ワタル「ああ、思い出したらまた腹立ってきた」

ワタル「さあ、女神様、早く願いを」

女神「で、ですが、それではあなたの両親は…」

ワタル「女神様、僕はここまでの旅を通じて学んだんです」

ワタル「辛いことは誰にだって起きる、それは避けられないことだって」

ワタル「幸せがあるなら不幸だってあるし、喜びがあるなら悲しみもあるんです」

ワタル「運命は残酷なものだけれど、だからこそ生きていくことは素晴らしい」

ワタル「だからもういいんです、父と母のことは」

ワタル「何かあるたびに女神さまに助けてもらうわけにはいきませんもんね」

女神「…ワタル、立派になりましたね」

ワタル「ええ」

ワタル「だから早くミツルを僕の奴隷にしてください」

女神「…はぁ」

女神「どうしてそういう結論になるのかわかりませんが」

女神「このヴィジョンのことはいいのですか？」

女神「封印が解け、魔族に襲われているこの世界は今にも滅びを迎えようとしています」

女神「あなたが望むのなら、私の力で魔族を退けることも…」

ワタル「いいんです！」

女神「本当に？あなたは共に過ごした仲間を見捨てるというのですか？」

ワタル「いいえ、そうじゃありません」

ワタル「僕は信じています、彼らならこの程度の危機は自分たちで乗り越えられると！」

女神「」

ワタル「さっきも言いましたけど僕は学んだんです、基本降りかかる火の粉は自分で払わなきゃなんです！」

ワタル「自己責任！自己責任なんです！自分でなんとかしないと、誰も都合よく助けになんて来てくれないんですよ！」

女神「は、はあ」

ワタル「大丈夫です、ミーナやカッツさんやあのトカゲの人達なら、きっと自分たちでなんとかできます！！」

女神「成長しましたね、ワタル」

女神（嫌な方向に）

ワタル「というわけで女神様、僕の願いを」

女神「…わかりました」

女神「決意は固いようですし、その願いを叶えましょう」

ワタル「やったぁ！」

女神「ええっと…オホン」

女神「『ミツルドレイニナーレー』」ﾍﾟｶｰﾝ

女神「はい、これで現世に戻れば彼はあなたの思うが儘です」

ワタル「なんか雑ですね」

女神「大した奇跡じゃありませんでしたから」

女神「じゃ、そろそろあなたを現世に戻しますが」

ワタル「はい」

女神「…他に思い残すことは？」

ワタル「ないです」

女神「そうですか」


ピカーン！！

ワタル「んん、ここは」

ワタル「僕の部屋か、ってことは…」

ワタル「帰ってきたんだ」


―――
――――

学校

かっちゃん「ミツル誰だ？そいつ」

ワタル「！」

ワタル（やっぱりヴィジョンでのことは夢だったのかな）

ドンッ

ワタル「痛っ」

？？？「！ちゃんと前見て歩けよ」

ワタル「ご、ごめんなさ…って」

ワタル「ミツル！！」

ミツル「？誰だ、お前」

ワタル「ミツル！！ミツルゥゥゥゥ！！」

ミツル「うわ、なんだお前、触るな！！」

ワタル「良かった！！生きてたんだ！！本当に良かった！！」

ミツル「離せっ、この、何なんだ！！」

ドンッ

ワタル「うわっ」

ミツル「なんだか知らないが、二度と俺に近寄るなよ！」

ツカツカツカ

かっちゃん「どうしたんだよワタル、急にあんな」

ワタル「ふ、ふふふ」

かっちゃん「？」

ワタル「夢じゃなかった…夢じゃ、なかったんだ」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

かっちゃん「？へんな奴」

放課後

ワタル「ミツルゥゥゥゥ！！」

ミツル「！またお前か」

ゲシッ

ワタル「ぐほっ」

ミツル「二度と俺に近づくなって、言ったよな？」

ワタル「ふ、ふふ…」

ミツル「何笑ってんだよ」

ワタル「ナチュラルに人を見下すその態度といい、躊躇なく人に腹パンする尖り具合といい」

ワタル「やっぱりミツルは最高だよ」

ワタル「ついて来て」

ミツル「は？」

ワタル「いいから」

ミツル「！」ｸﾞｸﾞｸﾞ

ミツル（なんだ？体が…勝手に）

幽霊ビル

ミツル（結局こんなとこまでついて来ちまった）

ワタル「思えばここから全部始まったんだよね」

ミツル（またぶつぶつ言ってるし、あの電波野郎）

ワタル「いろんなことがあったなあ」

ワタル「楽しいことも、辛いこともあった」

ワタル「ミツルは本当に何も覚えてないの？」

ミツル「お前が何を言ってるのかさっぱりだよ」

ワタル「そっか、まあいいや、じゃあ結論から話そうか」

ミツル「？」

ワタル「僕は駄目な奴だ」

ミツル「あ？」

ワタル「ヴィジョンを旅してみてよくわかったよ」

ワタル「才能、っていうか素質？みたいな、そういうのがまるでないんだよ僕」

ミツル「…」

ワタル「大人は言うだろう、だったらその分努力すればいいって」

ワタル「でもさ、そんなのって誤魔化しだよね、面倒だから触れないようにしてるだけだ」

ワタル「そうやって誤魔化されてるうちに、僕らみたいのはふるいにかけられて落とされる」

ワタル「落として落として、最後に残るのが、ミツル」

ワタル「キミみたいな人間だ」

ミツル「…」

ワタル「羨ましいよ」

ワタル「キミは何をやったって人並み以上に上手くこなすし」

ワタル「競い合えばまあ、大体勝っちゃうはずだ、そうだろう？」

ワタル「いいなあ、羨ましいなあ」

ミツル「お前なんかに」

ワタル「ん？」

ミツル「お前なんかにわかってたまるか」

ワタル「…ああ、無理心中がどうのこうのって話？」

ミツル「！？どうしてそのことを」

ワタル「まあ大丈夫だよ、キミなら立ち直れるさ、ファイト」

ミツル「こ、の…」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

ワタル「おっと『待て』」

ミツル「！」ﾋﾟﾀｯ

ミツル（まただ、体が急に…）

ワタル「そんなわけで、ええっと、どこまで話したっけ」

ワタル「…えっと、そう！キミと僕とは才能に差があり過ぎて不公平だってことだよ！」

ミツル（何を、言ってる…）

ワタル「だからさ、その格差の是正をする必要があるんだ」

ミツル「？」

ワタル「ひざまずけ」

ミツル「ふざけ！！」

グググ…

ミツル「？あ、あああ」

ミツル（何故だ、どうして逆らえない！？）

ワタル「それだよ、その表情が見たかったんだ、ハハ」

ミツル「く、この…」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

ワタル「無駄だよミツル、キミは僕の奴隷になったんだ！」

ミツル「誰が、そんな」

ミツル（嘘だろ、指一本動かせない）

ワタル「楽しいなぁ、ミツルが僕の掌の上だなんて」

ミツル「…」

ワタル「ま、とにかくこれからはその優秀な頭脳で僕の為に働いてよね、ミツル」

ミツル「はい、ご主人様」

ワタル「いい返事だね」

ミツル（！お、俺は何を言ってるんだ）

ワタル「そういえば、ミツルって綺麗な顔してるよね」

ワタル「まるで女の子みたいだ」

ミツル「！！」ｿﾞｸｯ

ワタル「唇も艶々してるし」ｽﾘｽﾘ

ミツル「さ、わる、な」

ワタル「なんかいい匂いもするし」ｽﾝｽﾝ

ミツル「ひっ」

ワタル「ねえ、ミツルってさ」

ワタル「女の子とキスしたことある？」

ミツル「な、ない」

ワタル「ふーん、意外だね、モテそうなのに」ｽﾘｽﾘ

ミツル「っだ、から、触る、な」

ワタル「じゃあさ、じゃあさ」ﾊｱﾊｱ

ワタル「僕と練習してみようよ」

ミツル「！？な、なんで」

ワタル「だから練習だよ、いざって時の為に」ｼﾞｰ

ミツル「ひ、必要ない、っていうか、おかしいだろ」

ミツル「男、同士で、そん…んむっ！！」ﾝﾁｭﾝﾁｭ

ワタル「ミツルッ、ミツルッ！んん～！！」ﾚﾛﾚﾛ

ミツル「んむっ、んん！…っは！はぁ、はぁ」

ワタル「はぁ、はぁ」

ワタル「可愛い、可愛いよ、ミツル」ﾊｱﾊｱ

ミツル「…気持ち悪い」

ワタル「ミツル」

ミツル「ちくしょう、なんでこんなことに、うっ…うぅ」

ワタル「泣いてるの？」

ミツル「うる、せ…」

ワタル「////」ｿﾞｸｯ

ワタル「ミツル」ﾊｱﾊｱ

ミツル「？」

ワタル「…脱いで、服」

ミツル「！？」

ミツル「嫌だ！！嫌だァ！！」ﾇｷﾞﾇｷﾞ

ワタル「…」ｷﾞﾝｷﾞﾝ

ミツル（嫌なのに！！どうして俺は服を脱いでるんだ！！）

ワタル「わぁ、綺麗なピンク色だ」ﾂﾝｯ

ミツル「んっ！」ﾋﾞｸｯ

ワタル「ナメていい？」

ミツル「い、や…だ」

ワタル「…胸を突き出せ」

ミツル「！ひっ、ぐ、ううううぅ」

ワタル「よしよし」

ワタル「ナメるよ？」

ミツル「！」

ぺろっ…

ミツル「あっ」

れろれろ…ちゅっちゅぱ…


ミツル「あっ…ん、やめ…」

ワタル「…」ﾊｱﾊｱ

ワタル「…自分でもいじれ」

ミツル「そんっ、くっ、あああああ！！」ｸﾘｸﾘ

ワタル「ふふふ、なんだ、嫌そうにしてたわりには」

ワタル「こっちはビンビンじゃないか」

ピンッ

ミツル「っあ！！」

ワタル「さあ、下も脱ぐんだ」

ミツル「っ…」ｺﾞｿｺﾞｿ

ぶるんっ！