【モバマス】「星空のウサミンロボ」 (42)


【モバマスSS】です。

346プロ設定ではありません

アイマスがちょっとだけ出てきます



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422172309


 ♪~
 遠い流れ星に願いをかける
 あれはアイドル守るウサミンロボの光


 池袋晶葉によって開発されたウサちゃんロボは、様々な機能でアイドルを補佐する優れものである。
 そしてさらに、ウサミン星人安部菜々によって提供されたウサミン超科学が、ウサちゃんロボをパワーアップさせる。

 その名はウサミンロボ!


 ピコーン ピコーン(謎の宇宙音)

 地球の周回軌道上に、小さな宇宙ステーションがありました。

 宇宙ステーションには大きく「USA」と書かれています。

 これは、United States of Americaの略ではありません。

 大分県宇佐市の公共施設でもありません。

 ウサミンのウサ、USAなのです。

 その証拠に、宇宙ステーションの外壁には一台のウサミンロボがとりついて作業中です。

 飛んでくるスペースデブリを、ウサミン竹槍で打ち返しています。


 姫川友紀からバットスイングを教えられて開発した必殺技、ウサミンホームランです。

 勿論宇宙ステーションの中にもウサミンロボがいます。

 このステーションは、モバプロをはじめとしたアイドル事務所が共同で管理している通信衛星でもあるのです。

 今、ウサミンロボたちは、軌道上からアイドルたちを見守っているのです。

 うさ~

 だけど、宇宙ステーションでのお仕事は退屈です。埃も溜まりにくいのでお掃除の仕事もありません。

 そんなある日、地球のモバPから特別任務が送られてきました。

 ウサミンロボは早速準備に取りかかります。


 その準備中のことでした。

「ロボちゃん」

 うさ?

「ロボちゃん」

 ここは宇宙です。

 何故、外から声が聞こえるのでしょう。

 それでもウサミンロボは、窓から外を見ました。


「ロボちゃんこんにちは~」

 ブリッツェンのひくソリに乗ったイヴ・サンタクロースがいます。

 うさ?

 ウサミンロボは疑問に思いました。

 生身の人間やトナカイがこんなところにいるわけありません。

 でも、そこにいるのは間違いなくイヴであり、ブリッツェンです。

 ウサミンロボは慌ててハッチを開けると、一人と一頭をステーションの中に招きました。


 うさっうさっ

 ぶもっぶもっ

 話しかけてみても、やっぱり正真正銘のブリッツェンです。

「びっくりした?」

 イヴの言う通りです。

 ここは宇宙なのです。世界レベルのアイドルはいますけれど、宇宙レベルのアイドルはいません。

 ウサミン星人だって、生身ではこんなところまで来られません。

 上田鈴帆と市原仁奈が池袋博士に作ってもらった宇宙用着ぐるみで宇宙遊泳はできますが、動力は内蔵していません。


「ロボちゃんにこれを届けに来たんですよ~」

 イヴが背負っていた袋から、何かを取り出します。

「はい、遅くなったけどクリスマスプレゼントですよ」

 うさ!?

 クリスマスはとっくに過ぎています。ウサミンロボはまた驚いてしまいました。

「良い子にプレゼントを渡すためなら、私たちはサンタ力(さんたちから)でどこにでも行けるんですよ~♪」

 つまり、ウサミンロボにプレゼントを渡すことが目的だったので、イヴはここまで来られたのです。 

 空気のない宇宙空間で平気だったのも、音が聞こえたのも、サンタ力(さんたちから)なのです。

 サンタ力(さんたちから)って凄い。ロボはそう思いました。


 イヴはニッコリと笑います。

「サンタ力(さんたちから)が使えたのも、ロボちゃんがとっても良い子だからですよ」

 良い子と言われると、ロボは照れてしまいます。
 
 ロボは菜々ママや博士が、そしてアイドルの皆が大好きだから、そのお手伝いが大好きなのです。

 うさ~

 受け取った包みを開けたウサミンロボは嬉しさのあまりくるくる回ります。

 それは、ウサミンロボの身体の色に合わせたピンク色の、毛糸のマフラーでした。 

 とても暖かそうです。

 ぶももっ

 ブリッツェンがイヴの袖を噛みます。


「え、もうそんな時間なの?」

 ごめんね、イヴが言いました。

「もう、帰らなきゃ。これからレッスンがあるの」

 うさうさ

「ありがとう。それじゃあね、ロボちゃん」

 うさ~

「次は地上でね」

 ブリッツェンのひくソリに乗って、イヴは地球へと帰っていきます。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「イヴ? ここにいたのか」

「あ、はい」

「ブリッツェンと散歩か? そろそろスタジオ入りの時間だぞ」

「はーい」

「すまんが今日は、新人Pと一緒に行ってくれ。俺は、こっちの様子を見てなきゃならないから」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 うさ

 予定の時間が近づいてきました。

 任務を受けたロボが、ウサミンジェットスクランダー(宇宙適応S改造済)を換装しました。

(聞こえるのでしてー)

 うさ?

(そなたにも心の声は届くのでしょうかー)

 また、声が聞こえてきました。今度は窓の外にも誰もいません。


 聴覚センサーチェック……異常なし

 ウサミンロボたちはさらに驚きました。
 
 聴覚センサーには何の反応もないのに声が聞こえるのです。

 そして周囲にはやっぱり誰もいません。

 しかもこれはアイドルの、依田芳乃の声です。 

 うさ! うさ!

 どうやって返事をすればいいのでしょうか? ウサミンロボたちは困ってしまいました。と、そのとき、


(ふふふ、そなたたちからも心の声は届くのでしてー)

(魂を持っているのであれば声は届くのでしてー)

(池袋晶葉と安部菜々の想いが、そなたに魂を吹き込んだのでしてー)

 うさうさ!

 ウサミンロボたちはそれぞれくるくる回りながら返事をしようとしますが、うまくいきません。

(心の声が聞こえるのでしてー)

(そなたたちが知りたいことはあるのでしてー?)


 ロボたちはそれぞれ大好きなアイドルたちのことを思いました。

 ……菜々ママ
 ……博士
 ……きらりん
 ……パン屋さん
 ……ブリュンヒルデ
 ……如月千早
 ……鬼ヶ島羅刹
 ……那珂ちゃん

 中には別の事務所の人もいます。ウサミンロボは存外にフリーダムです。

(それらみな、元気でしてー)

(知らないお方もいらっしゃいますがー)


 どうやら聞こえているようです。

 ウサミンロボは安心しました。
 
 どうやって声が聞こえているか、届いているのか。ウサミン科学でも解けない謎です。

 だけど、依田芳乃なら仕方がない、とウサミンロボは思います。

 だって、不可能を可能にするのがアイドルなのですから。

(そなたたちも元気そうで安心したのでしてー)


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「それで、ロボの様子は?」

「お元気そうでしたのでー」

「そうか。良かった」

「連絡手段が非科学的でもよろしいのでしてー?」

「非科学は信じないが、依田芳乃は信じる」

「わたくしも、科学はよくわかりませんが池袋科学とウサミン科学は信じますのでー」

「俺もだ」

「わたくしは、レッスンに向かいますのでー」

「おう、頑張ってこいよ」


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 うさ

 ウサミンロボは地上監視用のレーダーを確認します。

 もうすぐ予定の時間です。

 センサーは、地上から飛び立った飛行物体を捉えていました。
 
 そのときです。地上から任務確認の通信が入りました。これは予定通りの通信です。

『星より来たりし者の眷属よ、永劫の輪廻の旅は快適か?』(ロボさん、軌道上に問題はありますか?)

 ロボの通信システムが応答します。

 ……通信開始。コードネーム・ブリュンヒルデ


 一体、事務所の誰からの通信なのだろうかとウサミンロボは考えます。

 通信担当が誰になるかを、ロボは聞いていないからです。

 ウサミンロボは「異常なし」の信号を送ります。

『汝の意思受け取った。運命に殉じる刻を待て』(了解です。予定通りお願いします)

 うさ~

 ウサミンロボは、ハッチで待機するロボに連絡します。

 ウサミンジェットスクランダーのメインエンジン点火準備。

 任務とは、成層圏近くまでやってくる飛行機に向かうことです。

 その飛行機とは…… 



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「……大変なことになった、幸子」

「どうしたんですか? プロデューサー」

「お前の記録がついに破られたんだよ」

「ボクの記録?」

「お前の、スカイダイビングアイドル部門の記録が!」

「そんな部門あるんですか、っていうか、ボクが記録保持者って事すら初耳ですけど!?」

「『生っすか!?サンデー正月スペシャル』の『響チャレンジ!』で破られたんだよ!!」


「……やったんですか、我那覇響さん。スカイダイビング」

「というわけで、破り返そうと思わないか?」

「へ?」

「だから、破られたからにはこっちも破り返してやろうと思わないか?」

「……スカイダイビングはもう嫌ですよ?」

「そうか。それじゃあしょうがないな」

「はい」

「……『カワイイ』は『カンペキ』に負けるかぁ……」


「はい?」

「そうか、しかたないな。それじゃあ……」

「ちょっと待ってください」

「ん?」

「今、何か言いました?」

「何が?」

「……ボクはカワイイですよね?」

「勿論」


「だったらいいですけど」

「でも『カンペキ』には及ばないんだよな」

「今何か聞き捨てならないこと言いましたよね」

「言ってない」

「……」

「うん。仕方ないよな、向こうは『カンペキ』なんだから」

「あ、ぃや、ちょっと待ってくださいよ」

「ん?」


「ボクはカワイイです」

「おう」

「カンペキにカワイイですよね?」

「お? ……あ、いやぁ、カンペキってのは、向こうさんのキャッチフレーズだからなぁ」

「ぐぬぬぬ」
 
「負けてもしょうがないな、うん、しょうがない」

「待ってください!」

「どうした?」


「カワイイは、カンペキには負けません!」

「でもなぁ、もうスカイダイビングが嫌って事は、つまり負けを認め……」

「み、認めません!」

「じゃあ、もっと高いところからダイビングな」

「はいっ! ……え?」

「よーし、次は本気で危険だから、晶葉に頼んで飛行形態ウサミンロボにエスコートさせよう」

「いや、あの」


「ウサミンロボは大気圏突入性能まであるからな」

「え、大気圏突入……」

「ああ、安心しろ、お前にまで大気圏突入しろとは言わないよ」

「良かった……って、いや、そうじゃなくて」

「じゃあ、来週な。放送は春休み。幸子インザスカイ春休みスペシャルで特番を組もう!」

「いや、あの、その」


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 飛行機には完全装備の輿水幸子が乗せられているはずです。

 ウサミンロボは幸子インザスカイを補助するための大気圏突入準備です。

 【Fourth gate open! Fourth gate open!】

 ハッチが開きます。

 うさっ! うさっ! うさっ!

 スペースデブリ対策係のウサミンロボが慌てています。

 うさ?


 巨大なデブリがステーションに向かってきていました。

 ウサミン竹槍では打ち返せない程の大きさです。

 うさ!?

 これは予想外の大きさです。ステーション内のウサミンロボたちは急いで対策します。

 【Fourth gate close! Fourth gate close!】

 ハッチが閉められようとしますが、突入担当のウサミンロボは反対でした。

 このタイミングを逃せば、幸子インザスカイに間に合わないのです。

 アイドルを守るのがウサミンロボ、アイドルの活動を守るのがウサミンロボです。


 ウサミンロボ三原則その一、ウサミンロボはアイドルを守らなければならない。

 ウサミンロボ三原則その二、ウサミンロボはアイドルの命令に従わなくてはならない。

 ウサミンロボ三原則その三、ウサミンロボは三原則その一その二に反しない限り、自分を大事にしなければならない。

 因みにこれはウサミンロボたちがウサミン大会議で自主的に決めたことです。プログラムされているわけではありません。

 うさっうさっうさっ!!

 ウサミンロボはハッチの隙間から強引に発進しました。

 うさっ!

 ステーションの中のロボたちが慌てます。


 そのときでした。

 どこからか放たれたトラクタービームが、スペースデブリをはじき飛ばしてしまったのです。

 うさっ!?

 驚くウサミンロボたちの前に、巨大な宇宙船が姿を見せます。

(ろぼ殿は無事でしょうか?)

 ウサミンロボたちに直接通信が入っています。

 うさ?

(あいどるを助けんとするその心意気に、わたくしからも微力ではありますが助太刀を)

 ありがとうございました。でも、この恩人は誰だろうか? とウサミンロボは考えます。
 
 うさ、うさ~

(この度の幸子いんざすかい、わたくしの親友の振る舞いも一因であるが故)

(ふふ、わたくしですか?)

(それは、とっぷしーくれっとです)

 うさっうさっうさっ

 ウサミンロボたちは皆で窓際に並ぶと、巨大な宇宙船に向かって頭を下げました。

【ありがとうございまウサ】


 ステーション外壁では、ウサミン竹槍を構えたロボも頭を下げています。

 月の方向へと去って行く宇宙船。

 そして、幸子へと向かったロボは無事にダイビングする幸子を追尾。万が一のために随行することができました。

 万が一のことなど起こらず、幸子は再びスカイダイビングアイドル部門の第一位に返り咲いたのでした。

 その報告を聞いたウサミンロボたちはとても喜んで、みんなでくるくると回りました。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 

 なお幸子の記録は、『響チャレンジ!』夏休みスペシャルで再び抜かれました。


「幸子! インザスカイ、秋の夜長スペシャルの放映が決まったぞ!!」

「ふぎゃーーー!!!」

 
 




 以上、お粗末さまでした

 今回のタイトルは「大空魔竜ウサミンロボ」にしようかと悩みましたが、ビジュアルが

「長崎くんち蛇踊りの先端にくくりつけられて満面の笑みで振り回されているロボ」

 にしかならないので止めました。
 
 後悔はしていない。

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