男「あの━、誰かいませんか━?」(7)

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青い空、白い雲、眩しい太陽、広大な海、ヤシの木生い茂る美しい砂浜。

こんな状況でさえなければ素直に喜べた筈のシチュエーションに悲しくなった。


「………」


数時間前、僕の乗っていた客船が波にのまれ沈んだ。

船から投げ出された僕は海を漂い、この島へと流れ着いたのだ。

文明を感じさせる物が何一つ見当たらないため、ベタだがここは無人島ということなのだろう。


「……もやしっこが一人で無人島サバイバルとか生き残れる気がしねぇ」


いつまでもくよくよしてはいられない。

まだ僕は死にたくない。

ならば、生きるために頑張らなくては。人生何事も前向きである。


取り敢えず手持ちの物を調べてみることにした。

海を漂っている間、周りに浮かんでいた誰かの鞄を浮き袋代わりにしていたのだ。

鞄の持ち主には悪いがこちらも生死がかかっている。一応手を合わせた後に鞄を開いた。


「……ふむ、こんな所か」


・男性物の衣服が数着
・空のペットボトル1本
・書類と筆記用具
・お土産とおぼしき菓子箱


「衣服はサイズは合わなくて着れそうにはない。ただ布団代わりにはできそうだ」

「ペットボトルは水を貯めるのに使えそうだな。紙と筆記用具類は無人島では貴重過ぎる、大事に使わなくては」

「菓子は…2日分くらいの量だな。チョコレートみたいだから日持ちしそうにない、今日明日で食べてしまわないと」



「取り敢えず最優先事項は水と今後の食料かな、後アマ梅雨をしのげそうな場所」


雨が降れば体力を奪われる。それに無人島で風邪になってしまったら最悪死んでしまうだろう。

どこかに洞窟ぐらいないだろうか。

考えていてもしょうがない。まずは行動することから始めよう。


▼現在地《砂浜》
▼体力《普通》
▼時刻《昼》

安価>>5

1.砂浜を探索
2.砂浜以外の場所へ行く

行動を終えると時間が過ぎ、《夕方》になります。

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砂浜を離れ、別の場所を探索することにした。

▼雑木林を発見した。

細い木が並んでいる。何か刃物があれば切り倒せそうだ。


「……ん?これは」


▼茶色の茸を発見した。

茸に詳しくないので、食用かどうかは分からない。図鑑や他に知識のある人間がいれば食料にできそうだ。


「茸はプロでも間違えるというし、食べるのはやめておこう」


紙に島の地図を書きながら雑木林の奥へと進む。

コンパスすらない状況で迷子になったりしたら大変だ。地図は小まめに書こう。



「喉が渇いた……」


歩き回ったせいだろう、喉が渇き始める。早めに水源を確保しなければ……。

確か人間は暫く食べなくても生きていられるが、水を摂取しなければすぐに死んでしまうらしい。

━━背筋にいやな汗が流れる。

そんな思考を払うように、僕は歩みを進めた。


「あっ」


林を抜けると、そこは岩壁だった。上を見上げると、その奥に森が見えた。

梯子でもないとこれ以上奥には進めそうにない。


▼岩壁を発見した。


水も食料も住居も発見できていないというのに探索が行き詰まってしまった。

……体の力が抜け、僕はがっくりと項垂れる。

このままでは死ぬ。死んでしまう。

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