俺「それはもはや登校ではなく……まさに闘校ッ!!」(21)


この世界では、全ての漢どもが常に戦わなければならない

まだ日の昇らぬ早朝……

まだ地球が寒さに凍える時……

漢たちの戦いは始まる……!!

BATTLE1 【布団・オブ・羽毛】

ジリリリリリリリリリリリ!!!

俺「む……朝か」

俺「起きて学校に行かねば……しかし、まだ眠い……」

俺「くぅ……俺は起き上がらねばならん!!さあ、そこを除け!布団ッッッ!!!」

布団「なんだい……もう起きちゃったのかい……?」

俺「ああ……今の俺にもう貴様は必要ない!俺は今日こそ学校に……ッッ!?」

布団「逃すとでも思っているのかい?」

俺「貴様……!!」

布団「まだいいじゃあないか!気持ちいい僕の中でさあ、惰眠を貪るがいいさ!!」

俺「ぐっ……!こっ、この吸引力!!消して俺を逃がさぬ蟻地獄のように、もがけばもがくほどこの心地よさに溺れてしまうッ……」

布団「さあそのままもう一度おやすみ……二度寝はこの世の最大の快楽さ……」

俺「こ、このままでは……もう一度眠りに落ちてしまう……」

もう一度眠りに入ること……それはすなわち最悪を意味する

考えられる結末、目覚めた時には夕方……

一日は台無しになり、後悔と絶望がその身を苛むこととなる!!

布団「いいじゃないか一日位無駄にしたって!君はいつも頑張っているだろう?」

俺「俺は……」

布団「毎日毎日自分を責めて疲れているだろう?ほら……今日もまた、眠ってしまえばいいんだよ」

俺「ぐ……ぬぅ……」

布団「夢の世界じゃ君はヒーローさ……さあ、楽しいトリップと行こうじゃないか」

俺「…………(俺は……こんなところで立ち止れるのか?)」

俺「…………(俺は……大学を出て……いつか、誰かを救う仕事に……!!)」

俺「……うるさい」

布団「え?」

俺「うるさいぞ布団の分際で!!……貴様になど……負けてたまるかぁッッッ!!!」

バサァァァッ!!

布団「なっ……!!?僕の吸引力に耐えただと!?」

俺「俺は学校に行く!!貴様なんぞに止められやあしない!!」

布団「馬鹿な……この心地よさを捨て、あえて辛い学校なんかに行くっていうのかい?」

俺「ああ……!漢はな、幸せを捨て、険しい荒野を往かなければならないこともある!!」

布団「……ふっ、負けたよ」

俺「悪いな……布団よ」

布団「ちゃんと暖かくして出かけることだね」

俺「……ありがとう、今夜もよろしく」


すきま風「ピュウ」

俺「うわあああああああああああああ寒いダメだあああああああ!!!!」布団ダーイブ

布団「ああ、おかえり」


BATTLE1!! 【布団・オブ・羽毛】 

LOSE!!


ガバッ

俺「……20時……」

BATTLE2 【天からの刺客】

翌日

俺「なんとか……なんとか布団から抜け出すことに成功した……!!」

俺「あとは自転車で駅まで行き、学校へ登校するだけ……!!」

俺「もはや登校したも同然……!」

俺「行くぞチャーリー(自転車)!!駅まで3キロメートルだ!」

チャーリー(自転車)「合点旦那!!俺っちの足にかかりゃあ風よりも早く旦那を送り届けることができるぜ!!」チリンチリーン

俺「ふっ……頼りにしてるぞ!相棒!」

布団「いってらっしゃい」

俺「いってきます!!」

チャーリー「旦那ァ……今日も寒いっすねえ……」チリンチリーン

俺「ああ……風が体に突き刺さる」

チャーリー「さっさと走り抜けてあったかい電車に乗ってくだせえ」チリンチリーン

俺「そのためにもお前には頑張ってもらわないとな」

チャーリー「へへっ……旦那もしっかり漕いでくださいね!」

俺「もちろんだ……!!」

ビュオオオオオオオオオ

俺「むっ……?これはッ!?」


俺「貴様は……ッ!!!!『向かい風』!!!?」

向かい風「ヒャーハッハッハッハァ!!!!こっから先は通行止めだコラァ!!」

チャーリー「お、俺っちの足が!?」チリンチリンリン

俺「チャーリーの瞬足が……遅く……!!」

向かい風「オレ様のパワーで立ち止まっちまいなァ!!」

俺「ペダルが重い……凪いでいた時の二倍……いや、それ以上にッ!」

向かい風「こんな寒くて風の強い日に外出してんじゃねえ!さっさと家に帰ってぬくぬくしてろ!!」

俺「ぐっ……ああ!」

チャーリー「俺っちのハンドルが……」チリンチリーン

俺「ブレる!支えているこっちの体力の消耗も激しい!!」

向かい風「聞いたぜ……?お前学校に行きたいんだろ?」

俺「ああ!俺は学校に行かなければならないッ!」

向かい風「そんなとこに行って何になるってんだ?」

俺「立派な人間になるためだ!!」

向かい風「ヒャーッハッハッハ!!馬鹿じゃねえのか!学校に行こうが行かまいがクズはクズのままに決まってんじゃねえか!!」

向かい風「どうせクズなら行かねえ方がマシってもんさ!今すぐ引き返して帰るってんなら『追い風』になってやるぜ?」

俺「くっ……」

向かい風「だいたいいい年こいて免許も持ってねえ野郎が学校行ったくらいで立派な人間だあ?ちゃんちゃらおかしいぜッ!」

向かい風「行動力のあるクズならまだしもお前みたいな行動しないクズがどう転ぼうがなんにも変わんねえんだ!!」

向かい風「時間の無駄だぜ!!クズはクズらしくおウチに引きこもってることだなァ!!」

俺「お、俺は……」

チャーリー「旦那を馬鹿にするなっ!」チリンチリン!!

向かい風「あ?」

俺「チャー……リー?」

チャーリー「旦那はっ!誰かを助けるために頑張って福祉の学校に通ってるんだ!!クズなんかじゃない!」

向かい風「通えてねえじゃあねえか!!」

チャーリー「お前らが邪魔するからだろ!!」

向かい風「普通はこれくらい打ち負かすもんなんだよ!!」

チャーリー「うっ……で、でも!旦那はぁ……」

俺「チャーリー……もういい」

俺「お前のおかげで……闘志が沸いてきた!」

向かい風「何ィ?」

チャーリー「さ、さっすが旦那!」

俺「だが……くっ、このペダルの重さは……!ぐっ……」

チャーリー「それなら秘策がありますぜ旦那!」

向かい風「なんだと!?」

チャーリー「右ハンドルについた器具がわかるっすか?」

俺「ああ……数字のついているコイツだな?前から気になっていたがこれは何なんだ?」

チャーリー「それは『ギア』っす」

俺「ぎ、ギア?」

チャーリー「習うより慣れろっす!そいつをグリッと手前にひねるっす!!」

俺「こうか!!」グリッ

俺「こ、これは!!」

向かい風「ペダルが……回転が速くなってやがる!!どうなってんだこりゃあ!?」

チャーリー「ギアを変えることでペダルにかかる負荷を減らすことが出来ちゃうんすよ!」

俺「やるな……チャーリー!!」

チャーリー「それからサドルに腰を下ろさず立って漕いだほうが力が入るっすよ」

俺「おお……進む!進んでいるぞ!」

向かい風「まさか……こんなことが……」

俺「ふん……悪いな向かい風!!俺はこのまま、駅まで進ませてもらおうッッッ!!!」

チャーリー「やったぜ!」


ズルッ!!

俺「ぬあっ!?ペダル踏み外し…………っ!ああっ!」

ドンガラガッシャーン

俺「あああああああああ!!!!!!痛いよおおおおお!!!膝擦りむいたああああ!!!もうやだ帰るううううう!!!」

向かい風「あ、じゃあ追い風になりまーす」

チャーリー「旦那ぁ……」


BATTLE2 【天からの刺客】

LOSE!!


俺「ううう……グスッ……痛いよう……」

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