P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL (746)


アイマス×FF4のssです


一応このスレ(でのファンタジー)がファイナルの予定


場面転換が非常に多いので、読んでると苦痛に感じる事もあるかもしれません

その他注意事項は前スレ>>1を参照のこと


1スレ目
P「ゲームの世界に飛ばされた」
P「ゲームの世界に飛ばされた」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405694138/)


2スレ目
P「ゲームの世界に飛ばされた」2
P「ゲームの世界に飛ばされた」2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410099092/)




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422798096


〜〜これまでのあらすじ〜〜



FF4の世界へ飛ばされた春香達。
笑ったり、時には泣いたり、助け合いながら進んでゆく。

…そんな中、小鳥さんの配下の魔物達が、8つの内7つのクリスタルを手にしてしまう。

春香、千早、美希、やよい、伊織は、クリスタルが全て魔物達の手に渡ってしまうのを防ぐために、最後のクリスタルを取りに地底世界の封印の洞窟へ。
しかし、帰還寸前で、魔物達に最後のクリスタルと千早を奪われてしまう。

響、貴音、律子の三人は、魔導船を回収しに地上世界へ。
が、アガルトの村が魔物に滅ぼされているのを見つけ、唯一生き残ったというトロイアの城へ。

亜美、真美、雪歩、あずさ、真、そしてPは、アダマンタイトを持って地底世界の鍛冶屋ククロの家に。
ただいま雪歩のスコップを強化中。



果たして春香達は、無事元の世界へ帰る事ができるのか……?

〜〜キャラ紹介〜〜

メインキャラ

【春香】
転倒の聖騎士。元暗黒騎士で、試練の山にて自分の闇を受け入れ(決別ではない)、聖騎士へジョブチェンジ。どこかで聞いた様な技、『聖剣技』を父親から受け継ぐ事で無個性を回避。かばいたがり。
よく誰かに刺される。

【千早】
薄幸の竜騎士。春香の親友だが、春香とガチでやり合った経験有り。垂直ジャンプと水平ジャンプという、地味でわかりにくい技を使って戦う。だいたい地下13階から地下7階くらいまで跳べる程度のジャンプ力を持つ。
よく操られる。

【美希】
天才肌の白魔道士。白魔法はだいたい使える。基本マイペースだが、仲間のピンチには髪が短くなったりならなかったり。物語途中から使い始めた弓矢がお気に入り。
よく寝る。

【やよい】
無邪気な召喚士。幻獣達を呼び出して戦う。が、争い事は得意でない。幻獣達(ジュピター含む)とはおともだち。961プロの面々と同棲経験有り。魔物の言葉を理解できる。○ンプ好き。
よく和ませる。

【伊織】
スーパー忍者アイドル。この世界に来て初っ端から一人、ハードな道を歩んで来た。でも挫けない。わかりづらいけど、武器は小太刀の二刀流。人様のものを『ぬすむ』事には抵抗があるらしい。
マジいおりん。

【真】
人類最強のモンク僧。千早に諭され、苦手としていた状態異常魔法を打ち破る事に成功したバランスブレイカー。本当は、もっと女の子っぽい役が良かった(本人談)。極限流空手を使用。爽やかな女たらし。
よく鍛える。

【雪歩】
臆病な吟遊詩人。『うたう』より『くすり』より、『かくれる』が1番得意。土属性。知らぬ間に某国の英雄として崇められる立場に。FF4最強の鎧(欠陥品)を装備。
よく掘る。

【響】
天真爛漫な飛空艇技師。飛空艇は家族。もちろん言葉も理解する。15歳で子持ち、なのに未経験という不思議な経歴を持つ。娘に慰められるのが得意。
よく泣く。



【貴音】
面妖な月の民。幻獣神を友人に持つ。アホみたいな魔翌力の持ち主。最初は月にいたが、魔導船にて予定よりだいぶ早くみんなと合流。魔導船着陸時は、いつも命がけ。律子を呪縛から解放した人だが、月から魔物を連れて来てしまったのもこの人。
よく食べる。

【亜美】
元気な黒魔道士。予定通り?真美と共にカイナッツォ戦後に石化するが、ミシディアの長老とPの活躍により戦線復帰。後方支援と言いつつ、レアアイテム集めに勤しむ。魔法は玩具。趣味はトード。
よくイタズラする。

【真美】
思春期な白魔道士。亜美と同じ道を辿る。自身の固有アビリティ『うそなき』に不満があるらしく、もっと派手でカッコいい技を所望している。思春期。秋の空。
よく落ち込む。

【あずさ】
天然な賢者。とある戦いにより命を落とすが、土のスーさんのおかげで(ゾンビとして)復活。20歳で子持ち、なのに…(以下略)。律子を1番気にかけていた。
よく迷う。

【律子】
常識人な暗黒騎士。小鳥さんのせいで物語前半は春香達の敵として立ちはだかる。貴音により自分を取り戻す。人類最強の人と互角に戦えるスペックを持つ。
よく怒る。

【小鳥】
戦々恐々のラスボス。1番楽しんでいる人。幻獣神を下す程の実力の持ち主。好きな技はメガフレア。やっと出番が増える……はず。
よく妄想する。

【高木社長】
幻獣騎士オーディン。春香達を影から見守る。961の面々と行動を共にする。社長なのにやよいの手下。

【ジュピター】
幻獣アスラ。1つの身体に顔が3つ。次第にやよいに心を開いていく。あまとうはFFよりドラクエ派らしい。やよいの手下。

【黒井社長】
幻獣王リヴァイアサン。765プロは嫌い。ジュピターは……。起こす津波まで黒い。やよいの存在に戸惑う。

【プロデューサー】
べろちょろ。……のはずだったが、亜美の機転により人に進化した。なんとか自分の知識で春香達を助けようとするが……。
ゲーム中の殆どのキャラ(敵含む)はPを認識できないし、干渉もできない。故に参謀的立ち位置。


サブキャラ

【ものまね士】
バロン国の白魔法研究所でミキを研究していた。本職は白魔道士。店主に恋心を抱く。実は、モンク僧の国ファブール出身。

【店主】
カイポの村の宿屋の店主。度々春香達を助ける。料理上手で戦闘はからっきし。

【長老】
魔法の故郷、ミシディアの長老。月の民。Pを認識でき、会話などもできる。亜美と真美の良き理解者。

【技師1、2】
バロン国の飛空艇技師。響を親方と呼ぶ。

【娘】
バロンに住む響の娘……のはずだが、どちらかというと響の保護者。よく転ぶ。

【ユキコ】
ファブールで真と一緒に暮らしていた、真の『妻』。容姿も性格も雪歩そっくり。フライパンを常に持ち歩く。

【アン】
トロイア国の神官8姉妹の長女。実質トロイアのトップ。ちょっと腹黒い。

【トロア】
トロイア国の神官8姉妹の三女。真面目な性格。雪歩の優しさに惹かれ、雪歩を守るために雪歩について行くが……。

【老婆】
ドワーフの子孫達が暮らすアガルトの村に住む老婆。口が悪く、性格もひねくれているが、春香達を気にかけている。

【ジオット】
地底世界唯一の城、ドワーフ城の王。人前で痴話喧嘩してしまう人。

【ルカ】
ジオットの娘。見た目は春香そっくり。王女やってる時と普段では、口調が変わる。幼い頃に母を亡くす。

【ククロ】
地底のはずれにひっそりと住んでいる、腕利きの鍛冶屋。自分が鍛えた武器が戦争に使われるのが嫌で、店を畳もうとしていた。

【イフリート】
幻獣の町に住む、炎を司る幻獣。熱血。うるさい。やよいのおともだち。

【シヴァ】
幻獣の町に住む、氷を司る幻獣。冷静。物静か。やよいのおともだち。

【ラムウ】
幻獣の町に住む、雷を司る幻獣。ボケ老人かと思いきや、実はまだボケてない。幻獣トリオのまとめ役。やよいのおともだち。

【シルフ】
シルフの洞窟でひっそりと暮らしていたエルフの生き残り。真に一目惚れ。真と行動を共にする。したたかな性格。


敵キャラ

【スカルミリョーネ】
元、律子の配下の四天王の一人。土を司る。ゾンビ。マイペース。死ぬと性格が変わる。ゾットの塔で力尽きたあずささんに、ゾンビの力を与えて黄泉返らせる。スーさん。

【カイナッツォ】
元、律子の配下の四天王の一人。水を司る。津波を起こす亀。野心家。

【バルバリシア】
元、律子の配下の四天王の一人。風を司る。長く、良く手入れされた髪は、剣にも鎧にもなる。ちょっと年齢を気にしてる。美希を妹の様に可愛がっていた。シアちゃん。

【ルビカンテ】
元、律子の配下の四天王の一人。火を司る。寡黙。ナルシスト。いおりんの故郷を滅ぼした人。打倒律子に燃えている。相手を回復してから戦う律儀さを持つ。自分にしか興味がなかったが……。赤い悪魔。

【ルナザウルス】
小鳥さんの配下の四天王の一人。恐竜の化石の魔物。お調子者。一度、覚醒した美希に殺されかけた。春香専用装備『リボン』を守る。

【タイダリアサン】
小鳥さんの配下の四天王の一人。巨大な海蛇。面倒くさがり。食らった者を無気力化する『タイダるウェーブ』という技を使う(但し、美希には効かない模様)。伊織専用装備『妖刀マサムネ』を守る。

【プレイグ】
小鳥さんの配下の四天王の一人。巨大な目玉の魔物。怖がり。一度、覚醒した美希に殺されかけた。白龍と2人で、地上世界のほとんどの国を滅ぼした。千早専用装備『ホーリーランス』を守る。

【白龍】
小鳥さんの配下の四天王の一人。名前の通り真っ白な龍。生真面目。属性の有る攻撃は全く通用しない厄介な魔物。プレイグと2人で、地上世界のほとんどの国を滅ぼした。伊織専用装備『妖刀ムラサメ』を守る。


ありがたいお言葉
更新遅くてすみません
今夜、投下します



『……やっとここまで来たのね』

『おめでとう!このゲームを勝ち抜いたのは、春香ちゃん達が初めてよ!』

『……あ、はい。ここって、ゲームの世界ですもんね』

『ええ。これは……』

『私が造った、壮大なストーリーのゲームなのよ!』

『音無さんが造ったって……どういう事なんですか?』

『千早ちゃん、私はね……平和ボケしてる世界に飽き飽きしていたの』

『……そこで、アシュラを呼び出したのよ』

『何言ってんのよ?アシュラなんて魔物、いなかったじゃない』

『伊織ちゃん……細かいとこ突っ込んじゃダメ』

『……アシュラは、世界をめちゃくちゃにしてくれたわ』

『うぅ……小鳥さんが恐い事言ってますぅ……』

『雪歩ちゃん。私、ラスボスだもの。恐くて当たり前よ』

『でもね……』

『慣れって、恐いわね』

『私、アシュラにも退屈するようになっちゃったのよ』

『飽きっぽい人は、あんまり好かれないと思うぞー』

『響ちゃん。私、ホントは凝り性なのよ?』

『話が逸れたわ……』

『……そこで、ゲームよ!』

『悪魔を倒すヒーロー……いえ、ヒロイン!』

『それが、あなた達アイドルなのよ!』

『へへっ、ボクにピッタリの言葉ですね!』

『真ちゃんはどちらかというとヒーロー……い、いえ、なんでもないから、睨まないで、お願い』

『多くの者達が、ヒロインになれずに消えていったわ……』

『ま〜、アイドルって手巻き門だってゆ〜もんね〜』

『亜美ちゃん、それを言うなら「狭き門」じゃないかしら?』



『……死すべき運命を背負ったちっぽけな存在が、必死に生きていく姿は、私さえも感動させてくれたわね……』

『ん〜、ピヨちゃんが言ってる言葉、真美、どっかで聞いた気がするよ〜』

『真美ちゃんが元ネタ知ってるなんて、年齢的におかしいと思うわ』

『私は、この感動を与えてくれたあなた達に、お礼がしたい!』

『どんな望みでも、叶えてあげます!』

『じゃあ、仕事してください』

『り、律子さん、それは今は言いっこ無しですよぉ』

『……自業自得かと』

『た、貴音ちゃんまで、ひどいっ!』

『あなた達という存在ですら、私が造ったモノだっていうのに……』

『うっうー!わたし達はものじゃないですっ!』

『うふふ……神にケンカを売るなんて、どこまでも楽しい子達ね!』

『あらあら、そんなつもりはないんですけどね〜』

『……どうしても、やるつもりなのね?』

『やる気なのは、小鳥だけだって思うな!』

『これも、アイドルのサガか……』

『……いいわ。死ぬ前に、神の力を……』

「……コトリよ」

『えっ?ちょっと、今、決めゼリフ言うとこなんですけど……?』

「いいから戻って来るのだ」

『あ……』


ーーーー

ーー


月の中心核

小鳥「………はっ!」

小鳥「あ〜あ、いいところだったのになぁ……」

ダークバハムート「全く……そなたのその妄想癖、羨ましい限りだな」

小鳥「そ、そうですか……?」

ダークバハムート「妄想とは、知らぬ事、つまり未知へ思いを馳せる事」

ダークバハムート「全知の身である我にとっては、縁遠いものよ」

小鳥「ふーん……そういうものですか」

小鳥(……でも、どこかで見た様なネタはダメね)

小鳥(途中からグダグダになっちゃったし……)

小鳥(やっぱり決めゼリフは、自分で考えないと!)



ダークバハムート「……ところで、そなたの言う通りめぼしい者達を連れて来たぞ」

ダークバハムート「使えるかどうかは、そなた自身が判断するがよい」

小鳥「ありがとうございます!」

小鳥「すみません。バハムートさんにお使いなんてさせちゃって……」

ダークバハムート「よい。今の我は、そなたの下僕であるのだからな」

小鳥「うわぁ、そう言われると、ますます罪悪感が……」

ダークバハムート「妙な事を気にするのだな、コトリよ」

小鳥「それは……バハムートさんは、私にとって特別なんですから、当たり前です」

ダークバハムート「そうか……」

ダークバハムート「ところで、親衛隊を結成すると言っていたが……」

ダークバハムート「そなたには、四天王とやらがいるのではないのか?」

小鳥「彼らは……」

小鳥「いずれ、春香ちゃん達に倒されちゃうと思います」

小鳥(……というか、そうなってくれないと、困るのよ)

ダークバハムート「………」

ダークバハムート「……駒は多い方が良い、という事か」

小鳥「はい。言い方はアレですけど、つまりはそういう事です」

ダークバハムート「ならば、吟味して来るが良い」

ダークバハムート「そこそこの者達ではあるようだぞ?」

小鳥「はい。じゃあ、ちょっと面接してきますね!」

ダークバハムート「うむ」


スタスタ…




ダークバハムート(……さっきはああ言ったが、全知の我にもわからぬものはある)

ダークバハムート(あいどる………果たして、どのような者達なのであろうか)

ダークバハムート(……なあ、タカネよ……)



ドワーフの城 救護室

春香「………」スヤスヤ

伊織「無事にクリスタルを手に入れたと思ったら……」

伊織「……まったく、なんでこんな事になるのよ……!」

美希「魔物達の方が一枚上手だったって事だね」

伊織「卑怯なだけじゃないっ……!」

伊織「春香は、千早に刺されたのよ!?こんなの……酷すぎるわ!」

やよい「……でも、前にもこんな事あったかなーって」

伊織「前にも、って……?やよい、どういう事?」

やよい「えーと……千早さんとあずささんが、わたしたちの敵だった時があって……」

やよい「その時に、春香さんは千早さんとたたかったって……」

伊織「ええっ!?千早とあずさって、敵だったの?」

美希「……そっか。デコちゃんは知らないんだね」

美希「デコちゃん。小鳥が黒幕なのは知ってるよね?」

伊織「ええ。それは前に聞いたわ」

美希「小鳥はね、律子を操って悪い事させてたみたいなの」

美希「で、律子は、千早さんとあずさを操って、味方にしたんだって」

美希「今は、律子も千早さんもあずさも、操られてないみたいだけどね」

伊織「なんかややこしいわね」

やよい「でも、じゃあ……」

やよい「さっき千早さんがおかしくなったのは、なんででしょーか……?」

伊織「………小鳥の仕業、かしら?」

美希「うん。ミキもそう思うな」

伊織「ったく、やってくれるわね、あの事務員は……」



伊織「……さてと」

伊織「私、ちょっと行ってくるわ」

美希「デコちゃん、どうかしたの?」

伊織「魔物にクリスタルを取られちゃった事、報告しておかないとね」

美希「えっ、誰に?」

伊織「この国の王に、よ」

伊織「一応、私達は王に頼まれてクリスタルを取りに行ったわけだし」

美希「あれ?そうだったっけ?……すっかり忘れてたの」

やよい「伊織ちゃん。わたしも行ってもいい?」

伊織「わかったわ。……美希はどうする?」

美希「ミキ、疲れたからお留守番してるの」

伊織「……そう。じゃあ、春香を頼んだわよ?」

美希「あふぅ……りょ〜かいなの」

やよい「美希さん、行ってきます!」

美希「行ってらっしゃいなの〜」


ガチャ…バタン





春香「zzz……」

美希「………」じーっ

美希(春香って、こんな風にやられる事、多いよね)

美希(シアちゃんがいた塔でも、小鳥に乗っ取られた律子…さんに刺されてたし……)

美希(まったく、ミキ達がついてなきゃ、もう何回死んでたかわからないの)

美希「あふぅ……」

美希(……千早さん、大丈夫かな?)

美希(あのガイコツの魔物がいたって事は、やっぱりあの何ちゃらの塔に連れて行かれたんだよね……)

美希(これからどーするのかなぁ……)ウトウト

美希(あの空飛ぶ船……は、律子達が乗って行っちゃったみたいだし……)

美希(面倒なのは、ヤだけど……)

美希(みんながバラバラになっちゃうのは、もっとヤなの……)


…ドクンッ


美希(……あれ?今、なんか……)

美希(ん……もう、眠い……の……)

…バタッ


美希「zzz……」


ドワーフの城 謁見の間

ジオット「……おお!よくぞ戻っ……」

ジオット「む?……そなたら2人だけか?」

伊織「そうよ。ま、いろいろあってね」

やよい「春香さんと美希さんは、きゅーごしつにいます!」

ジオット「そうであったか。ともかく、皆無事で何よりだ」

伊織「………」

ルカ「……あら?では、チハヤさんはどちらに?」

やよい「あっ……ええと、千早さんは……」

伊織「千早はここには来てないわ。ちょっと別行動してるのよ」

ルカ「そうですか……」

やよい(伊織ちゃん……)



ジオット「………して、クリスタルの方は……」

伊織「……奪われたわ」

ジオット「……え?」

伊織「奪われちゃったって言ってるでしょ!耳悪いの?あんた」

やよい「い、伊織ちゃん、おちついて……」オロオロ

ジオット「す、すまん……」

ジオット「しかし、これでクリスタルが全て揃ってしまったか……」

ジオット「もはや、打つ手は……」

伊織「……ねえ」

伊織「クリスタルが集まったら、何が起こるっていうのよ?」

ジオット「それは……」

伊織「それは?」

ジオット「……きっと、何か大変な事だろうな」

伊織「はぁ?」

伊織「……要するに、あんたも何が起こるか知らないわけね」

ジオット「ぜ、前例が無いのだ!だが、悪しき者の手の内にある以上、良からぬ事が起きるに違いない……」




ジオット「……この世界は、もう……」

伊織「ちょっとあんた、諦めるつもり?」

ジオット「………」

伊織「それでも、一国の王様なのっ!?」

伊織「諦めるのは、まだ早いでしょうがっ!」

やよい「い、伊織ちゃんっ!」ギュッ

伊織「………ふん!」



やよい「……あのー、おーさま?」

やよい「わたし、あんまり頭よくないんで、よくわかりませんけど……」

やよい「こーいうのって、うたやダンスのレッスンと、同じだと思います!」

ジオット「………?」

やよい「さいしょから『できない』って思ってあきらめてたら、ずーっとできないままですよ?」

ジオット「!」

やよい「わたしってトロいし、みなさんについて行くのがせーいっぱいですけど……」

やよい「それでも、いっしょーけんめーがんばりますからっ!」

やよい「……だから、おーさまもいっしょにがんばりましょー!」

やよい「……ねっ?」ニコッ

ジオット「………」

伊織「やよい……」



ジオット「………そう、だな」

ジオット「一国の主である私が、民を置いて諦めるわけにはいかないな」

ジオット「そなたらのおかげで、目が覚めたわ。礼を言うぞ!」

やよい「うっうー!さすがおーさまです!」

伊織「……ったく、もう日和るんじゃないわよ?」

ジオット「うむ。肝に命じておこう」



ドワーフ城 救護室

春香「ん……」

春香「う…ん……」モゾモゾ

春香「…………千早ちゃんっ!」ガバッ



春香「痛っ……!」ズキッ

春香「うぅ……痛い……」

春香「あれ、ここは……?」キョロキョロ

春香(……見覚えがある気がする)

春香(確か、ドワーフのお城の……)



美希「zzz……」

春香「美希……」

春香(えっと……私、どうしたんだっけ……?)

春香(洞窟にクリスタルを取りに行って……)

春香(洞窟を出ようとしたら、魔物が待ち伏せしてて……)

春香(クリスタルをよこせって……)

春香(それで……)

美希「……千早さん……」

美希「……ムニャ……」

春香「………」

春香(そうだ。千早ちゃんがおかしくなって……)




春香「私、どのくらい寝てたのかな……?」キョロキョロ

春香「あ、時計がある」スッ

春香「うわ、もうこんな時間……」

春香(伊織とやよいは、どこかへ出かけてるのかな……?)

春香(律子さん達もいないみたいだし……)

春香(美希、ずっと私を看病しててくれたのかな)ナデナデ

美希「……はにぃ……」ムニャ

春香(………)

春香(千早ちゃん……)

春香(私、千早ちゃんを守れなかった……)

春香(千早ちゃんがいなくなったのは、私のせいだ……)

春香(………)






春香(…………千早ちゃんを、助けに行かなきゃっ……!)グッ



バブイルの塔 1F 次元エレベータ

千早「………」

千早(この感覚……律子に操られていた時と同じだわ)

千早(でも、今の律子は私を操る必要がない)

千早(と、いう事は……)

千早(音無さんの仕業……)

千早「………」チラ



千早(私を連れて来た魔物達は、向こうで何か話してるわね)

千早(クリスタルが全て揃ったし、その事について、かしら?)

千早(………)

千早(クリスタルが全て揃ってしまったのは……)

千早(………私のせい)

千早(…………また、私は春香をこの手で……)

千早「………」グッ

千早(……もう、みんなに……春香に合わせる顔がない)

千早(私は、どうしたら……)








ビュオオ…


…フワッ

バルバリシア(ヒマだから、やつらの動きを偵察に来てみれば……)

バルバリシア(あれは、チハヤじゃない……!)

バルバリシア(なぜ、やつらと一緒に?)

バルバリシア(ミキも来ているのかしら……?)



千早(…………いいえ)

千早(諦めてはダメ)

千早(みんなはきっと、私を待ってくれているはず)

千早(それに春香は……)

千早(前に私が操られてしまった時も、全力で、私にぶつかって来てくれた)

千早(私は、春香を……みんなを信じる!)

千早(私は……今、私にできる事をやらなければ!)



千早(とりあえずは……)

千早「………」チラ

千早(魔物達に、話を聞いてみましょうか……)

スタスタ…




千早「あの……」

ルナザウルス「……ん?なんスか?あんたの出番なら、まだッスよ?」

千早「いえ、そうじゃなくて……」

千早「あなた達、これから何をするつもりなの?」

白龍「……そうですね。あなたはすでに『こちら側』の人間となった」

白龍「お教えしても、問題ないでしょう」

タイダリアサン「クリスタルを全て揃えると、この『次元エレベータ』が動くんですよ〜」

プレイグ「月と青き星が、つながるんだよ!」

千早(そういえば、律子が言っていたわね。『次元エレベータを動かして、月へ行く』って)

千早(ここがその『次元エレベータ』なのね……)

千早「……で、その次元エレベータを動かして、あなた達は何をしようとしているの?」

プレイグ「巨人だよ!」

千早「巨人……?」

ルナザウルス「そうッス!今は月にいる巨人を、この青き星に降臨させるッスよ!」




千早「そんな事をして……」

千早「………」

千早(……どうするの?というのは、きっと愚問ね)

千早(この魔物達は、その巨人とやらでこの世界を……)

白龍「………」ジロリ

白龍「逆らおうとしても、無駄ですよ?」

白龍「あなたには、コトリ様の術がかかっている」

白龍「あなたは、私達に従うしかないのです」

千早「………」

千早「……そうみたいね」

千早「わかったわ。じゃあ、もう少し詳しく話を聞かせてちょうだい」

タイダリアサン「あなたが協力的なのは、こちらとしても助かりますねぇ」

ルナザウルス「よ〜し、作戦会議ッスよ〜!」

プレイグ「わぁ、なんかかっこいい!」

ルナザウルス「まさに、悪の組織って感じッス!」

千早「あの、真面目にやってもらえないかしら?」

プレイグ・ルナザウルス「ご、ごめんなさい……」

白龍(コトリ様の術を受けたとはいえ、こうも簡単にこちらに協力的になる、というのは……)

白龍(少し、腑に落ちませんね)

白龍(竜騎士……何を考えている……?)

白龍(注意は怠らない方がいい様ですね)








バルバリシア(………ふぅん)

バルバリシア(なんか面白そうな事になってるみたいねぇ)

バルバリシア(ミキがいないのが、少し残念だけど……)

バルバリシア(もうちょっと様子を見てみましょ)



地底世界 鍛冶屋ククロの家


…カン!カン!カン!




ククロ「………よし!」

ククロ「………完成だっ!」

弟子「ふぅ……」

弟子「さすが師匠!完璧な出来ですね!」

ククロ「ったりめーだろ!痩せても枯れてもこのククロ、『これ』でおまんま食ってんだからよ!」

ククロ「……っと、こんな話してる場合じゃねーな」

ククロ「おい弟子、あのガキ共に『出来たぞ』って伝えて来い!」

弟子「はいっ!」


タタタタ…





ククロ「……しかし、なんだな」

ククロ「久々、充実したな……」

ククロ(ここんとこ、酒飲んで暴れてただけだったからなー)

ククロ(こんなに清々しい気持ち、とんと忘れてたぜ……)



ククロ「へっ……」ゴシゴシ

ククロ「……やっぱりオレは、モノ造りをやめられねえ!」





亜美「おお〜……これが、デンセツのスコップかぁ……!」チャキッ

真美「う〜む、なんかオーラがにじみ出てますな〜」

真「うん。スキが無いっていうか……」

あずさ「ねえ、雪歩ちゃん。試しに掘ってみたらどうかしら〜?」

雪歩「あ、はい。わかりましたぁ……」

亜美「……はいっ、ゆきぴょん」スッ

雪歩「ありがとう、亜美ちゃん」チャキッ



雪歩「………」じーっ

雪歩(なんだろ……)

雪歩(元々、使い慣れたスコップだったけど……)

雪歩(手に馴染む、とか、そういう感じじゃなくて……)

雪歩(まるで、私の身体の一部みたいに、手に吸い付いてくるよ……!)

雪歩(まずは……)


…サクッ


雪歩「!」

真「雪歩、どう?」

雪歩「感じられない……」

真「え?」

雪歩「土にスコップを入れた時の抵抗が、全く感じられないんだよっ!」

亜美「えっと……それってすごいの?」

雪歩「うん。抵抗が感じられないって事は、掘る時に腕に掛かる負荷がほとんど無いって事だから、掘るのに必要な力が段違いに少なくて済むって事なんだ!」

雪歩「今、少し掘ってみた感覚だと……このスコップなら、今までの1/3くらいの力しかいらないかも」

雪歩「と、いう事は、単純に、今までの3倍は掘れるって事だよ!」

雪歩「すごい、すごいよ!ねえ、真ちゃんっ!」

真「う、うん……良かったね、雪歩」

真美「うあうあ〜、ゆきぴょんが急にジョーゼツに……」

あずさ「雪歩ちゃん、よっぽど嬉しかったのねぇ……」



ククロ「それだけじゃねぇぜっ!」




雪歩「え……?」

ククロ「おい、お前。この岩を掘ってみ?」ペタペタ

真「いやいや、岩なんて、それこそ、削岩機……だっけ?がないと……」

雪歩「ううん、大丈夫だと思う」

真「雪歩……?」


スタスタ…


雪歩「………」チャキッ


…サクッ


雪歩「!」

亜美「……あり?」

真美「あの岩って、そんなにやわらかいのかな〜?」

あずさ「なんだか、土と同じようにすんなりスコップが入っていったように見えたわね〜?」

雪歩「あずささん、同じように、じゃないです。……全く同じでした」

雪歩「この岩も、土も……」

雪歩「抵抗が、全く感じられませんでした……!」

ククロ「……ちなみにその岩は、まあ、アダマンタイトにゃ劣るが、並の金属の比じゃねえ硬さを持ってんだ」

ククロ「オレもよく繋ぎに使ったりする」

亜美「………」コンコン

亜美「ホントだ。メッチャかたそうだよ〜」

真「すごい……!それもう、スコップじゃなくて、剣って呼んでもいいんじゃない?」

ククロ「バカ言ってんじゃねえっ!」

真「うわっ!」ビクッ

ククロ「誰が武器なんか造るか!オレぁ、スコップを鍛えただけだ!」

真美「でも、かったい岩すらサクッといっちゃうんじゃ、もう刃物と変わらないんじゃ……」

ククロ「そのスコップの掘る部分、触ってみろ」

雪歩「は、はい……」ナデ

雪歩「あっ……!」




雪歩「普通のスコップと、全然変わらない……!」

ククロ「ああ、あくまでスコップに拘ったからな!」

雪歩「す、すごいですぅ……!」

真「岩すら簡単に掘っちゃうのに、なんで触っても切れちゃったりしないんだろ?」

ククロ「そんなん、企業秘密に決まってんだろーが!」



…………

……



雪歩「あ、あの……」モジモジ

雪歩「ほ、包丁まで直していただいて、ありがとうございましたぁ……」ペコリ

ククロ「いや、礼を言うのはこっちの方だ」

ククロ「おかげで、やる気が戻ってきやがったぜ!」

亜美「んじゃ、亜美達は……」

真美「そろそろ、行きますか?」

真「そうだね!早く、悪者をやっつけに行かないと!」

あずさ「あの〜、ありがとうございました。頑張ってくださいね〜?」

ククロ「な、なあ、あんた!」

あずさ「はい?なんでしょうか?」

ククロ「もう、あんたには会えねえかもしれねえけどさ……」

ククロ「あんたに惚れた、この気持ち……」

ククロ「無駄になったり、しないんだよな?」

あずさ「うふふ。もちろんですよ?」

あずさ「誰かを想う気持ちは、とっても素敵な宝物なんですよ?」

あずさ(……ですよね?プロデューサーさん?)

ククロ「そうか……」





アイドル達「さようならー!!」




ククロ「じゃあなー!死ぬんじゃねーぞーガキ共ー!」

弟子「さよならー!」




飛空艇 フタミ号

亜美「次は、ミシディアに行けばいいんだっけ?」

P(いよいよ、大詰めだな。確かこの後は、クリスタルによって巨人が召喚されて……)

真美「……兄ちゃん?」

P(いや、でも……すでに次に何が起こるかわからない状況になっている)

P(音無さんが、何を考えているか。それがわからないと……)

P(春香達の事も、気になるし……)

亜美「にーいーちゃーんっ!」

P「うあっ!?」ビクッ

P「な、なんだ?どうした?亜美……」

亜美「も〜!それはこっちのセリフだよ〜!」

真美「そ〜だよ〜!兄ちゃん、さっきから真美達が呼んでも心ここにアラスカってカンジなんだもんっ!」

P「すまん。ちょっと考え事をな……」

亜美「で、ミシディアに行けばいいんだよね?」

P「ああ。春香達と落ち合う約束をしたしな」

亜美「よ〜っし!ほんじゃ、行きますか!」



トロア「……あの、アミ殿」

亜美「ん?どったの?とろ姉ちゃん」

トロア「申し訳ないのですが、トロイアへ向かって頂けないでしょうか?」

真美「え?なんで?」

トロア「私は、ユキホ王女をお守りする為に、この船に乗りました」

トロア「しかし、ユキホ王女は……」

トロア「この様に、素晴らしい仲間達に囲まれています」

雪歩「トロアさん……」

トロア「それに、私の唯一の長所だった戦闘も、マコト殿には到底足元にも及ばない、という事がわかりました」

真「………」

トロア「ユキホ王女をお守りするのはマコト殿にお任せして、私は、国へ帰ろうと思います」

あずさ「あら、まあ……」




ユキコ「あ、あのっ……」

ユキコ「私も、本当はマコトさんやユキホさんと一緒にいたいんですけど……」

ユキコ「わ、私、結局全然お役に立てませんでしたし……」

ユキコ「そろそろ、お家に帰ろうかと……」

真「ユキコ、そんな事はないよ!」

雪歩「ユキコさん……」




亜美「……だってさ。兄ちゃん、ど〜する?」

P「まあ、元々は巻き込んじゃった形だったし……」

P「それに、俺達の最後の戦いに道連れにする訳にもいかないしな」

P「2人共、送ってあげよう」

真美「ん……そだね。ちょっとさみしいけど」

あずさ「そうですね〜。帰りを待ってる人も、いるだろうし……」

亜美「ま、最後の戦いっていっても、兄ちゃんが戦力になるかはギモンなんだけどね〜?」

P「お、おい亜美、それは言いっこ無しだろ……」

雪歩(せっかく仲良しになれたのに、サヨナラなんだ……)

真「雪歩……」ギュッ





P「みんな、戻ろう。………地上へ!」





トロイアの町

律子「随分時間食っちゃったわね」

律子「……さ、早いとこ魔導船を回収しに行きましょ」

貴音「ええ。そうですね」

響「春香達、きっと待ってるぞ」




「………お母……さん?」




律子「え……?」

貴音「はて……?」

響「あっ……!」



響「娘ーーっ!」

娘「やっぱり、お母さんだ!」

タタタタ…


娘「あっ……」ズルッ

ドテッ


響「だ、大丈夫か!?」

娘「……えへへ、転んじゃった……」

響「もー、おっちょこちょいだなー」




律子「え、えーと……何が起きているのかしら……?」

律子「私の聞き間違いじゃなければ、響、お母さんって呼ばれてたわよね……?」

貴音「ええ。わたくしにもその様に見えましたが……」



律子「響。そちらのお嬢さんは……?」

響「ああそっか……」

響「律子と貴音は、まだ会った事なかったよね!」

響「……この子は、自分の娘だぞ!」ナデナデ

娘「初めまして!いつも母がお世話になってます!」ペコリ

貴音「これはご丁寧にどうも」ペコリ

律子「へぇ、ちゃんと挨拶もできるなんて、よくできたお嬢さん……」




律子「………じゃ、ないわよっ!!」



響「うわっ!」ビクッ

律子「響!娘ってどういう事!?」

律子「あんたいったい、この世界で『何』をしてたのよ!?」

響「え?……え?」

貴音「響。お相手の方はどなたですか?ご挨拶に伺わなければ……」

響「あ、いや……」

貴音「さみしくない、と言えば嘘になりますが……」

貴音「女として生を受けたならば、誰もが一度は通る道です」

貴音「わたくしは、祝福致します」ホロリ

響「だ、だからそうじゃなくて……」

律子「祝福なんてできるわけないでしょ!響、あんたはアイドルなのよ!?」

律子「もー、どうするのよぉ!」

律子「帰ったら、すぐに記者会見の準備を……」

律子「いや、響のイメージを考えたら、ここは隠し通した方が……」

貴音「響。あなたが選んだ方ならば、きっと素敵な方なのでしょうね……」ニコッ



響「あーもうっ!2人とも、いい加減にするさー!」

響「この子は自分の娘だけど、それはこの世界での話だぞ!」

響「だいたい、いきなりこんな大きな子がいるなんて、明らかにおかしいでしょ!」

貴音「確かに、言われてみれば……」

律子「じゃ、じゃああんた、やましい事をしたわけじゃ……」

響「ないない!ぜーったいないぞ!」




響「自分、まだちゃんと処女なんだからなっ!!」ドーン



シーン…



律子「ひ、響……!あんた、何も往来のど真ん中でそんな事叫ばなくてもいいでしょうがっ……!」ヒソヒソ

響「あっ……///」カァァ



ザワザワ…

「おい、あの女の子……」ヒソヒソ

「処女って……」ヒソヒソ

「あんなに堂々と宣言するなんて……」ヒソヒソ

「やあねぇ……」ヒソヒソ




響「うぅ………///」




響「うわああぁぁぁあん!恥ずかしいぞー!!」




貴音(これは、ふぉろーのしようがありません)

貴音(響……強く生きるのです)



響「うっ…グスッ……ひぐっ!」ポロポロ

律子「なんか、ごめんね……」

貴音「わたくしとした事が、動揺してしまいました……」

響「うぅ……自分、恥ずかしくてもうこの町を歩けないぞ……」グスッ

娘「よしよし……大丈夫だよ、お母さん」ナデナデ

貴音「しかし……これでは、どちらが母親かわかりませんね」

律子「ホントね……」





響「……ところで、なんで娘はここにいるんだ?」

娘「お母さんのお弟子さん達が、私をここまで連れて来てくれたんだよ!」

響「そうだったのか。技師達にはあとでお礼を言わないとなー」

響「で、技師達はどこにいるんだ?」

娘「えーとね、神官様の命令で、えらい人達をむかえに行ってるんだって」

律子「迎えに行くって言っても……飛空艇がないと時間がかかってしまうんじゃないかしら?」

響「うん。確かに律子の言う通りだと思うぞ」

娘「大丈夫だよ!新しくできた飛空艇を使ってるから」

響「新しく……?」

響「あっ!そういえば前に、技師達が言ってたっけ。『新型の飛空艇を造ってる』って」

響「完成したんだな、『ファル子』!」

響「ファル子にも会ってみたいなー」



ドワーフ城 救護室


…ガチャ


伊織「美希、お待たせ……」


美希「zzz……」


伊織「……って、寝てるし」


スタスタ…


伊織「まったく、しょうがないわね。風邪引いちゃうじゃない……」ファサ

やよい「……あれ?」キョロキョロ

やよい「春香さんがいないね」

伊織「……ホントね。トイレにでも行ってるのかしら?」

やよい「………」

やよい(あんなにヒドいケガだったのに、一人で動けるのかなぁ……?)



やよい「………ん?」

やよい「なんだろ、この紙……?」カサ

やよい「!」

やよい「い、伊織ちゃん、この手紙っ……!」スッ

伊織「……どうしたのよ、やよい?」

伊織「………え!?」





『千早ちゃんを助けに行って来ます。
すぐに戻ります。

勝手に、ごめんね。

春香』





伊織「あのバカっ……!」

やよい「伊織ちゃんっ!春香さんをおいかけよう!」

伊織「ええ!」

伊織「ちょっと美希、起きなさいっ!緊急事態よ!」ユサユサ

やよい「美希さん!おきてくださいっ!」ユサユサ

美希「zzz……」



伊織「……起きないわね」

やよい「美希さぁん……」

美希「zzz……」

伊織「目を覚まさせる魔法は美希しか使えないのに、当の本人が起きないんじゃ、どうしようもないじゃないっ……」

やよい「こんな時に、『あれ』があればなーって……」

伊織「あれって?」

やよい「えっとね。前に、美希さんを起こすために『めざましどけい』を使ったことがあったんだよっ」

伊織「目覚まし時計ねぇ……」



伊織「………」チラ

伊織「……こんな時計でいいのかしら?」スッ

やよい「あ、うん。それでだいじょーぶかも」

やよい「時間をセットして……」カチ





…ジリリリリリリリリリリリ!





伊織「うるさっ!」

やよい「う、うん。でも、これくらいの音じゃないと……」



美希「ん〜……うるさいの〜……」モゾモゾ

美希「………あふぅ」

美希「……あれ?」

美希「デコちゃんにやよい、お帰りなさいなの〜」

伊織「やっと起きたわね、まったく!」

やよい「美希さん、たいへんなんですよっ!」

美希「ん〜……また何かあったの?」

伊織「これを見ればわかるわっ!」ピラッ

美希「何これ?手紙……?」スッ

美希「!」



美希「春香……」

やよい「美希さん、春香さんをおいかけましょー!」

美希「………」

美希「まったく、春香は世話が焼けるの」プンスカ

伊織「あんたも大概だけどね」




伊織「………で、調子はどうなのよ、美希」

美希「ん。まだまだ全然寝足りないってカンジなの」

伊織「そうじゃなくて!魔力は?戻ったの?」

美希「……ちょびっとだけ。まだ本調子じゃないの」

伊織「そう……」

伊織「やよいはどう?」

やよい「うーんと、よくわからないけど……」

やよい「わたしも、かんぺきじゃないかなーって」

伊織「………」



伊織(美希の魔法もやよいの力も、この先必要なものなのよね……)

伊織(できれば、万全の状態で春香と千早を助けに行きたいけど……)

伊織(今は、時間が惜しいわ)

伊織(だったら……)




美希「……ねえ、デコちゃん」

美希「春香を追いかけるんでしょ?だったら、早く行くの!」

伊織「待ちなさい」

やよい「伊織ちゃん?」

伊織「その前に、ちょっと買い物してから行くわよ!」

美希・やよい「買い物……?」

伊織「にひひっ!まあ、行けばわかるわ」




ドワーフ城 道具屋

店員「いらっしゃい!うちでは、いいものを安く扱ってるよ!」

店員「じっくり見て行ってくれ!」



美希「ふーん……」キョロキョロ

やよい「わあ、いろんなものがありますねー」キョロキョロ

伊織「ええと……」キョロキョロ

伊織「………あ、あったわ。これね!」スッ

やよい「あ、それって、春香さんが持ってたおくすりだよね?」

伊織「そうよ。確か、『エーテル』とかいう名前だったはず」

美希「あー、ミキが飲んだやつだね」

美希「デコちゃん、これを買いに来たの?」

伊織「そうなんだけど……」

伊織「これ、値段が書いてないわね」

伊織「ちょっと!これ、いくらよ?」

店員「おっと失礼。じゃあ、値段表を渡そう」スッ

伊織「どれどれ……」





ーーーーーーーーーーーーーーー
ポーション……………… 30ギル
ハイポーション…………150ギル
テント……………………100ギル
小人のパン………………100ギル
ギザールの野菜………… 50ギル
万能薬………………… 5000ギル
エーテル………………10000ギル
エーテルターボ………50000ギル
特製おにぎり……………100ギル
ーーーーーーーーーーーーーーー




やよい「ええっ!?い、一万円もするんだ、このおくすり……」

やよい「えーてるたーぼっていうおくすりは、一つ5万円……」

やよい(……5万円もあれば、1ヶ月の生活費になるかなーって)

伊織「へぇ、そこそこの値段なのね」

美希「ミキ的には、一番下のやつがすっごく気になるの」

伊織「あんた達、今いくら持ってる?」

美希「えーっとねー……」ゴソゴソ

美希「あ、そういえばミキ、一銭も持ってないの」

伊織「え!?」

美希「ぜーんぶ、おにぎり代に使っちゃった!あはっ☆」

伊織「あんた、よくそれでここまでやってこれたわね……」

伊織「ま、いいわ」

伊織「……やよいは?」

やよい「えっと……」

やよい「………ご、50円しかないよ……」スッ

伊織「やよい……この世界でも苦労してるのねぇ」

伊織「………」ゴソゴソ

伊織(……そういう私も、1000ギルしか持ってないわ)

伊織(これじゃ、エーテルを買えないか)

伊織「しょうがないわね……」



伊織「じゃあ、これでお願いするわ」スッ

店員「……なんだい、この紙切れは?」

伊織「何って、カードよ、カード!これで支払いするって言ってんの!」

店員「カードって?」

伊織「はあ?あんた、カードも知らないの?言っとくけど私、この店ごと、100や200は買えるお金はあるんだからっ!」

店員「君の言っている事がよくわからないが、お金がないんじゃ売れないなぁ」

美希「……ねえ、デコちゃん。カードなんて、この世界じゃ通用しないんじゃないかな?」

伊織「ぐ………」

やよい「伊織ちゃん、お金が足りないなら、あきらめるしかないかなーって」

伊織「………」

伊織「わ、わかったわよ……」

伊織(欲しい物が手に入らないのが、こんなに悔しいなんて……)

美希「ここは素直に、おにぎりを買うしかないって思うな!」

やよい「そーですね!おにぎりなら買えますもんねっ!」

伊織「おにぎりなんて、腹の足しにしかならないじゃない……」




「……あの、みんな。ここは私に任せてもらえないかな?」




3人「えっ?」

伊織「あ、あんた、春香……?」

やよい「春香さん!」

美希「もー、春香、どこに行ってたの?」

「あ、いや……ハルカさんじゃなくて……」

店員「こ、これは王女様!ご機嫌麗しゅう……」ペコリ

ルカ「うふふ。こんにちは」

伊織「あ、そっちね……」

やよい「王女さまの方だったんですねー」

美希「顔が同じで紛らわしいの」

ルカ「う……なんか、ごめんね……」



ルカ「……店員さん。エーテルターボを3つ、くださいな」

店員「はいっ!毎度ありがとうございます!」スッ



ルカ「……はい、これ。エーテルターボ。使って?」スッ

やよい「え?で、でも……」

やよい(えーと、一つ5万円のものを3つだから……)

やよい(はわわ、さすが王女さま、お金持ちですー……)

美希「さすがにそんな高い物をもらうのは、ミキでも気が引けるの」

伊織「……あんた、なんのつもりよ?」

ルカ「わ、私はただ、みんなが困ってたみたいだったから……」

伊織「……で、優しい王女様が、貧しい私達に施しを与えてくれるってわけね」

ルカ「そ、そんな……!」

やよい「伊織ちゃん。そんな言い方、ひどいよ。王女さまがかわいそうだよぅ」

伊織「っ………!」

伊織「………悪かったわ。ちょっと言いすぎたわね……」

ルカ「ううん、気にしないでね。慣れてるから……」

伊織「………」

ルカ「ごめんね、いきなり。でも、私もみんなの為に何かできないかな?って思って……」

ルカ「ホントは私も、みんなについて行きたいくらいなんだけど……」

ルカ「私、これからお父様の付き添いで、地上へ行かなきゃいけないから……」

伊織「地上へ……?何か、あるの?」

ルカ「ええと……サミット、だったかな?さっき、地上から使者の方が見えて、ぜひ、お父様に参加して欲しいって……」

やよい「さみっと……?」

やよい「なんか、ニュースとかで聞いたことある言葉かなーって」

美希「うーんと、目つぶしの事じゃなかったっけ?」

伊織「……それはサミングでしょ」



伊織「サミット……主要国首脳会議の事ね」

やよい「わあ、さすが伊織ちゃん!」

美希「ふーん……地上で何かあったのかな?」

ルカ「それは、行ってみないとわからないかな」

ルカ「……でも、使者の方は、なんだか焦ってるみたいだった」

伊織「ま、各国の首脳を集めるくらいだから、重要な会議なんでしょうけど……」

伊織「私達には関係ないわ。2人とも、さっさと春香を追いかけるわよ!」

ルカ「あ……」

スタスタ…


やよい「伊織ちゃん!」

美希「デコちゃん待ってなのー!」


スタスタ…



…ピタ

伊織「……あんた、ルカ……だったかしら?」

ルカ「……え?」

伊織「エーテルターボ、あ、ありがとっ……」

ルカ「!」

伊織「……が、頑張んなさいよ!あんたも!」

伊織「そ、それだけだから!じゃあねっ!」

スタスタ…



「あはっ☆デコちゃん、顔が真っ赤なのー!」

「やっぱり伊織ちゃんはやさしいんだねっ!」

「う、うるさいわねっ!さっさと行くわよっ!」




ルカ「みんな……頑張ってね!」ギュッ



2/1に依頼出したのに前スレがまだhtml化されない
依頼の仕方が悪かったんだろうか…

色々考えてたらいつの間にか2週間も経ってた…
投下します


ー月の中心核 面接室ー


小鳥「コホン……では、ただいまから『音無小鳥親衛隊』の入隊面接を始めます」

小鳥「えー、最初の方どうぞー」



…ガチャ



月の女神「は〜い!月の女神ちゃんで〜っす!よろしくお願いしま〜すっ!」

月の女神「私ぃ〜、コトリ様のファンなんです!だから〜、絶対に親衛隊に入りたいんですよぉ〜!」

小鳥「わあ、なんかテンション高いのが来たわねぇ……」

月の女神「えっと〜、特技は〜」

小鳥「あっ、こっちから聞いてないのに語り出した」

月の女神「おしゃべりする事で〜っす!」

小鳥「……でしょうねぇ」

月の女神「あと〜、メールの早打ちとか〜、カラオケとか〜?」

月の女神「あ、コトリ様、あとでメルアド交換しよっ!」

小鳥「え、ええ……」

小鳥(っていうか、この世界にメールなんてあるのかな……?)

小鳥「あの、もっとこう、戦闘での特技みたいなのを教えてほしいんだけど……」

月の女神「え〜!そんな事より、もっと楽しいお話しようよ〜!」

小鳥「で、でも、これって私の親衛隊の入隊面接だから……」

月の女神「あ、そうだ!超おいしいスイーツが食べれるお店、教えてあげるねっ!」

小鳥「あ、あの、話を……」



…………

……




小鳥「……はい、面接は終わりよ。採用の場合だけ通知が行くから、間違えないでね?」

月の女神「は〜い!わっかりましたぁ〜!コトリ様、ばいば〜い!」フリフリ



ガチャ…バタン



小鳥「一人目ですでにどっと疲れたわ……」

小鳥「面接って、結構大変なのねぇ」

小鳥「……気を取り直して、2人目いきましょう」




小鳥「次の方、どうぞー」

小鳥(私、なんかお医者さんみたい)



…シーン



小鳥「………あら?おかしいわねぇ。バハムートさんの話だと、何人か魔物を連れて来たって話だったけど……」


…トントン


小鳥「えっ?」クルッ



暗黒魔道士「………」ペコリ



小鳥「うわっ!」ビクッ

小鳥「も、もういたのね。全然気づかなかったわ……」ドキドキ

小鳥「え、えーと……あなたが暗黒魔道士さん、でいいのかな?」

暗黒魔道士「………」コクリ

小鳥「あなたの特技は?」

暗黒魔道士「………」ボッ メラメラ

小鳥「特技は魔法……と」カキカキ

小鳥「あとは……そうね。あなたの事を少し聞かせてもらえるかしら?」

暗黒魔道士「………」ビクッ

小鳥「………」

暗黒魔道士「………」オドオド

小鳥「あの、どうしたの?」

暗黒魔道士「………」アセアセ

暗黒魔道士「………」シュン

小鳥「もしかして、人と話すのが苦手なのかな?」

暗黒魔道士「………」コクコク

小鳥「うーん、仕方ないなぁ……」

小鳥「じゃあ、面接は終わりにしましょうか」

小鳥「もう、帰っていいですよ」



暗黒魔道士「………」ペコリ



ガチャ…バタン



小鳥「結局、一言もしゃべらなかったわね」

小鳥「あの人とコミュニケーション取るのは、大変そうだなぁ……」

小鳥「……さて、次の魔物を呼びましょ」


…………

……



魔人兵「……今まで、面接なんて何回落とされた事か」

魔人兵「もう後がないんだよ」

魔人兵「……30過ぎて定職に就いてないっていうのもあれだしさ。オレ、この仕事に賭けてみたいんだ」

小鳥「そうなんですか……」

魔人兵「……嫁さんの腹ん中にさ、いるんだよ」

小鳥「えっと……赤ちゃんですか?」

魔人兵「そう!今のままじゃ子供に『オレが父ちゃんだよ』って、言えないんだよ」

魔人兵「……だから、よろしくお願いしますっ!」ペコリ

小鳥「大変なんですねぇ……」

小鳥(魔物の世界でも、不景気なのかなぁ……)



…………

……



ベヒーモス「これでもレディースのアタマ張ってた事もあるんだ」

ベヒーモス「きっと戦力になると思うよっ」

小鳥(レディースって事は、この子は雌、いえ……女性なのね……)

小鳥(ベヒーモスがヘッドの暴走族……なんか、いろいろ凄そうね……)

ベヒーモス「何をニヤニヤしてるのさ?そんなにアタイが珍しいってのかい?」

小鳥「あ、いや……えっと、すみません」

小鳥(アタイて………ププッ)



…………

……



金竜「我は金竜!」

銀竜「我は銀竜!」

金竜・銀竜「2人揃って、死角無しっ!!」

小鳥「あの、あなた達は双子なの?」

金竜「そんな生易しいものではないっ!」

銀竜「そうだ!我と兄者は阿吽の呼吸!」

小鳥(いや、兄者って言ってるじゃない……)

金竜・銀竜「我ら正に、一心同体っ!!」

小鳥(確かに、息はピッタリみたいねぇ)

小鳥(ふふふ、亜美ちゃん真美ちゃんみたい……)


…………

……



プリンプリンセス「えーっと、私の特技は……」

小鳥「相手にバーサクかけて踊る事、でしょ?」

小鳥「ふふふ、あなたの事は、よぉぉぉぉっく知っているわ!」

プリンプリンセス「まあっ!それは光栄の至りですわっ!」

小鳥(『ピンクのしっぽ』を手に入れるために、何百……いえ、何万体『あなた』を倒した事か……)

小鳥(やり過ぎて、しばらくはプリンを見ると拒否反応が出る様になっちゃったけどね……)



…………

……



リルマーダー「オイラはゴブリン族の王なんだぜっ!」ドヤァ

小鳥「はあ、そうですか」

リルマーダー「オイラ、雷が弱点なんだぜっ!」

リルマーダー「だけどな、オイラのモットーはやられたら倍返しだからなっ!」

リルマーダー「倍の雷をお見舞いしてやるんだぜっ!」

小鳥「あー……こんなモンスターもいたわねぇ」

小鳥「でも、そのセリフ、旬はとっくに過ぎたのよねぇ……」

リルマーダー「えっ?そ、そうなのか?」

小鳥(頼りなさそうに見えるけど、魔力に関してはトップクラスなのよねぇ、この魔物って)



…………

……



小鳥「……あなたの特技は?」

レッドドラゴン「そうだなぁ……オレは全身が武器みたいなモンだが……」

レッドドラゴン「オレの『熱線』は、触れたものを何でも溶かしちまうぜ!」

小鳥「へぇ、なかなか頼もしいですね」

レッドドラゴン「あ〜早く暴れたいぜっ!」

小鳥(うん。普通に強そうね)

小鳥(でも、ちょっとインパクトに欠けるかなぁ)



…………

……



小鳥「あら?あなたは……レッドドラゴンさんとは兄弟ですか?」

ブルードラゴン「……違う」

ブルードラゴン「ワシはあやつとは犬猿の仲じゃ」

小鳥「そうなんですか」

小鳥(さっきの金さん銀さんとは、逆のパターンなのね……)

ブルードラゴン「ワシは、全ての属性攻撃を吸収する。故に、敵がいないのじゃ」

ブルードラゴン「ワシは……死に場所を求めている」

ブルードラゴン「………わかるな?」

小鳥「な、なるほど……」

小鳥(なんか、今までと違ってシリアスな感じ……)



…………

……




小鳥「…………ふぅ」

小鳥「結構疲れるわね……」

小鳥「でも、魔物にも色々いてちょっと面白いなぁ」

小鳥「……さて、残すところあと一人ね」



小鳥「最後の方、どうぞー」



…ガチャ




「……こんにちは。あなたがコトリさんですか」

「いやぁ、コトリさんがこんなに素敵な女性だとは思わなかったなぁ!」



小鳥「えっ……?」

小鳥「そ、そんなっ!……素敵で可憐で若くて美しいくてまだまだ10代に見えるだなんて……///」モジモジ



「あ、いや、そこまでは言ってな……」



小鳥「あなたの気持ちはとても嬉しい。でも……」

小鳥「でもダメよ……私には、プロデューサーさんという心に決めた人が……」ブンブン

小鳥「ああ、私はなんて罪な女なの……!」



「あ、あのー、大丈夫ですか……?」



小鳥「…………はっ!」

小鳥「いけない。私ったら、また……」

小鳥「ご、ごめんなさい。えーと………」チラ

小鳥「………あら?あなた、人間?」



「……正確には、人間『でした』」

「実は僕、すでにこの世の存在ではないんですよ」



小鳥「そうなんですか……」

小鳥(じゃあ、ゾンビって事なのかな?)

小鳥(綺麗な顔してるのに、もったいないなぁ……)





「あ、自己紹介がまだでしたね」

「僕は、クルーヤ。生きていた頃は月の民でした」



小鳥「へぇ、じゃあ私と同じ……」

小鳥「……え?クルーヤって、どこかで……?」

小鳥「あっ……!ひょっとして、あなたの子供って……」



クルーヤ「ええ。『ハルカ』と『リツコ』ですよ」ニコッ



小鳥「やっぱり!……わあ、すごいなあ!」

小鳥「春香ちゃんに試練を与えたんですよね?どうでした?春香ちゃん、頑張ってましたか?」

クルーヤ「ええ。おかげで春香も無事パラディンに………って、あれ?」

クルーヤ「なぜ、あなたが試練の事を知っているんですか?」

小鳥「あ、そ、それは……その……」

小鳥「そ、そう!精神波ですよ!精神波でパーっと……」

クルーヤ「へぇ、そうなんですか……」

クルーヤ(あの時、精神波なんて微塵も感じられなかったんだけどなぁ)

クルーヤ(さすがは『元凶』だけあって、未知の力を持ってるって事なのか……)



小鳥「……でも、クルーヤさんはなぜここへ来たんですか?」

小鳥「『こちら側』にいたら、娘達とは戦う事になるんですよ?」

クルーヤ「……もちろん、それは承知の上です」

クルーヤ「まあ、強いて言えば、親心ってヤツなのかなぁ……」

小鳥「親心……?」



ダークバハムート「……クルーヤの言う事は鵜呑みにせぬ方が身の為だぞ、コトリよ」



小鳥「あ、バハムートさん……」

クルーヤ「バハムート……相変わらず君はつれないなぁ」

ダークバハムート「クク……今は邪神である故、少々捻くれておるのだ」

クルーヤ「ああ、そうだったね」

クルーヤ「でも、君には感謝しているよ、バハムート。こうして僕がコトリさんに会えるよう取り計らってくれたんだから」



小鳥「あの、もしかして、お2人って、昔からの……」

クルーヤ「うん。友達だよ!」

ダークバハムート「……ただの腐れ縁だ」



小鳥(バハムート×クルーヤ……うん、アリね……ムフフ)



ー地底世界 バブイルの塔への道ー



ザッ……ザッ……


春香「……つかまえてっ♪にげるふり〜をして♪」


ザッ……ザッ……


春香「……そおと、もぐる、わたしマーメイっ♪」



春香「……っ!」ズキッ

春香「痛たた……」

春香「うーん、ダメだね……」

春香「歌でも歌えば、痛みも紛れるかな〜?って思ったんだけどなぁ……」

春香「はぁ……」


春香(こないだは、戦車でバブイルの塔まで行ったんだっけ……?)

春香(やっぱり、歩いて行くのは大変だなぁ……)

春香(一応、魔法を使ってみたけど、私の魔法じゃ傷が治りきらないみたい)

春香(一人で来たのは、失敗だったかな……)

春香(………ううん、ダメダメ、暗くなっちゃ!)

春香(千早ちゃんに会ったら、笑顔で『迎えに来たよ』って言うんだもんっ……)


ザッ……ザッ……


春香(……そういえば、船が沈没した時以来だよね。一人きりになるのは)

春香(今までは、誰かが必ず私のそばにいたもんね)


春香(みんな、怒ってるかな……)

春香(伊織なんか、カンカンだろうなぁ……)

春香(………)


ザッ……ザッ……


春香(……ごめん、みんな)

春香(私、一刻も早く千早ちゃんを助けたいんだ……!)

春香(千早ちゃん、きっと不安がってると思う……)

春香(千早ちゃんは、私が必ず連れて帰るから……)

春香(私、ひとりでなんとかするからっ……)

春香(だから、待ってて!)



春香「……おとめよっ、たいしをいだっけっ♪……」


ザッ……ザッ……



ートロイア城 謁見の間ー


アン「……自分の無力さを痛感して?」

アン「それで、おめおめ帰って来た、と……」

トロア「………はい」

アン「………はぁ。あなたには、ガッカリだわ……」

アン「せめて、手柄のひとつでも立ててくれればよかったんだけどねぇ……」

トロア「……申し訳ありません」ペコリ

ドゥ「………」



アン「まあ、いいわ。今はそれどころではないものね」

トロア「……と、言いますと?」

ドゥ「ここへ帰って来る時に、見なかったのか?」

ドゥ「この国以外の国は……魔物に滅ぼされたようだ」

トロア「な、なんですって!?」

アン「あなたがユキホさん達と旅立つ前に、白い竜の魔物がやって来たでしょう?」

アン「どうやら、あの魔物のせいみたいね」

トロア「そ、そんな……!」

アン「でも、私達はついてたわ!」

アン「ユキホさん達が魔物を追い払ってくれたおかげで、この国は無事だったんだものね」

アン「うふふっ。神は私達を見捨てなかったようね?」

トロア「姉上……?」

ドゥ「……姉上。こんな事態を笑ったりするのは、一国の主としてどうかと思うが……?」

アン「……あら、ごめんなさい。確かに、少し不謹慎だったわね」



アン「でも、これから忙しくなるわね」

アン「すでに、ファブール王は我が国に到着しているわ」

アン「ドワーフの王が着いたら、早速、『話し合い』を始めましょう!」

ドゥ「首脳会議か……」

ドゥ「しかし姉上、バロンとダムシアン、それにエブラーナはどうするんだ?」

アン「バロンは、王が討たれて久しいわ。未だに、王の後継者が見つかっていないらしいじゃない?」

アン「残念だけれど、代表者がいないなら仕方ないわよね?」

アン「ダムシアンは、リツコさんに滅ぼされてしまっているけど……」

アン「ダムシアン王家唯一の生き残りであるユキホさんは、私の『お友達』だもの。ダムシアンがこのトロイアに逆らう訳がないわ!」

アン「エブラーナは……よくわからないわね」

アン「あの国は、謎が多いから……」

アン「そういうわけで、バロンとダムシアン、エブラーナは不参加よ」

トロア「………」

ドゥ「姉上……それは少し強引過ぎやしないか?」

ドゥ「それに、ミシディア、カイポ、アガルト、ミスリル、それぞれの村の代表者にも出席してもらわないと……」

アン「ミシディアの長老様は、すでにご足労いただいているわ」

アン「今、あの方を失ってしまうのは、私達にとってとても痛手だもの」

アン「でも、それ以外の村はねぇ……」

アン「おそらく、大した人材もいないでしょう」

アン「だから、私は『話し合いに呼ぶ必要はない』と判断したわ」

トロア「城だろうと村だろうと、住んでいるのは同じ人間では?」

ドゥ「トロアの言う通りだ」

ドゥ「それに、これではまるで話し合いではなく、単なる出来レースじゃないか?」



アン「……いい?2人とも、よく聞きなさい?」

アン「世界は今、混迷を極めているわ。こんな時こそ、人々は手を取り合い、ひとつにならなければいけないと思うの」

アン「……そしてそれには、人々を導く『先導者』が必要よ」

アン「今こそこのトロイアが……私達が、人々を導く時じゃないかしら?」

アン「お父様とお母様も、きっとそれを望んでいると思うわ」ニコッ

アン「それに……これはもう『決定事項』よ?」

ドゥ「………」

トロア「………」

アン「さ、あなた達も、話し合いの準備を手伝ってもらえるかしら?」

ドゥ「…………わかったよ」

トロア「わかり……ました」



トロア(姉上……)

トロア(私には、姉上のお考えがわかりません……)



ートロイアの町 南側ー


真「さ、トロアさんも無事送った事だし、次は、ユキコを送るためにファブールへ向かいましょうか!」

P「ああ、そうだな……」キョロキョロ

亜美「?」

亜美「……どったの兄ちゃん?」

亜美「お上りさんみたくキョロキョロしちゃってさ〜」

P「いや……この国って、こんなに人が多かったっけか?」

P「前に来た時はこんなに人がいなかった様な……」

雪歩「そう言われてみれば、なんだか人が増えた様な気もしますね……」

真美「今話題のカンコースポットってカンジなんじゃない?」

真美「ホラ、ゆきぴょんの掘った穴が大人気とか?」

雪歩「え?そ、そんな事ないよ、きっと……」

P「うーん……それにしては、誰ひとりとして楽しそうにしてない気がするんだよな」

P「何かあったのかな……?」

亜美「亜美達にはカンケーない気がするけどね〜」

亜美「だって、この国ではもうイベントはないハズじゃん?」

P「ゲームでは、な」

P「だけど、もうストーリーは完全にゲームとは違う道を辿ってるからな」

P「一応、情報を集めてみようか」

真美「ま〜、艦長命令ならちかたないね」

亜美「じゃあ、さっそく手分けして……」

亜美「………あり?」キョロキョロ

真「どうしたの?亜美」

亜美「あずさお姉ちゃんは?」

雪歩「あ、あれ?さっきまで一緒にいたはずなんだけど……」

真美「か、艦長……行方不明者が……」

P「まずいな……」



P「まずはあずささんを探さないと……」

真「プロデューサー、ボクがひとっ走り行って来ます!」

P「真……」

P「そうだな。真の足なら、頼りになりそうだ。頼んでもいいか?」

真「はい!」

雪歩「真ちゃん、気をつけてね?」

シルフ「大丈夫ですよ〜。真さんには私がついてますから〜」

シルフ「『2人の愛の力』で、必ずあの天然さんを見つけて来ますよ〜」

雪歩「し、シルフちゃん……」

ユキコ「うぅ、ちょっと嫉妬しちゃいますぅ……」

真「こら、シルフ。仲良くしないとダメだろ?」

シルフ「……わかりました〜」



真美「じゃあさ、どっか待ち合わせ場所を決めておいたほ〜がいいよね?」

P「ん、そうだな。どこか目立つ建物で……」キョロキョロ

亜美「……兄ちゃん、あそこでいいんじゃない?」スッ

P「………パブ『迷宮』か。よし、じゃあ後であそこに集まろうか」

雪歩「………」

真「わかりました!……行くよ、シルフ」

シルフ「は〜い」


タタタタ…




P「……さて、俺達は情報を……」



「……あっ、おい!あの人……!」

「あ、ああ!まさか、『本物』に会えるなんて、オレはなんてラッキーなんだ!」



P「………ん?」チラ



「あ、あのっ!」

「ユキホ様……ですよね?」



雪歩「ひっ……!お、男の人が……!」

ユキコ「たくさんいますぅ……!」



「あれ?ユキホ様が、2人……?」

「女神様は、双子だったのか!」

「女神様、あなた方のおかげで今日も暮らしていけます。ありがとうございます!」

「さ、サインくださいっ!」

「実物は可愛いなぁー!」



雪歩「えっ?え、ええと……?」

ユキコ「ひぃぃ、恐い……!」



P(女神って、何の事だ……?)



ートロイアの町 西側ー


スタスタ…

あずさ「……困ったわね〜。みんなとはぐれちゃったわ〜」

あずさ「ここ、どこかしら〜?」キョロキョロ

あずさ「とにかく、みんなを探さないと……」





ザワザワ…

「これが、この国を救ったっていう女神様の像かぁ」

「は〜、ありがたや〜」

「どうか、この世界を魔物からお守りください!」





あずさ「……あら?何か、あっちに人が集まっているわね〜」

あずさ「ひょっとしたら、プロデューサーさん達もあそこにいるかもしれないわ〜」

あずさ「行ってみましょ」

スタスタ…




あずさ「……えっ?」ピタ



女神像「………」



あずさ(気のせい……じゃないわよね?)

あずさ(あの像、雪歩ちゃんにそっくりだわ〜)

あずさ(それに、石碑の内容からすると、どうやら雪歩ちゃんはこの国の女神として奉られているみたいね〜)

あずさ(なんだかよくわからないけれど……)

あずさ(うふふ。さすが雪歩ちゃんね〜)




「あれ?あんたは……」




店主「……アズサじゃないか!」

あずさ「あら?あなた方は確か……」

ものまね士「お久しぶりです、アズサさん!」

あずさ「ええと、店主さんにものまね士さん、だったかしら〜?」

店主「一度会っただけなのに、覚えててくれたんだな!」

店主「でも、なんであんたがこんなところにいるんだ?」

あずさ「あ、あの〜、実は……」



…………

……



ものまね士「なるほど、迷子ですか……」

ものまね士(顔もスタイルも性格も完璧でも、弱点はあったのね……)ホッ

店主「……何をホッとしてるんだ?」

ものまね士「な、なんでもないです」

ものまね士「とにかく、アズサさんのお連れの方を探さないとですね」

あずさ「すみません、お手数おかけしてしまって……」

店主「いや、ハルカの仲間をほっとけないしな」

店主「それに、困った時はお互い様だろ?」

あずさ「うふふ、お世話になりますね」

ものまね士「………」

ものまね士(……なんか、店主さん楽しそう……)

ものまね士(そりゃあ私なんかより、アズサさんみたいなキレイな人と一緒にいた方が、店主さんも楽しいわよね……)

ものまね士(うぅ……なんかモヤモヤする……)



店主「おーい、ものまね士!置いてくぞー!」

ものまね士「……あっ!待ってくださいよ〜!」

タタタタ…



ートロイアの町 東側ー


スタスタ…

真「うーん、なかなか見つからないなぁ」

真「あずささん、どこ行っちゃったんだろう……?」キョロキョロ

真「青い髪なんて珍しいから、目立つはずなんだけどなぁ」



シルフ「………」ガクガク

真「……シルフ?どうかしたの?」

シルフ「す、すみません……私、こんなにたくさんの人間を見たのは、初めてで……」

真「あっ、そっか……君達エルフは、人間に……」

シルフ「だ、大丈夫ですよ?マコトさんの足手まといになるワケにはいきませんし!す、少しぐらい、我慢……」

真「………」ギュッ

シルフ「ま、マコトさん……?」

真「……ボクがついてる。安心して」

シルフ「………はい。ありがとうございます!」ギュッ

真「とりあえず君は、ボクの服の中に隠れているんだよ?」

シルフ「すみませんです」



真「……この辺りにはいないみたいだなぁ」

真「よし、シルフ。次はあっちの方に行くよ!」

シルフ「は〜い」




「……もし、そこの者よ」




真「……えっ?ボクの事ですか?」クルッ

真「……あっ!!」



真「あなたは……王様!?うわー、久しぶりですねー!」

ファブール王「ふむ。そなたは相変わらず元気そうじゃの」

真「へへっ、それがボクの取り柄ですからね!」

真「でも、王様がなんでここに?ファブールはどうしたんです?」

ファブール王「マコトよ、知らぬのか?」

真「知らぬって……何をですか?」

ファブール王「今、この世界に起きている事じゃ」

真「?……何か、あったんですか?」

ファブール王「………」

ファブール王「マコトよ。心して聞け」

真「はあ……」


…………

……



真「そ、そんな……!国が滅びたって、本当なんですか!?」


シルフ(人間が、魔物に……?)

シルフ(……なんか、複雑……)


ファブール王「残念じゃが、事実じゃ」

ファブール王「すまぬ。わしが不甲斐ないばかりに、そなたの帰る所を奪ってしまった……」ペコリ

真「いや、王様のせいじゃないですよ!頭を上げてください!」

真(……あれ?ボクの帰る所がないって事は……)

真(ユキコの帰る家も、ないって事だ……!)

真(ユキコ……)



ファブール王「……すまんな。もう少し話をしていたいところじゃが、わしには時間がない」

真「何か用事ですか?」

ファブール王「うむ。先ほど言った通り、無事だったのはこのトロイアだけじゃ」

ファブール王「そのトロイアの神官に呼ばれてな」

ファブール王「『世界の今後について話し合いたい』と」

ファブール王「わしだけでなく、各国の重要人物が呼ばれているようじゃ」



ファブール王「では、名残惜しいが……わしはもう行くぞ」クルッ

真「あ、はい」



ファブール王「マコトよ。わしより先に逝く事は、許さぬぞ……」

スタスタ…



真「王様……」




真「………」

真「ボク達が地底へ行ってる間に、そんな事が起きていたなんて……」グッ

真「………」

真「……一人で考えても仕方ないよね。この事は、プロデューサーに相談しよう」

真「今は、あずささんを見つけないと……」



老婆「……あたしが手伝ってやろうか?」



真「あっ……ドワーフのおばあさん!」

老婆「あんた、ファブール王と知り合いだったんだねぇ」

真「まあ、一応ボク、モンク隊の隊長でしたからね」

老婆「ほう、そうだったのかい」

真「おばあさんも、この国へ避難していたんですね」

老婆「ああ。あんたの友達のポニーテールに世話になってね」

真「ポニーテール?……そうか、響が……」

老婆「それよりあんた、人を探しているんだろ?」

真「あっ、そうだった!」

老婆「こんなに人がうじゃうじゃいたんじゃ、地上から探しても時間ばかりかかっちまうだろう」

真「えっ?」

老婆「人相を教えな。あたしが見つけてやるよ」

真「えーと、髪は青くて、スタイルが良くて……」

老婆「なるほどね。ちょっと待ってな」

老婆「……サイトロ」



…ヒュンッ



真「わ……!おばあさんが千早みたいにジャンプした……?」

真(……あ、そういえばこの魔法、地底で美希も使ってたっけなぁ……)



…………

……



…スタッ

老婆「見つけたよ。あっちの方向に、大体500mの所にいるようだ」スッ

老婆「だが、ゆっくり移動しているみたいだから、早いとこ追いかけた方がいいだろうね」

真「わかりました!ありがとうございます!」

真「じゃあ、ボク、行きますね!」

タタタタ…




老婆「………」

老婆(まったく、不思議な子達だよ……)

老婆(何かこう、人を惹きつける力を持っている様だね)

老婆(つい、手を貸したくなっちまう)



老婆「さて、あたしも坊やのところに戻るとするかね」





「……その前に、あなたも『話し合い』に参加するべきではないか?」





老婆「………」チラ

老婆「………ふん。誰かと思ったら、地底へ引き込もった放蕩息子かい」

ジオット「ははは、相変わらず母上は手厳しい」

ルカ(お父様の母上……って事は、この人は、私のおばあ様……)



老婆「いつ這い出て来たんだ?」

ジオット「ここへ着いたのは、ついさっきですよ」

ジオット「それより母上……」

老婆「あたしゃ、あの神官の小娘に呼ばれていない」

老婆「つまり、必要無いって事だろ?」

ジオット「いえ。それは何かの手違いのはずです。母上も、『アガルト』の代表として、是非……」

老婆「こんな老いぼれが役に立つとは思えないけどねぇ……」

老婆「うーん……まあ、ヒマ潰しにはなるかもしれないね」

老婆「いいだろう。付き合ってやるよ、バカ息子」

ジオット「ありがとうございます、母上。……では、参りましょうか」




ー バブイルの塔 1F 次元エレベータ ー


白龍「……という事なので、巨人のコアである『制御システム』は、最優先で守るべきもの、と言えるでしょう」

千早(なるほど……)

千早(逆に言えば、それさえ破壊してしまえば……)

白龍「この青き星に呼び寄せる巨人は、4体。私達がそれぞれひとりずつ巨人に乗り込むのが良いと思いますが……」

白龍「みんな。何か、意見はありますか?」

ルナザウルス「無いッス!」

プレイグ「ぼくも!ハクさんの意見が正しいと思う」



タイダリアサン「……あの、ひとつ気になったんですが……」

白龍「なんですか?」

タイダリアサン「4体の巨人の内、3体は私達が造ったダミーですよねぇ?」

千早(ダミー……そんなモノまで用意しているのね)

タイダリアサン「『本物』には、誰が乗り込むんです?」

白龍「……そうですね」

白龍「私達の中で1番強い者が乗るのが定石でしょうね」


千早(1番、強い…………誰かしら?やっぱり、あの白龍とかいう魔物?)




ルナザウルス「……じゃあ、本物に乗るのはプーちゃんッスね!」

タイダリアサン「そういう事になりますねぇ」

プレイグ「ええっ?き、緊張するなぁ……」


千早(え……!?あの目玉の化け物が、1番強いの?)

千早(見た目の迫力と強さは、必ずしも比例するものではない、という事なのかしら……)


白龍「………」じーっ

白龍「ふふふ、驚いているようですね?」

千早「え……?」

白龍「なぜプレイグが1番強いか、気になりますか?」

千早「………」コクリ

ルナザウルス「プーちゃんは、相手を一撃で仕留めてしまう、必殺の言葉を持ってるんッスよ!」

千早「必殺の言葉……?」

タイダリアサン「その言葉を聞いた者は、死を逃れられないんですよね〜」

プレイグ「でも、機械とかゾンビみたいに生命を持たないものには効かないんだけどね」

千早(聞くだけで、死ぬ言葉……?そんなものが……!)

白龍「あなたが何をしようと、あなたの仲間達は、何も出来ずに死んでいくのです……」

千早(くっ……!)

千早(そんな事は、させないわ……!)




千早「……それで、私はどうしたらいいの?」

ルナザウルス「あ……そうッスね。誰かと一緒に巨人に乗ってもらう事になるッスかねー?」

千早「そう……」

千早「じゃあ、私は本物の巨人、とやらに乗る事にするわ」

千早(多分これは、『私』にしか出来ないと思うから)

プレイグ「あ、じゃあぼくと一緒だね。よろしくね!」

白龍「………」



白龍「ダメです。あなたは囚われの身。あなたに自由など……」

ルナザウルス「まあまあ、いいじゃないッスか。誰と一緒に乗ったって同じッスよ」

タイダリアサン「決める手間が省けたので、私もそれでいいと思いますがねぇ」

白龍「いいえ。ダメです」

白龍「……竜騎士よ。あなたは、プレイグの『死の宣告』の恐ろしさを知った」

白龍「どうにかして、『死の宣告』から仲間達を守ろうと考えている」

白龍「……違いますか?」

千早「………」

白龍「コトリ様の術がかかっているあなたに、大した事はできないとは思いますが……」

白龍「念の為、あなたはプレイグとは別行動してもらいます」

白龍「……そうですね。では、ルナと一緒に乗ってもらいましょうか」

千早(くっ……お見通し、という事なのね……)



ルナザウルス「ハクさん、色々考えているんスねぇ……」

タイダリアサン「こだわり過ぎな気もしますが……」




白龍「……では、準備はいいですか?」

ルナザウルス「クリスタル、準備オッケーッス!」

プレイグ「うわぁ、ドキドキするなぁ……」

タイダリアサン「さっさと呼び出してしまいましょうか」

千早「………」





白龍「……クリスタルよ。今こそ月と青き星を繋ぐのです!」



……キラーン!



パアァァァァ……



千早(光が……!眩しくて、目を開けていられない……!)



ゴゴゴゴ…



ブォォォーーーン……







ー 地底世界 バブイルの塔 B13F ー


春香「……ふぅ」

春香「やっと着いたよぉ……」

春香「千早ちゃん、どこにいるんだろう?」キョロキョロ

春香「………とにかく、探そう!」




魔物「ギャアーー!」




春香「ま、魔物っ!?」


魔物「ギャア!」ブンッ


春香「わわっ……!」ガキィン


春香「………っ!」ズキッ

春香「痛たた……!」ポタッ

春香(ああ……傷口が……)

春香(ダメ………)

春香(お願い、もう少しだけ持って……)

春香(千早ちゃんに会えるまでは……!)



春香「………よしっ!」ギリッ

春香「えいっ!」グイッ


魔物「グギャッ!?」ヨロッ


春香「ごめんなさい!私、千早ちゃんのところに行かないといけないんです!」

春香「邪魔………しないでくださいっ!」チャキッ



春香「無双、稲妻突きっ!」ビュンッ


ズガッ!


魔物「」



春香「………」チラ

春香「………」クルッ



タタタタ…




ー 地上世界 バブイルの塔 上空 ー


ババババババ…



響「………ねえ、あの塔に刺さってる黒い塊って……」スッ

貴音「ええ。あれが、件の魔導船です」

律子「もはや塔のオブジェと化してるわね……」

律子「貴音、何があったのよ、いったい……」

貴音「無いのです。あの船には」

律子「無いって、何が?」



貴音「………ぶれぇきが」



響・律子「」



律子「つ、つまり……あの船で着陸する時は、常に不時着って事?」

貴音「ええ。それはもう、死を覚悟する様な」

響「自分、そんな船に乗りたくないぞ……」

律子「なんかすごそうな名前なのに、意外と使えない船なのかしら……?」



律子「……でも、あの船も良く無事に残ってたわよねぇ」

貴音「宇宙を翔ける程の船です。そう柔な造りでは無い、という事ではないでしょうか?」

響「貴音の身体もね」

律子「そうかもしれないけど……」

律子「魔物達に奪われていなくて良かったわよね、って事」

貴音「それについては心配無用です」

貴音「魔物では、あの船を動かす事はできないそうですから」

響「そうなのか?」

貴音「魔導船は、『人の想い』により動くのです」

律子「人の……想い?」

貴音「はい。想いの強さが、そのまま船の動力となる様です」

律子「へぇ……なんだかメルヘンチックな船なのねぇ」

響「ふーん……じゃあさ」



響「着陸の時も、『着陸してくれー』って想えばいいんじゃないのか?」



貴音「!」




律子「まあ、理屈ではそういう事になるわよね」

貴音「確かに……」

貴音「船の操舵とは、まこと難しきものなのですね」

貴音「ふふふ。やはり、この世界では、船の事は響に聞くのが一番の様です」ニコッ

響「いや、やってみないとわからないからね?それに、これくらい誰でも思いつくと思うけど……」



律子「……とにかく、今は魔導船を動かすわよ」

律子「貴音は魔導船、響はこの船を頼むわ」

貴音「承知しました」

響「わかったぞ!」

響「律子はどうするんだ?」

律子「私は……」

律子「貴音が心配だから、ついて行くわ」

響「うん。その方がいいかもね」

貴音「……よろしくお願いします、律子嬢」

響「でもさ、ここ、山だから、着陸するところがないぞ?」

律子「そうねぇ……」

律子「響。できるだけあの船に近づいてもらえる?」

律子「近づいたら、私達は魔導船に飛び移るから」

響「わかったぞ!」



響「エン太郎!行っくぞーっ!」グイッ




ビュゥゥゥーン…






ー バブイルの塔 B6F ー


ルビカンテ「……火炎流!」バッ


ゴオオオォォオオ!


カイナッツォ「……津波よ!」バッ


ザァァァァァ……!




ジュウゥゥ…




スカルミリョーネ「……そ、相殺し…た……」

ルビカンテ「……やはりダメか」

ルビカンテ「難しいものだな。『協力する』という事は」

カイナッツォ「だから言っただろうが。私とお前では、属性の相性が悪いのだ。協力技など出来る訳がなかろう」

カイナッツォ「それにそもそも、私は仕方なく付きあってやっているだけだ」

カイナッツォ「お前達に協力する気など無いからなっ!」



スカルミリョーネ「……ば、バルバリシアがいれ…ば……」

ルビカンテ「ん……そうだな。ヤツの風があれば、オレの炎は勢いを増す」

ルビカンテ「そういえばあの女、偵察へ行くと出て行ったきり戻らないな」



カイナッツォ「コラッ!2人共、私の話を聞けぇっ!!」プンスカ




……ザッ



春香「……はぁ、はぁ……!」ヨロッ



ルビカンテ「………む?」チラ




ルビカンテ「誰だ、お前は?」



春香「はぁ、はぁ…………ま、また、魔物………っ」ヨロッ



スカルミリョーネ「……お、お前…は……!」

カイナッツォ「いつぞやの聖騎士かっ!」

ルビカンテ「お前ら、知っているのか?」

スカルミリョーネ「……し、試練の山で、戦っ…た……」

カイナッツォ「バロンでの屈辱、忘れた事は無かったぞ!」

ルビカンテ(水と土が戦った……?そうか、この娘がリツコ様の言っていた……)

ルビカンテ(1人……か。確か、リツコ様の仲間は他にもぞろぞろいた気がするが……)

ルビカンテ(しかも、手負いとはな。よくここまで来たものだ)



春香「あっ……!」

春香「スーさんに、バロンの亀さん!」

春香(どうしよう……?今までの魔物とは段違いに強い人達ばっかりだ……)

春香(傷口も開いちゃったし……)



春香(……………ううん)

春香(それでも、私は行かなきゃ!)

春香(千早ちゃんが待ってる!)




春香「ここを、通して……くださいっ……」



カイナッツォ「ククク……バカめっ!通す訳がないだろうが!」

カイナッツォ「ここで会ったが百年目。貴様には、私と同じ屈辱を味わってもらおうか!」ゴゴゴゴ…



春香「お願いしますっ!」ペコリ

春香「私、仲間を……千早ちゃんを助けに行かなきゃいけないんですっ!」



ルビカンテ「………」

ルビカンテ(仲間……。自らの命を賭す程に大切だというのか……?)



カイナッツォ「フン!そんな事は知った事ではない!」

カイナッツォ「あの時の恨み、今ここで晴らしてやるッ!」

カイナッツォ「さあ、私の津波の餌食となるがいい!」バッ


ザァァァ…



春香「……どうしてもダメだっていうんなら……」

春香「……力ずくで通りますっ!」チャキッ




カイナッツォ「……死ねえっ!」



ザァァァァァ…!



春香(津波……!今あれを受けたらまずいよね……)

春香(確か、まだ試してない技があったはず……)

春香(お願い、もう少しだけ持って、私の身体……!)



春香「……命脈は無常にして、惜しむるべからず……」ゴゴゴゴ…

春香「……葬るっ!」チャキッ



ルビカンテ(……ほう。良い剣気を持っているな)



春香「不動………無明剣っ!」ブンッ



…ズドォォン!


ザパァァン…



カイナッツォ「………なっ!?わ、私の津波を割った、だと!?」

スカルミリョーネ「……つ、強くなってい…る……!」

ルビカンテ(自らは動かずに斬撃を飛ばす技か)

ルビカンテ(凄まじい技だが……)チラ



春香「はぁ、はぁっ……!」ヨロッ

ドサッ

春香「うぅ……」

春香(身体に力が入らないよぅ……!)

春香(こんなところで倒れてる訳にはいかないのにっ……!)グッ



スカルミリョーネ「……ち、力尽き…た……?」

ルビカンテ(だろうな。あの状態であれだけの技を放ったんだ)

ルビカンテ(無事でいられるはずがない)



カイナッツォ「ふ、ふん!驚かせおって!」



カイナッツォ「ふははは!今度こそ引導を渡してくれるッ!」バッ


ザァァァ…



春香「ぅ……く……!」ヨロッ

春香(………絶対に………!)



ルビカンテ(まだ、立つか)



春香「はぁ、はぁ……!」チャキッ

春香(千早ちゃんを………!)



カイナッツォ「死ねえッ!」


ザパァァァァン!



春香「………連れて帰るんだもんっ!」グッ

春香「………不動、無明剣っ!」ブンッ



ズドォォン!



ザァァァァ…!



春香「あっ………」



ルビカンテ(一度目よりも弱い。津波を割り切れなかったな)



ザパァァァァァン!



春香「……っ……ぷはっ……!」

春香(……だ、ダメ……息が……!)




春香「………」


ルビカンテ(終わったか……。覚悟は認めるが、やはり力が伴わなければ……)


カイナッツォ「はははは!思い知ったか!この水のカイナッツォ様の津波の恐ろしさを!」



春香「……………」ピクッ



ルビカンテ(………む?)



春香「う…………」

春香「ケホッ、ケホッ……!」



カイナッツォ「ち!まだ息があったか」



春香「………めないっ……!」ググッ



ルビカンテ(また、立ち上がる……!)



春香「私は、諦めないっ……!」

春香「……約束、したんだもん……!」ヨロッ



春香「……みんな揃って、帰るって!」ザッ



スカルミリョーネ「……あ、あの身体のどこに、そんな力…が……!?」

ルビカンテ(もう立っているだけで精一杯のはずだ)

ルビカンテ(自分を捨ててまで……そんなに守りたいのか?)



春香「……通して……くださいっ!」ポタッ

春香「お願い……しますっ!」



カイナッツォ「相変わらずしぶとい奴め!ならばもう一度……」




ルビカンテ「……………待て、カイナッツォ」





カイナッツォ「……なぜ止める?」

カイナッツォ「ルビカンテ。貴様、何を……」

スカルミリョーネ「………」



スタスタ…

ルビカンテ「………」



春香「………っ!」チャキッ



ルビカンテ「…………見てみたくなった」


春香「………ふぇ?」


ルビカンテ「お前の……いや、お前達の信念の強さが、どれほどなのかを」


春香「え、え……と……?」


ルビカンテ「回復してやろう」バッ


シャララーン!キラキラ…



春香「!!」

春香「き、傷が……!」

春香(美希の魔法と同じくらいすごいよ……!)



カイナッツォ「ルビカンテ!気でも触れたかっ!?」



春香「あ、あの……ありがとうございます」ペコリ



ルビカンテ「リツコ様は、オレにも『仲間』というものが理解できれば、まだ強くなれると言った」

ルビカンテ「オレにはまだ『仲間』というものがわからないが……」

ルビカンテ「お前は………その答えを持っている」

ルビカンテ「そんな気がしたんだ」



春香「………」

春香(この人……)




カイナッツォ「なぁにが仲間だっ!」

カイナッツォ「私には関係ないぞ!そんなもの!」

スカルミリョーネ「……か、カイナッツォ……なんだかんだ言って付き合いがい…い……」

カイナッツォ「勘違いするなっ!私はお前達を利用して……!」

ルビカンテ「……いや、スカルの言う通りだ。お前にはお前の事情があるだろうに、こうしてオレのわがままを聞いてくれている」

ルビカンテ「……恩に着る」

カイナッツォ「……ふ、ふんっ!お前は腐ってもリーダーだからな!短い付き合いでもないし!仕方あるまい!」

スカルミリョーネ「……で、デレ…た……?」

カイナッツォ「妙な表現を使うな!ゾンビがっ!」



春香「………ふふっ」

春香「みなさん、仲がいいんですね?」ニコッ



ルビカンテ「……そうか?」

カイナッツォ「そんなワケな……モゴッ!」

スカルミリョーネ「……す、少しだけ黙…れ……」



春香「……私も、正直よくわからないです」

春香「でも……」

春香「私には、みなさんはとても仲が良さそうに見えました」

春香「それって、みなさんは仲間って事じゃないんですか?」

ルビカンテ「………」

春香「仲間を、守りたい、一緒にいたいって思える事は、とても素敵な事だと思うんです!」

春香「それに、仲間がいれば……苦しくたって、辛くたって……」

春香「どんな事だって乗り越えられるんです!」

春香「律子さんが言いたかったのは、そういう事なんじゃないかなー……?」

春香「……なーんて、大切な人を守れてない私が言えるセリフじゃないんですけどね……あはは」

ルビカンテ「………」



春香「………って、そうだ!私、千早ちゃんのところに行かなきゃ!」



……ドゴオォォォォォン!




春香「ひゃっ……!」ヨロッ

春香「な、何……!?」キョロキョロ

ルビカンテ「何の音だ?」

スカルミリョーネ「……う、上の階から聞こえ…た……?」

カイナッツォ「ふん!大方、あの魔物共がクリスタルを使ったんだろう」

春香「クリスタル……!」



…ビュオオ!



バルバリシア「……その通りよ!」



ルビカンテ「バルバリシア!……お前、今までどこに……」

バルバリシア「話は後よ!大変なの!『あれ』はさすがにヤバいわ……!」

バルバリシア「……ん?」チラ



春香「あっ、どうも……」ペコリ



バルバリシア「……へぇ。あなた、チハヤを助けに来たのね?」

春香「は、はい!」

バルバリシア「ミキは………いないのね」シュン

春香「はい、ごめんなさい」

春香(なんか、すっごい残念そう……)




バルバリシア「うーん……」

バルバリシア「仕方ない、あなたで我慢するわ」

春香「私?え?我慢って……?」

バルバリシア「……ルビカンテ。この娘を連れて行くわ。緊急事態なの。文句は言わせないわよ?」

ルビカンテ「……お前の事だ。何か考えがあるのだろう?文句は言わん。そのかわり、何が起きているのか簡潔に話せ」

バルバリシア「『奴ら』がクリスタルでこのバブイルに『巨人』とやらを召喚したみたい」

バルバリシア「どうやら、『それ』で人間を滅ぼすつもりのようね」

春香「!」

バルバリシア「そうなったら、今のリツコ様は『人間側』につく」

バルバリシア「あなたもそうでしょう?」

春香「それは……もちろんです!」

バルバリシア「………後は、言わなくても分かるわね?」チラ

ルビカンテ「………わかった。好きにしろ」

ルビカンテ「オレ達も、後から行く」

カイナッツォ「ルビカンテ。まさか、私を妙な事に巻き込むつもりじゃあるまいな?」

スカルミリョーネ「……に、人間に、味方す…る……?」



ルビカンテ(あんな魔物共にリツコ様は倒させん)

ルビカンテ(オレがリツコ様に……その仲間達に勝つまでは!)



バルバリシア「……さ、行くわよ。えーと……」

春香「あ……春香です!私、春香っていいます!」

バルバリシア「……ハルカ。時間が惜しいわ。『飛ばす』わよっ!」

春香「飛ばすって……?」


フワッ…


春香「わわっ!う、浮いた!?」


ビュオオオ!



春香「ぅわああああああああぁぁぁぁぁ…………」



ビューーーーーン!





ー バブイルの塔 B13F ー


やよい「……ねえ伊織ちゃん。春香さんはどっちに行ったのかなぁ?」キョロキョロ

伊織「そんなの簡単よ」

伊織「あそこを見なさい、やよい」スッ

やよい「へ?」



やよい「………あ!なんか、赤くなってる?」

伊織「あれは多分………春香の血よ」

やよい「ええっ!?」

伊織「……無茶をしたんでしょうね。傷口が開いたんだわ、きっと」

やよい「春香さん……!」

やよい「は、早く追いかけなきゃ!」

伊織「そうね。………行くわよ、美希」

美希「……zzz」

伊織「ちょっと!なんでまた寝てんのよ!起きなさいよっ!」ユサユサ

美希「……zzz」



やよい「美希さん、起きてくださいっ!」スッ



ジリリリリリリリリリ!



美希「………ん……」パチッ

美希「………」ムクッ

美希「んん〜……寝起きサイアクなの〜……」グデー

伊織「ほら、ちゃんと立って!」グイッ

美希「………あふぅ」ノソノソ




美希「デコちゃんもやよいも、よく眠くならないね?いつもならもうとっくにお休みの時間だよ?」

やよい「あ、そーいえばもうそんな時間なんですねー」

伊織「ずっと太陽を見てなかったから、気づかなかったわ」

伊織「あんた、よく気づいたわね」

美希「ミキの腹時計ならぬ睡眠時計を甘く見ないでほしいの」

やよい「わー、それってなんだか便利そうかもー!」

伊織「いつも寝てる時間に眠くなるってだけでしょ?誰でもそうだと思うけど」



伊織「……とにかく!先を急ぐわよ!」

伊織「あのバカは、ほっとくととんでもない無茶をしかねないんだから」

やよい「春香さん。千早さん。待ってくださいねっ!」

美希「千早さんは心配だけど、春香の事は心配しなくてもヘーキだって思うな……」


スタスタ…




美希「……ねえ、ところでさ」

美希「その目覚まし時計、これからずっと持って歩くの?」

やよい「はい!ミキさんを起こすのに便利ですから!」

伊織「にひひっ♪あんたにはいい薬じゃないっ」

美希「う〜……とんだ睡眠ボーガイなの……」ガックリ



訂正
>>84のやよいの3つ目のセリフ
「待ってくださいね!」→「待っててくださいね!」


ー 地上世界 魔導船内 ー


律子「……なんとか乗り込めたはいいけど……」チラ


ボロッ…


律子「酷い有様ね……」

律子「こんなんで、本当に飛べるのかしら……」



貴音「………」キョロキョロ



律子「……貴音?どうかしたの?」

貴音「くりすたるを探しているのですが……」キョロキョロ

貴音「………おや、あんなところに」

スタスタ…



貴音「……割れてしまっていますね」スッ

律子「クリスタル?ひょっとして、この船の動力って……」

貴音「ええ。くりすたるに祈る事で動いていたのですが……」

律子「大丈夫かしら、こんなに割れちゃって。ひょっとして動かないんじゃ……?」

貴音「律子嬢。今は、出来る出来ないは二の次です」

貴音「わたくし達は、この船で月へ行かなくてはならないのですから」

律子「そうね。………じゃあ、やってみましょうか」



…ドオォォォォン…



グラッ…



律子「きゃっ!」ヨロッ

貴音「……律子嬢!」ガシッ

律子「あ、ありがと。……なんか、すごい音がしたわねぇ」

貴音「ええ……」

貴音(何やら、邪悪なえねるぎぃが……)

貴音「嫌な予感がします。早くここを離れた方が良いでしょう」

律子「ええと、クリスタルに祈ればいいのよね?」

貴音「ええ。……さあ、いきますよ?」





貴音「………」

律子「………」

貴音「………」

律子「………」

貴音「………」



律子「……………ねえ」

貴音「………」

律子「動かないわよ?いつまで祈ればいいの?」

貴音「律子嬢。こういった事は、辛抱が必要なのです。焦っては……」



ドオォォォォン!



ズズズ…



律子「ちょ、ちょっと!この船、傾いてない!?」

貴音「……その様ですね。一体何が……?」




響「貴音ーーー!!律子ーーー!!ヤバいぞーーーーっ!!」




律子「響の声?どうかしたのかしら?」

スタスタ…



ガタッ



巨人「………」



律子「な………!」

律子「何よあのデッカいのはっ!?」

貴音「………巨人………!?」



貴音「まさか、あれは……!」

貴音「国を滅ぼし、町を滅ぼし……地球を『めちゃくちゃ』にする最終段階、という事なのでは……?」

貴音「ならば、あの巨人は恐らく……」



貴音「律子嬢。早急にここを飛び立ちましょう!」

貴音「あの『とろいあ』という国が、危険です!」

律子「え?」



律子「と、飛ぶって言ったって、さっきからちっとも動かないじゃない!」

貴音「落ち着いてください。心を落ち着け、強き想いをぶつけるのです」

律子「わ、わかってるけど……!」




巨人『……人間共よ。その歴史に幕を閉じる時です!』

巨人『……蝿が二匹いますね……。まずは、あなた達から沈めてあげましょう!』




律子「ちょ、ちょっと!巨人がなんか喋ってるわよ!?」

貴音「いえ。恐らくあれは、中に魔物が……」




巨人『消えなさい!』ピカッ




律子「あああ……!なんか光ってる!」

貴音「………!」グッ




ズドオォォォォォォン!!




律子「きゃあああぁぁぁぁぁ!!」




ガラガラッ…



ヒューーー…



…ドオオォォォォォォン…




巨人『ふふ。魔導船は沈んだようです。本物そっくりに造った甲斐がありました。このレーザー光線はなかなかの威力ですよ』

巨人『……さて、あと一匹……』




ー 飛空艇エンタープライズ ー


響「ど、ど、どうしよう!?あのでっかいロボに魔導船が撃ち落とされちゃったぞ……!」オロオロ

響「貴音ぇぇっ!!律子ぉぉっ!!」

響「おーーーーい!2人ともぉーーーー!返事してよぉーーーーーっ!!」




巨人『安心なさい。すぐにお前も後を追う事になるのですから』




響「うぅぅ……グスッ……だがねぇ……りづごぉ……!」ポロポロ



ーーーヒビキちゃん……。



響「ヒック…………え?エン太郎?ど、どうかしたのか?」ゴシゴシ



ーーー『ボク』には武器が付いてる。それを使ってよ。



響「えっ?エン太郎、武器が付いてたのか?」



ーーーうん。ヒビキちゃんや、みんなを守る為の武器。

ーーー大丈夫。ヒビキちゃんなら、きっと使いこなせるよ。



響「わ、わかった!とにかく、あの巨大ロボを粉々にしてやるさー!」

響「その後に……貴音と律子を探さないと……!」ウルッ

響「ううっ……ぐっ……!」ポロポロ



ーーー泣かないで、ヒビキちゃん。きっと2人は無事だから。

ーーーだから、ちゃんと前を向いて?

ーーー君に涙は似合わない。ヒビキちゃんはやっぱり、笑顔でなきゃ。



響「エン太郎……」

響(そうだ……。泣くのは後でいくらでもできるんだ)

響(今は、エン太郎の言う通り、前を見なきゃ!)

響(大丈夫。あの2人がやられるなんて、そんな事あるワケないぞ!)



響「エン太郎、ありがとねっ!自分、ちょっと元気出たぞ!」ニコッ

響「よぉーしっ!やるぞーーっ!」




巨人『喰らいなさい!巨人のレーザー光線を!』ピカッ



ズドオォォォォン!




ブオォォォォォォン…



響「ふふん!そんなレーザー、遅すぎてアクビが出ちゃうさー!」



巨人『ちっ!避けましたか』



響「今度はこっちの番だからな!」ビシッ

響「行っくぞぉーーー!」

響「ナンクル砲っ!」グイッ



ヒュー……ドゴオォンッ!



響「……やったぁっ!当たったぞー!」



巨人『ふん。この程度の攻撃、通用すると思っているのですか?』



響「まだまだ〜!ハイサイビームっ!」グッ



ビュィィィィィィィン!



ドゴオォンッ!




巨人『く、ちょこまかと……!』




響「よーし!次、ガナハボム行くぞー!」



ズシィィン…!


巨人2『ハクさん、手こずってるの?』

巨人『プレイグ……。大丈夫です。こんなちっぽけな船など、一握りで……』




響「な、なんだ!?巨大ロボが、増えた……!?」



巨人2『悪いけど、君には死んでもらうよっ』ピカッ



ズドォォォォン!




グラッ…


響「うわあああっ!」

響「え、エン太郎、大丈夫か?」



ーーーこのくらい大丈夫。ヒビキちゃんがボクを強化してくれたから。



響「良かったぁ……」



ーーーでも、ちょっとマズいね。多勢に無勢……これじゃあ勝ち目は薄いかも。



響「じゃあ、どうするのさー?」



ーーーここは、一旦引いた方がいいかもね。



響「そんなっ!逃げるなんて……!」



ーーーううん。逃げじゃない。これは戦略的撤退ってやつだよ。大丈夫、生きてさえいれば、反撃のチャンスはあるんだ。

ーーーさあ、行こう。ヒビキちゃん。



響「エン太郎……」

響「わ、わかったぞ……」グイッ



ビューーーン!




巨人2『あっ、逃げた!』

巨人『単なる馬鹿という訳ではなさそうですね。まあ、死ぬのが少し遅くなっただけですが』

巨人2『どうする?追いかけようか?』

巨人『ええ。ゆっくり時間をかけて、追い詰めるとしましょう』



ズシィィィン…! ズシィィィン!




ー トロイアの町 南側 ー



「ユキホ様ーー!」

「こっち向いてーー!」

「どうか我らに恵みの穴を!」

ワイワイガヤガヤ…




P「なんで雪歩はこんなに大人気なんだ?……雪歩、何かしたか?」

雪歩「わ、私にも、よくわからないんですぅ……」

P「……とにかくここを離れないと……!」

真美「兄ちゃん、人が多すぎてこれじゃ身動きとれないよ〜!」

亜美「よ〜っし!だったらここは亜美の魔法でドカーンと……」

P「おいおい、それはさすがにダメだろ」

真美「でも、このままじゃゆきぴょんのファンに押しつぶされちゃうっぽいよ〜」

P「くそ……どうする……!?」




「…………ストップ」


ピキーン!


…ピタ




雪歩「あ、あれ?み、みんな……止まっちゃいましたぁ……」

P「誰だ?いったい誰が……?」




「……さ、今の内じゃ。早くここを離れるが良かろう」




P「あ……あなたは……!」



亜美・真美「………長老っち〜!!」



長老「……久しぶりじゃな」

P「あ、ありがとうございます、助けていただいて……」

長老「話は後じゃ。今は人目のつかん場所へ移動するんじゃ」

P「はい!……みんな、行こう!」




ートロイアの町 パブ『迷宮』ー



マスター「……いやあ、ユキホちゃん久しぶりだね〜!またウチで働いてくれる気になったのかな?ユキホちゃんならいつでも大歓迎だよ〜!なんだったら、前の時より賃金アップしちゃうよ〜?」

雪歩「あ、あの、違うんですぅ……」

マスター「……おや?そっちの君、ユキホちゃんそっくりだねぇ!双子なのかな?双子でしかもこんなに可愛い店員がいたら、ウチはもっと賑わうだろうなぁ!どう?ウチで働いてみない?」

ユキコ「い、いえ、そうじゃなくて……」

マスター「双子と言えば……そっちの君達もそっくりだよね?さすがにまだウチで働けるような年齢じゃないだろうけどさ。でも、君達もユキホちゃんと同じくらい可愛いねぇ!」

亜美「な、何なのさ、このおっちゃん……マシンガン過ぎっしょ……」

マスター「君達は将来絶対に素敵な女性になるよ。うんうん。私の目に狂いはないよ!……そうだなぁ、あと5年したらウチに働きに来なよ!君達ならすぐにウチのNO.1になれる!」

真美「うあうあ〜!ウザいよ〜!」

P(よく喋るなぁ……)



長老「……これ。娘達が嫌がっているじゃろう?ほどほどにしておけ」

長老「それに、ワシらは客じゃ」

マスター「あ…………な〜んだ。そうだったんですか〜」

マスター「でも、君達ならウチはいつでも歓迎だから、働きたくなったら言ってね?」

マスター「それでは、ごゆっくり〜」

スタスタ…



長老「…………まったく!」

長老「これだから都会は……」プンスカ

亜美「う〜……やっと嵐が去ったよ〜……」

真美「長老っち、あんがとね〜」

長老「ワシはああいう軽薄な輩は嫌いなんじゃよ」

長老「……ところで、そちらの娘さん方は……?」

亜美「ああ、ゆきぴょんにゆきぴょん2。亜美達のトモダチだよ、長老っち」

真美「真美達といっしょで双子なんだよ〜」

長老「ほう……?」

雪歩「ち、違うよ真美ちゃん……」

ユキコ「でも、似たようなものかもしれないですぅ」

長老「お主ら、どこかで見たような気がせんでもないが……まあいいか」




…バタン



真「……ただいま戻りましたー!」

あずさ「すみません、ご迷惑をおかけしてしまって……」



亜美「お〜、さっすがマコちん!」

真美「頼りになりますな〜!」

雪歩「あずささん。良かった……」

P「お帰り。真、あずささん」



P「真、ありがとな」

真「いえ。お礼なら、この2人に……」



店主「いや、オレ達は何もしてないって」

ものまね士「そうですよ……」



亜美「あ!こないだゆきぴょん達にイジメられてたおっちゃん!」

真美「と、そのカノジョ!」



店主「い、イジメられてたって……まあ、似たようなもんか」

ものまね士(カノジョ……///)



真「店主さんとものまね士さんが、あずささんを保護してくれていたんです」

雪歩「そうだったんだね……」

真「2人が捕まえてくれてなかったら、今頃あずささんはどこまで行ってたかわからないですし」



P・亜美・真美・雪歩(確かに……)



真「……それよりプロデューサー、大変なんですよ!」

P「……やっぱり、何かが起こっているのか?」




真「このお城以外の国は……魔物に滅ぼされちゃったみたいなんです!」



P「………えっ!?」

亜美「ま、マジ……!?」

真美「トンデモシナリオにもほどがあるっしょ……」

P「それは……本当なのか?真」



長老「……その娘の言っとる事は、真実じゃよ」

真「!」

P「長老……」

長老「ミシディアも、魔物の襲撃を受けて……」

P「そんな……!」



P(なんだ……?まるで知らないぞ、こんなストーリー)

P(音無さんがいろいろ手を回しているのか?)



亜美「………」

真美「………」

真「………」

雪歩「………」



あずさ「………悪い事ばかりじゃないと思いますよ?」



真「あずささん……?」

あずさ「私、迷子になってる時にね……」

あずさ「雪歩ちゃんの像が奉られているのを見かけたの」

雪歩「わ、私の……?」

亜美「ゾウ?」

真美「パオーン?」

P「いや、普通に考えて石像とか銅像とかだろ」

あずさ「はい。雪歩ちゃん、『女神』として、とっても凛々しい姿で立っていました」

雪歩「うぅ……なんで、私なんかが……?」

あずさ「あと、石碑を見て思ったんだけど……」

あずさ「雪歩ちゃん。あなたは、世界の人の希望みたいね」

雪歩「わ、私が……?」

あずさ「この国の人達はみんな、雪歩ちゃんの像に祈っていたわ」

亜美「あ〜、だからあんなにゆきぴょんに人が集まったんだね」



長老「……さて。ワシはそろそろ行かねばならん」ガタッ

真美「え?長老っち、どっか行っちゃうの?」

長老「国々の代表者を集めて会議が開かれるそうじゃ」

長老「ワシも、ミシディアの代表として呼ばれておるんじゃよ」

亜美「そっかぁ……せっかく会えたのにな〜」



店主「………」

店主「爺さん。オレも連れてってくれ!」

長老「……む?」

店主「オレの村……カイポも、魔物に潰されて……。生き残ったのは、オレしかいないんだ」

店主「死んじまったみんなの為にも、オレは村の代表として、その会議ってやつに出なきゃいけない気がするんだ」

ものまね士「店主さん……」

長老「そうか。そなたも……」

長老「……わかった。行こう」



長老「……という訳じゃ。ちょっと行って来る」

長老「すまん。そなたに話したい事があるのじゃが、戻ってからにしよう」

P「……はい、わかりました」



ガチャ…バタン



「……あっ、おい!この店にユキホ様がいるみたいだぞ?」

「よし、入ろうぜ!」

「オレ、ユキホ様に穴を掘ってもらうんだ!」

「ユキホ様!ユキホ様!ユキホ様!ウオオォォォォ!」

ザワザワ…



マスター「な、何名様ですか?」

マスター「あっ、ちょっと押さないで……」



真美「まずいよ兄ちゃん!もうバレちったみたい」

P「く……もう少し時間稼ぎできると思ったんだけど……」

P「相手は一般人だから、迂闊に手は出せないよな……」

雪歩「すみません、私のせいで……」

真「雪歩のせいじゃないよ!これも全部、魔物が悪いんだ」

あずさ「雪歩ちゃんの人気、すごいのね〜」

亜美「ど〜する、兄ちゃん?」

P「え、えーと………」

ユキコ「………」グッ



ユキコ「…………あ、あのっ!ここは私に任せてもらえませんかっ?」ガタッ

雪歩「ゆ、ユキコさん?」

真「ユキコ……?」

ユキコ「わ、私、ついて来たはいいけど、何の役にも立ってないし……」

ユキコ「でも、今なら私でも皆さんのお役に立てると思うんですっ!」

亜美「ど〜するのさ?」

ユキコ「私とユキホさんは、そっくりですよね?」

真美「え?まさか……」

ユキコ「私が、ユキホさんになって、注意を引きつけますぅ!」

雪歩「ユキコさん、そんなのダメだよ……!」

ユキコ「ううん。……お願い。ユキホさんならわかるでしょ?誰かの為になりたいっていう気持ち……」

雪歩「!」

真「………」

真「雪歩……ここはユキコに任せよう」

雪歩「ま、真ちゃん……?」

真「プロデューサー、それでいいですか?」

P「あ、ああ……その子がいいならいいんだけど……」

雪歩「ユキコさん、気をつけてね?」

ユキコ「う、うん!」ガクガク

真「ユキコ……」ダキッ

ユキコ「ま、マコトさんっ……!」

真「君には、結局何もしてあげられなかったね」ナデナデ

ユキコ「そ、そんな事ないです……!私……とっても楽しかったです!」ニコッ

真「ユキコ……」



ユキコ「じゃあ、私行きます!」

ユキコ「皆さんも、どうかご無事でっ!」


…ガチャ



「おおお!ユキホ様だ……!」

「ユキホ様!ユキホ様!ユキホ様!」

「オオオォォォォォォォォ!!」




真「……プロデューサー。今のウチに!」

P「よし、みんな行こう!」


タタタタ…



マスター「………あ、あれ?お会計は?」


ー 飛空艇 フタミ号 ー


真「プロデューサー、これからどうしますか?」

P「………」

真美「ピヨちゃん、ちょっとやりすぎっしょ……」

亜美「まさかこう来るとは思わなんだ」

亜美「こりゃ〜、この先もあばらの道ってカンジですな〜……」

P「イバラ、な」



P「………もしかしたら、音無さんは焦っているのかもな」

雪歩「どういう事ですか?」

P「本来、ゲームだと、味方キャラは次々に犠牲になっていって、ここまでストーリーを進めると5人に絞られているはずなんだ」

P「だが、今の俺達は、誰1人欠けていない」

亜美「そりゃ〜、兄ちゃんが亜美達を助けてくれたもんね」

P「ああ。ゲームではあり得ない事になってる」

P(そう考えると、ここまでストーリーが違うものになったのも、『俺』というイレギュラーな存在が原因なのかもしれないな)



P「音無さんの立場で考えてみてくれ」

真美「ピヨちゃんの立場で……?」

真美「う〜ん……真美がピヨちゃんだったら、『味方キャラが欠けてないなんて、ズルいっしょ〜!』って思うかな」

P「そう。味方キャラが多ければ多いほど、こちらの戦力が大きいって事だからな」

真「あっ!……もしかして小鳥さんは、ボク達に対抗してこんなひどい事をしたって事ですか?」

P「その辺は、俺も断言はできない」

P「あの人の性格なら、こういう事は率先して楽しむだろうし」

P「度が過ぎてこうなった、とも考えられる」

亜美「うん。ピヨちゃんならあり得るね」



P「俺が言いたいのは、みんなには充分気をつけてもらいたい、って事なんだ」

P「相手は、このゲームを熟知している音無さんだ」

P「何か、とんでもない事をしてきそうな気がするんだよ」



あずさ「あの〜……」



P「あずささん?どうしたんですか?」

あずさ「プロデューサーさんが言ってる事が、大切な事なんだろうな〜っていうのはわかるんですけど……」

あずさ「一つだけ、訂正してもらえませんか?」ニコッ

P「えっ……?」ゾクッ

P(な、なんだろう?俺、あずささんを怒らせるような事、言ったかな?)



あずさ「プロデューサーさんはさっき、『相手はこのゲームを熟知している音無さんだ』って言いましたよね?」

P「は、はい……」

あずさ「『相手』ではなくて、『仲間』の間違いじゃありませんか?」

P「あ………」

あずさ「小鳥さんは、敵ではないですよ?」

真美「あずさお姉ちゃん……」

あずさ「ただ、みんなと遊びたかった……きっと、それだけなんだと思うんです」

P「………」



雪歩「……あ、あの、私もあずささんと同じ気持ちですぅ」



真「雪歩……でも、小鳥さんはたくさんひどい事してきたんだよ?」

雪歩「うん。真ちゃん達は、きっと大変だったよね……」

雪歩「わ、私は、小鳥さんに直接ひどい事された訳じゃないから、こんな事言える立場じゃないかもだけど……」

雪歩「この世界に来て、私、最初はとっても恐くてさみしかったんだ……」

雪歩「ひとりぼっちだし、周りは知らない人ばかりだし、男の人はたくさんいるし……」

雪歩「だから、真ちゃん達に会えた時は、すごく安心したのを覚えてる」

雪歩「小鳥さんも……」

雪歩「こんな訳のわからない世界でずっとひとりぼっちで、とってもさみしい思いをしているんじゃないかな、って思うんだ……」

亜美「そっか……」

真美「そだね……」

真「………」



あずさ「……プロデューサーさん?」

P「……そうですね。また俺は、間違えるところでした」

P「試練の山で、あずささんに言われたばかりなのに……」

あずさ「いえ……。わかっていただければ、それでいいんですよ?」ニコッ

P「ありがとうございます、あずささん」

P「雪歩も、ありがとな。大事な事に気づかせてくれて」

雪歩「そ、そんな……わ、私なんて全然……」



P「とにかく、春香達と合流して…………ん?」チラ



…ビューーーン!



P「あれは……!」



ー バブイルの塔 B6F ー


スタスタ…

伊織「……ったく、相変わらず辛気臭いところねぇ……」

やよい「え?そうかなぁ?別に変なにおいなんてしないけど……」

伊織「……あのね、やよい。そういう『臭い』じゃなくて……」

やよい「??」

美希「………あふぅ」



美希「………ん?」ピクッ

美希「……ねえ、2人とも。あの扉の向こうに何かいるみたいだよ?」

やよい「何か?誰か、じゃなくてですか?」

美希「うん。何か」

伊織「魔物……って事ね」

伊織「上等じゃない。返り討ちにしてあげるわっ」



ガチャ…




ルビカンテ「………今日は客の多い日だ」チラ



伊織「あーーっ!あんたは、赤い悪魔っ!」ビシッ

やよい「うっうー!夜分おそくにおじゃましまーす!」

美希「……あっ、あの人……確か、シアちゃんの友達のゾンビの人!」

美希「久しぶりなのー!」



スカルミリョーネ「……ひ、久しぶ…り…」

カイナッツォ「ちっ!また人間か……」



ルビカンテ「何の用だ………と、言いたいところだが」

ルビカンテ「お前達の目的は、大体想像がつく」

ルビカンテ「お前達は、ハルカという娘を探しているのだろう?」

伊織「!」

伊織「……へぇ。あんたにしては察しがいいじゃない?」

伊織「わかってるんなら、さっさと教えなさい。春香はどこにいるの?」

ルビカンテ「………」



カイナッツォ「なんて口の聞き方だ!」

カイナッツォ「貴様には、四天王の恐ろしさを教えてやる必要がある様だな……!」

伊織「ふん!ノロマな亀の分際でこのスーパー忍者アイドル伊織ちゃんに楯突く気なのね」

伊織「いいわ。かかって来なさいっ!」

やよい「伊織ちゃん。そんな言い方、カメさんがかわいそうだよぉ……」

美希「ミキ、こーんなおっきなカメは初めて見たの」



カイナッツォ「ぐぬぬ……!なんて失礼な奴らだ!私の津波で……モゴッ!」

スカルミリョーネ「……は、話が先に進まな…い……」



ルビカンテ「………おい、話を進めていいか?」

伊織「あ………そ、そうだったわね」

やよい「どーもおさわがせしましたー」ペコリ

伊織「で?春香はどこにいるのよ?」

ルビカンテ「……その前に、お前達に聞きたい事がある」

伊織「……何よ?」



ルビカンテ「ハルカ、という娘は、お前達の何だ?」



伊織「何って、そんなの決まってるじゃない」

伊織「仲間よ。……とても、大切な」

美希「ミキにとっては、ライバルってカンジかなー?」

やよい「春香さんは、わたしたちのリーダーなんです!」

ルビカンテ「………」



ルビカンテ「ならば、その娘の為に、自分の命を張れるか?」



伊織「………」

やよい「?……あの、よくわからないですけど、わたしがんばりますっ!」

美希「うーん……」

美希(春香が死ぬ→ハニーが悲しむ→ハニーが悲しいとミキもすっごく悲しい……)

美希(それだけはダメなの!)

美希(ま、春香が死ぬなんてあり得ないけど……)

美希「ミキも、命かけてもいーよ?」

ルビカンテ「………そうか」

ルビカンテ「お前はどうだ、イオリ?」



伊織「……………愚問ね」

伊織「いい?仲間っていうのは、お互いがお互いを大切に想っているものなのよ」

伊織「自分が死んだら、自分の事を大切に想ってくれている人はどうなるの?とても悲しむでしょうね」

ルビカンテ「………」

伊織「だから、私は……簡単に『命をかける』なんて言わない。いえ、言える訳ないわ」

やよい「伊織ちゃん……」

美希「さっすがデコちゃん!模範回答ってカンジ?」

伊織「別に、ただ私の考えを言っただけよ」



ルビカンテ「………」





伊織「……で、そんな事聞いてどうするのよ?……まさか、魔物のあんたもついに友情に目覚めたとか?」

ルビカンテ「………まあ、そんなところだ」

伊織「えっ……?」

ルビカンテ「あの娘なら、この塔の1階を目指して登ってるだろう」

ルビカンテ「……バルバリシアと共に」

美希「!」

美希「ねえ!シアちゃんがいるの!?」ガシッ

ルビカンテ「あ、ああ……なんだ、お前、バルバリシアと顔見知りだったのか?」



美希「そっか……シアちゃん、生きてたんだ……!」

美希「ねえ、デコちゃん、やよい。早く上に行こうよ!」

美希「ミキ、シアちゃんに会いたいの!」

伊織「あんたねぇ……」

伊織「ま、いいわ」

伊織「悪いけど、私達はもう行くわ。教えてくれてありがと。じゃあね」クルッ

ルビカンテ「………待て」

伊織「何よ?まだなんかあるわけ?」



ルビカンテ「オレ達も共に行こう」



伊織「……………はぁ?」


今日はここまでです
時間が空いた割にあまり話が進んでない…
見てくれている方、すみません
次回はなるべく早く投下したいと思います


ー 地上世界 トロイア城 会議室 ー



アン「……ファブール王!ご無沙汰しておりますわ。ようこそおいでくださいました!」

ファブール王「久しぶりじゃの、アン殿。あの幼子が、ようここまで立派に成長なさった……。ご両親も、さぞかし喜んでいる事じゃろう」

アン「まあ、お恥ずかしいですわ。よしてください、昔の事など……」

ファブール王「しかし、よもやこんな形で再会する事になるとはな」

アン「ファブール王も、お変わり無い様で何よりです」



アン「どうぞ。こちらにおかけになってください」サッ

ファブール王「……かたじけない」



アン「もうじき、地底の王とミシディアの長老殿もいらっしゃると思いますわ」

アン「今しばらくお待ちを」

ファブール王「うむ」


ファブール王「………アン殿」

ファブール王「今回の事を、どの様にお考えかな?」

アン「………」

アン「とても……心を痛めております……」

アン「まさか、この様な事が起きるなんて……」

アン「ですが、決して希望が潰えた訳ではありません!我が国には、万夫不当の英雄がおります!」

アン「彼女さえいれば、魔物など恐れる事はありません」

アン「きっと、私達を導いてくれる事と思いますわ!」

ファブール王「うむ、聞いておるよ。強さの中にも優しさを湛えた、まるで聖母の様な少女だと……」

ファブール王「貴公の国は、その少女らに救われたそうだな」

ファブール王「若者が活躍するのは良い事じゃ」

ファブール王「これも時流というものなのか……。ワシの様な老兵は、そろそろ前線を退く時なのかもしれんな……」

アン「何をおっしゃるのですか!ファブールにこの人あり、と謳われたあなたがいたからこそ、この世界はここまで繁栄してこれたのです!」

ファブール王「それは言い過ぎじゃ。ワシは、自分の国すら守れなんだ」

ファブール王「守るべきを守れずして、何が王じゃ……」

アン「ファブール王……」

ファブール王「いや、すまぬ。年をとると、どうも不平が口をついていかん……」



アン(……やはり、王は相当自信を無くされている)

アン(これで、一角は崩れたも同然……)

アン(あとは、地底の王と長老様の出方次第ね……)


ー トロイア城 待合室1 ー



長老「ズズッ………」

店主「………」ソワソワ

ものまね士「………」ソワソワ




長老「ふぅ………」

店主「………」ソワソワ

ものまね士「………」ソワソワ




長老「都会の者も、なかなか美味い茶を淹れるもんじゃのう………」

長老「少し見直したわ」

店主「………」ソワソワ

ものまね士「………」ソワソワ




長老「ズズッ………」

店主「………」ソワソワ

ものまね士「………」ソワソワ




長老「………」コトッ

店主「………」ソワソワ

ものまね士「………」ソワソワ





長老「………」





長老「………ええい!少しは落ち着かんかっ!」

店主「うわっ!」ビクッ

ものまね士「ひぃ!」ビクッ


長老「まったく、いい大人が情けない……!」

店主「い、いやあ、オレ、こういう所は初めてでさぁ……」

ものまね士「そうそう、なんか居心地悪いって言いますか……」

長老「連れてけと言ったのはお主じゃろうが!」

店主「そ、そうだけどさ……」

店主「オレみたいな庶民が、世界の行く末を決める会議なんかに出ていいのか、って、今になって恐くなってきちまってさ……」




店主「……っていうかものまね士」

店主「あんたはもともとお城勤めだったはずだろ?」

ものまね士「はい、そうなんですけど……」

店主「緊張してんのか?」

ものまね士「店主さんが緊張してたので、なんかつられちゃって………あはは」

店主「なんじゃそりゃ……」

長老「はぁ……」



長老「……ま、気持ちはわからんでもない」

長老「じゃが、お主はカイポの者達を代表して来たのじゃろ?」

長老「男なら、覚悟を決めるんじゃ!」

店主「そ、そうだよな!うん」

店主「………よし!」グッ


店主「ごめんな、爺さん。無理言ってついて来た上に、迷惑かけちまって」

長老「まあ、気にするな。お主らとワシは、あながち繋がりがない訳でもないようじゃからの」

店主「うんうん。爺さんがハルカ達の知り合いだったなんて、ビックリしたよ!」

ものまね士「やっぱり、おじいさんもハルカ様達に力を貸したんですか?」

長老「……こんな老いぼれなぞ、大して力にはなれなかったが、な」

店主「そんな事ないさ!ハルカ達は、きっと爺さんに感謝してると思うぞ?あいつら、人の好意は絶対無にしないもんな!」

ものまね士「ええ!ハルカ様達は、とっても優しくてステキな方達ですもの」

長老「……ずいぶん肩入れしとるんじゃのう?」

店主「ああ、まあ……ハルカ達とはいろいろあったからなー」

ものまね士「不思議な人達ですよねぇ……」

店主「なんていうか、あいつらと一緒にいると笑いが絶えないっていうか……」

店主「人を笑顔にする天才なんだよなー」

ものまね士「また、お会いしたいなぁ……」

長老「ふむ……」ズズッ

長老(暗黒騎士ハルカ………)

長老(……いや、今は聖騎士じゃったな。やはり、あの時感じた通りじゃ)

長老(人を惹きつける、不思議な雰囲気を纏っておる)

長老(現に、ここにも惹きつけられた者達が……)



長老(……ま、何を隠そう、このワシもそのひとりなんじゃが)


長老「……ところで気になったんじゃが、そなたも会議に出席するのか?」

ものまね士「………へっ?」

店主「あ、そうだよ。ものまね士、あんたはどうするんだ?」

店主「バロン代表として出るのか?」

ものまね士「ち、違います……」

店主「そっか。じゃあ留守番だな」

ものまね士「そ、それも、違いますっ……!」

店主「は?じゃあ、いったいどうするつもりなんだ?」

ものまね士「そ、それは……えっと……」

ものまね士「………」






ものまね士「て、店主さんの妻として、会議に出席するつもりですっ!!」






店主「なーんだ、そっか。オレの妻として………」

店主「って、えええぇぇええっ!!?」ガタッ

店主「なななな、何言ってんだよあんた!?」

ものまね士「に、二度も同じ事を言わせないでくださいよっ!た、ただでさえ、すっっっごい恥ずかしいんですからっ……///」カァァ

長老(若いのう……)


店主「だ、だって、オレの妻って………そんな、いきなり言われても……」

ものまね士「あ、あのっ……て、店主さんは、いやですか?わ、私なんかが、つ、妻、だなんて……///」モジモジ

店主「う……」



長老「……おい。女に恥をかかせる気か?」ヒソヒソ

店主「じ、爺さん……!?」ヒソヒソ

店主「いや、えっと、その………」ヒソヒソ

長老「据え膳食わぬは……という言葉もある……」ヒソヒソ

店主「………」



ものまね士「……グスッ!す、すみませんっ……私、こんな事言うつもりじゃっ……」ウルッ

ものまね士「め、迷惑、ですよね……ひぐっ……!」ポロポロ



店主「あー、えーっと……」


店主「……そ、そういえば、ちょうど探してたんだよなー」




店主「白魔道士のクセにケアルラとエスナしか使えないし、やたら腕っ節が強くて、ヤキモチ焼きで、ドジで、世間知らずで……」



ものまね士「………っ!?」ポロポロ



店主「……真面目で、何事にも一生懸命で、思いやりがあって……」

店主「『ものまね士』なんて変なアダ名を付けられた、薪割りが得意な……」

店主「そんなヤツが女房になってくれたら、人生楽しいだろうなー」チラ



ものまね士「うっ………ひぐっ!」ウルッ

ものまね士「〜〜〜っ!」ポロポロ

ものまね士「でんじゅざぁぁぁぁんっ!」ダキッ

店主「は、はは……」ナデナデ

店主「……ったく、このタイミングで言うかよ、そんな大切な事……」

ものまね士「だっでぇ〜!はなれだぐながっだんだもんっ……!」ギュッ

店主「あ〜あ……」



店主(ホントは、オレから言おうと思ってたのになぁ……)



長老「ふふふ、めでたいのう!」ニコッ

店主「爺さん……」

長老「安心せい。お主らの契は、ワシがしかと見届けた!これで晴れてお主らは夫婦となったのじゃ!」

ものまね士「うわああぁぁぁん!!」ポロポロ

店主「な、なあ、それなんだけどさ。もう一回やり直せないか?」

長老「なぜじゃ?まさか不服でもあるのか?」

店主「いやあ、女にプロポーズさせるなんてカッコつかないなぁって……」

長老「小さい事を気にするでない。プロポーズなぞ、ただのきっかけに過ぎんのじゃから」

長老「大切なのは、これから紡ぐ2人の時間じゃよ」

店主「でも、なんだかなぁ……」

ものまね士「うっく……うふふ〜」グスッ

店主「あんたは、泣くのか笑うのかどっちかにしろよ……」

ものまね士「だって……グスッ……嬉しいんっ……ですもん……!」ニコッ

長老「なかなかお似合いじゃぞ?」

店主「あはは、ありがとな」


ものまね士「えへへ〜」ギュッ

店主「お、おい、ちょっと離れろって……」

長老「お熱いのう」

店主「ひ、冷やかすなよ爺さん〜!」

長老「いや、すまんすまん」



長老「……じゃが、本当に幸せにな」

長老「こんな世界じゃ。お主らの幸せが周りに少しでも伝わって行けばいいと思ってな」

店主「爺さん……」

ものまね士「もちろん、この幸せはたくさんの人達におすそ分けしたいと思いますよ!」ニコッ

店主「うん……そうだな」



長老「……しかし、迎えが遅いのう」

長老「いったいどれだけ待てば良いのか」



…ガチャ




トロア「………大変お待たせしました。会合の席へどうぞ」



長老「ふむ、ようやくか」ガタッ

店主「や、やべ、緊張してきた……」ドキドキ

ものまね士「もう、しっかりしてくださいよ〜」



トロア「失礼ですが、従者の方はこれより先はご遠慮願えますか?」

店主「あ、いや……」

ものまね士「ええと……」

長老「ああ、紹介しとらんかったな」

長老「こちらの御仁らは、砂漠の村カイポの代表と、その奥方なんじゃ」

トロア「なんと、そうでしたか!」

トロア「ご無礼をお詫び致します」ペコリ

店主「い、いや、いいって!頭上げてくれよ!」

トロア「会合にご参加いただける事、心からお礼申し上げます」



トロア「どうか、姉上を止めてください……」ボソッ



店主「………えっ?」

長老「………?」



トロア「こちらです。ご案内致します」スッ


ー トロイア城 待合室2 ー



老婆「ふぅむ………」ジロジロ



ルカ「あ、あの、お祖母様?そんなに見つめられると、恥ずかしいのですが……」

老婆「……不思議だねぇ。見れば見る程『あの娘』にそっくりだ。本当にお前の娘なのかい?」

ジオット「ええ。紛れもなく私の血を引いています」

ジオット「……まあ、これの母親は、すでに他界していますが」

老婆「………」

ルカ「……お祖母様、『あの娘』とは?」

老婆「……知り合いに、リボンの似合う娘がいてね。あんまりお前さんにそっくりだったから、驚いたんだよ」

ルカ「リボンって、まさか……」

ルカ「ハルカさんの事ではないでしょうか?」

老婆「ほう、知っているのかい?」

ルカ「ええ。ハルカさんとは……お友達、ですから」ニコッ

ジオット「ハルカ……そうか。バブイルの巨大砲を破壊してくれた娘の事か」

老婆「何やら面白そうな事があったみたいだね。あたしにも話しな」

ジオット「実は……」




老婆「……なるほど。あの娘達、地底でも大活躍だったんだねぇ」

老婆「ふふふ、さすがあたしが見込んだ娘達だ!」

ジオット「母上が特定の人間に肩入れするなど、珍しい事もありますね」

老婆「あの娘達はね、そこらの娘とは違うんだよ」

老婆「魔物どもに壊されちまったこの世界を救う事ができる唯一の希望だと、あたしは考えてる」

ルカ「希望……」

ジオット「確かに、不思議な雰囲気を持った娘達でした」



ジオット「……しかし、まさか地上がこれほど魔物どもに侵略されていようとは……」

老婆「………」

ルカ「お父様。今こそ、地上と地底の民が力を合わせる時なのでは?」

ジオット「うむ。そうかもしれんな。母なる大地の為、我々ドワーフも戦おう!」



老婆(力を合わせる、か……)

老婆(果たして、そううまく事が運ぶかねぇ……?)

老婆(こういう非常時には、決まって欲を出す輩が出てくるもんだ)



…ガチャ



ドゥ「……大変お待たせしました。会合の席へご案内致します」

ドゥ「どうぞこちらへ」スッ



ジオット「よし。行くぞ、ルカ」

ルカ「はい、お父様」

ジオット「さ、母上も……」



老婆(……さて、何が起こるか……)



スタスタ…



ー 飛空艇 エンタープライズ ー




響「プロデューサー!みんな……!」




亜美・真美「ひびきん!?」

P「響!なんでここに?春香や律子達と一緒にいるんじゃなかったのか?」

響「ううっ……!みんなぁ……。貴音と律子が……っ!」グスッ

あずさ「……とりあえず、落ち着きましょう。ね?」

雪歩「あの、響ちゃん。お茶、飲む?」スッ

響「うぅ、ありがと……」

響「ズズッ……」



響「………」

P「……落ち着いたか?」

響「うん……」

真「響。何があったのか話してよ。ゆっくりでいいからさ」

響「うん……」





響「みんなと別れた後、最後のクリスタルは春香達に任せて、自分と貴音と律子は魔導船を回収しに行ったんだ」

響「そしたら、あのすごく高い塔から、いきなり大っきいロボが出てきて……」

亜美「兄ちゃん、大っきいロボって……」

P「ああ。……多分、バブイルの巨人だろうな」

響「それで、魔導船に乗り込んだ貴音と律子は、その巨大ロボに撃ち落とされちゃって……」

雪歩「そ、そんな……!」ギュッ

真「………」

響「自分も、エン太郎と一緒に応戦したんだけど……ロボがもう1体出てきて……」

P「えっ?」

真美「もう1体って……ど、どゆこと?」

響「自分、2人を置いて、逃げて来ちゃったんだ……」

あずさ「大変だったのねぇ、響ちゃん……」


響「……でも、みんなに会えて良かったぞ!」

響「自分、2人を探しに行きたいんだ!一緒に、来てくれないかな?」

真「もちろんだよ!響ひとりで行かせるわけないじゃないか!」

雪歩「わ、私も一緒に行くよ、響ちゃん!」

あずさ「……そうね。みんなで行きましょう?」

響「みんな……!」



亜美「巨人って、1体だけじゃなかったんだ……」

真美「まさか、そんなにいるなんて……」



響「………」

響「……あのさ、亜美、真美。恐かったら、2人はここにいてもいいんだぞ?自分達があの巨大ロボを……」



亜美「……なーに言っちゃってんのさ、ひびきん!」

真美「真美達、コワイなんて一言も言ってないぢゃんか!」



響「えっ?」

真美「んっふっふ〜!むしろ、待ってたんだよ?こーゆーピンチをさっ」ワクワク

亜美「やーっと亜美達の出番ってわけさ!こりゃーもう、ハデにあばれるしかないっしょー!」ワクワク

響「そ、そうなの?」

真「亜美と真美はずっと大人しくしてたもんね。そろそろイタズラしたくなってきたんじゃないかな?」

真「……魔物達にさ!」

亜美・真美「もっちろん!!」

響「……うん!2人のイタズラがあれば、心強いさー!」



P「………」



P「…………響。巨人はどこへ向かうかわかるか?」

響「えっ?いや……どうだろ。自分、逃げるのに必死だったから……」

響「でも、巨大ロボに乗ってた魔物は、『人間を滅ぼす』って言ってたんだ」

響「だとしたら、多分……」

P「もう、地上はこの国しか生き残っていない」

P「恐らく、ここに攻めて来るだろうな」


P「みんな、聞いてくれ」

P「巨人と戦うにあたって、パーティを二つに分けたいと思うんだ」



真「二つに……?敵を挟み撃ちするって事ですか?」

P「いや、そういう意味じゃないんだ」

雪歩「じゃあ、どういう……?」

P「うん……」

P「響が見た巨人は、2体だったよな?」

響「うん。最初に出て来たやつも大っきかったけど、後から来たやつは、もっともっと大っきかったぞ!」

P「本来のストーリーなら、巨人は1体しか出てこないはずだが……」

亜美「きっと、ピヨちゃんが増やしたんだろーね」

P「そうだろうな」

P「それに、巨人が響の見た2体だけとも限らない」

響「えっ?」

P「もし俺達が全員で律子と貴音を探しに行って、すれ違いで巨人がこのトロイアに攻めて来たら、どうなる?」

雪歩「この国の人達が………危険ですぅ!」

P「その通りだ」



P「この世界は、ゲームの世界。現実にはあり得ない世界。言ってみれば俺達は今、夢を見てるのと変わらない」

真「………」

P「俺達が現実に帰ったら、普段見る夢と同じ様に、この世界での出来事も忘れてしまうんだろうな」

響「………」

P「でも、この世界の人達は、実際にちゃんと生活してるし、産まれて、死んでゆく。ただ住んでいる世界が違うだけで、俺達と何も違わない」

亜美・真美「………」

P「それにみんなは、この世界の人達と、いろいろ助け合ってここまで来たと思う。もう、この世界の人達はみんなにとって『仲間』って言ってもいいんじゃないかな?」

雪歩「………」

P「だから………守ろう!仲間を!」

あずさ「プロデューサーさん……」



P「この世界は、お前達アイドルが守るんだ!」




アイドル達「はいっ………!」





響「……じゃ、行ってくるぞ!」

あずさ「きっと律子さんと貴音ちゃんを見つけて来ますね〜」

亜美「みんな、大魔道士亜美がいなくて不安かもしんないけど、ちゃーんとこの国を守るんだよっ?」

真「大丈夫。こっちは任せてよ!」

真美「白魔法のエキスパート、超大魔道士真美がいれば、なんくるないモンねっ!」

雪歩「わ、私も、頑張りますぅ!」



P「2人を見つけたら、深追いしないで戻って来るんだ」

P「3人とも、よろしく頼んだぞ!」



響・あずさ・亜美「はいっ!!」




ブワッ…



ババババババ…




雪歩「大丈夫かな、3人とも……」

真「心配いらないよ。きっと」

真美「そーだよゆきぴょん。不死身のあずさお姉ちゃんもいるんだしさっ!」

雪歩「えっ?ふ、不死身……?」



真「あの、プロデューサー?この振り分けは、何か意味があるんですか?」

P「そんなに深い意味はないよ。バランスを考えて分けただけなんだ」

真「バランス、ですか」

P「ああ。向こうの捜索チームは巨人と空中戦になるかもしれないから、遊撃できるメンツを揃えた」

P「で、トロイアを守るこっちのチームは、守りの雪歩。サポートの真美……」

P「そして、真。お前がこっちの攻撃の要だ」

真「………!」

真「……わかりました!」




P(さて、とりあえず対巨人の布陣は出来たが……)

P(巨人が復活したという事は、クリスタルが揃ってしまったという事)

P(つまり、春香達は、ストーリー通りに……)

P(そうだとしたら、千早は……)

P(心配だが、今は身動き取れない)

P(いや……大丈夫だ、春香達なら)

P(信じてるぞ、みんな!)



間があいてしまい、すみません
少ししたら後半戦投下します


ー バブイルの塔 B4F ー




…ビューーンッ!

美希「わあ!早い早い!」

美希「スーちゃん、もっと飛ばすの〜!」

スカルミリョーネ「……わ、わかっ…た……!」

美希(千早さん、シアちゃん、待っててね!)

美希(春香……)

美希(無事でいないと………許さないの!)ギュッ




タタタタ…

伊織「ちょっと、赤い悪魔!もっと急ぎなさいよ!美希に負けてるじゃないっ!」ペチペチ

ルビカンテ「……あのな、スカルは飛べるからオレより早いのは当たり前だ」

ルビカンテ「それに、お前達が走るよりは何倍も早いと思うが?」

伊織「言い訳なんて見苦しいわよ!さあ、急ぎなさい!」ペチペチ

ルビカンテ「……わがままなヤツだ」




ノソノソ…

カイナッツォ「く……お前達、ちょっと待てぇっ!」

やよい「あのー、カメさん?もう少しだけいそいでもらえませんかー?」

カイナッツォ「う、うるさいっ!これでも全速力だっ!」

やよい「そうなんですかー……」

やよい「すみません、わがまま言っちゃって」

カイナッツォ「ちっ!なんで私が人間を乗せて走らねばならんのだっ!」

やよい(これなら、わたしが走った方が早いかなーって)




ー バブイルの塔 1F 次元エレベータ ー



タイダリアサン「……じゃあ、私もそろそろ出撃しますので」

タイダリアサン「ルナ、それではお先に〜」



ゴゴゴゴ…ズシィン!




ルナザウルス「……さ〜て、自分達もそろそろ行くッスよ〜!準備はいいッスか?」

千早「………」

ルナザウルス「諦めるッスよ。今はあんたはこちら側なんスから」

ルナザウルス「自分達に従うしか道は……」



ヒューーー…



ドゴオォォン!



ルナザウルス「……ん?なんスか?」チラ



春香「……痛たたた……」



千早「!!」



…ビュオオ!スタッ

バルバリシア「……ハルカ。あなたって、意外と鈍臭いのねぇ」

バルバリシア「せっかくの登場シーンなんだから、もっと優雅にできないのかしら?」

春香「そ、そんな事言ったって、こんなの、ジェットコースターから飛び降りるくらい無茶ですよぅ……!」ヨロッ


千早「……春香っ!」

千早「……と、バルバリシア?どういう事……?」



春香「千早ちゃんっ!迎えに来たよっ!」

バルバリシア「こっちにもいろいろ事情があってね」



千早(来て……くれた……っ!)

千早(でも………)



ルナザウルス「あれま……。意外に早い到着ッスね」

ルナザウルス「しかも2人だけとか、完全に舐められてるッス」



バルバリシア「2人?勘違いしないで欲しいわね。私はハルカをここまで案内しただけ」

バルバリシア「あなたの相手は、この子ひとりよ!」

春香「ええぇっ!?流れ的に、一緒に戦ってくれるんじゃないんですか!?」

バルバリシア「あらあら、ちょっと考えが甘いんじゃない?もともと私達は敵同士。ここまで連れて来てあげただけ感謝しなさい」

バルバリシア「あなたの勇姿を、ここで見ててあげるわ」ニコッ



バルバリシア(……この魔物達とは、お互いの邪魔をしないという『協定』を結んでいる)

バルバリシア(手を貸してあげたいけど、できないのよ……)


春香「そっか………うん、そうだよね……」

春香「………わかりました!」

春香「ありがとうございました、バルバリシアさん!」ペコリ

バルバリシア「お礼を言うのはまだ早いんじゃないかしら?」チラ



ルナザウルス「うーん……」

ルナザウルス「あの金髪娘ならまだしも、なんかトロそうな娘がひとりだけ……」

ルナザウルス「こんなの、自分が出るまでも無いッスね!」

ルナザウルス「さあ、竜騎士。行くッス!」

千早「くっ……!」

千早(ダメ……やっぱり、逆らえない……!)



千早「春香……!」チャキッ

千早「逃げてっ!」タンッ



…フワッ



バルバリシア(ハルカ……今は、あなただけが頼りよ……!)



春香「千早ちゃんっ!」


春香(やっぱり、あの時みたいに自分の意識とは無関係に……)

春香(だったら………!)



春香「……っ!」チャキッ




千早「くっ……!」



ヒューー…



ガキィンッ!



千早「なっ……!」

春香「くぅ……っ!」ググッ

春香「さ、さすがは千早ちゃんのジャンプ攻撃だね……!すごい威力……!」ヨロッ

千早「春香……!」ググッ



ルナザウルス「ジャンプ攻撃をまともに受け止めたッスか。そこそこやるッスねぇ」

ルナザウルス「でも、どうするッスか?その竜騎士は命令には逆らえないッス。殺してしまうしか道は無いッスよ〜?」



春香「そんな事、ないですよっ……!」

春香「えいっ!」グイッ



千早「きゃっ……!」ヨロッ



千早「………」チャキッ

千早「春香、逃げて!今の私は、あの時と同じ。あなたを殺すまで……!」



春香「ううん、逃げないよ!」

春香「私はいつだって、千早ちゃんの全てを受け止める」

春香「だって千早ちゃんは……!」



春香「大切な、仲間だもんっ!」



千早「春…香……っ!」



バルバリシア(あの子、鈍臭いと思ってたけど普通に戦えるのね)

バルバリシア(仲間……か)

バルバリシア(………)


春香「えいっ!」ブンッ


千早「くっ!」


ガキィン!


春香「やあっ!」ブンッ


千早「甘いわ!」ヒョイッ


千早「はっ!」ブンッ


春香「わわっ……!」


ジャキィン!


春香「あ、危なかったぁ……」ドキドキ



千早「ふぅ……」

千早「春香………強くなったわね」


春香「ううん。千早ちゃんの方こそ!」ニコッ


千早「こんな時に笑うだなんて……。わかっているの?今、私達は……」


春香「わかってるよ。でも、あの時も言ったよね?」

春香「『私は、千早ちゃんに殺されないし、私は、千早ちゃんを殺さない』って……」

春香「絶対に、私は千早ちゃんを無事に連れて帰るから!」


千早「春香……」

千早「でも、このままじゃ……」



春香(うん。それもわかってるよ。まずは千早ちゃんの洗脳をどうにかしないと……!)




千早「くっ……!」ダッ


ヒュンッ…



春香「!」ダッ


ザシュッ!



春香「……痛っ……!」ヨロッ

春香(反応し切れなかった……)



千早「………」スタッ

千早(攻撃が、春香に当たってしまった……)



春香「……え、えへへ……」ニコッ

春香「そんなに心配そうな顔をしないで?私は全然平気だよ?」



千早「春香……」グッ

千早(私は、どうすれば……?)



春香「ふぅ……」

春香(さすが千早ちゃん)

春香(あのスピードでまっすぐ飛んで来られたら、反応し切れないよ……)

春香(でも……)



千早「……くっ!」ブンッ


春香「わっ……!」


ガキィン!



春香(絶対に……!)



春香「えいっ!」ブンッ


ガキィン!


春香(……諦めないっ!)



ルナザウルス(んー、見たところ、あの2人の実力は同じくらいッスか)

ルナザウルス(ここはあの竜騎士に足止めをお願いして、自分もさっさと出撃するッス)クルッ

スタスタ…



バルバリシア「……待ちなさい!」



ルナザウルス「………」チラ

ルナザウルス「……邪魔するッスか?」

ルナザウルス「あんた達とは、『お互いの邪魔をしない』という協定を結んだって聞いてるッスけど?」

バルバリシア(そんなの、ただの口約束よ)

バルバリシア(でも、だからと言ってそれを簡単に反故にしてしまっては、ウチのリーダーの立つ瀬が無くなってしまうわね)



バルバリシア「……それはわかっているわ。ただ、聞きたい事があるの」

ルナザウルス「聞きたい事?」

バルバリシア「他のヤツらはどうしたの?」

ルナザウルス「あー、他の3人ならとっくに出撃したッスよ!今頃はトロ…なんとかって国へ向かってると思うッス!」

バルバリシア「そう……」

バルバリシア(あんなデカブツが複数相手じゃ、リツコ様でもお手を煩わすでしょう)

バルバリシア(今ここで、一体でも数を減らせれば……)

バルバリシア(かと言って、私が直接手を下すワケにはいかない。頼りのハルカも、チハヤ相手に手一杯………か)

バルバリシア(あまりスマートな手段とは言えないけど、ウチのリーダーの顔を立てつつ私がこいつを引き止めるには、これしかない)



バルバリシア「あなた達の目的はなんなの?」


ルナザウルス「目的?そんなの知らないッス!自分達はコトリ様に言われた事を実行しているだけッスから」


バルバリシア(……やっぱり)


バルバリシア「ふぅん……じゃあ、あなた達の意思はそこには無いのね」

バルバリシア「………可哀想に」

バルバリシア「ただ、命令に従うだけ。そこの無駄に大きい木偶人形と、何も変わらないわね」チラ



巨人「………」



ルナザウルス「うん………?」

ルナザウルス「なーんかカチンと来る言い方ッスねぇ?もしかして、ケンカ売ってるッスか?」


バルバリシア「さあね……?」



ルナザウルス「言っとくけど、あんたひとり消すくらい、ワケないッスよ?」


バルバリシア「あら?いいのかしら?『協定』はどうしたの?」


ルナザウルス「むむっ……!やっぱりケンカ売ってるッス!」



ルナザウルス「そんなに死にたいんスかぁ……?」ゴゴゴゴ…



バルバリシア「………っ!」ゾクッ

バルバリシア(誘いに乗って来たはいいけど………なんて殺気……!)

バルバリシア(私よりも格上か……)

バルバリシア(……でも、これで私が手を出す口実はできた。あとは、ルビカンテ達を信じるしか……)



バルバリシア「はぁ………」

バルバリシア「月の魔物って、誇りも持っていないのね?なんかガッカリだわ……」



ルナザウルス「!」ブチッ

ルナザウルス「その言葉は聞き捨てならないッス。もう、謝ったって許してやらないッス!」



ルナザウルス「あんた……」

ルナザウルス「………吐いた唾飲み込むんじゃねえッスよ……?」ゴゴゴゴ…



バルバリシア「っ……!」

バルバリシア(もう、戻れない……!)



ルナザウルス「死にさらせあああー!」ダッ



バルバリシア「はああああっ!」ダッ



…ガキィンッ!



春香「バルバリシアさんっ!?」



春香(見てるだけって言ってたのに、手伝ってくれるんだ……!)

春香(美希が懐くだけあって、やっぱりいい人なんだなぁ……)



千早「……春香、よそ見してはダメ!」ブンッ


ザシュッ!


春香「うぁ……!」ヨロッ

春香(わ、私の、バカぁ……!)



千早「………」チャキッ


春香「っ……!」ヨロッ


春香「………」チャキッ



千早「私は………全て春香に委ねるわ」


春香「えっ……?」


千早「春香、言ったでしょう?『私の全てを受け止める』って」


春香「千早ちゃん……」


千早「だから、私も……」ジリッ



千早「私の全てを、あなたにぶつけるっ!」ダッ

千早(だからどうか、私を止めて……!)

千早(春香……!)



春香「………うんっ!」ダッ



ガキィンッ! キィン! バキィッ!



春香・千早「やああぁぁぁぁ!!」



ドゴオオォォォォン…!





ー 月の地下中心核 ー



クルーヤ「………」

ダークバハムート「………」



クルーヤ「………ねえ、バハムート」

ダークバハムート「……なんだ?」

クルーヤ「ハルカ達光の戦士は、コトリさんと知り合いなんだよね?」

ダークバハムート「………うむ」

ダークバハムート「タカネはコトリの事を知っている風だった。恐らく、光の戦士達は皆コトリの知人………いや、それ以上の関係やもしれん」

クルーヤ「ふーん……」

ダークバハムート「……それがどうかしたのか?」

クルーヤ「………」

クルーヤ「いやぁ、コトリさんも大変だなーって思って」

クルーヤ「知り合いと戦うなんて、さ」

ダークバハムート「他人事の様に申しておるが、お前とて同じような立場ではないか?」

ダークバハムート「戦うのであろう?自分の娘達と」

クルーヤ「あはは、それもそうかー」



クルーヤ「……でも、それは君も同じだよね?」

クルーヤ「タカネちゃん……だっけ?コトリさんの話だと、君はその娘とずいぶん懇意の仲みたいじゃないか」

ダークバハムート「む……コトリの奴め、余計な事を……」



クルーヤ「僕、思うんだ」

クルーヤ「これもひとつの試練なんじゃないか、って」

ダークバハムート「試練……?」

クルーヤ「時代の転換期には、いつだって古いものが淘汰されて、新しいものが生まれていく」

クルーヤ「だから、僕ら『旧世代』とハルカ達『新世代』が戦う事は、ある意味逃れる事のできない運命なんだ」

クルーヤ「ハルカ達は……いや、これからを生きようとする全ての生物達は、それを乗り越えなきゃいけない」

クルーヤ「乗り越えなければ、新しい世界へは辿り着けないんだよ」

ダークバハムート「……なるほどな」

ダークバハムート「つまり、我らは咬ませ犬、というわけか」

クルーヤ「うーん、言い方は悪いけど、まあそうだね」


ダークバハムート「クク………悪くない……」

ダークバハムート(我が、タカネの糧となれるのならば……!)




クルーヤ「えっ?」

ダークバハムート「独り言だ、気にするな」

ダークバハムート「それよりクルーヤ」

ダークバハムート「タカネとは、我が戦う。これは譲れんぞ」

クルーヤ「はいはい、横取りなんてしないってば」

クルーヤ「相当お気に入りなんだねぇ」

ダークバハムート「まあ、な」



クルーヤ「………さーてとっ!」

クルーヤ「バハムート、久しぶりに飲まないか?コトリさんも誘ってさ」

ダークバハムート「お前の酒癖が………いや、偶には良いかもな」

ダークバハムート「わかった。付き合ってやろうぞ」

クルーヤ「はは〜。ありがたき幸せ〜」

クルーヤ「さ、そうと決まったら早速小鳥さんのところへ行こう!」



スタスタ…



ー 月の中心核 コトリの部屋 ー



クルーヤ「おーい、コトリさーん。お酒でも一緒に……」




「……ひとつーうまれたーたねー……」




ダークバハムート「!」

ダークバハムート「クルーヤ、少し黙るのだ」

クルーヤ「えっ?」




「よわくーちーいさいけーれどー……」




クルーヤ「あれ、これは……」

ダークバハムート「歌……」





小鳥「……つよくーいーまをーいーきーてるー♪」

小鳥「やーがーてつーちーをおしあーげてー♪……」






クルーヤ「コトリさん……」

ダークバハムート「………」

ダークバハムート(なんだ、この高揚感は……?)


いつか咲こう きっと 諦めないで


葉を広げて うんと 茎を伸ばして


高くたって ゆける まっすぐに芽を




小鳥「かぎりー……ないあしーたーへむけてゆこー♪……」




小鳥「………ふぅ」

小鳥「たまーに歌いたくなっちゃうのよねぇ」

小鳥「まあ、聴いてくれる人なんて、いないんですけどね……」シュン




……パチパチパチパチ!



小鳥「……えっ?」



クルーヤ「コトリさん、すごいよ!」

ダークバハムート「まさか、コトリにこの様な特技があったとはな」



小鳥「ふ、2人とも……!」

小鳥「き、聴いてたんですか!?」



クルーヤ「はい!僕、なんていうか……胸にグッときました!」

ダークバハムート「まあ、悪くなかったのではないか?」



小鳥(うわぁ……は、恥ずかしいところを見られちゃったなぁ……///)


クルーヤ「コトリさん、吟遊詩人になれたんじゃないですか?」

小鳥「ぎ、吟遊詩人ですか?」

小鳥(あ……そうか。この世界で歌を歌う人っていったら、吟遊詩人なのね)



ダークバハムート「コトリよ。そなたの歌には、なかなかの魔力が宿っているのだな」

小鳥「えっ?そ、そんな事はないと思いますけど……」

ダークバハムート「いや、そなたの歌を聴いていて、我は、何故か妙な気分になった」

ダークバハムート「きっとそなたの歌には、何か状態異常を付加する効果が……」

小鳥「そ、そうなんですかね……」

クルーヤ「バハムート。状態異常じゃないよ、それは」

ダークバハムート「……何?」

クルーヤ「そりゃあ、聴いた人を混乱させたりする歌とかもあるけどさ」

クルーヤ「コトリさんの歌は、そういうのとは全然違う」

クルーヤ「聴いた人に、感動を与えてくれるんだ」

小鳥「く、クルーヤさん、そんなにヨイショしたって、何も出ませんよ?」

小鳥(その言葉は、飛び上がるほど嬉しいんですけどね!)



ダークバハムート「感動……か。人間の感情とは、やはり難しいものだな」



ダークバハムート「コトリよ。すまなかった。そなたを貶めるつもりはなかったのだが……」

小鳥「あ、謝らないでくださいよ。私、気にしてませんから」ニコッ

ダークバハムート「そなたの歌を聴いて、悪い気がした訳ではない。寧ろ、礼を言いたいくらいなのだ」

ダークバハムート「理由は分からぬのだが、な」

小鳥「バハムートさん……」

クルーヤ「バハムート。それが『感動』ってヤツだよ」

ダークバハムート「……そうなのか?」

クルーヤ「うん。いやあ、だんだん俗っぽくなってきたねぇ、バハムートも」

クルーヤ「友人としては、嬉しい限りだよ!」

ダークバハムート「ふむ……」



小鳥(うふふ、やっぱり仲良いなぁ、2人とも)

小鳥(今度、この2人を題材にして何か描こうかなぁ)


小鳥「あ、ところで、お2人はどうしてここへ?私に何か用事ですか?」

クルーヤ「おっと、忘れてた」

クルーヤ「お近づきの印に、ご一緒にお酒でもと思いまして」トンッ

クルーヤ「どうですか?」ニコッ

小鳥「い、いいんですかっ!?」

ダークバハムート「遠慮する事はないぞ、コトリよ」

ダークバハムート「クルーヤは、自分が呑みたいだけなのだからな」

クルーヤ「そ、それは……」



小鳥(まさか、美男子2人(?)とお酒を呑めるなんて……)



小鳥(私……生きてて良かったぁ!)




ーーーーーー

ーーー



小鳥「……だぁかぁら〜、わらひがせかいをほろぼしちゃうっていってるんれすよぉ〜」ヒック

小鳥「がお〜っ!せかいをたべちゃうぞ〜!」

クルーヤ「あははは!恐い!コトリさん恐いよ〜!」

小鳥「わたひのちから、みせちゃいますよぉ?びっぐばーん!な〜んて……」ヒック

クルーヤ「いよっ、コトリさん!さすが暗黒の化身っ!」

ダークバハムート「………」グビッ



小鳥「あ〜、ばはむーちょさん、なにひとりでさみしくのんでるんれすかぁ!」ガシッ

ダークバハムート「……楽しそうだな、コトリよ」

小鳥「えへへぇ〜、もちろんれすよ〜!」ヒック

小鳥「あっ……!」ガタッ

ダークバハムート「む。どうした?」



小鳥「音無小鳥、歌いまーす!」

クルーヤ「待ってました〜!」パチパチ





小鳥「私は音無小鳥ですっ♪」

クルーヤ「いぇいっ!」

小鳥「口元のホクロがトレードマーク♪」

小鳥「明るく前向き近距離通勤♪」

小鳥「一日三回妄想しますっ♪」

クルーヤ「いぇいっ!」

ダークバハムート「………」グビッ




ダークバハムート(こうなるとは思っていたが……)




小鳥・クルーヤ「一致団結〜♪団結〜♪時に衝突〜♪」

小鳥・クルーヤ「後くされ〜ない〜よに〜♪……」




ダークバハムート(……ま、悪くはないか。偶には、な)






小鳥・クルーヤ「……だって私は♪ラス〜ボスだから〜♪」





今日はここまでです
次は……
近いうちに……

このままやってこのスレで終われそう?

>>160
ファイナルってタイトルに付けた手前、終わらせないと…
なんとかします


ー トロイア城 会議室 ー


アン「……皆様。遠路はるばるお集まりいただき、感謝致しますわ」


ファブール王「………」

ジオット「………」

ルカ「………」

長老「………」



アン「何名かの方は、こちらの招待の是非に関わらず、自力でいらっしゃった様ですけれど……」チラ



ものまね士「えへへ、どうも」

店主「いや、別に褒められた訳じゃないと思うぞ?」

老婆「………ふん」



アン「まずは、皆様のご無事を、心よりお喜び申し上げます」

アン「それぞれの国の指導者を失っては、民は迷子になってしまいますものね」

長老「……じゃが、すでに多くの民の命が、魔物どもにより奪われておる」

長老「もちろん、若い命も……」

ファブール王「……そうですな。我々の様な老い先短い者が生き残るよりは……」

ジオット「………」


アン「いいえ。指導者が生きていれば、再び国を立て直す事もできます」

ルカ「え?でも……」

ルカ「民あってこその国なのでは?」

アン「………」チラ

ルカ「あ……す、すみません、若輩者が、出過ぎた事を……」

アン「良いのですよ」ニコッ

アン「長老様やファブール王が仰る通り、これからの世界はルカ王女の様な若い方が活躍されて行くのでしょう」

老婆「………ふん。あんたも充分小娘だと思うがね」

アン「………」チラ



アン「それにルカ王女。考え方は人それぞれです」

ルカ「それは、はい……」


アン「……ですが、ここにお集まりの方々は、この世界の行く末を案じている」

アン「その点に関しては、共通の想いと信じています」

長老「ふむ………」

ファブール王「確かに、そこを疑っては、話し合いの余地がないな」

老婆「あんたのその言葉が、単なる建前じゃない事を祈っているよ」

アン「………」



ものまね士「ね、ねえ店主さん。私達も何か発言した方がいいんじゃないですかねぇ……?」ヒソヒソ

店主「わ、わかってるんだけどさ。話についていけてないっていうか……」ヒソヒソ


ジオット「……前置きはその辺りでよろしかろう。本題に入ろうではないか、アン殿」



アン「……そうですね。申し訳ありませんでした」



アン「……ではまず、『民』についてです」

アン「すでに多くの民が、この国に避難しています」

アン「バロンの技師の方々のご協力により、空輸での民の輸送も可能ですので、生存者が全て集まるのも、そう遠い話ではないのです」

ジオット「飛空艇、か」

ファブール王「敵としては厄介だったが、味方となると便利なものじゃな」

長老「……しかし、こんな事を言っては失礼じゃが、全ての民を受け入れる広さはこの国には無いように思えるのじゃが」

アン「それについては、ご心配には及びませんわ」

アン「我が国は地上だけでなく、地中にも展開しておりますので」

アン「これも、全てユキホ王女のおかげなのです」

ジオット「貴公の国を救った、という、英雄か?」

ファブール王「おお、英雄とはユキホ殿の事じゃったか!」

老婆「あんた、そのユキホって子を知っているのかい?」

ファブール王「うむ。ユキホ殿とその仲間達に、国を救われた事があってな」

老婆「ふーん……」

ものまね士「ああ、そういえばユキホ王女、何かあるとすぐ『穴掘って埋まってますぅ!』って言ってましたもんねぇ」

店主「はは、懐かしいなぁ。ユキホ、元気にしてるかなぁ」

老婆「おや、あんた達も知り合いなのかい」

店主「うん、まあな」



老婆(英雄、とやら。そこそこの有名人のようだねぇ……)



アン「ユキホ王女は、世界を救う英雄です。呼び捨てとは失礼ではないでしょうか?」

店主「あっ……そ、そうか、すまん」

ものまね士(世界を救うのは、ユキホ王女一人の力じゃないと思うんだけどなぁ……)



アン「……とにかく、我が国は今、建築にも力を入れております。全ての民を受け入れる準備は進んでいるのです」

老婆「必死だねぇ。まるで、全ての民は自分の『モノ』だ、という風に聞こえるんだが……」

老婆「あんたまさか、独裁国家でも作る気じゃないだろうねぇ?」

アン「!」

アン「決して、その様な事は……」


ジオット「母上。少々言葉が過ぎるかと」

老婆「………ふん」



ジオット「すまぬ、アン殿」

アン「いえ、お気になさらず」



ジオット「しかし、私も、全ての民を受け入れるというのは無理があるように思う」

ジオット「我がドワーフ国も、力を貸そうと思うのだが、どうか」

アン「………」



アン「ありがたいお言葉ですが……」

アン「人間とドワーフでは、辿って来た歴史も文化も違います。共存は、難しいかと……」

ファブール王「アン殿……?」

長老「………」

老婆「………」



ジオット「我らドワーフを『異民』と侮辱するつもりかっ!?」ガタッ

ルカ「お、お父様、どうか落ち着いてくださいませっ!」ガシッ

ジオット「わかっておるっ!」



ジオット「……ならばアン殿。なぜドワーフの王である私をここに呼んだのだ?」

アン「決まっていますわ」



アン「あなた方ドワーフの『武力』を、お貸しいただきたいのです!」ニコッ



ジオット「何……!?」

ファブール王「な、なぜその様な事を……?」


アン「勘違いしないでいただきたいのです。私が言った武力とは、魔物に対抗する力」

アン「………トロア。ユキホ王女をここへ」



トロア「は、はい、わかりました」



ガチャ…



ユキコ「……し、失礼しますぅ」ビクビク



アン「紹介します。彼女こそが、この国の英雄、ユキホ王女ですわ!」

ファブール王「おお、ユキホ殿!久しぶりじゃな」

長老(あの娘、先ほど会った娘じゃな。確か、アミとマミの友達で、双子と申していた……)

老婆(ふむ、何も感じない。ホントに英雄なのかねぇ……)



アン「残念ながら、我が国は宗教国家ですので、武力を持つ者はほとんどおりません」

アン「ですから、英雄と、ドワーフで力を合わせて……」

ジオット「アン殿。我らとは共存できぬと申したな」

ジオット「ならば共闘もできる訳なかろう!」

アン「敵の敵は味方。そうはならないと?」

ジオット「ここまで侮辱されては、もはや従う事はできぬ!」

ルカ「お、お父様っ!」

店主「お、おい!なんか知らんけど、ケンカは良くないと思うぞ」

ものまね士「そ、そうですよ!」

ファブール王「アン殿。一体どうされたのじゃ?この様な思慮の浅い事を申すなど……」

アン「申し訳ありません。侮辱するつもりなどは……」



ジオット「この美しい地上が危機と聞いて、我らドワーフも助太刀しようと思っていたが……」

ジオット「集まったのは、弱腰の老獪共に、火事場のどさくさに紛れて世界を意のままにしようと目論む神官……」

ジオット「人間とは、実に自分勝手なものなのだな」



老婆(言うねぇ。だが、間違っちゃいないのかもしれない)




ズゥゥゥゥン…!



グラグラ…



店主「おわっと……!」ヨロッ

ものまね士「だ、大丈夫ですか?店主さん!」

ファブール王「な、なんじゃ……?」

ジオット「地面が、揺れて……?」

ルカ「お、お父様っ!」ギュッ

アン「一体、何が……?」



…バタンッ!



セット「大変だよ、アン姉!」



アン「どうしたのですか?」



セット「森のずっと南の方に、すっごく大っきい影が!もしかしたら、魔物かも!」

セット「このままだと、ここに来るかもしれないよ!」



アン「魔物……!?」

ものまね士「そ、そんな……!」

店主「ま、マジかよ……」

長老(まさか……?)



アン「……トロア。すぐにユキホさんと共にむかってもらえる?」

トロア「わ、わかりました!」

ユキコ「い、行ってきますぅ……!」


タタタタ…



ー トロイアの町 ー


ズゥゥゥゥン…!



「な、なんだよ、この音は……?」

「もしかして、また魔物が攻めて来たんじゃ……?」

「ど、どうしよう?この国まで滅ぼされたら……!」

「……あっ、ユキホ様だ!」



ユキコ「み、みなさん、安心してください!この国は、私達が守りますからっ!」



「おお!さすがユキホ様だ!」

「そうだ、オレ達には、ユキホ様がいるじゃないか!」

「ユキホ様!どうぞお気をつけて!」

「ユキホ様!ユキホ様!ユキホ様!……」





トロア「……ユキコ殿、大丈夫ですか?みんな、あなたがユキホ王女であると信じてしまっています」

トロア「あなたには、戦う義務はない。どこか安全な場所に……」

ユキコ「い、いえ!私も戦います!」

ユキコ「私なんか頼りにならないかもですけど……」

ユキコ「私も、マコトさんやユキホさんみたいに、誰かのお役に立ちたいんですぅ!」

トロア「ユキコ殿……」

トロア「わかりました。あなただけは、命に代えてもお守りします」

トロア「さ、参りましょう!」

ユキコ「は、はいっ!」



タタタタ…





ー トロイア城 南の森 ー



ズシィン…ズシィン…



雪歩「地面が、ゆ、揺れてますぅ……!」

真美「ついにお出ましってワケだね!」

P「2人とも、気をつけろよ!」

雪歩「は、はいっ……!」チャキッ

真美「兄ちゃんは、ちゃ〜んと真美にくっついてるんだよ?」

P「わ、わかってるよ……」



P「でも、なんで俺、べろちょろの姿に戻ってしまったんだろう……」

P「亜美にトードをかけられた訳でもないのに……」

真美「う〜ん……なんでだろね?」

雪歩「あの、私は、プロデューサーがその姿の方が、はぐれる心配が無いから、安心かもです」

真美「あー、確かにそだね」

真美(頭ナデてもらったりはできないケド……)

P「すまない。迷惑をかけてしまって」

雪歩「謝らないでください、プロデューサー」

雪歩「私は、プロデューサーの為に頑張れるの、嬉しいですから」

P「雪歩……」

真美「ま〜ったく、手のかかる兄ちゃんですな〜!」ギュッ

P「うぷ!く、苦しいって、真美!」



真美「……さて、真美はそろそろ行ってくるかな」

雪歩「真美ちゃん、危ない事をお願いして、ゴメンね?」

真美「もう、そ〜ゆ〜のは言いっこなしだよ、ゆきぴょん!」

真美「キケンなのは、みんな同じなんだからさ!」

雪歩「うん……」

真美「だ〜いじょ〜ぶだって!イザとなったら、まこちんがなんとかしてくれるよ、きっと」

雪歩「そう……だよね」

雪歩「が、頑張ろうねっ」

真美「イワシモナカってヤツっしょ!」

P(言わずもがな、な)



真美「……んじゃ、行ってくるよ〜ん!」フリフリ


真美「……レビテト!」


…フワッ



ビューーーーン!




雪歩「………」

雪歩「私は、私にできる事をやるよ……!」チャキッ



ー トロイアの森 木の上 ー



真「………」ゴゴゴゴ



シルフ「あの、マコトさん?」

シルフ「木が燃えちゃいそうですけど、大丈夫ですか〜?」



真「………っとと」シュゥゥ

真「危ない危ない。集中してただけなんだけどなー」

シルフ「さすがですね〜!マコトさんさえいれば、巨人なんて目じゃないです〜!」

真「……それは違うよ、シルフ」

シルフ「えっ?」

真「ボクひとりの力なんて、本当はとってもちっぽけなんだ」

真「……でも」

真「みんながいるから、頑張れる。みんながいるから、もっと強くなれるんだよ」

シルフ「………」

真「もちろん……シルフ、君もボクに力をくれるひとりだよ」ニコッ

シルフ「マコトさんっ……!」

シルフ「よ〜し、2人の愛の力で、巨人をぶっ殺しちゃいましょ〜!」

真「いや、愛っていうか……」

真「……ま、いいか」




ー バブイルの塔 1F 次元エレベータ ー


フワッ…



スタッ



美希「あは☆ミキが一等賞なの」

スカルミリョーネ「……お、オレのおか…げ……」



…キィン! キィン! ガキィン!



春香「はあっ!」ブンッ


千早「くっ!」ギリッ



美希「あっ……!」

美希「春香っ!千早さん!」



春香「えっ?」クルッ

春香「美希!?なんで……?」


千早(美希……!)


美希「なんでって……千早さんを助けに来たに決まってるの!」

美希「あ、あとついでに、春香が無茶をしないようにしっかり見張るためなの」


春香「……ごめん。ありがとう、美希!」


美希「デコちゃんとやよいも後から来るから、早くみんなでハニーのところに帰るの!」


春香「うんっ!」


美希「もちろん、千早さんも一緒に!」


千早「美希……」



ー バブイルの塔 1F 巨人の上 ー


ズバシュッ!


バルバリシア「……ぐっ!」ヨロッ


ルナザウルス「……あれぇ?さっきまでの威勢はどうしたッスか?」

ルナザウルス「ケンカ吹っかけといて無様にやられるなんて、青き星の魔物って、根性ないんスねぇ?」

ルナザウルス「なーんかガッカリッス!」ニヤリ


バルバリシア「ち……!」

バルバリシア「……なめんじゃないわよっ!」ジャキィン



ズババババババッ!



ルナザウルス「手数が多ければいいってものでもないッスよ!」



ガキィン!







美希(シアちゃん……!)



美希「ねえ、春香。千早さんの事はお願いしてもいい?」


春香「うん、わかってる。バルバリシアさんを助けるんでしょ?」

春香「早く行ってあげて!こっちはなんとかするから!」



美希「春香、ありがとうなの!」

美希「……スーちゃん!」クルッ



スカルミリョーネ「……せ、背中に乗…れ……」


美希「シアちゃんのところまで、よろしくお願いしますなの!」スタッ



フワッ…



ー バブイルの塔 1F 巨人の上 ー



ルナザウルス「……バイオ!」


ブニューン!


バルバリシア「……トルネド!」


ゴォォーー!



バシュン…



ルナザウルス「……ほいっ!」ブンッ


バルバリシア「ちっ……バリア!」


シュルルッ


ザシュッ!


バルバリシア「っ……がは……!」

バルバリシア(わ、私のバリアを貫通するなんて……!)




ルナザウルス「あんたの力は、もう見切ったッス」

ルナザウルス「もう飽きちゃったんで、そろそろ終わりにするッスよ!」


バルバリシア「く……!」ヨロッ

バルバリシア(ここまでか……)

バルバリシア(結局、大した時間稼ぎにもならなかったわ……)

バルバリシア(ルビカンテ……みんな……。後は頼んだわよ……)



ルナザウルス「……これで、さよならッス!」ブンッ




バルバリシア(……ミキ………もう一度、あなたに……)






ヒュンッ…ザクッ!



ルナザウルス「……痛っ!」

ルナザウルス「これは……矢?」スッ

ルナザウルス「……誰ッスか!?」





美希「……ミキのお姉ちゃんを傷つける悪いコは、許さないの!」ビシッ




バルバリシア「!?」


ルナザウルス「あ、あんたは……!」


美希「シアちゃん!助けに来たの!」


バルバリシア「み、ミキっ!?」



美希「ケアルガ!」


シャララーン!キラキラ…


バルバリシア「ミキ……!」


美希「シアちゃん、会いたかった!」


バルバリシア「私もよ……!」

バルバリシア「でも、今はまずあいつをどうにかしないと……」

美希「うん!2人でやっつけるの!」

スカルミリョーネ「……お、オレもいる…ぞ……」フワフワ





ルナザウルス「げげっ!あ、あの時の、金髪娘……」

ルナザウルス「こ、これは、やばいかもしれないッス……!」



ルナザウルス(………いや、待てよ?)

ルナザウルス(ヤツはまだ金髪。あの時みたく『茶髪』に変身する前に畳んでしまえば……)

ルナザウルス(……勝機は、あるッス!)



ルナザウルス「さっすが自分!頭いいッス!」



ルナザウルス「……先手必勝ッス!」ダッ



美希「!」

美希「スロウ!」バッ



ルナザウルス「リフレク!」


ブゥーン



美希「あっ……」


カタカタ…シュルン



ルナザウルス「もらったッス!」ブンッ



バルバリシア「ミキっ!」



スカルミリョーネ「……か、回避す…る……っ!」


ブワッ…



ルナザウルス「ち、避けたッスか……」



美希「ふぅ……。スーちゃん、助かったの」ナデナデ

スカルミリョーネ「……ま、巻き添えは喰らいたくな…い……」

美希「それにしても、ズルいの!あれじゃ、ミキの魔法が全部跳ね返ってきちゃうの」



ルナザウルス「ふっふーん!魔法さえ使わせなければ、こっちの勝ちは見えたッス!」



バルバリシア(………)



バルバリシア(あいつ、リフレク使うクセに、知らないのかしら……?)

バルバリシア(『リフレクでも魔法を跳ね返せない事がある』って事を……)

バルバリシア(……ま、いいわ。攻め入るスキがあるって事だもの)



バルバリシア「ミキ、ちょっといい?」

美希「なぁに?シアちゃん」

バルバリシア「あのね……」ごにょごにょ



ルナザウルス「何をしようと無駄ッスよ!」

ルナザウルス「さあ、終わりにするッス!」ダッ



バルバリシア「……来たわ!ミキ!」



美希「えーっと……」

美希「静寂に消えたなんとかの言葉のかんとか達……」



ルナザウルス「へぇ、あんたもリフレクを使えたッスか。でも、こっちはもう、魔法なんて使う気はないッスもんね!」

ルナザウルス「死ねッス〜!」ブンッ



ガキィン!



バルバリシア「……ぐっ!」ギリッ



美希「闇を返す光となれ、なのっ!」

美希「いくよ、シアちゃん!リフレクっ!」


ブゥーン



ルナザウルス「味方にリフレクかけたからどうかしたッスか?」


ルナザウルス「ふんっ!」ブンッ


バルバリシア「あっ……」ヨロッ


ルナザウルス「おりゃ〜!」ブンッ


美希「わっ……!」ヒョイ


ルナザウルス「もう一丁!」ブンッ


スカルミリョーネ「……ど、毒ガス、くら…え……!」


ブワッ…


ルナザウルス「うぷっ!く、臭いッス……!」ヨロッ



バルバリシア「喰らいなさいっ!」


ズバババババッ!


ルナザウルス「ちっ!あんたなんかに……!」


バルバリシア「今よ、ミキっ!」



美希「……ホーリー!」バッ



キラキラキラ…



ルナザウルス「えっ?味方に攻撃魔法?」



ブゥーン



ルナザウルス「こ、こっちに跳ね返って……!」

ルナザウルス「ぎゃああああっ!」



ドドドドドドドドッ!



フレアやアルテマとか特殊なのとかも跳ね返せないんだっけ?

寝落ちしてしまった

>>187
フレアもアルテマも跳ね返せるけど、ドレインやアスピルは跳ね返ったらどうなるか想像つかない
あとクエイクも


美希「あは☆やったの!」

バルバリシア「どうかしらね。一撃では倒せないと思うけど……」

スカルミリョーネ「……だ、ダメージは、与えたは…ず……」




ルナザウルス「ちぃ……!」ヨロッ

ルナザウルス「結構痛かったッスよ、今のは……」

ルナザウルス「なんで魔法がリフレクを貫通してきたかわかんないッスけど、これはこっちも本気で行かないとッスね」ゴゴゴゴ



美希「も〜、しぶといの!」

美希「だったらもう一回……!」バッ



ルナザウルス「コォォォ……!」



美希「……あれ?なんかくさい……?」クンクン

バルバリシア「まさか、ヤツも毒ガスを?」

スカルミリョーネ「……お、オレのガスより臭…い……」

美希「うぇぇ……なんかミキ、気分悪くなって来ちゃったの……」フラッ

バルバリシア「ミキ、しっかり!」ダキッ

スカルミリョーネ「……ま、まさか、これ…は……?」



ルナザウルス「臭い息、喰らえッス!」ブハッ



モワモワ〜ン…




バルバリシア「くっさ!何よこれ……!」ツマミ

美希「こ、これ……シャレになって……ないの……」

バルバリシア「み、ミキ!?」

美希「も、もぉ、無理……な…の……」バタッ

バルバリシア「ミキ!」

バルバリシア「う……私も、キツい……かも……」グッタリ



ルナザウルス「フッフッフ。たっぷりもがき苦しんだ後にトドメを刺してあげるッスからね!」



スカルミリョーネ「……く、臭いけど、我慢できないほどじゃな…い……」

美希「………」

バルバリシア「………」



ルナザウルス「ひとり生き残ったッスか。なかなかやるッスね」



スカルミリョーネ「……ぞ、ゾンビには、効かな…い……」



ルナザウルス「ふん!自分だってゾンビなんスからね!」

ルナザウルス「ところであんた、2人も抱えて戦う気ッスか?」



スカルミリョーネ「……そ、それは無…理……」



ルナザウルス「そりゃそうッスよね」

ルナザウルス「だったら、今がチャンスッス!」ダッ



…ヒラッ



スカルミリョーネ「……ん?なんか、落ちた…ぞ……?」



ルナザウルス「あっ……」

ルナザウルス「コトリ様に預かった『リボン』が〜!」


スカルミリョーネ「??」



ー バブイルの塔 1F 次元エレベータ ー



春香「はぁ、はぁ……!」


千早「はぁ、はぁ……!」



千早「春香、これ以上は、もう……」


春香「ダメだよ、諦めちゃ!」

春香「大丈夫、きっと大丈夫だから!」

春香「私を信じて、千早ちゃんっ!」


千早「春香……」


春香(……とは言っても、これじゃただお互いの体力を削り合ってるだけだよね)

春香(このままじゃ、千早ちゃんと共倒れになっちゃう)

春香(もう少し……)

春香(もう少しで、何か閃きそうなんだけどなぁ……)



ヒラッ…



春香「……あれ?何か落ちて来た?」

春香「なんだろ、これ?」スッ

春香「リボン……かな」

春香(黒いリボンかぁ。そういえば私、黒は持ってなかったっけ)


千早「春香、どうかしたの?」


春香「なんか、上からリボンが降って来て……」


千早「リボン……?」



ルナザウルス「そのリボン、返せッスー!」ビューン


春香「えっ?これ、あなたのリボンなんですか?」


ルナザウルス「そうッス!だから、返してほしいッス!」


千早(あ、あんな魔物が、リボンを………プッ…くくっ!)プルプル



春香「ええと……じゃあ、はい。どうぞ」スッ



パァァァーーッ!



春香「わっ!!」


千早「な、何!?急に光が……」


ルナザウルス「な、な、何事ッスか!?」

ルナザウルス「リボンが、光って……!」


『……ううん、これも立派な武器よ?」

『この「リボン」を着けた春香ちゃんの力は、きっと計り知れないわ』


ルナザウルス「あ……」

ルナザウルス「ま、まさか……!?」

ルナザウルス「は、早くそのリボンをこっちに渡すッス!」



春香「そ、そんな事言ったって、まぶしくて何にも見えませんよぅ……!」フラフラ



千早「春香、大丈夫!?」



春香「う、うん!平気だけど、視界が……」



春香「……っ!」ドクンッ

春香(な、何?この感覚……)

春香(私の中の、何かが……)

春香(あ、あなたは……!?)



千早「く……!」ヨロッ

千早「なんだったの、今の光は……」

千早「……そうだ、春香!」キョロキョロ

千早「春香!……春香っ!」




「………うるさいなぁ。そんなに大きい声出さなくても聞こえてるよ、千早ちゃん」




千早「春香、無事なのね?良かった……」

千早「それにしても、今のは春香の技か何かなの?あんなの、今まで見た事なかったけど……」



「まあ、それはそうだよね」

「千早ちゃん。技なんかじゃないんだよ。さっきのは、『私達』の目覚めの儀式みたいなものなの」

「……って言っても、千早ちゃんには理解できないかな」



千早「目覚めの、儀式……?」

千早(そういえば春香、いつの間にあのリボンを付けたのかしら……?)



「えーっと、正確には『私』とは初めましてだね。『わたし』の時にしか千早ちゃんに会ってないもんね」



千早「どういう、事……?」

千早「あなたは、私の知っている春香ではないというの?」



「あ、私ってば自己紹介がまだだったね」

「コホン……」



春閣下「天より高く、海深く……」

春閣下「春の嵐の香り舞う……」



春閣下「光と闇の統治者、ハルシュタイン閣下とは私の事!」バッ

春閣下「さあ、愚民共……」




春閣下「……恐れ!」




春閣下「……ひれ伏し!」




春閣下「崇め奉りなさいっ♪」ビシッ




千早「………」





千早「あの、春香?」

千早「それ、いつかの映画の台詞でしょう?」


春閣下「あ、あれ?信じてないの?」


千早「よほどあのキャラが気に入ったのね」


春閣下「い、いや、だから本当に……」


千早「春香。悪いけど、今は遊んでる場合ではないと思うわ」


春閣下「む〜……」



春閣下「ま、いいや」

春閣下「詳しく説明するのもめんどくさいから、千早ちゃんには少し眠っててもらおっかな」ゴゴゴゴ


千早「!」

千早(春香の雰囲気が、変わった……?)



春閣下「それじゃ、行くよっ?」ジリッ


千早(……来るっ!)



パッ…



千早「っ……!?」

千早(き、消えた!?どこに……?)キョロキョロ



春閣下「……えへへ、後ろだよっ♪」



千早「くっ!」クルッ

千早(いつの間に!?)



春閣下「遅いよっ!」ブンッ


千早(やられるっ!)


春閣下「あっ……!」ツルッ


ドテッ


春閣下「……痛たた……」

春閣下「うぅ、転んじゃったよぉ……」


千早(この転び方、いつもの春香の……)

千早(ちょっと驚いたけど、いつもの春香……よね?)


春閣下「………千早ちゃん、今、油断してるでしょ?」


千早「えっ?」


春閣下「……精神波っ!」バッ


ピリリッ!


千早「あぅっ……!」ヨロッ


ドサッ


千早「………」グッタリ




春閣下「……ふぅ。これで千早ちゃんは一安心かな」

春閣下「千早ちゃんを元に戻しておかないと、『わたし』が悲しむもんね」

春閣下「私は、千早ちゃんの事なんて別に興味ないんだけど」



ルナザウルス「あー、まだ目がしぱしぱするッス……」ムクッ



春閣下「あ、忘れてた。そういえば魔物と戦ってたんだっけ」

春閣下「じゃ、ちょっと遊んで来よっかな♪」



スゥゥ…



スカルミリョーネ「……す、助太刀、必要…か……?」


春閣下「スーさん、いたんだね」

春閣下「いらないよ、別に。私ひとりで充分」

春閣下「それよりさ、美希とバルバリシアさんをお願いしてもいいかな?」

春閣下「『わたし』がすごく心配してるからさ」


スカルミリョーネ「……わ、わかった。気をつけ…ろ……」


ブワッ…


春閣下「………」

春閣下「……よし、行こう」


スタスタ…



春閣下「やっほー!遊びに来たよっ!」フリフリ


ルナザウルス「あっ!あんた、ひとのリボンを勝手に付けて!」

ルナザウルス「それは自分がコトリ様から預かった、大切なリボンッス!」

ルナザウルス「返してもらうッス!」ダッ



春閣下「……小鳥さん?」ガキィン

春閣下「そっかぁ。あの人の差し金なんだぁ」キィン

春閣下「じゃあ、小鳥さんに感謝しなきゃだね」ジャキィン


ルナザウルス(あれ?自分の攻撃を軽々と受けてる……?)


ルナザウルス「他人のモノを勝手に盗っちゃダメって、教わらなかったッスか〜!」ブンッ


春閣下「あははっ!」ヒョイッ


春閣下「魔物もそういう事言うんだね。なんかおっかしー!」


ルナザウルス「な、何がおかしいんスかっ!?」


春閣下「じゃあ、自分達はどうなの?」


ルナザウルス「えっ?」


春閣下「人間達の命を勝手に奪うのは、許されるのかなぁ?」ニコッ


ルナザウルス「あっ……」


ビュンッ…


スタッ


春閣下「……ねえ?」ガシッ

ルナザウルス「は、早……!」

春閣下「それが許されるなら、私も奪っちゃおっかなー?」チャキッ



春閣下「……あなたの、命♪」ニコッ



ルナザウルス「うっ……!」ゾクッ


春閣下「実は私も、試してみたいんだよね」

春閣下「『わたし』と融合した私が、どれだけの力を出せるのか」


ルナザウルス(なんなんスか一体……!)

ルナザウルス(この娘は、単なるザコだったはず……!)

ルナザウルス(威圧感が、ハンパないッス……!)




春閣下「あ、そうだ!いい事思いついちゃった♪」

春閣下「小鳥さんに代わって、このまま私が世界を滅ぼしちゃおう!」

春閣下「そうすれば、私はプロデューサーさんと2人っきり……///」

春閣下「えへへ、いい考えだと思わない?」

春閣下「え?……わ、わかってるよぉ!冗談だよ、冗談」

春閣下「ただ言ってみただけだってば!」



ルナザウルス(誰と話してるッスか……?)

ルナザウルス(とにかく、今がチャンスッス!)


ルナザウルス「臭い息、喰らえッス!」


ブワッ…



春閣下「うぷっ……!」

春閣下「な、何コレ!?く、ひゃい……!」ヨロッ


ルナザウルス「や、やった!」

ルナザウルス「調子に乗ってるからそうなるんスよ!」


春閣下「うぅ……」

春閣下「体が動かないよぉ……」


ルナザウルス「あの世で後悔するといいッス〜!」ブンッ



春閣下「………なーんちゃって♪」ダッ



ルナザウルス「………は?」スカッ



春閣下「えいっ!」ブンッ


ザシュッ!



ルナザウルス「がっ!」

ルナザウルス「な、んで……?」グラッ


ドサッ



春閣下「えへへ、このリボンがある限り、そんな攻撃は通用しないんだよ?」

春閣下「……って、もう聞こえてないか」

春閣下「うーん、ちょっと早まっちゃったかな」

春閣下「使ってみたかったな、フルパワーの暗黒剣……」チャキッ



バタンッ!



伊織「千早っ!春香っ!」

ルビカンテ「………」


春閣下「あっ、遅いよ伊織〜。私、ずっと待ってたんだからね」


伊織「何言ってんのよ!あんたが勝手にひとりで出て行ったんじゃないっ!」


春閣下「あれ、そうだっけ?」


伊織「……って、そんな事はこの際どうでもいいわ。あんたは無事みたいだし」

伊織「千早は?千早はどこにいるの?」


春閣下「千早ちゃんならあっちで寝てるよ〜」スッ



千早「………」



伊織「千早っ!」

タタタタ…



伊織「千早、しっかりしなさい!」ユサユサ


春閣下「だから寝てるだけだってば。ちゃんと無事だから、安心しなよ」


伊織「良かった……!」ギュッ


ルビカンテ「!」

ルビカンテ「イオリ、来るぞ!」


伊織「えっ?」



ルナザウルス「……ふぅ、ふぅ……!」ヨロッ

ルナザウルス「自分が、負ける訳ないッス……!」

ルナザウルス「人間なんかに……!」



春閣下「わぁ、割と本気でやったのに、結構しぶといんだね」


伊織「あいつ、千早をさらった魔物じゃない?」

伊織「あんたが戦ってたの?」

春閣下「うん。美希も来てくれたんだけど、あんまり役に立たなかったみたいだね。あはは」

春閣下「で、どうする?」

伊織「どうするって、何がよ?」

春閣下「どっちがやる?」

伊織「………は?」



ルビカンテ(あのハルカという娘……?)



ー 地上世界 バブイルの塔 麓 ー



律子「うーん……」

貴音「やはり、動きませんね……」

律子「動力となるクリスタルも、粉々になっちゃったみたいだし……」

律子「まさか、魔導船が動かないなんて」

律子「まずいわね。一人であの巨人と戦ってる響も心配だし、春香達の事も……」

律子「こんな島に取り残されて、船も動かない」

律子「これじゃ、身動き取れないわね……」

貴音「そうですね……」



ザッ…



「……えらい音がしたから来てみれば、なんじゃ、人間か」



律子「……えっ?」クルッ

律子「あの、あなたは?」



家老「ワシは、エブラーナ王家に仕える家老じゃよ」



貴音「なんと。この様な僻地にも、まだ生存者がいたのですね」

律子(……あれ?エブラーナって、どこかで聞いた様な……)

家老「エブラーナの民を見くびってもらっては困りますな。エブラーナは忍者の国。耐え忍ぶのは、我々の得意とする事なんじゃ」

貴音「忍者、ですか。なかなかに面妖ですね」

律子(忍者って、まさか……)

家老「今もこうして、お嬢……イオリ王女が、あの憎き仇ルビカンテを討ち取ってくれるのを待ちわびておるんですじゃ」

律子(やっぱり……!)


貴音「伊織?この国の王女は、伊織なのですか?」

家老「そうじゃが、それが何か?」

貴音「伊織は、わたくし達の大切な仲間なのです」

家老「なんと、そうじゃったか……!」

律子「………」

貴音「……律子嬢?どうかされましたか?」

律子「う、ううん、なんでもないわ……」

貴音「………?」



貴音(このご老人と会ってから、明らかに律子嬢の様子がおかしい……)

貴音(もしや……?)



貴音「……律子嬢。あなたの気持ちはわかりました」

律子「えっ?」


貴音「さぞや辛かったでしょう。ひとりで抱え込んでおられたのですね」

律子「………」

律子(さすが貴音。鋭いわね)

貴音「ですが、何も心配する事はありません」

律子「貴音……」

貴音「お腹が空くのは、人として当たり前の事ですから」

律子「違うわよっ!」スパーン

貴音「なんと!」



律子「はぁ……どうしてそうなるのよもう……」

貴音「しかし、腹が減っては、戦もままなりません。ここは、食べ物を探すべきかと」

律子「それはあなただけでしょうが」



家老「あんたらは、腹が減っておるのか?」

律子「あ、ええと……」

貴音「はい。それはもう!」グゥゥ


家老「お嬢のご友人となれば、もてなさない訳にはいきますまい」

家老「少しばかりなら蓄えもあります。ついて来てくだされ」


スタスタ…



貴音「なんとお優しいお言葉。さ、律子嬢。好意を受けるとしましょう」

律子「………」

貴音「律子嬢……?」

律子「……わかったわよ。行きましょ」


スタスタ…



律子(またもや気まずい事になっちゃったわ……)

律子(はぁ……)


ー エブラーナの洞窟 ー



貴音「モグモグ……」

律子(この洞窟には、伊織の国の人達が暮らしている……)

貴音「ムシャムシャ……」

律子(知らなかったとはいえ、私がルビカンテを遣って伊織の国を滅ぼしたから……)

貴音「パクパク……」

律子(不可抗力……じゃ、済まされないわ。さすがにコレは……)

貴音「ゴクゴク……」

律子(私自身、『悪役って楽しいかも』なんて思った事もあるし……)

貴音「モグモグ……」

律子(でも、悪い事ばかりでもないのかな……)

貴音「ムシャムシャ……」

律子(あの子達は、辛い事を乗り越えて、とても頼もしくなったもの……)

貴音「パクパク……」

律子(……もしかして小鳥さん、みんなを成長させる為に敢えてこんな事を……?)

貴音「ゴクゴク……」

律子(……なーんて、そこまで考えてないわよね。単純に楽しんでるんだわ、きっと)



貴音「………ふぅ。ご馳走様でした。まこと、美味でした」



家老「なんとまぁ……よう食べましたな、あんた……」

貴音「出されたものを残すなど、わたくしの主義に反しますゆえ」ニコッ

家老「それは結構な事じゃが、お連れの方はよろしかったのか?ほとんど食べていないじゃろ?」

律子「ああ……私はいいんです。そんな資格、ないですから」

家老「?」



律子「……さ、貴音。そろそろ行くわよ」ガタッ

律子「どうにかしてこの島を脱出する方法を見つけないと」

貴音「そうですね」

貴音「ご老人。あなたのお陰で、助かりました。ありがとうございます」ペコリ

家老「………ふむ」



家老「あんた達は、この島を脱出したいんじゃな?」

律子「はい。そうですけど……」

家老「よろしい。ではあんた達に、海を渡る忍術を授けましょうぞ!」



律子・貴音「海を渡る、忍術……?」



ここまでが日曜に投下するはずの分でした
それではまた


ー 飛空艇 エンタープライズ ー



ババババババ…



響「2人に紹介するぞ!」

響「この子は、飛空艇の『エン太郎』。ここまで、ずっと自分達と一緒に頑張って来たんだ!」

あずさ「うふふ♪ よろしくね、エン太郎ちゃん?」

亜美「よろよろ〜!」



響「……ふんふん。そうかぁ」

亜美「ひびきん、どったの?」

響「エン太郎が、『新しい友達が増えて嬉しい。こちらこそよろしく』だってさ!」

あずさ「響ちゃん、エン太郎ちゃんとお話できるの?」

響「うん!自分達、家族だもんね!」

あずさ「まあ、とってもステキね〜」

亜美「いいな〜ひびきん。亜美もそーいうスキルが欲しかったな〜」

響「でも、亜美もあずささんも、魔法が使えるんでしょ?それはそれでうらやましいけどなー」

亜美「まぁね!自分、カンペキですからさー!」ドヤッ

響「ちょ、ちょっと!真似するなら、ちゃんと真似してよ!」

亜美「あはは、めんごめんご」



亜美「でもさ、亜美の魔法、チョー期待しててよね!巨人なんてボッコボコにしてあげるからさっ!」

あずさ「私も、みんなと一緒に頑張るわ〜」

響「2人とも、頼りにしてるぞ!」



亜美「……ねえねえひびきん、飛空艇のソージュウってむずかしい?」

響「えっ?なんで?」

亜美「いや〜、亜美も、ちっとだけモノホンの飛空艇をソージュウしてみたいな〜なんて」

響「うーん、自分も覚えるの苦労したし、結構大変だと思うぞ?亜美には無理じゃないかなぁ?」

亜美「え〜!だって、亜美達が乗ってた飛空艇よりこっちのがカッコいいんだもん!」

亜美「ねえねえひびきん。亜美にもソージュウさせてよ〜」グイグイ

響「ちょ、ちょっと亜美!引っ張っちゃダメだぞ!」ヨロッ



グラッ…



あずさ「うふふ、2人とも楽しそうね〜」

響「あずささん、遊んでるんじゃなくて亜美が……」

亜美「あずさお姉ちゃん聞いてよ〜!ひびきんが、亜美にソージュウさせてくれないんだYo〜」

あずさ「あらあら……」

あずさ「響ちゃん。仲良くしなきゃダメよ?」

響「ええっ!?自分が悪いの?」

亜美「ホラ!あずさお姉ちゃんもこう言ってる事だしさぁ!」

響「で、でもなぁ……」

あずさ「じゃ、こうしましょう」

あずさ「間を取って、私が操縦するわ!」

響「そ、それは一番ダメだと思うぞ!」

亜美「う、うんうん。ミイラ取りがミイラになっちゃうYo!」

あずさ「あら〜、残念ねぇ……」



亜美「……んで、今亜美達は、バブイルの塔に向かってるんだよね?」

響「うん。そこで貴音と律子は行方不明になったからね」

あずさ「魔道船、だったかしら?」

あずさ「その船で、もう脱出してる可能性もあるんじゃない?」

響「うーん、確かにその可能性もなくはないけど……」

亜美「まあ、魔道船に乗ってたとしたら、そのうちすれ違うっしょ!」

あずさ「そうね〜」

響「そうだな!」

響(……あれ?そういえば魔道船って巨人に撃ち落とされたんじゃなかったっけ?)

響(……ま、いいか)



あずさ「……あら?あんなところに、巨人さんがいるわねぇ」




巨人2『………』




亜美「ほ、ホントだ……!」

亜美「うわ〜、マジだ!マジもんの巨人だよ!」

亜美「どうしよひびきん!亜美、コーフンしてきちゃったよ〜!」ユサユサ

響「あ、亜美、ちょっと落ち付いてよ!危ないから!」ヨロッ



あずさ「……そうだわ!」

あずさ「巨人さんに律子さんと貴音ちゃんの事を聞いてみましょう」

亜美「うんうん。巨人ならきっと、りっちゃんやお姫ちんのコト知ってるかも……」

亜美「……って、えええっ!?」

響「いやいや、あれ、普通に敵でしょ!教えてくれる訳ないでしょ!?」

亜美「そ、そうだよあずさお姉ちゃん!」

あずさ「2人とも。魔物さんも、意外と見かけによらないのよ?タコさんとか、親切な魔物さんもいるの」

亜美「そ、そうなのかなぁ……?」

響(タコってなんの事だ……?)

あずさ「大丈夫。私がちょっと行って帰って来るだけだから」

亜美・響「えっ?」



あずさ「じゃあ2人とも、お留守番、お願いね?」



あずさ「……テレポ!」



シュンッ…



響「き、消えちゃったぞ……?」

亜美「うわー……そうきたかぁ」

亜美(……ヤバいっぽい?)

亜美(あずさお姉ちゃんがテレポとか、シャレになんないかも)



亜美「ひびきん、とりあえずあずさお姉ちゃんを追いかけよーよ!」

響「わ、わかったぞ!」


ビューーン…



ー トロイア南の海上 巨人の上 ー



ヒュン…



スタッ



あずさ「うふふ、うまく来れたわ」

あずさ「……それにしても、巨人っていうだけあって、とても大きいわね〜」

あずさ「これだけ大きいと、食費が大変そうねぇ」



巨人2『……うわっ!に、人間!?なんで急に?』



あずさ「あ、すみませんね、突然お邪魔してしまって」

あずさ「少し、お尋ねしたい事があるんですけど〜」



巨人2『いや、あの、ボク急いでるんで……』



あずさ「この辺りで、銀髪の女性とメガネをかけた女性を見ませんでしたか〜?」



巨人2『……ひとの話、聞いてないし!』

巨人2『えーと、見てないですけど?』



あずさ「そうですか……」



巨人2『あれ?っていうかお姉さん、どこかで会いませんでしたか?』



あずさ「えっ?」

あずさ「あ、あの〜。もしかしてそれは、ナンパですか〜?」



巨人2『そ、そんなわけないでしょ!?』

巨人2『……ほら、こないだ空の上で会ったじゃないですか?』



あずさ「空の上で……?」



巨人2『でも、おかしいなぁ……。お姉さんはあの時殺したハズなんだけどなぁ』



あずさ「………」

あずさ「もしかしてあなた、あの時の……」

あずさ「ええと、確か……ブレイクさん、だったかしら?」



巨人2『プレイグだよっ!』



あずさ「あら〜、私ったら。ごめんなさい」



巨人2『うん、丁度いい機会かもしれない。お姉さん、悪いけど……』



巨人2『今度こそ、殺すね?』ギラッ



あずさ「まあ、それは困ったわねぇ……」

あずさ「あの〜、私、待たせている人がいるので、これでお暇させていただきますね〜」



巨人2『……逃がさないよ!』ブォン



あずさ「ええと、とりあえず、亜美ちゃんと響ちゃんの所へ戻らないと……」

あずさ「それじゃ、お騒がせしました〜」

あずさ「……テレポ!」


シュンッ…



巨人2『あっ、逃げられちゃった……』

巨人2『……まあいいか。そのうちまた、戦う事になるよね』




…ビューーン!




響「あずささ〜ん!」

亜美「大魔道士亜美、参上っ!」



巨人2『この飛空艇……さっきの子か』



巨人2『ひとり逃がしちゃったからね。今度はちゃんと殺さなきゃ!』ゴゴゴゴ



響「く、来るぞ!」

亜美「よ〜っし!ひびきん、フォーメーションBで行くよっ!」

響「わ、わかった!」ガシッ



響「………」



響「…………あれ?」



響「ねえ亜美、フォーメーションBって何?よく考えたら自分、そんなの知らないぞ」

亜美「んもぉ、ひびきんはアドリブが効かないなぁ」

亜美「そんなのノリに決まってるっしょ〜!」

響「ええぇ!?急にそんな事言われても……」




ピカッ!



亜美「来たよ、ひびきんっ!」

響「え、エン太郎、回避だっ!」グイッ



ドゴオォォォォン!





ビューーンッ!



響「ふふーん!そんな遅いビーム、当たらないぞっ!」

響「くらえっ!ナンクル砲っ!」



ヒュー…ドゴオオォォン!



亜美「おー!なんか派手なカンジ!」



巨人2『……残念だったね』



亜美「……あり?ゼンゼン効いてないっぽいよ〜」

響「くそー……」



巨人2『……悪いけど、そんなの効かないよ』

巨人2『だって、ボクが乗ってる巨人がホンモノだもんね!』

巨人2『ホンモノの巨人がそんな簡単にやられる訳ないでしょ?』



響「さすがに手ごわいぞ……」

亜美「ホンモノって……」

亜美(兄ちゃんが言ってた通り、こいつ以外はニセモノなんだね)

亜美(じゃあ、あの巨人だけは、ゲームと同じで中に入って破壊するしかないのかなぁ……)

亜美(ん〜……。亜美達2人だけじゃ、どーにかできそうもないっぽいね)

亜美(でも、他の巨人がニセモノってコトなら……)



響「そういえば、あずささんをどこにやったんだ!」



巨人2『アズサ?……ああ、さっきのお姉さんの事かな?』

巨人2『さっきのお姉さんなら、どこかへ行っちゃったけど』



響「え?そうなのか?」

響「ねえ亜美。どうしよう?」

亜美「うーむ……」

亜美「ひびきん。どーやら亜美達だけじゃアイツに敵わないっぽいよ」

響「じゃあ、どうするんだ?自分、逃げるのはもうイヤだぞ」

亜美「あの巨人が大将ってコトだから……」

亜美「ショーをインとすれば、まず馬をいや〜ん・ 作戦だよっ!」

響「??」




ー エブラーナ近海 ー



バシャバシャ…



貴音「……まさか、海の上を歩く日が来ようとは夢にも思いませんでした」バシャバシャ

律子「………」バシャバシャ

貴音「忍法水蜘蛛の術。まこと不可思議な忍術です」

家老「ふっふっふ。火遁や雷迅などの忍術は、王家の血を引く者しか使えないのじゃが、この様な一般的な忍術なら、全部で108はありますじゃ」

貴音「なるほど。忍者とは奥が深いのですね」

律子(実際は、ちょっと変わった草履みたいなのを履いて歩いているだけなんだけどね)

律子(……まぁ、水に浮く草履っていう点では不思議といえば不思議だけど、こんなのを忍術って言っていいのかしら)



律子「……ところで、なんであなたもついて来てるんですか?」

家老「あんたら、忍術は初心者じゃろ?心配じゃからこうして様子を見てやってるんじゃよ」

律子「それはありがたいんですけど、ずーっと私におぶさってるつもりですか?」

家老「あんた、この老体に歩けと申すのか?冷たいおなごじゃのう」

貴音「律子嬢。お年寄りは大切にするものですよ?」

律子「………もう、わかったわよ」


将を射んと欲すれば先ず馬を射よかな?


律子「それより貴音、もう少し急ぐわよ。このペースじゃ、いつみんなと合流できるかわからないわ」

貴音「承知しました」

貴音「へいすと!」


カタカタ…シャキーン!



家老「おお!何やら動きが早くなった?」

貴音「ふふ。魔法も忍術に負けてはいませんよ?」

家老「ふむ。まるで若返ったようじゃ!」グッ

律子「じゃあ、もう自分で歩けますよね?」チラ

家老「……あいたたた!急に持病の腰痛が……」

貴音「なんと!それは一大事です!すぐにわたくしの魔法で……」

律子「………」

律子(たくましいお爺さんね、まったく)



律子「…………ん?」チラ

律子「何かしら、あそこに浮かんでる黒い塊は」

貴音「すみません。遠過ぎてわたくしには良く見えないのですが……」

貴音「海に浮かんでいるならば、船の類ではないでしょうか?」

律子「だとしたら、文字通り渡りに船ね」

律子「行ってみましょう。もしかしたら、乗せてもらえるかも」

貴音「だと、良いのですが……」



バシャバシャ…





巨人3『ふぅ……』プカプカ



巨人3『落ち着きますねぇ……』

巨人3『青き星に、こんなに水が集まっている場所があるなんて……』

巨人3『あ〜、気持ちよくてなんだか眠くなってきちゃったなぁ……』



巨人3『……zzz』






律子「………よい、しょっと」スタッ

律子「うーん……」キョロキョロ

律子「大きい割には、ずいぶん殺風景な船ねぇ……」

貴音「それに、何やら変わった形をしていますね」

貴音「まるで、人の体の様な……」

家老「なんじゃ、忍法水蜘蛛の術はお気に召さなかったかの?」

律子「いえ、そういう訳じゃないですけど……」

律子「あなたのおかげでここまで来れたのは感謝してます。でも、私達は急いでるんです」

律子「船も見つけられましたし、その時に応じて、最善の方法をとらないと」

家老「ふむ。合理主義なんじゃのう」

律子「とにかく、この船の責任者を見つけないといけないわね」

貴音「………おや?」チラ

律子「貴音?どうかしたの?」

貴音「あそこに人影が……」スッ




「………困ったわ〜。ここはどこかしら〜……」




律子「……本当ね」

律子「もしかしたら、この船の乗組員かもしれないわね」

貴音「そうですね。声をかけてみますか?」

律子「ええ」



律子「あのー!すみませーん!!」




「は〜い?何かご用でしょうか〜?」




律子「…………って、あずささん!?」



あずさ「あら〜、律子さんに貴音ちゃん!やっと見つけましたよ〜」

貴音「あずさ、ここで一体何を?」

あずさ「ええ。私、律子さんと貴音ちゃんを探しに来たのよ〜?」

律子「えっ?ひとりで、ですか?」

あずさ「いえ。響ちゃんと亜美ちゃんも一緒だったんですけど……」

あずさ「どうやら、いつの間にかはぐれてしまったみたいですねぇ」

律子「こんな状況でも、やっぱり迷子になっちゃうんですね……」

あずさ「す、すみません……」

家老「どうやら、お仲間と合流できたみたいですな」

律子「ええ。ちょっと予想外でしたけど」

あずさ「あの、律子さん?そちらの方は?」

律子「ああ、この人は、伊織のお世話係りだそうですよ」

家老「お嬢がお世話になっておりますじゃ」ペコリ

あずさ「まあ、これはご丁寧にどうも」ペコリ



貴音「しかし、どうやってこんな海の上まで来たのです?まさか、あずさも水蜘蛛の術を?」

あずさ「ううん、それは魔法で……」



グラッ…



巨人3『……ひとが気持ち良く寝てる隙に、忍び込んで来るとは……』

巨人3『油断ならない人達ですねぇ……』



律子「ふ、船がしゃべった!?」

貴音「………!」

貴音「いえ。どうやら、わたくし達が船だと思っていたのは……」

あずさ「巨人さんだったみたいですねぇ」



巨人3『面倒だけど、あなた方は消えてもらいましょうかねぇ……』



律子「2人とも、来るわよ!」

貴音「ええ!」

あずさ「は〜い」


眠いので残りは明日投下します
話がぶつ切りですみません

>>218
欲すれば、が抜けてましたね
申し訳ないです


ー トロイア南の森 ー



ドゴオオォン!ドカァン!


メラメラ…!



トロア「森が……!」

ユキコ「も、燃えてますぅ!」



巨人1『ふふふ……。全てはコトリ様の意のままに……!』



トロア「あんなに巨大な魔物がいるとは……!」

トロア「魔物め!これより先には行かせんっ!」チャキッ

ユキコ「っ……!」チャキッ



巨人1『ほぅ。お前は、あの時の神官ですか……』

巨人1『いいでしょう……』

巨人1『いずれ散りゆく命、輝かせて見せなさい!』



ピカッ…



トロア「むっ!?」

ユキコ「トロアさん、危ないっ!」ダッ



ドドドドドドッ!




トロア「ユキコ殿、助かりました……」

ユキコ「良かった、トロアさん……」

トロア「しかし、何という破壊力だ……」

トロア「これでは、近づく事もできない……」



巨人1『どうしました?逃げ回るだけですか?』

巨人1『それでは勝てませんよ?』


ブォンッ



トロア「くっ……!」ダッ

ユキコ「いやぁっ!」ダッ



ドゴオォン…!



トロア「せめて、動きを鈍らせる事ができれば……!」


「……スロウ×3!」


カタカタ…シュルンッ



巨人1『むっ……魔法!?』

巨人1『誰ですか!?』



真美1「んっふっふ〜!」フワフワ

真美2「美少女白魔道士真美、参上っ!」フワフワ

真美3「悪いコトは許さないんだかんねっ!」フワフワ




トロア「あなた方は、双子の魔道士のアミ殿とマミ殿……?」

トロア「……と、あとひとりは……?」

ユキコ「アミさん達って、三つ子だったんですか……?」



真美1「あー、いろいろ魔法を重ねがけしてるかんねー」

真美1「ま、とりあえずとろ姉ちゃん、ゆきぴょんツー、ここは真美達に任してよ!」

真美2「巨人なんて、真美達がぶっこわしてあげるからさっ!」

真美3「さー、行くよっ!」ビシッ

P「なあ、真美。あんまり無茶はするなよ?」

真美1「わかってるってば!兄ちゃんはちゃんと見ててよね!」

P(レビテト、ヘイスト、ブリンクをかけているとはいえ、ひとりで巨人と正面からやり合うのは無茶だ)

P(真美、お前はあくまで囮なんだからな……?)



巨人1『人間が増えたところで、何ができる?』

巨人1『塵にして、あげましょう!』

ズズズ…

巨人1『くっ!動きが、遅く……!?』



真美1「そりゃあ、スロウを重ねがけしたからねぇ」



トロア「今だっ!」ダッ

ユキコ「わ、私も行きますぅ!」ダッ



トロア「……っせい!」ブンッ


ガキィン!


ユキコ「えいっ!」ブンッ


ゴキィン!



トロア「く……まるで歯が立たない……!」

ユキコ「と、トロアさんっ!」

トロア「えっ?」



巨人2『このまま踏み潰してあげましょう!』



トロア「マズいっ!」



真美1「右手にプロテス……」ポゥ

真美2「左手にシェル……」ポゥ

真美3「合わせて、ウォールっ!」バッ


シャキーン!



巨人2『な、何!?見えない壁だと……!?』ググッ



真美1「今のうちに2人は逃げてっ!」

真美2「ここは真美達がなんとかするから!」

真美3「さあ、早く!」



雪歩「トロアさん、ユキコさん!こっちに!」



トロア「ユキホ王女!」

トロア「……マミ殿、お願いします!」

ユキコ「気を付けてください!」



タタタタ…



巨人1『五月蝿い魔道士ですね……』

巨人1『………お前ひとりで巨人に勝てるとでも?』



真美1「ん?真美ひとりじゃないよ?」

真美2「真美には、たよりになる仲間がたっくさんいるモンねっ!」

真美3「仲間がいれば、なんくるないのさ!」



巨人1『何か企んでいるのですね』

巨人1『ですが、仲間がいるのはこちらとて同じ事』



真美1「あー、それなんだけどさー」

真美2「巨人って、全部で何体いるの?」



巨人1『……?4体ですが……?』



真美3「おお……けっこういるんだね」

真美1「んじゃあ、ホンモノの巨人はどこ?」



巨人1『何……?』



真美2「真美知ってるよ」

真美3「こーゆー時って、一番最初に攻めて来るのは、だいたい下っぱだもんね!」

真美1「んっふっふ〜!だから、君はホンモノそっくりに造られたニセモノなのだよ!」ビシッ



巨人1『……そこまで知っているのなら、もはや教える事はありません』

巨人1『お前はここで、朽ち果てるのですからっ!』バッ



ブゥン…



P「真美!」

真美1「わかってるよ、兄ちゃん!」



真美(兄ちゃんの言ってた通り、ホンモノは1体だけなんだね)

真美(だったらこの巨人は、ゲームと違って中に入らなくても破壊できるってコトっしょ!)



真美「兄ちゃん!ここは、ショーをインとほっすれば、まず馬をいや〜ん!作戦で行くよっ!」

P「……え?」



ー トロイア城 会議室 ー


ファブール王「アン殿。2人だけでは些か荷が重いのではないか?」

アン「ですが、今、我が国には腕の立つ者が……」



店主「………」

店主「よしっ!」ガタッ

店主「オレ、ちょっと行って来るわ」

ファブール王「そなた……本気か?」

店主「うん。何もしないっていうのは、性に合わなくてさ」

ものまね士「もちろん、私も一緒に行きますよ!」

店主「ものまね士……」

ものまね士「もう、離れたくないんです!」

店主「……わかったよ」



アン「待ってください!」



店主「ん?なんだ?」

アン「あなた方、無駄死にするおつもりですか?」

ものまね士「そんな!やってみないとわからないじゃないですか!」

店主「どの道、この国が滅ぼされたらみんなおしまいだしな」

アン「ですが、そんな事をしても、あなた方には何のメリットもないはず」

店主「あー……」

店主「メリット、とか、難しい事はよくわからん」

店主「ただ、困ってるヤツがいるなら、力になる。それがオレの流儀なんだ」

ものまね士「まあ、店主さんじゃ戦力になるか怪しいですけどねぇ?」

店主「う、うるさいなぁ」

アン「………」



ルカ「そ、そうですよ!」

ルカ「みんなで力を合わせれば、何とかなるかもしれません!」

ジオット「………」



ガチャ…




「……そこの娘さんの言う通りだ!」



アン「えっ……?」クルッ

アン「あら?声がしたのに、姿が……」キョロキョロ



「こらこら、もっと下だよ!まったく、君達人間は大き過ぎるんだ」



アン「!」

アン「小人……?」



ミニ助「やあ!お初にお目にかかる」

ピョン吉「わぁ、人間がたくさんいるなぁ!」

ブタ美「ど、どうも……」ペコリ



ファブール王「小人に、ブタに、カエル……?」



技師1「すみません、神官さん。生存者を探すついでに、念の為ミスリルの村にも寄ったんですけど……」

技師2「この方達が、どうしても連れて行けと……」

アン「そうでしたか……」



ミニ助「ボク達がミスリルの代表、ミスリルブラザーズだ!」

ミニ助「世界の危機だという事は彼らから聞いた」

ミニ助「世界の為、ボクらも力を貸そう!」

アン「は、はぁ……」

ジオット「ほう、地上には人間以外の生物もいたのか」

老婆「ふふ、こりゃあ頼りになりそうだねぇ」

長老「ふむ……」



ミニ助「……で?君達はこんなところで何をまごまごしているんだい?世界の危機が迫っているんだろう?」

アン「で、ですからそれは……」

店主「……そうだった。忘れてたぜ」ガタッ

ものまね士「トロアさんとユキコさんが心配ですね」ガタッ

店主「んじゃ、ちょっと行ってくるか!」

ものまね士「はい!」



技師1「あ、お2人とも」

技師2「巨人とやり合うのでしたら、ぜひ、我々と一緒にファルコン号へ!」

店主「ファルコン号?もしかして、飛空艇か?」

技師1「はい!こんな時こそ、我々の出番です!」

店主「そいつぁ心強いや!よろしくな!」



ルカ「お父様、私達も行きましょう!」

ジオット「………」

ルカ「お父様っ!」



ファブール王「アン殿……」

アン「………」



ミニ助「うん?君達は、協力するためにここに集まったんじゃないのかい?」

ジオット「それは……」

アン「そうですが……」

ピョン吉「だったら、早く行こうよ!」

ブタ美「み、みんなで行けば……恐くないですよ、きっと」



長老「彼らの言う通りじゃ。ワシらに何ができるかが問題ではない。大切なのは、心。皆で想いをひとつにする事なんじゃ」

長老「奇しくも、今この場には様々な種族が集うておる」

長老「人間、ドワーフ、小人、動物……」

長老「姿は違えど、想いは皆、同じなはずじゃ」

アン「………」

老婆「あたしもそこのジジイに賛成だね。世界の危機に、人間もドワーフもないさ」

老婆「あんたの国は、人間に助けられたんだろ?バカ息子」

ジオット「………」



アン「……………わかりました。私も、参りましょう」



店主「いいのかい?神官さん。あんた、自分で言ってたじゃないか。無駄死になるかもって」

アン「いいえ。無駄死にになどさせません」



アン「……ジオット殿」

アン「数々のご無礼、申し訳なく思っております」ペコリ

アン「今一度、私達人間の……」

アン「……いえ」

アン「この世界に生きる全ての生命の為に、お力をお借りできませんか?」

ジオット「………」



ジオット「……わかった」

ジオット「母なる大地の為、我々ドワーフも共に戦おう!」

ルカ「お父様っ!」パァァ

アン「ありがとうございます!ジオット殿」



ミニ助「ん。どうやらみんな覚悟は決まったようだね」

ミニ助「さあ、行こう!魔物どもにひと泡吹かせてやろうじゃないか!」

店主「………なんであのちっこいのが仕切ってんだ?」

ものまね士「まあまあ、いいじゃないですか」




ー バブイルの塔 1F ー


伊織「……はぁっ!」ブンッ


ガキィンッ!


ルナザウルス「ちっ……!」

ルナザウルス「調子に……乗るなッス!」グイッ


クルンッ…


スタッ



伊織「………」



春閣下「伊織〜、手こずってるみたいだねぇ?手を貸してあげようか〜?」



伊織「うるさいわね!いらないわよっ!」



春閣下「そう?あはは、ツンデレも大変だね〜」



伊織(……どういう事?春香ってば、まるで別人みたいじゃない)

伊織(私が来るまでに、春香に何があったっていうの……?)



ルビカンテ「イオリ!ボーっとするな!」



伊織「……へっ?」



ルナザウルス「……うがあああっ!」ブンッ



伊織「きゃっ!」ゴロン



ルナザウルス「ちょこまかと……!」



伊織「……ま、いいわ」

伊織「とにかく!ここはあんたを倒せば終わりみたいだし、さっさとカタをつけるわ!」

伊織「覚悟しなさいっ!」ビシッ


伊織「悪いけど、速攻で終わらせるわよっ!」メラメラ


ルナザウルス「炎……?」


伊織「はあああああっ!!」ゴオオオ


ルビカンテ(この威力……!)


春閣下「これは、なかなか……」



伊織「骨は骨らしく、焼かれなさい!」

伊織「火遁っ!!」バッ


ゴオオオオォォォオオ!!



ルナザウルス「ぎゃあああああっ!!」



ルビカンテ(オレの火炎流と同等……いや、それ以上の炎……!)

ルビカンテ(これは、オレの出る幕などなかったな)




…ドサッ


ルナザウルス「………」



伊織「……ふぅ」



春閣下「へー、伊織も結構やるんだね!」

伊織「……もともとあんたが弱らせた魔物なんでしょ?」

伊織「そんなのに勝っても、嬉しくないわよ」

春閣下「もー、素直じゃないなぁ」


ルビカンテ「イオリ、怪我はないか?」

伊織「平気よ。心配いらないわ」



スゥゥ…



スカルミリョーネ「……や、やっと倒し…た……?」

美希「………」

バルバリシア「………」



伊織「美希……!」

伊織「春香、美希と千早を魔法で治しなさい」

春閣下「え?なんで?」

伊織「は?」

春閣下「なんで私がそんな事しなくちゃいけないの?」

伊織「あ、あんた、何言って……?」


ルビカンテ「!」

ルビカンテ「まだ終わってないぞっ!」



ドゴオオオォン!



伊織「きゃっ……!」ヨロッ

伊織「な……何!?」

春閣下「おー、まだ生きてたんだねー」



巨人4『こうなったら……死なば諸共ッス……!』

巨人4『このバブイルごと、ぶち壊してやるッス!』



ルビカンテ「巨人に乗り込んだか……!」

スカルミリョーネ「……ま、マズい…ぞ……?」


巨人4『死ねッス!』


ピカッ!


ドドドドドドドドッ!



伊織「いやぁーー!!」ダッ

ルビカンテ「くそっ!」

スカルミリョーネ「……しゃ、シャレに、ならな…い……」



巨人4『みんな……滅びるッス!』



伊織「あんなデカいのに暴れられたら、逃げ場なんてないじゃない!」

ルビカンテ「おい、イオリ!オレの後ろに隠れていろ!」バサッ

伊織「えっ?」

伊織「ぎゃーーーっ!!?」

伊織「ちょ、ちょっと赤い悪魔っ!?あんた、ドサクサに紛れてなんてモノ見せつけてんのよっ!?」

ルビカンテ「見せつけているわけではない。オレのマントは全てをふせ……」

伊織「マントの下、パンツしか履いてないじゃないのっ!!」ドスッ

ルビカンテ「ぐっ!!?」

伊織「この変態っ!ド変態っ!変態大人っっ!!」ゲシッゲシッ

ルビカンテ「ぬおおおっ!?」

スカルミリョーネ「……い、痛そ…う……」



巨人4『この期に及んでコントとか、どんだけ舐めてるんスか……!』



ピカッ



ドドドドドドドドドッ!!



伊織「いやあああっ!!」

ルビカンテ「くっ!もう一度オレのマントで……!」

伊織「それだけはやめなさいっ!」スパーン



グラグラ…


ズゥゥ…ン!



伊織「な、何!?塔が、揺れて……?」

ルビカンテ「まずい……!ここはもうダメかもしれんぞ!」

伊織「ええっ!?」

伊織「……ちょっとゾンビ!美希の事、ちゃんと守りなさいよねっ!」



スカルミリョーネ「……りょ、了解し…た……」


スゥゥ…




春閣下「………んふっ♪」

春閣下「そろそろ私の出番かなぁ?」

春閣下「………」

春閣下「うん、わかってるよ。無茶なんてしないから」

春閣下「あの魔物を倒すだけ。それだけだよ?」



春閣下「さて……」チラ

春閣下「絶対絶命の大ピンチ。部隊は整ったね」

春閣下「実力を試す、絶好のチャンス!」チャキッ



春閣下「………」ゴゴゴゴ



巨人4『この膨大な負のエネルギーは……!?』



伊織「何よ、あの黒いオーラは……!」

ルビカンテ「……暗黒剣か?なぜ、あの娘が……?」


伊織「ちょっと赤い悪魔、あんこくけん、って何なのよ?」

ルビカンテ「負の力……つまり、暗黒の闘気を剣に纏わせ攻撃する、暗黒騎士の技だ」

伊織「負の、力……」

伊織「なんで春香がそんなものを?」

ルビカンテ「わからん。だが、暗黒剣はリツコ様も得意とされていたはずだぞ」

伊織「律子も?」

ルビカンテ「ああ。リツコ様は暗黒騎士だからな」

伊織「ふーん……」

伊織(あ、そういえば……)



『春香さんはねー、真っ黒だったよ』

『真っ黒……?』

『うん。黒いのが、ばばーん!って』

『意味がわからないわね』



伊織(……あの時やよいが言ってたのは、この事だったのかしら)

伊織「ねえ、赤い悪魔。春香も、律子と同じく、その……暗黒騎士ってヤツなのよね?」

ルビカンテ「……いや。見たところハルカは、暗黒騎士とは対極に位置する、聖騎士のようだ」

伊織「……は?どういう事?」

ルビカンテ「オレにもわからん」

ルビカンテ「……だが、これだけはわかる。あのハルカという娘、只者ではない」

伊織「………」



伊織(そうよ。考えてみれば、春香は今まであんな禍々しい技は使わなかったわ)

伊織(……少なくとも、私の前では)

伊織(でも、やよいは見たって事よね)

伊織(やよいは確か、この世界に来て最初の頃は、春香と行動を共にしてたって言ってた)

伊織(つまり、その頃の春香は暗黒騎士だった)

伊織(でも、今の春香は聖騎士。なのに、暗黒騎士の技を使う……?)

伊織(……やっぱり、私がここへ来る前に、春香に何かあったみたいね)




春閣下「伊織〜!安心してよ。私がちゃんとケリ付けてあげるからさっ」フリフリ



伊織「春香……」

伊織「あんた、無茶するんじゃないわよ?」



春閣下「大丈夫だよっ」

春閣下「ちょっとだけ、本気出すだけだから!」ゴオォォオ



春閣下「宇宙に散らばる暗黒物質、ダークマターをもって、我が力とせん……」

春閣下「生きとし生ける者よ、必衰の運命を呪えっ!」



春閣下「……暗黒剣っ!!」バッ



ブゥ…ン



巨人4『い、いきなり真っ暗に……!?』



ルビカンテ「これは……危険かもしれん」

伊織「えっ?」



ゴゴゴゴゴゴ…!



ドゴオオオオオォォン!!!




モクモク…


春閣下「……けほっ、けほっ!」

春閣下「うぅ、すごい粉塵……」



春閣下「………」キョロキョロ

春閣下「………うん。私の力、結構すごいかも?」

春閣下「プロデューサーさんにも見てもらいたいな。私の、この力!」グッ



春閣下「さて、あとは適当にみんなを回収して……」

春閣下「っ……」ガクンッ

春閣下「あ、あれ……?」

春閣下「ちょっと、飛ばし過ぎちゃった……かな……?」フラッ


ドサッ


シュゥゥ…


春香「………」




ガチャ…


カイナッツォ「……や、やっと、辿り着いたぞ……」ヨロッ

やよい「カメさん、どうもありがとうございましたーっ!」ペコリ

カイナッツォ「フンっ」プイッ



カイナッツォ「……ん?」



モクモク…



やよい「はわわっ。けむりがひどくて、何も見えませんー」

やよい「何があったんでしょーか?」

カイナッツォ「私が知るかっ!」

カイナッツォ「それより、ルビカンテ達を探すぞ!」

やよい「はーい!わかりましたー!」


トテトテ…



やよい「よいしょ、よいしょ……」ズルズル

春香「………」

やよい「………ふぅ」

やよい「よかった。みなさん、きぜつしてるだけみたいですねー」

千早「………」

伊織「………」

美希「………」



カイナッツォ「……こっちも、四天王はみんな無事なようだ」

バルバリシア「………」

ルビカンテ「………」

スカルミリョーネ「………」



カイナッツォ「しかし……」チラ



ルナザウルス「」



カイナッツォ「なぜ、みんな気絶しているのだ?」

カイナッツォ「あの魔物と刺し違えた、という事なのか……?」



やよい「あのー、カメさん?」

カイナッツォ「なんだ?」クルッ

やよい「春香さんたちはぶじだったので、これからわたしたち、みなさんのところへ帰ろうと思うんです!」

カイナッツォ「フン、そうか……」

カイナッツォ「そういえば、今、人間どもは滅ぼされかかっているんだったな」

カイナッツォ「ならば早く行け。私も、お前達人間の顔を見なくて済むと思うと、せいせいする」


やよい「それなんですけど……」

やよい「どうやってみなさんのところへ帰ればいいんでしょーか?」

カイナッツォ「私が知るかっ!」

やよい「あぅ、すみません……」



やよい(しばさんたちの力をかりれば、海だってこえられるけど……)

やよい(さすがに、わたしひとりで4人をかついで行くのはムリかなーって)

やよい(みなさん、グッスリねてるみたいだし……)



やよい「どーしよう……」



カイナッツォ「………」

カイナッツォ「…………ちっ」

カイナッツォ「ならば、アレを使えばどうだ?」スッ



巨人4『………』



やよい「わぁ……とってもおっきいロボですねー……」

やよい「あの、この巨大ロボって動くんでしょーか?」

カイナッツォ「知らん。だが、この巨人は人間を滅ぼす為に造られたんだろう。動くと考える方が自然だ」

やよい「えーっと??」

カイナッツォ「動く、と言ってるんだ!物分かりの悪いヤツだな!」

やよい「そーですか!」パァァ

やよい「うっうー!わたし、がんばりまーっす!」

カイナッツォ「…………フン。ま、せいぜい足掻くんだな!」



ー トロイア南の海上 ー


…ドドドドドドッ!


響「うわぁっ!」

亜美「うひゃー!」



グラグラッ…



亜美「こんのー!ブリザガっ!」バッ


コォォ…シャキーン!


響「ね、ねえ亜美!さっきの、ショーがどうのこうのって、どういう意味?」



巨人2『えいっ!』ブゥン



ドゴォォン!



響「あ、危ないっ!」



ビューーン…



亜美「だからー!今亜美達が戦ってるのがホンモノの巨人なのっ!」


亜美「ブリザガっ!」


コォォ…シャキーン!



巨人2『君、さっきから魔法当たらないけど、やる気あるの?』



亜美「よけーなお世話だよっ!」

響「……で、ホンモノだったらなんなのさ!?」



巨人2『ほら、今度はレーザーだよっ!』


ピカッ!



響「え、エン太郎っ!」グイッ



ドドドドドドッ!



亜美「…………ふぅ、あっぶなー!」

亜美「ホンモノはね、亜美達だけじゃ倒せないの!」

亜美「……ブリザガっ!」


コォォ…パキーン!



巨人2『いや、だから当たってないって……』

巨人2『なんかやる気を削がれるなぁ……』



響「じゃあ、どうするんだ?」

亜美「だ・か・ら!」



亜美「亜美達がホンモノを足止めして、みんながニセモノを倒しやすいようにするんだよっ!」

亜美「巨人が合流しちゃったら、倒しにくくなるっしょ?」



響「なっ……!」



巨人2『なっ……!』



響・巨人2「なるほど……!!」



響「亜美、頭いいなー!見直したぞ!」



巨人2『すごい!そんな作戦を考えてたなんて……!』



亜美「んっふっふ〜!もっとホメてもいいんだよ?」ドヤッ



響「……って、敵に教えちゃったら、意味ないぞ!」

亜美「あっ……」



巨人2『そんな事聞いちゃったら、なおさら君達は早く殺さないとね!』

巨人2『ちょっとホンキだすよ!』ゴゴゴゴ



響「な、なんかやばそうだぞ……?」

亜美「ぐぬぬ……!」

亜美「千早お姉ちゃんに耳ありとは、このコトかぁ……」




亜美「……なーんてねっ」

亜美「安心めされい、ひびきん殿。亜美の作戦は、すでに始まっているのだ!」

亜美「実はさっきの亜美の魔法でもう、足止めはカンリョーしているのだよ!」

響「えっ……?」

響「でも、亜美の魔法は一回も当たってなかったぞ……?」



巨人2『そ、そうだよ!こっちはまだノーダメージなんだよ!』



亜美「なんで亜美が同じ魔法しか使わなかったと思う?」

響「そういえば、氷の魔法ばっか使ってたな……」



巨人2『しかも、当たりもしない……』



亜美「亜美、最初っから当てる気なんてなかったよ?」

亜美「だって、足ばっかねらってたんだから!」

響「あっ……!」

響「そういえば、下は海だぞ!」



巨人2『!!』

巨人2『そ、そんな!足元が凍りついて、動かないっ!?』



亜美「だから言ったっしょ〜?『足止めカンリョー』って!」

響「亜美っ!すごいぞ!天才っ!」



巨人2『うわぁん!こんな子ども騙しに引っかかるなんて〜!』ジタバタ



亜美「大魔道士と呼びたまへ!」ドヤッ

響「大魔道士亜美、かっこいいぞー!」



巨人2『動けっ!動けっ!動いてよぉ〜〜!!』ジタバタ



亜美「んっふっふ〜。亜美のカリツォーから逃れることなどできぬわっ!」

響(……亜美、カリツォーは使えない技だぞ)







…メキッ!



亜美「…………あり?」



…メキメキッ!



響「ちょ、ちょっと……」



巨人2『今動かなきゃ、なんにもならないんだああっ!!』



メキメキッ…



パキーンッ!



巨人2『…………あっ、割れた』



亜美「…………げっ」




巨人2『………』



亜美「………」

響「………」



亜美「ひびきん、逃げよ!」

響「もー!結局こうなるのかー!」グイッ



…ビューーン!



巨人2『待てぇぇぇぇっ!』



ズシィィン!ズシィィン!




ー エブラーナ近海 ー



巨人3『はぁ、まったく……こんなに水がある場所で私が負ける訳ないじゃないですかぁ……』



グラッ…



律子「きゃっ……!」ヨロッ

あずさ「そ、そういえばここ、海の上でした……」

あずさ「ど、どうしましょう……?」

貴音「巨人が立ち上がると、足場が無くなってしまいます……!」



巨人3『あ、そうか。あなた方人間は、水中で自由に身動き取れないんでしたねぇ』

巨人3『ふふ、これは楽に事が終わりそうですね〜』



グラッ…



家老「……むっ!しまっ……!」ズルッ


ヒュー…バッシャーン!


律子「お、お爺さんっ!?」

律子(助けなきゃ!)

律子(でも、私、泳ぎは……)

律子(……ううん。人の命がかかってる。迷ってる場合じゃないわ!)

律子「すぅーーーー」

律子「……ふっ!」ダッ


ヒュー…バッシャーン!


貴音「律子嬢!」

貴音「くっ、足場が……!」ガシッ

あずさ「律子さんとお爺さんを助けないと……!」ガシッ



巨人3『あと、2人……』

巨人3『いつまでへばりついていられますかねぇ……』



貴音「あずさ、大丈夫ですかっ?」ググッ

あずさ「た、貴音ちゃん、ごめんなさい……。私、もう腕が……」

貴音「く……!」

貴音(魔法で、どうにかならないのでしょうか……?)



巨人3『水中で身動き取れない、空も飛べない。人間って、可哀想な生き物なんですねぇ……』



貴音「空を………?」

貴音「…………そうでした!」

貴音「わたくしとした事が、こんな初歩的な事を忘れているとは……!」



あずさ「もう、ダメっ……」ググッ

貴音「心配無用です、あずさ」

あずさ「えっ?」



貴音「……れびてとっ!」



…フワッ



巨人3『……あらら』



あずさ「………あ」フワフワ

貴音「とりあえず、一時的にはこれで問題無いはずです」フワフワ

あずさ「わ、私も忘れてたわ〜、この魔法」

貴音(律子嬢は、浮いてこない……)

貴音(やはり、魔法が作用する範囲、もしくは条件が決まっているのですね……)

貴音(それに水蜘蛛の術も、あの草履ありき、といったところ。どうやら万能ではない様です)



巨人3『……そんなに簡単には行きませんか』

巨人3『まあ、適当に頑張ってみますか……』

巨人3『……ほっ!』ブンッ



貴音「っ……ぷろてす!」


パキーン!



ドゴォォン!



あずさ「貴音ちゃんっ!?」

貴音「……だ、大丈夫です、この程度なら……」



巨人3『さすがは月の民最強、といったところですねぇ。巨人の攻撃をまともに受けて無事でいられる人間は、あなたくらいでしょう』

巨人3『はぁ、面倒だなぁ……』



貴音(この巨人は、先ほどの塔で襲撃してきた2体の巨人とはまた別の様ですね)

貴音(月から来た魔物は4体。おそらく、巨人も4体いる、と見て良いでしょう)

貴音(塔に残して来た響や他の皆の安否が気になるところですが、まずは今この状況をどうにかしないと……)

貴音(わたくしの記憶が確かならば、律子嬢は泳ぎが得意ではなかったはず)

貴音(ならば……)



貴音「……時にあずさ。泳ぎは得意ですか?」

あずさ「ご、ごめんなさい……私、泳ぎはあんまり……」

貴音「……わかりました。ならば、わたくしが律子嬢を助けに参りましょう」

貴音「ですから、あずさは少しの間彼奴の相手をお願いします!」

あずさ「わ、わかったわ!」グッ



貴音「頼みましたよっ!」


ブワッ…


…ザパァン!



あずさ「………」グッ

あずさ(私も、しっかりしなきゃ!)



巨人3『仲間を助けに行っちゃいましたか』

巨人3『復活されると面倒なので、先に水中の人間達から殺しますかねぇ』


…ピカッ!



ドドドドドドッ!



巨人3『………うん?』



あずさ「そうはいきませんよ〜?」ポゥ



巨人3『おやまあ、レーザーを魔法で防ぐとは……』

巨人3『揃いも揃って、面倒な人達です……』



あずさ「あの〜、巨人さん?」



巨人3『はい、何でしょう?』



あずさ「……ちょっと、お仕置きしちゃいますね〜?」ゴゴゴゴ



巨人3『……怒っちゃいましたか?』

巨人3『おお恐い。私も本気で行かないといけませんねぇ』



あずさ「うふふ。反省してくださいね〜」バリッ



巨人3『それは無理な相談ですねぇ……』


ブゥン…



ドドドドドドッ!



あずさ「……サンダガ!」



ズガガピシャァーン!



ザッパァァァン!!




巨人3『むむ、なかなかやりますねぇ……』

巨人3『………あれ?いない?』



「後ろですよ〜」



巨人3『えっ?』



あずさ「………ファイガ!」



ゴオオォォオ!!


ドカァァァン!



巨人3『びっくりした……』

巨人3(今、この人が消えた様に見えましたけど、気のせいですかねぇ?)



あずさ「あらあら、やっぱりタフなんですね〜」



巨人3『そりゃあそうですよ。なんたって巨人なんですからねぇ』



あずさ「これは、地道にやるしかなさそうねぇ」

あずさ「……テレポ!」

…シュンッ!



巨人3『また消えた!?』

巨人3『後ろですか?』クルッ



「うふふ、上ですよ〜」



巨人3『なっ!?』



あずさ「ブリザガっ!」バッ


コオォォ…シャキーン!



巨人3『むぅ、ちょこまかと忙しい人だ……』


バキッ!


巨人3『えっ?巨人の装甲が、破られた……?』



あずさ「私も詳しくは知らないんですが、確か、熱膨張……だったかしら?熱した物を急に冷やすと、壊れやすくなるそうですよ〜」



巨人3『……へぇ、博学なんですねぇ』



あずさ「うふふ、これでも一応短大は出ているんですよ〜?」



巨人3『まさか、巨人の装甲を破壊するとは……』ボロッ

巨人3『造りが適当過ぎましたかねぇ……』



あずさ「あらあら、それ、手造りだったんですか?」

あずさ「ちょっと悪い事しちゃったわねぇ……」



巨人3『あなたを甘く見ていました。なかなかお強いみたいだ』

巨人3『こちらものんびりしている場合ではないみたいですねぇ』



あずさ「もう悪い事はしないって誓っていただければ、私もこんな事をしないで済むんですけどね〜」



巨人3『うーん、それは無理ですねぇ」



あずさ「あら、残念ねぇ」

あずさ「それはそうと、ちょっとよろしいですか?」



巨人3『はい、なんでしょうか?』



あずさ「え〜と、とても言いにくいんですけど〜」



巨人3『はぁ』



あずさ「その、後ろに……」



巨人3『後ろ?』クルッ



…ドゴオオォォォン!!



巨人3『ぎゃあっ!?』ヨロッ



あずさ「貴音ちゃんがいますよ〜……って、ちょっと遅かったみたいねぇ」



貴音「今の一撃は、先ほどのお礼です」フワフワ

貴音「あずさ、無事ですか?」

あずさ「ええ。貴音ちゃん、律子さん達は?」

貴音「大丈夫。2人とも無事ですよ」チラ



律子「……っはぁ、はぁ、貴音、助かったわ……」フワフワ

家老「すまん。老いぼれは足手まといだったようじゃ……」フワフワ

律子「お爺さんは後ろに。ここは私達に任せてください!」チャキッ

貴音「さあ、物の怪よ。観念するのです」ビシッ

あずさ「謝るなら今のウチですよ〜?」



巨人3『………』



巨人3『……あ〜あ、やっぱり「こんなもの」必要なかったなぁ』



貴音「………?」



巨人3『実は、最初からずっと動きにくかったんですよねぇ』

巨人3『「こんなもの」に乗ってるから』



律子「……何をする気?」





ニュルニュル…



あずさ「あらあら……」



ニュルニュル…



貴音「!」



ニュルニュル…



タイダリアサン「……ふぅ。ようやく楽になりましたねぇ」



律子「魔物が、巨人から出て来た……!」

律子(巨人の力無しで、私達に対抗するつもりなのね……!)

律子「あずささん、貴音!気をつけて!」

あずさ「は〜い」

貴音「………」



タイダリアサン「水がたくさんあると、力が漲りますねぇ」ニュルニュル



貴音「にゅ、にゅるにゅるの、にょろにょろ……」フラッ

律子「……た、貴音?どうしたの?」ガシッ

貴音「……わ、わたくし、にょろにょろは少々苦手でして……」

あずさ「貴音ちゃん、大丈夫?」

律子「にょろにょろ……?」

律子(……あ、確か、貴音の苦手なものって……)



律子「貴音、お爺さんをお願い!ここは私とあずささんで何とかするわ!」

貴音「す、すみません、律子嬢……」



律子「あずささん、行きますよっ!」チャキッ

あずさ「わかりました〜」


別々の場所で同時に起きている事を表現するのは難しい
巨人編が終わるまでは、場面転換が多いと思います
脳内保管していただければ幸いです


ー トロイア南の海岸 ー


ババババババ…



亜美「……ふぃー。うまいこと逃げれたかな?」

響「………」

亜美「あの巨人、大っきいクセになかなかキビンだったよねー?」

響「………」

亜美「まったく、ホンモノの巨人に出会っちゃうなんて、ついてなさ過ぎっしょ」

響「………」

亜美「ニセモノだったら、カッコよくバシーッ!ってやっつけたのになぁ……」

響「………」

亜美「………」



亜美「もーっ!なんで返事してくんないのさーっ!」ギュッ

響「ふぇっ!?」

亜美「さっきからひびきん、暗過ぎだYo!」

響「あ、ああ……ごめん、ちょっと考え事してたんだ」

亜美「考え事って?」

響「………」



響「……自分、やっぱり嫌だぞ。逃げ回るだけなんて」

亜美「ひびきん、だからそれは……」

響「わかってるさー」

響「亜美はこのゲームに詳しいんだよね?それで、あの巨人は自分達だけじゃ手に負えないって判断したから逃げてるんだよね?」

亜美「いちおー作戦の内なんだけど、まあ、そだね。亜美達は逃げ回ってるだけだよね」

響「みんな頑張ってるのに、自分達だけ敵わないから逃げる、なんてカッコ悪くて嫌なんだ」

響「自分も、みんなと同じ様に戦いたいんだ!」

亜美「ひびきん……」

亜美(亜美達がホンモノを引きつけといて、みんなにニセモノを倒してもらう作戦なんだケドなぁ)

亜美(……でも、ひびきんのゆーとーりかもしんない)

亜美(亜美だって、あの巨人にビッチ報いたいモンねっ!)



亜美「わかったよひびきん。亜美達も戦おっか!」

響「亜美!」パァァ

亜美「んでも、さすがにムテッポーに突っ込むのはヤバいんだかんね?」

響「そ、そんな事わかってるぞ!」

亜美「いや〜、ひびきんならやりそうかと」

響「う……」

亜美「それにさ、あの巨人は、中に入って『せーぎょシステム』ってのを壊さないといけないんだよね」

響「そうなのか?じゃあ、自分達だけじゃ……」

亜美「うん。亜美達だけじゃ、ちょっと倒すのはキツいかもだね」

亜美「だから、亜美達は巨人の中に入るタメの『入口』を作ろうよ!」

響「うーん……なんか地味だけど、仕方ないか」

亜美「そこで、亜美の作戦パート2なんだけどさ」

響「なんか、嫌な予感がするぞ……」

亜美「だ、ダイジョーブだって!ちょっと耳かして?」

亜美「ごにょごにょ……」

響「……ふんふん」



響「なるほどなー」

響「なんか、意外と普通な作戦で安心したぞ」

亜美「もう!ひびきんは亜美を信用しなさ過ぎだYo!」

響「ごめんごめん、頼りにしてるぞ!」



…ズシィィン!…ズシィィン!



亜美「……やっと来たっぽいね」

響「……うん」



巨人2『鬼ごっこはもう終わりかな?』

巨人2『遅かれ早かれ、君達は死ぬんだよ』

巨人2『だから、いくら足掻いても無駄なんだっ!』ゴゴゴゴ



亜美「……んじゃ、ヨロシク頼んだよ、ひびきん!」

響「了解だぞっ!」



響「よーし、行っくぞーっ!!」



ビューーン!


ー 巨人内部 ー


ズシィィン!…ズシィィン!



やよい「はわわっ!本当に動いてます!」

やよい「カメさんの言った通りでした!」

やよい「すごいなー!こーんなに大っきなロボが動いてるなんて」

やよい「なんだか、テレビで見るアニメみたいかなーって」

やよい「長介たちにも見せてあげたいなぁ」

やよい「………」



やよい(長介たち、ちゃんとご飯食べてるかな……?)

やよい(仲良くやってるかな……?)

やよい(長介たちに、会いたいな……)



やよい「……………グスッ」



千早「………!」ピクッ

千早「んっ……」

千早「…………」ムクッ

千早「ここは……?」



やよい「あっ……」ゴシゴシ

やよい「千早さん、おはよーございまーす!」



千早「高槻さん……?」

千早「なぜここに?というか、ここはどこなのかしら……」

やよい「ここは、巨大ロボの中ですよー!」

千早「巨大……ロボ?」

千早「………」キョロキョロ

千早(春香、美希、水瀬さんもいる……。寝ているみたいだけど)

千早(まさか、高槻さんが一人で運んだの?)



千早「あの、高槻さん。何があったのか、話してもらえない?」

やよい「えっと……はい、わかりました!」


…………

……



やよい「……と、ゆーわけなんです」

千早「そうだったの……」



千早(高槻さんの話を整理すると……)

千早(美希、水瀬さん、高槻さんの3人は、春香より少し遅れてあの塔に到着した)

千早(高槻さんが言う『カメさん』とは、もしかしたら律子の部下だったあのカメの魔物の事かもしれないわね)

千早(ともかく、3人は四天王の協力を得て私のいる次元エレベータを目指したみたいだけど、それぞれが時間差で到達したみたいね)

千早(現に、私は美希にしか会っていない)

千早(おそらく、私が気を失った後に水瀬さんが到着して……)

千早(最後に高槻さんが到着した時には、全員気絶していた……?)



千早(じゃあ、誰があの魔物を倒したの?)

千早(私はてっきり、春香が倒したのだと思っていたのだけど……)チラ

春香「………」

千早(でも、春香も気絶してしまっているみたい)


千早(塔で見た『あの』春香は、私の知っている春香とはまるで別人だった。本人も、『目覚め』だとか『初めまして』とか、よくわからない事を言っていたわね)

千早(そういえば……)

スタスタ…


春香「………」

千早(このリボン。これを身につけてから、春香が変わってしまった気がする)

千早「………」スッ

シュルッ…


やよい「あの、千早さん?なんで春香さんのリボンを取っちゃうんですか?」

千早「………」

千早「高槻さんは、今まで春香が黒いリボンを付けているのを見た事ある?」

やよい「うーんと……」

やよい「そーいえば、見たことないかなーって」

千早「私も見た事ないわ」

やよい「でも、春香さんが黒いリボンって、なんだかふいんきがかわりますよねー」

千早「ええ」

千早「……雰囲気どころか、性格まで変わってしまったみたいね」

やよい「……えっ?」



千早(ともかく、この黒いリボンを身につけていなければ、元の春香に戻るかもしれない)

千早(『あの』春香は……とても強かったけど、あまり良くない予感がする)

千早(とりあえず、リボンは私が預かっておきましょう)スッ


千早「……それで高槻さん。今はどこへ向かっているの?」

やよい「それが、わからないんです……」

やよい「わたし、ロボを動かすのがやっとで……」

千早「そ、そう……」

やよい「うー……すみません」シュン

千早「気にしないで。こうして私達があの塔から脱出できたのは、高槻さんのおかげよ。むしろ感謝しているの」

やよい「千早さん!」

やよい「えへへっ、お役に立ててうれしいですー!」



千早(そういえば、いつの間にか私にかけられた小鳥さんの術が解けている)

千早(気を失う前に、春香に何かされた様な気がするけれど……)

千早(春香には……ううん、美希にも、水瀬さんにも、高槻さんにも感謝しても、し足りないわ)

千早(危険を省みず、私を心配してあの塔まで来てくれたんだもの)

千早(私も、何かみんなの役に……)



千早(……そうだ。魔物たちの話によれば、巨人はあと3体いる)

千早(しかも、本物の巨人に乗っている魔物は、とんでもない攻撃手段を持っていたはず)

千早(聞いた相手を、一撃で死に至らしめる言葉、とか……)

千早(………)

千早(なんとしても、みんなを守らなければ……!)

千早(おそらくみんなを守れるのは、私だけだもの)


やよい「あの、千早さん?」

千早「……どうしたの?高槻さん」

やよい「千早さん、なんだかとってもむずかしい顔をしてます」

千早「あ……」

千早「ごめんなさい。少し、考え事をしてて」

やよい「わたし、すごくうれしかったんですよ?」

千早「……え?」

やよい「千早さんも春香さんもぶじだったから!」

千早「………」

やよい「わたしには、むずかしいことはよくわかりません」

やよい「だけど、これだけはわかります」

やよい「いつも笑顔でいれば、ぜーったいいつかはハッピーになれるって!」

やよい「だから、元気出していきましょー!」

千早「高槻さん……」

千早「………ふふ」

千早「そうね。暗くなっていても、仕方ないわね」ニコッ

やよい「えへへっ♪ 」ニコッ



やよい「あの、千早さん。手を上げてもらえますか?」

千早「手を……?」

千早(あっ……これは、もしかして)

千早「こ、こう、かしら?」スッ

やよい「じゃあ、行きますよー?」

千早「え、ええ」ドキドキ



やよい「はい、たーっち!」パンッ

やよい「いぇいっ!」

千早「い、いぇいっ!」カァァ



やよい「うっうー!さあ、がんばってみなさんのところへ帰りましょー!」



ズシィィン!…ズシィィン!



やよい「……しまうま〜のしまがとれたらっ♪ 」

やよい「ただのうま〜になるらしい〜♪ 」

やよい「しろのほ〜とっ♪ くろのほ〜とっ♪ 」

やよい「……まよってるゆめっ♪ 」



千早(白と、黒……)

千早(今の春香は、果たしてどちらなのかしら)

千早(………)



千早(それにしても……)



やよい「かなしみ〜のしみがとれたらっ♪ 」

やよい「ただのかな〜になるのかな〜……♪ 」



千早(巨人を操縦しながら鼻歌を歌う高槻さん)

千早「ふふ……可愛い」ホッコリ



「……な〜ににやけてんのよっ?」ツン



千早「ひゃっ!?」ビクン

伊織「にひひっ♪ 驚いた?」

千早「み、水瀬さん?」

千早「も、もう、おどかさないで……!」ドキドキ

伊織「元気そうで安心したわ」

千早「起きてたのね」

伊織「あんたとやよいのツーショットなんて、なかなかないでしょ?」

伊織「気をきかせてあげたのよっ」

千早「そ、そう……」



千早「あの……」

千早「ありがとう。その……助けに来てくれて」

伊織「……私は大した事してないわよ」

伊織「あんたが魔物に連れていかれて、真っ先に動いたのは春香だもの」チラ

春香「………」

千早(春香……)


伊織「それで、具合はどうなの?バカ小鳥が悪さしたみたいだけど」

千早「ええ。もう、音無さんの術は解けたと思う。身体の違和感もなくなったわ」

千早「これも、春香やみんなのおかげね」

伊織「……なら良かったわ」



伊織「そういえば千早。あの塔で春香に何かあった?」

伊織「あの塔での春香、明らかに様子がおかしかった気がするんだけど」

千早「………」

千早(水瀬さんも、同じ事を思っていたのね)

千早「水瀬さんが到着したのは、美希の後だったわよね?」

伊織「そうよ。赤い悪魔ってば、思ったほど役に立たなかったのよねぇ……」

千早「……これ」スッ

伊織「……何よこれ。リボン?」

千早「付けてたでしょう?春香が」

伊織「……どうだったかしら。そう言われると、付けてたような気も……」

伊織「……あんまり覚えてないわね」

千早「春香が変わってしまったのは、おそらくこのリボンのせいだと思う」

伊織「はぁ?こんなリボンで?」

千早「断言はできないけれど」

伊織「こんな黒いリボンでねぇ……」じーっ

伊織「ん……?」

伊織(黒い……暗黒……)

伊織(まさか……)



伊織「千早。ちょっと聞いてほしい事があるんだけど」

千早「何かしら?」


千早「……春香が、暗黒剣を?」

伊織「赤い悪魔が言ってたから、間違いないわ。あの魔物を倒したのは、多分春香の暗黒剣とやらだと私は思ってる」

千早「暗黒剣って、あの真っ黒なオーラを出す技の事よね?」

伊織「ええ。私、あの塔で春香が暗黒剣を使うのを実際に見たわ」

千早「確かに、この世界での春香は、最初、暗黒騎士?だった。でも途中から、聖騎士……というものに変わったはず」

千早「聖騎士になってからは、暗黒剣は使えなくなったと思っていたのだけど……」

伊織「でも、このリボンがきっかけで、また暗黒剣が使えるようになった……?」

千早「………」

伊織「………」



千早「……私ね。春香に何者かが乗り移ったんじゃないかって思っているの」

伊織「乗り移ったって、いったい誰が……」

千早「わからない。でも、あの時の春香のおかしな言動を考えると、誰かが春香に乗り移った、という考えがしっくりくる気がする」

伊織「まあ、確かに私も別人なんじゃないかって思ったけど……」

伊織「じゃあ、春香に乗り移ったヤツが暗黒騎士って事?」

千早「そういう考え方もできると思う」

伊織「………」

千早「………」


伊織「……なんにせよ、これ以上の推測は無理ね。情報が足りなさ過ぎるわ」

千早「……そうね」

伊織「春香が起きるのを待って、直接聞くしかないわね……」チラ

春香「………」



やよい「……あれっ?伊織ちゃん、起きてたの?」



伊織「……あら、おはよう、やよい」

やよい「えへへっ、おはよう!」

伊織「悪いわね、あんたにばかり働かせちゃって」

伊織「少し休みなさい。私が代わるわ」

やよい「あ、だいじょーぶだよ!わたし、けっこう楽しいし!」

伊織「そう?無茶はしちゃダメよ?」

やよい「うん!」



千早「素朴な疑問なのだけど」

伊織「何よ?」

千早「高槻さん、どうして巨人を動かせるのかしら?」

伊織「……こんなヘンテコな世界だもの。何が起きてもおかしくないわよ」

伊織「今までツッコみたい事は山ほどあったけど、私ももういちいち驚くのはやめたわ」

千早「意外と順応しているのね」



やよい「……きりんや〜かっぱのめり〜ご〜らんっ♪ 」

やよい「どせい〜のうえ〜まっわるよ〜♪ 」

やよい「ねつもっ、かぜもっ、かんじないね〜♪ 」

やよい「のどもかわかないね〜……♪ 」


ー エブラーナ近海 ー


タイダリアサン「……仕方ありません」

タイダリアサン「じゃあ、久しぶりに真面目にやってみましょうかねぇ」

タイダリアサン「……ここなら、水を集める必要もありませんし」



ザァァ…



律子「な、何?海が……」

あずさ「まあ、なんだか波が高いみたいですねぇ」



ザァァァァ…



タイダリアサン「行きますよ?」

タイダリアサン「タイダるウェーブ!」



ザァァァァ…



あずさ「……律子さん、手を!」

律子「え?は、はい」スッ



…ザッパァァァァン!



タイダリアサン「…………あれ?」

タイダリアサン「また、いない……?」



「……はあああっ!暗黒剣っ!」



ズドドドドドドッ!!



タイダリアサン「あ痛っ!?」ヨロッ



あずさ「うふっ♪ うまく行きましたね〜」フワフワ

律子「ワープする魔法だなんて……」フワフワ

律子「今回はうまく行きましたけど、あまり乱用しないでくださいよ?」

律子「ただでさえあなたは、迷いやすいんだから」

あずさ「は〜い。わかりました〜」



タイダリアサン「痛たた……」

タイダリアサン「また、在らぬところから出て来た……?」

タイダリアサン「ワープの魔法か。これは厄介だなぁ」

タイダリアサン(でも、所詮は人間。水中まではついて来れないでしょう)



ニュルニュル…



ザパァン!



律子「!」

律子「海の中へ……?」

律子「そうか。さすがにあずささんでも、水中へワープはできない」

律子「あの魔物、水棲だったのね……」

あずさ「これは困りましたね〜」

律子「あずささん、どこから来るかわかりません。気をつけて!」

あずさ「はい、わかりました〜」


スイー…

タイダリアサン(……ふふふ。私を探しているようですねぇ)

タイダリアサン(あなた方からこちらの位置がわからなくても、こちらからはあなた方の位置が手に取るようにわかりますよ)

タイダリアサン(……ま、私、手は無いんですがねぇ)

タイダリアサン(さて、これだけ水があれば、多少の無茶ができそうです)

タイダリアサン(あの方々には、時化でも味わってもらいましょうか)

タイダリアサン(そして、やる気も生きる気力も無くしてもらいましょう……)



タイダリアサン(タイダるウェーブ・ストーム……!)



ゴオォォ…



…ザァァァ!



律子「来た!津波よ!」

あずさ「律子さん、もう一度行きますよ」スッ

律子「はい!」ギュッ



ザァァァ…!



貴音「……む?波が、あちこちから生まれている……?」

貴音「気をつけてください、2人とも!複数の津波が起きているようです!」



律子・あずさ「えっ?」



ザァァ…!



律子「あ、あちこちから津波が……!」

律子「どうしよう!逃げ場が無いわ……!」


ザァァァァ…!


あずさ「律子さん、危ないっ!」ドンッ

律子「きゃっ……!」



ザッパァァァァン!



律子「っ……」

律子「…………あれ?」

律子「あずささん……?」

あずさ「はぁ、はぁ……」

あずさ「り、律子さん。無事なんですね?良かった……」ヨロッ

律子「だ、大丈夫ですか?ひょっとして、私をかばって……?」

あずさ「だ、大丈夫ですよ〜?」

律子「あずささん……」

あずさ「それはそうと、私、ちょっと休ませてもらってもいいですか?」

律子「どうかしたんですか?もしかして、怪我でも?」

あずさ「いえ。あんまり気を張り過ぎるのも良くないかな〜って。のんびりするのも、たまにはいいですよ〜?」

律子「今はそんな場合じゃないですよ!しっかりしてください!」ガシッ

あずさ「すみません。でも私、やる気が起きなくて……」

律子「ど、どうしちゃったんですか、いったい……」

律子(のんびり家のあずささんだけど、今までTPOは弁えてたわよね?)

律子(なんでいきなり……)



…ザパァ!



タイダリアサン「ふふ、これで一人、戦意喪失ですね〜」

タイダリアサン「これでワープの魔法はもう使えませんよ〜?」



律子「ど、どういう事?」



タイダリアサン「その方の『やる気』を、削がせてもらいました」



律子「やる気を……?」



貴音「…………はっ!」

貴音「……まさか、たいだるうぇーぶとは、怠惰るうぇーぶ、なのでは……?」



タイダリアサン「おや、気づきましたか」



律子「………」

律子「口で言うと同じ音だからわかりにくいけど、言いたい事は私にもわかったわ……」


タイダリアサン「そう。私の『タイダるウェーブ』を受けた者は、気力が無くなって脱力してしまうんですよ〜」



貴音「肉体的にも精神的にもだめーじがあるとは……」

貴音「なんと恐ろしい攻撃なのでしょうか……!」



律子「…………らない」



タイダリアサン「えっ?」



律子「ほんっっっとーに、くだらないわよっ!」



タイダリアサン「」ガーン



律子「何かすごい事をしたのかと思えば、単なるダジャレじゃない!」

貴音「律子嬢……?」

律子「まさか、ウケでも狙ったわけ?」

律子「そんなのね、ウチの千早ぐらいにしかウケないわよっ!」



タイダリアサン「うぐ……!な、なかなか言いますね……」

タイダリアサン「しかし、くだらなくとも、あなた方に防ぐ事はできないはずです」

タイダリアサン「あなたも、無気力人間にしてあげますよ!」


ザァァァ…



律子「こんなくだらないダジャレ、ツッコむ価値も無いわ、まったく!」プンスカ

貴音(いや、さっきから充分つっこみまくっているのでは?)

律子「真面目にやってるこっちがバカみたいよ、まったく!」ゴゴゴゴ…

貴音「!」

貴音(これは……なんと禍々しい気でしょうか……)



タイダリアサン「さあ、飲まれてください!」

タイダリアサン「タイダるウェーブ!」



ザァァァァァ!!



律子「……暗黒剣っ!」



ズドドドドドドドッ!!



ザッパァァァァァァ…ン!




タイダリアサン「………」

タイダリアサン「た、タイダるウェーブが、負けた……」ボロッ



律子「もう、観念しなさい。言っておきますけど、私の本気はまだまだこんなものじゃないわよ?」

貴音(やはり、純粋な強さなら律子嬢を凌ぐ者はいない様です)

貴音(頼もしくもありますが……)

貴音(何とも邪悪な力なのが気にかかります)



タイダリアサン「………」

タイダリアサン(私はちょっと本気だったんですけどねぇ)

タイダリアサン(う〜ん、まずいなぁ。あの暗黒騎士には敵う気がしない……)



…ズシィィン



タイダリアサン「!」

タイダリアサン(今のは、もしや……?)



律子「さあ、どうするの?」


貴音「……もはやあなたなど、恐れるに足りません!」

貴音「必ずや滅ぼしてくれましょう!」ビシッ


律子「貴音……そんな遠くから言っても説得力無いわよ」

あずさ「あらあら、貴音ちゃんはお茶目さんねぇ」


貴音「い、いえ、わたくしはここからさぽーとに徹しますので」


律子「……まあ、いいけど」


タイダリアサン(人間の方々はまだ『足音』に気づいてないみたいですね)

タイダリアサン(ならば……)


タイダリアサン「……ふむ、そうですね。それもいいかもしれません」

タイダリアサン「私では敵わないみたいですし」



律子(ふぅん、潔いわね)

律子(本当なら、この魔物は人間にとっても酷い事をしたんだし、もっと懲らしめた方がいいんだろうけど……)

律子(でも、負けを認めたなら、これ以上の深追いは可哀想よね)



…ズシィィン



タイダリアサン「………」

タイダリアサン(やはり、巨人は真っ直ぐここへ向かっているようです。……おそらくルナでしょう)

タイダリアサン(この暗黒騎士は強い)

タイダリアサン(ここは一旦、ルナと合流するのがいいですね。それまで時間を稼がないと)


タイダリアサン「いやあ、あなた方の強さに恐れ入りましたよ〜」

タイダリアサン「さすがは青き星の人間ですね〜」

タイダリアサン「というわけで、私は白旗を上げる事にします」



貴音「………」

貴音(律子嬢、簡単に信用するのは危険かと)

律子(まあ、それは私も同感だけど……)

律子(でも、この状況は簡単に覆せないんじゃない?)

貴音(しかし……奴は魔物。どんな攻撃手段を持っているかわかりません)

律子(結構用心深いのね、貴音って)

貴音(いえ……蛇が死ぬほど嫌いなだけです)

律子(あ、そう)


あずさ「魔物さんもああ言ってる事だし、ここはそろそろお開きにしましょう?律子さん」

律子「そうですねぇ……」



…ズシィィン



タイダリアサン(着々と近づいています。もうすぐ……)

タイダリアサン「話のわかるお方だ!では、お近づきの印にこの刀を差し上げましょう」スッ


キラーン!


律子「何?あの物騒な刀は……」

貴音(わたくしとしては、律子嬢の携えている剣も大概だとは思いますが……)

貴音(何やら面妖な気を放つ刀ですね……)

家老「あ、あの刀は……!」

貴音「家老殿、ご存知なのですか?」

家老「うむ。あれは恐らく、この世に斬れぬものは無いとまで謳われた、伝説の妖刀『マサムネ』じゃ」

家老「まさか、この目にする事ができるとは……」

律子「伝説の……」

貴音「妖刀……?」

あずさ「あらあら、なんだかすごそうな刀なのねぇ」

律子「その刀を、降伏の印に差し出すって事でいいの?」



…ズシィィン



タイダリアサン「ええ、そうです。悪い話ではないでしょう?」

タイダリアサン(もう少し……)


律子「なんかあっさりし過ぎてる気もするけど……」

あずさ「律子さん。せっかくの魔物さんの厚意を無にするのも悪いんじゃないですか?」

律子「うーん……」

あずさ「じゃあ、私がもらって来ますね〜」フワフワ

律子「あ、ちょっとあずささんっ!」



…ズシィィン!



貴音「……ん?」

貴音(この音は、まさか……?)



タイダリアサン「さあ、こちらです」スッ


あずさ「うふふ、ありがとうございます〜」



…ズシィィン!



律子「えっ?あれって……」



…ズシィィン!



貴音「やはり……!」



ズシィィン!



あずさ「あらあら……」



巨人4『………』ドーン



律子「そんな……!」

あずさ「また、巨人さんが……」

貴音「………」



タイダリアサン「ふっふっふ。これで形成逆転ですね〜?」

タイダリアサン「それでは、さっきの白旗は撤回させてもらいましょうか」



律子「あなた、始めからこれが狙いだったの!?」



タイダリアサン「いえ、狙ったわけではありません」

タイダリアサン「ただ、私は『運が良かった』だけですよ」



あずさ「律子さん、どうしましょう?」

律子「く……また巨人を相手にしなきゃいけないなんて……!」

貴音「………」

貴音「……いえ、律子嬢、あずさ。心配は無用です」

律子「……え?」

貴音「あの魔物、どうやら『運が悪かった』様ですね」

あずさ「貴音ちゃん、どういう……?」


タイダリアサン「さあ、ルナ。2人で人間を殺しましょう?」



巨人4『………』



タイダリアサン「…………ルナ?」

タイダリアサン(あれ?おかしいな)

タイダリアサン「お〜い!」



巨人4『……ゴソゴソ』

巨人4『……なんですかぁ?』



タイダリアサン「…………えっ?」

タイダリアサン(……あれ?ルナってこんな声だったっけ?)



律子「何か様子がおかしいわね」

あずさ「今の声、どこかで聞いたような……」

貴音「ふふ……」


タイダリアサン「だ、だから、2人で人間を殺しましょうって……」



巨人4『そんなっ!こ、ころすなんて、そんな悪いことしちゃ、めっ!ですよっ!』



タイダリアサン「え?え?」



律子「まさか……?」

あずさ「あらあら〜」ニコニコ

貴音「相変わらず、元気いっぱいですね」ニコッ



巨人4『ガタッ……』

巨人4『高槻さん、相手は魔物よ?律儀に返事しなくても……』

巨人4『で、でも、こーいうのって、なんか本物のパイロットみたいでかっこいいかなーって』

巨人4『そ、そうね。高槻さんがそう言うなら……』

巨人4『ちょっと千早!何やよいに流されてんのよ!』

巨人4『だ、だって、高槻さんがあまりにも可愛らしいから……』

巨人4『うっうー!こちら高槻やよい、おうとーせよ!』



タイダリアサン(いったい何が起きているんだろう……)


律子「プッ……!」

律子「あははは!まったく、あの子達ったら……!」

あずさ「うふふ、みんな楽しそうね〜♪ 」

貴音「この様な巨人なら、何体いても良い気がします」



巨人4『2人とも、そんな事より先にやる事があるでしょうが!』

巨人4『そーだよ!まずは律子達を助けるのが先決って思うな!』

巨人4『こら美希!私のセリフを取らないでよ!』

巨人4『というか美希、いつの間に起きたの?』

巨人4『うっうー!高槻レスキュー隊、ただいまとーちゃくしました!』シュタッ



巨人4『……おけがはありませんか?どーぞ!』



律子「やよい……っ!」ウルッ

あずさ「私達はみんな無事よ〜?」

貴音「そちらこそ、皆無事ですか?」



巨人4『ミキ、元気だよ?』

巨人4『あんたはずっと寝てたからでしょうが』

巨人4『こっちも大丈夫です。ちゃんと春香もいます』

巨人4『えへへっ♪ 』

巨人4『それじゃー、きゅうじょを開始しまーすっ!』



律子「あ、待って。その前に……」チラ

あずさ「………」コクリ

貴音「………」コクリ



タイダリアサン「………」ソローリ



律子「逃がさないわよ!」



あずさ「……サンダガ!」

貴音「……ほーりー!」

律子「……暗黒剣!」



タイダリアサン「あ……」



ドッゴオオオオォォン!!



ー 巨人内部 ー



律子「……本当、みんなよく無事でいてくれたわ……!」

伊織「にひひっ♪ 私を誰だと思ってんのよっ?」

美希「えー?デコちゃんはデコちゃんでしょ?」

伊織「そ、そういう意味じゃなくて!」

やよい「律子さんたちをきゅうじょできて、ほんとーによかったです!」

あずさ「うふふっ♪ やよいちゃん、カッコよかったわよ〜?」

やよい「はわわっ、はずかしいですー……///」

貴音「しかし、お互いにいろいろあった様ですね」

千早「ええ。本当に……」

貴音「春香は、まだ目を覚まさないのですか?」

千早「そうですね……」チラ

春香「………」



伊織「……でも、まさかジイまでいるとは思わなかったわね」

家老「なあに、お嬢を守る為ならばこのジイ、火の中水の中、ですぞ?」

伊織「……よく言うわよ、まったく」

律子「私達、ここへ来るまでにこちらのお爺さんにお世話になったのよ」

伊織「ふーん、そうだったの」

家老「お嬢のご友人とあれば、力をお貸ししない訳にはいきますまい」

家老「まあ、逆に迷惑をかけてしまったみたいですが……」

貴音「お気になさらず。家老殿がいなければ、わたくしの空腹は満たされなかったのですから」

律子「いや、感謝するところがそこだけって…………まあ、いいか」


伊織「……で?国のみんなは元気?」

家老「それはもう!皆が一丸となって、エブラーナの復興に力を注いでおりますじゃ」

伊織「それを聞いて安心したわ」ニコッ



家老「……あとは、お嬢があの憎き仇、ルビカンテの奴めを討ち取ってくれれば、何も言う事はないんじゃ」



伊織「……っ!」

律子「………」

貴音「……?」



伊織「そ、そうね!別に忘れてたわけじゃないのよ?」

伊織「ただ、ずっとあの赤い悪魔を探してただけなんだからっ!」

律子(伊織……)

家老「そうだったのですか……」

家老「ならば、このジイも共に行きましょう!」

伊織「はぁ!?な、何言って……」

家老「やはり、お嬢ひとりに背負わせて良い荷ではないと思いましてな」

伊織「い、いいわよ別に!私ひとりで充分よ!」

家老「いいえ、こればかりは譲れません。成長されたとはいえ、まだまだお嬢は忍者として未熟」

家老「このジイめが教える事もまだあると思っております」

伊織「で、でも……!」


家老「……そうじゃ。アズサ殿、先ほどの刀を……」

あずさ「は〜い。これですか〜?」スッ


キラーン!


伊織「何、これ……?」

家老「妖刀マサムネ。伝説の忍者が使ったと言われる刀のひと振りですじゃ」

家老「これを、お嬢に」スッ

伊織「………」

伊織(別に必要ないんだけど……)



美希「デコちゃん、持ってみれば?」

伊織「え?」

美希「ミキ、その刀はデコちゃんにピッタリって思うな」

やよい「わたしも、伊織ちゃんににあってると思うよ?」

千早「そうね。他に刀なんて使う人もいないし、水瀬さんが使うのが一番いいんじゃないかしら」

貴音「伊織も忍者ならば、やはり忍者に相応しい得物が必要かと」

伊織「わ、わかったわよ……」スッ


伊織「……!」

伊織(手に、吸い付く……)

伊織(まるで私を待っててくれたみたいな……)

伊織(……変な感じね)



家老「どうですかな?お嬢」

伊織「……そうね。ま、悪くはないわね」チャキッ

家老「その刀で、どうかルビカンテを討ち取ってくだされ!」

伊織「………」



伊織(いったい、どうすればいいっていうのよ……)



律子(伊織……)


千早は四条さんに敬語でしたよね?確か
いや、敬語だったはず

一応、今日はここで終了です

敬語だよー千早は同い年と(響と雪歩除く)律子と亜美真美と美希にはタメ口だけど他の人には基本的に名字呼び+敬語

>>299
ありがとうございます

千早×貴音とか、あまり見ない組み合わせを書いていきたいと思ったけど、気づいたらもう物語も終盤だった…


ー トロイア南の森 ー



ドドドドドッ!!



…ビューーン!



巨人2『ああもう、また避けられちゃった……』


響「ふふーん!もうレーザーは見切ったぞ!」

響「くらえ!ハイサイビーム!」


ビュイィィィィン! ドカァン!!


巨人2『……だから効かないってばー……』


亜美(うーん……このやり取りも、もうあきちゃったなぁ)


響「そんなふうに余裕でいられるのも、今だけだぞ!」ビシッ

響「『雨垂れ石を穿つ』ってことわざがあるの、知ってるか?」


巨人2『わあ、なんかカッコ良さげな言葉だね!』

巨人2『どういう意味なの?』


響「え?えーと……」

響「確か……雨だって、たくさん降ればいつか石にも穴を空けちゃう、とか、そんな意味だったはずだぞ」

響「だから、自分達の事をバカにしてると、きっと痛い目をみるんだぞ!」


巨人2『へぇ……。君って物知りなんだね!』


響「自分、完璧だからな!」

響「最後に勝つのは、ぜーったいに自分達なんだからねっ!」ビシッ


巨人2『ボクだって、負けないもんね!』



亜美(……なんかこの2人、似たもの同士な気がしてきたよ)



ドドドドドッ!!


響「うわあっ!」

響「……大丈夫か、エン太郎!」

響「よーし、今度はこっちの番だぞっ!」



亜美(こーしてカンサツしてると……)

亜美(ひびきんって、いつでも全力ってカンジだよねー)

亜美(まったく、ガンバりやさんですなー)



響「…………亜美!亜美ってば!」



亜美「……うぇっ?な、何なに?なんかあった?」

響「今、ボーっとしてただろ……」

亜美「し、してないよ!シツレーな!」アセアセ

響「ホントかなぁ……」ジト

亜美「だ、だいじょーぶだいじょーぶ。ちゃんとやってるからさ!」

響「『亜美の超魔法を巨人に食らわすから、ひびきんは時間かせぎしといてYo!』とか言い出したのは、亜美なんだからね?」

亜美「わ、わかってるってば。今ちょうど魔力がたまってきたトコだから」

響「え?そうだったのか?」

亜美「あとちょっとだけガンバってよ、ひびきん」

響「わかった!自分に任せろっ!」ニコッ



亜美(……ゴメンねひびきん)

亜美(実はもう、とっくに亜美の魔法は発動できるじょーたいなんだよ……)

亜美(でも、フツーにやってもおもしろくないしー)

亜美(なんかこう、インパクトのあるコトしたいよね!)

亜美(んー、なんかいいアイディアはないかなー)


亜美(………)

亜美(………)

亜美(………)

亜美(やっぱ真美がいないと変なカンジだね)

亜美(ひとりでこうしてても、チョーたいくつだもん)

亜美(そういえば、真美といっしょに魔法使った時は『ふたりがけ』だったけど、亜美ひとりだと『ひとりがけ』とかになるのかな?)

亜美(………)

亜美(ふむ、われながらくだらないギモンですなぁ)

亜美(………)

亜美(…………真美、だいじょーぶかな)

亜美(まあ、あっちにはゆきぴょんとマコちんと、おまけに兄ちゃんもいるから問題ないか)

亜美(……問題は、あずさお姉ちゃんだよね)

亜美(すでにゾンビだから、死んじゃったりする事はないと思うけど)

亜美(どこに飛んだんですかねぇ、あのお方は……)

亜美(誰かいい人に拾われてるといいけど……)

亜美(……って、あずさお姉ちゃんは捨てネコかーい!)ビシッ

亜美(………)

亜美(……ヒマすぎてノリツッコミしちゃった)

亜美(これじゃ、まるで亜美がイタい子みたいじゃんか)

亜美(………)

亜美(………)

亜美(………)

亜美(あー、そういえばあの巨人に穴をあけて入口を作らないとだね)

亜美(さて、どうしてくれようか……)

亜美(………)

亜美(………)

亜美(………)

亜美(………………ああっ!!)ティン



亜美(亜美、ちょっとおもしろいコト思いついちった……!)ニヤリ



亜美「……ひびきん、ちょっといい?」

響「亜美?準備できたのか?」

亜美「うん!オッケーだよ!」

響「よーし、じゃあさっそく……」

亜美「あ、その前にさ」



亜美「どーにかして、巨人の後ろに回りこめないかな?」



響「後ろに?……不意打ちって事か?」

亜美「うーんと、まあ不意打ちは不意打ちなんだけど……」

亜美「どうしても後ろからじゃないとダメな理由があるんだよねー」

響「ふーん……わかった。なんとかやってみるぞ!」



響(……とは言ったものの)


ドゴォン! ドカァン!


響「……おっと!」グイッ


ビューーン!


響(あいつ、スキなんてなさそうだぞ)

響(自分とエン太郎のスピードなら、強引に巨人の後ろに回り込めない事もないけど、きっとそれじゃダメなんだろうなー……)

響(………)

響(だったら、無理やりスキを作るしかないか)

響(よし、じゃああの手で行くぞ!)


響「おーい!デカ太郎ー!」

亜美(……いやいやいや)



巨人2『………』



響「こらぁ!無視するなー!」プンスカ

亜美(そりゃーわからんでしょうよ)



巨人2『……え?ひょっとしてボクの事?』



響「決まってるさー!他に誰がいるっていうんだ?」

亜美(この世界にそんな名前の人はたぶんひとりもいないよ、ひびきん)



巨人2『あ、ごめんね。あだ名とかで呼ばれるの、初めてだったから……』



響「ねえ、あっちに何か見えないか?」スッ



巨人2『えっ?』



響「ほら、あそこだぞ。もっとあっちの方!」


亜美(こ、これは……)

亜美(……まさかひびきん、巨人の注意を引こうとしてるつもりなのかなぁ……?)


響「あー、あそこになんかおいしそうなものが見えるなー」チラ

響「アレ、とってもおいしいんだろうなー」チラ


亜美(うわぁ……)

亜美(注意を引くにしても、ヘタクソすぎ!『あれ』とか『あそこ』しか言ってないじゃん!)

亜美(あとおいしそうなものって何さ!全体的に言葉が足りなさすぎだよ!)

亜美(不器用にもほどがあるっしょ!)

亜美(こんなんで引っかかるわけ……)



巨人2『……ええっ?どこどこー?』キョロキョロ



亜美(……って、引っかかってるー!)ズコー



響「ほら、もっともっとあっちの方だぞ!あー、自分、あれを食べたいなー」チラ



巨人2『えー、ボクも食べたいよぉ!』



響「やった、引っかかったぞ!」

亜美「う、うん……そだね……」

亜美(……ツッコミつかれた。もう、なんでもいいや)



響「今のウチに!」


ビューーン!



ババババババ…


響「……とりあえず巨人の後ろに来たけど、どうするんだ?」

亜美「んーと……」キョロキョロ

亜美「ひびきん、もうちょい下行ける?」

響「わかったぞ!」グイッ


…ブワッ


亜美「………」

亜美「……あ、ストップ!」


…ピタ


響「ここでいいのか?」

亜美「うん。バッチシだよ!」

亜美「さーてとっ……」


亜美「………」ゴゴゴゴ


響「!」

響「なんか、亜美からすごい力を感じるぞ……!」

亜美「まあ見ててよ!」


亜美「……空の彼方の、無数なる……」

亜美「……星の欠片の輝きよ、悪しきに降りそそげっ!」


亜美「いっけぇーー!プチメテオ!」


キラキラキラ…!


ヒュー…


ドドドドドドッ!!



響「うわ……!」

響「すごい!ホントに巨人に穴が空いたぞ……!」

亜美「ま、ざっとこんなモンよ!」

亜美(……ホントはメテオとか使ってみたかったけど、亜美ひとりじゃムリっぽいし、ちかたないね)



巨人2『わわっ……!?』ヨロッ

巨人2『な、なんなの?』

巨人2『……あっ!君達、いつの間に後ろに!?』


亜美「んっふっふ〜!入口は作らせてもらったよ!」


巨人2『あああっ!?巨人のお尻のところに穴が空いてる〜!?』


響「……あ、言われてみればあの辺りって、確かにおしりだぞ」

亜美「何をおどろいているのさ?おしりに穴が空いているのは当たり前の事じゃんか!」

響「ま、まさか亜美、ひょっとして最初からこれが目的で……?」

亜美「うん!ウケるっしょ?おしりから巨人にしんにゅーするなんてさ!」

響「………」

響(自分、絶対に巨人に侵入したくないぞ……)


巨人2『……!』ピクッ

巨人2(えっ……!?)

巨人2(ウソだよ、そんなの……!)



巨人2『………』



響「……あれ?なんか黙っちゃったぞ?」

亜美「ちょっとやりすぎちゃったかなぁ?」


巨人2『ルナが……ボクの仲間が、やられちゃった……!』


響「仲間……って事は、他の巨人か?」

亜美「そーだよきっと!誰かが魔物を倒したんだYo!」

亜美「んっふっふ〜!こりゃ〜、亜美たちの作戦がソウをコウしたってカンジかもねっ!」

響「……功を奏した、だぞ」



巨人2『……そっか。君たちの仲間にやられちゃったのか……』

巨人2『やっぱり人間は、早く滅ぼさないとっ!』


亜美「またまた〜、いきなりそんなシリアスぶっちゃって……」


巨人2『……!』ゴオォォ


響「な、なんか雰囲気がヤバいぞ……!」


巨人2『まだ使わないでおこうと思ってたけど、もういいや!』

巨人2『みんな……死んじゃえっ!』

巨人2『……波動砲!!』


キュイィィィン…!


亜美「や、やばっ……ひびきん!」

響「ま、間に合わ……!」



ドゴオォォォォン!!



響・亜美「うわああぁぁぁああーーーっ!!」


ー トロイア付近の森 ー



ドガガガッ!



真美「うわわわっ!」ヒョイッ



巨人1『どうしました?反撃して来ないのですか?』



真美「………」



巨人1『お前は白魔道士。反撃したくとも、攻撃手段に乏しい』

巨人1『か弱き者が強者に牙をむくなど、もはやそれだけで罪です』



ドガァン!



パシュンッ…



真美「あっ、分身が……」



巨人2『うるさい分身は消しました。これでお前は、丸裸も同然っ!』



真美「ま、丸裸とか、セクハラ発言っしょー!///」

真美「このエッチ!変態っ!兄ちゃん!」

P「お、おい真美。最後のはおかしいだろ?」

真美「おかしくないっしょ?だって兄ちゃん、今は真美の服の中にいるじゃん」

真美「んっふっふ〜!中学生の女の子の服の中とか、兄ちゃんもロリコンさんなんだね〜?」

P「そ、それはお前が無理やり……」

真美「いーから、兄ちゃんはジッとしててっ!」ギュッ

P「んぐっ!」


P(今まで俺は、いろんなアイドルたちの胸に抱かれてきたわけだけど……)

P(その中でも、この胸には一番夢と希望が詰まっているっ……!)

P(…………)

P(……現実に戻ったら、本気で自首した方がいいかもな、俺)



巨人2『お前は一体、誰と話しているのです?』



真美「へ?あ、あー……妖精?」



巨人2『妖精……?』



真美「真美達にはね、心苦しいカエルの守り神が付いてるんだよっ!」

P「……一応聞くけど、心強いの間違いだよな?」

真美「あ、そーだった」



巨人2『よくわかりませんが……お前の顔も、そろそろ見飽きました』

巨人2『もう、終わりにしましょう!』ゴゴゴゴ



P「真美、もう充分だ。そろそろ戻ろう!」

真美「……そだね。このままだと、真美もヤバいかもしんない!」



真美「ってコトで、さいなら〜!」


ビューーーン!



巨人2『逃がしませんよ!』



ズシィィン!ズシィィン!



…ビューーーン!


P「……ところで真美、さっきの、将を射んと欲すれば……ってやつなんだけど」

真美「あー、アレね」

真美「真美達のトコに来たのは、ホンモノの巨人じゃないっしょ?」

真美「だから、巨人達が合流する前にザコ巨人から1体ずつ倒すんだYo!」

P「それはいいけど、もし本物の巨人が攻めて来たらどうするんだ?」

真美「ん〜、それなら多分ダイジョーブっぽいよ?」

P「えっ?」

真美「真美ね、ホンモノの巨人とは、亜美達が戦う気がするんだ」

真美「ついでに言うと、亜美もきっと真美と同じコト考えてると思うから、時間かせぎしてくれると思うんだよねー」

P「わかるのか?」

真美「まあ、縦に双子やってないってとこかな?」

P「………」

真美「兄ちゃん、どしたの?」

P「いや、頼もしくなったなって」

P「俺の知らないところで、みんな成長していくんだな」

真美「兄ちゃんってば、何ジジくさいコト言ってんのさ?」

真美「誰だってせーちょーするのは当たり前っしょ?」

真美「真美なんてせーちょーきだから、あっとゆーまにチョーせくち〜ギャルになっちゃうんだかんね?」

真美(だから、今のウチに真美をヨヤクしといた方が……)

真美(……な〜んて、はずかしくて言えないや)


P「……ああ、そうだな」

P「真美はきっと素敵な女性になる。俺が保証するよ」

真美「な、何言ってんのさ、いきなり……!」

真美「そんなコト言われたら、はずいじゃんかぁ……///」

P「真美が自分で言い出したんじゃないか。……変なやつだな」

真美「自分でゆ〜のと誰かに言われるのじゃ違うんだよ〜!」



P(この世界に来て、良かったのかもしれない)

P(冒険を通じて、みんなどんどん成長してる。前より頼もしくなっている)

P(……じゃあ、俺は?)

P(俺は……)



真美「……っとと」

真美「確か、この辺だったよね?」キョロキョロ



真美「……さて」クルッ



…ズシィィン!ズシィィン!



巨人2『……おや、とうとう観念しましたか?』



真美「んっふっふ〜!そっちこそ、年貢の作り置きってヤツなんだかんねっ!」ビシッ

P(……納め時、な)



巨人2『何を企んでいる……?』



真美「ゆきぴょーん、カモーン!」



雪歩「き、来ちゃいましたぁ……!」ドキドキ

雪歩「ど、どうしよう……!」

雪歩「ええと、こんな時は確か……」

雪歩「手のひらに『ほる』って3回書いて飲み込むんだっけ?」

雪歩「………」カキカキ

雪歩「……あ、あれ?『ほる』って、手へんだっけ?土へんだっけ?」



巨人1『死ぬがいいっ!』ブォン



真美「わああっ!」

真美「ゆ、ゆきぴょん早くー!」



雪歩「あわわ!真美ちゃんが!」

雪歩「ま、迷ってる場合じゃなかったよ!」

雪歩「い、行きますぅ!」チャキッ

雪歩「えいっ!」

サクッ



ズズッ…



雪歩「……超特大の、落とし穴ですぅ!」



ズズズッ…



ボコボコッ!!



巨人1『なっ!?あ、足場が……!』ヨロッ



グラッ…



ズシィィン…!



雪歩「や……やりましたぁ!」



…フワフワ

スタッ

真美「……もー、ギリギリだったよゆきぴょんってば〜」

雪歩「あ、あうぅ……ご、ごめんなさいぃ……」

真美「ウソウソ。信じてたよ、ゆきぴょん!」ギュッ

雪歩「真美ちゃん……」

P「……それにしても雪歩。巨人すら収まるほど大きな穴を、よくこんな短時間で用意できたなぁ」

雪歩「それは……」

雪歩「多分、このスコップのおかげだと思いますぅ」チャキッ

…キラーン!

真美「さっすが伝説のスコップってカンジだね!」

P(……考えてみれば、雪歩が1番いい装備なんだな)



巨人1『く……!小癪な……!』

巨人1『この程度で勝ったつもりですか!』



真美「……さって、あとはトドメだね!」

雪歩「うん、そうだね!」

雪歩「……真ちゃん、お願いっ!」


真「………」

真「よしっ!」グッ

真「行くよ、シルフ!」

シルフ「了解です〜」フワフワ

真「はっ!」タンッ


フワッ…


真「!」

真「身体が、軽い……!」

シルフ「一応私、風を司ってますので、これくらいの事なら〜」

真「ありがと、シルフ!」

真「……はああぁぁあっ!!」ゴゴゴゴ



真美「まこちんファイトー!」

雪歩「真ちゃん、頑張ってー!」



真「……食らえっ!」



真「覇王……翔吼拳っ!!」バッ



ゴオオオォォオオ…!



巨人1『な、なんですかあのデカい気の塊は……!』



真「行っけえぇぇっ!!」



ゴオオォォオオ…!



巨人1『よ、避け……!』



ドッゴオオオォォン!!!



…スタッ

真「……ふぅ」


雪歩「真ちゃーん、カッコ良かったよぉ〜!」ダキッ

真美「うんうん、さすがまこちん、真美達の最終兵器だよ〜!」ダキッ

真「わっ……とと」

真「ちょ、ちょっと、2人とも苦しいって……」

シルフ「むぅ……」



P「真、強くなったな」

P(前から強かったけど)

真「へへ、そんな事ないですよー!ボクなんてまだまだです」

真「それに、油断はできませんよ。あれだけで倒せるとは、ボクも思ってないし」

P「それは、まあそうかもしれないな」

真美「え〜、でも、アレ見てよ」スッ



巨人1『』グシャア



雪歩「わあ……巨人がグチャグチャですぅ」

真「まあ、雪歩の掘った穴のおかげで直撃だったからね」

真美「真美達の作戦勝ちってヤツだねっ!」

P(まさか、こんなにあっさり巨人を破壊してしまうとはな。3人の連携も、見事だった)

P(本当に、みんな頼もしくなった……)

P(………)



真美「そういやゆきぴょん、とろ姉ちゃんとゆきぴょん2は?」

雪歩「あ、2人なら、トロイアに戻ってもらったんだよ」

雪歩「巨人が攻めて来る、って、アンさんやトロイアの人達に教えてあげなきゃだし」

真美「あー、そっか」

真美「でも、とりあえず1体は倒したから、これで少しは時間かせぎできるよね?」

真「……いや、あれって、魔物が乗ってたんでしょ?巨人を動かしてた魔物を倒さなきゃ、安心はできないんじゃないかな?」

真美「そーかなぁ?まこちんのあんなはげしい技をくらったら、さすがに……」



…ビュンッ!



真美「…………え?」



ドゴオッ!



雪歩「あ……ぅ……」ヨロッ

ドサッ

真「ゆ、雪歩っ!?」

真美「ゆきぴょん!」

P(真の言う通り、魔物がまだいるんだ……!)

P「2人とも、気をつけろっ!」



「…………まず、一人」



真「魔物かっ!?」

真美「ゆきぴょん、待ってて!今真美が回復して……」



「……させません!」



ビュンッ…バキッ!



真美「うあっ!?」

ドサッ


真「真美っ!」

真「どこだっ!!」キョロキョロ

シルフ「マコトさん、上ですっ!」

真「えっ?」チラ



白龍「まさか、巨人を一撃で破壊する人間がいるとは思いませんでした……」クネクネ

白龍「……が、お前達は油断が過ぎたようですね」


真(……確かに。クソ、ボクがもっとしっかりしていれば……!)


白龍「コトリ様が配下、この白龍が、お前も殺してあげましょう!」


ビュンッ!


真「ふっ!」ガッ


白龍「くっ!」ブンッ


真「おっと!」ヒョイッ


真「っせいっ!!」ドゴォ


白龍「ぬう……!」




真(雪歩と真美が心配だけど、とりあえずこいつを倒さないと!)

真(でも、あんな蛇みたいな体じゃ、的が狭くて芯を捉えにくいな……)

真(クネクネ動くから、衝撃を受け流されちゃうみたいだし……)

真(あれ、蛇じゃなくて龍って言ってたっけ?)

真(……って、そんな事はどうでもいいんだ)

真(突きや蹴りじゃ、まともにダメージを与えられそうにない)

真(だったら……)



真「……はあぁぁ!」バリッ

真「くらえっ!」ダッ



真「雷煌拳っ!!」

ズガガガガッ!!



白龍「………愚かな」ブンッ


ドゴオッ!


真「うわぁっ!」

ズザザッ!


真「……な、なんで?雷煌拳が、まるで効かない……?」


白龍「妙な技を使うようですね。ですが、私に属性のある攻撃は通用しません!」ブンッ


真「クソッ!」ガッ


真(さすがに手強いな)

真(でも……)


真「絶対に負けないぞっ!」ダッ



ー ??? ー


春香(………)

春香(ここ、どこだろ……)

春香(なーんにもないね)

春香(明るくもない、暗くもない。音も、匂いも、何もない)

春香(不思議なところ……)

春香(あれ?でも……)

春香(私、さっきまで魔物と戦ってたはず……)



春香(……ううん、違うね)

春香(正確には、魔物と戦ってたのは、もうひとりのわたし)

春香(私は、ただそれを見てるだけだった)



「…………ねえ」



春香(…………ん?)



「…………ねえってば!」



春香(あ……)

春香(ヤミちゃん……)


闇春香「ヤミちゃんって、私の事?」


春香(うん。……可愛いかな、って思ったんだけど)


闇春香「ふーん……まあ、好きに呼んでいいよ」


闇春香「それより、まだ気にしてるの?」


闇春香「結果的にみんなも救えたんだから良かったでしょ?」


闇春香「ちゃーんと『わたし』の言う通りにしてあげたんだから、そんなに怒る事ないじゃない」


春香(……ううん、怒ってるわけじゃないよ)


闇春香「じゃあ、どうしてそんなに沈んでるの?」


春香(……だって、みんなを救ったのは、結局ヤミちゃんひとりの力だし)


春香(私、何にも出来なかったなって)


闇春香「まあ、私はみんなの事なんて、別にどうでも良かったんだけどねー?」


春香(そ、そんなっ!)


闇春香「あはは、怒らないでよー」



闇春香「大丈夫だよ。私は『わたし』には逆らえないから」


闇春香「本体であるあなたには、ね」


春香(本体?どういう、事……?)


闇春香「もう、忘れちゃったの?試練の山でお父さんが説明してくれたじゃない」


春香(お父さんが……?)


春香(ええと……ああ、そうだ。ヤミちゃんは、私の闇の部分、だったっけ?)


闇春香「そ。本来なら、私はあの時切り捨てられて消滅していたはずなの」


闇春香「でも、あの時『わたし』は、私を受け入れてくれた」


闇春香「つまり、私を生かすも殺すも『わたし』次第ってわけ」


春香(そう……なんだ)


闇春香「それに、さっき『わたし』は、私ひとりの力で〜って言ってたけど、それは違うよ」


春香(え……?)


闇春香「あの時、魔物を倒したのは……私達2人の力なんだよ」


闇春香「あのリボンのおかげで、私は『表』に出てくる事ができた」


闇春香「でも、身体はもともと『わたし』のものだから、私ひとりであの力を出せたわけじゃない」


春香(で、でも、私はもう暗黒騎士じゃないし、暗黒剣は使えなくなったんじゃないの?)


闇春香「『わたし』は、ね。でも、私は暗黒騎士だもん。何も不思議な事はないんだよ」


春香(えーっと……ごめん、よくわからないよ)


闇春香「うーん……じゃあ、もっとわかりやすく言うね」


闇春香「あの黒いリボンは、どうやら私と『わたし』を結び付けるものみたい」


闇春香「2人がひとつになるって言えばわかるかな?」


闇春香「ひとつになった私達は、聖騎士である『わたし』と暗黒騎士である私が合わさったわけだから、聖剣技も暗黒剣も使えるんだよ」


春香(本当に、そんな事が?)


闇春香「うん。でも、それだけじゃないよ?」


闇春香「技を使う時も、2人の力で使うから、威力はひとりで技を使った時の2倍になるの」


春香(………)


春香(なんか、ビックリする事ばっかりだよ……)


春香(そんなにすごい事になってたなんて……)


…グニャ


闇春香「……ん、意識が戻りかけてる。そろそろ『わたし』の目が覚めるみたい」


闇春香「それじゃ、また必要になったら呼んでね」


闇春香「あのリボンがあれば、私はいつでも力になるから」


闇春香「プロデューサーさんによろしくねっ!」


春香(いろいろありがとう、ヤミちゃん!)


闇春香「またね!」



スゥゥ…



春香(消えちゃった……)

春香(何だかよくわからない事になったけど……)

春香(とにかく今は、みんなに会いたい)



春香(千早ちゃんに、会いたい……!)



ー 巨人内部 ー


春香「………」

春香「………んっ」ピクッ

春香「………」ムクッ

春香「あれ、私……」



春香(私、寝てたんだ)

春香(じゃあ、さっきのは夢……?)

春香(ただの夢……にしては、すごく具体的な話をしたよね)

春香(なんか、千早ちゃんと戦ってた辺りから、夢なのか現実なのかわからないみたいな……)

春香(ずーっとふわふわした感覚だったな)

春香(でも、今までの事が全部夢だったとは、とても思えないよ)

春香(だって私、さっきの夢の話をちゃんと覚えてるもん)

春香(あれ……?)ペタペタ

春香(さっきから、どうも何か足りないと思ったら……)

春香(……私、リボン付けてない!)

春香(ど、どうしよう!?ヤミちゃんに怒られちゃう……!)



あずさ「……あら?春香ちゃん、起きたのね?」

春香「あっ……あずささん!」

あずさ「うふふ、良かったわ〜」

あずさ「春香ちゃん、ず〜っと目を覚まさないんだもの」

あずさ「身体は大丈夫?どこか痛いところはない?」

春香「はい。大丈夫だと思います」グッ

春香「あずささん、ひょっとしてずっと私についててくれたんですか?」

あずさ「途中から、ね。さっきまではずっと千早ちゃんがついていたのよ?」

春香「千早ちゃんが……?」チラ


律子「……多分、トロイアはここから北の方角のはずだから……」

貴音「ならば、太陽を背にして進めば良いでしょうか」

伊織「そうね。他に当てにするものも無いし」

千早「無事に辿り着けるといいけど……」



やよい「……のんすとっぷで♪ いってみ〜ましょ♪ 」

やよい「っておも〜ったらまたあかしんごう♪ 」

美希「そんなと〜きは♪ へこまな〜いで♪ 」

美希「ハイウェイがあ〜るっ♪ 」

やよい・美希「ファイット♪ 」



春香(みんな……律子さん達も、千早ちゃんも、いる)

春香(あれ?でも、響ちゃんがいない……?)

春香(何がどうなってるのかわからないけど……)

春香(とりあえず……)


春香「……みんな!」



千早「春香……!」

伊織「まったく……」

律子「もう、やっと起きたのね?」

貴音「皆、心配していたのですよ?」

やよい「春香さん!」

美希「あは☆なんだか久しぶりなの!」


春香「あの……心配かけて、ごめんなさい」ペコリ


あずさ「あらあら、謝る必要なんてないのよ?」

あずさ「それよりも。ずっと心配だったんでしょう?千早ちゃんの事」

春香「あ……」チラ


千早「春香……」


春香「……おかえり、千早ちゃんっ!」ダキッ

千早「え、ええ……」

春香「私、ずっと千早ちゃんの事が心配で……!」グスッ

千早「………」

千早(……どうやら、私の知っている春香みたいね)

千早「春香……ありがとう」ギュッ

千早「私は、あなたのおかげで帰って来れたわ」

春香「ううん。私の方こそ、帰ってきてくれて、ありがとう!」



伊織(いつも通りの春香よね……)

伊織(千早が言ってた通り、やっぱりあのリボンに何かあるって事なのかしら)

美希「ねえデコちゃん、コワイ顔してどうかしたの?」

伊織「……ううん、なんでもないわ」

美希「?」



律子「よし!これでみんな揃ったわね」

律子「さあ、早くみんながいるトロイアへ帰りましょう」

律子「やよい、巨人の操縦よろしくね?」

やよい「はーい!」

ー 飛空艇 エンタープライズ ー


響「………」



響「………」ピクッ

響「ううっ……」

響「あれ……?自分、どうしたんだっけ……」キョロキョロ



亜美「………」グッタリ



響「あっ!」

タタタタ…

響「亜美!大丈夫か?」ガシッ

亜美「………」

響「あ、亜美?起きてってば!」ユサユサ

亜美「………」

響「う、ウソでしょ!?亜美!亜美っ!起きてよぉ!」ユサユサ

亜美「………」



亜美「………ん〜、もうちょい寝かせてよ〜……」モゾモゾ



響「な、なんだ、寝てたのか……」ホッ

響「自分、亜美が死んじゃったのかと思ってビックリしたぞ……」

亜美「……んん……大魔道士亜美様がそうカンタンにやられるわけないじゃんか〜」ムクッ



ドゴオォン!



響「うわぁっ!」ヨロッ

亜美「へぶっ!?」ドテッ

亜美「いったぁ……はるるんみたくコケちったよ……」

亜美「ねえひびきん。エンたろ、大丈夫なの?メチャ攻撃くらってるよ?」

響「そ、そうだ!エン太郎、大丈夫か!?」


ーーーヒビキちゃん。アミちゃんも、目を覚ましたんだね。良かった。


響「うん!自分、あんな攻撃じゃやられないさー!」

亜美「あり?亜美にもエンたろの声が聞こえるんだけど……?」

響「えっ、ホントか?じゃあ、亜美もこれからエン太郎とお話できるんだな!」

亜美「マジで!?それってチョーすごいじゃんか!」


ーーーそうだね……。


響「……エン太郎?」

響「どうしたんだ?あんまり嬉しそうじゃないみたいだけど……」


ーーーもちろん、嬉しいよ。でも、今はこの状況をどうにかしないと。


亜美「あ、そっか。まだ巨人がいるんだったよ」

響「なんくるないさー!自分と亜美とエン太郎がいれば、巨人なんて……」


ーーーヒビキちゃん、ゴメンね。ボクはもう、飛べそうにないんだ。


響「…………え?」

亜美「な、なんでさ?」


ーーー寿命、かもしれないね。ヒビキちゃんに何回も修理してもらったけれど、もう、あちこちにガタが来てるんだ。


響「だ、だったら、自分がまた直してあげるぞ!」

響「今までだってそうやってきたでしょ?だから、絶対また飛べるようになるさー!」


ーーー多分、それは無理だと思う。あの巨人はもう、ボクらに逃げる隙を与えてはくれないよ。


響「じゃ、じゃあ、自分が巨人を倒してくるぞ!亜美、手伝ってくれる?」

亜美「も、モチロンだよ、ひびきん!」


ーーーゴメンね……。


響「え、エン太郎?なんで謝るのさ!じ、自分は……!」ウルッ

亜美「エンたろ……」ウルッ


ーーーヒビキちゃん、アミちゃん。時間がないんだ。よく聞いて。


ーーー妹が、すぐそこまで来てる。君たちは、妹の方に乗り移るんだ。


亜美「えっ、妹?」

響「妹って…………もしかして、ファル子か?」

響「だ、だったら、エン太郎も一緒に行くさー!自分、エン太郎と一緒じゃなきゃ嫌だぞっ!」


ーーー今のボクはもう、こうして浮いているだけで精一杯。きっと君たちの足でまといになってしまう。


ーーーだから、ボクは一緒には行けない。



亜美「………」

亜美「ねえ、エンたろ。ひょっとして、亜美たちがキゼツしてる間も、ずっと巨人から亜美たちを守ってくれてたの……?」


ーーーそれは……。


ーーーお礼、だから。


響「え、エン太郎、お礼ってどういう事……?」


ーーーボクをたくさん可愛がってくれたヒビキちゃんたちへの、ありがとうの気持ち。




ババババババ…


「親方ーーーっ!」

「ご無事ですかーーーっ!」




ーーー妹が到着したみたいだね。


響「え、エン太郎っ……!」ポロポロ

亜美「………」グスッ


ーーーさあ、時間がないよ。ファル子に飛び移って!


響「いやだっ!自分、エン太郎ともっと一緒にいたいぞっ!」ポロポロ

響「こ、これで……ひぐっ……お、お別れ、なんてっ……!」ポロポロ

響「絶対に、いやだぞっ!」

亜美「ひびきんっ……」ギュッ


ーーーヒビキちゃん……。


ーーーボク、ちゃんとヒビキちゃんに恩返しがしたい。


ーーーボクをとても大切にしてくれたヒビキちゃんを、守りたい。


ーーーボクの大好きな、太陽みたいな君の笑顔を、守りたいんだ。


ーーーダメ、かな?


響「エン…太郎……っ!」ポロポロ

亜美「………」



亜美「……ねえ、ひびきん」

響「な、何……?」グスッ

亜美「亜美ね……エンたろをあんまり困らせるのはかわいそうって思う」

響「亜美……?」

亜美「そりゃ、亜美はまだほんのちょびっとしかエンたろといっしょにいないけどさ」

亜美「ふたりの気持ちってヤツ?は伝わってくるんだ」

響「………」

亜美「ひびきんが、エンたろを大切に思うキモチ。エンたろが、ひびきんを大切に思うキモチ」

亜美「それってさ、チョーすっごいコトだよね?」

亜美「もう、ソウシソウアイってヤツっしょ?」



亜美「……ひびきん。大切なひとを悲しませちゃ、ダメなんだよ?」



響「……っ!」

響「エン……太郎……」



響(………)

響(亜美の言う通りかも……)

響(自分がここでワガママ言ってたら、困るのはエン太郎だぞ)

響(ホントに辛いのは、エン太郎の方なのに……)


響(………)

響(エン太郎が好きって言ってくれたんだ)ゴシゴシ



響(だったら、自分は……!)グッ






響「……もう、泣かない。自分、最後まで笑顔でいるぞ!」






響「だから、エン太郎……」

響「笑って、お別れしようっ……」ニコッ



ーーーヒビキちゃん……!




響「……ありがとね、亜美」

響「自分、亜美のおかげで大切な事に気づけたぞ」

亜美「んっふっふ〜!ひびきんのダンナの意思はそんちょーしないとね!」

響「うがー!だっ、旦那とか、そうゆうんじゃないってばぁ!」アセアセ

亜美「おっ?やっと普段のひびきんに戻りましたな〜?」

響「っ……///」


ーーーさあ、2人とも。もうファル子はすぐそこにいるよ。


ーーーここはボクが食い止める。行って!


亜美「……そだね!」

響「……うん」



響「エン太郎。自分、絶対にエン太郎の事、忘れないからな!」

響「離ればなれになっても、自分達はずっと一緒だぞ!」

響「だって、自分たちは……」


ーーー家族、だもんね!


響「エン太郎っ……!」パァァ



…ドゴオォン!



響「………」

響「またね、エン太郎!」ニコッ


ーーーうん。また、ね。


ーーーアミちゃん、ヒビキちゃんをよろしくね。


亜美「任せんしゃい!」ニコッ




ババババババ…


技師1「親方ーー!」




亜美「行くよ、ひびきん!」

響「わかったぞ!」

…タンッ!

ヒュー…




響(………さよなら、エン太郎っ……!)





巨人2『また飛空艇が…………。人間が増えたんだね』

巨人2『ルナも、タイちゃんもやられちゃった……』

巨人2『ボクは……』

巨人2『ボクの友達を傷つけた君達を、許さない……!』


キュイィィィン…



ババババババ…


ーーー仲間を失ってしまった君の悲しみ、よくわかるよ。


巨人2『ウソだ!船なんかに、機械なんかにボクの気持ちはわからないよっ!』

巨人2『さあ、粉々に破壊してあげる。残念だったね、君はここで死ぬんだよ!』


ーーー船にだって……ううん、どんなモノにだって、感情はある。語りかければ、答えるよ。


ーーーボクはここで終わりかもしれないけれど、ボクが『いた』っていう証は、きっとヒビキちゃんの……みんなの中で生き続けるんだ。


ーーーだから、さみしくなんかない!


巨人2『う、ウソだよ!』


ーーー君も気づいているんじゃないかな。死んじゃった君の仲間は、君の中にちゃんと『いる』って。


巨人2『うるさいうるさいっ!』

巨人2『ああぁぁああああっ!!』


ゴオォォオオオッ…!!



ーーーボクは、しあわせだったよ



ピカッ…!



ーーーさよなら、ヒビキちゃん



ドゴオオォォオオン…!!




巨人2『えっ!?自爆……!?』


ゴオオォォ…!


巨人2『は、波動砲が、爆風でこっちに……!』



巨人2『うわああぁぁああーーっ!!』



ドゴオオォォォン!!



ー 飛空艇 ファルコン号 ー



…ドゴオオォォォン…!



響「……エン太郎……」

亜美「ひびきん……」ギュッ



技師1「親方……」

技師2「お気持ち、お察しします……」

長老「人を救った飛空艇、か……」

長老「やはり兵器とは、使う者の心次第で変わるものなのじゃな……」

店主「ちくしょうっ!なんであんな気のいいヤツが死ななきゃならねえんだよっ!」グスッ

ものまね士「うぅっ……!」ポロポロ

響「………」



響「……みんな、泣いちゃダメだぞ」

技師1「えっ……?」

響「エン太郎は、自分に言ったんだ。自分の笑顔を守りたい、って」

響「それはきっと、自分の事だけじゃなくて……」

響「世界中のみんなの事を言ってたと思うんだ」

技師2「親方……」



響「自分は、これからも笑うんだ!」

響「……エン太郎の為に!」

響「だからみんなも、ちゃーんと笑顔でいないとダメなんだからなっ!」ニコッ



亜美「………」ウルッ

亜美「うわあぁぁぁあん!」ポロポロ

亜美「ひびきんがかっこよすぎるよぉ〜〜!」

ものまね士「ヒビギざぁぁん!」ポロポロ

響「ちょ、ちょっと!今、笑顔でいないとダメって言ったばっかでしょ!?」

響「亜美もものまね士も、泣いちゃダメだぞ!」

亜美・ものまね士「だっでぇ〜〜!」ポロポロ

店主「ヒビキ。お前、ホントに健気なヤツなんだなぁ……」グスッ


長老「……感動してるところ悪いが、そろそろ巨人について対策を練らんと」

亜美「ううっ……も〜、長老っちは空気読まなすぎだYo!」

ものまね士「そうですよぉ!ヒビキさんとエン太郎さんの絆に心を打たれないなんて、人としてどうかしてます!」

長老「む、むぅ……」

店主「……爺さん、すまん」ペコリ

長老「ま、まあ、よい。確かに、大往生じゃったからのう……」



響「……でも、みんなよくここがわかったな?」

亜美「あ、そーいえばそーだよね」

長老「ふむ、それはな……」



「……導かれたんだよ。この船に、ね」



亜美「えっ?誰、今の……」キョロキョロ

響「あっ……!」

響「ミニ助にピョン吉、ブタ美も!久しぶりだなー!」

ミニ助「君は相変わらず元気だな」

ピョン吉「ヒビキさん、久しぶりー!」

ブタ美「ご、ご無沙汰してます……」

亜美「……この人(?)たち、ひびきんの知り合いなの?」

響「うん!ミスリルを取りに行った時に友達になったんだ!」

響「ミニ助たちのおかげで、エン太郎を強化できたんだぞ!」

亜美「へ、へぇ〜……」

亜美(そういや、ミスリルの村って小人とかがいるんだよね、確か)

亜美(ひびきん、ホント誰とでもトモダチになっちゃうんだなぁ)


長老「……で、本題じゃが」

長老「さっきそこの彼が申した通り、ワシらはこの飛空艇に導かれてここまで辿り着いたんじゃ」

響「そうなのか!ファル子はえらいなぁ!」ナデナデ

技師1「我々がもっと早くここへ来ていれば、エン太郎も助かったかもしれないのに……すみません、親方!」

響「………」

響「……いくら後悔したって、過去は戻らないし、エン太郎だってそんなのは望んでないと思うんだ」

響「もう、その話はやめだぞ」

技師1「そ、そうですね。すみません……」



亜美「んで、これからどーする?」

長老「決まっておる」

ミニ助「ボクらで巨人を倒すんだ!」

店主「だな!巨人だかなんだか知らないが、みんなでかかりゃきっと勝てるさ」

ものまね士「私も、できる事はお手伝いしますよ!」

響「みんな……!」



響「あれ、でもさ……」

響「あの巨人って、中から破壊しなきゃいけないんじゃなかったっけ?」

店主「え?そうなのか?」

亜美「うん。巨人のしんぞーの部分にね、鮮魚システムっていうのがあって、それをこわさないかぎりずっと巨人は動き続けるんだYo!」

技師2「なるほど。それが巨人の動力部、というわけですね」

長老「鮮魚システムか……」

ものまね士「なんだか、活きの良さそうな名前ですねぇ」

ミニ助「だったら、早く破壊しに行こう。巨人は今怯んでいる。今がチャンスじゃないかな?」

響「……どうする、亜美?」

亜美「………」


亜美「亜美達だけじゃ、まだダメだよ」

技師1「……あの、我々だけでは戦力不足、って事ですか?」

亜美「んーと、そーじゃなくて」

亜美「あの巨人は、みんなの力で倒すんだよ!ここが、物語の最大のヤマンバってヤツなんだからさっ!」

長老「そうか……!じきにジオット殿の戦車もここへ到着する」

長老「我らの総力を尽くす、という事か」

亜美「うん。あとね、巨人を中から壊すって事は、せんにゅー部隊が必要だよね?」

ミニ助「確かに。巨人を引きつける部隊と、巨人に潜入する部隊に別れる必要があるのか……」

響「じゃあ、誰が巨人に潜入するんだ?」

響(おしりから入るなんて、自分は絶対にいやだけど……)

亜美「そんなの、はるるん達に決まってるっしょー!」

響「え?でも、春香達はまだ地底にいるんじゃ……」

亜美「んーん。きっと来るよ」

亜美「亜美は、信じてるもん!」

響「亜美……」

響「……ホッ。自分じゃなくて、良かったぞ……」

響(……そうだな!自分も、春香達を信じるぞ!)

亜美「ひびきん、ホンネとタテマエが逆だYo……」



ドゴオォン!



響「うわっ……!」ヨロッ



技師2「親方!巨人が動き出しました!」



響「!」

響「……わかったぞ!自分に任せろ!」

響「ファル子!いきなりで悪いけど、よろしく頼むぞっ!」



ブワッ…!



ババババババ…



ー トロイア付近の森 ー


P「真美!……真美っ!しっかりしろ!」

真美「………」

P「真美!返事をしてくれ!」

真美「………」

P「くそっ……!」

P(何をやってるんだ、俺は……!)

P(こんなカエルの姿じゃ、みんなを助ける事もできない……!)

P(俺は……)

P「大切なアイドルが死にかけているのを、指を咥えて見てる事しかできないのかっ……!」



P「俺は、何の為にこの世界に来たんだ!!」

P「くそおぉぉぉっ!!」



ポワ…



P「……えっ?」

P「な、なんだ?今、俺の身体が……べろちょろが光って……?」


シャララーン!キラキラキラ…


真美「……っ」ピクッ

P「!」

P「ま、真美、しっかりしろ!」

P「真美!」

真美「………」

P(真美の顔色が少し良くなった気がする。……気のせいか?)

P(それに、今の光)

P(なんか回復魔法の光に似てたような……)


P(俺は、回復魔法を使ったのか……?)チラ

真美「………」

P(わからないけど、もう一度さっきみたいにできれば……)

P「頼むっ……!」


ポワ…ン


シャララーン!キラキラキラ…


真美「……んっ……」

真美「……あ…れ……?真美、まだ生きてる……?」

P「真美!よ、良かった……」

真美「にい……ちゃん?」

真美「ひょっとして、兄ちゃんが真美を助けてくれたの……?」

P「わからない。……でも、そんな事はどうだっていいんだ」

P「真美が無事でいてくれれば……」

真美「……ありがと、兄ちゃん」ギュッ

真美(…………ん?兄ちゃんって今、べろちょろだよね?)

真美(べろちょろの姿じゃ、『いやしの杖』とかも使えないよね……?)

真美(どゆこと?)

真美(…………)

真美(…………ま、いっか。兄ちゃんも魔法が使えるようになったんだよね、きっと)



雪歩「……真美ちゃん、平気……?」ヨロッ



真美「ゆきぴょん!」

P「雪歩!無事なのか!?」

雪歩「は、はい」

雪歩「……すみません。私、ダメージは全く無いんですぅ。ただ、さっきはちょっとビックリしちゃって……」

真美「あ、そっか!ゆきぴょん、アダマンアーマー装備してるもん。そりゃあんな攻撃、きかないよね」

雪歩「うぅ……でもこの鎧、とっても動きにくいんだけどね……」

P(魔物の攻撃をしっかり防いでくれたのか。さすが最強の鎧だけあるな)



P「……とにかく、真が心配だ。早く合流しよう」



キュルキュルキュル…



雪歩「……あれ?何の音だろう?」

真美「ゆきぴょん、あれ……!」スッ

雪歩「な……何、あれ……?」

P(あれは……)



キュルキュルキュル…



トロア「……ユキホ王女、マミ殿!ご無事でしたか!」



雪歩「と、トロアさん?トロイアに戻ったんじゃなかったんですか?」



トロア「はい。ですが……」

トロア「やはり、我々もあなた方と共に戦います!」



雪歩「えっ……?」

真美「兄ちゃん、これってひょっとして……」

P「戦車、だろうな。多分ドワーフの」

真美「だよね。……やっと物語のヤマンバっぽくなってきたカンジだね!」

P「山場、な」


白龍「………」



真「………」



白龍(あれだけ動いて、息ひとつ乱さない)

白龍(ここまでやる人間がいるとは……)

白龍(私と同等の実力……いや、私の方が押されている……?)

白龍(そんなバカな事が、許されるはずがありません!)



真(強いなぁ。あれだけ修行したのに、押し切れないや)

真(なんかクネクネしてて動きも読みにくいし、スキもなかなかな見せてくれない)

真(うーん、どうするかな)



白龍「人間にしてはなかなかやりますね」



真「そうかな?ボクより強い人なんて、他にもたくさんいると思うけど」



白龍「どうです?こちら側につく気はありませんか?それだけの力をみすみす潰してしまうのは惜しい」

白龍「コトリ様は、懐の広いお方。きっとお前なら歓迎するでしょう」



真「誰が悪者の味方になんかなるかっ!」

真「それに、小鳥さんはボクらの大切な仲間だっ!」

真「必ずみんなで小鳥さんの目を覚まさせてみせるっ!」



白龍「目を、覚まさせる……?」

白龍「バカな事を。あのお方は、私達に役目を与えてくれました」

白龍「人間を滅ぼす、という大切な役目を」



真「そんな事はさせないぞっ!」



白龍「いずれここへ、本物の巨人がやってくるでしょう。お前達は滅びる。これは運命なのです」



真「………」

真(本物の巨人……)

真(響が言ってた、すごく大きい巨人ってやつかな)

真(きっと、強いんだろうな)

真(律子と貴音を探しに行った響達や、地底にいる春香達は大丈夫だろうか)

真(………)


真「……わかった。じゃあ、ボクもちょっと本気でやらなきゃね!」ポキポキッ

真「早く君を倒して、みんなを助けなきゃ!」



白龍「愚かな……!」



「真ちゃあーーんっ!」

「おーーい、まこちーん!」



真「えっ?」クルッ



キュルキュルキュル…



真美「大丈夫?ケガはないー?」



真「平気だよ!それよりどうしたのさ2人とも!」

真(あれって確か、ドワーフの……)



雪歩「みんなが……来てくれたんだよっ!」



トロア「マコト殿!助太刀しますっ!」

ファブール王「マコトよ!ワシも戦うぞ!」

ジオット「そなたらが、我々ドワーフを救ってくれた。その恩を返す時が来たのだ!」

ルカ「みんなの力を合わせれば、恐いものなんてありません!」

ユキコ「わ、私も、マコトさんの妻として頑張りますぅ!」

老婆「世界を、あんた達だけに背負わせたりはしないよ!」

アン「あなた方と共に戦う事。それは、今やこの世界の総意なのです!」



真「みんな……!」



白龍「ちっ!ぞろぞろと……」



真「………」チラ



真「みんな、ごめん!悪いけど、先に行っててくれないかな?」

真「もっと強い巨人が近くまで来てるみたいなんだ!だから、みんなはそっちへ向かってほしい!」



雪歩「で、でも……」



真「心配いらないよ。こいつは、ボクひとりで倒す!」

シルフ「マコトさん、私を忘れてますよ〜?」ヒョコッ

真「シルフ、君もみんなと一緒に行ってあげてよ」

シルフ「な、なんでですか?私は、マコトさんと一緒がいいです〜!」

真「ごめん。でも、君の力はきっとみんなの役に立つと思うんだ。だから……」

真「ボクの大切な人達を、君の力で守ってあげてくれないかな?」キリッ

シルフ「……///」ボッ

シルフ「わ、わかりました。マコトさんがそう言うなら……」

シルフ「でも、絶対に無事でいてくださいね?」

真「もちろんっ!」ニコッ



真「雪歩!シルフの事、お願いできる?」



雪歩「真ちゃん……!わかった、任せて!」

真美「まこちん、やりすぎちゃダメだよ?」



真「うん、わかってる!」



P「真……何もしてやれなくて、すまん!」

P「お前がウチのNO.1だ。頼んだぞ!」


真「はい、プロデューサー!」



真「…………ふぅ」



白龍「………」



真「……みんなが行くまで、待っててくれたんだ」

真「君って、意外と優しいんだね」



白龍「ふん。あんなか弱き人間どもなど、放っておいても何も問題ありません」



白龍(それよりも危険なのは、この少年。およそ人間とは思えない身体能力、精神力……)



真(まだまだずいぶん余裕がありそうだな、あいつ……)



真・白龍(こいつだけは、ここで倒しておかないと……!)



白龍「……そろそろ始めましょうか」クネクネ



真「そうだね。ボクも、早くみんなを追いかけないといけないし」グッ



白龍「その強がりも、いつまで続くか見ものです……」

ユラ…



真「はああぁぁああっ!」ダッ



真「…………っせい!!」


白龍「はあっ!!」



ドゴオオォォン…!!



ー 巨人内部 ー


春香「……そういえば千早ちゃん。ちょっと聞きたい事があるんだけどさ」

千早「なに?」

春香「私のリボン、知らない?」

千早「……っ!」ドキッ

千早(……落ち着いて。冷静に対応しないと)

千早「リボン?知らな……」

やよい「あっ、わたし知ってますよー?」

千早「えっ……?」

千早(た、高槻さん……?)

春香「やよい、ホントに?」

やよい「はい!これ、みなさんを運んでる時に見つけたんです!」スッ

春香「わあ、ありがとう…………って、あれ?」

春香(これ、私がもともと付けてた、ルカさんのリボンだ……)

春香(ヤミちゃんのリボンじゃ、ない)

やよい「どうかしたんですか?これ、春香さんのですよね?」

やよい「どわーふの王女さまと、こうかんしたんだーって言ってたの、わたし、おぼえてたんです!」

千早(ああ、そっちのリボンの事ね。……びっくりした)

やよい「……春香さん?」キョトン

春香「あ……」

春香「そ、そうそう、これだよぉ!やよい、ありがとね!」

やよい「やっぱり、リボンがないと春香さんらしくないですもんねー!」ニコッ

春香「うっ……!」グサッ

春香「だ、だよねー?」

春香(やよいの事だから、悪気はないんだろうなー、きっと)

春香(でも、どうしよう……。やっぱりあの塔に置いて来ちゃったのかなぁ……)

春香(今さら、『ちょっと戻りませんか?』なんて言えないしなぁ……)



千早(今の反応……)

千早(理由はわからないけど、春香は黒いリボンの方を探していたみたい)

千早(やっぱり返した方がいいのかしら。なんだか困っているみたい)

千早(……ううん)

千早(もう少しだけ、様子を見ましょう)

千早(春香に嘘をつくなんて、いい気はしないけれど)



やよい「………」



春香「……えっ?あずささん、亜美と響ちゃんとはぐれちゃったんですか?」

あずさ「そうなのよ〜。途中まで2人と一緒だったんだけど、いつの間にかひとりに……」

律子「例のワープの魔法ですね。まったく、無茶するんだから……」

律子「まあ、そのおかげで私達はあずささんと合流できたんだけど」

貴音「それにしても、あずさが見たという、大きな巨人が気になりますね」

千早「月から来た魔物は、1体は春香が、もう1体は律子達が倒した」

春香(私だけの力じゃないけど……まあ、今はいいか)

千早「残る魔物は、あと2体。巨人も、あと2体のはず」

千早「あずささんが見た巨人が、恐らく本物の巨人だと思います」

あずさ「あの巨人さんが……」



やよい「うー……みなさんの話についていけませんー……」

美希「大丈夫なの、やよい。きっと律子や春香達がガンバってくれるから」

美希「……あふぅ」

やよい「で、でも……」



律子「……で、その2体の巨人は、ずいぶん前にバブイルの塔を出発しているのよね?」

千早「ええ」

律子「だったら、時間的にもうトロイアに着いててもおかしくないわね」

伊織「でも、そのトロイアってところには、プロデューサー達がいるんでしょ?」

あずさ「そうよ〜。真美ちゃん、雪歩ちゃん、真ちゃんもね」

伊織「プロデューサーはともかく、真がいるなら心配いらないんじゃないの?」

千早「水瀬さんは、真をとても信頼しているのね」

伊織「そっ……そんなんじゃないわよっ!」

伊織「あいつの化け物じみた強さは、あんた達もわかってるでしょ!?」

春香「ま、まあまあ、落ち着いて……」



律子「……とにかく、真達は、まあ大丈夫として、問題は……」

千早「……我那覇さんと亜美のコンビね」

貴音「2人だけ、というのも心配ですが……」

伊織「亜美に振り回されてる響が、簡単に想像できるわね」

律子「もし、亜美と響が本物の巨人と当たっていたら……」

貴音「本物の巨人、とやらがどの程度の強さなのかわかりかねますが、2人が危険ですね」

春香「………」



春香「きっと大丈夫ですよ!」

律子「春香……」

春香「響ちゃんも亜美も、きっと頑張ってくれてるはずです」

春香「2人を、信じましょう」

千早「そうね。春香の言う通りだわ」

律子「ええ。私達は、今自分にできる事をやるしかないみたいね」

伊織「にひひっ♪ 今ごろ、亜美の悪知恵が巨人に炸裂してるかもね?」

貴音「ああ見えて、響も根性のある子です。きっと巨人を消耗させてくれている事でしょう」

やよい「じゃあ、ちょっといそいだ方がいいですねー」

春香「ふふっ♪ やよい、安全運転でお願いね?」


美希「…………あっ!!」ピクッ


春香「美希……?どうかしたの?」

美希「ハニーの気が……」



美希「……弱くなっちゃったの」



春香「…………え?」




ー ドワーフ戦車内 ー


キュルキュルキュル…


アン「ユキホさん、マミさん。よくぞご無事で……!」

雪歩「アンさん……」

雪歩「あの、この車は……?」

ジオット「我が国自慢の戦車だよ、英雄殿」

雪歩「戦車、ですか?」

雪歩「私、戦車なんて生まれて初めてですぅ」ドキドキ

雪歩(……気のせいかな。私、今、英雄って呼ばれたような……)



ルカ「聞くところによると、戦車は地上には無いそうですね?」

真美「えっ?は、はるるん!?」

雪歩「春香ちゃん、なんでここに!?」

ルカ「あー……」

ルカ「失礼しました。ご挨拶がまだでしたね」

ルカ「お初にお目にかかります。私はドワーフ国の王女、ルカと申します」ペコリ

雪歩「は、はぁ……初めまして……」ペコリ

真美「ふえぇ〜……なんか、デキるはるるんってカンジ〜」



ユキコ「でも、私も驚きましたぁ。私とユキホさんみたいに、ハルカさんにこんなにそっくりな人がいるなんて……」

ルカ「それは私もびっくりだよ〜。こうして見ると、2人ともホントそっくりだね!」

真美「あり?はるるん……じゃなかった、ルカちん、さっきとフインキちがくない?」

ルカ「ああ、さっきのは王女としてのご挨拶」

ルカ「でも、今の私はみんなと同じただの女の子だから、仲良くして欲しいなー、なんて」ニコッ

雪歩「わあ、なんだか春香ちゃんとお喋りしてるみたい……!」

ユキコ「ルカさん、とっても親しみやすい人なんだよ?」

真美「みたいだねー!」

雪歩「こちらこそ、仲良くしてね、ルカさん」

ルカ「えへへ……」

雪歩「ふふっ」ニコッ



真美「あっ……」

真美「今度さ、このメンバーで双子会でもやろーよ!亜美とはるるんも呼んでさ!」

ユキコ「ふ、双子会?」

ルカ「それはいい考えだね!」

雪歩「うふふっ♪ なんだか楽しそうかも」


ジオット「……ルカ。そのような口のきき方、はしたないぞ」

ルカ「もー、いいじゃないですかお父様。今は公務というわけでもないんですし」

ジオット「まったく、世界の危機だというのに……」

ファブール王「まあまあ。良いではないか、ジオット殿」

ファブール王「やはり、若い娘がいると華がある。ワシも娘が欲しかったのう」

ジオット「手がかかりますぞ?」

ファブール王「なあに、息子であれ娘であれ、子供とは手のかかるものじゃよ」

ジオット「ふむ……そうかもしれませんな」



老婆「………む」ピクッ

老婆「そろそろ近いみたいだよ。バカ息子、準備はできてるんだろうね?」

ジオット「抜かりありません、母上。ドワーフ戦車の力を、巨人に見せてやりますよ」

真美「なになに?ひょっとして大砲でドカーン! てカンジ?」

ジオット「ああ。我が戦車は飛空艇にも巨人にも遅れは取らん」

真美「ふーん」

真美(んでも、せっかくの決戦なのに戦車1台だけってのも、なーんかシマらないよねぇ)

真美(だったら……)



真美「じゃあさ、ちょびっとだけ真美に指揮やらせてよ!」

ジオット「戦の指揮をか? ……子供にできるのか?」

真美「もう! 真美は子どもじゃないYo!」プンスカ

老婆「………」

老婆「いいじゃないか。やらせておやりよ」

ジオット「しかし、母上……」

老婆「あんたからは、なんだか面白そうな予感がする」ニヤリ

老婆「あたしら大人には思いつかない、子供ならではの何かをやらかしてくれるかもねぇ」

ジオット「ふむ、母上がそう言うならば」

真美「だから子供じゃないってば〜!」


雪歩「………」チラ

シルフ「………」オドオド



雪歩「シルフちゃん、どうしたの?」

シルフ「べ、別に、なんでもないです……」

シルフ「人間なんか、恐くないですから!」

シルフ「襲ってきたら、返り討ちにしてあげるんです!」

雪歩「………」



雪歩「……大丈夫だよ」ギュッ

シルフ「ちょ、ちょっと!?いきなり何をするんですかっ!」ジタバタ

雪歩「真ちゃんから聞いたよ。シルフちゃんの家族は、人間にヒドい事されたって……」

雪歩「だからシルフちゃんは、人間が苦手なんだ、って」

シルフ「………」

雪歩「でもね?そんなに恐がらないでほしいな」ニコッ

雪歩「シルフちゃんはもうわかってるって思うけど……」

雪歩「人間の中にもね、真ちゃんみたいにとってもステキな人間も、たくさんいるから」

シルフ「ふ、ふん!そんなのわかってます!マコトさんの側室のクセに、生意気ですよ!」

雪歩「…………そう、かもね」

シルフ「……?」

雪歩「……私ね、ホントにすっごくダメダメで、苦手なものもたくさんあるから……」

雪歩「シルフちゃんの気持ち、少しだけわかるんだ」

シルフ「苦手なものが、たくさん……?」

雪歩「うん、たくさん」


雪歩「苦手なものに出会う度に、私はいつも逃げ出してた」

雪歩「自分には敵わないものだから仕方ないって、自分に都合のいい言い訳して、いつも目を逸らしてたの」

シルフ「………」

雪歩「……でも、それじゃダメだって」

雪歩「ちゃんと向き合わないと、一生苦手なままだよ、って。大切な人が、教えてくれたんだ」

雪歩「苦手なものに立ち向かう……勇気、っていうものを」

シルフ「勇気……」

雪歩「今はもう、その人はいないけど……私、少しずつ頑張って……」ウルッ

雪歩(……アンナさんっ……)



シルフ「ちょっと!?なんであなたが泣いてるんですか!?私を慰めてたんじゃなかったんですか!?」

雪歩「っ……あ、ご、ごめんなさいっ」グスッ

雪歩「ああ、もう、何を言おうとしてたのかわからなくなっちゃいましたぁ……」ゴシゴシ

シルフ「………」



シルフ「……はぁ」

シルフ「仕方ないですね。側室の落ち度は、本妻の落ち度。ひいては、マコトさんの沽券にも関わってきます」

雪歩「えっ?」

シルフ「マコトさんの本妻である私が、あなたを教育してあげるって言ってるんですっ!」

雪歩「そ、それって……?」

シルフ「いいですか?巨人をぶっ壊したら、私があなたにいろいろ叩き込んであげますから、覚悟してください!」

雪歩「えっ…と、お友達になってくれるって事でいいのかな……?」

シルフ「ち、違いますっ!あなたと私は主従関係なんです!勘違いしないように!」カァァ

雪歩「……雪歩、だよ」ニコッ

シルフ「……えっ?」

雪歩「私の名前。できれば覚えてくれると、嬉しいな」

シルフ「……ふんっ」プイッ

雪歩「……頑張ろうね、シルフちゃん」

シルフ「当たり前です!マコトさんと、約束したんですから!」


ー 巨人内部 ー


美希「やよい、急ぐの!ハニーに何かあったかもしれないの!」ユサユサ

やよい「は、はいっ!」フラフラ

やよい「み、美希さん、わかりましたから……ゆらさないでくださいー!」クラクラ

美希「あっ……」パッ

美希「やよい、ごめんね? ミキ、ちょっと焦ってて……」

やよい「あ、いえ……気にしないでください! わたしはへーきですから」


やよい「えーっと……」ポパピプペ


…ズン!


春香「わっ……!」ヨロッ

春香「やよい、何かしたの?」

やよい「はい!今、このロボは……」

やよい「走ってます!」

春香「走ってるんだ……」

やよい「ちょっとゆれると思いますから、気をつけてくださいねー?」

春香「う、うん、わかった!」

美希「………」ソワソワ



千早「プロデューサーに何かあったみたいですね」

貴音「千早、その事で聞きたいのですが……」

貴音「本当に美希は、ぷろでゅうさぁの気配を感じられるのですか?」

千早「はい。ある程度離れていても、だいたいの居場所はわかるみたいです」

千早「前に、美希の力でプロデューサーを見つけてもらった事があります」

貴音「なるほど。実証済みですか」

貴音「わたくしも何者かの気配をおぼろげに感じ取る事はありますが、遠く離れた場所となると難しいですね」

貴音「さすがは美希です」

千早「私が思うに、美希の場合はプロデューサー限定だと思いますよ?」

千早「おそらく、四条さんのそれとは似て非なるものではないでしょうか」

あずさ「うふふ、愛の力ね〜♪ 」

千早「あ、愛の力?」

貴音「ふふ。あずさの言う通りですね」ニコッ

千早「……とにかく、美希の感覚に従って進めば、プロデューサーたちと合流する事はできそうですね」

貴音「ええ」

あずさ「あっ……!」ティン


あずさ「美希ちゃんにプロデューサーさんのだいたいの位置を教えてもらって、私の魔法でプロデューサーさんのところまでみんなで飛ぶっていうのはどうかしら〜?」

千早「あ、あずささん、それは……」

貴音「なかなか良い案だとは思いますが……」

貴音「今は、時間はかかっても確実な方法を取るべきかと。だいたいの位置は美希によって特定できます。このまま巨人で向かうのが良いでしょう」

あずさ「あら〜、残念ねぇ」


千早(あずささんに任せたら……)

貴音(どこへ連れて行かれるか、予測できませんからね)




家老「……いいですか、お嬢。ルビカンテは火の化身。水の力があれば、必ずヤツを滅ぼす事ができるはずです」

伊織「わかってるわよ。そのために水遁を覚えたんだもの」

伊織(……嫌な思い出がフラッシュバックするわね)

家老「……やはり、ワシもお嬢と共に……」

伊織「はぁ……しつこいわよ」

伊織「私を心配してくれてるのはわかるけど、なんとかの冷や水になるのが目に見えてるわ」

家老「む……」

伊織「ジイはみんなと一緒に待ってなさい。私が必ず、赤い悪魔を倒すから」

家老「………」

家老「わかりました。ご無事をお祈り申しておりますじゃ」ペコリ

伊織「それでいいのよ」



伊織(……これでもう、あいつを倒すしかなくなった)

伊織(ううん、私はもともとそれが目的でエブラーナを出たんだもの。今さら迷う事なんかないじゃない)

伊織(迷う事なんか……)



律子「………」



律子「ねえ、伊織。ちょっと話があるの」

伊織「律子……」

律子「………」

律子「あのね、伊織。ルビカンテがあなたの国を滅ぼしたのは……」

伊織「言わないで、律子」

律子「でも……」

伊織「そんな事、最初にあんたに会った時から気づいていたわよ。あんたの様子がおかしかったのも含めてね」

律子「………」

伊織「それに、あんたの意思じゃないんでしょ?」

伊織「あのアホ事務員のせいなのよね?」

律子「でも、私はあなたひとりに重荷を……!」

伊織「今さら何を言っても覆せないわ」

伊織「私はもう、覚悟を決めた。この手で、赤い悪魔を……!」グッ

律子「伊織……」


美希「………」ソワソワ

春香「ねえ美希。ホントに、プロデューサーさんの……気?が小さくなったの?」

美希「うん……」

美希「何があったんだろ。大丈夫かな、ハニー……」

美希「ああもう、心配で何も手につかないの」ソワソワ

春香「うーん……」

春香(プロデューサーさんに関しては、今は美希の言う事が正しいのかな)

春香(『気』が小さくなったって、どういう事だろう)

春香(怪我しちゃった、とか?)

春香(それなら一緒にいる誰かに魔法で治してもらえばいいはずだよね)

春香(でも……)

春香(もし、プロデューサーさんに起きてる異変が怪我とかじゃなくて、もっと別の何かだとしたら?)

春香(………)

春香(……どうしよう。私もプロデューサーさんの事が心配になってきちゃったよ……)



美希「………」ソワソワ

春香「………」ソワソワ



春香「ねえ、やよい。この巨人、空とか飛べたりしないの?」

やよい「えっと、どーでしょーか」

やよい「カメさんからはそーいうことは聞いてないんですけど……」

春香「そっか……」

美希「………」

美希「…………ダメ。もう我慢できないの!」

やよい「えっ?」

美希「やよい、ゴメンなの!ちょっとミキにやらせて!」グイッ

やよい「み、美希さん!?」

美希「えーっと……」

美希「早くハニーのところへ連れてってなの!」ポパピプペ

やよい「あっ、美希さん、そんなにたくさんボタンを押したら……!」


…ズン!


春香「な、何?」

やよい「はわわっ、ロボがおこっちゃったんでしょーか?」


ズドォン!


春香「ひゃっ!?」ビクッ

やよい「す、すごい音が……」


ドドドドドドッ! ドゴォン!


春香「な、なんなの?なんなのいったい!?」キョロキョロ


ー 飛空艇 ファルコン号 ー


ドゴオォン!


…ビューーン!


響「くそー、あの波動砲ってヤツのせいで、なかなか巨人に近づけないぞ……」

技師2「やはり手ごわいですね……」

技師1「でも、さすが親方です!」

技師1「エン太郎よりさらに操縦が複雑になったファルコン号を、初見でこうも簡単に操ってしまうとは!」

響「自分だけの力じゃないさー! ファル子もいい子だから、とっても扱いやすいんだ!」ナデナデ

響(それに……エン太郎が、自分に力を貸してくれてる)

響(……そんな気がするんだ)

技師2「ふふ。相変わらずですね、親方は」




巨人2『しつこいんだよ、君達……』

巨人2『弱いくせに、ぞろぞろと集まってさ!』

巨人2『こうなったら、こっちも仲間を増やすもんね!』


ズズズ…


ワラワラ…


鉄機兵たち「………」

機械兵たち「………」

巨人兵たち「………」


響「な、なんだ? 巨人のおしりから、魔物がたくさん出てきたぞ!」

亜美「だね。あれじゃまるで、うん……」

響「わああ、待った!」ガバッ

響「亜美もアイドルなんだから、そういう事言っちゃダメなんだぞ?」

亜美「ん?そーゆー事って?」キョトン

響「だから、今、亜美はう○ちって言いそうに……」

響「………あっ」



店主「お、おいヒビキ……」

ものまね士「ヒビキさん、もう少しオブラートに包んだ方が……」

ミニ助「……はぁ。君には失望したよ」

ピョン吉「ど、ドンマイ、ヒビキさん……」

ブタ美「ちょ、ちょっとはしたないかと……」



響「うがー! い、今のは違うの!」ジタバタ

響「亜美がう○ちって言いそうになったから自分が止めようとしだけで、決して自分がう○ちって言おうとしたわけじゃないんだからな!? っていうか、そもそもアレはう○ちじゃなくて魔物だし!」

亜美「あはははは!ひ、ひびきん、言っちゃいけない言葉を連呼しすぎっしょー!」ゲラゲラ

響「うわーん!!亜美のバカー!!」プンスカ


長老「いい加減にせんかっ!」ゴンッ

亜美「いったぁ!」

長老「まったく!少しは成長したかと思えば……」

長老「変わっとらんのう!そういうところは」

亜美「うぅ……」

亜美「そーいう長老っちこそ、怒りっぽいとこはゼンゼン変わんないじゃんかー!」

長老「この歳になってまで変わってたまるか!」

店主「お、おい、仲がいいのはわかったけどさ」

店主「すぐそこまで魔物が来てるんだが」スッ



機械兵「………」ゴォォ



亜美「げっ!ケンカしてる場合じゃないよ、長老っち!」

長老「むぅ、ワシとした事が……」

長老「アミ、成長したところを見せてもらうぞ!」

亜美「りょーかい、長老っち!目ん玉かっぽじってよーく見ててよね!」

ものまね士(そんな事したら、目が見えなくなっちゃうんじゃ……)


亜美「……サンダガっ!」バッ


ズガガピシャアーン!


機械兵「」


亜美「どんなもんよ!」ドヤッ

ものまね士「サンダー系の最上級魔法!すごい、アミさん!」

長老(アミもマミも、才能はあると思ってはいたが……この歳でここまでとは)



鉄機兵「………」チャキッ



ものまね士「……あっ!アミさん、危ない!」ダッ

亜美「……へっ?」



ものまね士「……ちぇすとぉっ!」ブンッ


ドガッ!!


鉄機兵「」



亜美「うひゃー……やるねえ、ものま姉ちゃん。まこちんみたい」

ものまね士「うふふ、伊達に白魔道士やってませんよ!」

店主「いや、だからそんな腕っぷしの強い白魔道士いないだろ……」



響「みんな、まだまだ来るぞ!」



巨人兵「………」ズゥゥン



店主「うわっ、なんかデカいのが来たぞ!」



巨人兵「………」ブンッ


店主「うわぁっ!」



長老「……プロテス!」バッ


パキーン!


長老「アミ!」

亜美「らじゃ!」

亜美「んじゃいっちょ、アレを試してみよっかな〜」


亜美「……肉体の棺に宿りし、病める魂を」ゴゴゴゴ

亜美「永劫の闇へ還したまえっ!」バッ




亜美「……ブレイクっ!」




ゴゴゴゴ…バキーン!


巨人兵「」



店主「す、すげぇ、魔物が石になっちまった……!」

ものまね士「ブレイクまで……!」

ものまね士「アミさんって、すごい魔道士だったんですねぇ……」

長老「アミ、お主……」

亜美「へへっ!トラウマなんてなかった、ってヤツだYo!」

長老「………」

長老(3日会わざれば……というヤツか)

長老(……お前はワシの誇りじゃ、アミ)


ブタ美「…………こっ、来ないでくださいっ!」ビクビク

ピョン吉「ぼ、ボクだって戦うぞ!」


鉄機兵「………」ジリ

機械兵「………」ジリ

巨人兵「………」ジリ



響「あっ、ブタ美達が!」

響「待ってろ、今助けるぞ!」

ミニ助「待ちたまえ、ヒビキ君。彼女達なら心配いらないさ」

響「えっ?」



ブタ美「ご、ごめんなさいっ!」

ブタ美「……ポーキー!」


…ボンッ


ブタ「フゴッ」



ピョン吉「……トード!」


…ボンッ


カエル「ゲロゲロっ」



ミニ助「……ミニマム!」


…ボンッ


小人「………」




響「魔物が、ブタとカエルと小人になっちゃった……?」

ミニ助「ボクらだって戦える。ヒビキ君は操縦に集中してくれたまえ!」

響「やるなぁ、みんな!」



店主「おりゃっ!とりゃっ!」


ヒュンッ…カツン

ヒュンッ…コン


機械兵「………?」キョロキョロ



響「…………で、店主は何をしてるんだ?」

ものまね士「投石……ですかね。ダメージどころか、気づかれもしないみたいですけど」

響「……ま、まあ、店主も頑張れ」



巨人2『ふぅん。まだ粘るんだ』

巨人2『でも、こっちにはまだまだ味方がたくさんいるもんね!』

巨人2『君たちはいつまで耐えられるかなぁ?』


ズズズ…


ワラワラ…


機械兵たち「………」

鉄機兵たち「………」

巨人兵たち「………」




響「また、うん……じゃなかった、巨人のおしりから魔物が出て来たぞ!」

亜美「どーやら巨人君は、おなかの調子がよくないようですな〜」

長老「まずいぞ。さっきの倍、いや、それ以上はいる」

店主「くそ、あんなにいるんじゃ石もそんなに持たないぞ!」

ものまね士「いや……投石はもういいですって」

響「よし、ここは自分が……!」




…ドガァン!! ドゴォン!!




響「な、なんだ?いきなり砲撃が……?」

亜美「あっ……!」




「……んっふっふ〜!ヒーローはおくれてあらわれるっ!」ビシッ

「真美ちゃん、ヒーローじゃ男の子になっちゃうよぅ」

「あ、そっか」


亜美「真美!ゆきぴょん!」




真美「亜美、ひびきん!お待たー!」

雪歩「みんな、大丈夫?」

真美「今から真美の戦車隊も助太刀するよん!」

ジオット「いや、戦車はウチのなんだが……」

アン「まあまあ、この際堅い事は言いっこなしですわ!」

トロア「マミ殿のおかげで、こちらの戦力も充分です!」

老婆「………」

老婆(もともと1台しかなかった戦車を魔法で増やすとはね)

老婆(『ブリンク』をモノに使ったヤツは、初めて見たよ、まったく……)




響「2人とも!来てくれたのか!」

長老「マミ……!」

亜美「ようやく来たか、我が同志よ。キミの実力、見せてもらうぞ!」




真美「オーケー、ボス。目ん玉かっぽじってよーく見ててよね!」




巨人2『また余計な虫が増えちゃった』

巨人2『いいよ。じゃあ、君達から潰してあげる!』

巨人2『みんな、やっちゃえ!』


魔物たち「………」ワラワラ


ー ドワーフ戦車 ー


真美「……来た!」

真美「おっちゃん、準備はいーい?」

ジオット「いつでも良いぞ」

真美「できるだけ引きつけて……」



魔物たち「………」ワラワラ



真美「……今だよ!全門はっしゃー!」ビシッ



ドゴォン! ドゴォン!


ドドドドドドッ!!



魔物たち「」



真美「……よっしゃあ!」グッ

ジオット「ふむ。なかなか指揮官の才能があるな、娘よ。我が国に欲しいくらいだ」

真美「当たり前っしょ〜!こーいうゲームも何回もやったコトあるもんね!」ブイッ

老婆「安心するのはまだ早いよ。……今度はデカいのが来た!」



巨人兵たち「………」ゾロゾロ



真美「お次は敵さんのターンってわけだね」



巨人兵たち「………」ゴゴゴゴ



真美「よーし、こんな時は……」



真美「行け!ゆきぴょんバリアー!」グイグイ

雪歩「こ、恐いですぅぅ!!」

真美「へーきへーき。ゆきぴょんならよゆーだって!」グイグイ

雪歩「ちょ、真美ちゃん、押さないで……」

雪歩「いやあぁぁぁあああっ!!」


巨人兵たち「………」ブンッ



ドゴォ! バキィ! グシャア!



雪歩「っ……!」



雪歩「…………あ、あれ?」キョロキョロ

雪歩「…………ご、ごめんなさい。効かないですぅ」ペコリ


真美「……からのー」

真美「第二部隊、しゅつげきー!」ビシッ


トロア「はあっ!」ザシュッ

ユキコ「えいっ!」バキッ


巨人兵1「」


ユキコ「や、やりましたぁ!」

トロア「ふぅ……」チャキッ



アン「ファブール王、お願いします!ヘイスト!」

カタカタ…シャキーン!


ファブール王「ふふふ。まだまだ若い者には負けてられんっ!」ダッ


ファブール王「ずえぇぇいっ!!」ブンッ


ドガァ!


巨人兵2「」


ファブール王「痛たた、腰が……」

ファブール王「ワシも衰えたのう……」



真美「うんうん。みんなやるねぇ!」

真美「よーし、真美も……」



巨人兵3「……!」ブンッ



雪歩「真美ちゃん、危ないっ!」ダッ


バキィン!



雪歩「っ……くぅ……!」グッ

真美「ゆきぴょん!」


シルフ「……まったく、無茶しますねぇ」ヒョコッ

雪歩「シルフちゃん!」


シルフ「風よ……!」バッ


ヒュウゥゥ…


シルフ「……暴れなさいっ!」


ビュオォォオ!


巨人兵3「……!」ヨロッ


シルフ「さあ、今ですよ!」

真美「りょーかい、シルシル!」

真美「そんじゃ、とっておきのヤツ、いきますか!」


真美「汚れ無き、天空の光よ……」バッ

真美「血にまみれし、不浄を照らし出せっ!」




真美「ホーリー!」




キラキラキラ…


ドドドドドドドドッ!!



巨人兵3「」



真美「……ぃよし!ミッションコンプリート!」グッ

雪歩「恐かったですぅ……」



老婆(あの若さでホーリーだって……?)

老婆(……そうか。あの娘もリボンの仲間だって言ってたね)

老婆(まったく、つくづく底の知れない連中だよ)



老婆「あんたたち、まだ来るよ!気を引き締めな!」

真美「えっ?」



魔物たち「………」ワラワラ



雪歩「ほ、ホントだ、たくさん来ますぅ!」

真美「よし、返り咲きにしてやるかんね!」ビシッ

雪歩「か、返り咲いたらダメだよ、真美ちゃん!」チャキッ


ー 飛空艇 ファルコン号 ー


響「おー!あっちのみんなもやるなー!」

長老「マミ……」

店主「こりゃあ、こっちも負けてられないな!」

ものまね士「そうですね!」

亜美「でも、まこちんがいないよね?」

響「あ、そーいえばそうだな。真はこういうの1番張り切りそうなのに」

亜美「ちょっと聞いてみるよ」



亜美「おーーい、真美ーー!!まこちんはどうしたのさーー!!」




真美「まこちんなら、今、魔物とタイマンはってるよーー!!」




亜美「りょーーかーい!!」



亜美「……だってさ」

響「だったら何も心配ないな」

亜美「うん、心配ないね」

店主「えっ?おいおい。いくら強いったって、マコトは女の子だろ?ひとりは危険じゃないのか?」

響「店主は優しいんだな。その言葉、真に聞かせてあげたいぞ」ニコッ

亜美「おっちゃんはまこちんの強さを知らないモンね。ちかたないね」

亜美「だいじょーぶ。まこちんは人類最強だもん!ゼッタイやられちゃう事はないよ!」

店主「そ、そうなのか?」

ものまね士(人類最強……)



亜美(真美たちもぶじにとーちゃくしたし、これで対巨人フォーメーションはととのったっぽいね)

亜美(あとは、はるるんたちを待つだけなんだけど……)

亜美(ゲームだと魔導船で巨人のとこに来るんだよね、確か)

亜美(でも、ひびきんたちの話じゃ、この世界の魔導船はこわれちゃったっぽいし……)

亜美(どーやってここまで来るのかなー)



亜美(…………ん?)

亜美(魔導船がこわれた……?)

亜美(今まで忘れてたけど、魔導船がないと月に行けないじゃん)

亜美(……あれ?ヤバくない?)


ー ドワーフ戦車 ー


真美「……あれ?そーいえば、亜美たちと一緒にあずさお姉ちゃんがいたはずだけど……」

雪歩「いないみたいだね。どうしたんだろう?」

真美「ちょっと聞いてみるよ」



真美「おーーい、亜美ーー!! あずさお姉ちゃんはどーしたのさーー!!」




亜美「あずさお姉ちゃんなら、旅に出たよーー!!」




真美「わかったーー!!」




真美「……だってさ」

雪歩「た、旅ってもしかして……うぅ、心配ですぅ」

真美「うん、すっごく心配だよね……」

アン「大丈夫ですよ。きっとアズサさんも無事ですわ」

雪歩「アンさん、でも……」

真美「アン姉ちゃんはあずさお姉ちゃんの迷子っぷりを知らないからね。ちかたないね」

真美「あの亜空間なお方なら、もしかしたら今ごろ、次元のはざまとかに行っちゃってるかも……」

アン「そ、それはさすがに言いすぎでは?」

トロア(亜空間……)



真美(亜美たちにぶじ追いついたし、これで対巨人フォーメーションはととのったっしょ!)

真美(あとは、はるるんたちを待つだけなんだけど……)

真美(問題は、巨人にせんにゅーするのは、はるるんたちだけでヘーキなのか、ってとこだよね)

真美(巨人のコアの選挙システムってヤツ、確か倒すじゅんばんがあったはず)

真美(でも、何もヒントがなかったら、きっとわからないよねー)

真美(真美や亜美がはるるんたちについて行くワケにはいかないし、他に誰か知ってる人は……)



真美「…………あ、いた!」ガバッ

P「ど、どうしたんだ、真美?」


ー トロイア南の森 ー


巨人2『……まさか、こんなにしぶといなんてね……』

巨人2『こうなったら、もう一度、波動砲で壊してあげるよ!』

巨人2『死んじゃえーっ!』


キュイィィィィン…!




響「あれは、さっきの……!」

ミニ助「ヒビキ君、ここは一旦引くべきじゃないか?」

響「………」チラ

響「いや、ダメだぞ」

響「今、自分たちが逃げたら、ドワーフの戦車が危ない」

響「ファル子と違って、戦車には逃げ道なんかないんだ。あれが直撃したら……」

長老「では、この船で耐える、というのか?」

響「……うん」

店主「だ、大丈夫なのか?」

響「わからない。けど……」

響「絶対に耐えてみせるさー!」

亜美「亜美にできることがあったら、手伝うかんね!」

響「うん! 頼むぞ、亜美!」


技師1「親方、来ます!」


響「わかった!」

響「いくぞ、ファル子!」ガシッ


響「……新生・ナンクル砲!!」グイッ



コオォォ…!



巨人2『あははは!死ね死ね死ねぇー!』



ゴオォォォォ…!



響「負けないぞっ!」



ゴオォォォォ…!



巨人2『ほらほら、押し返しちゃうよ?』



ゴオォォォォ…!



響「くそっ、押されてる!」グッ

響「ファル子、頑張れ!」ナデナデ



ゴオォォォォ…!



巨人2『勝つのは、ボクだっ……!』



ゴオォォォォ…!



響「だ、ダメだ! 押し返せない! 」

響「自分たちじゃ勝てないっていうのかっ!?」



ゴオォォォォ…!



巨人2『あと、ちょっと……!』



ヒュー…

ドドドドドドッ!!



巨人2『…………えっ?』ヨロッ



ヒュー…

ドドドドドドッ!!



巨人2『な、なんで!? 後ろから砲撃が……?』



響「あれ? なんか急に巨人の攻撃が弱くなったぞ……?」



店主「なあ。巨人のヤツ、様子がおかしくないか?」

長老「ふむ。何か、後ろを気にしているような……」

技師2「あれは……おそらく、我々以外に巨人に攻撃を加えている者がいます!」

ミニ助「しかし、戦車隊は魔物に手いっぱいで巨人に攻撃する余裕はないはずだ。一体誰が?」

ものまね士「あのー、さっきから大きな音がしません?」



…ズシィン! ズシィン!



響「確かに、地震みたいな音がするぞ!」

亜美「 ……まさか!」




ズシィン! ズシィン!




亜美「ね、ねえ! 巨人がもう1体、ミサイルを発射しながらものすごいいきおいで走ってきてるよ!」




巨人4『………』ズシィン! ズシィン!



ヒュー…

ドドドドドドッ!!




響「まさか、仲間を呼んだのか!?」




巨人4『……ハーーニーーーっ!!』

巨人4『どこなのーーーっ!!』

ズシィン! ズシィン!




響「」

亜美「」


今回はここまでです
なんだかこのスレで終わらない気がしてきました


亜美「うーむ、そーきたか……」

響「ね、ねえ亜美、あれ美希だよね?あんな事言うの絶対美希だよね?」

亜美「うん。ミキミキ以外に考えられないよね」

ものまね士「ミキさんが巨人に乗ってるって事は……」

店主「あの巨人は味方って事か!」

長老「これは、形成逆転じゃな」

ミニ助「どうやら、勝利は目前のようだね」

亜美「ん〜……そーでもないと思うよ?」

長老「なぜじゃ?」

亜美「まず第一に、見たカンジ、ミキミキは軽くボーソーしてるっぽいんだよね」

亜美「ミキミキは巨人せんにゅー部隊のキーパーソンなんだけど、はたしてあのじょーたいで話を聞いてくれるかどうか……」

ものまね士「……言われてみれば、そう見えなくもないですねぇ」

亜美「第二に、あの巨人はまだノーダメなんだよ。亜美たちは巨人から出てきた魔物を倒しただけでしょ?」

亜美「まったくダメージを与えてないのに勝った気になるのはまだ早いっしょ」

ミニ助「むぅ……君の言う通りだ」

亜美「第三に、これはさっきも言ったけど、巨人を破壊するには……」

長老「鮮魚システム、か?」

亜美「うん。それを破壊しなきゃいけないんだけど、巨人を操縦してる魔物も倒さなきゃだよね?」

長老「そうじゃな。……つまり、潜入してからの方がやる事は多い、という事か」

亜美「まずは、ミキミキをセットクしないとだねー」




真美「……おーーい!!亜美ーー!!」




亜美「……ん?」チラ



真美「受け取れーーい!!」



ヒューーー…



「うわぁぁぁあああああっ………!」



亜美「わあっ!」パシッ



亜美「な、何が飛んできたと思ったら……」

亜美「兄ちゃんじゃんか!」

響「プロデューサー!無事だったんだな!」

P「はぁ、はぁ……」

P「あ、亜美と響か?久しぶりだな……」ドキドキ

亜美「もー!こんな大事な時に、なに遊んでんのさ!」

P「い、いや、遊んでるわけじゃなくてだな……」

亜美「亜美たちはシンケンに遊んでるのに、ふざけないでよね!」

P「そ、そうじゃなくて、えっと……俺は真美に言われて、春香たちと……」

響「大丈夫か?ゆっくりでいいからね?」ナデナデ

P「あ、ああ。……ちょっと深呼吸させてくれ」

P「すーーー……」

P「はーーー……」

亜美「もう、空を飛んで来たくらいでだらしないなぁ、兄ちゃんは」

P「そうは言っても、命綱も何もないんだぞ?」

P「……ふぅ、落ち着いてきた。響、ありがとう」


響「それで、どうしてプロデューサーは空を飛んで来たんだ?」

P「巨人に潜入する春香たちの助けになるために、俺はここまで来たんだよ」

響「あ、そっか。プロデューサー、このゲームやった事あるって言ってたもんな」

亜美「はは〜ん、そゆことか〜。真美のヤツめ、なかなか味なことをしてくれる」

亜美(……ミキミキも、兄ちゃんの言うことなら聞いてくれるっしょ!)

P「まったく、いきなり真美に空にぶん投げられるし、生きた心地がしなかったよ……」

響「あはは!大変だな、プロデューサーも」

亜美「んっふっふ〜、悪いけど兄ちゃん。もっかい空の旅を楽しんでもらうよ?」

P「えっ?」



亜美「……おーーい、ミキミキーー!!」




巨人4『…………あれ?亜美なの』

巨人4『やっほー!久しぶりー!』ブンブン




亜美「うん、久しぶりー!」

亜美「……って、それは今はいいんだよ」

亜美「ミキミキに、いいものあげるよーー!!」




巨人4『ミキに何かくれるの?』キョトン




P「あ、亜美、待て!心の準備がまだ……」

亜美「カクゴ決めなよ、兄ちゃん。この世界のめーうんは、兄ちゃんにかかってるんだから!」

P「いや、で、でも……」

亜美「もんどーむよー!」ガシッ

亜美「…………そいやっ!」ブンッ



ヒューーー…



P「うわああぁぁぁああああぁぁ……!」




響「…………行っちゃった」

亜美「兄ちゃん…………グッドラック!」b


ー 巨人内部 ー


P「…………と、いうわけで、俺はここまで飛ばされてきたんだ」

P(美希のナイスキャッチがなけりゃ、危なかったな……)



春香「そ、そうだったんですか……」

あずさ「まあ、大変だったんですねぇ」

千早「でもプロデューサー。よく無事にここまで辿り着けましたね。もし、勢いが足りなかったら……」

P「お、おい千早、滅多な事は言わないでくれよ。ただでさえトラウマになりそうなんだから」

千早「あ……すみません」

美希「ミキ的には、今までの事なんてどうでもいいの」

美希「だって、ハニーがこうして無事でいてくれたんだもんっ!」ギュッ

P「うぷっ!」

やよい「うっうー!プロデューサーがまたべろちょろになってて、ちょっとうれしいかなーって」

律子「まったく、亜美と真美ったら、無茶するんだから……」

律子「あとで、叱っておきます」

P「……いや、それはいいよ」

律子「プロデューサー……?」

P「きっとあの子たちなりに、今の状況を考えての事なんだ。俺としてはむしろ、そこを褒めてやりたいかな」

律子「もう。相変わらず甘いですねぇ、あなたは」


貴音「……それで、ぷろでゅうさぁ殿。巨人に潜入する、との事ですが……」

P「ああ。今は巨人を倒すのが先決だったな。再会を喜ぶのは、全て終わってからにしよう」

P「まず、今のメンバーを潜入部隊と待機部隊に分ける」

春香「えっ?みんなで行くんじゃないんですか?」

P「そうしてもいいんだけど、この位置は、巨人を牽制するのにうってつけだと思うんだ」

P「亜美、響の飛空艇。真美、雪歩の戦車隊。そして今みんなが乗ってるこの巨人」

P「三方向から攻撃した方が、あの魔物も対応しづらいだろ?」

春香「あ……確かにそうですね」

千早「それで、潜入部隊は誰になるんですか?」

P「春香、千早、やよい、伊織、美希。この5人に頼みたいと思う」

P「みんな、やってくれるか?」

美希「もちろんなの!ハニーと一緒なら、ミキはどんな事だってガンバれるの!」ギュッ

P「むぐっ!」

やよい「わたしも、みなさんといっしょにがんばりまーっす!」

千早「私も、異論はありません」


春香(もー、美希ってばプロデューサーさんを独り占めして……)

春香(私だって、久しぶりにプロデューサーさんを抱きしめたいのになぁ……)

春香(……でも、この状況って……)

春香(この世界に来てすぐの頃の、バロンのものまね士さんの研究所の時と似てるよね)

春香(ふふっ。あの時の私ってば、美希に嫉妬しちゃってすっごくイヤな子だったっけ)

春香(でも、今は……)



春香(みんながいて、みんなと一緒に笑い合える。それが、とっても嬉しい)

春香(不思議だね……。こんな当たり前の事に、あの時の私は気づかなかったんだ)



P「春香。……春香!」

春香「…………は、はいっ!」ガタッ

春香「あ、天海春香、頑張りますっ!」グッ

律子「もう、落ち着きなさいよ春香……」

P「ははっ。春香は立ち上がるほど気合が入ってるんだな。さすがはリーダーだ!」

春香「あっ……えへへ……///」モジモジ

美希「むー!ミキ、春香にだけは負けないの!」

春香「ええぇっ!?一緒に頑張ろうよぉ」

美希「どーしよっかなー?」

春香「み、美希〜」


「あはははは……」



伊織「………」



伊織「……行くならさっさと行きましょう。時間が惜しいわ」スクッ



P「伊織……?」

伊織「あ…………」

伊織「ほ、ほら、今みんなは巨人を牽制してくれてるんでしょ?」

伊織「だったら時間は無駄にはできないじゃない」

P「ああ、そうだな」

律子「………」


あずさ「美希ちゃん、プロデューサーさんをよろしくね?」

美希「もちろんなの!ミキ、もう一生ハニーと離れないって決めたの!」

P「いや、一生ってな……」

あずさ「うふふ。ちょっぴり羨ましいわ〜」

美希「いくらあずさでも、ハニーは渡さないからね?」ギュッ

あずさ「あら、残念ね〜」

あずさ「……でもね、美希ちゃん」

あずさ「プロデューサーさんだけじゃなくて、ちゃ〜んとみんなの事も見てあげてね?」

あずさ「美希ちゃんには、みんなを守る力があるんだから」

美希「あずさ……?」

あずさ「みんな仲良く、ね?」

P(あずささん……)

美希「ん〜…………あずさには負けっぱなしだもんね」

美希「わかったの。勝者の命令には従うの」

あずさ「ありがとう、美希ちゃん」ニコッ

美希「その代わり、帰って来たらまた勝負なの、あずさ!」ビシッ

あずさ「うふふ、私で良ければ、相手になるわ〜」




やよい「……それで、ここを押すと、ばばーん!ってなるんです!」

律子「ば、ばばーん?」

やよい「はい!あと、このボタンは、しゃきーん!ってなって……」

律子「あー……うん。ま、まあ、なんとなくわかった……ような気がするわ」

律子「ありがとう、やよい」

やよい「律子さん。ロボの事、よろしくおねがいしますね!」ペコリ

律子「ええ!やよいもしっかりね」

やよい「はいっ!」


貴音「千早、少し話が……」

千早「……はい」



貴音「あの巨人に乗っている魔物は、とんでもない攻撃を仕掛けて来ます」

貴音「対策を練らないと、取り返しのつかない事になるでしょう」

千早「………」

千早「ええ、わかっています」

千早「確か、聞いただけで相手を死に至らしめる言葉を操るとか」

貴音「知っていたのですか?」

千早「私は、少しの間魔物の近くにいましたから、その時に」

貴音「そうですか。……ならば話は早いです」

貴音「その言葉を聞いてから死が訪れるまで、数十秒ほど時間があります」

貴音「しかし、その言葉……『死の宣告』を聞いてしまうと、どうやら死を逃れる術はないようです」

千早「死の、宣告。それが……」

貴音「ええ。命を弄ぶ、悪魔の囁きです」

千早「あの、四条さんはなぜそんなに詳しいんですか?」

貴音「………」

貴音「それは、とっぷしぃくれっとです」

貴音「……と、言いたいところですが……」

貴音「千早、あなたには話しましょう」

貴音「わたくしは以前、死の宣告によって命を落としました」

千早「!」

貴音「ですが、こうして生きています」

貴音「それは、美希のおかげなのです」

千早「美希の……?」

貴音「おそらく、生命を呼び戻す類の魔法も存在するのでしょう」

貴音「ですから、何があっても諦めないでください。希望とは、諦めた時点で潰えてしまうものですから」

千早「………」

千早「……安心してください、四条さん」ニコッ

千早「私は、諦めません」

千早「必ずみんなで、目的を果たして戻って来ます」

千早「それに、実はその、死の宣告の対策もすでに考えてあるんです」

貴音「なんと、そうでしたか」

貴音「…………ふふ」

貴音「変わりましたね、千早」

千早「そ、そう……ですか?」

貴音「ええ。とても喜ばしい変化です」

貴音「あなたの笑顔を見て、わたくしも安心しました」ニコッ

千早「か、からかわないでください……///」



ドゴォン! ドカァン!

ドドドドドドッ!


律子「……これ以上近づくのは厳しいわね。砲撃も激しいし、さすがにあの巨人に気づかれてしまうわ」

春香「ここまでで充分です。ありがとうございます、律子さん!」

律子「………」

律子「春香。伊織の事、よろしくお願いね?」

春香「え……?」

律子「あの子は今、とても重いものを背負っているの。強がってるけど、とても辛いはず」

律子「本当なら、私もついて行きたいところだけど……」

春香「………」

春香「任せてください、律子さん!伊織も、大切な仲間ですから!」ニコッ

律子「……頼むわね」



P「……よし、みんな。準備はいいか?」

美希「バッチリなの!」

やよい「わたしも、だいじょーぶです!」

伊織「さっさと終わらせるわよ」

千早「行きましょう、プロデューサー」

春香「この世界のみんなを守る戦いへ!」

P「……ああ!」

P「美希、頼む」

美希「はいなの!」

美希「みんな、行くよ?」

美希「……レビテト!」バッ

…フワッ

ビューーーン…





あずさ「……行っちゃいましたねぇ」

律子「そうですね」

貴音「春香たちなら、必ず成し遂げてくれるでしょう」

貴音「律子嬢、あずさ。今はわたくしたちに与えられた使命を全うしましょう」

あずさ「ええ、そうね」

律子「それじゃ、行くわよ!」ガシッ



律子「巨大ロボ、発進!」



ズズズ…


ゴオォォ…!


ー トロイア付近の森 ー


真「だあぁぁっ!!」ブンッ


ドゴォ!


白龍「ぐっ……!」

白龍「……むんっ!」ブォンッ


バキィ!


真「うわあっ!」


…ズザザ!



真「…………ふぅ。読めないなぁ、君の攻撃は」

真(まるで、ムチみたいに不規則な動きだ……)


白龍「ふふふ。負けを認めますか?」クネクネ


真「冗談!ボク、負けるつもりなんて無いからね!」


白龍「強情ですね……」


真「へへっ!でも、楽しいなぁ!」


白龍「……?」


真「こうやって本気で戦える相手がいるのって、いいよね!」ニコッ

真「そこだけは、君に感謝しないといけないな、うん」


白龍「………」

白龍「油断を誘う作戦ですか?そんなものにかかるとでも?」


真「いや、そういうつもりはないんだけどな」

真「……ま、いいや。そろそろ続きをやろっか!」ゴゴゴゴ


白龍「む!」


真「……はっ!」タンッ


白龍「……バカめ。空中で私が負けるはずがありません!」ユラ…


真「……飛燕、龍神脚っ!」


ビュンッ…


白龍「ふんっ!」ヒョイッ


白龍「お前のスピードは見切りました。そのまま地面に激突しなさい!」


真「……君が避けるのは、想定済みだよ!」


白龍「何……?」


…ドゴォォン!


真「動きが読めないなら……!」ガシッ


白龍「!……砕けた岩を!」


真「まとめて潰すだけだあっ!」タンッ


真「うおりゃあああぁぁっ!」ブンッ


ヒュー…グシャア!


白龍「ぐぁ……!」ヨロッ


…スタッ

真「とどめだっ!」


真「はあぁぁぁぁぁ……!」ゴゴゴゴ


真「覇王……!」バッ


ビュンッ…ドゴォ!


真「ぐ……ぁ……っ!」ヨロッ


白龍「っ……今のは、少々効きました……」

白龍「ですが、甘く見られたようです」

白龍「むんっ!」ブンッ


ドサドサドサッ!


真「く……木が、なぎ倒されて……?」


白龍「さあ、とどめです!」ガシッ

白龍「串刺しになりなさい!」ブンッ


真「まずい、避けなきゃ……!」

真「……はあっ!」ダッ


ヒュー…


ドスドスドスッ!


真「はぁ、はぁ……」



白龍「ちっ、うまく避けたか……」


真「へ、へへっ……」ニコッ

…ズキッ

真(痛っ……!)

真(さっきので、足が……)

真(ちょっと調子に乗りすぎたかも……)



白龍「………」

白龍「ここへきて、ようやく力の差が出てきたみたいですね」

白龍「そろそろ余裕がなくなってきたのでは?」


真「そんな事はないさ。そっちこそ、調子に乗りすぎると痛い目見るよ?」


白龍「強がっても無駄です。お前の顔色が変わったのは、火を見るよりも明らか」


真(うわ、バレてる……)


白龍「……最後に、もう一度聞きます」

白龍「私と共に来ませんか?」


真「………」


白龍「お前の力は、やはりここで終わらせるには惜しい。その力は、きっとコトリ様のお役に立つ事でしょう」


真「……しつこいなぁ、君も」

真「何度聞かれても、ボクの答えは変わらない」

真「悪者の手助けなんてゴメンだ!」


白龍「………」

白龍「私の仲間達が、人間にやられたようです」


真(仲間……そうか、きっとみんなが……)


白龍「もう、手加減はしません」ユラ…

白龍「……少年よ。私の誘いを断った事、後悔させて……」


真「……ちょっと待った!」


白龍「え?」


真「……今、なんて言った?」


白龍「だから、私の誘いを断った事を……」


真「その前!」


白龍「少年よ……?」


真「………」ゴゴゴゴ

真「君は今……言ってはいけない事を言った……」ゴゴゴゴ


白龍「な、なんだこの気は?さっきと段違いの……!」


真「ボクは……」グッ


真「ボクは…………!」ゴォォ!




真「…………女の子だああああっ!!」バーン




白龍「ば、バカな……!?」



真「覇王……!」バッ

真「………至高拳っ!!」


ゴオォォォオオォ…!!


白龍「あ…………」



ドッゴオォォォン!!




真「………」チラ



白龍「」



真「……押忍っ!」




真「……まったく、失礼だよね!魔物までボクを男の子と間違えるなんてさ!」プンスカ


真「……痛っ!」ズキッ

真(……大丈夫。ちょっと痛いけど、歩けないってほどじゃない)

真「魔物も倒したし、早くみんなのところへ行かないとね」



…キラーン!



真「……ん?なんだろ、あれ」

スタスタ…



真「これって……刀?」スッ

真「ふーん……」チャキッ

真(ボクはこういうの使わないな)

真(でも、刀っていえば伊織が使ってたっけ……)

真(お土産に、伊織に持って行ってあげようかな)



真「……よし、行こう!」

スタスタ…



白龍「……ま、待って、ください……」



真「……ん?」クルッ

真「げっ!?君、まだ動けるの?」

真「タフだなぁ、ホント……」



白龍「トドメを、刺さないのですか……?」



真「えっ?なんで?」



白龍「私は……あなた方の敵です。敵を根絶やしにするのは、当然の事ではないですか?」

白龍「ましてや、我々は、あなた方人間を滅ぼそうとしたのですよ?」



真「んー……」ポリポリ

真「確かに、君たちのした事は許せないよ」

真「たくさんの人が死んだし、生きてる人だって、住むところがなくなって困ってる人もいる」



白龍「………」



真「……でもさ、ここで君を殺すのは、ちょっと違うかなって」



白龍「なぜです……?」



真「うーんと、うまく言えないんだけど……」

真「こんな事を続けてもさ、誰も幸せになれないと思うんだよね」



白龍「………」



真「君たち魔物がなんで人間を襲うのか知らないけど……」

真「襲われるから、人間は抵抗する。抵抗されれば、魔物はさらに人間を襲う」

真「こんな事を繰り返すのも、なんか不毛だなーと思ってさ」

真「そんな事するヒマがあるなら、スポーツとかジョギングとか、そういう事をした方が身体にもいいし、すごく健康的だよ?」

真「……って、君は足がないから、ジョギングはできないね」

真「あはは……」



白龍「………」


真「えーっと、つまり……」

真「罪を憎んで人を憎まず、って事」

真「犯してしまった罪は、消す事はできないけど、人は、またやり直す事ができる」

真「同じ間違いを繰り返さないように、努力する事ができるって事さ」

真「君たちにだって、やり直すチャンスはあるんじゃないかな」

真「まあ、また襲って来る気なら、今度は手加減はしないけどね?」



白龍「………」



真「さて……そろそろボク、行かなきゃ。きっとみんな待ってるし」



白龍「……もうひとつだけ、聞かせてください」

白龍「あなた方『あいどる』とは、いったい何者なのですか?」



真「アイドルかぁ……」

真「そんなの、ボクの方が聞きたいくらいなんだけど……」

真「しいて言えば、見てくれる人たちに元気や幸せをあげる人、かなぁ」



白龍「………」



真「それでボクも、もっと色んなカワイイ服を着て、きゃぴぴぴぴーーん!!って感じの女の子になりたいなぁ!」



白龍「ふっ……」

白龍「そのような振る舞いをしていては、難しいのでは?あなたはどう見ても、少年にしか見えません」



真「ぐっ……!」グサッ

真「失礼だなぁ、もう!」プンスカ

真「ボクは、まだまだこれからなんだもんね!」

真「絶対いつかは、超カワイイ女の子になってやるんだからねっ!」


真「……っと、もうホントに行かなきゃ」

真「あ、そうだ。この刀、もらっちゃっていいのかな?」チャキッ



白龍「その刀……妖刀ムラサメは、コトリ様からお預かりした、とても大切なもの」

白龍「ですが、コトリ様は『こう』なる事を望んでいたような節もあります」

白龍「持って行きなさい。きっと、あなた方の助けになるでしょう」



真「ありがと!」

真「じゃあボク、行くね?」


タタタタ…


…ピタッ

真「……ああ、そうだ」

真「君と戦えて、楽しかったよ!」ニコッ

真「じゃあね!」


タタタタ…



白龍「………」

白龍(不思議ですね。人間とは、もっと脆弱でずる賢いものだと思っていました)

白龍(あいどる……か)

白龍(コトリ様……)



白龍(あいどるは…………あなたの敵になり得るかもしれません)


ー 飛空艇 ファルコン号 ー


亜美「……ふぅ」

亜美「これであとは、はるるんたちにガンバッてもらうだけだねー」

響「プロデューサー、大丈夫かなぁ」

亜美「へーきっしょ!向こうにはミキミキがいるんだし」

響「テキトーだな、亜美……」



技師1「……あのー、親方?」

響「ん?どうしたんだ?」

技師1「親方とアミさんは、さっき誰と話していたんです?」

響「誰って……」

響「さっきのは、自分たちのプロデューサーで、あんな姿だけど本当は人間なんだぞ!」

技師1「ぷろでゅーさー……?」

技師2「あんな姿と言われても、我々には何も見えませんでしたけど?」

響「えっ?」

亜美「ひびきん、兄ちゃんはみんなには見えないんだって!忘れちったの?」ヒソヒソ

響「あ、そうだった……」



亜美「ねえ、長老っちは見えたよね?」

長老「……いや、ワシにも何も見えんかったが」

亜美「えっ?」

亜美「そんなコトないっしょ?だって、長老っちは兄ちゃんの事見えるって言ってたじゃんか」

長老「彼がここにいたのか?」

長老「しかし、姿どころか気配すら感じ取れなかったぞ?」

亜美「え……」

亜美「マジ?なんでだろ……」

亜美(べろちょろだと、長老っちにも気づいてもらえないのかなー)


ものまね士「あの、ぷろでゅーさーっていう方は、みなさんにとって大切な方なんですよね?」

響「ものまね士、プロデューサーの事知ってるのか?」

ものまね士「いえ、直接お会いした事はないんですけど、前にハルカさんたちが話していたのを覚えていたので」

響「うん。プロデューサーも、自分たちの大切な仲間なんだ!」



長老「……で、今、彼はどこへ?」

亜美「兄ちゃんなら、今ごろミキミキたちの乗ってる巨人にいると思うよー」

亜美「せんにゅー部隊のサンバイザーとして、ガンバッてもらうためにね!」

響(アドバイザーの間違いじゃないか……?)

長老「ふむ……」

長老「確かに、彼には、未来が見える不思議な力があるようじゃった」

長老「彼がいれば、百人力じゃな」

亜美「そゆこと!」

響「巨人の破壊は春香たちに任せて、自分たちは、巨人を足止めするぞ!」

技師1「はい、親方!」


巨人2『………』

巨人2『君たちは……』

巨人2『寄ってたかって、ボクの事をイジメるんだね……!』

巨人2『人間なんて……嫌いだっ!』




響「ヒドい事したのは、そっちだろ!?」

響「人間たちが住んでた城や町を、めちゃくちゃにして!」




巨人2『それがなんだっていうの?』

巨人2『人間は、このキレイな青き星を独り占めする、ズルいヤツらなんだ!』

巨人2『そんなヤツら、滅んで当然だよっ!』




響「ひとのモノを壊すのは、悪い事なんだぞっ!」




巨人2『誰が決めたの?この青き星が人間のモノだって、いったい誰が決めたの?』

巨人2『そんなのは、君たち人間が勝手に決めた事だよ。ボクたちにだって、手に入れる権利はあるっ!』

巨人2『この青き星を手に入れる、権利はあるんだっ!』




響「だったら、みんなで分け合えばいいさー!」

響「平和に暮らしてた人間たちを殺す事は、なかったはずだぞ!」




巨人2『………』


巨人2『……何を言っても無駄だね』

巨人2『全て……壊す!』

巨人2『ボクにはもう、それしかないから!』



キュイィィィィン…!



響「!……また、波動砲か!?」

響「ファル子、行くぞ!」




巨人2『さっきは邪魔が入ったけど、今度はフルパワーだよ!』

巨人2『あのガラクタみたいに、君たちも粉々にしてあげるっ……!』



ゴオオォォオオ…!!



響「ガラ……クタ……?」ピクッ



亜美「ひびきん、何してんのさ!来るよ!」



響「エン太郎の事か…………?」ゴゴゴゴ






響「エン太郎の事かぁぁーーーーーっっ!!!」




ゴオオォォオオ…!!





亜美「」


亜美「ひ、ひびきんが……」

亜美「おだやかな心を持ちながら、はげしー怒りによって目覚めたデンセツの戦士っぽくなっちゃったYo!」




響「しなさりんどぉぉぉーーー!!」ゴゴゴゴ



ゴオオォォオオ…!!



巨人2『負けるかぁぁーーっ!!』



ゴオオォォオオ…!!



響「うがあああぁぁーーーっ!!」



ゴオオォォオオ…!!



巨人4『響!手伝うわ!』



ヒュー…ドドドドドドッ!!



亜美「あの声って、りっちゃん!?」




巨人4『リッチェーンの真の力を見なさいっ!』




亜美「りっちゃん、何気にノリノリだし!」

亜美(しかもあの巨人、全然リッチェーンじゃないし!)




巨人2『うわあああぁぁっ!!』





ドゴオオォォォン…!!


ー ドワーフ戦車 ー


真美「いいな〜、りっちゃん」

真美「真美も巨人に乗ってオーバーマスターしたいYo!」


トロア「マミ殿、今はそんな事言ってる場合では……!」



鉄機兵「……!」ブンッ



トロア「くっ!」


ガキィン!


真美「………」チラ

真美「……コンフュ」スッ


…ボンッ!


鉄機兵「???」キョロキョロ


トロア「え……?」



鉄機兵「???」クルッ


タタタタ…



トロア「行ってしまった……」

真美「なーんかもう、ザコと戦うのもあきちゃったなー」

トロア「しかしマミ殿、魔物はあとから湧いて来ますよ?」

真美「まあ、そうなんだけどさ」

真美「こんなことなら、真美も兄ちゃんと一緒に行けばよかったな〜」

老婆「まったく、名軍師殿の飽きっぽさには呆れたもんだね」

ジオット「だが、彼女のおかげで我々の戦力はずいぶん上がりました」

ファブール王「若い世代が頑張ってくれるのは、嬉しい事じゃのう」チラ



ルカ「ドワーフ戦車隊、斉射っ!」

ルカ「行け行けーーっ!」

シルフ「殲滅ですよ〜!」

雪歩「やっちゃえですぅ!」

ユキコ「粉々ですぅ!」



ヒュー…ドドドドドドッ!



魔物たち「」



アン(私も混ざりたいけど、2×歳は若いって言ってもいいのかしら……?)


ー 巨人内部 ー


律子「まだよ!リッチェーンの力はこんなものじゃないわ!」

律子「おりゃー!」ガチャガチャ



あずさ「うふふ。律子さん、楽しそうね〜?」

貴音「我を忘れて楽しんでいますね……」

家老「あのおなごは、バッカスの酒でも飲んだのか?」

貴音「いえ。律子嬢はまだ未成年。飲酒はできません」

家老「そうか……。じゃがあの調子では、味方に攻撃してしまうのではないか?」

あずさ「大丈夫です。そうならないように、ちゃ〜んと私たちが律子さんをフォローしますから」

家老「それなら良いのじゃが」

あずさ「律子さ〜ん、私にもやらせてくださ〜い」

タタタタ…


律子「あずささん。いいですよ。じゃあ次は、アズサイズの番ですね!」

律子「私がフォローしますから、こっちに」

あずさ「は〜い」スッ

あずさ「うふふ、アズサイズ、行きま〜す♪ 」



貴音(もしやあの2人、声だけの出演だったのを根に持っているのでは……?)



あずさ「えいっ!」ポチッ

律子「あずささん、どこに向かって撃ってるんですか!空に撃っても意味ないですよ!」

あずさ「あら〜、結構難しいんですねぇ」

律子「大丈夫。私がちゃんと教えてあげますよ!」



貴音(本当に、楽しそうですね)



律子「……ほら、貴音も来なさい。やってみると、意外と楽しいわよ?」


貴音「良いのですか?」パァァ


律子「当たり前でしょ?」

律子「さあ、みんなでハルシュタイン閣下を倒すわよ!」

あずさ「は〜い♪ 」



貴音(何やら色々間違っている気もしますが、せっかく楽しんでいるのに水を差すのも無粋でしょうか)


ー 飛空艇 ファルコン号 ー


響「うがぁーーっ!」



ドゴォン!ドカァン!



亜美「ひびきん、ちょっと落ち着いてよー!」

店主「お、おい!このままじゃ、味方の巨人に当たっちまうんじゃないか!?」

ミニ助「ヒビキ君、目を覚ますんだ!」



長老「……おい、そなた。エスナは使えるか?」

ものまね士「え?は、はい。一応……」

長老「今、彼女は狂戦士と変わらん状態じゃ。頼む」

ものまね士「わ、わかりました!」


ものまね士「……エスナっ!」バッ


シャララーン!


響「っ……!」ピクッ


ドサッ


響「………」グッタリ


亜美「ひびきんっ!」ガシッ


ものまね士「あ、あれ……?意識を失っちゃった……?」

ものまね士「私、そんなつもりじゃなかったんですけど……?」

長老「そなたのせいではない」

長老「おそらく、精神に相当な負担がかかっていたんじゃろう」

長老「無理もない。長い間連れ添った相棒を、失ってしまったんじゃからな……」


響「………」


店主「ヒビキ……」

ミニ助「………」

ピョン吉「………」

ブタ美「………」

技師2「飛空艇の操縦は、我々にお任せください!」

技師1「自分たちも、親方の役に立ってみせます!」

長老「よろしく頼むぞ」

長老「アミ。まだまだ魔物が来る」

長老「そなたはこちらの攻撃の要じゃ。しっかりするんじゃ」

亜美「………」

亜美「うん、わかったよ」

亜美「ものま姉ちゃん、ひびきんのこと、お願いね?」

ものまね士「はい。安心してください、アミさん!」ニコッ



亜美「よーし、ひびきんのカタキうちだー!」



長老「いや、まだ死んどらんからな?」


ー バブイルの巨人 下腹部 ー


スタスタ…


春香「………」

春香「さっきからずーっと一本道だね」

千早「ええ、そうね」

春香「一本道なら、道を間違えようがないよね」

千早「多分……」

春香「………」

春香(このクネクネ続く一本道って、ひょっとして……)



春香「あの、プロデューサーさん」

春香「私たち、今どの辺りにいるんですかね?」

P「そうだなぁ……」

P「まだそんなに進んでないし、小腸とか、その辺りじゃないか?」

春香「ああ、聞くんじゃなかった……。ウソでもいいから、もっとごまかしてほしかったです!」

美希「うぅ……ハニーが変な事言うから、ミキ、なんだか気分悪くなってきちゃったの……」グッタリ

千早「最低です、プロデューサー」ジロ

P「す、すまん。ただ、ルートを考えればその辺りだと思ったから……」

春香「る、ルートとか言わないでください!」


春香(はぁ……。まさか、巨人のおしりから入る事になるなんて)

春香(サナダムシにでもなった気分だよ……)

春香(……って、ダメダメ!)

春香(これ以上自分がいる場所について考えるのはよそう。余計ドツボにはまる気がするよ……)



伊織「………」

やよい「………」チラ

やよい「……伊織ちゃん、どうかしたの?」

伊織「……な、何でもないわ」

春香「伊織、元気ないね?」

春香「プロデューサーさんの悪質なボケにもツッコまなかったし……」

P「い、いや、真面目に答えただけなんだが……」

伊織「大丈夫よ」

やよい「ほんとに?」

伊織「………」

伊織「私が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫なの!ほら、さっさと行くわよ!」


スタスタ…


春香「あ、ちょっと待ってよ伊織〜!」


タタタタ…


美希「……デコちゃん、何かあったのかなー」

千早「ええ」

千早「少し様子がおかしい気もするけれど……」

やよい「伊織ちゃん……」


春香「………」キョロキョロ



春香「……それにしても、中は意外と機械っぽいんだねぇ」

千早「これだけ大きいものを動かすんだもの。機械的になるのも仕方ないんじゃないかしら」

春香「あ……ううん、そういう事じゃなくてさ」

千早「?」

春香「あの、プロデューサーさん。この巨人って、月の民の人たちが造ったモノなんですよね?」

P「ん?ああ……一応そういう事になるのかな」

千早「確かに、この巨人はクリスタルの力で月から地球に呼び寄せたもの、だったわね」

やよい「月の人がつくったものだと、何かあるんですかー?」

春香「別に、大した事じゃないんだけどね」

春香「なんていうか、イメージと違うなーって」

千早「イメージと、違う?」

春香「うん。なんとなく、私の中での月の民ってもっと神秘的っていうか……」

春香「こういう科学的なモノとはほど遠い存在っていうか……」

春香「まあ、これは私の勝手な想像なんだけどね」

千早「………」

美希「ミキ、なんとなく春香の言いたい事がわかる気がするの」

美希「だって、この世界では貴音は月の人なんでしょ?」

美希「きっと月には、貴音みたいにフシギな人がたっくさんいるって思うな!」

春香「あー、そういえば貴音さんも月の民だったね」

千早「でも、四条さんみたいな人がたくさんいるとなると……」

やよい「食費がたいへんそうですねー!」

P「あはは、そうかもな」


P「……で、そんな神秘的な民族が、なぜこんな科学的なものを造ったのか、って事か?」

春香「はい。ちょっと不自然だな、って思ったんです」

伊織「……侵略のため、でしょ?」

春香「伊織……?」

伊織「この世界の月……二つあるみたいだけど、見た限りは、私たちの世界の月とあまり変わりはないみたいね」

伊織「つまり、この世界でも、月に無いものが地球にはたくさんあるって事よ」

伊織「月に住んでたら、地球が羨ましくなるのも仕方ないわね」

春香「だから、侵略?」

伊織「こんな物騒なモノを造るんだもの。そう考えるのが妥当だと思うけど」

P「……うん。伊織の言う事にも一理あるな」

千早「やはり、どこの世界でも戦争はつきものなんですね……」

やよい「まものさんたちと仲良くすることはできないんでしょーか?」

P「まあ、難しいだろうなぁ」

美希「やよいの意見が1番理想的だって思うけどー……」

美希「ミキは、デコちゃんに賛成かな」

P「どうしてだ?」

美希「ミキ的には、欲しいモノがあるなら、自分の力で勝ち取るべきだって思うな」

春香「美希、でも……」

美希「あ、別に戦争がいいって言ってるわけじゃないよ?」

美希「でもミキ、思うんだ」

美希「自分が欲しいモノを手に入れるっていう事は、他の誰かがそれを手に入れられないって事だって」

美希「それが大きいモノでも小さいモノでも、本人に自覚があろうと無かろうと、そこにはいつでも競争があるんじゃないかな?」

美希「だから、やり方は賛成できないけど……その、月の人たちが地球をうらやましいって思った気持ちは、ちょっとわかるの」

P「なるほど、美希らしい考えだな」

春香「うーん……」

P「なんだ?春香はまだ納得いかないのか?」

春香「だって、お父さんもミシディアの長老さんも、とっても優しいですし、そんな人たちが侵略なんて恐い事を考えるのかなって」

P「まあ、わからなくもないけど……みんながみんな平和主義ってわけじゃなかったって事だろ?」

P(そもそも、言い方は悪いけど全ての元凶は音無さんなわけだし)

P(……いや、元凶は俺か)


春香「………」

春香「どんな気持ちだったんですかね?」

P「……え?」

春香「この巨人を造った人たち、どんな気持ちだったのかな……」

千早「………」

春香「美希が言うように、最初は、地球がうらやましいな、って思っただけなのかもしれない」

春香「でも、結局こんな風に傷つけ合う事になっちゃってる」

美希「………」

春香「すっごく、悲しい事だよね……」

春香「こういうのって、誰かが終わらせないと、きっと終わらないんじゃないかな?」

やよい「………」

春香「奪って、奪い返して、また奪い返して……」

春香「憎しみが憎しみを呼ぶなんて……悲しすぎるよ」

伊織「………」



P「戦争って、そういうもんだと思うよ」

P「月から来た魔物たちが何を考えてるのかはわからないけどな」

P「ま、とにかく、この星の破壊を止められるのは、お前たちアイドルだけだ」

P「みんな、よろしく頼む」



春香「……はいっ!」

千早「わかりました」

やよい「がんばりまーす!」

美希「ミキも、やるの!」

伊織「………」



伊織(憎しみが、憎しみを呼ぶ……)

伊織(私がやろうとしている事は……)

伊織(形は違えど、地球を侵略しようとしたヤツらと変わらない……?)

伊織(私は、間違っているっていうの……?)

ー バブイルの巨人 胴体吹き抜け部 ー


ヒュゥゥ…


春香「わぁ……!」



春香「なーんか開けたところに出たねぇ」

千早「ええ」

千早「今までは一本道だったけど……ここは、すごい広さね」キョロキョロ

やよい「てんじょうも、ぜーんぜん見えないですねー……」キョロキョロ

春香「外からはわからなかったけど、中は結構がらんどうなんだねー」



美希「ねえハニー。ここからはどう進めばいいの?」

P「えーっと……」

P「制御システムがあるのは、おそらく巨人の心臓部分だと思うんだ」

P「とりあえずは、上に行ける階段があればいいんだけど……」

春香「けど?」

P「巨人を動かしてる魔物も、探し出して倒さないといけないし、どうするかな……」

やよい「あっ!」

やよい「プロデューサー!そーじゅうせきは、あたまにありますよ!」

P「えっ?」

やよい「わたしたちがのってきたロボもそうでした!きっとこのロボも同じなんじゃないかなーって!」

春香「あ、言われてみればそうだね」

P「じゃあ、魔物は頭部にいるのかもしれないな」

P「やよいは賢いなぁ!」

やよい「えへへっ……///」モジモジ

千早(褒められて照れてる高槻さん、かわいいわ)ニコニコ


P「心臓と頭、どっちを目指すにしろ、ここより上にあるのは間違いないな」

P「とりあえず、階段を探そう」

美希「わかったの!」

美希「……春香!」

春香「えっと、じゃあ……」キョロキョロ

春香「とりあえず、壁沿いに進んでみよっか?」

千早「迷子にならないための、基本ね」

スタスタ…


千早「あの、プロデューサー」

千早「ちょっと聞きたい事あるんですが」

P「ん?どうした?」

千早「『死の宣告』って、どうしても逃れられないものなのでしょうか?」

P「!」

P「千早、死の宣告なんてどこで知ったんだ?」

千早「私は、少しの間ですけど魔物と一緒にいたので」

P「そうか……そうだったな」

千早「その時に、魔物から聞きました。魔物は、死の宣告からは逃れられない、とも言っていたので……」

P「……うん。ゲームでも、回避はできない攻撃だし、死の宣告を受けたら……」

千早「やはり、死んでしまう、という事ですか」

P「…………ああ」

美希「………」



伊織(死の宣告……?)

伊織(厄介な攻撃があるのね。気をつけないと)


春香「おーーーい!みんなーー!」

やよい「かいだん、みつかりましたよーー!」




P「春香たちが呼んでる。俺たちも行こう」



美希「っ……!」ピクッ



美希「…………あれ?」キョロキョロ

千早「美希、どうかしたの?」

美希「うーん……」

美希「今、誰かに見られてる気がしたんだけど……」

P「見られてる……?」

千早「誰もいないみたいだけど……」キョロキョロ

美希「気のせい……かな?」






サーチャー「………」ジジッ



サーチャー「……侵入者発見。情報ヲ転送シマス」ピー


ー バブイルの巨人 腹部 螺旋階段 ー


カンカンカン…


伊織「………」

伊織(憎しみ……か)

伊織(私は、赤い悪魔が憎いのかしら……)

伊織(そりゃあ、最初の頃はムカついてたけど……)



伊織(魔物とはいえ、アイツは私たちに協力してくれた。助けてくれた)

伊織(本当は、いいヤツなんじゃないかって思った事もある)

伊織(エブラーナを滅ぼしたのだって、ただ、命令に従っただけで……)



伊織(…………ううん)

伊織(この世界に来たばかりの頃の恐怖を、忘れたの?)

伊織(死んでいったエブラーナのみんなや、王と王妃の無念を、忘れたの?)

伊織(エブラーナの民たちのためにも、私は……)



伊織(…………そうよ)

伊織(私は、みんなの憎しみを背負って戦わなきゃならない)

伊織(恨みを晴らすための戦いなんて、ただのエゴだけど)

伊織(『私がどう思うか』なんて、関係ないんだわ)

伊織(それが……王女。王族たる者の宿命)

伊織(たったひとり、国の人柱となって、民を守っていかなきゃいけない)

伊織(仲間がいるように見えて、私は……)





伊織(孤独だったのね…………)






機械兵「………」ゴオォォ

鉄機兵「………」ゴオォォ



春香「わわっ!ま、魔物が!」

春香「……っとと!」ヨロッ

千早「春香!」ガシッ

美希「こんな階段で出会うなんて、ついてないの」

P「この場所からの近接攻撃は危険だな。……美希、やよい、頼む!」

やよい「わ、わかりましたっ!」

美希「任せてなのっ!」ギリッ



…ズバッ! ジャキィン!



機械兵「」

鉄機兵「」



P「…………えっ!?」

春香「ま、魔物が、真っ二つに……?」

やよい「あっ……」




伊織「………」チャキッ




美希「デコちゃん……?今の、デコちゃんがやったの?」

千早「一瞬だったわね……」

春香「う、うん。何も見えなかったよ……」

P(あんなに離れた場所へ、一瞬で、正確に斬りつけるなんて……)

P(タイダリアサンから『マサムネ』を手に入れたとは聞いていたけど……)

P(すごい威力だな)



春香「伊織、すごいっ!」ニコッ


伊織「………」クルッ

伊織「……さっさと行くわよ」

カンカンカン…



春香「伊織……?」




ー バブイルの巨人 右胸部 ー


P「……よし、頂上についたな」

P「次は、あのつり橋を渡るみたいだけど……」



アイドル達「………」



P「みんな、どうかしたのか?」

春香「い、いえ、ちょっと……」

千早「つり橋には、良い思い出がないんです」

やよい「うぅ……また、かべがおいかけてくるんでしょーか?」

美希「今回も、落ちたらシャレにならないカンジなの」チラ

P「壁って…………ああ、もしかして、封印の洞窟の事を言っているのか?」

春香「はい。恐かったんですよ?ホントに……」

P「大丈夫。ここにはそんな罠は無いはずだ」

春香「そうですか……」ホッ

P「でも、何があるかわからない。一応気をつけて行かないとな」

千早「そうですね」



伊織「………」

スタスタ…



やよい「……あっ、伊織ちゃん!」

春香「伊織、ちょっと待ってよ!」


伊織「……なによ。先へ進むんでしょ?」

伊織「ほら、さっさと行くわよ」

春香「………」

春香「ねえ、伊織。……本当に何かあった?」

伊織「……別に。何もないわよ」プイッ



春香(伊織……)

春香(律子さんが、伊織は重いものを背負ってるって言ってたっけ……)

春香(…………よし!)



春香「待って、伊織!」ガシッ

春香「私に、何か力になれる事はないかな?」

春香「私、伊織の力になりたいよ!」

春香「お願い、何か困ってる事があるなら、話して?」



伊織「うるさいわね!何もないって言ってるでしょ!?」バッ



春香「っ……!」ビクッ

P「お、おい、伊織……」

やよい「伊織ちゃん!」

伊織「………」

伊織「…………ごめんなさい」

伊織「ちょっと疲れてて、気が立っているだけよ」

春香「そ、そっか」


春香「でも、何かあるなら言ってね?私達は、仲間なんだからさ!」



伊織「………」ピクッ

伊織「何か、あるなら……?」



伊織「何かあるのは、あんたの方じゃないの?」

春香「えっ……?」

伊織「あんただって、私達に隠し事してるじゃない」

春香「そ、それは……」

千早「………」

伊織「私が気づかないとでも思ったの?」

春香「い、伊織、聞いて!」

伊織「そんなんで、よく『リーダー』なんて言えるわね。よく『仲間』なんて言えるわねっ!」

春香「う……」

千早「水瀬さん、落ち着いて。今、そんな事を言っても仕方ないわ」



やよい「……あ、あのっ」

やよい「千早さんも……春香さんに言ってないこと、ありますよね?」

千早「た、高槻さん……?」ドキッ

やよい「わたし、ずーっと気になってたんです」

やよい「あのまっ黒なリボン、春香さんに返さなくていーのかなーって」

春香「ち、千早ちゃん……?」

千早「くっ……!」



美希「……みーんな、隠し事ばっかりなの」

P(どうなってるんだ、これは?みんな、気持ちがバラバラじゃないか)

P(こんなんじゃ力を合わせるどころか……)



P「みんな、ちょっと落ち着こう」

P「ここは敵陣の真ん中だ。こんなところで言い争っててもしょうがないよ」

P「とりあえず、話は事が終わってからにしよう」

春香「………」

伊織「………」

やよい「………」

千早「………」

美希「……あふぅ」



伊織「……あんたはいいわよね、お気楽で」

P「え……?」

伊織「そうやって誰かに抱っこされて、指示を出しているだけでいいんだもの」

伊織「実際に魔物と戦うのは、私達だっていうのに」

春香「伊織、それは……」



美希「デコちゃん、それは言い過ぎだって思うな!」



伊織「………」

美希「ハニーは、こんなに不自由な身体になっちゃっても、ミキ達の事、たっくさん考えてくれてるんだよ?」

美希「それをわかってあげないのは、ちょっとヒドいって思うな!」

伊織「………」

春香「美希……」

P「美希、いいんだ」

美希「でも……!」



P「……伊織の言う通りだ」

P「俺は、はっきり言って何の役にも立っていないし、みんなのお荷物になってしまっている」

P「みんなにばかり辛い思いをさせて……」

P「すまない。これじゃ、プロデューサー失格だよな」

美希「ハニー!」

やよい「そ、そんなことっ!」

P「……でも、例え足手まといでも」

P「俺は、お前達のプロデューサーでいたい」

P「この姿でできる事なんて限られてるけど、お前達に何かしてやりたいって思うんだ」

春香「プロデューサーさん……」

千早「プロデューサー……」

P「……ダメか?」

伊織「………」



伊織「…………遅いのよ」

P「……え?」

伊織「遅すぎるのよ、バカっ!!」

伊織「なんでもっと早く、私を迎えに来ないのよ!」

P「伊織……」


伊織「私は、国を背負ってる」

伊織「魔物に家族や住むところを奪われたみんなの、想いを託されてるわ」

伊織「私は……この手で復讐を遂げなきゃならない!」グッ

伊織「……たとえ、ひとりでも」

P(復讐って、まさか……)



伊織「お気楽に過ごせるあんた達とは、立場が違うのよっ!」ダッ


タタタタ…


やよい「ま、待って、伊織ちゃん!」

春香「伊織!」

千早「水瀬さん……」

美希「ふくしゅーって、どーいう事……?」

P「伊織……」

P「まさか、ひとりでルビカンテと戦うつもりなのか……?」

春香「えっ……?」

春香「あの、プロデューサーさん」

春香「今の言葉、どういう意味ですか?」

P「ああ、ルビカンテっていうのは、律子の配下の四天王で……」

春香「それは知ってます!伊織がルビカンテさんと戦うって……」

千早「2人とも、今は水瀬さんを追うのが先だと思うわ」

美希「そーだよ!早くしないと、デコちゃん見失っちゃうの!」

やよい「行きましょう、プロデューサー!」

P「そ、そうだな」

P「みんな、行こう!」

4人「………」コクッ


タタタタ…


ー バブイルの巨人 胸部 つり橋 ー


タタタタ…


春香「…………ええっ!?」

春香「ルビカンテさんが、伊織のご両親の仇なんですか!?」

P「それだけじゃない。エブラーナ……伊織の国を滅ぼしたのも、ルビカンテなんだ」

P「さっき伊織が言ってた『復讐』っていうのは、多分……」

春香「そんな……!」

春香(伊織とルビカンテさんに、そんな因縁があったなんて、全然知らなかったよ……)

春香(伊織、今までひとりで抱えてたんだよね、きっと)



美希「でも、おかしいの」

美希「こないだはデコちゃん、あの赤い人と仲良さそうにしてたよ?」

美希「ね、やよい?」

やよい「はい。わたしも、あの人は伊織ちゃんのおともだちの方だと思ってましたー」

やよい「してんのーのみなさんにはよくしてもらいましたし、とってもいい人たちだと思いますけど……」

P「そうなのか」

P「じゃあ、その時点では仇討ちなんて考えてなかったのか……」

美希「あんなに仲良しだったのに……」

やよい「伊織ちゃん……」

P(っていうかみんな、いつの間にか四天王とずいぶん仲がいいんだな)



千早「きっと水瀬さん、苦しんでいると思う」

春香「私たちが、側にいて話を聞いてあげないと!」

美希「うん!」

やよい「はいっ!」



春香(伊織……!)



タタタタ…


短いですが今日はここまでです

気づいたら、一年過ぎてました
当初は、3ヶ月くらいで終わるかな?くらいの気でいたんですが…

ー バブイルの巨人 左胸部 ー


タタタタ…

春香「待って、伊織っ!」




伊織「………」チラ

伊織「………」クルッ

タタタタ…




春香「伊織っ!」

美希「デコちゃん、上に向かったみたいなの!ミキたちも早く……」



機械竜「………」ヌッ



やよい「はわわっ!ま、まものさんが……!」

春香「も〜、こんな時に……!」チャキッ



機械竜「…………侵入者、排除スル」カパッ



P「みんな!攻撃が来るぞ!」



ゴオオォォオオッ!!



春香「わわっ!なんか来た!」

美希「すっごく熱いの!」

P「炎か!……やよい!」

やよい「は、はいっ!」

やよい「しばさんっ!」バッ


スゥーー…



シヴァ「……ヤヨイさん、任せて」

シヴァ「……絶対零度!」



コオォォ…シャキーン!



ゴオオォォ…


春香「火が……!」


ジュゥゥ…


美希「消えたの!」


春香「やよい、助かったよ!」

やよい「…………あれ?千早さんがいませんよ?」キョロキョロ

春香「えっ?」



千早「…………はっ!」


ヒューー…ザシュッ!


機械竜「………!」ヨロッ



…スタッ

千早「………」チャキッ

美希「千早さんっ!」

P(千早、いつの間にジャンプしてたんだ……?)



千早「……みんな、先に行って!」

千早「ここは、私が引き受ける!」チャキッ

春香「千早ちゃん!でも……」

やよい「千早さん……」

千早「早く水瀬さんを追いかけないと、見失ってしまう。今は、時間が惜しいわ」

P「千早……本気なのか?」

千早「はい」

P「………」

P(別行動になってしまうのは、はっきり言って危険だが……)

P(ここで足止めを食らうのはよくない)

P(今、伊織をひとりにしてしまうのは、もっと危険だからな)

P(千早なら、任せても大丈夫か……?)


P「……春香!」

春香「………」

春香(千早ちゃん……)

P「……春香?」



機械竜「……侵入者、排除スル」



美希「あっ!また攻撃が来るの!」



P「おい、春香!」

春香「っ……は、はい!」

千早「春香、行って!私も、すぐに追いつくわ」

春香「………」

春香(千早ちゃん、なんで私にウソを……?)

春香(……ダメ。今は、リボンの事は忘れよう)ブンブン

春香(今は、伊織をつかまえないとだよね!)グッ



春香「うん……わかった!」

春香「みんな、行こう!」

美希・やよい「………」コクッ


タタタタ…



千早「………」チラ



機械竜「………」カパッ



千早「……こっちよ!」

タタタタ…


機械竜「………」チラ


ゴオオォォ…!



千早(みんな、水瀬さんをお願いね……!)


ー ドワーフ戦車 ー


ルカ「撃て撃てーー!」


ドゴォン! ドカァン!


シルフ「嬲り殺しですよ〜!」


ドドドドドドッ!


雪歩「破壊ですぅ!」


ドゴォン! ドカァン!


ユキコ「殺戮ですぅ!」


ドドドドドドッ!



アン(よし、私もっ……)


アン「……魔物よ、人間の力を見なさい!」ビシッ



…シーン…



アン「…………あ、あら?」



ジオット「すまん、アン殿。弾切れだ」

アン「えっ?弾切れ……?」

アン(そんな……せっかく、セリフも考えたのに……)



ルカ「お、お父様、弾切れって!これからがいいところでしたのに!」

ジオット「仕方ないだろう。もともとは『会合』のために戦車を出しただけなのだ」

ジオット「戦になるとわかっていれば、それなりの準備をしたのだが……」

ルカ「そ、そうですけど……!」

老婆「まずいね。まだ魔物どもは後から溢れてくるってのに……」

ファブール王「ファルコン号も、おそらくは巨人の相手で手一杯。こちらへの救援は難しいじゃろうな」

真美「ちかたないね。真美たちだけでガンバるしかないっぽいよ」

真美「ね、ゆきぴょん?」

雪歩「う、うん……」

雪歩(また私、盾にされるのかなぁ……)






魔物たち「………」ワラワラ




真美「……よし、行くよ!みんな!」




「…………うおおぉぉぉぉおおお!!」


ダダダダ…




真美「…………んん?」チラ




「…………くらえ、魔物!」




「覇王……翔吼拳ーー!!」



ドゴオォォォン!!



真美「…………まこちん!」




真「やーっと追いついたよー!」

真「みんな、平気?」



雪歩「真ちゃんっ!!」パァァ

ユキコ・シルフ「マコトさん!!」



トロア「なんと凄まじい技……!」

トロア「魔物どもが、跡形もなく消し飛んだ……」

老婆「それだけじゃないみたいだよ」

トロア「えっ?」

老婆「ご覧。巨人の片腕が吹っ飛んじまってる」スッ




巨人2『………』ボロッ




トロア「ほ、本当だ……!」

トロア「戦車や飛空艇の砲撃でもビクともしなかった巨人に、傷をつけるとは……!」

トロア「マコト殿……私は、感服致しました!」

老婆「あたしゃ、ヤツが自分と同じ人間とは、とても信じられなくなってきたよ」

老婆(もうあのボーイッシュに全部任せてもいいんじゃないかね……)



真「うーん……やっぱ、一撃じゃあのデカいのは倒せないかー」

真「結構本気出したんだけどなぁ」


真美「まこちん、巨人を倒すつもりだったの!?」

真「え?そうだけど……なんかダメだった?」

真美「あ、いや、ダメじゃないんだけど、ダメっていうか……」

真「でも、あれが悪いヤツのボスじゃないの?」

真美「そ、そーなんだけどさ!」

真美「今、真美たちの作戦ではるるんたちが巨人の中にいるんだよ〜!」

真「そ、そうだったの?」

真「うわ……春香たち、大丈夫かな」

真美「ゴメンねまこちん。真美、まさかまこちんがここまで強いとは思わなくて……」

真「いや〜、ボクの方こそ、空気読まなくてごめん」



真「……でも、そっか。春香たちが、頑張ってくれてるんだね」

真「ふぅ……」ストッ

真美「まこちん……?疲れたなら、真美が回復してあげよっか?」

真「ああ……」

真「ううん、平気。ちょっと休んだら、ボクも戦うからさ」

真「だから、少しだけ……」

真「休ませ……て……」コテン


真「……zzz」


真美「ありゃ…………寝ちゃった」

雪歩「……休ませてあげよう?」

真美「ゆきぴょん……」

真美「でも、まこちんがいた方が……」

雪歩「……ううん」フルフル

雪歩「真ちゃんは、私たちのためにひとりで魔物と戦った」

雪歩「今度は、私たちが真ちゃんのために頑張る番だよ、真美ちゃん!」

真美「………」

真美「そっか…………そだね!」ニコッ

真美「よしっ!行こう、ゆきぴょん!」スッ

雪歩「うんっ!」ギュッ


雪歩(真ちゃん……お疲れ様。あとは、私たちに任せてね!)


ここから一旦時間は少し戻り、961 高木視点になります

ー 幻獣界 ー



…パチッ



冬馬「……だーっ!また負けたぁ!」



イフリート「だはははっ!トウマ、おせろ弱いぞぉっっ!!」

北斗「だから4角に囚われるなって言ったのに……」

冬馬「う、うるせぇ!オセロは角取った方が強いに決まってんだろーが!」

翔太「でも負けちゃったよねー」

冬馬「ぐ……」

冬馬「よし、もう一回やるぞ!勝ち逃げは許さねえからな、イフリート!」

イフリート「何回でも負かしてやるぜぇぇっっ!!」ジャラジャラ



シヴァ「………」じーっ



北斗「……エンジェルちゃん、君はやらないのかい?」

シヴァ「イフリートにすら勝てない様では、やっても無駄だわ」

シヴァ「あなたたちなんて、目を瞑ってても勝てる」

翔太「わ〜、見た目通り冷たいんだね、お姉さんって」

シヴァ「あなたたちと馴れ合うつもりは、ないわ」

北斗「うーん、この素っ気なさがまた……」

シヴァ「………」プイッ

翔太「……前から思ってたんだけどさ、北斗君って女の子に関してはMだよね」

北斗「ふっ……翔太にはまだわからないさ」

翔太「ふ〜ん」

北斗「エンジェルちゃん、もっと君の事が知りたいな。俺と話をしないかい?」

シヴァ「話しかけないで。気持ち悪い」

北斗「はは、つれないなぁ」

翔太「………」

翔太(ボク、北斗君みたいな大人にだけはなりたくないなぁ……)


高木「…………自発的に、戦えない?」



ラムウ「この幻獣界の掟なんじゃ」

ラムウ「我々幻獣は、人間やドワーフに比べて強大な力を持っておる」

ラムウ「我々が力を使って争いを起こさぬよう、先代の幻獣王がお決めになったんじゃ」

ラムウ「『無闇に力を使うべからず』とな」

高木「……なるほど」

黒井「フン!とんだ臆病者だな、そいつは」

黒井「力とは、行使するためにある」

黒井「持てる者は、持たざる者を力によって導く務めがあるのだ!」

ラムウ「………」

高木「ふふふ、お前らしい考えだ」

高木「……だが、少々疑問に思う部分もある」

高木「力を使うのが禁じられている、というが、あなた方は高槻君に呼び出され、その力を使っている」

高木「それは、掟とやらを破る事にはならないのかね?」

ラムウ「すまん。説明不足じゃったの」

ラムウ「特殊な契約を交わした召喚士のために力を使うのは、問題ないんじゃ」

ラムウ「寧ろ、『正しき心を持った召喚士を見つけ、力を貸すために我々は存在する』と先代は言っておった」

高木「正しき心、か」


ラムウ「ヤヨイさんは、召喚士」

ラムウ「しかもあの子は、全く穢れを知らない……いや、近づいてきた穢れを浄化してしまうほど清い心の持ち主じゃ」

ラムウ「『正義』とは、彼女のためにある言葉、と言っても、過言ではないじゃろう」

高木「だから、力を貸したと?」

ラムウ「…………実のところ、我々は彼女の健気さに惹かれただけなんじゃがな」

黒井「……じゃあ、何か?私たちは、高槻やよいに呼び出されるまで力を使えないという事か?」

黒井「ヤツがいつ私たちを呼び出すともわからないのにか?」

黒井「冗談じゃない!いつまでも待っていられるか!」

黒井「私には、すぐにでもやらなければならない事があるのだ!」

高木「黒井……」

ラムウ「………」

ラムウ「今はもう、先代もおらん」

ラムウ「決めるのは、あなただ。王よ」

黒井「!」

黒井「……ふふふ!そうだ、私が王なのだったな」ニヤリ

黒井「だったら、いつまでもこんなところで燻っている場合ではない」

黒井「すぐにでも旅立つぞ、高木!」

高木「そうだな。彼女達が心配だ」

ラムウ「……行かれるのか?」

高木「なあに、心配いらないよ、ラムウ殿」

高木「ああ見えて黒井は、とても純粋な魂の持ち主だ」

高木「自分の本当の気持ちを表現するのが、人より少しだけ苦手なんだ」

高木「ただ、それだけなんだよ……」

ラムウ「ふむ……」チラ


黒井「……いつまで遊んでいるつもりだ、お前たち!さっさと行くぞ!」

冬馬「え?で、でも、オセロが……」

黒井「オセロなんていつでもできるだろう!もっと大事な事があるのを忘れたのか?」

冬馬「おっさん……?」

黒井「クックック……高槻やよいに、私の力を見せつけてやるのだ!」

黒井「待っていろ、高槻やよい……!」

翔太「なーんか黒ちゃん、やる気だねぇ」

北斗「イジけてるよりはいいじゃないか」

翔太「まあ、そうだね」



イフリート「トウマーー!!またおせろやろうなーー!!」



冬馬「おう!首洗って待ってやがれ!」ビシッ

翔太「結局一回も勝てなかったね、冬馬君」

冬馬「うっせぇ!あいつが強すぎんだよ!」

翔太「う〜ん、確かに……」

翔太「でも、なんで幻獣がオセロなんて知ってるんだろ……」



北斗「エンジェルちゃん、またね!」

北斗「俺は、君との思い出を胸に生きていくよ」



シヴァ「……思い出なんて、何もないわ。気でも触れたの?」



北斗「ははっ、最後までつれないなぁ」

冬馬「北斗……お前、それでいいのか……」



高木「……では、我々は行きます。世話になりましたな、ラムウ殿」

ラムウ「あなた方は、不思議じゃの」

ラムウ「こんなに自由な幻獣は、初めて見た」

高木「まあ、我々はラムウ殿たちとは少し違う存在なのかもしれないね」

高木(……全く別の世界から来たんだから、当たり前だが)

ラムウ「タカギ殿。人間界では、何やら良くない事が起きているようじゃ」

ラムウ「くれぐれも気をつけて行かれよ」

高木「ご忠告、有難く受け取るとしよう」



冬馬「……お〜い、高木のおっさ〜ん!置いて行っちまうぞ〜!」



高木「……それでは」ペコリ

ラムウ「さらばじゃ、騎士殿」


シヴァ「…………行ったわね」

ラムウ「うむ」

イフリート「でもラムウ、良かったのか?いくらオレたちの王様ったって、決まり事を破るのはいけないんじゃないのか?」

ラムウ「……いや、彼の言う事にも一理ある」

ラムウ「『持てる者は、持たざる者を力で導く務めがある』……か」

ラムウ「ふふ、頼もしい言葉じゃの」

シヴァ「すっかり丸くなってしまったわね。先代の幻獣王も」

ラムウ「……昔の話じゃ」

イフリート「なんだラムウ、また王様やりたくなったのか?」

ラムウ「いや、そんな事はない」

ラムウ「この世界は、変わろうとしておる」

ラムウ「ならば、新しい世代に託すのが、道理じゃろうて……」

イフリート「よくわからんけど、変わるのはいい事なのか?」

ラムウ「……さあのぅ」

ラムウ「それは、誰にもわからんのじゃ」

シヴァ「………」



ラムウ「……さ、ワシらも、できる事をするんじゃ」

ラムウ「ヤヨイさんのために、この世界のために、できる事を」

イフリート「特訓か!?」

イフリート「ぃよおおおおし!!燃えてきたぜえぇぇっっ!!」ボッ

シヴァ「ヤヨイさんは、私が守る……!」コォォ



ラムウ「ふふふ。……やはり、若い力とは良いものじゃ」ニッコリ


ー 地底世界 トメラの村 ー



高木「……それで、君はオレンジの髪の少女を見たんだね?」

村人「は、はぁ。なんでもその娘さん、人を探してるとかで……」

村人「こーんな田舎村より、ドワーフ城の方が人はたくさんいるべーって教えたっけ、あっちゅー間にかけて行ってしまっただ」

村人「だども、この村は島にあるべさ。島を囲む『海』には、普通のドワーフでは近づけねえ」

村人「そのうち諦めて帰ってくるべーつって茶ー飲んでたんだけんど……」

村人「待てども待てども、戻って来る気配はねぇし、こりゃあ、『海』に落ちてしまったんでねぇかって思って……」

村人「オラ、あの娘さんに悪い事してもうただ……」

高木「ふむ……」

高木「わかった。ありがとう」

村人「あ、あのー」

高木「ん?何かね?」

村人「あんた方、ひょっとして幻獣様でねぇか?」

冬馬「へっ!聞いて驚け!俺たちがあの有名な、ジュピターだ!」ドヤッ

村人「あ、お供の方には聞いてねぇべさ」

冬馬「えっ?」

村人「いんやぁ〜!オラ、幻獣様って初めて見ただ〜!」

村人「ご先祖様から、『この村の近くには幻獣様の住む世界へ続く洞窟がある』って聞いてたけんど、まさか本当にこの目で拝める日が来るとはな〜」

村人「オラ、一生の宝物にするべさ!」

高木「大げさだと思うがねぇ……」



冬馬「あのジジイ、バカにしやがって〜〜!」

北斗「まあまあ冬馬、熱くなるなよ」

翔太「ま、仕方ないよね。ボクたちだけ、こんな姿だもん」



黒井「……情報は得られただろう?早く行くぞ」

高木「そうだな」

高木「君、ありがとう。助かったよ」

村人「はは〜、ありがたきお言葉だべ〜」

高木「行こうか、みんな」

北斗「はい」

冬馬「くそっ。絶対この世界にも、ジュピターの名前を轟かせてやるからな!」

翔太「ホント、冬馬君は負けず嫌いだよね〜」


高木「行こう、スレイプニル」

スレイプニル「ヒヒーン!」


パカラッ パカラッ…



村人「ひゃあ〜!馬が宙に浮いただ〜!」

村人「さっすが、幻獣様だべ〜!」

ー 地底世界 ドワーフ城 ー


ドワーフ兵士1「……その娘たちなら、だいぶ前に王様と一緒にバブイルの塔に向かったー!」

ドワーフ兵士2「バブイルの塔、ここから北西にある魔物たちの巣ー!」

ドワーフ兵士1「でも、戦いはすでに終わってるー!」

ドワーフ兵士2「今から行ってもきっと誰もいないラリー!」



高木「……どうやら高槻君たちは、ずいぶん前に魔物の巣へ向かったようだ」

黒井「ちっ!私を差し置いてそんな面白そうな事をしていたとは」

高木「どうする?」

黒井「今は情報がない。その、魔物の巣とやらに向かうぞ!」

高木「わかった」

高木「………」チラ



ドワーフ兵士3「ラリホー!」

ドワーフ兵士4「ラリホー!」

冬馬「くっ!こいつら、呪文を!?」

翔太「だから冬馬君、ドラクエじゃないってば」

冬馬「ま、まずい、眠くなって…き……た……」ガクッ

北斗「俺は、冬馬が将来変な宗教にハマらないか心配だよ」



高木「待たせたね。行こうか、君たち」

翔太「あ、社長さん。次の目的地は決まったの?」

高木「ああ。とりあえずはね」

高木「黒井、他にやるべき事は……」



ドワーフ兵士3「ラリホー!」

ドワーフ兵士4「ラリホー!」

黒井「ば、バカな!呪文……だと!?」

黒井「くそ、眠気が……」ガクッ

冬馬「黒井のおっさん、しっかりしろー!」



高木「……彼らは何をやってるんだ?」

北斗「さあ、新しい遊びじゃないでしょうか?」

北斗(黒井社長もドラクエ派だったのか)


ー バブイルの塔 入口 ー


翔太「うわ〜……」

翔太「すっごい高いんだね〜……!」

北斗「俺も実物を見るのは初めてだよ。当たり前だけど」

北斗「確かこの塔は、地上世界と繋がっているはずだから、ひょっとしたらやよいちゃん達はもう、地上にいるのかも」

高木「そうなのか」

冬馬(天空の塔とどっちが高いんだろうな……)



高木「しかし、ボロボロだねぇ」キョロキョロ

高木「よほど酷い戦いがあったようだ」

黒井(高槻やよい……勇敢に戦ったのか?)



高木「……さ、行こう」



スタスタ…


ー バブイルの塔 B13F ー


スタスタ…


高木「外だけでなく、中も酷い有様だ……」

高木「高槻君たちは、大丈夫だろうか?」

黒井「……ついこの間、ジュピターが召喚されたばかりではないか」

黒井「それは、高槻やよいが無事であるという証拠だ。違うか?」

高木「まあ、そうなんだが……」

高木(肉体的には、そうだろう)

高木(だが、彼女たちの精神は、果たして……)

高木(……いやいや、私が彼女たちを信じなくてどうする)

高木(それに、彼女たちには『彼』がついていてくれてる)

高木(それが、彼女たちの何よりの心の支えになるはずだ)



魔物「………」ヌッ



翔太「あっ、魔物だ!」

冬馬「よし、ここは俺が……」

翔太「えー、冬馬君どうせまたドラクエの技やるんでしょー?」

翔太「せっかくだから、FFの技やろうよ〜」

冬馬「知らん!」


冬馬「………」スッ


冬馬「ギガスラーッシュ!!」ブンッ


ドゴォ!! メリメリッ!!


魔物「」


北斗「……今回も、ただブン殴っただけだったな」

冬馬「うるせ!俺の拳はギガスラッシュなんだよ!」

翔太「あーあ、ボクも冬馬君みたいに戦ってみたいなぁ……」

北斗「仕方ないだろ?俺たちジュピターには、それぞれ役割が振り分けられているみたいなんだから」

翔太「ちぇ〜」

北斗「翔太。お前の役割は、とても重要なんだ。ここぞという時にお前の力が……」

翔太「……はいはい。それ、もう何回も聞いたってば」

翔太「大丈夫だよ。ちゃ〜んと役に立ってみせるって!」



黒井「……何をしている。行くぞ」



冬馬「おー」

タタタタ…



高木「なかなかやるじゃないか、鬼ヶ島君も」

冬馬「へっ、高木のおっさんや黒井のおっさんほどじゃねえけど、俺だって高槻たちの役に立ったんだぜ?」

高木「ああ。その節は、ウチの子たちがお世話になったね」

冬馬「……まあ、こんな状況だしな。協力してやるよ」

黒井「高槻やよいに惚れているんだろう?下心が丸見えだぞ、冬馬」

高木「はっはっは、そうだったのか」

冬馬「ち、違えよ!」

冬馬「ったく、黒井のおっさんまで!」

冬馬「俺はただ……あんたら765プロの、絆……ってやつを見習っただけだ」

高木「鬼ヶ島君……」

黒井「フン……」

ー バブイルの塔 B6F ー

スタスタ…


冬馬「……しっかし、なんだな」

冬馬「魔物がいるくらいで、あとはホント何もねーとこだな」

北斗「いや、何もない事はないぞ」

北斗「この塔では確か、四天王と戦う事になってたはず」

翔太「おお〜、四天王!なんか、RPGっぽいイベントだね!」

冬馬「高槻たちはもうここにはいない……って事は、その四天王ってヤツを倒したのか?」

北斗「『ゲーム通りなら』そうなっていただろうな」

冬馬「ん?どういう事だ?」

翔太「ゲーム通りに進んでないかもしれないって事?」

北斗「わからない」

北斗「でも、こんな風に幻獣である俺たちが旅に出るなんてシナリオは、ゲームには無いんだよ」


北斗(いや、それ以前に……)

北斗(何日か前に、765プロのプロデューサーとアイドルたちが、オレたちを訪ねて来た)

北斗(その中には、本来来るはずの、召喚士であるやよいちゃんの姿はなかった)

北斗(もしかしたらもうすでに、全然違うストーリーになっているんじゃないか?)


北斗(ゲームなんて、ただキャラを操作して、予め定められたストーリーを辿るだけだけど……)

北斗(こうして実際にゲームの世界に来てみるとわかる。定められたストーリーに沿って行動するなんて方が、不自然だ)

北斗(だって俺たちは、誰かに操作されているわけじゃないし、設定された行動しかできないわけでもない)

北斗(一人ひとりが、ちゃんと自分の意志を持った人間なんだから)

北斗(……まあ、今はここには『人間』はひとりもいないわけだけど)


高木「……ん?なんだ、あれは」

冬馬「高木のおっさん、どうかしたのか?」

高木「いや、なんだか奇妙な箱があるんだよ」

冬馬「箱……?」チラ

翔太「あっ……!」

翔太「ねえねえ、あれって、宝箱じゃない?」

冬馬「宝箱……そうか!」

冬馬「ダンジョンなら、宝箱くらいあっても不思議じゃねーな」

翔太「何が入ってるんだろうね〜」ワクワク

高木「開けるかい?」

翔太「もちろん!」


…カパッ


高木「これは……飲み物、かな?」スッ

高木「ずいぶん洒落た容器に入っているが……」

翔太「社長さん、それってきっとポーションだよ!」

高木「ポーション?」

翔太「こういうゲームに付き物の、回復アイテムだよ!」

翔太「傷ついた身体を治す事ができる薬なんだよ」

高木「ふむ……便利なものがあるんだねぇ」

黒井「落ちているものを拾うなど、乞食じゃあるまいし。みっともないとは思わないのか?」

冬馬「いや、そう言うけどよ。RPGってこういうアイテム集めが結構大切なんだぜ?黒井のおっさん」

黒井「……フン。セレブな私の肌には合わんな」

翔太「ねえ、他にもあるかもしれないよ?探そうよ、冬馬君!」

冬馬「そうだな。俺らには必要ないかもしれないけど、高槻たちには必要だろうしな!」

北斗「あ、そうか……」

北斗「冬馬……お前、なかなか考えてるんだな」

高木「私も、鬼ヶ島君の意見に賛成だ」

黒井「ちっ……勝手にしろ」

翔太「よーし、じゃんじゃん集めよう!」

ー バブイルの塔 1F ー


冬馬「…………ふう。だいぶ集まったな」

翔太「うん。ていうか、宝箱は全部手付かずだったね」

翔太「765プロのお姉さんたち、気づいてなかったんじゃない?」

北斗「まあ、エンジェルちゃんたちは、こういうゲームとかあまりやらなそうだしな」

高木「しかし、なかなか時間がかかってしまったね」

高木「わざわざ遠回りしなければ行けないところに置いてあるとは」

翔太「そりゃそうだよ。いいモノが簡単に手に入ったら、つまんないでしょ?」

翔太「苦労して手に入れたからこそ、価値があるんだよ」

高木「なるほど、奥が深いんだねぇ」

黒井「……もう充分だろう。さっさとここを出るぞ」

冬馬「だな。当たり前だけど、ここには高槻たちはいなかったし」




「…………う……ぅ……」




冬馬「…………ん?」




「…………い…たい……」




翔太「あれ?誰かの声がする……?」

北斗「こんなイベントも終わったダンジョンに、いったい誰が……?」

高木「……確かめてみるかね?」

黒井「放っておけばいい。今はそれよりも、高槻やよいを追う事の方が重要だ」

冬馬「いや、おっさん。こういう事から情報が手に入ったりするんだ。一応覗いとこうぜ?」

高木「黒井、私も少し気になるんだ。もしかしたら、重要な人物がいるのかもしれない」

黒井「ちっ……」

黒井「ゲームの世界とは、面倒事が多いのだな」

黒井「……わかった。好きにしろ」




「…………じ…ぶん…が、まける……なん…て……」




北斗「この扉の奥から聞こえるみたいだな」

冬馬「よし、開けるぞ」


…ガチャ


ー バブイルの塔 1F ー


冬馬「…………ふう。だいぶ集まったな」

翔太「うん。ていうか、宝箱は全部手付かずだったね」

翔太「765プロのお姉さんたち、気づいてなかったんじゃない?」

北斗「まあ、エンジェルちゃんたちは、こういうゲームとかあまりやらなそうだしな」

高木「しかし、なかなか時間がかかってしまったね」

高木「わざわざ遠回りしなければ行けないところに置いてあるとは」

翔太「そりゃそうだよ。いいモノが簡単に手に入ったら、つまんないでしょ?」

翔太「苦労して手に入れたからこそ、価値があるんだよ」

高木「なるほど、奥が深いんだねぇ」

黒井「……もう充分だろう。さっさとここを出るぞ」

冬馬「だな。当たり前だけど、ここには高槻たちはいなかったし」




「…………う……ぅ……」




冬馬「…………ん?」




「…………い…たい……」




翔太「あれ?誰かの声がする……?」

北斗「こんなイベントも終わったダンジョンに、いったい誰が……?」

高木「……確かめてみるかね?」

黒井「放っておけばいい。今はそれよりも、高槻やよいを追う事の方が重要だ」

冬馬「いや、おっさん。こういう事から情報が手に入ったりするんだ。一応覗いとこうぜ?」

高木「黒井、私も少し気になるんだ。もしかしたら、重要な人物がいるのかもしれない」

黒井「ちっ……」

黒井「ゲームの世界とは、面倒事が多いのだな」

黒井「……わかった。好きにしろ」




「…………じ…ぶん…が、まける……なん…て……」




北斗「この扉の奥から聞こえるみたいだな」

冬馬「よし、開けるぞ」


…ガチャ


ー バブイルの塔 1F 次元エレベータ ー



ルナザウルス「……うぅ…………」




冬馬「……なんだ、あいつ?」

翔太「魔物だよね、きっと」

北斗(どこかで見た事あるような気がするな)

高木「それにしても、虫の息じゃないか。いったい誰にやられたんだ……?」

黒井「……お前のところのアイドルたちじゃないのか?状況的に見て、それしか考えられんだろう」

高木「ふむ……確かにそうだな」

翔太「あ、じゃあ、あの魔物が北斗君が言ってた四天王?」

北斗「いや、俺が知ってる四天王には、あんなのはいなかったはずなんだけど……」

冬馬「ここで話してるより、本人に聞くのが一番早いだろ」



冬馬「……おい!お前は、誰だ?」



ルナザウルス「……に、人間……?」

ルナザウルス「いや、違う……」

ルナザウルス「お前たち、まさか幻獣ッスか……?」

ルナザウルス「じ、自分にトドメを刺しに来たッスか?」



黒井「お望みなら、そうしてやってもいいが?」

冬馬「おっさん、ややこしくなるから余計な事言うなよ」

高木「私たちは、君に危害を加えるつもりはない。ただ、何があったのか知りたいだけなのだよ」



ルナザウルス「………」

ルナザウルス「どの道、自分にはもうあんたたちと戦う力は残ってないッス」

ルナザウルス「わかったッス。話してあげるッス」


…………

……



高木「君が、音無君の部下だって?」

ルナザウルス「コトリ様は、青き星を滅ぼして来いって、自分たちを送り込んだッス」

ルナザウルス「その方が、盛り上がるからって」

高木「………」

翔太「ずいぶんラスボスを楽しんでるみたいだね。765プロの事務員さんは」

北斗「やっぱり、全然話が違う。月の魔物がここにいるなんて……」

ルナザウルス「だけど、どうやらそれも失敗ッスね。自分たちは、あの娘たちに敵わなかった」

ルナザウルス「タイちゃんもハクさんも、やられちゃったみたいッス。自分たちコトリ様の四天王も、あとはプーちゃんだけ……」

ルナザウルス「プーちゃん、大丈夫かな……」

冬馬「………」



冬馬「お前、仲間が心配なのか?」

ルナザウルス「当たり前ッス。自分たちは、小さい頃からずっと一緒だったんスから」

翔太「ねえ、北斗君……」

北斗「ああ。魔物にも、仲間意識があったんだな」



冬馬「……なあ、みんな」

冬馬「こいつを、仲間のところまで連れて行ってやらないか?」

ルナザウルス「えっ……?」

高木「鬼ヶ島君?」

黒井「なぜそんな事を?こいつは敵なのだろう?」

冬馬「そうだけどさ。このまま放っておくのも、後味わりーっていうか」

冬馬「姿や立場は違うけど、こいつも俺たちと変わらねーんだな、と思ってさ」

黒井「また面倒事を……」


北斗(……そうだ。自分の意志を持っているのは、何も俺たちだけに限った事じゃない)

北斗(魔物だって……いや、このゲームの世界に生きる全ての生命に、意志があるはずなんだ)

北斗(いろいろな思惑が交錯する中で、何が正しいかを自分で考え、取捨選択しなきゃならない)

北斗(きっとエンジェルちゃんたちも、そうしてここまで進んで来たはずだ)

北斗(冬馬。お前の出した答えは『そう』なんだな)



北斗「俺も、冬馬に賛成です」



黒井「北斗、お前まで……?」

北斗「彼らは敵です。それは変わらない」

北斗「俺にも、エンジェルちゃんたちに危機が迫ればどんなやつだろうと戦うつもりはあります」

北斗「でも、戦意の無い敵まで見殺しにするのは、どうかと思いました」

黒井「敵に塩を送るなど、くだらん」

黒井「だが、まあいいだろう。確かに、高槻やよいは簡単にやられるタマではない」

黒井「それに、もしお前が高槻やよいに危害を加える事があれば……」チラ

黒井「遠慮なくお前を葬ってやる」ギロリ

ルナザウルス「……っ!」ゾクッ

高木「私も、概ね黒井と同じ考えだね」

北斗「黒井社長、高木社長、ありがとうございます」ペコリ

翔太「ボクは、楽しければなんでもいいよ〜」

北斗「そうか」



北斗「冬馬」

冬馬「サンキュー、北斗」

冬馬「おい、お前。立てるか?」スッ

ルナザウルス「………」

ルナザウルス「あり、がとう……」



冬馬「……さて、こいつの仲間を見つけながら、高槻たちを追うか」


961 高木編は一旦ここまでです
ここからはまた巨人編に戻ります

>>450>>451が重複してました
失礼しました

ー バブイルの巨人 左肩部 ー


トボトボ…


春香(……結局、伊織を見失っちゃった)

春香(………)

春香(千早ちゃん、なんでリボンの事、言ってくれなかったんだろう?)

春香(……でも、私も同じか)

春香(ヤミちゃんの事、みんなに言ってないもんね)

春香(伊織の言う通りだ)

春香(もっと早くみんなに打ち明ければ良かったよ……)

春香(全部、私のせいだ……)

春香(うぅ、私の……バカ)



やよい(千早さん、怒ってるかな……?)

やよい(わたし、なんであんなこと言っちゃったんだろう?)

やよい(千早さんには千早さんの考えがあって、春香さんにだまってたのかもしれないのに……)

やよい(伊織ちゃんも見失っちゃうし……)

やよい(全部、わたしのせいだ……)

やよい(うぅ、わたしの……バカ)



春香・やよい「………」ドヨーン



美希「なんだか、春香もやよいも暗いの」

P「2人とも、さっきの言い合いの事を気にしてるのかもな」

美希「もー、そんなの気にする事ないのに」


美希「ねえ2人とも。なんでそんなに暗いの?」

美希「2人を見てたら、ミキまで暗ーい気持ちになっちゃうの」

春香「だって、私がちゃんと伊織に話さなかったから……」

やよい「は、春香さんのせいじゃありません!わたしのせいなんです!」

やよい「わたしが、千早さんにあんなこと言っちゃったから……」

春香「ち、違うよ!やよいは悪くない!私が……!」

やよい「いいえ、わたしが……!」

美希「………」




美希「ねえ……」

美希「春香とやよいは、千早さんやデコちゃんの事、信じてないの?」



春香・やよい「!!」


春香「そ、そういうわけじゃないよ!」

やよい「そ、そうです!伊織ちゃんも千早さんも、大切なおともだちですから!」

美希「だったら、何も心配いらないの」

美希「千早さんもデコちゃんも、とっても強いもん!」

美希「きっと、だいじょーぶなの!」

美希「でしょ?ハニー?」ギュッ

P「ああ!」

P「2人とも、美希の言う通りだ。伊織と千早を信じよう」



春香「………」

春香「そう……ですよね」

やよい「美希さん、すみませんでした!わたし……!」

美希「んーん。わかってもらえればいいの」

美希「まったく、こーいうのは、ホントは春香の仕事なんだからね?」

春香「美希……」

春香「うん。ごめんね。ありがとう、美希!」



P「……よし。みんな、急ごう!」



美希「……待って、ハニー!」

P「どうした?」

美希「また誰かに見られてるの。今度は、間違いないの!」

春香「もしかして、魔物?」

やよい「…………あっ!」

やよい「みなさん、見てください!」スッ





サーチャー「………」ジジッ



美希「……何、あれ?」

やよい「まものさんじゃないでしょーか?」

春香「うん。多分そうだよね」



サーチャー「………」ジー



春香「大っきな目だねぇ」

やよい「大っきな目ですねー」

美希「なんか、すっごい見られてて気持ち悪いの」


P(あれは……『サーチャー』だったっけか?)

P(あの魔物って確か……)



サーチャー「………」ジー



春香「………」

やよい「………」

美希「……あふぅ」



春香「……何もしてこないね」

やよい「そうですねー」

美希「ふーん……」

美希「だったら、やられる前にやっつけるの!」ギリッ


P「美希、ちょっと待ってくれ」

美希「ハニー?なんで?」

P「あの魔物は、こちらから攻撃しない限りは、何もしてこないはずだ」

春香「え?そうなんですか?」

やよい「じゃあ、いいまものさんなんですね!」

P「いい魔物かどうかはわからないけど……」

P「このまま何もしないでやり過ごした方が、いいと思うんだ」

美希「ちぇっ、ハニーにミキのカッコいいところ、見てもらおうと思ったのになー」プクー

P「それはまたの機会に、な?」

P「それより、早く先に進もう」

P(確かサーチャーに攻撃すると、仲間を……)



…ドゴオォォォン…!!


グラグラ…


春香「うわっ……ととっ!」ヨロッ

春香「な、何?すっごい音がしたけど……」

美希「地震……?」

やよい「ゆ、ゆれてますー!」



ガラガラ…


ドサドサッ!



春香「な、なんか、崩れてませんか?」

P「何があったんだ……?」

P「とにかく、ここはヤバいかもしれない。みんな、早く……」



ヒュー…


ドゴッ!


サーチャー「………」ピシッ



春香「あっ、崩れたガレキが魔物に……」



サーチャー「…………侵入者ノ攻撃意志ヲ確認」

サーチャー「緊急迎撃体制。機械竜招集」


ビーッ! ビーッ!



やよい「はわわっ!すごい音が……!」

美希「とってもうるさいのー!」

春香「こ、攻撃意志って……私たち、何もしてませんよぅ!」



機械竜「………」ヌッ



P「まずい……!」

P「みんな、また魔物が現れた!戦闘準備だ!」

春香「は、はいっ!」チャキッ

やよい「わかりましたっ!」

美希「あは☆今度こそ、ミキのカッコいいところをハニーに見てもらうの!」

タタタタ…


春香「たあぁぁーーっ!」


機械竜「……!」ブォンッ


春香「わわっ!」ガキィン

春香「ぐっ……!す、すごい力……!」ググッ



美希「ミキの矢を、くらえなの!」ギリッ

美希「…………えいっ!」ビュンッ


…ザクッ!


機械竜「……!」ヨロッ



P「今だ、やよい!」

やよい「はい!」

やよい「じゅぴたーさん、お願いしまーす!」バッ



スゥーー…




冬馬「モグモグ……」

冬馬「んめー!なかなかイケるじゃねーかこれ」

翔太「あっ……」

翔太「と、冬馬君!」

冬馬「あん?交代ならちょっと待ってろよ。……おっさん、これおかわりいいか?」

北斗「冬馬、周りをよく見ろよ……」

冬馬「えっ?」チラ




機械竜「……!」ブォンッ


春香「うわぁっ!」ヨロッ


…ドサッ


美希「春香!」

美希「……ちょっとジュピターの人!空気読んで欲しいって思うな!」プンプン

やよい「あぅ……じゅぴたーさぁん……」

P(なんか食ってるし)



冬馬「わ、悪い、高槻!戦闘中だったのか!」

冬馬「テメエ!高槻の前で恥かかせやがってー!」ダッ



冬馬「うおおおおっ!!」

冬馬「マダンテー!」


バキッ! ドゴッ! ベキッ! グシャッ!


機械竜「」



美希「やっぱり強いねー、ジュピターの人」

やよい「そうですねー」

P(技名はともかく、頼りになるなぁ)


春香「……痛つつ」ヨロッ

北斗「回復してあげるよ、リボンちゃん」

北斗「ケアルダ!」


シャララーン! キラキラキラ…


春香「……ふぅ」

春香「ありがとうございました!」ペコリ

北斗「礼には及ばないよ。俺たちは、いつだって君たちの味方だ」

北斗「冬馬も、翔太も……もちろん、黒井社長も高木社長もね」

春香「伊集院さん……!」

北斗「回復が必要なら、俺に任せてくれ」キリッ

翔太「あ、もし死んじゃったりしたら、ボクが生き返らせてあげるからね〜」

春香「あ、あはは……なるべくそうならないように、頑張ります」



冬馬「……あ、そうだ、高槻」

やよい「はい?」

冬馬「黒井のおっさんも高木のおっさんも、寂しがってたぞ」

冬馬「たまにはおっさんたちも呼び出してやれよな?」

やよい「でも……」

やよい「わたしなんかがよびだしても、いいんでしょーか?」

冬馬「バーカ。俺たちは、仲間だろ?くだらねー気を使ってんじゃねーよ」

冬馬「みんな、お前たちの力になりたいって思ってるんだからさ!」

やよい「鬼ヶ島さん……!」



冬馬「……っと、忘れるとこだった」ゴソゴソ

冬馬「ほら、これ持ってけよ」スッ

やよい「これって、たしか……」

春香「ポーションじゃないですか!しかもすごいたくさん!」

春香「どうしたんです?こんなに」

冬馬「どうしたって、普通に宝箱開けてっただけだぞ」

やよい「たからばこ……?」

P(そういや俺、肝心な事を春香達に説明してなかったな)

P(まあ、今更言っても遅いけど)



北斗「……それじゃ、俺たちは行くよ」

翔太「頑張ってね、お姉さんたち!」

冬馬「……じゃあな!」ビシッ



スゥーー…



春香「…………さて」チラ




サーチャー「………」




春香「プロデューサーさん、どうしましょう?逃げた方がいいですかね?」

P「ヤツを一撃で仕留められるならいいんだけど、中途半端な攻撃はさっきみたいに仲間を呼ばれるからなぁ」

春香「まあ、私達はさっき何もしてないんですけどね」

やよい「じゃあ、どうしましょーか?」

美希「だったら、ミキに任せるの!」

P「美希?」

美希「一撃で倒せばいーんでしょ?今度こそ、ミキのカッコいいところ、ハニーに見てもらうの!」

P「あんまり無茶するなよ?」

美希「うん!」

美希「…………!」ゴゴゴゴ

美希「ミキのキラキラ魔法、くらえなのっ!」スッ



美希「……ホーリー!」バッ


P(えっ!?)



キラキラキラキラ…



ドゴゴゴオォォォォン!!



サーチャー「」


美希「あは☆楽勝なの!」

春香「やっぱすごいね、美希の魔法は」

やよい「美希さん、さすがです!」

美希「ねえねえハニー、ちゃんと見ててくれた?」

P「うん。すごいな、美希!」

美希「ミキ的にはこれは、愛の成せる技だって思うな!」

春香「むむ……」

P「でも、いつの間にホーリーなんか使えるようになったんだ?」

美希「んー、よくわかんないけど……確か、ファンの人がくれた本を読んだら使えるようになったの」

P「それって、ほぼ最初から使えたって事じゃないか?」



P(思えば俺、美希ややよいが戦っているところを見たのは、この巨人戦が初めてだよな)

P(2人とも、自分の能力をちゃんと理解して戦っているんだな)

P(いや、2人だけじゃない。春香や千早、伊織もとても頼もしい)

P(なんだかんだ言っていいパーティだよな。この5人って)


春香「あっ!」

P「どうした、春香?」

春香「また魔物が!」スッ



サーチャー「………」



美希「ふーん、いいよ。またミキのキラキラ魔法のエジキにしてあげるの」スッ

春香「待って、美希。今度は私が!」チャキッ

美希「春香はリーダーだから、力を温存しとくの!ここはミキひとりに任せればいいって思うな!」グイッ

春香「いやいや、美希の力こそ温存すべきじゃないかな?ほら、いざという時のタメにさ」ググッ

美希「そんな事言って、ハニーにいいところ見せようってコンタンが見え見えなの!」グイグイ

春香「そ、それは美希だって同じでしょ?私だって、強くなったところをプロデューサーさんに見てもらいたいもん!」ググッ

美希「春香はずるいの!」

春香「美希だって!」

美希「むむむ〜!」グイグイ

春香「ぐぬぬ〜!」ググッ


P(なぜ感心したそばからケンカするのか。この子達はまったく……)



やよい「あの〜……春香さん、美希さん。まものさん、増えちゃいましたよー?」スッ



ワラワラ…

サーチャー1「………」

サーチャー2「………」

サーチャー3「………」

サーチャー4「………」

サーチャー5「………」




春香・美希「」



美希「こーなったら、ミキが1番多く倒して実力の差を見せつけてやるの!」


美希「汚れ無き天空の光よ……」ゴゴゴゴ

美希「血にまみれし不浄を照らし出せ!なの!」


美希「ホーリー!」バッ


キラキラキラキラ…


ドゴゴゴオォォォォン!!



サーチャー1「」



春香「私だって負けないもん!」


春香「命脈は無常にして、惜しむるべからず……」

春香「……葬るっ!」チャキッ


春香「不動……無明剣!」ブンッ


ズドォォン!!



サーチャー1「」



やよい「わたしもがんばりまーっす!!」


やよい「いふりとさん、お願いしますっ!」バッ


スゥゥ…


イフリート「任せろヤヨイぃぃぃぃっっ!!」

イフリート「地獄の火炎んんんん!!」



ゴオオォォォオオ!!



サーチャー3「」

サーチャー4「」

サーチャー5「」




P(春香の技、ゲーム違う気が…………まあ、いいか)


美希「む〜、やよいが1番多く倒してるの」

P「まあ、召喚魔法は基本全体攻撃だからな」




ワラワラ…

サーチャー6「………」

サーチャー7「………」

サーチャー8「………」

サーチャー9「………」

サーチャー10「………」

……




やよい「はわっ!?まだまだたくさんいますよ!」

春香「しつこいなぁ、もう!」チャキッ





ビュオォォ…


春香「……あれ?風が……」



「こんなところで手こずってるなんて、あなた達らしくないわね」



「…………ミールストーム!!」




ブオオォォォオオ!!




サーチャー6「」

サーチャー7「」

サーチャー8「」

サーチャー9「」



「……い、1体残った…ぞ……?」



サーチャー10「侵入者ノ攻撃意識ヲ確認。機械竜召シュ」

ザシュッ!!


サーチャー10「」



「……よ、呼ばせな…い……」


美希「シアちゃんにスーちゃん!どうしてここに?」

バルバリシア「ふふ、助太刀に来たわ、ミキ!」ニコッ

美希「わあ、それはうれしいの!」

春香「あれ?でも、スーさんとバルバリシアさんだけ、ですか?」

スカルミリョーネ「……ほ、他の2人とは、はぐれ…た……」

春香「そうだったんですか」

バルバリシア「あの2人、移動速度が遅いのよね、まったく」

春香「いや、それってバルバリシアさんが速すぎるんじゃ……?」


P(四天王が助っ人に来るとか、ホントみんな仲良いんだなぁ)



やよい「うー……」

バルバリシア「ああ、あなたとは初めましてだったかしら?」チラ

バルバリシア「元四天王、風のバルバリシアよ。よろしくね、お嬢ちゃん?」ファサッ

スカルミリョーネ「……つ、土のスカルミリョーネ…だ……」

やよい「えーっとー……」

やよい「ばりばりしあさんにすかりみょーねさんですね?」

バルバリシア「いえ、あの、バリバリじゃなくて……」

スカルミリョーネ「………」

やよい「うっうー!わたしは高槻やよいです!よろしくおねがいしまーす!」ペコリ

バルバリシア(……まあ、いいか。なんか可愛いし)

春香(2人の名前言えてないやよい可愛い)

美希(やよい、可愛いの)



スカルミリョーネ「……そ、そういえば、忍者と竜騎士はどうし…た……?」

春香「千早ちゃんと伊織とは、はぐれちゃいまして……」

バルバリシア「あら。あなた達もなのね」

美希「そうだ!早くデコちゃん追いかけないと!ねえ春香、やよい!」

春香「あ、そうだね!」

やよい「そうですね!」グッ

バルバリシア「私達も一緒に行ってあげるわ。……急ぎましょう」

スカルミリョーネ「……せ、背中、乗っ…て……」

美希「2人とも、ありがとうなの!」



P(よくわからないけど、四天王が2人も一緒とは心強いな)

P(他の四天王も来てるみたいだし……)

P(…………あれ?これってもしかして……)


ー バブイルの巨人 左胸部 ー


ブォンッ…!


千早「くっ!」ガキィン


千早「はぁっ!」


ザシュッ!


…スタッ



機械竜「………」



千早(……意外と硬いわね)

千早(私の槍では、あまりダメージを与えられないみたい)

千早(対して魔物の攻撃は、火を吹くか尻尾を振り回すかの2通り)

千早(単調だから、やられる事はなさそうだけど……)

千早(地道にやって行くしか、なさそうね)



機械竜「……!」ブォンッ



千早「!」

千早(尻尾が、来るっ!)



千早「……くっ!」タンッ


フワッ…



機械竜「………」チラ

機械竜「……!」カパッ



ゴオオォォオ!!



千早「……え!?」

千早(炎……!)

千早(一撃目は、フェイント!?)

千早(ダメ、空中では、躱しきれない……!)


ゴオオォォオ!!


千早「ああっ!」



…ドサッ


千早「…………くっ」ヨロッ


千早「………」

千早(油断した……)

千早(行動パターンが決まっているものだと思っていたわ)

千早(落ち着いて、相手の行動を見極めないと……)



千早「………」チャキッ



機械竜「………」



機械竜「………」カパッ



千早(……来る!)ジリ

千早(フェイント?それとも……)

千早(ギリギリまで引きつけて……)



機械竜「……!」


ゴオオォォ…!



千早(…………このタイミング!)





「………ロォォォリングゥゥゥゥ…………!」


ゴロゴロゴロ…



千早「えっ!?」ビクッ




「アタァァーーーック!!」




ドゴォッ!!




機械竜「」プスン



ドカァァァン!!




千早「魔物が、爆発した!?」

千早「な、何なの、今のは……?」

カイナッツォ「……ぬぅ。目が、回る……」フラフラ



千早(また、魔物?)



カイナッツォ「……く、ふふふ!」

カイナッツォ「どうだ、人間よ!見たか、私の力を!」クルッ

カイナッツォ「……ん?」

カイナッツォ「お前は確か、リツコ様の……」

千早「あの……どちら様?」

カイナッツォ「この、リツコ様の四天王、水のカイナッツォ様の事を忘れただとっ!?」

カイナッツォ「ほら、前にバロンで会っただろう!?」

千早「バロンで……?」

千早(こんな魔物いたかしら……?)

千早「……ごめんなさい、覚えてないわ」

カイナッツォ「ぐぬぬ……!私の事を忘れるとは、なんと失礼な娘だ!」

千早「あの、助けていただいて、ありがとうございます」ペコリ

千早「でも私、先を急ぐので、失礼します」クルッ

カイナッツォ「お、おい、ちょっと待てっ!」



千早「…………まだ、何か?」チラ



カイナッツォ「私も行ってやろう」

千早「…………は?」

カイナッツォ「このカイナッツォ様が、お前たち人間に協力してやろうというんだ。感謝するがいい!」

カイナッツォ「ふははははは!」



千早「………」

千早(面倒な事になったわ)

千早(こんな魔物の相手をしている場合じゃないのに……)

千早(でも、私の槍も、あまり魔物に通用しなくなってきてる)

千早(あの魔物、なかなか強いみたいだし、連れて行っても損はないのかしら……)

千早(……迷っている場合じゃないわね)

千早(早く、みんなを追いかけなければ)



千早「……わかったわ。行きましょう」

千早「えーと……」

千早「……ゴンザレスさん?」


カイナッツォ「カイナッツォだっ!変な名前を付けるなっ!」


千早「そうですか……」シュン

ー バブイルの巨人 左肩部 ー


スタスタ…


千早「……律子の四天王?あなたが?」

カイナッツォ「最初からそう言っているだろうがっ!ひとの話を聞かんヤツだな!」

千早(あ……この方が高槻さんが言っていた『カメさん』なのね)



カイナッツォ「……もっとも、当のリツコ様は今は人間側に回ってしまったがな」

千早「元から律子は、こちら側の人間よ」

千早(そう。音無さんに操られていただけで、本当は……)

カイナッツォ「……ふんっ」

カイナッツォ「リツコ様といい、ルビカンテといい……どうして人間たちの肩を持ちたがるのだ」

カイナッツォ「付き合わされる身にもなってほしいものだ、まったく!」プンスカ

千早「えっ……?」

千早(ルビカンテ……って、確かさっき、プロデューサーが……)



千早「あの、ルビカンテってもしかして……」

カイナッツォ「我々四天王のリーダーだ」

カイナッツォ「ヤツの命令で、不本意ながらお前たち人間に力を貸してやるのだ。感謝するがいい!」

千早「じゃあ、四天王はみんなここに?」

カイナッツォ「ああ、来ている。ルビカンテは相当お前たちがお気に入りらしいな」

カイナッツォ「まったく、気に入らん!」

千早「………」

千早(確かさっき、ルビカンテは水瀬さんのご両親の仇だって……)

千早(今の水瀬さんが、ルビカンテと鉢合わせたら……きっと、戦いになってしまう)

千早(それだけは、止めないと!)



千早「急ぐわよ、ゴンザレス!2人を止めないと!」

タタタタ…


カイナッツォ「お、おいっ!ちょっと待て!私を置いて行くな!」

カイナッツォ「というか、私はゴンザレスとやらではないぞっ!」


ー バブイルの巨人 頸部 ー


トボトボ…


伊織「………」

伊織「…………はぁ」



伊織(……何やってるのよ、私)

伊織(心配してくれたみんなを突き放して、こんなワケわかんないところで、ひとりで……)

伊織(でも……関係ない春香たちを巻き込むワケにはいかない)

伊織(だってこれは、私の問題だもの)

伊織(私が、ひとりで……)

伊織(覚悟は決めたはずなのに、不安も猜疑心も消えてはくれない)

伊織(こうする事が正解だって、自分に言い聞かせたはずなのに……)



巨人兵「………」ヌッ



伊織(……正解?本当に?)

伊織(疑問を抱えて、自分を押し殺してまでやるべき事が、正しいの?)

伊織(『我が道を行く』が私の信条じゃなかった……?)



巨人兵「………」チラ



伊織(何が、正しいの……?)

伊織(何が、正解だっていうの……?)

伊織(……わからない。わからないけど……)

伊織(これだけは言えるわ)



巨人兵「……!」ブンッ



伊織(周りには強がっているけど、私は本当は……)



…ドガッ!!



伊織「ぐっ……ぁ……っ!」ヨロッ


巨人兵「……!」ブンッ


伊織「く……!」タンッ


クルンッ…スタッ


巨人兵「………」チラ



伊織(魔物……!)

伊織(完全に油断してたわ……)

伊織(この伊織ちゃんが、あんなトロそうなヤツに一撃をもらうなんて……!)

伊織「っ……!」ズキン

伊織(腕を、やられた……!)



巨人兵「………」ジリ



伊織(忘れてたわ)

伊織(赤い悪魔を探して倒すにしても、先に巨人を破壊しなきゃいけないのよね)

伊織(まずは、目の前の敵に集中しないと!)

伊織(確か、機械の魔物は雷に弱いって真が言ってた気がするわね)



伊織「っ………!」バリッ

伊織「消えちゃいなさいっ!」

伊織「……雷迅っ!」バッ


ズガガガァァーーン!!


巨人兵「………」ヨロッ


巨人兵「……!」ズサッ


伊織「ち……!倒しきれない!」


巨人兵「………」ザッ


伊織「!……来るっ!」


巨人兵「……!」ブンッ


伊織「っ……!」ダッ




「…………火炎流!」



…ゴオオォォオオ!!



伊織「…………え?」


「…………こんな雑魚に遅れをとるとは、お前らしくないな」



伊織「あんた……!」



ルビカンテ「……イオリよ」



伊織「…………赤い悪魔っ…………!」グッ



ルビカンテ「いつもの威勢はどうした?」



伊織「……ふ、ふふ……」

伊織「笑えるわ……」

伊織「……なんでこのタイミングで現れるのよ、あんた……!」

伊織(ホント、最低のタイミング……)

伊織(……でも、考えようによっては、最高のタイミングね)

伊織「ぐっ……!」ズキッ



ルビカンテ「お前……腕をやられたか」

ルビカンテ「見せてみろ。オレが回復してやろう」



伊織「よ、余計なお世話よ!」



ルビカンテ「……やれやれ。相変わらず面倒だな、お前は」

ルビカンテ「確かスカルが言っていた。つんでれ……というヤツか?」



伊織「う、うるさいっ!違うわよっ!」

伊織「ていうかあのゾンビ、なんでそんな言葉知ってるのよ!」

伊織(……って、これじゃいつも通りじゃない)

伊織(ダメよ。私は今から、赤い悪魔を倒すんだから)

伊織(馴れ合いは、ダメ)

伊織(憎まないと……!)


…シャララーン!キラキラキラ…


伊織「!」


ルビカンテ「もう大丈夫だ。さ、行くぞ」

ルビカンテ「巨人を操っている魔物は、おそらく頭部にいる。ここから目と鼻の先だ」

ルビカンテ「連れて行ってやる。さあ、おぶされ」スッ



伊織「………」



ルビカンテ「…………どうした?まだ腕が痛むのか?」

ルビカンテ「骨に異常はないみたいだったが……」



伊織「……なん…でっ……」ウルッ

伊織(私はこれから、あんたを……)



ルビカンテ「イオリ……?」



伊織「なんで……?」ポロポロ

伊織(倒さなきゃいけないのに……)



ルビカンテ「なぜ、泣く?」



伊織(なんで、優しくするのよっ………!)



伊織「あんたの……!」

伊織「あんたのせいよっ……!」ポロポロ



ルビカンテ「……?」



伊織「あんたなんて……!」

伊織(これ以上、優しくされたら)



伊織「あんたなんてっ……!」

伊織(自分を見失いそうだから)



伊織「大っっっっっっっ嫌い!!!」ポロポロ



伊織(もう、激情に身を任せるしかない)



伊織「っ……!」チャキッ



ルビカンテ「………」


ルビカンテ「…………そうか」



ルビカンテ「忘れていたよ、イオリ」

ルビカンテ「お前の故郷、両親を奪ったのは、他でもないオレだったな」

ルビカンテ「こんなオレがお前の事を仲間と思うのは不自然……か」


伊織「………」ピクッ


ルビカンテ「……いや、在るべき関係に戻っただけだな」

ルビカンテ「お前は復讐を果たす者。そして……オレはその仇敵」

ルビカンテ「互いが交わる事など、あり得ない」



伊織「そ、そうよっ……!」ゴシゴシ

伊織(声が、震える……!)



伊織「私はっ……!」グッ

伊織(……飲まれるな!)



伊織「エブラーナのみんなと……!」

伊織(前を、見なさいっ!)



伊織「王と王妃の仇を討つためにっ!」

伊織(スーパー忍者アイドル伊織ちゃんの、底力……!)









伊織「あんたを………………倒すっ!!」ビシッ

伊織(見せてやるんだからっ!)





ルビカンテ「……いいだろう」スッ


ルビカンテ「イオリ……いや、亡国エブラーナの王女よ。火のルビカンテが相手になろう!」

ルビカンテ「さあ、持てる力全てでかかって来い!」バッ


伊織「……!」スッ

伊織「あんたの弱点は、わかってるわ!」

伊織「はあぁぁっ……!」ゴゴゴゴ


ルビカンテ「む……?」


伊織「……水遁っ!」バッ

ズバシャァァーー!!


ルビカンテ「!」


伊織「はっ!」ダッ


ルビカンテ「甘いっ!」ブンッ

ドゴッ!

伊織「ぐっ!?」ヨロッ


ルビカンテ「ふんっ!」ブンッ


伊織「っ……!」タンッ


…スタッ


ルビカンテ「避けたか。身のこなしはさすがだ」


伊織「なんで?水遁が効いてない……?」


ルビカンテ「なるほど、少しは頭を使ったみたいだな」

ルビカンテ「確かに、炎の化身であるオレは水が弱点だ」

ルビカンテ「だが……」バサッ

ルビカンテ「このマントがある限り、水ですら受け付けん」

ルビカンテ「どう戦う?エブラーナの王女よ」


伊織「ちっ……ただの変質者じゃなかったのね……!」

伊織「だったら……」

伊織「この妖刀マサムネの威力、思い知りなさいっ!」チャキッ


ルビカンテ「ふ……」ニヤリ

ルビカンテ「さあ、エブラーナの王女よ。オレを楽しませてくれ……!」スッ




ルビカンテ(…………そして、オレを超えてみせろ。…………イオリよ!)


一旦ここまでです

久々に読み返したら、矛盾してるとこがたくさんあって軽く凹んだ


伊織「………」シャキン

伊織「………」ジリッ



ルビカンテ「………」

ルビカンテ(刀を鞘に収めた……?いったい何をするつもりだ?)

ルビカンテ(……まあいい。イオリが何をしようがオレはオレの戦いをするだけだ)



ルビカンテ「王女よ、来ないのか?ならば、こちらから行くぞっ!」ダッ

ルビカンテ「はああっ!!」



ビュッ…ザシュッ!!



ルビカンテ「ぐっ!?」

ルビカンテ「斬撃……!?あんなに離れたところから……!?」ポタッ



伊織「……いい反応してるじゃない。とっさに躱すなんて」

伊織「せっかく真っ二つにしてあげようと思ってたのに……」カチャ



ルビカンテ(ふっ……冗談に聞こえんな)

ルビカンテ(太刀筋が全く見えなかった。あれが妖刀マサムネとやらの威力か)

ルビカンテ(だが……)



伊織「次は外さないわ。必ずあんたを仕留めてみせる!」ビシッ

伊織「……!」ジリッ



ルビカンテ「………」


ルビカンテ「……王女よ。気づかないのか?」



伊織「? ……何がよ?」



ルビカンテ「鞘に刀を収めた状態から凄まじい速度で刀を抜き、勢いそのままに初太刀で相手を斬り捨てる」

ルビカンテ「なかなかの抜刀術だ。さすがにオレも戦慄が走ったよ」



伊織「あ、あったり前じゃない!私を誰だと思ってるのよ!」

伊織(さっきの、抜刀術っていうのね。……知らなかったわ)



ルビカンテ「しかし、ずっとそこから動かないつもりか?」



伊織「…………えっ?」



ルビカンテ「……ファイガ!」バッ


ゴオオォォォオオ!!


伊織「きゃっ!!」ダッ


…スタッ


ルビカンテ「確かに、射程距離は普通の斬撃とは比べものにならないほど広い」

ルビカンテ「……が、所詮は刀だ。魔法や飛び道具の比ではないな」



伊織「く……」

伊織(なんでいちいち赤い悪魔にダメ出しされなきゃならないのよ!)

伊織(でも、まあ……あいつの言う通りよね。構えている時は忍術を使う事もできないし、スキだらけだし)

伊織(やっぱ、咄嗟に思い付いた付け焼き刃じゃダメね)

伊織(…………あ、でも、だったら……)チャキッ


伊織「………」ジリッ



ルビカンテ「………」

ルビカンテ「凝りずにまた抜刀術か。やはり頑固だな、お前は」

ルビカンテ「だが、その強情さは嫌いじゃないぞ?」



伊織「ばっ……///」カァァ

伊織「な、何バカな事言ってんのよこの変態っ!!」



ルビカンテ「……何を赤くなっているんだ?」



伊織「あっ……あんたのせいよ!バカっ!!」

伊織「せっかくのシリアスな雰囲気が台無しじゃないのっ!!」



ルビカンテ「思った事を言っただけなのだが……」



伊織「……ったく、ちょっとは考えなさいよね!私達は今、殺し合いをしてるのよ!?」



ルビカンテ「妙な事を言う。殺し合おうが愛し合おうが、良いものは良い、悪いものは悪い。……違うか?」



伊織「〜〜〜っ!」

伊織(なんなのよあいつの自由さは……。やりにくいったらないわ)

伊織(……って、ダメよ。また慣れ合ってる)

伊織(非情にならなくちゃ……!)



伊織「さあ来なさい、赤い悪魔!この伊織ちゃんがやられっぱなしだと思ったら大間違いなんだから!」

伊織「今度こそ、斬り捨ててやるわ!」



ルビカンテ「ふ……それは楽しみだ……!」


ルビカンテ「行くぞ!」スッ

ルビカンテ「……ファイ」



ヒュッ…ドスッ!



ルビカンテ「ぐっ……!?刀を、投げただと……!?」ザッ



伊織「私、今まで忘れてたのよね。自分が二刀流だって事を!」ダッ


伊織「くらいなさい!妖刀マサムネの抜刀術っ!!」チャキッ


ビュンッ…ザシュッ!!


ルビカンテ「ぐっ…がぁぁ……!」ヨロッ



伊織「やった……!一矢報いた!」



ルビカンテ「……ぐ…ふふふ……!」ポタポタ

ルビカンテ「良い一撃だ……!」ニヤリ


伊織「!?」


ルビカンテ「ふんっ!」ブンッ


ドゴオォ!!


伊織「っ……ぐ…ぁ……!」ヨロッ


ルビカンテ「はあっ!!」ブンッ


バキィッ!!


伊織「ぅ……あ……!」フラッ



伊織(重い……!さっきの雑魚とは比べものにならない一撃……!)

伊織(でも、私の攻撃だって綺麗に決まった。……あいつの方が傷は深いはず……)


ルビカンテ「はぁ……はぁ……っ!」ポタポタ

ルビカンテ「クク……!」



伊織「な、なんなのよあいつ……! なんで笑ってられるのよ……?」



ルビカンテ「戦いとは、こうでなくてはな。……クク、楽しいぞ……!」ニヤリ



伊織(…………正直、あれはキモいわ)



伊織「…………はぁ」

伊織「要するに、あんたは戦闘狂って事なのね」

伊織「だったら、私にも考えがあるわ」スチャ


ルビカンテ「……ほう?刀は使わないのか?」


伊織「あんたの1番得意な技で来なさい!」ビシッ


ルビカンテ「!」


伊織「あんたの得意分野で勝負してあげようじゃない!」


ルビカンテ「面白い……!」ゴゴゴゴ

ルビカンテ「やはりお前は最高だ、王女よ……!」スッ


伊織「ふん……」スッ


伊織(肉体的なダメージでは、あいつは怯まない。だったら、精神的ダメージを与えるしかない!)

伊織(多分赤い悪魔は、あの『火炎流』とかいう技を使うわよね)

伊織(私の炎の方が上だって事、教えてあげる)

伊織(同じ土俵で、あいつに勝ってみせるっ……!)


ルビカンテ「全身全霊の力を以って応えよう……。勝負だ、王女よ!」ゴオォォ


伊織「私が……勝つ!」ゴオォォ


ルビカンテ「全てを灰燼と化せ…………火炎流!!」バッ


伊織「お父様、お母様、ジイ、みんな。私に、力を貸して! ……火遁っ!!」バッ



ゴオオオォォォォオオッ!!



ルビカンテ「おおおおおおっ!!」ググッ



伊織「はあああああっ!!」ググッ



ゴオオオォォォォオオッ!!



ルビカンテ「! ……エブラーナ王の火遁とは比べものにならない威力っ……!」ググッ



伊織「や、やっぱりすごいわね、あんた……!」ググッ

伊織(気を抜いたら、確実に骨も残らない……!)



ゴオオオォォォォオオッ!!



ルビカンテ「クク……!ここまでやるとは……!」ググッ



伊織「ぐ……!」ググッ

伊織(な、何よあいつ……まだ余裕なワケ?こっちは最初っからずっと全力だってのに……!)



ゴオオオォォォォオオッ!!



ルビカンテ「ふ……どうやらこの勝負、見えたようだな」ググッ

ルビカンテ(やはり……)



伊織「こん…の……っ!」ググッ

伊織(や、やっぱり、私じゃあいつに勝てないっていうの……?)



ゴオオオォォォォオオッ!!



ルビカンテ「……さらばだ、王女よ!」グッ



伊織「ま…け…る……かあっ……!」ググッ



ドッゴオオオォォォン…!



ボロ…


ヒュゥ…



…ガタッ



伊織「……うっ……!」

伊織「はぁ、はぁ……!」フラッ

伊織「私……生きてる……?」



伊織「……はっ!赤い悪魔は!?」キョロキョロ




ルビカンテ「………」



伊織「赤い…悪魔……」



ルビカンテ「さすがだな……王女よ……」ヨロッ

ルビカンテ「ぐ……!」ズサッ

ルビカンテ「オレに膝を付かせたのは、お前とリツコ様くらいだ……」



伊織「あんたまさか……」

ルビカンテ「手を抜くわけがないだろう?そんな無粋な事はせん」

ルビカンテ「正真正銘の全力だった」

ルビカンテ「だが、それでもお前には、敵わなかった」

ルビカンテ「お前の勝ちだ、イオリ」

伊織「………」


ルビカンテ「……どうした?嬉しくないのか?お前は恨みを晴らしたんだ。胸を張ればいい」

伊織「……嬉しくなんか、ないわよ」

伊織「だってこれは、私の意思じゃないもの」

ルビカンテ「……どういう事だ?」

伊織「あんたは確かに、エブラーナを滅ぼして、私の両親の命も奪った」

伊織「それは許しちゃいけない事だわ」

ルビカンテ「………」

伊織「だけど……」

伊織「あんたは私たちを助けてくれた。意外といいヤツだって、わかったの」

ルビカンテ「………」

伊織「それでも私があんたと戦ったのは、ジイたちに顔向けができないから」

伊織「私は、自分の気持ちを騙して、周りに流されて……」

伊織「それが王女の務めだって、自分に言い聞かせて……」

伊織「………」

伊織「でも……ホントは、私っ……」ウルッ




伊織「……あんたと戦いたくなんて、なかったのよ……!」ポロッ




ルビカンテ「イオリ……」


伊織「ねえ、なんで?なんでこうなったの?」グスッ

ルビカンテ「………」

伊織「教えてよ、赤い悪魔っ……!」ガシッ

ルビカンテ「……ひとつ、言える事は……」

ルビカンテ「トドメを刺すまでが仇討ちだ。……違うか?」

伊織「っ……!」

伊織「イヤよ……!イヤっ……!」ブンブン

ルビカンテ「………」

ルビカンテ「オレは、お前にやられるならば、本望だ」

伊織「ば、バカな事言わないでよっ……!」

伊織「できるわけ、ないじゃない……!」

ルビカンテ「しかし……」







「……あーあ、がっかりだなー」







伊織・ルビカンテ「!?」


プレイグ「こーんな、誰かを殺す覚悟も持ってない人たちに、ルナたちはやられちゃったのかぁ……」フワフワ




伊織「な、何、こいつ?」

ルビカンテ「忘れたのか?こいつが巨人を操っているヤツだ」

伊織「! こいつが……!」




プレイグ「途中までは面白かったよ?君たちのお芝居」ニコッ




伊織「まさかあんた、ずっと見てたわけ?」




プレイグ「うんっ!」




伊織「と、とんだストーカーね、まったくっ!」

ルビカンテ(全然気づかなかった。戦いに集中し過ぎたか)



伊織「赤い悪魔。さっきの話は一旦保留よ。まずは、こいつを片付けないと!」チャキッ

ルビカンテ「……いいだろう」スクッ




プレイグ「ん〜……」




伊織「さあ、覚悟しなさい!さっさとあんたを倒して、この巨人を止めさせてもらうわ!」ビシッ

ルビカンテ「………」スッ




プレイグ「…………よし、決ーめたっ!」

プレイグ「悪いけどお姉さん、死んでね?」ゴゴゴゴ




伊織「…………は?」

ルビカンテ「あれは、まさか……!」




プレイグ「行くよ……!」ゴゴゴゴ


ルビカンテ「……聞くなっ!イオリっ!」ガバッ

伊織「きゃっ!?ちょ、ちょっと、いきなり何すんのよ変態っ!」ジタバタ




プレイグ「ーーーーー!!」



…ズゥン




伊織(あれ?あいつ、今何か言った……?)



伊織「……あんた、何かしたの?別に何ともないけど……?」キョロキョロ



プレイグ「うーん、残念。そこの魔物に救われたみたいだね、お姉さん」



伊織「え?何言って……」チラ



10ルビカンテ「………」



伊織「ちょっと赤い悪魔。何よ、その頭の上の数字は?ふざけてるの?」

9ルビカンテ「イオリ、時間がない。よく聞け。ヤツの言葉……『死の宣告』には、絶対に耳を貸すな!」

伊織「死の、宣告……?」

伊織「…………あっ!」



『……うん。ゲームでも、回避はできない攻撃だし、死の宣告を受けたら……』

『やはり、死んでしまう、という事ですか』



伊織「ま…さか……!」



伊織「ね、ねえ!なんとかならないの!?」ユサユサ

8ルビカンテ「何ともならんな。……だが、悔いはない。もともとお前の手で終わるはずの命だったのだから」

伊織「そ、そんなっ!」

伊織「ダメ!なんとか……なんとかして生きなさいよ!」ユサユサ

7ルビカンテ「ふ……相変わらず無茶苦茶言うな、お前は」

伊織「なんで……!なんでこんな理不尽な終わり方なのよっ!」ウルッ

伊織「こんなの、ひど過ぎるじゃないっ……!」グスッ

6ルビカンテ「そうでもないぞ?……最期に、仲間を守る事ができたんだからな」

伊織「っ……!」ウルッ

5ルビカンテ「オレは、お前たち人間に、仲間とは何なのかを教わった」

4ルビカンテ「仲間……か。ふふ、今のオレならリツコ様といい勝負ができるかな」

伊織「ダメ!死んじゃダメっ!伊織ちゃんの命令よ!生きなさい、赤い悪魔っ!」ユサユサ

3ルビカンテ「すまんな……イオリ」ポン

伊織「なんで、謝るのよっ……!?」

2ルビカンテ「お前たち人間と出会えて良かった。こういう強さもあると、知る事ができたのだから……」

伊織「いや……!いやぁ……!」

1ルビカンテ「イオリよ。お前は自分の信じた道を行くのだ。お前の気高き生き様は、誰にも止める権利など無い!」

伊織「ま、待ちなさい! 待って……!」ガシッ





0ルビカンテ「……生きろ、イオリ…………」





ルビカンテ「………」ガクッ




伊織「ーーっ!!」


伊織「いやぁーーーーーーーっ!!!」


短いですが今日ここまでです


伊織「………」



ルビカンテ「」



伊織「………」ダキッ

ルビカンテ「」



伊織「ねえ、赤い悪魔……」

ルビカンテ「」



伊織「目を、開けなさいよ……」

ルビカンテ「」



伊織「いつもみたいにクールぶって、『まったく、お前は面倒だ』とか言いなさいよ……」

ルビカンテ「」



伊織「いつもみたいにカッコつけて、『ふ……おもしろい』とか言いなさいよっ……!」

ルビカンテ「」



伊織「っ……」ウルッ



プレイグ「無駄だよ、お姉さん。その人は死んだんだ。お姉さんを庇って、ね」



伊織「ウソよ……!そんなの、ウソ……!」



プレイグ「ウソじゃないよ。だってその人、全然動かないでしょ?」



伊織「………」ギュッ

ルビカンテ「」


プレイグ「寂しがる事はないよ。すぐにお姉さんも後を追わせてあげるから」



伊織「………」

ルビカンテ「」



伊織(赤い悪魔の後を……じゃあ、私は死ぬのね)

伊織(こんな、わけのわからない世界で)

伊織(どうして、こうなったんだろう……)



プレイグ「大丈夫だよ。恐怖も苦しみも、すぐ終わるから」ニコッ



伊織(そう、なのね)

伊織(良かった。死ぬのは恐いもの)

伊織(これで赤い悪魔に謝りに行く事ができるかも……)




プレイグ「さようなら、お姉さん」



プレイグ「……死の宣こーー」




やよい「……らむさんっ!」バッ



ラムウ「……裁きの雷!!」


ズガガピシャァァン!!



プレイグ「うわぁっ!?」ビリビリ



やよい「伊織ちゃんは、わたしがまもりますっ!」グッ


伊織「やよ…い……?」



春香「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん!」

春香「無双……稲妻突きっ!」



ビュンッ…ズガッ!!


プレイグ「あぐっ……!」フラッ




美希「……ケアルガ!」バッ


シャララーン! キラキラキラ…


美希「デコちゃん、平気?」


伊織「春香……美希……」



春香「良かった、やっと追いついたよぉ!」

美希「デコちゃん、ひとりでガンバり過ぎなの!」

やよい「わたしたちの事も、もっとたよってほしいかなーって!」

P「心配したんだぞ、伊織!」



伊織「プロデューサー……」


伊織(みんな……)

伊織(助けに来てくれた……のは嬉しいけど……)



伊織「私……私は……」

伊織(私のせいで、赤い悪魔を死なせてしまった)



伊織「ダメ……逃げて……!」

伊織(みんなは……みんなだけは死なせたくないっ!)



P「伊織……?」



伊織「……私の側にいたら、みんな死んでしまうっ……!」

伊織「私は……ひとりで死ぬべきなのよっ……!」


春香「………」


春香「…………ダメだよ、そんなの」


伊織「はる…か……?」


春香「ダメだよ、そんなの!」


春香「……ねえ、伊織」

春香「伊織の背負ってるもの、私たちにも背負わせてほしいな」

春香「そりゃ、私じゃ頼りにならないかもしれないけど……さ」

春香「みんなで考えれば、きっといい考えが浮かぶと思うんだ!」

春香「だって私たち、仲間でしょ?」


伊織「っ……ひぐっ……ぅ……」ポロポロ


春香「伊織…が死ぬなんっ…て、いやだもんっ!」グスッ

春香「絶対、伊織も一緒に…帰るんだもんっ……!」

春香「うぅ……えっぐ……」ポロポロ


美希「そうだよ!こんなところでウジウジしてるなんて、デコちゃんらしくないの!」

美希「ミキの知ってるデコちゃんは、とっても強くてカッコいいんだよ!」


伊織「み…き……!」


やよい「思い出して、伊織ちゃん。伊織ちゃんはわたしのじまんのおともだちなんだよ?」

やよい「わたしのそんけーする伊織ちゃんは……」



やよい「ぜったいに、あきらめたりしないかなーって!」



伊織「やよいっ……!」


P「伊織!一緒に帰るぞ!」


伊織「プロ…デュ…サ……っ!」



プレイグ「痛たた……」フラフラ

プレイグ「うぅ、あとちょっとだったのになぁ」



春香「!」

春香「美希、やよい!」チャキッ

やよい「はい!」

美希「デコちゃんに手出しはさせないの!」



伊織(みんな……!)



プレイグ「ふぅ……」

プレイグ(さっきの攻撃、意外と痛かったなぁ)


プレイグ「……こっちも、仲間を増やすか」

プレイグ「みんな、出ておいで!」スッ



ワラワラ…

機械兵「………」

鉄騎兵「………」

巨人兵「………」

機械竜「………」



やよい「まものさんが、たくさん……!」

春香「それでも……!」チャキッ

美希「やるしか、ないの!」スッ



バルバリシア「待ちなさい!」

スカルミリョーネ「……ざ、雑魚は、オレ達に任せ…ろ……!」



春香「バルバリシアさん、スーさん!」

美希「シアちゃん、よろしくなの!」

やよい「うっうー!まものさん、悪い事はダメですよっ!」



プレイグ「あはは……!」

プレイグ「殺してあげるっ!」ギラッ



春香「たあぁぁーーっ!」ダッ

美希「ミキの矢、くらえなの!」ギリッ

やよい「しばさん、おねがいしますっ!」バッ





伊織「………」



伊織(春香もやよいも美希も、勇敢に戦ってる……)

伊織(私も、加勢しなきゃ……)

伊織(戦わなきゃいけないのに、身体が、動かないっ……!)



伊織(結局私は、みんなの仇も討てず、赤い悪魔を守る事もできず……)

伊織(……こんな私に、生きる価値があるの……?)















『……生きろ、イオリ…………』















伊織「っ……!」ドクン


伊織「赤い…悪魔……」



『お前は自分の信じた道を行くのだ。お前の気高き生き様は、誰にも止める権利など無い』



伊織「生き様…………」


伊織「そう、か…………」


伊織「………………そうね」



伊織(みんなの仇は、討てなかった)

伊織(それはあとで謝ればいい。ジイと、みんなに)

伊織(赤い悪魔は、死んでしまった)

伊織(それは、今さら変えられない事)

伊織(いくら悔やんでも、過去が戻るわけじゃない)

伊織(だったら、いつまでも落ち込んでても、仕方ない)



伊織(もう、迷わないわ)

伊織(私の行く道は、私が決める!)

伊織(誰も、私の邪魔はできない!)






伊織(…………そうでしょ? 赤い悪魔…………)ニコッ







『ふ…………いい面構えだ』


ビューン…


ドガッ! バキッ! ドゴッ!


春香「くぅ……!」

美希「む〜……ちょろちょろとすばしっこいの〜!」

やよい「うー、いたいですー……」



プレイグ「よしっ!」

プレイグ「じゃあ、一気に片付けちゃおうかな」スッ



ヒュンッ…ザクッ!



プレイグ「痛っ……!」

プレイグ「これは、手裏剣……?」スッ




伊織「あんた、私の大切な仲間になんて事してくれてんのよ!」



春香「伊織!」

美希「デコちゃん!」

やよい「伊織ちゃんっ!」



プレイグ「お姉さん、確か戦意喪失してたはずじゃ……?」



伊織「あら、そうだったかしら?」

伊織「もうそんな昔の事は忘れちゃったわ」

伊織「それよりあんた……覚悟はできてるでしょうね?」



伊織「ここからは、このスーパー忍者アイドル伊織ちゃんのターンなんだからっ!」ビシッ


プレイグ「へぇ。さっきまでいじけてた人に、何ができるのかな?」

プレイグ「確かめてあげるっ!」ビュンッ



春香「速い!」



伊織「ふん……」ヒョイッ

伊織「はっ!」ザシュッ



プレイグ「痛っ……!」



伊織「遅過ぎてあくびが出ちゃうわ。あんた、本気出してるわけ?」



プレイグ「く、この……!」



美希「デコちゃんの方が全然速いの!」

やよい「伊織ちゃん、さすがですー!」



伊織「ズタズタに斬り刻んであげるわ!」チャキッ



プレイグ「さっきとはまるで別人だ……!」

プレイグ「仕方ない。ボクも本気出すよっ!」バッ



伊織「来なさい、化け物っ!」



プレイグ「……ヘイスト!」

カタカタ…シャキーン!


…ッビュンッ!




伊織「っ……!」ガキィン

伊織(速っ……!?)



伊織「……このっ!」ブンッ


プレイグ「遅いよっ!」ヒョイッ


伊織「はっ!」ダッ

タタタタ…



春香「助太刀するよ、伊織!」

タタタタ…



春香「はああああっ!」ダッ

春香「えいっ!」ブンッ



プレイグ「ふんっ!」ヒョイッ



伊織「そこっ!」ビュッ


ズバァン!


プレイグ「……っく、かすった!」ヨロッ



美希「スキありなのっ!」ギリッ


ヒュンッ…ドスッ!



プレイグ「うっ……!」



やよい「いふりとさん、おねがいしますっ!」バッ


スゥゥ…


イフリート「うおおおお!!地獄の火炎んんんん!!」



ゴオオォォオオ!!



プレイグ「うあ……っ!」ヨロッ


春香「はぁ、はぁ……!」

伊織「ふぅ……」

美希「………」ギリッ

やよい「よーしっ!」グッ



プレイグ「く……やるね、君たち。ボク、ここまで追い詰められるとは思わなかったよ」

プレイグ「こうなったら、確実に君たちを殺すよ……!」ゴゴゴゴ



伊織「!」

伊織(多分、さっきのあれが来る……!)

伊織「みんな、絶対に聞いちゃダメよ!」



プレイグ「死の……」





「……泣くことーならたやすいけれど〜♪ 」

「悲しみにーは 流されーない〜♪ 」




プレイグ「宣……えっ?」



春香「この歌声……!」

春香「千早ちゃんっ……!!」

P(千早……!)




千早「恋したーことこのわかーれさえ♪ 」

千早「選んだのーは 自分だーから♪ 」




プレイグ「ちょ、ちょっと黙ってよ!ボクの声が……」



千早「群れをはーなーれたーとーりーのように〜♪ 」



P(……そうか!圧倒的な声量で相手の声を飲み込んでしまえば……)

P(千早、考えたな……)


P「みんな、今がチャンスだ!」

春香「えっ?」

伊織「そうだわ! ……千早の歌声のおかげで、あいつの声はこっちまで届かない!」

美希「じゃあ、シノセンコクってやつ、使えないんだね!」

やよい「春香さん、今のうちに!」

春香「うん!行くよ、みんな!」ダッ


春香「鬼神の居りて、乱るる心……」

春香「……されば人、かくも小さな者なり!」チャキッ

春香「乱命……割殺打っ!」ブンッ



…ドゴォン!!



プレイグ「がっ……!」ヨロッ



美希「ミキのキラキラ魔法、くらえなのっ!」

美希「……ホーリーっ!」バッ


キラキラキラ…


ドゴオオォォォン!!



プレイグ「うあああっ!」ガクン



やよい「まものさん、ごめんなさい!」ペコリ

やよい「お母さん、おねがいしますっ!」


スゥゥ…


ミストドラゴン「邪悪なる者よ、消え去りなさい!ミストブレス!」


ブオォォ!!



プレイグ「うぐ……!」ガクッ



伊織「観念しなさいっ!」ダッ

伊織「雷迅っ!」スッ



ズガガピシャァーン!!



プレイグ「う…ぁ……!」


プレイグ「く、くそー……!死の宣告さえ使えれば……!」チラ



千早「蒼いー鳥ー♪ もし幸せ♪ 」

千早「近くーにーあっても〜♪ 」チャキッ

千早「あのそ〜らへ〜♪ わたぁしは…………とぶっ!」ダッ

…フワッ



春香「わ!ホントに跳んだ!」

伊織「千早、まさかシャレのつもりじゃないでしょうね?」



千早「あなたをー♪ わ〜すれない〜♪ 」チャキッ

千早「……でも昨日には帰れない〜♪ 」


ビュンッ…ザシュッ!


…スタッ



プレイグ「く、そ……!」フラフラ



春香「千早ちゃんっ!」

千早「みんな、遅くなってごめんなさい」

伊織「千早、あんたも無事で良かったわ」

やよい「これで、全員集合ですねー!」

美希「やっぱり、千早さんの歌はいつ聴いてもほれぼれするの!」



カイナッツォ「うおおおお!!なんという切ない歌だ〜!」ポロポロ

バルバリシア「カイナッツォ、ちょっとうるさいわよ。……ま、確かにチハヤの歌は良かったけど」

スカルミリョーネ「……こ、こういう戦い方も、あるんだ…な……」


プレイグ「う……ぅ……」フラフラ



春香「魔物さん……」チラ

春香「降参してください」



プレイグ「っ……な、何を言って……」



春香「もう、二度とこんな酷い事はしないって、約束してください!」

春香「そうすれば、私たちはもうあなたに危害を加えません」



プレイグ「っ……で、できないよ、そんな事っ!ボクは、みんなのタメに、コトリ様のタメに、人間をっ……!」



伊織「状況をよく見なさいよ」

伊織「あんたまさか、この状況を覆せるとでも思ってるの?」



プレイグ「ぐっ……」



「……もういいのです、プレイグ」



プレイグ「…………えっ?」クルッ



白竜「プレイグ。あなたに負担をかけ過ぎてしまった様です。申し訳ありません」

ルナザウルス「プーちゃんは充分やってくれたッス!」

タイダリアサン「ここは潔く、降参してしまいましょうか〜」



プレイグ「み、みんな!?なんで?」


白竜「とある親切な方々に出会ったのです」

ルナザウルス「捨てる神あれば、拾う神もいるッス!」

タイダリアサン「まあそういうわけで、私たちは助かったんですよ〜」



プレイグ「そ、そう……だったんだ……!」ウルッ

プレイグ「うえぇぇん!!良かったよぉぉ!!」ポロポロ



ルナザウルス「あーあーよしよし。大泣きしちゃって……」

タイダリアサン「可哀想に。ひとりで相当気を張っていたんですねぇ」

白竜「プレイグ……」



春香「あ、あのー……」



白竜「……ご心配なく。私たちはもう、あなた方に敵対する気はありません」


千早「そんな言葉が信じられるとでも?」

春香「千早ちゃん、ちょっと待って」ガシッ


白竜「信じてもらえないのも、仕方のない事。……好きにすると良いでしょう」


千早「ええ、そうさせてもらうわ」チャキッ

春香「千早ちゃん、落ち着いて!」

千早「気を許してはダメよ、春香。魔物たちは、私たちが油断したところを狙っているのかもしれないわ」

千早「聞くだけで死ぬ言葉を操るくらいだもの。どんな攻撃があってもおかしくない」

春香「で、でも……」


白竜「ちなみに、もし今あなたが刃を振るったら、無抵抗の者を襲う事になりますが?」


千早「くっ……」

伊織「さんざん無抵抗の人間殺してきたあんたが偉そうに言えた事じゃないでしょうが」

伊織「それに、そもそもはそっちから仕掛けてきたんじゃない」


白竜「………」

ルナ「こりゃ、一本取られたッスね」


伊織「……ま、でも、ここら辺で痛み分けにしてあげても、私は別にいいわよ?」

千早「水瀬さん、なぜ?」

伊織「必要以上に叩いても、余計な恨みを買うだけ。千早もわかってるでしょ?」

千早「………」

伊織「もう、うんざりなのよ。恨みだとか仇だとかは……」

春香「じゃあ……」


白竜「ええ。あなた方さえ良ければ、和平を結びましょう」


千早「仕方ないわね」

やよい「うっうー!仲直りですね!」

美希「仲直りするなら、最初からケンカなんてしなきゃいいのに」

春香「ともかく、これで巨人は止まったね!」


プレイグ「ううん、まだだよ」


春香「え?」


プレイグ「心臓部にある、『制御システム』。それを破壊しない限り、巨人は動き続ける」


春香「あ、そっか。そういえば私たち、そのナントカシステムを壊しに来たんだったね」

千早「じゃあ、心臓部へ行きましょう」


プレイグ「待って」

プレイグ「これ、使ってよ」スッ


春香「これは……?」


プレイグ「コトリ様から預かったホーリーランスっていう槍だよ。君たちが持つのがいいって思ったから」


春香「えっと……」チラ

P「あれは千早専用の武器だ。もらっておいた方がいいぞ」

春香「だって、千早ちゃん?」

千早「ええ」スッ


キラーン!


千早(ん……? なんだか、心が洗われるような……)

千早(……不思議な槍ね)

千早「………」チャキッ

春香「うん。千早ちゃん、似合うよ!」

やよい「千早さん、カッコいいです!」

千早「そ、そうかしら」

伊織「へぇ、千早用の武器もあったのね」


プレイグ「じゃあ、ボクたちはもう行くね。お姉さんたち、どうか気をつけて」

プレイグ「あと、いろいろヒドい事しちゃってごめんなさい」

春香「いえ。それはお互い様ですし!」

伊織「………」

白竜「あなた方なら、制御システムを破壊する事も容易いでしょう」

春香「あの……あなたたちは、これからどうするんですか?」

白竜「さて……どうしましょうか。人目に付かない場所で、ひっそりと暮らすとしましょう」

春香「………」

春香「もしよろしければ、人間のみんなと一緒に……」

白竜「私たちは、あなた方人間を滅ぼそうとした魔物。簡単にあなた方の厚意に甘えるわけにはいきません」

春香「でも……」

伊織「春香、あんまりわがまま言わないの。私たちが和解したからって、いきなり人間が魔物を受け入れられるわけないでしょ?」

春香「……うん。そう……だよね」

美希「ねーねー、早くせーぎょシステムってやつを壊しに行こうよ!」

やよい「律子さんたちも、きっと待ってます!」

千早「そうね」



プレイグ「さよなら……」フワフワ

ビュー…


バルバリシア「ミキ……あなた、強くなったわね」

美希「シアちゃん」

美希「あは☆ ミキ、もっともっと強くなるよ?」

バルバリシア「そう、ね。あなたたちにはもう、私たちの力は必要ないのかもしれない」

美希「え……?」

バルバリシア「助けているつもりが、足を引っ張っていただけかもしれないわね」

春香「そんな!バルバリシアさんたちに手伝ってもらえて助かりましたよ、私たち!」

やよい「そうです!とってもうれしかったです!」

千早「皆さんには、感謝しています」

スカルミリョーネ「……し、正直、今のお前たちには敵う気がしな…い……」

カイナッツォ「ふん!人間のクセに、化け物じみた強さになりおって!」

バルバリシア「でも、それは私たちにとって嬉しい事よ」

ルビカンテ「そうだな。戦い甲斐がある」

伊織「!?」

春香「でも、やっぱり私たちがここまで来れたのは、四天王さんたちのおかげもありますし……」



伊織「はいちょっとストーップ!」



春香「? どうかしたの?伊織」

伊織「今の会話に、明らかにおかしい部分があったわ!」

春香「おかしい部分?」

美希「よくわからないの」

やよい「伊織ちゃん、気のせいじゃないかな?」

ルビカンテ「ああ、俺もそう思うが」

伊織「なんであんた、生きてんのよっっ!!」スパーン

ルビカンテ「痛っ!」



伊織「赤い悪魔! あんた、死の宣告で死んだはずじゃなかったの!?」

ルビカンテ「ふ……ボスキャラに即死攻撃は効かん。RPGの常識だぞ?」

伊織「いや、知らないわよそんなルール! それに、あんた思いっきり『さらばだ、イオリ』とか言ってたじゃない!」

ルビカンテ「いや、それは少しでも雰囲気を出そうと……」

伊織「ナルシストのクセに、何余計な気を使ってんのよ!」

春香「ま、まあまあ。落ち着こうよ、伊織」

伊織「落ち着いていられるか! 私の涙を返せー!」プンスカ








ルビカンテ「…………と、とにかく、だ。制御システムへ向かうぞ」ボロッ

バルバリシア「随分ハデにやられたわねぇ、ルビカンテ」

伊織「ふん! 因果応報よ!」

春香「えっと……じゃ、じゃあ行こうか、みんな」


ー バブイルの巨人 心臓部 ー


制御システム「………」

防衛システム「………」

迎撃システム「………」




春香「ついにここまで来たね……!」

千早「ええ」

伊織「さあ、さっさと倒してみんなのところに帰るわよ!」

やよい「はりきっていきましょー!」

美希「ハニー、ここはどう戦えばいいの?」

P「あの3つの球体を倒せばこの戦いも終わりだ。だけど、ここは倒す順番がある」

千早「順番、ですか」

P「ああ。一番後ろに控えている大きい球体が制御システム、その前にあるのが迎撃システムと防衛システムっていうんだ」

P「制御システムさえ破壊すればほぼこっちの勝ちなんだが、迎撃システムの攻撃がなかなか厄介でな」

P「だから、まずは迎撃システムから倒し、制御システム、防衛システムの順番で倒してくれ」

春香「えーっと……つまり、2つある小さい球体のうち、どっちかが迎撃システムなわけですよね」

春香「それでプロデューサーさん、その迎撃システムっていうのは、どっちですか?」

P「それは……」



制御システム「ビー! ビー!」

制御システム「機関内ニ複数ノエネルギー反応アリ! 侵入者ト見ナシマス!」



やよい「はわっ!? な、なんかしゃべりましたよ!」

春香「コンピュータ、かなぁ。なかなか賢いんだねぇ」

伊織「にひひっ♪ 春香よりも頭良かったりしてね?」

春香「もうっ! ヒドいよ伊織ー!」プンスカ


制御システム「迎撃システム、防衛システム、起動」


防衛システム「………」ブゥン

迎撃システム「………」ブゥン



制御システム「両システム作動率……15%……28%……54%…………100%!」

制御システム「迎撃システム、エネルギー充填開始!」


迎撃システム「………」コオォォ




千早「……つまり、あっちが迎撃システムって事ね」

伊織「OK、わたしが行くわっ!」ダッ

春香「伊織、私も行くよ!」ダッ



伊織「はあああっ!」

春香「やぁーーっ!」


春香「…………っとっと、うわぁ!」ズルッ

伊織「きゃっ!」ヨロッ

ドンガラガッシャーン!



春香「痛たた……」

伊織「もう! 何やってんのよ! 私まで巻き込まないでよ!」

春香「ご、ごめん……」



千早「2人とも、伏せて!」



春香・伊織「えっ?」


制御システム「迎撃システム、エネルギー充填完了! 発射!」

迎撃システム「透過レーザー」



ビュイィィィィィィ!!



春香「わあああっ!」ガバッ

伊織「ちょっ……」



ズドーーーン!!




春香「………」チラ


ボロッ


春香「うわぁ……壁が、溶けてるよ……」

伊織「あれは、食らったらヤバいわね」



美希「っていうか、あのまま春香が転ばないで攻撃してたら、タイミング的に2人ともあのビーム食らってたって思うな」



伊織「えっ……」チラ

春香「えっ……」チラ

伊織「………」

春香「………」

伊織「…………その、助かったわ、春香」

春香「…………う、うん。たまたまだけど」



千早「…………はっ!」ザシュッ


迎撃システム「………」ピシッ



…スタッ


P「そして千早はいつの間にか攻撃してるし」

美希「千早さんはマイペースだね」


美希「ねえ! デコちゃんも春香も、一旦戻った方がいいって思うな! きっとまたさっきのやつ、来るよ?」


春香「そ、そだね……」タタタ

伊織「納得いかないけど……」タタタ





P「迎撃システムのレーザー、思ったより厄介だな」

伊織「ええ。まさかあんな破壊力だとはね」

P「うーん、近接戦専門の春香と伊織にはちょっと厳しいかなぁ」

伊織「なっ! 近接戦だけしかできないわけじゃないわよ! 忍術だってあるし!」

春香「わ、私だって遠くの敵に攻撃する技はあるんですよ?」

美希「ねえハニー。あれって遠くからミキの魔法でやっつけちゃダメかな?」

P「確かに美希の魔法は強力だけど、さっきの戦いでかなり魔法使ってたろ? お前の魔力はできれば温存しておきたいところなんだよなぁ」

美希「ぶ〜! ミキ、まだやれるのに〜!」

P「……ん? あ、そうだ」

春香「どうしたんですか?プロデューサーさん」

P「千早、さっき貰った槍を使ってみてくれないか?」

千早「使う……とは? どういう事ですか?」

P「えーと、俺もうまく説明できないんだけど、千早のその『ホーリーランス』をどうにかすれば、魔法が発動するはずなんだ」

千早「どうにかって言われても……」チラ

千早「まあ、一応やってみます」

春香「千早ちゃん頑張って!」

やよい「千早さん、ファイトですっ!」


千早「………」スッ

千早(と言っても、何をどうすればいいのか……)

千早(でも、何かしなきゃ始まらないわね)

千早「………」チャキッ

千早(お願いします、何か出てくださいっ……!)


…ポヮ


春香「あっ……!」

やよい「光りましたー!」

美希「この光って……」


パァァァーーーー!


千早(えーと……なんだか行けそうかも)


千早「…………やっ!」ブンッ



キラキラキラキラ…


ドゴゴゴオオォォン!!


迎撃システム「」



春香「やったぁ、千早ちゃんっ!」ダキッ

P「うまく行ったな、千早」

千早「ええ、なんとか」

やよい「千早さん、すごいですっ!」

伊織「あれが、千早の武器の力なのね」

美希「ふーん……千早さんもキラキラ魔法、使えるようになったんだね〜」


千早(なるほど……ああいう攻撃もできるのね)





P「よし、みんな。あとは制御システムを集中攻撃だ!」


春香「よぉ〜し! 頑張ろう、みんな!」

伊織「あんたは転ばないように気を付けなさいよ?」

春香「わ、わかったよぅ」

美希「あれ? でもさっき、春香が転んだおかげでデコちゃん助かったんだよね?」

伊織「あ、あんなの、偶然に決まってるじゃない!」

伊織「今度は私のエレガントな攻撃を見せてあげるわ!」

千早(さっきの魔法のような攻撃もいいけど、私にはやっぱり、跳んで攻撃する方がしっくり来るかも)

やよい(そろそろ、呼んでみようかなぁ……)


春香「みんな、行こう!」


4人「………!」コクリ


バルバリシア「本当に強くなったわ、あの子たち」

バルバリシア「やっぱり、私たちの出番は無さそうね」

ルビカンテ「今は、な。だが、最後は……わかっているな?」

スカルミリョーネ「……な、名残り惜しいが、お別…れ……」

カイナッツォ「……結局、最後までルビカンテに振り回されっぱなしか」

ルビカンテ「……カイナッツォ」

カイナッツォ「わかっている。最後まで付き合ってやる。安心しろ」

ルビカンテ「お前……大分丸くなったな」

カイナッツォ「…………ふん」

ルビカンテ「みんな、オレの目的のためにすまない」ペコリ

バルバリシア「いいわよ、別に。面白そうだし」

スカルミリョーネ「……や、やっと『あれ』が試せ…る……」

カイナッツォ「ま、私も『あれ』には興味がないわけではない。今はその時を待つのみ、だ」

バルバリシア「さあ、そろそろ戦いも終わるかしらね」チラ


伊織「マサムネの威力、見せてあげるわ!」スッ


伊織「……ふっ!」ビュッ


…ズバァッ!



制御システム「………」ガクンッ



春香「すごい! あんなに離れたところから、刀一振りで……!」

やよい「な、何にも見えませんでしたー……」

千早「さすがね、水瀬さん」

伊織「ま、ざっとこんなもんよ!」

P(居合……っていうのかな、あれ。確かにすごいけど、あれじゃ忍者っていうより侍だな)



制御システム「……エネルギー供給回路ニ損傷。防衛システム、発動」

防衛システム「本体修復開始」



シャララーン!



美希「あっ、回復しちゃったみたいだよ?」


伊織「」



春香「まあまあ、次は私に任せて!」チャキッ

春香「命脈は無常にして、惜しむるべからず……葬る!」


春香「不動……無明剣!」ブンッ


ズドオォォン!



制御システム「………」グラッ



伊織「む……春香もなかなかやるわね」



千早「畳みかけるわ!」タンッ


ビュンッ…ズドッ!



…スタッ



春香「出た! 千早ちゃんの水平ジャンプ!」

伊織「水平……なるほど、縦だけじゃなくて、横に跳ぶ事もできるのね」


千早「高槻さん、トドメをお願い!」


やよい「わかりましたー!」


やよい「うっうー! 社長、出て来てくださーい!!」バッ


スゥゥー……



「…………おっ? なるほど、呼び出されるというのはこういう感じなんだねぇ」

「ふははは! ようやくこの私の出番が来たか……!」



春香「……あれ? 2人……?」

千早「『社長』って、まさか……」

伊織「『両方』呼び出したのね」

P(同時召喚とか、アリなのか……)



高木「やあ、みんな。久しぶりだねぇ。元気そうで何よりだ」


春香「 はい! 社長も!」

美希「あはっ☆ 社長、相変わらず変なカッコしてるの!」


高木「はは。私は気にいっているんだがねぇ」

黒井「高木。のんびり話をしている場合ではないだろう」

高木「……おっと、そうだったね」

高木「あれを破壊すればいいんだね?」チラ



制御システム「………」



やよい「はい! よろしくお願いしまーす!」



高木「……よし!」チャキッ

黒井「ふふふ。高槻やよい! 私の力をよく見ておくのだ!」バッ


高木「君に恨みは無いが、運が悪かったと諦めてくれ」ゴゴゴゴ

黒井「高槻やよいの敵に回った事、後悔させてやろう……!」ゴゴゴゴ



高木「……斬鉄剣!」

黒井「……大海衝!」



ザァァァー…


ザッパアァァァン!!


ズバジャキーン!!


制御システム「……ガガ…ガ……」

制御システム「中枢回路大破……制御不能……」

制御システム「システムダウン……」


ブゥン…



制御システム「」




春香「…………やったぁ!」

千早「すごい……! これが社長たちの力……」



防衛システム「………」



黒井「ん? まだいたか」ブンッ


ドゴォン!


ドカァァァン!



防衛システム「」



伊織「尻尾一振りで……。メインキャラじゃないくせに、なんか腹立つわね……」

美希「あー! ミキの分も残しておいてくれてもいいのにぃ!」

春香「みんな無事だったんだからいいじゃない」

美希「ぶ〜。ミキだけ見せ場が無かったの」プクー


やよい「社長! 黒井社長も、どうもありがとうございましたー!」ガルーン

黒井「どうだ、私の力を見たか!」

やよい「はい! とーってもカッコよかったですー!」

黒井「ククク……!」

黒井(高槻やよい……。この私が、もっとお前を満足させてやる……!)



高木「高槻君、如月君、水瀬君、星井君……そして、天海君」

高木「よく頑張ってくれたね」

高木「もちろん、戦いはまだこれで終わりではないが……」

高木「君たちには、私や黒井、ジュピターの子たち、765プロのみんな以外にも、たくさんの仲間がついている。それを、忘れないでくれたまえ」

春香「社長……!」

千早「社長……」

美希「うん!」

伊織「仲間……そうね」

やよい「みーんな、おともだちです!」


春香「黒井社長も、ありがとうございました!」ペコリ

黒井「ふん。私は高槻やよいに従っただけだ。礼を言われる筋合いは無い」

美希「でも、黒井社長もとってもすごかったの!」

伊織「ま、敵だったとはいえ、一応感謝してあげるわ」

千早「………」ペコリ



高木「……それでは、また会おう」



スゥゥー…


やよい「………」ガクンッ


春香「わっ……」ガシッ

千早「高槻さん!?」

伊織「やよい!」

春香「やよい、大丈夫?」

やよい「あぅ……すみません、春香さん……」

やよい「わたし、ちょっとだけつかれちゃいました……」


美希「ケアルガ!」


シャララーン! キラキラキラ…


やよい「うー……」

美希「えー? なんで効かないの?」

P「もしかしたら、魔力を使い果たしたのかもしれない」

P「やよい、ずっと頑張ってたし、最後は2体同時召喚とかやったしな」

美希「魔力…………あっ」

美希「春香、ジュピターの人からもらったお薬!」

春香「あ、そっか!」

春香「えーっと……」ゴソゴソ

春香「やよい、これ飲んで」スッ

やよい「はい……んく、んく……」

やよい「…………ふぅ」

やよい「ちょっとだけ楽になりましたー」ニコッ

P「そうか、エーテルやらポーションやら、たくさんもらったんだったな」

伊織「大丈夫、やよい?」

やよい「うん、だいじょーぶ」

千早「念のため、高槻さんは私がおぶって行くわ」スッ

やよい「すみません……千早さん」

やよい「少し……ねむい……かも……」

やよい「……zzz」

春香「……寝ちゃったね」

千早「ええ」

美希「やよいの寝顔、とっても可愛いの」

伊織「千早、やよいに変な事しないでよね?」

千早「わ、わかってるわ」ゴクリ



…ドゴォン!



伊織「な、何? まさか、また魔物……?」



グラグラ…



美希「ねえ、もしかしてもうここ、崩れるんじゃないかな?」

P「そうだ。制御システムを破壊した以上、巨人はもう……」

春香「じゃあ、早く脱出しないと!」

美希「うん。みんな、美希につかまって!」スッ



美希「行くよ…………テレポ!」バッ




…シーーン



美希「あれ? なんで?」

P「テレポが使えないのか……。仕方ない、もと来た道から脱出するしかないな」

伊織「はぁ……また延々歩くわけね」

千早「仕方ないわ。早く行きましょう」



ガラガラ…


ドサドサッ!



美希「あっ!」

春香「道が、瓦礫に…………」

千早「塞がれた…………」



…ドゴォン!



春香「ど、どうしましょう、プロデューサーさん!」

P「お、落ち着け! まずは瓦礫をどかして……」





「…………この時を待っていた」




春香「……えっ?」クルッ


ルビカンテ「邪魔者はいなくなったな」ゴオォ



伊織「赤い悪魔……? あんた、何のつもりよ?」



バルバリシア「ようやく、私たちの出番ね……!」ビュオォォ



美希「シアちゃん、ミキたち、早くここを出なきゃならないの!」



スカルミリョーネ「……お、お前たちとも、お別れ…だ……!」ゴゴゴ



春香「ど、どうしちゃったんですか、スーさん!」



カイナッツォ「最後くらい、派手に暴れさせてもらうぞ!」ザァァ



千早「ゴンザレスまで……。いったい何だっていうの?」



四天王「はああああああっ……!」ゴゴゴゴ



伊織「あんたたち、まさか……こんな時に裏切るつもり!?」

美希「ねえ、どうしちゃったの? シアちゃん!」

春香「四天王さん……?」

千早「所詮は、人間と魔物。分かり合えるはずがなかったっていう事なの……?」


ルビカンテ「火の力よ……!」


ボオオォォオオ!


バルバリシア「風の力よ……!」


ビュオオォォ…!


スカルミリョーネ「……つ、土の力…よ……!」


ボコボコボコッ!


カイナッツォ「水の力よ……!」


ザァァァァ…!



伊織「何なのよあいつら! この非常時に!」

美希「なんで……?」

千早「とにかく、今は脱出より先にあの人たちをどうにかしないと……!」

春香「………」



春香「……違う」

伊織「えっ……?」

千早「春香?」

春香「こんなの、間違ってる」

春香「四天王さんたちと戦うなんて、間違ってるよ!」ダッ

美希「あっ、春香!」


春香「ねえ、みなさん! 何かの間違いですよね?」

春香「みなさんみたいないい人たちが、最後に、こんな……!」




ルビカンテ「………」

ルビカンテ「そこをどけ、ハルカ」



春香「どきませんっ!」バッ



ルビカンテ「どけ、と言ってるんだ」ブンッ



春香「きゃっ!」ヨロッ


ドサッ!


千早「春香っ!」タタタ


伊織「あんたたち……今まで私たちを騙してたの……!?」



ルビカンテ「騙してた……か。それも間違いではないのかもな」

バルバリシア「でも、勘違いしないで。私たちはあなたたちと戦うつもりじゃないの」

スカルミリョーネ「……あ、穴を、開け…る……」

カイナッツォ「私たちがお前たちの脱出口を作ってやろうというんだ。感謝するがいい!」



春香「脱出…口……?」



四天王「反する四元の力たちよ、ここに結び合いて、光となれ!!!」



四天王「エレメント・バースト!!!」



ゴオオオォォォォオオオ!!



カッーーーー!!



春香「す、すごい……!」

千早「光の、筋が……」

美希「とっても、キラキラしてるの……!」

伊織「あいつら、こんな力を持ってたなんて……」

P(こんな技、ゲームにはない。でも……)

P(四元素が合わさるって……もしかしてこれは、春香たちの影響なんじゃ……?)




ドゴオオォォォォ…ン!!



ヒュゥゥ…



伊織「壁に……!」

春香「穴が……!」

美希「空いたの!」



ルビカンテ「……道は通じた」

バルバリシア「さあ、いきなさい、人間たち」

スカルミリョーネ「……お、お前たちの行く道は、光溢れてい…る……」

カイナッツォ「光の戦士たち。出会えた事に、感謝しよう……」

























カイナッツォ「…………って、なんだこの歯の浮くようなセリフはっ!?」

ルビカンテ「ん? 俺が考えたんだが、お気に召さなかったか?」

バルバリシア「あら、いいじゃない。私は好きだけど」

スカルミリョーネ「……る、ルビカンテ、中2くさ…い……」

カイナッツォ「こんなセリフ、恥ずかしくて言ってられるかっ!」

バルバリシア「その割には、結構ノリノリに見えたけど?」

カイナッツォ「う、うるさいっ!」カァァ


春香「え、えーっと……?」

美希「え、何? 今のってドッキリ?」

千早「どういう事なの……?」

やよい「……すぅ、すぅ……」

伊織「ちょっとあんたたち、説明しなさいよ!」



ルビカンテ「だから言っただろう? 道は通じた、と」

ルビカンテ「制御システムをダウンさせれば、巨人の機能がストップし、退路が塞がれる事は予想がついていた」

バルバリシア「だから、私たちがあなたたちの逃げ道を作ったってわけ」

スカルミリョーネ「……れ、練習では失敗してばかりだったけど、うまくいって良かっ…た……」

カイナッツォ「お前たち人間を見習い、我々も力を合わせた、という事だ!」



春香「みなさんっ……!」ジーン

千早「そういう事だったのね」

伊織「……もう。それならそうと早く言いなさいよね。まったく」

美希「あは☆ みーんな、仲良しさんなんだね!」


ルビカンテ「仲間と力を合わせる事。それを教えてくれたのは、お前たちだ」

ルビカンテ「だからこれは、せめてもの礼だ」




春香「ルビカンテさん!」


春香「あの時の答え、出たんですね?」



『リツコ様は、オレにも「仲間」というものが理解できれば、まだ強くなれると言った』

『オレにはまだ「仲間」というものがわからないが……』

『お前は………その答えを持っている』

『そんな気がしたんだ』



ルビカンテ「ふ……。さあ、な」



バルバリシア「さあ、リツコ様たちが待ってるんでしょう? 早く行きなさい」

バルバリシア「早くしないと、ここも危ないわ」



春香「そ、そうだった!」

春香「みんな、行こう!」

千早「ええ」

やよい「……zzz」

伊織「はー、やっと帰れるわね……」

美希「……レビテト!」


…フワッ


伊織「じゃあね、赤い悪魔」

ルビカンテ「ああ」

美希「ばいばい、シアちゃん!」

バルバリシア「さようなら、ミキ」

春香「スーさん、いろいろありがとうございました!」

スカルミリョーネ「……た、達者で…な……」

千早「ゴンザレス……強く生きるのよ」

カイナッツォ「だから私はゴンザレスではないっ!!」





アイドルたち「さようならーーー!!!」





ビューーーーン…





とりあえず巨人編はこれで終了ですが、月へ行くには、あとちょっとだけかかります
近いうちにまた投下します

ー 月の地下中心核 ー



小鳥「………」

小鳥「………」

小鳥「………」

小鳥「…………うん。上出来よ」



小鳥「蛇君たち……お疲れ様。ゆっくり休んでね」

小鳥「もうあの子たちとのリンクは切って、と」



小鳥「やっと、ここまで来たのね……」

小鳥「ついにみんなも、私の四天王の子たちを超えるほどになった」

小鳥「こちらも、『準備』を急がないといけないわね」

小鳥「みんなに最高のおもてなしができるように」

小鳥「さて、親衛隊の訓練の方はどうなってるかなー」

スタスタ…


…ガチャ


ー 月の地下中心核 訓練場 ー


クルーヤ「はいみんな頑張ってー」

クルーヤ「この足運びを身に付ければ、一人前のあいどるに近づけるってコトリさんが言ってたからね!」

クルーヤ「はいワンツー、ワンツー……」



タタッ… タッ…

キュッ… キュキュッ…



レッドドラゴン「よっ、ふっ……! なんだ、こんなの簡単じゃねーか!」タタン

プリンプリンセス「足運びは踊りの基礎。踊りでわたくしに敵う者などいなくてよ!」クルッ スタッ

月の女神「あはは! これ、結構楽しーかもっ!」タンッ タタン

ベヒーモス「元レディースのヘッドの身のこなしを舐めるんじゃないよっ!」タッ タンッ



小鳥(……ふむふむ。あの4人はなかなか才能がありそうねー。飲み込みが早いわぁ)

小鳥(対して……)チラ



リルマーダー「よっ、とっ…………あ、あれ?」ヨタヨタ

暗黒魔道士「っ……」オドオド

魔人兵「ほ、ほ、ほ……」ガシャン ガシャン



小鳥(この3人はダンスは苦手みたいね。ま、得手不得手があるのは仕方ないか)

小鳥(あとは……)チラ



ブルードラゴン「………」ボーッ



小鳥(全くやろうとしない人と……)



銀竜「兄者……我は悔しいぞ!」

金竜「堪えろ、銀竜。我々には足が無いのだっ……!」



小鳥(やりたくてもできない人、か)

小鳥(基礎の段階でこれじゃ、形になるまで時間かかりそうね)

小鳥(うーん、やっぱりちょっと無謀だったかなー)



ーーーーーー

ーーー

ー 回想 ー



小鳥「えー…………と、いうわけで」


小鳥「今から私が、みなさんを鍛えます!」ドーン



月の女神「え〜!そんな事よりもっと楽しい事しようよ〜!」

暗黒魔道士「………」オロオロ

レッドドラゴン「ま、何もしないのも退屈だしな!」

リルマーダー「へへ、オイラ、どんな辛い修行だって、耐えてみせるぞ!」

金龍「腕が鳴るぞ!」

銀龍「だが兄者、我らには腕など無いようだ!」

ブルードラゴン「………」

プリンプリンセス「コトリ様の仰せのままに!」

魔人兵「ま、仕事だから仕方ないよな」

ベヒーモス「……で、コトリ様。アタイたちに何をやらせようってんだい?」



小鳥「ずばり、レッスンです!」ビシッ



魔物たち「れっすん……?」



小鳥「ええ、そうよ」

小鳥「これから私が、あなたたちを一人前のアイドルにするためにビシバシ鍛えますから、覚悟してね?」



ざわざわ…

「コトリ様直々に……」

「どんな訓練なんだろう……」

「あいどるってなんだ……?」



クルーヤ(あいどる……)

ダークバハムート(コトリのやろうとしている『れっすん』とやらを見ていれば、あいどるとは何かを知る事ができるかもしれぬな……)


小鳥「で、さすがに私ひとりでみんなを見るのは厳しいので、クルーヤさんとバハムートさんにもお手伝いをお願いしたいと思います」

クルーヤ「えっ? でも、僕もバハムートも、あいどるなんて全然わかんないし……手助けにはなれないんじゃないかなぁ」

小鳥「いいえ。たぶんお2人なら大丈夫だと思うんです。私の言う通りにやってもらえればいいですから」

ダークバハムート「良かろう。コトリよ、そなたの言う通りにしよう」

クルーヤ「……ま、バハムートがやるなら、僕もやるしかないかぁ。コトリさん、フォローはよろしくね!」

小鳥「ありがとうございます、お2人とも!」




小鳥「じゃあみんな、景気付けに円陣組みましょう。さ、輪になって」



ゾロゾロ…



小鳥「じゃ、行くわよ?」

小鳥「コトリ親衛隊、ファイトーーーー!!」



魔物たち「めざせ、トップアイドルーーー!!!!」


ーーーーーー

ーーー



小鳥「……ま、なんとかなるわよね?」




クルーヤ「はいワンツー、ワンツー……」

クルーヤ「ほらそこ、タイミングずれてるよー」




小鳥(蛇君たちのプロデュースはもうできないけど、今度はこの子たちをプロデュースするわ)

小鳥(そして、私のプロデュースしたアイドルたちとプロデューサーさんがプロデュースしたアイドルたちが、この、月の地下渓谷で戦うの)

小鳥(うふふ、素敵〜♪ )

小鳥(感動のフィナーレはもちろん……)


ダークバハムート「コトリよ」


小鳥「うひゃあ!!?」ビクッ

ダークバハムート「む? また妄想中だったか。すまぬな」

小鳥「あ、い、いえ……」

小鳥(いかん、また集中し過ぎたか……)

小鳥「ど、どうしたんです?」

ダークバハムート「ひとつ、尋ねたい事があってな」

小鳥「はい、なんでしょう?」

ダークバハムート「お主、此奴らをあいどるにする、と言っていたが、あいどるとはそう簡単になれるものなのか?」

小鳥「うーん……」

小鳥「簡単ではないですね。それに、誰でもなれるわけでもないですし」

ダークバハムート「では、此奴らにはあいどるの素質があると?」

小鳥「素質でアイドルになる人もいれば、努力でアイドルになる人もいるんです」

小鳥「あの子たちは……正直、まだわかりませんね」

小鳥「でも、導いてみせますよ、みんなを」

小鳥「それが私の使命ですから!」

小鳥(そして、プロデューサーさんと結ばれるのは、私ですから!)


ダークバハムート「……決めたぞ」

ダークバハムート「我も、あいどるになろう」

小鳥「わあ、頼もしいです! そのいきですよ、バハムートさん!」

小鳥「ビシバシ行きますからね!」

ダークバハムート「うむ。頼むぞ」

ー 飛空艇 ファルコン号 ー


ババババババ…



技師2「……ん? あれは……」

技師1「……見えました! トロイア城です!」


長老「ふむ。到着か」

店主「はー……。ようやく帰ってこれたなぁ」

ミニ助「長く、辛い戦いだった。が、結果はボクらの勝利だ。大手を振っての凱旋だな」

ピョン吉「まあ、ほとんどはヒビキさんたちの活躍のおかげなんだけどね」

ブタ美「ヒビキさん、大丈夫かな……」

ものまね士「大丈夫ですよ。グッスリ寝てるだけですから」

響「……zzz」



亜美「でも、はるるんたちがいきなり空から降ってきた時はビビったよ、ホント」

長老「うまい具合に合流できたのは僥倖じゃったのう」

長老「今はみんな、疲れて眠ってしまっておるが」

亜美「だいじょーぶなんだよね? はるるんたち」

長老「心配ない。ワシは白魔法の方が得意じゃ」

店主「……本当に巨人を倒しちまったんだなぁ、ハルカたち」

店主「すごいヤツらだとは思ってたけど……なんか、ホントすごいヤツらだな」

ものまね士「ふふふ。すごいしか言ってないじゃないですか」

店主「いや、だってよ。それしか思いつかないんだよ」

亜美「ま、亜美たちはアイドルだかんね! アイドルにフカノウはないんだよ?」

店主「あいどる、かぁ」

ものまね士「すごいんですね、あいどるって」

亜美「うん、すごいんだよホント。歌って、踊って、キラキラしてさ」

亜美「みんなで楽しくすごす時間が、台風みたくガーってやって来て、気づいたらシーンってなってて」

亜美「でも、歌い終わったあとは、空が晴れたみたいにスッキリしてさ」

亜美「なんか、そーゆーカンジ?」

店主「……ん〜、わかるようなわからないような」

ものまね士「吟遊詩人や踊り子も兼ねてるんですかぁ。見てみたいな、皆さんの歌や踊り」

亜美「あ、いいね、それ! 亜美もライブやりたい! みんなにソウダンしてみよっかなー」

長老(あいどる、か)

長老(この戦いは『あいどる大戦』とでも名付けて、後世まで語り継ぐとするかの)



技師1「間も無く着陸しまーす!」


ー ドワーフ戦車 ー


キュルキュルキュル…


ジオット「アン殿、城まではあとどのくらいかな」

アン「ええと……もうそろそろ見えて来ると思いますが……」

ジオット「我が戦車の燃料も装甲も、ここまで持った事は奇跡だな」

アン「申し訳ありません。このような事態になってしまって」

ジオット「いや、すまぬ。アン殿を責めているわけではないのだ」

老婆「奇跡、ねぇ」

老婆「本当に巨人を倒しちまうとはね。いやはや、大した娘たちだ」

ルカ「お婆様。みんなの力、ですよ!」

老婆「……そうだね、ルカ。みんなの気持ちがひとつになったからこそ、成し遂げられた」

老婆「ところで小娘。城に帰ったらどうするんだい? やる事はたくさんあるんだろう?」

アン「そうですね。今の今まで妹たちに任せきりでしたし」

アン「国土の拡大、開拓。引き続き生存者の回収。医療設備や住居の増設に、難民への対応……ああでも、その前に現状を把握しなくては」

トロア「姉上。奥方殿がおっしゃっているのはその事ではないのでは?」

トロア「この戦いに多大な貢献を果たした『彼女たち」の処遇についてだと思いますが」

アン「ああ……」

老婆「何か考えがあるのかい?」

アン「うふふ。あいどるの方々には、もちろん相応の対処をさせていただきます」

ユキコ「あ、あのっ!」

ユキコ「私も、何かお手伝いさせてください! 私じゃ、役に立たないかもしれませんけど……」

ルカ「もちろん私も手伝いますよ!」

アン「そうですね。お願いしますわ!」


真「……zzz」

シルフ「……zzz」

雪歩「ふふっ。シルフちゃん、真ちゃんにべったりだね」

雪歩「お人形さんみたいで可愛いなぁ」

真美「まー、口を開くとなかなかドクゼツだけどねー」



雪歩「………」

雪歩「終わった……んだよね?」

真美「全部じゃないけど……地球編はもう終了ってカンジじゃないかな?」

真美「あとは、月に行って、ピヨちゃんに会って……」

雪歩「……うん。でも、今は、ちょっとだけお休みしたいかも」

真美「だよねー。真美たち、もう何時間寝てないんだって話だよー」




「…………おーーーーい!!」




真美「……ん?」

雪歩「今何か……」




律子「……そこの戦車、止まって〜〜!!」




雪歩「あっ、あれって……!」

真美「りっちゃんじゃん! それにお姫ちんにあずさお姉ちゃん! ……と、あと知らないじーちゃん」


真美「おーい、ドワーフのおっちゃん! ちょっとストップー!」

………………

………



律子「……はぁ、助かったわ……」


真美「なんでりっちゃんたち、そんなにボロボロなの?」

貴音「あずさいずが、反乱を起こしたのです」

雪歩「あ、アズサイズ、ですか……?」

あずさ「私の操縦が良くなかったのかしらねぇ……」

律子「いえ、きっとあずささんのせいじゃありませんよ」

真美「何があったの?」

律子「私たちが乗ってた巨人が、いきなり動かなくなったのよ」

律子「おかしいなって思ってたら、今度は爆発するし……」

雪歩「そ、それは……大変だったんですねぇ」

真美「あ、そっか。たぶん、はるるんたちがホンモノの巨人を壊したから……」

律子「ええ。恐らく、連動する形でこっちの巨人も機能停止したんでしょうね」

律子「まったく、散々な目に遭ったわ」

貴音「……ともあれ、作戦は成功したようですね」

真美「だね! さすがはるるんたち!」

雪歩「みんな無事で、本当に良かったですぅ」

あずさ「安心したら、ちょっと眠くなっちゃったわね」

真美「うんうん。それに、おなかもすいたし、シャワーも浴びたいし……」

律子「トロイアに戻ったら、少し休みましょうか」

ー トロイア城 謁見の間 ー



アン「本当に……」

アン「本当に皆さん、よく戦ってくれました!」

アン「誰ひとり欠ける事なく、こうしてまた皆さんにお会いできた事を、心より嬉しく思います」

アン「特に、あいどるの方々。あなた方は、身の危険も恐れず、利益も求めず、ただ、正義の名の元に悪を打ち破ってくださいました」

アン「英雄とは、まさにあなた方あいどるのためにある言葉」

アン「あなた方の戦い、そしてかけがえのない『絆』は、生涯この国に伝えられてゆく事でしょう」



アン「……もう一度、この国を代表してお礼申し上げます」

アン「本当に、ありがとうございました!」ペコリ



春香「えへへ、なんだか照れちゃうなぁ」

千早「まだ、全てが終わったわけではないけどね」

伊織「でも、さすがにこれで地球の平和は安泰かしらね」

亜美「んっふっふ〜! これも全て大魔道士亜美のカツヤクがあればこそ!」

真美「いやいや、この超大魔道士真美のおかげに決まってるっしょー!」

貴音「勧善懲悪。正義が勝つのは、必然なのです」

響「うぅ……起きたら全部終わってて、自分、何がなんだかさっぱりだぞ……」

真「ボクもだよ。はぁ……なんか損した気分……」

雪歩「だ、大丈夫だよ。真ちゃんも響ちゃんも、すごかったと思うよ?」

あずさ「うふふ。やっぱり平和が一番ね〜」ニコニコ

やよい「はい! 平和が一番です!」ニコッ

美希「ん〜、ミキは、ハニーの言う通りにしただけなの。……あふぅ」

律子「そうね。私たちの目的が、たまたまこの世界の平和と繋がったってだけなのかも」


アン「それで、なんですが」

アン「我が国の誇りにかけて、あなた方に是非お礼をさせていただきたいのです」

春香「ええっ!? い、いいですよぅ、別に……」

アン「いえ、ですが、それではこちらの気が収まりません」

春香「ええ〜……」

春香「どうしよう、千早ちゃん」

千早「私は、何でもいいわ」

春香「……うん、言うと思ったよ」

亜美「はるるーん。何かもらえるんだったらもらっとこーよ!」

真美「そーだよ。せっかくのコウイを無にするのもシツレーっしょ!」

律子「春香、どうするかはあなたが決めてね」

春香「わ、わかりました」

春香「うーん……」

貴音「………」グゥゥ

春香「ええと……」

貴音「………」グゥゥ

春香「何かあるかなぁ……」

貴音「………」グゥゥ


春香「………」チラ

貴音「………」


貴音「すみません」

春香「あはは……ガマンできなかったんですね?」

貴音「恥ずかしながら」



春香「すみません、アンさん。何か食べ物をもらえたらありがたいなーと……」

アン「あら。それは当たり前の事として用意させていただいてますよ?」

アン「食事だけでなく、衣食住全てこちらでお世話させていただきます」

アン「あなた方には、何日でも何ヶ月でもこの国に滞在していただきたいと思ってますから」

春香「そ、そうなんですか……。なんかすごい扱いだなぁ」

千早「でも、そんなにこの国にいる暇は無いと思うわ」

春香「そう、だよね」



アン「他には何かありませんか? 金銀や名誉勲章など、何でも欲しいものをおっしゃってください」

春香「いや、別にそういうのは特に……」

春香「あっ……」

春香「すみません。じゃあ、ひとつだけお願いがあるんですけど……」

アン「はい。何なりと」

春香「多分、これに関してはみんな満場一致だと思うんだけど……」




春香「おフロ、貸してもらえますか?」


ー トロイア城 大浴場 ー



春香「わぁぁ……!」

やよい「広いですー……!」

伊織「ふぅん……」キョロキョロ

雪歩(おフロ、かぁ。なんだか久しぶりな気がするよ……)



チャポン…


春香「ふぅ……気持ちい〜♪ 」

伊織「当たり前だけど、やっぱりシャワーとかは無いのね」

春香「仕方ないよ。ゲームの世界だもん」

雪歩「でも、こういうのもなんだか風情があって好きだなぁ」

伊織「ま、悪くはないかもね」



やよい「うっうー! 高槻やよい、行っきまーすっ!」

ザボーン!

バシャバシャ…



春香「あははっ、やよいったらまた泳いでる」

雪歩「なんだか、ダムシアンのおフロを思い出すね」

春香「うん! あそこのおフロも良かったよねー!」

伊織「ダムシアン……雪歩の国、だったかしら?」

雪歩「……今はもう、なくなっちゃったけど……」

伊織「……そうだったわね

雪歩「あ、でも確か、伊織ちゃんのお城も……」

伊織「………」

雪歩「あっ……ご、ごめんなさい……」

伊織「………」

雪歩「………」

春香「ふ、2人とも、元気出そ。ね?」


チャプン…


雪歩「ねえ、春香ちゃん」

春香「ん? なぁに?」

雪歩「あの時ダムシアンのおフロでさ、頑張ろうねって話、してたよね?」

春香「そうだね。あの時は、私と雪歩とやよいの3人しかいなかったんだっけ」

伊織「………」

雪歩「本当に、みんな集まったね。……小鳥さん以外、だけど」

雪歩「正直言うと私、あの時はまだ、みんなでまた笑い合えるなんて想像できなくて……」

雪歩「全部、春香ちゃんのおかげだよ。ありがとう、春香ちゃん!」

春香「そ、そんな、私なんて全然……」

春香「…………うん。これはやっぱり、みんなのおかげだと思う」

春香「私たち一人ひとりが諦めなかったから、私たちはまた、こうしてみんなで集まる事ができた」

雪歩「そっか……」

雪歩「うん、そうだね!」

伊織「にひひっ♪ 雪歩もなかなか前向きな考え方ができるようになったじゃない?」

雪歩「あ、あぅ……///」



バシャーン!


やよい「……っぷはぁ!」

やよい「高槻選手、一着でゴールです! いぇいっ!」ブイッ



伊織「ふふ、やよいは元気ね」

やよい「えへへ、みんなでおフロなんて、なかなかないかなーって」ニコッ

伊織「まあ、そうね」


やよい「それにしてもー……」チラ

やよい「やっぱり雪歩さんのお肌って、キレイですよねー」

やよい「真っ白で、本当の雪みたいかなーって」

雪歩「そ、そんな事ないよぉ……」

雪歩(……あれ? なんか、デジャヴ?)

やよい「さわっても、いいですかー?」

雪歩「や、ちょっと、恥ずかしいかなっ……」バシャバシャ

やよい「あ、雪歩さん待ってくださいー!」バシャバシャ

伊織「やよい、手伝うわ!」バシャバシャ

雪歩「ふ、2人とも、恐いよぅ!」


春香「………」

春香(こんなやり取り、前にもあったね)

春香(なんだかもう、遠い昔の事みたいで、不思議だなぁ)


…バシャッ

千早「ふぅ……」



千早「………」スッ

千早「………」ゴシゴシ

千早(まともにおフロに入ったのなんて、いつ以来かしら)

千早(やっぱり、気持ちいいわね)



4位「わたっしのめがね♪ ふふんふ〜ふふ〜ん♪ 」ゴシゴシ

4位「……あら?石鹸がどこかに行っちゃったわ」キョロキョロ

1位「あ、律子さん。こっちにありますよ〜」ドタプーン

4位「あ、ありがとうございます」プルンッ

千早「………」ゴシゴシ

千早(……ふふ。こんな包囲網くらいでヘコむ私じゃないわ)

千早(もう、以前の私とは違うのよ)


ヒタヒタ…


3位「あー、千早さんなの!」

3位「ねえねえ千早さん、ミキが背中流してあげるね?」

千早「い、いえ、私は別に……」

千早(ゆ、油断した……さらに包囲網が……!)

3位「も〜、ミキと千早さんの仲でエンリョしちゃヤ、なの☆」ブルンッ

2位「わたくしも手伝いますよ、美希。2人で洗う方が効率的でしょう」ボヨンッ

2位「それに千早は、此度の戦いの立役者。労うのが仲間というものです」ニコッ

3位「うん、そうだね! 千早さん、くすぐったかったりしたら言ってね?」ゴシゴシ

千早「え、ええ……」

千早(なぜ、上から順に私の周りに……)



千早「…………くっ」ズーン


響「うわぁ、広いぞー!」

真「ホントだ……! なんかホテルのおフロみたいだね!」

響「これだけ広いと、ただ普通に入るだけじゃもったいない気がするなぁ」



響「ねえねえ真。どっちが向こうまで速く泳げるか、競争しない?」

真「いや、気持ちはわかるけど……おフロってそういう場所じゃないだろ? みんなに迷惑になるし」

響「うーん、そっか」

響「あ、じゃあ、潜水勝負ってのはどうだ?」

真「潜水かぁ。うん。それならいいよ!」

響「ふふーん! うちなーんちゅの潜水力、見せてやるぞ!」

真「へへっ! ボクだって、この世界でたくさん修行したんだからね! 負けないよ!」

響「よーし、じゃあ行っくぞ〜!」


響・真「せーーーのっ!!」


ザブーン!!




春香「……はー、極楽〜♪ 」

雪歩「あれ、そういえば……」キョロキョロ

春香「どうかした?」

雪歩「うん。亜美ちゃんと真美ちゃんを見ないなぁと思って」

伊織「おかしいわね。あの2人なら、こういうとこは真っ先に来てはしゃぐと思うんだけど……」

やよい「あ、そーいえば亜美と真美、忘れものを取りに行くって言ってましたよ?」

春香「忘れもの……なんだろ?」

伊織「何か企んでるのかしら」

雪歩「考え過ぎじゃないかな?」

春香「いや、なんとなーく、私も何かあるような気がするなぁ」



やよい「あ、それよりも雪歩さん!」

雪歩「な、何かな?」

やよい「お肌、さわらせてくださーい!」バシャバシャ

雪歩「はぅ〜! やよいちゃんが恐いですぅ〜!」バシャバシャ


アハハッ…

バシャバシャッ…

ヒィーン! ウマッテマスー!




亜美「んっふっふ〜♪ みんな、いいカンジにはしゃいでんね!」

亜美「この楽園が、すぐにビバ教官の地獄絵図になるとも知らずに……」

真美「ねえ亜美、やっぱやめない?」

亜美「えぇ〜! ここまで来てビビったの?真美」

亜美「これは前から2人で計画してたことじゃんかー」

真美「そ、そーだけどさ。やっぱりその……はずかしーってゆーか……」モジモジ

亜美「そんなのみんな同じだって! 気にしてたらキリないよ?」

真美「う、うん……」

亜美「さあ、行こう。我々の持つこのバクダンで、パラダイスにカクメーをもたらすのだ!」スッ

ガサガサッ

真美「う〜、ちかたない。こうなったら、真美も女になるカクゴを決めるしかないか!」

亜美「おっ! さすが我が姉! 勇気りんりんだね!」



亜美「では行くぞ、同志よ!」

真美「OK、ボス!」

タタタタ…


亜美「へーい! れでぃーすえーん、じぇんとるめーん! 楽しんでるかーい?」

真美「プリティ・エンジェル、アミ&マミの登場だぜっ!」


やよい「あっ、亜美、真美! やっと来たんだー」

春香「もう、待ってたんだよ?」

伊織「あんたたち、ここにはレディースはいても、ジェントルマンは一人もいないわよ」

亜美「お、さっすがいおりん、いいとこに気づいたね!」

真美「実は……いるんだよね、じぇんとるめーんが一人だけ!」

伊織「……は?」

雪歩(っていうか亜美ちゃん、手に何持ってるんだろう……?)

亜美「それでは紹介しよう。今日のゴキゲンなゲストは〜……」

亜美「こいつだぁっ!」

バサッ…



「〜〜! 〜〜!」ジタバタ




やよい「あっ、べろちょろ……」



春香「あれっ……? っていう事はあれは……」



春香・伊織・雪歩「ぷ、プロデューサー(さん)っ!!?」



P「モゴ〜〜!!」ジタバタ



伊織「あっ……あんた達! 何持って……いや、連れて来てんのよっ!?」

春香「そ、そうだよ! いくらなんでもやり過ぎでしょ!」

亜美「心配ないって! ちゃーんと目かくしはしてあるからさ!」

雪歩「そ、そういう問題じゃないんじゃ……」

真美「でも、さすがにかわいそーだから、口のやつは外してあげよっか」

スルッ…

P「……っぷは!」

P「お、おい亜美、真美! どこに連れて来たんだよ!? まったく、俺が動けないと思って無茶して……」


チャプン…


P「……あれ、水の音? っていうか、この石鹸の香りはまさか……!」

亜美「うん、せーかい! ここはお城のおフロだよん!」

P「え? フロ? な、なんで……?」

伊織「この変態っ!」バシャッ

P「ぅわぷっ!?」

春香「ぷ、プロデューサーさん、セクハラですよ、セクハラっ!」

雪歩「うぅ〜! 恥ずかしいですぅ〜……///」

やよい「プロデューサーもおフロですか?」

P「こ、この声 ……まさか、みんないるのか!?」

真美「そーだよ。みんなでおフロ入るのに、兄ちゃんだけ仲間はずれはかわいそーだと思って」

亜美「765プロの合言葉は『団結』っしょ? だから何にも問題ないよね?」

P「いやいやいや、問題あり過ぎだろ!」


P(巨人戦がようやく落ち着いて安心してたら……なぜこんな事に?)

P(やばい、やばいぞこの事態は!)

P(まあ、俺はべろちょろだし目かくしもされてるから、何も間違いは起きないとは思うけど……)

P(……俺、今、この世界へ来てから最大のピンチなんじゃないか?)




亜美「でも、まだこれじゃダメだよね。だって兄ちゃんの背中流してあげらんないもん」

真美「……///」

亜美「だからここは、亜美の魔法で……」

伊織「え? 背中流す? ちょっと亜美、どういう事か説明……」

春香「あ、亜美、ダメ! それはさすがにシャレにならな……」



亜美「……トード!」バッ


…ボンッ


伊織「しなさ………………あ」

春香「いから……って……」

雪歩「はぅっ……///」ボッ

やよい「はわっ!? プロデューサーが人間に!」




ズルッ

P「………………あ、目隠しのタオルがズレた……」





亜美「さ、これで兄ちゃんの背中流してあげられるね!」





春香・伊織・雪歩「…………きゃあああああああああっっっ!!!」



美希「〜〜♪ 」ゴシゴシ

貴音「千早の肌は、とても綺麗ですね」ゴシゴシ

千早「そ、そんなは事ない、です……///」

千早(この拷問はいつまで続くのかしら……)

千早(いえ、2人の優しさだというのはわかっているのだけど……)




イヤァーー!!

コノヘンタイ! ドヘンタイ!

ウワァ!? ツチノコガマエヨリセイチョーシテルー!?




千早「……ん?」

美希「なんかにぎやかだねー」ゴシゴシ

貴音「ふふ。皆で入浴など滅多にない機会ですから、気分が高揚しているのでしょう」ゴシゴシ

あずさ「うふふ、みんな楽しそうねぇ」

律子「もう、あの子たちったら。他に誰もいないからいいものの……」

律子「ちょっと注意して来ようかしら」スクッ

スタスタ…



美希「……はい、終わりなの!」

千早「あ……ありがとう。美希、四条さん」

貴音「礼には及びません。これが本当のすきんしっぷ、というものでしょう」ニコッ

美希「ねえ千早さん。ついでに前も洗ってあげよっか?」

千早「えっ、遠慮しておきますっ!」カァァ

美希「ちぇー、つまんないの」




アンタタチー! イイカゲンニ…

…ッテ、ギャァーーー!!




貴音「おや? 今度は律子嬢の悲鳴が……」

あずさ「あらあら、律子さんまで楽しんでいるのね〜」

千早「律子が悲鳴上げるなんて……何かあったのかしら?」

美希「…………はっ!」ビクッ

美希「この気配は!」バッ

千早「美希? どうしたの?」


ザバァッ!!


響「……ぷはっ!」

真「……ぷはぁ!」


響「今のは自分の方が長かったな!」

真「いいや、響の方がちょっと先に顔上げたよ、絶対!」


ボオオォォオオ!


響「うわぁっ!?」バシャッ

真「わわっ!」バシャッ

響「な、なんでおフロに火が……?」

真「さ、さあ?」




伊織「死ね! 死ね! あんたなんか焼け死んじゃえっ!」

伊織「火遁! 火遁! 火遁〜〜!」

ボオオォォオオ!

P「わっ! ちょ、ちょっと落ち着け伊織! 危ないって!」

亜美「いけいけいおりーん!」

真美「うわー、兄ちゃんへーきかなぁ」

春香「い、伊織待って! おフロで火なんか出したら危な……」

春香「……って、きゃあっ!?」ズルッ

ドンガラザッパァーン!!

雪歩「は、春香ちゃん大丈夫!?」

やよい「プロデューサー、わたし、お背中流しますよー!」

美希「だ、ダメ! それだけはやよいでも譲れないの!」

千早「あ、だったら私は高槻さんの背中を……」

律子「」ブクブク



貴音「……まさに、混沌としていますね」

あずさ「うふふっ♪ 私も混ざって来ようかしら〜?」




真「…………ねえ、響。いったい何が起こってるのかなぁ……?」

響「自分にもサッパリわかんないぞ……」

ー トロイア城 客室1 ー


律子「…………と、いうわけで、罰として亜美はこの国にいる間はトード禁止! それ以外の魔法も控える事! 真美もよ! わかった!?」

真美「え〜? でも、それじゃ兄ちゃん持ち運ぶの不便になるじゃん」

亜美「そーだよ。亜美がいないと兄ちゃんは変身できないんだよ?」

律子「わ・か・っ・た・か・し・ら?」ゴゴゴゴ

亜美・真美「い、イエッサー!!」

亜美(くっ……すげえ暗黒闘気だ……!)

真美(味方とは思えない殺気だぜ……!)


律子「プロデューサーの運搬云々は、まあ、人型ならとりあえずは問題無いでしょ」

亜美(なんか、兄ちゃんの扱いが……)

真美(うん。もう普通の人間のそれじゃないよね……)



律子「まったく、久々の再会だっていうのに怒らせないでよ……」

亜美「ごめんねりっちゃん」

真美「ごめんなさーい」

律子「………」

律子「ま、反省してるようだから、ここらへんでやめておくわ」

亜美「……えへへっ♪ 」

律子「な、何よ?」

真美「いや〜、こうしてりっちゃんに怒鳴られるのも久しぶりだなーって」

律子「確かにそうねぇ」

亜美「りっちゃ〜ん!」ダキッ

真美「会いたかったよりっちゃ〜ん!」ダキッ

律子「こ、こら、離れなさいって!」


P「………」

P(結局、お風呂の事件は亜美真美が全ての責任を被り(当たり前だが)、2人には久々の律子の雷が落ちた)

P(伊織の火遁で風呂場が損傷しているかもと心配したけど、意外にも無傷だった。案外、伊織が加減してくれたのかもしれない)

P(ケガ人も出なかったし、まあ良かったんだけど……)

P「………」チラ



P「……なあ、律子」

律子「……ななな、なんですか、プロデューサー?」ビクッ

P「いや、なんかすまなかったなぁと思って」

律子「き、気にしないでください! べ、別にあんなの見たくらいで私……あっ」

律子「〜〜っ!」カァァ

P(律子は何かを見てショックを受けたみたいだ)

P(なんか、俺もちょっとショックかも)



P「ところで、みんなは今何をしてるんだ?」

律子「あ、はい。しばらくしたら夕食らしいので、春香、やよい、あずささんは厨房に手伝いに行ってます」

律子「響はファルコン号のメンテナンス。真、雪歩は響の手伝いに」

律子「他のメンバーはちょっとわかりませんね。美希はたぶん隣の部屋で寝てると思いますけど」

律子「夕食の時間は伝えてあるので、その頃にはみんな集まるでしょう」

P「そっか。ありがとう」

律子「プロデューサーは食事までどうするんです?」

P「とりあえずまた人間になれた事だし、ちょっと話をしに行って来ようと思ってる」

律子「話って……誰のところに?」

真美「あ、ひょっとして兄ちゃん、長老っちのところに行くの?」

P「うん。巨人と戦う前にさ、長老に『話したい事がある』って言われてたのを思い出してな」

律子「長老って……ああ、例の、プロデューサー殿の姿が見えるっていう?」

P「数少ない、この世界での俺の友人だよ」

P「律子も来るか?」

律子「え? いいんですか?」

P「もちろん。律子にも話を聞いておいてもらいたいし」

律子「わかりました。じゃあ、お供しますね」


亜美「……ねえねえ兄ちゃん。今後の事って、もしかして魔導船の事かな?」

P「ああ……いや、どうかな。魔導船はもう手に入ったわけだし。何か別の事なんじゃないかな」

P「……あれ? そういえば魔導船って今どこにあるんだっけ?」

律子「ありませんよ?」

P「…………は?」

律子「響から聞いてないですか? 私と貴音でバブイルの塔にあった魔導船を動かそうとしてる時に、巨人に襲われたんです」

P「それは聞いたけど……。じゃあ、魔導船は……」

律子「そのまま大破、です。動力源であるクリスタルも粉々になってしまったし……」

P「そ、そうなのか?」

律子「てっきりプロデューサー殿はこの事、知ってるものだとばかり……」

P(まずいな……。月へ行く手段が無くなった)

律子「すみません。私のせいで……」

P「ああ、すまん。律子も貴音も悪くないよ。いきなり巨人に不意打ちされたんだ。誰が相手しても勝てなかっただろ」

律子「あの、他に月へ行く手段は無いんですか? 例えば、次元エレベータとか」

P「次元エレベータか……。一応試してみる価値はあるかもな」

亜美「っていうかさ。真美とも話したんだけど、そもそも魔導船ってそんなカンタンに壊れちゃうもんなの?」

P「え?」

真美「ほら、普通、RPGの重要アイテムとかってさ、絶対なくならないようになってるじゃん? だから、変だねーって2人で言ってたんだー」

P「ん……言われてみれば確かにそうだな」

P「けど、だったらあの魔導船はなんなんだ?」


律子「じゃあ、乗って来た本人に聞いてみます?」

P「乗って来た本人? ……ああ、貴音か。うん、貴音なら何か知ってるかもしれないな」

P「……って、どうした、2人とも?」

亜美「んー……」ショボショボ

真美「ゴメン、兄ちゃん、りっちゃん。真美たち、ちょっと眠いかも……ふわぁ」

律子「……そうよね。あんなに長い戦いがあったばかりだもの」

律子「あんたたちは夕食まで少し休んでなさい。この部屋のベッド使っていいから」

亜美・真美「うん。わかったー」

ノソノソ…



P(そっか……そうだよな。みんな疲れてるんだ)

P(何も今すぐ行動を起こさなきゃいけないわけじゃない。少しくらい休みがあったって、いいよな)



律子「プロデューサー? どうしました?」

P「やっぱり長老のところへ行くのは別の日にする。律子も今日はゆっくり休んでくれ」

律子「そんな、いいですよ私に気を遣わなくても。もう子供じゃないんですし」

P「でも、律子だって疲れてるだろ?」

律子「疲れてません!」

P「そ、そんなに怒鳴らなくても……」

P「ちょっとくらい休みは必要だろ?」

P「正直、律子の事が心配なんだよ。なんか、いろいろ無理しそうだし」

P(律子はたぶん、暗黒騎士として春香たちと敵対した事を負い目に感じてるだろうし)

P(だから、なるべく無理はさせたくない)


律子(…………とかプロデューサー殿は考えてるのかしら)

律子(まあ、だいたい図星だけど)


律子「……わかりました。今日のところは引き下がります」

P「うん。ゆっくり休めよ」





律子(……でも、本音は)

律子(久々にプロデューサー殿と行動できる〜〜って思って、浮かれてただけなのよねぇ)

律子(はぁ……まだまだ修行が足りないわ、私も)

ー トロイア城 厨房 ー


店主「ふんふーん♪ 」トントントン

店主「ほい。一丁上がり!」

ものまね士「じゃあこれ、持って行きますね!」スッ

スタスタ…

店主「ああ、ものまね士。ついでにあれも持って来てくれ」

ものまね士「わかってますよ〜」

ものまね士「あ、店主さ〜ん! それ終わったらあっちお願いしますよ?」

店主「わかってるって!」



やよい「ほぇー……」

やよい「なんで店主さんとものまね士さんは、『あれ』とか『それ』でわかっちゃうんでしょう?」

春香「んー、それだけ通じ合ってるって事なのかなぁ」

あずさ「そうねぇ。まるであの2人、夫婦みたいにお互いを理解しているのね〜」

春香「夫婦……」

春香(そういえばあの2人、その後どうなったんだろう。ものまね士さん、店主さんに告白とかしたのかな)

春香(うー、気になるなぁ。あとでそれとなく聞いてみようっと)



店主「しかし、ハルカやヤヨイの料理の手際の良さは知ってたが、アズサもなかなかやるもんだなぁ」

あずさ「うふふ。ありがとうございます〜」トントントン

ものまね士「む……」

ものまね士(私だって料理くらいっ……)


ものまね士「フンッッ!!」ビュッ

スパーン!

ものまね士「フンッッ!!」ビュッ

スパーン!



やよい「わー! ものまね士さん、手刀でお野菜を切るなんて、すごいですー!」

店主「いや、普通に包丁使えよ……」

春香「あはは、ものまね士さんらしいですねぇ」

春香(ひょっとして、あずささんに嫉妬してたりして)



…ガチャ



春香「…………ん?」クルッ

春香「あれ? プロデューサーさん?」



P「ごめん。今、忙しいかな?」



春香「そうでもないですけど……どうしたんですか?」

P「いや、貴音探してるんだけど、見なかったか?」

春香「いえ、私はおフロ上がってからは見てないですね」

やよい「わたしもわからないですー」

あずさ「すみません、お力になれなくて」

P「そうか。……ありがとう。他を当たってみるよ」

P「頑張ってな」

春香「は〜い」フリフリ



…バタン



店主「なあ、今のって……」

春香「あ、はい。プロデューサーさんです」

店主「姿が見えない身としては、誰もいないのにいきなり扉が開くのは気味が悪いな……」

春香「あはは、まあ、そうですよねー」



やよい「〜〜♪ 」グツグツ

あずさ「やよいちゃん、もうそろそろかしら〜?」

やよい「はい! いい具合にだしが取れたと思います!」

あずさ「あとは〜」チラ



ものまね士「フンッ!」バシーン

ものまね士「おりゃッ!」バシーン

ものまね士「ちぇすとー!」バシーン



あずさ「麺が完成するのを待つだけね♪ 」

やよい「えへへっ♪ もやしもたーくさん入れちゃいますよー!」

店主「しかし、オレも知らない料理があったとは……世の中広いなぁ」

春香「これは、私たちのせか……じゃなくて、故郷に伝わる料理なんです」

春香「きっと、皆さんにも気に入ってもらえると思いますよ?」

ー トロイア城 客室2 ー



伊織(今回の戦いでわかったのは……)

伊織(私はまだまだ弱いっていう事)

伊織(みんながいなければ、私は何もできなかった)

伊織(それじゃ、ダメ。スーパー忍者アイドル……ううん)

伊織(……水瀬伊織という人間は、もっと強くなきゃダメなのよ)



千早「……考え事?」



伊織「……千早」



千早「お茶、淹れてみたの。萩原さんみたいにはいかなかったけど。……飲む?」スッ

…コトッ

伊織「……いただくわ」

伊織「ズズ……」

千早「………」



千早「水瀬さんが何を考えているのか私にはわからないけれど……」

千早「もし良かったら、私たちにも相談して欲しい」

伊織「……へ?」

千早「その……いろいろ大変だったんでしょう? プロデューサーに聞いたわ。あのルビカンテという方が、水瀬さんのご両親の仇だって」

伊織「あいつ、なんで知って……」

伊織(……って、当たり前か。ここはあいつが持ってきたゲームの世界だものね)


千早「私では力不足かもしれない。けれど、みんなで知恵を出し合えば、きっと……」

伊織「ぷっ……何よそれ。春香のマネ?」

千早「い、いえ、そういうつもりは……」

伊織「らしくない事言うのね」

千早「………」

千早「やっぱり、そうよね……。前に我那覇さんや真にも言われたわ」

伊織「あ、その……」

伊織「き、気持ちは、まあ……嬉しかった……わよ」

千早「水瀬さん……」


伊織(らしくない、か……)

伊織(どっちが、って話よね)

伊織(シャンとしなさい、私)



伊織「ありがと、千早」

千早「いえ。私は、何も……」



…ガチャ


P「……お? 2人だけか?」




千早「プロデューサー?」

伊織「ええ、そうだけど」

P「あのさ、貴音、どこ行ったか知ってるか?」

千早「すみません。わかりませんね」

伊織「貴音に何か用事?」

P「ああ、ちょっとな。……ったくどこ行ったんだ貴音のやつ」

千早「四条さんを探すのは大変そうですね」

P「だよなぁ……ま、気長にやってみるよ」

P「邪魔したな」フリフリ


伊織「……あ、ちょっと待ちなさい」


P「……ん? どうした?」

伊織「あの……この間は、酷い事言ってごめんなさい」

P「この間?」

伊織「ほら、巨人の中であんたに言った事よ」

P「……あー、もしかしてあれか? 『あんたはいいわよね。お気楽で』」

伊織「そう、それよ」

P「別に気にしてないぞ?」

伊織「私が気にするの!」

伊織「とにかく、謝ったからね!」

P「ああ。わかったよ」

P「じゃあ、後でな」



…バタン



伊織「……ふぅ」

千早「余計な心配だったかもしれないわね」

伊織「えっ?」

千早「水瀬さんはちゃんと周りが見えている。私の出る幕は無かったかも」

伊織「………」

伊織「そんな事はないわよ」

伊織(私が自分を取り戻せたのは……あんたたちと、赤い悪魔のおかげだもの)

ー トロイア城 客室3 ー



P「貴音、見つからないなぁ……」

P「ま、無理に今見つけなくても、夕食の時にでも聞けばいいんだけどな」

P「……よし、捜索終了!」



「……おや、それは残念です」



P「えっ?」クルッ



貴音「ふふふ……」スッ



P「た、貴音!? どこから湧いて出た?」

貴音「それは、とっぷしぃくれっとです」スッ

P「ああ……ですよね」

P「まあ、この際どこにいたかはいいや。それより、お前に聞きたい事があるんだ」

貴音「『お前の乗って来た魔導船は本物なのか?』……ですか」

P「な、なんでそれを?」

貴音「実はわたくし、先程あなた様と律子嬢が話しているところに出くわしまして」

P「なんだ聞いてたのかよ。だったら一声掛けてくれればいいのに」

貴音「すみませんでした。しかし、あなた様がわたくしを求めて彷徨う姿があまりにも可愛らしく、影から観察していたのです」

P「…………それ、あんまり趣味良くないと思うぞ?」



P「ともかく、どうなんだ? さっきの質問」

貴音「ええ……」

貴音「恐らくは、わたくしの乗って来た魔導船は、本物ではないと思われます」

P「やっぱりそうなのか!?」

貴音「恐らく、です」

貴音「わたくしにもまだ、『本物の魔導船』の定義がわかりませんので」

P「ん……なるほどな」

P「じゃあ、自分が乗って来た魔導船が本物じゃないかもしれないって貴音が考える理由は?」

貴音「………」

貴音「あなた様。少し、わたくしの話を聞いて頂けますか?」

貴音「月で何があったのかを」

P(そういえば俺、貴音が月で何してたかとか、何も知らないんだな……)



P「ああ。聞かせてくれ、貴音。月で何があったのかを」


貴音「はい……」

ミスった
>>580は無視してください

ー 飛空艇 ファルコン号 ー


カーン カーン カーン…


響「んっ……」グイッ

響「これでよしっと!」


真「響ー。こっちの荷物はどうすればいい?」

響「あー、そこにあるのは全部船室に持って行ってもらえるか?」

真「オッケー!」

真「よっ……」ガシッ


雪歩「んしょ、んしょ……」フキフキ


響「真も雪歩もごめんな。手伝わせちゃって」

真「なーに言ってんのさ! これ全部響ひとりでやったら大変だろ?」

雪歩「うん。私たちだって力になるよ、響ちゃん」

響「でも、おフロ入ったばっかなのに、また汚れちゃったし……」

真「それなら、帰ってからまた入ればいい事じゃないか」

雪歩「それに、船の修理なんてあんまりやらないから、私は結構楽しいよ?」

響「うぅ、2人とも……!」ジーン

真「さ、早く終わらせて帰ろう?」

響「うん!」




「…………おーーーい!!」



響「ん? ……あれ、プロデューサー? なんでこんなところにいるんだ?」

P「なあ、貴音来なかったか?」

響「来てないけど……」

真「探してるんですか?」

P「うん。ちょっと聞きたい事があったんだけど……ここにもいないのか」

雪歩「あ、もしかしたら、我慢できなくて厨房でつまみ食いしてる……とかはないですか?」

P「俺もそう思って、さっき厨房を覗いたんだけど、いなかったんだ」

雪歩「そうですか……」

響「……あれっ?」

P「? ……どうかしたのか?」

響「いや、気のせいかな……」

P「……ま、いいや。他を探してみる事にするよ」

P「暗くならない内に戻って来いよー?」


真「はーーい!!」

響「うーん……」

雪歩「響ちゃん、どうかしたの?」

響「いや、なんでもないぞ」

響(プロデューサーからほんのちょびっとだけ貴音の匂いがした気がするんだけど、気のせいだよね……?)

ー トロイア城 客室3 ー



P「貴音、見つからないなぁ……」

P「ま、無理に今見つけなくても、夕食の時にでも聞けばいいんだけどな」

P「……よし、捜索終了!」



「……おや、それは残念です」



P「えっ?」クルッ



貴音「ふふふ……」スッ



P「た、貴音!? どこから湧いて出た?」

貴音「それは、とっぷしぃくれっとです」スッ

P「ああ……ですよね」

P「まあ、この際どこにいたかはいいや。それより、お前に聞きたい事があるんだ」

貴音「『お前の乗って来た魔導船は本物なのか?』……ですか」

P「な、なんでそれを?」

貴音「実はわたくし、先程あなた様と律子嬢が話しているところに出くわしまして」

P「なんだ聞いてたのかよ。だったら一声掛けてくれればいいのに」

貴音「すみませんでした。しかし、あなた様がわたくしを求めて彷徨う姿があまりにも可愛らしく、影から観察していたのです」

P「…………それ、あんまり趣味良くないと思うぞ?」



P「ともかく、どうなんだ? さっきの質問」

貴音「ええ……」

貴音「恐らくは、わたくしの乗って来た魔導船は、本物ではないと思われます」

P「やっぱりそうなのか!?」

貴音「恐らく、です」

貴音「わたくしにもまだ、『本物の魔導船』の定義がわかりませんので」

P「ん……なるほどな」

P「じゃあ、自分が乗って来た魔導船が本物じゃないかもしれないって貴音が考える理由は?」

貴音「………」

貴音「あなた様。少し、わたくしの話を聞いて頂けますか?」

貴音「月で何があったのかを」

P(そういえば俺、貴音が月で何してたかとか、何も知らないんだな……)



P「ああ。聞かせてくれ、貴音。月で何があったのかを」


貴音「はい……」


………………

………


貴音「……こうして、わたくしはこの地球に降り立ちました」

P「………」

P「そんな事があったのか……」


P(貴音は俺に、月で経験した事を話してくれた)

P(月には、貴音にとって友と呼べる人物(?)、バハムートがいた事)

P(バハムートと共に音無さんに会いに行った事)

P(自分の力が足りないせいで、バハムートと音無さんの争いを止められなかった事)

P(そして…………バハムートに、未来を託された事)

P(伊織が1番ハードだと思ってたけど、貴音も大変だったんだな……)


貴音「ばはむーと殿は仰っておりました。『クルーヤのやつが造ったのを真似ただけの、駄作だがな』と」

貴音「この言葉は、『くるーや』という方が造った魔導船の方が本家、とも取れます」

P「うん。確かに」

貴音「つまり……」

P「クルーヤが造ったっていう魔導船を探せばいいって事か」

貴音「はい。そういう事になりますね」

P「でも、クルーヤの魔導船は一体どこに……」


P(うーん、何かを思いつきそうなんだけどな)


貴音「本物の在り処については、あなた様が一番ご存知なのでは?」

P「俺が?」

貴音「あなた様は仰いました。わたくしが皆と合流するのは、本来ならばまだまだ先の事だったはずだ、と」

貴音「そうなると、わたくしが仮の魔導船と共に登場する事で、本物の魔導船の存在が忘れられてしまった可能性もあります」

貴音「つまり本物は、あなた様が良く知る場所……げぇむ通りの場所に在る、とわたくしは考えました」

P「なるほど……」

P「貴音の言う通りかもしれない。確かに、ゲーム通りに行くと、巨人と戦う前にミシディアの祈りの館で復活させるはずなんだけど、巨人を倒したっていうのにまだその魔導船の話は出て来てない」

P「すっかり忘れてたよ」



P「ありがとう、貴音。お前のおかげで、これからどうすればいいのかわかった」

貴音「ふふ、お力になれて嬉しゅうございます」ニコッ

貴音「ですが、少々残念です」

P「えっ?」

貴音「用が済んだのであれば、あなた様と2人きりの時間も終わってしまう、という事ですから」

P「あ、いや……」

P「まあ、別に俺はもう少し話しててもいいんだけど」

貴音「では、もう少しお側にいてもよろしいですか?」

P「うん。構わないよ」

貴音「ありがとうございます、あなた様」ニコッ


ー トロイア城 食堂 ー


亜美「うわー! めっちゃおいしそー!」

真美「ねえねえ、これ全部はるるんたちが作ったの?」

春香「ううん。さすがに私たちだけで短時間でみんなの分は用意できないよ」

春香「これ、ほとんどはお城のコックさんが作ったやつだよ」

真美「そーなの? じゃあはるるんたちは何してたのさ?」

春香「えへへっ♪ それはね……」チラ



やよい「うっうー! お待たせしましたー!」


ドンッ!


亜美「なん…だと……!?」

真美「バカな!? 『これ』がここに存在するはずが……」

あずさ「うふふ♪ アンさんにお願いして材料を用意してもらったの」

あずさ「さすがに元の世界のものをそっくりそのままっていうのは難しいけど、かなり近い材料を使っているから再現度は高いと思うわよ〜?」

春香「さ、貴音さん!」


貴音「この、香ばしい香り……」

貴音「こくのある濃厚なすぅぷ……」

貴音「自分を主張し過ぎず、主役を引き立てるとっぴんぐたち……」

貴音「そして……」

貴音「何回も何回も、丹念に打ち込まれてできた、こし、食感、太さ、いずれも申し分の無い、麺……」

貴音「これは、まさしく……夢にまで見たっ……!」ワナワナ




貴音「…………らぁめんっ……!!」




春香「この世界には、ラーメンは無いっていうのは聞いてたんですけど、じゃあ、ラーメンが大好きな貴音さんは苦労してきたんじゃないかなって思って……」

やよい「あずささんと春香さんと相談して決めたんですよー!」

あずさ「好きなものを食べられないのって、悲しいわよねぇ。貴音ちゃんの気持ちはすっごくわかるから……」

貴音「春香……やよい……あずさ……」

貴音「わたくし、今日ほど嬉しい日はありませんっ……!」ズルズルー

響「食べながらそんなセリフ言うなんて、貴音は器用だな……」

春香「喜んでもらえて、私たちも嬉しいです!」


貴音「とても……とても、美味しゅうございます……!」ズルズルー


律子「もう、貴音だけ先に食べ始めちゃって……」

P「まあまあ、いいじゃないか、嬉しそうだし」

律子「ま、そうですね」

律子「それじゃ、食べましょうか!」



全員「いただきますっっっ!!!!」



春香「モグモグ……」

春香「ん〜♪ おいしー!」

千早「ええ、本当に」


貴音「まこと、美味しゅうございますっ……!」ズルズルー


春香「………」

春香「なんか、あんなにおいしそうに食べてるのを見ると、私もラーメン食べたくなっちゃうなぁ」

千早「海外に長期滞在した時に、日本食を食べたくなるみたいな感じかしら」

春香「あー、そんな感じかも」


真「なんか、ボクもラーメン食べたくなってきちゃった」

響「あー、自分も」

あずさ「あらあら、ラーメンはまだまだあるから、真ちゃんも響ちゃんもどうぞ〜」

真美「あ、あずさお姉ちゃん真美もー!」

亜美「亜美もー!」



やよい「伊織ちゃんは食べないの? ラーメン」

伊織(あんまり得意じゃないんだけど……)

伊織「せっかくやよいが作ってくれたんだものね。食べるわ」

やよい「えへへっ♪ はい、どーぞ!」スッ


伊織「……ズルズルッ……」

伊織「モグモグ……」

伊織「!」

伊織「……へぇ、なかなかいけるじゃない、コレ!」

やよい「うっうー! 良かったですー!」


雪歩「モグモグ……」

雪歩(私は焼肉が食べたいなぁ……)

雪歩(でも、トロイアのコックさんの作ってくれた料理もおいしいかも)



美希「あはっ☆ おにぎりおいしーの〜♪ 」モグモグ

美希「ミキ的にはラーメンなんかよりおにぎりの方が断然おいしいって思うな!」


貴音「……ほう? あなたはらぁめんを侮辱するつもりですか、美希」


美希「だって、お米は炭水化物の王様だよ? 麺なんか目じゃないの」

貴音「なるほど……」

貴音「そういえば、あの時の決着が付いていませんでしたね……」

美希「……そうだね」

美希「いいよ。全力でかかって来なさいなの」

美希「二度とミキに逆らえないように、そのハラワタを喰らいつくしてやるのっ!」ビシッ


雪歩「ふ、2人とも……?」


貴音「ふふふ……!」ゴゴゴゴ

美希「あはっ☆」ゴゴゴゴ


雪歩「あ、あのっ、私はラーメンもおにぎりもどっちもおいしいと思うよ? だから落ち着いて、ね?」


貴音「雪歩、黙っていてください」

美希「雪歩は黙ってて欲しいの」


雪歩「あうぅ……やっぱりぃぃ」


真美「……おろ? 何やらミキミキとお姫ちんがおもしろそーなヨカン……」

亜美「いいぞー! やれやれー!」

春香「と、止めた方がいいんじゃないかな?」

真「平気じゃない? 2人とも加減くらいするでしょ」

響「ていうかあの2人、また食事中に争ってるのか……」




貴音「美希。あなたには命を助けていただいた恩があります。……が、それとこれとは別の話です」バッ


美希「うん。気にする事じゃないって思うな」バッ



美希「汚れ無き天空の光よ……」


貴音「血にまみれし不浄を照らし出せ!」


美希「ホーリー!」

貴音「ほーりー!」



キラキラキラキラ…




律子「やめなさーーーーーいっっ!!!」



ドゴゴゴオオォォォン!!!




美希・貴音「!!?」




真美「こ、これは……!?」

亜美「2人の魔法を、りっちゃんの暗黒剣が打ち消した……!?」




律子「……ったく、大人しく食べられないの、あんたたちは!」

美希「り、律子!」

律子「さんを付けなさい!」

美希「さん!」

律子「あんたたちの魔法もシャレにならない強さなんだから、ホイホイ使わないの!」

律子「っていうか、食事中に魔法使う必要なんか全くないじゃない」

律子「大体あんたたちは……」

律子「ガミガミ……」


美希(ねえ貴音。ミキたち結構本気だったよね?)

貴音(ええ。恐るべきは、律子嬢の暗黒剣の威力でしょう)



P(……ホッ。律子のおかげで食堂を破壊せずに済んだな)


ー トロイア城 通路 ー


律子「……それじゃ、遅くまで起きてないで早く寝るのよー」



「はーーーい!!!」


…バタン


律子「………」



P「……どうだ?」

律子「一応、みんなベッドには入りました」

P「ようやくか」

律子「ええ。とりあえず肩の荷が下りましたね」

律子「全力で魔物と戦って、全力でお風呂ではしゃいで、全力で食事中もはしゃいで……」

律子「丸2日くらい起きないんじゃないんですかね? この子たち」

P「はは、そうかもな」

P「さ、もう遅いし、律子も休めよ」

律子「プロデューサー殿は寝ないんですか?」

P「ん、考えたい事もあるし、少しブラブラしたら寝るよ」

律子「そうですか…………ふわぁ」

P「さ、寝た寝た。起きたら長老のところへ行くんだからな」

律子「は〜い……って、あれ? そういえば貴音とは話できたんですか?」

P「うん、バッチリだ」

律子「そうですか。それは良かったです」



律子「それでは、お休みなさい」

P「ああ、お休み」



…バタン



P「………」




P(…………夕食前の貴音との話)

P(貴音のおかげで、魔導船についてはどうすればいいのかわかった)

P(あとは、何日かこの国で休んで、みんなの疲れを癒す)

P(そして、準備が整ったら魔導船を復活させて……)



P(…………目指すは、月だ)

P(待っててください、音無さん)


一旦終了です

ーー夜中、トロイア城 客室1



響「………」

貴音「スヤスヤ……」

美希「……zzz」





響「………」ムクッ




響「………」ボー

響「………」

響「………」

響「………」ゴシゴシ

スタスタ…

ガッ

ガッシャァン!


響「!!?」ビクッ



響「………」キョロキョロ



美希「……ん……はにぃ……」

美希「……zzz」

貴音「すー、すー……」



響「……ホッ」


スタスタ…

ガチャ…バタン
















貴音「………」パチ

貴音「響……?」

ー 飛空艇 ファルコン号 ー


響「いい子にしてたか?ファル子」ナデナデ

響「あはは、そっかそっか。うん、自分もさみしかったぞ?」




コソコソ

貴音(…………飛空艇? こんな夜明け前に、一体何を……?)





響「………」チラ

響「………………貴音、か?そこにいるのは」




貴音「!!」



貴音「…………気配は殺したつもりでしたが」スッ

貴音「流石は響。人間離れした第六感ですね」

響「……ごめん。悪いけど自分、今は冗談に付き合う余裕はないんだ」

貴音「響……?」

響「………」

響「あのさ、貴音。もうそろそろ出発したいんだけど」

貴音「どこへ行くつもりなのですか?」




響「………………墓参りだぞ」





ババババババ…



貴音「なんと……えん太郎殿が……」

響「うん」

響「本当に急なお別れでさ。自分、エン太郎に何もしてあげられなかったから……」

響「せめてお墓でも、って思ってさ」

貴音「そう、でしたか……」

響「あっ、でも別に心配いらないからな? 自分、もう吹っ切れてるから!」

響「エン太郎は自分の笑顔が好きだって言ってくれたし、最期は、笑ってお別れしようって!」

響「だから、もう全然へい」


貴音「響」ダキッ


貴音「わたくしの前で無理などしないでください」

響「た、貴音っ?」ドキドキ

貴音「友を失う悲しみは、わたくしとて理解しております。辛いならば我慢せずに、どうかわたくしの胸で泣いてください」ギュッ

響「た…かね……」

響「うぅっ……!」ポロッ




響「うあぁぁぁーーーー!」



ー トロイア南の森 ー


スタスタ…


響「えーっと……」キョロキョロ



響「……うん。この辺りでいいかな」

響「んしょ……っと」ザッ

貴音「何か手伝いましょうか?」

響「んーん、平気。ありがとな、貴音」

響「でも、これは自分ひとりでやりたいんだ」

貴音「……わかりました」



ザッ…ザッ…


響「……よし、こんなもんか」

響「あとは……」ゴソゴソ

響「………」スッ

貴音「それは?」

響「今までエン太郎の修理に使ってた、油差しととんかち。お墓に供えるものが何も無いのも、可哀想かなって」

貴音「確かにそうですね」

響「最後に土を軽く払って……」サッ サッ

響「……ふぅ。とりあえず形だけできたな」

響「ごめんな、エン太郎。ホントはもっとちゃんとしたお墓を作ってあげたいんだけど……」

貴音「………」



響「じゃあ……」チラ

貴音「ええ」コクリ


響「………」スッ

貴音「………」スッ


響「………」

貴音「………」


響「………」

貴音「………」


響「………」

貴音「………」


響「………」

貴音「………」



響「……………………よしっ」スクッ

貴音「……もう、良いのですか?」チラ

響「うん」

響「一応別れは済ませてたし、あんまり遅くなってみんなに心配かけるのも悪いしな」

響「じゃ、帰ろっか」

スタスタ…

貴音「………」



貴音「わたくしも……」



響「…………えっ?」クルッ



貴音「わたくしにも、『友』と呼べる方が居ました」

貴音「今は、その方の生死すら不明ですが」

響「貴音……?」

響「珍しいな。貴音が自分の事を話すなんて」

貴音「あなたを見ていて、ふと、思い出したのです」

貴音「響。どうやらわたくし達は似たような境遇の様です」

響「そうなのか……」



響「……ねえ貴音。もっと聞かせてよ。その、貴音の友達の事」

貴音「ええ、喜んで」ニッコリ

貴音「では、座って話しましょうか」

響「うん!」

ーー翌朝、トロイア城 東の塔 頂上



千早「……二人過ごしたとーおい〜日々 ♪ 」


千早「記憶の中のひーかり〜とかげ♪ 」


千早「いーまーもーまだ ここーろーのー迷路 さーまよう〜♪ 」


千早「………」




千早「誰、ですか?」




トロア「っ……すみません! 驚かせるつもりなどなかったのですが……」ガサッ




千早「あなたは……」



トロア「『その節』はどうも」ペコリ

千早「………」ペコリ


トロア「………」

千早「………」


トロア「………」

千早「………」



千早「あの」

千早「……以前は失礼な態度を取ってしまい、すみませんでした」

トロア「いえ、お気になさらず」

トロア「あの時は何か事情がお有りだったのでしょう? リツコ殿にも、あなたにも」

千早「そう言っていただけると、助かります」

トロア「……不思議なものだ。あの時クリスタルを奪いに来たあなた方と我々が、今回は手を取り合って戦ったのだから」

千早「私は、大した事はできませんでしたが……」

トロア「謙遜しないでください。あなたの活躍は、私も聞いていますよ」

千早「………」


トロア「歌、お上手なんですね。聴き惚れてしまいました」

千早「あ、ありがとうございます」

トロア「そういえば、ユキホ王女にも素晴らしい歌を聴かせて頂いた覚えがあります」

トロア「ひょっとして、あなた方『あいどる』は歌に精通しておられるのですか?」

千早「精通……と言えるほどかどうかはわかりません」

千早「でも、私たちは自分たちの歌に誇りを持っています」

千早「私たちの歌を聴いて、少しでも幸せな気持ちになってもらえたら……嬉しいですね」ニコッ

トロア「!」ドキッ

トロア(何とも可愛らしい笑顔。チハヤ殿にも、こういう一面があるのだな……)

トロア(あいどる……。チハヤ殿の……いや、皆さんのこの人を惹きつける魅力はなんなのだろう)

トロア(一緒に居るだけで、こっちまで笑顔になってしまう。本当に、不思議な人たちだ)



春香「…………ちーはーやーちゃんっ♪ 」ダキッ



千早「…………春香」


春香「こんなところにいたんだー。もう、探したんだよ?」

千早「ごめんなさい。少し、風に当たりたくて」

春香「そっか」チラ

春香「あ……あなたは確か、トロアさんでしたよね?」

トロア「ハルカ殿とチハヤ殿は、本当に仲が良いのですね」ニコッ

春香「えへへっ♪ そうなんです!私と千早ちゃんは、とーっても仲良しなんですよっ!」ギュッ

千早「っ……///」モジモジ

トロア「では、邪魔者は退散するとしましょう」スクッ

春香「あっ、わ、私、別にそういうつもりじゃ……!」アセアセ

トロア「ふふ……」

トロア「お二人とも。この世界を救っていただき、本当にありがとうございました」ペコリ


スタスタ…



春香「行っちゃった……」

千早「………」



春香「ねえ、千早ちゃん。トロアさんと何を話してたの?」

千早「大した事じゃないわ」

春香「あー、隠すつもりなんだ」

千早「そういうわけじゃ…………って、きゃっ!?」

春香「私にも教えなさーい!」コチョコチョ

千早「はっ……春香!? わ、私……脇腹は……くふっ、くふふっ!」

春香「問答無用だよ、千早ちゃん!」コチョコチョ

千早「や、やめっ……ひっ……ん……はんっ……ほ、ホントに……んふっ!」ビクン

春香(千早ちゃん可愛い!)

春香「私、滾って来ちゃった!」

千早「あっ、ひゃっ、や、やめ……は、はるっ……」



千早「ああ〜〜〜〜〜〜!!」



千早「………」ムスッ

春香「ごめんね千早ちゃん。千早ちゃんがあんまり可愛いから、私ついやり過ぎちゃって……」

千早「………」

春香「それに、千早ちゃんとこうして過ごすのも、久しぶりだし」

千早「………」

春香「私、嬉しいんだ。千早ちゃんとまたこうしておしゃべりできて」

千早「春香……」

千早「別に、怒ってないわ」

春香「……ホントに?」

千早「その……私も、こうしてまた春香と過ごせて、嬉しいから」

春香「千早ちゃん……!」



千早「……そうだ」ゴソゴソ

千早「……はい、これ。返すわね」スッ

春香「これ……」

春香(ヤミちゃんのリボンだ)

千早「ごめんなさい。私の判断で一時的に預かっていたのだけど、春香には誤解させてしまったみたいで……」

春香「う、ううん! 私の方こそごめんね! このリボンについて話さないといけなかったんだけど……」

春香「伊織にも心配かけちゃったみたいだし。改めてみんなにちゃんと話すよ」

千早「ええ」

春香「ねえ、千早ちゃん」

千早「……なに?」

春香「お話、しようよ」

千早「話? どういう話がいいかしら」

春香「何でもいい。私、何でもいいから千早ちゃんとお話したいな」

千早「………」

千早「……私も、春香と話がしたい」

春香「えへへっ♪ じゃあーー」

ー トロイア城 客室2 ー


亜美「……巨人の攻撃に、なすすべも無く立ちつくす亜美とひびきんっ!」

真美「ふむふむ!」

亜美「んで、亜美とひびきんに巨人の凶刃ーーシャレじゃないよ!ーーがせまった時!」

真美「ど、どうなるんだ……?」ゴクリ

亜美「えんたろが、亜美たちを守ってくれたんだYo!」

真美「おお、マジか!」

真美「……あり?でもえんたろって飛空艇じゃないっけ?」

亜美「そだよ。ひびきんにおせわになった恩返しだーって。あ、ちなみにそん時は、亜美もえんたろの言葉がわかったんだー」

真美「えー、いいなー!」

亜美「巨人のはどーほーでバラバラになっちゃうえんたろ。ひびきんも亜美も、シツイのドン底に……」

真美「oh……」

亜美「だがしかーし!人間たちはまだ負けていなかったのだったー!」

亜美「亜美とひびきんのもとに仲間たちが集い、やがて、悪はほろびるのだったー!」

真美「うわー、チョーカンドーもんじゃんか!」

亜美「ってワケで、今回の戦いのMP3は間違いなく亜美とひびきんっしょ!」

真美「ぬぅ、ちかたないか……」


真美(うらやましーなー、亜美。真美も、もうちっとカツヤクしたかったなー)

真美(む〜、このままじゃ真美の姉としての立場がヤバいっぽいよ〜)


真美「……ってワケなんだYo!」

美希「ふーん……」

真美「反応うすっ」

真美「キンキュージタイなんだよ、ミキミキ! このままじゃ真美の姉としてのイゲンがっ!」

美希「だってミキ、妹だし。姉のイゲン? とか言われても、よくわからないの」

美希「……あふぅ」

真美「そーかもしんないけどっ。ヒマそうなのはミキミキしかいなかったんだもん!」

真美「頼むよミキミキ〜!姉より優れた妹なんて存在しちゃいけないんだよぉ!」ユサユサ

真美「キョーリョクしてよ〜!」

美希「えぇ〜……」


美希(真美も人を見てお願いすればいいのに。ミキじゃどう考えてもそーゆーのは役不足なの)

美希(それにミキ、お昼寝したいんだけどなー……)



美希「…………あっ!」ティン



美希「ねえ真美。だったらミキのお願い、聞いてくれる?」

真美「へ?なんでそーなるの?」

美希「だって真美は、姉としてのイゲンを取り戻したいんでしょ? それなら、真美は頼れるお姉ちゃんになればいいって思うな!」

真美「おお、なるほどー!」

真美「でも、具体的にはどーすればいいの?」

美希「ミキ、思うんだ。いいお姉ちゃんは、妹の言う事を聞いてくれるのが必須条件だって」

真美「うんうん、そんで?」

美希「だから真美、ミキにひざまくら、して?」

真美「えっ……そんなんでいいの?」

美希「うんっ!」ニコッ





美希「……zzz」

真美「………」

真美「ホントにこんなんで姉のイゲンが取り戻せるのかなぁ」

美希「……ん……はにぃ……」モゾッ

真美「ま、いっか。ミキミキかわいーし」

真美(これが、頼れる姉のほーよーりょくってやつなのかもしんないね!)



真美「んっふっふ〜♪ 」ナデナデ


○月×日 晴れ


巨人を倒してから、何日かが過ぎた。

あれから私たちは、まだトロイアの国にお世話になっている。

充分休息も取ったし、そろそろ行動を起こすべきかと思うんだけど、彼曰く、『長老が忙しいらしくてまだ捕まらない』との事。

まあ、あんな事があった後だもの。忙しいのは仕方ないわよね。



この世界の人たちも大変ね。

国という国はほとんど滅びてしまったなんて。

うちの子たちにも、できる事があれば世界の復興を手伝うように言った方がいいのかしら。



それにしても、みんなバラバラだったけど、なんの運命か巨人と戦っているうちに全員合流できていた。

何か見えない力に導かれたんじゃないかしら。

……なんて考えると、ちょっとロマンチックかもしれない。

でも、誰ひとり欠けずに集合できたのは、本当に嬉しい事。

みんな大きな怪我もなく(あっても魔法で治癒できるみたいだけど)元気そうでホッとした。

元気が有り余ってはしゃぎ過ぎ(特に亜美真美)な気がしないでもないけど。



あとは、あの子の事が気がかりね。

ー トロイア城 客室4 ー


律子「………」カキカキ



…コンコン



律子「…………はーい。どうぞー」カキカキ


ガチャ



あずさ「失礼しますね〜」


律子「あずささん。どうしたんですか?」

あずさ「ちょっと律子さんとおしゃべりしたいなーと思いまして」

律子「そうなんですか……っていうか、よく迷わず私の部屋に来れましたね」

あずさ「も、もう、律子さんったら。私だっていつも迷ってばかりではないんですよ?」

律子「あはは、ごめんなさい」



あずさ「……あら? 律子さん、何を書いているんですか?」

律子「ええ。日記というか、雑記というか……」

律子「私たちの現状を整理してました」

あずさ「几帳面な律子さんらしいですねぇ」

あずさ「でも、少し休憩してお茶でも行きませんか? お茶の美味しいお店があるんです」

律子「ふ〜む……」

律子「そうですね。それもいいかもしれません」

あずさ「うふふ〜♪ じゃあ、行きましょうか」

ー トロイアの町 パブ『迷宮』ー


律子「へぇ、ちょっと変わった造りだけど……」キョロキョロ

律子「なかなか雰囲気があっていいお店ですね」

あずさ「はい♪ 前にプロデューサーさんたちと来た事があるんですけど、その時はゆっくりできなかったので〜」

律子「あずささん、何か飲みます?」

あずさ「ええっと……」スッ

あずさ「そうねぇ。それじゃ、このバッカスの酒というのを……」

律子「何言ってるんですかもう! 真昼間からお酒なんてダメに決まってるでしょう!」

あずさ「あら〜……残念」

律子「まったく。普通に紅茶とかでいいですよね? ……あ、すいませーーん!」



マスター「……は〜い」

スタスタ…



律子「あの、注文いいですか?」

マスター「承りますよ〜」

マスター「……おや、君たちはもしかして……」

あずさ「あの〜、私たち、どこかでお会いしましたっけ?」

マスター「ああ、いえ。こちらが一方的に面識があるというか」

マスター「この国で君たちを知らない人はいないと思うよ。なんたって広場には、君たちの像が祀られているからねぇ」

律子「像……?」

マスター「まだ見てないなら、見に行ってみたらどうかな? 広場にあるから」

マスター「……っと、ああそうだ。注文でしたね」

律子「えーと、これとこれを」

マスター「かしこまりました〜」

スタスタ…


あずさ「ウフフ、私たちが像になって祀られているなんて、なんだか不思議な気分ですね〜」

あずさ「……あ、もしかしたら雪歩ちゃんの像みたいになっているのかもしれないですね」

律子「おそらくそうでしょうね」

律子「アンさんってば、また人の許可も取らないで……」

あずさ「まあまあ。みんな一緒ならいいじゃないですか。雪歩ちゃんの像も、これでひとりぼっちじゃなくなりましたね」



マスター「お待たせしました〜」

…コトッ


マスター「どうぞごゆっくり〜」

スタスタ…


あずさ「……あら、いい香り。ミルクは……う〜ん、どうしようかしら」

律子「入れないんですか?」

あずさ「いつも迷ってしまうんですよ〜。一つにするか二つにするか」

あずさ「その……衣装が入らなくなったら困りますし」

律子「確かに。ミルクは脂質が、ね」

あずさ「うーん……」

あずさ「…………えいっ」ポチャン

律子「結局二つ入れたんですね」

あずさ「はい。今回だけはいいかなって」

あずさ「コクッ……」

律子「ズズッ……」

律子「………」コトッ

律子「ふぅ……」

あずさ「うふふ。のんびりできていいですね〜」

律子「ええ」


律子(ゆったりと時間が流れていく)

律子(非日常的な世界で、非日常的な体験をしてるっていうのに、このとてつもない日常感はなんだろう)



あずさ「ん〜、美味しいわ♪ お茶請けがあればもっといいわね〜」



律子(まあ、もしかしなくても、このほのぼのとした空気はあずささんのおかげなんでしょうけど)



あずさ「律子さん。何か食べ物も頼みませんか?」

律子「あ、はい。別にいいですよ」

あずさ「……すみませ〜ん」



律子(プロデューサーや春香たちに聞いた、信じられない話)

律子(あずささんはこの世界で『一度死んだ』らしい)

律子(それこそ映画みたいな話だけど、ゾンビみたいに蘇ったって)



マスター「お待たせしました〜」コトッ

あずさ「あら、美味しそう♪ 」



律子(しかも、死んだ原因はどうやら私にあるみたい。もちろん、私は身に覚えがないから小鳥さん絡みなんでしょうけど)



律子「………」


あずさ「モグモグ……」

あずさ「うふふ、とってもサクサクね。春香ちゃんのクッキーみたいにどんどん食べれちゃうわ〜」

あずさ「律子さんも食べません?」スッ

律子「あ、はい。いただきます」



律子(…………ねえ、あずささん)



律子「モグモグ……」

律子「ホントだ。美味しいですね、これ」

あずさ「でしょう? 手が止まらなくなってしまいますよね〜」



律子(あなたは、なぜ笑っていられるんですか?)



あずさ「……あ、でも、あんまり食べると……体型が……」ゴニョゴニョ



律子(とっても損な役回りなのに、なぜいつもみたいに笑っていられるんですか?)



あずさ「あの、律子さん? 今度のライブの衣装の事なんですけど〜……」

律子「ダメです。頑張って今の体型を維持してください。これからおやつを減らしていけばいいじゃないですか」

あずさ「そ、そんなぁ〜」ガーン



律子(あずささん……)



律子「仕方ないですね。私も付き合いますから。ダイエット、2人で頑張りましょう?」

あずさ「り、律子さ〜ん! ありがとうございます〜」ダキッ

律子「わ、ちょっと! 紅茶がこぼれちゃいますから!」




律子(私の側にいてくれて、ありがとう)

律子(…………あなたと同じ時間を過ごす事ができて、良かったです)


ー トロイアの森 ー


真「むっ……!」ギリッ

雪歩「ひぅっ……!」ググッ


パキンッ!

…スタッ



真「っ……せいっ!」ダッ


雪歩「っくぅ!」

ガキィン!


真「ほっ!」グルンッ

ブワッ…


雪歩(わわ、そんな器用な攻撃……!)

雪歩(よ、避けられないよぅ……!)

雪歩「っ……!」


…ピタッ


真「…………へへっ」ニコッ

雪歩「ま、真ちゃん……」

雪歩(す、寸止め……)

雪歩「はぅぅ……」ヘナヘナ

真「おっ……と。平気? 雪歩」ガシッ

雪歩「う、うん。大丈夫だよ。ありがとう、真ちゃん」


真「…………ふぅ」

真「うん。雪歩もなかなかいい感じになってきたね!」

雪歩「そ、そう……かな」

雪歩「私なんてまだ、真ちゃんの動きについていくのがやっとで……」

雪歩「真ちゃんには全然敵わないよぅ」

真「いやいや。雪歩も自信持っていいと思うよ?」

真「トロアさんとの修行も頑張ってたし、ボクとの組手でもいい動きをするようになってきたし」

真「雪歩は真面目だから、上達も早いんだね」

雪歩「う、ちょっと恥ずかしいな……///」

真「大丈夫。確実に強くなってるよ、雪歩は」ニコッ

雪歩「…………えへへ」ニコッ



真「………」

真(本当にすごいな、雪歩)

真(毎日トレーニングしてるボクの動きに、もうついて来れるようになったなんて)

真(『強くなりたい』って真面目な顔して言われた時は、どうなる事かと思ったけど)

真(どんどん強くなっていく雪歩を見てると、ボクもいい刺激になる)



真(……ボクと雪歩は、黒と白)

真(それぞれが対極にあるから、お互いの事がよく見えるし、よくわかる)

真(今までは、自分に無いものをお互いに羨ましがるだけだった)

真(でも、今のボクたちはもう違う)

真(自分に足りないものを持ち寄って、補い合う事ができる)

真(雪歩には、強さを。そして、ボクには……)

ー トロイアの町 防具屋 ー


シャッ…



真「一応着てみたけど……」

真「……どう……かな?」クルンッ



雪歩「うんっ。とっても可愛いよ、真ちゃん!」ニコッ

真「そ、そう? 変じゃないかな?」ヒラッ

雪歩「全然そんな事ないよっ!」

雪歩「真ちゃんはカッコいいお洋服もすっごく似合うって思うけど……」

雪歩「そういう女の子らしい服だって似合っちゃうね!」

雪歩(…………度が過ぎてなければ)



真「ボク、この世界ではずっと稽古着しか着てなかったからなぁ」

真「雪歩のセンスのおかげで、こういう可愛い服が着れて嬉しいよ!」

真「へへっ。ありがと、雪歩!」ニコッ

真「まあでも、ボク的にはもう少しフリフリでヒラヒラな服でもーー」


雪歩「………」

雪歩(やっぱりすごいな、真ちゃんは)

雪歩(ただ強くてカッコいいだけじゃなくて、ちゃんと女の子の可愛さも持ってるんだもん)

雪歩(私なんかが助言しなくたって充分……)

雪歩(……ううん、違うね)

雪歩(真ちゃんがせっかく私を頼ってくれたんだもん。私にできる事を精一杯やらなきゃ!)



雪歩「ねえ真ちゃん。次は小物も見てみようか?」

真「うん、いいね! よーしっ、可愛いアクセサリーを見つけるぞーっ!」



雪歩(私と真ちゃんは、白と黒)

雪歩(それぞれが対極にあるから、お互いの事が気になるし、すごく理解できる)

雪歩(今までは、自分に無いものを相手の中に探しているだけだった)

雪歩(でも、今の私たちはもう違う)

雪歩(自分に足りないものを持ち寄って、補い合う事ができる)

雪歩(真ちゃんには、女の子らしさを。そして私には……)



雪歩「ーーあ、真ちゃん見て見て。綺麗な髪飾りがあるよ!」

雪歩「えーっと……『金の髪飾り』っていう名前みたいだね」

真「わ、本当だ! 金色に光ってて、キラキラだなー」

雪歩「ねえ真ちゃん。これ、ちょっと付けてみない?」

真「うーん、ボクに似合うかなぁ」

雪歩「大丈夫。私は今の真ちゃんにピッタリだって思うよ?」

真「……うん。雪歩がそう言うなら……」

真「よっ……」スチャッ

真「…………どう?」

雪歩「うん、バッチリだよっ♪ 」

真「…………へへ〜♪ 」




真・雪歩(ボク(私)たちは、お互いに助け合って、成長できる)


真・雪歩(自分に足りないものを理解したボク(私)たちは、きっと無敵なんだ!)

ー トロイアの町はずれ ー


シルフ「ホントにあなたが召喚士なんですか〜?」

やよい「うんっ! よろしくね、しるふちゃん!」ニコッ

シルフ「ふ〜む……」ジロジロ

シルフ(なんか弱そうですねぇ。威厳が感じられないというか)

シルフ(こんなので大丈夫なんでしょうか?)

伊織「ちょっとあんた。まさかやよいの言う事が信じられないわけ?」

シルフ「当たり前です。私が信じるのは、マコトさんだけですから!」

やよい「あぅ……」

伊織「ちっ……こいつも真の取り巻きなのね」

伊織「まったく、あんなヤツのどこがいいんだか」

伊織「ていうか真も、こうなるってわかってるならしっかり説明しときなさいよね、まったく!」

シルフ「むっ。マコトさんの悪口は許しませんよっ!」

伊織「何よ、思った事を言っただけじゃない!」

シルフ「………」

伊織「………」

シルフ「これは、どちらが立場が上かはっきりさせておいた方が良さそうですね〜……」ブワッ

伊織「いい度胸じゃない。『真の取り巻きその2』の分際で、このスーパー忍者アイドル伊織ちゃんに楯突く気なのね!」メラメラ

やよい「あ、あの、 2人ともケンカはダメだよぉ」オロオロ


ポワ…


やよい「……あれ? イヤリングが光って……」



シルフ「むむ〜っ!」

伊織「ふんっ!」




スゥーー…

ラムウ「…………やめるんじゃ、シルフ」


シルフ「えっ……?」

伊織「あら? あんた、やよいの下僕の……」

シルフ「ラムウ…おじいちゃん……?」

ラムウ「久しぶりじゃの、シルフ」

やよい「えっ? しるふちゃんとらむさんはおともだちだったんですかー?」

ラムウ「まあ、そんなところじゃ」

シルフ「………」



ラムウ「シルフよ。ヤヨイさんの力になってあげておくれ。お前の風の力は、貴重なんじゃ」

シルフ「………」

伊織(風の力、か……。そういえば私、風の忍術って知らないわね)

ラムウ「ヤヨイさんたちは、月を目指しておる」

ラムウ「この戦いは、新しい世界を迎えるために、必要なものなんじゃ」

シルフ「新しい、世界……?」

ラムウ「うむ」

ラムウ「シルフよ。ワシはずっとお前の事を案じておった。しかし、幻獣王として忙殺されるワシには、お前を探す暇はなかった」

シルフ「………」

伊織(……そういえば、真が言ってたっけ。確かこの子は、幻獣界で暮らしてたけど、幻獣たちが人間と交流を持つようになってから、居場所がなくなったって)

伊織(………)

ラムウ「あの頃の罪滅ぼしというわけではないが、全てが終わったら、ワシらはまたお前と暮らしたいと思っておる」

ラムウ「お前さえ良ければ、じゃが」

シルフ「おじいちゃん……」

ラムウ「戦いを終わらせるためにも、どうかヤヨイさんの力になってあげておくれ」

シルフ「………」


ラムウ「ヤヨイさん、すまんかったの。いきなり出てきてしまって」

やよい「いーえ、気にしないでください」

やよい「らむさんとしるふちゃんが仲良しなのは、わたしもうれしいですし!」ニコッ

ラムウ「ヤヨイさんは優しいのぅ……」

シルフ「………」



ラムウ「では、またの……」

スゥゥー…



伊織(……消えたか)

伊織(相変わらず不思議よね、やよいの力は)

伊織(忍術でも魔法でもなく、生物を呼び出すなんて)

伊織(ま、だからこそあのシルフって子には、やよいに協力してもらいたいんだけど……)



やよい「……あの、しるふちゃん?」

シルフ「………」

伊織「あんた、真が来るまでずっとひとりだったらしいわね」

シルフ「………」

伊織「種族や習慣が違うから迫害されるっていうのは、普通に人間の世界でもあるけれど……」

伊織「あんたはひとりで戦い抜いてきたのね」

シルフ「……え?」

伊織「味方がいなくても、自分の戦いを貫き通した。結果、あんたには頼もしい仲間がこんなにたくさんできた」

シルフ「仲…間……?」


伊織「なんとなーく、あんたは私とキャラが被ってて、いい気はしないんだけど……」

伊織「あんたのその生き様は、嫌いじゃないわよ?」

シルフ「……!」

やよい「さみしいのはもう終わりだよ。だってもうしるふちゃんは、わたしたちの大切なおともだちだもん!」ニコッ

シルフ「………」



シルフ「あの、これを」スッ

やよい「!」

伊織「ふーん。『それ』があんたの……」

シルフ「私が力になってあげるんです。さっさと終わらせますよ、こんな戦いは」

シルフ「………」クルッ

フワフワ〜



やよい「行っちゃった……」

伊織「生意気なヤツねぇ。根は悪いやつじゃないんでしょうけど」

やよい「えへへ♪ 伊織ちゃんと同じだねっ」

伊織「や、やよい? それは遠回しに私の事を生意気って言ってるの?」

やよい「ううん。伊織ちゃんもしるふちゃんも、とってもやさしいなって」

伊織(……ホッ)



伊織「……にしても、かなりごちゃごちゃしてきたわね、やよい」

伊織「ブレスレットにイヤリング、ネックレスに指輪、アンクレット、マント……あ、髪留めもか」

伊織「で、あいつがくれたこのチョーカーを付けてっと…………はい、できたわよ」

やよい「ありがとう、伊織ちゃん!」

伊織「そのチョーカーはなかなかいい感じね。やよいのイメージカラーと同じオレンジ色だし」

伊織「一番浮いてるのは、やっぱりマントよね。もっとマシなのは無かったのかしら」



やよい「………」ゴゴゴゴ



伊織「……っ!?」ゾクッ



やよい「どうしたの? 伊織ちゃん」

伊織「う、ううん、なんでもないわ」

伊織(気のせいかしら。今、一瞬やよいからとんでもない威圧感が……)



伊織「ま、とりあえずこれでやよいの戦力アップはできたわね」

やよい「うっうー! わたし、今までよりもっともーっとガンバるからね!」

伊織「にひひっ♪ 期待してるわよ!」



伊織(……でも、いざという時は、何があってもやよいだけは……)



やよい(なんだか、力がわいてきます! もう、みなさんに守られてるだけのわたしじゃないかなーって!)

ー トロイアの町 商店街 ー


律子「……さて、そろそろ戻りましょうか」

あずさ「そうですね〜」



「…………おーーーい!!」

タタタタ…



あずさ「……あら?」チラ



P「探したぞ、律子。あずささんも一緒でしたか」



律子「プロデューサー殿!」

あずさ「プロデューサーさん、おはようございます〜」

P「はい。おはようございます」ペコリ

P「っと、それはとりあえず置いといて」

P「すみません、あずささん。ちょっと律子を借りていってもいいですか?」

あずさ「あらあら、プロデューサーさんったら大胆ですねぇ。デートのお誘いですか?」

律子「あ、あずささん!?」

P「い、いえ、そうじゃないんですけど……」

P「今後の事で、少し相談したい事がありまして」

律子「あ、もしかして長老さん、手が空いたんですか?」

P「うん。そうみたいだ」

あずさ「まあ……。うふふ、そういう事なら仕方ないですね〜」

あずさ「律子さん、お貸しします」

あずさ「その代わり、ちゃ〜んとエスコートしてあげてくださいね〜?」ニコニコ

P「あ、あはは……そういうアレじゃないつもりなんですけどね……」

律子「あ、あずささんったら……変な事言わないでくださいよ、もう!」カァァ



あずさ「それでは、私はお先に戻ってますね〜」ルンルン

スタスタ…




P「あずささん、なんであんなに楽しそうなんだ?」

律子「さあ……」



律子「じゃあ、私たちは長老さんのところへ行きましょうか」

P「ああ、そうだな!」

ー トロイア城 執務室 ー


長老「おお! 久しいのぅ!」



P「ご無沙汰しております、長老!」ペコリ

律子「どうも初めまして! 私は……」

長老「リツコ殿じゃな? 存じておるよ」

長老「暗黒騎士ながら、此度の戦いで多大な戦果を上げたとか」

律子「いえ、私はそんな……」

長老「それに、そなたの事はアミマミからいやというほど聞かされておるでな」

律子「そうでしたか」

長老「なんでも、怒ったら手が付けられない……なんじゃったか……おにぐんそう? じゃったかな」

律子「あはは……」ピクピク

律子「後で亜美と真美にお礼を言っておかなきゃ」ゴゴゴゴ

P「ほ、ほどほどにな? 律子」

長老「?」



長老「すまんの。すぐにでもそなたたちに会いたかったんじゃが、ワシもアン殿の手伝いで忙しくての」

P「いえ、気にしないでください」

P「ちなみに、何をなさってたんです?」

長老「まあ、こんな老いぼれにできる事など限られておる。少し、若手の育成をな」

P「若手の育成、ですか」

長老「民の中から魔道士希望者を募り、ワシとアガルトの老婆殿とで魔法を教えておるんじゃよ」

P「……なるほど。長老にピッタリのお役目ですね」

長老「…………アミとマミは、そなたに取られてしまったからのぅ」チラ

P「あ、いや、取ったつもりは……」

長老「ふふふ、すまんすまん」

長老「心配などしておらんよ。そなたに任せれば、アミとマミはきっと幸せになれる。ワシはそう判断したんじゃ」

P「長老……」

律子(ふーん……長老さん、いい人みたいね)

律子(それに、プロデューサー殿もなんだか嬉しそう)

律子(なんとなくこの2人、親子みたいに見えなくもないわね)


長老「……で、本題なんじゃが」

P「魔導船、ですよね?」

長老「うむ。そなたに聞こうと思っておったのじゃ。魔導船を復活させなくて良いのかと」

P「すみません、俺の勘違いでした」

P「本来なら、貴音が魔導船でこの青き星へ来る、なんてシナリオは無いはずだったので、貴音の乗って来た魔導船を本物だと勘違いしてしまって」

長老「なるほど。未来が見えるそなたにも、失敗はあるのじゃな」

律子「未来が、見える……?」チラ

P(方便だよ。俺の立場上、そういう風に言っておいた方が都合がいいと思って)

律子(あ、なるほど)

長老「それで、タカネの乗って来た魔導船は……」

P「残念ながら、航行不能になってしまいました」

長老「そうか。それでようやく本家の出番、というわけか」

P「はい」

律子「あの、それで魔導船はどこにあるんですか?」

長老「うむ。これは彼に聞いた話なんじゃが、なんでもミシディア近海に沈んでおると」

P「おそらく、そこは間違いありません」

長老「じゃが、どうやら復活にはワシひとりでは力不足のようでな」

長老「そなたらの力を借りたいと思っておったんじゃ」

律子「私たちの力を?」


長老「リツコ殿。人の想いとは、叶うものだと思うかの?」

律子「それは……想いの種類にも依るんじゃないでしょうか?」

律子「あんまり突飛な願いだと、無理な場合もあるとは思いますけど……」

長老「現実的じゃのぅ。が、間違ってはおらん」

長老「良いか、リツコ殿。ひとりの想いでは届かぬ願いでも、二人、三人と同じ事を願う者が現れたら、どうなる?」

律子「え……?」

長老「そなたらには、強い信念を持った素晴らしい仲間がおる。皆の想いをひとつにすれば、必ず道は開けるじゃろう」

律子「想いを、ひとつに……」

P「それで、具体的にはどうすれば?」

長老「ミシディアの祈りの館。微弱ながら魔力を張り巡らせた建物じゃ」

長老「あそこなら、想いを魔力で増幅できる。きっと皆の想いも届くじゃろう」

長老「本当はすぐにでもミシディアへ向かいたいんじゃが、ワシは明日の式の準備で忙しくてのぅ」

P「式、ですか?」

長老「うむ。大切な式じゃ。もちろんそなたらにも参列してもらいたいと思っておる」

P「はぁ……」



長老「ところで……」

長老「リツコ殿。そなた、雰囲気がハルカに似ておるのぅ」

律子「そうですか?」

長老「うむ。まだ暗黒騎士だった頃のハルカにそっくりじゃ」

律子(そうか。春香が暗黒騎士から聖騎士になったのは、この人の助言があったからって言ってたっけ)

P「あ、言ってませんでしたっけ? 律子は春香の姉なんですよ」

長老「なんと、そうじゃったか。道理で……」



律子「……………………はい?」



P「そういえば律子にはまだ言ってなかったな。律子と春香は、(この世界では)姉妹なんだ」

律子「プロデューサー……」

P「どうした?」キョトン



律子「どうして! あなたは! そういう大事な事を! 今頃になって言うんですか!!」グリグリ



P「痛い痛い痛い痛い痛い! うめぼしやめてぇ〜〜!!」



長老「仲が良いのぅ」ニコニコ

とりあえず、近いうちに投下します

ー トロイア城 客室1 ー


春閣下「……まあ、そういうわけで」

春閣下「このリボンは、私と『わたし』、2人の春香を繋ぐ架け橋なんだよ」



千早「………」

伊織「なるほどね……」

響「普段の春香のイメージと全然違うなぁ」

春閣下「そりゃそうだよ。今は私がベースだから。『わたし』にはちょっと大人しくしてもらってるんだ」

千早「その、ちゃんと元に戻るのよね?」

春閣下「心配しなくても大丈夫だよ、千早ちゃん。私が表に出てくるのは、あくまでこのリボンを付けた時だけだから」

千早「なら、よかったわ」



亜美「まさか、リボンがはるるんの専用装備とはねぇ」

真美「うんうん。でもまあ、ある意味ヒツゼンと言えなくもないかもね」

貴音「それで、春香のもう一つの人格であるあなたは、なんとお呼びすれば良いでしょう?」

春閣下「好きに呼べば? 私は別になんでもいいんだけど」

春閣下(私はあなたたちと仲良くするつもりは無いし、ね)

春香(や、ヤミちゃん……!)


真「………」


春閣下「……あ、そういえば『わたし』は私の事を『ヤミちゃん』って呼んでるよ」

雪歩「ヤミちゃん、かぁ」

やよい「よろしくお願いしますね、やみさん!」

美希「……あふぅ」



春閣下「ねえ。ところでプロデューサーさんはどこにいるの?」

あずさ「プロデューサーさんなら、さっき律子さんとお出かけしたわよ〜?」

春閣下「そうなんだ……。つまんないの」

春閣下「じゃあ、特に用も無いし、私はそろそろ戻ろうかな」

春閣下「じゃあね〜」

シュルッ…



パァァーーー!


春香「………」

春香「……ふぅ」

春香「えーっと、こんな感じなんだけど、わかってもらえた……かな?」


千早「ええ。なんとなくだけど」

亜美「よくわかんないけど、合体はるるんは暗黒騎士ってことでいーの?」

春香「一応聖騎士でもあるみたい。でも、ヤミちゃんの意識の方が強いから、暗黒騎士メインかな」

真美「で、そのリボンは、ポ○ラみたいなモンなんだね」

春香「あー……まあ、似たようなものかなぁ」

伊織「じゃあ、結局今のあんたは半人前って事?」

春香「ち、違うよぅ。リボンを付けたら力が2倍になるの!」

雪歩「ねえ、春香ちゃん。その、2人の春香ちゃんが合体? してる時は、ホントの春香ちゃんはどうなってるの?」

春香「うん。私の意識は普通にあるよ」

春香「でも、普段の私の時はヤミちゃんの意識は出て来ない分、合体した時はヤミちゃんの意識が全面に出て来る感じみたい」

真「大丈夫なの? それ。気づかないうちに乗っ取られたりとかしないよね?」

春香「そ、それは大丈夫……だよ、きっと」

春香「ヤミちゃんも、私には逆らえないって言ってたし」


響「でもなー。さっきの春香、自分はあんまり好きじゃないな」

春香「ヤミちゃんは、私の闇の部分だからね」

春香「ちょっと感じ悪いかもしれないけど、悪い子じゃないよ、多分」

春香「……あれ? 闇の部分だから悪い子なのかな……?」

春香「うぅ、わからなくなってきた……」

伊織「もう、しっかりしなさいよ。自分の事なんだから」

春香「だ、だって……」


貴音「わたくしは、あまり油断はしない方が良いかと思います」

春香「貴音さん……」

貴音「誰もが抱える闇の部分。その集合体という事は、やみ殿は文字通り悪意の塊であるという事」

春香「で、でも……」

貴音「春香が主導権を握っているのならば、さほど問題は無いのでしょうが……」

貴音「やみ殿とは、うまく付き合っていく必要があると思います」

美希「ミキも、貴音の意見に賛成かな」

春香「み、美希まで……」

美希「響も言ってたけど、さっきの人、友達になりたいとはとても思えなかったの」

美希「ミキは、あんまりそのリボンは使わない方がいいと思うな」

春香「ん……そうだね。気をつけるよ」

千早「大丈夫よ、春香。私たちがついてるから」

春香「うん。ありがとう、千早ちゃん」


あずさ「……ところでみんな。これからちょっと広場に行ってみない?」

春香「広場ですか?」

あずさ「ええ。なんだか素敵な事になってるらしいのよ〜」

響「素敵な事……? 何があるの?」

あずさ「うふふ。それは行ってのお楽しみよ♪ 」

真「特に用事もないし、ボクは行ってみようかな」

雪歩「私も行きますぅ」

真美「なんかおもしろそー」

亜美「ちょうどお城の中もタイクツになってきたとこだしね!」

やよい「みんなで行きましょー!」

あずさ「うふふ♪ 決まりね」



ゾロゾロ…



伊織「………」


春香「……あれ? 伊織は行かないの?」

伊織「私は、他に用事があるから。悪いわね」

春香「そっか。じゃあ、また後でね」

伊織「ええ」

ー トロイアの町 広場 ー



女神像たち「………」



亜美「うっわー! 亜美たちが石像になってるYo!」

真美「すごーい! これ、真美たちにチョーそっくりじゃん!」

あずさ「そうねぇ。みんなとっても可愛いわ〜♪ 」

真美「ねえねえ亜美、みんなの像を片っぱしから見てみようよ!」

亜美「うん! 楽しみ〜」




春香像「………」



春香「わぁ……私にそっくりだ〜」

春香「えへへっ♪ なんだかカッコいいかも♪ 」ニコニコ

亜美「ふむふむ。はるるんの像は、これといってとくにツッコミどころがありませんな」

真美「ん〜、しいて言えばリボンがかわいーね、ってカンジかな」

春香「ひどい! ひょっとして私の像はリボン以外に特徴が無いって言いたいの!?」

亜美「ふつーが一番むずかちい」

真美「うんうん」

春香「むー、なんか釈然としない……」




真像「………」キリッ



真「もー、なんでボクの像だけファイティングポーズなんだよ〜……」

亜美「おお、まこちんの像は例外なくイケメンですな〜」

真美「これを見たら、世の女性もワンキルですな!」

真「ちぇっ……どうせなら、もっと可愛く造って欲しかったなぁ」




雪歩像「………」



雪歩(なんで私の像が真ん中なんだろう)

亜美「あり? ゆきぴょんがセンターにいる? って事は……」

真美「ついに、はるるんの時代も終わったか……」

雪歩「うぅ、なんか恥ずかしいですぅ……///」


伊織像「………」ピカー



亜美「おやおや〜? いおりんの像は、一ヶ所だけヤケにみがきがかかっておりますな〜?」

真美「んっふっふ〜♪ やっぱわかる人にはわかるんだね! いおりんのスペシャルハイビーム!」



美希像「………」zzZ



美希「むー! ミキ、寝てばっかじゃないもん!」

美希「これを造った人からは悪意を感じるって思うな!」プンスカ

亜美「……ミキミキのやつは予想通りだね」

真美「うん。これでおにぎり持ってればパーフェクトだったね」



やよい像「………」ウッウー



やよい「はわわ、すごいですー! わたしがもうひとりいるみたい!」

亜美「やよいっちの像は天使ですな〜」

真美「世の中のロリコンさんたちがほっときませんな」



響像「………」



響「………」じーっ

真美「どったのひびきん?」

響「んー、どうせなら、自分たちだけじゃなくてエン太郎の像も造ってもらいたかったなって」

亜美「ひびきん……」

真美「ひびきんはええ子や……」


真美「……お、あっちには千早お姉ちゃんたちがいるよ」

亜美「行ってみよー!」

スタスタ…



あずさ像「………」ドタプーン

千早像「………」ペターン

貴音像「………」プルルーン



あずさ「これ、本当によくできてるわね〜」

貴音「ええ、本当に」

貴音「しかし、よもや自分が銅像となって祀られる日が来るとは、思いもしませんでした」

千早「…………くっ」ガクッ

千早(またしてもこんな配置……)


亜美「これは、なんと言うか……」

真美「千早お姉ちゃん……ドンマイ」


P「……あれ?」

律子「あんたたち、こんなところで何してるのよ?」



春香「あ、律子さん、プロデューサーさん!」

響「自分たち、この像を見てたんだ!」

P「像って……うわ、すごいな、これ!」

律子「ああ、カフェのマスターが言ってたやつね」

律子「……って、うわ!? 私の像まであるし」


律子「でも、前までは雪歩の像だけだったけど、みんなの像が集まると、なかなか華やかね」

貴音「お2人共、ここにいるという事は、長老殿とのお話は終わったのですか?」

P「ああ。これからの予定は決まったんだが、今すぐには動けないんだ」

P「とりあえず、行動を起こせるのはあさって以降になるかな」

律子「各自、それまでにちゃんと準備しておくのよー」



アイドルたち「はーーい!!!」



P「あ、そうだ。明日は結婚式があるんだけど、お前たちにも是非参加してもらいたいらしい」

P「よろしく頼むな」

春香「結婚式、ですか?」

美希「ひょっとして、ミキとハニーの?」

P「そんなわけないだろ? 結婚するのは、店主とものまね士だ」

春香「ああ、なんだ。店主さんとものまね士さんですかぁ……」



春香「……って、ええぇぇぇええっ!!?」



春香「それ、本当なんですか!? プロデューサーさん!」

P「うん。長老の話だと、巨人との戦いが始まる前にはもうプロポーズは済ませてたらしい」

春香「ぷ、プロポーズ……」

美希「ねえ春香!」

春香「うん!」

春香「なんか展開が急な気もしなくもないけど、あの2人、ちゃ〜んと結ばれたんだね!」

美希「あはっ☆ ファンの人が号泣してる姿が目に浮かぶの!」

P「あれ? 美希と春香は知ってたのか?」

春香「あ、はい。私と美希は、ものまね士さんから相談を受けた事がありまして」

P「へぇ、そうだったのか」

美希「いいな〜。ミキも早く結婚したいな〜」



真「ものまね士さんと店主さんが結婚かぁ……」

雪歩「みんなでお祝いしてあげたいね」

貴音「ええ。あの2人にはお世話になりました。皆で盛大にお祝い致しましょう」ジュルリ

響「貴音……披露宴の料理が楽しみなんだな?」



律子「あら? そういえば、伊織は?」キョロキョロ

あずさ「伊織ちゃんなら、何か用事があるって言ってましたよ〜?」

律子「用事?」

ー トロイア城 客室1 ー


P「みんな、忘れもの無いようにな。ここを出発したら、もう戻って来れないから」

亜美「そういや、もうあとは月に行くだけだもんね」

真美「なんか、月日がたつのはあっという間だね。まさに、強引はイヤン♪ のごとし、ですな!」

P「光陰矢の如し、な」

やよい「小鳥さんに会いに、月に行くんですよね! わたし、すっごく楽しみですー!」

P「……ああ、そうだな」



春香「………」

春香(そっか。月に行ったら、私たちはもうここには戻って来れないんだ……)

千早「? ……春香、どうかしたの?」

春香「……あ、うん」

春香「この世界ともとうとうお別れかーって思うと、ちょっと寂しいなって」

千早「……そうね。辛い事もあったけど、少しだけ名残り惜しい気持ちもあるわね」

春香「うん……。それにね」

春香「この世界では、本当にいろんな事があったけど、私たち、たくさんの人たちにお世話になったよね?」

千早「ええ、確かに」

春香「だから私、思ったの。この世界のみんなに、お礼がしたいなって」

千早「お礼、か。……そうね。それはいい考えかもしれないわ」

千早「でも、どうやってお礼をすればいいかしら?」

春香「……一応、後でみんなにも相談するんだけどさ」

春香「私、ちょっといい事思いついちゃったんだ♪ 」ニコッ

千早「?」

ー トロイア城 客室3 ー


コンコン


家老「……どうぞ。開いておりますじゃ」


…ガチャ


伊織「ジイ……」



家老「おお、これはお嬢。お待ちしておりました! ……ささ、こちらへ」スッ

伊織「………」

スタスタ…



家老「良くぞご無事で。ジイは心配で眠れませんでしたぞ?」

伊織「悪かったわね、顔を見せるのが遅くなっちゃって」

家老「良いんですじゃ。こうしてまたお嬢の元気なお姿を見る事ができた。ワシはそれで満足なんじゃ」

家老「それにしても、お嬢が世界を救う英雄になられるとは……。このジイも鼻が高い!」

家老「これを期に、エブラーナの名も世界に轟きましょうぞ!」

伊織「………」

家老「……お嬢、どうされた? まだ疲れておられるのか?」

伊織「大丈夫よ。心配いらないわ」

家老「……?」

伊織「ジイ、あんたに話さなきゃならない事があるの」

家老「話……ですか。いったいどんな……」



伊織「私……あの巨人の中で、赤い悪魔に会ったわ」



ジイ「! ……なんと……!」

ジイ「そ、それではお嬢。我らが悲願は……?」

伊織「………」

伊織「私は……」

伊織「赤い悪魔を、殺さなかった」

ジイ「な、なんですとっ!?」ガタッ

伊織「……ううん、『殺せなかった』が正しいわね」

ジイ「お嬢、何故……!」


伊織「ジイ、私ね……」

伊織「私たちは、赤い悪魔に何回も助けてもらっているの」

家老「!?」

伊織「今、私がここにこうしていられるのは、もちろん春香たちのおかげもあるんだけど……」

伊織「赤い悪魔や、他の四天王たちの助力があったからなの」

家老「……そ…んな……」ヨロッ

伊織「聞いて、ジイ!」ガシッ

伊織「あなたたちの恨みを晴らせなかったのは悪いと思ってるわ」

伊織「でもね。私、気づいたの」

伊織「恨みや憎しみからは、何も生まれない。仇を殺したところで、その先にあるのは、自分も等しく命を奪ったという事実だけ」

伊織「……いいえ、それだけじゃない。その先の人生を、ずっと悔やんで生きなければならない」

伊織「誰かの命を終わらせた、という枷を、ね」

家老「しかし、だからと言って彼奴を許すわけには! 散っていった先代や王妃、仲間たちに顔向けが……!」

伊織「わかってる! エブラーナのみんなは、許してくれないかもしれない」

伊織「でも……!」

家老「お嬢……なぜ、そのように臆病になってしまわれたのじゃ?」

伊織「っ……!」

家老「あなたは紛れもなくエブラーナ王家の血を引く王女じゃ。その務めを果たす義務を、あなたは持っておる!」

伊織「わ、わかってるわよそんなの!」

伊織「何回でも謝るわ! みんなが許してくれるまで。それが、王女としての務めを果たせなかった私の罪だもの!」

家老「違うんじゃ。甘い。あなた甘い! 国を背負うという事をまるでわかっておらん!」

家老「……お嬢ができんのなら、ワシが行く」チャキッ

伊織「じ、ジイ!?」

家老「無念を晴らせませんでした。では通らんのじゃ」

家老「じゃが、お嬢はまだ若い。その責を負わせるのは酷なのかもしれん」

家老「やはり、はじめからワシが行くべきじゃった!」スクッ

伊織「ま、待って! ……待ちなさい!」ガシッ

家老「ええい、離しなされ!」グイッ



…バタンッ!



「待ってくださいっ!」




春香「話は聞かせてもらいました!」



伊織「は、春香!?」


春香「おじいさん。もう、やめてください! 戦いは終わったんです!」

春香「もう、誰も傷付ける必要はないでしょう?」

家老「どきなされ! これは我々エブラーナの民の問題。あんたには関係のない事じゃ!」チャキッ

春香「いいえ、どきません!!」バッ

伊織「春香!」

春香「関係ない事、ないです。伊織は大切な仲間ですから。仲間が悩んでいるなら、力になりたい!」

伊織「………」

家老「……確かにあんたたちはお嬢の仲間なのじゃろう。それを否定はせん」

家老「じゃが、お嬢とあんたたちでは、背負っているものが違う。何もないあんたらに、我々エブラーナの民の面子をどうにかできるのか?」

春香「………」

家老「住む世界が違うんじゃ。……そこをどきなされ」

春香「いいえ、どきません」フルフル

家老「くっ……この……!」チャキッ

伊織「やめなさい、ジイ!!」

家老「我々の邪魔をするなら、まずはあんたから……!」ブンッ

伊織「ダメーーーッ!!」

春香「っ……!」



…ザシュッ!!



「…………つぅ……!」



家老「……む!?」

春香「…………えっ?」

春香「り……」

伊織「律子!?」


律子「……だ、大丈夫よ。このくらい、かすり傷だから」


春香「律子さん! 今、回復魔法を!」

律子「待って」スッ

律子「おじいさん、すみませんでした」ペコリ

家老「な、なぜあんたが謝るんじゃ? 謝らなければならんのはこちらの方じゃ」

家老「関係ないあんたを傷付けてしまった……すまん」

律子「聞いてください」



律子「ルビカンテを遣ってエブラーナを滅ぼしたのは……」

律子「……私、なんです」



家老「なっ!?」

伊織「ちょ、ちょっと律子!」

春香「でも、それは律子さんの意思じゃ……!」

律子「ううん。いいの、2人とも。隠してたっていずれはこういう事が起きると思っていたから」

律子「全ての原因は、この私です。どうぞあなたの手で私を裁いてください」

家老「あんた……ワシを騙していたのか……?」

律子「ええ……結果的にそういう事になりますね」

律子「……ごめんなさい」ペコリ

家老「ジジイだとバカにしおって……!」


伊織「やめなさい、ジイ!」

家老「お嬢、邪魔をしないでくだされ! 諸悪の根源たるこの女は、今この場でワシが斬り捨ててくれるっ!」チャキッ

伊織「律子を斬るなら、私を斬ってからにしなさい!」バッ

家老「邪魔をしないでくだされっ!」

律子「伊織、ダメよ! ここは私が……」



伊織「もう、嫌なのよっ!!」



家老「お、お嬢……?」

伊織「もう、誰かを憎むのは、うんざりなの!」

律子「伊織……」

伊織「エブラーナのみんなには、私が頭を下げるわ。仇を取れませんでした、ごめんなさいって」

家老「しかし、それでは王家の威厳が!」

伊織「そんなの関係ないわ。許してもらうまで、何度でも謝る」

春香「私も謝ります!」

家老「は!?」

春香「私が出しゃばっても、あんまり意味がないかもしれません。でも、仲間が困ってるのを、私は黙って見過ごせません!」

伊織「春香……」

家老「い、いや、しかし、あんたに謝ってもらっても……」

律子「あんたたちはいいの。ここは私に任せておきなさい」

春香「そんな! 律子さんひとりに責任を押し付けるわけにはいかないです!」

伊織「そうよ! ここは私が!」

春香「いいえ、私が!」

律子「私に任せればいいって言ってるの!」

ワイワイ ギャーギャー…



家老「………」


家老「…………わかった。エブラーナの皆には、ワシから話そう」



伊織「ジイ!」

家老「お嬢の苦労も考えず、ワシは国の事ばかり……」

家老「本当に、申し訳ないですじゃ」ペコリ

伊織「いいのよ、別に」

伊織「でも、みんなには私から話すわ。これは、王女としてのけじめだもの」

家老「……わかりました。お嬢の言う通りにしましょう。ワシも、共に行きますぞ」

家老「それからあんたも」チラ

家老「諸悪の根源、などと言ってすまんかった。思えばワシは、海に落ちた時にあんたに命を救われているんじゃったな」

律子「いいえ。諸悪の根元っていうのは、まあ、割と当たってますし」

家老「良い仲間に恵まれましたな、お嬢」

伊織「……ええ!」ニコッ



春香「ふぅ……」

春香「なんか、一件落着みたいだね」

伊織「ま、なんとかね」

伊織「っていうか春香。あんた、なんでこんなところにいるのよ?」

春香「え? ……ああ、そうだった!」

春香「ねえ伊織、律子さん……」




春香「……ライブ、やりませんか?」




律子・伊織「…………は?」


ー トロイア城 客室1 ー


律子「プロデューサー、どういう事なんです? いきなり、ライブをやるだなんて」

P「ああ。春香の立案なんだけど、話してみたらみんなも結構乗り気でさ」

P「レッスンもご無沙汰だし、肩慣らしも兼ねてやってみようか、って事になって」

律子「それはいいです。でも、この国には音響機材とか、ライブに必要なものなんて何もないじゃないですか」

春香「それなら心配いりませんよ! ミニ助さんが言ってました。ミスリルの村にはライブに使う機材が揃ってるって!」

律子「え? そうなの?」

響「それは本当だぞ。自分、前にミニ助たちと一緒にミスリルの村で踊ったんだけど、結構機材も本格的だったさー」

律子「ふーん。それならまあ、なんとかなりそうですね」

P「で、だ。律子に頼みがあるんだ」

律子「改まって、なんです?」

P「ミスリルの村に、機材を取りに行ってくれないか? 亜美たちと一緒に」

律子「え? なんで亜美たちと?」

響「本当なら自分がファル子で取りに行きたいとこなんだけど、自分、伊織のじいちゃんをエブラーナまで送り届けなきゃいけないんだ」


亜美「そ・こ・で!」

真美「久々のフタミ号の出番ってわけなんだよ、りっちゃん!」

P「2人のお目付役としてさ。頼むよ」

律子「うーん……まあ、仕方ないですね。亜美と真美だけに任せるわけにはいきませんし」

律子「その代わり、遊びで行くんじゃないんですからね? わかってるわね?」

亜美・真美「わかってるYoー!!」


ー 飛空艇 ファルコン号 ー



響「……それじゃ、じいちゃんをエブラーナに送ってくるぞ!」

P「うん。響、よろしくな」

響「ふふん! 自分とファル子に任せておけば、なんくるないさー!」



春香「伊織、本当にひとりで行くの? 私たちも行こうか?」

伊織「大丈夫よ。あんたたちはライブの準備をしっかりやってなさい」

春香「……うん、わかった!」



アン「お気をつけて。本当は、あなた方エブラーナの民も、このトロイアに招待したかったのですが……」

家老「それには及ばぬよ。ワシらエブラーナの民は、忍の一族。簡単に他の民と馴れ合う事はせんのじゃ」

家老「それに、ワシらにはエブラーナ城があるのでな。今は魔物に滅ぼされてしまっておるが、必ず皆で復興してみせる」

アン「わかりました。ですが、文化は違えど、私たちは皆この世界のために戦った仲間です。もしもの時には、必ず駆けつけますわ!」

家老「……ありがたきお言葉、感謝じゃ」



伊織「響。そろそろ行きましょ」

響「うん、わかったぞ!」



響「ファル子、出発だ!」グイッ



ブワッ…


ババババババ…


P「…………さて、と」

亜美「んっふっふ〜。次は亜美たちの出番ですかな?」

真美「久々のフタミ号のカツヤクだね!」

P「気をつけて行くんだぞ?」

律子「大丈夫ですよ。ちょっと行ってくるだけですから」

P「まあ、律子がついてるなら心配はないと思うけど」


ミニ助「それでは行こうか、諸君」

ピョン吉「久しぶりに村に帰れるね!」

ブタ美「みなさん、よろしくお願いします……」

真美「よーしっ! 誰が飛空艇まで早く着けるか、きょーそーだよっ!」

亜美・真美「それ〜〜!!」

タタタタ…


律子「あ、こら! 待ちなさーい!」

タタタタ…



P「……よし。残りのメンバーは城に帰ってライブの打ち合わせをしようか」



アイドルたち「はーーい!!」

ー ミスリルの村 ー


律子「……で、一瞬にして到着したわけだけど……」

律子「ここがその、ミスリルの村?」

ミニ助「いかにも。僕らミスリルブラザーズの故郷だよ」

亜美「ふぇ〜、ホントに家とかちっちゃいんだねー。面白ーい!」

ピョン吉「君たち人間からすればそうだろうねー」

真美「んで、そのサマーソルトホールってやつはどこにあるの?」

ブタ美「コンサートホールは、この先にあります……」



律子(小人やカエルが住んでるだけあって、何もかも小さくてミニチュア模型みたいで可愛いわね)

律子(…………ん? 何もかも小さい……?)



真美「……そういえば気になったんだけどさ。ミニちゃんたちはいつも何食べてるの?」

ミニ助「そうだな。アリのステーキとか、ハエのムニエルとか……」

ピョン吉「ボクはミミズのソテーかな」

ブタ美「わ、私は、草を……」

真美「ふ〜ん……」

ミニ助「そうだ。今度君たちにアリのステーキをご馳走しよう。なかなかイケるぞ?」

真美「あ、う、ううん。真美、あんましアリとか好きじゃないから……」

ミニ助「そうか……。残念だ」



真美(真美、人間に生まれてきてホントよかった)

ー ミスリルの村 コンサートホール ー


ミニ助「これが機材だ。さあ、運ぼうか」スッ


律子「…………やっぱりね」

亜美「ちっちゃ! 機材ちっちゃ!」

亜美「こんなのじゃ、ライブできなくない?」

真美「わ〜ん! どうしよりっちゃん!」

律子「うーん、困ったわね……」

ミニ助「問題あるのか? これでもちゃんと使えるんだが」

律子「この広さのホールなら、こんなに小さくても充分なんでしょうけど……」

ピョン吉「……あ、そうか。君たち人間が使うとなると、もっと大きなサイズじゃないとダメなんだ」

ブタ美「うぅ……すみません……」

律子「ちなみに、機材はここにあるので全部よね?」

ミニ助「ああ。……すまない。力になれると思ったんだが……」



亜美「どーする、りっちゃん?」

律子「せっかくだから、ライブはやりたいけど……。この際、アカペラでやるとか?」

亜美「ええ〜!? それはさすがにキツいっしょ〜!」

律子「そうよねぇ……」

真美「せめて、もうちっと大きければなぁ……」


真美「………」

真美「…………あれ? もしかして……」

スタスタ…


亜美「とりあえず、これ全部持って帰ってみる? 手のひらサイズだから持ち運びはラクちんだけど」

律子「そうね。ダメもとで持っていってみましょうか」

真美「ちょっと待って」

律子「え?」



真美「…………ミニマム」

…ボンッ



亜美「……あっ!」

律子「あ」

ミニ助「おお!」

ピョン吉「機材が……」

ブタ美「大きくなっちゃいました……!」



真美「小人にしたりもとに戻したりする魔法なら、イケるかな〜? って思ったんだけど……」

真美「んっふっふ〜♪ どーやら問題カイケツですな!」

亜美「なるほどねー! 真美あったまいい!」

律子「そういう魔法もあるのね。真美、お手柄よ!」

真美「へへ〜♪ 」ニコッ

亜美「よく思いついたね?」

真美「亜美がトードで兄ちゃんを人間にしたりべろちょろにしたりしてるの思い出してさ」

亜美「あ、そっかぁ」

ミニ助「君はなかなか機転が利くんだな。……ともかく、機材を運んでしまおうか」

亜美・真美「は〜〜い!!」

ー エブラーナの洞窟 ー


スタスタ…

響「……ねえ、この不気味な洞窟が伊織の国なの?」

家老「左様じゃ。城はほぼ壊滅状態じゃからな。皆、この洞窟に避難しておるんじゃ」

響「そうなのか……。伊織、苦労したんだな」キョロキョロ

伊織「………」





家老「……着きましたぞ」

伊織「ええ」

響「ねえ伊織。自分は行かない方がいいかな?」

伊織「ううん、あんたもいてちょうだい、響」

響「へっ? ……珍しいな。伊織からそんな事言うなんて」

伊織「い、いいでしょ、別に」

伊織「あんたは私の、大切な仲間なんだから」

響「……うん、わかったぞ!」ニコッ

家老「………」


伊織「……さ、行くわよ」




伊織「みんな、ただいま!」



「……おお! 王女だ!」

「イオリ王女が戻られたぞ!」

「よくぞご無事で! お待ちしておりました!」

「王女! 王女! 王女!」

「うおおおおおおお!!」

ザワザワ…



響「へぇ……伊織、すごい人気者だな!」

家老「もちろんじゃ。お嬢ほどカリスマを持つ者もなかなかいないじゃろう。この国の民は皆、お嬢に心から忠誠を誓っておる」

家老「逆に、皆お嬢無しでは生きてゆけないかもしれん」

響「それはちょっと大げさな気がしなくもないけどなー」


伊織「心配かけたわね。でも、この通り、私は無事よ!」



兵士1「さすが王女です!」

兵士2「我らの王女は無敵だ!」

兵士3「イオリ王女ばんざーい!」

ザワザワ…



伊織「みんな、ちょっと聞いて」

伊織「今日、私がここに帰ってきたのは……」

伊織「あんたたちに、話さないといけない事があるからなの」



兵士1「話ですか……?」

兵士2「どんなお話でしょうか?」

兵士3「王女のお話ならば、何があってもお聞きします!」

ザワザワ…



伊織「ありがと、みんな」



伊織「私は、エブラーナのみんなの仇を討つために、この国を旅立った」

伊織「そして、旅の途中で私はついに、私たちの宿敵、赤い悪魔……火のルビカンテに会ったわ」

伊織「でも私は……ルビカンテを殺せなかった。みんなの仇、討てなかったの。それどころか、ルビカンテにピンチを助けられたりもした」

伊織「巨人が人間を滅ぼそうとしてたのは知ってるわよね?」

伊織「ルビカンテたちがいたから、私たちは巨人を止める事ができたのよ」



兵士1「お、王女……」

兵士2「そんな……」

兵士3「なぜ……?」

ザワザワ…


伊織「みんなの仇、取れなくてごめんなさい」

伊織「……ううん、謝っても許されない事だって、わかってる」

伊織「だから……」

伊織「わ、私を、あんたたちの好きなようにしていいわ!」

伊織「それで許してもらえるかはわからないけど……」



兵士たち「!!!」



家老「お嬢……」

響「ね、ねえ、伊織、あんな事言っちゃてるけどいいの?」

家老「心配無用じゃ。……多分」

響「多分て……」

家老「お嬢の覚悟に水を差すような真似は、なるべくしとうない」

響「うーん……。大変な事にならなきゃいいけどな……」


兵士1「では、王女。私どもからお願いがあります」スッ


兵士2「お、おい……」

兵士1「止めるな。お前だって気持ちは同じだろう?」

兵士2「し、しかし……」

兵士3「言ってやれ。それは……オレたちの悲願だ!」

兵士2「ぐっ……!」

伊織「言ってみなさい。私にできる事ならなんでもやってみせるわ!」

兵士1「その言葉に、ウソはありませんね?」

伊織「あ、当たり前じゃない! この伊織ちゃんに二言はないわよ!」

兵士1「失礼しました」ペコリ

兵士1「それでは王女……」




兵士1「どうか、踏んでください!」




伊織「……そうよね。王女としての務めを果たせなかったんだもの。踏むくらいは……」

伊織「………………え?」

伊織「踏むって、何を?」

兵士1「『私を』です、王女!」キリッ

伊織「キリッ! じゃないわよバカっ! 何よそれ!? 頭おかしいんじゃないの!?」

兵士3「王女! 私には思いつく限りの罵詈雑言をお願いします! できれば虫ケラを見るような目で!」ズイッ

伊織「は!? ちょ、ちょっと……!」

兵士2「な、ならばっ! 私は、王女の靴を舐めさせてください! ずっとそれを夢に見ていました!」ズイッ

兵士1「王女、お願いします!」ズイッ

伊織「お、おかしな目で私を見るなぁーっ!」ゲシゲシ

兵士1「ああっ! もっと、もっと蹴ってくださいっ!」クネクネ




響「あれ? なんか思ってた展開と違うぞ……?」

家老「心苦しいが、これがお嬢が乗り越えなければならない咎なのじゃ」

響「ふ、ふーん……。よくわかんないけど、みんな変態で伊織は大変だな……」


兵士4「王女! ムチで私を!」

兵士5「私にはロウソクを!」

兵士6「どうか我々を、王女のオスブタとして調教してください!」

兵士たち「さあ、王女!!!」

ワイワイガヤガヤ…



伊織「こ、この変態ども〜〜っ!!」

伊織「ええい! こうなったらもう、ムチでもロウソクでもやってやるわよっっ!!」



兵士たち「ありがたき幸せッッ!!!」



ーーーーーー

ーーー


伊織「………………はぁ」ゲッソリ


響「お疲れ伊織ー。災難だったなー」

伊織「災難なんてもんじゃないわよもう! なんでこの国は変態ばっかなのよっ!」

響「でも、ちゃんとみんなに許してもらえたんだから、良かったさー!」

伊織「まあ、そうなんだけど……なんか納得いかないわ」

家老「皆、お嬢を慕っておる、ということですじゃ」

伊織「それはいいけど、もっと違う慕い方があるでしょうに……」

家老「まあ、それはともかく」

家老「行きなさるのか?」

伊織「……ええ」

家老「そうか」

伊織「止めないの?」

家老「ワシが止めたところで、お嬢は行くのをやめるのか?」

伊織「そりゃまあ、ダメって言われても行くつもりだけど」

家老「ならば行かれよ。ワシらの事は気になさるな」

家老「お嬢とワシらには、海より深い絆があるでな」チラ



兵士1「も、もっと……踏んで……」ピクピク

兵士2「ああ、王女の靴、美味しいですぅ……」グッタリ

兵士3「ごめんなさい……ウジ虫以下でごめんなさい……」ボロッ



伊織「こんな絆、すっごく嫌なんだけど……」

ー 飛空艇 ファルコン号 ー


響「そっかぁ。じいちゃんたち、ここに残るって事は、自分たちのライブ見てもらえないんだなー」

家老「申し訳ない。ワシはこの国に骨を埋めると決めておるのでな」

伊織「問題ないわ。どんなに遠く離れてたって、きっと私たちの声をこのエブラーナまで届けて見せるもの!」

響「伊織……」

響「うん、そうだな!」



伊織「それじゃあね。私がいなくても、国のためにしっかり働くのよ?」


兵士1「はい! 任せてください!」

兵士2「必ずみんなでエブラーナを復興してみせます!」

兵士3「王女も、どうかご無事で!」

家老「ワシらはこの地で、お嬢の旅の目的達成を祈っておりますぞ!」


伊織「にひひっ♪ まっかせなさい♪ 」




伊織「………」

家老「……お嬢? どうされたのじゃ?」

伊織「………」

伊織「……あのね」

伊織「私……もしかしたらもう、ここへは戻って……」


家老「……行きなされ」

家老「弱気な言葉など、お嬢に似合いませんですじゃ」

伊織「ジイ……」


家老「優秀な忍者とは、クールに、そしてスタイリッシュに任務を遂行するものですぞ?」ニコッ


伊織「っ……!」ウルッ



家老「イオリ王女、ばんざーい!」

兵士たち「ばんざーい!!!」



伊織(みんな……っ!)



伊織「……行って、響」

響「もう、いいのか?」

伊織「ええ。……問題ないわ」グッ

響「……わかった」

響「よーし! 行くぞ、ファル子!」


ブワッ…



伊織(ーーこの国は、魔物に城を滅ぼされ、王や王妃、たくさんの民たちが命を落とした)



伊織「ジイ……お父様、お母様……みんな……」



伊織(でも、きっともう大丈夫)



伊織「…………行ってきます!」



伊織(だってここは、私の国だもの。当たり前よねっ! )






















兵士1「王女ーー! またいつか蹴ってくださいねーーー!!」



伊織「二度とするかバカーーーーっ!!」

ー 月の地下中心核 ー


魔物たち「ぜぇ、ぜぇ……」


ダークバハムート「……どうした。うぬらの実力はその程度か?」

魔物たち「………」

ダークバハムート「この程度で音を上げるとは、コトリの親衛隊が聞いて呆れるな」

ダークバハムート「これならば、まだ我の眷族の方が気勢があるぞ?」

リルマーダー「ま、まだだ! まだ終わってないんだからな!」

レッドドラゴン「……くそったれ! 根性見せてやらぁ!」

魔人兵「……せっかく採用もらったんだ。オレだって諦めたくない!」

ダークバハムート「クク……。そう来なくてはな」ニヤリ

ダークバハムート「さあ、もう一度だ! ゆくぞ!」




ダークバハムート「……ら〜ら〜ら〜♪ 」



魔物たち「ら〜ら〜ら〜♪ 」



ダークバハムート「うつけ者が! 半音ずれておるわ!」

ドガァ!


魔物たち「ぐはぁっ!!」


ドサッ


ダークバハムート「コトリから許可は貰ってある。少々厳しく教えても構わぬとな」

ダークバハムート「この機会に、うぬらの音感を我のれっすんにて徹底的に鍛え上げてくれるぞ!」



月の女神「うわぁ、あの先生超恐ーい」

クルーヤ「あーあ……。バハムートのやつ、スパルタだなぁ」

月の女神「ねえおじさん。おじさんは歌の先生やらないの?」

クルーヤ「おじ……」

クルーヤ「お兄さんはね、身体を動かす方が得意なんだよ」

月の女神「ふーん……」

ベヒーモス「だからあんたがダンスの先生って事なのかい?」

クルーヤ「そうそう。人には誰でも得意不得意があるものだから」

プリンプリンセス「うふふっ♪ わたくしは歌もダンスも両方得意ですわよ!」



暗黒魔道士「………」シュン

ブルードラゴン「ダンスも歌も出来なくて落ち込んでおるのか?」

暗黒魔道士「………」コクリ

ブルードラゴン「なに、今は出来ずとも、いずれものにできる。お主のように真面目な者ならば、な」

暗黒魔道士「……!」パァァ

ブルードラゴン(……そう。時間をかけさえすれば、手に入れられる)

ブルードラゴン(ワシは、何かを欲しがるには遅すぎたのじゃ)


金竜「ふふふ……! だんすとやらは出来ぬが、歌ならば自信があるぞ!」

金竜「ら〜らら〜♪ 」

銀竜「おお、流石は兄者! 月に金竜あり、と言われただけはある!」

金竜「さあ、我の歌声を聴けいっ!」



ダークバハムート「……ふむ。それでは、今宵のれっすんはここまでにしておくか」



金竜「あっ…………」

銀竜「兄者ぁ……」

ーーーーーー

ーーー


ダークバハムート「コトリよ。いつまでこの様な事を続けるつもりだ?」

小鳥「それは……みんながこの月へ来るまでですよ」

ダークバハムート「そうか」

小鳥「……あの、もしかしてバハムートさん、レッスンなんて無駄なんじゃないかって思ってません?」

ダークバハムート「そうは言っておらぬ。我もそなたのあいどるになると言った身だ。約束は果たそう」

ダークバハムート「しかし、あいどるというものが何なのか分からぬ事には、目指すものも目指せぬのではないかと思ってな」

小鳥「うーん……」



小鳥「実は私、アイドルって一言では言い尽くせないと思ってます」

ダークバハムート「……何?」

小鳥「人それぞれ形が違うっていうか、捉え方の問題っていうか……」

小鳥「……でも、そうですね」

小鳥「私にとってのアイドルは、『憧れ』ですかね」

ダークバハムート「憧れ……」

小鳥「キラキラ輝くステージで、歌って、踊って、たくさんの人から声援をもらって……」

小鳥「私、そういう人になりたいなって憧れてた事があったんです」

ダークバハムート「……? 何故、過去形なのだ?」

小鳥「あっ……い、いえ、今のは別に深い意味は……」

小鳥「……って言っても、バハムートさんには心を読まれちゃうんですよね」

ダークバハムート「我とて、そこまで無粋な事はせぬ。胸に秘めておきたいというならば、無理に暴こうなどとは考えぬよ」

小鳥「うふふっ♪ ありがとうございます」


小鳥(……でも、冷静に考えてみると、バハムートさんの言葉ももっともよね)

小鳥(私、ラスボスなのに、こんなに遊んでていいのかな)

小鳥(こんなにふざけた私に、バハムートさんやクルーヤさん、親衛隊のみんなが命を預けてくれてるっていうのに……)

小鳥(蛇君たちの事もそうだし……)

小鳥(みんな、後悔してないのかな。私なんかについてきたりして……)

小鳥(もしかしたら、私は……)


クルーヤ「……どうしたんですか、コトリさん? またお得意の妄想ですか?」ヒョコッ

小鳥「……へっ? あ、ええと、その……」

クルーヤ「ひょっとして今、『私はみんなに迷惑かけてるんじゃ……』なーんて考えてませんでした?」

小鳥「………」

クルーヤ「……ボクはね、コトリさんみたいな明るい悪の化身がいてもいいんじゃないかって思うんです」

小鳥「えっ……?」

クルーヤ「そりゃまあ、悪っていったらもっとこう、性格が悪かったり、おぞましい姿だったりするのが普通なんでしょうけど」

クルーヤ「あ、そうそう、こういうやつとか」グイッ

ダークバハムート「む、なんだ?」

小鳥「……確かに、バハムートさんはそれっぽさ満載ですねぇ」

クルーヤ「でしょう?」


ダークバハムート「莫迦な。我らを纏めるのはコトリだ。我はコトリに従うまでだ」

クルーヤ「うん、そうだ。コトリさんがボクらの大将なんだ。それは誰にも代わりはできない」

小鳥「………」

クルーヤ「でもね? ボクは良かったです。コトリさんがコトリさんで」

小鳥「?」

クルーヤ「とっても面白くて、美人で、気がきいて、優しくて……」

クルーヤ「妄想癖とか、変わった事を考えるところとか、全部含めて、ボクはコトリさん側に来て良かったなぁって思います」ニコッ

小鳥「クルーヤさん……」

ダークバハムート「まあ……そうだな。もう少し威厳を持ってもらいたいという想いはあるが、我もそなたを特に不服に感じた事は無いぞ?」

小鳥「バハムートさん……」

クルーヤ「だから、いいじゃないですか。今まで通り楽しくいきましょうよ。ねっ?」

小鳥「わ、私……私っ……!」ウルッ

クルーヤ「ほらほら、泣かないで」



小鳥「美人で可愛くて女子力高くて結婚したい女性No.1だなんてそんな!」クワッ



クルーヤ「いや、そこまでは言ってないかなぁ……」

ダークバハムート「これが人間の女の性か……」

小鳥「お2人とも、ありがとうございます! なんか、元気出てきました!」

クルーヤ「お、じゃあ、今日は久々に呑みますか?」

小鳥「わぁい! 喜んで♪ 」

ダークバハムート「つい一昨日も呑んだばかりだと思うがな」


小鳥「さぁ、呑むぞーー!!」

ー トロイア城 客室2 ー


P「はあああ……!」

…ポワ

P「……おお、光が出た!」

P「こないだ見たのと同じ光だな!」



P「…………ふぅ」

P(やっぱり、あの時真美の傷を治したのは俺の力だったんだ)

P(よし、これなら俺もみんなの役に立てるぞ!)


P「…………っと」フラッ

P「あれ……少し眩暈がする。もしかして、力を使ったせいなのかな……」


『ーーそうじゃ。それは、たゆたうそなたの生命力を放出しているのじゃ』


P「えっ? だ、誰だ!? どこにいるんだ!?」キョロキョロ


『ワシじゃよ。妖精じゃ』


P「妖精? えーっと……どちらの妖精さん?」


『む……すっかり忘れ去られてしまったのう。ワシは、ゲームの妖精じゃ。そなたの持って来たゲームのな』


P「ゲームの……?」

P「……………………ああ! スーファミの!」


『本当に忘れてたんじゃな、まったく。出番がほとんどないから仕方ないとはいえ、ワシだって拗ねるぞい』


P「いや、悪かったよ。あと、あんたが拗ねても誰も得しないからやめてくれ」


『酷い扱いじゃのう』


P「そりゃそうだろ。いきなり出てきて、ゲームの世界へ行ってもらう、なんて言われて……」

P「ここまで大変だったんだぞ、俺たち」


『じゃが、充実した時間を過ごせているのではないか? 現実の世界では、なかなか皆が集まる機会はない様だったではないか』


P「それは……」


『あの娘たちにも、良い経験になっていると思うんじゃが』


P「……うん。そういえば、あんたは最初にそう言ってたよな」

P「確かにあんたの言う通りだったかもしれない。色々あったけど、みんな、なんだかんだで上手くやってるし」

P「あの子たちの楽しそうな顔も見られたしな」

P「まあ、そこは感謝するよ」


『うむ。我が主のお役に立てて光栄じゃ』


P「あのさ、確認なんだけど……。本当に現実世界に戻っても、この世界の出来事は何も影響しないんだよな?」


『最初に言った通りじゃ。この世界で起きたどんな出来事も、現実世界にはまったく影響しない』


『…………そなた以外は、な』


P「……えっ? どういう事だ?」


『忘れておるかもしれんが、そなたはこのゲームの世界では異質な存在なんじゃ』


P「ああ、それは覚えてるよ。俺だけ演じる役がなかったんだよな、確か」


『そうじゃ。それによって、そなたにだけ不都合が生じる事になる。今回ワシは、忠告に来たんじゃ』


P「忠告……?」


『演じる役がないそなたは、あの娘たちとは違い、このゲームの世界でも現実世界の身体のままじゃ』


P「? ……それだと、どんな不都合があるんだ?」


『わかりやすく説明しよう』


『まずワシは、あの娘たちに対しては、意識のみをこのゲーム世界に飛ばし、本来のこの世界の登場人物と融合させる形にした』

『あの娘たちにしてみれば、夢を見ているのと同じような状態じゃな』

『だから、この世界で何があろうとも、現実世界のあの娘たちの肉体や精神にはなんら影響はない』


P「なるほどな。そういう仕組みなのか」

P「……あれ? じゃあ、俺は?」


『さっきも言ったが、そなたは生身の肉体そのままがこの世界へ来ておる。……正確には、あのカエルのポシェットと融合している状態なんじゃが』

『この世界で過ごしてみてわかったじゃろうが、そなたは基本的にゲーム世界からのどんな干渉も受け付けない。あの娘たちからは別じゃがの』

『しかし、そなたがトードの魔法でカエルのポシェットから人間の姿になった事により、そなたが干渉を受ける可能性が出てきた。月の民が良い例じゃな』

『ゲームの世界というものは、現実世界と比べて非常に希薄で脆弱な世界なんじゃ』

『生身の人間であるそなたは、この世界の人間に比べると、何百倍もの生命力に溢れておる』


P「……そういえば、試練の山でクルーヤがそんな事言ってたような……」


『そして、そなたの生命力は、この世界では常に飽和状態にある。膨大過ぎて、溢れておるんじゃ』

『そなたが少し意識する事で、生命力を任意であの娘たちに分け与える事もできる』


P「それが、さっきの力なのか」


『うむ。じゃが、そなたは生身の人間である事を忘れてはならぬ。他人にエネルギーを分け与えれば、その分そなた自身の生命力が減る事になるのだから』


P「えっ? じゃ、じゃあ、もし俺が生命力を使いきったりしたら……」


『……もう一度言うが、そなただけはこの世界での出来事がそのまま現実世界へと引き継がれる。あの娘たちと違ってな』

『この世界でそなたが力尽きるような事があれば……』


P「………」


『まあ、そう悲観するでない。少なくとも、この世界の人間や魔物にそなたが殺される事はまずないからの』

『そもそも、この世界でそなたを認識できる者、そなたに対して影響力を持つ者など、ごくわずかしかおらんし、そなたが生命エネルギーを分け与える事ができるのも、この世界では特殊な存在であるあの娘たちに対してだけじゃ』


P「えーっと……要は、俺が力を使いすぎて自滅しなければ死ぬ事はない、って事でいいのか?」


『まあ、ざっくり言うとそんなところじゃの』


P「でも、なんで今さら……。そんな重要な事なら、最初に言ってくれたっていいじゃないか」


『そなたがずっとポシェットの姿のままでいれば、他人に生命エネルギーを分け与える事などできるようにはならなかったんじゃ。ポシェットには生命力など無いからの』

『ワシもこの可能性は考えんかった。……すまん』


P「………」


『案ずるな、我が主よ。そう簡単にそなたの生命エネルギーは尽きることはないのじゃ。なぜなら、先ほども言ったが、現実世界の存在であるそなたは、このゲームの世界では桁はずれの生命力なのじゃから』


P「ああ……」


『ゲームも残すところあと少しのようじゃな。あの娘たちが心配なのはわかるが、あまり無理はせんようにな』

『では、さらばじゃ。ワシはエンディングで、無事なそなたたちに再び会える事を願っておるぞ……』


P「あ、おい! 待ってくれ! あんたに聞きたい事はまだあるんだ」

P「………………」

P「……声がしなくなったか」



P「………」

P(なんか、妙な感じになったな。俺だけは生身の身体、か)

P(でも、力を使い過ぎなければいいんだよな)

P(あの子たちもかなり頼もしくなってきたし、俺の出番なんか、もうそんなに無いだろうな、きっと」


春香「……誰の出番が無いんですか?」


P「うわっ!?」ビクッ


P「は、春香か。おどかすなよ……」

春香「ご、ごめんなさい。でも私、さっきからずっと呼んでたんですよ?」

春香「プロデューサーさん、私に気づかないでずーっと独り言言ってるし……」

P「いや、独り言じゃなかったんだけどな」

春香「えっ? じゃあ、誰とお話してたんですか? 私には誰かがいるようには見えませんでしたけど……」

P(……どうしようか。内容は言えないけど、誰と話してたかくらいなら言っても平気だよな)

P「……妖精だよ。俺たちをこのゲームの世界へ飛ばした張本人のな」

春香「妖精……さん、ですか?」

P「ほら、俺たちがこの世界へ来る前に、変な爺さんがいたろ?」

春香「おじいさん……?」

春香「…………あー! そういえばいましたねー、そんな人」

P「まあ、春香が忘れてるのも、無理ないよな。俺だってすっかり忘れてたんだから」

春香「それで、何を話してたんですか?」

P「ん……大した事じゃないよ」

P「それより、俺に何か用があるんじゃないのか?」

春香「あ、はい」


春香「ええと……」モジモジ

P「……どうした?」

春香「………」

春香「プロデューサーさんと、ちょっとだけお話したいなぁ、って思いまして……」

春香「その、ダメですか?」チラ

P「いや、全然構わないけど」

春香「ホントですか!? やったぁ!」パァァ

P「なんだ、大げさだな。言ってくれればいつでも話し相手になったのに」

春香「でも、最近のプロデューサーさん、いろいろ忙しかったみたいじゃないですか? ほら、長老さんのところへ行ったりとかで」

P「……ああ、言われてみればそうかもしれない」

春香「それに……」

春香(2人っきりでお話する事に意味があるんですよ!)

春香(……って、これはさすがに恥ずかしいから言えないよ)

P「……春香?」

春香「あっ……な、なんでもないです!」



春香「久しぶり、ですよね」

P「え?」

春香「こうしてプロデューサーさんと2人きりでお話するの、いつ以来でしょうね」

P「ああ……そういう久しぶりか」

P「そうだなぁ。前に春香と2人きりで話をしたのは確か……バロンの宿屋だったっけか」

春香「わぁ、覚えててくれたんですね! そうです!」

春香「確かあの時はプロデューサーさんに、『春香は政治家や思想家が向いてるのかもなー』なーんて言われたんですよね、私!」


P「はは、そうそう! ……懐かしいな。あれからもう結構経つんだなぁ……」

春香「はい。あれから何日も経ちました。いろんな事があって、どうにかみんな集まりました」

P「そうだな。……春香のおかげだよ」

春香「私だけじゃないですよ? みんなすっごく頑張ってましたもん!」ニコッ

春香「私たちは、苦しい事もありましたけど、お互いがお互いを信じてた。だから、こうしてまたみんなで集まれたんだと思います」

P「うん。みんなが頑張ってくれたからだな」

P(でも……)

P「春香。俺はさ、やっぱり春香が主人公をちゃんとやってくれたから、ここまで来れたんだと思うんだ」

春香「プロデューサーさん……」

P「ありがとな、春香」ナデナデ

春香「あっ……」

春香「……えへへっ……///」モジモジ

春香(プロデューサーさんに頭撫でてもらうの、本当に久しぶりだぁ……)



P「ところで、明日の結婚式で何を歌うか、もう決めたのか?」

春香「はい! やっぱり、この世界の人たちに感謝を伝えるには、『あの歌』しかないかなって」

P「そっか。まあ、俺も『あの歌』がベストだと思ってたけど」

P「練習時間は少ないけど、大丈夫そうか?」

春香「大丈夫ですよ! 若干ブランクはありますけど、私たち、プロですから!」

春香「今も、みんなで練習してるところなんです」

P「そっか。じゃあ俺も後で見に行くよ」

春香「そうですね。みんな喜ぶと思います!」


春香「……でも、なんだか嬉しいですね」

P「何が嬉しいんだ?」

春香「この世界に来る前の私たちって、結構みんな忙しかったから、みんなで集まったりとかはなかなかできなかったけど、今はこうやってみんな揃って練習できたりして……」

春香「まるで、昔の私たちに戻ったみたいで、私……」ウルッ

春香「あっ……」

春香「……ご、ごめんなさい! 私、もう行きますね?」

P「……うん。また後でな」



春香「……プロデューサーさん!」

春香「こうしてみんなで集まる機会を与えてくれて、ありがとうございます!」ニコッ



…バタン



P「………」

P(本当に嬉しいんだな、春香)

P(みんなも、喜んでくれているのかな。もしそうだとしたら、この世界で過ごした事も、みんなの大切な思い出になるよな……)



P(……待っててくださいね、音無さん。もうすぐ、あなたも迎えに行きますから)

続きは明日の夜投下します。
そして明日の投下後に次スレへ移行します。
FINALとはなんだったのか。

ーー翌日、トロイア城 新郎控え室


店主「……えーと」ポリポリ

店主「ど、どうかな? オレ、今まで生きてきて、こんな洒落たカッコなんてした事なくてよ……」


響「おー、タキシードかぁ! なかなか似合ってると思うぞ!」

亜美「うんうん! マゾにもヒストってカンジだね!」

真美「ちがうよ亜美ー。それを言うならマゾにもイショウっしょ!」

店主「ははは……どっちも違うしそもそもそれ、褒め言葉じゃないけど、ありがとな」



店主「はぁ……」ソワソワ

響「店主、ひょっとして緊張してるの?」

店主「まあな。なんたって、ついに今日は人生の一大イベントの日だからなぁ」

伊織「もう、しっかりしなさいよね。今日はあんたたち2人が主役なのよ?」

店主「あ、ああ、わかってはいるんだけどな……」

響「緊張し過ぎて、式の途中で失敗しないようにな!」

店主「ぷ、プレッシャーかけるなよ、ヒビキ……」

あずさ「それにしても、羨ましいわ〜。ちゃ〜んと運命の人、見つけたんですねぇ」

店主「運命の人かぁ。そういう事はあんまり考えた事はなかったけど……」

あずさ「これから、ものまね士さんの事、しっかり守ってあげてくださいね?」

店主「……うん。わかってる」


真美「………」

真美(ケッコン、かぁ……)

真美(もし真美と兄ちゃんがケッコンしたらどーなるのかな……)

真美(ん〜……まだ先のことだからわかんないけど……)

真美(……でも、きっと楽しいよね)


亜美「……ねえ真美。真美ってば!」

真美「ふぇっ!?」ビクッ

亜美「もー、何ボーっとしてんのさ?」

真美「あ、あれ? 真美、ボーッとしてた?」

亜美「うん、かなり」

亜美「どーせ、兄ちゃんとケッコンしたらーとか、考えてたんでしょ?」

真美「そそそ、そんなコト考えるわけないじゃん!」カァァ

亜美「え? そーなの?」

亜美「んじゃ、兄ちゃんは亜美がもらっちゃおっかな〜♪ 兄ちゃんとケッコンしたら、楽しそーだし!」

真美「そ、そんなのダメっしょー! 真美が兄ちゃんとケッコンするんだから〜!」

亜美「ダメ〜! 兄ちゃんは亜美のだかんね!」

真美「ぐぬぬ……!」

亜美「ぐぬぬ……!」

あずさ「2人とも、ケンカはダメよ〜?」



…ガチャ



トロア「……失礼致します。新郎殿の準備は整いましたか?」



あずさ「は〜い。バッチリですよ〜♪ 」

トロア「では、新郎殿は先に礼拝堂の方へお願い致します」

店主「うぅ……ヤバい、心臓がヤバい……」ドキドキ

伊織「もう逃げられないわよ。さ、行った行った♪ 」グイッ

店主「わわっ、お、押すなよ!」ヨロッ

響「店主〜! ちばりよー!」

あずさ「行ってらっしゃ〜い♪ 」

ー トロイア城 新婦控え室 ー


ものまね士「………」ドキドキ



雪歩「ええっと、ここをこうして……」ゴソゴソ

雪歩「あ、春香ちゃんと真ちゃん、ちょっとそっちを持っててもらえるかな?」

真「うん、わかった!」

春香「は〜い!」

雪歩「ここで結んで……っと」ゴソゴソ

雪歩「……はい、ドレスの着付け、なんとか完了しましたぁ」

雪歩「美希ちゃん、そっちはどうかな?」チラ


美希「〜〜♪ 」ゴソゴソ

美希「……うん!」

美希「ヘアメイクもバッチリなの☆」ブイッ


雪歩「あの、ものまね士さん、もう目を開けてもいいですよ?」

ものまね士「は、はい……」ソ〜ッ



ものまね士「……!」キラキラーン


ものまね士「こ、これが……私……?」ボーッ



真「すっごくキレイですよ、ものまね士さん!」

春香「うんうん! どこかのお姫様みたいですっ!」

ものまね士「そ、そう……ですか……? な、なんか、照れちゃいますね……///」モジモジ

真「くぅ〜、いいなぁ〜。ボクもウェディングドレス、着てみたいなぁ〜」

美希「ねえ、ファンの人。もっと自信持っていいって思うな。今日はあなたが主役なんだよ?」

ものまね士「う、うん。わかってるけど……」

ものまね士「なんだか、本当に全部夢みたいで……」

雪歩「夢なんかじゃないですよ。今日、ものまね士さんと店主さんは、神様に認められて夫婦になるんですから」ニコッ

ものまね士「夫婦……」

ものまね士「ううっ……!」ウルッ

真「ああ、泣いちゃダメですよぉ」

春香「ほらほら、せっかくのメイクが落ちちゃいますよ?」フキフキ

ものまね士「うぅっ……すみません……」


春香「……ところでものまね士さん。バージンロードの付き添いは誰にするんですか? 普通、新婦のお父さんとかですよね? 確か」

ものまね士「はい。でも、私は天涯孤独の身ですから」

春香「あっ……ご、ごめんなさい。私ってば、余計な事聞いちゃって……」

ものまね士「いえ、気にしないでください」

真「でも、それじゃあ誰が付き添えばいいのかな?」

雪歩「うーんと、ものまね士さんと縁の深い人、とかかなぁ」

ものまね士「一応それは考えてあります」

春香「そうなんですか?」

ものまね士「はい。ミキさんにお願いしようかなと……」

ものまね士「あの、ミキさん。引き受けてもらえる?」

美希「え? ……ミキで、いいの?」

ものまね士「ええ。いろいろ考えたけど……私がここまで来れたのは、一番最初にあなたに出会ったからだって思うから」

ものまね士「皆さんは私にとって特別な人たちだけど、その中でもミキさんは、さらに特別な人なの……///」

美希「そっか……。うん、わかったの! ミキに任せて☆」ニコッ

真「ものまね士さんより目立っちゃダメだよ、美希?」

美希「む〜、ミキだってそのくらいわきまえてるの!」プンスカ



…コンコン



真「……あ、どうぞ!」


…ガチャ


ドゥ「新婦の準備はできたかい?」


ものまね士「あ、は、はいっ!」ガタッ

ドゥ「ほう……見違えるほどキレイになったね。これは君たちが?」

雪歩「は、はい、一応……」

美希「あは☆ミキたち、伊達にアイドルやってないの!」

ドゥ「ふふ、そうか」

ドゥ「さあ、新郎が礼拝堂で待っている。行こう」

ものまね士「わわわ、わかりましたっ!」



春香「……ものまね士さん!」

春香「絶対、幸せになってくださいね!」

ものまね士「ハルカ様……」

真「ちゃ〜んと、店主さんに守ってもらうんですよ?」

ものまね士「マコトさん……」

雪歩「あの、お幸せに!」

ものまね士「ユキホ様……」

ものまね士「ありがとうございます、皆さん!」ニコッ

美希「じゃ、行こっか?」スッ

ものまね士「うん。よろしくね、ミキさん!」ギュッ

スタスタ…

ー トロイア城 礼拝堂 ー


ザワザワ…

「つい最近、巨人が攻めてきたりして大変だったけど、こんなタイミングで結婚する人がいるなんてな……」

「いやぁ、今日はめでたい!」

「花嫁はどんな人かなぁ……」

「ウワサによると、素手で薪を割るような人らしいぞ?」

「ええっ!? そんな人と結婚するなんて、あの人勇気あるなぁ」




店主「………」ソワソワ

長老「……おい、ちょっとは落ち着かんか」

店主「わ、悪い」

長老「心配せんでもワシがちゃんとフォローしてやるからの」

店主「うん、助かるよ」

店主「しかし、爺さんが神父役で良かったよ。知らない奴だったらオレ、もっと緊張してたかも」

長老「ま、乗りかかった船じゃからな」




P「春香たち、ちゃんと花嫁の補助はできてるかな」

律子「大丈夫ですよ、あの子たちなら」

貴音「しかし、遅いですね。花嫁の準備はまだ完了しないのでしょうか?」

千早「よくわかりませんけど、新郎はともかく、新婦の準備はいろいろ大変なんじゃないでしょうか?」

やよい「そうですよねー。わたしもお手伝いに行けばよかったかも」

P「まあ、みんなで押しかけたら、それはそれで迷惑かもしれないしな」



アン「……ご来場の皆さま、静粛にお願い致します。新婦の準備が整ったようですわ」



…シーーーン



アン「……それでは、新婦の入場です」



…ガチャ



ものまね士「……うぅ、緊張するぅ……」ドキドキ

美希「そういう時は、あんまり余計な事を考えない方がいいの。リラックスして行こ?」

ものまね士「う、うん……」

スタスタ…



店主「!!」

長老「ふむ……」



P「へぇ……」

やよい「わぁ、ものまね士さん、とってもキレイですー!」

貴音「ええ。まるで純白の天使が舞い降りたかのようですね」

律子「よしよし。なかなか上手く出来てるわね」

千早(花嫁のエスコートは美希なのね。……やっぱり、ものまね士さんと一番仲が良いからかしら)



ユキコ「わぁ、ステキですぅ……!」

ルカ「きれい……!」

シルフ「まあまあですね〜」

ミニ助「うん。今日という日に相応しい艶やかさだな」

ピョン吉「人間って、夫婦になるのにこんな面倒な事するんだなぁ」

ブタ美「わ、私たちも参加して良かったんでしょうか……」

ジオット「うちのルカもいずれ、立派な婿を取らねばならんな」

少年「ねえ、ぼくがおとなになったら、おねえちゃんをおよめさんにしてもいい?」

ヒビキの娘「うーん、そうだね。君が大人になったら、ね?」

老婆「坊や、それはちょいと気が早いんじゃないか?」

ファブール王「ほっほっほ! こんなところでも未来の夫婦が生まれたのぅ」




ものまね士「うぅ〜……みんなに見られてるぅ〜……///」

美希「それはそうだよ。だってファンの人、すっごくキレイだもん!」

ものまね士「そ、そうかな……」

美希「うん! くやしいけど、今日のファンの人は、ミキよりキラキラしてるって思うな!」

ものまね士「ミキさんより……」

ものまね士「えへへ、そっかぁ……」

スタスタ…


店主「よ、よう……」ドキドキ

ものまね士「あ、は、はい……。お、お久しぶり……です……」ドキドキ

美希「無事にとーちゃくだね!」

美希「それじゃあ店長さん。あとはよろしくお願いしますなの」ペコリ

店主「う、うん……」

ものまね士「ミキさん、どうもありがとう」



店主(あ、あれ? おかしいな……。ものまね士ってこんなに可愛いかったっけ……?)

ものまね士(ど、どうしよう……。店主さんがカッコ良すぎてまともに見れない……)


長老「これ、2人とも」

店主「お、おう!」ビクッ

ものまね士「は、はいっ!」ビクッ

長老「そろそろ式をはじめるぞ。心の準備は良いか?」

店主「あ、ああ! よろしく頼むぜ、爺さん」

ものまね士「よ、よろしくお願いします!」




春香「うわぁ……2人とも、ガチガチに緊張してるみたいだねぇ」

響「ホントだ。2人ともロボットみたいな動きになってるぞ」

P「お、春香に響。みんなも、間に合ったのか」

あずさ「はい、なんとか間に合いました〜」

美希「ハニーの隣は、ミキの指定席なの!」

亜美「んじゃ、亜美は反対側のとなり!」

真美「あっ、亜美ズルい!」

伊織「ま、このスーパー忍者アイドル伊織ちゃんが祝ってあげた方が、あの2人も嬉しいでしょうしねっ」

真「そんな事言って伊織、さっきは式に間に合うかどうか焦ってたクセに」

伊織「う、うるさいわねぇ!」

雪歩「ふ、2人とも、結婚式の最中にケンカはダメだよぅ……」オロオロ

伊織・真「雪歩は黙ってて!!」


長老「……そこの2人、静かにしてくれんかのぅ」


伊織・真「……ご、ごめんなさい」



長老「……コホン。ではこれより、2人が夫婦になるための神聖な儀式を行う」

長老「……とは言っても、難しいことはない。ワシが口上を読み上げるから、そなたらはそれに答えればいいだけじゃ」

店主「わ、わかった」

ものまね士「わ、わかりましたっ」

長老「えー、ではいくぞ」



長老「……新郎、店主よ。そなたは今日この日よりものまね士を妻とし、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しい時も、此れを助け、敬い、尊重し、生涯変わらぬ愛を捧げる事を誓うか?」

店主「あ……ち、ち、ちか……っ」




響(店主、めっちゃどもってるぞ……)

伊織(ったく、だらしないわねぇあいつ)

あずさ(店主さん、頑張って……)

律子(もう、いいとこなのに……!)

亜美(ねえ、ケッコン式ってやっぱキンチョーするもんなのかな)

真美(ん〜……わかんないや)

千早(………)




店主「ちか、ちがっ……」

ものまね士「………」ドキドキ

店主「ああもうっ!」パシンッ

ものまね士「て、店主さん!?」

店主「誓いますっ……!」

長老「……うむ」


長老「……では、新婦、ものまね士よ。そなたは、今日この日より店主を夫とし、病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しい時も、此れを助け、敬い、尊重し、生涯変わらぬ愛を捧げる事を誓うか?」

ものまね士「………」



真(……あれ? ものまね士さん、どうしたんだろう?)

雪歩(まさか、ここにきて迷ってるんじゃ……)

貴音(神の御前での誓いの言葉……。やはり、普段の愛の囁きとは、その重みが違うのでしょう)

春香(ものまね士さん……)

美希(心配いらないって思うな)

やよい(………)ドキドキ



ものまね士「………」




『ん……? あんただれだ? お客さんなら、ちょっと下に……』



『オレの秘蔵の……バッカスの酒が、無い! 楽しみにしてたのに……』



『誰が王子様だって?』



『……薪割り役がさ、欲しいと思ってたんだ』



『オレさ、ガキの頃から、飛空艇を操縦するのが夢でさ……って、こんな話、どうでもいいよな』



『おーい、ものまね士ー!片付け手伝ってくれよー!』



『オレ達は、もう少しお互いの事を知ってもいいのかもしれない』



『 ま、飛空艇に乗る機会なんて一生に一度あるかないかだもんな!』



『それに、困った時はお互い様だろ?』



『死んじまったみんなの為にも、オレは村の代表として、その会議ってやつに出なきゃいけない気がするんだ』



『……そんなヤツが女房になってくれたら、人生楽しいだろうなー』





ものまね士「………」グッ

ものまね士「はい…………誓います」




「おお……!」

「言った……!」

「新たな夫婦の……!」

「誕生だ……!」

ザワザワ…




長老「皆の者、まだ式は終わっとらんぞ。静かに」

長老「……では、指輪の交換を」

店主「よ、よしっ……」スッ

店主「ほら、ものまね士、手を」ドキドキ

ものまね士「は、はいっ」ドキドキ

…スルッ

ものまね士「は……入った!!」

ものまね士「よ、良かったぁぁぁ〜〜……」ヘナヘナ

店主「お、おいっ!」ガシッ

ものまね士「す、すみません……」

店主「指輪のサイズは直前に確認したろ? なんで不安がる必要があるんだよ」

ものまね士「ほら、私って素手で薪割りとかしちゃうじゃないですか? だから、こんな太い指に本当に指輪が入るか、不安で不安で……」

店主「そうだったのか……」

ものまね士「ううっ……ぐすっ……!」

ものまね士「ホントに、良かったです……!」ウルッ

店主「わ、わかったから、泣くなよ」

長老「まだ泣くには早いぞ。次は新婦が新郎の指にはめるんじゃ」

ものまね士「あっ……は、はい」ゴシゴシ



春香(ふふっ♪ やっぱり仲がいいね、あの2人)

美希(うん! とってもお似合いなの!)

春香(良かったですね、ものまね士さん!)


長老「無事、指輪の交換も終わったな」

長老「では最後に、神の見ているこの場で、誓いの口づけを交わすのじゃ」

店主・ものまね士「!!!」

長老「それを以って、2人は晴れて夫婦と認められる」

店主「お、おう……」

ものまね士「うぅ……///」




亜美(ついに……!)

真美(この時が来たッ!)

春香(キスですよ、キス!)

響(ほ、ホントに……しちゃうのか……?)

真(うわ〜! ボク、恥ずかしくて見てられないかも……///)

雪歩(こ、これは、絶対に見逃せないですぅ……!)

律子(人前で、き、キス……とか、絶対私にはムリだわ)

貴音(……わたくし、胸の高鳴りが止まりません)ドキドキ

あずさ(うふふ♪ 将来のために、とっても勉強になるわ〜)

伊織(ふ、ふん。キスぐらいで騒ぐなんて、みんな子供よね)

美希(ミキも、いつかは……)

千早(………)ゴクリ

やよい(ちかいのくちづけ、ってなんだろう……?)



長老「どうしたのじゃ? さあ、誓いの口づけを」

店主「わ、わかった」

店主「い、いくぞ……?」ドキドキ

ものまね士「よ、よろしくお願いしますっ……!」ドキドキ


店主「………」

ものまね士「………」

店主「………」

ものまね士「………」

店主「………」

ものまね士「………」

店主「………」

ものまね士「…………あ、あの、店主さん?」チラ

店主「わ、悪い、少し待ってくれ……」

店主「すぅ……はぁ……」

店主「………………よしっ」グッ


店主「…………ものまね士」

ものまね士「は、はいっ」

店主「愛してる……」ボソッ

ものまね士「……えっ?」


…チュッ


ものまね士「っ……!!?」

店主「……ふぅ」





春香「…………ふ、不意打ち!?」ガタッ

美希「わ……て、店長さん、なかなかやるの!」ドキドキ

亜美「亜美、生チュー、はじめて見ちゃったよ……///」

真美「ま、真美も……///」

真「す、すごかったね……///」

雪歩「す、すごかったですぅ……///」

やよい「はわわっ、なんだかはずかしくなっちゃいます……///」

律子「な、なかなか勇気あるわね、店主さん……///」

伊織「ふ、ふん。ま、まあまあかしらね……///」

貴音「こ、これは……思っていたよりも衝撃的でした……///」

あずさ「とってもステキだったわ〜♪ 」

千早「……///」ドキドキ

響「うぎゃー! 自分、よそ見してて見れなかったぁーー!!」


長老「……うむ。しかと見届けた! きっと神も、2人を認めてくださったじゃろう!」

長老「これでそなたらは、名実ともに晴れて夫婦となったのじゃ。今日この場で誓い合った気持ちを忘れずに、末永く仲良く暮らすのじゃぞ?」

店主「……ああ!」

ものまね士「……///」ボーッ



アン「皆様。新たに誕生した夫婦に、盛大な祝福をお願い致します!」



「おめでとー!」

「おめでとうございます!」

「感動した!」

「幸せになー!」

ワァァァァ!!

パチパチパチパチパチパチ…




店主「ま、まあその、なんだ。これからもよろしくな!」

ものまね士「……///」ボーッ

店主「……あれ?」

ものまね士「……///」ボーッ

店主「おーい、ものまね士ー?」ペチペチ

ものまね士「……///」ボーッ

店主「……ダメだ。完全に意識が飛んでる」

ものまね士「えへへ〜……///」

ー トロイア城 大広間 ー


アン「さあ、ここからは新たな夫婦誕生のお祝いパーティです。皆様、本日は楽しんでくださいね!」



ワイワイガヤガヤ…



ルカ「本当に、おめでとうございます!」

ユキコ「ものまね士さん、とってもキレイですぅ」

ものまね士「えへへ、ありがとうございます!」

ヒビキの娘「幸せいっぱい、って感じですね」

ものまね士「それはもう♪ 」

ルカ「いいなぁ。私も早く結婚したいなぁ……」

ものまね士「あら、ルカさんほど可愛いかったら、引く手数多じゃないですか?」

ルカ「それが、そうもいかないんですよぉ〜」

ルカ「私、つい最近までお父様とケンカしてたんです。で、和解したのはいいんですけど、今度は過保護過ぎちゃって……」

ルカ「『私の眼鏡に適う者以外は認めん』って。このままじゃ私、いつまでたっても結婚できませんよ〜」

ものまね士「うーん、王女様って大変なのねぇ」

ヒビキの娘「そういえば、ユキコさんは結婚してるんですよね?」

ユキコ「あ、はい」

ヒビキの娘「旦那さんはどんな方なんですか?」

ユキコ「ま、マコトさんです、一応……///」

ヒビキの娘「……えっ?」

ルカ「あ、あれ? でも、マコトさんって確か女性なんじゃ……?」

ユキコ「あ、愛さえあれば、性別なんて関係ないんですぅ!」

ものまね士「そ、そうですよね! 人それぞれでいいと思いますよ、私も」

ヒビキの娘「お、女の子同士で……」

ルカ「ユキコさん、どうやってマコトさんと結婚したんだろう。……謎だなぁ」


ジオット「守るべき者ができた感想はどうだ?」

店主「うん……なんかこう、身が引き締まる思いだな!」

ファブール王「ふふふ。若いと勢いがあって良いのう」

ジオット「本当に、大切にするのだぞ? 大抵の場合は、いなくなってから初めてその者の大切さに気づくものだ」

店主「あ、ああ……?」

ファブール王「……ジオット殿は、奥方に先立たれたそうじゃ」

店主「そうだったのか……なんか、すまん」

ジオット「そなたが謝る事ではない。……悔いの無いようにな」

店主「うん、もちろんだ!」

長老「……で、つかぬ事を聞くが、そなた、仕事はどうするのじゃ?」

店主「あっ……すっかり忘れてた! カイポの宿屋はもう無いし、ど、どうしよう!?」

長老「そんな事だろうと思って、ワシがアン殿に掛け合っておいたぞ。そなたをコックとしてこの城で召し抱えたいそうじゃ。良かったの」

店主「ま、マジかぁ! 恩に着るぜ、ジイさん!」




トロア「良い式になりましたね」

ドゥ「そうだな。この幸せが、良い形で他の民にも広がってくれればいいな」

アン「うふふ、そうねぇ」

トロア「ところで、アン姉上はご結婚なさらないのですか? 22ともなれば、そろそろ……」

ドゥ「ば、バカ、トロア……!」

トロア「……はっ!」

アン「あらまあ、私が気にしてる事を……」ゴゴゴゴ

トロア「あ、姉上! い、今のはその、口が滑ったというか……姉上の事を心配して……!」

アン「うふふ〜♪ まだまだあなたに心配されるほど落ちぶれていなくってよ?」ゴゴゴゴ

トロア「す、すみません、姉上!」

ドゥ「……まったく」


キャトル「あら〜? ドゥお姉様、どうかなされたのですか〜?」

ドゥ「いや、トロアのやつが懲りずに姉上の地雷を踏んだのだ」チラ


トロア「お助けを〜!」タタタタ

アン「ダメよ〜? 悪い子には、お尻百叩きの刑よ〜♪ 」タタタタ


サンク「禍々しいオーラを感じたと思ったら、またアン姉様だったのですね」

セット「あはは♪ こりないねぇ、トロア姉も」

ユイット「ねえ、シスおねえちゃん。アンおねえちゃんたち、かけっこしてるのー?」

シス「う、うん、そうみたいね」





ものまね士「……そういえば、ハルカさんたちがいないですね」

ルカ「あ、ホントだ」

ユキコ「どこに行ったんでしょう?」

ヒビキの娘「みんなそろってトイレですかねー?」


ーーーあーゆーれでぃ あいむれいでぃ〜♪ はーじめーよーう〜♪



ヒビキの娘「あっ……!」

ユキコ「皆さん……!」



やればできる〜♪ きっと〜♪ ぜったーい〜♪




ルカ「歌……?」

ものまね士「すごい迫力……!」




わたしNo.1〜♪


チャッチャラッチャ〜♪




ザワザワ…

「……おい、あれ、広場の英雄像の子たちじゃないか?」

「ほんとだ! 実物もめっちゃ可愛いなぁ!

「それに、動きもピッタリだ。まるでプロの踊り子だぞ!?」

「オレ、なんかテンション上がってきたぁ!」



スタートはじまる〜今日のステージ〜♪ ……



老婆「ほう……」

ジオット「これは……」

長老「なんと、このような催しを用意していたとは……」

店主「みんな、すげぇ……」

ファブール王「なかなかに華やかじゃのぅ」


ー 舞台裏 ー

P「……良かったのか? 律子。みんなと一緒に行かなくて」

律子「いいんです。私はもうプロデューサーなんですから」

P「そうか……」

律子「それより、よろしく頼むわよ、あなたたち!」

ミニ助「任せてくれたまえ!」

ピョン吉「最初はどうなる事かと思ったけど」

ブタ美「なんとかなりましたね……」

ミニ助「うん。たまにはこうして僕らで裏方をやるのもいいものだ」



行けばなれる〜♪ もっと〜♪ ぜんたーい〜♪

みんなオンリーワン〜♪


チャラッチャ♪ チャ〜♪


春香「…………ふぅ」



春香「……皆さん、突然驚かせてしまって、ごめんなさい!」

春香「まずは、今日この良き日にご結婚された、店主さんとものまね士さんに、お祝いの言葉を贈らせてください!」

春香「本当に、おめでとうございます! お2人で末長く仲良く、楽しく暮らしてくださいね!」




ワーワー…!

オメデトー!

パチパチパチパチ…!



ものまね士「えへへ……///」

店主「なんか、改めて言われると照れるな……///」




響「あのね、今日、いきなり自分たちがここにお邪魔したのは、この世界のみんなに感謝の気持ちを伝えたいって思ったからなんだ!」

真「皆さんと出会えて、ボク、とっても楽しかったです! 本当に、ありがとう!」

雪歩「でも、残念ですけど、私たちは明日、旅立たなければいけなくなってしまいましたぁ」




「ええっ!?」

「そうなのー!?」

「行かないでユキホ様ぁ!」

「マコト様〜〜!!」

ザワザワ…


亜美「だからね、亜美たちみーんなで考えたんだ!」

真美「真美たちがお世話になったみんなに、どーやってカンシャすればいいかって!」

貴音「……それで、月並みですが、こうしてわたくしたちの歌を皆様方に聴いて頂こうという事に相成ったのです」




ルカ「そっか。そういう事だったんだね……」

ユキコ「本当の、お別れなんだ……」

ヒビキの娘「お母さん……」

ものまね士「うぅっ……」ウルッ



ジオット「なんと健気な……」

ファブール王「礼を言うのは、こちらの方だというのに……!」

店主「ハルカ……お前たちは……やっぱり……」

老婆「……あの娘たちがなぜ他人を惹きつけるか、その理由がわかった気がするね」

長老「………」



やよい「今日はみなさんに楽しんでもらえるように、わたしたち、せーいっぱいガンバりますっ!」

伊織「最後まで楽しんでくださいねっ♪ 」



「ヤヨイちゃん天使ー!!」

「イオリ様踏んでーー!!」



美希「それじゃあそろそろ、次の曲に行くの!」

あずさ「千早ちゃん、準備はいい?」

千早「……はい!」



千早「それでは、聴いてください……」

千早「すぅーー……」




……かーぜーはー天をかけーてくー♪


光ーはー地を照らしてくー♪


ひーとーは〜夢を〜抱く そう名付けた〜ものがーたりー♪



ーー♪ ……アルカディーアー♪ ……




ザワザワ…

「……!」

「なんてきれいな歌声なんだ……!」

「なんか、泣けてきた……!」


ー 月の地下中心核 ー


クルーヤ「はいワン、ツー、スリー、フォー……」パンパン


キュッキュッ


クルーヤ「そこでターン!」


…ドガッ!


リルマーダー「……いてて」

レッドドラゴン「ってーな、てめ!」

リルマーダー「なんだよ! そっちがぶつかってきたんだろっ!?」

レッドドラゴン「あぁン!? 今のはおめーがトロいのがわりーんだろーが!!」

リルマーダー「お前がデカいから邪魔なんだよー!」

レッドドラゴン「うるせえクソチビ!!」

リルマーダー「オイラが小さいからってバカにしてるのかっ!?」

レッドドラゴン「やんのかコラ!?」

ギャーギャー



クルーヤ「……あーあ、ケンカはじめちゃったよ」

プリンプリンセス「まったく、エレガントさに欠ける方たちですわね!」

暗黒魔道士「……っ」オロオロ

ベヒーモス「呑気に言ってる場合じゃないよ。さっさと止めないとレッスンが進まないじゃないか」

ブルードラゴン「やらせておけばいい。感情をすぐ表に出すのは、無能のやる事だ」

ベヒーモス「あんた、冷たいねぇ」

クルーヤ「とにかく、ベヒーモスちゃんの言う通りだ。ケンカを止めないと」

金竜「ふふふ……我に任せろ! 諍いなどこの金竜が鎮めてくれようぞ!」

銀竜「さすがは兄者! 風格の違いを見せつけるのだな!」

クルーヤ「そうだね。ボクが何か言うよりも、こういう事は君たちで解決した方がいいかもしれない」


金竜「そこの2人! この金竜の顔に免じて争いをやめるのだ! 争いは何も生ま」

レッドドラゴン「てめーがわりーんだクソチビィ!」ブンッ

リルマーダー「チビって言うなああ!」ブンッ

バキ!! グシャァ!!

金竜「へぶぁっ!?」

レッドドラゴン「あ」

リルマーダー「あ」



金竜「……ふ、ふ」ヨロッ

金竜「この程度で腹を立てる我ではない。さあ、争いをやめ」

レッドドラゴン「いきなりなんだてめーは!! 熱線っ!」

ズドオオ!!

リルマーダー「邪魔するなよっ!! サンダガッ!」

ズガガピシャァーン!!


金竜「ぬわーーー!?」


銀竜「兄者ああああああ!!?」


ズゴーン!! ドゴーン!!…



ベヒーモス「あいつ、全然止められてないじゃないか……」

プリンプリンセス「口だけですわね」

クルーヤ「ははは、みんな血の気が多いんだなぁ。ねえコトリさん?」

小鳥「………」

クルーヤ「……あれ? コトリさん?」

小鳥「………」ゴゴゴゴ



小鳥「あなたたち、やめなさーーーい!!!」



ドゴオオオォォン!!




レッドドラゴン「っ……な、なんだ、今の……?」

リルマーダー「お、オイラ、ちょっとチビっちゃった……」

金竜「」



小鳥「ちょっとぶつかったくらいでいちいちケンカしないの! 仲良くしなきゃダメよ!」

レッドドラゴン「だ、だってよ、このクソチビが……」

リルマーダー「お、オイラのせいじゃないぞ!」

金竜「」

銀竜「兄者ぁ! 目を開けるのだー!」ユサユサ

小鳥「うーん……」

小鳥「いい機会だから、みんなに少しお話をしようかしら」


小鳥「いい? あなたたちは、私のアイドル。プロデューサーさんのアイドルたちをこの月で迎え撃たなければいけないの」


魔物たち「………」


小鳥「でも、プロデューサーさんのアイドルたちは、とても強いわ。今のあなたたちじゃ、敵わないかもしれない」


ベヒーモス「アタイたちより強いって? また大きく出たねぇ」

レッドドラゴン「けっ! そんなヤツら、オレが溶かちつくしてやらあ!」


小鳥「ダメよ。あなたたちを無駄死にさせたくないもの」


魔人兵「……だから、オレたちは強くなるためにれっすんをしているという事ですね?」


小鳥「ええ。でも、レッスンだけでは、あなたたちはあの子たちに『絶対に』勝てない」


魔物たち「……!!!」


ブルードラゴン「……どういう事かの。何か特殊な力でも持っておるのか? あいどるとやらは」


小鳥「特殊……そうね。あの子たちが持っているのは、ある意味特殊なパワーだと思うわ」

小鳥「そしてそれは、時に圧倒的な実力差をも覆す、恐るべきパワーよ!」

小鳥「……その強さの秘密とは……」



小鳥「…………『団結』よ!」



魔物たち「!!!」ガビーン



クルーヤ(…………へぇ、さすがはコトリさん)


リルマーダー「……って驚いてみたけど、だんけつってなんだ?」

レッドドラゴン「バッカおめー、そんな事も知らねーのかよ?」

リルマーダー「う、うるさいなあ! じゃあお前は知ってるのか?」

レッドドラゴン「あーそれは……あれだ、ほら、よくルナザウルスのやつが使ってたろ。死のダンケツってやつ」

リルマーダー「あれ? そうだっけ?」

小鳥「全然違うわ、レッドドラゴン君」

レッドドラゴン「う……」

小鳥「団結とは……」

ベヒーモス「つまり、みんなの力を合わせるって事かい?」

小鳥「……ああ、そうか。ベヒーモスちゃんはレディースの総長さんをやってたのよね」

ベヒーモス「一応ね。ライバルチームに勝つには、チームの連中の力を総動員する事が必要だった事も、あったからねぇ」


金竜「一本の矢は容易く折れようとも! 三本の矢は折り難しっ!」ガバッ


魔人兵「な、なんだ急に?」

金竜「我ら13本からなる矢を固く結束すれば、如何なる者も折れぬであろうっ!!」

金竜「」ガクッ

銀竜「兄者ああぁ!」


ダークバハムート「……そこの金竜の言う通りだ。人間は、他者と力を合わせる事ができる。それ故、人間は強い」

ダークバハムート「人間に……いや、あいどるに対抗するには、我ら魔物も力を合わせる必要があるのだ」

ダークバハムート「そうだな? コトリよ」


小鳥「ええ、仰る通りです」

小鳥(……金竜君、13本って私の事も数に入れてくれたのね。ふふっ♪ )

小鳥「だから、あなたたちには仲良くしてもらいたいのよ」

小鳥「大丈夫、私はあなたたちが本当はとってもいい子たちだってわかってるもの。きっとできるわ!」


レッドドラゴン「マジかよ……。こんなクソチビとなんてやってられっかよ」

リルマーダー「オイラだってお前なんかお断りだからなっ!」


小鳥「……で・き・る・わ・よ・ね?」ゴゴゴゴ


魔物たち「は、はーい!!!」



小鳥「ところでバハムートさん、今までどこにいたんですか?」

ダークバハムート「なに、少々この娘の実力を計っていたのだ」

月の女神「ふぃ〜、疲れたよぉ〜」グッタリ

小鳥「あら、そうだったんですね」

月の女神「あのね、コトリ様。私、超頑張ったんだよ!」

小鳥「そう。偉かったわね〜」ナデナデ

月の女神「えへへっ♪ 」

ダークバハムート「コトリよ。そろそろ本格的に親衛隊を鍛えねばなるまい?」

ダークバハムート「よもや、あいどるがここへ攻めて来るまでこのような児戯を続けるつもりではあるまいな?」

小鳥「……わかってます。今までのレッスンは、言わば基礎編。体力づくりみたいなものですからね」



小鳥「……それじゃみんな。そろそろちゃんとしたレッスンをやるわよ!」

魔人兵「ちゃんとした……とは、いったいどういう?」

小鳥「その名も、実戦編です!」

レッドドラゴン「っしゃあ! やっと暴れられるぜ!」

ベヒーモス「ま、そうこなくちゃ面白くないね!」

プリンプリンセス「わたくしの華麗な姿を見せる時ですわね!」

月の女神「え〜、また戦うの〜? やっと休めると思ったのにぃ〜」

暗黒魔道士「……!」グッ

リルマーダー「よーし、ガンバるぞー!」

金竜「弟よ、我らの連携を見せる時ぞ!」

銀竜「おう! 兄者!」

魔人兵(上司に実力をアピールするチャンス!)グッ

ブルードラゴン(なんでも良いぞ。ワシに終わりをもたらす者が現れるならば、な……)



小鳥「さあ、はじめましょうか!」



魔物たち「うおおおおおお!!!」

ー トロイア城 大広間 ー



ワアアァァァァァァ…!!



春香「……皆さん、次が最後の曲になります!」



エエーー!!

モットウタッテクレーー!!



春香「ふふ、ありがとうございます♪ 」



春香「最後の歌は……」

春香「どんなに離れていても、どんなにケンカしても、世界中の人と人とは繋がっている」

春香「……そんな、絆の歌です」



ウオオォォォォオオ!!



春香「………」

春香「世界には、国境や、人種、考え方、性別……大きいもの、小さいもの、色んな壁があって」


春香「時にそれは、とても高い壁で、乗り越えるのが、結構大変で」


春香「私たちは、隔たりの向こう側にいる人に気持ちがうまく伝えられなくて、ケンカしちゃったりする事も時にはあると思います」



シーーン…


春香「……でも、本当は違うんです」


春香「私たちが臆病になってしまっているだけで、壁なんてホントはそこにはなくて」


春香「顔が見えないくらい遠くにいても、たとえ言葉が通じなくても……」


春香「ほんのちょっとの勇気を出せば、必ずその人と仲良くなる事ができるんです!」


春香「えーっと……」


春香「えへへ……すみません。私、こうして言葉で伝えるのは、実はあんまり得意じゃなくて……」



ハルカチャーーン!!

カワイーーー!!



春香「……とにかく、ありったけの気持ちを込めて歌います。聴いてくださいっ!!」



…チャ〜〜♪ チャ〜〜♪

チャッチャッチャチャッ♪



「空見上げ♪ 手ーをつなごう♪ この空は〜輝いてる〜〜♪ 」


「せーかい〜〜じゅーうの〜〜手っをっとっりっ♪ 」


「ザ ワールド イズ オールワン!!」


「ユーニティマインっ♪ 」



ワアアアアァァァ…!!

オオオオォォオオオオオオ!!


ーーーーーー

ーーー



響「……ねえ、この世界で♪ 」


美希「ねえ、いくつの出会い♪ 」


貴音「どれだけの 人が笑ってるの♪ 」




「うおおおおおおお!!」

「ミキちゃんかわいーーっ!!」

「ヒビキちゃん最高ーー!!」

「タカネ様ーー!! お慕い申しておりますーー!!」




技師1「親方ぁ……カッコよ過ぎですっ!」グスッ

技師2「親方にこんな才能があったなんてな……」

ヒビキの娘「お母さんすごいっ!」

ものまね士「あら、ミキさんやタカネさんだって負けてませんよ?」

ものまね士「うふふ♪ みんなすっごい楽しそう!」

ーーーーーー

ーーー


亜美「ねえ、泣くも一生♪ 」


あずさ「ねえ、笑うも一生♪ 」


伊織「ならば笑って 生きようよ 一緒に♪ 」



「アミちゃんプリティィィィィ!!」

「アズサさーーーーん!! 結婚してくれーー!!」

「くぎゅうううううううううう!!」




老婆「ふむ。なんだかこの3人は、特に息が合っているように見えるねぇ」

ものまね士「アズサさん、やっぱり色っぽいなぁ……」

長老「アミも負けておらんぞ!」

ルカ(なんで変な叫び声上げてる人がいるんだろう?)

ーーーーーー

ーーー



真「顔を上げて みんな笑顔♪ 」


雪歩「力合わせて 光目指し♪ 」




「きゃああああああっっ!!」

「マコト様ああああっっ!!」

「カッコいいーーーーー!!」



シルフ「むぅ……その他大勢に負けてられません!」

シルフ「さあ、私たちも声援を送りますよっ!」

シルフ「きゃーーー!! マコトさーーん!!」

ユキコ「ま、マコトさぁーーんっ!!」

ファブール王「マコトおおおおおっ!!」



「ユキホちゃあああんっ!!」

「きれいだーー!!」

「さすが元祖救世主様!!」




ドゥ「……あの子も変わったな。最初にこの城に来た頃とは、まるで別人のようだ」

アン「そうね」

アン「でも、ユキホさんはもともと、こんな風に強いものを持っている方だったのかもしれないわ」

アン「……私たちが知らなかっただけで」

ドゥ「そうか。……私たちはまだ、あの子たちのほんの一部しか知らないんだな……」

トロア「ユキホ王女……!」

ーーーーーー

ーーー



やよい「世界には ともだち♪ 」


真美「一緒に生きるトモダチ♪ 」




「ヤヨイちゃんマジ天使!!」

「マミちゃん妹になってくれーー!!」

「ロリコンビ最高!!」




店主「うんうん! やっぱりヤヨイは元気が似合うなぁ!」




翔太「……ねえ、冬馬君はやよいちゃんに声援送ってあげないの?」

冬馬「いいんだよ別に。俺たちがここにいるなんて、高槻たちは知らねえだろうし」

翔太「あ、そっか」

北斗「それにしてもエンジェルちゃんたち、またパフォーマンスが上がってないか?」

北斗「ブランクがあるとはとても思えないな」

翔太「確かに。お姉さんたち、この世界でもレッスンしてたのかなぁ?」

冬馬「へっ……上等だぜ765プロ! いつか絶対に、俺たちが追い抜いてやるからな!」ビシッ




ジオット「あの娘、我が軍の司令官に欲しかったな……」

長老「ん? マミはワシの可愛い孫じゃ。そなたには渡さんぞ?」

ジオット「はい、承知しておりますよ」

ジオット「……しかし、元気な娘だ。あのエネルギーはいったいどこから来るのか」

長老「あの子には、仲間がおるからのぅ」

ジオット「仲間、ですか……」



春香・千早「いる事を 忘れないで♪ 」



ウオオォォォォオオオォォ!!




一人では 出来ない事♪


仲間となら 出来る事♪


乗り越えられるのは ユニティ ストレングス♪




ルカ(ハルカさんもチハヤさんも、すっごく楽しそう)


ルカ(……仲間、か)

ルカ(ハルカさんたちは、どんな時だって仲間を信じてた)

ルカ(私は、そんなみなさんの強い信頼関係が羨ましいなって、ずっと思ってたけど)

ルカ(一人じゃない。みんな、誰かとどこかで繋がっている)

ルカ(それを、私に……ううん。この世界の全ての人たちに、教えようとしてくれてる……?)





…世界中の 手を取り The world is all one!


The world is all one!



…Unity mind!!




ワアアアァァアアアア!!!




予告通りに投下できなかった上に寝落ちしました。
が、今日の夜で本当に次スレへ移行します。
ここのところ春香たちは全然戦ってませんが、月編は戦いメインになると思います。

ーー翌日、トロイアの町 入口


アン「……本当に、行かれるのですね」

春香「はい。お世話になりました!」ペコリ

アン「それはこちらのセリフです。この世界は、あなた方がいなければ滅んでいたでしょうから」

春香「そんな! 私たちなんて、何も……。みんなで頑張ったからですよ! 大切なのは、みんなで力を合わせる事ですから」

アン「……そうですね。私たちは、あなた方に何度もそれを教わりました」

トロア「これからは、世界の皆で手を取り合い、この世界の為に尽力していくつもりです」

店主「オレたち一人ひとりの力は大した事ないけど、力を合わせれば、できない事なんてないもんな!」

ものまね士「ええ! ハルカさんたちの深い絆を、私たちも見習います!」

ジオット「我々の事は気にするな。それより、お前たちの事が心配だ」

老婆「月の魔物は、はっきり言ってこの青き星の魔物と比べものにならないほど強い。気を抜くんじゃないよ!」

ミニ助「本当ならば、ボクらも君たちに同行したいところなんだが……」

ファブール王「ワシらは、そなたたちの無事を祈る事しかできぬ。どうか、達者でな」

春香「はい! ありがとうございますっ!」ニコッ



ユキコ「ううっ……ぐすっ」

真「ユキコ……ごめんね。夫婦らしい事は何もしてあげられなくて」

ユキコ「そ、そんな……わ、私は……マコトさんの妻で、本当に良かったと思ってますっ……!」

真「ありがとう、ユキコ」

真「大丈夫。離れていても、ボクは君のすぐ側にいるよ」

真「さみしくなったら、月を見上げるんだ。ボクたちは、そこにいるから」

ユキコ「マコトさんっ……!」ギュッ

真「シルフ。ユキコの事、よろしく頼むよ。君にしか任せられないから」

シルフ「マコトさん……」

シルフ「……わかりました! マコトさんの頼みなら……」

シルフ「っ……ううっ!」ポロッ

ユキコ「マコトさぁんっ……!」

真「2人とも、ありがとう」ギュッ


ヒビキの娘「お母さん。今まで私のお母さんでいてくれてありがとう」

ヒビキの娘「私、絶対にお母さんの事、忘れないっ!」

響「ううぅうっ……!」ポロポロ

ヒビキの娘「だから、そんなに泣かないで?」ナデナデ

響「だっで、自分っ……!」

ヒビキの娘「お母さんは……私の、最高のお母さんだったよ!」

響「うわああぁぁああんっ!!」

ヒビキの娘「……大好き、お母さん」ホロリ



トロア「あなたには、優しさを、そして、本当の勇気というものを教えてもらいました」

トロア「それに……」

トロア「無骨で、武術しか取り柄の無い私が、こんな気持ちになる事ができた……」

トロア「ユキホ王女。私は、あなたと出会えた事を神に感謝しますっ!」ウルッ

雪歩「トロアさん……!」ポロッ

トロア「ユキホ王女。あなたの事を……と、友と呼んでも、いいですか……?」

雪歩「も、もちろんですぅ! トロアさんは、私にとって、大切な……っ」ポロポロ

雪歩「っ……ご、ごめんなさい、私……!」

トロア「ぐっ……!」ポロポロ


美希「……ホントに、今までありがとうなの、ファンの人」ギュッ

美希「ミキ、事務所のみんな以外でこんなに仲良しになった人は、初めてなの」

ものまね士「ううっ……ミギざあああぁぁん!」ポロポロ

美希「心配しないで。ミキたちの思い出は、きっとみんなの胸の中に残るから」

美希「……だから、ね。そんなに泣かないで欲しいの」ナデナデ

ものまね士「だっで、わだじっ……ミキさんに、何のお礼も……!」

美希「そんなの、もうたくさんもらってるの……」ウルッ

ものまね士「ミキ、さん……?」

美希「もう……そんなに泣かれたら、ミキまで悲しくなっちゃうよ……!」グスン

ものまね士「ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃ……!」

美希「んーん。いいの」ブンブン

美希「こうやって、胸がジワジワ〜ってあったかくなるの、ミキ、イヤじゃないもん」

美希「……えへ♪ 」ニコッ

ものまね士「……ふふっ♪ 」ニコッ


美希(……ありがとう)

美希(それから、ばいばい。この世界の、2人目のお姉ちゃん)




春香「ルカさん、このリボンなんだけど……」

ルカ「それは、ハルカさんに持ってて欲しいな。私もハルカさんのリボンをずっと付けるから」

ルカ「そうすれば、ハルカさんを近くに感じられるし」

春香「……うん、そうだね」

ルカ「あーあ、さみしいなぁ。せっかくお友達ができたのに、もうお別れなんて……」

春香「………」

ルカ「……ご、ごめんなさい。私……」

春香「……ううん。私も、さみしいよ……」

春香「でも、私は笑っていたいかな。ルカさんたちに出会えた事は、悲し事なんかじゃないから」

ルカ「ハルカさん……」

春香「お別れはさみしいけど、悲しむより私は、みんなに出会えた事を、感謝したい」

春香「この世界のみんなと出会えて良かったって思うもん」

春香「だから、笑顔でお別れしたいなぁ」

ルカ「ハルカさん……。うん、そうだね!」


店主「……あーあ、とうとうハルカやヤヨイの顔も見られなくなっちまうんだなぁ」

春香「店主さん……」

やよい「ほんとーに、今までおせわになりましたー!」ガルーン

店主「はは、ヤヨイのお辞儀は相変わらず鋭いなぁ」



店主「……なあ、ハルカ、ヤヨイ。覚えてるか? オレたちが初めて出会った時の事」

春香「はい。私とやよいが砂漠で行き倒れているところを、店主さんに助けてもらったんですよね」

店主「ああ」

やよい「うー……わたし、気がついたらベッドの上にいて、実はその時のこと、あんまりおぼえてないんですよねー」

春香「あの時は、やよいもいろいろ大変だったからねー」

春香「何を隠そう、私もちょっとだけやさぐれちゃってた頃だったんだー」

店主「そうだったな。2人とも、体力的にも精神的にも参ってたみたいだった」

店主「でも、お礼に2人は宿屋の仕事を手伝ってくれたんだよな」



店主「……思えば、あれが全ての始まりだった」



店主「その後、ミキがやって来て、ものまね士がやって来て……」

店主「オレの生活は、一気にめまぐるしく変わっていったよ。……いい意味でな」

店主「わかるか? お前たちが、オレの人生を素晴らしいと思えるものに変えてくれた」

店主「もちろんオレだけじゃない。お前たちが出会った人たち、ものまね士や長老の爺さん、ドワーフの王様にトロイアの神官さんたち……」

店主「みんな、お前たちに出会って、変わって、元気をたくさんもらった」

店主「……幸せを、もらったんだ」

やよい「そ、そんな、わたしは何も……」

春香「……店主さん」

店主「ん?」

春香「それは、私たちの力じゃありません。店主さんが、みなさんが勝ち取った幸せですよ?」ニコッ

店主「……!」

店主「ハルカ……」

春香「誰かに影響を受けたりする事も、確かにあると思います。でも、最後に決めるのは自分ですから」

春香「今の幸せは、誰が何と言おうと、店主さんが自分で選んで勝ち取った幸せです!」

店主「ぐっ……!」ウルッ

店主「……く、クソぉ……まさか、オレが泣かされるなんて……」ポロッ

春香「店主さん、笑ってください」ニコッ

やよい「せっかくのかわいい顔が、だいなしですよっ!」ニコッ

店主「……はは……こりゃ、一本取られたなぁ……」ニコッ

ー 飛空艇 ファルコン号 ー


響「ううっ……!」ポロポロ

技師1「親方、大丈夫ですか?」

技師2「もし操縦ができないようなら、我々が……」

響「……ううん、へーきだぞ。ファル子とももうすぐお別れだから、自分が操縦したいんだ」

技師1「親方……」



長老「それでは、そろそろミシディアへ向かうとするかの」

P「そうですね。すみません、長老。魔導船を復活させるために、もう少しだけ力をお借りします」

長老「ああ、構わんよ」

P「響。行けるか?」

響「……うんっ!」ゴシゴシ



響「じゃあ……出発するぞ!」



ブワッ…



「さようならーー!!」

「お元気でーー!!」

「あなた方の事、一生忘れません!!」



アイドルたち「さようならーーー!!!」



ババババババ…



ビューーーン…


ー ミシディアの村跡 祈りの館 ー


長老「……良いか。皆の想いをひとつにするんじゃ。強い想いを祈りに変えれば、必ず魔導船は応えてくれるじゃろう」

長老「それでは、始めるぞ」



一同「………」コクリ



春香(みんなの想いを、ひとつに……)



「……」


「…………」


「………………」



真美(…………)

真美(んー……なんかこーしてると、兄ちゃんのために祈ってたのを思い出すなー)

真美(あの時は、亜美と2人で兄ちゃん起こすのに必死だったっけ)

真美(なつかしー)

真美(……っと、集中集中。よけーなこと考えてたら、りっちゃんとか長老っちのゲンコツがとんでくるもんね)

真美(えーっと……いでよ、魔導船。ボクらの願いを叶えたまえー! ……こんなカンジかな?)


亜美(…………真美、真美)


真美(亜美? どしたの? 今はお祈りに集中しなきゃおこられちゃうよ?)

亜美(へーきへーき。りっちゃんも長老っちも目つぶってるから気づかないって)


長老「………」

律子「………」


亜美(それよりさ、魔導船の名前、もう考えた?)

真美(名前? 別に考えてないよ?)

亜美(ちょっとの間だけど、いちおー亜美たちの船になるんだから、カッコいい名前つけたくない?)

亜美(じゃないと、ひびきんが……)

真美(あー……たしかに。ひびきんにダサダサな名前つけられる前に、真美たちでなんとかしたいかも)

亜美(でしょ? 亜美、考えたんだけどさ、『宇宙戦艦フタミ』とかどうよ?)

真美(いいね! チョーいけてるよそれ! 目指すのはイスカンダルじゃなくて月だけど、もう宇宙戦艦フタミでけってーだね!)

響(ダメだぞ! 魔導船の名前は『まど香』にするんだから)

亜美(…………ほらね?)

真美(…………ふっ)

響(な、なんで鼻で笑うんだよ!? 自分、一生けんめい考えたのに!」

亜美(わわっ、ひびきん、声、声!)

響「えっ? …………あ」

真美「小声で話さないと、マジメにお祈りしてないってりっちゃんと長老っちにバレちゃうじゃんか!」



律子「………」ゴゴゴゴ

長老「………」ゴゴゴゴ



真美「あっ……」



律子・長老「あんたたち(お前たち)!! いい加減にしなさい(せんか)!!」



亜美・真美・響「……ご、ごめんなさーい……」ズーン


長老「まったく、お前たちは相変わらずジッとしてられんのじゃな!」

律子「本当よ。遊ぶ事ばっかり考えて!」

長老「少しの間くらい我慢せんか! これはお前たちのためでもあるのじゃぞ!」

律子「ちゃんとやらないと、暗黒剣食らわせるわよ!」

亜美「うあうあ〜! 鬼軍曹が2人に〜!」

真美「お説教が2倍で、フンババ、ケット・シーってカンジだよ〜!」

響「それを言うなら踏んだり蹴ったりだと思うぞ」

律子「響、あんたもよ!」

響「うわぁん! ごめんってば〜」



春香「ま、まあまあ、律子さんも長老さんも、そんなに目くじら立てずに……」

長老「むぅ……」

あずさ「そうですよ〜。楽しくやりましょう、ねっ?」

伊織「あのね、お祈りってそういうものじゃないでしょうが」

千早「とにかく、このままじゃ先に進まないわ」

やよい「美希さんなんて、まだひとりでおいのりしてますよー?」スッ

美希「……zzz」

真「いや……爆睡してるだけだよこれ」ヤレヤレ



貴音「亜美、真美、響」ヌッ

亜美「うわぁ!? ……な、何? お姫ちん」

貴音「魔導船の名前ですが、月に因んで『朧丸』というのはどうでしょうか」

真美「なぁんだ、お姫ちんも名前考えてたのかー」

響「悪いけど、『まど香』は譲らないぞ!」

亜美「だからー、『宇宙戦艦フタミ』だってばー!」

貴音「いえ、『朧丸』……」

雪歩「ね、ねえ、亜美ちゃんたち。律子さんと長老さんが……」スッ


律子・長老「………」ゴゴゴゴ



律子・長老「いい加減にしなさーーい(せんかーー)!!!」

ドゴーーーン!!


長老「……とにかく、もう一度じゃ。心を落ち着かせ、精神を集中させるのじゃ!」


一同「………」コクリ



「……」



「…………」



「………………」



亜美(…………そりゃね、亜美たちだってわかってるよ)

真美(マジメにやんなきゃいけない時くらいは、ね)

貴音(魔導船を復活させねば、月へ行く事はできません)

真(ボクたちは、月にいる小鳥さんを迎えに行かないといけないからね)

響(ピヨ子、きっとさみしがってるだろうなー)

律子(小鳥さんに会ったら、一言文句言わなきゃ)

あずさ(みんなで一緒にお祈りすれば……)

雪歩(きっと、想いは届くはずですぅ)

やよい(だから、まどーせんさん!)

伊織(さっさと出てきちゃいなさいっ!)

美希(そして、ミキたちを……)

千早(音無さんの元へ、連れて行ってください)



春香(……お願いしますっ!)




ゴゴゴ…


長老「!」


ゴゴゴゴ…


春香「じ、地震……?」



…ガチャッ



技師1「み、皆さん! 村の外の入江に巨大な物体が……!」

技師2「おそらく、魔導船だと思います!」

ー ミシディアの村 入江 ー



魔導船「………」ドーン



春香「これが……魔導船……」

真「うわー、大きいなぁ……!」

貴音「わたくしの乗って来たものとは、規模も風格も違いますね」

雪歩「宇宙を渡る船……素敵な響きですぅ」

美希「ちゃんとベッドとか付いてるかなー?」

やよい「あ、どうなんでしょうねー? おフロとか台所とか、あるのかなー?」

P「そういうのが付いてたら、あの厳かな雰囲気が損なわれる気がするなぁ」



響「よろしくな、まど香!」ナデナデ

亜美「ちがうよー、宇宙戦艦フタミだってば!」

貴音「いえ、ですから朧丸と先ほどから……」

伊織「もう、何だっていいじゃないの。名前なんて」


千早「………」


春香「……どうしたの? 千早ちゃん」

千早「ゴン……いえ、なんでもないわ」

春香「?」



律子「……あら? そういえば、あずささんは?」キョロキョロ

響「あれ? さっきまでそこにいたのに……」

真「あずささんなら、ほら、あそこだよ」スッ




あずさ「…………うふふ、みんな〜〜♪ 」フリフリ




律子「あっ……あずささんったら、いつの間に魔導船に」

真美「む〜、真美が一番に乗り込もうと思ってたのに〜」

P「じゃあ、俺たちも乗り込むか」

律子「そうですね」


長老「行くのか?」

P「……はい。いろいろ、お世話になりました!」ペコリ

長老「なに、世話になったのはワシの方じゃよ」

律子「ほら、亜美、真美。あんたたちが一番お世話になったんだから、ちゃんとご挨拶しなさい」

亜美・真美「………」



亜美「長老っち……」

真美「真美たち、長老っちにたくさんあやまらなきゃ……」

長老「……アミ、マミ」



長老「楽しく、濃密な時間を、ありがとう」ニコッ



亜美・真美「っ……!」

長老「お前たちのおかげで、ワシの人生は、素晴らしいものになった」

真美「……で、でもっ! 真美たち、長老っちにたくさんめーわくかけちゃったしっ!」グスッ

長老「それも含めて、じゃ。本当に、ありがとう」

亜美「ず、ズルいよぅ! 亜美たちの方が、長老っちにたくさんお礼言わなきゃいけないのにぃ!」ポロポロ

長老「その気持ちだけで、充分ワシは嬉しい」

長老「……欲を言えば、もう少しだけ、お前たちの成長を見届けたかったがのぅ」

P(長老……)

亜美・真美「……長老っち〜〜!!」ダキッ

長老「これこれ、そんなに泣くでない」ナデナデ



春香「……ぐすっ……」ポロ

雪歩「っ……」ホロリ

やよい「ううっ……亜美、真美……!」ウルウル

響「ひっく……ぐすっ……いい話だぞ〜!」ポロポロ

あずさ「亜美ちゃんと真美ちゃん、本当に辛そうねぇ……」

美希「なんだか、亜美と真美があんなに大泣きするの、久々に見た気がするの」

貴音「本当に、良き家族に恵まれましたね……」ニコッ

伊織「……まったく、あの2人もまだまだお子様ねぇ」

響「っ……うぅ、そんな事言って、伊織だってエブラーナでみんなと別れる時、泣きそうだったクセに!」

伊織「な、泣いてなんかないわよ!」カァァ


千早「私たちは、私たちが思ってた以上にこの世界の人たちにお世話になっていたのね……」

真「うん……そうだね」



亜美・真美「うえぇぇえええぇん!!」

ー 魔導船 ー


亜美「んじゃね、長老っち」フリフリ

真美「真美たち、行ってくるから」フリフリ

長老「うむ」

亜美「カエルばっかりじゃなくて、他のものも食べるんだよ?」

真美「寝る前には、ちゃんと歯をみがかなきゃダメだよ?」

長老「ふふ、そうじゃな」

亜美「えーっと、あとは……」

真美「………」


真美「……ゼッタイ、ゼッタイに長生きしなきゃダメだよ! 長老っち!」


長老「!」

亜美「うん。真美の言う通りだよ! あと500年くらい生きなきゃダメだかんね!」

長老「…………ああ!」



響「弟子たち、今までホントにありがとう……!」

技師1「ううっ……親方ぁ……!」ポロポロ

技師2「こちらこそ、お世話になりました……」ホロリ

響「うん……ぐすっ」

響「ファル子と長老のじいちゃんの事、よろしく頼むぞ!」ゴシゴシ

技師1「はいっ、任せてくださいっ……!」

技師2「親方、どうかご武運を!」



亜美「……よし! はるるん、みんな、お待たせ。行こっか!」

春香「もう、いいの?」

真美「あんまし長居しても出発しにくくなっちゃうし」

春香「……うん、そうだね!」

律子「それじゃあ、行きましょうか!」

P「ああ!」



一同「いざ…………月へっ!!!」



ゴゴゴ…


ブワッ…


ビューーーーン…





技師1「さようならーー!!」

技師2「お元気でーー!!」

長老「………」

長老「さらばじゃ。光の戦士たちよ……」

ここまでです。
以降は次スレで。

スレ立てできない…

スレタイと>>1に書く内容教えてくれれば代わりに建てられたら経てるよ

>>741本当ですか?
できたらお願いします。

スレタイ→P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL2

内容

アイマス×FF4のssです

前回のスレに収まり切らない気がしたので仕切り直しました

1スレ目

P「ゲームの世界に飛ばされた」
P「ゲームの世界に飛ばされた」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405694138/)

2スレ目

P「ゲームの世界に飛ばされた」2
P「ゲームの世界に飛ばされた」2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410099092/)

3スレ目

P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL
P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422798096/)



建てたけど1と2がうまく貼れてなかったみたい…初めてだったからゴメンね

>>743いえ、もしかしたら自分の方がまちがってたのかも。
とにかくありがとうございました。

次スレ
P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL2
P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450963080/)

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