【艦これ】 暁「絶対能力進化“改三改造”計画…!?」 (45)

艦隊これくしょん -艦これ-×とある科学の超電磁砲のコラボSSです。
と、言ってもほとんど超電磁砲は出てこず、名前だけって感じで…
艦これメインのSSです。

初心者なので、読みづらい点、またルールがよくわかってない点あります…。
教えていただけたらうれしいです、感想も待ってます。
よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422212105

提督「く~ぅッ、やっと山積みだった仕事も終わったかぁー…」

提督「ちょうど一週間後にはもう4月か…新期も始まるし、仕事も多いわけだ…。」

提督「それにしても、加賀のやつ…訓練中に烈風46機全機墜落ってどんな被害報告書だよ、まったく…。」

提督「まぁ、いいか…仕事は終わったけどせっかくの休みなのに雨かぁ…」

提督「あっ、そういや漣がこの間『キタコレ!』とか言ってアニメ見てたな…」

提督「DVDも全巻貸してくれたし、雨で暇だし見てみるか…」

提督「“とある科学の超電磁砲”?変なタイトルのアニメだけど、見てみるか。」

提督「こっ…これは…」

提督「大和さえもワンパン大破させるような超電磁砲…」

提督「ちょっと明石に開発するように頼んでみるか…いや、しかし続きが気にな…」

バンッ!

暁「司令官ー!!先日の遠征の報告書、出し忘れてたから持ってきたわよ!」

提督「どぉわぁい!あっ、暁か!ふむ、ごっ、ご苦労っ!」ピッ

暁「なっ、なによ、なにをそんなに慌てているの?」

提督「いっ、いやなんでもないぞ。」ニコニコ

提督『まずい…妙に大人のレディーぶる暁にアニメを見ていたとばれると、ドン引きされてナデナデできなくなる…』

暁「司令官はいっつもニコニコしてるけど、今日の笑顔は引きつって見えるわ。

暁「それに、怪しいわね…入ってきたとたんに、テレビを慌てて消したみたいだけど?」

提督「おっ、おう…。戦闘や遠征できつくて辛い思いしてるのはお前たちだからな。だから、俺は笑顔でお前たちに接するのだよ。」

提督「そっ、それにテレビー?ナンノコトヤラー。」

暁「さっ…さてはッ、レディーに隠れてハ、ハ…ハレンチなどどど…動画を…」

提督「ちっ、違う!そんなことは断じて違うっ…!」

暁「まっ…まぁいいわ…。それより、これ…」

提督「おっ、おう。報告書、確かに受け取っ…って、あっ!!」

暁「隙ありッ!ハレンチな動画でなければわたしに見られても構わないでしょ!」ピッ

TV「白井『常盤台中学が誇る最強無敵の電撃姫ですの!』」


暁「なに…これ…」

提督「oh…」

暁「アニメを…見ていたの…?」

提督「ちっ、違うんだ!いや、違わないけど…」

提督「漣がな、このDVDが面白いからって貸してくれて…ほっ、ほら今日は雨だし…な?」

暁「ふぅ~ん…」

提督「だっ、だから俺がアマゾンでぽちった訳じゃ…ん?」

暁「……。」キラキラ

提督『なっ…こいつ、ドン引きするどころかむしろアニメに釘付けになってる…!?』

提督「あっ、暁…?よかったら一緒に見るか…?」

暁「…!?」

暁「いいの…!?じゃなくて…ふん、まぁ、司令官が一人で寂しいんなら一緒に見てあげてもいいわよ?」

提督「…。」プッ

暁「なっ…なによっ!!」

提督「いやあ~、別に~。」ニヤニヤ

暁「一人前のレディーだから、別に全然アニメになんて興味ないけどねっ…!」

提督「はいはい。」

─────数時間後…

暁「かっ…かっこいい…」

提督「だろー!そうだろー!」

暁「この技術を艤装に活かせれば、私たち駆逐艦でも戦艦を殲滅できるわね!」

提督「おっ!お前をそう思うか!!実は俺もそう思ってて…」

暁「司令官っ、次よ!早くッ!」

提督「あ…はい…」

─────さらに数時間後…

暁「絶対能力進化計画…!?なんてことを…」

提督「御坂ーっ、がんばれー!!」

暁「そうよ!学園都市の陰謀を暴いて、やっつけちゃいなさいよ!」

提督「暁っ、お前も御坂を応援するんだ!テレビの中でお前と同い年くらいのやつが頑張ってんぞ!」

暁「そっ、そうね!!御坂さん、やっつけちゃってー!!」

──────またさらに数時間後…

提督「はぁ…あと数話しか残ってないな…」

提督「なんだかんだ盛り上がってしまって、終わってしまうのは寂しいな…なぁ、あかつ…き?」

暁「……。」スースー…

提督「寝ちまってる…少し騒ぎすぎたし寝かせてやるか…。」

提督「風邪引かれちゃ困るしな…俺の上着しかないけどかけとくか…」

暁「……。」スースー…

提督「…。」

提督「いや…やめておくか…。」

提督「さぁてと、こいつが持ってきた報告書に目でも通すか…。」

─────それからまたさらに数時間後…

暁「キャー…ッ!?」

提督「どぉわぁい!どっ…どうした!?」

暁「はぁ…はぁ…あっ、あれ…」

提督「どうしたんだ…?泣いてるじゃないか?」

暁「わたし…わたしっ…」

提督「一緒にテレビを見ていて寝ちまったんだ。どうした?」

暁「それが…」

提督「そっ、そうか…。」

暁「うん…。」

提督「わかった、わかった…。なら、頭をナデナデしてやろう…」

暁「もぉーっ!頭をナデナデしないでっ!」パシっ!

提督「いいじゃないか別にー!」

暁「私は一人前のレディーなの!いつも言っているでしょ、レディーとして扱ってって!」

提督「でもなぁー、暁。俺は一人前の大人だけど、俺だってナデナデされたいんだぞ…?」

提督『ふっ…暁はこう言っておけば騙されるんだよなぁ…二ヒヒ』

暁「その手には乗らないわ!!」

提督「なッ…!?」

暁「金剛さんと赤木さんに聞いたら、そんな事は無いって言っていたわ!」

提督「あンの、紅茶バカと大食らいがあああああ!!!」

暁「加賀さんにいたっては、ドン引きしすぎて訓練中に烈風を全機墜落させたらしいわ!」

提督「oh…あの被害報告書はそういうことか…」

暁「とにかく!今後、もうナデナデは禁止よ!それじゃあ、失礼するわ!」バタン

提督「…。」

提督「くっっっっっそおおおおおお!!」

提督「金剛と赤木には後でみっちりお仕置きするとして…」

提督「暁をナデナデできないだと…ッ!?」

提督「これは本当に由々しき事態だ…クソっ、どうすれば…」チラっ

提督「……!おほほっ、いいこと思い浮かんだぞおおおぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

提督「明石はー…今日も工廠にいるはずだな…ククク…。」ガチャ

提督「こちら提督室、至急明石に繋いでくれ…!!」

───── 一週間後…

 ──第六駆逐隊私室──

ジリリリリリリリリリリリリリ!!!

暁「ふぁぁぁぁーあ…よく寝たわー…って、もうこんな時間!?」

暁「ちゃんと9時に目覚ましかけたのに!?もう10時じゃない!?」

暁「あれ…響も雷も電いない…それに、日曜で休みだけど妙に静か…」


───ドォォォォォーン!!!


暁「…!?なっ、なに今の音!?」

暁「こっ…怖いわけじゃないけど、司令官が心配ね!ちょっと行ってみようかしら…!」タタタッ…

 ──提督室──

暁「司令官ーっ!!」バンッ

暁「いない…」ドサッ…

暁「あっ…机の資料が…まったく、いつも散らかった机の上ね!落としたついでに片付けて…!?」

暁「こっ…これは…!?」

暁「絶対能力進化(改三)計画…!?」

暁「なによ…これ…。」

──暁の複製を作成し、運用し改二実装済みの艦娘の改三への改造方法

鎮守府内には改二を実装し、改造を終えた者が7人存在するが、まだ見ぬ改三へとたどり着けるものが一名のみと判明した。

この被験者に深海棲艦との戦闘を施した場合、改三へと到達する練度まで約250年もの歳月を要するとの計算結果に。

本土鎮守府本部はこの計画を保留とし、新たな方法を模索した結果…

被験者に、鎮守府内でもっとも練度の高い駆逐艦・暁の複製クローンを作成し、その複製クローンを128回轟沈させることによって改三改造が可能になると判明した。

計画の実行日は4月第一日曜日、ヒトマルマルマル開始。

対象物:特Ⅲ型 暁型駆逐艦一番艦・暁複製クローン



暁「被験者…そんな…」

暁「同型駆逐艦…Верныйこと、響…。」

暁「フッ…フフッ…、なによこれ…悪ふざけにもほどがあるわ…」

暁「私を殺すとか、代わりに複製クローンを使うとか…こんな計画、司令官も許さないだろうし…」

暁「大体…実現できっこ…ないわよ…ね…」


───ドォォォォォーン!!!

暁「…!?この音って、まさか…!?」

暁「うそでしょ…とりあえず…音は…演習場からかしら…艤装を取って…」タタタッ…

──演習場──

暁「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

暁「なに…よ…これ…」

暁「響いぃぃぃぃー!!!」

響「…。」

暁「なにをしているの響こんなところで!今日は日曜だし、早く帰ろ…う?」ドサッ

暁「…!?うっ…そ…?」

暁「私の…複製クローン…!?」

響「この司令官に渡された試作12.7cm砲の一発で死んでしまう…つまらない…。」

響「いや…威力が強すぎるのかな…ハラショー。」

暁「響…?なんでッ、どうしてッ!?」

響「次は君か…」

暁「質問に答えて!!司令官もどうしてこんな計画を!?」

響「今度のクローンはベラベラとよく喋るクローンだね。」

暁「こんなことをして何になるって言うのよ!?」

響「私には、敵の超弩級戦艦でさえも沈める…いや…」

響「私に挑むことさえ許されないほどの力…そんな無敵の力を手に入れられると司令官は言った。」

響「そう私なら…私ならね!!」

暁「…んな…」

響「なんだって?」

暁「そんなくだらないことのために響はこんな計画に力を貸したの!?」

響「次のクローンは少しうるさいな…もう消えなよ。」

暁「くっ…そんなの当たらないわ!」

響「…!?フッ…フフフッ…そういうことか…」

響「君はオリジナルの暁か…この鎮守府の駆逐艦で最も練度が高いのは暁だ…」

響「その君のクローンを作って鎮守府内で練度をあげれる…司令官、ハラショー…。」

暁「いい加減にしてよ響!!」

響「オリジナルの暁を轟沈させれば、この面倒な訓練も少しは早く終わるのかな…?」

暁「そん…な…」

暁『司令官と見たアニメと同じ…あの日見た夢と同じ…』

響「さようなら、暁。今まで楽しかったよ、スパシーバ。」

暁『そうね…きっと、私が死ねばこのクローンの私たちは助かるはず…』

響「ばいばい。」

?「ちょっと待つのデース!」

?「そやで、早まったらアカン。」

?「あ…あの…オリジナルの暁ちゃんと戦闘は…」

?「うむ、計画に誤差が生じるからの。」

?「慢心してはダメ。」

?「期間の短縮はおろか…計画そのものが難しくなるよねぇ~。」

?「ちょっ…北上さっ…じゃなかった、そこの後半の台詞私のでしたよね…?」

暁「わっ…わたしが…いっぱい…大きい私に…小さい私…」

響「わかりました、司令官の計画を破綻させるところでした…」

クローン1「そうなのデース!」

クローン2「ちょちゅピンチやったな~。」

クローン3「危なかったのです、なのです。」

クローン4「我輩が居る以上提督の作戦は大丈夫じゃ。」

クローン5「全力で参りましょう。」

クローン6「提督ぅ~、これいつまでやるのかなー。」

クローン7「私と北上さ…あら、ヤダ…ネタバレするところでした。」

響「わかったから、リレーして話すのはやめてくれないかな?」

暁「もう止めてぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

響「うるさいな…司令官には悪いけど、やっぱりさよならだよ。」

暁「司令官のバカぁぁぁぁぁぁぁ…!!!」


───ドォォォォォーン!!!

暁「……っ!?」

響「…。」

暁「えっ…砲門から…旗…?」

響「読んで。」

暁「“ドッキリ大成功”…?」

提督「いやぁ~、よかったよかった!みんな迫真の演技だったよ!」

暁「指令…か…ん…?」

提督「ふふふっ、暁~!今日は何の日だ?」

暁「わたしの誕生日…?」

提督「え…?いや、フツーに違うよ?今日は4月1日!エイプリルフールだ!」

暁「あの…複製の…クローン…は?」

提督「あ、ああ…明石が頑張って作った暁フルフェイスシリコン製リアルマスクだ。」

金剛「どうです提督ゥ~、私の演技見ててくれましたカー?」

龍驤「ウチ、ちょっちゅ疲れたわー。」

電「はわわわ…暁ちゃん、大丈夫ですか!?」

利根「我輩もちと疲れた、休日だし寝る!」

赤木「提督、ごはんはまだですかー?」

北上「まぁ、大井っちと組めば最強だよねっ!」

大井「北上さん、私のこと見ててくれましたー!?」

雷「ふぅ…暁に躓かれたときにはちょっと危なかったわ。」

提督「どうだ暁、怖かっただろ?ナデナデしてやるから、来いっ!」

暁「……。」グスン…

提督「お前が先週見た怖ぁぁーい夢を再現してみたぞー?」

暁「司令官のばかぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!!!」タタタッ…

提督「oh…」

利根「提督よ、お主の私情のためとはいえ、ちとやりすぎたの。じゃが、我輩のカタパルトの整備をしてくれるのを忘れるでないぞ。」

龍驤「そーやで、ウチの艦載機の整備代わりにする言うたから、手伝どうたんやでー?」

電「はわわわわ、暁ちゃん泣いてましたよ…。」

雷「だいじょーぶよ、司令官!いざとなったら私がいるじゃない!」

北上「提督、なんて顔してんのさぁー。大井っちが大笑いしてるよ、ったく…」

大井「うふふ…って、そんなことっ…プッ、やっぱ可笑しいです!あははははは!」

提督「やばい…俺の暁エイプリルフールナデナデ作戦が…」

赤木「それで、あの…提督、ごはんのお約束は…?」

金剛「Hey!わたしとも一緒にTea Timeする約束デース!」

提督「お前ら二人は黙ってろ!暁に余計なこと吹き込んだ罰だろ!!」

金剛「Shit!それは提督が暁に嘘を言うのが悪いのデース!」

提督「Shit!じゃねぇーんだよ!上官に向かってう○こってなんだよ、おい!」

金剛「No!それは違いマース!この場合のShitは“もう、クソが!”と言う意味デース。」

提督「どっちにしろう○こじゃねーか!」

赤城「提督、一応わたしとの食事の前ですし…そのような言葉をお使いになるのは…」

提督「赤木さん。あー赤城さん、言わせてもらいましょう、言わせて頂きましょう。」

赤木「まっ…まさか、今日は食べ放題に…!?」

提督「最近…丸くなりましたね…。」

赤木「ぐふっ…一航戦の誇りが…」

提督「いやいや、もう『無敵艦隊と言われたんです。キリッ』とか言わせねぇーよ?」

赤木「誘爆を防いで…」

提督「やばいよ、響ぃー…どうしよう…」

響「……。」

──甘味処 間宮──

暁「なによもうっ…みんなしてわたしをからかって…。」

間宮「まあまあ、どうしたの暁ちゃん?」

暁「それが…」

間宮「フフフッ、提督さんも必死ね。暁ちゃんのことが可愛くて大好きなのね。」

暁「一人前のレディーのわたしをナデナデしたがって…からかい過ぎなのよ…っ」

間宮「あー、そういうことね…」

響「暁。」

暁「響…、もう、響もひど過ぎるよ。」

響「ごめんよ。でも、ちょっといいかな?」

暁「…?」

響「確かに今回のいたずらは少しやりすぎだと思ったよ…それに乗った私も私だけど、とにかくごめん。」

暁「いいわよ別に、悪いのは響じゃなくてあの司令官よ。」

響「それが…」

間宮「響ちゃんは知っているのね…?」

響「はい…。」

暁「どういうこと…?」

響「私たちがこの鎮守府に着任して来たばかりの、緊急作戦を覚えているかい?」

暁「確か…敵のはぐれた水雷戦隊を殲滅する…って内容で、司令官が大慌てで高速船艦隊を編成して成功した作戦よね?」

響「ハラショー、その通り。でも実際は…」

間宮「成功していなかった…。」

暁「えっ…!?」

間宮「成功していなかったって言うより…」

響「殲滅には成功したんだけど…」

間宮「提督さん的には成功していなかった…って言い方が正しいかしら。」

暁「どういうこと…?」

響「私たちに伝えられた作戦の概要は、敵水雷戦隊を殲滅する、と言う内容だった。」

暁「着任したばかりで私たちは練度が低かったから、作戦には参加しなかったけれどね…。」

響「ただのはぐれた水雷戦隊を殲滅するだけの作戦にしては、司令官の慌てっぷりは少し異常ではなかったかい?」

暁「そうね…当時はこういう司令官なんだなって思ってたけど、今考えてみれば…」

響「それに敵は水雷戦隊…なのに、この鎮守府の主力とも言える先輩たちが作戦に選定された。」

響「金剛さんや赤城さんをはじめ、利根さんや北上さんに大井さん…それに、速さに定評がある島風も…。」

暁「それが…どうしたって言うの…?」

響「これを。」ピラッ

暁「…この…写真は…?」

間宮「この写真って…」

響「司令官のお母さんと、歳の離れた妹さんだよ。」

暁「どう…関係があるの…?」

響「敵水雷戦隊にこの鎮守府のある離島に向けて航海中だった輸送船を狙われたんだ。」

暁「…!?」

響「輸送船は深海凄艦の確認されていない、安全な航路を順調に航海中、はぐれた敵水雷戦隊に出会ってしまった…」

響「急遽編成された艦隊が到着するころには、輸送船は轟沈した後だったらしい…。」

暁「そん…な…」

響「輸送船に乗っていた乗員乗客48名、その全員が死亡または行方不明だそうだ…。」

間宮「そして、その48名の中にその写真の二人も含まれていたらしいの…。」

暁「えっ…!?」

暁「でっ…でも!あの時、司令官は大喜びで私たちに作戦の成功を自慢してきたじゃない!?」

響「…。」

間宮「あの時の提督さんの落ち込み様は…本当に声も掛けてあげられないくらいだったわ…。」

響「司令官は、作戦の本当の内容に緘口令を敷いたんだ。」

暁「どうして…そんなことを…」

響「司令官は常日頃言っているだろう?『お前たちに辛い遠征や戦いをさせているから、俺くらいは笑っていてやる!』ってね。」

響「私たちが作戦に失敗しても、笑って私たちを迎えてくれる。」

間宮「提督さんは、見せたくなかったのよ…。自分のそんな姿を、弱った姿を…。」

間宮「『戦いで傷つき、遠征で辛い思いをするあいつらの前で、俺が辛い顔はできん。』そう、よく呟いてらしたわ…。」

響「司令官のお父さんは、妹さんが生まれて間もなく病で亡くなられたそうだ。」

響「お母さんが二人を女でひとつで育てたそうだ。」

間宮「お母さんのこととても大切にしてらっしゃったし、妹さんのこともずいぶん可愛がられてたらしいわ…。」

間宮「『いつか二人に提督として立派に責務を果たす姿を見せる、それが親孝行だ。』って着任されたころから言ってらっしゃったから…。」

間宮「そしてようやくその夢が叶うとなったときに、起きてしまったの…。」

暁「…。」グスン…

響「司令官はあんな風にふざける時は盛大にふざけるけど、私たちのことを本当に大切に思ってくれている。」

響「今回のこの作戦だって、きっと思うところがあったんだよ。」

間宮「提督さんは、妹さんの姿を暁ちゃんに重ねているんじゃないかな…?」

暁「…司令官…は……?」

響「提督室だよ。」

暁「私っ…行って来る!!響っ、間宮さんっ、ありがとうーッ!!」タタタッ…

響「それにしても…改めて見ると…」

間宮「そう…ね…」

響「妹さん、暁にそっくりですね…」

間宮「フフッ…容姿だけじゃなくて、性格も似ていて子供扱いするとよく怒っていたらしいわ。」

響「そう…なんですか…」

間宮「ほんと…今の暁ちゃんと歳も変わらないくらいじゃなかったのかな…」

間宮「そういえば、響ちゃんはその話と写真は…?」

響「青葉さんに調査してもらったんです、司令官が暁の頭ばかり撫でたがる理由を。」

響「もう、ノリノリでした。」

間宮「そう…」

 ──提督室──

提督「くはぁぁぁぁぁ…さすがにやり過ぎたかぁぁぁぁぁ…」

提督「これじゃナデナデどころか、口すら利いてくれなさそうだなぁ…はぁ…」

コンコン…

提督「はい…入れ!」

暁「失礼…します……。」

提督「あっ…暁…ッ!?」

暁「……。」

提督「暁ッ、すまなかった!今回は少しやり過ぎた…本当にごめ…」

暁「ありがとうね、お兄ちゃん。」

暁「すっごく頑張ってるね、お兄ちゃん。」

暁「ちゃんとね、私、お母さんとお父さんと一緒に見てるよ。」

暁「お兄ちゃんのことちゃーんと見えてるよ。」

暁「自分を責めないで、追いつめないで…」

暁「お兄ちゃんの周りには頼れる艦娘さんたちがたくさんいるよ…!」

暁「きっと…絶対、お兄ちゃんの力になってくれる…」

暁「私もお母さんもお父さんも心配してないよ。」

暁「だからね、お兄ちゃんも心配しないで!」

暁「頑張れお兄ちゃん…よしよし…。」ナデナデ…

提督「…うっ……」グスン

暁「司令官、ごめんね…」

提督「暁…ごめん、本当にごめん…俺の勝手な私情をお前に押し付けて…」グスン

暁「私こそごめんなさい…司令官のこと全然わかってあげれてなかった…。」

提督「頭を撫でてもいいか…?」

暁「もう…子供扱いしないでよ…。」

提督「…ったく、そっくりだな…」ナデナデ…

暁「司令官の気持ち、分かってあげるとか、そんなこと言っちゃダメだと思う…」

暁「でもねっ、辛いことは一緒に分かち合えばいいの!」

提督「…うん……うん…そうだな、お前の言う通りだ…」グスン

暁「もう、一人前の男が台無しよ!」

提督「まさか…暁に慰められるとはな…」

暁「いっ…一人前のレディーとして、当然よっ!」

提督「どこでその話を聞いてきたんだ?」

暁「えぇっと…響と間宮さんが…」

提督「そうか…」

暁「ごめんなさい…」

提督「いや、別に責めている訳じゃないぞ。いずれ、ばれるし言わなきゃならんことだと思っていた。」

提督「どーせ、青葉の仕業だろう…。まったく、ここまで来ると尊敬に値するよ。」

提督「妹はな…お前にそっくりだった…」

暁「うん…」

提督「落ち込んだときとかによくいたずらして笑わせてたんだ。」

暁「ほんと今と変わらないわね。」

提督「小さいころは本当にお兄ちゃんっ子で、よく頭を撫でてやってた。」

暁「し…シスコーンってやつなの…?」

提督「いや、いろいろ間違っているが…まぁ、今はいい…」

提督「でもな、大きくなるにつれてお前みたいに頭を撫でさせてくれなくなった。」

提督「当然と言えば当然さ、思春期で反抗期だったんだろう…」

提督「俺が本土から離れたこの鎮守府に着任することになって、どうして最後に無理やりにでも頭を撫でてやらなかったんだろうって…」

提督「それに、俺がここに招くようなことをしなければ、二人は…」

提督「父親とだって、俺が二人を守るって約束したのに…俺は…」

暁「司令官…」

提督「今でも後悔してる…妹との別れ際のこと、二人を招いたこと…」

提督「それに、約束を守れなかった自分が情けない…」

暁「司令官っ!」

提督「…!?」

暁「司令官は、もう十分苦しんだ、いっぱい後悔した…」

暁「二人を招いたことだって、親孝行だったんでしょ?」

暁「お父さんとの約束だって、あの時取れる最善の策を尽くしたじゃない!」

暁「それに…妹さんの頭を撫でれなかった分、私の頭を十分に撫でているじゃない!」

提督「…。」

提督「そう…だな…。」

提督「ありがとう…暁…本当にありがとう…」

暁「私は何もしてないわよ…ただ、妹さんならそう言うんじゃないかなって思っただけ…」

提督「いや…それだけで十分だ…」

提督「明日からもよろしく頼むぞ!」

暁「ええ!一人前のレディーなんだから、バリバリ頑張るわ!」

提督「いや…俺のことをお兄ちゃんと呼んで、頭をナデナデさせてくれるんじゃ…」

暁「やっ…やっぱり…しっししし…シスコーンなのね…」

提督「そうだ、シスコーンをあげよう。」

暁「ひぃぃぃぃぃ…」

提督「ハハハ!」

暁『よかった…いつもの司令官に戻った…』

─────翌日

利根「提督よ、お主我輩のカタパルトの整備の件はどうなったのじゃ?」

龍驤「せやで、ウチの艦載機の整備も終わってないで!」

加賀「先日の提督のドン引き発言により、艦載機を全機墜落させ、メンタルが大破しました。高速修復材を、ここは譲れません。」

北上「提督ゥ~、大井っちがさ笑い袋みたいになって困ってるんだけど…」

大井「ダハハハハハハっ…くうぅ…プッ…あははははは!!!」

赤木「提督、飛龍ちゃんと蒼龍ちゃんに聞いたらそんなこと無いって言われました!ね?」

飛龍「えっ…えぇーっと…蒼龍?」

蒼龍「ええ!?わたしっ…!?ええぇー…んーっと…まぁ…」

金剛「Hey!提督ゥ~、そろそろTea Timeの時間ネー!」

榛名「えぇ、榛名は大丈夫です!」

提督「暁ぃぃぃぃぃー…助けてぇぇぇぇぇー…」

暁「自分でまいた種でしょ?知らないわよ。」

提督「辛いことは分かち合おうよぉー…」

暁「そういう意味じゃないわよ!!」

金剛「提督ゥ~、早くTea Time始めるネ!」

赤木「いえ、金剛さん、それより今は私が以前より丸くなってしまったか問題です。」

提督「お前ら二人、少し黙ってろ!!」

暁「響、間宮さんのところに行こうよ?」

響「ハラショー。」

提督「ちょっ…暁さーん!!」

利根「提督よ待たんか、20cm砲をぶっ放すぞ!?」

龍驤「艦載機のみんなーっ、お仕事お仕事ッ!!」

金剛「赤木さーん、oh…少し丸くなったネ…」

飛龍「ちょっと、金剛さん…!?」

赤木「それは聞き捨てなりませんね、金剛さん…。艦載機のみんな、用意はいい?」

金剛「Shit!事実を言ったまでデース!」

蒼龍「ちょっと、それ以上一航戦の誇りを…飛龍ちゃん、榛名ちゃんも止めて!提督ー!!」

榛名「榛名は、ここにいていいのでしょうか…」

暁「苦労も提督業の内よ…頑張って、お兄ちゃん。」ボソッ

響「なにか言ったかい?」

暁「ううん、ぜんぜんっ♪さぁ、行こっ!」

提督「あーかーつーきぃぃぃぃぃー…!!」

この後、大破した提督が発見され、ドックで明石さんに修理されたのは言うまでも無い。

おわりです。
勢いだけで連投してすみません…

よろしくお願いします。

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