P「あっはっはっは。お仕事やーめた」 (99)

高木「キミ、今月の給料明細だ」

P「ありがとうございます、社長」

高木「いやいや、それはこちらの台詞だよ。君のお陰でうちも大盛況だからね。今月もサービスしといたよ」

P「本当ですか!それは何よりです!」

高木「更なる活躍を期待しているよ。では私はこれで」

P「お疲れさまでした!」




P「一十百千万十万百万……」

P「うん」

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P「うちのアイドルのほとんどがもうトップアイドルと呼べるほどにまでなり」

P「うちの事務所の収入も莫大なものとなり」

P「13人分のプロデュースボーナスを貰い」

P「貯金が億を越えてもうかなり経つ」

P「うん」

P「もうお仕事する必要ないな」

後日

P「律子。調子はどうだ?」

律子「あ、はい!順調ですよプロデューサー」

P「どれどれ……お、よくできてるじゃないか」

律子「そうですか?えへへ……プロデューサー殿にほめられると自信ついちゃいます」

P「これなら俺がいつ引退しても全部任せられそうだな」

律子「もうっ。冗談でもそういうこと言わないでくださいっ」

P「はは、すまんすまん。でも勿体ないよなぁ……せっかくアイドルとしてここまできたのに」

律子「悩んだ末に決めたことですから。それに、プロデューサー殿のおかげで……とってもいい夢見せてもらいましたから」

律子「本当……夢みたいな日々でした」

P「人気絶頂中のアイドル秋月律子がプロデューサーになるなんてなぁ」

律子「……そりゃ誰よりもあなたを見てきたんです。憧れもしますよ…」

P「はは、光栄だな。よし!それじゃあ俺の秘伝を伝授してやろう!」

律子「ひ、秘伝!?そんなのあるんですか!?」

P「ああ!今までのプロデュース記録はすべて纏めてある!」

律子「……すごい!それがあれば無敵じゃないですか!」

P「俺も全力で律子を応援するよ。プロデューサーとしてのノウハウは俺がきっちりと叩き込んでやる!」

律子「はいっ!よろしくお願いします!」

後日

P「社長、お話があります」

高木「む?なんだね?」

P「最近アイドル達もすごく頑張ってくれるようになりましたよね」

高木「うむ。本当に立派に成長してくれて……なにもかも、君のおかげだ」

P「そんなことありませんよ。俺はあくまでプロデューサーですから。彼女達の活躍はあくまでも彼女達自身が努力した結果です」

高木「いやいや。そこまでにしてくれたのが君だと言う話さ。君には感謝してもしきれない。お金でしか返せないのがもどかしいよ」

P「いえ。俺はもう十分過ぎるほどいただいてますよ」

高木「しかし……お金だけあっても使う時間がないだろう……今までどれだけの時間を君から奪ってしまっただろう」

P「……律子はもう立派なプロデューサーになりました」

高木「む?……あぁ、そうだね。これからは律子君とキミとでの二人体制で……」

P「……アイドル達ももう自分達で仕事を取ってこれます。いえ、向こうから勝手にどんどん来るでしょう」

高木「…………?あ、あぁ……それだけ彼女達はいろんなところから引っ張りだこになってしまったからね」

P「もう俺がいなくても765プロは成り立ちます」

高木「………………」

高木「……はは。そんなことはないさ。キミがいなくては765プロでなくなる」

P「音無さんの活躍も、もはや事務だけに留まりませんし。ライブ会場とかいつも取ってくれてるんですよ」

高木「いやいや……それもキミとのコミュニケーションあってのこと」

P「アイドル達ももう各テレビ局のお偉いさんにも臆することなく会話出来るようになりました。あの雪歩でもです。例えトラブルなんかがあったとしても自分達で対処できるでしょう」

高木「……な、なにより……アイドル達が悲しむ……」

P「社長」

高木「!」

P「俺は来月いっぱいで765プロを辞めます」

P「あっはっはっは。言ったった。言ったったぞ」

P「あと1ヶ月頑張れば俺はもう自由だー」

P「一日中家でごろごろしてても許されるんだー」

P「今まで頑張ってきたもんなー。これからは今までの分を取り戻すくらいぐうたらするぞー」

P「あっはっはっはー」

高木(………………)

高木(彼がいなくなったら……事務所はどうなってしまうのだろう……)

高木(……彼の言うとおり、これまでと変わらずにやっていけるのだろうか)

高木(…………いや、不可能だ)

高木(なによりもまず、アイドル達が黙ってないだろう……)

高木(………………)

高木(1ヶ月の間に、彼が心変わりしてくれることに期待するしかない……)

後日

春香「ありがとうございましたー!」

春香「終わりましたー!プロデューサーさーん!」トテテテ

P「お疲れ様、春香」

春香「はい!ありがとうございますっ!あの、どうでしたか?」

P「ああ、トークもスムーズだったしばっちりだったよ」

春香「本当ですか!?えへへ……今日は久しぶりにプロデューサーさんが見ててくれたので張り切っちゃいました♪」

P「成長したな、春香。見違えたよ」

春香「そんな……プロデューサーさんのご指導のおかげです!」

ハルカチャーン

春香「あ、はーい!すみません、スタッフさんの方にも挨拶いってきていいですか……?」

P「ああ。いってきな」

春香「えへへ、ちゃんとまっててくださいね?ではちょっといってきます!」

トテテテ

P「……もう一人前だな」

ガチャ

P「おはよう、みんな」

やよい「あっ!プロデューサー!おはようございまーす!」

P「やよい、みんなは?」

やよい「はい、今みなさんと一緒に今度のライブの演出について話し合ってて」

P「あれ?このまえ決まらなかったか?」

やよい「もうちょっと良くしよーって美希さんが」

美希「ハニー!こっちこっちー!」

P「美希」

P「やよいから聞いたぞ。ライブの演出、変えるんだって?」

美希「うん!ミキね?もっともーっとお客さんが喜んでくれるようにしたいなーって思うの」

P「忙しいだろうに、大変じゃないのか?」

美希「ううん、ミキ達が忙しいのもファンのみんなあってだから。ね、やよい!」

やよい「はい!みんなに恩返ししたいです!」

P「……そうか。よし、俺もなにか手伝えることがあれば言ってくれ」

美希「じゃあまずミキにお膝を貸して欲しいな!」

P(……アイデアも自分から出せるようになった)

千早「プロデューサー、この資料まとめておきましたよ」

P「お、ありがとうな千早」

千早「いえ、私もいつもプロデューサーの仕事を見てましたから。このくらいできます」

P「頼もしいな」

千早「そ、そんな……あ、あの、萩原さんも手伝ってくれて」

P「そうなのか?」

雪歩「お茶がはいりましたよ~♪」

P「雪歩、書類整理手伝ってくれたんだって?」

雪歩「あ、千早ちゃんがやってたので……」

P「二人とも、ありがとう」ナデナデ

雪歩「ふゃっ…」

千早「……もう。子供扱いして……」

雪歩「えへへ…」

P(……自主性もはるかに増した)

P「よーし、ここまで!」

真「はい!ありがとうございました!」

亜美「ふぃ~」

真美「久々に疲れちった~」

P「なんだ真美?普段は手を抜いてるって言うのか?」

亜美「言うのかね?」

真美「うあうあーっ。亜美までーっ」

真「あっはは!たしかに久しぶりにプロデューサーにレッスンしてもらいましたから、気合い入りましたね!」

P「そこまで厳しくしたつもりはないけどな」

亜美「んっふっふー。兄ちゃんは自分の鬼コーチっぷりがわかってないねぇ」

真美「そうそう。普段のレッスンの人はもっと褒めてくれるもん」

P「……それだけお前たちの力がついてきてるってことさ」

真「そうですかっ!?」

亜美「わーい!鬼兄ちゃんにほめられたーっ!」

P「だがこんなもんじゃないだろ?ほれほれ、もう一回通してみるぞー」

真「はいっ!」

真美「えーっ!?兄ちゃんの鬼ーっ!」

亜美「お兄ちゃんー!」

P(……基礎もしっかりと身についている)

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