美希「恋人」 (30)



美希「…そんなに悲しい顔しないでほしいの」


美希「これで、もう会えなくなるわけじゃないんだし」


美希「出会ったこと、後悔してるなんて思ってないよ?」


美希「ミキも、楽しかったよ。もちろん、別れるのは悲しいけど…」


美希「でもプロデューサーは、これからもミキのプロデューサーなの」



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美希「…へぇ、そのTシャツ、気に入ってるんだ」


美希「それ、ミキがあげたTシャツだよ。ちょっと、嬉しいな」


美希「今まで、いっぱいプレゼントし合ったよね」


美希「…うん、このネックレスも、そうだったね」


美希「すっごく気に入ってるんだ。ミキの一番なの」


美希「プロデューサーは、いつもミキのこと、誰よりもわかっててくれたよね…」


美希「…」



美希「あっ、見て…!」


美希「こんな綺麗な夕焼け、久しぶりに見たの…」


美希「…こんな風に、『いいな』って思える瞬間にね?」


美希「ミキは、『生きてるなぁ』って感じるの」


美希「プロデューサーとつきあってたときも、たくさんそう思ったよ」


美希「たくさんステージに立たせてくれたし、たくさんキラキラできたのはプロデューサーのおかげなの」



美希「…ううん」


美希「ダメだよ。もう、手はつなげないの」


美希「これからはもう、ミキじゃないでしょ?」


美希「もう、だからそんな悲しそうな顔しちゃダメだって言ってるの!」



美希「…ほんとは、ミキだって泣きたいよ」


美希「ほーら、こうやって口角あげて…!」


美希「あはは。プロデューサーのその笑顔、ミキ、好きだよ」


美希「ミキ的には、下手っぴな笑顔ってカンジだけどね。でも」


美希「その笑顔だけで、プロデューサーがどんな人かすぐにわかるから」

美希「不器用で、口下手で、でも優しくって」


美希「たぶん、一生忘れられないんだろうなぁ」


美希「…だから、別れたってこの時間がなかったことになるわけじゃないの」


美希「今までのこと、全部…」



美希「初めて会ったとき、ミキ、けっこうキツイこと言っちゃってたね」


美希「いまさらだけど、ごめんね」


美希「それから、付き合いはじめてから、何回もわがまま言って困らせちゃったっけ」


美希「何回も手をつないだよね。現場でも、ちょっとだけ」


美希「…ミキもプロデューサーも、わがままに、自由に恋してたね」



美希「なんでそんなこと急に言うかって?」


美希「…ミキにも、わかんないの。もう、ここで言っておかないとずっと言えない気がしちゃって」


美希「なんでだろうね。なんでミキは泣いてるんだろうね…?」


美希「あ、その歌…。ミキの好きな歌なの」


美希「…プロデューサーの歌声、好きだったなぁ。もう聞けなくなるの、残念だな」


美希「さっきは、もう会えなくなるわけじゃないっていったのに。ヘンだね」



美希「…ありがとう。プロデューサーの声を聞くと、つい落ち着いちゃうの」


美希「プロデューサーにとってミキも、いつもそうでありたいな」


美希「ふふ。そんなこと言うな、なんて言っちゃダメなの」





美希「…プロデューサーが、ミキのこと、大切にしてくれたからだよ」


美希「プロデューサーがミキのこと、せいいっぱい愛してくれたから」


美希「そのおかげでミキも、アイドルとして、人として」


美希「せいいっぱい成長できたの」



美希「だから、プロデューサーとつきあってたときのこと、ずっと忘れないよ」


美希「今度は、ミキがプロデューサーを成長させる番なの」



美希「…うん、ごめんね。もう元には戻れないよ」


美希「ミキもプロデューサーも、よくわかってるでしょ?」


美希「…でも」


美希「こんなふうになるんだったら、もっと手もつないでおけばよかったなぁ」



美希「もっとプロデューサーのおうちにも行きたかったの」


美希「海にも行ってないし、動物園も、ショッピングも。観覧車だって乗りたかったな」


美希「もっと好きだって言えばよかったの」


美希「キスだって、まだしたことないのに」



美希「…だから、新しい恋人といろんなところに行って、いろんなこと、してあげてね?」


美希「誰よりも、プロデューサーのこと、知ってるから」


美希「誰よりも、プロデューサーのこと、好きだったから…」


美希「手はつながないけど、プロデューサーのこと全部、わかるよ」


美希「プロデューサーは、もっと女の子に『好き』って言わないとダメだよ?」


美希「ミキだって、ホントはもっと言ってほしかったんだから…」



美希「…ミキ、もうこんなふうに誰かを好きになれないって思うな」


美希「プロデューサーも、なんて、言われなくてもわかってるの」


美希「でも、だからこそ…」



美希「…あーあ、こんなにかわいいトップアイドルと別れちゃうなんて、相手はどんな男の子だったんだろう?」


美希「きっとものすごーくかっこよくて、ものすごーく優しい人なんだろうなぁ」


美希「…だから! そんなすごい男の人はこれから、絶対に新しい恋人と幸せにならなきゃいけないの!」



美希「もう…! いいから聴いてて…!」


美希「…いままで、恋人として愛してくれて、ありがとう」


美希「明日からは、ただのアイドルとプロデューサー、だね」



美希「これまで、ふたりでたくさん泣かせあったよね」


美希「だから、最後くらいは笑ってバイバイしたいの」


美希「プロデューサーは、美希の思い出の中で、いつも笑ってるから」


美希「だからミキもプロデューサーの中で、いつまでも笑っていたいな!」



美希「…それじゃあ、ここでお別れだね」


美希「ミキのこと、何度もここまで送ってくれたよね」


美希「優しかったハニーのこと、ミキ、ずっと忘れないの!」


美希「…うん、バイバイ!」


美希「明日からよろしくね、プロデューサー!」


おしまい。


https://www.youtube.com/watch?v=8YSVc5GqiGA


曲は1:40秒あたりから。
美希にカバーしてほしいなーと思ったから書いた。
美希の曲って片思いとか失恋とか悲しい曲ばっかりなんだろう、とてつもなく似合ってるのも事実だけど…!
おまえらは美希にどんな曲をカバーしてほしい?

乙泣くわ
雰囲気いいなあ、ハッピーエンドものも書いてほしい

>>24
いちおう一時間くらい前に
真「結婚しようよ」っていうものを投下しました。
ちょっと時間置いて貴音編も投下しようと思ってるけど、そっちはこんな感じです…

>>24
http://watashinomyuzuxikku.blog.fc2.com/blog-entry-9.html
セルフでまとめてもあります、ただ若干読みづらいかも。
こっちに投下したもののほうが、会話のテンポというか、間は感じとりやすいかもしれません。
さっきも突っ込まれましたが、この体系のものは読んでる人の想像力と没入度に依存する読み物ですからw

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