【艦これ】艦娘「私の提督はペンギン。」【ペンギンズ】【安価有】 (707)

このSSは、『艦これ』と『ペンギンズ from マダガスカル』のクロスSSです。


・若干のキャラ崩壊あり
・この作品によるオリジナル設定、オリジナル要素あり
・艦これ側のアニメ要素は多分使わない
・たまにシリアスあり


安価に関してですが、物語の区切りのいいところでちょいちょい出していくつもりです。
ぜひご参加ください。

あと雑談は構いませんが、ほかの読者の迷惑ならないようお願いします。


それでは始めていきます。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422033646





サァッと突き抜けていく風。

かつてあった活気はどこへ行ったのだろう。

突然の深海棲艦の襲撃により、この鎮守府はすべてを失った。

自分とわずかに残った妖精以外…

提督…みんな…ごめんなさい…








ニューヨーク・セントラルパーク動物園(ペンギン居住区)



スキッパー(以降、隊長)「これはゆゆしき事態だ!」

プライベート(以降、新人)「一体どうしたんです?」

隊長「なにが"どうしたんです?"だ!」

隊長「この状況は見てみろ!」





マリーン「あっつい…」

バート「これはもう…たまらんぞう…」

キング・ジュリアン「ん~、なんと快適な……おい!モーリス!もっと力強く扇げ!でないと…」

モーリス「はぁ…はぁ…そうはいいますけど…」

ジュリアン「もう…わしダメぇ~…」ダラーン…

モーリス「私もですぅ~…」ダラーン…

モート「モート、キング・ジュリアンの足さえあれば大丈夫!」ダキッ

ジュリアン「ええい寄るな!暑苦しい!」ゲシッ



新人「みんな暑さでやられてます。」

新人「で、これがどうゆゆしき事態なんスか?」

新人「この程度なら前にも同じ様なことがあったッス。」

隊長「新人、本当にそう思うのか?」

隊長「お前もこの暑さで頭をやられたんじゃあるまいな!?」

新人「…話が見えないッス。」

隊長「いいか新人…







今は1月なんだ!!」







ミーン ミーン ミーン ミー

オイシイフラッペハイカガ?

コノアイスキャンディーオイシイ!









新人「いや、8月ッスよ?」

隊長「いや、1月だ!」

新人「いやいや、8月ですって。」

隊長「いいや、1月!」

新人「8月!」

隊長「1月!」

新人「もう…じゃあ、ほら。」

カレンダー「8月でーす。マジ暑いわぁ~」

隊長「なに?…そんな、馬鹿な!?」

新人「でも8月ッス。」

隊長「いや、世間では1月で…ニューイヤーを迎えたばかり…」

新人「いや、でも…」セケンッテ?

カレンダー「ほんと俺も夏休みほしいわぁ~…あ、今8月ね。」

隊長「そんな馬鹿なはずが…これは何かの陰謀では!?」

隊長「はっ!まさかドクターシオフキーがなにか企みを!?」

新人「そんな筈ないッスよ。隊長のほうこそ暑さで頭やられたんじゃないです?」プククク

隊長「…」ジーッ

新人「あっごめんなさい。ちょっと言い過ぎたッス。」


隊長「いや、私のほうこそすまん。どうやらこの暑さでどうかしてしまったようだ。」

隊長「それよりも、一大事だ!プールの水まで干上がっている!」

新人「それは一大事ッス!でも、前もありませんでしたっけ?」

隊長「このままでは"干しイカ"ならぬ"干しペンギン"が出来上がってしまう!」

新人「なら水を探しに行きましょう!」

隊長「名案だな。さすが新人。外ならきれいな水が…」

隊長「いや、ダメだ!」

新人「どうしてです?」

隊長「局員Xにまた追いかけられそうな気がしてな…」

新人「あ~、そういえばそうッスね。」


新人「ん~…なら、コワルスキーに頼んでまた冷却装置を付ければ問題なく過ごせませんか?」

隊長「でも…また動物園に危機が…」

新人「前は暖めたからですよ。今度は冷やすんです。冷やすなら爆発しないでしょ!」

隊長「なるほど、それなら名案だ!さっそくコワルスキーに!」

コワルスキー「残念ながらそれは無理です。」

隊長「コワルスキー!一体いつの間に?そして何故だ!?」

コワルスキー「『プールの水まで干上がっている!』のとこからです。」

コワルスキー「そして何故ダメかというと…」



動物園ボイラー室前


業者「フフフ~ン♪」

コワルスキー「とまぁ、ボイラー室にああやって人間が張り付いているのです。」

隊長「む~…」

新人「一回取り付けに来たんッスね?」

コワルスキー「この暑さは耐え切れん!」

隊長「しかし、困ったな…」

隊長「このままでは本当に我々だけでなく、動物園の皆が干からびてしまうぞ!」

新人「…どうにかならないッスかね。」

コワルスキー「実はそのことで、隊長にお見せしたいものが。」




ペンギン居住区・ペンギンズ基地


コワルスキー「見てください!これが私の発明した『どこにでも行けるドア』です!」

新人「おお~!」

リコ「おお~!」

隊長「どこにでも行けるドア?」

コワルスキー「どこにでも行けるドアです。」

隊長「それで、このどこにでも行けるドア。はどういうものなのだ?」

コワルスキー「このドアの前で行きたいところを念じると…なんと、その場所にたどり着いてしまうのです!」


隊長「ほほぅ…なるほど、それは便利だな…ところでその…名前は何とかならんのか?」

コワルスキー「といいますと?」

隊長「長くてかなわん、短く『どこ○もドア』ではダメなのか?」

コワルスキー「あ~…すでにそれは登録済みでして…」

隊長「そうなのか?なら今からこいつは『ドア』だ!」

コワルスキー「え?」

隊長「ドア。うん、なんと納まりの効いた最高のネーミングなんだ。」

コワルスキー「いや、しかし…その…」

新人「ドア。なかなかシビレル名前ッス!」

コワルスキー「え?…いや…」

リコ「サンセーイ!」

コワルスキー「えぇ!?リコまで!?」

隊長「異論はないな?」

コワルスキー「そんなぁ!!三日三晩考えて付けた名前なのに!」


新人「ところで、本当に行けるッスか?」

コワルスキー「もちろんです!ここの粒子安定加速器で作られた素粒子のビームが…」アーデモナイコーデモナイ

新人「つまり?」

隊長「とにかく正常には動くらしいな。」

新人「だったら、海に行きたいッス!海!」

リコ「ワーオ!」

隊長「すごい名案だ新人!このくそ暑い気温をブッ飛ばすにはやはり海が一番だ!」


新人「ですよね!だったら、マリーンたちも呼んで一緒に行きましょう!」

リコ「ウンウン!」

隊長「新人、それは待て!リコもだ!」

新人「何でですか!?」

リコ「エー…」

隊長「よく考えてもみろ。作ったのは他でもない。あのコワルスキーだ。」

新人「そうですね。」

隊長「今までもほとんど成功したことのない発明に、この動物園の仲間を巻き込むのはあまりにも可哀想だ。」

隊長「もし行くのであれば、下見がてらにまずは我々だけで行くのが良いとは思わんか?」

新人「あー…それもそうッスね。」

リコ「ウンウン。」


コワルスキー「…というわけで、このドアの中心に高速でビームの渦ができ、空間と空間をつなぐことができるのです。」

隊長「なるほど、それはすごく…ハッピーだな。」ハハハ

コワルスキー「そうですとも!」

隊長「では早速、"海"に行きたいのだが、どうだろうか?」

コワルスキー「いいですね、名案です。」

コワルスキー「では、最初は海に行きましょう。」

隊長「そうとなれば…」





数十分後



隊長「諸君、準備はできたな?」

新人「OKッス!」

コワルスキー「私も準備OKです。」ジュウソウビ!

隊長「なんだ、その荷物は?」

コワルスキー「もしものための開発キットと実験キットです。」

隊長「なるほど。で、リコは何も持っては…」

リコ「…」オナカサスサス

隊長「だったな。それでは諸君!いざ、海という名のパラダイスへ!」

隊長「…で、どう使うんだったかな?」


コワルスキー「まず扉の前で行きたいところを念じます。今回は4人と大人数なので、できる限りワードは絞ったほうがいいでしょう。」

隊長「なるほどな。…いいか諸君。決して"デンマーク"だけは念じるなよ?わかったな?」

隊長「わかったな?」

新人「はい。」

隊長「わかったな?」

リコ「ハーイ。」

隊長「わかったな?」

コワルスキー「でしたら、別の国の海を念じたらどうでしょうか?」

バットマンじゃないのか・・・


新人「たとえば?」

リコ「ハイ!ハイ!」

隊長「では、リコ。」

リコ「アフリカ!」

隊長「ただでさえ暑いのに、なんでわざわざ暑い国へ行かなければならないんだ?却下だ!もっと涼しいところだ。次!」

コワルスキー「涼しい…でしたらスウェーデン。もしくはノルウェーとかはいかがでしょう?フィンランドという手もありますよ?」

隊長「涼しいというより寒いな。何よりもデンマークの近くだ。よって却下。」


新人「うーん…」

新人「だったら、日本は?」

新人「あそこなら暑くもなさそうだし、寒くもなさそうだし…」

隊長「…」

コワルスキー「…」

リコ「…」

新人「…ダメ?」

隊長「新人。今日はなんて冴えてるんだ!日本!暑くもなく、寒くもない!まさに的確な国じゃないか!」(※あくまで個人の感想です。)

リコ「スシ!テンプラ!サカナ!」

隊長「でも、日本にビーチなんてあるのか?」


コワルスキー「この私秘蔵の資料によりますと…」

コワルスキー「日本の何カ所かにはビーチらしきものがちらほら…トットリサキュウ?クジュウクリハマ?ソウヤミサキ?」

隊長「とにかく日本に決定だ。諸君、"日本のビーチ"と念じるのだ!」

新人「日本のビーチ…日本のビーチ…日本のビーチ…」

リコ「アニャウニュハニャフニュ…」ウーンウーン…

コワルスキー「うーん…日本のビーチ…」

隊長「よし!それで次は?」

コワルスキー「そのまま"ドア"を開け…」

隊長「こうだな!」ガチャッ



ドア「キドウシマス!」ウィーン…コォー…



隊長「おお!」

コワルスキー「そしてそのまま…」

隊長「そしてそのまま?」

コワルスキー「…飛び込みます!」

隊長「私が一番だ!それ!」ヒュッ!

コワルスキー「それでは私が二番で!」ヒュッ!

リコ「ナンバースリー!」ヒュッ!

新人「待ってくださいよ!あっ四番目!」ヒュッ!










4匹「「「「うわあああああああああああああ!!」」」」












ドア「…」






ドア「ビィーッ!ビィーッ!ビィーッ!」

ドア「エラー!エラー!」

ドア「イジョウジタイハッセイ!イジョウジタイハッセイ!」

ドア「キンキュウシークエンスニイコウシマス」

ドア「イコウシマス。イコウシマス。イコウシマス。」

ドア「ビィーッ!ビィーッ!ビィーッ!」

















4匹「「「「うわああああああああああああああ!?」」」」





















日本???




4匹「「「「うわああああああああああ!!!!!」」」」



ドンガラガッシャーン!!!



ドーーーーーン!!!!



??「!?」

??「なに?」





隊長「うぅ…」ピヨピヨ…

新人「ここ…どこッスか?」クラクラ…

リコ「オッオーゥ…」ピヨピヨ…

コワルスキー「どっどうやら着いたみたいです…」イテテ…

隊長「っ!するとここは日本のビーチなのだな!?」

コワルスキー「ええ。まぁ…」

新人「でも…」




ヒューーー…




新人「瓦礫の山ッス…とてもビーチとは思えないッス…」


隊長「…コワルスキー?」

コワルスキー「いや、待ってください!ほら、この瓦礫から…漢字のついた看板!こっちは日本語のひらがなです!」

コワルスキー「つまり、ここは日本なんです!」

隊長「しかし、いま世界中で漢字とひらがなぐらいなら見るぞ?」

新人「たまにマンハッタンでも見かけるッス。」

隊長「また失敗か?」


コワルスキー「待ってください!私の発明にそんな…」

リコ「…ン?」

新人「どうしたんッスか?リコ。」

リコ「…」クンクン

新人「?」

リコ「ン?…オ!」

新人「ん?…あっ!見てください!隊長!」

隊長「なんだ新人!今は取り込み中だ!」

新人「海ッス!海があるッス!」

隊長「なんだと?」

隊長「おお、海だ。しかもこんな近くに!」


コワルスキー「やっぱり。私の発明に狂いはなかった。」

隊長「では、ここは日本なのか?」

コワルスキー「それは…」

隊長「そこが問題だ。」

隊長「日本なのか?日本じゃないのか?」

コワルスキー「えっとぉ…」










??「あなたたち…」








4匹「「「「!?」」」」




新人「に…人間ッス!」






どうなる、ペンギンズ!?

というわけで、一旦ここまで。

>>17

そっちのペンギンだと深海側かな?

それでは、以降物語の中心となる艦娘を決めたいと思います。

初期艦5人(吹雪・五月雨・叢雲・電・漣)の中で一人を安価で↓2で。

よろしくお願いします。

南極ならぁぁぁ君と僕とペンギンー

レスありがとうございます!

では今後カギとなる艦娘は漣で決定で。

今後ペンギンズとどうかかわっていくかお楽しみに。

>>34

槇原敬之のPENGUINですよね。

マダガスカルのペンギンズクロスssとはなんて俺得な…!
今後キングジュリア達も絡んで来てくれたらなお嬉しい

一旦乙、完結目指して頑張って下さい

仕事が立て込んでてなかなか先に進まない…

できた分だけ投下していきます。

>>36
よかったペンギンズの知名度がどんだけのものか正直不安だったけど、知ってる人がいて助かったぁ~。
キングジュリアンのトリオは中盤ぐらいに出したいと考えてます。

新人「どうするッス!?人間ッスよ!?」

隊長「うろたえるな新人!」

隊長「こういうときこそ、キュートにきめて全力で媚を売るのだ。」フリフリ

隊長「そうすれば相手も見過ごして…」フリフリ

??「…」ジーッ

コワルスキー「ダメです隊長。我々がここにいる時点で、ものすごく怪しまれてます。」

隊長「盲点だったぁ…」

隊長「次のプランだ、コワルスキー。」


コワルスキー「え~…っと…」

??「…」ジーッ

コワルスキー「え~…」

??「…」ジーッ

コワルスキー「…」ダラダラダラ

??「…」ジーッ

コワルスキー「ダメです隊長!この人間からは逃れられません!」

隊長「なんだと!?」


新人「隊長!この娘、さっきから僕たちだけを見ていますよ!?」

コワルスキー「それは単に、私たちだけしか注目するモノがないからだと思うぞ?」

新人「あっそっか。」デヘヘ

隊長「新人、油断をするな!」

新人「あっすみません!」

??「やっぱり…」

コワルスキー「ん?」









??「あなたたち、しゃべってる!」








隊長「…」

コワルスキー「…」

リコ「…」

新人「…」

隊長「…コワルスキー、状況説明。」

コワルスキー「私が思うに、彼女は私たちペンギンの言葉を理解しているかと…」


隊長「そんなことがあり得るのか!?」

隊長「今までだって、人間と意思疎通するのには翻訳機が必要だったというのに…サンタクロースは別だったが…」

??「たぶん、特殊じゃないかな?漣も初めて見るし…しゃべるペンギン。」

コワルスキー「だそうです。」

隊長「…なんということだ。」


隊長「ということは知られてはいけないことも聞かれていたのか!?」

??「知られてはいけないって?」

隊長「それはもちろん…ところで、どこから聞いていたんだ?」

??「ここは日本なのか?のところから…」

??「重要そうなところはしゃべってなかったよ?」

隊長「なら、質問しよう。なぜ君は私たちの言葉が理解できる?」

??「なんでだろう?漣も特殊だからかな?」

コワルスキー「特殊とは?一見普通の人間にしか見えないんだが…」


??「そう?ありがと。でも、一見普通に見える漣ですが…しかしてその実態は!」

漣「駆逐艦の艦娘、漣なのです!」シャキーン!

漣「というわけでよろしくね、ペンギンさん。」

隊長「コワルスキー、"クチクカンノカンムス"とはいったい何なのだ?」

コワルスキー「さぁ、私にもさっぱり…」

漣「え?漣は艦娘だよ?知らない?か・ん・む・す」


隊長「そのカンムスとは一体なんなんだ?」

漣「え~遅れてるぅ。でも無理ないか、ペンギンだしね。」

漣「艦娘っていうのはですね。第2次世界大戦で活躍した軍艦の記憶を持った女の子たちのことを指すのです。」

コワルスキー「軍艦の記憶を持った?」

漣「そう、言わば生まれ変わり!」

コワルスキー「馬鹿なありえない!無機物が記憶を持つなど、しかも有機物に生まれ変わる?そもそも生まれ変わるという行為自体が…」

コワルスキー「非ぃ科学的だ!」


漣「その非科学的なものが目の前にあるんだけどぉ~…傷つくなぁ~」ムスー

漣「っていうか漣的には、ペンギンがしゃべって意志疎通っていうのも非科学的なんですけどー。」ジーッ

コワルスキー「それは、普通の人間には鳴いて戯れているようにしか見えてないからで…」

新人「でも、僕たち普段は訓練したり任務をこなしたりってしてますけど…」

漣(訓練?任務?)

新人「それって普通のペンギンもすることなの?」

コワルスキー「えっと…それは…」

隊長「まさに非科学的だな。」

コワルスキー「たいちょぉ~。」

漣(ちょっと面白いな。このペンギンたち。)


隊長「まぁ、話が進まなくなるからな。」

隊長「で、そのカンムスというのは普段は何をしているのだ?」

漣「深海棲艦から国をお守りしています!」ビシッ

隊長「シンカンセンカン?」

漣「し・ん・か・い・せ・い・か・ん!新幹線じゃありませんよぉ。」

隊長「コワルスキー。」

コワルスキー「私にもわかりません。興味はありますが。」

漣「深海棲艦も知らないの!?」

新人「なんか…ごめんね?」

漣「きっと平和なところで生まれ育ったんだね。」

新人「いや、ニュースとか見ててもそんなワード聞いたことないもん。」

リコ「ウンウン!」

漣「ニュース?…(最近のペンギン進んでるな!)」

隊長「たしかに。」

コワルスキー「見たことありませんね。」


隊長「その深海棲艦というのも教えてはくれないだろうか?」

漣「仕方ありませんね。」

漣「深海棲艦っていうのはですね。昔に沈んでいった軍艦の人間に対する恨み、未練。そういう怨念が実体化したもの。」

漣「それが人間たちに復讐するために民間船を襲ったり、海の近辺に住んでいる人を襲ったり、何の罪もない人を襲い苦しめる。」

漣「それが深海棲艦。」

漣「そんな深海棲艦を止めるために生み出されたのが漣たち艦娘ってわけです。」

新人「えっと…つまり?」

隊長「幽霊ってことか?」

新人「幽霊…?」

新人「ぎゃあああああああああ!!怖い!」

コワルスキー「なんと非科学的な…」

漣「言うと思いました。」


隊長「それで、そのシンカンセンカン」

コワルスキー「深海棲艦です。」

隊長「そうそう、その深海棲艦と一人で戦っていたのかね?」

漣「え?」

新人「だって、君しかいないよ?ここには…」


ヒューーーー…


漣「艦娘は漣だけじゃなくて他にもいますよ。」

漣「…ここには、漣しかいませんが。」

隊長「どうやら訳ありのようだな。」

新人「どうしてこんなボロボロなところに一人だけで?」

漣「ボロボロでも、漣にとっては思い出の場所だから。」

漣「漣とご主人様…提督との思い出の…」

隊長「…差し支えなければ聞かせてはもらえないだろか?」

隊長「このような瓦礫の山に君のような少女一人が居なければならない理由を。」

漣「…」コクリ

漣「あれは半年前…」

と今回はここまでです。

次の投下は隙を見てしていきます。

こんな時間だけど、ちょこっとばかし更新。

半年前


大淀「提督!金剛さんからの連絡が途絶えました!」

提督「金剛が!?」

提督「ほかの皆は!?」

大淀「…」フルフル

大淀「連絡取れません…」

提督「クソッ!」ドンッ

漣「ご主人様!」

提督「漣!無事だったのか!?」

漣「一度補給に…でも、みんなが…」


提督「すまん、漣…」ダキッ

提督「俺が無能なばっかりに…ぐっ…くっ」

漣「提督…」

提督「すまん、金剛…すまん、みんな…」

漣「ご主人様は無能なんかじゃないです。」

漣「それは漣たちこの鎮守府の皆が知っています!」

提督「だが、みんな私が死なせてしまったようなものだ…」

漣「仕方ないですよ…相手の奇襲だったんですから…」

大淀「提督…もう」

提督「わかった。」

提督「漣…」

漣「提督?」

提督「着いてきてくれ…」

漣「え?」






漣「…ここって地下シェルター?」

提督「ここに入ってくれ、漣…」

漣「え!?」

提督「君だけでも生き残ってほしい。」

漣「そんな、いやです!漣まだ戦えます!」

提督「聞いてくれ漣。」

漣「いやです!」

提督「漣!」

漣「!」ハッ


提督「今回の奇襲でこの鎮守府は致命的な損害が出ている。このままでは間違いなく持たないだろう。」

提督「我々の保有する艦娘も残りあとわずか。相手の数に比べたら雀の涙程度だ。」

漣「だったら…」

提督「漣。」

漣「はい?」

提督「私はお前が好きだ。」

漣「へ?」

提督「最初私がここに着任した時から君と私は苦楽を共にしてきた。」

提督「そうやって年月を重ねていくうちに君を一人の女性とみるようになってね。」

漣「え?」

提督「だから、これを受け取ってもらえないだろうか?」

漣「これって…指輪…?」


提督「ロリコンだと笑ってくれてもいい。」

漣「笑えるわけないじゃないですか!」

提督「なら軽蔑してくれてもいい。」

漣「軽蔑だってできません!」

漣「だって、あなたは私の憧れで…私もあなたのこと大好きで…」

漣「でも、このタイミングはあんまりです!」

提督「本当はもっと後に渡すつもりだったんだ…あいにくタイミングがなくなってしまって…」

漣「だったら、もっと前に渡してくださいよ…バカ提督!」


提督「曙の"クソ"の次は"バカ"か…それは今の私には勿体無いかもな…」

漣「ぐすっ…知りません。」

提督「すまなかった…」ギュッ

漣「ぐっ…ぐすっ…」

漣「…貰っといてあげます…だから、絶対に帰ってきてください。」

提督「約束はできない…だが、善処はしよう…」


ガコンッ


提督「すまん漣…さようなら…」

??「提督。」


提督「すみません、妖精さんこのようなことに巻き込んでしまって…」

妖精「気にすることはないですよ。」

妖精「それよりいいんですか?彼女。」

提督「ええ、これしか道がないなら…そうするしかありませんから…」

提督「それでは、あとはよろしくお願いします。」ビシッ

妖精「はい、お任せを!提督。」ビシッ



提督「大淀!」

大淀(艤装装着)「提督!?」

提督「準備はできているか?」

大淀「ええ、残りの艦娘も出撃準備完了しています。」

提督「そうか。」

大淀「漣ちゃんは?」

提督「おいてきた。」

大淀「え?」

提督「数がほしいのは分かっている…だが、今回は私のわがままだ…許してくれ…」

大淀「…はい。」


大淀「それよりも、その刀と拳銃は?それにその後ろの大きな荷物は?」

提督「ここまで準備してわからなくもないだろ?私も出る。」

瑞鶴「はぁ!?本気で言ってるの?」

翔鶴「そんな危険です!」

提督「このような状態で危険もへったくれもあるか。」

翔鶴「でも提督にもしものことがあれば…」

提督「その覚悟の上だ!」ハチマキキュッ

大淀「その大きな荷物って、もしかして…」

提督「これか?」

バサァッ

翔鶴「これは!?」

瑞鶴「爆弾!?」

提督「妖精さんに無理して作ってもらった。」

提督「これをボートに積んで、私ごと敵の主力艦隊の旗艦に突っ込む。」

瑞鶴「特攻ってこと!?」

翔鶴「やめてください!」

提督「いや、やめん!」

翔鶴「でも!」

提督「翔鶴、これは私の決めたことだ…すまないな。」

翔鶴「提督…」

大淀「…提督、もう時間が…」



ズズーーーン・・・


提督「まだ緩めないか…」

提督「よし!」

提督「みんな、このような結果になってしまい申し訳ない…もうしばらく私に命を預けてくれ。」

提督「大淀、作戦内容を!」

大淀「はい。」





漣「…」

妖精「漣さん…その…」

漣「慰めなんていらない…」

妖精「別に提督はあなたが嫌いでここに閉じ込めたわけでは…」

漣「知ってる…痛いほど…」

妖精「…どうしよう…」

妖精「放っておいたほうがいいよ。無理にやったら逆効果だ。」

妖精「…そうだね。」





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


グラグラグラ・・・



漣「なに!?」


妖精「まさか…」

妖精「あれを使ったの?」

漣「なに?あれって…」

妖精「あ」

漣「何なのあれって!ねぇ!」ブンブン

妖精「うわぁ!脳みそが!?」ガックンガックン

妖精「話すからやめて!仲間が死んじゃう。被弾してないのに死んじゃう!」








バタンッ



漣「はぁ…はぁ…はぁ…」


ヒュオーーーー


高く立ち上る大きな、きのこ雲。

それを合図にしたかのようにちれぢれ散らばる深海棲艦たち。

海には今にも沈みそうな相手の旗艦と一隻のボート。

そして、火を噴きあげながら今にも沈みそうな1体の艦娘。

おそらく、あの影は…


漣「瑞鶴!?」

漣「待ってて!今助けに行くから!」

妖精「ダメですって!」

漣「離して!」

妖精「もう無理です!手遅れです!」


ズズズ…


漣「あっ…」


彼女もまた冷たい水底へと…

ペタンッ…

漣「あ…ああ…」

妖精「…」

漣「うああああああああああああああ!!」

まるで追い打ちをかけるかのように激しい雨が打ち付ける。

天も一緒に悲しんでいるのか…はたまた…




漣「…」

新人「なんて悲しいお話なんです!」グスグスッ

リコ「うぅ…」シクシク

隊長「なんて男なのだ…漣、お前はいい上司に巡り合えたな…」ウゥ・・・

漣「…ありがとう。」

新人「でも、よくこんな場所に半年も。」

新人「ほかの艦娘たちのところへは行きたくなかったの?」

漣「さっきも言った通り、私には大切な場所なの。」

漣「どこかへ移るつもりもないし、ほかの場所で死ぬつもりもない。」

漣「それに一人って言っても、妖精さんもいるし。」


新人「さっきも言ってたけど、その妖精さんって本当にいるの?」

漣「いるよ。ただ、数が少ないからね。今は作業中で島中に散らばっているから。」

隊長「作業?」

漣「うん。いつか、この鎮守府を復活させて、前みたいに賑やかな場所にしたいんだ。」

漣「昔の仲間はもういないけど…」

隊長「…」


隊長「ところで、コワルスキー。お前はさっきから何をやってるんだ?」

コワルスキー「私はどちらかというと湿っぽいのは苦手なので…ちょっとした作業を。」

新人「話は聞いてたの?」

コワルスキー「もちろん!ですから…」グスン

漣「…」

漣「で、なにしてたの?」

コワルスキー「ここにあった壊れていたテレビを直してみたんです。」

漣(執務室にあった奴だ…)


コワルスキー「そして、ちょっと手を加えてみました。」

リコ「?」

コワルスキー「世界の主要チャンネルが映るように改造してみたんです!」

隊長「おお、でかした。」

新人「ちゃんとアメリカのチャンネルも映るッス!」

漣(うそ!?あのボロボロだったのが!?)

漣(しかも改造って…この子達何者?)

漣「ん?アメリカ?」

コワルスキー「あれ?言ってませんでしたっけ?」

隊長「私たちはニューヨークのセントラルパーク動物園から来たのだ!」

漣「こんな日本の辺鄙なところに…ニューヨークからわざわざ?」

コワルスキー「やっぱりここは日本なんですよ。」

隊長「どうみてもビーチではないがな。」

漣「ビーチ?」


コワルスキー「我々は日本のビーチを求めてここに来てしまったんだ。何かの手違いで。」

漣「海水浴でもしに?こんな情勢で?」

隊長「だが、今までもいろんな国に行ったが、シンカンセンカンなんてあったことが…」

コワルスキー「深海棲艦です。」

隊長「おほん、失礼。深海棲艦にあったことがない。」

コワルスキー「もちろんビーチにも何回も行っています。」

漣「でも、深海棲艦の被害は世界中に…」


新人「みんな大変ッス!」

隊長「どうした?新人。」

新人「これを見るッス!」

隊長「テレビ?」

コワルスキー「これはニューヨークの港?」

隊長「港が燃えている!?」

新人「深海棲艦に襲われているみたいッス。」

隊長「なんだと?」

新人「なんだか、アメリカ側の艦娘と交戦中みたいなんッスけど…」

コワルスキー「なんと。」

隊長「居たのか。アメリカにも。」

コワルスキー「初耳です。」

新人「それが襲撃は5回目らしいんッス!」

隊長「なんだと!?」

コワルスキー「ニューヨークの港にか?」

隊長「馬鹿な…そんな話聞いたことがない…」


コワルスキー「なんだか、おかしい気がしてきたぞ…」

新人「なにが?」

コワルスキー「聞いたことのない艦娘に深海棲艦…しかも身に覚えのない深海棲艦によるニューヨークの襲撃。」

コワルスキー「しかも、テレビでやっているということは…情報規制もされていない…」

コワルスキー「それから導き出される答えは…」

隊長「答えは?」

漣「答えは?」

コワルスキー「…わかりません。」

漣「なんだぁ…」


漣「あれ?そういえばさ。」

隊長「ん?」

漣「4匹はどうやってここまで来たの?」

漣「周りは奴らでウヨウヨしてるのに。」

コワルスキー「それは私の発明である"どこでも行けるドア"の力で…」

コワルスキー「…ん?」

隊長「どうした?コワルスキー。」

コワルスキー「…ない。」

新人「なにがッス?」

コワルスキー「出口用の扉が…」





コワルスキー「消えている!?」





隊長「なんだと!?」


漣「出口用…?」

コワルスキー「私の発明した"どこにでも行けるドア"は設計上、空間と空間をつなぎとめるための扉が2つ存在します。」

コワルスキー「入口用と出口用の二つです。その出口用が…ないんです。」

隊長「コワルスキー、またなのか。」

コワルスキー「今回は完ぺきだった!」

コワルスキー「本来ならこのような場所ではなく、日本のビーチに…出る…予定…」

新人「コワルスキー?」

リコ「?」

漣「どうしちゃったの?」


コワルスキー「ちょっとまってください…もしかしたら…いや…そんな筈は…でも…」

隊長「一体どうしたんだ?」

コワルスキー「ひょっとしたら、失敗よりも恐ろしいことかもしれません。」

新人「どういうこと?」

コワルスキー「本来出るべき場所とは違い…」

コワルスキー「そして、先ほどから聞きなれないワード、艦娘・深海棲艦。そして、その深海棲艦による身に覚えのないニューヨークの襲撃。」

コワルスキー「先ほどから引っかかっていたモノがようやく理解できました。」

隊長「して、それはなんだ?」

コワルスキー「ここは…」






コワルスキー「並行世界なんです!」







新人「へいこうせかい?」

隊長「わかりやすく説明しろ。」


コワルスキー「わかりやすく言ってしまえば、ここは"私たちの住んでいた世界に似た全く違う世界"なんです。」

コワルスキー「おそらく、どこでも行けるドアに何らかのエラーが発生し、本来私たちの住む世界の日本のビーチに行くはずが、そのエラーにより、別の世界の日本へ飛ばされてしまったのです。」

漣「で、飛ばされた先が。」

リコ「ココ?」

隊長「つまり、また失敗か?コワルスキー。」

コワルスキー「うおおおお!やったぞ!私はついに次元の壁まで超えてしまったぞ!」

新人「…むしろ成功みたいッス。」

隊長「頭が痛い…」


漣「帰れないってこと?」

隊長「そうみたいだ…だろ?」

コワルスキー「ええ…設計図をそのままあっち側に置いてきてしまったので、全く同じのを作るには少し時間が…」

隊長「どれぐらいの期間かかるんだ?」

コワルスキー「今は何とも…」

隊長「…」

コワルスキー「…」

新人「…」

リコ「オッオーゥ…」

漣「…ねぇ、もしよかったら」

急な用事ができて途中で放棄してしまいました。

続きは0時から投下します。

投下再開。


漣「!」

新人「どうしたの?急に空なんか見上げて。」





??「おーーーい、漣さぁーーん!!」




漣「妖精さん!」

妖精「今の見ました!?」


新人「これが妖精?かわいい!」

隊長「見事に小さいな。」

コワルスキー「非科学的といいたいが、パラレルワールドとなると…」

リコ「キューーート!」

妖精「…ペンギン?」

漣「それより、さっきの!」

妖精「ああ、そうだった!」アセアセ

妖精「さっきの、敵の艦載機です!おそらく偵察機!」アセアセ

漣「やっぱり!」

隊長「敵だと?」


妖精「たぶん、原因は分からないけど、さっきの大きな砂煙のせいじゃ…」

3匹「「「あ」」」

リコ「?」

漣「…たぶん違うと願いたい…とにかく。」

妖精2「漣さぁーーーん!」

漣「なに?」

妖精2「敵の艦隊がすぐそこに!」

漣「!?」

妖精2「ヲ級が1体、イ級とハ級がそれぞれ2体づつ…」

漣「全部で5…」

妖精2「どうしましょう?」

漣「迎撃するしかないじゃない。」

妖精「でもこっちは…」

漣「漣一人で行くよ。」

妖精「そんな!?」

妖精2「無茶な!?」


漣「だって一人しかいないし…」

漣「無茶だってことは分かってる…でも、守らなきゃ!この思い出の場所を!漣の愛した仲間が眠る海を!」

漣「妖精さん、悪いけどこの4匹を地下シェルターに…」

漣「ごめんね、こんなことになっちゃって。」テヘ

隊長「本当に一人で行くのか?」

漣「うん。」

新人「無茶はダメッス!」

漣「でも、やらなくちゃ…」



ズガァーーーーーーン!!



新人「ひゃあ!?」

隊長「なんだ!?」

コワルスキー「相手の砲撃か!」

リコ「ガルルルル!」


漣「妖精さん!早く!」

妖精「わかったよ!」

妖精2「さぁ、こっちです!」

漣「ほかに手の空いてる妖精さんは漣の出撃を手伝って!」

新人「待って本当に一人で行くの!?」

漣「漣は大丈夫!だから、先にシェルターへ!」

隊長「新人、行くぞ。」

新人「そんなぁ…」





新人「隊長、どうしましょう?本当に一人で行く気ですよ?」

隊長「…」

新人「隊長!止めないんですか!?」

コワルスキー「…」

新人「コワルスキーも…」

新人「このままじゃ、あの子…」

コワルスキー「・・・」

コワルスキー「隊長。」

隊長「ん?」

コワルスキー「私、深海棲艦というのが実に興味あるのですが…」

隊長「私もだ。」

新人「隊長?コワルスキー?」

隊長「少し敵情視察と洒落込んでみるか?」

コワルスキー「喜んで!」

リコ「OKOK!」

新人「みんな!」

隊長「というわけで、失礼するよ小さな紳士たち!」バッ

コワルスキー「しっかり逃げるんだぞ!」バッ

リコ「ヒャッホーーーー!」バッ

新人「あっ待ってくださいよーー!!」バッ



シャーーーーーーーー



妖精「まって!」

妖精2「はやい!?」

妖精「っていうか、こんな悪路を腹ばいで滑るって…」

妖精2「氷だけじゃないんだね…」

妖精「いや、氷だけであってるよ!?」

妖精・妖精2(っていうか私たち淑女…)







テレビ『…であるからして』

キュイイ

テレビ『…ニューヨークではなおも…』

開発妖精(以降、開発)「おい、工廠!」

工廠妖精(以降、工廠)「なに?」

開発「いつまでテレビいじってんだよ?」

工廠「…」

開発「おい。」

工廠「…君はこれを見て何も気づかないのかい?」

開発「これをか?…ただのテレビ…だろ?」

開発「まぁ、ペンギンが直したのは驚いたが…」


工廠「それもなんだけどさ…このテレビ線がつながってないんだよ…」

開発「は?」

工廠「有線じゃない…無線…たぶんこのテレビの中に超小型のアンテナが入ってるんだろうけど…」

工廠「その技術も私たちだけでなく、人間の技術でさえ及んでいない。」

工廠「よく考えてみるんだ。ただでさえ、電波の悪いこの孤島…それがこんなテレビの中に入ったほんの小さいアンテナが世界中のチャンネルを拾ってくる…」

工廠「おそらく、この技術は現時点で地球上には存在していないレベル…オーパーツにしてもおかしくはないよ…」

開発「オーパーツは言いすぎじゃ?」ハハハ

工廠「じゃあ、君はできるのかい?それとも知り合いや出来る人を知っているのかい?」

開発「…いや」

工廠「それに…作ったのがペンギンとなると…」

開発「…」


工廠「…もしかしたら、私たちは本当の意味で希望の光を手に入れたのかもしれない…」

開発「まさか…」

工廠「賭けてみるのもいいかもしれない…状況が状況だからね…」





工廠「彼らの力を借りよう!」









漣(いつかはこうなる日が来るとは思っていた…)

漣(独りぼっちになって、独りぼっちの出撃…)

漣(怖がってはいられない…)

漣(絶対に守るんだ!)

漣(みんな、見守ってて!)

漣「! 見えた!」

漣(報告通り。相手はイ級2のハ級2…あとは…)

漣「え!?」



ヲ級「・・・」オォォォォ・・・


漣「まっまさか…」







隊長「ここからならよく見えるんじゃないか?」

隊長「リコ!」

リコ「オエッ!」ソウガンキョウ

隊長「ふぅ~む…あれが件のシンカンセンカン」ノゾキミ

コワルスキー「深海棲艦です。」

隊長「深海棲艦。」

隊長「なんというか…まるでオルカ(シャチ)のような奴らだな…」

コワルスキー「確かに、大きさはそのぐらい…いや、もう少しい大きいかもしれません。」

コワルスキー「ん?」

隊長「どうした?」

コワルスキー「漣のほかにヒト型の…」

コワルスキー「あれも深海棲艦なのか!」


隊長「なに?…確かにヒト型…頭にタコを被っているぞ?」

隊長「しかも…なんという禍々しいオーラなのだ…」



漣「まさかこんな大物に出会うとは…」

漣「ヲ級のフラッグシップ!」

漣「艦載機を出される前に先制よ!魚雷当たって!」

バシュッ

ヲ級「…フッ」ニヤリ

ズドォーーーーン!!

イ級「ギュオオオオオオオオオ!!」

漣「なっ!?イ級が盾に!」


イ級「ブクブク…」ズズズズ・・・

ヲ級「…」

ヲ級「イケ!」

ヒュンッ

漣「艦載機!」

ズダダダダダダダダッ!

漣「はうっ!!」

グォーーーーーン!

ズダダダダダダダッ!

漣「しつこいっての!」

ドンッ!ドンッ!

ハ級「グアアアアアアアア!」

漣「え!?」

漣(しまった、こいつらのこと忘れてた!)


漣「こんのぉ!」

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

ハ級「ギャオォーーーン!?」

漣「この至近距離なら確実にダメージは…」

ハ級「グルルルルル…」

漣「腕…落ちたかな…」



隊長「何をやっているんだ!あの至近距離で撃っておいて倒せないとは…」

コワルスキー「相手が強すぎるのでは?あのヒト型も相当強そうですし…」

隊長「しかし…」




??「おそらく、彼女の練度が下がったためかと。」




隊長「む?」

コワルスキー「妖精?」

新人「きっと、シェルターから逃げ出した僕たちを追ってきたんッスよ!」

隊長「あの妖精とは違うようだが?」


工廠「失礼、私は工廠妖精。こっちが…」

開発「開発妖精ってんだ。よろしく!」

コワルスキー「早速で悪いが、練度とは?」

工廠「艦娘たちは戦うことで経験をたくさん積む。その溜まった経験を練度と言って、鎮守府に長く居る艦娘はその練度が高い。」

工廠「漣もこの鎮守府の最古参。もっとも練度の高い艦娘だった。」

開発「だが、半年前の事件で精神的なショックを受けて練度はガタ落ち。」

開発「おまけに半年のブランクというね。」

工廠「その代りここの修復を手伝ったりしてくれたんだ。率先してね。」

新人「そうだったんスか。」


隊長「あの禍々しいオーラを放っているのは何者なんだ?見る限りじゃ、あいつがリーダーのようだが。」

工廠「あいつはヲ級。深海棲艦側の空母だ。」

開発「そして、あのオーラを放っているやつを、我々は"フラッグシップ"と呼ぶ。」

コワルスキー「フラッグシップ?」

開発「ヲ級の中でも最上級に位置する奴だ。」

工廠「残念だが、今の漣さんには勝てない…」

新人「そんな!?」

コワルスキー「無理もない。さっきこの妖精たちが言っていたように、彼女の練度が下がっていて、あの戦い方。」

コワルスキー「さらにはヲ級と呼ばれる深海棲艦の強さを計算に入れ、彼女の勝率を計算すると…」

ソロバンカチカチ

コワルスキー「0.004%…」

開発「ほぼ0%だね。」

コワルスキー「そして私の計算によれば漣はあと20分も持たない!」

開発「まだ持ってるほうだよ。」

コワルスキー「…」ジーッ

開発「…ごめん。」


工廠「なぁ、あんた達!」

隊長「ん?」

工廠「一生のお願いだ!あんた達の力を私らに貸してはくれないだろうか?」

工廠「私はあのテレビを見た!それはとても素晴らしいものだった。」

工廠「人間でも、妖精でも、あのレベルは作れない!」

工廠「見ての通り、この鎮守府には戦える艦娘があの娘一人しかいない…」

工廠「しかもあの娘は、提督が託した最後の希望なんだ…」

工廠「もう誰も失いたくない、あの娘も私たちも同じ思いなんだ…」

工廠「ペンギンに頼むだなんて馬鹿にされるかもしれない…」

工廠「でも、あれを見たとき、一筋の光が見えたんだ!」

工廠「もしかしたら、今度ばかりはと…」

工廠「頼む!あの娘を…漣さんを救ってくれ!」

開発「わっ私からも頼む!」

隊長「頼むだなんて…悪いが…」

工廠「…そんな」






隊長「初めからそのつもりだ!」





工廠「え?」


隊長「コワルスキーよ。今日ほどお前の失敗を恨んだことはない。おかげで帰れなくなってしまったんだからな。」

隊長「だが、同時に今日ほどお前の失敗に感謝したこともない!」

隊長「この失敗が無ければ、ここにはたどり着かなかったんだからな。」

隊長「そして、漣や妖精たちにも会えなかった。」

隊長「なによりも、この危機も知りえなかったのだから。」

コワルスキー「隊長…」ジーン

工廠「じゃあ!」

隊長「諸君、これより我々は、漣の救出に向かう!」

隊長「異論は無いな?」

新人「もちろんッス!」

コワルスキー「私もです。」

リコ「キュウシュツ!キュウシュツ!」


工廠「ありがとうございます!」

開発「でも、大丈夫なのか?」

開発「なんだかんだでペンギンだぜ?」

工廠「大丈夫だ…きっと!」

隊長「コワルスキー、作戦!」

コワルスキー「我々ペンギンは水の中を泳ぐことが可能です。ですが、あの戦闘海域まで行くにはかなり時間がかかりすぎてしまいます。」

コワルスキー「そこで、さきほどここまでくる道のりにボロボロになった船がありました。あれを修理すれば…」

開発「待ってくれ!船ってあいつのことか!?」

開発「あいつはもう何年も放置していて、エンジンがかなり錆びついている!短時間でできるわけ…」

隊長「では、その船の修理にかかる時間は?」

コワルスキー「10分もあれば。」

開発「10分!?」

隊長「無理だな!」

開発「そうだ無理だ。少なくとも…」

隊長「かかり過ぎる!5分で済ませろ!」

開発「そうだ5分!って5分!?」

コワルスキー「了解です!」

開発「了解って…なぁ、やっぱりこいつらペンギンだ…鳥頭だ。工廠…やっぱ無茶だぜ。」

コワルスキー「では、修理を…」


工廠「待ってくれ、私にも手伝わせてくれ!」

開発「…え?」

工廠「きっと役に立つ!」

コワルスキー「だったら私の背に乗ってくれ。時間がない。」

開発「ちょっと待ってくれ!だったら私も行く!」

コワルスキー「早くしてくれ!」

開発「はいはい(偉そうに…絶対無理だ。この目で見てやるぜ!)」

コワルスキー「行くぞ!」

シャーーーーーーーー…


隊長「頼んだぞ。コワルスキー。」

隊長「リコは装備品のチェック!」

リコ「OK!」

オナカサスサス

ガッチャンゴッチャン

隊長「新人。」

新人「はい。で、僕は何を?」

隊長「あー…」

隊長「準備体操!」

新人「了解ッス!」

オイッチニサンシ、ニイニサンシ

隊長「待ってろよ…漣!」




漣「はぁ…はぁ…」

漣「流石に、4対1は難しいか…」

ヲ級「ヨク、モチコタエテ、イルナ…クチクカンノ、クセニ…ホメテヤル」

漣「ありがとう。」

漣「でも、ちっとも嬉しくないや!」

ドンッ!

艦載機「」ドカァ!

漣「また艦載機が邪魔を!?」

イ級「グアアアアアアアア!!」

漣「あぶなっ!?」ギュンッ!

漣(ダメだ!ヲ級ばっかに気を…)

ハ級「グオオオオオオオオ!!」

ドンッ!ドンッ!

ドゴーーーンッ!

漣「!?」

漣「そっそれた!?」

艦載機「」ギュオッ!

ズダダダダダダダダッ!

キュンキュンキュンッ!

漣「くっ…このままじゃ本当に持たない」ジワッ


漣(でも、なんとしてでも守るんだ!)

漣「たとえ廃墟でも!」

漣「漣にとっては!思い出の場所なんだ!」

漣「帰るところはあそこしかないんだ!だから奪うなよ!」

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

ヲ級「!」

ズドッ!

ヲ級「ウグッ!?」

ヲ級「グゥ…」

漣「やっと一発目…」ハァハァ

漣(でも残弾が…)


ヲ級「…ヨクモ」

ヲ級「ヨクモ、ヤッテクレタナ、クチクカン、フゼイガァ!」ゴゴゴゴゴ・・・

漣「ヤバッ!本気にさせちゃった!?」

漣(まぁ、仕方ないか…戦場だしね)

漣「怯んじゃダメ!」

漣「立て続けにプレゼントだよ!魚雷のね!」

バシュッ

ヲ級「フンッ」

艦載機「」

ズダダダダダダダッ!

ドゴォーーーンッ!

漣「あっ!?」

イ級「グオオオオオオオオッ!」

バシュッ

漣「そっちも魚雷!?」

ズドォーン!!

漣「きゃああああああ!!」

漣「くぅ…当たったけど…」

漣(一瞬でも回避行動が遅れていたら…)ゾクッ


ハ級「ガアアアアアアア!!」

漣「今度はこっち!?」

ドンッドンッ!

ハ級「」ヒョイッ

ハ級「グオオオオオ!!」

ドッ!

ズガァーーーン!!

漣「いっ…やっば!?」

漣「ヤバい本当にヤバい…」

漣「本当に沈んじゃう…なにも守れずに…沈んじゃう!」

スッ

漣「はっ!?」

ヲ級「ソノママ、シズメ」ニヤリ

漣「…艦爆機」

ヒュルルルル・・・

漣「…」







漣「綾波型駆逐艦『漣』です、ご主人さま。」

提督「君が私の最初の艦娘か。これからよろしくな。」

漣「なんだか頼りなさそうなご主人さまですね。」

提督「あっはっはっ!いきなりか。これは手厳しい。」




提督「なぁ、これって誰のことだ?」

『漣』

漣「ちょっと、漣の名前が読めないってどういうことですか!?」

提督「え?ひょっとしてこれ君か!?」

漣「ふえーん!ご主人さまが漣の名前読めないぃ!!」ビィーーー

提督「ちょっちょっと!悪かったって。なぁ、間宮のパフェおごるからさ!」

漣「キタコレ!今の言葉嘘偽りなしですよ!」

提督「ウソ泣き!?」



漣「ご主人さま!無事任務完了です!」ビシッ

提督「ご苦労さま。すぐ入渠に行っておいで。」

漣「覗かないで下さいよ?」

提督「ぶっ!いきりなりなんだよ…覗かないから早くいっておいで。」

漣「覗かないんですか!?金剛さんも入渠なのに?」

提督「それは魅力的…」

漣「ご主人のバカ!」ブォン!

カンッ

提督「あいたー!」




漣「ご主人さま…」

提督「ん?」カキカキ

漣「平和って、本当に訪れるんでしょうか?」

提督「なんだ藪から棒に?」

漣「真面目に聞いてるんです。」

提督「そうだな。私にはわからん。」

漣「…」

提督「正直私も、鼬ごっこのように見えてならんからな。」

提督「だが、小さなことの積み重ねっていうしな。」

提督「たとえ前に進むペースがゆっくりでも、いつかはゴールが見える。」

提督「私たちの少しずつの頑張りが、いつかは実る日が来る。」

提督「その日がおそらく、本当の平和の日だ。」

提督「だから、諦めずにこの海を、守っていこう。互いに…そして皆で。」

漣「ありがとう、提督。なんか元気出た。」

漣「一緒に頑張ろう!そして、まだ見ぬ平和をつかみ取ろう!」

提督「ああ。」

提督「ん?今"提督"って…」

漣「何言ってるんですか?ご主人さま。」

提督「今…いや、なんでもない。」

漣「変なご主人さま。」

提督「間違いない。ははは。」






漣「沈めない…まだ約束守ってない…」

漣「漣はまだ沈めない!…」













「沈みたくない!」










『安心しろ、沈ませはせん!』














ズドォーーーーーーーーン!!










漣「…え?」

ヲ級「ナゼ、クウチュウデ、バクハツヲ!?」


隊長『聞こえるか?漣。』

漣「その声…ペンギンさん!?」




ブォーーーー・・・ン




漣「なに?」

ヲ級「ナニカ、コウソクデ、チカヅイテクル…」

隊長『お前の思いは私たちにも届いた!』

隊長『だから…』










隊長「我々も一緒に戦うぞ!」

漣『えぇ~!?』


開発「…ウソだろ。」

工廠「信じられん…」

開発「まさか、あの船を5分どころか…3分で修復するとか…しかも改造付きで…」

工廠「しかも、残りの2分で兵器の開発まで済ますとは…しかも、オーバーテクノロジー付きで…」

開発・工廠((何者なんだ…このペンギンたち!))

隊長「ふふん。」

隊長「それでは諸君。これより、」






隊長「コードネーム『漣、救出作戦』を開始する!」






隊長「コワルスキー、まずはあの浮いてるやつらを始末しろ!」

コワルスキー「了解です。リコ!」

リコ「OK!」

開発「本当にこれ飲ませるの?」

釘「ジャラッ」

リコ「ハヤクハヤク!」

開発「急かせるなよ…ほら!」

リコ「ゴクンッ!」

工廠「本当に飲んだ…」

コワルスキー「行くぞリコ!」

ジャキッ




ダダダダダダダダダダダダダダダダッ!




ドドドドドドドドドドドドドドドドドォーーーン!



漣「かっ艦載機が…」

ヲ級「イッキニ、ゼンメツ!?」


隊長「よくやった!あとはあの水に潜っているやつらだな!」

イ級「ぐあああああああ!!」

隊長「まずはアイツからだ!」

隊長「飛び乗れ!ハイヤーーー!!」

コワルスキー「ハイヤーーー!!」

リコ「ホーーーーー!!」

新人「それっ!」

イ級「!?」

隊長「くたばりやがれ!このモンスターめが!」ドカッバキッ!

コワルスキー「!たぁ!」ドスッ!バキャッ!

リコ「ウォーーーー!!」バキバキバキ

新人「これでもか!これでもか!」ペチッペチッ

開発「イ級の体の表面って…」

工廠「ああ、鉄のように固いはずだ…」

隊長「よし、止めだ。リコ!」

リコ「オエッ!」

爆弾「」シューーー

隊長「窪みという窪みにセットしまくれ!」

リコ「OK!」

パッパッパッパッ

隊長「そのまま離脱!」バッ



ズドォーーーーーーーーン!!



イ級「ぎゃあああああああああ!!」


開発「マジかよ!」

工廠「倒した!?」

隊長「あとは?」

開発「まだ、ハ級が2体!」

工廠「さっきのイ級よりかは強いぞ!」

隊長「なに、問題ない。」

ハ級「グオオオオオオオオ!!」

開発「問題大有り!」

ズドォーーーーーーーーン!!

ハ級「ぎゃああああああああ!!」

工廠「何が!?」

漣「はぁ…はぁ…」

開発「漣さん!」

隊長「助かったぞ漣!」


漣「来ないで!ここは戦場…関係ない人は地下シェルターに避難して!」

隊長「残念だが、そうはいかない。」

漣「え?」

隊長「なぜかって?それは我々自身がガッツリ関わってしまったからだ!」

漣「なに、それ…意味わかんない…」

コワルスキー「わからなくて結構。」

新人「僕たちは自分の意志で、ここに居るんすから!」

リコ「オイエー、ドッカンドッカン!」

新人「リコもやる気満々っす!」

工廠「漣さん!」

漣「工廠妖精さん?どうしてここに?」

工廠「今はこのペンギンに賭けてみてもいい!」

開発「ああ、私もそう思う。このペンギンたちはただモノじゃない!」

工廠「今はこの4匹と協力して、この危機を脱するんだ!」


漣「…協力って、あっ!」

ハ級「グオオオオオオオオ!!」

漣「危ない!」

パスンッ

漣「ウソ、弾切れ!?」

隊長「案ずるな漣。コワルスキー!」

コワルスキー「了解です。リコ、例のものを。」

リコ「オエッ!」


魚雷『ターゲット、ロックオン』


バシュッ


ハ級「!?」

ハ級「」ヒョイ

ハ級「グフフ…」ニヤリ

ハ級「グアアアアアアアア!!」

漣「みんな!」

コワルスキー「かかったな?」

魚雷『ターゲット ノ イドウ ヲ カクニン』

魚雷『ツイビ シマス ツイビ シマス』

ギュオッ!





ズドォーーーーーーーー!!





漣「ウソ…」

ヲ級「…オノレ」

コワルスキー「見たか!ハイパーレーザー標的システムの応用を生かした『自動追尾魚雷』の威力は!」

隊長「でかしたぞ!」

隊長「これで、残るは…」

漣「ヲ級だけ!」

ヲ級「ペンギン、ダト、オモッテ、アナドッタ…」

ヲ級「テカゲン、ハ、シナイ!」

開発「ひょっとして、まだ艦載機を!?」

隊長「あいつらどこから出すんだ?」

工廠「口です!あの大きな頭の口からです!」

隊長「ふむ、だったら塞いでしまえばいい!…コワルスキー!」

コワルスキー「了解です!」

リコ「オエッ」

開発「ガムの自販機?」

工廠「それをクリップでこじ開けて?」

リコ「」ザーゴクゴクゴクッ

開発「また飲み込んだ。」

工廠「よく飲むなぁ…」


ジャキッ

ダダダダダダダダダダダダダダダダッ!

ヲ級「!?」

ベチャベチャベチャベチャベチャッ!

ヲ級「ナンダ、コレハ、ベタツイテ、ハナレナイ!?」

ヲ級「クチモ、ヒラカナイ!?」

漣「艦載機を封じた!?」

コワルスキー「こいつを受け取れ!漣!」ヒュッ!

漣「おっとっと!?」

漣「なにこれ?魚雷?」

コワルスキー「それを、魚雷の発射管に詰めるんだ!」

漣「こっこう?」ガチャッ

コワルスキー「そして…撃て!」

漣「いっけぇ!」

バシュウーーーー!!

漣「!?」

開発「魚雷が…とんだ!?」アングリ

工廠「もはや魚雷じゃない!あれは!?」

コワルスキー「魚雷の発射管でも発射できる、ホーミングミサイルです。」

開発・工廠「「なにぃーーーーーーーー!?」」


ヲ級「クソッ!?」ヒョイ

ミサイル『ヨケラレタ ツイビ ツイビ』グルン

ヲ級「ナニィ!?」ヒョイ

ミサイル『オイオイ マタ ヨケタヨ ツイビ ツイビ!』キキィッ!

ヲ級「クッ!」


カッ


ズドォーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!


漣「…」ポカーン

開発「ヲ級のフラッグシップまで…」

工廠「やっぱり、私の目に狂いは…」


漣「いや、まだ!」






ヲ級「…」






隊長「まだやる気か!?」バッ

漣「弾ないよ?」

コワルスキー「こっちもです。」







ヲ級「…オボエ、テ、イロ…」







ズズズズ・・・







開発「沈んだ…?」

工廠「奴らの反応が消えた…轟沈を確認!」

新人「やったぁーーー!」

隊長「お前の発明が役に立った!」

コワルスキー「いえいえ、私の本気はこんなものではありませんよ。」

リコ「イエーーイ!」

漣「…終わったの?」

隊長「そうだ、お前があいつをやっつけたんだ!」

漣「…」


漣「…ねぇ。」

隊長「ん?」

漣「あなたたち、何者なの?」

漣「イ級やハ級どころか、ヲ級のフラッグシップまで倒しちゃうし、そしてあの戦闘スキル…」

漣「テレビや扉だって言ってた時から変だとは思ったけど…ただのペンギンにこんなことできるわけない!」

漣「何者なの?」

隊長「それだけは言えん…申し訳ないがな…」

漣「もう…いいよ…」ポロポロ

隊長「んん?」

新人「どうしたんッスか?」

コワルスキー「どこか痛むのか?」

リコ「?」

漣「何者なんてどうでもいい…」ポロポロ

漣「どうして、もっと早く来てくれなかったの!」

漣「あなたたちの、その力があれば…今頃漣たちはもっと違う生き方をしていたかもしれない!」

漣「提督だって…」

漣「どうして!」

漣「どうしてなのぉ!」

漣「うああああああああああああああ!!」


開発「…」

工廠「…」

隊長「すまない、漣。」

コワルスキー「とにかく帰りましょう。また襲ってくる可能性が。」

工廠「確かに、この海域の近くには奴らの巣がいくつも確認されている。今の戦力でモタモタはしてられない。」

漣「うああああああああああああ…ああああああああああああ!」

新人「隊長…」

隊長「わかっている。だが、今は少しソッとしておこう。」

隊長「そのほうがいい時もある。」






漣「!」ハッ

漣「ここは!?」

提督「…」

漣「提督!?」

漣「そんな…提督…提督ぅ!!」ダキッ

漣「生きてたんだね!提督!」

提督「…」ニコ

グイッ

漣「え?」

提督「…」ボソボソ

漣「なに?…聞こえないよ?」

提督「…」ボソボソ

漣「なんなの?提督?」

提督「…」コクリッ

クルッ

漣「待って…待って!提督!」

漣(どうして?どうして追いつけないの!?)

漣「待って…待ってぇーーーーー!!」









漣「提督!」パチッ

ガバッ

漣「…ここは?」

工廠「起きたかい?」

漣「工廠妖精さん。」

漣「私…寝てた?」

工廠「うん…泣きつかれてね。」

漣「そう…っていうかここどこ?」

工廠「見覚えないかい?」

漣「あるような…無いような…」

工廠「半年もすれば忘れるかな?」

漣「半年?」

漣「…まさか!?」





バンッ



漣「この廊下…この医務室…」

漣「まさか…まさか!」

ダッ

漣「うそ…どうして?」

『執務室』

漣「…」

ガチャ

漣「…うそ…なんで…この執務室」

漣「提督の…」ジワッ

漣「提督の机…提督の本棚…」

漣「あの頃のアルバム…」

漣「全部崩れて…燃えた筈じゃあ…」

工廠「その答えはあの4匹だよ。」

漣「4匹…ペンギンさん!?」


コワルスキー「そしてここが開発ラボです。」

開発「すげぇ!なんか最新の設備まであるじゃねぇか!」

コワルスキー「もちろんです!やるとなったからには、とことんです!」

新人「これで、漣も喜んでくれたらいいんですけど…」

隊長「そうだな。」

漣「あっいた!」

隊長「ん?おお、漣。目が覚めたのか?」

漣「目が覚めたのか?じゃないよ!これは一体!?」

コワルスキー「やはり驚いたか。これは私の発明した"物質復元マシン"の成果だよ。」

漣「物質復元マシン?」

コワルスキー「この世界の特性を生かした機械で、モノの記憶を読み取り、その記憶から元のものを復元することが出来るマシンだ。」

コワルスキー「だが、今回はモノが大きすぎたために一回きりの使用となってしまったが…」

開発「しかし、驚いたよ。本当に一瞬だったんだからよ!」

隊長「失敗しなかったのも高評価だ。」

コワルスキー「あの、お言葉ですがいつも失敗しているわけでは…」

新人「そうそう、成功してもその後が大変なんだよね。」プククク

コワルスキー「新人?」ジーッ

新人「うわわっごめんなさいッス!」


漣「…」ジワッ

隊長「漣?もしかして何か違ったのか?」

コワルスキー「まさか。妖精たちはちゃんと復元できていると太鼓判だったのに?」

漣「違うの…うれしくて…」グスッ

漣「ありがとう、4匹とも。」

隊長「それよりも、我々の今後だ。」

工廠「それなんですが、私に一つ提案が。」

漣「?」

工廠「せっかく、鎮守府も復活してこれからという時に提督が居ないのは示しがつかない。」

工廠「そこで彼らに提督をお願いするというのは…どうでしょう?」

漣「ペンギンが?」

工廠「あー…飽くまで提案なんですが…」

漣「…いいんじゃない?」

隊長「ん?」

漣「世の中にはいろんな提督が居るんだし。ペンギンが提督でもいいんじゃないかな?」


漣「あんなの、見せられちゃったら…なおさら…」

漣「むしろ…一緒にこの海を守ってほしい。これは漣の我が儘…巻き込むようになっちゃうけど…」

隊長「我が儘なんてとんでもない。私たちも海とはかかわりのある鳥類だ。海を汚すものは誰とて許しはせんよ。」

コワルスキー「その通りです。私の発明が役に立つのであれば、いつでもお使いください!」

リコ「ドッカンドッカン!ドドドドドッ!」

新人「リコもやる気みたいッス。もちろん僕もッスけど!」

漣「ありがとう。4匹とも。」


漣「改めて!綾波型駆逐艦『漣』です、ご主人さま。」

隊長「私は隊長だ。」

コワルスキー「コワルスキーです。」

リコ「リコ!」

新人「新人ッス!」

隊長「これからよろしく頼むぞ。漣よ。」

漣「こちらこそ!」





漣「新しい提督はペンギンになってしまったけど…」

漣「この鎮守府の未来はまだ明るそう…」

漣「提督、そこでこの鎮守府のこと見ていてくださいね!」




プロローグ部分は終了です。

長いプロローグになりましたが、いかがでしょうか?

これからは艦これらしいストーリー、ペンギンズらしいストーリーを織り交ぜながら進めていきたいと思います。

もう少しお付き合いください。



それでは次回登場する予定のドロップ艦を、駆逐艦・空母の2種類(他に縛りなし)で安価を取りたいと思います。↓1

よろしくお願いします。

しまった、安価を1と2で出すの忘れてた…

すみません。まだ安価出すの慣れてなくて…

新しい艦娘は秋月と加賀で了解です!

次は間違えずに…頑張るっぽい!


感想レスいっぱいありがとうございます!

一個一個返信したいけど、何分時間のない人間なのでまた今度纏めて返信するかもしれないです。

それでは、もうしばらくお待ちを!

こんな時間ですが、半分ぐらい出来たので投下していきます。

鎮守府周辺の砂浜

新人「はぁ~、なんて素晴らしい朝なんだろ!」

新人「今日は特別朝の訓練もないから、こうやって散歩を楽しんでるッス。」

新人「こんな朝は久々ッス。」

新人「というか、全然この鎮守府っていうのを把握しきれてないんで散歩という名の冒険ッスね。」

新人「そういえば、コワルスキーは今日から発明を始めるって言ってたな。」

新人「開発妖精や工廠妖精たちと仲良さそうだし、よかったッス。」

新人「あぁ、なんて平和な空なんだ!僕の翼が空を飛べる翼なら、あの空を自由に飛べたのに。」

新人「ん~、気分が良いッス!何かいいことがあるかな?」

新人「そういえば、動物園は大丈夫なんスかね?」

新人「コワルスキーはダミーを置いてきたから大丈夫って言ってたけど…」




セントラルパーク動物園(ペンギン居住区)

客「見ろ、ペンギンさんだぞ!」

客(子供)「うわぁーーー!」

隊長(ダミー)「キュート ニ キメテ コビマクレ」フリフリ

コワルスキー(ダミー)「コビマクレ コビマクレ」フリフリ

リコ(ダミー)「コビマクレ コビマクレ」フリフリ

新人(ダミー)「コビマクレ コビマクレ」フリフリ

客「なんだか…今日は元気がなさそうだ…」

客(子供)「うわぁーーー…」





新人「まぁ、たぶん大丈夫かな?」

新人「ふふ~ん♪」ヨソミ



コツンッ



新人「うわっ!?」



ズテンッ



新人「あいたたた…やっぱりいい日じゃないのかも…」

新人「何に躓い」

??「うぅ…」

新人「人間ッス!?」


??「…」

新人「たっ大変ッス!死にそうな人間が!?」オロオロ

新人「待ってるッス!いま人を呼んでくるッス!」

新人「…!」

隊長『どうしてそんな状態の人間を置いてきた!馬鹿者!」

新人「絶対隊長に怒られるッス…」

新人「じゃあ!鎮守府まで連れていくッス!」

新人「…!」

隊長『どうしてそのような状態の人間を引き摺って連れてきた!仲間呼んで丁寧にゆっくりと連れてくるべきだ!馬鹿者!』


新人「ははは…ですよね。じゃあやっぱり人を!」

隊長『どうして放置した!馬鹿者!』

新人「じゃあ、やっぱり連れて!」

隊長『引き摺ってくるな馬鹿者!』

新人「どうしよう、どっちも怒られる結果しか見えないッス…」

??「うぅ…」

新人「悩んではいられないッス!人を呼んで」

隊長『馬鹿者!』

新人「じゃあ、連れて!」

隊長『馬鹿者!』

??「うぅ…」

新人「…」

隊長『馬鹿者!』

新人「…」

隊長『馬鹿者!』

??「うぅ…」

新人「…」

隊長『馬鹿者!』

隊長『馬鹿者!』

??「うぅ…」

隊長『馬鹿者!』

隊長『馬鹿者!』

??「うぅ…」





プツンッ




新人「ああああああああああああああああああああああああ!!」ダダダダ・・・

??「うぅーーーーーーーーーーーーーーーーー…」ズリズリズリズリ…









鎮守府 医務室前


隊長「で、引き摺ってきたと…」

隊長「馬鹿者!そういう時は仲間を呼べ!」

新人「すみません、隊長…」

隊長「隊長ではない、これからは"提督"と呼べ。」

新人「へ?」

隊長「提督だ。」

新人「わかりました。隊…」

隊長「ん?」

新人「提督。」ニッコリ

隊長「よろしい。」フフン

隊長「ん!?」

隊長「表記が違うじゃないか!」バンバン!

提督「よろしい。」フフン



ガチャ


漣「…ふぅ」

提督「おお、漣。どうだった?」

漣「命に別条はなかったです。ただ…」

提督「ただ?」

漣「引きずった跡がひどいです…痕にはならないと思うのと、顔には跡が無かったというのが幸いかと…」

提督「…」ジーッ

漣「…」ジーッ

新人「ははは…ごめんなさい…」シュン・・・


提督「で、彼女はどうしてあの砂浜に?」

提督「まさか近くで深海棲艦の襲撃があったのでは!?そして、そこの子供が流れ着いた…」

提督「こうしてはいられん!出撃準備だ!」

漣「待って!待って!待て待て待て!漣の報告聞いて!」

提督「おお、すまん。」

漣「ったくもう、まずあの娘は一般市民じゃなさそう。」

提督「一般市民じゃない?」

漣「うん、たぶん艦娘。妖精さんがあの娘の倒れていた近くを調べたら、故障した艤装を発見したみたいだから。」

提督「なんと!では近くで戦闘が?」

提督「出撃準備!」

漣「待て待て待て!それも違うから!」

提督「じゃあ、なんなんだ?」


漣「ドロップ。」

提督「ドロップ?」

新人「飴?うわぁ、僕大好き!」

漣「そっちのドロップじゃなくて、"落とす"とかの意味のほう。」

新人「なんだぁ」ガッカリ

漣(そこまで!?)

提督「私も飴だと…いやいや、で、そのドロップとは?」

漣「実は前の深海棲艦の説明の時に不備があって…」

漣「昔の深海棲艦は沈んだ船の怨念でよかったんだけど…今のは沈んだ艦娘のなれの果てって言われているの。」

提督「なんと!?」

新人「やっぱり幽霊じゃん!」ガクガクブルブル

漣「でね、どういう原理かわからないけど…深海棲艦を倒すとたまに艦娘になってこっちの仲間になってくれることもあるの。」

漣「それをドロップ艦って言うの。」


提督「そうなのか…それで、なぜ彼女は砂浜に?」

漣「本来はすぐに艦娘に戻るんだけど…私たちが忘れてたっぽい?」






どこかの世界の鎮守府の間宮にて


夕立「!」ガタッ

睦月「!?」ビクッ

吹雪「…どっどうしたの?」

夕立「訴訟も辞さないっぽい!」ズカズカ

睦月「ちょっちょっと!?」ガシッ

吹雪「落ち着いて!」ガシッ

間宮「あらあら♪」








提督「?」

漣「どうしたの?」

提督「いや、ノイズが…」

提督「続けてくれ。」

新人「忘れたから…砂浜に流れ着いたと?」

漣「そうっぽい。」


どこかの(以下略)


夕立(艤装装着)「ぬがぁーーーー!!」グイーッ

睦月「落ち着いてぇーーー!!」ギューッ!

吹雪「どこに訴訟しようっていうのぉーー!?」ギューッ!

夕立「分からないっぽいーーー!!」グイーッ

長門「うおっ!?」ビクッ

間宮「あらあらあら♪」







提督「漣…命令だ。今後その"ぽい"って語尾をやめるんだ。」マタノイズガ

漣「そうします。」


新人「じゃあ、新しい仲間が加わるってことっすか?」

漣「そうっぽ…そういうこと。」フゥ…

提督「なるほど、では歓迎の準備をしなければな。」

新人「歓迎会ッスね!」ヤッタァ

提督「ああ。」

漣「本当にする気なんです?」

新人「え?」

漣「艦娘って200人以上いるんですけど…」

提督「歓迎会中止!」

新人「えぇ~!?」


提督「ところで艤装は?」

漣「開発室に…コワルスキーの。」

提督「…」

新人「だいじょうぶッスかね?」


開発室(ラボ)

コワルスキー「なんと!この艤装は自律型…なんと興味深い…」

開発「ウチには居なかったが、島風と天津風っていう艦娘にも自律型の艤装を持ってるって聞いたぜ?」

コワルスキー「本当か!?実にこの世界は興味深い!」

開発「だからって、変にいじくるなよ?飽くまで修理だからな?」

コワルスキー「変に…とは?」

開発「あれが変じゃないって…感覚が違うって恐ろしいな…」

工廠「コワルスキーさん。」

コワルスキー「ん?」

工廠「あとで工廠の修理手伝ってくれませんか?人手が足りなくて…」

コワルスキー「そんな、直ってなかったのか?」

工廠「いや、実は半年前の襲撃の直前で工廠の機械が故障しちゃって。」

工廠「それを直す前に襲撃が来たもんだから、復元マシンでも故障した状態で復元しちゃったんです。」

工廠「だから…」

コワルスキー「わかった。これを直したらすぐに!」

工廠「ありがとう!」

開発「大忙しだな。」

コワルスキー「頼られるということは実に気分が良い!」





新人「うまく行ってるみたいですね。」

提督「ああ、修理なら大丈夫か。」

漣「調子に乗って変なの作らなければいいんだけど…」

妖精「漣さん、提督!」

漣「ん?」

提督「どうした?妖精よ。」

妖精「あの娘、目を覚ましました!」

漣「ほんと!?」

提督「こうしてはいられないな!」

新人「あっ待ってくださいよぉーー!」







妖精「お帰りなさい。」

??「あっあの!」

漣「もう起き上がって!?」

??「はい、助けていただきありがとうございます。」

漣「そう、ならいいんだけど…」

??「えっと…ここの司令官はどこに…」

提督「私ならさっきからここに居るが?」

??「え?」

提督「だからここだ。ここ。」

??「えぇ?」

??(足元から声が…)

??「…かわいいペンギンさん?」

提督「おほん、私がここの提督だ。」

??「!」バッ

漣「お気持ちはお察します…」アハハ…


??「でっでも!」

漣「れっきとしたうちのご主人…じゃなかった提督です。」

??「!?」

??「えっえっと…しっ失礼しました!」

??「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月と申します!」

秋月「よろしくお願いします!」ビシッ

提督「これからよろしく頼むぞ。秋月。」


提督「しかし…」ジーッ

漣「どうしたんです?」

提督「ふむ…」ジーッ

秋月「?」

提督「いやぁ、こっちのほうが大人びてると思ってな…同じ駆逐艦なのに?」

漣「それは安易に私が子供っぽいと?」ゴゴゴゴゴ・・・

提督「いや、違うぞ!そうでは無くてだな!」

漣「わかってますよーだ。どうせ漣は子供ですよーだ。」ブー

提督「あーもう。」ヤレヤレ

秋月「それは多分、私の生前の姿が駆逐艦よりも軽巡洋艦のほうに近かったからだと思います。」

提督「そうなのか。」

提督「軍艦のことには、てんでダメでな。こんな私だが、よろしく頼む。」


秋月「いえ、たとえ司令官がペンギンでも、全力でつくします!」

秋月「ん?」

新人「あっ。」

秋月「もう一匹?」

新人「僕は新人ッス!」

秋月「よろしく。」

新人「ところで、どうして漣はふて腐れてるんです?」

漣「ブーっ!」


提督「色々あった。色々な。」

漣「ってあれ?」

秋月「はい?」

漣「そういえば、秋月ちゃん。結構簡単に馴染んだ?普通ならもう少し時間かかるかと思ったけど?」

秋月「まぁ、普通はね…でも、怖い方じゃなくて良かったです。」

提督「いや、まぁ…厳しいほうなんだが…」

秋月「そうなんですか?」

新人「ええ、まぁ…」メソラシ

秋月「?」









秋月「では、あなたが秋月を?」

新人「そうッス。倒れているときは最初驚いたッスよ。」

秋月「ありがとう。小さな恩人さん。」

新人「いやぁ…」エヘヘ

新人「あっ、着いたッス!」

新人「コワルスキー、新しい艦娘の秋月を連れてきたッス。」

開発「やぁ、待ってたよ!」

新人「あれ?コワルスキーは?」

開発「ああ、これ直したら今度は工廠の修理に…」

秋月「長10cm砲ちゃん!」

長10cm砲ちゃん「♪~」ブンブン!

秋月「ありがとうございます!」

開発「いやぁ、ほとんどコワルスキーが頑張ってたから。」

新人「なんとなく予想出来るッス。」

長10cm砲ちゃん「♪~!」

新人「ん?」

秋月「この子たちもあなたに感謝してるみたい。」

長10cm砲ちゃん「!」コクッコクッ

新人「なんで?助けたのは秋月で、この子達は妖精たちが…」

秋月「あなたが私を見つけてくれたおかげ、でこの子達も見つかった。」

秋月「全てはあなたのおかげってことです。」

新人「いやぁん…もう…褒めるのうますぎッスぅ。」

秋月「ふふ。」クスッ






食堂


秋月「あの…御相伴に預かってもいいんですか?」

漣「同じ鎮守府の仲間なのに、いいも何もないと思うよ?」

秋月「ありがとうございます。」

漣「といっても、在庫の都合カレーしかないけど…」

秋月「いえ、秋月にとっては十分ごちそうです!」

漣「べっ別にカレーしか作れないってことじゃないから!」

秋月「聞いてませんよ…」アハハ・・・

秋月「?」

漣「あっごめん。材料に肉がないから代わりに魚にしちゃった…ダメ?」

秋月「いえ、いいんですけど…なぜ、イワシ?」

秋月「サバカレーはよく見かけるのですが…」

漣「あー…それは…」チラッ

秋月「?」チラッ




提督「では、諸君。いただくとしよう。」

リコ「アーン!」ゴクンッ

新人「やっぱとれたてが一番ッス!」モグモグ

コワルスキー「ん~、さすがは日本産!メイドインジャパン!」



秋月「なるほど…」

漣「あはは、サバでもいいんだけど、あの4匹がイワシだから合わせないとダメかなって…一応上司だし…」

秋月「…」

秋月「あ~…ん」

モグモグ

漣「どう…かな?一応、臭み取りとか頑張ったんだけど…」

秋月「ん!おいしいです!」

秋月「イワシでもいけます!」

漣「ほっ本当!いやぁ、手間暇かけた甲斐があるわぁ!」

秋月「でもなんでイワシのカレーなんですか?」

漣「だから上司に…」

秋月「いえ、じゃなくて…」

漣「…あー、そういう…」






執務室

提督「なに?資材と食糧が底をつきそう?」

漣「うん。」

コワルスキー「はい。」

漣「このままじゃ、おいしい料理が食べれない!」ドンッ!

コワルスキー「このままじゃ、開発も修理もままならないです!」ペチッ

コワルスキー「…」

コワルスキー「…」ペチッ

コワルスキー「…」ムー


提督「確かに、それは緊急事態だな…」ウーム

漣「本来なら、本土のほうから定期的に補給があるんだけど。」

コワルスキー「なぜ今はないんだ?」

漣「忘れたの?一度ここは壊滅してるから、無くなったことになっちゃったの。」

提督「なるほど。ならば、本土に行って復活したことを伝えればいいんだな?」

漣「それもそうなんですが…」

提督「ん?」

バサッ

漣「これが、この鎮守府周辺の海図です。」


漣「漣たちが以前調べた限りだと…」

漣「ここと」

漣「ここと」

漣「ここと…ここ」

漣「大きく分けてこの分布で奴らの巣があるの。」

コワルスキー「巣?」

漣「巣というのは大袈裟かも。どっちかというと"たむろ"してるって言ったほうがピンとくるかも。」

コワルスキー「つまり、小規模の集団が居ると…」

提督「う~む…」

提督「見た限りだと、東西南北すべてが囲まれているのか…」

漣「そういうこと。」


提督「本土に近い海域は?」

漣「西のルートになるかな…でもここはダメ。今の戦力では到底攻略は不可能。たとえご主人さま達が居ても…」

提督「どういうことだ?」

漣「"姫"クラスが居るのよ…ここ。」

コワルスキー「姫?」

提督「なんなら白馬に乗って迎えにいこうか?」

リコ「ナイスジョーク!」

漣「冗談は言ってられないよ?深海棲艦でも上位を誇る奴らなんだから…」

提督「おっと、失礼。」


コワルスキー「では、今の我々戦力で敵う海域は?」

漣「…南だと思う。」

提督「南とな?」

漣「ここなら、姫クラスも鬼クラスも居ないから、今の戦力でも大丈夫なはず…」

漣「大丈夫と言っても…ご主人さま達を入れた戦力になっちゃうけど。」

秋月「待ってください。」

漣「?」

秋月「指令たちを入れた戦力って一体?」


提督「我々も戦うという意味だが?」

秋月「…はい?」

秋月「…何を言って…」

漣「何って?」

提督「お前こそ何を言っているのだ?」

コワルスキー「まさか私たちが戦力にならないと?」

秋月「え?秋月の感覚が間違っているのですか!?」ガーン


漣「冗談冗談…」アハハ…

漣「実はこう見えて、この4匹すごく強いの。」

秋月「そうなんですか?…ではなくて!」

提督「じゃあなんなんだ?」

秋月「なぜ司令官が最前線で戦おうとしているのですか!?」

秋月「司令官は鎮守府に残り、指示を出すのが務め…戦場に出て戦うなど、聞いたことが」

提督「そんな常識にとらわれていると、生き残れないぞ?」

秋月「え?」

提督「いいか秋月よ。私がここの責任者となった時、漣と誓った。この海を守るとな。」

提督「この椅子に座って…」

コワルスキー「立ってますね。」

提督「ウォッホンッ!」

提督「…」ジーッ

コワルスキー「失礼。」


提督「この椅子に立っているだけじゃ守れない。そうは思わんか?」

秋月「しかし…」

漣「大丈夫だよ。秋月ちゃん。」

提督「そのうち慣れる。」

秋月「はぁ…(そういう問題かな?)」

提督「では、漣、コワルスキー作戦を立てるぞ!」

コワルスキー「了解です。」

漣「ほいさっさ~!」





バタンッ

秋月「はぁ~…」

新人「溜息なんてついてどうしたんッス?」

秋月「本当にあなたたちも戦うのですか?」

新人「何か問題でも?」

リコ「?」

秋月「いえ…」

新人「なんか元気ないッスね…」

リコ「ナンデダロウネ?」




提督「う~む…」

提督「また空母が居るのか…」

コワルスキー「こちらの資材を考えると、前のような装備は作ることは不可能です。」

コワルスキー「別の方法を考えないと…」

漣「それもそうだけど、前回には居なかった戦艦ル級に軽巡洋艦チ級が2体…敵の戦力は増してますし…」

コワルスキー「…そういえば。」

提督「ん?」

コワルスキー「倉庫を漁っていた時に面白いものを見つけたんです。」

コワルスキー「これを使えば、多少は戦いを有利に運べるかもしれません。」ヒョイ

漣「それって!?」

漣「…飛行機のラジコン?」

提督「なるほど!空には空か!」

漣(また何かするな…)

コワルスキー「では、開発妖精と工廠妖精に資材を少し借りていいか聞いてきます。」

コワルスキー「あと厨房で少し食材を…」

漣「いや、マジで何を作る気!?」






作戦当日

提督「二人とも準備はいいな?」

漣「漣準備よしです!」

秋月「…はい。」

提督「秋月?」

秋月「あっいえ、秋月準備できています!」

漣「…」

提督「それでは、コードネーム『南の海域を奪還するぞ作戦』開始だ!」

漣「普通に"南海域奪還作戦"でいいのでは?」

提督「こっちの方がかっこいいだろ?」

漣「そうかな?」


提督「ああ、もう。つべこべ言わずにさっさと行け!」

漣「はーい。」

漣「駆逐艦漣、出る!」

秋月「防空駆逐艦、秋月。出撃致します!」

提督「では、私たちも。」

コワルスキー「目的の海域までオートパイロットに設定し。」

ナビ『ポーン。目的地までナビゲートします。』

コワルスキー「早さを彼女たちに合わせます。」

ナビ『ポーン。速さの変更を行いました』

提督「それでは出撃!」

プップー

ブルンッブルルルルルルル…



漣「…汽笛の音じゃなくね?」









秋月「…」

漣「…元気ないけど大丈夫?」

提督「気分でも悪いのか?」

秋月「いえ、大丈夫です。」

秋月「…」

秋月「あの。」

提督「なんだ?秋月よ。」

秋月「本当に指令も行くんですよね?」

提督「見ての通りだが?」

秋月「秋月は…反対です。」

漣「…」

秋月「今すぐ引き返してください!」

提督「それは出来んよ。もう作戦に我々も組み込まれている。」

秋月「秋月の使命は司令官を守ることです。」

秋月「もちろん国もですが…」

秋月「もし、司令官がここでいなくなったら…秋月は!」


漣「秋月ちゃん…」

秋月「はい?」

漣「漣もね、全部失った一人なんだよ?」

秋月「え?」

漣「あなたには、まだあまり話してないんだけどね。つい最近まであの鎮守府は瓦礫の山だったの。」

漣「むかしは、それは賑やかな鎮守府だった…艦娘も30人ぐらいいたかな?…みんな提督とも仲良しで、暗い顔一つせず頑張ってた。」

漣「だけど、半年前…突如として深海棲艦の大群が奇襲を仕掛けてきたの…」

漣「そして一気に仲間を失い…提督も…」


漣「漣はこの半年間ずっと残りわずかの妖精さんと、なんとしてでも鎮守府を復活させようと頑張った…」

漣「そんな時にこの4匹が来てね…なんでだろうとても嬉しかった。」

漣「人じゃないのにね。」

漣「そんでもってヲ級フラッグシップの襲来…私は5体の深海棲艦と戦った…もちろん圧倒的不利な状態で。」

漣「そしたらどう?この4匹がさらに圧倒的な力で全部倒しちゃったの。笑えるでしょ?」

漣「ご主人さまは私がやったっていうけど、私は違うと思う。」

漣「そこにいるコワルスキーの発明。ご主人さまの統率力。そういうのが無ければ勝てなかった。」

漣「それ以来、漣はこの4匹に元気をもらってる。むしろ戦場にいないと、不安で仕方ない…」

漣「たぶん、秋月ちゃんもこの戦いでそう思うよ。絶対に。」

秋月「…ごめんなさい。漣さん。」

秋月「でも、指令のそれが正直まだ信じられません。」

秋月「ですが、行くというのであれば、指令はこの秋月が命に代えて絶対にお守りします!」

提督「命に代える必要はないぞ?秋月よ。」


ナビ『ポーン、目的地周辺です。』

コワルスキー「提督、着いたようです。」

提督「早速お出迎えのようだ。」



イ級「グアアアアアアアア!!」

イ級2「ガアアアアアアア!!」


漣「予想と違うのがお出迎えとは…」

秋月「ですが!」

提督「ゴング代わりに一発お見舞いしてやれ!」

漣「徹底的にやっちまうのねっ!魚雷、いっちゃってぇ!」

バシュウッ!

秋月「魚雷、発射します!」

バシュウッ!



ズドォーーーーン!!


イ級「ぎゃあああああああああ!?」

イ級2「ぐがあああああああああ!?」


漣「よし、雑魚一掃!」

秋月「残るは4体!」

提督「作戦通りに行くぞ!」

チ級「キタカ、カンムス!」

チ級2「クチクカン、ダケノ、ヘンセイトカ、ナメテルナ!」


提督「よし!漣、秋月、チ級を頼む!」

漣「あらほらさっさ~!」

秋月「了解です!」

提督「では私たちは…」

コワルスキー「ル級を。」

チ級「ムッ、アノフネ、ルキュウヲ、ネラッテル!?」

チ級「サセルナ!」

コワルスキー「こっちこそ邪魔はさせん!」


提督「こちら、王様の馬。聞こえるか?」トランシーバー

新人『こちら王様の家来、聞こえるッス!』

提督「第一爆雷投下!」



新人「リコ、やるよ!」

リコ「OK!」

ポチッ

ガコンッ

ヒュルルルル・・・

ル級「!?」

ヲ級「!」

チ級「クソッ!ウチオトセ!」

ドンッドンッ!

コワルスキー「第一作戦成功です!」

コワルスキー「相手が間抜けで助かった。」クスクス



パァーーーン!パァーーーン!


チ級「ハレツ!?」

ヲ級「バクハツシナイ!?」


パラパラ


ル級「ナンダ、コレハ?」

チ級2「!?」

チ級「ブェーーークッショイ!」

ル級「ゴホゴホッ!」

ヲ級「クシュン!」

チ級2「コノ、シタニ、シゲキガアル、コナハ、マサカ、コレハ!?ハーーーックション!」


コワルスキー(ガスマスク装備)「コショウだ。」


提督(ガスマスク装備)「第一段階終了だな。」

提督(ガスマスク装備)「二人とも!」

漣(ガスマスク装備)「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーーん!!」

ドンッドンッ!

秋月(ガスマスク装備)「撃ち方始め!(なんという作戦…)」

長10cm砲ちゃん(ガスマスク装備)「!」

ドンドドンッ!



ガァーーーン!


ズゥーーーン!!


チ級「チキショウ!ゴホゴホッ!ヒレツナ、マネヲ!」

ル級「ヲキュウ、カンサイキ、ヲトバセ!クショイ!」

ヲ級「ハックション!アッ、マッテ、イマノデ、ナンキカ、デチャッタ…」

提督(ガスマスク装備)「艦載機の発艦を確認!」

提督(ガスマスク装備)「次のステップに移行せよ!」



新人「了解ッス!」

ポチッ

ブワァーーーーー・・・

モクモクモク・・・

艦載機「!?」


ヲ級「!?」

ル級「コンドハ、ナンダ?」

ヲ級「エンマク…だと!?」

コワルスキー「ただの煙幕ではないぞ。お前たち深海棲艦用にブレンドし改良した特製の煙幕だ。」

コワルスキー「ただ、効果は分からんが…」


ドォーーン

ドォーーン

ババババババッ

ヒュルルルル・・・

バシャーーン!

ヲ級「!!?」

ル級「カンサイキガ…ナニガ、オキテイル!?」

ヲ級「カンサイキガ、ナカマドウシデ、ウチアイハジメタ!?」


コワルスキー「ふむ、あのブレンドだと敵味方の判断ができなくなるのか…」メモメモ

ル級「クソッ!」

提督「王様の家来よ、ヲ級とル級を突き放せ!」

新人「行くッスよ!」

リコ「ヒャッホーーー!」

グゥーーーー・・・ン!!

ズダダダダダダダダッ!

ヲ級「!?」

ル級「ウオッ!?」


提督「今だコワルスキー!」

コワルスキー「了解です!」

コワルスキー「全速前進!」

ブォーーーーーン!

秋月「指令!」

漣「よそ見してる暇はないよ!」

秋月「でも!」

漣「大丈夫!実質6対4だ!」

秋月「…」

ドォーーン!

秋月「きゃっ!?」

長10cm砲ちゃん「きゅーーー…」

秋月「長10cm砲ちゃん!?」

秋月「よくも!」

長10cm砲ちゃん「!」

ドンドンドンッ!

ズガァーーーーーーン!

チ級「ウワッ!?」



ル級「ナンナンダ、コノジョウキョウハ。」

ブォーーーー・・・

ル級「!?」

提督「ハイヤーー!!」

ガキンッ

ル級「シマッタ!」

提督(鉄製のパドル装備)「よそ見は禁物だぞ?」

提督「コワルスキー!」ピョンッ

コワルスキー「了解!」

ガシッ

ル級「ペンギンノウエニ、ペンギンガ!?」


提督「いくら火力の強い戦艦でも、近距離ならどうだ?」

ル級「ナッ!?」

提督「喰らえ!ハイヤァーーー!」

ガキンガキンッ!

ル級「クッ!」

提督「ご自慢の大砲も、今日ばかりは使わずじまいだな。」

ル級「ナニヲ…バカニスルナ!」

ガチャンッ

提督「隙ありだ!」

ヒュンッ

ガキィーーーン!

ドボォーーン!!


ル級「シマッタ、ワタシノ、サンレンソウホウガ!」

ル級「ヨクモ!」ギロッ

提督「おお、怖い!」

提督「コワルスキー、全速後退だ。」

コワルスキー「了解!」ガチャッ

ブォーーーー・・・



ル級「フッ、バカメ!シャテイナイニ、ワザワザハイルトハナ!」

ガチャンッ

提督「置き土産をくれてやれ。」

コワルスキー「魚雷発射!」ピッ

バシュウッ!

ル級「ハァ!?」

ズドォーーーーーーーーン!!



ル級「バカナ…アリエ…ナイ…」

ズズズズ・・・



秋月「ル級を沈めた!?しかも一発も攻撃させずに!?」

漣「流石はご主人さま!」

ヲ級「ルキュウ!?」

ヲ級「ヨクモ、ルキュウヲ…」

新人「気がそれたッス!」

ポチッ

リコ「ドッカンドッカン!」

ポチッ


ヒュルルルル・・・



ヲ級「ハ!?」



カッ

ズドォーーーーーーーーン!!






ヲ級「コンナ、ヤラレカタ…シタクハ…ナカッタ…」





ズズズズ・・・



漣「いやっほーーう!」

秋月「あ…ああ…うそでしょ…ヲ級まで…」パクパク


提督「さて、最後は…」

チ級「バカナ、ヲキュト、ルキュウガ、ヤラレルナンテ…」

チ級2「コイツラ、ヤバスギル!コウタイダ!」

提督「させるか!王様の家来!」



新人「最後の一発!」

ポチッ

リコ「ふんふふ~ん♪」

ポチッ





ヒュルルルル・・・




チ級「マタ!?」

チ級2「ウチオトセ!」

チ級「ハッ!ヤメロォーーーーー!」


ドンッドンッ!





パァーーーン!パァーーーン!





ベチャアッ





チ級2「ウワッ!ナンダコレ!?カラダガ、ウゴカナイ!?」

チ級「ダカラ、ヤメロト…」




コワルスキー「トリモチ爆弾。なぜかトリモチが厨房に置いてあったんですよね…」

漣「まさか、だれか食べようと…」









開発「っくしゅん!」








ズイッ


チ級「ハッ!」

漣「…」ゴゴゴゴゴ・・・

秋月「…」ゴゴゴゴゴ・・・

提督「…」ゴゴゴゴゴ・・・

コワルスキー「…」ゴゴゴゴゴ・・・

チ級「マッテクレ、イノチダケハ、タスケテクレ!」

チ級2「ナンデモ、イウコトキクカラ!」


提督「なんでも、だと?」

漣「…なら」

秋月「沈んでください!」


バシュウッ!



カッ



ズドォーーーーーーーーン!!






チ級・チ級2「「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!」」





チ級2「モウニドト、ナンデモナンテ…イワナイ…」

チ級「モウニドト、オマエトハ…クマナイ…」


ズズズズ・・・







コワルスキー「周辺のの深海棲艦の反応ゼロ!すべての轟沈を確認!」

提督「うむ。」

提督「奪還成功だな!」

提督「では被弾した秋月は…む?」

秋月「どうしたんですか?」

提督「あそこに誰か浮いているぞ!」

漣「ひょっとして…」

秋月「ドロップ艦!?」


コワルスキー「また新しい仲間ということか?」

提督「すまんがコワルスキー、彼女を回収。すぐに手当てをしろ!」

コワルスキー「了解です。」

提督「すまんが漣と秋月は、修理と補給が終わり次第、本土の大本営に向かう。いいな?」

漣「了解。」

秋月「了解です。…あの」

提督「ん?」


秋月「先ほどは失礼しました!」

秋月「知ったような事ばかり言ってしまい…」

提督「なに、気にしてないさ。むしろ我々をいきなり信用しろというのが無理な話だ。」ハッハッハッ

秋月「指令…」

秋月「…」ビシッ

秋月「秋月型防空駆逐艦、一番艦、秋月。一生指令についていきます!」

提督「いい心がけだ。」


提督「では、一度鎮守府に戻るとしよう。」

秋月「はい。」

漣「良かった。」

コワルスキー「ああ。」

新人『こちら王様の家来、どうぞ。』

コワルスキー「こちら王様の馬、どうぞ。」

新人『僕たちももう戻ってだいじょうぶッスか?』

コワルスキー「ああ、構わんぞ。お疲れだったな王様の家来。」

新人「そっちもッス王様の馬。」

漣「さっきから気になるけど…その呼び名なに?」

コワルスキー「コードネームだ。恰好いいだろ?」

漣「…そうだね。(真顔)」

と一旦ここまでです。

続きはいつになるか…

区切りのいいとこまで来たので投下。

ちなみに出てくる妖精は皆♀です。


大本営 元帥の部屋

漣「提督としての資格なし!?」

漣「どういうことですか!?」バンッ

漣「まさかうちのご主人さまがペンギンだからですか!?」

元帥「落ち着きたまえ。資格がないとは一言も言ってはいない。」

榛名「そうです、元帥の話をちゃんと聞いて漣さん。」

漣「すっすみません…でも、許可は得られないって…」

元帥「現時点でだ。」チラッ

提督「!」


元帥「まぁ動物や鳥が提督というが駄目というわけではない。実際、ウサギや犬といった者たちが提督業務を行っている鎮守府もある。」

元帥「優秀であれば評価する。」

元帥「問題は別だ。」

漣「別?」

元帥「たしかに、戦果は挙げられたのかもしれんが、その報告がこちらに来ていない以上、評価することができんのだ…」

元帥「少なからず、今度我々が行う作戦に参加したら話は別だが。」

漣「でも、それってだいぶ先じゃ…」

元帥「うむ。」

漣「せめて、資材や食料だけでも…」

元帥「無理だな…最悪その鎮守府を解体して、ほかの部署に宛がうか…。」

漣「解体って…そんなことできません!それにほかのところに行くだなんて…」


元帥「とにかく、何か評価できるものがあれば別なんだがな…記録が残り、誰かが証人となるような。」

漣「わかりました。出直してきます!」

漣「行きましょう!ご主人さま!」

提督「うっうむ…」


ガチャッ


??「失礼します。」

??「おや?」

漣「ゲッ!あんたは…」


??「まさか、あいつの漣か?まさか生きていたとはね。」

??「あいつ同様、悪運の強い奴だ。いや、あいつは死んだから悪運すらないのかな?」

漣「ちょっと今のは訂正してください!」

不知火「そうですよ、大佐。死人を悪く言うのはよろしくないかと。」

大佐「かてぇなお前も。」

提督「漣よ、この厭味ったらしい奴は何なんだ?」

漣「大佐。提督を一方通行的にライバル視してた馬鹿。」


大佐「おいおい、馬鹿はないだろ馬鹿は。そんなこと言ったら、お前の上司はどうなんだ?」

不知火「大佐。」

大佐「へいへい。」

大佐「あっそうだ。なんならうち来るか?上司が居ないんなら、ウチでこき使ってもいいんだぜ。」

漣「お気持ちだけで結構です。」ニッコリ

漣「さ、ご主人さま帰りましょ。」

大佐「ん?ご主人さま?」


大佐「おいおい、まさか、そのペンギンが今度の上司じゃないだろうな?」

大佐「あーーーはっはっはっ!こりゃ傑作だ!ついにトチ狂ったか?鳥が上司とか、あーーーはっはっはっ!」

大佐「しかもペンギン?間抜けで役立たずなやつを上司に置くとか、流石アイツの秘書だな。」ヒィヒィ

提督「…」ムカッ

不知火「もういい加減に、元帥の前ですよ。」

大佐「おっと失礼。余りにも冗談が過ぎたからね。」

大佐「まぁ、せいぜい頑張っておくれよ。ヨチヨチペンギンさん。」

漣「行きましょ。」

提督「そうだな。」

バタンッ






漣「やになっちゃう…あんな奴に会うだなんて!」ムキー

提督「…」ムー

秋月「指令、漣さん。お帰りなさい、どうでした?」

漣「ぜんっぜんダメ!」ムスー

秋月「あれ?どうして機嫌が…指令?」

提督「…」ゴゴゴゴゴ・・・

秋月「ひぃ!こっちも!?」

秋月「とっとにかく、車が用意してあるので港まで…そこからは…」

漣「海を渡って帰るのよね。」

秋月「そう…ですね…」ハハハ…





夜 鎮守府 執務室


新人「そんなことが!」

コワルスキー「我々を間抜けで役立たずとは…とんでもない人間だ!」

リコ「ソウダソウダ!」

提督「こうなったら腹の虫がおさまらん!」

提督「なんとしてでもアイツをギャフンと」



コンッコンッ



提督「ん?どうぞ。」

ガチャッ

??「失礼します。」

提督「おや、どちらだったかな?」


新人「あれ?提督初めてでしたっけ?」

コワルスキー「無理もない、提督が大本営に出向いているときに目を覚ましたんだからな。」

コワルスキー「そして怒りのあまりに、周りを見ずにそのまま執務室に…」

提督「それは失礼なことをしてしまった。私はここの提督だ。」

??「私は航空母艦、加賀です。」

加賀「以後お見知りおきを。」

提督「上司がペンギンで申し訳ないな。」

加賀「大抵のことはこの子たちから聞いているわ。」

加賀「大変な戦果を挙げているとか…期待しているわ。」

提督「ありがとう加賀よ。」

加賀「今日は挨拶だけでもと思って。」

提督「わざわざすまない。」

加賀「それでは失礼します。」

提督「また用事があれば、気兼ねなく訪ねてくれ。」

加賀「そうするわ。」

バタンッ


新人「これで戦力が大幅アップっす!」

提督「ああ、だが資材が無ければ…いや、その前に奴をギャフンと…」

新人「提督も大変っすね。」

提督「ん?待てよ!」



元帥『とにかく、何か評価できるものがあれば別なんだがな…記録が残り、誰かが証人となるような。』




提督「要は元帥に私たちは使えるということをアピールすればいい!」

コワルスキー「何かいい案でも?」

提督「ああ、私にいい考えが浮かんだぞ!」

提督「諸君、集まれ!」

バッ!

提督「いいか?」



コショコショコショ、デアルカラシテ、ナルホドソレナラ



ガチャッ



4匹「「「「!?」」」」



漣(パジャマ姿)「ふぁ~…まだ起きてたんですか?」

提督「ああ、すまんな漣。」

漣「もう消灯時間になりますよ?早く寝てくださいね。」

提督「私たちもすぐ寝るところだ。」

漣「そうですか…おやすみなさい。」

提督「ああ、おやすみ。」


バタンッ


提督「では作戦は明日の夜に決行だ。」

提督「だが、この作戦には協力者が必要だ…」

コワルスキー「そこは私にお任せを。」ニッ




次の日の夜



漣の部屋


漣「ふぁ~あ…ねむねむ…」

漣「明日も早いしもう寝よ。」

漣「毎日お魚飽きたな…お肉が食べたいよ…」

漣「スー…スー…」



秋月の部屋

秋月「司令官、今日も忙しそうでした…」

秋月「秋月もうまく支えられるようにならないと!」

秋月「明日は早く起きて自主練するぞ!」



加賀の部屋

加賀「今日も出撃なし…」

加賀「資材がないのでは致し方ないかしら。」

加賀「でも…」クスッ

加賀「なかなかヒョウキンな提督ですね。」

加賀「あのような方が上司とは…私も運が向いているのかしら。」

加賀「さて、消灯時間も過ぎたので寝るとしますか…」


執務室の奥…秘密基地

コワルスキー「ポイントアルファ・シータ・ラムダの消灯を確認!」

コワルスキー「ほかのポイントも問題なしです。」

提督「よし、これよりコードネーム『倉庫が空っぽで大佐もびっくり作戦』を開始する!」

提督「コワルスキー作戦内容!」

コワルスキー「これが件の鎮守府への地図です」

バサァッ

コワルスキー「これより我々は、ドックより改造クルーザーで先日攻略した南海域を通り、大佐の鎮守府まで移動します。」

コワルスキー「そして、鎮守府に忍び込み、倉庫にある資材を、この私の発明した『大きさ変換レーザー』で小さくし、根こそぎ奪いとります。」

新人「でも、ドックはどうするんです?ドックを開ける人が居なければ、僕たち出れませんよ?」

コワルスキー「そこは大丈夫!」



ドック

開発「はぁ~…ばれても知らないぜ?」

提督「なら心配するな、ここにお前の上司が居るからな。」

開発「私が言ってるのは漣さんのほうなんだけどね。」

提督「何、心配するな。」

コワルスキー「では…」

キュイィィィ・・・

コワルスキー「発進!」

ドウッ

ブオーーーーーー・・・ン


開発「はやっ…あれあんな機能までついてたのか…」



隊長「目的地への到達時間は?」

コワルスキー「今から、10分後です。」

隊長「なら、作戦を素早く終えて帰ってくれば、漣の起こしに来る時間に間に合うな!」

新人「あれ?」

隊長「どうした、新人。」

新人「表記が"隊長"に戻ってますよ?」

隊長「当たり前だ、こんなこと提督でやってられるか!」



鎮守府廊下 ペンギンズの部屋の前

漣「うぅ…おトイレ…」ゴシゴシ

ピタッ

漣「…」


ガチャッ


提督「…」グーグーグー・・・

コワルスキー「素粒子加速器はどこいったっけ…」ムニャムニャ

リコ「グゴゴー!」

新人「…」スヤスヤ・・・


漣「寝てると可愛いんだけどね。」クスッ



バタンッ





提督(ぬいぐるみ)「…」

コワルスキー(ぬいぐるみ)「…」

リコ(ぬいぐるみ)「…」

新人(ぬいぐるみ)「…」



カセットテープ「ムニャムニャ…グゴゴー…グーグー…スヤスヤ…」



大佐の鎮守府



隊長「目的地に到着!」




黒潮「ふぁ~あ…見回りも大変や…」



隊長「…(向こうから回るぞ!)」バッ

コワルスキー「…(了解!)」ビッ


シャーーーーーーーー ←腹ばいで滑る音





扉の前

バッ

隊長「…」ソローリ

隊長「…」キョロキョロ

隊長「…(クリア!)」バッ

新人「…(了解ッス!)」コクコクッ


シャーーーー


廊下の角


シャーーーーーーーー

隊長「…!」ピタッ

コワルスキー「どうしました?」ボソボソ

隊長「誰か来る!」ボソボソ


コツコツコツ


隊長「…」ソローリ


不知火「…」コツコツコツ


隊長(あいつは!)


新人「大変ッス!こっちからも誰か来ます!」ボソボソ

隊長「なに!?」ボソ


陽炎「ふぁ~あ…眠い。」テクテク


隊長「挟み撃ちか…」

新人「どうするんスか!?」



不知火「…」コツコツ


陽炎「…あ~」テクテク


新人「隊長!」

隊長「む!」





陽炎「ん?あら、不知火。」

不知火「姉さん。」

陽炎「もしかしてトイレ?」

不知火「そんなところです。」

不知火「姉さんは、見回りですか?」

陽炎「そうなのよね。眠い…」

不知火「頑張ってください。」

陽炎「ありがと。」

不知火「…」コツコツ

陽炎「…」テクテク




ヒュッ

隊長「…」スタッ

コワルスキー「…」スタッ

リコ「…」スタッ

新人「…」スタッ

隊長「…」キョロキョロ

隊長「ふぅ、危なかった。」

隊長「間一髪のところで天井の出っ張りに気付けた…」

コワルスキー「あれが無ければ、お終いでしたよ。」

隊長「何はともあれ、任務は続行だ!」

コワルスキー「目的の倉庫はすぐそこです。」

隊長「急ぐぞ!」


倉庫前

隊長「…」キョロキョロ

コワルスキー「周りに見張りがいないようですね。」

隊長「馬鹿な奴らめ、賊が入ってきても知らんぞ。」

新人「今その賊っぽい行為を僕達がしてるんすけど…」

隊長「何を馬鹿なことを。新人、我々は正義のために動いているのだ。その辺のコソ泥と一緒にするな。」

隊長「コワルスキー、この扉を早く開けるんだ。」

コワルスキー「了解です。」

コワルスキー「ではまず…んん!?」


隊長「どうした?」

新人「早く開かないと、誰か来ちゃうっすよ!」キョロキョロ

コワルスキー「大変です。この鍵は特殊で、無理に開こうとするとブザーが鳴る仕組みのようです。」

隊長「なんだと!?」

新人「だから、見張りがいないんすね!」キョロキョロ

隊長「何とかならないのか?」

コワルスキー「正規のセキュリティ・キーを手に入れないことには…」

隊長「ならばそのセキュリティ・キーを手に入れるぞ!」




コワルスキー「この見取り図によれば…ここが執務室です。」

隊長「そこが怪しいな。」

コワルスキー「確かに、この鎮守府の責任者が管理していると読むのが妥当かと。」

新人「あの、さっきから気になったんですけど…」

新人「その見取り図って、だれからもらったんです?」

コワルスキー「ここの鎮守府の開発妖精からだ。」

新人「コワルスキー、いつの間に仲良くなったんすか?」

コワルスキー「貰ったのはうちの開発妖精からだ。なんでも仲がいいらしい。」

新人「よく快くもらえましたね…」


コワルスキー「理由を話したらあっさりと。」

コワルスキー「くれた理由は…大佐が大っ嫌い!だからだそうだ。」

新人「なるほど。」

隊長「よし、目的地変更。まずは執務室へ向かう。」



執務室


大佐「ったく、なんでこんなに仕事が残ってるんだ?」

大佐「不知火の奴、サボったなぁ。」


執務室の窓の外

隊長「ここには消灯時間というのがないのか?」

新人「どうするッスか?」

コワルスキー「隊長、あそこを!」

隊長「む、アイツの机の下にかかっているのは…鍵。あれがそうなのか?」

コワルスキー「ええ、倉庫の鍵の形状と一致します!」

隊長「鍵は見つけた…あとはどうやって奪い取るかだ…」

新人「隊長!」

隊長「あまり大きな声を出すな。新人。」

新人「ココ窓が開いてます!」

隊長「でかした!」



執務室

大佐「ん?」

大佐「外に何かいるのか?」



執務室の窓の外

隊長「ニャーオ…」


執務室

大佐「猫か。なんだ…」


執務室の窓の外

隊長「なぜ私がこんな真似を…」

コワルスキー「それは隊長が大きな声を出したからで…」

隊長「出してなんかいないぞ!」



執務室

大佐「やっぱなんかいるか?」


ニャーオ…


大佐「盛ってるのか?」


執務室の窓の外

隊長「一度ならず二度までも…」プルプル…

コワルスキー「…とりあえず、あの窓から侵入しましょう。」

隊長「いや、侵入するのは一人だけだ…新人!」

新人「え?僕っすか?」

隊長「行って来い。」

新人「了解ッス!」




ガラッ


新人「…」スタッ


執務室の扉の前


新人「…」キョロキョロ

新人「ん!」


ドンッ!ドンッ ←頭突きでノック




執務室

トントン!

大佐「ん?どうぞ。」

トントン!

大佐「開いてるよ。」

トントン!

大佐「だから、開いてるって!」

トントン!

大佐「誰だよ、しつこいな!」





ガチャッ




大佐「しつこいぞ!」




シーン…



大佐「誰もいないのか?」キョロキョロ




バタンッ




大佐「おかしいな。」

大佐「まぁ、いいか。」

大佐「よっこいしょ。」ギッ




机の下

新人(どどどどどうしよう…)ガタガタガタ…



執務室の窓の外

隊長「全く…」

コワルスキー「うまくタイミングが合わなかったみたいです…」

隊長「仕方がない。」





机の下

新人(ん?)




隊長(今からリコを送る。タイミングを見て脱出しろ!)バッバッババッババババッバッ





新人(了解ッス!)コクコクッ




隊長「しょうがない奴だ。行け、リコ!」

リコ「アイアイサー!」バッ



執務室

コンコン!

大佐「またかよ…」

ココココン!

大佐「もういい加減にしろよ…」

コンッコンッ!

大佐「やけにリズムカルだな…」

コンッココココンッ!

大佐「ああ、もうわかったよ!」



バンッ



大佐「誰だ!」




シーン



大佐「また誰もいない?」



新人(今だ!)


シャーーーーーーーー!




大佐「ここまでくると、気味が悪いな…」



バタンッ



新人「はぁ…はぁ…はぁ…」

新人「ありがとう、リコ!」

リコ「…」ニコッ

隊長「二人とも急げ!」

新人「はいっ!」



倉庫前

隊長「新人、鍵は?」

新人「ここに。」ニコッ

隊長「でかしたぞ、新人。」

隊長「コワルスキー!」

コワルスキー「鍵さえあれば問題ありません。」

ガチャッ

ガコンッ

ゴゴゴゴゴ・・・

ゴンッ


隊長「おお!」

コワルスキー「なんと素晴らしい!」

新人「タンマリありますね。」

リコ「ワーオ、オッホウ!」

コワルスキー「では、この私が発明した大きさ変換レーザーで、ここにある資材をすべて小さくします。」

ズビーーーーーーーーー!

ミョワンミョワンミョワン…

隊長「おお、すべて小さくなったぞ!」


隊長「おお、すべて小さくなったぞ!」

コワルスキー「そして、リコ。」

リコ「コォーーーーー!」

コワルスキー「リコのお腹に全て詰め込みます。」

リコ「ゴックン!」

リコ「ゲェ~~~ップ。」

新人「それで最後は?」

コワルスキー「鍵をこの倉庫の中央に置き…」

隊長「脱出!」



シャーーーーーー





黒潮「ほんま、夜中の見回りは退屈や…」





新人「あっで!?」コテンッ




黒潮「ん?」





隊長「新人!」




黒潮「…」

新人「…」

黒潮「ぺ…ペンギン?こないなとこに?」


新人(どうしようどうしようどうしよう…あ!)

新人「ニ…ニャーオ。」



隊長(そこでやってどうする!?)



黒潮「あ…」

隊長「あ…」



黒潮「あかん、めっさ眠ぅて幻覚まで見てしもうてる…」

黒潮「せやな、こないな辺鄙なとこにペンギンなんて居てるわけないわな。しかも猫の鳴き声で鳴くとか…」

黒潮「さぁ~仕事仕事。ほんま、しんどいわぁ。」


新人「…助かった。」

隊長「急げ新人!」

新人「はっはい!」

隊長「よくやったぞ新人。私はお前を見直したぞ!」

コワルスキー「と言うより、奇跡に近いかと。」


隊長「あとは脱出して、この資材を…」

コワルスキー「そう鎮守府にもっていけば…パラダイス!」

隊長「いや、鎮守府にはもっていかないぞ?」

コワルスキー「…え、今なんて?」

隊長「鎮守府には持っていかないと言ったんだ。」

新人「じゃあ、どこに持っていくんです?」

隊長「それはな…」フフフ


早朝

大佐の部屋

大佐「…グー…」スースー…

バンッ

不知火「大佐、大変です!」

大佐「ん~…」

不知火「大佐!」

大佐「あと5分…」スー…

不知火「緊急事態です!」

大佐「も~なにぃ…あとノックしてぇ…」

不知火「大佐?」ゴゴゴゴゴ・・・

大佐「いえ、起きます。はい。」ムクッ

大佐「で、なに?」

不知火「賊が入りました!」



大佐「…は?」



倉庫前

ザワザワザワ・・・

大佐「賊って…倉庫の何を盗んだのさ?」

不知火「だから、資材ですって。」

大佐「資材かよ…多少盗まれても問題ないぐらいのストックがあったろ?」

不知火「なら、自分のその目で確かめてください!」

大佐「は?」






空っぽ











大佐「へ?」











大佐「なにぃーーーーーーーーーー!?」










大佐「…」アガッアガッアガッ…

大佐「こっここここここれはどういうことだ?」

大佐「倉庫が空っぽじゃないか!」

不知火「ですので緊急事態だと。」

大佐「そこまで言ってないじゃないか!馬鹿!」

不知火「何か落ち度でも?」ゴゴゴゴゴ・・・

大佐「ごめん、何でもないよ。」


大佐「昨日の在庫チェックは!?」

浦風「うちじゃ。」

浦風「なんも問題なかったけぇ。」

大佐「本当に?」

浦風「あ?」ゴゴゴゴゴ・・・

大佐「すみません。」


大佐「ならなんだ?一晩のうちに全部消えたとでも?」

大佐「馬鹿な…ありえない…最近は資材をためるために大型建造すらしてないんだぞ?」

大佐「昨日の見回り!怪しい奴を見てないのか?!」

陽炎「私は何も…夜、トイレに行く不知火に会っただけだけど。」

黒潮「ウチもないなぁ…めっさ眠ぅて、ペンギンの幻覚見たぐらいか?」

大佐「そうか…ペンギンね…怪しい奴もなし…」

陽炎「ペンギン見たの?うっそマジで?」

黒潮「せやから、幻覚やって。」


大佐「待てよ…ペンギン?」

黒潮「どうしたん、大佐はん?」

大佐「ペンギンだと?」

大佐「それだ…」

黒潮「?」

大佐「それだぁーーーーー!!」クワッ

黒潮「ひぃ!」ビクッ


大佐「奴らめ、この間俺が馬鹿にしたのを根に持って…」

大佐「不知火、今から大本営に行ってくる!」

不知火「今からですか!?」

大佐「ああ、留守を頼む!」

ズカズカズカ…

黒潮「ほんまに、何があったん?」

陽炎「さぁ?」

陽炎「あんたは知ってるの?」

不知火「いえ…」


大本営 元帥の部屋

元帥「で、その腹いせに資材を全部盗まれたと?」

大佐「そうです!」

大佐「元帥、これは立派な…」

元帥「罪だな。」

大佐「そうです!ですので、あいつらに重い罰を!」


元帥「しかし君。」

大佐「?」

元帥「この間彼らを随分罵っていたじゃないか…」

元帥「間抜けで役立たずなやつを上司に置く…だったかな?」

元帥「私の目の前で…」

大佐「いえ、ですが…」


元帥「まさかとは思うが…その間抜けで役立たずな奴に、資材をすべて盗まれたという馬鹿な話は…しないだろうな?」

大佐「しかし!」

元帥「大佐である君が」

大佐「!」

元帥「しかも、報告のある量を一晩で盗むだなんてありえないだろ?」

元帥「たとえ、あの鎮守府を総動員したとしてもだ…」

大佐「…」


元帥「どうなんだね?」

榛名「…」

大佐「…そうかもしれません。」

大佐「もう一度、調査しなおして報告します!」

元帥「うむ。」

大佐「失礼しました…」

元帥「ああ、そうだ。資材は報告のあった量"そのまま"そっちの鎮守府に送るようにしよう。」

大佐「ありがとうございます…」


バタンッ


元帥「ふぅ…榛名。」

榛名「はい。もうみなさん出てきても大丈夫ですよ。」

提督「…」ヒョコ

コワルスキー「…」ヒョコ

リコ「…」ヒョコ

新人「…」ヒョコ

元帥「これで文句はないかな?小さな提督君。」

提督「…」ポチポチポチ

翻訳機『ワルクナイ』


元帥「しかし、驚いたよ。君達が窓を叩いて私を起こして、何かと思って窓を開けたら、あの資材の山だ。」

榛名「そうですね、榛名も驚きました。」

元帥「しかし、君たちも知っている通り、盗みは犯罪だ。」

提督「…」ポチポチポチ

翻訳機『ワカッテイル』

元帥「…だが、今回は面白いものを見させてもらった。なんと言ってもたった4匹であの量を盗んできて、さらにはあの量をそのまま返せっていうんだからな。」

元帥「だから、今回は目を瞑っておこう。」

提督「…」ニコッ


元帥「それと、前回の提督の話だが…これだけ面白いものを見せてもらったのだ、褒美として認めることにするよ。」

提督「…!」

元帥「勿論、資材と食糧も定期的に運ばせよう。」

提督「…」パァッ

元帥「なかなか表情豊かなペンギンだな」ハッハッハッ

榛名「ええ。」クスクスクス

元帥「あの資材は今日の昼頃にはあちらの鎮守府に届けるようにしよう。」

元帥「今日は下がってもいいぞ。小さな提督君。」

提督「…」ポチポチポチ

翻訳機『アリガトウ デハ シツレイ スル』


バタンッ



榛名「可愛らしい提督の誕生ですね。」

元帥「…」

榛名「元帥?」

元帥「ああ、すまん。少し考えことをな。」

榛名「考え事…ですか?」

元帥「つまらんことだ。気にするな。」

榛名「はぁ。」

元帥「そういえば、あそこの鎮守府はまだ立て直したばっかだと言っていたな?」

榛名「はい。戦力もあまり揃ってないとかで…」

元帥「そうか。」


元帥「ときに榛名よ。」

榛名「はい?」

元帥「今ここに居る艦娘で暇を持て余しているのは何人いるだろうか?」

榛名「さぁ、基本は皆さんよく働いているので…」

元帥「榛名よ。急で悪いんだが、今日中に異動できそう艦娘を…そうだな2人ほどリストアップしてくれないか?」

榛名「ええ、よろしいですよ。」

元帥「いつもすまんな。」

榛名「榛名は大丈夫です!」

元帥「…」





元帥(あの鎮守府、なかなか面白いことになりそうだ…)





大本営の外

提督「これで無事作戦終了だな。」

コワルスキー「資材も食料も確保できました。」

新人「一安心ッス。」

提督「しかし、何か忘れているような…」

新人「!?」


新人「隊長!マズイッス!」

提督「何がまずいんだ?あと、提督と呼ぶように。」

新人「そんなこと言ってる暇なんてないッス!」

新人「もうすぐ漣が、僕たちを起こしに来る時間ッス!」

提督「なに!?」

新人「残り30分…ここから鎮守府まで、あのクルーザーを使っても40分は掛かっちゃうっすよ!?」

提督「10分のオーバーか…」

提督「コワルスキー!」


コワルスキー「仕方がない…あの機能を使うか…」

提督「コワルスキー、何か手立てはあるのか?」

コワルスキー「ええ、ですが少し我々の我慢が必要かと…」

提督「時間が間に合うなら何でもいい!」

コワルスキー「わかりました。」





隊長「これより、『起床時間までに間に合うぞ作戦』を開始する!」

隊長「ゴー!ゴー!!ゴー!!!」

コワルスキー「了解です。」ポチッカチッガチャンッ

ナビ『リミッターの解除を確認しました』

新人「リミッター解除?」

コワルスキー「開発か?コワルスキーだ。ドックの扉を開けといてくれ。あと20分ぐらいでそちらに到着する。」

新人「40分が20分…提督、いやな予感しかしないです。」

隊長「安心しろ新人。私もだ。」

隊長「そして、今は隊長だ。」

新人「それ、正直メンドクサイっす。」

コワルスキー「それでは捕まっていてください!」



キュイィーーー・・・



コワルスキー「発進!」



ドゥッ



ズキューーーーーーー・・・ン








隊長「あばばばばばばばば!」

新人「飛ばされるーーーーー!?」

リコ「おあおあおあおあおあおあおあおあ!?」

コワルスキー「ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!!」









鎮守府ドック

開発「本当に、あそこから20分で着くのか?」

開発「ふぁ~あ…もうすぐその時間だけど…」




ブォーーーー・・・



開発「お、あの音は。」



ギューーーーーー…



開発「あれ?行きよか早くね?」




ギューーーーーー…



開発「ちょっと待て…このままだと…」



ギューーーーーー…



開発「頼むから止まれ…止まれ止まれ止まれ…」



ギュイィイイイイイイイイイイイイイイイ!!



開発「止まれぇーーーーーーーーーー!!」










バッシャーーーーーーーーーーーン!!







開発「…」ポタポタ…


隊長「流石はリコだ。クルーザーの操縦テクニックもお手の物だな。」

リコ「イエーーーイ!」

コワルスキー「途中で操縦を代ってもらって助かりましたよ。」

コワルスキー「おっと開発、扉を開けて切れてありがとう。」

開発「…」ポタポタ…

コワルスキー「ああ、そうそう。扉を閉めておいてくれよ。」

開発「…」ポタポタ…

新人「お気持ちお察しするッス。」

開発「…」ポタポタ…



開発「…」ポタポタ…






食堂


漣「納豆ねりねりぃ~♪」

秋月「ご飯にメザシに納豆、味噌汁。秋月にはこれぐらいの食事で十分です!」

加賀「おはようございます。」

漣「あっおはよう、加賀さん!」

秋月「おはようございます!」

加賀「…」キョロキョロ

漣「どうしたの?」

加賀「いえ、提督たちは?」

漣「たぶん寝てると思う。」


加賀「まだですか?」

漣「いつも、もうちょっと寝てるよ?」

加賀「イケませんね…これでは他の方たちに示しがつきません。」

加賀「一応は私たちの上に立つ立場なのですから。」

加賀「私が起こしてきます。」

漣「お、ありがと~♪」

秋月「今日は随分と機嫌がいいですね?」

漣「そう?」

漣「やっぱ、夢の中であのクソ大佐が、資材全部溶かして悔しがってるのを見たからかなぁ♪」キャハッ

秋月「あはは…そうですか。」

秋月(そんなに嫌いなんだ…)



廊下


提督「…」キョロキョロ

提督「よし、クリア!」

シャーーーーーーーー

ピタッ

提督「むっ!待て!」

新人「どうしたんです?」

コワルスキー「あれは…加賀?」




加賀「…」スタスタスタ…




新人「どこへ向かってるんだ?」

コワルスキー「あっちの方向には…

コワルスキー「私たちの部屋があります!」

提督「今日は加賀が起こしに来るのか!」

新人「しかも、いつもよりか起こしに来るのが早いッス!」

提督「こうしてはいられない!」

提督「プラン変更、部屋の窓から侵入する!」

コワルスキー「了解です。」

提督「なんとしてでも加賀が着くよりも早く、ベッドに入るのだ!」

提督「急げ!」


シャーーーーーーーー!




加賀「…」スタスタ…




隊長「…」

シャーーーーーーーー




加賀「…」スタスタ…




コワルスキー「…」

シャーーーーーーーー




加賀「…」スタスタ…




リコ「…」

シャーーーーーーーー




加賀「…」スタスタ…




新人「…」

シャーーーーーーーー






提督「よし、この窓から侵入するぞ!」



ガラッ


提督「そのままベッドに入るんだ!」


シュババババッ










ガチャッ



加賀「…」


提督「…」グーグーグー・・・

コワルスキー「素粒子加速器はどこいったっけ…」ムニャムニャ

リコ「グゴゴー!」

新人「…」スヤスヤ・・・



加賀「なかなか愛嬌のある寝顔ね。」クスッ

加賀「でも。」


加賀「提督、朝です。起きてください。」ユサユサ…

提督「ん?お、もうそんな時間か…」

提督「よし、全員起床!」

ズラッ

加賀「提督、もう少し早く起きれませんか?」

提督「いつもはこの時間に起きていたんだがな。」

新人「動物園の時はこの時間ッス。」

加賀「ここは動物園じゃありません。」


提督「分かったではこれからは…」



ムニャムニャ…グゴゴー…グーグー…スヤスヤ…



加賀「寝息?」キョロキョロ


コワルスキー「!」ハッ

ゴソゴソ…

ポイッ

ガチャーンッ!

加賀「ッ?!」ビクッ

コワルスキー「あはは、私お手製の目覚まし時計ですよ。でも、その…最近、調子が悪くて。」ニッ

加賀「…そう。とにかく、ご飯が出来ているわ。皆さんも食堂へ。」

提督「わざわざすまんな。」





漣「ちょっとちょっと!」

加賀「どうかしたのかしら?」

漣「大変よ!港に!」

提督「港?」






鎮守府港

秋月「…」ポケー

漣「こっちこっち!」

加賀「輸送船?」

提督「これは一体…」

乗組員「あっすみません、責任者は?」

漣「えっと…」

提督「すまんが。」

漣「じゃあ、私で。」


乗組員「じゃあ、ここにサインを。」

漣「はい。」

乗組員「あと、これ納品書です。」

漣「はい。…って資材と食糧!?」

乗組員「はい。大本営のほうからのお達しです。それじゃ作業はじめちゃいますね。」

漣「はい…」

漣「ねぇ…どういうこと?」チンプンカンプン

提督「あー…」

提督「大本営が"我々"の頑張りを認めてくれた。」







提督「つまりはそういうことだ。」















元帥「急な話で、すまないな。」

??「お任せを。」

??「失礼します。」

元帥「よろしく頼む。」










というわけで、区切りのいいとこまで来たのでいったん終了。

ちょっと短いですね。すみません…。

次回からは建造などで艦娘がどんどん増えていく予定です。

日常回とかもはさんで行きたいし、そろそろあのトリオの登場も考えてます。

それでは、本営組2人を決めたいと思います。

艦種、レア度問いません(ただし、夕張・那珂・陽炎型・金剛型・翔鶴型以外でお願いします。)。お好きな艦娘2人を↓1と↓2でお願いします。

あと、次回より建造が可能になります。

ただ、最初の1人目は作者自身で決めたので、次の機会で安価で決めたいと思います。

何卒、ご協力お願いします。

はやっ!?

分かりました。朝潮と春雨ですね。

順調に駆逐艦が増えていく…

ご協力ありがとうございます!

そろそろ時間なんで投下したいと思います。

終わりには前回同様、安価があるのでご協力お願いします。

ちなみに今いる艦隊メンバー

漣(秘書艦)
秋月
加賀

の3人。

これからどのように増えていくのか…



鎮守府 執務室


提督「ああ、なんと素晴らしく晴れた日なのだ。太陽の光もサンサンと輝いているではないか。」

漣「そうですねー」

提督「こういう日はプールに入ってひと泳ぎしたい気分だな。」

漣「そうですねー」

提督「だが、この鎮守府にはプールがない…」

漣「そうですねー」

提督「そうだ、いっその事プールを作ってしまおうではないか!」

漣「そうですねー」

提督「おいおい漣よ。そこは『海があるからいらないじゃないですかー』と断る部分ではないのか?」

漣「そうですねー」


提督「…」

漣「そうですねー」

提督「どうした、漣よ。さっきから何故『そうですねー』としか言わない?」

漣「それはですねー」ニコッ







漣「この山のような書類を、ご主人さまが手伝ってくれないからですよっ!」ドンッ







提督「なんと!」


漣「全く、少しは手伝ってくださいよ。」

漣「提督として認められた限りは、今まで以上に仕事が増えるんですから。」

漣「特に事務仕事。」

提督「では、漣よ。私にペンを持って字を書けというのか?」

漣「…ペンぐらい持てるでしょう?」

提督「字が書けん。」

漣「…」


漣「はぁ…ですんで、私が大事な部分を処理するので、ご主人さまは漣の渡す書類に確認印を押してってください。」

提督「スタンプだな?おお、それは名案だ。それなら私でも事務仕事が片づけられるな。」

漣「はぁ…そのやり取り30分前にもやったんですが…」

提督「何か言ったか?」

漣「いいえ…」ヤレヤレ

秋月「大丈夫です!秋月も手伝います!」

漣「ホント?助か…」ジーッ

秋月「?」


漣「…」ジーッ

秋月「漣さん?」

漣「…」ジーッ

秋月「ヤダッ、そんな見つめられると…」テレテレ

新人「むしろ視線の先は僕っすね…」

秋月「え?」


漣「新人さん膝の上に置いたら、仕事の邪魔にならない?」

秋月「邪魔だなんて、そんな!」

秋月「彼は私の恩人なんですから…ね?」

コチョコチョ

新人「あはは!くすぐったいッス!」

漣「はぁ…つい最近まで一人でしんみりしてたのが嘘みたい…」

加賀「良かったじゃない。寂しいよりは賑やかなほうが精神的にも楽よ?」

漣「程々ですけどね。」


加賀「お茶を淹れたわ。」コトッ

漣「わぁ、加賀さんありがとう!」

加賀「提督は…コーヒーのほうがよかったかしら?」

提督「いや、頂こう。たまにはジャパニーズ・ティーというのも飲んでみたいからな。」

加賀「そう。では、ここに置いておくわ。」コトッ

提督「ありがとう加賀よ。」

ズズッ

提督「ああ、この体中に澄み渡るさわやかさ。これがジャパニーズ・ティーか…」

提督「加賀の淹れるものは何でもおいしいな。」

加賀「ありがとうございます。」


提督「だが、何かがもの足りんな…」

提督「そうだ、リコッ!」

リコ「オエッ!」

ボチャンッ

加賀「…やっぱり入れるんですね…お茶にも…」ハァ…

漣「こればっかりは仕方ないのかな…」アハハ・・・

ズズッ

提督「ん~、やはりこれがないと。」


秋月「イワシを入れるとどうなるんですか?」

提督「さわやかさが増す。お前もやるか?秋月よ。」

秋月「はい、喜んで!」

漣「待った待った!よく考えて、ペンギンのやっていることだから!」

加賀「…」コクコクッ

秋月「え?」


提督「そういえば、コワルスキーを見かけないな。」

提督「またラボか?」

新人「いや、今日は建造ドックの最終調整だとか言ってましたよ?」

提督「建造?」

提督「そういえば、この間から気になっていたのだが…」

提督「建造ドックとは何を作るところなんだ?」

漣「何って」

加賀「私たちよ。」



提督「…」

漣「…」

加賀「…」

秋月「こちょこちょー」

新人「あはは!くすぐったいッスって!」



提督「なにを作るって?」

加賀「ですので」

漣「艦娘です。」



提督「…」

加賀「…」

漣「…」

秋月「こーちょこちょこちょー」

新人「あーはっはっはっ!もっもうギブッス!あーはっはっはっ!やっやめ!」ヒィヒィッ



提督「お前たち、作れるのか!?」

漣「あれ?言わなかったでした?」

加賀「私たちはドロップだけでなく、建造で作ることも可能よ。」

提督「そうなのか…知らなかった…」

漣「まぁ、でも作るというよりか…」

加賀「確かに、しっくりきませんね。」

提督「どういうことだ?」


漣「うーんと、建造で作るって表現がね…」

加賀「作るというよりは…」

漣「召喚?…そう召喚!資材を生贄に捧げ、艦娘の召喚!」

加賀「少し大げさだけど…しっくりくるわね。」

秋月「うんうん。」コクコクッ

提督「…」

漣「ご主人さま?」

加賀「?」



提督「お前らは悪魔か何かなのか?」



漣「流石にそこまで言っちゃうと…」ニッコリ

ジャキッ

加賀「頭にきました。」

ギリッ

提督「おっおい。」



ズドーーーン!

ドンドンッ!

ガシャーーーン!

ギャーーーー!



リコ「オーゥイエー!カブラボー!」ヒューッヒューッ

コワルスキー「リコ、何の騒ぎだこれは?」

コワルスキー「建造ドックの最終調整が終わったので、その報告に来たというのに…」

リコ「ヒュードーン!ダダダダダダッ!ボーンボーン!」

コワルスキー「提督が余計なことを言って、彼女たち2人の逆鱗に触れてしまったと…」

コワルスキー「私の計算によれば、最低でもあと20分は収まらないだろう。」

コワルスキー「リコよ、2人で行く末を見守ろうではないか。」

リコ「イエー。」




建造ドック



提督「ひどい目にあった…」ボロッ

漣「余計なこと言うからです!」

加賀「全くです。」

コワルスキー「オホンッ!」

提督「おお、すまん。話を続けてくれ。」

コワルスキー「つまり、提督の許可が下りた分の資材を投入すれば、このドックにてさまざまな艦娘を建造可能なのです。」

工廠「ただ、その艦娘が何かは判断できないんだ。」

新人「と言うと?」

コワルスキー「簡単に言えば『できるまでのお楽しみ』です。」

提督「まるでギャンブルだな。」

工廠「むしろギャンブルです。」

漣「あーあ、言い切っちゃった…」


コワルスキー「では、早速何か一体作ってみてはいかがでしょうか?」

コワルスキー「資材も余裕がありますし。」

提督「かと言って、無駄使いするわけにもいかないぞ?」

工廠「なら、一番最初は最低値で。どうでしょう?」

提督「なるほど…悪くないな。」

提督「では、それで頼む。」

工廠「では許可もいただいたので、さっそく作業に移りたいと思います。」

漣「ご主人さま。今日は手始めなんでこんな形をとりましたが、今度からは書類上で手続きお願いしますね。」

提督「わかった。」

漣「じゃあ、とっとと戻って仕事再開しちゃいましょ!」






妖精「たっ大変ですぅ~!」ドタドタッ!





提督「どうした、ちっこいの?」

妖精「ちっこいのじゃないですぅ!妖精ですぅ!」

妖精「…じゃなかったぁ、たった今大本営からの緊急の連絡がありましたぁ!」

提督「なに?大本営からだと?」

秋月「しかも緊急?」


妖精「一隻の漁船が漁に出たきり戻ってこないとぉ、大本営に連絡が入ったみたいでぇ…」

漣「もう漁の時間は終わってるはず。」

加賀「エンジントラブルかしら?」

妖精「潮の流れを計算したらぁ、おそらくこの辺をさまよっている可能性がぁ…」

漣「この辺りの海はまだ奴らがウヨウヨいるから…」

秋月「それは大変です!」

提督「よし、艦娘の諸君。急いで出撃準備!」



3人「「「了解!」」」



漣「と言っても、ご主人さまたちはお留守番ね。」

提督「なに?」

加賀「そうですね。救出だけなら。」

秋月「この3人で十分です。」

提督「ふむ…そうか?だが、念のためコワルスキーは連れて行け。」

加賀「コワルスキーを?」

提督「船の修理ぐらいなら役に立つだろう?」

秋月「なるほど。」


提督「コワルスキー。」

コワルスキー「了解です。」

提督「くれぐれも過度の修理は行うなよ?」

コワルスキー「…肝に銘じておきます。」

提督「それでは、注意していけよ。」

漣「了解です。ご主人さま。」ビシッ

提督「我々は指令室で待機している。何かあれば連絡を寄越すように。」







工廠「ん?」


01:22:00


工廠「まさか…驚いたな…」

工廠「最初の建造で、しかも最低値で、この娘をいきなり引き当てるか…本当にすごいな、あの提督。」







鎮守府沖


加賀「海が穏やかね。」

漣「天気もいいから、ゆっくりと航海したいね。」

秋月「ダメですよ。ちゃんと警戒しなくては。」

漣「大丈夫。そこは抜かりないから。」

加賀「そう。私の"彩雲"は優秀よ。」

秋月「彩雲?…え?彩雲!?いつの間に!?」

加賀「…」クイクイ

コワルスキー「私の頭脳は世界一ィィィィィ!!」

秋月「やっぱすごい…」


加賀「貰った時は、流石に気分が高揚しました。」

漣「でしょうね。」

加賀「!」

漣「どうかしたの?」

加賀「やりました。彩雲からの入電です。大本営から送られてきた情報と一致する漁船を発見したみたい。」

秋月「やった!」

加賀「周りに深海棲艦の影はなし。」

漣「急ぎましょ!」

加賀「ええ。」

秋月「あっ待ってください!」




コワルスキー「12時の方向に漁船らしき影が。」

加賀「あれね。」

漣「ご主人さま、漁船発見です!」

提督『でかした!そのまま救助に向かえ!』

漣「ほいさっさ!」

漣「おーい!」

漁船員1「おっ!」

漁船員2「救助か!?」

漁船員3「艦娘だ、おーい!」ブンッブンッ


秋月「無事ですか?」

漁船員1「助かったぁ。急にエンジンが動かなくなって…」

漁船員2「動かなくなるわ、沖に流されるわで…おまけに無線の調子も悪いし…」

秋月「もう、大丈夫ですよ。」

加賀「コワルスキー。」

コワルスキー「了解。エンジンの様子を見てきます。」

漁船員3「ペっペンギン?」

漁船員2「おいおい…」


ガチャッ

ゴソゴソ・・・

コワルスキー「うーむ…」

漣「直りそう?」

コワルスキー「おそらく原因はこれだ…エンジンが少し焼き付いている。直りそうだが、時間が要るな。」ガチャガチャ…

秋月「周辺は我々にお任せを!」

コワルスキー「助かる。」ガチャンッ


漁船員1「あんたら、ペンギンの言うことが分かるのかい?」

漣「はい。」

漁船員2「信じられねぇ…このペンギン、本当に直してやがる…」

漁船員3「しかも早い!まるで…神の手!」

コワルスキー「いやぁ、それほどでも。」テレテレ

加賀「早くして。」

コワルスキー「はい。」キュイー!


加賀「ん?」

漣「今度は何?…なんとなく分かるけど、何?」

加賀「彩雲から入電。複数の深海棲艦の影を確認。」

漣「やっぱり…」

秋月「敵は?」

加賀「イ級が2体。あとは…タ級にヌ級ですか。」

漣「相手にとって、不足なし!」

秋月「このメンバーでも攻略できそうですね!」

加賀「そうね。でも、油断はダメよ。」


加賀「コワルスキー。」

コワルスキー「ん?」

加賀「私たちが迎撃してる間、あなたは漁船の修理を急ピッチに仕上げて。」

コワルスキー「私を誰だと思っている?」

加賀「だからこそ、あえて言ったのよ。」

コワルスキー「任せてもらおう!」

ガチャッガチャッ キュイーン!

漁船員3「うおっ!?また早くなった!?」

漁船員1「何もんだよ、こいつ…」



漣「まずはイ級から!」

ジャキッ

加賀「鎧袖一触ね。」

ギリッ

秋月「邪魔ですもんね。」

長10cm砲ちゃん「!」

ガチャンッ

加賀「まずは私から!」

パヒュンッ

ブオォーーーン!


零式艦戦21型「」

ズダダダダダダダダッ!

九九式艦爆「」

ヒュルルルル・・・

ズドーーーン!

ズドーーーン!

イ級「ぎゃああああああああ!?」

イ級2「マタ、カマセカヨ…チクショウガ!」



漣「やったぁ!」

秋月「加賀さんの零式艦戦21型が、相手の艦載機を蹴散らしてくれて制空権も確保!流石です!」

加賀「あとは、あの2体…」



タ級「…」ニヤリッ





バシュウッ!




漣「え?」



ズドーーーン!



漣「きゃあああああああ!!」

加賀「!?」

秋月「漣さん!?」





バシュウッ!


ズドーーーン!



秋月「きゃっ!?」

加賀「秋月!」

秋月(小破)「秋月は掠っただけです…」

秋月「でも、漣さんが!」

漣(大破)「うぅ…」

加賀「魚雷…あの2体に撃った様子は…」

加賀「まさか!」








カ級「…」ゴポポ…






加賀「潜水艦…!」

秋月「潜水艦!?」

加賀「厄介なのを連れてきましたね…」

カ級「…」


バシュウッ!


ズドーーーン!

ズドーーーン!

ズドーーーン!


漣「きゃあああ!!」

秋月「うぅ~!!」

加賀「くっ!」



タ級「クタバレ、カンムス!」

ドンッドンッ!

ヌ級「…」

艦載機「…」

ズダダダダダダダダッ!

零式艦戦21型「」

ズダダダダダダダダッ!

ヒュルルルル・・・

ズドーーーン!

加賀「くっ…やりたい放題ね!」

加賀「漣、あなたは少し下がっていなさい。」

加賀「その状態で、前に出るわけにはいかないわ。」

漣「うっうん…」


コワルスキー「あと少しなんだ、この揺れをどうにかできないか?」

加賀「少し我慢して!」

コワルスキー「漣!」

漣「?」

コワルスキー「漣と秋月の魚雷は追尾性を付加させておいた。必要に応じて使え!」

漣「ありがたいけど…前に出れない。」

秋月「なら、秋月が行きます!」

魚雷『ターゲット ロックオン!』

バシュウッ!

艦載機「!」

ズダダダダダダダダッ!

魚雷『アー! ヤ・ラ・レ・ター!』

ズドーーーン!


秋月「ああ!」

加賀「ダメよ!艦載機があんなに出てるのに、魚雷は意味ないわ!」

秋月「長10cm砲ちゃん!」

長10cm砲ちゃん「!」

ドンッドンッ!

ドーーーンッ

ドーーーンッ

ヌ級「?」

タ級「ソノ、テイドカ?」

ドンッ!ドンッ!

ズガーーーンッ

ズガーーーンッ

秋月(中破)「くぅ!?」

加賀「秋月!」

提督『加賀、何があったんだ?報告しろ!』

加賀「提督?」






指令室

提督「なに!?複数の深海棲艦に襲われている!?」

提督「なんてことだ!」

新人「どうするッス!?このままじゃ…」

提督「あっちにはコワルスキーも救助中の漁船もいる…」

提督「とにかく、我々も出撃準備!」

新人「了解ッス!」ビシッ

リコ「ラジャー!」ビシッ







加賀「…こうなったら、空の戦力を増やして、タ級を先に!」

ギリッ

漣「加賀さん、下!」

加賀「!」

バシュウッ

ズドーーーン!

加賀(小破)「紙一重…ありがとう、漣。」

漣「えへへ、どういたしまして。」

秋月「海中と空中の挟み撃ちに、タ級の遠距離攻撃…」

秋月「私たちじゃ無理じゃ…」

加賀「諦めたらだめよ。」

加賀「今の私たちには…」チラッ



漁船員1・2・3「「「…」」」ガタガタブルブル…



加賀「守らなければいけない人たちがいる。」


漣「それに、ご主人さまたちも助けに」

提督『あー、それなんだが…』

漣「?」

提督『大変申し上げにくいことだが、クルーザーのエンジンが動かないんだ…』

漣「え?」





漣・秋月「「えええええええええええええええええええ!?」」





漣「なんでですか!?」

提督『私にもわからん。』

新人『開発妖精にも見てもらってるんだけど、原因がさっぱり。』

コワルスキー「それはおそらく、この間使ったリミッター解除が原因でしょう。」

コワルスキー「あれを使うと数週間はクールダウンが必要ですから。」

漣「…そーなんだぁ」ガシッ

コワルスキー「ん?」

漣「そういう事はもっと先に言いなさいよぉーーーーー!!」ブンブンブンッ

漣「そもそも何?リミッター解除って!いつ使ったのよぉーーー!!」ブンブンブンッ

コワルスキー「あああああ!!頭の中がシェイクしてしまううううう!!」ガックンガックンガックン


加賀「コワルスキー、船は直ったの?」

コワルスキー「ああぁ…なんとかぁ…動くようにはぁ…なったぞぉ…」フラフラ…

コワルスキー「…うっぷ」

加賀「そう、なら先に行きなさい。」

コワルスキー「今なんと?」

加賀「先に逃げてと言っているの。」

コワルスキー「正気か?」

加賀「ええ、いたって正気よ。」

加賀「むしろ、あなた達がいるだけ戦いの邪魔になるの。」

コワルスキー「…」

コワルスキー「…死ぬなよ?」

加賀「善処はするわ。」ニコッ







漁船員1「うああ…」ガクブル…

コワルスキー「おい!しっかりしろ!」ペチンペチン!

漁船員1「んあ!?」

コワルスキー「…」ビッ←操舵室を指さす

漁船員1「なっ直ったのか?」

コワルスキー「…」コクッコクッ

漁船員1「ひぃーーー!」ダッ



ブルンッ

ブォーーーー・・・





加賀「行ったわね…」

漣「これで心置きなく戦える…かな?」

加賀「ええ。」

加賀「でもまずは、この戦力差をどうカバーするか…」



タ級「…フフッ」ニタァ

ヌ級「…」

カ級「…シュコー」ゴポポ…


加賀「…」

ギリリッ

漣「…」

チャキッ

秋月「…」

長10cm砲ちゃん「…」

ガッチャンッ












ブオーーーーー・・・


コワルスキー「あの戦力差…あの3人では持たないだろう…」

コワルスキー「急いで鎮守府に戻らなければ!」

漁船員3「おっおい、あれ艦娘じゃないか?」

コワルスキー「なに!?」

漁船員1「おーい!」

漁船員2「おーい!」


??「!」

??2「どうかされましたか?」

??「ん?この船、大本営からの情報と一致します。」

??2「ホントだ。」

??「なら、港の方まで」

コワルスキー「その必要はない。」ズイッ

??「ペンギン?」

??2「かわいい~!」

??「待って、しゃべってる?…ひょっとして。」

コワルスキー「そんな話はあとだ!」クワッ

??2「あっはい。」ビクッ


コワルスキー「今は急を要する。今向こうの方で艦娘と深海棲艦が戦闘中だ。」

コワルスキー「この漁船は私が送り届ける。君たちは向こうの支援を頼みたい!」

??「その様子だと、あまり時間もなさそうですね。」

??「行きましょう!」

??2「分かりました、朝潮ちゃん!」

??「急ぎましょう!」

コワルスキー「頼む。あの3人を死なせないでくれ。」






加賀(大破)「これは少しまずいですね…」

漣(大破)「少しって言えるってことは、まだ余裕なんじゃ?」

秋月(大破)「はぁ…はぁ…漣さんよくそんな冗談を…」

漣「逆に言えば…余裕がない現れじゃないかな?」フラッ

秋月「漣さん!」ガシッ

加賀「本当に油断したわ…」

加賀「ダメね…このままじゃ赤城さんに顔向けできないわね…」フッ

漣「こんなんだったら、最初からご主人さまに着いてきてもらえばよかった…」




タ級(小破)「ソロソロ、トドメト、イコウカ…カンムス!」

ガチャッ

ヌ級(中破)「…」

艦載機「…」

カ級「…」ゴポポ…



バシュウッ!



加賀「魚雷!?漣よけて!」

漣「ごめん…よける気力もない…」アハハ…

秋月「漣さん!?」

加賀「漣!」






漣「へへ…」




漣(笑ってよ提督…この不甲斐ない漣を…)








ズドーーーン!







漣「へ?」

カ級「!?」

タ級「ナゼ、アソコデ!?」









??「危ない所でしたね。間に合ってよかった。」

??2「間一髪です!」








秋月「艦…娘?」

加賀「…あなた達は?」

漣「支援艦隊?」

??「話はあとです!まずは深海棲艦を!」

タ級「フエテモ、クチクカンダケトハ…ワラワスナ!」

ドンッドンッ!

??「回避行動!」

??2「はい!」

スカッ


??「春雨、潜水艦を!」

??2「はい!」

ヌ級「!」

艦載機「!」

加賀「させません。」

ギリッ

パヒュッ

零式艦戦21型「」

ブォーーーーーン!

ズダダダダダダダダッ!

艦載機「!」

加賀「今よ!」

??2「魚雷撃ちます!」



バシュウッ!



カ級「!」


カッ!


ズドォーーーーーーーーン!!



??「相手の潜水艦の轟沈確認!」

秋月「やった!」

タ級「オノレ、カンムス!」

ガチャンッ

??「っ!春雨!」

??2「あっ!?」

タ級「シズメ!」ニタァ







新人「と思うじゃないッスか?」




ポチッ




ヒュルルルル・・・




パァーーーン!





ベチャアッ





タ級「ナンダ、コノ、ベタツクノハ!?」ネバァ…

タ級「シカモ、ホウシンガ、ツマッタダト!?」



加賀「あの複葉機は…」

秋月「新人さん!」

新人「助けに来たよ~!」フリフリ


秋月「あなたが来てくれたら、百人力です!」

長10cm砲ちゃん「!」

ガッチャンッ

秋月「撃てーーー!」

ドンッドンッ!

ガァーーーン!

タ級(大破)「クアッ!」


ヌ級「!」

ズダダダダダダダダッ!

リコ「ヒャッホー!」

艦載機「!」

ヒュルルルル・・・

ドーーーンッ

秋月「敵の艦載機が次々に!」

漣「リコさんも…」


加賀「負けてはいられません。」

ギリッ

パヒュッ

九七式艦攻「」

ブォーーーーーン

リコ「オーゥイエー!」

ポチッ


ヒュルルルル・・・



ズドォーーーーン!!

ズガァーーーーーーン!



ヌ級「!!!!!?????」



ズズズズ・・・




加賀「やりました。」

リコ「カブラボー!」

漣「ヌ級も沈んだ…」

秋月「残るは…」





タ級「クッ、ココハ、イッタン…」






漣「逃がさない!」

秋月「逃がしません!」


魚雷『『ターゲット ロックオン』』


バシュウッ!

バシュウッ!




魚雷1『オマエ ミギカラ マワレ』

魚雷2『リョウカイ リョウカイ』




タ級「ギョライガ、オッテクル!?」




魚雷1『コワガッテル コワガッテル』

魚雷2『ソソル ソソル』



タ級「ヒッ!クルナ、クルナァーーーーーー!!」



魚雷1『オスナ オスナ テキナ?』

魚雷2『ミタイ。 ジャア』




魚雷1・2『『ドウゾ ドウゾ』』



ズドォーーーーーーーーン!!



タ級「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」







ズズズズ・・・



タ級「マタ…イツカ…」






漣「やった…」

秋月「おわったぁ」ガクッ

加賀「だらしないですよ。」

漣「そういう加賀さんも、足笑ってますよ?」

加賀「あら、本当。」ガクガク…

加賀「クスッ」

漣「加賀さんも笑った。」

秋月「本当だ。」

加賀「私だって生きているんです。笑いもします。」

漣「そうだね。」

秋月「あははっ!」




??「…あの」



漣「はっ!忘れてた!」

??2「ひどい!」

漣「わざとじゃない!」

??2「知ってます。」クスッ

漣「…」


加賀「今回は支援ありがとうございます。」

加賀「あなたたちが居なかったら…」

秋月「あなた達もですよ。新人さん。」

リコ「オーイエー。」フリフリ

秋月「あれ?新人さんは?」

提督『コワルスキーを迎えに行ったぞ。』

秋月「司令。」

提督『無事で何よりだ。急いで鎮守府に戻れ。』

秋月「いえ、そうしたいのですが…」

提督『?』





??「支援?…たぶん、勘違いしてますね。」




加賀「?」

??2「あれ?そっちに大本営から、書類が行ってると思うんですけど…」

??「我々2人は、本日付であなた達の鎮守府所属になります。」

加賀「…」

加賀「漣?」チラッ

漣「えっとぉ…まだ処理してない書類がたくさんあるから…」

漣「たぶん、その中に…」エヘヘ


加賀「ごめんなさい。どうやら確認してなかったみたい。」

??「いえ、お気になさらず。」

加賀「何はともあれ、あなた達のおかげで助かったわ。」

加賀「ありがとうございます。」ニコッ

加賀「そして、あなた達の着任を歓迎するわ。」

??「ありがとうございます!」

??2「これからよろしくお願いします。」





漣「あれ?」

秋月「どうしました?」

漣「秘書艦って漣だよね?!」

秋月「あー…加賀さん、全部持ってちゃいましたね。」

漣「…」




漣「チクショウ!」







鎮守府 執務室


朝潮「朝潮型1番艦、朝潮です!」ビシッ

春雨「白露型駆逐艦五番艦の春雨です!」ビシッ

提督「うむ、よく来てくれた。君たちを歓迎しよう。」

コワルスキー「このたびは、私の我が儘を聞いてくれて本当にありがとう。」

朝潮「いえ、あの状況ではむしろ優先すべきことでしたから。」


春雨「本当に司令官がペンギンなんですね!」

春雨「かわいい!」

朝潮「こら、春雨!もう、かわいくても一応は上官なんだから!」

提督「なに、構わんさ。もともとは可愛く見せることも任務のうちだったんだからな。」

朝潮「はぁ…司令官がそういうのであれば…」

春雨「やったぁ!」


コワルスキー「…提督、私は開発ラボに戻ります。」

提督「こんな時間にか?少し休めばいい。」

コワルスキー「いえ、クルーザーの改良が必要なので…今回は私のミスです。」

提督「コワルスキーよ。思いつめるな。」

コワルスキー「お気持ちだけ…では。」トボトボ…

提督「ふぅ~…む。」

提督「今回は全員に無茶をさせ過ぎたな…」

提督「私も反省しなくては…」







開発ラボ


コワルスキー「はぁ、まさかこんな事になるとは…クールダウンの時間をもっと狭めなければ!」

コワルスキー「しかし、新人たちが乗っていた飛行機…あれはあの戦闘の後、調整中だったはず…いったい誰が?」

コワルスキー「開発妖精がやった?いやいや、アイツは一切理解してなかったはずだ…じゃあ、誰が…」

コワルスキー「ん?」

??「…へぇ、こんなのまであるんだ!」ゴソゴソッ

コワルスキー「誰だ!」

??「きゃあ!」ゴツンッ

??「いったぁ~…頭ぶったぁ。」イテテ

コワルスキー「貴様いったい何者だ!」

コワルスキー「まさか…スパイ!」

??「ちっ違う違う!落ち着いて!」

??「挨拶がまだだったわね。」


夕張「兵装実験軽巡、夕張。よろしくね。」

コワルスキー「艦娘…なのか?」

夕張「今日、建造されたね。」

コワルスキー「建造…あー。」

夕張「思い出した?」

コワルスキー「今。」

コワルスキー「いや、待てよ。兵装…実験?」






漣(パジャマ姿)「ぷっはぁ~!」

漣「やっぱ、風呂上がりの一杯は生き返るわぁ!」

秋月(寝間着姿)「分かります。その気持ち。」

加賀(寝間着姿)「でも、はしたないわ。」

漣「加賀さんもやれば分かりますって!」

加賀「機会があれば。」

漣「機会なんて一杯ありますよぉ!」

秋月「なんだか、酔っ払いみたい…」アハハ…

秋月「あら?」

加賀「?」

漣「秋月ちゃんどうしたの?」

秋月「開発ラボに、見慣れない艦娘が…」






夕張「分かる分かる!」キャハハ!

コワルスキー「まさか、この世界でこの理論を理解できるものに出会えるとは!」アーハッハッハッ!






漣「楽しそうだね。」

加賀「差し詰め、お互いの意見が合致した…そんなところね。」

秋月「でも、よかったです。帰ってきたとき、凄く表情暗かったですから。」

漣「そうだね。」

加賀「さぁ、湯冷めしないうちに部屋に戻りましょう。」

漣「はぁ~い。」

秋月「今日も疲れましたからね。」







ソローリ

新人「よかったッスね。元気が戻って。」

提督「ああ。あいつに会ったらいつもの調子に戻るだろう…と思ってはいたが。案の定だったな。」

リコ「…」ニッコリ

新人「でも、隠れる必要あったんっすか?」

提督「任務だからな。」

リコ「ナンノ?」

新人「さぁ?」





と、ここまでです。

今回はドロップなしで行きます。

その代り、次回の建造で出来る艦娘を1人。艦種、レア度問わず大型建造も可!(ただし、那珂・陽炎型・金剛型・翔鶴型以外でお願いします。)↓1でお願いします。

ちなみに今この鎮守府に居る艦娘は

漣(秘書艦)
秋月
加賀
朝潮
春雨
夕張

の6人。

上の6人、もしくは注意書きの艦娘と被った場合は安価下でお願いします。

次回は日常回にしたい…な?

それでは、また近いうちに。


ちょっとばかし更新。

今回は日常メインで



鎮守府 廊下

チュンッチュンッチチチチチ…

漣(パジャマ姿)「ふぁ~…ぁふ。」ムニャムニャ

漣「ねむ~…あんな時間に漫画なんて読むんじゃなかった…」

漣「…ん?」

漣「中庭に、ご主人さまと新人さん?こんな朝早くに何してんだろう…」



鎮守府中庭

提督「いいか新人。よく見ていろ。」

新人「はい!」

案山子「」

提督「ハイヤーーーー!!」

ボヨンッ

バンバンッ

カカカカカッ

ダンッ

提督「ハイヤーーーー!!」

ドカッ!

案山子「」ボロッ

提督「どうだ?」

新人「無駄な動きがないっす!流石提督ッス!」

提督「いずれ、お前もこのテクニックを習得できる日が来るぞ!」ハッハッハッ!




漣「…」

漣「なに、あのピンボールみたいな動き…」パチクリ




執務室

漣「う~ん…」

提督「どうした?漣。」

漣「少し悩み事です…」

提督「悩み?なんだ、言ってみろ。」

漣「いやぁ、戦力が揃ってきてるなぁっと。」

提督「良いことではないか。悩む必要がどこにあると言うんだ?」

漣「そうなんですけどね。ただ、駆逐艦の割合がおおいなぁ…と。」

提督「加賀と夕張が居るじゃないか。」

漣「いやまぁ…そうなんですけど…やっぱ、欲を言ってしまえば、そろそろ戦艦だとか、重巡だとかが欲しいな…なんて」

漣「戦略の幅が広がりますし。」


提督「なるほど。確かに、それは言えてるかもしれんな。」

提督「このままだと、火力が足らぬまま重大な作戦に参加することに、なってしまうかもしれないしな。」

提督「いっその事、もう一度建造をしてみるか。」

漣「そこで提案があります!」シュバッ

提督「いきなりどうした?」

漣「大型建造しましょう!」

提督「大型?」

漣「はい!」

漣「資材は普通の建造より倍以上使っちゃうけど。その分、強力な艦娘とかが仲間になったりするんです!」


提督「たとえば?」

漣「具体的には分かりませんが…」

提督「まぁ、大型とたいそうな名前を付けているんだ。」

提督「コワルスキーの作るロクでもない発明じゃないんだ。試してみる価値はあるだろう。」

提督「漣よ。資材の数値はお前に任せる。その大型建造というのをやってみてくれ。」

漣「ほいさっさ!」

提督「くれぐれも、無駄遣いはするなよ?」

漣「分かってますって。」

カキカキ…

漣「じゃあ、工廠妖精さんに渡してきますね。」

提督「ああ。よろしく頼む。」

漣「誰が来てくれるんだろ~!」

ヒャッホー!

タタタタタタッ

提督「…」

提督「なんだぁ?あいつ。」



開発ラボ


コワルスキー「ふ~む…」

夕張「コワルスキー。こっちの調整は終わったよ。」

開発「こっちも終わったぜ。」

夕張「早く行こうよ!試し撃ち試し撃ち!この…レールガンだっけ?」

コワルスキー「違う!そんな安直なものと一緒にしないでくれ。」

コワルスキー「これは"超電磁パルス粒子カノン"略して"電磁カノン"だ。」

開発「えらく略したな。」


夕張「何か違うの?レールガンと…」

コワルスキー「これはさらに貫通力を極限にまで増した砲台だ。」

コワルスキー「私の計算が正しければ…軽く100枚の鋼板を打ち抜くことができる。」

夕張「すっごぉ~い!!」

開発「…確かにすごいが…大丈夫かそれ?衝撃波とか、流れ弾とか…仲間に影響はないんだろうな?」

コワルスキー「その点は大丈夫。撃った時の反動による衝撃波は…半径約15キロ。」

夕張「すっごぉ~い!!」


開発「凄いのベクトルが違う!ダメだダメだ却下却下!危ねぇ…言われるままに作ってたぜ…」

コワルスキー「…仕方ない。」

夕張「え~…」

開発「あんた沈みたいの?!」

コワルスキー「ではこっちの"人工知能内臓"25mm三連装機銃は?」

夕張「余ってたので作ったの?」

コワルスキー「勿体無いからな。」

開発「ちょっと待ってくれ。人工知能ってサラッと言ってるが…大丈夫なのか?」

コワルスキー「今のところは何も問題はない。」

開発「今のところって…」


夕張「人工知能を使うことで何か変わるの?」

コワルスキー「人口知能の働きにより、瞬時に敵の位置を把握し撃墜する確率が格段に上がる。」

コワルスキー「その最終的な撃墜率は…100%!」

夕張「おお!」

開発「今度はまともだな…だが、人工知能とか聞くとやっぱ映画のターミネ…ん?」


妖精「…もしかして、あたいクビ?」フルフル…


開発「あー…機能的には良いんだが、この鎮守府のリストラがヤバそうなんで、却下。」


夕張「え~!」

開発「よく考えて、自分じゃ試し撃ちできないうえに、場合によっては命令に逆らうかもよ?」

夕張「…やだかも。」

開発「…」ホッ

コワルスキー「となると…あとはこの"ラプター"しか残ってないが…」

開発「そうか。」

開発「ん?」

夕張「え?ラプター?」

開発「おっおい…そのラプターって…」




コワルスキー「"F-22 ラプター"だが?」




夕張「…」

開発「…」

夕張「流石につめないわ…」

開発「極端すぎ…却下。」




射撃練習場



ドンッ!ドンッ!


秋月「あっ、右にずれちゃった…」

春雨「私は左に…」

朝潮「力み過ぎです。もっと肩の力を抜いて…撃つ。」

ドンッ!

バァーーンッ

朝潮「どうです!」フフンッ

秋月「おー、さすが大本営から来ただけはありますね。」パチパチ

春雨「え?!私も大本営から来たんですけど!」

朝潮「春雨はもっと精進して…」

春雨「フォローして!」ウワーンッ!


秋月「仲がいいんですね。」

朝潮「仲がいいというか…」

春雨「先輩後輩みたいなものです。朝潮ちゃんは身なり小っちゃくても、優等生で成績も優秀でしたから。」

春雨「だから、私も参考にさせてもらってるところが多いんです。」

秋月「そうなんですか。」

朝潮「小っちゃいは余計じゃない?」

春雨「…ごめん」





ブォーーーーーン…




春雨「飛行機のエンジン音?」

朝潮「加賀さんかしら?」

秋月「だけじゃない…新人さんたちの複葉機も。」

朝潮「航空戦の練習?」

秋月「新人さんたちも強いから…加賀さんにとってはいい練習相手なんですよね。」

春雨「ねぇ、休憩がてらに見にいってみない?」

朝潮「え?」




航空戦用練習場


加賀「…」

ギリリッ

パヒュッ!

ブォーーーーーン


新人「また来たッス!」

リコ「OK!ヒューン!」


ズダダダダダダダダッ!


零式艦戦21型「」


ズダダダダダダダダッ!


新人「ひえええ!!」


新人「ふぅ…いくらペイント弾でも肝が冷えるッス。」

新人「リコ、例の機能を使おう。」

リコ「ラジャー!」


ポチッ


ブワァーーー


加賀「!」

加賀「煙幕…」


零式艦戦21型「!?!?」


新人「困ってる困ってる。」プククッ

新人「それじゃリコ、僕は回り込んで加賀さんのゼロ戦やっつけちゃうね。」

リコ「オーライ!」

新人「よーし、行くぞー!」



ブォン!


新人「へ?」

零式艦戦21型「」

新人「ウソ!?」

リコ「!」


ズダダダダダダダダッ!


新人「うわわっ!逆に回り込まれた!?」

リコ「!」


ズダダダダダダダダッ!



零式艦戦21型「!」

ヒョイッ

ブォォン!

新人「へ?」

リコ「!?」

零式艦戦21型「」



春雨「宙返りした!」

秋月「凄い!」

朝潮「流石は一航戦の持つゼロ戦!」


加賀「…」




リコ「オッオーゥ…」

零式艦戦21型「」


ズダダダダダダダダッ!

ベチャベチャベチャッ


リコ「オーゥ…」ガックシ…


新人「リコ!」

新人「リコの仇ぃ!」

ブゥォーーン!

零式艦戦21型「!?」


加賀「!」


春雨「新人さんも負けじと宙返りを!」

秋月「頑張れ、新人さん!」

朝潮「あっ待って。様子がおかしい。」





新人「あっあれ?!」

ガタガタガタッ

ボォンッ


加賀「!?」


春雨「エンジンが爆発!?」

秋月「新人さん!」




新人「うわわっ!どうしよう!」

ヒュルルルル・・・

新人「うわぁーーーー!!」







加賀「新人、待ってなさい!今助けに行くわ!」

加賀「そこの3人も手伝って!」

春雨「うわっバレてた!」

秋月「今行きます!新人さん!」

朝潮「艤装を持ってくるわ!」









新人「みんなありがとう。」エヘヘ

秋月「よかったぁ~。」

加賀「どこも怪我はない?」

新人「もともとペンギンは海も泳ぐッスから。」

リコ「ウンウン。」コクコクッ

朝潮「いや、その理屈は…」

春雨「そうなんですか。」カンシン

朝潮「ちょっと…」


加賀「それはそうと…」

朝潮「?」

秋月「?」

春雨「?」

加賀「あなた達、練習は?」

朝潮「あ!」

秋月「すみません!」

春雨「すっすみません!って待ってぇ!」

加賀「忙しない娘たちね。」ヤレヤレ


加賀「で、原因は分かったのかしら?」

コワルスキー「うぅ~ん…恐らく、新人の行った宙返りがエンジンに予想以上の負荷をかけてしまったらしい。」

コワルスキー「改良が必要だな。」

加賀「そうして頂戴。」

加賀「この2人は私にとって、絶好の練習相手。一人たりとも欠けてもらっては困るの。」

新人「僕たち必要とされてるッス。」

リコ「ブラボー。」

ハイタッチ! パチンッ

加賀「だからって、無茶は禁物よ。」

新人「…はい。」

リコ「ゴメンチャイ。」


コワルスキー「ではラボに持ち帰って早速改良を施すとしよう。」

コワルスキー「夕張。すまないが手伝ってはくれないか?」

夕張「勿論!」

加賀「?」

加賀「ねぇ、あなた。」

夕張「はい?」

加賀「その手に持ってる艦載機の矢は?今までに見たことのないタイプだけど…」

コワルスキー「なんだ、まだ持っていたのか?」

夕張「だって勿体無いし。」

加賀「?」


開発「F-22 ラプターだ。」

加賀「!!」

ゴクリッ

開発「廃棄予定だ。」

加賀「…」

加賀「…そう。」ガッカリ


開発「残念そうにしてるとこ悪いが、あんたにゃ載らないぞ。」

加賀「あら、やってみないことにはわからないわよ?」

開発「…それでも、廃棄予定だ。」

加賀「…」

加賀「ためしに」

開発「ダメ。」

加賀「…」

加賀「いっかい」

開発「廃棄。」

加賀「…」

加賀「…そう。残念ね。」






建造ドック


提督「で、建造が終わったわけだな。」

漣「そうです!」

漣「さぁ、なにかな?戦艦かな?」

工廠「残念だけど。」

矢矧「軽巡矢矧、着任したわ。よろしくね。」


提督「ほぉ。なかなかシッカリしていそうな艦娘だな。」

矢矧「ありがとう。って、しゃべるペンギン?珍しいわね。」

提督「そして、この鎮守府の責任者だ。」

矢矧「あら、そうなの?それは失礼したわね。」

提督「だいたいの艦娘が同じ反応をする。もう慣れたもんさ。」

矢矧「これからよろしくお願いします。」

提督「こちらこそ。」

提督「…ってどうした漣。さっきから黙って。」

漣「いや…喜んでいいのやら悪いのやら…」アハハ…

提督「?」

矢矧「?」




食堂


新人「ランチタイムッス!」

提督「我々にとっては至福の時だな。」

リコ「サカーナ!サカーナ!」ゴックン!

コワルスキー「動物園に居た時と違って、こちらの方が新鮮で量も多いですからね。」アモアモ…ゴックン!

漣「ってことは、そんなに量をもらってないってこと?」

新人「そうっすね、貰ってたことには貰ってたけど…」

提督「アリスの怠慢さのせいで、我々の食事が減ったり増えたり…」

コワルスキー「ときには来なかったり。」

秋月「あら、酷い。」

新人「だからたまに、お客の人間相手に、媚を売ってもらってたりしたんっすよ。」

漣「どうやって?」

新人「ニコッ」フリフリ

秋月「やだ、かわいい!」モォーーー!

漣「秋月ちゃん、最近キャラが固定してきたよね。」

秋月「へ?」

矢矧「なかなか賑やかなところね。」

漣「でしょ。まぁ、たまに疲れるときもあるんだけどさ。」

矢矧「なんとなく分かるわ。」




春雨「…」ジーッ

加賀「…」モグモグ…

春雨「…」ジーッ

加賀「…」ズズッ

春雨「…」ジーッ

加賀「…」

加賀「…あの」

加賀「あまり見られると食べづらいのだけど。」ジロッ


春雨「あっごめんなさい!」

朝潮「何してるのよ。」

春雨「だって、あの噂本当なのかな?って」

加賀「噂?」

朝潮「本人を目の前に…どうなっても知らないから。」ハァッ

春雨「え、だって…」

加賀「噂って?」


春雨「えっと、正規空母の皆さんは大食いだって噂がありまして…」

春雨「でも、今加賀さんが食べてる量は普通だなって…」

加賀「ああ、そういう。」

春雨「本当はもっとイッパイ!」

加賀「食べません。」キッパリ

春雨「あらら…」

朝潮「そうなんですか?」

加賀「朝潮、あなたまで…」

朝潮「ごめんなさい…やっぱ気になって…」


加賀「その噂自体は知ってるわ。なんせ、漣にも聞かれたぐらいだから。」

春雨「ほんと!?」パァッ キラキラ

漣「うわぁ…すっごい綺麗な目をしてこっち見てる…」

矢矧「あなた、よく聞けたわね…」

漣「だってぇ…」

加賀「はぁ…恐らくその噂の出どころは、どこかの提督の一言が間違って流れたのね。」

朝潮「間違って?」

加賀「正規空母は他の艦とは違って、ボーキサイトを著しく食うでしょ?」

加賀「たぶん、それに思わず。」



どこかの提督『こりゃ大食いだな…』



朝潮「それが間違って、正規空母の人は大飯ぐらいに繋がった…と」


加賀「見ての通り、素となる私は普通の人と同じぐらいしか食べない。」

加賀「証拠に、このお刺身定食で十分だもの。」

加賀「まぁ、戦艦クラスになると、背負ってる艤装の重さや、出撃のハードさから、素の人も大喰らいになるかもね。」

春雨「なんか…すみません。」

加賀「気にすることないわ。噂が立ってしまえば気になるものよ。」

加賀「それより。」

春雨「?」

加賀「あなた、練習で的を外しすぎ。」

春雨「うぐぅ!」グサァッ

加賀「秋月、あなたも。」

秋月「ブフゥ!」

新人「うわぁ!」


加賀「あなた達、もう少し落ち着いて的を狙ってみては?」

春雨「落ち着いて…ですか?」

秋月「落ち着いてるつもりなんですけど…」

加賀「つもりじゃダメ。そんなのじゃ戦場では生きていけないわよ。」

秋月「…はい。」

加賀「午後は私もあなた達の練習を見てあげるわ。」

春雨「本当ですか!?」

加賀「ええ。」

秋月「やった!一航戦の方に見てもらえるなんて…光栄です!」

加賀「そこまで持ち上げなくても…」

漣「やっぱ加賀さんにして正解でしたね。」モグモグ

提督「だな。」ゴックン

夕張「何をですか?」ズズ…

提督「この鎮守府の教官役をだ。」





執務室

漣「この鎮守府も少しずつだけど、戦力が揃ってきましたね。」ペラッ

提督「そうだな。」ペタンッ

漣「そこで提案なんですが。」カキカキ

提督「なんだ?」ペタッ



漣「今いるメンバーで紅白戦をしませんか?」



提督「紅白戦?なんだそれは?」

漣「ええっと、二手に分かれて演習を行うみたいな感じです。」

提督「なるほど…それはいいアイデアだ!」

漣「でしょー。」

提督「だが、一人余ってしまうぞ?」

漣「加賀さんが一人だけ正規空母だから、戦力的にも傾いちゃうから、抜いてもいいんじゃ?」

提督「それだと加賀が怒ってしまうかもしれんぞ?」

加賀「それは無いわ。」

提督「加賀?」


加賀「すみません。ノックをしても誰も反応がなかったから。」

提督「練習は?」

加賀「覚えるのが早くて助かったわ。あなたの部下も。」

提督「それは自慢の部下だからな。」フフン

加賀「それで、紅白戦の話だけど。」

漣「ごめんなさい。勝手に話を進めて。」

加賀「謝ることはないわ。むしろその案はいいと思うけど?」

漣「え?」

加賀「その紅白戦はやるべきね。漣が言うように、戦力を合わせるためには私は抜くべきよ。」

提督「お前が言うなら…」

漣「じゃあ、紅白戦はいつぐらいに?」



加賀「明日。」




提督・漣「「あした!?」」



と、今回はここまでです。

次回は紅白戦。

安価は次回更新時に出るかも。

では、また近いうちに。


書いたら出るって本当だね。

久々に大型回したら矢矧が出たよ。



感想レスありがとうございます。

またキリの良いとこまで出来たので投下いたします。

今回も最後に安価をとるんでご協力お願いします。




パンッ  パンッ

新人「第一回!鎮守府紅白せぇーん!」

新人「みなさん、こんにちわ。実況の新人です。」

新人「今日の天気は晴れ、湿度気温ともに最高のコンディションとなりました。」

新人「観客席も満員!第一回として最高のスタートを切れそうです!」

新人「ところで解説の加賀さん。今日はどんなところに注目しますか?」

加賀「…そうね。まずは、まだ出撃経験のない夕張と矢矧、この娘たちがどんな動きを見せるのか。」

加賀「あとは、大本営から来た朝潮と春雨。この娘達の実力も気になるところ。」

加賀「そして、秋月。彼女の使い方も気になるわね。」

新人「…漣は?」

加賀「え?」

新人「そこまで言ったなら、漣も言ってあげないと。」

加賀「…」

加賀「…秘書艦として頑張って。」

漣「投げやり!?」

漣「ほかの娘はしっかり解説してるのに、何で漣だけ投げやりなの!?」

矢矧「プラスにとらえなさい。唯一応援してくれたわ。」

漣「納得いかない!」ガァーーー!


漣「そもそも…」



ワイワイ

ガヤガヤ

タコヤキイカガー ヤキソバー イカヤキアルヨー

リンゴアメー



漣「ナニコレ…」

矢矧「まるで、祭りね。」

春雨「むしろお祭りです。」

漣「昨日の今日でここまで準備したっていうのが…」

矢矧「本当にあなたが提案したの?」

漣「漣自身疑いたくなる…」

春雨「っていうか、私あっち(観客側)に行きたかったぁ!」

漣「変な我が儘やめて…頭がもっと痛くなるから…」




夕張「お祭りみたい…」

朝潮「むしろお祭り…」

秋月「観客席まで設けているし…」

夕張「でも、こんな空気で演習だなんて、これはこれで面白いんじゃない?」

朝潮「そうね。」

秋月「頑張りましょう!」



漣「やっべぇ…あの娘らこの祭り状態でも、やる気出しちゃったよ…」

矢矧「口調口調。」

春雨「あっちも出したんなら、こっちも出しましょう!」

漣「そっそうだね。」

矢矧「やるからには勝つ!」

春雨「はい!」

漣「がんばるぞい!」




新人「艦娘全員やる気十分です。」

新人「と、ここでゲストの方をお呼びしましょう。」

漣「ゲスト?」

矢矧「流れ的には、うちの提督じゃないかしら?」

春雨「さっきからお姿見えないですからね。」

新人「なんと遥々海外から来ていただいた、『リッチな実業家、リンカーン・ダグラス』さんです!」

漣「…」

漣「だれ?」

秋月「予想と違う?」



リンカーン「やぁやぁ、初めまして。」


漣「ちょっと待った!」

リンカーン「なにかな?」

漣「なにかな?じゃない!どう見たって、ご主人さまじゃないですか!」

リンカーン「何を言うんだね。漣君。どう見たって、リッチな実業家、リンカーン・ダグラスじゃないか。」

矢矧「そもそも、そのリンカーンなんたらを知らないわ…」

朝潮「なんか演習前にドッと疲れが…」

リンカーン「?」

加賀「上官が試合前に士気を下げてどうするんですか…」


新人「とにかく、今回の演習のスターティングメンバーを紹介します!」

夕張「スターティングメンバーって…」

新人「赤サイド、旗艦夕張!」

イェアーーー!!

新人「秋月!」

イェアーーー!!

新人「朝潮!」

イェアーーー!!


新人「そして白サイド、旗艦矢矧!」

Booo!!

矢矧「!?」

新人「漣!」

Booo!!

新人「春雨!」

Booo!!

漣「ちょっと待って!なんで漣たちアウェイ扱いなの!?」

新人「雰囲気出るかなと思って。」

漣「出るかぁーーー!」グワァーーー!


矢矧「ちょっと抑えて…試合前に興奮したらスタミナがすぐに切れちゃうわよ?」ドウドウ

漣「あとで覚えてろ。ペンギンども…」ガルルル…

新人「なお、演習中に何かトラブルがあれば、すぐに救護班が駆けつけます。」

コワルスキー「そっちの準備は?」

開発「あれ?それアンタがやってくれるって…」

コワルスキー「そうだっけ?」

矢矧「あれ、救護だいじょうぶなのかしら…」

春雨「そういえばリコさんは?」

漣「観客席。」クイクイ

リコ「オーゥイエー!オホゥ!」モグモグゴクゴク

春雨「堪能してる!いいなぁ…」


矢矧「始まるわよ。」

新人「それでは本日のメインイベントを始めたいと思います!試合開始の合図は、今日のゲスト、リンカーン・ダグラスさん!」

リンカーン「オホン!それでは、試合を…開始!」



漣「武闘会とかじゃないんだから…」

矢矧「もういい…来るわ!」

夕張「朝潮、先攻して!」

朝潮「はい!」

バシュウッ!


矢矧「いきなり魚雷!?…回避行動で散開させるつもりね!」

春雨「でも、散開しないと!」

矢矧「分かってる!」

漣「ほいさっさー!」


ヒュッ


ズドーーーン!


矢矧「回避成功!でも、相手の思い通りに動いてしまったわね…」

漣「まずは相手の考えを見よう!」


夕張「朝潮!そのまま漣に向かって!」

朝潮「はい!」

夕張「秋月は春雨に!」

秋月「任せてください!」

夕張「矢矧ちゃん!軽巡同士仲良くしよう!」

矢矧「やっぱりそう来た?」


矢矧「望むところよ!」


ドンッドンッ!


夕張「くっ、8cm高角砲なかなかのモン持ってるじゃない!」

夕張「14cm単装砲しか持ってない私からしたら、羨ましいな!」


ドンッドンッ!


新人「これは!軽巡は軽巡に駆逐には駆逐へと別れて、一対一の殴り合いのような撃ち合い!」

新人「でも、これって相当効率悪いんじゃ…陣形とらなくていいんっすか?」

加賀「そうね。艦船ならその方が効率がいいでしょう。」

加賀「でも、私たちは艦娘。もう艦船の姿じゃない以上は、こういった戦いも経験するべきじゃないかしら。」

新人「なら、加賀はこうなることも予想済み?」

加賀「ええ。ただ、私としては戦艦同士の殴り合いを見てみたかったかしら。」

新人「それはなぜ?」

加賀「ガチだからよ。」



漣「漣の相手は朝潮ちゃん?」

朝潮「この鎮守府の古株の実力、見させて頂きます!」

漣「古株って…」

ドンッドンッ!

漣「うわわわっ!」

漣「…お手柔らかにお願いします。」

朝潮「はい!私なりに!」

漣「ああ、それ手堅くやる気だわ…」



加賀「あら、こっちは的を外し続けてた娘たちの戦いね。」

春雨「今言いますか…」

秋月「あれだけ昨日は頑張ったんです!加賀教官に成果を見せます!」

秋月「長10cm砲ちゃん!」

ドンッドンッ!

春雨「や、やめて~!」




新人「春雨に成果は見えないんスけど…」

加賀「頭が痛いわ…」

リンカーン「そうか?なかなかだぞ?」

加賀「どの辺が?」

リンカーン「…」

リンカーン「褒めて伸ばそうとした。」

加賀「ここでやっても仕方ないわよ?本人の前でやらなきゃ。」


新人「そういえばルール説明がまだでした!」

加賀「あら。」

リンカーン「手短に。」

新人「制限時間なしの、どちらかの艦隊が全滅するまでッス!」



夕張「だってさ!」

矢矧「全くウチの司令部は!」

ドンッドンッ!

ズガーーーンッ

夕張(小破)「ちょっ!?」

矢矧「どう?」

夕張「やるわね新人!」



朝潮「夕張さんが被弾…」

漣「そっち行ってあげたら?」

朝潮「後ろから狙うつもりでしょ?」

漣「いやいや、真正面でも狙うけ…ど!」

ドンッドンッ!

朝潮「流石に当たりは…」



ズガァーーーーーーン!


朝潮(轟沈扱い)「…へっ?」パチクリ

漣「へっ?」




新人「おっとぉーーー!いきなり試合が動きましたぁーーー!」

加賀「朝潮が、いったい何が?」

リンカーン「いきなり爆発したぞ?」


夕張「うそぉ!?」

矢矧「やったわね、漣!」

漣「いやいやいやいや、私じゃない私じゃない!」ブンブンブンブンッ!

朝潮「…なに?」



春雨「えっと…えへへ…」

秋月「あっちゃ~…」


朝潮「…」

朝潮「なんとなく理解しました…」ハァッ


加賀「そう、そういう事。」

新人「解説加賀さん、いったい何が起こったというのですか!」

加賀「おそらく、春雨が秋月に向けて撃った魚雷が外れて、朝潮に当たった…というのが妥当ね。」

新人「なんてこった!」

リンカーン「まさにラッキーヒットだな。」




春雨「運は低いほうなんだけど…」

朝潮「まぁ、ルールはルールだから。」

朝潮「次の紅白戦は油断しません。」




新人「ここで朝潮リタイア!」

加賀「2対3ということですね。」




春雨「ごめんねぇ…」

矢矧「謝ることはないわ。一応今は戦いなのだから。」

漣「そうそう敵なんだから!」

春雨「なんか、せっかくあっちで盛り上がってたのに…」




夕張「あちゃー、ルールじゃ仕方ないか…」

秋月「ごめんなさい、もっとしっかり見ておけば…」

夕張「まぁ、運も実力のうちだしね。」

夕張「何はともあれ、こっちはあと2人。切り替えていくよ!」

秋月「はい!」


新人「おっと、赤サイド。今度は陣形を整えてきたッス。」

加賀「あれは単縦陣かしら?」


漣「いっきに仕掛けてくるつもりね。」

矢矧「こちらも陣形を整えていくわよ!」



新人「白サイドも陣形を整えてきたッス!」

新人「あれも単縦陣っすね。」

加賀「反航戦に持ち込む気ね。」



矢矧「すれ違う瞬間が勝負!」

夕張「望むところ!」


ドンッドンッ!

バンッ!

ズガァーーーーーーン!

ズゥーーーン!

ズガァーーーン!



夕張(中破)「くっ秋月ちゃん、大丈夫?」

秋月(小破)「私は…夕張さんこそ中破ですよ?」

夕張「まだまだぁ!」


矢矧(小破)「なかなかガッツのある相手ね。」

春雨(大破)「ふぇぇ~ん!狙いすぎです!」

漣(小破)「狙われ過ぎだよ!?」


夕張「春雨を削れそうね…」

秋月「もう一度仕掛けます?」

夕張「当たり前!狙えるものは全部狙うよ!」


矢矧「!」

矢矧「また仕掛けてくる!春雨、下がって!」

春雨「ふぇ?」

ヒュッ!

ズドォーーーーーーーーン!!

春雨「きゃあ!」

春雨(轟沈扱い)「あ…」



新人「またも試合が動いたぁ!!」

加賀「遠距離からの狙い撃ち…」



夕張「やったよ、秋月ちゃん!」

秋月「やった!当たりました!」


矢矧「油断した!」

春雨「ごめんなさい~!」

漣「あ~…うん。今のは無理だったね…」



リンカーン「あの位置からの狙い撃ち…なかなかじゃないか!」

加賀「私も驚きました。あの娘、昨日はてんでダメだったのに…」

リンカーン「本番に強いということだな。」

加賀「練習でもそれを出してくれれば…」ハァッ



矢矧「2対2…」

漣「夕張さんを狙ったらどうです?中破だからいけそうかと…」

矢矧「そう考えたいけど、あの娘もそう簡単にはやらせてくれないわよ。」

矢矧「見て。」


秋月「フフン!」キラキラ


漣「うわっ…なんかムカつく…」

矢矧「遠距離で当てたことで調子に乗ってる。ああなったら人でも艦娘でも強いから。」

漣「でも漣らは小破ですよ?」

矢矧「慢心はダメよ。どんな時でもね。」


夕張「このままどんどん行くわよ!」

秋月「秋月、今なら何でもできそうです!」

夕張「その調子!」


矢矧「向かってくるわ!」

漣「返り討ちにしてやるぜ!」


秋月「狙いは?」

夕張「矢矧!…と言いたいところだけど。」


漣「!」

矢矧「秋月から魚雷が発射された!回避行動!」

漣「くっそ!」

ドンッドンッ!

ドッパァーーーーン!

漣「よし、迎撃完了!」

矢矧「!」ハッ

矢矧「それで終わりじゃないわ!」

漣「え?」

シュパァ!

漣「…水柱の下ぁ!?」

ズガァーーーーーーン!

漣「…」シロハタフリフリ


新人「なんとぉ!我らが秘書艦、漣がアウト!」

加賀「秋月はさっきの攻撃でノリノリです。何をやってもうまく行く。そんな感覚にとらわれています。」

リンカーン「まさにハイな状態か。」


漣「う~…」ムスー

コワルスキー「油断したお前が悪い。」

開発「そうそう。」ウンウン

朝潮「それ、ここに居る3人に共通しますが?」

開発「だから言ってんの。」

春雨「頑張ったのに…その言い方はあんまりじゃないですか?」

開発「お前さん頑張ったって…あのラッキーヒット一発で他は外してるじゃねぇか!」


夕張「相手はあと一人!」

秋月「楽勝!」

矢矧「そうはいかないわ!」

秋月「へっ?」

夕張「ハイスピードで突っ込んでくる!?」

矢矧「一人だからってあきらめない!」

ドンッドンッ!

ヒュッ

夕張「あっぶな!」

秋月「かっ回避行動!」

夕張「秋月ちゃん!?そっち行っちゃダメ!」



加賀「うまいこと分断しましたね。」

新人「でもあれじゃ、真ん中に入るようになるから逆効果じゃ…」

加賀「あの娘が何も考えずに突っ込んで行くとは思えません。」

リンカーン「ほう。」



夕張「でも自然と挟み撃ち。撃っちゃえ!」

ドンッドンッ!

矢矧「そう来ることぐらい読めてるわ!」

夕張「避けられた!?」

矢矧「まずはあなたから!」

ダンッダンッ!

ズドォーーーーン!!

夕張(大破)「くぅ!」

矢矧「怯んだ瞬間の隙、次はあなた!」

ドンッ!

秋月(中破)「くぅっ長10cm砲ちゃん!」

ドンッドンッ!

矢矧(中破)「まだまだ!」

ドンッドンッドンッ!

秋月(大破)「ああ!」


夕張「秋月ちゃん、離れて!」

ダンッダンッ

ズドーーーン!

矢矧(大破)「うう!」


新人「なんといっきに3人が大破扱いに!」

加賀「なかなかの殴り合いね。」


矢矧「厄介なのは魚雷を積んでいるあなた!」

ドンッドンッ!

秋月「間一髪!」

夕張「させはしない!」

矢矧「!」

ガシィッ

夕張「え?ええええええ!?」


新人「夕張の艤装のついた腕を…つかみ取ったッス!」

加賀「艦娘だからできる戦い方。矢矧、なかなか出来るわね。」


夕張「ちょっ離してよ!」

矢矧「いやに決まってるでしょ!」

夕張「こっちも嫌なんだけど!?」

夕張「…いや、待てよ?」

秋月「え…えっと…」

夕張「何やってんの、魚雷撃ちなさい!」

秋月「え?」

夕張「大丈夫、今は演習だから撃っても沈みはしない!」

夕張「それに、今撃てばあなたが残って赤サイドの勝利よ!」


秋月「分かりました!」

バシュウッ!

矢矧「!」

夕張「これで白サイドの負けが決まったわ!」

矢矧「…」

矢矧「狙い通り!」

夕張「は?」


ドンッドンッ!

秋月「!」

ダァーーーン!

秋月(轟沈扱い)「くぅ~…顔はなしですよぉ…」

夕張「え?」

矢矧「フフン。勝てないなら」


矢矧「み・ち・づ・れ・よ♪」


夕張「」





夕張「そんなぁーーーーーーーーーー!!」





ズドォーーーーーーーーン!!





夕張(轟沈扱い)「うそでしょー…」グスンッ

矢矧(轟沈扱い)「夕張、もう少し状況を見なさい。」フフッ



新人「…」

加賀「終了です。」

新人「!」ハッ

新人「試合終了です!」

新人「第一回紅白戦、まさかのドロー!引き分けです!」

加賀「まさか、引き分けに持ち込むとは。」

加賀「矢矧、あの娘は戦いに対しての欲があります。」

加賀「大事に育てたいですね。」


新人「リンカーンさん。今回の紅白戦どうでしたか?」

リンカーン「なかなかの白熱した試合だったよ。こんな素晴らしい試合に招待してくれて、心から感謝するよ。ありがとう。」

新人「というわけで、両チーム全員轟沈でドローという結果。」

新人「次回の紅白戦ではどうなるのか!それではまた第二回紅白戦でお会いしましょう!」

新人「実況はわたくし新人、解説は正規空母の加賀さん、そしてスペシャルゲストはリッチな実業家、リンカーン・ダグラスさんでした。」



漣「まさか、次の紅白戦もこのノリ?」

朝潮「でも賑やかで楽しいかもしれないです。」

春雨「ほうほう。」モグモグモガモガ

漣「って、本当に食べてるし!」




漣「あぁ~疲れたぁ…」

開発「あとで綿あめでもどうだ?」

コワルスキー「綿あめ!是非とも!」

漣「そんな仕事の後の一杯みたいに…」

漣「はぁ…賑やかね…」

提督「どうした。疲れた顔をして。」

漣「そりゃリンカーンさん、紅白戦をしたばかりですからね。」

提督「リンカーン?ああ、あのリッチな実業家、リンカーン・ダグラスか。」

漣「ああ、ってことは今は"提督"って設定ですか?」

提督「何を訳のわからんことを。」


漣「まだ髭ついてますよ?」

提督「なに!?」

提督「…」

漣「…」ニィ

提督「コホンッ!今日はゆっくり休んで、明日に備えろ。」

漣「はぁ~い!」



ヒヤッ

漣「ちべた!」

矢矧「ああ、ごめん。」

漣「矢矧さん?」

矢矧「これ。お疲れ様。」

漣「わぁ、ラムネ!」

矢矧「屋台に売ってたの。今日は頑張ってくれたから私の奢りよ。」

漣「頑張った…か…」

漣「あの、油断してすみませんでした。」ペコッ


矢矧「気にしてないわ。ただ、これが戦場なら話は別だったけどね。」

矢矧「紅白戦だから引き分けなんて結果が出たけど、実際の戦場に引き分けも何もありはしないから。」

矢矧「まぁでも」


夕張「今度はさ、開幕全員で一気に攻めてさ。」

朝潮「いわゆる突貫ですね。」

秋月「その攻め方もありですね!」

春雨「えぇ、やっぱ慎重に…」


矢矧「今回のことでみんな気が引き締まったでしょ。」

矢矧「提督たちに感謝だね。」

漣「はい。」








加賀「今回の紅白戦はかなりの収穫がありました。」

提督「私もそう思う。」

加賀「新人である矢矧がどれぐらいの力を持っていたかわかりませんでしたから。」

加賀「それに夕張も。あの娘もかなりの統率力があります。」

提督「だが、一番は…」

加賀「矢矧ですね。」

加賀「漣自身も戦っていて気付いたはずです。」

提督「だろうな。」

提督「次からの旗艦は矢矧に決まりだな。」

加賀「…」

加賀「だいぶ慣れてきましたね。提督。」

提督「はっ流石にな。」










今回はここまでです。

紅白戦はどうしてもペンギンズのシーンが少なくなってしまう…特にリコ。

さて、次はペンギンズの成分強めに行きたいと思います。

ちなみに今いる艦娘一覧

漣(秘書艦)
秋月
加賀
朝潮
春雨
夕張
矢矧

今回の安価ですが、建造やドロップではなくストーリーに深くかかわる艦娘を決めたいと思います。

『現在艦隊に属している艦娘以外で幼い容姿の駆逐艦』に絞りたいと思います。

安価直下でよろしくお願いします。(万が一被ったら安価下で)


安価と感想レスありがとうございます。

こんな時間ですが、完成したので投下していきます。

最後には例のごとく安価があるので、ご協力ください。


とある商店街にある宝石店

ガシャーーーーン!

ジリリリリリリリッ

強盗A「よし、ずらかるぞ!」

強盗B「おう!」







「そこの車、止まりなさい!」

強盗A「ちっ、もうサツが追いついたのか。」

強盗B「どうするよ?このままじゃ、せっかくの獲物が…」

強盗A「貸せ!」

強盗B「どうするつもりだ?」

強盗A「いいから、よこせ!」

強盗B「おっおう…」

強盗A「いいか、今走ってる場所をよぉく覚えていろよ。」

ポイッ


強盗B「おい、何やってるんだよ!」

強盗A「落ち着け、ほとぼりが醒めたら回収しに来る。いいな?」

強盗B「おいおい、大丈夫か?」

強盗A「なにが?」

強盗B「だって、今の場所…」







鎮守府 執務室

コンコンッ

ガチャッ

矢矧「失礼します。」

矢矧「先日の遠征任務の報告書を…」

矢矧「って、あら?提督は?」

加賀「今日は大本営にて定例会議です。」

矢矧「ってことは漣も?」

加賀「ええ。その書類預かるわ。」

矢矧「すみません。」

矢矧「…」

加賀「なに?」

矢矧「あっいえ…ペンギンに人間の会議が務まるのかなって?」

加賀「普通のペンギンなら無理ね。でも、あの人たちだから大丈夫なんじゃないかしら?」

矢矧「はぁ。」

加賀「それに漣も付いて行ってるわ。何だかんだでしっかりした娘、大丈夫でしょ。」

矢矧「そうですね。」

矢矧「あっそうだ。仕事手伝います。」

加賀「助かるわ。」




食堂


春雨「あぁ~、お腹空いたぁ~」

秋月「今日の訓練もハードでしたからね。」

朝潮「あれを耐えてこそ立派な艦娘。」

春雨「と言いながら、途中で息切れしてたの誰かなぁ?」

朝潮「仕方ないじゃない!陸を走るのなんて慣れてないんだから!」

テレビ『では、次のニュースです。』

テレビ『きょう未明、大本営近くの商店街にある宝石店で、価格にして500万相当のダイヤモンドのネックレスが盗まれました。』

夕張「はぇー、500万。」

加賀「なかなか素敵なネックレスじゃない。」

矢矧「でも、私たちには縁遠いわね。」

コワルスキー「500万…ツナ缶に置き換えると…」

ソロバンパチパチ

コワルスキー「約3500個!」

リコ「サンゼンゴヒャク!?」

新人「夢みたいッス!」

秋月「考えただけで胸焼けがします…」アハハ…

夕張「そもそもなぜツナ缶に置き換えた…」


テレビ『なお、犯人は現在も逃走中で、警察は行方を追っています。』

新人「そういえば、この事件って大本営の近くじゃないッスか?」

コワルスキー「ああ、そうか。提督は会議であっちに行っているのか。」

夕張「ってことは、まだあの辺りをうろうろしてるってこと?」

春雨「大丈夫ですかね?」

加賀「大丈夫じゃないかしら。一応、漣もついて行ってるし。」

矢矧「でも、艤装はつけてないですよ?」

加賀「…少し不安ね。」

コワルスキー「なら、私たちが迎えに行きましょう。」

新人「それ良いッスね!」

リコ「サカーナ!」ゴクンッ

加賀「…それは不安ね。」






大本営

漣「んぅ~…!」ノビー

漣「はぁ!やっと終わった…」

提督「結局、次の作戦には呼ばれなかったんだろう?」

漣「ええ、まだ評価できる戦果を挙げてないのと、戦力が整っていないって理由で。」

提督「ならば、また建造でもしてみるか?」

漣「大型ですか?」

提督「資材を大きく減らすぐらいなら、普通の建造でいいだろう。」

漣「ですね。」

漣「帰ったら早速書類を出しますね。」

提督「いつもすまんな漣。」

漣「それが秘書艦の務めですから。」



イッタトオリダロ?

サスガダナアイボウ!

アトハミツケテダッシュツダ!


漣「…」

提督「どうした?急に立ち止まって。」

漣「いえ、今の人たちの会話がおかしかったから…」


??「あれ、漣ちゃん?」


漣「?」

漣「五月雨ちゃん!」

五月雨「久しぶりです!」

提督「知り合いか?」

漣「知り合いも何も、まだあの鎮守府に着任する前、漣たちがまだ艦娘として生まれた時、この大本営で過ごした同期ですよ。」

五月雨「…ペット?でも、しゃべってない?」

漣「ああっと…うちの提督だよ。こう見えて。」

五月雨「へ?」

五月雨「ええええええええええええええええ!?」


五月雨「し、ししし失礼しました!私、白露型 6番艦の五月雨と言います!」

五月雨「漣ちゃんの提督とは知らずに…ペットだなんて…」

漣「気にしすぎ気にしすぎ。ほら、ご主人さま怒ってないし。ね?」

提督「ん?」

漣「ね!」ズイッ

提督「何かは知らんが…そうだな。」タジッ

漣「ほら、ご主人もこう言ってる!」

五月雨「本当ですか?」

漣「うんうん!」ブンブンッ

提督「こら漣…人の頭を勝手に!」ブンブンッ

漣「いいから頷いて!」

提督「それぐらい私一人で出来る!」


五月雨「あの…」

漣「ああ、ごめんね!」

漣「そうだ、そっちの提督とはうまく行ってるの?」

五月雨「うん。とっても優しくて、頼りになる提督だよ。」

五月雨「でもたまに…セクハラみたいなことしてくるけど…」

漣「それでまた良いようにさせてるんでしょ?撃っちゃったら?」

五月雨「上官を撃つだなんて…出来ないよぉ…」

漣「あんた優しすぎ…」

五月雨「そうかな?」

漣「変わんないね。」

五月雨「…人の事言えなくない?」

漣「そういえば、こんなとこで何してるの?そっちの提督は?」

五月雨「まだほかの上官さんたちと話してたよ。まだ掛かりそうだからって、近くの商店街にお使い頼まれちゃった。」

漣「へぇ…」


漣「それともう一つ。さっきから気になるんだけど、そのペンダントは?」

五月雨「これ?」

キラキラ

漣「すっご!ほんもの?」

五月雨「さぁ?」

漣「さぁって…」

五月雨「だってさっき拾ったばっかりだから…」

漣「拾ったって…ダメじゃない。ちゃんと届けないと。」

五月雨「やっぱ…ダメ?」

漣「ダメ。」

漣「だって本物だったら、持ち主探してるかもだし。」

五月雨「そっか…そうだよね…」

提督「残念な気持ちは分かるがな。」

漣「失くした人はもっと残念な気持ちだよ?」


五月雨「…じゃあ、商店街行くついでに警察の人に渡してくるね。」

漣「一緒について行こうか?」

五月雨「私、子供じゃないよ?暁ちゃんたちとは違うんだから!」

漣「それ本人たちの前で言ってみなって。」

五月雨「いじわる!」

漣「ほらほら行っといで。はじめてのお使い。」

五月雨「もう。」

提督「お前、意外と性格すれてるな。」

漣「何か言いました?ご主人さま。」ニコォ







強盗A「今の見たか?」

強盗B「ああ、バッチリだ。」

強盗A「商店街に向かったとなると…」

強盗A「気は進まんが、やるか…」








新人「あ、出てきたッス!」

提督「ん?」

漣「あれ?3匹に…矢矧さん?」

矢矧「提督、お疲れ様です。」

矢矧「漣もお疲れ。」

漣「ありがとうございます。」

漣「どうしたんですか?みんなして。」

コワルスキー「それは…」

新人「強盗が逃げ回ってるらしいんっす!」

コワルスキー「…新人?」

新人「ひょっとして、また良い所取っちゃった?」

コワルスキー「…」コクコクッ

新人「ごめんッス。」


提督「強盗だと?」

漣「ああ、そういえば食堂のテレビでそんなこと言ってたね。」

提督「そうなのか?」

漣「ご主人様の位置からじゃ見えなかったかも。なんせ、大本営の食堂広いから…」

漣「おかげで強盗ってだけで、何の事件だかさっぱり。」

新人「宝石ッス!」

コワルスキー「500万円相当のダイヤモンドのネックレスです。」

新人「…」

コワルスキー「フフン♪」


漣「ごひゃくまん!?」

漣「」ハッ


五月雨『だってさっき拾ったばっかりだから…』

キラキラ


漣(まさかね…)

提督「で、それとお前たちが来たのに何か関係があるのか?」

矢矧「そりゃ勿論、護衛も兼ねたお迎えです。」

漣「でも漣が居ますよ?」

矢矧「艤装を持ってないでしょ?」

漣「あっ…そういう。」

矢矧「深海棲艦とは違って、人間の犯罪者は別の意味で危険よ。油断は禁物。」

漣「そうですね。」

漣「まぁ、強盗がペンギンを狙うだなんて思いませんが。」

矢矧「だから、油断は禁物。今の時代の人間は、何を考えているかわからないんだから。」

矢矧「多いことに越したことはないでしょ?」

漣「はい。」


矢矧「分かればよろしい。じゃあ、商店街で鎮守府の皆にお土産を買ってから帰りましょ。」

漣「キタコレ!じゃあ、ケーキにしましょうケーキ!」

新人「じゃあ、僕はピーナッツバターチョコバーがいいッス!」

漣「え~、ケーキだよ!」

新人「ピーナッツバターチョコバー!」

漣「ケーキ!」

新人「ピーナッツバターチョコバー!」


漣「むむむむむ…」

新人「むむむむむ…」


矢矧「はいはい。」パンパンッ

矢矧「二人とも、そういうのは商店街に着いてからにしてね。」

漣「でもいいんですか?下手にお金使っちゃって…」

矢矧「まぁ、その程度なら…コワルスキー。」

コワルスキー「ええ。多く見積もっても、うちの鎮守府の財政に圧迫をかけるような出費ではありませんから。」

提督「だそうだ。」




商店街


漣「漣、大勝利!」ヘッヘーン!

新人「次はピーナッツバターチョコバーっすよ!」

矢矧「この商店街になかったんだから仕方ないでしょ。」

提督「我慢しろ新人。」

新人「はぁ~い。でも、ケーキも好きだからいいや。」

提督「偉いぞ新人。」

提督「…ん?」

漣「どうかしたんです?」

提督「あの娘はさっきの…お前の知り合いでは?」

漣「え?…本当だ。五月雨ちゃんじゃん!」


矢矧「知り合い?」

漣「同期です。」

漣「って、ネックレスまだ届けてないじゃない。」

矢矧「ネックレス?…あら。」

矢矧「あら?」

新人「あのネックレス…」



矢矧「どこかで…」
新人「どこかで…」
コワルスキー「どこかで…」
リコ「うーん…」



漣「どうしたの?みんなして…」

矢矧「あの娘のつけているネックレス…どこかで見た気がして…」

漣「そうなの?」

矢矧「うーん…」

漣「とにかく、あの娘に注意しなくちゃ。」

提督「そうだな、持ち主も探しているだろうからな。」


矢矧「待って。」



キキィッ



新人「車が彼女の前で停まったッス。」

漣「車?」



ソレヲコッチニワタセ!

ナンデスカ、アナタタチ!

モウイイ!ソイツゴトノセチマエ!

オ、オウ!

チョッ…ンー!

オトナシクシロ!

ンー!ンンーー!


バタンッ




ブロロロロ…




新人「行っちゃった…お迎えッスかね?」

新人「ん?」





漣「…」パクパク…

矢矧「…」パクパク…




新人「…」

新人「二人とも、何してるんっすか?」

新人「あっ分かった!イワシのモノマネだ!うまいっすね!」

漣「違うわよ!」

新人「え?」

提督「コワルスキー!状況!」

コワルスキー「ええ…私の見解が正しければ…今のは間違いなく」



漣「誘拐よ!」



コワルスキー「…」

新人「今日は取られてばっかッスね。」プクク

新人「って誘拐!?」


矢矧「思い出したわ。あのネックレス、ニュースでやってた宝石店で盗まれたものよ。」

漣「なんで盗まれたものをあの娘が持っているの!?」

矢矧「それは分からないわ。」

矢矧「でも、あの娘が持っていたのが本物となると…誘拐されたのも納得できる。」

漣「とにかく助けなきゃ!」

矢矧「待ちなさい!」

漣「止めないで!」

矢矧「落ち着きなさい漣!」

漣「うっ…」

矢矧「ここは海の上じゃない。私たちには不利な状況よ。」

コワルスキー「それに車を見失ってしまった。追いかけるのは無理だ。」

矢矧「同期の娘を助けたい気持ちは分かる。でも、ここは落ち着いて行動すべきよ。」

漣「じゃあ、どうすれば…」

矢矧「一度、警察に連絡して、大本営に戻ってあの娘の提督に報告しましょう。」

矢矧「ここはその道のプロに任せるのが一番よ。」

漣「そう…ですね…」

矢矧「急いで大本営に戻りましょう!」




隊長「コワルスキー。」

コワルスキー「…了解です隊長。」







大本営


五月雨の提督「そんな…五月雨が…」

矢矧「すみません。近くに居ながら…」

五月雨の提督「いや、君らのせいではないよ。」

五月雨の提督「悪いのは攫った奴と、彼女をお使いに行かせた私だ…」

五月雨の提督「すまないな、わざわざ…もう下がってくれていいぞ?」

矢矧「はい、失礼します。」ビシッ



漣「どうでした?」

矢矧「よっぽど大事な娘だったのね。相当落ち込んでるわ。」

漣「でしょうね。」

矢矧「あとは警察に任せて、我々は…」

矢矧「あら?」

漣「?」

矢矧「提督たちは?」

漣「っ!いつの間に!?」







商店街


隊長「うまいこと抜け出せたな。」

新人「でも、いいんですか?絶対ばれますよ?

新人「…帰ったらお仕置きが待ってるかも!」ガクガクブルブル

隊長「お前はお仕置きと、小さな少女の命とどっちが大事なんだ!」

新人「勿論、命です!」

隊長「よく言ったぞ新人!」

隊長「コワルスキー、作戦!」


コワルスキー「まず、彼女をさらった車を探し出さなければ話が進みません。」

ブロロロッ

プップー!

キキィ!

コワルスキー「見ての通り人通りも多く、車の数もそこそこです。」

隊長「と言うより多いぞ。ここからあの車を探し出すのは至難の業だな…」

新人「どうするッス?」

コワルスキー「こういう時こそ私の発明の出番です!」

隊長「またろくでもない発明じゃないだろうな?」

コワルスキー「この世界に来てからは割とまともです。」

隊長「開発妖精と夕張には感謝しなくてはな。」

隊長「で、今回はどんな発明をしたんだ?」

コワルスキー「よくぞ聞いてくれました!」



コワルスキー「大事(おおごと)予感レーダーです!」

コワルスキー「開発室の隅に置いてあったレーダーを改造して作ってみました。」





開発室


夕張「あれ、ここにあった電探は?」

開発「知らねぇぞ。」

夕張「私が使おうと思ってたのに…」ムー…






隊長「大事予感レーダー?私のオタク心をくすぐる良いネーミングセンスだ。」

コワルスキー「この大事予感レーダーは、大事件や大事故などの大事を事前に察知するレーダーです。」

コワルスキー「たとえば…んー…」


ピッピッピッピッピッ…


コワルスキー「んー…」


ピピピピピ…


コワルスキー「ん?」



ピーーーーー!


コワルスキー「あの車に反応ありです。」

新人「あの角を曲がった車?」



ガッシャーーーーーーン!


オレノクルマガー!



コワルスキー「見事事故につながりました。」

コワルスキー「実験は成功!イエス!」グッ

隊長「おお!」

新人「でも、それでどうやってあの娘を?」

隊長「確かに。誘拐という大事はもう起きてしまったぞ?」

コワルスキー「ええ、誘拐という大事は起きてしまいました。」

コワルスキー「でも、それにつながる大事が起きる可能性があります。」

隊長「それにつながる…」

新人「大事…」

リコ「?」



コワルスキー「立てこもり。そして、…殺人です。」

コワルスキー「ああ、なんと恐ろしい!」



隊長「そうならないうちに解決するぞ!コワルスキー、急いでその…」

コワルスキー「大事予感レーダーです。」

隊長「その大事予感レーダーで、彼女の居場所を突き止めるのだ!」

コワルスキー「飽くまで予測なので、居場所を見つけるというよりは、大事が起きる前に予測し待ち伏せして食い止めることになります。」

隊長「なんでもいい。やるんだ!」




どこかの廃屋


五月雨「ン~!ンン~!!」

ガチャンガチャンッ

強盗A「うるせぇガキだな…」

強盗B「それよりもそのガキどうするんだよ?」

強盗A「ある意味収穫だな。こいつをダシに身代金でも要求するか?」

強盗B「おいおい、大事にし過ぎだ。」

強盗A「じゃあどうするんだよ。ガッツリ顔を見られてるんだぜ?ならこのまま捌いて、海のお魚さんたちの餌にするか?」

ギラリッ

五月雨「っんーーー!!」

強盗A「ははは、まだ捌きはしないよ。大人しくしてりゃあな。」

強盗B「だが、あんまり騒ぎを大きくすんなよ?俺たちは飽くまでネックレス目当てだったんだからよ。」

強盗A「そりゃあ、こいつ次第だよ。」

強盗A「な?」

五月雨「…」

五月雨(提督…漣ちゃん…)





商店街


漣「あーもー、馬鹿ご主人!」勝手にいなくなっちゃって!」

矢矧「愚痴ってもしょうがないわ…なんとしてでも日が落ちるまでには探さないと。」

漣「でも、なんで商店街?」

矢矧「五月雨が攫われた直後、提督とコワルスキーが何か話してたのよ。」

矢矧「何か行動するなら…って思ったんだけど…」

矢矧(もしくは、もう行動してる?)

矢矧「漣、あの人たちがどういう行動をするか知らない?」

漣「戦いにおいてはむちゃくちゃな行動はするけど…こんな状況初めてだし…」

矢矧「…そう。」

矢矧「もう時間もないし、手分けしましょ。」

漣「そうですね。」

矢矧「漣はあっちを探して。何かあったら無線で!」

漣「はい!」





ピッピッピッピッピッ

ピピピピピ

ピーーーーー


ドカーーーーンッ!


オレノクルマガー

フコウダワ!

キャー、カジヨー!


スリダ!ダレカ、ソイツヲツカマエテクレ!




隊長「本当に大本営の前なのか?トラブルがあり過ぎるような…」

隊長「で、見つかったのか?」

コワルスキー「いえ、別のトラブルばかり引っかかってしまって…」

新人「まさか、その機械がトラブルを招いているとか?」

コワルスキー「馬鹿を言うな新人。この大事予感レーダーは、あくまで予感するだけであって、他の機能は付いてはいないんだ。」

コワルスキー「そのような事…」


ピーッピーッピーッピーッ!

隊長「ん、音が変わったぞ?」

コワルスキー「この反応は!?」

新人「なっなんっすか?」

コワルスキー「今までにない大きな反応。この反応は、一際大きな事件が起こることを察知しています。」

コワルスキー「つまり、我々の目的地です!」

隊長「ならば先回りだ!」

コワルスキー「ですので、察知なのでもともと先回りを…」

隊長「もういい。行くぞ!」



強盗A「夜中の0時か。頃合いだな。」

強盗B「で、結局は海に沈めてしまうのか?」

強盗A「ああ、顔を見られている限りは消さないとな。」

強盗B「極端すぎないか?別に口封じぐらいで…それに大事は…なぁ?」

強盗A「今更大事もくそもないだろ!ここまでやったんだ、ならいっそ最後まで悪に手を染めてやるさ!」

強盗B「巻き込まれた身にもなれって…」ボソッ

強盗A「なんか言ったか?」

強盗B「いんや。」

五月雨「ン~!ンンーー!!」

強盗A「よぉ~し、大人しくしてろよ…もうすぐ楽になるからなぁ。」

五月雨「…」


五月雨(どうしよう…)グスンッ

五月雨(このままじゃ本当に沈められて…)

五月雨(もう、沈みたくないのに…)

強盗A「がははは!」

五月雨(待って、私!よく考えたら相手は人間…深海棲艦じゃない。)

五月雨(どこかでチャンスを見つけて…)

五月雨(ん?)

キラッ

五月雨(あんなところに…)

五月雨(そうだ!)

ゴソゴソ…


強盗A「よぉうし、着いたぞぉ。」

強盗A「最終地点だ。お前のな。」

強盗B「降りろ。」

五月雨「…」

強盗A「悪くは思うなよ?恨むんだったら自分の運の悪さを恨むんだな。」

強盗B「それ、大分使い古されたセリフじゃね?」

強盗A「うるさいな、黙ってろよ!」

強盗A「まぁいい。あとはコイツを撃つなり刺すなりして…落とすだけ。」


ザザァーン


五月雨「…」

五月雨(落ち着いて…絶対にチャンスがあるはず…)

五月雨(どこかに…どこかに!)


強盗A「…そういえば、あれどこやった?」

強盗B「あれって?」

強盗A「ネックレスだよ。盗ってきた。」

強盗B「後ろの座席に置いておいたぞ?」

強盗A「は?そのまま!?」

強盗A「バッ、傷ついたらどうするんだよ!」

強盗A「高く売れなくなるだろうがよ!」

強盗B「投げ捨てたのはいいんですかね?」

強盗A「あ?」

強盗B「なんでもない。」

強盗A「ったく」


ゴソゴソ…

強盗A「おい、ねぇぞ?」

強盗B「そんなはずないだろ?」

ゴソゴソ…

強盗B「運転席の下は?」

ゴソゴソ…

強盗A「ねぇって…だから、しっかり持っとけって言っただろ…」

強盗B「わりぃ…」

ゴソゴソ…


ソロォ~…


五月雨(今だ!)

五月雨「ん~!」


ドンッ!


強盗A・B「「うわぁ!?」」


ドタドンッ!


強盗A「重い!」

強盗A「早くどけ!狭い車内じゃお前の巨体がすごい邪魔で、身動きが出来ねぇんだよ!」

強盗B「狭いから俺も動けない…」

強盗A「って、やったのあのガキか!待ちやがれ!」


ダカラドケッテ!

オレモウゴケナインダッテ!


五月雨(やった!うまいこと成功…っていうか、ちょっと間抜けでよかった。)

五月雨(あとは人通りの多そうなところまで!)

タッタッタッタッタッ!

五月雨(…口ふさがれた上に、両手縛られたまま走るのってちょっと辛いな…)

五月雨(走りづらいし…)

ガッ

五月雨「んぅ!?」

バタンッ!

五月雨「~~~!」

五月雨(いったぁ~…)


アノガキドコイキヤガッタ!

マダソンナニハハナレテナイハズダゾ

五月雨(まずい!)

五月雨(早くたたないと…)



??「そこまでだ!ハイヤーーー!」



五月雨「!?」


ドシーーン!


五月雨「んぅ!?」

??「どうだ、参ったかこの悪党め!」

??「彼女をどこにやった!言え!」グイッ

五月雨「んん!!」


コワルスキー「あ~…隊長。たぶん、それがその彼女です。」

隊長「なに?」

隊長「…」ジッ

五月雨「…」

隊長「…」

五月雨「…」ウルウル…

隊長「おお!よく無事だったな!」

五月雨「んんーー!!」

新人「隊長、早くその拘束を解いてあげましょうよ。」

隊長「そうだな。」

五月雨「ぷはっ!」


隊長「よく無事だったな、さみぃっ!!」

ギューーーー!

五月雨「うわあああああ!ありがとうございます!漣ちゃんの提督さぁん!」

コワルスキー「見ろ、あんなに泣いて。」

新人「それだけ怖かったんっすね。」

リコ「ウンウン!」

五月雨「うわあああああああああ!!」

隊長「…誰か…助けて……くれ…」ギューーーー…

新人「うわわっ!隊長!」



アッチデコエガシタゾ!


五月雨「!」



ピーッピーッピーッピーッ!



コワルスキー「あー…まずい。大事予感レーダーが高い反応を見せています。」

隊長「どうすればいい?」

コワルスキー「一旦、ここから離れましょう!」

五月雨「賛成です!」

新人「右に同じく!」

リコ「バイバーイ!」

隊長「おい、ちょっと待て!私を置いていくな!」





強盗A「こっから声がしたと思ったんだが…」

強盗B「おい。」

強盗A「ん?」

強盗B「これ。」

五月雨を縛っていたロープ

強盗A「仲間が来たのか!」

強盗B「みたいだな。」

地面には無数の足跡

強盗A「こいつらもガキと一緒に排除…って待て!」

強盗A「…」ジーッ

強盗A「…どう見ても、鳥の足跡じゃないか?」

強盗B「…まぁ、見えんこともない。」

強盗B「まさか鳥が助けに!?」

バチンッ!

強盗A「何を寝ぼけたこと言ってやがんだ!鳥がどう助けに来たって?」

強盗A「そんなメルヘン見たいなこと言ってないで、さっさと追うぞ!」

強盗A「見ろ、あのガキの足跡が続いている。」

強盗A「所詮はガキ。考えが浅はかだ。」

強盗B「じゃあ仲間は?」

強盗A「どう見たって鳥の足跡しかねぇだろ!海が近いんだ、カモメかなんかの足跡だろ!もうそれはいいから追うぞ!」



コワルスキー「う~む…」

ガチャガチャ

コワルスキー「よし、できた!」

五月雨「何が?」

新人「何が?」

コワルスキー「この大事予感レーダーの設定を逆にしたんです!」

隊長「逆?」

コワルスキー「今までは、大事件や大事故など、マイナスの大事を予感していました。」

コワルスキー「ですが設定を逆にしたことで、マイナスからプラス。つまり、幸運な出来事を予感することが可能になったのです!」


新人「それができることで何か変わるんっすか?」

隊長「新人の言うとおりだ。今我々は終われている身だ。幸運なんかどうでもいいだろ?」

コワルスキー「隊長、追われていることがマイナスなら、今度は逃げ切ることがプラスになるわけです。」

コワルスキー「そして今我々にとってもっとも幸運な出来事。それは…

コワルスキー「奴らが捕まることです!」

五月雨「つまり、そこまで導いてくれるってことですか?」

コワルスキー「その通り!」

隊長「なんだ、そうならそうと早く言え。」

コワルスキー「説明くらい良いじゃないですか…」


新人「あのー…」

隊長「なんだ?新人。」

新人「今の説明が長引いた所為か、」

コワルスキー「いいか新人。程よく簡潔に説明したんだぞ?長引いたわけではない!」

新人「いや、その話は良いッス。」

コワルスキー「じゃあ、なんだ?」

新人「その話に出た逃げ切らなきゃいけない相手って…」





新人「その二人の事っすか?」





強盗A「よう。」


強盗B「やっと見つけたぞ。」





五月雨「そうそう、この二人です。」





五月雨「って、わあああああああああああ!!」

4匹「あああああああああああああ!?」



強盗A「もう逃がさないぞ!」

隊長「コワルスキー!」

コワルスキー「今起動してます!」


ピッピッピッピッピッ


コワルスキー「反応あり!こっちです!」

隊長「なんとしてでも逃げ切るぞ!コードネーム『ドロケイ作戦開始』!」

五月雨「ケイドロじゃ無いの?」

隊長「そんなことはどうでもいい!」

新人「っていうか、それじゃ立場が逆になっちゃうんじゃ…」

隊長「いいから逃げるぞ!」

シャーーーーーーーー!

強盗A「あっ待ちやがれ!」

強盗B「また走るのかよ…」





ピッピッピッピッピッ

コワルスキー「こっちです!」

シャーーーーーーーー!

五月雨「はい!」

強盗A「待ちやがれ!」

強盗B「ちょっと待ってくれ!」






ピッピッピッピッピッ

コワルスキー「今度はこっちです!」

シャーーーーーーーー!

五月雨「まだ追ってくる!?」

強盗A「まだ逃げるのかよ?」

強盗B「お前も待てって、走るの早すぎ!」







ピッピッピッピッピッ

コワルスキー「こっち…じゃなかったこっちです。」

隊長「いや、今度はこっちだ!」

強盗A「はぁ?あいつらどこに…いた!」

シャーーーーーーーー!

強盗B「いや、あっちだ!」

強盗A「はぁ?いや、あっちだ!」

五月雨「今度はこっちですね!」

強盗A「あっちだ!」

新人「あっちにも反応が!」

シャーーーーーーーー!

強盗A「あっちにもいたぞ!」

強盗B「…空間ねじ曲がってないか?」

リコ「ヘイヘーーイ!」

強盗B「なぁ。」

強盗A「あ?」

強盗B「今思ったんだけどよ。」

強盗A「なんだよ、早くしろって。」

強盗B「…ペンギンが仲間だったんだな。」

強盗A「今はそんなことどうでもいいだろ!さっさと追え!」クワッ!

強盗A「ああ、見ろ。あそこだ追うぞ!」

強盗B「やっぱり鳥が仲間」

強盗A「もういいって言ってんだろ!」










ピピピピピ

ピーッピーッピーッピーッ!




コワルスキー「高い反応あり!」

隊長「ここがか!?」




商店街の宝石店前(閉店後)




隊長「建物の中ではなく、扉の前か?」

コワルスキー「ですがレーダーでは…」

新人「壊れてるんじゃなくて?」

コワルスキー「失敬な!ちゃんと五月雨を助けることができただろ!」

隊長「まだ救出途中だぞ。」

新人「さっき設定をいじった時に、変になったんじゃないんスか?」

コワルスキー「そんな馬鹿なことが。私を誰だと思ってる!」


3匹「「「コワルスキー」」」


コワルスキー「…」

コワルスキー「はいはい。今までも確かに失敗をしてましたよ。」

コワルスキー「でもこれだけは声を大にして言いたい!」


コワルスキー「発明自体は成功している!だが、そこからがうまく行かないんだ!」


隊長「つまりトラブルメイカーだな。」

コワルスキー「変な纏め方しないで下さい。」









強盗A「ギャーギャー喚いているとこ悪いんだが…」







4匹+五月雨「「「「「!?」」」」」




強盗A「ゲームオーバーだ。よくも俺たちを振り回してくれたな。」

強盗B「ヒュー…ヒュー…」

五月雨「あの、大丈夫ですか?」

強盗A「あー、こいつは体型も相まって走るのが苦手なんだよ。」

五月雨「走らせてごめんなさい。」

強盗B「あー、いやいや。」

強盗A「じゃなくて!」

強盗A「悪いが、ここでお前たちを始末させてもらう。」

強盗A「そしてガキ!その手に持ったネックレスを返してもらう!」


ジリッ


隊長「コワルスキー、お前の機械は本当に壊れてないんだな?」

コワルスキー「当然!…だと思います。」

五月雨「ちょっと…ここで弱気にならないで下さいよ!」

強盗A「さぁ、大人しくしてろ…」

強盗B「…」


ジリッ


隊長「このまま捕まって…」

隊長「ん?」

扉に着いた防犯センサー

隊長「おお、日本にもこういう防犯システムがあるのか。」

隊長「待てよ?」

隊長「でかしたぞ、コワルスキー!」

コワルスキー「は?」


隊長「リコ、バールだ!」

リコ「オエッ!」

ポイッ

五月雨「!」

強盗A「な!?」

強盗B「すげぇ、マジックか?」

ブンブンッ!

隊長「よし!」

強盗A「まて、妙な動きをするなよ?…したらタダじゃ」

隊長「タダじゃ…なんだ?」

スッ(振りかぶり)

強盗A「待て!」



ブンッ



バリィーーーーン!





ジリリリリリリリッ






強盗A「やりやがった!」

強盗B「まずいぞ相棒!」

強盗A「いや、まだだ。警察が来るまで時間はある。」

強盗A「それまでにこいつらを!」








??「残念だけど。警察以外にも探し回っているのは居るわよ?」








隊長「おお、その声は!」


矢矧「まぁ、主にうちの上司だけど。」


隊長「矢矧!」


コワルスキー「やはり、私の発明は正しかった!」

強盗A「誰だ、てめぇ!」

矢矧「通りすがりの艦娘よ。」

強盗B「艦娘…だと?」

強盗A「艦娘がどうして!?」

矢矧「さっきも言ったけど、上司を探しにね」ニコッ

隊長「」

隊長「なんだ?今の突き刺さるような笑顔は…」

新人「ぞっとしたッス。」


強盗A「へっ…へへっ、艦娘つっても所詮は女!しかもここは陸!俺たちの方が有利!」

強盗A「調子乗ってると、痛い目見るぞ!」

矢矧「さぁ、どっちが…かしらね。」

強盗A「こんの…アマがぁ!」

ドゴォッ

強盗A「」

ドサッ

強盗A「」チーン…

強盗B「あっ相棒!」

矢矧「…」ギロッ

強盗B「あ」

矢矧「…」

矢矧「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

強盗B「」

強盗B「あ、あー…」

強盗B「降参!こうさーん!」

強盗B「おっ俺、元々乗り気じゃなかったし、誘拐とか。だっだからこれ以上は何もしないよ…」

強盗B「ほっホントだぞう!」


矢矧「…」チラッ

五月雨「…」ウンウン

矢矧「…」

強盗B「…」ドクンッドクンッ

矢矧「…」

矢矧「…」ニコッ

強盗B「ほっ…」







ガスッ







強盗B「」チーン…



矢矧「男のくせに情けない。」

五月雨「えっと…」

矢矧「大丈夫?」

五月雨「あっはい!ありがとうございます!」ペコッ

矢矧「いいのよ、たまたま通りがかっただけだから。」

矢矧「それにしても無事でよかったわ。」

五月雨「あの方たちのおかげです!ありがとうございます!」

隊長「なぁ~に。気にすることはない。」

新人「そうっす。困ったら助け合いが当然ッスから。」

矢矧「…」


矢矧「さて、あとは警察に任せて、私たちは帰りましょ?あなたの提督も待ってるし。」

五月雨「はい!」

隊長「そうだな。私はお腹がぺこぺこだ。」

コワルスキー「そうですね。」

矢矧「あ~ら、そこの4匹。鎮守府に帰ったら、たっぷりとお話ししましょうね。」






矢矧「加賀さんと漣が待ってるわよ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ



4匹「「「「」」」」









数日後


提督「…」

漣「ふんふふふ~ん♪」

漣「はい、ご主人さま。次の書類です♪」

提督「うっうむ…」

提督「なぁ、漣よ。」

漣「なんですか?」

提督「執務もしっかりするし、逃げ出しはしない。だから…」

漣「だからその足枷を外せと?」

提督「」コクコクコクッ!

漣「ダメです!」

提督「」

漣「ちゃんと、溜まった執務が終わるまでその状態ですからね!」

提督「な!動物虐待で訴えるぞ!」

漣「その足でどうやって?」

提督「」

提督「くっそぉ~!」







後日の新聞に例の事件がデカデカと載ったらしいが、

解決したのはなぜか矢矧になっていたという。


矢矧「まぁ、ペンギンが解決したって言われて、納得する人がいるかどうかってね。」










というわけで今回のお話は終了です。

最近仕事が立て込んでて、なかなか更新が滞っています。

申し訳ないです。

今回のお話はいかがだったでしょうか?

感想や指摘などドンドン書き込んでいってください。

そして次回ですが…いよいよあのトリオが動き出す予定です。



では次回の建造で出したい艦娘を安価で決めたいと思います。

ちょっと駆逐艦とかに偏り始めているので、戦艦(金剛型以外)もしくは重巡で"安価直下"で決めたいと思います。(今回は大型建造でしかできない艦娘は除外します。その代りレア度の制限はないです。)

あと、こんなストーリーも見てみたいっていうのがあれば、書き込んでも結構です。(書くかどうかは作者の能力次第ですが…)

それではよろしくお願いします。



キツネザルのの人気に嫉妬!(某隊長談)

さて、また区切りのいい?ところまで行ったので投下します。

また最後の方で安価があるのでご協力お願いします。


鎮守府 港



漣「資材…食糧…OKです!」

乗組員「では、サインを。」

漣「…はい。」

乗組員「それでは、失礼します。」

漣「ご苦労様です!」

漣「さて…」

漣「ん?」

漣「リストに見覚えのない荷物が…」

漣「あ、五月雨ちゃんの提督さんからだ!」




執務室

提督「…」

青葉「…」ニコニコ

提督「…」

青葉「…」ニコニコ

提督「…青葉といったかな?」

青葉「はい!青葉型 1番艦の青葉です!恐縮です!」

提督「恐縮するのは構わんが…」

青葉「なんですか?なんですか?」

提督「…そのメモとペンは何だ?」


提督「別に執務を手伝えと言った覚えはないが…」

青葉「はい、言われた覚えはありません!」

提督「じゃあ、なぜ?」

青葉「やだな~、わかってるくせに。」コノコノォ

青葉「司令官がペンギンで、しかもご自身自体も戦果を挙げている!こんな特ダネ逃すわけにもいかないでしょ!」

青葉「というわけで、一言お願いします。」

提督「…今のでだいたいわかったぞ?」


提督「貴様、さてはパパラッチだな!?」


青葉「ん~、近からず遠からず?どっちかと言えばジャーナリスト。ですかね。」


提督「ジャ~ナリストぉ?」

提督「きれいに言ったって、もとは変わらんだろ。」

青葉「そうですかね?そんなことよりぃ、一言ぉ、お願いしますよぉ。」

提督「こいつ、私が苦手なタイプかもしれん…」

ガチャッ

漣「ご主人さま~。」

提督「おお、漣。良い所に来た!」

漣「へ?」

漣「ん?」

青葉「ども!」

漣「…」

漣「ああ、ひょっとして今日建造された?」

青葉「はい、青葉と申します!」


青葉「もしかして、秘書艦の方ですか?」

漣「そうですけど…」

青葉「ちょうどよかったぁ!」

漣「は?」

青葉「いえね、司令官にインタビューしてもなかなか答えてくれないんですよぉ。」

漣「インタビュー?」

青葉「そうです!」

青葉「もしよろしければ、秘書艦の…」

漣「漣です。」

青葉「漣さんに、司令官についてお話を…」

提督「なっ!?ダメだ、漣!そいつの口車に乗せられては!」

漣「う~ん…」

青葉「お礼も弾みますよ?」

漣「う~ん…」

青葉「お話してくれれば、この青葉、何でも言うこと聞きます!」

漣「う~ん…」

提督「漣!」

青葉「漣さん!」

漣「う~ん…」

提督「…さっきから何を唸ってばかりいるんだ?」

青葉「そうですよ。ちゃっちゃと吐いてください。」


漣「いや、漣自身もあんまり知らないなぁと…ご主人の事。」

青葉「へ?…と言うと?」

漣「う~ん…なんでですかね?」

青葉「…」

青葉「は?」

漣「あっそうだ。ご主人さま、五月雨ちゃんの提督からお礼が届いてますよ?」

青葉「えっちょっ」

提督「五月雨の提督から?」

漣「先日のお礼だとか。」

青葉「ちょっちょっと。」

提督「おお、あの時のか。」

漣「五月雨ちゃんもお礼したいって言ってましたから。」

青葉「むっ無視ですか!?」

漣「ちなみに、私たちにはフルーツの盛り合わせと、ご主人さまたちには魚の詰め合わせです。」

提督「なかなか気が利くな。」

漣「魚は腐らないように冷蔵庫に入れときますね。」

提督「ああ、よろしく頼む。」


青葉「あのぉ…」

漣「じゃあ、青葉さん。これからご主人さまは執務のお時間ですので、取材はまた今度にお願いします。」

青葉「え?ええええ!?」

漣「挨拶すんだんですから。」ガシッ

青葉「そんなぁーーーーーーー!!」ズリズリズリズリ…

バタンッ

提督「なかなか厄介な奴が来たな…」

提督「まぁ、"アイツ"よりかはマシか。」







漣「では、青葉さんはこの部屋をお使いください。」

青葉「個室ですか?」

漣「今はまだ人数も少ないですから。」

漣「人が多くなってきたら相部屋もあると思いますよ。」

青葉「そうですか。」

漣「足りないものがあれば言ってくださいね。」

青葉「司令官の情報…」ボソッ

漣「なにか?」

青葉「いえ!」アセッ

漣「そうですか。」

青葉「ホッ」

漣「そうそう青葉さん。」

青葉「?」

漣「くれぐれも、おかしな行動は控えるように。」

漣「風紀の乱れにもつながりますので。」

漣「いいですか?」

青葉「…はい。」

漣「それでは、今日はゆっくりしてくださいね。」

青葉「…はい。」

バタンッ


青葉「…」

青葉「…ふっ」

青葉「こんな事でへこたれるような青葉じゃないですよ!」

青葉「絶対に司令官の秘密を暴いてやります。」

青葉「このジャーナリスト魂にかけて!」

ガチャッ

漣「聞き忘れたことがありました。」

青葉「ひぃっ!?」

漣「ひぃっ?」

青葉「あ、いえ…でなんですか?」

漣「スイカ食べます?」

青葉「スイカ?」

漣「お礼にスイカももらったんで。」

青葉「たっ食べます。」

漣「じゃあ、冷やしておくか。」

バタンッ

青葉「…」

青葉「こっちは肝が冷えました…」






漣「これでよしっ」

漣「ちょうど昨日テレビでやってたから良かった。」

漣「スイカは冷蔵庫で冷やすよりも、こうやって桶に入れて上からタオルをかけて、水道から水をチョロチョロ垂らす。」

漣「なんでも気化熱でいい具合に冷却できるとか。」

漣「漣にはわかんないけど、おいしく冷えればいいや。」

漣「みんなの訓練が終わるころには食べごろかな?」

漣「そういえば、ほかのフルーツはどうしよう?」

漣「冷蔵庫でいいのかな?」

漣「あっ!魚しまわないと!」













??「…」









キッチン

漣「えーっと…」ゴソゴソ…

漣「魚はこっちの段に…」

漣「以外に多いな…こっちの段入らなくなった。じゃあ、こっち…」

漣「フルーツは…冷蔵庫に入れて大丈夫なのかな?」

漣「いやぁ、スーパーとかで見ると入ってないし…」

漣「とりあえず、段ボールごと置いといて調べてから片づけよ。」

漣「この箱は…」

漣「牛缶がギッシリ!?」

漣「…発注間違えたか。」

漣「まぁ、秋月ちゃんが食べるからいいか。」

漣「こっちの段ボールは?」

漣「…待った。」

漣「なんでツナ缶がこんなに来てるんだ?」

漣「…」

漣「ご主人さまたちか…」

漣「あとで言っとこ。」ゴソゴソ…






テテテテテテテ




漣「ん?」チラッ

漣「…」キョロキョロ

漣「?」

漣「気のせいか。」

漣「早く片付けてお説教だ。」ゴソゴソ…








ヒョコッ

??「…」ジーッ









開発ラボ前


シュタッ!

青葉「…」キョロキョロ

青葉「クリア!」

シュタッ!

青葉「…」キョロキョロ

青葉「こっちもクリア!」

シュタッ!

青葉「ふふふ、ジッとなんか出来るもんですか。」

青葉「この鎮守府は秘密がいっぱいに違いありません。」

青葉「司令官からしてミステリアスなんですから。」


青葉「たとえばこの開発室!」

青葉「ん?」

青葉「開発…"ラボ"?」

青葉「…」

青葉「"室"ではなく?」

青葉「なかなか洒落たことをしますね。」

青葉「どれどれ?」コソッ


コポコポコポ…

バチバチバチッ!

キュイーーーン!


青葉「…」

青葉「…青葉の知ってる開発室と違う。」

青葉「なんというか…マッドサイエンティストの住処みたいなことになってますね。」

青葉「本当に開発室?」






コワルスキー「…」

キュイーーーン!

バリバリバリッ




青葉「…」

青葉「生きのいいネタが転がってましたよ!」

青葉「まさか開発担当までペンギン!」

青葉「工廠の妖精さんには聞いてましたが、まさか事実とは!」


青葉「燃えますねぇ。これは突撃あ



ズドォーーーーーーーーーーン!



コワルスキー「…」マックロ

コワルスキー「…ケホッ」

コワルスキー「しまった。圧力をかけすぎたか。」




青葉「…」マックロ

青葉「…ケホッ」

青葉「ここは、なんとなく危険な臭いがします。」

青葉「ジャーナリストは命あってです。ここは後回しにしましょう。」

青葉「着任当日に轟沈とか、シャレになりませんからね。」コソコソ




夕張「ちょっと、何の音!?」

開発「すげぇ音だったぞ!?」

コワルスキー「ああ、すまない…」




訓練場




加賀「…」

ギリッ

パヒュッ




青葉「あれは、一航戦の加賀さんですね!」

青葉「いやぁ、凛々しいお姿!絵になります!」

パシャパシャッ

青葉「でも青葉が欲しいのは、こういう絵ではなくて…」




矢矧「こら!春雨で遅れてるわ!」

春雨「すっすみませぇ~ん!」



青葉「おや、あっちでも訓練をしているみたいですね。」

青葉「こっちでは駆逐艦たちの洋上訓練ですか。」

青葉「教官役は阿賀野型の矢矧さんですか。」



矢矧「朝潮は前に出過ぎ!もっと周りを意識しなさい!」

朝潮「はい!」

矢矧「秋月、いいペースよ!」

秋月「ありがとうございます!」



青葉「これもこれで。」

パシャパシャッ

青葉「…でも、これじゃない!」


青葉「あれ?そういえば、加賀さんは一人で訓練ですかね?」

青葉「まぁ、この鎮守府に空母は一隻みたいですし。」


ブォーーーー…ン…


青葉「おお!あれが俗にいうゼロ戦!」

青葉「…ですよね?」

青葉「ずいぶん退化したような形ですが…」

青葉「そもそも、ゼロ戦って、複葉機でしたっけ?」


ブォーーーーーン!


青葉「そうそう、今のがゼロ戦です!」

青葉「…じゃあ、あの複葉機は?」


新人「…」


リコ「…」


青葉「あっあれはペンギン!」

青葉「なんと!ここにもネタが転がって…いえ、浮かんでますね。」

青葉「何はともあれシャッターチャーンス!!」

カメラ カマエ

青葉「う~ん…太陽の逆光が…」



ドーー…ン…


青葉「なんですか?今の音…」


ウワァ…ァァァ…


青葉「なんですか?この声…」

青葉「気のせいですか?あの複葉機、こっちに近づいて…」


新人「うわあああああああああああ!!」


青葉「いえ、落ちてますね。」

青葉「しかも、こっちに向かって。」ハハハ

新人「どいてええええええええええ!!」

青葉「あわわわわわわああああああ!!」



ドォーーーーーーーン!!




新人「いてて…」

加賀「新人。大丈夫!」

新人「僕は…でも。」


青葉「世界がぁ…回ってるぅ……これはぁ…スクープぅ……ですぅ…」ピヨピヨピヨ


リコ「タシカニ、スクープ。」

加賀「あら、この娘。」







ぶつかった影響で飛ばされたカメラ






??「…」







医務室


青葉「…うぅ」

漣「変に嗅ぎまわった罰です!」

青葉「面目ないです…」

漣「大けがしなくて良かったですよ。着任当日に轟沈とかシャレになりませんからね。」

青葉「身に染みる思いです…」

漣「はい、OKです。」パシンッ

青葉「うわっ叩かないで下さいよ。」

漣「じゃあ、次は叩かれないように。」

青葉「…はい。」


提督「全く。あんな場所で何をしていたんだか。」

加賀「驚きました。あそこに人がいるだなんて思いませんからね。」

新人「でも、大けがじゃなくってよかったッス。」

コワルスキー「それにしても、なぜ顔がまっ黒なんだ?」

夕張「それはあなたも一緒ですよ。」

コワルスキー「?」

漣「これに懲りたら、変な詮索はよしてくださいね。」

青葉「肝に銘じておきます。」


青葉「ハァッ…じゃあ、先ほど撮った加賀さんたちの写真でも現像して…」

青葉「あれ?」

加賀「どうかしたの?」

青葉「私のカメラ知りません?」

加賀「私は見てないわ。」

加賀「あなたたちは?」

新人「僕も見てないです。」

リコ「ミテナーイ。」

青葉「そんな!」

漣「ちょっと、どこ行こうっていうんですか?」グイッ

青葉「どこってカメラを!」

漣「一応怪我人なんですから、大人しくしてください!」

青葉「じゃあ!」

漣「妖精さんたちには連絡しておくので、見つけ次第渡しますよ。」

漣「それでいいですね?」

青葉「…はい。」

提督「ここに盗む奴なんていないだろう。」

新人「そうですよね。妖精さんばかりだし。」

加賀「艦娘もまだ少ないですし。盗んだとしてもすぐばれます。」

提督「ということだ。すぐに見つかる。」

青葉「…はい。」


矢矧「ふぅ。」

漣「あ、矢矧さんお疲れ様です。」

矢矧「あら、漣ちゃん。」

矢矧「さっきの騒ぎは何だったの?」

漣「ちょっと色々ありまして…」アハハ…

矢矧「?」

漣「まぁ、ちょっとしたトラブルですよ。特別大事じゃないです。」

矢矧「なら、いいんだけど。」

漣「そういえば、カメラ落ちてませんでした?」

矢矧「カメラ?」

漣「はい。青葉さんの何ですけど…」

矢矧「青葉…新造艦は青葉型の娘だったのね。」

矢矧「でも、ごめん。カメラは見てないわ。」

漣「そう…ですか。」

矢矧「また見つけたら伝えるわ。」

漣「お願いします。」

矢矧「って、どこ行くの?」

漣「カメラの事、他の艦娘の娘や妖精さんに伝えてきます。」

漣「あとスイカ。」

矢矧「そう、頑張って。」

矢矧(…スイカ?)







漣「いろいろ聞いて回ったけど、皆見てなかったな。」

漣「スイカを食べて貰って、元気を出してもらおう!」

漣「さて、冷えたかなぁ…」

漣「…」

漣「…」

漣「…」キョロキョロ

漣「…」

漣「…」




漣「ん!?」







執務室

加賀「では、この書類で最後です。」

提督「すまんな加賀。」

加賀「いえ、秘書の代理ぐらいいくらでも。」


タ、タ、タ、タ、タ、タ、


提督「ん?」

加賀「た?」


バァンッ


漣「大変です!」


加賀「扉は静かに開けなさい。」

漣「大変なんです!」

加賀「大変でもよ。」

漣「ごめんなさい!」


提督「で、何が大変なんだ?」

提督「まさか、ドクターシオフキーが攻めてきたのか!」

提督「奴め、ここまで追ってくるか!」

漣「…」

加賀「…」

提督「…」

提督「どうした?」

漣「誰かな?と。」

加賀「で、何が大変なの?」

漣「そうです!大変なんです!」ブンブンブンッ

加賀「そう。大変なのはわかったから私を揺らすのはやめなさい。」グラグラグラッ

漣「冷やしてあったスイカが消えちゃったんです!」


提督「スイカぁ?」

加賀「消えた?」

漣「はい!届いたときにみんなで食べようと冷やしていた。」

提督「ああ、あの五月雨の提督からもらった奴か。」

提督「消えるなんてことはないだろう?実は冷やしてなかったとか?。」

漣「そんなことないです!ちゃんと水のたまった桶と、被せてあったタオルは残っているんですから!」

提督「…」

加賀「一度現場に行ってみましょう。」

提督「そうだな。」

提督「ちょっと待った。これを押してからだ。」

ポンッ

提督「よし、今日の執務は完了だ。では、行こうか。」






加賀「ここで冷やしていたの?」

漣「はい。そろそろ食べごろだと思ってみてみたら…」

提督「無かったと?」

漣「はい。」

加賀「このやり方、テレビで前やっていたやり方かしら?」

漣「はい。だから楽しみにしてたのにぃ!」

加賀「そうね、ここまでやっていて冷やし忘れるなんて、あなたはそんな間抜けな娘じゃないものね。」

提督「だが、万が一もある。残りのフルーツは?」

漣「キッチンです。まだ段ボールに入ってます。」

加賀「では、一応見ておきますか。」

漣「ちゃんと冷やしましたよ?」

加賀「念のためよ。」










キャーーーーー!

提督「む、キッチンからだぞ!」

漣「あの声は…春雨ちゃん!?」

加賀「今日の昼食当番ね。」


キッチン


提督「春雨、無事か!」

漣「春雨ちゃん!」

加賀「今の悲鳴は何?」

春雨「司令官、見てください!」

提督「これは!」



ゴッチャ~…



加賀「何この惨状は…」

春雨「私が来たらこんなことに…」

加賀「凄い荒らし様ね。」


加賀「漣、あなた整理してたわよね?」

漣「確かに漣ですけど、ちゃんと整理しましたよ!?」

加賀「なら、いいのだけれど。」

提督「しかし、酷いな。」

ガチャッ

提督「おお、魚は無事のようだ。」

バタンッ

提督「しかも無傷でだ。」

加賀「そう。」

漣「良かったですね。」

春雨「司令官、もっと確認することがあると思いますよ?」アハハ…

提督「?」


加賀「…」ジーッ

加賀「あのダンボールかしら?」

漣「はい…って、果物が全部消えてる!?」


青葉「こんな惨状の中、果物だけが消える。」


漣「うわっ!?」

加賀「あら、居たの?」

青葉「今来ました。」

漣「ビックリしたぁ…」


提督「消えたのは、フルーツだけじゃなさそうだ。」

漣「え?」

提督「ここの戸棚も開いていて、この缶も少し減っている。」

加賀「牛缶ね。」

提督「だが、ツナ缶は減っていない。不幸中の幸いだ。」

漣「ご主人さま、後で、そのことについて少しお話があります。」

提督「ん?」

加賀「しかし、スイカだけでなく段ボールに入った果物と牛缶までなくなるなんて…」


青葉「これは事件です!」


提督「なに!?」

漣「事件!?」

加賀「少々、大げさすぎないかしら?」

青葉「いいえ、大げさなんてとんでもない。」

青葉「よく考えてください。スイカに果物、牛缶、カメラ。これらのモノが一斉になくなった。」

青葉「これを事件と呼ばずしてなんと呼ぶんですか!」


加賀「カメラは貴方が失くしただけでしょ?」

青葉「うっ」

加賀「どちらにせよ皆さんにお話を聞かなければなりませんね。」

提督「ならば、執務室に皆を呼ぶとしよう。」





執務室

朝潮「果物…ですか?」

秋月「私たちは訓練中でしたから、そんな事知りませんでしたよ。」

秋月「っていうか、牛缶までなくなっていたんですか!?…ショックです。」

矢矧「私たちは知っての通り、訓練中でした。スイカのことも果物も知りませんでしたし。」

矢矧「新人たちですか?今日は防空の訓練もあったので標的になってもらってました。」

矢矧「あの子たちの操縦テクニックは最高ね!いつもいい訓練が出来ているわ。」

夕張「今日ですか?」

夕張「コワルスキーと開発妖精さんと一緒に、新兵器の開発・研究を…」

夕張「スイカ?果物?牛缶?…知らないですよ。」

夕張「今はお腹空いてますけど…その時は集中してたし、あんまり気にならなかったかな?」


提督「だ、そうだ。」

加賀「基本的に皆一緒にいる時間が長いから、抜け出して食べるなんて真似は出来ないわね。」

漣「と言うより、あの荒らし様は短時間じゃ無理ですよ。」

青葉「となると、犯行は外部の者!」

加賀「それもあり得ないんじゃ?」

青葉「なぜです?」

加賀「ここは孤島で、鎮守府以外は何もないのよ?」

加賀「居住する場所がない以上、民間人だっていない。」

秋月「そうなってくると、外部からは本土からの侵入者?」

秋月「もしくは…」

漣「深海棲艦ぐらいしか…」



一同「!」



春雨「いっいや、まさか…」

朝潮「周辺警備はしっかりしているもの、そんなはずは…」

矢矧「私もその意見には反対…したいわね。」

新人「まさか!敵がここに!?」

リコ「オゥイエー!カブラボー!」シュー…

コワルスキー「待て、リコ!ここでダイナマイトはまずい!」

夕張「ちょっと執務室をブッ飛ばす気!?」

加賀「急いで止めて!」

コワルスキー「と言うか提督。」

提督「なんだコワルスキー。」


コワルスキー「冷蔵庫の中には無傷の魚と、戸棚の中にはこれも無傷なツナ缶が置いてあったと?」

提督「ああ。」

コワルスキー「そしてフルーツだけが無くなってた…」

コワルスキー「一人だけ該当する人物…いえ、動物が居ます。」

提督「偶然にも、私も一匹見つけたよ…」

提督「あまり思い出したくない奴だがな。」

コワルスキー「やはり。」

漣「心当たりでもあるんです?」

提督「いや、まぁ…なぁ?」

コワルスキー「同じ動物園に居た動物です。」

コワルスキー「まぁ、向こうの世界に居るのでこちらには居ないはず…」


提督「そうだな。やはり除外するべきか…あの…」

提督「キツネザルは。」


ブゥワックション!


一同「!?」


新人「なんです?今の音!」

加賀「くしゃみかしら?」

矢矧「あなたたち?」

秋月・朝潮・春雨「「「…」」」ブンブンッ!

夕張「私たちでもないですよ。」

青葉「…」ウンウンッ!

漣「じゃあ、誰の?」


提督「コワルスキー…」

コワルスキー「ええ。」

コワルスキー「あー…」

コワルスキー「キツネザル。」


ブェーックション!


一同「!!」


提督「…」

提督「キツネザル。」


ハックション!

ウフフフ、モートクシャミデチャッタ。


コワルスキー「!」

提督「いま…」

コワルスキー「間違いないようです。」


提督「キツネザル。」

ブゥワックション!

コワルスキー「キツネザル。」

ブェーックション!

青葉「キツネザル!」

ハックション!

マタデチャッタ!?

提督「…」ジーッ

青葉「…楽しそうだったから、つい。」

提督「…」

提督「キツネザル。」

ブゥワックション!



執務室のクローゼット


バァンッ


提督「そこかぁ!」




ジュリアン「…」モッチャモッチャ…

モーリス「…」ズズズズ…

モート「…」モグモグ…



提督「…」

ジュリアン「…」ゴクンッ

ジュリアン「あー…今食事中なんだ。すまんが扉を閉めてくれ。」

提督「おお、すまんな。」

バタンッ

提督以外の一同「…」

提督「食事中だそうだ。」

提督以外の一同「…」

提督「…」



バァンッ


提督「そうじゃないだろ!」

ジュリアン「だから食事中だと」

提督「食事中だとかどうでもいい!」

提督「なぜ貴様がここに居る!」

提督「リングテール!」

ジュリアン「…」ゴクンッ

ジュリアン「おお…」

ジュリアン「おお!」

ジュリアン「おお!!」

ジュリアン「ペンギンども!無事だったのか!」

提督「なに?無事?」


ジュリアン「そうだとも、心配しておったのだぞ!」

ジュリアン「…わしはしておらんが。」

チョンチョン

提督「ん?」

漣「ご主人さま、お知り合いで?」

提督「あー…そうだな。…悲しいことにな。」

提督「それで、どうしてお前がここに。」

ジュリアン「お前たちが居なくなって、わしらが助けに来た!」

提督「…」

提督「すまん…よく聞こえなかった。」

ジュリアン「だから、わしらが助けに来たと言っておるんだ。」

提督「…」チラッ

モーリス「…」ウンウンッ

提督「誰が?」

ジュリアン「わしが。」

提督「誰を?」

ジュリアン「お前らを。」

提督「何しに?」

ジュリアン「助けにだ!」


ジュリアン「う~ん。なんてわしは勇敢なのだ!」

ジュリアン「単身で敵のアジトに乗り込むなんて!」

チョンチョン

ジュリアン「ん?」

モーリス「私たちのことを忘れてますぞ?」

ジュリアン「あー…忘れておったわい。」

提督「コワルスキー。これは一体どういうことだ?」

提督「奴ら、私たちを助けに来たと言っているぞ?」

コワルスキー「えー…私にもさっぱり。」

コワルスキー「あのダミーも我々そっくりに作ってあるので、何も影響はないかと…」

モーリス「ダミーってあのロボットの事か?」

提督「…おい、すんなりバレてるぞ。」

コワルスキー「そんな馬鹿な!?」


ジュリアン「しかし、無事で何よりだ。」

ジュリアン「この凄腕エージェントのキングにかかれば、誘拐事件ごとき!」



回想中

ジュリアン「こちらコードK010。敵のアジトに到着した。」

ジュリアン「これより侵入を…」

モーリス「ちょっとちょっと、キング。」

ジュリアン「!」

ジュリアン「おい、人の回想に勝手に入り込んでくるな!」

モーリス「じゃあ、ちょっと現実に戻ってください。」




ジュリアン「戻ってきたぞ。」

モーリス「それだと、我々2匹が居ないのですが?」

ジュリアン「ん?」

ジュリアン「んー…。そもそも、なんでお前たちが居るんだ?」

モーリス「私たちも救出しに来たからですよ。」

モーリス「…半ば巻き込まれたようなものですが。」ボソッ

ジュリアン「何か言ったか?」

モーリス「いいえ。」


モーリス「そもそも、その回想自体が間違っているんです。」

モーリス「実際はこうです。」





またまた回想中


セントラル動物園


モーリス「はぁ、キングとモートはどこに行ったんだ?」

マリーン「ハァーイ。」

マリーン「誰か探してるの?」

モーリス「良い所に。キングとモートを見なかったか?」

マリーン「キングは知らないけど、モートなら隊長たちの檻で何かしてたわよ?」

モーリス「モートだけでもいいや。すまんな。」

マリーン「あんたも暑いのに大変ね。」

モーリス「全くだ。」



ペンギン居住区


モーリス「ん?おお、居た居た。」

モーリス「モート、探したぞ。」

モート「ぜぇ…はぁ…モート…腕、パンパン…」

モーリス「…何をしてるんだ?」

モート「ペンギンたち…ずっと手を振ってる…モートも…ずっと手を振ってる…」

モーリス「んん?」


隊長(ダミー)「キュート ニ キメテ コビマクレ」フリフリ

コワルスキー(ダミー)「コビマクレ コビマクレ」フリフリ

リコ(ダミー)「コビマクレ コビマクレ」フリフリ

新人(ダミー)「コビマクレ コビマクレ」フリフリ


モーリス「…」


コンコンッ

隊長(ダミー)「コビマクレ コビマクレ」フリフリ

モーリス「これは隊長たちじゃない。本物そっくりのロボットだ。」

モート「ロボット?…じゃあ、手を下していい?」

モーリス「ああ。」

モート「モートやっと手を下せる。バンザイ!」

モート「あ…また手をあげちゃった…」

モーリス「良かったな。手を下せて。」


ジュリアン「全然よくないぞ!」ドアップ


モーリス「ウォワ!」

モーリス「キング、いつの間に?」


ジュリアン「あいつら…ペンギンどもがここに居ないという事はどういう事だ?モーリス。」

モーリス「…また何かやらかしているとか?」

ジュリアン「ちがーう!なぜ貴様はこうも頭が固いのか!」

ジュリアン「あいつらが居らず、偽物が居る。それは…」

モーリス「それは?」

モート「「それは?」



ジュリアン「誘拐!」

ジュリアン「ああ、なんと恐ろしい響きなのだ!」



ジュリアン「…」

ジュリアン「…モーリス、キングの嘆きのポーズ。」

モーリス「はいはい。」ヨツンバイ

ジュリアン「もうちょい右。」

ジュリアン「行き過ぎ。」

ジュリアン「行き過ぎてなかった。戻れ。」

ジュリアン「そこ。よし。」


ジュリアン「あぁ~!」シナダレ


モーリス「しかし、キング。少し考えすぎでは?」

ジュリアン「なぜそう言える?」

モーリス「今までも、あいつらがダミーを使ったことが何回もあるからです。」

モーリス「だいたいどこかに行ってたりしますが。」

ジュリアン「ここ数日ずっとああだったぞ?」

モーリス「…」

モーリス「ずっと見てたんですか?」

ジュリアン「ああ、たまにな。」

モーリス「…そうですか。」

モーリス「ところで、もう嘆きのポーズ良いですかね?」

ジュリアン「まだダメ。」

モーリス「…」







夜 ペンギン居住区


モーリス「本当に行くんですか?」

ジュリアン「嘘で行くやつがどこにいる。」

モーリス「いや、そういう事ではなくて…」


ペンギンズ秘密基地


モート「モート、ちょっと怖いかも…」ガクブル

ジュリアン「ええい、ビビるな!それでもわしの家来か!」

モーリス「でもキング。奴らが居ないとなると、逆に不気味です。」

ジュリアン「そういうな…」


隊長(ダミー)ギョロッ


ジュリアン「ぎゃあああああああああああ!!」

モーリス「うわあああああああああ!!」

モート「ひいいいいいいいいいいい!!」


隊長(ダミー)「ジュウデンチュウ ジュウデンチュウ」


モーリス「なんだ、さっきの偽物じゃないですか。」

モーリス「驚かせないで下さいよ。」

モート「モート、ビックリした…」


ジュリアン「コホンッ、今のはわしのしゃっくりだ。」

モーリス「…ウソ」ボソッ

ジュリアン「何か言ったか?」

モーリス「いいえ。」

モート「あ」

ジュリアン「うわぁ!」

モーリス「!」ビクッ

ジュリアン「なんだ!今度はどうした!?」

モート「こんなところに扉がある。」

ジュリアン「なんだ扉か…驚かすな。」


モート「でも、なんで扉だけここにあるんだろう?」

ピトッ

ビーッビーッビーッ!

ジュリアン「!」ビクッ

モーリス「なんだぁ!?」

ドア「キドウチュウ キドウチュウ」

ドア「エラーシュウセイチュウ…」

ドア「シュウセイキョヒ…」

モート「なんかおしゃべりしてる。」

モート「うふふふ、こんにちは。」

ジュリアン「おい、モート!」

ジュリアン「今は"こんばんは"、だろ?」


モーリス「そうじゃないでしょう。」

モーリス「なんかヤバそうですよ?」

ジュリアン「たかが扉に何がヤバいんだ?」

モーリス「あいつらの作った機械ですよ?」

ジュリアン「そんなことは分からんぞ?」

ジュリアン「もしかしたら、あのペンギンどもを攫った張本人かもしれんぞ!」

モーリス「扉が…ですか?」

ドア「ペンギン…」

ドア「ケンサクカイシ…」

ドア「ガイトウアリ ガイトウアリ」

ジュリアン「見ろ、こいつが居場所を知っているみたいだぞ。つまり攫った張本人だ!」

ドア「モクテキチ コテイ」

ドア「キドウシマス」




ガチャッ



ゴォッ



モーリス「オッオゥ…なんかヤバいかも…」

モート「モート、宙に浮いてる!鳥さんみたい!」ウフフフ

ジュリアン「なんか勝手に体が動いておるぞ!」

モーリス「動いているのではなく浮いているんです。」

モーリス「そして…」


ゴォッ


モーリス「吸い込まれていますぅ!」

モート「うわあああああああああ!!」

モーリス「うおおおおおおおおおお!!」

ジュリアン「どこか掴むとこ!」キョロキョロ

ジュリアン「こういう時に限ってなかったりするんだよね。」

ジュリアン「おケツが吸い込まれるうううううううううう!!」




3匹「「「うわあああああああああああああ!!」」」





回想終了



加賀「で、ここに来たと。」

ジュリアン「おかげで見ろ!わしのおケツが真っ赤っかだ!」

モーリス「見事に擦ってましたからね。」

提督「なんてことだ…」

コワルスキー「しかし、あっちのドアが生きているということは、うまくやれば帰れるかもしれません。」

提督「…帰れる…ね。」

コワルスキー「? 帰りたくないんですか?」

提督「帰りたいが…」チラッ

艦娘一同「…」

提督「私は中途半端が一番嫌いだからな。」

新人「ですよね。」

リコ「ウンウン!」


コワルスキー「いうと思いました。」

コワルスキー「ですが少々問題が。」

提督「うん?」

コワルスキー「我々のダミーは用意してますが、あの3匹のダミーは用意してないんです。」

コワルスキー「つまり…」





そのころ、セントラル動物園


アリス「うっ…うぅ…」

記者「では、その『ワオキツネザル』と『アイアイ』と『コビトキツネザル』の3匹が行方不明なんですね?」

アリス「さっきからそう言ってんだろ!」

記者たち「「「…」」」

アリス「…」

アリス「あら、失礼。」

メグスリ

アリス「うぅ…ですので探してくれた方には…ゴニョゴニョ…ドルのお礼を差し上げます。」

記者「え?いくら?」

アリス「ゴニョゴニョ…ドルです。」

記者「え?」

アリス「だからゴニョゴニョドルって言ってんだろ!」

記者「え!?」





提督「仕方あるまい。帰れないのであれば。」



漣「あー!」


提督「今度はなんだ?」


漣「漣が冷やしてたスイカ!…の皮」

ジュリアン「おお、こっちに来た時に落ちていたのでな拾っておいたぞ。」

ジュリアン「非常にうまかった。」

矢矧「こっちにはマンゴーやバナナとかのフルーツの皮が!」

ジュリアン「いろんなとこに隠れていたので助けてやったぞ。」

ジュリアン「主にわしの腹がな。」ゲフッ

秋月「こっちには牛缶の空き缶が…一個だけ?」

秋月「しかも食べ残してある…」

ジュリアン「それは不味かった。今度はもっとうまいのを置いておけ。」

ジュリアン「そう、マンゴーを多めにな!」

漣「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

秋月「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


モーリス「キング、拾ったというのは嘘だったんですか?」

ジュリアン「嘘ではないぞ?」

青葉「って、ああ!」

提督「はぁ、お次は?」


青葉「その首にかけてるの、青葉のカメラ!」


ジュリアン「これこそ正真正銘のワシが拾ったものだ。」

ジュリアン「見ろ、この真ん中で光るキラキラした水晶。」

ジュリアン「まさに王の風格のあるわしにピッタリなキラキラだ。」

青葉「それは青葉のです!返してください。」

ジュリアン「ならこう言い返そう。」


ジュリアン「もう、わしのだ。」


ダッ


漣「あっ逃げた!」

秋月「待てぇ!」

提督「何をやってるんだ?あいつらは…」

青葉「…」フルフル…

提督「ん?お前は追わんのか?」

青葉「ふふふ…」

提督「?」

青葉「この青葉を敵には回すとは…」

青葉「笑止!」

青葉「目にもの見せてくれるぅーーーーー…」

新人「行っちゃいましたね。」


加賀「なかなか人騒がせな友人ね。」


提督「友人ではない!」

ジュリアン「友人ではない!」


ジュリアン「あ」

ダッ

マテー!



加賀「ユニークな知人ね。」


提督「それなら許容範囲だな。」

ジュリアン「それなら許容範囲だな。」


ジュリアン「あ」

ダッ

アッチダ!

アオバノカメラー


加賀「…」ジーッ

提督「無言で見つめるのはやめてくれ。」

加賀「…」ジーッ

提督「…わかった。」

提督「コワルスキー、作戦。」

コワルスキー「はい。では」ガシッ

コワルスキー「ん?」

夕張「コワルスキー、次元を超えられるような装置が開発できるなら、もっとすごい兵器も開発できるよね?」

コワルスキー「え?」

夕張「今すぐ開発ラボへ行きましょう!」

コワルスキー「え?ちょっ…まっ…」

夕張「さぁ、早く!」グイッ

コワルスキー「あっあああああああああああああ!!」ビュンッ

提督「おい、コワルスキー!」

提督「…」

加賀「私でよければ。」

提督「すまん…加賀、作戦。」




ジュリアン「わしに勝てると思っているのか!」

青葉「こらー!返せー!」

漣「スイカの恨み!」

秋月「牛缶はまずくありません!」



モーリス「…キングはどこ行っても変わらんな。」

モーリス「…」

モーリス「モート?」


春雨「やだ、フワフワ!」

モート「きゃははは!くすぐったい!」

朝潮「春雨、次は朝潮も!」

モート「ロドニー(しっぽ)もフワフワだよ。」

朝潮「うわぁ…///」

矢矧「次は私も!」


モーリス「…はぁ」



というわけで今回は終了です。

こんなドタバタで終わるのもいいかなと。

次回からはこの3匹もレギュラーキャラとして登場していく予定です。

青葉も加わって更なるドタバタが…あるかも?

というかアニメ同様、最初のシリアスはどこ行ったんだか…

いずれまたシリアスが出てくる予定ではありますが、まだ当分かな?

さて、今のメンバーを整理します。


漣(秘書艦)
秋月
加賀
春雨
朝潮
夕張
矢矧
青葉


やっぱそろそろ戦艦もほしいですね。というわけで今回の安価は戦艦オンリーで。

安価↓2で金剛型以外と大型建造でしか作れない艦娘以外でお願いします。

大分絞られますが、ご協力お願いします。

あと、感想やこんなストーリーも見てみたいっていうのがあれば、書き込んでください(書けるかどうかは作者の能力次第ですが…)

それではよろしくお願いします。


そうですね。

今回の安価は戦艦オンリーなので、安価下の伊勢で。

言われてみれば伊勢の出てるSSってあんまりないね。

お久しぶりです。

前回の更新から1週開いてしまいました。

申し訳ないです。

書き溜め頑張ってるけど、仕事でなかなか…

でも、とりあえず前半部分まで出来上がったので、投下していきたいと思います。


鎮守府 訓練場




ズドォーーーーーーン!



ズガァーーーーーーン!



標的用の船「」


ズブズブズブ…


提督「おお!」


コワルスキー「素晴らしい火力です!」

コワルスキー「彼女が来てくれたおかげで、わが鎮守府の戦力はずば抜けて上がっています!」

コワルスキー「これにより、まだ未攻略の海域もいずれは…」

漣「くぅ~…あの35.6cm連装砲から放たれるすさまじい発砲音!」

漣「これですよ、これ!この火力です!漣が欲しかったのは!」

漣「流石は戦艦!」

漣「流石は伊勢!」


パシャパシャッ

青葉「って、青葉も一応は重巡洋艦なので、火力には自信あるのですが…」

提督「お前は色々と問題外だ。」

青葉「ひどい!」

矢矧「だったら、そのパパラッチごっこ辞めたら?」

青葉「ごっこ!?」

青葉「初めてです…ごっこと言われたの…」ウルウル

青葉「確かにまだ新聞は発行してませんが、一応はジャーナリストです!」ウルウル

青葉「決してごっこでは否!」ズイッ

矢矧「わっ分かったわ。」

青葉「ふんっ」プイッ


青葉「いいですよー。隙あらば司令官のあられもない姿を載せてやる。」

提督「なんなら、お前に24時間ボディガードを付けてやろう。」

提督「監視という名のな。」

リコ(サングラス装備)「マカセロ!」

青葉「…遠慮します。」

青葉「でも、いつかはスクープを撮ってやる。」

青葉「あの憎きキツネザルからやっとの思いで取り返した、このカメラで…」

(前回のお話の後、隊長たちの手を借りて2日後にようやく取り返した。)


青葉「…」

青葉「そういえばやけに静かでは?」

モーリス「ひょっとして、お前の言う憎きキツネザルの事か?」

青葉「そうそう。あなたの上司でしょ?」

モーリス「上司?」

モーリス「何度も言うが、あの方は偉大なるキングだ。」

モーリス「上司なんて安っぽい存在じゃない。」

青葉「そうでしたね。じゃあ、そのキングは?」

モーリス「さぁ?実は私たちも探している。」

モーリス「この演習とやらが始まるころからいないんだ。」

モート「モート、今日キングの足触ってない…」

加賀「待って。」

秋月「凄く…」

漣「やな予感しかしない…」

朝潮「ん?」

春雨「どうかしたの?」

朝潮「気のせいかしら、伊勢さんの艤装の上に影が…」

春雨「え?」






伊勢「着任初日からいい調子ね。」

伊勢「この調子でこれからも…」

ヒョコッ

ジュリアン「おお、海の上とはなんとファンタスティックな!」

ジュリアン「わしここ気に入った!」

伊勢「…え?」





漣「ちょっと、あのキツネザルいつの間に!?」

モーリス「居ないと思ったらあんなところに…」

モート「キング海の上、いいなぁ。」

提督「リングテール…」プルプル…





伊勢「え?ちょっ…いつの間に!?」

ジュリアン「今日からここをわしの王国の一部とする!」

伊勢「王国?一部?」

ジュリアン「そうだ。光栄に思えよ。」

伊勢「ここって…艤装の上だよ?」

ジュリアン「そうか、ここはギソウというのか。」

ジュリアン「…なんだ?ギソウって。」

ジュリアン「ひょっとして…新しい家具の名前か?」

伊勢「ええ…そこから?」

ジュリアン「そうだ。きっとそうに違いない!」

ジュリアン「おお、ギソウ。なんと素敵な響き。」

ジュリアン「高貴なわしにピッタリではないか!」スリスリ


伊勢「話が勝手に…」

提督『あー…聞こえるか?伊勢よ。』

伊勢「提督?」

提督『撃て。』

伊勢「へ?」

提督『その、連装砲というのを撃て。』

伊勢「でも、今…」

提督『構わん。』

伊勢「…」

伊勢「…」ジーッ

ジュリアン「おお、なんと乗り心地のいいギソウなのだ。」スリスリ

伊勢「…」

伊勢「…はぁ。」









ドォーーーーーーーン!!








ジュリアン「!!!!!」ビクゥーーーーッ!

ジュリアン「ああ、耳にキーンって…」フラフラ

ジュリアン「足もツルって」ツルッ

ザッパァーーーン!!

伊勢「…」

提督『そいつを連れて戻ってこい。』

伊勢「…了解です。」

ヒョイッ バシャッ

ジュリアン「目がグルグルー、世界がグルグルー、なぁんつって。」ポタポタ






執務室


提督「着任早々に我が儘を言ってすまんな。」

伊勢「そんなことないわ。」

伊勢「そんな事より、みたみた?どーよ?」

提督「バッチリ見たぞ。」

提督「標的の船を沈めるとこから、キツネザルも沈めるとこまでな。」

コーヒーズズッ

提督「実に気分のいい…いや、いいものを見せてもらった。」

伊勢「それ、言い直せていませんよ?」


提督「とにかくだ、歓迎しようではないか。」

漣「ようこそ!わが鎮守府へ!」

提督「…」

漣「待ってたんですよぉ、戦艦!」

伊勢「そうなの?」

漣「はい。わぁ、すごい体つきですね!」

伊勢「そりゃあ、艤装が重いからね。鍛えないと。」

提督「…」

漣「これからよろしくお願いしますね。」

伊勢「こちらこそ、よろしくね。」


提督「オホンッ!」

伊勢「!」

提督「次の作戦が決まるまで十分に体を休めるように。以上だ。」

伊勢「はいっ!」

伊勢「失礼します。」

バタンッ

漣「でも、これで攻略できる海域が増えましたね。」

漣「…ご主人さま?」

提督「…」

漣「…」

漣「まさか、ふて腐れてます?」

提督「誰が?」

漣「ご主人さま。」

提督「私が?はっ、まさか!」





鎮守府の廊下


ジュリアン「あー…まだ頭がクラクラするぅ…」

モーリス「大丈夫ですか?キング。」

ジュリアン「大丈夫なように見えるか?」

ジュリアン「あのイセとかいう奴、わしが乗ってるのをいいことに…」

ジュリアン「これは立派な反逆だ!」

モーリス「お言葉ですが、伊勢はまだあなたの配下ではありません。」

モーリス「よって反逆ではないのでは?」

ジュリアン「では誰の配下だ!」

モーリス「隊長…もとい、今は提督でしたかな?」


ジュリアン「それも気に入らん!なぜアイツがここのリーダーなんだ?」

ジュリアン「ここに、世界で一番クールで賢いわしが居るのに。」

ジュリアン「このわしが一番ふさわしいはずだ!なのになぜ、あの魚臭いペンギンどもが取り仕切っている?」

ジュリアン「わしは納得いかん!」

モーリス「では、どうするので?」

ジュリアン「もちろん、このちん…ちん…」

モーリス「鎮守府?」

ジュリアン「そうだ!この鎮守府をわしの配下にする!」

ジュリアン「そうすればあの立派なギソウもわしのモノだ。」


ジュリアン「…」

ジュリアン「しかし、頭はクラクラするが、なんでこんなに歩きずらいんだ?」

モート「キングの足スリスリ♪」

ジュリアン「…」

ペイッ

モート「んべっ!?」ズルッ

ジュリアン「あ~スッキリした。」

ジュリアン「よし、モーリス!ここを配下にするべくわしらの王国を作るぞ!」

モーリス「どこにです?」

ジュリアン「それを今から見つけるのだ。」フフン









青葉「青葉、聞いちゃいました!」








執務室


提督「なにぃ?あいつが自分の王国を?」

青葉「はい!青葉、しっかりこの耳で聞いちゃいました!」

提督「そんなもの、放っておけばいい。」

青葉「え?…いいですか?」

新人「まぁ、いつもの事だし。」

コワルスキー「まぁな。」

リコ「ウンウン。」

漣「あっちでも苦労したんですね…」

加賀「お察しするわ。」


青葉「でも、このままだと…」

漣「そうですよ。何しでかすかわかりませんよ?」

提督「何かしでかすにしても、どうせくだらない事だ。」

提督「お前たちが気にすることではない。」

コワルスキー「ですが提督。」

新人「そのくだらない事にいつも振り回されてるのは僕たちですよ?」

リコ「ソウソウ!」

漣「ほら!」

提督「…」


提督「ならば青葉。」

青葉「はい?」

提督「お前を、あの3匹の監視役に任命する!」

青葉「え?」



青葉「ええええええええええええ!?」



青葉「嫌ですよ!そんなの!」

青葉「青葉はジャーナリストですよ?監視役なんて…」

提督「拒否権はない!」

青葉「そんなの横暴だ!」


提督「これは上官命令だ。もし拒否すれば…」




コワルスキー「このテニスのラケットを改造して作った『おしりぺんぺんマシン』で…」

青葉「やらせていただきます…」シブシブ…




加賀「折れるのが早かったわね?」

青葉「じゃあ加賀さん。試しにアレで叩かれてくださいよ。」

加賀「遠慮するわ。」

青葉「その気持ち、青葉も一緒なんです!」

漣「確かに嫌だわ。」アハハー…


翌日



執務室



提督「…」



朝潮「うぅ…ん」ムニャムニャ

秋月「…」ボー

春雨「…」フゥアー…ア…

青葉「…」ポリポリ



加賀「皆、だらしないわよ。」

提督「そうだ、朝礼ぐらいしっかりとしろ。」

漣「って、なんでそんなに眠そうなの?」

新人「そうッスよ。いつもはもっとシャキッと…」

加賀「そうね。春雨と青葉はともかく、朝潮と秋月まで…」

春雨・青葉「「ひどい!」」

矢矧「それについては…ファ~…うむっ…私が説明するわ…」

漣「矢矧さんも?」

矢矧「実は…」





提督「天井裏から物音?」

朝潮「あれは物音というレベルじゃないです…」

秋月「もう騒音です!」

青葉「流石にあれは安眠妨害ってレベルを超えてました…」

矢矧「そうね…」

提督「…うーむ。」

加賀「あなたは大丈夫だったの?」

伊勢「うん。部屋が離れていたせいか…」


新人「この建物、天井裏に部屋があるの?」

漣「昔、物置として使ってたスペースがあったみたいだけど…」

加賀「そういえば。」

提督「?」

加賀「あの3匹の姿が見えないのですが…」





一同「!?」











漣「ここから天井裏に上がれるんですが…」


ズン  ズン  ズン  ズン


加賀「騒音というよりは…」

コワルスキー「ん~、なかなかのビートだ。」

提督「ということは…」



屋根裏部屋


バンッ


エーオ オッオッオ エーオ オッオッオッ


ジュリアン「ん~…セクシーに、そしてダイナミックにおケツを振ってぇ」

モーリス「はっ…はっ…」

モート「モート疲れた…」

ジュリアン「おい、モート!遅れてるぞ!」

モート「んぎぎっ!」

ジュリアン「やれば出来るじゃないか。」


提督「…やはり、こいつらか。」ガックリ…

漣「よいしょっ…ってなにこれ!?」

提督「リングテール!」

ジュリアン「こらモーリス!もっとおケツをふれ!」

提督「リングテール!!」

ジュリアン「モート、また遅れてるぞ!」

提督「リングテール!!!」

ジュリアン「あと5時間。踊り切るぞ!」

提督「」ブチッ





提督「リングテェーーーーーーーーーーーーーール!!!!!!!」





提督「…」ハァハァハァ…



ズンズンズンズン


ジュリアン「ふんふふ~ん♪」

提督「…」プルプルプル…

漣「ご主人さま。」チョイチョイ

提督「ん?」

漣「あれの電源を直接切ってみたら?」

提督「あれ?」

漣「あれですよ。ラジカセ。」

提督「!」

漣「ね?」

提督「流石は私の秘書だ。」



カチャッ


ピタッ


ジュリアン「1・2、おケツを大胆に…」

ジュリアン「ん?」

ジュリアン「どうした?急にわしお気に入りのビートが止まってしまったぞ?」

提督「リングテール。」

ジュリアン「!」

ジュリアン「なんだ、お前か。」

提督「これはどういう騒ぎだ?」

ジュリアン「どういう?見て分からんか?」

漣「いんや。」


ジュリアン「オールナイトダンスフィーバーだ!」

加賀「夜通しで踊ってたってこと?」

ジュリアン「そういう事だ。あと5時間踊り続けたら記録達成だった。」

ジュリアン「なのに…」ジロッ

提督「なんだ?」

ジュリアン「このペンギンが邪魔しおった!」

ジュリアン「わしの重低音音響ボックスに何をした!」

提督「ただ電源を落としただけだ。」

ジュリアン「おお、そうか。なら大丈夫か…」


ジュリアン「いや、大丈夫ではない!」

ジュリアン「よくも邪魔してくれたな…」

提督「皆から苦情が相次いだ。当然の行動だ。」

ジュリアン「なにぃ?」

提督「とにかく、リングテールよ。今後、この屋根裏部屋の一切の利用を禁ずる!」

提督「いいな?」

ジュリアン「わしがお前の言うことを聞くとでも?」フフン






ドカッ



ドンッ!

ジュリアン「わしのおケツがぁ~…」

ドンッ!

モーリス「いたた…私まで蹴らなくても…」

トンッ

モート「モート上手に着地したお。」

ポイッ

ジュリアン「あーっ!わしの重低音音響ボックスが!」

ガシッ

ジュリアン「行け、モート!」

ブンッ

モート「ああああああああ!モート空飛んでるぅーーーーーー!?」

ガンッ!

ジュリアン「おお、わしの重低音音響ボックスは無事だ。」

ジュリアン「よくやったぞモート。」

モート「お役に…立ててぇ…光栄…」ピヨピヨ

モート「…です」バタンッ



提督「まったく…」

提督「手の空いた妖精に頼んで、ここの入口を塞いでおけ!」

加賀「一つ提案が。」

提督「ん?」

加賀「ここ最近、この鎮守府も人手が増えてモノの数も増えてきました。」

加賀「昔は物置として使っていたと言いますし、また物置として使ってみては?」

漣「そうか!モノを置いておけば、あのキツネザルもうるさく出来ないですね!」

提督「いい案だ。採用しよう。」

加賀「ありがとうございます。」




ジュリアン「ぐぬぬ…」







ジュリアン「何が『いい案だ。採用しよう』だ!」

モーリス「ですが、今回は…」

ジュリアン「なんだモーリス、貴様はわしではなく、アイツらの肩を持つ気か?」

モーリス「いえ、そういうわけではありませんよ…」

モーリス「でも…」

ジュリアン「まぁ、いい。次の王国候補を探すぞ。」

ジュリアン「付いて参れ。」

モーリス「…」




モーリス「…はぁ」












翌日


建造ドック


工廠「オーライ オーライ」

妖精「…」クレーン作業中

工廠「オーライ…もう少しこっちに持ってきてくれ!」

妖精「…」

ウィーン…





ズン  ズン  ズン  ズン




工廠「ん?」


グラグラ…


妖精「!」



ガコンッ



工廠「危ない!退避ーーー!!」


妖精「「「きゃーーーーー!!」」」




ガシャーーーンッ!!








ドカッ



ドンッ!

ジュリアン「またおケツが!」

ドンッ

モーリス「いてて…どっちかと言えば私は被害者…」ボソッ

トテトテ

モート「モート蹴られなかったお。」

ポイッ

ジュリアン「あー!またまた、わしの重低音音響ボックスがぁ!」

ガシッ

ジュリアン「モート、行けぇ!」

ブンッ

モーリス「ああああああああああ!!私はモーリスでぇーーーす!」

ジュリアン「あ…間違えちゃった。」テヘペロッ

ガシャーーン!! 

アーーーー!!







さらに翌日


開発ラボ


コポコポコポ…

コワルスキー「ふぅーむ…」

夕張「ねぇ、この間開発した兵器っていつ試すの?」

コワルスキー「まだ夕張に積むには危険だ。もう少しテストをして…」

夕張「えぇ~、試したい試したい試したい!!」ジタバタッジタバタッ

グラグラ…

コワルスキー「揺らさないでくれ!今とっても大事なとこなんだ。」

コワルスキー「少しでも分量を間違えると…」

開発「本当にやめた方がいいぞ…」

開発「今アイツが持ってる薬品…あの薬品はヤバい匂いしかしない…」

夕張「…そうだね。」


夕張「でも試したいなぁ…」


ズン  ズン  ズン  ズン  


グラグラ…


コワルスキー「夕張、何度言ったらわかるんだ?」

夕張「え?私何にもしてないよ。」

開発「なんだ?この音…」

夕張「ホント、リズムがいいね。」

コワルスキー「このリズムどこかで・・・」


ポロッ


3人「「「あっ」」」





ドカァーーーーーン!!!



パラパラパラ…



3人「「「ケホッ」」」マックロ




ジュリアン「なんだ今の爆発は!?」マックロ+アフロ

ジュリアン「おお、なかなかイケてるヘアじゃないか。」フフン

モーリス「ケホッ…たぶん、コワルスキーの失敗です。」マックロ

モート「おお、モート真っ黒!」マックロ

モート「ふふふ、みんなも真っ黒。おかしいね。」

コワルスキー「…」





ドカッ




ドンッ

ジュリアン「…」

ドンッ

モーリス「またか…」

ドンッ

モート「おそらぁーーーーー!んべっ!?」

コワルスキー「これもだ。」



ジュリアンの荷物一式 ドスンッ!



ジュリアン「これはご丁寧にどうも。」ムスッ







執務室


加賀「この一週間で彼らに対する苦情が絶えません。」

漣「妖精さんたちからは危うく怪我をするところだったとか。」

加賀「おもちゃ扱いされたという苦情まで出ています。」

提督「あいつならやりそうだ…」ヤレヤレ

新人「あっちでもトラブルメイカーでしたけど…」

提督「少しやり過ぎだな。」

提督「そもそも、私は青葉に監視を頼んでいたはずだが?」ジロッ

青葉「あははー…」

青葉「だって、すばしっこくてどこに居るか分からないんですもん…」

加賀「提督、このままでは我々艦隊の士気にも関わってきます。」

漣「早急に手を打たなきゃ!」

提督「うーむ…」







ジュリアン「なにぃ?」

提督「だから、もう少し行動を自重しろと言っているんだ。」

ジュリアン「貴様、わしに文句をつける気か?」

ジュリアン「このキングである、わしに!」

提督「最近のお前はやり過ぎている部分があるから言ってるんだ。」

ジュリアン「なぁ、モーリスよ。いつわしがやり過ぎた?」

モーリス「…常にですかね?」

ジュリアン「だそうだ。常にだと。」

ジュリアン「ん?常にとはどういう意味だ?」

提督「はぁ…あと、妖精をおもちゃにしてたと聞いたぞ?」

ジュリアン「おもちゃ?ははん、何を言う。」

ジュリアン「わしが遊んであげたのだ。むしろ感謝してほしいぐらいだ。」

モーリス「嫌がってたじゃないですか…」


提督「妖精たちは大事な戦力だ。下手に弄るんじゃない。」

ジュリアン「貴様、さっきから聞いていれば調子に乗りおって。」

ジュリアン「生意気にも意見する気か?」

提督「私はここの責任者だ。ここの皆を守る義務がある!」

ジュリアン「ふん、何を偉そうに。」

提督「それにだ、お前は私に住まわせてもらっているんだ。それぐらい感謝したらどうだ?」

ジュリアン「ん?」

ジュリアン「なに?」


ジュリアン「なにぃぃぃぃぃぃ!?」


ジュリアン「今…なんといった?」


ジュリアン「誰が誰に何をしているって!?」


提督「何度でも言ってやる。」

提督「私が!」

提督「お前を!」

提督「ここに住まわせてやっている!」

提督「どうだ、満足したか?」フフン

ジュリアン「…」プルプルプル…

モーリス「キング…残念ですが、アイツの言っていることは…」

ジュリアン「…る」プルプルプル…

モーリス「え?」

ジュリアン「こんな場所…」




ジュリアン「こんな場所、もう出て行ってやる!!」



モーリス「キング!?」


ジュリアン「こんな窮屈で卑しい場所、わしから願い下げだ!」

提督「そうか。」

提督「なら、とっとと出ていけ!」

ジュリアン「ああ、言われずとも出て行ってやる!」

ジュリアン「いいか?絶対に追ってくるなよ?」

提督「ああ、追わないぞ。」

ジュリアン「いいか?絶対だぞ?」チラッ

提督「ああ。絶対にだ。」

ジュリアン「絶対に絶対だからな!」チラッ

提督「絶対に絶対にだ。」








ジュリアン「絶対に絶対に絶対だからな!」ヒョコッ

提督「いいから行け!」












鎮守府港


ジュリアン「アイツ、前から生意気だとは思っていたが、ここまでだったとは。」

モーリス「今ならまだ間に合います。謝ってみたらどうです?」

ジュリアン「誰が誰に?!」

モーリス「キングが提督にです。」

ジュリアン「なぜ謝らなければならんのだ!」

ジュリアン「絶対に謝らんぞ!」


ジュリアン「たとえ雨が降ろうとも。」

ポツポツ…

ザーッ

ジュリアン「たとえ雷が落ちようとも。」

ゴロゴロ…

ピシャーーーン!

ジュリアン「あばばばばば!」

ジュリアン「…」プスプス…

ジュリアン「たとえ嵐が起きようとも。」プスプス…

ビュオーーーー!

ジュリアン「うおおおおお!?」

モート「モート飛ばされちゃう!?」

ジュリアン「…」ハァハァハァ…

ジュリアン「たとえ雪が降ろうともだ!」

ヒュオーーーー!!

ジュリアン「な…なんで…吹雪くんだ…?」ガチガチガチッ

モーリス「キングが…余計なことを…いっ…言うからです…」ガチガチガチッ

モート「…」カチーン


ジュリアン「とにかく謝る気はない!」

ジュリアン「なぜなら、わしは悪くないからだ!」

モーリス「ですが、この鎮守府は彼らのモノです。」

モーリス「彼らの言うことを聞くのがセオリーでは?」

ジュリアン「そうか、貴様も奴の味方をするのだな?モーリス。」

ジュリアン「分かった、なら貴様はクビだ!もう金輪際わしに近づくな!」

ジュリアン「ちなみにモートもだ。」フフン

モート「なんで!?」


モーリス「でも、出ていくってどこに行くつもりなんですか?」

ジュリアン「どこって、王国に決まっておろう。」

モーリス「まさか海を渡る気で!?」

ジュリアン「そうだが?」

ジュリアン「海なんか渡ればすぐだろう?なら簡単だな。」

モーリス「待ってください。そんな簡単なことでは…」

モーリス「しかも、丸太一本で…無理ですよ。」

モーリス「だいたい、ここは私たちの住んでいた世界とは違うとコワルスキーが…」

ジュリアン「もういい、お前はクビになったのだ。近寄るな。」

モーリス「しかし…」

ジュリアン「わしは一足早く戻る。では達者でな。」



ザバァーーーン!


ジュリアン「絶対に追ってくるなよぉーーーー!!」

ジュリアン「絶対だからなぁーーーー!!」

モート「行っちゃった…」

イイカー?ゼッタイダカラナー!

伊勢「良かったの?」

オッテキチャヤヨー!

モーリス「ああ、肩の荷が下りてすっきりしたよ。」

伊勢「…」




伊勢「…え?」








食堂


伊勢「そっかぁ~…あんたも苦労してんだねぇ。」

モーリス「全くだ。」モグモグ

モート「キングぅ…」

モーリス「まぁ、どうせ居てもたっても居られなくなって、戻ってくるのは目に見えている。」

モーリス「ここの動物園に仲間がいるかもわからんからな。」

伊勢「それ以前にニューヨークまで行けないでしょ。丸太一本じゃ。」

加賀「そうね、この辺りは海流が急で、島を回るようにして流れているから丸太一本じゃ抜け出すことは無理ね。」


漣「でも、もう少しやり方あったんじゃ…流石に…」

モーリス「可哀想か?やめておけ、同情するだけ損をするぞ。」

提督「そいつの言う通りだ。」

コワルスキー「私の計算によれば、戻ってくる確率は…」ソロバンカチャカチャ

コワルスキー「99.8%。ほぼ間違いなく帰ってきます。」

提督「その結果はあまり見たくなかったな…」

新人「でも、大丈夫ッスかね?」

秋月「何がです?」

新人「だって、この周りはアイツらでウヨウヨしてるんですよ?」



一同「あっ」



朝潮「帰ってくるのはいいけど…」

春雨「厄介ごとを持ってきそうな予感…」

矢矧「そうね…」





ジュリアン「…ふぅ」

ジュリアン「だいぶ進んだぞ。」

ジュリアン「わしの王国はもうすぐかな?」

※まだ日本の領海から出ていないどころか、鎮守府のある島が目視できるところに居ます。

ジュリアン「しかし…」

ジュリアン「本当に追ってこないな…」

ジュリアン「薄情な奴らめ。」

ジュリアン「まぁ、わしもう関係ないしぃ~。」

ジュリアン「まだ漕がなければならんのか?」

ジュリアン「わし、そろそろお腹が…」ググゥ~…





ジュリアン「ん?」



…ユラリ



ジュリアン「んん?なんか向こうに見えるぞ?」

ジュリアン「もしや!」

ジュリアン「あっちからわしのお迎えか?」

ジュリアン「向こうから来てくれるとは気の利いた奴だ!褒美を取らせるとしよう。」

ジュリアン「おーい!」フリフリ









オーイ、ワシココー!












ネ級「…」



今回の書き溜めはここまででち。


また書き溜めてから投下します。

安価は次回の更新時で。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月09日 (月) 14:42:22   ID: VzPa1qNm

脳内再生余裕でした
なんつーか無駄にクオリティたけぇ

2 :  SS好きの774さん   2015年02月09日 (月) 16:35:37   ID: AzrFQlOL

作者さんの発想に感動しました那珂ちゃんのファン辞めます。

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