【淫夢】球磨「ここが執務室クマ」 カーリー「あぁ~ここかぁ、ええやん!」 (284)


カーリー「ベッド付いてんねや」

球磨「このベッドは備え付けだから、家具コイン要らずでお得だクマ」

カーリー「おぉ~……ええやん、気に入ったわ!」

球磨「じゃあ、提督になってくれるクマ?」

カーリー「給金は?なんぼなんここ」

球磨「給金は14万3,000円になってるクマ」

カーリー「14万!?…………うせやろ?」

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球磨「いや、ホントクマ」

カーリー「こんな重責背負わせておいて14万って……ぼったくりやろこれぇ!」

球磨「えっと……位置的にも、主戦場から遠くて強力な深海棲艦が来にくいというのがあるクマ」

カーリー「はぁぁぁ~……あ    ほ    く    さ    」

カーリー「こんな仕事のために一緒に来たんか!」

球磨「も、申し訳ないクマ……」



カーリー「何が『意外に優秀な球磨ちゃん』やお前ぇ!」

球磨「……」

カーリー「語尾だけかお前は!」

カーリー「お前ホンマ使えんわー…………つっかえ!」

カーリー「やめたら?艦娘。こんなアホらしい……」

球磨「申し訳ないクマ……」


カーリー「それしか言えんのかこのクマァ!」

球磨「……ごめんなさいクマ」

カーリー「なんやクマァ、黙れやクマァ!」

球磨「……」

カーリー「クマァ!」

球磨「…………ッ」


球磨「うるさいクマ!!!!!」

カーリー「なんやねんその態度」

球磨「さっきからブツブツブツブツ!提督候補だからって下手に出てたらいい気になり過ぎクマ!」

カーリー「誰に向かって口きいとんじゃお前」

球磨「お前クマ!そもそも球磨が本気になればお前みたいな一般人なんて二秒でミンチクマよ!?」

カーリー「俺にこんな口叩いて良いと思ってんのお前?お前んとこ提督不在のせいで潰れかけやろ、鎮守府ゥ」

球磨「……それがどうしたクマ」


カーリー「ハッ、後悔すんなよお前」カチッ

『うるさいクマ!!!!!』

『さっきからブツブツブツブツ!提督候補だからって下手に出てたらいい気になり過ぎクマ!』

『誰に向かって口きいとんじゃお前』

『お前クマ!そもそも球磨が本気になればお前みたいな一般人なんて二秒でミンチクマよ!?』

球磨「……ッ!」


カーリー「フフフフ……え?どうするんやお前。二秒でミンチに出来るんやろ?まぁこのデータはもう別の場所に転送済みやけどな?」

カーリー「今謝るなら、まだ自分の立場を分かってなかったって事で許したるわ。それとも解体されたい?」

球磨「そ、れは……」

カーリー「謝るんやったら脱げやズボンまずぅ!」

球磨「うっ、……くぅっ……!」スルスル

球磨(球磨がこんな姿にされるなんて、屈辱だクマ……!)


カーリー「俺偉いやろ?」

球磨「……はいクマ」

カーリー「偉いって言うてみ?」

球磨「……偉い、クマ」

カーリー「ほんならホラ、こっち向いて。海図広げてみ」

球磨「……え?」


カーリー「あんな、俺も言い過ぎたわ。人間な、過ちはあんねん」

カーリー「君が秘書艦になってくれるんやったら、今回は許したるわ」

球磨「そ、それじゃあ提督になってくれるクマ!?……っていうか、海図読めるクマ?」

カーリー「当たり前やろ。ちゃんと調べてきたよこっちは」

球磨「じゃあ最初から提督になるつもりで……だったら何であんなクレーマー紛いの事をしたクマ!?」

カーリー「そんなんお前、パンツ見るために決まっとるやんか。ホラ、さっさと作戦資料持ってこいやクマァ」

球磨「……り、了解クマ」

球磨(とりあえず提督は決まったけど……とんでもないハズレを引いちゃった気がするクマ……)


--執務室--

球磨「資材各300。低練度の駆逐3、軽巡1。これが今の戦力クマ」

球磨「……あんまり褒められたものじゃない事は理解してるクマ」

カーリー「そんで、一週間以内に鎮守府正面海域の最奥を突破できんかったら……みんな纏めて解体処分。クビになる訳や」

球磨「そうクマ。とにかく、一刻も早く近海の制海権を奪還すべきだクマー」

カーリー「ほーん……大体分かったわ。ほんならぁ、今から装備の開発して、出撃は午後からや。他の娘にそう伝えとき」

球磨「……話聞いてたクマ?だから、一刻も早く出撃を」

カーリー「黙れやクマァ!」


球磨「ッ!」

カーリー「お前ぇ……こんな寂れた鎮守府で今から出撃します言うてすぐ準備が出来る艦娘が何人おんねん?」

カーリー「準備不足なまま挑んで誰か沈んだらお前……責任取るの俺やねんぞ?装備スロットも満足に埋まっとらんし」

カーリー「わかるな?この意味」

球磨「……クマ」

カーリー「答えはYESって事やな」

カーリー「焦りすぎやねんお前。期限決まっとるんなら尚更、万全の準備をして、計画的に進めなアカンやろ」

カーリー「大体、そないな一日仕事で突破できる海域なら俺が来るまでもないやん?」


カーリー「分かるか?え?クマァ」

球磨(ぐぅ……物凄くムカつくけど……筋は通ってるクマ……)

球磨「……それじゃ、開発の準備してくるクマ」

カーリー「あ、そうそう。特別開発にするから、明石君呼んどってな」

球磨「明石呼ぶクマ!?そんな大層な物作ったって誰も装備できないんじゃ」

カーリー「ええからええから。さっさとせぇや」


--鎮守府玄関--

ピィィィィンポォォォォォォォォン

カーリー「どぞー」

明石「初めまして!本日、素敵な鎮守府の装備開発を担当させていただきます、出張工作艦の明石です。どうぞ、よろしくお願い致します!」

カーリー「わー明石君ようこそ。今日はねー、俺の凄い大切な艦隊の初開発なんで、奮発して明石君に来て貰ったんで」

カーリー「是非、いい装備期待してます」


明石「じゃあ早速準備の方、入らせて頂きますので……よろしくお願いします」

カーリー「よろしくお願いさしすせそ」

球磨(提督は時々意味の分からない事を言うクマ……)

カーリー「行ったか……さて、どうなるかなぁ」

球磨「何がクマ?」

カーリー「工廠の機械の裏にエロ本置いておいたんや。見つけやすい位置に」


球磨「なっ……どうしてそんな事するクマ!?」

カーリー「まぁ黙って見とけやクマァ」

カーリー「これも考えあっての事や。物事が万事上手くいったらお前……多分もう俺に一生頭上がらへんぞ?」

球磨「わ、分かったクマ。分かったから、あんまり顔近づけないでほしいクマ」

球磨(ニヤついた顔が最高に気持ち悪いクマ……)

明石「2、30分で終わりますんで~!」

カーリー「はーい」



--工廠--

カーン、カーン、カーン……

明石「うぅ……」チラッ

明石(どうしよう……機械の裏にエッチな本がある……誰かが隠してたのかな……)

明石(気になる……!)

明石「って、いけないいけない!私は開発しなきゃ、開発……」

カーン、カーン、カーン……


~~20分後~~

明石「……」チラッ

明石(最初のページだけでも……ちょっとだけ……このままじゃ、気になって作業できないし……)

明石(ちょっと読んだらすぐ終わるから……良い装備を作るためだから……!)

ペラッ

明石「わっ!こんな、凄い……上から……獣みたいに……」


ペラッ

明石「わぁ……艦娘ロック機能って、こんな風に使うんだ……」

明石(ダメだ……体、熱くなってきちゃった……)

明石(もう、冷まさないと集中できない……)

明石「こ、これも良い装備作るためだから……!」

明石(だから、ちょっとだけ……)

明石「んっ……」


~~10分後~~

明石「~~~~~~~~ッッ!!」ビクッ

明石「ぁ、はぁ…………も、もう一回だけ……」

球磨「うわぁ、ホントにしてるクマ……」

明石「いっ……ひゃああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?」

カーリー「装備の開発してると思ったら自分の開発してんのか……」


明石「いや、違うんです!これはそういうんじゃなくて!工廠の機械の裏にえっちな本があって!」

カーリー「機械の裏にエロ本置いてあったら、他人の工廠で勝手にオナニーすんのか?」

明石「うぅ、それは……」

カーリー「分かっとるやろな、落とし前の付け方……落とし前の付け方くらい、分かっとるよな?」

明石「……はい」

カーリー「明石君。君さぁ、資材の販売もしとるんやろ?足元見た結構な値段でさぁ。えぇ?」


明石「……一応、アイテム屋も兼業してます」

カーリー「ならさぁ……ちょーっとくらいタダで分けてくれても、バチは当たらんのと違う?」

明石「いやそれは!」

カーリー「そっちやろうが先に無礼働いたんは!」

カーリー「それとも何、大本営に報告した方がいい?変態工作艦(命名)がウチの鎮守府に入り込んでオナニーしてましたって!」

明石「で、でも……」


カーリー「心配せんでも、話くらい適当に付けたるからさぁ。……慣れていかなアカンよ、こういう事」

カーリー「賢く生きようよ」

明石「……ハイ」

カーリー「よし。ほんならぁ、後で執務室来て、大本営に連絡してもらえる?」

明石「分かりました……」

球磨(うわぁ……これただの脅迫クマ。間違いないクマ……)


--執務室--

明石「ハイ、そういう訳でして……私の手違いで、下北沢鎮守府の工廠を爆発させてしまいまして……」

明石「それで、私もしばらくこちらに残る事になってしまいまして……修繕と保障のための資材も送って頂けると助かるんですが」

明石「ハイ、ハイ……本当にすみません。ありがとうございます」

明石「……終わりました」

カーリー「よーし。ほんならこれからしばらくよろしくな、明石くぅん。修理とか開発とか、やってもらう事、色々あるからさぁ」


カーリー「……あの本気に入ったんやったらぁ、後で俺の秘蔵の奴見せたるから、いつでも部屋に来てな」ボソッ

明石「気に入ってませんし!変な病気になりそうだから提督の部屋にも絶対行きません!……失礼しますっ!」

カーリー「あら、残念やなぁ……まま、ええわ」

カーリー「クマァ!資材管理帳の各資材に70,000加算しとけや!」

球磨「り、了解だクマ!」

球磨(凄いクマ……最初の一日だけで、専属の工作艦と大量の資材を手に入れちゃったクマ)

球磨(提督候補になるだけあって、物凄く優秀な人材なのかもしれないクマー。でも……)

球磨(球磨は絶対、こんな大人になりたくないクマ!)


--工廠--

明石「ハァ……」

明石(自腹で資材買わされた上に、一時的とはいえあんな気持ち悪い提督の艦隊に入る事になるなんて……)

明石(なんか、上手く嵌められちゃったなぁ)

明石「それにしても……」

明石(あの本、凄かったな……意地張らずに、貰いに行けばよかった……でも今から言ったら絶対からかわれるし)

明石「落ち込むなぁ……」

球磨「明石ー、今大丈夫クマ?」



明石「あ、はい。何でしょう?装備の改修ですか?」

球磨「これ、提督から転属祝いの贈り物クマ。一か月分……だそうだクマ」

明石「……いらないです。っていうか本当に最低ですね、あの提督」

球磨「心から同意するクマー……あんなのに頼らなきゃいけない今の現状を嘆かずにはいられないクマ」

球磨「ま、要らないっていうんなら海に沈めるクマ。こんなものこれ以上見たくもないクマ」

明石「え、沈めちゃうんですか!?」


球磨「クマ?……そうだけど、何か問題あるクマ?」

明石「いや、ええと……いくら汚らわしいものとはいえ、古本屋に持ち込んだりすれば二束三文でも資材の足しになるんじゃないかなー?って」

球磨「んー……一理あるクマ。でも今の球磨にはそんな暇ないクマー」

明石「そうですか!なら私が代わりに持って行っておきますよ」

球磨「そうクマ?助かるクマ!」

明石「いえいえ、もう私はこの鎮守府の一員ですから!修理や改修以外でもお役に立てるって事、見せなきゃなりませんからね!」


球磨「それじゃ、よろしくお願いするクマ」

明石「はい!明石、任されました!」

球磨「ああ、それとなるべくボーキサイトを美味しそうに加工しておいてほしいクマ」

明石「ボーキサイトを?なぜそんな……」

球磨「球磨にも提督の考えてる事は分からんクマー……とにかく、お願いするクマ」

明石「んー……まぁいいか。了解しました!」


--執務室--

カーリー「で?どないやった?」

球磨「思いっきり戦意高揚状態になってたクマ。変態工作艦ってあだ名も、あながち間違いじゃないと思ったクマ……」

カーリー「せやろ?作業効率上がったやろ?俺偉いやろ?」

球磨「エロいだけだと思うクマ……大体なんであんな本大量に持ってるクマ?」

カーリー「昔取った杵柄や。突っ込まんといて」

球磨「ハァ……それで、次はどうするクマ?」

カーリー「次は戦力の増強や。雑魚四人じゃ勝てるモンも勝てへんからなぁ」

球磨(どーせまた脅迫まがいの事するつもりクマ……こいつ、ほんっとうに根っからの屑クマ……)

カーリー「そうやクマァ。昼飯何がいい?奢ったるわ」

球磨「……ご飯クマ?」

とりあえずここまで


--高級料亭--

カーリー「各資源20,000ずつ大本営に献上したらなぁ、この料亭に連れてってもらえるって……有名な話やぞこれ」

球磨「そ、そうなんですか……クマ」

カーリー「でも金剛型姉妹の内好きな一人に料理してもらえるってだけで20,000も持っていかれるってぼったくりやんなぁ!?」

球磨「……そうですね」

カーリー「ま、今回はそれだけやないんやけどね?」

球磨「そうだと思います」


カーリー「……おいクマァ!!」

球磨「な、なんですか!?」

カーリー「『なんですか?』じゃないやろクマァ!お前、お前から語尾取ったら何が残るんや?お?」

球磨「わ、分かってるクマ!……でも球磨はこんな高そうなところ来た事ないし……緊張してるのも分かってほしいクマ……」

カーリー「はぁ~~~~~~~……あ    ほ    く    さ    」

球磨「あ、アホとは何クマ!球磨は意外に優秀なんだクマ!」

カーリー「優秀なんやったらそれなりのデカい態度取れや!このままじゃお前、料理運んできた来た女中に子供扱いされんぞ?」


球磨「う……それは嫌クマ……」

カーリー「ええかぁ?こういう店に高い金払って来とるときはなぁ、もっとどがーっと構えなアカンねん」

カーリー「まずはもっとふんぞり返れや!そんなお見合いみたいに正座しとるから、舐められるんで?」

球磨「ふんぞり返る……こうクマ?」

カーリー「おぉ~ええやん!その調子で、女中が来ても雷撃処分してやるくらいの心意気でIKEA」

球磨「わ、分かったクマ!」


スーッ…………

比叡「失礼します。本日の料理を担当させて頂きます、金剛型二番艦・比叡です!」

球磨(す、凄い量だクマ……!それになんか、見た事無い料理がいっぱいあるクマ……!)

カーリー「わーこれが比叡君が作った料理かーおいしそっ!うまそっ!」

比叡「ウチは取れたて新鮮な素材を使ってますから、味には自信ありますよ!」

カーリー「比叡君はなー、三度も御召艦に選ばれたこともあるくらい格式高い艦やねん」

カーリー「せやから、料理もこんなに上手くできるんや」

カーリー「分かる?さるやんごとなきお方の口に入った事もあるこの料理の繊細さ」


球磨「凄いってことは、なんとなく伝わるクマ……」

カーリー「……まま、ええわ。ほら、箸持って固まっとらんと、はよ口に入れてみぃや」

球磨「こ、これ本当に球磨が食べていいクマ?」

カーリー「アホ。こっちは客なんやから、つべこべ言わんで食えばええやん」

球磨「それじゃあ……い、いただきますクマ」パクッ

カーリー「どないや?ん?」

球磨「うん、美味しいクマ!」

比叡「ありがとうございます!比叡、気合い、入れて、作った甲斐がありました!」


カーリー「それじゃ俺も一つもらうわ」パクッ

比叡「どうでしょうか?」

カーリー「うーん……」

カーリー「確かに新鮮なんやけどぉ、もうちょっとうまみというか……エキスが足りへんわ」

比叡「……はぁ」

カーリー「例えばの話やけどぉ……君みたいな、若い娘のエキスが入ったら……もっと格式高い味になるんちゃう?」

比叡「ッ!?」


球磨(このタイミングでセクハラ!?あああ、戦艦怒らせるなんてミンチより酷くなっても知らないクマよ!?)

比叡「あ、あはは……何を言ってるんですか、もう」

球磨(あれ、怒らないクマ……?)

比叡「では、私はこれで失礼します。どうぞ、ごゆっくり」

カーリー「あ!」

比叡「……はい?」


カーリー「比叡くん……さっき言ってた三回も御召艦になったって話さぁ……キミの実力ちゃうやろ?」

球磨「!?」

カーリー「さるやんごとなきお方に君のエキスを与えて、御召艦に選んでもらったみたいやなぁ」

球磨(そ、そんな訳ないクマ!こんなに美味しい料理を作れる人が、そんな事するわけが……!)

比叡「……」

球磨(ど、どうして反論しないクマ!?ここは怒っていい所クマ!)


カーリー「ちゃんと調べてきたよこっちは」

カーリー「まぁ、ここのな?提督に話したらキミは左遷どころか解体処理や。そういうズルは絶対許せへんもんな、キミんとこの提督」

カーリー「君に高速戦艦としてのプライドがあるんやったら……キミの戦力、ウチに分けてくれるやろな?」

比叡「……」

スーッ………………トンッ!

カーリー「答えはYESって事やな」


球磨「ほ、ほんとにしてたクマ……?」

比叡「…………ハイ」

球磨「さ、最低クマ!こんな、こんな事する人だとは思ってなかったクマ!」

球磨「比叡さん、自分が駆逐艦達の間でどんな人だって言われてるか知ってるクマ!?皆、比叡さんを心から慕ってたクマ!」

球磨「それなのに……!」

比叡「…………ッ」


カーリー「まぁまぁ、そのへんにしとけや。……比叡君にもな、事情があんねん。御召艦になったおかげで、金剛に自慢の妹だって褒めてもらえたもんな?」

比叡「……」

カーリー「全ては金剛型の誇りを守るためやねん。クマァ、お前もネームシップ張ってるんやったらさぁ、そういう気持ちも汲み取ってやらなアカンよ?」

球磨「……で、でも……」

カーリー「汚い言葉ばっかり使っとったら、お前まで俺みたいに汚い人間になってしまうよ?ええのそれで?」

球磨「それは……それだけは嫌クマ」

カーリー「せやろぉ?やったらぁ、お前はこれ以上この問題に口突っ込まんでええんや。飯でも食っとき」


カーリー「そうなぁ……まぁ仮の話やけどぉ?もしも、もしもこんな事が金剛姉さんにバレてしまったら……」

比叡「お願いします!!!!!!」

球磨「!?」ビクッ

比叡「それだけは!それだけは勘弁してください!なんでも、なんでもしますから!」

カーリー「そんな涙ながらに土下座されたってさぁ……ああもうこんな若い娘に土下座させたらアカンやんか……」

カーリー「……分かったわ。ほら、顔だけ上げて」


カーリー「今から一緒に執務室行って、比叡君の口から、ウチに転属したいって提督に言えたらぁ……」

カーリー「今回の事皆には内緒にしてあげる」

比叡「え、そんな事でいいんですか!?」

カーリー「ちゃんと自分の口で言えるな?……台本はこっちが書いたのに従ってもらうけど」

比叡「ハイ!」

カーリー「じゃあいいわ。今回は許したる」

比叡「ありがとうございます!」


カーリー「クマァ、お前残りの料理全部食ってええよ」

球磨「えぇ!?……い、いや、こんな料理なんて要らないクマ!」

カーリー「あのさぁ……お腹空いてるんやったら意地はっとらんと食べなアカンやろ」

カーリー「こんな料理が食えるタイミング、後何回あると思ってるんや?その頃お前はいくつや?舌衰えてないんか?」

球磨「……」

カーリー「今後の作戦のためにも、今の内に美味いもんで腹いっぱいにしとき」

球磨「わかった……クマ」

カーリー「それでええ。俺はちょっと、比叡君と一緒に話し込んでくるわ」


--比叡提督の執務室--

コン、コン、コン、ガチャッ

比叡「……失礼します」

提督「比叡か。どうした?」

金剛「Oh!比叡、ちゃんとお客様にオモテナシできマシタカー?」

比叡(お姉さま……!?どうして今日に限って、お姉さまが秘書艦を……!)

カーリー「比叡くぅん、はよ言えやぁ……じゃないと、大変な事になるよぉ?」

比叡「ッ!!」


金剛「比叡?どうしたのデース?」

比叡「提督、お姉さま……私は、今日限りでこの鎮守府を去ります」

金剛「……What's?」

提督「比叡。……今、何と言った?」

比叡「この鎮守府を出ていくと言ったんです。私は、この方の鎮守府に転属します」

カーリー「どもー」


金剛「ち、ちょっと待つネー!話が急過ぎマース!」

比叡「もう決めた事です。……こんな、こんな、三流鎮守府の料理当番なんてもうごめんです!」

提督「何……?」

金剛「Hey,比叡。今すぐその言葉を訂正シナサイ」

金剛「じゃないと……私怒るヨ」

比叡(提督、お姉さま……ごめんなさい、ごめんなさいっ!)


比叡「お姉さまはこれでいいんですか!?戦うために生まれた私達が、今ではただの女中扱いなんですよ!?」

金剛「Shut up!それ以上テートクを侮辱するなら……もう、比叡の事を妹とは言えなくなるヨ!」

比叡「構いません!どうぞ、金剛型女中艦姉妹の中から私の名前を外してもらって結構です!」

金剛「……比叡ッ!」

提督「止めろ金剛。……私としても、これだけ反抗的な部下を飼い続けたいとは思えない。比叡、本当にいいんだな?」

比叡「これ以上話しても無駄みたいですね……行きましょう。『私の』提督」


カーリー「まぁ、本人もこう言ってるし……比叡君は、ウチで大切に扱わせて貰うね?」

提督「……好きにしろ」

比叡「……失礼しますッ!」

バタン……

金剛「比叡……ドウシテ……」

提督「泣くな、金剛。逃亡者のために涙を流してやる必要は無い」

提督(それにしてもあの男の気持ち悪い顔……どこかで見た事があるような……)


--下北沢鎮守府--

カーリー「それでな?比叡君は提督と金剛さんを振り切って、『自分から』ウチの鎮守府に来てくれることになったんや。頼もしいなぁ」

球磨「球磨が料理食べてる間に、そんな事になってたクマ……?」

カーリー「いやー迫真の演技やったよ?流石金剛型、とーっても上手に出来ましたぁ。拍手したるわ」パチパチパチパチ

比叡「うっ、うっ……!」

カーリー「はぁ~~~~~~……いつまで泣いとんねん、ホンマアホらしい……」


球磨「泣かせたのは誰だと思ってるクマ……」

カーリー「原因を作ったのは比叡君自身で、俺がそれを追及したのは戦力を増強して仕事を効率的に進めるためや。なんか間違っとる?」

球磨「それは……間違っては、いないクマ。けど……」

球磨(でも、あれからずっと泣いてるクマ……お姉ちゃんと喧嘩別れした事、やっぱり哀しいんだクマ……)

球磨(型は違うけど、球磨だってお姉ちゃんクマ。妹が泣いてるんなら……何があったにせよ、助けてやらなきゃダメだクマ!)

球磨「比叡さん……元気出すクマ。起きちゃったことは、もうしょうがないクマ。覆水は盆に返らないクマ」


比叡「うぅ……でも、私、あんな……あんな別れ方して、きっとお姉さまに嫌われてしまいました……」グスッ

比叡「それに、これからあんな提督の元で働かなきゃいけないなんて考えたら、もう……!」

球磨「よしよし。あんなゲスの事なんて考えるだけ健康に悪いクマ。喋るゴミとでも思っておいた方が精神衛生上良いクマよ?」

球磨「とにかく、今は目の前の問題に全力で当たるクマ。先の事はその時に考えればいいクマ」

球磨「そしていつか……絶対に金剛さんの艦隊に戻してあげるクマ。球磨お姉ちゃんが、約束するクマ」

比叡「ひ、ひぇぇ~……!」グスッ


カーリー(人情話もひと段落したみたいやし、ようやく比叡君も戦力として数えられそうやな)

カーリー(さて、これで戦艦一人確保や。後は空母やけど……上手く引っ掛かってくれたかなぁ)

カーリー「ま、お楽しみは後っていうからねぇ」

明石「て、提督!大変です!」

カーリー「どうしたん明石君、そんな急いで」

明石「工廠に置いてあったボーキサイトが……!」

カーリー「無くなったんか?」

明石「は、はい!そうです!」

カーリー「そりゃ大変やなぁ。どこの空母や、人のボーキサイトに手を付けたんは……!」


--工廠--

???「ここのボーキサイトは良い具合に加工がしてある。中々いけますね」

カーリー「……………………ちょっと待って!」

カーリー(空母にしてはデカいシルエットやな……正規空母が釣れたか)

???「はい?」

カーリー「ボーキが………………」



カーリー「っていうか資材全部ないやん!」


大和「……?ああ、ひょっとしてあなた」

カーリー「提督!ここの!いやていうかないじゃん資材が全部!どういう事!?」

大和「いえ、ふらりと立ち寄ったこの鎮守府に資材が山積みされているのが見えてですね」

大和「お腹が空いていたので……食べてしまいました」

カーリー「食べたァ!?資材を!?全部!?この中の中で!?」

大和「はい……」


カーリー「えぇ……いやこれじゃ艦隊運営できないやん!どうしてくれるんこれ?」

大和「どうする、っていうのは、ちょっと分からないです……」

カーリー「分からないのに食べたの資材を!?全部!?」

大和「はい……」

カーリー「……ところでキミ、空母?」

大和「ああ、申し遅れました。私は……」


大和「艦隊決戦の切り札として、呉海軍工廠で極秘建造されました。大和型戦艦一番艦、大和です。推して参ります!」

カーリー「戦艦?……キミ戦艦ならなんでボーキ食べたん?」

大和「お腹が空いていたので……」

カーリー「………………うせやろ?」

大和「いえ、ホントです。あぁ、でも食べてしまった分はしっかりと働いて返しますので!艦隊決戦ならいつでもお呼び下さい!」

カーリー(えぇ…………)

今日はここまでです

トリップを付けておきます


--翌日・執務室--

カーリー「はぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~」

球磨「……」

カーリー「っはぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~~……」

球磨「その溜め息やめるクマ。同じ部屋に居るだけで感覚器が腐り落ちそうクマ」

カーリー「そんな事言うたってぇ、無いじゃん資材がさぁ」


球磨「これまでみたいに何とかするクマ。どうせこれも予測の範疇クマ?」

カーリー「こんなん予想してへんよぉ……なんで空母釣ろう思ったら超々々弩級戦艦釣れるんよ……」

カーリー「資材ないとなーんも出来ないやんかぁ……おいクマァ、ちょっと資材出せや」

球磨「無茶言わないでほしいクマ。大体個人で資材持ってる艦娘なんているわけないクマ」

カーリー「……ん?おいクマァ、今の所もう一回」

球磨「……?個人で資材持ってる艦娘なんているわけないクマ?」

カーリー「いや、おるやんウチには!変態が!」

球磨「……あ!」


--工廠--

カーリー「あ~か~し~くぅ~ん」

球磨「明石さん、球磨からもお願いするクマ。もう少しだけ……資材を分けてほしいクマ。ウチにはあんまり時間が無いクマ」

明石「無理です!無理!ひっくり返そうが絞り上げようが私はこれ以上資材出せません!」

明石「大体今だって大本営に見え見えの嘘ついて、それでも相手方が事情を察してくれているから軍法会議に出席せずに済んでるんですよ!?」

明石「その上でこれ以上ねだったりしたら、それこそ解体不可避じゃないですか!」


カーリー「そっか……ほんらなぁ、大和を大本営に引き渡すわ。それなら強奪じゃなくて取引やろ?な?」

明石「あんな過剰戦力、どこの鎮守府も必要としてませんよ。だから放浪してたんでしょう」

カーリー「どこ行っても厄介者扱いってそれでも国家機密なんかアイツ……何が大和型やねん、アホらしい……」

大和「何かお困りですか?」

カーリー「お前が食べた資材をどう補てんするかの話をしてるの!こっちは!」

カーリー「お前が余さず食べきったせいでお前もう……ウチの資材は、一生ないねんで?分かる?この事態の深刻さ」


大和「はぁ……まあ、そこはかとなく」

カーリー「やったら資材稼ぐ方法の一つで考えてよお願いやからぁ!」

大和「……あ!では私が遠征に行って資材を持ち帰って」

カーリー「なんで大和型が遠征行って資材が増えるんやアホォ!もういいから!大本営に連絡させてもらうね」

大和「いや、それだけは……!」

カーリー「もういいから食べたんだから資材を!それなりの事はしてもらわんと!」


大和「それだけは……!解体処分になっちゃうんで」

カーリー「知らないよなればいいよ解体処分!食べたんだからさ資材をさ!」

大和「お願いします!艦隊決戦ならなんでもしますから!」

カーリー「それをする資材が無いって言ってんの!」

大和「そこを何とか!これでも大和ホテルと呼ばれるほどの……」

カーリー「頼まれても泊まりたくないわこんなたっかいたっかいホテルゥ!なんやねん一泊全種類の資材50,000って」


大和「ですから、あの時はお腹が空いていて……」

カーリー「お腹空いたからって人の資材勝手に食べたらアカンやろホテルゥ!何とか言えやホテルゥ!」

大和「……申し訳ないです」

カーリー「申し訳は聞き飽きたわ!はぁ~~~~~~~……もう大和ホンマ使えんわ~~~……つっかえ!」

球磨「任務をこなして資材を手に入れるってのはどうクマ?」

カーリー「俺も考えたんやけどなぁ……ど~~~~~~~~見積もっても間に合わんねん6日後の作戦には」

球磨「クマァ……」


明石「任務?あっ……」

カーリー「何。どうしたん」

明石「……いえ、何でもないです。わー資材足りなくって大変ですねー」

カーリー「明石くぅん。……キミさぁ、知っとる事話さなかったらさぁ……今ここで俺にキスしてもらうよ」

球磨(うぁ……想像しただけでゲロ吐きそうになったクマ!死んでも嫌クマ!)

大和(自沈処分した方がマシですね)

明石「……友人の大淀が各鎮守府の任務を管理しているので彼女なら報酬分の備蓄資材をある程度融通できるかもしれないと思ったんです」

明石(ごめん、大淀……私には耐えられなかった……)


カーリー「ほぉ~……大淀ねぇ。そいつから絞り上げればええって事やね。どこにおるん?」

明石「大本営です。……でも、無理だと思いますよ。大淀って謎が多いし、スキも見せないんですから」

カーリー「やってみらんとな、分からんねんこういうんは……おいクマァ!大本営行く準備せぇ!」

球磨「……それは、遠出になるクマ?」

カーリー「まぁ、2~3日程度にはなるやろねぇ」

球磨「なら、球磨はお留守番するクマ」

カーリー「はぁ!?」


カーリー「あのさぁ……秘書官やろお前クマァ!」

球磨「比叡さんがまだ立ち直りきれていないクマ!」

球磨「せめて今は……誰かが傍に居てやらないと駄目だクマ」

カーリー「そんなアホらしい理由で……!」

球磨「ウチの鎮守府の中でも上位の戦力である比叡さんの精神面をケアするのは戦力の安定した運用、ひいては海域の早期攻略に繋がるクマ」

球磨「それに……クマはお前の事生理的に嫌いクマ。嫌いだけど……仕事の手腕に関しては、信頼してるクマ」

球磨「提督なら、きっと一人でもやれるクマ。だから今の球磨は比叡さんの傍に居るのが、最善の選択肢であると具申するクマ!」

カーリー「……」


球磨(い、勢いでペラペラ喋っちゃったクマ……!怒られるクマ……?)

カーリー「……分かった。ほんならぁ、俺が留守の間鎮守府は任せる。帰ってくるまでに、しっかり比叡君使い物になるようにしとけよ」

球磨「……!」

カーリー「返事せぇや分かったんなら」

球磨「り、了解だクマ!」

球磨(初めて意見を聞いてもらえたクマ……!)


カーリー「あ!」

球磨「何クマ?」

カーリー「大和も監視しとけよ。つまみ食いさせんな、絶対三食以外のエサ与えたらアカンぞ。これ提督命令やからな」

大和「ええ!?そんな、日中補給も無しだなんて私死んでしまいます!」

球磨「……了解したクマ。ほら、こっち来るクマ」

大和「て、提督!今一度御考え直しを……!」

カーリー「もうちょっとなぁ、お前も節制とか覚えなアカンぞホテルゥ!分かったんかホテルゥ!返事せぇやホテルゥ!」

大和「うぅ…………はい。大和、節制命令、了解しました」

球磨「ほら、分かったならきびきび歩くクマ!」


--移動中・車内--

カーリー「球磨の奴……いっちょ前に筋道立てて話すようになりおったなぁ」

カーリー(あれだけ言われたら仕方ない。仕方ないんやけどなぁ)

カーリー「俺一人苦手やねん……一人になったらさぁ」

カーリー「……」

あきつ丸「おや、孤独は嫌いでありますか?ならばご心配なく。ここにもう一人いるのであります」

カーリー「ほら湧いてくるねんこういうのが!何キミは。所属どこ?どのタイミングで乗ったの?」


あきつ丸「自分は陸軍所属、揚陸艦あきつ丸であります。車にはずっと潜んでいたでありますよ」

カーリー「揚陸艦?ほんならキミも艦娘かぁ」

あきつ丸「広義の意味では。それ以上は詮索しないでいただきたいのであります」

あきつ丸「それにしても……まさか貴方が軍に戻っていようとは。将校殿もさぞお喜びになるでありましょうな」

カーリー「将校?……ああ、キミそういう」

カーリー「あんなぁ……一週間だけの置物提督やって。もうアッチには戻らないよ俺は」


あきつ丸「随分と連れないでありますな。昔はあれだけ睦みあった仲ではないですか」

カーリー「捏造すんなや。なんで俺がキミに手を出さなアカンの」

あきつ丸「そちらが意識していなくてもこちらは意識していたのであります。ずっとアプローチしてたのでありますよ?」

カーリー「知らん知らん。邪魔やからぁ、さっさと降りや」

チャキッ

あきつ丸「そうはいかないのであります。あなたにはもう少し運転してもらわねば」


カーリー「……すぐ銃に頼る陸の悪癖は、まぁだ治ってないんか」

あきつ丸「困った事に、このように役に立つ場面も多々ありますので」

カーリー「俺がここで思いっきりハンドル切って君と心中するって言ったら?」

あきつ丸「大歓迎であります。あなたが艦娘の耐久テストをしたいと言うのであればこのあきつ丸、見事その期待に応えてみせるでありますよ」

カーリー「ほーん……腐っても兵器か」

あきつ丸「理解が早い。説明の手間が省けて助かるのであります」


カーリー「……で、どっち行けばええの?」

あきつ丸「次のY字路を左であります」

カーリー「海の大本営は右なんやけどなぁ」

あきつ丸「……左であります」

カーリー「分かったってばもう!そんなん押し付けんといてよぉ、左曲がったるからぁ」

あきつ丸「感謝するであります。そこから先も自分がずーっと案内するでありますから、道に迷う心配など無用でありますよ?」

カーリー「そら、頼もしいねぇ……」

今日はここまでです


あきつ丸「にしてもこの車、良いサルーンでありますなぁ。薄給の身としては軽い嫉妬すら覚えてしまうのであります」

カーリー「せやろ?俺偉いやろ」

あきつ丸「これだけの車を私用車として乗り回せるのでしたら……相当の資産をお持ちなのでありますよね?」

カーリー「おぉ~~ええ目の付け所やん!聞きたい?俺の総資産額」

あきつ丸「それそのものは自分の任務には関係ないでありますから、至極どうでも良いのであります」

あきつ丸「むしろ気になるのは……結果ではなく、手段の方であります」


あきつ丸「軍務を投げ出して、以降もまともな職に就いていないあなたがどうやってそれほどの金を稼いだのか。将校殿は興味津々でありますよ」

カーリー「なんやぁ……?陸はまだ金、金言っとるんかアホらしい」

あきつ丸「深海棲艦は陸から来ないでありますからなぁ。人も設備も権限も海に吸われる我々の気持ちも、少しばかり慮ってほしいのであります」

カーリー「ええやん無くなってしまえば使わん軍隊なんてぇ。内陸だけでも平和なのはええ事やと思わんのか?」

あきつ丸「個人的には同意するであります。が、国民の命を守る義務を持つ一兵器としてはそうも言ってられないのであります」

あきつ丸「深海棲艦という存在を目の当たりにしておきながら、どうして他の戦没兵器が日本国民の敵にならないと言い切れましょうか?」

あきつ丸「海にばかり気をとられていれば、やがて地が沈むのは自明の理でありますよ。何事も中庸が肝要、と将校殿が言っていたであります」


カーリー「そうして軍が肥大化していった先にぃ、軍事国家の袋小路があるねん。分かるな?この意味」

あきつ丸「そのバランスをとるのは政治家の役目であります。自分はただただ軍のために、軍が欲するものを欲するのみでありますよ」

カーリー「よぉ頭が回る子やねぇ……ウチにも欲しいわキミみたいなの」

あきつ丸「上から降ってきた言葉を暗記して喋っているだけでありますよ。元・光機関情報班長殿」

カーリー「そこまで調べついとるんやったらぁ、お互い隠し事は無しにしたいねぇ」

あきつ丸「心から同意する次第であります。……おや、着いたようでありますな。我々の目的地はここであります」

カーリー「あぁ~ここかあ……」

あきつ丸「大日本帝国陸軍総司令部へようこそ、であります。ささ、中へどうぞ」


--陸軍総司令部・特別迎賓室--

カーリー「ええとこやろなぁ?」

あきつ丸「勿論でありますよ。どうぞどうぞ」

あきつ丸「こちら、あなたが光機関に居た時の設備を再現したものを備え付けているのでありますよ」

あきつ丸「ベッド、執務机、ライト……何から何まで、あの時のままであります」

カーリー「趣味悪ぅ!気に入らんわぁ……こんな部屋作るくらいやったらさぁ、その金で新兵器開発しようとか思わんのかぁ?軍人やったらさぁ」


あきつ丸「それだけあなたのために多く準備をした、という我々の努力を見せるのが事の本質であります。歓迎しているのでありますよ」

カーリー「何が歓迎やアホらしい……ウチにある貪喰ホテルのがまだマシやんこんなんさぁ……」

あきつ丸「気に入らなければ内装などいくらでも入れ替えるでありますよ。あなたが我々に協力してくれるのであれば、この部屋はあなたの物であります」

カーリー「協力ぅ?……金の稼ぎ方教えろってぇ?軍にぃ?」

あきつ丸「正確には、自分の上官である将校殿に。協力契約の暁には、我々は給金としてあなたが死ぬまで月100万ほど出させていただくつもりであります」

カーリー「ほーん……死ぬまでかぁ。そら安く済みそうやなぁ」

あきつ丸「……」


ガチャッ

将校「帰って来たか。待っていたぞ」

カーリー「なんやぁ……先輩やないですか。何であなたがこんな、部下にさぁ、後ろ暗い事させてるん?」

将校「口を慎んでもらおうか。この閉鎖された空間で弁舌が通用すると思うなよ?」

カーリー「黙れ言われて黙るんやったらぁ、クレーマーやっていけんねん。なぁ……?」

将校「聞かれた事だけ答えろ。貴様の資金源はどこにある?」

カーリー「インドォ……」

あきつ丸「大嘘も甚だしいでありますな。その程度の調べはついてるのであります」


カーリー「そんなん言うたってさぁ、正直に言う訳ないじゃんこんな酷い扱い受けてぇ……」

カーリー「頼みごとがあるんやったらぁ……一方的に要求するんじゃなくてぇ、俺の要望もさぁ、ちょーっとくらい聞いてくれてもええんちゃうのぉ?」

将校「我々は月100万払うと言っているんだぞ……!?これ以上何が欲しいというんだ」

カーリー「簡単な事ですよぉ……先輩ならすぐに用意できるよぉ」

将校「言ってみろ、可能な事なら実現してやる……ただし、代わりにどんな手段を用いてでも資金源を吐いてもらう事になるがな」

カーリー「先輩……俺今無理矢理連れてこられてめっちゃ疲労困憊やねん……やからぁ……」


あきつ丸(大方『一人にして』とでも言って逃亡を図る気でありましょうが……そうは問屋が卸さないでありますよ?)






カーリー「Hな看護、してください!!!!!!!」

あきつ丸「……………………………………は?」


カーリー「愛のパワーをくださぁい!!!!!!!」

あきつ丸(えぇ……)

将校「貴様……!ふざけているのかッ!」

カーリー「先輩さっき言うたやないですかぁ……可能な事なら実現してやるって……光機関に居た、あの時みたいに抱いてくださいよぉ」

あきつ丸「し、将校殿……その、将校殿はもしや……?」

将校「違う!あきつ丸!誤解だ!私はホモじゃない!」

カーリー「なんやぁ、先輩ノンケに変わってしまったんですかぁ?あんなに激しくしてくれたんにぃ」


カーリー「あきつ丸君も調べたんならさぁ、知っとるやろぉ?向こうではなぁ、全然女っ気なかったからぁ……」

あきつ丸「…………ッ!」

あきつ丸(た、確かに光機関では女日照りだったとは聞いているでありますが……!)

将校「あきつ丸!命令だ、それ以上後ろに下がるな!……それと貴様!その要望は聞けん!絶対にだ!」

カーリー「あらぁ~残念やなぁ。ならどんな要望なら聞いてもらえるんかなぁ……例えばぁ……」

カーリー「先輩の出世の噂が本当がどうか、教えてもらうとかぁ?」


将校「……何の話だ。私が出世して今この地位にいるのは、そこらの者達よりも遙かに努力したからだよ」

カーリー「へぇ~あれからも軍で頑張ってるんやぁ……それはそれは。でもさぁ、違う噂も聞いたんだよぬ~ん」

将校「フン……軍から抜け出した者が、何の噂を聞いたと言うんだ!」

カーリー「えーんでも、こんなん聞いたら先輩怒ると思うし……」

将校「ゆえよ」

カーリー「そんな怖い顔したら言えないよぉ……」

将校「ゆえよ」

あきつ丸(将校殿……問い詰める時はもう少し語彙に幅を持たせて頂きたいものであります……見ているこちらが恥ずかしい)


カーリー「先輩ってさぁ……軍の資金、横領して麻薬取引に使ってさぁ、私腹肥やしてるってホントォ?」

あきつ丸(!?)

カーリー「儲かるもんねぇ、麻薬栽培したら」

将校「そんな事知らないよ私は!」

カーリー「証拠持ってるんだよねぇ……バラしちゃうよ?」

将校「何の話だよ!」


カーリー「クビになっちゃうよ?いや、軍法会議かぁ……」

将校「何の話なんだよ!」

カーリー「ナンの話だよ、先輩。先輩がインド中にばら撒いた質の良いアヘンのエキスを、焼き上げた生地にたっぷりかけた奴ぅ」

カーリー「おかげで向こうの中流階級以上は皆中毒になってるよ……流石は先輩やわ」

カーリー「元・光機関特務班長の手腕で誰が流したか分からんようにしてしまえば、麻薬ほど効率のいい金稼ぎないもんなぁ」

カーリー「んで、ある程度稼いだら現地の人間にトカゲの尻尾をやらせて、自分は危険を冒さずに金だけ貰える位置を確保する」

カーリー「後は増えていく金を眺めるだけ……そんな方法で稼いだ金を賄賂に使って、出世の道を駆け上がった訳やなぁ」


カーリー「俺はその取引の現場で先輩の名前が出るのを『偶然』、ボイスレコーダーに録音しとったって訳なんやけどさぁ……」カチッ

『なぁ、お前どこでそんな質のいい奴見つけてくるんだ?』

『ピカリの○○ってのが流してくれるんだよ。ちょっと高いけどな』

カーリー「分かる?この罪の重さ」

将校「……」

カーリー「この、この今の状態の深刻さを先輩は分かってないよね。俺かあきつ丸君が上にこの事話したら、先輩お払い箱だよ?」


将校「あきつ丸、今すぐこの男を捕らえろ!この男の存在は陸軍にとって害悪である!」

あきつ丸「……了解であります!」

ガシッ

将校「なっ、離せあきつ丸!誰を捕らえている!私は奴を……!」

あきつ丸「自分は命令通り、陸軍にとって害悪である人間を捕らえたまでであります。……人間の屑が」

将校「離せと言っている!私は奴を捕らえろと言ったんだぞ!」

辻ーんに比べりゃカーリーや将校が大分マシに思える陸軍の闇


あきつ丸「かたや身体の内に鉱脈を持っている人間。かたや組織に寄生し、食い潰そうとしている寄生虫」

あきつ丸「陸軍の未来を思うなら、残すべきはどちらでありますか。将校殿?」

将校「……クソッ!」

あきつ丸「提督殿。申し訳ないのですが、この男を突き出すのを手伝ってほしいのであります。証拠物件として、そのボイスレコーダーもお貸し頂きたい」

カーリー「……まま、ええわ。さっさと済ませてぇ、早く解放してや。溜まってるねん仕事が」

あきつ丸「了解であります!」


--移動中・車内--

カーリー「……」

カーリー(あ、ボイスレコーダー置いて来てしもーた……別にええか。あんなもんもう何にも使わんわ)

カーリー「……はぁ~~~~~~~~~~それにしても災難やったわ。結局一日がかりやんか!」

あきつ丸「そうでありますなぁ。申し訳ない限りであります」

カーリー「…………ちょっと!何でキミがここにおるん?」

辻ーんは有能な部分もあるから…


あきつ丸「いやぁ、直属の上司が消えた瞬間解体されそうになるとは思ってもみなかったであります」

あきつ丸「まったく、実験兵器風情には人権も何も無いという事でありますかね。あれだけ陸軍に尽くしてきたというのに」

カーリー「……それは分かった。陸クビになって大変なんやね」

カーリー「で、何で俺の車に乗ってるのって聞いてるの!分かる?この意味」

あきつ丸「提督殿から熱烈な勧誘を受けたからには断るのも失礼だろうと具申しまして。書類上はもう海軍に転属済みであります」

カーリー「俺勧誘なんてしてないよキミなんかァ!何が出来るねんお前海でぇ!」


あきつ丸「……」カチッ

『よぉ頭が回る子やねぇ……ウチにも欲しいわキミみたいなの』

カーリー「……」

あきつ丸「このように証拠を示しましたら、長官殿も一発で転属の判を押してくれましたものですから」

カーリー「いや、ただの厄介払いやろそれ」

あきつ丸「あ、このボイスレコーダーはお返ししておくであります。いついかなる時も録音しておく癖は賞賛に値するでありますが、忘れ物は軍隊では厳禁でありますよ?」


あきつ丸「それに……仮に厄介払いだとしても、命令には従うのみであります。自分も帝国軍人のはしくれでありますから」

カーリー「……キミィ、海上戦闘出来るんやろうなぁ?」

あきつ丸「大の苦手であります!まかり間違っても艦隊戦などに駆り出さないで頂きたい!」

カーリー「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~……」

あきつ丸「まぁまぁ、済んでしまったことでありますから。心を無にして受け入れるであります」

カーリー「もぉ~~~~~~~~~~~…………運転代わって。俺寝るわ。大本営着いたら起こして」

あきつ丸「了解であります。目標、海軍大本営!ヨーソロー!……であります!」

今日はここまでです

>>168
立花芳夫「お、そうだな(小笠原人肉食事件)」
木村兵太郎「それな(敵前逃亡)」
牟田口廉也「せやせや(インパール作戦)」


--2日後・下北沢鎮守府--

カーリー「はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~……やっと帰り着いたわ」

球磨「おかえりクマ。首尾はどうクマ?」

カーリー「ん~~~~~?フフフフ……聞きたいんか?お?」

球磨「クッソくだらない前置きはいいからさっさと結果だけ話すクマ」

カーリー「なんや面白くない……色々あったけど、なんとか各資材20,000の補充に成功したわ。それと、こっちが陸軍から転属してきたあきつ丸君」


あきつ丸「自分、揚陸艦あきつ丸であります。趣味は盗聴、特技は尋問であります。以後、よろしくお願いするであります!」

球磨「……使えるクマ?この人」

カーリー「元陸軍やぞ?輸送とかならともかく、まともに艦隊戦なんて出来るわけないやん!」

球磨「なんで連れてくる艦連れてくる艦こうも癖のある奴ばっかりクマ?人望無さすぎクマ」

カーリー「まま、ええやんかちょっとくらい個性派なほうがさぁ。皆が皆ノンケやったら世の中成り立たんよ?」

あきつ丸「提督殿は本当に趣味の悪い例えをするでありますな。……さて御二方。自分は任務がありますので、これで失礼するであります」


球磨「え、もう行っちゃうクマ?」

あきつ丸「はい。自分は海上戦は出来ないでありますから。得意な分野で艦隊の一助となるのであります」

カーリー「あきつ丸君にはなぁ、俺専用の諜報員として働いてもらうんや」

球磨「うわぁ……ご愁傷様クマ。心中お察しするクマ」

あきつ丸「自分としては提督殿に使って頂けて嬉しいでありますよ?」

球磨「クマ!?……今度、耳鼻科と眼科に行く事をお勧めするクマ。多分、かなり重度の障害が発生してるクマ」


カーリー「あんさぁ……本人前にしてさぁ……それは無いやろうがこのクマァ!」

球磨「い、い゛だい゛い゛だい゛ク゛マ゛!頭グリグリは即刻中止するクマ!繰り返す!グリグリは即刻中止するクマァ~~~~!」

あきつ丸「あははははははは!いやはや愉快なところでありますな、海は。……広く深く、全てを受け入れてなお透き通っている」

あきつ丸「自分も遥々陸から来たかいがあったというものでありますよ。……提督殿のおかげであります」

カーリー「聞いたかクマァ?オ・レ・の・お・か・げ・やってさ」

球磨「うぎゃーーーーー!耳元でネットリ喋るなクマ心底気持ち悪いクマ変なウィルスに感染しちゃうクマァ!」


あきつ丸「ふふ……では提督殿、成果は数日の間に上げてみせるのであります」

カーリー「おう。頑張ってなぁ」

球磨「何の任務だか分からないけど……とにかく頑張るクマ!」

あきつ丸「了解であります!」

カーリー「…………さて、クマァ!報告!」

球磨「クマ!」


球磨「駆逐艦達の練度は順調に上がってるクマ!明石さんが居てくれるおかげで装備もちょくちょく改修できたクマ!」

球磨「装備スロットも埋まったクマ。もう……昔の球磨たちじゃないクマ!」

カーリー「ほほぉ……んで、貪喰ホテルはどうしたん?」

球磨「飲料水に睡眠薬仕込んで、眠ってる間に明石さんのワイヤーで縛って倉庫に放り込んでおいたクマ」

球磨「一応三食は与えてるけど、変な動きをしたら即超々々弩級戦艦解体ショーの始まりだと伝えてあるクマ」

カーリー「おぉ~ええやん!思ったより優秀やなクマァ!」


カーリー「ん?そういや、比叡君は?ちゃんと戦力に数えられるくらいになっとるんやろねぇ?」

球磨「……」

カーリー「……おい報告ん時に目ぇ逸らすなやクマァ。黙っとって状況が良くなる事なんてひとっつもないんやぞクマァ!」

カーリー「出来てるなら出来てる!出来てないなら出来てない!はっきり言えやこのクマァ!」

球磨「……ごめんなさいクマ。球磨には、比叡さんをやる気にさせる事ができなかったクマ」

カーリー「ほーん……それで?」


球磨「今部屋に引き籠っちゃてて……解体してほしいって言ってばかりクマ」

カーリー「………………ほぉ」

球磨「……ッ!」

カーリー「分かった。ほんならぁ、俺がちょっと行ってやるわ」

球磨(え……)

球磨「あの……怒らないクマ?……つっかえ、とか言わないクマ?」


カーリー「あのさぁ……今ここでお前を怒れば比叡君が出てくるんやったらぁ、俺はずーーーーっとお前を罵倒してるよ。何十時間でもさぁ」

カーリー「けどそうじゃないやろ?な?クレームはさぁ、愚痴とちゃうの。状況を自分に有利な方向に持ってくために使わなアカンの。分かる?」

カーリー「今俺がやるべきなのはさぁ、上官としてぇ、部下の失敗を直ちにフォローする事やろ?」

カーリー「そんでぇ、お前がやるべきなんは失敗した仕事の後始末をウジウジ悩む事じゃなくて、出来る仕事を一つでも多くこなす事や」

カーリー「……俺の言っとる事分かったか?え?クマァ!」

球磨(……!!)


球磨「了解クマ!!!!」

カーリー「ええやん、ええ返事やん。それだけ威勢のいい声出せるんやったらさっさと駆逐共の所行って鍛えてあげて?時間ないねん俺らには」

カーリー「戦力は少しでも多く、強くや。分かるな?この意味」

球磨「すぐ行ってくるクマ!」

カーリー「………………さぁ、高速戦艦説伏ショーの始まりや」

カーリー「俺がじっくり説得してやるわ。みんな見とけよ」


--鎮守府内・比叡の部屋--

ガチャガチャ……バァン!

比叡「!?」

カーリー「おぉ~ここかぁ。ひきこもりの癖に良い部屋に住んどるやん……ベッドついてんねや」

比叡(鍵は内側から閉めておいたのに……!)

カーリー「あんな?比叡君。どれだけ置物でも嫌われ者でもさぁ、俺提督やねんここの。鍵くらい持ってない方がおかしいやろ?」


比叡「司令……私、艦娘辞めます」

比叡「私を解体してください!」

カーリー「なんでや?キミまだこっちに来たばっかりやろ」

比叡「……」

カーリー「姉妹と離れ離れにされたから?それやったら問題無いよ」

カーリー「ここだけの話やけど、俺一週間だけの置物提督やから。来週の今頃にはおらんねんここに」


カーリー「キミが作戦にちょーっと出てな?戦艦にふさわしい戦果を挙げてくれればぁ、ちゃーんと無条件解放するって」

カーリー「二度と君の秘密にも干渉せん。こういう約束ができる男なんやって俺は」

カーリー「あの時はあんな別れ方になったけどな、金剛さんもちゃーんと分かってくれてるからキミの事」

カーリー「謝ったらすぐ仲直りできるよ、金剛型は仲良し姉妹やんかぁ」

カーリー「でもな?解体されたらもうその、仲直りするタイミングすらないねんで?分かる?この機会損失の大きさ」

比叡「……」


カーリー「何?違うの?……じゃあ、俺の下で働きたくないから?今さらそんな事言ってもさぁ、原因はキミのずさんな裏工作やんかぁ」

カーリー「責任とらんとアカンやろやった事に対してはさぁ。バレてしまったんだからさぁ」

比叡「……だから解体してほしいって言ってるんです!私は、私のしたことに対して責任を取りたいんです!」

カーリー「ほぉ~?」

比叡「私欲のために手を出してはいけない人に手を出して、それがあなたみたいな男にバレて、好き放題脅されて、お姉さまと提督を裏切って!」

比叡「私なんて、金剛型の恥です……消えてなくなった方が、お姉さまのためです」

比叡「金剛型の汚名をそそぐには、それしかないんです!」


カーリー「……ちょっと発想が甘くなぁい?比叡君」

カーリー「別に君が望むんやったらぁ、ええけどさぁ?解体したっても。そしたら俺、全力で君の事言いふらすよ?」

カーリー「『比叡はさるやんごとなきお方と行為に及んだ挙句証拠隠滅のために逃げるようにして解体された戦艦の屑』って」

カーリー「当然他の金剛型もやり玉にあげられるやろうねぇ。……蒸発した性犯罪者の身内より辛い立場ってあるんかなぁ?」

比叡「なっ……何でそんな!」

カーリー「いやだってないじゃん俺に利益が。キミを解体処分にしたら……こっちは戦力になって貰おうと思って連れてきたんだよ?」


比叡「……でも、でも私……」

カーリー「生きていても迷惑かける、死んでも迷惑かけるって?」

比叡「……だって、そうじゃないですか」

カーリー「どうしたらいいのか分からん、考えるだけ苦しいから思考放棄したいの?」

比叡「……」

カーリー「それはな、誰でもそうなるんやって。でもな、哀しいかなぁ……何回も経験、慣れてきてぇ、『あっ、生きててもええんや』ってなるの!」


カーリー「……昔の話やけどさぁ。俺インドで仲間沢山見捨ててんねん、自分が死にたくない一心で」

カーリー「その事を上に報告するのがもうどうにも出来なくてさぁ、結局軍抜けたんよ」

カーリー「昔の同僚は銃持って血眼で探してくるし、『人間の屑』とか『致死性のウィルスみたいな存在』とか好き勝手言われてさぁ」

カーリー「俺引きずってるねんで?今でも。……けどさぁ、こうやって生きてる訳やん元気に」

カーリー「比叡君もさぁ、金剛型の誇りを守るためにどんなことでもやろうと思ったその心があるんならぁ、金剛さんのためにも。生きて名誉挽回せなアカンやんか」

カーリー「その比叡君が持ってる心の、すごいパワーをね?逃げるために使ったらアカンの。生きるために使わせるねん。自分自身に!」


比叡「そんなの……出来るわけないですよ!」

カーリー「出来る言うとるやろアホォ!!!!!!!」

比叡「ッ!」

カーリー「消えたってな、自分が消えたってどうしようもないの!満足するのは自分だけ、周りの状況は何も変わらんのいい方向には!分かる!?」

カーリー「ホントに責任取りたいんやったらぁ、辛くても苦しくても死にたくても生き抜いて……一生懸けて自分が迷惑かけた何かに報いなアカンの!」

カーリー「……それがな?必死に生きるって事なんや。よく言っとるやんか青くっさいドラマとかでさぁ」


カーリー「大丈夫、比叡君やったら出来るから。絶対出来る。俺が保証したるわ」

比叡「……私…………」

カーリー「せやからぁ、艦娘辞めんな。何のためにここまで来てん。……自分自身にさ、もう一回チャンスあげて?」

カーリー「一週間だけの辛抱や。……俺を信じてくれ」

比叡「…………」


比叡(お姉さま…………私は、お姉さまの元に……帰ってもいいんでしょうか?)

比叡(違う……帰らなきゃ。帰って、謝らなきゃ……何が何でも!)

比叡「…………………………はい!比叡、気合い、入れ直して、いきます!」

カーリー「そうや、比叡くんならきっと出来る。……俺を信じて、二度と言うな辞めるなんて」

比叡「はい!そんな事、もう二度と言いません!」

カーリー「よーし。その意気やその意気ィ」


カーリー「比叡君。キミに、これ渡しとくわ」

比叡「これは……首飾り、ですか……?」

カーリー「これはな?俺が若い頃、くじけそうになった時にずっと使ってた物や」

カーリー「これをキミが背負ってるモノだと思って、諦めそうになったら握りしめるんや。比叡君も、自分自身に胸張れるよう……一人前になれ!」

比叡「……司令ッ、本当に……ありがとうございます!」

カーリー「……」

比叡「……?」


比叡「……どうかしましたか?司令」

カーリー「あ、今ここで装備したりはせんのかなーってね?……こう、受け継がれる意志、みたいなね?分かるな?この意味」

比叡「着けると何か変な病気にかかりそうなので……必要になった時に使わせてもらいます!」

カーリー「…………」

カーリー「まま、ええわ。キミがやる気になってくれたんなら、俺はもうそれでいいよ」

比叡「ハイ!最悪、口封じのために司令を砲撃してでも!私は、金剛お姉さまの元に帰りますから!」


カーリー「……元気あってええね。うん」

比叡「では司令!決戦前の士気向上のためにも、鎮守府の皆に比叡特製のカレーをご馳走したいのですが、許可を頂けますか!」

カーリー「ほぉぉ~カレー?ええやん!」

カーリー「言っておくけどさぁ……俺カレーにはうるさいよ?比叡君」

カーリー「しかも今めっちゃ腹減ってんねん……半端な物やったら許さんからねぇ?」

比叡「任せてください!比叡、気合い、入れて、作ります!」

今日はここまでです

飲料水(アイスティー)
飲料水(飲みかけのコーヒー)
飲料水(お茶)
飲料水(おももみもも)
飲料水(酒)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年11月01日 (火) 16:42:25   ID: KBSlW6Ob

とても面白かった
続き楽しみでいつまでも待ってます

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