聖「パワプロ先輩をめぐってあおい先輩とみずきががちんこ対決…?」 (52)

あおい「まさかみずきもパワプロ君のことが好きだったなんてね…!」

みずき「私も驚きました…。けど! あおい先輩が相手でもこれだけは譲れない!」

あおい「…!」

みずき「決着、つけましょうか――あおい先輩!」

あおい「そうだね…。パワプロ君に相応しい真のヒロインは誰か決めてやろうじゃないか!」


矢部「話は聞かせてもらったでやんす」ガチャッ

あおい「矢部くん!」

聖「その対決、私たちが見届けよう」

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矢部「というわけで、勝負の内容は公平にオイラたちで決めるでやんす」

みずき「OKよ」

あおい「望むところ! ピッチング勝負でもバッティング勝負でもなんでも来い!」

矢部「それじゃあ…勝負の内容でやんすが」

聖「今回はより魅力的な女性を競う勝負なのだったな。なら…」


聖「 包容力 。これで競うのはどうだろうか」


あおい「包容力っ…!?」

みずき「なんだか私たちに縁の無い言葉な気がする…!」ガーン

聖「そう、包容力」

聖「女子たるもの、殿方を優しく包み込む優しさこそが大事だ…と本に書いてあったぞ」

あおい「うっ…」短気

みずき「自信ない…!」短気

聖「パワプロ先輩のメンタルは豆腐のように脆い部分がある」

聖「だからこそ、この包容力を競いより優れた方が彼女になるべきなのではないか」

あおい「言われてみれば…」

みずき「その通りかも…」


矢部「と、いうことで…明日は1日、優しく寛大な態度で過ごすでやんす!」

矢部「100点満点で怒ったり暴力を振るったら減点。最後に多くポイントを残してた方が勝利でやんす!」

次の日

あおい「ふふ、ふふふ…」ニコニコ

みずき「おほほほほほほ…」ニヤー

矢部「二人とも笑顔が引きつっているでやんすね…。特にみずきちゃんは気持ち悪いでやんす」

みずき「はぁ!?」カチン

聖「みずき-5点」

みずき「しまった!」95点

矢部「はぁ…。本当に単純でやんすね。これでは先が思いやられるでやんす」ヤレヤレ

みずき「ぐ、ぬぬぬぬぬぬ…! 後でメガネ○すっ…!」

あおい「うわぁ…」

矢部「フヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

聖(矢部先輩、今日一日二人で遊ぶつもりだな…)

パワプロ「みんなお早うー!」キラン

あおい「あ…パワプロ君! お早う…///」

みずき「パワプロ先輩! きょ、今日はいい天気ね///」

パワプロ「ああ、野球するには絶好の天気だな! 今日は練習試合もあるし頑張ろうぜ!」

あおい「うん!」

みずき「はぁ…、今日もパワプロ先輩は格好いいなぁ…///」

聖「二人の目にはパワプロ先輩はどう写っているんだ…」

矢部「パワプロ君、パワプロ君」

パワプロ「ん? 矢部君もおはよう。どうかした?」

矢部「パワプロ君、今日あおいちゃんは朝御飯を5杯食べてきたらしいでやんす」

パワプロ「えっ」

あおい「は!?」

あおい「そんなわけな…!」ハッ

あおい「っ…!」

パワプロ「へ、へぇ~。あおいちゃんって結構大食いなんだね」

聖(パワプロ先輩がちょっと引いてる…)

あおい「そ、そそうなんだ…ははは。いや、流石に5杯は言い過ぎだよ? 2杯くらいだよ?」

矢部「今日はきっと試合でも活躍してくれるでやんすよ。体重を乗せた重い球を連発でやんす」

あおい「誰が重いってーっ!」ブチッ

矢部「ひっ! ストップ、ストップでやんすー!」

聖「あおい先輩、-7点」

あおい「はっ! こんなの卑怯だ…」93点

パワプロ「?? あ、聖ちゃんもおはよう!」

昼休み

パワプロ「いやー、昼休みなのにみんな俺の教室に集まってくれるなんて」

みずき「きょ、今日は試合もあるしミーティングを兼ねてなんだからねっ///」

あおい「そ、そうだよ! 別にパワプロ君とお昼を食べたいとかそんなんじゃないんだよっ///」

聖(なぜあおい先輩までツンデレ化しているんだ…)

矢部「さぁさぁ、お弁当広げるでやんす」



あおい「…」パカッ

矢部「おやおや~? あおいちゃんのお弁当はなんだか酷い有様でやんすね」

あおい「…」イラッ

あおい「た、食べられれば問題ないから大丈夫だよっ」

あおい(うぅ…。本当はこんなのパワプロ君に見せられないよ…。けど、みずきに先を越されたくないし…)

パワプロ「へぇ…。あおいちゃんって凄いね!」

あおい「えっ…」

パワプロ「俺、自分で弁当作ることないし自分で料理して弁当作ってくるの偉いなって思うよ」

パワプロ「あおいちゃん頑張ってるんだね。将来はきっと良いお嫁さんになれるよ」

あおい「パワプロ君っ…///」

みずき「むぅ…」

矢部「まぁ、見てくれ通り味もボロボロでやんすがね」モグモグ

あおい「って勝手に食べないでよ!」ブチッ

矢部「ぎゃー!」

聖「暴力込みなので-10点」83点

みずき「せーんぱいっ。わたし~、お弁当作りすぎちゃったので少しどうですか?」パカッ

パワプロ「わぁ…みずきちゃんのお弁当凄いね! 重箱に入ってる!」

あおい「本当だ! 凄い!」ガーン

パワプロ「みずきちゃんも自分で…しかもこんなに作ってきたんだ。美味しそうだなぁ!」

聖(本当は橘家の料理人が作っている…ということは言わないでおこう)

みずき「先輩に食べてもらおうと思って努力しました。ささ、どうぞどうぞ」

矢部「ふむ。これは薄味でやんすね」モグモグ

みずき「!」

みずき「や、矢部先輩も…どうぞ食べてください?」イライラ

パワプロ「いいの? じゃあいただこうかなー」

あおい「うぅ…」

みずき(勝ったわ)

矢部「パワプロ君。からあげが薄味だからレモンかけといてあげるでやんす」ブシュー

パワプロ「」

みずき「ああああああああああああああああああああああああ!」

みずき「私の愛妻弁当に何してくれてんのよー!」バキッ

矢部「ぎはーっ!」

パワプロ「うわぁ…。からあげがレモン漬けに」

聖「(暴力込みなうえ嘘もついてるから)-15点だな」80点

パワプロ「…」パクッ

みずき「ええっ!? レモン漬けになっててすっぱいでしょ!? 食べなくても…」

パワプロ「折角みずきちゃんが作ってきたのに食べないわけにはいかないよ」ニコッ

パワプロ「確かに少しすっぱいけど美味しいよ。プロが作ったみたいだ」

みずき「パワプロ先輩…///」

聖(実際プロが作ってるぞ…)

あおい「うー…」



パワプロ「ちなみに聖ちゃんはどんな感じなの?」

聖「私は至って普通の弁当だ」

パワプロ「聖ちゃんのも美味しそうだね」

聖「うむ」



矢部「そういえばパワプロ君、昨日の『王女でどうじょ』見たでやんすか?」

パワプロ「八代麻耶主演のやつ? あー、あれ俺見てないんだよね」

あおい「ボクは毎週見てるよ。昨日のはまだ見てないけど…(パワプロ君のことずっと考えてたから…)」

みずき「私も最新話はまだ見てないわ(パワプロ先輩のことずっと考えてたから…)」

矢部「昨日の展開は本当にすごかったでやんすよ! まさか王子が死ぬとは思ってなかったでやんす!」

みずき「えっ…」

あおい「ちょっ…矢部くん! まだ見てないって言ってるのにネタバレするのやめてよ!!」

矢部「ぐふふふふふふ。申し訳ないでやんす~」クネクネ

みずき「ぬあああああああ!」バキッ

あおい「ああああああああ!」ボコォッ

パワプロ「聖ちゃんは見てないの?」

聖「私も見てない。勉強の時間に充ててるからな」

放課後

監督「全員集まったな!」

パワプロ「はい!」

パワプロ「今日は練習試合だ! みんな張り切っていくぞー!」

あおい・みずき・矢部「おー!」

あおい「…試合中は流石に勝負は中断だよね?」

矢部「そんなわけないでやんす。むしろ試合中の極度のピンチでこそ真の姿が見られるでやんす」

みずき「げっ…! 矢部先輩、エラーとかしないでよ?」

矢部「オイラがそんなことするわけないでやんすー!」


矢部「オイラは、ね…」ニヤリ

聖「…」

7回表

あおい「…」

みずき「ああ…。なんでこんな日に限って相手がここなのよ…」

ウグイス嬢『西京高校、選手の交代です。代打・そこのお前』

カキーンカキーンカキーン

あおい「相手が西京高校なんてストレス溜まるに決まってるよね…」

監督「選手交代! 投手早川!」

あおい「え゙!」

みずき「うわぁ…。この状況で交代って…」


パワプロ「みんなー! ノーアウト満塁だけどしっかり守ってくぞー!」

ウグイス嬢『バッターは、4番・サード清本くん』

あおい「こんな状況で代えないでええええええええええっ!!」62点

あおい「うわ…うあぁ」

清本「…」ズズズズズズズズズズズ

あおい(怖い…! どこ投げても打たれる気がする…!)

あおい(キレ2…一発…軽い球…!)

あおい「うわああああああ!」ビシュッ

清本「!?」ストライーク

聖(短気発動?で155kmのストレート…。アンダースローからこんな球が放られたら流石に打てないだろう)

あおい「ひいっ!」ビシュッ…ククッ

清本「!」カコン…

あおい「!! やった!? 打ち取った!」

聖(先輩の制球力と緩急でミスを誘えた…これなら!)

パワフロ「ゲッツー行けるぞ!」

あおい「…」セーフ

監督「ふむ…。やはり1年生たちでは守備に不安がある、か…」

矢部「言い忘れてたでやんす。今日の内野陣は全員守備力Gの1年生でやんす」

あおい「…」イライライライラ

あおい「み、みんなー。一つずつアウトとって行こうー!」イライライライライライライライラ



聖「あおい先輩、ナイスボール」

あおい「はぁ…」

パワプロ「あの内野安打()の後しっかり無失点で切り抜けたのは凄いよ! 流石あおいちゃん!」

矢部「奇跡でやんすね」

あおい「本当に一生分の運を使い果たした気分だよ…」

パワプロ「聖ちゃんもナイスリードだったよ! さぁ!残る回もしっかり戦っていこう!」

8回表

監督「選手交代! 投手・早川に代わって橘!」

みずき「よーし! サクっと抑えていくわよ!」

あおい「頑張れー。モブでも西京打線は強力だからねー!」

みずき(あおい先輩はあの西京打線を1安打()に抑えたんだ…私も負けられない!)



みずき「ふぅー…やっぱり手ごわいわね」

パワプロ「ツーアウトー! バッター集中!」

聖(エラーと内野安打()でランナー一・二塁。1点差でウチがリード…ここでこのバッターは怖いな)

ウグイス嬢『3番ファースト滝本くん』

滝本「」ズズズズズズズズズズズズズ

みずき「上等! 勝負!」

監督「選手交代!」

みずき「」

監督「投手・橘に変えて山道!」

山道「っしゃあ!」

みずき「…」

山道「橘、良い投球だったぞ。俺が必ず抑えてくるからな!」

みずき「…」

あおい「…」

聖「…」

パコーンパコーンパコーンパコーンパコーン

みずき「こんな状況で替えるなああああああああああああっ!!」48点

パワプロ「7点差か…やっぱり西京高校は強いな」

山道「あぁ。だが全員が全力を尽くした良い試合だったな」

みずき「…」イライラ

監督「今日の試合は残念だったな。みんな根性が足りないぞ!」

スカウト「橘は今日1安打1失点で負け投手か…評価下げとこう」

みずき「あああああああああああああああっ!」36点

パワプロ「くっ! 俺の力が足りなかったんだ…みんなゴメン」

聖「先輩は全打席ホームランじゃないか…」

矢部「今日の課題は投手陣でやんすね。あおいちゃんもみずきちゃんも頑張るでやんす」

あおい「併殺打3回の矢部君が言うなー!」



パワプロ「ふぅ。今日もお疲れー」

山道「パワプロ、帰りにミゾットスポーツに寄ってかねえか」

パワプロ「そうだなー。新しいスパイクでも見に行くか! 矢部くんも一緒に行く?」

矢部「申し訳ないでやんす。オイラは今金欠でやんす」

山道「そうか。なら先に上がるぞ」

パワプロ「矢部君お疲れー。先週貸した1万円明後日までに返してくれよー?」

矢部「わ、わかってるでやんすー!」

パワプロ「あ、聖ちゃんもお疲れー」

矢部「…」

矢部「ぐふふふふふ。さて、お楽しみはこれからでやんす!」

みずき「はぁ…。今日は散々だったわ」ヌギッ

あおい「本当にね…。矢部君にこれでもかって嫌がらせされるし試合は負けちゃうし」

みずき「…あのメガネ、明日会ったらタダじゃおかないんだから」

あおい「ボクも同じ気分だよ。…ところで」

あおい「結局…どっちが勝ってるんだろう」

みずき「…」

あおい「試合中はがむしゃらにやってたから忘れてたけど…ボクたちかなりキレてたよねぇ」ヌギヌギ

みずき「そうですねぇ…。採点係の聖も呆れた顔してましたし」

あおい「やっぱり大人の女性は怒ったりしないんだろうなぁ…」

みずき「暴力振るったり物に当たったりとかは論外ですよねぇ」

あおい・みずき「はぁ…」


矢部(ぐふふふふふふ! 試合でくたびれてる二人の下着姿は最高でやんす!)

あおい「ん…!? や、矢部くん!? そこで何してるの!?」

みずき「えっ…!? っ女子更衣室の壁にこんな穴が開いてたなんて…! 覗きじゃないこれ!」

矢部「チッ、バレたでやんすか。毎晩少しずつ隣の部屋から穴を掘って昨日ようやく完成したのに」

あおい「い…! いやあああああああ!」

みずき「最低! 変態! キモオタメガネ!」

矢部「美少女の罵声最高でやんす! もっとなじって欲しいでやんすー!」

あおい「監督に言わなきゃ…いや、警察かな?」

みずき「誰でもいいから早くして下さい!」

矢部「…おおっと、そこまででやんす!」

矢部「二人とも、まだ包容力の勝負は終わってないでやんすよ? ここは寛大な処置をお願いするでやんす」

あおい・みずき「――――!!」

あおい「ふ…ふざけないで!」

みずき「こんなことされて黙ってるわけないでしょ!」

矢部「ありゃー、もう完全に勝負とか関係ない感じでやんすか」

みずき「当たり前じゃない!」

矢部「ほほう。まぁ、二人とも短気すぎてポイントが0点切っちゃうくらいでやんすからね」

あおい「なっ…!」

矢部「こーんな二人と彼女になったらパワプロ君は毎日怒られっぱなしになっちゃうでやんす。可愛そうでやんす」

あおい「…!」

みずき「っ…」

矢部「そうと分かれば早速パワプロ君に報告でやんす。二人がオイラにしてきた暴力の数々を…」

矢部「さっきの悪口も罵言もこのテープレコーダーに録音してるでやんすし」

みずき「え…」

矢部「きっと幻滅するでやんすね。パワプロ君、オイラに優しいでやんすから」

みずき「ま…待って! 下さい…」

矢部「うーん? なんでやんすか?」

みずき「…言わないで…パワプロ先輩に私たちのことを言うのは…」

あおい「やめて…ください…矢部君のしたことは言わないから…」フルフル

矢部「まぁそこまで言うならいいでやんすよ?」ニヤリ

矢部「いやぁ、寛大な対応感謝でやんす。オイラも流石にブタ箱行きはゴメンでやんすからねぇ」

矢部「はっはっは。パワプロ君の親友で本当に良かったでやんす」

みずき「うっ…」

あおい「こんなの、嫌だよ…パワプロ君…!」グスン

矢部「パワプロ君はオイラの言う事ならすぐに信じる純粋なヤツでやんすからね――ん?」ポン

あおい「?」

みずき「壁の向こう…矢部先輩の他に誰かいるの?」


聖「話は聞かせてもらったぞ、矢部先輩」

矢部「ひ、聖ちゃん!? もう帰ったはずじゃ…」

聖「みずきたちが遅いから戻ってきたのだが…なんだかおかしなことになっているようだな」

矢部「ええっと…これは…でやんす」

聖「覗きに恐喝とは随分な悪党だな。もう既に先生にも一報入れているぞ」

矢部「ひげええっ!? ま…マジでやんすか」

聖「じきにここに駆けつけるだろう。…だがその前に」


聖「辞世の句を詠むのなら今のうちだぞ、矢部先輩」ブチッ

矢部「ひえええええええっ! 聖ちゃんがキレてるでやんすー!?」

矢部「ま、待つでやんす! これは…そう! 愛のムチでやんす!」

矢部「二人があまりにも短気すぎるからパワプロ君との関係とか諸々のことを思って…」

聖「言い訳をする人間に進歩はないぞ」ユラリ

矢部「はっ! お、オイラに何かしたらぱぱパワプロ君にいい言いつけてやるでやんすよ!」

聖「私は別にパワプロ先輩に嫌われたって構わない」ユラ…

矢部「ひいいっ! バットは! バットは野球の道具でやんすー! 高校球児たるものバットは大事にし」

聖「これはバットではなく卒塔婆だぞ。だから問題はない」

矢部「そっちの方が問題でやんすーーーー!」ボコッズバズシャッドババザクッグリグリグリボシャァッ



聖「…」

聖「二人とも、魔は滅したぞ」ガチャッ

あおい「聖…!」

みずき「聖ーー! 本当に…本当有難う…!」

聖「く、苦しい…」ムギュゥ…

あおい「ボクたち、矢部君にずっと酷いことされるところだったよ…」

みずき「パワプロ先輩に嫌われたくなくて――」

聖「…」



あおい「聖、今日はありがとう。そして…ゴメンね」

聖「え…」

みずき「私たち、いつも感情的になって聖やみんなに迷惑かけてるでしょ? だから…ゴメン」

聖「みずき…、あおい先輩…」

聖「…二人とも、感情的なのはそんなに悪いことなのか?」

あおい「えっ? だって、すぐ怒るし…」

みずき「暴力振るったり酷いこと言うのはやっぱりダメよね。こんなんじゃパワプロ先輩の彼女なんて無理」

聖「…そんなことはないと思う」

みずき「えっ…?」

聖「感情的で短気というのは、裏を返せば表情豊かだという事じゃないか」

聖「パワプロ先輩の趣味はよく分からないが、少なくとも表情豊かで明るい二人のことを嫌いではない…と、思う」

聖「勿論攻撃的なのは良くないが、かと言って感情を抑制してたら保たないだろう」

あおい「あ…」

みずき「確かに…そうかも!」

聖「包容力はこれから磨いていけばいい。少しずつ成長していけばパワプロ先輩も喜ぶだろう」

みずき「聖、今日はもう本っ当ーに有難う! もう大好き!」

あおい「後輩にここまで言われたら頑張るっきゃないよね。ボク、明日告白するよ!」

みずき「えーっ!? ズルいですよあおい先輩! じゃあ私も告白するっ!」

聖「ちゃんと反省はしないとダメだぞー」

あおい「じゃあね! 聖! また明日」

みずき「あおい先輩! 告白するのは私が先ですからねー!」

あおい「いーや! ボクが先! 朝パワプロ君の家まで迎えに行って――」

聖「…」

聖「もう夜だというのにあの二人は本当に騒がしいな…」

聖「…」

聖「表情豊かで明るい性格、か…」

聖「…」

パワプロ「あれ? 聖ちゃん今帰り?」

聖「え…パワプロ先輩!」

パワプロ「もうこんな時間なのに一人で帰るのは危ないよ。家まで送ろう」

聖「む…」

パワプロ「さ、行こうか。聞いてよ聖ちゃん、さっき山道がさ――」

聖「…」

聖(パワプロ先輩も、表情豊かで明るい)

聖(きっとパワプロ先輩はあおい先輩・みずきのどちらと恋仲になっても幸せになれるだろうな)


聖(それと比べて、私は…)

パワプロ「聖ちゃん! …聖ちゃん?」

聖「! すまない、ちょっと考え事をしていた」

パワプロ「そっか。それなら良かった…」

聖「…」

聖「パワプロ先輩。急な質問をしてもいいか?」

パワプロ「うん? 別に構わないけど」

聖「パワプロ先輩はみずきやあおい先輩のことは好き…か?」

パワプロ「えぇっ!? す、好きって…」

聖「言葉通りの意味だぞ」

パワプロ「え、えぇ~…」

パワプロ「…」

パワプロ「好きだよ。二人とも表情豊かで明るいし、話してて楽しいしね」

聖「…そうか」

聖(やはりパワプロ先輩は二人のことを好いているみたいだな。良かった…)

聖「パワプロ先輩は表情豊かで明るい女の子が好きなのか?」

パワプロ「うん? まぁそうだね」

聖「そうか…」

パワプロ「…」

パワプロ「ねぇ聖ちゃん、ちょっと手だして?」

聖「??」

パワプロ「はいこれ、今日の練習試合で頑張った聖ちゃんにプレゼント!」

聖「む…こ、これは!!」

聖「パワ堂のきんつば…!」パアアアアアアアア

聖「いいのか! パワプロ先輩!」ワクワク

パワプロ「もちろん、聖ちゃんに食べてもらいたいと思って買ってたんだしね」

パワプロ(本当は明日、聖ちゃんのお弁当の一品と交換するために買ったんだけど)

聖「やった…嬉しいぞ、パワプロ先輩」ニコッ

パワプロ「どういたしまして。…ふふ、聖ちゃんは可愛いなぁ」

聖「! か、可愛い…」

パワプロ「さっきの話だけど、俺は表情豊かな明るい女の子は好きって言ったよね?」

パワプロ「だからさ、あおいちゃんやみずきちゃんも好きだけど…」


パワプロ「こんな風に明るく笑ってくれる聖ちゃんのことも大好きだよ」



聖「なーーーっ!」

聖「うぅ…」

聖(ズルいぞ、先輩…。そんな顔で大好きなんて言われたら、ドキドキせざるをえない…)

聖(昨日まで全然意識していなかったのに…)ブンブン

パワプロ「聖ちゃん?」

聖(いやいや! 私は先輩のことが好きなわけではなくて…)

聖(みずきやあおい先輩の応援をする身であって私自身は…)グワングワン

聖(…そういえば、今日は二人と一緒にずっとパワプロ先輩を見ていた気がする)

聖(もしかしてそれで私はパワプロ先輩に惚れてしま――///)ドキドキドキドキ

パワプロ「…」

パワプロ「ちゅーしちゃうぞー?」

聖「なっ…」

なーーーーーーーーーーーーーっ!

パワプロ「うんうん。驚いた聖ちゃんも可愛いな」

聖「な…なな…」

パワプロ「ふう。…冗談はそろそろ置いといて、こんな雰囲気になったら言わざるを得ないよな」

パワプロ「聖ちゃん、俺の好きなひ―――」

聖「きょ、今日はここで失礼するぞー!」ピューッ

聖(ダメだ…! これ以上先輩の顔を見ていたら本当に好きになってしまう…!)

パワプロ「とはひj…あれ?」

パワプロ「…」

パワプロ「はぁ…。またいつかいい機会が来るよな…」

次の日

あおい「こんなに朝早くに登校してるなんてみずきは偉いねぇ」

みずき「あおい先輩こそ~。何か用事でもあるんですか~」

あおい「ボクは今からパワプロ君の家にパワプロ君を起こしに…」

みずき「だーかーら! 昨日それはナシだって言ったじゃないですかー!」

あおい「約束はしてないからいいの! …って、あれ?」

みずき「ん? 聖じゃない、こんな朝早くからどうしたの?」

聖「…」

聖「あおい先輩、みずき…私は二人に謝らないといけないことがあるんだ」

あおい・みずき「??」


聖「実は、私も…パワプロ先輩のことが好きなってしまったんだ…」

あおい「…」

みずき「…」

聖「本当にすまない…。こんな裏切りは」

あおい「…そっか。まぁでもそれは仕方ないよね」

聖「え…」

みずき「そうですね。なんたってパワプロ先輩ですもん」

あおい「4AAAAAA チャンス5対左5サブポジ4怪我5盗塁5走塁4送球4PHAH広角流し粘り固め初球内野安打ヘッスラバント職人サヨナラ満塁逆境対エース守備職人連打フルカウントゲッツー崩し体当たりレーザー打撃信頼感守備信頼感ムード○人気者いいヤツセンス○」

あおい「でモテモテだもんねぇ…。むしろ惚れない方がおかしいよ」

みずき「強すぎでしょパワプロ先輩…」

あおい「だからさ、聖。謝る必要なんてないんだよ」

みずき「私たちは包容力豊かな女だしね! …そーれーよーり!」

聖「な、なんだ…」

みずき「そうと分かれば今日からはライバルなんだからね! 聖!」

あおい「正直、パワプロ君は聖ちゃんのこと好きなんじゃないかって思うことがあるんだよね…。でも諦めないよ!」

聖「みずき…、あおい先輩…!」

聖「私も、負けない…!」

あおい「ふふ」

みずき「よーし! それじゃあ早速パワプロ先輩を起こしに行かなきゃ! 私がいっちばーん!」

あおい「ああっ! ズルいみずき!」

聖「走力Fの私では追い付けないぞー!」

パワプロ「ん? なんだか家の中が騒がしいな…。こんな朝からお客さんかな?」

あおい「パワプロ君おはよう! ボク、君のことがずっと好きでした!」バタン

みずき「先越されたっ! パワプロ先輩! 私の方がずっとずーっと大好きでしたっ!!」

パワプロ「ええええええええっ!? な、何これ!?」

聖「はぁ、はぁ…」

パワプロ「あ、聖ちゃんもおはよう…」

聖「パワプロ先輩…わ、私も…」ボソッ




聖「パワプロ先輩のことが、好きなんだ…――――」




おわり

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