モバP「雪夜の讃美歌」 (48)

モバマスSSです。

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事務所

P「寒いな」

聖「そう…ですね」

P「こっちは雪は滅多に降らないけど、寒いものは寒いよな」

聖「…うん」

P「……」


聖「……」

聖「ご、ごめんなさい」ペコリ

P「どうかしたか?」

聖「あ、えっと、その、何を話していいか分からなくて…」

P「別に無理して話すことはないよ」

聖「でも…お話は…したい」

P「そうか」

聖「ぷ、プロデューサーさんは、私の歌…聞いたこと…ありますよね?」

P「よく聞いてるな」

聖「そ、そうですよね…」

P「いい声だと思う」

聖「ほ、ほんと…?」

P「あぁ。評判も上々だ」

聖「プロデューサーさん…は?」

P「俺の中でも上々だって」

聖「そう…よかった」ニコ

ちひろ「人気ありますよねー」

聖「あ、ありがとう…ございます」

ちひろ「この間の映像とか豪華でしたね」

P「なんというか壮大でした」

聖「プロデューサーさんと、ちひろさんが…舞台を用意してくれたから」

ちひろ「実力ですよ」

P「あぁ。そう思う」

聖「そんなこと…ない。と思います。あの時、あの場所で…私を見てくれていなかったら今は…ないですから」

P「そう言われるとそうかもしれないけどな」

聖「クリスマス、プロデューサーさんに…出会えたこと…感謝しています」

P「俺の方こそありがとな」

ちひろ「そう言えば、そこら辺の話聞いたことありませんでしたね」

P「言ってませんでしたっけ?」

ちひろ「えぇ、驚きましたよ。朝、事務所に来たなぁ思ったら女の子連れて来たんですから」

ちひろ「通報しかけました。正直に言うと」

P「まぁ、それが正しい反応かもしれませんね」

聖「かも、しれない…かな」

聖(懐かしいなぁ…)

聖「……くぁ」

P「寝て来るか?」

聖「うん…ちょっとだけ…」

P「あぁ、お疲れ様」

数か月前

P「クリスマス…か」

P「ホワイトクリスマスってなんか雰囲気がいいな」

P「隣には誰もいないけど」ハァ

P「この雪、明日も残りそうだな……」

P(明日、車動くかな…)

P「こんな時間だと外に人なんていないし、俺も事務所に帰ろう」

P「さて、近道をし……」ピタ

P(歌声が聞こえる?いや、ラジオかな?)

P「……」キョロキョロ

P「あ」

「~♪」

P「人が歌ってたのか」

「……」ビクッ

P「あ、ごめん」

「……」サッ

P「あっ…行っちゃった」

P「なんか悪いことしたな」

P(歌の練習でもしてたのかな…?)

事務所

P「ただいまもど…」

菜々「いえーい!」パァン

P「…どうしたんですか菜々さん」

菜々「どうしたもこうしたもありませんよ!クリスマスですよ!ホワイトクリスマスなんです!テンション上げずにいられますか!」

楓「雪見酒も美味しいですね…」

杏「楓さん、窓は閉めて…寒い」

P「仕事はもう終わってるんですから事務所にいなくても…あぁそうか」

菜々「な、なにを納得しちゃってるんですか」

P「事務所が一番騒ぎ易いかもしれないですね」

菜々「そ、そうなんですよ。決してお友達がいないとかそういう訳じゃないですから!」

楓「私はプロデューサーさん達とお酒が飲みたくてですね」

菜々「も、勿論、ナナもそうですよー!」

P「なるほど…そういうことなら、少しだけ頂きます」

ちひろ「お仕事が終わってからにしてくださいね」

P「勿論ですよ」

ちひろ「それじゃ…かんぱーい!」

菜々「乾杯です」

楓「はい。乾杯」

P「お疲れ様です」

杏「……」スー

P「寝たのか」

杏「寝た。後で起こして」

P「分かった」

楓「ウサミン星だと、どういうお祝いをするんですか?」

菜々「えっ!?地球と変わらないですよ」

楓「そうなんですね」

菜々「そうなんですよ。だからこうやっていても大丈夫なんです」

ちひろ「これがクリスマスっぽいかは微妙ですけどね」

P「どちらかと言うと、大晦日とか仕事納めっぽい気もしますけど…」

楓「ワイワイ出来る建前ですからね。どうぞ」

P「すみません。まぁ、そうですかね」

ちひろ「ですねぇ…」

菜々「なんだかポカポカしてきましたね」

ちひろ「ふふふ。私もです」

翌朝

P「結局雪残っちゃったか…」

P「予報だと今晩もちらつくかもって言ってたしな」

P「営業行っても早めに帰らないと」

「――、―♪」

P「…ん?」

P(歌…?)

「……ふぅ」

P「お、おはようございます…?」

「えっ…」ビクッ

P「あ、すみません。驚かせる気はなかったんですけど」

「あ。昨日の…」

P「はい。昨日も驚かせてしまってごめんなさい」

「別にいい、ですけど…」

P「歌上手いですね」

「…ほんと?」

P「えぇ、だからつい見に来ちゃいました」

「…ありがとう」

P「こちらこそ。あ、それじゃ。失礼しますね」

「え、あ…はい」



「歌、上手だって…ふふ」

事務所

P「おはようございます」

ちひろ「おはようございます」

P「昨日はお疲れ様でした」

ちひろ「いえいえ。ただ、翌日も仕事だってことを完全に失念してましたね」

P「そこに関しては同感です」

ちひろ「他の子も個々人で楽しんでたみたいですよ」

P「そうですか。まぁ、仕事終わってからなんで何も言いませんけどね」

ちひろ「ですね」

P「そう言えばちひろさんはクリスマスプレゼント何をお願いしましたか?」

ちひろ「へ?」

P「いや、プレゼント」

ちひろ「私はもう子供じゃないですからね。お願いはしてませんよ」

P「そうですか」

ちひろ「プロデューサーさんはしたんですか?」

P「俺もしてないですけどね。皆がトップになれる薬とかあったらお願いするんですけど」

ちひろ「ないですよねえ」

P「えぇ」

ちひろ「それは、私達が頑張るしかないですね」

P「そうですね」

菜々「おはようございまーす!」

P「朝から元気ですね」

菜々「はい。JKですから。昨日はありがとうございましたー」

ちひろ「お疲れ様です」

P「元気ですね」

菜々「17歳ですから!」ドヤ

P「何回目の17歳ですか?」

菜々「えっ、あっ、一回目です!」

P「そうでしたか」

菜々「当然じゃないですか!」アハハ

ちひろ「普通ならそうですよね」

菜々「ですよー。ナナは別に不老不死でも、同じ時間を繰り返してる訳じゃないですからね!」

P「不老不死か。なれたらどうします?」

菜々「え?そうですねぇ…本当に永遠の17歳って胸を張れますね」

ちひろ「ずっとそのままですもんね」

菜々「はい。あ、でも。ちひろさんたちがいなくなっちゃっても17歳のままだといつか飽きてきそうです」

菜々「あ、いえ、お仕事にとかじゃなくてですね、その、なんていうか、どんなことをやっても楽しくないかなぁって」

P「かもしれないですねぇ」

ちひろ「プロデューサーさんは、なんだかんだでスカウトとかしてそうですけどね」

菜々「あ、それ、分かります」

P「どうでしょうかね。体は若いままでも心は年を取りますから」

ちひろ「確かに、そうかもしれませんね。仙人みたいになりそうです」

P「ちひろさんは、なんだか楽しくやってけそうですけどね」

ちひろ「そうですかね?」

P「イメージですけどね」

ちひろ「どういうイメージなんですか…」

P「楽しそうに余生を過ごしそうですよ?」

ちひろ「そうですか?」

P「えぇ。そういえば、人魚の肉を食べればなれるとかって話ですよ」

ちひろ「なんかちょっとグロテスクですね」

P「想像するとちょっとアレですね」

夕方
事務所

P「お疲れ様です」

ちひろ「お疲れ様です。雪どうでした?」

P「パラついてましたね」

ちひろ「そうですか。ご苦労様です」

P「積もらないといいですけどね」

ちひろ「そうですね」

泰葉「昨日、ホワイトクリスマスでしたね」

P「そうだな。泰葉は何かしたのか?」

泰葉「はい。お仕事終わってからでしたけど」

P「そうか良かったな」

泰葉「寒くてお部屋の中から外を見てましたけど良かったです」

P「なんだか幻想的だったよな」

泰葉「そうですね。蘭子ちゃんが喜んでいました」

P「好きそうだな」

泰葉「えーっと…『この白銀の世界に舞い降りた…』なんとかって言ってました」

ちひろ「言いそうですね」

ちひろ「それじゃ帰りますか」

P「えぇ。お疲れ様でした」

ちひろ「はい。お疲れ様です。風邪引かないように気を付けてくださいね」

P「そちらもお願いしますね」

ちひろ「勿論です」



P「雪はもう止みそうだけど、寒いものは寒いな…」

P(そういや、今日の朝も歌ってた子がいたな)

P「コンクールか何かに出るのかな」

P「……通ってみるか」

公園

「…あ」

P「どうも、こんばんは」

「こ、こんばんは…」

P「今日は歌わないんですか?」

「も、もう終わりです。今日は」

P「そうでしたか」

「き、聞きたいんですか?」

P「えぇ、ちょっとだけ」

「な、名前…」

P「はい?」

「知らない人とはあんまり喋っちゃダメ…って言われてる…から」

P「あぁ、なるほど。これ名刺です。どうぞ」

「プロデューサー…?なにそれ?」

P「簡単に言うと、アイドルとかをプロデュースしているんです」

「そう。なんだ…私は聖。望月…聖。って言います」

P「いいお名前ですね」

聖「そうですか…?」

P「はい」

聖「そんなこと言われたの…初め――」

ピリリリ

聖「あっ、えっと…」チラ

P「どうぞ」

聖「あ、はい」ピッ

聖「あ、うん…大丈夫。今から、帰るから。うん、すぐ帰る」ピッ

P「お母さんからですか?」

聖「…うん。もう帰ってきなさいって」

P「それじゃ、また次の機会にでも聞かせて下さい」

聖「あ、明日…朝じゃダメですか?」

P「構いません」

聖「それじゃ…さよなら」



P「望月さんか…」

P「不思議な子だなぁ」

翌日

公園

P「今日も天気よくないなぁ」

P「地面とかぬかるんでそうだし」

P「朝って言ってたけどいつなんだろ?」

「…あ」

P「ん?」

聖「おはよう…ございます」

P「おはようございます」

聖「一曲だけ…歌いますね」

P「はい」

聖「人の前で、歌うのは…初めてです。そんなに上手くないかもしれない…ですけど」

聖「――、――♪」

P「……」

聖「……終わり、です」

P「……」

聖「どう…でしたか?」

P「凄かったですよ」パチパチ

聖「あ、ありがとうございます」ペコリ

P「あんまり音楽とかに詳しくないんですけど、それでも響きました」

聖「響く…」

P「えぇ。じんわりと。それでいて強く揺さぶる感じだしました」

聖「揺さぶる…」

P「好きですよ。望月さんの歌」

聖「ありがとうございます…嬉しい…」ニコ

P「それじゃ、また機会があれば…」

聖「…はい」

事務所

P「おはようございます」

P「って今日は一番か」

P「しかし、本当に上手かったなぁ」

P「雰囲気も相まって綺麗だった」

ガチャ

P「ん?」

小梅「あ…、おはよう…ございます」

P「おはよう」

小梅「…はい」

P「今日はレッスンだっけか?」

小梅「歌の…レッスンです」

P「そうだよな」

小梅「私の歌…好きですか?」

P「あぁ。いいと思う」

小梅「そう…ですか。頑張りますね」

P「あぁ、頑張ってくれ」

小梅「…はい」

小梅「歌…って不思議」

P「うん?」

小梅「あ、いえ、だって…音だけで人を魅了出来るんです…から」

P「確かにな」

小梅「私も…」

P「うん?」

小梅「私も…Pさんを、魅了しちゃい…ます♪」

P「えっ…」

小梅「あ、やっ、今の…ナシで…!」

バタン

ちひろ「今、小梅ちゃんが凄い勢いで外に出ていきましたけど…どうかしたんですか?」

P「まぁ…いろいろありまして」

P(魅了…か)



ファミレス

菜々「なんとか天気持ちましたね」

小梅「…うん」

P「なんかファミレスでごめんな」

菜々「いえいえ。いいですって!」

小梅「うん。こういうのも…好きだよ?」

P「なら良かった」

菜々「あ、これ食べてみたいです。生ハムメロン」

小梅「美味しいの…?」

菜々「名前で惹かれただけです…」

P「頼んでみてもいいぞ」

菜々「はーい」

菜々「意外に美味しいですね」モグモグ

小梅「うん…」

P「思ったより美味しいな」

P「そう言えば菜々さん」

菜々「なんですか?」

P「歌って不思議ですよね」

小梅「……」ピク

菜々「どうしましたか?」

P「あ、えっとですね――いたっ!」

菜々「ど、どうしましたか?」

P「い、いえ…」チラ

小梅「……」プイ

車内

菜々「寒いですねぇ…」

小梅「寒い…ね」

P「そうだなぁ。風邪ひくなよ」

菜々「気を付けます」

小梅「…うん」

P「シートベルト締めたか?」

菜々「はい。それじゃ出発しましょー」

P「……ん?」

菜々「どうかしましたか?」

P「あ、いえ、ちょっと…止まってもいいですか?」

菜々「どうぞ?」

小梅「……?」

公園

P「こんばんは」

聖「あ…こんばんは」

菜々「どうしたんですか?って…女の子?」

小梅「…?」

聖「あ、えっと……」

P「ウチのアイドルです」

聖「み、見たこと…あります」

菜々「あ、本当ですか!? 嬉しいですねぇ!」

小梅「ありがとう…」

聖「二人とも…歌が上手くて…素敵です」

菜々「うっ、歌が上手い…。うーん…」ムムム

菜々(メルヘンデビューって上手いとかってそういう次元の歌なんですかね…?)

P「あ、そうだ。望月さんも歌が上手いんだよ」

聖「え、あ、望月…聖です」

菜々「そうなんですね」

P「もしよかったら、一曲歌ってくれませんか?」

聖「えっ…」

P「お願いします」

聖「……はい」

聖「えっと…お願いします」ペコリ

聖「……――♪」

菜々「ふぁ…」

小梅「…わぁ」

聖「―――。終わり…です」ペコリ

菜々「う、上手いです!」

小梅「…うん。上手」パチパチ

聖「あ、ありがとうございます…」

菜々「ナナはそこまで音楽に詳しくないんですけど、良かったです!」

小梅「…うん」

聖「ありがとう…ございます」

車内

P「悪いな。寄り道しちゃって」

菜々「いえいえ。楽しかったですよ!」

小梅「…うん」

P「それはよかった」

菜々「あの子とはどうやって知り合ったんですか?」

P「偶然公園で歌ってるのを聞いてたんですよ」

小梅「偶然…って凄い」

P「俺は凄いと思ったんだけど、他の人はどうかなって思ってさ」

菜々「なんかいいなぁって感じでした。上手く言えませんけど」



菜々「それじゃ、お疲れ様でしたー」

P「お疲れ様でした」

小梅「お疲れ…さまです」

翌日

公園

P「おはようございます」

聖「あ…おはよう…ございます」

P「いつも朝と夜練習してるんですか?」

聖「練習…ってわけじゃないですけど…」

聖「誰かに私の声が、歌が響けば…って」

P「そうなんですね」

聖「…はい」

P「昨日の歌は、あの二人にも響いてたみたいですよ」

聖「そうですか…よかった」ニコ

P「はい。それじゃ、失礼しますね」

聖「……」ジー

聖「……よし」

聖(アイドルって調べてみたけど、歌とか歌ってるんだよね…?)

聖(どんな…人が、いるの…かな?)トコトコ

ズルッ

聖「あっ…!」

P「ん?あれ?どうしたんですか?」

聖「あ…別に…なんでも…ない」クシュン

P「結構派手に転んじゃったみたいですね。事務所近いんでそこで乾かしましょうか」

聖「…ごめんなさい」

事務所

ちひろ「おはよ――ってどうしたんですか?」

P「ちょっと、この子に替えの服貸してくれませんか?」

ちひろ「ジャージならありますけど…」

P「それでいいんで」

聖「……ごめんなさい」シュン

P「いや、いいですって」

聖「私が…勝手に着いていったから…」

聖「アイドルって歌を歌えるって書いてあったから…」

P「なるほど。そういうことですか」

聖「…はい」

P「まぁ、折角なんで、親御さんに連絡してからだったら見学しても大丈夫ですよ」

聖「…ホント?」

P「えぇ。興味持ってくれることは嬉しいですから」

聖「うん。あ、うん。大丈夫。えっと、ちょっと待って」

聖「…代わって欲しいって」

P「分かった。もしもし―」


P「はい。はい。それでは、失礼いたします」ガチャ

P「これでよしと」

ちひろ「プロデューサーさーん…?」

P「はい?」

ちひろ「これ、今日のスケジュールなんですけど」ヒラヒラ

P「あ、そうですね。勿論こなしますって」

ちひろ「ならいいですけどね。年末なんで結構キッチリ入ってますけど」

P「わかってますって。それじゃ、あのお姉さんに場所を教えて貰ってな」

聖「……」コクン

現在
事務所

P「ってなことがあったんですよ」

ちひろ「あ、そういうことがあったんですね」

P「えぇ。まさかアイドルに興味持つなんて思ってませんでしたけどね」

ちひろ「プロデューサーさんが名刺渡したからじゃないですか?」

P「どうなんでしょう?」

ちひろ「それは本人しか分からないですけどね」

ちひろ「しかし、私も初めて聞いた時から上手だなぁって思いましたよ」

P「ちひろさんもですか」

ちひろ「はい。澄んでいて綺麗な声だなぁって思います」

P「なんだか雰囲気がありますよね」

ちひろ「はい。心にまで響きそうでした」

P「見た目と相まって良いですよね」

ちひろ「本当にそう思います」

ちひろ「しかし、私も初めて聞いた時から上手だなぁって思いましたよ」

P「ちひろさんもですか」

ちひろ「はい。澄んでいて綺麗な声だなぁって思います」

P「なんだか雰囲気がありますよね」

ちひろ「はい。心にまで響きそうでした」

P「見た目と相まって良いですよね」

ちひろ「本当にそう思います」

仮眠室

聖「……?」

聖「懐かしい…夢」

ガチャ

P「起きたか?」

聖「…あ、うん」

聖「昔のこと…思い出してました」

P「丁度俺とちひろさんもそんな話をしてた」

聖「…そうなんですね。私は…あの日のことは絶対に忘れません…から」

P「あぁ、俺だって忘れないよ」

聖「…うん」

P「そう言えば、今日は帰っても平気だぞ?」

聖「えっと…わがまま言っても…いい?」

P「内容によるな」

聖「一緒に、帰って欲しい…」カァァ

P「そういうことか。いつも通り送るって」

聖「あの、行きたい…所があるんです」

公園

P「懐かしいな」

聖「はい。初めて…会った所です」

P「そうだな」

聖「今夜は…星が綺麗。誰もいないこんな場所なら、私の声…届くかな?」

P[あぁ、きっと届くさ」

聖「うん。そう言って、あんな雪の日に会った私に光を当ててくれた…」

P「聖の努力の結果だよ」

聖「最近は、歌以外のお仕事も楽しい…かも」

P「それは良かった」

聖「うん。これからもよろしく…」

P「望月聖」

聖「はい…?」

P「望って文字はさ、遠くまで見通して探し求めるって意味なんだ」

聖「そうなんだ…」

P「聖の歌声が月まで届いた、響いたから今がこうしてあると思ってるよ」

聖「私は…何もしてない…ここまで出来たのは…Pさんのおかげだから」

聖「まだまだ…色々な人に歌。聞いてもらいたい…」

聖「真っ白な暗闇の中で…Pさんは灯台みたいに…導いてくれた」

聖「私の、宿り木みたいな存在…」

P「これからも、頑張ろうな」

聖「…うん」

P「折角だからさ」

聖「…?」

P「何か歌ってくれないか?」

聖「分かりました…」

聖「歌の届け方を知らなかった私を導いてくれた…Pさん。これからも…私の傍にいて下さいね?」

P「あぁ。分かってる」

聖「ありがとう…ございます。その言葉だけで、寒い夜でも…暖かい気持ちになれます」

聖「それでは…讃美歌第二編167番。…歌いますね」

聖「今は…今だけは、ファンの人の為じゃなくて…Pさんの為に歌います」

聖(この気持ち…届くといいな)

聖「…私の歌を聞いて下さいね。ずっと。ずっとこれからも」

終わりです。

読んで下さった方ありがとうございます。

それでは、失礼いたしました。

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