乃々香「あったかいね」 (16)

汐音「ええ。すこし窮屈だけど」

乃々香「でも、こうした方がぬくもり感じられるでしょ?」

汐音「まあそれはそうね」

乃々香「それとも、もっとはじっこ寄った方がいい?」

汐音「ううん、このままでいい」

乃々香「ありがと。……汐音、やわらかいね」

汐音「乃々香だってやわらかいわ」

乃々香「ううん……そうじゃなくて、なんていうか、中学生らしからぬ包容力があるんだ、汐音って」

汐音「……そうかしら?」

乃々香「とくにこの……」

汐音「胸、とかいったらビンタね」

乃々香「うぐ……ふ、雰囲気がね」

汐音「ふうん……」

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乃々香「……汐音やわらかい」ギュウ

汐音「ん……」

乃々香「ご、ごめん、痛かった?」

汐音「大丈夫。でも強いていうなら、胸に顔押しつけるのはちょっとやめてほしいかな」

乃々香「え? ……あ、無意識だった。ごめんね」ギュムム

汐音「……それわざと?」

乃々香「違う、体が勝手に」

汐音「そんなわけないでしょう」

乃々香「はぁ……汐音やわらかい……」スリスリ

汐音(この子最近ノエルっぽくなってないかしら)

乃々香「汐音が北美中に転入してもう三ヶ月」

汐音「ええ」

乃々香「うちに居候してからも三ヶ月」

汐音「そうね」

乃々香「ということは、一緒に寝るようになってもう三ヶ月だね」

汐音「乃々香がどうしてもっていうから、仕方なくね。私は本当は一人が一番落ち着いて寝られるんだけど」

乃々香「汐音だって乗り気なくせに」

汐音「まぁ……最近少し寒くなってきたし、湯たんぽ代わりにちょうどいいかなって」

乃々香「私って湯たんぽ代わりだったの!?」

汐音「乃々香はあったかいのよ」

乃々香「どうりで汐音の体が冷たく感じるわけだよ」

汐音「ちなみにノエルはもっとあったかいわ」

乃々香「……なんでそんなこと知ってるの?」

汐音「以前一緒に温泉旅行に行ったことがあって……」

乃々香「あ、そういえば聞いたことある気がする」

汐音「そのとき勝手に布団に入ってきたのよ」

乃々香「たしかその頃の汐音って、そういうの許すキャラじゃなかった気が……」

汐音「そのときは寝てる振りをしてたわ」

乃々香「やっぱり汐音、ノエルには甘いよね」

汐音「まぁ、七年前から交流があったわけだし」

乃々香「私にはビンタしたけどね」

汐音「あ、あれは……ごめんなさい」

乃々香「ううん。謝らなくていいよ。代わりに胸に顔うずめさせて」

汐音「やっぱりビンタするわ」

乃々香「ずっとお話してたからか、喉が渇いてきたよ」

汐音「お水とってこようか?」

乃々香「あ、うん、お願いできる? ……ああそれと、部屋出るときお父さんに気をつけて」

汐音「……なんで?」

乃々香「お父さん最近、私と汐音の関係を怪しんでるの。汐音が毎晩のように私の部屋で寝てるから」

汐音「別に、友達と一緒に寝るくらい普通でしょうに」

乃々香「いや……たぶん普通じゃないよ……」

汐音「そうなの? 私、友達のサンプルが乃々香しかいないし、どっちとも一緒に寝たことがあるから知らなかったわ」

乃々香「いやいや、ノエルは?」

汐音「ノエルは……妖精みたいな認識だから、友達というよりは愛でる対象かしら」

乃々香「じゃあ、柚季やこはるは?」

汐音「友達の友達」

乃々香「七年間交流があるのに!?」

汐音「私の友達は七年前から乃々香一人よ」

乃々香「思ってた以上に重い」

汐音「中学生なのに両親の引っ越しに付き合わずに一人暮らししてたの、あれ乃々香を待つためだったのよ」

乃々香「でも、初めて再会したとき、今更何しに戻ってきたの、とかいわなかった?」

汐音「あれはまぁ、半分くらい照れ隠しだったわ。半分は本気で怒ってたけど」

乃々香「う……忘れてたことはごめん、謝るよ」

汐音「もういいわ。それに私は今、すごく……」

乃々香「すごく?」

汐音「……なんでもないわ」

乃々香「しあわせ?」

汐音「……わかってるなら聞かないでよ」プイ

乃々香「ところで、私もすっかり忘れてたけどお水は?」

汐音「あ、ごめんなさい。今取ってくるわ」

乃々香「うん」

 バタン

乃々香「ん……」ギュム

乃々香(汐音のまくら……すごくいい匂いする……なんでだろ、同じシャンプーとか使ってるはずなのに……)スーハー

汐音「……乃々香、なにしてるの」

乃々香「あ、汐音……お水持ってきてくれてありがとう」

汐音「話逸らそうとしないで」

乃々香「汐音のまくらの匂いかいでました! 悪い!? あとすごくいい匂いだったよ!」

汐音「開き直らないで」

乃々香「ね、なんでそんないい匂いするの、汐音? やっぱり美少女力高いと自然とフェロモンみたいなのがでるのかな」

汐音「なによそれ、美少女力って」

乃々香「白いワンピースと麦わら帽子がどれだけ似合うかを数値化した値だよ」

汐音「なによそれ……まぁ、美少女力はいいとして、もし本当にフェロモンが出てるとしたらそれは乃々香のせいね」

乃々香「あれ、今わりとすごいこといわなかった? もう一回いってくれない?」

汐音「今すぐに忘れなさい」

乃々香「それで、どうしてそんなにいい匂いがするの?」

汐音「それは……わからないわ。シャンプーの香りじゃない?」

乃々香「でも汐音、私と同じの使ってるよね」

汐音「ええ……だから、乃々香だっていい匂いするじゃない」

乃々香「そんなことないよ、汐音だけだって」

汐音「じゃあ自分のまくらの匂い嗅いでみなさいよ」

乃々香「うん。……あ、ほんとだ。汐音の匂いがする」

汐音「私の匂い、というより、乃々香の匂いだけどね、それは」

乃々香「つまり汐音は、私のまくらの匂いを嗅いだことがあると」

汐音「あ……」

乃々香「ふふ、これでおあいこだよ」

汐音「もう二時を回ってるわね……」

乃々香「明日休みだし、このまま朝までお話しする?」

汐音「それはちょっと体に悪いわ。それに、そんなことしたら、せっかくの休日を一日だるい体ですごすことになるわよ」

乃々香「私は、汐音ともっとピロートークしてたいよ」

汐音「……どこでそんな言葉覚えてきたか知らないけれど、使い方まちがってるわよ」

乃々香「そうなの? でも汐音は知ってるんだよね。じゃあ教えて?」

汐音「あなた……本当は知ってるのね……」

乃々香「えっと、本当に知らないんだけど……」

汐音「そう、じゃあ教えてあげるわよ! ピロートークっていうのは……」

乃々香「っていうのは?」

汐音「……やっぱりやめておくわ。どうしても知りたいんだったら柚季あたりに聞きなさい」

乃々香「どうして柚季?」

汐音「あの子そういうこと詳しそうだし……」

乃々香「そうなんだ……?」

乃々香「ん……まぶた重い」

汐音「ならもう……寝たら……いいじゃない……」

乃々香「そういうわけにはいかないよ。……って汐音?」

汐音「……」スー スー

乃々香「あれ、寝ちゃった」

乃々香(一人の方が落ち着いて眠れるとかいってたくせに……。まぁいつもは私が先に寝ちゃうんだけど)

乃々香「本当はもう少しお話ししてたかったけど、仕方ないね」

汐音「……」スー スー

乃々香「……汐音、本当は起きてるでしょ?」

汐音「……」スー スー

乃々香(あ、本当に寝てるっぽい)

乃々香「それじゃ、おやすみ、汐音。……大好きだよ」

汐音「……」スー スー

汐音「……」

汐音(……眠気さめちゃったわよ、乃々香のばか)

汐音「……私もよ、おやすみ」

終わり

乃々香たちが中学生だってことを最近知って驚きました。
ずっと高三だと勘違いしてて、「こいつら受験大丈夫なのかよ……」ってずっと思ってましたよ。
でも汐音とか一人暮らししてるのに……大丈夫なのかしら……。

あと、あれですよね、こはるも大きいですけど汐音はさらに大きいですよね。なにがとは言いませんが。

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