野獣先輩「このページにぃ、割のいいバイト、載ってるんすよ」(258)


†警告†

この先では、不穏当かつ非倫理的な出来事(意味深)が発生し得ます。

それでも良いという方のみ、この先に進んで、どうぞ。

~いつもの和室~


野獣「ぬああああああん疲れたもおおおおおおおん。キツかったすねー今日は」

MUR「おっ、そうだな」

KMR「疲れました」

MUR「あっ、そうだ(唐突)」

野獣「何です、先輩?」

MUR「最近(家計が)キツくてさぁ……。バイトを探してるんだゾ」

野獣「ホァー、そうなんすか」

MUR「オイ木村!」

KMR「えっ、何?」

MUR「お前さっきから、求人誌をチラチラ見てるだろ(興味関心)」

KMR「アッハイ」

MUR「見たいから見せてみろよぉ。ホラ!」

KMR「何で見せる必要があるんですか(偏屈)」

野獣「何やってんだ木村ホラ見せろよ!」

ブッ!

KMR「ンッー!」つ『夏のハッテン系総力特集号!』

パラパラパラパラ

野獣「うーん……」

MUR「おい待てぇい、俺が先に見るんだゾ」

ピタッ

野獣「……ん?」

MUR「どーした?」

野獣「このページにぃ、割のいいバイト、載ってるんすよ」

MUR「見せてみろよ」


【年齢性別不問。一週間の短期バイト。

ある人文科学的実験の被験者。一日あたりの拘束時間は二十四時間。

人権に配慮した上で、二十四時間の観察を行う。期間は七日間。食事は三食提供。個室の用意あり。

なお、外部からは隔離する。実験の純粋性を保つためだから、仕方ないね。

拘束時間には全て時給を支払う。】

MUR「おお、いいゾ~これ。時給はいくらなんだゾ?」

野獣「んぁ、こ↑こ↓に書いてますよ~」

野獣「一一四五一四。作業内容に応じてボーナスありらしいっす」

MUR「いいゾ~これ(二回目)」

野獣「このバイト、行きませんか」

MUR「どうすっかな~」

KMR「先輩。これ、時給11万4514円じゃないですよ(小声)」

MUR「は?(威圧)」

野獣「お前さ木村さぁ、何言ってんだよぉ。ホラちゃんとこ↓こ↑に書いてあるよな?」

KMR「よく見てください。これ」


【時給、一一四五一四“百”円】


野獣「ファッ!?」

KMR「時給、1145万1400円ですよ」

MUR「そうだよ(便乗)」

野獣「ということは、1日24時間、7日間のバイトで……」

野獣「これもう金額わかんねぇな」

野獣「先輩、どうですか?」

MUR「おい木村ァ、早く計算しろ」

野獣「早くしろよぉ」

木村「わかりました……あっ、19億円超えてますね」

野獣「オォー!」

MUR「このバイト、いきてーなー」

野獣「行きましょうよ」

MUR「行こうぜ早く」

野獣「じゃけん、バイトの申し込みしときますね~」

MUR「おう、サンキュ。木村、お前もこいよ」

KMR「え、僕も行くんですか(困惑)」

MUR「当たり前だよ、なあ?」

野獣「うーん、俺も行くんだからさ。一緒に行くよな?」

KMR「でも、この求人……怪し過ぎますよ」

野獣「大丈夫、大丈夫」

KMR「いや、でも……」

MUR「19億あったら嬉しいだろぉ~?」

野獣「木村、これ読んでたんだからさ、お前も金欲しいんだら?」

KMR「それは……」

野獣「欲しいんだろ? ホラ、行くぞ!」

KMR「んっ……!」

MUR「行くぞ! ホラ、逃げんなよ!」

KMR「ひぎぃー」


先輩の強引な勧誘によって、木村は一抹の不安を覚えながらも、この実験の被験者(モニター)として応募することになった。

数日後、募集元のS*Mクラブから採用通知の電話があり、木村たち3人は再度承諾の意思表示をした。


それから月日は流れ、一週間後――

木村たちは、S*Mクラブから送られてきた切符で特急に乗り、目的地に到着した。

すでに日は沈み、真夏の夜になっていた。

~??~


シィィィィィィィィィィィィィィィィィィン

野獣「……ふあー、目的地が遠くて疲れたどぉおおおおん!」

KMR「こんな田舎にも特急が止まるんですね……」

MUR「何だ木村、顔色が悪いぞぉ~」

KMR「いっ、いやそんなことは……」

MUR「それより、いつまで駅前で待ってたらいいんだよ」

野獣「こんなところでずっと待たされるなんて、頭にきますよ」

ザッ!

一般案内爺「木村様、田所様、それから三浦様ですね」

KMR「あ、その声は電話の……」

キキィィィィィィィィィ!

TNOK「よしお前らクルルァに付いて来い!」

野獣「なんで893が現れるんですかね……」

MUR「車の中に連れ込まれそうだゾ」

一般案内爺「皆様、どうぞこちらへ。会場までお連れいたします」

KMR「わかりました……」

野獣「三浦さん、これ夜中腹減んないっすか?(話題転換)」

MUR「腹減ったな~(現実逃避)」

TNOK「お前らこれ(実験)は初めてか?」

KMR「はい……」

TNOK「あく乗れよ! お前免許持ってんのか!!(身元確認)」


そして木村たちが連れて行かれた“会場”には、すでに彼ら以外のモニター9人が集まっていた。

~会場~


ミーン……ミンミンミン……ミーン

一般案内爺「お待たせいたしました。これから実験の条件をお伝えいたします。なお、質問は後ほど受け付けます」


KMR「広い会場なのに、参加者は12人しかいないみたいですね……」

野獣「この辺にぃ、美味いラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ(大嘘)」

MUR「嘘だよ(論破)」

一般案内爺「実験中に起きたあらゆる不法行為に関して、皆さまの法的責任は問われません。いっさいを当クラブが負担します。以上です」


モニター1「かしこまり!」

野獣「ちょっと説明簡潔過ぎんよ~(指摘)」

モニター2「いいだろお前成人の日だぞ(先週)」

モニター3「な、何が目的なんですか、この実験。そろそろ教えてくださいよ、本当に!」

モニター4「ちょっと待て!!! アンタたちがちゃーんとお金を払う保証はあるんでしょうね?」

一般案内爺「施設内でご説明いたします。質問はもうありませんね」


モニター5「質問に答えるっつって答えねえっておかしいだろそれよぉ! なぁ! 違うかオイ!」


一般案内爺「それでは今回の実験用施設――“疑死暗館(ギシアンカン)”にご案内いたします」

TNOK「施設に入るんだよあくしろよ」


モニター6「ああああああもおおおおおおおおやだあああああああ」

モニター7「そーこーをーどーけーーっ!!」

バシァァァン!

モニター6「やだ! 小生やだ!」

モニターGO「ふっ……」

モニターX「……」

ゾロゾロ

野獣「付いて行くしかないみたいですね(諦観)」

MUR「おい木村、ぼんやりしてないで早く来いよ」

KMR「はい……」

野獣「お前さ木村さぁ、何かあったら責任取れよ?(転嫁)」

KMR「え、あっ……えっ?」


TNOK「おいコラァ! 早く降りろ!」


説明会場の地下深くに繋がる螺旋階段を延々と進み、

その突き当たりに見えてきたマンホール(意味深)のような鉄製の扉の向こう側にイかされた12人。

モニター全員が中に入ったところで、壁との継ぎ目が分からないレベルに鉄扉が閉じられる。


こうして、木村たち12人のモニターは“疑死暗館”に招待された。

時刻はまもなく午前零時――いよいよ7日間にも及ぶ手の込んだ実験の火蓋が切って落とされようとしていた。


                                 導 入 終 了


【実験の参加者(モニター)一覧】

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
モニター1:KBTIT
モニター2:AKYS
モニター3:遠野
モニター4:RU姉貴
モニター5:おじさん(虐待おじさん)
モニター6:ひで
モニター7:UDK
モニターGO:GO
モニターX:一体何者なんですかね……?
野獣先輩(田所)
MUR(三浦)
KMR(木村)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~疑死暗館・ラウンジ~


KBTIT「(鉄扉が)もう開かねぇぞオイ!」

UDK「ええい! マスタースパーク!!!(物理)」

ボキィィィ!

UDK「ぐぇーーー!?」

KBTIT「折れたな(骨が)」

野獣「ダメみたいですね(脱出)」

AKYS「あぁ? 何だこりゃ?」


彼らが閉じ込められた館のラウンジ。その中央には12脚の椅子と円卓があり、

卓上には12体の淫夢くん(人形)が配置されていた。


KMR「えっ、何ですか、これは……(ドン引き)」

ひで「ヒェ~ッ!」

RU姉貴「気持ち悪いわね」

GO「これは――」

遠野「ちょっと、勝手に触ったら(衛生的に)まずいですよ!」

GO「大丈夫大丈夫、ヘーキヘーキ」


クッソ汚い淫獣の人形に握らされている(そのための右手)、こげ茶色のカードキーを、何の躊躇もなく取り上げるGO。

そしてGOに続き残る11人が、それぞれ一体ずつ淫夢くんを選んで、カードキーを手にした。

すると唐突に、一般案内爺による館内放送が始まった。

キィィィィィィィン

――『指示します(大音量)』


おじさん「うっせえな音量!」

MUR「いいから説明あくしろよ(盗用)」

モニターX「……」


――『各自のカードキーに記された番号と一致する個室に、午前零時までに必ずお入りください。翌朝6時まで個室から出てはいけません(戒め)』

――『朝食は午前7時、喫茶ルームのキッチンに用意しておきます。以上』


プツゥ~ッ!

野獣「やっぱり説明不足なんだよなぁ(呆れ)」

ひで「ふざけんなよもう……(小声)」

RU姉貴「ふあー、今日はもう眠いわ」

モニターX「……」

遠野「本当に眠いっすね~……」

MUR「柱時計を見ると、午前零時まであと8分10秒だゾ」

KMR「とりあえず指示通り、皆それぞれ自分の個室に入ることにしませんか?(提案)」

UDK「それに賛成だぜ!」

AKYS「よおし、(個室に)入室前にぃ……自己紹介するから……聞けオラ」

KBTIT「ウッソだろお前(時計チラ見)」

野獣「(もう時間が)ないです」

AKYS「じゃ、どうしたらいいんですかねぇ(思考停止)」

おじさん「明日の朝でいいだろ(自明)。全員OK? OK牧場?(激寒)」


GO「よしっ、キマリッ!」


GOの一声により、12名は例の開かない鉄扉の反対側に位置する唯一の通路――

放送に気を取られている間に突如出現した、狭くて蛇行した長い廊下――を小走りで進みゆく。


その先は二手に分かれており、

左側には『 ← 施設警備員詰所・個室<1>~<12>・霊安室・監獄室・金庫室 』、

右側には『 喫茶ルーム・調教室・娯楽室 → 』、

という案内板が掲示されていた。


彼らは当然左折し、金庫室、監獄室、霊安室の順に素通りして、

各自のカードキーに記された部屋番号と同じ個室に入っていった(全員入ったとは言っていない)。

それから間もなく、午前零時を知らせる放送が入る。


ゴォーンゴォーン


――実験、これにてスタート。

【 DAY 1 <AM 0:00> 】


【 DAY 1 <AM 6:06> 】


~<9号室>~


――「木村ぁ、起きろよぉ~」

KMR「うーん……、……ん?」

野獣「まったく、仕方ねぇな~(目覚めのキス)」

KMR「や、やめろぉー……(抵抗)」


二人は不幸せなキスをして(以下略)――木村が目を覚ましたときには、すでに“夜時間”は終了し、朝となっていた。

木村のベッドの脇には、野獣先輩が優しい目をして寄り添っていた。

KMR「ちょっと先輩! どうして僕の部屋に勝手に上がってるんですか!」

野獣「なんだよホラー、(起こしに来てくれて)嬉しいだろ~?」

ズリズリ……

KMR「あっ……ちょっと先輩……そこは……、ひゃっ……」

野獣「嬉しいだろォ~~!? ホラホラホラホラホラァーー!!」

KMR「オホゥーー!」


――――
――


【 DAY 1 <AM 7:35> 】


朝の儀式を済ませた木村(生贄)は野獣先輩とともに、朝食を取るため喫茶ルームを目指していた。


KMR「先輩、ひどいですよ……(憔悴)」

野獣「体は正直、はっきりわかん(和姦)だね」

KMR「ところで……先輩の部屋は何号室だったんですか?(疑問)」


最初に足を踏み入れたラウンジから続く廊下は、突きあたりを左折した後も、くねくねと湾曲していた。

各部屋の手前に立って周りを見回したとき、他の部屋は死角となって見えない構造になっている。


昨夜、木村が<9号室>の扉を開いて中に入ろうとしていたときに目と目が合った野獣先輩は、

木村の個室よりも更に奥のほうへ向かう途中だった。

したがって、野獣先輩の部屋は<1号室>から<8号室>までのいずれかであることは確かだ。


『 ← 施設警備員詰所・個室<1>~<12>・霊安室・監獄室・金庫室 』という標識の並びの通り、

T字路の交差点から一番遠い個室は<1>ということになる。


更にその先に、“ピンキー”という名の警備ロボが待機していると思われる詰所があるらしいが、

そこには近づかないほうがいいと、木村の本能が警告を発していた。

野獣「ほら、見とけよ見とけよ~(カードキー)」

KMR「<8号室>……隣だったんですか」

野獣「三浦さんは何処の部屋か、木村、お前知ってるか?」

KMR「(別に知りたく)ないです」

野獣「あっ、そう(無関心)」


――――
――

~喫茶ルーム~


例のT字路の交差点まで辿り着き、案内板に従って、相も変わらず薄暗いクネクネ廊下を先に先に進み、ようやく目的地についた木村たち。

喫茶ルームでは、すでに他のモニターたちが適当な座席について朝食を取っていた。


UDK「まったく品揃えの少なさにはびっくりだぜ……(落胆)」

バァン!

KBTIT「悲しいなあ……(憤怒)」

バァン!

UDK「私はパンよりごはん派なんだけどな(原作準拠)」

KBTIT「うわっ、アッチィなコレ(淹れ立ての紅茶)」

RU姉貴「(ずずずっずぞぞぞぞ~)ぷはー、今日もいい天気(語録重視) 」

AKYS「KEN、どうにかしろ(独り言)」


GO「……」

モニターX「……」

おじさん「……」


朝食はフランス料理のバイキング形式で、キッチンの前の長いテーブルの上に皿が並べられていた。

が、木村たちはテーブルの前に立つと困惑の表情を浮かべた。


野獣「あのさぁ……」

KMR「ほとんど料理が残ってないですね……」

KBTIT「もともと量が、少なくてね」

RU姉貴「残念だったわね(棒)」

遠野「ここが喫茶ルームですね。おじゃましまーす(丁寧)」


申し訳程度の残飯を処理した木村たち。彼らは食事を終えて、食器類をすべてダムウェーター(小荷物専用昇降機)に片付けた。

一通りの自己紹介を済ませたところで、彼らはある異変に気づく。


GO「俺はGOだ――ヨロシクぅ!」

遠野「これで全員、終わりましたね(確認)」

KMR「ええっと……そちらは」

おじさん「別に名乗る必要ないよな? おじさん……とでも呼べばいい」

UDK「じゃ、そっちはおっさんでいいな」

KBTIT「おじ↑さん↓だと?(難聴)」

KBTIT「ふざけんじゃねぇよお前! タクヤさんだろぉ!」

モニターX「あの」


KMR「はい?」


モニターX「先程から気になっていたのですが、ここに、いらっしゃらない方がおられるような」


KMR「ここにいない? ……。あっ……(察し)」

野獣「そういえば、三浦さん、いないみたいですね。ウチの水泳部の先輩なんすよ」

RU姉貴「ふーん。……あぁ。はいはい、ご愁傷様でした(棒)」

AKYS「どうせすぐに見つかんだろ(投げやり)」

遠野「いや、その……一応、探したほうが」

KBTIT「仕方ねぇな。いくで~(関西弁)」

ガタッ


朝食の席に顔を出さなかった三浦を、あまり乗り気ではないながらも探しに行くことになったモニターたち。

果たして三浦は無事なのか。あるいは……。


このあと、驚愕の真実がぁ明らかにィ!(CM前のモザイク)


【 DAY 1 <AM 8:10> 】

そ れ か ら


~金庫室前~


モニターX「こちらが、金庫室でしたね」

KMR「ここから、確認していきますか?」

野獣「先に入ってください、どうぞ(譲歩)」

おじさん「あ、いいよ(快諾)」

ガタガタ

おじさん「うー! 開かねえよ」

遠野「鍵が、かかっているんですかね?」

野獣「仕方ないっすね。次、行きましょうよ」

おじさん「そうするか」

KMR「この隣は……監獄室。何の目的でこんな部屋があるんですかね……」


木村たちは姿の見えない三浦を探すために、3チームに分かれて喫茶ルームを出た。


個室側からみて、喫茶ルームより奥にあるはずの調教室と娯楽室の方に向かったのは、

おっさん(タクヤ)とUDK。案内板の通りならばこの2部屋しかないはずなので、あまり人員を割いていない。


2人とは反対側、T字路に向かった残りの?名は、その交差点で二手に分かれる。


AKYS、GO、RU姉貴の3名はラウンジ方面へ。


そして、残る5名は個室方面へと進んでいた。KBTIT組(仮称)とAKYS組(仮称)は、調べ終えたら木村たちに合流することになっていた。


……ん?

遠野「ちょっと、おかしいですよ!」

野獣「ンン、何が?」

おじさん「どうした、言ってみろって」

遠野「1人、足りてません! 僕たちモニターは、12人いましたよね?」

遠野「三浦さんという人を除いたら、タクヤさん達2人とGOさん達3人に僕たち5人。……あわせても10人しかいない!」

KMR「あっ、そういえば!(納得)」

モニターX「食堂に集まった時点で姿を現さなかったのは、三浦さんだけでなく、後もう一人いたのですね」

モニターX「まったく気がつきませんでした」

おじさん「てことは、つまり」

野獣「そのもう1人が黒幕、はっきり分かんだね(早計)」

KMR「確かに、<モニターの心得>ってとこに黒幕はモニターの中にあるって書いてましたけど(読解力不足)」

遠野「えっと確か、……あの、この館に入るときに叫んでたおかしい子どもでしたっけ。あれが、黒幕だったなんて……(思い込み)」

おじさん「悪い子はオシオキだどー!」

更に先へと進む木村たち。監獄室の扉は金庫室と同じように開かず、次の霊安室に向かおうとしていた矢先――。


遠野「いやぁ、この廊下、先が見通せなく怖いですね……」

KMR「……そうですね」


ズザザザッ!

ひで「あ^~もうおしっこ出ちゃいそう!(露出)」

野獣「ファッ!!?」

モニターX「……」

おじさん「!」


いきなり出現した下半身を露出している小学生(仮)に一同が驚愕する中、

即座に懐から日本刀を取り出した自称おじさんが、ひでと対峙する。


おじさん「お前黒幕か?」

ひで「朴秀」

野獣「黒幕みたいですね(適当)。拷問にかけて脱出経路を吐かせきゃ(使命感)」

KMR「いや、まだそうとはっきり決まったわけじゃ……(小声)」

野獣「喫茶の隣にさぁ、調教室ってのが、ありましたねぇ(目配せ)」

おじさん「だったね。じゃあ、お前来いよオラァ!!(問答無用)」

ひで「この人たち頭おかしい……(正論)」


野獣「さあ来いよホラホラホラ~!」

ひで「やめちくり~!(逃亡)」

ワサワサワサワサ

おじさん「待てよオイオラァ!」

ダッ


T字路の方面に放尿しながら逃走したひでを、虐待おじさんと野獣先輩が追いかけて行った。

ホモの魔の手からは逃れられない(捕捉不可避)。


遠野「ちょっと、もう少し穏やかに話を聞いた方が……あ、もう行ってしまった(呆れ)」

KMR「……僕たちはどうします。追いかけましょうか?」

モニターX「その必要はないのではありませんか。あの方がたならば、朴を捕えるのも時間の問題でしょうし」

KMR「ですね(確信)」

遠野「ああ……そういえば、あのおじさん、どうやって日本刀を隠し持ってたんでしょう(疑問)」


このとき木村は、自分の個室の金庫に入っていたSMセットのことを思い出していた。どうやらそれぞれの個室ごとに、金庫の中身は違うモノらしい。


木村たち3人は、とりあえず未だ所在不明の三浦を探すべく、霊安室や各個室の方面へと向かって行った。

雑巾を裂くような悲鳴が響き渡ったのは、それから間もなくのことであった(続きはウェブで)。


【 DAY 1 <AM 9:07> 】

【 DAY 1 <AM 9:12> 】


霊安室の扉には、個室と同じく鍵がかかっていなかった。

ためらいはあったが、確かめないわけにはいかないと覚悟を決めた木村は、中に入っていく。遠野ともう1人のモニターも後に続く。

暗室のようなその部屋の中には、棺桶と思しきものが整然と並べられていた。黒を基調とした表面には、薔薇と百合をかたどった装飾が施されていた。


遠野「はぇ~……何だか背筋が凍りますね(ガクブル)」

KMR「はい。本当に寒気がしますね(身体症状)」

モニターX「冷房機器が稼働されているみたいですね」

遠野「ああ、なるほど通りで寒いわけだ……。誰かが冷房のスイッチを入れたんでしょうか?」

KMR「スイッチと言っても何のために? そもそも……それらしいものは見当たりませんけれど」

モニターX「とすると、もしや実験の主催者側が、意図的に冷房を入れたということでしょうか?」

KMR「うーん、そうなんですかね」

遠野「そうだとしても、何のために……」

KMR「霊安室、棺桶、冷房がかなり効いている……あっ!(閃き)」


このとき、木村の脳裏に閃光が走った。


――まさか。いや、まさか。すでにこの霊安室に、モニターのうちの“誰か”の死体が運び込まれているのではないか?

――そして、黒幕はあえて、死体の腐敗を防ぐために冷凍保存をしている。それはなぜか。

――決まっている。僕たちが“犯人”を暴くための“探偵”役として、事件捜査の一部、つまり死体検分をやり易くするためだ!


遠野「とにかく、寒いんであまり長居はしたくないですね。早く、調べられるところを調べて部屋を出ましょうよ」

モニターX「そうですね」

KMR「……じゃ、僕が棺桶を開けます」

遠野「中は……僕が確認しますんで」

モニターX「では、わたしも」

KMR「いや、あなたは見ない方がいいです。もし“ナニか”が入っていたら……ショックでしょう(配慮)」

遠野「僕が……ちゃんと見ますんで。大丈夫ですんで((;・`д・́)……ゴクリ)」

モニターX「はぁ」


緊張した表情で、手近なところから棺桶を開けていく木村。一方で、遠野は恐る恐る棺桶の中を覗き込んでいく。ひとつ、またひとつと……。

木村が考えたのと同じ想像が、遠野の頭の中にも湧き上がってきたに違いない。


一方で、もうひとりのモニターは、あまりこの状況を深刻に捉えている素振りはない。

注意を促したにも関わらず、遠野が開けた棺桶のなかを、興味津々、じぃっと覗き込もうとしている。

――万が一、三浦先輩の死体がどれかに入ってでもいたら、このひとは大丈夫だろうか。驚愕のあまり卒倒したりはしないだろうか。

――まあ、自分だって死体なんて見たことが無いから、卒倒するかも知れないな。


木村はそんなことを考えながら、棺桶の蓋を開ける黙々と作業をこなしてゆく。


遠野「中に……誰もいませんね(桂言葉並感)」

モニターX「中に誰かいらっしゃるあてがあるのですか?」

KMR「ないです。……(とは言い切れ)ないです」


そして、最後に残された棺を開けようとする木村。ここにナニもなければ、まずは一息つくことが出来るだろう。

だが、この中にナニかが入っている可能性は当然否定できない。開けてみない限りはわからないのだ。

遠野「そういえば、その、ヘンな臭い(死臭)とかは、感じませんよね? 皆さんは?」

KMR「いえ、僕も特には……」

モニターX「臭いですか? そういわれてみると、心当たりがありますね。凄く、臭います」

遠野「えっ!?(キョロキョロ)」

KMR「ほ、本当……ですか?(冷や汗)」


自分の顔が明らかに引きつっていることが、木村にははっきりと感じられた。

隣の遠野もみるみる青ざめていく。まるでターコイズブルーゲッコーのように(爬虫類顔)。

モニターX「はい。田所さんから、とても、くさい臭いがしました!」

KMR「はぁ……(肩透かし)」

遠野「……そうですか(気が抜けたような表情)」

遠野「ん。あれ、田所さんって誰ですか?」

KRM「誰って、それは勿論……」


――あれ?

――そういえば、先輩は今朝の自己紹介の時に「24歳、学生です」としか言ってないはずだが。

モニターX「先程、朴を追って行った、日本刀を所持していないほうのお方です」

モニターX「昨夜、個室に向かう途中でお話をする機会がありまして、そのときにお名前を伺いました」

遠野「あぁ~、そうなんですか」

KMR「……」


少し腑に落ちない心持ちになった木村だったが、とにかく気を取り直し、ひと思いに最後の棺桶を開いた。

その中には――。


遠野「やっぱり、カラッポですね」

KMR「取り越し苦労……だったか」

モニターX「……。では、個室の方へ向かいましょうか。これ以上留まる理由もありませんし」


霊安室の探索を終えてちょうど部屋を出た木村たちの前に、またも新たな叫び声が、この先の個室のある側から聞こえた。

今度は、絹を裂くような嬌声である(ベタ褒め)。


タッ

RU姉貴「あっ、あんたたち。霊安室の中に居たのね!」

遠野「えっと。そちらは、確かラウンジを見に行ってたはずの?」

GO「おぉ! あっちの9GO室で、男の死体が見つかった。だからさ、お前らも早く来いって」

遠野「えぇぇ!!?」

モニターX「早く、行きましょう」

KMR「……そ、そんなついに……(三浦先輩の)死体が見つかったのか……」

AKYS「早く行くぞ!」

KMR「……」

AKYS「返事せんかい!」

KMR「アッハイ!!(即答)」

GO「……他の2人は? お前らと一緒だったよな?」

遠野「いや、黒幕……かもしれない子どもを追って、調教室の側へ。……途中で出会いませんでした?」

RU姉貴「見てないわね。擦れ違いになったのかも」

GO「俺が呼んでくる」


調教室の側へ走っていったGOを除く5名は、小走りで事件現場となったらしい9号室へと急いだ。

その中途、木村はようやく、とくに自分自身にとって、事態がたいへん深刻であることに気が付いた。


――9号室って、……僕の個室じゃないですか(愕然)。


【 DAY 1 <AM 9:51> 】

【 DAY 1 <AM 10:12> 】


~9号室(木村の個室)~


9号室の中には、現在“8名”のモニターが集まっている。

彼らの視線の先、風呂場の浴槽の中には、紛れもない人間の死体があった。

それは、一糸まとわぬ全裸だった。

死因は不明だが、多量の出血が見られる。

近くには血の付いた<日本刀>と<割れたティーカップ>が無造作に放置されている。

死体の上の口には<キノコ>が、下の口には<ナス>がそれぞれ挿入されていた。


野獣「ヤバくなくすか、これ……?」

おじさん「やべぇよ……」

KMR「ほ、本当に……死んでるんですか?」

おじさん「見ろよ……この無残な姿をよぉ(顎しゃくり)」

KMR「うっ」

ひで「」チーン


ひでしね。あ、本当に死んだのか……(事案発生)。

























≪朴秀、死亡確認≫

KMR「ゴクリ」

AKYS「感傷に浸ってる場合じゃないよな(本当に浸っているとは言っていない)」

GO「コクリ」

RU姉貴「まず、状況を整理しないと、ね?」

遠野「ん……おええぇ」

野獣「気持ち悪いかぁ?」

KMR「……大丈夫ですか?」

遠野「だ、大丈夫……気持ちいいよぉ……(錯乱)」

野獣「大丈夫じゃないみたいですね(憂慮)」

モニターX「一度、この部屋を出て、他の場所で話しあいませんか?」

RU姉貴「……それもそうよねぇ」

AKYS「じゃ、さっさと出るぞ」

おじさん「どこで話し合うんだ? 誰かの個室か?」

一瞬、流れる沈黙。それもそのはずだろう。殺人が発生したという不穏な状況下で、自分の部屋の場所を他のモニターに知らせるリスクは大きい。

そして木村は、個室という言葉にとりわけ顔を強張らせる。

――この9号室が誰の部屋なのか。それを今追及されるときつい。話をとりあえず反らさないと。


KMR「……あの、ラウンジのほうまで戻って」

野獣「ウチの部屋さぁ……隣の8号室なんすよ」

KMR「先輩!」

GO「へぇ、近いじゃん」

おじさん「近い方がいいだろ。そっちのチ○コから涙流してるヤツ、立てるか?」

遠野「ふぁい……」

モニターX「では、そちらに参りましょうか」


直視し難い凄惨な姿の死体を目の当たりにし、吐き気を催し失禁した遠野。

木村も、努めて冷静な表情を装ってはいたが、自分と同じモニターのひとりが殺されたという事実には大いにショックを受けていた。

他のモニター達も、程度の差こそあれ、相当の心理的なダメージを負ったに違いない。

8人は野獣先輩に続き、やや俯き気味に8号室へと向かった。


~8号室(野獣邸という名の個室)~


RU姉貴「んーと、まずは、何から話せばいいのかしら」

GO「死体発見までの、成り行きか」

AKYS「そりゃ、当たり前じゃねぇか」


モニターX「まず最初に確認したいのですが。三浦さんと、それからここにいらっしゃらないもう2人はどうなさったんでしょう?」

モニターX「サングラスのタクヤさんと、ウヅキさんという金髪の子のことです」


KMR「あ、……確かに」

AKYS「三浦とかいうやつは、T字路からラウンジの範囲では見つかってない」

AKYS「ついでに例の鉄扉だが、俺の奥義(迫真空手)を使っても崩れなかったぜ、オイ」

RU姉貴「あと2人についは、私と秋吉さんは知らないわね」


秋吉とれう姉貴は、死体発見後に野獣先輩らを呼びにいったGOに視線を向けた。GOは野獣先輩とおじさんのほうを見据えながら、話を進めた。


GO「俺があんたらを探しに調教室のほうに行ったときに、念のため喫茶ルームとさらに奥の娯楽室もちらりと覗いたが、2人は見なかった」

野獣「黒幕(ひで)を追って行ったときも、タクヤさんたちは見ませんでしたね」

おじさん「……ああ」

KMR「ということは、タクヤさんたちはどこに?」

野獣「さぁ(真顔)」

おじさん「まったく(勝手に姿をくらますなんて)困ったもんじゃい(他人事)」

RU姉貴「ま、あの金髪の子は魔法使いだし、魔法を使っちゃって懲罰(意味深)を与えられてるのかも」

モニターX「なるほど、魔法ですか」

KMR「えっ……。この世界って魔法とかアリだったんですか(驚愕)」

GO「いや、大丈夫だから(多重クロス)」

野獣「(世界観が)壊れるなぁ……」

AKYS「それよりお前、知り合いだったのか?」

RU姉貴「……ま、多少はね。別に仲良いってわけじゃないけど」

おじさん「……」


――知り合いだったのか。気付かなかった。でも、モニター間にそういう繋がりがあっても不思議ではないな。現に僕と先輩たちだってそうなのだから。


タクヤとウヅキの消息についての話は、いったんここで途切れた。彼らの失踪と朴秀殺害事件との関連について否定はできない。

だが、今は不在のモニターたちのことよりも、事件と直接的に関わっていると疑わしい人物たちから話を聞くのが先だった。


こ↑こ↑までは、比較的に和やかなムード(優しい世界)が続いていたが、屈強なボディを誇る秋吉の次の一言を皮切りに、8号室の空気が凍てつく。


AKYS「で、朴とやらを追跡して、その後一体ナニがあったのか。説明してくれるよなぁ――お2人さん(取り調べ)」


おじさん「……」

野獣「……」


――本当に、何があったんですか……田所先輩。

なお、遠野は「やっぱり、気持ち悪いよぉ……」といって個室内のトイレに入ってから30分以上出てきていないが、忘れられている模様。


【 DAY 1 <AM 11:11> 】

~8号室~


AKYS「どうせお前らが朴をヤったんだろ?」

AKYS「人間の屑がこの野郎ども!(断言)」

野獣「俺はヤってないです(迫真)」

AKYS「今からお前らに罰与えっからなぁ(私刑)」

おじさん「……待てよ」

AKYS「あ”?」

おじさん「おじさんたちの言い分もちゃんと聞いてくれないかい?」

AKYS「黙れよ! お前らよぉ……囚人の身だろぉ!(戦闘態勢)」

野獣「どうして聞く前から決めつけにかかってるんですかね……」

おじさん「ふざけんじゃねぇよオイ! (俺たちが犯人だという)証拠ねぇだろ!」

AKYS「この馬鹿どもが……無駄な抵抗しやがって……(謎のオーラ)」

ゴゴゴゴゴ

野獣「いいよ、来いよ!(挑発)」

おじさん「(部屋の)真ん中来いよ、真ん中!」


秋吉の傲慢かつ偏見に満ちた取り調べに反発した虐待おじさんと野獣先輩は、部屋の真ん中で激しく絡み合った(バトル淫夢)。

彼らの衣服は乱れ、野獣先輩にいたっては早くも一糸纏わぬ姿になっていた(少年漫画にありがちな露出シーン)。

戦闘の余波から身を守るため、木村たちは、いったん8号室から脱出した――。


KMR「先輩達……凄い戦闘ですね……。皆さんケガとか大丈夫です?」

GO「ヘーキヘーキ」

RU姉貴「大丈夫よ。ダテに妖怪退治の専門家やってないわ」

モニターX「私がケガをするだなんて、斬新な考え方です」


――この人たち、何でこんなにどっしりと構えていられるんだ……。

木村は他のモニターたちの適応能力の高さに感心するとともにおおいに困惑を覚える。

――それにしても、個室の防音壁は相当なものらしい。こうやって廊下に出て戸を閉めると、中の音は一切聞こえてこないな。


【 DAY 1 <AM 12:00> 】


ヴォーヴォーヴォー


モニターX「あら、そろそろお昼時のようですね」

KMR「えっ? あ、ああ……今の、正午を知らせるサイレンだったんですね」

GO「今で時給(報酬総額)いくら?」

RU姉貴「もう100万は軽く超えてるわね。これで神社閉店も回避できるわ(貧乏巫女並感)」

モニターX「さて、喫茶ルームは確かあちらのほうでしたね」

RU姉貴「ええ。食事は早い者勝ちっぽいし、先に行っときましょうか」

GO「行こうぜ。よし、行くぞ」

KMR「あ、あの……。皆さんはこの状況に不安とかないんですか……!!」

RU姉貴「は?」

KMR「だって、アレですよ! 殺人が起きたんですよ! 僕の個室(へや)で!!」

KMR「何で皆そんなに平然としてられるんすか! もう、いやだよぉ……こんなの……(絶望)」

GO「ん? お前さ、今何て言った?」

KMR「え? だから、もう嫌だって……」

GO「その前だよ(半ギレ)」

モニターX「朴が死んでいたのは9号室。そこが朴の部屋だとなぜ御存じだったのか、ということですね」

KMR「え、いや、だから……9号室は僕の部屋であって……(カードキー提示)」


おもむろに9号室のカードキーを見せびらかした木村。それにじっと見入っていた3人は、何かに確信したかのような納得顔になった。

GO「つまり、お前が犯人というわけか……(後退)」

RU姉貴「自分から証拠を出してくるとはね……(困惑)」

KMR「えっ、ちょっと、違いますよ!? 何でそうなるんです!」


――僕は犯人じゃない! ひでの死体が発見されるまでの間の、アリバイだってちゃんとあるんだ!

――証人だって、そこにいるんだ!


KMR「たまたま……です! たまたま僕の個室が犯行現場になっていただけで……ああっ!?」

パシッ!


突然、背後に気配を感じた木村が振り向こうとするが早いか、秋吉が“9”のカードキーを取り上げた。


AKYS「暴れんじゃねぇ。お前が犯人だったのか……(憤怒)」

RU姉貴「あ、じゃれ合いはもう終わり?」

野獣「ああああもう疲れたあああああああああんんんん」

おじさん「体で語り合ったらねぇ……友情が芽生えちゃってねぇ(昨日の敵は今日の友)」

KMR「先輩、助けて! 僕、無実の罪を着せられそうなんですよ!」

野獣「そういえば木村さ、お前の個室、9号室だったよな(仲間を売る)」

KMR「先輩!?」

AKYS「このクズが(至言)」

GO「じゃあちょっと上半身脱いじゃおうか?(持ち物検査)」

KMR「僕はやってない! 物理的にやれるはずがないんですよ!」

モニターX「……」

KMR「証言してください! えっと……、す……」

KMR「すわわっ! さん!」

モニターX「はい? どなたのことでしょう。わたしは存じませんが」

RU姉貴「私も知らないわ」

AKYS「しらばっくれやがって……全部お前の仕業だったんだな(思い込み)」

野獣「木村が黒幕、はっきりしたんだね(便乗)」

GO「すげーあれだぜ? お前、四面楚歌だぜ?(接近)」

おじさん「どういうことなんだよお前! なぁ! はっきり白状しろよぉ!(恫喝)」


KMR「……」

――まずいな、この状況。このままじゃ、野獣と化したモニターたちによる集団レ○プ不可避だ……。

――何とかしなきゃ(悲壮感)。


KMR「ま、待ってください……あの、その。冷静に……冷静に話し合いましょうよ!」

KMR「死体の状況とか、よく調べないと……! 僕が犯人だという根拠がないじゃないですか!」


木村の必死の弁舌に、ちゃんと耳を傾けるものもいた。

が。現実はそう甘くない。

木村は野獣、秋吉、GOによって8号室の中へ連行され、厳しい取り調べを受けている(無慈悲)。

一方で、RU姉貴とモニターX、虐待おじさんは食堂に向かった。その中途、おじさんの口から、ひで追跡の経緯が語られた。


スタスタスタ


おじさん「あの小学生、結構力が強くってさ……T字路を越えたところで、おじさんの日本刀(ソード)、奪われたんだYO!」

RU姉貴「そう。どうでもいいけど」

モニターX「その後、朴に逃げられてしまった……と? 無様ですね」

おじさん「えぇ……」

RU姉貴「でも、おかしくない?」

RU姉貴「調教室の側に逃げたっていうのなら、奥は行き止まりなんだし。追い詰めたら捕まえられたんじゃないの?」

おじさん「捕まえるつもりで捜したさ」

虐待おじさんは喫茶ルーム、野獣先輩は調教室の中にそれぞれ入ってひでを捜したが、どちらにも見当たらなかったという。

また、うづきとタクヤの姿もなかった。

その後ひでが発見され、皆を呼びに来たGOと合流し、3人で娯楽室も覗いてみたが、そこも無人であったのは先の証言の通りだった。


RU姉貴「……あんたたち、バカじゃないの?(ジト目)」

おじさん「ええっ(困惑)」

RU姉貴「一方通行なんだから、どっちか片方が喫茶ルームとT字路の間で待機してたらよかったじゃないの」

モニターX「確かに。もしかすると、ふたりが喫茶ルームと調教室に入っている隙に、娯楽室に身を潜めていた朴が、T字路に向けて逆走したのかもしれませんね」

おじさん「あぁ……」

RU姉貴「娯楽室には入ってないと思うわ。だって、防音壁のせいで、中に入ったら外の状況がよく分からないでしょ?」

RU姉貴「おそらく、調教室よりも少し奥のほうの廊下で、陰に隠れて様子を窺ってたんじゃないの?」

RU姉貴「廊下が湾曲してるから、気配さえ消せばなんとかなりそうだし」

RU姉貴「それと、聞きたいんだけど」

おじさん「何を?」

RU姉貴「あんたたち、部屋の中に入るときに『バァン!(大破)』って感じで音を立てたんじゃないの?」

おじさん「……まあ、ね。おじさんたち、本気で怒ってたから、力任せに戸を開けて閉めたねぇ」

RU姉貴「てことは、その音はひでの耳に届いてたんでしょうね、きっと」

モニターX「確かに、廊下で出た音は意外と響くようですよね」

モニターX「わたしや遠野さんと木村さんは、朴の汚らしい叫び声が鳴り響いたのを聞いています」

おじさん「ああ、俺と学生が剣を取られまいと取っ組み合いをしていたときだな」

RU姉貴「というわけで、結論が出たわね」




RU姉貴「――犯人は、私たち11人の中にいるのよ!(名推理)」

RU姉貴「どう? わたしの推理、完璧よね~」

おじさん「あっ、うん……そうだね(同調)」

モニターX「……」


などと、会話に花を咲かせながら歩を進めていた3人は、喫茶ルームに入って――。

~喫茶ルーム~




KBTIT「もう許さねぇからな!」


パンンッ! パンンッ!


黒幕「ンギモチイイッ!!」




RU姉貴「ファッ!!?」

おじさん「ふっ、ざけんじゃねぇよオイ!? 状況説明しーコラ!!」

モニターX「昼食はあちらに用意してあるようですね」

グツグツグツグツグツ……


MUR「大根いいゾ~大根(某CM並感)」

UDK「寒い日のおでんは旨いなぁ(錯乱)」

MUR「出汁(意味深)が充分にしみ渡って、旨味成分が閉じ込められたほくほくの大根、口の中でとろけるよ、なぁ?」

UDK「ああ、(大根の)皮がしっとりしていて、それでいてカサつかないねっちょりとしたベジタボーな旨さだ(擬音濫用)」

UDK「おだしにはバンホーテンの物を使用したのかな?(味覚異常)」

MUR「36(ミロ)だ4(よ)」

RU姉貴「えっ……何なのよ、この状況は……(理解不能)」

おじさん「おじさん、こんなとき何て言っていいか分からないよ……」

RU姉貴「あ、これ夢ね。幻想ね(確信)。オチ(がつい)たわ。頬つねってみるか」


グニィ!


RU姉貴「痛い?(他人任せ)」

おじさん「痛いじゃねえかよ……(ノンケ並の反応)」


モニターX「――うふふ」

行方が分からなくなっていたはずのうづきとタクヤの出現!

唐突に正体を現した黒幕!(黒幕とは言っていない)

すでに忘れ去られていたであろう大先輩・三浦の復活!

その陰に隠れて不敵に笑うモニターXの正体とは!?




そして次回――ついにこの物語(サーガ)も最終章に突入!(打ち切り並の急展開)

お ま た せ

分かりやすいように、今後はRU姉貴とUDKの表記統一し、しますよ。

関係ないけど卯月姉貴は可愛いっすね(ノンケ並の雑談)

【 DAY 1 <AM 13:34> 】


唐突に理解不能な状況に陥った、RU姉貴たち3人であったが、

とにかく落ち着きを取り戻すために一旦席に座り、ココアおでん(珍味)を味わった。

なお木村は現在も野獣邸(8号室)で、野獣先輩らに厳しい訊問(意味深)を受けている。

一方、同じく野獣邸のトイレに入った遠野のその後は、誰も知らない(放置プレイ)。

~喫茶ルーム~


黒幕「ワン!ワン!」

RU姉貴「何でこんなところにINUがいるのよ?」

おじさん「“モニター”は12人だと言っていた。だから動物がいてもおかしくないだろそれよぉ」

RU姉貴「それもそうか(納得)」


RU姉貴「……あれ、もしかしてさっきから、私が主人公ポジと化してる?(視点移動)」

モニターX「……」

MUR「そうだよ(視聴者目線)」

ズズズズズ~ベチャベチャ


KBTIT「最後の一杯をくれてやるよオラ(ココアおでん)」

おじさん「あっ、タクヤさんが飲んで(お断り)」

KBTIT「食べようかな~、どうしようかな~(拒否反応)」

UDK「食べたら負けだ! 私は食べない!!」

MUR「おっ、そうだな」

RU姉貴「さっき、あんたたち普通に食べてたでしょ?」

モニターX「そろそろ、食器を片づけるとしましょうか」

RU姉貴「そうね。他の連中、来ないみたいだし。手伝うわ」

UDK「じゃ、私も。厨房に女3人が入って、姦しいってヤツだな」

3人が厨房に入っていったのを見届けたあと、おもむろに、タクヤが隠された真実を語り始めた――。


MUR「……」

おじさん「……」




KBTIT「俺はそんなさ――殺すほど、悪魔じゃねぇんだよ」

KBTIT「……」

おじさん「タクヤさん、何か知っているんですね。ハッキリ説明してくださいYO!」

MUR「そうだよ(便乗)」


タクヤは神妙な表情を崩すことなく、しかし口を固く閉ざすこともなく、ただ訥々と語り続けた。


KBTIT「俺は――シャバでは売れない漫画家だった(大嘘)」

おじさん「は?(威圧)」

MUR「結局カネが欲しくて人を殺したんだゾ。そうに違いないゾ」

KBTIT「金、金って言うんじゃねえよガキの癖にオォン!?」

MUR「!」


突然、憤怒の形相で三浦を怒鳴り散らしたタクヤは、座席からスタイリッシュに勃ち上がると――喫茶ルームの出口を指さした。

KBTIT「真実は一つだけだ。今から見せてやるからつべこべ言わずついてホイ」


厨房にかしまし娘3人を残して、タクヤたちは喫茶ルームを出た。タクヤは黙々と、『奥』へ突き進んでいく。


KBTIT「こっちだ」

おじさん「こっちって、娯楽室? 行き止まりのはずじゃ」

KBTIT「いつから娯楽室の先が行き止まりだと錯覚していた……?」

おじさん「なに!?」

KBTIT「あったんだよ。この先に……隠された『通路』が」

おじさん「それ、つまり……カードキーの裏に書かれていた『脱出経路』……!?」

MUR「そうじゃないよ(否定)」

MUR「脱出はできないけれど、確かにつながっているんだゾ」

おじさん「なぜそう言い切れる?」

MUR「俺が、その『通路』を発見したからなんだゾ!」


三浦はニヤリと暗黒微笑を浮かべ、KBTITと目配せをした。一瞬、背筋が冷たくなるモノを感じた虐待おじさんは、咄嗟に身構えよとしたが、もう遅かった。


KBTIT「卍☆解」


ドゴォ!!


おじさん「ぐ。――……あっ!!」

唐突に俊敏な動きで背後から強烈な一撃を喰らわせたタクヤ。そして床にズシャリと倒れこむ虐待おじさん。武器を持たず丸腰の彼には、ナスすべがない。

さらに体格のいい学生、三浦に羽交い絞めにされ、逃げ出すこともままならない。


おじさん「ふふ。見ろよこの無残な姿をよォ……(自虐)」


KBTIT「お前はこんな胡散臭いブラックバイトでさぁ、カネなんかさぁ、貰えると思ってんのかオォン!?」

おじさん「……」

MUR「きっと貰えるゾ(楽観)」

KBTIT「俺はカネなんか必要ねぇんだよ! 俺が欲しいのは快楽だ」


KBTIT「今度はお前を――ゲイ術品に仕立て上げてやるよ(迫真)」

【 DAY 1 <AM 13:44> 】


厨房に入った3人は、ある異変に気がついた。


RU姉貴「おかしいわね」

コンコン

モニターX「ダムウェーターが作動しませんね。故障でしょうか」

RU姉貴「これは……異変ね」

UDK「それ努力でなんとかなるから(語録)」


UDKは唐突に防止の中から小さな『スイッチ』を取り出すと、それを――


UDK「ポチッとな(ボヤッキー)」

ウィィィィィィン

RU姉貴「あ、急に開いてく――って、どういうこ」

ドンッ

RU姉貴「!?」


突然背後から押し倒されたRUは、躓いてダムウェーターの中に滑り込んでしまった。


RU姉貴「待てこらガキィ! 何すんのよ」

RUに続いて中に入ってきたUDKは、にやりと笑った(マジキチスマイル)

UDK「まずコレさぁ……ダムウェーターの制御装置」

RU姉貴「そ、そんなもの。どこで手に入れたのよ」

UDK「ほらあれ覚えてない? あの何か部屋にあった金庫! あの中にあったのだーそ-なのだー!」

RU姉貴「あ、そう……(無関心)」

UDK「えー、何です、ちょっとRUさん! RUさん、あの、ちょっといい? もっと食いついて! ここ核心迫ってるから(2時間ドラマの終了30分前)」

ピッ


UDKが再び『スイッチ』を押すと、ダムウェーターの扉が徐々に閉まってゆく。


RU姉貴「な、アンタ……私を閉じ込める気!?」

UDK「私、昨日さあれさ、最初に骨折したじゃん。痛くてさ、だからさ、施設警備員を呼んで~」

RU姉貴「って話聞いてないし」

UDK「RUさんのことが好きだったんだー!!(語録無視)」

RU姉貴「ちょっ……やめ……! そこのあんた!」

モニターX「はい?」

RU姉貴「こいつなんかおかしいわ。食堂の連中を呼んできて!」

モニターX「あの方々は、食堂を出ていったみたいですよ」

バターン!


ダムウェーターは封鎖された。

少し広めのエレベーターの中に野獣と化したUDKとRU姉貴、そしてさり気なく自分から入ってきたXの三人。

UDK「告訴(きそ)はやめてね」

RU姉貴「ちょ、こら脱がすなっ!」

UDK「リアルリアリティ!(意味不明)」

RU姉貴「やめんかコラ!」

モニターX「お二人はたいへん仲がよろしいんですね」

UDK「仲いいつーか友人(ホモ達)だな、なあ隊長」

RU姉貴「仲良くないよ」

UDK「」

RU姉貴「UDKと仲良くないよ私」


RU姉貴「こんなUDKなんて……嫌いだし好きじゃない」


UDK「RU……さん……?」

UDK「ど・・・もうわけわかんねぇよっ・・・・・・!!」

ガバァ!

RU姉貴「ん……むぐぅ……っ!」

モニターX「あらあら」


UDKとRUがプロレスごっこに興じる最中、再び『スイッチ』は押された。

誰が『スイッチ』を押したのか。『スイッチ』を押すことで今度はどういう作用が発生したのか。ダムウェーターは、一体どこに繋がっていたのか。

そして、彼ら三人がその後どうなったのかを知る者は――


――この場(8号室)にはいなかった。


【 DAY 1 <AM 14:36> 】


KMR「あれからいったいどれほどの時間が経ったのだろうか。僕は無実の罪を着せられて先輩たちに拷問された(心中を吐露)」

GO「そういうのいいから」

野獣「3カ月くらいしかたってないから(メタ発言)」

AKYS「いいだろお前ゴールデンウイークだぞ(遠い目)」

KMR「そろそろマジメに推理しましょうよ……このままじゃ疑心暗鬼で夜も眠れなくなってしまう」

GO「……とりあえず、事件現場に行こう。死体を検分しようぜ、チャッチャと」

野獣「しょうがねぇな(悟空)」

AKYS「よおし、今度は9号室で罰与えっからなあ……」


――まだ誤解は解けていないようだ。壊れるなぁ……(僕の体)

――でも大丈夫だ、ひでさんの死体の周囲に散乱していた凶器の数々。あれらはすべて僕の所有物ではないと証明できれば、疑いは晴れるはずだ。

――なぜなら、僕の部屋の金庫の中にあるのは……ただのSMセットなのだから!


《つづく(完結するとは言っていない)》

――9号室。


事件現場であると同時に、僕に割り振られた個室であるその場所に再び戻ってきた。

少年・ひでの死体が発見されてから(>>116)、すでに4時間以上が経過しているはずだ。

そろそろ死後硬直が始まっているのかもしれないが、死体に触れる勇気などないので実際硬くなっているのかは分からない。

野獣「硬くなってんぜ(目視)」

KMR「うぅ……やっぱりダメです。僕には直視できない」

GO「じゃあちょっと、触ってみて(指図)」

KMR「む、無理です……」

AKYS「何、もっかい言ってみルォ?」

KMR「ぐ……」

GO「ぬー、ちっと俺触るよ……」

パァン!

AKYS「膝を内側に曲げてぇ……いい尻してんなぁ、この餓鬼」

グキィ!!

野獣「(浴槽に)溜まってんなあ、オイ(血だまり)」

KMR「……っ……」

無理に抵抗するとまたヤられそうなので、僕もしぶしぶ触ってみる。少し硬くなっていた……気がした。

しばらく4人で死体の様子を検分してみたものの、警察の鑑識や法医学の知識もない素人にできることなど限界がある。

新しい証拠になりそうなブツは特に発見できず、臭気に耐え切れなくなった4人はバスルームから出て扉を閉めた。


GO「スーッ、アッー……ニオイ凄いね。閉めててもキツイ」

野獣「焼いてかない?(火葬)」

AKYS「オイルとか持ってないか」

KMR「い、いや。そんなものは……」

――確かSMセットの中にローソクとか、そういう用途のオイルが入っていたような気がするけれど。でも、霊安室があるのだからそちらを利用するのが賢明だとは思うが。

――死体の処理。さっきまで生きていた人間が、すでに処分されるべき“モノ”と化してしまったかと思うと、心底ゾッとする。

――明日は我が身、なのかも知れないのだから。


野獣「……」

GO「……」

AKYS「……」

KMR「……」


一瞬の沈黙。

木村たちは互いに視線を交わし、死体の処分よりも優先すべき事項があると暗黙の裡に確認しあった。

朴秀を無残にもサツガイした犯人――それを特定し、皆で何らかの処置をとること。話は、それからだ。

【 DAY 1 <AM 15:15> 】


――死体の状況は、こうだ(再確認)

●ぼくひで

●風呂場の浴槽の中に仰向けに寝かされている

●全裸

●死因は不明、多量の出血が見られる

●証拠品となりそうなもの…<日本刀><割れたティーカップ><キノコ><ナス>

――証拠品の4点はとりあえず死体の周囲から拾い集めて部屋のテーブルの上に並べてある。


野獣「まずさぁ……死因の特定なんだけど」

AKYS「失血死だろ。あれだけ血が出てるんだ」

GO「(小学生の割には)いいカラダしてたねぇ……ホントに」

KMR「じゃあ、凶器は……日本刀ですかね?」

AKYS「当たり前じゃねえか」

GO「日本刀ォ? さっき触ってみた感じだと、外傷は無かったよね?」

KMR「えっ……」

野獣「おい木村、ちゃんと死体見とけよ見とけよ~」

KMR「スイマセーン……」


確かに言われてみると、血塗れにはなっていたが血が噴き出した傷口があるようには見えなかった。全裸だったので、その点は間違いないだろう。


AKYS「言われてみりゃ、この日本刀にこびりついた血、刺したんじゃなく飛び散ってついたって感じだ」

KMR「この日本刀は『おじさん』が持っていたものですよね、先輩?」

野獣「小学生にヌッ、奪い取られたんだよね。逃げ足が速くてさあ……そのまま俺達、見失っちゃって」

AKYS「日本刀は朴秀が自分で持ってここまで来たんだな」

GO「それでキマリ、とは言えないよね? ここに戻ってくるまでに誰かにヤられたかもしれないだろ?」

KMR「でも、それをヤれた人物っているんですか? アリバイ的にどうなんでしょう」

AKYS「俺とGO、それからRUという女の子みてえな子は3人で行動していたから犯人じゃねぇよ」

秋吉ら3人は、ラウンジを一通り見たあと、例の長い廊下を通ってT字路に出た。その後、ほかのグループに合流するべく左折して個室側に向かったという。

彼らは部屋の少ない喫茶ルーム側を調べているはずのタクヤとUDKは、さほど手間がかからないだろう。だから、部屋の多い個室側を選んだ。

そして、僕とすわわさん、遠野さんがいた霊安室を通り越し、僕の部屋(こ↑こ↓)で死体を発見したそうだ。

KMR「でも、どうして3人は真っ先に、この部屋を調べに? 普通なら手前にあって鍵も開いていた霊安室にまず入るんじゃないですか?(疑問)」

野獣「不自然過ぎィ! 3人で完全犯罪を企んだって、ハッキリ分かんだね」

GO「いや、それは、さ……」

AKYS「あの女の子のカンなんだよ。まず個室を探してみるべきだってさ。そしたらよぉ、あったんだよなぁ……死体が」

KMR「カン……ですか。それは怪しいなあ。『探してみる』だなんて、まるで死体の存在を予期していたかのような」

GO「は? 何言ってるのお前」

KMR「え?」

AKYS「俺達が最初探していたのは死体じゃねぇだろうがオルルァ!」

野獣「あっ……(察し)」

KMR「あっ! 思い……出した……!」

そうだった。そもそもの発端は、朝食時に三浦先輩が不在だったことから。

三浦先輩を探すべく、3組に分かれてそれぞれの持ち場に移動したんだ。

死体発見後の混乱で、すっかりそれを忘れていた。



KMR「三浦先輩……結局どうなったんだろう(回想)」

野獣「いい先輩だったね……(追想)」

AKYS「話を戻そうぜ」

野獣「オッスお願いしまーす」

GO「で、どこからだっけ?」

KMR「それぞれのアリバイですけど、それぞれの証言がウソでないとするならば、犯人は……」

AKYS「消息不明の三浦か。カネ欲しさにヤっちまって、どっかに身を潜めているんだな」

野獣「ありますねぇ」

KMR「信じたくは無いですけど……三浦先輩、このバイトに一番乗り気でしたもんね」

GO「喫茶ルーム側にいるはずなのにいなかった二人(タクヤとUDK)も怪しい」

野獣「それもありますねぇ」

AKYS「お前らがウソついてるかも知れねぇだろうが」

野獣「ないです。人のこと言えないっスよね?」

AKYS「クソが……」


屈強そうな自称空手家・秋吉でさえ、誰も信じられない状況に不安を覚えているようだ。


GO「あーもう滅茶苦茶だね。30分で500万もらってもキツイ」


神々しいイケメン(ベタ褒め)のGOも、『考える人』のように頭をもたげて虚空を見つめている。絵になる艶姿だった。


野獣「菅野美穂・・・はあっ・・・アッ・・・・・・」


田所先輩は意味不明な独りごとを漏らしながら自分のイチモツを弄り、緊張を解そうとしているようだ。

そういえばこの先輩の苗字は『鈴木』だったような気がするが、きっと改名したんじゃないですかね(名推理)


そして、僕は――。

KMR「秋吉さん、僕のカードキー……返してくれませんか」


秋吉さんから取り上げられていたカードキーを返してもらった僕は、3人の前で禁固を開けた。

中には勿論、例のアレが入っている。それを見せながら、僕は宣言する。


AKYS「……」

GO「……」

野獣「……」

KMR「僕の持っているアイテムはSMセットです」


それぞれが持っているアイテムを見せ合い、手の内を曝け出せば少しはお互いに信頼感を醸成できる。

そう思った僕は率先して秘蔵の『護身具』を3人に見せた。

んだけどなぁ……(後の祭り)

野獣「あっ……ふーん」

GO「あ、うん。それで俺達に調教されたいいってことか。不安を紛らわすには何かに熱中してるほうがいいもんね」

AKYS「ソフトなSMじゃ虫も殺せねえぞ。本格的にヤるからなぁ」

KMR「やっぱりやめてくれよぉ……」


それからしばらく、木村たち4人は激しく絡み合った。


KMR「オラァ! もっと舌使えよ(一転攻勢)」

野獣「クゥーン……」


時間を忘れて、全てを解き放ち、これから先のことはなど考えずに、ただ、今の快楽だけを考えて――ケダモノのごとき呻き声を上げながら。

4人はついに果てて、ぐったりと横たわり、窓のない薄暗い部屋の天井をぼんやり見つめていたそのとき――唐突にその放送は始まった。

ブフォ!!

――『モニターの皆様に連絡いたします』

――『たった今、モニター1名が“脱出経路”を発見し、この疑死暗館から脱出することに成功いたしました』

――『モニター12名は、その生存のいかんに関わらず実験終了まで常に本館内に滞在していることが望ましく』

――『つきましては<モニターの心得>(十)の規定に基づき、これをもちまして本実験を終了とさせていただきます』

――『なお、報酬は規定に従って各々精算の上、後日通知いたしますのでご了承ください』


【 DAY 1 <AM 19:19> 実験終了】



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


          「映像はここまでだ。この事件の黒幕は誰だと思う?」


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

――――

「どうも」

「ああ、いらっしゃい」

「とりあえずビール」

「かしこまり」

ジョボボボボボボボボボボボボボボボ

「……植木鉢、壊されたんですよ。近所のバカ学生に。高かったんだよなぁ……(¥352,800)」

「悲しいなぁ……(諸行無常)」

バァン! バァン!

「今度の臨時収入で、新しいの買おうかなって」

「いいんじゃない?」

「……」

「卍解」

「……乾杯」

ガチャーン! ブシュワァァァァ

「……」

「……」

「今度、また実験あるらしいですね。招待状が来ましたよ」

「あっ、そうそう。蓮さんも参加しないかな。高額な報酬につられてウブな少年たちがホイホイ集まってくるのよ。一緒に調教しない?」

「いや、俺は……いいですわ」

「あらそう……(落胆)」

「……本当に」

「ん?」

「タクヤさんがヤったんじゃないんですよね」

「違いますってえ。俺はあのとき、ひとりで調教室に入って、INUを見つけて、調教してたんですよ」

「しばらくして、散歩させてエサでもやろうかと思って喫茶ルームにつれてったら、あの2人がいてね」

食堂にいた2人――UDKとMUR――から娯楽室の向こう側の『隠された通路』の話を聞いたタクヤ。

もうじき昼時だったので、いずれ他のモニターも喫茶ルームに戻ってくると思っていた彼は、とりあえず調教を続行した。

UDKとMURは傍らでココアおでん(珍味)を味わっていた、という。


蓮は考えていた。タクヤの証言が正しいとするならば。

自分がひで少年を追って、喫茶ルームの中を探していたとき、タクヤはまだ調教室でINUを調教していたことになる。とすれば。『アイツ』はタクヤさんの姿を見ていたはずである。


『アイツ』は、嘘をついていた。

が。それだけのことだ。

もうあの館での出来事は過去のものとなっている。

小学生の死体も、AKYS達との激しいバトルも。

この『実験』のリピーターで、人を殺さないでボーナス稼ぐ方法を知っているタクヤに無理やり犯されたことも(あくまで同意のないレ○プでなければならない)、今となっては遠い夢の中の話のようである。


全ては時の経過とともに移りゆく――諸行無常なのだ。

葛城蓮は、事件について考えるのをやめた。

――――

ヴーンヴーンヴーンヴーン……ピッ

「あのさぁ……、イワナ、イワナ買った?(言わなかった?)」

>>203

「警備員の詰所で治療してもらったんだけど。ピンキー来たのよ。あ、見ないほうがよかったよ。なんだあのオバサン!」

「ゲホゲホゲホッ!!」

「ほら、心停止。心停止しかけた。これ使えるって思った。ヤるのに」

「黒幕もさ、使った。だってホラ」


<モニターの心得>
(七)早く“あらゆる殺人”を起こしてください、何でもしますから!

「何でもしますから! 何でもしたよ、あの男!」

「私、受験……失敗して……人間関係とか……もう全部どーでもよくなった」

「RUさんも……ヤっちゃうつもりだった……」

「私のコト、友人だと、リア友だって言ってほしかった……言ってほしかった……それだけ」

「でも……でも……でも……ウッ……ウッ……」

「やっぱ私RUのこと……大好きだから、ああああああああああっ……」

「ごぉれいじょゔ…ひどを…きずづけられないっで…え゙っえ゙っ」

「ごめん……ね」

「サラ……ダ……バー……」

……プツンッ……ツーツーツー

――――

結果的に、随分と中身のない単調な『ホモビデオ』になってしまった。

主催者はさぞ口惜しく思っていることだろう。

しかし。

TDNホモビを制作するためにこれほどの設備を整え、実験と称して下北沢に蔓延るホモ達を集め、煽動し、彼らの本能を赤裸々に暴いていくスタイル。

金を持ちすぎている者たちが淫する道楽とは、まことに一般人には理解できぬ、狂気に満ちたものだ。

一般黒幕爺「今回の実験の日程が決まりました。前回の実験の反省点を踏まえ、手筈通りに、準備を進めてください」


「また、可愛らしいネコを連れてきてくださいね。田所さん」

「いえ、今は――鈴木さんでしたね」

「んぁ、大丈夫っすよ、ばっちぇー見つけてますよ。次のターゲットぉ……」

――――

「時給840? 全っ然安いな」

「人手、足りねえ仕事があんだよ。いい仕事なんだけどさ」

「いいよ、紹介してやるよー。すげーあれだぜ? 超金持ちになんだぜ?」




「30分で、500万!」




                     【インシテミル(意味深)】  完

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月31日 (月) 08:51:53   ID: U48z1OdG

汚ないssって事はっきりわかんだね!

2 :  SS好きの774さん   2015年12月15日 (火) 11:30:39   ID: zzh-750t

十悔い改めて十

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