咲「京ちゃんの誕生日を祝いたい」 (71)

咲「って、さっき部長に話したらさ……」

まこ「ほう、それでそんなら2月2日は盛大に祝おうとかなんとか云っとったんか」

和「須賀くんの誕生日って2月だったんですね」

優希「犬の癖に誕生日とは、生意気だじぇ」

咲「そう。だから京ちゃんにプレゼントを買ってあげようかなって…」

優希「タコスがいいんじゃないか?」


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まこ「お前さんが欲しいだけじゃろ」

咲「それで、最近京ちゃん囲碁にハマってるらしくて……」

和「そう云えば須賀くん『麻雀が駄目なら囲碁だぜ!』とか言ってましたね」

優希「それで何時も部活中に紙に書いたマス目に、紙で出来た白と黒の丸を並べてたのか……」

咲「うん。だから京ちゃんには本物の碁盤を買ってあげたくて」

和「碁盤ですか。なるほど、良いアイデアですね」

咲「でも私お金なくて……仕方ないから、染谷先輩の喫茶店でバイトさせてもらえないかなって……」

まこ「明日から一週間だけ働いてもらうつもりじゃけん」

和「でも、それじゃあ部活は出来ませんよ」

咲「うーん……確かに麻雀が打てないのは残念だけど、京ちゃんの為だもんね」

がらがら…

久「話は聞かせてもらったわ。その判断、ちょっと待って」

和「部長」

咲「待ってって、どういうことですか?」

久「須賀くんの為に、あなたが我慢する必要は無いって云いたいのよ。あなたがやせ我慢したって、須賀くんは喜ばないわ」

優希「な~るほど東芝。それは一里あるじぇ」

咲「でも私がバイトしないと京ちゃんのプレゼントは買えないし」

まこ「わしも、咲にまた店に来てもらえるとすごく助かるんじゃがのう」

和「そうですよ。いいじゃないですか、たまには部活が無い週があっても。須賀くんのためなんですし」

久「でもね、アメリカにこんな話があるのよ」

ある処に、それは若く、とても仲睦まじく、けれどもとても貧しい夫婦が居ました。

夫婦は、まるで浮浪者が寝泊まりする廃墟に、かろうじて屋根が付いているようなオンボロアパートに住み、日々食べるもの着るものに逼迫した生活を送っていました。

夫は売れない劇団員をやっています。

その劇団での収入も、このアパートの家賃を払えばいくらも残らない程でした。

妻の内職で稼いだお金を足して、やっと生きて行けるというくらい貧乏だったのです。

それでも、二人はお互いをとても愛し合って生活していたのです。

夫が仕事を終えて帰ってくると、

「モモ、ただいま」

玄関に上がる夫に対し、妻は自分のことをすべて投げ出して、

「おかえりっす♪」

と一目散に玄関に居る夫に抱きついて愛情を示すのでした。

そんな二人の処にも、クリスマスがやって来ます。

二人はそれぞれ、

「先輩に、クリスマスプレゼントを送りたいっす……」

「モモに、何かプレゼントを買ってあげたいな……」

と、考えました。

夫は、妻が前々から欲しがっていた美しい櫛をプレゼントしたいと考えていました。

妻は、夫に何か素晴らしいものをプレゼントしようと、前々から爪に火をともす思いで貯金していました。

ですが、今の夫に櫛など買うお金の余裕は無かったのです。

妻の貯金も微々たるもので、とても素晴らしいものなど買える筈はありませんでした。

そこで二人は考えました。実はこの家にも、財産と呼べるものが二つだけあるのです。

一つは、夫が代々受け継いだ純金のリーチ棒です。

これでリーチを宣言すれば、どんなニワカを従える王者も霞むことは間違い無いでしょう。

夫はこれを質屋に入れることで、妻へのプレゼントを買う資金を得ようと考えついたのでした。

一方、妻の方でもこの家のもう一つの宝を売ってお金を得ることを思いつきました。

もう一つの宝とは、自身が持つ両目まで垂れ掛かった二つの長い触覚のような前髪でした。

この前髪の美しいことと云えば、たとえどんな目立ちたがり屋のお嬢様でも、この二つの前髪が春風にそよぐ姿を見れば、

「あの前髪、わたくしのアホ毛より目立ってますわ!羨ましいですわ!」

と云って、嫉妬する程の髪でした。

それを最近流行の女性の髪を買ってくれる行商に売って、お金を得ようと考えたのです。

妻は、早速夫が仕事に行っている時を見計らい、内緒で前髪を切ってそれを行商に売りました。

たんまりお金を得た妻は、次に夫に何か良いものは無いかと色色な店を廻って捜しました。

夫は麻雀が好きだったので、何か麻雀に関係する物が良いと考え麻雀関連の店を捜します。

すると、ふと立ち寄った質屋で、それはそれは素晴らしい純金のリーチ棒を見付けました。

「これがいいっす。きっと、先輩も喜んでくれるっす」

髪を売った代金と今まで貯めた貯金を全額払って、その純金のリーチ棒を買いました。

妻は夫が喜んでくれる姿を思い浮かべ、上機嫌で家に帰りました。

家に帰ると、妻は早速夫へ前髪を切ったことを知らせました。

妻が前髪を切ったことを知った夫はにわかに顔色を曇らせました。

それもその筈、夫が用意したプレゼントは妻の前髪にとても関係があるものだったのです。

妻は、夫の様子がおかしいことにとても心配してどうしたのか尋ねました。

「先輩。どうしたっすか?もしかして私の前髪が無くなったのを気にしてるっすか?」

妻が云うと夫は、

「いや。そうじゃないんだ、ただ……私が用意したプレゼントを見れば、私がこんな表情をしたのも判ってくれるだろう……」

と懐に持っていた妻へのプレゼントの櫛を見せました。

それを見て、妻は言葉を失いました。

夫は自分の為に、この美しい前髪に似合うであろう櫛を買って来てくれたのです。

しかし、妻は云いました。

「でもでも!私が何故大事な前髪を切ったのか判ったら、先輩もきっと納得して喜んでくれるっすよ!」

と言って大事に包んであった夫へのプレゼントを渡しました。


夫は礼を云って包みを開けると、それは自分が質屋に売った筈の純金のリーチ棒がありました。

「どうですか?先輩は麻雀が好きだから、喜んでもらえると思って買って来たっすよ♪」

「こ、これは……」

「きっと、これを使ってリーチ宣言をする先輩は、とっても格好良いっす♫」

二人はとんだ行き違いをしてしまったようです。

夫は、自分の売ったリーチ棒がこうして手元に戻って来たのに何とも云えない思いになりました。

妻は当然、喜んで抱きついてくれる筈と考えていた夫の怪訝そうな面持ちを覗き込みました。

「なあ、モモ……。これは暫くの間、どこかへ仕舞っておこう。私は、櫛を買うお金を工面する為に代々伝わる純金のリーチ棒を売ってしまったんだ」

こうして、二人は愚かなことにより家の大事な宝をお互いのために台無しにしてしまったのでした。

久「と、云う話よ。この話の教訓は、自分が我慢して相手のために尽くしても無駄に終わると云うことよ」

優希「なるほど…昔の人はなかなか目の付け所がシャープだじぇ」

和(オー・ヘンリーの『賢者の贈り物』ですね……本当はお互い相手を思いやった贈り物をした二人を讃える言葉で締めるのですけどね)

久「そそ♪だから須賀くんの誕生日プレゼントも、わざわざバイトなんかせずに安い物でもあげてればいいのよ」

咲「でも私本当にお金無いし…」

まこ「いくらあるんかいの?」

咲「200円……さっきジュース買ったから残り70円だよ……」

和「流石に70円では心もとないですよね…」

優希「うまい棒でも買ってあげれば良いんじゃないか?」

和「流石にそれは酷いですよ優希」

まこ「咲が来てくれることを前提に、大々的に広告を打とうと思ったんじゃがのう…」

和「それなら、みんなで染谷先輩の雀荘にバイトへ行くっていうのはどうですか?雀荘なら麻雀は打てますし、何時もとは違った場所で打てば良い練習になります」

久「ふんふむ…慥かにまこの雀荘で部活も出来るわね」

和「それにみんなでバイトすればより良いプレゼントも買えますし、あとは染谷先輩さえよければ…」

まこ「わしは構わんどころか大歓迎じゃ。咲はもちろんのこと和や優希が居てくれればそれだけで集客率は大幅アップじゃ」

久「まこ、私は?」

咲「いいの?和ちゃん、優希ちゃん?」

和「ええ、いいんですよ。普段から須賀くんにはお世話になってますからね、その恩返しも兼ねてですよ」

優希「そうだじぇ♪」

優希(まあ、私はバイト代の大半は自分のタコス代に当てるけどな…)

まこ「よっしゃ!それで決まりじゃ」

久「まあ、いいでしょ。まこの特製オムライスも食べたいものね」

和「部長、私達仕事をしに行くんですよ?」

咲「あはは…」

こうして、京太郎の誕生日まで五人はバイトをすることになった。





優希「それにしても犬の誕生日か……そうだ!風越の池田ァにも教えてやるじぇ」

ピッピッ!

華菜「ん?電話だし。お、清澄のタコス娘からか」

ガチャ!

華菜「もしもしだし?」

優希「おいっす!池田ァ、相変わらず莫迦してるか?お姉さんは元気か?」

華菜「上級生には敬語使えと…まあいいや、それでどうしたんだし?それとうちのキャプテンのことは私達よりそっちの部長さんの方が詳しいんじゃないのか?」

優希「おう!用事というのはな、実は2月2日に誕生日パーティーをすることになったんだじぇ」

華菜「誕生日?誰の?」

優希「犬の誕生日に決まってるじぇ」

華菜「密偵(いぬ)?いや違うか…お前、ペット飼ってたのか?」

優希「まあ、ペットのようなものだけどちょっと違うじぇ。うちの京太郎の誕生日だじぇ」

華菜「はぁ…」

華菜(キョウタロウ……誰だ?そんな奴清澄に居たっけ?)

優希「という訳で、池田ァも来ないか?いや、寧ろ来い!」

華菜「まあ、そういう訳なら行かない訳もないけど…」

優希「よし!それじゃあ決まりだな、鶴賀の新部長さんにも声を掛けて…」

華菜「ちょっと待て!ていうかなんでムッキーにはさん付けなんだし!じゃないや、その役目、華菜ちゃんに任せるし」

優希「池田ァ…さんが?」

華菜「『さん』の前に間を置くな!あと池田の後に『ァ』は必要ないし、コーチを思い出すから止めて欲しいし」

華菜「兎も角ここは上級生としての威厳を示す為に、鶴賀にも龍門渕にも華菜ちゃんが連絡しといてやるし」

優希「池田ァが?大丈夫か?」

華菜「華菜ちゃんの人脈を侮るなし!その気になれば華菜ちゃんを慕ってやって来る友人が全国には80人くらい居るし」

優希「タイムリーな数字だじぇ。判った。期待してるじぇ」

華菜「おう!大船に乗った気でいろだし!」

優希「エスポワール号くらいには信用してるじぇ。じゃあ頼んだ池田ァ」

ピッ!ツーツー…

華菜「それじゃあ早速、キャプテンやみはるん、スーミンや文堂にも伝えに行くし♪」

華菜「それからムッキーや天江衣に連絡して……あ~頼れる上級生は忙しいし♪」





ピッピッ!

睦月「ん?電話だ…風越の池田ァからか…」

ガチャ!

睦月「もしもし…池田ァさん?」

華菜「おっ、ムッキー久しぶりだし」

睦月「何か用?もしかして試合の申し込みとか?」

華菜「違うし。実は清澄のタコス娘からの話だし」

睦月「優希ちゃんの?」

華菜「そそ。2月2日に清澄で……誰か判んないけど誕生日パーティーをするし。それで、鶴賀も参加しないかって?」

睦月「うん。別に空いてるけど……誕生日?」

華菜「おう!誕生日だし!兎に角来いし!」

睦月「そうか…それなら龍門渕にも連絡しといてあげるよ」

華菜「おっ?ムッキーが?助かるし」

睦月「誰の誕生日か判らないけど、こういう派手な事は龍門渕さんも好きだろうしね」

華菜「そんじゃ、頼んだし♪」

ツーツー…

睦月「誕生日かぁ…」

佳織「睦月ちゃんどうしたの?」

睦月「いや、清澄で誕生日がどうこうって池田ァから」

佳織「池田ァさんから?」

桃子「清澄で誕生日っすか?」

佳織「うわぁ!?桃子さん、居たんですか?」

桃子「それなら先輩にも連絡しておくっすよ♪」

睦月「うむ。加治木先輩に伝えたら蒲原元部長の耳にも入るだろう。私は龍門渕さんに連絡を……」





ピッピッ!

透華「あら?電話ですわ」

ガチャ!

透華「もしもし、どなたですの?」

睦月「龍門渕さん?私です、鶴賀の津山です」

透華「ああ、鶴賀の新部長さん?どうしたんですの突然?」

睦月「いやぁ、何でも清澄で誕生日パーティーをやるから来いと風越の池田ァから」

透華「池田ァさんから?清澄で誕生日パーティー?どなたのですの?」

睦月「え?いや、私にも誰の誕生日だかさっぱり……」

透華「兎に角判りましたわ。衣や一達にも伝えておきますわ」

睦月「そうですか。それでは…」

ガチャ!

ツーツー…

透華(それにしても誕生日パーティーとはご大層な……清澄と云う事は原村和の誕生日でしょうか?)

透華(いえ、慥か原村和の誕生日は10月4日、2月2日とは全然関係ありませんわ……どういうことでしょう……?)

透華「判りましたわ!きっと、誕生日パーティーというのは聞き間違いで、本当は原村和を讃えるパーティーを開催するつもりなんですわ!」

透華「ムキー!このわたくしを差し置いて、パーティーなど生意気ですわ!こうなったら全国に原村和のパーティーを宣伝して、その場で本当の主役はどっちなのか見せつけてやりますわ!」

透華「一!純!智紀!早速、原村和を讃えるパーティーを宣伝するホームページを立ち上げますわよ!」

一「はぁ?」

純「ホームページだ?」

衣「ふわ~ぁ……どうした?うるさいなぁ……眠れないではないか……」

透華「衣!どうやら原村和がパーティーを開くそうですわ!」

衣「ノノカが!?それは愉悦だ!」

透華「智紀!今すぐホームページを作って!」

智紀「はいはい……適当にホームページビルダーかなんかでささっと作っておく……」

透華「おっほほほ!原村和、今に見てなさい。本当の主役は誰か、今に思い知ることになりますわよ!」

こうして、原村和を讃えるパーティーは全国に知れ渡るようになった。

阿知賀……。

穏乃「和のパーティー!?」

憧「和のって……誕生日じゃないし、一体何のパーティーなの?」

玄「ふ~む……何のだか載ってませんのだ」

灼「何かあったんじゃない?賞を貰ったとか?」

宥「賞って……何を?」

玄「きっと、のーべる賞ですのだ!」

憧「ノーベル賞って、あんた……ありえるわね……」

晴絵「兎に角行けば判るさ!2月2日はみんなで清澄に乗り込むよ!」

穏乃「よっしゃー!待ってろー和ー!!」

姫松……。

タッタッタ……

洋榎「みんなー!来たで来たで!」

絹恵「お姉ちゃんお帰り」

末原「どうしたんですか主将?」

洋榎「清澄でパーティーやるからみんなで行くで!」

末原「はぁ…いきなり何云い出すんですか……」

由子「まぁまぁ、善野監督の退院祝いにも兼ねて行ってみるのよ」

末原「そうですね……そう云えば代行は?」

由子「何でもギアナ高地で見込みある若者を見かけて、改造……じゃなくて特訓を付けるため暫く帰ってこれないらしいのよー」

絹恵「はぁ……その人、無事に五体満足で居られればいいですけど……」

タッタッタ……

漫「うわぁーん!酷いですよ末原先輩!うち、デコに書いた『鰻』の文字の所為でみんなに笑われたんですよ!」

末原「ああ、漫ちゃんか……それなら違うで。みんなデコの文字で笑ったんちゃうわ」

漫「どういうことなんですか?」

末原「うちがこっそり漫ちゃんが麻雀でハコになる度に書いてた太腿の『正』の字を見て笑っとったんや」

漫「げっ!?ホンマや、何時の間に書いたんですか!?」

由子「相変わらず騒がしいのよ」

宮守……。

豊音「原村さんのパーティーだよー♪」

塞「パーティーって何の?」

白望「さぁ?」

塞「何々……『2月2日に原村和を讃えるパーティーがあります。ぜひ、ご参加下さい』と……」

エイスリン「ノドカパーティースゴイ!」

胡桃「でも、流石に清澄までは遠いし……」

豊音「え~!原村さんのサイン欲しいよー……」

胡桃「そこ!無理云わない!第一遠征費用だって莫迦にならないんだよ」

トシ「いいんじゃないのかい?」

塞「先生」

トシ「せっかくだしみんなでお行き、旅費は部費で工面するよ」

豊音「やったー♪」

白望「あんまりダルくないパーティーだといいなぁ……」

エイスリン「パーティースキ♪」

永水……。

小蒔「わぁ、パーティーですって霞ちゃん」

霞「あら?愉しそうね」

巴「へぇ……あの原村和を讃えるパーティーですか……」

春「清澄なら久とも遭える……」

初美「あそこなら丁度、神竟と繋がる山が近くにありますしすぐ行けますね」

小蒔「決まりましたね!みなさん原村さんのパーティーに行きましょう!」

白糸台……。

照「清澄でパーティーがあるらしい」

菫「あるらしいってお前、だから何だ?」

照「清澄のアイドルを讃えるパーティー……清澄のアイドルと云ったら間違いなく咲ちゃんのこと」

誠子「はぁ……」

尭深「お茶美味しい……」

照「みんなで咲を讃えるパーティーへ行こう」

菫「はぁ!?」

誠子「行こうって、そんないきなり……」

タッタッタ……

がらがら……

淡「テルー!清澄で咲のパーティーあるらしいよー!みんなで行こうよ!」

菫「淡まで……」

照「流石私の後継者、情報が早い。淡もこう言ってることだし、みんなで行こう」

誠子「はぁ……仕方ないですね」

尭深「おーいお茶美味い……綾尭もなかなか……」

こうして、誕生日当日。

咲「飾り付けも終ったし、後は京ちゃんを待つだけだね」

和「プレゼントも買えましたしね」

まこ「純金の碁盤なんて、見たらひっくり返るじゃろうな」

優希「眩しいじぇ」

久「お?須賀くんが来たみたいよ?みんな準備はいい?」

コンコン!

がらがら……

ぱん!ぱん!ぱん!!

咲「ハッピーバースデー京ちゃん!」

和「おめでとうございます」

優希「犬の癖に誕生日とはなまいきだじぇ!」

久「ちょっと、この人須賀くんじゃないわよ!?」

睦月「うわわ!?な、なんなんですかいきなり!?」

池田「どったの?ムッキー?」

未春「なんだか賑やかだね」

咲「あなたは鶴賀の……」

佳織「私達も来てますよ」

蒲原「ワハハ、目出度いなぁ」

和「蒲原さん?池田さん?」

美穂子「おめでとう、原村さん。何のお祝いか知らないけれど私も嬉しいわ」

文堂「私もです。あ、記念に麻雀プロカード差し上げますよ」

和「あ、ありがとうございます……赤土先生のカードですか……」

深堀「でもこんなに押し掛けちゃって大丈夫ですかね……」

ゆみ「まあ、祝い事なんだから好いんじゃないか?」

桃子「そうっすよ♪」

久「美穂子とゆみまで……」

龍門渕「おっほほほ!真の主役の登場ですわ……って、鶴賀の新部長さん!あろうことかわたくしや原村和より目立つとは許せませんわ!」

佳織「原村さんの為のクラッカーだと思いますが……」

蒲原「ワハハ、ムッキータイミング悪かったな」

睦月「うむ。済まない……」

衣「衣も来たぞ!」

一「お邪魔します」

照「咲ー!遭いたかったよー」

菫「おい!こら迂闊に離れるなと云っただろ!」

咲「お、お姉ちゃん!?」

照「咲ー。お姉ちゃん咲のパーティーにやって来たよー」

豊音「原村さん、宮永さんサイン下さいー♪」

胡桃「こら!いきなりサイン頼まない!」

マホ「和先輩ー!マホも来ましたよー」

ムロ「私は付添いです」

優希「おお、咲ちゃん和ちゃんのファンも続々現れたじぇ」

穏乃「和ー!ノーベル賞受賞おめでとー!」

憧「こら!あんまりはしゃがない!和に迷惑掛かるでしょ!」

和「ノーベル賞?一体どういうことですか?」

玄「どういうって、和ちゃんがノーベル賞を取ったからパーティーを開いたんでしょ?」

宥「特設のホームページで告知されてたのを穏乃ちゃんが見付けて……」

穏乃「そそ」

和「ホームページ!?何の話なんですか!?」

透華「おっほほほ~わたくしが作らせましたのよ」

一「え?ボクたち原村さんを讃えるパーティーだって聞いてここまでやって来たんだよ?」

和「私を讃えるパーティーだなんて……何でそんなことになるんですか?」

智紀「慥か、透華が鶴賀の睦月さんから聞いたって」

睦月「わ、私は池田さんから……」

優希「池田から?それならちゃんと『京太郎の誕生日パーティー』と伝えておいてくれって云ったじぇ?何でのどちゃんのパーティーってことになってるんだ?」

華菜「まあまあ、気にしない気にしない。にゃはは♪」

透華「そうですわ!何にせよ真の主役はわたくしですものね!」

咲「どうするの?今更、本当は京ちゃんの誕生日だって云い出せない雰囲気だよ?」

がやがや……

ざわざわ……

久「もういいんじゃない?このままで」

和「えぇ!?」

まこ「仕方ないじゃろ。今更間違いでしたって話して納得してもらえんじゃろ?京太郎には後で謝っとくしか……」

咲「そもそも肝心の京ちゃんがまだ来てないよ」

和「はぁ……そうですね。解りました、でも私のパーティーじゃないと言う事だけは皆さんに解って……」

洋榎「お?みんなー!居たで!今日の主役の原村和や!」

善野「あの子が原村ちゃん?可愛い子やね」

恭子「私達も握手でもして貰いに行きましょう、監督」

和「!?」

エイスリン「ハラムラノドカイタ!ガバンニサインモラウ!」

淡「サキー!パーティーすごいね!」

小蒔「原村さん、サイン下さい!」

和「あわわ!?み、みんなが私の処へ押し寄せて来て……」

のどかー!のどかー!

ノノカ!遊ぼう!目立ちたいですわ!目立ちたいですわ!

和「どうしてこうなるんですか!!?」





咲「その後、京ちゃんはとうとう誕生日パーティーには現れませんでした」

咲「次の日、学校に登校した京ちゃんにそのことを聞いてみると、どうやら私達が揃って一週間部活を休んだのをとうとう自分の麻雀の弱さに愛想を尽かされたのだと勘違いして、見返す為にギアナ高地まで行って麻雀修行をしていたらしいです」

咲「ギアナで偶々旅行中だった姫松の監督代行さんと仲良くなったらしく、京ちゃんはそこで改造……特訓を付けてもらったらしいです」

咲「ちなみに旅費は両親から受け継いだ純金の碁盤を売って賄っていたのだそうです。それも一週間の滞在費と改ry……特訓費にすべて消えたそうですけど」

咲「帰って来た京ちゃんは『コンマー』だとか『アンカー』の力を得て見違える程逞しく成長しました。右手から豆鉄砲のマシンガン、左手から甘食を発射出来るようになりました。百万馬力で空も飛べるそうです。でも麻雀は相変わらず弱いです」

咲「仕方ないので京ちゃんの誕生日は、後日、お姉ちゃんの誕生日パーティーと併合して行なわれることになりました」

照「何してるの?咲」

咲「あ、お姉ちゃん。今、和ちゃんから勧められたブログを書いてる途中なんだ」

照「ふーん…まあ、もう遅いから早く寝よう」

咲「うん。それにしてもお姉ちゃんの誕生日楽しみだね」

照「うん。誕生日ならお菓子も一杯食べられる」

咲「ふふ、お姉ちゃん誕生日以外でもお菓子を沢山食べてるよ」

照「そうだっけ…まあ、いいや。楽しみだな」

カン!

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