



時間はわずかばかり流れ、手紙を出してから週明け。

その男は、再び店長の待つお店へと訪れた――……。

本日はここまでです。

錬金術師シリーズ、第四弾となり、今作で最終章の予定となります。
今回の更新は、従来通り2~3日予定です。
来週より多忙のため、それ以上の時期を開ける場合もありますが……。

それでは、有難うございました。

皆さま多くのお言葉、有難うございます。

店長のたちのこと、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、投下致します。

 
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――――【 次の週 朝 錬金術師のお店 】


…ガチャッ!

女店員「おはようございます~」

銃士「おはよ~」


新人鉱夫「あ、おはようございます」


女店員「…」

女店員「…あれ、店長は?」キョロキョロ


新人鉱夫「先ほど、お客さんが来て外へ出ていきました」

 
女店員「お、お客さんっ!?」


新人鉱夫「あ、いえ。そういうお客さんじゃなくて…」

新人鉱夫「先週、手紙を出した相手さんです」


女店員「…あ、手紙の人!凄い朝早く来たんだね?」

新人鉱夫「はい。1時間程前に来て、少し話して外へ…」

女店員「その人って、私らの知り合いだったの?」

新人鉱夫「はいっ!あの人ですよ、あの人!」

女店員「…う、うん?」

新人鉱夫「な、名前は、えーと……。なんだったかな……」


銃士「……。」

銃士「もしか経営関係だとすると、術士先生か錬成士、機関長、中央商人さんあたり…か?」

 
新人鉱夫「…そうですっ!中央商人さんです!」

女店員「!」

銃士「!」


新人鉱夫「店長さんが、相談したいことがあるから来てもらったとか…!」


女店員「中央商人さんか…。」

女店員「じゃあもしかして、クーとかも一緒に…?」


新人鉱夫「今回は来てませんでしたね。」


女店員「ありゃ…」

 
銃士「…しかし、中央商人さんが来たとなると…店長も本気で経営相談をするということかな」

女店員「…かも」

銃士「なんか、急すぎる気もするが…」

女店員「元々、店長自身で何かしらやろうとは思ってたのかな?」

銃士「…どうだろうか」


…ガチャッ!

錬金術師「…自由になろうと思っただけだよ、店員諸君」

中央商人「やっ、こんにちわ」


女店員「あっ…、お、おはようございます!」

銃士「おはようございます」ペコッ

新人鉱夫「おかえりなさいませ!」

 
錬金術師「…話は聞こえたぞ。元々、俺自身で何かやろうとは思ってたのは間違いじゃない。」

錬金術師「簡単にいえば、自由になりたかったんだ」


女店員「自由に?」


錬金術師「…そのな、ほら。」

錬金術師「クーとの一件があった時、親父と改めて対峙して考えが少し変わったっつーか。」

錬金術師「少しばかり、本気で自由を手に入れてもいいかと思ってはいたんだ」


女店員「…どういうこと?」
 
 
錬金術師「…その。」

錬金術師「前回、親父と対峙して…。この人から絶対に自由になってやりたいって改めて思ったんだよ」

錬金術師「クソ面倒クセーけど、やることやって認めて貰えれば、それで自由になれるだろ」

 
女店員「う、うん…」

錬金術師「そもそも俺は面倒ながら経営を少しでも始めたのは、アレが理由だが…」

女店員「…そうそう。店長が造った錬金道具で無断で山掘られて……」

錬金術師「その犯罪者とされる前に、親父が莫大な金支払ったとかなんとか……。」

女店員「…私たち、犯罪者だったんだっけ」ハァ

 
錬金術師「…そういうこと。」

錬金術師「ま、悪気があったわけじゃないし…それはもう忘れてヨシ」


女店員「…いいのかな」


錬金術師「まぁそれは置、い、と、い、て。置いとけ。」

錬金術師「…実際の話、親父に経営が認められたとしても、俺は親父から自由らしい自由じゃないと思うんだ」
 
錬金術師「本当の意味で自由になるには、親父を見返すくらいしないといけないと思ってな」

 
女店員「本当の意味…か」


錬金術師「…経営には経営で返す。」

錬金術師「儲けで見返すのもいいが、それ以上に俺を認めさせる手段がないかと思って…、」

錬金術師「今回、中央商人サンに来てもらったっつーわけ」


女店員「なるほどね、そういうことだったんだ…」

銃士「なるほどなぁ…」

新人鉱夫「つまり、本格的に色々と乗り出すと!」


錬金術師「そーいうことさ」ニカッ

錬金術師「だから、その手始めに中央商人さんにアイディアを聞いてきたんだ」


中央商人「外の散歩しながら、かなり色々聞かれたな」

 
女店員「…ってことは店長、もしかして色々いいアイディア教えて貰ったんだ?」


錬金術師「おうよ!まず、うちの店を流行らすには!」

中央商人「店長がやる気を出すこと」

錬金術師「次に、店を流行らす以外に儲けるには!」

中央商人「店長がやる気を出すこと」

錬金術師「最後に、親父を見返すには!」

中央商人「店長がやる気を出すこと」


錬金術師「…」

錬金術師「……ってかんじだ」ハァ


女店員「それは聞く意味…!」

銃士「ないよっ!」

新人鉱夫「ですっ!」

 
錬金術師「い、いや待てお前らっ!や、やる気はあるんだぞ!?」


中央商人「…まぁ、俺もやる気は感じないわけじゃないが」ククッ


錬金術師「ピースはそろってるんだ。親父を見返すメンバーは…揃ったといえば揃ってる」


女店員「ピース、メンバー?」


錬金術師「…うちは女店員を筆頭に、ハンターの銃士、採掘士の新人鉱夫。」

錬金術師「元とはいえ、特待学校の教諭であり、頭の良い術士先生」

錬金術師「俺の弟子の錬成師や、何かと頼れる機関長。」

錬金術師「親父とタイを張れる中央商人さんに、クーたち」

錬金術師「…これほどのメンバーに囲まれて、何か出来ないわけじゃないはずだ」

 
銃士「…確かに、何か出来そうなメンバーではあるね」

 
中央商人「そこへ、他人が羨むほどの実力を持つ…店長自身の腕も入っているがな」

錬金術師「…うへへ」

中央商人「逆にいえば、俺らと知り合う以前から、これほどのメンバーがいて何もできないとはどういうことか」

錬金術師「…親父にも言われました」ピクピク


女店員「…で、でも!これから何かするんだよね?」

錬金術師「おう、そのつもりではいる」

女店員「店長自身で、何かいいアイディアとかまとまってないの?」

錬金術師「…アイディアねぇ」

女店員「うん」

 
中央商人「……ふむ。」

中央商人「正直いえば、やれることは無限大にあるだろう。」

中央商人「店長が造ったものは売れるだろうし、金を儲けるだけだったら外へ飛び出してもいい」


錬金術師「外へ…か」


中央商人「俺の村へ来た時、店長は町の明かりを直し、錬金道具を多く直してくれた…。」

中央商人「あれだけで、本当なら数十万をとれる仕事だったはずだろう」


錬金術師「…そうですね」


中央商人「それに、素材収集を出来る部下が二人もいるじゃないか。」

中央商人「鉱石と魔獣類の素材を、卸売りで営業でもいい」


錬金術師「…確かに」

 
中央商人「……と、色々とアイディアはあるが。」

中央商人「恐らくこれは君が既に考えつつも、面倒だからやらなかったことなんだろう」ハァ


錬金術師「ピンポーン!!」パチパチパチ!


女店員「…っ」ググッ!

銃士「お、女店員!拳を抑えて…!」

新人鉱夫「お、落ち着きましょう…!」


中央商人「…店長。君には何が出来る?」

中央商人「いや、何もかも出来るから…どうしようもないんだろうが」


錬金術師「いやぁ~…。」

錬金術師「正直な話、少しばかり考えはあるんです。経営鉄則の一つから持ち出そうと思いまして」

 
中央商人「ふむ、鉄則とな?」

錬金術師「営業ないし、太い主軸の契約一本を見つけ、そこから伸ばそうかなと」

中央商人「…それは確かに、経営の鉄則だな。」

錬金術師「はい、そういうことです」

中央商人「…」

錬金術師「…」ニコッ

中央商人「…」

錬金術師「…」ニコニコ


中央商人「……ん?」


錬金術師「…」ニコニコッ

 
中央商人「…まさか」

錬金術師「今、営業で太いパイプになりそうな方といえば…」チラッ


中央商人「…」

中央商人「…そういうことか」


錬金術師「理解していただけましたか」


女店員「…そういうこと」

銃士「なるほどね」

新人鉱夫「元々中央商人さんをココへ呼んだ理由って…」


錬金術師「…契約、お願いします」ペコッ


中央商人「隠遁相手に、よくもまぁ……」

 

…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 10分後 】


錬金術師「これが、うちで取引できるリストです」スッ

中央商人「…ふむ」

錬金術師「うちで安定して提供できるものは、全てまとめておきました」


中央商人「どれ……」ペラッ

中央商人「…鉄鉱、エレクトラム、銀鉱、金鉱」

中央商人「中級魔獣以下の素材、天然のアカノミとアオノミ」

中央商人「各上記素材の加工品全て、ただしアカノミアオノミ以外の生鮮類を除く」

中央商人「武器や防具、各魔石の錬成、自動採掘機を含む錬金道具の大多数」

中央商人「……なるほど」

 
錬金術師「どうでしょうか」

中央商人「…悪くないが、ほとんど俺が仕入れたことがあるものだな」

錬金術師「慣れているなら、それを裁く手段も」


中央商人「…」

中央商人「そりゃそうだが、元経営者として言葉を一ついいか。」


錬金術師「…」ピクッ


中央商人「…俺が現役だったらコレは契約せん。」

中央商人「実績もなく、安定した供給も望めない、小さな錬金術の店とは契約は絶対にしない」


錬金術師「…!」

女店員「そんな…」

銃士「だめなのか…」

新人鉱夫「ダメですか…」

 
錬金術師「…ダメ、ですか」

中央商人「…」

錬金術師「…っ」ハァ

中央商人「…おい」

錬金術師「はい…?」

中央商人「どうしてそこまで悔しがる顔をする。」

錬金術師「え?いや、そりゃ……」

中央商人「…お前な、勘がいいくせに、俺の話をしっかりと聞いてたか?」

錬金術師「へ?」


中央商人「…"現役時代だったら"契約しないと言ったんだ」


錬金術師「!」

 
中央商人「…今はもう現役じゃない」

中央商人「お前が望むような大金は出せないし……」

中央商人「仕事の契約なら、顔見知りの身内とはいえ、契約違反は容赦なく…切るからな?」


錬金術師「…ってことは」


中央商人「銀鉱石と、アカノミとアオノミを含む、天然の素材。」

中央商人「それぞれ10kgずつを1週間に1度納品出来る様、馬車の手配をしよう」


錬金術師「…あ、ありがとうございます!」


中央商人「…えーと、それで。」

中央商人「うちとしての仕入れ値は、週25万。月換算で、100万ゴールドでどうだ」


錬金術師「…いっ!?」

 
女店員「ひゃ、百万!?」

新人鉱夫「わぁっ!」

銃士「…ほう」


錬金術師「…ぎゃ、逆だってお前ら!」


女店員「えっ!」
 
新人鉱夫「えっ…?」

銃士「へっ…」


中央商人「ふっ…」


錬金術師「…安過ぎるんだ」タラッ

 
中央商人「…」ニヤッ


女店員「で、でも月100万って……」


錬金術師「今の末端価格の相場は、銀は鉱石でも1kg4万。」

錬金術師「それに、銃士が採れるであろう天然素材は10kgあれば…卸値で30万は下らない…」


女店員「つ、つまり本当なら1週間で70万以上の売り上げってこと…?」


錬金術師「そ、それを馬車をつけただけで25万…!」

錬金術師「マジか…中央商人サン!」バッ!


中央商人「…仕事の話で、冗談を言うと思うか?」


錬金術師「…嘘だろ」

中央商人「嘘ではない。俺とて、儲けのない話など乗るものか」

錬金術師「で、ですがっ!」


中央商人「確かに、最低相場は70万ゴールド前後。」
 
中央商人「それを売りさばけば、月300万は下らないだろう」

中央商人「しかしそれは、契約先を見つけ、更に手配の料金から雑費も何もかも優遇の条件の場合…。」

中央商人「今の君に、この町に、この近くに、それほどの条件が揃った契約相手はいるのかな?」


錬金術師「そ、それは…!」


中央商人「天然素材とはいえ、契約先によってはケチも付けてくるところがあるだろう」

中央商人「それに、いつまで契約とは分からないし、普通は月契約だ。」

中央商人「それを俺は、週払いかつ、先ほど言ったもの以外の条件はないぞ?」

 
錬金術師「うっ…」


中央商人「来週頭までに準備すれば、そこで25万は支払う。」

中央商人「そうだな、毎週月曜日に馬車を手配し、そこから受け取れるようにしよう」

中央商人「監査もない分、ごまかしても構わないということだぞ?」ククク


錬金術師「…っ」


中央商人「…俺だったら、目の前のチャンスには食いつくがな。」

錬金術師「そ、そりゃそうでしょうが…」

中央商人「…納得いかないか?」


錬金術師「…確かに、色々と差っ引いたら月50万程度になるでしょう」

錬金術師「ですが、25万というのはあまりにも…」

 
中央商人「…これは仕事の話だと言ってるだろう。」

中央商人「クーの件や、俺と顔見知りだからどうという話じゃない」


錬金術師「…っ」

錬金術師「…」

錬金術師「…あっ」

錬金術師「仕事の…話……?」


中央商人「…」


錬金術師「…だ、だったら!25万では契約はできません…!」

錬金術師「だけど、中央商人さんの条件は破格ともいえます…。」

錬金術師「金額に関しては、こちら側で50万まで希望するものでもない…」

 
中央商人「だったら、どうする?」


錬金術師「…」

錬金術師「…30万。」


中央商人「ふむ?」

錬金術師「…30万ゴールド。これで、契約をお願いします」

中央商人「その値段では、俺に利点がない。断る」


錬金術師「…うちの商品を、中央商人さんはどう裁くのかは分かりません」

錬金術師「ですが、うちの部下たちの仕事は確かなものです」

錬金術師「自分で言うのもなんですが、私の錬金技術のトップだと自負する商品を提供することもできる」

錬金術師「必ず、価値のあるものを卸させていただき、あなたに決して損はさせない!」


中央商人「…」

 
錬金術師「…わかってます。たかだが5万ゴールドではないです。」

錬金術師「5万ゴールド分の上乗せしていただく値段の価値は、必ず見出せるようにします。」

錬金術師「……お願いします」


中央商人「…」

中央商人「……ふむ、仕方ない。そこまでの熱意があるなら、考えてやろう」


錬金術師「!」


中央商人「俺は今日の夜に出発する、田舎町行きの馬車で帰るが……。」

中央商人「その内容で契約を呑むか、手紙を書いて明日にココへ届けるようにしよう。」

中央商人「来週の頭に1度、馬車を手配させる。明日の内容で契約したいと思うなら商品をよこせ…。」

中央商人「何も預けないなら、破棄とする。いいな」

 
錬金術師「……承知いたしました。」


中央商人「…ではな」スクッ

トコトコトコ…ガチャッ…


錬金術師「よろしくお願いします」

女店員「…」ペコッ

銃士「…」

新人鉱夫「…」


…バタンッ…

……

 
ザッザッザッ……


中央商人(…やれやれ、合格点には程遠いな)

中央商人(店長は、勘も良し経験も良し、天性の才能もある)

中央商人(だが、あの性格のうえ、経営らしい経営からはかなりの期間、離れていた…。)

中央商人(あのオヤジに対抗するには、その期間を埋めるようにしなければなるまい)

中央商人(…それとアイツは恐らく、経営に関わったら親父のように冷徹になるのではないかと恐れている)

中央商人(……頼りたいなら、俺を頼れ。)

中央商人(知り合った以上、お前にはお前のやり方で行けるよう、少しでもその姿勢を教えてやるからな)

中央商人(…ふっ。まるで、二人目の弟子が出来たようだ)ククク


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

錬金術師「…」

錬金術師「…全員、話は聞いてたか?」


女店員「…」コクン

銃士「あぁ」

新人鉱夫「もちろんです!」


錬金術師「…かなりの仕事になると思うが、頼めるか」


女店員「…もちろん!」

銃士「私たちの得意分野で、かなりの仕事も何もないさ」

新人鉱夫「腕の見せ所ですよ!」

 
錬金術師「銃士と新人鉱夫は、当たり前だがそれぞれの専門業で頼む」

錬金術師「女店員は、もし契約が決まった際の総合管理をやってくれ」


女店員「うんっ」


錬金術師「…特別に太いパイプとはいえないが、地となる1つの畑は出来そうだ」

錬金術師「あとは、そこにどんな種や…水、栄養を与えて花を咲かせるか…だな」


女店員「…頑張ろうね!」

錬金術師「まぁこうなっちまったし、中央商人さんにも頼んだ以上、逃げられないからな」

女店員「ふふっ…」

錬金術師「久々だが、親父を見返すためにも…やってやるか!」

女店員「うんっ!」

 
銃士(…凄い人だ、中央商人さん)

銃士(店長が中央商人さんを慕っていたのは知っていて、それで更にやる気を出させたんだ)

銃士(…やる気になった店長は、きっと凄い)

銃士(本当にかっこいいところ、見せてもらえそうだ)ハハッ

銃士(…ふふ)ジッ


錬金術師「…」

錬金術師「…銃士、俺の顔になんかついてるか?」ペタペタ


銃士「…えっ」

錬金術師「俺の顔ジーっと見てたからな」

銃士「い、いや!何でもないぞ!」プイッ

錬金術師「そうか?」

銃士(…見過ぎないように、注意しておこう)

 
錬金術師「ほんじゃま、やれることはやるかねぇ」

女店員「うん、私も頑張るっ!」

錬金術師「おう、頼むぜ」

女店員「…今度こそ、潤うといいね。期待してるよ、てんちょ!」


銃士「私も出来る限り、中央商人さんに認められる素材を集めねばな」

新人鉱夫「僕もやってやりますっ!」グッ!



錬金術師「…しゃあねえ、頑張るかぁ!」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです。有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。


  
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――――【 次の日 朝 】

…ガチャッ!

女店員「おはよう~!」

銃士「おはよー」

錬金術師「おう」

新人鉱夫「おはようございますっ!」


女店員「店長、さっそくだけど…中央商人さんから手紙って来てたの?」


錬金術師「…来てたよ。」


女店員「で、どんな感じだったの…?」

  
錬金術師「…ま、30万の契約でいいそうだ」

錬金術師「契約内容は、この間通り銀鉱10kgと天然素材10kgずつ。」

錬金術師「それを毎週月曜日の朝、ココへ商人をよこし、取引する」

錬金術師「最初の納品は、再来週の2月9日の月曜日でいいらしい」


女店員「…本当に!?やったじゃんっ!」

銃士「安いとはいえ、今は嬉しい取引じゃないか」

新人鉱夫「久々に、鉱石堀り頑張ります!」


錬金術師「…まぁ待て。しかし、1つの条件もつけてきたんだ」


女店員「…条件?」


錬金術師「俺が、鉱石と素材入手へ週1でどちらかに継続して参加すること…だ」

 
女店員「…えっ!?」

銃士「ってことは、私の素材集めか…」

新人鉱夫「僕の採掘へ、お付き合いするってこと……」

錬金術師「…らしい」コクン


女店員「…契約の仕事が始まったら、どっちも留守になることも多いだろうし」

女店員「その間に、店長がいなかったら…」


錬金術師「…お前が一人で店番だ」


女店員「だよね…」

 
錬金術師「ま、参ったなぁ~…。身体使いたくねぇぇ……」ガクッ

女店員「でも、やるしかないんだよね…」

錬金術師「契約は契約だ。守るところは守るが…」

女店員「うん…。それじゃ、銃士と新人鉱夫、どっちへ着いていくの?」


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……寝る」キリッ


女店員「ちょっと」

…グイッ

錬金術師「ぐえっ!」

 
女店員「…どっちもどっちで大変だと思うけど、どっちか決めないと!」

錬金術師「えぇ~…」

女店員「…」ジロッ

錬金術師「…決めます」

女店員「ハイ」ニコッ


錬金術師「…」

錬金術師「…ってわけで、諸君!」ギロッ!!


銃士「!」ドキッ!

新人鉱夫「は、はいっ!」

 
錬金術師「僕に楽をさせてくれるのはどっちでしょう」キリリッ


銃士「…ら、楽か」

新人鉱夫「ら、楽ですか…」


女店員(お、抑えないと…)ググッ


錬金術師「おうっ。俺、体力ねーし、技術ねーし、足引っ張るし、難しいぜ!?」


銃士「威張っていうことじゃないんだけどなー」ハハ…

新人鉱夫「…でも、店長さんと二人で仕事するのは楽しそうですね~」

銃士「それはまぁ、そうだな…」コホンッ

新人鉱夫「ですよねっ!」


女店員「…」

 
錬金術師「さぁ、ファイナルアンサー!」

錬金術師「俺に楽をさせてくれるのは…どーっちだ!」


銃士「…」

新人鉱夫「…」

女店員「…」


銃士「…」

銃士「…わ、私かな」ボソッ


女店員「!」


錬金術師「おっ…?」

 
銃士「…な、なんて言ってみただけかな!や、やっぱり二人とも試してみてからが良いんじゃないか!」

錬金術師「ん?」

銃士「…ほ、ほら、二人とも一回ずつ試したほうが…と。どっちが店長に合うか分からないだろう?」

錬金術師「…ふむ」

銃士「だからまずは、どっちも試せばと…」


新人鉱夫「それはいいアイディアかもしれないです!」


錬金術師「…ふむ」

錬金術師「…」

錬金術師「…いや、そういうことなら銃士のだけ試して決めるわ」


銃士「え?」

女店員「え?」

新人鉱夫「ふぇ?」

 
錬金術師「俺、一回採掘業したことあるし。」


新人鉱夫「…あっ」


錬金術師「つか、女店員も一緒にやっただろ」

女店員「…あっ!」

錬金術師「そこで荷物運びのバイトで手伝って貰ったのが…新人鉱夫だろ?」

女店員「そ、そうだったね…」


新人鉱夫「そっか…、店長さんは採掘業したことあったんですよね」


錬金術師「そういうコト。」

錬金術師「…ってワケで、明日、銃士の素材集めのほうに行ってもいいか?」

 
銃士「…も、もちろんっ!」

錬金術師「おう、ありがと」

銃士「う、うんっ…」

錬金術師「…山の中とか入るし、準備しておくか」ハァ


女店員(むぅ…)


銃士(わ、私とペアで仕事か……)


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
――――その日は、明日から本格始動のため、休暇となった。


店長は重い腰をあげつつ、ようやく経営へと再び着手。


そして、来たるは2月1日――――……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 2月1日 錬金術師のお店 】


錬金術師「…今日は日曜日、納品予定は2月9日まで約1週間」

錬金術師「本日、ワタクシ店長めは…天然素材採取へ赴いてまいります」ビシッ


女店員「気を付けて行ってきてよ?」


銃士「…私が出来る限り、店長へ負担をかけないようにはするよ」

錬金術師「…嬉しいこと言ってくれるじゃないの!」

銃士「そ、それは当然だ」

錬金術師「その優しさ…、大好きだぜ銃士……」

銃士「…!?」カァッ

 
女店員「…」ピクッ


錬金術師「…ぐはははっ、じゃあ行くか!」

銃士「う、うん…」

錬金術師「じゃあ、面倒だけど行ってくるぜ。店番、頼むぞ」

銃士「よろしくね、女店員」


女店員「う、うんっ…。任せといてよ!」


錬金術師「じゃ、行ってくるぜ~」

銃士「行ってくるよ」

新人鉱夫「では、僕も一緒に鉱石採掘に出発しますね!行ってきます!」

 
女店員「行ってらっしゃい…」


ガチャッ、バタンッ……!


女店員「…」

女店員「…」

女店員「…はぁ」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 付近の山道 】

ザッザッザッ……


錬金術師「ひぃ、ひぃ……!」

錬金術師「ど、どこまで行くんだ……!?」


銃士「素材収集はアカノミとアオノミ、それと重量のみで、特に素材名の指定はナシだったんだろう?」

銃士「だったら、重量級の魔獣素材でキログラムの穴埋めをしようと」


錬金術師「あ、あぁ…。いい考えだと思うぞ……」ゼェゼェ


銃士「…」

銃士「…相変わらず、体力ないね!」

 
錬金術師「仕方ねぇべ……」ハァハァ


銃士「ま、知ってたけどね」フゥ


ザッザッザッ…

錬金術師「…」ゼェゼェ


銃士「…」

銃士「……ったく、仕方ないな」


錬金術師「ん…?」ハァハァ


銃士「背負ってる荷物、私が持とうか?」スッ

  
錬金術師「…いや、そこまでされたら男が廃るじゃねぇか!」

銃士「あれ、そこはプライドあったんだ?」

錬金術師「…あのな」

銃士「じゃあ、文句言わず歩けるかなー?」

錬金術師「…無理かなー?」


銃士「…」

銃士「…全く、どんな物言いだ」クククッ


錬金術師「ま、冗談さ。歩けるっちゃ歩けるし、気にせず進んでくれ…」


銃士「じゃあ、そうさせて貰うよ。」

銃士「…もうすぐ歩いたら、泉があるはずだからそこで休憩しよう」

 
錬金術師「…おっ!?」ピクッ

錬金術師「泉で休憩とな、急ぐぞ!どこだ!」

ドタタタタッ…!


銃士「…」

銃士「…」

銃士「……ったく、まんま子供じゃないか」ハハッ



…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 山中の泉 】


…ドサッ!


錬金術師「ぷはぁ~っ!」

銃士「お疲れ様。ここで一旦休憩を取ろう」

錬金術師「ひぃ~…。肩いてぇし、脚いてぇし……!」

銃士「…そんなに歩いてないんだけど、久々に本格的な運動だったんじゃないの?」


錬金術師「うむ…。」

錬金術師「こりゃあ、3日後に筋肉痛だな……」


銃士「三日後て」

 
錬金術師「…はぁ~」

錬金術師「…」

錬金術師「…」グゥゥッ

錬金術師「……んあ、動くと腹減るのもはえぇな」


銃士「…カロリーを使うしね。」

銃士「お腹が空いてなくても、運動するなら…きちんと栄養を摂取しないと倒れちゃうし」


錬金術師「そうだよなぁ…」


銃士「…ってわけで、ハイ」スッ

錬金術師「ん?」パシッ

 
銃士「見たら分かるけど、ホットドッグだよ」

錬金術師「ほほう、これは美味そうだな。くれるのか?」

銃士「もちろん」

錬金術師「おぉう、ありがとよ!」

…パクッ、モグモグ……


銃士「……ど、どう?」

錬金術師「…何だコレ、めちゃくちゃ美味いぞ」ペロッ

銃士「!」

錬金術師「何コレ、作ってくれたのか?」

銃士「…一応、手作り」

錬金術師「ほほう!手間ぁかけさせて悪いな」

 
銃士「い、いや…。簡単なものだし、いいんだ」

錬金術師「簡単ってお前…。これ、ソーセージとかから手製じゃないのか?」

銃士「…気付いた?」

錬金術師「まさかとは思うが、自分で採ったやつ…か?」

銃士「…ん」コクン


錬金術師「…さすがハンターだな。ソーセージから作るとは聞いたことねーぞ」

銃士「あ…嫌だったかな…。」

錬金術師「まさか。褒めてるんだよ」

銃士「そ、そうなのか…?」パァッ

錬金術師「……うむ、ごっそさん!」ペロッ

 
銃士「口に合ったなら、何よりだったよ…」ホッ

錬金術師「今度、また作ってくれ。すげーよかった」

銃士「う、うんっ!」

錬金術師「…と、お前は食わないのか?」

銃士「私は、これくらいじゃ平気だし…。体力もあるから、これしきで食べると、その……」

錬金術師「太るのか」

銃士「」


錬金術師「…銃士は体系イイしなぁ。他の女性から見たら、羨ましいんじゃないか?」

銃士「そ、そうでもないと思うけどな…」

錬金術師「だってほら、この間の風呂の時にさ」

銃士「!?」

 
錬金術師「俺が見た限り、女性としては憧れるような身体を……」

銃士「わーっ、わーーーっ!!!」

錬金術師「お前が気絶しちまって、運ぶ時に悪いと思ったが色々見え……」

銃士「きゃーっ、きゃーーーっ!!恥ずかしいからストップ、タンマ~~!」

錬金術師「あ、はい」


銃士「はぁ…はぁ……!」

銃士「うぅ、思い出しちゃった……」


錬金術師「…とにかく、自信を持っていいんじゃないかということだ!」


銃士「はい……」ガクッ

 
錬金術師「…」

錬金術師「……さてと、話は終わりにして、そろそろ出発するか」


銃士「ん…。もう身体は大丈夫なのか?」

錬金術師「美味いもん食ったし、でぇじょうぶだ。つか、休みすぎると日が暮れる前に戻れなくなるだろ?」

銃士「そうだね。じゃ、もう少し奥のほうに進もうか」

錬金術師「…こんな山深くまで来たことないが、強い魔獣とかはいないのか?」

銃士「いるっちゃいるけど、この辺は普段、私が庭にしてるような場所だし大丈夫」

錬金術師「そうか。じゃ、改めて道案内も含め全部任せるぞ」

銃士「うん」

 
錬金術師(…ふむ。)

錬金術師(思ってはいたが、こんな場所に一人きりで来てたりしたんだよな)

錬金術師(体力があるとはいえ、疲労がたまるのは確かだろうし…)

錬金術師(…)

錬金術師(あぁ、なるほど。)

錬金術師(中央商人サンが、俺にこういうことをさせた理由って……)
 

…………
……

本日はここまでです。
有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3時間後 山奥 】
 

…ズギュウンッ!!

バサバサッ…!


銃士「…よし」フゥッ


…ドシャッ!

ワーグ『…』ビクビクッ…


銃士「一丁上がり。ただの魔狼で小物だけど、まずは素材の一つをゲットかな」

錬金術師「おふっ…。お見事だな」

 
銃士「…だいぶ奥に進んできたけど、店長も少しずつ慣れてきた?」

錬金術師「山道の歩き方はな。それよか、蜘蛛の巣だとか、虫がうざい」

銃士「はは、そういうのを気にしてるだけ大丈夫だね」

錬金術師「苦手じゃないが、鬱陶しくてな…」


銃士「確かにネ」アハハ

銃士「…ま、倒した狼を解体しておこうか。」

ザッザッザッ…グイッ


錬金術師「毛皮剥いで、内臓取り出すのか?」

銃士「どうしようか。毛皮だけとっても、重量としては軽くなるだけだし」

 
錬金術師「かといって、未処理のままだと腐っちまうだろ…?」

銃士「…考えたら、干し肉にしても相当軽くなっちゃうし、10kgって割と大変だよね」

錬金術師「アカノミとかアオノミを100個採っても、1個300gが平均で合計3kgだ」

銃士「…100個はあるとしても、群生している天然の果実はそこまで大量に採れないだろうし」

錬金術師「考えたら、クソ面倒くせぇな。どうすっかな~…」


銃士「う~ん…。」
 
銃士「せめて、大型のベアウルフとかアウルベアとか、カルキノスとかいれば楽なんだけど」


錬金術師「…確かに、その辺なら1発で重量クリアするな」


銃士「カルキノスは大きいカニだし、甲羅は防具素材だからソレだけで2、30kg近いしね」

 
錬金術師「…そうか、"化け物ガニ"のカルキノスという手段があったか」

銃士「だけど、この辺じゃ見た事ないよ」

錬金術師「主な生息域は、水辺だ。それも、澄んだ水域に生息しているはず」

銃士「…水辺って言っても、この辺だとさっき休憩した泉くらいしかないよ?」

錬金術師「ふむ…」


銃士「あそこは小さすぎるし、カルキノスの巨体じゃ無理だね」

銃士「それに、万が一いたとしても…」


錬金術師「いたとしても?」


銃士「私の銃じゃ、あの甲羅にダメージを与えるのは難しいと思う。」

銃士「それに、傷をつけられたとしても…銃弾のヒビから、価値が著しく下がると思うよ」

 
錬金術師「…カルキノスの弱点は、雷だろ?」

銃士「だね」

錬金術師「雷撃弾の類で、ダメージはあるだろう。持ってないのか?」

銃士「それはあるけど、通常の雷撃弾じゃ身体の芯までダメージが通ることはないんじゃないかな」

錬金術師「…ふむ。ま、それはそれで考えはある」

銃士「へぇ?」


錬金術師「それよか、カルキノスの場所だ」

錬金術師「この泉の澄んだ水質から…いても不思議じゃないんだよなぁ」キョロキョロ


銃士「確かにそうだけど、さっきの泉じゃ小さすぎるし…」

 
錬金術師「…」

錬金術師「…銃士、この辺に広い川はないか?」


銃士「川?あるにはあるけど…どうしてだ?」


錬金術師「もしかすると、さっきの湧水のような泉が何ヶ所かあるんじゃないか?」

錬金術師「あちこちに湧水があるなら…巨大な水辺の1つや2つがあるはず」

錬金術師「その巨大な水辺が、広い川と流れている可能性があるだろ…?」

錬金術師「それを追えば、湖なんかがあるかもしれん」


銃士「…確かに、それはあるかも」

銃士「川を追って行ったことはなかったし……」


錬金術師「だろ?」

 
銃士「…でも、水辺の道は滑りやすいし危ないからな」

銃士「今の店長の装備じゃ、岩とかでケガをしちゃうかもしれないし」


錬金術師「…くくく、見ろ!俺の靴は、ヘヴィブーツ…滑り止め靴だ!」ギラッ


銃士「えっ…!よ、用意がいいな…!」

銃士「…」

銃士「……っていうか!そんな重いブーツ穿いてるから疲れるんでしょうが!」ハッ!


錬金術師「だって、転んでケガしたら痛いじゃん」


銃士「あぁ……」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 山中の川 】


ザァァァッ…バシャンッ……!


銃士「…っとと、やっぱり滑りやすいね」ツルツル

錬金術師「コケで滑るんだな。滑り止めの靴、よく効くぜ」

ザッザッ…

銃士「それって自作?」

錬金術師「市販のやつだが、もっと効くように倉庫に眠ってたのを少しだけイジったワケよ」

銃士「へぇ、じゃあついでに軽量化すればよかったのに」


錬金術師「…」

錬金術師「…その通りじゃないか!」


銃士「はは…」

 
錬金術師「くっそ~…。次から軽くするよう、調整しておこう……」

銃士「でもさ、こういう場所を歩くコツさえつかめば、そういうのも頼らなくて済むんだけど…」


錬金術師「足の裏側に魔力を集中させて、悪路と相殺させるんだろ?」

錬金術師「無理無理、俺は魔力も決して多くないし、できないって」


銃士「確かにそういう方法もあるけど。いちいち魔力を使ってたら、キリがないよ」

錬金術師「じゃあどうするんだ?」


銃士「…足の裏に集中するのは一緒だけど、一気に踏み込むと滑っちゃうから、」

銃士「私の場合はつま先から、かかとまでを順繰りに移動させつつ踏み込み後も気を抜かないというか…」


錬金術師「…こうか!」スッ

…ズンッ!

 
銃士「あ…」


錬金術師「おっ…?」

錬金術師「…」

錬金術師「……おぉ、本当に滑らず歩けたぞ!?」


銃士「…」

銃士「…そりゃ、歩けると思うよ。だって、店長の滑り止め靴でしょ」


錬金術師「…」

錬金術師「…あっ。」

錬金術師「……し、知っていたぞ!!」プイッ!

 
銃士「…えっ。何それ、可愛い」


錬金術師「…んあ?」


銃士「……あっ!?」ハッ

銃士「な、なんでもない!」プイッ!


錬金術師「そ、そうか…」


銃士(…危なかった。思わず、一言漏らしてしまった……)


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 十数分後 】

…ピチョンッ…


錬金術師「おぉ…!」

銃士「わっ…!」


サァァッ……!


錬金術師「見ろ…。こんな広い湖があったんだよ……」

銃士「し、知らなかった。こんな場所が…」

  
錬金術師「…それに、キレイだ。」

錬金術師「どこから湧いているのかは知らないが…。」

錬金術師「ココまで広くて、澄んだ湖は初めて見る……」


銃士「この広さなら、カルキノスがいても不思議じゃないよ!」

錬金術師「よっしゃ、探すか!出来れば、ここを巣としてくれていればいいんだが」

銃士「湖の周りから探索しよっか」

錬金術師「んむ…」


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ザボザボッ……


銃士「…あっ」

銃士「いたよ、店長……!」バッ


錬金術師「お…」

銃士「…あそこ。何匹か集まってる」

錬金術師「…」ジッ


ゴソッ…ガサガサッ……!

ボチャンッ……!


カルキノスたち『…』モゾモゾ

 
銃士「…化けガニの割には小さいかな」


錬金術師「恐らく子供だろう。だが、逆に好機だ。」

錬金術師「子供がいるということは、ココに巣があるということ…。」

錬金術師「巣を持つカルキノスを素材と出来るなら、願ってもない安定した天然素材となるぞ…」


銃士「子供のサイズでも、1匹10kg…か。」

銃士「確かに、それだけで契約内容は一発クリアだし……」

銃士「…だけど、どうしようか。それと、私の今の雷撃弾じゃ攻撃は効かないよ」


錬金術師「ククク…、だから俺に考えがあるっつっただろ」


銃士「うん?」

 
錬金術師「俺の背負ってきたリュックにだな…」

…ボスッ!ゴソゴソッ…

銃士「…?」


ゴソゴソゴソッ……ギラッ!


銃士「…これは」

錬金術師「"雷貫弾"。弾丸を鋭利にさせ、貫通効果を持たせたモンだ」


銃士「!」

 
錬金術師「一応、何かあった時のために準備はしといたんだよ」

銃士「い、いつの間に…」

 
錬金術師「カルキノスは、丁度、甲羅の中心下にある部分に弱点を持っている」

錬金術師「そこを一発で打ち抜けば、全身へ麻痺効果を起こす。」

錬金術師「それに貫通弾なら、単発の孔を開けるだけで価値も下がることはない」


銃士「…用意周到すぎるね、店長」

錬金術師「ほめろ」キリッ

銃士「…はは、カッコイイよ」ニコッ

錬金術師「うへへ」

 
銃士「じゃ、弾丸を貰うね」パシッ

…チャキッ

 
錬金術師「おうよ。じゃあ、頼んだぞ」


銃士「わかった。撃つよ…」

…ググッ!!


錬金術師「…」

銃士「…」


……ズキュウンッ!!!……


バサバサッ…!!


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして夕方 錬金術師のお店 】


女店員「…」

女店員「…」


カァ…カァ……!


女店員(……もう夕方かぁ)

女店員(新人鉱夫はきっと仕事を完遂するだろうけど、店長と銃士はどうかなぁ…)

女店員(まさか、私が一人で留守番になるなんて思ってもなかったし…)

女店員(……それ以上に、あんな話のあとに銃士と店長がー…)

 
…ガチャッ!!


錬金術師「おう、ただいまぁ~……!」ゼェゼェ

銃士「ただいま」


女店員「あっ!お、お帰りっ!?」ガタッ!


錬金術師「はぁ…はぁ~~~っ!!」

錬金術師「やっと店に戻ってこれた…。疲れたぁぁぁ……!」

…ドシャアッ!


女店員「だ、大丈夫っ!?どうしたの!?」

 
銃士「山の中ずっと歩いて、大物仕留めて…それも運んできてね…。」

銃士「店長の体力じゃ、限界だったみたいだ」


女店員「大物って…」

銃士「外、見てみるといいよ」クイッ

女店員「うん?」

タタタタッ…チラッ


女店員「…」

女店員「……でかぁっ!?」


銃士「お化けカニ、カルキノスの子供だよ。」

銃士「その甲羅だけで10kgはあるし…。」

銃士「しかも、生息域も見つけて、来週以降も契約分の目途はたったんだ」

 
女店員「すっごーい…!」


…ムクッ

錬金術師「…さすがに、そいつの身は生だから素材としては送れん」

錬金術師「絶品のカニだし、今日はそいつを料理して食おう」


女店員「た、食べるって…何人前あるのこれ」

錬金術師「さぁ…」

女店員「…食べきれない分も出てくるし、近所に配ろうか?」


錬金術師「…」 
 
錬金術師「……いや、それは売ろう」


女店員「えっ?」

 
錬金術師「脚の1本で、高値の取引もされている。」

錬金術師「町の魚屋にでも卸せば、脚の1本から買取もしてくれるかもしれん」

錬金術師「うちで食うのは3、4本で充分。残りの脚は氷に詰めて売っちまおう」


女店員「うん、それはいいかも!」

錬金術師「じゃあ…銃士。切り分け用の刃はあるし、頼んだぞ…」


銃士「解体作業か…。任せてくれ……っ!」ギラッ!
 

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 2時間後 】


新人鉱夫「…どんどん食べてください!」

新人鉱夫「凄いですよ、出汁がどんどん溢れてきますし、出汁の間もかかりません!」


グツグツグツッ……!


錬金術師「…うほほーっ!!」ジュルッ!

女店員「お、美味しい~!」ホクホク

銃士「な、何度かカルキノスは食べていたが…ココまで身が締まってるのは初めてだ」ムニュムニュ


新人鉱夫「あはは、戻ってきたらカニ鍋作ってくれとか言われてビックリしましたけど…」

新人鉱夫「まさかココまで凄い食材だったなんて思いませんでした」

 
銃士「残りのカニ脚は、全部卸したんだろう?」

錬金術師「あぁ、引き受けてくれたよ。本来なら1本4,5万は下らないんだろうが…」

銃士「いくらで卸したんだ?」

錬金術師「まぁ安く、1本1万だ。破格だが、地元の連中と仲良くしといて損はないしな」

銃士「…なるほど。喜んでただろうな」

錬金術師「そりゃそうだ」ハハハ


モニュモニュッ…

女店員「…んっ」ゴクッ

女店員「ぷはぁっ…!お腹いっぱい……!」ホウッ


錬金術師「満足していただけたなら、何より」

 
女店員「うんっ!」

女店員「…あと新人鉱夫に聞いてなかったけど、銀鉱石は採れたの?」


新人鉱夫「あっ、そうでしたね」

新人鉱夫「一応、銀鉱脈があるので…銀の採取自体は困らないんです」


錬金術師「…マジか!」


新人鉱夫「えぇ。ご存知とは思いますが、あそこは地下を走る巨大な鉱脈へつながっているんです」
 
新人鉱夫「ですので、10kg程度なら1日でも採掘できますよ。」

新人鉱夫「そこの箱にしまっておいたので、来週の出荷には間に合います」

 
錬金術師「…こっちも1日で目標は達成したし、意外と楽かもな」ハッハッハ

女店員「でもさ、店長」
 
錬金術師「んあ?」

女店員「鉱脈と、カルキノスの巣ってどれくらいの頻度で見つかったりするの?」

錬金術師「稀だろう」

女店員「…その二つは、長いスパンで見たら1年は持つのかな?」


錬金術師「いや、あり得ないな。」

錬金術師「鉱脈は実際に採掘せんと分からんが、今回のカルキノスたちは繁殖期間も含めて3か月はもたない」

錬金術師「だが、とりあえず1か月以内は確実に大丈夫だろうから…それ以降に考えるさ」

 
女店員「…分かった。頑張ってね!」

錬金術師「おうよ…。何度も言うようだが、中央商人サンと契約しちまった以上は…頑張るさ」

女店員「…」コクン


錬金術師「…」

錬金術師「そ、れ、よ、り…」ニタァ


女店員「…うん?」


錬金術師「…新人鉱夫ぅ!」パチンッ!


新人鉱夫「は、はいっ!?」ビクッ!


錬金術師「米と卵をもてい!」


新人鉱夫「!」

 
錬金術師「俺は鍋といったら、卵入りおじやと決まっているんだ!」ビシッ!

女店員「…え?私はラーメンとかがいいけどなぁ」

銃士「いや、おすすめはうどん…かな?」

新人鉱夫「た、たまに意見を言わせていただくと、しめは卵のないお米が好きです…けど…」ボソボソ


錬金術師「ほう…?」ピクッ

女店員「へぇ…?」

銃士「ふむ…?」

新人鉱夫「…」ブルブル


ゴッ、ゴゴゴゴゴッ……!!

 
錬金術師「…っ!」
 
錬金術師「卵を入れ、マイルドにし、存分に味を最後まで楽しめる米が良いだろう!?」バンッ!


女店員「折角、最高のスープが出来ているんだから、そこにラーメンを入れないでどうするの!」ババンッ!


銃士「スープには同意だが、食べ応えもあるうどんが一番だと思っている!!」バババンッ!


新人鉱夫「米という点では店長さんに賛成ですが、出汁が良いものですから卵はいらないのでは…と」ボソボソ


錬金術師「…」

女店員「…」

銃士「…」

新人鉱夫「…」ビクビク

 
錬金術師「…」

錬金術師「…」スゥゥッ

錬金術師「いくぞぉぉぉっ!!」


女店員「!」

銃士「!」

新人鉱夫「!」


錬金術師「…じゃぁぁぁんっ!」バッ!


女店員「……けぇぇんっ!!」ババッ!!


銃士「………ぽんっ!!!」シュバアッ!!


新人鉱夫「え、ええいっ!!!」シュバアアアッ!!!

 
ヒュウウッ…!


錬金術師「ふっ…。勝ったな……」ニヤリ

錬金術師「…」

錬金術師「……なっ!?」ハッ!


女店員「なん…で……!」


銃士「…まさか!」


新人鉱夫「そ、そんな……!」

 
錬金術師「全員がパー、だと……!」

女店員「こ、こんな形のあいこだなんて…!」

銃士「ふふっ…簡単には、決めさせてくれないということか」

新人鉱夫「あわわわ…」ガクガク


錬金術師「…再戦だ。次で決着をつけるぞ!」

女店員「望むところっ…!」

銃士「こればかりは、負けられない…!」

新人鉱夫「ぼ、僕もたまには…!」


錬金術師「いくぞぉぉぉっ……!!」バッ…!


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです。有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日 錬金術師のお店 】


ガチャッ、ギィィッ……


女店員「おはよう~」

銃士「おはよう」

錬金術師「…おう」

新人鉱夫「おはようございます!」


錬金術師「…」ズーン


女店員「…はぁ。まだすねてるの?」

 
錬金術師「だって、卵の入れたおじやが…食べたかったんだ……」ガクッ

女店員「そんなこといったら、私だってラーメンが」

銃士「私だってうどんが」

新人鉱夫「…ひぃぃっ、ゴメンなさい!僕のただのご飯だけでゴメンなさいぃっ!」


錬金術師「…いや、アレは男たちの戦いだった。気にするな」サラァッ

銃士「あぁ、真剣勝負に二言はないさ…」

新人鉱夫「は、はいっ…!ありがとうございますっ…!」


女店員「どうしよう、凄く突っ込みたい」

 
錬金術師「…それより、だ。」

錬金術師「昨日の時点で、2月8日の納品分は終わっちまったし…」

錬金術師「今日は客が来ないと考えれば、またいつもの日常なわけで」


女店員「…じゃあ、今日は私と営業行こうっ」ニコッ


錬金術師「寝る」スクッ

トコトコトコ…


女店員「…ちょっと」グイッ

錬金術師「ぬがっ!」ズデンッ!

女店員「奥でゴロゴロして、ピーナツ食べるんだったら、一緒に営業行こうよ」

 
錬金術師「いてて…。昨日頑張って、今日は疲れてるんだからいいじゃねえか…」

女店員「う…」

錬金術師「ただでさえ体力消耗してるのに、更に歩くのは辛いぞ…」

女店員「うぅ…」


銃士「…」

銃士「…店長!これあげるよ!」ポイッ!


錬金術師「あん?」クルッ

ヒュウウッ…!

錬金術師「のわっ!?」パシッ!

錬金術師「危ねぇな…。なんじゃこりゃ……」

 
銃士「…アカノミの粉末。それで疲労はある程度、回復するだろう?」ニコッ

錬金術師「…」ピクピク

銃士「今日は私と新人鉱夫が留守番してるから、一緒に行ってきなよ!」

錬金術師「…マジでか」


銃士「ほら、今まで新人鉱夫と私の仕事には着いてきたけどさ、」

銃士「女店員が普段やってる事には着いてった事ないんだろう?」


錬金術師「…あー、確かに。」

錬金術師「前に鍛冶屋と契約した時は、営業回りじゃなくて普通の客としてだったもんな…」


銃士「だったら、最後の付き合いは女店員と…だろ?」ニコッ

 
錬金術師「…仕方ねぇな、そう言われたら行く他ないじゃないか」

銃士「うん、それでこそ店長だ!」

錬金術師「…頑張るオレって、かっこいい?」キリリッ

銃士「あぁ、かっこいいよ!」

錬金術師「なんだと…!ならやるしかねぇなぁ、今日は営業回りに行ってくるぜ!」

銃士「はは、その意気だよ」


女店員「銃士…」

銃士「二人で今日は行ってくるといいよ。店番は任せてくれ」

女店員「…いいの?」

銃士「うん」

女店員「…分かった。ありがとう」

銃士「いや、いいさ」フフッ

 
錬金術師「…俺は貸し借りされるモノじゃねーぞ!」


新人鉱夫(に、鈍い!ちょろいだけじゃなくて、鈍いです、店長さん!)


女店員「…じゃ、店長!少し早いけど、営業回りにいこっか?」

錬金術師「へいへい。んじゃ、店番頼んだぜ二人とも」

銃士「はいよ、まかされた!」

新人鉱夫「行ってらっしゃいです!」


錬金術師「…二日連続で働くとか、死んでしまいそうだ」

女店員「何言ってるんだか…」


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 町中 商店街通り 】


ワイワイ…ガヤカヤ……!


錬金術師「…んー、なんか朝から町中に来たのめちゃくちゃ久しぶりだ」

女店員「っていうか、店長のお父さんと鉱山の一件があってから来たの見た事ないよ」

錬金術師「そうだっけ?」

女店員「あの時は鉱山で落盤事故、その次は中央都市で先生に、その次は田舎町だったし。」

錬金術師「…地元なのに、全然顔出してないな俺」

女店員「やっぱり、営業回りして挨拶したほうがいいってことだよ♪」

錬金術師「んーむ……」

 
女店員「…っていうか、最初はお父さんとそこまで確執してなかった気がするんだけど」

錬金術師「そうだったか?」

女店員「うん。あの落盤事故の前まで、取引先用意してくれたとかも聞いてたし」

錬金術師「あー…」

女店員「…」


錬金術師「確かにそうだが、親父の場所が嫌になって出てきたのには変わりはない。」

錬金術師「元々、親父が俺をどうにかしたいのは知っていたし、」

錬金術師「それが、あの事件があって更に俺を追い込みやすくなり……」

錬金術師「親父は本気で、俺と対峙するようなっちまったって感じか」


女店員「あー…そっか」

 
錬金術師「…んで、まぁそれはいいや。」

錬金術師「とりあえず営業っつぅが、普段どうやってるか見せて貰おうか」


女店員「!」


錬金術師「商店街じゃ結構やってきてるみたいだし、慣れてるだろ?」

女店員「ま、まぁ…」

錬金術師「俺は俺で手伝うから、顔慣れしてる女店員が挨拶しつつ営業してくれ」

女店員「…初の営業回りに、手本として店長が全部やってみせてくれるんじゃないの?」

錬金術師「たまには、部下の働きも見てやらんとなぁ?」ニタァ

女店員「こ、こんな時ばかり店長らしいことを~…!」

 
錬金術師「えーっと…」キョロキョロ

錬金術師「…おっ」ピクッ

錬金術師「よし…それじゃ、」

錬金術師「ほら、そこのアクセサリー店とかも錬金道具や鉱石が売れるだろぉ?」チョイチョイ


女店員「…そこ、いつも行くけど取ってくれないんだよね」

錬金術師「今日は俺がいるし、まぁやってみろ」

女店員「…わかった」

錬金術師「お手並み拝見だ」


トコトコトコ…、ガチャッ!ギィィッ……


アクセ職人「いらっしゃいませー」

アクセ職人「……と、女店員さんか」

 
女店員「いつもお世話様です」ペコッ

アクセ職人「…悪いが、錬金道具はいらないよ」

女店員「話しを聞くだけでも、どうでしょうか…」

アクセ職人「いやいや、別にうち困ってないのでね」

女店員「製錬された素晴らしい鉱石の類を、お安く提供できますので…!」

アクセ職人「…うちはうちで、既に取引先がいるんで」

女店員「で、ですがうちの店長の製錬や道具は一級品で…」

アクセ職人「いいから帰ってくれ……」ハァ

女店員「で、でもですねっ……!」


アクセ職人「…はぁ」

アクセ職人「どーにもこーにも、アンタんところと契約する気なんか一切ないからな……」

 
女店員「で、でもっ…!」

アクセ職人「ほら、早く出口に回れ右……」

女店員「て、てんちょーっ…!」

アクセ職人「…ん、店長?」クルッ


錬金術師「…」


アクセ職人「あぁ、アンタが店長さんでしたか」

錬金術師「まぁ、一応」

アクセ職人「じゃあ、話は聞いててくれましたか。うちは取引する気ないんで…」

錬金術師「ふむ」

アクセ職人「この店員さんを連れて、早く帰ってください」

 
錬金術師「…ま、落ち着いてください。」

錬金術師「取引もですが、折角アクセサリーショップに来てるので…少しだけ見せてくださいな」

トコトコトコ…

アクセ職人「…ま、客としてならどうぞ」

錬金術師「有難うございます」ニコッ

アクセ職人「…」


錬金術師「…」

錬金術師「ふむ……。なるほど、イヤリングに指輪…この金属は……」ブツブツ


アクセ職人「…?」

  
錬金術師「…ここにある各種アクセに使われている金属類は、安物ばかり。」

錬金術師「恐らくそうだな、この指輪は原価200ゴールドの鉄クズを加工したものでしょう?」

…キラッ

錬金術師「それに6.000ゴールドの値段をつけるとは……」


アクセ職人「…目利きができるほうなんですね。ですが、鉄クズでも加工品とすれば売れますから。」

アクセ職人「アクセサリーや、職人の造形品はその加工技術の値段だと思ってますんで」


錬金術師「なるほど、確かに一理あります。」

錬金術師「ちなみに…、ここのアクセサリーはこの店で加工を?」


アクセ職人「別の業者から仕入れた製錬金属類を、裏で加工してますが?」

 
錬金術師「…」

錬金術師「…失礼ながらこのお店、潰れますよ」


アクセ職人「…何ですって?」


錬金術師「鉄クズにも種類はあり、その製錬度によって加工レベルにもつながってくる。」

錬金術師「この業者から仕入れているものは、最低ランクのもの…。」

錬金術師「恐らく、加工するときに砕けたり、傷物となり店に出せなくなったものがいくつかあるのでは?」

 
アクセ職人「…!」
 
錬金術師「…図星ですか?」

アクセ職人「…だから、どうしました」

 
錬金術師「…うちの商品なら、同じ鉄クズでも最高ランクの製錬を施したうえで、お渡ししますよ。」

錬金術師「加工時は柔らかく、仕上げは堅く、魔力も宿した一品で仕上げましょう。」


アクセ職人「…」


錬金術師「この店を見るに、失礼ながら月の売り上げは少ないでしょう。」

錬金術師「1つ200ゴールドとはいえ、このお店にとって失敗しやすい金属は痛手なのでは?」
 
 
アクセ職人「…っ」


錬金術師「業者も貴方を下に見て、適当なクズ鉄を渡してるんでしょう」

錬金術師「どうですか、うちと契約を交わせば、加工し甲斐のある商品をお届けします」

 
アクセ職人「…」

アクセ職人「…と、とにかく今はいらないの一言です。帰ってくれますか」


錬金術師「そうですか、残念です。」

錬金術師「では、お近づきの印に……」ゴソゴソ

錬金術師「これをどうぞ」スッ

…ギラッ!

アクセ職人「…これは?」


錬金術師「私が鉄クズを製錬して仕上げた、製錬鉄です。」

錬金術師「鉱石も地元にある場所から、うちの店員が採掘している純粋なものです」

 
女店員(ちょっ、いつの間に…)
 
 
アクセ職人「…はは、ふざけないでください。これは高級鉄ですよね」

アクセ職人「製錬したとはいえ、鉄クズだったものがここまで輝きや魔力を保持しているわけないでしょう」


錬金術師「…さぁて、どうですかね。」

錬金術師「ただ一言…、うちならばそれを1つ"300ゴールド"で卸しましょう」


アクセ職人「…は?」


錬金術師「…」ニタッ

錬金術師「さ、今日は出ようか女店員」


女店員「あ、は…はい…」

 
アクセ職人「ちょっ…!」

アクセ職人「これが300ゴールドって、アンタ……!」


錬金術師「では、"お待ちしております"」ニコッ

女店員「し、失礼します…」


ガチャッ…バタンッ……!

………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 町 中 】

トコトコ…

女店員「いつの間に、あんな鉄なんか懐に入れてたの?」

錬金術師「出かける前に、サンプルとして持ってきてたんだよ」

女店員「…全く、用意周到なんだから。でも、ウソついてよかったのかな」

錬金術師「何が?」

女店員「あれ、普通の鉄でしょ?」

錬金術師「…馬鹿いえ、鉄クズの精錬物だあれは。」

女店員「うそっ!」


錬金術師「まぁ、精錬しちまったものを鉄クズといっていいのかは分からんが…」

錬金術師「そもそも、鉄クズっつーのは製錬や加工する段階で出た欠片や端の部分のこと。」

錬金術師「うちにある鉱石も、そういったもんは出やすいからな」

 
女店員「じゃあ、本当に売れないものを売れるようにして取引しようとしてたんだ…」

錬金術師「うむ。あそこは近いうち、俺の店と取引するようになるぞ」ハハハ

女店員「うんっ。あそこまでいいサンプル見せられたら取引しちゃうよね」


錬金術師「いや、違う。俺らが行ったのはベストタイミングだっつーことさ。」

錬金術師「あそこの今の取引先も長くはもたないだろうし、うちと取引せざるを得なくなるやもしれん」ククク


女店員「ど、どういうこと?」

 
錬金術師「あそこへお前を営業させてみせたのは、適当にじゃないんだ。」

錬金術師「店の前にあったゴミ箱に、鉄クズや金属片が落ちていたのを見つけたからな」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

錬金術師「えーっと…」キョロキョロ

錬金術師「…おっ」ピクッ

錬金術師「よし…それじゃ、」

錬金術師「ほら、そこのアクセサリー店とかも錬金道具や鉱石が売れるだろぉ?」チョイチョイ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女店員「…!」


錬金術師「そのほとんどが見た限り、末期的な金属ばかりだった…。」

錬金術師「だが、その中にも精一杯の製錬したものがいくつかはあった。」

錬金術師「恐らく、今の取引業者は良い鉄クズを用意しないんじゃなくて…出来ないんだろう」

 
女店員「お店の入る前の一瞬で、観察してたんだ…」
 
錬金術師「俺の腕にかかれば、最高の製錬鉄クズを用意してやるさ」

女店員「…す、凄い観察力だね」

錬金術師「はっはっは、褒めろォ!」


女店員「うん、さすが店長だよ!」

女店員「…じゃ、次のお店いこっか」ニコッ


錬金術師「嫌だ帰る」キリッ

女店員「…」

錬金術師「…」

女店員「…」

 
錬金術師「……戻って、休もう?」キュンッ

女店員「…」

錬金術師「…」

女店員「優しく言っても、ダーメ」ニコッ

錬金術師「…」

女店員「ほら、次のお店、お店にどんどん行くよっ!」

ズリッ、ズリズリズリッ……!!


錬金術師「う、うおおおぉっ!引きずるなぁぁぁっ!!」


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 夕方 】


ガチャッ、ギィィッ……


錬金術師「ただいまー…」

女店員「ただいまっ!」


銃士「おかえり」

新人鉱夫「おかえりなさい!」

 
錬金術師「疲れたー…。ダウン……」

…ドサッ!


銃士「はは、いきなり倒れるほど頑張ったのか?」

女店員「うん。一応ね、契約が結べそうなのが1件見つけられたの」

銃士「へぇ、凄いじゃないか!」

女店員「でも、そのあとはズリズリとのんびりいっただけっていうか…」

銃士「店長が一緒に営業に回ったことのほうが大事だと思えばいいだろう」ハハハ

女店員「うん、そうする」


新人鉱夫「お、お疲れ様です店長さん!」

錬金術師「おーう…」

 
女店員「…でも、ショック」


銃士「どうした?」


女店員「私が今まで頑張ってたのに、契約の一つもとれなかったのに…。」

女店員「店長ってば、こんな簡単に……」


銃士「あぁ、それは店長が凄すぎ……」


錬金術師「……それは、俺のせいだ」


銃士「!」

女店員「!」

新人鉱夫「!」

 
錬金術師「お前に技術の一つも教えなかったのは俺だ。」

錬金術師「契約をとれないのは当然だ、ノウハウも何も教えてないんだからな」

錬金術師「はぁ~…。この2日で、お前らがどんな面倒なことやってるか、改めて身に染みたわ……」ハァ


女店員「店長…」

銃士「店長……」


錬金術師(…出来て当たり前だと思ってた世界だったんだがな)

錬金術師(中央商人サンは、俺に初心に戻れ、現場を知れ…そう言いたかったんだろう)

錬金術師(はぁ~、クッソ疲れたが…久々の経験だった……。)

錬金術師(だが、ハンティングの次の日にすぐ動いたせいで、身体が持たん…)

錬金術師(明日は少しばかり、休ませてもらうかー……)

 
…………

……



……ビ……キッ……!!!……



……

…………

 
錬金術師「…へっ」

ビキッ、ビキビキビキッ!!!


錬金術師「ぐっ…!?」

錬金術師「ぬごぉぉぉぉああああっ!?!?」ビキビキィッ!!!!


女店員「て、店長っ!?」

銃士「どうしたんだ!?」

新人鉱夫「どうしましたぁっ!?」


錬金術師「や、やべぇぇっ!?」ズキズキズキッ!!

錬金術師「こ、腰に来…た……!ぜ、全身に筋肉痛…がぁっ!!!」

 
女店員「え、えぇっ!?」

銃士「このタイミングでか!」

新人鉱夫「た、たてますか!?」


錬金術師「い、いかん……!」ピクピク

錬金術師「まずい…!ち、ちょっとお前ら、頼みが…!」


女店員「な、何っ!?」


錬金術師「お前ら、ちょっとアカノミと錬成用の道具、裏から持って来い…」ガクッ


女店員「…う、うんっ!」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


グツグツッ……


錬金術師「配分は、純粋魔力の宿った水が1、種の抜いたアカノミを2で……」

錬金術師「魔石を削り身を0.2gいれる……。」

錬金術師「あとは、1分半ぴったり沸騰させ…それを空気に出来るだけ触れないように瓶詰……だ……」

錬金術師「そうすりゃ、特製アカノミのドリンクの出来上がり……。」


銃士「ほぉぉ…」

女店員「こ、こう?」

グツグツッ、トプトプッ……

新人鉱夫「む、難しいです……」

 
錬金術師「た、頼むぞ…!」

錬金術師「筋肉痛が、今のタイミングでくる…とは……っ!!がはっ!」ビキビキッ!


女店員「…普段から運動もしろってことだね」

…ツンツン

錬金術師「…っ!?」ピキッ

錬金術師「ぬげぇぇぇっ!!!」


ゴロゴロッ、ズキズキズキッ!!!


錬金術師「ぐああっ、動くと痛みがぁぁぁっ!!!」


ゴロゴロッ……ゴチィンッ!!

錬金術師「ごふぉっ!」

錬金術師「」プシュー

 
女店員「あっ、壁に……」

銃士「あら…」

新人鉱夫「本当に酷そうですね…」

女店員「ご、ごめん店長…」


錬金術師「」ピクピク


銃士「…」

銃士「…全く、薬で治るとはいえ、筋肉痛や疲労には即効性もあるまい」スクッ

トコトコトコ……


女店員「銃士…?」

 
銃士「…失礼するぞ。一回うつ伏せになれ」

…グイッ!!

錬金術師「ぬおっ!?」


銃士「腰から、背中にかけての痛みか?」

銃士「脚…、ふくらはぎはどうだ」


錬金術師「いてぇよぉ……」グスグス


銃士「はは…」

銃士「…」

銃士「……いよっと」パァァッ

 
新人鉱夫「あっ、銃士さんの手が……」

女店員「光ってる…。魔法……?」


錬金術師「ななな、なんだ!?何をするつもりだっ!?」

銃士「まぁ、簡易な荒療治さ。魔力を打ち込むマッサージだよ」パァァ

錬金術師「おい、それ言葉になってねぇぞ」

銃士「よぉし、まずは……」ギラッ!!

錬金術師「ひえ…!?」


銃士「こしぃぃぃぃぃっ!!!」ビュッ!!!

………


…ズドォォォンッ!!ゴキッ、メキメキッ…!!!


………

 
錬金術師「のぉぉぉああああっ!?」メキャメキャッ!!

銃士「次…!ふと…ももぉぉぉぉっ!!!」パァァッ!!

……ドゴォォォンッ!!ボキボキィッ!!!…

錬金術師「…ッ!!!」

銃士「次ぃぃ……っ!!!」ギラァッ!!

…ズドォォォンッ!!!…


新人鉱夫「ひ、ひぃぃぃっ!!」

女店員「店長…安らかに……」



銃士「さぁ…!もう1周……!」パァァッ!

錬金術師「堪忍して…」シクシク

 
……ドゴォォォォンッ!!……

…………

………

本日はここまでです。有難うございます。

皆さま有難うございます。
以前にも記載させていただいておりましたが、
今週より忙しさのため2日更新ではなく3日以降の更新の頻度も多くなってしまっておりますので…。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

それでは、投下致します。

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数十分後 】


錬金術師「」プシュー


銃士「ふぅ、完璧完璧っ♪」

錬金術師「ぐぐっ…!」ムクッ

銃士「どう、少しは楽になったんじゃない?」


錬金術師「ん~…」コキコキ

錬金術師「…」

錬金術師「お、身体が軽くなった…!」

 
銃士「応急処置っていうか、一時的に楽にしただけだから…」

銃士「さっき造ったアカノミのポーションと併せて飲んで、体調を整えたほうがいいかもね」


錬金術師「お、おう…」

錬金術師「マジか、さっきまで激痛だったのにここまで軽くなるのか…」


銃士「冒険者は身体が資本!」

銃士「どんな状況でも動かせる施術が出来るよう、それなりの技術はあるんだよ」


錬金術師「ははぁ…」


女店員「へぇ~…。でもこれで、店長はまた明日から働けるんだ…♪」

 
錬金術師「…」

錬金術師「う、うぐっ!また身体が…!」フラフラ


女店員「私が施術してあげよっか♪」

錬金術師「あぁ、治ったわ」スッキリ

女店員「じゃあ働くってことね」

錬金術師「ぐぬ…!」


銃士「はは、女店員が一歩上手だったな」

新人鉱夫「さすが女店員さんです!」

 
錬金術師「…とりあえずまぁ、店番やらはやるけどよ。」

錬金術師「仕事に付き合う契約は1週間に1度だし、納品は2月9日の月曜日で時間もある。」

錬金術師「あとはのんびりやればいいだろ」


女店員「うーん…」


錬金術師「どうせ来週以降になれば、また銃士のハンティングに付き合うし…」

錬金術師「身体が持たん。のんびりやらせてくれ」


女店員「確かに、店長の体力の無さが折り紙付ってのは分かったし…」ハァ

女店員「仕方ないなぁ…」


錬金術師「うっへっへ、じゃあゆっくりしてますよっと」

 
銃士「まぁしばらくはハンティングもカルキノス狩りだし、慣れたら大変でもないと思うよ」

新人鉱夫「そうですね、銀は安定しているのでお任せください」
 
女店員「それに、あのアクセショップの契約の人が来てくれれば店長の仕事も増えるし」

錬金術師「軌道に乗って、仕事増えてきたな!やだなぁ…」


銃士「」

新人鉱夫「」

女店員「」


錬金術師「……今から契約破棄できないかな」ハッハッハ

女店員「…」プルプル 
 
錬金術師「…ダメですね、はい!頑張ります!」

女店員「よろ…しぃ…」ニコォッ

  
銃士(おぉ、耐えた……)

新人鉱夫(ゴチィンと無いのが、少しさみしい気もしますけど!)


錬金術師「…ま、あとは来週の納品と…それ以降も安定させて考えよう」

女店員「そうだね」

錬金術師「…さぁてと、あとは客が来るのを…のんびり待つか」

女店員「…」

錬金術師「よし、女店員。落ち着いたところでアレを」

女店員「はいはい…。お茶ね…全く、言動は一人前に店長らしいんだから」クルッ

タッタッタッタッ……

 
銃士(…ツーカーか。)

銃士(アレで通じるんだから、大したもんだ……)

銃士(私も、店長とハンティングしてるうちにそうなるのかなー…)ジー


錬金術師「…」

錬金術師「…ん?やっぱり俺の顔になんかついてるのか?」


銃士「あっ…!ご、ごめ、ちょっと考え事をね!」アハハ…!


錬金術師「…そうか。考え事なぁ」


銃士「…ま、まぁね!」

銃士(ま、前に見過ぎないと注意したばっかりで…!)

 
錬金術師「…」

錬金術師「…そうだな、部下の悩みの相談を聞くのも俺の仕事か?」スクッ

…グイッ

銃士「ひえっ!?」

銃士(ち、近っ…!?!?)


錬金術師「仕事の悩みなら聞くが、どうだ?」

錬金術師「最近なんか悩んでそうだが、話せることなら聞くぞ?」


銃士「ち、ちょっ…!」

銃士「その、悩みって、あの……っ!?」グルグルグル

 
新人鉱夫(…きっと、店長さんのことで悩んでるのに、罪な人です!)

新人鉱夫(っていうか、店長さんが寄り過ぎてココから見るとキ、キスしてるみたいでー……)


…ガシャアンッ!!

新人鉱夫「え…」チラッ


錬金術師「へ?」クルッ

銃士「ん…っ?」


女店員「…っ!?」

女店員「…」プルプル


新人鉱夫「あ…。そこから見たら……」

 
錬金術師「…お、おい!お茶こぼして…ど、どうした!?」

銃士「女店員、大丈夫!?」

新人鉱夫「た、多分…落とした理由は……」


女店員「な…っ!」

女店員「ななな、なんで…!?」

女店員「なんで、店長と銃士がキスし…てる…のっ!?」


錬金術師「え゛っ」

銃士「え゛っ」

新人鉱夫「ち、違います女店員さん!それは誤解です!」

 
女店員「…ち、ちょっと外行ってくるっ……!」ダッ!

タタタタッ、ガチャッ!バタンッ!!


錬金術師「ちょっ、何を誤解…!」ダッ!

……ビキッ!!

錬金術師「のぉぉぉっ!?」フラッ

銃士「えっ…」

…ドサアッ!!


銃士「ちょっ、店長!?」

錬金術師「こ、腰がまだ完全に治ってなかっ…!いぎぃっ!」グネグネ…!

 
銃士「ちょっ…!?」ピクッ!

銃士「て、店長そこ…!わ、私の胸に顔…!」

銃士「そ、そんな身体を擦りつけないでくれ~…っ!!」カァァッ!


錬金術師「あががががっ…!」ビキビキッ!


新人鉱夫(うわぁぁ~…!)カァァ


錬金術師「し、死ぬ…ッ!!」

錬金術師「くっそぉぉぉ!明日から絶対、休みをもらうからなーっ!!」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
その後、新人鉱夫が女店員に追いつき、事情を説明。

店へと連れ戻したが、目の前には店長に押し倒され、ただ高揚している銃士の姿が。


その光景に、久々の怒りの鉄槌が落ちたことは、

次の日からの店長の休日に拍車をかけることとなってしまった。


そして、1週間の時間が流れ…2月9日……

 
2月9日 月曜日(素材納品の日)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店 】

 
錬金術師「…まだ、お前の鉄拳のタンコブの腫れが引かないんだが」ズキズキ

女店員「…当たり前だもん」プイッ

錬金術師「あの時は仕方ないだろうに…」

女店員「ふんっ」ツーン

錬金術師「機嫌直せよ…」

女店員「だって…」


銃士(…す、すまん二人とも。私のせいだ…。)

銃士(すぐにどければよかったのに、ちょっと…な……)カァ

 
新人鉱夫(…)

新人鉱夫(…!)ピーン
 
新人鉱夫(銃士さん、もしかして店長さんと女店員さんの絡みが羨ましかったのかもしれないですね)

新人鉱夫(確かに、銃士さんにああいう感じでちょっと…え、えっちな…ことするの珍しいですからね)クスッ


銃士「…」ハァ


錬金術師「悪かったって~…」

女店員「ふーんだ」プイッ

錬金術師「今度、願い一つ聞いてやるから機嫌直せって!」

女店員「…え?」

 
錬金術師「お…」

錬金術師「そうだ、仕事でも営業回りもまた付き合ってやるから!」


女店員「うー…」

錬金術師「だからいいだろ?な?」

女店員「…じゃあ、いいかなぁ」

錬金術師「はぁ…。」

女店員「じゃ、次の営業もきちんとついてきてよねっ!」

錬金術師「分かりましたよ!」

女店員「…それなら、許す」

錬金術師「はいはい…」ハァ

 
銃士(…っ)ゴォォ


新人鉱夫(……お、オーラが!?)

新人鉱夫(さ、最近…銃士さんてばどうしたんでしょうか。)

新人鉱夫(なんか妙に、銃士さんが店長さんに積極的になってる気もしますけど…)

新人鉱夫(何かあったんでしょうか…)


銃士(…やはり、あの風呂の一件があってから、妙に意識するようになってしまった)

銃士(むぅ…)カァ

銃士(勢いで、あの時に女店員に店長のことが好きかもしれないと言ったが…)

銃士(し、嫉妬的な気持ちはこういうものなのだろうか…)ゴォォ!

銃士(私とて、それならここは……)スクッ

 
トコトコ…

銃士「…そ、そうだなぁ店長」

錬金術師「あん?」


銃士「ハンティングに行く時の準備をしたいんだが…」

銃士「今度、店長の装備や私の装備のために買い物とか…付き合ったりしてくれないか?」ドキドキ


錬金術師「あぁ…」

錬金術師「そうだな、あれは店の備品としても用意していいし…一緒に行くか?」


銃士「…そ、そうか。ありがとう!」パァッ

錬金術師「おうよ」

 
新人鉱夫(…おぉぉ、銃士さんが攻めました!)

新人鉱夫(ってことは、女店員さんは…)チラッ


女店員「…」ゴォォォッ!!


新人鉱夫(…ほ、炎が見えます!ひえええっ!!)


女店員「…」

女店員「…っ」

トコトコ…… 
 
女店員「…て、てんちょ~♪」


錬金術師「なんすか」

 
女店員「今度さぁ、最近頑張ってる店長に美味しい料理とか作ってあげたいな~…とか思うんだけど…」

女店員「一緒に買い物とか行って、食べたいの選んでよ…♪」


錬金術師「それは経費で出せないぞ…」

女店員「私からのプレゼントだから!ショッピングしにいこうよ♪」

錬金術師「お、そうか。いいぜ、行こうか」

女店員「うんっ!」


新人鉱夫(…っ!)

新人鉱夫(……)チラッ


銃士「…」ゴゴゴゴゴ


新人鉱夫「」

 
ゴォォォッ……!!


錬金術師「…」

女店員「…」ゴォォ

銃士「…」ゴォォ

新人鉱夫「…」


シーン…


錬金術師「…」

女店員「…」ゴゴゴ

銃士「…」ゴゴゴ

新人鉱夫「…」


…シーン…

 
新人鉱夫(…し、修羅場です!)ガクガク!

新人鉱夫(急に訪れた部屋の静けさといい…)

新人鉱夫(どどど、どうしてこんなに重い空気なんでしょうか!)ブルブル!


錬金術師「…なんか、静かになったな。どうした?」キョトン


女店員「っ…」

銃士「…っ」


新人鉱夫(…さ、さすが店長さんっ~~!!)

新人鉱夫(この空気、更に凍りつかせますね…!)

新人鉱夫(でも、僕はこの空気ダメかもしれないです…)

新人鉱夫(だ、誰か来てください……!耐えられません~…っ!)

 
……コンコン!


新人鉱夫「ッ!?」ビクゥッ!!


錬金術師「ん…」

女店員「誰か…来た?」

銃士「お客か?」


新人鉱夫(ななな、ナイスタイミングすぎます!!)

新人鉱夫(良かったです、これで少しは落ち着ける…)ホッ


新人鉱夫「…ぼ、僕が出ますよ!」ダッ

タタタタッ…

新人鉱夫「はい、どうぞ~……」

ガチャッ、ギィィッ……

 
術士先生「…あ、いましたねっ!よかった~♪」フリフリ


新人鉱夫「」


女店員「ッ!?」ビキッ…

銃士「…ッ!」ビキビキッ…


錬金術師「お、術士先生ー……」


新人鉱夫「…ッ!!」

新人鉱夫「だ、ダメです~~~っ!!」バッ!!!

ギィッ!!!バタァンッ!!!

 
錬金術師「へっ…」

錬金術師「し、新人鉱夫っ!どうしてドアを閉めたんだ!?」


新人鉱夫「ぐすっ…!て、店長さん~……!」フルフル


錬金術師「そ、そんなに泣きそうになって首を全力で横に振る程か…?」

錬金術師「お前、あの人が苦手だったっけか…?」


新人鉱夫「ち、違うんです~…!」グスッ


錬金術師「仕方ねぇな、俺が出てやるよ…」スクッ

トコトコトコ…ガチャッ!

 
術士先生「あっ…店長さん♪」

錬金術師「おう、すまんな急にドアしめて。ちょっと間違ったみたいだ」

術士先生「そうでしたか、ビックリしましたよ~…」

錬金術師「はは、悪いな。それで…何か用か?」


銃士「…」ゴゴゴ

女店員「…」ゴゴゴ


新人鉱夫(もうダメです。大陸戦争が開戦します。僕は死にます。)

 
術士先生「えっと、ちょっとこっちの町まで用事があって来たんですけど…」

術士先生「町の中で、店長さんの家を探している商人さんがいたので…案内したんです」


錬金術師「商人?」


…ヌッ

商人(運び屋)「…ちわっす。中央商人さんの契約の件で来ました」ペコッ


錬金術師「…あぁっ!!」

錬金術師「ようやく来たか、納品の件だろ?」


運び屋「…町中だと思っていたので、道に迷ってしまって…。」

運び屋「遅れてすいませんでした」

 
術士先生「そういうことですので…。」

術士先生「私は、白学士くんと錬成師くんの授業があるのでもう行かなくちゃ…」ハァ

術士先生「ゆっくりお話ししたかったんですけど…」


錬金術師「んだなぁ…。今度、そっちにも行くし…そん時にでもゆっくり錬金術について話しでもしようぜ」

術士先生「あ、是非っ♪」

錬金術師「わざわざありがとな」

術士先生「いえいえ!それでは~♪」クルッ

ザッザッザッザッ……

………



運び屋「道案内、ありがとうございました~!」

運び屋「…きれいな方でしたね。っと、店長さん、本当に遅れて申し訳なかったです」ペコッ

 
錬金術師「まぁ無事に着いたみたいだし、気にしないでくれ。」

錬金術師「とりあえず、裏の倉庫から契約分の素材を持ってくるから待っててくれるか」


運び屋「ういっす!」
 

銃士「…そうか、ただの道案内か」ホッ

女店員「術士先生ってば神出鬼没で、ビックリしちゃうなぁ」アハハ…

銃士「はは、全くだな」

女店員「ね~」クスッ

銃士&女店員「あははっ…!」


新人鉱夫(…大陸戦争は起こりませんでした。僕は、明日も生きられます…)キラキラ


…………
……

本日の投下はここまでです。有難うございました。

皆さま多くのお言葉、本当に有難うございます。
それでは、投下致します。

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 10分後 】


……ボスンッ!

錬金術師「ふぅ!これで、銀鉱石は10kg分。」

錬金術師「あとはカルキノスの甲羅も合わせて、計20kg…だ」

錬金術師「これでいいか?」


運び屋「ういっす。20kg分あれば、それだけで支払うように言われていますので…」ゴソゴソ

運び屋「今週の料金、30万ゴールドになります」スッ


錬金術師「…へいどーも。マジで商品の監査とかねぇのかよ。」パシッ

錬金術師「つまりなんだ、ゴミで20kg集めても金渡すっつーことか…」


運び屋「そうですねぇ、自分はそういう目利きもできませんし。」

運び屋「信用されてるんじゃないでしょうか?」

 
錬金術師「…」

錬金術師「…そうか。ま、ご苦労だったな」


運び屋「ういっす!」

運び屋「それじゃ、来週16日の月曜日に改めて来ますんで…」ペコッ


錬金術師「ういっす、またよろしくー」フリフリ


運び屋「失礼しまっす」クルッ

タッタッタッタッ……

 
女店員「…本当に、あんな簡単なやり取りで30万なの?」

錬金術師「…みたいだな」

女店員「確かに口頭じゃそんな感じで言ってたけど…本当だったなんて」

錬金術師「…良くも悪くも、信頼されてるのか。」

女店員「悪くも?」


錬金術師「…これで俺の力量っつーか、色々測ってるんだろ。」

錬金術師「今回渡したのは一級品だし、文句も言われないと思うが……」


女店員「あぁ、なるほど…」

女店員「まぁとりあえず、最初の取引はクリアだし…良かった」ホッ

 
錬金術師「来週の分も、明日から回収に走らないといけねぇなぁ」

錬金術師「またハンティングやって、営業参加して……うへぇ」


銃士「…とりあえず、それは安定したパイプなんだろう?」

銃士「もっと大きい仕事とって、親父さんを見返すことが最終目標なんだし…これからどうするんだ?」


錬金術師「月の売り上げは所詮120万。」

錬金術師「諸々差し引いて、残るのは30万前後くらいか?」

錬金術師「1ヶ月辺り平均30万の純利益か。」

錬金術師「…月30万の資金で、何しろっつーんだろうな」


銃士「さ、さぁ…。そこを考えるのも店長の仕事では……」

 
錬金術師「…とりあえず、最初の1ヶ月だけはコレで過ごす。」

錬金術師「その頃には、それぞれが今の姿勢に慣れてるだろうし時間にも余裕が出来るハズだ」

錬金術師「そしたら、その時に新しい何かに着手できるようにしよう」


女店員「新しい何かか…。」

女店員「…うちって接客ありきのお店のはずなのに、外の契約メインばっかだよね」アハハ…


錬金術師「客が来ねぇんだ、仕方茄子」

女店員「…あとはうちにお客さんがそれなりに来るようになれば、利益も大きく上がる気がするんだけど」

錬金術師「まぁ、来られて忙しくなるよりはマシじゃないか」ハッハッハ

女店員「…」

 
銃士「…本当にたまにだが、客っていう客は来るだろう?」

銃士「私だって、最初は客だったわけだし…」


錬金術師「…そうなんだよな。」

錬金術師「俺の母さんのやってる錬金術師の店とか、俺より田舎の山の中のくせに、」

錬金術師「客は多いし、大手契約の相手も多いわけで…」

錬金術師「中央都市の大手ギルドと専属契約も結んでたとかなんだとか」


銃士「…母親の店と、ココで何か違いはあったりするのか?」

錬金術師「俺の場所より田舎…」

銃士「…」

 
錬金術師「…とまぁ、冗談はさておき。」

錬金術師「母さんは、行商人のように歩いてサンプル配ってたとか聞いたことはあるな」

錬金術師「実物を渡し、それに気に入られて専属契約。」

錬金術師「やがて、それが有名になって客も来るようになった…とか」


女店員「この間の私たちみたいなことやってたんだ」

錬金術師「そうそう。俺が鉄クズを製錬したやつを渡した時みたいな感じだ」

女店員「じゃあ、そういう営業方法でやってみたら?」

錬金術師「えー…」

女店員「…やってみたら?」

錬金術師「えぇ…」

女店員「えぇ…」

 
銃士「…」

銃士「…ふぅ。」

銃士「はは、ストップストップ。それじゃ押し問答だよ」ズイッ


女店員「あうっ…」

錬金術師「ぬおっ…」


銃士「店長、歩いて営業するもの含めて面倒なんだろう?」

錬金術師「面倒…。んーむ、まぁ…」

銃士「だったら、本質の…錬金道具を造ってくれるかな?」

錬金術師「ん?」

 
銃士「店長の仕事は、営業もだけどやっぱり本質"錬金術"にあるわけだ。」

銃士「それを、足で歩いて売りさばくのは本来、私らの仕事。」
 
銃士「私は知り合いの冒険者に、女店員は町中に、新人鉱夫は鉱山の関係者に…」

銃士「それぞれ、取引相手というかサンプル配る相手はいるわけだし、」

銃士「店長が造ったものを、私らが裁くっていうのはどうだろうか?」


女店員「あ…、う、うんっ!私はそう言いたかったの!」

銃士「だったら、言葉が足りないな」クスッ

…コツンッ

女店員「あうっ…」

 
錬金術師「あぁ、それならいいかもな……」

銃士「…全く、店長も店長だけどね」

錬金術師「あん?」


銃士「面倒だっていうだけじゃなくて…私たちにもっとアレしてコレして、面倒なことを任せていいんだよ。」

銃士「普段の放任主義もいいけど、店長だけじゃなくて私らをもっと頼ってくれた方が仕事のし甲斐もあるしね♪」


錬金術師「…」

錬金術師「いや、なぁ…。俺が面倒だって思うことは、きっと誰でも面倒だと思っちまってなぁ」

錬金術師「そう仕事のし甲斐って言われると…、任せやすくもなるな…。」


銃士「ふふっ。じゃ、それで決まりかな?」

 
錬金術師「あぁ、分かったよ。2月16日、次回の納品以降に色々造ってみっか…」ポリポリ

銃士「うん、ヨロシク」ニコッ


錬金術師「取引相手も考えて、設計図から練るか…。」

錬金術師「うーむ、ちょっと裏に行ってくる……」ブツブツ


新人鉱夫「それじゃ、僕は考えるためにお茶でも淹れてきます♪」

錬金術師「おう、ありがとさん」

トコトコトコ……

 
女店員「…っ」

銃士「…」

女店員「…じ、銃士」

銃士「ん?」

 
女店員「その…。ありがとう……」

銃士「ん、何が?」

女店員「…色々、サポートしてくれて」
 
銃士「はは、サポートにも入らないよ」

女店員「…」

銃士「……あぁ、それとさ」

女店員「うん?」


銃士「店長ってば、多分だけど営業自体が嫌だとか…面倒だとかなんかじゃないんだよ」

女店員「え?」

 
銃士「店長ってば、何気に道具の準備やら手入れ、製錬なんかは度々してるだろう?」

銃士「基本的に店長が行う錬金術は全て魔力絡みが多くて、魔力石はもちろん…店長自身の魔力も使ってることも多いんだ」


女店員「あ、うん…」


銃士「魔力の消費は、身体へ影響を及ぼしやすい。」

銃士「普段、無気力に見えるけどアレは恐らく…魔力消費からくる極度の疲労なんじゃないかな」


女店員「…!」

銃士「ほら、この間の筋肉痛も。普通、あそこまで急に倒れるほど激痛が来るわけないと思わない?」
 
女店員「う、うんっ…」

銃士「アレは恐らく、私との準備にも魔力を扱う製錬か何かをしたりして、身体に影響があったんじゃないかなぁ」

女店員「……あっ!」

 
………


錬金術師「…クズ鉄の製錬鉄だ!」
 

………


女店員(…元々体力のない店長が、銃士との準備とハンティングで魔力と体力を削って…)

女店員(次の日に、私と無理して製錬鉄を準備して、歩いたから倒れたんだ……)


銃士「…」

銃士「……店長は、無気力でやる気がない人かもしれないけど。」

銃士「それ以上に、やる時はやる。」

銃士「準備だって怠らないから、こういった事が起こっちゃったんだよ」

 
女店員「そ、そうだったんだ……」

女店員「そう…だったんだっ…」

女店員「……っ」ブルッ


銃士「…まぁ、店長も店長だけどね。今の経営スタイルでいくなら体力もつけてもらわないとー……」

女店員「…っ」グスッ

銃士「!」

女店員「ひぐっ…」ポロポロ

銃士「お、女店員っ!?」

女店員「あうっ…。わ、私って…情けないよね……」グスッ

銃士「そ、そんなに私の言葉…キツかったか…!?ご、ごめん!」

 
女店員「う、うぅん…。違うの……っ」ヒグッ

女店員「ずっと一緒にいた私が、そんなことにも気付けないなんて…とか……っ」グシュッ

女店員「偉そうなこと言ってたのに、なんか…もう……」グスッ


銃士「あ、あぁっ!ゴメン泣かせるつもりじゃなかったんだ……!」

銃士「は、ハンカチ…!」ゴソゴソ


……スッ

錬金術師「表に戻ってこれば、何泣いてるんだオメーは。ほれ、ハンカチ」
 


銃士「あっ…!」

女店員「て、てんちょ……!」

 
錬金術師「…理由は聞かないが、喧嘩か?」

銃士「あ、いや…その……」

女店員「ち、違うよっ!私がちょっと、転んで痛かったから……」


錬金術師「…なんだと、大丈夫か?」

女店員「う、うん…」

錬金術師「頭打ったりしてねーだろうな」

女店員「だ、大丈夫!」

錬金術師「んじゃいいんだけどよ」

女店員「…っ」

  
錬金術師「…ほんじゃ、銃士に用事があったんだよ」

銃士「な、何かな?」

錬金術師「今の冒険者とかハンターって、何を求めてるんだ?」

銃士「何をって…?」


錬金術師「冒険者たちが共通して求める、錬金関係のアイテムはあるかなってことだ」

錬金術師「その辺が疎いから、現役の銃士に聞いてから設計図を組み立てようと思ってな」


銃士「あぁ…」


錬金術師「地元の商店街は、とりあえずあのアクセショップの人が来るまで保留。」

錬金術師「新人鉱夫の面子には、採掘機のパワーアップユニットでも造れば何とかなるだろうし」

錬金術師「…ところが、冒険者やハンターは何を欲しがってるかよく分からんのよ」ウーム

 
銃士「…なるほど。冒険者やハンターが錬金術に望むもの、か」

錬金術師「制作は来週以降になるだろうが、それまでにある程度の設計…構想を練っておきたくてな」

銃士「はは、エンジニアらしい言葉だな」

錬金術師「お、頭良く見える?」

銃士「あぁ、凄く見える。見えるだけかもな」アハハ

錬金術師「うおい」


銃士「ははは、ゴメンゴメン。冗談はさておき、私らが錬金術に望むモノという質問は…少し難しいな」

錬金術師「そうか?」


銃士「武器や防具、戦闘方法、生活スタイルとかによって色々異なるからなぁ…。」

銃士「少なくとも"コレがあればイイ!"というアイテムは基本的に存在しないんじゃないか」

 
錬金術師「…だよな。俺もそう思って聞いたんだが…」

銃士「…ふむ」

錬金術師「どうすっかなー…」


銃士「…」

銃士「……あぁ、それなら…店長」


錬金術師「あん?」

銃士「ハンティング予定を少し遅くして、今週の週末前…2月14か15日辺りに移動してくれないか?」

錬金術師「む?」

銃士「それと、4日ほどの時間が欲しいんだけど…」

錬金術師「それは構わないが、どうしてだ?」

 
銃士「私の知っているギルドに顔を出して、取引出来ないものがないか聞いて来ようと思うんだ」

銃士「それで、それをまとめて店長に教えるよ」


錬金術師「…お、いいなソレ。頼めるか?」


銃士「もちろん。」

銃士「それで、倉庫にアカノミが余ってたよね。それをサンプル品として持っていきたいんだけどイイかな」


錬金術師「全然いいぜ。この間、お前らが造ってくれたのに手を加えて完成品にしといたから…」

錬金術師「それを持って行ってくれ」


銃士「了解。簡単な営業になっちゃうねコレじゃ」


錬金術師「はは、全くだ」

  
女店員「…」


銃士「じゃ、明日から少しの間…時間を貰うよ。」

錬金術師「うむ、気を付けてな」

銃士「うん」


女店員「じ、銃士…気を付けて行ってらっしゃい」

銃士「うんっ」


錬金術師「うっし、それじゃ俺は設計の構想にでも戻るわ」

錬金術師「何かあったら裏に来てくれ」


女店員「あ、うん…」

銃士「わかった」

 
錬金術師「どーすっかなー…」ブツブツ

トコトコトコトコ……

………



女店員「…」

銃士「…」


女店員「…ご、ごめんなさい。」

銃士「んっ?」

女店員「さっき、急に泣きだしちゃって…」

銃士「…いや、私のせいだと思って」

女店員「ち、違うよ!私が色々勝手に考えちゃっただけで…!」

 
銃士「…そういって貰えると有難いよ」ニコッ

女店員「うんっ…」


トコトコ…

新人鉱夫「…え、えっと」コソッ

新人鉱夫「銃士さんと女店員さんにもお茶を淹れたので、お菓子と一緒に置いておきますね」

…コトッ

新人鉱夫「それでは、店長さんのお手伝いでもして参ります~」クルッ

タッタッタッタッ……


銃士「…」

女店員「…」

 
銃士「…とりあえず」

女店員「一息…」

銃士&女店員「つこうか」「つきますか」


ホクホク………

…………

……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・
・・・
・・

本日はここまでです。有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
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――――【 次の日 早朝 】


…ザッ

銃士「それじゃ、行ってくるよ。」

銃士「もしかしたら少し遅くなるかもしれないけど、ハンティングもあるし…5日以内には戻ってくるから」


錬金術師「気を付けてな。あと、お土産についてなんだが。俺は中央都市名物の」

ズイッ!

女店員「気を付けてね。お土産とか気にしなくていいから」ニコッ

錬金術師「…だ、そうです」

新人鉱夫「いってらっしゃいです!」フリフリ


銃士「ははっ。行ってきます」クルッ

 
ザッザッザッザッ……


女店員「…」

女店員「……」

女店員「……もう、行っちゃった」


錬金術師「当たり前だろ。はぁ、面倒くせぇけど俺は構想に戻るか」

新人鉱夫「…じゃあ僕は、早めに鉱山に潜って銀鉱を採掘してきますよ」

錬金術師「あ、それならついでに金と純魔石とか、なんか余計に採って来てくれないか?」

新人鉱夫「ふぇ?」


錬金術師「素材を少しでも多く持っておいたほうがいいと思ってな。」

錬金術師「サンプルとして配るのに、ちょっと使いたい金属なんかもあるんだ」


新人鉱夫「あ、そういうことでしたか。はいっ、お任せくださいっ!」ビシッ

 
錬金術師「面倒だと思うけど頼んだぜ」

新人鉱夫「はいっ!」


女店員「…」

女店員「…」

女店員「……」ボー


錬金術師「…」

錬金術師「…おい、どうしたボーっとして」


女店員「…え?」

錬金術師「…いや、銃士行った方向ずーっと向いてるからよ」

女店員「あ、ううん…」

錬金術師「…?」

 
女店員(…)

女店員(…銃士ってば、考えたら久々にギルドや冒険者の仲間のもとへ戻るんだよね)

女店員(前に、東部ギルド長がうちに来て、戻っていいって言ってたこともあったし…。」

女店員(内心きっと、戻れるのは嬉しいだろうし、久々に空気に緊張感のある空気の場所に戻ったら……)

女店員(まさかとは思うけど……)


錬金術師「…」

錬金術師「……心配ねーだろ、たぶん」


女店員「!」


錬金術師「銃士にとっては余計な心配だって。」

 
女店員「…」

錬金術師「俺らは俺らで、やることやって待つの。オーケー?」

女店員「う、うんっ。そうだよね」

錬金術師「さぁて、お前もちょっと手伝ってくれるか。やってほしいことがあるんだ」

女店員「うん、任せて!」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
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・・・・・
・・・・
・・・
・・

 

………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 2日後 早朝 中央都市 】

ザワザワ…ガヤガヤ……!!


…スタッ

銃士「…」フゥ

銃士「久々の…中央都市か」


ワイワイ…!!

街人「それでさー」アハハ

街人「えー、本当~?」ハハハ

ガヤガヤ…!


銃士(…)

銃士(……何も変わらない。それは、そうか)フフ

 
…キョロキョロ

銃士(さて、まずはどうしたものか。)

銃士(とりあえず、中央東ギルドに挨拶へ行くべきか…。)

銃士(…この時間なら、ギルド長もいるはず。)

銃士(同期も多いし、今回の仕事の件について、話もできる。)

銃士(……ふふっ)

銃士(久しぶりだな、早朝からギルドへ顔を出す時のこの雰囲気…)

銃士(…よしっ。向かうか……)


タッタッタッタッタッ…………

…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央東ギルド 】

ガヤガヤ…!!!

チィンッ!

…ガキィンッ……!


銃士(…っ)

銃士(冒険者の服装、時たま聞こえる武器同士がかち合う音、この盛り上がり……。)

銃士(そうだ、私は確かに…ココにいたんだ……)

銃士(たかだか1年前程度なのに、この空気から長いこと離れていて……)

銃士(ふふ、久々だからか、凄く懐かしさよりも心地よさで一杯になる)

銃士(…だけど、中に入るのは少し緊張するかな)

銃士(嫌な緊張じゃなく、程よく…身体の芯が現場の空気を感じた時のー……)

 
???「…」

???「……えっ!」

???「……あ、あれっ!?銃士じゃないかっ!?」


銃士「む…」クルッ

 
???「…あっ!やっぱり銃士じゃないかよ!」


銃士「ん…」

銃士「…」

銃士「…あっ、あぁっ!!もしかして、火炎魔道か!?」


火炎魔道「…おいおい、もしかしてとか酷いじゃねえか!」

火炎魔道「元パーティだろうが!」

 
銃士「あはは、いやいや悪い!1年ぶりだと、どうしてもね」

火炎魔道「おうおうなんだよ、ギルドに戻ってくるのか!?」

銃士「いや、そういうわけじゃないんだ」

火炎魔道「…なんだ。じゃあ何の用なんだ?」

 
銃士「…今、私が働いているお店の営業回りってやつかな」

火炎魔道「あぁ、どっかの店に働いたんだっけか」

銃士「そういうことさ。」


火炎魔道「ふーん…」

火炎魔道「…」

火炎魔道「……つーかさ、お前」チラッ


銃士「ん?」

 
火炎魔道「…ギルドにいた頃より、雰囲気…明るくなってないか」

銃士「え、そうか?」

火炎魔道「…前は男に負けん気で、人を寄せ付けないオーラがあったぜ?」
 
銃士「あ~…。確かに、そうだったかもしれないな」ハハハ

火炎魔道「言葉もなんか少しばかり柔らかくなったし、それに……」チラチラ

銃士「まだ何か?」

火炎魔道「…髪の毛とか、前より伸ばして女性らしくなったっつーか、キレイになったっつーか」

銃士「む…」


火炎魔道「…も、元々お前のことは女っぽいなとか思ってたけど」

火炎魔道「ますます、キレイになった…よな?」チラチラ

 
銃士「…」

銃士「…ふふ、そうかな?」


火炎魔道「…へっ?」

銃士「あはは、ありがとっ。お世辞でもうれしいよ」

火炎魔道「…え、お前」


銃士「……あっ、あれは同期の!」ハッ

銃士「ごめん、火炎魔道。またあとで!」クルッ

タッタッタッタッタッ……


火炎魔道「あっ、おい…!」

 
ワイワイ…!
 
銃士「久しぶりじゃないか!」

同期「あ、銃士か…!」

ガヤガヤ…!!



火炎魔道「…」

火炎魔道「……銃士」ポツン


…ポンッ

火炎魔道「おわっ!?」ビクッ!

風剣士「うおっ、なんだ大声あげて。おはようさん、火炎魔道」

火炎魔道「あ、あぁ…風剣士か…」

 
風剣士「…んっ?」

風剣士「……おぉっ!」


……


ワイワイ…

銃士「あははっ…」

同期「それでよー……」

ザワザワ……


……

風剣士「…アレ、銃士のやつか!噂はマジだったんだなっ!?」

火炎魔道「噂?」

風剣士「今朝方、馬車から銃士が降りるのを見たっていうヤツがいてな」

火炎魔道「…そうなのか」

 
風剣士「おうよ、お前知らなかったのか?」

火炎魔道「あぁ、聞いてなかった…」

風剣士「…」

火炎魔道「…」


風剣士「…なんだ?」

風剣士「元、俺らの同じパーティだったつうに…久々に会えたのに嬉しそうじゃないな?」


火炎魔道「い、いや…。嬉しいけどよ……」

風剣士「…つまらなそうな顔して言われてもな。お前、銃士のこと好きだったんだろ?」

火炎魔道「ばっ!今いうことじゃねえだろ!」

風剣士「…いや、それなのに会えて嬉しそうな顔はしねえのかなーって」

 
火炎魔道「…」

火炎魔道「……変わったんだよ、アイツ」
 
 
風剣士「変わった?」

火炎魔道「…なんか、キレイになったし以前より女性らしくなってんだ」
 
風剣士「いいことじゃん」


火炎魔道「…」

火炎魔道「…さ、さっきさ。女性らしくなったなって褒めたんだよ。」

火炎魔道「そしたら、クスっとした笑顔で"ありがとう"なんて言いやがった…。」

火炎魔道「昔なら、馬鹿にするなとか…お世辞なんかも嬉しくないとか言ってたはずだろ…?」


風剣士「へぇ、銃士が女性らしいと褒められて、"有難う"…ねぇ……」

 
火炎魔道「…」

火炎魔道「…っ」

火炎魔道「……銃士が、あそこまで変わる理由ってさ、なんかあったのかね」


風剣士「…」

風剣士「そりゃお前、銃士がそんな風に変わるってことは……」


火炎魔道「ま、待て…。言うな。分かってるから……」

風剣士「…」

火炎魔道「…はぁぁ。久々に会えて、この仕打ちかよ」ガクッ

風剣士「…ドンマイ」

火炎魔道「うっせっ!!」

風剣士「はっはっは!」

 
火炎魔道「い、いや…しかし……」

風剣士「ん?」

火炎魔道「もしかすると、単に性格が変わっただけかもしれん!」

風剣士「…その変わった理由が、お前にとって問題のあることかもしれんのだろうが」

火炎魔道「だから、単純に変わっただけかもしれねーだろ!」


風剣士「…んむ、まぁ。銃士が今いるのは錬金術の店だっけか?」

風剣士「確かに、戦いだけで過ごしてきた奴が店働きになったらそう変わる…かも、しれないな」


火炎魔道「だ、だろっ!?」

風剣士「……そこまで気になるなら、久々に会えたんだから色々聞いてやればいいじゃねえか」

火炎魔道「い、いやそれは…」

風剣士「ほれ、丁度戻って来たぞ」クイッ

 
タッタッタッタッ……

銃士「…っと火炎魔道、ゴメンゴメン!」

銃士「久々だから、色々慌ただしくてね!」

銃士「…って」ハッ!


風剣士「…よっ」ビシッ

 
銃士「…風剣士じゃないかっ!」

風剣士「おう、久々だな」

銃士「なんだなんだ、昔のパーティが揃ってきたじゃないか」

風剣士「あとは魔光僧侶がいれば完璧なんだが」ククク

銃士「今日はいないのか?」

風剣士「アイツは今、別のクエストをソロで進行中なんだ。帰ってくるのは来月だな」

 
銃士「なんだそうか…。残念だな」ハァ

風剣士「俺から挨拶しとくさ。」

銃士「あぁ、悪いね」


風剣士「…」

風剣士「……それより、だ」


銃士「うん?」

風剣士「元パーティとして、コイツがお前に聞きたいことがあるんだってよ」グイッ

火炎魔道「お、おまっ!?」


銃士「火炎魔道が?」

 
風剣士「…ほら、聞けよ。それともなんだ、俺が変わりに聞いてやるか?」

火炎魔道「な、何っ…!」

風剣士「おいおい、お前にとってのチャンスだろうが…」

火炎魔道「…っ」


銃士「…ど、どうしたんだ?」


火炎魔道「…」

火炎魔道「…その、なんだ。お前って、今…好きな奴とかいるの…か?」


銃士「え?」


火炎魔道「そ、その…。なんか、雰囲気とか…色々感じたっていう…か……?」

 
銃士「す、好きなやつって…!」

火炎魔道「い、いるのかっ!?」ズイッ!

銃士「ど、どうしてそんな事が気になるんだ…」

火炎魔道「うっ…!」


風剣士「…」

風剣士「……銃士、お前も少し察してはいるだろ?」

風剣士「火炎魔道のやつ、お前のことが好きだったんだよ、女としてな。今もだが…」


火炎魔道「お、うおぉぉぉいっ!!」


銃士「…」


火炎魔道「お、お前なぁっ!!それを言うか…普通っ!!」

 
風剣士「おめーがウジウジしすぎてるから、つい」ハハハ

火炎魔道「は、ハハハじゃねえよバカッ!!」


銃士「…」

銃士「……そうか。火炎魔道は、私がギルドにいた頃、色々気にかけてくれてたからな」


火炎魔道「…っ」


風剣士「そうだったな」ハハハ


銃士「…火炎魔道、その気持ちは…凄く嬉しいよ」ニコッ

火炎魔道「…っ!」

銃士「…か閻魔同が真剣に、そういう話をしたいというのなら、私もきちんと言わないといけないな」

火炎魔道「お、おうっ!聞いてやるぜっ!」

 
銃士「…」

銃士「…私は今、好きな人がいるんだ。」 
 
 
火炎魔道「っ!!」

風剣士「ほー、やっぱりか」


銃士「あぁ。誰よりも面倒くさがりだが、誰よりも仲間を守ろうとしてくれる…格好いい男なんだ」


火炎魔道「…」 


銃士「…だけど、私はこの気持ちが好きだとか、嫉妬だとかそういうことがよく分からない。」

銃士「パーティで傍にいたお前たちなら分かってると思うけど、」

銃士「私はずっと戦いばかりで、そういうことも疎くて、今…ようやく傍にいたいと思った人が出来た気がする。」

銃士「それは気のせいかもしれないけど、私は…」


風剣士「…ち、ちょい待ち銃士」

銃士「ん?」

 
風剣士「そこまで詳しく、乙女の心情を話さなくていいから。」

風剣士「好きな人がいるだけでいいんだよ…。こっちまで恥ずかしくなるっつーに」


銃士「そ、そうなのか…!」

風剣士「…当たり前だろ!なんでそんな深層心理的なものまで聞かないといけないんだ」

銃士「わ、私はてっきり…普通そうやって、どんな相手にも真剣に立ち向かうものと……」

風剣士「くくっ…!はっはっはっはっはっ!」

銃士「笑いすぎだ…」


風剣士「お前が、そんな女らしい顔して恋について話す日が来るなんて思わなかったからよ!」ハハハ!!

風剣士「悪い悪い…!」

風剣士「お前をそこまで変えられる人間がいるってことに、ビックリしたぜ…」ハッハッハ

 
銃士「…ま、それでも色々とサポートが必要な人だけどね」クスッ

風剣士「ははは、今度連れてきてくれよ。お前をそこまでにした男をよ」

銃士「…ふふっ、機会があればね」

風剣士「楽しみにしてるぜ」


火炎魔道「…」

火炎魔道「……」プルプル

火炎魔道「………その男の、アホーーーーーッ!!!!」ウガァァ!!!!


風剣士「…おいおい、お前…好きだった女の幸せくらい願ってやれよ…」

火炎魔道「うがああああっ!!!うるせええええっ!!」


銃士(はは…。その当人ってば…今頃は何してたのかな……)


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 その頃 お店 】


錬金術師「ヘブラナァッ!!!」ブシュッ!!

女店員「!?」

錬金術師「…あぁ、ぐじゃ゛み゛でだ…」ズズッ

女店員「く、くしゃみっ!?」

錬金術師「なんか最近、よく出るな…。身体弱ってるのかね…」フゥ

女店員「…頑張り過ぎ、かな?」

錬金術師「ん?」

 
女店員「え、いや…。その、なんか、最近ずっと頑張ってるから…」

錬金術師「…ふむ」

女店員「今日とかは、新人鉱夫もいないし銃士もいないし…二人っきりだから休んだら…?」

錬金術師「えっ」

女店員「えっ」


錬金術師「……何それ怖い。」

女店員「なんでっ!」


錬金術師「今までなら、働け働け言うてたじゃねーか!」

女店員「そ、それは…!」

 
錬金術師「設計もあるし、やることがある程度見えてるなら、しっかりやるっつーの」

錬金術師「……お前は心配なんかしなくていい」

…ポンッ

女店員「…!」


錬金術師「…俺は俺で頑張るから、お前はちょっとお茶淹れてきてくれるか?」

錬金術師「構想練るのも、頭使うんでなぁ。甘いモンがあればなおよし!」


女店員「う、うんっ。淹れてくるっ!」クルッ

タタタタッ……

……

 
錬金術師(……この間、女店員が泣いてたのは俺の体調関連らしかったからな。)

錬金術師(どうにも、弱気になる言葉は余り言わないようにしておくか。)

錬金術師(しかし…。銃士にまさか、俺が錬金術やらで体調が優れないと見破られてとは……。)

錬金術師(銃士め、勘が鋭いというか、俺のことをよく見てるやつだ)ハハハ

錬金術師(最近、俺のことをジーッと見てるし、体調を心配してるのかねぇ)

錬金術師(…くくく。そこまで気遣ってくれる奴がいると…嬉しくなるな)


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
その後、銃士はギルドで旧友との久々の会話を楽しみつつ、

目的だった"今、冒険者に求められているアイテム"についての質問をして歩いた。
 

一方、お店に残った店長は構想を練りつつ店番を、

女店員はそれをサポートし、

新人鉱夫は週の納品用の銀鉱採掘、店長から指示された他の金属類の採掘を行い日を過ごした。


――――そして、3日後……。

本日はここまでです。有難うございました。

ヘラブナだと思ってた
ちがった

鈍感店長更新乙!
wikiのほうも色々更新乙!

姉妹堂って真剣士のときのかな?

皆さま有難うございます。
>>322
ヘラブナの間違いですね、修正しておきます。有難うございます。

>>323
Wiki連載側にある姉妹堂については、そのうち物語の進行につれて
色々分かってくると思うので、どうぞ乞うご期待下さい。

それでは、投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 2月15日 錬金術師のお店 】

…ゴトンッ!

錬金術師「…うむ、10kg丁度だ。ご苦労だったな」

新人鉱夫「はいっ。あと、言われていた他の鉱石も運んでおきました」

錬金術師「助かるぜ…。いい子だな新人鉱夫は。ナデナデしてやろうか」

新人鉱夫「だ、だから僕はそういうキャラじゃないですからぁ~!」

錬金術師「はははっ」


女店員(いいなぁ…)


新人鉱夫「……で、でも店長さん」

錬金術師「あん?」

 
新人鉱夫「あれから5日程たちましたが、まだ銃士さんは戻られないんですね」

錬金術師「あぁ…」

新人鉱夫「早くて4日で戻る予定だったのに、何かあったんでしょうか?」

錬金術師「…久々のギルドが楽しくて、時間も忘れてるのかもな」

新人鉱夫「えっ!じゃあ、戻ってこないってことですか…?」

錬金術師「それはないと思うぞ」

新人鉱夫「で、ですよね…」


錬金術師「いいか、うちの店が温いとはいえ…、」

錬金術師「銃士が無言で消えるのはあり得んだろう。」

錬金術師「もしギルドが恋しくなって辞めるというのなら、一言は断りに来るだろう」

 
新人鉱夫「…そ、それは嫌ですね。寂しくなっちゃいます」シュン

錬金術師「ま、その辺は俺が決めることじゃねえよ」

新人鉱夫「…っ」


錬金術師「…」

錬金術師「……はぁ」

錬金術師「お前も、女店員も。そんなに銃士に辞めてほしいのか?」


新人鉱夫「えっ!?そんなことっ!!」

女店員「やめてほしいなんて、思ってるわけないっ!」

 
錬金術師「…じゃあ、滅多なこと言うんじゃねえよ。」

錬金術師「お前らがそういうと、辞めてほしいのかなって逆に思われちまうぞ?」


女店員「あ…」

新人鉱夫「あう…」


錬金術師「戻ってくるのは当然だと思え。」

錬金術師「もし、そうなったらその時に考えればいい。」

錬金術師「銃士は今、この店に必要な存在だし…俺は銃士に関してそういうことは絶対に口にはせん」

錬金術師「……お前らがもし、銃士の立場で、俺らみたいな会話を聞いたらどうする?」

錬金術師「どんな意味合いだろうが、"辞める"とか"消える"っていうのは軽々しく口にするんじゃない」

 
女店員「…ごめんなさい」

新人鉱夫「ごめんなさい…ですっ…」シュン


錬金術師「分かればいいんだ。」

錬金術師「無論、銃士だけじゃなくてお前らもこの店に必要な存在なんだ」

錬金術師「……なっ。」


新人鉱夫「は、はいっ!」

女店員「うんっ…」コクン


錬金術師「ま、当の本人もそろそろ……」

 
…ガチャッ!!!


女店員「!」

新人鉱夫「…あっ!」

錬金術師「……なっ?」


銃士「…ただいまーっ。」

銃士「予定より遅れてしまって申し訳なかった……!」


錬金術師「おう、気にするな。お帰りっ」ニカッ

女店員「お帰りなさい!」

新人鉱夫「銃士さん…!お帰りなさいですっ!」

 
銃士「…!」

銃士「…」

銃士「……ふふっ」クスッ


錬金術師「ん、どうした」

 
銃士「…いや、5日近くも店を離れて、冒険者たちの現場の空気を久々に感じてきたからさ」

銃士「店長たちの顔を見て、緊張が一気に緩くなって笑みが出ちゃったよ」


錬金術師「良い事じゃねえか。我が家って感じがしねえか?」ハハハ

銃士「ははは、我が家か。確かにそんな感じかもしれないな」

錬金術師「だろっ」ククク…

 
銃士「……懐かしい面々と挨拶したりさ、営業っていうか…なんか長期休暇だった気分だよ」

錬金術師「リフレッシュにもなったかね」

銃士「あぁ。楽しかった」

錬金術師「そうか。それなら何より」

銃士「…それにしても、みんな私に対して同じことばかり言うんだ」

錬金術師「ん?」

銃士「恥ずかしくなる言葉ばかり…」ハァ

錬金術師「なんだなんだ、聞かせてくれ」


銃士「…その、可愛らしくなったとか女性らしくなったとか、キレイになったとか……。」

銃士「中には、何人か告白までしてきた人がいたり…」

 
錬金術師「あぁ…。」

錬金術師「……って、告白されたのか!」


女店員「モテモテ!」

新人鉱夫「も、もしかして!誰かとお付き合いとか…するんです…か?」


銃士「はは、まさか。」

銃士「色々そういうのも話はしたいけど、人の一生懸命な気持ちを遊ぶのは嫌だから…。」

銃士「その辺は割愛するよ」フフッ


錬金術師「はは、それがいい。」

錬金術師「……そういや、営業っつーか質問のほうはどうだった?」

 
銃士「あぁ、うん。成果はあったと思う。」

銃士「あとでメモ用紙にまとめたのがあるから、渡すよ」


錬金術師「そうか、助かるぜ。遠くまでわざわざ有難な」

銃士「いやいやこれくらい」

錬金術師「あとは~…。納品が二日後の朝だから、明日にはハンティングに行かないとな…」ハァ

銃士「そうだったね。準備もしておくよ」

錬金術師「…体調、大丈夫か?」

銃士「え?」


錬金術師「本当は明日、休みたかったりしないか?」

錬金術師「色々動き回ったあとだし、大変じゃねーかなと思ったんだが」

 
銃士「…まさか!」

銃士「これくらい余裕だし…。」

銃士「"店長とのハンティングは楽しみだった"から…行くに決まってるじゃないか♪」


錬金術師「お…」

銃士「ふふっ、明日も頑張ろうな」

錬金術師「…お、おうよ」

銃士「ふふん♪」
 

錬金術師「…」

錬金術師(…な、なんか明るくなったな?)

 
新人鉱夫(…どうしたんでしょうか。)

新人鉱夫(今まで、なんか少し…変わったような。)

新人鉱夫(ギルドで何かあったんですかね…?)ウーン


女店員(…)ゴクッ

女店員(銃士ってば、きっとギルドに戻って…自分を見つめ直せたんじゃないかな)

女店員(凄く正直に、素直になってる…。)

女店員(……銃士は、成長してるんだ。)

女店員(そ、それなのに私は……っ)


錬金術師「…」
 
錬金術師「……女店員?」

 
女店員「…あっ」ハッ

錬金術師「…顔色悪いぞ。大丈夫か?」

女店員「う、うんっ!大丈夫…!」

錬金術師「…それならいいんだが。俺がも風邪気味だったみたいだし、うつったのかと思ってな」

女店員「ちょっと考え事!経営のことで、顔が青ざめたっていうか…」アハハ…

錬金術師「し、失礼なやつめ!最近は、いい方向に進んでるっつーの!」

女店員「だ、だよね!うんうん…!」


女店員(最近、すぐに暗くなっちゃう。ダメだ、こんなことじゃ……。私も頑張らないと…!)


銃士(……女店員、ごめんね。)

銃士(ギルドの同期を見て、今の私にとってやっぱり…店長より傍にいたいと思う人がいなかったんだ)

銃士(それで、ようやく本気で気付けた。絶対、この気持ちは…店長を好きだっていうことなんだ)

銃士(…凄く恥ずかしいけど、私は私で、店長にアピールしていくよ)

 
錬金術師「…」

錬金術師「……ごほんっ。」

錬金術師「それじゃ、全員揃って落ち着いたところで…当面の目標を改めて言うぞ」


女店員「うんっ」

銃士「うん」

新人鉱夫「はいっ」


錬金術師「先ずは、現時点の中央商人さんとの取引が安定し始めそうになってきたので、」

錬金術師「来週以降を目途に、新しい営業を突いていこうと思う」

錬金術師「俺はアイテムを造り、それをサンプルとして女店員、銃士、新人鉱夫に配ってもらう」

錬金術師「女店員は商店街へ。銃士は冒険者関連へ。新人鉱夫は鉱山関連へ。」

錬金術師「それぞれのアイテムが出来次第、動いて貰うつもりだ」

 
女店員「…うん、なんか乗って来たよねっ」

新人鉱夫「僕も精一杯やります!」

銃士「うん、全力を尽くすよ」


錬金術師「……これで、中央商人さんのパイプが安定し、次回の予定までは決まった。」

錬金術師「新たな姿勢で、経営に臨んでいくぞ!」


女店員「うんっ!頑張ろうね…みんな!」

新人鉱夫「はいっ!頑張っていきましょうっ!」

銃士「そうだな、頑張ろうっ!」


錬金術師「……そんじゃ、頑張ってくぜっ!」ビシッ!!

錬金術師「…」

錬金術師「…でも、忙しいの嫌だけど」ハァ

 
女店員「ちょっと店長」

新人鉱夫「店長さ~ん…」ガクッ

銃士「ふふっ、平常運転で何よりじゃないか」


錬金術師「はぁ~…。」

錬金術師「やるつもりだけど、働くって…辛いよなぁ~……」

錬金術師「うん…、頑張りますけどね……」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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――――【 その頃 中央都市 セントラルカンパニー 】


カツカツカツ…

秘書「社長、ちょっとよろしいでしょうか」コソッ

親父「…なんだ」
 

秘書「ご子息様が中央商人と接触し、積極的にに経営を行っているとの情報が。」

親父「…そうか」

秘書「対策を行った方がよろしいでしょうか。」

親父「いや、何もしなくていい。本格的に動き出したなら、それはそれで良い」
 

秘書「……そうですか。」

秘書「出過ぎた意見でした。申し訳ありません」

 
親父「気にするな」

秘書「ありがとうございます」ペコッ


親父「…」

親父(あいつが、中央商人と手を組んだか……。)

親父(恐らくその可能性は視野にいれていたが……)

親父(…中央商人め)

親父(この俺を騙せたのは褒めてやるが、決して許さぬぞ……!)ギリッ


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
本日はここまでです。

また、今回の物語で一旦章区切りのため、次回更新は1週間以内の予定となります。

間を空けてはしまいますが、次回以降も是非、宜しくお願い致します。


それでは有難うございました。

乙でございます。
書き手からしたら読者の願望ってのは嬉しいものなのかな?

皆さま多くのお言葉、保守等有難うございます。
時間を頂きましたが、本日より投下の程、再開いたします。

>>356
自分は、作品を読んでいただいているということは嬉しく思っております。
読んで頂いている方々のご希望通り…とはいかないかもしれませんが、
お言葉として受け止めておりますので、どうぞよろしくお願いします。


それでは、投下致します。

 

……
…………そして1週間後…………

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【  2月23日 錬金術師のお店 】


…ボスンッ!!


運び屋「…それでは、これで3回目の納品が完了です。」

運び屋「今回も有難うございました」


錬金術師「んむ」


運び屋「それじゃ…」ペコッ

クルッ、ザッザッザッザッ……


…………
……

 
錬金術師「…」

錬金術師「……うし!やっと3度目の納品が完了だ」


女店員「これで2月分は終わりだし、1か月分が終わったわけかぁ」

銃士「始まった頃こそ不安もあったが、3回目となるとさすがに慣れてくるな」

新人鉱夫「そこまで素材の仕入れに苦労もしませんし、安定してますよね」


錬金術師「だが、ハンティング素材の10kgにおけるカルキノスは、いつまでも安定するわけじゃない」

錬金術師「早い段階で次のものに移らないといけないな」


銃士「そうだね。カルキノス狩りも慣れてきたし、次からは新素材の探索もしていこうか」

錬金術師「あぁ、それがいいな」

 
女店員「…で、店長。」

錬金術師「あん?」

女店員「10日程前に言ってた、新しい営業の話はどうなってるの?」

錬金術師「あ、それな」

女店員「うん」

錬金術師「…とりあえず、試作段階のものは一部出来てる。」

女店員「はや!」

錬金術師「えーっと、ちょっと待ってろ。倉庫から出してくる」クルッ

タッタッタッタッ……


女店員「…時々忘れるけど、店長は世界の名だたる錬金術のエキスパートなんだよね」

銃士「あぁ、時々忘れてしまうがな」

新人鉱夫「…はい」


 
タタタタッ…!

錬金術師「…おいしょっと」

…ゴトォンッ!!ガラガランッ!
 
 
女店員「うわっ、何これ!」

銃士「…これは」

新人鉱夫「わわっ!凄いです!!」


錬金術師「…商店街は店ごとによって違いがあるからなー」

錬金術師「だけど、共通して使えるモンを用意はしてみたぜ」

 
女店員「えーっと、商店街にサンプル品で渡すのはコレ?」スッ

錬金術師「あぁ、ソレだ」

女店員「結構小さいけど、これは…何?」

錬金術師「それの初動は、魔石を組み込んで動く、マジックランプだ」

女店員「…え、ただの明かりってこと?」

錬金術師「バカいえ、その辺のランプと一緒にすんな」

女店員「何が違うの?」

錬金術師「…ま、そこにスイッチがあるから…押してみな」

女店員「うん、わかった」ソッ

……カチッ!パァァッ!!

 
女店員「きゃっ!?」

銃士「うわ、明るいな…」

新人鉱夫「…うわ、凄く淡い光でキレイですね」


錬金術師「…明るいだけじゃないんだがな」

女店員「え?」

錬金術師「…ちょっと、スイッチの横にある"つまみ"を右に回してくれないか」

女店員「これ?」スッ

錬金術師「そう、それだ。あまり回し過ぎないように、軽くな」

女店員「えーと…」

…グリンッ

 
錬金術師「…そう、その程度でいい」


女店員「…うん。」

女店員「それで、まわしたらどうなるの?」 
 

錬金術師「…感じないか?」

女店員「何が?」

錬金術師「…ほら、このランプの周りから……」

……


ポォォォッ…!


……

 
女店員「……あっ」

銃士「何か、暖かい…?」

新人鉱夫「ほんのり、部屋全体へ暖かさが広がってるようです…」ホクホク

女店員「店長、これは…」


錬金術師「…名付けて、マジックエアーコンダクターだ!」


女店員「まじっく…」

銃士「えあー…」

新人鉱夫「こんだく…たー…?」

 
錬金術師「これと同じく、魔力で空調出来るものは既にあるんだが…」

錬金術師「俺が造ったこれは、なんと魔石の変更だけで空調を行うことができるんだ!」


女店員「え、えーと…」

新人鉱夫「つまり…?」

銃士「…なるほど」


錬金術師「魔石ってのは、どんな種類があるか覚えてるか?」

女店員「えーと、火、水、風、雷とか…だっけ。」

錬金術師「ま、大体そんなもん。魔石には、それぞれの属性魔力が含まれて出来ているっつーことだ」

女店員「うん。」

錬金術師「このマジエアコンは、その属性別の魔石を交換するだけで空調を行うことができるって話さ」

 
女店員「じゃあ、今入ってるのは…火魔石?」

錬金術師「正解。水を入れれば、部屋全体を涼しくすることが出来るぜ」

女店員「…風とか雷を入れたら?」


錬金術師「基本属性以外を入れても、魔力導線が反応しないようになってる。」
 
錬金術師「雷とか放電されたら困るだろ…」


女店員「そ、そっか…」


銃士「…凄いな。」

錬金術師「ククク、銃士。これが凄いのはココからだ」ニタッ

銃士「どういうこと?」

 
錬金術師「無論、儲ける事もしっかり考えてる。」

錬金術師「実はな、これに入れなければならない魔石は、うちで錬成した魔石しか使えないんだよ」


銃士「!」

女店員「…ってことは!」

新人鉱夫「もしこれが導入されれば、うちで造る魔石だけが材料ってことになるんですね!」


錬金術師「そーいうこと!」

錬金術師「だから、このマジエアコンには、サンプルとして1ヶ月くらい持つ火と水魔石が1個ずつ入ってる」

錬金術師「このマジエアコン自体を無料で配り、継続して使いたい場合は魔石を買って下さい…ってことだな」


銃士「…上手いこと考えたね」

銃士「確かに、それなら魔石の儲けで売れるかもしれない……」

 
女店員「…でも、錬成された魔石だけの販売で利益って出るのかな?」

女店員「もし仕組みを解析されて、他の錬金術を使える人から魔石をもっと安く売られたりしたら……」


錬金術師「ここまで小型している分、他のサードパーティにはその技術力は絶対にあり得ん。」

錬金術師「…俺ですら、ここまで小さく、安全面も考えて造るために夜通しやったくらいだからな」フワァ…


女店員「なるほど…」

女店員「今のところは、ほぼ完ぺきの仕上がりってことなんだ」


錬金術師「あぁ。完璧だ」ニカッ

女店員「すごい…♪」

 
錬金術師「……して、次。」

錬金術師「新人鉱夫に配ってもらう分だが……そこに転がってる丸いのを拾ってくれるか?」


新人鉱夫「えっと、これですね」スッ

…コロコロ…

新人鉱夫「…ドーナツ状ですね。これはなんですか?」


錬金術師「以前から言ってた採掘用、パワーアップユニットだ。」

錬金術師「かなり小型化させて、魔石消費も抑え、前に使っていた自動採掘機より遥かに進化してるぜ」


新人鉱夫「もしかして、この穴の中にピッケルを通すんですか?」

 
錬金術師「その通り。」

錬金術師「柄の部分へ遠し、スイッチを入れるとしっかりと柄に張り付く。」

錬金術師「そうすれば刃の部分に魔力を帯びさせ、あとは岩に振るだけで簡単に崩せる」


新人鉱夫「…す、凄いですね。」

新人鉱夫「……って、まさかこれも」


錬金術師「…うちの魔石しか使えん仕様だ。」

錬金術師「つまり、それ自体は無料で配布してー…とは、言いたいんだが……」


新人鉱夫「無料じゃない…と?」

錬金術師「…そればかりは、コストが酷くかかりすぎるんだ」ピクピク

 
新人鉱夫「…で、ですよね。」

錬金術師「今のままだと、値段は1個で30万ゴールド近くなっちまうんだよ」

新人鉱夫「た、高いですね…」


錬金術師「だからそれは、コストダウンをなんとかするまでに待ってくれるか…。」

錬金術師「コストダウンの開発にも金を使うし、他の契約が上手くいって金が入ったらすぐに着手するわ」


新人鉱夫「はい、分かりましたっ!」


錬金術師「……で、最後」クルッ

銃士「お、私だな」

 
錬金術師「…銃士から貰ったメモによると、素晴らしいことばかり書かれていた」

銃士「…あぁ」ハハ…

女店員「あ、それ私たち聞いてなかったんだけど…!」

新人鉱夫「そうですね。少しだけ気になってました」


錬金術師「…見せなかったというか、見せないほうがいいかなと思ってたんだが」

女店員「どうして?」

錬金術師「…生々しすぎた」

女店員「え…」

錬金術師「…」

女店員「た、例えば……?」

 
錬金術師「…例えば、壊死をさせずに保存させる装置とかかな」


女店員「え、壊死って」タラッ


錬金術師「…素材対象の魔物を討伐した際に、遠くまで運ぶクエストの際に素材が腐っちまうんだと。」

錬金術師「傷の部分から腐っていくから、そうしないように保存させたいらしい」


女店員「あぁ、なんだそういうこ……」


錬金術師「それに加え、"自分の腕を吹き飛ばされた際、もしもそれがあったら今も左腕は残ってたかもしれません"」

錬金術師「"魔物だけでなく、自分の四肢等の肉体が吹き飛んだ際にも応用が出来ると思うのです…"」
 
錬金術師「そういう意見もありました」

 
女店員「」

新人鉱夫「」


銃士「…確かに、応用が利くよね。それを造ったの?」

女店員「そ、そんな非現実的な意見を冷静に…」

銃士「はは、私にとっては現実的な意見なんだけどね」

女店員「そ、それはそうだけどさぁ…」


錬金術師「いや、それを造るのはさすがに無理だ。」

錬金術師「さすがに武器や魔法毎に傷の種類も異なるし、魔物が持つ特性も考慮せにゃならん…。」

錬金術師「何十、何百、何千、何万パターンとあるものを認識させ壊死させないようにするのは無理だろう…」


銃士「確かにね…」

 
錬金術師「……だが、この意見を筆頭に、錬金術に望むもののほとんどが…」

銃士「生命にかかわること…だね」

錬金術師「そういうことだ」

銃士「…ざっと聞いた感じ、ポーションを含む回復薬なんかの意見も多かったかな?」


錬金術師「やはり、冒険者たるもの命と隣り合わせ。」

錬金術師「……体力がどれだけ重要なのか理解したしな」ハハ…


銃士「あはは、一緒のずっとハンティング付き合ってくれてたからね。」

銃士「2回、3回のハンティングで店長も少しずつ逞しくなってきたんじゃない?」

 
錬金術師「マジか、かっこよくなってきた?」

 
銃士「うーんそうだね、もう少し…もうちょっとだけ慣れたら…世界一かっこよくなるかも?」

錬金術師「なんだと…!頑張るしかないな……!」

銃士「うんうん」

錬金術師「ははは!」


女店員「…」ズキン


新人鉱夫「…」

新人鉱夫「…!」ハッ 

新人鉱夫「そ、それで店長さん!その、冒険者用に作ったっていう試作サンプルはなんですか!?」

新人鉱夫「は、早く気になりますっ!」

 
錬金術師「…あ、気になる?」

新人鉱夫「はいっ!教えてください!」


錬金術師「んーとな、これは以前…母さんが造ったものを再度俺が練り直してやってみたものなんだ」

…トンッ


銃士「…えっ」

新人鉱夫「……これって」

女店員「小さい…瓶…?」


錬金術師「このビンの下部に、精製した特性の魔石が埋め込んである。」

錬金術師「無論、この魔石…これもうちでしか加工できない商品だ」

 
銃士「…この瓶を何に使うんだ?」

錬金術師「これはな、俺の経験を活かしつつ…冒険者にも使って貰える品だぞ」

銃士「ふむ?」


錬金術師「えーっと…」

錬金術師「…」キョロキョロ

錬金術師「…やべ、忘れてた。ちょっと待っててくれ」クルッ

タタタタタッ……


銃士「…?」

女店員「?」

新人鉱夫「?」

 
タタタタタ…タッタッタッ……

錬金術師「…ふぅ。これだこれ」スッ

…コトンッ


銃士「え、アカノミのポーション?」

女店員「これをどうするの?」


錬金術師「まず、これをまずフラスコに注ぐ…」スッ

トクトクトクッ……


銃士「…」

女店員「…

新人鉱夫「…」

 
錬金術師「…すると!驚くなよっ!?」

銃士「するとっ?」

女店員「何が…」

新人鉱夫「……起きるんですかっ!?」


…シーン


錬金術師「……まぁ、目に見えて反応はないんだが」


女店員「」

銃士「」

新人鉱夫「」

 
錬金術師「…まぁ、とりあえず銃士でいいか。」

錬金術師「飲んでみてくれるか」スッ


銃士「…この瓶に入れただけで何か変わるの?」

錬金術師「まぁまぁ」

銃士「じゃあ…」スッ

……クピッ

錬金術師「…」


銃士「…うん、味もいたって普通のアカノミのポーションだけど」

銃士「…」

銃士「……って、えっ!?」パァッ!

 
錬金術師「…くくっ」


銃士「な、なにっ!?」ギュウウウンッ!!


女店員「どうしたの!?」

新人鉱夫「どうしました!?」


銃士「……っ!?」ピキッ…!

銃士「す、凄いっ!これだけの量で、全身へアカノミの効果が染み渡っていく!」ピキピキッ!

銃士「店長、これって!」


錬金術師「それは、うちの母さんが前に開発したことがある"高速吸収ポーション瓶"を改良したものだ。」

錬金術師「底についた魔石がポーションへ凝縮し、短時間で超回復の効果がある」

 
銃士「ちょっ、これって…凄い…っ!」

銃士「これは凄いよ店長っ!瓶と魔石さえあれば、市販品のポーションでも超回復効果になるってことだろう!」


錬金術師「さっきも言ったが、魔石はうちのオリジナルじゃないとダメ」ハハハ

錬金術師「マジエアコン、パワーアップユニット、超回復瓶、この3つはうちの精製魔石で動くことができる。」

錬金術師「つまり……」


女店員「別々の魔石を生成しなくていいから、時間効率もいいし……」

新人鉱夫「うちのお店のオリジナルのみで、サードパーティからの販売を危惧しなくていい……。」

銃士「普通の魔石さえあれば造り出せるもので、コスパも最高……」


錬金術師「…文句の付けどころ、ないだろ」ニヤッ

 
女店員「…ッ!」

女店員「……て、店長っ!」バッ!!


錬金術師「うおっ!?」

…ギュウッ!

女店員「凄いよ店長っ!こんな短期間でこんなに生み出せるなんて…!」

女店員「わ、私も頑張るねっ!絶対に魔石とか売れるようにするっ!!」


錬金術師「……お、おうっ。そんなに嬉しかったか…!」

女店員「うんっ!」


銃士「…」

銃士「…っ!」ズキッ


新人鉱夫「…ッ!」ハッ!

 
錬金術師「そ、それじゃ…えーと…」


新人鉱夫「て、店長さん!僕のパワーアップユニットも是非早めに完成させてくださいね!」ババッ!

新人鉱夫「期待してますからっ!!」


錬金術師「お、おう…?」


新人鉱夫「ほ、ほら倉庫に行きましょう!」

新人鉱夫「僕も一生懸命手伝いますから……!」

新人鉱夫(胃に穴があきそうです。早く、店長さんをこの場から離さないと~っ……!)クスンッ…


錬金術師「そ、そうか?」

錬金術師「少し休みたかったんだが、お前がそこまで言うなら……」

 
新人鉱夫「えぇ、是非っ!是非完成させてください~っ!」

錬金術師「う、うむ…」

新人鉱夫「それでは行きましょう、精一杯、とってもお手伝いしますからっ!」

錬金術師「そ、そうか…。」

トコトコ………

……



女店員「…」

銃士「…」

女店員「…」

銃士「…」

 
女店員「…」チラッ

銃士「…」チラッ


女店員「…!」ハッ!

銃士「…!」ハッ!


女店員「……あ、あはは」

銃士「はは、ははは……」


女店員「…が、頑張ろうね」

銃士「あぁ、頑張ろう…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
――――それからわずか5日後。

4回目の納品を終了させたのち、新製品となるサンプルが全て完成した。


気が付けば、2月28日。


もう、2月終わり…春も近い3月の目前に、新製品のサンプルを配るべく、準備を開始。

店長たちは会議を行い、新製品の展開を区切りよく翌日、3月1日より配布することに決定。


そして、中央商人との納品準備を進めつつ、いよいよ来たるは3月1日………。

本日はここまでです。

有難うございました。

皆さま有難うございます。
マクロスの歌は7が好きです。

それでは投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3月1日 錬金術師のお店 】


錬金術師「……っし!」パァンッ!!

錬金術師「今日から、新たな新製品…サンプル配りだ!」

錬金術師「サンプルっつーか、魔石の購入促すための配布だから…そう言っていいのかわからんが。」


女店員「…うんっ、商店街にはこちらのアイテムが無償提供ですっていうのと」

銃士「魔石の購入で、今後の利用が可能になること…」

新人鉱夫「その際は、お店へ来ていただくようにしてもらうこと!」


錬金術師「…それぞれ、頼んだぞ!」

 
女店員「うんっ」

銃士「あぁっ」

新人鉱夫「はいっ!」


錬金術師「俺は残って、本体側の道具を制作しておくわ。」

錬金術師「もしかすると、それぞれの魔石じゃない本体側の需要が増えたら困るわけだし」


女店員「わかった」

新人鉱夫「はいっ」

銃士「あ、それも承知したんだけど、えーっと……」


錬金術師「ん?」

 
銃士「女店員と新人鉱夫はそれぞれ近いが、私はまた中央都市まで行かねばならないからな…。」

銃士「三人とはまた少し離れるけど、今回はギルドへ預けて、メンバーに配布して貰うように促すから…、」

銃士「今回はすぐに戻ってくるよ」


錬金術師「一人だけ遠くまで悪いな。気を付けていってきてくれよ」

銃士「もちろん」ニコッ


錬金術師「無論、お前ら二人もな。気を付けて」

女店員「うんっ、もちろん」

新人鉱夫「ありがとうございますっ」

 
銃士「それじゃ……」クルッ

女店員「行ってくるよ~」

新人鉱夫「行って参ります!」

錬金術師「おう」フリフリ


ガチャッ……バタンッ!


錬金術師「…」フリフリ…

錬金術師「…」フリッ…

錬金術師「…」

錬金術師「……っ!」フラッ

…ガクッ!

 
錬金術師(参った…。今回は少しやり過ぎたな……)ゼェッ…!

錬金術師(魔石の精製も含め、俺は魔力が多いほうじゃねえし……。)

錬金術師(開発の度にこうだ…。)

錬金術師(アオノミのポーションも飲みすぎると中毒を起こすし、回復にも時間がかかる…っ。)

錬金術師(くそっ、少しまた休むか……)


……コンコン


錬金術師(…んむ、客か?)

錬金術師「……はい、どうぞ」


……ガチャッ!

 
錬金術師「いらっしゃいま……せ……って!」


…ザッ

親父「…」


錬金術師「…親父かよ!」

親父「…どうした、膝を落として。疲労か?」

錬金術師「う、うるせぇ…。何の用だ……」


親父「何、お前が本格的に始動したと聞いたからな…?」

親父「その様子と、少しお前に用事がある」

 
錬金術師「世界一多忙な人間が、よくもまぁ…こんな所へおいでませ…」

親父「…店員は出払っているのか」キョロキョロ

錬金術師「営業にな…」ギロッ

親父「……例のオリジナルの製錬魔石の道具の件か」

錬金術師「!」

親父「…知らないわけがないだろう」

錬金術師「んだよ…!邪魔しにきたのか…?」


親父「…まさか、そんなわけなかろう」

親父「今日はお前に、"店長"としての用事も兼ねて様子を見に来たんだ」

 
錬金術師「…あァ?」

親父「お前では、今回の件…扱いきれんだろう」

錬金術師「…何っ」


親父「お前の開発した各道具、魔石の精製の販売のみ展開はさすがだ。」

親父「だが、それはお前の店では扱いきれんことになる」

親父「現に…お前が倒れているのが良い証拠だ。」

親父「確実にパンクするぞ」


錬金術師「……ば、バカ野郎っ!」

錬金術師「俺を誰だと…!俺は俺らだけで、これを成功させてやるっつーの…!」

 
親父「……2億。」ボソッ

錬金術師「ッ!?」

親父「特許をよこせ。そして、開発方法を教えろ。それを2億で買い取ってやる」

錬金術師「に、2億ゴールド…!?」


親父「お前の開発したモノには、それだけの価値を見出した。」

親父「サードとして魔石を販売するのも可能だが、うちの錬金術開発ではそれ以上のコストがかかるだろう。」

親父「お前がその技術を提供してくれるなら、2億の金を支払う」


錬金術師「……はっ!俺の技術に2億か…!」

親父「悪い話ではないだろう?」

 
錬金術師(……2億があれば、新たな事業への開発費用にもなる…。)

錬金術師(だ、だが……)

錬金術師(ようやく軌道に乗り出し、あの3人が楽しそうに仕事をし始めたっつーのに……)

錬金術師(それを…取り上げることなんか……)


親父「……2億では足りぬか?」

錬金術師「……ち、違う」

親父「…」

錬金術師「お、俺には俺にもプライドがある。これを売るわけにはいかない…!」

親父「……金よりプライドか?」

 
錬金術師「少なくとも、今回の件で俺はアンタを見返せるくらいにはなると思っていた…!」

錬金術師「だから、それを買われちゃ意味ないんだよ……」


親父「…お前が、俺の戦略以上に上手く立ち回れると?」


錬金術師「魔石1個はたかだか1,000ゴールド。」

錬金術師「それに俺が手を加え、3,000ゴールドで販売を行う事が出来る…。」

錬金術師「俺の販売した各アイテムは、やがて広まって魔石だけでなくその道具すらも売れるようになるはず…。」

錬金術師「そうなれば、俺だけの技術として更なる展開を見出すことが可能だ。」

錬金術師「……そこまでいけば、アンタだって俺を認めてくれるだろう?」

錬金術師「もう、俺に関わるなと心から言えるはずだ!」


親父「……俺が認めるも認めないも、俺次第だぞ?」

錬金術師「!」

 
親父「…ここで俺に特許を渡せば、それで認めると言っても…良い。」

親父「どうだ?」


錬金術師「!?」

親父「…」


錬金術師「…」

錬金術師「ど、どうして急にコレだけのことで…。」

錬金術師「アンタが俺の開発したものに固執する!?」


親父「……お前は、事の重大さに気づいていないらしいな」

錬金術師「なんだと…?」

 
親父「今回お前が開発したアレと魔石のコンビは、今までなかった新たなシステムだ。」

親父「いや、存在はしていたが…お前の開発したものはそれ以上の存在のもの。」

親父「仮に月に魔石が3000個以上、アイテムが1000個以上と仮定。それぞれを捌けるというのか?」

 
錬金術師「……そ、そんなに注文が来るわけ」

親父「最初はな。」

錬金術師「!」


親父「お前が配ったサンプル品の方法で、まず間違いなく今回のアイテムは世間へと浸透する。」

親父「そうなれば、こんな小さな店で一人で開発できるほど…容易ではないぞ」


錬金術師「うっ…」

 
親父「…お前だって薄々感づいているはずだ。」

親父「自分がこれ以上、どこまでやれるのか、今回の開発がどれほどのものなのか……。」

親父「限定生産の手もあるが、それでもお前は必ずや倒れるだろうな。」

親父「そうなれば、迷惑をかけるのはお前自身ではない…お前のいう大事な店員とやらではないのか…?」


錬金術師「…ッ!」


親父「…さぁ、決めろ。俺にそれを委ねるか…否か…」

錬金術師「…っ!!」

親父「……さぁ」

錬金術師「…っ!!!」

親父「………さぁ」

 
錬金術師「くっ、くそぉっ!!うるせぇぞっ!!」


親父「さぁ……」


錬金術師「…なん…で……!」


親父「さぁ…!」

親父「………さぁっ!!!」


錬金術師「う、うるせぇぇぇっ!!」


……………
………

 

………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夕 方 】

錬金術師「!」ハッ!

…ガバッ!!


錬金術師「はぁ、はぁ……!」

錬金術師「はぁっ……!」ハァハァ…!

錬金術師「……あ?」ハッ


カァ…カァ……!

錬金術師「あ…夕方……?」

錬金術師「……やべっ、いつの間にか…倒れて…たのか……」クラッ

錬金術師「夢だったのか…っ」

 
…ガチャッ!…

錬金術師「ッ!?」ビクッ!


女店員「てんちょ~!全部配って来たよ~♪」

錬金術師「あ…」

女店員「……って、店長っ!?」

錬金術師「…あ、いや。ちょっと足を滑らせてな」ハハ…

女店員「…えぇ、大丈夫?疲れてるんじゃないの?」

錬金術師「あーそうだな、明日からまたサボるか…?」ハハハ


女店員「…もうっ!」

女店員「……全く、ほら。起き上がらせるから手ぇ貸して」スッ

 
…ガチャッ!…

錬金術師「ッ!?」ビクッ!


女店員「てんちょ~!全部配って来たよ~♪」

錬金術師「あ…」

女店員「……って、店長っ!?」

錬金術師「…あ、いや。ちょっと足を滑らせてな」ハハ…

女店員「…えぇ、大丈夫?疲れてるんじゃないの?」

錬金術師「あーそうだな、明日からまたサボるか…?」ハハハ


女店員「…もうっ!」

女店員「……全く、ほら。起き上がらせるから手ぇ貸して」スッ

 
錬金術師「あ、あぁすまんな…」スッ

…ガシッ、グイッ!

女店員「…きゃあっ!?」グンッ!

…ダキッ…

錬金術師「うおっと…!」

女店員「…ッ!」ボフッ…

錬金術師「す、すまん。引っ張っちまったな…」

女店員「…う、ううん」カァ…


錬金術師(……く、くそっ。疲れてるんだな…。)

錬金術師(さっきのも夢だったが、ああいう現実が起きそうなことを内心分かってるんだ…。)

錬金術師(このままだと…夢じゃなく、本当に俺が倒れてコイツらに迷惑かけちまうってこと…を……)ギュウッ…

 
女店員「…て、てんちょ?」


錬金術師(お、親父に頼めるわけもないし…。)
 
錬金術師(中央商人さんにこれ以上迷惑もかけたくねぇし、かといって俺一人でどうにかなる問題じゃあない…)


女店員「…ど、どうしたの?」


錬金術師(開発まではスムーズだったのに、本格始動で俺の体調にガタがくるとは…)

錬金術師(な、何とかいい方法はないものか……)


女店員「て、てんちょ…」

錬金術師「…あ」ハッ

 
女店員「ず、ずっと抱きしめられてるとその…ね…?」

錬金術師「あ、い、いやっ!すまん!」バッ!

女店員「う、ううん…」

錬金術師「わ、悪いな。ちょっと考え事して無意識に……」

女店員「…そ、そっか」


錬金術師(……折角、ここからだっていう時に俺のせいで崩れさせるわけにはいかない…。)

錬金術師(俺自身、普段は面倒くさがりだって分かってるが、こういう始まりの中途半端は嫌なんだよな…)イラッ

錬金術師(何か、いい案を早く考えないと……)イライラッ…

錬金術師(何かないか、何か…。何か……!)ギリッ…

 
女店員「て、てんちょ?なんか顔色が……」


錬金術師「あァッ!?」クワッ!


女店員「ッ!?」ビクッ!


錬金術師「…」

錬金術師「……あっ」ハッ


女店員「え、えっと…その……」ビクッ…


錬金術師「い…いや……ち、違う!今のは…!」


女店員「その…えっと…」ブルッ…

 
錬金術師「ち、違うっ…!違うんだよっ!!くそォっ!!」

錬金術師「す、すまん…ッ!」

錬金術師「裏で…少し休む……。すまん……」


女店員「…っ」コクン…


錬金術師「くそっ…!」クルッ

タッタッタッタッ………

………

 
女店員(…ッ)ポツン…

女店員(て、店長……。あんな顔、初めて見た……っ。)

女店員(まるで、店長のお父さんみたいな…感じだった……。)ブルッ…

女店員(私、何かしたのかな……)

女店員(それとも、疲れてて……。)

女店員(…)

女店員(ダメ…。また…分からないよ……。)

女店員(こ、こんな時、銃士ならきっと…上手く声をかけてたんだろうな……)グスッ…

女店員(どうしよう…。なんで、最近…すぐに涙が……ッ)

ポロッ…ポロポロ……

女店員「…っ」


 
…ガチャッ!

新人鉱夫「ただいまですー♪」

新人鉱夫「…」

新人鉱夫「……って、女店員さーん!?」ビクッ!


女店員「ひぐっ…」グスッ…


新人鉱夫「…どどど、どうしたんですかっ!」

新人鉱夫「店長さん、店長さ~~んっ!!」


女店員「…あっ!」ハッ

女店員「…っ」ゴシゴシッ!

女店員「い、いいのっ!新人鉱夫、気にしないでっ!」

 
新人鉱夫「き、気にしないでって…!」

女店員「大丈夫だから……っ」

新人鉱夫「で、でもっ…」

女店員「大丈夫だから…っ」

新人鉱夫「えぇっ…」


女店員「ごめんなさいっ……」


新人鉱夫「で、ですけど……」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 お店の倉庫側 】 


ゴロンッ…

錬金術師(だ、ダメだ、くそっ……!)

錬金術師(こうして本格的に関わると、やっぱりすぐに感情的になっちまう…!)

錬金術師(女店員らが仕事が出来る環境が出来たっつーのに、俺がこんなんじゃ…!)

錬金術師(……頭、冷やさねぇと。)

錬金術師(必ず、いい方法はあるはずだ…。)

錬金術師(絶対に、何か。考えろ……。)イラッ…

錬金術師(考えろ、考えろ、考えろっ……。)イライラ…

錬金術師(考えろ……)イライライラッ…


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです。有難うございました。

有難うございます。
投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 次の日(3月2日) 錬金術師のお店 】


錬金術師「…ッ!」ボリボリッ…

錬金術師「くそっ、頼りたくはねぇし…。だけど……」ブツブツ…


新人鉱夫(…なんか、店長さん昨日の夕方から機嫌が悪いですね。) 

新人鉱夫(あのあと女店員さんはすぐに帰っちゃいましたし、一体何があったんでしょうか…?)

新人鉱夫(まさか、恋仲で何かあったとか…そんなことは……)


…ガチャッ!


錬金術師「ん…」

新人鉱夫「あ…」

 
女店員「お、おはよう…ございます」


錬金術師「…はよ」

新人鉱夫「おはようございますっ♪」


女店員「…て、店長……さん」

錬金術師「ん…」

女店員「き、昨日はその…ごめん…なさい……」

錬金術師「……俺が悪いんだ、気にするな」

女店員「そ、そう…ですか…。有難う…ございます……」ペコッ

 
錬金術師「…」

錬金術師「……あ?」ピクッ


女店員「ッ!」ビクッ


錬金術師「……お前、なんで」

女店員「な、なに……。あっ…、な、なんです…か…?」

錬金術師「…んで、敬語に戻ってるんだ?」

女店員「な、なんでって…その…。私のせい…で…だったかなって……」
 

錬金術師「……あー?」

錬金術師「急に戻すんじゃねーよ、気持ち悪い」

錬金術師「いつものままでイイっつーの」フリフリ

 
女店員「気持ち…悪い……?」ドクッ…


錬金術師「あぁ、気持ち悪いって。お前は普段のままでいいから」


女店員「ご、ごめんなさい……っ」


錬金術師「…あ?」


女店員「ごめんなさいっ…!」ダッ!
 
ガチャッ、バタンッ……!


錬金術師「……あ、おいっ!?」


新人鉱夫「…!」

 
錬金術師「…なんだぁ?」

錬金術師「…」

錬金術師「……新人鉱夫、なんであいつ…」


新人鉱夫「……て、店長さんのバカァっ!!」


錬金術師「」

錬金術師「……へっ!?」


新人鉱夫「て、店長さんもきっと悩んでたんでしょうけど…!」

新人鉱夫「女店員さんも色々と不安だったんですよ!!」

 
錬金術師「な、なぬっ…」

新人鉱夫「追いかけてください、早くっ!!」

錬金術師「…俺が?」


新人鉱夫「な、何があったかは知りませんけど!」

新人鉱夫「昨日、女店員さん泣いてたんですよっ!!!」


錬金術師「!」


新人鉱夫「……きっと、最近…色々とあって…。」

新人鉱夫「店長さん、だから……!」

 
錬金術師「わ、わかった。すぐ追いかける…!」

新人鉱夫「急いでくださいっ!」

錬金術師「へ、へいっ…!」ダッ!

タタタッ、ガチャッ……バタンッ……!


新人鉱夫「…」

新人鉱夫「…い、勢いに任せて馬鹿なんか言っちゃった……。自己嫌悪です……」ハァ

新人鉱夫「……で、でも店長さん、いつもの口調に少し戻ってましたね。」

新人鉱夫「僕は、二人が戻った時に温まるようにお茶でも淹れておきましょう…」クルッ

トコトコトコ……

………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 お店の外の森 】


タッタッタッタッ…!


女店員(またやっちゃった、また逃げた、また泣いてるっ…!)グスッ…

女店員(どうしよう、どうしようっ…!)

女店員(わかんないよ、私がどうしたいのか、私が何を想っているのか…!)グシュッ…

女店員(気持ち…悪い…。何でもない、いつもの一言だって分かってるのに、妙に突き刺さって…。)

女店員(……涙が、止まらないよっ…)

女店員(店長が頑張ってるのに、私がこんなに気持ちがおかしいんじゃ、ダメなのも分かってるのに…っす)

女店員(なんで…。なんでっ……)

 
…ガシッ!!!

女店員「ッ!?」


錬金術師「お、女店員っ!」ゼェゼェ…!

女店員「えっ…!?て、店長…さ…」

錬金術師「店長でいいっつーの!足はえぇよお前…!」ハァハァ…!

女店員「…っ!」

錬金術師「ど、どうしたんだよ…。急に逃げて…!」

女店員「…っ」

 
錬金術師「き、昨日のことか!?」

錬金術師「あれは…本当に悪かった…。考え事をしてて…つい…」


女店員「ち、違うよ……」ボソッ


錬金術師「な、何っ…」


女店員「私が、店長の気持ち理解しないで色々やって、怒らせただけだから…っ」

女店員「だから、今日はその…敬語で…やれば怒らせないかなって…思って…でも……」


錬金術師「ち、違うっ!お前は悪くないっての!」

女店員「違わないよっ…」

 
錬金術師「あれは俺が倒れて!!その…!夢を見て…さ……」


女店員「……えっ?」

女店員「た、倒れた……?」


錬金術師「…あっ」ハッ
 
 
女店員「た、倒れたってどういうこと…!」

錬金術師「い、いやその…!」

女店員「あの時、転んだって…」

錬金術師「…っ!」

女店員「ウソだったの…?」

錬金術師「い、いやその…!」

 
女店員「なんで…」

錬金術師「…ッ!」

女店員「わ、私は頼れない人間だったのかな……っ」


錬金術師「…ッ!」

錬金術師「…」

錬金術師「……」イライラッ

錬金術師「あっ……!!あぁぁぁっ!もうっ!!」ブチッ!

 
女店員「えっ…?」

錬金術師「あぁぁぁああっ!!面倒くせぇぇっ!!」

女店員「っ!?」ビクッ!

 
錬金術師「馬鹿野郎がっ!!」グイッ!

…ギュッ!!

女店員「…ッ!!」


錬金術師「あぁぁもう、マジで面倒くせえ!」

錬金術師「本音もクソもあるか、女が面倒なもんってのは知ってたが、俺は面倒だっていうぞ!」

錬金術師「情緒不安定?不安?知るかっ!!」

錬金術師「女店員、いいか!早口で言う、よく聞けよ、いいかっ!!!」


女店員「え、えっ……!」オロッ…

 
錬金術師「倒れたのは事実だが、俺は誰にも迷惑をかけたくなかったから言わなかっただけだ!」

錬金術師「それに怒鳴ったのはお前のせいじゃなくて、俺が経営に関して悩むとああなっちまうんだよ…!」

錬金術師「やっぱり親父の血も流れてて、色々怒鳴っちまうし、声も荒げちまう!」

錬金術師「だけど、お前のことを別に嫌いとか気持ち悪いとか、そういうことじゃねえ!」

錬金術師「いきなりすぎるかもしれねえが、気にすんな!」

錬金術師「……隠し事をしてるのは悪かった、俺も謝る!」


女店員「て、てんちょ…」


錬金術師「……分かった、そうだったな。」

錬金術師「お前に色々隠し事したらダメだったな。これからはきちんと言うから…」

錬金術師「……な。機嫌治せ」

 
女店員「…っ」


錬金術師「俺は、お前の考えてる気持ちを俺は理解できねえし、つうか他人の気持ちも正直…疎い。」

錬金術師「だけど、お前が気持ちを素直に口に出来ないってことも分かってる。」

錬金術師「だからこそ、これからは少しでも、気持ちも考えられるように、俺ももっと大人になるから……」


女店員「…」


錬金術師「なっ…?」


女店員「…」

女店員「……ご、ごめん」


錬金術師「ん、だから謝ることは…」

 
女店員「銃士…ごめん…」


錬金術師「な、なぬ?銃士?」


女店員「…」グッ…
 
……ギュウウッ!!

錬金術師「!」

女店員「このあったかさは…ダメだよ……」

錬金術師「な、何だ!?」

女店員「…店長」

錬金術師「何だ…?」


女店員「…」

女店員「……っ」ドクンッ…

 
錬金術師「ん…?」

女店員「あの…ね………」ドクッ…

錬金術師「…どうした」

女店員「わ、私が…その、不安…だったのは…ね……っ」ドクッドクッ…

錬金術師「…」

女店員「て、店長…が……ね……」ドクッドクッドクッ…

錬金術師「うむ、俺が?」


ドクッドクッドクッドクッ……!


女店員「…」

女店員「…ッ」

 
…………ドクンッ!!


女店員「…」スゥッ…

女店員「…っ」
 
女店員「……や、やっぱりなんでもないっ!」


錬金術師「な、なんだって!?」ガクッ

女店員「ご、ごめんっ!何でもない…!ごめん……」

錬金術師「…あ、あぁそう?」

女店員「そ、それよりさっきの言葉通り…これからは本音で教えてね!」

錬金術師「お、おうよ。ちゃんと言うよ…」


女店員「じゃあ、お店に戻ったら…店長がなんであんな風になってたか教えてねっ。」

女店員「きっと、私も力になれるかもしれないから」

 
錬金術師「…分かったよ」


女店員「うんっ…。」

女店員「じゃあ戻ろっか…。」

女店員「それと、ここまで追いかけてくれて…ありがとう……」


錬金術師「…」

錬金術師「……へ、ヘックション!」


女店員「あ…」

錬金術師「…まだ外は寒いな。上着、ほれ」スッ

…パサッ

女店員「!」

 
錬金術師「…じゃ、帰るぞ。」クルッ

女店員「うん…」


錬金術師(……久々にこんなに大声あげたな。)

錬金術師(少し、スッキリした気がする…。)

錬金術師(…お前も、心から俺を心配してくれてるんだなって分かったよ。)

錬金術師(すまんかったな……)


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店 】


…グビッ

錬金術師「…あったけぇぇ!」ブルルッ!

女店員「新人鉱夫、わざわざ淹れててくれたんだ…」


新人鉱夫「はいっ!」ムフー

新人鉱夫「お茶菓子もあるので、まずは一息落ち着いてくださいっ♪」


錬金術師「あぁ悪いな。」

錬金術師「新人鉱夫も、少し休んでくれ。一緒に飲もう」

 
新人鉱夫「はい、じゃあお言葉に甘えて…」


錬金術師「…」グビッ

錬金術師「ぷはっ…。さて、銃士はいないが……」

錬金術師「ちょっと、お前らに話をしておきたいことがある。相談っつーか…」


新人鉱夫「は、はいっ!相談ですか?」

女店員「うん…」 


錬金術師「まぁ知ってるだろうが、俺は昨日、情けないことに女店員に怒鳴っちまった…」ハァ


新人鉱夫「…」

女店員「…」

 
錬金術師「…言い訳になるが、俺はこういう事になるんじゃないかって思ってた。」

錬金術師「嫌でも親父の血があって、やっぱり心の奥底ではあぁなっちまうんじゃないかって…な」


女店員「…っ」

新人鉱夫「店長さん…」


錬金術師「…悪かった。まず、謝らせてほしい」


女店員「わ、私の方こそ…」

新人鉱夫「ぼ、僕も気づけなくて…」


錬金術師「いやいいんだ」

錬金術師「…それで次の、話の本題へ進ませてもらうな」

 
女店員「うん」

新人鉱夫「はいっ」


錬金術師「……じ、実は思った以上に…俺の身体にガタがきている」


女店員「店長…」

新人鉱夫「ど、どういうことですか!?」


錬金術師「その、実はな…」

錬金術師「錬金道具や魔石の生成時、身体の魔力を多く使ったり、集中が非常に多くなるんだ」

錬金術師「だから、身体のだるさや色々と疲労で休むことも多かった」


女店員「…っ」

 
錬金術師「今回の件は、今までの比じゃないくらいの量でな…。」

錬金術師「いけると思っていたんだが、どうやら俺にとっても相当な重圧らしい…」


女店員「そ、それで昨日…」


錬金術師「…倒れちまった。」

錬金術師「それで、どうにか上手く回せないかと考えていて、そこでつい…」


女店員「…」コクン


錬金術師「……隠していて悪かった。」

錬金術師「自業自得だな、怒鳴ったのも、気分が悪かったのも。」

錬金術師「…もっと早く、相談すべきだった」

 
新人鉱夫「……いえ、気付けなかった僕らにも責任があります」シュン

女店員「うん…。ごめんなさい…」


錬金術師「お、おいおい。だから、お前らは謝る必要はねーよ!」

錬金術師「人の気持ちを察しろなんて、難しいことなんだからよ」


新人鉱夫「で、でも…」

女店員「…」


錬金術師「…許してくれるなら、許してくれてそれで終わりにしたい。」

錬金術師「互いが互いに言い合ってちゃ、この話はずっと終わらないだろう…。」

錬金術師「今回の件、本当にすまなかった」

 
新人鉱夫「い、いえ!そんな、許すも何もないです!」


女店員「…」

女店員「…ふふっ。」クスッ

女店員「……店長、ゆるすっ!」


新人鉱夫「えぇっ!?」


女店員「…ね?」ニコッ


錬金術師「…」

錬金術師「…くくくっ。そうか、ありがとよ!」ハハハ!


女店員「うんっ。私も迷惑をかけてばっかりで、勝手で…。」

女店員「私のことも…許してくれるかな…」

 
錬金術師「……同じ答えだ。」

女店員「…えへへ」

錬金術師「…」ニヤッ

女店員「うんっ…」


新人鉱夫(…!)

新人鉱夫(……やっぱり、なんか二人は違うんですねぇ。)

新人鉱夫(二人とも気づいてませんけど、二人とも…凄いですよ。)


錬金術師「…さてまぁ、本題についてだが。」

錬金術師「二人とも、いい案があったら提供してほしい」

 
女店員「いい案…か」

新人鉱夫「今後、魔石の販売や錬金術頻度が増えたらどうするか…ですね。」


錬金術師「情けない話だが、正直…俺は今後の対応が非常に難しいだろう。」

錬金術師「大丈夫だと思っていた身体だったが、本当は厳しかったみたいでなぁ……」ハァ

錬金術師「こればっかりは生成術における、魔力の消費を抑えることも難しいし…」

錬金術師「どうやってか定期的な生産量を確保せんといかん」


女店員「サードパーティからの販売も抑えたいから、独占販売でいきたいってことだよね」


錬金術師「そうしないと、儲けが少ないシステムだからな。」

錬金術師「開発方法を外へ漏らすと、サードからの販売も増えてくるだろうし…」

錬金術師「出来るだけ独占しておきたいんだ」

 
新人鉱夫「でも、そのままだと店長さんが倒れてしまう…。」

女店員「だから、安定供給のために何とかしたい…か」

新人鉱夫「僕らで手伝えることは手伝いますが、魔石生成は難しいですし…」

女店員「鉄鉱石の製錬とはワケが違うから、量産には手伝えないね…」


錬金術師「…そういうことだ」

錬金術師「まぁ俺も考えてはいるが、すぐに回答も難しいだろうし……」

錬金術師「銃士が戻り次第、銃士にも考えて貰おうと思う」


女店員「だねっ」

新人鉱夫「それがいいと思います」

 
錬金術師「…んじゃ、俺は少し休むかなぁ」フワァ

錬金術師「休める時に、ちょっとでも休んでおくが吉なわけで……」


女店員「うん、それが良いと思う」

新人鉱夫「お客さんが来たら、呼びますよ」


錬金術師「はっはっは、客は早々来ねぇよどうせ。」

錬金術師「万が一、今回配ったサンプルに対しての客が来たとしても…」

錬金術師「オリジナルの魔石はストックがあるし、売れる本道具自体はある程度準備してある…。」

錬金術師「そこまで困るもんじゃねえしー……」


……コンコン

 
錬金術師「!」

女店員「!」

新人鉱夫「!」


錬金術師「…い、いや。」

錬金術師「そんな、まさか。そんなぁ…まさか…。」

錬金術師「今、普通の客が来たりするわけはねぇよなぁ……?」


女店員「でも、この流れって……」

新人鉱夫「…恐らく」


錬金術師「…」

錬金術師「ど、どうぞ~…」コソッ…

 
……ガチャッ!

アクセ職人「…どうも、お店は開いておりますか?」


錬金術師(……あ゛っ)

女店員(あ゛っ……)

新人鉱夫「…い、いらっしゃいませ…?」
 

アクセ職人「この間、営業して頂いた件なんですが…。」

アクセ職人「今、お時間はよろしいでしょうか…?」


錬金術師「……ど、どうぞ」ピクピク

アクセ職人「失礼します」

トコトコ…

 
錬金術師「ど、どうも……」

アクセ職人「……いえ、この間はわざわざどうもでした」


新人鉱夫「お茶、淹れ直してきます」クルッ

タタタタッ……


女店員(こ、このタイミングで…。大丈夫なの…!?)チラッ

錬金術師(む、無理だ。今の俺の体調じゃ、すぐの鉱石製錬すらも難しい……)ブンブン

女店員(私が出来る…かな?)チョイチョイ

錬金術師(鉄クズは余ってるが、製錬レベルが違いすぎて無理だ…)ブンブン

女店員(こ、断るの?)チョイッ

錬金術師(自信満々に言ったのに、断れねぇよ!)ブンブンッ

女店員(あ、あはは……)

錬金術師(……は、はは)

 
アクセ職人「そ、それで…えぇと……」

錬金術師「…あ、はいはい!」

 
アクセ職人「…この間の件ですが、実は…。」

アクセ職人「あれからすぐに、うちに卸していた業者がつぶれてしまって……」


錬金術師(…やはりか)


アクセ職人「…店長さん、まだあの時のお話は可能ですよね。」

アクセ職人「あの時、あのレベルの鉄クズを300ゴールドとおっしゃっていただきました。」

アクセ職人「……お願いします、契約をしてください」


錬金術師「…」


アクセ職人「…」ペコッ

 
錬金術師(…まずいな)タラッ

錬金術師(忘れていたわけじゃなかったが、このタイミングで来るか…普通……?)

錬金術師(仕事っつーのは波があるが、こういったこともあるんだよなぁ……)


アクセ職人「…あの」

錬金術師「……い、いや。可能ではあります」

アクセ職人「本当ですか!?」

錬金術師「…どれくらいのご希望でしょうか」


アクセ職人「あのサイズで、月100個です。今回はこちらからの契約ですので、契約料を多少上げて頂いても!」

アクセ職人「そうですね、400ゴールドでいかがでしょうか。」

アクセ職人「お願いいたします」

 
錬金術師「…月40万ですね。な、なるほど、承知しました…」ピクピク

アクセ職人「…あ、有難うございますっ!」

錬金術師「ただ、ちょっと今…在庫が少なくて。いつぐらいからのご希望でしょうか?」

アクセ職人「できれば、来週頭からなのですが…」


錬金術師「…」

錬金術師「……ら、来週」ピクピク


女店員(…ってことは、丁度、月曜日の納品か。)

女店員(中央商人さんとの契約もあるし、丁度いいといえば丁度いいけど……)


アクセ職人「無理でしょうか…」

 
 
錬金術師「…っ」

錬金術師「い、いえ…。何とかしましょう……」


アクセ職人「…有難うございますっ!」


錬金術師「け、契約書は近日中、納品前までにお届けいたします…」

錬金術師「それまで、お待ちください…」


アクセ職人「は、はいっ!」

錬金術師「…」ニ、ニコッ…

アクセ職人「それでは失礼します…っ!」

錬金術師「ま、またどうぞ~…」ピクピク

 
アクセ職人「…」ペコッ

トコトコ…ガチャッ、バタンッ!


錬金術師「…」

女店員「…」


タッタッタッタッ…!

新人鉱夫「…っと、時間がかかってすいませんでした!」

新人鉱夫「お茶です…って、もう帰っちゃったんですか?」


錬金術師「…ッ」バッ!

ガシッ、グイッ!

新人鉱夫「あっ、お茶を!?」

 
錬金術師「…んぐっ、んぐっ!」グビグビッ!

新人鉱夫「あああ、熱いですよっ!!」

錬金術師「……ぷはっ!」

…コトンッ!


新人鉱夫「の、飲んじゃった…」

女店員「て、てんちょ~…」


錬金術師「……さぁて、どうしたもんか」ハハハ…


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
店長の身体は、ここ最近の度重なる錬金術と魔力の消費で深刻なダメージを受けていた。

隠し通したかった店長だったが、女店員や新人鉱夫へようやく告白。

今後の量産を含め、どうにかするべく考えたものの…いい案はまとまらなかった。

更に、本来なら嬉しいはずの新たな契約も、更なる悩みの種へ。


……しかし、店長の心にはある思惑が。

それを伝えたのは、2日後の銃士が戻ってからだった。

本日はここまでです。有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 2日後(3月4日) お店 】


銃士「…」

銃士「も、戻ってきたら大変なことになってたみたいだね…」


錬金術師「…非常に不味い。」


女店員「うん…」

新人鉱夫「仕事が増えるのはいいですが、店長さんの手が回らないですね…」


銃士「…しかし倒れたとは。」

銃士「大丈夫だったのか?」

 
錬金術師「少しは回復したが、大量生産が出来るほど余裕はねぇ…。」

錬金術師「……不味いんだよな」


女店員「私たちじゃ、その錬金術を手伝えるわけじゃないし…」

新人鉱夫「そうですね…。小さいことならお手伝いできるのですが…」

銃士「うーん…」


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……頼りたくなかったが、最終的に頼ることにはなりそうだな」ハァァ


女店員「え?」

 
錬金術師「……俺らで何とかできないかと思っていたが、ここまでまとまらないんじゃ仕方がない。」

錬金術師「前々から少しだけ、最終的な案として考えてたが……それを実行しないといけなそうだ」ハァァ


銃士「…なんだ、考えがあったのか?」


錬金術師「いや、だけど頼りたくないっつーか……」


女店員「でも、ここまで追い込まれてたら頼らざるを得ないんじゃ…」


錬金術師「それはそうなんだが…」


新人鉱夫「えっと…その頼るっていう、最終的な案の詳細は何なんですか?」

 
錬金術師「…ほら。」
 
錬金術師「錬金術で、俺の指示のもとなら変わらない出来を造れる人間ならいるだろう…?」


女店員「えっ、そんな人が…?」

錬金術師「正直、仕事としてはあまり巻き込みたくないんだが…ココまで来たら仕方ないというか…。」

銃士「…知り合いか?」

錬金術師「いや本気で、頼りたくはないんだが……」

新人鉱夫「…誰ですか?」


錬金術師「……忘れてるだろ。」

錬金術師「隣町、錬金術機関。機関長と、術士先生だよ…」


3人「……あぁっ!」

 
錬金術師「…こんなカタチでは尋ねたくなかったが、さすがに俺だけじゃパンクしちまう。」

錬金術師「自分を見極められないなんて、情けな過ぎてな……。」


銃士「…で、でもそれならいいんじゃないか!」

新人鉱夫「そうですよ、あの二人なら力強い味方になります!」

女店員「…しのご言ってられないね」


錬金術師「…」

錬金術師「……はぁ、仕方ないよな。」

錬金術師「明日中には契約書出さないといけないし、今日、高速馬車でサクッと行ってくるわ…」

 
女店員「うん…。アクセショップの人にだよね。」

銃士「はは…気を付けて。」

新人鉱夫「お留守番は任せて下さいね」


錬金術師「あぁ…。」

錬金術師「こんなこと話したら、どうせ機関長に怒られるんだろうな…」

錬金術師「"己の力も分からないなんて、それでもマスターの称号を持った男かっ!!"」

錬金術師「なーんて……」


……………
………

 

………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 隣町 錬金術機関 機関長の部屋 】


機関長「…己の力も分からないなんて、それでもマスターの称号を持った男かッ!!」


錬金術師「」キーン


機関長「……ったく情けない!」

機関長「相変わらずの開発技量、その知識と腕には感服するが…」

機関長「最も必要な、自分の体力管理を怠ってどうするんだっ!!」ビリビリッ…


錬金術師「わ、分かってるっつーの!」

錬金術師「今回のは久々に失敗しちまったし、反省もしてるって…!」

 
機関長「はぁぁ…。マスターの称号が泣くぞ…」

錬金術師「ほら、俺ってば既にマスターの称号は返還したし?」キャピッ

…ゴツッ!!

機関長「殴るぞ」プルプル

錬金術師「い、痛いっ!既に殴ってる!」プシュウッ…!


機関長「……しかしまぁ、事情は分かった。」

機関長「今後の対応が、自分じゃ出来かねるということだな」


錬金術師「生成魔石、マジエアコン、パワーアップユニット、超回復瓶を適宜制作。」

錬金術師「それに加えて、鉄クズの精製が100個。」

錬金術師「ついでに、毎週のハンティングで採ったカルキノスをある程度イジらなくちゃいけない」

 
機関長「…一人の人間の限界量を超え過ぎだ。」

機関長「普通なら倒れてるぞ」


錬金術師「だから倒れたんだって♪」キャピッ

…ゴチィンッ!

機関長「殴るぞ」プルプル

錬金術師「…」プシュー


機関長「…仕方ない。手伝えることは手伝おう」

錬金術師「お…いいのかっ?」 
 
機関長「お前の頼みだ、断れるわけがないだろう」

錬金術師「…恩に着るよ」

 
機関長「だが、その前に…」ゴソゴソ

錬金術師「ん…」

機関長「…ほれ、うちとの契約書だ」ペラッ

錬金術師「……へいへい」


機関長「今回のことは、俺と術士先生、場合によっては白学士と錬成師を契約社員として扱ってもらう。」

機関長「各生成、製錬時に費やした時間による、時間給。それでいいな?」


錬金術師「へっ、それでいいのか?」

機関長「うちとしては、儲けが出るならいい」

錬金術師「…総売り上げから、割での計算のほうが高いぜ?」

機関長「そりゃそうだろうが、そこまでうちは貧乏じゃないから気にするな」

 
錬金術師「…それじゃお言葉に甘えるが。1時間辺りの金額はいくらにする?」トントン

機関長「800ゴールドでいい」

錬金術師「…やっす。錬金学生の特待学校でやるアルバイト以下だぞそりゃ」

機関長「もし5人が出る機会があれば、1時間で4500ゴールドになる。充分だ」

錬金術師「せめて1000ないとキツくないか?合計5000はいくぜ」

機関長「うちの機関は、研究が本分で…費用は国から貰っているからな。それ以上はいらんよ」

錬金術師「…言葉に甘えるぜ?」

機関長「よろしい」

錬金術師「…代わりに、何らかの理由で生成が出来なかった場合の損失は削除しておく」カキカキ

機関長「人災を含む、怪我による保険の部分もいらん」

錬金術師「おいおい、それは……」

 
機関長「俺らの腕で、そうそう事故が起きるものか…。」

機関長「それともなんだ、うちの機関は事故でも起こすと思うか?」


錬金術師「…起こすわけねえわな」カキカキ…

機関長「そういうことだ。よし、書いたか?」

錬金術師「こんな簡素で、いい契約したのは初めてだぜ」フゥ

機関長「あとで、3人には契約社員になったことを伝えておくぞ」

錬金術師「全くなんてオッサンだ。勝手に契約していいのかよ」


機関長「あいつらが話を受けたら、確実にお前にもっと有利な話で動くかもしれんからな。」

機関長「俺よりお前の方が慕われているくらいだ…。」

機関長「下手をすれば研究を疎かに、機関が潰れかねんし…勝手に契約させて貰う」フンッ

 
錬金術師「はっはっは、どーも」

機関長「…全く、これからは自分の体力を知ったうえできちんと仕事をするんだぞ」

錬金術師「わかってますよ~っと」ヒラヒラ

機関長「…はぁ。それじゃ、まずは何から手伝えばいいのか」


錬金術師「…とりあえず、製錬鉄クズを準備してほしい。」

錬金術師「オッサンの腕なら、恐らく俺のとそこまで相違ないモンが出来るはずだし…」

錬金術師「来週の頭までに100個。それ以後、常にストックがあれば嬉しいが…」


機関長「100個程度なら、1時間かからんな」


錬金術師「そりゃ集中製錬した場合だろうが…。」

錬金術師「休み休み…せめて1時間に20個ペースでやらんと、俺みたく倒れちまうぞ」

 
機関長「…1時間かからん。かかるわけがない。かかりませんっ」フンッ

錬金術師「子供かよっ!」

機関長「で、それだけでは他の者に仕事がないぞ?」


錬金術師「…あんたな、マジで1時間に100個ペースは倒れても責任はもたんぞ」

錬金術師「せめて、人数で割って100個を……」


機関長「早く、次の仕事内容は。来週までにやること、はよ」クイクイ


錬金術師「…」

錬金術師「……あと、ココに設計図を書いておくから。」

錬金術師「それにあわせて、さっきの3つの道具を造ってほしい…が……」


機関長「マジエアコン、パワーアップユニット、超回復瓶だな」

 
錬金術師「素材費用はそれぞれこっちが負担する。」

錬金術師「楽な順序は、超回復瓶、パワーアップユニット、マジエアコンの順だ。」


機関長「了解した。今後手紙で、1週間のうちにどれくらいのペースで制作してほしいか寄越してくれ。」

機関長「それに合わせ、こちら側で時間を割く。」


錬金術師「…おう、ありがとうさん」

機関長「うむ。では、今はそれだけか?」

錬金術師「まぁそれだけだな…。」フム

機関長「承知した。お前のものと完璧なオリジナルとはいかんだろうが、不満のない道具にはなるはずだ」

 
錬金術師「…おうっ、頼むぜ!」

錬金術師「だけど、マジで時間給で気にしてアンタが倒れることないようにな。」

錬金術師「それじゃ…時間もないし、失礼する。有難うな」


機関長「うむ、俺は1時間に余裕なんだっての」


錬金術師「そ、そうか。じゃあな…」

トコトコ……

ガチャッ…バタンッ……!!

 
機関長「…」
 
機関長「…はぁ」

機関長「……馬鹿モンが。」

機関長「見えていたぞ、両手にあった真っ赤な湿疹と、ペンを動かす時の手の震え……。」

機関長「とっくに限界を超えた証ではないか…。」

機関長「その努力を知ってる俺が、少しでも楽をさせてやらないでどうしようといおうか…ってな」


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして夜 錬金術師のお店 】


錬金術師「……ってわけで、契約してくれるそうだ」


女店員「良かったぁ…。少しは休めるね…」ホッ

銃士「ってことは、あそこの皆さんが一応、私らと一緒の店員ってことになるんだね」

新人鉱夫「へへ、少し不思議ですね」


錬金術師「まぁうちに来るわけじゃないし、そんな感覚もないだろうが……」

錬金術師「向こうで造ってくれたアイテムは基本的に俺が回収にいくから大丈夫だ」


女店員「…あっ。それなら私が行こうか?」

 
錬金術師「…いや、隣町まで大変だろ。重いモンもあるし、俺がやったほうが…」

女店員「ううん、私が行くよ。大丈夫っ」

錬金術師「…そ、そうか?」

女店員「うんっ!」


銃士(…ん?)

銃士(今までなら、"店長が頑張ってやる気出してるんだね!"とかだけで終わらせると思ったんだけど…)

銃士(女店員が率先してやろうとするのは…少し珍しいかな)


新人鉱夫(…なんか、店長さんと女店員さん、いい方向に向かってますね。)

新人鉱夫(喧嘩したあとの仲直りが上手く行った時ほど、距離が縮まるものもないですからねぇ……)

 
錬金術師「…んじゃまぁ、どうすっかなぁ」ポリポリ

錬金術師「今日は仕事終わりなんだが、次回納品は3月9日だし、明日は1日暇の予定だな」


女店員「お客さんを待ってることも仕事なんだけどね…」アハハ…

錬金術師「ん~…」

女店員「…納品分はもう終わってるんだよね?」

錬金術師「銃士とのハンティングは金曜日あたりに終日使ってやれば終わるし…」

女店員「新人鉱夫の鉱石もストックがあるし…」


銃士「…ふむ」

新人鉱夫「確かに、最近のことを考えると明日は…全員がお店に来てもやることが少ないですね」

 
錬金術師「…」

錬金術師「…ん」ピクッ

錬金術師「……ちょい、ちょっと待て。ちょっと待て」


女店員「うん?」


錬金術師「お前らさ、最近…休みとったか?」


女店員「休み?」

新人鉱夫「……休みですか?」

銃士「休みか…?」

 
錬金術師「そもそも、俺を除いて基本、全員週五日出勤だろ?」

錬金術師「…なのに、ここ最近は毎日、出張してるか出勤してるよな」


女店員「あ、確かに…」

新人鉱夫「…僕はここに住んでいるので、自然と出社状態になってますね」

銃士「出張だったけど、確かに仕事といえば仕事か…」


錬金術師「…」

錬金術師「……はぁ。こんなんじゃダメだな、俺以外も疲れてるだろうに…すっかり忘れていた」

錬金術師「そこはきちんとしねーとな」


女店員「…えっと、つまり」

 
錬金術師「週の真ん中が休みってのも普通にあるし。」

錬金術師「明日は全員、休日にしよう。店はクローズにしておく」


女店員「えっ!」

新人鉱夫「き、休日ですか?」

銃士「休日か…」


錬金術師「配布した道具の魔石はまだまだ消費されないし、オリジナル魔石の購入者もいないはずだ」

錬金術師「丁度いい機会だし、明日は全員の休みにしよう」


女店員「休日かぁ。考えてなかった……。出社でもいいような……」

錬金術師「しっかり休む日にしとけ」

女店員「う、うーん…」

 
新人鉱夫「えーと、じゃあ僕はどうしますかねぇ…」

錬金術師「寝坊していいぜ?」

新人鉱夫「でも、朝ごはんも作りますし結局…早く起きちゃいそうです」

錬金術師「たまにはのんびりしてもいいんだが…」

新人鉱夫「そうですかねぇ…」


女店員「…休日。お店もクローズかぁ」

銃士「明日は出勤しなくていいと…。」

女店員「…銃士、何かする?」

銃士「あぁそうか…。そうだな、二人で町にでも出てみるか?」

女店員「ショッピングするっ?」

 
銃士「…そうだな、私も欲しいのがあるし。一緒に行こうか」

女店員「うんっ♪」

銃士「1日まったりするのは久しぶりだな」

女店員「新しいカフェもできたみたいだし、そこも行ってみようよ♪」

銃士「うむっ」


新人鉱夫「二人はショッピングかぁ…。僕は……寝坊してもやることないかなぁ…」

錬金術師「…俺とショッピングするか?」

新人鉱夫「えっ」

錬金術師「えっ」

新人鉱夫「…店長さんとショッピングですか!」

錬金術師「い、いや。言ってみただけだ…」

 
新人鉱夫「…て、店長さんが良ければ行きたい…ですっ」

錬金術師「いやいや、嫌ならいいんだぞ?」

新人鉱夫「嫌なわけないですっ!いいんですかっ?」パァッ

錬金術師「お前が良ければ」

新人鉱夫「もちろんですっ!行きたいですっ!」

錬金術師「そ、そうか。じゃあ…明日は町に出るか……」

新人鉱夫「はーいっ♪」


銃士(……っ!)ゴゴゴ…

女店員(う、薄々思ってはいたけど……!)ゴゴゴ…

銃士(し、新人鉱夫って…)

女店員(新人鉱夫は…)

 
女店員(私より…よっぽど……)

銃士(私より…よっぽど……)


新人鉱夫「へへーっ♪」

新人鉱夫「楽しみです、店長さんっ!どこに行きましょうか~!」


錬金術師「お前が行きたい所も付き合うぞ。俺も行きたいところあるし」


新人鉱夫「はーいっ!僕の普段行く買い物場所とかも案内しますねっ♪」


女店員(女子っぽい!!)

銃士(女子力とやらが、高いのでは…!)

 
錬金術師「…」

錬金術師「……あっ」ハッ


新人鉱夫「どうしました?」


錬金術師「んじゃさ、どうせなら……全員で出かけないか?」

錬金術師「このままだと、どうせ町の中で4人で会うし」


女店員「!」

銃士「!」

新人鉱夫「!」


錬金術師「い、いや。仕事のことを忘れたい休日だろうが……。」

錬金術師「俺の顔を見たくないだろうし、無理にとは……」

 
女店員「…いくっ!!」

銃士「いこうっ!!」

新人鉱夫(…反応が早いですっ!)


錬金術師「…だけど、この面子じゃ仕事を忘れてリラックスを」


女店員「……この面子だから、リラックスできるっていうのもあるかも」

銃士「確かに、今はここにいないと少し落ち着かないというか」ハハハ

新人鉱夫「仕事が休日…っていうのは言葉が悪いですけど、そんな感じなのかもしれないです」


錬金術師「…そ、そうか?」

錬金術師「それなら、明日は全員で町に出てみるか……」

 
女店員(…本当は、休日って言われた時に店長を誘おうとしたけど)

銃士(お互いがいる手前、やっぱり言えないね……)

新人鉱夫(…と、思ってるんでしょうね)アハハ…


錬金術師「んじゃ、今日はこれで解散。」

錬金術師「明日はゆっくり10時くらいにでも店に集合してくれ。そこから町に行こう」


女店員「うんっ」

銃士「あぁ」

新人鉱夫「はーいっ!」

 
錬金術師「それじゃ、また明日。お疲れ~い」

女店員「お疲れ~!」

銃士「お疲れ様」

新人鉱夫「お疲れ様でしたっ!」


…………
……

 
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・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日の更新はここまでです。有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
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――――【 次の日 3月5日 】

ガチャッ!

女店員「おはよう~!」

銃士「おはよう」


新人鉱夫「あ、おはようございますっ!」

錬金術師「…おっ、来たか」


女店員「うんっ。いつでも行けるよっ」

銃士「私もいつでも大丈夫だ」

 
錬金術師「…」

錬金術師「……へぇ」


女店員「うん?」


錬金術師「…お前、今日は髪型違うのな。」

錬金術師「横結んでる…サイドテールっつーの?」


女店員「あ、うんっ…。ちょっと今日は…ね」

錬金術師「へぇ、似合うじゃん。可愛らしいと思うぞ」

女店員「えっ…?そ、そうかな?」

錬金術師「恰好もいつもと違うし、なんか新鮮だな」

女店員「え、えへへ…」テレッ

 
錬金術師「…銃士も。いつもと違う冒険者の格好じゃないし、新鮮だな」

銃士「いつもは戦いに使ってた服だからね。普段だとこういう恰好してるんだ」

錬金術師「…その青いパンツに、黒いジャケット。ボーイッシュでかっこいいな」


銃士「あ、ありがとっ」

銃士(……やっぱり、可愛い恰好の方が良かったのかな。でも、私は似合わないし…)


錬金術師「なんつうんだろ、銃士は普段からボーイッシュだからあれだが……」

錬金術師「スカートとか、可愛らしい恰好でも似合うと思うぞ。」

錬金術師「いや、今が悪いっつってるんじゃないけど。それもすげーに合ってるけど、なんだろ……」


銃士「…そ、そうかなっ!?」

銃士「でも、私が女の子っぽい恰好したら…ちょっと変じゃないかなって思って……」

 
錬金術師「…いやいや、お前は女だろうが。女性らしい恰好で可愛くなるって」

銃士「…!」

錬金術師「今度見せてくれよ。きっと可愛いんじゃないか?」

銃士「う、うんっ…!」

錬金術師「いや、今も充分可愛いと思うけどな」ハハハ

銃士「あうっ…」


新人鉱夫(…両手に花、です!)


錬金術師「んじゃ、行こうか」

 
女店員「え、店長はその恰好で行くの?」

銃士「普段着じゃなくて、錬金師の格好じゃないか」


錬金術師「…いや。俺って、これかあの出かけた時のスーツってやつしか持ってないんで」


女店員「えぇぇっ!?」

銃士「本当に?」

新人鉱夫「……本当なんですよね、それが」


錬金術師「いや、そりゃな……。」

錬金術師「外に出る時は基本、錬金師の格好しかないだろ……」

 
女店員「…じゃあさ、店長の服とかも買おうよっ!」

錬金術師「え~…。俺、そういうの面倒なんだよなぁ」

女店員「…す、スーツの時にバリっと決めてたんだから、もっと恰好しっかりしたら恰好よくなるよ!」

錬金術師「…そうかねぇ」


銃士「確かに、店長はスラっとしてるし…背も高めだし、それなりに似合う服があるんじゃないか?」

錬金術師「そういうのはだりぃって……」

女店員「店長ってば、今は少し髪も長いしさ、色々髪型変えてみようよ?」

錬金術師「いやいや、いいって…」

女店員「そう…?」

 
錬金術師「マジで、俺はそういうの面倒くせーんだって。」

錬金術師「髪型とか、服装とか、散髪に服屋に行くの面倒な男って結構多いぜ……」


女店員「む~…」

銃士「勿体ないな…」

新人鉱夫「…そうですねぇ」


錬金術師「…」

錬金術師「……つうか、俺に時間とられてたら買い物も何もないだろうが。」

錬金術師「お前らの休みなんだから、お前らのしたいことしろって」

 
女店員「…じゃあ、店長改良で。」

銃士「店長を格好よくしよう」

新人鉱夫「店長さんのスタイルをチェンジしましょう!」


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……マジで?」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 地元の町の服屋 】


…ガランガランッ!


服屋の店員「…っしあぁせー!!」


女店員「ほら、店長。こっちこっち」

錬金術師「うえぇ、もうなんかやだ……」ズリズリ…

銃士「恰好よくなれるって!」

新人鉱夫「僕も欲しい服がないか探してみよっと…」

 
トコトコ…

服屋の店員「団体さんっすねー!」

服屋の店員「何かお探しっすか、コーディネイトしまっすよ~」


女店員「あ、大丈夫です。私たちでやるので」キッパリ


服屋の店員「そっすか。何かあったら声かけてくだせー」クルッ

トコトコ…


錬金術師「…すげえな」

錬金術師「ハッキリと"ノー"と、よく断れるな」

 
女店員「ファッション店員なんてああいうのが普通なの。」

女店員「それより、どんな服にしようかなぁ」


銃士「帽子とかも意外と似合いそうだ」

女店員「あっ、いいかも!」

銃士「これとかどうだろう」パサッ

女店員「似合いそうだけど、あそこにあるブレスレットとかと合わせる?」

銃士「あー、それも悪くないかも…。」

ワイワイ…キャッキャッ……


錬金術師「…」

錬金術師「……ちょっと、そこのソファで座ってよう」

トコトコトコ…ボスンッ!

 
錬金術師「…」

錬金術師「……はぁ」


トコトコトコ…

服屋の店員「失礼しやっす」ペコッ

錬金術師「ん…」

服屋の店員「サービスのコーヒーです。どうぞ」スッ

コトンッ

錬金術師「…お、有難う」スッ

…グビッ


服屋の店員「えーと…。そ、それで……。」

服屋の店員「あのー…」チラッ

 
錬金術師「ん?」

服屋の店員「……もしかすると、店長さんですかね?」

錬金術師「!?」ブフッ!

服屋の店員「…あ、やっぱりですか!」

錬金術師「げ、げほげほっ!て、店長って……」ゴホッ!


服屋の店員「…この間は、有難うございました!」

錬金術師「は、はい?」

服屋の店員「いや、実はですね!女店員さんに、マジエアコンを頂きまして!」

錬金術師「…あ、あぁ」

服屋の店員「あれがもう、大助かり!お客さんにも好評で!」

 
錬金術師「そ、そうですか。それは何より……」

服屋の店員「マジでどもっす!」

錬金術師「い、いえいえ…どういたしまして…ッス…」

服屋の店員「あれって、魔石の購入だけでこれからも使えるんスよね?」

錬金術師「えぇ、低稼働なら1ヶ月くらいはもちますよ」

服屋の店員「それじゃあ、消費される前に購入しにいきますね!」

錬金術師「はは、是非お待ちしております」

服屋の店員「他のお店にも配ったようですが、みんな有難いって言ってますよ」


錬金術師(……へぇ。なるほどな、これは良い情報だ。)

錬金術師(思った通りに、お客は動きそうだな……)

 
タッタッタッタッ……

女店員「…店長、店長っ!」

錬金術師「んあ」

女店員「服を決めたから、次は散髪に行こうっ!」

錬金術師「はい?」

女店員「銃士が支払ってくれるから、時間もかかるし先に私と床屋にいこっ♪」


服屋の店員「おけっす。おまちしておりまーす」


女店員「いこっ!」グイッ

錬金術師「お、オイッ……」グンッ

タタタタタッ……

……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 町の床屋 】


チョキチョキチョキ……パサッ……


錬金術師「…なんで俺は髪を切られているんだか」

床屋の親父「ははは、恰好よくしますよ!」

錬金術師「はは…」

床屋の親父「…ふんふん♪」


錬金術師(…あいつらは、そこに座って何見てんだ?)チラッ

 
…チョコン

女店員「へぇ~…。ファッション雑誌最近見てなかったけど、こういう髪型が流行ってるんだ」

銃士「確かに中央都市でかなり多かったな」

女店員「髪染めも色々あるねぇ」

銃士「女店員は染めないのか?」

女店員「私はいいかなぁ」

新人鉱夫「じゃあ、僕は金髪のロン毛にしましょうか」


銃士「…」

女店員「…」


新人鉱夫「…無言でも、凄く伝わってきます」

 
床屋の親父「…ははは、ゆかいなお仲間ですね」

錬金術師「はは…。お恥ずかしい限りで……」

床屋の親父「……ところで。あなたは店長さんですよね?」

錬金術師「!?」

床屋の親父「いやぁ、この間いただいたマジエアコン!そこにも置いてありますが有難い限りで!」

ポォォォッ……


錬金術師「…そ、そうっすか。俺のこと知ってる人、多いですねぇ…」ピクピク

床屋の親父「女店員さんが、前から営業に来て…うちの店長は凄いんだって何度も言うもんですから」アハハ

錬金術師「!」

床屋の親父「すっかり有名ですよ」

 
錬金術師「…その割に、業績が伸びませんでしたけど」ククク

床屋の親父「ははは!」

錬金術師「……しかしそうですか。女店員がなぁ」

床屋の親父「えぇ」


錬金術師「…」チラッ


ワイワイ…

女店員「…でね、うんっ。これとか、きっと銃士に似合うよ!」

銃士「そ、そうかな…?」

女店員「うん」

銃士「今度買ってみようかな…。あそこの服屋にも置いてあったし…」

 
女店員「うんうん…」

女店員「…」

女店員「……ん?」チラッ


錬金術師「…」ジー


女店員「…」ニコッ

女店員「…」フリフリ
 

錬金術師「はは…」フリフリ…


床屋の親父「…あっ、店長さん!?」

床屋の親父「ちょっ、今動いたら……!」

 
…ザクッ!


錬金術師「…」

錬金術師「……ぬぅぅおおおおぉぉおっ!!!」ブシュッ…


女店員「て、店長っ!?」

銃士「店長っ!」

新人鉱夫「て、店長さーんっ!?」


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 町中 商店街 】


…ビシッ!!

錬金術師「…こ、この服が似合うか?」キラキラ

錬金術師「それに…髪も結構短くなっちまったが……」サワサワ


女店員「…!」

銃士「…!」

女店員「よ、予想はしてた…けど……」

銃士「ここまで…変わるとは…」


新人鉱夫「…かっこいいですよ、店長…さん…」

 
錬金術師「…そう?」キラキラ

女店員「…信じられない」

銃士「店長、さすがにびっくりするよ…」

新人鉱夫「なんか、モデルさんみたくなってますよ…!」


錬金術師「自分じゃ分からねーよ。」

錬金術師「……ん?」チラッ


通りすがりの女子A「…え、あの人かっこよくない?」

通りすがりの女子B「わっ、本当だっ!」

通りすがりの女子C「中央都市から来たのかな…?」

キャッキャッ…!

 
錬金術師「……マジでかっこいいのか?俺が?」

女店員「うん…。別人みたい…」

銃士「…」ゴクッ


錬金術師「じゃあ、ナンパとかっていうのしたら成功するかな」ハハハ

錬金術師「ちょっとそこの女子に……」クルッ…


女店員「だ、だめーっ!!」バッ!

銃士「だめだ店長っ!」


新人鉱夫(…これは、変身させちゃいけないタイプの人間です。)

新人鉱夫(二人も、二度と店長さんをかっこよくしようとはしないでしょうね……)

 
錬金術師「はっはっは、お嬢さん」


女子たち「きゃーっ!」ワイワイッ…!


ズリズリッ…!

女店員「て、店長~~っ!!」

銃士「だめだ、店長っ!暗黒面へ落ちてしまう…っ!」


新人鉱夫「…でも、仲良く出来ているようで何よりです。」ホクホク

新人鉱夫「今日は店長さんの1日でしたねぇ…。」ウンウン

新人鉱夫「あとは、みんなで洒落た料理店でも入って…休日も終わりですね……」シミジミ


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
その後、4人でレストランに入り食事を楽しむと、それぞれが家へと戻って行った。

次の日から納品分のアイテムを収集しつつ、

店長は今回の町の反応から、

"魔石の販売"と"マジエアコンを含む各アイテム"が1か月後より確実に売れると予想。

隣町錬金術機関と協力しつつ、不足していたストック分を少しずつ増やしていった。
 
 
……だが、そこで1つの問題が。

本日はここまでです。
有難うございました。

>>1の歴代主人公はみんなモテてる気がするけど、一番イケメンは誰だろ?

>>555
青年剣士じゃないの?
まわりの反応からして

皆さま有難うございます。遅れて申し訳ありませんでした。

少し開始前の余談を。

>>555
個人的なイメージでは、聖剣士が現代で言うイケメンかなと。
>>556
初代・青年剣士は主人公顔(イケメンといわずもがな、男らしいほう)でしょうか。


それでは、投下致します。

 
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――――【 3月17日 深夜 倉庫側 】


錬金術師「……やっべ」

新人鉱夫「どうしましょうか……」


…ゴチャッ!


錬金術師「…薄々思っていたが、倉庫側が…限界だ…」

新人鉱夫「寝るところがないですね…」

錬金術師「ストックを増やし過ぎたか…?」

新人鉱夫「い、いえ。でもこのくらいあってこそですよ…」

 
錬金術師「…そういや、倉庫のアイテムを増やしたのはいいものの……」

錬金術師「…出納帳の記載を最近全然してない気がするぞ」


新人鉱夫「あ…」


錬金術師「…マジエアコン、パワーユニット、超回復瓶、オリジナル魔石の、それぞれの制作費用。」

錬金術師「2月および3月中の収支の有無。」

錬金術師「……それに、隣町錬金術機関の契約料の支払い。」

錬金術師「女店員や銃士、新人鉱夫の給与振込も現金払いだったし……」

錬金術師「考えたら、全然記帳してねえよ!!」


新人鉱夫「…ど、どうするんですか?」

 
錬金術師「…記帳は必要だ。ちょっとバタバタしすぎて忘れてた…」

錬金術師「最後に記帳したのはいつだったか」

ゴソゴソ……

錬金術師「…っと、あったあった。」

錬金術師「えーっと……」ペラッ

錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……う、うおおおいっ!!」


新人鉱夫「!?」


錬金術師「2か月前どころじゃねえよ、かなり前から記帳してねえよ!」

 
新人鉱夫「…不味いですよね」タラッ

錬金術師「ち、ちょっと新人鉱夫!もう夜中で悪いんだが、記帳手伝ってくれ!」

新人鉱夫「は、はいっ!」

錬金術師「何に使ったか、どれをどれくらい使ったか…」

新人鉱夫「思い出す必要があるんですね!」

錬金術師「やっべぇ、マジで。これ最終的に親父に突き出すやつだからな…!」

新人鉱夫「た、大変じゃないですか!」

錬金術師「すぐに記帳しよう!どうせ寝るところもないし、やるぞっ!」

新人鉱夫「は、はいっ!」


…………
……

 
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・・・・
・・・
・・

 

……
…………
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――――【 そして次の日 3月18日 朝 】 

…チュンチュン!


ザッザッザッ…ガチャッ!ギィィッ……

女店員「…おっはよー!」

銃士「おはよう」


錬金術師「」チーン

新人鉱夫「」シーン


女店員「…って、店長~~~~っ!?」

銃士「新人鉱夫までっ!?ど、どうしたんだっ!?」

 
錬金術師「あ…あぁ……」ピクピク

新人鉱夫「既に朝…でしたね……」


女店員「ち、ちょっと!?」

銃士「二人で倒れてどうしたんだ!?」ボロッ…


錬金術師「…うっ」ガクッ

新人鉱夫「眠い…です……」ガクッ


女店員「ち、ちょっとおおっ!?」

銃士「し、しっかりしろ~~!!」


…………
……

 
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――――【 20分後 】

女店員「……そういうこと。」

銃士「記帳をね…。そういや確かに、ずっとしてなかったね…」

錬金術師「挙句の果てに、倉庫がいっぱいで寝るところがない」

新人鉱夫「どうしましょうか…」


女店員「…店長、記帳は終わったの?」

錬金術師「思い出せる限り、2月分から終わったが」

女店員「ちょっと見せてくれる?」

錬金術師「ほれ…」ポイッ

…パサッ

女店員「えーっと……?」

 

……
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【 3月17日 現時点でのお店の経営収支 】

■収入
・2月以前、販売および臨時講師の700万ゴールド
・中央商人との納品契約(週1回で30万ゴールド)
→7回目で210万ゴールド

・アクセ職人との納品契約(月1回で40万ゴールド)
→1回目で40万ゴールド

<合計+950万ゴールド>

■支出
・2月以前の支出合計460万
・2月以降の3人の給料60万
・3月中の錬金術機関の契約給料合計15万(約)
・各アイテムの素材費用200万

<合計-735万>

■収支合計
・プラス215万ゴールド
(前回よりプラス25万ゴールド)

 
【 現時点でのお店の経営情報 】

■お店
・平屋1階建て
・少し広い倉庫

■店員関連
・店長補佐1名
・ハンター1名
・鉱石採掘師(鉱員)1名
・錬金師(契約社員)4名

■販売物
・自動採掘道具(20万ゴールド)
・鉱石類(鉄鋼1000、銀5万、エレクトラム20万ゴールド)
・ライフマナ回復ポーション(5000ゴールド)
・バターピーナツ(サービス)
・装備類の修理等(時価)
・マジックエアーコンダクター(10万ゴールド)
・採掘パワーアップユニット(10万ゴールド)
・超回復瓶(10万ゴールド)
・オリジナル魔石(1個辺り3,000ゴールド)

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……

 
女店員「……うわ、なんか久々に見たよ」

銃士「新しい部分も記帳されてるね。前回と比べてプラス域にはなってるんだ」

女店員「ワイドレンジでチンがなかったら、もっとプラスだった気がするんだけど」


錬金術師「ワイドレンジピーナツ器だっての…。」

女店員「あはは…。でも、このペースならプラスを維持できるね?」


錬金術師「それはそうなんだが、恐らく魔石類やマジエアコン類が動くのは4月初頭からだし…」

錬金術師「それまでに、貯めた在庫をどうするかって話だ」


女店員「…倉庫がいっぱいなんだっけ」

錬金術師「寝るところもねえよ…。だが、これだけの量ないと不安なわけで…。」

女店員「だから、お店側でダウンしてたんだ…」

 
錬金術師「そーいうこと…。」

錬金術師「ふわぁぁ……。マジで疲れた……」


新人鉱夫「コーヒー淹れましょう…か……」


女店員「…さ、さすがにお店側で寝てていーよとは言えないからなぁ」

銃士「というか、今日の夜からどうするんだ?」

女店員「…そうだよね」

銃士「簡易な宿泊施設でもいいと思うが、二人で1万ゴールドは下らないだろうし」


錬金術師「んーむ…」

錬金術師「俺はココでいいから、新人鉱夫だけ宿泊施設に泊まらせるわ…」フワァ

 
新人鉱夫「えっ、いえいえ…!僕がお店側で寝ますよ!」

錬金術師「遠慮すんなっての。いいよいいよ」

新人鉱夫「でも…」

錬金術師「4月1日まで倉庫も空かない。それまで、新人鉱夫の分の宿、予約とるわ」

新人鉱夫「う、うーん…」


女店員「…うちのアパートに泊まってとはいえないし」アハハ…

銃士「…入れても三人だからな。四人はきついか」

女店員「雑魚寝ならなんとかなる?」

銃士「…ギュウギュウになるが」

女店員「…ギュウギュウ」

 
錬金術師「…あぁ、懐かしいな。」

錬金術師「そういえば倉庫の拡張の時、お前のアパートに泊まったっけ」ハハハ


女店員「…風呂まで覗いてね」ニコッ

錬金術師「」

女店員「…ね?」ニコッ

錬金術師「あ、暗黒の歴史をほじくり返すなっ!!」

女店員「…ねー」


新人鉱夫「…昔は店長さん、今よりヤンチャだったんですよねぇ」

銃士「ははは、そういやそんな事も聞いたことあったな」

 
女店員「あはは…。」
 
女店員「…」

女店員「………あ、そうだ」


錬金術師「んあ」

女店員「あ、あと1人なら寝れるし…。て、店長が良ければうちに…泊まる…とか……?」

錬金術師「えっ」

女店員「じ、銃士も良ければだけど」クルッ

銃士「…えっ、いや!わ、私は別に…いいけど……」


新人鉱夫(…攻撃的ですね!)

 
錬金術師「いやいや、だけどな」


女店員「店長なら一回うちに泊まってるし、別に今更…だし。」

女店員「っていうか、私の身体に入れ替わった時にも泊まってるし……」ジトッ


錬金術師「あ、あぁ…。そういやそうだな……」


女店員「大変な時期だから、お金も勿体ないし…。」

女店員「店長が良ければ、新人鉱夫に店を任せてうちに泊まっても…いいけど……とか」チラッ


銃士「う、うむ…。そうだな……」チラッ

 
錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……あ、だったら新人鉱夫のほ」


新人鉱夫「店長さん、僕は実は前からココで一人で寝泊まりしてみたかったんです」ペラペラ

新人鉱夫「ですので是非、僕はここで寝ますので、女店員さんたちとどうぞうどうぞ」ペラペラペラ


錬金術師「お、おう?ずいぶん早口な……」


新人鉱夫「た、たまには僕も一人でゆっくり休みたいなーとか思いますし!」

新人鉱夫「いい機会ですので、店長さんがどうぞっ!」


錬金術師「そ、そう…?」

 
新人鉱夫(…この流れから、本気で僕が女店員さんの家に泊まることになりかねません)ダラダラ

新人鉱夫(そしたら、絶対に僕じゃ寝れません…。む、無理ですから…!)カァァ

新人鉱夫(……それに、今は少しだけ何も考えず、静かに過ごせる夜が欲しいのが本音です…)


錬金術師「…し、しかしなぁ」

女店員「い、いいよ大丈夫っ!全然うちは大丈夫!」

銃士「…そうだな。大丈夫だ。私も一緒に夜を過ごした経験もあるし」


新人鉱夫(銃士さん、その言い方は……)カァッ


錬金術師「…お前らがいいならいいんだが。」

錬金術師「4月1日までになると思うし、2週間は滞在になんぞ?」

 
女店員「2週間…」

銃士「…か」


錬金術師「…そうなるだろ?」

錬金術師「やっぱり、普通に宿をとって……」


女店員「…だ、大丈夫っ!」

女店員「お布団も余分にあるし、着替えとかも私が洗濯もするしっ!」


錬金術師「…そうか?」


女店員「うんうん、だから大丈夫だよっ!」

女店員「今日の夜から大丈夫、うんっ!」

 
錬金術師「そ、そこまで言うなら…世話になるか……?」ポリポリ

女店員「うんっ」

銃士「賑やかになりそうだね」


新人鉱夫(…店長さんと、女店員さんと、銃士さんですか)

新人鉱夫(うぅ、怖いのもありますが…色々と想像しちゃいますね……)

新人鉱夫(い、いい、今の二人なら一緒にお風呂に入りかねないような……!)モンモン

新人鉱夫(……)

新人鉱夫(…うぅぅぅっ、ダメです!こんなこと考えてはっ!!!)ブンブンッ

 
女店員「じゃあちょっと、準備のために今日は少し早く帰りたいから…早退してもいいかな?」

錬金術師「あぁ、掃除とかもあるか」

女店員「部屋も少し空けられるところもあるし、そこも片づけちゃうから」

錬金術師「おう、了解した」


銃士「…晩御飯もいつもの量じゃ足りないな」

銃士「帰りに少し買い足しして行こうか」


女店員「あ、そっか。店長…何が食べたい?」

錬金術師「何でもいいかな。別に贅沢言うつもりもないし」

女店員「…でも」

 
錬金術師「いいから気にするなって。ただでさえ居候するみたいなもんなんだから」

女店員「ん~…」

錬金術師「そんなに言うなら、オススメでも作ってくれ」ハハハ

女店員「…そっか。じゃあ、任せて♪」


銃士「じゃあ私も手伝うよ。量も増えるし、大変だろう」

女店員「うんっ」


新人鉱夫(…愛されてますねぇ、店長さんっ。)


…………
……

 
それから、数時間後。

女店員は先に自宅へ戻り、片づけや準備を進めた。

そこへ、買い物を終えた銃士と店長がいよいよ女店員のアパートへ入り……

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 女店員のアパート 】

…ガチャッ!

銃士「ただいま~」

錬金術師「ういーっす」


タタタタ…

女店員「…あっ、おかえりなさい!」

女店員「と、いらっしゃい♪」


錬金術師「ういっす。マジで来て良かったのか?」

 
女店員「だから遠慮することないってば!」

女店員「…荷物とかも置いて、とりあえず座っていいよっ」


錬金術師「そ、そうか」

トコトコトコ…ストンッ


銃士「…さて、それじゃ。」

銃士「女店員と一緒に早速、料理でも作ろうか。晩御飯のメニューは何にする?」


女店員「ん~とね、今日はシチューでいいかなって。」

女店員「ルーで簡単なものだけど、銃士がとってきた材料でおいしく煮詰められるし」

 
銃士「そうか、それなら量もあるしね。」

銃士「ちょっと手伝う前に、部屋着に着替えたりしてくるよ」

タタタタッ……ガチャッ、バタンッ…

………



錬金術師「…」


女店員「店長はシチューとか大丈夫だよね~?」

錬金術師「ん、おうよ。大丈夫っつーか、むしろ好きだけどな」

女店員「そっか、よかったぁ。鶏肉をたっぷり入れた、特製のシチュー作るね♪」

錬金術師「そんな気を使わんでも…」

 
女店員「…だから、いいのっ!」

女店員「私がそういう風にやりたいだけだから、店長は気にしないでっ」


錬金術師「…迷惑かけてないならいいんだけどよ」

女店員「うん、大丈夫だよ」

錬金術師「それなら…いいか」

女店員「そうだよっ」


ガチャッ…タタタッ

銃士「…よし、着替え完了っ!」

銃士「女店員、私も手伝うよ。何からすればいい?」ビシッ

 
錬金術師「…お、銃士のエプロン姿を初めて見た」

銃士「はは、似合わないだろう?」

錬金術師「この間の事じゃないが、そういうのも可愛いと思うぞ」

銃士「!」

錬金術師「似合わないわけないだろ」ハハハ

銃士「そ、そうか…」テレッ


女店員(……むぅ)


銃士「それじゃ、料理の手伝いをするから…ゆっくりしててね」


錬金術師「はいよー」

錬金術師「……と、そうだ。女店員」

 
女店員「えっ…な、何っ?」

錬金術師「ここにある雑誌って読んでていいか?」ペラペラ

女店員「あ、うんっ。もちろんいいよ」

錬金術師「そうか。じゃあ遠慮なく」

…ペラッ


銃士「…」

銃士「…」

銃士「……ん?」ハッ

銃士「…………お、女店員…あのさ」ボソボソ


女店員「どうしたの?」

銃士「い、いいのか?」ボソボソ

女店員「何が?」

 
銃士「…あそこにある雑誌って、アレじゃないのか」

女店員「アレ?」

銃士「あの、本屋でこの間…買ったやつとか……」

女店員「…?」

銃士「月刊アルケミストの特集のやつとか、女店員が集めてる…ほら……」


女店員「…」

女店員「……あっ!?」ハッ

 
錬金術師「…お~、月刊アルケミストじゃねえか懐かしい。女店員も、こんなの読むのか。」ペラッ

錬金術師「そうそう…。昔は良く錬金術に関して、こういう雑誌で目を通したっけなぁ……」

ペラッ…パラッ……

錬金術師「…」

錬金術師「…ん?」

錬金術師「特集記事…。若き…マスターとなった伝説の…男の…………」


ダッ、ダダダダダダダダッ!!!

女店員「ったああああああぁぁっ!!」

…パシィッ!!ズザザザァッ!!

錬金術師「うおぉぉっ!?」ビクッ!!

 
女店員「ぜぇ、ぜぇ……!」

女店員「て、店長たんまっ!!」

女店員「これはその、あれだから、違うから待って!!」


錬金術師「…へ、へい?」


女店員「その、あれ、ヘソクリだから!」

女店員「ヘソクリが入ったりしてるから、ちょっと待ってぇぇ!!今整理するからっ!」


錬金術師「お、おう…」


女店員「…すぐ終わるからぁぁっ!」

バサバサバサッ!ガサガサッ…!!

 
銃士(…店長の記事や、昔の特集が組まれてる雑誌とかは少なくないわけじゃないからな)アハハ…

銃士(女店員てば、見つけるとつい手に取って、たまたま買っちゃってたんだよね…。)

銃士(錬金術の話は話題の種になるし、私が買ったのもあるけど……)


バサバサッ…!!

女店員(ここだけ片づけるの、すっかり忘れてたぁぁ…!)


……………
………

本日はここまでです。

以前、記載させて頂いたとおり、出来る限り2日程度の更新は心がけておりますが、
多忙の事情により4日を要する場合もありますので、よろしくお願いいたします。


それでは、有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】

…カランッ

錬金術師「…ぷはっ!ごっそさん!」


銃士「ごちそうさまでした」

女店員「ごちそうさまでした」


錬金術師「あ~…マジで美味かったわ」


女店員「えへへ…」

銃士「ふふ、ありがとう」

 
女店員「…それじゃ店長。お風呂入る?シャワー?」


錬金術師「あ~…。普段はどうしてんの?」


女店員「私一人の時はシャワーだったんだけど…、」

女店員「銃士と住むようになってから、ハンティングの疲労も癒すためにお風呂にしてるよ」


錬金術師「…風呂か。」

錬金術師「俺は…どっちかっつーとシャワーでもいいんだが」


女店員「店長も折角なんだから、お風呂に入りなよ」


錬金術師「…いやいや、それはいいわ。」

錬金術師「俺は最後の風呂でも気にしないが、二人が前も後も気にするだろ?」

 
女店員「…ううん、気にしないよ」

銃士「そうだね、私も別にいいかな」


錬金術師「…そう言うならいいんだが。じゃあ最後の後風呂でいいよ」フリフリ

女店員「最初でもいいのに?」

錬金術師「お客さんっつー考えじゃなく、居候で考えてくれって。そっちのほうが俺も過ごしやすいからな」

女店員「…そっか。じゃあ私たちから先に入ろっか」

錬金術師「そうしてくれ」


銃士「それじゃいつも通り、私から先に入ろうかな」スクッ

女店員「タオルと着替えはいつも通りだしておいたから~」

銃士「ありがとう」

 
トコトコトコ…、ガチャッ!バタンッ…


錬金術師「…」

女店員「…」

錬金術師「…」

女店員「…」


錬金術師「…ふぅ」


女店員「…」

女店員「……ね、店長」

 
錬金術師「んあ?」

女店員「なんか、店長って変わったよね」

錬金術師「…あーん?」

女店員「この1年で、凄く変わったよ」

錬金術師「そうか?」

女店員「うん」

錬金術師「…面倒くせーし、動きたくねーし、変わってないだろ?」


女店員「ううん、全然変わった。」

女店員「1年前は、私のお風呂覗いたり、アパートに乗り込んで、折角作った料理にダメだししたりしてたのに」クスッ

 
錬金術師「…うぐっ」グサッ

女店員「それが今じゃ、全然優しくなったよ」

錬金術師「……そ、そう?」

女店員「うん…」ニコッ


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……そうか。変わった、か」クク


女店員「悪い意味じゃないよ?」

錬金術師「はは、分かってるって」

女店員「へへ…」

 
錬金術師「……そうだな、色々あったからな。この1年」

女店員「そうだね、お父さんのことが始まったのは去年の4月だったっけ?」

錬金術師「そうそう。あっという間だったな」

女店員「お父さんが支払ってくれた2000万ゴールドで、私たちは犯罪者にならなかったんだよね…」


錬金術師「たかだか2000万だが、それがそれ以上に重くてなぁ…。」

錬金術師「そこから改めて親父を見返すために、長い時間はかかったがようやくここまでこれた」フゥ


女店員「うんっ」

錬金術師「……それで、もしかすると今回で全てが終わるかもしれん」

女店員「え?」

錬金術師「俺が開発し、量産してるものは親父を見返せるかもしれないってことだ」

 
女店員「…あっ。それじゃ、これで認められるかもしれないんだ」


錬金術師「ある程度稼いで、純益で見返したら…親父に設計図と販売の権利を渡してもいいと思ってる。」

錬金術師「そうすりゃ、いくら親父でも認めてくれるはずだ」


女店員「そっかぁ…」

女店員「…」

女店員「あっ、でも!これで終わりじゃないんだから、しっかりこれからもね!私も頑張るから!」


錬金術師「わかってるっつーの!」


女店員「へへ~♪」

女店員「でも、良かったぁ……」


錬金術師「何が?」

 
女店員「前も言ったことあるけどさ、昔…私は中央都市で働こうと思ってたから…。」


錬金術師「!」


女店員「だけど、今は店長も、銃士も、新人鉱夫も。」

女店員「皆がいて、毎日が楽しくて……」

女店員「だから、こんな風にしてくれた店長には有難う…だよっ」ニコッ


錬金術師「…」

錬金術師「……有難うか。」

錬金術師「それはちょっと、違う言葉かもしれないな」

 
女店員「え?」

錬金術師「…」

女店員「そんなことないよ、私が店長に感謝してるんだから」

錬金術師「……違うんだ」

女店員「…?」


錬金術師「…」

錬金術師「……っ」


女店員「…?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 お風呂場 】

…ドキドキ

銃士(う、うぅ…。)

銃士(何かとつい不安で、聞き耳を立ててしまってる自分が情けない……)ハァ

銃士(…私が入る前の話で、きっと二人には二人の繋がりがあるんだろうな。)

銃士(でも、私だって……。)

銃士(…)


銃士「……くしょんっ!」


銃士(うぅ…。い、いつまでも裸で聞き耳をたてても風邪ひいちゃうか…。)ブルッ

銃士(聞いていたいけど、こんなのはダメだよな。)

銃士(うん、私は私のままで勝負するんだ。よし、お風呂に入ってすっきりしよう!)クルッ

 
……ツルッ

銃士「へ……」


ガツッ…

…………ドシャア!


銃士「いっ、いたい……!」

銃士「うぅぅ、油断した……っ」

銃士「…っ」

銃士「…」

銃士「…」

銃士「…………って」

 
カチャッ……ギィィ……


女店員「じ、銃士……!?」

錬金術師「ハーイ。」フリフリ


銃士「た、倒れた拍子にドア…が……!!?」サァァ


錬金術師「…どうした、脚を広げて。風呂前のストレッチか?」


銃士「」

銃士「……ッ!!!」

……バババババッ!

ガチャッ、バタンッ!!!

 
銃士(……い、一度ならずまたこんなことを~~~~っ!!)

銃士(もうダメだ、もうダメだ……)

銃士(う、うわぁぁぁ~~~~~!!!)


ガタンッ、ゴロゴロゴロゴロッ……!!


銃士(み、水風呂でもなんでもいいから心頭滅却~~~!!!)


ドタドタドタッ、バシャアアンッ!!


…………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


女店員「じ、銃士……」カァァ

錬金術師「銃士はハンティングで身体使うからな。ストレッチは大事だな」

女店員「ち、違うの…。違うから……」カァ

錬金術師「そうなのか?」


女店員「……そ、そうだよ!っていうか!」

女店員「店長はあれ見て何も思わないの!」


錬金術師「あぁ、キレイな身体だよな」


女店員「」

 
錬金術師「銃士にも言ったがな、運動してるだけあって締まってて。」

錬金術師「だけど、女性らしく柔らかさもあり、女性からしたら憧れる身体なんじゃねーのっと」


女店員「……店長」

錬金術師「んあ」

女店員「それはね、セクハラ……」

錬金術師「…む、俺なりに褒めたつもりだったんだが」

女店員「はぁ~…」

錬金術師「セクハラかー…」


女店員(セクハラといっても、銃士にとっては純粋な嫌さじゃなくて……。)

女店員(多分、恥ずかしいとか、そっちの嫌だけど……)

 
錬金術師「この間も言ったけど、女心はよーわからん。」

女店員「う~……」

錬金術師「ま、これからは分かろうとするけどな。努力はするさ」


女店員「う、うんっ…」

女店員(それは、それ以前の問題の気もするけど……)


錬金術師「…」


女店員「うーん……。」

女店員「……店長ってさ、女心といえばー…」


錬金術師「ん?」

 
女店員「女性と普通にお付き合いしたことってあるの?」

錬金術師「あぁ、あるよ」アッサリ

女店員「へぇ、そうなんだ」

錬金術師「まぁな」


女店員「へぇ…」

女店員「…」

女店員「……って、うそっ!?」ガタッ!


錬金術師「な、なんだよ!?」ビクッ

 
女店員「わ、私もアッサリ聞いたからあれだけど…」

女店員「今の言葉、冗談じゃないよね!?」


錬金術師「なんでこのタイミングで冗談を言うんだよ」

女店員「え、い…いつ!?まさか今も!?」

錬金術師「いや今はいねーよ。昔の話な」

女店員「昔って…」

錬金術師「俺がまだ親父の下だった時。将来の結婚のための先にお付き合いしとけとかで。」

女店員「そ、それでその人とはどうなったの?」

錬金術師「俺が親父のもとを去る時に、別れは告げたよ」

 
女店員「…店長は、その人のこと好きだったの?」


錬金術師「いきなりすぎた話だし、恋愛とかより親父の下で働くほうが大変でなぁ…」ハァ

錬金術師「付き合うっつっても中央都市でたまに遊んだり、友達って感じしかなかったな」


女店員「そ、そっか……」

錬金術師「…昔の話だ。今はどっかの大企業のご子息と結婚でもしてんじゃねーか?」

女店員「へぇ~…」


錬金術師「……今さら関係のない話だって。」

錬金術師「俺も色々体験してっからな、そのうち話もしてやるよ」


女店員「うん…」

 
錬金術師「それにしても……ふわぁ……」クァ…

女店員「あ…。店長、眠い…?」

錬金術師「まぁな…。疲労もたまってるし…」ムニャ…

女店員「お風呂まで時間もあるし、布団敷くから先に少し横になってたらいいんじゃないかな?」

トコトコ……ゴソッ…

錬金術師「あ~…。悪いな……」

錬金術師「少しだけ…な…」


女店員「うん、お風呂に入れるようになったら起こすね」


錬金術師「あぁ……」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】


錬金術師「…」グゥグゥ…


銃士「…っていうわけで、すっかりダウンしちゃったか」

女店員「うん、もう起きないね」アハハ

銃士「…相当頑張ってるからな。やっぱり眠くもなるんだろう」

女店員「…ふふ」

銃士「どうした?」

女店員「ううん、少し安心しちゃったから」

銃士「安心?」

 
女店員「私の部屋で、休めないんじゃないかって思ってたんだけど……」

女店員「なんか気持ちよく寝てるようで、安心したの」


銃士「あぁ…。そういうこと…」ハハ

女店員「…店長がしっかり休んで、仕事も捗る環境をしっかり作らないと!頑張るっ!」フンッ

銃士「そうだな、私もしっかりやるさ」

女店員「…4月から、たくさん売れたら嬉しいなぁ」

銃士「きっと売れるよ、店長が倒れてまで造り上げた作品なんだから。」

女店員「だねっ♪」

 
銃士「…」

銃士「……店長、か」


女店員「?」


銃士「何か寝ているところを見るだけで、私も安心するよ」


錬金術師「…」スヤスヤ


銃士「…ふふ、ダメだ。何か笑みがこぼれてしまう」

女店員「うんっ…。なんか分かるっ」

銃士「今が本当に楽しいんだろうな。なんだろう、分からないけど…ね」

女店員「うん、楽しいよね♪」

 
銃士「……きっと、店長のことを好きだからなんだろうな」

女店員「……うん」コクン

銃士「そしていつか、この気持ちも伝えないと思う…。」

女店員「店長に好きだって…伝えるんだよね」

銃士「正直、自信はないよ。だけど、伝えたい。私の心からの恋として…。」

女店員「うん…。私も、いつか絶対に……。」


銃士「…何も言わなくても、気持ちが伝わればどんなに楽なんだろう。」

銃士「口を開いて、小さな一言を発するのがこんなにも勇気がいる日が来るなんて思わなかったよ」


女店員「…」

 
銃士「…」

女店員「…」

銃士「…」

女店員「…」


銃士「…さてと!私らも、明日は早いし寝ようか」フワァ…

女店員「うんっ…」


…………
………
……

 
錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師(……)

錬金術師(……そうか)


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです。有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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――――【 次の日(3月19日) 朝 】


チュンチュン……


…ガチャッ

錬金術師「…ふぅ~。悪かったな、朝風呂入れてもらって」

女店員「ううん、昨日入れなかったから。それと、ご飯出来てるよっ。」

錬金術師「……ありがとうな」

女店員「え?」

錬金術師「いや、色々とわざわざ用意してくれてさ」

女店員「…だから、気にしないでいいんだってば!」

 
錬金術師「…そ、そうか。」

錬金術師「…」

錬金術師「そういえば、銃士はどこに行ったんだ?」キョロキョロ


女店員「銃士は、早朝に起きて軽くランニングしてるんだよ」

女店員「20分くらい走ったあとに戻ってきて、ご飯食べたら一緒にお店に行くって感じかな?」


錬金術師「へー…。さすがだなあいつも…」

女店員「店長も今度、一緒にランニングしたら~?」

錬金術師「…体力がないって言いたいのか!」

女店員「私と一緒に走る?なんてっ」

錬金術師「…はは、考えておくわ」

 
女店員「えへへ…。とりあえずご飯食べちゃおう♪」

錬金術師「んだな、いただきまーす」

女店員「いただきまーすっ♪」

…カチャカチャ、パクッ…


錬金術師「うむ、美味い……」


女店員「簡単なものだけど、美味しいならよかった」


錬金術師「昨日も言ったけどさぁ…。女店員も銃士も、新人鉱夫も……」

錬金術師「料理の腕はあるんだよなぁ」

 
女店員「店長もそれなりに出来なかったっけ?」

錬金術師「出来るっちゃ出来るが、前はずーっとピーナツばっか食ってたからな」

女店員「うわ、出た…」

錬金術師「バタ―、シュガー、味噌、焙煎、全部美味いぞッ!」

女店員「た、確かに美味しいけど…」

錬金術師「あとで店に戻ったら、久々に食うかな~」

女店員「出されたら食べちゃうし、太る~…」ガクッ

錬金術師「はっはっは、お前もやっぱりそういうのは気にするか」

女店員「当たり前でしょっ!」

 
錬金術師「はっはっは…。ま、朝飯食っちまうか」

女店員「うんっ」

パクッ…

錬金術師「…」モグモグ…

錬金術師「…」ゴクンッ…

錬金術師「…」

錬金術師「あ、そういえば…。女店員、ちょいといいか?」


女店員「なぁに?」

錬金術師「前に約束してた、銃士とお前と、一緒にそれぞれ遊びに行くっつー話あっただろ」

女店員「あっ、うん!覚えててくれたんだ!」

錬金術師「4月から忙しいし、来週の真ん中…木曜日に行くか?」

女店員「!」

 
錬金術師「水曜日は銃士のハンティングの道具に付き合おうと思う。」

錬金術師「だから木曜日に、なんだっけ…ショッピングだっけ?」

錬金術師「一緒に行きたがってたやつ…。お前が良ければだが、行くかー……?」


女店員「……いくっ!!」ガタンッ!!

ガタッ…バシャッッ!

錬金術師「のぉぉおあああっ!!み、味噌汁ッ!!!あっぢぃぃぃぃいいっ!!」

ドタァンッ!ゴロゴロゴロッ!!


女店員「…あっ!?」

女店員「ご、ごめんっ!!今拭くからっ!」ババッ!

 
錬金術師「ば、馬鹿待て!」

女店員「私のせいだから、すぐに拭くから待って!」グイッ!!

…ゴシゴシッ!

錬金術師「あほ、待てっつーに!」

女店員「で、でも!」

錬金術師「そこは……」


女店員「…」

女店員「…あっ」

女店員「…」カァァッ


錬金術師「は、はは……」

 
女店員「きっ……!」

錬金術師「まずい、待てっ!叫ぶなっ!!」バッ!

…グイッ!ガバッ!!

女店員「きゃ…ッ!む、むぐぅぅっ!?」

錬金術師「朝から大声出すな、アパートなんだから、隣人に聞こえて誰か来たらどうする!」

女店員「むぐ~~~…!!」

錬金術師「ちょい、あまり大声を出すなっての!」グィィッ!


女店員「むっ、んむ、むぐぅ~~…!」

(ま、待って、わかったから…!)

女店員「…んむっ!?」ピクッ

(…って!?)


錬金術師「いいか、手を放すからまず落ち着いて……」

 
女店員「…む、むぐぅぅぅっ!!」

女店員「ん、んむ~~!」ブンブンッ


錬金術師「な、なんで暴れるんだっての!」グイグイッ!

女店員「んん゛~っ…!んんっ!(左手!)んん~!(左手ぇ~!)」


錬金術師「…」

錬金術師「…ん?」チラッ

…フニュッ

錬金術師「……あ、胸ぇ揉んでたわ」ハッハッハ


女店員「んんっ!!ん、んぐっ、むぅぅ~!」ブンブンッ

(わかったからぁ~!い、一回離して、落ち着くから~~!!)

 
……ガチャッ!


銃士「ただいま~」


女店員「」

錬金術師「お、戻ったか。お帰り~」


銃士「…」

銃士「……」

銃士「………て、店長?」

銃士「女…店…いん……?」


女店員「むむ、むぐぅぅぅ~~~!!」

(ち、ちがうの~~~!!)

 
…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして お店 】


銃士「…ということがあったんだ。驚いたよ」

新人鉱夫「あははは、店長さんたちらしいですね!」


女店員「むぅ~…」カァァ

錬金術師「…悪かったよ!」

女店員「う~…。で、でも私も悪かったから、文句はないよ……」

錬金術師「ん、んむ…」

 
銃士(し、しかし…。)

銃士(……店長に抱きしめられてたのはずるい気がするぞ)フゥ


錬金術師「……で、銃士」

銃士「う、うむっ!?」ハッ!

錬金術師「来週の水曜日なんだが、前に約束してた買い物に一緒に行こうと思うのだが」

銃士「え、あ…え?」

錬金術師「言ってなかったか?」

銃士「あ…いや、言ってた!言っていた…うんっ!」

錬金術師「4月前で暇になるのがその辺だし、一緒に町に出ようか」
 
銃士「う、うんっ…!」コクコク

 
新人鉱夫(嬉しそうですねぇ…)ホッコリ

女店員(つ、次の日は私と二人だもん……)


錬金術師「ほんじゃ、約束な」

銃士「分かった♪」

錬金術師「ういっす、よろしく」

銃士「楽しみだな~…」ホクホク


錬金術師「…さてと、それじゃ俺はストック制作の続きでもしますか」クルッ


女店員「えっ?」

女店員「店長、もう製作するとか…体力は大丈夫なの?」

 
錬金術師「まぁな…。最近は休むことが多くて、大分楽になった。」

錬金術師「造れる時に造っとかないと、後々が大変なんだ」


女店員「そっか~…」


錬金術師「だから、今はとにかくー……」


……コンコン!


錬金術師「む…」

女店員「!」

銃士「お…」

新人鉱夫「…お客さんですかね?」

 
錬金術師「誰だろうかね…。まだ客は来ないはずだっつーに……。」

錬金術師「とりあえずいらっしゃいませ、どうぞ~」


…ガチャッ!

???A「ども…」ギロッ

???B「こんにちわ」


錬金術師「ん……」

錬金術者「お客さん……ですかね?」


???A「…」ギロッ

???B「……よ、銃士っ」ビシッ


銃士「……えっ?」ピクッ

 
錬金術師「ん、銃士の知り合いか?」


銃士「か、火炎魔道!風剣士!」


火炎魔道「…お、おう銃士」

風剣士「ういっす」


錬金術師「なんだ、知り合いか」

銃士「知り合いって言うか、ギルドに所属してた頃の元パーティメンバーだよ!」

錬金術師「あ、なるほど」

銃士「ど、どうして二人がここに!?」


風剣士「火炎魔道が、お前に愛を伝えにな」

火炎魔道「ちげーーよっ!バカッ!!」

 
銃士「い、いやいや…。二人とも本当にどうしたんだ!?」

銃士「中央都市から、わざわざ来たのか!?」


風剣士「銃士、落ち着け。俺らはギルドから発注されたお使いの話で来ただけだ」

銃士「お、お使い?」

風剣士「お前から受け取った超回復瓶。あれが好評でな、追加で欲しいそうなんだ」

銃士「!」

風剣士「追加でギルド所属メンバー分で50本。造れるか?」

銃士「50本!」

風剣士「無理にとは言えないんだが……」


銃士「あ、待って待って。」

銃士「そういう話は、店長に聞いたほうが…」チラッ

 
火炎魔道「…」ジロジロ

錬金術師「…」

火炎魔道「…」ジロジロ

錬金術師「……なぜ俺は、この男に熱い視線を向けられているのか」


銃士「こ、こらぁぁ!火炎魔道っ!」


火炎魔道「…これがお前の言ってた男か」

銃士「…ちょっ!」

火炎魔道「確かにかっこいいといえばかっこいいがー……」

銃士「…ちょっと待てっ!!」

…ガシッ、グイッ!!

 
火炎魔道「ぐえっ!!」

銃士「…そ、そういうことは店長の前で言わないで欲しいんだ」ボソボソ

火炎魔道「お…」ドキッ

銃士「頼むから…」

火炎魔道「わ、わかったわかった…!」

銃士「…頼んだよ」パッ

火炎魔道「ぬぐっ…!」


風剣士「ったく、オメーが悪いぞ…火炎魔道」


火炎魔道「へいへい…」プイッ

火炎魔道(……銃士の声、耳元で感じられたぜぇ)ニヘラ

 
錬金術師「えーと、それで……」

風剣士「あ、失礼しました…。うちの火炎魔道はアレなんで気にしないでください……」

錬金術師「はは…」

風剣士「えっと…。それで、超回復瓶に関してなのですが」

錬金術師「はいはい」

風剣士「先ほども聞こえていたとは思いますが、50本を追加発注したいのです」

錬金術師「50本……。こちらは無償提供というわけにはいきませんが…大丈夫ですか?」

風剣士「勿論です。サンプル以降の道具については、販売になると既に銃士から」


錬金術師「承知しました。」

錬金術師「……ですが、ちょっと」

 
風剣士「何か問題が?」

錬金術師「実は、4月以降からの販売と考えていたのでコストを落とすことがまだ完全ではなく…。」

風剣士「と、いうと…」

錬金術師「現在、コスト上…1本10万程の値段になってしまうんです」

風剣士「10万…」


錬金術師「うちの店員たちにも話をしていなかったのですが、」

錬金術師「元々うちの新しい御三家として販売する道具は"従来あったものの改良品"であり、」

錬金術師「各々の元の道具に、改良を加えた形となります。」

錬金術師「ですので、それぞれが元々の値段に上乗せされた形になるのでどうしても高額になってしまうんです」

 
女店員「超回復瓶は、お母さんの開発した回復瓶の改良品だったっけ?」

錬金術師「そうそう。あれ自体が3万ゴールドで、色々組み込んだりして調整で値段も跳ねあがるんだ」

女店員「なるほど…」


風剣士「…それで、現在の値段が10万ゴールド…と。」

錬金術師「早い段階でそれぞれが5万までは落としたいのですが、どうにも上手くいかず…。」

風剣士「…そういうことでしたか」

錬金術師「ですので、50本というのはそちらにとって…」

風剣士「なら、問題ないですね」ニコッ

ゴソッ……ボスンッ!!チャリンッ…

錬金術師「へっ…」

 
風剣士「1枚10万ゴールドの金貨で持ってきました。」

風剣士「それで、50枚の支払い。それで大丈夫でしょうか?」


錬金術師「!?」

風剣士「もし割に合わない場合、上乗せします」

錬金術師「い、いやいやいや!」

風剣士「これで、造っていただけますか?」

錬金術師「そ、そりゃ造りますが…!」

風剣士「では、交渉成立で!」

 
銃士「……風剣士。この大金はギルドから出したのか?」

風剣士「あぁ、ギルドマスターが大変気に入ってね」

銃士「え、ギルドマスターが?」

風剣士「…すぐにでも欲しいと、金を余計に準備してきてたんだ」

銃士「へぇぇ……」


火炎魔道「……ふん、良かったな。店長とやら」


錬金術師「へ?そ、そりゃ……」

火炎魔道「ちげーよ、そういう意味じゃねえからな?」

錬金術師「ん…?」


火炎魔道「うちの中央都市東ギルドは、名実とともに世界一と言っても過言じゃないギルドだ。」

火炎魔道「そこにお前の造った道具が認められたってことは、世界中のギルドから注文が入るかもな」

 
錬金術師「いっ……!?」
 
 
女店員「…そ、それ本当ですか!?」ガタッ!

火炎魔道「当たり前だろ。うちの方針が、世界中のギルドの方針になるっつっても過言じゃねーし」

女店員「じゃあ、注文も殺到して……」

火炎魔道「だからそう言ってんだろ。聞こえねーのか…」フン

女店員(……むっ。なんかこの人、昔の店長みたいな感じ)


錬金術師「……さて、どうするかな。」

錬金術師「今のストックがそこまでないから、すぐすぐっていうのは難しいわけで……」


風剣士「自分たちは、ここへ3日ほど滞在するので…」

風剣士「それまでに造って頂くこと等は可能でしょうか?」

 
錬金術師「…3日ですか。」

錬金術師「なら、隣町の機関にお願いして造ればなんとかなりそうだな……」


風剣士「…」ペコッ


錬金術師「…かしこまりました。3日後の22日の早朝までに仕上げましょう。」

錬金術師「22日の朝に、お店へもう1度来てください」


風剣士「…有難うございます」ニコッ


錬金術師「いえいえ」

 
銃士「…風剣士と火炎魔道、この町に3日も滞在するのか?」

風剣士「一応な。この辺は自然も多いし、ハンティングがてらって感じか」

銃士「なるほどね。良い場所が多いから、楽しいよ」

風剣士「時間もあるし、自然と戯れるさ」


火炎魔道「……な、なぁ。銃士はどこに今住んでるんだっけか?」

火炎魔道「お前が良けりゃ、遊びに行っても……」チラチラ


銃士「私は、この女店員の家に厄介になってるからね」アハハ

女店員「…」ペコッ


火炎魔道「……なんだ、そうか」

 
錬金術師「俺も今は一緒に居候状態だが」ハッハッハ


火炎魔道「…」

火炎魔道「…は?」

火炎魔道「な、なん……だと……?」ブルッ


錬金術師「ちょっとワケありで、ご厄介状態で……」


火炎魔道「き、貴様ァッ!!」

火炎魔道「ひ、一つ屋根の下で女と過ごしてるっつーのかァ!!?」


風剣士(なんか、火炎魔道の言葉が古くないか)

女店員(久々に聞いた)

新人鉱夫(半ばハーレムですが、言葉が…)

銃士(ひ、一つ屋根の下か……。確かに……)ドキドキ

 
火炎魔道「お、おいおいおいっ!!ふざけんなよっ!!」

錬金術師「倉庫がいっぱいで、寝るところがなくてー……」

火炎魔道「な、なんてうらやま…けしからんっ!!」

錬金術師「いや、何もないから…」


火炎魔道「いーや、嘘をつくな!!」

火炎魔道「風呂を覗いたり、たまたまハプニングとかって言ってエロいことをしてるに違いないっ!!」


風剣士「思春期かよ」

火炎魔道「だ、だって男なら!そんな状態で何もないわけがないと信じるだろ!?」

風剣士「あのな」

火炎魔道「そうに違いないッ!!そうなんだよッ!!」

 
錬金術師「…ふむ?」

錬金術師「銃士と一緒に風呂入ったりとか……。」

錬金術師「ハプニングで今朝、女店員の胸揉んだりはしちまったが」


火炎魔道「」

銃士「」

女店員「」

新人鉱夫「」

風剣士「」


錬金術師「…」

錬金術師「……まぁ、狙ってやったわけではないので仕方ない」ハッハッハ

 
銃士「し…」

女店員「仕方なくなーーーいっ!!!」

新人鉱夫「ですっ!!」


風剣士「…それは、正直少しだけ羨ましく思ってしまった」コホンッ


火炎魔道「じ、じじ…銃士と風呂だと……!?」ピクピク

火炎魔道「ぶ…っ!」

火炎魔道「ぶっころぉぉぉおおおすっ!!!」パァァアッ!!


風剣士「お、おい…。お前、何で魔力を練って……」


火炎魔道「大…火炎ッ!!!」ピカッ!!

 
銃士「ちょっ、火炎魔道!!」

風剣士「バカ、待ておい!!!」

 
火炎魔道「魔法ォォォォッ!!!」ピカッ!


風剣士「ちっ…!」パァァッ!


…ドゴオオオォォォォオオオオンッ!!!…


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】


風剣士「…そ、それじゃ失礼しました」ハァ


銃士「風剣士の咄嗟の魔法抵抗術がなかったら、店が粉々だったな…」


風剣士「落ち着かせるために、一回ぶん殴って気絶させてやったし…」

風剣士「旅館に戻って、目覚めた後もよく言いかせておくよ…」


火炎魔道「」チーン


銃士「そうしてくれ…」ハァ

 
錬金術師「…その、店や品物、店員たちが全員無事なのは嬉しい。」

錬金術師「だが、魔法抵抗術が俺だけ妙に弱かった気がするんだが」ブスブス…


女店員「店長が黒焦げ…」


風剣士「ま、間に合わなくて申し訳ない…」

錬金術師「い、いや。店を守ってくれただけ有難い…」コゲッ

風剣士「そうおっしゃっていただけると…。」

錬金術師「うむ…」ブスブス…
 

風剣士「そ、それじゃ、銃士…。」

風剣士「3日後にまた来るよ、また会おうな」


銃士「うん」

 
風剣士「では…」ペコッ

ガチャッ……バタンッ!


錬金術師「…」

錬金術師「……嵐のような男だったな」ゲホッ


銃士「元とはいえ、うちのメンバーが迷惑をかけて申し訳ない…」ハァァ

錬金術師「いや…。ま、気にするな……」

銃士「はぁぁ…。恥ずかしい……」

錬金術師「…だけど、ちょっと疲れた」

銃士「ごめん…」

錬金術師「銃士、お前に渡してた超回復瓶あったよな?」

銃士「あぁ、最初に造って私にくれたやつだよね」

 
錬金術師「それ、今持ってるか?つーか入ってる?」

銃士「そりゃもちろん…。ほら。朝も少し飲んだんだけどさ」

ゴソゴソ…スッ

錬金術師「…悪い、ちょっと飲ませて貰っていいか。エネルギーチャージだ」

銃士「えっ」

錬金術師「……って、嫌だよな。やっぱ倉庫の奥から」クルッ

銃士「い…!いや、いやいや!気にしないで!」

錬金術師「む…」

銃士「ほら、全然飲んでよ!っていうか、むしろ店長が嫌だとかじゃ…」

錬金術師「いや、普通に飲んでいいなら貰うぞ」

銃士「も、もちろん……」

 
錬金術師「じゃ……」グイッ

グビッ、ゴクンッ!!

錬金術師「……ぷはっ。」

錬金術師「…」パァァ

錬金術師「うしっ…。効くな、やっぱり!」

…コトンッ

銃士「…ち、ちょっと残ってるよ」

錬金術師「あ、すまん。さすがに全部は飲めないから、あとで俺が洗って入れ直しを」


銃士「…」

銃士「……っ!」グイッ

…グビッ!

 
錬金術師「お、おいおい。飲んでよかったのか?」

銃士「う、うんうん!全然!勿体なかったから!」

錬金術師「そ、そうか…」

銃士「うん…っ」


女店員(銃士…)

銃士(少しでも、店長との距離を縮めたいから。まるで学生のやり取りみたいだけど…)ハハ…

女店員(だけど、今の私にとっては羨ましかったかも…。)

銃士(負けない…)


新人鉱夫(うっ……)

新人鉱夫(……火花が。胃が。僕にも超回復瓶が100本欲しいです)シクシク

 
錬金術師「…うしっ。とりあえず一通りは落ち着いたし。」

錬金術師「少しばかり、ちょっと出かけてくるわ」スクッ


女店員「え、どこに?」

錬金術師「隣町錬金術機関。機関長らに、明後日くらいまでに超回復瓶の制作頼まないとな」

女店員「あ、そっか」

錬金術師「1本あたり3万と人件費がかかるが、約200万程の出費になるが、利益の500万を考えれば安いもんだ」

女店員「うん」


錬金術師「……夜遅くなるかもしれんから、18時にはあがってくれ。」

錬金術師「そんじゃあな」クルッ

 
女店員「いってらっしゃーい」フリフリ

銃士「行ってらっしゃい」

新人鉱夫「行ってらっしゃいです~」フリフリ

錬金術師「うい」

トコトコ…

錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……」フゥ


ガチャッ……バタンッ……

 
女店員「…」

銃士「…」

女店員「…」

銃士「…」


新人鉱夫(……戦争はどうなるんでしょう)ビクビク

 
女店員「…お客も来ないだろうし、みんなで掃除でもしてよっか?」

銃士「うん、私も手伝うよ」


新人鉱夫「…」

新人鉱夫「…」

新人鉱夫「……ほっ」

新人鉱夫(戦争が勃発しないかと、ヒヤヒヤしました……)

 
女店員(…)

女店員(ん~……)

女店員(なんか、出かける前の店長ってば……)

女店員(軽くため息ついたように思ったけど、なんか考え事してそうな感じだったなぁ……)

女店員(疲れてるわけじゃなさそうだから良いけど……)

女店員(……また、何か悩んでるのかな)


…………
……

本日はここまでです。

有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 それから数時間後 隣町錬金術機関 】


機関長「…うむ、承知した。」

錬金術師「うちのストックが10個程で、どう頑張っても40個足りなかったんだ」

機関長「明後日までに40個なら軽いものだ」

錬金術師「材料費はこれで」スッ

…チャリンッ

機関長「…10万金貨か。20枚もいらないぞ」

錬金術師「ざる計算だけど、前回からの支払いも含めてな」

機関長「ふむ…」

 
錬金術師「…色々と助かる。ありがとよ」

機関長「なんだ礼なんざ、お前らしくもない」

錬金術師「まぁ、色々考える機会があってな。まだまだ子供だなーって感じたわけよ」

機関長「…ほう。それはいいことだ」


錬金術師「…」

錬金術師「……それとさ、もう1つ。」


機関長「なんだ?」

錬金術師「…その、アンタにこんな相談していいのか分からないんだが」ポリポリ

機関長「だからなんだ」

錬金術師「あ、あのさ……」

 
機関長「だから何だと……」


錬金術師「……まさかとは思ったんだが、女店員と銃士って俺のことが好き…なのか?」


機関長「」


錬金術師「今、あの二人のアパートに寝泊まりしてるんだが…。」

錬金術師「たまたま会話聞いちまってさぁ……」


機関長「い……!」プルプル


錬金術師「……い?」


機関長「今更か、馬鹿ものっ!!」


錬金術師「」キーン

 
機関長「お前な、今更気が付いたのか!」

錬金術師「そ、そんなにか?」

機関長「全く…。お前は頭が良いのに、心底バカだと思うぞ…」

錬金術師「ひでぇ」


機関長「というか、分かってるだろうな。」

機関長「フレンド的なライクじゃなくて、愛するラブの意味だぞ。分かってるのか」


錬金術師「分かってるっつーの!」

錬金術師「……信じられねぇよ、俺を好きになる女性が二人もいるなんてな」


機関長(なぬ、二人…?)

機関長(……術士先生のことは黙っておくか)ハァ

 
錬金術師「……だから、それにどう応えたらいいか、分からん。」

機関長「応えるって…」

錬金術師「そもそも、好きだとかなんだとか、付き合うとか…考えたこともなかった」

機関長「…」


錬金術師「……二人とも、俺には勿体ないほどの女性だ。」

錬金術師「その気持ちを分かってても、どっちかに応えることなんか出来ないっつーかさ」


機関長「…お前は、銃士も女店員も、好きという気持ちは持てないのか?」

錬金術師「正直分からん」

機関長「ふむ…」

 
錬金術師「だから今は、時が流れるのを待つしかねーっつーかさ。」

機関長「…」

錬金術師「待ってるだけの男っつーのも、最低クセーが」ハハハ

機関長「…」

錬金術師「ま、そういうこと。気持ちがあれば、素直に俺も言うさ」


機関長「…」

機関長「……って、待て。」

機関長「お前、もしも…女店員に告白されたらどうするんだ?」


錬金術師「そりゃ、その時の気持ちで」

 
機関長「いや、違うだろう。」

機関長「お前、女店員とは…アレなんだろう…?」


錬金術師「…」

錬金術師「……あっ」ハッ

 
機関長「…それも含めて、相談かと思ったが。」

機関長「もしそうなれば、お前は応えられるのか?答えられるのか?堪えられるのか?」


錬金術師「そ、そうか……」

機関長「…あの件について、まだ話をしてないんだろう?」

錬金術師「そ、そりゃ……」

機関長「もし好きだと言われれば、お前はそれを伝えなければいけなくなるだろう」

 
錬金術師「うっ……」


機関長「もし付き合えば、お前は女店員の家族と話すことになるやもしれん。」

機関長「そうなれば…」


錬金術師「…!」

 
機関長「…話すべきこととなるだろう」

錬金術師「い、いやそれは別の…」

機関長「別の問題ではないのは、お前が一番分かってるはず」

錬金術師「…っ」

 
機関長「…昔から、お前は強気だったが優しい心を持っていた。」

錬金術師「…」

機関長「錬成師の時も、女店員の時も、術士先生、銃士、新人鉱夫の時も。」

錬金術師「…」


機関長「…恐らくだが、今回の件で親父との因縁はひと段落つくのではないか?」

機関長「さすれば、落ち着いたところで彼女らがお前にその言葉を…ということもあるかもしれん」

機関長「そうした時に、お前は…彼女や彼女の家族へしたことをきちんと言えるか?」


錬金術師「…」

錬金術師「……いえる、わけがねぇ」

 
機関長「…なら、女店員の告白を何があっても断るか」


錬金術師「……言えない以上、俺の気持ちがあっても…断るしかないだろうな。」

錬金術師「だけど、その理由もまた話せない。」

錬金術師「かといって、その告白の勇気に、ふざけて断ったら悲しませる……」

 
機関長「…」

機関長「……どのみち、いずれはバレる。」

機関長「その時に、お前の気持ちがどっちにあるかは分からん。」

機関長「受け入れようが、断ろうが、この話は…するべきだろう」


錬金術師「…ッ!」

錬金術師「い、言えるわけがないだろうが!」

 
機関長「…お前の口から伝えることが、大事だ」


錬金術師「…む、無理だ!」


機関長「お前がやったことだろう……。」

機関長「その責任の意味もある。それを言って、お前も、心から解放されるのがいいだろう」

 
錬金術師「……っ!」

錬金術師「……い、言えるわけねぇっつってんだろッ!!!」

錬金術師「"女店員の家族を破滅させたのは、俺がやった仕事だった"なんてこと!!!」


機関長「…っ」

 
錬金術師「お、女店員の家族はな……。」

錬金術師「……中央都市へ全員が引越し、俺の店で働くことなんかあるはずなかったんだ。」

錬金術師「俺が若い頃、親父のもとで最初で最後になった"他者を破滅に追い込み利益を得る"仕事。」

錬金術師「それが…女店員の家族だったなんて…!言えるわけ……!!」ギリッ


機関長「…それでお前は崩れていく家族に涙し、親父のもとを去るきっかけとなった。」

機関長「やがて、うちの機関へと入り……。」

機関長「錬金術師のマスターになったのち、女店員の家族を気になったお前は、自分で調べた。」

機関長「だが、女店員は中央へ働いてもお前に潰されたせいで、どこへも働き口がないことに気が付いた。」

機関長「それを察したお前は、丁度始めようと思っていた自分の店へ……、だったか…?」


錬金術師「……その、通りだよ」

ギリッ……!

 
機関長「…お前や俺が面倒を見たり、雇ったりしている人間…。」

機関長「それはお前と知り合い、お前自身で責任を感じた人たち……か。」


錬金術師「……っ」

錬金術師「……女店員とのことは、俺の性格で本人に感づかれそうになったことはある。」

錬金術師「1年前の親父との一件の前後から、特に……」

………


女店員「そんなの知ってますよ。私だって、本当は中央都市の一流企業に行きたかったんですから」

錬金術師「多少の賃金の高さはあったが、よくこんな店に働いてくれたわ」

女店員「中央都市に行くつもりでしたが、色々あって町に残りましたし…」

錬金術師「…知ってるよ」ボソッ

女店員「え?」

錬金術師「何でもねーよ。つーか、最近"社長"顔出さないな」


………

 
錬金術師「…それに、この間のクーに関しても。」

錬金術師「まさか、女店員の関連資料まで出てくるとは思わなかった……」

………


錬金術師「ま~しかし、今はそんな情報はいらな……」

…ペラッ

錬金術師「…」

錬金術師「…っ!」

バッ…バババッ!!サッ!

女店員「ん…?」


錬金術師「…そ、そんな情報はいらないな!」

錬金術師「だから、次々と錬金術関係だけ洗い出すか、怪しい人物を見つけてくれ!」


女店員「店長、今…何か隠さなかった?」


………

 
錬金術師「それ以外にも、アルスマグナとの副長の差し入れをしてくれた夜。」

錬金術師「昔話を聞きたいと、C.マスター時代の話をしながらしゃべりそうになったこともあった…。」

錬金術師「……それでもなんとか、隠し通してきた。」

錬金術師「だから、今さら…。」

錬金術師「ここまで隠し通してきたのに、今さら、どの口が本当のことを言えるんだよ……」


機関長「…っ」


錬金術師「……無理だ。」

錬金術師「もし告白されても、俺は女店員へは振り向くことは出来ない…。」

錬金術師「例えあいつが許すといってくれても、俺は自分を許すことが…絶対に出来ない…。」

錬金術師「……無理なんだよ」ブルッ


機関長「…」

 
錬金術師「……ただの相談が、こんな重い話にしちまって悪かったな」

機関長「気にするな。俺も、お前の気持ちを軽く見過ぎて発言してしまった」

錬金術師「……もし何かあれば、また来るよ」

機関長「うむ、いつでも来い…」


錬金術師「制作できた超回復瓶は、3日後の朝一で俺の店へ運送配達で頼む。」

錬金術師「……よろしく」


機関長「…了解した」

 
錬金術師「じゃ、また……」クルッ

ガチャッ、バタンッ……


機関長(……)

機関長(……そうか。)

機関長(悩みの種は増えているだろうが、ココこそがお前へ与えた試練なのかもしれん。)

機関長(……お前の辛さは俺もしっかり分かっているつもりだ。)

機関長(そして、お前はそこを越えれば、再び…本当の自由へと戻っていくはずだ。)

機関長(頑張れよ……)


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・
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・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
様々な悩みに揉まれる中、ついに女店員と銃士の気持ちに気づいてしまった店長。

しかし、女店員との間にはとてつもない大きな隠し事があった。

それを話すべきか、否か。

店長は、口で言いたくないと訴えながらも、その日は確実に近付いているであろうことを理解していた。


……そして。

そんな最中、その男は店長の快進撃を阻止すべく、いよいよあの男が立ち上がるのだがー……。

 
様々な悩みに揉まれる中、ついに女店員と銃士の気持ちに気づいてしまった店長。

しかし、女店員との間にはとてつもない大きな隠し事があった。

それを話すべきか、否か。

店長は、口で言いたくないと訴えながらも、その日は確実に近付いているであろうことを理解していた。


……そして。

そんな最中、いよいよあの男が立ち上がるのだが……。

その男は店長を阻止すべく、あちらへ再び足を踏み入れる決断を下す…………。



>>702 修正
(※修正前のものを上げたので、修正文をあげておきます)

 
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――――【 中央都市 セントラルカンパニー社長室 】


秘書「……例の3つのサンプルを入手しました」


親父「…マジックエアーコンダクター。」

親父「採掘のパワーアップユニット。」

親父「超回復瓶……か」


秘書「中央都市東ギルドが、既に超回復瓶の注文に入ったと情報も。」

秘書「これで、ご子息様のお店の売り上げは月辺り数千万へ跳ね上がるかと」


親父「…上手く造ったものだ」


秘書「4月の予想は、超回復瓶のみでそれの売り上げです。」

秘書「他の2種や、魔石の独占販売によって5月以降は億単位の売り上げになっていくものと思われます」

 
親父「…俺を見返すため、一度勢いづいたアイツは最後までやり通すだろうな」


秘書「……社長の目標は、再びご子息をわが社へ引き入れること。」

秘書「このままでは、ご子息を認めざるを得ません。」

秘書「そうなれば、我が社へ引き抜くことは出来なくなります。」

秘書「すぐにでも、対策を練るように指示を行った方がよろしいでしょうか」


親父「…ふん」

親父「認めるも認めないも、俺次第なのは分かるな……?」


秘書「…それでは、今回のことでもお認めにならないと?」

 
親父「…いや、今回のことは世界へ影響を与える一件だ。」

親父「これを認めねば、そう口外されたとすれば…世間より批判され、俺は立場を失いかねないだろう」


秘書「それでは、一体どうやって認めないと…」

親父「まぁ、俺は既に考えはまとめてある」

秘書「…どうなさるのですか?」

親父「簡単だ。俺が、息子の開発した道具と精製魔石を先行販売すればいいだろう?」


秘書「…!」

秘書「し、しかし社長。ご子息の造った道具と魔石は、ご子息にしか生成できないもので…。」

秘書「うちの錬金部門で開発を行えば、その技術と日数的に、莫大な費用もかかります。」

秘書「ご子息が、開発技術を公開するとは思えませんし……」

 
親父「あいつは、自分が造った商品がどれだけの価値かは理解している。」

親父「そこで、自分の身体を圧してでも必ず商品の量産は行うはず。」

親父「…だが、あいつが一人で多くの量を精製するのはまず不可能。」

親父「つまり…。どこかに生成魔石や道具の造りを依頼している場所があるということだと考えた。」


秘書「!」


親父「そこの目星は、大体ついている。」

親父「そして、俺の考えが本当かどうかも早急な調査のうえ……」

親父「そのまま"それを奪えば"いい…。」


秘書「そ、それは!!」

 
親父「奪ったそれを使って、俺らが先に量産し販売すれば…いい話だろう…?」ニタッ

親父「話に聞けば、まだ小さなサンプル配布程度しか行っていないらしいじゃないか……」ククク

親父「先に世界中の広報を通し、販売すればいい……」


秘書「しかし…!」


親父「…やはり、意地でもあいつはうちの会社へ引き込むべきだ。」

親父「"どんな手を使っても"…必ずな……」


秘書「し、社長っ!!」

秘書「お言葉ですが、今は昔と違います!」


親父「何…?」ギロッ

 
秘書「中央都市を含め、犯罪に関しては警備隊の捜査も及び、下手をすれば足がつきます!」

秘書「こ、こんな時代に罪を犯せば、社長ご自身が……!」


親父「足がつかない方法なぞ、いくらでもある……。」

親父「今もそいつらは俺から仕事を貰えないかと、心を躍らせているぞ…?」

親父「俺がのし上がってきた裏には、その人間たちの活躍があるんだからな……」ククク…


秘書「し、しかし…っ!」


親父「…"アルスマグナ"に連絡をとれ」バッ!


秘書「…ッ!!」


親父「副長が死んだおかげで、うちとの仕事もスムーズにやってくれるはずだ……」ハハハ!


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
本日はここまでです。

一部でお見苦しい点があり、申し訳ございませんでした。


また、今回で章区切りとなり、次回で最終章となります。

今作「その4!」にて、錬金術師シリーズは完結予定となっておりますので、

事実、シリーズの最終幕となります。

ここまで愛読して下さったみなさま、ありがとうございました。


次回更新は、1週間以内の予定となっております。

それでは、有難うございました。

竜騎士の投稿から何年くらいたったんだろう?

少なくても10年はたってるよな

皆さま、多くのお言葉を有難うございます。
本当に、心から嬉しく思います。

>>721
物語としての時間軸でいえば、物語内で表記されていないので詳細は書きかねますが、
>>723 にあります年数以上が経過している……かもしれません。

それではお時間を頂きましたが、本日より投下を再開いたします。



……
……………

そして、3月23日(超回復瓶の納品の日)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 朝 錬金術師のお店 】


…コンコン

錬金術師「どうぞー」


ガチャッ…

風剣士「おはようございます」ペコッ


錬金術師「…あ、いらっしゃいませ。」

女店員「いらっしゃいませ」

銃士「お、いらっしゃい」

新人鉱夫「いらっしゃいですー」


 
錬金術師「約束の品ですね、お待ちしておりました」

風剣士「急なお願いでしたが、用意は大丈夫でしたでしょうか?」
 
錬金術師「えぇ、もちろんです」

風剣士「…有難うございます!」


錬金術師「ただ、数が多かったので10本単位で木箱にしまいました。」

錬金術師「表に木箱があったと思うのですが、あれの中に入れてありますので」


風剣士「あ、お店の外に…。わざわざ有難うございます」


錬金術師「さすがに運べないと思うのですが、馬車の用意などは?」

 
風剣士「ギルドからお金が出ているので、運送屋へお願いするつもりです。」

風剣士「色々と有難うございました」


錬金術師「いえいえ、運ぶ手立てがあるなら良かったです」


銃士「…」キョロキョロ

銃士「……風剣士、そういえば火炎魔道はいないのか?」


女店員「あ、そういえば爆破の人がいないね」


風剣士「爆破の人ですか」ハハハ!

風剣士「彼なら、運送用の馬車の手配をしてもらっていたので…そろそろ来るはずですが」

 
…ガチャッ!

火炎魔道「…ういっす」


風剣士「…っと、来ましたね」

銃士「おはよう、火炎魔道」

錬金術師「い、いらっしゃいませー…」

女店員「いらっしゃいませ」

新人鉱夫「おはようございます」ペコッ


火炎魔道「…風剣士、品物の確認はしたのか?」

風剣士「もちろんだ。あとは運ぶだけさ」

火炎魔道「うい。馬車も外にいるから、あとは中央に戻るだけで大丈夫だろ」

風剣士「了解」

 
銃士「…二人とも、わざわざ中央からお店のほうまで来てくれてありがとう」

火炎魔道「仕事だからな。礼を言うことじゃないだろ」

銃士「そっか」

火炎魔道「じゃ、とりあえず…またな。銃士……」

銃士「うん、またね」

火炎魔道「また。また……な……。」ハァ


女店員(…)ピーン

女店員(……あ、この人ってもしかしてとは思ってたけど)

女店員(やっぱり、この間…銃士が言ってた告白の人…だよね)

 
火炎魔道「…」

火炎魔道「…………じ、銃士!」


銃士「うん?」


火炎魔道「必ずまた、中央に来いよ!」

火炎魔道「ぜってーだぞ、待ってるからな!!」


銃士「はは、分かったよ。暇を見て、またギルドに顔は出すつもりだから」

火炎魔道「…約束だぞ」

銃士「分かってるよ」


火炎魔道「…っ」

火炎魔道「……あ、そうだ!店長、オメーさ」チラッ


錬金術師「オメーて」

 
火炎魔道「いいか…!銃士に、ひどい目とか面倒なことさせんなよ!!」

火炎魔道「そしたら、この店吹き飛ばすからな!!」


銃士「こ、こら!火炎魔道っ!」

錬金術師「ふ、吹き飛ばされるのは困るなー…」


風剣士「そういう言葉はやめとけ…。お前が言うと、洒落に聞こえねーから…」

火炎魔道「当たり前だ、本気に決まってんだろ」

風剣士「余計にふざけんな!」

火炎魔道「ふんっ」プイッ

 
銃士「て、店長…。本当にすまない……」ガクッ

錬金術師「い、いや…。いいってことよ……」


風剣士「…それじゃ、本当に失礼しました。そろそろ戻りますんで」ペコッ

火炎魔道「……またな」


銃士「うん、元気で」

錬金術師「有難うございました」

女店員「ありがとうございました」ペコッ

新人鉱夫「ありがとうございましたっ!」ペコッ

 
風剣士「…早く来い、このバカッ」グイッ

火炎魔道「い、いででっ…!!」

…ガチャッ!

……バタンッ……


錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……ふぃ~」ヘナッ


銃士「本当に、何度も迷惑かけて申し訳ない……」


錬金術師「愉快な仲間たちってことで。」

錬金術師「別に気にしねーよ」ハハハ

 
銃士「そっか、ありがとう…」


女店員「…ねぇ銃士」ボソッ

銃士「ん?」

女店員「火炎魔道って、あの…銃士に告白の?」

銃士「あ、やっぱり分かっちゃったか…」

女店員「うん…」

銃士「人のために一生懸命になれる良い奴だと思うんだけど…」

女店員「だ、だね……」

 
錬金術師「…さて、今回のこともさっさと記帳しておくか。」

錬金術師「割と大金が動いたし、忘れる前に書いておいたほうがいいな」


女店員「今日は月曜日だし、中央商人さんの納品と分と合わせて…かな?」

錬金術師「あとで納品運搬屋も来るし、先に記帳しておくわ」

女店員「うん」

錬金術師「簡易だが、前回の17日から比べて単純に370万が増えた感じか」

女店員「370万…」


錬金術師「倉庫側の金庫にしまってあるが、そろそろ銀行にも預けないとなー…」

錬金術師「とりあえず、俺が軽く記帳しておいて……っと」スッ

カキッ…カキカキ……



……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【 3月23日 現時点でのお店の経営収支 】

■収入
・2月以前、販売および臨時講師の700万ゴールド
・超回復瓶の総合販売で500万ゴールド
・中央商人との納品契約(週1回で30万ゴールド)
→8回目で240万ゴールド

・アクセ職人との納品契約(月1回で40万ゴールド)
→2回目で80万ゴールド

<合計+1520万ゴールド>

■支出
・2月以前の支出合計460万
・2月以降の3人の給料60万
・3月中の錬金術機関の契約給料合計15万(約)
・各アイテムの素材費用400万

<合計-935万>

■収支合計
・プラス585万ゴールド
(前回よりプラス395万ゴールド)

 
【 現時点でのお店の経営情報 】

■お店
・平屋1階建て
・少し広い倉庫

■店員関連
・店長補佐1名
・ハンター1名
・鉱石採掘師(鉱員)1名
・錬金師(契約社員)4名

■販売物
・自動採掘道具(20万ゴールド)
・鉱石類(鉄鋼1000、銀5万、エレクトラム20万ゴールド)
・ライフマナ回復ポーション(5000ゴールド)
・バターピーナツ(サービス)
・装備類の修理等(時価)
・マジックエアーコンダクター(10万ゴールド)
・採掘パワーアップユニット(10万ゴールド)
・超回復瓶(10万ゴールド)
・オリジナル魔石(1個辺り3,000ゴールド)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……

 
錬金術師「3月終了時点で、女店員らの給与が引かれると考えるても…」

錬金術師「それでも、まだ525万…。約500万程度の黒字か?」


女店員「…たった1、2ヶ月でこんなに」

錬金術師「いや、まだまだ。ケタを変えないと、親父に付きつけることは出来ん」

女店員「…ってことは、4月中の目標は5000万ゴールド!?」

錬金術師「おうよ」


新人鉱夫「い、一か月で5000万の売り上げですか!?」

銃士「凄いね…。そこまで高い目標を見据えてたんだ…」

 
錬金術師「今回は、親父を見返すのに加え、安定した販売ルートを確保することだ。」

錬金術師「4月の売上を見せれば、経営者として親父は…さすがに認めると頷かざるを得ないはずだ。」

錬金術師「それに加え、女店員には既に話をしていたが、」

錬金術師「俺の造った開発書と、権利書を親父に売り、それで全てを終わりにしようと思う」


女店員「…そういえば、うちで開発書と権利書を売り渡すって言ってたよね」

新人鉱夫「いくらくらいで渡すんですか?」

銃士「月売上を5000万とすると、簡単な年度決算で6億を生む卵ってことになるけど…」


錬金術師「…」

錬金術師「……売る値段は、30億だ」

 
女店員「さっ…!」

銃士「さん…じゅう……」

新人鉱夫「億ゴールド、ですかッ!?」


錬金術師「これでも、かなり安い。企業によっては、100億…いや。200、300億でも買うかもしれないな」

女店員「えぇっ!?」

錬金術師「確かに初月は5億程度と考えているが、これはあくまでも最初の段階の話だろ?」

女店員「あ…!そっか、商品がもっと世間に浸透すれば…!」

錬金術師「更に、何かしらのマイナーチェンジで新作をいくつも出せる代物だ。」

女店員「……専用の魔石による稼ぎも、どんどん増えるし」

錬金術師「最終的に考えれば、12ケタの数字を余裕で越す売上になるんじゃないか」

 
銃士「……1000億」

新人鉱夫「と、遠すぎる数字です」クラクラ


錬金術師「だが、うちとしても30億ばかりではもったいない話だ。」

錬金術師「これからの安定性も考え、権利は売るが、販売の権利と制作の権利の一部は貰う。」

錬金術師「うちからも販売を行い、店としての経営の安定化を図る」


女店員「な、なんか急に現実から夢の世界の話になった感じでフワフワする…」

銃士「店長は、そういうのを普通にする場所で働いていたんだよね…」

新人鉱夫「急に、店長さんが輝きだしたように見えます…!」


錬金術師「…」ピクッ

 
女店員「うん、やっぱり店長は凄いよ…」


錬金術師「…」ピクピクッ


銃士「…あぁ、世界一の店長って思えるよ」


錬金術師「…」ピクピクピクッ


新人鉱夫「…誰よりも、どこよりもカッコイイのがうちの店長さんなんですね!」


錬金術師「…」ピクピクピクピクッ!

錬金術師「…ふっ」

錬金術師「ククク……!」

錬金術師「ふははははーっ!!俺を崇めろ、俺の前にひれふせーっ!!」ババッ!

 
女店員(うわっ、久々に調子に乗った!!)

銃士(店長の、チョロスタイルのスイッチが入った!!)

新人鉱夫(調子に乗り始めました!)


錬金術師「わーっはっはっはっはっ!」ガハハ

錬金術師「どうだ、俺が本気を出せばこんなもんよ!はっはっはっはっ!!」キラキラ…


女店員(全く、すぐ調子に乗って……。だけど、なんか……。)

銃士(いつも真剣に立ち向かっていた店長もかっこよかったとは思うけど…)

新人鉱夫(やっぱり、店長さんといえば……)

 
錬金術師「これが俺の力だぁ~~~っ!!」ハッハッハッハ!

錬金術師「ビシビシいくぞ、おらぁ~~!!」ガッハッハ!!


女店員(こう、なんだよね!)

銃士(それに、私たちは……)

新人鉱夫(こんな店長さんが‥…)
 

錬金術師「はっはっはっは!!」


女店員(大好き…っ)

銃士(大好きだ…)

新人鉱夫(大好きですっ…)

 
錬金術師「……うむ、それでは諸君!」

錬金術師「俺についてくる 準備はいいかっ!!」


女店員「…全く、すぐに調子にのるんだから」クスッ

錬金術師「むっ…」

女店員「…私だって、全力で店長に尽くすから!安心してよ!」

…ポンッ!

錬金術師「…あぁっ!」ニカッ


銃士「わ、私だって、店長に尽くすつもりだからな!」

新人鉱夫「僕だって!」

 
錬金術師「…うむ、全員で乗り切るぞ!」

錬金術師「宜しく頼むっ!!」


女店員「お~っ!」

銃士「おーっ!」

新人鉱夫「おー!……ですっ!」



…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
店長と、女店員、銃士、新人鉱夫のそれぞれが改めて一致団結。

調子に乗った店長とともに、4月の決戦へと改めて決意を固めた。


そして、その決戦の前に少しばかりの休息が彼らにはあった。

そう…。

銃士、女店員とそれぞれ買い物をするという約束が……。

本日はここまでです。

それと別途ご報告ですが、実は明日4月5日で錬金術師投下より1年目となります。
ほぼリアルタイムで進行するつもりが(物語内部が3月となっているのはそのため)、
多忙のためにあわせることが出来ませんでした。

錬金術師「面倒だけど経営難に立ち向かう事になった」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/14562/1396693939/-100)
 
1年前の店長も懐かしみつつ、今の店長と比べてどう成長しているのかを見ても面白いかもしれません。
それでは、有難うございました。

乙です
まさか自分の誕生日と一緒だったとは…

錬金術師「おい、なんか>>758が誕生日だったらしいぞ」

女店員「らしいぞって、ちょっと遅いでしょ…。普通、その日に祝わないと……」

錬金術師「まぁ遅れたもんは仕方ねーべ」

女店員「…」


銃士「それよりさ、とりあえずせっかく報告してくれたんだから……。おめでとう」

新人鉱夫「そうですよ!>>758さんおめでとうございます!」


錬金術師「お前らもだけど、こうして出るのは珍しいな」

女店員「一周年だったし、たまには…ね?」

錬金術師「んむ、まぁそうか。ま、おめでとさん」

女店員「そーいうこと♪おめでとー!」

皆さま有難うございます。

4月5日をもちまして1年を迎えましたことを含め、多くのお言葉を頂き本当に嬉しく思います。

それでは、投下致します。

 

……
……………

3月25日(銃士と買い物の日)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 朝9時頃 錬金術師のお店 】


…ガチャッ!

銃士「お、おはよ~…」

錬金術師「…お、来たか」

銃士「う、うん…」モジッ

錬金術師「女店員は?」

銃士「今日はちょっと遅れるって」

錬金術師「…そうか。俺らは出かけるし、店番を直接に頼みたかったんだがな」

 
トコトコ……

新人鉱夫「…あっ、おはようございます銃士さん。」

銃士「やっ、おはよう」


新人鉱夫「あの、店長さん。少し聞こえましたけどー……、」

新人鉱夫「僕がお店番してましょうか?」


錬金術師「あれ、鉱石採掘のほうは大丈夫なのか?」

錬金術師「てっきり、今日は採掘のほうに行くのかと思っていたが」


新人鉱夫「はい、大丈夫です。倉庫のストックの中に、相当貯まってます♪」

錬金術師「…おっけい。んじゃ、女店員が来たら店番もよろしくって言っといてくれ」

新人鉱夫「はいっ」

 
銃士「……店長、まだ9時前だけどもう行くのか?」

錬金術師「朝からのほうがいいべ。それとも昼から行くか?」

銃士「え…。あ~……」

錬金術師「どっちでもいいぞ」


銃士(…うーん、女店員が来てから行くと、色々とアレかな……。)

銃士(っていうか、だから女店員が遅れて…)


錬金術師「色々回れるだろうし、朝からがいいなと思ったんだが」


銃士「……そうだね。」

銃士「朝から私に付き合って貰おうかな♪」


錬金術師「うむ」

 
新人鉱夫「えっと…。それじゃ、行ってらっしゃいです?」


錬金術師「んむ、もう出かけるよ」


銃士(ハンティング道具の購入や、お店周りは仕事のためとはいえ……。)

銃士(二人っきりだし、デートみたいな…ものか)テレッ


錬金術師「んじゃ、行くか?」


銃士「…う、うむっ!」ドキッ!


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして 商店街 】


ガヤガヤ…


錬金術師「…で、商店街についたわけだが。」

銃士「うんっ」


錬金術師「えーっと…。ハンティングの道具って、基本的にどういう店回りをしてるんだ?」

錬金術師「銃関係は俺がメンテナンスしてるし、銃弾なんかも揃えてるし……」


銃士「あ、それなんだけどね…。」

銃士「やっぱりハンティングは店長もやったし、わかってると思うけど、いらないものが基本的にないんだ」


錬金術師「ふむ…。確かにそうかもしれん」

 
銃士「携帯用のナイフ、砥石、非常食、治療キット、皮や布切れも使うし、石ころだって貴重な事があるし…。」

銃士「だから、私が普段見るのは"武器防具の取り扱い店"は勿論のこと…」

銃士「治療院から卸しをしてるポーションショップ、サイバイバルグッズを扱うお店、素材を扱うお店とかも…。」

銃士「とにかく、色々見て回るのが普通で……」


錬金術師「わ、割と数があるんだな。」

錬金術師「……全部回るのか?」


銃士「え、あ…。い、いや……。普段は回るんだけど……」


錬金術師「ふむ…」


銃士「だ、だけど…そうだよね…。興味ない人は面倒なだけだろうとは思うから……」

 
錬金術師「……いや、全部回ろう」

銃士「え?」

錬金術師「普段通り、全部回ろうぜ」


銃士「ま、待って…」

銃士「嬉しいけど、大変だよ?興味のないお店ばかり行っても、退屈になるかもしれないし…」

 
錬金術師「…いやいや、普段は回るんだろ?」

銃士「う、うん」

錬金術師「じゃ、いつも通りのルートで案内してくれ。一緒に見て回ろう」

銃士「…いいの?」

錬金術師「おうよ。銃士のこと、もっと知りたいしな」

銃士「えっ!?」

錬金術師「ほら、行こうぜ。沢山回るなら、時間が勿体ないだろう」

 
銃士「あ…っ!うんっ!」

銃士「じゃ、じゃあこっちから!」クルッ


錬金術師「へいよっ」


トコトコトコ……

銃士(わ、私のことがもっと知りたいって、確かに今……。)カァ…


錬金術師(……もし好きだと言われたら、銃士の何も知らずにノーとは言えないだろう。)

錬金術師(その時が来て、銃士を深く知っていたら、その時の感情も変わるかもしれん。)

錬金術師(何も知らないで拒否するんじゃなく、それを知ってから、初めて応えてやりたいしな…。)

錬金術師(銃士のことを知って、これから俺の気持ちがどう動くかは…分からないんだから)


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 ウェポンショップ 】


ワイワイ……ガヤガヤ……


錬金術師「…へぇ、ここが武器とか防具の量販店なのか?」キョロキョロ


銃士「うん。さすがに銃とかは数が少ないけど…」

銃士「ここのお店は、新作の武器や防具を早いペースで新作を仕入れてくれるんだ。」

銃士「新作で気になるのがあれば、触っておきたいからね」


錬金術師「ふーん…。」

錬金術師「短剣から、片手剣、大剣、斧、槍、大鎌、杖、ナックル…」

錬金術師「すっげーな、こんな品揃えがいい店があったのか」


銃士「でしょっ!」

 
錬金術師「うお、俺らの錬金師が扱う道具類まであるし……。」

錬金術師「それに、あの額縁に飾ってある武器……ケタ間違えてないか!?」


…キラキラッ…


銃士「…あぁ、あれは冒険者にとっては最高クラスのものだからね。」


錬金術師「大剣、杖、ナックル。1つ…数千万て書いてあるぞ!?」


銃士「絵本にもなってる、英雄剣士、英雄魔法使い、英雄武道家、英雄戦士の武器のレプリカだよ。」

銃士「本物はもっと凄かったらしいけど、それでも最高級の竜素材を使ったモノでさ…。」

銃士「武器防具を取り扱うお店の、商売繁盛を願って飾るお店も多いんだって」


錬金術師「ははぁ~……」

 
銃士「あの種類を扱う冒険者は、やっぱりみんな欲しがってたねー。」

銃士「私は店長が調整してくれた銃が、一番馴染んでるけど」


錬金術師「銃自体、俺ら錬金師が生み出したもんだったしな…」

錬金術師「銃弾や銃も、鍛冶屋には負けねーよ」


銃士「はは、店長が調整してくれたものだし…。世界一の銃だよきっと」

錬金術師「当たり前だ」ハハハ!

銃士「…大事にしてるし、これからも大切にするから」

錬金術師「うむ」

 
銃士「…」キョロキョロ

銃士「……うん、新作なんかもないみたいだし、見た感じ掘り出し物もないね」


錬金術師「もういいのか?」

銃士「沢山回ることになるし、興味がそそられなかったら次々いこっか」

錬金術師「……嫌いじゃねぇな、その立ち回り」

銃士「え?」

錬金術師「ほら、俺は面倒くさがりだからさ…」

銃士「あぁ、女の1つの買い物に長々と付き合うのは苦手だっていいたいのか」クスッ

錬金術師「……バレたか」

 
銃士「バレバレだよ。自分でさっきも言ってたしね、ふふっ」

錬金術師「そのくせ、男って自分の買い物には長く付き合って欲しいんだよな」

銃士「そういうものなんだ」

錬金術師「…我がままっつーことだ」

銃士「ふーん、じゃあ店長の買い物に付き合ってあげよっか。なんてっ」

錬金術師「はは、今日は銃士が主役みたいなもんだろ。案内は頼んだはずだぜ」

銃士「……じゃあ、文句言わずに付き合えるかなー?」

錬金術師「…無理かなー?」ククク

銃士「って、前もそういうやり取りしたよーな」

錬金術師「はははっ!気にするな!ま、次行こうぜ」

銃士「うんっ」

 
錬金術師「次はどこだ?」

銃士「近くにあるのはポーションショップで、その次にサバイバルグッズ店とかかな」

錬金術師「ポーションか、そこは俺も勉強になるな」

銃士「元々ポーションは光魔法の研究者たちが作ってたって聞いたけど……」

錬金術師「あぁ、そうだが。今は、俺らアルケミストが作ることも多くて…」

銃士「へぇ、そういう歴史とか…」

錬金術師「あぁ、それは…」


…………
……

 

……
…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 しばらくして 近くの公園 】 
 

…ストンッ

錬金術師「ふぅ~…。ちょっと腰を下ろすか……」

銃士「店長、色々付き合って貰っちゃってるね。ありがとう…」

錬金術師「だから今日はそういう日だろうて」

銃士「…うん」

錬金術師「普段見て回らない場所も多く見せて貰ったし、俺も楽しいよ」

銃士「…そう言ってもらえると嬉しいな」


錬金術師「しかしなんだ、やっぱり俺は冒険者にはなれそうにねーな」ハハハ

錬金術師「準備は面倒だし、体力ねーし、向いてないってハッキリわかるわ」

 
銃士「でも、最近は私と一緒にハンティングしてたおかげか…体力はついてきてるじゃないか」

錬金術師「前ほど辛くはなくなったな」

銃士「…そのうち、私と遠征でどっか挑戦してみたり…する…のとか楽しそう…だ…な」チラッ

錬金術師「遠征かー…。確かに、面白いかもしれねえなあ」

銃士「!」

錬金術師「銃士は、ギルドに所属してた頃に遠征はいったことあるのか?」


銃士「んーとね、北方大陸の猛雪山とか南方大陸のエルフ族の住む砂漠の大地…。」

銃士「東部にある豪火山なんかもいったことあるよ。」

銃士「西部の塔はさすがに実力不足で登れなかったけど、悠久王国とかも行ったことはあるかなぁ」


錬金術師「世界中を冒険してたとは聞いてたが、そこまで行ってたのか」

 
銃士「大陸ごとの国には難易度別の依頼が用意されてたりしたから、割と出かけてたなぁ…。」


錬金術師「…今は、またそうやって世界に出たいと思わないのか?」


銃士「…」

銃士「…」トクン

銃士「……正直に、言うと」


錬金術師「おう」


銃士「……その時の楽しさは、未だに忘れられないよ」


錬金術師「…」


銃士「……だけど、今は今が楽しいから」

 
錬金術師「……そうか。」

銃士「うん」

錬金術師「…その言葉は、本当に嬉しい言葉だよ」

銃士「…」コクン

錬金術師「…」

銃士「…」

錬金術師「…」

銃士「…」


錬金術師「…」

錬金術師「……んじゃ、銃士」スクッ


銃士「うん…?」

 
錬金術師「休憩ばっかしてても、つまらんだろうし…残りの場所も見に行こうか」

銃士「うんっ」

錬金術師「うしっ。腹も減ったし、少し飯食ってから行こう」 
 
銃士「あ、それならオススメの店も案内するよ!」

錬金術師「お、頼む。期待しちゃうぜー?」

銃士「うんっ!」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 そして夕刻 錬金術師のお店 】


ガチャッ、ギィィ……


銃士「…ただいま~」

錬金術師「ただいまー」


新人鉱夫「…あっ、お帰りなさいです!」

女店員「お帰りなさい!」


錬金術師「あっという間に時間が過ぎちまったなぁ……。」

錬金術師「まさかとは思うが、客とかは来なかったべ?」


女店員「うん。」

女店員「……"まさか客が来ないだろ"と、"うん"って、即座に口から出るのが悲しいけど」シクシク

 
錬金術師「はっはっは、嫌でも4月からは忙しくなるっつーの」

女店員「もちろん、そこは一生懸命頑張るからっ!」


錬金術師「ははは…。」

錬金術師「…っと」チラッ

コチ…コチ……

錬金術師「ん~、もう18時近いのか……」


女店員「そろそろ、今日の仕事もあがりだね」

錬金術師「うむ、どうせ俺も戻って来たし…今日は終わりで良いか」

女店員「わかった」

錬金術師「んじゃ、お疲れさーん」フリフリ

 
女店員「……で、店長。その前に」

錬金術師「んあ?」

女店員「明日は、私と付き合ってくれるんでしょ?」

錬金術師「…おうよ、約束だからな」

女店員「うん…」エヘヘ


銃士「…」


錬金術師「銃士も新人鉱夫も、今日はあがっていいからな」

新人鉱夫「あ、はい~」

銃士「あ、うん……」

 
錬金術師「えーと、それじゃどうすっかな…」

錬金術師「俺は俺で、みんなが帰ったら商品メンテナンスでもー……」


……ガチャッ!!

???「す、すみませんっ!!」


錬金術師「ん…」

女店員「え?」

銃士「むっ」

新人鉱夫「誰か来たんですか?」クルッ

 
錬金術師「だ、誰か来たって…いうか……」

錬金術師「お前は……」


……


錬成師「…せ、先輩ッ!!!」ゼェゼェ


……


錬金術師「錬成師!?」

新人鉱夫「錬成師さん!」

女店員「えっ!?」

銃士「な、なぜここに…?」


錬成師「先輩、た…大変です!大変なんですっ!!」ハァ…ハァ…!!


錬金術師「…落ち着け、どうしたんだ」

 
錬成師「はぁ…はぁ…ッ!!ごほっ…!」

錬成師「う、うちの…機関で……ッ!!」


錬金術師「機関で何かあったのか…?」


錬成師「み、見た事のない錬金師の服装を身に纏った連中が…!」

錬成師「うちの機関を襲い、火をっ!!」


錬金術師「……何っ?」


錬成師「だ、だか…ら……。こ、高速の馬車で……」

錬成師「僕…が……」フラッ


錬金術師「あ、おいっ!」バッ!

 
…ガシッ!

錬成師「…」ゼェゼェ

錬金術師「おい、しっかりしろ!」

錬成師「…」

錬金術師「錬成師ッ!!」


女店員「て、店長……!?」

錬金術師「……な、何だっつーんだ!」

女店員「ど、どうしよう…!」

錬金術師「…とにかく俺は一回、隣町錬金術機関へ行ってくる!」

女店員「う、うんっ!」

 
銃士「錬成師は私が治療にあたるよ!」バッ!

新人鉱夫「僕らが看病しておきます!」


錬金術師「すまん、頼めるか…」


銃士「任せてくれ」パァァ…

新人鉱夫「もちろんです!」コク


錬金術師「……それじゃ、ちょっと行ってくる!」

錬金術師「戻ってこれるか分からんから、落ち着いたら先に帰宅しておいてくれ!」


銃士「わかった」

女店員「うん…」

新人鉱夫「お気をつけて…!」

 
錬金術師「…頼んだ!」

錬金術師「…ッ」

錬金術師(……一体、何があったんだ)

タタタッ、ガチャッ!!


錬金術師(き、機関長たちは、無事なのか……っ!)ダッ!


ダダダダダダッ…………!!


……………
………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

本日はここまでです。ありがとうございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
そして数時間後 深夜――……。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 隣町錬金術機関 】


ザッザッザッザッ……!

錬金術師「はぁ、はぁ……っ!」

錬金術師「…っ!」

ザザァッ……

錬金術師「はぁ…はぁ……!!」

錬金術師「…」ハァ…

錬金術師「……」

錬金術師「………」

錬金術師「…………ッ!!!」

 
オォォォ…ォォ………ォォォ……!!!!


錬金術師「な、なん…だ……これ……?」ヘナッ

…ペタンッ

錬金術師「機関が、全部…燃えて……」

錬金術師「な…ん……」


ザワザワ…

隣町住民「おいおい、錬金術機関で事故か…?」

隣町住民「夜なのにすっげー明るかったよな。ボンボン炎あがってよ」

ガヤガヤ…

隣町警備隊「えー…みなさん、下がってください!深夜ですのでお静かに!」

隣町警備隊「火は無事に消えましたが、まだ危険ですので!」

 
錬金術師「…ッ!」バッ!

錬金術師「……お、おいアンタッ!!」

…グイッ!

隣町警備隊「わっ!な、なんだ!?」

錬金術師「一体ここで何があった!教えてくれ!」

隣町警備隊「火事ですよ。まだ詳細は分かりませんが、恐らく事故かと思われますが……」

錬金術師「…そ、そうか。えぇと、それとなんだ…!あれだ!!」

隣町警備隊「な、なんですか?」

錬金術師「中にいた面子は!?機関長は、術士先生は、白学士は!?」

隣町警備隊「…所属していた人たちのことですか?」

錬金術師「そ、そうだ!そう、その人たちはどうした!」

 
隣町警備隊「近くの治療院に運ばれたはずですが…」

錬金術師「住所は!場所は!」

隣町警備隊「あそこに見える通りを真っ直ぐ行けば、右側に看板が……」

錬金術師「……分かった!」バッ!

ダダダダダッ……!!


隣町警備隊「…あ、ちょっと!?」

隣町警備隊「…」

隣町警備隊「……ったく、なんだよ。礼くらい言えよ」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数分後 隣町治療院 】


…ドタドタ!!

治療員「ちょっと!!こ、困り…ますから……っ!!」グイィッ…!

錬金術師「ここに運ばれてるんだろ、面会するだけだっつーの!!」ググッ…

治療員「確かにおりますが、今…何時だと思ってるんですか…っ!」

錬金術師「んなの関係ねーんだよ!!」

治療員「か、関係あるないの問題じゃー…!」グイイッ!

錬金術師「…き、機関長~~~っ!!!」グググッ!

治療員「ちょっ、そんな大声出されたら他の患者さんに迷惑…!」

  
ビュッ…ゴチィンッ!!!

錬金術師「がっ!?」ズキンッ!

治療員「!?」


錬金術師「……っつぅ~!?」ズキズキ

錬金術師「こ、このゲンコツは……」ハッ


機関長「聞いた声だと思ったら、やっぱりお前か…。馬鹿者、騒ぎ過ぎだ」


錬金術師「……機関長っ!」


………

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 機関長の入院部屋 】


機関長「…ったく、夜中の治療院で騒ぐバカがいるか」

錬金術師「だ、だってよ…」

機関長「…まぁ、心配してきてくれたのは嬉しいがな」

錬金術師「…」


機関長「そんなに心配そうな顔をするな。」

機関長「うちの機関にいた面子は、全員無事だ…。」

機関長「気絶させられたんだが、その時の打撃で血は出てないし……」

機関長「軽い火傷はしているが、他に怪我がないか別の部屋で検査入院ってことになっている」


錬金術師「そ、そうか…」ホッ

 
機関長「しかし、お前がこの時間に来たということは、錬成師が伝えてくれたんだな」

錬金術師「あぁ、息切らしてな…」

機関長「無事に着いてよかったぞ」

錬金術師「……それより機関長、一体何があったんだ」

機関長「…」


錬金術師「錬成師の奴は、知らない錬金師の服装の奴らが、突然襲ってきたと…」

錬金術師「そう…言ってたんだが」


機関長「…」


錬金術師「…あの火も、全部そいつらの仕業なのか」

錬金術師「一体、どうして…」

 
機関長「…」

機関長「……あいつらだ。」


錬金術師「あいつら?」

機関長「…」

錬金術師「あいつらって…」

機関長「…」

錬金術師「…まさか」

機関長「…」

錬金術師「……アルスマグナか!?」

機関長「…」

 
錬金術師「…ど、どうして!」

機関長「…」

錬金術師「機関長、アンタが襲われる道理が何かあったのか!?」

機関長「…」

錬金術師「機関長!」


機関長「…」

機関長「言っていいモノか悩むが、言わねば納得しないだろう。」

機関長「……狙われたのは、俺たちじゃない」


錬金術師「何!?」

 
機関長「お前の造った、設計図だ」


錬金術師「な、なにっ!?」


機関長「…アルスマグナの連中がな、お前の設計図を狙って俺らの機関を襲ったんだ。」

機関長「ご丁寧に火を放って、パニックになっているところに侵入して…俺は見事に気絶させられた。」


錬金術師「…一歩間違えば炎で焼け死んでたじゃねえか!」


機関長「たまたま、外回りだった錬成師が戻り、気付いて助けてくれたんだが…」

機関長「それが無ければ、全員が炎の中だったかもしれん……」


錬金術師「アルスマグナの奴ら…ッ!!」ギリッ…

 
機関長「…だが、結果的に全員が無事で良かった。」

機関長「俺はまだしも、部下までも失っては…申し訳がたたないどころの話ではなかった」


錬金術師「お、俺の造ったものを聞きつけて、それを狙ったのか…。」

錬金術師「すまない…。俺のせいで……」


機関長「お前のせいであるものか」


錬金術師「…いや、俺がそうなるかもしれないという考えが及ばかったのが悪いんだ」

錬金術師「落ち着いたら全員へ頭を下げさせてもらう…」


機関長「…」

 
錬金術師「……そうだ、機関長。何か残されたものはないか」バッ!

 
機関長「む?」


錬金術師「アルスマグナの連中の仕業だと、分かるものだ」


機関長「…ふむ」


錬金術師「今回のことは、許せたもんじゃねぇ……」

錬金術師「あいつらの仕業と分かるものがあれば、俺が犯人を見つけてやる…!」


機関長「…あるにはあるが」


錬金術師「何だ!?」

錬金術師「教えてくれ…!俺なら、アンタらを襲った連中を必ず探し出す!」

 
機関長「だが、今は大変な時期で」

錬金術師「関係あるかよっ!!」

機関長「お前…」

錬金術師「い、いや…。関係ないとは言えないが……」

機関長「…」

錬金術師「…頼む。どのみち、設計図に関しても何とかしないといけないだろう……」バッ


機関長「…」

機関長「……やれやれ。お前がここ最近、俺に頭を下げるのが珍しくないのが珍しいぞ」ハァ


錬金術師「それじゃ…!」

 
機関長「…奴らが落として行った、火をつけた際に使った魔石だろう」ゴソゴソ

…コロンッ


錬金術師「!」


機関長「遅かれ早かれ、俺もこれを解析して犯人を追うつもりではあった。」

機関長「お前のほうがそれは早いだろうし、任せるか」


錬金術師「や、奴ら、こんなものを落として行ったのか…」


機関長「一歩間違えば殺人だったこともあって、下っ端を使ったんだろう。」

機関長「それで、こんな犯人を追えるものを落とす失態となったんだろうな」

 
錬金術師「何でもかんでも、下へ任せる機関が仇となったわけだ」

ギランッ…

錬金術師「黒く深い輝きに、奥に輝く真紅の色。随分な高級品だな…。」

機関長「…錬成率は90%。脅威の数値を出す魔石だ」

錬金術師「機関の建物は耐火性も高い。ここまでの高級品を使わないと、燃えなかったんだろう」

機関長「…大方、入手できなくても"燃やせばいい"と考えていたんだろうな」


錬金術師「くそっ……!みんなまで巻き添えにしてまで…か……!」

錬金術師「…っ」

錬金術師「……ん?」ハッ

…キラッ

錬金術師「…………は?」

 
機関長「まぁ、多少砕けているが、それでも解析するには充分だろう」

錬金術師「……これは、まさか」ボソッ

機関長「…む?」
 
 
錬金術師「…」

錬金術師「………冗談だろ」パッ

ポロッ……

機関長「あっ、おい!何落として…!」


…パキャアンッ!!…


機関長「お、おいっ!!魔石が砕けて!!」

 
錬金術師「……馬鹿な。嘘だろ」

機関長「何がだ!!お前、何をして!!犯人捜しにつかえるものを!!」

錬金術師「犯人捜しなんか…。もう、必要ねーよ……」

機関長「何ッ!?」


錬金術師「は、はは……。」

錬金術師「くく…。はっはっはっはっはっ!!!」


機関長「ど、どうした…?」


錬金術師「はははははっ!!!」ククク…

錬金術師「さすがに機関長でも、これは分からなかったはずだ……」

 
機関長「何に…だ?」


錬金術師「それは、俺のいた……」

錬金術師「中央商社の、錬金術部門で扱う高級錬成魔石だよ!!」


機関長「!!」


錬金術師「真紅の奥に、欠けてはいたが、うちの部門を刻んだ文様が見えた…」

錬金術師「……設計図を狙ったこと、この高級魔石を使ったこと、そういうことだよ……!!」


機関長「な、なんだと!?」

機関長「ということは、まさか……!」

 
錬金術師「…"親父"だろう」

機関長「セントラルカンパニーの社長が!」

錬金術師「…機関長が見たのは、アルスマグナの制服で間違いないんだよな」

機関長「あぁ、確かだが…」

錬金術師「だとすると…。もう、繋がる……」

機関長「お前の親父である、中央商社の社長が!」

錬金術師「アルスマグナへ……」

機関長「設計図を奪うように…!」


錬金術師「依頼していたことに…なるっ……!!!」ギリッ…!!

 
機関長「ば、ばかな!?」

機関長「仮にも世界一の商社の社長が、この時代にこんなことを!?」

機関長「足がつく可能性も高いというのに、重罪紛いのことを!」


錬金術師「親父ならやりかねない!」

錬金術師「恐らく、今回のことで認めざるを得なくなったことで、それを阻止しようとしたんだ!」

錬金術師「俺の造った設計図をもとに、世界へいち早く売り出すつもりなんだ!!」


機関長「馬鹿なっ!!」


錬金術師「ふざけやがって……!!」

錬金術師「あの……クソ親父ッ!!!」

  
機関長「し、しかしこの魔石だけでは、部下が勝手にやったことだと言われればそれまでで…」

錬金術師「下に命令しようましまいが、責任問題は社長である親父になる!」

機関長「…っ!」

錬金術師「この町から、夜間の馬車は出ていたな。高速馬車で中央商社へ向う!」クルッ

機関長「ま、待て!」


錬金術師「……許せるものか。」

錬金術師「今回の事が、大事にならず済んだからいいものを……ッ!」

錬金術師「この魔石をつきつけ、二度とこんなことがないように…してやる……!」

錬金術師「それに俺の設計図のことも、店員ら全員で努力した証を!全て取り戻す……!」


機関長「!」

機関長「ま、待て!その前に俺の話を…!」

 
錬金術師「また、改めて謝りに来る。」

錬金術師「じゃあな……」

カツカツカツ…バタンッ!!


機関長「ま、待て……!話はまだ……!」

機関長「…ご、ごほっ!げほげほっ!」

機関長「ゲホッ……!」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
―――4月の決戦、女店員との約束の前に突然起こった事件。
 
だが、アルスマグナの失態で依頼者を見つけることが出来た店長。

しかし、その犯人はまさかの自分の父親だった可能性が高いことを知ってしまった。

この事態に、店長は混乱しつつも中央都市・セントラルカンパニーへと足を運びー……。

本日はここまでです。
有難うございました。

皆さま有難うございます。投下致します。

 
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――――【 3月27日 朝 中央商社 】


ガヤガヤ…

商社人たち「…それで、次の契約がさ」

商社人たち「あー、俺も難しくてさ。企画書通りに進まなくて、怒られて」アハハ

商社人たち「こういう時、冒険者たちが羨ましくなるよな」

商社人たち「そうそう…」

商社人たち「……って」

商社人たち「えっ?」


…ザワッ!


商社人たち「なんだ…あの男……」

 
カツカツカツ……

錬金術師「…」


ザワザワ…

商社人たち「錬金師の格好…?」

商社人たち「うちの部門の人じゃねえよな、あんな恰好しねぇし…」

商社人たち「つーか、本社にあの恰好は禁止されてるはずじゃ……」

商社人たち「…ほら、受付さんが注意しに行くぞ」


タタタッ…

受付嬢「す、すみません!」

錬金術師「…」ギロッ

受付嬢「ひっ!」ビクッ

錬金術師「……アンタは、この間の」

 
受付嬢「あ…!社長のご子息様と言う…!」

錬金術師「社長はいるだろう。勝手に入らせて貰う」クルッ

受付嬢「ち、ちょっと待って下さい!勝手に!」

錬金術師「…クソ親父に用事があって来たんだ。無理にでも通る」

受付嬢「だ、ダメです!待って下さい!」


ガヤガヤ…

商社人たち「お、おい何だよアレ。不味いんじゃねえの?」

商社人たち「なぁに、すぐにガードマンが来るだろ」

商社人たち「……ほら」

 
ドカドカ…

ガードマン「…そこの錬金師、何をするつもりだ」

錬金術師「…」

ガードマン「…こっちを向け。暴れるなら、痛い目を見て貰わないと困るが?」

錬金術師「…」

ガードマン「…おい、聞いてるのか!!」バッ!

…グイッ!

錬金術師「…ってぇな、乱暴的なのは変わってねーのかオメーは」


ガードマン「…」

ガードマン「……なっ!!ご、ご子息様ッ!?」

 
…ザワッ!!
 
受付嬢「えっ!?ほ、本当に…!?」

商社人たち「はっ!?」


錬金術師「俺がガキの頃から雇ってもらってるくせに、俺の後ろ姿でわからないのか…」

ガードマン「…し、失礼しましたっ!!」ビシッ!

錬金術師「クソ親父に用事があるっつってんだろ…」ゴッ…

ガードマン「…は、はいっ!」

錬金術師「どけ」

ガードマン「…ッ」ペコッ


カツカツカツカツ……

…………
……

 
タタタタッ……

商社人「…お、おいガードマン!」

ガードマン「…」

商社人「あ、あの人が社長の息子ってマジなのか!?」

ガードマン「え、えぇ。自分がまだ入社したての頃から知っております」

商社人「あ、あの社長に息子がいたなんて」

ガードマン「…」

商社人「クソ親父とか言ってたが、一体どうして…」

ガードマン「さ、さぁ……」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 中央商社 社長室 】


親父「で、あるから……」

重役「えぇ、その路線でいけば間違いないと思われます」

親父「契約書は早急に準備させる。進めてくれ」

重役「はい」


…ガチャッ!!バタァンッ!!!


親父「ん…」

重役「な、なんですか!?」ビクッ!

秘書「誰ですか!ドアを乱暴に……!」

 
錬金術師「……よう、クソ親父」


秘書「…ご子息様っ!?」

重役「え…」

親父「…」


錬金術師「オメーに用事があって来たぜ、分かってんだろ」


親父「…」

親父「……重役、下がっていろ。このことは内密にな」


重役「は、はい……」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コチ…コチ……


錬金術師「…」

親父「…」

錬金術師「…」

親父「…」

錬金術師「…」

親父「…」


秘書「…っ」

 
親父「……黙っていては分からんな。何か用事か」

錬金術師「分かってるんだろうが」

親父「分からんな」

錬金術師「…クソ野郎が」ギロッ

親父「…」

錬金術師「オメーが依頼したんだろう」

親父「やれやれ、親に向かってお前とはな」

錬金術師「…ふざけんなよ」

親父「だから何だというのだ」


錬金術師「…アルスマグナへ俺の所属していた機関へ襲わせたのはアンタだろうが!!」

錬金術師「しらばっくれるのもいい加減にしろよ、クソ親父ッ!!」


秘書(…っ!)

 
親父「…何のことだかな」

錬金術師「ふざけんなよ…。状況が状況だったら、機関長を含め全員が死んでいたかもしれないんだぞ!」

親父「俺には関係のないことだ」

錬金術師「依頼主の言うことか!」

親父「証拠はあるのか?」

錬金術師「何だと!」

親父「俺が依頼したという証拠だ。根拠もなしに吠えているわけではあるまい」

錬金術師「……あぁ、あるぞ!!」

親父「…」ピクッ


錬金術師「…見せてやるよ、これだ!」

ゴソゴソ…スッ、コロンッ……

 
親父「…ただの砕けた魔石だろう」

秘書(あれは…!)ハッ


錬金術師「あぁそうだ。この商社が管理する、中央商社錬金術部門で使用されている高級魔石だ!」

親父「…」

錬金術師「砕けているが、文様はまさしくそれ。これが何よりの証拠だろうが!!」

親父「…」

錬金術師「…これを、中央都市の警備隊へ証拠として突き出す。」

親父「…」


錬金術師「そうすれば、誰がどう見ても…アンタが仕向けたことに違いはないとなるはずだ」

錬金術師「俺の設計図を奪うためだけに、命をも奪おうとした罪…!償ってもらうぞ!」

 
親父「…」

親父「……ふぅ」


錬金術師「…」


親父「…おい」クイッ

秘書「…っ」

親父「…おい!」

秘書「え…。あっ!はいっ!」

親父「アレを出せ」

秘書「は、はい…」クルッ

トコトコ…ゴソッ


錬金術師「アレ…?」

 
トコトコトコ…

秘書「こ、こちらになります……」スッ

…パサッ

錬金術師「んだこれは…」パシッ

錬金術師「…」ペラッ

錬金術師「……!」

錬金術師「……こ、これは」


親父「……生憎だがな。実は、うちの錬金術部門から"盗難"が発生してな?」

錬金術師「…ッ!」

親父「犯人は恐らく、アルスマグナの下っ端だと思うのだが……」

錬金術師「……ッ!!」

 
親父「うちも何人か襲われて、今、治療院に行っているんだ…。」

親父「もしかすると、その連中がお前の言う機関を襲ったのかもしれないがー……」

親父「うちも、被害を受けていてな……」


錬金術師「て、てめぇッ!!準備を…!!」


秘書(……やはりっ!)

秘書(アルスマグナを心から信用していなかった社長は、あらかじめ準備をしていた…。)

秘書(ただ盗まれたというだけでは、うちの管理能力が問われたかもしれない…。)

秘書(もし怪我人が出たのなら、社会的にも責任問題も大きく問われることはない……)

秘書(しかし今回、相手方が、命に関わることだったのは…理解しているのでしょうか……)ブルッ

 
親父「……で、なんだったか。」

親父「それは俺が依頼したという…証拠になるんだったか?」


錬金術師「……こ、これが人のやることかっ!!」

親父「知らんな」

錬金術師「ふざけんじゃねぇぞ…」

親父「…」

錬金術師「クソ親父が…!てめぇは、絶対に俺がころ…!!」

親父「……女店員と、銃士だったか?」

錬金術師「!?」ビクッ

 
親父「女というのは便利だな。その女を知らぬ男は喜び、知る男がひれ伏す」

錬金術師「お前、まさか…」

親父「地下に眠る、膨大な住所や個人の情報。さぁてな……」

錬金術師「裏に…売るつもりか……!」

親父「……まだ、歯向かうか?」

錬金術師「…ッ!!」ギリッ


秘書(…っ)


錬金術師「…」

錬金術師「く、くそがぁぁぁぁああっ!!!」

…ドンッ!!

 
親父「……ふむ。秘書、息子は帰るようだ。」

親父「ドアを開けてくれるか」


秘書「…は、はいっ」

トコトコ…ガチャッ、ギィィ……


錬金術師「このままで済むと…思うなよ……!」


親父「吠えていろ」


錬金術師「…っ!」スクッ!

トコトコ……

 
親父「…」

親父「……っと、そうだったな。1つ言うことがあった」


錬金術師「…」


親父「お前が入って来た時にいた重役だが、あいつはうちの錬金術部門の販売に関する奴でな。」

親父「実はこの度、うちで"マジエアコン"と"超回復瓶"、"パワーアップユニット"が完成してくれた」


錬金術師「…」


親父「それを、世界的にアピールして売ることになった。」

親父「……たまたま、うちの技術者が開発に成功したからな」

 
錬金術師「…」

錬金術師「……そうかよ」

ギィィィ……バタンッ!!
 

親父「…」

親父「……クク」

親父「所詮、お前程度では俺に歯向かうことが無理と言う話なのだ」


秘書「…っ」

秘書「……し、社長!」

 
親父「なんだ」

秘書「今回のことで、人の命が奪われそうになったという話は本当でしょうか!?」

親父「アルスマグナの面子だからな。自由にやれといっている」

秘書「…それを知っていて、アルスマグナへ依頼をなさったんですか」

親父「そうだが?」
 
秘書「…っ!」
 
親父「…何だ、なにか悪いことがあるか?」

秘書「…」

親父「…」

トコトコ…グイッ

秘書「うぐっ…」

 
親父「……最近、俺に意見が多すぎるぞ。」

親父「お前を拾ったのは誰だと思っているんだ。お前の家族を助けたのは誰だ?」


秘書「…っ」


親父「俺の目に適って、俺が雇い、お前の家族は救われた。」

親父「何にも従い、何にも意見せず、何にも受け入れ、その秘書としての能力だけを発揮しろといったはずだ」


秘書「…」


親父「…分かったのか、分からないのか!」

秘書「っ!」ビクッ

親父「…」

秘書「は、はい……」

 
パッ…

秘書「げ、げほっ……!」


親父「…俺に逆らう、歯向かう人間は誰だろうが許さん」

親父「今回の話は、息子に感謝しつつ…美味しく頂かせてもらおう……」ククク


秘書(こ、この…人は……)ゲホゲホッ…!


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 

………
……………

それから……2日後。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 3月29日 早朝 お店の前の林 】


ザッ…ザッ…ザッ…


錬金術師(……やられた。)

錬金術師(完全に、やられた。)

錬金術師(親父が俺の動きを知っているだろうということは予想していたが……)

錬金術師(まさか、こんな方法で…。)

錬金術師(今日まで、短い間だが全員が頑張って来てくれたというのに、全てをダメにした。)

錬金術師(俺の考えが及ばなかったからだ……!)

錬金術師(俺のせいでみんなを危険にさらし、努力を無駄にし、意気揚々と乗り込んで負け戦か……?)

錬金術師(……情けない)

 
ザッザッザッザッ…


錬金術師(…会わせる顔がない。)

錬金術師(どう言えばいい。どう謝ればいい?)

錬金術師(また最初からになっちまった。設計図を奪われた以上、もう今は全てを失ったのと一緒。)

錬金術師(みんなに夢を見させて、自分で崩して、何やってるんだよ俺は……。)

錬金術師(……俺のせいだ。)

錬金術師(ダメだ。ダメだ…ダメだ…………。ダメだ…………………。)

錬金術師(仇も討てず、負けて、店へ戻るなんて……)

錬金術師(結局、俺は親父に敵わない存在だったのか……)

錬金術師(……ッ)

錬金術師(…)

錬金術師(……え?)ハッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 錬金術師のお店の外 】


ガヤガヤ……


女店員「…っ」

機関長「そんな顔をするな。きっとアイツなら大丈夫だ」

女店員「で、でも…。一人で乗り込んだなんて……」

機関長「他の人間へ迷惑をかけたくなかったんだろう」


術士先生「そうですねぇ、店長先生はそういうところもあるんですよ♪」

銃士「きっと大丈夫さ」

錬成師「そうですよ」

新人鉱夫「えぇ、そうです!」

白学士「…僕らが顔を見せれば、きっと店長先生も安心しますから」

 
クー「…店長と会うの久しぶり!」エヘヘ

クーシィ「あまり迷惑かけちゃだめだからね?」

クー「はーい!」

中央商人「…やれやれ、当の本人はまだ帰ってこないのか」


女店員「…っ」

女店員「…」

女店員「……あっ!」


…ザッ

錬金術師「…っ」

錬金術師「……お前ら、どうして」

 
女店員「て、店長っ…!!」

錬金術師「女店員…」


機関長「…遅かったな。親父とは会えたのか?」

錬金術師「機関長…」


クー「…てんちょー!」ピョンッ!

クーシィ「あ、こら!」

…ギュッ!

錬金術師「クーに、クーシィ……」


…ザッ

中央商人「大丈夫か。中央へ行ってきたんだろう」

錬金術師「…中央商人さんまで」

 
白学士「店長先生!」

術士先生「店長先生、私たちは全然大丈夫ですよ♪」

錬成師「えぇ、僕も元気になりました!」

機関長「俺らは、お前が心配し過ぎるほどの傷はないからな!」


錬金術師「白学士、術士先生、錬成師……」

錬金術師「どうして、みんながここに…?」


銃士「……女店員が、呼んだんだよ」


錬金術師「は…?」


新人鉱夫「錬成師さんの話を聞いて、店長さんは中央都市へ一人で乗り込むかもしれないから…」

新人鉱夫「どんな結果であろうと、みんながいれば安心できるからって…」

 
錬金術師「!」バッ

女店員「…っ」

錬金術師「お前、そんな勝手に!」

女店員「ご、ごめんなさい……」

錬金術師「お前な……」

女店員「…だ、だけど!みんながいればって!」


錬金術師「…」

錬金術師「……いればって、どうして」ボソッ


女店員「えっ…?」

錬金術師「……俺は…一人で……」

女店員「てんちょ…?」

 
中央商人「……はっはっは、店長!負けたのか?」

…ポンッ!

錬金術師「っ!」

中央商人「分かっていたがな。お前じゃ勝てるわけもなし、今回のこと全てをダメにしたんだろう」

錬金術師「うっ…」


中央商人「一人でいたかった気持ちは分からんでもない。」

中央商人「だがな、こういう時に…お前を囲む仲間は何故いると思う?」


錬金術師「…ッ」


中央商人「誰一人、お前を恨むものもいやしないさ。」

中央商人「……ここに集まった全員が、お前を大事な仲間だと思っているからだ」

 
錬金術師「だけど、俺は機関長たちを危険にさらした!」

錬金術師「俺の考えが足りなかったせいで、危険にさらし、全てを駄目にした!」

錬金術師「少し考えれば分かっていたのに、俺が…俺が……っ!」


中央商人「…お前が悪いわけじゃない。」

錬金術師「だけど…!」


女店員「…っ」

女店員「……店長のばかっ!!」


錬金術師「」

錬金術師「……おい!俺は、俺なりに考えて!」

 
女店員「…だから、馬鹿ッ!」

錬金術師「は!?おま…!」

女店員「また、一人?」

錬金術師「!」

女店員「また一人で悩んで、また一人で倒れるの?またみんなに迷惑をかけて?」

錬金術師「い、いや…。え……」

女店員「…約束したのに。もう一人じゃ悩まないって」

錬金術師「だ、だがな!それとこれは!」

女店員「違わないっ!!」

錬金術師「いっ…」

 
女店員「店長のために、みんながこうして集まったのはね…」

女店員「店長が、突然姿を消して、一人で行動したせいなんだよ!」

女店員「私が呼んだのだけじゃなくて…。どうして集まったのか、分からないの……?」


錬金術師「…」


女店員「みんな、店長を心配してたんだから。」

女店員「一人で何でもしようとしないって、約束したのに……」


錬金術師「…」


女店員「したのに……」グスッ…


錬金術師「…っ」

 
銃士「…女店員は今回のこと、アルスマグナが関わっていると気付いて、ずっと心配してたんだよ」

錬金術師「…」

銃士「以前の一件もあるし、もしかしたら帰ってこないかもしれないってね」

錬金術師「…!」


銃士「店長にとっては、すぐに帰るつもりだったとか…自分だけで解決するとか」

銃士「そういう考えで、そこまで周りも心配していなかったって思ってるかもしれない。」

銃士「だけど、店長が関わっている闇を知っている私たちは、それ以上のことを考えているんだよ。」


錬金術師「そ、それ…は……」


銃士「何度も言うけど、こうして集まったみんながどうして集まったか…考えてみてよ」


錬金術師「銃士…」

 
機関長「……そう。お前一人で悩むことはないだろう。」

中央商人「お前が一人で走って、哀しむ人間がいると…。お前の為に悩む人間もいるんだと理解するんだ」


錬金術師「ムサイーズ…」


機関長「おい」

中央商人「こら」


錬金術師「…俺の考え以上に、みんなが俺を」


銃士「…そういうことだよ」

女店員「…っ」

 
白学士「…」

錬成師「…」

術士先生「…」

機関長「…」


中央商人「…」

クーシィ「…」

クー「…」


新人鉱夫「…」

銃士「…」

女店員「…」

 
錬金術師「み、みんな……っ」

錬金術師「…」

錬金術師「……」

錬金術師「…………」

錬金術師「…………ッ」

錬金術師「……ごっ…………」

錬金術師「……………ごめんっ!!!」

……バッ!!

 
白学士「店長先生…」

錬成師「先輩……」

術士先生「も~…!心配したんですよ!アルスマグナのことも…あって……」

機関長「もっと深く謝れ、馬鹿者が。一人で走りおって…」


中央商人「仲間の気持ちを、しっかり考えるんだぞ」

クーシィ「店長さん…」

クー「てんちょー…」


新人鉱夫「あ、あわわ…。店長さんがそんな深くお辞儀なんて…」

銃士「みんなの気持ち、分かってくれたみたいだね」

 
錬金術師「…心配をかけたこと、失敗をしたこと、迷惑をかけて、負けて…。」

錬金術師「色々あるけど、全部に…謝るから……!」

錬金術師「本当に…。ごめん……ッ!」

錬金術師「ごめんっ!!」


女店員「…」

女店員「…」

女店員「……うんっ」


錬金術師「…」グスッ…


女店員「……あっ」

 
機関長「……おっ!みんな、店長を見てみろ!泣いてるぞ!!」

錬金術師「あ、おいっ!」グシグシ

機関長「はっはっは、傑作だ!」

錬金術師「て、てめぇこの!!」

機関長「はーっはっはっはっは!」


女店員「…」クスッ

銃士「…さすが機関長さん。ああいう風に店長をイジれるなんてね」アハハ

新人鉱夫「店長さんの扱い方を分かってますねぇ」シミジミ

 
錬金術師「……くっ!」

錬金術師「だ、だけど謝ったところでこれからの問題が終わったわけじゃないし…!」

錬金術師「すべてを奪われた以上、また俺は最初から……」


機関長「…その事なんだが、お前は話を聞かずに飛び出しすぎだ。」

機関長「あの夜、お前に"最後まで話をきけ"と言ったのに……」


錬金術師「あん?どーいうことだよ」

機関長「これが何か分かるか?」スッ

…ペラッ

錬金術師「それは…」

錬金術師「……お、俺の設計図!?」


全員「…えっ!?」

 
機関長「病室で話そうとしたところを、勝手に飛び出しおって…。」

機関長「いいか、アルスマグナに奪われたものは偽物だ」


錬金術師「な、なぬ!?」


機関長「お前の親父が手段を選ばない事は知っていた。」

機関長「まさか、ここまでやるとは思わなんだが…。」

機関長「一応、偽物と本物をすり替えて置いたんだ」


錬金術師「…マジかよ」


機関長「盗まれたほうは、真っ赤な偽物。」

機関長「俺がお前の設計図を元にして造った、欠陥のある設計図だ」フン

 
錬金術師「……じゃあ、親父のところで造られる道具、商品たちは!」

機関長「少しすれば回路がヒートして、壊れてしまう偽物だ」

錬金術師「!」

機関長「…お前の親父ということで躊躇したが、ここまでしてもお前は文句は言わないだろう」

錬金術師「そ、そこまで読んでたのか!?盗まれることから、全て…!」


機関長「俺を誰だと思っている。」

機関長「……俺は、世界一と呼ばれた男を"育てた男"、だぞ?」ニカッ


錬金術師「…ッ!!」

 
中央商人「…店長、あのオヤジはどれくらいの規模で販売展開するつもりなんだ?」

錬金術師「え、あ…あぁ。恐らく、世界規模で販売をするつもりのはず…ですが」

中央商人「機関長から聞いたが、それは恐らく1ヶ月の持たない代物。世界規模で販売するとなると……」

錬金術師「…損害が莫大なものになりますね」

中央商人「あそこの錬金術部門も馬鹿じゃない。恐らく、販売後に問題のある欠陥部分を修復はしてくるだろうが…」


機関長「それは有り得ないはずだ」

機関長「あそこの部門では、どこが欠陥かは分かっても修復はまず不可能だろう。」

機関長「魔石の埋め込み部分の回路でな、それは俺と店長が現役時代に造った部分で、一般技術では修復は出来ん」


中央商人「ヒートするといったが、危険度は?」

機関長「爆発はしないし、ヒートした時点で強制停止。回路がちぎれて二度と使いものにはならないな」

 
中央商人「…とすると、人的被害はなし。」

中央商人「店長の親父は、店長の腕を信頼し…世界規模で売り出すとなると……」


機関長「広告費も含め、社運がかかるレベルでやってくれるのではないか?」

中央商人「恐らく。ここから考えれば……」ブツブツ



錬金術師「…」

錬金術師「…」

錬金術師「……はは」


女店員「……ん、てんちょ?」

錬金術師「いや、結局俺は一人じゃ勝てなかったんだなって」

女店員「…」

 
錬金術師「仲間がどれほど大事で、俺のことを想って、救われて、大切な存在で…」

錬金術師「それが嫌と言うほど身に染みる」

 
女店員「…みんな、店長が大好きなんだよ」

錬金術師「…んむ。俺もみんなが大好きなようだ」

女店員「えっへへ~♪」

錬金術師「…ありがとな。お前のおかげで、また悩み落ちするところを助けて貰ったよ」

…ポンッ

女店員「…うんっ」テレッ

 
中央商人「…」ブツブツ

中央商人「…………うむ。」パチンッ

中央商人「……よし。店長、いいか?」


錬金術師「は、はい!」
 
 
中央商人「……覚悟はあるか」

錬金術師「か、覚悟ですか?」

中央商人「俺の考えた算段で、お前の親父へ勝利することが出来るだろう」

錬金術師「へっ!?」

中央商人「だが、その意味は分かるはず。それに、嫌っていてもお前の親父だ。俺が決めることじゃない」

錬金術師「…」

中央商人「その覚悟があるのか、どうか。聞かせてくれ」

錬金術師「…」

 
錬金術師「…」

錬金術師「……親父は、多くの人に涙を流させ過ぎた。」

錬金術師「その報いとして、出来ることなら…。お願いします、中央商人さんっ!!」バッ!


中央商人「…」

中央商人「……あい分かった」


錬金術師「…っ」


中央商人「お前の因縁も、これで終わるだろう。」

中央商人「今日という日に、こんな舞台が整ったのは…神のおぼしめしかもしれないな」


錬金術師「…」

 
中央商人「お前の同意があるなら、やらせて貰う。中央商社、セントラルカンパニーを…崩すぞ!」

錬金術師「はいっ…!宜しくお願い致します!」


女店員「で、でも一体どうやってですか…?」


中央商人「今回の偽物の設計図での損害は、恐らく中央商社に大打撃を与えるはずだ。」

中央商人「店長の腕を信頼しすぎた、社長自身の行動のせいでな」


女店員「…!」


中央商人「ああいう巨大な企業では、そういった問題で重役たちが責任問題が発生する。」

中央商人「4月の月末会議にて、その議題で社長は、責任から退任するか迫られるはず…」


錬金術師「…」

 
中央商人「だが、あの社長はどうにか上手く乗り切ろうとするだろう。」

中央商人「そこへ俺らが乗り込み、本物の設計図を盾にし追い込みをかける。」

中央商人「犯人が分かっている以上、これほど簡単なことはない」


女店員「…ですが、あのお父さんならそれでも何か考えていそうですが」


中央商人「…だから、そこで銃士にもやってもらいたいことがある。」

銃士「え?わ、私ですか?」

中央商人「いい商品は、いい結びつきを作るものだ。それを踏まえ、銃士。君が頼りの一人となる」

銃士「…私に出来ることなら」

中央商人「…」ニヤッ

 
錬金術師「…」

錬金術師「……全員での反撃、か」


女店員「これで、お父さんの牙城が崩れるってこと…?」

錬金術師「…あぁ」

女店員「そっか…。」

錬金術師「……そうだ、女店員」

女店員「うん?」

錬金術師「長引いてすまなかったが、落ち着いたら一緒に約束の買い物に行こうな」

女店員「…うんっ!」コクン

錬金術師「…」ニコッ

女店員「…っ」ドキッ

 
中央商人「……店長!」


錬金術師「!」


中央商人「準備はいいな?」

中央商人「お前の親父の籠る城、お前を纏う鎖、全てを壊しにかかるぞ!」


錬金術師「……あぁ!」

錬金術師「やってやるさ…!」


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
――――その夜。

全員が集まった記念に商店街のレストランで小さな決起会を開き、夜を楽しんだ。


そして、次の日から中央商社を崩すべく、それぞれが行動を開始。


そんなさなか、予想していた通り、中央商社"セントラルカンパニー"より3種の商品が大々的に世界規模で発売。

登場するや否や、生産が追い付かない程の大ヒット商品となっていった。

その様子を最上階で高笑いしていた社長だったが、

4月が終わるという頃に、あの機関長の仕掛けた"偽物"のカラクリが、動き始め…………。

本日はここまでです。
有難うございました。

皆さま有難うございます。
投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 4月27日 早朝 錬金術師のお店 】
 

錬金術師「…」

女店員「…」

新人鉱夫「…」

銃士「…」


ウィーン…ポォォ……


錬金術師「……これが、俺の親父の作りだしたマジエアコンだが」

女店員「店長のそっくりだよね…」

錬金術師「もし、機関長の設計図通りに造ったとなると…稼働時間的にそろそろ停止するはずだ」

女店員「…」ゴクッ

 
ウィーン…コォォ……


錬金術師「…」


ウィーン……


女店員「…」


ヴーン……


新人鉱夫「…」


ヴ…ン……


銃士「…」


ヴッ…ン…

 
錬金術師「!」

女店員「!」

新人鉱夫「!」

銃士「!」


ボシュンッ!シュウゥ……


錬金術師「…稼働が停止したのか」

女店員「本当に、1ヶ月で壊れたの…?」

錬金術師「魔石はさっき取り替えたばかり、消費されるわけもなし」

女店員「ってことは…」

錬金術師「…」スッ

カチャカチャ…パカッ

 
女店員「わっ…」

新人鉱夫「うわっ!」

銃士「…げほげほ!」

プシュー…モクモク……

錬金術師「ごほごほっ!み、見事に魔石部分の回路が焼き切れてるな。」

錬金術師「機関長の言った通り、偽物図面だったってわけだ…」


女店員「ってことは、これが世界規模で起きてるってこと…?」

錬金術師「修復不可能で、返品の嵐になるだろうよ」

女店員「…!」

錬金術師「今日の午後から、中央商社はパニックになるぞ…」

 
女店員「そ、それじゃ私らはどうしたら?」


錬金術師「この壊れた結果から、恐らく役員会が開かれるはず。」

錬金術師「それに合わせて乗り込むんだが、それは中央商人さんが情報を受けて、俺らへ教えに来るはずだ」

錬金術師「恐らく、月末に合わせて4月30日に開かれるとは思うのだが…」


女店員「…わかった」

新人鉱夫「わかりました」

銃士「あぁ、分かった」

 
錬金術師(女店員らは、ただ壊れただけに見えるだろうが…。)

錬金術師(こういったパニックの現場は本当に酷い。)

錬金術師(俺の現役の頃に、ポカやらかした男のせいで一度同じような状態になったっけな…。)

錬金術師(…)

錬金術師(……だが、今回は社長である親父自身のこと。) 
 
錬金術師(お前が報いを受ける時が来たっつーことだ…)

錬金術師(クソ親父…ッ!!!)


……………
………

  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 同時刻 中央商社 】


秘書「…とのことです!」


親父「欠陥だと……」


秘書「マジエアコン、パワーアップユニット、超回復瓶の全てにおいて、効果が停止するというクレームが!」

秘書「どうやら魔石の回路部分に問題が生じていると、問題は発見したのですが…!」


親父「ならば、修理を請け負い、今後の生産品はマイナーチェンジ版として出せ」


秘書「こ、この回路部分は非常に繊細で、我が社の部門では解決を行う事が出来ません!」


親父「なに…?」


秘書「その部分だけを取り換えようとも試みましたが、魔石との連動が上手くいかず…!」

 
親父「まさかあいつは、欠陥品と知りながら設計図を俺にとらせたのか…」

秘書「そ、それはどうか分かりませんが…」

親父「ふざけるなよ…。どれだけの費用を使い、今回のことへ賭けたと……!!」

秘書「…っ!」


親父「あいつには少し痛い目を見てもらう!アルスマグナヘ連絡し、女店員と銃士を裏へ売り飛ばせ!!」

親父「此度のこと、許せたものではない……っ!!」


秘書「!」

秘書「そ、それは……!」

秘書「そこまでしては、人として……!これ以上の、罪を……!」


親父「…口答えをするなぁっ!!」ブンッ!

…バチィンッ!!

 
秘書「あぐっ…!」

ズザザッ…!


親父「く、くそっ!甘く見過ぎていた、アイツをもっと縛り上げるべきだった……!」

親父「俺に歯向かえないよう、あいつの周りから固め、俺へ従順にすべきだった…!」

親父「俺のものにならないから、俺がこんな目に合うんだ、俺が、俺は、俺に…………」ギリッ…


秘書(…こ、この人は)

秘書(子どもがそのまま大人になってしまったんだ……)

秘書(権力があるがままに、誰の痛みも、誰の想いも、理解できないままに……)


親父「クソったれ……!」

親父「このままでは、俺が直接指揮したプロジェクトとして進退問題となる…」

親父「どうにかせねば…。どうにか……!」

 
…コンコン


親父「…誰だ!!」


ガチャッ…


取締「…社長」

役員たち「お話があります」


親父「…」


取締「この度の問題につきまして、3日後の4月30日の月末、緊急取締役会を開くべきかと思いまして」

役員たち「本社を含む、役員方へご連絡を行わせて頂きました」


親父「貴様ら…」

 
取締「お分かりとは思いますが、宜しくお願い致します」

役員たち「…」ペコッ

親父「…」


ギィィィ……バタンッ!


親父「…ッ!」

親父「……ッ」

親父「く、クソどもが……!」ゴッ…


秘書「し、社長…」ビクビク

 
親父「…ッ!」

親父「おのれ……」

親父「俺が大人しく退くと思うなよ、俺が、俺が……!」

親父「俺の力は…………!」


……………
………

 

………
……………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 数分後 中央商社の外 裏路地 】


タタタタッ…ピタッ……

役員の一人「…お待たせしました。4月30日に決定です」


中央商人「そうか、ご苦労」

役員「…今回の損害は、来年の決算期へ大きく響くことでしょう」

中央商人「退任、解任問題だな?」

役員「はい。言い逃れは出来ません」

中央商人「…世界を牛耳る男が、終わる日が来るんだな」

役員「…」ペコッ

中央商人「お前との繋がりを保っておいて助かった。今度、礼をはずむ」

役員「い、いえ。それより……」

中央商人「ん…?」

 
役員「まさか、中央商人様が一人の人間のためにここまで立ち回るなんて…。」

役員「自分はそれが信じられませんよ」


中央商人「…あぁ。たまたま、気に入っただけさ」


役員「はは、それが珍しいと言うんですよ」

中央商人「俺の老後の楽しみも見つけてくれた奴でな」ハハハ

役員「そういえば、美人な奥さんを見つけたとか聞きましたよ」

中央商人「ばかもの、嫁などではない!」

役員「す、すみません」ハハハ

中央商人「…まぁいい。では、また4月30日に会おう」

役員「えぇ、わかりました」ペコッ

 
中央商人(……手紙を、それぞれのメンバーに魔法便で出せば今日中に着くはず。)

中央商人(これで、崩す為の準備は整った。)

中央商人(あとは、日を待つだけ……か。)

中央商人(……世界の覇王として名を残す男の最後、見せて貰おうか)


……………
………

 
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その日の夜、店長たちのもとへ中央商社にて緊急役員会議が開かれる旨の手紙が届いた。

それを見た店長は、次の日より中央都市へ向かう準備を整え、機関長らと合流し―……。

 
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――――【 4月30日 中央商社 会議室 】


親父「…」


秘書「…」


役員たち「…」


進行役「…以上が、今回の議題となります」


親父「……面白い話だ。今回の損害は、全て俺のせいになると。」

親父「そして、俺がその責任から社長の座から降りろと…?」


秘書(この忙しい時期に、このような会議は普通は行うことはしないはず。)

秘書(それを行ったということは、現社長に降りてもらうチャンスと読んだ役員たちが仕組んだということ。)

秘書(だけど、社長は立場上不利のはずなのに…この落ち着きは……)

 
ガヤガヤ……!!

役員たち「今回の損害は、間違いなく中央商社へ信頼問題を落としかねないこと!」

役員たち「その責任を取るのは普通ではないですか!」

役員たち「あなたが退かない考えないならば、我々とてあなたを解任させることとなりますぞ!」


親父「…」


取締「……社長。」

取締「ここは潔く、退くのが妥当ではないのでしょうか」


親父「…」

親父「……ふむ」

親父「…今回の失敗で、随分と大きく言葉を言えるようになったな貴様ら」ギロッ


取締「!」ビクッ

役員たち「…ッ!」ゾクッ

秘書「…っ」

 
親父「俺が育ててきた会社で、俺が面倒を見てきた人間たちに、よもやそんな言葉を言われるとは思わなかったぞ…?」

親父「一人一人の名前と顔を、俺は…覚えている。」

親父「俺に歯向かう人間が、どういう最期を迎えているか…分かっているだろうが!」


取締「ッ!」


親父「それともなんだ、それ以上に俺の席に憧れているのか…?」

取締「…自己満足で、会社は出来ません!」

親父「なんだと!」

取締「世界規模で売り出し、世界規模で損害を被り、そのプロジェクトを進めた本人…社長が椅子に座っていては会社として成り立ちません!」

親父「だったら一緒に死ねばいい」

取締「な、何千人という人間がいるのですよ!?」

親父「知ったことか」

取締「あ、あなたという人は…!」

 
親父「ここは俺が作り上げた、俺の会社。俺の場所。俺の力の象徴。」

親父「それは誰にも譲ることなく、俺は俺の思うまま、俺の為だけにやらせてもらう!」

親父「退くことはない決してない。そう、これからも俺はこの場所に居続けるぞ……」


取締「そうはおっしゃっても、一人の力ではどうにもなりません…!」

取締「ここでは、辞任を辞さないというなら、解任について多数決を取りその結果で決定出来るのですよ!」


親父「クク…。」

親父「果たして、解任への賛成をする人間は何人かな?」


取締「!」


親父「俺に歯向える勇気を持つ、勇者はいるのかな?」


取締「うっ…!」

 
秘書(社長の報復は、自分自身だけでなく家族や親類までに及ぶ……。)

秘書(それを目の前で見てきた人たちが、こう社長から直接言われては……っ)

秘書(そうでしたね…。それが今日の社長の余裕と落ち着きだったんですね……)


親父「…さぁ、進行役。」

親父「決しようじゃないか!俺は退かぬ!ならば、解任の多数決を取るがいい!」

親父「この結果次第で、俺へ少しでも牙を剥いた人間は…全て潰させてもらうからな」ニタァ


取締「し、社長…!」

役員たち「…ッ!」

進行役「…っ!」

 
親父「さぁ、始めろっ!!!」


進行役「!」ビクッ!

進行役「そ、それでは…!賛成の方が……お、おりましたら…」

進行役「ご起立を…!お、お願いします!!」


役員たち「…ッ!」

取締「…っ」

秘書(…っ!)


……シーン……


親父「……おやおや?」

 
秘書(や、やはり……)


シーン……

役員たち「…」

取締「…」

役員たち「…っ」

取締「…っ」


秘書(動けない……)

秘書(動ける…わけが……)


親父「…なんだぁ?」

親父「やはり、俺をこの椅子に座っていいと…そういうことなのかな?」ニヤッ…

 
秘書(……だ、ダメだ。)

秘書(…ダメだ。これではまた、同じように繰り返すだけになってしまう。)

秘書(でも、この人を止められるのは、もう…誰も…………っ)


…ガチャッ!!

???「…賛成に一票を入れますよっと!!」


秘書「…えっ!?」クルッ

取締「へっ…?」

役員たち「な、何?」クルッ

進行役「え…」


親父「…」

親父「…………来るとは思っていたがな」

 
………
……

 
錬金術師「…懐かしい顔が割りとあるな。」

錬金術師「決着をつけにきたぞ…親父ッ!!!」


……
………


…ザワッ!!

取締「…ぼ、坊ちゃま!?」ガタッ!

役員たち「あ、あれはまさか…ご子息様ッ!?」ガタガタッ!

秘書「て、店長…様……!」


親父「無駄なことを……」ククク

 
錬金術師「…はっはっは、凄い面々だな。これだけそろって、親父を止められないのか」

錬金術師「東方港貿易長、北方量販長、南方水域開発長、西方総合管轄長。」

錬金術師「アンタらだけで世界を支配できるかもしれない力を持ってるっつーに……」

錬金術師「親父一人に対し、誰一人として黙ってみているだけか!」ハッハッハ!!


役員たち「…ッ」


親父「クク、馬鹿者が…。」

親父「"黙ってみているしかない"、ということだ」

親父「それになぁ…。お前が反対の一票と言ったところで、役員でもないお前が何の力も持ちはしない…」


錬金術師「ん~?はたしてそうかな?」


親父「損害の件はしてやられたが、俺には何の影響もない。」

親父「一度は取り乱すところだったが、どうにもなりはせん!」

 
錬金術師「…本当にそう思うか?」

親父「強がるな」

錬金術師「確かに、俺一人じゃアンタに敵うわけなかったよ」

親父「今更か」

錬金術師「あぁ、俺一人じゃ…な」

親父「何が言いたい」

錬金術師「……仲間がいる。」

親父「あの店員らに何が出来る」

錬金術師「出来ないと思うか」

親父「無能どもが」


錬金術師「…さぁな。」

錬金術師「とりあえず入ってもらうぞ!入ってくれ!」

 
ドカドカ……

中央商人「…よう、久しぶりだな社長サンよ」

機関長「失礼する」

ギルドマスター「…失礼いたします」


親父「…!」


…ザワッ!

役員たち「あ、あれは中央商人様ではないか!?」ガタタッ!

役員たち「後ろにいるのは、マスターの名を受け継いだあの機関長殿か!?」

役員たち「……その隣にいるのは、世界一の名高き中央都市東ギルドのマスター!!」

ガヤガヤッ…!!


錬金術師「…この面子で無能だと思うか、親父?」

 
親父「……中央商人か。以前の一件、貴様には借りがあったな」

中央商人「何のことやら。おかげ様で、悠々自適な暮らしを送っているがな」


親父「機関長よ…。お前には、俺のクソ息子が世話になったな……」

機関長「良い息子さんですよ」ハハハ!


親父「そしてなぜ、関係のない貴様がなぜここにいる……」

東ギルドマスター「息子様の"本物"の超回復瓶にはお世話になっておりますから」ニコッ


秘書(ま、まさか……!)

秘書(このタイミングを狙ったということは、ご子息様が…社長を……!)ドクッ…

 
ザワザワ…!!

役員たち「そ、そうそうたる面々じゃないか…」

役員たち「でも待て、ギルドマスターが"本物"と言ったがあれはどういう意味だ?」

役員たち「社長、まさか……」

ガヤガヤ…!!


親父「…!」

錬金術師「親父、今度こそアンタを止めにきた。因縁も終わらせるために」

親父「…何をほざく。その面子で何が出来る」

錬金術師「…」ゴソゴソ

ポイッ…カランカランッ……!

親父「…これは、この間の魔石か」ピクッ

 
錬金術師「…」スゥッ

錬金術師「……ここにいる全員に聞いてほしい!」クワッ!


役員たち「!」


錬金術師「俺の親父、中央商社の社長は……」

錬金術師「裏結社の錬金術集団、アルスマグナへ依頼し…!」

錬金術師「俺のいた機関を襲わせ、俺の設計図を盗んだんだ!!」


…ザワッ!!!

役員たち「な、なにっ!?」

役員たち「どういうことだ!?」


親父「…」

 
錬金術師「だが、俺の師である機関長の計らいで、設計図を偽物とすり替えて置き…」

錬金術師「今回の問題にもなっている、本来起こるはずのない"エラー"が起こった!!」

錬金術師「これは紛れもなく、親父が罪を教唆…依頼したことの証拠だ!!」


親父「…ククク、ふざけるなよ。」

親父「そんな言葉で、その結果だけで…それだけで証拠となるわけがないだろうが」


錬金術師「ここに今投げた魔石には、この錬金術部門の文様が記載されていた!」

錬金術師「耐熱に優れた機関を燃やすのには、高級魔石が必要だった。」

錬金術師「それをアルスマグナへ渡し、機関を襲わせたんだよ……」ギロッ


親父「……」フゥ

親父「それは、うちの開発部門から盗まれたものだと言ったはずだがな」

親父「現にうちの社員が襲われ、その者たちは既に治療院へと説明を……」

 
中央商人「…あぁ、君のところの"あの社員"なぁ」ボソッ

親父「っ!?」ガタッ!

中央商人「裏が取りたければ、取れるぞ。既にあいつらは、うちの社員だ」

親父「な、何っ……?」

中央商人「ははは!」


ザワザワ…

役員たち「…し、社長まさか」

役員たち「今の話、本当なのですか…!」


親父「なっ……!」

親父「……だ」

親父「だからどうした……!」

 
錬金術師「…」


親父「それが、俺がやったことにはならんっ!!裏を取りたければ取れっ!」

親父(…予想外な展開だが、裏を取る前に奴らを脅し…自爆させ、警備隊の牢へいれれば問題はない!)
 

中央商人「やれやれ…。往生際が悪い…」

中央商人(うちの社員になっているという、適当な出任せに引っかかるとは…。)

中央商人(どうやら、俺らの登場で焦っているな)


秘書(し、社長……)


親父「……っ」

親父「い、いい加減にしておけよ貴様ら!」

親父「俺に歯向かって、どうなるかなんて……!!」


機関長「…アレを見せてもまだ認めないでしょうかね?」

親父「アレだと!?」

 
機関長「俺がココへ"盗ませた"、偽物の設計図ですよ」ゴソゴソ

…パサッ…


親父「!」


機関長「実は、その設計図には特殊な施しをしていましてな。」

機関長「設計図の回路部分に魔石をあてると、我が機関の模様が浮かび上がるのです。」

機関長「……こういう風にね」スッ

……ポゥッ!


親父「ッ!」


機関長「ここにある設計図が盗まれたものではないのなら、設計図を貸して頂きたい。」

機関長「もし、浮かび上がったら……」

機関長「どうなるか分かっているんだろうな、貴様ッ!!」グワッ!

 
親父「…ッ!!」


ビリビリッ…!!

錬金術師(う、うおぉ!機関長の怒声、やっぱ苦手だわ……!)

錬金術師(小さくなってよ……)シュン


機関長「俺の部下を危険にさらし、大事な弟子である店長までも脅かし……!」

機関長「その罪を認め、償えっ!!」


親父「な、なんだと……!!」


機関長「さぁ、設計図を出せ!!」

機関長「ここにある設計図が本物ならば、問題なく持ってこれるはずだな!!!」

 
…ザワザワ!

役員たち「…社長、うちで開発した設計図なんですよね!」

役員たち「堂々と見せてやればいいじゃないですか!」

役員たち「社長っ!」

役員たち「社長ッ!!」


親父「…う、うるさいっ!!」

親父「黙れッ!!!」

親父「そ、それが!それがうちにあるものと一緒だったとしても……」

親父「それが俺のやった証拠とは…ならないだろうがっ!!」

親父「た、たまたま紛れ込んだ可能性だってある!その立証に時間がかかるぞ!?」

 
機関長「まだ、認めないか」


親父「俺は知らん…!知らないだけだっ!!」


ギルドマスター「…社長さん、アルスマグナでしたか?」ニコッ

親父「あァッ!?」

ギルドマスター「いや実はですね、うちは世界一と自負しているのですが」

親父「それがどうしたぁっ!貴様も何かあるというのか!!」

ギルドマスター「世界一を誇るギルドが、裏の情報を持っていてもおかしくはないでしょう?」

親父「何ィッ!!」

ギルドマスター「アルスマグナ程度、冒険者たちの歴史の前に…所詮は赤子ですよ」

親父「な、何っ……」

 
ギルドマスター「3月の末に、この機関長へ襲った面子がアルスマグナというのは割れております。」

ギルドマスター「それも、襲った面子、依頼した面子もね……?」


親父「っ!!」


ギルドマスター「中央商人様、機関長様、そして自分。」

ギルドマスター「1つ1つが明かされる前に、お早めに認めたほうが良かったですね。」

ギルドマスター「……罪が増えていくだけでしたね」


親父「な、なん……!」


ギルドマスター「…」ニコッ

 
錬金術師(…銃士の繋がりで、世界一と言いながら部下を大事にする世界一の冒険者ギルドのマスター。)

錬金術師(中央商人さんが、銃士へ協力を仰いでくれ、心強過ぎる味方となってくれた…。)

錬金術師(風剣士と火炎魔道もギルドマスターへ話かけてくれてたって言ったし、感謝しきれないな…)

 
機関長「…」

中央商人「…」

ギルドマスター「…」


錬金術師「……さぁ、親父!!証拠はそろっている!!」

錬金術師「諦めろ…!!だけどな、警備隊に出すことはしねーよ……」

錬金術師「ただ!今!この場で!!!」

錬金術師「中央商社から身を引き、全てを失え…!それで、罪を償ったものとしてやるっ!!」


秘書(み、見える……。)

秘書(社長の身体が、崩れていくのが。)

秘書(だ、だけどー……)ゴクッ


親父「…」


錬金術師「……親父ッ!!!」

 
親父「…」

親父「…」

親父「…………舐めるな、クソガキどもが」ボソッ


錬金術師「!」


親父「……そう易々と諦めるわけがなかろうが」


錬金術師「…ま、まだ認めねぇっつーのか!!」


中央商人「往生際の悪い…!」

機関長「いい加減にしてほしいものだがな…」

ギルドマスター「困りましたね」

 
親父「…証拠?罪?罰?」

親父「奪いたいなら奪え。全ての結論には時間を要することも踏まえ、リミットまで俺は暴れるぞ……。」

親父「俺が創り上げたものは、俺のものだ。誰にも…どこにも…渡しは…するかぁぁぁああっ!!!」


錬金術師「…っ!」


秘書(…やはり、自身とともに全てを崩すつもりを!)


親父「やってきた全ての記録を出し、全てを無に帰す!!」

親父「俺がやってきたこと、社員へやらせたこと、この場にいる者へやらせたこと!!」

親父「その全てを出せば、全てが無に戻り、中央商社は俺とともに全てなくなるだろう!!」

親父「共に…滅べぇぇええっ!!」

親父「くく…!はっはっはっはっはっはっ!!!」


錬金術師「て、てめ…っ!!」

 
ザワザワ!!
 
役員たち「な、なんてことを!!」
 
役員たち「もはや、あなただけの会社ではないのだぞ!!」

役員たち「本気で何千人と心中させる気か、社長っ!!」


親父「俺が崩れる時は、全て失う時だっ!!共に死ねっ!!!」


錬金術師「ふ、ふざけ……!!」

錬金術師「最期の最後まで、自分の我がままを…!自己満足で終わらせる気かっ!!」


親父「知ったことかあああっ!!!」


秘書(…)ドクン


錬金術師「てめぇの決断で、どれだけの人間を泥へ引き込む気だぁぁあああっ!!」

親父「ならば、俺の立場はこのままで、今回のことを流せばいい!!」

錬金術師「社員を人質にとる気か!!」

 
秘書(……)ドクンドクン


親父「社員だろうが、なんだろうが!!それも全て、俺が積み上げたモノ!俺のモノだからなッ!!」

錬金術師「人は…!人間はモノなんかじゃねぇんだよッ!!」

親父「知るものかっ!!!」


秘書(…………っ)ドクンドクンドクンッ…!!

 
親父「いいか!!」

親父「全て…!」

親父「俺のものは、俺の手の中にッ!!」


秘書(…ッ!!)ドクッドクッドクッドクッ…!!

 
親父「俺が積みあげたものはー……!!」


秘書「……ダメです!!!」ドクンッ!!


親父「…何っ!?」ハッ

 
錬金術師「!」


秘書「そ、そんなの…許されません……!」

秘書「社長、そんなの、許されませんっ!!」


親父「…貴様っ!!」

 
秘書「わ、私はあなたとともに長く一緒にいました!」

秘書「いかなる時も、私を拾い、家族を救ってくれたご恩は決して忘れはしませんでした。」

秘書「ですが、あまりにも目に余る行動に…もう……着いていけません……」ブルッ…


親父「なんだと……!」


秘書「て、店長様!」

秘書「この本社の地下にある資料庫、一番奥の赤く、鍵のかかった厚い本があります!!」

秘書「そこに、社長が"社長自身"で命じた裏の資料が全て…!!」


親父「なっ!!?」


錬金術師「ひ、秘書さん!?」

 
秘書「全てを、晴らしてくださいっ!!守ってくださいっ!!」

秘書「社長はあれさえなければ、社員を盾にすることは出来ないはずです!」

秘書「そして、それで社長は…!社長だけが!その罪を償うことになりますっ!!」


親父「…………っ!!」

親父「や、やらせるかぁぁああああっ!!」ダッ!

ダダダダダッ!!


ギルドマスター「…たかが人ひとり」スッ

親父「うおっ!?」

ギルドマスター「…おねんねですよ」ビュッ

…ゴツッ!!!

親父「がっ……!」

 
…ドサッ…

親父「……っ」

親父「…」ガクッ…


錬金術師「お、親父……」


ギルドマスター「…って、やり過ぎましたか」ハッ

錬金術師「…い、いや」

ギルドマスター「…また暴れるかもしれません。少しだけ、縛り上げておきますね」

錬金術師「…お願いします。俺は、地下でその本を取ってきますので!」

ギルドマスター「…」ペコッ


錬金術師「…秘書さん、案内してくれ!!」バッ!

秘書「は、はい!」

 
中央商人「……っと。」

中央商人「…ここに居る全員、まだ動かないでくれるか。」

中央商人「この会議はまだ終わっちゃいない。」

中央商人「本当の終わりまでは…。もう少しだけ…待ってくれ」


役員たち「…は、はいっ」

取締「…」ペコッ…


…………
……

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 地下の資料庫 最深部 】


オォォォ…ォォォ…………!


…ガサッ

錬金術師「……これが、例の本か」

秘書「はい。これに…社長がやってきた全てが書いてあります」

錬金術師「……ありがとう。本当に助かったよ」

秘書「いえ…」


錬金術師「……」

錬金術師「ところで、秘書さんがなぜ…協力を?」


秘書「…っ」

錬金術師「い、いや言いたくないなら」

秘書「暴力です」ブルッ…

 
錬金術師「何…?」


秘書「…私は、父上が社長の小さな商社の秘書でした。」

秘書「ですが、倒産して家族が路頭に迷うことになり……」

秘書「そこで拾ってくれたのが、社長だったんです」


錬金術師「…」


秘書「15の頃でしたか…。能力だけでなく、社長は、私の見栄えがいいからだと言いました」

秘書「とても嬉しかったのですが、所詮…社長は私を道具としか見ていませんでした」


錬金術師「まさか…」


秘書「いえ、そういうことではないです。」

秘書「単純な…暴力。何かあれば、殴り、蹴られました」

 
錬金術師「ざ、ざけやがって……!」

錬金術師(恩と暴力による支配。能力もある女性を、自身の帝王学で支配していたのか……)


秘書「ですが、拾ってくれたお礼に精一杯つとめてきました。」

秘書「しかし…。」

秘書「今回のことを含め、やることが全て…私の我慢が出来なくなって……」ブルッ


錬金術師「…」


秘書「…社長がクビになったら、私ってばまた無職になっちゃいますが。」

秘書「それでも、社長が店長様や涙を流した人々に罪を償える結果となるなら……」

秘書「それで……」


錬金術師「…」

錬金術師「……そうか。ありがとう、秘書さん」ニコッ

 
秘書「…!」


錬金術師「親父ってば本当にクソ野郎だよ