ぴよロンパ (993)

モノクマ「では、最初に学級裁判の簡単な説明から始めましょう」

モノクマ「学級裁判の結果は、オマエラの投票により、決定されます!」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがオシオキですが、もし間違った人物を、クロとした場合は……」

モノクマ「クロ以外の全員が、オシオキされ、生き残ったクロだけに、この島から出る権利が、与えられます!」

………………………

小泉「日寄子ちゃん……? 大丈夫?」

西園寺「……え?」

小泉「今は学級裁判、だよ? 投票は絶対に……しなくちゃいけない」

西園寺「…………」

小泉「さあ、早く……早く、投票を……」

アレ? どうしてこんなことしてるんだっけ?

そもそもわたしは何でここにいるんだっけ?

なんだかいろいろとわかんなくなってきちゃった……。もう、何も考えたくないや……。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423013580

このSSは、ダンガンロンパ2の再構成ものです。

西園寺が主人公になります。

注意事項

・人物改変多少あり

・本編ネタバレ注意

・カプ要素少々注意

・裁判以外に目立った安価はなし

・殺人事件だったり、日寄子の脳内解釈で、下劣な言葉多数

・なお、以前建っていたスレと事件の展開は同じだったりするので、本スレのネタバレはお控えください

……それは、とてもとても大きかった。

希望ヶ峰学園。卒業すれば成功を手にすると言われている……そんな学園。

そんな学園に、才能のあるわたしは呼ばれた。

才能のあるわたしは、【超高校級の日本舞踊家】として、ここに呼ばれたのである。

……わたしは西園寺日寄子っていうんだ。

本当はここに来るって事は、自分の家の事を認めることになっちゃうから、あまり来たくなかったっていうのが本音なんだけど。

卒業すると成功を手に入れられる……っていうなら、やっぱり……行かないっていう選択はわたしにはできなかった。

それを見上げて、正門にまで視線を落とす。

西園寺「……よし」

わたしは意を決して、この希望の一歩となる門を開いた……。

…………はずだった。








READY?

Do You Need Reset the Game?

YES←

OK

1000010110110110100100100111100011110001111100……

スーパーダンガンロンパ2 ぴよロンパ



気が付くと、わたしの目の前に広がっていた光景は……

……教室の、扉?

……ゆっくりと、その教室の扉の前まで、わたしは歩く。

……何故だろう、行かなきゃ、と思ったんだ。だから……その扉は、妙に軽く感じた。

まるで開けるのを待っていたかのように、わたしが扉を開けるのが初めてじゃないかのように……。扉は簡単に開いた。

???
ん、お前もここの新入生なのか?

???
ちょっと、アンタみたいなやつがこんな子に話しかけてんじゃないっての

???
なっ!? なんだよそれ!!

サイオンジヒヨコ
えー? 「も」って事は、あなた達も新入生なの?

???
そうだ。今日入学する予定だった……新入生だよ

……ふぅん、皆バカみたいな顔してるね。

まあでもここは穏便に済ませよう。

西園寺「あのね、わたしは……」

とりあえず自己紹介から始めようとすると、また人が増える。

???「おっす……ふぁ、眠いね……」

???「遅い。貴様がおそらく最後だぞ」

これで16人になった。まあさすがにこれ以上増えることはないかもね……。じゃあ改めて自己紹介を……と思ったその時、

「ミナサーン、集まりまちたかー?」

……何か、聞き覚えのあるような無いような、そんな声が聞こえた。

声の聞こえた方向を見ると、教卓を見つける。その教卓の上に……

ウサギのぬいぐるみのような物が、突如現れた。

???「わわっ!? ぬいぐるみ!?」

ウサミ「ぬいぐるみじゃないでちゅ! あちしはウサミ。魔法少女ミラクル☆ウサミ。ちょっぴりスイートなミルキーっ娘でちゅ!」

西園寺「……は? なにそれ?」

わたしから出てきた声は……このくらいだった。

そして、良くわからないうちに、わたし達の修学旅行が始まったらしい……。

―???―

…………ねぇ……

……ねぇ、聞いてる?

西園寺「………………んぅ」

???「ねぇ、大丈夫? だいぶ参ってるみたいだね……」



























???「それはアタシも、ううん。他の皆もおんなじだと思うよ……」

……あれ? わたし、倒れてたって事……?

小泉「ああ、自己紹介遅れたね……アタシは小泉真昼。【超高校級の写真家】だよ」

西園寺「……えっと……」

小泉「他の人達は皆あなたの事放って行っちゃってさ……本当薄情な奴ら。特に男子とか。あ、お名前、聞いてもいいかな?」

西園寺「……さ、西園寺……日寄子……」

小泉「あ、あの【超高校級の日本舞踊家】の?」

西園寺「うん、そう」

小泉「アタシ、見に行ったことあるよ!」

え……?

西園寺「本当? ふぅ~ん……そっか」

小泉「あれ? あんまり嬉しくなかった?」

嬉しくないわけないじゃん。でも……

西園寺「いや、珍しいなーって思っただけ。わたしと同じくらいの年の子が見に来てるの、見たことないからさ」

小泉「あはは、まあそうだよね……」

西園寺「それで……どうなっちゃったんだっけ……?」

小泉「あ、そっか。一応整理しておいた方がいいよね」

それから小泉おねぇに、色々なことを教えてもらった。

ここがジャバウォック島という名前の島で、ウサミが連れてきたこと。

ウサミ自体は悪い事をするつもりはなく、とりあえず自己紹介することで増える希望のカケラとかいう趣味悪い物体を集めなきゃいけないこと。

そのために、わたしが起きるのを待っててくれたこと……。

小泉「とにかく、あなたが起きたんだったら話は早いよね。一緒に皆の所に行こうか」

西園寺「……一緒に? いいの?」

小泉「うん、大丈夫だよ」

西園寺「わーい! 小泉おねぇ、ありがと!」

小泉「ちょ、ちょっと、抱きつかないでって……もう」

―クウコウ―

左右田「オレは左右田和一ってんだ! よろしくな!」

西園寺「はっ、よろしく」

左右田「何かバカにされたか!?」

西園寺「んー? 馬鹿になんてしてないよ? ただバカだなぁって思っただけ~」

左右田「……え?」


小泉「ちょっと、日寄子ちゃん? そんな毒吐きすぎたらだめだって」

西園寺「はーい。次行こっと」

左右田「オレの心を癒してくれる存在はいないのか!?」

田中「我が名は田中眼陀夢……覚えておけ。いずれ世界のすべてを支配する男の名だ」

西園寺「う、うわっ! コイツ絶対に近寄っちゃいけないパターンの人だよ!」

小泉「思ってもそういうのは言わない」

田中「ふははははっ! 俺様の力に恐れ、おののいているのか? 無理もない……」

西園寺「というか、こんな暖かい島なのにマフラーなんてつけてる必要ある? 外せばいいのに」

田中「この中には破壊神暗黒四天王が眠っている……貴様も死ぬことになるぞ?」

西園寺「ちょっとよくわかんない」

―ロケットパンチマーケット―

澪田「澪田唯吹の澪に、澪田唯吹の田に、澪田唯吹の唯に澪田唯吹の吹で……澪田唯吹でーす!」

西園寺「長い」

澪田「ありゃりゃ? あんまり気に入ってもらえなかったっすか?」

小泉「唯吹ちゃんね。よろしくね」

澪田「何かあれば唯吹にお任せっす!」

西園寺「じゃあさっきからうるさい変なテンションの女の人がいるから何とかしてほしいかなー」

澪田「え、それって唯吹の事?」

罪木「は、はじめましてぇ……罪木蜜柑といいますぅ……」

西園寺「もっとはきはき喋れや!!」

罪木「ひぃっ!? ご、ごめんなさい!!」

小泉「ご、ごめんね蜜柑ちゃん、驚かせちゃって」

西園寺「おねぇが謝る必要ないのに……」

罪木「おねぇ? お、お二人は姉妹か何かですか?」

西園寺「同い年にきまってんだろうが馬鹿か!! あと血のつながりもねぇよ!!」

罪木「なんで私にばっかりそんなに強いんですか!?」

こんな感じで、これから修復しつつ更新していきます

―ボクジョウ―

終里「終里赤音ってんだ。よろしくなー」

西園寺「で、なんでさっきから鳥を見てるの?」

終里「だってよ、この牧場、鳥しかいなくて牧場っぽくねぇだろ?」

ウサミ「でちゅよね!」

西園寺「うわっ!?」

小泉「本当どこからでも出てくるのね……」

ウサミ「魔法の力で鳥さんを牛さんに変えちゃいまちゅ! えーい!」

ウサミが適当なじゅもんを唱えると……鳥に煙が立ち込めて……牛に変わった……。

牛に……変わった?

西園寺「ちょ、なんで牛に変わっちゃってんの!?」

ウサミ「ぷー、くすくす! ミナサン驚きましたか? あちしのびっくりな魔法で驚いてくれたら、嬉しいでちゅ!」

小泉「あ、ちょ! ……行っちゃったね……」

……なにさ、きっと今のだって、手品か何かでしょ?

日向「ん、俺か? ……日向創だ」

西園寺「日向おにぃ、ね。日向おにぃはどうして希望ヶ峰学園に?」

日向「ああ……そんなのどうでもいいじゃないか」

小泉「はぁ? なにそれ? 皆ちゃんと持ってるのに、アンタだけ言わないなんておかしくない?」

日向「俺は自分の才能を覚えてないんだ。ここに来た時に、なぜか……忘れてしまってな」

西園寺「そんなのが言い訳になると思ってるの?」

日向「じゃあお前はどうやってあの教室に入ったのか覚えているのか?」

西園寺「……そ、それは……その」

日向「覚えてないよな? じゃあ、才能を覚えてない奴がいたって不思議じゃない。そうだろ?」

何コイツ……なんでこんな強気なわけ? やたらとロンパしてくる感じというか……。

西園寺「ふん、意味わかんないし。いこ、小泉おねぇ」

小泉「そうだね……コイツと話してても時間の無駄みたいだし」

―ジャバウォックコウエン―

十神「俺の名は十神白夜だ」

西園寺「あの有名な御曹司の? あははっ、こんなにデブなのに!」

十神「今更体格の事について何を言われようと、俺は気にしない」

小泉「【超高校級の御曹司】十神白夜ねぇ……まさかそんな奴とおんなじクラスだなんて、先が思いやられるわ……変に皆を先行したりしないでよね?」

十神「……ふん、俺はお前たちのようなプランクトンとは違うからな……」

狛枝「やぁ、ボクは狛枝凪斗だよ。キミたちは?」

西園寺「西園寺日寄子でーす」

小泉「小泉真昼……」

狛枝「ああ、【超高校級の日本舞踊家】に、【超高校級の写真家】だね! もうこんなに打ち解けてるなんて、さすが【超高校級の】2人だね! すごいよ!」

小泉「え、でもアンタも何かの才能を持ってるんでしょ?」

狛枝「え? ああ、ボクはほら、ゴミみたいな才能だからさ」

西園寺「その発言がすでにキモいんだけど」

狛枝「あはは、まあ仕方ないよね。ボクってキモいから」

西園寺「いいから早く才能言えや」

狛枝「ボクは【超高校級の幸運】だよ。毎年抽選で一般から選ばれる才能らしいんだ。なんかしょぼいよね」

小泉「しょぼい……かな? アタシ達何かより、全然すごいと思うんだけど……」

狛枝「え、そう? そんなことはないでしょ? だってボクだもん」

西園寺「コイツと喋ってると変なの移りそうだよー、小泉おねぇ、もう他のところ行こ?」

小泉「そうだね……アンタも男なら、ちょっとは自信持ってシャキッとしなさい。いいね?」

狛枝「……あはは、分かったよ」

―ホテル―

西園寺「うわぁ……広いな……大きいね」

小泉「ここはよく見ておく必要がありそうだね……」

弐大「お前さんら、何をこそこそ話しとるんじゃあ?」

西園寺「うわっ、デカッ!」

弐大「ガッはっはっは、そうだろうそうだろう! ワシは弐大猫丸、【超高校級のマネージャー】じゃ!!」

小泉「うわっ、見た目通り声もデカ……って、マネージャー!? アンタがやる方じゃないの!?」

弐大「ワシは色々な奴を鍛える専門だからのう。これからよろしく頼むわい!」

できればあんまりよろしくしたくないかな……。

―ホテル プールサイド―

???「あ? なんだてめーは?」

???「どうやらまだ人がいたようだな」

小泉「初めまして。小泉真昼です。あなたは?」

辺古山「私は辺古山ペコだ」

九頭龍「……九頭龍冬彦だ。言っておくが、テメーらとなれ合う気はねぇからな」

西園寺「はぁ? 何その態度、生意気なんですけど」

九頭龍「なんだと?」

辺古山「落ち着け。別に馴れ合う気がない奴と無理して馴れ合う必要もないであろう。私も他の人の所にあいさつしに行かねばならないしな」

西園寺「……ふんっ」

何かコイツら、好きになれないかもね……。

―レストラン 1カイ―

七海「七海千秋でーす。【超高校級のゲーマー】でーす。オールジャンルでイケまーす」

西園寺「ゲームしてるだけでも、希望ヶ峰学園に入れるんだね」

七海「うーん、まあね。実際に手紙が来た時にはびっくりしちゃったよね」

小泉「千秋ちゃんでもびっくりすることあるんだね」

七海「むっ、なにそれ……」

小泉「あ、いや、深い意味はないよ? とにかく、これからよろしくね」

七海「…………」

七海「うん、よろしくね」

会話のテンポが遅い……もういやだ何コイツら……ここまでまともな奴が全然いないじゃん……それこそ小泉おねぇと……さっき牧場にいた、あの男くらいしか……。

―レストラン 2カイ―

???「はぁ、つまり毒を口で吸いだせばよろしいのですね?」

???「そう言う事だね! というわけで、ちゅちゅっとやっちゃってよ。あ、噛まないようにね」

小泉「アンタ何考えてんのよ!」

???「おっと、邪魔が入っちゃったかな……まあ、ここはシェフとして紳士的に対応しないとね……」

花村「ぼくは花村輝々だよ。よろしくね」

1つ分かった事は、こいつには近寄らないようにしておいた方がよさそうって事かな。うん。

ソニア「わたくしは、ソニア・ネヴァーマインドと申します。【超高校級の王女】です」

小泉「ソニアちゃんね。よろしく」

ソニア「日本の事はとっても大好きです! ぜひわたくしの知らないことを教えてくださいね!」

なるほど、コイツもわたしの嫌いな奴だ。何かいろんな人に愛想を振りまいて媚を売るタイプ……。まあ王女って言うくらいだし仕方ないのかもしれないけど……

ソニア「西園寺さんから、日本舞踊を習ってみるというのも良いかもしれませんね」

西園寺「ふんっ」

ソニア「あら? ……嫌われてしまったでしょうか……?」

小泉「あ、あははは……」

キーンコーンカーンコーン……

ウサミ「ミナサーン、おめでとうございまーちゅ」

ウサミ「どうやら最初の希望のカケラを、全員分集め終わったみたいでちゅ! うるうる、あちし嬉しいなぁ……というわけで、ささやかながらあちしからのプレゼントを用意しておきまちた! お手数ですけど、ミナサン、最初の砂浜にお集まりくださーい!」

西園寺「……絶対くだらない物だろうけど、まあ行かなきゃいけないんだろうね」

小泉「まあ、ウサミは悪い事しそうにないし……いいんじゃないかな?」

西園寺「……まあ、おねぇがそう言うんなら……」



今日はここまでで。更新は日によってバラつきが出ると思います。

とりあえずまたしばらく日が空きそうです

復活祝いしてくれた方々ありがとうございますっ!

―スナハマ―

ウサミ「うふふふ、全員集まったみたいでちゅね!」

左右田「ところで、豪華プレゼントってなんだ?」

九頭龍「勝手に豪華が増えてんじゃねぇか」

ウサミ「じゃじゃーん、これでーちゅ!」

澪田「……うわ、微妙なストラップっすね」

そのストラップが全員分に配られたあと……わたし達は全員、それを海に投げ捨てていた。

ウサミ「ちょ、ポイ捨てはダメでちゅよ!」

終里「んなもん貰って誰が喜ぶんだよ!!」

狛枝「残念だよ……もっと非日常的なプレゼントを期待してたのにな……」

ウサミ「うぅ、ぐすん……あちしのプレゼントはいらないってコトでちゅね?」

十神「このような物で俺に時間を使わせるな……」

ウサミ「じゃあ、あちしの用意した水着も、必要ないでちゅよね……」

日向「……水着?」

花村「なんだ、そういうのがあるんだったら、最初にそれを出してよね! 皆で泳いで遊ぼうって事でしょ?」

ウサミ「え、こっちはいるんでちゅか?」

田中「ふん、俺様のような人間には必要ないがな……」

小泉「へぇ、いいね! アタシも久々に泳いじゃおっかな!」

弐大「水泳はよきトレーニングになるからのう! ワシも行くぞぉ!」

わたしは泳げないから見てるだけだったけど……何人かの人たちは、泳ぐのを楽しんだみたい……ふん、いいもん。わたしはカニ潰してる方が楽しいし。

そう、楽しい。いつまでもこうやって楽しい生活が続く……と思ってたのに……。

空が突然曇り、黒い世界が広がる……それはまるで、今までの遊びが、ただの前座だったかのように。これからが本番とでもいうかのように……。

『あー、あー、マイクチェックマイクチェックー! 聞こえてる? 聞こえてるよね?』

この声……何か妙だった。不快な気分にさせられた……。

『オマエラ、至急ジャバウォック公園にお集まりください!』

それは葬式の時に立つ笑い声のような、他人を100%不快にさせるような声。そして同時に、わたし達に不安ももたらした……何故なら、

ウサミ「え、え、なんでちゅかコレは!?」

わたし達を連れてきたはずであるウサミ自身も、慌てているからだ……。

日向「お前にも分からないのか?」

ウサミ「いや、分かるけど……でも、そんなはずは……まさかまた……!? あちしがそんな事、許しまちぇん!」

狛枝「……何か大変な事があったみたいだね。ボクらも急ごう!」

―ジャバウォックコウエン―

ウサミ「やいやい! どこでちゅか!?」

???「うぷぷぷぷ……」

銅像の上に座っている、白黒の熊……そいつが、これからわたし達を絶望に陥れる……嫌な奴……。

モノクマ「ボクはモノクマ! この学園の、学園長なのです!」

十神「学園長……だと?」

罪木「ど、どういうことですか……? 何が始まるんですかぁ?」

左右田「何かやばそうって事は分かるぞ……」

小泉「答えなさいよ……アンタいったいなんなのよ!?」

モノクマ「オマエラさぁ……ぬるいよ」

九頭龍「ぬるい……だと?」

モノクマ「皆で仲良く修学旅行なんてぬるすぎ! つまんなすぎ! もう本当、バカ!」

ウサミ「やいやいモノクマ! アンタの好きにはさせまちぇんよ!」

ソニア「お知り合いですか?」

モノクマ「隙がありすぎだよ! 本当にもう!」

ウサミ「きゃあ! イタイイタイ! ひっぱらないでくだちゃーい!」

モノクマ「じゃじゃーん、大勝利ぃ!」

ウサミ「うぅ、あちしのステッキがぁ……」

辺古山「……なに? ウサミが負けたというのか……?」

モノクマ「ふふん、このステッキがないお前なんて、変身できない戦隊みたいなものなんだよ!」

モノクマ「それと、お前地味なんだよな! 真っ白なだけのウサギって、地味すぎなんだよな! というわけで、ボク好みに改造したげるよ!」

ウサミ「え!?」

モノクマ「それー!」

ウサミ「いやー!」

田中「いったい何が始まろうとしているのだ……?」

モノクマ「じゃじゃーん! 大完成ぃ~! オマエは今日からモノミだよ!」

モノミ「うぅぅぅうううう……」

……は? なにこれ……?

終里「なんだ何だ? 何が起こってるんだ?」

モノクマ「さあて、バカな妹もこれで少しは黙るでしょう」

モノミ「い、妹!? あちしはお兄ちゃんの妹なんかじゃないもん!!」

小泉「受け入れてるのか受け入れてないのかどっちなのよ……」

モノクマ「えーいうるさーい!!」

モノミ「ぎゃあああああああ!」

モノクマ「お兄ちゃんに逆らうからこういうことになるんです!」

西園寺「もう! 大体アンタ何なの!? 勝手にこっちに呼び出しといて、用件言わずにガンガン喋り倒して……」

モノクマ「ああ、そうだったね。ええと、そろそろオマエラには本番をしてもらわないとね」

モノクマ「オマエラにはコロシアイ修学旅行をしてもらいまーす!」

西園寺「……は?」

コロシアイ……修学旅行?

狛枝「それって……どういうこと?」

モノクマ「この島から出たかったら、誰かを殺す! それだけの簡単なルールって事だよ! うぷぷぷ……」

九頭龍「へぇ、ずいぶんと分かりやすいルールになったじゃねぇか……」

モノクマ「こっちの方が随分と刺激的で、絶望的で楽しい修学旅行になるんじゃないかな? うぷぷぷぷ……あーはっはっはっは!」

左右田「おい、オレにも分かるように説明しろ! つまりどういうことだ?」

モノクマ「コロシアイ修学旅行のルールは簡単! この島から出たいなら、人を殺して学級裁判を乗り越える! それだけだよ」

狛枝「学級裁判……?」

モノクマ「学級裁判とは、犯人であるクロと、それ以外のシロで、誰が犯人か、を議論してもらい、その結果をオマエラの投票で決めてもらう、このコロシアイ修学旅行の一大イベントです!」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがオシオキですが、間違った人物をクロとした場合は……」

モノクマ「クロ以外の全員がオシオキされ、生き残ったクロにだけ、この島から出る権利が与えられちゃうのです!」

モノミ「な、何て残酷なルールなんでちゅか!?」

花村「ね、ねぇ! さっきから言ってる……オシオキってなあに?」

モノクマ「うぷぷ、処刑だよ?」

澪田「しょ、処刑!? ……あぶあぶあぶ……」

罪木「み、澪田さん!?」

モノクマ「処刑は処刑だよ! だから本当に出たいなら、命を賭けろってね! うぷぷぷ、これは楽しみになってきましたなぁ」

モノミ「うぅ、どうしてまたこんなことに……ぐすんっ」

モノクマ「あーっはっはっはっは!」

日向「……クソッ!」

終里「おいっ!!」

モノクマ「はにゃ?」

終里「黙って聞いてりゃ好き勝手に言いやがってよ……今すぐオレらをここから出せ! じゃねぇと……どうなるかわかんねぇぞ?」

モノクマ「え? それってもしかしてボクに言ってる?」

弐大「当たり前じゃ! お前さん、さすがに冗談でも度が過ぎるってもんよ!」

辺古山「そうだな……斬らせてもらうぞ! モノクマ!!」

モノクマ「……はぁ。残念だなぁ。こんな形で、こいつらを出すことになるなんてね」

モノクマに向かっていく、筋肉バカの人達……でも、モノクマはそれに対して、一切動かなかった。

代わりに、一言叫んだのだ。

モノクマ「出でよ、モノケモノー!」

……突然、わたしの目の前に、恐ろしい機械が5体並んだ。驚くのはそれだけじゃない。その機械は……さっきまで銅像だったあの5体なんだから……。

ソニア「きゃあっ!?」

左右田「あ、あんなん無理だ! 勝てっこねぇって!」

モノクマ「オマエラ、誰を敵にしてるか分かった? その気になれば、ボクは何だってできちゃうし、オマエラをぷちっとすることなんざ簡単なんだからね! うぷぷぷぷ……」

モノクマ「あーっはっはっは!」

モノミ「え、えーっと……み、ミナサン! あんな奴の言うこと信じちゃいけませんよ!」

モノクマ「お前は引っ込んでろ!」

モノミ「ぎゃあ!! イタイイタイ!」

辺古山「くっ……厳しい、か」

九頭龍「……へっ、まあいいんじゃねぇのか? ルールが分かりやすくなってよ……俺は殺れるぜ?」

日向「バカなこと言ってるんじゃない」

十神「お前たち、よく聞け……今俺達の敵は、あのモノクマという存在ではない……」

……え?

十神「ここにいる俺達自身が、俺達の敵になるんだ。誰かを疑おうとする自分の心を、最後には疑う事になるだろう……そんなことになってみろ」

十神「……本当に人殺しが起きるぞ……? 人殺しが起きたら……どうなるかは分かったものじゃない。そこからは連鎖のように続くだろう」

十神「……俺が殺人は起こさせない。俺が導いてやる! ……それだけは言っておくぞ」

……なんで、こいつはこんなに強気なんだろう? わたしには何ができるのかな?

……分かんない。



…………。



…………分かんないよ、全部。

……でも、とにかくこうして始まったんだ。

わたし達のコロシアイ修学旅行……。














わたし達の絶望が。

 プロローグ ようこそ絶望アイランド!

      END

   生き残りメンバー 16人

To be continued…



駆け足でプロローグを終わらせちゃいました。

次の更新も予定日は未定……。次回はchapter1をゆったりと進めていきたいと思います。

コロシアイ修学旅行生活2日目

サイオンジノコテージ

西園寺「はあ……」

あれからすっごい、すっごい疲れた……。

豚足ちゃんが「自分を疑え」みたいなこと言ってたけど……信じれるのは自分だけじゃん。

西園寺「わたしには……無理なことだよね」

うーん、何か昨日から頭ん中パンパン……本当うざい……太陽とか何もかも鬱陶しい……。

西園寺「でも、この部屋は嫌いじゃないかな……」

畳の香りが広がるわたしのための特別な部屋……寝ころんで独特のあの鼻を通す香りをかぎながら……。

西園寺「ごろごろー……ごろごろー……」

ピーンポーン……

西園寺「……? 誰だろう?」

がちゃっ

Chapter1 絶望トロピカル (非)日常編

小泉「あ、日寄子ちゃん、良かった出てきてくれて」

西園寺「小泉おねぇ……どうしたの?」

小泉「えっと……とりあえず十神の奴が、まだ来てない奴らを起こして来いって言っててね? アタシが日寄子ちゃんを呼びに来たってワケ」

西園寺「ふぅん、なるほどね……じゃあおねぇと一緒に行くー!」

小泉「だから引っ付きすぎだってば……もうっ」

西園寺「えへへぇ」

―レストラン―

レストランに行くと、そこにはもうすでに全員そろっていた……。

西園寺「改めてここに集まると、人超多いね……」

でも、よく見ると何人かいない。

日向「あれ? 九頭龍と弐大は?」

小泉「さあね……九頭龍はどうでもいいけど、弐大は中央の島走ってたりとかしてそうだね」

田中「確かにアイツから感じた波動では……あり得るやもしれぬな」

左右田「まだ眠いってのに、なんで朝から狛枝にねっとり起こされなきゃいけねぇんだよ……」

狛枝「あははっ、ごめんね」

ソニア「でも、こうして皆さんが揃ったこと、わたくしは嬉しいです!」

左右田「そ、ソニアさんと呼ばせていただきますよ!? そうですよね! そういう風に言ってもらえると、オレも嬉しくて頑張っちゃいます!」

はぁ、こいつ分かりやすすぎ……キモッ。

花村「ほらほら皆見て! 料理できたよー!! じゃんじゃん食べちゃって大丈夫だからね!」

終里「んぐっ、んぐっ……うめぇな!!」

花村「もう食べてる……さすがは僕の料理だね!!」

弐大「応ッ! 皆揃っておるのう! 朝食は人数が多いほど、気分良く食えるからな! ガッハッハッハ!」

狛枝「そういえば、皆をここに呼んだのは十神クンだったよね? どういう用件で皆をここに集めたのかな?」

十神「まあ待て。全員が集まってないと、この話はできないんだ……早く全員を連れてきてほしいんだが……まだ九頭龍と辺古山は来ないのか?」

西園寺「もういいよー、つまんないから始めちゃお?」

罪木「え? そんな理由で始めちゃっていいんですかぁ?」

西園寺「後で日向おにぃが伝えに行ってくれるからいいんだよ。少し黙ってろ」

罪木「うゆぅ……ごめんなさい……」

日向「というか、お前も勝手すぎないか? 西園寺……まあ行ってもいいけどさ。どうせ暇だしな」

七海「……というわけで、どうしたの?」

十神「……うむ、実は今日から、探検隊を結成したいと思ってだな……」

澪田「探検!? うおおお……超楽しそうっすね!!」

弐大「探検……と言うと、どこかを捜索する部隊っちゅうことじゃな?」

十神「そういうことだ。それを4人1グループで4つに分けようと思う」

狛枝「それで? 分けてどうするつもりなの?」

十神「日ごとに分かれて散策だ。4つのグループに分けることで、同じ場所をめぐる時でも、違った発見があるかもしれないからな」

左右田「なるほどねぇ……ってか、探検とかこえぇ……あの化け物に捕まっちまったらどうすんだよ……」

モノミ「その心配はありまちぇんよ!」

ソニア「きゃあ! いったいどこから出てきたんですか!?」

モノミ「だってあの子達は、近づかない限りは何もしてこないでちゅから!」

田中「……その言葉、どのようにして信じろと言うのだ? ……貴様の事を味方だと思ったことは、俺様にはないのだが……」

モノミ「……え?」

西園寺「まあ、むしろ味方だと思った人の方が少ないと思うよ……あれくらいのやらせなら、いろんなところで見たし……」

……ちょっと嫌な記憶が込み上げてくるのを振り払いながら、そう漏らした。

終里「失せろ……それとも、オレとバトってみるか?」

モノミ「……え、ええと……」

小泉「とりあえず、今はあたし達なりの作戦会議してんだから……邪魔してないでさっさと帰って」

モノミ「ぐすん……あちしは皆さんの、味方ですよ」

そう言って去っていく辺りが一番怪しいって事に気付かないのかな? 馬鹿みたい……死んじゃえばいいのに。

十神「……まあ、ともかく、あの機械たちには近寄らないようにすれば襲ってくることはないだろう。それではグループを分けようか」

それからみんなで4人一組のグループを作ることにした。

わたしは小泉おねぇとはもちろん、仕方ないから日向おにぃと七海おねぇも入れてあげることにした。

西園寺「よろしくね、小泉おねぇ!」

小泉「うん、千秋ちゃんもよろしく」

日向「あの……俺は?」

七海「ふわぁ……」

十神「ふん……決まったようだな。なら俺のグループは弐大と共に、九頭龍と辺古山をカバーしよう」

弐大「応ッ! 任せんかい!」

左右田「すっげぇチーム編成だな……」

澪田「唯吹たちの所は幾分かマシっすね! 女の子の比率的にもね!」

終里「あれ? なくなっちまった……? おい! 花村! 飯持ってこい!」

罪木「ええと……よ、よろしくお願いしますぅ……」

狛枝「さて、ここのグループは……まあ、余った人達だね」

田中「俺様が愛するのは……静寂と、孤独だけだ……」

ソニア「元気だしてください! 田中さん!」

花村「うん、僕は守備範囲広いから、全然オッケーだよ!」

十神「では、初日は……日向達のチームに行ってもらうとするか」

日向「待て、俺仕事多いぞ? 九頭龍と辺古山にそのこと伝えて、その後……」

弐大「そのあたりはわしがやっておこう。お前さんはそっちのグループでの活動を優先してくれや」

日向「あ、ああ……分かった」

十神「……では、残りの俺達は自由行動を取ろうか」

結局この日は……わたし達のグループが探索をすることになった。着物汚れないようにしなくちゃね……

―ロケットパンチマーケット―

西園寺「んー、特にいいものは無さそうだねぇ……あ、グミだ。もらっとこーっと」

七海「何か使えそうなもの……持っておいた方がよさそうなもの……むむむ、何かないかなぁ……?」

西園寺「……えーっと」

まあこういうところでは優しいわたしが、何かアホでも使えそうなものを恵んであげないとねー。えーっと……これがいいんじゃないかな?

西園寺「じゃーん! 笛!」

七海「笛? ……引っこ抜いた植物たちを呼び戻すアイテムだね?」

西園寺「そういうのは全然分かんないんだけど、持っておいた方がよさそうなものではあるかなって思っただけ」

七海「うーん、確かにそうかも……ありがとう」

……それから、特にこれと言った収穫は無く、次の所に行くことになった。

―ホテル―

日向「ここって実はけっこう広いし、調べものする量としてはかなりあるよな」

西園寺「そうだね。特におにぃのコテージ周辺はよく洗っておかないとね」

日向「え? な、なんでだ?」

西園寺「えー? なんか隠し持ってそうなんだもーん」

日向「……た、例えばなんだよ?」

西園寺「たとえば……ねぇ」

西園寺「……皆の秘蔵写真、とか?」

日向「……!!」

西園寺「きゃはははっ、ビビってんのー! さすがにジョークだって。そんな事あるは……」

日向「……らだ?」

西園寺「え?」

日向「いつからだ? そのことに気付いたのは……?」

西園寺「え、え? な、何? ど、どうしたの?」

日向「……っ! いや、なんでもない……すまないな、ちょっと取り乱した」

西園寺「う、うぅ……ぐすっ」

超怖かった……ちょっとだけちびりそうになった……。

日向「本当、ごめん……俺、少し気分を落ち着かせてくるよ」

西園寺「ぐずっ……う、うん……」

何? 冗談も通じない地味キャラとか……最低。

小泉「日寄子ちゃーん」

西園寺「あ、小泉おねぇ」

小泉「ダメ。この辺も何も見当たらない。手掛かりになりそうなものはないね」

西園寺「うーん、じゃあどこに行ってみようかな?」

―ジャバウォックコウエン―

ここに来たら、アリを見かける……アリを潰すのは楽しい。自分より弱い相手をいじめるのは……本当に気分がいい。

西園寺「ここの探索は日向おにぃと根暗に任せるとして……ぷちっ、ぷちっ」

小泉「……何してるの?」

西園寺「アリつぶし」

小泉「あ、アリつぶしって……そんな……ダメでしょ、さすがに……」

西園寺「え? なんで? こんなに楽しいのに……」

小泉「それでもダメ。大切な命なんだから……」

大切な命……なんでだろう。ちょっと今の言葉、わたしの胸をチクッてした……。


西園寺「……ねぇ、おねぇ」

小泉「ん? なあに?」

西園寺「……命に重さがあるとしたら……わたしの命は何キロ何だろう……」

小泉「……え?」

西園寺「ううん、なんでもない」

日向「おい、お前ら! 仕事しろよ!!」


西園寺「あー! おにぃまたわたしの事怒るつもり!? というかこの広さくらい2人でちゃっちゃと済ましちゃえばいいじゃん! この役立たず!」

日向「やくた……っ!? なんでそんな俺にあたりきついんだよ!」

七海「日向くんだから仕方ないよ」

小泉「そーそー、日向だからね」

日向「な、なんだそれ!?」

……少しだけ、この島でも頑張れるかもって、自信が出てきた……。

その後、特にコレと言った物を見つけることができず、わたしはメダルを持ち帰って、ボーっとして2日目を過ごした。

……体が少し気持ち悪い……でも、着付け……手伝ってくれる人なんているかな……?

3日目

キーンコーンカーンコーン……

西園寺「……じゅるっ」

垂れてたよだれを啜って、ベッドから起きる。これが布団だったら最高だったんだけどね。

まあ、状況的には最悪なことには変わりないんだけどさ……。

西園寺「あー……もう……」

頭をくしゃくしゃと掻き、少しくすんだ髪をお気に入りの髪留めで束ねる。座鏡台に映ったわたしは……少し疲れていた。

あ、そっかー。レストラン行かなきゃいけないんだっけ。めんどくさ。

―レストラン―

十神「今日は俺達のグループが探索だ。しっかりとくまなく、全ての所を洗うぞ」

辺古山「了解だ」

弐大「しかし、九頭龍の奴は本当に来ないんか?」

辺古山「……少し体調がよくないみたいでな。誘ったが、部屋から出ようとする気配すらない」

弐大「無ッ、それはいかんのう……」

……本当かよ、嘘くせぇ……

左右田「あ、あのー、ソニアさん?」

ソニア「はい、何でしょう?」

左右田「もしよかったら今日、その……オレと……」

ソニア「……?」

田中「ソニアよ」

ソニア「あ、田中さん!」

左右田「なっ、ちょ、なんだよお前……」

田中「暗黒の世界に咲く太陽神の加護を受けし種子を探しに行くぞ。くくく、貴様も来るか?」

ソニア「はいっ! 行きます!」

左右田「あ、おまっ! ちくしょー……」

澪田「楽しそうで何よりっすねー!」

罪木「ぜ、全然楽しくなんかないですよぉ……」

終里「ん? なんでだ? 飯はうめぇぞ?」

罪木「確かにおいしいですけどぉ……」

花村「どうしたのかな罪木さん? 罪木さんが食べないなら、ぼくが罪木さんを食べちゃおっかな?」

罪木「た、食べ……!?」

小泉「ちょっと! 馬鹿なこと言ってないで、アンタはさっさと食器片づける!」

花村「いや~ん!」

西園寺「わー、怒鳴られて喜んでるよー?」

澪田「んあー、それにしても超暇っすねー。創ちゃんいじってあそぼっかなあ?」

日向「な、なんで俺なんだよ……」

狛枝「日向クンは人気者だね」

日向「……そうならいいんだけどな」

七海「……うん、皆今日も元気そうだね」

澪田「千秋ちゃんもいつも通りって感じっすね!」

西園寺「はむっ……うんっ!」

花村の料理もいいけど、さくらんぼもおいしいよねぇ。

―サイオンジノコテージ―

今日は豚足ちゃんたちのグループが探索してるみたいだね……わたしは……どうしようかな?

ピーンポーン……

西園寺「……小泉おねぇ?」

ガチャッ

西園寺「……はい」

左右田「お、おお、西園寺。出てきてくれたか。ソニアさん見なかった?」

西園寺「…………しめるよ?」

左右田「いやいや、まだ扉開けといてくれって、用件全然話し終えてねぇじゃねぇか!」

西園寺「いや、首を」

左右田「……へ?」

西園寺「本当なんていうかさぁ……もう、なんでよりにもよってアイツの事をわたしに訊いてくるわけ? 田中にでもききゃあいいじゃん。仲良くしてそうだしさ」

左右田「そ、そういうわけにもいかねぇだろうがよ! だって……確かにアレは……あれで、その……アレだけどさぁ!!」

西園寺「……はぁ」

左右田「何だよそのため息、後そのバカを見るような目もやめろ!!」

西園寺「それが分かってるなら、多分大丈夫だよ。左右田おにぃもまだ救いがあるね」

左右田「だーっ!! なんでそこまで……って、あれ?」

西園寺「……何?」

左右田「お前……何か臭うぞ?」

西園寺「は……はぁ?」

西園寺「さ……さいてー!! そんな事女の子に思っても言うもんじゃないっての!!」

左右田「そんな事言ったってお前からなんか臭ったんだよ! 古いアカみたいな……そんな感じの!」

罪木「え、えーっと……だ、大丈夫ですか?」

西園寺「は? ……え、なんでお前が出てくるの?」

罪木「あ、あのあの、えと……少し怖い声が、外に出たら聞こえましてぇ……出てみたら、その……左右田さんが、怒っていらしたので……もしかして、脅されてるんじゃないかなぁって……」

左右田「俺が脅すわけねぇだろっての!」

罪木「ひぃっ! ごめんなさぁい!!」

西園寺「……ぐすっ、こいつが、わたしに対して臭いとか……言うから……」

左右田「だってお前、本当に臭いんだもん! ちゃんと風呂に入ってんのかよ!?」

うぐ……

西園寺「……入ってないよ……」

左右田「……は?」

西園寺「は、入ってないって言ってるじゃん!! その……着付け、できないんだもん」

左右田「えー……」

西園寺「こ、これ言ったら……そんなの、【超高校級の日本舞踊家】としておかしいとか言われちゃいそうで……言えなくて」

罪木「西園寺さん、今すぐ入りましょう」

西園寺「は、はぁ!? だから着付けできないんだって……」

罪木「私、教えます。着付けのやりかた知ってるんで、西園寺さんも何回かやれば、1人でできると思います」

な、なんでこんな奴のいう事なんか……しかも、この女……いつも以上に目が真剣で……。

西園寺「ふ、ふざけんなこのバカ!! ドブスなゲロブタに教えてもらう事なんか、何もないっつってんの!!」

罪木「何だっていいです。あ、えと……左右田さんは、お分かりですよね?」

左右田「え? あ、ああ……なんとなく空気は察した。俺、やっぱ1人でソニアさん探すわ……」

罪木「えへへ、分かってもらえてうれしいです……さあ、西園寺さん。入れてくれませんか?」

西園寺「…………」

なんで……こんな奴に……





キィッ





西園寺「おら、入れよ」

罪木「あ、ありがとうございますぅ」

説得されなきゃなんないんだ……。

―サイオンジノオフロ―

西園寺「ほら、もっとちゃんときれいに洗え。隅々まで気持ち悪いんだから。アンタと入ってるせいで気持ち悪さも倍増なワケ」

罪木「うゆぅ、すみませぇん……全身使って洗った方がいいですか?」

西園寺「きたねぇ全身使ったら殺すから」

罪木「い、今すぐ湯船に頭から使って死にますからぁ……許してくださいぃ!」

西園寺「わたしに着付けを教えてからにしてよね、死ぬのは勝手だけどさ」

罪木「……わ、わかりましたぁ」

ゲロブタの体が近くにあるのを感じる……。しばらく無言が続いて、色々と怖い考えが、わたしの脳裏をちらついて……気を紛らわすためにも、声を発した。

西園寺「なんでわたしに教えようと思ったの?」

罪木「え? 何をですか?」

西園寺「着付けだよ、今までの会話を推測して、そんくらいわかるだろうが。男の体の喜ぶトコでも教えようとしてたとか言うんじゃないよね? このクソビッチ」

罪木「く、クソビッチ!?」

罪木「な、なんでと言われますと、そのぉ……体を洗うのは、体についた病原菌を払う役割にもなるので……変な病気に西園寺さんが掛かっちゃったら、その……いや、だなぁって……」

西園寺「ふうん……?」

罪木「あ、やっぱり、嫌、でしたか?」

……反論するのも、疲れてきた。

西園寺「ううん。……ありがと」

罪木「う? 今、何か……?」

西園寺「……」

ゲシッ!

罪木「ひゃあっ! 蹴らないでくださいよぉ!!」

その後、着付けのやり方を教えてもらったけど……まだ1人でできそうにないかもなぁ……。

―ホテル プールマエ―

散歩ついでに外に出てみた。

プールの水はゆらゆらと、太陽の光を反射しながら波を立てる。このプールの水は……わたしたちがこんな状況にいることもしらないんだろうね……。

澪田「きょーおっもだっれかっの誕生日~♪ だから全力で祝いましょ~♪ そーれ」

澪田「ハッピーバースdeath!! WAO!! ハッピーバースdeath!! yeah!!」

ダメだ、かかわらないようにそっと行こう

澪田「あ、日寄子ちゃんだ!! おーい!」

……逃げられなかった。それにしても回り込むの早い……。

西園寺「なに?」

澪田「聞こえてたっすか? 聞こえてたっすよね?」

西園寺「え? 何が?」

澪田「さっきの歌っすよー! もー、分かってて言ってるんでしょ? 日寄子ちゃんやっぱ面白いっす!」

西園寺「……」

西園寺「わたしのどこが面白いの?」

澪田「え? ほら、言うじゃないっすか! 俺になびかない……ふっ、面白い! ってイケイケ系の男子がいっちゃうヤツ! アレに近いっすね!」

西園寺「……なびくも何も、わたしはお前らを信用してないし」

澪田「……え?」

そう、それはきっと、小泉おねぇとかでも同じなんだと思う……。小泉おねぇのことは大好きだけど、でもどこかで信じられない……。

澪田「日寄子ちゃん……なんか顔怖いっすよ?」

西園寺「……話しかけないでよ。今そういう気分じゃないのわかんないの?」

澪田「えっと……あ、あはは……空気読めなくて申し訳なかったっすね……唯吹、ちょこっとだけ反省っす」

西園寺「……そう」

わたしのバカ。どうしてもう少し、もう少しだけでもいいから、うまくやれないのかな?

―サイオンジノコテージ―

キーンコーンカーンコーン……

西園寺「……夜か」

また、今日が終わる。

明日こそ、ここが夢で現実世界に戻れたら……いいのにね。

これは現実なんだよね……ベッド嫌だなあ……。

でも、今日は何かいい夢見れそうな気がするね……。

4日目

キーンコーンカーンコーン……

西園寺「ふわぁ……」

今日も朝が来ちゃったかぁ……結局豚足ちゃんたちも何にも進展なかったみたいだし、つまんないの。

今日は……左右田達が探索中か。

ピーンポーン……

……? 誰だろう?

がちゃっ

田中「……くくく、よもやこの俺がいるとは、夢にも思うまいな」

西園寺「……」

バタンッ

見なかったことにしよっと。てか、女子の部屋にインターホン押すとか、常識的に考えてあり得ないでしょ。

ガチャッ

田中「貴様……なぜ閉めた!?」

西園寺「キモイなぁと思って」

田中「くくく……この俺様がキモイという理由だけで、ここまでされるとは……致し方あるまい。我が名は田中眼陀夢……この世の全てを駆逐せし男なのだからな……」

……もー、めんどくさいなぁ

西園寺「ちゃんと日本語喋ってよ。何言ってるのか分かんなくてストレスたまりまくりなんだけど」

田中「……ふっ、まさか貴様に俺様の言葉が届いているとはな……そうだろう、俺様の言葉は確かに難解だ。だがしかし、貴様の見ている田中眼陀夢は幻にすぎんぞ!!」

西園寺「あーもう鬱陶しい!! それしかできないならそれでもいいから、早く用件を言って出ていけ!」

田中「これを、お前にやろうと思ったのだ」

そいつが持っていたのは、ピンク色の可愛いセンス……。どこで拾ったんだろう?

西園寺「これ、くれるの?」

田中はわたしの問いかけには応えず、マフラーを口元近くまで持っていき、くるりと後ろを向いた。

田中「それは砂塵と生命の源が混合せし魔界に存在する、大いなる根幹より出でし品だ……俺様には不要なものだったのでな」

なんだ……ちょっとはやさしい所もあるんじゃん。まあ、優しいところがなくちゃ、動物を育てることなんてできないよね。

……わたしは小さい動物を殺すことはできるんだけど、その逆は無理だろうな。

西園寺「その……ありが」

田中「言うな。言わなくても分かる……言われたら……その……少し、恥ずかしいからな」

……コイツ、やっぱ普通の人間だろ……

田中が去って行った後で、センスを飾り、わたしはレストランを目指す。

―レストラン 2カイ―

花村「ふんふんふーん♪」

皆と朝食を摂ってから、わたしはここに残っていた。なんか外にでる気分にもなれなくて……。

花村「あれ? 西園寺さん、どうしたの?」

西園寺「何? わたしがここに残ってちゃいけないの?」

花村「いや、そういうわけじゃないんだよ? ただ、なんとなくいつもとちがうなあって思ってさ」

西園寺「別に、何も違わないし、トンカツには関係ないでしょ」

花村「と、トンカツ!? そんな言い方することないじゃないか……あはは」

西園寺「ていうかさぁ、本当もう嫌なんだけど……いつまでこんなところにいればいいの? 和菓子食べたいよ……布団で寝たいよ……」

花村「和菓子、かぁ……」

そういうと、花村は空中を指でなぞり、何かを考えるそぶりを見せる。しばらくすると、うん、と言いながら何度もうなずいた。

花村「僕に任せてよ!」

西園寺「はぁ? 和菓子って言うのは職人が手間暇かけて作るものなんだよ? あんたみたいな低能の分際で、和菓子なんて作れるわけ」

花村「僕を誰だと思ってるの? ……ふふっ、任せておいてよ。そしたら布団で眠る夢もかなえてあげよう……この僕と共にね」

西園寺「一回死んで来い豚野郎」

花村「な、ナニ? え? 聞こえないなぁ……」

―ジャバウォックコウエン―

あー、もう……なんか嫌なことばっか考えちゃう。アリでも潰そ。

???「……で、…………が…………、という状況で」

???「……なるほどな。それで?」

誰かの話し声が聞こえる……誰だろう?

わたしの至福のひと時を邪魔しないでほしいよね……本当にもう。

そう思って足を進めると、わたしの前には……。

九頭龍「……あ?」

辺古山「むっ……」

……大嫌いなあいつと、メガネのツリ目……。

今日はここまでで

西園寺「……何? わたしがここに来たらダメみたいな顔してるけど、別にいいでしょ?」

九頭龍「ケッ、誰も何もダメとは言ってねぇじゃねぇかよ……」

辺古山「西園寺はここに何をしに来たのだ?」

西園寺「別にぃ? 日課をしに来ただけー」

九頭龍「……日課だと?」

西園寺「アリたん潰しだよ? アリたんは冬はあんまり見かけないからやりづらいけど、ここはずっとアリたんが潰せるからいいね」

九頭龍「なっ……てめぇ! 生き物潰して何が楽しいんだコラァ!」

西園寺「は? アンタにとって人間は生き物じゃないっての?」

九頭龍「な、なんだと……!?」

西園寺「アンタは初日に俺は殺れるって明言してた……これって人間を殺せるって言ってるのと一緒だよね? それなのに生き物潰しちゃダメっていうのは」

辺古山「もうよせ」

西園寺「はぁ? 何言ってんだこのブサキモツリ目メガネ! アンタはわたしじゃなくて、あの男の味方するっていうの?」

辺古山「もうよせと言っているんだ」

西園寺「ひっ……!」

その時の、あの女の目は……いつものこいつから感じる雰囲気がなかった。

いつも漂っている辺古山おねぇの鋭い空気を、さらに洗練して、研ぎ澄まして……それこそ誰か殺せるくらいの……そんな目を……。

九頭龍「……チッ、ふざけやがって……」

九頭龍は苛立ったまま、わたしに背を向けて公園から離れていった。

……その瞬間、辺古山おねぇの雰囲気がいつもの感じに戻った。

辺古山「……私はもう少しここにいる。お前もくだらない殺生などは止めて、何か他のことでもしていたほうがいいだろう」

西園寺「ふんっ……何さ、それ……」

そのあと、アリを潰す気なんてのはすっかり失せて、わたしは中央の島を後にした。

なんだか体が重かった。とにかく誰かと一緒にいないと、押しつぶされそうな……変な感じ。

―ロケットパンチマーケット―

十神「これと……これと……これもいいな」

グミでも食べようと思ったけど、先客がいたみたいだね……。

西園寺「何してんの?」

十神「うわぁっ! ……ふんっ、西園寺か」

……あれ? こいつ今キャラ軸ぶれた?

十神「俺に何の用だ?」

西園寺「いや、何しようとしてんのかなって思ってさ……」

豚足ちゃんの太い腕に抱えられている大量の防犯グッズは……?

十神「なに、もしものことがあった時に備えているのだ」

西園寺「もしものこと……って?」

十神「言っただろう? 俺は誰も死なせはしない、と……」

……そっか。豚足ちゃんって思ってたよりも、ちゃんとみんなのこと考えて動いてくれてるんだね……。

ちゃんとみんなのことを……考えて……。

わたしは、みんなのために何ができるんだろう……? わかんないや……。

十神「とにかく、俺はお前も含めて誰も死なせたりなんかしないぞ。だから……人殺しなんて絶対に考えるなよ?」

西園寺「そんなの考えたこともないよ。だから大丈夫」

十神「……ふん、そうか。そうだな。お前は強い。安心したよ」

西園寺「わたし……強くなんてないよ?」

十神「……はっ、超高校級ともあろうものがそれでは、俺の負担も増える一方だな」

西園寺「馬鹿にすんな!」

十神「そのくらいの勢いで、常にいてほしいものだ」

西園寺「……わかった」

十神「ずいぶんと素直だな」

わたしには、豚足ちゃんみたいなことはできないよ……。

―レストラン 1F―

何かお腹空いてきた……何かないかなぁ……?

七海「…………」

ゲームに夢中になってる……あんな顔しながらやってるけど、楽しいのかな?

狛枝「少しお腹がすいちゃったかな……あれ、七海さんに、西園寺さん……? そこで何してるの?」

七海「……ごめん、今集中しなきゃいけないから……」

狛枝「これは……あ、弾幕シューティングゲーム、“西方”だね? ボク知ってるよ」

西園寺「なにそれ……?」

狛枝「結構シューティングゲームの割に、相手が弾をよく飛ばしてくるんだ。第10形態くらいまでパターンがある奴がいて、よけるのがなかなか難しいんだよ。まあ、ボクがやったら停止してるだけで、ほぼ全ての弾丸を交わせたんだけどね……」

西園寺「ふぅん……あれ? 何か点滅してる……」

狛枝「へぇ、ボムを使えばしのげたのに、使わないんだ。縛りプレイかな?」

はぁ。ゲームの話になるとよくわかんないなぁ。落ち着いて楽しくできるゲームとかの方が、こういうのよりわたしは好きなんだけど……。

七海「よしっ、勝ったぞ……ただ、残機減っちゃったのがなぁ……うーむ」

七海「あ、皆、どうもどうも」

西園寺「本当にゲームやってると周りが見えなくなるんだね。馬鹿みたい」

七海「…………」

七海「あ、そうだ! 3人もいるんだったら、みんなでできるゲームをしたほうが楽しそうだね」

わたしの話聞いてないの?

狛枝「あはは、いいね。楽しそうだ」

こいつもこいつでのんきなヤツだよね……。

というか、3人ってそれわたしも入ってんじゃん……。

七海「うーん、皆で楽しむの定番といえば、やっぱりこういうのじゃないかな?」

狛枝「そうだね。一緒にやろうよ。西園寺さんも来るよね?」

西園寺「……えー、わたしゲームとかするキャラじゃないんだけどなぁ……」

七海「ゲームにキャラとかは関係ないよ。実際、競馬とかそういう大人のやる賭け事だって、広い意味ではゲームの一環なんだしさ」

西園寺「……そう言われても、わたしを説得できるとは思えないんだけどね……」

狛枝「うーん、どっちにしろ西園寺さんはゲーム反対派なのかな?」

西園寺「そうそう、そんなインキャラチックなこと、わたしにはできないよ。頭にきのこ生えても知らないよ?」

七海「生えてないけど?」

狛枝「……あ、そっか。もしかして西園寺さん、負けるの怖いの?」

は? コイツなに言ってんの?

西園寺「そんなワケないでしょ? わたしが負けるの怖いなんて……そんな事あるわけ……」

狛枝「でも、負けると思ったから、ゲームに参加しないんだよね? 違うかな?」

西園寺「キモッ……そういう風に決めつけるのって」

でも、そこまで言われちゃあ、わたしに逆らうのにまだ年月が足りてないって事を、コイツに教えてやってもいいかもしれないね……そう考えたら楽しそうかも。

西園寺「分かった! じゃあやる!」

狛枝「そう来なくっちゃ」

七海「それじゃあ、私の部屋に来てね。待ってるから」

―ナナミノコテージ―

七海「とまあ、説明はこんな感じ。Aとスティックつかえばできるレースゲームだから、あんまり他の所は気にしなくていいよ」

狛枝「あはは、楽しみだね。どんな希望のレースになるのかな……?」

西園寺「わたしは黄色い子にしよっと」

なんだかんだで、せっかくやるんだったら楽しんだほうがいいよねー。こんな奴ら、わたしが全員蹴散らしてやるんだから!

――――――――――――――――――――

西園寺「ふっふっふ……こういうのって、普段から冷静で落ち着いた人じゃないとできないんじゃないのかな?」

七海「うーん、まさかあそこでファイアを喰らって動けなくなっちゃうなんて……」

狛枝「へぇ……すごいな、西園寺さん」

七海「……ふふっ」

西園寺「あ? 何ニヤニヤしてんだよ?」

狛枝「西園寺さんって同性に対してのほうが厳しいよね」

七海「いや、なんか、こうやってみんなでできるのってやっぱり楽しいなって……そう、思ったんだ……」

西園寺「そんなに楽しいなら、もう一回やってみてもいいけど?」

七海「本当? えへへ、じゃあもう一回やろっか」

こいつは……なんというか、本当にみんなと一緒に遊べるのがうれしいんだろうな……。

狛枝「……ボクは君の事を、少し過小評価していたかもしれないね」

西園寺「あ、やっと気づいちゃった? わたしから溢れる才能に……わたしって選ばれた存在だからさー」

狛枝「うん、確かにそうみたいだね。君は実際に選ばれて、ここにいる。だからこそ……西園寺さん、君が大事になってくる気がしたんだよ」

西園寺「……??」

狛枝が何を言いたいのかは、よく分かんなかった。まあとりあえず、わたしのすごさに気付いたって事でいいんだよ……ね?

七海「ねえねえ、まだ皆時間ある? もう一回やろうよ」

西園寺「うん! 今度はアンタをぶっ潰してあげる!」

七海「む、私だって負けないよ?」

……まあ、結局わたしが1位だったのは、この時の1回だけだったんだけどね……。

―サイオンジノコテージ―

キーンコーンカーンコーン……

……また、今日が終わる。

わたしたちはいつ、ここから出られるんだろう……?

夜になると、そんなくだらないことを考えちゃうね……やっぱりわたし、ちょっとダメかも……。

5日目

キーンコーンカーンコーン……

……大きくため息をつく。

まだここにいる。ここにいるととても1日が長いんだ。早くこの1日が……終わってほしい。

―スナハマ―

朝食までまだ時間がある。わたしが早起きしちゃうなんて、結構珍しいことだ。

その砂浜で、わたしが見た光景は……。

弐大「踏込みが甘いぞ! 基礎がなっとらん! 動きも確かに不確定だが、完全にパターン化されておる! そんなことではいかんぞ!」

終里「でりゃりゃりゃりゃ!!」

……少年漫画かよ。

弐大「……ダメじゃあ!! 最初からやり直せ!」

終里「えぇ!? ふざけんなよ! 基礎練なんて面倒くせぇもの、誰がもう一度でもやるかってんだ!」

弐大「バカモーン!!」

終里「ぐはっ!!」

え!? 殴ったよ!?

西園寺「ちょ、ちょっと!? 大丈夫なの!?」

弐大「応ッ、西園寺か。大丈夫じゃあ。あいつはあの程度のことで死ぬような奴ではないワイ」

終里「ちっきしょー……なんで勝てねぇんだよ……」

弐大「ワシを超えたければ、ワシについてこいと言ったはずじゃ……なのになぜお前さんは、こうも基礎を拒むのじゃあ!! 基礎がないものは、いつまでも上達せんぞ!!」

終里「う、うるせぇ!!」

西園寺「終里おねぇ……弐大おにぃの言うとおりだって」

終里「……は? おめぇは関係ねぇだろ?」

弐大「関係大アリじゃあ……仲間なんだからのう」

西園寺「わたしのやってる日本舞踊でも、基本ができなきゃ意味がない。足の動かし方、手の筋肉の使い方……全部全部1日に数十回、数百回って重ねていって、やっとできるものだから……終里が伸びないのは、いつまでも基礎をしないからだよ」

終里「……くっ……悪かったよ、おっさん。アンタの言うとおりなのかもしれねぇな……」

弐大「応ッ、ようやくわかるようになったか……西園寺よ、感謝するぞ……無ッ、いない……だと?」

……わたしにはなんとなく、あの二人にしか見えない絆みたいなものがあるってわかる……。

わたしの付け入る隙間なんてないように思えた。だからわたしは、その場を去ったんだ……。

わたしは、そんな風に誰かを信頼できるのかな?

―レストラン 2F―

それからしばらくして、朝食の時間になると、いつものみんなが揃っていた。ただ、花村たちは探索に行ってくれてる。

十神「今日も探索組には探索に行ってもらうか……さて、花村ほどではないが、よういされた飯を食うとするか……」

お風呂に入ってからは、すっきりとした気分でさくらんぼを食べれる。そこにはまた違ったおいしさがある気がした。

……これって、あの女のおかげ、なんだよね?

辺古山「ふむ……西園寺、お前はさくらんぼしか食べないのか?」

西園寺「ひゃあっ!? び、びっくりしたぁ……後ろから話しかけてくんなよメガネブス!」

辺古山「め、メガネブス……? まあなんでもいい。栄養バランスが偏るぞ?」

弐大「確かに……それは大きな問題じゃのう。ワシがバランスを考えたメニューを考案してやろうか?」

え、やばい……もしかしたら、何か大変なことになりそうじゃない?

小泉「こら弐大、日寄子ちゃん怖がってるじゃない……やめたげなよ」

弐大「無ッ、そうか。コイツはすまんかったのう!」

西園寺「いや、別に……」

辺古山「もしや、私の事も怖かったりしたか?」

西園寺「うん、アンタはマジでちょっと怖い。後ろに立たれると、怖い」

辺古山「……安心しろ。やる時は正面から正々堂々とやってみせるからな」

日向「さりげなく恐ろしい事言ったよな?」

少しまだぎこちないような感じはするけど……それなりにいい雰囲気の食事場……だったのに、

九頭龍「へっ……まだ仲良しごっこは続いてたのかよ」

汚された。

左右田「おまっ……久しぶりに見たと思ったら、急にそんな事言いやがって……」

九頭龍「あ? まだ生きてたのか? とっくに死んだかと思ってたけどよォ……案外しぶといんだな」

……何アイツ。本当黙ってくれないかな。せっかく気分良かったのに、おいしくなくなっちゃうじゃん。

辺古山「九頭龍……何しに来たのだ?」

九頭龍「……なんだよ、俺が飯食っちゃいけねぇのかよ?」

罪木「そ、そんなことは……ないですね……食事はすべての人間がとらなきゃいけない物なので……」

弐大「ロボットでもバッテリーを食って生きているしのう」

九頭龍「それにしても、よくまあお前ら、ここまで仲良しが持つなぁ……」

小泉「ねぇ、それ以上面倒臭いこと言うんだったら、帰ってくんない? アタシ達が食べ終わってから来るとか、配慮してよ」

九頭龍「配慮? 配慮なんてするわけねーだろ、ボケが!」

澪田「ちょ、ちょっと、さすがにそこまで言う必要ないんじゃないっすか!?」

九頭龍「俺は俺の生き方を貫く……殺せって言われたら殺す、それだけだ……学級裁判だかなんだか知らねぇが、そんなの俺には関係ねぇ……俺は殺れるぜ?」

そこまで聞いて……わたしの中で何かがはじけた。手元にあったさくらんぼの種を……九頭龍に向かって投げた。

九頭龍「……!? な、何すんだよ……!?」

西園寺「あーあ、バカのさえずりなんて聞きたくもないよ……そこどいて」

九頭龍「……何だと?」

西園寺「それとも何? 殺すの? わたしが邪魔だから、殺すって?」

九頭龍「て、てめぇ……黙って聞いてりゃ調子乗りやがって……いいぜ……」

九頭龍が、拳を作る。そこには、怒りのほかに何か、色々なものが詰め込まれてるような気がした。

わたしは知ってる。アレは……恐怖。何だよ、コイツもただビビってるだけじゃん。そう思いながら、避ける気も起きずに目を閉じる……。

九頭龍「ぶっ飛ばしてやる!! オラァ!!」

……しかし、わたしに対して拳が飛んでくることは無かった。……代わりに、目をゆっくりと開くと……。

弐大「……ぬるいのう、この程度の腕力なのか……なっとらんのう。お前さん、ケンカをしたことがないか?」

九頭龍「なっ……!?」

弐大「安心せい、西園寺。ただ、ちょっとお前さんのやったことも悪かったのう。漢らしく、とお前さんを責めるつもりはないが、もう少し何とかできなかった物か、少し考えてみてはくれんか?」

西園寺「……ふんっ、この場で説教とか、何からしくないよ?」

弐大「ガッハッハッハ! らしくない、か。5日でわしのらしさを見つけてくるとは、お前さんやるのう。ええ筋しちょるわい……」

九頭龍「ど、どけよおっさん!!」

弐大「同級生じゃ……同学年じゃあああ!! それはそうと、このままやりあうつもりなら……少し席を移そうと思うのだが……?」

九頭龍「……チッ!! 勝手にしろ!!」

そう言うと、九頭龍はレストランから出て行った。

西園寺「ぷー、くすくす。滑稽滑稽。尻尾巻いて逃げるってのは、まさにこのことだよねぇ」

小泉「…………」

西園寺「あ、小泉おねぇ。おねぇも楽しかった? 見た? 九頭龍のあの……」

パンッ

西園寺「…………え?」

小泉「……ああいうの、よくないよ」

西園寺「……え?」

なんで、おねぇがこんな怖い顔してるのかとか、なんでわたしがはたかれたのかとか、そういうのは、全然わからなかった……。

ただ、じんじんと頬が痛んで、そこから……何かしらの罪の意識が、わたしの体に入ってきた気がした。

西園寺「う、うぇ……ぐすん」

小泉「ごめん、ついカッとなって叩いちゃった……お詫びと言ったらアレだけど、ちょっと買い物行かない?」

西園寺「……う、うん」

ピンポンパンポーン……

日向「……っ!!」

モノクマ『緊急放送! オマエラ! すぐにジャバウォック公園にお集まりくださーい!』

十神「チッ……飯を食っている間だと言うのに、非常識だとは思わないのか……」

豚足ちゃんが機嫌悪そうに、太い2本指でメガネの鼻当てを押し上げて、立ち上がる。

十神「行くぞ、お前ら。恐らく探索組にも今の放送は聞こえてるはずだ……九頭龍にもな」

西園寺「……」

ちぇっ、おねぇと買い物行きたかったんだけどなぁ。

今日はこの辺で。次回、動機発表から始まります。

今日から夜9時~10時を目安に、毎日更新できる予定です!

すみません、更新は明日から確実に行います

―ジャバウォックコウエン―

狛枝「いったい何があったの? 一度探索を切り上げて、こっちに来てみたけど……まさか、ついにコロシアイが?」

十神「冗談でもそんなことを言うんじゃない。俺たちにもこの先、何が待っているかはわからん」

西園寺「…………またあの、趣味悪いクマがいるね」

モノクマ「うぷぷ、全員集まったー? んじゃそろそろはじめよっか。はい、モノミちゃーん」

モノミ「え、ええと、どうも……モノミでちゅ」

モノクマ「それじゃあ、ボクらの修学旅行のイベントを始めさせてもらおうかな!」

モノミ「ええ!? ほ、本当にアレをやるんでちゅか?」

モノクマ「うるさい!! お前はボクの書いた指示に従ってればいいんだよ!!」

モノミ「ぎゃあ!! 耳を引っ張らないでくだちゃい!」

田中「茶番はそこまでだ……さっさと貴様の意見を聞かせてもらおうか」

モノクマ「それじゃあ始めますね。あらよっと!」

モノミ「え、ええ!?」

※しばらく、モノクマとモノミのコントにお付き合いください

モノクマ「…………」

モノミ「も、モノクマちゃ~ん……そ、そんなに怒らないでよぉ~」

モノクマ「…………」

モノミ「も、モノクマちゃ~ん……も、モノミと一緒に遊びまちょうよ~……」

モノクマ「ダメよぉ、ダメダメ」

モノミ「そ、そんな事言わずにさぁ~……」

モノクマ「ダメよぉ、ダメダメ」

モノミ「第一セリフ少なくなぁい? もうちょっと色々頑張りまちょうよ~」

モノクマ「ダメよぉ、ダメダメ」

モノミ「モノクマちゃ~ん……」

モノクマ「ダメよぉ、ダメダメ」

モノミ「の、のぶ代ちゃん」

モノクマ「あー! ダメよぉ! もう全部言っちゃうわね! あなた達16人……いや、14人に隠された真実を!」

モノミ「……え?」

モノクマ「君達はさぁ、どうしてこんなことになっちゃったんだと思う? なんでこんなところに入れられたんだと思う? 覚えてないよね? そうだよね? だってそれは……記憶を抜かれてるから、仕方のない事なんだよ!!」

モノミ「……ほわわっ!!」

モノクマ「それも、ここにくる数日間とか、陳腐なもんじゃないよ? なんと、2年間以上の記憶を、モノミは吸ってくれちゃってるワケ!」

モノミ「のぶ代ちゃん、何を言ってるんでちゅか!?」

モノクマ「しかもさ、実はこの16人の高校生たちに、1人だけ希望ヶ峰学園にいない人間も含まれてるんだ!! そいつはオマエラと過ごしたように見せかけて、実は本当に初対面なんだよ!」

モノクマ「さらに、その裏切り者と違ってもう一人……実は、2年間……とまでは行かないけど、記憶を保持してる人間がもう一人いちゃうんだよ!! うぷぷ……本当面白いよね!」

モノミ「も、もしもし!? こ、この機械人形、壊れてるみたいなんでちゅけどぉ……」

モノクマ「君とはやってられんわ!!」

モノミ「うぎゃああああああ!! 振り向きざまのグーパンチは、本当に痛いでちゅうううう!」

左右田「……は? なんだよ……今の?」

寒い……いや、あのコントも寒かったけど……この寒さは……恐怖……!?

モノクマ「どうだった? ボクの気持ち、届いたかなぁ?」

モノミ「……ぐすん」

ソニア「ど、どういうことですか? 何があったんですか?」

終里「訳わかんねーし、面倒くせぇなぁ……結局どういうことだよ?」

モノクマ「そのままの意味だよ? 記憶、奪われちゃってるの、オマエラは」

モノミ「あ、あちしに……!? い、いえいえ! そんなことはないでちゅよ!? みなちゃん、あちしを信じてください!」

花村「この状況で信じる方が無理でしょ……」

七海「うん、それもそうだね」

モノミ「う、うぅ……」

日向「……モノクマ、今お前の言ったこと……本当、なのか?」

モノクマ「もっちろん。ボクは君達についての情報は、本当の事しか流しませんよ?」

……ダメだ。記憶を失ってるって……? それも、2年間以上も……って?

頭の中をぐるぐると駆け廻る、変な気持ち……真っ黒い何かが、こみあげてくるような……この気持ち……!!

モノクマ「もし、殺したらね……?」

やめて……やめてよ

















モノクマ「もしも、48時間以内に殺人事件が起きたら……その人に記憶を返してあげてもいいんだよ……?」

九頭龍「へっ……面白れぇ特典つけてくれんじゃねぇか……」

澪田「な、なんでそんな……そんな事言うんっすか!!」

モノクマ「あのねぇ、早く殺人事件が起こってほしいの。それだけだよ。うぷぷぷぷ……」

そういって、モノクマは消えた……。

モノミ「あ、あのあの、ええと……」

罪木「……う、うぅ……ぐずっ」

モノミ「あ、あちしは皆さんの未来を信じていまちゅ!」

モノミも……モノクマの跡を追うように、消えてしまった……。

―サイオンジノコテージ―

……会いたくない。

誰にも会いたくない。

だからわたしは部屋にいる。

……ひとりで、部屋に……。





今日はここまでで~

明日、事件がとりあえず起きると思います。

少し寝ちゃってたみたい。

時計を見る。午後六時ごろを指していた。

……気分が変わった。少し外に出てみようと思った。

外に出て、少し空気を吸おう。さわやかな空気を吸いたい。

……夕焼けでも見に行こうかな……?

―スナハマ―

……日が沈む。

沈む夕日を見に来た。海はそんなに好きじゃないし、この砂も足がザラつくから嫌いだけど、沈んでいく夕日は……悪くないと思う。

ソニア「……あら? 西園寺さん?」

西園寺「そ、ソニア……」

こいつは、なんとなく苦手。


ソニア「西園寺さんも、夕日を見に来られたのですか?」

西園寺「あれあれー? 探索をしてたんじゃないのー?」

ソニア「探索はあのようなことがあってから、そんな気分にもなれず……」

西園寺「ふーん」

まあそうだよね。何も間違ってないよ。普通の人間だったらビビッて動けなくなるよ。

ソニア「……よかった」

西園寺「は? 何が?」

ソニア「西園寺さんも、わたくしと一緒なのですね」

何を言い出すかと思えば、何だこいつ……。

西園寺「……どういう意味?」

ソニア「夕日を見るの、好きですか?」

西園寺「……まあ、嫌いじゃないけど」

ソニア「わたくしは好きです」

穏やかな笑顔。これに惹きつけられる馬鹿な男も多そうだな……。どれだけの人間を手玉にとって、どれだけのことをこいつはしてきたんだか……【超高校級の王女】っていうくらいだし、相当な数だよね……。

わたしも……たくさんの人を利用したし、利用されてきた……そういう意味では、本当にコイツと一緒なのかもしれない。

気持ちわるっ。

ソニア「この海の向こうには、日本はもちろん、わたくしの国もあるんです」

西園寺「ノヴォセリック王国だっけ? だっさい名前だよねぇ」

ソニア「そ、そんな風に言わないでくださいよ! もうっ。でも、わたくしはあそこに、何としてでも帰らなきゃいけないっていうのは本当の話です」

そうだよね……2年以上の記憶が抜かれてるってことは、ソニアの国だけじゃない、わたし達の国にだって、何があるかわからない……でもだとすると、どうしてこの島は平和なんだろう?

モノクマがコロシアイを持ちかけてくるまでは、この島は平和そのものって感じだった……じゃあ、だとしたら……?

ソニア「難しい顔、してますよ?」

西園寺「え? ……ああ、気にしないでよ。ちょっといろいろ考えてただけ」

ソニア「そういう時こそ、海を見ましょう。心が洗われていきますよ。ふふっ」

西園寺「……うん、そうだね」

沈む夕日。止まる思考。ぼんやりと眺めているわたしとソニアだけの空間に、何とも言えない落ち着きを感じた。

これがソニアの力なのかな? 人を安心させることのできる、あの女の力なのかな?

わたしにはそんな力は……ないね。不快にさせることは得意だけど。

ふと視線を横にやると、ソニアの顔が見えた。ソニアは沈んでいく夕日を見つめながら手を組み、ブツブツと何かを祈っていた。

その頬にある水滴を、振り払うこともなく。

―サイオンジノコテージ―

キーンコーンカーンコーン……

また、一日が終わる。この瞬間が、もしかすると一番怖いかもしれない。

夜は暗く、一人だとあまりにも時間は長すぎる。

畏怖の気持ちをぐっと抑え込み、わたしは大嫌いなベッドに顔をうずめた。

どうか、どうか明日が平凡な明日になりますように……。

……ここにいる限り、平凡な日なんてないんだけどね……。

6日目

―サイオンジノコテージ―

キーンコーンカーンコーン……

西園寺「……大丈夫、何も起きてないよね?」

わたしは足早にレストランへ急ごうとした……ところで、

罪木「あ、ど、どうも……」

西園寺「……何?」

罪木「あ、あの、その……お風呂は入りました?」

西園寺「……ま、まだ……だけど?」

罪木「そ、そうですか? じゃあ、一緒にってわけじゃないですけど……入ってください。着付けの用意、しておきますから、ね?」

西園寺「…………」

一度落ち着いて、すっきりしよう。とにかく、ゲロブタが誰にも殺されてなくて無事で……

……よかったって、わたし、思ってるんだ……変なの。

―レストラン2カイ―

この辺のくだりは変わりませんので、ちょこちょこはしょります。

十神「いいか? パーティーを開くぞ」

日向「お、パーティーか。いいな」

十神「くくく、盛大に朝までやるパーティーだ。お前たち、無論準備はできているんだろうな?」

罪木「ぱ、パーティー……いいのかなぁ? 私がそんな物に出ちゃって……」

小泉「大丈夫だよ。そうとなれば、カメラのレンズを磨いとかなくちゃね」

七海「でも、パーティーをする場所なんて……どこにあるの?」

狛枝「あの旧館辺りはどうかな?」

日向「確かに……あそこなら大丈夫そうかな」

掃除するよ的なくだりを省きます

狛枝「実はね……こんなこともあろうかと、くじ引きを用意してたんだよ」

左右田「うおっ!? すげぇなぁ……」

狛枝「さ、皆、引いてって」

わたしが引いた割り箸には……なんのしるしもない。あたりじゃないから、掃除当番はやんなくていいんだね。よかったぁ……。

狛枝「まだの人いる? 日向クンは?」

日向「俺は最後でいいや」

狛枝「あはは、そっか。じゃあボクが引かせてもらおうかな……」

あれ? ボクが当たりだ……のくだりも飛ばします。

―ホテルキュウカン―

午後7時……パーティーが始まる時間……わたしは豚足ちゃんのボディーチェックに吐き気を覚えながら、大広間に行った。

西園寺「あのボディーチェック……すごすぎでしょ……どんだけ念を入れてやってるのさ……」

狛枝「まあ、それが彼のやり方なんだし、仕方ないんじゃないかな? あはは……」

それから、しばらくして全員が揃った。

十神「……いいか? これからパーティーを始める。だがその前にだ!! 危険物の回収をさせてもらうぞ!!」

弐大「危険物の回収じゃと?」

花村「あ、ああっ!! 僕が腕によりをかけて作った料理が、あんなにも豪快に食べられていく!? 嬉しいような、悲しいような複雑な気持ちだよ!!」

澪田「たぶんそれは嬉しいで違いないっす!!」

十神「ふむ、そうだな……凶器の回収もこの量となると、かなり手間がかかる。ここは……日向、それと……西園寺に手伝ってもらう」

西園寺「はぁ? 凡人の日向おにぃが手伝うのは分かるけど、なんでわたしまで?」

日向「ぼ、凡人とか……あんまり言うなよ」

十神「小さな隙間に危険物があった時、とれるのはお前だけだからな。行くぞ。それまで誰も料理を食べるなよ?」

花村「さ、冷めないうちに帰ってきてよね?」

そんな理不尽な理由で、わたしは凶器の回収の手伝いをさせられた……。

―厨房―

十神「こんなものは除外だ」

日向「……おい、骨付き肉の中から鉄串も見つかったぞ」

西園寺「骨の部分が取っ手になってるとか、変なデザインだね。何考えて製作者は作ったんだろうね?」

―倉庫―

十神「このあたりには……特にこれと言って無さそうだな」

日向「そうだな……おっと」

おにぃが急に転んだ。あまりにも何の前触れもなく転んだせいで、思いっきり、わたしの体を……。

西園寺「きゃあっ!?」

日向「あ、す、すまない……そんなつもりはなかったんだ……ごめん」

十神「はぁ……まあいい。とにかくここの凶器の回収はする必要なさそうだな。そして、ここはホコリっぽいという事も分かった。狛枝の掃除も、さすがにここまでは行き届かなかったか……」

西園寺「……しばらくわたしに話しかけんな。バカ」

日向「……本当に申し訳なかった」

その後、わたしたちは回収した凶器を入れたジュラルミンケースと一緒に、大広間へ戻った……。

―オオヒロマ―

原作と同じ感じで、辺古山と七海が見張りにつきます。

終里「な、なあ……それじゃあ、もう食っていいんだよな? な?」

十神「……ああ、いいとも。存分に食うといい!!」

終里「うおっしゃああああああ!!」

小泉「あはは、いいね。はい、こっち向いてー……はい、チーズ……ってね」

皆楽しそうだなぁ……

弐大「くぅ……」

日向「? 弐大? 大丈夫か?」

弐大「す、少し腹が痛くてな……クソがしたいんじゃが」

西園寺「ちょっ、食事中にそういう事言うなっての……!」

十神「腹の調子が悪いなら胃薬でも飲め。俺のを分けてやる。ちょうどあそこのコップに水があるしな。それを使うといい」

弐大「か、かたじけない……」

左右田「そ、ソニアさん、その……今付き合ってる人とかって……?」

ソニア「付き合ってる人? うーん、いませんねぇ」

左右田「ほ、本当ですか!? じゃあ、好みのタイプとか……?」

ソニア「好みのタイプ……うーん、何と言うかこう、怪しい雰囲気の方が好きです!」

田中(完全勝利だ……)

花村「はいどうぞ、まだどんどん作るから、じゃんじゃん食べちゃってよねー!」

……正直、食べてる終里おねぇを見るだけで、お腹いっぱいなんだけど……。

終里「こんなもんじゃ足りねぇぞ!! もっとでけえ、すんげぇの持ってこい!!」

狛枝「…………」

罪木「こ、転ばないように気を付けないといけないですね……わっ!?」

十神「……手間をかけさせるな」

罪木「あ、す、すみません……ありがとうございますぅ……」

澪田「……何か、いい歌の案が浮かんできたっす! 早速部屋に戻ったらコレの作詞を……」

楽しいパーティーになる……はずだった……。

ピピッ

西園寺「ん? ……何、今の音?」

弐大「……さあのう? わしにはよくわからんわい」

狛枝「……うっ」

日向「? 狛枝、大丈夫か?」

狛枝「……ああ、ごめん……ちょっと気分が悪くて……トイレに行ってくるね……」

十神「胃薬ならあるぞ?」

狛枝「いや、大丈夫だよ、ボクなんかに胃薬使うなんて、もったいないからさ」

何さ……せっかく薬があるのに、馬鹿だなぁアイツ。ボクなんかとか、キモッ。

澪田「はいはいはーい! 澪田唯吹、ギャグやりまーす! ほらほら! 日寄子ちゃん、創ちゃん、猫丸ちゃんも来るっす!」

弐大「ガッはっはっは! ええのう! 催し物は大好きじゃ!!」

日向「な、なんでオレまで……」

西園寺「奇遇だね。わたしと同じこと考えてた……」

澪田「イクっすよ?」

小泉「これは……いいシャッターチャンスかも……!!」

ブツッ!!

……ん? 何?

暗い……自分の目の前も見えないくらいに……まるで、一人ぼっちになったみたいに。

???「うわっ、停電だよ!」

???「さっきまで明るかったんだけどな……?」

???「真っ暗っすよー! もうお先真っ暗だよー!!」

???「なんだなんだ? 飯食いづれぇから電気つけろっての!」

西園寺「わーん! 足踏まないでよ!!」

???「ぐっ……うぼぁ……っ!!」

???「くそっ、鍵が見えない……ダメだ……!!」

???「これって、ブレーカーが落ちたんじゃないでしょうか?」

???「ちょ、ちょっと待ってろ……おれが壁伝いに、何とかしてくるから……」

……あれ? ついた……?

と、それと同時に気付く……。

わたしの足元に広がってる光景に……気付く……。

そこにあったのは、明らかな非日常……。今までのこの島での生活も、確かに非日常的なものだった。でも……。

そんなものを遥かに超えてしまうくらいに、非日常で理不尽な……そんな事だった。






















だって……だって、死んでるんだよ?


















わたしの足元で、弐大おにぃが……

今日はここまでで。




chapter1 絶望トロピカル 非日常編






辺古山「どうした、何が起こってるんだ?」

狛枝「今の停電……いったい……こ、これは……!?」

扉の前に横たわる日常を壊す光景に、大広間にいなかった人たちは、とても驚いていた……。

そりゃ、そうだよね。死体だもん、死体……。

人間の死体を見るのは初めてだけど、死体なんて……ネズミだけでもキツイのに……。

小泉「そ、そんな……弐大!?」

ピンポンパンポーン……

モノクマ『死体が発見されました! 一定の捜査時間の後、学級裁判を開きます!』

今のアナウンスは……?

モノクマ「どう? びっくりした? 今のアナウンス」

終里「てんめぇ……弐大のおっさんに何しやがった!?」

モノクマ「ボクは何もしてませんよ? この中で弐大猫丸クンを殺したのは……」

モノクマ「オマエラの中の誰かじゃーん?」

……心が痛い……体が重い。誰かが殺したとか……そんな単語……聞きたくもない……

モノクマ「ちなみに、死体発見アナウンスは、3人以上の人が死体を発見した時にのみ、流れる放送だよ? 覚えておいて損はないかもね。うぷぷぷ」

七海「どうしたの? ……これは……酷いね」

モノミ「きゃああああああ!! そんな!? どうしてこんな事に!?」

モノクマ「まあ、ボクの想像した通りに、誰かが死んでくれたねー。って事で……」

モノクマ「ザ・モノクマファイルー!」

モノクマ「どうぞ」

西園寺「……何? この趣味悪い機械……」

モノクマ「えー? そりゃあもちろん、君達の捜査を手助けしてくれるアイテムですよー? ちなみに、モノクマファイルには嘘は書いてないので、安心してね」

田中「その言葉が、逆に怪しさを増させるな……」

ソニア「あ……ああ……」

左右田「そ、ソニアさん、安心してください……正直めちゃくちゃ怖いけど、でも、たぶん誰かがなんとかしてくれますから!」

……捜査、って言っても、どうすればいいのかもわかんない……生きてる人とも上手く話せないのに……人の死体との接し方なんて分からないし……わたしはどうすればいいのかな?

罪木「あ、あわわ……こ、怖いけど……私にやれることは……1つ、ですよね……?」

モノクマ「そんじゃ、ぱっぱか終わらせちゃってくださーい!」

…………モノクマ、一方的に何か言って去って行った……

日向「……おい、モノミ」

モノミ「は、はい? なんでしょうか……?」

日向「お前が味方だって言うなら、この事件……真相を教えてくれないか?」

モノミ「え? ……ええと……ごめんなさい、そのことについては、よくわからなくて……」

日向「……そうか」

狛枝「ボクは証明してみせる……この殺人は誰にも不可能な殺人だったんだ……そう、きっとそうに違いないんだ……」

……弐大おにぃに何があったのか……

西園寺「……わたしは知らなきゃいけない……」

……そんな気がする。

[捜 査 開 始]




明日は捜査パートです

まずは、モノクマファイルを確認しておかないといけないよね……念には念を入れて……。

『被害者は弐大猫丸。【超高校級のマネージャー】死亡推定時刻は午後11時40分ごろ。腹部にナイフが突き刺さっている。』

……はぁ? こんなの、見ればわかることジャン……

言弾【モノクマファイル1】を入手。裁判前にまとめて確認します。

原作で同じようなことになっている内容はすっとばします。

【倉庫のアイロン】
【事務室のジュラルミンケース】
【大広間のジュラルミンケース】
【エアコンのタイマー】

を入手しました。

とにかく、まずは大広間にあることから終わらせちゃおうかな……そうしないと、わたしが死んじゃうのは嫌だし……。

テーブルの上には料理が並べてあるけど……ほとんど食べられた感じはしない。

西園寺「ねぇ」

十神「……何だ?」

西園寺「ここにある料理ってさー、豚足ちゃん以外に誰か食べてるところみた?」

十神「……そういえば、終里、弐大以外が口にしていたのを見ていないなぁ……」

それと、たしかあののび太ママも料理を少し持って行ってたっけ? それも覚えておいた方がいいかも。

【パーティーの料理】を入手

終里「んー……んん?」

今は、いろいろな人のちょっとした事に目を向けといたほうがいいよね。テレビで見たけど……意外とそういう普段アホな奴ほど、推理になるとすごいから……。

西園寺「どうしたの?」

終里「いや、何か臭わねぇか?」

西園寺「わ、わたし!?」

終里「いや、お前じゃねぇ……血の臭いだ……」

西園寺「……血の、臭い?」

終里「ほら、そこのテーブルの下……」

西園寺「……」

少し緊張気味に、テーブルクロスをめくって、テーブルの下にもぐってみる……すると

西園寺「あった……テーブルクロスが……しかも、血塗れで……」

終里「やっぱな……そうじゃねぇかって思ったよ」

というか、こんなところに血がついてるのってなんで? わけわかんないよ……。

【血の着いたテーブルクロス】を入手

澪田「あっ……ええ!? それって本当っすか!?」

日向「ああ、自分の靴下見てみろ」

澪田「うわっ本当だ……ピンクだからこっちの靴下は分かりづらいけど、青い方はすぐ血がついてるってわかるっすねぇ」

日向「ああ、そして俺も……」

西園寺「ねぇ、何の話?」

日向「……西園寺にもついてるな」

西園寺「?」

日向「ほら、自分の服の下の方……見てみろよ」

言われた通り、下の方に目を落とすと……小さな点々がいっぱいついてる……うわ、汚い。しかもこれって……

西園寺「……血じゃん」

【復旧直後】を入手

日向「うーん……なあ、西園寺」

西園寺「何? どうしたの? くだらない事だったらぶっ飛ばすよ」

日向「いやいや、あのさ……倉庫で凶器を回収した時……」

西園寺「あの話? もういいってあんなこと」

日向「いや、そうじゃない……何かに引っかかった気がしたんだ……何だったんだろうな、アレ……」

西園寺「?」

【日向の証言】入手

日向「それとさ、俺と一緒に捜査しないか?」

西園寺「はぁ? こーんな小さくて可愛い女の子が好きなロリぺドなの?」

日向「……いや、そういうわけじゃない。複数人で状況を交換し合った方が、お互いにやりやすいだろ? 簡単に証人を立てれるっていうのは、実は意外と凄い事だからな」

……確かに、おにぃのいう事は的を射てるね。さすが普通人間。普通の事では天下一品だ。

西園寺「ふーん……そっか」

澪田「あ、そうだ……停電中の事、唯吹分かるよって言ったら、知りたいっすか?」

日向「ああ、もちろん」

澪田「じゃあ、誰がしゃべったかってだけ、振り返っていくっすよ?」

小泉「うわっ、停電だよ!」

日向「さっきまで明るかったんだけどな……?」

澪田「真っ暗っすよー! もうお先真っ暗だよー!!」

終里「なんだなんだ? 飯食いづれぇから電気つけろっての!」

西園寺「わーん! 足踏まないでよ!!」

弐大「ぐっ……うぼぁ……っ!!」

十神「くそっ、鍵が見えない……ダメだ……!!」

ソニア「これって、ブレーカーが落ちたんじゃないでしょうか?」

左右田「ちょ、ちょっと待ってろ……おれが壁伝いに、何とかしてくるから……」

澪田「これが、停電の状態完全網羅っすね!」

西園寺「顔やスタイル性格育ちはともかく、耳だけはいいんだねー」

澪田「ぐはっ、正論のナイフでめったざしっすね!!」

なんでちょっと楽しそうなんだよ……。

日向「今の……ということは、弐大は……」

【澪田の証言】入手

……あと、この大広間でやらなきゃいけないのは……。死体……か。

日向「……できるか?」

西園寺「……わ、分かんない……うぷっ」

改めて見ると、吐き気が襲う……でも、やらなくちゃいけない……こんなにつらいの……いつ振りだろう……?

《きたねぇ……》  《低能の分際で、私にたてつこうっての?》

    《死ぬまでアンタは踊ってればいいのよ……》 《大丈夫だ、何とかする》
  
  《もう、来ないから》  「……え?」






   《お父さん、もう、来ないから……》

「……じ? ……おい、西園寺?」

西園寺「……っ!」

日向「大丈夫か? 俺がついてる……正直俺も怖いけど、でもやるぞ……!」

西園寺「う、うん……」

でも、あの時よりかは辛くない……よね。

弐大おにぃのお腹……ナイフが刺さってる。これはモノクマファイルの通りだね。アレは本当に正しいみたい。

それと……口元、何か……これも、血?

あと、床……ここにも血痕がついてるね……血だまりみたいになって、床下にもたれてるって感じ……かな?

【弐大の体】
【弐大の口元】
【近くの床】

日向「………………もう、大丈夫だろう」

……ダメ。なんか泣きそうになってきたけど、皆の前だからこらえないと……。

日向「……俺はロケットパンチマーケットに行ってくる。残された時間も少ないからな。西園寺は旧館の捜査をお願いしたい。頼めるか?」

西園寺「……分かった」

もう、できればこれは見たくないかな……。

罪木「あれれ? うーん……やっぱり……でも……うーん……」

……あからさまに悩みすぎでしょ。無視しとこっと。

小泉「……これで、いいかな?」

西園寺「おねぇ、何してるの?」

小泉「あのね……アタシにできることを探して、立ち位置のチェックをしてたの……えっと、これだよ」

http://imgur.com/UVv33Ey.jpg

西園寺「……ふむ」

よくよく考えてみたら、血の着いたテーブルクロスとかも、わたし達が近くにいたテーブルから見つかってるよね……これって何か関係あるのかな?

小泉「まあ、これがなんの役に立つかは分かんないけど、何にもしないよりはいいかなって思って……ね」

【旧館の見とり図】を入手

日向「それと、こんなものも見つかった……暗視スコープの空のケースだ」

西園寺「それはさほど重要そうじゃないよ……本当おにぃ使えない」

日向「それはどうかな……? わかんないぜ?」

西園寺「……え?」

【赤の毒薬】【青の毒薬】【空の暗視スコープ】を入手

↑ごめんなさい。ミスしました。忘れてください

―ロケットパンチマーケット―

日向「あ、西園寺。来たか」

西園寺「……それで、いいのは見つかった?」

日向「どうも犯人は相当あわててたみたいだな……これを見てくれ」

西園寺「……? これって?」

日向「赤色のビンも青色のビンも小さいけど人を殺すのに十分な毒になる。赤は数分で効く速攻型、青は3時間ほどの遅行型だ」

西園寺「……」

日向「それと、こんなものも見つかった……暗視スコープの空のケースだ」

西園寺「それはさほど重要そうじゃないよ……本当おにぃ使えない」

日向「それはどうかな……? わかんないぜ?」

西園寺「……え?」

【赤の毒薬】【青の毒薬】【空の暗視スコープ】を入手


キーンコーンカーンコーン……

モノクマ『いやぁ、かなりのハイペースで進めましたねぇ。ご苦労さま。さてさて……それでは、お待ちかねの学級裁判、行っちゃいますか!! モノクマロックに集合してくださいねぇ?』

いよいよか……というか、そもそも……。

西園寺「……モノクマロック?」

日向「そんなものに該当するようなもの……あったか?」

西園寺「……なかった、よね?」

七海「あ、日向くんと西園寺さんだ」

日向「お、七海? どうしたんだ?」

七海「ちょっと来てもらっていい? 中央の島に、初めて見るものがあったから……」

西園寺「このタイミングで初めて見るものって……」

日向「その可能性が高いだろうな。行ってみるか」

―モノクマロック―

日向「……こんなもの、いつの間にできたんだ?」

大きく中央の島にそびえたつ岩……前は何でもないただの岩だったのに……

西園寺「……わたし達、本当にモノクマに殺されちゃうのかな?」

狛枝「それは違うよ」

日向「……狛枝」

狛枝「ボクらは謎を解いて、ここにいる全員で出るんだ……コロシアイをした人なんてここにはいない……ボクはそれを証明してみせるよ」

狛枝……怪しい雰囲気だと思ったけど、意外と頼りになるんだね。

罪木「こ、怖いけど、やるしかないですもんね」

九頭龍「……結局、こうなっちまうのか……仲良しごっこなんてするもんじゃねぇな……」

十神「くっ……」

花村「僕にも何かできること……あったらどんどん言ってよね?」

田中「ふんっ……時間がかかったな」

ソニア「取り乱してしまい、申し訳ありませんでした……田中さん、左右田さんも……ありがとうございます」

左右田「お、俺はほとんど何にもしてないんで……ははっ」

辺古山「さて、行くとしよう」

小泉「……本当に、行かなくちゃだめなのかな?」

終里「行くしかねぇんだから……行くしかねぇだろ……どんな奴でもかかってきやがれってんだ……!!」

澪田「唯吹は全開っす……だから、あんましこういうの得意じゃないんで、任せないでください! よろしくお願いしまむ!」

七海「うん、大丈夫だよ。行こう」

モノミ「あちしも助けまちゅよ!」

モノクマ「あ、モノミちゃんにもきちんと席を用意してあるよ。空中に」

モノミ「……え?」

モノクマロックの口から出てきたエスカレーターに乗り、ぐんぐんとわたしたちは登っていく……そして……

―サイバンジョウ―

モノクマ「うぷぷ、始めようか……ワックワクの裁判をさぁ!!」

西園寺(……始まっちゃうんだ……学級裁判……)

【超高校級のマネージャー】弐大猫丸おにぃ。

鬱陶しい熱いおじさんって感じだった。あと、デリカシーがない。クソって言い過ぎ。本当嫌な奴だった……でも、仲間想いで、結構わたしの事、気にしてくれてたと思う……。

……結局、九頭龍に攻撃されそうになった時に、守ってくれてありがとうって……言えなかった。

……でも、今は感傷に浸ってる場合じゃない……この中にいる犯人、それを特定しないと……。

わたしが死んじゃうんだから……!

モノクマファイル1…被害者は弐大猫丸。【超高校級のマネージャー】死亡推定時刻は午後11時40分ごろ。腹部にナイフが突き刺さっている。

弐大の体…弐大の腹部には、ナイフが突き刺さっており、それ以外に外傷はない。

弐大の口元…弐大の口元には、血痕がついていた。

近くの床…弐大の死体周辺の床には、血痕がついていた。

パーティーの料理…パーティーの料理に口をつけたのは、終里、辺古山、十神、弐大の4人。

血のついたテーブルクロス…テーブルの下に、テーブルクロスを発見した。大量の血痕がついてしまっている。

大広間のジュラルミンケース…十神の持ってきたジュラルミンケースには、大量の防犯グッズが入っていた。

事務室のジュラルミンケース…十神の持ってきたジュラルミンケースには、大量の凶器が回収されていた。それを日向と西園寺が手伝った。

復旧直後…停電から復旧した直後、弐大の近くにいた西園寺、日向、澪田の服の下の方には、多少の血がついていた

大広間の見取り図…小泉が写真から割り出した、大広間の見取り図。皆の事件当時の立ち位置が記されている。参考画像→http://imgur.com/UVv33Ey.jpg なお、赤●は弐大が倒れていた位置を意味している

エアコンのタイマー…エアコンのタイマーが、2台同じ時間に設置されていた。

倉庫のアイロン…アイロンが倉庫に3台置いてあった。

赤の毒薬…ロケットパンチマーケットにあった毒薬の一つ。飲んでから数分で死に至るという。

青の毒薬…ロケットパンチマーケットにあった毒薬の一つ。飲んでから半日ほどで死に至るという。

空の暗視スコープケース…空になった暗視スコープのケース。ロケットパンチマーケットにあった。

日向の証言…倉庫で転んだ時に、何かに引っかかったという。

澪田の証言…澪田は停電の声を聴きとっていた。内容は>>234

次回より、学級裁判の扉を開きます。

学級裁判だけは、みなさんの安価の力を借りようと思っておりますのでよろしくお願いします。

前回の結果を知っておられる方も、遠慮なくロンパしていただいて構いません。

時間は分かりませんが、明日が安価集まりそうなので、明日裁判をしたいと思います。

始めます。人はいますか?

では、行きます。






      学級裁判

       開廷



モノクマ「では、最初に、学級裁判の簡単な説明から始めましょう」

モノクマ「学級裁判の結果は、オマエラの投票により、決定されます」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがオシオキ。だけど、もし間違った人物を、クロとした場合は……?」

モノクマ「クロ以外の全員がオシオキされ、生き残ったクロだけが、この島から出る権利が、与えられます!」

モノミ「何て残酷なルールなんでちゅか……!?」

モノクマ「それじゃあ、始めていいよ!」

罪木「始めろと言われても、何をどうしたらいいんですか……?」

狛枝「始める前に訊きたいんだけどさ……本当にこの中に犯人がいるの?」

モノクマ「もちろんやで。人殺しのクロは、オマエラの中に、潜んどるんやで。悲しい色やね」

モノクマ「ちなみに、学級裁判は、100%公平に行われるので、安心してください!」

辺古山「えらく学級裁判には力を入れているんだな」

十神「ふんっ、当然と言えば当然だろうけどな……さて、ではまずどこから整理しようか?」

七海「うーん、整理するべきところが多すぎると、悩んじゃうよね」

日向「なら疑問でもいい。その疑問に焦点を当てて、謎を明らかにしていこう」

西園寺「えらく冷静だね。まるで主人公でも気取ってるみたいに……」

田中「この物語の主人公はこの俺様……くくくっ、間違いあるまい!」

西園寺「外野は引っ込んでて」

田中「が、外野……だと!?」

ソニア「田中さん、元気を出してください!」

九頭龍「俺は全然捜査ができてねぇんだ……だからよぉ、ちっと状況を教えてくれねぇか?」

小泉「ねぇ。ロクに捜査もしてないくせに、口を挟まないでくれない?」

九頭龍「お前らが裁判もまともにできやしねぇから、口を挟んでやってんだろうが」

左右田「それじゃあ、まずはそこからか……」

最初から……とは言っても、パーティーに参加してないアイツにそこまで助力してやる必要はあるの?

狛枝「それじゃあ、さらっと振り返っていこうか。まず、ボクらは夜通しパーティーを、十神クンと計画した。もっとも、十神クンは脅迫状を受け取ってたみたいだから、それを警戒したんだと思うけどね」

十神「お、おい……言うなと言っただろ?」

狛枝「あははっ、やっぱり皆に伝えておいた方がいいと思ってね」

日向「それで狛枝が掃除当番を引き当てて、旧館を掃除して、予定通りパーティーが開かれたんだ」

七海「そこでは凶器回収やボディーチェックも行って、入念な準備をしてたから、誰も殺す人なんていなかった……と、思ってたけど」

西園寺「その後、しばらくしてから停電が起きて、真っ暗になっちゃって……電気がついたら……」

九頭龍「……弐大が死んでたってわけか……へっ、良くできた筋書きじゃねぇか」

狛枝「……それじゃあ、まあとりあえず、弐大クンの死体について、一つだけコメントさせてよ」

花村「コメント……? どんなこと?」

狛枝「現場は大広間でいいのかな? って思ったんだよね……たとえば誰かが床下から刺したとか、そういう可能性があれば、犯人は大きく絞られてくるんだと思うけど……どうかな?」

大広間以外で殺した? ……そんな訳ないじゃん……って思うけど……

これより、ノンストップ議論が始まります。一応議論のかっこの説明をさせていただきます。

[)←言弾です。これを使って論破ポイントを論破します。

【】←論破ポイントです。

[]←今回は使いませんが、賛成ポイントです。

論破する際は安価にて、【論破ポイントのセリフ】←言弾の内容 の形でロンパしてください。

なお、今回の1章は前回でもやったことのある部分なので、安価が来ずにしばらく時間が過ぎた場合、自動でロンパして進めていきます。

―01:ノンストップ議論―

    議論開始!!

コマエダナギト
弐大クンの死体は……
本当にあそこでできた場所なのかな?

タナカガンダム
魔界で殺した後に、大広間にテレポーテーションさせる……
そんな離れ業が俺様以外にできる奴がいるだと?

オワリアカネ
だったら犯人はおめーだな

ソウダカズイチ
犯人が別の場所で殺した後……
【死体を移動させた】ってのはどうだ!?



[モノクマファイル1)
[近くの床)
[復旧直後)





あれれー? おバカさんがいるよー?

    ―BREAK!!―

西園寺「わーい! 左右田おにぃ、見かけ通り超バカなんだね!」

左右田「な、なんでだよ!?」

西園寺「床にあった血だまり……あれは、弐大おにぃの血で間違いないはず。だとしたら、死体を移動させたらそこの形が変になってていいと思うし……ちょっと考えたら分かることだと思うんだけどなー」

花村「それに、考えてみたら、あんなふうにナイフが刺さってたんだもん。きっと血のついた位置も変わってくるよね」

七海「あと、停電中だったんでしょ? それは大広間だけじゃない……だったら、暗闇の中で人を刺して移動させるなんて、無理じゃないかな?」

左右田「……かーっ! いい考えだと思ったのによォ」

西園寺「個性がなくてモテない上に馬鹿なんて残念! 生きてる価値ないよねー」

左右田「俺は褒めて延びるタイプだからなぁ!」

ソニア「左右田さん、少し静かにしてくださいね」

左右田「あれ? 田中に対しての態度と違くないですか?」

田中(完全勝利だ……)

狛枝「で、死体はアソコで作られたものとして……」

花村「アソコ?」

小泉「アンタは黙ってて」

日向「とりあえず、死亡推定時刻は11時40分だったよな…? この時の皆のアリバイ、一応確認できそうな奴はしておきたいんだが」

罪木「あ、アリバイとは言っても、私は大広間で停電中慌ててて……」

狛枝「そうだよね。大広間の外にいた人はどうだったのかな?」

辺古山「事務室にいて、ジュラルミンケースの見張りをしていた。……停電した時には、突然暗くなり、ブレーカーを見つけられず……面目ない」

九頭龍「んなもん気にする必要はねーだろ」

澪田「ちなみに、ジュラルミンケースの中とかは? 凶器を取ってそれでグサッ! とかありそうっす!」

辺古山「ジュラルミンケースは鍵がかかっていて、中を見ることはできなかったぞ。無論、見る気もないがな」

花村「中を見る……?」

西園寺「もー! いい加減キモイよー! いやらしい意味で言ってるもん!!」

十神「とりあえず落ち着け。他の者はどうなんだ?」

花村「ぼくは厨房が真っ暗になっちゃったせいで、そこから動けなかったよ。カセットコンロでもあれば良かったんだけど、近くになかったし……」

澪田「か、カセットコンロォ……」

左右田「無理やり言ってんじゃねぇよ!」

七海「私は旧館の外で、モノミと一緒に見張りをしてたけど……証人になってくれる……よね?」

モノミ「はい、もちろんでちゅ!」

終里「んで、残ったのは誰だ?」

九頭龍「…………」

小泉「……ねぇ、九頭龍? アンタならできたんじゃないの?」

九頭龍「あ……ああ!? なんだとコラ!! ぶっ飛ばすぞ!!」

西園寺「おねぇをぶっ飛ばすなら、わたしがお前をぶっ飛ばすぞ!!」

罪木「け、喧嘩はやめましょうよ……」

西・九「「お前は黙ってろ!!」」

罪木「だ、ダブルで!?」

田中「じゃれ合いはその辺にしておけ。それより、九頭龍……貴様、本当に手を染めたのか?」

九頭龍「ふ、ふざけんな! 俺じゃねぇ!!」

小泉「さあどうだか? 俺は殺れる、とか言ってたのは誰だっけ?」

ソニア「そういえば、犯人はよくセリフを噛むらしいです」

西園寺「わー、確かにセリフを噛みまくりだねー」

九頭龍「そ、そんなんで犯人扱いされてたまっかよ!! ボケが!」

小泉「ほら、また噛んだ」

澪田「噛む量なら蜜柑ちゃんも負けてねぇっす!」

罪木「は、はわぁっ!?」

あーもー、うるさいなぁ。確かに今のままだとコイツは怪しさマックスだけど、さすがに殺人を犯すことは無理でしょ……。

突然ですが、チュートリアルです。

今作に置きましては、言弾の代わりに、人物を使って論破する場合もある事をご理解していただきたいです。

その場合、言弾は装填されず、普段のノンストップ議論の代わりに、人名を使って論破してくださいますよう、お願いします。

これが、『証人リローディング』です。それでは、始めます。

あと、私事ですみませんが、言弾リストを載せ忘れていた件は申し訳ございませんでした。

証人リローディングの時は、意図的に言弾リストを表示させないようにしておりますので、ご理解ください。

―02:証人リローディング―

コイズミマヒル
【犯人は九頭龍】だよ!!

クズリュウフユヒコ
俺じゃねぇっつってんだろ!!

ヒナタハジメ
じゃあ、どこにいたのか聞いてもいいか?

クズリュウフユヒコ
そ、それは……

トガミビャクヤ
……言えないのか?
という事は【アリバイがない】という事だな?

サイオンジヒヨコ
(まだ決めつけるには早いけど、アイツらは凡人だから仕方ないよねー。えっと、九頭龍はパーティーには参加してないんだから……)

自動で進めます。

【アリバイがない】(七海千秋]

西園寺「じゃあ、九頭龍がどこにいたのか、知ってそうな人に聞いてみればいいじゃん?」

十神「何? それでアリバイが作れる……というのか?」

西園寺「七海おねぇはどう思う? 外で見張りをしてた七海おねぇなら、外にいた九頭龍と会っててもおかしくないよねー?」

田中「なんだ? 何やら妙な殺気を感じさせる態度だ……」

七海「えっと……九頭龍くんは確かに、外に居たよ。パーティーの最中の見張りで、一回会ったんだもん」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

七海「あれ? 九頭龍くん?」

九頭龍「ぬおっ……お前かよ……」

七海「こんなところで何やってるの?」

九頭龍「……別に、何にもやってねぇよ」

七海「パーティー、結構楽しそうだよ。九頭龍くんも参加してみたら?」

九頭龍「う、うっせぇ!! 俺はいいんだよ!!」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐-

七海「……それから九頭龍くんは、ホテルの外に出てっちゃって……それから私は、誰も見てないよ?」

辺古山「ふむ、それなら九頭龍が犯人ということは無さそうだな。侵入していないのであれば、弐大を刺すことはできそうにない」

九頭龍「へっ、やっと分かったかよ……クソッ……」

狛枝「それで、アリバイを確認したところで、次はどうするの?」

日向「停電……やっぱりあの停電の最中に、何かがあったんだと思わないか?」

田中「停電の最中……闇の中に隠されし真実を見通せし者は、この中にいたというのか?」

澪田「うーん、停電中はめちゃ真っ暗だったし、見れた人っていうのは1人もいないかもっすねぇ」

終里「くっそー……何か道具を使って暗闇を見れたりしないのかよ!?」

左右田「そんな都合のいい道具、あるわけねーだろ!!」

西園寺「ぷぷっ、凡人って本当残念だね。見てて可哀想になってきちゃうよ」

左右田「そ、それって俺のこと……だよな?」

西園寺「あのね。道具はあることにはあったんだよ。実際にわたし、その場所知ってるし」

ソニア「え、え? そんなものが本当に存在していたんですか?」

西園寺「もちろんだよー。むしろそんな事にも気づかずに裁判に出てたって事実の方が驚きなんだけどさー」

でも、それが使われたかどうかは別なんだけどね……あの中に入ってたよね?

>>254
言弾選択

↓1

こういうのって安価連どりしていいのかな…
とりあえず空の暗視スコープケースかな?

>>288さん
今回一度クリアしてる学級裁判なので、連取アリで全然平気です。

だよねー?

西園寺「ほら、豚足ちゃんが足元に構えてた、ジュラルミンケースの中とかさー。あれ、結構いっぱいいろんなのが入ってたけど、その中に入ってたんじゃない? 暗視スコープ……とかさ」

十神「ああ、確かにそうだな」

澪田「じゃ、じゃあ、白夜ちゃんが猫丸ちゃんを!? 図体デカいキャラは2人もいらないからって……!?」

十神「落ち着け。そうではない。俺は……何もできなかったんだ」

罪木「え? そ、それ、どういうことですか?」

十神「……停電中、ジュラルミンケースの鍵を落としてしまってな……どこに行ったのかまるで分らず、俺は……あれらの物の使用すらできなかった」

ソニア「そ、そのようなことがあったのですね……」

狛枝「なるほどね……つまり、暗視スコープは使われてなかったわけだ」

十神「……そういうことになるな」

九頭龍「チッ……だったら停電の時に何が起こったっていうんだよ……?」

確かに、停電の間にきっと弐大おにぃは殺されたんだろうけど……どうやってナイフを……?

七海「うーん、うーん……」

澪田「むむむむ……あっ! こうやって目をより目にすると、皆が二重になって見えるよ?」

左右田「飽きてんじゃねぇよ! 命がかかってんだぞ!!」

終里「ええ!? 誰の命がかかってるんだ?」

花村「る、ルールの把握をしてないの!?」

十神「しかし、悩みどころでもあるな……いったい何が起きたのか……」

狛枝「…………暗闇の中を知ることなんて、無理なんじゃないかな……?」

しばらくの間、沈黙が流れた……やがて、その空気を切り裂く声が、ひとつ。

日向「そもそも、弐大がどうして殺されたかって言うところに、目を向けていることが間違いだったのかもしれない……」

西園寺「は……? それってどういう事?」

日向「確かに、弐大がどうして殺されたかっていうのは、いずれは解決しなきゃいけない所だ……でも、それは今じゃない。そんな気がするんだ」

小泉「ちょっと、頼りないの代表格のアンタが、何を急にベラベラ言うのかと思ったら……憶測だけで話を進めないでくれない?」

日向「じゃあ、こう考えてみよう。そもそも、なんで停電は起こったんだ?」

終里「停電が起こった……理由?」

田中「なるほど……確かに停電になった理由も分かっていないな。仮に全ての雷の裁きを下す指揮者を死に陥れた者がいたかもしれぬのだからな……」

ソニア「なるほど、仮にブレーカーを落とした人がいたとしたら、その人が犯人って事ですね?」

左右田「な、なんでわかるんだ?」

日向「そもそもこの停電は、偶然なのか、それとも必然なのか……それが分かるだけでも、大きくこの裁判は前進すると思うんだ……」

狛枝「すごいね日向クン……なんだか輝いて見えるよ!」

……停電がなんで起こったのか……言われてみれば、考えてなかった……かもね。

―03:ノンストップ議論―

   議論開始!!

ヒナタハジメ
停電の起こった理由……
皆で一緒に考えてみようぜ

ペコヤマペコ
[遠くから何かで落とした]のか……?

ソウダカズイチ
[ラジコンでも使った]んじゃねぇか?

ツミキミカン
きっと[ブレーカーに仕掛けがあった]んです…

コイズミマヒル
単純に[電気の使いすぎ]なんじゃないの?

ナナミチアキ
うーん、どうなんだろうね?

サイオンジヒヨコ
(うーん、まあ普通に考えれば、アレだよね?)

[モノクマファイル1)
[エアコンのタイマー)
[復旧直後)





    さっすがおねぇ!

     ―BREAK!!―



今日はここまでで

前スレと同じ所なうえに更新スピードが前と比べて極端に遅いから、
過疎るのも仕方ないのかもしれない
前スレと同じところまで自動で駆け足で進んで、読者が戻ってきた頃合を見計らって
安価をとるのもいいかもなんて提案してみたり

そうかもですね。>>300さんの言葉のとおり、1章の裁判を自動でガッとやっちゃうことにしちゃいます。

西園寺「うん、さっすがは小泉おねぇ! 良くわかってるね!」

小泉「え、日寄子ちゃん?」

西園寺「ほらほら、大広間にいた人たちならわかると思うけど、何か音が聞こえなかったー? パーティー中に突然さぁ」

終里「……もしかして、アレの事か?」

(終里「こんなもんじゃ足りねぇぞ!! もっとでけえ、すんげぇの持ってこい!!」

狛枝「…………」

罪木「こ、転ばないように気を付けないといけないですね……わっ!?」

十神「……手間をかけさせるな」

罪木「あ、す、すみません……ありがとうございますぅ……」

澪田「……何か、いい歌の案が浮かんできたっす! 早速部屋に戻ったらコレの作詞を……」

ピピッ

西園寺「ん? ……何、今の音?」

弐大「……さあのう? わしにはよくわからんわい」 )

左右田「ああ、確かに聞こえたな……エアコンのスイッチが入ったって事か?」

西園寺「そう、それと、これを見てよ!」

花村「あれ? それは、エアコンのリモコン? ……ああ! タイマーがおんなじ時間に設定してある!」

日向「11時35分か……それが分かっていれば、停電中に何かしらの手を使って弐大を殺せたかもしれないな」

狛枝「ふうん、なるほど。じゃあ犯人はエアコンのタイマーを起動させることで、停電をさせたって事だね?」

西園寺「そうそう、そういう事。うん、だんだん賢くなってきたねー」

正してやろう……貴様の過ちを!!

西園寺「……あ?」

田中「ふむ……確かに、それなら筋が通っているように見えるな……だが、その推理には穴があるぞ?」

西園寺「え? その程度の身分で何をたてつこうとしてんの?」

田中「考えてみろ。エアコンのタイマーを使ったなら、エアコンのタイマーを使った直後にブレーカーが落ちてしかるべきだ」

西園寺「普通にブレーカーって言えんじゃん……」

田中「ぬぐっ……しかしだ! エアコンのタイマーを起動されてから、停電するのには幾分か時間があったと見受けられる……つまりそれは成立しないんだよ!!」

はぁ……コイツもコイツでバカだなぁ……まあいいや。相手になってあげるよ。後でコイツの崩れ落ちるさまでもみて、楽しもうかな……? ぷぷっ

―04:反論ショーダウン―

タナカガンダム
確かにエアコンを使えば、停電をさせるのは簡単だったかもしれんな……

だが

  本当に  

そうだったのか?

エアコンの起動から停電には【時間があった】ぞ……?

― 発展!! ―

サイオンジヒヨコ
ちゃんと脳みそ入ってんの?

あくまでエアコンのタイマーは過程だよ、か・て・い!

タナカガンダム
その幻想をぶち壊す!!

エアコンのタイマーが停電に関係しているとは思えん!!

【エアコンが停電の引き金】なら……

貴様の推理はこの神の前にはないのだよ!! ふはははははは!

サイオンジヒヨコ
倉庫のアイロンに気付いてないの?

タナカガンダム
何……?

西園寺「はい、結局アンタも左右田と何一つ変わらないモブキャラだよね」

田中「なん……だと?」

ソニア「ちょっと、西園寺さん! あんな人と一緒にしないでください!」

左右田「あんな人って俺のことじゃないっすよね?」

西園寺「だれもエアコンだけだとは言ってないでしょ? 倉庫に3台もあったアイロンを、誰も見てないわけ? あれは停電復旧後には、電源が入ってたの。つまり、これを付けて電気を停電させたってわけ!」

花村「え? そ、それって……普通逆じゃない?」

西園寺「文句あるわけ?」

花村「も、文句ってわけじゃないけどさぁ……だってそれって、“わざわざ倉庫まで行った”ってことでしょ?」

辺古山「確かに……停電させるために倉庫まで行ったことになるな……そうなると皆に怪しまれる危険も高いんではないか……?」

九頭龍「普通に逆にした方がいいよなぁ。アイロンに電気使っといて、エアコンのタイマーを起動、の方が、効率がいい……殺しのプロじゃなくても、これくらいの優先順位はつくだろ……」

狛枝「…………」

七海「ねぇ、もしかしてさぁ、最初はそうするつもりだったんじゃない?」

澪田「最初は……? それって、どういう事っすか?」

七海「だからさぁ、何かしらのアクシデントが起こっちゃった、とか……」

西園寺「……え?」

それって……もしかして……

西園寺「……凶器の回収中、日向おにぃが、わたしの胸揉んだとき……」

小泉「は? 今なんて言ったの?」

日向「あ、アレは……不慮の事故だったんだ……!!」

左右田「そんなえぐられたような胸揉んで何が楽しいんだ日向!」

西園寺「死ね!! どぶの中に入って2週間もがき苦しみながら死ね!!」

十神「落ち着けと言っているだろう……それで、その時に何があったんだ?」

西園寺「確か、おにぃ転んだよね?」

日向「ああ、そうだな……」

(十神「このあたりには……特にこれと言って無さそうだな」

日向「そうだな……おっと」

おにぃが急に転んだ。あまりにも何の前触れもなく転んだせいで、思いっきり、わたしの体を……。

西園寺「きゃあっ!?」

日向「あ、す、すまない……そんなつもりはなかったんだ……ごめん」

十神「はぁ……まあいい。とにかくここの凶器の回収はする必要なさそうだな。そして、ここはホコリっぽいという事も分かった。狛枝の掃除も、さすがにここまでは行き届かなかったか……」

西園寺「……しばらくわたしに話しかけんな。バカ」

日向「……本当に申し訳なかった」 )

西園寺「もしかしてあの時、アイロンのコードが引っかかって、転んじゃったんじゃない?」

日向「……は?」

罪木「そ、そっか……それでアイロンの電気が供給されなくなったんですね……?」

ソニア「つまりそれが、犯人の誤算だったわけですね?」

田中「なるほど……」

終里「んで? 犯人は誰なんだよ?」

西園寺「…………」

犯人、かどうかは、まだ確かじゃない……でも、もし今までの皆の言った事が本当で、わたしの見たものが正しいなら……停電を起こしたのは……アイツだ……!

西園寺「……ねぇ、狛枝……?」

狛枝「……ボク?」

西園寺「アンタ、突然腹が痛いって言って、大広間から抜けたよね? わざわざ豚足ちゃんの胃薬も断ってさ……」

澪田「あ、そういえばそうだったっすね……」

(弐大「……さあのう? わしにはよくわからんわい」

狛枝「……うっ」

日向「? 狛枝、大丈夫か?」

狛枝「……ああ、ごめん……ちょっと気分が悪くて……トイレに行ってくるね……」

十神「胃薬ならあるぞ?」

狛枝「いや、大丈夫だよ、ボクなんかに胃薬使うなんて、もったいないからさ」 )

西園寺「あの後、アンタは本当にトイレに行ったワケ? もしかしてその後、エアコンのタイマーで停電しない理由を調べるために、倉庫に行ったんじゃないの?」

狛枝「……仮にそうだったとして、ボクはそこから停電した後動けないと思うんだけど……?」

日向「どうだかな……倉庫は狭いし、埃っぽくてあまり調べていないんだ……もしかしたら、何かが隠されてた可能性も考えられる」

十神「くっ……もう少し見ていればよかったかもしれないな」

西園寺「まあ、あんな事件も起きたしね……」

日向「そ、そのことはもういいだろう!」

西園寺「アンタに照れる権利ないよねぇ?」

小泉「ちょ、ちょっと、喧嘩するか推理するか、どっちかにしてよね?」

狛枝「じゃあ、1つ聞くけど……ボクはそこから何を使ったっていうの? 倉庫に仮に何かを隠しておいて、いったい何を使ったって言うのさ?」

ソニア「そ、それは……なんでしょう?」

西園寺「…………まず、ナイフ。それと……暗視スコープ……テーブルクロスがいっぱい入ってたあの籠に入れとけば、問題ないよね」

終里「そうか……それであそこにテーブルクロスがあったんだな? それで血を防いだんだろ? 汚れたくないからな!」

十神「意図は違うが、そういう事なんだろうな」

狛枝「……へぇ、そっか……そういうことになっちゃうか……」

澪田「何を冷静に言ってるんすか? 殺したなら殺したで、さっさと白状するっす!」

西園寺「そうだよ……確かに、誰かが殺した、なんて考えたくもなかったけど……でもやっぱ……現実的に考えてそれはあり得ない……じゃあ、アンタしかいないじゃん!!」

辺古山「……どうなんだ? 狛枝?」

狛枝「へぇ……ふふっ、やっぱり君は面白いなぁ」

え? ……今、この状況でアイツ、笑った、よね?

狛枝「じゃあ、更に言わせてもらうよ。もし仮にボクが暗視スコープを持ってきてたとしよう。なら、その暗視スコープ自体はどこにあるの?」

西園寺「そ、それは……」

狛枝「まさか、処分した、なんて言わないよね? どこにどうやって処分したとしても、七海さんのいる所にしか、外に出る方法はないし、窓は鉄板……」

モノミ「それに、ポイ捨てなんてしたら、島中のサイレンがなっちゃいまちゅよ……」

狛枝「ふふっ、だってさ」

狛枝「とにかく、暗視スコープの場所を知りえない限り……君の推理は、全部推論だよ。結局、ボクらの誰にでも可能って事になっちゃうんじゃないかな? つまり、この殺人に犯人なんていないんだよ」

七海「言ってる意味……だんだん分かんなくなってきてない?」

西園寺「はぁ……なら、証明してあげるよ……確かに暗視スコープがどこにあるのか知らない。でも、アンタが暗視スコープを使った絶対と言っていい証拠があるはず……その前に、豚足ちゃーん?」

十神「……何だ?」

西園寺「あのねあのね、1つ聞きたいことがあるんだけどー」

九頭龍「気持ちわるっ」

西園寺「豚足ちゃんのジュラルミンケースの中に入ってた暗視スコープってー、ちゃあんと、ケースに収まってたよね?」

十神「ああ……ロケットパンチマーケットからそのまま持ってきたからな……」

西園寺「あれあれー? じゃあ、なんでこんなところにあんなものがあったのかなー?」

花村「も、もったいぶらずに教えてよ!」

西園寺「しょうがないなぁ……教えてあげるよ」

西園寺「この暗視スコープのケース……ロケットパンチマーケットから見つかったものなんだよ?」

狛枝「……!?」

日向「これがある、そして十神の暗視スコープにケースがついてる……つまり、暗視スコープが……」

西園寺「実はもう一つあったってことだねー!」

狛枝「なっ……くっ……」

ソニア「つまり狛枝さんは……それを使って……?」

小泉「ねぇ……本当にそうなの? アタシたちを……殺そうとしてたの?」

日向「停電になる前に暗視スコープを倉庫で装着して、ナイフを持ち、停電させた後……」

七海「大広間に向かって……」

西園寺「入り口付近にいた弐大を刺した……って考えれば」

狛枝「ま、待ってよ……もし大広間に言ってる途中で、花村クンとかに見つかった場合は?」

左右田「そんなの花村を殺しちまえばいいだろ? 結局の所、誰でもよかったんだろうしな」

九頭龍「マジかよ……お前だったってのか?」

狛枝「むぐ……ぐうううう……!!」

狛枝「むぐ……ぐうううう……!!」

西園寺「言い逃れできないよ? その後返り血を防いだテーブルクロスを、テーブルの下に突っ込んどけばいいんだよ。その間に電気が復旧する……なんてことは、多分あの白黒クマだったらしないと思うし」

モノクマ「ど、ドキィッ!?」

モノミ「当たりなんでちゅか? 憎いやつでちゅ……万死に値します!」

モノクマ「万死だって? そんなに死んだら、本当に死んじゃうじゃないか……」

七海「確かに、少し荒いかもしれないけど、それもこれも、日向くんがアイロンのコードを抜いちゃったっていう、大きなハプニングが起きたからなんだよね。それに対応してたのも、それはそれですごいと思うけど……でもやっぱり、テーブルクロスとか大きなものを、ずっと持ってるわけにはいけなかったんだよね」

田中「そうして……殺人が起きた……と?」

十神「そう考えると、全てにおいて合点が行くな……」

狛枝「…………」

辺古山「狛枝、先ほどからずっと黙っているが……本当にそうなのか?」

西園寺「ねぇ、そうなんだったら答えてよ? 結局のところ、アンタに逃げ道なんてもうないんだよー? わかってんの?」

狛枝「…………」











狛枝「アハッ……!」



























狛枝「アッハッハッハッハハハハハ……ハハハハハハハハ……」

狛枝「超高校級の皆が、力を合わせて殺人という絶望に立ち向かう……!!」

狛枝「ああ……なんて美しいんだろうね……」














西園寺「は?」

その時の狛枝の目は……歪んでいた。
希望と絶望がぐちゃぐちゃになった……そんな、汚い目だった。でも、わたしは……
あの目をどこかで見た事あるような……そんな気さえした。

狛枝「結論から言うと、大正解! そう、全てはボクの仕業だったんだ!」

狛枝「パーティーの時に、停電を企てたのもボクなんだ。さっきの推理通り、本当の計画では卓上ランプのコードをたぐって、テーブルの下にあるナイフを使って、誰かを刺すつもりだったんだけどね」

日向「クソッ……」

狛枝「まあ、アイロンのコードだけは隠しようがなかったから、もしかしたら抜かれちゃうかもとは思ってたんだよ」

花村「ちょ、ちょっと待ってよ!! じゃあ、狛枝くんは……本当に?」

狛枝「まあまあ、とりあえず最後まで聞いてくれないかな?」

九頭龍「チッ……どこまでもアイツのペースじゃねぇか……」

狛枝「えっと、どこまで話したっけ? ああ、倉庫だったね」

そんな何かを確認するみたいに言わなくても、どうせわかってるくせに……めんどくさ

狛枝「倉庫のアイロンの仕掛けを片付けられちゃったときのために、床下の入り口の所に色々と隠させてもらったんだよ」

小泉「それが、暗視スコープだったり、もう一本のナイフだったってわけね?」

狛枝「うん、何もかも正解だよ」

西園寺「まあ、掃除当番の時に準備を進めてたんだとは思うけどね。あのくじに何か仕掛けでもしてあったんでしょ?」

狛枝「それは違うなぁ……でもまあ、そう思うのも当然か」

十神「貴様……どういう意味だ?」

狛枝「ボクのゴミみたいな才能なんて、そりゃあ皆忘れちゃうよね……」

西園寺「キモッ」

狛枝「あはっ、そう言われるのには慣れてるよ」

西園寺「アンタの才能は【超高校級の幸運】でしょ? それぐらいみんなわかって……って、嘘……っ!? じゃあ、まさかアンタは……!?」

狛枝「そう。ボクはね、自分の運を信じただけなんだよ。その結果、見事くじ引きを引き当てることができたんだ」

狛枝「でも、日向クンにまさか、アイロンのコードを抜かれちゃうとは思わなかったなぁ。これは不運だね……でも、その結果、こんないい感じの難易度に謎が仕上がったんじゃないかな?」

狛枝「アハハッ! 日向クンのファインプレーだね!」

終里「てめぇ……それで弐大を殺したってのかよ!?」

狛枝「別に弐大クンじゃなくてもよかったんだよ? ボクは早くコロシアイを起こしたかっただけなんだから」

辺古山「では……今までのお前は何だったんだ? 私達に対する、今までの温かい言葉……全て私達を騙す嘘だったのか?」

狛枝「騙すだなんんてとんでもない。ボクみたいな人間が皆を騙せるわけないじゃん」

エックス「でも、現実的じゃないことは叶えられません」

希「というと?」

エックス「たとえば「地球を我が手に」とか「不死身になれる薬をくれ」とかは無理です」

凛「ふむふむ」

エックス「叶えられるのはたとえば「一兆円欲しい」とか「もっと可愛くなりたい」とかね」

海未「なるほど」

エックス「といっても皆さんは、これ以上ないほど美人集団ですけどね」

希「あら?監禁しときながら随分お上手やな」

にこ「まあ、にこが監禁しちゃうくらい可愛いのは認めるけど!」

エックス「フフ お上手だなんてそれほどでも、あとは……」

にこ「ちょっと!?無視しないでよ!」

狛枝「ボクは最低で最悪で劣悪で……何をやってもダメな人間なんだ……」

澪田「ヒィッ!? この人、近所の動物とか殺してたタイプの人だー!!」

ソニア「わお! すごいですね!」

左右田「ソニアさんの言ってた、怪しい雰囲気って、こういう事か……!?」

小泉「ねぇ……なんでなの? 狛枝?」

狛枝「なんでって?」

小泉「なんでアンタは……殺人何かしちゃったのって言ってるのよ!!」

十神「そうだ。殺人をリスクを冒してまで犯す必要性を、お前からは感じないぞ……!!」

狛枝「あはは、なんだそんな事か。簡単なことだよ」

狛枝「君達の希望を育てるためさ」

日向「俺達の……希望?」

九頭龍「適当なこと言ってんじゃねぇぞ!! どっか湧いてんじゃねぇのか!?」

田中「そうだ……狛枝、貴様はどこかおかしいぞ!!」

狛枝「おかしいのは君たちの方だよ。どうしてこんな絶好のチャンスに、希望を絶対的なものにしようとしないの?」

七海「……それ、どういう意味かな?」

狛枝「殺人犯の、殺してでも出たかった希望……それ以外の生き残りたいという希望……」

狛枝「その2つの希望がぶつかり合う……それが学級裁判なんだよ」

狛枝「そうしてぶつかり合った希望の勝者は、より強い輝きを持って再構成される。それが……」

狛枝「絶対的な希望なんだよ!!」

ソニア「な、何を言ってるのか、さっぱりわけが分かりませんよ!?」

西園寺「こんな異常者、もうぶっ殺しちゃおうよ! 犯人もコイツで決まりだろうしさ!」

澪田「プリーズモノクマちゃーん!」









罪木「ちょ、ちょっと待ってくださーい!!」

西園寺「……あ?」







罪木「あの、あのあの、ええと、そのぉ……」

罪木「ほ、本当に、狛枝さんが犯人なんですかね……?」

……は? な、何言ってるのコイツ?

花村「え、えーっと、何言っちゃってるのかなぁ? 彼は自白までしちゃってるんだよ?」

狛枝「そうだよ。ボクがナイフで弐大クンを刺したんだよ?」

小泉「ややこしくなるから、アンタは黙ってなさいよ!」

狛枝「………………………………」

日向「それで罪木、ゆっくりでいいから、話してみてくれないか?」

罪木「え、ええと、ですね? その……」

左右田「やっぱ犯人は狛枝以外考えられないだろ!!」

罪木「あぅふ……」

罪木「ええっと、少し、気になることがあって……」

澪田「犯人は凪斗ちゃん以外、もう考えらんないっす!」

罪木「うゆぅ……」

ソニア「皆さん、一度静まりなさーい! 今は罪木さんが話す時です!」

左右田「おいコラァ! ソニアさんがこう言ってんだから、お前ら黙って話をきけやぁ!!」

十神「調子のいい奴だ……」

罪木「あの……おかしくないですか?」

終里「おかしいって何がだよ?」

罪木「い、いくら狛枝さんでも……ふゆぅ、どうしようもない証拠が1つあると思うんですけど……」

西園寺「モノクマファイルって事?」

罪木「はい! そ、そうなんです!」

西園寺「わたしに言わせんな!! 自分で言った方が絶対早かったでしょ!!」

罪木「ひぃっ!? お、怒らないでくださいぃ!」

左右田「それでよぉ、そのモノクマファイルに何が書かれてるっていうんだ?」

日向「……モノクマファイル……殺人の基本情報、と言う言い方はあれかもしれないが、それが書かれてるファイルっていう認識で間違いないはずだ……」

終里「何の話してんだよ!? わけわかんねぇぞ! オレにも分かるように説明してくれ!」

……え? モノクマファイルに、書いてあってもおかしくないような、書かれてないこと……って?

―05:閃きアナグラム―

   ???


モノクマファイルに書かれてなかったのもの……もう一度、モノクマファイルをよく見てみよう

『被害者は弐大猫丸。【超高校級のマネージャー】死亡推定時刻は午後11時40分ごろ。腹部にナイフが突き刺さっている。 』

腹部にナイフ……それ以外に外傷はなかった……死亡推定時刻も、しっかり書いてある。

……あれ? もしかして……

   しいん

……こういうこと?

西園寺「そっか……死因が書いてないんだ」

田中「私印……だと?」

十神「俺の想像が正しければ、おそらくそれは漢字が違うぞ」

九頭龍「それがどうしたんだよ? 死因なんて、あの時のナイフで決まりじゃねぇか」

七海「それが、そうでもないんだよ……もしナイフが刺さって死んだくらい明らかな事だったら、モノクマが書いてもよかったんじゃないの?」

モノクマ「さらにドキィッ!?」

モノミ「本当にそうなんでちゅか!? 侮れまちぇんね、モノクマ……」

終里「んで? 本当の死因ってのは何だったんだよ?」

罪木「え、ええと、私が検死……してみたんですけどぉ」

田中「犬歯……だと!?」

十神「多分それも漢字が違うな」

罪木「その検死で……分かった事があって……に、弐大さんは……刺されて死んだわけじゃ、ないんじゃないかなーって、思ったんですけどぉ……たぶん」

西園寺「多分?」

罪木「ぜ、絶対です! 100%私の生涯にかけて!!」

辺古山「なるほど、そこまで罪木が言うということは、よほど自信があるようだな。単純に考えれば、腹部にナイフが刺さっても、たった2分程度で死ぬようなことはないはずだからな……」

澪田「ふーん、じゃあ、凪斗ちゃんは犯人じゃなかったんすか?」

狛枝「…………」

小泉「黙ってないで、答えなさいよ!!」

狛枝「あ、喋っていいの? いやぁ、黙れっていったり、答えろっていったり、小泉さんは勝手だね。うん、勝手だ」

小泉「な、なんで二回も言ったのよ!」

左右田「大事なことだからだろ?」

狛枝「まあそれはそれでいいとして……それにしても、すごいね罪木さん。【超高校級の保険委員】ならではの、見事な切り返しっぷりだよ……あっぱれだね! それでこそ希望の象徴だ!」

西園寺「だからそれキモイってー……」

九頭龍「それより、まだ隠してる事があるんだったら、さっさとゲロッて楽になっちまった方がいいと思うぜ? でないと……どうなるか分からねぇからな?」

狛枝「罪木さんの才能に敬意を示して、ちょっとだけ白状しちゃおうかな?」

狛枝「実はねぇ……どうやらボクよりも先に殺人を計画していた人物がいたみたいだよ?」

花村「え……? そ、それって誰の事?」

狛枝「さあ、そこまではボクも言えないなぁ。あの人も相当な覚悟があってやった事だろうしね」

澪田「言う気はないって事っすか」

狛枝「ふふっ、そうなるかもね。ただ、ボクは見たんだよ。ナイフを刺される前の、弐大クンの状態さ」

終里「どうなってたって言うんだよ?」

狛枝「それはね……?」








狛枝「教えてあげないよ?」 ジャンッ

十神「その雰囲気……なぜだか懐かしいな……いや、そんなことを言っている場合ではない、なぜ教えないんだ!?」

狛枝「きまってるでしょ? まだ君達の希望を見たいからだよ」

左右田「まだそんなふざけた事言ってんのかよ……おいっ!!」

狛枝「悔しかったら、停電の間に何が起こってたかを知るんだね」

小泉「そんな事、できるわけないでしょ!?」

ソニア「そ、それじゃあここで……終わり、という事ですか?」

……終わり? ……死ぬの? わたしが?

狛枝「まあ、ボクに投票してみたらいいんじゃないかな? ふふっ」

九頭龍「ふざけんな!! 何笑ってやがる!!」

狛枝「だから、停電中の状態が少しでもわかるようなら、もう少しヒントを上げるよ。この程度の希望に道を譲るわけにはいかないからね」

澪田「いい加減にするっすよ!! 白状するっす!!」

狛枝「暗闇の中の真相は見えない……いくら考えても、真相は闇の中……」

狛枝「うん、ボクなんかにしてはうまいたとえを……「できるかもしれない」









狛枝「…………」

狛枝「何か言った?」







日向「聞こえなかったか? ……できるかもしれないって言ったんだよ」

日向「そうだろ? 西園寺」

西園寺「え? わたしなの?」

日向「ほら、俺達は知ってる……停電で何が起こったかまではわからずとも、停電中……どんなことがあったかなんとなく」

小泉「な、何を使ったっていうのよ……!?」

……おにぃが、なんでわたしにそう言ってくるのかは分からないけど……でも……それってつまり、わたしにもわかること……なんだよね?

……誰か、他にわかる人はいなかったかな?

―06:人物リローディング―

コマエダナギト
暗闇の中での出来事なんて……
本当に君達にわかるの?

ヒナタハジメ
見くびらないでほしいな。
暗闇では見ることはできないけど……
[他にできることがある]んだよ

サイオンイジヒヨコ
(わたしとおにぃが知ってて、誰か分かる人……)

タナカガンダム
ま、まさか……[邪眼の力]か!?

オワリアカネ
じゃあお前は見えてんのかよ?

ソウダカズイチ
見えてたとしたら[田中が犯人]なのか?

ソニア
それはあり得ません!

ソウダカズイチ
な、なんで!?

サイオンジヒヨコ
(どうやったらわかるんだろう……? 停電中は何も見えないし……ん? なにも見えない?)

クズリュウフユヒコ
むしろそうやって、怪しんでるやつだったりしてな……?

ソウダカズイチ
そ、そんなワケねーだろ!?

ソニア
あり得るかもしれないですね

ソウダカズイチ
な、なんで……!?

サイオンジヒヨコ
(そっか。見えなくてもいいんだよ。アイツの才能を使えば、見えるとか見えないとか、そんなんどうだっていいんだよ……)

タナカガンダム
完全勝利だ……

ミオダイブキ
ついに心の声が漏れた!?

サイオンジヒヨコ
(今しゃべった……お前だ!!)

西園寺「はい、ここでわたしは、つのドリルちゃんにお願いしたいと思いまーす」

澪田「あはははっ! つのドリルって!! このメンバーの中で誰がそれに当てはまるって言うんっすか!?」

七海「……」

日向「……」

十神「……」

澪田「……え? い、唯吹っすか!?」

西園寺「だってわたし、おにぃと一緒につのドリルちゃんの話を聞いたよ? 停電の内容をね」

終里「ええ!? じゃあ、澪田には暗闇の中でも目が見えてたって事かよ!?」

田中「まさか、アイツにも邪眼の……」

辺古山「そうではないだろう……」

西園寺「もー、どいつもこいつもバカばっか! 別にみる必要なんてないんだよ! 聞ければいいんだから!」

狛枝「へぇ……!」

西園寺「一応言っとくね。はい、停電の内容はこんな感じだよ」

――――――

>>234

――――――

花村「なるほど。でも、結局左右田くんはブレーカーにたどりつくことはできず、モノクマが何とかしたって事だよね?」

日向「これで内容把握はできたはずだ……おい、狛枝。教えてくれよ」

澪田「まさか、唯吹のいらない能力が、こんなところで役に立つなんて……!」

小泉「自分で役に立たないとか、言っちゃうんだね……」

狛枝「……はぁ、君達は本当に素晴らしいね……うん。それでこそ希望だよ……!」

狛枝「それじゃあ、澪田さんの才能に敬意をしめして、もう少し白状する……前にさ」

西園寺「まだ何か欲しがるの? そろそろ終里おねぇの拳が飛ぶよ?」

狛枝「罪木さん、どうして君は、死因が書かれてないことまでわかって、本当の死因がつかめなかったの?」

罪木「そ、それは……そのぉ……ご、ごめんなさい」

狛枝「いや、謝るんじゃなくてさ、理由を聞かせてほしいんだよね……」

罪木「え、えっと……怒らないでくださいね? 傷はあの1つだけ……残された可能性は色々とあるんですけど……うゆぅ……死斑も出ていないし、いったい弐大さんに何が起こったのか、明確な根拠って言うのが……なくてぇ」

狛枝「それで黙ってたんだ、うん、十分だよ。ありがとう」

狛枝「それと、澪田さんの今の能力のおかげで……皆、弐大クンがいったい何をしたのかは、分かったんじゃないかな?」

十神「なんだと?」

七海「……停電の状態を、もう一度振り返ってみればわかる……かもしれないね」

日向「それじゃあ、もう一度振り返ってみよう」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

小泉「うわっ、停電だよ!」

日向「さっきまで明るかったんだけどな……?」

澪田「真っ暗っすよー! もうお先真っ暗だよー!!」

終里「なんだなんだ? 飯食いづれぇから電気つけろっての!」

西園寺「わーん! 足踏まないでよ!!」

弐大「ぐっ……うぼぁ……っ!!」

十神「くそっ、鍵が見えない……ダメだ……!!」

ソニア「これって、ブレーカーが落ちたんじゃないでしょうか?」

左右田「ちょ、ちょっと待ってろ……おれが壁伝いに、何とかしてくるから……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

花村「弐大くんが……何か苦しんでいる?」

十神「この瞬間に狛枝が刺した、という事か?」

日向「いや、それだったら、たぶんここまで狛枝はもったいぶらなかっただろう……もっと別の理由があるかもしれないな」

ソニア「別の理由?」

日向「それは……狛枝に聞かなきゃわかんないけど……」

狛枝「あのね……弐大クンは、ボクの目の前で……」






狛枝「血を吐いて倒れたんだ……」







学 級 裁 判

  中 断





続きは今日来れそうなら今日します





学 級 裁 判

  再 開



モノミ「あちしはモノミ、今すごくドキドキしてるでちゅ」

モノミ「楽しいはずのパーティーで、突然弐大くんが殺されて、学級裁判なんてものが開かれてしまって……」

モノミ「うぅ、どうしてこんなことに……」

モノミ「でも、あちしは皆を信じてまちゅ。だから、あちしは……」

モノミ「こうして皆の事を見守ってるでちゅよ! 宙づりだけどね!」

西園寺「弐大おにぃが……血を吐いた?」

狛枝「その時点で死んでると判断したけれど、一応ナイフは刺しておいたんだ。その後、返り血のついてしまったテーブルクロスを、ぶつからないようにテーブルの下に隠してね」

七海「本当にそれだけ?」

狛枝「うん、ボクが見たのはそれだけだよ」

狛枝「でもおかしいよね……? どうして弐大クンは、突然血を吐いて倒れたのかな?」

九頭龍「もしかして、毒が仕込まれてたんじゃねぇのか?」

花村「ど、毒……!?」

澪田「で、でもでも、毒なんてあったっすか? 唯吹、見た事ないっすよ?」

西園寺「んー……つのドリルちゃんは、可哀想なくらいバカなんだねー」

澪田「ぶっちゃけ認めざるを得ねぇっす」

左右田「認めちゃうのかよ!!」

毒は確かにあったよ。日向おにぃが行って見つけてくれたもん

西園寺「ロケットパンチマーケットにね? あったんだよねー?」

日向「ああ、そうだな。毒薬が2種類……まるで見つけてくださいとでもいうかのように置いてあった」

ソニア「赤のビンと青のビン……どちらかが減っているとかで、使用されたのを見分けることはできないですかね?」

日向「残念ながら、それは無理なんだ。赤も青も、ほとんど同じ量だった。多分、捜査をかく乱させるために、どっちかを捨てた奴がいるんだろうな」

小泉「大方それが誰なのか、想像はつくけどね……」

狛枝「まあ、そういうことだよね!」

十神「どこまでも侮れんやつだ……」

田中「つまり、毒薬は暗黒に潜んでいたが、狛枝が外の世界に開放した……と。それも、いくつかの障害を交えながら……そういうことだな?」

左右田「どういうことだよ!!」

辺古山「とりあえず、狛枝が毒に対して何か細工をしたのはわかった……しかし、どうやってその毒は使用するのだ?」

狛枝「そう言われると思って、2つの毒薬についてまとめてみたよ」

・赤の毒薬
液体
服用後数分で死に至る
食事に混ぜるも、直接飲むも良し。

・青の毒薬
液体
服用後3時間で死に至る
食事に混ぜるも、直接飲むも良し。

七海「なるほど、違いは時間だけだね?」

九頭龍「それでよぉ……どっちの毒薬を誰が使ったんだって話だろ?」

狛枝「そうだね……」

終里「おい……オレにはさっぱりわかんねぇことがまだあるぞ……」

花村「え? わかんない事って?」

終里「なんで狛枝は……弐大を刺す必要があったんだ?」

狛枝「…………」

澪田「まーたそこで黙っちゃうんすか」

芸のない男……まあ、なんとなく理由は分かったけどね

西園寺「もー、そのだんまり戦法も使いすぎると飽きちゃうよー? 狛枝が弐大を刺したのは、罪木が狙いでしょ?」

狛枝「……ん?」

西園寺「だからさー、自信のない罪木だから、ちょっとでも血で死斑が見えなかったら、多分裁判で検死の事を言わないんじゃないかって思ってたってわけでしょ?」

狛枝「アハッ、またまたその通りだね西園寺さん。見た目は子供、頭脳は大人って事かな?」

西園寺「見た目も頭脳も大人だっての」

狛枝「じゃあ、使う言葉が子供なのかな?」

西園寺「全部大人だよ!! 終里がぶっ飛ばすぞ!!」

終里「指の12,3本で許してやるよ!!」

澪田「罰が重い!」

小泉「でも、蜜柑ちゃんはスレスレの所で、狛枝が犯人じゃないのかもって止めてくれた……アンタが思ってた以上に、蜜柑ちゃんは強かったのね」

罪木「え、えへへ……何だかうれしいなぁ」

西園寺「結局狛枝からヒントをもらわなきゃいけなかったんだけどね!」

罪木「グスン……」

田中「感情がコロコロと変わる女だな……」

九頭龍「んで? 結局どっちの毒薬が使われたんだ? そんで、それを使ったのは誰なんだよ?」

狛枝「さあね。それを考えるのが、君達でしょ?」

左右田「何だよここで投げ出すのかよ!!」

普通に寝落ちしちゃってました。今から再開

七海「うーん、困ったね。ここからは狛枝チャンスは使えないみたいだよ?」

十神「ならば俺達だけで真相にたどり着くほかあるまい。誰か何かないか? 毒薬がどちらに使われていたかを確かめる方法……」

花村「うーん……そう言われると悩んじゃうね……リトマス紙とかじゃだめなのかな?」

罪木「毒がどこに入ってたのかもわからないのに、どっちの毒が使われてたかを確かめるなんて、無理ですよォ……」

左右田「なぁ……お前らマジか?」

ソニア「マジ……とは?」

左右田「それってよぉ、狛枝の言ってたことを信じることになるんだろ? 吐血してたとか、それすらも嘘かもしれねぇじゃねぇかよ……」

辺古山「言われてみれば、確かにそうだな。もしかしたらそれこそ、狛枝が犯人であることから遠ざけるための罠なのかもしれない」

左右田「だろ? だったら、狛枝の言ってることへの信頼はほとんどゼロってわけだ」

狛枝「ゼロだなんて不運だなぁ……まあ、仕方ないか」

小泉「……でも、それが嘘だって言える根拠もないんじゃないの?」

左右田「さあどうだかな……? オレのスペシャルな推理、披露するぜ! ソニアさん、見ててくださいね!」

ソニア「すぅ……すぅ……」

左右田「寝てるー!?」

―07.ノンストップ議論―

ソウダカズイチ
狛枝の言ってたことは嘘だ!!

ナナミチアキ
そう言える根拠はあるの?

ソウダカズイチ
だってよぉ、ナイフを刺したのは狛枝だろ?
だったら狛枝が犯人だろうがよ!!

サイオンジヒヨコ
(はっ、安直なヤツ。だったらあれはなんなのさ……)

ペコヤマペコ
となると、死因は刺殺という事か?

ソウダカズイチ
そうだ! 【吐血もしてねぇ】!!
どうだ!? この完璧な推理!!

サイオンジヒヨコ
左右田おにぃ! 残念!

ソウダカズイチ
な、何が残念なんだよ!?

ソニア
すぅ……すぅ……

西園寺「はぁ……何か可哀想になってきたよ。馬と鹿って書いて、ばかって読むんだよ?」

左右田「あ?」

西園寺「馬と鹿に謝ってほしいよねぇ……」

左右田「え? な、ナニ!?」

西園寺「停電から復旧した時、わたしとおにぃとつのドリルちゃんの服の下の方には、点々と血がついてたの!」

左右田「そ、それがどうしたんだよ!?」

田中「そうか、そういうことだったのか……!」

日向「まだわからないのか? 左右田。小泉の書いてくれた立ち位置(>>240)を思い出してみろ」

七海「弐大くんの死体の位置に、この3人は明らかに近いよね……? という事は、弐大くんがもし吐血を、しかも狛枝くんのナイフを喰らう前なんだから……立っている状態で血を吐いた場合、どうなるのかな?」

花村「そしたら、いろいろな所に飛び散るよね? 油が跳ねるのとおんなじみたいに……ああっ!?」

日向「そう。つまりこの俺達の所についた血は……弐大が立った状態で吐血をした証になるんだよ」

左右田「ぐぬぬぬ、そ、そんなの分かんねぇぞ!? もしかしたら狛枝が何か細工したのかもしれねぇじゃねぇかよ!!」

西園寺「さすがにそこまでは狛枝の工作も及ばないとは思うけど……そんな苦し紛れの言い訳するくらいなら、わたしが止めを刺したげるよ。近くの床にさ? 血だまりができてたの覚えてる?」

田中「最初の議論の方で出てきたものだな……それがあるからこそ、移動はされていないと俺達は結論を下したが……」

ソニア「……はっ」

西園寺「アレがもし、お腹からの血じゃなくて、口からの血だとしたら?」

左右田「……た、確かに合点が行くな……」

七海「実際に、弐大くんの口元に血痕を見ることができたけど……さすがに狛枝くんも、こんなことしない……よね?」

狛枝「十分ボクの証言の確認はできた? それじゃあ、次のステップだね。さっきから九頭龍クンが気にしてることだ」

十神「どちらの毒が使われ、誰がそれを使ったのか……だな?」

辺古山「だが、そんな物……ここから手掛かりのない状態でわかるのか?」

小泉「う~ん、あたしではちょっと無理……かな?」

罪木「わ、私も、役に立てなくて申し訳ありません……」

日向「……それなら、視点を変えてみよう」

花村「視点を変える? どこに視点を持っていくの?」

日向「毒薬のどっちを使ったかは一旦おいておいて、共通してる点から考えられるところに目を向けるんだ」

十神「なるほど……液体であり、食事に入れるのも、直接飲むのも良い、という点だな?」

澪田「それで、考えられるところって?」

日向「毒を仕掛けたのは……どこなんだろうな?」

狛枝「へぇ、それが分かったら犯人は絞れるの?」

西園寺「絞れるかなんてどーでもいいよ! とにかくやれることができたならやるしかないでしょ!」

―08:ノンストップ議論―heat up―

ヒナタハジメ
どこに毒が混ざってたのか……
皆で一緒に考えよう

ソニア
怪しい所はないですかね?

サイオンジヒヨコ
(そんなのあったらとっくに言ってるよ)

ペコヤマペコ
ソニア……復活したのか

トガミビャクヤ
毒が混ざっていた場所……か

クズリュウフユヒコ
やっぱ【料理の中に仕込んでた】んじゃねぇか?

サイオンジヒヨコ
(……それはないと思うけど、根拠は……どうだったっけ?)

ミオダイブキ
男らしく【直接飲んだ】んっすよ!!

コイズミマヒル
それじゃあ弐大は……[自殺]なの?

サイオンジヒヨコ
(バカだなぁ……死ぬ理由が見つからないでしょ?)

ナナミチアキ
ひょっとすると、料理でもなんでもない
【別の物】かもよ?

サイオンジヒヨコ
ねぇねぇ九頭龍?

クズリュウフユヒコ
あ? なんだよ? 料理の中に仕込んでたって、何もおかしくねぇだろ?

西園寺「本当救えなーい……それ本気で言ってんの?」

九頭龍「あ? なんだと?」

西園寺「パーティーの料理に毒を仕込んでたら、大量虐殺が起きちゃうでしょうが! 脳みそ腐ってんじゃないの!?」

九頭龍「なんで大量虐殺が起きるんだよ!?」

西園寺「だってパーティーの料理は、弐大おにぃ以外にも、終里、辺古山おねぇ、豚足ちゃんが口にしてるんだよ? それならその4人全員が死んでなきゃおかしいでしょ?」

終里「オレはピンピンしてっぞ!」

九頭龍「チッ……そういう事かよ……」

辺古山「九頭龍はそもそもパーティーに参加をしていなかったのだ。勘違いしても無理はない」

花村「それに、料理に毒を混ぜてたとしたら、このぼくが許さないしね。次の朝まで返してあげないところだったよ……」

日向「……!? さ、寒気が……」

田中「沈まれ、俺の体……!!」

狛枝「……それで?」

西園寺「それでって?」

狛枝「結局これ以上、毒薬の事について調べることも出来ないんじゃないのかな?」

……確かに、これ以上はどうしようもない、かもね……じゃあ、手詰まりって事?

狛枝「うーん、困ったねぇ。このままじゃ、この事件は解決できない……って事かな?」

小泉「じゃ、じゃああたし達……ここで終わりって事!?」

罪木「い、嫌ですぅ! 終わりなんて嫌ですよォ!」










日向「終わりになんて……」

七海「させないよ?」






狛枝「……?」

日向「じゃあ、逆算してみよう。死亡推定時刻は出てるんだ」

七海「11時40分……だよね?」

日向「そこで考えてみよう。もし赤の毒薬を使った場合、毒薬は少なくとも10分より前に飲まなきゃいけなくなる……」

七海「つまり、11時30分までには飲まなきゃいけないんだね」

澪田「な、なんすか急に……!?」

左右田「2人の意気がピッタリ合いすぎてねぇか……?」

日向「そこで、青の毒薬を使ったとする。3時間なんだから……逆算したらどうなる?」

ソニア「午後8時40分ごろに……毒を飲んだことになりますよね?」

西園寺「パーティーの始まる時間は午後7時だったし、それってパーティーまっただなかじゃん……」

七海「さっきも言った通り、パーティー中に外に出た人はいないから、誰かがパーティー中に、どこかに毒を入れたことになるね」

花村「しかもそれを10分くらい前か、3時間くらい前かに飲ませたって事……だよね?」

……あー、頭こんがらがってきたかも……でも、もうちょっとでわかりそうな気がするんだよねぇ……。

西園寺「ねぇねぇ、一回整理する時間、貰ってもいいかな? いいよね?」

罪木「え、ど、どどどどういう……?」

西園寺「整理させろっつってんだよ!!」

罪木「ひぃいいいい!?」

小泉「も、もう日寄子ちゃん? あんまり蜜柑ちゃんに冷たくしないの」

ちぇ、おねぇはそうやってすぐアイツの肩を持つんだから……まあ、いいや。時間はもらえたって事にしよっと。

えーっと……どっちの毒で、誰が使ったかっていう事でしょー? その前に、色々な可能性を潰したほうがいいかもね……。

―09:花札チョイス―

Q1.11時40分の数分前はどういう状況だった?

赤.停電中 青.帯電中 黄.充電中


Q2.毒薬が仕込まれていた場所は?

赤.パーティーの料理 青.パーティーの液体 黄.毒は使われていない
           ↑

Q3.使われていた毒薬は?

赤.赤の毒薬 青.青の毒薬 黄.毒を混ぜ合わせたもの
      ↑

うん、さっすがわたしだね!

西園寺「まず、数分前って停電のちょっと前でしょ? そのタイミングで毒薬をしかけるのは無理だから……青の毒薬、つまり3時間前に毒が飲まされたって考えるのが普通じゃん……?」

辺古山「確かにそうだな」

西園寺「そうなると、どこに毒を仕掛けたかって話だけど……料理じゃなくて、液体だったとかは?」

十神「液体……だと?」

西園寺「そう、例えば……コップの中に毒薬を仕込ませとくとか……」










西園寺「……!?」

田中「……どうした、西園寺? 震えているぞ?」

西園寺「え……嘘? さすがにそれは……ないでしょ?」

だって、だってだって、コップの中に毒薬って……液体の中に毒が入ってたって……それって、パーティーのあの時……

狛枝「どうやら気づいちゃったみたいだね。犯人の正体に」

左右田「犯人の……正体!?」

花村「そ、それって……誰の事?」

西園寺「…………」

西園寺「ねぇ……豚足ちゃん?」

十神「俺……だと?」

西園寺「ねぇ、豚足ちゃん……?」

十神「俺……だと?」

澪田「え? びゃ、白夜ちゃんが?」

左右田「おい西園寺!! 適当言うのもいい加減にしろよ!!」

ソニア「そ、そうです! 十神さんは人を殺すどころか、むしろ皆のリーダーとして……この殺人を止めるために、あんなパーティー開いて……」

西園寺「それを逆手にとった……って考えることも出来るんじゃないの?」

ソニア「なっ……!?」

狛枝「なるほどねぇ……それが西園寺さんの希望、ってわけだ」

日向「なあ西園寺。どうして十神になったのか、理由を聞かせてもらっていいか?」

西園寺「えー? だって……弐大おにぃが誰かに毒を飲まされたんだとしたら……わたしの推論が正しければだけどね?」

(弐大「くぅ……」

日向「? 弐大? 大丈夫か?」

弐大「す、少し腹が痛くてな……クソがしたいんじゃが」

西園寺「ちょっ、食事中にそういう事言うなっての……!」

十神「腹の調子が悪いなら胃薬でも飲め。俺のを分けてやる。ちょうどあそこのコップに水があるしな。それを使うといい」

弐大「か、かたじけない……」 )

西園寺「そう言って、弐大おにぃは水を飲んだんだもん……それも、パーティーの最中にね」

九頭龍「な、なら十神は……最初からそれを狙ってパーティーを開いたってコトかよ!?」

十神「いや、違うぞ……? お、お前たちは誰かに騙されている……!!」

罪木「だ、誰かって誰ですか?」

十神「そ、それは……わからんが……」

七海「…………」

七海「……………………ねぇ、モノクマ?」

モノクマ「はいはい、どうしたんですか?」

七海「もし……もしもだよ?」

七海「犯人に殺意がなかった場合……それは犯人って言えるの?」

田中「き、貴様……何を言っている!?」

モノクマ「うーん、弱ったなぁ……そう言われると困っちゃうんだけど、実際そうなんだよねぇ。たとえば、殺人を緻密に計画して、あとはスイッチを押したら相手が死ぬ、みたいな状態になった時、その計画した人をA子だとしようか」

罪木「え、A子……」

モノクマ「そして、その計画したA子じゃなく、F男がスイッチを押した場合……」

澪田「な、なんで一気に飛んだんすか!?」

モノクマ「犯人はスイッチを押して人を殺したF男って事になるよねー!」

終里「おい……全然ワケ分かんねぇぞ……もっとオレにも分かるように説明してくれよ!!」

モノクマ「そういわれても、今のが裁定基準だよ? どうにも変える事のできない、ボクのルールだよ?」

モノミ「修学旅行のルールは絶対……これはミナサンはもちろん、あちしやモノクマにも言える事でちゅ。だから、モノクマのルールは、悔しいけど絶対という事に……」

辺古山「つまり……どういうことだ?」

愚民め……!

西園寺「…………」

十神「西園寺……俺が弐大を殺したという事にしたいみたいだな……?」

西園寺「うん、そうだよ? だって、そうとしか考えらんないじゃん」

十神「だが、こう考えるのはどうだ? 先ほどのモノクマの説明……吐血した弐大に対して、ナイフが刺さったのなら、死因はナイフが刺さったことになってもおかしくはない……」

……やめてよ

十神「それならば気付かずに俺が毒を飲ませたのかもしれないが、死因が刺殺だった場合は、やはり狛枝が犯人なんだろう……そうは思わないか?」

やめてってば

十神「なぜ何も答えてくれない? 俺の言葉が虚言とでも言うつもりか? 俺は……俺は……」

十神「俺は嘘をついているとでも言うつもりか!?」

―10:反論ショーダウン―

トガミビャクヤ
もしも……
         奴の
   死因が
           毒殺でないなら……

もしも……
        弐大が
    刺殺だったなら……

あの時の毒は、まったく
   【関係ないもののはず】だ!!

発展!!

サイオンジヒヨコ

 も
  う
   や
    め
     よ
      う
       よ

確かに豚足ちゃんは毒を仕込んでないかもしれない……

でも
 さっきの
   モノクマのルールは……

           アンタは
     嵌められたんだよ!


トガミビャクヤ

黙れ!!

 黙れ  黙れ  黙れ
   黙れ  黙れ
 黙れ  黙れ  黙れ

      黙
     れ
      !
     !

毒を仕込んだのが[誰かわからない]状態で……

俺を犯人にするのはお門違いだと言っているんだ!!

【弐大の死因は刺殺だったんだ】よ!!

西園寺「ねぇ、豚足ちゃん……もうやめてよ」

十神「なっ……!?」

西園寺「その話、とっくの昔に終わったでしょ? だったらなんでアイツはそのことを隠そうとしたのさって……」

日向「捜査をかく乱させるため……としか思えないよな……」

西園寺「じゃあ、さらにもう一回、アイツに話を聞いてみようか?」

罪木「う、うぅ……」

西園寺「オラ! お前だ罪木!!」

罪木「ひゃうぅ!?」

西園寺「アンタは裁判中に言ったよね?? これの死因がおかしいって。アンタが止めたから、狛枝は犯人じゃないかもって流れになったよね?」

罪木「ええ!? で、でも私は毒を仕掛けたわけじゃ……」

西園寺「ちげーよ!! アンタの言ってたことを確認したいの!!」

――――――――――――
罪木「え、ええと、私が検死……してみたんですけどぉ」

田中「犬歯……だと!?」

十神「多分それも漢字が違うな」

罪木「その検死で……分かった事があって……に、弐大さんは……刺されて死んだわけじゃ、ないんじゃないかなーって、思ったんですけどぉ……たぶん」

西園寺「多分?」

罪木「ぜ、絶対です! 100%私の生涯にかけて!!」
――――――――――――

西園寺「アンタの100%の生涯って、この程度で終わるもんじゃないでしょ?」

罪木「ひっ……!? は、はいっ!!」

西園寺「だからこそ毒殺で決まりってなったのに、今更それを捻じ曲げようなんて……苦しすぎるって事よ」

十神「ぐ……ぬぬっ!」

狛枝「……あーあ、なんかがっかりだなぁ」

花村「……は?」

狛枝「そもそも、その程度の事で解決するくらいなら、わざわざボクが刺して事件を複雑にさせる必要もなかったんだよ」

左右田「狛枝……やっぱテメェが毒を仕込んだのか……!?」

狛枝「それは違うよ。毒を仕掛けてたのはボクじゃない。言ったじゃないか、ボクよりも先に殺人を起こしたかった人がいるって」

西園寺「ねぇ、皆納得した? 豚足ちゃんが……犯人って事になるんだけど……?」

十神「……ぐ、ぐぬぬ……」

小泉「で、でも……アイツに罪の意識はないのかもしれないけど……」

七海「それでも、投票しなきゃいけない……十神くん以外に怪しい人、例えば毒を仕掛けた人だったり、ナイフで刺した狛枝くんも、直接人を殺したって事にはならないよね?」

花村「直接殺した人は、毒を飲むように勧めた、またはそれを飲ませた人……って事だよね?」

九頭龍「クソが……最初から狛枝なんて無視しててもよかったんじゃねぇか!!」

ソニア「そんな……いや、嫌ですよ……」

澪田「い、唯吹も、まだ納得しきれてねぇっすよ……」

田中「だが、時の制限ももう一刻を争うだろう……」

左右田「なぁ……十神……せめて認めちゃあくれねぇのか!?」

十神「……………………ぐっ」

左右田「み、認めてさえくれれば、お前に投票できるんだ……今のお前に投票しても、気持ち悪いもんが残ってんだよ……」

花村「そうだよ! お願いだから、自分がやったって言ってよ!」

辺古山「……それは、悔しいが無理なことなんじゃないのか?」

十神「…………ボ……クは……」

十神「……うっ……うぐぐぐっ……」









十神「うわあああああああああああああああああああ!!」

西園寺「な、何……?」










十神「おかしいと思わないのか!? そもそもそれは、西園寺がボ……お、俺が弐大に水を勧めているのを見ただけだ!!」

小泉「確かに……今の段階ではそうだけどさ……」

十神「でも、それは西園寺の見間違いなんじゃないのか!?」

え……?

左右田「だ、だとしたら、西園寺がねつ造した罠……って事か!?」

西園寺「え? 嘘? ここでわたしが疑われちゃうの?」

狛枝「ふふっ、どうやら大詰めみたいだね……さあ、西園寺さん。哀れな絶望にとどめを刺してあげなよ」

西園寺「な、なんで……わたしが?」

狛枝「言ったでしょ? 君が大事になってくる気がするって」

た、確かに……言われたような気はする……けど。

十神「何だよ!? 俺が何をしたって言うんだ!! そんな水を勧めたワケないだろ!?」

十神「他に目撃者がいたとしても、西園寺が手を組んでるだけかもしれないんだからな!!」

……見てて、つらいよ……豚足ちゃんも分かってるはずなのに……

自分が人を殺しちゃったって、分かってるんでしょ? だから……

アンタはそんなに、震えてるんでしょ?

西園寺「へぇ……そこまで豚足ちゃんが言うなら、決定的な証拠、突きつけてあげてもいいけど?」

十神「決定的な……証拠? そんなの……あるはずがないんだ!!」

いや、絶対にある……パーティー中に豚足ちゃんが利用した、あるものが……!!

―11:STR(スペシャルトークラッシュ)―

うわあああああああああ!! 1.神 ボクじゃない!!
違う違う違う違う!! 黙れ!! 愚民が!!
2.薬 俺の名は十神白夜だ!! リーダー命令だ!!!
俺が導いてやる!! 俺じゃないと言っているんだ!
 3.の リーダーのいう事が聞けないのか? 4,が
俺じゃないと言っているんだ!! 違う違う違う違う!!
ボクじゃない!! 俺じゃないと言っているんだ!! 5.胃
俺の名は十神白夜だ!! 6.十 ねぇ教えてよ、ボクは誰なの!?

【俺が弐大に水を飲ませたというのは、西園寺の思い違いだ!!】

61352

十神の胃薬

これで証明してあげる!

西園寺「ねぇ……じゃあもう一回、あの時弐大おにぃに水を飲ませたと思えるところを振り返るよ?」

十神「聞き間違いだ……思い違いだ……!!」

(弐大「くぅ……」

日向「? 弐大? 大丈夫か?」

弐大「す、少し腹が痛くてな……クソがしたいんじゃが」

西園寺「ちょっ、食事中にそういう事言うなっての……!」

十神「腹の調子が悪いなら“胃薬”でも飲め。“俺の”を分けてやる。ちょうどあそこのコップに水があるしな。それを使うといい」

弐大「か、かたじけない……」 )

西園寺「もしもわたしの聞いたコレが本当なら……豚足ちゃんの胃薬が1つ減ってるはずなんだよねぇ……」

十神「くっ……!!」

左右田「お、おいモノクマ!! モノミでもいい!! 十神の持ってたジュラルミンケース……あの中に入ってる胃薬を持ってこい!! それで……そこから1つ減ってたら……」

モノクマ「はーい、そういう流れになると思って、持ってきましたよー!」

モノクマ「じゃじゃーん、こちらが、十神クンがパーティー会場に持って行った、“皆を助けるはずの胃薬”でーす!」

七海「あー、なるほど。1つ欠けてるね……」

日向「これは……もうそうとしか思えないよな?」

辺古山「誰かほかに、弐大から胃薬を受け取った奴はいるのか?」

花村「そ、そんなの、他にいるとしたら狛枝くんしか……」

狛枝「ボク? まあ、受け取ってないよね……受け取ってないからこそ、色々な仕掛けを使えたんだからさ」

田中「という事は……」

十神「……………………」

西園寺「負けを認めちゃえよ。その方が楽になれるって」

十神「……………………」

澪田「ど、どうなんすか、白夜ちゃん?」

十神「……………………そ」

十神「そんなはず……ないんだ」

ソニア「そ、そんな……こんなのってあんまりですよ!」

西園寺「もういいでしょ? 見苦しいって……いい加減さ」

西園寺「じゃあもう皆にゆだねるしかないよね? 最後にわたしが、事件を最初から振り返ってあげるよ。それで納得いかない個所がなかったら……犯人……は、豚足ちゃんって事になるんだからね?」

【クライマックス再現】

Act.1
モノクマの動機に怯えていたわたし達。そんな時に、ある脅迫状が、ある人物の所に届けられたんだよ
その人物が、今回の事件の犯人になっちゃうなんて、きっと本人も思ってなかったんだろうねー

Act.2
そこで犯人は、殺人を起こさないためにパーティーを開いた。全員参加ってわけじゃなかったけど、パーティーはそれなりに盛り上がってたんだよ。
その最中に、弐大おにぃがお腹が痛いって訴えた。それを受けた犯人は、胃薬を渡し、近くにあった水を飲むように勧めたんだー、それに毒が入ってるなんて、誰も想像しないでしょ?

Act.3
そんな折りに、狛枝が仕掛けた停電システムが動いちゃった。狛枝は暗視スコープを使って、大広間の入口の近くにいた弐大をナイフで刺したの……。もっとも、弐大はその前に吐血して、死んじゃってたんだけどね。ゲロブタ罪木の検死をごまかすには、十分な功績を狛枝は残したってワケ。

つまり、この犯人は、毒を仕掛けてはいないのかもしれないけど、まんまと別の誰かに嵌められてしまった……その、犯人は……






……少しは同情するよ。十神白夜……豚足ちゃん





―complete!!―

西園寺「どう? 皆、今の推理で間違ってるって思った?」

罪木「いえ……そうは、思えませんでしたぁ……」

西園寺「……豚足ちゃん、認めてくれるよね?」

十神「…………」

十神「ああ、そうだな」

終里「……って事は……おめぇ……?」

十神「俺が弐大を殺したんだ。……コップの水に毒を仕掛けてな……」

モノクマ「ねぇねぇ、なんだか終わりみたいな流れになってるけどさ、まさかと思うけど忘れてない? 投票タイムですよ! 投票タイム!」

モノミ「ま、まさかモノクマ……本当に!? だ、だめでちゅ! それだけは絶対に許しまちぇーん!!」

モノクマ「うるさい! お兄ちゃんのいう事聞けないなら、引っ込んでろ!!」

モノミ「うぎゃああああああ! おにいちゃんのばかあああああ!!」

田中「ふざけるなああああ!!」

十神「早く投票を済ませろ……そして、よく覚えておくんだな。今から俺がされること……今から俺が受ける罰……」

十神「俺は……人柱になろう。二度とお前たちが、殺し合いをしないための……!!」

……かっこつけちゃってさ……。本当は怖いの、丸見えだし……。全身震えてるじゃん……だって、アンタ嘘ついたもんね。

……毒を仕掛けてる人間なら、指名された時、あそこまで驚きはしないはずだもん。

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰か!? その答えは、正解なのか、不正解なのか?」

モノクマ「さあ、どうなんだー?」

モノミ「うぅうううううう……なんでこんなことに……!!」

 モノクマvote


drrrrrrrrrrrrr……






トガミ トガミ トガミ

congratulation!






学 級 裁 判

  閉 廷








今日はここまでで!

ちなみに、2章は裁判変わります

さげて追加連絡。本番は3章からになりそうですね。裁判がガラッと全部変わるわけではないので……

サヨナラ

人はいるでしょうか?

>>423 
>>429
こいつら誰だ。とりあえず私はここです。酉変えますわ。今日で1章終わらせます。

モノクマ「正解! 今回毒を仕掛けられたコップに気付かず、哀れなことに水を勧めてしまった、可哀想なクロは……」

モノクマ「【超高校級の詐欺師】クンなのでしたー!!」

左右田「は? おい、今のどういうことだよ?」

十神「奴は間違ったことは言っていない……それに、俺はもう死ぬんだからな」

ソニア「そんな事……言わないでください……!!」

狛枝「ねぇ、そんなことよりさぁ……」

澪田「そ、そんなことって……ひどすぎっすよ!!」

狛枝「【超高校級の詐欺師】って、どういうこと?」

モノクマ「うぷぷぷ、そのままの意味だよ? 誰かに変装する事で成り立つ、全てのプロフィールが謎に包まれた高校生……」

モノクマ「それが、【超高校級の詐欺師】クンなんだよ!!」

詐欺師「…………そうだ。ボクは十神白夜じゃない……ボクは……誰でもないんだ」

詐欺師「誰かになることでしか、自分を形成できない……影の人間なんだ……」

花村「それとこれと……何の関係があるの? 毒を仕掛けてまで、弐大くんを殺した理由は何さ!?」

詐欺師「人を殺すことで記憶が戻るなら……もしかしたらボクが何者か分かったんじゃないかって……」

田中「信じてしまったというのか……あのモノクマの虚言を!!」

詐欺師「……キミたちには一生わかんないよ。自分が誰だかわからずに、ひたすら暗いくらいトンネルを歩いてるような気分はさ……」

辺古山「……お前は、才能に縛られていた……そういう事か」

九頭龍「けどよぉ……殺人を結果的に起こしたのはテメェだったって事は……脅迫状って言うのはなんだったんだ?」

詐欺師「アレもボクが書いたものだったんだ……」

西園寺「確かにそれがアンタの才能なのかもしれないけどさ……」

西園寺「これ以上嘘を重ねて、何がしたいの?」

詐欺師「なっ……!?」

小泉「日寄子ちゃん? 今の……どういうこと?」

西園寺「毒を仕掛けたのが豚足ちゃんなら……絶対にあんなに動揺したりすることはないでしょ?」

詐欺師「……キミは、変な所で鋭いね……でも、そういうことにさせてくれよ」

詐欺師「そうしておかないと、キミ達は毒を仕掛けた人が見つかったら……その人を恨んでしまう」

詐欺師「また、殺し合いの種ができてしまう……ボクはそれが嫌なんだ……裁判中は取り乱してごめん、西園寺さん。迷惑かけたよね……?」

西園寺「ふんっ、本当に迷惑極まりなかったね」

澪田「日寄子ちゃん……ひどすぎないっすか!?」

西園寺「でも、その結果でアンタの出したこの結論は、よかったんだと思うよ。……またコロシアイが起きないのが一番だと思うし……こういうの、わたしのキャラじゃないかもしれないけど……豚足ちゃんには……死んでほしくない」

詐欺師「……そう言ってくれてうれしいよ。キミはボクに、嘘偽りないあだ名をつけてくれた……それは、どれだけボクの中で嬉しい事だったかなんて、言わなくても分かってくれるでしょ?」

西園寺「やめて」

これ以上、死んでほしくないって、思いたくない……だから、やめて……。

モノクマ「ねぇねぇ、いいムードな所悪いんだけどさぁ」

モノクマ「そろそろオシオキの時間なんだよねー?」

詐欺師「くっ……」

終里「オシオキって……何するんだよ!?」

モノクマ「処刑だよ? 電気椅子でバリバリ! 毒ガスでもくもく! ハリケーンなんちゃらで、体がばらったりってやつだよ!!」

七海「……やっぱり、やらなくちゃいけないんだね?」

モノクマ「うぷぷぷ、当たり前でしょ!?」

モノクマ「それでは、【超高校級の詐欺師】クンこと……まあ名前はわかんないけど!」

モノクマ「今回はそんな彼のために、スペシャルなオシオキを用意しました!」

詐欺師「皆、ありがとう……」

日向「あ、そうそう、十神」

日向「お前がたぶん一番気になってることだろうから、言っておくな」

詐欺師「な、何の話だ?」

モノクマ「では、張り切っていきましょー!」

日向「コップの中に毒を仕込んだ人なんだけどさぁ」














日向「それ、俺なんだよ」














詐欺師「……え?」

モノクマ「いいっすか? やっちゃうよ? やっちゃってもいいすか?」

詐欺師「な、なんで……今言ったんだよ?」

日向「残念だったな、十神。でもお前の遺志は、俺達が受け継ぐからさ。安心して、先に地獄に行っててくれ」

…………一瞬、おにぃが何を言ってるのか、全然わかんなかった。

現実を受け止められない感覚……だって、こんな奴が……こんな何もできなさそうな平凡な奴が……毒を仕掛けた、張本人、って?

モノクマ「オシオキターイム!!」

詐欺師「ふざけるなああああああああ!! 日向ああああああああああ!!」

    GAME OVER

サギシ クンガ クロニキマリマシタ

   オシオキヲカイシシマス

……皆が、豚足ちゃんの方を見てる。

日向おにぃの言葉に驚いた人は、何人もいたけど……それより、彼の事を見ている。

今もなお、おにぃに対して、自分の怒り、悲しみ、憎しみ、苦しみ、いろいろな負の感情を叫び散らしている彼を……。

突然、首輪が飛び出した。首輪は豚足ちゃんの体をしっかりと、つかみ、そのまま、一瞬にして裁判場を飛び出していった……。

突然、モニターが映る。そこには体を痛々しく引きずられながら、ある場所に誘われる豚足ちゃんが映っていた。

たどり着いた場所は……大きな鍋のような……そんな不思議な所。



【超高校級の詐欺師】 処刑執行

―これが、偽りのないキミだ!―

鍋の中では、かなり温度が高いであろうお湯が、ブクブクと音を立てていた。

その一つ一つが、罠に嵌まった豚足ちゃんをあざ笑っては消えていくような……そんな不気味な感覚さえした。

まず、その中に思いっきり振り落される豚足ちゃん。その後、何かの機械のようなもので、全ての身ぐるみを剥がされた。

全身超高温熱湯に使っていても、豚足ちゃんはそこから出ることはできない。鎖でつながれたマジックハンドのようなものが、豚足ちゃんの体をがっちりつかんで離さないからだ。

どんどん汗が垂れる。汗どころじゃない、全身が真っ赤に染まっていく。顔の変装をしていたと思われるメイクが、ずるずると剥がれ落ちていく……。

そして、突然鎖が豚足ちゃんから外れた。助かったの……?

いや、違う。豚足ちゃんはこの熱湯から、何としてでも出ようとする。けど、そこで気付くんだ。

容器の縁には、鏡が大量についていた。その鏡は、今の……全てを失い、文字通り丸裸にされた……本当の自分が映っていた。

それをじっと見つめていた豚足ちゃんは……ゆっくりと鍋の底に沈んでいった……。

モノクマ「エクストリームゥ!!」

モノクマ「アドレナリンが、染み渡るぅ!」

澪田「あぶ、あぶあぶあぶあぶ……」

モノミ「きゃああああ!! そんな……どうしてこんなことに……!?」

左右田「十神の処刑もアレだけどよ……おい日向……今のマジか?」

日向「……え?」

左右田「だから、お前が毒を仕込んだって話だよ!!」

日向「ああ、あれか」

そう言うと、何の悪びれもなく、表情を1つも変えずに、おにぃは言った。

日向「まあ、本当の話だよな」

終里「……おい、お前……」

日向「……?」

終里「ふざけてんじゃねぇぞぉ!!」

そう言うと、終里は我を失ったかのように、おにぃにとびかかる。でも……

ドンッ!!

モノミ「きゃああああ!」

七海「も、モノミ? 大丈夫?」

間一髪のところで、アイツが終里のこうげきを防いだんだ

終里「オレは……オレはオメェを……ぶっ倒す!! 弐大のためにも……弐大のためにも……!!」

モノミ「ダメでちゅ! それはモノクマの思うつぼでちゅよ!」

モノクマ「はにゃにゃ?」

終里「うるせぇ!! そこまで言うんなら、まずはオメェからやってやんよ!!」

モノミ「それは……それは本当に弐大くんが望むことなんでちゅか!?」

終里「なっ……!?」

……え、嘘? あのウサギ……何言ってるの?

モノミ「あちしには、そうは思えまちぇん……あちしは」

モノクマ「ほいほいそこまでー。さ、モノミちゃん、帰ろ?」

モノミ「え、でもあちしは」

モノクマ「我が妹よ!」

モノミ「きょ、強制退場でちゅか!?」

終里「チッ……」

日向「どうした? 殴らないのか?」

終里「……その気も失せちまったよ……」

七海「……とりあえず、今日はもう皆帰って寝ようよ。きっと疲れただろうしさ」

田中「そう……だな」

皆が、なんとなく絶望しているのが分かった……。不器用なわたしでも、そのくらいならわかる。

罪木「うえぇ~ん……私、もう……もう……」

泣くなよこんなところで……みっともない。

小泉「大丈夫? アタシ、ついていようか?」

罪木「ぐすっ、えぐっ、ありがとうございます……」

澪田「……唯吹、猫丸ちゃんの事も、白夜ちゃんの事も、一生忘れねぇっす……だから……今は安心してお休み……」

田中「ぐぬぬ……」

ソニア「…………」

左右田「大丈夫ですか? ソニアさん、行きましょ?」

ソニア「は、はい……そうですね……わたくしが気をしっかり持たなければならないのに……」

田中「今は貴様も一人の人間だ。気にすることではない」

ソニア「……ありがとうございます」

続々と人が去っていく中で、残ったのは……わたしと、おにぃと、七海と、狛枝……。

狛枝「アハハッ……まさか日向クンが、そこまで計画を練ってたなんてね。これは……ボクが出るまでもなかったのかな?」

日向「お前には関係ない話だ」

西園寺「関係ありまくりだよ……アンタがあんなことしなかったら、きっと今頃は……弐大おにぃも普通に生きてて……」

日向「…………それじゃダメなんだよ」

西園寺「はぁ?」

日向「俺は狛枝みたいに、絶対的な希望を求めてるとかじゃない。もっともっと大きい理由があるんだ」

七海「その理由って言うのは?」

日向「……今は、言えない」

七海「そっか……でも、私は……誰も疑いたくはないから。皆をずっと信じてたい……けど、日向くんや狛枝くんのやった事は、許されていいことじゃないよ」

狛枝「そうだろうね、じゃあどうするの? ボクを殺す?」

七海「ううん、私が許さないのは、貴方たちのした“行為”」

……え? 何言ってるの?

日向「はっ……素直に嫌ってもらったほうが、まだ楽な気がするな……」

狛枝「……七海さん、キミも要注意人物って事だね……」

2人はそう言って、そろわない足並みで去って行った……。

七海「……」

西園寺「…………」

七海「ねぇ、西園寺さん」

西園寺「何?」

七海「1つ、おかしいなって思うところ、ないかな?」

西園寺「……は?」

七海「ほら、小泉さんのくれた見取り図、思い出してみてよ」

http://imgur.com/UVv33Ey.jpg

西園寺「これが……どうかしたの?」

七海「えっと……弐大くんのいた位置と、弐大くんの殺された位置って、ちょっと離れてるよね」

西園寺「だから、それがどうしたのって」

七海「停電の時の事、もう一回思い出してみて」

なんで……思い出したくなんかないのに……

―――――――――――――――

小泉「うわっ、停電だよ!」

日向「さっきまで明るかったんだけどな……?」

澪田「真っ暗っすよー! もうお先真っ暗だよー!!」

終里「なんだなんだ? 飯食いづれぇから電気つけろっての!」

西園寺「わーん! 足踏まないでよ!!」

弐大「ぐっ……うぼぁ……っ!!」

十神「くそっ、鍵が見えない……ダメだ……!!」

ソニア「これって、ブレーカーが落ちたんじゃないでしょうか?」

左右田「ちょ、ちょっと待ってろ……おれが壁伝いに、何とかしてくるから……」

―――――――――――――――

七海「西園寺さん……誰かに足を踏まれたよね? ……誰に足を踏まれたのかな?」

……え?

西園寺「そ、そんなの……わかるわけないじゃん……停電だったんだから……」

七海「ううん、それが分かるんだよ。だって、この図を見る限りは、おそらく弐大くんがここに行くためには……西園寺さんの前を通らないといけないもん」

西園寺「そ、それが? 仮にそれで弐大おにぃがわたしの足を踏んでたから、何なの?」

七海「もし、ここで弐大くんが……前に出てきてくれなかったら……」

七海「狛枝くんに刺されてたのって、西園寺さんなのかもなって……思ったの」

西園寺「……え?」

七海「きっと弐大くん、停電でもなんとなく察したんだと思うよ? 彼の洞察力なら……それができてもおかしくない」

西園寺「じゃあ……もし弐大おにぃがあそこでいなかったら……?」

七海「犠牲者が……もう少し多かったのかもしれないよね」

そんな……それを聞いて、わたしにどうしろって言うのさ……

七海「だからさぁ、忘れないであげてね?」

西園寺「……忘れないって?」

七海「弐大くんが、あなたを守ってくれたこと……かな?」

西園寺「何だよ…………最後の「かな」って……」

守られた命……そう言われても実感がわかなかった。

あんな恐ろしい死体をみて、あんな恐ろしいオシオキを見て……涙を一粒も、わたしはこぼさなかったのに……。

それから、コテージに帰って、ずっと泣いた。ずっと、ずっとずっとずっと……

でも、気が付いたら……わたしは、眠っていた。

疲れた……忘れていたい……でも、それはできない……

(七海「忘れないであげてね。弐大くんがあなたを守ってくれたこと……」)

豚足ちゃんも、皆を守ろうとしてパーティーを開いたんだよね……、忘れちゃうなんて……やっぱり、できない……。








でも、わたしはまだ知らなかったんだ。

この先、もっともっと絶望的なことが……待ち受けてるって事……。





チャプター1 絶望トロピカル

    END

生き残りメンバー

16人→14人

  To be continued…




とりあえずいったんここまでで。

夜また2章を進めていきたいと思います。

証拠がないのが苦しいですが、とりあえず続けていきます。

2章も1章と同じで多少改変的な感じですので、ご了承ください。

本編始めます。

「……やあ。まさかこんな時に君に会うとはね。これは幸運だ」

「……そうか、それはよかったよ」

「アハッ、冷たいねぇ……残念だよ、キミとなら少し、分かりあえると思ったんだけどなぁ……」

「お前と俺が分かり合えるときは、多分これから絶対ないぞ?」

「どうして?」

「理由が違うからだ」

「理由が違う、か……へぇ、どんな理由なのか、詳しく聞いてみたいところだけど、でもまあそれはまたの機会にしようかな」

「いつでもいいぞ。いつでも教えることは無いからな」

「やっぱり冷たいよ、キミ……」

「そういうお前だって、結構冷たい所あるじゃないか。絶望だかなんだか知らないけど、そういうやつに対しては……」

「? そうだっけ?」

「お前だって、何かを隠そうとしているように見えるけどな」

「アハッ、そんなこともないと思うけど?」

「……気に入らねぇ」

「どういうところが?」

「そうやって開き直るところと、俺のコテージに来てるところだ」

「でもキミはボクだろうとわかっていて開けてくれた……どうして?」

「…………さあな」

「ボクは君に協力をお願いしに来たんだよ……ねぇ、改めてさ……」

「協力?」

「ボクとキミが協力すれば、きっと素晴らしい、それこそ前の裁判なんて簡単に越せちゃうレベルの絶望的事件が起こせると思うんだ……そのために、キミの知恵を貸してくれないかな?」

「断る」

「あちゃ、即決だね……悲しいよ」

「悪いな。お前とはどうも合わないみたいだし」

「……ボクの推論が正しければだけど……ひょっとしてキミ、誰かを守ろうとしてない?」

「……それは違うぞ」

「守ろうとしてるとしたら、誰なんだろう? ふふっ、ゴミみたいなボクには、そこは想像つかないや」

「これ以上お前の話を聞いてると、こっちの根っこまで腐っちまいそうだな……行くぞ」

「え? 行くって?」

「レストランだよ。一応、あそこに集まるしかねぇだろ?」








CHAPTER 02

正義、それは薄っぺらい戯言

      (非)日常編




……………………どれだけ、長い時間が経ったかな?

あれから、深い深い眠りについた気がする。

目を覚ましたら、そこはいつもの布団で、懐かしい匂いがして……いつものように……お客さんに舞を踊って終わる、退屈な毎日。

その毎日が……今、すっごくすっごく愛おしくて……狂ってしまいそうで……

西園寺「…………はっ」

目を開ける。でも、そこはわたしの中での日常じゃない。

わたしは、この島で……頭のおかしいコロシアイ修学旅行という環境で……7日目の朝を迎えていた。

西園寺「え……? 嘘、3時間しか寝てないの?」

普段のわたしなら、もう一眠りしようかな、と思う時間……でも、体はそれを許さなかった。

(弐大「安心せい、西園寺。ただ、ちょっとお前さんのやったことも悪かったのう。漢らしく、とお前さんを責めるつもりはないが、もう少し何とかできなかった物か、少し考えてみてはくれんか?」 )

弐大おにぃは……わたしを守ってくれた。それも、2回も……

(十神「……そう言ってくれてうれしいよ。キミはボクに、嘘偽りないあだ名をつけてくれた……それは、どれだけボクの中で嬉しい事だったかなんて、言わなくても分かってくれるでしょ?」)

わたしのやったことは、豚足ちゃんを救えてたの?

だって、わたしがあんな風に追い詰めて、証拠を提示することが無ければ……豚足ちゃんは……

…………ああ、そっか。

これが、人を裁くって事なんだ

人を騙し合って、憎み合って、信じたくても、信じられなくて、裏切られて、傷ついて……

でも、自分が助かるためには……殺らなくちゃいけなくて……。

豚足ちゃんを救うことが、どうしてもできなくて……弐大おにぃにありがとうって、何で言えなかったんだろう……?

(日向「あ、そうそう、十神。お前がたぶん一番気になってることだろうから、言っておくな。コップの中に毒を仕込んだ人なんだけどさぁ。それ、俺なんだよ」)

アイツの……せいなの?

(日向「それで罪木、ゆっくりでいいから、話してみてくれないか?」)

(日向「大丈夫か? 俺がついてる……正直俺も怖いけど、でもやるぞ……!」 )

……アイツのあの言葉も、嘘だったの?

……嘘なんて、つかない方がいいのに。後で自分が後悔するだけなのに……。

そこまで考えて、思いっきりベッドに拳を振り下ろした。

ドン、という鈍い音とともに、虚無感が部屋に染みわたる。

こんなことをして何になるの? 弐大おにぃは戻ってくるの? お礼を言えるの?

豚足ちゃんは帰ってくるの? 帰ってきて、わたしを……許してくれるの?

ピーンポーン……

西園寺「……?」

こんな時に誰だよ……そう思いながらも、扉を開けてやる。すると……

九頭龍「……よ、よぉ」

……予想だにしない人物の登場に、思わず息を呑む。

九頭龍「……あがっていいか?」

西園寺「え? あ、うん……いいよ」

九頭龍「……すまねぇな」

そういうと、九頭龍はややうつむき気味に、わたしの部屋に入ってきた。

西園寺「あ、靴下脱いで」

九頭龍「お、おう……」

西園寺「……で?」

西園寺「どういう風の吹き回し?」

九頭龍「ああ?」

西園寺「あんなに馴れ合いは嫌だ馴れ合いは嫌だって言って、パーティーの参加まで断ってたようなお前が、なんでわざわざわたしの所に来てるの?」

九頭龍「ケッ……うるせぇ、俺の勝手だろ?」

西園寺「そういうわけにもいかないの」

九頭龍「チッ……」

わたしが煎じたお茶を、そっと九頭龍に差し出す。

西園寺「はい、この前の緑茶の分」

九頭龍「あ、ああ……」

そう言うと、わたしと顔を合わせることは無く、彼は言った。

九頭龍「ある女にな……頼まれたんだよ」

西園寺「……誰よ?」

九頭龍「……言えねぇよ」

九頭龍「そいつが、俺に対して……殺人が起きてしまったことが怖い、だの、なんだのかんだの言うからよ……適当になだめといたんだ」

へぇ、案外優しい所もあるんじゃん

九頭龍「……でもな。そいつは……最後にこう言った。自分が過ちを犯したと思ったその時に、行動に出さないと手遅れになることがある……って」

西園寺「……え?」

九頭龍「だ、だからよぉ……俺もそいつの流儀に乗って、行動しようと思ったんだよ……」

そういうと、九頭龍は正座をしたまま、背筋を伸ばして、わたしの方を見た。そして……。

九頭龍「この前、殴ろうとしたこと……悪かったと思ってる」

そう、言ったんだ……。なんで、そんなことを今……言ったの?

西園寺「……それを言いに来たって事?」

九頭龍「それだけだ。許してもらおうとか、そういうつもりはねぇ。ただ、それを伝えに来ただけだ……」

西園寺「…………ふぅん、そう。分かったから、もう出てってよ」

九頭龍「……くっ」

九頭龍はぐいと茶碗を傾け、思いっきりわたしのお茶を喉に流し込んだ。

九頭龍「邪魔したな」

西園寺「はいはい、邪魔したってわかってるなら、すぐ出てってよねー」

九頭龍「お前は……相変わらずの減らず口だな……」

そう言うと、九頭龍は出て行った。

……その後、ぽた、ぽたと滴が、わたしの着物に落ちる。

西園寺「勝手に……自分の中で解決できて……アンタはいいよね」

もう会えない……わたしは、お礼を言いたい人に……もう、会えない。

二度と会う事が出来ないっていう事の辛さは……味わう事は無いと思ってたのに。

失うものがないわたしには……ない物だと思ってたのに……。

西園寺「うっ……うぅ……」

ピーンポーン……

西園寺「……っ!」

度重なる来客に驚きながら、急いで涙を拭いて、嗚咽を殺して扉を開けた。

罪木「あ、西園寺さん……着付け、大丈夫ですかぁ?」

西園寺「つ、罪木……? う、うん……大丈夫」

罪木「えへへ、よかったですぅ……」

それから、罪木に着付けの仕方を教わった。

……ちょっとだけ、できるようになってきたよ。

でも、わたしは……ううん、もうやめよう。

わたしがやらなくちゃいけないことは、ここでひっそりと泣くことじゃない。

むしろ、元気ない奴を元気づけさせてやらないとね。酷く痛めつけてやるのもいいかもしれない。

そう思って行ったレストランでは……
















すでに事件が起きていた。

―レストラン ニカイ―

レストランの2階に行くと、そこには……。















男子たちに取り押さえられる狛枝と……



























ぐったりと倒れこみ、動かない日向おにぃがいた……。

田中「ふん、やけにおとなしいではないか……死を覚悟したか?」

狛枝「あはは……これはさすがに参ったよ。日向クンの二の舞にはなりたくないからね」

罪木「は、はわわぁ!?」

西園寺「え!? こ、これどういうこと!?」

左右田「おう、西園寺に罪木か。もう心配することはないぜ? これでこの島の秩序は保たれるからな!」

西園寺「じゃなくてさぁ……」

西園寺「なんでおにぃは倒れてるの!?」

左右田「俺が不意の一撃を食らわした結果だぜ? この俺専用、世界に一個しかないマイスパナでな!」

西園寺「ばっかじゃないの!? 死んでたらどうすんのさ!!」

左右田「死ぬことはねーよ! 俺の力だぞ!!」

小泉「それ自分で言ってて恥ずかしくないの!?」

花村「ね、ねぇ、それで本当に……やるの?」

罪木「や、やるって? 何をですか?」

田中「きまっているだろう。今からこの罪深きアニマ共の自由を奪い、この世界に平和をもたらす!!」

左右田「結局この2人があんなことしなかったら、弐大も十神も死ぬことなく済んだんだ……特に日向の罪は重いぞ……あんなさらっと人を殺した発言ができちまうんだからな!」

花村「え、えっと……まあ、一応ロープはあるけどぉ……」

小泉「でも、このままこの2人を野放しにしておくわけにもいかないよね……」

西園寺「ふんっ、まあ、そりゃそうだけどね? たださぁ……」

他に何か方法無いの? それこそ疑心暗鬼になっちゃいそうなんだけど?

狛枝「縛り方はどんな縛り方にするの? ロープで体中巻いちゃうの? それとも、手と足だけしっかり縛ってみる?」

花村「な、なんでノリノリなの!?」

左右田「う、うっせうっせ! とにかく、縄抜けなんてぇのが出来ねぇくらい縛ってだなぁ……」












七海「待った、それは賛成できないかな」











左右田「うおっ!?」

小泉「あ、千秋ちゃん!」

七海「皆おはよう。それより……2人を縛るのは危険すぎない?」

罪木「え? ど、どうしてですかぁ?」

七海「2人が協力をしないように、別々の離れた場所に置いたとするよ? そうすると、どうしても……見張りの人って言うのが必要になってくる……と思うんだよね」

田中「それは……確かにそうだな」

七海「たとえ見張りがいたとしても、その見張りがいなくなった後はどうなるか、わからないよね? ロボットじゃあるまいし、休息せずに見張りをし続けるなんて無理でしょ?」

左右田「じゃ、じゃあどうすんだよ!?」

七海「だからさぁ、1人を縛っておいて、もう1人は……そうだね、狛枝くんは……私が面倒を見ることにします」

西園寺「は?」

花村「ちょ、ちょっと待ってよ!! 狛枝くんが七海さんに面倒を見てもらうなんてうらや……危険すぎない!?」

狛枝「え、どうして?」

小泉「そこはふつう千秋ちゃんが言うところでしょ!? なんでアンタがそんな顔するのよ!?」

七海「大丈夫。もしもの時には、これで助けを呼ぶよ」

西園寺「あ、それ……」

(西園寺「じゃーん! 笛!」

七海「笛? ……引っこ抜いた植物たちを呼び戻すアイテムだね?」

西園寺「そういうのは全然分かんないんだけど、持っておいた方がよさそうなものではあるかなって思っただけ」

七海「うーん、確かにそうかも……ありがとう」 )

七海「この笛の音が聞こえた近くにいる人が、私を助けてくれればいいからさ。だめかな?」

田中「ふん……いいだろう。では、日向創を縛る、という事になるが、それでいいのか?」

七海「あなた達がどうしてもそうしたいなら、私は止めないよ。それは……反対ではあるけどね」

左右田「反対だかなんだか知らねぇけどな。こうでもしねぇと、俺は安心して寝ることもできねぇし、水を飲むこともできねぇんだよ」

確かに、狛枝もそうだけど、おにぃもいつ殺人事件を起こそうとするか、分かったものじゃないもんね……。

花村「というわけで……日向くんはぼくらで隔離させてもらうよ!」

田中「あの旧館のルームにて……お前自身の罪を償ってもらうぞ、日向よ……」

罪木「う、うぅ……なんだか大変なことになってきちゃいましたぁ……」

……それから左右田おにぃたちは、急いで日向おにぃをロープでぐるぐるに縛って……ホテルの旧館に突っこみに行った……。

そのあと、遅れてやってきた人たちも、おにぃが縛られたことと、狛枝が七海と一緒にいることを把握した。

……皆、疲れた顔をしてる。わたしも……たぶん、おんなじような顔をしてるんだろうな。

ソニア「……」

辺古山「……」

終里「……」

九頭龍「……」

澪田「あ、え、えっと……」

皆、黙ってた。そりゃそうだよね。……でも、このままの空気だと、また……起きちゃうよね、殺人。

……何とか、しないとね。わたしが、なんとかしないと……。

西園寺「きゃはははっ、皆どうしたのー? 連続で葬式が続いたみたいな顔してるよー?」

ソニア「じ、実際そのようなものじゃないですか……」

西園寺「んー、まあ確かにそうなのかもねー……たださぁ」

西園寺「そうしてて、何か変わるの?」

辺古山「……どういう、事だ?」

西園寺「アンタらが悲しんだところで、弐大おにぃも豚足ちゃんも、戻ってこないって言ってんの。考えなくても分かるでしょ?」

左右田「てめぇ……だからってそんな言い方はないだろ!?」

……アレ? わたし、皆のためにやろうとしてるのに、逆に空気悪くしちゃってるの?

西園寺「わたしは事実を言ってるだけじゃーん。あ、もしかしてそのこと考えてなかったの?」

左右田「おいコラァ!! いい加減にしろよ! その口無理やり閉じさせっぞ!?」

西園寺「はぁ? やれるもんならやってみなよ! わたしは思ったことを言っただけだっての!!」

左右田「言っていい事と悪い事とか、タイミングもあるだろうがよぉ!!」

小泉「ちょっと……二人ともやめなって!!」

澪田「え、えーっと……コレ、どうすればいいんっすかね?」

ど、どうしよう……わたし、皆の事を励まそうとしてるだけなのに……なんで左右田は怒ってんの?

西園寺「だって皆が黙っちゃってるんだもん! そんな顔並べられても、ご飯まずくなっちゃうって!!」

左右田「じゃあ出てけよ! オレらだって好きでそんな顔してるわけじゃねぇんだよ!!」

西園寺「う、うぅ……」

やばい、泣きそう。こらえなきゃ……。

モノミ「じゃじゃーん!」

左右田「うおっ!?」

終里「てめぇ……何しにきやがった!!」

モノミ「て、敵対心むき出しでちゅか!?」

こいつが……空気読まずに来てくれてよかった。

狛枝「それで? キミがここに来たって事は、何か用事があるんだよね?」

モノミ「そうでちゅ! ミナサン、覚えていまちゅか? あのにっくきモノクマが召喚した、恐ろしいケモノ達を……」

花村「ぼくの中にも獣はいるよ?」

西園寺「アンタのそれはケダモノだろーが!」

モノミ「え、えーっと……とにかく、あちしはモノケモノを1匹やっつけることに成功したでちゅ!」

辺古山「何? 奴をやっつけたというのか?」

田中「しかも……貴様がか?」

モノミ「そうでちゅ!」

九頭龍「お、おいちょっと待てや! どうやってぶっ倒したって言うんだよ!? あの……弐大でさえ倒せないって踏んだ野郎だぞ?」

モノミ「それはまあトップシークレットでちゅね! ぷー、くすくす!」

たまにわたしと同じ笑い方をする……なんで敢えてのわたしなの?

ソニア「という事はつまり……どういう事だべ?」

罪木「だ、だべ!?」

左右田「誰だよソニアさんにこんな変な日本語教えたのはよ!!」

モノミ「とにかく、新しい島に行けるようになったんでちゅ! とっても嬉しい事でちゅよね! だからミナサン、あきらめずに、ミナサンで希望を持って、仲良くしましょうね」

終里「は? 仲良く? ……できるワケねーだろ……」

モノミ「終里さん……?」

終里「オレには……仲良くなんてできねぇよ……」

……脳筋のくせに、いっちょ前に悩んだ感じだしちゃって……かっこよくもなんともないのにさ。

でも、レストランから去っていく終里に、いつものオーラは無かった……。

辺古山「終里……少しだけご飯を残しているな」

小泉「赤音ちゃんが、ご飯を……? それってかなりまずいんじゃないの?」

モノミ「……大変でちゅね……生徒が困っているときは、先生の役目……と言いたいところなんでちゅが……」

九頭龍「…………」

田中「…………」

七海「ぐー……」

モノミ「な、何だか敵対心を強く感じるので、あちしはこれで……終里さんをよろしくお願いしまちゅ!」

ソニア「ま、待ってください!」

モノミ「ほよよ?」

ソニア「……あの、わたくし達の記憶を奪ったというのは……本当の事、ですか?」

モノミ「え、ええと……」

モノミ「…………」

モノミ「し、失礼しまちゅ!」

左右田「ちょっ、待ちやがれ!! ……クソッ……」

罪木「あ、あのあの……新しい島に行けるようになったって……?」

西園寺「確かめに行く……しかないだろうね」

小泉「それと、赤音ちゃんも探さないとね。心配だよ……」

澪田「そ、それじゃあ、唯吹が一番にあの島に行ってやるっすよー!!」

七海「待った」

澪田「止めないで千秋ちゃん! 唯吹、もう1人で行けるから!!」

七海「そうじゃないよ。もしかしたら、の話だけど……1人で行くのは避けたほうがいい、かもしれないね」

ソニア「確かに……1人だとさみしいですものね」

田中「そうではないだろう。1人だと、あの男のように、殺人を計画してしまう事があるかもしれない……そう言いたいのではないか?」

七海「……それも違う、かな?」

田中「な、何だと!?」

七海「とにかく、2人ペアーで言った方がいいと思うんだよね。うん」

花村「なるほどねぇ、ぼくは賛成だよ! すぐに情報は共有した方がいいだろうしさ!」

狛枝「よし、そうとなればすぐ行こうか。新しい世界にさ!」

七海「あ、狛枝くんは私とね? ……忘れてない、よね?」

狛枝「はぁ……仕方ないか」

まあ、あんな話があった後だしね……

小泉「…………」

西園寺「おねぇ、一緒に行かない?」

小泉「え? うん、そうだね……」

西園寺「あれ? どうしたの? 何かあったの?」

小泉「いや、何でもないの。ただ、赤音ちゃん、大丈夫かなって……」

西園寺「……おねぇは優しいね」

小泉「え?」

わたしは自分の事だけで、正直手一杯だよ……

今日はこの辺で

―ニバンメノシマ―

サイオンジヒヨコ
ここが、二番目の島……
なんだか1つ目と雰囲気が違うね……

コイズミマヒル
何か脱出のヒント……ううん、脱出じゃなくても、アタシたちの手掛かりになるものがないか探そう

サイオンジヒヨコ
うん、もちろん!

―ドラッグストア―

罪木「はわ……はわわぁ!」

澪田「あ、こんちゃっすー! こっちはすでに唯吹たちが探してるッすよ!」

西園寺「あれ、そうなんだ?」

小泉「ココは……ドラッグストアかな? スーパーにも少しあったけど、それの何十倍もの薬品が置いてあるね……」

罪木「そうみたいですねぇ、ちゃんと動物さん用の薬もありますよ」

西園寺「よかったね罪木ぃ、これで病気になっても安心だねぇ~」

罪木「あれ? もしかして今私、人間扱いされてませんかぁ?」

小泉「ちょっと日寄子ちゃん? あんまり蜜柑ちゃん困らせないの」

西園寺「おねぇは優しすぎるんだよ、こういうイジケ虫は、むしろ開きなおるレベルまでつつかないと」

澪田「曲名に例えるなら……『オープンマイハート』っすね!」

小泉「唯吹ちゃん、たぶんそれ大幅にずれてる……」

澪田「え?」

―イセキ―

七海「…………」

狛枝「へぇ、何だか不思議な建物だねぇ……」

小泉「……狛枝」

西園寺「……気になるの?」

小泉「ううん、別に」

さすがおねぇ。気にしすぎると逆に不安になっちゃうってこともわかってるんだね。

小泉「アイツがどうなろうと、アタシの知ったことじゃないわ……アタシは……」

西園寺「? どうしたのおねぇ? ……なんか怖いよ?」

小泉「え? あ、ううん。なんでもないの。い、行こっか。ここはあの二人に任せておこ?」

西園寺「あ、ちょっ、あんまりひっぱんないでってば……」

―ダイナー―

小泉「なんでアンタがいるわけ?」

九頭龍「ああ? なんだよ、いちゃ悪いのかよ?」

西園寺「でも、アンタが他の人とペアをちゃあんと組んでるなんて珍しいねー」

辺古山「私が無理を言ってペアを組まさせてもらっただけだ」

西園寺「へぇ、そっかぁ……ていうか、九頭龍……今朝言ってたある女ってもしかして……」

九頭龍「!」

西園寺「辺古山おねぇの事?」

辺古山「? 何の話だ?」

うわぁ、だとしたらアレだね、かなりギャップみたいなのがあるかもねぇ。だって……

(九頭龍「そいつが、俺に対して……殺人が起きてしまったことが怖い、だの、なんだのかんだの言うからよ……適当になだめといたんだ」

へぇ、案外優しい所もあるんじゃん

九頭龍「……でもな。そいつは……最後にこう言った。自分が過ちを犯したと思ったその時に、行動に出さないと手遅れになることがある……って」)

……殺人が起きてしまったのが怖いよーって、辺古山おねぇが九頭龍に泣きついたって事?

九頭龍「な、何でもねぇよ! お前は気にすんじゃねぇ!」

小泉「今朝? 何の話?」

西園寺「ううん、何でもないよー。なんとなーく、こうじゃないかなって予想はついたからさあ」

九頭龍「……チッ」

辺古山「…………?」

こてん、と首をかしげる辺古山おねぇを見て、わたしはにんまりと笑顔を作る。

西園寺「アンタ、なかなか強がり得意なんだね。くすくす、一応覚えといて上げるよ」

そう言ってわたしは、無理やり小泉おねぇを引き連れて、ダイナーを後にした。

いい雰囲気だったし、邪魔するのも悪いからね、わたし大人だから、それくらいわかるもんね。

……あれ?

小泉「ダイナーから道が続いてるね……行ってみよっか?」

西園寺「うん、もしかしたら……脱出の糸口が見つかるかもしれないんだからね」

―チャンドラービーチ―

西園寺「……あ、アレ……って……」

そこには、アイツがいた。

全ての自分の中にある黒い気分を振り払うかのように、ただ、ただひたすらに……岩に対して蹴りを続ける……

小泉「赤音ちゃん……まさかこんなところにいたなんて……」

西園寺「おい! お前そんなところで何してんだ! 小泉おねぇが心配してるじゃねぇか! 迷惑かけんな!」

終里「うるせぇ! オレは……オレはもっと強くならなきゃいけねぇんだ!」

小泉「もっと強く? ……どういうこと?」

終里「ふぅ……はぁ……いつか弐大と会ったときに、強くなったオレを見せてやるんだ……そのために、オレは……」

……いつか会った時……って、そんなのいつだよ……

《いつか会えた時……もっときれいになったわたしを見せるんだぁ》

……やめろ。


《会えないんだよ……二度とね》    《権力の無い人間の癖にたてついたからだ……これだから才能のない奴は》

        《お前は立派だねぇ、日寄子。ちゃあんとアタシのお金を稼いでくれて……》

西園寺「やめろ!!」

小泉「きゃっ!?」

西園寺「あ、ごめん……」

終里「やめろ、だと? 何でオレがやめなきゃいけねえんだ? 強くなるんだ……オレは……絶対にぃ……!!」

終里「でぇりゃあああああああああ!!」

小泉「足も血だらけ……もう見てらんないって!やめようよ!」

西園寺「おねぇ、気持ちはわかるけど、今はもう行こう」

小泉「え? で、でも……赤音ちゃん、このままだと……」

西園寺「…………」

小泉「あ……そ、そうだね、うん」

わたしはこの時、どんな顔をしていたんだろう。……想像するのも怖い。

自分の思い出したくないものを、今の終里おねぇを見ると思い出しちゃって……小泉おねぇが黙っちゃうくらい、すごい怖い顔、してたんだと思う。

―トショカン―

左右田「……なるほど、色々な書物が置いてあるんですね」

ソニア「本当ですね……わぁ! 見てください左右田さん!」

左右田「どうしたんですか?」

ソニア「本当にあった心霊写真集ですって!」

左右田「ぎにゃああああああああああ!!」

花村「もー! 左右田くんうるさ……ってうおおおおおおおおおお!?」

田中「ふっ、似たもの同士め……」

西園寺「もー、左右田おにぃも花村も呼吸音うるさーい」

左右田「そ、そこまで行くか!?」

ソニア「ごきげんよう、西園寺さん、小泉さん、調子はうなじのぼりですか?」

小泉「え? う、うなじ?」

西園寺「この図書館……すごい大きいけど、どうなの? 何か有力な情報はあったの?」

ソニア「はい、それはもう! たくさんのオカルト本が……」

小泉「え、あ、アタシそういうの苦手なんだけど……」

田中「問おう。いったいどのようなものだったのだ?」

ソニア「たとえばこの、殺人鬼たちの行方を追う本。犯行声明をする、キラキラちゃん等の連続愉快殺人を繰り返す殺人鬼たちをクローズアップしています!」

西園寺「キラキラちゃん?」

ソニア「悪事を働く人間にのみ、死刑という制裁を下す殺人鬼ですわ。そして必ず、有名なアニメーション等をモデルにしたお面を事件現場に置いていくのです」

左右田「……お面? 現場にですか?」

小泉「何それ……とても人がやったとは思えないんだけど」

田中「正義を貫き通すものだけが行える事だな……だが、正義のための殺人など、あるはずがない……」

花村「そうだよね。ぼく達だって命をいただいてるんだもん。それなのにぼくたち同種族でコロシアイなんて、してる場合じゃないよね……」

左右田「コロシアイねぇ……口にするだけで恐ろしいな……日向の野郎のせいで……」

花村「もとはといえば、あのモノミとかいう変なマスコットが、ぼくらをここに連れてきたから……」

田中「モノミ本人ではなく、モノミを操作している誰かであると思うがな」

ソニア「とすると、モノクマも誰かが?」

小泉「たぶん同じ人物が操作してるんだろうね……」

西園寺「……じゃあ、モノミは敵だってこと?」

左右田「ずっとそういうことになってたじゃねぇかよ……」

でも、わたしはだんだん、そう思えなくなってきちゃってる……だって……

(終里「オレは……オレはオメェを……ぶっ倒す!! 弐大のためにも……弐大のためにも……!!」

モノミ「ダメでちゅ! それはモノクマの思うつぼでちゅよ!」

モノクマ「はにゃにゃ?」

終里「うるせぇ!! そこまで言うんなら、まずはオメェからやってやんよ!!」

モノミ「それは……それは本当に弐大くんが望むことなんでちゅか!?」

終里「なっ……!?」

……え、嘘? あのウサギ……何言ってるの?

モノミ「あちしには、そうは思えまちぇん……あちしは」 )

こんなふうに言えるって事は、弐大おにぃの事をよく知ってないといけないはず……だし。

田中「元はと言えば、奴がこのような所に俺たちの記憶を奪って入れたのが問題だったのだ。コロシアイ修学旅行に無関係な人物だとは思えんがな」

小泉「どっちにしろ、よくわかんないっていうのが一番嫌だよね……最悪だよ」

それから、わたしが外に出ると……

七海「あ、西園寺さんたちみーつけた」

狛枝「やあ」

田中「貴様!!」

狛枝「そう敵対しないでよ? ほら、深呼吸深呼吸」

田中「くっ……」

西園寺「いちいち人の神経逆なでする奴だね。大嫌い」

狛枝「あははっ、そうだろうね、ボクみたいなグ……ぐはっ」

七海「もー、それ以上しゃべったらダメージどころじゃ済まさないよ?」

……七海が狛枝のみぞおちに、肘入れた……。躊躇なかった……。

七海「まあ、こんな狛枝くんのいう事は置いといて……今すぐ遺跡に来てくれるかな? 来てくれるよね? ほかの人達も呼んでくるからさ」

遺跡……一回避けてたけど、あそこで何か見つかったのかな……?

―イセキ―

そこには、全員そろっていた……日向おにぃを除いて、だけど……。

終里「チッ、さっさと終わらせてくれよ。続きがしてぇんだ」

七海「あそこの扉……見てみて」

西園寺「扉……?」

扉の部分を調べてみると……未来って漢字が書いてある……この扉、固くて開きそうにないね。

近くを見ると、そこにパネルみたいなのがある。

はぁ? パスワードを入れろってワケ? 面倒くさっ

澪田「パスワード……数うちゃ当たるっす! とりあえず適当に試して……」

田中「何桁かもわからないのに、か? アルファベットもあるのだぞ?」

罪木「だとしたら少し、ヒントがなさすぎ……ですよね」

モノクマ「はぁ……はぁ……」

花村「う、うわぁ! なんか出てきた!」

モノクマ「パスワードを失敗したら……あそこにあるマシンガンが、キミ達を蜂の巣にしちゃうよ?」

ソニア「は、蜂の巣……!?」

モノミ「そ、そうでちゅ! 変なパスワードは入れてはいけまちぇん!」

九頭龍「チッ、簡単には入れさせてくれねぇってワケだな……?」

モノクマ「まあ、そういう事ですね!」

狛枝「ボクが入れたら、案外当たったりしてね」

左右田「そう思うんなら行って来いよ!」

モノミ「だ、ダメでちゅ! 何兆通りもあるうちの1に賭けるなんて、いくら狛枝くんでも無謀すぎまちゅよ!」

辺古山「確かに……今はこれ以上の犠牲を出したくないしな」

小泉「蜂の巣になった死体なんて……見たくないしね」

モノクマ「それと、この遺跡の事なんだけどさぁ……ねぇ、オマエラは未来機関って知ってる?」

未来……機関?

モノクマ「うぷぷぷ、知らないよね。モノミに記憶を抜かれたんだからさ!」

モノミ「クスン……」

モノクマ「未来機関はねぇ……世界の破壊者なんだよ!」

左右田「せ、世界の破壊者!?」

モノクマ「そいつらは立ち上がった瞬間、今まであった世界を崩壊させたんだ! うぷぷ、すごいよね。世界をそこまで破壊して、全部をなかったことにしたんだから……ある意味世界の救世主、英雄だよね! あ、ヒデオじゃないよ?」

西園寺「それが……わたしたちの敵って事?」

終里「……何が相手だろうが関係ねぇ。オレがいつかぶっ飛ばしてやる! お前らと一緒にな!」

モノクマ「うぷぷぷ、元気だねぇ……」

モノミ「お、お前らって……あちしも混ざってるんでちゅか!?」

……未来機関。一体何があったのかもわからないし……本当に世界を崩壊させたのかも定かじゃない。

でもモノクマがこのタイミングで言うって事は、何かしらの事があるのかもしれないね……。

―サイオンジノコテージ―

西園寺「はぁ……」

えっと、今まであったことをまとめると……

二番目の島はちょっとしたごはんが食べられたり、色々な情報を仕入れたりできて、未来機関っていう奴らのアジトみたいなものが、厳重なパスワードによって管理されてるって事だよね……。

西園寺「……意味分かんない」

自分で言ってて頭爆発しそう……ちょっと頭冷やすついでに外に出ようかな?

……ついでに、誰かと話してみようかな……?

―ホテル キュウカンマエ―

西園寺「…………」

さすがに、ここに入るのはまずいよねー……変な疑いかけられたりするのも嫌だし……。

小泉「あ、あれ? 日寄子ちゃん?」

西園寺「ひゃあ!? こ、小泉おねぇ!?」

小泉「え、えーっと……こんなところで何してるの?」

西園寺「お、おねぇこそ……どうしてお盆なんて……?」

小泉「あ、アタシは……その、ほら、あそこにいる日向に食事とか持って行ってあげなきゃだめでしょ?」

ふーん、なんだかんだ言って、おねぇってそういうところで気が利くよね……。

小泉「それで……日寄子ちゃんは?」

西園寺「……」

おにぃに会おうとした……なんて言っちゃったら、怪しまれるかもしれないよね……だって……今のところ一番“裏切り者”に近いのは、ほかでもない日向おにぃなんだもん。

小泉「……まあ、なんでもいいけど、生き物を不必要に潰したりしないことだよ? いい?」

西園寺「はーい」

なんだかおねぇ、ママみたい。

―トショカン―

……何かわたしに似合う本とかでも読んで、気分を紛らわそうかな?

おねぇに禁止されちゃったから、潰すことも今日は止めておこう……今日は。

左右田「えっと……じゃあアレをやってコレをやって……そうした後は……うん、これでイケるんじゃねぇか?」

……珍しく何か悩んでる。

西園寺「イケるって?」

左右田「うおっ!? ひょこっと出てくるなお前……」

左右田おにぃは、結構真面目な書物を広げてた。机の上の方眼紙に難しそうな単語と細かい部品がいくつも並べられてる……。

左右田「あー、もしかしたらこの辺にある地球儀とか、ロケットパンチマーケットにあるねじとか使って何かできねえかなって思ってよ……」

西園寺「ふーん?」

ちょこちょこと歩いて、本の表紙が見えるところに移動する。そこに書いてあったタイトルは……

西園寺「『簡単にできるモーター設計図』?」

左右田「ああ、まあこういうのからじっくりと考えて、今までの俺の蓄えてきた知識を使えば……もしかしたら可能なこともあるかもって思ってな」

西園寺「可能なこと? たとえばどんなこと?」

左右田「潜水艦とか……小さいやつだったら作れるかもな」

西園寺「え? それ作って1人で脱出、とか考えてるんじゃないでしょうね?」

左右田「そんなワケねーだろ? だいたい人が入れるようなサイズは無理だっての。小さい潜水艦作って、それにカメラを取り付けて、水の中に潜らせれば、水中に何かある手掛かりとかがつかめるかもしれねぇじゃねぇか」

ふーん、結構色々考えてんだね。

西園寺「見直したよ、左右田おにぃ!」

左右田「へ? ああ、まあな……このオレ、左右田和一様に任しておけば、この程度の島、ちょちょいのチョイだぜ!」

西園寺「ハッ、そういう風にすぐに調子に乗るから、いつまでたっても小物なんだよ」

左右田「な、う、うるせぇよ!!」

―サイオンジノコテージ―

……もう、夜だね。

西園寺「はぁ……」

ちょっと、お風呂に入りたいな……。着付けは……罪木が教えてくれてるし、ちょっとだけできるようになってるし、うん、大丈夫……だと思う。

……わたしは着物を脱いで、お風呂に入った。

……でも、やっぱり。

西園寺「うぅ……ぐすん……どうしてできないの?」

どうしても、どうしてもできなかった……。後ろで帯を結ぶのが、すっごく難しい。

どうやったらできるんだっけ? 罪木が言ってた方法があったはずなんだけど……

西園寺「はぁ……もういいや」

わたしは帯を床において、着物を羽織っただけの状態で、嫌な厚さのベッドに倒れこんだ。

今日はここまでで。今更ながらに>>1は絶女未プレイ(VITA持ってない)ですので、そこをご了承ください。

始めます

8日目

―サイオンジノコテージ―

西園寺「んぅ……」

朝……か。どうしよう、罪木が来てくれるまで……ずっとこのままなのかな?

……もう一回、着付け挑戦してみよっかな?

ピーンポーン……

西園寺「!? 罪木!?」

ったく、遅いんだよあのゲロブタ……

狛枝「やぁ、西園寺さ……」

バタン

すぐに扉を閉めた……やばい、どうしよう……というかなんで……?

あ、そっか。さすがに寝るときまで七海と一緒ってわけにはいかないもんね……そうだよね。

わたしは乱れた着物を一生懸命片手で束ねて、もう片方の手で、扉を隙間だけ開けた。

西園寺「……何?」

狛枝「あははっ、もしかして警戒されてる?」

西園寺「このロリコンキモ男……わたしがちゃんと服着てないときに限ってきやがって……」

狛枝「これはこれは幸運……で、いいのかな?」

西園寺「閉めるよ?」

狛枝「ごめんごめん、冗談だって」

西園寺「はぁ……」

西園寺「……帰ってよ」

狛枝「え? なんで?」

西園寺「だって、可愛い少女体系の女の子が、こんな恰好なのに、男に居られたくないでしょ? そんくらいわかってよ!」

狛枝「アハッ、確かにそうかもね」

西園寺「何笑ってんだ! いいから出てけって!」

狛枝「そう言われても、ボクもただ西園寺さんをからかって言ってるわけじゃないし……」

西園寺「聞きたくない!! 出て行ってよ!」

そこでわたしは、扉を大きく開けて、両手で狛枝を……

ドンッ!

狛枝「いてっ!」

しかし、それと同時に……はらりと着物がずれ落ちた……。

西園寺「あ……え、えと……」

狛枝「…………」

西園寺「……う、えぐっ……」

西園寺「うわあああああああああん!」

これはたぶん……わたしじゃなくても泣いてたと思う。

罪木「さ、西園寺さん? 大丈夫で……ひやぁああああ!!」

まあ、そりゃそうなるよね……。

着物がずれて泣いてるわたし、突き飛ばされた狛枝、それを見たら……まあ、ね。

狛枝「あちゃあ……これは不運だね……またの機会にするかな」

罪木「え、え?」

西園寺「二度と来るな!! ばかぁ!! 427回死んでこい!!」

罪木「え、えーっと……何があったんですか?」

西園寺「ぐすっ……ひっく……」

わたしは罪木に何があったかをきちんと説明した。

罪木「そうですか……じゃあ、まだ練習が必要ですね」

西園寺「言われなくてもするっての!!」

今日は……今日こそは、絶対に……できるようにならなくちゃ!

西園寺「……ダメ。やっぱ1人じゃできないかも」

罪木「うーん……あ、それじゃあ、結び方を変えてみるのはどうですか?」

西園寺「え?」

罪木「帯をこうして折りたたむのはできるようになったんですから……そしたら、今度はここでこう止めてみる、とか……」

西園寺「あ……そ、それならできる……かも」

とにかく、教えてもらったことを頑張ってできるようにならなくちゃね。

……できるようになったら、どうしよう? 罪木になんてお礼を言えばいいのかな?

―レストラン ニカイ―

……今日は九頭龍は来てない、か

小泉「ふぅ、これでよしっと」

西園寺「あれ、おねぇ、どこ行くの?」

小泉「どこ行くって……日向の所よ」

田中「何……? 1人で行って大丈夫なのか?」

小泉「だって、ご飯あげないで餓死して、学級裁判ってなったら困るし……」

ソニア「確かに、それもそうですわね……」

花村「で、でも、1人で行くのって危険じゃない? 少し危ないと思うんだけど……」

西園寺「狛枝が行ってくれるってさー」

狛枝「え、ボクが?」

西園寺「い・い・よ・ね?」

狛枝「あ、あはは……今日の西園寺さんには逆らえないな」

左右田「? 何かあったのかよ?」

狛枝「ふふっ、さあね」

西園寺「笑うな殺すぞ」

狛枝「え、もう笑うことさえも許されないの?」

終里「いーから行くんだったら行って来いよ」

七海「じゃあ私もついて行かないとね」

狛枝「え」

七海「狛枝くんの面倒見るって、私言わなかったっけ? ついてくよ、とりあえず今は」

狛枝「……はぁ、参ったなあ」

―サイオンジノコテージ―

……まあ、朝食もらえてるだけ、いいんじゃないの?

おにぃは小泉おねぇの寛大な心に一生感謝するんだね

……じゃあ、今日は今から、何しようかな?

―イセキ―

ソニア「うーん……」

西園寺「あれ? ソニア、何難しい顔してんの? アンタらしくないよ?」

ソニア「むむう……この扉、どうにかして開けることはできないかと考えておりまして……何かないでしょうか?」

西園寺「うーん……あ! いい事思いついたよ!」

ソニア「まあ、いい事ですか? それはいったい?」

西園寺「爆弾使うとか!」

ソニア「ば、爆弾……ですか!?」

西園寺「うん! もしかしたらこの島のどこかにあるかもしれないよ? まだ行けない島があるみたいだしねぇ」

ソニア「それでは、モノミさんがまた倒してくれるのを待つしかないんでしょうかね……?」

西園寺「……じゃない?」

それにしても、本当にアイツ、どうやってあんなでっかいの倒したんだろう……。

―ドラッグストア―

うわっ……ここの臭い、やっぱわたし嫌い

罪木「うふふ……うふふふ……」

うわっ……

罪木「あ、西園寺さん! 西園寺さんも、その……ココ、好きですかぁ?」

西園寺「……嫌い」

罪木「ふえぇ……やっぱりそうですよね……でも、でもでも、やっぱり私は好きですぅ……はわぁ~。この独特な匂い……落ち着きますねぇ……」

西園寺「……まあ、アンタがいいならそれでいいと思うけどね……」

罪木「えへへ……ふふっ、あ、睡眠薬とかも揃ってるんですねぇ~。、マーケットには薬品類は少なかったですし……」

声も届いてないんだね。……いつも着付け手伝ってもらってるのに、わたしなかなかお礼言えてないよね……今度ちゃんと言わなきゃな……。

―サイオンジノコテージ―

西園寺「はぁ……今日も夜、か」

きらきらと輝く月……それと星。

いつもだったら喜んで、それを見ながら餡子のたっぷり入ったおいしいおまんじゅうを食べて……。

そんなふうにできたら、どれほど幸せだっただろうか……。

西園寺「あーダメダメ」

変なことを考えない方がいい。またお風呂に入りたいけど……昨日みたいなことになっちゃいやだし……我慢しよう。

9日目

―サイオンジノコテージ―

……今日も、朝……なのかな?

うぅ、久々に悪い夢を見ちゃった……。

……ベッド、大丈夫だよね?

西園寺「…………」

わたしはすべてを振り払うように、寝ていたからだをベッドから離し、トイレへと向かった。

……危なかった、かもね……。

西園寺「……ぐすっ」

また泣きそうになっちゃってる。

でも、それは仕方ないことだと思うの……だって……。

ピーンポーン……

……ううん、考えるのはやめよう。

ガチャッ

狛枝「あ、今日は大丈夫そうだね」

西園寺「……ふんっ」

狛枝「ところで、さっきから西園寺さんの顔しか見えないんだけど……ちょっと警戒しすぎじゃない?」

西園寺「…………」

西園寺「……それで、何の用?」

狛枝「へぇ、なるほど、キミはそういうスタンスなんだね。うん、十分に理解できたよ」

西園寺「うるさい。手短に用件だけ話してよ。じゃないとしっぺだよ?」

狛枝「……じゃあ、用件だけを手短に話すね」

そう言うと、狛枝は含みのある微笑をこちらに向ける。

狛枝「西園寺さん、ボクと組んでみない?」

西園寺「……は?」

狛枝「前回の裁判の時のキミを見て、ボクは確信したんだ。キミのような人が、絶対的な希望を持てるにふさわしい人物なんじゃないかなって」

西園寺「ふぅん、それでなんでアンタと組まなきゃいけないわけ?」

狛枝「だからこそだよ。ボクとキミで素晴らしい殺人を計画して、キミにボクを殺してもらうんだ。そしたらきっと、西園寺さんは抜け出せるよ? この島から。絶対的な希望と共にね」

……相変わらずぶっ飛んでるし、朝から殺すだのなんだの、聞きたくない……。

西園寺「あのさぁ……さっきから言ってる絶対的な希望って?」

狛枝「うーん、言葉にするのは難しいんだけど……要はどんな絶望にも必ず打ち勝つ光って感じかな?」

それに……わたしがなれるって言ってるの?

狛枝「あのさ、ダイヤモンドってあるじゃない? すごく固くて、澄んでいて、光り輝く結晶……アレは、何度も何度も磨きあげることでああなるんだよね」

西園寺「…………」

狛枝「でも、元々は炭だ。真っ黒い、少し触っただけで汚れてしまうようなもの。それくらいは知ってるよね?」

西園寺「まあ、常識だよね?」

狛枝「ボクはね、それをただ磨いてあげるだけだと、どうしても汚れっていうのは残るものだと思ってるんだ。じゃあ、どうするかっていうと……」

西園寺「絶望という汚れを取り付けて、それを磨いてく……とか言いたいワケ?」

狛枝「ふふっ、察しがいいね。そうするとどうなるか、わかる?」

西園寺「……汚れが多い方が、より磨きやすくなるから……」

狛枝「どんどん穢れがなくなって、澄んだダイヤモンドが出来上がるってワケだ」

……頭おかしいんじゃないの

田中「……貴様、雌の巣窟でいったい何をしているのだ?」

西園寺「……っ!」

狛枝「あ、田中クン」

狛枝は田中の存在に気付くと、口だけで「じゃあまたね」と言って、手を振った。

田中「何やら西園寺に付きまとっているようだが……?」

狛枝「そんな怖い顔しないでよ。別に襲ったわけじゃないんだし」

襲われるようなわたしじゃないもんね。

―レストラン イッカイ―

あー、何か無性にイライラする~……

七海のやってるゲームはストレス解消どころかストレスたまりそうだし、かといって、ダーツなんて絶対にやりたくないし……。

テレビはつかない……まあ当たり前か。じゃあなんでテレビあるんだよ。テレビの上にあるボトルも趣味悪いし。色キモいし。

……そうだ、グミでもとってこよっと。アレ食べてたら落ち着くもんね。

―レストラン ニカイ―

……今日は罪木、来てくれなかったな。

あのゲロブタ、もしかしてわたしの事、忘れちゃったのかな?

小泉「日寄子ちゃん、どうしたの?」

西園寺「え?」

小泉「何か、いつもより悲しそうな顔、してるから……」

さすがはおねぇ……というかわたし、そんな顔しちゃってたの?

西園寺「んーっと……」

どうしよう……おねぇに言った方がいいのかな

……うん、言おう。ちゃんと言わないと……だよね。

西園寺「あのね、わたし実は……一人で着付け、できないの」

小泉「え?」

西園寺「でもね、それで左右田おにぃに一回、臭い臭いっていじめられて……そんな時、今はいないけど……罪木がね、助けてくれて」

小泉「うん……」

西園寺「でも、今日は来てくれなくてさ……だからと言って、全然、さみしくもなんともないんだけどね」

小泉「日寄子ちゃん……」

花村「はい、今日の朝食! 西園寺さんには浅漬けもね。……あと、はい、コレ」

花村は最近、人によって出す食事を変えるようになった。わたしの所には、いっつも可愛く盛り付けられたさくらんぼがついてくる。

わたしは箸を手に取って、浅漬けに伸ばす。と、小泉おねぇの声。

小泉「何なら、アタシもそれ、協力しようか?」

西園寺「……え?」

小泉「今度、日寄子ちゃんの着付けのこと、蜜柑ちゃんと相談して、できるようになるまで徹底的にアタシたちで教え込む! 2人なら無理でも、3人寄ればなんとやらってね」

得意げに話すおねぇ……やっぱりわたし、おねぇの事が大好きだ。

西園寺「おねぇ……」

気づけばわたしは、おねぇの胸に飛び付いていた。

西園寺「えへへ、ありがとう……わたし、おねぇの事、だーいすき!」

小泉「ちょ、ちょっと……やめてよね? 恥ずかしいから……」

西園寺「それじゃあ、この後一緒にお風呂入ろうよ! わたしとおねぇで洗いっこね!」

小泉「あ、洗いっこ?」

花村「……ほう?」

ソニア「わお、とっても楽しそうな計画ですね。ふふっ、わたくしも皆さんと遊べるような物、何か考えておきませんと……」

そうと決まれば、急いでご飯食べなきゃね!

急にお腹すいてきちゃった。えへへ罪木「た、大変ですぅ!!」

……いつもおねぇと約束をすると、何かしらの邪魔が入る気がする。

小泉「み、蜜柑ちゃん? どうしたの?」

罪木「ええと、あの、あのあの、その……はぁうぅ!!」

辺古山「一度落ち着け。自分のペースでいいから伝えてくれ」

罪木「わ、分かりましたぁ……ふぅ」

罪木「えっと……お、終里さんが……倒れちゃったんですぅ!」

左右田「な、何!? あの終里が……!?」

田中「急ぐぞ、ただ事ではないはずだ」

ソニア「合点承知の助です!」

七海「大変だね……行かなくちゃ!」

狛枝「という事は……ボクも出動だね?」

小泉「皆で行こうよ、赤音ちゃん、ずっとピリピリしてたし……やっぱ心配だよ!」

おねぇは本当に、誰に対しても優しいんだね……。

―チャンドラービーチ―

罪木「あ、あそこ……あそこですぅ!!」

罪木が指さした方向を見ると、そこには……仰向けで苦しそうな表情を浮かべる、終里の姿があった。

左右田「お、おい! しっかりしろよ!?」

終里「へ……へへ、なさけねぇ……」

罪木「す、すごい熱があるんです……だから、急いで運ばないと……」

花村「1人じゃ無理だから、ぼくたちを呼んだって事だね……?」

ソニア「では、二人ほどで運びましょう! とりあえず、終里さんのコテージに運んで……それから……」

罪木「わ、私が何とかして見せます!」

辺古山「それでは、私が運び役を務めよう。田中、すまないが一緒に頼めるか?」

田中「解した」

田中と辺古山おねぇで、一緒に終里を担ぐ。よろよろとした足取りで、終里おねぇはビーチを抜けて行った……。

花村「やっぱりあの子、しばらく何も食べてなかったんだね……」

西園寺「……え?」

花村「終里さん、昨日はレストランに来てたでしょ? 結構多めに盛って料理を出したんだけど、一口も手を付けてなかった。今日はレストランに来さえもしてないから……もしかして、と思ってたんだ」

それって……ずっと終里はここで特訓してたって事?

小泉「ね、ねぇ……アタシにも何か、手伝えることない?」

罪木「そ、それじゃあ、私と一緒に終里さんを看病していただけますか?」

小泉「うん、分かった」

西園寺「わ、わたしもやる!!」

とっさに、この言葉が出た。

澪田「え、ひ、日寄子ちゃんが!?」

西園寺「何!? やっちゃ悪いの?」

澪田「そういうわけじゃないんすよ? ただ……その、ちょっと意外だなぁって」

ソニア「そうですか? そんな事ないと思いますけど……」

西園寺「あーもう! アンタら般人の感想なんてどうでもいいんだよ!! わたしがやるって言ったらやるの! いいよね!?」

罪木「は、はいっ! 大勢いるのに越したことは無いですからぁ!」

……こうしてわたしは、終里おねぇを看病することになった。

……誰かの看病なんて、やった事もないんだけどね。

―オワリノコテージ―

片づけられてない缶を避け、終里を布団に寝かせる。

辺古山「……3人だけで大丈夫なのか?」

罪木「はい。逆にこれ以上増えても、することなくなりますし……感染を抑えるという意味でも、これくらいの人数の方がいいかと……」

辺古山「分かった。そういう事なら、私は失礼する」

田中「くくくっ、せいぜい寝首をかかれぬよう、注意しておけよ」

終里をここまで運んできた2人は、少し心配そうに部屋を後にした……。

罪木は一生懸命、終里の体のどこが悪いかを調べようとしてるみたい……こんなに目が真剣なコイツを見た事って、今まであったかな?

(罪木「西園寺さん、今すぐ入りましょう」

西園寺「は、はぁ!? だから着付けできないんだって……」

罪木「私、教えます。着付けのやりかた知ってるんで、西園寺さんも何回かやれば、1人でできると思います」 )

あの時と同じ……誰かを、助けようとしてる時の目。

罪木「ふぅ……ただの風邪、みたいですね。ただ、花村さんの言ってたように、きちんと栄養を摂ってないのも要因として大きいみたいですぅ」

小泉「そこまでわかっちゃうもんなんだね……」

罪木「わ、私も一応、【超高校級の保険委員】ですからぁ……えへへっ」

すごいなぁ……わたしには何ができるんだろう?

皆のためにって思ったあの時だって、わたしは皆を怒らせちゃったし……。

小泉「日寄子ちゃん? 大丈夫?」

西園寺「へ? ……ああ、うん」

罪木「じゃ、じゃあ、私はつきっきりで終里さんの所にいようと思うので、小泉さんには水を、西園寺さんには……」

さらさらとメモを取って、罪木はそれをわたしに渡す。

罪木「このメモに書いてあるのと、同じ名前の薬を取ってきてもらえますか?」

西園寺「うん、分かった」

メモにはたくさんのカタカナがずらりと並んでいる。取りに行く薬は……全部で3つだね。

罪木「よ、よろしくお願いしますぅ!」

言われなくてもやるっての。わたしが言い出したことなんだから……。

―ドラッグストア―

……最後の1つ、見つけたってのに……

西園寺「うぅ……高いとこにあって、届かない……」

何度も何度も飛び跳ねてみるけど、一向に手の届く気配がしない……でも、これはわたし1人でやりたいし……

あ、ちょうどいいところに脚立があんじゃん。これを使えばいいんだよね?

西園寺「よいしょっと……」

薬、これでいいのかな? ……うん、大丈夫だよね。

わたしは薬を持って、急いで終里おねぇの所に戻った……。

―オワリノコテージ―

小泉「えーっと……じゃあ、これで大丈夫なのね?」

罪木「はい。この薬を調合して、ご飯の後に飲ませれば、おそらく明日には元気になれるはずですぅ」

西園寺「そっか……それならよかったよ」

罪木「えへへ、お二人とも、手伝ってくれてありがとうございましたぁ」

小泉「別にアタシたちは何もしてないよ……ただ、蜜柑ちゃんはこれから大変そうだけど、大丈夫?」

罪木「はい、平気です。こういうの慣れてますし、それに……誰かのために頑張れるって、とっても、とーっても素敵なことだと思うんです」

……誰かのために、頑張れる……か。

《お父さんのために、頑張るんだあ》

        《もう会えないから》

西園寺「……」

ゆるゆると首を横に振る。思い出したくない濃霧みたいな過去を振り払うために。

小泉「じゃあ、アタシたちもこれで……日寄子ちゃん」

西園寺「……何?」

小泉「そ、その……一緒にお風呂、入ろうか」

西園寺「……! うん!」

そのあと、わたしはおねぇと一緒にお風呂でいっぱいいろんなことを話した。

こんなに気持ちいい気分になれたのって、いつ以来だろう……どうしてかな?

やっぱり……誰かのためになることをしたから、なのかな?

―サイオンジノコテージ―

ふぅ、今日は我ながらいい事したね。

いや、いっつもいい事しかしてないけどね。わたしはいい子だから。

西園寺「るんるんるーん♪」

嬉しくて、つい鼻歌なんか歌っちゃう。そんなわたしは、他の人からはどんな目で映ってるんだろう?

―ホテル―

気分よく散歩に出かけようとしたところで……。

ドンッ!

西園寺「きゃあっ!」

誰かにぶつかった……。せっかくきれいにした着物が、また汚れちゃったよ……。

西園寺「……ぐすっ」

辺古山「……さ、西園寺? す、すまない。大丈夫か?」

西園寺「う、うぅ……だ、大丈夫……」

西園寺「な訳ないじゃん! 最悪だよ! せっかくおねぇに着せてもらった着物なのに!」

辺古山「!? ど、どういう意味だ?」

西園寺「あ、いや、今のは……なんでもねーよバカ!!」

辺古山「ぐっ……そ、そうか。何かあったら、遠慮なく私に言ってくれて構わないぞ」

西園寺「うん」

まあ、アンタを頼ることがわたしにあるかな? って感じだけどね。

辺古山「……それと、これを……」

なにこれ? 手紙?

辺古山「七海に渡してやってくれないか? 中身は見ても見なくても構わんぞ」

西園寺「えー? そんなにわたしっていやな人に見えるかなぁ? 人の手紙見るなんてことしないよ?」

辺古山「そうか……まあそれもいいだろう。ただの誘いの手紙だからな。後で西園寺も目を通すことになる」

西園寺「あれ? じゃあ今見たほうがいいのかな?」

辺古山「好きにしろ」

……ま、後ででいいか。とりあえず、七海おねぇのところだよね?

―ナナミノコテージ―

インターホンを押してみる……

ピーンポーン……

西園寺「……」

というかなんでコテージにインターホンなんてついてんだよ……。

ガチャッ

七海「あ、西園寺さん、ちょうどいいところに。上がっていってよ」

西園寺「……え?」

花村「やぁ、先にお邪魔させてもらってるよ」

西園寺「は、花村までいる!?」

花村「あれ? ぼくが女の子のコテージにいると行けなかったかな? ふふっ、そうだよね……なんだかイケそうな気がしてきてるもん」

な、七海、今すぐ逃げて……!

七海「この前やってたレースゲーム、4人までやれるし、一緒にどうかなって思って」

狛枝「あ、ちなみにボクもすでに捕まってるからね」

……なるほど、見張りは面倒だから、部屋から出さないって戦法だね……でも

西園寺「わたしはただ、七海に渡したいものがあっただけで……」

七海「私に? ……何かな?」

西園寺「えっと……これ、辺古山から来たんだけど……」

七海「西園寺さんはもう見たの?」

西園寺「……ううん」

七海「耳貸して」

西園寺「え?」

七海は言うなり姿勢をかがめて、わたしの耳元でささやいた。

七海「ソニアさんから女性限定で海水浴をしようっていう連絡だよ?」

海水浴……って言っても、わたし泳げないし……でも、どうしよう?

七海「……どうするの?」

西園寺「え、えっと……」

七海にもう少ししゃがむように手で指示して、「少し考えるから、また後でちょうだい」と伝えた。七海はそれに対して、微笑みながらうなずいた。

花村「おやおや? 内緒話? ぼくら男には聞かせられないってことかな?」

七海「うん、でももう終わったし、少し遊ばない?」

西園寺「……まあ、いいよ」

あまり気は進まないけどね……。

狛枝「アハッ、楽しみだなぁ」

……アイツのせいで。

結果……

1位 狛枝

2位 西園寺

3位 七海

4位 花村

花村「ああ……まあこうなることはなんとなく予想してたけどね……」

七海「まさか、狛枝くんに当てるつもりだったアイテムが、こっちに帰ってきちゃうなんてね。びっくりだよ」

狛枝「あははっ、これは幸運だったみたいだね……」

……というか、なんで七海はこんな奴とゲームしてて平気な訳? かくいうわたしも、花村も、若干怖がりつつゲームしてるんだけどさ……。

(七海「そっか……でも、私は……誰も疑いたくはないから。皆をずっと信じてたい……けど、日向くんや狛枝くんのやった事、許さないよ」

狛枝「そうだろうね、じゃあどうするの? ボクを殺す?」

七海「ううん、私が許さないのは、貴方たちのした“行為”」 )

まさか……そう言う事なの?

狛枝「今日は調子がいいね。せっかくだし、もう一回どうかな?」

西園寺「わたし、いいや」

コイツといると……何か気分下がる

(狛枝「前回の裁判の時のキミを見て、ボクは確信したんだ。キミのような人が、絶対的な希望を持てるにふさわしい人物なんじゃないかなって」

西園寺「ふぅん、それでなんでアンタと組まなきゃいけないわけ?」

狛枝「だからこそだよ。ボクとキミで素晴らしい殺人を計画して、キミにボクを殺してもらうんだ。そしたらきっと、西園寺さんは抜け出せるよ? この島から。絶対的な希望と共にね」 )

……きっと今朝のせいだ。

花村「え、西園寺さん、今来たばっかりじゃん? せっかくだし、もう少し一緒にいようよ」

西園寺「嫌」

七海「えーっと、何が嫌なの? ゲーム変えよっか?」

西園寺「別に、ゲームが嫌とかじゃない」

狛枝「じゃあどうして?」

西園寺「……なんか、変じゃない?」

花村「へ、変って? もしかしてぼくの髪型?」

西園寺「ううん。こうやって集まってゲームしてることが」

七海「……どういう意味かな?」

花村「え、西園寺さん、今来たばっかりじゃん? せっかくだし、もう少し一緒にいようよ」

西園寺「嫌」

七海「えーっと、何が嫌なの? ゲーム変えよっか?」

西園寺「別に、ゲームが嫌とかじゃない」

狛枝「じゃあどうして?」

西園寺「……なんか、変じゃない?」

花村「へ、変って? もしかしてぼくの髪型?」

西園寺「ううん。こうやって集まってゲームしてることが」

七海「……どういう意味かな?」

西園寺「だ、だって、わたし……まだ、その……狛枝の事、許せたわけじゃない」

狛枝「…………」

花村「あ、あー……」

言っちゃった。もしかしたら言っちゃいけないことだったかもしれないね。なんかまた空気悪くしちゃったよ。

七海「あのね、思うんだ」

西園寺「……え?」

七海「こういう時こそ、ゲームって言うのはいいんだよ。ちょっとプレイする内容変えてみよっか」

そう言うと、七海はディスクを慣れた手つきで取り出して、丁寧に布でふいてから、ケースに戻す。

そして、別のケースからディスクをとりだし、また布でふいて入れた。

七海「……あのね、私は皆と一緒に協力して頑張りたいなって思ってるの。きっと、弐大くんも十神くんも、私達が恨み合ったり、憎み合ったりするの、嫌なんじゃないかなって」

…………そうだろうね、うん、そうだよ。

花村「な、七海さん……」

七海「すぐには許せないと思う。でも、こうやって一緒にいることで、少し……気持ちが楽になってこないかな?」

狛枝「…………」

西園寺「…………ふんっ、どうなんだろうね」

わたしは上げた腰をもう一度床におろし、人差し指を立てた。

西園寺「じゃあ、もう一回遊んであげる。アンタ達がそう言うから、仕方なくだからね。特別だよ?」

七海「えへっ、ありがとう」

花村「……七海さん……」

花村も、少しさみしそうな顔、してた。わたしと同じこと、考えてたんだよね。

人はね……皆が皆七海おねぇみたいに強くないんだよ。分かってんの?

―サイオンジノコテージ―

……うーん。体の節々が痛い。

結構疲れちゃってるな……もう寝ようかな?

でも……もう、夜の10時すぎてるね……。

……今なら、誰も外に出てない……よね?

……ちょっとだけ、おにぃの様子を見に行っても……いいよね?

―ホテルキュウカン オオヒロママエ―

……誰とも会わずに、ここまで来ちゃった。

西園寺「すぅ……はぁ」

この奥には、日向おにぃがいる。

いっぱいいっぱい、わたしにいろんな言葉をかけてくれて、優しくて……。

でも、殺人を犯したすべての元凶はこいつ……と言ってもいいのかもしれない。

……なんでだろう、どうしてかな? 狛枝の事は怖いのに……おにぃの事は、むしろ心配なくらいだ。

西園寺「……よし」

意を決して、扉を開ける。すると、そこには……。

日向「…………お、西園寺か。久しぶりだなぁ。えっと……3日くらいあってなかったか?」

…………いた。縛られてるのに、にこやかに笑ってる。

日向「どうしたんだよ? いいのか、勝手に俺の所にきて」

西園寺「…………」

色々と聞きたいことが山積みで……なんて声をかければいいのか、分からない。

日向「西園寺。言ってくれなきゃわかんないぞ。俺は超能力者でもなんでもないんだから」

西園寺「……なんであんなことしたの?」

日向「あんなこと……ああ、あれの事か? 言わなかったか?」

確かに、言ってたけどさ……。

(日向「俺は狛枝みたいに、絶対的な希望を求めてるとかじゃない。もっともっと大きい理由があるんだ」

七海「その理由って言うのは?」

日向「……今は、言えない」 )

西園寺「あんなんじゃ納得できないよ」

日向「…………まあ、普通はそうだろうな。納得できるようなことじゃないよな」

日向「俺はさ……ずっとずっと考えてたんだよ。俺が皆を守るためには、何をしたらいいのかって」

西園寺「皆を守る……?」

日向「そしたら……俺はある1つの結論にたどり着いた。たった1つの結論だ。それは……」

日向「俺が人殺しになることだった」

……は? 何を言ってんの、コイツ?

日向「言ってる意味が分かんないって思うなら、それまでだな」

西園寺「だからって、あんな風に誰かを隠れ蓑にして殺す必要なかったんじゃ……」

日向「ダメなんだ!!」

西園寺「ひっ……!?」

日向「俺は……それじゃダメなんだよ。確かに狛枝の言う通りなんだ、謎が深ければ深いほど、皆の結束も……固く、より強くなっていくんだ、それは間違いない」

……何さ、それ。

日向「だから西園寺、恨むなら俺だけを恨んでくれ」

西園寺「はっ、何言ってるのかさっぱりで「頼むから」

食い気味にそう言った、おにぃの顔から……一筋の涙がこぼれていた。

日向「……頼む、お願いだから……俺を恨んでくれ……」

……それから、日向おにぃは何を言っても喋ることは無かった。

ただ、恨んでくれって、そんな顔で言われると、わたしが恨むことが罪みたいじゃん……。

それからわたしは、コテージに戻って、ずっと考え事をしていた。

おにぃの言ってたこと、狛枝の気持ち、終里おねぇの想い、七海の考え、花村の気持ち……

色々な考えがぐちゃぐちゃに絡み合って、混線して……よくわからないまま。

わたしは……眠りについた。

10日目

―サイオンジノコテージ―

……朝?

結局昨日は、何を考えてたんだっけ?

……もう一眠り、しようかなぁ?

西園寺「ふわぁ……」

ピーンポーン……

……うん、なんかなんとなくわかってた。

ガチャ

小泉「あ、日寄子ちゃん。あはは、出るの遅いから寝てるかと思っちゃったよ」

う……半分正解。さすがはおねぇ。

西園寺「おねぇ、どうしたの?」

小泉「ほら、着付けのトレーニング、一応しようと思ってね」

図書館から持ってきたと思われる、本……。

西園寺「『和に生きる女性の、礼儀作法』……?」

小泉「これを使って、着付け覚えていこ?」

西園寺「……! うん!」

―レストラン ニカイ―

罪木「ふにゃぁ……おはようございまふ」

花村「つ、罪木さん、大丈夫?」

罪木「は、はい、平気れす……昨日丸一日眠れてない……れすけど」

終里「おかげ様でオレは完全復活だ。それと……悪かった、心配かけて」

小泉「いいんだよ赤音ちゃんが元気になってくれたら!」

罪木「そうれすよぉ、私の努力も実ったというものれす」

終里「やっぱ自分を見失うってのは、あんましいい事じゃねぇのかもな。オレ、ちょっとそれになっちまってたかもしんねぇ」

左右田「ちょっとじゃなくて大分だけどな」

終里「まあ、何はともあれ、オレはもう大丈夫だ! これからは腹いっぱい飯食って、たっぷり運動して、ちょっとずつ強くなってくことにしたんだ! ……何も急ぐことはねぇんだからよ」

西園寺「そーそー。やっと気づけたんだねー」

終里「おうっ!」

ソニア「とにかく、無事に終里さんが戻ってきてくれて何より……ですが、罪木さん?」

罪木「はふぅ~ん……白馬に乗った王子様が、私の目の前にぃ……」

狛枝「あちゃあ、こりゃ寝ちゃってるね」

七海「罪木さんをコテージまで運んであげよっか」

花村「安心してよ。ぼくがぬるりと……」

田中「なら、再び俺と辺古山でやればいいだろう」

辺古山「ああ、そうだな。花村には指一本でも触れさせてはダメだ」

花村「えー、なんでだよー黒のTバックぅ」

辺古山「や、やめろ!」

そうして、平和に食事を食べたあと、いつものようにわたしは、コテージに戻った。

―サイオンジノコテージ―

……さて、今日は何しようかな?

罪木に会いに行くのは……ちょっと悪いかな?

でも、わたしも何もする気が起きないし……もう少し、眠っていよう。

……って、あれ? もうこんな時間なの? 結構疲れてたんだなぁ、わたし……。

まあいいや。ちょっとだけ散歩して、戻って今日はもう寝よう。

寝てばっかりだけど、こんな日が少しくらいあったっていいよね。

―サイオンジノコテージ―

……夜だ。

今日も……夜が来た。

……ざわざわと胸の中が騒がしい。

……ちょっと公園に行って摘んできたお花を生けてみた。

……うん、我ながらいいセンス。部屋に飾ろっと。

西園寺「おやすみなさい……」

どうか、どうかこの胸騒ぎが、何かの前兆でありませんように……。

11日目

―サイオンジノコテージ―

西園寺「…………ぐずっ」

目が覚めたら、頬が濡れていた。

……顔洗おう。

ピーンポーン……

西園寺「…………」

七海「あ、おはよう西園寺さん。良かった、出てくれて」

毎度毎度思うけど、わたしってそんなにドア開けそうにないかな?

七海「あのね、一応これを渡しておこうと思って」

西園寺「……これって?」

手紙『明日、午後2時より、ドキッ! 女だらけの海水浴大会を開催する予定です! ふるってご参加ください! 差出人:エックス

P.S. これをもらった人は、別の女性に回すように。さもなければ不幸が舞い降ります。見た人はここにサインを

終里 ○ 七海 ○ わたくし ○ 西園寺 小泉 ○ 罪木 ○ 澪田 ★ 辺古山 了』

七海「結局どうすることにしたの?」

ああ、これか。

一応わたしはその紙に丸だけつけて、七海に返した。

七海「どうする? 西園寺さんは行く? 行かない?」

西園寺「……行かない」

だって泳げないし。うん、これは正しい結論だよね。泳げない奴は海水浴に行かない方がいいよね。

七海「うーん、そっか。残念。せっかく私、皆で遊べるボードゲームとか持っていこうとしたのにな」

海水浴に……ボードゲーム? こいつ海水浴がなんなのか分かって言ってるの?

西園寺「とにかく、わたしはいかないから、ソニアにそう伝えといて」

七海「差出人はエックスって書いてあるけど……まあ、バレバレだもんね」

さすがの七海も、これには少し苦笑い。それを胸のポケットにしまって、彼女はてくてくとレストランに向けて歩いて行った。

七海「ほら、西園寺さんも行こうよ、レストラン」

西園寺「……うん」

わたしはレストランに向けて、すたすたと歩いて行った……。

西園寺「きゃっ!!」

七海「大丈夫?」

西園寺「草履の女の子に速めに歩かせようとしないでよ!」

―レストラン ニカイ―

わたしの前には、いつもと違う日常があった……。

「いい加減にしやがれ!!」

その怒号は、どこか違った。普段、聞きなれない声……。

左右田「そんなふうに言ったって、オレは絶対に意見を曲げる気はねぇからな!!」

九頭龍「だからそれ自体が間違いだって言ってんだろ!!」

罪木「あの、2人ともケンカは……」

左・九「「お前は黙ってろ!!」」

罪木「ふえぇ、酷いデジャヴを感じますぅ……なんで私ばっかり……」

七海「不穏な空気ってやつだね……」

西園寺「ちょ、ちょっと、何があったって言うの!?」

澪田「た、大変っすー! 創ちゃんの処置を巡って、大バトルっすよ!!」

西園寺「創……ああ、おにぃの事か。ていうか、どういうこと?」

小泉「九頭龍が急に来て、そろそろ日向の拘束を解放してやれってうるさいのよ……」

九頭龍「奴は十分あそこで反省したはずだ。このままだと手遅れになっちまうって言ってんだよ!!」

左右田「手遅れってどういう意味だよ!!」

もしかして九頭龍……一生恨み続けることになるっていう事を危惧してるのかもね……。

それこそ、おにぃを殺さないといけないくらい、皆が不安になっちゃって……。

九頭龍「チッ……ここまで言っても分かんねぇのかよ……本当にテメェのおつむは詰まってんのか?」

左右田「ぎゅんぎゅんに詰まってるっての!!」

ソニア「喧嘩はおやめなさーい!!」

左右田「ソニアさん……そうはいったって……コイツが」

ソニア「お聞きなさい。みなさんは日向さんを拘束して、しばらく日が経ったかと思われます」

田中「確かに……そろそろ5日の刻が経とうとしているな」

終里「それがどうしたってんだ?」

ソニア「ですがそれで、皆さんの中にある心の闇は晴れましたか?」

狛枝「これはこれは、【超高校級の王女】さんの鋭い指摘だね。ふふっ、皆はどう? 誰かに自分が殺されるかもしれないって言う心の闇、日向くんを拘束する事で晴れたの?」

その問いには……誰もうなずくことはできなかった。

だって、おにぃを拘束したところで、何かが解決するわけじゃない……結局1度口火を切られたら、後はもう……ぐんぐん加速して堕ちていくだけ。

ソニア「……もう分かったでしょう。これが、日向さんに対する答えです」

辺古山「なるほど……ソニアや九頭龍の言い分も、一理あるかもしれないな」

左右田「……わかりました。ソニアさんがそこまで言うなら、日向を解放……した方がいいんでしょうね」

ソニア「はい。それでいい……ですよね? 九頭龍さん?」

九頭龍「…………っ!!」

小泉「ねぇ、ソニアちゃんが訊いてるじゃん。女子の質問に答えないって、男子としてどうなの?」

九頭龍「……ははっ、はははははっ!!」

花村「な、何!? 九頭龍くんまでおかしくなっちゃったの!?」

九頭龍「分かった!! 良くわかった!! オレがどれだけ言っても伝わらないのに、王女さんが一言いうだけでコレだ!!」

西園寺「く、九頭龍?」

九頭龍「残念だったな!! やっぱオレが何を言おうと……オレはただの汚ねぇ極道もんだ……」

そういうと、九頭龍はすごい速さで、レストランのバルコニーへと飛び出してしまった。

左右田「お、おい!! 九頭龍!!」

辺古山「待て、私が行く」

左右田「け、けどよォ……」

辺古山「以前、同じようになってしまった知り合いを知っているのだ。ああいうのをなだめるのは……私の得意分野だと思うぞ」

左右田「そこまで言うなら……任せたよ」

辺古山「感謝する」

九頭龍に続いて、辺古山おねぇも、急いでレストランを飛び出した。

左右田「で、いつ解放するんですか?」

ソニア「そうですね……今すぐにでも解放はしたいんですが……」

小泉「アタシは、ちょっと不安かな……」

罪木「わ、私も……です」

田中「俺様も、完全にソニアの意見に賛成したわけではないからな」

ソニア「なるほどザワールド……それでは、あと1日だけ日を空けましょうか」

花村「じゃ、じゃあそろそろ朝食にしようか! ほら、皆座って座って! ぼくなりのすっごい料理を作ってあげるから!!」

ピンポンパンポーン……

この放送は……終わりを告げるって知ってる。

モノクマ『えー、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会が、お知らせします……』

わたし達の、非日常の中の日常を終わらせる……放送だって知ってる。

モノクマ『オマエラ、すぐにジャバウォック公園にお集まりくださーい!』

…………そこで、放送は切れた。

罪木「あ、ああ……ま、まさか……まさかまたぁ!?」

西園寺「落ち着けバカ! そんなワケないだろ?」

罪木「う、うぅ……本当に、大丈夫でしょうか?」

澪田「蜜柑ちゃん大丈夫っす! 気をしっかり持つっすよ!」

七海「狛枝くん、行くよ?」

狛枝「うん、いこっか」

今日はここまでで

予想以上に書きためのペースがいいので、今日一気に裁判前まで進んじゃおうと思います。

―ジャバウォックコウエン―

公園にわたし達が行くと、そこにはすでに人がいた……。

九頭龍「……よぉ、お前ら」

辺古山「迷惑をかけてすまなかったな」

左右田「く、九頭龍……辺古山!」

モノクマ「おやおや、ミナサンお集まりのようで……って、アレアレ? 1人足りませんなぁ。トリックスター2号こと、日向クンの姿が見えませんね」

左右田「アイツはちょっとした野暮用だよ。オレが後で伝えておいてやる」

モノクマ「あっそ。そういう事なら別にいいんですけどね。うぷぷ、とは言っても、もう皆気付いてるでしょ? 今回の動機は、あの機械ですよ、あの機械!」

辺古山「やはり、我々に下らぬ動機を見せつけるつもりだったのか……」

モノクマ「その名も、トワイライトシンドローム殺人事件です!!」

~本編と流れが同じなので、少しカットします~

モノクマ「……うぷぷ、やるもやらないも、オマエラ次第だよ。あ、そうそう、後ね?」

モノクマ「今回はすべての人達に、クリアした時にそれぞれがもらえるスペシャルな特典、クリア特典と……ハイスピードでクリアした人に送る、超クリア特典の2種類を用意しましたー!」

は? そんなもので釣れるとでも思ってるの?

モノクマ「あ、そうそう、後これが大事なことなんだけど、プレイするにはコイン……じゃなくて、オマエラの電子生徒手帳を差し込む必要があるから、それだけよろしくね!」

モノクマ「うぷぷぷ、じゃあ、オマエラが人殺しをしてくれることを、ボクは信じてるよ?」

そう言って、モノクマは去って行った……。

七海「はぁ、結構好きなシリーズだったから、こんなことに使われるなんて残念だな……」

左右田「お、オレはお前らを信じてるからな? やんなよ? 絶対やんなよ!?」

口々に、思う事を言って去っていくメンバーたち……わたしも、その中の1人として、公園を後にした。

でも、なんだろう……何か、避けようのない、恐ろしい何かを……アレから感じるのは……。

それは、わたしだけじゃないみたいだった。

罪木「…………」

西園寺「…………」

澪田「…………」

小泉「…………」

九頭龍「…………」

……それから、わたしたちは無言でお互いを見つめ合って……何かを振り払うように、また歩き出した……。

―サイオンジノコテージ―

西園寺「…………」

大丈夫、きっと大丈夫……こうやって不安にさせるのが、モノクマのやり口……だよね?

……落ち着かない。外に出てみようかな?

―ホテル プールマエ―

澪田「うーん……あー……あはははは……」

水面に映る自分とにらめっこする澪田おねぇ……正直異常である。

澪田「あ、日寄子ちゃん……どうしたんすか?」

西園寺「……動機について、どう思う?」

澪田「え……? まあ、唯吹もそれについて、珍しく頭を悩ましてたんっすよ……なんていうのかなぁ……アソコから感じるオーラというか……まるでアレは、唯吹がプレイしなきゃいけないような気がして……」

そう、わたしも同じような気持ちになった……アレをやらなきゃいけないような、そんな変な気分……。

澪田「……まあ、なんていうんすかね? きょーたい? が、唯吹を呼んでるような、そうでもないような……」

うん、同じ気分……わたしと全く同じ……。

澪田「よしっ! 日寄子ちゃん! 同盟組むっす!」

西園寺「ど、同盟!?」

澪田「イエス! 唯吹と日寄子ちゃん、お互いにあの筐体のゲームをやらないっていう事を誓い合う同盟っす!」

そう言って、澪田おねぇの出してきた小指をそっと受け取った。

澪田「ゆーびきーりげーんまん、うーそつーいたーら」

澪田「今までになかったようなこんなことをされたら死ぬ方がまだマシだ……そう思えるようなそんな恐ろしいようなことをさーせるっ」

澪田「ゆーびきったっと!!」

……よくわかんないけど、「~ような」って言い過ぎなような……。

澪田「これで日寄子ちゃんと唯吹はお互いに同盟会員っす! だから、約束は絶対! OK?」

西園寺「……うん、分かった」

……澪田おねぇとの約束……口だけの約束なんて、何にも効果がないんだよ?

―サイオンジノコテージ―

西園寺「……もうすぐだ……もうすぐ、時間が来る……」

海水浴の時間……わたしは何も意識しなくていいけど、でも……いや、やっぱり考えるのはやめておこうかな?

もし、その時間帯に殺人が起きたら……

西園寺「あー、バカ。わたしのばか。何考えてんのさ」

殺人なんて起きるわけない……目が覚めたら、きっと全員レストランにいて、おにぃを解放できて……うん、いい事づくめに違いない!

だから……。

……コロシアイが起きた、なんて、冗談でもやめてよね?

12日目

―サイオンジノコテージ―

西園寺「……!!」

目が覚めた……時計を見る。まだ5時だ。

西園寺「……早く起きすぎちゃったかな?」

でも、もう一度寝れるはずがない……。

わたしはレストランに急いで行くことにした……。

―レストラン ニカイ―

まだ、誰も来ない……時間が経つのを、今か今かと待った。全員が来ますように、どうか全員が……来ますように……

……全員来た。ちゃんと全員そろった。

ソニア「み、皆さん……良かった」

澪田「やっぱ殺人なんて起きるはずなかったんっすよー!」

狛枝「……」

七海「……」

終里「ふぅー、余計な心配したら、腹減っちまったな! 飯でも食おうぜ!」

花村「オーケーだよ! ぼくに任せといて!」

いつにもまして空元気が目立つけど、でもそうするしか……そうするほか、なかった。

それから食事を終えて、花村が後片付けをしている中、小泉おねぇが食事を用意していた。

西園寺「あ、それ日向おにぃの?」

小泉「え? あ、うん……」

小泉おねぇ、明らかに元気がない……どうしたんだろう?

小泉「あ、あのさ……日寄子ちゃん」

西園寺「んー?」

小泉「ひ、日寄子ちゃんは、海水浴……行くの?」

西園寺「今の所、行く気はないよ?」

小泉「よ、よかった……じゃあ、あのさ……ビーチハウスに1時頃、来てもらっていいかな? 待ってるからさ……」

西園寺「? うん、分かった」

小泉「じゃ、じゃあアタシ、ご飯日向に運んでくるから……」

西園寺「待って」

わたしは小泉おねぇから、お盆を取り上げる。

小泉「あ、ちょ、ちょっと!」

西園寺「今のおねぇ、ちょっと震えてる。だからおねぇはちょっと休むべきだよ。なんなら今すぐにでも相談、乗ってあげるからさ、ね?」

小泉「う、うん……分かった」

―ホテル キュウカン―

西園寺「……ふぅー……」

ここに入るのは、かなり緊張する……なんでだろう?

扉を、背中でゆっくりと押し開けた……。

日向「お、今日は西園寺か」

西園寺「ねぇ、ここに閉じ込められて6日たつけど、どう?」

日向「体が気持ち悪いな……今すぐ風呂に入りたい」

西園寺「きゃはは、そうだろうね……」

そう言って、わたしはお盆をおにぃの近くに置いた。

おにぃは慣れた感じでお盆に乗ったストローを口でくわえて、汁物を吸い始めた。

こんな生活を……ずっとしてきたって事? ……なんで? なのになんでコイツは、何も文句を言わないんだろう……?

日向「ぷはぁ、花村の料理は味噌汁の汁だけでも、味が何だか違うな……ところでさ」

西園寺「……何?」

日向「西園寺は例の奴、やったのか?」

西園寺「え? ……れ、例の奴って?」

日向「とぼけるなよ……トワイライトシンドローム殺人事件の事だ」

西園寺「なっ……どうしてアンタがそのこと知ってんの!?」

日向「さぁ、なんでだろうな? それと、今日は海水浴の予定もあるんじゃないか?」

さ、さすがにそこまで知ってるのは……キモすぎ!!

日向「俺も行きたかったけど、残念ながら女性専用のパーティーなんだろ? アレ……非常に残念だよ」

西園寺「あ、アンタ……どこまで……!?」

日向「まあ、全部モノミから聞いたことなんだけどな。西園寺は海水浴行くのか?」

西園寺「い、行かない……行くつもりないよ!」

日向「ふぅん……じゃあ、小泉も行かないのか?」

西園寺「だ、だからなんでそのことを……!?」

日向「行った方がいい」

西園寺「え?」

日向「もう一度言うぞ。海水浴に、行った方がいい……」

西園寺「…………」

なんで、日向おにぃに言われると、行くのが得策って思えてくるんだろう……あんな、あんな酷い事をした人なのに……

西園寺「分かった。じゃあ、おねぇとすぐに話をつけて、海水浴に行くよ。泳げないけど……」

日向「ははっ、知ってるよ」

……なんで、なんでもかんでも知ってるんだよ……。

―ホテル プールマエ―

西園寺「あ、小泉おねぇ」

小泉「ん? どうしたの?」

西園寺「さっきの話なんだけどね。わたし、やっぱり海水浴行くことにしたんだー」

小泉「え……そ、そうなの……」

西園寺「それでさー、おねぇがさっき震えてた理由、今聞かせてもらっちゃダメ?」

小泉「……う、うん……実は、九頭龍から……こんなものが来てて……」

~手紙の内容は本編と大体同じですが、九頭龍に指定された場所がドラッグストアになっています~

……5回下? って事は、九頭龍は……プレイしたって事?

小泉「アタシもプレイしてきたよ」

西園寺「そ、それで……どうだったの?」

小泉「……えっと、ごめん、これ以上は言えない……でも、ゲームの中でアタシ、どうやら九頭龍に大変なことをしてたらしくて……どうすればいいのか、分からなくて……」

西園寺「行かないで」

小泉「え……?」

西園寺「おねぇ、行かないで」

小泉「ひ、日寄子ちゃん……」

それから、小泉おねぇは悩みが吹っ切れたかのように、決意の目をしていた……。

小泉「分かった。アタシ、勇気を出してみるよ」

わたしの目の前で……九頭龍の手紙を破り捨てるおねぇ。その姿を見て、わたしは……なぜだかすごく安心した。

予感した最悪のシナリオを、崩すことができたんじゃないか……そう思えたから。

それから、時間が経つのは早く……海水浴の時間まで、後30分になった時……。

―ダイナー―

花村「ぼくの風の噂だと……ここだね!」

田中「まさか貴様が、風の声を聴く能力を持つ者だったとはな……」

狛枝「とは言っても、レストランで小泉さんとの話を立ち聞きしたってだけでしょ?」

花村「ここに皆が来て、その後チャンドラービーチで泳ぐんだよ? くぅー! なんだか下半身がビクビクしてきちゃったよ!」

田中「何を言っているんだ……」

狛枝「アハッ、そういう田中クンだって来ちゃったじゃん?」

田中「……ぐっ」

狛枝「やっぱり、女子の水着姿には、希望を感じるものだよね……?」

田中「ま、まあな……」

西園寺「な、なんでアンタらがいるの……?」

花村「お、おおっ! 一番のりは西園寺さんだね!!」

田中「ピンクのセパレート……腰のあたりにフリルをあしらった、かわいらしさの中にはかなさを纏った……まさに日本美ともいえる衣装だ。ふんっ、なかなか西園寺らしいではないか」

西園寺「キモッ、今すぐ出てけよ」

花村「いやーん! 幸せー!」

西園寺「なんで怒鳴られて喜んでんだ!!」

狛枝「なるほどね、西園寺さんはそう来るわけか……」

西園寺「というか狛枝!! アンタ……なんでここにいるわけ!? 七海は!?」

「あちゃー、一番乗りじゃなかったかー」

花村「ふおおおおお!! 白ビキニと来ましたかー! よだれが止まりませんな!!」

終里「よぉ、待たせちまったな……」

田中「お、終里よ……足がボロボロではないか!! いったいどうしたというのだ……?」

終里「ちょっと岩砕こうと思ってたらよ……打ち所悪くてさ……」

澪田「こんちゃっすー」

罪木「ど、どうも……」

狛枝「あれ? 二人は水着は?」

澪田「嫌っすねー! もちろん下に着てきたんっすよって、3人とも大胆っすよね!!」

罪木「さ、西園寺さん……とってもかわいらしいですぅ!」

西園寺「うっさいゲロブタ!! 深爪こじらせて死んでしまえ!!」

罪木「うえぇーん!!」

「……花村に田中に狛枝……? 何故お前たちがここにいるのだ?」

辺古山「……というか、皆そろっていたのか。これで全員……いや、ソニア以外の全員か?」

狛枝「あれ、小泉さんは来ないの?」

西園寺「それより、アンタたちが来てる方が問題でしょー?」

花村「だって、ぼくらはきみたちのあはんでうふんな世界をのぞこうと思ったんだからね!」

澪田「濡れ濡れの百合世界っすね!」

辺古山「な、なんだそれは!?」

西園寺「というか、なんで辺古山おねぇは濡れてるの?」

辺古山「時間が空いたので、気晴らしに泳いでいたんだ……どの程度までいっても、別の島は見えてこなかった……作戦は失敗だな」

狛枝「ふぅん、なるほどね」

終里「で、オメーら男どもはどうしたんだ? 水着でも裸でもなんでもいいぞ? オレとヤりあおうぜ!」

花村「ヤりあう!? いいよ!! 裸を所望するよ!」

罪木「は、ハレンチですよぉ!」

西園寺「そうだよー、罪木と同じくらいキモーい」

罪木「え? え? 私が?」

田中「む……? ……アレは?」

田中おにぃが指さした方向をみんなで見る。そこには……ドラッグストアの方向から、全速力で走りだすソニアの姿があった。

辺古山「アレは……ソニアか?」

西園寺「でも、何か急いでるよね?」

澪田「曲名に例えるなら……涙の全力疾走って感じっすね!」

罪木「というか、約束……覚えているんでしょうか?」

花村「覚えてるに決まってるでしょ! 最初にここにみんなを呼んだのはソニアさんじゃないか!」

七海「……どうしてそこまで知ってるのかな?」

……なんだろう? 嫌な予感がする……。

ソニアはわたし達が集まっているダイナーを通り過ぎて、そのまま走り去ってしまった。

ソニアはわたし達が集まっているダイナーを通り過ぎて、そのまま走り去ってしまった。

どのくらい時間がたっただろう? ソニアがやってくるのを、皆でもう少し待つことにしたんだ。

……そして……。

ドンッ!! ドンドンドンドン!!

ダイナーの扉をたたく音……何度も何度も、押して開ける自動ドアを連打する音……相当急ぎながら、転がり込むように、1人の男が……入ってきた……。

左右田「お、おい……皆っ!!」

ただ事じゃない様子。真っ青な顔をして、左右田が出てきた……。

左右田「今すぐ……ドラッグストアに来てくれ!!」

終里「……? なんだ?」

花村「なんだよー、これから本番だっていうのにさぁ……」

―ドラッグストア―

口々に文句を言いながら(わたしだってその一人だけど)ドラッグストアに踏み入れた、皆の前に待っていたのは……非日常。























赤い血だまり、何かの破片が飛び散る中、これは……ナイフ?













そして……

































血だまりの中に体をうずめる、九頭龍の姿だった。





チャプター2

正義に隠れるシロとクロ

       非日常編



(九頭龍「だ、だからよぉ……俺もそいつの流儀に乗って、行動しようと思ったんだよ……」

そういうと、九頭龍は正座をしたまま、背筋を伸ばして、わたしの方を見た。そして……。

九頭龍「この前、殴ろうとしたこと……悪かったと思ってる」 )

結局わたしは、あの言葉に対して、ちゃんと許すように言葉を述べたっけ?

(九頭龍「分かった!! 良くわかった!! オレがどれだけ言っても伝わらないのに、王女さんが一言いうだけでコレだ!!」 )

……あんな風に言うアイツの中にあった、大きな悩みを、訊いてあげられる人はどこかにいたの?

……ねぇ、九頭龍……まだ寝てるんでしょ? 寝てるだけなんでしょ?

……お願いだから……起きてよ……。

辺古山「……ぼっ……ちゃん?」

花村「え? ど、どういうこと?」

七海「また……起きちゃったんだね」

澪田「あぶ、あばばばば……嘘、だよね?」

罪木「う、うぅ……嫌ですぅ……もうあんなことするの嫌ですよォ!!」

ピンポンパンポーン……

モノクマ『死体が発見されました! 一定の捜査時間の後、学級裁判を開きまーす!』

このアナウンスが鳴ったって……それってつまり……。

狛枝「へぇ……なるほどね……」

田中「よもや……二度目があろうとは……」

左右田「おい……どうなってんだよ……十神のあの思いは……おい!! 誰が踏みにじりやがったんだ!! いったいなんで九頭龍が死ななきゃなんねぇんだよ!!」

薬品の臭いと、血の臭い……二度とかぎたくない臭いが、一辺に混じる。混ざって、わたしの鼻の奥に来る。目に突き刺さる。

辺古山「ぼっちゃん!!」

急いで、辺古山おねぇが走り出した。今まで見たことないくらいの速さだった。それは、水着だからとか、体が軽かったからとか、そういうのは関係ない。

アレは間違いない。あの時みた、弐大おにぃの物と同じ……本物の死体だ……。

辺古山「そんな……どうしてあなたが……あなたがいなくなったら、道具として私は……いったいどうすればいいんですか?」

澪田「ど、道具!? あ、あの……ペコちゃん、何を言ってるんすかねぇ?」

辺古山「……後で、全てが終わった後で、ちゃんと話す。……今は、ぼっちゃん……九頭龍の死の真相を解き明かし、犯人を見つけることに専念すべきだ」

狛枝「うん、素晴らしいね……!! 仲間の死という絶望に立ち向かいつつ、自分の中での希望を見つけるために、犯人と闘う、それを辺古山さんは選ぶんだね!!」

モノクマ「あっちゃー……またしても起きてしまいましたなぁ……」

西園寺「…………」

モノクマ「ええと、とりあえず全員呼んで、水着組は着替えてきたら?」

……自分が、その恰好だという事を忘れるくらい……衝撃的だった。

もしかしたらどこかでわたしは……コイツは死なないんじゃないか、なんて思ってたのかもしれない……。

しばらくして……水着からそれぞれのコテージで服を着替えたわたしたちは……全員が集まっているドラッグストアに戻ってきた。

ソニア「…………やはり、死んでいるのですね」

小泉「う、嘘……でしょっ!? 九頭龍が?」

七海「……また、やらなくちゃいけないんだね……でも、皆気を付けてね」

左右田「き、気を付けるって?」

七海「足跡……血だまりの中に残ってるから……それを踏まないように気をつけてって意味」

左右田「……ああ、分かった」

モノクマ「……まだいないなぁ……まだ全員来てないなぁ……」

「これで全員だろ?」

……皆が振り返った視線の先に……いたのは……。

日向「モノミがほどいてくれるのに、時間がかかってな。助かった」

モノミ「い、いえいえ……それより……また……こんな悲しいことないでちゅ……あんまりでちゅ」

日向「起きてしまったものは仕方ない……やるぞ、捜査。モノクマ」

モノクマ「ちぇっ、何だよ。遅れてやってきて主役気取っちゃってさ。はいはい、渡せばいいんでしょ?」

モノクマ「ザ・モノクマファイルー!」

モノクマ「んじゃ、よろしくねー!」

モノミ「あちしは……先生としてミナサンを見守ることしかできまちぇん……でも……あちしはミナサンがきっと正解を導けるって信じてまちゅ!」

田中「ふんっ、勝手な奴だ……」

……九頭龍の死の真相……きっとモノクマファイルには隠されてるだろうね……じゃあ……

西園寺「……やるしか、ないよね」

【捜 査 開 始】

ドラッグストアはトリックが使えるように、少し改変したところがありますので、ご注意ください

西園寺(……まずはモノクマファイルの確認からだね)

『被害者は九頭龍冬彦。【超高校級の極道】。多量出血で死亡。頭部に殴打した跡が見られる』

……は? なんか、前よりかなり不親切じゃない?

言弾【モノクマファイル2】を入手

……あんまり見てなかったけど、このドラッグストアって色々あるんだね……

……まずは、九頭龍の死体から近くない所にしとこっと……。

あれ?

西園寺「ねぇ、こんなところに冷蔵庫なんてあったの?」

罪木「は、はい、そうですね……中には、いろいろな人の輸血パックが入ってます」

輸血パック……ねぇ。

パカッ

西園寺「あ、本当だ……たくさん入ってるね……」

うぷっ、なんか気持ち悪くなってきた……。

言弾【輸血パック】を入手

西園寺「……あ、そういえば……九頭龍の遺体の奥……」

七海「クローゼットがあるね」

うん……だってわたし、あそこから水着を取り出したんだもん……。たぶん他の皆も、そうだよね……。

わたしは九頭龍の周りの血痕を踏まないように飛び越えて、クローゼットの中に入った……。

―クローゼット―

……うわっ、狭っ。人が1人入るだけでやっとなんじゃない?

……ん、なにこれ? ……これは……スパナ?

【落ちてたスパナ】を入手

これくらいしかないか……あとはきれいに片付いてるし……

セパレート、ビキニ、すく水、ウェットスーツ……全部全部、このクローゼットの中にしまってある……。

―ドラッグストア―

西園寺「さて……じゃあ……」

……この、九頭龍の周りにある部品を……。

ん、これ……何? 何かの破片……みたいだけど……。

【ガラスの破片】を入手

……よく見ると、色が二色あるね。茶色い破片と、透明な破片……。

【茶色い破片】を入手

それと、ナイフ……何でナイフが出てくるんだよ。モノクマファイルには殴打された跡って書いてあったのに……。

でも、血がべったりとついてる……けど、これはたぶんミスリードだよね。ふふん、わたしの推理力もやっぱり捨てたもんじゃないね。

【ナイフ】を入手

あと、このお面……いったいなんなのよ……。

~そのお面はキラキラちゃんのお面です! 的なくだりは端折ります~

【キラキラちゃんのお面】

を入手しました

罪木「あれ? あれあれ?」

西園寺「……どうしたの?」

罪木「うーん……実は」

狛枝「罪木さーん?」

罪木「ひぃっ!?」

西園寺「うわっ!?」

何、こいつ!? 割って入ってくるみたいに……今罪木はわたしと話してるんですけど!

狛枝「ちょーっといいかな? 相談したいことがあって」

罪木「そ、相談したいこと、ですか?」

狛枝「はい、ちょっと来て。こっちこっち」

罪木「い、いたたっ! 押さないでください~!」

……罪木、連れてかれちゃった……。

西園寺「……おにぃ」

日向「ん? なんだ?」

西園寺「おにぃは……いつ解放されたの?」

日向「モノミに解放されたのは、死体発見アナウンスが鳴ってからだ……今回は何もできてない。これは本当だ」

西園寺「ふぅん……?」

だからって、おにぃの言葉が信用できるわけじゃないよね? それこそ誰か証人がいないと……。

【日向の証言】を入手

……九頭龍の死体……まさか、見ることになるなんてね……。

目の辺りがちくちく痛い。むせ返るようなこの血の臭い……。

西園寺「げほっ、けほっ、こほっ」

待っててね九頭龍……アンタをこんなんにした犯人、捕まえて見せるから!!

……んー、九頭龍の倒れ方はうつ伏せ……とかこれ、関係あるのかな?

さすがに、うつぶせの状態からグルっとひっくり返したりとかはわたしにできそうにないな……

【九頭龍の死体の状況】を入手

それと、足跡も誰のものか考えておかなくちゃ。でも確認する方法なんてあるのかな……?

【足跡】を入手

よし、こんな物かな?

……うん、頑張った。頑張ったよわたしは。

さて、後は……九頭龍のコテージとかも調べてみたいかな?

田中「むっ……狛枝、いつの間に消えたのだ?」

小泉「あれ? そういえば……」

……狛枝……どこ行ったんだよ……罪木引き連れて。

七海「ねぇねぇ、西園寺さん」

西園寺「……何?」

七海「西園寺さんは、トワイライトシンドローム殺人事件、もうプレイした?」

……え?

西園寺「いや、まだだけど?」

つのドリルちゃんとも約束したしね……。

七海「なら、アレはやっておいた方がいいかもよ」

……え?

七海おねぇの言ってたことも、気にならない訳じゃないけど……。

とりあえず九頭龍のコテージに行こうかな?

―クズリュウノコテージ―

……あれ、なにこれ? 手紙?

机の上に置いてある意味ありげな紙を、そっと手に取る。

西園寺「……ん?」

『伝えたい事がある。11時にドラッグストアに来い』

……いったい誰が書いた手紙なんだろう? 誰かが九頭龍に送った……ってこと?

そしたら……誰かが九頭龍を罠にかけて……って可能性もあり得るよね。

【コテージの手紙】を入手

―ジャバウォックコウエン―

日向「ん、西園寺じゃないか」

西園寺「うわっ」

日向「そんな露骨に嫌な奴に会ったみたいな顔しないでくれよ……一応今回の動機は大事になりそうだから、やっておきたくてさ」

なるほどね……まあ七海もおにぃも言うくらいだから大事なんだろうね。

【今回の動機】を入手

さて……じゃあわたしもプレイしてみようかな?

西園寺「たまごっちとかだったらわたしもやった事あるんだけどね……」

まあ、時間が合わなくて殺しまくりだったけど。

西園寺「えっと、このボタンを押したら始まるのかな……?」

~内容における変更点~

本編では4日間構成でしたが、ぴよロンパでは5日間構成。

それぞれの日にちの内容が1日ずつずれており、1日目に別のイベントが入っております。

~~~~~~~~~~~


……何、これ……

もしかしてB子って女の子……わたし?

ふんっ、背も小さいし口も悪い。全然わたしと似てないじゃん。

……ん? 何か流れてきたけど……?

プレイリレキ

クズリュウフユヒコ
クズリュウフユヒコ
コイズミマヒル
コイズミマヒル
ソニア
ナナミチアキ
コマエダナギト
コマエダナギト
ツミキミカン
ヒナタハジメ
ヒナタハジメ
サイオンジヒヨコ

……なんかよくわかんないけど、まあいいや。

えっと、確か最後の誤解した……って言うのは……。

(小泉「……う、うん……実は、九頭龍から……こんなものが来てて……」

~手紙の内容は本編と大体同じなのでカットします~

……5回下? って事は、九頭龍は……プレイしたって事? )

……うん、5回下ボタンを押してからプレイしてみようかな!

もう一回プレイしなおすためには、電子生徒手帳を入れなおさなきゃいけないんだね。

うん、やっぱりゲームは楽しいね。どうせならE子ってやつがもっと苦しんで死んでくれたりしてたら良かったんだけど。

救いようがないほど、わたし達の生活もマシに思えてくるかもしれないしね。

それじゃあ、5回下に押して……

西園寺「真相編、スタート!」

1 日 目

「……ねぇ、分かってんの?」

D子「え、ええ……わかってるよ、G子」

G子「そうね、分かってもらわないと困るからね?」

D子「くっ……」

G子「あらら? どうして右手を隠すのかしら?」

D子「ちょ、ちょっと……やめてよ……っ!」

G子「へぇ……コレがアンタの想い人って感じ? 男嫌いのアンタが、まさかこ~んな男の子を好きになってるだなんてねぇ……」

D子「ちょ、ちがっ……! 返してよ!!」

G子「……え? なにそれ、口答え?」

D子「あ、えと……そういうんじゃなくて……」

G子「はぁ……機嫌悪くしちゃった。これ、没収ね」

D子「え……え!?」

G子「そんでもって学校の掲示板にこれ張って、この人こんな物撮って一人で楽しんでる変態カメラマンですとか、いろいろな人にうわさ流すから」

D子「ふ……ふざけないでよっ!!」

G子「たーだーし、もしもワタシの機嫌直す様な、素敵なものを持ってきたら……コレと交換してあげる」

D子「……っ!!」

G子「ふふっ、それじゃあね……?」

D子「……はぁ……はぁ……」

E子「D子! D子、大丈夫?」

D子「あ……E子……見ちゃった?」

E子「……うん」

D子「……え、えっと……あはは、恥ずかしいな。E子にアタシのあんなところ見られちゃうなんて……」

E子「……あの子、確かこの前入ってきた79期生の……だったよね?」

D子「うん、なんかアタシに当たりきついんだよね……アタシがお兄ちゃんにキツイからかな?」

E子「……任せて。私が何とかしてみせる」

D子「……え?」

~2日目 4日目はカットします~

西園寺「……これが、真相?」

……え、というか、G子って……?

あと、E子って何者……? もしかして……?

~クリアのスタッフロールが流れたあたりもカットします~

モノクマ「いやぁ、クリアおめでとう! はい、これ、西園寺さん専用のクリア特典。見るも見ないも、オマエ次第だよ……うぷぷ」

…………

わたしはその写真を決して裏返さないように、着物の帯にはさんだ。

モノクマ「あ、そうそう、プレイ履歴は一応チェックしといたほうがいいかもよ? うぷぷぷ……」

西園寺「……わかってる」

プレイリレキ 
クズリュウフユヒコ
クズリュウフユヒコ
コイズミマヒル
コイズミマヒル
ソニア
ナナミチアキ
コマエダナギト
コマエダナギト
ツミキミカン
ソウダカズイチ
ソウダカズイチ
ヒナタハジメ
ヒナタハジメ
サイオンジヒヨコ
サイオンジヒヨコ

西園寺「あ、わたしの名前が増えた……」

モノクマ「差し込んだ電子生徒手帳を読み込んで、プレイした人物を特定するんだよね。我ながらナイスな機械だよ!!」

【プレイの履歴】を入手。

【クリア特典】を入手

西園寺「……はぁ」

他に何かできることってあるかな?

いったん整理するために、レストランの方に戻ろうかな。……こんな時だけど、お腹空いてきたし。

―レストラン イッカイ―

……あれ? よく見たら……テレビの上。

ボトルが一本減ってる? ……よね、これ。

【ボトルの本数】を入手

キーンコーンカーンコーン……

えー……結局食べれてないし……。

モノクマ『さあ、そろそろ時間もいい頃合い……時間と言えば、キューピー3分クッキングって、番組自体は10分構成だし、料理はもちろん3分じゃできないし、どこも3分じゃないんだよね』

モノクマ『そんなオマエラは、是非とも5分前行動を取ってくださいね』

モノクマ『やれ急げ! 学級裁判の始まりだ! 一番の人には、なんと、おいしいカレーを振舞っちゃいますよ!』

……カレーね、あんまり好きじゃないんだよね……。

西園寺「……でも、行かなきゃ……」

―モノクマロック―

終里「べ、別にカレーにつられたわけじゃねぇぞ……? ただ、オレが一番乗りだったみてぇだな……」

はぁ……バカがなんか食いついてるよ

花村「はてさて……ぼくのカレーよりもおいしいカレーなのかな?」

ここにもなんか別の意味で食いついてる人いるし……。

ソニア「カレーです! カレーが食べれるそうです!」

モノクマ「やあ、何と今日の料理は、ウサギカレーだよ!」

モノミ「え? 具材はあちしじゃないよね?」

終里「オメェが具材ならオレはいらねぇよ! 期待させやがって!」

モノミ「二重の意味でショックでちゅ!」

田中「さて……それでは行こうか」

日向「ああ、殺された九頭龍のためにも、犯人を……いや、これは俺が言う言葉じゃないな」

左右田「へっ……何があろうと、オレはぜってーお前をゆるさねぇからな、日向……」

日向「嫌われたもんだな」

狛枝「あ、もしかして日向クン、ボクの仲間?」

日向「それは違うぞ」

罪木「いったい何が始まるんでしょうか……」

澪田「ひ、日寄子ちゃんは、あのゲームは手を出してないっすよね? 蜜柑ちゃんも真昼ちゃんもやったって言うんっすよ?」

西園寺「あ、さっきわたしもやってきたよ」

澪田「そんな!! 同盟の名前が聞いて呆れるっすよ!?」

西園寺「まあ、同盟の名前しかないんだし、しょうがないよねー」

小泉「もう、そんな事言ってる場合じゃないでしょ? ……裁判、やらなくちゃいけないんだから」

七海「いこっか……2回目の裁判」

……そっか、2回目なんだよね?

モノクマ「ねぇねぇ、1人足りなくない?」

……辺古山おねぇ、大分九頭龍が死んだこと、気にしてたみたいだからね……。それどころか、何か関係があったのを臭わせてた……。

モノミ「ここは、辺古山さんは欠席って扱いで……」

モノクマ「いいえ! 欠席は学級裁判では、生きてる人間は許されません! と言うわけで、ボクが連れてき……」

「私ならここにいるが?」

日向「ぺ、辺古山……お前大丈夫なのか?」

辺古山「問題ない……心配をかけてすまなかったな、お前たち……」

ソニア「そうですよ……すごく、すごく心配したんですよ?」

辺古山「安心してくれ。弔いも終えた……私はもう、覚悟はできている。真実を……知る覚悟」

……辺古山おねぇの目は、いつもより赤く腫れあがっていた……。

……いっぱい泣いた証拠だね。でも、いっぱい泣いたなら、もう大丈夫だよね。

モノクマ「うぷぷぷ、まあなんでもいいや! とりあえず裁判場に行ってくださーい!」

―サイバンジョウ―

モノクマロックのエスカレーターを登ると、そこはすぐに裁判場……。

……【超高校級の極道】九頭龍冬彦。

何だかわたし達のしている行為を「仲良しごっこ」とか言って、本当に不愉快な奴だった。

でも、わたしに対して、きちんと後で謝ってくれたし……もしかしたら、わたしと同じで不器用なだけだったのかもしれない。

……そんな、九頭龍を殺した犯人が……。

この中にいる……って事だよね……。

うん、見つけてあげるよ、わたしの完璧な推理でね。

だって、そうしないと……

死ぬのは、わたしの方なんだから……!!



今日はここまでで。

前回の奴と見比べてみると、細かいブラッシュアップがされていることがわかると思います。

裁判は安価で進みますが、前半の流れはほぼ同じですね。

それでは、裁判の準備を進めて、今日は終わりにしたいと思います

まず、画像から。

http://imgur.com/5d2D07x.img
↑ドラッグストア

http://imgur.com/bN2Dsa4.img
↑クローゼット

すみません、もう一度。間違えた

http://imgur.com/bN2Dsa4.jpg
↑ドラッグストア

http://imgur.com/5d2D07x.jpg
↑クローゼット

だと思います

言弾リスト

モノクマファイル2…『被害者は九頭龍冬彦。【超高校級の極道】。多量出血で死亡。頭部に殴打した跡が見られる』

九頭龍の死体の状況…九頭龍はうつぶせの状態で倒れて死んでいた。

血痕…九頭龍の周りに血だまりができており、そこから引きずられたような跡がある。

足跡…血痕を踏んだと思われる足跡。誰かの足に酷似しているが……。

キラキラちゃんのお面…恐怖の殺人鬼、性別不詳のシリアルキラーことキラキラちゃんのお面が落ちていた。

ガラスの破片…おちてたガラスの破片。九頭龍の体の上に、無数に飛び散っている

茶色い破片…落ちてたガラスの破片の色がついていたもの。九頭龍の体の下に散らばっていた。

ナイフ…九頭龍の死体近くに落ちていたナイフ。刃には血が大量に付着している

輸血パック…ドラッグストアの冷蔵庫の中にあった物。前から大量にあったという。

落ちてたスパナ…クローゼット内に、スパナが落ちていた。

コテージの手紙…九頭龍のコテージにあった『伝えたい事がある。11時にドラッグストアに来い』と書かれてある手紙。

今回の動機…今回の動機は、きわめて重要なようだ。1~5日目まであり、通常プレイで3、5日目、裏プレイで1、2、4日目をプレイできるようになっている。

プレイの履歴…電子生徒手帳を差し込むことで、ゲームをクリア時、プレイの履歴が確認できるようになっている。履歴詳細は>>673

クリア特典…ゲームクリア時の特典として送られる写真。人それぞれ違うようだが、何があるのか西園寺は見ていない。

日向の証言…日向は6日前から縛られていた。モノミが解放してくれたのは、死体発見アナウンスが鳴ってからだという。

こんな感じですかね。読んでいただいてありがとうございます。

↓感想とかいただければ嬉しいです

すみません、血痕についての説明変えるの忘れてましたので、新しく言弾リストを作成します

モノクマファイル2…『被害者は九頭龍冬彦。【超高校級の極道】。多量出血で死亡。頭部に殴打した跡が見られる』

九頭龍の死体の状況…九頭龍はうつぶせの状態で倒れて死んでいた。

血痕…九頭龍の死体を中心に血だまりができている。

足跡…血痕を踏んだと思われる足跡。誰かの足に酷似しているが……。

キラキラちゃんのお面…恐怖の殺人鬼、性別不詳のシリアルキラーことキラキラちゃんのお面が落ちていた。

ガラスの破片…おちてたガラスの破片。九頭龍の体の上に、無数に飛び散っている

茶色い破片…落ちてたガラスの破片の色がついていたもの。九頭龍の体の下に散らばっていた。

ナイフ…九頭龍の死体近くに落ちていたナイフ。刃には血が大量に付着している

輸血パック…ドラッグストアの冷蔵庫の中にあった物。前から大量にあったという。

落ちてたスパナ…クローゼット内に、スパナが落ちていた。

コテージの手紙…九頭龍のコテージにあった『伝えたい事がある。11時にドラッグストアに来い』と書かれてある手紙。

今回の動機…今回の動機は、きわめて重要なようだ。1~5日目まであり、通常プレイで3、5日目、裏プレイで1、2、4日目をプレイできるようになっている。

プレイの履歴…電子生徒手帳を差し込むことで、ゲームをクリア時、プレイの履歴が確認できるようになっている。履歴詳細は>>

クリア特典…ゲームクリア時の特典として送られる写真。人それぞれ違うようだが、何があるのか西園寺は見ていない。

日向の証言…日向は6日前から縛られていた。モノミが解放してくれたのは、死体発見アナウンスが鳴ってからだという。

ボトルの本数がコトダマにない

>>692
本当だ。指摘ありがとうございます。

何度も申し訳ない

モノクマファイル2…『被害者は九頭龍冬彦。【超高校級の極道】。多量出血で死亡。頭部に殴打した跡が見られる』

九頭龍の死体の状況…九頭龍はうつぶせの状態で倒れて死んでいた。

血痕…九頭龍の死体を中心に血だまりができている。

足跡…血痕を踏んだと思われる足跡。誰かの足に酷似しているが……。

キラキラちゃんのお面…恐怖の殺人鬼、性別不詳のシリアルキラーことキラキラちゃんのお面が落ちていた。

ガラスの破片…おちてたガラスの破片。九頭龍の体の上に、無数に飛び散っている

茶色い破片…落ちてたガラスの破片の色がついていたもの。九頭龍の体の下に散らばっていた。

ナイフ…九頭龍の死体近くに落ちていたナイフ。刃には血が大量に付着している

輸血パック…ドラッグストアの冷蔵庫の中にあった物。前から大量にあったという。

落ちてたスパナ…クローゼット内に、スパナが落ちていた。

ボトルの本数…レストランの1階にあるボトルの数が1本減っていた

コテージの手紙…九頭龍のコテージにあった『伝えたい事がある。11時にドラッグストアに来い』と書かれてある手紙。

今回の動機…今回の動機は、きわめて重要なようだ。1~5日目まであり、通常プレイで3、5日目、裏プレイで1、2、4日目をプレイできるようになっている。

プレイの履歴…電子生徒手帳を差し込むことで、ゲームをクリア時、プレイの履歴が確認できるようになっている。履歴詳細は>>

クリア特典…ゲームクリア時の特典として送られる写真。人それぞれ違うようだが、何があるのか西園寺は見ていない。

日向の証言…日向は6日前から縛られていた。モノミが解放してくれたのは、死体発見アナウンスが鳴ってからだという。

今日の午後3時くらいから、半分くらい更新したいです

最終決定言弾リスト

モノクマファイル2…『被害者は九頭龍冬彦。【超高校級の極道】。多量出血で死亡。頭部に殴打した跡が見られる』

九頭龍の死体の状況…九頭龍はうつぶせの状態で倒れて死んでいた。

血痕…九頭龍の死体を中心に血だまりができている。

足跡…血痕を踏んだと思われる足跡。誰かの足に酷似しているが……。

キラキラちゃんのお面…恐怖の殺人鬼、性別不詳のシリアルキラーことキラキラちゃんのお面が落ちていた。

ガラスの破片…おちてたガラスの破片。九頭龍の体の上に、無数に飛び散っている

茶色い破片…落ちてたガラスの破片の色がついていたもの。九頭龍の体の下に散らばっていた。

ナイフ…九頭龍の死体近くに落ちていたナイフ。刃には血が大量に付着している

輸血パック…ドラッグストアの冷蔵庫の中にあった物。前から大量にあったという。

落ちてたスパナ…クローゼット内に、スパナが落ちていた。

ボトルの本数…レストランの1階にあるボトルの数が1本減っていた

コテージの手紙…九頭龍のコテージにあった『伝えたい事がある。11時にドラッグストアに来い』と書かれてある手紙。

今回の動機…今回の動機は、きわめて重要なようだ。1~5日目まであり、通常プレイで3、5日目、裏プレイで1、2、4日目をプレイできるようになっている。

プレイの履歴…電子生徒手帳を差し込むことで、ゲームをクリア時、プレイの履歴が確認できるようになっている。履歴詳細は>>673

クリア特典…ゲームクリア時の特典として送られる写真。人それぞれ違うようだが、何があるのか西園寺は見ていない。

日向の証言…日向は6日前から縛られていた。モノミが解放してくれたのは、死体発見アナウンスが鳴ってからだという。

時間ちょっと早いんですけど、もうやっちゃいたいと思います

あらすじ

九頭龍冬彦が無残な姿で発見された……。
クローゼットやドラッグストアに残る、怪しげな証拠の数々。
はたしてそれは犯人の残した手掛かりなのか、それとも……?
そして、トワイライトシンドローム殺人事件の全貌とは!?

二度目の学級裁判が、今幕を開ける!











          学 級 裁 判
           開 廷 !








モノクマ「では、最初に、学級裁判の簡単な説明から始めましょう」

モノクマ「学級裁判の結果は、オマエラの投票により決定されます」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがオシオキ、だけど、もし間違った人物をクロとした場合は……?」

モノクマ「クロ以外の全員がオシオキされ、生き残ったクロだけに、この島から出る権利が、与えられます!」

モノミ「うぅ、何度聞いてもゲスいルールでちゅ!」

辺古山「今回はお前たちの茶番に付き合っている場合ではない。坊ちゃんを殺した犯人を、何としてでも見つけなければな……」

西園寺「気合入れるのは勝手だけどさぁ、足元すくわれないようにね?」

辺古山「そ、それもそうだな……」

モノクマ「さてさてそれでは、今回はあの動機、名作『トワイライトシンドローム殺人事件』についての議論から始めていきましょうか!」

澪田「えー!? ゲームの話なんてどうでもいいっすよー!」

狛枝「ところがそうも行かないんだよ。今回の動機は少なくとも、ボクらと関係のあるコトみたいだからさ」

花村「え、どういうこと? それってぼくにも何かあったって事? 見たくないような、見たいような……」

日向「俺もゲームをプレイしたからだよ」

左右田「嘘つけ! お前は今の今まで縛られてたじゃねぇかよ!! プレイするにしても時間がたりねぇっての!!」

もう、バカが1人でもいると、全然議論が進まなくなっちゃうじゃん。

まずはあの口……無理やりにでもふさいでやった方がよさそうだね

【01:ノンストップ議論】

議論開始!

[モノクマファイル2)
[日向の証言)
[プレイの履歴)

ソウダカズイチ
日向はあのゲームを
【プレイすることはできない】はずだ!!

ペコヤマペコ
なぜそう言い切れるのだ?

コイズミマヒル
そうだよ。言い切れるようなことでもないと思うんだけど?

ソニア
わたくしは【七海さんとプレイしました】よ?

ナナミチアキ
うん、そうだったね

ハナムラテルテル
あれ、狛枝くんの見張りは?

コマエダナギト
あの日は別行動だったんだよ。
【ソニアさんの発言を受けて】ね

ソウダカズイチ
お前ら脱線してんじゃねえよ!!
とにかく日向は【ゲームをプレイしてない】んだって!!

サイオンジヒヨコ
(まずはあの大口を、無理やりふさいでやらなきゃね……)

↓1で






あれれー? お馬鹿さんがいるよー?

    ―break!!―





西園寺「あーもう! 黙ってよね!!」

左右田「なっ!?」

西園寺「ゲームをやった奴は分かると思うけど、あれは電子生徒手帳を差し込んでゲームをプレイすることになってるから、やった人の履歴が出るようになってるの! そこに日向おにぃはいたし、その後わたしが2回続けてプレイしてる! だから日向おにぃは絶対にゲームをしてるの! これは間違いないね!」

左右田「……そ、そんなに大声で言わなくてもいいじゃねぇか……」

罪木「お、おそらく左右田さんにムカつかれたのだと思いますよ?」

左右田「お前になんでそんな事言われなきゃいけないんだよ!!」

罪木「ひっ! お、怒らないでくださぁい……」

罪木「でも、私はさっぱりでした……どうして3日目と5日目しかなかったのかとかも……」

澪田「え、蜜柑ちゃんもやってたんですか!?」

狛枝「ああ、まあそうだよね。アレには隠しコマンドがあるから」

花村「隠しコマンド? なにそれ?」

七海「まあ、タイトル画面で5回下ボタンを押すことで、真相編に飛ぶことができるって奴だね」

終里「コマンド……? それってウメェのか?」

田中「多分違うと思うぞ……」

西園寺「よくわかってない奴は静かに聞いてろっつーの!」

狛枝「じゃあ説明していくとね? あのゲームは5日間で構成されてるんだ」

日向「登場人物は、A子、B子、C子、D子、E子、F男、G子の7人だった。少なくともその中で5人は……俺達の中にいる人物だったんだ」

澪田「ご、5人も!? 戦隊物が組めちゃうじゃないっすか!」

田中「F男は俺様だな? 俺様にはファガンの異名があるからな……無理もない」

……もー、いちいちうるさくて進まないってば。ただ、田中おにぃの勘違いはなんとかした方がいいかもね。

西園寺「F男は九頭龍……殺されたアイツだよ」

辺古山「……くっ!!」

花村「え、ど、どうしてわかるの?」

日向「ゲームを真相編まで行ってクリアすると、エンドロールとして出演者が流れてくるんだ。それの内訳が……」

日向「ツミキ、サイオンジ、ミオダ、コイズミ、サトウ、クズリュウ、クズリュウなんだよ」

終里「ちょっと待てよ……なんで九頭龍を2回も言ったんだ?」

日向「別にゲームのバグとかじゃない。単に九頭龍って苗字の人が2人……九頭龍の妹も出てきてたってだけだ」

終里「あ、アイツ妹いたのかよ!?」

辺古山「坊ちゃんには妹が確かにいた……私が言うぼっちゃんに対する情報は確かなものだと思ってくれて構わない」

七海「じゃあ、もう登場人物をはっきりさせとこうか」

七海「A子が罪木さん」

罪木「はうぅ!?」

七海「B子が西園寺さん」

西園寺「ふんっ……」

七海「C子が澪田さん」

澪田「よよよ?」

七海「D子は小泉さん」

小泉「…………」

七海「そしてG子は、九頭龍くんの妹……のはずだよ」

左右田「ん? E子はどうしたんだよE子は?」

狛枝「E子はサトウさんだったんだけど……」

澪田「まさか、サトウさんって、ご飯が好きなあのサトウさんの事っすか!?」

狛枝「どのサトウさんの事かは分からないけど、エンドロールのキャストから推測すると、彼女しか残らなくなるんだよね」

日向「つまり、今の俺達には関係のない人物だな」

終里「地味な名前つながりで田中と関係あったりしてな!」

田中「田中はありきたりな名字だが、サトウや鈴木よりかはいくばくかマシなはずだ!」

西園寺「もー! それどうでもいいから! トワイライトシンドローム殺人事件の話をしようよー!」

辺古山「だが、そのトワイライト……何とやらが、ぼっちゃんの死と関係あるのか?」

ソニア「辺古山さん、焦る気持ちは分かりますが、こういう時こそ落ち着くべきだとおもうんです、ね?」

花村「そうそう、ソニアさんの言葉が最もって感じだよね。今はゆっくり焦らず行こうよ辺古山さん……素敵な顔がこわばってるよ?」

辺古山「クソッ……早くしてくれ……」

日向「それで、トワイライトシンドローム殺人事件の話に行きたいんだが……辺古山?」

辺古山「何だ?」

日向「今から話す話は、モノクマが用意したものだ……つまり俺達の忘れた過去の中にある、本当の話かもしれない。それでも……聞いて大丈夫か? 無理そうなら耳をふさいでいてもいいんだぞ?」

辺古山「とっくに覚悟はできている……これ以上の悲しみがあるものか」

日向「分かった……じゃあ、説明していくぞ」

日向「1日目、G子、つまり九頭龍の妹が、D子、小泉に嫌がらせをしているシーンから始まった」

小泉「うん……そうだったね」

七海「D子はそれに対して、必死に耐えてたつもりだったけど、そのことをA、B、C子は知らなかったんだよね」

狛枝「ただ、E子はそれに気づきいてた……ここまではいいよね?」

小泉「ねぇ、あれってやっぱり本当なの?」

狛枝「え?」

小泉「そりゃ、知り合いにサトウって苗字の人はいるけどさ……でもあんな人、本当にアタシ知らないし、会ってさえもない。実際に希望ヶ峰学園で起きた出来事だとしても、やっぱりアタシ信じられないよ」

モノクマ「あの、それは記憶がなくなってるから、そう思うだけなのでは……」

小泉「だ、黙ってなさいよ!!」

西園寺「で、2日目、AからE子がG子の死体を、音楽室で発見したんだよね」

辺古山「G子が……殺されたということか?」

終里「ど、どういうことだ? 誰にやられたんだよ?」

狛枝「犯人はスクール水着を盗まれていたのもあって、変質者って事で落ち着いてたんだけど……実はE子が犯人だったんだ」

七海「そのことにD子は気づいちゃったんだよね。だからこそ、決定的な証拠となるものを撮影した……」

田中「そうなのか、小泉?」

小泉「だから、覚えてないって言ってるでしょ!?」

日向「3日目、D子はE子に自首をするように説得するも、E子は証拠写真をやぶり、ゴミ捨て場に置いてしまう」

ソニア「4日目に、それを発見したF男が、5日目にE子を……って事ですよね?」

罪木「え、ちょ、ちょっと待ってください! ソニアさんと七海さんは、1度しかプレイしてないんですよね? どうしてそれが分かるんですかぁ?」

七海「さっきソニアさんも言ってたけど、私たちは一緒にプレイしたんだよ。昨日の夜にね」

澪田「随分と早い段階でプレイしてるっすね!」

ソニア「一緒にプレイしたから、1回ずつ代わりばんこにと思っていたら、まさかあんな仕掛けがあったとは……」

ソニア「驚き桃の木カンショの木ですね!」

左右田「ソニアさん、カンショは木じゃないですね」

花村「ゲームの内容はだいたい分かったけど、実際辺古山さんも言ったように、どうしてそれが関係するの?」

狛枝「うーん、どうしてだろうね? とにかく、これで整理することは終わったから、お待ちかねの九頭龍クンの殺人事件の話に移ろうか」

小泉「アタシは途中参加だったから、どういう風に発見されたのかとか、一応聞いておきたいかな……」

日向「そうだな、それは俺もそうだ。ずっと縛られてたんだからさ……」

左右田「なぁ、日向ちゃんよぉ……お前の言ってることは大体信用出来ねぇんだよ……」

日向「……何?」

辺古山「なぜそこまでして、日向に食いつくのだ?」

左右田「もしかしてお前は、縛られていると見せかけて、殺人を起こした、とかじゃねぇよな? だってお前には前科があるんだからよ……」

……コイツ、これ本気で言ってるの?

はぁ、ここまでバカだとなんだか逆に可哀想にもなってくるよ。どうやって縄を抜けたのかとか、色々あるでしょ……。

まあ、たぶんアレに訊けば、本当かどうかって言うのは分かると思うけどね……。

【02:証人リローディング】

ソウダカズイチ
日向はもしかして……
【自力で縛られたのから抜けた】んじゃねぇか!?

タナカガンダム
まさか貴様……縄抜けの才を持ち合わせていた……と?

ヒナタハジメ
そう思うんなら、そう思ってくれて構わない……
俺が抜けてないなんて[証拠はどこにもない]からな

ハナムラテルテル
えぇ!? それって【犯行を認めちゃう】って事!?

コイズミマヒル
やっぱり日向が犯人なの……?

サイオンジヒヨコ
(そんなワケないって……多分アレに訊けば分かるんじゃないかな? おにぃは自分で言ってたもんね)

>>701
言弾リスト

↓1 人物を選択して論破せよ!!

【自力で縛られたのから抜けた】をモノミ?
コレのやり方ってこれであってたっけ?

>>724さん
そうです。その通りです。覚えていて下さり、うれしいです。






わたしのために働いてよね!!


             え!? あちしでちゅか!?

     ―BREAK!!―





西園寺「はぁ……本当目も当てられないくらいのばかっぷりだね。なんでおにぃをそんなに疑うのかは分からないけど……」

西園寺「アレは縄抜けを持ってるような人でも簡単に脱出できないと思うけどね……?」

左右田「ど、どうしてだよ!?」

狛枝「結局は縄抜けだって何かのトリックがあるから抜けられるんだもんね。左右田クンや田中クンは、そんなトリック使って日向クンを縛ったの?」

田中「そんなわけがなかろう。使ったとしたら、この俺の封印されし邪鬼腕だけだ……」

澪田「よくわかんないけどかっこいいっす!!」

終里「というか、日向が縛られたんだとしたら、日向の縛りを解いたやつもいるって話だろ?」

狛枝「うん! 終里さん、その通りだよ」

終里「うっし、今日のオレは冴えてるぜ!」

左右田「はぁ……んで? 日向の拘束を解いたのは誰だよ?」

日向「モノミ……だよな?」

モノミ「はいっ! 確かにあちしは解きまちた! 死体発見アナウンスが鳴ってからだったと思いまちゅ!」

七海「本当かどうかは確かめようがないけど、モノミの言葉は信用が置ける……はずだよ?」

左右田「チッ……じゃあ日向は犯人じゃねぇのか……」

日向「ああ。そもそもずっと縛られて、何もできなかったしな……」

ソニア「かれこれ6日間も縛り続けて……本当にめんごですわ」

花村「ねぇ、キツく縛られたのってどんな気分? 逆に興奮するとかはある?」

日向「そ、そんな趣味は持ち合わせてない……ぞ?」

小泉「なんでそこで言い淀むのよ?」

狛枝「まぁとにかく、日向クンの拘束が解かれたのは、犯行がすべて終わった後だったんだね。これで少なくとも、日向クンは完全にシロってことが証明されたわけだ」

日向「……じゃあ、それが分かったところで、ようやく九頭龍の事件に入っていくわけだが……」

辺古山「ようやくか……かなり前座が長かったように思われるが、煩わしいものはすべて取り除いた……始めるぞ……」

辺古山「学級裁判を!!」

罪木「ま、まずは……九頭龍さんを発見するまでの経緯を皆さんが知るべき……ですよね?」

日向「そうだな、俺としてもそこは確認しておきたいところだからな」

田中「クククッ……ショータイムが始まるぞ!!」

……お待たせしました。ここらあたりから、まだ誰も見たことのないぴよロンパが始まります。よろしくです。

【03:ノンストップ議論―heat up―】

[輸血パック)
[九頭龍の死体の状況)
[ナイフ)
[落ちてた破片)
[キラキラちゃんのお面)

ソニア
わたくし達女子組は、海水浴を計画していました!

ナナミチアキ
午後2時に集合、だったよね?

ハナムラテルテル
それをかぎつけたぼくたちは、田中くんと狛枝くんの【3人で待ち伏せしてた】んだよ!

ペコヤマペコ
結果的にその時に集まらなかったのは……
【九頭龍】、【小泉】、【左右田】、【日向】の4人だったか

ツミキミカン
それで、左右田さんがダイナーに来て……

ソウダカズイチ
オレが皆を【現場に呼んだ】んだよな

ミオダイブキ
【大量の血を出して倒れている死体】……
何とも恐ろしい限りっすよ……

ツミキミカン
犯人が【ナイフで刺した】んでしょうね……
うゆぅ、想像しただけで怖いですよぉ……

サイオンジヒヨコ
(アイツの発言……うーん、本当にそうなのかな?)

また忘れてた。↓1でお願いします

やべぇ。ミスが発覚しましたので、少々お待ちを

【03:ノンストップ議論―heat up―】

言弾リスト>>701

[輸血パック)
[九頭龍の死体の状況)
[ナイフ)
[ガラスの破片)
[キラキラちゃんのお面)

ソニア
わたくし達女子組は、海水浴を計画していました!

ナナミチアキ
午後2時に集合、だったよね?

ハナムラテルテル
それをかぎつけたぼくたちは、田中くんと狛枝くんの【3人で待ち伏せしてた】んだよ!

ペコヤマペコ
結果的にその時に集まらなかったのは……
【九頭龍】、【小泉】、【左右田】、【日向】の4人だったか

ツミキミカン
それで、左右田さんがダイナーに来て……

ソウダカズイチ
オレが皆を【現場に呼んだ】んだよな

ミオダイブキ
【大量の血を出して倒れている死体】……
何とも恐ろしい限りっすよ……

ツミキミカン
犯人が【ナイフで刺した】んでしょうね……
うゆぅ、想像しただけで怖いですよぉ……

サイオンジヒヨコ
(アイツの発言……うーん、本当にそうなのかな?)

↓1







あれれー? お馬鹿さんがいるよー?


    ―BREAK!!―






西園寺「ねぇ、罪木。ナイフで刺したって言うのはないんじゃない?」

罪木「ど、どうしてですか?」

狛枝「確かに、見た感じだとナイフでつけられた傷っていうのは見当たらなかったもんね。うん、それならナイフで刺した線はなさそうだね」

田中「だが待て。ナイフには相当量の血が付着していたはずだ……」

花村「出血多量で死亡っていうモノクマファイルのことが正しかったら、きっとナイフで刺した可能性もありそうだけどね」

狛枝「モノクマファイルは間違ってないだろうけど、それだとしてもナイフはないと思うよ?」

花村「な、なんでないの?」

狛枝「そのナイフについてた血って……なんだったんだろうね?」

西園寺「ナイフに着いてた血がぜーんぶ、あの輸血パックのものだとしたら?」

ソニア「そしたら、輸血パックの血なんて、全部使えず余ってしまうのでは?」

七海「余った分も、出血多量で死んでる九頭龍くんの体にかければ、十分ごまかせた……と思うよ?」

終里「確かにそれもそうだな……オレ達の中に血を見極められるプロなんていねぇし……」

左右田「そんなプロいたとしても、捜査官とかそれくらいの人間じゃねぇと無理だろ……」

狛枝「【超高校級の捜査官】とかならまだしも……ボクらにはそんな才能持ってる人はいないだろうし、難しいだろうね」

辺古山「結局凶器はなんだ? 坊ちゃんが殺された凶器がナイフではないのなら、いったいなんだったというのだ?」

日向「それは……多分現場にあったアレなんじゃないか?」

西園寺「現場にあったアレ……」

それってもしかして……

1.お面
2.スパナ
3.ガラス片

また忘れた。気を付けます。

安価↓1

西園寺「スパナ……とか?」

左右田「スパナを凶器……?」

狛枝「あれ? ということは、犯人は左右田クンなのかな?」

左右田「お、オレは違うぞ!? 違うからな!?」

あれ……間違った?

日向「確かにそれも現場にあったものだけど……他の物でも凶器になりえそうなものがあったはずだ……」

他の物……考えて、わたし!

1.お面
2.ガラス片

↓1

だよねー?

西園寺「ガラスの破片がいっぱい飛び散ってたよね? もしかしたらアレだったんじゃないの?」

七海「あー、なるほど……ガラスの破片があったら、薬の瓶とかが割れたってことになるもんね」

罪木「じゃあ、薬瓶が凶器ってことですか……!?」

日向「断言はできないが、可能性は高いだろうな。だって、モノクマファイルには『殴打された跡がある』って書いてあるんだから」

左右田「薬の瓶? だとしても犯人なんて全然わかんねぇじゃねぇかよ……本当に真相にたどり着けるのか?」

狛枝「……犯人の証拠になりそうなものならあったよね?」

澪田「現場に残ってた足跡のことっすよね?」

狛枝「そう、そういうことだよ」

小泉「あ、アタシそれの写真を撮っておいたよ」

終里「足跡の写真? 何でまた?」

小泉「……この靴の跡、かなり特殊じゃない? もしかしたら、全員の靴の裏とか見たら、わかるかもしれないって思ってさ……」

西園寺「さすが小泉おねぇ!!」

日向「……じゃあ、皆の靴の裏を確認してみようか」

ソニア「ちょ、ちょっと待ってください! それって本当に信用できるのですか?」

田中「どういう意味だ?」

ソニア「いえ、その……足跡は偽装という可能性はないんですか? 明らかに怪しいですし……」

狛枝「偽装って……わざわざそのためだけに現場に靴を持っていくの? 誰かに見られたらどうするつもりだったの?」

辺古山「確かにそれもそうだ。愚かな犯人が足跡を残し立ち去ったと考える方が自然だな。全員一度靴を脱いで靴の裏を見せろ……それで……」





















「……その必要はねぇよ」
























左右田「確認してくれ。これが俺の靴の裏の跡だ」

……え?

日向「……確かに、完璧に小泉の写真と一緒だな」

小泉「ほ、本当だ……」

終里「おいおいおかしいだろ!? 何で犯人なのに自分から名乗り出るんだよ!?」

左右田「うるっせぇな!! ちょっと皆の空気見て怖くなってきたんだよ!! 自分に嘘を言い続けるのも、皆に嘘を言うのも!!」

狛枝「まあ、手間が省けて助かったよ……じゃあ、左右田クン? どのようにして九頭龍クンを殺したのか、言ってもらってもいいかい?」

左右田「あ、ああ……わかったよ」

左右田おにぃが犯人……確かにそう考えたら矛盾はないように見える……でも……

何なの? この違和感は……?

【04:ノンストップ議論】

[ナイフ)
[コテージの手紙)
[九頭龍の死体の状況)
[落ちてたスパナ)
[茶色い破片)

言弾リスト>>701

ソウダカズイチ
まず、オレは【九頭龍を呼び出して】……
ドラッグストアに行ったんだ

ミオダイブキ
そこで何があったんすか?

ソウダカズイチ
オレは九頭龍を殺人のターゲットにした。
でも、九頭龍の方も反撃して【ナイフを持って襲いかかってきた】んだ!!

ペコヤマペコ
……坊ちゃんなら、ありえない話ではないな……

ソウダカズイチ
でも、オレも負けじと【近くにあった薬の瓶で殴って】
そしたら九頭龍、動かなくなっちまってさ……
ああいう偽装をしてごまかそうとしたってわけだよ……

ハナムラテルテル
本当にそんなことを左右田くんがしちゃったの……?

タナカガンダム
にわかに信じがたい話だが……

ナナミチアキ
殴ったのは一回だけ?

ソウダカズイチ
ああ、【殴ったのは一回】だけど……

ヒナタハジメ
そうか……だとしたら……どうなるんだろうな?

サイオンジヒヨコ
(左右田おにぃの話を、もう一度じっくり聞いてみよう。きっとこの違和感の出所は……そこだ)

↓1

日向「……西園寺、悩んでるみたいだな?」

西園寺「……何? おにぃが分かるんだったら、おにぃが言えばいいじゃん」

日向「それじゃダメなんだ……きっと。西園寺に答えてもらわないと……」

西園寺「……じゃあ、何か教えてよ」

日向「左右田の話、それから現場の状況を考えてみてくれ。九頭龍を殺した凶器がガラスの破片だとすれば……左右田はどっちのガラス片で殴ったんだろうな?」

西園寺「…………どっちの?」

日向「それとも……2つとも割れてるから、もしかしたら……」

西園寺「…………」

↓1










あれれ~? お馬鹿さんがいるよー?

      ―BREAK!!―







西園寺「……左右田、今の話本当?」

左右田「え……?」

小泉「日寄子ちゃん? アイツはもう自白してるんだよ? この期に及んで何を隠してるっていうのさ……」

西園寺「殴ったのが一回だったら……九頭龍の体の周りに破片が二種類あったのが説明つかないからさ」

ソニア「破片が……二種類ですか?」

日向「九頭龍の体の下に散らばっていたのは、茶色がかった色のガラスだったのに対して、体の上に散らばっていたのは、透明なガラスの破片だったんだ……」

罪木「そ、それはおかしいです! だって私が見た限りですけど、ドラッグストアの中には色のついた瓶なんて一つも……」

狛枝「君が見落としてただけなんじゃないのかな?」

罪木「いえ! ありえません! 私はあそこにいた時間の長さには自信あります!!」

終里「まあ信じてもいいんじゃねぇか? そいつからそういうの取っちまったら、ただの根暗じゃねぇか」

罪木「しょぼぼーん……」

澪田「わっ! 蜜柑ちゃんの頭にきのこが見える!!」

田中「そんな幻想を口にしている暇はない!」

小泉「アンタがそれ言う!?」

ソニア「とにかく、その茶色の瓶の出どころがどこかだけでもわかれば……」

茶色の瓶の出どころはたぶん……

言弾選択
>>701

↓1

だよねー?

西園寺「レストランの一階に置いてあるボトル……アレは茶色っぽかったというか……」

日向「アレか……そういえばあそこにあったな」

花村「アレ? でも、現場からずいぶんと離れてるよね? 左右田くんが持ち込んだってこと、でいいんだよね?」

左右田「いや、オレはそんなもの……あ、そ、そうっ! そうだよ!!」

七海「あれ?」

終里「何か変じゃねぇか?」

左右田「い、いやっ! そうだ! オレは九頭龍に会いに行く前に、そのボトルを持って会いに行ったんだっ! うん、間違いない!」

小泉「なら、透明の瓶の破片はどうしてできたのよ!?」

左右田「そんなのどうだっていいだろ!?」

日向「さすがにどうだっていいことはないだろう……お前に話してもらわないと、俺達は前に進めないんだ」

辺古山「前に進めないのであれば、なおさら話してもらうにほかないな……左右田、話せ」

左右田「い、いや……お、オレは話さねぇぞ!」

狛枝「話すも話さないも何も、左右田クンが今まで言ったことは事実でしょ? だったら何も問題ないよね?」

左右田「そ、そうだよ! オレが犯人なんだってば!!」

田中「少し前の話に戻るんだが……左右田は最初に九頭龍を呼び出したんだよな?」

西園寺「確かに呼び出してたのは呼び出してたと思うよ? だって……」

わたしはもぞもぞと着物の袖を探り、持ってきた手紙をみんなに見せた。

西園寺「ほら、九頭龍のコテージからこんな手紙が見つかって……」

辺古山「……!!」

日向「どうした辺古山? 何か様子が変だけど……」

辺古山「西園寺、それは……本当に彼のコテージから出てきたもの……なのか?」

西園寺「? そうだけど?」

辺古山「だとしてもだ……左右田、これはお前が書いたものじゃない」

左右田「え? どうしてだよ?」

辺古山「この字……間違いなく、書きかけではあるが……」

辺古山「坊ちゃんの……九頭龍冬彦本人の字だからだ……」

澪田「ふ、冬彦ちゃん本人の字……すか?」

小泉「え? ……それって、どういうこと!?」

七海「九頭龍くんが手紙を書いたけど、それを送らなかったのか、それとも、九頭龍くんは手紙を送ったけど、それを送り返されたのか……でも、送り返されたとしてもおかしいよね? だってその手紙が九頭龍くんのものっていうのは、それこそ……何か関係があったかもしれない辺古山さんくらいしかわからないよ」

花村「だとしたら、どうなるの? それが九頭龍くんの書いたもので……結局九頭龍くんは手紙を送らずに、コテージに残しておいたってこと?」

日向「たぶんそうだろうな……そして、この文面。誰かを呼ぼうとしてたみたいだけど……誰だったのか……」

西園寺「……多分、それは……」

1.左右田
2.辺古山
3.西園寺

↓1

ちょっとさすがに人が少ない時間すぎたかな……

深夜にまたひょっこりと出てくるかもです

>>1
ソニアと七海が昨日の夜ゲームをプレイしたって言ってたけど、九頭龍が死んだ後じゃなくて
みんなプレイするの止めよう! となった日の夜に二人ともしたって事?

人がいるかどうかわからないですが、少しやろうと思います。

>>762
そうです。七海は偵察のために、ソニアは気になって仕方がなく、プレイするかどうか迷っていたところに七海がちょうどよくやってきて、一緒にプレイすることにしました。

>>758の続きより

2を選択したことにして話を進めます

だよねー?

西園寺「辺古山おねぇ……だったんじゃないかな?」

辺古山「……私、か」

西園寺「だって、辺古山おねぇなら、わざわざ九頭龍の名前を書かずとも、手紙が九頭龍のものだってわかったはずだよ? さっきみたいに」

ソニア「ですが、渡そうとしていた手紙を、なぜ九頭龍さんは?」

狛枝「それは誰にもわからないよ。九頭龍クン本人がいなくなってしまった今はね……」

田中「だが、推測くらいならできるはずだ」

罪木「推測……そうですよね。でも、どこから考えていけばいいのか……」

小泉「……ねぇ、ペコちゃん。ここからはアタシの推論なんだけど、少し話させてもらってもいいかな?」

辺古山「……なぜ、私に訊くのだ?」

小泉「たぶん、ペコちゃんにとってはキツい話だからさ……」

辺古山「……覚悟はもう、できている」

小泉「……うん、ありがとう」

終里「んで? 小泉の推論っていうのはなんだ?」

小泉「……もしかしたら九頭龍は、アタシと話がしたかったのかもしれない……アタシは九頭龍から手紙を受け取ってたの。それにしたがって、トワイライトをプレイした」

澪田「そうっすね……冒頭で見せてもらったプレイ履歴に、真昼ちゃんはちゃっかり名前あったし」

小泉「それを見て怖くなったけど、結局アタシは行かないことにした。ドラッグストアに呼ばれてたことには呼ばれてたんだけど……ある人に相談したら、行かないでって言われたから……」

西園寺「…………」

辺古山「そうか……そうだったのか……では、もしかすると……」

辺古山「私がその手紙を受け取り、小泉が坊ちゃんにドラッグストアで会っていた場合は、私が小泉を殺していたかもしれないのだな……」

花村「な、なんでそうなっちゃうんだよ!?」

辺古山「私は坊ちゃんの忠実な道具だ。道具は使用者がいて初めて成り立つ。トワイライトの内容を信じ、九頭龍が私という凶器を使って、小泉を殺すことになっていたかもしれない、と……そういうことだろ? 小泉」

小泉「えっと……そこまで予期していたわけではないけど……きっとそうだと思う」

おねぇ……じゃあ、九頭龍は……

七海「皆を守ろうとしてたのかもしれないね、九頭龍くんは」

田中「……しかし、そんな九頭龍を殺した犯人が、この中にいるのか?」

左右田「それが……オレって話だろ?」

狛枝「もう疑いようがないよね……じゃあ、そろそろ投票タイムに行こうか」

罪木「そう……みたいですね……うゆぅ、どうしてこんなことになってしまったのか……」

澪田「……唯吹みたいなのが考えてても仕方ないっす。和一ちゃんが殺したってしたら、一番つじつま合うし……仕方ないっすよね……」

狛枝「というわけで……モノクマー、始めちゃってよ」

モノクマ「はいはーい! では、みなさんお手元のスイッチを押して……」












七海「ちょっと待った!」

モノクマ「んぐぐぅ!?」




狛枝「え? まだ話し合うの?」

辺古山「議論の結果は出たはずだ……あの男以外に、犯人と考えられるものはもう……」

七海「うーん、そうかな? じゃあ訊くけど……左右田くん?」

左右田「あ? なんだよ?」

七海「どうやって九頭龍くんを殺したのか……教えてくれない?」

……え?

左右田「……は? な、なんでそんな事教えなくちゃいけないんだよ!?」

左右田……? 今、明らかに動揺したよね?

狛枝「あれ? 七海さんもしかして寝ぼけてる? さっき言ってたよね? 薬瓶で九頭龍クンを殴ったって」

七海「う~ん、本当にそうなのかなぁって思ってね」

田中「何……!? この期に及んで何を隠す?」

ソニア「では、左右田さんは犯人ではない……と?」

小泉「それはないでしょ。もう犯人は左右田で決まり……」

西園寺「決めつけはよくないって」

罪木「さ、西園寺さんまで!?」

終里「オレもだ。オレの勘だと、絶対左右田じゃねぇっておもってんだけどさ」

左右田「は? なんだよ……なんだよそれ? オレが犯人だって言ってんじゃねぇかよ!!」

【05.ノンストップ議論―heat up―】

[ガラスの破片)
[茶色い破片)
[足跡)
[輸血パック)
[落ちてたスパナ)

ソウダカズイチ
【オレが犯人】なことに変わりはねーだろ!!

ナナミチアキ
じゃあせっかくだし話してみてよ
どんなトリックを使ったの?

ソウダカズイチ
トリックなんてもんでもねぇよ……
手紙で九頭龍を【呼び出し】て
先にクローゼットで【待ち伏せし】て
九頭龍が来たところで【瓶で殴った】んだよ!!

ミオダイブキ
ここだけきくと、やっぱ和一ちゃんしかできないんじゃ……?

ソウダカズイチ
後は【輸血パックで凶器を偽装し】て逃げるだけだ……!!
あそこにあった【スパナもオレのもの】だし……
これで【全部解決】だろ?
じゃあもういいよな、投票タイムだ!!

ナナミチアキ
うん……やっぱりそうだね。西園寺さん

サイオンジヒヨコ
え? わ、わたし?

ナナミチアキ
分かったでしょ? 左右田くん、別に疑われてないところもポロっと言っちゃってる……
そこに焦点を当てて……後は撃つだけ……と、思うよ?

サイオンジヒヨコ
(疑われてないところ……? もしかして……?)

↓1

時間帯がアレなのと、事前連絡してないせいで人がいないっぽいですね。

半分くらいガッと一人で進めていこうと思います。

ソウダカズイチ
後は【輸血パックで凶器を偽装し】て逃げるだけだ……!!
あそこにあった【スパナもオレのもの】(落ちてたスパナ]




あれれー? お馬鹿さんがいるよー?

     ―break!!―

西園寺「ねぇ左右田おにぃ、論点ずらさないでよ」

左右田「ずれてねぇよ!! どこでずれてるって言うんだよ!?」

西園寺「誰もあそこに落ちてたスパナの話なんてしてないんだけど?」

左右田「あっ……!」

西園寺「じゃあさ、逆に聞くけど、左右田おにぃはなんで自分のスパナが犯行現場に落ちてることをしってるの? ってことは、自分のスパナが落ちてることを知っててなお、そのまま逃走したの?」

ソニア「そ、そんなの、自分が犯人だって言っているようなものじゃないですか!」

左右田「そ、ソニアさん! 違うんです! オレが殺して……」

西園寺「……そもそも、あのスパナって、本当に左右田おにぃのものなの?」

左右田「は? な、何を……?」

小泉「あ、思い出した!!」

西園寺「どうしたの、おねぇ?」

小泉「左右田、やっぱりアンタは犯人じゃないよ!」

左右田「な……なんでだよ!?」

辺古山「そうだ……奴は自白までしているんだぞ!?」

花村「これ以上怪しい人もいそうにないよ!? なんでまだこんな事続けなきゃいけないのさ!!」

小泉「でも、思い出して? たぶんあの場には、アタシ以外にも人がいたはずだから。ほら、あの落ちてたスパナ……アレが重要になってるんだよ!!」

……あ、そっか。左右田おにぃが持ってるのは……

【06:閃きアナグラム】

Q.左右田の持っているアイテムは?

     マイスパナ






これくらいできて当然でしょー?


   ―complete!!―

西園寺「そっか……左右田おにぃのスパナと、落ちてたスパナは別物かもしれない……」

辺古山「ど、どういうことだ?」

ソニア「ですが、ほかにスパナを常に持ってる人なんて……」

西園寺「だって、左右田おにぃはこう言ってたんだもん」

(西園寺「なんでおにぃは倒れてるの!?」

左右田「俺が不意の一撃を食らわした結果だぜ? この“俺専用、世界に一個しかないマイスパナ”でな!」

西園寺「ばっかじゃないの!? 死んでたらどうすんのさ!!」

左右田「死ぬことはねーよ! 俺の力だぞ!!」 )

田中「そうか……つまりあの落ちてたスパナは……!?」

西園寺「左右田おにぃを犯人と仕向けるための……真犯人の罠だったんだよ!!」

左右田「く……くっそおおおおお!!」

終里「ていうか左右田は、なんでこんな回りくどい事をしてたんだよ? 自分が犯人なんて嘘までついてさ」

狛枝「それは嘘だったのかな? それすらももう怪しいんじゃないの?」

日向「狛枝……お前は何なんだよさっきから、左右田を疑う発言ばかりして……」

狛枝「うーん、今回のボクのスタンスは、こっちの方がいいかなって思ってね……」

西園寺「はぁ!? 何言ってんのアンタ!?」

辺古山「今は狛枝に構っている場合ではない……それより、左右田はなぜそんな嘘をついた?」

左右田「う、嘘なんてついてねえ!! オレが犯人なんだ……オレが全部一人でやって、そしてオレが……」

西園寺「……言わなきゃダメなの?」

左右田「え? い、言うって……何をだよ?」

西園寺「左右田が犯人と自分を汚してまで、守りたかった真犯人だよ!!」

左右田「な……何!?」

小泉「日寄子ちゃん? も、もしかして……わかっちゃったの?」

西園寺「ううん、トリックとかはまだまだ、話し合わなきゃいけないことが多そう、なんだけど……」

でも、犯人は……左右田おにぃが守ろうとする犯人なんて……

……アイツしかいないじゃん……

アヤシイジンブツヲシメイシロ

……アンタでしょ?

ソニア「…………」

西園寺「ねぇ、何いっちょ前に他人面してんの? ソーニア?」

ソニア「わたくし……ですか!?」

左右田「…………っ!!」

田中「よもやっ……!? いったい何を根拠に発言している!?」

西園寺「今の所根拠はないけどねー……左右田おにぃの方が明らかに怪しいんだしさ」

ソニア「ではなぜわたくしを疑うのですか!? 突然すぎてくりびつですよ……!」

小泉「単に左右田が犯人としてかばうような真犯人って言ったら、ソニアちゃんしかいない……って事だよね?」

左右田「ち、違うぞ!! 違うからな!!」

辺古山「ややこしい……本当にどっちなのだ!?」

七海「まあまあ、誰が犯人とかはまだいいからさ。次はどうやって殺したのかを考えてみようよ。左右田くんは一切言うつもりないみたいだしね」

左右田「……………………」

日向「言うつもりがないんじゃなくて、言えないだけかもしれないけどな……」

終里「それってつまり、本当にしらねぇってことか……?」

澪田「その可能性もなくはないっすね……」

西園寺「どんな可能性も今はどうだっていいよー。とにかく、ここにソニアが登場したとしたらどうなるか、でしょー?」

花村「そういえば、ぼくら海水浴組は、ソニアさんを目撃したよね?」

狛枝「うん、そうだったね」

ソニア「わたくしを、ですか?」

罪木「た、確かに見ました! アレは……待ち合わせの15分くらい前のことです!」

(田中「む……? ……アレは?」

田中おにぃが指さした方向をみんなで見る。そこには……ドラッグストアの方向から、全速力で走りだすソニアの姿があった。

辺古山「アレは……ソニアか?」

西園寺「でも、何か急いでるよね?」

澪田「曲名に例えるなら……涙の全力疾走って感じっすね!」

罪木「というか、約束……覚えているんでしょうか?」

花村「覚えてるに決まってるでしょ! 最初にここにみんなを呼んだのはソニアさんじゃないか!」

七海「……どうしてそこまで知ってるのかな?」

……なんだろう? 嫌な予感がする……。

ソニアはわたし達が集まっているダイナーを通り過ぎて、そのまま走り去ってしまった。)

左右田「だったら、ソニアさんは犯人じゃねぇじゃねぇか! 事件現場にいなかったんだからよぉ!! お前らマジで全員死ぬぞ!」

日向「その前に九頭龍が殺された可能性だってあると思うけどな。今回のモノクマファイルには、死亡推定時刻は書かれてないんだからさ」

七海「モノクマファイルに書かれていなかったことは、前回の裁判でも重要だったよね?」

モノクマ「あらやだ、隠したつもりはないんですよ?」

モノミ「思いっきり隠してるじゃないでちゅか!」

モノクマ「ただ言わなかっただけだよー?」

モノミ「世間ではそれを隠してるって言うんでちゅ!」

小泉「うるさいよ! 漫才ならよそでやって!」

ソニア「わ、わたくしは……」

左右田「ソニアさん違いますよね? ソニアさんは犯人じゃないんです! オレを犯人って言っておけばいいんですよ!!」

ソニア「そ、左右田さん……ごめんなさい、やっぱりわたくし……真実を……」



















狛枝「あ、ちょっといいかなー?」

西園寺「……何?」

狛枝「海水浴に行った人がソニアさんを目撃してるんだし、ほとんどの人にはアリバイがあるんだよね?」

澪田「そうっすね! 唯吹はみたっす! あれは間違いなく走り去るソニアちゃんでした!」

罪木「わ、私もそう思います!」

花村「ぼくも!」

狛枝「そのあたりはどうなのかな? ということは、小泉さんが犯人になると思うんだけど……」

小泉「あ、アタシが!?」

澪田「それ以外の人は、全員あの場にそろってたっすねー! これは……臭うっす!」

……小泉おねぇが人を殺すなんて……そんなワケないじゃん!

狛枝「さぁ、西園寺さん……ボクと勝負してくれるよね?」

それは違うよ……

狛枝「キミは……ボクの反論を打ち破れるかな?」

こいつ……わたしと勝負とか、身分わかって言ってるの?

西園寺「いいよ……返り討ちにしてあげる……アンタの思惑、全部潰したげる!」

【07:反論ショーダウン】

>>701

[コテージの手紙フ
[プレイの履歴フ
[モノクマファイル2フ
[ガラスの破片フ
[足跡フ

コマエダナギト
思い出して      みてよ

 ボクらは
     全員 集まってた
             よね?

そしてあのタイミングで左右田クンはやってきた

つまり

それは

事件が

リアル

タイム

 で

起こっている事を証明しているんだよ!

発展!

サイオンジヒヨコ
あのさぁ、アンタは分かってんの?
本当の犯行時刻がさ?

コマエダナギト
左右田クンが出てきた時間を
 思い出して
     ごらんよ……

その間に起こったんだとすれば……

【犯行時刻は午後1時45分よりも前】って事になるよね?

そうした
   場合
あの時の
       ソニアさんは……

【証拠を隠す時間がない】んだよ?

さぁ、どうやって切り返す?

      キミは
    犯人の
  希望を
超えられるかな……?

西園寺「ねぇ、狛枝……アンタとあろう小賢しい男が、忘れたの? それとも、忘れたふりをしてるだけ?」

狛枝「え? 何の話?」

西園寺「九頭龍のコテージには手紙があった。その内容は……」

『伝えたい事がある。11時にドラッグストアに来い』

狛枝「でもそれは、辺古山さんに送ろうとしてやめた手紙だったよね? それがどうして証拠を隠す時間があることの証明になるの?」

七海「その手紙が指定してる時間はきっと、九頭龍くんが小泉さんを殺そうとしていた時間ってことだよね? でも、よくよく考えてみたら、九頭龍くんは思いとどまったんだし、ドラッグストアにいる必要なかったんだよ」

澪田「あー、頭こんがらがってきたっすよー……」

七海「でも、実際はいた。これはどうしてなんだろう?」

つまり、九頭龍自身は……

西園寺「……そう、別の誰かを呼んでいた……多分それは……」

左右田「…………」

田中「左右田……お前、九頭龍から手紙を受け取っていたのか? なぜそれを言わなかった?」

終里「言ったらソニアが犯人ってばれるからだろ? そういうことだろ?」

左右田「……………………」

西園寺「あーあ、だんまりとかむしゃくしゃするなぁ……!」

ソニア「左右田さん……」

左右田「……ソニアさん?」

ソニア「いえ……左右田和一よ」

左右田「は、はいっ!」

ソニア「【超高校級の王女】として、貴方に命じます。起こった事すべてを話しなさい。そして……愚かなわたくしに制裁を……」

左右田「…………ぐっ……くおぉ……」

左右田おにぃは、なんどもなんども拳を自分の台座に叩き付けた。それから……ぐしゃぐしゃの泣き顔をこちらに向けて、震えた声で話し出した。

胸ポケットから、小さな手紙を取り出して……

学級裁判

 中断






と、いうわけでここまで。

裁判自体は6割方終了しています

今日は8時頃から更新しときます。

申し訳ないです、遅れちゃいました~

更新始めます

モノミ「あちしはモノミ! 今すごくドキドキしてるでちゅ……」

モノミ「ちょっぴり不器用で愛らしいそばかすの九頭龍くんが殺されて、2度目の学級裁判に」

モノミ「何やら疑われてる子もいちゃったりしまちゅね……でも、あちしは信じまちぇんよ!」

モノミ「あちしが信じるのは、ミナサンの結果だけでちゅから!」

モノミ「というわけで頑張ってね! 安価の人達も頑張るでちゅ!」

モノミ「時には間違えちゃっても、その後ヒントがあるから大丈夫だとおもいまちゅ!」





学級裁判

 再開




自分が犯人だ、と突然言い始めた左右田おにぃ。

矛盾点を指摘し続けると、真犯人であるソニアの顔が浮かんできた。

そして、左右田おにぃが真実を話し始める……。

ポケットから、一枚の紙を取り出して……

左右田「……九頭龍から、ソニアさんにこれが送られてきた……」

『みんなをまとめる王女様に話しておきたいことがある。1時にドラッグストアに来てくれないか? 遅れてもいい。ただオレは待ってる』

西園寺「辺古山おねぇ、これは……?」

辺古山「間違いなく、坊ちゃんの手紙だ……」

花村「ちょっと待ってよ! ソニアさんに送られた手紙なのに、どうして左右田くんが持ってるの!?」

左右田「恥ずかしい話な……跡をつけてたんだよ。ソニアさんの」

小泉「す、ストーカー!? さ、サイテー!!」

左右田「そういう意味じゃねぇよ!! ただ一緒にどこかに出かけないか誘う機会をうかがってただけだ! そしたら、ポストの前でソニアさんが止まって、顔が真っ青になったもんだから……」

(左右田「ソニアさん? どうかしたんですか?」

ソニア「……そ、左右田さん? ……あの、このようなものが……」

左右田「……これは……あの男から、ですか?」

ソニア「……そのようですね……わたくし、怖くなってしまって……もしかしたら彼に殺されるかも」

左右田「そんな、いくらなんでも大げさですって……」

ソニア「だ、だって彼は……彼は……妹のためにある人を殺した人で……」

左右田「……え?」)

左右田「そこで、ゲームの話を聞いたんだ……それと……ソニアさんにはもう一つ気がかりなことがあったらしい」

西園寺「それってたぶん……」

言弾選択>>701

↓1

だよねー?

西園寺「クリア特典の事でしょ?」

左右田「ああ、そうだ……ソニアさんの写真には……ノヴォセリック王国が焼け野原になっている写真があったらしい……」

田中「なんて虚像を見せつけてくれるんだ……」

モノクマ「虚像? 嘘じゃないよー。ボクがつくのは優しい嘘だけだもん」

モノミ「それがすでに嘘じゃないでちゅか!」

日向「それはどちらかわからないが、とにかくソニアの精神を不安定にさせるには十分だっただろうな……」

ソニア「不安になって、わたくしは、あろうことか左右田さんに相談してしまったのです」

左右田「あ、あろうことか……? まあ、とにかくオレはなんとかしようと必死になって……」

(左右田「……ソニアさんの前に、オレが行きます」

ソニア「え?」

左右田「九頭龍に敵意があるかどうか、偶然を装って行って、確かめてみます」

ソニア「……ですが、それでは左右田さんが危険な目に……!!」

左右田「いいんです! 王女って言うのは、兵を駒のように扱ってくれていいんですから!」

ソニア「そ、そんな……」)

罪木「それで、会いに行ったんですね?」

左右田「ああ、でも、オレ下手くそでさ……すぐに九頭龍にバレちまったんだ」

(九頭龍「ああ? てめー、もしかしてオレが誰かと約束してたこと知ってやがるな?」

左右田「そ、そんなわけねーだろー? オレが何でお前がソニアさんに会おうとしてることを知ってるんだよ?」

九頭龍「やっぱ知ってんじゃねぇか!!」

左右田「ちょ、ちげぇって!!」

九頭龍「おめぇはあっち行ってろ!! ボケ! オレはソニアを待たなきゃいけねぇんだ!! これ飲んで寝てろ!」

左右田「ひぃっ!? 何すんだよ! やめろって!」

九頭龍「うるせー!」)

ソニア「そんないざこざがあるとはつゆ知らず、わたくしは万が一のことがあってはいけないと、レストランからボトルを取って、ドラッグストアを見に行きました……そうしたら……」

(ソニア
九頭龍さんが……左右田さんを押し倒していて……腰にナイフを持っていることもわかって……
このままでは殺されてしまうと思い、わたくしはあわてて、頭の中が真っ白になり……

ソニア「てやあああああああ!!」

ガンッ!!)

ソニア「九頭龍さんを……瓶で殴ったんです……」

辺古山「貴様……話も聞かずにか!?」

ソニア「だ、だって、傍からみたら話もできそうにない状態で……」

左右田「ソニアさんを責めるな!! 責任はこんなこと思いついちまった俺にもあるんだから!!」

辺古山「くっ……」

左右田「それから、ソニアさんをなだめて、とりあえず外に出るようにオレは言ったんだ……後はオレがやりますから、ソニアさんはとにかくどこか遠いところへ逃げてください……って」

狛枝「そしてああいう偽装工作をしたって事か……素晴らしいよ!! 愛という一つの希望のために、自分自身が罪をかぶり、さらにその愛している人以外全員を殺す覚悟を決めるだなんて……!!」

日向「お前がずっとおかしなことばかり言ってたのは……そういうことだったんだな?」

狛枝「おかしなこと? それは言ったつもりないんだけどな……」

左右田「あー、あと一歩ってところだったんだけどな……ソニアさん、すみません」

ソニア「いえ、いいのです……わたくしが愚かだったのです……最初からわたくしが、手紙を見てその通りに九頭龍さんと話していれば……もしかしたら……」

辺古山「それ以上御託を並べるのは止めろ……」

辺古山おねぇの目が、いつもよりさらに鋭くなる。

辺古山「私は……お前たちを許さない……投票だ。モノクマ!! 早くしろ!!」

モノクマ「らじゃー!!」













日向「いいのか辺古山!?」

辺古山「……何?」

ソニア「ど、どういう、意味ですか?」

日向「お前の信じた男は……九頭龍冬彦はその程度の人間だったのか?」

辺古山「な、何が言いたい? 結論は……もう」

日向「出てないよ……出てないから言ってるんだよ……」

は?

西園寺「こ、ここまで話してきて、まだ結論に達してないっておにぃは言いたいの!?」

小泉「ばっかじゃないの!?」

日向「罪木! 何かわからないのか!? お前が検死をしていたりとか……」

罪木「え、ええっと、その……」

狛枝「できるわけないよね? ボクが捜査中、ずっと無意味に連れまわしてたんだから……」

終里「こいつ……ふざけやがって!!」

狛枝「これも君たちの希望を育てるためだと思えば、安いものだよ」

左右田「ど、どういうことだ日向!? 教えてくれ! ソニアさんが助かる方法があるって事だろ!?」

日向「……確かに、瓶で殴ったのはソニアだったはずだ……そのあと偽装工作をしたとして、左右田はどこまで偽装工作したんだ?」

左右田「え、えっと……オレは……まず九頭龍の持ってた瓶から怪しいものがでないように、それを割って……スパナを置いて……そのあと輸血パックで床を濡らして、足跡をつけて……それくらいだな」

日向「ほら、変だろ?」

澪田「どこが変なんすか!? 何もおかしなところないじゃないっすか!」

……左右田おにぃが偽装工作したと思ったけど、そうじゃなかったもの……そういうのが結構あるのかもしれないね……

考えろ……考えるんだ、わたし……だって、ゴールはもうすぐなんだから……。

一問ずつ安価とることにします。

【08.花札チョイス】

Q1.左右田が偽装工作時に触れていないところは?
赤:瓶 青:ナイフ

↓1 色を選択せよ!

赤×

違う違う! もっと落ち着いて考えなきゃ! 九頭龍の持ってる瓶に細工はしたんだから、ナイフには何も触れてないよね?

青 ナイフ を選択

Q2.その時のナイフはどのような状態だった?

赤:割られていた 青:左右田が持っていた 黄:九頭龍が持っていた

↓1

黄○

Q3. 偽装工作後、すぐに左右田はどうした?

赤:ソニアに会いに行く 青:ダイナーに報告 黄:涙の全力疾走

↓1

青○

Q1.左右田が偽装工作時に触れていないところは?
青:ナイフ

Q2.その時のナイフはどのような状態だった?

黄:九頭龍が持っていた

Q3. 偽装工作後、すぐに左右田はどうした?

青:ダイナーに報告



このくらいできて当然でしょー?

    ―complete!!―

西園寺「……ナイフだ」

左右田「え? ナイフ?」

西園寺「九頭龍が腰につけてたナイフ! それはソニアが見つけただけで、左右田は全く気付いてなかったのかも……!」

辺古山「な……に?」

その推理はピンボケだよ!

小泉「待って、待ってよ日寄子ちゃん!」

西園寺「……おねぇ、どうしたの?」

小泉「それは、最初の方で輸血パックをつけてたことになってたでしょ?」

西園寺「そうだね……でも違ったんだよ……」

小泉「な、なんで……?」

小泉「い、今更それを変えられたって、納得いかないって!」

【09.反論ショーダウン】

[ナイフ)
[茶色い破片)
[ボトル)
[落ちてたスパナ)
[モノクマファイル2)
[プレイの履歴)
[コテージの手紙)

コイズミマヒル

納得             だって
   いかないよ!          あのナイフには

【輸血パックの血がついてた】んでしょ?

だったら        左右田が      使う時に
     きっとそれは     輸血パックを


落ちてたナイフにも
         たらしちゃったん
だって!!

発展!!

サイオンジヒヨコ

         考落お
         えちね
         て着ぇ
          い、
          て

ナイフは九頭龍が持ってたんだよ?
その証拠だってちゃんとナイフに残ってた……

コイズミマヒル
残ってた?

      それ自体
          日寄子ちゃんの
               思い違いなんじゃない?

                だって、悔しいけどもう……
         【犯人はソニア】ちゃん以外は
     考えられないし

        【致命傷は殴打】でしょ?

なら
  もう
    犯人は……

あーーーーーー!!

こんなこと言わせないでよ!!

サイオンジヒヨコ
(……おねぇは何か勘違いをしてない? そんなこと……どこかに書いてあったっけ?)

言弾リストは>>701

安価は↓1






おねぇ、違うんだよ……!

   ―BREAK!!―



西園寺「致命傷は殴打……? どうして? モノクマファイルにはそんなこと書いてないよ?」

小泉「え? でも確かに……」

西園寺「『被害者は九頭龍冬彦。【超高校級の極道】。多量出血で死亡。頭部に殴打した跡が見られる』 ……ほら、確かに出血多量だし、殴打した跡って書いてあるけど……だれも殴打で死んだとは言ってないんだよ……」

小泉「ま、まさか……!?」

モノクマ「あーあ、バレちった! うまい事心理を利用できたと思ったんだけどなぁ~」

モノミ「何もかもあなたの思い通りにさせるわけにはいきまちぇんよ!!」

辺古山「で、では、本当はナイフで切りつけられて、坊ちゃんは死んだということか?」

日向「…………」

辺古山「なぜ黙っているのだ!?」

左右田「…………」

ソニア「そ、そんな……では、九頭龍さんは……!?」

西園寺「もう、たぶん辺古山おねぇ以外の全員が気づいてるよ……犯人は……」

アヤシイジンブツヲシメイシロ

↓1

…アンタでしょ?

西園寺「九頭龍冬彦本人なんだ……って」

辺古山「ぼ、坊ちゃんが……」

七海「きっと、瓶で殴られたことにより、遅かれ早かれ絶命することを察した九頭龍くんは最後……本当に最期の力を振り絞って、ナイフで自分を刺したんだろうね……」

辺古山「あ、ありえないだろう……? だって、そんな……そんなこと……」

狛枝「……はぁ、がっかりだなぁ……」

日向「狛枝?」

狛枝「九頭龍クンの希望が大きすぎて、辺古山さんは受け入れてあげることができてないのかな? それともわかってるけど信じたくないだけ? どちらにせよ……どうしようもないね。九頭龍クンに応えることのできない道具なんて、九頭龍クンもいらないんじゃないかな?」

辺古山「……っ!!」

澪田「も、もうやめてあげてよ!!」

田中「九頭龍が自殺……それでいいのか?」

……まだだ!!

ペコヤマペコ
……西園寺、ぼっちゃ……九頭龍が自殺だったというのなら、説明してみてくれ……

サイオンジヒヨコ
……何を?

ペコヤマペコ
坊ちゃんが自殺だという確たる証拠だ……ナイフでつけられた傷というものは、本当にあったものなのか?

確かに……それを見た人は誰もいない。かもしれないけど……この可能性を捨てちゃいけないと思うんだ……

サイオンジヒヨコ
アイツ自身のした、アイツなりの覚悟……辺古山おねぇにわかってもらわないとね……

ペコヤマペコ
いいだろう……そこまでいうなら構わない……。
九頭龍組の端くれとしても……辺古山ペコ、参る!!

【10:STR】

ペコヤマペコ
ありえん!! 勝負だ!! 私に勝てる物などいない!!
証明して見せろ!! 坊ちゃん……坊ちゃん!! 1.道
どうした? 正義のために!! 2.悪 裁かれよ!! 3.儀
証明して見せろ! それで終わりか? のびちゃーん?
私はその程度では屈しないぞ! 4.極 わからない……ぬるいぞ西園寺!
スターストローク!! 5.の 坊ちゃんの気持ち…… 6.党
私には本当に分かれる物なのか……? 道具としての私が……
7.流 坊ちゃんの想いを……わかってもいいのか?

5文字で言葉を作れ!

↓1

西園寺「九頭龍の才能……それは【超高校級の極道】」

辺古山「今更……それがどうしたというのだ?」

西園寺「極道ならではの流儀って言うものがあるのかもしれない……たとえば……自分の命を犠牲にしようとするときなら……どうするのか教えてよ?」

辺古山「……切腹だが……なっ!? まさか……!?」

西園寺「そう。九頭龍の体はうつぶせの状態だった、そこから九頭龍の姿勢を変えた人って……いたっけ?」

左右田「そ、そんな……嘘だろ? じゃあアイツは……?」

ソニア「わたくしが犯人にならないように……自ら、お腹を?」

田中「くっ……それならまさか……あのナイフも最初から、もしものことがあった時に、犠牲を減らすために……!?」

終里「マジかよ……アイツが、そこまでやったって言うのかよ……?」

小泉「馬鹿……オレは殺れるって……自分を殺ってどうするのよ……」

狛枝「はぁ……まぁそういうことになっちゃうよね……ボクとしてはこの場で、犯人とぶつかり合う希望を見たかったんだけど……」

日向「その割にはえらく左右田を持ち上げたりしていたが、その点については……お前、議論を間違った方に誘導しようとしていたんだろ?」

狛枝「そうじゃないよ。ボクはあまりにも大きかった左右田クンの希望に、手を貸しただけに過ぎないんだ。にしても残念だよ……左右田クンの希望は、それはそれは簡単に折れてしまったんだ……今のところ、一番絶対的な希望に近い人の前にね……」

……それって誰の事だよ? でも、もうそんなことどうでもいいや。

今わたしがやらなきゃいけないことは一つ。

西園寺「もう、反論する人もいないみたいだね……じゃあ、事件を頭から振り返って……それで、終わりにしよっか」

【クライマックス再現】

Act.1
今回は九頭龍が、動機である『トワイライトシンドローム殺人事件』をプレイしたところから始まった。
そのゲームの内容は、九頭龍の妹がE子という人に殺されていること、そしてそのE子を自分が殺したこと、さらにその殺人事件にD子……小泉おねぇがかかわっていることを意味していたんだ。

Act.2
九頭龍はきっと、自分の部屋で長い間悩んだんだと思う。最初は小泉おねぇを殺すつもりで、辺古山おねぇにその趣旨を伝えようと考えていた……でも、それを思い留まり、何か別の人に相談しようと思って……ソニアを選んだんだ。

Act.3
手紙を受け取ったソニアは、相当あわてただろうね。だって、自分も七海おねぇと一緒に『トワイライトシンドローム殺人事件』をプレイして、九頭龍が一度人を殺している過去があることを知ってるんだから。そんな人から手紙が来たソニアはきっとこう思ったんだろうね。「次は自分が殺される」ってさ。

Act.4
でも、その様子をみた左右田おにぃが、ソニアの代わりに偶然を装って、ドラッグストアで話をつけてみることにしたんだよ。でも案の定、九頭龍は左右田おにぃが嘘をついてることに気付いてしまった。そこで、よほどその話を内密にしたかったんだろう九頭龍は、左右田おにぃを一度薬を使って眠らせようとたくらんだんだけど……それをソニアに見られてしまったんだ。
ソニアは左右田おにぃが殺されそうになってると勘違いして……持ってきたボトルで一発……九頭龍の頭を殴った。

Act.5
九頭龍を殺してしまったと思い込んだソニアと左右田おにぃは、すぐに証拠隠滅に取り掛かったんだ。とは言っても、左右田おにぃが自分自身を犯人と仕立てあげるために、色々と策を練ったんだけどね……。
輸血パックを使って凶器を偽装して、お面を持ってきて置いて、さらにスパナ……まぁ、マイスパナの場合に誰の物か特定しづらくなったりするから、どこにでもあるスパナをわざとおいて行ったんだろうけど……それが逆に左右田おにぃの犯行を証明させないものになってしまった……。

Act.6
そして、全ての偽装工作が終わり、左右田おにぃが退散したころ、九頭龍が動き出す。そう、実は九頭龍はまだ生きてたんだよ。そして、自分の命が長くないことを悟った九頭龍は……自分でお腹を切って、死んだんだ……。【超高校級の極道】らしく、自分の落とし前は自分でつけるって感じでね……。

……そうだよね、九頭龍……?

わたし、頑張ったよね?

―complete!!―

西園寺「これが事件の全貌だよ。どう? 何も間違ってないよね?」

辺古山「…………認めたくはないが、そうなのだろう……坊ちゃんはそういうお方だ……」

七海「……どうして認めたくないの?」

辺古山「……………………」

日向「わからないのか? 七海」

澪田「まーた創ちゃんっすか?」

日向「何なら教えてやるよ。辺古山が今何を思ってるのか、とかさ」

辺古山「な、なぜお前にそのようなことがわかるのだ?」

日向「分かるんだよ。俺はお前たち15人のことで、知らないことはもうほとんどないはずだ」

……え? 何さ、この寒気……。

事件が終わったのに、全部全部解決したのに、この妙な感覚……。でも、前の裁判でもそうだった。

そのあとだったんだ……日向おにぃが毒を仕掛けた犯人だってわかったのは……。

Chapter2 学級裁判 CLEAR!!

モノクマ「ねぇねぇ! 投票タイムを忘れてない?」

七海「ああ、そういえばそんなものもあったね」

モノクマ「えぇ!? 本当に忘れてたの!? しょぼーん……」

モノミ「ぐすん……」

モノクマ「あれ? モノミちゃん何泣いてるの? お腹壊した?」

モノミ「あちしは無力でちゅ……こうしてつるされ、何もできないなんて」

モノクマ「まあ仕方ないんじゃない? だってオマエ、そういうもんじゃん」

狛枝「ほら、とりあえず投票タイムでしょ?」

モノクマ「おっと、そうでした! では構ってちゃんなモノミは放っておいて……」

モノクマ「オマエラはお手元のスイッチで、投票してくださーい!」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰か!? その結果は、正解なのか、不正解なのか?」

モノクマ「さあ、どうなんだー!?」

モノクマvote



drrrrrrrrrrrrr……






クズリュウ クズリュウ クズリュウ

congratulation!










学級裁判

 閉廷








今日はここまでにしておこうと思います。

実のところ3章全く書き溜めしてなくてピンチです。なんとか急いで書き溜めします。

今日の分投下いきまーす

モノクマ「わーお! またもや正解!」

モノクマ「今回九頭龍クンを殺したクロは、九頭龍クン本人なのでしたー!」

辺古山「…………」

花村「ね、ねぇ、辺古山さん?」

辺古山「何だ?」

花村「ぼ、ぼくさ……鈍感だから、まだ九頭龍くんときみがどういう関係だったのかとか、全然わかんないんだよね……教えてくれないかな?」

辺古山「ああ……そうだな、分かった」

辺古山「私は……九頭龍組に拾われた身なんだ……」

罪木「えぇ!? ひ、拾われた!?」

辺古山「九頭龍組に拾われた私に託された仕事は、冬彦坊ちゃんの剣となることだった。実際私は、冬彦坊ちゃんの命令にしたがい、この手で人を殺めたこともあった……初めて人を斬ったのは……まだ8つの頃だったか……」

左右田「そ、そんな昔から、お前は……九頭龍と一緒だったって言うのか?」

……もしかして、辺古山おねぇが前に言ってた……。

(九頭龍「分かった!! 良くわかった!! オレがどれだけ言っても伝わらないのに、王女さんが一言いうだけでコレだ!!」

西園寺「く、九頭龍?」

九頭龍「残念だったな!! やっぱオレが何を言おうと……オレはただの汚ねぇ極道もんだ……」

そういうと、九頭龍はすごい速さで、レストランのバルコニーへと飛び出してしまった。

左右田「お、おい!! 九頭龍!!」

辺古山「待て、私が行く」

左右田「け、けどよォ……」

辺古山「以前、同じようになってしまった知り合いを知っているのだ。ああいうのをなだめるのは……私の得意分野だと思うぞ」

左右田「そこまで言うなら……任せたよ」

辺古山「感謝する」 )

あの時の知り合いって……九頭龍本人ってこと?

辺古山「今だから言えるが、坊ちゃんは最初からずっと、コロシアイ修学旅行に大きな恐怖を抱えていた……だから私を含め、誰も信用することができなかったんだと思う」

田中「何故前から知り合いだった貴様らが、その素性を隠すように努めたのだ?」

辺古山「それが坊ちゃんからの命令だったんだ。『ここでの俺とお前は何の関係も持たない赤の他人だ』……それが坊ちゃんの、思えば私に与えた最期の命令だった」

辺古山「十神の裁判が終わった後、坊ちゃんは私のところに来て、こう言ったんだ……」

辺古山「『オレ以外の人間が、人を殺せるとは思えなかった。怖くてたまらない』と……」

……それって……

(九頭龍「ある女にな……頼まれたんだよ」

西園寺「……誰よ?」

九頭龍「……言えねぇよ」

九頭龍「そいつが、俺に対して……殺人が起きてしまったことが怖い、だの、なんだのかんだの言うからよ……適当になだめといたんだ」

へぇ、案外優しい所もあるんじゃん

九頭龍「……でもな。そいつは……最後にこう言った。自分が過ちを犯したと思ったその時に、行動に出さないと手遅れになることがある……って」

西園寺「……え?」

九頭龍「だ、だからよぉ……俺もそいつの流儀に乗って、行動しようと思ったんだよ……」 )

……あいつ、ウソつきじゃん。

辺古山「私はそれに対して、偉そうに言葉を垂れたのをよく覚えている……それからだ、少し坊ちゃんが変わり始めた」

澪田「た、確かに……裁判が終わってから、冬彦ちゃんは唯吹たちと一緒にご飯食べてた時もあったし……」

罪木「最初に日向さんが縛られていたことに対して強く反対したのも……九頭龍さんでしたね……」

終里「オレは……そんなこと気にしてる余裕もなかったな……」

辺古山「だから……そんな風に坊ちゃんが少しずつ変わっていったから、きっと殺人を思い留まることができたんだ……!! 嘘か本当かもわからない情報に惑わされずに……それなのに……それなのに……お前たちは!!」

ソニア「わ、わたくしは……」

左右田「オレは……」

辺古山「坊ちゃんを信じてあげることが……お前たちはできなかったんじゃないのか!?」

西園寺「…………」

わたしも、その一人だ……わたしはどこかで九頭龍のことを疑っていたのかもしれない……だから、小泉おねぇに届いた九頭龍からの手紙に対して……「いかないで」って……。

小泉「…………」











「辺古山、それは違うぞ」












辺古山「何が違うというのだ……日向創」

日向「お前はやっぱり、そうだったんだな……」

狛枝「そういえば、日向クンは気になる発言をしていたね。ボクたち15人の中で知らないことはもうほとんどないってさ」

日向「……ああ、だからこそ今の辺古山の気持ちもわかってるつもりだ」

辺古山「ふんっ、知ったようなことを「お前、ほしいんだろ?」……え?」

日向「ただ、恨むべき相手が、憎むべき相手が欲しいだけなんだろ?」

辺古山「な、何を言ってるんだ……!?」

日向「そうすることによって、自分を正当化したいんだ。『もしも九頭龍の悩みに気付き、耳を傾けていたら、こんな事態を起こさずに済んだかもしれない』と思っている自分を」

辺古山「やめろ!!」

左右田「お、おい……オレの言える事じゃねぇけど、こいつはもう十分傷ついただろ! なのに、お前は……まだ辺古山を苦しめるのか!?」

日向「ああ、そうだよ?」

左右田「なっ……!!」

日向「どうなんだ、辺古山? 違うか?」

辺古山「あ……ああ……うぐっ……」

頭を抱えて座り込む辺古山おねぇを……じっと見つめるおにぃ。

その目は何を考えているのかわからないけど……ただ、絶望しているわけでもなく、くすんでいるわけでもない。とても澄んだまっすぐな目だった……。だから、一層怖かったんだ。

その時……

モノミ「も、もうやめてあげてくだちゃい!!」

日向「?」

モノミ「もう、辺古山さんはいっぱい、いっぱい傷つきまちた……日向くんだって、それは分かってるはずでちゅ!」

日向「…………」

モノミ「これはただ絶望を生むだけ……日向くんもそう思いませんか!?」

日向「……俺は、俺が正しいと思った方向へ進むだけだ」

西園寺「ふん、いっちょ前にかっこつけちゃってさ……」

狛枝「……クスッ、やっぱり君は素晴らしいよ……ますます興味が出てきたなぁ……日向クン……」

モノクマ「さてと、それじゃあオシオキしちゃいましょうか!」

七海「え? オシオキ? ……でも、犯人である九頭龍くんはもう……」

田中「そうだ……もう殺せる人間なぞ、この場には残っていないはずだ!」

……まさか

モノクマ「今回は、【超高校級の極道】である九頭龍冬彦クンのために、スペシャルなオシオキを用意しました!」

ソニア「え?」

辺古山「い、今なんといった? ……まさかとは思うが……お前、死体を……!?」

モノクマ「では、張り切っていきましょう! オシオキターイム!」

    GAME OVER

クズリュウ クンガ クロニキマリマシタ

   オシオキヲカイシシマス

……モニターに映し出されたのは、大きな水槽のような場所……。

浅い水たまりのようなものができていて……上から、ゆっくりと……

九頭龍の遺体が……ロープにつるされて降りてきた。

【超高校級の極道】九頭龍冬彦処刑執行

―極道流・ハラキリ―

ロープにつるされた九頭龍は、体はだらんとしていて力はどこにも入ってない。

あれはもう、完全に死んでいる人の体だ……それは明らかだった。

すると、水たまりの水かさが増していく。それと同時に、九頭龍の体のあたりを延々と往復するナイフがあった。

何度も何度もそのナイフは、九頭龍のお腹を切り刻んでいく。水が増していく。九頭龍の体はまるで動かないのに、痛みを感じるはずがないのに、痛々しく……。

辺古山おねぇは目をそらさずにそれを見ている。ううん、目をそらせないのかもしれない。やがて、九頭龍の体はお腹を境目に、きれいに二つに分かれ、下半身の部分が、水の中に入る。

……真っ赤に染まりつつある水槽に、ロープが切られ、上半身が投げ入れられた……。

辺古山「あ………………ああ…………」

ソニア「…………」

モノクマ「うぷぷぷ……今回は割とハードなオシオキだったね……」

わたしはどんな顔をしているだろう? 涙が出ているのか、それさえももうわからない。

頭がしびれて、考えが回らない。そんな気分だった。そして、沈黙が流れ続ける空気を切り裂いたのが

辺古山「あぁ…………あぁ……」

小さく、とても小さく、声を殺してむせび泣く辺古山おねぇの声だった……。

モノクマ「おめでとう! これでもう辺古山さんは道具じゃなくなったわけだよ! あんな奴に従わなくていいんだ!」

辺古山「……………………」

事件当初、どんな人にも切りかかりそうだった辺古山おねぇが、今は抜け殻のようだった。

今彼女は、何を考えてるんだろう? わたしにできることは? …………

西園寺「わたし、先に帰る。もう裁判は終わったし……」

ただ、立ち去ることくらいだった。

―サイオンジノコテージ―

九頭龍は、変わろうとしていた……少しずつ、皆を信じようと努力していた。

わたしは……誰かを信じれるようになっただろうか……お父さん以外の誰かを、信頼できるようになっただろうか。

それに今一番近い小泉おねぇも……まだ信じられていないわたしは……この先、信頼できる仲間と、前に進めるのかな……?

わたしにしては、少し難しいことを考えすぎてる気がする。

でも、わたしはわたし自身で、少しずつ変わって行こうとしていることがあるってことも理解しているんだ。

…………自分にできること、それをひたすら探そうとしているわたしは……これから変わっていけるのかな?

それと、辺古山おねぇは……この先大丈夫かな? 信頼している人を失うのって、本当につらいよね……。

西園寺「あれ?」

ここまで考えて、わたしはある疑問を持った。

西園寺「わたしって……今までこうやって他人の事まで、ちゃんと考えられてたっけ?」

―???―

モノミ「……………………」






モノミ「…………………………………………」








モノミ「…………………………………………………………」






























モノミ「モノクマ……………………ハ…………ナ…………」

































モノミ「蟶梧悍縺ッ邨カ譛帑ス輔°縺ォ雋?縺代↑縺?s縺」

CHAPTER 02

正義、それは薄っぺらい戯言

END

生き残りメンバー

14人→13人

To be continued…






今日はここまでで。

次回から3章ですね。頑張っていきましょう。

乙!三章が気になるな……

そういや前あった自由行動の安価は、もう無いって考えていいの?

どうも。今日は更新するかもしれないししないかも。あいまいですみません。

>>884さん
自由行動の安価ですか……復活させたい気持ちはあるんですが、好感度システムも無くなったし、スキルも消えてプレゼントもないし、被害者加害者ももう確定しているわけで……。
そんな状態で自由行動を取ったとして展開が変わるわけではないので、本当に必要性がなくなっちゃうわけなんですね。
それでも皆さんが安価部分を増やしてほしいと言ってくださるのなら、>>1的には復活させるのもありかなって思ってたりするんですけど……

皆さんどうですか?

皆さんありがとうございます。

やっぱり安価は必要なさそうですかね。

今のままを維持して書き溜め進めていきます。

溜めた分がなくならない程度に今日の分をやっていきたいと思います。

「パパー!」

わたしの大好きなものは、パパ……。

わたしが大切にしてるのは、パパ……。

パパが、わたしが踊ると喜んでくれるから。

だからわたしは日本舞踊が大好きだし、きつい練習も頑張れるんだよ?

ねぇ、知ってる? パパは知ってた?

家では何の権力もなかったけど……。

「いやああああああああ! 痛い! 痛いよパパ! うわあああああん!」

靴の中に剣山が入ってた時も

「なにこれ……パパ、何これ?」

布団にねずみの死体がばらまかれていた時も

「え? そのごはん食べちゃいけないの?」

食事に毒が盛られてたり

『会場のみなさん、たった今、とある事故が発生しまして』

舞台の照明が落とされて、わたしが奈落に落っこちちゃって、大けがした時も

どんな時でも、パパは、何も言わずに、ただわたしを信じて、一緒に戦ってくれた……。












それなのに……。







「もう会えないから」








「……え?」













「お父さん、もう会えないから。これからは、おばあちゃんと一緒に暮らすんだよ」










Chapter3

恐怖に打ち勝て! 【超高校級の感染症】!

             (非)日常編







コロシアイ修学旅行生活 13日目

……また、あの夢か……。

しばらく見てなかったけど、また……。内容はよく覚えてないけど……

西園寺「ぐすん……」

わたしの頬から伝わる涙が、その夢を見たことを教えてくれていた。

……九頭龍が死んで、1日経つ……。

……そっか、1日経っちゃったのか……。

辺古山おねぇは大丈夫かな?

(日向「そうすることによって、自分を正当化したいんだ。『もしも九頭龍の悩みに気付き、耳を傾けていたら、こんな事態を起こさずに済んだかもしれない』と思っている自分を」

辺古山「やめろ!!」

左右田「お、おい……オレの言える事じゃねぇけど、こいつはもう十分傷ついただろ! なのに、お前は……まだ辺古山を苦しめるのか!?」

日向「ああ、そうだよ?」

左右田「なっ……!!」

日向「どうなんだ、辺古山? 違うか?」

辺古山「あ……ああ……うぐっ……」

頭を抱えて座り込む辺古山おねぇを……じっと見つめるおにぃ。

その目は何を考えているのかわからないけど……ただ、絶望しているわけでもなく、くすんでいるわけでもない。とても澄んだまっすぐな目だった……。だから、一層怖かったんだ。)

あんな風にされたら、きっとわたしも……。

あの時わたしが、家を捨ててお父さんと逃げる勇気があれば……。

西園寺「なんだよ……」

臆病なのは、わたしだって一緒だ……。

ピーンポーン……

西園寺「…………鍵開けてるから、入っていいよ」

ガチャッ













「随分と不用心じゃないか、西園寺」

西園寺「……え?」














日向「よう。急に押しかけて、悪いな」

な、なんで……コイツが?

日向「……そんなに俺が来るのが変か?」

西園寺「変っていうかなんていうか……最悪」

日向「ははっ、何だよそれ」

そう言って笑うおにぃ。その時の表情に、毒を仕掛けたと言ったあの時のような迫力は無い。

西園寺「ねぇ……」

日向「ん?」

西園寺「どっちが本当のおにぃなの?」

日向「え?」

西園寺「そうやって笑ってるときのおにぃと、毒を仕掛けたときのおにぃと……どっちが本当の日向創なの?」

日向「……さぁな」

西園寺「……それじゃあおにぃを信用できないよ」

日向「信用? ……西園寺がか?」

西園寺「え?」

本当だ……わたし、誰かを信じようとしてる……こんな状況で?

日向「……西園寺に信じてもらえるなら、俺は本当のことを話そうかな……あのな、西園寺……俺は……知ってるんだ」

西園寺「知ってる……それって……!!」

(モノクマ「しかもさ、実はこの16人の高校生たちに、1人だけ希望ヶ峰学園にいない人間も含まれてるんだ!! そいつはオマエラと過ごしたように見せかけて、実は本当に初対面なんだよ!」

モノクマ「さらに、その裏切り者と違ってもう一人……実は、2年間……とまでは行かないけど、記憶を保持してる人間がもう一人いちゃうんだよ!! うぷぷ……本当面白いよね!」

モノミ「も、もしもし!? こ、この機械人形、壊れてるみたいなんでちゅけどぉ……」

モノクマ「君とはやってられんわ!!」

モノミ「うぎゃああああああ!! 振り向きざまのグーパンチは、本当に痛いでちゅうううう!」 )

西園寺「おにぃは裏切り者なの?」

日向「……俺は今は、ただ西園寺を守ろうとしている……それだけは忘れないでくれ」

わたしを……守る?

西園寺「は? キモッ、守られるような覚えもないし」

日向「そういわれるとも思ってたよ」

西園寺「……わたしを守るんだったら、勝手に守れば?」

何でかわからないけど、おにぃに殺されるようなことだけはないと思うし……。

日向「そうさせてもらうよ。じゃあ俺は砂浜の方に行ってくるから、西園寺はもうレストランに行っとけよ」

西園寺「……何でおにぃは来ないの?」

日向「今の俺が行くと、争いの種を蒔くだけだからな」

西園寺「ふーん……」

そういった日向おにぃの顔は、うれしいとも悲しいともつかない。心の底が全く見えないような顔だった。

でも、これでいい、これが正しいと感じている……そんな、まっすぐな瞳で……。

西園寺「それもそうかもね」

でも、それでおにぃは本当にいいの?




今日はここまでで。引き続きよろしくお願いいたします。

どうも。今日の投稿を始めます。

あと、今更ながらに前スレでネタバレしちゃってる事は、シナリオがぐりっと変わっちゃってる事もあって、ヌルッと変えてるところもありますよ

―ホテル レストラン―

わたしがレストランに行くと……レストランは大変なことになっていた……。

ソニア「落ち着いてくださいってば!!」

終里「あーっ!! うるせー!! おめぇら全員離せっての!!」

小泉「落ち着いてって!! そんなことして何の意味があるのさ!!」

終里おねぇを全力で止める皆の姿があった……。

西園寺「……花村? これどういうこと?」

花村「終里さん、とんでもない事しようとしてるんだよ!! コロシアイを起こさせたモノクマをやっつけてくるって、モノクマに勝負を挑むって……!!」

はぁ? あんなん勝てるわけないでしょ!?

西園寺「ちょっと! 何考えてんのさバカ終里!!」

終里「馬鹿でもなんでもオレはやるって決めたんだ!! 離せよっ!!」

左右田「ちょ、蹴るなよ!! とにかくアイツの所にいっても返り討ちにされるのがオチだ!! もっと落ち着けよ!!」

終里「っせぇ!! そうだとしても……それでもオレがおさまんねぇんだよ!!」

澪田「い、今そんなことして何の意味があるって言うんすか!!」

罪木「そ、そうは言いましても……」

終里「どいてろ!!」

罪木「きゃあ!」

なんとかしなきゃ……わたしが止めなきゃ……!!

西園寺「おいっ!! ちょっと待てって!!」

終里「あん? なんだよ西園寺。おめぇもぶっ飛ばされてぇのか?」

西園寺「終里おねぇ、それは違うよ」

終里「なんだと?」

西園寺「あーあ、天国の弐大おにぃも、これを聞いたらきっとブチギレるね」

終里「弐大が……?」

西園寺「そうだよ、きっとほら……『ワシの教えた事が何にもいかされとらん!!』みたいに、馬鹿でかい声で……さ?」

終里「…………」

七海「西園寺さんの言うとおりだよ」

田中「全くもってその通りだ。いいセンスだな、西園寺よ」

いいセンス……? わたしが?

西園寺「ふ、ふんっ、まあね」

終里「……弐大の名前を出されちゃ……立ち止まるしかねぇよ……でもよぉ……じゃあオレはどうすりゃいいんだ?」

小泉「どうすればいい……って?」

終里「オレは頭使うことは無理だ……だからこの島の秘密とか、モノクマとかモノミの謎とか、そういうの考えたりすんのはできねぇ……だから、せめてオレが役に立つためには何したらいいかって……でもそれも止められちまったら、オレ、どうすればいいんだよ……?」

……わたしに終里の叫びは、痛いくらいよくわかった。

わたしもずっと自分にできることを探してて……何の役にも立たないまま……九頭龍は死んじゃった。

犯人を作らないために、最期に自分で命を……絶ったんだ。

皆が言葉をつぐんだところに、その空気を切り裂くように、一つの声。

花村「終里さん!!」

花村は大きなどんぶりに積んだごはんをテーブルに置き、そう叫んだ。

花村「終里さんにできることは……ぼくの料理を食べておいしいって言ってもらうことだよ……!」

終里「は……花村?」

花村「こんな風な状況でも、どんなに仲間を失っても、ぼくは皆にご飯を作って、おいしいって言ってもらいたい……わがままかもしれないけど、それでも!! それがぼくにとって、生きようと思える財産なんだ!! ぼくの希望なんだよ!!」

花村「だから終里さん!! 無益な戦いを挑むのは止めようよ……そんなことより、ぼくの料理を食べておいしいって言ってくれる方が……ずっと簡単で有益だよ!! ……お願いだよ」

終里「…………」

終里おねぇを止めていた面々が体を離すと、終里おねぇはゆっくりと椅子に腰かけて、どんぶりに盛られた真っ白いごはんを……ゆっくりと箸で口に運んだ。そして……

終里「……うっ、ぐすっ……」

花村「あ、あれ? おいしくなかった?」

終里「ちげぇよ……旨すぎるんだよ……お前の飯が……花村の飯が旨すぎて……何か泣けてきたんだ……」

花村「……そ、そう? あはは、それなら良かったよ。でもさ、せっかくなんだし笑ってよ! ぼくも皆が泣いて食べてくれるより、笑って食べてくれた方が幸せだしさ!」

終里「おうっ! へへっ」

花村「さ、早く皆も座ってさ。食事にしようよ! ぼくの作った真っ白いごはん……皆きっと喜ぶよ!」

ソニア「はい! ジャパニーズご飯はとってもおいしいです!」

左右田「ソニアさん、一緒にどうですか! 田中、お前も来い!」

田中「ククク、いいだろう!」

……徐々にみんなに、笑顔が戻り始めた……でも、そこに……。

辺古山おねぇと狛枝と日向おにぃはいない。狛枝はどうでもいいけど……辺古山おねぇは心配だ……。

西園寺「ねぇ、小泉おねぇ……?」

小泉「ん? どうしたの?」

西園寺「……辺古山おねぇ、大丈夫かな?」

小泉「あー……うん、たぶんペコちゃんなら大丈夫だよ」

西園寺「……本当に?」

小泉「……うん、きっと大丈夫。だってペコちゃん強いもん」

西園寺「……そう、だよね……」

そう、辺古山おねぇは強い。九頭龍の死に立ち向かって、裁判を乗り越えたんだから……だから、大丈夫……きっと大丈夫……。

モノミ「ばばーん!」

罪木「ひゃあっ!?」




今日はここまでで。すみませんめっちゃ短くて

ちょっと新生活でばたばたしてて更新できてなかったです~。

やって行きます

澪田「何すかこれから飯って時に!! あっち行ってほしいっす!!」

モノミ「邪魔者扱いでちゅか……でも、あちしはまけまちぇんよ」

モノミ「ところで、3人ほど姿が見えないのですが……大丈夫でちゅかね?」

左右田「狛枝も日向もどうでもいいけど……辺古山は分かんねぇな……正直オレとしては会いたくないっつーか……」

小泉「何バカなこと言ってんのよ……会わなきゃダメでしょ? いろいろと謝らなきゃ」

ソニア「謝るにしても、何を謝ればいいのですか? わたくし達が謝ったところで、九頭龍さんは帰ってこない……そもそも、辺古山さんにどんな顔をして会えばいいのかも……」

モノミ「……いつも通りでいいんじゃないでちゅかね?」

澪田「あのー、モノミちゃんに訊いてないんすけど?」

モノミ「あ、そ、それもそうでちゅよね。でも、あちしなりの意見を言わせてくだちゃい!」

田中「何を言っているのだ、そんなの」

西園寺「いいんじゃない? 聞くだけならタダだし」

田中「なっ……!?」

モノミ「西園寺さん……うるうる、あちしは本当にいい生徒さんを持ちました。うれしいでちゅ……涙でフェルトがぬれちゃいまちゅ……」

花村「いいから早く話してよ……」

モノミ「はい! 話させてくだちゃい! あちしは、今まで通りに接してあげることをお勧めしまちゅ!」

左右田「ど、どうしてだよ?」

モノミ「きっと辺古山さんだって、左右田さんやソニアさんが悪い事をしようとしてそうしたなんて絶対に思ってまちぇんよ? ミナサンは気づいてないかもしれないけれど、少しずつミナサンの間に生まれている絆は、とても大きいでちゅからね」

わたし達の中の絆が……?

ソニア「で、でも……」

モノミ「むしろ、あなた達が辺古山さんを受け入れてあげるべきなんだと思いまちゅ。だから精一杯の笑顔で、あの子を迎えてあげてくだちゃい。きっとその時が来たら……辺古山さんからミナサンに歩み寄ってくれるはずでちゅ」

左右田「……そうか。わかったよ」

モノミ「えー、ではでは、本題の発表でちゅ」

終里「んだよ、終わりじゃねぇのかよ……」

モノミ「なんと! 3番目の島に行けるようになりまちたー!」

小泉「ま、またモノミが倒してくれたの!?」

モノミ「えへへ、その通りでちゅ。それじゃあ、頑張りましょうね、ミナサン。輝かしい希望は、ミナサンと共にね!」

西園寺「あ、ちょっと待って」

モノミ「はい?」

西園寺「わたし達は……アンタを信じていいの?」

モノミ「え?」

西園寺「……わたしはね、モノミのことを敵だって思ってたけど……そうじゃないんじゃないかなとも思い始めてきてる……だからさ……本当のことを教えてもらうことはできないの?」

モノミ「……………………」

モノミ「あちし、ポンコツだから……それにこたえられるようにはできてないんでちゅ。すみません……」

西園寺「……なにさ、それ……」

信じようとしたわたしがバカだったの?

モノミ「……でも、これだけは宣言しておきまちゅ。ミナサンの突き進んでいく方向に、あちしはついていきまちゅよ! それじゃあね!」

……行っちゃった。

罪木「あ、新しい島って言ってましたね……ど、どうします?」

七海「……行くしかないね」

わたし達は、3番目の島に行ってみることにしたんだ……。脱出できるものがあるかもしれないという、淡い希望を抱きながら……。

終里「花村、おかわり!」

花村「え、まだ食べるの!? 探索は?」

終里「オレはまだいいや。後で行くことにするよ」

花村「そっか……じゃあぼくも後ででいいや。待っててね」




今日はここまでで。次回ようやく3の島めぐりをしていきます。

それでは今日の更新を始めたいと思います。

今日は今までと比べると割と一気に進めます。

―3バンメノシマ―

サイオンジヒヨコ
ここが3番目の島か……
最初の島とも2番目の島とも違う……なんだか不気味な感じ。

そう思ったのは……どうしてだろう?

―病院―

罪木「ここは……病院みたいですね……けが人はここで何とかできそうですぅ」

小泉「そうだね。特に無茶しそうな赤音ちゃんとかには注意しないと……」

西園寺「誰か見張りとかつけておいた方がいいんじゃないの?」

田中「見張りか……それはそれで難しいと思うぞ?」

西園寺「だよねー……」

小泉「……」

罪木「……」

西園寺「ん? どうしたの? 小泉おねぇはいいとして、ゲロブタド変態はこっち見ないでよ」

罪木「そ、そんなひどい事言わないでくださぁい!」

小泉「な、なんていうか……日寄子ちゃん、やけに素直だなぁって……」

西園寺「え?」

田中「ククク、どうやらお前から感じられる波動が、少し穏やかな物に変わってきているようだぞ……?」

わたしが……変わってきてる?

どうしてだろう……狛枝や日向おにぃの言う、「試練」を乗り越えてきたから、かな?

だとしたらその試練って……仲間の死ってこと?

田中「だが、どちらにせよ終里に対して何か枷が必要なのも事実だ。少し俺様も何か考えておくとしよう……ククク」

―ライブハウス―

澪田「うっきゃー! テンションめっちゃ上がってきたっす!!」

澪田「かんじにへんかんできるよゆうがないくらいっすよ!!」

ソニア「読者が読みづらいでしょうし、漢字に変換は忘れずに行いましょう!」

左右田「ソニアさん!! 発言がメタいです!!」

西園寺「……」

ここのステージ、結構大きいね……。

ん? ここ……三味線なんかもあるんだ……変なの。……でも、これなら……

西園寺「……そうだ」

ふふん、やっぱりわたしって天才だね。こんな事思いついちゃうなんてさ……。

西園寺「ねぇねぇつのドリルちゃん?」

澪田「はーい! もうそれでいいっすよ!! どしたんすか?」

西園寺「あのねあのね、つのドリルちゃんって……こういう楽器はいけそう?」

澪田「え……? そ、それは…………」

わたしは澪田おねぇにかがむように指示して、耳元で囁く。

わたしの考えを聞いた澪田おねぇは目をランランと輝かせて言った。

澪田「そういう事なら、全力で三味線練習してくるっすよ!! 全裸でレッツ裸ゴーっす!」

左右田「服は着ろよ!!」

ソニア「どうしたのでしょう? 何やらとてもハイでしたけど……」

西園寺「ふふん、秘密!」

左右田「お前がそういうと何か気持ち悪いな……」

西園寺「左右田おにぃのネチネチしてる部分と髪型とニット帽と顔全体の方がもっと気持ち悪いよー?」

左右田「最終的に全否定かよ!!」

ソニア「うふふ、そうかもしれませんね」

左右田「え、そ、ソニアさん!?」

―デンキヤ―

西園寺「…………ここは、電気屋?」

そこで、わたしが見たのは……。

狛枝「やあ、西園寺さん」

西園寺「こ、狛枝……」

狛枝「そんなに警戒しないでよ。ボクだってモノミから聞いて、この島にやってきたんだ……ところでさ」

狛枝「あのパソコンってなんだと思う? 無能なボクには想像もできないんだけど……西園寺さんなら分かるんじゃないかな?」

西園寺「はっ、才能のない人間の中では、才能のある人間を敬えるアンタは高性能な霊長類だよ」

狛枝「褒めてもらえてるってことで受け取っとくね」

わたしは目の前のパソコンのスイッチを押してみる……と、

西園寺「……ほとんど空っぽだし、ネットにはつながってない……みたいだね」

狛枝「なるほど……でも、何か気になるファイルがあるよね?」

西園寺「……「for future」ってファイルの事だよね?」

狛枝「……少し気になるから、見てみようか」

そこに書かれていたのは……。

西園寺「これは……何?」

狛枝「メモとかした時にでるアイコンだね。見てみようか」

狛枝に言われるがままに、パソコンを操作してメモを見る。

すると……そこには……。

『1

犠牲者たちの名前

十神 花村ク

小泉 辺古山ク

澪田 西園寺 罪木ク

弐大 田中ク

狛枝 七海ク』

西園寺「何……これ?」

狛枝「犠牲者たち……か。興味深いね。西園寺さんの名前も、ボクの名前もある……それに、隣についてる「ク」の字は……クロってことでいいのかな?」

え?

西園寺「ちょ、ちょっと待ってよ!! じゃあ……改行されてる分だけ、学級裁判が起こったってこと?」

狛枝「それはないんじゃないかな? ボクらは2回しかまだ裁判を乗り越えてない……それに、結果は全く違うものになっている……」

西園寺「たまたま同姓同名の人がいた……とか?」

狛枝「西園寺さんにしては、がっかりな発想だね」

西園寺「う、うるさいよ!!」

狛枝「もしかしたら、コロシアイ修学旅行は、最初から予定されていて、その結果を予想したものなのかもしれないね。大きく予想は外れてるけど」

西園寺「……本当に、そうなのかな?」

狛枝「え? 何で?」

西園寺「だって……2度目の裁判のところ、見てみてよ」

狛枝「小泉さんが辺古山さんに殺されるっていう予想を立ててるみたいだね……これがどうかしたの?」

西園寺「……これ、辺古山おねぇが言ってたじゃん」

(小泉「……もしかしたら九頭龍は、アタシと話がしたかったのかもしれない……アタシは九頭龍から手紙を受け取ってたの。それにしたがって、トワイライトをプレイした」

澪田「そうっすね……冒頭で見せてもらったプレイ履歴に、真昼ちゃんはちゃっかり名前あったし」

小泉「それを見て怖くなったけど、結局アタシは行かないことにした。ドラッグストアに呼ばれてたことには呼ばれてたんだけど……ある人に相談したら、行かないでって言われたから……」

西園寺「…………」

辺古山「そうか……そうだったのか……では、もしかすると……」

辺古山「私がその手紙を受け取り、小泉が坊ちゃんにドラッグストアで会っていた場合は、私が小泉を殺していたかもしれないのだな……」

花村「な、なんでそうなっちゃうんだよ!?」 )

狛枝「確かに、そう言ってたね……つまりこれは何かの可能性も含めての予想で、何も考えずにあてずっぽうでやっていったわけじゃないんだね」

西園寺「そう……だろうね」

狛枝「ところで西園寺さん……何かどくどくしさが抜けちゃったね?」

西園寺「は?」

狛枝「最初の方の君から感じた攻撃的な印象だったオーラが、少し丸くなったというか……どちらにせよ、きれいになってきてるよ」

西園寺「……おかげさまでね」

狛枝「ボクの言う希望のパワー、感じ取ってもらえてるかな? ふふっ、うれしいなぁ……そしたら、犠牲になった弐大クンや十神クン、九頭龍クンも喜んでくれると思うよ」

西園寺「それはアンタの勝手な推論でしょ!? やめてよ……そんなこと言うの……」

狛枝「……ごめんよ。また嫌な気分にさせちゃったみたいだ……」

西園寺「………………気分悪くしたー。狛枝ー、おんぶして別のところ連れてってー」

狛枝「え」

西園寺「おら! 早くしろよ!」

狛枝「あ、あはは……」

―エイガカン―

西園寺「うわあああああああん! 助けてえええええええ!! 変態に持ち上げられたよおおおおおおおおお!!」

狛枝「あれ? 何か変だぞ? ボク嵌められたかな?」

七海「あれ? 狛枝くん? 西園寺さんを誘拐?」

狛枝「まさか。どうせ誘拐するならもっと別の子にするよ」

西園寺「今のどういう意味だよ?」

狛枝「あはは、ごめんごめん。なんでもないよ」

ゲシッ!

狛枝「あいたっ」

わたしは狛枝の背中を蹴って飛び降り、映画館の探索を始めた。

動かないポップコーン機器や、モノミプリントの麻袋。それと……変なステッカー。イタズラには最適だね。ぷぷっ。

モノクマ「このステッカーに目が留まるとは、お目が高い! 今なら150万円だよ!」

西園寺「たかっ!!」

モノクマ「それを払うのが嫌だったら、この先にあるボク制作の映画を見なさい!」

七海「私もこういわれて、待ってるところなんだ」

狛枝「待ってるって?」

モノクマ「実は現在絶賛上映中なんです。もうすぐ終わると思うけど……」

キィッ……

日向「…………」

西園寺「あ、お、おにぃ!」

モノクマ「どうだった? ボクの映画は? 感想は?」

日向「…………死にたくなった」

七海「えーっと……」

狛枝「これは……相当ひどい映画みたいだね」

日向「退屈だけどあくびさえも出ない、目をそらして寝ればいいかもしれないけど、それさえも許させない退屈さというか……なんというか……あの映画を2回連続で見たら死人が出そうだ」

モノクマ「そんな! デスブログじゃあるまいし!」

西園寺「……そんなにひどい映画だったの?」

日向「ああ……うっ……うぷっ」

日向おにぃのこんな残念な顔初めて見たよ……どうしようもないくらい平凡な顔だったのに……残念になっちゃってるよ……。

日向「見ない方がいいぞ……150万払ってもいい……」

モノクマ「あーあ、残念。そんなに好かれないんじゃあ、しょうがないね……」

西園寺「……そういうことなら、ここから出れたら150万、狛枝おにぃが払ってやるよ」

狛枝「ボクが?」

七海「仕方ないね。さっき女の子を泣かせちゃってたしね」

狛枝「え」

日向「狛枝……お前ってやつは」

狛枝「あれ? 何かよからぬ勘違いをされちゃったかな?」

―モーテル―

このモーテルも……何か大事になってきそうだね。

西園寺「……ん? あれは?」

わたしが目にした人物は……予想だにしない人物だった……。















辺古山「…………」

西園寺「あ、辺古山おねぇ」

思わず、声が出た。

辺古山「……その声は、西園寺か」

西園寺「……うん、そうだよ」

辺古山「……おせっかいなモノミが、無理やり私をコテージから引っ張り出して、ここまで連れてきた。皆がいるから、と……」

西園寺「……そうだね、皆今ここにいるよ」

正確には一部除いて、だけど……。

辺古山「皆……いるんだな? 確かに……坊ちゃんや弐大、十神以外は……」

西園寺「……何言ってんの? 皆ここにいたじゃん」

辺古山「……私をからかっているのか?」

西園寺「違うよ。わたしは忘れないでおこうって思っただけ」

辺古山「……?」

西園寺「確かにアンタの言うように、もう九頭龍はここにはいないかもしれない……でも、ここにいた事だけは覚えていられるから……生きてる内は、だけどね」

辺古山「…………そう、だな……」

西園寺「今日は一旦帰って……明日、ライブハウスに来てよ」

辺古山「……ライブハウスか? なぜだ?」

西園寺「まあ、来てからのお楽しみってことで」

辺古山「……………………」

―サイオンジノコテージ―

それから、探索を終えて、わたしはとりあえず自分の部屋に戻ってきた。

結局3つ目の島は、色々と豊富だったね。特にライブハウス。

皆がそれで元気になるかとかはわかんないけど……わたしにできることっていったら、やっぱりそれしかないだろうから。

西園寺「そうだ。招待状書かなくちゃっ」

―ロケットパンチマーケット―

えーっと、招待状……招待状……に、ふさわしい紙は……。

うーん、やっぱり和紙かなー? 和紙だよねー!

罪木「あ、さ、西園寺さん……こんにちはぁ」

西園寺「あれー? 何も聞こえないなー?」

罪木「こ、こんにちはぁ!!」

西園寺「……何? どうしたの? わたし今忙しいんだけど」

罪木「あ、え、えと、すみません……その、今日はお風呂は大丈夫かなぁって……思って……」

西園寺「……あ、すっかり忘れてた。大丈夫? わたし臭くないよね?」

罪木「は、はい! 全然臭くはないんですけどぉ……えぇと、着付けの方は大丈夫ですかぁ?」

西園寺「……あ、あとでやる! だから、夜時間になったら来てよ。ドア開けとくからさ」

罪木「わ、分かりましたぁ……えへへ、覚えておきますね!」

……後は筆ペン。偽物だけど、本物の筆はわたしには扱えないから……せめてこんな感じにして、と……。

西園寺「よしっ!」

―ミオダノコテージ―

ピーンポーン……

澪田「もー、誰ー? 唯吹は今前代未聞のチャレンジ中っすよ? ……って、うわっ! 日寄子ちゃん!?」

西園寺「澪田おねぇ! 絶対明日までに、これ弾けるようになっといてね!」

澪田「え、えぇ!? 急ピッチっすね!! でも唯吹、逆境に燃えるタイプっす!!」

西園寺「きゃはは! せいぜい頑張ってねー!」

澪田「うん! 日寄子ちゃんも頑張って!」

……もう大丈夫そうだね! 明日が楽しみになってきたよ!

―サイオンジノコテージ―

さて……部屋に戻って招待状を作ったのはいいけど……

これからどうしようかな?

あ、招待状……誰かに渡しにいくのもいいかもしれない!

―ホテル―

わたしは真っ先に、ある人のコテージの前に立っていた。

ピーンポーン

小泉「……はい……あれ? 日寄子ちゃん?」

西園寺「えへへ……はい、コレ!」

小泉「……何、これ?」

『明日、夜7時頃、ライブハウスに来い!』

小泉「……果たし状?」

西園寺「ちーがーう! とにかく来てよね! 絶対だからね!」

小泉「ま、まあ、日寄子ちゃんがそういうのなら……」

わたしは得意げに笑って、皆のコテージのポストにそれを入れて回った。

―サイオンジノコテージ―

いつの間にか日も傾きつつある。明日が楽しみで少し眠れない……。

やろうと思ってる演舞の練習をしておこう。演るって決めたんだから、恥ずかしいものは見せられないよね! 【超高校級の日本舞踊家】としても!

そうしていつしか、熱意が入って、じっくりじっくり、振りの確認をしていると……

キーンコーンカーンコーン……

夜の時間が来てしまった……。

夜時間になったら、罪木とお風呂に入る約束をしている。

今日こそは……今日は言える気がする……ありがとうって言える気がする!

ガチャッ

罪木「ほ、本当に鍵を……西園寺さん、ありがとうございますぅ」

西園寺「いいから早く! お風呂入って汗流したい!」

罪木「汗……? そ、そういえば見ず知らずの誰かから手紙が届いてたんですけど……」

……あ、しまった。招待状に名前書き忘れた……。

罪木「西園寺さんには何か届いていましたか?」

西園寺「えー? わたしには届いてないけどー?」

……まぁ、このまま小泉おねぇ以外に秘密にしておくのも面白そうだよね。

罪木「そ、そうですか……うぅ、行くべきか行かざるべきか……でも、なんだかとってもウキウキな字ですし、問題なさそう……ですよね?」

西園寺「そうそう! だってわたしが……」

罪木「え?」

西園寺「おっと、なんでもない! 早く入ろうよ罪木ぃー!」

罪木「は、はい……」

…………着付けは、簡単な物だったら一人でできるようになった。

でも、「もう罪木の教えはいらないよ」って、何か言えなくて……わたしは……

西園寺「あー、やっぱりまだうまくできない……かも」

罪木「で、でももう少しですよ? あとはここを……」

わざと、できないふりをすることにした……そして……。

西園寺「つ、罪木……その、えと……」

罪木「は、はい?」

西園寺「あ……ありが……」

罪木「えぇ!? あ、蟻!? ど、どこ? どこですか!? あまり虫は得意じゃなくて……ええと、そのぉ……ひゃあああああああ!」

西園寺「そ、そうじゃなくて……」

……ああ、もういいや。

西園寺「わー! 罪木の背中にアリたんいっぱいだねー! どうしたのかなー? 罪木を巣に運びたいのかなー?」

罪木「い、いやぁぁぁぁあああん! 西園寺さぁん! 取ってくださいよぉ!」

西園寺「わたし虫苦手だもーん」

罪木「いっつも潰してたじゃないですかぁ!!」

……まぁ、結局今日もありがとうって言えなかったわけだけど……難しいな……お礼を言うのってこんなに難しいことだったんだ。

……ここまで考えて、また、わたし自身が少しずつ変わろうとしていっていることに気付いて……少し照れ臭くて……。

西園寺「嘘に決まってんだろうが! ありなんて最初からついてねーよ!」

罪木「ふぇ!? ご、ごめんなさぁい!」

なんて言って、罪木を見送って、それからわたしはすぐに眠った。

明日の夜は……きっとうまくいくはず。

14日目

―サイオンジノコテージ―

西園寺「……」

朝。今日は大丈夫。

とりあえずレストランに向かおうとして、外に出たところで……。

わたしはばったり、ある人物に出くわした。

辺古山「……西園寺か」

西園寺「ぺ、辺古山おねぇ!? 大丈夫なの?」

辺古山「あぁ。もう何も問題ない。私は覚悟を決めたのだからな」

西園寺「覚悟を……って、どういう意味?」

辺古山「西園寺。お前は言ったな? 生きているうちは、ここにみんながいた事を覚えておこう、と」

西園寺「うん、確かに言ったけど」

辺古山「それを聞いて思ったんだ。私は愚かだと……共に過ごした仲間がこうして成長しているというのに、私は足元ばかり見ていた」

西園寺「…………」

辺古山「強くなろうと思う。そのための第一歩だ」

西園寺「……何をするつもりなの?」

辺古山「……レストランに来てくれ。そうすれば分かる」

レストランに……。

わたしは辺古山おねぇを追い抜いて、レストランに駆け出した。

―ホテル レストラン―

……レストランにはすでに皆が集まっていた……けど……日向おにぃの姿はない。

そして、そんなレストランにまた一人、別の人物が入ってきた……。

それは……。

辺古山「お控えなすって!」

辺古山おねぇの姿だった……。

左右田「うぉあ!? びっくりした……って、何だよ辺古山かよ……って、え? 辺古山?」

ソニア「ぺ、辺古山さん!? もう大丈夫なんですか?」

辺古山「これよりあげます言葉の後先……間違えましたら、ごめんなすって! 手前、姓は辺古山、名はペコと発します! 家業未熟の駆け出し者に仕えていた者にございます! 以後、面体お見知りおきの上、よろしくお頼み申し上げます!!」

花村「い、今のは何……?」

辺古山「私なりの挨拶だ……改めてな」

罪木「え? ど、どうしてそんなことを?」

辺古山「今までの私は、ぼっちゃんの道具としてお前たちに接していた。でもこれからは違う。それを……敢えてこういう形にしようと思った。それだけだ」

……本当に、アイツの言った通りだ。

(モノミ「むしろ、あなた達が辺古山さんを受け入れてあげるべきなんだと思いまちゅ。だから精一杯の笑顔で、あの子を迎えてあげてくだちゃい。きっとその時が来たら……辺古山さんからミナサンに歩み寄ってくれるはずでちゅ」)

辺古山おねぇは……自分からわたし達の所に……。

やっぱり……皆強いな……わたしは同じようにできたのかな?

たとえば、最初に言ってた九頭龍の計画が実行されちゃったとき……九頭龍のことをわたしは許せたのかな?

……きっと、わたしは無理だっただろうな……。自分の事で精いっぱいで……でも、なんで?

なんでわたしは……他人のことを考えられるようになったの? 何がきっかけで?

花村「お帰りなさい、辺古山さん!」

辺古山「え……あ、ああ……ただいま」

澪田「おや? ペコちゃん今笑ったっすね? かあいいなー!」

辺古山「や、やめろ……あまりそういう風に言われるのは……慣れていないのだ」

田中「ふん、ずっと九頭龍と共にいたから……か?」

左右田「た、田中! お前、何を……」

田中「ククク、今のはあまりセンスのない台詞だったな……すまない、忘れろ」

辺古山「いいんだ……ぼっちゃんが皆の記憶に残り続けているなら……まだぼっちゃんは死んじゃいないさ」

狛枝「記憶に残り続けるからこそ、辺古山さんの希望も輝き続けるんだね……素晴らしいよ!」

ソニア「ぺ、辺古山さん!」

辺古山「どうした?」

ソニア「わ、わたくしは……九頭龍さんに命を救われた身です……だから……ありがとうと伝えても、いいでしょうか?」

辺古山「なぜ、それを私に訊く?」

ソニア「だ、だって……その……」

終里「いいんじゃねぇか? 自分の思ってることなんだから、言っちまったっていいだろ? 誰かに止められることなんてねぇよ」

ソニア「……そ、そうですよね……」

小泉「ソニアちゃんも、左右田も……何も悪い事なんてないよ。もちろん、ペコちゃんも……日向はあんなこと言ってたけど……それでもさ」

澪田「うんうん、美しき友情をはぐくんでいけばいいんすよ。例え1からでも、1からであっても始められるんすから!」

花村「そうそう! というわけで……今日の朝食はどうする? ごはん? パン?」

西園寺「わたしは絶対ご飯!」

花村「オッケー!」

これで心配事も無くなったね……モノクマの好きにはさせない……わたし達は強い! アンタ何かに負けないんだ!

13人そろって……ここから出るんだ!!

……そう思ってたのに。

絶望って言うのは、どうしてこうやってくるんだろう……?

―サイオンジノコテージ―

……気分がいい。気持ちも楽。

……誰にも見られないようなところで練習しようかな……あっ、その前に衣装をそろえておきたいよね。

……いい着物、あったかな? ピンク色のかわいい感じがいいな。

―ロケットパンチマーケット―

日向「…………」

あ、日向おにぃだ……。何か考え事してるみたいだし、敢えて近寄らない方がいいかもね。

西園寺「るんるんるーん♪」

服の売ってるコーナーに、着物は……あった。けど、こういう感じじゃなくて、もっとかわいいヤツがいいなぁ……。

日向「何か探し物か?」

西園寺「えーっと、これはぁー」

ちょっと面白くなって、敢えて無視してみよう。島にきた一番最初は、そんな風におにぃをあしらってたしね。

日向「……お、おい、西園寺?」

西園寺「あ、おにぃいたんだー。存在感なさ過ぎて全然気づかなかったよー」

日向「……わざとだろ? わかってるんだからな?」

西園寺「きゃははっ! んで、どうしたのー?」

日向「相当機嫌がいいのは……これのせいか?」

それは、わたしが招待状として送った和紙。おにぃはわたしが書いたものって見破ってるみたいだ。

西園寺「うん、そうだよー?」

日向「へぇ、何をするつもりなのか、楽しみだな」

西園寺「おにぃも来てくれるの!?」

(パパも来てくれるの!?)

あれ? なんだろう? この気持ち……。

日向「いや、俺は……これ以上はあまり皆とは……」

西園寺「えー? 何それ?」

(そっか……残念)

何とも言えない気持ち……これって……もしかしなくても……あの時と同じ……不安、恐怖……。

日向「だってそうだろ? そうでもしないと、俺は……」

(もう来ないから)

パパと会えなくなっちゃった時と同じだ……。嫌だ……このままおにぃがいなくなっちゃいそうで……もう、あえなくなっちゃいそうで……。

西園寺「うわあああああああああああああん!!」

……初めて、誰かの前で大声で泣いたような……そうでもないような気がする。

日向「え? お、おい西園寺……まいったな……」

西園寺「やだよぉ!! 皆が来てくれないとやだよぉ!! おにぃもいないとやだぁ!!」

日向「わ、わがまま言うなよ……」

終里「んだよ、うるせーな……って、んお? 日向……てめぇ、西園寺泣かせやがったな!?」

日向「いや、違うんだ、これは……西園寺が勝手に……」

西園寺「おにぃのバカバカバカバカァ!」

終里「おっしゃ! 安心しろ西園寺! おめーを泣かせたコイツを、オレがお前の代わりにぶん殴ってやるよ!」

日向「ま、待て! そんなことしたら俺死ぬから!」

終里「でぇりゃああああああああ!!」

日向「わかった! 西園寺、俺も行く!!」

終里「ん? 行くってどこにだ?」

西園寺「……ぐすっ、本当に?」

日向「分かった……俺も行く。終里もちゃんと来いよ? 7時にライブハウスだ。忘れるなよ?」

終里「……へっ、よくわかんねーけどわかったよ」

……あれ? なんで終里おねぇがここに?

まあいっか。おにぃも来てくれることになったんだし……。

西園寺「あっ!」

終里「ん、どうしたんだ?」

西園寺「あの上にある着物……あれが欲しい!」

終里「よしっ、オレが取ってきてやるよ!」

西園寺「わーい! ありがとう終里おねぇ!」

終里「おうっ!」

そうしてわたしはお気に入りの着物を手にして、そのままライブハウスの控室に向かった。

ここらで今日は畳みます。

そして次スレの用意をします。

残った分は皆さんと少し交流したり、適当に雑談して埋めていただいて構いません

次スレでっせ

ぴよろんぱ2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428495702/)

それでは、また次回をお楽しみにということで

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