髪長彦「犬娘と笛」(5)

ある時、とある山の麓の小さな村に居を構えておる者がおった・・・

その者の名は・・・『髪長彦』

本人曰く『少年時代のあだ名だった』ということであるが

その容姿はまるで女の様で、その上髪も長かったことから、そう呼ばれておった

また、彼は笛が大層達者で、土地神に認められた彼は三人の犬娘を賜ったそうな

その犬娘らの名は、『嗅げ』『飛べ』『見れ』といい、各々が特別な能力を持っておった・・・

『カゲ』はどんなに遠くにあるものでも嗅ぎ分けることができ

『トベ』は類い稀なる名馬の如き速さで駆けることができ

『ミレ』は遥か遠くの物を見ることができる目を持っておった

そんな俺さ・・・彼等は山の麓の村で『なんでも屋』を開業しておるそうな

さて、今日はどんな客が来るのだろうか!!

ハーッハッハッハ!!

髪長彦「ハーッハッハッハ!!」

ミレ「・・・ご主人、うるさい」トントン

髪長彦「ハッハッハァ!!」

ミレ「・・・うるさい。音ゲの邪魔。死んで」トントン

髪長彦「ハッ・・・ハァ・・・」

トベ「んな事言ってるけど平気でフルコンボやりそうじゃん」

ミレ「・・・能力で少し先が見えるから」トントン

トベ「セコいなぁ」

ミレ「・・・・・・」ギロッ

トベ「ごめんなさい」

カゲ「はいはいご主人こっちですよぉ!」

髪長彦「カゲぇ・・・俺様はこの家の中で笑うことも許されないのだ・・・」

カゲ「そんなこと言わないでくださいよ、ご主人!!」

カゲ「私の前でたーんと笑ってくださいませ!」ニコッ

ミレ「・・・・・・」チラッ チラッ

スカッ

ミレ「あっ・・・」

トベ「あらー、やっちまった」

ミレ「・・・最悪、ご主人のせいだ」

髪長彦「俺様は何もやっちゃいないだろうが!!」

ミレ「・・・ダメ、お仕置きするから・・・」

カゲ「ダメでございますってば、ミレちゃん!」

カゲ「それに・・・ふんふん」クンクン

カゲ「もうそろそろお客さん来るみたいですよ?」

髪長彦「うを!それは本当か!」

カゲ「私の嗅覚に狂いはございません!」フンスッ

トベ「だとしたら一週間前の迷子捜し以来のお客だよなー」

髪長彦「クソッ、光の速さで身嗜みを整えなくては・・・」イソイソ

~数分後~

ガチャッ

? 「・・・こんにちは」

??「・・・・・・」

髪長彦「ほう、二人連れか。そこに座れ」

? 「ええ、失礼しますよ」

??「・・・・・・」

髪長彦「して、お前らの名前は?」

? 「名ですか、私の名は・・・」

遠藤「遠藤です、しがない書生なんです」

遠藤「そしてこの方は妙子といいます」

妙子「・・・・・・」コクリ

髪長彦「ほうほう・・・」

遠藤「ここがなんでも屋だと聞いて押しかけたのです」

髪長彦「何故だ?」

遠藤「早い話が、私達は現在追われているのです」

遠藤「ですから、ここに匿うなり、追って来る者を退治するなりして欲しいのです」

髪長彦「ふむ、追ってくる輩はどんな奴だ?」

遠藤「インド人の婆さんで・・・魔法使いなんです」

髪長彦「そうか、カゲ」

カゲ「はい、なんでございましょう?」

髪長彦「インド人っぽい奴が半径一キロ以内に入ってきたら知らせろ」

カゲ「合点承知でございます!!」

髪長彦「しかし魔法使いなぁ・・・」

髪長彦「どうしてそんな厄介な奴に追われているのだ?」

髪長彦「時間はある。ゆっくり話せ」

遠藤「わかりました、それでは話しましょう・・・」

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