【安価】のあ「P喫茶店、久々に営業中……」 (526)

一年半越しのリベンジ。

前スレ

P「俺、プロデューサー辞めるから」
幸子「プロデューサーさんが喫茶店を始めたんですけど」
雪美「P喫茶店……今日も……開店中……」

あらすじ

Pが喫茶店のマスターになってアイドルといちゃいちゃする

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422168173

安価説明

喫茶店を訪れるアイドルを安価

アイドル名の後に「前」もしくは「後」と書き込んでください

「前」の場合、そのアイドルが始めてここを訪れた設定(Pがプロダクションを去って数週間後辺り)
「後」の場合、アイドルが喫茶店の常連客となっている設定

質問などあれば途中でもレス投げてくれればお答えします

今まで登場したアイドル(表記無しは全て「前」 ★マークはウェイトレスとして喫茶店に常駐 現在50人)

輿水幸子★ 市原仁奈  難波笑美   脇山珠美
姫川友紀  島村卯月  速水奏    片桐早苗
鷹富士茄子 新田美波  斉藤洋子
棟方愛海  高森藍子  大原みちる
原田美世  渋谷凛   東郷あい(後)
佐城雪美★ 諸星きらり 緒方智絵里
櫻井桃華  十時愛梨  高垣楓
三船美優  鷺沢文香  日下部若葉
龍崎薫   佐久間まゆ 西島櫂
岡崎泰葉  喜多日菜子 アナスタシア
水木聖來  本田未央  高峰のあ★
安部菜々  白菊ほたる 槙原志保
桃井あずき 橘ありす  成宮由愛
ナターリア 森久保乃々 三村かな子
北条加蓮  城ヶ崎美嘉 古賀小春
水本ゆかり 早坂美玲  神谷奈緒

目標としては200人超全員を出したいですね

安価前に少し小話。

―――某日―――

カランコローン

P「いらっしゃいませー」

武内P「……どうも」

P「―――!?」ティンッ

武内P「コーヒーを……いただけますか」

P「は、はい。アイスとホット、どちらにいたしますか?」

P「(この感覚……間違いない。アイドルの原石を見つけた時の感覚……しかし何故彼に……?)」

武内P「ホットでお願いします……」

P「かしこまりました」

武内P「……」

P「お待たせしました。ホットコーヒーです」

武内P「ありがとうございます……」

P「……」

武内P「……ここは」

P「はい?」

武内P「ここは……静かで、いい場所ですね」

P「普段はちょっと騒がしいウェイトレスもいるんですけどね……」

武内P「そうですか……」

P「(三白眼に無愛想な態度……どうして俺はこの人に……)」

武内P「……何か」

P「ああいえ、お仕事は何をなさっているんですか?」

武内P「……こういうものを」メイシダケデモ

P「へぇー、346プロダクションプロデューサー……はい?!」

武内P「どうか……しましたか?」

P「……俺の後釜かよ……そら反応するわ……」

武内P「後釜……?」

P「実は、私もこの前までここでプロデューサーをやっていまして」

武内P「……なるほど」

P「驚かないんですか?」

武内P「十分驚いています」ズズッ

P「(表情変わらないな……)」

武内P「ではもしかして貴方が……Pさんですか」

P「ええ、そうです……って喫茶店の名前見たからここに入ったのでは?」

武内P「いえ。落ち着いた雰囲気のお店を探していたら、アイドル達に紹介されまして……」

P「あいつら……」

武内P「時に……どうして、プロデューサーをお辞めになり、喫茶店を開いたのですか?」

P「……夢だったんです。昔からの」

武内P「夢、ですか」

P「はい。こじんまりとした店で、数少ない常連客と一緒にのんびりと時間を過ごす……そんな喫茶店を経営する事が」

P「まぁ今となっては沢山の常連客と忙しく騒がしい時間を過ごす喫茶店になってしまっていますが……あはは」

武内P「……いい、笑顔です」

P「え?」

武内P「その笑顔を見たから……きっとあの子達も、いい笑顔をするんでしょうね」

武内P「私はどうしても、うまく笑うことができません。ですから、楽しそうに笑う人を、笑顔で笑顔を届けられる人を、尊敬します」

武内P「だからあの子達を尊敬します。そして何より、そんな事をあの子達に教えていた貴方を、尊敬します」

P「そんな大層な事をしたわけじゃ……」

武内P「……ごちそうさまでした」

P「あ、ありがとうございました」

武内P「また、来てもいいですか」

P「はい。もちろん」

武内P「今度は……後輩として、先輩へ教授を願いたいものです」クス

P「あ……」

武内P「では……」カランコローン

P「……もう、十分。貴方もいい笑顔ですよ」

幸子「Pさん!今、武内プロデューサーが……!」

P「おう幸子、お客さんとして来たからちょっと話してたのさ」

幸子「……そう、ですか」

P「どうした?」

幸子「いえ……私、あの人が少し苦手です」

P「……そうか。だけどさ、俺、思うんだ」

幸子「何をですか?」

P「あの人ならきっと……お前らが好きになるプロデューサーになれるってさ」



次スレ(23分頃)に安価投げます

喫茶店を訪れるアイドル >>+1

「そのぬいぐるみ、美穂ちゃんはいつも持ってるよね」

美穂「はいっ。Pくんっていうんですよ」

「へぇ、大切な誰かからのプレゼントだったり?」

美穂「プレゼントじゃないです。PくんはPくんです」

「そうなんだ。じゃあ自分で買ったの?」

美穂「PくんはPくんです」

「……えっと、じゃあどうしていつも持ってるの?」

美穂「二度とどこかに行っちゃわないように大切にしてるんです」

「一度なくした事があるの?」

美穂「……はい」

「見つかってよかったね」

美穂「……ううん、見つかってないんです」

「え?じゃあ手元にあるそれは……」

美穂「Pくんです」

「え、あ、いや、その―――」

―――事務所―――

インタビュアー「困るよー。武内さん」

武内P「……すみません」

インタビュアー「美穂ちゃんどうしちゃったの?」

武内P「少し前から……体調不良で」

インタビュアー「あー。そうだったのか……じゃあこっちが無理言っちゃった感じなのかな」

武内P「いえ、そんな事は」

インタビュアー「じゃあ日を改めてまたインタビューしに来るよ」

武内P「……申し訳ありません」

インタビュアー「いいんだいいんだ。体調悪いなら仕方ないさ、それじゃあまた!」ガチャ

武内P「……」

美穂「……」ギュウ

武内P「……そんなにぬいぐるみを強く抱きしめたら、壊れてしまいますよ」

美穂「……」ギュウ

武内P「……次の仕事行きましょう」

美穂「はい……」ズルズル

武内P「引き摺ったら……」

美穂「もう、いいんです」

武内P「……」

美穂「本当は、わかってるんです。でも、わかってないフリをしなきゃ、やってられないんです」

武内P「……」

美穂「このぬいぐるみだって、本当は大切なものなんです。でも、Pさんを思ったら、いつの間にか、乱暴に扱ってて」

武内P「……次の仕事が終わったら」

美穂「……?」

武内P「少し……散歩、しましょう」

―――数時間後―――

武内P「……」

美穂「あの……」

武内P「はい」

美穂「一体、どこに向かっているんですか……?」

武内P「……もう少し、時間をくれませんか」

美穂「はい……」

武内P「……私では」

美穂「え?」

武内P「私では……貴方の笑顔を、取り戻すには力不足だと感じています」

武内P「だから、貴方の笑顔を取り戻してくれる人の元へ、今向かっています」

美穂「それ、って……」

武内P「着きました」ザッ

美穂「……P、喫茶店?」

カランコローン

P「……久しぶり、美穂」

美穂「プロデューサー、さん」

武内P「では、私はこれで」

P「おう、ありがとな」

武内P「……お礼を言うのは、私の方です」

美穂「どうして、どうしてプロデューサーさんが、喫茶店、を?」

P「……長年の夢でさ。どうしても諦め切れなかったんだ」

美穂「……そう、ですか」

P「急にプロデューサーを辞めた俺を憎むか?」

美穂「……いいえ」

P「……優しいな、美穂は」

美穂「優しくなんか……」

P「それに」ヒョイッ

美穂「あ……Pくん……」

P「お前も、俺がいない間、よく美穂を守ってくれたな」ナデナデ

美穂「……」

P「最初、俺の名前をつけられた時はびっくりしたけど……今はその名前でよかったと思ってる」

美穂「私、でも、Pくんに酷い事ばっかりして……」

P「ああ。だからこれからは俺がPくんの代わりになるから」

美穂「代わり?」

P「これから美穂にどんな事をされても、例え捨てられても、俺が美穂を守る。こいつがそうしていたようにさ」

P「それがせめてもの罪滅ぼしだ」

美穂「……じゃあ、一つだけ」

P「なんだ?」

美穂「今日からプロデューサーさんの事を……その……Pくんって、呼んでいいですか……?」

P「えっ、それは少し恥ずかしい……」

美穂「どんな事をされても、守ってくれるんですよね?」

P「……わかったよ!どんと来い」

美穂「Pくん」

P「おう」

美穂「Pくん」

P「……」

美穂「Pくん……」

P「な、なんか背中がむずがゆくなってきた」

美穂「Pくん……Pくん……えへへ。なんか、恋人同士みたいですねっ」

P「そ、そうかな」

美穂「うん、そうですよ……Pくん」

P「ぐう……」


美穂「(いつか……こんな風に呼び合える関係に、本当になれますように……)


その日から。

喫茶店の常連客が一人増え、

そして、喫茶店に可愛らしいくまのぬいぐるみが置かれるようになりましたとさ。


次に訪れるアイドル >>+2

(過去の安価での文香は一応「後」で安価もらったんですけどどうしますか?あの時は初めてという事でしたので、常連さん設定でやりますか?)

とりあえず一回目の安価の後。アイドルになって常連客になったという設定で書きます

カランコローン

P「いらっしゃい……文香」

文香「……こんにちは」

P「まさか本当にアイドルになってここを利用しにくるなんて思ってなかったよ」

文香「あれは……その……店長さんの、日記を読んで……」

P「興味を持った、とは言ってたけど……」

文香「あの後……少し怖い顔つきをした人が、アイドルにならないかって、声をかけてくれたんです……」

文香「最初は断るつもりだったのですけど……名刺に書かれていたプロダクション名が、日記で読んだプロダクション名と同じだったので……」

P「(武内Pか。アイドルの原石を見抜く素質は俺以上かもしれないな)」

文香「話を聞いているうちに……店長さんが育てたアイドルの皆さんに、会ってみたくなって」

P「それで、結局アイドルになったと」

文香「はい……」

P「個人的には嬉しいけどね。文香は最初に会った時から、ティン!ときてたし」

文香「ティン……ですか」

P「プロデューサーをやってた時期から、こう、アイドルになったら凄そうな子を見つけるとそんな擬音が似合いそうな感覚に襲われるんだよ」

文香「はぁ……」

P「実際、この喫茶店やってて文香の他にも何人もそんな感覚を感じる子を見つけたからね」

文香「そうなんですか」

P「きっと今頃武内Pが……っと、話がそれたね。じゃあ注文が決まったら呼んで」

文香「はい」

P「ああ、それと……」ゴソゴソ

文香「?」

P「文香が来たら読んでもらおうかと思ってたものがあってさ、借りてきたんだ」

文香「何を……ですか?」

P「これ。あいつらの日記」

文香「卯月さんや……凛さん、それに未央さんのも……」

P「この前文香の話をしたら、持ってきてくれてな。俺以外の視点からまとめたものだからきっと違う発見があるぞ」

文香「……ありがとうございます」ニコッ

P「……」

文香「……」

P「(本当に熱心に読んでいるな……)」

のあ「……」スッ

P「っ、い、いたんですか」

のあ「……これを」

P「これは……?」

のあ「日記……私のものと、アーニャから借りて……みくから奪ってきたわ……」

P「何してんですか……」

のあ「あと……そのうち幸子や雪美も持ってきてくれるらしいわ」

P「……もしかして、みんなに連絡を?」

のあ「さぁ……どうかしらね」

P「ありがとうございます」

のあ「お礼を言われる事じゃない……私も、知ってほしいから」

のあ「私をここまで惹き付けたアイドルという存在を……」

P「……それでも、ありがとうございます。そう思ってくれてる事が、俺は嬉しいです」

P「……」コトリ

文香「……私、まだ注文してないです」

P「最初の一杯は俺からの奢りだ。気にするな」

文香「……なんだか奢られてばっかりですね、私」

P「俺がやりたくてやってるんだから。心配しないでいい」

文香「……ありがたく、いただきます」

P「あとこれも追加だ」ドサッ

文香「これは……のあさん達、にゃんにゃんにゃんの……」

P「みんな、文香に知ってほしいんだ」

文香「私に……?」

P「ああ。自分が楽しいと思ったアイドルって、どんなものなのか。自分はアイドルとして、何をやってきたか。それを知ろうとしてくれる文香を、応援したいんだよ」

文香「……それなら、期待に答えなければいけませんね」

P「膨大な量になるぞ?」

文香「それでも……絶対に読みきります」

P「……みんなにもそうやって言ってやってくれ。きっと喜ぶ」

文香「はい……」

文香「……ふぅ」パタン

P「お疲れ様。どうだった?」

文香「凄く……興味深いです……」

P「俺も読んでみたかったんだけどな。なぜかみんなに止められる」

文香「それは……ふふっ、そうですね」

P「読んでて俺が禁止される理由がわかったのか?」

文香「それはもう……」

P「そうか……余計に気になってきたな」

文香「それなら……こ、これを、読みますか?」サッ

P「これは?」

文香「その……私の、日記、です。まだつけ始めて間もないですけど……」

P「いいのか?俺が読んでも」

文香「はい……交換日記みたいにするのも、面白いかと……えと……」

P「なら、俺も書いてここに来るごとに文香に渡すよ。それでいいか?」

文香「是非、お願いします……」

P「それじゃあ、今日から早速つけないとな……変な事書かないようにしないと」

文香「そう、ですね……ふふっ」

――――――――――

○月×日

今日も喫茶店は平和……じゃない。
朝は朝でやたらテンションの高い未央に絡まれた。それを見た卯月と凛もなぜか絡んできた。話を聞いたら文香に嬉しくなるような事を言われたと。
ちゃんと伝えてあげたんだな。俺は嬉しい。
昼、相変わらずのあさんがみくに注文していない魚料理を持っていっていた。
みくもみくで慣れてしまったようでさりげなくアーニャに押し付けては突っ返されていた。
夜、宴会が始まった。
友紀と楓さんと茄子さんと……いつものメンバーに武内Pを加えた4人だ。
武内Pが酔っ払うと泣き上戸になるとは意外な一面を見れた。

そういえば文香に突然だけど質問があるんだ。

文香は、アイドルをやっていて楽しいか?」

――――――――――

文香「……私、は」

文香「……私は、楽しいです。今まで感じた事のない、新鮮な出来事の連続で……」

文香「きっと、あの日、喫茶店に立ち寄っていなければ今の私はいなかったでしょう。それをとても勿体無い事だと思うくらいには楽しいです」

文香「ですから……」

文香「……私をめぐり合わせてくれたPさんに、精一杯の、感謝を」


次に訪れるアイドル >>+3

美羽「……」

ちひろ「み、美羽ちゃん……本気?」

美羽「……私、Pさんがいなくなってから……笑えなくなっちゃったんです」

ちひろ「だからって、こんな……」

美羽「笑顔を届ける人間が……笑顔じゃないなんて、ダメじゃないですか」

ちひろ「それでも……私は美羽ちゃんなら」

美羽「だから……お願いします……」

ちひろ「……わかったわ」

美羽「……ありがとう、ございます」

ちひろ「……困ったわ……」


ちひろ「まさか美羽ちゃんが鈴帆ちゃんのツタンカーメン衣装を借りに来るくらい追い詰められていたなんて……」

幸子「いやそれでボクに相談にこられても困るんですけど」

ちひろ「幸子ちゃんなら分かるでしょう?あの衣装を借りないと笑いを取れない辛さが」

幸子「そんな事言われましても。ボク芸人じゃないですから。それに笑い求めてませんから」

笑美「わかる。わかるでぇちひろさん」

ちひろ「笑美ちゃん」

笑美「自分の実力じゃなくて、衣装や見た目のインパクトを重視しないと笑いが取れないっちゅーんは辛くてしゃーないわ」

幸子「あの、アイドルの会話ですよね?」

笑美「よし!ならウチがなんとかしたる!」

ちひろ「本当ですか?」

笑美「こー見えても美羽とはお笑い仲間やからな。助けたい」

ちひろ「お願いします……」

笑美「まぁそのためには……やっぱPや幸子にも協力してもらわんとなぁ」

幸子「えっ、ボクも協力するんですか」

笑美「当たり前や。幸子も芸人なんやから」

幸子「ボクは芸人じゃありません!」

―――数日後―――

美羽「……招待状?」

美羽「場所は……喫茶店。喫茶店なのにライブの招待状?」

美羽「……何でやねん!」

美羽「……はぁ。せっかく笑美ちゃんが招待してくれたんだし、行くしかないよね……」

美羽「憂鬱だなぁ……泣いてたら 放っておいてよ ホトトギス……」

カランコローン

美羽「お邪魔しまー……」

P「レディースアーンドジェントルメーン!ようこそいらっしゃいましたー!」

笑美「って一人やし男もいないわ!」バシッ

美羽「……え?Pさん!?Pさん何やってるんですか!?」

P「私はPではない。武内Pだ」

美羽「ええっ!?本当に?!」

笑美「こらこらこら、ちゃっかり嘘を教えるなや。それに美羽も乗るな」

武内P「……本物はこっちです」

笑美「って本人呼んでたんかーい!」

武内P「……それでは」

笑美「えっ、帰るん?!自分、これだけのために来たん!?」

武内P「私……不器用ですから」ガチャ

P「さてさて気を取り直しまして―――」

美羽「って、Pさん!本当にPさんですよね!?」

P「……」

美羽「どうして、どうして私の目の前からいなくなったりしたんですか?!」

P「それは……」

美羽「それは……?」

P「お前が……『みうさぎピョンピョーン!』なんて寒いギャグをやるからだぁー!」

美羽「ナ、ナンダッテー!?」

美羽「うう、ぐすん。自信あったのに」

笑美「いや、流石にウチもあれはないと思ったで」

美羽「笑美ちゃんまで!?」

P「と、いうのは半分冗談で」

美羽「半分本音?!」

P「……ごめんな。結局、お前らしさを最後まで見つけられないまま、プロデューサー辞めちまってさ」

美羽「それ、は……」

P「再会の仕方も、こんなふざけたやり方でさ。失望されてもおかしくないんじゃないかって思う」

P「けれどさ。お前には笑っていて欲しいんだ」

美羽「……笑って、いる」

P「ああ。お前らしさなんて、考えてみたけど結局俺にはわかんねぇ。お前自身じゃなきゃわかんねぇよ。けどさ、俺が思うお前はいつだって笑顔だった。笑ってた」

P「ちひろさんから、お前が笑えてないって聞いた時……正直、凄く焦った」

P「だからこんなふざけた再会の仕方でもしてさ。お前に笑い飛ばして欲しかったんだ」

美羽「私、私はもう大丈夫ですよ」

P「本当か?」

美羽「はい。今だって面白い事考えてますから」

P「ほう、例えばどんな」

美羽「私を泣かせた罰として、裸でプロダクションの周りを逆立ちで一周してもらおうかなーって」

P「よし任せろ」ヌギッ

笑美「行くんかーい!っていうかノータイム過ぎるやろ!?」

P「美羽が笑ってくれるなら……俺はっ!」

笑美「かっこええ台詞やけど服脱ぎながら言ってたら台無しや!」

美羽「あは、あはははははっ!」

P「あ」

笑美「あ」

美羽「あ……あはははっ」

美羽「もー……ダメですよPさん!ボケにマジで答えたら!」

P「すまんすまん」

笑美「言いながら脱ぐなや。はよ服着なや」

美羽「……Pさん」

P「なんだ?」

美羽「私、今やっと私らしさがわかったような気がします」

P「お前らしさ、結局なんだったんだ?」

美羽「ふっふっふー。私らしさとはですね」


美羽「ズバリ!みんなや、Pさんに支えられながら、迷走する、笑顔の探求者です!」


笑美「ってそのまんまやないかーい!」バシッ

美羽「えへへへ……」

P「……はははっ」

笑美「……あははははっ!」


幸子「あのー。それでボクはいつまでツタンカーメン衣装でスタンバってればいいんですか……?」


次に訪れるアイドル >>+1

少し休憩。

もしかしたら今日はそのまま落ちるかもしれません。

ただいまです。

響子ちゃんからか……

―――事務所―――

響子「痛た……おはようございます」

ちひろ「おはよう響子ちゃん……ってどうしたのその手?!」

響子「お弁当作ってこようと思って失敗しちゃって……えへへ」

ちひろ「(全部の指に絆創膏が貼ってあるなんて失敗ってレベルじゃないわよ……)」

響子「今日は子供組のみんなのお弁当作ってきたんで、渡してください」

ちひろ「失敗してまで……ありがとう、響子ちゃん」

響子「何の何の。これぐらいへーきです♪あ、それと……」コト

ちひろ「……響子、ちゃん」

響子「もし、Pさんが帰ってきた時にお腹すいてたら困るから……」

ちひろ「(そう言って毎日Pさんの机にお弁当を置いていく響子ちゃん)」

響子「それじゃあ今日もお仕事頑張りますねっ!」

武内P「おはよう……ございます」

響子「あ、おはようございます!これ、武内Pの分のお弁当です!」

武内P「……ありがとうございます」

―――女子寮―――

響子「きゃあああああ!」

卯月「ど、どうしました響子さん!」

響子「せ、洗濯機が泡を吹き出して……」

卯月「ああ……洗剤の入れすぎですね。手伝いますから、一緒に片付けましょう」

響子「……ごめんね、いつもいつも」

卯月「いいえ……」

響子「最近、何をやってもダメなんだ……唯一の取り得だった家事がこんなんじゃ、もう私……」

卯月「だ、大丈夫ですよ。きっと」

響子「そう、かな……」

卯月「……」

卯月「というワケでPさん。何とかしましょう」

P「……確かに問題だな」

卯月「でしょう?」

P「だが俺にどうしろってんだ」

卯月「ここはですね、ごにょごにょ」

P「……は?嫌ダメだろ。というか響子がそんな事やりたがると思うか?」

卯月「きっとやってくれますよ!私もやりたいですし」ボソッ

P「え、お前もやりたいの?」

卯月「も、もー!独り言聞かないでください!そりゃ乙女の夢の一つですから!」

P「でもなぁ……」

卯月「Pさんが気乗りしなくても、やるしかないんですよ!響子ちゃんを元気にさせるためには!」

P「……わかったよ。まず手紙を書くんだっけ?」

卯月「はい!」

響子「はぁー……また失敗しちゃった……」

響子「……手紙?」

響子「えっと……差出人は……Pさん!?」

響子「え、ええと。一人でこの場所に来てくれ……でも何か怪しいな……」

響子「……でも」

カランコローン

響子「お、お邪魔しまーす……」

P「……響子、本当に来たのか」

響子「Pさん……じゃあこの手紙、本当にPさんの……」

P「ああ。俺が書いて、俺が送った正真正銘の手紙だ」

響子「そっか……よかった。Pさん、見つかって……」グスッ

P「……すまなかった。それで、卯月に相談したんだ」

響子「卯月ちゃんに……?」

P「それで……償いとして、お前が一番喜ぶだろうと卯月が言った事を、俺がする事になった……」

響子「そ、それって……」

P「……一日だけ、俺の妻になってくれ。響子」

響子「妻っ……?!」

P「やっぱ嫌だよな?卯月は本当に変な事……」

響子「嬉しい、です」

P「え?」

響子「だって……今までのPさんだったら、絶対にそういう事、言いませんでしたから」

P「そりゃ、アイドルとプロデューサーの関係だったしな……」

響子「……いいん、ですか?私が、そんな幸せな事をしても……」

P「……償いだからな」

響子「……あはっ。嬉しい、です。凄く、凄く……」

―――次の日―――

響子「という事で、一日Pさんの妻をする事になりました♪」

P「……そういう事だ」

幸子「ちょっ、何でそんな羨ましい事……!」

雪美「大丈夫……一日だけ……私は永遠……」

のあ「(そういえば私だけ何も約束とかしてなかった……)」ガクッ

響子「えへへ……よろしくお願いしますね、あ・な・た♪」

P「よろしく、響子」

幸子「ぐぬぬぬ……いいですもん。響子さんは喫茶店の仕事なんてやった事ないですよね?」

響子「うん」

幸子「フフーン!だったらボクの華麗なウェイトレスぶりを見せてあげますよ!」

雪美「……料理担当の座は、簡単には渡さない……」

のあ「(私には何があったかしら……ネタ担当?)」

カランコローン

幸子「いらっしゃい―――」

響子「いらっしゃいませー!ご注文は何になさいますか?あ、私ですか?本日限りでウェイトレスをさせて頂いてる響子と申します♪」

幸子「」


雪美「……のっぺい汁?……流石に作れない……」

響子「あ、じゃあ私が作ります!~♪」

雪美「(鼻歌を歌いながら手元だけは高速で包丁が踊ってる……!?)」


のあ「……」

響子「あ、あのー……?」

のあ「……ハンバーグ」

響子「のあさんの好みは確か和風バーグでしたよね……かしこまりました♪」

のあ「(この子、できるっ!)」

P「何普通にお客さんの席に座ってるんですかのあさん」

響子「ふぅ……一段落しましたね、皆さん♪……皆さん?」

幸子「負けました……このボクが……」

雪美「正妻奪取のピンチ……」

のあ「(和風バーグ美味しい)」

P「響子は本当によくできたやつだからな……本気で嫁に欲しいぐらいだ」

幸子&雪美&凛&まゆ&ありす『っ!』

P「おいお前らどっから沸いた?」

響子「凛ちゃんにまゆちゃんにありすちゃん、いらっしゃいませ~♪」

凛「……コーヒー一つ」

まゆ「まゆはミルクティーが飲みたいです。Pさんの」

ありす「……は、ハーブティーを」

P「ありすは紅茶飲めないだろ。ココアを頼む、響子」

響子「あ、はい。わかりました!」

凛「……で?」

P「ん?」

凛「どうして響子さんがここで働いてるの?」

P「ああ……一日だけ俺の妻って事になってる」

まゆ「……」ピシッ

ありす「げほっ」

P「まゆ、机にヒビ入ってるから。ありす、大丈夫か?」

凛「ふーん……」

P「お前は動じないんだな」

凛「まぁ……本当の妻はここにいるし」

P「お前は何を言っているんだ?」


響子「お待たせしましたー。アイスコーヒーとココアです」

まゆ「……む」

響子「あなた、まゆちゃんに紅茶をお願いしますね?」

P「おう」

凛「私アイスコーヒーって言ったっけ」

響子「凛ちゃんはいつもアイスコーヒーを頼むんだってPさんが言ってましたよ」

凛「そう……で、さっきのあなた、って?」

ありす「あまりにナチュラルだったんで流しそうになりましたが……詳しく聞きたいですね」

響子「だってPさんは一日私の夫なんですから。当たり前じゃないですか」

まゆ「ふふ……響子さん、早くも正妻気取りですか……」

響子「今日一日は正妻ですから。気取りじゃないですよ」

まゆ「……ぐぅ」

P「ほれ、ハーブティー。そういう事だから納得してくれ、みんな」コト

凛「……仕方ないな。で、発案者は誰なの?Pさんじゃないよね」

P「卯月」

凛「もしもし卯月?うん、ちょっと話があるの」

P「やっと帰ったかあいつら……」

響子「えへへ……なんだか優越感が凄かったです」

P「……そっか。響子が嬉しいなら何よりだ」

響子「はい、とっても嬉しいです。人生で一番嬉しいかもしれません」

P「そんな大げさな……」

響子「大げさじゃ、ないです」

P「……響子?」

響子「だから……その……ううん、なんでもないです」

P「そ、そうか……ああそうだ、ちなみに夜はもっと忙しくなるぞ」

響子「どうしてですか?」

P「……団体客が入ってるんだ。宴会で」

響子「ここって喫茶店じゃないんですか?」

P「どっかの誰かのせいで夜はバーとして開店してる」

響子「なるほど……でも大丈夫です!みんなと、あなたと一緒に頑張ります!」

P「だー!もう絡むなうっとうしい!」

友紀「ねー!どうして響子ちゃんなのー!ねー!」

茄子「酷いです……私というものがありながら……」

早苗「私なんて初めてあげたのにー……」

楓「でも未遂でしたよね……ふふっ」

響子「団体客って……皆さんだったんですか」

P「いつもこんな感じだよ。一週間に一遍ぐらいのペースで来る」

響子「というか、私が一日妻をやってるって話、どこまで広がっているんですかね?」

P「さぁな……昼過ぎてもちょくちょく様子を見に来てる奴らとかいたからな」

友紀「今日はヤケ酒だよー!ビールもってこーい!」

P「誰がお前らを女子寮までつれて帰ると思ってんだゴルァ!ちひろさんに謝れ!」

響子「……お酒、お酒か……」

P「やっと店じまいの時間だ……あれ?響子ー?」

P「おかしいなさっきまで部屋にいたのに……」

雪美「響子なら……そこの部屋に入っていった……」

P「え?あそこの部屋は俺の寝室だぞ?」

雪美「疲れてたのか……フラフラしてたから……」

P「もしかして寝ようとしてたのか。仕方ないな」

雪美「それじゃあ……私は帰るね……」

P「おう。のあさんがいるから大丈夫だとは思うが気をつけろよ」

P「さて……響子ー?」ガチャ

響子の途中ですが、今日はここまで

明日も更新予定です

こんばんは。

響子の続きから

響子「すぅ……ん……」

P「やっぱり疲れて寝ちゃったか……」

響子「……」

P「今日はお疲れ様、響子。結局手伝いをしてもらってばかりで、夫らしい事一つも出来なかったな」

響子「……なら」

P「響子?ごめん、起こしちゃったか」

響子「だったら、今から、夫婦らしい事、しましょう?」

P「夫婦らしい事って……」

響子「……こういうの、とかどうですか?」グイッ

P「お、おい響子―――んっ……」

響子「ん……む……はぁ……」

P「響子……お前……」

響子「Pさん……えへへ」

P「響子、ストップだ。確かに夫婦とは言ったけども……!」

P「(空の酒瓶っ!?まさかこいつ……)」

響子「今日は夫婦として最後までって……言ったじゃないですか」

P「お前はそれでいいのか?」

響子「私は……えっと……」

P「……おい、お前」グイ

響子「な、なんですひゃっ!?」

P「……素面じゃないか」

響子「……な、何のことですか」

P「あの酒瓶、さっき楓さん達が飲んでたやつ持ってきただけだろ」

響子「し、知りません。私は今、酔っ払ってるんです」

P「嘘をつけ。確かに立派な演技だったけど、一瞬だけ素が出たからすぐわかったぞ」

響子「……だって」

P「一つ、言っておくけどな」

響子「何ですか……?」

P「今回みたいに、一度、酔っ払いに襲われかけた事があったんだよ」

響子「(早苗さんかな……?)」

P「その時もその酔っ払いに言ったけど……酒の力を借りてそういう事を言うのは、俺としてはちょっと複雑だ」

響子「……」

P「俺はみんなの気持ちを一度裏切った。だから、次はみんなの気持ちに本気で答えようと思ってる」

P「だから酒とかで誤魔化されて気持ちを伝えられたら、俺も本気で答えようとは思えない」

響子「ズルいです。そんな言い方」

P「ごめんな。だから、今回はお前の気持ちに答える事はできない……」

響子「……わかりました!じゃあ、今日から本気でPさんにアタックしかけますから」

P「おう。どんとこい。全部受け止めて、答えてやる」

響子「OKするとは言ってくれないんですね」

P「……俺は女性と付き合うっていう事がよくわかってない。好きっていう感覚も、だ」

P「自分がどうしてこんなにみんなに想われているのかも、正直意味がわからない」

P「もし、それがわかった時。もしそれを、わからせてくれる人が出来た時」

P「その時、答えを出すよ」

響子「……ふふっ。優柔不断なPさんらしいですね」

P「やっぱり優柔不断だよな」

響子「でも、私はそんなPさんを好きになったんですから」

P「……ありがとな」


響子「覚悟、していてくださいね!Pさんの胃袋も、心も、ガッチリ掴んじゃいますから!」


P「……はぁ」

――――――――――

P「……俺は女性と付き合うっていう事がよくわかってない。好きっていう感覚も、だ」

P「自分がどうしてこんなにみんなに想われているのかも、正直意味がわからない」

P「もし、それがわかった時。もしそれを、わからせてくれる人が出来た時」

P「その時、答えを出すよ」

――――――――――

P「……響子に、ああ言っちまった以上きっと俺は……」

カランコローン

P「はい、いらっしゃいませー……って幸子か」

幸子「……響子さんから、聞きました」

P「何をだ?」

幸子「Pさんが、答えを出すって言った事」

P「……そうだな」

幸子「本当、なんですね?」

P「本当だ」

幸子「みんなにも伝えちゃいますよ」

P「伝えてくれて構わない」

幸子「……本当の本当に、答えを出してくれるんですよね?また、逃げ出したりしませんよね?」

P「―――ああ」

幸子「わかりました……それじゃあボクも、そろそろ本気を出しますかね!」

P「楽しみにしてるよ」

幸子「あー!絶対『お前には無理だろうけどな』って思ってますね?!」

P「んな事はないさ」

幸子「せいぜい、これからのボクのカワイさに惑わされないようにしてくださいね!フフーン!」

P「……」

――――――――――

「ぼ、ボクは!」

「プロデューサーさんの事が、好きです!好きなんです!」

「プロデューサーだとか、アイドルだとか、関係ありません!ボクと、ボクと」

「恋人に、なってくださいっ……!」

――――――――――

P「……今度は、自分の夢にかこつけて逃げたりなんかしねぇよ」

P「二度もそんな事やるのは、カッコ悪すぎるからな」

P「さて、今日も開店するか!」

設定追加

ゴールを設定する事にします。

これから一度安価を取ったアイドルも再び安価可能とします。

複数安価を取ったアイドルには『+X(Xは安価を取った回数)』を好感度として表示します。

好感度が6になったアイドルが出現した場合、そのアイドルのENDが確定となります(早々終わらないとは思いますが)。

これまで安価を取ったアイドルは+1(文香は+2)からスタートします。

もちろん、これまでに安価を取った事のないアイドルは『前』『後』の指定が可能です。

何か質問あればレスお願いします。

次レス(58分頃)に安価投げます。

次に訪れるアイドル >>+2

三船美優+2

カランコローン

美優「こんばんは……」

P「いらっしゃいませ、美優さん。席どこでも空いてますよ」

美優「じゃあ……ここに、座りますね」

P「……えっと」

美優「何か……?」

P「あはは、目の前の席に座られると少し落ち着かないといいますか」

美優「働くPさんを間近で見ていたいんです……ダメですか?」

P「……美優さんがいいなら構いませんけど……」

美優「なら……このままで……」

P「……」

美優「ここは、落ち着きますね」

P「今日はたまたまですよ。ウェイトレスも仕事で出払ってますし」

美優「だったら……少し、話しにくいかもしれない事を、話してもいいですか?」

P「なんですか?」

美優「……Pさんが、恋人を決めるって、宣言したとみんなから聞きました」

P「……はい」

美優「どうして、急にそんな事を言ったのかなと思いまして」

P「響子に勢いで言ってしまったっていうのもあると思うんですが……俺自身も、覚悟を決めたと言いますか」

美優「覚悟、ですか」

P「はい。一度裏切った以上、みんなの思いに本気で向き合おうと」

美優「……なるほど」

美優「なら……私も、覚悟を決めようかと思います」

P「……もちろん、美優さんにも俺は本気で答えようと思っていますよ」

美優「……嬉しいです。私もちゃんと数に入っていて」

P「何を言ってるんですか。言ったでしょう。みんな、って」

美優「そのみんなを差し置いてでも……私は……貴方の、隣にいたいです」

P「……嬉しいです。そう言ってくれて」

美優「これで少しは私の事を意識してくれるようになりましたか……?」

P「最初から意識しっぱなしですよ」

美優「ふふっ……いつでも、襲ってくれていいですからね?」

P「襲いませんって」

美優「それは残念です……♪」

一つ疑問に思ったけど>>27ってつまり愛媛以降のアイドル(文香みちる晴こずえ清美マキノ飛鳥時子くるみ志希七海心芳乃悠貴つかさ)は全て主人公Pが辞めた後にアイドルになって、それで文香みちる以外は全員安価で前を選んだらアイドルになってから初めて喫茶店を訪れたことになるの?

先日は突然落ちてしまって申し訳ありませんでした。

>>116 『前』で訪れた場合は、文香みちると同じく、アイドルになる『前』に喫茶店を訪れた設定になります。

今日は美優さんを書き終えて一人くらい更新して終わりになると思います……

美優「私は……いつでも、大丈夫ですから」

P「美優さん、天然で色気があるんですからそういう事言われますと」

美優「……そうですね。からかうのはこの辺で御終いにしましょう」

P「どこまでが冗談だったんですか?」

美優「どこまでが冗談……なんでしょうね」

P「……美優さん、結構言うようになりましたよね」

美優「そう……ですか?」

P「ええ。会った頃はオドオドしてて……」

美優「Pさんが変えてくれたんですよ」

P「……俺は、貴方の中に何かを残せましたか?」

美優「はい。そして、これからも沢山思い出を残してくれるんですよね?」

P「それは、俺の仕事じゃなく、武内Pの仕事ですね」

美優「いいえ。Pさんの仕事です」

P「……その心は?」

美優「Pさんは私の好きな人、ですから……その……」

美優「一緒にいるだけで、思い出になると、言いますか……」

美優「えと……」プシュー

P「……でも、美優さんはそれだけじゃ物足りないんですよね」

美優「……はい」

P「よし。決めました。今度二人で旅行にでも行きましょうか」

美優「……え、ええっ。い、いきなりすぎませんか?」

P「実は話しながら思ってたんです。美優さんには、どうやって本気で答えたらいいのか」

P「結局何も思いつかなかったんで、旅行でもと……いかがですか?」

美優「行きたいです!凄く、凄く……!」

P「じゃあ行きましょう。美優さん、今度の休みはいつですか?」

美優「私の休みは―――」



初めて、好きな人と行く旅行。

仕事としては何度も遠い場所に二人で行った事はある。

けど、それはあくまで、プロデューサーとアイドルとしてだったから。

今度の思い出は―――きっと、素敵なものになる。


次に訪れるアイドル >>+2

川島さん

年長組が続きますね……

>>122 「前」ですか?「後」ですか?

それなりの年数を生きてきて、それなりの経験を積んできた私。

アナウンサーの経験もあって、大半の事はわかるつもりだった。

けど、わからない事もあった。

一つ目は、『失恋』。

まず、私は今まで恋をした事がなかった。仕事に恋をしていたと言っても過言ではないかもしれない。

だから、初めてそれを知った時。

もう二度と、立ち直れないんじゃないかと、思った。

瑞樹「おはよう、みんなっ!」

友紀「おはよう川島さん!今日も元気だねー!」

瑞樹「でしょう?若さだけなら、まだみんなに負けてないつもりなんだから」

早苗「いいわねー。瑞樹ちゃんは……私はそこの野球バカが飲み会ばっかりするから……うぇ」

友紀「あははー。ごめんねー?」

瑞樹「全く……早苗には後で味噌汁でも作ってあげるから」

早苗「お願いー……ぐぅ」

友紀「あ、あと楓さんの分も作っておいてー!」

瑞樹「楓さんもね、わかったわ……友紀はどうする?」

友紀「あたし?あたしはいーやー」

瑞樹「そ、そう……」

早苗「(化け物め……)」

早苗「……どう思う?」

友紀「何がー?」

早苗「瑞樹の様子」

友紀「ダメ」

早苗「だよねー……」

友紀「Pさんが辞めてから何日休んだんだっけ」

早苗「……一ヶ月ぐらい。ずっと家に引きこもってた」

友紀「だからあたし達も言うタイミング逃しちゃってたんだよね」

早苗「まさか瑞樹が一番メンタル弱いとは思ってなかったのよ。私も」

友紀「それは誰もが思ってる事だよ。瑞樹さんはずっと、みんなのお姉さんだったし」

早苗「さて……どうしよっか」

友紀「飲み会に誘っちゃえばいいんじゃない?」

早苗「なんでもお酒で解決するのは間違いな気がするのよねー」

友紀「まぁ、そうなんだけどさー」

早苗「ここはお姉さんが一肌脱ぐとしますか……」

友紀「ボディコンをー?」ケラケラ

早苗「……アンタ、酔ってるの?」

友紀「んーん。酔ってないよー」ケラケラ

早苗「……」

カランコローン

瑞樹「早苗……何よ改まって話って」

早苗「いーから座りなさいって」

瑞樹「……」

早苗「いい店でしょ」

瑞樹「そうね。早苗が知っているとは思えないくらいに」

早苗「それどういう意味よ」

瑞樹「そのままの意味よ」

早苗「あのねぇ……まぁいいわ。それじゃあ本題に移るけど」

瑞樹「その前に何か頼んだほうがいいんじゃないかしら」

早苗「そうね。おーい、幸子ちゃーん」

幸子「げっ……はいはい。何ですか?」

早苗「何よ今の『げっ』は」

幸子「何でもないです。それより、注文ですか?」

瑞樹「幸子ちゃん?どうしてここに?」

幸子「アルバイトとしてここで働かせてもらってるんです」

瑞樹「アルバイトとしてって……アイドル活動もしているのに?」

幸子「はい。社会経験という奴です」

瑞樹「なるほどね……」

早苗「私、ハーブティーで」

瑞樹「じゃあ私も早苗と同じものでいいわ」

幸子「かしこまりました。ハーブティー二つですね。少々お待ちください」

早苗「……そんじゃ本題だけど。瑞樹、あんた無理してるでしょ」

瑞樹「……すぐわかるものなの?そういうのって」

早苗「わかるわかる。あたしは特にね。瑞樹の空元気見てると悲しくなってくるから」

瑞樹「同い年だものね」

早苗「で?なんでそんな無理してるの?」

瑞樹「だって私の都合で一ヶ月も休みをもらったんだから……」

早苗「結局休めてないみたいだけれど」

瑞樹「……ずっと」

瑞樹「ずっと、泣いていたの」

瑞樹「部屋にいると、ふとした事で思い出して」

瑞樹「P君と話した事」

瑞樹「P君と一緒にやった事」

瑞樹「私のほうがP君よりお姉さんなのに……いつの間にか、私のほうがP君に依存してたみたいで」

早苗「……そんなの、あたしだってそうよ。それに、みんなだってそう」

早苗「だけど瑞樹がこんなに弱いとはみんな思ってなかったのよ」

瑞樹「……どうしてかしらね。私も、失恋程度でここまでなるなんて思ってなかった」

瑞樹「アナウンサー時代、有名人の破局の記事を何度も見たけど、何の感慨も湧かなかった」

瑞樹「今ならわかるわ……それが、どれだけ辛いことだったのかって」

早苗「……そう」

早苗「ねぇ。P君に会いたい?」

瑞樹「……いいえ」

早苗「嘘つくな」

瑞樹「嘘じゃないわ。もう、割り切ったから」

瑞樹「彼とはそういう関係だった。それだけの事なのよ」

早苗「瑞樹ぃ!」グイッ

瑞樹「……何よ」

早苗「あんたがそこまで弱いとは思わなかったって言ったわよね。あれ取り消すわ。あたし達が思っていた以上の、更に以上にあんたは弱かったのね」

瑞樹「……」

早苗「自分に都合のいい逃げ道ばっかり作って。自分の気持ちにフタをして。好きなら好きって言いなさいよ。会いたいなら会いたいって叫びなさいよ!」

瑞樹「……私だって」

瑞樹「私だって、彼に会いたいわよ!でもどうしようもないじゃない!みんなはP君無しで生きていこうとしてる!なのに年長者の私だけ―――」

早苗「……」パッ

P「……もう、いいですから」ギュウ

瑞樹「……え?」

P「ごめんなさい。俺がここまで川島さんを傷つけていたなんて知りませんでした。俺も、貴方なら何とかしてくれると思っていたんです」

瑞樹「P、君?」

いいところですがバイト行って来ます……

本日中の更新は多分ないです。

こんにちは。

川島さんの続きから書いていきます。

P「俺は川島さんがとても強い人だと思ってました。尊敬に近い感情を抱いていたのかもしれません」

P「俺が仕事でミスした時、貴方は励ましてくれるどころか、仕事を手伝ってくれました」

P「俺が馬鹿みたいにはしゃいでいた時、一緒になってはしゃいでくれました」

P「俺が病気でプロダクションを休んでいた時、バラバラになってしまったみんなをまとめて、尚且つ俺の看病しにまで来てくれました」

瑞樹「……そんなの、当たり前の事だもの」

P「これだけの事を当たり前にやってのける川島さんに、俺は憧れていたんです」

P「この呼び方だってそう。川島さんは嫌がっていましたけど、俺が一目置いていた証拠です」

P「だから……俺は、貴方が、俺がいなくてもやっていけるだなんて勘違いをしてしまった」

瑞樹「……言ったじゃない。私だって、女の子なのよ?」

瑞樹「初恋の人に何も言われずにどこかに行かれちゃったら……脆くもなるわ」

瑞樹「何度も忘れようとしても、ずっと貴方の顔が記憶に焼き付いて離れない。そのせいで、何度も夜を泣き明かしたわ」

瑞樹「でも……会えた」

瑞樹「不器用な親友のおかげで、気持ちも伝えられた」

早苗「……あーはいはい。不器用で悪かったわね」

瑞樹「褒めてるのよ?」

早苗「ありがとうございますぅー」

瑞樹「ねぇ、P君。私ね、今まで経験した事がない事が二つあったの」

P「何ですか?」

瑞樹「一つは『失恋』……それはこの前経験して、とても苦しくて、辛いものだってわかったわ」

P「もう一つは……」

瑞樹「『恋愛』……今回の事で思い知ったわ。自分が思っている以上に、人を好きになる気持ちは止められないものなんだって。今までP君に感じていた想いは、今の気持ちと比べたら、『恋愛』とは言えないものだって感じた」

P「……その相手が俺で、嬉しい限りです」

瑞樹「きっとまた私、P君に依存しちゃうと思うの」

P「俺は頼られて嬉しいですよ」

瑞樹「だから……もう、一目なんて置かないで。瑞樹、って名前で呼んで」

P「……喜んで。瑞樹さん」

瑞樹「……ふふっ」

P「どうかしましたか?」

瑞樹「今……凄く、胸があったかくなったの」

瑞樹「貴方にも、お礼を言わないとね、早苗」

早苗「……いいわよ別に。親友なんだから、当たり前じゃない」

瑞樹「素直じゃないんだから……」


―――これから、きっと。

今まで体験した事のない事が、沢山やってくると思う。

けれど、この不器用な親友と。

この初めて好きになった人となら。

どんな事も楽しめるハズだから。


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

ロイヤルストレートフラッシュの確立

1/649740

世界で一番好きになれる人と出会える確率

1/7200000000

雪美「……魔法使いさん」

レナ「懐かしいわね。その呼ばれ方も」

雪美「もう……カードは……使わないの?」

レナ「……そうね。もう、使う事はないかもしれない」

雪美「どうして……?」

レナ「魔法使いにも、出来ない事があるってわかったから」

雪美「……」

レナ「65万分の1を引けたって、あの人は帰ってこないから……」

レナ「なら……いつまでもこんなカードを続けてても意味ないでしょう?」

雪美「……なら……意味を……作る」

レナ「どうやって?」

雪美「私は……今、Pのいる場所を……知ってる」

レナ「っ!……雪美ちゃん、冗談は」

雪美「冗談じゃない……知ってる」

レナ「……それを聞かされて、私は何をすればいいの?」

雪美「私と……勝負する……」

レナ「勝負?」

雪美「ポーカーで……勝負」

レナ「……それって、私に圧倒的に有利じゃない?」

雪美「だから……レナの勝ち札は、ハートのロイヤルストレートフラッシュだけ」

雪美「それで4回勝負なら……ちょうど確立は65万分の1……」

レナ「な……」

雪美「4回勝負のうち……引けなかったら、レナの負け……場所は教えない……」

雪美「……どうする?」

レナ「(……とんでもなく、分の悪い賭け)」

レナ「(今までディーラーしてたけど……ここまで絶望的な賭けは初めてね……)」

レナ「(けど)」

レナ「……いいわ。乗る。乗らせてもらうわ」

雪美「……わかった」

雪美「……後悔しても……遅い……」

レナ「……」

レナ「(この時点で雪美の手札にハートの10 J Q K Aのどれかがあったらその時点で私の負け……)」

レナ「(ほんと、とんでもない勝負ね……)」

雪美「……二枚捨てる」

レナ「私は……オールチェンジ」

雪美「……そんなに世の中は甘くない」

レナ「1枚もキーカードがないんだからしょうがないじゃない」

雪美「……そう」

レナ「……ダメね。私の負け」

雪美「……スリーカード」

雪美「……10のフォーカード」

レナ「っ……」

雪美「……最初の時点で……レナは負けてた……」

レナ「……まだ、2回あるわ」

雪美「もう……2回しかない」

レナ「……」

雪美「……私の手札に、ハートの12とA、ある」

レナ「……最後の一回」

雪美「……諦めないの?」

レナ「私は賭け事に関しては諦めが悪いのよ」

雪美「……そう」

レナ「(馬鹿みたい。いつからこんな勝てもしない賭けにレイズしてるのよ)」

レナ「(これじゃディーラー失格ね……)」

雪美「……レナ」

レナ「何?」

雪美「……♥の、J。捨てる」

レナ「……」

雪美「……これも、運命」

レナ「……何を言っているの?」

雪美「え……?」

レナ「まだ何も終わってないわよ。私は諦めが悪いって言ったでしょう?」

レナ「私は……カードを2枚、捨てる」

雪美「……どうして」

レナ「まだ可能性は0じゃないからよ」

レナ「それじゃあ……カードを2枚引くわね」

レナ「1枚目は……♥のK」

レナ「2枚目は―――」

カランコローン

P「はい、いらっしゃいませー」

レナ「……本当に喫茶店やってるんだ」

P「レナさん」

レナ「……ねぇ、Pさん」

P「何ですか?」

レナ「私ね。今まですんごく分の悪い勝負やってたの」

P「へぇ……」

レナ「全部Pさんのせいなんだからね?」

P「……すんません」

レナ「本当に悪いって思ってるなら……そうね。一回でも私にポーカーで勝てたら許してあげる」

P「いや無理でしょう」

レナ「無理かどうかはやってみなくちゃわかんないわよ。というか、私をずっと放っておいた分、相手してもらうからね?」

P「は、はい!」

雪美「……神様は……意地悪」

雪美「本当は……これ以上、ライバルを増やしたくなかったのに……」

雪美「やっぱりレナは……神様に……愛されてる……」

♥A ♥K ♥Q ♥10 JOKER

雪美「……私の、負け」

レナ「……そういえばね」

P「何でしょうか」←19連敗中

レナ「私、Pさんの事好きだったの」

P「唐突ですね……」

レナ「嬉しい?」

P「ええ」

レナ「それでね……ここらで一つ、大博打を打ってみようかなって」

P「ほう、どんな?」

レナ「……その……私と、ここに行って欲しいって思って」

P「……遊園地、ですか」

レナ「ど、どう……?私としては大博打を打つようなチョイスだったんだけど……」

P「もちろん、喜んで行かせてもらいますよ」

レナ「……ふふっ。嬉しい」

P「さて、実はですね。この20回目、俺はやっとレナさんに勝てそうです」

レナ「へぇ。どんな手だったの?ちなみに私は2のスリーカードと6のペアのフルハウスだけど」

P「見て驚いてください。♥のロイヤルストレートフラッシュです」

♥A ♥K ♥Q ♥10 JOKER

レナ「……」

P「レナさん?」

レナ「……ふふふ。本当に私たちって、赤い糸で結ばれているのかもね」

P「レナさんらしくない台詞ですね」

レナ「い、いいじゃない。そう感じたんだから」

P「これで俺の勝ちですね。……ちなみに俺はまだ付き合えますよ」

レナ「だったら次はブラックジャックに付き合ってもらおうかな。それに、何かを賭けない?」

P「俺賭けるものなんて何も無いですよ?」


レナ「そうね……じゃあ賭け金は―――これからのP君の時間、でどうかしら?」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+2

兵藤レナ+2

―――遊園地―――

レナ「……」キョロキョロ

P「レナさん。お待たせしました」

レナ「やっと来たわね。待ちくたびれちゃうところだった」

P「すいません。どこに行くのかとウェイトレスの奴らに絡まれまして」

レナ「も、もしかして話しちゃった……?」

P「いいえ。だって今日はデートですからね。そんな野暮な事はしませんよ」

レナ「……何かPさん、手馴れてない?」

P「まぁ……ええ」

レナ「……そうだよね。Pさんはモテモテだもんね」

P「でも今日はレナさんしか見ませんから」

レナ「む……」

P「あれ。照れてます?」

レナ「べ、別に……」

P「それにしても……意外ですね」

レナ「何が?」

P「レナさんが遊園地に来た事ないだなんて。ラスベガスでディーラーしてたんですよね?」

レナ「あの頃は……遊園地なんて、そんなに楽しいものじゃないだろうって思ってたから」

P「今はどうですか?」

レナ「……好きな人と一緒に遊園地に来るだけで楽しいって感じてる」

P「それはよかったです」

レナ「……ね、ねぇ。まずはアレに乗らない?」

P「いいですけど、レナさんいきなりあんなのに乗って大丈夫ですか?チャレンジャーですね」

レナ「チャレンジ精神がないとギャンブラーは務まらないのよ」

P「ごもっとも」

ちょっと休憩挟んでまた9時ごろに再会します(まさか二連続が来ると思ってなかったので考えてなかった)。

二連続安価についてはもう起きないとは思いますが、少し考えておきますね。今回は有効で。

こんばんは。再開します。

レナさんっぽさがどうも出てこない……

レナ「きゃあああああああああ!!」

P「うおおおおおおおおお!!」

―――数分後―――

レナ「凄い!凄いわPさん!」

P「ジェットコースターが気に入ったんですか?」

レナ「うん!遊園地って、こんなに楽しいものだったのね!」

P「まだまだ。遊園地の楽しさはこんなもんじゃないですよ。次はアレ行きましょうか」

レナ「でも……多分、楽しいのは……」

P「はい?」

レナ「Pさんが一緒にいるから……かもしれないわね」

P「ならいつか『かもしれない』じゃなく『いるから』だけに変えてみせますよ」

レナ「そう。ふふっ、楽しみね」

P「次はあそこ行きましょうか」

レナ「お化け……屋敷?」

P「遊園地の醍醐味の一つですね」

レナ「……あそこは辞めましょう。Pさん」

P「おや?レナさんともあろう人が、賭けに出ないんですか?」

レナ「賭けとかそういうのじゃなくて……その……」

P「まぁまぁ。思い出の一つと思って」

レナ「い、嫌よ。ちょっとPさん!?」

P「というかココに来てお化け屋敷に入らないなんてありえませんから」

レナ「そ、そうなの?」

P「ええ(なんてったってかなり怖いって評判だからな)」

お化け1「待ああああてえええええええ!」

レナ「きゃああああああっ!」ギュウ

P「ははは。作り物ですって」

レナ「ど、どうしてPさんはそんな平気でいられるの?!」

P「何度も入った事ありますから」

レナ「……何か嫌な事想像しちゃったじゃない」

P「そんな事言われましても。今はレナさんと入っていますから、レナさんの事しか見てないですよ」

レナ「……本当に?」

P「ええ」

お化け1「リア充爆発しろおおおおおおおおおお!!」

お化け2「うおおおおおおおおおお!!」

お化け3「ヒャッハアアアアアアアアア!!」

P「おいなんか変なの混じってないか?」

レナ「Pさんの馬鹿」

P「すいませんってば。でも、思い出になったでしょう?」

レナ「そうだけど……」

P「それにほら、見てくださいよ。この景色」

レナ「わぁ……こんなに高い所からこの町を見渡せるのね、ここの観覧車……」

P「俺もここからの景色が好きで、ここに来た時は絶対に乗るんですよ」

レナ「他のみんなと一緒に?」

P「えっと……」

レナ「ごめん。意地悪だった」

P「……何度も言いますが、今日はレナさんしか見てませんから」

レナ「じゃあさ。証拠が欲しいな」

P「何のですか?」

レナ「私しか見てないっていう証拠。ここにカードが2枚あるの」

レナ「片方は♥のA、もう片方はJOKER」

レナ「もしPさんが♥のAを当てたなら……私から、キス、する」

レナ「でももしJOKERを当てたら……キスは、没収」

レナ「……どうする?」

P「……もちろん、挑戦しますよ」

レナ「よろしい。さ、選んで」

P「じゃあ……こっちで」スッ

レナ「……残念、JOKERね。キスはお預け―――んぅっ!?」

P「……ん」

レナ「……ズルい」

P「別にキスをするなとは言われませんでしたから。それに、俺からキスしたかったからJOKERを引いたんです」

レナ「それって屁理屈って言うのよ」

P「よく言われます」

レナ「……だから、もう一回、ちゃんとしなさいよ」

P「……ええ」


ああ、ダメだと思った。

さっきのカードはきっと、私と貴方だった。

Aは最強のカードだ。どんなゲームにおいてもそう。

だけど、絶対に、

JOKERには、勝てないんだ……


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

そういえば連続安価についてですが、ルールとして、まだ一回も当たっていない子のみ有効という事にします。

流石に一度当たった子を連続可にしてしまうと、すぐに終わってしまいそうなので。

では、飛鳥からです。

カランコローン

P「いらっしゃいませー」

飛鳥「……ふむ」

P「どこでも空いているので好きな席にどうぞ」

飛鳥「そうさせてもらおう」

P「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」

飛鳥「なら、コーヒーをもらおうかな」

P「アイスとホットどちらにしますか?」

飛鳥「アイスコーヒーでお願いするよ。……ああ、ミルクを2つほどつけてもらっても構わないかい?」

P「かしこまりましたー」

飛鳥「……」

P「(見た事のない子だな……珍しく一般のお客様か)」

P「(それにしても……ティン!ときたものの、何故か同時に不安な気持ちになってしまう……これはなんだ?)」

P「お待たせしました。アイスコーヒーです」コト

飛鳥「有難う……ここの店は、マスター一人で営業しているのかい?」

P「いいえ。たまにちょっと騒がしいウェイトレス達がいるんですが……今日は非番でして」

飛鳥「なるほどね……」

P「では、ごゆっくりどうぞー」

飛鳥「……少し、いいかな」

P「はい?」

飛鳥「マスターは……ボクの事を知っていたりするかい?」

P「いえ……もしかして、アイドルだったりしますか?」

飛鳥「……凄いな。少しびっくりした。スカウトを受けてから、まだ一時間と経っていないのに」

P「……武内P、やるな」

飛鳥「一体、マスターは何者なんだい?」

P「私は……ええと……スカウトされたのは、346プロダクションの方ですよね?」

飛鳥「ああ。美しい城、まさしくシンデレラ城にふさわしい、荘厳な建物だったよ」

P「実はそこでプロデューサーをやっていまして」

飛鳥「ほう。それは興味深いな。聞かせておくれよ、マスターの物語を」

P「……えっと」

飛鳥「……ああ、すまない。きっとマスターは今、こう思ったかな。『こいつは痛いヤツだ』ってね。でも、思春期の14歳なんてそんなものさ」

P「いや、それ以上を知ってるから特に問題はないんですが」

飛鳥「ボク以上がいるのかい?」

P「きっと、入ってみたら驚きますよ」

飛鳥「そうか……まさにボクの求めていた世界がそこにあるかもしれないな」

P「もしかして、スカウトを受ける気ですか?」

飛鳥「悪い気はしないね。学校と家以外に自分の場所を見つけたかったから」

P「それは俺も嬉しいです」

飛鳥「……どうしてだろうね。マスターとは話しやすいよ。普段、人と話す時は一定以上の隔たりを感じてしまうものなのだけど」

P「200人近く、個性豊かなアイドルの世話をしていましたから」

飛鳥「アイドル……か。スカウトを受けて、こうしてなろうと決めても、いまいち実感は湧かないね」

P「最初はみんなそう言います」

飛鳥「……マスターは何も聞かないんだね」

P「何がですか?」

飛鳥「ボクがこんな話し方をしている理由や、この身なりについてさ」

P「貴方が話してくれるまで私は何も聞きません。貴方が話さないという事は、聞いて欲しくないという事ですから」

飛鳥「……そうか」ニコッ

飛鳥「どうやらボクは、非日常に踏み出す前に、望んでいた場所を見つけてしまったようだ」ガタッ

P「え、じゃあアイドルの話は……」

飛鳥「それはもちろん受けるつもりさ。だけど……ここは、とても心地がいい」

飛鳥「もしこの場所に来なければ、きっとあのシンデレラ城がボクの場所になっていたのだろうけれど……やっぱり、世界というのは理解らないものだね」

飛鳥「また来るよ。今度は二宮飛鳥じゃなく……アイドルの、二宮飛鳥として」

P「……お待ちしてます」

飛鳥「じゃあ、また」


飛鳥「……何でだろう。自然に笑みがこぼれてくるね」

飛鳥「まるで、昨日までのボク自身を忘れたようだ―――」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+2

カランコローン

P「いらっしゃいませー」

七海「あのぅ……突然で申し訳ないのれすが、少し道をお尋ねしてもいいれすか~?」

P「はい。構いませんよ」

七海「この辺で、346プロダクションという建物は、どこにあるんれしょうか~?」

P「346プロダクション……ええと、もしかしてアイドル志望のお方でしょうか?」

七海「はい~。ちょっと顔がオオメジロザメに似ている方にスカウト?されまして」

P「(オオメジロザメて……武内P……)」

七海「それで~。船で海を越えてやってきたのですが、道に迷ってしまい……」

P「346プロダクションならここからすぐの場所にありますが……私のおごりでいいので、何か食事でもしていきませんか?」

七海「えーっと……どうしてれすか?」

P「実は私、昔346プロダクションでプロデューサーをやってまして」

七海「おぉー!じゃあもしかして、あの方の先輩という事なのでしょうか~?」

P「そうなります。ですから、こうしてアイドルの卵に出会えて嬉しくて」

七海「じゃあ……ごちそうになってもいいれすか?長旅で、お腹がすいてまして~」

P「はい。構いません」

七海「えっと……メニューは……」

P「ああえっと、食事のメニューはうちのはないんです。超有能なコック長がいるので」

雪美「……ぶい」

七海「何でも頼んでいいんれすか~?!」キラキラ

P「ええ。大体のものは作れると思います。な、雪美」

雪美「何でも作る……この前響子に郷土料理も教えてもらったから……今の私は無敵……」

七海「じゃあじゃあ、お寿司を頼んでもいいれすか?」

雪美「合点承知……」

P「飲み物はどうしますか?」

七海「あつ~い緑茶が飲みたいれす~」

P「かしこまりました。少々お待ちください」

P「お待たせしました。こちらP喫茶店盛り合わせ『桜』となります」コト

雪美「自信作……」

七海「わぁ……凄くおいしそうれす~!東京で、このレベルのお寿司を食べられる店があったなんて~!」

P「(実は食材費とか凄いんだけどな。我慢我慢)」

七海「ほ、本当にただで食べてもいいんれすか?!」

P「はい。構いません。ですが、少し話し相手になってもらえますか?」

七海「話相手、れすか?」

P「私も元プロデューサーとして、貴方の事を知りたいと思っていますので」

雪美「……ナンパ?」

P「違う」

七海「そういう事なら大歓迎れす~!七海、浅利七海と申します~!」

P「七海さん、ですか」

七海「はい~。青森出身で、趣味は釣りと絵日記れす~」

P「釣り、ですか(また武内Pも凄い子スカウトしてきたな……)」

七海「ヒットすると竿がピクピクってすごいのれす♪」

P「なるほど。という事は、待つ時間もそんなに嫌いではない?」

七海「はい~。むしろ、待っている時の方がドキドキしっぱなしれすね~」

P「(耐える事が重要なアイドルにとって、この素質は重要だ)」

七海「世界初のお魚アイドルになって、みんなの心をしっとりさせるのれすよ~」

P「確かにそれは世界初でしょうし……俺も楽しみです。そういえば、346には料亭の娘や釣りが趣味なやつもいるので、きっと仲良くなれますよ」

七海「本当れすか~?元プロデューサーさんがそう言ってくれるなら安心れす~」

七海「ん~♪美味しいれす……♪」モグ

雪美「……頑張ったから」

P「よしよし」ナデナデ

雪美「ん……」

七海「ご馳走様れした~。大満足なのれす~!」

P「そう言っていただけると嬉しいです」

七海「あの~。また、ここに来てもいいれすか?」

P「今度はお客さんとして、ですね」

七海「もちろんれす~。ちゃんと、お寿司の代金も払いますよ♪」

P「お魚アイドル目指して、頑張ってください。俺も応援してますから」

七海「はい~!ありがとうございました~!」


七海「んふふ……今日はとってもいい事があったのれす」

七海「マスターもキハダマグロみたいでイケメンだったのれす……きゃー!」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

今回の更新はこれまでです。

次回の更新は金曜日を予定しております。では、ありがとうございました。

こんばんは。

お空の騎士のバイトが忙しいです。

志希にゃんからです。

カランコローン

志希「ふんふん、何かこっちからいい香りが……」

P「いらっしゃいませー」

志希「ここは何をやってるお店なのかなー?」

P「喫茶店です。どうですか、一杯紅茶でも」

志希「なるほどなるほど。だからいい香りがしたのか~……せっかくだし、一杯もらおうかな~?」

P「ありがとうございます。メニューはそちらにありますので―――」

志希「いらなーい。いっちばん、香りがいいのをお願い!」

P「かしこまりました」

P「こちら、アールグレイになります」コトリ

志希「ん~いい匂い~……でもちょっと違うかにゃ?」

P「はい?」

志希「んーん。こっちの話。それじゃあ早速……んむ、にゃはは。結構渋いなぁ……」

P「一番香りの強いものを、と言われましたので。飲みにくければ茶葉はそのまま、ミルクティーにいたしますが?」

志希「平気~。これもこれで、味わい深いし」

P「そうですか。では、ごゆっくりどうぞ」

志希「ねーねー。マスター」

P「はい?」

志希「この紅茶よりも強い香りがするものって、このお店にはないの?」

P「ええ。多分」

志希「ふーん……じゃあさっきから香ってるこのいい匂いは……?」

志希「マスター、マスター」

P「はいはい。どうかしましたか?」

志希「ちょっとそこでストップ」

P「え、ええ……」

志希「……んー」

P「なんでしょうか?」

志希「えいっ」ポフッ

P「うわっ!?」

幸子「こんにちはPさん!今日もカワイイウェイトレスのボクが来て……ててってぇ!?」

志希「んふ~。この匂いだぁ~……マスターの匂いだったんだね~。ずっと香ってきてたのは……」

幸子「そ、そこの女ぁ!何Pさんに抱きついて匂いを嗅いでるんですか!」

志希「んー?Pさんって言うんだ。マスター」スリスリ

P「そ、そうですけども……」

幸子「ボクの話を聞いてください!はい、離れて離れて!」

志希「あぁん♪」

幸子「ま、全く。Pさん!この人は誰なんですか!」

P「誰と言われても……お客様としか」

志希「マスターの匂いに釣られてやってきた、ただの女子学生だよ~♪」

幸子「Pさんの匂いに中毒性があるのは認めますけど、直接嗅ぐなんて羨ましいことしないでください!」

P「おい幸子。それどういう意味だ」

幸子「Pさんの匂いを直接嗅いでいいのはボクだけなんですから!」

志希「きゃ~。怖いこわ~い。もしかして、Pさんの彼女さん?」

幸子「なっ、ま、まぁそう見えるのも仕方ないですね。何せボクとPさんは―――」

P「い、いえ。彼女ではないです」

幸子「……」

志希「ボクとPさんは、何だって~?」

幸子「あ、アイドルと元プロデューサーですから!強い絆で結ばれているんです!」

志希「……アイドル?」

幸子「ええ。ここの近くに346プロダクションという場所がありますよね」

志希「うん。何かすっごくでっかい建物だよね」

幸子「そこで働いていたのがPさんで、その担当アイドルがこのボク!輿水幸子なんです!」

志希「……有名人だったんだ。キミ」

幸子「フフーン!ま、ボクのカワイさを持ってすれば当然の事なんですがね!」

志希「いや、幸子ちゃんじゃなくて、Pさん」

幸子「なっ!?」

P「俺、ですか?」

志希「うん。だってたまに噂で聞くよ。あの346プロダクションには、化け物プロデューサーがいるって」

P「(それ武内Pの事じゃないだろうな)」

志希「元って事は辞めちゃったの?」

P「ええ。今はしがない喫茶店のマスターです」

志希「ふんふん……なるほどなるほど」

ハカセー! イチノセハカセー!

志希「むむっ」

カランコローン

黒服「一ノ瀬博士。こちらの喫茶店にいらしていたんですか」

志希「もう見つかっちゃったかぁ」

黒服「大事な研究の最中なんです。さ、帰りますよ」

P「あ、あの~」

黒服「ああ。お代ですね。こちらカードは使えますか?」

P「はい」

黒服「ではこちらで」ブラックカード

P「……」

黒服「いかがなさいましたか?」

P「い、いえ。確かに頂戴いたしました」

志希「それじゃ、幸子ちゃん。Pさん。まったね~♪」ガチャ

黒服「またねではありません。博士は毎日毎日失踪してばかり……」バタン


P「……なぁ、幸子」

幸子「な、なななな、なんですか?」

P「俺ら、今物凄いやつと話をしてたんじゃ」

幸子「……そう、ですね」

志希「……」

黒服「博士。本当の本当に、今日で最後に―――」

志希「ねぇ」

黒服「な、何ですか。言い訳なら博士の父上に」

志希「あたし、アイドルっていうのやってみたくなっちゃった」

黒服「……はい?」

志希「だ・か・ら~……今回の研究、一旦凍結♪」

黒服「……はぁあああああああ?!」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

走志走愛。

あいつと過ごした日々は、その一言につきた。

馬鹿みてぇにあいつに振り回されて。

馬鹿みてぇにあいつと一緒に笑って。

馬鹿みてぇに……あいつが好きになった。

だけど、あたしはその気持ちを心の奥底に閉じ込めた。

恋なんつーのは、軟弱なやつがするものだから。あたしは、強い女でなければいけなかったから。



けれど、あいつを失った日。多分あたしは世界で一番、弱かった。

男「が……あ……」

拓海「……」

舎妹「流石ですぜ姉さん!アイドルやってた時期のブランクなんて感じさせませんね!」

拓海「……帰るぞ」

舎妹「へい姉さん!」

早苗「……おい、待ちな」

拓海「……またてめぇか」

早苗「またあたしよ。あんた仕事、ドタキャンしたでしょ」

拓海「それがどうかしたかよ」

早苗「何かあるのかと思ったらこんなところで喧嘩なんて……恥ずかしくないの?」

拓海「……邪魔だ」スタスタ


早苗「……あのさ。今のあんた」

早苗「すっごい、かっこ悪いよ」


拓海「……あたしがかっこ悪くなったんじゃねぇよ。ただ」

拓海「あたしがかっこつける相手がいなくなっただけだ」

早苗「……はぁ。かっこつける相手がいなくなった、ねぇ」

早苗「それもまた違うわよ。拓海」

早苗「あんたは最初からかっこつけてなんかない。自然体だったの。だから人がついてきてた」

早苗「今のあんたは……不自然にかっこつけてるから、かっこ悪いのよ」

早苗「……仕方ない。えーと、もしもし」

早苗「うん。あたしあたしー。少し協力して欲しいことがあるの」

早苗「狼を一匹。捕まえるのに協力して欲しい。いい?」

―――夜―――

ファンファンファン

舎妹「くっそやられた……!あの果たし状が囮だったなんて!」

舎弟「どうしますかアネキ!」

拓海「……どうもこうもしねぇよ。逃げるだけだ」

舎妹「え、に、逃げるんですか?」

拓海「何だよ」

舎妹「い、いえ。今までの姉さんだったら、戦うって言うかと思って……」

拓海「……別に。気が変わっただけだ。今はお前らもいるしな」

舎弟「アネキ……!」

早苗「そこの向井拓海ー。止まりなさーい」

拓海「またてめぇかよ早苗……!何度目だ!」

早苗「さぁ?あんたの現役時代から数えたらもう数十回はやってんじゃない?このバイクチェイス」

拓海「今はお前の相手してる場合じゃねぇんだよ」

早苗「狼が随分と牙を削られたのねー。これもPさんのせいかしら」

拓海「っ、その名前は出すな!」

早苗「ううん。出すよ。だってあんたの弱点なんだから」

拓海「うるせぇうるせぇ!」ギャリリリリ

早苗「あれ?そっちは―――」

拓海「っ……」

早苗「行き止まり、よ。昔のあんたならこんなミス、しなかったのに」

舎妹「あ、姉さん」

舎弟「アネキィ……」

拓海「こいつらは逃がせ。そうしないとここで暴れる」

早苗「いいよ。用があるのはあんただけだし。そもそもあたしは今警官じゃないから、逮捕できない」

拓海「……そうかよ。おら、行け」

舎妹「姉さん!絶対無事に帰ってきてくださいね!」タッ

舎弟「お、俺達待ってますから!」タッ

早苗「さーてと……さっきも言ったように、あたしは警官じゃないし、逮捕できないけど……ちょっと取調べ室まで来てもらうわよ」

拓海「……あぁ?何言ってるんだてめぇ」

早苗「いーから来なさい♪じゃないと……本気で、シメ落とす」

拓海「……チッ」

拓海「……何だここ。喫茶店じゃねぇか」

早苗「取調べ室よ。ほら来なさい」

拓海「意味わかんねぇ……」

カランコローン

早苗「みんなー。狼を連れてきたわよー」

幸子「フフーン。待ってましたよ拓海さん!」

雪美「……待ってた」

のあ「私と会うのは随分久しぶりね、拓海」

拓海「……何でお前ら警官のコスプレなんかしてんだよ。ここ、そういう店なのか?」

早苗「いいから黙って。それじゃ、取調べを始めるわよ。輿水警部、お願い」

幸子「ボクに任せてください!完璧に取調べをしてみせますよ!」

拓海「くっだらねぇ小芝居続けるんなら帰るぞ?」

早苗「帰れるものならどうぞ。ここにはあたしとのあさんまでいるのよ?」

のあ「……」←無言でファイティングポーズ

拓海「……わーったよ。話を聞けばいいんだろ」

幸子「さて、取調べの始まりです」

拓海「……言っとくがアタシは何も喋らねぇぞ」

幸子「いいえ。喋らざるを得ないはずです」

拓海「どういう事だよ」

幸子「一つ目の質問です―――拓海さんは、Pさんの事が、好きなんですよね?」

拓海「……はぁ!?」

幸子「もちろん、LikeではなくLoveで」

拓海「んなわけねぇだろうが」

幸子「それこそそんなわけないですよ。アイドル時代から、バレバレでしたよ?」

拓海「……一時の気の迷いだ」

幸子「いいえ。それは今も続いています」

拓海「てめぇは一体何が言いたいんだよ」

幸子「まずは、自分がPさんを好きなんだと自覚してください」

拓海「好きじゃねぇって言ってんだろ」

幸子「そうですか。では、ボクがPさんの居場所を知っていると言っても聞きたくないという事ですね」

拓海「な……幸子!あいつはどこにいやがるんだ!」ガタッ

幸子「……その反応が何よりの証拠だって、どうしてわからないんですか」

拓海「こ、これはただ……逃げ出したあいつに文句を言いたいから……」

幸子「逃げているのは貴方の方です。拓海さん」

拓海「何を言って」

幸子「さて、ここから先は雪美さんにバトンタッチですね」

雪美「……任された」

拓海「……何なんだよ。一体」

雪美「……拓海、怖い?」

拓海「何が怖いっていうんだよ」

雪美「自分が……Pを好きだって……自覚するのが」

拓海「そもそも好きじゃねぇ」

雪美「強情……」

拓海「大体、なんでアタシがあいつの事を好きになんかならなくちゃいけないんだよ」

雪美「……好きにならない理由があるの?」

拓海「は?」

雪美「誰よりも私たちの事を知っていて……誰よりも私たちに接してくれて……誰よりも私たちのために全力で……そんな素敵な人間を……好きにならない理由があるの……?」

拓海「……あいつは逃げ出しただろうが」

雪美「拓海だって……耐えられなくて……逃げ出した」

拓海「逃げた?何から」

雪美「Pは……好きになっちゃいけない人達を……好きになった」

雪美「だから……自分の気持ちから……逃げた」

雪美「それは……拓海も一緒」

拓海「自分の気持ちから逃げるなんてかっこわりぃ事……」

雪美「……そうやって……逃げるな」ガシッ

拓海「っ……」

雪美「眼を背けるな……知らないフリをするな……言い訳を考えるな……」

雪美「私は……そうやって……自分の気持ちに……正直に……生きてる」パッ

拓海「……」

雪美「次は……のあ……警部補……」

のあ「ええ」

のあ「……私からは、いたって単純な質問をするわ」

拓海「……なん、だよ」

のあ「Pに会いたいか、どうか」

拓海「……」

のあ「幸子の話を聞いて、雪美の話を聞いて。それで貴方がどう思ったのかは私には分からない。貴方の気持ちを知りえる事はできない」

拓海「んなの……会いてぇに……」

のあ「それは、彼に文句を言いたいから?罵りたいから?それとも……好きだから?」

拓海「……っ」ポロポロ

拓海「好き……だからだよ畜生……!」

のあ「……そう」

拓海「あいつがいたからアイドルなんてバカな事やってたんだよ!あいつが、こんなアタシを可愛いって言ってくれるからここまで続けてこれたんだよ!」

拓海「なのになんで何も言わねぇで突然いなくなるんだよ!おかげであれから部屋じゃ泣いてばかりだよ馬鹿野郎!」

拓海「好きだよ!あー好きだ!大好きだ認めてやらぁ!だからこんなに苦しいんだよ!だから不良に戻るだなんてあんなにヘッタクソな逃げ方してたんだよ!」

拓海「本当……ふざけんなよっ……!」

のあ「……さて……やっと吐かせたから。最後は、任せるわ。巡査」

P「ああ」

拓海「あ……てめぇ……」

P「聞いてた。全部。お前の思いは伝わってきたよ」

拓海「……んの!」ガタッ

P「うわっ、ちょっ、お、お前が本気でぶん殴るとか洒落にならな―――」

拓海「……馬鹿、野郎」コツン

P「……」

拓海「バカ、最低、変態プロデューサー」

P「どんな罵りも甘んじて受ける。俺はそれだけの事をしたんだ」

拓海「嫌い。だいっきらい……お前なんか嫌いだ……」

P「……そっか」

拓海「……けど……大好きだ……」

P「……ありがとな。こんな俺を好きになってくれて」

拓海「……わり。今、変な顔してるだろ」

P「泣いてる拓海も可愛いぞ」

拓海「へへっ。そっか……じゃあ、もう少しだけ、泣かせろ。いいだろ」ポフッ

P「ああ。抱きしめててやるよ」

拓海「さんきゅ……ぐす」

カランコローン

P「いらっしゃいませー」

拓海「……よう」

P「珍しいな。お前が来るなんて」

拓海「悪ぃかよ。お前の顔見にきちゃ」

P「いんや別に……少し照れるくらい」

拓海「アタシだって恥ずいけど……けど、言いたかったんだ」

P「そっか。ありがとな」

拓海「へへっ……あ、そ、そうだ。あのさ……」

P「あ。お前ホント珍しく化粧なんかしてるのな」

拓海「……わ、わかんのか?」

P「そりゃ、俺の元アイドルですから」

拓海「ど、どうかな?」

P「俺は化粧っけない拓海の方がらしくて好きだけど、それも似合ってる」

拓海「むぅ……未央のやつ、言ってた事と違うじゃねぇか……」

途中ですが今日はここまで。

次は日曜日に更新となります。

こんばんは。

時間ができたので更新します。

P「そうだ。お前ちゃんと仕事やってるのか?」

拓海「あたりめーだろうが。あの武内Pってやつはお前より有能かもな。イカしてる衣装の仕事ばっか取ってきてくれる」

P「……そうかい」

拓海「……まぁ、でもよ」

P「あん?」

拓海「お前が見ててくれるなら……そんで、ガサツなアタシを可愛いって言ってくれんなら……たまになら、フリフリの衣装とかも着てやっても……」

P「お、じゃあここに偶然うちのウェイトレス服があるんだが」

拓海「はぁ!?今じゃねぇよ!!つーかお前、絶対偶然じゃねぇだろ!!なぁ、オイ!!」


想始送愛。

きっとこれからのアタシの日々は、その一言に尽きるだろう。

馬鹿みてぇにあいつを想って。

馬鹿みてぇにあいつを愛して。

馬鹿みてぇに……結ばれたい。

今のアタシは、そう思ってるんだ。


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+2

ライラ 前

―――公園―――

ライラ「すみませんそこのお方ー」

男「はい?」

ライラ「この方を見た事はありませんですか?」

男「P……うーん。わからないな。すまない」

ライラ「そうですか……ありがとうございましたです」

ライラ「……P殿は一体どこに行ってしまったのでしょうか」

ライラ「かくなる上はー……」スッ

ライラ「……いえ。お父様に頼るのは最後の手段です。自分の足で、見つけなければ」

ライラ「おっと、そこのお方ー」

黒服「……はぁ」

ライラ「……?どうかなさったのですか?」

黒服「いや……なんでもないよ」

ライラ「何かお悩み事でしたら、ライラさんにお話くださいませ。わたくし、お話をするのは大好きですので」

黒服「……そうか。じゃあ、聞いてもらおうかな」

ライラ「……なるほど。お付きだった博士様が突然研究をやめてしまったのですか」

黒服「そうなんだよ……全く困ったものだ。一ノ瀬博士には」

ライラ「それはそれは、大変だったのですねー……」

黒服「……なんだか話したら楽になったよ。ありがとう。気晴らしに公園に来てみるものだな」

ライラ「それはよかったです……そうだ。この方をお知りになられないですか?」

黒服「P?……んん?どこかで見た事あるような―――」

黒服「あぁ!あの喫茶店の!」

ライラ「……喫茶店、ですか?」

黒服「お譲ちゃん、この人を探しているのかい?」

ライラ「はい。わたくしの大切な方ですゆえ」

黒服「なるほどな。それじゃあ俺がそこまで連れて行ってやろう」

ライラ「本当でございますか!ありがとうございますです」

黒服「(というか俺が連れて行ってやらないと、この子どこかに誘拐されちまうんじゃ……)」

カランコローン

P「はい、いらっしゃいませー」

ライラ「おお、本当にP殿がいたのです。ここまでありがとうございました」

黒服「なんのなんの」

P「ライラじゃないか!誰かからここを聞いたのか?」

ライラ「いえー。先ほどのお方が案内してくださったのです」

P「そ、そうか……(たまたま来てくれた一般のお客様だったのか?)」

ライラ「それよりもP殿、ライラさんはまだよくわかっていないのですが、P殿は346プロダクションには戻ってこないのですか?」

P「……ああ」

ライラ「そうですか……新しいプロデューサー殿もよいお方なのですが、やはりP殿がいないとわたくしは寂しいです」

P「そうか……ごめんな」

ライラ「でも、行方不明だったP殿を見つけられた今のライラさんはご機嫌です」

P「ここまで来てくれたんだし、何か食ってくか?」

ライラ「よろしいのですか?」

P「ああ、もちろん」

あり?ライラって長崎エリアからだからこの主人公Pとは面識が無いのでは……?

P「ライラはアイスが好きだったよな……ほら」コト

ライラ「おぉー。覚えていてくださったのですか」

P「もちろんだ。何故かのあさんが作ってたものでよければまだあるぞ」

ライラ「いただきますです……ん、美味しいのですよ」

P「ライラは紅茶で好きな物とかあるか?」

ライラ「お紅茶……チャイでございますか?」

P「ライラにとってはチャイが一番一般的なのか?」

ライラ「そうでございますね。お紅茶といえばチャイみたいな感じでございますです」

P「そっか。じゃあ淹れてくるからちょっと待っててくれな」

ライラ「はいです」

P「……ライラはさ」

ライラ「何でございますか?」

P「俺が何も言わないでプロデューサーをやめた事、怒ってる?」

ライラ「変な事を言いますですね、P殿は。ライラさんは怒るというよりは心配でした」

P「心配?」

ライラ「はい。もしかして、パパに何かされたのではないかと」

P「……冗談でも笑えないな、それ」

ライラ「冗談じゃないのですよ」

P「……」

>>231 調べてみたらそうでした。申し訳ない……

>>225 このまま続けるか、それとも初めからやり直すか、好きな方をお選びくださいませ……

ライラ「最近では、P殿がいなくなったのをどこから聞きつけましたのかパパからお見合いの相談が沢山来てましたので余計に……」

P「まだ続いてるのか」

ライラ「はいです……」

P「俺としては何とかしてやりたいんだけどな」

ライラ「仕方がない事なのです」

P「ライラは大丈夫か?」

ライラ「はい。慣れてますです」

P「……うーん」

ライラ「どうかしましたですか?」

P「ライラ、ちょっと電話貸して」

ライラ「は、はいです」

P「……」プルルルル

ライラ「P殿……?」

P「もしもし、ライラのお父様でしょうか。私、彼女のプロデューサーでしたPと申します」

ライラ「えっ」

P「ええ。実は折り入ってお話がありまして」

P「本来ならばこのまま秘密にしておこうかとも思ったのですが……」

P「彼女には、現在交際している男性がおります」

ライラ「?!」

P「正確には、交際しているというか……仲良くしている男性といいますか」

P「ええ。はい。家柄ですか。そうですね……日本の大財閥櫻井家とパイプを持っていて、西園寺家や涼宮家とも面識があります」

P「……そうですね。彼自身は、そんな事を気にせず彼女を幸せにしたいと思っています」

P「ですからライラのお見合いにつきましては、以後心配がないと申しますか」

P「ライラ自身もあまりよく思っていなかったらしく……はい。わかっていただけましたか。ありがとうございます。では」

ライラ「P殿……嘘はいけないでございますよ」

P「何も嘘なんか言ってないさ」

ライラ「ならばそんなお方、一体どこにいらっしゃるですか」

P「ここにいるだろ」

ライラ「……はい?」

P「だから、俺だよ」

ライラ「……おぉ、なるほど。確かに嘘は言ってなかったでございますです」

P「まぁ、多少強引な手段を使ってしまった感は拭えないが……」

ライラ「でも、よろしいのでしょうか」

P「何が?」

ライラ「パパの事ですから、その男性を家にお呼びしたいと言い出すかもしれませんし」

P「その時は腹くくるしかないな。まぁ、あっちは俺の顔とかも知らないだろうし何とかなるだろうよ」

ライラ「……P殿にご迷惑をかけてしまいました」

P「いいんだよ。これぐらい。それに俺、嘘は言ってないって言っただろ?」

ライラ「……?」

P「ライラを幸せにしたい。それも嘘じゃないからさ」

ライラ「あ……」プイッ

P「どうかしたか?」

ライラ「その……P殿の顔を見ると、その、恥ずかしいと言いますですか」

P「……いや確かに臭い台詞言ったけども」

ライラ「と、とにかくその。今日はありがとうございましたです。ご馳走様でした!」ダッ

P「あっ、おいライラ!?」

ライラ「……はぅ」

ライラ「何か変なのでございますです。アイスを食べたのに、顔が熱いです」

ライラ「……ライラさんは風邪を引いてしまったのでしょうか」

ライラ「うーん、うーん……?」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

光「……ちひろさん」

ちひろ「なぁに?光ちゃん」

光「ヒーローにはやっぱりさ、相棒が必要だと思うんだ」

ちひろ「そうかしら?」

光「ああ。絶対に必要なんだ。必要なんだけど……」

ちひろ「だけど?」

光「……P以上の相棒が、アタシにはいないように感じるんだ」

ちひろ「麗奈ちゃんとかは?」

光「レイナは……ライバルだし、何か違う」

ちひろ「じゃあ千佳ちゃんは?」

光「……千佳とアタシが目指しているものも、何か違う」

ちひろ「じゃあ武内Pさんは?」

光「……むしろ悪役なんじゃないかと、最近は思う。この前仁奈に泣かれてたし……」

ちひろ「……光ちゃん、それって私思うのだけど」

光「?」

ちひろ「それは相棒というよりも、恋人に近いんじゃないかしら」

光「……ふぇ?!」

ちひろ「だって考えてもみて?」

光「う、うん」

ちひろ「今この事務所にPさんはいないわけだけど、光ちゃんはどう思ってる?」

光「……寂しい」

ちひろ「心配、とか。あいつは元気にやっているハズだ。とかじゃなくて?」

光「そ、それも思う。けど……相棒がいないのは、やっぱり寂しい」

ちひろ「……変じゃないかしら。一番最初に、寂しいっていう感情が来るのは」

光「だってずっと一緒にいたんだ。そんな相棒が急にどこかにいなくなったら寂しいって思うだろう?」

ちひろ「本当?じゃあ私がどこかに行ったらそう思う?」

光「……多分、あまり思わない」

ちひろ「それはそれで悲しいけど……そういう事なのよ」

光「うーん……?」

光「……わからない。自分の気持ちがわからない」

光「寂しい。うん、寂しい……」

光「……」

光「うがー!」

拓海「うわっ!?どうしたんだよ急に!」

光「あ……拓海姉」

光「教えてくれ拓海姉!恋ってなんだ?!」

拓海「はぁ?恋ぃ?」

光「最近、拓海姉は恋を知って魅力的になったと主にのあさんが言ってたから教えて欲しいんだ!」

拓海「(のあの野郎……)」

拓海「あー……なんだ。最初はやっぱり、自分の気持ちを認められねぇもんなんだよ。恋ってのは」

光「ふむふむ」

拓海「簡単に言やぁ、『これは違う』『こんなの自分らしくない』とか思っちまうんだよな」

光「……う、うん」

拓海「でも、その状態でいつでもどこでも相手の事を思ってしまうってのは末期だな。言葉では否定してるけど、心は完全に恋してる」

光「……」

拓海「そうなったら自分の気持ちを認めちまうのが一番楽だな……ってどうした光。何か変な顔してるぞ」

光「……拓海姉。アタシ」

拓海「おう」

光「さっき拓海姉が言ってくれた事を踏まえた上で……間違いなくPに恋してる……」

拓海「……お、おう」

光「ど、どどどど、どうしよう拓海姉!何か恥ずかしい!凄く恥ずかしいんだ!」

拓海「アタシも最初はそうだったからなぁ……そんじゃ光、その恥ずかしさを消す素晴らしい言葉を教えてやろう」

光「な、何ですかっ!?」

拓海「アタシの言葉を続けるんだ。いいな?」

光「う、うん!」

拓海「アタシは」

光「アタシは!」

拓海「Pの事が」

光「Pの事が!」

拓海「好きだ」

光「―――すすすっ、好き屋!」

拓海「……」

光「拓海姉!更に恥ずかしくなってきた!!どうしてくれるんだ!!」

拓海「こりゃ本気でアレだな……光、ここに行って来い」スッ

光「ここか?ここに行けば何かわかるのか?」

拓海「ああ、ここにお前の求める答えがあるハズだぜ」

光「何か今の凄くライバルの台詞っぽい……拓海姉、もう一度言ってくれ!」

拓海「あのなぁ……」

カランコローン

光「ここにアタシの求める答えが……」

P「いらっしゃい。光」

光「なっ……Pじゃないか!?大丈夫か!?どこも改造されたりはしてないか!?いやむしろ改造されててくれないか!?」キラキラ

P「残念ながらされてない。拓海から連絡はもらってる。俺に聞きたい事があるんだって?」

光「えっ、あ、いや、その……」

P「……?」

光「……な、何でもない。それより、Pと再開できてアタシは凄く嬉しい!」

P「俺も嬉しい、けど何でもなくないだろ。何があった」

光「……聞くのか。聞いてしまうのか」

P「ああ」

光「実はな……アタシはどうも、拓海姉が言うにはPに恋をしているらしいんだ」

P「……うん?」

光「それで……えっと……こうしている今も、Pの顔を見るのが少し恥ずかしくて会話が大変なのはわかってくれるか?」プイッ

P「ああ。そこまで露骨に顔を背けられたらな」

光「それで、Pならこれを治せると拓海姉が言うから……」

P「……あいつなぁ。無茶振りしてくれるじゃねぇか……」

光「それで?アタシはどうすればいい?アタシは今までみたいに普通にPと会話ができるようになりたい」

P「……それは難しいかもしれないな」

光「ど、どうして?もしかして、アタシがPに恋をしてしまっているからか!?」

P「ああ」

光「だ、だったら恋をしないようにする!これならどうだ!」

P「じゃあ光、俺の顔見て」グイッ

光「……あ、う」

P「……」ジーッ

光「……無理、無理だP……こんなの……」カァァァ

P「ヒーローに無理はないんじゃないのか?」

光「ヒーローにだって……勝てないものぐらいある……」

P「つまり、恋っていうのはそういうものなんだよ」パッ

光「う……」プイッ

P「ただ、俺と普通に会話したいということであればできなくはない」

光「本当か!?」

P「ああ。本当なら簡単なハズなんだ。ただお前には凄く難しい」

光「教えてくれ。普通なら勝てない壁を乗り越えてこそのヒーローだ!」

P「……受け入れる」

光「え?」

P「その気持ちを、受け入れるって事だ」

光「受け入れる?受け入れているぞ!アタシは!」

P「じゃあ俺の事が好きだって言えるか?(うっわ、なんだこの台詞……)」

光「アタシは!Pの事が!す、すすすす……好きら!どうだ!」

P「言えてないじゃねぇか……」

光「い、今のは少し噛んだだけ!次はいける!」

P「いや、わかった。お前が拓海以上に厄介なのはわかった」

光「拓海姉以上に……?」

P「そもそもお前、恋自体が何なのかわかってないだろ」

光「……い、いや、知ってる。あれだ、あの、よく落ちるやつ」

P「……仕方ないな」

光「な、なんだ?」

P「光。これから、暇があれば俺のところに来い。俺がお前に恋を教えてやる。つまり、南条光パワーアップ計画だ」

光「パワーアップ計画か……望むところだ!」

P「とりあえず今日のところは何か食って帰れ。今のお前には、まず一人になる時間が重要だ」

光「ああ!わかった!」

光「ふふふ、パワーアップ計画か……ワクワクするな」

光「つまり、これからはほぼ毎日Pと顔を合わせられ……あれ?」

光「……」

光「アタシ……Pと会う方が、楽しみになってる……?」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+1

速水奏+2

奏「んー……ちゅっ」

P「……」

奏「ふふっ。今日の分は、これでお終い」

P「なぁ、奏」

奏「なぁに?Pさん」

P「どうしてこのタイミングで今日の分をするわけ?」

凛「……」

まゆ「うふふ……」

ありす「……」ブツブツ

雪美「……」ジーッ

幸子「……ブラックコーヒーです。どうぞ」コト

のあ「ありがとう」グイッ

奏「何というかね。Pさんの唇は私のものだって言いたかったから」

凛「Pさんの唇はみんなのものだよ、奏さん」

P「いや、俺のだからな?」

まゆ「というか……どうしてPさんは奏さんとの約束を律儀に守ってるんですかぁ?」

P「俺が悪いのは事実だし、俺にできる範囲での願い事だったからさ」

まゆ「ふーん……本当はPさんも楽しんでるんじゃないですかね?」

P「そんなワケないだろ」

まゆ「じゃあじゃあ、まゆにもしてくださいよ。毎日一回、キス」

P「いいぞ?」

まゆ「冗談ですって……へ?」

P「だから、いいぞ。今するか?」クイッ

まゆ「あ……えと……その」

P「……冗談だよ」スッ

まゆ「はぅ……ざ、残念です」

奏「……Pさん、今本気でしようとしてたでしょう」

P「そんな事は」

奏「罰として今日の分一回追加。というか、私が一回じゃ物足りなくなってきた……ん」

P「……ん」

凛「幸子、ブラックコーヒー。ホント今すぐ持ってきて」

幸子「ジョッキで持ってきますね」

P「……」

奏「ふふっ。ごちそうさま」

P「奏。あのさ、話があるんだけど」

奏「何?」

P「たまには俺からもさせてくれないか?」

ありす「何を言っているんですかあなたは」

P「いや、これには事情があってだな」ボソッ

ありす「?」

P「一度、俺が本気でキスしてやれば懲りてしてこなくなるんじゃないかと思ってな」

ありす「……一理ありますね。許可しましょう」

P「何でお前に許可されなくちゃいけないのかわからんが……奏、いいか?」

奏「構わないけど……ふふっ、Pさん、キスが得意なの?いつも私にやられっぱなしじゃない」

P「……まぁな。目、閉じろ」

奏「えぇ……ん」

P「ん……レロッ」

奏「んんっ!?ん、ふ……」ビクッ

P「……チュルッ、んっ……」

奏「ん……れる……ふ……」フルフル



凛「う、わ……」

まゆ「あれが……Pさんの本気のキス……」

奏「ぷはっ……はっ、はっ……」

P「……どうだった?」

奏「……ご、ごめん。今日は帰らせてもらうわ」

P「そうか。また明日な」

奏「うん、そ、それじゃ」ダッ

ありす「効果覿面みたいですね」

P「だな。ふぅ、緊張した」

雪美「……P」

P「なんだ?」

雪美「私にも……」

P「……いやいや」

幸子「ず、ずるいですよ。ボクにもしてください!」

P「しねぇから。あれは今回だけだっての」

のあ「……本当に、今回だけになるのかしら」

―――翌日―――

カランコローン

奏「……」

P「おう、奏。いらっしゃい」

奏「あ、あのね、Pさん。相談なんだけど」

P「なんだ?(よし来たか)」

奏「その……」


奏「今日からはPさんから、1日1回キスして欲しいな、って……」


P「ああ……え?」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

真奈美「……ふむ」

ちひろ「真奈美さん。お疲れ様でした」

真奈美「ああ。ちひろさん。お疲れ様」

ちひろ「今日も一段と似合っていましたね。執事役」

真奈美「似合っていると言われて悪い気はしないが、私も女だからね。少し複雑かな」

ちひろ「ははは……すみません」

真奈美「構わないさ。それよりちひろさん。来週、私はいつ休みだったかな」

ちひろ「ええと……水曜日ですね」

真奈美「そうか。なら、ちょっと行ってみたいところがあるんだが案内してくれないか」

ちひろ「どこでしょう?」

真奈美「なぁに……ただの喫茶店さ」

ちひろ「……えっと」ダラダラ

カランコローン

真奈美「お邪魔するよ、P君」

P「ま、真奈美さん!?」

真奈美「……どうした?鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして」

P「い、いえ……何でも」

真奈美「ホットコーヒーをいただけるかな。ブラックで」

P「かしこまりました」

真奈美「……なかなかいい店を構えたじゃないか、P君」

P「ありがとうございます」


すみません。そろそろバイトなので今日はこの辺で失礼します。

明日も更新予定です

こんばんは。

木場さんからです。

P「……あの」

真奈美「なんだい?」

P「怒ってます?」

真奈美「もちろん」

P「ですよね……」

真奈美「夢を叶えられるとはいえ、君は今までやっていた事を中途半端に投げ捨てたんだ。当然だな」

P「……」

真奈美「まぁ、とはいえ」

P「え?」

真奈美「私自身……実は君に手を出すほど怒っているわけではない」

P「よかった……」

真奈美「なんだ。殴られるかと思ったか?」

P「それだけの事をしましたから」

真奈美「……自覚があるなら何故、と問いたいところだが、ここに来てなんとなくわかったよ。ここが、君が自覚や自責を越えてまで造りたかった場所なんだな」

P「……はい」

真奈美「なら私からはもう何も言うまい。それに、君にも私たちと同じように夢を追いかけ続ける権利があるハズだからな」

P「……ありがとうございます」

真奈美「よしてくれ。お礼を言われるような事じゃないさ」

P「それでも……俺がいなくなった後、武内Pがやってくるまで貴方はあいつらの世話をしてくれたんでしょう?」

真奈美「大した事じゃない」

P「いいえ。それがどれだけ大変かは、プロデューサーをやっていた自分が一番よくわかっています」

真奈美「……実は私こそお礼を言いたいんだ」

P「え?」

真奈美「君がいなくなって……彼女達と深く関わって……私が、本当にやりたい事を見つけた」パサッ

P「……ボイストレーナー?」

真奈美「ああ。私がアイドルをする前、スタジオボーカリストの仕事をやっていたのは知っているかい?」

P「ええ。もちろんです」

真奈美「その時、私は『歌う事の素晴らしさを誰かに伝えたい』、そう思っていた。だから君からのアイドルのスカウトにも、了承した。方向性は一緒だと思ったからね」

真奈美「だが、最近になってそれも限界が見えてきた……当たり前だ。私達が相手をするのは、ファンなのだから」

真奈美「だから迷っていた時に、君が辞めて、私がみんなの面倒を見る事になった」

真奈美「そうして気付いたんだ。私はこうした事をやりたかったんだと」

P「……なるほど」

真奈美「君が夢を追いかけたように、私も夢を追おうと思う」

P「……つまり、アイドルを辞めると」

真奈美「今すぐにとは言わないさ。ただ、いずれはそうなるだろうな」

P「……実際に夢を追いかけた俺からは、何も言えません」

P「ですが……頑張ってください。応援、しています」

真奈美「……君ならそう言ってくれると思っていたよ」

真奈美「さて、そろそろ帰ろうか。家で勉強もしたいのでね」

P「木場さんが勉強するなんて珍しいですね」

真奈美「一応、な。備えあれば憂いなしだ」

真奈美「そうだ。……時々、勉強のためにここを使わせてもらっていいかな。落ち着くんだ、ここは」

P「もちろんです。喜んで歓迎しますよ」

真奈美「ありがとう……それじゃあ、また」

P「はい。また」


夢を追うこと。

それは、何かを犠牲にする事。

俺もあの人も、そうやって生きていく事に決めたから。

俺は、あの人を心から応援したいと、思うのだった。


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

カランコローン

P「はい。いらっしゃいませ」

つかさ「……悪くねぇな」

P「はい?」

つかさ「ああ、気にすんな。コーヒー一杯。アイスで」

P「ミルク等はどうしますか?」

つかさ「あー、いらねいらね。デザイン仕上げるのに深夜まで起きてたからねみーんだわ」

P「かしこまりました」

つかさ「……なぁ、お前さ」

P「何でしょうか」

つかさ「もしかしてここのマスターだったりするワケ?」

P「ええ。まぁ」

つかさ「へー……なかなか出来た人間ジャン?あたしが初対面の人間にこんだけ失礼な口叩いてるのに嫌な顔一つしねぇ」

P「色々な人間を相手にしてきましたから」

つかさ「なるほどねぇ……更に気に入ったわ」

P「光栄です」

P「どうぞ」コト

つかさ「……いい豆使ってんな。どこの?」

P「お客様は先ほど、眠気を覚ますためにコーヒーを飲むとおっしゃっていましたので、風味や味がしっかりしているアフリカ産のものを使用させていただきました」

つかさ「……客一人一人に合わせて淹れてんのか?」

P「そういうワケではないですが、聞こえてしまったものですから」

つかさ「気も利くときた……よし、決めた」

P「はい?」

つかさ「お前、うちに買われねぇか?この店ごと」

P「……それは、どういった意味でしょう」

つかさ「申し送れたけど、あたし、こういうものなんだわ」

P「……桐生エンタープライズ社長、桐生つかさ様……ですか」

つかさ「そ。女子高生で社長やってる」

P「……それで。その社長様がうちを買うとは一体?」

つかさ「その通りの意味だよ。お前が、いや、この店とお前がアタシは欲しい」

P「……」

つかさ「金ならいくらでも積むさ。そんだけ価値がある。どう?」

P「せっかくですが、お断りします」

つかさ「……迷いがねぇな。何でだ?」

P「この店に、価値はつけられないからです」

つかさ「ありきたりな台詞だな。そんで?」

P「ああいや……お金的な価値ならつけられますよ。500万も行かないくらいでしょう。実際そのぐらいでしたし」

つかさ「じゃあなんで売れないんだ?金的な価値以外の価値って何だ?」

P「じゃあ逆にお尋ねします。貴方のカバンについてる、その似つかわしくないストラップは一体いくらつめば売っていただけますか?」

つかさ「……これは、売れねぇ」

P「でしょうね。大切にされているもののハズですから」

つかさ「どうしてそんな事わかんだよ」

P「何度も修繕を試みている部分がありますから」

つかさ「……一目見てそこまで見抜いたのか。タダモンじゃないね、お前」

P「貴方のそのストラップと同じように、この喫茶店には……言うならば、時間的な価値があるんです」

つかさ「時間的な価値、ねぇ。そりゃ買えねーワケだわ」

P「人間が一番欲しいものですからね」

つかさ「ちげーねぇ。悪かったな、変な事言って」

P「いえいえ。それだけここを気に入っていただけたという事ですから」

つかさ「……帰る前にマスターに一つ頼みがあんだけどよ」

P「なんでしょうか」

つかさ「あたし、今迷ってんだよ。このままでいいのかって」

P「ほう」

つかさ「だからさ、何かアドバイスしてくんね。そうしたら何か閃くかもしんねーし」

P「お断りします」

つかさ「……いや何で?ここはしてくれる流れじゃねーの。急に気弱になった美少女が目の前にいるんだぜ?」

P「私からの意見を申し上げてもよろしいでしょうか」

つかさ「おう」

P「私は貴方は、他人の意見を気にせず自分の道を歩くことができる人間に思えます。だからこそ、社長になれた」

つかさ「ああ。そうだ」

P「でしたら私の意見なんかもどうせ気にしないでしょう。だから言っても無駄だと思いまして」

つかさ「……ははっ。言うじゃん」

P「それに……他人の意見に流される人より、自分の足でまっすぐ歩く人の方がかっこいいと思いますから」

つかさ「……マスターってば出来すぎな人間だな。マジで欲しくなってきた」

P「非売品ですがね」

つかさ「さっきも聞いた。んじゃ、また来るわ」

P「ええ、お待ちしております」

つかさ「……あ、もしもしー。ああ、そのデザインの件さ、その新人デザイナーに任せてやれ」

つかさ「はぁ?ババアがやらせろって言ってきてる?んなの無視無視」

つかさ「アタシが見込んだやつだから絶対大丈夫だって。じゃな」

つかさ「さ、てと」

つかさ「……どうにかしてアイツ、アタシのものにできねぇかな。金じゃ絶対動かねぇしなー」

つかさ「まさかアタシが本腰入れるとはアイツも思ってねーだろうしな……目に物を見せてやろうじゃねーの!」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+4

速水奏+3


―――どうして、あんな約束をしてしまったのだろう。

P「キス封印デー?」

奏「ええ」

P「ってことはなんだ。お前が来るたびの一回とか、全部のキスを明日封印するのか」

奏「そういう事になるわね」

P「それ、お前、大丈夫か?」

奏「どういう意味よ」

P「いや、俺は絶対に平気だけど、お前が辛いと思うし」

奏「あら、随分自信満々ね。最近はあなたからしてくれる事が多いのに」

P「あれはお前がそう言ったからだろ」

奏「とにかく。明日はそうするから、いいわね」

P「はいはい。俺としては願ったり叶ったりだね」

奏「……」

―――次の日―――

奏「おはよう、Pさん」

P「朝から来るなんてな。早くもギブアップか?」

奏「冗談。サンドイッチとミルクティーをいただけるかしら」

P「かしこまりました。朝は雪美がいないから、俺が作る事になるけどいいか?」

奏「もちろん。そっちの方が嬉しいわ」

P「やっぱ女性でも男性からの手料理って嬉しいものなのか?」

奏「当然ね。今度他の子にもやってみたらどう?」

P「雪美がさせてくれないんだよ……ここは私の戦場だとか言ってさ」

奏「……そうね。女性にとって、キッチンは戦場だものね」

P「……」

奏「はむ……ん……」ペロッ

P「……」

奏「ん……美味しい……」

P「それもお前の作戦か?」

奏「何が?」

P「いや……」

奏「ふふっ。Pさんの手で作ったサンドイッチを食べるっていう事は、間接的にPさんの手にキスしてるっていう事になるわね」

P「いやまぁ、そうなんだけどさ」

奏「もしかして、したくなっちゃった?」

P「いんや」

奏「……そ」

奏「……」ジーッ

P「はい、ココア」

ありす「……私、コーヒーを頼んだんですけど」

P「お前飲めないじゃん」

ありす「……まぁいいです。ココア、好きですから」

奏「……むぅ」ジーッ

まゆ「Pさん……キスしませんかぁ?」

P「いいぞ。ほら、目、閉じろ」クイッ

まゆ「あっ、えっ」

P「……お前ホント、攻められると弱いな」

まゆ「……Pさんがここまで積極的になったのは、やっぱり奏さんのせいなんでしょうか」

奏「……はぁ」

P「どうした。ため息なんてついて」

奏「何でもない……」

P「もしキスしたくなったら言えよ?」

奏「今日はキス封印デーに……決めたんだもん」

P「……(キャラ崩れるくらい辛いのか)」

奏「結局……Pさんから今日はキスしてくれなかった……」

奏「私も結局凄く辛いだけだったし……もう二度とやんない……」


キスを封印してわかったコト。

1 Pさんとのキスに依存している私がいるコト。

2 キスしなかった次の日は、凄く自分のコンディションが低いコト。

3 それだけ、Pさんが好きだというコト。

―――更に翌日―――

奏「んー♪」

P「……ん、む」

奏「ふ……レロッ」

P「ぷはっ、た、タンマ!」

奏「どうしたの?」

P「どうしたのじゃねぇよ。今お前、舌入れてきただろ」

奏「気のせいよ。気のせい」

P「気のせいなワケあるか!」

奏「じゃあきっと、昨日キスを封印したからね」

P「……」

奏「そうそう。やっぱり私がキツイからキス封印デーは無しにするわ」

P「一晩で随分素直になったな」

奏「それだけ辛かったってコトよ。それじゃ、昨日の分を繰り越してもう一回ね、Pさん♪」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

向井拓海+2

P「……」ニヤニヤ

拓海「っ……この野郎……」

カランコローン

美世「こんにちはー。Pさん。仕事帰りに寄っちゃったけど、席は―――」

拓海「い、いらっしゃいにゃん!P喫茶店にようこそにゃん♪」

美世「あいて……る……」

拓海「……」

美世「……店を間違えましたー」

拓海「待て待て待て美世ぉぉぉぉぉおおおおおお!」

美世「ううんわかってるよ。拓海はやっぱり、そういう属性なんだって事は」

拓海「そうじゃねぇ!これはそうじゃねぇんだ!」

美世「ごめんね……武内Pさんに、報告しておくね」

拓海「やめろぉぉぉぉおおおおお!!」

美世「へー。Pさんのお手伝い」

P「ああ。今日はみんな休みだったからな。拓海に頼んだんだ」

美世「それでどうして拓海はあんな事をするハメになったの?」

P「ああ。それはさ、ちょっとしたゲームを昨日、拓海とやってて。負けた方が何でも言う事を聞くっていう」

美世「(また随分古典的なルールで……)」

P「そんで俺が勝ったのでお手伝いプラス、今日一番最初に来たお客様にアレをやるっていう約束でな。で、美世が来たわけだ」

美世「なるほどねー」

拓海「はぁ……ったく。美世が来た時は心臓が止まるかと思ったぜ……」

美世「いいじゃん、似合ってたよ。あーゆー仕事もやってみたら?」

拓海「ぜってぇやんねぇ。二度とやんねぇ」

美世「もしもし武内Pさん?」

拓海「おいゴルァ」

すみません。落ちます。

次の更新は明日を予定しています。

お疲れ様です
ところでこれ質問なんですが幸子とかのあさんとか働いてる組が指定された場合どうなるんでしょう…
非番の日に客として来るとか?

こんばんは。

今日の更新はちょっと難しくなりましたので報告をば。

>>308 ウェイトレス中でのひと時でもいいですし、おっしゃったように非番の日に客として訪れてもいいかなと考えております

こんばんは。

ブランウェンちゃんは可愛いですね。アイドルにスカウトしたいです。

拓海続きから

拓海「そりゃPが見てぇって言うんなら考えなくもないけどさ……」

美世「……Pさん。拓海ってこんな素直な子だった?」

P「いや、最近になってからだな。具体的にはこの喫茶店に来てから」

拓海「ぐ……いいだろ別に。今まで意地張ってて、言えなかった事が沢山あんだよ……また突然いなくなられても困るし、なら言っておこうと思っただけだ」

美世「あれま……随分と殊勝になって」

拓海「うっせ……」

美世「ま、じゃあウェイトレス拓海ちゃんのお手並み拝見と行こうかな。ハーブティー一つ」

拓海「は?あ、えっと……は、ハーブティー一つ、ですね。か、かしこまりました」

美世「……ぶふっ」

拓海「おい」

美世「だって、拓海が敬語なんて使うから……ついね」

拓海「アタシだって好きで使ってるんじゃねーよ。すげーむずがゆい」

P「ほらよ。ハーブティー」コト

美世「あれ?拓海じゃないの?」

P「拓海は……」チラ


幸子「違います!こうですこう!」ボクカワイイ

拓海「こ、こうか……?」ヨロヨロ

幸子「違います!歩き方はこう!トレーの持ち方はこう!」ボクスゴクカワイイ


P「幸子にレッスンしてもらってる最中だな」

美世「なるほどねー……ねぇPさん」

P「ん?」

美世「今度拓海とここ行ってきなよ」ピラ

P「……温泉宿?」

美世「うん。一泊二日のペア宿泊券」

P「どこでもらったんだ、こんなの」

美世「仕事先でね。お偉いさんにもらったんだけど、あたしは相手がいないから」

P「いや、美世。お前」

美世「あ た し に は 相 手 が い な い か ら。いい?」

P「……わぁったよ。お前、やっぱ優しいな」

美世「あたしはその言葉だけで十分幸せだよ」

拓海「くぅ……幸子のやつめ……」

P「おう、お疲れ」

拓海「あれ?美世のヤローはどこ行った?」

P「ハーブティー飲んで帰った」

拓海「……あんだけからかっておいてあっさりいなくなるんだな」

P「まぁそうだな。ところで拓海、一緒に旅行に行かないか?」

拓海「おういいぜ……って旅行ぉ!?」

P「ああ。ここなんだが」

拓海「いやお前、温泉宿ってその、え?いやその、早過ぎないか?!だってアタシ達、まだ付き合ってすら」

P「お前が何を言ってるのかわからないフリをするから、もう一度聞くぞ。一緒に行かないか?」

拓海「……行く。Pと一緒に行きてぇ」

P「おし、決まりな。それじゃあ休み教えてくれ」

拓海「お、おう」

拓海「(……あいつと旅行かぁ)」ボー

拓海「(そういや行った事なかったな……)」

拓海「(あいつと二人きりなんだよなぁ……)」

拓海「はぁ……」

幸子「拓海さん拓海さん!コーヒー溢れてますってば!!」

拓海「え?うおっ、あっちぃ!」

幸子「全く……Pさんに旅行に誘われて嬉しいのは分かりますが、しっかり仕事はしてくださいね」ボソッ

拓海「……うす」

拓海「(あれ、よく考えたら、もしかして同部屋なんじゃね?)」

拓海「(そ、それはマズいな。色々マズい。主にアタシがマズい。あいつに暴力を振るっちまうかも―――)」

幸子「あー!言った傍からまたですか!」

拓海「え?うわわわわっ!!」

幸子「もー!」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+2

東郷あい+2


ずっと前から知っていたんだ。

君が、私には恋愛感情を抱いていないだろう事を。

でも、諦めきれないんだ。

例え君が私を好きじゃなかったとしても。恋愛対象には見れなかったとしても。

私は、君が好きなんだから。

あい「……ふぅ」

ちひろ「……」

あい「ああ、ちひろさん。こんにちは」

ちひろ「読書中でしたので、声をかけようか迷っていたのですが」

あい「今読み終わったところでね」

ちひろ「そうですか。では、仕事の話をしても?」

あい「ああ。構わない。むしろアイドルとして大歓迎だね」

ちひろ「まず765プロダクションの菊池真さんと共演する映画についてのお話なのですが―――」


あい「(……私も、そうなのだろうな)」

あい「(だからか。ここまでこの本に深くのめり込み、読んでしまったのは)」

あい「(私も結局のところ……諦められないのだろうな)」

>>320

× あい「(だからか。ここまでこの本に深くのめり込み、読んでしまったのは)」

○ あい「(だからか。ここまでこの台本に深くのめり込み、読んでしまったのは)」

脱字です。申し訳ない。

ちひろ「―――仕事については以上になります」

あい「ありがとう」

ちひろ「そういえばあいさん。先ほどまで読んでいた本は……」

あい「私が出演するドラマの原作だよ。主役ではないにしろ、読んでおけば感情が篭りやすいかと思ってね」

ちひろ「珍しくあいさんが女性役として抜擢されたドラマですからね」

あい「それは私に女性的な魅力がないと言っているのかい?」

ちひろ「あ、いえ、そういうワケでは!」

あい「冗談だ。確かに珍しいね。私を女性役、しかもヒロインに抜擢するなんて」

ちひろ「ただ、私も台本に目を通してみて納得しました」

あい「私も原作を読んで納得した。なるほど、確かに私が抜擢されてもおかしくないとね」

ちひろ「頑張ってくださいね。若者に人気の作品らしいですから」

あい「ああ。もちろん全力を尽くすさ」


あい「(……私がこのヒロインと似たような境遇なのだから、尚更ね)」

あい「……」ペラ

君にとって、私は一体何なんだい?

あい「……」ペラ

友人かい?それとも、それ以上の何かかい?

あい「……」

あい「……親友、パートナーか。うまくはぐらかしたものだね、君も」

あい「この台本を見ていると、まるで自問自答しているかのようだ」

あい「君にとって、私は一体何だったんだい?……P君」

あい「……なんてな」

あい「さて、寝ようか……」

あい「……君も、ああやってはぐらかすのかな」

オツカレサマデシター

あい「……ふぅ」

薫「お疲れ様さま!あいお姉ちゃん!」

あい「ああ、薫か。お疲れ様」

薫「薫お姉ちゃん、凄くかっこよかったよ!」

あい「ありがとう。ただこの作品ではヒロインだから可愛いって言って欲しかったかな」

薫「可愛くて、かっこよかった!」

あい「ふふっ。そうか。ありがとう、薫」

薫「きっとせんせぇも可愛くてかっこよかったって言うと思う!」

あい「……何?薫、今君は何と……」

薫「えーっと、せんせぇも可愛くてかっこよかったって……」

あい「P君の居場所を、知っているのか?」

薫「あ!……う、うーんと……秘密」

あい「教えてくれ、薫。頼む、私からの一生のお願いだ!」

薫「ちひろさんに……で、でもあいお姉ちゃんも……」

あい「……頼む」

薫「……うん!わかった!でもみんなには秘密だよっ?」

あい「ああ。もちろんだ」

カランコローン

薫「こんにちはー!」

P「おお、薫か。いらっしゃい」

あい「本当に……P君……なのか……?」

P「……あいさん」

あい「……答えてくれ。本当に、君はP君か?」

P「はい。俺です」

あい「……そう、か」ポロポロ

P「えっ、あ、あいさん!?」

あい「すまない。急に安心したら、涙がね……座って休んでいてもいいかい」

P「え、ええ……何か飲み物淹れてきますね。薫、あいさんを頼んだぞ」

薫「うん!任せて!」

あい「うぐ、ひっく……」


あい「(……この涙は本当に安心したから流れたのか、それとも、悲しかったのか)」

あい「(やはり君の瞳の中に……女性の私はいないんだな)」

あい「……」

P「落ち着きましたか?」

あい「ああ……すまないね。取り乱して」

P「いえ……全部俺が悪いんですから」

あい「……ならP君、この質問に答えてくれないかな」

あい「君がいなくなってから、ずっと考えていたんだ。……君にとって、私は何だい?」

P「俺にとってのあいさん、ですか……そうですね」

P「やはり、カッコイイ女性、でしょうか」

あい「……そうか。やはり君は私の事を―――」

P「それでもって、寝顔が可愛いです」

あい「……へ?」

P「メイド服も似合ってました。あいさんに持っていたイメージが変わった瞬間ですね」

あい「……ま、待ってくれ」

P「待ちません。実は部屋に少女漫画を沢山隠し持っているところも、意外性があって可愛いです」

あい「な、なんでそれを知っている!?」

P「それでいて、普段は自分が男性らしい事を気にしつつも、みんなが見てないところで悩んでいたり」

P「あいさんは、そんな、うちのアイドルです」

あい「……ああ、やっぱりダメだ」

あい「(……そうか。最初から君は私を見ていてくれたんだな)」

あい「(アイドルとして、一人の女性として。それは私が見つけられないわけだ。私を女性として見てくれている彼の瞳を)」

P「何がでしょう」

あい「P君」

P「はい?」

あい「……好きだ」

P「……唐突ですね」

あい「君が私をどう思っていようが構わない。好きだ。好きなんだ。P君、好き……」コツン

P「……えっと」

薫「……」ドキドキ

あい「……P君からも……言ってくれないか……好きだって、あいの事が好きだって」

P「……それは、すみません」

あい「……むぅ。少しくらい、いいじゃないか……減るようなものでもないのに」

P「下手すれば物理的に俺の命が減るんです」

あい「……意気地なし。馬鹿。甲斐性なし」

P「……」

あい「でも好きだ……ふふっ」

あい「コホン」

P「……」

あい「あー。P君に薫、先ほどまでの事は忘れるように」

P「嫌です」

薫「やー」

あい「忘れてくれ!頼むから!」

P「だって……なぁ?あんなに可愛いあいさん、見た事なかったから」

薫「ねー♪」

あい「ぐ……私も、まさか自分がこういう性質だとは思ってなかったさ」

P「でもああいうあいさんも、俺は好きですよ」

あい「ななな、何を言っているんだ君は!私は帰るからな!」

薫「あいお姉ちゃん、帰っちゃうの?」

あい「……薫も帰るんだ、一緒に。次のドラマの撮影に備えて読み合わせをしよう」

薫「えー!あ、あいお姉ちゃん待ってよー!せんせぇ、またねー!」

P「あ、ああ」

薫「あいお姉ちゃん」

あい「なんだい、薫」

薫「せんせぇに、可愛いって言われてよかったね!」

あい「……っ、あ、ああ。そう、だな」

薫「あれ?あいお姉ちゃん、顔赤いよ?」

あい「泣いてしまったからだ……気にしないでくれ」

薫「ふーん……」

あい「(……困ったな。ああ、困った)」

あい「(これじゃあ、こんな幸せな気持ちじゃ―――あのドラマの悲劇のヒロインは、演じられないじゃないか)」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

比奈「……」

比奈「……あ、漫画、描かなきゃ……締め切り……」

比奈「……」

比奈「……」カキカキ

比奈「っ!」ケシケシ

比奈「どうして……あの人の笑顔ばっか描いてんスか……アタシ……」

比奈「……アタシは」

比奈「アタシは……メインヒロインにはなれないんスか……Pさん……」

友紀「比奈ー!差し入れ持ってき……」

比奈「」チーン

友紀「比奈ー!?ちょ、比奈!?」

比奈「……締め切り……過ぎて……」

友紀「だ、誰かー!比奈が、比奈が死んじゃうよー!」

比奈「ははは……これで死ねるなら本望ッス……がく」

友紀「比奈ぁー!」

瑞樹「二人とも、何をしているの?」

友紀「あ!瑞樹さん!比奈が、比奈が!!」

瑞樹「……ただの空腹ね。何か食べやすいものを作るから少し待ってて」

友紀「比奈ぁー!死ぬなー!」

比奈「ありがとうございまス……」

瑞樹「アイドルの仕事と趣味の両立は大変だけれど、ちゃんとご飯は食べなくちゃダメよ」

比奈「そうッスね……今回の事で身に染みました」

友紀「まー、死ななかったしいいじゃん」ケラケラ

瑞樹「友紀ちゃんも……あんまり悪乗りしないように」

友紀「わかってまーす」

瑞樹「……あなた酔ってるでしょ。また飲んできたの?」

友紀「酔ってない酔ってない。これがいつものアタシのテンションなの」

瑞樹「どうだか……」

比奈「……はーぁ。なんだかんだで初めてッスよ。締め切りに間に合わなかったの」

瑞樹「詳しくは知らないけれど、漫画を描いているのよね?」

比奈「ええ……漫画とはちょっと違うかもしれませんが、漫画ッス」

瑞樹「締め切り間に合わなかったって平気なの?」

比奈「ヤバイッスよ……ただどうも、漫画描いてると……」

友紀「あれ?これPさんのイラスト?」ガサガサ

比奈「ちょっ、友紀さん!ゴミ箱なんか漁らないでくださいよ!」

友紀「これもこれもこれも……全部Pさんじゃん」

比奈「……」カァァァ

友紀「もしかしてこれ描いてて漫画描けなかったのー?」

比奈「……そうッスよ!あの人がいなくなってから、ずーっと漫画が描けなくて、代わりにそんなのばっか描いちゃうんッス!」

瑞樹「(……これは)」チラッ

友紀「(重症かもねぇ……瑞樹さんの乙女病と一緒で)」チラッ

瑞樹「(……そうかもね)」

友紀「じゃあ比奈!今日は飲みに行こう!ぱーっと!」

比奈「……今日は、というかほぼ毎日飲み会してるじゃないッスか」

友紀「まーね」

比奈「はぁ……わかりましたよ今日はアタシも付き合いまスよ」

友紀「そう来なくっちゃね。瑞樹さんも来るー?」

瑞樹「あたしは……いいわ。部屋でゆっくりしてる」

友紀「そっか、残ー念」

比奈「(8時に現地集合……とは言ったものの)」

比奈「まだ誰も来てないッスね……」

比奈「しかもここ、喫茶店じゃないッスか。普通居酒屋とかじゃ……」

比奈「……P、喫茶店」

比奈「……まぁ、大方名前が一緒だから友紀さん達も気に入ったんでしょう」

比奈「中に入ったらPさんがいた、みたいな王道漫画的展開はあるワケないでスし」

比奈「……そ、それにしても寒いッスね。み、みんなが来るまで待ってると凍えちゃいそうッスよ」

比奈「でスから、中に入って待ってることにしまッス。そう、それが普通ッスから」

比奈「お、お邪魔しまース……」

カランコローン

P「今日来られないって……いやお前、この酒どうすんだよ。結構取り寄せるの苦労したんだぞ?」

P「え?今から来る人とサシで飲んでって……料金は払う?いやいや、そこじゃなくてだな」

P「確かにお前がワインなんて珍しいもの頼むなとは思ったけどさ、何を企んで―――ってオイ!」

P「……はぁ。一体誰が来るっていうんだよ」

P「言い方からして友紀じゃねぇし……」

カランコローン

P「おう、いらっしゃい」

比奈「―――え?」

P「……比奈?」

比奈「本当に、Pさんッスか?」

P「え、ああ……そうだが」

比奈「……ええっとアレッスね。色々言いたい事があったけど、いざこうして対面してみると何言おうとしたか吹っ飛ぶっていう……」

P「ま、まぁ、座れよ」

比奈「う、ウッス」

P「……」

比奈「……」

P「……その、な」

比奈「はい……」

P「……ごめん」

比奈「いえ……別に……」

P「……」

比奈「……」

比奈「……あの」

P「なんだ……?」

比奈「……何でもないッス」

P「おう……」



友紀「気になってきてみたらなにこの空気」

瑞樹「わかるわ……」

P「……そ、そうだ。せっかく来たんだし、何か飲んでかないか」

比奈「……いえ、友紀さん達が来てから」

P「あいつらは今日来ないぞ?」

比奈「へ?」

P「今日の予定はキャンセルするって……」

比奈「えええええ?!じゃ、じゃあアタシ、帰りまス!帰らせていただきまッス!」

P「待て待て待て!頼むから待ってくれ!」グイッ

比奈「な、何スか」

P「そんな顔したお前を帰せるかよ」

比奈「あ……う……」カァァ

P「とりあえず、何か飲みながら話そう。今日は貸切って事になってて、お客様も来ないだろうから」

比奈「……はい」

P「紅茶でいいか?」

比奈「……いえ、お酒を」

P「……本気か?」

比奈「そもそも今日は飲むために来ましたし……大丈夫ッス」

P「(……あいつら、ここまで考えてワインを……?)」

P「じゃあ……これ」コト

比奈「……ワインッスか。しかもこれ、相当高い奴じゃないんスか?」

P「あいつらが飲みたいって言ったから取り寄せたんだ。料金は払うらしいから、どんどん飲んでいいぞ。つーか俺も飲む」

比奈「いいんスか?」

P「いいんだよ。客は比奈一人だろうから」

比奈「……じゃあ、いただきまス」

P「おう……」

比奈「……んく……美味しいッスね、これ……飲みやすいというか」

P「苦労して手に入れた価値があったよ」

比奈「……あの」

P「ん?」

比奈「プロデューサーは……アタシをアイドルにしてくれました」

P「本当にしてやれたのかは疑問だけどな」

比奈「いいえ、プロデューサーがしてくれたんッス……アイドルに……シンデレラに……」

比奈「なのにどうして……プロデューサーは、そのガラスの靴を割ったんスか……」

P「……」

比奈「アタシは……アタシに魔法をかけてくれた魔法使いに、恋をしてしまったんス」

比奈「でも……物語の通り、魔法使いさんはどこかに消えてしまうんス……お礼の一つも言えずに」

P「……」

比奈「もし魔法使いさんにもう一度会えたら……聞きたい事があったんでス」

P「何だ?」

比奈「アタシに、もう一度、魔法をかけてくれませんか?」

P「……」

比奈「……」

P「俺は……魔法をかけない」

比奈「……どうして、ッスか。アタシは自信がないんス。Pさんが近くで魔法をかけてくれなければ、アタシはダメな人間なんッス。漫画の原稿は落とすし、今日だってPさんの事ばっか考えて……」

P「……魔法を言い訳にするなよ」

比奈「な……」

P「お前が失敗するのは、お前のせいだ。魔法をかけてもらえないからじゃない。そこを間違えるな」

比奈「……酷いッス、Pさん」

P「だけど―――」ギュッ

比奈「え?」

P「魔法はかけられないけど、普通の人間としての俺なら、近くにいるから。お前が失敗したら、支えてやることぐらい、魔法がなくたってできるから」

P「それじゃダメか?」

比奈「……それでもアタシは魔法が欲しいッス」

P「……そうか」

比奈「だから……一時的でもいいんで、魔法をかけて欲しいッス。この唇に」

P「……いいのか?」

比奈「Pさんなら構わないッス。最初からあげるつもりでした」

P「……目、閉じろ」

比奈「……はい」

比奈「んっ……は……」

比奈「ふふっ……この魔法があれば、きっと大丈夫ッス。アタシはまた、シンデレラになれまス……」

P「それはよかった」

比奈「……素敵な魔法をありがとうございまス。Pさん」

比奈「それに……友紀さんと、瑞樹さん」クルッ


友紀「あれ、バレてる?」

瑞樹「いいムードだけどお邪魔しちゃっていいのかしら?」

友紀「ま、呼ばれたからには行かないとねー!やっほー!」


P「なっ、お前らいたのか!?」

友紀「あたしにもそのワインちょーだい!」

瑞樹「私もいただくわね」

P「……あのなぁ」

比奈「ふふっ……」


シンデレラにかけられた魔法は、12時で消えた。

今アタシの中にあるのは、一人の、荒木比奈にかけられた魔法。

それは12時を回っても解ける事のない、恋の魔法。


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

今日はちょっとしたアンケートみたいなものも取りたいのでここらで更新を終わります。

それと、次の更新は『妖子荘』の方の更新もしたいので、一週間後あたりになると思います。

ではアンケートをば



奏を書いていて思っていた事なのですが、このままいくと親愛度+4以降に、R-18的展開になる事も予想されます。

ここでアンケートなのですが、このSSにちょっとしたR-18要素を入れた方がいいでしょうか?

具体的な考えでは、+4で前戯(本番無し)、+5で本番 やら色々考えてはいるのですが……

皆様のご意見をお聞かせ願いたいです。よろしくお願いします。

生存報告です。

短編やら他の長編更新したりでこっちは手をつけてませんでした。

皆様ご意見ありがとうございました。R-18要素についてですが、無しの方向で行きたいと思います。

明日更新予定です。

こんばんは。

ゆっくりですが更新していきます。

私に足りなかったもの。

表現を、楽しむこと。

それをあなたは教えてくれました。

だけど、時々思うのです。

表現を楽しめたのは―――あなたが傍にいたからじゃないかって。


そして、それは本当の事だったと、今回の事で気付かされました。

たった一人で表現する事、それは昔の私のバレエ。

長くなんか、続かない。

―――レッスン場―――

穂乃香「っ……」ドサッ

柚「ホノカちゃん!」

穂乃香「大丈夫、大丈夫です……」

柚「全然大丈夫じゃないよ!今日の練習だけでもう、三回も転んでるっ!」

穂乃香「……ごめんなさい」

柚「……謝るコトじゃないよ」

穂乃香「……最近、上手く体が動かないの」

柚「きっと沢山練習してるから、疲れてるんだっ。休憩にしよっ、休憩!」

穂乃香「……」

柚「ホノカちゃん……?」

穂乃香「……ううん、続けましょう」

柚「だ、ダメだよ!ケガしてからじゃ遅いんだよっ!!」

穂乃香「でも……ライブ……」

柚「ケガしたらライブも何もないからっ、ほら休んだ休んだ!」

柚「……これ以上、大切な人を、失くしたく、ないんだっ」

穂乃香「柚……」

穂乃香「……」

ぴにゃこら太「……」

穂乃香「どうすればいいのかな……私」

穂乃香「ライブも近いのに、皆に迷惑かけてる……」

穂乃香「イメージはできるのに……体で上手く表現できない……」

穂乃香「……楽しく、ない」

穂乃香「……アイドル、辞めよう、かな」

ぴにゃこら太「ちょっと待ったぁ!」

穂乃香「!?」

ぴにゃこら太「それは聞き捨てならない台詞だよ、穂乃香ちゃん!」

穂乃香「えっ、ぴにゃこら太が、しゃべ、喋った?!」

ぴにゃこら太「ふっふっふー。聞いたぞ穂乃香ちゃん」

穂乃香「え?!え!?」オロオロ

ぴにゃこら太「アイドルを辞めるなんて、ダメだよ!」

穂乃香「……」

ぴにゃこら太「フリルドスクエアは、穂乃香ちゃんがいないとダメ!誰が欠けてもダメなんだよ?」

穂乃香「……そうかも、しれないけど」

穂乃香「でも私……」

ぴにゃこら太「迷惑をかける事がなんだ!こっちはいつも、穂乃香ちゃんにもっと迷惑かけてる!」

穂乃香「いつも迷惑……?」

ぴにゃこら太「あっ、えっと、その、汚れたら洗ってもらったり!」

穂乃香「……」

ぴにゃこら太「ど、どうしたのっ」

穂乃香「……ううん、なんでもない」

ぴにゃこら太「穂乃香ちゃん。君は表現力が足りないって言ってたね」

穂乃香「そういう事に、なるんだと思う」

ぴにゃこら太「ならばアタシが秘密の場所を教えてあげよう!」

穂乃香「秘密の場所……?」

ぴにゃこら太「こっちだよ!着いてきて!」

穂乃香「わっ、わっ!?ぴにゃこら太が勝手に!?」

ぴにゃこら太「こっちこっち!作戦スタート!」

穂乃香「……作戦」

ぴにゃこら太「あ……」

穂乃香「……ふふっ。うん、行こっか。ぴにゃこら太」

ぴにゃこら太「う、うん!」

ぴにゃこら太「ここだよ!」

穂乃香「ここは……喫茶店……?」

ぴにゃこら太「そう!」

穂乃香「ここで表現力を……?」

ぴにゃこら太「そうだよ!」

穂乃香「……」

ぴにゃこら太「……穂乃香ちゃん?」

穂乃香「……ありがとね。あずきちゃん」

ぴにゃこら太「友達が困ってるんだもん、当然だよ!」

穂乃香「それじゃあ、行ってくるね」

ぴにゃこら太「行ってらっしゃーい!」



あずき「ふー」

晶葉「ぬいぐるみに自立機能と携帯電話を装着してくれと言われた時は何事かと思ったが……」

あずき「どう?ぴにゃこら太大作戦!」

晶葉「……元気になればいいな。穂乃香が」

あずき「きっと大丈夫。きっとね!」

カランコローン

P「いらっしゃいませー」

穂乃香「あ……」

P「どうかされましたか?お客様」

穂乃香「い、いえ……」

穂乃香「(こんなところにPさんがいるはずないし……そもそも私を知らないみたいだし……)」

P「(ここはあずきの作戦通りにしないとな)」

P「ご注文はいかがなさいますか?」

穂乃香「……えっと。おまかせ、でいいですか?」

P「おまかせですね。かしこまりました」

P「(あずきの言った通り、おまかせで来たな)」

P「どうぞ。こちら、アイスコーヒーになります」

穂乃香「ありがとうございます……」

P「当店のコーヒーなのですが、まず一口、何も入れずに味わっていただくことをオススメいたします」

穂乃香「……えっ。ブラックで、って事ですよね」

P「はい。一口だけでよろしいので」

穂乃香「……」ズズッ

穂乃香「……何これ……今まで飲んだ事があるコーヒーとは違う……」

P「一言付け加えるなら、値段からもわかります通り、豆自体はそこまで高いものではございません」

穂乃香「じゃあ、なんで、これ」

P「水出し、というコーヒーの抽出方法をご存知でしょうか?」

穂乃香「水出し……?」

P「はい。珈琲の粉に水を点滴し続ける方法、と申せばよろしいでしょうか」

穂乃香「そんな方法があるんですか……」

P「とても時間がかかりますが、そのように飲みやすく甘さと香りが引き立つコーヒーになります」

穂乃香「……なるほど」

P「それは、表現力というのも同じ事」

穂乃香「……え?」

P「時間をかければかけるほど、表現力っていうのは磨かれていく」

P「それは急に手にしようとして手に入るものじゃない。長い長い人生経験の中で自分だけが気付いていく事だ」

P「仲間と触れ合って、人と出会って。そうやって磨かれていく」

穂乃香「……やっぱり、あなたは」

P「……なんて。俺が言えた立場じゃないよな」

穂乃香「やっぱり、Pさんなんですね」

P「ああ」

穂乃香「どうして、こんな所に?」

P「夢を、捨て切れなかった。つまんない未練に足を引かれたのさ」

穂乃香「……そう、ですか」

P「あずきから、連絡をもらってさ。穂乃香を元気つけてくれって」

穂乃香「あずきちゃんは、知っていたんですね」

P「一応な。ただ俺が口止めしてた」

穂乃香「……じゃあ、どうして私は?」

P「あずきが必死だったから。あいつがあそこまで熱弁ふるってるの、初めて見た」

穂乃香「……」

P「俺、初めて水出しコーヒーの事知った時さ、非効率。ありえないって思ったんだ」

P「だけど、一回飲んだら世界が変わってさ」

P「穂乃香にも、感じて欲しかった。世界が変わる感覚を、表現力が磨かれるような衝撃を」

穂乃香「……今、ひしひしと感じてます」

P「なら……作戦大成功、かな」

穂乃香「……はい。でも、私はまだ許してません」

P「だよなぁ。俺は何すればいい?」

穂乃香「次のライブに、来てください」

P「……それでいいのか?」

穂乃香「はい……きっと今なら、大丈夫だと思うんです。あの曲を、上手く表現できる気がして」

P「……わかった。必ず行くよ。そんで、見させてもらう。穂乃香の表現を」

穂乃香「約束、ですよ」

P「ああ、約束だ」



次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

音葉さんの前、後どちらでしょうか?

共感覚。

生まれてから私が持っていた、不思議な力。

具体的に言うなら、私には「音が見え」た。

ドの音は桜。レの音はコスモス。

私の世界はそうやってできていた。


だけどある日を境に、私の共感覚は潜ってしまった。

私の世界から、音が消えた。

音葉「……」

ちひろ「音葉さん」

音葉「……」

ちひろ「音葉さん?」

音葉「あ……はい」

ちひろ「最近ぼーっとしてる事が多いですね。どうかしましたか?」

音葉「いえ……」

音葉「(ずっと見えてた景色が……いきなり変わってしまうと……とても不便……)」

音葉「(声をかけられた時見えていた花も……今はもう……)」

ちひろ「もし体調が悪いなら、今回のお仕事は―――」

音葉「大丈夫です……」

ちひろ「……そう、ですか」

音葉「目に見えなくたって……私は……」

―――スタジオ―――

音葉「~♪」

監督「……うーん」

音葉「……ふぅ」

監督「ちょっといいかな。音葉さん」

音葉「はい」

監督「もしかして体調が悪いのかい?だったら無理をする必要はないよ」

音葉「大丈夫……です」

監督「……そうか。ならリハーサルを続けてくれ」

音葉「はい……」

監督「……」

ちひろ「すみません……」

監督「いや……いいんだ……一番辛いのは彼女だろう……」

ちひろ「……」

―――公園―――

音葉「(仕事……うまく行かなかった……)」

音葉「(やっぱり私は……自分の感覚に頼りすぎてて……)」

音葉「(……)」

音葉「(これじゃ……普通の人と変わらない……ううん、普通以下……)」

音葉「……」

~♪

音葉「……?この音……どこから……」

ゆかり「~♪」

音葉「ゆかりさん……」

ゆかり「音葉さん。こんにちは」

音葉「こんにちは……それは……」

ゆかり「フルートです。一時期やってなかったので、もう一度感覚を取り戻そうかと」

音葉「感覚を取り戻す……ですか」

ゆかり「はい。たった1日でもやってないと、どうも鈍ってしまうみたいで」

音葉「……少し、聞いていってもいいですか」

ゆかり「はい」

ゆかり「~♪」

音葉「(……素敵な音……)」

ザァァァアア

ゆかり「きゃっ」

音葉「あ……」

ゆかり「凄い風でしたね。大丈夫ですか?」

音葉「はい……」

音葉「……あら?」

ゆかり「どうかしましたか?」

音葉「……すみません。演奏、素晴らしかったです。また聞かせてください」

ゆかり「はい。もちろんです」

音葉「……」

音葉「(あの……季節はずれの桜の花は……一体どこに向かって飛んでいるの……?)」

音葉「(それとも……もしかして……)」

毎回毎回申し訳ありませんが、本日も途中で更新終わりとなります。

次の更新は金曜日、もしくは土曜日を予定しております。

それではありがとうございました。

こんばんは。音葉さん続きからです

音葉「待って……待って……」

音葉「はっ、はっ……」

音葉「(私が止まると……桜の花も止まってる……)」

音葉「(何かを……私に教えようと……?)」

―――喫茶店前―――

音葉「あ……落ちて来た……」

音葉「……この店に……?」

音葉「……お邪魔、します」ギィ

そこは、お花畑だった。

古びた店内に、様々な花が咲き誇っていた。

まるで、この世に存在する『音』を全て閉じ込めたような。

そのお花畑の中に一人。

貴方が、立っていた。

P「……いらっしゃいませ、音葉さん」

音葉「……こんばんは」

P「今日は、何を探しにここへ?」

音葉「ここにしかない……音を探しに……」

P「なるほど。少々お待ちください」

彼の声が、『視』えた。

私はこの花を、探していたのだろう。

名前も付けられない、この、小さくも存在感を放つ花を。

音葉「いいえ、もう、見つかりました」

P「そう、ですか」

音葉「今日はもう遅いですし……また……ゆっくり聞きにきてもいいですか?」

P「はい。お待ちしてます」

理由が気にならないといえば嘘になる。

だけど、その理由が気にならないくらい。

ここは幸せな音に溢れている、そう思えたか。


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+2

神谷奈緒+2


奈緒「なぁPさん」

P「なんだ?」

奈緒「アタシって……素直じゃない、のかな」

P「えっ。今更?」

奈緒「し、仕方ないだろ!確かに前から言われてたけど、その、Pさんがいなくなってからやっと自覚し始めたんだから……」

P「例えばどういう所で素直じゃなかった?」

奈緒「た、例えば……可愛い、とか、Pさんに褒められた時……」

P「そうだな。いつも怒って、尚且つ殴ってきたもんな」

奈緒「本当は凄く……嬉しくて……でもいつも……つい、恥ずかしさのあまり……」

P「ふむ、なら今練習してみるか。素直になる練習」

奈緒「……いい、よ。今なら、できる気がするから」

P「奈緒」

奈緒「……何、Pさん」

P「奈緒って、可愛いよな」

奈緒「っ……」

P「……ふむ。確かに殴ってくるような事はなくなったな」

奈緒「……あの、さ」

P「ん?」

奈緒「まだ……一回だけじゃ不安だから、もう一度……」

P「わかった。いいぞ」

奈緒「こ、今度は、もうちょっとこう、近くで」

P「こうか?」

奈緒「う、うん。耳に息がかかるぐらい……」

P「それは近すぎないか?」

奈緒「いいからっ」

P「……あいよ」

P「奈緒……可愛いぞ」

奈緒「―――っ!!」ギュウッ

P「お?(来るか?)」

奈緒「はっ、はっ……」

P「よく耐えたな。今の」

奈緒「……えへ、えへへへ。Pさんに、可愛いって……」

P「あれ?」

奈緒「Pさん……もう一回だけ……」

P「あ、ああ……」

奈緒「えへへ……」

P「(なんだこの可愛い生き物)」

P「奈緒、可愛い、可愛い……」

奈緒「えへへ……Pさぁん……」トローン

P「奈緒……」

凛「……」ジーッ

加蓮「……」ジトーッ

P「……」

奈緒「……り、りり、凛?!加蓮!?」

凛「私達が喫茶店に入ってきた事に気付かないなんて、P……」

加蓮「相当奈緒にお熱って感じかな?」

P「あ、いや、これはその……」

奈緒「あ、アタシが悪いんだ」

P「奈緒?」

奈緒「アタシが、その、Pに沢山可愛いって言って欲しかったから……その」

加蓮「……」

凛「……驚いた。まさか奈緒がそんな事言うなんて」

奈緒「アタシなりに素直になった結果なんだ。だからPさんは何も悪くない」

加蓮「……だ、そうだけど」

P「いや、俺も周りの事に目が行ってなかった。すまない」

凛「……そんくらい、奈緒に集中してたんだよね。むぅ」

奈緒「Pさん……えへへ」

加蓮「あーもう。とにかく奈緒。今日はもうPさんとイチャイチャするの禁止」

奈緒「そんな!……うう」

凛「……加蓮」

加蓮「何?」

凛「早急に対策を打つ必要があるよ……これ」

加蓮「……そう、だね」



次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

―――事務所 キッチン―――

葵「……」

グチャァ……

葵「……料理が上手く作れんけぇ」

葵「おかしいなぁ……何がダメだったんかなぁ……」

幸子「ふんふんふ……生臭っ!?なんですかこれ?!」

葵「あ、幸子ちゃん」

幸子「葵さん……って、これは一体……?」

葵「今度、こずえちゃんの誕生日っしょ?」

幸子「そういえばそうですね」

葵「その時、パーティをやるらしいからそこで出す創作料理を色々試してたん……じゃけど……」

幸子「……これは?」

葵「マグロの兜煮込み……?」

幸子「いやなんで疑問系なんですか」

葵「多分美味しいとは思うんよ。食べてみて?」

幸子「……まぁ、味に問題はありませんが」モグモグ

葵「けどこれをこずえちゃんの誕生日に出すワケには行かんっちゃ」

幸子「確かに。いやこずえさんなら平気でもぐもぐ食べそうですけど」

葵「普段はその誕生日の子にあった創作料理が作れるんだけど……なんだか、今回は上手くいかないんだよ」

幸子「……」

葵「さて、もっと沢山作らなきゃ!」

幸子「葵さん……」

―――喫茶店―――

幸子「……」

P「どうした幸子」

幸子「あ、いえ……その、実は」


P「……葵が?」

幸子「はい。多分きっと、それもPさんがいなくなったからだと思うんです」

P「(どんだけ影響与えてんだよ俺……)」

幸子「なので、葵さんの事も、Pさんが解決するべきだと思うんです」

P「とは言うものの……俺は料理に関しては軽食くらいしか」

幸子「軽食でも料理は料理です」

P「そうかもしれないが、やはりそういうのは雪美に」

幸子「いいえ、今回はPさんが解決するべきなんです」

P「……じゃあどうしろってんだよ」

幸子「ボクに考えがあります。聞いてください」

―――事務所―――

幸子「葵さん!」

葵「何かな?幸子ちゃん」

幸子「ボクのために、料理教室を開いてくれませんか?」

葵「料理教室を……?どういう事?」

幸子「実は、料理関係のお仕事が入ってしまいまして……」

葵「なるほどね。わかったよっ。でも場所はどうするっちゃ?」

幸子「知り合いの方に貸していただける事になったのでここに使ってください。一通り、調理器具は揃っているみたいですから」

葵「よく借りれたね、喫茶店なんて」

幸子「ええ、まぁ……」

葵「私の指導は厳しいって評判だから、頑張ってついてくるんだよっ!」

幸子「は、はい!」

本日の更新はここまで。もっと大きく時間取りたい……そして方言難しい……

では、ありがとうございました。

10パーセントから麗奈様は引けませんでしたが、今日も私は元気です。

では続きから更新します。

―――喫茶店―――

葵「へー!ここが料理教室の会場?」

幸子「はい」

葵「確かに立派な厨房もあるし、調理器具も一通り揃ってるねっ。これなら大丈夫そうっちゃ」

幸子「では、よろしくお願いします。葵さん。後ほどもう一人来る予定ですので」

葵「そうなの?わかったよっ。それで幸子ちゃんは何を作りたいのかな?」

幸子「えっと……肉じゃがを」

葵「了解っ!材料は……うん、揃ってるね」

幸子「えっと用意したのはいいんですけど、この梅干は何に使うんですか?」

葵「じゃがいもを煮る時に一緒に煮ると、荷崩れ防止になるんよ」

幸子「なるほど……」

葵「そうそう、その調子で切っていって」

幸子「こう、ですね。わかりました」

P「すみませーん。料理を教えていただけると聞いて来たんですけど」

葵「はいはーい。少々お待ち―――えっ?」

P「ここで料理を教えてもらえるんですか?」

葵「え、は、はい。まぁ」

P「今は何をやってるんですか?」

葵「も、もう一人の方の方の料理を教えているところでして」

P「なるほど。少し見学していってもいいですか?」

葵「はい……あの、ええと」

P「なんですか?」

葵「いえ、なんでも……」

P「(おい幸子、本当にこれでいいのかよ)」

幸子「(いいんですよ。Pさんはその調子で続けてください)」

葵「(あ、あれPさんだよねっ?!で、でも敬語で話してるし何か違うけぇ?!)」

P「……」ジー

幸子「(あれ。Pさんに見られてると思うとなんだかボクも緊張してきたんですけど何ですかこれ)」

幸子「こ、こんな感じでいいですか」ギクシャク

葵「う、うんっ。その調子っちゃ」ギクシャク

P「……あの、少しよろしいでしょうか」

葵「はい!?」

P「見てるだけじゃ何だかアレなので、一品作ってみますので、先生が食べてみて、そこでダメな部分を教えていただけますか?」

葵「あ、は、はい!」

P「(いいのかよ)」

幸子「ボクも食べてみてもいいですか?!」

P「(何でお前まで食い気味なんだよ!)」

P「か、構いませんが……」

幸子「~♪」



雪美「幸子……これが狙い……」

のあ「狡猾ね……」

凛「ところでなんで私達はここに隠れてるの?」

まゆ「幸子ちゃんの作戦はいつもろくな事が起きないので、もしもの時に備えて待機してるんですよぉ……」

ありす「それはそれでおかしい気が」

―――数十分後―――

P「できました。評価よろしくお願いします」コト

葵「は、はい……っ!?」

P「ハンバーグ、です」

葵「……」

P「……どうかしましたか?」

葵「いえ……頂きます……」パク

P「……どう、ですか?」

葵「そうです、ね……コショウを少し多めに入れてしまうところも、私達に配慮して豚肉を使っているところも、何も変わってないね……」ポロポロ

P「……こんな再開の仕方で、ごめんな。葵」

葵「……こずえちゃんの誕生日に向けて、本当はずっと、ずっとね?この味を、再現しようとしてみたんよ。でもね、上手くできなかった」

葵「何が足りないのかなって、ずっと思ってたんだけど……足りなかったもの、今わかったよ」

葵「Pさんが……ずっと近くで、笑顔で食べてくれる人が……足りないんだって……」

P「……」

葵「……ぐすっ。評価を、言い渡します」

P「何でしょうか」

葵「塩分を使いすぎで、少ししょっぱかったので……今度からは、気をつけるようにしてください」

P「はい」

葵「もし改善したと思ったなら……その、また、私に食べさせてよ?約束、だからねっ」

P「……もちろん。葵が文句を言えなくなるまで、作り続けてやる」

葵「ふふっ、それは難しいっちゃ。なんせ私は料亭の娘だからねっ!」



幸子「あの、肉じゃができたんですけど……」デローン

のあ「やめなさい幸子。あの雰囲気の中にそんな危険物を持ち込んではいけないわ」

幸子「うう……どうしてですか……」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

兵藤レナ+3

―――喫茶店―――

レナ「私、思うのよ」

P「何をですか?」

レナ「最近、Pさんにいいようにやられてるっていうか。遊園地の時みたいに」

P「まだあの時の事を引き摺ってるんですか?」

レナ「……だって、勝ちたいじゃない。何事も」

P「レナさんらしいとは思いますが、ことこれに関しては勝敗などは―――」

レナ「よし、決めた」

P「嫌な予感がする」

レナ「今日、Pさんの家に泊まるから」

P「……いやいやいや」

レナ「それで、Pさんのスキを見つけて私からしかけてあげる」

P「そもそもアイドルが男の人の家に泊まろうとするんじゃありません」

レナ「だってプロデューサーでしょ?」

P「元、です」

レナ「ダメ?」

P「ダメです」

レナ「でも合鍵持ってるから、Pさんの意思に関わらず泊まりに行くけれど」

P「ちょっと待ってください。それどうやって」

レナ「まゆちゃんから買ったわ」

P「……また鍵変えないと……」

レナ「そういうワケで、今夜、泊まりに行くからよろしくね?」

P「もうどうなっても俺は知りませんよ?」

レナ「……どうする気もないクセに」ボソッ

P「……そりゃまぁ、そうなんですけどね」

レナ「ふんだ」

レナさんのお泊り内容が思いつかないので今日はここまでです。

全アイドル違う流れにしようと思ってはいるのですが、なかなか難しいですね……

次の更新は水曜日となります。では、ありがとうございました。

時間が取れたので。

少しずつ更新します。

―――P宅―――

レナ「お邪魔しまーす……」ガチャ

P「……本当に来たんですね」

レナ「ええ。どうにかしてPさんの意表を突いてあげるから」

P「それは楽しみです」

レナ「意外と部屋、綺麗なのね」

P「いつ誰が来るかわかりませんから。本当に」

レナ「……むぅ」

P「どうかしましたか?」

レナ「別になんでもないわ……さて、それじゃあPさん。今日は遊びましょう?」ドサ

P「……やたら大きな鞄だと思ったら、そんなに遊具を入れてきたんですか」

レナ「せっかくのお泊りなんだもの。楽しまなきゃ損でしょ?」

P「わかりました。最後まで付き合いますよ」

レナ「へー……これが人生ゲーム……」

P「レナさんやった事ないんですか?」

レナ「うん。とりあえず今日のために賭けの要素がありそうなものを買ってきただけだから」

P「わざわざ買ってきたんですか。じゃあ思いっきり楽しまないといけませんね。もちろん、全部」

レナ「賭けの要素があるゲームで私に勝てるの?Pさん」

P「トランプじゃあるまいし、相手は初心者みたいですから。負ける気はしないです」

レナ「ふーん、そう……楽しみね」

P「じゃあまずは俺の番からですね―――」

―――数十分後―――

P「……」

レナ「Pさん。また詐欺にあってる」

P「……」

レナ「あ、宝くじがあたった……2000万円ゲット、だって」

P「……生意気言ってすみませんでした」

レナ「ふふっ。私の勝ちね。それじゃあ罰ゲーム、何してもらおうかなー」

P「ちょっ。そんなの聞いてないですよ?」

レナ「だって今言ったんだもの」

P「……わかりましたよ。俺は何すればいいんですか?」

レナ「じゃあ、今日の夕食はPさんに作って欲しいな」

P「それぐらいなら、お安い御用で」

レナ「次は……これにしましょう」

P「花札とはまた古風なものを」

レナ「ルールは知ってる?」

P「ええ。もちろんです。レナさんは?」

レナ「私も大丈夫。なら始めましょうか」

P「あ、ちょっと待ってください」

レナ「何?」

P「始める前に、罰ゲームの内容を決めておきましょう。そのほうが心の準備もできますし」

レナ「わかった。それじゃあ私が勝ったら、明日もお泊り続行で」

P「……わかりました。じゃあ俺が勝った時は、今度からアイドルが男性の部屋に泊まるなんて危険な事を考えない事」

レナ「……そう。わかったわ」

P「案外簡単に引き下がるんですね」

レナ「勝てばいいだけの話だから」

P「それもそうですね」

レナ「……嘘」

P「五点差で、俺の勝ちですね」

レナ「……」

P「約束です。アイドルなんですから、うかつに俺の家に泊まるとか言わない事」

レナ「……わかったわよ!Pさんの意地悪!」バッ

P「あ、どこ行くんですか」

レナ「少し疲れたからお風呂借りるわ。それじゃ」スタスタ

P「あ、レナさん……着替えとかどうするんだろ……」

―――風呂場―――

レナ「もう、Pさんの馬鹿」

レナ「どうしてあんな意地悪な事……しかもさっきまで手を抜いてたのに、急に本気出すし」

レナ「……もしかしてPさん、私の事、嫌いなのかな……」

レナ「……そうだ。いい事思いついちゃった」ニヤリ



レナ「Pさーん」

P「レナさん。着替えを―――」

レナ「ど、どうしたの?」←バスタオル1枚

P「……えっと」

レナ「つい着替えを部屋に置きっぱなしだったの忘れちゃって……そこの鞄、取ってくれない?」

レナ「(これでどう?いくら鈍感なPさんでも―――)」

P「レナさん」

レナ「な、何?」

P「はい。鞄です。まだ肌寒い季節ですから、風邪引かないようにすぎに着替えてくださいね」サッ

レナ「……そ、それだけ?」

P「ええ」

レナ「……もう!知らない!」ダッ

P「……はぁ」


P「ご飯、できましたよ」

レナ「……」ツーン

P「……なんか、すみません」

レナ「別にいいわよ……あ、このハンバーグ美味しい」

P「俺の唯一の得意料理なんです」

レナ「そうなんだ……」

P「美嘉や葵も気に入ってるみたいで。よく作って欲しいと言われるんですよ」

レナ「……」

P「どうかしました?」

レナ「Pさんって、ほんとデリカシーないよね」

P「よく言われます」

レナ「(……美味しいけど、なんか……せっかくPさんの手料理食べられたのに……)」

P「……」

レナ「Pさん、お皿洗い終わ……」

P「……zzz」

レナ「……Pさん?」

P「……zzz」

レナ「寝てる……の?」

P「……」

レナ「……もう、こんな所までデリカシーないんだから……」

レナ「こんなスキだらけの顔見せられたら、私だってこう……」

レナ「……」スッ

P「それは俺だって同じだって気付いて欲しいですね」

レナ「へっ、ん、むっ!?」

レナ「ん……ぷは」

P「俺だって男なんですから、正直さっきだって滅茶苦茶我慢してたんですよ。それなのに誘惑するような事して」

レナ「あ……え……?」

P「レナさん。この際だから、はっきり言いますね。俺から見て、貴方はとても魅力的な女性です」

レナ「……うん」

P「ですけど……俺がレナさんに手を出していいとは、思ってません」

レナ「それはやっぱり……みんなの……」

P「……優柔不断な男で、すみません」

レナ「……そっか。私が嫌いだからじゃないなら、いいよ」

P「レナさんは好きですよ」

レナ「……そんな事言ってるから、他の子達もその気になっちゃうんだよ?」

P「かもしれませんね」

レナ「仕方ないから許してあげる……でも、今日だけはもう少し、甘えさせて」

P「……ええ、どうぞ」

レナ「ふふ……」ボスッ

P「……」

レナ「……zzz」

P「レナさんも……今日、俺のために頑張ってたんですね……」ナデナデ

レナ「……えへへ」

P「……俺も……次は……レナさんのために……zzz」



>>+3 次に喫茶店を訪れるアイドル

速水奏+4

―――喫茶店―――


―――どうして、あんな約束をしてしまったんだろう。

奏「Pさん。……して?」

P「……」

キス封印デーから、明らかに奏が一日に求めるキスの回数と密度が高くなっている。

そんな彼女に流されている俺も俺なんだが……。

奏「……Pさん?」

P「あ、ああ……」

本当にこのままでいいのだろうか?

恋人でもない彼女と、こんな不純な関係を結んだままで……

P「……」

奏「Pさん。何読んでるの?」

P「あ、ああ。奏か」

奏「……聖書?Pさんってキリスト教徒だったっけ」

P「いや、そういうワケじゃない。たまたま倉庫を漁ったら出てきてな。読んでみたら面白かったからさ」

奏「そうなんだ……」

P「……」

当たり前のように、俺の隣に座る彼女。

いつからそうやって、奏は俺の隣に座っていただろう。

その席は、ついこの間まで空席だったはずなのに。

P「……?」

奏「どうしたのPさん」

P「いや、この【その日を摘め】ってどういう意味かと思ってな」

奏「独特の言い回しね。字面を見るに、悪い意味な気がする」

P「そうでもないかもしれないぞ?」

カルペ・ディエム。

その日を摘め。

この言葉は一体、どんな意味なのだろう。

何故か俺はその言葉の意味が気になって仕方なかった。

P「……」

自室にて。

俺はどうにも気になったあの言葉の意味を調べていた。

P「今という時を大切に使え……」

その言葉は、否定的な意味でも、肯定的な意味でもなかった。

彼女―――速水奏との未来を悩む俺にとっての警告だった。

未来を見据えるな。今を掴め。そうでなければ後悔する。

P「……」

―――翌日 喫茶店―――

P「奏、ちょっと話があるんだ」

奏「何?Pさん」

P「真面目な話だ。聞いてくれ」

奏「うん……」

P「奏……お前は、アイドルを辞める覚悟があるか?」

奏「え……?」

奏「Pさん。冗談なら面白くない」

P「冗談じゃない」

奏「どうしてそんな事」

P「決めたんだ。俺は未来じゃなく、今を掴むんだって」

奏「意味、わからない」

P「今はまだ上手く説明できないんだ。ただ、これだけは聞いておきたくて」

奏「……」

P「もし……もし、覚悟が決まったら、俺に言ってくれ」

奏「理由も分からないのに、そんな覚悟をしろっていうの?」

P「ああ」

奏「意味わからない……Pさん、意味わからないよ……」

P「……ごめんな」

奏「そうやっていつも謝って……私を置いていった時だって……」

P「……」

奏「……考えるだけ、考えるわ。でも、きっと答えは決まってる」

P「そうか」

P「……」

これは、大きな一つの決断。

彼女がアイドルを辞めないなら、それで構わない。

だけど、彼女がアイドルを辞めるなら、その時は……

P「……未来を見据えるな。今を掴め」

カルペ・ディエム。

今、俺は俺ができる事をしよう。

後悔だけは、しないように。


>>+2 次に喫茶店を訪れるアイドル

兵藤レナ+4



賭け事において、時に一点に全てを賭ける事も、また重要である。

彼女、兵藤レナは今人生最大の賭けの最中で立ち止まっている。

果たして、このまま自分の持っているチップを全て、彼に賭けてよいものか。

それとも、今はまだその時ではないのか。

決断の時間は迫る。

ルーレットの玉は、止まってはくれない。

―――喫茶店―――

早苗「……それで?P君追い出して私と何を話そうって言うの?」

レナ「……ごめんなさい」

早苗「何でアタシ、いきなり謝られなくちゃいけないの」

レナ「これから話す事は多分……早苗さんにとっても、辛いことだと、思うから」

早苗「……いいわよ。言ってみなさいよ」

レナ「……私、もうどうしようもないみたいなの」

早苗「P君の事が好きすぎて?」

レナ「そう……って、な、なんで?」

早苗「なんとなくよ。というか、奏ちゃんと並んでレナはP君にアタックしてるみたいだし」

レナ「……そう、ね」

早苗「それで?どうしたの」

レナ「私、Pさんに思いを伝えようと思う」

早苗「……え?あたし、もうてっきり、伝えた後だと思ってたんだけど」

レナ「伝えたには伝えたんだけど……まだ、伝えたりなくて」

早苗「乙女か」

レナ「えっ」

早苗「いやだってねぇ。アンタいくつよ」

レナ「……27」

早苗「27の女が、愛しい彼に思いを伝えきれない……ポッ、なんてやってたら少女漫画かって突っ込みたくなるもんよ」

レナ「そ、それは……」

早苗「いいんじゃないの。というか、やりなさいよ」

レナ「……え?」

早苗「というかそもそも、それがレナが言ってた相談事ってやつなの?」

レナ「そう、だけど」

早苗「乙女か!」

レナ「えぇ……」

早苗「何。結局あたしにどうして欲しいの?背中を押して欲しいの?それとも、やめろー!って逆ギレされたいの?」

レナ「……」

早苗「あのね。賭け事大好きなアンタが、この程度の賭け事でビビってどうすんのよ」

レナ「こ、この程度って……」

早苗「あんたがいつも賭けてる確率より、こっちのほうが圧倒的に確立高いじゃない。2分の1よ?2分の1」

レナ「……実際は、もっと分が悪いわ」

早苗「それでもあんたはそんな確立に賭けてきたじゃない。今までも。雪美ちゃんから聞いたわよ?1/649740、出したんでしょ?」

レナ「トランプとこれは全然違うわ……」

早苗「違くないわよ。OKされるか、フラれるか、それだけ」

レナ「……」

早苗「あんた、リスクばっかり考えてるからそうなるのよ。いつも物賭ける時は自信満々でメリットしか考えないくせに」

レナ「今回は……奏ちゃんっていう、不確定要素が」

早苗「あー、もう言い訳はいいから。じゃああんたの好きな勝負で決着つけましょう」

レナ「え?」

早苗「はい、トランプ」サッ

レナ「なんでそんな物持ち歩いてるのよ……」

早苗「アンタが言うな。さて、ルールは簡単」

早苗「今からアタシが適当に2枚カード取るから。それで1枚はめくっておく」

早苗「それで表になってる1枚より、もう1枚のカードが高いか低いか宣言する。アンタが合ってたら思い、伝えなさい。もし外れたら……」

レナ「外れたら……?」


早苗「二度と、P君に近づかない」


レナ「っ……」

早苗「じゃあ1枚目。スペードの8ね。よかったじゃない。これで確立は告白の成功確立と一緒。半々よ」

レナ「ちょ、ちょっと待って。私はまだやるとは」

早苗「もし降りたら……その時は、アタシがPさんに告白するから」

レナ「そん、な」

早苗「まぁ、アタシの告白が成功しないと思ってるんなら降りてもいいわよ」

レナ「……やる」

早苗「そ。そんじゃ、このカードは8より高い?それとも低い?」

レナ「……」


さて、決断の時間だ。

もし間違えば、今まで積み上げたものを全て失う。

ただ、今なら引き返せる。多額のリスクを負うどころか、借金を負う事になるかもしれないが。

しかし引き返すわけにはいかない。そして、ここで間違えるわけにはいかない。

だから私がここで宣言するのは―――


レナ「JOKER」


早苗「……本、気?」

レナ「ええ。本気も本気よ。そのカードはJOKER。だから私が高いと言おうと低いと言おうと、私は負ける」

早苗「……あーあ。この辺で、ライバルを蹴落としたかったのにな」


早苗がカードをめくる。

そのカードは、右端に不自然な折り目がついたJOKERのカード。


早苗「アタシの負け、ね」

レナ「……早苗、アナタ最初からこうするつもりでいたのね。私が早苗のトランプに折り目がついてる事、知ってて」

早苗「何のことかな。そんな随分前にイカサマ扱いされた事、おねーさんには覚えてない」

レナ「……ありがとう。あなたからの勇気、もらったわ」

早苗「Pくーん!ビール!ビール持ってきてー!今日は飲むわよー!」

レナ「……素直じゃないんだから」


さて、一回目の賭けには勝った。

次の勝負が、最後の勝負。

オッズは、私の全て。

そして返ってくるのは……0か、2か。


>>+4 次に喫茶店を訪れるアイドル

連続でなければOKです。

ただここまで的確にスナイプされると鳥肌が立ちますね。

とりあえず今日はここで更新を終わりたいと思います。

一応報告した通り、一度+6に到達したアイドルが出現して終わったとしても、新しいスレで全てリセットしてまたやり直すかと思います。

それではありがとうございました。次の更新は金曜日を予定しています。

こんばんは。

今回の更新でこのシリーズは一度終わりを迎えるのでしょうか。

奏からです。

速水奏+5


ヴァニタス。

「人生の空しさの寓意」。

華やかな風景の中に見える、事情の終わり。


P『奏……お前は、アイドルを辞める覚悟があるか?』


あの言葉を言われた日から。

私はそんな虚無感を感じていた。

そう、家族を失ったあの日から。

>>465

× そう、家族を失ったあの日から。

○ そう、家族を失ったあの日のように。

私の両親は、いつも仲がよかった。

公衆の面前でも平気でキスするし、娘の私の前でも平気で惚気る。

そのせいだろう。この年になって、キスという行為に異常なまでの興味を覚えたのは。

ともかく私はそんな両親の事が好きだったし、両親も私の事を愛してくれていた。


きっかけは何だっただろうか。

確か、父親が浮気をしたのが原因だったかと思う。

初めて二人が喧嘩している様子を見て、子供ながらに困惑したのを覚えている。

あんなに仲がよかったのに、どうして?

そしてそれは、私が見た両親の最初で最後の喧嘩だった。

次の日。

私は二人に仲直りをして欲しくて、1枚の絵を描いた。

ウェディングドレスを着た母親と、タキシードを着た父親。

今までで一番うまく描けたその絵を、二人が待つリビングへ持っていった。

だけど、そこにいたのは母親一人だった。

机の上には、1枚の紙切れと札束が置いてあった。


「お父さんはどこに行ったの?」

「……」

母親は抜け殻になってしまったかのように、動きもしない。

「あ、あのね。これ、プレゼント!」

そう言って母親の手に無理矢理に絵を握らせ、ワクワクしながら感想を待った。

褒めてほしい。撫でてほしい。仲直りしなきゃいけないわね、って言って欲しかった。

だけどいつまで経っても反応がない母親を待っているうちに、いつしか私は深い眠りについていた。

目を覚ますと、母親はいなかった。

代わりに、私は病院にいた。

何がなんだかわからなかったけれど、起き上がると近くにいたナースがびっくりしたように私を見た。

そしてどこかに連絡をした後、数分して医者と思しき人がやってきて、私の事を尋ねてきた。

意識ははっきりしているか、どこかに異常はないか、そんな内容。

なんでそんな事を聞くのか、わからなかった。

何が何だかわからないまま、医者からの質問攻めに答えている最中、ポケットに何かが入っている事に気が付いた。

カサカサと音がするそれを、医者とナースが立ち去った後、右手で握って取り出してみる。


何かを滅茶苦茶に破ったような、紙切れだった。

パズルのようなそれを、ベッドに備え付けられているテーブルの上に広げる。

そして数十枚取り出した時、気が付いた。

半分に引き裂かれた、父親の似顔絵に。

バラバラになった、母親の似顔絵に。

それから数年が過ぎて。

私がその事を受け入れられると思ったのだろう。

あの後、私を引き取ってくれて、今まで一緒に過ごしていた祖父と祖母があの日の顛末を話してくれた。

母は、どうやら自殺を試みたらしい。

だが死にきる事ができず、ちょうど父親との関係の件で相談を持ちかけられ、家を訪ねた祖父と祖母によって発見された。

眠っていた私は母と一緒に無理心中をしたのではないかと疑われ、念のために病院へ送られた。

母はまだ病院で治療を受け続けているらしい。もちろん、肉体的な意味ではなく、精神的な意味で。



どんな華やかな風景も、どんな幸せな風景にも。

終わりが来る事を知ったあの日から。

私は全てのものに対して、終わりを見てしまっていた。

このアイドル活動だって。

Pさんと一緒に過ごした日々だって。

こうやって、今だって。

ねぇ、Pさん。

私、分からないよ。

みんなとアイドルをやって、その傍らでプロデューサーではない貴方と一緒に過ごして。

こんな終わりばっかり見ていた私が、やっと、続いて欲しいと思える日々を手に入れたのに。

アイドルを辞める覚悟があるか、なんて。

どうして貴方はそれを終わらせようとしているの?

みんなと一緒に過ごす日々を終わらせて。

その先に一体何が待っているの?

分からないよ、Pさん……



次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

前でしょうか?後でしょうか?

―――事務所―――

拓海「……あのな。沙紀」

沙紀「……はいっす」

拓海「あたしもやってた事あるから……その、強くは言えねぇんだけど」

沙紀「……わかってるっす」

拓海「許可取ってあるとしても、落書きをすんのは……」

沙紀「落書きじゃないっす!グラフィティアートっす!」

拓海「……この写真を見ても、そう言えるか?」

沙紀「これは……あ、頭の中のモヤモヤを表現したんっす!」

拓海「今までのお前の作品なら、それで済んだかもしれねぇがこれはダメだ。誰がどう見ても、ただの落書きだろ」

沙紀「……」

拓海「許可出してくれた人が苦笑いしながらも、許可を出したのだから構わないって言ってくれたからいいけどよ……」

沙紀「……だって、ダメなんすもん」

拓海「何が」

沙紀「頭の中にフィルターがかかってるみたいで、自分の表現したい事を描けないんす」

沙紀「今まではこう、描いてるうちに色々見えてきたんすよ」

沙紀「だけど最近は……描いても描いても、見えてこなくて」

沙紀「本当は今回のだって断ったんす。だけど、あの人がどうしてももう一度アタシのアートを見たいって……」

拓海「……なるほどな」

沙紀「拓海ねぇさんもやってたんならわかると思うんすよ。そんな感覚」

拓海「誰がねぇさんだよ。アタシは……何かを伝えたいって、思う事が、今までなかったからな……」

沙紀「今まで?」

拓海「あ、ああいや。それはいいんだよ……ともかく、沙紀はもう一度絵が描けるように頭の中のモヤモヤを消して欲しいと」

沙紀「はいっす」

拓海「(……それ絶対アイツのせいだよな……ったく。色んなやつに迷惑かけやがって)」

拓海「わかった。何とかしてやる。だけどお前も協力しろよ?」

沙紀「もちろんっす!」

拓海「とは言ってもなぁ……どうすっか……」

ちひろ「どうかしましたか?」

拓海「あ、ああ。ちひろさん……実はさ」


ちひろ「……なるほど。沙紀ちゃんが」

拓海「どうにかならねぇかな」

ちひろ「だったらこの企画が利用できそうですね」

拓海「あん?……なんで掃除?」

ちひろ「ですから……」ゴニョゴニョ

拓海「……いやいやいや。流石に許可取るの難しいだろ」

ちひろ「私が何とかしますから。拓海さんはみんなへの声かけをお願いします」

拓海「……わかった。何とかやってみるよ」

―――数日後 早朝 女子寮前―――

沙紀「んー……よく寝たっす……」

沙紀「……結局、拓海ねぇさんからの連絡もないし、自分でどうにかするしかないんすかね」

沙紀「あれ?なんすかねこれ。……掃除の企画書?」

沙紀「アイドル達が掃除する町を、綺麗に保とう……っすか」

沙紀「そもそもなんでアイドルが道路掃除なんて……って、アタシも参加者に入ってる!?」

沙紀「ちょ、こうしちゃいられないっす!早く準備しないと!」

―――公園―――

沙紀「はーっ、はーっ、しゅ、集合場所はこの公園……のハズっすけど……」

沙紀「……誰もいないっすね。どういう事っすか」

沙紀「もしかして日にちを間違えたとか……いや、それはないハズっすけど」

沙紀「あれ?あそこの壁、なんか書いてある……」

沙紀「……なんだか矢印と共に、怪しげな生物が描かれてるっすね。これこそ落書きっていうんじゃないっすかね……まったく」

沙紀「……矢印……あっち側にも、また矢印と……何かの絵が描かれてる……?」

沙紀「何かあるんすかね。矢印を辿ると……まだみんな来てないみたいだし、少しだけなら……」

「これは……リボンっすか。可愛らしいっすね」

「次は……なんすかこれ。不細工な緑色の生き物っすね」

「!?こ、これは……これこそがアートってやつっすね!凄いっす!」

―――喫茶店前―――

沙紀「……ここは?」

P「よ、沙紀」

沙紀「……へ?P、さん?」

P「おう、俺だ」

沙紀「ど、どうしてここに……」

P「どうしてって……お前、矢印辿ってきたんだろ?」

沙紀「は、はいっす」

P「あれ、拓海達が描いたやつなんだよ」

沙紀「マジっすか!?」

P「ああ。そんで、最後にはここにたどり着くようになってて……で、今あいつらが掃除でもしてんじゃねぇかな」

沙紀「だから、掃除の企画だったんすか。なるほど」

P「そんで、今日沙紀に来てもらったのは他でもない、頼みがあるんだ」

沙紀「……何すか?」

P「ここに1枚の紙がある。……これにさ、この喫茶店で飾るための、お前のアートを描いてくれないか?」

沙紀「この喫茶店は、Pさんの?」

P「ああ。そうだ」

沙紀「だったら……描かないわけには、いかないっすね!」

沙紀「もちろん描いた後、はっきりくっきり、今まで何してたのか聞かせてもらいますからね!」

P「……お手柔らかに頼むよ」

―――翌日―――

客1「……新しく、絵を飾ったんだね」

P「ええ。どうですか?」

客1「いい絵だよ。これがアートってやつなのかね」

P「そうですね。俺もそう感じたから飾ったんです」

客1「これを描いたのはどんな人なんだい?」

P「ああ、きっとそろそろ―――」


「拓海ねぇさん!どうして教えてくれなかったんすか!?」

「だぁーうっせぇ!アタシだってPに口止めされてたんだよ!」


P「ほら、来ましたよ。この絵を描いた、アーティストが」

沙紀「Pさーん!昨日のアート、飾ってくれたっすかー!?」


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+4

兵藤レナ+5


ルーレットは回る。回り続ける。

私が賭けるまで、ずっと、永遠に。

私が全てを一箇所に賭けた瞬間、ルーレットは止まる。

私が賭けたのは、赤。

貴方が止まるのは赤?

それとも―――

幼い頃から、ギャンブルに関しての知識を父に叩き込まれた。

父は有名なギャンブラーであり、同時にディーラーであった。

なので、まず始めにならったのがイカサマの方法だった。

そして父は勝負の中で、先ほど習ったイカサマを自分に気付かれないように使えというのだ。

もちろん失敗すれば怒られる。

仮に成功しても、試合の中では決して喜んではいけない。

そうして、様々なイカサマを私が取得した後、父は言った。

「世の中にはイカサマが全く通じない、本物の強運を持つやつもいる。そんなやつとは絶対に勝負をするなよ」

それは果たして、私に言ったのか、それとも自分自身に言い聞かせたのかはわからない。

少なくとも父は一度、イカサマを使ってまでボロボロに負けた事があるという事は私も知っていた。

私の、母に。

母はとんでもない強運の持ち主だった。

気まぐれで買った宝くじが当たり、

気まぐれで出した懸賞が当たり、

気まぐれで買ったアンティークが、とんでもない値段で他の人に買われていったり。

やる事なす事全てがよい方向に転がっていくような人だった。

だから事務所で茄子さんを初めて見た時は驚いた……まぁ、その話はいいわね。

とにかく、そんな母はひょんな事から父に惚れて。

もし私がギャンブルで勝ち続けられたら、結婚しましょうと父と約束したそうだ。

そして二人はめでたく結婚し、私が生まれた。

一旦休憩挟んでからまた更新します。

次の更新は21時頃から。

更新開始します。

レナさんからです。

母の強運と父のイカサマ。

その二つを持って、私はディーラーとしてのし上がっていった。

そう、あの人に出会うまでは。

「えっと……フォーカード、ですね」

手札を見る。

フルハウス。

イカサマで揃えられる最善の手は、いともたやすく乗り越えられた。

「これで……ディーラーさんの持ち金はこれだけです」

目の前のチップがごっそりと削られる。

周りの見物客から、歓声が上がる。

「……」

直感が告げる。

この人とは、もうこれ以上勝負してはいけない。

絶対に、勝つ事はできない。

かつて父が母に対して同じように感じたであろう予感。

それを私は目の前の―――Pさんに、感じていた。

「次の勝負で」

Pさんは私の目の前に、持っているチップ全てを積み上げる。

「もし貴方が勝ったら、このチップを全て差し上げます」

ざわ、と見物客が一斉にどよめいた。

なぜなら、そこまで賭けなくても次勝てば私のチップは0にできるのに。

「ただし、俺が勝ったら、俺の言う事を一つ聞いてください」

彼はそう言って私を煽る。

まるで、負けるつもりがさらさらないかのように。

「……ええ、わかったわよ」

そして私は父と同じ道を歩んだ。

勝てもしない相手に対しての、ダブルアップ。

今度は、正々堂々。

手札は最悪。だけど、負けるワケにはいかない。

そして私は手札を5枚捨てた。

そして今、あの日、あの時と同じように。

絶対に勝てない相手に対して、私は挑もうとしている。

私がAなら、あの人はJOKER。

前にも言った事だけど、きっと運の絶対量ではそれぐらいの差がある。

いつもは弱い癖に、アイドルとか女の子の事になると途端に強くなるあの人。

多分今回もそう。

私が勝てる可能性は限りなく0に近いと思う。

だけど、それでいいの。

0でなければ―――賭ける価値は、十分あるでしょう?

負けたら思いっきり泣いて、

勝ったら―――そうね、それでも泣いちゃうかも。

さぁ、最後の勝負を始めましょう。


次に喫茶店を訪れるアイドル >>+3

速水奏の親愛度が6になりました。

速水奏エンディングが確定しました。

速水奏+6


君が終わりを恐れるなら。

私は君に魔法をかけよう。

終わりを失くす事は絶対に出来やしないけれど。

その終わりを、幸せなものにする事はできるはずだから。

―――喫茶店―――

「……来たか」

「……ごめん。待たせて」

「いいや、待つのは当たり前さ。お前に質問をしたのは俺だからな」

そう言う彼の前のカウンター席。

そこにはトランプが散乱していた。

誰か、来ていたのだろうか。

「それで、改めて質問をしたい」

「……どうぞ」

「お前はアイドルを辞める覚悟があるか?奏」

どんなに続いて欲しい事でも、必ず終わりが来る。

それは例えばキスをする事。

それは例えば親が喧嘩をした事。

それは例えば彼の質問。

「私は―――」

だけど、終わりを恐れては何も前には進めないから。

多分彼は私を試している。

気付いていたのだろう。どこか、終わりを見据え、それを恐れて一歩引いた視点で見ている私がいる事に。

だけど、もう、それこそ終わりにしよう。

「アイドルを……辞めるわ」

彼の瞳を見つめて、私はそう言った。

決して、目をそらさないように。

「……そうか」

そして彼は私の元に近づいてくる。

月明かりが窓の外から私達を照らした。

彼は―――笑っていた。

「多分お前の事だからさ……俺の思惑に気付いてたんじゃないか?」

「私を試していたんでしょ?アイドルを辞めて、みんなに嫌われてもいいような覚悟があるかどうか」

二人の距離は徐々に近づいていく。

「……それもそうなんだけどな。本当に、アイドルも辞めて欲しかったんだ」

「……へ?」

とん、と。

彼の両手が、私の肩に優しく置かれる。

「好きだ。奏。俺だけのものになってくれ」

「あ―――」

何度も貴方とキスをしたけれど。

こんなにも、素敵なキスは初めてで。

心音は高鳴ってばかり。

今夜は、長い夜になりそうだった。

―――奏宅―――

「貴方は……」

一年に一度は帰ってきてはいるけれど、どうにも久しぶりな感じがして落ち着かない。

それは突然尋ねられた母親もそのようだった。

「プロデューサーさん、でしたか」

「ああいえ、元、です」

母の言葉に、苦笑しながら訂正を加える彼。

「あらあら……えっと。それで、何の御用でしょう?」

母はにこやかに笑いながら、私とPさんの前に湯のみを置いて、私達の前に座った。

もしかして、気付いてやっているの?

この湯のみ、お母さんとお父さんの……だよね。

「速水さん……娘さんを、俺にください」

臆せず、彼は真っ直ぐに切り出した。

いつもとは違う、真面目で男らしい彼に少し惚れ惚れする。

「……なるほど」

対する母は、どこか複雑な表情で私を見つめていた。

当たり前だ。心の傷は、絶対に癒える事なんてないんだから。

「……少し、奏と話をさせてもらえませんか」

母の言葉に頷き、彼は廊下へと出て行ってしまった。

「……奏」

少し怒ったような、だけどどこか悲しそうな声で母が語りかけてくる。

「奏……あなたはきっと、後悔する事になるわ」

伏目がちに告げる母の表情は、みるみる曇っていく。

思い出したくもない記憶を、思い出しているのだろう。

「幸福な時間も、続いて欲しいと思った事も、きっといつか終わりが来るわ」

それでも?と彼女は問いかける。

私のように、なってしまうかもしれないのよ?と。

「それでも私は……終わりを見据えて、怖がって、何も手に入れられないで後悔するよりも、手に入れてから後悔したいから」

だから私ははっきりと告げる。

過去の私との決別を。

「……そう」

そうして母は立ち上がって、部屋の小物入れを開いた。

少しして母は1枚の紙を、私の目の前に置いた。

少しぐちゃぐちゃだけど、セロハンテープで、繋ぎ合わされた1枚の絵。

「これ、って」

「奏」

母は優しく私に微笑みかける。

その笑顔は、目の前の絵に描かれたもののように、とても綺麗だった。

「貴方は、こんな家族を作りなさい。いつか終わりが来るとしても」

目の前が絵の具のように滲んでいく。

ぐしゃぐしゃの絵が、更にぐしゃぐしゃになっていく。

私は母に抱きついて、久しぶりに、泣いた。

―――それから、少し経って。

「私がアイドルを辞めて、すぐに結婚だなんてPさんはせっかちだね」

純白のウェディングドレスに身を包んだ私はくすりと笑った。

「そんだけお前が好きだって事だよ」

タキシード姿のPさんは、照れもせずにそんな事を言う。

「私があれだけアタックしても、最後の最後まで選んでくれなかったのは誰だったかしら」

意地悪を言ってみると、彼は私の左手をギュッと握った。

「でも、こうやって選んだだろ?」

「……ふふっ、そうね」

そして二人でバージンロードをゆっくりと歩き出す。

「レナさん、祝福してくれたね」

「……そうだな」

実はアイドルを辞める時。

レナさんは、私に話しかけてきた。

そして言ってきたのだ「私の負けね」と。

それが何を意味するのかは、私もわかっている。

「……それじゃ、行こう。Pさん」

「ああ、行こうか」

私達は終わりに向かって歩いていく。

だけど、私は恐れない。

その終わりはきっと幸せで満ちているはずだから―――



速水奏 END


称号【幸せのクレヨン】を入手しました。

これにて、長く続いた喫茶店シリーズも一つの終わりです。

動画製作などもしているので、新スレを立てるのは少し先になってしまいそうですが、とりあえず今までお付き合いいただきありがとうございました。

安価に協力してくださった皆様に、感謝を。

それではお疲れ様でした。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月03日 (火) 12:13:26   ID: NKaoSQ8J

これ新作来てたんか!長かったのぉ……

2 :  SS好きの774さん   2015年03月04日 (水) 11:58:39   ID: rYWMmFqp

続きを待っていました!そしてお疲れ様でした!欲を言えばもっと長く続いて欲しかったりww

3 :  SS好きの774さん   2015年03月05日 (木) 04:08:46   ID: H2670aJh

複数ENDを作るつもりとは。
タイトルからまさかと思ったら続編とは…

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