女「公衆便女だよ」(99)

帰り道、急に腹痛に襲われた。

今にも決壊しそうだ。

幸い、近くに公園があった。

慎重に、早足でトイレへ。

入り口に清掃中の看板が立っていたが、緊急事態につき無視。

なんとかたどり着いた。

いささか乱暴に個室のドアを開けると、中に女がいた。

女子トイレと間違えたか?

いや、でも小便器はあった。

くそっ、なんで個室が一つしかないんだ。

とにかく別の、いっそ女子トイレに……

入り口で立ち尽くしていると、顔色で察したのか女が便器を譲ってくれた。

最中ではなかったようだ。

感謝もそこそこに、扉を閉め、ズボンを下ろし、腰掛ける。

尻が便座につくまえに噴出。

下品な水音と、遅れて臭気がただよう。

ああ、助かった。

安心感につつまれる。

幸せだ。

ひと心地つくと、疑問が沸いて来る。

なんでここに女がいたんだろう?

清掃員か?

それにしては服装が変だった。

あまり良くはみていないけれど、あれはバスローブだったんじゃないだろうか。

だいたい、清掃員にしては若すぎる。

偏見かもしれないが、ああいうのはいわゆるおばちゃん、おじさんの仕事だろう。

個室の中も変だ。

妙に生活感というか、人のいた気配がある。

あの女、ここに住んでるんじゃないだろうな。

そんな馬鹿な考えまで沸いて来る。

いやしかし、もともとの状況が尋常じゃない。

なにがあっても不思議では……

まあいい。

もう女もいないし、確かめようがない。

一通り出し切ったので、くだらない考えにキリをつけて、紙に手をのばす。

尻を拭くと、おびただしい茶色のシミ。

ウォシュレットがほしいな。

無い物ねだりはよそう。

十分に拭き取って、レバーを下げる。

グルグルまわりながら消える汚物。

いわれのない達成感と共にドアをあけると、女がいた。

「間に合ってよかったね」

平坦な声で女が言う。

どうも……と、でも返せばいいのだろうか。

なんだこの女は。

どうしてまだいるんだ。

さっき止めた疑問がまた溢れ出す。

「出てもらっていい? ちょっと邪魔」

追撃。

思わず道を開けてしまう。

身体を横にしてスッと個室に入ってしまった。

便座を紙でサッと拭くと、便器へぽい。

一連の動作が滑らかだ。

「……君、だれ?」

「公衆便女だよ」

平坦な声だった。

公衆便所?

この女が?

トイレの精とか、そういうことか?

見えてはいけないものが見えてしまう人種の匂いがする。

格好もやはりおかしい。

ところどころ染みのついたバスローブ一枚だけのようにみえる。

まともな人間が外で着ているべきものではない。

今は便器に腰をかけ、大きめの肩掛けを下ろしている。

……こういうとき警察と病院、どちらにすべきだろう?

「あなたの、ずいぶん臭うね」

ずいぶん直接にもの言うやつだ。

むっとするこっちを無視して、鞄を漁る。

消臭スプレーがでてきた。

茶色の臭いがきえてゆく。

「で、使うの?」

個室を清めながら女が尋ねる。

「……使うって、なにを?」

「わたし」

「はあ?」

「公衆便女だから、わたし。好きに使ってください」

使うって、どういうことだろうか。

どうも、そういうことしか想像できない

いつの間にか、硬くなっていた。

「使うみたいね」

そこを見ながら女が言う。

事務的な口調に、なぜかゾクリとした

今すぐにでもズボンを脱ぎ捨てたかったが、ありえない状況に理性が働く。

「……い、いくら?」

物語の中でしか聞いたことのない台詞を口走る。

十分錯乱しているようだ。

「タダだよ」

女が薄く微笑む。

「ココも、ココも、ココもココもココも…」

…みーんなタダ

唇から始め、女の身体の随所を細い指先がなぞる。

それだけでバスローブの下の身体が意識される。

もうどうなってもいい。

使おう。

ズボンを下ろす。

脱ぎ捨てる。

勃起しきったそれを、女はじっと見る。

一歩、近づく。

チラリと視線をこちらの背後にやる。

「鍵、閉めたほうがいいよ」

そういう性癖じゃないならね。

使用中、でしょ?

女はいたって冷静だ。

それが逆に興奮をさそう。

足で扉を閉め、後ろ手に手探りで鍵をしめる。

独特の薄暗さに、閉塞感。

まずは口から……いいかな?

聞くと、素直にうなずいて膝をついた。

挨拶のように、舌先でちろりと、先端を舐める。

興奮で、ひどく敏感になっているようだ。

付け根の奥がうずりとする。

「どうしたらいい?」

上目遣いに女が聞く。

舐めてほしい、くわえてほしい、しゃぶってほしい。

喉奥までつきいれたい、頭をつかんで無理矢理したい、射精したい射精したい射精したい。

欲望が渦巻いて、とっさに言葉がでてこない。

「……」

無言のまま、唇に押し付ける。

軽くひらいて迎えてくれた。

腰を進めると、奥まですんなりくわえた。

ぬるい温かさにつつまれる。

そこで止まっていると、女が動き出した。

丁寧に、根本からカリ首まで。

唇で締め付けて、舌で転がして。

射精にはいたらない、でもたまらない、じれったい快感。

手持ち無沙汰だ。

脳の一部、すこしは冷静な部分が思考をはじめる。

見知らぬ女に、公園のトイレでフェラされている現状。

この女はだれなんだろう。

なんとなく、頭に手をそえる。

なでる。

手入れの行き届いた髪だ。

本当に、何者だろう。

公衆便所……

いつもいきずりの男にこうして?

髪を撫でたのに反応してか、睾丸にも刺激がくわわる。

触れるか触れないかの位置を、すべらかな指がはい回る。

ゾクリとする。

急に射精感がこみあげる。

早すぎるが、もう耐えられない。

女の頭を抑えて、奥へとつきこむ。

エズキもせず、喉の奥に迎えいれる。

射精。

ありったけを注ぎこむような、そんな、長い。

出すままにコクコクと飲んでいく。

射精がすんだ後も、口の中でしばらく転がされる。

たまらず腰をひくと、頬をすぼめて

吸い付くように口を離すと、女の口元から銀の糸がひく。

指先で無造作に拭う。

そんな仕草を他人事に見つめながら、腰が抜けたような虚脱に必死で上体を保つ。

と、よろけてしまった。

後ろの戸に手をついて、支える。

自分でもうるさく聞こえるほど、息が上がっている。

たったこれだけのことで息が上がるとは、いささか恥ずかしい。

いや、しかたないか。

うん、でも……いや。

不自然でない程度に息をおさめながら、次の女の行動を見守る。

女もこちらを見上げている。

妙な沈黙がおとずれた。

気まずくなって咳払いをすると、女が視線を落とす。

そこはさっき射精したばかりだというのに、すでに硬さを取り戻している。

まあ仕方ないだろう。

「まだ、するんだね?」

そりゃあ、してくれるなら、もちろん。

一度だしたせいか、すこし余裕も出てきたようだ。

「じゃあ、次はどこかな?」

また、口? それとも胸? やっぱりここ? もちろんこっちもつかえるよ

やっぱり言葉をなぞって、手が下へ、最後は少し奥へ。

ふふっ

女が笑う。

途中で生唾を飲み込んだのがバレたらしい。

「ここがいいみたいね」

少し奥へさしこんだ指先を戻して、そこをさすりながら女がいう。

「ちょっと汚れているかもしれないけれど」

わるいね。

そういって、立ち上がり、バスローブの紐をとくと、肩からするりと外す。

手慣れた手つきで適当にまるめ、隅の鞄の上に置いた。

あれよあれよというまに裸になってしまい、やっぱり脳が追いつかない。

思ったよりも大きい胸と、程よく肉のついた身体。

肌理の細かい滑らかな肌にところどころについた赤い跡は、やはりそういうことなのだろう。

なにより、ローブを脱いだ時に個室中に広がった女の、牝の匂いが思考を停止させる。

おうよ

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