むりやり小説ゲーム 二番館 (1000)

このスレでは
作家さんが要所要所キーワードとなる部分を空白にして小説を書き、
その空白をレス番指定された人が埋めていって小説を完成させるという
読者参加型小説ゲームを行っています。
(例)
   18 名前: 作家さん 投稿日: 2011/11/01(火) 00:00:00
      主人公「よし、朝ご飯に>>20を食べよう」

   19 名前: 参加者 投稿日: 2011/11/01(火) 00:00:08
      シュールストレミング

   20 名前: 参加者 投稿日: 2011/11/01(火) 00:00:10
      ダイヤ

   21 名前: 作家さん 投稿日: 2011/11/01(火) 00:02:40
      主人公「硬いよ…」

と言う感じで書き込んでいきましょい!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369746012

まとめ
http://www.geocities.jp/neetgundam/matome/
http://www.geocities.jp/yardoramatome/
http://www.geocities.jp/qxybb760/top.html
http://muriyari.web.fc2.com/
http://muriyari4th.rash.jp/site/

避難所
http://jbbs.livedoor.jp/computer/32524/

○募集○
・まとめサイトの人が持っていない過去ログをupしてくれる人
・他にまとめサイトを作ってくれる人
・過去の作品をまとめてくれる人
・作家さん。要するに書き手。 ←NEW

【タイムスケジュール】
http://kmix.dabits.net/ts/
(その時に予約されているスケジュールが書かれています)
※予約・確認にはタイムスケジュールスクリプトをご利用ください。(予約は随時受付中)
※開始時間より2時間前には予約するようにしてください。
※押す可能性が多々あるので、かなり長めに時間指定しておいてください
※予約する際は、前後の予定を考慮し、1人あたり2時間は確保できるようにして下さい。
※様々な都合で時間を指定出来ない作者さんもいらっしゃるので、 譲りあったりなどのご協力もお願い致します。

てんぷれおわり!!

久々にVIP+にって思ったりもしましたが、規制がまだ残っているみたいでもありますし、
とりあえずもう暫くこちらで……。

ではもう暫くお待ち下さい。

~~~使いまわし系これまでの登場人物紹介~~~

【鴨志田 響】(かもしだ ひびき)
本編主人公。女らしかったこの人も本当に女となってしまいました。乳首が弱点です。

【長谷川 儚】(はせがわ はかな)
主人公とは仲が良い少女。同人主にえっちぃ絵が得意だが絵本は描けない可哀想な娘。別名、ファンタジーメンヘラー。

【長谷川 夢】(はせがわ ゆめ)
儚の姉であり、突如転入生として現れた自称宇宙人。巨乳で何故か家事が得意なようです。別名、スペースメンヘラー。

【日和見 萌】(ひよりみ もえ)
主人公と唯一話をしてくれる少女。主人公にセクハラする事を得意とする少し頭の弱い人。

【志藤 猛】(しどう たける)
主人公の唯一の親友とも呼べる少年。背も高く男らしい風貌の為、主人公に嫉妬されやすい。

【水無月 久遠】(みなづき くおん)
開成学園生徒会長の女子。中ニ的でツンデレで実は臆病と言う凄く面倒くさい子。

【柏田 つみき】(かしわだ つみき)
十三歳のクセに教師で天才で挙句に幼児体型で薬学研究にも手を出すいろんな意味で変態な子。

【鴨志田 鳴】(かもしだ めい)
十三歳の女子中学生。しかし超絶過ぎるブラコンの為登場早々引かれております。とにかく必死。

【高科 羽未】(たかしな うみ)
長谷川姉妹達と同人サークルに所属する同世代の少女。にゅんにゅん電波を放出しますが、毒を吐くときはふっつーです。

【坂上 麻衣】(さかがみ まい)
私立開成高校の教員であり、生活指導担当。眼鏡美人かはさておき、世話焼きでちょっぴりショタ好き。

~~~ 『少女と絵本と宇宙人、時々エロ本』 第六話 ~~~

八月に入り、星見寮は更に活気が溢れることになる。最後の一部屋が埋まることになったのだ。
その最後の一部屋に荷物を搬入しようとする少女は、汗に塗れながらも、これからの生活を思い描いているのか、楽しそうだ。
しかし俺は、その目の前でダンボールを運ぶ少女に、もう暫くすれば言わなければならない事がある。

「……結局、告白の返事、どうすればいいのか分からないまま……期限が来てしまった……」

正直に言えば蒼白していた。日和見萌がこの寮に住むなんて、どうしてこうなった、と、何度も呟いていた。
彼女に告白された俺は、一週間待ってくれと期限を延ばす。しかし、その期限がいよいよ今日なのである。
結局、何も分からず終い。結論も出ず、振り返ればだらだらと時間を過ごして来ただけのような気がする。

「それもこれも、全部あのバカ宇宙人のせいだ……!!」

彼女はここ最近、毎日といって言い程寮の皆を巻き込んで、イベント事を開こうとしている。
闇鍋、天体観測、そして水浴び、それらだけでは物足りないのか、彼女は庭でバーベキューを行うと宣言したり、
全員で朝から晩まで買い物大会等と意味の分からないイベント事を提案することもあった。

「今日は、日和見萌の歓迎会を行う予定よ。さぁ、何をしようかしら」

そんな自称宇宙人、つまりは馬鹿である長谷川夢は、今日も銀髪を揺らし企画を練るのである。

「な、なぁ……宇宙人。今日くらいは休まないか……? 毎日お祭り騒ぎしてるんだぞ? 近所からクレームが来てるらしいし」

「それは駄目よ。今日は日和見さんが入寮した記念日、なのに歓迎会を行わないなんて、鴨志田君は酷い人なのね」

「そ、それは……。しかし、そろそろネタ切れだろ?」

「それが問題ね。……そうね、ここは一つ、日和見さんに直接尋ねましょう。……鴨志田君も一緒よ?」

「え、お、俺も!? いやいやいや、今はちょっとアイツに顔を合わせづらいというか……」

「……それは何故?」

長谷川夢、時折本気で分からなくなる。元々どういう思考をしているのか分からなかったりもするのだが、
偶に無駄に鋭かったり、妙に気が回ったりする傾向があり、もしかして今回も見透かされているのでは、とたじろいだ。

しかし、思ったより深く追求しようとしない彼女は、俺を連れて日和見萌の部屋を訪れた。彼女は扉の前に着いてはそうそうノックをする。

「長谷川夢よ。開けるわね―― って、こ、これは……>>6!?」

丸坊主!

部屋全体が血だらけの部屋。そして倒れている萌

>>7
こっちのケースも考えてた。

「長谷川夢よ。開けるわね―― って、こ、これは……丸坊主!?」

「はぁ? 何いってんだよ宇宙人―― って、確かに丸坊主!?」

「んー? あ、長谷川の姉の方だー。おっはよー」

「……貴女、坊主になったのね」

「ん? あぁこれ? ……そうだよ、坊主になったんだ」

「おい、日和見! お前、本気で……って、さっきまで髪の毛あったよなぁ!?」

「さっき剃ったの」

「んなあほなっ!? ……いや待て、お前……頭皮がぐにゃぐにゃだぞ?」

「そ、そういう頭皮をしてるだけだよー!?」

いやいや、と手を振ってしまう。よく見ればそれははっきりと被り物だと分かるのである。
しかし、隣で呆然となるバカ宇宙人にはどうやら分かっていない様子。いや、分かってあえて乗っているのかもしれない。

「成る程ね、日和見さん、この入寮はそこまでの覚悟だったという事ね」

「お、おうともっ! 私だって本気中の本気って事なんだから!」

「……やはり侮れない相手ね、日和見さん。ならば私も受けて立つしかないわ。……少し待っていなさい」

彼女はそうして日和見の部屋を出て行くのだが、何をしに行ったのか、と日和見と俺は互いに顔を見合わせる。
しかしこの時、久々に日和見の顔を見たせいで、俺の方からつい視線を逸らしてしまった。
真っ直ぐに彼女が見れない。いくら丸坊主状態でウケを狙っているとはいえ、顔はやはりアイツそのものなのだから。

「ねぇ。響。……もう一週間、もう少し言うとちょっぴり時間過ぎているんだけど」

「……えと、何の事だっけ!?」

「男らしくないね。……でもいいのかな、今は女の子だし」

日和見の、先程までの明るい雰囲気は何処へやら、その言葉自体が冷たく感じては、つい俯いてしまう。

しかし、そんな時にバカ宇宙人の助け舟が入るのだ。なんと、彼女は再び部屋に戻ってきたときには、>>10という格好であった。

まるでダースベ○ダー

猫耳と白ビキニ

油すまし

しかし、そんな時にバカ宇宙人の助け舟が入るのだ。なんと、彼女は再び部屋に戻ってきたときには、まるでダースベ○ダーという格好であった。
宇宙人らしいと言えば宇宙人らしいのだろうか。ただ、髪の毛を垂れ流してのその仮面を被るのはあまり宜しくないとは思えてしまう。

「コホー、コホー……ワタシハ、ウチュウジンダ!」

「長谷川さん、それ、ダースベイダーじゃん?」

「チガウ、ウチュウジンデアル! 尚、フォースは扱えない模様」

「ダメースベイダーだったんだ?」

「そんな与太話は良い……。さぁ、丸坊主の日和見さん、私と勝負せよ、こほーこほー!!」

なんでそこで勝負になるんだよ、と日和見の部屋を何となく見渡すのである。
まだダンボールだらけで、お世辞と言っていい程片付いている訳ではない。
既に引越し業者がある程度大型の家具は部屋に運び込んでいる為、急ぐ必要はないのかもしれないが……。

「や、やるわね日和見さん、まさかカツラを投げつけて私に一撃を食らわせるなんて……!」

「そ、そっちこそ! 仮面を外すのかと思えばいきなり玩具のライトセーバーで頭をたたくなんて!!」

最早子供の遊びとしか思えない勝負が繰り広げられ、やがて彼女達は組みあい、掴み合いという泥試合が行われていた。
呆れて物が言えん。ここは一喝してバカ宇宙人を部屋に帰し、日和見は自分の荷物を整理しろと言うべきか。
なんて思っていると、俺の携帯が鳴り、その相手を見ては何故にメールと不思議に思うのだ。

「……なんで同じ寮なのに、メールしてくるんだ、アイツ」

メールの相手は長谷川儚。内容は、たすけての四文字。何を助ければ良いんだと、泥試合を眺めながら送信。
すると、彼女から『原稿』と二文字だけ返ってくるのだ。そしてその後、メールじゃなくて直接言いに来いと送りつけたところ……。

『今お姉ちゃんに顔を合わせたら、口煩いからやだ』

成る程、と頷いた俺は、その泥試合の結果を見届けることなく、儚の部屋に向かい、扉をノックした。

「おーい、来たぞ。といっても原稿なんてどう手伝えば―― うわぁっ!?」

「しっ、静かにして……」

いきなり扉が開いては、腕を引っ張られ部屋の中に押し込まれてしまう。そうして、彼女はそっと扉を閉めて言うのだ。
今は騒いではいけない。騒げば……>>14

アイディアが頭から消え去ってしまう

いきなり扉が開いては、腕を引っ張られ部屋の中に押し込まれてしまう。そうして、彼女はそっと扉を閉めて言うのだ。
今は騒いではいけない。騒げば……アイディアが頭から消え去ってしまう、らしい。

つまりもう粗方は固まっているわけだ。なのに何故俺の手助けが必要なのか、疑問を口にした。

「それは……、一人じゃ、捗らなくって」

「一人じゃ捗らないって、あのなぁ。他にも誰か居るだろう、実はヒマしてる天才マッドサイエンティスト教師とか」

「あれは怖いから。バッド入ったら絶対やばいから」

「それじゃ、水無月が居るじゃないか。アイツ、最近は生徒会も落ち着いてきたみたいだし」

「水無月さんはライバルでもあるから駄目なの」

「我侭なヤツめ……。じゃあ、同じ穴のムジナでどうなんだよ」

「姉は一番駄目。……あの人にアシ頼んだら最後、原稿が顔文字だらけになっちゃう」

「……アイツ、絵が寧ろ描けないタイプか」

「だからやっぱり鴨志田君しか居ないの。……お願い」

手をぎゅっと握られた。両手で右手を包まれ、その温もりを感じながら彼女の上目遣いにどぎまぎしてしまう。
なんでそんな純粋そうに見つめて来るんだよと、途端恥ずかしくなっては視線を逸らしてしまう。

「そ、それで……何を手伝えばいいんだよ」

「えっと……>>16

とにかく浮かんだ妄想をどんどんアウトプットして

「えっと……とにかく浮かんだ妄想をどんどんアウトプットして」

「アイデア浮かんでるんじゃ無かったのか!?」

「それとこれとは別、お茶とお茶菓子を別々に食べるようなものなの」

「そういうモンだろう……?」

「駄目なの。お茶とお茶菓子を混ぜないと、今回の同人誌は完成しないの」

「お前……一体何処を目指してるんだ……」

そうして、俺は儚の部屋で妄想をしなくてはいけなくなった。彼女の持ち出したクッションに座り込み、腕を組んで目を閉じる。
いきなり妄想と言われるとこれが意外と出てこない。とりあえず、それらしい何かを思い浮かべてみよう――。

―― 昼下がりの教室、まだ俺には息子様も合ったりする。そんな中、黒板に宇宙人の落書きをするのは長谷川夢。
銀髪が夕陽に照らされ、きらきらと輝いて見える中、俺はその彼女の背中をじっと眺めてしまう。
その視線に気付いたのか、くるりと振り返った長谷川夢は、とても眩しい笑顔で言うのだ。

「どうしたの、鴨志田君」

「いや、その……長谷川って、綺麗だなって……」

「わ……私が? そんな……。でも、嬉しい……!」

彼女は頬を染めて、はにかむような笑顔を見せた。それがまた俺の心を惹き寄せてしまう。
気付けば、俺と長谷川夢との距離は縮み、もうお互いほぼ間近となった時、彼女はすっと背伸びして言うのだ。

「……キス、しよっか?」

長谷川夢は瞳を閉じる。そして、そっと顔を、唇を近づけて来るのだ。それに動揺しながらも、やはり惹き寄せられていった俺は――。

「……ボツ。一にベタ過ぎキレイ過ぎ。二にお姉ちゃんとか描きたくない。三に……鴨志田君、今はお姉ちゃんより背が低いよね?」

「じゃ、じゃあ、どんな妄想だったらいいんだよ!?」

「そんなの、エロ同人なんだから……>>18

普通の人はドン引きするようなマニアックなやつを

悪いお代官様に××される可哀想な一揆の首謀者の娘

「そんなの、エロ同人なんだから……普通の人はドン引きするようなマニアックなやつを」

「ふ、普通の人はって……俺にはハードルが高すぎる」

「そんな事無いから大丈夫、自分を信じて」

「その応援は何かが違うと思うんだ、何かが……」

再び腕組みしては唸りつつも頭の中にイメージを膨らませてみる。例えば、そう――。

―― 生徒会長である彼女は、美少女で可憐である。それでいて、他人には優しく気遣いも出来る女の子。
中ニ的なところもあるかもしれないが、ツンデレなところもあるかもしれないが、それでもその彼女の振る舞いにやはり惹かれてしまう。

そんな人気者な生徒会長、水無月久遠と、生徒会役員である俺とはちょっとした秘め事があるのだ。

「……誰も、居ないわね?」

「ああ、皆帰ったみたいだ……」

「……疲れちゃった。足、揉んでくれない?」

「喜んで、お嬢様……」

皆が生徒会室から、そして学校から居なくなれば、途端俺は彼女の下僕と化してしまう。
靴を脱いでは机にそのすらっと伸びた脚を投げ出すようにした彼女のそれを、ニーソックス越しに掴んでは、最初は優しく揉んでいく。

「ん……もう少し強くしてもいいわよ……」

「それではお嬢様、今日は趣向を変えて……」

「趣向を変えて? それってどんな―― ひゃっ、く、くすぐったいッ!?」

「お嬢様の長時間靴の中で蒸れた足の臭い、甘いようでほんの少しつんとして、良い臭いです。でも、味はというと……」

「や、やだ、何を考えてるのよ変態! さっさと止めないと、私の深淵なる闇の守護の力が―― ひゃぅっ!」

「お嬢様の足の指……汗が蒸れた味がします。美味しいです――」

こ、これならどうだ、とマッサージから発展、脚フェチというプレイを思いついた俺がドヤ顔をしていた訳なのだが、
その妄想を黙って机に向かいながら聞いていた長谷川儚は……>>21

無表情で録音中

こ、これならどうだ、とマッサージから発展、脚フェチというプレイを思いついた俺がドヤ顔をしていた訳なのだが、
その妄想を黙って机に向かいながら聞いていた長谷川儚は……無表情で録音中。
こいつ、最低だと突っ込めば、彼女はそこで俺に振り返り、まるで正当だと言い張るように口にした。

「忘れないように録音しておいた方が良いからと思ったから」

「つまり……この妄想アイデアは採用で良いんだな? 俺はもう解放されるんだな!?」

「駄目なところは、一にニーソックス。オーバーニー以上、タイツくらいじゃないと駄目。二に味の表現が駄目。もっと臭くしないと。
 三に水無月さんなのが駄目。……やり直しかな」

「お前も大概に変態なんだな……」

「それより、余り時間が無いの。製本期間も考えると、かなり急がないと……」

「お、おう……それじゃ次――」

我がクラスの担任でもある、十三歳教師柏田つみき。しかし、実は彼女は大人であり、年齢を誤魔化していた。
しかし、誰がどう見てもその年齢は十二歳以下ではないかと思えるほど幼児体型。まな板にイカ腹な、その彼女を今日も愛でるのだ。

「縛られた感想はどうだい?」

「ん、ぐぅぅ……!!」

「猿轡のせいで何も話せないようだね。でも、毎日ちゃんと約束通り、この生活指導室に来ては俺に生活指導をされたくて仕方ないんだね?」

「んぅぅ……!」

「分かっているよ、ほら、こんなに濡らして……、我慢出来ないんだろう? それじゃ――」

俺がさぁこれから、と過激なプレイを晒そうとすると、やはりそれも録音しつつダメ出しする長谷川儚。
じゃあ何故途中で止めたのかと抗議する。話はこれからだったのにと息巻いていると……。

「フィクションでもア○ネスが来るから駄目。というか、柏田先生を持ち出すのも駄目」

「……じゃあ誰で妄想しろって言うんだよ!?」

「…………」

彼女は無言で俺の方を何度も見ては、逃げるように机の原稿に視線を移すのだ。
なんて分かり易い表現なんだろう。つまり儚で……>>23をすればいい訳だ!

妄想の実践

彼女は無言で俺の方を何度も見ては、逃げるように机の原稿に視線を移すのだ。
なんて分かり易い表現なんだろう。つまり儚で……妄想の実践をすればいい訳だ!

今ではペンを走らせ、黙って背を向けて作業を行う長谷川儚。その小さな背中に抱きついてもいい。
しかしそれではつまらないと、やはりここは一つ、先ずは妄想を練ろうではないか。

二人きりの部屋、外からは時折ダメ宇宙人の声や、マッドサイエンティストの奇声が聞こえてくるような、そうでもないような。
しかし、そんな奇声以外にこの場を邪魔する者は誰も居ない。そう、俺は長谷川儚と二人きり。

「…………」

無言で原稿と向き合い、ペンを走らせている長谷川儚は、時折ペンを止めてこちらを見ようとする仕草が見受けられた。
しかし、ガン見といってもいい程、彼女の背を眺めているせいか、やはりまた逃げるように原稿を向かい合う。

彼女のラフな文字が入ったキャミソールに、ホットパンツなその姿、攻め手はいくつかあろう。
しかし、この状況を上手く利用するのならば……やはり、先ずは冷房を切る必要があると、スイッチに手を伸ばす。

やがて、彼女は暑そうにしてはこちらに振り向こうとする。しかしやっぱりガン見な俺に逃げる彼女は、その暑さを我慢するのだ。

「……暑そうだな」

「……冷房つけて」

「この方がアイデアが浮かぶんだ。もう少し我慢してくれ」

「……それなら我慢するけど……」

意外と素直に頷いた彼女は、思った以上に汗ばんでいる様子であった。
キャミソールも汗で張り付いているのか、その部屋の蒸れた空気に湿っぽさを見せている。
ともなれば、あそこもやはり汗ばんでいるのだろうと、彼女の足元を見る。

時折、小さな足首が動き、組んだり広げたり、ストレッチしたりと動いている。そんな部分が今回の狙いだ。

「……儚、やっぱり暑いか?」

「そりゃ、そうだけど……。アイデアは出た?」

「ああ、今丁度良い具合に出た……。そう、こんなアイデアがなっ!!」

「えっ―― ちょ、ちょっと!!?」

机と、彼女の座る椅子、つまり彼女の両股に割って入るようにして忍び込んだ俺に、長谷川儚は随分と動揺する。
しかしこれだけでは終わらない。今居る地点でよく見える彼女の臀部や股、そこに顔を伸ばし……>>25

ちんちんが生えていることを確認してしまった

>>25
OH!

机と、彼女の座る椅子、つまり彼女の両股に割って入るようにして忍び込んだ俺に、長谷川儚は随分と動揺する。
しかしこれだけでは終わらない。今居る地点でよく見える彼女の臀部や股、そこに顔を伸ばし……ちんちんが生えていることを確認してしまった。

なんという小さなご立派様であろう。とはいえ、何故こんな物を生やしているのか、当然疑問を口にした。
暑さなんて吹っ飛んでいた。彼女の両足から顔を覗かせ、そして彼女を眺めて真顔で聞いていた。

「……なんで付いてんの?」

「…………」

「黙ってても分からないんだけど」

「だって、だって……」

彼女は視線を泳がせ、言葉を必死に選ぼうとしている様子であった。しかし、中々彼女はその言葉を見つけ出せないでいる。
これは、どう推理するべきなのだろうと、やや頭が真っ白になりながらも俺は考える。

こう考えてみよう。実は長谷川儚は男の子だったと。
しかしそうなると、ふと疑問が浮かんでしまうのだ。彼女、俺に対してはなのか、他人全てに関してなのかは分からないが、
多少下着が見られようとも動揺しない点があり、度々悪戯と称しては尻を揉んでいたりしていたのだ。

だから分かるのだ、ヤツにはあの時は付いていなかった。では次の説に移ろう。

「ペロ、これは……そうか、分かったぞ!!」

「な、なんで太股舐めるの……!?」

「お前、大宇宙の意思にしてやられたな!? 俺とは逆のパターンになったか!!」

「……どうして」

「うん? もしかして違ったか? しかしこれしか考えられないだろう?」

「どうして……咥えてくれないの?」

「……え?」

ちょっと意味が分からない。俺が、突然生えたそれを咥えろと? 何故? 俺が女の子になったから?
目をぱちくりさせては、何で、といった顔で彼女を眺めていると、彼女はガッカリしたように言った。

「もういい、つまんない。だから……>>28

ご退場願おう

「もういい、つまんない。だから……ご退場願おう」

「い、いや、その、何で引っ張られて、おまけに引き摺られてるんですかね?」

「もっと面白いリアクションが欲しかった。けれど鴨志田君は残念な人だった。それだけ」

「あ、あれ? もしかして、俺、逆に騙された系?」

「良いから出て行って!!」

バタン、と部屋の扉が閉じられた。女の子って、分からない。
と、女になった俺がそう思えてしまう辺り、やはりまだまだ未熟なのか、或いは、男の中の男だからこそ、分からないのか。
まぁ何にせよ、彼女を怒らせたことは間違いはなさそうで……、どう謝ったものかとその扉を眺めていた時である。

「中で随分いやらしい声が聞こえたんだけどなぁ……何してきたのかなぁ、響って」

「ひ、日和見!? いつからそこに!?」

「入寮したから、挨拶しに来たら、中から響と長谷川妹さんのエッチな声が聞こえちゃったものだからぁ」

「な、何もしてない! というか、しようとしたら追い出された的な!? あれ!?」

「……何かしようとは、してたんだ?」

「それもこれも、アイツが悪いんだ! アイツが妄想を垂れ流せなんて言うから!!」

「事情は良く知らないけど……、ね、響。そろそろ返事、聞かせてくれても良いんじゃない?」

あぁ、ついに来たと、俺は生唾を飲み込んで彼女と対峙した。そう、告白の返事を彼女から迫られている。
素直に承諾しても良いのかもしれない。しかし、今となっては気持ちがどっちつかずで、よく分からなくもなっている。
じゃあこの場で思い切って振ってしまうのか。彼女なら許してくれるかもしれない。しかし、明日からどんな顔をして彼女と向き合えば良いのだ。

ダメだ、やっぱり思うような答えが出ない。そうやって俺が頭を抱えてしまっていると……>>30

謎のメイドが現れ、何故か俺に仕えはじめた

ハサミで髪の毛を切り始めた

ダメだ、やっぱり思うような答えが出ない。そうやって俺が頭を抱えてしまっていると……謎のメイドが現れ、何故か俺に仕えはじめた。
一応、日和見から逃れられる形にはなったのかもしれない。しかし、余りにも突然で、脈絡が無さ過ぎるこのメイド。

「お嬢様、下着が汚れていらっしゃる様子。……履き替えに参りましょう」

「えっ!? あ、ああ、そ、そうだなー、汚れてるかもーうん! ごめん日和見、また後で!!」

「……ちょっと待ちなさいよ、そこのメイド」

「何でしょう? 私はお嬢様の実は先程は興奮していてびしょびしょで大変なことにーってなっている下着を交換させなければなりません、急いでください」

「私は今、響と大事な話をしていたところなの! それをいきなり割り入って、邪魔をして! ……だいたい、あんた誰なのよ!!」

「誰や誰やと聞かれれば、お答えしなければなりません。私こそは、情報統合思念体が造り出したヒューマノイド的な存在で――」

「どこぞの長門はいいから! とっとと名前、住所、年齢、ついでに住民票まできっちり出しなさい!!」

「手厳しいですね……。お嬢様、面倒ですから逃げましょう」

「え、ちょ……なんで俺、抱えられてるの?」

「さぁ、ダッシュで参ります。……尚、告白の返事は今のお前では百年早いわバーローです。では、さらばです!!」

「なっ!! ちょっと、ちょっと待ち――」

その速さは人間業とは思えなかった。メイド服で動きづらそうな印象があったのにも関わらず、たった十秒で我が部屋に戻ってきてしまう。
しかし、こんな事になって良かったのかと、お姫様抱っこで抱えられる中、思うのである。

「な、なぁ……、俺の代わりに返事をしちまって、まぁ助かったとは言えなくもないけどさ……」

「お嬢様のお気持ちを汲んでの言葉です、気になさらず」

「まぁ、それはそれとして……、お前、誰だよ」

「要するに長門です。長門有希、知りません? ほら、見た目も似てるでしょう?」

「いやいやいや! おかしいから!! というか、そこまで似てないから!! ……で、誰だよお前」

「そこまで聞かれてはお答えしないとお嬢様にお暇を頂いてしまいそうなので、きちんとお答えしましょう。私は……>>33

例の幽霊

「そこまで聞かれてはお答えしないとお嬢様にお暇を頂いてしまいそうなので、きちんとお答えしましょう。私は……例の幽霊です」

「……もしかして、あーちゃん?」

「流石はお嬢様。ご褒美にお股を撫で撫でしてあげます」

「いらんわ!! って、おかしいぞ。……儚が描いた絵に、鳴もそっくりって言ってたのに。髪の長さも短くなってるし、銀髪っぽいし……」

「メイド萌道によると、最近ではふんわり銀髪メイドが良いそうで、イメチェンを計ってみました」

「……お前、なんか色々と軽いな」

「そんなに褒められても、身体は簡単には差し上げられません……」

「そこで照れるな脱ぐなついでに縄を取り出すな!!」

で、何故に幽霊が俺の前に実体となって姿を現したのか、と、彼女を正座させて凄んでみるのだが、
これがまたとんでもないマイペースな娘であった。それよりも、俺の下着を早く着替えさせたいといった事ばかりを口にする。
最早変態としか思えないと思いつつ、俺が呆れてしまっていると……。

「長谷川儚のおちんちんはちゃんと見ましたか?」

「へっ? いや、ちゃんとは見ていないけど……膨らんではいたのは事実で」

「貴女が女性になったこと、私が実体になれたこと、不思議と思いませんか?」

「……大宇宙の意思か! ヤツがこんな馬鹿げたことを、儚にあんなものを生やした原因か!!」

「残念ながら、彼女にはまだ生えていません。……でも、貴女が望めば生えてくるかもしれません」

「俺が、望むと……?」

「貴女はまだ、心が男です。だからこそ、彼女を女性としてみています。だからといって、百合ルートだって大有りですが、
 貴女がそう望めば、彼女もまた男のように成り代わることも可能だという事です。勿論それは、彼女の気持ち次第でもありますが……」

分からん、と首を振る。この幽霊の言っていることが奇想天外過ぎるのだ。
俺が望めば大宇宙の意思がそんな事を叶えようとしてくれる、あとは本人次第とか言うのである。そんな摩訶不思議あってたまるかと思うのだが……。

「私は、お嬢様に尽くす意図を持って体現しました。それもまた、日和見萌から今は逃れたいという気持ちが、私にシンクロしたまでです。
 それと同時に、私も人間として、貴女に触れてみたいと思っておりました。だから……」

信じられないと息を呑んだ。だが、コレも現実なのかと受け容れるべきなのか、或いは……>>35

俺が男に戻れないのににわかに信じられん

試しにほっぺたをつねってみたら痛かった

信じられないと息を呑んだ。だが、コレも現実なのかと受け容れるべきなのか、或いは……。
いや、やはり俺が男に戻れないのににわかに信じられん。その事を幽霊に告げると、彼女はこんな事を言う。

「……本当に、男に戻りたいのですか?」

「……何だと?」

「貴女は、昔から本当は心底女の子に産まれたかったと、思ったことはありませんか? いいえ、思っていたのではないですか?」

「そんな事、思って……なんて……」

「子供の頃、まだ貴女が男の中の男を目指そうとしていなかった頃、貴女は……私に言った筈です。
 貴女は……女の子の方が良かった、女の子に産まれたかった、と……!」

「俺が、お前に言った……!? そんなの、俺は覚えてなんて……」

「覚えていないでしょう。だって……幼稚園の頃でしたから」

彼女はどこか遠くを見つめるような眼差しで俺を見た。分かる筈が無かった。それは、すっかり記憶を封印し、片隅に追い遣り、
そして忘却したものだと思い込んだはずなのに、今となっては勝手に思い浮かべられ、そして勝手に風景が描き出されていく。

あーちゃん、それは鳴が勝手に名づけたあだ名。では俺は彼女を、あっちゃんと呼んでいたはずだ。
片桐愛莉、それが彼女の名前。では何故幽霊と化してしまったのか。そして、彼女は幽霊となって……ずっと俺の傍に居た?

「……いつ、死んだんだ」

「貴女とお別れしてから、直ぐです。……交通事故だなんて、ありきたりでしょう?」

「だとすると、小学生に上がってから……? それから、もしかしてずっと……」

「見てました。……女装するひびくんだって見てきたし、お人形遊びするひびくんも見てました。
 でも、次第に貴女は変わっていった……。お母さんに認められたいが為に、貴女は無理をして男になろうとした……」

「無理なんて、していない……ッ!!」

それよりもぞっとするのは、ずっと俺の傍に居たという事だ。
子供の頃に無くなった彼女は、俺に、そして周囲を眺め、そして成長すればこうなるのでは、と己を変えていっていたのである。
そんな彼女は、今俺に言っている。実は女の子で居たかったのではないかと。だからこそ、男に戻れないだけなのだと。

そんな風に幽霊となった昔の馴染みに言われ、俺は……>>38

一皮むけた

そんな風に幽霊となった昔の馴染みに言われ、俺は……一皮むけた。
小さな事なのかもしれない、でもそれは、自分の中ではとても重要な事だった。しかしそれも、些細な事だったのかもしれない。

「……男の中の男を、俺は今捨てる」

「……では女の子になるのですか、お嬢様」

「性別なんて寧ろどっちでも良い。俺は……人間の中の人間、人間王になる!!」

「ち、違う意味で一皮剥けてしまいました……」

「ふふふ、性別を今超越した俺は無敵だ……! さぁ、あっちゃん、俺と人間王になる旅について来てくれ!!」

「嫌です。ついでに言うと、私は女の子になって欲しい派なのでそんな事は許しません。あと、私の事は流石にあっちゃんでは困るので、名前で呼んでください」

「じゃあ俺の事も、ひびくんとか言うのはもう……」

「何を言うのです? お嬢様はお嬢様ですよ?」

「……物分りが悪いのはあの時から変わらずか」

「さぁそれより、お着替えの時間です。さぁお嬢様、下着を脱いで下さい。昔みたいに着せ替えっこしましょう?」

「そ、その話はやめろ!? お願いだからやめてくれぇぇぇぇ!!」

―― そうして時は過ぎる。日和見への返事も曖昧になり、彼女から触れなくなった事もあり、事態は一先ず収束を見せた。
しかし、それ以上に俺に尽くすメイドの登場により、寮は更に活気に満ちて……満ちすぎて、最早今では壮絶でもあった。

そうした中、儚の原稿が仕上がり、入稿の後製本され、売れっ子ならではの二百部を売り捌く為、長谷川夢と高科羽未は既に、臨戦状態である。
だが何故俺は、この場に居るのであろう。隣でメイド服そのまま、写真を撮られる片桐愛莉は、俺を見て言うのだ。

「お嬢様も、さぁ、ポーズを!!」

「……なんで俺、>>40なんてコスプレしてるんだ……?」

親指姫

「……なんで俺、親指姫なんてコスプレしてるんだ……?」

「儚さんのたっての希望に、高科さんが衣装として縫ってくれたんじゃないですか。覚えておいてください」

「いや、それは分かってるんだけど……」

「そこの可愛い親指姫ちゃん! こっちにもう一枚!!」

「あ、はぁ~い、こんなカンジでどうかなぁ?」

「うぉぉ、そのお尻を突き出したポーズに片目を閉じたポーズ、堪んないっす!!」

「お嬢様、さすが一皮剥けただけの事はあります。いざとなれば、女子として振舞えるようになりました」

片桐愛莉がそう俺について口にするのだが、嬉しいのやら悲しいのやら、もう上手く判断すら出来ないでいた。
ただ、見られるというのが、求められるというのが、存外気持ちが良いものだとこの時知った俺は、何故かロリキャラを演じている。
だがしかし、それでもアイツには敵わない。見た目は小学生、しかし実は十三歳のあの彼女には。

「さぁ、わたしを見るのです! どんどんぱしゃぱしゃするのですっ! ついでにまーたんも宜しくなのです!!」

「ヤバイ、こっちは不思議の国の少女してるぞ!! あっちに突撃だぁぁぁ!!」

「うぉぉぉ、このビッグウェーブに乗り遅れてはいかんぞぉぉぉぉ!!!」

そんなロリを演じていた俺も、アレには敵わなかった様子。今では不思議の国の少女となった柏田つみきに列は移り、
すっかり俺と片桐愛莉が立つ場所は、人気が無くなってしまうのだった。

「理不尽ですね、お嬢様」

「……本気で悔しいのは気のせいなのかな……」

「その心を大事にしてください、お嬢様。それが貴女の未来の女を磨きます」

「そんなの別に嬉しくないぞ……。で、あっちはどうなってるんだか」

「すくぅる☆がぁるずの本、既に百五十部を売り上げたとメールが入りました。……追加分をこっそり用意していくそうです」

「あり得ん。同人だけで何百万も稼ぐあいつを、俺は認めんぞぉぉぉ!!!」

そう、長谷川儚は、この分野だけで特化していけば、恐らくプロになれてしまうだろう。それ程の画力に人気を持ち得ている。
挙句に、描いてる本人は童顔で清楚……という事で通っているらしい。しかし、そんな順調さを誇るすくぅる☆がぁるずにもちょっとした事件が起きる。

それは……>>42

転売ヤー軍団登場

それは……転売ヤー軍団登場。それが、騒動を引き起こす切欠ともなるのである――。

―― 鴨志田君は何も分かっていない。私がどんな気持ちで彼を部屋に招きいれたのか、そしてこんなドッキリまで仕掛けたのか。
でも、実際におちんちんが生えていたら、どんな気持ちなんだろう、私はそんな気持ちを、同人誌に詰め込んだ。

あの時、鴨志田君が私の股座に割り入ったのをそのまま本に、そして実は私がふたなりで、彼を、ううん、彼女を好き放題に弄ぶ。
そうして堕ちていく本、それを読んだ高科羽未は、こう評価した。

「あの純愛少女がついに一皮剥けちゃったかぁ……。おちんちんだけに」

「ちょっと! ……もう、羽未ちゃん酷い」

「拗ねない拗ねない。後は私のにゅんにゅんパワーと、夢のコスプレがあれば完璧、三百部は刷るわよぉ!!」

「二百で良いよ。予算、そこまで無いでしょ?」

「何言ってるの! これからすくぅる☆がぁるずが更に一皮剥ける時が来たの! うん、このまさに儚って感じの主人公、いいわぁ~。……で、この子、鴨志田響でしょ?」

「え、えと! そうかもしれないようで、ただ似ちゃっただけっていうか!?」

「……あのさ、マジレス気味に言っておくけどさ。……恋愛するの、もう少し待たない?」

「……どうして?」

「夏コミ、更には冬コミ。今大事な時期だし、それに……今が丁度旬だと思うんだ、儚こと、はかにゃんは。
 そんな時期に恋愛なんて下らない事で振り回されちゃダメ。……経験者は言うのよ」

「羽未ちゃん……、振り回されたんだ?」

「む、昔の話だから! まぁ、そんな話はどうでも良いんだにゅん!」

そう言って誤魔化していた羽未ちゃんは、今では私と、今回協力してくれた寮員の一人、水無月さんの間に割り入って転売客に文句を言う。
彼等は、何度も、何度も列を並び、繰り返しに本を買っていった。売り上げさえあれば良い、なんて考えは、私達には持ち合わせていない。

「あァ!? てめぇ、お客様は神様だろうがよッ!!」

「そんな冗談、この場に持ち込んでほしくないわ!! さっさとこの会場から出て行って!!」

「んだとォ、テメェ!!」

それは、私達に訪れた危機。羽未ちゃんが頬を打たれ、そして私達の周囲を、琴線に触れた転売客たちが囲んでいくのだった――。


―――― つづきます。

乙!

と、とりあえずカオス展開になってもいいように、カオスな存在を明確にしたつもりです。
これで誰にちんちん生えてもお化けになっても大丈夫!

……幽霊周りは存在すら忘れてました。でも出されて良かったかもしれません。

と、ともあれ今日もお付き合い、ありがとうございましたー!


【05/29 (水) 01:09時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

05/31 (金)
  22:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第七話 『その親指姫、崇められる』

ついでにべっちょり。

10分……いや5分だけ待ってくだしい

すいません、遅れちゃいました。

既に夏バテ入ってるのか、最近忙しかったのか、ちょっと元気がありません。
もしやっていて影響が出ていたらごめんなさい。

ではもう暫くお待ち下さい……。

~~~使いまわし系これまでの登場人物紹介~~~

【鴨志田 響】(かもしだ ひびき)
本編主人公。女らしかったこの人も本当に女となってしまいました。乳首が弱点です。

【長谷川 儚】(はせがわ はかな)
主人公とは仲が良い少女。同人主にえっちぃ絵が得意だが絵本は描けない可哀想な娘。別名、ファンタジーメンヘラー。

【長谷川 夢】(はせがわ ゆめ)
儚の姉であり、突如転入生として現れた自称宇宙人。巨乳で何故か家事が得意なようです。別名、スペースメンヘラー。

【日和見 萌】(ひよりみ もえ)
主人公と唯一話をしてくれる少女。主人公にセクハラする事を得意とする少し頭の弱い人。

【志藤 猛】(しどう たける)
主人公の唯一の親友とも呼べる少年。背も高く男らしい風貌の為、主人公に嫉妬されやすい。

【水無月 久遠】(みなづき くおん)
開成学園生徒会長の女子。中ニ的でツンデレで実は臆病と言う凄く面倒くさい子。

【柏田 つみき】(かしわだ つみき)
十三歳のクセに教師で天才で挙句に幼児体型で薬学研究にも手を出すいろんな意味で変態な子。

【鴨志田 鳴】(かもしだ めい)
十三歳の女子中学生。しかし超絶過ぎるブラコンの為登場早々引かれております。とにかく必死。

【高科 羽未】(たかしな うみ)
長谷川姉妹達と同人サークルに所属する同世代の少女。にゅんにゅん電波を放出しますが、毒を吐くときはふっつーです。

【坂上 麻衣】(さかがみ まい)
私立開成高校の教員であり、生活指導担当。眼鏡美人かはさておき、世話焼きでちょっぴりショタ好き。

~~~ 『少女と絵本と宇宙人、時々エロ本』 第七話 ~~~

通称夏コミとも、コミケとも呼ばれるそのイベントに向けて、すくぅる☆がぁるずは大忙しである。
雑務を殆ど高科羽未が引き受けてくれるそんな中でも、衣装作りに余念が無く、今回は童話で攻めたいと、衣装を披露した。

「でっでーん! どうだにゅん!? 渾身の作品なんだにゅん!!」

「なんか色々あるね……。でもどうしてマンドラゴラが無いのかな」

「いや、それは要らないでしょ……。ところで、夢は居ないの?」

「うん、ちょっと必要な物があるから買い物にって、出て行ったけど……」

「ふぅん、それにしても……この寮、ちょっとあまりに静か過ぎじゃないかにゅん?」

彼女を寮の部屋に招きいれて、衣装をチェックして欲しいと頼まれては眺める私に彼女は言った。
今日は朝から皆、それぞれの用事があるのだろう、外出中である。
一方私は、羽未ちゃんとの約束もあり、そして同人誌も落ち着いた為、自分の作品をと絵本を描いていた最中であった。

「皆、朝から出て行ったきりだから」

「そうなんだにゅん。……ちっ、人手が足りないから此処の住人をと思ったけど、いよいよイベントも明後日……。帰宅を狙って速攻するしかない……!」

「羽未ちゃん、何を企んで……」

「だから言ったにゅん。此処の住人を人手に回すんだにゅん!!」

「……日和見さんも居るけど、いいの?」

「……なんですとっ!?」

彼女は、日和見萌と友人といった関係であり、他校同士の付き合いが珍しいわけでもないが、接点は不思議であった。
しかし話を聞いていると、どうにも彼女は日和見さんに素性を隠しているらしい。その理由は実はつまらないもので、>>50

恥ずかしー><だとか

彼氏を紹介してもらうために地を出すのはまずい

彼女は、日和見萌と友人といった関係であり、他校同士の付き合いが珍しいわけでもないが、接点は不思議であった。
しかし話を聞いていると、どうにも彼女は日和見さんに素性を隠しているらしい。その理由は実はつまらないもので、恥ずかしー><だとか。

この電波にゅんにゅん垂れ流すポニーテール、今頃何を言うのかと思っていたのだが、
彼女の話を聞いていて、少々納得する面も出てきていたのも事実である。

「と、とりあえず……彼女には秘密にしつつ、協力を申し出るしかないかな」

「ねぇ、いっそ本当の事を話してみれば……」

「ダメっ、それはダメ!! せっかく……マトモなお友達が出来たのに!!」

「……言うほどマトモじゃないよ、あの人」

「とーにかく! 先ずは親指姫の衣装担当のターゲットであるあの娘にお願いするんだにゅん!!」

「……親指姫のターゲット?」

「ククク、身体は女の子、心は未熟な女の子、その名は……鴨志田響!! 彼女の為に製作したんだにゅん」

「鴨志田君、多分凄く嫌がると思うよ……」

私が以前鴨志田君相手に逆誘惑的なドッキリを仕掛け、逆に私が苛立っては彼を追い出すという事があった。
それ以降、私の方から彼を避けている節がある。彼自身はいつも通り接してきてくれては居るのだけれど、
その際、私の部屋の直ぐ傍で、日和見萌の告白話を振ったような話が聞こえ、それから更に意識してしまうようになっていた。

もしかして、私にもチャンスはあるのかな。もしかして、鴨志田君は私の事を……。そう考えると、夏コミなんて正直どうでも良くなっている。

「ね、ねぇ……勝手にお部屋に入るのは不味いんじゃないかな……」

「大丈夫だにゅん。さぁ……いざ突撃、隣の晩御飯!!」

「まだお昼だから、羽未ちゃん……」

そうして、鴨志田君の部屋に入って私達が見たものは、>>53

立派な神棚

謎のメイドにしごかれている鴨志田君

長谷川姉妹と戯れる彼

>>54
そういやいたな。キャラクター表にないからもう出てこないと思った。

そうして、鴨志田君の部屋に入って私達が見たものは、立派な神棚。
あれ、こんな物今まであったっけ、と私が首を傾げる中、羽未ちゃんは早速部屋を物色し始める。

「ぐふふ、エロ本はどこだにゅ~~ん……! ……一冊もないじゃないかっ!!」

「だって、殆ど私の本で済ませてるんだもん。でも女の子になってから、最近は何もしていないみたい」

「ぐぬぬ、そりゃはかにゃんの同人も悪くは無いんだけど。今回も出来は今までで一番だと思うけど。……つまらないッ!!」

「それより、この神棚の方が気になるかな、私は……」

「にゅんにゅん、何か写真立てに写真が……こ、これは、幼女!? 何故に神棚に幼女の写真が!?」

「た、多分それ……例のメイドさんだと思う。霊だけに」

「…………」

そう、最近この鴨志田君の部屋に居ついた幽霊らしいその少女、名を片桐愛莉と呼ぶらしい。
その少女、実は幼稚園を卒園して間も無く亡くなり、そうして鴨志田響の傍に常に付きっ切りでもあったそうだ。
不思議なのはやはり幽霊が人間として現れた事。でも、男性から女性に性転換する不思議を考えれば、まだ在りそうな事なのかもしれない。

「ふぅん、そんな事があったにゅん?」

「それで、お嬢様って常に世話を焼いていて、私の出番も無いし、お姉ちゃんも機嫌が最近悪いの」

「そうなんですよ、長谷川夢って結構面倒くさい女だと認識致しました」

「にゅんにゅん、夢っち、割と独占欲強いからねぇ……。って、どこからか声がするにゅん」

「……こ、この声は、どこから……!?」

「此処ですよ、此処です」

その声の主は明らかであった。片桐愛莉そのものの声。しかしその声は>>58から聞こえてくる為、ぞっとしてしまうのである。

蝋人形

パンツ

>>58
なんでそんなものが・・・。

その声の主は明らかであった。片桐愛莉そのものの声。しかしその声は蝋人形から聞こえてくる為、ぞっとしてしまうのである。
気がつかなかった。いや、部屋に入った当初は絶対にこんな蝋人形は存在していなかった。
等身大のそれが、何故か扉を塞ぐようにしていて、そこから声がするため私はつい怖くなってしまう。

「あ、あの……片桐さん、驚かすのは、やめよう……?」

「驚かしているつもりはありません。怖がらせているのです」

「ど、どっちも似たようなものだから……って、羽未ちゃん?」

「にゅん、にゅんにゅん……。スピーカーがくっついていたにゅん。……遠隔で怖がらせようとしても、そうはいかないにゅん!」

「ならばこれではどうでしょう?」

「か、カパって開いた!! 蝋人形がかぱぁぁぁってっ!!!」

「少しは驚いてくれたようで、光栄であります」

そこで涼しい顔をして登場したメイドさん、やはり今日もメイド衣装そのものなのである。
締めるところはきっちり締めて、ふわりとさせるところはふわりとさせて。黒と白のその衣装が更に映えて見える。
でも思う、暑くないのだろうかと。今日も日中三十八度を越えると天気予報は伝えていた。

「それにしても、お嬢様のお部屋を勝手に荒らして回るのは、聊か過度な行為だと思われます」

「こ、これはちょっとした調査だにゅん! 鴨志田響が私達には必要なんだにゅん!!」

「お嬢様を必要としているのですか? それは何故なのか、先ず私を通してくださいませ」

「め、面倒くさい女だにゅん。つまり……かくかくしかじかで」

「はい、ふむふむ……かくかくしかじかですか。良いでしょう、お貸しします」

「あ、あれ、思ったよりあっさり……?」

絶対この人は鴨志田君を変なイベントに連れて行くな、とか文句を言うタイプだと勝手に思いこんでいた私は、意外だと思ってしまう。
メイド服は着ていても、これはあくまで鴨志田君というお嬢様に忠誠を尽くす証であり、彼女を妙な出来事に巻き込むのは嫌うタイプだと思っていた。

しかし、あっさり承諾した彼女は、一つだけ条件をつけるのだ。イベント参加を許すが、>>62、なのだそうだ。

介入は許さない

客寄せに何か隠し芸をやれ

しかし、あっさり承諾した彼女は、一つだけ条件をつけるのだ。イベント参加を許すが、介入は許さない、なのだそうだ。
つまりは全て片桐愛莉を通せ、という訳なのである。それはそれで凄く面倒くさいと思っていたのだが……。

「おっけーだにゅん。これで親指姫はゲットだにゅん! さぁて次は不思議な少女なドレスなんだけれど……」

「え、いいの、羽未ちゃん。この人絶対何か企んでると思うけど……」

「失礼ですね、長谷川儚。私はこれっぽっちも企んでなんておりません。ただ……お嬢様に、偶には休息も必要なのです」

「きゅ、休息って……?」

「夜な夜な、激しい運動をさせてしまっております。声もいっそう艶やかになり、お嬢様は女として急成長を遂げております。
 言っている意味は分かると思われます。……アレばかりしていては、バカになってしまうじゃないですか」

「あ、アレって、アレって……!? ま、まさか、セから始まる言葉とか……!!」

「さぁ、どうでしょう。……それより、この神棚片付けるの手伝ってくれますか? 私を成仏させようなんて、不謹慎です」

そうして、私と羽未ちゃんは何故か神棚を片付ける作業に回される中、このメイドさん、のんびり紅茶を啜っているのである。
しかも冷房も付いていない真夏の部屋の中で、熱い紅茶を涼しげに口にしている。怒りを募らせながらも、元幽霊って暑さを感じないのだろうかと思えてしまうのだった。

「ところで羽未ちゃん、不思議の少女ってアリス? それもこの寮の人に?」

「下調べはバッチリなのだにゅん。この衣装、ズバリあのロリっ娘に着て欲しいんだにゅん! ……それにしても暑い……」

「ロリっ娘って、柏田先生? まぁ、確かに十三歳だけれど……」

「その人もお出かけしてるのかにゅん?」

「柏田つみきですね。確か彼女、今日は学校の実験室で実験したいと出掛けていきました。そろそろ帰宅する頃でしょう。……紅茶が美味しいわ」

「……なんでこの人だけのんびり紅茶飲んでるのよ……」

そんな話をしつつも、二人で紅茶を啜る元幽霊メイドを憎らしく思っていると、寮内に元気な声が響き渡る事になる。
噂をすればなんとやら、先生の帰還である。彼女は帰って必ず、>>65と叫ぶクセがあったりした。

ブエノスディアース

ぶっしゅん!

>>65
すいません今調べたら意味が「おはよう」

そんな話をしつつも、二人で紅茶を啜る元幽霊メイドを憎らしく思っていると、寮内に元気な声が響き渡る事になる。
噂をすればなんとやら、先生の帰還である。彼女は帰って必ず、「ブエノスディアース」と叫ぶクセがあったりした。
何故にスペイン語、と思う中、鴨志田君の部屋が妙に賑やかに感じたらしい彼女は、早速この部屋を訪れる。

「あっでぃおーす!! 諸君、何をしているですか?」

「これはこれは、柏田先生、いつも私の嫁であるお嬢様がお世話になっております」

「いやいやぁ、それほどでもぉ。……とうとう結婚したのですか?」

「先生、意外と純粋なのだから面白いのです。でもそれも、遠い先の話ではありません」

この幽霊メイド、何故かマッドサイエンティストな柏田先生には意外と気に入られている様子であり、
最近ではよく二人で話をする姿が見受けられ、今日もまた二人で紅茶を啜りながらどうでもいい話を繰り広げているのであった。

そうして、神棚を下ろす作業に回っていた羽未ちゃんは、やはり彼女しか居ないと、衣装を持ち柏田先生に声を掛ける。

「つみきちゃん、つみきちゃん! ちょっと、ちょっと!!」

「む、誰ですかこの失礼な生徒は。この天才教師であり超パーフェクトでグラシアスな大先生に向かって、下の名で呼ぶとは言語道断なのです」

「は、初めてスペイン語を普通に使ってる……! ちなみに先生、彼女、他校の生徒なんで……」

「そうなのですか。じゃ、じゃあ仕方ないです……。でもその名前で呼ばれるのは恥ずかしいような……」

「うんうん、その照れた姿も完璧だにゅん! 是非……これを着て、夏コミに出て欲しいんだにゅん!!」

「これは……服? でもこれをどうして私が……」

高科羽未は言う。この衣装が何故柏田つみきではいけないのか、その理由を。
それもまた、正直言えばつまらなく、どうでも良い理由でもあった。それは……>>69

スペイン風ではないから

UFOのお告げ

>>69
それはたしかに、どうでもよい!

高科羽未は言う。この衣装が何故柏田つみきではいけないのか、その理由を。
それもまた、正直言えばつまらなく、どうでも良い理由でもあった。それは……スペイン風ではないから。
まぁ、確かにスペイン風とは言えない彼女、でもカラコンして金髪にすれば、割といけるんじゃないかとも思えてしまう。

つまり、年齢だけで選んだそのターゲットは、夏コミについての説明を羽未ちゃんから聞いているのである。

「ふむふむ、世の中広いのです。そんなイベントがあったのですか」

「そうだにゅん! 楽しいよぉ、すっごく楽しいよぉ! センセもきっと、羽休めに丁度いいと思うんだにゅん!」

「ふぅむ……最近研究も詰まってて刺激が欲しかったところなのです。その話、乗らなくもないです。でもしかし!!」

「し、しかしだにゅん!?」

「……このサプリ、密かに販売して欲しいんだにゅん」

その謎の錠剤、彼女はあくまでビタミン剤だと称していたが、恐らく、いや、絶対に違うと直感が教えてくれている。
きっと下手に過剰に飲み干せば、バッドを起こしてしまうような危険な薬物だ。
そんな物を夏コミでこっそり販売するわけにはいかない、と私は思っていた。しかし羽未ちゃんは違っていた。

「問題ないにゅん。こんなの抱き合わせでこっそり売れば問題ないしぃ。けけけ」

「ね、ねぇ羽未ちゃん、運営にバレたら大変な事になるんじゃ……」

「ミン○ィアやフリ○クと言っておけば問題ないにゅん。後は……売り子が一人じゃやっぱ大変だろうから、もう一人欲しいところだにゅん」

「売り子……、私一人でも大丈夫だよ、羽未ちゃん」

「そうはいかないにゅん! 実は今回、手違いで五百部も刷っちゃったにゅん。……だからこその総動員!!」

「……つまり、焦ってるんだね羽未ちゃん……」

別に即売会なんて一つだけじゃないし、将来的にゆっくりイベントで捌けばいいと思うのだけど、彼女は違う。
そもそも、彼女がどうして私と、そして姉の長谷川夢と三人でサークルを始めたのか、切欠は>>73だった。

ガンダムSEEDを見てから

とある孤児院を助けるため

別に即売会なんて一つだけじゃないし、将来的にゆっくりイベントで捌けばいいと思うのだけど、彼女は違う。
そもそも、彼女がどうして私と、そして姉の長谷川夢と三人でサークルを始めたのか、切欠はガンダムSEEDを見てからだった。

私がまだあの家に居た頃、昔からやはり絵は馴染みが深かった。そもそも、母の影響が強く、私は絵を描き始めていた。
その頃から絵本に興味を持っていた私だったが、その頃はキラ×アスランに嵌ってた腐女子でもあったのだ。

「ここで……や、やめてよね、僕のお尻の穴はキミだけのモノじゃないんだ! ってカンジで……と」

私の実家、そして姉である夢の実家。そこは世間的にはお屋敷と呼ばれてもおかしくないくらい、立派な家だった。
執事も多数居たし、本物のメイドさんだって居た。そして、基本的には屋敷に居ない父と、時折仕事から戻り、私達をあやしてくれる母と、四人の構成である。

「あ、お母さん、お帰りなさーい!!」

「儚、ただいま。……で、それはなぁに?」

「これね、私が描いたの! どうかな、絵本みたいじゃないけど!!」

「そ、そうね。……儚、まだ中学生なのよ、そんな物描いてはいけないわ」

「えー、なんで? クラスでは評判良いのにぃ!」

「……私はどこで教育を間違えたのかしら」

私はその頃から、同人的な物を描き始め、母は時折頭を悩ませている様子を見せていた。
しかし、それでも腐女子道まっしぐらな私は、母の言葉は次第に聞かず、その私の周囲に居てくれた人を喜ばせる為、
今日もまたガンダムSEEDで腐女子的な作品を生み出すのである。そして、それは次第に学校中に広まる事になる。

中学の時は、高科羽未とは同じ学校だった。けど、同じクラスになった事は一度もない。
つまり、この珍妙な噂がなければ彼女とは縁がなく、出会わないままで終わっていたのだろう。

「アナタが、長谷川儚さん? ちょっといい?」

突然、教室に高科羽未が現れ、私を人気のない廊下まで呼び出すのだ。そして誰も居ない事を確認した彼女は、私が描いた腐女子的なそれを持ち出して、言った。

「これ、読ませて貰ったんだけど。ぶっちゃけて言うね。……>>76

親が泣く

「これ、読ませて貰ったんだけど。ぶっちゃけて言うね。……親が泣く」

「……なんでそんな事、私に」

「確かに私と長谷川さん、貴女とは他人同士。だけど、こんなのが学校を騒がせてると思うと、勘に障るの」

この頃は一切電波も発さず、寧ろ正常で、真面目な女子で有名であった高科羽未。但しそれは仮面を被っていたに過ぎない。
彼女はただ、私の描いた腐った本が気に入らないだけで、私を呼び出した。
親の話を持ち出され、彼女に何が分かるのかと腹を立てつつも、ある時の母の言葉を思い出す。

教育が間違っていたのか、なんて言われた時を私はしっかり覚えている。気にしなかった訳ではない。
母が絵本の世界で有名だから、だから私も母を目指して頑張ってきた。だけど、こっちの世界の方が私は思うように描ける事に気づいてしまう。

「ホント、親が可哀想」

「……高科さんって、言ったよね」

「高科羽未。長谷川さんとは隣のクラスよ。それが何?」

「……お母さんの、私のお母さんの、何が分かるの?」

「だって、これ見てみなさいよ、この男の子達、お尻丸出しで気持ち悪い顔してる絵を!
 こんなの見たら親だったら普通卒倒するでしょ!? というかぶっちゃけ、キラ様馬鹿にしないで欲しいんだけど!?」

「……え?」

「キラ様こんなヘタレじゃない! もっと崇高で、カガリの為に、そしてラクスの為に、アスランの為に戦う優しい男の子なの!!
 そして最後のクルーゼ戦、論破されてるなんて嘘! ちゃんとキラ様は自分の意見を持って、最後は、最後は……うえぇぇぇぇん!!」

どうしよう、素直に私は思ってしまっていた。実はこの高科さん、凄く面倒で、凄くガンオタなんじゃないだろうか。
だから私が描いたこの腐った本に突っかかったのでは、と気付き、益々困惑してしまう。

泣き喚く彼女を宥める方法、それはもう>>78しかない。

種運命編に入り込む

泣き喚く彼女を宥める方法、それはもう種運命編に入り込むしかない。
そう、主人公が哀れで有名な作品である。最後にはまさかの主役交代劇が繰り広げられ、悲しい結末に終わるのがあの物語。
色々と世間では噂されてきた作品ならば、彼女は許してくれるだろうかと提案。すると……。

「キラ様とアスランに触れないのなら、いい……」

「ちなみに、その二人がダメなのは、どうして……?」

「……私の恋人だから……ぐすん」

私と高科羽未との出会い、それは、私が彼女にドン引きした時から始まった。
確かに私が描いてきたこの物語、普通の人に読ませれば絶対に引いてしまうであろう。実際、男子には当然の如く人気がない。
しかし、私は友達が欲しかったのかもしれない。友達の為にその本を描き、気づけば友達の為にばかり動いてしまっていた。

ある日、高科羽未が私をまたまた呼び出した。今度はSEED DESTINYの中で、シン×レイを描いたというのに、
またまた不満がある様子の彼女は、私に本を持ち出し、こう言った。

「何でレイたんが攻めなの? ここは受けでしょ!?」

「い、いや、それ言われても困っちゃうんだけど……」

「普段はクールで的確な彼が、実はすっごく依存症で、実はシンに依存していたってなる設定でしょ!? バカなの、死ぬの!?」

「……そこまで言うのなら、高科さんが原作してよ」

「原作? な、何よそれ」

「私が絵を描くから、高科さんがお話考えて。それなら文句ないよね?」

「な、ななな……、わ、私がお話を考えるって、そ、そんな……!?」

当時は顔を真っ赤にして、こんな話考えれるわけが無いと首を振っていた彼女も、一度行えばその世界にどっぷりと浸かってしまうもの。
中学時代の高科羽未は真面目な優等生だった印象。それは二年で潰え、三年の彼女のあだ名は>>80となっていた。

天才と紙一重の馬鹿

レイザーラ●ンHG

当時は顔を真っ赤にして、こんな話考えれるわけが無いと首を振っていた彼女も、一度行えばその世界にどっぷりと浸かってしまうもの。
中学時代の高科羽未は真面目な優等生だった印象。それは二年で潰え、三年の彼女のあだ名は天才と紙一重の馬鹿となっていた。

そんな彼女と、私が生み出してきた作品は、中学校を席巻する事になるのだが、その時彼女の友達の一人が言ったのだ。
ここまでやれるのならば、同人誌として参加してみれば良いんじゃないかと。

この時既に、私の姉が関わりを持ち、当時はまだ姉については尊敬の意を持っていた私は、じゃあ三人でなら、と羽未ちゃんに申し出たのだ――。

そんな羽未ちゃんが、生徒会の仕事を終えて寮に戻ってきた水無月さんを口説き落とし、こうして日和見萌以外の寮員を巻き込む形になった。
そうしてやって来た夏コミ初日の当日、サークルは順調だと思われた。しかし先程からどうしてか、見た事のある人が多い気がする。
でもお客さんだし、楽しみにして買ってくれてると思うしと、本を販売し、そしてとうとう隣で売り子をしてくれていた水無月さんが気付くのだ。

「ねぇ、長谷川さん。……これ、何度も列に並ばれてるわよね」

「やっぱり、そう思う……?」

「文句を言わないといけないわ。次来たらきちんと言うわね」

「でも、余り荒事は良くないし……」

「ダメよ、だって並んでくれてる皆に読んで欲しいって言ったじゃない。なのにさっきから、同じ人が繰り返し、繰り返しで――」

その話が転売客に聞こえたのだろう、その一人が順番となり、私達の前に訪れては、頬を歪めて言ったのだ。
転売の何が悪いんだと、そっちが規制していないから悪いんじゃないのかと。彼はそう告げては満足そうに再び列に並ぼうとする。
それを水無月さんが喧嘩腰に呼び止めたのがいけなかった。どうしようと、羽未ちゃんにメールを送りつつも、様子を伺う。

「大体、さっきから何度目なの!? 一人一冊って決まっているのに、どうしてルールを守れないの!?」

「あぁ? 煩い女だな……、金払ってるだろうが、金を!!」

騒ぎは次第に周囲に露見し、私達のブースだけ輪が作られるような状態になった。それはもう、私達にとっては修羅場そのもの。
私からメールを受け取り、駆けつけてくれた羽未ちゃんもまた、水無月さん同様に食って掛かり、そして頬を打たれる。

「あんま調子乗ってると、もっと痛い目見るぞオラァ!!」

その一声で、羽未ちゃんも唇を噛み締めるだけとなっていた。怖いのだろう、恐ろしいのだろう、私だってそうだと、誰か助けてと願うしかなかったのだ。

しかし、次の瞬間羽未ちゃんを打った男の人が、>>83となってしまっていた。

しかし、次の瞬間羽未ちゃんを打った男の人が、女となってしまっていた。勿論、本人が一番驚きを見せている。
そして周囲もざわめく中、別の転売客が何をしたと突っかかっては、やはり女と化してしまう。
十人程は居ただろうその人数も、半数が女となり、己の姿の変化に一時的に嘆くのだ。

そうして、残りの半数はその彼の登場に、そしてその一言により散る事になる。

「それ以上女になりたくなかったら散りなさい! さもなければ、皆女にしてやるんだからぁ!!」

鴨志田響である。何だか妙なテンションで登場した彼の仕業、という事はとりあえず理解は出来た。
しかし性転換させるなんて出来事を行った彼は、嘘でもいいからと、途端崇められる事になる。

「お、俺も美少女になりたいんだがぁぁぁ!?」

「俺もだ、俺もパッツンな女の子になりてぇ、まんまん弄りてぇ!!」

「俺は胸が大きな女の子が良いんだな! おっぱいぱいな女の子が良いんだな!!」

「え、ちょっと、ちょっと待ってくれ! 今のは割と冗談のつもりで……あれ、あれれ? な、なんで俺胴上げされてんのぉぉ!?」

その彼女と共にやって来た片桐愛莉は、逃げるように私の方へ寄り、そして他人事のように言う。

「高科さんの様子がおかしいって気付いて、駆けつけてきたんです。でも、私に言ってくれれば、これくらいの事どうにかしましたのに」

「……だって、鴨志田君に迷惑掛けたくなかったから……」

「既に迷惑掛けられていますよ。ほら、胴上げされながらお尻触られて、ちょっと感じてる様子です。可愛いですねお嬢様は」

「介入するなって言われたから、約束守っただけだよ……」

「やっぱり本気にしていたのですね。冗談だったりしたのですが、貴女も存外素直な人なんですね」

褒められているのか、馬鹿にされているのか分からない。けど、結果的には場は丸く収まったと思いたい。
でもこんな奇跡が起これば盛り上がらない筈がない。本は馬鹿売れしたのはまだ良いとして……。

鴨志田響、彼……いや、もう彼女と呼ぶべきなのかもしれないその存在は、途端有名になり……>>85更にと崇められる事になる。

金髪ツインテの最上級悪魔

鴨志田響、彼……いや、もう彼女と呼ぶべきなのかもしれないその存在は、途端有名になり……金髪ツインテの最上級悪魔と、更にと崇められる事になる。
その人気は鰻上りで、すくぅる☆がぁるずのHPの掲示板が、彼女の話題だらけで埋まってしまう始末となる。

これを見た長谷川夢、私の姉は苦虫を噛み潰したような顔をして、私の部屋を訪れた。
この時もまた、私の寮を訪れてた羽未ちゃん、そして私を交互に見て、彼女は言う。

「緊急事態ね。……私達の夏コミは終わったわ、結果は順調すぎてつまらないくらいだけれど、その結果も、これのお陰」

「……鴨志田ちゃんだね」

「にゅんにゅん、それが何か問題?」

「大問題よ。……これでは宇宙人と言っている私が馬鹿みたいじゃない!?」

「まぁ、夢っちは元々げふんげふん。なのはともかく、はかにゃんと宇宙人で持っていたサークルも、今では最上級金髪ツインテ悪魔に乗っ取られたもんね」

「これでは、これでは……私に出番がないわ!! 羽未、早急に火消しを行いなさい!」

「えー、これで冬コミやコミティアへ話題繋げれたじゃん。なのに火消しするの?」

「私は、私は……もっと宇宙をアピールしたいの!! 悪魔なんて必要ないのよ、この現代には!!」

姉はまた下らなく、そしてどうしようもない事を訴えてくるのである。悪魔だろうが宇宙人だろうが、普通の人から見ればどうでもいいと思われる。
しかし彼女はとにかく宇宙人に拘るのだ。そんな姉も、中学を卒業するまではまだ優等生そのものだったのに――。

―― 夏コミとやらに参加して以来、最近携帯に妙なメールが届くようになった。
是非付き合ってください、といった告白めいたメールから、脱いで裸にならないとお前は死ぬとかといった、脅迫染みたメールが殆どである。

勿論誰が送りつけてきたのかも謎であり、当然返信する気になれない俺は、神棚を設置しつつげんなりしていた。

「なぁ、愛莉。……携帯のアドレス、また変えておいてくれない?」

「畏まりましたお嬢様。……確かにこれは酷いですね。基本うp系ばかりです」

「なんでこうもあっさりアドレス割られるんだ……。はぁ、あんなイベント、出るんじゃなかった……」

「でも良かったじゃないですかお嬢様。本当は嬉しいのでしょう、>>87となって……」

「でも良かったじゃないですかお嬢様。本当は嬉しいのでしょう、裸となって……」

「見られて嬉しいヤツがいるか!? くっそ、胴上げしつつ衣装を脱がせるなんて、どこのどいつがやったんだ……!」

「それでも、当時を思い出す度に……顔がにやけているのは気のせいですか?」

「にやけてなんか居るか! どこの露出狂だよ!! あぁぁ、もう、この画像もケツ丸出しじゃないかよおおお!!」

「安心してくださいお嬢様。……大事な部分は私の能力でモザイクを掛けておりますので」

「そんな事出来るのならいっそ画像を消してくれよぉぉぉ!! あぁ、もう外を歩けない……神棚設置するしか出来ない……」

「何気に私を神棚で成仏させようとするのはやめてくださいお嬢様。そもそも無理ですから」

気がつけば、染めていた髪は本当に金髪になっていた。そして更に気付けば、髪は伸びて勝手にツインテールとなっていた。
サイドから束ねられたそれ、何故か勝手にリボンが結ばれ、それを撫でながら思う。髪質は凄く良いなと。
そうして、だんだん見た目だけ本当に女の子らしくなっていってしまうのだ。もう、どうすれば良いのか分からない。

ちなみにあのイベントの際、問題が起きた時は……高科が打たれた所を見ては怒り狂いそうになった当時の事をはっきりとは覚えていない。
どうやら俺が殴る蹴るといった暴力行為ではなく、性転換させて女とさせては、転売客を追い払ったそうなのだ。
その際には既にツインテールであったらしい俺は、胴上げされて我に返る。そして今に至るのだ。

「でもつまり、切欠さえあれば……俺は男に戻れるんだよな……」

「お嬢様、まだそんな夢物語を口にしているのですか? 私がそうはさせません―― って、神棚に写真を置いて念仏唱えないでください!!」

「だって、男に戻りたいし……なんまいだー、なんまいだー……」

八月も盆を過ぎ、いよいよ終わりを迎える事となる。そうして、部屋でストーカー気質な片桐愛莉が成仏しますように、なんて本気で願いつつも、
午後の昼下がり、二人でのんびりと部屋で過ごしていると……突如部屋の扉を開けては、水無月が顔を真っ青にしてやって来たのだ。

「た、助けて……、少しの間だけでいい、ここに居させて……!!」

「な、何だよ水無月、突然――」

彼女が逃げ込んできたその理由、それは……>>89

心霊スポット巡り隊に追われている

>>89
100%DQNの集団だな。

彼女が逃げ込んできたその理由、それは……心霊スポット巡り隊に追われている、とか言うのだ。
流石に意味が分からんと首を傾げた。愛莉もまた、理由が分からないといった様子を見せている。

「本当にでこの寮の前に陣取っていて……、蝋燭がたくさん並べられていて……!
 でもそれはまだ良いの。それはまだ……。依りによって、何で……お父さんまで……!!」

「水無月の父親? ……幽霊好きなのか?」

「……本当の理由はきっと、私を連れ戻しに来てるんだわ。そうに違いない……」

彼女は酷く父親を恐れている様子であり、俺の使うベッドに潜り込んでは、がたがたと身体を震わせているのだ。
流石にこれはただ事じゃなさそうだと、俺も、そして愛莉もまた一緒に寮の外を引き戸を僅かに開いては様子を見たのである。
そして絶句する。何人居るんだといったその人数が、出入り口の小汚い門を完全に塞ぐような形で訪れていた。

「……これは酷いですね。見事に心霊スポットと認定されている様子です」

「いやいや、それより! 交霊の儀式とか路上で行われてるじゃないか! 流石にこれ、警察沙汰だろう……」

「どうしますかお嬢様。……警察に連絡でも?」

「もう少し様子を見よう。……水無月の父親が居るらしいし、下手に捕まられてもあいつが困るだろう」

「お優しいんですね。でもその優しさは身を滅ぼすかもしれませんけど」

その儀式とも、観光巡りとも取れるような集団は、なんと昼から夕刻まで鎮座する事になった。
そこで何も様子が変わらないと、一人、また一人と場から離れていくのだが、それでもただ一人、無精髭の男だけはその場から離れない。
普通の無地のポロシャツにスラックスを履いたその男、じっと寮全体を睨みつけているように思えるのだ。

流石にあの男だけは奇妙だと、再び戸を微かに開いては様子を眺める俺と愛莉。そして背後から、水無月の声。

「……私、連れ戻されちゃう。あの家に……」

その男が水無月の父親なのか。しかし何故、その男が水無月を連れ戻そうと寮に押し入らず、ただじっと寮全体を眺めているだけなのか、
この時は答えも見つけれず、ただその男がいずれこの場を去る事を願う水無月を眺めていた――。


―――― つづきます

おつかれ!

乙!

はい、突然ですがごめんなさいしなくてはいけません。
思うように組み立てられませんでした。なんか発想もぴんと来ないし何も浮かばないしで……ふえぇぇ。
え、何時もと変わらない!? そんな馬鹿な!!

ともあれ、今日もお付き合いありがとうございましたー。


【06/01 (土) 00:50時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/02 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第八話 『その寮、実は呪われている』

次回から金曜日はやめておきます。正直……ね…む……べっちょり。

えー、いきなりこんな事を言うのも何だと思うのですが……、
最近調子が悪いのか、浮き沈みが激しいのか、妙に不安定だったりします。

なので、色々とアレなところが目立つかもしれません。お許し下さい。

ではもう暫くお待ち下さい……。

~~~使いまわし系これまでの登場人物紹介~~~

【鴨志田 響】(かもしだ ひびき)
本編主人公。女らしかったこの人も本当に女となってしまいました。乳首が弱点です。

【長谷川 儚】(はせがわ はかな)
主人公とは仲が良い少女。同人主にえっちぃ絵が得意だが絵本は描けない可哀想な娘。別名、ファンタジーメンヘラー。

【長谷川 夢】(はせがわ ゆめ)
儚の姉であり、突如転入生として現れた自称宇宙人。巨乳で何故か家事が得意なようです。別名、スペースメンヘラー。

【日和見 萌】(ひよりみ もえ)
主人公と唯一話をしてくれる少女。主人公にセクハラする事を得意とする少し頭の弱い人。

【志藤 猛】(しどう たける)
主人公の唯一の親友とも呼べる少年。背も高く男らしい風貌の為、主人公に嫉妬されやすい。

【水無月 久遠】(みなづき くおん)
開成学園生徒会長の女子。中ニ的でツンデレで実は臆病と言う凄く面倒くさい子。

【柏田 つみき】(かしわだ つみき)
十三歳のクセに教師で天才で挙句に幼児体型で薬学研究にも手を出すいろんな意味で変態な子。

【鴨志田 鳴】(かもしだ めい)
十三歳の女子中学生。しかし超絶過ぎるブラコンの為登場早々引かれております。とにかく必死。

【高科 羽未】(たかしな うみ)
長谷川姉妹達と同人サークルに所属する同世代の少女。にゅんにゅん電波を放出しますが、毒を吐くときはふっつーです。

【坂上 麻衣】(さかがみ まい)
私立開成高校の教員であり、生活指導担当。眼鏡美人かはさておき、世話焼きでちょっぴりショタ好き。

【片桐 愛莉】(かたぎり あいり)
事故により幽霊として主人公の傍を彷徨っていた幼馴染。突然人間となり、メイドとして主人公にお仕え中。

~~~ 『少女と絵本と宇宙人、時々エロ本』 第八話 ~~~

星見寮、そこはかつて活気に満ち溢れ、皆が仲睦まじく星を眺めて青春を謳歌したと言われる場所。
次々と卒寮していく先人達は、この寮を愛し、そして名残惜しそうにこの場を後にしていったという。

その寮も次第に年季が嵩み、古びれていく。最早現時点では、幽霊屋敷とも思われるくらいくたびれているのがこの寮だ。
庭の草も手入れされていない為、ぼうぼうと伸び、蝿が異様に集っていたりする箇所もある。
主に木で造られている為、あちこち修繕が必要なくらい壁も傷んでいる。

とはいえ、中はそうまで汚くもないのは、やはり長谷川姉妹が移り住み、その影響なのか、
次々と人が移り住んでいった事に影響するのだろう。廊下も、共用の台所も、居間も、風呂場も、まだそれなりには使えそうには見える。

そんな、外観はおんぼろ、中はまだ何とか住めるんじゃないかと思わせてくれる寮を、やはり今日もあの男が眺めているのだ。

「……なぁ水無月。アレ、どうするんだ?」

夏も二十日を過ぎ、最近では毎日のように現れるようになった男、それは水無月久遠の父親であるらしい。
彼女の家は狭く、そして借金も抱えており、それが嫌になったのかは定かではないが、彼女はこの寮へ移り住んできた。

「そう、言われても……」

顔を落とす水無月久遠、彼女は開成学園で絶大な人気を誇る美少女生徒会長、と、生徒達には噂されている。
しかし実際は中ニ的で妙なところでツンデレ、但しこういった状況では臆病という結構面倒な性格を持ち合わせている。

「そろそろ、顔を合わせて話し合うべきじゃないか? じゃないとずっとあのおっさん、寮を眺めてるぞ」

「嫌よ……、連れ戻されたくない、もう……!」

彼女の言い草からすれば、父を恐れ、そして家には戻りたくないといった様子なのだが、どうにも俺にはそれだけとは思えない。
髪がなぜか伸び、自然とツインテールになっていたその金髪を撫でながら、俺は言った。このままじゃ前に進めないぞ、と。

すると彼女は……>>98

「喫茶店で働きたい」と言い出した

すると彼女は……「喫茶店で働きたい」と言い出した。
働く、即ち借金に関わる問題を感じているのだろう。しかし、ふとした疑問が二つ生まれるのだ。

「なぁ、一応お前、生徒会長なんだよな?」

「ええ、そうよ……」

「なのにアルバイトって、校則は大丈夫なのか?」

「きちんと申請すれば問題はないわ。それはまぁ、私みたいな立場が堂々としてアルバイトをするのは、皆が良くは思わないかもしれない……」

「時間的にも大丈夫なのか?」

「両立するしかないって思ってる……」

水無月はそれなりに自分の考えを持って口にしている様子だが、とはいえ借金という金が関わっている以上、
俺にはとやかく言える筋はないと、頬杖をついてしまう。助けたくても、助けられない訳だ。

だが、知恵くらいは貸してやれるのでは、と思っていた。だが、先に俺は二つ目の疑問を口にしていた。

「それで……、何故に喫茶店?」

「そ、それは……」

彼女は一瞬だろうか、赤面したようにも思えたのだが、再び家庭的な事情を思い返したのか、表情が険しくなる。
喫茶店、まぁ生徒会長の役職を勤めながらアルバイトを行うとすれば、小さめな場所ならば案外手ごろなのかもしれない。
とはいえ、やはりアルバイト、仕事なのだ。そう易々と勤まるわけがないと、何故に喫茶店を挙げたのか、もう一度訪ねてみた。

「……格好良いじゃない」

「は? かっこ、いい?」

「そうよ!? 喫茶店は……>>100で凄く格好良いアルバイト先だわ!!」

寡黙で渋いマスターがいるイメージ

「そうよ!? 喫茶店は……寡黙で渋いマスターがいるイメージで凄く格好良いアルバイト先だわ!!」

「いや、一概にそうとは言い切れないんじゃないか……?」

「そして始まるの、深淵なる闇の淵に立たされた者の、運命という名の過酷な存在との戦いが!!」

「おーい、水無月、ガッツポーズしてないで戻ってこーい……」

こいつ、喫茶店を何だと思っているんだと呆れて物が言えなくなっていると、彼女は座椅子から立ち上がり、ばんとテーブルを叩くのだ。
居間にその音が響き渡り、台所でお茶の準備をしていた片桐愛莉、だらだらと居間でテレビを見ていた日和見萌、
珍しく居間で絵本製作に取り掛かっている長谷川儚、そして……宇宙人娘というコスプレをする長谷川夢が、一様に水無月久遠を見るのだった。

「私、働くわ! 喫茶店で……闇を討ち払おうとする禍々しい光の使者と戦うの!!」

「……と、いう訳らしい。どうしたものだろう?」

俺がその場に居た皆に話を振ったのだが、やはりこれまでの俺と水無月の話なんて聞いちゃいない。
日和見が「何の話ぃ?」と珍味を齧り言う。俺が先程の経緯を話すと、彼女はなんとなく納得したかと思えば、再びテレビを眺めるのだ。
次に絵本を描いていた儚が「喫茶店は、戦う場所じゃないよ」と、静かに冷たく言い放った。

水無月久遠、何故か長谷川儚を光の使者、天使みたいな存在だと勝手に認識しては、ライバル視している傾向がある。
単にそういったネタに過ぎないのだろうが、今日もそんな闇と光の戦いが繰り広げられようとする。

「フン、貴女は分かっていないわね腐れ天使。だから貴女に羽は生えないのよ!!」

「い、いきなり意味がわかんない……。絵本描いてるから、邪魔をしないで!!」

「そんなのさせないわ! その絵本、いいえ……別名天使ノート! きっと色々な武装を記し、いずれ自分の武器として転化しようとしているんだわ!」

「……あぁ、もう、煩い!!」

「やる気になったのね腐れ天使。今日こそ決着をつけましょう? そう、深淵なる闇の炎に抱かれて消えなさいッ!!」

そうして居間で無駄な睨みあいが始まる中、宇宙人娘だと思われるコスプレをしている長谷川夢がこんな事を言うのだ。

「要するに……喫茶店でアルバイトをしたい訳ね? それだったら……>>102

いいバイト先を知ってるわよ。

コスプレ喫茶をお薦めするわ

>>103
しまったこっちが良かった!

「要するに……喫茶店でアルバイトをしたい訳ね? それだったら……いいバイト先を知ってるわよ」

ついには睨み合いから発展、取っ組み合いとなった水無月久遠。何故か儚の頬を抓り、儚に鼻を摘まれている。
ちょっと可愛らしい喧嘩じゃないかと和んでいた俺は、その長谷川夢の話にぞっとした。

危険だ。アイツの知っているという言葉は非常に危険だ。最近では出番が薄く、陰を潜めていた彼女、
しかしその宇宙人的思考という潜在能力は俺ですら未知数。俺に何故か親身に仕える片桐愛莉ですら、危険人物と一目置く存在。

「良ければ案内するわ。……どうかしら?」

「あ、貴女が、私に……?」

「同じ寮に住むよしみ、気にしないで。それに私、これからその喫茶店で紅茶でもご馳走になろうかと思っていたの。
 丁度良いでしょう、連れて行ってあげるわ」

「……そ、それなら、お言葉に甘えて……」

その銀髪は、落ち着き払った様子で宇宙人娘のコスプレの付属品であろう、ヘッドアンテナを定位置に戻そうとしているのだ。
彼女のそんな様子に、色々と戸惑いながらも頷いた水無月は、早速その喫茶店に向かおうと、部屋に戻り準備する事になる。

そして、何故寮の全員で喫茶店に向かうハメになったのか。そう、最近碌なイベントが無いからである。
八月当初までは毎日のように行われていた長谷川夢主催のイベントも、夏コミを過ぎ、最近では特に何も開かれていない。

更に言えば、長谷川夢自信が最近ぐーたらしている事もあった。そんな影響が寮全体を支配したのか、
俺や水無月以外は比較的平凡な生活に戻り、これといって面白い出来事も無かったとも思われる。

「それにしても、夢ちゃんの通ってる喫茶店って、どんな所なんだろーね!」

「日和見さん、お姉ちゃんに余り期待しないほうが……寧ろ警戒したほうが」

「うーん、でも案外おしゃれな喫茶店かもしれないじゃん? ちょっと楽しみかなぁ」

俺の隣に日和見、そしてその隣に儚。そんな前を、長谷川夢や水無月、そして片桐愛莉が歩いている。
何故にこんなぞろぞろと自称宇宙人が通う喫茶店に向かおうとしているのか、疑問が疑問を呼ぶような状態であった。

そうして、いざ長谷川夢が通う喫茶店に到着してみると……>>106

UFO博士がお出迎え

この日は「巫女さんデー」だった

そうして、いざ長谷川夢が通う喫茶店に到着してみると……UFO博士がお出迎え。
店の広さは普通より狭いかもしれない。客が十人入れば、満員御礼といった具合の広さだろう。
カウンターに六席、一つだけテーブル席がある。そんな小さな宇宙的喫茶店の店主は、なんとUFOである。

「いやぁ、いらっしゃい。今日は随分大勢だねぇ、夢ちゃん」

「ええ、今日は皆をこの場所に案内したくって。席は大丈夫かしら?」

「問題ないぞい、好きに寛いでくれりゃええ。何せ客は夢ちゃんくらいしかおらん店だしの!」

おい、それって非常に不味いんじゃないのかと、長谷川夢以外の皆が思ったのだろう。
互いに顔を見合わせるようにして、どうしようといった雰囲気が広がっているのである。
だがしかし、そんな凡人レベルな俺達の雰囲気を察することも無く、長谷川夢はカウンター席に座り「いつもの」と口にした。

「はい、いつものね。もうちょい待っとくれよ」

UFO博士な店主は、そうして奥へ引っ込んでいく。その途端、日和見が言葉を発したのだ。

「ね、ねぇ! あ、あれ……顔がUFOだよね!?」

「だ、ダメよ日和見さん。そんな事を大声で……」

「でも久遠ちゃんも見たでしょ!? どうみてもUFOだよ!? 響はどう思うの!?」

「そ、そこで俺に振るのかよ!? い、いや……どう見てもUFOです本当にありがとうございました」

日和見に話を振られ、戸惑う水無月と俺。しかし既にカウンター席に座っていた長谷川夢は言う。
それくらいで動揺されていても困る。この喫茶店は、UFO博士だけの存在だけが売りではないという。

つまり、まだこの喫茶店には秘密がある事を仄めかした時、あの顔面UFOな爺さんが戻ってくるのだ。

「ほれ、いつもの紅茶、今日は金曜日だから金星仕立てだな」

「ありがとう、マスター。……それと、皆にアレを見せて貰えないかしら」

「アレとな!? ……宜しい、ではぽちっとな」

アレを見せる、という一言で顔面UFOな爺さんは何かのスイッチを押したその途端、>>109

壊れたUFOらしきものが出てきた

アレを見せる、という一言で顔面UFOな爺さんは何かのスイッチを押したその途端、壊れたUFOらしきものが出てきた。
しかし何でスイッチを押した途端、喫茶店が変形して格納庫に変化するのか、都市伝説に詰め込みたい不可解さである。

皆が唖然とする中、長谷川夢だけがその壊れたUFOだと思われるそれに手を触れて言う。

「これは本物よ。そう、広大な大宇宙を駆けたUFO、いいえ……スペースシップとも言うべきかしら」

「なぁ、バカ宇宙人。一つ聞くが……それ、玩具じゃないんだよな……?」

「勿論よ。そしてこのUFO博士に修理を依頼しているのだけれど、この分だとまだまだ掛かりそう?」

「そうじゃな、何分この星には無い技術がふんだんに使われておる。先ずはこのダークマターエンジンを解析せねば」

「だ……だーくまたーっ!?」

そこで反応したのが水無月久遠。深淵だか新鮮だか知らないが、とりあえずダークフレイムマスター的な存在。
そんな彼女は新たな力を耳にして反応した。つまり……格好良いから反応したのだろう。

「博士、そのダークマターって、私でも操れたりします!? しますぅ!?」

「うぉ、お、落ち着いてくれたまえ。そもそも人が操るような物質ではなく……」

「この力で世界の光を闇に叩き落すことは出来るのでしょうか!?」

「の、のぉ、この娘は何を言っておるんじゃ。ダークマターを何と勘違いしておるのだ……?」

「恐らく彼女、覚醒アイテム的な存在だと認識しているようね。でもそれも……面白いわ」

その時、長谷川夢が微かに頬を歪めていた事に気付かず、ただ俺は日和見や儚と共に、一歩退いてはその様子を眺めていたのだった――。

―― そうして、水無月久遠はあの喫茶店で働くことが決定した。彼女の働きたい動機は、暇そう、時給900円、ダークマターである。
最初の二つは分かるのだが、時給900円も支払って、あの喫茶店は果たして何ヶ月持つだろう。
しかし最後の一つの理由が分からない。そこにダークマターがあるからー、と水無月は瞳を輝かせて言っていた。

しかし、これで水無月と、その父親の関係性が解決するわけではない。今日もまた、水無月の居ない寮を眺めるおっさんが居る。
無精髭で、どうにもぱっとしない服装のその男に、いよいよ俺が最初の寮員として何か言うべきかと思案していると……。

なんと、その男は今日、この寮の呼び鈴を押したのだ。そして>>111と口にしている。

あの店の名物は?

ここはパラダイスだ!

また重い。

なんと、その男は今日、この寮の呼び鈴を押したのだ。そして「あの店の名物は?」と口にしている。
まだ誰も応対していないのに、寮の引き戸に語りかけているその男、本当に意味不明である。
だがしかし、一応は水無月の父親なんだと、気を取り直して俺がその男に応対した。

「……そうか、名物が……顔面UFOな爺さんなのか」

「としか言えないっすね……うん」

居間に案内し、愛莉にお茶を用意させ、テーブルに向き合う形で俺はこの男と話をする。
まさかいきなりあの店の名物はと、やはり訪ねてくるとは思わなかった。仕方なく思い浮かべた名物、それは顔面UFOな爺さんくらいである。
実際、紅茶とコーヒーをご馳走になったのだが、美味いかと言われれば……ほんの少しだけ不味いという具合であったのだ。

「ふむ、名物を知れて私は満足した。少女よ、ありがとう」

「え? 俺、男……そうだった、ツインテールのせいで余計に女のように見られて……」

「うん、どうかしたかい?」

「あはは、いえいえ、別に大した事ではぁ~あはは!」

「ところで、もう一つ尋ねても良いかな?」

「あ、はい、俺……私で分かる事があれば、なんでもぉ~!!」

何故か動揺している。何故か女口調である。何故か女として見られてほんの少し嬉しかったりしている。
それはもう、ある意味では気が動転しているといっても良かっただろう。そんな俺に、男は言う。
水無月の話が来るであろうと、警戒はしていた。彼女を連れ戻すつもりなのかどうか、その話だと思っていたのだが……。

「……憑いてるね、この寮」

「ツイテル? 何がですか?」

「悪霊だよ。……悪霊の怨念とも言うべきか、これは……館自体に怨念を込めているというか、例えが難しいね」

その男は急にそんな事を言う為、俺がお茶を持ってきてくれた愛莉と見合わせる形になっていると……。

「これは取引でも、なんでもない。除霊……つまり>>115させて欲しい、娘の為に」

わしが白装束で呪文を唱えてダンスする人数は多い方がいい

あわてて書いたら日本語が変に。

「これは取引でも、なんでもない。除霊……つまり呪文を唱えさせて欲しい、娘の為に」

「は? 呪文……?」

「白装束を着て、呪文を唱えつつダンスを踊る。その人数は多いほうが良いのでね、君にも手を貸してほしいんだ。そこのメイドさんも」

「わ、私もですか……?」

愛莉は戸惑い俺を見る。どうしましょうこの人、本気で追い出しますか? といった様子の表情だ。
だが、こんな訳の分からない男でも、水無月の父親だ。好きにやらせてしまえば、きっと気も収まるのだろうと、俺は頷いた。

「分かりました。……私で良ければ、除霊とやらの為に踊ります。愛莉もです。……でも、他の皆は勘弁してやってください。
 特に……水無月……アイツだけは」

「……分かっているつもりだ。君は久遠と仲良くしてくれているのかな?」

「仲は……まぁまぁ良いんじゃないかな、と」

「そうか、ありがとう、父として礼を言おう。……あの子はこの寮に来て良かったのかもしれないな」

除霊の準備を進めるその水無月の父親は、時折寂しそうな瞳をしては語ってくれていた。
元々、水無月の父親と母親が結婚した際から、貧乏であり、主に母が仕事で稼ぎを持ち帰っていたらしい。
父親の水無月栄一、彼は霊感体質でもあるらしく、そういった類の商売に手を出そうとして失敗。

そして経歴も無かった彼は、思うように仕事に就けず、ふらふらとした状態が続く中、水無月久遠は育つ。

「あの子の母親、つまり私の妻だ。……彼女もね、昔は優しかった。今では生活の為にと、必死で……彼女も変わってしまった。
 その責任は私にあるのだが、……何分ね、家の中ではどうして良いのか分からず、ついオカルト話ばかりだよ」

「……そのオカルト話に嫌気が差してって事っすかね」

「まぁそうだね。あの子は、私みたいにはならないと、勉学に、スポーツに励んでくれた。その結果、今では学校で生徒会長を果たしているそうじゃないか。
 けどね、私のオカルト体質も事実でね。……本当に見えるんだよ、だが信じてもらえない」

そんな水無月栄一を、次第に遠ざけようとする水無月久遠。気持ちは確かに分かるのだが、それだけで、身体を震わせるほど恐怖するのだろうか。
本当はそれだけでは無いのでは、と、その男を俺は訝しく眺めてしまう。そうしていると……>>118

ほんのりとワキガの香りが

バイトから帰ってきた久遠が
たまたま父を見つけどっきり

そんな水無月栄一を、次第に遠ざけようとする水無月久遠。気持ちは確かに分かるのだが、それだけで、身体を震わせるほど恐怖するのだろうか。
本当はそれだけでは無いのでは、と、その男を俺は訝しく眺めてしまう。そうしていると……ほんのりとワキガの香りが。
独特な悪臭がした。ふと俺が鼻を摘んでしまうと、愛莉は既にこれに気付いていたらしい。俺に言う。

「安心してください、後でお部屋の消臭をしておきます」

「……お前、気付いていたのか?」

「ええ、そしてこれが最大の理由ですね。狭い部屋でワキガ、耐えられる訳がありません。
 それとオカルトが興じて、彼女は精神的に追い詰められたのでしょう」

「ワキガが震える程怖い、か……はは、そりゃどうしようもないな」

ひそひそと、俺と愛莉が話す中、彼の除霊の準備が終わったらしい。白装束に着替えてやってきたその男は、
手には数珠を持ち、そして俺達にも白装束に着替えて欲しいと、着替えを用意した。

一度部屋に戻り、その白装束を纏ってみるのだが、何でこんな事になってんだとため息が漏れてしまう。
そうして、隣で先に着替えを終えていた愛莉が、俺の胸元を見て言う。

「ほんの少し胸が育ったみたいですね。お嬢様、おめでとうございます」

「ま、まじで!? ……ほんとに、大きくなったのか、これ」

「ええ、私には分かります。それは0.1cm程度でも、成長は成長です。……もしかして、嬉しかったりします?」

「んな訳あるかっ! 別に胸が大きくなったら困るだけだって思っただけで!」

「お嬢様、そろそろ素直になりませんか? ……もう、十分女の子なんですから」

こいつ……と、片桐愛莉を睨むように見てしまう。どこまで俺に女を求めているんだと思っていたのだが、
ふとどこか、消え入りそうな顔をしたのは気のせいだろうかと、その怒りの矛先を見失ってしまっていた。
時折、切なそうにするこの少女、幼馴染で、そして元は幽霊だったりで、色々と思うところはあるのだろう。

だが、未だに俺は彼女との距離感が掴めずに居た。彼女が現れて二週間、時折何の話をすれば良いのかも分からなくなるのだ。

―― そうして白装束となった俺と愛莉が再び男の前に戻ってくると、彼はうんうんと満足そうに頷いた。

「では、早速除霊を始めたい。……呪文は私が行う、君たちは適当に踊って欲しい」

適当とか言われて、仕方なく適当に踊ってみた結果>>121

MP的なのが体に満ちていく感じが

ワキガの臭いはますます激しくなって咳き込んだ。

適当とか言われて、仕方なく適当に踊ってみた結果、MP的なのが体に満ちていく感じが。
ふしぎなおどりを踊られるとMPが吸われてしまうという。では踊ってみると、MPをやはり吸えてしまうのかと実感。
そうして、妙な呪文の羅列、主にザラキが多数混じったそれを唱え終わった水無月栄一は、またまた満足そうにして言った。

「邪悪な陰はだいぶ薄れたようだ。ありがとう、君達」

「え、あ、ども……。俺……私もちょっと、いや、かなり元気が出たような……?」

「それは良かった。……けど、そっちのメイドだった娘は、大丈夫じゃなさそうだけど」

「……私は……大丈夫、です……」

「少し激しく踊りすぎたのかもしれないね。少し休めば大丈夫だと思うけれど。
 ともあれ……これ以上長居をしては、久遠にまた嫌な思いをさせるだろう。これで失礼するよ」

水無月栄一はそうしてこの星見寮を去っていくのである。
寮全体を覆っていた禍々しい気配は、今では薄れているらしい。つまり完全に消え去った訳ではない。
ただ、俺にはそれが、どう変化したのかは分からない。適当に踊ったら元気になって、同時に愛莉が苦しそうに呼吸をする様が見られるようになった。

「愛莉、お前本当に大丈夫か? ちょっと寝たほうが……」

「い、いいえ……もう直ぐ夕食の準備を……私が、お嬢様のた……め……」

「お、おい!! お前……酷い熱じゃないか!!」

白装束で変な踊りをしたせいで、風邪でもひいたのか。それともまさか、あの踊りが彼女に影響を齎したのか。
後者だとすると、俺は彼女を退散させようとしていた事になる。洒落染みて神棚を用いて、彼女を成仏させようとした事はあれど、本気で消える事はないと思っていた。

そう、彼女はどういう訳か、もう人間なんだ。なのに、意識を朦朧とさせる愛莉は何故苦しんでいるんだ。
彼女を抱きかかえ、自室のベッドで休ませて暫く様子を眺めていた。今も尚、彼女は時折眉を顰めては苦しそうに息を吐いた。

「……まさか、さっきの男のワキガのせいで……? いや、それはないよな……」

俺が冷水で濡らしたタオルを彼女の額に乗せては、様々な原因を考えていると……>>124

>>119

死に神的な者が見えた

俺が冷水で濡らしたタオルを彼女の額に乗せては、様々な原因を考えていると……水無月が俺の部屋を訪れた。
俺と、そして愛莉の様子を見た彼女はあえて口にした。此処で何があったのか教えて欲しいと。

―― 彼女はバイト上がりで、これから生徒会としての仕事上の書類を纏めなければならないそうだった。
しかし、その予定もこの出来事で崩されることになったのだろう。今では、愛莉の面倒を水無月が行っている。

彼女は何度も頭を下げた。何度も、何度も、涙を零しながら謝った。
何故そこまで頭を下げるのか、涙まで流すのか、逆に疑問だった俺は、彼女から水無月栄一を聞く事になる。

「確かにあの人、シャツを脱げばとんでもない悪臭だし、狭いから常に窓を開けての生活だった……。
 勿論それも嫌。だけど乗り越えられない訳じゃなかった。だけど……」

「オカルト話か?」

「知ってるの。あの人がそういう体質だって。……私にも、霊感はあるのよ。ちょっとしたテレパシー的な行為だって、本当は出来ちゃうの」

「いやいや、あの時お前明らかに思いを口に出してたよな? ラーメン二郎の時だって!!」

「それは完全じゃないから。……その程度なのだけど、見える物はやはり見えてしまうみたい。
 私が恐れているのは父の、水無月栄一に憑いている……誰かの悪霊よ」

「アイツ自身が、取り憑かれてるってオチなのか……」

「この寮に悪霊が居るなんて嘘。……霊的な存在を感じることはあったわ。この娘が現れるまで……」

「片桐愛莉。俺の妹があーちゃんと呼んで、暫く滞在していた時期か……」

「ある日それがふっと消えた気がしたけれど、正直そんな事どうでも良かった。だってあの家を、あの人から離れる事が出来て、幸せだったから」

しかし随分話が突飛になって来ていると感じてしまう。実は水無月久遠が霊感を持つちょっとした特異な少女だったなんて。
ちょっとした異能を持つ中ニ病なんて性質が悪いとも思いながらも、感じてしまう。何かがおかしくなっていないかと。

突然、俺は女になった。そして片桐愛莉が幽霊から人になり、壊れたUFOまで現れ、そして水無月久遠の霊感。
本当にそんな事が現実で次々と起こってしまって良い物なのか。それは、大宇宙の意思とか言うものの存在が起こしているのか。
或いは、俺が心底から願えば叶う可能性があるという、愛莉が言っていた言葉の影響か。

俺が、そんな不思議出鱈目を望んでいるのだろうか、と、考えが走ってしまい呆けていると……。

「私、決めたわ」と、水無月がふと立ち上がる。では何を決めたのかと尋ねれば>>127

ついでだからツチノコと雪男も探す

「私、決めたわ」と、水無月がふと立ち上がる。では何を決めたのかと尋ねれば……。

「ついでだからツチノコと雪男も探す」

「お前、何処へ向かってるんだ……」

「少しだけ寮を離れることを許して頂戴ね。アルバイトの方は何とかするけれど、暇な時間はツチノコと雪男を探すから」

「そ、そうか……頑張れよ」

まぁ、本人がそう言っているんだし、俺も止める義理は無いのだろうと、彼女を見送ることに。
既に夕刻、まだ食事の準備が終わっておらず、今日はどうやら俺が担当しなければならないのだろうと思っていると、
部屋を出ようとした彼女から、こんな事を言われてしまうのだ。

「その娘、鴨志田君の為にこの世に現れたのでしょう?」

「……お前、どうして」

「霊感があるって言ったじゃない。……その娘、このままだとこの世から消えてしまうわ。
 そうしたくなければ……少しは愛情を注いであげて。それが、彼女の活力に変わるから」

「愛情……って……」

「……私も……ううん、何でもない。ごめんなさいね」

そうして、水無月久遠はツチノコと雪男探しに旅立つのである。とはいえ、アテがあるのかどうかも怪しい。
彼女が言い残した言葉、愛情が活力に変わると確かに言っていた。そんなの、俺にどうすればいいんだと、愛莉を眺めている。
少しは落ち着いたのだろうか、と言った具合で未だに苦しそうな表情をしているのは違いない。

「どうしたものか……うぅ~ん……」

頭を撫でれば良いのか、耳元で言葉を囁けば良いのか、或いはキスとか、してしまうべきなのだろうか。
思うように答えが出ないまま時間が過ぎていく。しかしやはり、これ以上愛莉が苦しんでいる様子を見続けるのは、辛かったのだろう。

気がつけば>>129という愛情表現をしてしまっていたのを長谷川姉妹に見られてしまうのだ。

ムツゴローさんなみに撫でまくり

王子様のキス

気がつけばムツゴローさんなみに撫でまくりという愛情表現をしてしまっていたのを長谷川姉妹に見られてしまうのだ。

「貴女、何をしているのかしら」

「……撫でてただけですが」

「抱きかかえるようにして、頭を丁寧に何度も撫でて、時折よーしよしよし、とか言っていたら流石に異常よ?」

「鴨志田君、そういう人だったんだ……」

「いやいやいや! 儚、お前なら分かってくれるよな!? ちょっとこいつ、熱があって、それで……」

「病人を性的に撫でまくるなんて鬼畜、鴨志田君らしいよね……。ちょっとがっかり」

「儚の言う通りだわ。時折涎垂らしてそうなくらい笑んでいたし、流石に女の子の姿になっても、これでは気持ち悪いだけね?」

「まるで元の姿が気持ち悪かったみたいな言い方すんなよなっ!」

「儚、これは……調教が必要だと思うのだけど、どう?」

「……賛成。前から浮気癖があって、どっちつかずで男らしくない鴨志田君はどうかと思ってたの。……あ、女の子なんだっけ?」

「お、お前等ぁぁぁ……言いたい放題―― って、あれ、なんで俺、両腕掴まれて引き摺られてるんですかね?」

「物置部屋へ移送よ」

「うん、移送するの」

「おいい、お前等、ちょっと待て、ちょっと待ってくれ、俺には夕食の準備がですね!? 準備がですねぇ――」

片桐愛莉は、俺が撫でまくる事により多少は落ち着きを取り戻してくれたようで、数日して復帰することになる。
そして旅に出た水無月は、たった二日で帰還。世の中そんなに甘くは無かったと、ちゃっかりツチノコを連れ帰ってきていたのである。
そんな彼女、雪男ではなく雪女には出会ったと言っていた。世の中がやはりおかしくなっていってると感じた瞬間である。

だがそれよりも、俺にはちょっとした問題が起こっている。それは、長谷川儚と共に、オファーを寄越した絵本の出版社を訪れたその後の話であった――。


―――― つづきます

乙!

すいません、普段より一時間以上早いんですが、これで終わります。
やっぱり身体の調子が悪いのかな、肩こりが酷いせいなのかな、なんかダメっぽいです。

そんな中お付き合い下さりありがとうございましたー。


ぼちぼちこの話も終盤……なんだろうか……。頭の中ではそろそろーと思っていますが……安価次第ですよねはい。

お疲れ!

忘れてた!

【06/02 (日) 23:34時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/04 (火)
  22:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 偶には短篇とかって思ったりしてる 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第九話

まあ健康あってのむり小ですから
お大事にー

もしかして病気か。

お大事に。

逃げるところはありません。

>>138誤爆しました。

ネルシト ◆87XlYShds2氏 - ~お前は誰だ~第七話

キャンセル続きでしたが、やっとできそうです。

あらすじ

織田信長が現代にやってきて大学生の下宿に居候して、大学についていったら迷子になって、真実の歴史研究会部員とケンカした。

もう少々待ってね。

905 自分:ネルシト ◆tnewYYDysv15[] 投稿日:2013/05/26(日) 17:30:59.80 ID:AjSalf2no [2/19]
【登場人物】

木下蔵吉=信長にサルと間違われた不運の大学生。

織田信長=自称・過去からやってきた六天大魔王だが、カレーに興味を持ち工場見学ではしゃぐ子供のようなおっさん。

今川真子=主人公の同級生。常に巻尺を携帯してる。神経質なのか不思議ちゃんなのか今時点では謎。

大家=霊能者。ファッションが変なのだが、どんなんだったか書き手が忘れている。

正しい歴史研究会の部員=信長とケンカした。

少々お待ちください。



いいパンチをもらって気絶した俺は気が付くと、大学の医務室で寝かされていた。
そばには心配そうな今川真子と校医。

校医「やっと目が覚めましたか」
真子「大丈夫」
木下蔵吉「俺としたことが、うかつだった」
ところで信長はどうしただろうと思って辺りを見回すと>>143していた。

窓の外の木に登って

ところで信長はどうしただろうと思って辺りを見回すと>>143していた。

俺は思わずベッドからコケそうになった。

蔵吉「あ、あいつはいったい何をしているんだ?」
真子「さっきから敵の襲来に備えるなんていってました」
校医「あの人も診た方が良さそうね」

俺はしまったと思った。校医が信長を見たら絶対に精神病の判定を下すだろう。そうなると状況がますますややこしくなる。
かといって説明するのも大変だ。下手をすると俺まで同病扱いされる。

校医「あの男性を>>145

つれて来て

校医から呼ばれた信長は中々木から降りようとしなかった。

信長「いい眺めじゃのう」

仕方なく俺が直々に木に登ることにした、さっきの脳震盪が不安だが女性を木に登らせるわけにもいかない。

蔵吉「おい。おっさんそろそろ木から降りてくれ」
信長「何を言うか。さっきの男が、仲間を連れて攻めてくるかもしれないぞ」
蔵吉「あーあの部か。あれは弱小クラブだから仲間を合わせても5人ぐらいしかいないよ」
信長「なんと!それはまことか」
蔵吉「オカルト研究会に人なんか集まるかってんだ」

信長はあわてて木から降りようとして俺の頭を二、三回踏んづけた。人を人と思ってないなこいつ。
蔵吉「こら、待てよ。無礼な真似するとカレー工場見学は取りやめるぞ」
信長「そりゃたまらん。わかったわかった」

木から降りると校医がなにやらたくさんのテストを用意して待ち受けてた。やる気満々なのが表情から伺える。

どれをしますか?

1.ロールシャッハテスト
2.面談
3.箱庭テスト
4.エゴグラム
5.その他

まずは面談からスタートすることになった。そりゃそうだ、まずはどのような人物か把握しないといけない。
しかし困ったことになったぞ。

校医「ではそちらの方、少しお時間をいただきますがよろしいですか」
信長「よきにはからえ」
蔵吉「(でたー!あーあ知らないぞ)」
校医は三十代の独身女性。どの強いメガネに、よく言えばスレンダー悪く言えばつるぺたな身体。身長は170センチ大の大女。
正直言って俺から見ても、彼女にしたいとは思わないよくいるオールドミスタイプなのだ。

校医「くすっ」
校医は笑った。ちょっと意外だった。続いて質問が来る。

校医「あなたのお名前は」
信長「わしは六天大魔王。織田上総介信長でござる」
校医「>>149

ふざけないで

校医「ふざけないで」
信長「なーにいっとるわしゃー信長だ」
校医「それドリフの神様コントじゃない」

聞き覚えの有る台詞でおどろいたが、確かにドリフの神様コントで志村が同じことを言ってる。
蔵吉「偶然なのか?」
真子「わかんないわよ」

偶然じゃないとするとこの男はいったい何者なんだろうか。来たときの格好からおかしかった。ナマハゲの衣装で自称信長。怪しすぎる。

校医「生年月日は?」
信長「天文三年五月十二日」
蔵吉「おい合ってるのか?」
真子「知らないわよそんなこと」
校医「ふむ、当たっていますね。それでは職業は」
信長「天下様じゃ」

よく考えると現代語が通じるのがおかしいといえばおかしい。なんでこいつは『職業』なんて単語を知ってるのかと気づいた。
信長はつまらなそうにしているのが丸判りだった。

信長「>>151

もうわしゃ帰る。あとはよろしく


と叫ぶと信長の前に謎の光の輪が出てきた。

信長はその輪をかいくぐって、元の時代へ帰ってしまった。

終わり


付き合ってくれた人ありがとう。
力足りないのでこれで終わりにしてしまいました。

本来の予定では警察に逮捕される話を考えていたのですが、何も決めないで自由にした方が人が書きやすいのではないかと路線変更したらこの始末。
警察パターンでやっていた方が良かったかもしれません。

次回は全然違う話をやってみたいです。

短い間ですがありがとうございました。
もう少し文章表現を磨かねば。

『小さな小さな小さな町』

────冷たい大地に寝そべっていることに気づいた。あたりは暗く、何も見えない。
男はどうしてこんなところにいるのか覚えがない。てさぐりで前に進もうとするが、まったく見当も付かない。星空も無い世界。
鼻腔がとらえるのは埃とラッカーの甘い匂い。

男「俺はどこにいるのだろう」
つるつるとすべり、取り付くしまのない地べたに身体を横たえて、思考停止する。
夢から覚めれば朝が来て、またいつもの平凡だが安心できる日常が回り灯籠の絵のように現れて一息つける。
未来に期待して目をつぶり、混沌とした思考の渦に己の頭脳を押し入れた。

やがて、朝焼けのごとく、世界が白み始めたことが瞼を通してかすかに感じられた。
男「もういいだろう」と目を開くと、小さな町並みが見えた。こじんまりとした商店街や、遠景に見える農村風景、そして目の前に救い主のように建ててあった
駅。
男は駅に駆け寄った。しかし、その中には誰もいなかった。
がらんどうの駅、床はタイルのようにつるつるすべり、一歩ずつ気を配りながら進むしかなかった。
改札員もおらず時刻表も無く、いや時計すら存在しない謎の駅。

この光景には、見覚えがあった。
男「これは>>154?」

宇宙の果て

男「これは宇宙の果て?」

少年時代、親によって買い与えられた児童図書の数々。恐竜、乗り物、未来、気象と子供達の目を科学に誘う知的好奇心へのパスポート。
誰もが憧れる誰もが知りたがる、それでいて解き明かされていないジャンルの宇宙。
およそ現時点での人類が知りうる英知を託した、宇宙の解説書。
だがそこには、もっとも肝心な宇宙の果てが記されていなかった。

男は空想をめぐらし、一つの結論を導いた。
「宇宙の果てにあるのは、もう一人の自分達の世界」
彼の仮説はこうだ。
「宇宙の果ては一度空間が捻じ曲げられ、スタート地点に微妙なズレを持ちつつ同じものが3D映像の赤い枠と青い枠のように近接して存在している」
説明は難しいが、宇宙の果てを探すのは、メビウスの輪で表裏を求めることと同じ意味を持つのではないかという答えに到達した。
宇宙の果ては存在せず。宇宙をたどるともう一度同じ場所に帰ってくる。だがそれは元いた場所と全く同じではないのだと。

その宇宙の果てが、眼前に現れたと思ったのだ。

床はワックスをかけたかのようにすべる。男は足をすらせながらホームへ出た。
空気はよどみ風もない。木々や草は極端に少なく、応接室で存在を忘れ去られている造花と同じ、おざなりな配色だった。
この世界に神がいるのなら『手抜きの神』として聖書に記されていただろう。

男は気づいた。これは模型の町だと。
それが本当なら、明るくなると、乗れない電車がやってくるはず。

そして、数時間後ホームに電車がやってきた。
その電車は>>156

動いているのが不思議な位ボロボロ

その電車は、動いているのが不思議な位ボロボロだった。

俺「げえっ。何だこれ」

車体の色は地味すぎる小豆色で、屋根には接着剤が糸をふいて蜘蛛の巣がからまったかのようだ。
酷いのは窓で、ガラスがすべて抜け落ちて、オープンカーのように外気に晒されたままなのだ。
でも窓が無いのは不幸中の幸いで、そこからにじり寄って車内へ入った。

どうやら組み立てキットを乱暴に完成させたものらしく。座席のような内装はまったくなく、床にはむき出しのネジが止められている。
当然模型なのでガラスではなくアクリル板なのだが、カット面は鋭く触れると鋭敏な刃に様変わりしそうで落ち着けなかった。
俺は足で、アクリル板を片付け、安全地帯へ越を下ろした。
急ごしらえの完成車は乗降口のドアすら欠けていて、それが次の駅での下車を楽に果たせそうだった。
ただ、この鉄道の持ち主がせっかちであれば、早急に下車しないと命取りになる恐れがある。
何故なら、模型の鉄道は、線路に電流が流れているのだから。

男の列車はまもなく発車した。
持ち主「次は都会~都会~」
その声に聞き覚えがあった。それは>>158

行きつけの医者

その声に聞き覚えがあった。それは、行きつけの医者。

男「あの医者、鉄道模型にはまっているとか自慢していたな」
彼は、町内いや市内でも有名な鉄道模型オタクで、専用の部屋を全面レイアウトとして使用している。
休診日には部屋にこもりきって、大レイアウトの運行業務にかかりっきりになるのだ。
その大レイアウトは専門誌の間でも評判であり、過去に数回テレビ局が取材に来たほどだ。

医者「どうだい気分は」
電車は少しずつ減速し停車。医者が俺に話しかけてきた。

男「シンナー臭くて埃臭くて健康に悪いな。早死にしそうだよ」
医者「せっかく手に入れたアクセサリーに粗末な扱いはしないよ」
男「あんたが何らかの手で俺を小さくしたんだな」
俺は全身に憤りを感じた。こんな不条理な世界で暮らすのはごめんだった。食料はどうする?水は。
何より孤独で仲間がいない。元に戻ったらお前を訴えてやる。
俺は今では巨人の笑顔を見せる医者に散々毒づいた。
医者「安心しろ>>160

弁護士の友人がいる

医者「安心しろ、弁護士の友人がいる」

そりゃあんたにとって有利なだけだろ!と声を大にして叫んでも果たして医者に届いたのか。
何せ俺の声なんざ、コバエの羽音程度になるかどうかも怪しいものだ。
医者は俺の声を聴診器で拾っているのだから余計にむかついた。

俺「なんで俺をこのような玩具に選んだんだ」
医者「人生に訪れる不幸は必然ではないのだよ」

そして俺は文句を言う気力も無くなり床にへたり込んだ。
人工的な町で誰にも知られず飢えて死ぬのかと思うと悲しくなった。
鉄道模型マニアの悪魔に、なぜ俺が選ばれたのか心当たりはあり過ぎるほどあった。
俺はこいつが嫌いだったのだ。

医者との付き合いは長く、俺のいた学校で彼はすでにお坊ちゃまぶりを見せ付けていた。
クラス内での肉体派を金で手なずけ、ガキぐらいしか振り向かない小さな利権を得るのに汲々としていた。
俺はガキの癖に小ざかしい権力闘争の予行演習をしているこの小太りが大嫌いだった。

医者「せめてもの情けだ。女性を連れてきてやったぞ」
医者はボロ電車の屋根を乱暴に開けると手から一人の女性をすべりこませた。

その女性は、>>161だった

安価ミス↓で

半獣

その女性は、半獣だった。

俺「縮小化だけじゃなくて、獣人化もしてたのか!マッドサイエンティストめ」
医者「大事なアクセサリーだから、食料も用意してやるぞ。ふはははは」
医者は笑いながらコントローラーを動かした。

ボロ電車は少しずつ性能の悪いモーターをきしませながら、医者の目の前から走り去っていった。

アクリル板が散乱する狭い車内。半獣の女性は、警戒しているのか中々近寄らない。
顔のパーツは人間だが、髪の毛からエルフのようにとがった耳が、こんにちはしている漫画のケモナーを想像してみる。
屋根をはめ込まれた車内は採光に適してないのか薄暗く、相手の女性がどのようなケモノか判別できない。
男「もし、こいつが猛獣だったら。俺は食料なのか。なんてこったい」

鳴き声により、半獣のケモノの種類が判明した。それは>>165

ジャッカル

それは、ジャッカルだった。

俺「。o(ジャッカルったら犬みたいなオオカミみたいな犬だったかな)」
俺が半獣女性相手に思案していると。
ジャッカル娘「男の癖に優柔不断ね!ガルルルル」
なんと人語をしゃべった。

ジャッカル娘は四つんばいで俺の方ににじり寄ってきた。
俺が恐怖で硬直していると、「お手っ」という叫びが。
反射的に手をだすと、ジャッカル娘は笑い転げた。
ジャッカル娘「あははは。おかーしー。一度やってみたかったんだ」

主従関係が決まってしまった。俺は自分の胆力の無さを後悔した。

つづきます~~~~~

どうもお付き合いいただきありがとうございました。

当初の予定と大分違ってしまいました。これからどうなるんだろう。

次回は決めてないので、また決まり次第予約入れます。

(安価つかなくてもひたすら待てばいいのか)

おつー!

【06/07 (金) 20:33時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/08 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 用事が割り込んだので延期します… 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第九話

暫く期間あけてしまってすいません。更に言えば今週来週まで期間が空き気味になっちゃいます。
なんてこったいです。しかし時間は迫ってくるのですひえぇ。

では、もう暫くお待ち下さい……。ちょっと久々だから色々おかしくなるかも……。

いえいえ。

~~~使いまわし系これまでの登場人物紹介~~~

【鴨志田 響】(かもしだ ひびき)
本編主人公。女らしかったこの人も本当に女となってしまいました。乳首が弱点です。

【長谷川 儚】(はせがわ はかな)
主人公とは仲が良い少女。同人主にえっちぃ絵が得意だが絵本は描けない可哀想な娘。別名、ファンタジーメンヘラー。

【長谷川 夢】(はせがわ ゆめ)
儚の姉であり、突如転入生として現れた自称宇宙人。巨乳で何故か家事が得意なようです。別名、スペースメンヘラー。

【日和見 萌】(ひよりみ もえ)
主人公と唯一話をしてくれる少女。主人公にセクハラする事を得意とする少し頭の弱い人。

【志藤 猛】(しどう たける)
主人公の唯一の親友とも呼べる少年。背も高く男らしい風貌の為、主人公に嫉妬されやすい。

【水無月 久遠】(みなづき くおん)
開成学園生徒会長の女子。中ニ的でツンデレで実は臆病と言う凄く面倒くさい子。

【柏田 つみき】(かしわだ つみき)
十三歳のクセに教師で天才で挙句に幼児体型で薬学研究にも手を出すいろんな意味で変態な子。

【鴨志田 鳴】(かもしだ めい)
十三歳の女子中学生。しかし超絶過ぎるブラコンの為登場早々引かれております。とにかく必死。

【高科 羽未】(たかしな うみ)
長谷川姉妹達と同人サークルに所属する同世代の少女。にゅんにゅん電波を放出しますが、毒を吐くときはふっつーです。

【坂上 麻衣】(さかがみ まい)
私立開成高校の教員であり、生活指導担当。眼鏡美人かはさておき、世話焼きでちょっぴりショタ好き。

【片桐 愛莉】(かたぎり あいり)
事故により幽霊として主人公の傍を彷徨っていた幼馴染。突然人間となり、メイドとして主人公にお仕え中。

~~~ 『少女と絵本と宇宙人、時々エロ本』 第九話 ~~~

それは唐突だった。学校が始まり、二学期という事で開成学園の校舎も賑わいを見せている。
それぞれ、夏休みはどうだったかと仲の良い連中が話し合う中、俺が居る教室に居た皆は、一斉にこちらに振り返るのだ。

「今日から、貴女は私と付き合いなさい」

出たよ、とんちんかんな思考が。心の中ではそう思っていたのだが、やはり視線がこちらに集まるのは苦手である。
さっさとこの馬鹿宇宙人を追い払って屋上にフケたい所だと思っていたのだが……、腕を掴まれ逃げられない。

「返事はイエスしか聞かないわ。という訳で決定でいいわね?」

「……ノーでお願いします」

「ノーという言葉が私には分からないのよ。宇宙人だから」

「お前、なんでわざわざ学校でそんな事を言うんだよ……。そんな訳の分からない話なら、ぶっちゃけ寮でいいだろ?」

「いいえ、この場が丁度良かったのよ。……皆に付き合っている宣言をしたかったのだから」

もうやだこの宇宙人。確かに残りの夏休み、彼女は例のUFOが眠るとされる喫茶店に入り浸りであり、
あまり彼女と話をする機会が無かったりもしたのだが、今日学校に登校した途端、この話である。

「……で、今回は何を企んでる?」

「何も企んでいないわ。鴨志田君こそ、もう二学期よ」

「ああ、そうだけど。……それが?」

「一学期は終わったの。そろそろ……動き出す頃合じゃないかしらね」

何を言っているのだこいつは、と、呆れ顔で彼女を眺めていた。しかし彼女は寧ろ満足そうに微笑んでいる。
恐らくというよりは、ほぼ絶対に何か裏があるのだろうと思っているのだが、素直に彼女の話を受け容れようか悩んでいると……>>174

矢文がとんできた。

矢文(やぶみ)は、手紙を弓矢を用いて遠くから放ち、文書を送る手段の一つ。

何を言っているのだこいつは、と、呆れ顔で彼女を眺めていた。しかし彼女は寧ろ満足そうに微笑んでいる。
恐らくというよりは、ほぼ絶対に何か裏があるのだろうと思っているのだが、素直に彼女の話を受け容れようか悩んでいると……矢文がとんできた。

自称宇宙人長谷川夢以外の皆が驚く。俺も驚き、机の上に刺さった矢を引っこ抜こうと必死になる。
これがまた、矢が机を貫通して引っこ抜けない。ともあれ、机の上にこんなものが刺さっていれば目立つじゃないかと、引っこ抜こうとする。

「ぐぬぬぬぬ」

「……どれどれ」

「ちょ、おい! 勝手に手紙を読むなよ!」

「いいじゃない、減るものじゃないのだから。どれどれ……」

「し、しかしこの矢、貫通して抜けねぇ! そもそも何処からどうやってこの机目掛けて……」

斜めに突き刺さったそれを何とか処理しようと踏ん張ったのも数分、その後、机ごと交換してもらおうという結論に達した。
なんて情けない、机を貫いた矢の一本も抜けないようでは男の中の男になれないではないか。

そう思っていた時期もあった。しかし今では、ツインテールな金髪となり、妙にぴたっと張り付く感覚に耐え、オーバーニーなんてものを履いている。
おまけに、制服までこれは女子のものであり、暫くそのまま登校してみた結果、今までの不良なイメージは払拭される事になった。

今では、水無月久遠すら差し置いて人気が上がり、恋文を貰う毎日が続いていた。
しかしそもそも、実は女でしたという話がよく通ったものだと思い返していた。開成学園高等学校、余りにも適当過ぎる学校である。

そして、今回も弓矢なのかボウガンなのかを用いての犯行。どうせいつものラブレターなのじゃないかと、ほんの少し鼻が高くなっていると、
長谷川夢は手紙を読んでいく内に、次第に険しい表情となっていった。

「…………」

「どうしたんだよ、宇宙人」

「どうしたもこうしたもないわ。これは……>>177

母星のピンチ

暗号文よ、読めないわ

家系図

「どうしたもこうしたもないわ。これは……母星のピンチよ」

「……なんで俺の机にお前宛の手紙が来るんだよ」

「それは分からないけれど、隣同士だからじゃないかしらね。……困ったわ」

「試しに聞いてみるが、お前の母性って何処だ?」

「ついに聞いてしまうのね、それを聞いてしまうのね!?」

「……お前、何気に考えていなかった的な顔してるぞ?」

「か、考えているわよ!? じゃなくって、本当に存在するのよ!? リ・エメラルダ・グレ・アントジョーンズ・アイラルド星ってところが!!」

「……後でもう一回聞いてみるわ、それ」

「最近鴨志田君、随分イジワルになったわね。……もうこれは、君よりちゃん付けで呼ばないとダメね」

「くっ、その手で来るか自称宇宙人! そもそもこれは、仕方なくとも言える事であって――」

俺が女装……というよりは、女となっているのだから女装と言うのは少々おかしいのだが、
女子の制服を纏い、女の子として学校生活を送っているのには理由がある。それは、夏休み最後の日に起きた出来事――。

―― 明日から学校だと、やはり目前に迫ると億劫なものである。そんな事を忘れ去ろうと首を振った俺は、夏空の天気を見上げていた。
九月の一週まで夏休みが設けられたこの時期でもやはり暑い。未だに三十度を超す暑さが俺と長谷川儚を襲うのだ。

「……付いて来てくれて、ありがとう……」

「ん、まぁ……約束したしな……」

「ほんとは、一人で行こうと思ったの。でもやっぱり、一人じゃ不安だったから……」

「しっかし、そのド下手糞な絵本で、本当に製本されちゃうのかね」

「…………」

この日の長谷川儚は、どうにも浮かない顔をしているのである。彼女はこの日の為にまた新たに絵本を製作していた。
それを試しに読んでみると、これがまた……>>181

心が温まるような凍りつくような…

>>181
どんな内容だよ?

この日の長谷川儚は、どうにも浮かない顔をしているのである。彼女はこの日の為にまた新たに絵本を製作していた。
それを試しに読んでみると、これがまた……心が温まるような凍りつくような…。

内容は恐らくほのぼのとした、ひまわりさんとりすさんを描いた物語なのだ。
暖かい日々の中で咲くひまわりさん、足が無い為動けない。ただしいつもりすさん、動き回れる。
だからお話聞かせてとひまわりさん。りすさんはひまわりさんの為に、色んな場所に行ったり、色んな物を持ち帰るのだ。

「しっかし、この新作なぁ……」

俺はその本を手に取り、ぱらぱらと開いてみる。なんというか、ほんと心が温まる気がして実は凍り付いていたという事実である。
絵がグロイ。配色もグロイ。そして、何故に赤文字で文章を書いたし、といいたくなる具合である。
時折、ひまわりさんは爆発していたり、血塗れになっていたり、何故かラフレシアになっていたり。
りすさんはもっと酷い。最早登場する全てがバイオハザード状態であり、クリーチャーと言ったほうがまだ早いのだ。

「……問題、ある?」

「問題だらけだぞこれ!」

「ぅ……分かってるよ。でも……こんなのしかやっぱり……」

「何でお前、同人は普通に描けるのに絵本だとこんなに酷いんだ?」

「……分かんない」

「まぁそれが分かればなぁ。……お前、同人でひまわり描いてるシーンあったよな」

「うん、それがどうしたの?」

「同じもの描いてるのに、なんでこのシーン、りすさんにどんぐり貰って爆発するひまわり描いてるんだ?」

「そ、それは……実はどんぐりが爆発物だったわけで」

「えーと……、これ、対象は何歳?」

「……十歳以下……」

絵本は絵が下手、しかし同人は抜けるくらいに上手なちんぷんかんぷん少女、長谷川儚。
そんな彼女といざ出版社へ。そしてオファーを出した担当にこれを読ませてみると……>>184

芸術的でシュールだと大絶賛した

「おもしろい。おもしろいよ、実に。とくに主人公が重度のマザコンであるところが最高だ。」

すもう

絵本は絵が下手、しかし同人は抜けるくらいに上手なちんぷんかんぷん少女、長谷川儚。
そんな彼女といざ出版社へ。そしてオファーを出した担当にこれを読ませてみると……芸術的でシュールだと大絶賛した。
そして過去作であるおほしさまと少女もまた、彼には大うけなのである。何故だと、俺は首を傾げていた。

「やはり凄いね、長谷川さんの娘さんは」

「……私は、全然です」

「いやいや、長谷川光さんの娘さんだから、やはり才能が凄いよ。まぁ、確かにちょっと独特だけどね」

「あのー、すいません担当さん。……本気でこれ、出版するとかいう……」

「そうだね、長谷川儚さんが良ければ、とりあえずその方向で行きたいんだけど」

「……マジかよ」

その出版社の担当の男性は、何やら彼女の母親だと思われる名を口にしていた。
もしかして、彼女の母親って有名人だったりするのだろうかと思いつつも、話を聞いていると……。

「あの、これ……絵本として、子供に読んで貰えるようになるんですか……?」

「ん? いやぁ、子供向けじゃないよね。寧ろ芸術界に売りに出す一品だよ! 絵本に革命が起きる筈だ!!」

「……あの、私、実は子供向けのつもりで……」

「いやぁ、流石は長谷川光さんの娘さんだ! 何度見てもいい、このひまわりが緑に発色して、このカニっぽいのが斜め上を見ているのがいい!!」

「……それ、りすさんです……」

「え? りす? あ、あぁ……。どうやら、俺の感性じゃ儚さんには付いていけないのか……俺もまだまだなんだなぁ」

この担当の反応は恐らく正しい。俺にも時折りすさんが、カニに見えたりいるかに見えたり、挙句に未来からやってきたネコ型にも見えたりする。
但し全体的にはクリーチャー。要するに儚の絵本は下手すぎて酷いのだ。だが、話はとんとん拍子に広がっていく。

「うん、ともあれ全体的には描き直しになるけれど、この方向で進めて欲しいかな。儚さん、大丈夫かな?」

「え、あ……その……」

しかし彼女は迷っていた。これ以上無いチャンスなのでは、と俺は彼女に耳打ちしたのだが、彼女は……>>187

原稿料UPを要求

>>188
がめつい!

しかし彼女は迷っていた。これ以上無いチャンスなのでは、と俺は彼女に耳打ちしたのだが、彼女は……原稿料UPを要求。
流石にその話がうまく通るかと言えば、やはり世の中甘くない。だが、最終的に彼女は首を縦に振ることになった。

その帰り道、少々時間が余ったということで、ファーストフード店に寄り道することになる。
先に注文を終わらせた儚は、注文して買ったアイスコーヒーには一切手を付けず、例の絵本を手に取っていた。

「ん、その絵本、確か俺の回想を纏めた、唯一マトモな絵本か」

「……これは、全然って言われたね」

「そうだなぁ。これは割りと凄いと思ったのに、あの下手糞な絵本だけで話が纏まっちゃったしなぁ」

「でも、今回上手くいけば、次から原稿料上げて貰えるって……」

「次があるんだぜ? 一回だけじゃないんだろ、それだけでも凄いとは思うけど……浮かない顔だな?」

「……私ね、お母さんが絵本を何冊も出してるプロの人なの。そのお母さん、売れっ子で、常に作業場に引篭もってるくらい忙しくって」

「さっきの出版社の人が言っていた……?」

「そのお母さんを見て育って、絵を描くようになって……そして……」

彼女は、俺の回想を纏めた絵本を握り締めるように持ち、その話をするのだった。
彼女の母、長谷川光はその業界でも随分名が通った有名人、その娘として育った儚もまた、絵本自体に惹かれていく。
しかし実際、母のような絵本を描こうとしても、やはり最初は上手くいかない。そして、母にいざ絵本を見せようとしても……。

「ある日、言われたの。私には才能が無いって……諦めろって……」

「でもまだ子供の頃の話なんだろう、それって」

「きちんと言われたのは中学の頃、同人を始めた頃だったんだ……」

彼女は経緯を話す。同人に携わるようになり、思うように描けて、そして学校でも評判を得たという話を。
その同人がまさかのヤオイ系であり、しかもガンダムをネタにする時点で中々に勇者だと感じてしまう中、思う。

彼女は、寧ろ>>191を描くという才能を持つ少女なのではないだろうかと。

SF小説

彼女は、寧ろSF小説を描くという才能を持つ少女なのではないだろうかと。
但し彼女に描けるのは、その世界という類だろう。そうして、ある女を思い浮かべてしまう。
長谷川夢と、そういう意味では繋がっているのかもしれない。何だかんだで似たもの同士なのではないかと思ってしまうのだ。

「なぁ、お前……同人も絵本もちょっとお休みしないか?」

「え? 折角出版社とのお話も決まって、これからっていうのに……?」

「そもそも、お前……あんな絵本を本気で世に出すつもりか?」

「……それは、その」

「時間はまだ有るんだろう? 試して欲しい事がある。……SFだ!!」

「え、えすえふ? ……を、どうするの?」

「小説にしてみよう! えーと、この界隈ではラノベというのか、これ」

「……同人にラノベを出せってコト……? でも、文章なんて私……」

「大丈夫、何とかなるって! ……もし、お前が良ければ、俺もその……手伝ってやるからさ」

何故か、この時俺は初めて自ら彼女に協力を申し込んでいた。今までは大体頼まれる側であり、
面倒だと、巻き込まれたといった具合で付き合ってきた。しかし、今回だけは違っていた。

自分からこうしてみたらどうだ、とアイデアを出し、自分からその手伝いをさせてくれと願っている。
その影響もあったのか、儚は思ったよりも乗り気といった様子で俺の話を聞いてくれるのである。

彼女の才能は、恐らく全般で通用するのだろう。そして絵本も、独特な世界観という観点で見れば、天才だと言われるのかもしれない。
しかしそれよりも、俺は彼女をSFの世界に引き込むべきだと判断した。そして……。

「それじゃあ……前の約束、覚えてるかな。モデルになってっていう……」

「おう、任せろ! 男の中の男のモデルになってやるぜ!?」

「……宇宙からやって来た女の子のモデル、お願いしていい?」

―― そうして、俺の設定は宇宙からやって来た地球人を演じる女の子のモデルを日常で行っている。
それが女の格好をしている理由なのだが……何故だろう、そうやって演じていると次第に>>193

男としての生き方についてどうでもよくなってきた 

―― そうして、俺の設定は宇宙からやって来た地球人を演じる女の子のモデルを日常で行っている。
それが女の格好をしている理由なのだが……何故だろう、そうやって演じていると次第に男としての生き方についてどうでもよくなってきた。

俺は寧ろ、男としての才能は無く、寧ろ女のほうが向いていたのかもしれない。
幼少の頃、女装しては女の子として活動していた頃を振り返り、そう思う。当時は息子様すら要らないとすら思ったものだった。

そんな中、長谷川夢は俺の異変に最初は気付いても様子見を取っていたのだろう。恐らく事情は伝わっていない。
だが、いよいよおかしいと感じたのか、彼女は俺に開口一番「私と付き合いなさい」と言ったのかもしれない。

しかし、矢文が飛んできてからの長谷川夢の様子は少々おかしいのだ。何度も携帯を手にしてどこかに電話をしようとするのだが、
掛けられないのか、思い留まっているのか、やはり手を下ろしてしまう。その繰り返しが続いていた。

「……なぁ、長谷川姉」

「名前で呼びなさいと言っている筈よ……」

「……本当は何があった?」

「何でもないわ、本当に何でもないのよ」

彼女の手には未だにあの矢文が握られている。あれを奪い取って読んでみれば彼女が悩んでいる理由が分かるのだろうか。
ともなれば、と、俺は先程の話を彼女に振り、迫りつつもこんな事を言ってみせた。

「……長谷川、いや、夢。俺はもう……女なのかもしれない。いや、女だ!」

「だ、だから何よ……急にどうしたのよ」

「だからだ! ……女同士でも、良ければ……俺と、いや、わ、私と!!」

そうして油断を誘い、矢文を奪い取ろうという作戦であった。彼女に逆に迫れば、恐らく動揺する筈だと。
なのに、どうやら判断を誤ったのだろう。気付けば……>>195

張り倒されていた

当然のごとくハッタリがバレてた

そうして油断を誘い、矢文を奪い取ろうという作戦であった。彼女に逆に迫れば、恐らく動揺する筈だと。
なのに、どうやら判断を誤ったのだろう。気付けば……張り倒されていた。
学校の教室で、昼休みの出来事。人の目が集まろうとも彼女は動じない。そして、俺の話ですら彼女は動じない。

「……さっきの話、続けてくれる?」

「く、お、お前……!」

「ほら、聞かせて。女同士でも良ければ……なんてお話?」

「そ、それは、その……」

「教えてあげるわ鴨志田君、いいえ、鴨志田さん。……貴女、嘘を言う時は目が泳いでいるのよ」

「……バレてたのか」

「常に貴女を見てきた私よ、それくらい分からない訳がないわ。もっと言うと、貴女は右の乳首よりも左の乳首の方が――」

「そ、それは、それ以上は言うなぁぁぁぁ!!」

つまり嘘だったというのが見事にバレていた。しかし、押し倒す形となり、彼女は上乗りのまま離れない。
俺に顔を近づけ、それはもう少しだけ距離を近づければ、唇が合わさるくらいに近い距離。
彼女の涼しげな瞳が、時折大きく動いている。何かを躊躇うような、そんな風に。

「……やっぱり、いいわ」

「な、何がだよ……」

「こっちの話よ。それと、変な心配はやめて欲しいの。……逆に迷惑だから」

長谷川夢は、そうして俺から身を離しては廊下を歩き、午後の授業を欠席してしまうのだった。
そうして、午後をフケる事が出来なくなった俺は、真面目に女の子モデルとして授業を受け、そして屋上に向かうのだ。

すると、久しぶりにマンドラゴラの着ぐるみを着ていた儚は、俺を見つけては>>198

海に行こうと誘う

すると、久しぶりにマンドラゴラの着ぐるみを着ていた儚は、俺を見つけては海に行こうと誘う。
今頃海かよ、と叫ぶ俺を軽く流す儚は、マンドラゴラの着ぐるみのにょきっと生えた枝の部分を動かして言う。

「これもモデルとして。SFに必要だから」

「お前、ちゃんと絵描いてるんだろうなぁ?」

「……見て、まだ下書きだけど、数枚」

「……これ、お前が描いたんだよな……?」

「それは、そうだけど……やっぱりヘン?」

「い、いや……寧ろこれは……」

それは、SFライトノベル製作が決まり、イメージ画を試しに描いてくれと彼女に頼んだ結果であった。
宇宙を漂うスペースシップ、そして主役であろう女の子、つまり俺のような少女と、そしてヒロイン達の設定画。
そして、出すかも分からないロボットなんて物も彼女はきちんと用意してくれていた。

「衣装も、色々と思いつき。……駄目なところはハッキリ言って」

「……寧ろこれでOKサイン出しちゃってもいいか?」

「でも、殆ど頭の中で考えただけのお話だから……」

「いや、あえてこれで行かせてくれ! でもロボットだけはパス。……ガンダムじゃねえかこれ!!」

「デスティニーインパルスだよ? 格好いいよ?」

「と、とりあえず、完全オリジナルで行くからな!? それにそのごっちゃ混ぜとか良くないからな!?」

「むぅ……。じゃあ、海行こう? そこに行けばもっと色々思い浮かぶから」

なんだこの強引さは、と、いつもの儚とは思えない積極的な誘いに俺は……>>200

とりあえず乗ってみる

いいだろう、乗ってやろうじゃないか

なんだこの強引さは、と、いつもの儚とは思えない積極的な誘いに俺は……とりあえず乗ってみる事に。
彼女はこの時は言っていた。「二人きりだけど、取材だから大丈夫」と。
何が大丈夫なのか、そして二人きりと主張され、内心僅かに週末を楽しみにしている自分が居たのだ。

なのにいざ、海水浴に二人で来てみると、既にそこには見覚えのある連中が楽しそうにビーチバレーを楽しんでいるのだ。

「儚、これは……どういう事だ?」

「わ、分かんない……。寮の皆、居るね」

「居るな……一名を除いては。母星がピンチだから帰星でもしたか」

「母星? そんな事言ってたの……?」

儚はそこで携帯を取り出し、母星である実家に連絡でも取ろうとしたのだろう。
しかし繋がらないと口にした彼女は、次にあの連中は取材に邪魔だと言い出すのである。

「だから、少し離れた海岸で取材しよう?」

「え、ああ……いいけど。……実家は良いのか?」

「うん、多分大丈夫。……お姉ちゃんが居るし」

「そっか……」

思ったよりも風が強い日だった。下手をすれば雨が降りそうなくらい、雲が空を陰っている。
そして、寮の連中に気付かれないように、俺と儚はひそひそと別の空いている場所を探すのだった。

まぁ確かに、今回は取材に来たんだ。遊びに来た訳じゃない。
盗み聞きされては、先回りされたのかもしれないが、寮の連中に付き合って遊びに興じてしまっては本末転倒。
しかし、心の中ではそれ以外にも、何か弾むような気持ちがあり、それが何なのか、未だに言葉には出来ないでいた。

「ここなら、大丈夫そう……」

「随分岩場が多いな、この辺り」

「それじゃ……この岩場で水着に着替えてみて。それを描くから」

ちなみに、ここで着替える必要性があるのかと尋ねれば、203

>> 忘れてたので↓!

むしろここで着替えないほうがおかしいとか怒られた

「そんなに見せつけたいの?露出狂の気もあり(とメモ)」

ちなみに、ここで着替える必要性があるのかと尋ねれば、むしろここで着替えないほうがおかしいとか怒られた。
確かにそうかもしれないと頷く。これも取材に必要なのだと肝に銘じた俺は、彼女が用意してくれていた水着を取り出した。
前回はスクール水着を用意してくれていた彼女だったが、それは、俺に合うサイズが偶然それしかなかった為だ。

では今回はというと、マイクロビキニレベルの生地の薄さのそれが出てくるのだ。最早紐としか思えないのである。

「早く、早く」

「……なんでお前が興奮してんだよ」

「き、気のせいだから。……生着替え、ばっちり目に焼き付けなきゃ……」

「い、言っておくけど、これは取材なんだからな! 取材でこれを着るだけなんだからな!?」

「うんうん、そのツン加減もきちんと絵にするから安心して」

「い、いや、俺は別に……まぁいいや。と、とにかく着るからあまりジロジロ見るなよ!?」

「見ないと取材にならないよ……?」

「じゃ、じゃあ……程々に……」

しかしこれ、きちんと結ばないと簡単にぽろっと零れ落ちそうなのである。
いざその水着を身につけては、色々と不安になってしまい、己の身体を見てしまう。
これで、せめて胸が誰かさんレベルに大きければ、まだ見栄えもしただろうそれは、貧相すぎる為絶壁。

その事もあり、強めに結んだ紐が背中に食い込んで少々痛いわ、尻も尻で生地が薄く狭い為、食い込むような感覚がまた厳しい。
女って、割と縛られた生活送っているんだな、と思ってしまう中、儚を見ると……それは恍惚そうにスケッチブックを走らせているのだった。

「おーい、着替えたぞ。というか、真っ黒ってちょっとどうなんだよこれ。……って、聞いてるかぁ?」

「ふわぁぁ……」

「おい、儚、返事しろ、おーい!!」

「……! えと、その、>>207なんて妄想はしていないから大丈夫!!」

そのまま外に放り出す

>>207
しっかりしてるんじゃねーか!

「……! えと、その、そのまま外に放り出すなんて妄想はしていないから大丈夫!!」

「外に放り出すってどういう事だ!? というかここ、海岸で外だよな!?」

「このまま海岸デビューして、男達に囲まれて、あちこちを触られてふへへへな展開を」

「同人妄想はいいから、さっさと取材しろ、取材」

「……それもネタとして踏まえつつ、ちょっと下手糞に泳いで欲しいの」

「……下手糞に泳ぐ? 難しい問題を出すんだな」

「地球以外の惑星、そこには海がないって設定にしたいから」

「そして水を求めてやって来た宇宙人即ち俺! そんな設定なのか……。まぁいい、ちょっと泳いでくる」

「うん、行ってらっしゃい」

しかし、下手に泳ぐというのもまた存外難しい物だと、海水をばしゃばしゃと掻き分けてみるのである。
遠くに居る儚を見れば、丸サインを出しているので問題ないんだろうが、何の取材になるのだこれは。
ともあれ、彼女がそれで満足ならば良いかと、やはりばしゃばしゃと水を掻き分けていると……。

「……なんか胸元が涼しいな……」

「どうしたのー!? 頑張って下手糞に泳いでー!!」

「わ、わーったよ!! やれやれ……って、無い、無いぞ!? 俺のビキニが無いぞ!?」

おかしい、あれだけキツく縛ったのに、バスト部分だけではない、ヒップを覆っていたそれすら消え去っている。
確かに水着を着ていた筈なのだが、勝手に緩んではどこか流されてしまったのかと、慌てて海の中を覗きこむ。
海水の中で目を開き、ひりっと目が痛む中、必死で水着を探すのだが見当たらない。

どうしよう、と何度も息継ぎしてはまた海水の中へと繰り返していたのが、溺れていると勘違いされたらしい。
気付けば俺は、>>210によって助けられてしまうのだった。

通りすがりのイルカ

どうしよう、と何度も息継ぎしてはまた海水の中へと繰り返していたのが、溺れていると勘違いされたらしい。
気付けば俺は、通りすがりのイルカによって助けられてしまうのだった。

「お、おい、何だよいきなり!!」

「ぴぃ~~~!!」

「イルカって……ぴぃ~って鳴いたっけ」

「ぴぃ、ぴぃ~~~!!」

「ま、まぁいいや。助けてくれたのか。でも実は水着を流されて、それを探していて……。
 って、水着なんて見ていない? 実は溶けたんじゃないかって? えぇぇ!?」

「ぴぃ、ぴぃ!!」

「……ありがとう、通りすがりのイルカ。ついでにもう少し海岸まで運んでくれ」

しかし、何故このような海にイルカが居たのか、更に言えば何故イルカの意思が分かってしまったのか、
最早奇想天外な事実が色々起きているせいなのか、感覚が麻痺してしまっている。

そんなイルカは、海岸まで俺を運んでくれた後、またまた海の中へ戻っていくのであった。
気のせいか、ヤツは俺に手を振ってくれていたような。いやいや、そんな器用な事を出来る筈がない。
まるで絵本みたいだ、と首を振る中、俺は全裸で儚を問い詰めるのである。

「え、あ、そのー……えと……」

「溶ける水着だったんだな!?」

「……ごめんなさい。でもいい絵も描けたから、許して欲しいな……」

「いや、この絵、どう見ても>>213じゃないですかね!?」

俺とイルカさんが恋してる

>>212
できるのかよ!

「いや、この絵、どう見ても俺とイルカさんが恋してるとか出来るのかよ!? 的な絵じゃないですかね!?」

「それが出来るのがSF」

「さり気無くドヤ顔しないでください。……って、ギャラリーが無駄に多いような?」

「……溺れたと思って、助けを呼んじゃったから……」

「……俺、全裸なんですよね」

「うん、そうだね」

「……逃げるぞ?」

「……そうだね」

儚の手を掴み、岩場をすり抜けてギャラリーから遠ざかろうと、懸命に走る。
彼女もまた、俺について来ようと、スケッチブックを手放さまいと必死で駆けている。
最初こそは恥ずかしくて穴に入りたいくらい、堪らない気持ちであったのだが、二人で逃げるように走っているせいか、次第にどうでも良くなってしまう。

そして、またまた人気の無さそうな場所まで辿り着いては、息を整えていると……、何故か寮の連中たちがそこに居た。

「……あら、今頃やって来たのね。って、全裸!?」

「やっほー、海水浴に来るっていうから、先回りしてたら……全裸!?」

「私は生徒の様子を念のため確認に……全裸です、校則違反です」

水無月久遠、日和見萌、そして柏田つみきがそうして全裸を強調する中、俺にバスタオルを用意してくれ、巻いてくれる我がメイド、片桐愛莉。
しかし彼女は耳元で「全裸で二人きりで海水浴とは卑猥ですね」と囁くのである。

決してそんなつもりじゃないと弁明しつつ周囲を見れば、どうやら俺と儚は元の方角へ戻ってきてしまったらしい。
結果的にバスタオルによって助けられた俺が、今回取材でやって来たと説明すると、寮の連中は……>>215

海の家でイカを焼いていた自称名探偵に聞いてみた

決してそんなつもりじゃないと弁明しつつ周囲を見れば、どうやら俺と儚は元の方角へ戻ってきてしまったらしい。
結果的にバスタオルによって助けられた俺が、今回取材でやって来たと説明すると、寮の連中は……海の家でイカを焼いていた自称名探偵に聞いてみた。

「せやかて雪菜! おかしいでこれは!!」

何故か水無月は関西弁で彼女に接するのだが、この自称名探偵、実は雪女なのである。
ツチノコのつーちゃんと共に水無月が連れ帰ってきたそれは、寮の部屋が既に満員な為、水無月が使用している部屋で暮らしている。
雪女なので溶けるのか、と思えばそうでもないらしい。ただ、寒さに強く暑さに以上に弱いと彼女は言っていた。が……。

「はふはふ、何がおかしいの?」

「い、いや……雪菜? 貴女、暑いのと熱いの苦手なんじゃ……」

「苦手なだけで、死にはしないって話だけど。はふはふ」

「……で、自称名探偵の意見を聞かせてちょうだい。これは……事件ね!?」

「デートしたかったという、長谷川儚の本音が駄々漏れした事件。間違いないということで、はふはふ」

「わ、私は、その! これは取材!! 取材……で……」

儚もまた、その自称名探偵雪女に反論するのだが、次第に顔が真っ赤になっては随分弱気となってしまう。
こいつが、俺とデートしたかった。だとすれば、ちょっぴり嬉しい反面、今では女となってしまったしと、身に巻いたバスタオルをぎゅっと掴んでしまう。
それは即ち恋愛。俺と儚が作ろうとするSF小説内では、そんな出来事は起こるのだろうか。そしてそれは……取材でもしなければ、分からない事なのだろう。

「ねぇ、聞いてる? 鴨志田君!! あ、今はもうさん付けの方が良いの?」

「ん、あ……ごめん、何だっけ」

「だから、どうして取材なんて行為をしているのかってお話よ?」

恋愛って何だろう、と思い耽っていたせいか、水無月に呆れられながら話を振られてしまう。
こうなっては仕方が無いかと、儚を見れば、彼女も少々残念そうな顔をしていたようで、そうでもないようで。

個人的には、二人の秘密事として共有したかったのかもしれない。そんな取材話を皆にすると……>>217

かもしださんは男に戻るべき

個人的には、二人の秘密事として共有したかったのかもしれない。そんな取材話を皆にすると……かもしださんは男に戻るべきだと言われてしまう。
それを言葉にしたのは雪女。しかもこれもまた自称であり、名探偵も勿論自称なのだが、彼女が使用した後の風呂場は常に冷え切ったりしているので、
あながち否定は出来ない、そんな存在に言われてしまうのだった。

「はふはふ、イカ焼き美味しい。イカちゃん美味しい」

「……なんで、男に戻れって言うんだよ。戻れたら苦労しねぇよ」

「んー……時が来れば、その時が来る。なんて名探偵的推理を披露してみたり」

「してみたりじゃねぇ! ……男に……か」

「元々男だったのなら、問題無い筈。……不満でも?」

「そういう訳じゃない。じゃないんだけど……振り回されているっていうか」

「まぁ、ゆっくり考えていけば良い話。……イカ焼きおかわり」

そうして、淡々とイカ焼きを口にしながらも話す雪女の行儀の悪さに呆れながらも、その言葉を反復してしまう。
男にどうすれば戻れるか。戻ろうとすれば戻れる筈だと思う中、では本当に戻れたら戻りたいのかどうかと考えてしまう。
何故迷うのか、何故こんな風に自分を問うのか、それこそが元々おかしな話。

しかし、今ではそんな自分も捨て難いんじゃないか、なんて思い出している。
それは内なるもう一人の自分が、このままでも良いんだと言っているような、そんな感覚なのである。

「分からない……」

夕暮れ、皆が各々着替えに向かった中、海の家で一人バスタオルのまま海岸を眺めていると、
先程までは居なかった、あの自称宇宙人が俺の隣に座り、言うのだ。

「……悩んでいるようね?」

「お前も、実家は大丈夫なのかよ……」

「……親族が死んだわ。たったそれだけの話よ」

「それって……」

「……長谷川光、私の母でもあった女性よ。勿論彼女も宇宙人で――」

そんな余計な話は良いと、強気に振舞う長谷川夢に言えば……>>219

母は潜入宇宙人だったのよ、某コーヒーのCMのように

そんな余計な話は良いと、強気に振舞う長谷川夢に言えば……「母は潜入宇宙人だったのよ、某コーヒーのCMのように」と、返すのである。
売り言葉に買い言葉なのか、寧ろそう振舞わないと気丈になれないのか、俺は最早浮かぶ言葉が見当たらない。

「しかし母も所詮は人間なの。宇宙に住む人間だから、宇宙人。ここは重要よ、テストにだって出るわ」

「そうかい」

「……儚がこっちで一人で住むようになったのは、母に、絵本作りを否定されたからなのよ。
 でも母は、実は娘に嫉妬してしまっていただけの小さな人物だった。そして私も……彼女に嫉妬しているわ」

「お前が? 絵以外なら完璧にこなしているクセに?」

「私も……昔は絵を描いていたのよ。とっても、とっても下手な絵を。練習すれば絶対に上手くなれるって信じてた。
 でも、妹の存在を、才能を見て愕然としたのよ。あの子は……本来同人世界なんかで終わる存在じゃないわ」

「……それで、儚には、この事は……」

「勿論伝えるつもりだけれど、私は避けられているから。……これを、渡してあげて欲しいの」

彼女から手渡されたそれは、儚への遺書のような物であるらしい。
その中には、母が、娘にちゃんとした愛情を与えず、仕事に夢中となり、そして行き詰った母は娘に嫉妬してしまっていた。
そんな事への詫びの言葉が綴られているそうだが、それを読んだ儚は、どう思うのだろう。

寮の面々が、長谷川夢に気付き声を掛ける中、最後に現れた長谷川儚だけは、彼女には声を掛けず、ただ見つめるだけであった。
そんな彼女に、俺はなんて言葉を掛けていいか分からず、ただ彼女の前に立ち、それを手渡した。

「……これって」

「……読めば、分かるんじゃないか……?」

彼女と、彼女の母とのちょっとした確執。そして、姉妹同士の確執。全ては、彼女から始まっていた。
SF作りが始まって、そして順調に歩み始めていたそれは、障害に巻き込まれそうになる。
そして、俺もまた本当に男に戻りたいのか、思い悩む日々が始まることになり、そして……。

もう一人の自分が、内の中で目覚めていこうとする感覚が芽生えつつあったのだ――。


―――― つづきます

おつかれさま!

乙!

まさかまた新キャラ!? とか思いつつ終わりますー。

そう言えば以前SFやろうかなーって思った時期もありました。
でも何だか合体ロボで終わりそうなのでやめた覚えがあります。はい。

そんな訳で、お付き合いありがとうございましたー。

【06/09 (日) 00:05時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/09 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第十話 『その自分、もう一つの人格のようで』

べっちょり

お前は誰だ~第八話~それから

あらすじ。戦国時代からやってきたわりには現代語に精通している信長は光の輪を呼び出して帰ってしまった。

【登場人物】

木下蔵吉=信長にサルと間違われた不運の大学生。

織田信長=自称・過去からやってきた六天大魔王だが、カレーに興味を持ち工場見学ではしゃぐ子供のようなおっさん。

今川真子=主人公の同級生。常に巻尺を携帯してる。神経質なのか不思議ちゃんなのか今時点では謎。

大家=霊能者。ファッションが変なのだが、どんなんだったか書き手が忘れている。

正しい歴史研究会の部員=信長とケンカした。

校医さん=女性、貧乳、オールドミス。

少々お待ちください。


────信長が帰ってから、平穏でたいくつな日々が続いている。

正しい歴史研究会の男の怒りも冷めたようだ。刑事告訴についてエネルギーを失ってしまった。何故か今ではうちによく遊びに来る友人になってしまった。
歴史研究会部員「信長さん。まだ戻ってこないッスか?」
蔵吉「ああ」
歴史研究会部員「いないといないで寂しくないッスか?」
蔵吉「いいや別に」

とはいうものの、あの自称信長がいなくなりせいせいしているかというとそうでもない。何か身近なものを失ってしまったかのように感じているのが正直なところ。
例えていうならば、未来から来た青ダヌキのいなくなったノビ太的生活とでもいおうか。

本当に信長は戦国時代に帰ったのだろうか?とふたりでまどろんでいると。窓の外に見覚えのある光の輪が。

蔵吉「おい、今の見たか」
歴史研究会部員「いってみるッス」
二人して外へ出て光の輪に駆け寄ってみると、中から>>226が出てきた。

真子

見覚えの有る光の輪から出てきたのは真子だった。
そう、蔵吉の彼女の今川真子である。
彼女は手持ちの巻尺で光の輪を採寸していた。

今川真子「縦1メートル78センチ、幅1メートル」
蔵吉「なーんだ.
またお前か」
真子「何がまたお前かですか!彼女に向かってなんですか!激おこツンツン丸!」
歴史研究会の男「あのー。俺名前長すぎるんで芸名名乗っていいッスか」
蔵吉「なんなんだよお前まで」
歴史研究会の男「俺の登場回がどこかに消えたので本名がわかりませんッス。本名と違うといろいろ突っ込まれたら嫌ッスから芸名を使うッス」
蔵吉「いいよ。こんなことで行数を稼ぐのもバカみたいだし、真子がなんで光の輪からでてきたかをこじつけなきゃならない」
歴史研究会の男「なら発表するッス。俺の芸名は>>228

田中・H・太郎

田中・H・太郎「すばらしい名前をありがとうッス」
蔵吉「いいのかよ」
真子「うわー田中君ハーフみたいでカッコイイ」
田中・H・太郎「イエーイ、ナイスミチュー、ダンケシェーン、コマンタレブー、コモエスタウステ」
蔵吉「Hのせいで、前より書きづらくなったと作者さんが嘆いてるぞ」
真子「そんなことより聞いてよ。今日は光の中を一時間探索したのよ」
蔵吉「それをやると、お前が戦国時代で行方不明になると困るからやめてくれ」
田中・H・太郎「なら今度は、蔵吉さんが中に入って探索すればいいんじゃないッスか?」

信長を包み込んだ光の輪は、我がアパートの大家によると霊的なものであり、召喚可能だということ。
それで、田中・H・太郎が興味を示し、特別に大家に頼んで、タタミイワシ一年分で召還してもらい調査中。

真子「演劇部から衣装を借りたおかげで、スムースに人の輪に入れたんだけど、信長様の消息は掴めないの」
蔵吉「なんであんな有名人が、消息不明なんだ?」
真子「村の人が言うには、信長様は>>230

神になった

真子「村の人が言うには、信長様は神になった」

蔵吉「どういうこっちゃ?」
田中・H・太郎「作者さん、いちいち俺の名前手打ちしなくても、コピペすればいいッス」
真子「別に本能寺の変で死んだとかじゃなくて、神になったって言ってるわ」
蔵吉「どうしてそれを、突っ込んで聞かないんだ」
真子「何さ人の苦労も知らないで、激おこビンビン丸!」
田中・H・太郎「これは蔵吉さんが、自分の目で確かめた方がいいッス」

俺も自分の目で確かめたいとはつねづね思っていたが、どうしても光の輪の中に入って戦国時代を探索するのには抵抗があった。
その理由とは>>232

罠だったらやだ

蔵吉「罠だったら嫌だね」
田中・H・太郎「箱根八里の半二郎~」
真子「著作権的にいいのかしらこれ」
蔵吉「真子。本当に光の輪の中は平気なのか」
真子「わたしがこうやって何度も行き来してるじゃない。この小心者」
田中・H・太郎「蔵吉さんが嫌ならそろそろ俺が行ってみるッス」
蔵吉「わかったよ。このままじゃ男が廃るから俺が行って信長に会って来る。田中と真子はお留守番だ」
と啖呵をきったものの、果たして無事帰られるか不安だった。
怪しまれないように演劇部で衣装を借りることにした。

うちの大学の演劇研究会は、部としての歴史が長く、数多くのプロを輩出している。
というのは表向きで、演劇にいれこみすぎて劇団員以外の就職先が見つからないのが現状なのだ。
そこの今期のプー候補である部長の、神保がやってきた。
神保「おお蔵吉、あなたはどうして蔵吉なの」
蔵吉「そういうのはいいから。俺にぴったりの戦国時代の衣装を貸してくれ」
神保「お前は顔が平凡で、サルっぽいから農民!決定」
蔵吉「そこをなんとか武士でお願いできないか」
神保「そんな危機感の無いでれっとした侍がいるか!却下」
蔵吉「わかったよ。農民でいいよ」
俺は折れてしまったが、真子のパターンと一緒で庶民では、とても信長に近づくことはできないだろう。
俺が困っていると田中・H・太郎がアイディアを出した。
田中・H・太郎「>>234を持っていけばいいんじゃないッスか?」

工場見学のHOWTO本

田中・H・太郎「工場見学のHOWTO本を持っていけばいいんじゃないッスか?」
蔵吉「ああ、そういえばカレー工場のことを完全に忘れていた」
真子「工場見学を餌に信長に謁見すればいいじゃない」
蔵吉「じゃあそれを懐に忍ばせて、戦国時代に行って来る」

と決めたはいいものの、真子と俺には決定的な差があり、そのせいで俺は苦労することになるのだが・・・。

~~~続きます。

お付き合いありがとうございました。
前回の終わり方が気に入らないので続けてしまいました。
たぶん『小さな小さな小さな町』と変わりばんこに書く事になりそうです。

【06/09 (日) 00:05時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/09 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第十話 『その自分、もう一つの人格のようで』

べっちょり


乙!

そろそろ時間なのでぼちぼちと~

もう暫くお待ち下さい……。

~~~使いまわし系これまでの登場人物紹介~~~

【鴨志田 響】(かもしだ ひびき)
本編主人公。女らしかったこの人も本当に女となってしまいました。乳首が弱点です。

【長谷川 儚】(はせがわ はかな)
主人公とは仲が良い少女。同人主にえっちぃ絵が得意だが絵本は描けない可哀想な娘。別名、ファンタジーメンヘラー。

【長谷川 夢】(はせがわ ゆめ)
儚の姉であり、突如転入生として現れた自称宇宙人。巨乳で何故か家事が得意なようです。別名、スペースメンヘラー。

【日和見 萌】(ひよりみ もえ)
主人公と唯一話をしてくれる少女。主人公にセクハラする事を得意とする少し頭の弱い人。

【志藤 猛】(しどう たける)
主人公の唯一の親友とも呼べる少年。背も高く男らしい風貌の為、主人公に嫉妬されやすい。

【水無月 久遠】(みなづき くおん)
開成学園生徒会長の女子。中ニ的でツンデレで実は臆病と言う凄く面倒くさい子。

【柏田 つみき】(かしわだ つみき)
十三歳のクセに教師で天才で挙句に幼児体型で薬学研究にも手を出すいろんな意味で変態な子。

【鴨志田 鳴】(かもしだ めい)
十三歳の女子中学生。しかし超絶過ぎるブラコンの為登場早々引かれております。とにかく必死。

【高科 羽未】(たかしな うみ)
長谷川姉妹達と同人サークルに所属する同世代の少女。にゅんにゅん電波を放出しますが、毒を吐くときはふっつーです。

【坂上 麻衣】(さかがみ まい)
私立開成高校の教員であり、生活指導担当。眼鏡美人かはさておき、世話焼きでちょっぴりショタ好き。

【片桐 愛莉】(かたぎり あいり)
事故により幽霊として主人公の傍を彷徨っていた幼馴染。突然人間となり、メイドとして主人公にお仕え中。

【有栖川 雪菜】(ありすがわ せつな)
水無月久遠が連れ帰ってきた自称名探偵であり、自称雪女。但し体温は本当に低いそうです。

~~~ 『少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第十話』 ~~~

不思議だった。自分が自分じゃない感覚、それはふわふわと宙を漂っているような感覚で、
夢でも見ているようなそんな感覚。しかし、その感覚は何故か共有出来てしまい、己でもその出来事が認識出来てしまっている。
しかしこれは、やはり夢なのだ。そう言い聞かせなければ自分が保てなくなってしまう。

「やぁ~だぁ、鈴木君ってそんな趣味があったのぉ~?」

「え? あ、あぁ……ってか、鴨志田ってそんなキャラだったっけ……?」

「えへへ、ホントの自分はこんな私なの。……キライになっちゃう?」

「い、いや! そんな事はないけど! で、でも、俺なんかが……」

「大丈夫、鈴木君はカッコいいし……、私、ちょっと好きになっちゃうかも!」

何が起こっているんだと、その感覚を味わってしまう。その少女が横に並ぶ男子生徒に手を伸ばし、ぎゅっと握り締める。
その男子生徒の感覚が分かってしまうものだから、余計に気持ちが悪いと思いたいのだが、この少女はそうでもないらしい。
そう、彼女はこう思っている。この男、チョロいものだと。いっそこのまま悪い事をしてお金を踏んだくろうかと。

やめろ、と何度も己の心を叫ぶのだが、それは果たして彼女に届いているのだろうか。
時折、雑音がしつこいといった思念が飛ばされるような感覚を受け、その思念に戸惑いながらも様子を見守るしか無かった。

「ねぇ、鈴木君。……今日の放課後って、ヒマしてる?」

「へ!? ひ、ヒマ!! 全然ヒマだから!!」

「それじゃ……ちょっと、遊びに行こうよ。私と……鈴木君と」

前兆、それは恐らくあったとすれば、俺が男で居たいのか、女で居たいのか、そんな悩みを抱いてしまったからだろうか。
そしてそれに、大宇宙の意思とやらが介入、そしてこんな人格を生んでしまったのだろうか。
或いは、その意思に俺がもう一人の女の人格を望んだからなのだろうか。それは、今ではまだ答えが見出せない。

ただ、この少女が表に現れた最大の切欠は間違いなく>>241という出来事なのだ。

人類滅亡への布石

バナナの皮で滑って後頭部を強打

ただ、この少女が表に現れた最大の切欠は間違いなく人類滅亡への布石という出来事なのだ。
何故そう思ったのか、余りにも直感的過ぎて分からないといえば分からない。

しかし何故かそう思えてしまった理由は、夢でそんな出来事を見たせいだろう。

その星に住まう人々は、遠い未来、宇宙に進出することになる。その技術の進歩は余りにも目覚ましい。
宇宙船といった類で宇宙を練り歩き、次第には銀河の果てをも見出してしまう事になる。
抗争も耐えない。同じ人類同士、そして遠い遠い星にも生命は存在し、そして侵略行為を始めてしまう。

将来、地球人類は最終的に、この大宇宙の支配者になり得る可能性が高い。そんな、予言のような夢であった。

「で、鈴木君は何処へ行きたいの!? ねぇ、ねぇってばぁ……」

甘い声を奏でる少女は、今も鈴木と呼ばれた少年の手をぎゅっと握り締めている。
手にべっとり汗をかいている彼の温もりを感じてしまい、気持ち悪いと思いつつも、またも少女に語りかける。

(いい加減にしろ、この腐れビッチが!!)

何故、あの夢が切欠となったのかは、やはり分からない。ただし、あの夢を見て以来、彼女は時折表に現れる。
そして今回は三度目。その入れ替わりはいつもならば数分程度で済んでいたのに、今では一時間を経過していた。

「お、俺は、鴨志田となら、どこへでも……!」

「ふぅん、ドコでもいいんだ? ……じゃあ、付いてきて」

「え、でも……放課後の話じゃ……」

「やっぱり気が変わったの。今がいいかなぁ~。……私とじゃ、イヤ?」

彼は喉を鳴らし、そして頷いた。少女はそんな彼の手を引っ張り、校舎が並ぶ裏側に回りこむ。
人気の無い場所を選び、何かを行うつもりだ。それは間違いなく、とも思われて、俺は何度も思念を飛ばす。

(お、おい! やめろ、卑猥な事はすんじゃねぇぇぇ!!)

その声は届いたのか、届かなかったのか、少女は>>244という行動を取るのだった。

「ついてきて…付いてこられるものならね!」と全力疾走

その声は届いたのか、届かなかったのか、少女は「ついてきて…付いてこられるものならね!」と全力疾走という行動を取るのだった。
誘惑したのかと思えば、今度は何故か突き放す。それだけならまだ良い。

その速さは超人じゃないかと思われる速度であり、視界を共有している事もあり、風を切った感覚を味わってしまう。
その今までには味わったことの無いそれに、心の中で何度も叫んでしまう。

やがて少女は立ち止まる。一棟から三棟まで連なる校舎の端から端へ、たった一分程度でたどり着いてしまった少女は、
汗もかかず、息も切らさずと、落ち着いた様子で振り返り、こう呟いていた。

「所詮はただの人間だし、仕方ないよね~」

金髪のツインテールを手ぐしで梳かしながら彼女は言う。その身体能力は、己の身体の筈なのにとてつもないポテンシャルを発揮した。
もしかして、俺って実は凄いのかとも思いつつも、なんて事をしてくれたんだとまたまた思念を飛ばすのだ。

「……雑音、ほんとしつこい。……暫くは返さないから」

(返さないって!? ど、どういう事だよ!!)

「ヘタレな人格に、この素晴らしい肉体を明け渡す訳がないじゃん。ばーか」

(へ、ヘタレ!? この俺が!?)

「雑音はもう暫く黙ってて。……次は誰で遊ぼうかなぁ」

本来の俺の人格を、ヘタレ呼ばわりしてしまった少女は、今度は校舎内を練り歩くことになる。
昼休みももう終わりを迎える頃、生徒はそれぞれの教室へ戻ろうとする中、この人格はなんとまた、一人の男を選んでは連れ出そうとする。
そしてまた全力疾走。この話はやはり噂となり、学園一、二を争う美少女の奇行という記事が新聞部によって号外で出される事となる。

いつから俺は学園トップクラスの美少女になったんだ、と、その出来事に嘆く中、屋上で一息ついていたその人格にまた話しかける。

(なぁ、お前……度々男を引っ掛けて、何がしたいんだよ……)

「煩い雑音に今回だけ答えてあげる。それはねぇ……>>246

賢い雄だけ残してその他を滅ぼす

教師に嫉妬させるため

「煩い雑音に今回だけ答えてあげる。それはねぇ……賢い雄だけ残してその他を滅ぼすの」

(滅ぼすって……、つまり……)

「そ、侵略鴨志田娘。アニメにはならないね~。……でも、アニメじゃないからね?」

(そんな訳の分からんパロはいい! 殺人だけはやめろ!!)

「じゃあ、人を殺さず、消せばいいんだ? それなら許してくれるんだ?」

(だから、そんな問題じゃねぇ!! 俺はだな、そもそもお前を……)

「認めない。だからあんたはヘタレなの。分かる? もうあんたは、とうの前から凡人じゃないの」

(何が言いたいんだよ……)

「この私が、あんたに代わって成すべき事を成そうとする訳。そして……」

分からない、この人格が何を目的に表へ現れたのか、それは確かに口にした。
だがどうしてそんな発想に至っているのか、内に押し込まれた自分ですら、その人格が読み取れないでいる。
こんな事があって良いのだろうかと、彼女が見る未だに夏空のような清々しいそれを眺めていると……。

「あ、またサボったんだ……」

厄介な時に、厄介な娘がやって来たものだと嘆いてしまうのだった。
長谷川儚、先日、母親を失くした少女。その死に目を見ることが出来なかった彼女は、やはりショックが大きかったのだろう。
部屋で塞ぎこみ、登校する気配すら見せなかった彼女は、今日はどうやら登校した様子である。

「……脳内データベース検索っと。あぁ、この子がそうなのね」

(ど、どういう意味だよ!?)

「うーん、アリと言えばアリじゃない? まぁ……あんたに相応しい一人かもしれないわ」

「あ、あのね……。何の話……?」

儚が、傷心ながらも不思議そうに俺を、いや、彼女を見る。するとこのもう一人の俺である彼女は……>>249

あいつは敵だと脳内で叫ぶ

儚が、傷心ながらも不思議そうに俺を、いや、彼女を見る。するとこのもう一人の俺である彼女は……あいつは敵だと脳内で叫ぶのだ。
まるで洗脳するように響き渡るそれに、押し潰されそうにもなってしまう。

そんな様子で俺が苦しんでいることを、目の前で立っている儚は当然知る由も無く、ただ不思議そうに眺めていた。
今では表に表れているこの少女もまた、ぶつぶつと敵だと呟くばかりであり、それに俺はただ苦しむばかり。

(な、なんで儚が、俺の敵だって言うんだよ!?)

「じゃあ、アイツはあんたの何なの」

(それは……友達だ。大事な友達の一人だ)

「嘘。恋愛感情が混ざってる。現状での最大の敵は彼女、そして次に危ないのは……あの娘ね」

(危ないって、おい……げ、日和見まで……)

「やっほ~、授業サボって遊びに来ちゃった! あれ、儚ちゃん、学校来てたんだ?」

「あ、うん……。ずっと休んでても仕方ないって思って」

「そっかぁ……。でも、せめてお墓参りくらいには行ってあげた方が良いんじゃない?」

「……行かない。行きたくない。あの人の事なんて……」

もう一人の人格は、次に危険な敵なのは日和見萌だと断定し、彼女を睨みつけるのである。
そんな視線に気付かない日和見は、寧ろ儚の方が心配な様子で、彼女をせめてお墓参りにへと、説得を続けている。
しかし、儚はこれに全く首を縦に振ろうともせず、頑なな態度を取っているのである。

「最大の敵、しかし小さな子ね……」

(あのなぁ、お前は事情を知らないからそんな事を言えるのであって――)

「私はもう一人のあんたよ? あんたが理解していることならば、全て理解しているし、それ以上の事だってこの頭の中には眠ってるの。
 それくらい分からない訳がないじゃない。それを踏まえて、あの子は小さいと言っているの」

確かに背も、胸も、お尻は案外そうでもないかもしれないが、全体的に小さな印象を受けるのが長谷川儚である。
その心も、何があろうと平静を装うとするがとっても脆い。少し叩けばあっさり割れてしまう、そんな程度なのだ。

そんな彼女は、やはり日和見の話には耳を貸さず、もう一人の人格である俺のほうへ向いては……>>251

無邪気に笑う

そんな彼女は、やはり日和見の話には耳を貸さず、もう一人の人格である俺のほうへ向いては……無邪気に笑うのだ。
戸惑う日和見、そして無表情なのだろう、彼女を見るもう一人の人格の俺に、彼女はまるで俺しか居ないように隣に座り込んで顔を覗き込む。

「ねぇ、あのSFのお話、少しは固まったかな……?」

なんだ、このぞっとする感覚は。恐らくこの少女も、多少なりとも妙な感覚を味わったのだろう。ぞわり、と悪寒を感じたのだ。
先程までは落ち込んでいた、と言うべき様子の彼女が、今では平気そうに、寧ろ何事も無かったかのように俺にだけ笑みを向けていた。

「……何よ、あんた」

「え、何って。SFのお話だよ。ライトノベルの。またいっぱい描いてきたんだけど、見てくれないかな……」

「……ウザ」

「え……、ど、どうしたの、急に。……なんか、今日は様子がヘン?」

そのもう一人の人格の少女は、長谷川儚に酷く冷たい態度で当たるのだ。
その無邪気な笑みも、途端凍りついたように引き攣り、そして今度は懐柔するような様子で俺に話しかけてくる。
だが、今の俺ではどうしようもない。ただ、彼女がどんな態度を取るのか、見守るしか出来ないのだ。

「そ、そういや……眼の色、違うよね。カラコンしたの?」

「……はぁ、あんたさぁ……、依存症なの?」

「え……、鴨志田君……?」

「この、鴨志田響が居なければ結局何も出来ない小さな女、それがあんた。……でも私は、もうあんたには協力しないわ」

「そ、そんな……。私と一緒に、あのお話作ってくれるって……」

「目ざといのよ、あんた。……失せて」

「……さっきから聞いていれば、響、貴女ねぇ!!」

もう一人の人格が儚を追い詰めた。そんなつもりは、俺には無い。しかし彼女にはあったのかもしれない。
その様子を話だけ聞いていた日和見は、今では俺の両肩をぐっと掴み、儚の味方をするのだ。

だが、このもう一人の人格の俺は、そんな日和見に……>>253

男だった感情や心を口移しで移した

バックドロップ

だが、このもう一人の人格の俺は、そんな日和見に……男だった感情や心を口移しで移した。
彼女とキスを。それは以前何度夢見たことだろう。そんな行為をあっさりと、この人格はやって退けたのだ。
そのほんのりと伝わる温もり。そして唾液の交わった糸が名残惜しそうに後を引いた。

そして、その感情を、俺の以前の心を受け取った日和見は、ただ呆然とした後、途端慌て出す事になる。
だが、この人格はやはり冷酷な存在なのかもしれない。そんな彼女に、こう言ったのだ。

「でも、所詮昔の話だから。今は全くどうでもいい……寧ろ、邪魔」

「へ……。で、でも、私と響って、出会ってからずっと友達で……!」

「面倒だから宣言するね? あんたも、そこの小さな女も、敵。邪魔なだけ。目障りなだけ。理解してくれた?」

「……いや、いや……」

その人格の一言に、儚が途端口にした。ふるふると首を振り、まるで何かを忘れ去ろうとする行為。
そして何度も、いや、と呟き、そして……立ち上がっては走り去ってしまう。
流石に、その様子を見届けるしかなかった俺は、この後どうして彼女に謝れば良いんだと思い悩むしかなくなった。

だが、この人格は寧ろ清々しそうに微笑んだ。どうしてそんな事をするんだと、再び問う。

「言ったじゃない。敵だ~って。邪魔なんだもん。……そこのあんたも、とっとと消えて?」

「響……。分かった、私も消える。けど……儚ちゃんにした事は、ちゃんと謝って」

「嫌だよ。敵なのに、何でそんな事しなきゃならないの?」

「……どうして、私……こんな人を……!」

日和見はそうして屋上から去っていく事になる。そんな彼女の去り際の台詞が、俺に深く突き刺さる事になる。
その痛みを、この人格はどう味わっているのだろう。この人格は、そうして俺からすべてを奪い取ってしまうのか。

だったらこの人格を、俺は克服して消さなければならない。だが、どうすれば……。
そうして思い悩んでいると、その人格は俺にこう言ったのだ。>>256と。

大宇宙の意思とやらに頼んでみれば?

抗えば抗うほど強くなる

だったらこの人格を、俺は克服して消さなければならない。だが、どうすれば……。
そうして思い悩んでいると、その人格は俺にこう言ったのだ。「大宇宙の意思とやらに頼んでみれば?」と。
以前、幽霊から人と成り変わった片桐愛莉に言われたことがある。その意志は、俺が願えば叶う可能性を見出してくれると。

しかし、その話もやはりこの少女は知っている。だからこそ、あえてこう付け加えた。

「けど、本当に消せるかな? 多分無理だよ。だって私、あんたが願ってたもう一人の女の子なんだから」

(俺の……もう一人の……)

「昔から、自分が女だったらと思い描いてきた夢、それを叶える為に密かに生み出されいた感情。
 それが、大宇宙の意思のお陰だろうね~、こうして人格を形成できて表へ出てくることが出来た」

(昔から……願ってた……)

「そ、あんたは男には戻りたくない。戻らない。寧ろ……私と一緒に、永遠に、同じ身体を共有するの。
 そして、ずっと一緒に同じ出来事を味わって、女として生きていく。……そうなるべきなんだよ?」

それはやはり洗脳するように、俺に語りかけてくるのだ。
ダメだ、ダメだとそれを否定する。俺は男に戻りたい筈なんだ。だが、それはやはり曖昧になりつつあるのも事実。

今の方が、女としてちやほやされて、人気もあって、今まで冷たかった人間すら優しく接してくる今の方が幸せかもしれない。
もしそれで、男に戻ったとすれば……、やはり背が小さい、童顔、声もまた女のように高い。そんな事実が押し寄せてくる。

「ふぅ……、とりあえずちょっと表に出すぎたかな。疲れちゃった。身体、暫く返してあげる」

そう漏らしたもう一人の人格は、すぅっと消えていく。そして手足もまた自由に動かせるようになるのだった――。

―― 寮に帰宅し、早々にベッドに寝転がる。もう、訳が分からないと頭を抑えてしまうのだ。
儚を、そして日和見を傷つけてしまった。なんて謝れば良いんだろうと思い悩んでいると、扉がノックされるのだ。

「失礼します。たった今買い物から戻りました。……カギ、開けてくれますか?」

片桐愛莉、俺にメイドとなって奉仕してくれている幽霊だった少女。彼女に相談でもしてみようかと、扉を開けると……>>259

買い物袋を持った愛莉が微笑みながら立っていた

片桐愛莉、俺にメイドとなって奉仕してくれている幽霊だった少女。彼女に相談でもしてみようかと、扉を開けると、
買い物袋を持った愛莉が微笑みながら立っていた。いつもの彼女のようで、何やら違ったような雰囲気で。
その違和感は直ぐに気がついた。買い物袋を持ってこの部屋を訪れた事が一度も無いからだ。

そもそも、愛莉は寮がいっぱいになっているという事もあり、俺の部屋で寝泊りする形となっている。
その中で、やはり時折ハプニングな行為が生まれる事もしばしばなのだが、最近は割りと彼女も、俺も共に落ち着いていた。

しかし今日に限っては、彼女の様子がいつものようで少し変だと感じてしまう。
俺が突っ立ってないで、入れば良いじゃないかと促すのだが、彼女は暫く立ち止まったまま、動かない。

「……なぁ、愛莉、どうしたんだ?」

「一つお伺いします、お嬢様。……ちょっとおでこを拝借」

「お、おい、いきなり何だよ」

「まぁ、熱は無いようです。……じゃあやはり」

「やはりって、何の話だよ……」

「学校での一件、ちょっとお話を聞いてしまいまして。……儚さん、お部屋に居ますよ」

「……聞いたのか、アイツから」

「いえ、盗聴器です。随時忍ばせておいておりますので。……だからこそ、おかしいなと感じました」

「と、盗聴器とかどこに忍ばせてるんだよおい! 外せよな!?」

「お嬢様の毎日の安全を守るのもメイドの努め。……とはいえ、人格が変わったように動くのは想定外です。実際はどうなんです?」

「それは……事実だ……。実際に、今日入れ替わって……」

彼女は買い物袋を部屋に置き、小さく唸っては俺に尋ねてくる。その人格を、実際にはどうしたいのかと。
消すべきだと判断はしている。だがそれは、周りを傷つけていくのならばである。しかし実際にそうでないのなら、俺はどうしたいのだろう。

その人格を消す、或いは……>>261

つみきの秘薬でも使えば成功するかもしれない

その人格を消す、或いは……つみきの秘薬でも使えば成功するかもしれない。
彼女に相談してみたいと愛莉に言えば、まぁやらないよりはマシかもしれないと、彼女は頷いてくれた。
但し条件付である。余りにも奇怪なクスリは口にしない事。そのクスリは最初に彼女が判断して服用すること、であった。

流石に十三歳ではあるが、現役教師な柏田つみき、マッドサイエンティストな一面を持つ彼女の帰寮は遅い。
先に夕食をと、共用の居間で愛莉が料理を振舞ってくれたのだが、そこに居たのは俺と愛莉、そして自称名探偵のみである。

長谷川夢は、最近もまた実家の方へとんぼ帰り。実はお嬢様家系でもあり、遺産相続に巻き込まれているらしい。
そして水無月久遠は、学園祭が近いという事もあり、やはり帰寮が遅い。
そして日和見、儚は、今日は夕食は摂りたくないそうだと、愛莉が教えてくれたのだった。

「……なぁ、名探偵さん」

「はむはむ。なんだ食事中に」

「俺、今ってどう見える?」

「奇妙な質問で困ってしまう。……美少女の皮を被った間抜けな馬鹿というべきかと」

「……まあ、当たってるんだろうな……」

「反論しないところを見ると、どうやら落ち込んでいる様子、或いは悩んでいる様子といった所かと、名探偵的推理を述べてみたり」

「雪菜さん、余りお嬢様を虐めないで下さい。彼女にも事情がありまして」

「……人格が入れ替わったりとか?」

「な、何故それを、貴女が!?」

「温いねメイド君。まだ君には私の推理というものが分かっていないようだ。……それで、その人格を消したいが為に、柏田つみきと接触を図ると?」

「……雪菜さん、まさか盗聴器でも仕掛けていたんじゃ……」

「名探偵に不可能はないんやでメイド!!」

じゃあ試しに人格を消せますか、と俺が尋ねてみれば、名探偵でもそれは無理と断言。じゃあ不可能がないとか言うんじゃないと呆れてしまう。
しかし彼女は、俺に向き合ってみても良いのでは無いか、それも一つの方法ではないかと、あくまで提案するに留まるのだった。

そうして三人で談話していると、先に帰寮したのが柏田つみき。彼女はお腹がすいたと、こちらの方へやって来ては、堂々とパンストを脱ぎ始める。
この辺りは余りにも粗暴である十三歳に、人格の話をしては人格を消すクスリを作れるかと尋ねてみると、>>263

可能だが、別人格が生まれるからやめといたほうがいいと言われた

そうして三人で談話していると、先に帰寮したのが柏田つみき。彼女はお腹がすいたと、こちらの方へやって来ては、堂々とパンストを脱ぎ始める。
この辺りは余りにも粗暴である十三歳に、人格の話をしては人格を消すクスリを作れるかと尋ねてみると、
可能だが、別人格が生まれるからやめといたほうがいいと言われた。つまり、今より危険な状況に陥る可能性があるという。

「じゃ、じゃあ……、人格を抑えるクスリは……」

「結果的に、副作用として多重人格者になる可能性も否定できないです。やめたほうがいいですね」

「ではどうすれば……」

「やはりここは、先ずカウンセリングから始めるべきかと。……坂上先生、我が校のカウンセリングも担当してるですよ」

「げ、あれに相談とかマジないわ……」

「出番が無くて可哀想ですねあの先生。それにしても……、学園祭というのに巻き込まれて大変なのです」

「つみきさんも、学園祭でお忙しいのですか?」

「そうなのですメイドさん。あ、ご飯おかわりですっ!」

今では素足をばたばたとさせて行儀の悪い食事の仕方をする柏田つみき。彼女でも副作用を考えれば、クスリで解決するのは難しいと否定される。
ではどうするか、とやはり思い悩んでいると、名探偵が再びあの言葉を口にしたのだ。

「では、向き合ってみるという方向でどうかな」

「……俺、アイツと真面目に話したことはないけども、話が通じないってのもあって……」

「最初はそういうものだろう。しかし、時間が経てばいずれ、分かり合える存在になるかもしれない。そうしていく内に、人格を克服してしまうかもしれない。
 やらないよりはやるべきだ、と名探偵ではなく、一人の人間として話してみたり」

「……やるだけ、やってみる、か……」

儚や、日和見に謝らないといけない。しかしその前に、彼女を何とかしなければならない。
そうしないと、いざ二人に顔を合わせても、再び邪魔をされかねない。そうして、俺はその場で目を閉じ、彼女に語りかけてみた。

試しに>>265と彼女に話しかけてみよう。

最終的にお前は何がしたい?

アスタマニャーニャーン

試しに最終的にお前は何がしたい? と彼女に話しかけてみよう。
果たして返ってくるだろうかと、目を閉じつつも思ってしまう。暫くそうしていると、思念が伝わってくるのである。

(唐突過ぎて雑音かと思っちゃった。いきなりなに?)

「いきなりも何も、俺はお前に尋ねたい。最終的にはどうしたいのかと」

(それは答えたはずよ。賢い雄以外の連中を排除し、選別する。……ま、恐らくもっと先の話を言っているのだろうけどー)

「……その先にお前は何を見出してるんだ」

(夢は見たよね? 覚えてるかな、あの夢の内容を)

遠い将来、宇宙へ人類が進出、そして宇宙の支配者は人類のものへ。
そんな内容だったのが、以前俺が見た夢の話であるのだが、そんな余りにも先の予知なんぞ有り得ないとは思っていた。
しかし、彼女はその夢が現実となる可能性が非常に高く、そうならない為にも今から選別を行う必要があると訴える。

だが、たった一人で何が出来ると俺は思う。その思いがどうやら伝わったのか、彼女は説明した。

(意思の介入はまだ始まったばかりなの。そして、その最初の検体があんたな訳。
 そして意思は、あんたに本来願っていた恩恵を与えて、この時代の人と言う存在を観測しようとういう結論となった。
 でも、思ったよりあんたはヘタレであった為、もう一人、この私を形成させて個体としての可能性、そして危険性を観測する事になったのよ)

「……さ、さっぱり分からんが、結論から言ってくれ」

(よーするに、最終的には人類排除の可能性もあるから、被検体となったあんたはもっと頑張らないといけないの。
 人って、所詮争って伸びる生き物よ。その人の別の可能性を、あんたが示す。それで全ては解決する訳)

「それで、お前自身はどうなんだよ。とてもじゃないが、お前の態度は……」

(そりゃそうでしょ、私はあんたの理想の姿。男を弄ぶような女、そして女は敵で、自分を溺愛するナルシスト。それが私。
 我侭勝手に動くのは当たり前。でも、私と分かり合いたいという気持ちは感じたわ。だから……)

彼女は、俺にちょっとした条件を付けて来るのであった。それは……>>268

豊胸手術を受けること

彼女は、俺にちょっとした条件を付けて来るのであった。それは……豊胸手術を受けること。
はぁ、と俺は叫んでしまった為、居間で食事中であった愛莉や雪菜、そしてつみきがぎょっとしてこちらを見る。
そしてそこには、いつしか水無月久遠の姿も在り、彼女は不思議そうに俺を見ていたらしい。そして叫んだ途端、箸をぽろっと落としてしまうのだった。

「ね、ねぇ、鴨志田君は一体何の儀式を……」

「儀式じゃありません久遠さん。これは……事件です!」

「どこぞの自称名探偵みたいな事を言わないで片桐さん。……で、なんではぁ? なのよ」

「……お、俺、豊胸手術を受ける事になった……」

「「豊胸手術……?」」

―― 胸を大きくする大作戦。それは、あまりにもちっぱい過ぎて、唯一不満なもう一つの人格の提案である。
それにより、俺にとって不利となりえる行為は止め、基本的には手助けしてくれる形をとってあげてもいいと話すのだ。
しかしこれがまた難題である。確かに胸は大きいほうが女性として魅力的だろうと、今この場に居る皆を眺めていた。

柏田つみき、論外。十三歳なんだから当然かもしれないが、これからどう育つか……期待は出来ないだろう。
では、片桐愛莉は……こいつ、意外と胸が大きいのだが、本人はそれでもCカップだと話をしている。
そして水無月久遠、彼女の方が胸はもう一回り大きいそうで……、これくらいあれば良いのだろうかと、彼女を凝視していた。

「ね、ねぇ、何よ、ジロジロ見て……! さ、さては、深淵の闇の使い手である私の力が欲しいのね!?」

「……それくらいのおっぱいがあればいいのかと思って」

「お、おっぱい!? おっぱいって、あ、貴女ねぇ!? ……これくらい、欲しいの?」

「という訳で、柏田先生、出番なんだが……」

「……水無月程の胸が欲しいと、ですか。……作れれば苦労しないのです……」

柏田つみきはがっくりと肩を落とし、そして俺もまたがっくりと肩を落とす。いっそ大宇宙の意思頼みで、願い続けてみようか。
そう思っていると、胸が大きいというのは割りとデメリットも有るのだと水無月が話を始めるのだ。

「そもそも、胸が大きいとね……>>270

乳の下に垢がたまる

偽乳疑惑が付き纏う

肩がこるっていうのが本当。

「そもそも、胸が大きいとね……乳の下に垢がたまるのよ!!」

「「な、なんだってぇぇぇ!!!」」

片桐愛莉以外の皆がそう叫んでいた。俺も、柏田つみきも、有栖川雪菜も。すべてが貧乳のそれである。
衝撃の事実だと、俺のもう一人の人格である彼女もまた、そう呟いていた様子であった。

「ま、まぁ、実際乳房問題で困ることがあるとすれば……夢さんくらいでしょうけど」

「アレは確かに大きすぎるのです。反則なのです」

「アレくらい大きいと、夏場はブラで蒸れるでしょう。私もこの姿となってから、この時期は……」

「そして放っておくと痒くなるのよ。それに、肩がこりやすいのも割りと本当なのよ?」

そうして、話が乳で広がっていく中、俺は改めてもう一人の彼女に問うてみるのである。
本当にそんな問題が起ころうとも、胸が大きくなりたいかと。男であった俺からすれば、これ以上の女の面倒事はご免である。

(そもそもだな、タンポンとやらの使い方すら未だに慣れていないんだ。生理もきっついんだぞ、この身体!)

(そ、それでもね、私はナイスバディで、男達を誘惑したいと……!!)

(落ち着いて考えてみろ、背が小さくて、ロリっぽい容姿なのがこの俺だ。だからこそのツインテなんだぞ!?
 それで愛らしさを見せ、そっち方面で評判を得ているのが、突然爆乳になったらどうする!?)

(どうするって言われても……ぐぬぬ……)

(これ以上の面倒事は俺も、お前もご免だろう!? だから胸は諦めろ! 何より金が無い!!)

(わ、私は、私は……、胸を……>>274

胸を張れる胸が欲しいのっ!

(わ、私は、私は……、胸を……胸を張れる胸が欲しいのっ!)

彼女は、あくまでも胸を張れる程度の胸で良いから欲しいのだという。その彼女の願いは、翌日本当の物になってしまう。
俺が願わなくても、彼女が願えば意思は叶えてしまうのかと、呆気となって鏡を見てしまっていた。
触ってみる。AからB程度に育ったそれが、ちょっぴりたゆんたゆんと揺らいでいた。

「……揺らすの、ちょっと楽しいな」

(わ、私の胸を勝手に揺らさないで!!)

「いや、俺の胸だろ、常識的に考えて……。ほんの少し、たゆんたゆんしてるぞ……!?」

(言っておくけど、弛まないようにちゃんとブラはしてよね? もう暑いから今日は要らないとか、絆創膏だけとかは無しよ!?)

「絆創膏……ちょっと気持ち良いのに……」

(……なんで主軸の人格って、へたれで変態なの……はぁ)

この日から、俺は彼女とよく会話するようになっていた。そして、こいつにも名前が必要じゃないかと考え出すのである。
そうして、二人で話し合い、入れ替わりたい時は相談して、その後、という事に丸く収まるのであった。
とはいえ、やはり彼女は人格を形成してくれた意思の目的の一つ、人類の選別は行っていきたいとは言うのである。

そんな彼女を内に秘め、俺は日和見、そして儚を学校の屋上へ呼び出した。
まだこの二人に事実は伝えていない為、来てくれるかは不安であったのだが、日和見だけは来てくれた。
しかし儚は、この場には姿を現してくれなかったのである。

「……あのさ、日和見」

なんて理由を述べようと、俺が戸惑いつつも言葉を選んでいると……>>276

非常ベルが鳴った

なんて理由を述べようと、俺が戸惑いつつも言葉を選んでいると……非常ベルが鳴った。
その音を聞いて、俺も、そして日和見もはっと校舎のほうへ振り返るのだ。

「特に何も起こってなさそうだが……これは……」

「ちょっと待って!! ……あそこ、煙が!!」

「別棟か!! あそこの教室って……」

「家庭科室だよ! ガス漏れが起こったのかも……」

「……悪い、ちょっと様子を見てくる!」

「え、なんで? 危ないじゃん! って、ちょっとぉ!!」

胸騒ぎがした。いや、それもまた直感だったのかもしれない。早く駆けつけないと、危ない。
何故そう思ったのか、そして何故家庭科室が燃えているのか、理由は分からない。
それでも早く行かなければと、俺はまるで、もう一人の彼女の力を借りたような速さで駆け出していた。

―― 私を否定し、突き放した彼が、どうして私を屋上へ呼び出したのか。それでも、メールを受け取ったときはとても嬉しかった。
今度こそ、ちゃんとお話して、どうしてあんな事を言ったのか確かめよう。いつもの彼じゃなかったようにも感じたし。

でも、折角だからお菓子でも用意してみよう。何時もはこんな事はしなかった私に、天罰が下ったのだろうか。
絵だけじゃダメだ、女の子らしくクッキーでも焼いてみれば、きっと話も弾む筈。そうして、少しでも彼と打ち解け、分かり合いたい。

なのに、オーブンを点けた途端それが爆発、突然の炎上となり、腰が抜けては動けなくなってしまう。
その炎の周りは異様な程早く、その燃え広がる様を眺めて思うのだ。こうして、彼に嫌われたまま死んでしまうのは嫌だと。

でも、もう彼しか私には居ない。そう気付いて、突き放されて、心がもう疲れてしまっていたのかもしれない。
母も、姉も、どうでもいい。彼も……、どうでも良くない。それでも、どうしようもない。ならばもう、いっそ……。

「いっそ……死んだほうが、楽だよ……」

それでも、運命は私を生かそうとする。それは、颯爽と現れては私を抱きかかえてしまうのだ。
鴨志田響、少女となった男の子。それでも、この時ばかりは凛々しい顔立ちで、改めて私は気付いてしまった。

もう、この人しか見る事が出来ない。だからもう、何があってもこの人から離れない……と。


―――― つづきます

おつかれサマー!

おつー!

今日もちょっと早いのですが、以上で終わりますー。

流れに任せてたらヤンデレ化したんですけど、安価で何とかなりますって事で……。
一話やる前の決意はどこへやら、今では奇想天外です。どうしてこうなっているー。

ともあれ、お付き合いありがとうございましたー。

【06/10 (月) 00:00時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/15 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第十一話 『その少女、盲目的に恋をする』

べっちょり

【06/15 (土) 20:33時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/15 (土)
  22:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 1時間だけ延期させてください

あと1時間

ひぎいいちょっと時間延ばしちゃいましてすいません。

ではぼちぼちって事で、もう暫くおまちを~

~~~使いまわし系これまでの登場人物紹介~~~

【鴨志田 響】(かもしだ ひびき)
本編主人公。女らしかったこの人も本当に女となってしまいました。乳首が弱点です。

【長谷川 儚】(はせがわ はかな)
主人公とは仲が良い少女。同人主にえっちぃ絵が得意だが絵本は描けない可哀想な娘。別名、ファンタジーメンヘラー。

【長谷川 夢】(はせがわ ゆめ)
儚の姉であり、突如転入生として現れた自称宇宙人。巨乳で何故か家事が得意なようです。別名、スペースメンヘラー。

【日和見 萌】(ひよりみ もえ)
主人公と唯一話をしてくれる少女。主人公にセクハラする事を得意とする少し頭の弱い人。

【志藤 猛】(しどう たける)
主人公の唯一の親友とも呼べる少年。背も高く男らしい風貌の為、主人公に嫉妬されやすい。

【水無月 久遠】(みなづき くおん)
開成学園生徒会長の女子。中ニ的でツンデレで実は臆病と言う凄く面倒くさい子。

【柏田 つみき】(かしわだ つみき)
十三歳のクセに教師で天才で挙句に幼児体型で薬学研究にも手を出すいろんな意味で変態な子。

【鴨志田 鳴】(かもしだ めい)
十三歳の女子中学生。しかし超絶過ぎるブラコンの為登場早々引かれております。とにかく必死。

【高科 羽未】(たかしな うみ)
長谷川姉妹達と同人サークルに所属する同世代の少女。にゅんにゅん電波を放出しますが、毒を吐くときはふっつーです。

【坂上 麻衣】(さかがみ まい)
私立開成高校の教員であり、生活指導担当。眼鏡美人かはさておき、世話焼きでちょっぴりショタ好き。

【片桐 愛莉】(かたぎり あいり)
事故により幽霊として主人公の傍を彷徨っていた幼馴染。突然人間となり、メイドとして主人公にお仕え中。

【有栖川 雪菜】(ありすがわ せつな)
水無月久遠が連れ帰ってきた自称名探偵であり、自称雪女。但し体温は本当に低いそうです。

~~~ 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第十一話 ~~~

開成学園高等学校で行われる学園祭、通称開成祭は十月の初旬に行われる。
マンモス校として、数千人を抱えるその学園祭は、毎年異様な盛り上がりを見せることになる。
その手前の中間試験も終わり、皆が各々と準備を進める中、私は今日も屋上で一人、絵を描いている。

気付けば距離が近づいたり遠退いたり。それでも、今となっては少しかもしれないが、幸せだ。
そんな気持ちを絵に注ぎ込んでいくのだが、やはり他所から聞こえるざわめきが少々耳障りであった。

「……ふぅ」

ふと空を見る。雲が点々と浮かんでいるそれを見て、ふと彼との出会いを思い浮かべてみる。
鴨志田響、彼が最初からこの屋上を拠点として、授業中は暇をつぶしている事を、私は知らなかった。
そんな私は厚かましくも、静かな場所を追い求めてこの屋上を占拠。そして後に、彼と私と二人で時間を過ごす事が増えていく。

「懐かしいな……」

ふと、そんな気持ちが漏れてしまう。今となっては、それなりに距離が近づいていると思っている。
友達になれて、そして喧嘩して、また歩み寄って、そして他人格による行き違いもあって、そしてまた近づいて。
繰り返しだったその日々。それが幸せなのだが、更に進展を望む自分が居る事に気づいてしまっている。

「久々に同人でも描こうかな……次があるし……」

次の作品はまだか、と羽未ちゃんから催促されている事を思い出し、何となく鉛筆を手にとってみた。
校庭で準備が進み、一人の男子が指揮を取っているのだろう、随分とやかましい声が聞こえる中、
私は彼と、どう進展したいのだろうと思い描きながら鉛筆を走らせていた。

そうして一時間くらいが過ぎただろう、>>285なんてとんでもないモノが出来上がっていた。

トキとツルの擬人化がガチバトル

イデオン

そうして一時間くらいが過ぎただろう、トキとツルの擬人化がガチバトルなんてとんでもないモノが出来上がっていた。
おかしい、と首を傾げて再び見る。どう見てもトキとツルの擬人化モノである。といっても、コスプレさせたトキとツルが鳥類拳を競っているだけである。

「……ガチ恋愛にしようとしたのに、なんで?」

思い悩んでみるが、やはり理由が浮かばない。とりあえずこれを、羽未ちゃんに今度見せてみようとメールを送ってみる。
一応の画像添付。そして暫くして返ってきたメールを読むのである。

『誰がマジバトル物を描けといった!? ちゃんとエッチシーン入れなさい!!』

「……怒られた。うーん……、この際路線変更というのは? っと……」

『うちらのサークルからエロ抜いたら何が残るのよ!? 大体なんで鳥類!? なんで鳥類拳!?』

「うーん……、怒られちゃったし描き直そう……」

メールでお叱りを受けた私は、改めて用紙と向き合ってみる。しかしやっぱり次に描けたのもまた、トキとツルが擬人化してガチバトルなのだ。
いっそこれは続編という事で再び画像添付してメールすると、またまたお叱りを受けてしまうのだった。

そうして日が暮れた。しかしこれは所詮暇つぶし。そのラフが描かれた用紙を束ねて、ホッチキスで止めつつも、
そろそろ彼が解放される時間ではないかと、メールを送ってみるのだった。

『そろそろクラスの出し物の準備、終わったよね? 屋上で待ってるから』

送信して改めて見返してみる。なんともシンプルなんじゃないか、と思えてしまう。
もう少し内容を捻ってみるべきか、顔文字やデコメ風に工夫するべきなのか、と思案していると、メールの返信が来るのだった。

『悪い、ちょっと抜け出せそうに無いから先に帰っていいぞ』

鴨志田響はどうやら本来の人格のまま、準備を行っている様子。しかし早く彼に会いたいと思ってしまった私は、
彼の教室に乗り込む決意をして、そして……>>288

さっきのバトル物も男の子なら喜ぶのでは、と持っていく

ブリッジの姿勢で机のふりしてる

鴨志田響はどうやら本来の人格のまま、準備を行っている様子。しかし早く彼に会いたいと思ってしまった私は、
彼の教室に乗り込む決意をして、そして……さっきのバトル物も男の子なら喜ぶのでは、と持っていくのだった。
勿論彼にも読ませようと思っているのだが、彼は最早彼女と呼ぶべきなのかもしれない。

「わぁ、響ちゃん、その格好かわいい~!!」

「ねぇ、もっと猫耳強調させてみようよ!」

「そうだね! その方が彼女はきっと映えるよ! なんてったってウチのクラスの看板娘!!」

「ちょ、あ、あのなぁ! 一応私はこう見えても……男だったんだけど……」

「やだー、何その冗談ちょーウケるー!」

「そんなつまんない事言ってないで、ほら、生着替えして、生着替え!!」

しかし、廊下には彼のクラスの男子が追い出されており、そこで作業を行っているのと、
教室の中からは、鴨志田響を中心とした女子が盛り上がりを見せており、何分中に入りづらい雰囲気が生まれていた。

「はぁ、なんで俺達追い出されて作業してんだ……?」

「暗幕掛けられて中が見えないし……くっそ! 鴨志田の生着替え、見たいんだけど!?」

「ククク、甘いな……。その為の覗き穴を用意してある!!」

「お、おぉ田中、やるなお前……って、覗き穴まで暗幕で邪魔されてるじゃねぇかぁぁぁ!!」

何故男子ってこんなに下心が丸見えで行動できるんだろう。そういった類の人種なのだろうか。
とはいえ、鴨志田響も男だった間は、私のお尻を掴んだりして遊んでいた覚えがない事もない為、ため息が漏れるのだった。

「……あの」

そんな男子達に試しにトキとツルのガチバトル物を読んで貰ってみると>>291

「ツルは真っ黒なほうが
いい」という意見が出た

そんな男子達に試しにトキとツルのガチバトル物を読んで貰ってみると「ツルは真っ黒なほうがいい」という意見が出た。
真っ黒なツル、とても悪役に向いていそう。だけど心の中はとっても清らかで、採取的にはトキとツルの合体鳥類拳が発動。
そんなアイデアを何となく思い浮かべた私は、そんな提案をした田中君にお礼を言うのだった。

「そ、そんなお礼とかされてもだな……」

「ううん、ありがとう。……私、バトル物には慣れていなくって」

「そうなのかい? でも、割と良く出来てると思うよ。流石は長谷川儚だね」

「……え?」

「どうしたんだい、そんな惚けた顔して。僕達の間では有名だよ、君がエロ同人を出してるサークル、すくぅる☆がぁるずに所属しているのはね!」

やば、と身を硬くしてしまう。そうだ、身バレする可能性があったんだと、改めて過去の行動を悔いるのだった。
高校に入り、中学と同じ轍は踏まないと、隠れて絵を描いてきたりしてきたつもりだ。
授業中絵を描いていて、茶化されたりとした事も多々あったが、サークル活動している話もしていないしで、バレていないと思っていたのだ。

これでは、何の為に普段孤独でいたのか、分かったものじゃない。なんて思いつつもラフ本を抱えていると、
この田中君、眼鏡をくいっと持ち上げて私にこんな事を言うのだ。

「しかし君、折角の画力を持っているんだ。この本を学園で売り捌くってのはどうだろう?」

「……え、こ、これを?」

「そうそう。大方鴨志田に会いに来たんだろうが、生憎アイツは女子に囲まれてキャッキャウフフだ。
 どうせ暫くヒマだろう? 良かったらちょっと話を――」

「そこの眼鏡の田中君。私の妹にちょっかいを掛けるとは、随分出世したわね?」

「こ、これは……長谷川夢嬢、い、何時の間に……」

「勿論さっきよ。それよりも……私の妹と話すのなら、私の許可を得なさい」

私の姉、長谷川夢。銀髪で美人でスタイルも良くて、そして胸がメロンサイズというとんでもないモデル体型。
そして様々な方面でも優秀な彼女だが、残念な面を持ち合わせている。それは、自称宇宙人。

私は出来ればこの教室には来たくなかった。その理由がこの姉である。やはりあまり会いたいとは思えない人物。
そんな彼女は私に過保護でもあり、私に誘いを掛けてきた田中君を黙らせ、そして>>293

今度手を出したら学園から宇宙へ追放宣言

私は出来ればこの教室には来たくなかった。その理由がこの姉である。やはりあまり会いたいとは思えない人物。
そんな彼女は私に過保護でもあり、私に誘いを掛けてきた田中君を黙らせ、そして今度手を出したら学園から宇宙へ追放宣言してしまう。

私がそんな事を言えば当然、白い目で見られてしまうだろう。しかしそれを納得させてしまうのが彼女。
今までの宇宙人というキャラ付けは半端なく、今では男子全員が黙り込んで作業に没頭するのである。
その支配力、まさに女王と言った具合だろう。彼女の雰囲気だけで圧された彼らは、最早何も言葉を発しない。

「儚、それよりまだ帰っていなかったの?」

「……もういい、今帰るから」

「鴨志田君には会っていかないの? 今日も一緒に帰りたかったんでしょう?」

「一人で帰るから、いい」

「……ふぅ。ほんと、我侭で頑固なのね、貴女は」

彼女はそう言いつつも、私が描いていたツルとトキのガチバトル、仮名を付けるならば進撃の鳥類としておこう。
それを取り上げ、ぱらぱらと捲っては私にぽんと投げ返すのだった。

「これ、どうするつもり?」

「……関係ないよね」

「関係あるわ。私もサークルの一員よ?」

「……次に出すつもり」

「そう。……貴女がそうしたいなら、私はそれで良いと思うわ」

彼女はそう言うのだが、目も笑っていない、本当にそうするつもりなのかと、真意を覗くような視線を向けていた。
だから嫌なのだと、私は目を背けてしまう。昔から、彼女はいつもこうだ。何かあればと、常に私を傍に置こうとする。

鴨志田君に会いに来たのに、姉に出会い、逃げ出したい気持ちでいっぱいになった私は……>>295

柏田先生に相談

鴨志田君に会いに来たのに、姉に出会い、逃げ出したい気持ちでいっぱいになった私は……柏田先生に相談する為、やはり逃げ出したのだ。
廊下を駆け、生活指導室を目指す中思う。私がいけないというのは正直分かっている。けれど分かっていない。
姉にどう接すればいいのか、亡くなった母の墓前にどう立てばいいのか、心の中では様々な感情が込み上げ止まらない。

「はぁ、はぁ……はぁ……」

生活指導室、何故かここで普段は坂上先生とコーヒーを飲んでいる鴨志田君の担任。
十三歳は今日もコーヒーを飲んでいるのだろうかと扉を開いてみると、そこには十三歳だけが一人、紅茶を飲んでいた。

「おや、どうしましたか儚さん。……その顔はまた、落ち込んだ感じですね」

「……坂上先生は?」

「ああ、見回りの時間という事でそれぞれの作業場をチェックに行ってます。生活指導も大変なのです」

「そう、なんだ……」

「……ま、紅茶でも飲んでます?」

「今日はコーヒーじゃないんだ?」

「毎日コーヒー飲みすぎて飽きちゃったのです。たまにはカモミールなんて……、って、学校では私には敬語を使ってって約束ですよ?」

「あ、ごめんなさい、つい……」

柏田つみき、男には興味も無いようで、只管代理として教師の役職を勤める十三歳。
彼女は恋なんてしないのだろうかと、紅茶を用意してくれるその背を眺めていた。それにしても小さいと、つい呟いてしまう。

「……小さい、って……何がですか?」

「えっ!? そ、その……カップが小さいなって!」

「どーせ、わたしの背中を見て小さいと感じたんですね。そうなんですね?」

「……そこまで卑屈になられても」

「それで……何を相談したかったのですか?」

紅茶を差し出してくれた彼女に改めてそう問われた私は……>>297

姉に勝ちたいと相談

紅茶を差し出してくれた彼女に改めてそう問われた私は……姉に勝ちたいと相談。
すると、彼女はどう勝ちたいのか、どうして勝ちたいと思うのか更に尋ねてくる。
本当に十三歳なのか、流石は天才と言うべきなのか、その様子が余りにも落ち着きを見せていて、時折怖くなるのが彼女である。

「……それは……」

「わたしも星見寮に来て随分長いです。貴女と長谷川夢さんを見ていたら、大体分かります。
 ……貴女も姉を避けている、そして姉もまた、妹とどう距離を取って良いのか迷ってる」

「……お姉ちゃんが?」

「わたしにはそう見えます。だからこそ、彼女は寮の皆を盛り上げ、イベントを披露したり、びっくりな所へ連れて行ったりするのです。
 最近では裏山のミステリーサークル観光に行ったじゃないですか。あれもまた……妹と距離を近づけたかったと見ています」

「柏田先生、……思ったより先生みたい」

「酷いですね!? これでも教職を預かった身、頑張っているのですよ!? ……でも、青春を謳歌したいのもちょっと思いますけどね」

「やっぱり学生生活したいとか……?」

「思いますよ。そして、わたしも一人の女として恋がしたい! あぁ、愛する人にわたしが夜なべして作ったクスリを……うへへへへ」

あ、やっぱり根本的にはダメダメだと彼女を見てしまう。涎を垂らして笑っている姿は、十三歳以前に人間として危険な顔をしていた。
そんな彼女も五秒程度で妄想から帰還し、改めて私に姉に勝利したい理由を尋ねて、思い返す。

私には絵しかない。寧ろ、その絵だって果たしでどうだろう。しかし姉は私には無いものを全て持っている。
何もかも優秀、そして人としても彼女の方が上。そんな姉を意識しだしたのは、幼少の頃だろう。

「あら、夢は本当に何でも出来るわね。凄いわね、ほんと!」

ある日、姉が図工の授業だったのだろう、>>299を作って持ち帰り、母に褒められていた。

宇宙船の模型

宇宙人小学生

ある日、姉が図工の授業だったのだろう、宇宙船の模型を作って持ち帰り、母に褒められていた。
この頃から宇宙に夢を馳せる女の子だった姉は、将来は宇宙飛行士になると決めていたそうだ。

「いつかね! こんな船にのって宇宙をたびしたいの!」

「そうなの。夢なら叶うわ。私も楽しみにしているわね」

彼女の頭を撫でる母は幸せそうだ。そして撫でられた姉もまた幸せそうだ。
しかし私はどうだろう。何もないせいか、頭を撫でられた事がないと感じてしまう。
そして次第に、母の真似をすればきっと、と、絵の世界に没頭してしまうのだが、これが中々上手くいかない。

「うーん……どうしてだろう」

絵本を描きたかった。それでも上手くいかず、いつか母に褒められる為にと、必死で毎日お絵描きをしていた。
褒められたい、そして頭を撫でられたい。そんな気持ちは次第に、母に追いつきたい、母のような絵本を描きたいと摩り替わっていく。

「これは……絵本?」

「描いてみたの……どうかな……」

そして、私は納得のいくそれを母に見せることになる。その頃は既に年が過ぎ、私も小学校の高学年となっていた。
絵が上手いと先生には褒められる。それでも余り嬉しくない。やはり母に認められたいと思うようになっていた頃だ。

「そうね、上手いんじゃないかしら。良く出来てるわ」

「ほんと!? ……ほんとに?」

「ええ。それよりもお母さんね、ちょっと今忙しいの。また今度にしてくれる?」

母はそう言って自室に閉じこもってしまう。それは仕事なのだから仕方ないと、私は感じていた。
しかし、褒められたとは思えなかった。頭を撫でられなかったし、それに――。

「ふぅむ、なるほどです。……儚さんは、姉が嫌いなのではないですね」

「……苦手、なのかな」

「そうでもないです。ぶっちゃけ、ただの嫉妬に過ぎません。でも、夢さんはもっと貴女に嫉妬してるんですけどね」

柏田つみきは指を立ててそんな話をするのだから、何故と、私が思っていると……>>302

努力家だからですよ

柏田つみきは指を立ててそんな話をするのだから、何故と、私が思っていると……努力家だからですよと、彼女は笑みを漏らして答えた。
努力がどうして嫉妬に繋がるのと私は問い返す。すると彼女は私に改めて向き合った。

「分かりませんか? 夢さんは確かに優秀です。勿論それには努力も備わった成果もあるでしょう。主に学力に関してはそうだといえます。
 しかし、彼女がどれだけ努力しても成果を成し得なかったのが、貴女の持つ才能です」

「……絵のこと?」

「それだけではないのです。……此処からは、ご本人がお話したほうが良いのではないです? 夢さん」

柏田先生が生活指導室の扉がある方へ向いて言えば、そこから暫くして姉が登場するのである。
立ち聞きしていたのかと、私が憤りそうになった最中、彼女は柏田先生の隣に座り、私に向いて言うのだ。

「儚、いい加減腹を割って話し合いましょう?」

「……何も話すことなんか……」

「だめですよ、儚さん。……いつまでも子供じゃないのです。それに……、身内がそんな風にいがみ合っていてはいけません。
 という訳でわたしも退散する事にします。夢さん、私が手伝えるのもここまでという事で」

「ええ、助かったわ。こうでもしないとこの子、私と話をしてくれないもの」

「も、もしかして、私って……ハメられたの!?」

「偶然ですよ。その機会が来たらって事で、本当に偶然が重なっただけです。それではでは~」

柏田つみきは手を振って生活指導室を出ていってしまった為、この場には姉と二人きり。
暫くの沈黙、その間気まずくて、逃げ出したくて、そして何より、早く鴨志田君とお話がしたくて堪らない。
そんな空気を破ってきたのが姉である。まさか、私に頭を下げてくるとは思わなかったのだ。

「……ごめんなさい、儚。先ずは姉としてなっていなかった私を許して」

「やめて、姉としてとか、そんなのたくさん!」

「分かってるわ。……でも、私は貴女が大事だから……」

姉は頭を下げたままそんな事を言うものだから、私はつい……>>304

泣きまねをした。

姉は頭を下げたままそんな事を言うものだから、私はつい……泣きまねをした。
彼女がどんな風に行動を取るのか、知りたかったから。それは、思いのほか姉を騙すことに成功したらしい。

「あ、あのね儚、私はその、泣かせるつもりは……」

「ふえぇぇ、ぇぇ……ぐす……」

「で、でもこれだけは分かって欲しいの! 私は宇宙人で貴女もその家系でもあるのだけど……、
 それはそれとして、儚とは仲良くしたいの。大好きだから、姉として、そして一人の女として……」

「ふえぇぇ……最後の台詞、ちょっとヘン……ぐす」

「そ、そうよね! で、でも! ……私は本当に儚、貴女が羨ましいの。母の才能を、ううん、お母さん以上の才能を持っている貴女を。
 そして努力して、諦めずずっと続けてきたその才能を、いよいよ開花させようとしている貴女を……」

「……お姉ちゃんだって……」

「私は絵が描けないわ。それこそ本当にへんてこな生物が生まれてしまうもの。
 だから私は他へ目を向けた。……出来ないから逃げたのよ、私は」

姉は言う。確かに幼少の頃、母の影響で二人でお絵描きして遊んだ記憶が残っている。
しかしそれも次第に無くなり、姉は姉で、私は私で、と、別々に行動する機会が増えていくことになっていた。
そんな中姉は常に優秀であろうと努力していたことは知っていた。とても真似できないと、何度も見ては思っていた。

しかし姉は、本当は絵から逃げたくなかったと、続けて、そして自分の思い描く世界を表現したかったと、この時私に初めて漏らしたのだ。

「だから……、だから、私はこのサークルに居るの。少しでも儚の手伝いが出来て、そして少しでも私が表現できればって。
 コスプレもその一貫。私が何処まで通用するのか見てみたいだけ。……でも、儚が居なければ、ここまで来れなかったと思う」

「もしかして、その宇宙人ってのも……お姉ちゃんが表現したい世界なの?」

「それは>>306

ほんとに宇宙人だから!

「それはほんとに宇宙人だから!」

「あのねお姉ちゃん……、私は人間だから、お姉ちゃんが宇宙人なのはおかしいよ……?」

「そ、そんな事はないわ! 今度DNA鑑定を受けましょう!? そうすれば、私と貴女は実は血が繋がっていなくて、そして――」

「お姉ちゃんも、私も、産まれた当時の記録が残ってるよね……?」

「ぐぬぬ……、そ、それでも、私は……」

「どうしてそこまで宇宙人に拘るの? どうして宇宙飛行士の夢を諦めちゃったの……?」

「……それは……」

姉は黙して俯いた。既に夕陽も沈み、下校時刻が近づいている。そろそろアナウンスが来る頃だろうと思っていると、
私の、そして姉の携帯が同時に鳴るのだった。どちらもメールのようで、私は自分のメールを確認する。

『そろそろ帰るが、まだ学校に残っているのか? そうなら皆で帰ろうか」

鴨志田君からのそれを受け取り、ぱっと顔を輝かせてしまったのだが、皆でってどういう事なのだろう。
そう感じていると、姉が立ち上がり、鞄を持ってはこんな事を言ったのだ。

「鴨志田君も今日の準備は終わったみたいね。帰りましょうか」

「ね、ねぇ! お姉ちゃん……もしかして……」

「うん? 先程のメール? 鴨志田君からよ。皆で偶には帰るのも良いでしょ?」

「…………」

姉は私にその気持ちを少しでも吐露してくれたのは嬉しい。私が子供過ぎたから、姉を分かってやれなかったという気持ちも生まれていた。
しかしそれ以上に今、心を支配している感情がある。それは、鴨志田君を姉に奪われないかといった黒い感情だ。

「……お姉ちゃん、鴨志田君のこと……好きなの?」

私がついそんな事をぽつりと漏らすと、姉は>>308

「あらあんな所に、でっかいUFOの母船が」と誤魔化す。

私がついそんな事をぽつりと漏らすと、姉は「あらあんな所に、でっかいUFOの母船が」と誤魔化す。
私がそんなの無いからと窓の方を向けば、何故か本当にUFOっぽいそれが校庭に転がっている。
何故にと驚く中、姉は気づけばその場から姿を消してしまうのだった。そのUFOが見事に作り物だと認識した際に思うのだ。逃げられた、と――。

―― 姉は確かに優秀だ。私には無いものを持っていて、それもまた才能の一種だと言える。
そして私には絵がある。それくらいしか誇れるものは無いけれど、それで鴨志田君を射止める事は可能の筈なのだ。

それに、彼にはライバルが多い。何気に水無月久遠も彼を好いている気配がするし、更に厄介なのがあのメイド。
片桐愛莉、彼女こそが私にとっての最大の障害と言ってもいいだろう。そして、最大のライバルは姉でもなく、日和見萌。

「敵が、多すぎる……」

気付けば彼女達が消えていくというストーリーを描いていた私は、ふと我に返りそれを読み返しては、ゴミ箱に放り込むのである。
何をしているんだと、自室に篭っていた私はそこで廊下へ出ては、鴨志田君の部屋の前までたどり着いてしまう。
中からあのメイドと会話をする鴨志田君の声がする。そう、アレが現れてから、私は思うようにこの部屋を訪れられなかった。

しかし今日こそは、と、彼の部屋をノックする。

「……私とお嬢様の愛し合うひと時を邪魔するお方は誰ですか?」

「……あの、私……だけど」

「あぁ、長谷川の妹様ですね。何用でしょう? え、中に入れろと? ですがお嬢様! 私全裸なのですよ!?」

「……や、やっぱり、いいから……!」

「あ、お嬢様、やっぱり帰るそうです。え? 連れ戻せ? ですがお嬢様、私全裸なのですよ!?」

「ごめんなさい、私戻るね。……おやすみなさい」

そうして、自室に戻るのである。今日は結局まともに話が出来なかったと、ベッドに寝転がっては枕を抱えてしまうのだった。
あのメイドが居なければ、私はもっと彼とお話が出来る。そして他のライバルが居なければ、鴨志田君はもしかすると私と……。

皆、居なくなればいいのに。と、薄らと思うようになっていた私は、翌日から行動パターンを変えてしまっていた。

朝起きる、出来るだけ早く起きては支度を済ませ、時間を余らせる。午後六時半、まだ彼は眠っている頃だろう。
だが、メイドは起き上がり率先して朝食の準備を始める時間なのだ。それを見計らい、彼の部屋へ侵入して……>>310

寝過ぎて午後六時半なのに気づいた

朝起きる、出来るだけ早く起きては支度を済ませ、時間を余らせる。午後六時半、まだ彼は眠っている頃だろう。
だが、メイドは起き上がり率先して朝食の準備を始める時間なのだ。それを見計らい、彼の部屋へ侵入して……寝過ぎて午後六時半なのに気づいた。

あれ、と、ぽつんと部屋の中で立ち竦んでしまっていた。何でこんな時間に起きているんだろう。
今日も学校があった筈なのに、登校せずにずっと眠ってしまっていた?

それだけではない。寝間着なのかと思えば、何故か私服を着込んでおり、どこかへ出かけるような格好をしている。
どうなっているのだとその部屋にあった立て鏡を見れば、ほんのりリップを塗っていたり、軽めにファンデを付けていたりとしているのだ。
訳が分からないと、呆然としていればその部屋の扉が開き、先にその主が戻ってくるのであった。

「あれ? どうしたんだお前、俺の部屋で……。出掛けるのか?」

「……鴨志田君……」

「ど、どうしたんだよおい、ちょっと様子が変だぞ……!?」

「私、おかしいのかもしれない……」

「おかしい? 具合でも悪いのか!?」

「ううん、……でも、悪いのかもしれない。それすら、分かんない……」

「と、とりあえず寝たほうが良いんじゃないのか? ちょっと熱でも測って……」

「……一つ、お願い、聞いて……」

彼は、やはり女の子として、女子の制服を纏って帰寮した。そして、私の様子を見ておかしいと感じてくれたのだろう。
今では私の傍で熱を測ろうとして、手を伸ばしたそれを掴んでは、彼の瞳をじっと見るのだ。

その一言は、普段の私からは恐らく出ないであろう言葉。しかし、それを私はあっさりと彼に伝えられてしまう。
自分が自分じゃないような感覚がどこかにあった。今まではまだ悪戯心があったものだが、今回だけは本当に違う。
彼を逃さないといった感情が渦巻いていた。彼の手を握り、力を強めて私は言ってしまっていた。

「……今日、一晩、一緒に居て……」


―――― つづきます

>>309が午後になってたのでそのまま使っちゃった
乙!

らすとですっていつも付けてたの忘れてました、ごめんなさい。
ちょっと短めになりましたが、お付き合いありがとうございましたー。

【06/16 (日) 00:06時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/16 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第十二話 『その学園祭、時々爆発する』

日曜はたぶん3時間頑張れますべっちょり。

>>312
み、見なかったことにして!?

そろそろ時間なのでーって事で……腰が痛い!!
寝て起きて腰が痛くて買い物にも行けなくて一日寝たきり生活! いーやーだー!!

そんな訳でもう暫くお待ち下さい。

あ、いつものは>>283で代用しますん

~~~ 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 第十二話 ~~~

密室である。そこで殺人事件が起きてしまえば、その謎は果たして解けるのかと言った具合に密室なのである。
その教室は誰も使われておらず、用具室となっていたのだが、最早使い捨てにされたような場所。
そこである意味閉じ込められた形になった為、仕方なく転がっていた机を立てて椅子代わりに使っている。

「……で、だな」

一つ咳をしては、目の前でお尻を揺らしては何かを漁っている様子の少女に声を掛ける。
最近様子のおかしい長谷川儚である。妙にべっとりくっついてくる時もあり、トイレの中にまで押しかけようとするこの異常な具合。
そんな彼女のせいでこの密室が生まれたとも言えるのだが、この様子に彼女は一切動じない。

「うぅー……取れない……」

「……そのダンボールを取ってどうするんだ?」

「中に如何わしいものがあるかもしれないと思って」

「んなもんあるか!! ……日和見がもう直ぐ来てくれるってさ」

「日和見さん、もういないよ?」

「いや、いるから! 普通に今日も学校来てるから!」

「……チッ」

「い、今、舌打ちしましたね? しましたね!?」

彼女は以前、様子が変だと自分から訴えかけてきた事がある。確かに具合が少し悪そうだとも思ったのだが、
いざ彼女の部屋で一晩様子を見てやろうと向かえば、そこで>>319なんて事が起きたのも記憶に新しかった。

衣装がポロリ

彼女は以前、様子が変だと自分から訴えかけてきた事がある。確かに具合が少し悪そうだとも思ったのだが、
いざ彼女の部屋で一晩様子を見てやろうと向かえば、そこで衣装がポロリなんて事が起きたのも記憶に新しかった。
彼女の着ていた私服がぽろり、するっと脱げ落ちた。しかも下着なんて履いていない、産まれたままの姿である。

「うんしょ、うんしょ……」

未だに無駄な努力を続ける儚を見て思い返す。あの時、自分から脱いだのではと思えるほど自然と脱げた服。
そして、全裸のまま俺に倒れるようにもたれ掛かっては、虚ろな瞳でこちらを眺めるのだ。
これを、もう一人の人格はこう説明している。これはもう、完全にヤンデレていると。

(で、どうするつもりよ?)

「どうって……言われても」

(何なら、私が出て行って、彼女を社会的に抹殺してあげてもいいわ!)

「いやいや、それはダメだろ! せめて元の儚に戻ってくれれば……」

「ん……呼んだ?」

「い、いや呼んでない呼んでない! 気のせいじゃないかなーははは」

彼女はそこで如何わしい道具探しを諦めたのか、俺の隣にちょこんと座るのである。
一人分の机に二人乗り掛かっている為、地味にバランスが取れないでいた中で、
彼女はそっと俺の腕を組む形で回し、そして小さく笑っては脚をゆらゆらと動かしていた。

(……今、アンタ、ちょっと可愛いとか思わなかった?)

「思ってない思ってない! 思うわけ無いだろう!?」

「……また別の人格さん……奏って人とお話してるの?」

既に事情を知っている儚は、俺のもう一人の人格、奏について触れてくる。
ちなみに奏もまた、儚を嫌っており、最大の敵だと主張は一切変わっていないらしい。

しかしこの場はどう潜り抜けたものだろうか。儚に顔を覗き込まれた俺は……>>321

どんどん体が石になってゆく

>>321
メデューサ!?

しかしこの場はどう潜り抜けたものだろうか。儚に顔を覗き込まれた俺は……どんどん体が石になってゆく。
バランスを無理に取ろうとした反動だろうか、彼女に熱っぽく眺められてしまっているせいなのだろうか。
動けない。指先も、爪先も、脚も次第に動かせなくなっていく。というか、本当に先のほうから石化しているのは気のせいだろうか。

「ねぇ……、鴨志田君……、私……」

「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待ってくれ! なんかほんとに身体が石みたいに!!」

「私……欲しいの……」

「欲しいって何が!? その前にほんとにだんだん身体が石に!!」

「鴨志田君が傍にいるだけじゃ、私……」

「お、落ち着け! っていうか聞いてくれ!! 頼むから!!」

「傍に居て欲しい……ずっと、ずっとって……」

「だぁぁぁぁ、分かったから! 分かったから俺を何とかしてくれぇぇぇぇ!!」

「……ほんと?」

彼女はそこで机から飛び降りては、俺に向き直って顔を近づけてくるのだ。
それよりも石化を何とか、と思っていたのだが、今ではすっかり手足も動き、自由となっていた。
あれ、と首を傾げるのだが、儚は何事もなかったかのように俺の手を掴む。

「じゃあ、ずっと居てくれるんだ……? ずっと、隣に」

「へ? あ、いや、その……」

「……居てくれるんでしょ?」

俺の手を握る彼女の握力が強まり、ぎゅっと……握りつぶされそうになる。
何でこんなに握力が強いんだと、痛みに堪えながらも俺は……>>324

ためしに隠し持っていたリンゴを握らせるとあっという間にジュースに

儚の後ろの渦々しい悪霊のようなオーラを感じとった

俺の手を握る彼女の握力が強まり、ぎゅっと……握りつぶされそうになる。
何でこんなに握力が強いんだと、痛みに堪えながらも俺は……ためしに隠し持っていたリンゴを握らせるとあっという間にジュースに。

「ふえぇぇ……」

「ど、どうして林檎が……、粉々に……?」

「……奏、ちょっとこれをどう思うか解釈を頼んだ」

(どうして私に振るのよ!? い、いや、私もびっくりしてるんだけど……)

「……大宇宙の意思か、意思だから石にしてきたとかいうオチか!?」

(彼女、握力だけじゃないかもしれないわ。例えば私みたいに……恩恵を受けていたとすれば)

「恩恵? あの超身体能力のコトか? 確かに俺の人格の時はこの身体、普通なんだが……」

(可能性は高いわね。そうして……異能まで生まれたとか。例えばそう……邪眼!!)

「いや、邪眼て……、その幻想をぶち殺したいレベルじゃないっすか……」

「ね、ねぇ、何の話をしているの……?」

儚が流石について来れなくなったのだろう、林檎が握りつぶされ、掌を汁塗れにしながらそう伝えてくる。
しかし、これは逆に言えば、今の彼女ならあっさり扉を打ち敗れる可能性があったりするのだ。
それはまぁ、奏にも言えなくもない話なのだが、元に戻ったとき身体が痛くなる為避けていたりもした。

「儚、ちょっと……あの扉、蹴り破ってくれるか?」

「出来るわけないよ……」

「いいから、いいから。今のお前なら多分出来るハズ!!」

「……じゃあ……えいっ!」

ドン、と音がした。流石は林檎すらあっさり握りつぶしてしまう力の持ち主……って、どうしてこうなっているんだろう。
儚はどういう訳か、奏のような特異体質となっており、更に言えば蹴破られた扉に押し潰されるように、日和見が倒れていた。
それを見て儚、微笑し……「>>327」と言っているのだからますます恐ろしいのである。

私、大長編バトル漫画が描きたい…

ドン、と音がした。流石は林檎すらあっさり握りつぶしてしまう力の持ち主……って、どうしてこうなっているんだろう。
儚はどういう訳か、奏のような特異体質となっており、更に言えば蹴破られた扉に押し潰されるように、日和見が倒れていた。
それを見て儚、微笑し……「私、大長編バトル漫画が描きたい…」と言っているのだからますます恐ろしいのである。

この人は果たして何処へ向かっているのかと、日和見を抱き起こしつつ思うのだった。
そんな日和見は、扉が吹っ飛びそれをもろに受けてしまったらしい。鼻血を垂らしながら何事かと文句を言うのだ。

「も、もぉ、鼻が痛くて折れそうだよ!?」

「悪い、というか来てくれたんだな……」

「鍵も貰って、やっとーって時に、鍵を開けようとしたらドンッ、だよ!? はぁ、びっくりして鼻が痛ぃ」

「保健室まで連れて行こうか?」

「う、うん、お願い。ちょっと一人じゃ立てなさそう……」

「ねぇ、鴨志田君。……私と一緒に居るって約束だよ?」

「そ、それは……、……分かった……」

「ちょ、ちょっと、響!? ねぇ、何処行くの! 置いてけぼり!? ねぇってばぁぁ!!」

何だろう、この不思議な感覚は、と、彼女の隣に並び歩いては思う。何だかふわふわしていて、心地良いような。
一瞬、彼女の視線に射抜かれたような感覚となった俺は、最早無言となっては儚と二人きりになれる場所を探している。
明日は学園祭で最後の準備もあるというのに、何をしているのだろうと思っている筈なのに、身体が思うように動けない。

(……ちょっと、変わりなさい)

「…………」

(あー、もう、これだからヘタレは……。強引に表に出るわよ!?)

直後、感覚が遠退いた。そして表に出た形となる奏は、儚に振り向いては……>>329

「この女ポパイ!」

儚の能力の一部を人形に変えた

直後、感覚が遠退いた。そして表に出た形となる奏は、儚に振り向いては……「この女ポパイ!」と叫ぶのだ。
周囲の学園祭に向けて準備をしていた生徒達が振り向く。そして儚もまた立ち止まっては、何事かといった様子でこちらを向いている。

「皆、聞いてぇ~! この人ポパイ女なんですぅ~!!」

「え、なになに? ポパイ?」

「なんだっけ、ほうれん草を食べて~ってやつ?」

「あの隣に居る子って、確か長谷川さんよね。何でポパイなの?」

そうして皆が儚に視線を向け、彼女もまた戸惑う中、奏はどうするのかと眺めていれば、なんと逃げ出しているのである。
とにかく逃げるのが大好きな彼女、これではただのいたずらっ子ではないかと嘆くのだ。

(おい、何してんだよお前)

「全力疾走よ。今日も走っちゃったわ、やれやれっと」

(やれやれじゃねえ! 儚、アレどうすんだよ!)

「アレで暫く、といっても十分ちょっとしか持たないだろうけど、身動きは取れないでしょ?
 その間にちょっと話して置いたほうが良いと思うことがあるの」

(話? なんだそれは)

「あの、二人きりで夜を明かした日、儚が寝たからって、アンタも途中で寝ちゃったでしょ?」

(ん、そういえば……そうだな)

「……キスの影響ね。間違いないわ!」

(うん? キス? そんなの、俺は……)

奏と名付けられた彼女は言う。あの時、安心して俺が眠ってしまった後、彼女はぱちりと目を覚ましたらしい。
そして、俺の頬や肌を撫で回した後、随分深い口付けを交わしたそうで、奏が無理に表に出てはそれを止めたらしいのだ。

つまり、あの異能的な身体能力の類は、この特異体質でもある身体とのキスによって伝染したのではないかと説明する。
ではどうするのかと、俺が尋ねてみれば……>>332

3日後には完全に消えるが、一人だけ新たな能力に目覚めるらしい

つまり、あの異能的な身体能力の類は、この特異体質でもある身体とのキスによって伝染したのではないかと説明する。
ではどうするのかと、俺が尋ねてみれば……3日後には完全に消えるが、一人だけ新たな能力に目覚めるらしい。

(いや、それ、何の話だ?)

「要するに、暫く様子見ってコト。そして彼女には出来るだけ関わらない。……抹殺してあげてもいいんだけど」

(それはダメだ、ダメだぞ!?)

「分かってるわよ。だから暫くこの身体は私が使うわ。極力接触を避けなきゃ」

(……それしか、ないか)

「後もう一つ。……あの子も、別人格があるのかもしれない。それだけは教えておくわ」

(別人格? ……そんなの、流石にないだろう。見たことも無い)

「或いはキスされた際に生まれたって可能性もあるし、なんとも言えないけれど……。
 ……ううん、これは憶測なんだけどね」

(ん、何の話だ?)

「もし、彼女自身本当に能力者だとして、それが眠っていたと仮定する。しかしそんなの人間じゃないって普通思うわね。
 ではそこで、彼女が宇宙人或いは宇宙人の血を引いた者だとすればどうかって話」

(……それだと、儚も、そしてあのバカ宇宙人も本当にって話になるぞ……?)

「ま、あくまで憶測だから。……って言っている間にも、この気、彼女ね」

(気!? 気って何だよ!?)

「今は三階のB棟ね。とりあえず>>334に隠れてみるわ」

掃除用具のロッカー

清掃用具入れ

「今は三階のB棟ね。とりあえず掃除用具のロッカーに隠れてみるわ」

(掃除用具って、臭いじゃないか!)

「あー、アンタも一応臭い分かっちゃうのね。でも我慢しなさい、今の儚とまともに戦えば、地球は滅んでしまうの!」

(……壮大すぎるだろ、おい)

そうして俺の身体を使用している奏は、そのまま教室に逃げ込みロッカーに隠れるのであった。
誰にも気付かれずに侵入出来たと安堵するのだが、何故気付かれない必要もあったのかと疑問が生まれる中、
その教室に慌てて駆け込む形になったのだろう、儚が現れては俺の名を呼んでいる。

「鴨志田君、鴨志田君!? 居るのは分かってるの。……出てきて」

(……何アレ、ちょっと怖いんだが)

「流石は宇宙最強のヤンデレね。しかしこの私も地球代表として、今は外に出るわけにはいかないわ」

(地球代表とかもう意味分からんのだが)

「鴨志田君~、ねぇ、出てきて……。さもないと、私……」

恐らく、その教室に居る生徒たちは唖然としているのだろう、妙に静寂となっている。
その中で儚の声だけが響くものだから、俺も奏も固唾を呑んでは様子を見守るのだった。
しかしそこに、思っても居なかった声が聞こえてくるのだった。

「あれ、儚さんじゃない。どうしたの、私のクラスにまで来て」

「え、あ……そっか、此処って水無月さんの……」

「さては、例の決着を……って訳でも無いのよね。って、丁度良かったわ! お願いしたい事があるんだけど!」

「で、でも今私、忙しくて……!」

「貴女にしか出来ない事だと思う。……学園祭のポスター、今から数時間で仕上げて!!」

水無月久遠の助け舟、それは長谷川儚にとっては無茶振りとも言えるような事だろう。
どうやら、当日用のポスターデータを印刷しようとしたのだがそのデータが行方不明となり、急遽製作したいそうなのだ。
それを聞いた儚は、水無月の強引な押しによって頷いた様子であり、それを聞いた奏は……>>336

数秒でイメージし、数分で書き上げてしまった

水無月久遠の助け舟、それは長谷川儚にとっては無茶振りとも言えるような事だろう。
どうやら、当日用のポスターデータを印刷しようとしたのだがそのデータが行方不明となり、急遽製作したいそうなのだ。
それを聞いた儚は、水無月の強引な押しによって頷いた様子であり、それを聞いた奏は……数秒でイメージし、数分で書き上げてしまった。

(一つ聞いていいか、奏)

「何よ、それより見てこの自信作。完璧じゃない?」

(なんでお前が描いてんの?)

「……隠れてる間、ヒマだからよ?」

(言っておくけど、お前あんま上手くないからな)

「じゃ、じゃあアンタなら上手く描けるっていうの!? やってみせなさいよ!!」

そうして、無理に表に出された形になった俺は、やはり数秒でイメージ、数分で描いては思う。
やはり基本は奏と俺は表裏一体であり、似たような物が、似たようなレベルで生まれてしまう事を悟るのであった。
そもそも発想が何故、今年の学園祭は地球が崩壊する程の規模、というモノになっているのだろう。

「……アレだ、アレ、大人しく引っ込んでるわ」

(そうしなさい。さっさと変わりなさいよね!)

「へいへい……」

そうして再び俺と奏が入れ替わる。しかし、身体能力には差が生まれるのに、イメージ能力や表現能力はどうして同レベルなのか。
不思議なもんだと隅に追いやられてはのんびりと考えている中、奏が何やら異変に気付くのだ。

「変ね。声がしなくなってる……」

(誰も居なくなったのか?)

「かもしれない。……ロッカーから出てみるわね。そぉっと……」

そうして、掃除用具のロッカーから奏が恐る恐る顔を出してみると……>>339

お誕生日おめでとうと叫ばれてクラッカーが鳴り響いた。

天井から金ダライが

>>340
コントかよ!

そうして、掃除用具のロッカーから奏が恐る恐る顔を出してみると……お誕生日おめでとうと叫ばれてクラッカーが鳴り響いた。
誕生日? そういやそんなのあったっけ、と思い返す中、奏が俺に語りかけてくるのだ。

「アンタ、今日だったの?」

(男の中の男は誕生日なんて知らないものだ!)

「いや、それくらい覚えておきなさいよ……。何だか凄いやりづらいんだけど」

(つーか、何でか知らないがバレてるな、これ)

「ええ、おまけに彼女まで居るわ、どういう事なのよこれ」

奏の言う彼女、それは彼女にとっても危険人物中の危険人物である、長谷川夢。
大方彼女が仕組んだのだろうと思うのだが、それにしては短時間で用意が周到すぎる。
ともあれ、彼女が先頭に立ってはバースデーケーキを差し出すものだから、奏もまた仕方ないといった雰囲気となっていた。

「さぁ、火を消して」

「……消すだけでいいのね?」

「あら、今日は奏の方なのね。まぁそれでも、肉体が産まれた日には変わりはないわ。さぁ」

「それじゃ、お言葉に甘えて……」

何がどうなってるのやらと、奏が蝋燭の火を消す間、彼女の視線を借りて儚を見るのである。
隅の方でこちらを伺いながら、必死にポスター作りに励んでいる様子であった。
そうして作業に没頭する彼女は、普段通りに見えるのだが……と思っていると、夢がわざと囁くようにこう言った。

「今晩、相談したいことがあるの。勿論奏、貴女にもよ。……場所は例の喫茶店で」

―― UFOが眠る喫茶店、となっているそこで、随分珍しく固い様子で長谷川夢は俺と奏を待っていた。
ケーキをさっさと食べ終え、そして逃げるようにその場から退散した後、暇をつぶしてからその場所へ伺うことになる。

「……早速だけど、本題に入っていいかしら」

そして、注文をと奏が口にしようとした途端、割り込むように言葉を挟む長谷川夢は、
妹の様子について詳しく聞かせて欲しいと言う物だから、奏が素直に事情を話してみると……>>343

冷や汗たらたら

怪力に驚かされた

そして、注文をと奏が口にしようとした途端、割り込むように言葉を挟む長谷川夢は、
妹の様子について詳しく聞かせて欲しいと言う物だから、奏が素直に事情を話してみると……冷や汗たらたらなのだ。
無駄に水を飲む勢いが増した彼女は、暫く間を取っては、改めて俺達に問う。

「……本当に、そんな異能が、儚に……?」

「そうね、そもそも私のこの身体がおかしなモノなの。だからそれが伝染したと考えるか、或いは……」

「いいえ、ここは私も宇宙人説を推すわ!!」

「あのね、アンタも分かってるんでしょ? 自分は本当は人間だって。それでもあえて宇宙人だって言い張ってるだけって」

「……それの何処が悪いのかしら」

「けど、その可能性が覆されそうになっている。それが大宇宙の意思に基づくものなのかは私にも分からない。でも、恐らくそれは一時のものよ?」

「それでも、羨ましいじゃない……。ますます私の妹を嫉妬したくなるわ」

「で、それを聞いたお姉さんはどうしたい訳?」

「……それ以前に、私自身、響に聞きたいことがあるわ。彼を出せないのなら、そのまま聞いて」

グラスに入った残りの水を一気に飲み干した彼女は、俺に、そして奏に言ったのだ……。

―― 学園祭初日、流石の賑わいを見せる開成学園では、各々の出し物であちらこちらに多数の人が見受けられた。
今年もまた盛大だと思う中、奏はこの学園祭を始めて見た事になる。随分盛り上がってしまっていた。

「ね、ねぇ! これが学園祭!? というかパレードみたいじゃない!!」

(しかし、蓋を開ければどれも大したことないぞ、所詮学生の出し物だ)

「でも! あのたこ焼き美味しそうだし、あのイカ焼きだって美味しそうだし、それにあそこの焼きソバだって!」

(どれも食べ物じゃねーか……頼むから俺の身体を太らせないでくれよ? そして、今晩決着を付けるんだ)

「……私はせめてもう暫く日にちを置いてからと思うけど、アンタがそう言うのなら、止めないわ。
 で、それよりも……アレ、>>346って書いてるけど、行ってみてもいい?」

クレイプ

お化け屋敷クラブ

レーザーアート

>>346
これは太る!

「……私はせめてもう暫く日にちを置いてからと思うけど、アンタがそう言うのなら、止めないわ。
 で、それよりも……アレ、クレイプって書いてるけど、行ってみてもいい?」

(クレープ? おいやめろ、太るじゃないか! って……クレイプ?)

「行ってみれば分かるわよ! じゃあ、行くわよぉ!」

(なんでこんなに気合入ってんの、こいつ……)

そのクレープ屋かと思われたクレイプ屋。確かにクレープのような食べ物を扱ってはいたのだが、
何故かグレイブとクレープを混ぜたものを販売しており、槍のような食べ物がずらっと並んでいるのだった。
これに奏は大はしゃぎ、俺は呆れてモノが言えなくなってしまっていたのである。

挙句にその露店を出しているのが日和見のクラスなものだから、余計に何も言えない状態であった。

「あ、いらっしゃーい! ん、この雰囲気……今日は奏っち?」

「そうよ、今日は私。……クレイプちょうだい!」

「はい、一つ1000円ねー」

「……た、高すぎない? 響も怒ってるわよ?」

「この形、槍そのものにクレープを作る作業、大変だったんだよ? だからこそのこのお値段!
 ちなみに、裏ではクレイプ作りの現場が見れるようになってるの!」

「……折角だから見てみようって事になったわ。案内してくれる?」

「おっけー。じゃあ、こっちこっち!」

そうして日和見に連れ出された俺達が見たものは、>>351というクレイプ作りの現場であった。

レイプ天国

そうして日和見に連れ出された俺達が見たものは、レイプ天国というクレイプ作りの現場であった。
生地がマワされている。色んな男達に触れられ、触られ、捻られ踏まれ、挙句にぐっと伸ばされては生地が悲鳴をあげそうな勢いだ。

「おらぁ、おらおらぁ! 此処がいいんだろ、ほら、もっと鳴けよ、おらぁ!!」

「……ってカンジでさ」

「これは私でも引くわ……。……ごめん、食べる気が失せちゃった」

「やっぱり? んー……200円にまけておくから、買わない?」

「……売れてないのね、それ」

「このままじゃ大赤字なんだもん! ど、どうしよう……」

そうして赤字に頭を悩ませる日和見に、ギリギリ頑張っての五百円を支払いクレイプを購入。
そして早速奏が一口と食べてしまうのだが、口の中にほんのり甘酸っぱい……汗臭いような何かが広がった。
甘いクリームの中から妙な酸味。それがあのレイプ会場の汗の結晶とするのならば、やはり気持ちが悪いと、無理に喉奥に押し込むのだった。

そうしてクレイプ屋を去り、様々な場所を練り歩く。基本的にクラスの出し物がメインなのが今日であり、
明日は部活動メインの出し物が、そして最終日はイベントステージがメインとなっている。
その中で、携帯でメールを打って貰いつつも、俺は奏に感想を尋ねていた。

(で、ぶっちゃけどうなんだ、学園祭)

「う、うん、蓋を開けてみればなんとやらね。……見た目は楽しそうだったり、美味しそうなのに……」

(実際お化け屋敷は玩具のお化けで、巨大迷路はただの一方通行迷路だったりしたしな)

「挙句にお好み焼きの中に鶏肉を入れるとか、ちょっと我慢ならないわ!」

(それは別に悪くないような、そうでもないような……)

そうして歩き回る中、学園祭当日用に用いられたポスターを目にする事になる。
ちなみにそれは、>>353というテーマなのだろう、そんな絵が描かれていた。

矛盾

宇宙大戦争

そうして歩き回る中、学園祭当日用に用いられたポスターを目にする事になる。
ちなみにそれは、矛盾というテーマなのだろう、そんな絵が描かれていた。

モデルとなった少年少女、その二人が思い描くものが学園祭となっているようなのだが、
学園祭を否定しているようにも見えるし、少年が少女を否定しているようにも、その逆のようにも見える。
その妙な構図をした絵に、奏は暫く眺め入るのであった。

(どうした、奏)

「ううん、何でも。……それより、時折爆発音がするけれど、アレは何?」

(ああ、それも開成学園の恒例らしい。発破音をさせて盛り上げてるんだとさ)

「それならいっそ、花火でも打ち上げて欲しいわね。……で、もう直ぐ夕暮れ時だけど?」

(じゃあそろそろ入れ替わってくれ。バカ宇宙人との約束もあるしな)

奏に暫く学園祭を満喫して貰い、彼女もある程度満足したのだろう。思ったよりもすんなり入れ替わりは済んでしまう。
そうして改めて表へ出ては空気を吸う。この時の初めての呼吸はいつも随分新鮮に感じてしまうのだ。

「さて、時間も時間だし……屋上、行くか」

(言っておくけど、以前のようなことになったら、私がまた表へ出るからね!?)

「わーってるって。……俺も男の中の男として、踏ん切り付けないとな」

(ほんと、大丈夫なのかしら、このヘタレ)

先日、長谷川夢に聞かれた内容、それは儚のことを、実際にはどう思っているのかといった話であった。
その際、上手く言葉に出来ないでいた俺に、彼女は言う。それならば、いっそ振ってあげて欲しいと。

彼女は、俺のことを好いてくれている。薄々と感じてはいたのだが、今の関係が心地良くて分からなくなっていた。
今の寮の皆と、そして儚と、好き勝手に過ごす日々が楽しく、それで曖昧にしてしまっていたせいで、彼女はいよいよ壊れる寸前なのではないかと、夢は語る。

その学園祭初日の屋上、そこに儚は楽しそうに過ごす生徒達を眺めて風を浴びていた。
そう、俺はこの日、この時、彼女にこう言うのだ。>>356と。

あっ流れ星

その学園祭初日の屋上、そこに儚は楽しそうに過ごす生徒達を眺めて風を浴びていた。
そう、俺はこの日、この時、彼女にこう言うのだ。あっ流れ星と。

実際に言ってみればこれが不思議なものである。本当に流れ星が薄暗くなった夕闇に流れていくのであった。
これも大宇宙の意思絡みで起こした奇跡なのかと感じる中、儚がその星を妙に切なそうに見入るのだった。

「……流れ星って、一瞬しか見られないんだよね」

「まぁ、そりゃそういうものだしな……」

「私も、言ってしまえば流れ星みたいなものだったのかもしれない……」

「何を言ってるんだよ。そんな事ないだろ」

「私、儚って名前が実は嫌いなの。……夢が消えてしまう、そんな気がしてしまうから」

彼女はずっと空を見上げたまま、こちらに振り向いてはくれなかった。それは本当にどこかへ儚く消えてしまいそうな印象で。
風が強くなり、髪がふわりと揺れる中、やはり決意が揺らいでしまう。彼女を振る事が出来るのかと。
そもそも、俺は誰が好きなんだろう。そう考えた時、やはり一番に出てくるのは……今では、目の前に居る彼女なのかもしれない。

日和見に片思いをしていた気持ちも、次第に薄れていったのは、思えば彼女が目の前に現れてからなのかもしれない。
次第に馴れ合う日々が続くことになる内に、変わった女だと思いながらも、彼女をずっと見続けてしまっていた。

「なぁ、儚……」

「……うん」

しかし、環境が変わったりとしていく中で、次第に彼女と仲が深まるにつれて、気付けばそれは好意に変わっていたのかもしれない。
夢は言っていた。その気が無ければ振ってあげて欲しいと。そしてやはり、これ以上曖昧なのは止めようと、一つ息を吐いた。

「聞いて欲しい事があるんだ……」

「……うん」

俺は叫んだ。彼女に>>358と。

結婚を前提にお付き合いをしてください

俺は叫んだ。彼女に結婚を前提にお付き合いをしてくださいと。
しかし、彼女は空を眺めたまま言ったのだ。それは、男の俺としてなのか、女の俺としてなのか。
貴女はどう生きていくの、と言われたとき、頭の中が真っ白となってしまったのだ。

「……矛盾って、モチーフはやっぱり鴨志田君なんだ」

「俺が、矛盾してるって……?」

「……私も、鴨志田君の事は好き。大好き……。今、凄く嬉しくて仕方が無いくらい。
 でも、鴨志田君はどちらの鴨志田君のままで居たいのか、私はそれが知りたいの」

俺が男に戻るには、それは多大な努力が必要なのかもしれない。そして、中に居る俺のもう一人の人格、奏を否定することになる。
そして、女のまま生きるのはまだ簡単かもしれない。しかし、世間的に結婚は認められず、大っぴらには明かせないだろう。
どちらの道を歩んでもそれはどちらも現実が突きつけられる形になる。儚は、それを言っている。

「私、思ったんだ。一人善がりだったって、凄く我侭で、振り回してたんだって。
 だけど一時抑えられなくて、それが爆発して、それで鴨志田君に迷惑掛けて……」

「……そんな事は……」

「あったの。そう、認めて欲しいの。……それでも、私は……」

彼女はそこで、改めて俺のほうに向き直っては歩み寄る。生徒達のざわめきが消え失せたかのように感じてしまう。
一歩、一歩、彼女が歩み寄り、そして俺の手を優しく取っては目をじっと眺めてくるのだ。

「それでも、私は……、どちらの鴨志田君も、好きです」

それは、果たして正解だったのだろうか。それは、果たして間違いだったのだろうか。
彼女を選んだことは正しかったのか、間違いだったのか、それは自分自身でも分からない。
しかし、己の気持ちに嘘は言えないと、俺は彼女に本心を曝け出し、彼女もまたそれを受け取ってくれたのだ。

だが、それは新たなる扉を叩いた瞬間なのかもしれない。そう、彼女と二人、この不可解な出来事の中でどう歩んでいくかという事を――。


――――― つづきます

ぼちぼち時間って事で切りもいいので終わりますー。
次で最終回って事にするつもりです。最後の安価次第でもありましたがー。

って事でお付き合いありがとうございましたー!

【06/16 (日) 23:45時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/22 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 タブン最終回 『その物語が完成するまで』

べっちょり。

おつー!

お疲れ様!


お前は誰だ 第9話 言葉がなぜ通じるかはスルーして

もう少々お待ちを

【登場人物】

木下蔵吉=信長にサルと間違われた不運の大学生。信長を探しに戦国時代へ

織田信長=自称・過去からやってきた六天大魔王だが、カレーに興味を持ち工場見学ではしゃぐ子供のようなおっさん。今度は神になったとか。

今川真子=主人公の同級生。常に巻尺を携帯してる。戦国時代へ訪問して今や立派な通。

大家=霊能者。ファッションが変なのだが、どんなんだったか書き手が忘れている。もういいや適当で。

正しい歴史研究会の部員=信長とケンカした。蔵吉とは仲直り。田中・H・太郎と命名される。

校医さん=女性、貧乳、オールドミス。

少々お待ちください。

大家は祈っていた。

戦国時代へとつながるどこでも○アこと時空の輪を出すための祈りだ。
大家のファッションはいつもより気合が入っている。
髪はキャバクラ嬢もびっくりの特盛りヘアー、レイバンのサングラス、鼻にはパーティグッズの鼻眼鏡用の赤鼻。口にはさん○の物まねの出っ歯。
そしてファッションはトレーナーの上に学ラン。下は羽織袴。

大家「きええええええええ。こんなん出ましたけど」

と目の前には時空の輪。

今川真子「ではいってらっしゃい」
田中・H・太郎「お気をつけて」
木下蔵吉「なんなんだこの格好は?この>>366みたいないでたちで、大丈夫なのか?」

西洋人

木下蔵吉「なんなんだこの格好は?この西洋人みたいないでたちで、大丈夫なのか?」

これにはいきさつがあった。演劇部から農民が良いといわれたのだが納得できず侍にこだわった。
そうしたら、演劇部部長が、侍でも農民でもない衣装はどうだと聞いてきたのだ。
俺は農民なんてかっこ悪いと思ったので、承諾した。

そしたらなんと戦国時代のバテレンの姿だった。

演劇部部長「髪の毛は染めてカッパハゲにしておきました」
蔵吉「余計なお世話だ」
真子「大丈夫、ちょっとハゲたぐらいで見捨てないから」
俺は頭にきて乱暴に十字を切ると光の輪の中へ飛び込んだ。

その瞬間くらぁと眩暈がして一瞬気を失った。

日差しがまぶしい。これは空気汚染がされていないせいだろうか。空はどこまでも深く深海よりも青かった。
どこかの農村に俺は降り立った。光の輪は小さなタバコの輪ほどの大きさになって中空に浮かんでいる。
蔵吉「帰りはあれを招きよせてくぐればいいか。ところでここはどこだろう」

空気がうまいのはいいのだが、肥溜めのにおいもかすかにしてくる。この時代はまだ肥料に人糞でも使っているのだろう。
肥溜めに落ちないように気を配りながら人の多そうな場所をカンを頼りに探してみる。

みつけた。ひとりの老人が小川で釣竿を垂れている。俺は話しかけた。
蔵吉「オー、ハロー、ココハ、ドコデスカ」
老人「>>368

木下蔵吉「なんなんだこの格好は?この西洋人みたいないでたちで、大丈夫なのか?」

これにはいきさつがあった。演劇部から農民が良いといわれたのだが納得できず侍にこだわった。
そうしたら、演劇部部長が、侍でも農民でもない衣装はどうだと聞いてきたのだ。
俺は農民なんてかっこ悪いと思ったので、承諾した。

そしたらなんと戦国時代のバテレンの姿だった。

演劇部部長「髪の毛は染めてカッパハゲにしておきました」
蔵吉「余計なお世話だ」
真子「大丈夫、ちょっとハゲたぐらいで見捨てないから」
俺は頭にきて乱暴に十字を切ると光の輪の中へ飛び込んだ。

その瞬間くらぁと眩暈がして一瞬気を失った。

日差しがまぶしい。これは空気汚染がされていないせいだろうか。空はどこまでも深く深海よりも青かった。
どこかの農村に俺は降り立った。光の輪は小さなタバコの輪ほどの大きさになって中空に浮かんでいる。
蔵吉「帰りはあれを招きよせてくぐればいいか。ところでここはどこだろう」

空気がうまいのはいいのだが、肥溜めのにおいもかすかにしてくる。この時代はまだ肥料に人糞でも使っているのだろう。
肥溜めに落ちないように気を配りながら人の多そうな場所をカンを頼りに探してみる。地面は凸凹で石も多く歩きづらいこと夥しい。

みつけた。ひとりの老人が小川で釣竿を垂れている。俺は話しかけた。
蔵吉「オー、ハロー、ココハ、ドコデスカ」
老人「>>368

ミスった。安価↓で。

I don't know.

老人「I don't know.」
俺は思わず尻餅をついた。なんでここの人は英語を知ってるんだろうと不思議だった。戦国時代に日本に来てるのはイスパニアとポルトガルのはずである。
確か学校ではそうならった。

蔵吉「オーソレハコマリマスネー」
老人「Don't worry about it.」

なんなんだここいらの住民は?俺は状況に面食らって立ち去った。
しばらく小道を歩いていると、なんと英語を復唱してる大きな建物があった。
『English寺子屋』
蔵吉「なんだこれは・・・」
俺はこっそり中を伺うと、小屋の中にはたくさんのちょん髷を結った生徒が教師に合わせて巻物を朗読してた。
その授業の中身はなんとなく知っていた。うちからいつの間にか無くなった英会話のテキストの中身まんまだったのだ。

蔵吉「さては信長が・・・」
これで一安心だ。ここはおそらく近江のどこかだろう。琵琶湖の近くだろうと思った。
あとはどうやって安土城の信長に接見するかだ・・・。

俺のアイディアは>>372である。

外国からの使者のふり

外国の使節に紛れ込むこと

俺のアイディアは外国からの使者のふりである。

その為には現在地を把握して、安土城に出向かねばならない。
さっきは老人に声をかけて失敗したので、若者に声をかけることにした。

授業の邪魔をしては困るので寺子屋から出て、適当な田畑をまわると、向こうから馬を連れた若者がやってきた。
あいつならここがどこか知っているだろう。

俺は馬を連れた若者に、なるべくフレンドリーに話しかけた。

蔵吉「Where am I?」
すると>>375

「何がうまいの?」と返された

「何がうまいの?」と返された

しまったー!どうやら英語の普及率はそれほどでもないらしい。
俺が当てが外れていると若者が続けて言った。
若者「この馬を競馬場に連れていくだ。しっしっ」
蔵吉「えっ?競馬」
若者「なんだ競馬も知らんのか。大方三河出身の田舎者だんべ」
そういえば競馬雑誌の最新号が行方不明になっていたのを思い出した。

蔵吉「信眺め、このままでは歴史がむちゃくちゃになってしまう」
気になったのでその馬の名前を念のために聞いてみた。
蔵吉「その馬の名前は?」
若者「デビュー前だけんど>>377と名づけただ」

おぐりふた

若者「デビュー前だけんどおぐりふたと名づけただ」
蔵吉「どっかで聞いたような名前だな。オグリフタ・・・・オグリキャップかよ!」
そういえば競馬雑誌には往年の名馬としてオグリキャップの特集が・・・。

いろいろ聞いたが若者はこの馬をつれて安土城下の天下一競馬大会にデビューさせようというつもりのようだ。
そこでお願いして同行させてもらうことにした。

若者「そりゃべつについてきてもよか」
蔵吉「サンキューおおきに」

日本語が滅茶苦茶だが気にしないことにした。一応相手には通じているっぽい。

若者「おっさんバテレンだべ。海外のこと詳しく知りたいなあ」
蔵吉「よしよし知ってることならなんでも教えてやる。何が聞きたい?」
若者「ヨーロッパの>>379

安価変更します。

若者「>>380

レスが吐かないので一旦ここで終了して、次回はこの安価の続きからにします。

協力してくれた方ありがとうございました。

吐かない→つかない。

【06/22 (土) 15:52時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/23 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 度々延期して申し訳ないのです

明日に延期のようです

度々延期しちゃってごめんなさい、なんて何回言ったのでしょう。
ともあれ、0時半くらいまでお付き合い下さいませー。

それではもう暫くお待ち下さい。

やっぱりいつものを>>283で代用(ry

~~~ 少女と絵本と宇宙人、時々エロ本 最終回 ~~~

学園祭も終わり、いよいよ十二月に入り、期末試験にも追われた日々はいよいよ解放され、
生徒達もそれぞれクリスマスの話題で持ちきりとなり、それぞれどう過ごすのか、話を交えている。

そうして、十二月にも入れば途端に冷え込み、屋上で時間を潰すにも厳しくなってくる時期。
今日もまた、屋上で一人のんびり過ごすのだが、ただのんびりと過ごすといった訳でもなく……。

「なぁ、奏」

もう一人、俺の中で眠る人格の少女。その彼女に問いかける。

(何よ、突然)

「……お前との付き合いも、二ヶ月になるのか」

(まぁ……それくらいよね)

そんな彼女と話をしている為、実質一人ではなく、二人というべきなのかもしれない。
しかし他人からみれば、それは独り言のように聞こえるだろう。気味が悪くも見えるそうな。

「それで、お前自身はどうしたいか、決まったか?」

(それはあんた次第。所詮私があんたの人格を消すなんてコト、出来ないから。……で、アンタは決まったの?)

「何となく、だな……」

(男に戻るのか、女のままで居るのか。……あの子の為に決心するんでしょ? さぁ、いっそ思い切って決めちゃいなさい)

長谷川儚、今では俺の恋人である彼女の為に、男に戻るべきか、女のままで居るべきか、あの日からずっと思い悩んでいた。
彼女もまた、俺が決めたコトならば従うような言葉をくれたものだが、彼女の本心は果たしてどうだろう。

そして、俺が男に戻れば恐らく奏は消えてしまう。だからこそ、彼女と二人きりで静かな場所で話をしたかった。
そんな彼女もまた、自分次第だと突き放してしまうが、それにはどこか以前とは違う温かさすら感じてしまう。

だからこそ、今日、俺は……>>386に戻る決心をする。

男の中の男

だからこそ、今日、俺は……男の中の男に戻る決心をする。

(そう、決めたのね)

「ああ、やっぱり俺は男に生まれて、男として生きないとダメだって思う。もう一度、思い描いた男の中の男を目指すんだ」

(本音はあの子との夜の――――)

「ええい、それに触れるな! 触れないでくれ!!」

(ま、何でもいいわ。あんたがそう決めたのならね。……短かったけれど)

「直ぐには消えないんだろう?」

(あんたの身体が戻れば、私も消える。それが何時になるか分からないけれど……、恐らくその決心は大宇宙の意思に届いてる筈。
 だからもう、明日には戻れるかもしれないわね)

彼女はそう淡々と俺の中で語りかけてはくるが、どこかやはり、物悲しく感じてしまうものだった。
短い間だが、彼女が突然表に現れては更に色々と起こったものである。人格が入れ替わり、儚と入れ違ったり、無駄にナンパして暴走したり、
挙句に学園祭で食べ歩き、二キロも太ってしまったり。基本的には散々だったものだ。だが……。

「……最後に、やりたい事はあるか?」

(私がやりたい事? そんなの賢い男の選別で)

「じゃなくってだな……、最後くらい、自由にこの身体、使ってもいいんだぞ?」

(そう、そんな事言ってくれるんだ。……じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかなー。でも、どうなっても知らないわよ?)

「……やっぱり程々にしておいてくれ」

俺の中のもう一つの人格は、最後にやりたい事といえば、やはり……>>388と言ってくるのであった。

イメージDVDの発売

俺の中のもう一つの人格は、最後にやりたい事といえば、やはり……イメージDVDの発売と言ってくるのであった。
作るだけでも一苦労なのに、誰が販売してくれるんだ。なんて思っていると、彼女は更にちょっとした提案を持ちかけたのだ。

鴨志田奏、でどうかしら。そんな名前をつけたのは、すくぅる☆がぁるずの同人サークルを束ねる形になった長谷川夢である。
彼女もまた、最近では妹の儚と良く一緒に居るようになり、以前のように宇宙や宇宙人に拘ることも少なくなっていた。
どうして彼女がそこまで宇宙的存在に入れ込んだのか、今となっては事情は分からないものである。

「つまり、私達に……その企画に協力しろと?」

「そうよ。未だに人気が高いこの私の最後なんだから、絶対売れるわ」

「うぅん、撮影自体は別に構わないわ。でも……思ったよりお金が掛かりそうね」

「何とかならない? その辺り」

「……ま、貴女の最後って言われれば、協力しない訳でもないわ。費用については私が面倒を見ましょう」

今では表の顔となり、長谷川夢に接触する奏は、なにやらあっさり話をまとめてしまっていた。
夢もまた、早々に機材を集めようと同じサークルのメンバーである高科羽未に連絡を入れている。
既に夕刻、一晩程度でそんなイメージDVDが完成するものなのだろうかと、俺は内心不安であった。

しかし、奏はどこか楽しそうでもあり、女となった身体とそして彼女の見納めだと思うと、それはそれで良いかもしれないと思えてしまうのだった。

―― 星見寮、そこで撮影は行われることになる。急遽という事で、撮影のカメラは市販のデジカメを使用することになった。
その後の映像のDVD化は夢が全て担当するらしいのだが、果たして大丈夫なものなのか。

「奏、どんな風に撮影していくか、流れを決めてくれたわね?」

「勿論よ。やっぱり、私を全面的に出すにはアレしかないわ!」

彼女の言うアレ、とは……>>390

バイオリンBGM

彼女の言うアレ、とは……バイオリンBGM。だが彼女、音楽しか決めていない。
しかも凄く曖昧であり、曲名も無し。そのイメージDVDでどう振舞うのかすら決めていない彼女に、夢は了承してしまう。

「分かったわ。……それじゃ、羽未、例のアレを」

「はいはいさー! にゅんにゅんにゅーんっと」

「ね、ねぇ、あんた達、何してるの……?」

「撮影の準備よ。音楽はきちんとバイオリンの曲を入れていくわ。全て生録りでいくわよ」

「で、何で寮の屋根にあの子、上っていってるの……?」

「そこが舞台だからよ。……この寮から見える星空は、不思議と映えて見えるから」

夢の言うとおりであり、この寮の立地が良いのか分からないが、此処から星空を眺めるには良いスポットとなっている。
今宵は晴天、星空も満面に輝く中、奏は屋根に上らされては撮影が行われることになる――。

―― 撮影もある程度終わり、コーヒーを啜る奏に俺は問いかける。果たしてあんな内容で良いのかと。
そうすると彼女は暫く無言で紙コップをくるくる回し、中のコーヒーを揺らすのだ。

「……良いのよ、私、実は何も考えていなかったから」

(おいおい。屋根でダンス踊ってるってどうなんだよ。しかもストリップ風に脱いでいくとか!)

「大丈夫よ、これ、水着だから」

(そういう問題じゃなくってだなぁ)

「それでも、こうして私が残るって……、ちょっと、嬉しいかもね」

今となっては寮の皆が集い、撮影が行われる中、その面々を見て奏はぽつりと漏らすのだった。
彼女の勘なのかは分からない。が、その日は直ぐそこまで来ているんだと、俺ですら感じてしまう。

そうして、後半の撮影が行われるのだが、それは何故か語りかけとなり、バイオリンBGMの中でのその内容はまるで……>>392

クラシック調にアレンジされた萌えアニメソングだった

そうして、後半の撮影が行われるのだが、それは何故か語りかけとなり、バイオリンBGMの中でのその内容はまるで……
クラシック調にアレンジされた萌えアニメソングだった。そして何故かアニメ的なトーンで語りかける奏。

「えへへぇ~、私、実は明日から遠いところへ旅立つんですぅ~。んーと、不思議な国とかそんな訳でもないんだけどぉ、
だからといって、外国って訳でもなくってぇ~、ちょっとそれは言えないんだけどぉ~」

彼女はそうして妙なテンションで語りかけていくのだが、果たしてこれは誰が見てくれるのであろうか。
終始そんなテンションで語りかけていく彼女は、その短かった思い出を、全て曝け出していく。

「時には、喧嘩したり、皆で遊んだり、楽しんだりもしたんだけど……やっぱり、寂しいのかもしれない。
 こうして皆とお別れするの、こんなに辛いなんて、知らなかったんだぁ~。だけど、今はちょっと清々しいの!」

寮の皆も、屋根で振舞う奏を見守る中、奏はそうして締めに入っていくのである。
短い間、俺の中に居た彼女。余り表には出なかったものの、その時の感覚を思い浮かべる奏の感情の流れを受けてしまうのだった。

「……みんな、ありがと! 私、こうして現れる事が出来て……凄く楽しかった! そして……さようなら」

―― その日、俺は夢を見た。余りにも奇怪な夢と言えば奇怪でもあった。果たして、幾つの夢を俺は見たのだろう。

そのひとつは、何故か俺が水無月久遠と一緒に居て、生徒会入りしては彼女にこき使われながらも、
やはりここで男女の選択を迫られ、そして俺はそのどちらの先も見てしまう。

そのひとつは、柏田つみきと一緒に居て、実験台にされながらも、次第に女性として目覚めていく彼女に、
どう接していくか悩みつつ、その天才と男に戻る為の実験を行う先を見てしまう。

そのひとつは、日和見萌と一緒に居て、今までなあなあだった関係を打破したいと、二人すれ違い、
そうして喧嘩したり仲直りしたりして、卒業を迎えるという先を見てしまう。

そして……長谷川夢とまで一緒に居る夢を見てしまう。何故か彼女は夢の中では宇宙人化してしまっていたり、
本当に壊れたUFOが飛び上がったり、新事実、地球は狙われいた、なんてカオスな展開が待っていた。

なんだか妙な気分のまま目覚めを迎えてしまう。随分長い間眠っていたような気もしてしまっていた。
運命の選択、のような夢を思い返し首を振り、ある事に気づいてしまう。ツインテールに束ねるほど伸びていた髪が、ない。

「ま、まさかっ!!」

はっとして鏡を見ようとすると、同じ部屋で先に起床していたメイド少女、片桐愛莉が俺を目にして……>>394

朝立ちおめでとう!

頭、間違えたんですか?

はっとして鏡を見ようとすると、同じ部屋で先に起床していたメイド少女、片桐愛莉が俺を目にして……。

「朝立ちおめでとう! 違いますね、朝勃ちおめでとう!」

「は? 何言って……って、うぉぉぉぉ、俺の、俺の息子様ァァァァッ!!」

「チッ、って言いたいところですが、それがお嬢様の選択と言うのならば、私はもう止めることは出来ません」

「……なんでまだお嬢様と言うんだお前は」

「私の中ではお嬢様であって欲しいですから。だからといって、旦那様と呼べば……アレに怒られてしまいます」

アレ、と言っては指で部屋の扉を示す愛莉。その先に視線をやれば、俺と朝の挨拶でも交わしにきたのか、そこには儚がきょとんとして立っていた。
目を何度もぱちくりとさせた彼女は、俺を何度も見返しては、やがてこんな事を言うのである。

「……鴨志田君、頭間違えたの?」

「はぁ!? 間違えてないわ! 元に戻っただけだ、男の中の男にな!!」

「う、うん、そうだね……以前の鴨志田君そのものだけど……」

「儚さんが戸惑うのも無理はありません。私も正直頭間違えたと言いたいところでした。それよりも……それ、どうするんですか?」

「それってなんだよ、それって」

「その卑猥な怒張です。何時まで女子パンツからはみ出させているのですか」

「え? ……う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

そうだった、羽毛布団が暑いと、寝巻きの下を脱いでパンツ一枚で眠ってしまったことを思い出す。
それから妙な夢の連続を垣間見て、今まですっかり忘れていた。その主張されたモノは、顔をこんにちわさせている。

それを見た我が恋人、儚は……>>397

風呂場で椅子に座ったら、
床に届くんじゃないですか?

>>397
前、そんなに大きかったか?

それを見た我が恋人、儚は……風呂場で椅子に座ったら、床に届くんじゃないですか? なんて疑問を口にしている。
いや、そこまでのサイズは無いでしょうと愛莉が口にすると、儚は、じゃあ試してみたいと共用風呂にお湯を張る為出て行ってしまう。
朝っぱらから何をしたいんだ、あいつは、と頭を抱える俺に、愛莉は振り向いた。

「何だかすっかり新妻気分ですね、彼女」

「……元に戻れたとはいえ、何でいきなり風呂なんだか……。学校まであるのに」

「その学校で、どう説明するのです? 実はやっぱり男でした、と説明を?」

「そ、その事すら忘れていた……! ど、どうすればいいんだろう!?」

「知りません。そして、私も……いよいよって感じなんでしょうね」

「何の話だ?」

「こちらの話です。……でもまぁ、楽しかったです、この日々も」

片桐愛莉、俺の幼少の頃の馴染みであり、命を失った娘。しかし大宇宙の意思なる存在のマジックで人間として姿形を得た彼女、
何故か俺をお嬢様と呼び、常に世話をしてきた彼女は、何処か遠い目をして窓の外を眺めていたのだった。
彼女もいずれ、消えてしまうのだろうか。そう思うと胸が締め付けられるような寂しさが込み上げてくる。

奏が俺の中から消えている。その事実を知り、余計に感情が不安定になっているのかもしれないと、洗面台に向かい改めて鏡を眺めていた。

「……どうしたの、間違えた頭をじっと見て」

「あのな儚、間違えていないから。……これで、良かったんだよな」

「何の話か分からないけど……、鴨志田君が選んだ道だから、きっと大丈夫」

共用風呂の用意をしていた儚が、そうして俺に語りかけては手をぎゅっと握ってくれるのだった。
温かい。その温もりが不安定な感情を落ち着かせてくれようとしている。

しかし、何故俺は風呂場に引っ張られ、儚と朝から>>400をしているのだろう。

背中の流し合い

しかし、何故俺は風呂場に引っ張られ、儚と朝から背中の流し合いをしているのだろう。
ようやくセンチメンタルな感情を押し殺せたのに、今度は別の感情が押し寄せては止まらない。

「あ、あのさ儚。……俺はもういいから、今度はお前を……」

「ううん、このままさせて。……これも冬コミで必要なの」

「今度は風呂場かよ……、しかし、このままだと大変だろう?」

「大丈夫。……今、幸せだから。何でも頑張れる」

俺の背をそのか細い彼女が洗い流してくれるのだが、そんな小さな背で、今彼女は色々と抱えていることがある。
例の絵本話もいよいよ軌道に乗ることになったそうで、彼女は執筆を任される事になった。
そして冬コミも迫り、その原稿に追われている中、更に彼女は手を伸ばしている事がある。

「……最悪、俺のSFの話はナシでもいいんだぞ?」

「ダメ、それだけは絶対ダメ。挿絵ちゃんと頑張ってるから……」

「無理だけは、ナシな」

「鴨志田君もだよ?」

「って、な、なんで胸を押し付けてくるんだ!?」

「……心配してくれて、ありがとうって気持ち、伝えたくて」

そんな彼女の温もりを受けて、自分もまた妙な興奮を抑えきれずにいるのを恥じてしまう。
今、こんな昂ぶりを受けて彼女に押し迫っては、折角頑張っている彼女に申し訳ないのではないか。
しかし、背に触れる小さな突起を感じてしまい、昂ぶりを抑えるなんて無理ではないか、と自問自答していると……。

その共用風呂の扉が勢い良く開かれ、例のダメ宇宙人が>>402

さあいよいよUFO試乗会よ。今日の夜決行!

その共用風呂の扉が勢い良く開かれ、例のダメ宇宙人がこんな事を言うのであった。

「さあいよいよUFO試乗会よ。今日の夜決行! って、あら鴨志田君、頭間違えたの?」

「おい宇宙人、お前まで頭とか言うのかよ。……で、UFOってあの壊れたアレか? 直ったのか?」

「直ってはいないわ。……貴方が私を選ばなかった時点で、直らない確定なのよ」

「いやそれ、関係ないだろ……」

「関係大有りよ。宇宙人、夢ちゃんルートは奥が深い予定だったのに、まさかの妹を選ぶなんて……見る目がないわね」

「お姉ちゃん、私の前で堂々とよくそんな事が言えるね」

「え、ええと……ともあれ、そういう予定って事で、今夜喫茶店に集合しなさい。以上ッ!!」

「あ、逃げた」

「……逃げられた」

妹の儚に睨まれた姉の夢は、脱兎の如くこの場を去っていくのであった。
後できちんとお説教しないと、と儚が口にする辺り、今では力関係は妹の方が上の様子。
しかし、以前のように姉を避けていた彼女とは到底思えない表情に、俺もまた安堵しては彼女の頭を撫でてしまう。

「ひゃうっ! い、いきなり頭撫でないで……」

「可愛いやつだなって思ってな」

「むー、鴨志田君だって可愛い顔して、頭間違えてるよ?」

「もうそのネタ引っ張るのやめませんか、ねぇ?」

―― この日、学園で俺を知る連中皆に事情を説明することになる。勿論内容は殆どが嘘である。
女の子の格好をすれば思ったよりハマってしまったので、今まで皆を騙していた、なんて形で説明すると、クラスの皆は……>>404

俺をフルボッコ

>>404
胴上げからフルボッコ。天国から地獄だな。

―― この日、学園で俺を知る連中皆に事情を説明することになる。勿論内容は殆どが嘘である。
女の子の格好をすれば思ったよりハマってしまったので、今まで皆を騙していた、なんて形で説明すると、クラスの皆は……俺をフルボッコ。
女子から罵倒が飛び交い、男子からは俺を掴んではこんな台詞まで飛び交う事になる。

「テメェに恋をした俺の立場はどうなるんだよぉぉ、おいぃぃ!!!」

「し、知るか! つーか勝手に俺に惚れるなぼけっ!!」

「あぁぁ!? テメェやるのかおらぁぁぁ!!」

「やめとけ! これでも俺はこの学園で喧嘩ナンバーワンなんだぞ!? 何せ男の中の男だからなッ!!」

「うわ、こいつドヤ顔してるぜ……」

「俺もちょっと引いたわ……。もう関わるのやめようぜ」

こうして、再び俺はぼっち生活を余儀なくされる事になる。だが悔いはない、己が選んだ道なのだから。
しかし何故か虚しさを覚えているのは何故だろう。あれだけ女の時はちやほやされたのに、男に戻れば途端にこんな状態だ。
そんなクラスの様子を、「座れ座れー」と収めるのが担任の柏田つみきである。今では随分慣れたのか、十三歳のクセに上から目線である。

「えーっと、鴨志田君も男に戻った事だし、早速ほーむるーむなのです。っと、そこ、椅子の上に立つなとか言わないのです」

「せんせー、誰も言ってませーん」

「うるさいです! あ、それと……、今日で冬休みを迎えることになるのですがー、不順異性交遊禁止! 特に鴨志田君は禁止です!」

「え、なんで俺!?」

「うるさいです! 黙って先生の言う事聞くのです!!」

最早横暴だ、何故俺を名指しでこんな事を言ってくるのか。さては……>>407

盗聴器かビデオカメラか。

最早横暴だ、何故俺を名指しでこんな事を言ってくるのか。さては……盗聴器かビデオカメラか。
これは問い質すべきではと、放課後を迎えた俺は、生活指導室へ足を向けるのであった。
そこではやはり、コーヒーを飲み干そうとマグカップを啜る柏田つみきと、生き遅れの坂上麻衣が居るのである。

「あら、鴨志田君、貴方……顔が違うけれど、どうしたのかしら」

「あのなぁ坂上先生、元々この顔だっただろう!?」

「そうね。もう女装やめたのね、残念だわ」

「なんであんたが残念がる!!」

「それより鴨志田君、何の用事なのです? 先生はちょっと忙しいのです」

何やらゆったりコーヒー飲んでる様子で、良く忙しいとこの十三歳は言えるものだ。
なんて思いながらも、俺は盗聴、及び盗撮疑惑を彼女に向けてみたのだが、またつまらない事だとかわされてしまう。

「このわたしが盗聴、盗撮ですか。そんな事をするくらいなら、惚れクスリでも作ったほうがマシなのです」

「あら、柏田先生、惚れクスリを飲ませたい人が?」

「え、えと……、そんな気はもう更々ないのです! はぁ、バカみたいなのです……」

「じゃあ、別に盗聴とか盗撮していたのでは……」

「寮に居るとき聞こえてくるのです……声が煩いのですよ。自重すればいいと思うのです」

「……す、すいません……」

―― そうして、今宵に何故かUFO試乗会が開かれることになり、皆が集められることになる。
そのUFOが眠る喫茶店の地下、そこで堂々と試乗についての注意点を述べていく長谷川夢を横目に、日和見萌が水無月久遠にこんな事を言う。

「ねぇ……久遠ちゃん、アレからUFO、本当に修理したの?」

水無月は、この喫茶店で時折働いており、看板娘として今では名が通っているらしい。
つまり事情を知る人間の一人になっている生徒会長様は、日和見の質問に、>>409と返していた。

新しいテクニックで修理した

水無月は、この喫茶店で時折働いており、看板娘として今では名が通っているらしい。
つまり事情を知る人間の一人になっている生徒会長様は、日和見の質問に、「新しいテクニックで修理した」と返していた。

「あ、あれ、修理したの? 前と変わってないような……」

「だって、アレ……作り物だもの」

「な、なんだってぇぇぇ! ……ホンモノじゃないの?」

「そんな訳ないでしょ。UFO博士の趣味だったのよ、実は」

「なぁんだ。ちょっと残念かも。って、それに試乗させるって、相変わらず凄いことするよねー、夢っちは」

日和見も、随分寮の連中に慣れ親しんだのか、あだ名付けで皆を呼ぶことが増えていっていた。
そんな彼女と話をする水無月もまた、最近では来年に向けて生徒会として、慌しく動いている様子であった。
そして、UFOについてがっかりな印象を受けている日和見を横目に、彼女は俺に話を振ってくる。

「ところで鴨志田君、彼女とは上手くやれてるの?」

「ん、まぁ……どうなんだろう」

「どうなんだろうって……、夜な夜な甘い声が聞こえてくるのは、じゃあ何なのって話よ?」

「まだそういう如何わしいコト、一度しかないっすけど」

「……一度は、あったんだ……」

「い、いや、これは言葉の弾みみたいなもので、なんとやら!」

そうして水無月に絡まれ、妙な発言をしてしまった俺をじーっと睨むようにして見つめる日和見。
失言を撤回しようと努力する俺だったが、この二人に結局俺は>>411なんだというレッテルを貼られてしまうのだった。

尻の穴の精霊

サル

そうして水無月に絡まれ、妙な発言をしてしまった俺をじーっと睨むようにして見つめる日和見。
失言を撤回しようと努力する俺だったが、この二人に結局俺は尻の穴の精霊なんだというレッテルを貼られてしまうのだった。

「って、つまりそれは何なんだよ!?」

「うーん、アレ以下な存在?」

「そうよね、アレ以下な存在よね」

「そのアレってまさか……んこの事ですか、そうですか!」

「日和見さん、私達は普通に幸せになりましょう。ねー」

「そうだね! こんなアレ以下ほっといて、幸せになろうねー!」

「な、何なんだよ、全く……!!」

男に戻って改めて思うのだ、女って怖い生き物だと。どこで、どうして結託していたのか、彼女達はご機嫌そうに笑い合っているのである。
もう付いていけん、なんてUFO試乗会について説明する夢を見てみれば、いよいよ説明も締めを迎えている模様であった。

「最後にこれだけは注意して。スイッチは押してはいけません。絶対、絶対よ」

「はーい、質問なのです。スイッチ押したらどうなるですか?」

「……爆発するわ」

「おぉ、なんてデンジャラスなのでしょう」

柏田つみきの質問にさらっと返す長谷川夢。だが作り物だと発覚している以上、スイッチを押しても飛びはしないし、爆発すら起こらない。
やれやれと思いながらもその試乗会に参加し、俺は新境地を垣間見る事になる。

UFOって……実は>>414なんだなと、実感してしまうのだった。

奴隷船

UFOって……実は奴隷船なんだなと、実感してしまうのだった。
奴隷を確保し、使役する為に造られた船だと、UFO博士や夢は主張したいのだろうか。
その船内は広いとはお世辞にも言えないが、洗脳スペースと呼ばれる箇所には妙に力が入っているのであった。

―― そうして試乗会を終えて、夢とその喫茶店でお茶を啜ることになる。なんでも二人きりで話がしたいと彼女が試乗会の際に持ちかけてきた。
一応、愛する儚の姉であるのだから、その話を受けるのも仕方ないと、俺はこの場に残ることになる。

「UFO、どうだったかしら」

「作り物にしては良い出来だった。奴隷船って怖いなーみたいな」

「どこで作り物って見抜かれたのかしら……不本意だわ」

「そんな事より、話って何だよ」

「……そうね、改めてお礼を言いたいと思ったの」

彼女はそこで、初めてではないかと思えるような行動に出るのである。
頭を小さく下げた彼女に驚き、言葉が出なくなってしまう中、顔を上げて俺を見た彼女は小さく笑んでいた。

「儚、アレから随分変わったわ。私にも積極的に話をしてくれるし、周りとの距離も置かなくなった。
 それに、あの子……お墓参りに行ってもいいって、言ってくれたのよ」

「母親の、か」

「ええ。まだしこりはあるのでしょう、嫌そうな顔をして言われたけれど。でもそれも、貴方のお陰だと私は思っているわ」

「やめてくれ、お前からそんな事言われると気味が悪い」

「そうかもしれないけど、私も貴方と出会った当初は、こうなるとは思っていなかったのよ。そして……」

彼女はそこで小さく台詞を口にした。しかしそれは、俺には聞こえないように、本当に小さく呟いた。
聞こえないと勿論聞き返す。しかし彼女はさらっと話題をUFOの話に切り替え、またまた自称宇宙人振りを発揮するのであった。

彼女は、儚が変わっていこうとしていると口にしている。それは、良い事なのだろうか、悪い事なのだろうか。或いは、当然の結果なのだろうか。
夢とそうして帰寮すると、何故かその妹様がカンカンとなり、俺達の前に現れては>>416と言っている。

なんとなくイライラするー!

洗脳手遅れ男

彼女は、儚が変わっていこうとしていると口にしている。それは、良い事なのだろうか、悪い事なのだろうか。或いは、当然の結果なのだろうか。
夢とそうして帰寮すると、何故かその妹様がカンカンとなり、俺達の前に現れては「なんとなくイライラするー!」と言っている。

恐らく嫉妬しているのであろう、そして姉である夢もそれに気付いて居るのか、わざと腕を組んでくる。
そしていよいよクリスマスイヴね、と彼女が言えば、儚さんは超お怒りになり、頬を膨らませるのであった。

「お姉ちゃん! 今晩、本当にお説教だから! もう許さないから!!」

「あらやだ怖いわ、ねぇ鴨志田君。いいえ、響君」

「って、おい、胸押し付けてくんな! 余計にお怒りになってるだろ!」

「私はもうお説教タイム確定だから、いっそもっとイチャイチャしてあげるわ」

「……お姉ちゃん、それ以上胸を押し付けたら……[ピーーー]よ?」

「……お説教タイム、受けてくるわね……」

こうして長谷川夢は、妹の長谷川儚に連れ去られていくのである。その姿は今までの彼女の雰囲気とは打って変わり、とても背が小さく見えるのだった。
しかしそれも、彼女が受け容れたのか、まんざらでもない様子ではあったのだ。
そうして、一人身軽となっては共用台所の方へ向かい、飲み物を物色している時であった。

「……はい、これ」

「なんだよ日和見、いきなり雑誌なんか渡してきて。……X’mas特集?」

「そういう時期でしょ。……親友としてのちょっとしたプレゼント」

「……あ、あぁ。ありがとう」

「儚ちゃんと行って来ればいいよ。ココとか、オススメらしいし」

その雑誌を開いては、日和見が指でとんとんと叩くその記事に載った場所は、>>419であった。

なんとかスカイツリーの近所

その雑誌を開いては、日和見が指でとんとんと叩くその記事に載った場所は、なんとかスカイツリーの近所であった。
近所特集、なんて記事名なのだが、散策すると面白い、という事しか伝わってこない。
そんな雑誌を手渡してきた日和見は、「勝手に行って来て勝手に好きなことすればー」なんて拗ねるようにして戻っていくのであった。

「クリスマス、かぁ……」

今まで、その日をどういう風に過ごして来ただろう。特に思い浮かぶような思い出は無かったのである。
あえて言えば、片桐愛莉と幼少の頃にパーティを開いたことがあったくらいだろう。

雑誌を手にして、部屋でぱらぱらと捲りながらも、アイツを連れ出してみるかと思案しつつその日を迎えるのであった――。

―― 二十四日、クリスマスイヴと呼ばれるその日、私は彼に連れ出されることになる。
ちゃんとしたデートなんて初めてだと、服を何度も選んでは投げ捨てる時間も終わり、今となっては彼と二人きり。
彼はどこか恥ずかしそうに私の手を握ってくれる中、その温もりを感じながらも、幸せを感じていた。

年末に、母の墓前に立つ決意をした。私は恐らく母を受け容れるのが怖かっただけなのではないかと、自分で感じている。
姉の夢と話をするようになり、色々と見えてきた部分もあり、私は子供を卒業しようと決めていた。

だから今日、彼に迫られても恐らく拒まない。そう言った意味でも、大人になっても良いと思えたから。

「で、この辺りなんだが……」

「……この辺りって……凄く曖昧だけど」

「い、いや、近所特集ってのがあってだな! ……飲食店だらけだな」

「う、うん。洋服屋さんも多いね」

「折角だし……歩き回ってみるか?」

「うん、鴨志田君がそう言うのなら」

この日、大人になってもいい。そう決めてきたのに……、夜、何故私達は>>421に居るんだろう。

古城の見える湖

欧米かよ!

この日、大人になってもいい。そう決めてきたのに……、夜、何故私達は古城の見える湖に居るんだろう。
お昼を食べて、なんとかスカイツリーにやっぱ行くかとなり、入場料が高いと文句を漏らす彼。
やっぱり行く場所が無くなり、遠出するしかないかと、夕方となりそんな事を言い出す彼。

その無計画さも面白く、そして、そんな彼だからこそ、だと私は感じてしまっていた。けれど、流石にこの場所はちょっと寒い。
風が透き通るように流れてくるその場所、星の輝きを湖面に映し出すのを眺めながら、彼の横顔を見てしまう。

本当に、鴨志田君に戻ってしまったその顔、懐かしいようで、でも新鮮で。
そんな横顔につい触れたくなり、指先を差し出してしまう。頬に指が触れ、彼は軽く驚いた様子で振り向いた。

「ど、どうした? や、やっぱ……つまらないか?」

「ううん、全然。……楽しいよ」

「そうか? そんな風には見えないけど……」

「鴨志田君となら、何処へ行っても楽しいから」

「お、おう……」

そう、本当は何処でも構わない。彼となら何処へ行っても楽しめる。けれど、この場所で大人になるのはちょっと恥ずかしいような。
そんな風に感じていると、つい身体が微かに震えてしまう。身震いした私を寒いんじゃないかと心配そうにする彼は言った。

「……寒いなら、帰るか?」

「……帰りたくない」

「って、もう結構いい時間だし、冷えるだろう―― って、おい」

「こうしてくっ付いていれば、温かいよ」

試しに彼に寄り添うようにしてアピールしてみれば、彼は>>424

ぎゅっと抱きしめてキス

試しに彼に寄り添うようにしてアピールしてみれば、彼はぎゅっと抱きしめてキスをする。
唇が触れた。柔らかい。女の子の時の彼もまた、唇は柔らかかった。しかしその感触は、やはり温かくて、心地良くて……。

「ん……いきなり過ぎ……」

「……ダメ、だったか?」

「ううん、全然。……もっと、してもいい?」

二度、三度、そして数え切れないくらい口付けを交わす。夢中となり、何度も求め、そして彼も応えてくれる。
胸が熱い。身体が火照ってしまう。寒さが感じられないくらい、その行為だけで熱を持ってしまう。

「……んぅっ……」

舌が絡み合い、時折息が出来なくなりそうになり、声が漏れてしまう。
それでも止まらない、もっと欲しいと、互いの舌の感触を感じ合いたいと行為を求めてしまう。
彼が男に戻ったせいなのか、気付けば手が胸に触れており、私の小さな膨らみを時折ぎゅっと押し潰すように触れてくる。

「ちょ、ちょっと……痛い……かも」

「す、すまん、つい……」

「……付き合ってから鴨志田君から触ってくるのって、初めて」

「そ、そうだったか?」

「そうだよ」

もう、明日は風邪をひいてもいいや、今はこの時間を彼と楽しみたい、どうなっても構わない。
そんな勢いでお互いを求め合った結果、やはり翌日から私は風邪をひいてしまう事になるのだった。

「うーん、三十八度越えてるわね、今日も原稿はお休みしなさい。間に合わなくても構わないから」

姉の夢はそう言ってくれていた。しかし、その冬コミで私はどうしても出したい本がある。
既に文章は殆ど固まっているそのSFの内容は、宇宙からやって来た少女が、最終的に>>426する物語だ。

最愛の彼氏と命を賭けた宇宙の取り合いを

姉の夢はそう言ってくれていた。しかし、その冬コミで私はどうしても出したい本がある。
既に文章は殆ど固まっているそのSFの内容は、宇宙からやって来た少女が、最終的に最愛の彼氏と命を賭けた宇宙の取り合いをする物語だ。
この物語の主人公の少女は、姉の夢が向いているのかもしれない。そんなイメージで、挿絵を進めていた。

そうして、冬コミを迎えたその日、私はかろうじて予定通りそれらを並べることは出来たのだが、
暫く身体を壊し、姉や彼氏である鴨志田君に迷惑を掛けるハメとなり、新年を迎える事になってしまったのだ――。

―― 春、この日から俺達は三年に進級、いよいよ将来を固めなければならない時期となっていた。
しかし将来は男の中の男と、進路希望に書いた結果、生活指導室にお呼ばれするハメとなっていた。

「はぁ、何で三年も鴨志田君を受け持たなければならないのですか」

「まぁまぁ、柏田先生。もう一年教職で居られるようになって、良かったじゃないか」

「学園内では敬語で、です! ……それより、最近貴方達、夜な夜な頑張りすぎなのです。……孕ませるつもりですか?」

「ちゃ、ちゃんとゴムは付けてますが!?」

「はい、不順異性交遊発覚で謹慎処分を申し渡すのです」

「まさかの誘導尋問!!」

「……ところで、明日、転校生がやってくる事になったのです」

「ほうほう、転校生ねぇ……。嫌な予感がしないでもないが」

「驚きますよ、きっと」

柏田つみきがそうしてほくそ笑む中、俺は進路希望の紙を溜息混じりに眺めているしかなかったのである。
そうして翌日、俺がいつものように儚と登校しては、同じ教室となった為、共にその場へやって来ると……。

「相変わらずのバカップル振りね、あんた達」

聞き覚えのある声が背後からしては、そんな事を言われ、挙句に>>428なんて事をされてしまう。

らすとになります↓

ひとつに融合

聞き覚えのある声が背後からしては、そんな事を言われ、挙句にひとつに融合なんて事をされてしまう。
あれ、と、儚の声がした。そして自身に感じる違和感がまた懐かしくも感じてしまった俺は、慌てて手鏡を借りて見る。

「お、おい、今……鴨志田が女に変化しなかったか?」

「というか、さっき転校生って娘居たよね? 何処いったの?」

クラスメイトが騒ぎ出す中、慌てて俺はその場から逃亡、屋上へ逃げ込むことになる。
そこで再び融合を解いた彼女、紛れも無く俺の中に居た存在そのものであった。

「やっほ、久しぶりね」

「久しぶりって、な、なんでお前が……消えたんじゃなかったのか?」

「良く分からないけど、気付けばふっとこの身体でこの星に流れ着いていて」

「流れ着くって、また意味不明な供述を……」

「意思として宇宙を彷徨っていた筈なのに、おかしな話よねー。……という訳で、また融合する?」

「いやいやいや! って、待て! 融合って……何だよそれ!」

「ふふ、なーいしょ!」

彼女はそこでくるっと回っては逃げるように去っていくのだが、やはり異常な身体能力は健在らしく、あっという間に姿を見失ってしまうのだった。
そんな彼女が、再び俺の前に現れたのは果たして運が良いのか悪いのか。しかしこの時俺は、思った以上に嬉しく感じてしまっていた――。


―― そうして、春を向かえ新たな一学期を迎える事になる。
我がクラスに転校生として現れた鴨志田奏は、俺と双子と言う事になり、今では学園一のアイドルとなってしまっている。
そうして騒がれる中、同じクラスとなった長谷川儚は、今日も新作のバトル漫画に取り組んでいる。

何でも、転校生の少女に寝取られそうになる彼を守る為に戦う少女の物語だそうだ。
しかし、どうにも物語が固まらないと、隅っこでやはりぼっちとなっていた俺に相談を持ちかけてくるのである。

「ねぇ、これ……どうかな」

「どうって、良いんじゃないのか?」

「でも、一緒に作ったSF小説の方が多分ずっと良いの。……凄い人気出たし……」

「ま、まぁ確かにアレはびっくりしたけど……、アイツのイメージDVDと抱き合わせだったからだろう?」

「ううん、そんな事ないよ。……だから一緒に考えて?」

「お前、脳死してるだろ」

「うん、もうだめ状態」

「わーった、わーった。……一緒に考えようっか」

「……うん!」

俺は、一つの物語を書き終える事になった。しかしそれは、新たな扉を潜り抜ける事にもなるのである。
長谷川儚、彼女と共に歩んでいく道を選んだ俺は、転校生の奏に茶化されながらも、新作に取り組んでいく事になる。

次第に季節は移り変わる中、俺は男の中の男を再び目指し、そしてこの少女の手を取って歩くのだ――。


―――― 後日談編へつづく

後日談あるのか
おつー!

お疲れ様でした。

次回何しようかなー → 何も思い浮かばない!! → じゃあ後日談でもやって誤魔化そう。

そんな感じでごめんなさい。という訳で次回は卒業編なのです。
思ったより長引いた感じなのですが、無理に纏めて締めちゃってすいません。

もう少しじっくりやってみたかった感じなのですが、ともあれお付き合いありがとうございましたー!


【06/24 (月) 00:29時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/29 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 少女と絵本と宇宙人、時々後日談 

何か閃かないかなーべっちょり

むりやり小説ゲーム 二番館 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1369746012/153-167)
(の続き)

『小さな小さな小さな町』

元同級生で不仲だった医者のたくらみにより縮小化され鉄道模型の住民となってしまった、主人公と半獣娘。
水は、食料は、この世界からの脱出方法は?

【登場人物】

主人公:医者の鉄道模型レイアウトの住民になってしまった男。意外とビビリ。

ジャッカル娘:レイアウトに先にいたなぞの半獣娘。ジャッカル。イタズラ好き。

医者:レイアウトの持ち主。主人公とは仲悪い。


もう少々お待ちください

揺れる車内で俺は考えをめぐらしている。この列車は次にどこに着くのだろうか。吐いたら降りるべきかそれとも、このまま車内で過ごすか。
俺が取りとめのない悩みに付き合っていると、無言の男にたまりかねたのかジャッカル娘が口を開く。

ジャッカル娘「あのさー。初めて会うんだろ自己紹介ぐらいしろよ!水くさいな」
俺「・・・今後のことについて考えてる」
ジャッカル娘「じゃあ勝手に言うわね。辻先レオナ。OLしてました。今はなぜかジャッカルです。以上」
とちょっと怒ったかのように話すジャッカル娘いや、レオナ。仕方ないので俺も答える。
俺「姓は居作、名はツヨシ。しがない印刷会社の営業マンだ」
とだけ答えて、またとりとめのない悩みに没頭した。
レオナ「ふーん。じゃあツヨシの考えを当ててやろうか、ツヨシは今>>437について考えてる」

キヨシとの対決

ツヨシとキヨシ……掃除機かいな(^^;

レオナ「キヨシとの対決について考えている」

図星だった。この娘は人の心が読めるのかと思った。自分がこのような姿になり不条理を味わっているのもみんなキヨシ=医者のせいなのだ。

レオナ「キヨシって名前を聞いてチョー違うって思った。それでもう一つの悩みが食い物でしょ」

また当たった。この世界に反旗を翻すには、腹にたまり力の元になるものが必要だった。それの有無に関しては俺を不安に誘い、名案を浮かばなくさせる
トリガーの役割を果たしている。

レオナ「食料は、キヨシの食べかすが机の上に散らばってるけど食べる?」
ツヨシ「なんだよそれ、間接キスじゃないかオエエエエエ」

とはいうものの、このまま空腹で動けなくなるのは本位ではない。レオナによると次の駅を超えてトンネルを抜けたカーブの先が、食料のある机に近いという。
レオナ「この列車から飛び降りるか、駅から歩くか。どっちを選ぶ」

俺は>>439を選ぶことにした。

しまった安価↓で!

3回転半ひねりで飛び降りる

3回転半ひねりで飛び降りる

レオナ「キャハハハ。あんたには無理無理。腰悪くして寝たきりだよ」
ツヨシ「うるさい。俺はやる。俺の運動神経の素晴らしさを見せてやる」
なぜ三回転半ひねりで飛び降りるといってしまったのかわからない、おそらくレオナが上で俺が下と言う人間関係が癪に障ったのだろう。

列車は駅に心ばかり停車した後、田畑を抜けてトンネルをくぐった。俺とレオナは出入り口の前で身構えた。
レオナ「行くよ!付いて来な」
レオナは獣のような身のこなしで着地。俺は三回転ひねりを見せようとして転げ落ち・・・。気がついたらレオナの上にいた。

レオナ「おもーい!どうしてあんたは避けたところに来るのさ。このコバンザメ!水子!ホーミングミサイル」
ツヨシ「仕方ないだろ。文句はキヨシと遠心力に言ってくれ」

レオナの話では俺はまるで、おでんのがんもどきのように出口からずり落ちてごろごろ三回転したそうだ。本当なら格好悪いことこの上ない。
そこから木の台枠を注意深く降りて、キヨシの机の上に降りた。

ツヨシ「キヨシはどこ行った」
レオナ「この時間ならもう、ベッドで寝てるわよ。今のうちにさあ食べましょう」

机の上には、飲みかけのウィスキーグラスに水滴がびっしりついていて、それで二人とも喉をうるおす。さて肝心の食べ物は・・・。

キヨシの食べ散らかした>>443があった。

ひつまぶし

キヨシの食べ散らかしたひつまぶしがあった。

ツヨシ「ちくしょういいもん食っていやがる」
といいつつウナギの切れ端を口に運ぶ。油がとろけそうだ。
レオナ「医者の不養生ってよく言うけど、キヨシもこれじゃあ成人病まっしぐらだわ」
ツヨシ「その方がいいだろ。とっとと病気になれ」
ふと気になったことがある。少年時代あれだけ計算高くてずるがしこいキヨシがこんなヘマを犯すのだろうか。
少年時代のキヨシは長生きしてやるって盛んに言っていたが、そんな男が自分で自分の健康を害するような下手を打つのだろうか。

ツヨシ「おい。キヨシは毎日こんなのばかり食ってるのか」
レオナ「知ってる限りでは、山海の珍味をたらふくってパターンね」

しばらくするとキヨシのベッドから>>445が聞こえてきた・・・。

よさこい節の着信音

しばらくするとキヨシのベッドからヨサコイ節の着信音が聞こえてきた。

キヨシ「ううう~ん。ふぁーあ」
キヨシは携帯電話を手に取りベッドの中で会話を始めた。

そのため俺たちは意思の疎通が難しくなった。レオナは俺にウィンクをすると台枠の上を指差した。
おそらくキヨシは起き上がって机に向かうだろうことを経験的に知っているのだろう。ただ問題は身軽なジャッカルに比べて俺は平均的な日本人だということだけだ。
果たして俺にあの高低差を登れるのだろうか。

机の端からレイアウトの台を見上げると、実生活に直すと五メートルぐらいの高さだった。
これを登るのは気が重かった。

レオナは軽々と登り、台の上から俺に向かって>>447を差し出した。

タコ糸

台の上から俺に差し出されたのはタコ糸だった。

レイアウトサイズの俺から見たら綱引きの綱のような太さだった。
学生時代綱のぼりは苦手でしがみつくのがやっとだったが、レオナに弱みは見せられず、必死になってにじり寄り登ろうとした。
しかし台のヘリにつくと力が尽きて、タコ糸から手が離れた。
レオナ「仕方ないわね」

レオナがケツをむけてふさふさした尻尾を垂らしたので、それを手に取ることができた。みると目の前には女のケツである。
性欲を刺激された俺は、オケツ見たさに上りきってしまった。

レオナ「芸は身を助けるっていうけど、あんたはスケベは身を助けるね」
ツヨシ「しかたないだろ、あんな魅力的なケツを見せられたんだから」

レオナの頬がちょっと色づいた。

────つづく


どうもありがとうございました。

レスがつかなくて一時はどうなるかと思いました。

次回はいつになるか不明です。たぶん信長の小説とかわりばんこに書くことになるでしょう。

おつー!

一週間に一回くらいの頻度だとなんだか久しぶりな感じがします。

では、もう暫くお待ち下さい……。


「……ねぇ」

「……な、なんだよ、じっと見て……」

「……最近、イマイチ」

いきなりマンネリ宣言をしてくる目の前の彼女は、以前よりもほんの少し髪を伸ばし、それを邪魔そうにして掻き分ける。
そうして上乗りになってそう言ったものだから、呆気となってはその少女をただ見上げるしかなくなっていた。

彼女の名前は長谷川儚。同人界隈では有名であり、今では絵本作家としても活躍するようになった少女。
時折妙な事をしでかしたり、妙な発想をしたりもするのだが、繊細で直ぐに壊れてしまいそうな、そんな印象を持つ娘。

そんなちょっと奇怪でちょっと変な女が俺の彼女であったりするのだが、それは思った事を堂々と口にする節もあったりするのである。

「だから、今日は趣向を変えて……」

「おいおい、また同人ネタ用にって訳じゃないだろうな……」

「……もう冬だから。サンタコスプレでとか……どう?」

「やっぱり同人ネタ用じゃねぇか! ……悪くはないけど」

彼女の属する同人サークル『すくぅる☆がぁるず』は、彼女達三年生が高校を卒業するに辺り、解散が決まっていた。
それを提示したのは彼女の姉でもある長谷川夢なのだが、その妹である儚もあっさり承諾するのであった。
サークルに属するもう一人の少女、高科羽未はこれに断固反対、今も彼女達を説得中なのだそうだが……。

「次で最後になると思うから、資料の為に頑張って……して?」

「お、おう……そ、それじゃあ……」

サンタのコスプレをしてくれた儚に、俺はそっと手を伸ばし……>>453

「プレゼントの前渡しだ」
とばかりに口づけをした

サンタのコスプレをしてくれた儚に、俺はそっと手を伸ばし……「プレゼントの前渡しだ」とばかりに口づけをした。
互いに暫くの間、唇を通して温もりを感じあう間、彼女は時折目を開いては、俺の方をじっと見つめるような仕草をした。

「……じゃあ、本命のプレゼントは無し……?」

「現金なヤツだなぁ……。キスだけじゃ不満だとでも?」

「……うん」

「ま、まぁ、そんなに素直になられても……俺もちょっとやりづらいんだけどな」

「そういうの、嫌い……?」

「じゃなくってだな、その……個人的な雰囲気作りというか、その」

「大丈夫、次の同人には有りのままを描くから」

「……それが困るって言ってるんだが」

儚がそんな風に身を寄せてくるものだから、身体を撫で回すように手を伸ばしながら、そんな話をしてしまう。
己の身体もまた正直であり、彼女に触れたいと、両腕を臀部の方へ回しては、その肉質を味わっている。
彼女も平気そうに話を交わしてくるが、時折快感が上るのか、微かに表情が動くのが楽しくもあった。

「そ、それで……いつまで、お尻ばっかり……」

「今回、尻ネタってのはどうだ?」

「……ま、まさかの尻コキ! これはいけるかも!?」

「そ、そういう意味で言ったんじゃなくってだな……」

そうして二人で部屋でイチャイチャといった時間を過ごすのも、気付けば当たり前ともなっていた。
更に言えば、そうして二人きりの時間を過ごしている間、高い確率で>>455が乱入してくるのもまた当たり前となっていた。

絵本の編集担当

そうして二人で部屋でイチャイチャといった時間を過ごすのも、気付けば当たり前ともなっていた。
更に言えば、そうして二人きりの時間を過ごしている間、高い確率で絵本の編集担当が乱入してくるのもまた当たり前となっていた。

相沢仁美、それが彼女の今回手掛けている絵本の編集を担当しているが、他にも彼女の体調管理から様々な部分をサポート。
性格は無駄に真面目であり、少しでも曲がったことは嫌いなのだそうだが、そんな女性に捕縛されるのが俺の役割でもあった。

「……長谷川さん、この珍獣と付き合うのはそろそろやめたほうが」

「ちょ、ちょっと待って相沢さん! わ、私、その……」

「どうせ同人誌のネタを、とか考えていたのでしょうが、そうはいきません。長谷川さんにはもっと仕事して貰わないと」

「でも……ある程度は私個人に任せてくれるって……」

「確かに言いました。しかし珍獣との肉体の交わりなんぞ私が許しません。……病気を発症するかもしれない」

「ちょっと待て! まるで俺はウイルス扱いか!!」

「黙れ珍獣! 貴様のせいでスケジュールが遅れに遅れ……!!」

「い、痛い、羽交い絞めにして極めてくるのは痛いから!!」

夏場から儚の担当となった彼女は、俺と彼女との二人の時間をとにかく邪魔をする。
それは、朝だろうと夜中だろうと、時間構わず現れるものだから、自分自身としてもどうしようもなく、儚もまたどうしようもないと、サジを投げていた。

「さぁ、長谷川さん。……先ずはそんな如何わしい衣装を脱ぎましょう」

「え、あ、はい……」

「そう落ち込まないで。もっと楽しい事をして、ストレスを発散させましょう。……>>457を準備していますので」

肉便器

「そう落ち込まないで。もっと楽しい事をして、ストレスを発散させましょう。……肉便器を準備していますので」

「に、肉便器は……響君だけでいいの……っ!!」

「な、何で俺が肉便器化してんの……」

「いいえいけません。こんな珍獣を肉便器にするより、もっと相応しい肉便器が存在します。
 それでストレスを発散し、同人誌を描けば良いのです。その後、即座に例の作品を手掛けて貰いますが」

長谷川儚、絵本の世界では彼女の母親が有名であり、その部数も随分伸びていた女性の娘。
その名前が有ったのと、そして彼女がやはり天才と言われているからなのだろう。
その人気はまだ一つしか作品を生み出していないにも関わらず、留まる事を知らないといった具合となっていた。

そんな彼女に、次の作品の話が舞い込むのも当然である。そして、それをサポートする、ある意味メイド化しているのがこの相沢仁美。
相沢さん曰く、彼女は母親以上の才能を持ち、それはいずれ世界に羽ばたく必要があると称していた。

「……た、助けて、響君!」

「くっ、儚を……何処へ連れて行くんだ!!」

「言ったじゃないですか珍獣。……肉便器が待つ新作業場の部屋です」

「いや、今聞いたから!! って、儚をそこへ住まわせるつもりなのか!?」

「本当はそうしたい所ですが、彼女はこの寮に住んでいないと捗らないと仰います。なので、そこは肉便器との性交渉の場とする事に――」

「いや、それもそれでおかしいから!! ……儚を連れて行くのなら、俺を倒してから行けッ!!」

「では……そうさせて貰おうッ!」

何度も、何度も彼女との邂逅を邪魔されてきた。そして今回も邪魔をされてしまった。これ以上は許してなるものか。
儚だってそれを望んでいる筈なのだと、彼女に挑んだ結果>>459

ヨガの技術で丸められて人間肉団子に・・・。

何度も、何度も彼女との邂逅を邪魔されてきた。そして今回も邪魔をされてしまった。これ以上は許してなるものか。
儚だってそれを望んでいる筈なのだと、彼女に挑んだ結果、ヨガの技術で丸められて人間肉団子に・・・。

問題は、彼女があらゆる武術に精通しているというのがある。そして今回、ヨガを用いて何故俺は肉団子のように丸められたのか。
暫く身動きが出来ず、力不足で儚を連れ去られてしまう形となってしまっていた。
その後、俺が救われたのは数時間後、夕食だと相変わらず俺に従ってくれる片桐愛莉である。

「あらあら、お嬢様もとい旦那様、随分と肉団子になられて……」

「させられたんだ。……助けてくれ」

「男の中の男で、最強を目指していた旦那様も、随分惨めになりましたね」

「あと、旦那様はやめろっつってんだろ……」

「仕方ありません、では呼び方を変えます。……ひ、ひびくん……」

「呼び方変えて照れてる暇があるのなら、助けてくれってば……」

片桐愛莉、幽霊から人間となった少女も、今も尚存在し続ける為、いずれは消え去るのではないかと言う不安は今では薄れていた。
しかし、彼女はある日俺に決意を漏らすことになる。俺が高校を卒業したと同時に、俺の下から離れようと言うのだ。

夕食を介しながら、改めて俺はその話を彼女に振るのだった。

「……なぁ、本当にメイド道を極める旅に出るっていうのか?」

「こうして顕現出来たのも、ある意味ひびくんのお陰だと思っています。だから最後まで尽くすべきだと思いました。でも……」

「ああ……、俺もそういうのはご免だし、お前はお前の人生を歩んで欲しいって思ってるし……」

「そう言ってくれたから、私はメイドの中のメイドを目指す事に決めました。その決意は揺るぎません」

俺と愛莉がそんな話をしていると、やはり星見寮で暇人の分類に属する少女、自称名探偵の有栖川雪菜が>>461と口を挟んでくるのだった。

永遠に一緒にいたら?

「メイドの本場ってどこの国か知ってるの?」

俺と愛莉がそんな話をしていると、やはり星見寮で暇人の分類に属する少女、
自称名探偵の有栖川雪菜が「永遠に一緒にいたら?」と口を挟んでくるのだった。
愛莉はその言葉にほんの少し寂しそうに俯いたのを見てしまう。彼女の気持ちもまた、知ってしまっているからこそ、胸が痛んでしまう。

「下らない、この名探偵の推理からすれば、本音はメイドの中のメイドなんてどうでも良いという気持ちが駄々漏れだ」

「……なりません。ひびくんは、いえ、旦那様は長谷川儚というまた中途半端な女を選んでしまった以上は、仕方のない事!!」

「何気に俺の彼女に失礼な事を言うんじゃねぇ」

「例え絵本の世界で天才だろうが、同人世界で名が売れていようが、あの態度は中途半端!!」

「ほほう、名探偵的推理で解くならば、さっさと結婚でもしてしまってくれれば、気が楽なのに、的な解釈だな」

「……本当は、勿論一緒に居たいです。でも、そうすると……私が彼を寝取ってしまいそうですし!」

「しかし、長谷川儚には今、相沢仁美という面倒くさい女が居る。それがまた鴨志田響の邪魔をしているとも言えるな」

「そうなのですよ有栖川さん! ……私は彼に従うメイド。なので私は、あの女を始末しなければなりません」

「邪魔はしない。しかし、探偵として雇われれば、私もまたその謎を解く事になるかもしれないな……クク」

二人はどんどん妙な方向へ話が脱線してしまい、ついて行く気は更々なかった俺は、改めて共用居間を見渡すのだった。
随分長い間お世話になった星見寮とも春でお別れである。そして、新たにこの寮を使用する人間が現れなかった為、暫くの間閉鎖する事が決まってしまったそうだ。
つまり、俺達の代で寮は事実上廃寮になるだろう。だからこそ、余計にこの光景を目に焼き付けたいと感じるようになっていた。

そして、この場に本来もっと皆が居ないといけない筈なのに、今日に限ってはこの三人だけであったりする。

「なぁ、話の途中悪いが……他の奴等は?」

「ああ、皆帰りが遅くなるそうで……もぐもぐ。んー、そう言えば久遠は決心して>>464に行くって言っていたぞ」

自分も幽霊メイドが欲しいから探し

サウナ風呂

「ああ、皆帰りが遅くなるそうで……もぐもぐ。んー、そう言えば久遠は決心して自分も幽霊メイドが欲しいから探しに行くって言っていたぞ」

「アイツ、いつまで中ニ病でいるつもりなんだ……」

「私というものが居るというのに、全く、久遠は……ぶつぶつ」

有栖川雪菜、彼女もまた水無月久遠に拾われた少女である。自称名探偵で雪女な彼女は、今も尚この寮で暮らしている。
彼女と水無月がどのような出会いをしたかは分からないが、雪山でばったりという話だけは聞いていた。
そんな水無月久遠、将来についで未だに悩んでいる様子である。既に推薦も受けては進路を決めている彼女であったのだが……。

「夢は探検家になるのだそうだ」

「……どうなんだ、それ」

「家が貧困でってお話は聞いていますが、探険家って……」

「女たるもの、夢を投げ捨てればただの雌豚、女は最後まで夢を追い求めるの、とベッドの上で叫んでいたからな」

「……ダメだアイツ、もうなんともならない」

「そう言えば、柏田さんはまだ帰られないのですか? 育ち盛りだから食事も多めに用意していたのですが」

「連絡はないな、ただ……、名探偵推理で紐解くと、男が出来た様子がある……」

「「あ、アレに、男が出来ただとッ!!」」

柏田つみき、十三歳にして教職を振るう天才でもあり、そしてマッドサイエンティストな一面を持つ少女。
怪しげなクスリを作成しては人体実験をしたいと迫る厄介な娘でもあったが、アレに男が出来たとかにわか信じ難い。

この件について、片桐愛莉メイド件探偵補佐と名探偵有栖川雪菜に後日調べてもらったところ、>>467が発覚した。

倍の年齢の
男教師から
惚れられている

この件について、片桐愛莉メイド件探偵補佐と名探偵有栖川雪菜に後日調べてもらったところ、
倍の年齢の男教師から惚れられている事が発覚した。そして後日、直々に柏田つみきから逆相談を受けることになったのだ。

「はぁ!? 男を振る方法!?」

「そ、そうなのです。実はかくかくしかじかなのです……」

「えー、その男教師って名前は?」

「柊先生なのです。あの物理担当の……」

「あー、つるっぱげのおっさんだったっけな。あんまり授業とか受けないから覚えてねーわ」

「いけないですよ、そういう発言は。……わたしも一応教師なのですから」

「はいはい、ついでに俺のクラスの担任でしたねー。……で、男を振る方法を教えてほしいって言われてもなぁ」

「何か、うまぁく心を抉って、ざっくり斬り捨てて、再起不能になれるような振り方は無いですか?」

「ハゲ、でどうだ?」

「……効果は全くなのです」

「ハゲで怯まんかあのおっさん。むぅ……」

生活指導室で二人でそんな話となり、相談を持ちかけられた俺は腕を組んで一応それなりに考えを巡らせる。
しかしどうやらあのおっさん、ドMな気配があり、柏田つみきに罵倒されたいといった様子すら伺えるのである。
そうなれば……と、ちょっとした考えが閃きそうになった折、この場にあの女が現れる。

「柏田せんせ、その相談なんだけど……>>469すれば解決するよ~!」

「で、出たな鴨志田奏! よ、寄らないで欲しいのです!!」

不潔になれ

「柏田せんせ、その相談なんだけど……不潔になれば解決するよ~!」

「で、出たな鴨志田奏! よ、寄らないで欲しいのです!!」

「ねぇお兄ちゃん、なぁんで私って嫌われてるのかしらね」

「お前がコイツを弄って学園生活を楽しんでいるからだ」

「そ、そうなのです。先生を弄っても楽しくないのです! ……それで、不潔とは?」

「んー、そうね、柏田せんせは三日お風呂に入らないこともざらよね?」

「まぁそうですね。……実験で忙しい日々ですし」

「一週間、ばっちい身体になりなさい! そうすればそのハゲ、あんたの事を諦めるわ!!」

「先生に向かってあんたとは失礼な……ぐぬぬ」

「はいはい、お子様は今日からお風呂禁止ね~なでなで」

「頭撫でるのこそ禁止なのですっ! むぅ!!」

そうして、この日から柏田つみきが風呂を我慢し、実験を行いつつもその柊というおっさんから逃げ惑う日々が続く中、
何とかして儚をもう少し自由にしてやれないかと、屋上で何故か双子の妹設定となった奏と話を交わすのだった。

「ていうかさ、お兄ちゃんって……ヘタレだし?」

「いやいや、ばっさり斬り捨てるな。……アレ、強えーんだわ」

「融合すれば、余裕のよっちゃんで倒せると思うけど、どうする?」

「そんなチートな真似はしたくない。だが、このままじゃ儚と上手くいくかどうか不安でもあり……」

「仕方ないなぁ……一肌脱いであげるか。>>471という方法で」

裸で散歩する

「仕方ないなぁ……一肌脱いであげるか。裸で散歩するという方法で」

「意味が分からん! ……どっちが裸になるんだ?」

「勿論、どっちも」

「頭おかしいだろ、お前ッ! 全裸でるんるん気分で散歩してたらお巡りさんこいつですって補導されるわッ!!」

「だから夜中、お兄ちゃんと私とで毎日全裸でデートするのよ。勿論内容はお散歩ね」

「頭が痛くなってきたわ……」

「というかね、これ、儚の方の問題だと思うのよ、私は」

「……アイツの?」

その口車に乗せられたのか、なんなのか、俺と奏は何故か夜な夜な全裸で徘徊する事になった。
ツインテールな髪を揺らし、ほんの少し盛り上がった胸、そして華奢な腰に脚、そんな身体を俺に見せ付けるようにする彼女。
元々はこんな身体となり、暫くの間生活をしていたものであった。その身体つきに興奮はせずとも、懐かしさの余りにじろじろと眺めてしまう。

「どうしたの、じろじろと見て……。ははぁん、この私に欲情でもしちゃった?」

「……いや、前はこんな身体で生活していたんだなって思って」

「なんだ。……いっそ、襲ってきてもいいわよ、どうせ溜まってるんでしょ?」

「なんかすげー小馬鹿にされてる気分だぞ、それ」

「そういう冗談、楽しみたい年頃なのよ」

そう言っては全裸で両手を広げ、先にぱたぱたと駆けて行ってしまう奏。
誰かに見られるのを恐れ、慌てて追いかけては引きとめようとしたところ……ばったりその姿を日和見萌に見られてしまうのだ。

彼女は、俺の姿を見て……>>473という噂を校内に広める事になる。

露出狂

彼女は、俺の姿を見て……露出狂という噂を校内に広める事になる。
その噂はあっという間に校内に広まり、俺はますます他の友人が出来ないというぼっちな生活を余儀なくされた。

「日和見、あの噂帳消しにしてくれ! 頼むから!!」

「やーだよ。だって、楽しいじゃん?」

「俺は全く楽しくねぇ!!」

屋上へ彼女を呼び出し、噂を鎮火させてくれと何度も頼み込むことになる。
しかし、この状況を何故か楽しんでいる日和見は、妙に笑顔を振りまいては俺の頼みを断るのである。

「なぁ、頼むから! 俺が自殺しても良いのか!?」

「この程度で自[ピーーー]るんじゃ、真の男の中の男にはなれないよねー」

「ぐぅ……日和見、テメェ……!」

「凄んじゃっても、所詮は響だし。まぁでも、どうしてもっていうのなら考えないでもないかな」

「どういう事だよ」

「んーとね、ちょっと頼み、聞いて欲しいなーって」

高校生活最後の冬休みがいよいよ明後日に迫り、終業式を終えた俺達はそんな話を屋上でするのだが、
この時彼女は俺に一度だけ頼みを聞いて欲しいと、交換条件を持ち出すのであった。

一体何をさせられるのやらと、肝を冷やしつつも彼女の頼みを聞いてみると……>>475

氷の上で親孝行をする

一体何をさせられるのやらと、肝を冷やしつつも彼女の頼みを聞いてみると……氷の上で親孝行をするという。
何故に氷の上なのかは分からないが、噂の帳消しの為にもと、俺は承諾する事になったのだが……。

まさかの十二月二十四日、高校生活最後のイヴを彼女と過ごす羽目となるのであった。

「実はさぁ、結構無理して星見寮に来たんだけど、お母さんがやっぱりカンカンなんだよね」

「そう言えばお前、どうしてあの寮に来たんだっけ」

「……知っててそれを聞くの?」

「え、いや、実際の事情は知らないが……?」

「はぁぁ、もう済んだ事だから言っちゃうけど……、響を追いかけてきたんだよ?」

「……そ、そうだったのか……」

「そうだよー。あ、そこの氷、頑張って積み上げてー」

何故か、日和見の家の前で氷のブロックを積み上げては、ステージのような形にする作業を強いられている。
まだ日和見の家の人は誰も帰宅しておらず、その間にと、彼女はこの作業を俺に持ち掛けてきた。
彼女の家の庭に敷き詰められていく氷のブロック、そしてそれらが三十を過ぎた辺りで、ようやく作業は終了となった。

「ふぅ……、ちょっとこれはキツかったぞ……。無駄に今日寒いし……」

「今夜、雪が降るらしいよー。……ところで、本当に良かったの?」

「何がだよ」

「儚っちの事。……デートとかしなくて良かったの?」

「連絡取れないんだ。相沢さんに缶詰にされてる様子で、暫く寮にも顔を見せてないし。……仕方ないだろう」

「……どうだか」

彼女はそうぽつりと漏らし、俺達自作の氷のステージに上ったところで……>>477

ツルッとスリップ

彼女はそうぽつりと漏らし、俺達自作の氷のステージに上ったところで……ツルッとスリップ。
彼女がバランスを崩し、倒れ掛かってくるのを、頭を氷の上で打たないように庇いつつも抱える事になってしまう。

「て、てへへ……、やっぱり氷の上で親孝行計画は厳しいかな」

「つうか、繋がりが見えんぞ、それ……」

「これくらいすれば、家出して寮に逃げ込んだ事、許してくれるかなーって思ったんだ……」

「……そっか」

返す言葉が見つからない。ただ、相槌を打つしか出来なかった。
彼女は、俺を追いかけて寮へ移り住んだ事になる。それはつまり、俺の責任も多少はあるのではないか。
そう考えると、笑顔を繕う日和見に協力するのはやはり当たり前じゃないのか、と思えてしまうのだ。

例え、この大事な日が潰れようとも、儚なら分かってくれる筈だと思っていた。

「……温かいね、響の身体って」

「で、でも、ジャケット着込んでるから分からないだろ」

「ううん、分かる……。この温もり、好きだよ」

「や、やめろ、そういうの……」

俺が氷の上でバランスを崩した彼女を抱きかかえる形になり、つい互いに顔を見合わせてしまう。
羞恥なのか、或いは負い目のせいか、視線を逸らすのだが、彼女は何故か何時も以上に熱を持った視線を俺に向けてくる。
そうされては、余計に身動きが取れないと慌ててしまっている時、彼女はすっと俺の頬に手を伸ばしたのだ。

「……大好きでした。……結局中々諦め切れなくて、今、こうして抱き寄せてくれて凄い幸せだったりするけれど……」

日和見は頬に顔を近づけ、そして小耳に囁くように告げたのだ。

「明日からは、新しい恋、探すね」

頬が一瞬、ほんのりといった温もりを感じてしまう。頬にキスされたのだと気付いた俺が、彼女をふと見ると……>>479

表情を悟られないようにお面をしていた。

頬が一瞬、ほんのりといった温もりを感じてしまう。頬にキスされたのだと気付いた俺が、彼女をふと見ると……表情を悟られないようにお面をしていた。
何故に狸なのか、疑問に思う中俺が彼女に声を掛けようとした瞬間、この光景を日和見の両親に見られるハメとなってしまうのだった。

―― 日和見の母親は更にお怒りになり、父親、そして日和見自身が必死に説得、そしてようやく俺は解放される事になる。
日和見の母親曰く、俺みたいな男と一緒になっては家庭が崩壊するという話であったが、
言われて思う。家庭を築いたとして、果たして俺はその家庭を維持し続けることが出来るのだろうかと。

夕刻、俺が先に一人で帰寮してはやはり儚の姿も見当たらず、つまらないと呟きソファで寝転がっていると、
何やら異音を奏でながら現れたのは自称宇宙人の長谷川夢である。彼女はその余りにも豊満な胸を揺らし、言うのだ。

「貴方、こんな所で何をしているの」

「お前こそ、何をしてるんだ。UFOは諦めたんじゃなかったのか?」

「UFOに乗ることは諦めたわ。でも、撮影に関しては諦めていないわよ」

「なんてしつこい女だ。そういうのは嫌われるぞ?」

「そうね、別に嫌われても私が宇宙人であって欲しい夢は永遠に潰えないわ」

「……駄目過ぎだろ、お前」

「それで、どうしてこんな場所に居るのかしら」

「何故って、ココが俺の家でもあるからだ。……だろ?」

「貴方、今日儚とデートする訳じゃなかったの? 私の聞き違いかしら」

そんなの、連絡が一切無いのだからどうしようもないじゃないかと、俺が首を傾げて説明すれば、
どうやら携帯の類すらも相沢仁美に奪われた儚は、>>481という手段で俺に連絡を持ちかけていたと言うのである。

オナラテレパシー

伝書鳩ならぬ伝書カラス

>>481
音を出さずに臭いで伝えるやつか。

そんなの、連絡が一切無いのだからどうしようもないじゃないかと、俺が首を傾げて説明すれば、
どうやら携帯の類すらも相沢仁美に奪われた儚は、オナラテレパシーという手段で俺に連絡を持ちかけていたと言うのである。

なんだそれは、と、あんぐりと口が開いてしまうのだ。しかし、長谷川夢は当たり前のように話すのだ。

「彼女の臭いすら気付かないなんて、それでも彼氏なのかしらね」

「いやぁ……流石の俺も今回のお前の話には全く付いていけそうにないわ」

「おかしいわ、宇宙人ならば当たり前の話なんだけど」

「宇宙人でもオナラするんですねーそうなんですねー」

「宇宙に住む人と書いて宇宙人なのよ、オナラくらいするわよ。儚のそのテレパシー、私にも伝わってるんだけど?」

「……お前ら姉妹、基本はちゃめちゃ過ぎんだよ……」

夢が言うには、儚は例の屋上に逃げ込んでいるという。携帯も無く、ただひたすら待ち続けているだけと言うのだ。
もし話が本当だとすれば、彼女は熱を出して倒れてしまうかもしれない。それくらい、今宵は冷え込んでいた。

「さぁ、どうするのかしらね」

「……本当なんだな、その……」

「オナラテレパシー」

「……もう少し名前なんとかならなかったのかよ」

「ともあれ事実よ。……妹の為にも、行ってあげて」

彼女にそうして見送られる中、俺は再びジャケットを着込み外へ出る事になる。
もう既に雪がちらほらと舞い散る中、俺は開成学園目指してただ夢中で目指すのであった。

―― しかし屋上、既に午後七時となったその場所に儚の姿は見当たらない。
もしかして、隠れているんじゃ……と、テントの中や着ぐるみの中まで確認してみるが、やはり見つからない。

もう、アイツは帰ってしまったんじゃ、と俺が肩を落としていると……>>485

おでんの屋台から彼女の声が

屋上を見落とす!

もう、アイツは帰ってしまったんじゃ、と俺が肩を落としていると……おでんの屋台から彼女の声がした。

「あぁぁ~、もう!! あのバカ、待ってたのに、ずっと待ってたのにぃぃぃ!!」

「……この声、儚……でも、何処から……」

「何とか抜け出せたのに、なんで、なんで来てくれないの!? 学校にも行けないから、ずっと会えなくて、堪らなくて……なのにぃぃぃ!!」

「……校庭から聞こえて……って、なんでおでんの屋台!?」

その第一校庭と呼ばれる箇所から、随分な大声で彼女は愚痴を溢しているのであった。
慌てて階段を駆け下りてはそのおでん屋台の暖簾を潜れば、そこではやはり儚が、頬を真っ赤にさせてこちらをじとーっと眺めてくるのであった。
妙に酒臭い。そして、その屋台の店主は誰なんだと見れば……、その人は手を小さく掲げて揺らしているのであった。

「やっほ~、久しぶりにゅん!!」

「高科、お前……こいつに酒を飲ませたな!?」

「お酒という名のジュースなのだにゅん!」

「っていうか、この屋台……どうしたんだよ」

「趣味みたいなものだにゅん。……細かい事気にしてるヒマがあるのなら、そこの酔いつぶれをどうにかして」

「うぅ~~~、ひぃ~~びぃ~きぃ~~くぅ~~~ん……」

「……マジで酒臭いぞこいつ。……どうしよう」

「ラブホにでもお持ち帰りどうぞ~だにゅん!」

改めて確認する。儚は完全に酔いつぶれている様子で、まともに立ち上がれる気配は一切無い。
つまり彼女を運んでやらなければならないが、寮へ連れ帰っては相沢仁美に見つかってしまうかもしれない。

では、やはりここは……>>488に彼女を運ぶしかないだろう。

coco壱

では、やはりここは……coco壱に彼女を運ぶしかないだろう。
彼女を背に抱え、妙なうわ言を呟く彼女を連れて行こうとした時、高科が俺を呼び止める。

「ねぇ、鴨志田君。……彼女、今大変な時期だろうけど……浮気とかしてないでしょーね?」

「し、してないぞ!? してないんだからな!?」

「ふーん、まぁいいんだけど。……でも、私の親友、あんまり泣かせないでね」

儚を背負い、高科の言葉を振り返っていた。恐らく、彼女はあの屋台の場で泣いていたんだろう。
よく見れば、儚の目が真っ赤となっていたこともあり、余計に胸を痛めてしまうのであった。
やはり、もう一度あの編集担当の女ときっちり話をつけなければならないと、某カレー屋に入るのである。

すると、そこには待ち受けていたかのように、その例の女がチーズカレーを本来の辛さ以上にして食していたのである。

「随分と遅い登場のようで」

「……な、何で、此処に相沢さんが」

「ココイチだけに……、いえ、今のは無かった事にしてください」

「……はぁ」

「長谷川さん、お酒飲んでますね。……何故カレー屋にお持ち帰りしたのでしょう?」

「なんというか、天の声的な意味で……」

「まぁ良いです。……座りませんか? 店員さんも困ってます」

相沢さんが言うように、店員達も確かに酔いつぶれた少女を抱える俺に、やや戸惑い気味の様子であった。
仕方なくと、テーブル席に座る相沢さんの席の隣に腰掛け、その隣に儚を横たわらせる。
そうして、とりあえず落ち着いたと一呼吸置けば、彼女からこんな話を持ちかけてくるのだった。

「最近、長谷川さんの作品のクオリティが落ちています。……ちょっと見ていられません」

「クオリティ、ですか……」

「癪ですが、彼女を貴方にお返ししましょう。ですが、>>490を条件とします」

言葉を使わないコミュニケーション

「癪ですが、彼女を貴方にお返ししましょう。ですが、言葉を使わないコミュニケーションを条件とします」

「いや、無理ですから」

「次の作品が仕上がるまでで構いません。少しばかり枷を掛けた方が、彼女は伸びる傾向があります。
 ただ、今回ばかりは私が少々暴走しすぎた感もあります。彼女に詫びなければなりません」

「……枷、ですか」

「ともあれ、言葉を用いなければ何をしても構わないとします。……そもそも、長谷川さんが締め切りをちゃんと守ってくれれば……ぶつぶつ」

その小言をはっきりと聞いてしまった俺は、ついつい苦笑するしかなかったのだった。
長谷川儚、確かにその分野では天才的な才能を持つかもしれない。ただ、本人はかなり自由人であり、
締め切りの類は基本守らず、同人だって夢が居なければきちんと入稿しないといった具合なのだった。

それが原因でもあり、バトル漫画は打ち切りとなり、俺達の冒険はこれからだ状態になってしまうのだった。

寮に儚を連れ帰り、彼女が使っていた部屋のベッドに横たわらせ、改めて彼女を全身眺めてしまう。
その小さな身体を縛られ、それでも自由に動きたいともがいていた結果、今回の騒動を巻き起こした事になる。
奏の言う通りであった。問題は儚自信にあると。それを解決に導くのも、俺の役割であるだろう。

「う、ぅ……ん……、あ、あれ……」

「…………!」

「……響君……? な、なんで、手をじたばたさせてるの……?」

「…………!」

「……ごめんね。丸っきり意味が分からない……」

言葉を使わずコミュニケーション、それを試みた結果、意味が分からないと返された挙句、
それでも必死にジェスチャーを行えば、とうとう>>492だと言われてしまうのだった。

謎のタコ踊り

(背中文字を使えばいい)

尻文字でも可。

絵文字

言葉を使わずコミュニケーション、それを試みた結果、意味が分からないと返された挙句、
それでも必死にジェスチャーを行えば、とうとう謎のタコ踊りだと言われてしまうのだった。

「よく分からないけど……、背文字にすれば良いんじゃない……?」

「…………!」

「こくこく頷いてる……、ちょっと面白い……」

ふと思う、儚は普通に話をしても別に問題は無いのだろうかと。しかし、相沢さんが再び現れない以上、問題ないのだろう。
彼女の背に振れ、指先でなぞっていくのだが、服越しだと分からないと口にした彼女は、上着を脱いでしまう。
久々に見る彼女の生肌を目にし、つい生唾を飲み込みながらも、俺はその肌に指で文字を刻んでいく。

「ん……ぅ……」

微かに儚の吐息が漏れ、くすぐったいのか声を発してしまう中、俺は指先で文字を更に刻んでいくのだった。

「……会いたかった、かな……? ……私も、だよ」

その背文字によるコミュニケーションにより、不思議と彼女との距離がまた縮まったような感覚だった。
次第に、儚もこの状況に慣れたのか、俺の背に文字を書いていくのだが、これが思ったよりくすぐったくて堪らない。
互いにそうして笑いを堪えながらも、愛の囁きのような言葉を何度も交わし、そして……。

「……んっ……」

もう誰にも邪魔されないと、互いに身体を交わしてしまう。その交わりは、ずっと、ずっと続くような気がして、それでもとても短くて。
彼女が微かに鳴く中、身体に指先で文字を描きつつ行為に夢中となってしまう。

そうして、以前のような枷が解け、多少は自由となった儚は、以前よりも随分絵本作りに必死となっていた。
その期間をただ俺は見守るしかなく、最近ではホワイトボードで文字でのやり取りが続く事になる。

この結果、彼女の次の作品である『うさぎと言葉が話せない少年』というタイトルの絵本は……>>496

獣耳を持つ種族の少年少女たちに大人気に

もしかして現行スレ報告スレに書き込みまだ?

この結果、彼女の次の作品である『うさぎと言葉が話せない少年』というタイトルの絵本は……獣耳を持つ種族の少年少女たちに大人気に。

―― 彼女は、そうして地球全体に関わる奇怪現象から、人々を導く事になる。
世の中には、そうした人種が存在する、という事を知れ渡らせたのがこの絵本の存在であった。
出版された当初こそ、思った以上の評価が得られなかったこの絵本だが、その獣耳を持つ種族、通称アウターと呼ばれる存在に人気を得ては、
報道によりその存在が公になり、その存在達にどう向き合うか、という状況が今形作られている。

そうして春を控え、彼女は更に次の絵本を展開する事になる。『ひととひと』というタイトルのそれは、
シンプルながらも人類の抗争を行っている場合では無く、宇宙的存在と向き合うべきだと訴えている。

自分達が知る事が出来る事というのは、思った以上に少ないものである。
アウターなる存在が確認され、地球上に今まで存在することが無かった未確認物体も多数認識されるようになった現在、
人々は真価を問われ、その橋渡しを絵本で行いたいというのが、儚の今の理想であった。

「……懐かしいなぁ、この写真」

儚が久々に手に取ったそれは、かつて星見寮の皆で撮った写真である。
卒業を迎え、皆がバラバラになる前の最後の集合写真。その後、連絡を取り合うことがあれど、
やはり現状の急激な変化もあり、皆が多忙なのだろう、中々連絡が取れないでいるのだった。

「星見寮、無くなっちゃったんだよね」

「……そうだな」

その後、俺は何とか三流大学に合格し、儚とは会う機会も減っていたものである。
そして儚もまた、次々と世に名が知られ、かつてない多忙の日々を迎える事になっていた。

久々に彼女に会ったのは、三年後となった。それまでは、精々電話やネットを用いての会話でしか行えなかったくらいだが、
改めて成長した儚に出会い、驚愕を隠せないで居た。一瞬、夢に出会ったのかと思うくらい大人びていて、それでいてどこか可愛げが残されていて。
髪もロングにまで伸びており、今では以前には無かった気品すら感じられる彼女は、その写真を見て言った。

「お姉ちゃんね、今度宇宙で……>>499をする事になったみたい」

アイドルデビュー

「お姉ちゃんね、今度宇宙で……アイドルデビューをする事になったみたい」

「……何故にアイドルデビューなのか問いたいな」

「詳しくは聞いていないけど……、映像メールが来てるから、見る?」

彼女がそう言っては、最近開発された新型携帯端末を開き、画面を展開させる。
たった二年程度で、急激に科学も進歩しては、宇宙に進出することすら当たり前となった現在、
高校時代では考えられなかった事態が次々と展開されることとなり、付いていけている人は中々居ないだろう。

『久しぶりね、儚。宇宙に出て、こっちはもう一年も経つわ。やっぱり、宇宙って凄く広いのよ……』

「……こいつも、とうとう宇宙デビューしたのか……。しかし、落ち着いた雰囲気になったな」

「そうだね、前よりもちょっと落ち着いてはくれたかも」

『それにね、星ってこう、ぱぁーっと輝いて……!』

「……こいつ、近いうちに死んだりしないだろうな」

「さ、さぁ……、どうかな」

『ところで、話は変わるけれど、鴨志田君との子供はまだかしら。楽しみにしてるのよ。
 子供は早いほうが良いわ。早く作りなさい。そして、名前は私に任せなさい。既にもう考えてあるのよ――』

「こ、子供だって。……気が早いよね、お姉ちゃん」

儚は、今も尚映像メールで喋り続ける夢を見て照れ笑いを浮かべていた。
彼女もまた、三年を経て随分感情豊かになったのか、時折こちらが胸を弾ませるような仕草を見せるようになっていた。

「……子供、欲しい?」

メールも終わり、その新型携帯端末を閉じた彼女は、改めて俺の方を見る。
こんな時、それこそ言葉は要らない気がした。だからこそ、俺は……>>501という行動を取る。

精子バンクに行く

メールも終わり、その新型携帯端末を閉じた彼女は、改めて俺の方を見る。
こんな時、それこそ言葉は要らない気がした。だからこそ、俺は……精子バンクに行くという行動を取る。
子供が欲しいのなら、精子が必要だろう。それは当然であるのだが、そうする俺を彼女は制止するのであった。

「……入っておいで」

「ふぁーいっ!」

儚がその作業場に招き入れたのは、二歳になろうというくらいの小さな子供。それは、よたよたと可愛い足取りでこちらにやって来る。
誰の子供だ、誰とそんな……と、驚愕する俺に、彼女はちょっぴり申し訳なさそうに言ったのだ。

「……卒業後、東京の方へ行って、それで気付いて。相沢さんにも相談して、やっぱり産んだの。 響君との子供だよ」

「お、おい……、な、なんで知らせなかった……!」

「話せる機会も殆ど無かったし、それに負担も掛けたくなかったし……。それに、メールで産みました、なんてちょっと言いづらくて……」

彼女はそこで、その子供の頭を撫でつつも、申し訳無さそうに話すのだった。
余りにも驚きの為、暫く身動きが取れなかった俺の服の裾を掴むその子供の名を、彼女が呼んだ。

「音、ダメだよ、パパに迷惑掛けちゃ」

「ふぁーいっ!」

「……音って言うのか、その子」

「うん、多分お姉ちゃんが考えてる名前もこんな感じだと思う。……響君と、奏さんから取った名前だよ」

「そっか……。奏、アイツも元気にしてるかどうなのか」

「世直しの旅に出てるんだっけ。……きっと元気だよ」

そうして、星見寮の全員が集まることは、もう二度と来ないだろうと思っていた。


―― 後に、俺は儚と結婚式を挙げる事になる。たった二人、子供を入れて三人の儀式。
相沢さんも多忙で駆けつけられないようで、夢ともメールで一度やり取りをした程度。
日和見は普通に進学したそうだが、やはり昨今の事情もあるのと、新しい彼氏との付き合いもあり、こちらには戻れないそうだ。

「……結婚式、終わったね」

「まぁ、形式だけだけどな。……どうだった?」

「ウエディングドレス着れただけでも、十分に幸せ」

満面の笑みを漏らす彼女は、また一つ、大人になっていた。化粧で整えられたその顔立ちは、さながら別人のようである。
皆には一応連絡はしたが、それぞれやはり都合があるのだろう。返信が来ない連中も居れば、駆けつけられないという報告もあった。
少々物悲しいが、仕方ないと、二人で改めて貸し切った教会の扉を開いた。すると、突然クラッカーが鳴り響くのだ。

「おめでとう、やっと結婚したんだね!! もっと早いかと思ったのにー」

「そうね、でも儚さんが多忙だったみたいだから、仕方ないんじゃない?」

最初に出迎えてくれたのは、日和見と水無月だった。日和見はカジュアルな格好で駆けつけてくれた様子で、
水無月に限っては何故か探険家の衣装を纏って俺達を祝福をしてくれるのだった。

「結婚おめでとうなのです。後、ブーケは私に欲しいのですよー」

「ご結婚おめでとうございます、旦那様。……悔しいですけど、彼は儚さんにお譲りしますね」

次に祝福してくれたのは、柏田先生に愛莉だった。何故かブーケを欲しがる柏田先生は、相変わらず背が小さい。
そして愛莉は、相変わらずメイドの衣装だったりするのだが、雰囲気がまた大人びていて、一瞬見移りしてしまう程美人となっている。

「にゅんにゅん、結婚おめでとっ!」

「名探偵として言わなければならないようだ。……おめでとうと」

「ほーんと、結婚するの遅かったわね。へたれだから仕方ないっか」

最後に、相変わらず電波を飛ばしては、服飾に励んでいるらしい高科羽未。
そして最近では探偵業を始めたらしい有栖川雪菜。そして……何故かドレス姿で着飾り、へたれ呼ばわりする奏が、俺達を祝福してくれるのだった。

そんな皆にお礼を言う儚だったが、何度も周囲を見渡し、誰かを捜している様子だった。
恐らく彼女自身の姉、夢を捜しているのだろう。そんな彼女は、最後の最後に控えているのだった。

「どうだったかしら、今回のサプライズは」

「……お姉ちゃん……!」

「結婚、おめでとう。儚。そして……響君」

「……ありがとう」

この星がどんな進化を遂げようとも、この星がどんな窮地に陥ろうとも、俺は彼女とずっと傍に居る事になるだろう。
最後の最後まで、儚と、そして音と共に、皆に囲まれながら儚はそう決心したのが何故か伝わった。
だからこそ、俺も伝えるように決心するのだ。ずっと一緒に居よう……と。


―――― おわり

お疲れ様!

何だか駆け足気味だったかもで申し訳ないーと思いつつも終わります。

で……やっぱり次回なーんにも決めてないないのです、はい。
良かったら避難所でアイデアくれると嬉しいなーなんて。でも難しいのは無理ですから!

そんな訳で、長々お付き合いありがとうございましたー。

【06/30 (日) 00:40時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

06/30 (日)
  20:00~21:50/◆S1TzStjJG6氏 - 単発モノを
07/06 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - よてーはみてー

明日は新しい方かな?べっちょり

このトリは佐々原氏だったような
おつー

鳥テスト 含めて今回のプロローグ投下
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 彼女の病は現代医療では治すことが不可能な病気だった。

 僕はそんな彼女の延命のための治療という名の拷問を続けている。

「ねえ、先生……恋人になってよ」

 僕は戸惑った。
 彼女が望むことなら何でもしてあげるつもりだった。
 しかし、心はどうすることも出来ない。

「ごめん」
「うん。そうだよね。私、すぐに死んじゃうもんね」
「ごめん」
「そんな顔しないでよ。私も本気でお願いしてるわけじゃないんだからさ」

 なんて、僕は無力なのだろう……。


-- little prayer --


 僕は彼女の望みを叶えてあげることは出来ない。
 なに一つとして……。

 こんばんは。
 稚拙な部分・誤字などなど大量にあるかとは思いますが、どうかよろしくお願いします。
 病院モノですが、わたくし別段医療に詳しいわけではないので、
 現実問題「そこは違うだろ」という突っ込みどころが多発すること受けあいでしょうが、
 指摘しつつも軽く見逃していただけると助かります。

──とある病院から物語は始まる

 病室402号室……。
 ここに入れられた病人は生きて外に出ることはないと言われている死の病棟と呼ばれている。

 僕は病室の前に飾られた質素なプレートを見る。そこには僕が見るべき患者である『>>510』という名前が書かれていた。
 初めて出会った彼女はとにかくはかなげな印象があった。
 神経質な色をした部屋の中に、彼女はベッドの中で眠っていた。
 とても死の宣告を受けた女の子とは思えないほどに安らかな表情をしている彼女が、とても綺麗だと思ったのは不謹慎だろうか。

「もしかして、今日から私の担当になる>>512先生……ですか?」

 ずっと見つめていることに気付いたのだろうか?
 彼女は目を閉じたまま、僕に質問を投げかけてきていた。

「ああ、僕が先生だ。残念なことにね」

四相久子

霧崎

尻之穴

「良かった。尻之穴先生って、思ってたより若い」
「そうだね。それでもキミとは10歳は離れてるよ。あと僕の苗字を若い女の子のキミが臆面もなく言うのはどうかと思う」
「え? 先生の名前でしょ? 恥ずかしがらなくていいと思いますよ」

 この奇妙な名前のせいで、僕の人生は波乱万丈だった。
 しかし、人生経験における波乱万丈さにおいてはキミ、『四相 久子』の足元にも及ばないだろう。

「先生……私の病気ってそんなに珍しい病気なんですか?」
「ああ、四相さんの病気は1億人に1人の割合でしか発祥しない病気だ。親からの遺伝でもなければ空気感染もしない。
 病巣が転移するためか、患部を摘出しようと、治すことが出来ない。
 ただし、珍しい特徴があって……」
「まず無痛症になる……もしくは限りなくそれに近くなる」

 僕の言葉をさえぎって彼女は言う。
 神経が蝕まれ、痛覚がなくなる。まるで人の感情をコントロールするかのようだ。

「うん、キミは極端に痛みを感じにくくなっている。
 そして、この病気のもっとも大事な特徴として……>>515がある。だからとても厄介な病気なんだ」

人間三大欲望がMAXに

妊娠していないと死んでしまう

>>515
そりゃ厄介だ!

「うん、キミは極端に痛みを感じにくくなっている。
 そして、この病気のもっとも大事な特徴として……妊娠していないと死んでしまうがある。だからとても厄介な病気なんだ」
「へぇ……そんな特徴があるんだ。先生はちゃんと教えてくれるんだね、私の病気のこと。
 今まで私を診てくれた先生は誰一人としてそんなこと教えてくれなかったよ」

 それは……この病気のことを治そうとする医者がいなくなったからだ。
 患者への精神的な負担を理由に症状などを隠すこともあるが、
 全ての医者が「彼女はもう死ぬしかない」とさじを投げた以上、そんな表面上の思いやりなどどうでもいいらしい。
 あと、キミの年齢がある一定の年齢以上じゃないからこれは教えることが出来なかったのだろう。

「四相さん」
「久子でいいですよ。四相と呼ばれると、死にそうって思っちゃう。ね、尻之穴先生」
「四相さん、できれば僕のことは普通に先生と」
「尻之穴先生。久子です」
「久子さん。これで僕のことは普通に先生と」
「分かりました。尻之穴先生♪」

 彼女は本当に死ぬ直前だと分かっているのだろうか?

「先生、まずは何をしますか? 私の治療をしてくれるんでしょ?」
「……そうだな、まずは>>519
「い、いきなりですか?」
「今までもやってきただろう……恥ずかしがられるとこちらもやりづらい」

妊娠状態かどうかチェック

歌をうたいながら病院内を志村○んのコスプレで練り歩く

パイタッチ

「……そうだな、まずは……はっ!? 歌をうたいながら病院内を志村○んのコスプレで練り歩くぅっ!?」
「い、いきなりですか?」
「今までもやってきただろう……恥ずかしがられるとこちらもやりづらい」

 というか、彼女はなんでそんなことをっ……!?

「し、仕方ないですねぇ……ちょっとだけよぉ~ん」
「それは志村ではなく加藤だ」



──◆数分前の出来事

「一体どういうことですかっ!」

 僕は思わず声を荒げてしまう。
 僕の声を聞いた二人の初老の男女はただ深く俯いたまま、搾り出すような声で言う。

「私達はもう申請しないと言ったんだ。久子の運命はもう決まっているのだろう?」
「それに……もう私達は限界なんです。あのコを見続けるのは……」
「だから、尻之穴さん……どうか彼女の短い余生を……花のあるものにしてやってはくれないだろうか?」
「短い間だけでもいいんです……幸せを、与えて下さい」

 涙ながらに語ったのは両親だ。
 そう、彼女は医者だけでなく、実の両親からも見捨てられようとしていたのだ。
 僕はどうにか思い直してもらおうと頭の中で色々考える。

「……>>523!!」

 その瞬間僕は彼女の両親に向かって、叫んでいた。僕の心の叫びだった。

安価下

あの子を犯し妊娠させたのは他でもないお父さん、あんたでしょう

「……あの子を犯し妊娠させたのは他でもないお父さん、あんたでしょう!!」

 その瞬間僕は彼女の両親に向かって、叫んでいた。僕の心の叫びだった。

「……そうだ。酒の勢いだと言い訳するつもりはない」
「中絶の影響で、あの子は妊娠することができなくなってしまっているの。先生はご存知でしょう?」
「罪滅ぼしすら……私達にはできないのだ」

 両親は一度も顔を上げることもなく、ただしわがれた声で語り続けた。
 己の罪のざんげと、彼女の短い幸せを。


──病棟廊下

「あ、変なおじっさんっだから、変なおっじっさん♪」

 僕の目の前には、タイツに腹巻というひと世代昔のオヤジを符号化したスタイルの久子さんが病院の廊下を歩いていた。
 何事かと目を丸くしているものもいれば、カルテを口元に当ててクスクスと笑っている看護師もいる。
 一緒に歩いているボクはもちろんいつもと同じスタイルで白衣だ。

外野「ちょ、ちょっと先生! 彼女は頭やられてるんですか? 早く薬を」
看護師「久子ちゃん、そのネタはちょっと古いんじゃないかしら? 30代ホイホイよ」

 彼女を見た患者それぞれが、何かしらのリアクションを返していた。

「久子さん……その……1つ聞いてもいいかな?」
「うん、なに? 1つと言わず何でも聞いて?」
「キミはいつからこんなことを、始めたのかな? そして何故こんなことをしてるのかな?」
「お、いきなり2つになった。始めたのは入院してから! 何故っていうと>>526から、かな?」

明るく元気になれる

笑いの神が舞い降りてこうするようにとアドバイスしてくれた

陰気なことを吹き飛ばせる

「キミはいつからこんなことを、始めたのかな? そして何故こんなことをしてるのかな?」
「お、いきなり2つになった。始めたのは入院してから! 何故っていうと笑いの神が舞い降りてこうするようにとアドバイスしてくれたから、かな?」
「久子さん……大変言いにくいことなんだが、その笑いの神は……パチモンだ」
「えっ……なんでっ!? 美少女がこんな変な格好しているだけでお茶の間からはドッと笑いが取れるでしょ?」

 このコ、自分のことを美少女とおっしゃいましたよ。
 返して下さい、僕の第一印象。(※>初めて出会った彼女はとにかくはかなげな印象があった。)

「こうして笑ってくれる……それだけで身体が元気になるような気がするの。病気でなんていられごはぁっ!」

 とびきりの笑顔を見せてくれる瞬間、彼女は豪快に吐血していた。
 廊下に飛び散る赤いしぶき。
 僕の白衣にも赤い斑点が作られた。

「ちょ、ちょっと久子さんっ!」
「だ、大丈夫。尻之穴先生。こっそり飲んだトマトジュースが器官に入っただけだから」
「トマトジュースなんて飲んでないだろう! なんでそんなウソをつくんだ」
「芸人が吐血なんてしたら、お茶の間は笑えないから……よ……けふっけふっ……」

 彼女が咳をするたびに血があふれ出してくる。
 これはただごとではない。

「大丈夫かっ! 今すぐ楽にしてやるからな! おい、そこの! 急いで>>530の準備だ!」
看護師「は、はい分かりました!」

麻酔

女性向けアダルトDVD

>>530
えーと>>529を埋めようとして冗談を書いたら自分が安価ゲットしてました。

「大丈夫かっ! 今すぐ楽にしてやるからな! おい、そこの! 急いで女性向けアダルトDVDの準備だ! 今すぐ女性向けアダルトDVDの準備をしろ!」

 突然の出来事に看護師は石化したように動かない。

「何をしている! 早く女性向けアダルトDVDを準備するんだ! 人命がかかっているんだぞっ!!」
「は、はい分かりました!」

 指示をすると、看護師は尻に火がついたように走り出す。

「せ、先生……がちょーん……」
「久子さん、それはもはや志村でも加藤でもないぞ。意外に余裕そうだな!」
「痛みは感じないから、ごふっ……でも、身体はなんかいうこと聞かない……かも?」

 くっそっ……なんだってんだ。いきなり。

 看護師達が担架を持ってくると、彼女を運んでいく。

「先生……女性向けアダルトDVDが見つかりました。こちらでよろしいですか……?」
「ああ、問題ない。きっとこれは必要になるときがくるだろう。では彼女の容態を調べよう」
「先生……これを何に使うんですか?」
「もちろん……>>534だ」

恥ずかしさで気絶そして麻酔

カウパー腺液が出るかどうかのチェック

「先生……これを何に使うんですか?」
「もちろん……カウパー腺液が出るかどうかのチェックだ」
「……女性はヴァルトリン腺液ですよ」

 いや、僕が使うんだが……。


──◆ 病院の屋上

 たくさんのシーツがはためく白の世界。
 風にそよぐ白い布地を背に僕は天に向かって叫んだ。

「ッざけんなっ! なにが早く終わってなによりだ!」

 彼女の容態は……想像以上だった。
 痛みが感じないから自覚はなかったのだろう。

「想定しうる最悪の事態が起こった」
「病巣が心臓に転移した」
「心臓は非常にデリケートな部位……もはや摘出して延命をすることも不可能だろう……」
「彼女の命は持って3日」

 両親の言葉が脳裏に思い浮かぶ。

「どうか彼女の短い余生を……花のあるものにしてやってはくれないだろうか?」

 僕が彼女にしてあげられることは……>>537

宇宙旅行をプレゼント

レイプ

>>532
切迫した状況描写に、涙が出るほど笑わせてもらいました。

 僕が彼女にしてあげられることは……レイプ。
 どうせ死んでしまうのならば、徹底的にめちゃめちゃにして、彼女に恨まれよう。
 死ぬほど憎まれて、僕はその罪を背負い続けよう。
 助けることができないのなら、せめて彼女の感情を背負いたいんだ。


 彼女が寝ているだろう病室に入ると、彼女は血で汚れた腹巻を見ながらこちらを振り返らずにこう言った。

「ねえ、先生……恋人になってよ」

 僕は戸惑った。
 だが、僕の心はもう決まっている。

「ごめん」
「うん。そうだよね。私、すぐに死んじゃうもんね」
「ごめん」
「そんな顔しないでよ。私も本気でお願いしてるわけじゃないんだからさ」

 なんて、僕は無力なのだろう……。
 僕は彼女が寝ているベッドの上に乗った。

「尻之穴先生……いいよ」
「なにが」
「先生の目……悲しい野獣の目をしてる。あの時のお父さんの目と一緒……」

 そう……彼女はもう、一度同じ目に遭っているのだ。

「僕はキミを助けない! だから僕はキミに乱暴する! キミは……久子はそんなことをする僕を恨むんだ!」
「先生……どうしたの? >>いるよ?」

 久子は不思議そうに僕を見上げていた。

「先生……どうしたの? >>いるよ?」
   ↓
「先生……どうしたの? >>542いるよ?」

死神かと思ったら七福神が

お父さんが後ろに

「僕はキミを助けない! だから僕はキミに乱暴する! キミは……久子はそんなことをする僕を恨むんだ!」
「先生……どうしたの? お父さんが後ろにいるよ?」

父「せ、先生……アンタって人は……」
母「ダメよ、アナタ。先生はこれから久子に女の喜びを教えてくれるに違いないわ。だって先生なんですもの」
父「……そっか……。そうだな。先生は私とは違うお人だ。何か考えがあってのことだろう」
母「そうよ。先生はアタシ達とは違ってまだ諦めていらっしゃらない。どうにかしてくれようとしているのよ」

「お父さん……お母さん……もう一度膜は破られてるけど、久子は大人になります。
 だから、優しく見守っててね」
「かえってやりづらいよっ!」

 ……僕の心はすでに弱りかけていた。
 それでも、僕は……彼女の着ているシャツを左右に割いた。
 紙のようにあっさりと破けたシャツの下には彼女の肢体があった。
 女性らしいふくらみはあるものの、ふくよかとは言えない痩せた身体をしていた。
 そして、いくつもの手術痕。
 彼女の戦いの証。

 僕は傷口に塩を塗るようにその傷跡を舐めた。

「……ぁ」

 小さく喘いだ彼女を見て、僕は決める。絶対に彼女を>>545と。

アフリカの有名なまじないしに治してもらおう

心だけでも妊娠させる

 小さく喘いだ彼女を見て、僕は決める。絶対に彼女を心だけでも妊娠させると。

 僕は彼女に乱暴した。
 何度も何度も。朝から晩まで日が暮れるまで……。

 残った日数は2日。

 僕は彼女をヤリ捨てた後、女性用アダルトDVDを見ながら神経を昂ぶらせていた。
 眠気・性欲・食欲それら人間三大欲望がMAXになった時こそ、最高の手術ができるからだ。
 
 僕は彼女に宇宙旅行をプレゼントすることも、明るく元気にさせることもできないダメな男だ。
 しかし、陰気なことを吹き飛ばせる彼女を見て思った。
 やはり彼女には生きていて欲しい。
 もっと笑っていてほしいと。

 アダルトDVDのいやらしい声が響く部屋の中に、慌てたように病院長がやってくる。

「尻之穴君! キサマ、四相の心臓にある病巣の摘出手術をするそうだな!」
「はい、そうです」
「そんな手術、誰が認める!? 手術で彼女が死んだらどうする!?」
「どうせ死ぬとサジを投げた人間が何を言う! 救える可能性があるなら僕は……」
「失敗したら貴様は>>548だ。いや、成功したとしてもキサマのようなヤツは医学の世界には置いていけない」
「承知の上です」

 だから例え全医師に反対されようとも、両親との禍根を残そうとも僕は彼女を手術する。

宇宙船地球号追放

罰として魔法で寿司の緑のギザギザの葉っぱに変身

見習いに格下げ

>>549
ごめんね。

「そんな手術、誰が認める!? 手術で彼女が死んだらどうする!?」
「失敗したら貴様は罰として魔法で寿司の緑のギザギザの葉っぱに変身だ。そうだ、バランバランにしてやるぞ!
 それに、成功したとしてもキサマのようなヤツは医学の世界には置いていけない」
「承知の上です」

 だから例え全医師に反対されようとも、両親との禍根を残そうとも僕は彼女を手術する。

「バカバカしい。アフリカの有名なまじないしみたいに祈ればなんでも治してもらえるとでも思っているのか!? まるで医療ドラマだ」
「医療ドラマにするんです」
「…………」

 呆気に取られたままの病院長と、流れ続ける女性向けアダルトDVDの嬌声を置き去りに僕は部屋を出た。

──◆カンファレンス
「彼女の病巣は心臓にある。その病巣を取り除く手術だ。過去に何度かやっているので病巣自体は分かると思う」
「だが、場所が場所だけにいつもと手順は異なる。
 次の点を覚えていて欲しい関してはこうだ。」

 1)まず彼女の心臓を止める
 2)病巣を摘出する
 3)>>552
 4)心停止状態を解除する

「この手術には素早く、的確な技術が必要だ。
 よって、21:48までのレスで、最後の3レスの秒数以下の値が平均で75を下回った場合、手術は失敗する。(2個しかない場合は自動で失敗)
 辛い手術になるかも知れないが彼女を励ましながら手術を開始する」

ちゃんと消毒して手術用具が残されていないか確認して、刺青の絵がずれないように気を配って縫合する。

しまった時限式だったか

■1/2(2番もうちょっと待って)
「手術を開始する」

 彼女は手術する前にこう言っていた。

「尻之穴先生……もし、手術が成功したら私、まっさきに妊娠状態かどうかチェックさせてね」
「そんな時が来るころには僕は医者見習いに格下げされているか、宇宙船地球号を追放されているだろうね」
「もし、妊娠してたら……わたしとパイタッチしてね」
「そこはハイタッチだよねっ!? なんで互いの胸をまさぐりあわなきゃいけないんかな?」

 そういうのはDVDの中だけにしていただきたい。


「僕は……絶対に彼女を助ける! 術野を開く……メス……」
  「心拍……停止を確認」
「ケッツー先生、手早くお願いします」
  「分かっているっ! ドレナージ!」
「部位の摘出完了! 縫合する!」
  「先生……そろそろ限界です」
「分かっている! もってくれ!」

 ちゃんと消毒して手術用具が残されていないか確認して、刺青の絵がずれないように気を配って縫合する。
 Life&Deathで勉強したことを忘れない。
 彼女の身体を維持も忘れない!

「行くぞ! カウンターショック! 帰って来い! 久子っ!」
  「ダメです、心拍戻りません」
「もう一度だ!」
  「先生ッ……先生ッ!!」
「久子、死ぬな、死ぬんじゃないっ!」

 …………。

>>552
よく考えたら縫合する前に心停止状態を解除しなきゃならなかった。

──◆ 某墓地

 目の前の墓石には「四相 久子」と書かれている。
 僕は白衣を脱ぎ捨て、黒いスーツを着ていた。
 もう二度と白衣を着ることはないだろう。

父「先生……最期まで本当にありがとうございました」

 ただ無心で墓石を拝んでいると彼女の父親が静かに頭を下げてきた。

「僕は医者じゃない……。彼女を救えなかった僕に医者を名乗る資格がない」
父「アイツから手紙を預かっています」

『短い間だったけど、私、幸せだった。
 願わくば、自分みたいに苦しんでいる人を助けて欲しい。カッコイイ尻之穴先生であり続けて欲しい』

「尻之穴先生って呼ばれても、全然カッコよくないぞ……ばか……」

 目頭が熱くなるのを止めることができなかった。

父「先生はまだ先生でいらっしゃる……どうかあの子のためにも、再び白衣に腕を通してもらえないでしょうか?」
「……は、い……それが彼女の小さな願いならば……」

<終わり>

お疲れ様でした。

笑ったらまずいジャンルの話ですが、笑いました。

▼あとがき
 ということで、思いっきりタイムオーバーしてしまって、little prayer終了となりました。
 タイトルどおりになったかは別として時間通りに終われなかったのが悔やみどころです。ごめんなさい。
 
 そして用意していたセリフを使うの忘れてました。
 「患者は医者の都合で病気になったわけじゃない! 医者の都合で握れないメスがあっちゃいけないんだ!」
 ああ、なんというミス。

 というわけで、お付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。
 可能な限りレスを拾わせていただきました。
 本当にありがとうございます。
 こんなまだまだ力不足な文ではありましたが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
 ではでは。また!

乙!

次のご予定は現在、以下の通りになっております。

【06/30 (日) 00:40時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

07/06 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - よてーはみてー

07/01 (月)
  20:00~22:00 /No.12 ネルシト ◆tnewYYDysv15 氏
お前は誰だ 第10話 やばい。煮詰まった

【登場人物】

木下蔵吉=信長にサルと間違われた不運の大学生。信長を探しに戦国時代へ

織田信長=自称・過去からやってきた六天大魔王だが、カレーに興味を持ち工場見学ではしゃぐ子供のようなおっさん。今度は神になったとか。

今川真子=主人公の同級生。常に巻尺を携帯してる。戦国時代へ訪問して今や立派な通。

大家=霊能者。ファッションが変なのだが、どんなんだったか書き手が忘れている。もういいや適当で。

正しい歴史研究会の部員=信長とケンカした。蔵吉とは仲直り。田中・H・太郎と命名される。

校医さん=女性、貧乳、オールドミス。

戦国時代の若者=競馬場に馬を届けに行く途中。

おぐりふた=オグ○キャップのことらしい。

もう少々お待ちください。

時は戦国時代から安土桃山前期だと思われる。

その時代から、現代日本にやってきた信長は謎のどこでも○アで戦国時代に帰ってしまった。
彼は現地で神になったらしい。
俺は彼にカレー工場見学をさせるという約束を果たしていなかったので、霊能者である大家にどこでもド○みたいな光の輪を出してもらって、
バテレンのコスプレをして現地へ向かった。

戦国時代は信長が俺の部屋から持ち出したアイテムによって、カオスの状況だった。
俺は信長に席見するために一人の若者と出合った。彼は城下町の競馬場に馬を納品する予定だった。

若者「おっさんバテレンだべ。海外のこと詳しく知りたいなあ」
蔵吉「よしよし知ってることならなんでも教えてやる。何が聞きたい?」
若者「>>563

海外での服装は?

木下蔵吉「そりゃジーパンにチェックのシャツ・・・」
と言いかけてしまったと思った。それは現代の欧米の服装(想像)じゃないか!

蔵吉「今のはちょっとごめん。忘れてくれ」
若者「じーぱんにちっくのしゃちだな。書にしたためておくだ」
若者は道端の草をちぎると、出た汁で手ぬぐいにメモした。草木染めだからおそらく長く消えることはないだろう。
蔵吉「いや、さっきのは冗談だから」
若者「神に仕える聖職者が嘘を吐くなど不届き千万だな。なあ~おぐりふた」
おぐりふた「ブヒヒヒヒン」
馬にまで同意されてしまった。やけくそだ適当に答えることにした。どうせ海外には行けまい。だから嘘を吐いてもばれない。

若者「おなごの服装はどうだっぺ?」
蔵吉「おなごか、髪は>>565で服装は>>565だ」(髪型と服装両方書いてください)

金髪・ビキニ水着か裸

ちょっと用事ができたので中断します。

蔵吉「おなごか、髪は金髪で服装はビキニ水着か裸だ」
若者「ははは、裸かーっ!伴天連様、おら是非とも外国さ行きてえだ」
蔵吉が見ると、若者は鼻血を垂らして、下の物は元気に怒張していた。

若者「おら海外さ出て、向こうのおなごを妻にして村を練り歩くだ」
蔵吉「海外はいろいろと大変だぞ」
若者「どの辺が大変だか?おらどんな努力でもしますだ」
蔵吉「>>568

あっちの女は性欲旺盛

蔵吉「あっちの女は性欲旺盛」
若者「それは願ったり叶ったり!なあおぐりふた」
おぐりふた「ブヒヒヒヒヒヒヒン!!(ドンドン)」
蔵吉「ドンドンってなんだ?」
若者「おぐりふたも勃起して腹を打ってる音だべ」
馬をふと見ると鼻血を垂らして、下半身ははちきれんばかりに(ry」
若者「おお、おぐりふたよ。お前も海外に行きたいか?」
おぐりふた「ブヒヒヒヒヒヒン!!(ドンドン)」

そうこうするうちに、腹が減ってきた。おそらくお昼時なのだろう。田畑で働いていた農民達が畦に腰を下ろして食事を始めている。
蔵吉「なあ、そろそろお昼じゃないのか」
若者「>>570

会話にしろ地の文にしろ一行ずつ開けて投下した方がいいよ



蔵吉「ウンヌン~」

若者「カンヌン~」

二人は幸せに暮らしましたとさ


安価なら下

蔵吉「なあ、そろそろお昼じゃないのか」

若者「会話にしろ地の文にしろ一行ずつ開けて投下した方がいいよ。ハッハッ」

蔵吉「それはどうもご丁寧に。どうもありがとう」

若者「それから、今日はメシ抜き。ハッハッ」

蔵吉「そんな殺生な」

若者は性欲でそれどころではないらしい。血走った目で息を弾ませながら馬を連れて行く。
俺はなれぬ凸凹道と、長時間の徒歩でバテていた。

若者「伴天連さんはひ弱だな。そんなことでは彼女はできねえな。ハッハッ」

蔵吉「(ムカッ)ご心配どうも。聖職者ですから妻はいりません」

若者「えっ!伴天連さんは男色家だったのか!」

蔵吉「おいっ!勘違いするな!」

若者は興奮状態から正常に戻ってしまった。性欲が消えて食欲が勝ったのか、彼も空腹を感じ出したようだ。

若者「もう少しで城下町だで、>>572でも食うか。あっ伴天連さんは半径三尺以内には入らないでくんろ」

みたらし団子

若者「もう少しで城下町だで、みたらし団子でも食うか。あっ伴天連さんは半径三尺以内には入らないでくんろ」

蔵吉「おいっお前の国には坊主はいないのか!妻がいないだけでホモ扱いかよ!」

若者「ホモってなんだべ?」

蔵吉「あ、それは、その男色の外国語だ」

若者「一応、外国で困らないように記しておくだ」

若者は先ほどと同じように道端の草をちぎると、すぐそばの茂みの中からスズメバチ一匹が来襲した。

二人「ギャー」

若者はとっさにうずくまったが、対応法を知らない俺は走って逃げた。それが災いしたのかスズメバチはどこまでも追ってくる。

「万事休す」と思ったら、金属がすれる音がして、蜂の羽音が消えた。

ふと後ろを振り返ると侍が、日本刀でスズメバチを叩き切っていた。

侍「伴天連殿、お怪我はござらぬか」

蔵吉「あ、大丈夫です。あのお名前は・・・」

侍「わしの名は>>574

時間が来てしまいました(時間配分間違えた)のでこのままで終わらして次回に持ち越したいと思います。

駆け出しの私の拙い物語に付き合っていただいてどうもありがとうございました。

次回予定も未定なので、書けるとき書きます。

今回は途中中断がありました。申し訳ないけど、これは予想できないです。

現時点での予定

07/06 (土)
  21:00~ /No.11 ◆MOON69mNOA氏
よてーはみてー

07/06 (土)
  19:00~20:50 /No.12 ◆S1TzStjJG6氏
【短編】ストーリーラインはシンデレラで
  21:00~ /No.11 ◆MOON69mNOA氏
よてーはみてー

 ということで前座が始まるよー。


 時は現代、
 場所は日本の都会。
 主人公は『殺し屋』をしている。

【短編】ストーリーラインはシンデレラで

 はっじまっるよー

 俺の生い立ちは語るには普通のものだと思っていたが、
 案外そうではないということだった。

 
 
 物心がつく前に俺の両親が他界していた。

 紛争地帯では珍しいことではない。
 戦争は殺し合い。奪い合い。それ以外の何者でもないからだ。

 一人ではまともに生きていくのも大変だったが、
 幸いにも俺は組織に拾われることとなる。
 暗殺をメインしている組織らしい。
 そこで俺は暗殺のいろはを教え込まれた。

 だが、組織の中でも弱肉強食はある。
 全てが俺にとっていい人間であるわけではない。
 特にグァラ・クター4兄弟という兄弟子は、
 俺を快く思っていないようで、今回も面倒な仕事を押し付けてきた。

「お前はこれから日本に行くんだ。いいな?」
「ハハハッ日本か、いいな! 頭のおかしい連中でいっぱいだからな。お前もアキハバラでMOEMOE言っていればいい」
「そりゃ最高だ! お前の顔はどう見ても東洋人だからな!」
「サムライ、ニンジャーには気をつけろよ、ハハハハハ。俺達はその間、地中海でバカンスしてるからよ!」

「そうだ、あっちの名前を決めてやるよ」
「お前にぴったりそうな名前は……外見的特長からして、『>>578』がいい」
「ぐぁっはっははっ! そいつぁいい! 今日からお前は>>578だ!」

ヒゲハゲ

ナガイモ

ナガイモ

 色白で、糸を引きそうなほど粘り気のある性格が彼らをそう思わせたのだろう。

 こうして俺は、ナガイモという一個人として、日本に送り込まれた。
 日本は俺が住んでいた場所と大きく異なり文化が非常に進んだ町のようだ。
 
 どこかしこに明かりが灯っており、平和なのだろうか歩く人間はみな武器を持ち歩いているようにも、警戒しているようにも思えない。

 驚くことに彼らは、夜、パジャマでうろつくことを当たり前としていることだ。
 俺の故郷でそんなことをするのは度胸試しの時ぐらい。
 つくづく文化……いや、治安の差というものを思い知らされる。

(……しかし、ここは眩しいな)

 色とりどりのネオンが輝く町。
 ピンクや青や黄色が派手に装飾された電光看板に目がくらみそうだ。

 日本文化と言えばやはり性産業。
 ここはその集大成とも言える歓楽街だ。
 俺は目立たぬように『黒のスーツにネクタイを締め、髪をオールバックにして』歩いていた。ただし、隙は見せない。
 この国が平和だとは言え、いつスリや暴漢が現れるか分からないからな。

「おっとごめんよ、兄ちゃん!」

 その時、一人の男が俺にぶつかってきた。慌てて走り去る男の手にはバッグが握られている──!

 もしかしてスリか──!

 そう思った瞬間、俺の身体は自然と動き、男を>>582していた。

指差

ヘッドロック

■1/2
 そう思った瞬間、俺の身体は自然と動き、男をヘッドロックしていた。

「うげぇっ……!」
「おい、お前! そのバッグを放せっ!」
「わ、分かった。分かったから、先に手を……」
「バッグを放す方が先だ。いや、お前が死ぬのが先か?」

 俺の脅しに男はおびえたのか、素直にバッグを放した。
 バッグは女性モノのようで、誰かからかっぱらったもののようだ。

「あ、ありがとうございます! アナタが取り返してくれたのですか?」
「あ、いや、俺は……」

 自分のモノが取られたと勘違いしただけなのだが。

「あの、せめてお礼だけでも……」
「構わない。俺は仕事なので……」
「おおーーっ、見事なヘッドロックだったのぉ。キミが新人君だろう? まっとったでぇ」

 その場を去ろうとした瞬間、気さくに声をかけてきたのは小さな肉だるまだ。
 ……そう形容しても過言ではない中年の男性だった。

■2/2
「お前は……?」
「キミの新しい仕事場の上司となる男だ。無理は言う気はないが、あまり逆らわないでくれよ? ハハハ」
(そうか……これが聞いていた仕事仲間か。確かに油断ならない男っぽいな)
「了解した。では自分は『ナガイモ』と呼んで下さい」
「おっ、最近のコにしては珍しいねぇ。もうキミは名前を決めてきているのかい? しかし『ナガイモ』はちょっと変わった名前だねぇ。好きなのかい長芋? おじさんも好きだよ」

 どうやら俺は仕事先の仲間に気に入られたようだ。

「姿も決まっているし、そのまま仕事場に来てもらおうか?」
「了解しました」

 敬礼すると、俺はその小太りの男についていく。
 しかし、妙なことに男は隙だらけだ。とても殺し屋の仲間だとは思えないほどに……。
 いや、しかし敢えて隙を見せることで、相手に攻めさせたところを逆に……ということも考えられる。

 俺は確かめるため、軽く親父に>>586してみることにした。
 いわゆるカマをかけるというやつだ。

「ほんまに冗談きっついわぁ~~」
「スミマセン、あまりにも隙だらけだったもので」

 上司は本当に油断していたようで、俺の48の必殺技をあっさりと食らっていた。
 お陰で両足捻挫、全身打撲だ。

「まあ、ええわ。ナガイモ君がワイルドなところが分かったから。ということで、仕事内容は分かってるな? フロアやで」
「フロア? なんだ? それがターゲットの名前か?」
「なに言うてまんねん! フロアっちゅーのはな、フロアに出て女の子の相手をするって仕事やがな? ボケちゃ困りまっせ」
「…………」

 おかしい。俺はてっきり殺しの依頼を受けてこの地にいるハズなのだが。
 ──もしかして、俺は別の人間と勘違いされている!? そして俺も勘違いしている!?
 今更ながら変な緊張感が俺を支配した。

「すみません。俺、日本での暮らしに慣れてなくて……そういう仕事はちょっと……。あの、そうだ。履歴書があるだろう! そこの写真と全然違うはずだ」
「冗談がうまいねぇナガイモ君。そりゃ整形したんだから顔写真が変わるのは当然やないか」

 くそぅっ! なんてタイミングで整形しやがる!
 苦悩する俺に、肉だるまは優しく手を置いてくれた。

「といことでようこそ、ナガイモ君。ホストの世界へ!」

 ホスト──そういう世界もあるのか!

 ──つづく

(´・ω・) 人少ないようなので、ここで終了。また来週時間とりますん。w

【07/03 (水) 12:54時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

07/06 (土)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - よてーはみてー

おつー
この時間帯は人がなかなか来ませんね

>>585
お疲れ様でありますー。

さぁ特に何も考えのないまま適当に突き進むことにします。
いつもより一割増しでギャグ路線……できるかなぁ。

ではもう暫くお待ち下さい。

今度こそ不可思議現象は起こさない! なんてもう二度といわない……。

wktk


―― 二十年前、世界は救われた。

世界が闇に覆われようとするその最中で、一人の少女がその闇を斬り開き、光を照らして突き進む。
その闇を操り、世界を思うがままに支配しようと企む存在は、その野望を最後まで描くことは出来なかった。

闇は討ち払われる。世界に光が戻り、一人の少女は一匹の精霊と従え、魔導具と共に姿を消すのである――。


「優斗、朝ごはん、出来たわよ!」

「ん、直ぐ降りる~!」

息子が起床する。今日もやはり遅刻コースのようで、慌しい様子で声を発していた。
やはり毎朝私が起こすべきなのだろうかと頭を悩ませつつも、昼食のお弁当を用意していた。

旦那であった彼は他界し、彼が残してくれたお金、そして私がパートで働く事により、生活は支えられていた。
息子は性格的に、旦那には似なかった。寧ろ、私に似てしまったのかもしれない。
おっちょこちょいであり、やや脆弱な様子を見せる息子の優斗は、ようやくリビングへ顔を出す。

「ごめん、今日軽めでいいから……」

「朝はしっかり食べないとダメよ」

「でも、あんまり入らないし……、食欲もないし……」

「具合でも悪いの?」

「そ、そうじゃないんだ。本当に今日は軽めで……」

優斗は視線を泳がせつつも椅子に腰掛け、焼きたてのトーストだけに齧りついた。
何か隠し事でもしているのではないかとも勘繰ってしまうのだが、中学二年生、年頃なのだから仕方ないのだろう。

そんな息子の優斗、そして娘であり優斗の妹となる優希と三人で私達は現在暮らしている。
尚、娘の優希は……兄である優斗のことを>>591と思っている様子である。

98%ほど絶対神ゼウスの生まれ変わり

そんな息子の優斗、そして娘であり優斗の妹となる優希と三人で私達は現在暮らしている。
尚、娘の優希は……兄である優斗のことを98%ほど絶対神ゼウスの生まれ変わりと思っている様子である。
ちなみに残り2%は、変態成分が含まれている筈と妙な確信を抱いていたりする、少々変わった娘だ。

生憎、私も変わっている。子は親に似ると言った物で、私もまた、きちんとこの二人を育ててこれたのかといえば、恐らく違う。
私なりに頑張った。数年前、奇病で夫を失い、それから女手一つでこの子達を育ててきたつもりだ。

「ママ、今日は部活あるから遅くなるわ」

「そう、あんまり遅くなるようならコレに連絡入れてね」

「分かってるって。ママは心配性なんだから。最悪、魔導具を使うから大丈夫よ」

「無闇に悪用してはダメよ。ただでさえ、最近魔導具を用いた犯罪が増えているのだから……」

魔導具、通称アイテムとも呼ばれるそれは、あの精霊から言わせれば、この世界で始めて用いたのは私と言う事になる。
二十年前のあの戦いで、親友と私はその世界を覆う闇と戦い、そしてかろうじての勝利を得た。

しかし、親友は行方不明となり、私もまた、それまで費やしてきた時間を、そして全てを失った気がして、
暫くの間あちこちを彷徨い、奇病で亡くなった彼と出会い……、後に結婚した。

「それじゃ、先に行って来るね。おにいと一緒に出かけたら遅刻しそうだし」

「ん、うるさいな……」

「あーやだやだ、絶対神のクセにうじうじした性格で! それじゃ、行って来まーす!」

「こぉら、せめてお茶碗くらい片付けてから行きなさい!」

「ごめんなさい、時間が無いからッ!」

娘の優希は先に家を出て登校してしまう。そして残された優斗もまた、そこでようやく重い腰をあげたようだ。
流しで洗い物を済ませる私に、息子の優斗はこう言った。「>>593」と。

ズル休みしたい

片付けしないとお尻ぺんぺんだ

娘の優希は先に家を出て登校してしまう。そして残された優斗もまた、そこでようやく重い腰をあげたようだ。
流しで洗い物を済ませる私に、息子の優斗はこう言った。「ズル休みしたい」と。

度々あった。息子が学校を休みたいとそう願い出ることは。本来ならば許してはいけない筈なのだ。
しかし、息子の性格を考えて思った事がある。優斗は、学校でイジメを受けているのではないだろうか、と。

「……一応理由を聞かせてくれる?」

「……今日は、ダメなんだ」

「どうして今日?」

「……ごめん」

「遅刻は許してあげる。でも、頑張って学校に行きなさい。ズル休みも、これで何回目になると思う?」

「それは……」

「今すぐ学校に、とは今は言わないわ。でも、もう少し考え直してから言って」

「……分かった」

息子は渋々といった様子で部屋に戻っていくのを、私は見届けてしまっていた。
小学生までは学校を嫌がる素振りは見せなかった。しかし最近特に酷い。
一週間に二、三回くらいしか登校していないのではないかとすら疑ってしまうのだが、子供を疑うなんて母親失格である。

「でも……やっぱり、気になるわ」

今日もパートがある為、私は書置きを残して職場へ向かう事になる。そして息子の優斗はやはり部屋に閉じこもったまま。
そんな日々が暫く続いたある日、私は久しぶりの休みを得て、家の掃除に取り掛かっていた。

「ふぅ~、久々に掃除するとやっぱり気持ちが良いわ! 後は優斗の部屋を~っと……」

今日は珍しくというべきか、頑張って登校した様子だが、今頃きちんと授業を受けてくれているだろうか。
そんな思いを抱き、息子の部屋の扉を開くと……>>596

魔界に通じていた

見知らぬエルフ耳の美少女と目が合い、パチクリと大きく瞬きされた。

今日は珍しくというべきか、頑張って登校した様子だが、今頃きちんと授業を受けてくれているだろうか。
そんな思いを抱き、息子の部屋の扉を開くと……魔界に通じていたのである。
部屋自体が消えている、という訳ではない。概念から揺らぎ、現実世界と魔界と思われるその場所との境界が出来上がってしまっていた。

「こ、これは……!」

この感覚も久方ぶりであり、おぞましくもあり、しかし何故か昂ぶりも感じてしまう。
最早三十を過ぎたこの身、そして魔導具……アイテムも手放した。そんな私は、最早この状況を打破する術は無い。

せめて、この場に精霊が……あの子が居れば、この状況を多少は説明してくれるだろうにと、唇を噛み締めてしまう。

「何が、起こっているの……。何故、私の息子が……」

あの男、身にアスモデウスを宿した魔神は確かに私が倒した。目の前で、アイテムを最大出力させ、消滅させた筈なのだ。
それから、次第に世にアイテムの存在が広まり、徐々に開発が行われ、現代では多少のアイテムならば活用可能となっている。

その影響なのか、或いはまだあの男が存在し、現世に影響を及ぼしているのか。思考が次々に巡っては、次第に気が滅入ってしまう。

「どうすればいいの……。私は……」

今も尚目の前で、闇が渦巻くような空間が広がっている中、私はその時の状況がきちんと認識できずに居た。
手が伸びていた。私の腕を掴んでいた。引きずり込まれそうになる。しかし、呆然となっていた私は、その中に堕ちるまで気付けない。

「あぁ、私は、どうすれば……」

堕ちた。ぐるぐると堕ちていった。なのにどうして私は今も、息子を案じ、娘を心配し、そして自分はどうするべきなのかと迷いを抱いている。
ふわっと身体が回転する。そして、導かれるように堕ちていった私は、その別世界に降り立ったとき、ようやく我に返ることになる。

「こ、ココは……!!」

「……エプロン姿で登場とはまぁ。それにしても、随分歳を取ったものだわ、優理香」

「その声、もしかして……!!」

その声は、まさにあの時行方不明となった親友そのものの声だった。しかし、二十年前と全く変わらぬその声に戸惑い顔を上げる。
するとそれは、今も尚少女の姿で居た親友であり、彼女は私を導いた理由を、>>599と述べたのだ。

魔王様の完全復活の儀式のため

その声は、まさにあの時行方不明となった親友そのものの声だった。しかし、二十年前と全く変わらぬその声に戸惑い顔を上げる。
するとそれは、今も尚少女の姿で居た親友であり、彼女は私を導いた理由を、魔王様の完全復活の儀式のためと述べたのだ。

「……魔王? アスモデウスの事?」

「あれは魔神、そんなものはどうでも良いの。……手を貸して」

「手を貸すって、魔王って……真面目に考えれば、世界を破滅させる存在では……!」

「世界の半分を勇者に分け与えてくれる優しいお方よ?」

「それ、優しいって言うものなの……?」

「ああ、もう、優理香は相変わらず優柔不断。そんなのだから、息子もうじうじしちゃうのよ?」

「な、何でアイリが、優斗の事を知っているの……!?」

「こちらに来てから、暫くアイテムを利用して現世を覗き見していたから」

彼女はそう言って端末のようなアイテムを取り出し、私に見せるのだった。
空中に映し出されたそれは、確かに現世を映し出している。そして何故かそれは、息子の優斗が、女子に囲まれている場面であった。

「……優斗……!!」

「あらあらこれは。……知ってた? 貴女の息子ね……」

「女子に囲まれて、虐められ―― えっ?」

「学校では、随分なプレイボーイなのよ……?」

一瞬、女子に囲まれて戸惑う優斗の表情を見て、イジメを受けていると捉えてしまった私だった。
しかし次の瞬間、その女子達の身体をいやらしい手つきで触れていく優斗を見て、私は……>>601

優斗の眼前へテレポート

正直羨ましくもなんともないんだからね!

sage忘れるてしまう。

一瞬、女子に囲まれて戸惑う優斗の表情を見て、イジメを受けていると捉えてしまった私だった。
しかし次の瞬間、その女子達の身体をいやらしい手つきで触れていく優斗を見て、私は……優斗の眼前へテレポートしてしまう。

だが、先ずアイテムも持たず、少女時代に余るほどに有していた魔翌力も最早衰えている筈。
そんな私を現世の学校へ飛ばすなんて、アイリが手を介さない限り不可能であった。

そんな彼女だけでも、こんな荒業は恐らく不可能。なのに私は何故、優斗の前に居るのだろう。

「わ、わわわ……」

突然私が現れた事に驚き、戸惑い、そして言い訳を考えているのだろう。優斗は何度も同じ台詞を繰り返していた。
そして彼を囲んでいた女子は、私が登場したことによりやはり驚き、尻餅をついているのであった。

「ね、ねぇ……」

「い、いま、急に……現れたよね、このコ……」

やだわ、もう直ぐ四十路だという私が、JCにこのコとか言われちゃうなんて。
ちょっぴり昔の感覚が戻ってしまったのだろう、恥ずかしく、照れては苦笑いを浮かべてしまう。
だがしかし、今は目の前であんぐり口を開いた優斗にお説教をする時間だ。

「優斗、あなた、学校で――!」

「え、えと……その……、なんで僕の名前、知ってるの……?」

「はぁ!? 何を言っているのよ! 私よ、お母さんよ!?」

「お、おか……さん? え?」

優斗の反応が余りにもおかしい。そして、周囲の様子も騒がしく、何やら全裸でどうこうとか叫ばれている。
確かに突然テレポートなんて荒業でこの場にやって来た私もおかしいが、いくらなんで騒がれる程じゃないだろう。そう思っていた。

「悪いけど……僕、あなたみたいな全裸で、若いお母さんとか居ないから」

その優斗の台詞ではっとした。今、何故か私は……全裸なのだと。となれば取る行動はただ一つ、>>605

M字開脚

>>605
全力で誘ったーーー!

その優斗の台詞ではっとした。今、何故か私は……全裸なのだと。となれば取る行動はただ一つ、M字開脚しかないではないか。

―― 後に、私は教師陣に連行されては軽い事情聴取を受けていた。何故学校に侵入したのか、何故全裸なのか、何故M字開脚を行ったのかと。
実に数時間もバスタオルを巻かれ、説教染みたそれを受けた私はある意味廃人化してしまう。

優斗は、私をガン見していた。それは間違いない。ただ何故お説教をしようとしたのに、焦って挙句にM字開脚なんてしてしまったのだろう。
転んだ、と周囲には言い訳をしているが、息子に家出どんな顔をすれば良いのか、思い悩んでしまう。

だが、それ以上に予想外の出来事が私の身に起こっている。……若返っているのだ。

「大体ね、キミ、何処の生徒だね。ったく、着替えもないとなると車で送るしかないじゃないか。
 今回は警察の方へは伏せておこう。キミも女の子だ、あまりこんな話が広まるのは嫌だろう」

「……それより、私、何歳に見えますか?」

「はぁ? 何を言っているのだね。ったく……。……そうだな、十……三、くらいかね」

同じだ。あの時、魔神を打ち破った時と同じ年齢に戻っている。アイリと同い年であった私もまた、彼女と同じ姿に戻ってしまった。
鏡を借りて改めて自分を見る。イヤになっていた小じわが一切消えており、毛穴も目立たない、肌ももちもちとした麗しく姿であった。

「……信じられない」

「ワシのほうが信じられんわい! 全裸で学校に現れて、その、M字……開脚だ!! ったく、やってられんわ!!」

公立桐ヶ谷中学校、その教頭先生に車で家まで送られる私は、そこでようやく冷静さを取り戻し、とんでもない事になったと青褪めるのであった。
早くアイリに会って、元の姿に戻してもらわないと。それよりも……どうやって家に入ろう。

「本当に此処で良いのかね? って、此処は……、園宮優斗の家では……」

「あ、その、えと……親戚! 親戚なんです! それでこの家に暫く厄介に……」

「本当かね? ううむ……しかし、まぁ今回はここで降ろすとしよう。もう妙なことを学校に持ち込まないように!!」

教頭先生とそうして別れた私は、夫が買ってくれたマイホームを改めて見上げるのであった。
さぁ、カギが掛かった家にどうやって侵入したものだろうと思案した結果>>608

鍵穴から女幽霊が現れた

全裸でそこらのオッサンに抱きついてホテルに泊めて貰おう

教頭先生とそうして別れた私は、夫が買ってくれたマイホームを改めて見上げるのであった。
さぁ、カギが掛かった家にどうやって侵入したものだろうと思案した結果、鍵穴から女幽霊が現れた。

「どもっす」

何故かひょうきんな挨拶を行うその女幽霊、歳は二十前半辺りだろうか。何故そんな物が我が家に居るのだ。
いくら年老いて魔翌力を失っていても、奇怪な気配を察知するくらいはまだ出来た筈だと、私はその女幽霊に問う。

「……なんで私の、私達の家に幽霊が居るの?」

「何故と言われましても、説明が難しいと言うかはたまた何と言うかっすね……」

「アイリの差し金ね?」

「あー、そうとも言うっす。ヒマそうだから手を差し伸べてあげなさい、と命令されたっす」

「ったく……。それじゃ、ちょっとカギ開けてくれない? アイリに話があるのよ」

「いやぁ、それがっすねぇ……、私には無理っすね! 触れないっすね!!」

なんて役立たずな、と呆れて物が言えなくなってしまう私は、学校側から借りてきた制服のスカートを整え直し、
二階の窓から侵入できないかと見上げるのである。木を伝えば、何とか可能ではないか。

既に時刻は夕刻、優斗は帰宅しているであろうが、M字開脚の件がある。今は余り顔を合わせる訳にはいかない。
そして娘の優希、あの子は何だかんだで疑り深い為、事情を説明するのならば後回しにしたい所。

となればもう、不法侵入しかないじゃない。といった思いで木登りをしていると……。

「ね、ねぇ、園宮さん所の家、木に登ってる子がいるわ……」

「あそこの家、ちょっとおかしいから、関わらない方がいいわよ……」

そんな近所の奥様方の声が聞こえ、私の家はおかしくないと心の中で叫んでいると……、
今度は友人を連れて帰ってきたのであろう、娘の優希が我が家の門を開き、友人と会話しているではないか。

木陰に隠れながらその会話を盗み聞きしていると……>>611

女幽霊がこれに加わっていた

木陰に隠れながらその会話を盗み聞きしていると……女幽霊がこれに加わっていた。

「アハハ、そうなの~? 優希ちゃんってこんなお友達いたんだ?」

「いないいない! でもなんか別に友達でもいいかな~なんて!」

「そうっすね、お友達、フレンド、最高っすね!」

世も末か、と頭痛を僅かに覚えてしまう私は、娘に気付かれないように更に木の上を目指す。
一番の高枝に掴み、そこを伝えば二階のベランダから部屋に侵入できる。

あの幽霊、後できちんとお灸を吸えてやらねばと、私はかつての運動神経を用いてベランダへ侵入。
そして窓のカギも開いていて、しめたと思い、勢い良く開いた途端であった。

「はぁ、はぁ……うっ!!」

「…………」

「いっぱい、出……え……?」

「……優斗……あなた……!!」

顔に粘っこい何かが掛かったような気がする。コレが何か、知らない訳ではない。
その液体が私の中で一つとなり、この息子が生まれてきたのだから、知識くらいは持ちえていた。

しかし、堂々と息子に顔射されてしまった私は、恥ずかしいやら、情けないやらでいっぱいとなり、つい優斗を押し倒してしまっていた。

「あなた、お母さんに……なんて事をするのよ!!」

「ひ、昼に全裸でM字開脚した人……!! なんで、此処に……!!」

「何でって、此処はお母さんの家でもあるからよ! それより、顔射してごめんなさいは!?」

「え、えと……顔射して、ごめんなさい?」

「なら宜しい。う、ううん、良くないわ。……この場合、きちんと躾けないと……でもどうすれば……>>613

スカートめくって尻を振る

「なら宜しい。う、ううん、良くないわ。……この場合、きちんと躾けないと……でもどうすれば……そうだ、スカートめくって尻を振ればいいのね!」

「あの、な、なんで目の前でスカートたくし上げて……って、うわっ!?」

「さ、さぁ、よく見なさい! そして自分が愚かなことをしたんだって、もう二度としないって、誓いなさい!!」

「って言われても、その、あの、は、はは、履いてない……って!」

「履いてない? って……あらやだ、下着もないままなのを忘れていたわ」

「って、母さんみたいな事を言わないでよ! って……あれ?」

「フフ、ようやく気付いてくれたわね。そう、今はこんな姿だけれど、私は優斗、あなたのお母さんなのよ!」

「……こんな美少女が母さんな訳が無い……。それに母さん、かなりヘンだけど、痴女じゃないし」

「ち、ちちち……痴女!? お、お母さんに向かって……痴女ですって!?」

ノーパンで尻を振った結果がこれなのか、話が食い違い、痴女扱いされて頭に来た私は、ある意味ヤケになっていた。
ベッドの上で優斗を押し倒し、顔を近づけ、痴女呼ばわりした事を改めなさいと何度も繰り返した最中であった。

「お兄ちゃん、なんか煩いんだけどぉ……何してるのぉ? 開けるわよぉ?」

「ちょ、優希、今はマズイ、今はッ……あ」

「大体、お母さんに向かって痴女って……あ」

「お兄ちゃん、またエロDVDとか再生して……あ」

娘の優希は、恐らくこう見えていたのであろう。ノーパンでお尻を丸出しとなり、兄を押し倒し迫っている痴女が居ると。
だがしかし、それは母であり、事情を説明したくても上手くいかないだけであり、決して性的な行動を取っていた訳ではない。

だが、優希はそれを性的行動と判断し、兄を救う為>>615

娘が売春したオッサンとのハメ撮り映像を鑑賞させる

自分の子供服を着せた

だが、優希はそれを性的行動と判断し、兄を救う為娘が売春したオッサンとのハメ撮り映像を鑑賞させるのである。
顔面を蒼白にしたのは恐らく私だけだろう。何故か優斗は、それを見て冷たい視線を優希に向けていた。

「お前、またやったのか」

「何よぉ、いいお小遣いになるのよ」

「いやだから、これ、オッサンが可哀想だろう」

「可哀想じゃないわ。これはちょっとした商売なの」

「売春って、きちんと身を交わさないと成立しないんだぞ。これ、どう見てもヤラセじゃないか」

「ヤラセ? 果たして本当にそうなのかなぁ? 幻想を見せるアイテムって、便利よね」

「そしてそれを証拠に小遣いをねだる。……母さんに知られてみろ、お前、家を追い出されるぞ……!」

「大丈夫大丈夫、ママが気付くわけないじゃない。偽造売春なんてママ、知らないだろうし」

おかしい、この子は何を言っているんだ、私はそんな風に優希を育てた覚えは一切無い。
お小遣いだって毎月きちんとあげていたし、私には常に笑顔を振りまいていた娘は、裏ではこんな事をしていただなんて。

偽造売春、それは最近流行するアイテム使用による売春行為。しかし男には不利益しか起こらない。
抵抗の無い中年をよくターゲットとされる話であり、幻想を見せられ、その行為に及んだとターゲットは認識させられてしまう。
そして、娘の優希に限っては更に質が悪い。映像を捏造し、本当に起こった事の様に見せては、お金を騙し取っているのだ。

それは立派な犯罪だ。そして、このような犯罪が増し、政府もアイテムを更に制限しようと動き出している。
世の中がまた一転としそうな折、その出来事を目にした私は、暫く絶句するばかりであった。

何よりも悲しい事が、娘は私なら平気で騙せると言っている事である。胸が痛くて堪らない。
つい胸元を掴み、その痛みに耐えている中、気づけば隣にあの女幽霊が居たのだった。

「……辛いっすね」

「辛い、なんてモノじゃない……!」

「それもこれも、全部魔王様が居ないから、なんすよね」

どういう意味だと、その女幽霊に尋ねれば……>>618

さらに事情通の女フランケンシュタインを連れてきた

エラーだし重いみたいですよ?

フランケンシュタインは=人造人間ってことで。

どういう意味だと、その女幽霊に尋ねれば……さらに事情通の女フランケンシュタインを連れてきた。

この部屋に、優斗や優希、そして女幽霊に女フランケンシュタインが集う珍妙な構図が出来上がっている。
しかし何故か優斗も優希も気付かず、ドライな話を交わしている中、私はその女フランケンシュタインから話を聞くのであった。

「簡単だお……、ヒントは、七つの大罪」

「七つの大罪って……魔神アスモデウスの呪いの!?」

「優理香がアイリと共に戦ったその相手……、非常に強力な怨念を現世に遺していた……」

「そ、それが、どうして今頃に?」

「この世界は歪んでいると某パイロットも言っているように……その怨念により、歪になっている……。
じわじわと侵食されたようなもの……。それを修正するには、魔王様の力が必要不可欠……」

「……魔王って言うから、てっきり悪者だと思っていたけれど、違うの?」

「魔界の王様が、必ずしも悪者とは限らない……。魔界の存在が悪者だと、貴女は思う……?」

「それは、まぁ……分からないけれど」

「かつての貴女は、魔王の娘のアイリを手助けした。そのアイリもまた、悪者だった……?」

女フランケンシュタイン、通称フランちゃんと呼ばれるその存在は語り続ける。
魔界に住まう者は全員悪なのか、魔を統べる者もまた悪なのか、それは個人の考え次第なのではないかと。

かつて、私はアイテムを用いてアスモデウスの下僕と死闘を繰り広げていた最中、アイリを手助けすることになる。
操られ、ずたぼろとなってもアイテムを駆使して戦う少女を救いたかった。それが、私の親友となったのである。

「だから、魔王様は必要……。その復活の手助けを、貴女にして欲しい……」

「それで、この世界に存在する七つの大罪の怨念は消えるのね?」

「恐らく、うん、多分」

「なんだか曖昧だけれど……分かったわ。娘のためにも、私は……手を貸すわ」

そう決めた途端である。再び魔界に強制連行された私は、再びアイリと顔を合わせる事になり……>>621

既にベルフェゴールと仲良くなっていた

おっぱいの大きさを比べてケンカに

そう決めた途端である。再び魔界に強制連行された私は、再びアイリと顔を合わせる事になり……、
そして何故か既にベルフェゴールと仲良くなっていた。

それは、怠惰を掌るという怨念。しかしそれが何故魔界で寝転がり、アイリとテレビゲームをしているのか、理解不能であった。

「決めてくれたのね、魔王を復活させると」

「……この、フランちゃんの話を信じるのなら、ね」

「それでこそ優理香よ。私が見込んだだけの少女だわ」

「実際の年齢はもっと上なのだけれど」

「いいえ、やはり貴女はその姿が素晴らしくて、麗しい……。ずっとその姿で居てくれると、私は嬉しいわ」

「……アイリ、貴女、変わった?」

「そんな事は無い、ずっと、この想いは抱いていたの。だけど、あの頃は私も貴女も若すぎた。
 でも今はそんな事は無い。……今度こそ、一生そのままで、傍に居て貰うわ」

「あのねぇ、私も二児の母で、いつまでもこんな姿で居るわけにはいかないのよ」

「……そう、そうよね。分かってる。だけれど、今の間だけでも、その姿で、私とまた……一緒に」

アイリはまるで過去を思い返すかのような顔をしては、私をじっと見る。
かつて、彼女を救い、そして精霊と共にコンビを組んで共に戦ってきた親友。
何時も一緒に居た。何時も一緒に戦った。そして最後に、それを失った。

「また、一緒に……お願い」

手を差し伸べられ、私もそれをぎゅっと握り締める。彼女は薄ら照れ笑いのような笑みを零していた――。

―― それが、私の第二の人生とも呼ぶべき新生活となる。
現世に戻った私は、息子や娘に正体を晒さないようにと、アイリに忠告されることになる。
理由は簡単である。それは……>>623

バレるとメンドイ

豚にされるから

―― それが、私の第二の人生とも呼ぶべき新生活となる。
現世に戻った私は、息子や娘に正体を晒さないようにと、アイリに忠告されることになる。
理由は簡単である。それは……バレるとメンドイ、なのだそうで。

何故面倒なのか、首を傾げる私にアイリは言う。「面倒事は起こさないが吉」と。
それでもやはり二児の母である私は、子供達が心配であった。その為、アイリが色々と手を回してくれる事になる。

「えー、今日から一緒に勉強することになった……えー……日本人? 外人?」

「はい、日本生まれの海外育ち、ユーリカ・フォーンツベルグです。皆さん、宜しくお願いします」

「こほん、まぁそういう訳で、皆、色々と教えてあげるんだぞ」

私は息子の優斗の、そして優希の通う中学校に転入することになる。
それはちょっとした機会でもあった。子供達がどのように学校生活を送っているのか、伺う事が出来るのだ。

「なぁ、あの子日本人ぽいけど外人なんだよな、可愛いよな!」

「……でもあれ、痴女だぞ……」

「え、マジで!? アレで痴女!? うっほ、たまんねぇ!!」

「なんで、この学校にあの痴女が……」

優斗が、隣の机に座る男子と話を交わすのを見事に聞いてしまった私は、息子ながら随分生意気だと腹を立たせてしまう。
しかし、面倒事は暫く起こさないとアイリと決めた以上、此処では大人しく優等生振りを発揮しなければ。

そうして、私は中学生に戻り、アイテムを再び駆使し、アイリと、精霊と、子供達と、仲間達と再び戦いへ誘われていく。
七つの大罪、一つのベルフェゴールこと、ベルちゃんを制した私達に残る大罪は、後六つ――。


―――― つづきます

お疲れ様。重くて大変でしたね。(もしかして自分だけ?)

ごめんなさい、重すぎてダウンです。

なんか安価がぶっ飛んでいたような気がしないでもなかったりですが、
まぁこんなカンジでいつも通り進められたら~って訳で……。

お付き合いありがとうございました!

再来週からもう少しは頑張れそうです……はぁ。

乙!!

あとはベルゼブブの愛称に期待

乙です

<前回のあらすじ>
 殺し屋として育てられた青年、ナガイモは仕事で日本の繁華街へとやってきていた。
 黒スーツにネクタイ、オールバックという姿で、歓楽街を歩いていると、
 引ったくりをしている男を見つける。ナガイモはその男に見事なヘッドロックを決め、盗まれたものを取り戻す。
 女はナガイモに感謝し、名前を聞こうとするが、男に強引に店へと連れて行かれる。
 ナガイモは彼を仕事(殺し屋)と勘違いし、彼についていき、隙だらけであることを理由に48の必殺技を仕掛けてしまう。
 
 そこで男はボロボロになりながらも、ナガイモに言った。
 
 「ようこそホストの世界へ」


<挨拶>
 前回はこんな感じの話でした。では開始します。ちょっと待ってね。

「な、何を言っているんだお前は?」
「何って、別におかしなことは言うてないやろ? それともホストは初めてかい?」

「分かった。見せてやろうこれが俺のホストの力だ!」

 俺は、わけもわからずにフロアへと出て、近くの女性に>>634した。

「ちょ、ちょっとちょっと! >>634はまずいって!」

「な、何を言っているんだお前は?」
「何って、別におかしなことは言うてないやろ? それともホストは初めてかい?」

「分かった。見せてやろうこれが俺のホストの力だ!」

 俺は、わけもわからずにフロアへと出て、近くの女性に>>634した。

「ちょ、ちょっとちょっと! >>634はまずいって! >>634は」

がちょーん

//なんで二重投稿になったしorz
//しかも重たくなっているらしい。怖いな……。

「分かった。見せてやろうこれが俺のホストの力だ!」

 俺は、わけもわからずにフロアへと出て、近くの女性に手を向けると、指先を大きく広げたり、閉じたりした。

「……が、がちょーん!」
「ちょ、ちょっとちょっと! がちょーんはまずいって! がちょーん634」

 殺し屋教育で培ったお笑い技術をお店にやってきた女性に仕掛けた。
 しかし、すぐにそれは先輩ホストの人に止められてしまう。

「何故だ!?」
「お前、ホストというものが何か分かっているのかっ!?」
「すまない。俺は新人なんだ」
「ンなことくらい、今のやり取りですぐにわかるわ! いいか、新人。俺が見本を見せてやるから、黙ってみておけ!」
「か、感謝する……」

 先輩は女性の隣にさっと座ると軽く微笑む。

「お嬢さん、今日も美しいね。もしかして、ボクに会いに来てくれたのかな? キラ」

 先輩は白く輝く歯を見せて微笑むと、女性も釣られるように微笑む。
 その後、女性との話が弾み、コロコロと女性が笑うと、飲み物を頼み始める

「こういうところだ。分かったか?」
「な、なんとなく」
「じゃあ、お前はあの女性をやってみろ?」

 先輩がさしたのは、>>636>>637な女性だ。

黒髪セミロング

全裸

ゴルゴ13のコスプレをした

「じゃあ、お前はあの女性をやってみろ?」

 先輩がさしたのは、黒髪セミロングで全裸な女性だ。

「無防備だな」
「あいつは間違いなくこの店に慣れていない。お前も今日入ったばかりだから、という理由をつけて近づけ。大丈夫、多少の失敗はオレがフォローするから。
 あと正直俺はあそこまでロコツだと近づきたくない」
「感謝する。では、援護のほど頼む」

 俺は彼女に近づくと、先輩と同じように笑顔を作ってみた。

「……フッ」
「ビクッ……(こ、こわっ)」
「お嬢さん、ここに何しに来た? 言わなければその手を握って小指からへし折っていくよ?」
「バカかぁてめぇっ!!」

 すっぱぁん!と先輩から殴られてしまった。なぜだ?

「すみません。コイツ新人なもので……あとブラックジョークが大好きなんです。な?」
「指を折るは言い過ぎた。申し訳ない」
「ふふっ……変な人ですね」

 全裸である貴方には負けると思いますが。

「あの、お嬢様……何か着る物を用意いたしましょうか?」
「わたくしに何か不満でも?」
「……>>640と思いまして……」

 少し不機嫌になった女性に対し、俺は当たり前のことを言い返した。

恥ずかしい

サンバの衣装が似合いそう

「わたくしに何か不満でも?」
「……恥ずかしいと思いまして……」

 少し不機嫌になった女性に対し、俺は当たり前のことを言い返した。

「わたくしはこの肉体に対して、なんら恥ずかしいと思ったことはありません」
「いえ、わたくしどもが恥ずかしいのです。ですので、せめてこのカーテンで肌をお隠し下さい」

 そう言って俺は、彼女の両手、両足を固定した後、顔面を袋にした。

「モガッモガガガモグググ!」
「ハッ! しまった。ついいつものクセで拘束してしまった! お嬢様、今のは冗談です!」

 半ば白いイモムシになった女性を救出すると、女性は俺を見てこう言った。

「よくもわたくしに>>644! >>645よ! 貴方絶対に>>645よ!」

パパにも殴られたことないのに

ゴリラと共同生活の罰

 半ば白いイモムシになった女性を救出すると、女性は俺を見てこう言った。

「よくもわたくし、パパにも殴られたことないのに! ゴリラと共同生活の罰よ! 貴方絶対にゴリラと共同生活の罰よ!」

 女性はキッと鋭く俺をにらみつけ、気丈なことを言った。

「ふっ……俺と一緒に過ごす? ゴリラと? 食料にしかならないぜ」
「まぁっ! なんと野蛮な……ん……貴方は先ほどの……?」
「あああっ! 貴方様はさきほどわたくしのバッグを取り返してくれたお方! こんなところで会えるなんて」

 両手を組んで神に祈る女性。

「貴方、お名前は?」
「ナガイモ、と申します」
「わたくしの名前は……>>647です。とある小国の姫をやっております。ですので、お気軽に>>648と呼んで下さい」

アナール

ニャホニャホ・タマゴロー

「わたくしの名前は……アナールです。とある小国の姫をやっております。ですので、お気軽にニャホニャホ・タマゴローと呼んで下さい」
「気軽に呼ぶには長すぎる名前です、ニャホニャホ・タマゴロー様」
「本名とは隠すものですわ」

 姫、という言葉にホスト達がざわめき始める。
 それもそのはず、小国とは言え、姫であるならば金を持っているからだ。

「そこの全裸がステキなお嬢様。貴方のような素晴らしい女性、初めてお見受けしました」
「さっすがお嬢様、いえ、お姫様! ボクと一緒に踊っていただけませんか?」
「抱いて……下さい……」

 こぞって集まりだすホストたち。

「お黙りなさい。小男ども! わたくしは今、ナガイモとお話しているのです!」

 ニャホニャホ・タマゴローの言葉を聴いて、ホストたちは一斉に黙った。
 と、同時に俺をにらみつけてくる先輩達。
 <しくじるなよ? 新人> というプレッシャーだった。

「ナガイモさん……貴方の……ご趣味を聞いてもよろしいかしら?」
>>650だ」
「まあ、ステキ! わたくしもなんです! 趣味が合いますね?」

縮めたストローの袋に水をかけて芋虫だよ~って遊び

「ナガイモさん……貴方の……ご趣味を聞いてもよろしいかしら?」
「縮めたストローの袋に水をかけて芋虫だよ~って遊びだ」

 リキュールを頼んだときに、一緒に持ってきたストローの袋ジャバラ状に縮めると、イモムシを作って見せる。

「まあ、ステキ! わたくしもなんです! 趣味が合いますね?」

 黒髪セミロングの全裸は嬉しそうに声を弾ませると、自分も、とストローを縮めた。
 どうやらひったくりからバッグを取り返したことがよほど嬉しかったようで、
 俺をキラキラとした瞳で始終見つめていた。

 そこに携帯電話が鳴り響く。

「失礼、ニャホニャホ・タマゴロー様……」

 俺は携帯電話に出ると、電子音声が耳に入ってきた。

「ナガイモだな?」
「ああ。お前は」
「今回の作戦のリーダーってところだな」

 それは殺し屋の電話だ。

「作戦は今夜の12時だ……ターゲットは……わかってると思うが>>653だ。しくじるなよ」
「了解した」

支援

今から送る暗号をとけばわかる。ちなみに5分でとかないと周辺が爆発するん

「作戦は今夜の12時だ……ターゲットは……わかってると思うが今から送る暗号をとけばわかる。ちなみに5分でとかないと周辺が爆発するんだ。しくじるなよ」
「了解した」

「暗号はこうだ……『3Uほ読点』だ。キーボードを見ればわかるだろう? もう一度言おう『3Uほ読点』。ヒントも欲しいか。
 そうかそうか。ヒントはキーボードの上に書いてある文字だ。日本語のキーボードを見れば色んな文字が書いてあるだろう?
 おっとこれ以上は言えないな。ほかのヤツラに解かれたら意味がない」

「分かった」

 つまり……答えは>>656。ということか。

携帯なんでわかりましぇーん

悲しい依頼

「分かった」

 つまり……答えは悲しい依頼。ということか。

 電話を切り、ふと冷静になる。
 そうだ、俺は殺し屋だ。ホストなんてやっている場合ではない。

 席に戻ると、ニャホニャホ・タマゴローを見た。
 俺を見て幸せそうに微笑む彼女としばしの会話を楽しむことにする。

 そして作戦の時間がやってくる。

「ま、まってナガイモ! あなた、どこに行くつもり!?」
「俺には帰るべき世界があるんだ」

 12時の鐘が鳴り響くと同時に、俺は闇へと駆けていた。
 ホストの服を脱ぎ捨て、夜の闇にまぎれる。


 悲しい依頼。
 そう……。俺は今からヤツをヤる。
 それが殺し屋としての仕事だから……。

(俺は今から、>>658>>659を……ヤるんだ!)

パチンコ大会に参加

ふしぎな踊り

 それが殺し屋としての仕事だから……。

(俺は今から、パチンコ大会に参加で不思議な踊りを……ヤるんだ!)

 パチンコ……時にスリングとも言う。
 今日びそんなものを武器にするものはいないと思うだろう。
 だが使い方によってはこれは十分に武器になる。

 この大会の最中の不幸な事故、ということにすれば殺しは完璧だ。
 俺の役目は不思議な踊りを踊って、参加者の照準を狂わせること。

 一流の殺し屋ならば、パチンコの軌道をコントロールするくらい朝飯前だ。


「ぎゃっははっ! なんだ、その踊りは……真顔でアームライオンの物まねとか卑怯……! あ、しまった、手元がっ!」


 グシャッ……。


 電話が鳴り響く。

「自分の手を汚さずして、殺しを完成する。これが現在の殺し屋の手口か……これでは足がつくことはあるまい」
「仕事は完了だ。俺は明日、>>662する」
「それがいいだろう。では、さらばだ」

 電話を切り、悲しい事件の顛末を見送った。

安価なら下

別居中の妻と会ってくる

//パチンコ(スリング)大会に参加→不思議な踊りで応援→別の参加者にターゲットを狙わせ、目的達成

「仕事は完了だ。俺は明日、別居中の妻と会ってくるする」
「くるする? まあ、いいだろう。では、さらばだ」

 電話を切り、悲しい事件の顛末を見送った。



──翌日
 俺は携帯によって起こされた。

(組織から……?)

「貴様、一体何をとちった!?」
「いつも通り殺しを行いましたが……」
「ではなぜ、お前が全世界規模で指名手配されているのか、理由を教えるんだ!」
「指名手配……誰がそんなことを?」

 穏やかではない言葉に怪訝に思う。

「昨日、お前が殺した男の娘アナールという小国のお姫様だ。今日よりお前はわが組織から除籍する」
「え、ちょ、ちょっと待って……」
「仲間だったということで情報は売らないでやろう。とっとと、全額お金を下ろして逃げるんだな」

 目の前が暗くなった。
 それでは別居中の妻(二次元)に会う時間もない……?

「いや、それより指名手配か……」

 俺はその指名手配が本物かどうか試すために、外に出た。
 すると早速>>664

子供が集まってピンクレディーのウォンテッドを歌い始めた。

 俺はその指名手配が本物かどうか試すために、外に出た。
 すると早速子供が集まってピンクレディーのウォンテッドを歌い始めた。

「うぉんでっと!」
「いたかー! でかしたぞ、ぼうず! あとで100円やるからな」
「500円だぞー」「だぞー」「人数分だぞー」
「無事捕まえられたらな!」

 大人たちがどんどんと集まってくる。

「あ、逃げたぞ! 追えーーー!」

 バタバタバタと追ってくる大人たち。
 それを振り切ろうとも、360度、あらゆる角度からの監視が、俺を責める。

(くそっ、こんなんじゃ、まともに外を歩くことも出来ない! 俺の秋葉に住んでいる妻(二次元)に会いに行く時間もないというのか!?)

 顔を隠そうとも、服を変えようとも、すぐに情報が伝わってしまう。
 現代社会、そうそう逃げられるものではないと観念するしかないのか。

 そうだ……こんな時こそ、お世話になったホストへと向かおう。
 俺は覚悟を決めて、ホストへと行った。

<あのホスト>
 俺に48の必殺技を受けた店主は、人のいい笑みを浮かべる。

「分かった。そういうことなら、かくまったろ。ちょっとそこにすわっとれ」

 店主は俺を安心させるように言う。その直後、住民達がこの場へとやってくる。

「指名手配のヤツがこの店に入ったと聞いたぞ!」
「はぁ、指名手配?」
「こいつだ」
「ああ、その人なら>>666

下水道だ

自称保安官がとっ捕まえて連れて行った

メキシコに高飛びした。

「はぁ、指名手配?」
「こいつだ」
「ああ、その人なら下水道だ」
「皆ーーーーっ! 下水道だーー」

 店主が戻ってくると、俺は頭を下げた。

「ありがとうございます。お陰で助かりました」
「いやいやいいんだよ。それより、ここでもう少しゆっくりしていきなさい」
「いえ、俺には会いに行かなくてはならない妻が……」
「まだ人がいるかも知れないから……。今、お茶を入れてあげよう」

 店主はやたらと俺を心配してくれているようだ。
 俺はその言葉に甘え、ゆっくりすることにした。

 すると、再び集団がこちらにくる気配がした。

「ここにナガイモがいると聞いてやってきました」
「お待ちしておりましたよ、アナール様」

 しまった、店主にハメられた。
 そう気付いた俺はとっさに>>670

記憶喪失のふり

「ここにナガイモがいると聞いてやってきました」
「お待ちしておりましたよ、アナール様」

 しまった、店主にハメられた。
 そう気付いた俺はとっさに記憶喪失のふりをした。

 そうだ、もう頼りにできるアテもない。
 何か聞かれても絶対に記憶喪失のふりをし続けるんだ。

「ナガイモーー! ナガイモなのね!?」
「お、俺は……誰だ?」
「貴方はナガイモよ。昨日、わたくしを窃盗魔から助け出してくれた勇敢なお人」
「そ、そうなのか……? 俺にはそんな記憶は……」
「記憶なんて関係ないわ! わたくし、決めましたの! 時期国王は貴方だと……」

「はっ……!」

「父が亡くなった今、ちょうど貴方のような屈強で勇敢な王が必要でしたの! さあ、わたくしと一緒に、全裸がユニフォームの国へ!」
「え、ちょ、ちょっと……待ってそれは」
「ちょうど、記憶喪失になられたんですもの。恥じらいを捨てるのも簡単でしょう! さあ、さあ、さあ、さあ!」

 こうして俺は……アナールに連れられて、小国へと迎え入れれた。
 殺し屋という底辺だった俺が、まさか一気に国王へと展望するなどとは夢にも思わなかったが……。

 
 
「全裸だけは……全裸だけはーーーー!」


 なんとなく幸せなような気がする。    -強引に終わり-

おつかれさまー!

乙!

<あとがき>
 ということで、お付き合いくださった皆様。本当にどうもありがとうございました!
 シンデレラをベースにお話を作ってみたらこんな感じになっちゃいました。
 ……なんか、いろいろすみません。
 
 少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
 それでは、本日もまことにありがとうございました。

【07/09 (火) 22:28時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

07/13 (土)
  21:00~00:00/ ◆MOON69mNOA氏 - 母×子=世界存亡 第二話

時間ギリギリまでごめんね! 次はこの方!

>88 名前: ◆MOON69mNOA 投稿日: 2013/07/13(土) 20:51:25
>ちょ、ちょっとだけ遅れます。具体的には・・・10分くらい?

 だそうです。

>>674
お疲れ様ですう~

実は疲れなのかさっき起きたばかりでげふんげふん。
洗濯して暇な時間を~と思ってたら寝すぎてしまいました。はぁ。

そんな訳で、もう暫くだけお待ち下さい……。

~~~これまでの登場人物紹介~~~

【ユーリカ・フォーンツベルグ】(園宮 優理香)
本編主人公。元は三十を過ぎた専業主婦だが、若返りの呪いで中学生に。美少女に戻ったのにオバサン臭いのです。

【園宮 優斗】
主人公の息子で中学二年生。慎重で臆病で自分からは行動を起こさない草食系。但し学校では軟派男です。

【園宮 優希】
主人公の娘で中学一年生。表向きは優等生、しかし普段は兄を慕う悪ガキ。尚、お金に少し煩い模様です。

【アイリ・フォーンツベルグ】
主人公の親友で、歳を経ずに姿を現した魔王の娘。主人公を溺愛し呪いを掛けた張本人。多分頭は弱い子です。

【三途 幽子】
アイリによって使役された幽霊の女性。まるで物語を進行補佐するように現れます。縁の下のなんとやら。

【フラン・フラン】
人造人間娘であり、やはりアイリに使役された女の子。おでこに縫い目があることをコンプレックスにしているようです。

【ベルフェゴール】
別名ベルちゃん。アイリと仲良くなり、何故か幼女化しております。基本やっぱり怠け者。

~~~ 母×子=世界存亡 第二話 ~~~

私、園宮優理香と名乗ったそれは現在封印する事となり、ちょっとした名家のお嬢様育ちという肩書きを持ち、
まさか息子達が通う桐ヶ谷中学校に転入する事になるとは思いも寄らず、数日の間、波風を起こさないように過ごして来た。

そして、ユーリカ・フォーンツベルグという名をアイリから付けられた私は、以前まで住んでいた自宅ではなく、
その場を移し高級住宅へ移り住む事となり、アイリと、そして数人の魑魅魍魎の類と宿を共にしている。

「ユーリカ、ご飯、まだ?」

「い、今……作ってるわよ……!」

「早く、早く。お腹すいた、お腹すいた」

ソファでばたばたと脚を動かし、音で更に催促を促すこのマンションの名義人、アイリ・フォーンツベルグ。
そもそも、何故私が中学生となりこうして本来の家ではなくこのマンションで暮らす羽目となったのか。
それは全て、アイリと、そしてかつて死闘を繰り広げた魔神アスモデウスの七つの呪いというものが存在するからだ。

「それにしても……」

ふと私はリビングの方に視線を向けて、ぐるりと見渡した。
テレビは液晶で、しかも最新式。おまけにブルーレイレコーダーまで装備した一体型。
ソファも高級品で、観葉植物だって数万以上はする代物が飾り付けられている。そしてマットに関してもまた、一級品。

マンションの部屋も広く、そして多い。おまけに二重ロックでセ○ムしてますかまで備わっている超一級マンション。
どうやってアイリがこの場を用意したのかは、思いを巡らせると頭痛を起こしそうなので考えたくは無かったが、
これ程まで素晴らしい場所に住めるのもまた新鮮であり、ほんの少しばかり、この生活を楽しんでしまっていた。

「はい、出来たわよ、今日の夕食はビーフシチューにしてみました!」

そんな素晴らしい仮住まいで、私が夕食をアイリの前に差し出すと、>>680

私の顔にぶちまけた

>>680
 こんな飯がくえるかーって感じかww

失礼……orz

そんな素晴らしい仮住まいで、私が夕食をアイリの前に差し出すと、私の顔にぶちまけた。
まだ温かいというより、熱いそれを顔に受けて、べっとりとした感覚と共に顔を軽く火傷してしまう羽目となる。
何故彼女がこのような愚行に及んだのか。それは彼女からすれば、このような庶民料理、食べられる訳がない、だそうだ。

「やはり夕食はピザが一番よね」

「……なんで私のシチューが食べれなくて、ピザなら食べられるって訳……?」

「私、ピザ以外の食事は、食事と思えない年頃なのよ」

「貴女そんな性格じゃなかったでしょう! 昔はもっと、素直で何でも受け容れるような可愛い娘で……」

「魔界生活が長かったせいね。すっかり私も思春期に入ってしまったわ」

「とーにーかーく! 食べ物を粗末にするような子は、もう絶対許しませんから!!」

「それは後でスタッフが美味しく処理したから良いでしょう?」

スタッフとは良く言ったもので、実際美味しく処理してくれたのは別の住人となるフランちゃんや幽霊女の幽子なのである。
そして、何故か幼女姿となっているベルフェゴールのベルちゃんは、床までぺろぺろし始めるものなので、今では彼女を抱きかかえアイリをお説教。

しかしこの金髪、聞く耳持たずなのである。昔はパンを分け合って食べた事だってあったのに、何故かピザ厨となっていた。
そんな彼女が、目ぼしい情報が無いとリモコンを片手にテレビのチャンネルを次々に切り替えていくのである。

「ふわぁ……ねむねむ……」

「あらあら、ベルちゃん、もうおねむかしら。ベッドに行かないとね~」

「……何でその幼女には優しいの」

金髪少女が、拗ねたように呟く声が聞こえたのだが、これに反応しては甘やかし調子に乗られるばかりである。
そう悟った私は、あえて>>684という態度を取ってみるのであった。

ツンデレ

金髪少女が、拗ねたように呟く声が聞こえたのだが、これに反応しては甘やかし調子に乗られるばかりである。
そう悟った私は、あえてツンデレという態度を取ってみるのであった。

ツンデレ、私でもコレくらいは知っている。深夜アニメだって息子達に黙ってこっそり見ていたこともあり、
大体は掴んでいると自負しているのだが、もし息子達が実はお母さんはアニオタだと知られたら、どんな顔をするだろう。

「ふ、ふんっ! そうやって優しくしてアピールしても、ぜーったい優しくしてあげないんだからね!!」

「……そう、なの?」

「あ、当たり前でしょ! 食事を無駄にしてしまうような不良娘なんか、大嫌いなんだから! ふんっ!!」

「……そんな……」

「さ、行きましょうね~ベルちゃん。ベッドで添い寝してあげるからね~。……誰かさんには絶対添い寝してあげないから」

「……はうぅ……」

ツンデレ、というよりはツンツン気味になっているような気もするが、寧ろデレ成分は薄い方が素晴らしいと認識している。
しかし、アイリが思ったより落ち込んでいる様子を見せているため、これは演技なのか、或いは本気で落ち込んでいるのかと悩まされるのである。

「……添い寝、してくれないなんて……私、これからどう寝れば良いの……」

やはりまた聞こえるように独り言を呟き、一瞬だけ私の様子を伺ったアイリは、ちょっぴり涙目となっていた。
これは思うに演技。しかし、まるで我が子が私に縋るような視線に、母性が働いてしまう。

「わ、分かったわよ、し、仕方なく今日も添い寝してあげるんだから、ちょっと待ってなさいよね!!」

「うん……」

素直に頷いたアイリではあったが、私は見逃さなかった。僅かに頬を歪める様な表情をしていた事に。
仕方なくデレて、そうして演技勝負で敗れた私は、ベルちゃんを寝かせつけた後、アイリの寝室で……>>686

オナニー

素直に頷いたアイリではあったが、私は見逃さなかった。僅かに頬を歪める様な表情をしていた事に。
仕方なくデレて、そうして演技勝負で敗れた私は、ベルちゃんを寝かせつけた後、アイリの寝室で……[田島「チ○コ破裂するっ!」]。

それは自慰行為の類であり、男女問わず行える行為であり、女性からすればその行為は恥ずかしい行為とも認識がある。
しかし、不思議なもので男は必ずそれを行うもの、という認識も、気付けば備わってしまっていたのであり……。

「こ、こういう風にすれば、いいのね……んっ……!」

「あのさぁ……、今日は添い寝だけって言ったよね、私」

「だけど、それだけだと……折角の夜の二人の時間が……あっ」

「本当にしちゃうとか引くわー。主婦だった私でも引くわー……」

「で、でもっ、見られて、私……凄く……感じちゃうぅぅっ!!」

何気に性知識に関心があり、それに元々乏しい所もあったアイリは、桐ヶ谷中学校でその話題を振られ、ハテナマークを浮かべたという。
今では私と共に転入してきた彼女も噂となっており、男子達によく言い寄られているらしい彼女は、
その学校で仕入れてきた情報を実践してみたいと、私に教えを請うたのである。

それを本当に教えてしまった私は果たして、良かったのだろうか。それとも大人失格なのだろうか。

「ん、ぁ……ここ、ちょっと大きくなって、また身体が跳ねちゃうくらい……んぅっ!」

「……明日も学校あるし、私、先に寝ていいよね」

「ら、らめ、らめなのぉ! もっと、私を見てぇぇ!!」

「……痴女に付き合ってられません、おやすみなさい」

アイリは学校では絶世の美少女と噂が巡る中、私は残念だと噂が広まっている。その理由は痴女だからだ。
何故私が痴女となってしまったのか、それは息子の前でM字開脚なんて行為を行ったのと……>>688である。

気持ちよかったの

>>688
なんと分かりやすい理由!

ネットであれこれ書かれた

アイリは学校では絶世の美少女と噂が巡る中、私は残念だと噂が広まっている。その理由は痴女だからだ。
何故私が痴女となってしまったのか、それは息子の前でM字開脚なんて行為を行ったのと……気持ちよかったのと、豪語してしまったからである。

「M字開脚って、ほんとにしたの?」

とある生徒のその問いに、私はそのまま気持ちよかったのと答えてしまったのである。
なにを思ってそんな事を口走ったのか、今となってはその発言を撤回したいのだが、既に噂は広まり、確定事項となった。
私は痴女。ならば今も尚隣で私を見つつ自慰行為に耽るこの変態はどうなのだ、痴女以上ではないか。

「だからといって……、今は自分の事よりも、息子達と……世界の事よね」

そう、世界は未だに闇に覆われたままだった。七つの大罪の怨念が呪いとなり蔓延る現実世界。
次第にそれはこの世界に綻びを生み、いよいよ瓦解しそうになりつつある。それを取り除かない限り、人類社会は滅亡を迎えるであろう。

そしてその呪いは、我が娘にも影響を及ぼしている。そんな我が娘、園宮優希は、今日も学校では優等生なのである。

「園宮さーん! このプリント、手に入れてくれてありがとう!」

「園宮さん、何時も気が利いていて、凄いなって……!」

「優希ちゃんには敵わないなぁ。成績も良いし、運動神経も良いし……ルックスも可愛いし」

翌日、私は一年二組の教室を覗き見、娘がどんな様子で学校生活を過ごして居るのか監視していた。
娘が売春を、しかもそれすら不正に行い金を騙し取っている事実を知ってしまった私は、息子より先に娘を更正させたいと考えていた。
しかし今、私は中学生の身であり、どう転んでも娘は私を母親と認識しないであろう。

「それにしても園宮さんのお母さん、失踪したって本当?」

「あはは、知られちゃったかぁ。……うん、ホントなんだ」

「大丈夫? ご飯とか苦労していない? 良かったら私の家に来ても……」

「大丈夫だよ! お兄ちゃんも居るし、食事は好き勝手にしてるからー」

娘が友達とそんな会話をする中、気掛かりな言葉が耳に入ったのだ。好き勝手とは一体……。
それが気になった私は、この日は元住んでいた我が家まで彼女をストーキング。そして知った実態は……>>692

三度の食事がすべてお菓子

「お兄ちゃん」に監禁されていること

娘が友達とそんな会話をする中、気掛かりな言葉が耳に入ったのだ。好き勝手とは一体……。
それが気になった私は、この日は元住んでいた我が家まで彼女をストーキング。そして知った実態は……三度の食事がすべてお菓子。

「なん……だと……!」

最早言葉が思うように出ない事実。ゴミ袋にはお菓子のゴミの山。そして散らばる菓子袋。
ポテトチップスから、きのこたけのこ、チョコレートやケーキ、挙句はアイスクリームが溶けて床に染み付いている。
不法侵入まがいで家に上がりこんだ私は、その状況を見て気を失いそうになっていた。

「な、なんで……こんな事に……」

例え私が旅行で居なくなろうとも、食事くらいは何とかするであろうと思っていた。
しかし我が子達は掃除もせず、ゴミ捨てもせず、洗い物もせず、洗濯物も殆どしていない様子で呆れて物が言えないのである。

「……少しくらいは、良いよね」

息子はまだ帰宅しておらず、娘は先に二階の部屋に篭った様子。ならば、一階で少しくらい片づけをしても、バレはしないだろう。
余りにも我が家が酷い、となった私は制服の袖を捲り、何時も行っていた主婦業に暫くの間、時間を費やした。

そして一時間とちょっとばかり、部屋の一部を片付け、最低限の洗濯を行い、掃除もバレないように雑巾掛け。
食事もマトモな……といっても、簡素な和食を用意し、せめてもの書置きを残して我が家を一旦去ろうとした時であった。

「ただいまー……って、夕飯の匂いがする……!? 母さん、母さんが帰ってるの!?」

しまった、と息子の帰宅に合わせてトイレに逃げ込んだ私は、頭を抱えてしまっていた。
今の私は中学生の少女である。そして、息子には痴女扱いされては避けられている状態なのを思い出し、困惑してしまっていた。
この状況から、どう抜け出せば良いのか。今も息子は、母親が帰宅したと思い込み、あちこち家の中を捜し回っているのだ。

「母さん、帰ってるんじゃないの? 母さん!? ……あれ、トイレに誰か居るのか……?」

「……ダレモイマセンヨー」

「なんだ、ただの>>695

お母さんのロリ形態か  ハァハァ

座敷わらし

「なんだ、ただのお母さんのロリ形態か  ハァハァ」

「ソウデスヨー オカアサンのロリ……ってはぁ!!?」

「ぬわ、やっぱりトイレの中に母さんじゃないケダモノの声が!!」

「だ、誰がケダモノですか! 自分の母親に向かって、け、ケダモノ呼ばわりとは!!」

「……その声、痴女なのか、もしかして」

「ふぁっ!? ち、チガイマスーロリキューブなオカアサンデスウ~」

「……警察呼ばれたくなければ、さっさと出てこい」

―― 我が家のリビングで、座布団もなく、息子に正座させられるとは思いも寄らず。
仁王立ちする息子を上目遣いで眺めるのだが、これが随分とお怒りのご様子で、眉が常に皺を寄せた状態であった。

「なんで痴女のクラスメイトが僕の家に上がりこんでるんだか、事情を説明して貰おうかなぁ」

「そ、それはですね、ええとですね、……かくかくしかじかっ!」

「あー、成る程ね。かくかくしかじかね。……分かるかッ!!」

「コレには海より深い、ふか~いワケがありましてですね!!」

「ユーリカ・フォーンツベルグだっけ。ちょっと母さんと名前が一緒だからって、調子に乗るなよ」

「いや、ですから私は……」

ここで全てを打ち明けて、きちんと説明すれば、息子は分かってくれるだろうか。
しかしアイリに面倒事になるから素性は隠すべきと、釘を刺された状態である。その中であえて事情を説明するべきなのか。

私が答えを導き出せず頭を抱えていると、息子の声を聞きつけてきたのだろう、娘の優希が姿を見せたのだ。
そして彼女は、私を見て……>>698

「妹ができた」と大喜び

「???????」

卒倒

私が答えを導き出せず頭を抱えていると、息子の声を聞きつけてきたのだろう、娘の優希が姿を見せたのだ。
そして彼女は、私を見て……「妹ができた」と大喜び。

一応、この姿での娘との初対面は以前に済ませている。その際は、状況もありちょっとばかり空気扱いされていたのだが、
何故か今では態度が百八十度近くも違う。妹が出来たって、今でも私のほうが見栄えも大人らしいだろうと首を傾げていた。

「お、おい、優希、こいつ痴女だぞ。分かってるのか!?」

「分かってるも何も、噂の転入生さんでしょ? それくらい知ってるもん」

「なのに妹が出来た~って何だよ!?」

「そんなお付き合いでもいいじゃないって思っただけ。お兄ちゃん、もしかして……この人の事嫌いなの?」

「嫌いって言うか……気味が悪い。だって、私はアナタのお母さんよ、って言い張ってくるんだから」

「でも良いじゃない、見た目悪い人じゃ無さそうだし、害が無いなら妹にしたいくらいだもん」

「あ、あのー……私、帰ってもいいですか?」

「まぁまぁ! ユーリカさんだよね! 私の失踪した使えないお母さんと一緒の名前が癪だけど、
 良かったらこれから夕飯のお菓子パーティするの! 食べていかない!?」

「つ、使えないお母さん……?」

「だってー、私が凄く良い子振ってるのに、お小遣いも上げてくれないし、所々煩いし……。
 部屋も常に片付けなさいって、とにかく細かいの! 居なくなって清々してるんだ!!」

娘もまた、腹を痛めて産んだ子供だった。息子の出産の後のたった一回で産まれた子供は、二度目という事もあり要領を得ていても、
身体への負担はやはり大きかったらしい。彼女を産む際は、随分と苦労を強いられたものである。

それでも、娘も息子と同様に大事な存在だった。それに、使えないだの、居なくなって清々しただのと言われた私は、傷ついた。
言葉が出ない。家の中が真っ白に見える。何だかまるで、捨てられたような気分で胸が苦しい。

私がそうして、何も言えず、ただ唇を噛み締めていると……>>702

パイ投げのパイをぶつけられた

私がそうして、何も言えず、ただ唇を噛み締めていると……パイ投げのパイをぶつけられた。
何で、と、そのべっとりとした衝撃の中呆然としていると、聞き覚えのある声がこの家の中で聞こえてくるのだ。

「園宮優希さん、だったわね」

「だ、誰よ、この金髪! ま、まさかお兄ちゃんの……浮気相手!?」

「ちょ、こんな娘と浮気してない! ってお前と寝た覚えもないよ!!」

「私はアイリ・フォーンツベルグ。彼女の双子の姉妹って所かしら」

「……その、何とかさんが、私達の家に勝手に上がりこんできて、何の用!?」

「ちょっとそこのパイを受けて呆然としている姉を引き取りにね」

「ユーリカさんは妹ですう! 私の妹になるの!」

どうやらパイ投げを行ったのはアイリの様子であり、何故彼女がこの家に、とも思ったのだが、
優希が私をどうしても妹にしたいと、こちらに抱きついては放さない中、彼女はこう、娘に言ったのだ。

「裏で不法に金を稼ぎ、友達に大盤振る舞い。おまけに母親にまで外面だけは随分良かったみたいだけれど、
 化けの皮が剥がれればそんなもの。ただの我侭勝手で、自己中心的性格。最低よね」

「な、何が言いたいのよ、金髪!」

「……そんな最低な娘が、貴女の母親を貶めるのは人間以下のクズだと言っているの」

「……ッ!」

「でも貴女、本音は違うのでしょう? 母親に、兄以上に慕われたいって気持ちがあったのでしょう?
 それが捻じ曲がり、中学生となりクラスで持て囃されて、感情が歪んでしまった。……哀れだわ」

アイリはそう、娘について淡々と話すのだが、パイを受けて視界が塞がった私は、この二人がどんな様子で会話をしているのか、分からない。
そうして、アイリに随分と酷い扱いを受けた我が娘は……>>704

出ていった。そしてオジサマ達にマジで犯してもらった

それなりに改心してくれたようだ。

自我が崩壊した

アイリはそう、娘について淡々と話すのだが、パイを受けて視界が塞がった私は、この二人がどんな様子で会話をしているのか、分からない。
そうして、アイリに随分と酷い扱いを受けた我が娘は……出ていった。
場が凍りつく。恐らく泣いていたのだろう。追いかけなければと、私が立ち上がろうとした瞬間、アイリにパイを取られ、抱きかかえられてしまう。

「さぁ、帰りましょう。我が家へ……」

「で、でも、優希が……娘が……」

「放っておけば良いわ。だって貴女はもう、第二の人生を歩み始めているのだから」

―― 馬鹿みたいだ。お金だってこうして簡単に稼げてしまう世の中なのに、自暴自棄になって、こんな事して。
二人ほど引っ掛けた。それはホイホイ付いてきた。もうどうでもいいと、無感情で裸となり向き合っていた。
股さえ開けばお金が入ってくる。そんな下らない世の中で私は十三年だけ生きてきた。

「いやぁ……初めてだったんだね。良かったよ」

「痛かっただろう? もう十万ほど追加してあげよう」

「ありがと、おじさん」

「そうだ、携番教えてよ。今度も奮発しちゃうからさぁ」

「……今度? どうかな。そんな機会、あるかな」

「おや、もしかしておじさん達が気に入らなかったかい?」

「ううん、そうじゃないよ。……寧ろ、どうでも良かったっていうか」

痛かった。正直、裂けると思っていた。それでも、身体は上手く順応しようと働くもので、
相手の大人達もそれなりの経験者。だからこそこうして金を出すのだが、下手かと言われれば上手だったのだろう。
だがそれよりも、私は人生をさっき捨ててきた。もうどうでも良い、兄をも捨てて死んでやろうとすら思っている。

「……どうでも良いのなら、いっそおじさん達のモノにならないかい?」

それは誘惑だった。自分が要らないと言うのなら、誰かのモノにされるのも悪くない。
兄だって色んな女に手を出し、性行為だって恐らく働いているだろう。そんな兄を私は慕ってきた。しかし、それも限界だ。

だから私は、このおじさん達の誘いを……>>708

承諾して処女を捧げた

手玉にとって魔王となる

ああ、前じゃなくて後ろの方って意味ね

だから私は、このおじさん達の誘いを……承諾して処女を捧げた。

そうして、女となった私が暫く学校をサボって、男達をあ平らげていく日々が続くのである。
金は入ってくるし、男達は私の身体を見ればそれだけで恍惚となっていく。まるで女王に君臨したような気分だ。
今日もまた、私の足を美味しそうに舐める男達を見下しながら思う。世の中、思ったより簡単だったと。

「優希様、どうか、どうか……私達にも、舐めさせてください……!!」

「も、もう、限界です。その腋に射精する許可を、どうか……!!」

「ダメよ、まだダーメ。……先にこの人達が、私の足の裏を涎塗れにして、キレイに爪垢まで舐めとってからね」

正直に言えば、この男達が狂っているのは百も承知であった。また、私が狂っているとも言える為、どうでも良い事柄でもある。
しかし不思議ではあった。例えピュアな恋愛を続けていた男性であろうとも、妻一筋なおじさんであろうとも、
私が脱げばこうして奴隷のように私に従い、私を求めてくるのである。

「も、もうだめだ、で、出るッ!!」

「だから……ダメって言ってるでしょう!?」

「ひぃっ、む、鞭はご勘弁を! そ、その鞭、アイテムでしょう!?」

「だから何!? 私のアイテムは百八あるの。鞭のアイテムがあってもおかしくないでしょ!?」

「でもそれ、痛み増幅効果が……ひぃ、ひぃぃぃぃ!!」

「さぁ、その痛みを抱えて素直に全てを曝け出して!! 私に全てを見せて!!」

そうして、男達を従える女王のような存在になるには、然程の日は掛からなかったのだ。
また、この行為が噂となったのだろう。とある女が、私の前に姿を見せるのだ。

銀髪のスーツ姿の女性、正直異様な雰囲気を感じ取っていた。だが彼女は、私に名刺を渡しつつ、こんな事を言う。

「その復活を、お待ちしておりました。……色欲の王、そして我等が筆頭である貴女を」

ちなみに、名刺には……>>712と書かれてある。

ベリアル

ちなみに、名刺には……ベリアルと書かれてある。
とある悪魔の名前なのは理解しているが、だからといってそれが何なのかは定かではない。
ただ、この女は堕ちた私ですらぞくりと悪寒を感じてしまう程、異様で危険で特殊な存在だ。

「しかしまだ貴女は目覚めたばかりの存在。無意識にその力を発揮し、男達を隷属させているに過ぎません」

「……あの、あなた、一体」

「申し遅れました。名詞の方は魔界でまかり通る名でありまして、こちらでは辺利アルと名乗っております」

「あ、当て字じゃない」

「可愛いでしょう、この名前。気に入っているんです。てへっ」

「……え、ええと、そのてへっと自分でげんこつするようなイカれた女の人が、何故私に?」

「かつて、貴女の母親、園宮優理香なる女が魔神アスモデウス様を打ち倒したのはご存知でしょうか」

彼女は、そうして母の素性を明かすのだった。母が、かつて世界を賭けて死闘を繰り広げていた事を。
そして、アスモデウスが打ち破られた最中、七つの怨念をこの世界に植え付け、滅びた事を。
その七つのうちの一つが母を介して私に宿り、そして芽生えた事を。

「だからこそ、貴女は二代目と言えるでしょう。そう、一つは既に彼奴等によって陥落しましたが、
 まだ五つの怨念が目覚めを待っております。それを、貴女の力で、どうか……」

「し、信じられないけれど、それって……本当なの?」

「勿論真実です。いずれは男や世界だけでなく、女も、そして貴女の母親も、貴女のモノとなるのです」

「お母さんも……お兄ちゃんも……私のモノに……。……フフッ」

人生が、凄く楽しくなってきた。そしてこの感覚を味わうのは恐らく二度目。
最初は……母と初めて遊園地に行ったことだろう。それくらいに最高に楽しくなっていた。

私はベリアルの意見に従い、男達に快楽の渦を教え込み、そして軍隊のように仕立てた私は、最初の目標を>>714に定めたのだ。

日本一のAV女優になる

私はベリアルの意見に従い、男達に快楽の渦を教え込み、そして軍隊のように仕立てた私は、最初の目標を日本一のAV女優になるに定めたのだ。

「さぁベリアル、いいえ辺利アル! 私と一緒にAV女優になろう!!」

「あ、その、私はお断りします。裏方専門ですので」

「え、何? もしかして多数の男に自分の身体を曝け出すのが恥ずかしい? そう思う方が恥ずかしい事なのに!?」

「いいえ、その……ニガテなのです、そういった行為が」

「ふぅん……そうなんだ。それじゃ、今度ゆっくり教え込んであげるね。私も、ちょっと女同士っていうの、興味があったんだ」

「早く五つの怨念を目覚めさせ、彼女の矛先を変えないと不味いです……私の貞操が……」


―― 園宮優希が学校に来なくなって一週間、行方はやはり分からない。
流石に母である私と、妹である優希を失った長男の優斗は、学校に顔を出しても呆然と行った様子で授業を受けていた。
学校で女子に声を掛けられても知らぬ顔。普段ならこんな事は有り得ないらしい。

「園宮、お前マジで最近元気ねーぞ、どうしたんだ一体」

「女にも手を出してないんだろ? その歳でもう飽きたのか?」

「今度JSに手を出すってどうよ、良い提案じゃね?」

彼を取り巻く男子がそんな話をする中、優斗は相槌を打つもどこか上の空であり、覇気を一切感じない。
果たして、優希は何処へ姿を眩ませたのか、勿論私も不安であり、アイリが既に動いてはくれているのだが……。

「ユーリカ、ちょっとこっちに」

彼女が珍しくこの教室に姿を見せては、私を誰も居ない教室へ連れ込み、情報を得たと話を振ってきた。

「このAV女優、誰だと思う?」

「……優希、優希じゃない、これ!!」

「でも名前はアイダユキ。偽名なのは百も承知なのだけど、問題は中身なの」

その問題の中身、つまり映像が問題と言う彼女が、携帯タイプの再生機を用いて映像を流す。すると……>>716

スカルファックの女王様と呼ばれていた。

その問題の中身、つまり映像が問題と言う彼女が、携帯タイプの再生機を用いて映像を流す。すると……スカルファックの女王様と呼ばれていた。
映像では、男達が犯され、殺されていくといった物が流されている。そして、それを恍惚の笑みを浮かべ、次々と違う男に手を伸ばす優希。
訳が分からない。コレは夢なのだ。娘がこんな事をしているなんておかしい、間違っていると首を振る。

「けれど事実よ。……そして、映像自体にまた問題があるの」

「えい、ぞう……?」

「これ自体に呪いが仕掛けられているわ。映像を見るだけで、男はこの女、つまり園宮優希に魂を奪われるような形になる」

「そんなの……嘘よ、私の娘が、こんな……」

「これは推測よ。……恐らく、この貴女の娘が、アスモデウスの生まれ変わり。つまり継いでしまった訳ね」

「……あ、あぁ……そんな……」

「放心している場合ではないわ。取り急ぎ私の父であり、我等が魔王を目覚めさせないと」

「でも、それには確か……」

「……あの精霊、本当に何処へ行ったのか」

精霊、かつで私と共にアスモデウスを打倒するべく魔導具……つまりアイテムという力を齎し、戦った存在。
世界の平和が乱される時、それはある人間を見出し、そして救世主へ導くという話である。

その最初の戦乱の際、私が見出されては半ば強引に戦いに引き込まれ、そして私はそれを討ち滅ぼした。
しかし、それから暫くして精霊は姿を消し、その後恐らく誰も目にしていないであろう。

「まぁ、精霊が居なければマジカルステッキも取り出せない。となれば魔王も復活は不可能。……Sクラスのアイテムは面倒ね」

「精霊の目処が付かないのなら、私は優希を正気に……」

「待ちなさい。今は危険よ。それよりも、もっと大事な任務があるわ。それは……」

大事な任務。それは、息子の優斗が娘の優希の毒牙に掛からないよう、>>718をしてあげなさいという命令でもあった。

先に息子を犯す

大事な任務。それは、息子の優斗が娘の優希の毒牙に掛からないよう、先に息子を犯してあげなさいという命令でもあった。
何故私が息子の性相手にならなければならないのか。しかしそれは、彼を守る為でもあると告げるアイリ。

「癪だけど、初めての相手は彼に譲ることにするわ。でも、次は私とウフフフ」

「生憎ですが……私、処女じゃないんだけど」

「だけど呪いで身体が若返った即ち、作り変えられたという事になるの」

「……な、なんですと」

「まぁ、母と息子の性行為なんて中々面白そうだわ。……初めてはこっそり覗いておくから」

「や、やめなさいよ!? って、私も本気でそんな事、するつもりは……」

「しなさい。体液を交わらせるの。そうして彼に貴女の魔翌力が行き届き、それが彼の中で免疫になるわ」

「免疫に……って、それならキスとかでも……」

「いいえ、ついでに精子も貰ってきなさい。……理由は貰ってから話すわ」

訳が分からない、と、アイリに見送られた私は自分の教室へ戻るのである。
そしてそこにはやはり、上の空で時間を過ごす優斗の姿があり、私が何度声を掛けようとも、こちらに振り向こうとはしなかった。

ならばと、優斗に昔よく言い聞かせていたあの子守唄を、耳元で囁いてやったのだ。

「ねんね~ん、ころ~りよ~」

「……ッ!? 痴女ユーリカ!? 何時の間に!?」

「え、えっとね、優斗君をお誘いに……」

「……悪いけど、お前に構うほど僕は暇じゃない……」

優斗はそうして再び窓の外をぼんやりと眺めるものだから、私は……>>720

全裸でブレイクダンスして見せ付けた

優斗はそうして再び窓の外をぼんやりと眺めるものだから、私は……全裸でブレイクダンスして見せ付けた。
そもそも、ブレイクダンスなんて難しいもの、出来るわけが無かったのだ。
それは全裸となって、ただ彼に抱きつくだけという結果に終わり、そうして私の噂は更に広まり、最早留まることを知らないのであった。

「……アイリ、ダメだった……」

「見ていたわ。……何故ブレイクダンス?」

「全裸で格好良いところを見せたかったの」

「息子に?」

「……すいませんでした」

「仕方ないわ。こうなれば、自作アイテムを使うわ」

「出ました、アイテム悪用!! ……あんまり過激なのはやめてね?」

「大丈夫よ。後、余り他人に肌を晒さないで頂戴。……私だけのお肌なんだから」

「さり気無く怖い発言するのはやめてね?」

アイリ特性自作アイテム、その名も惚れ惚れ君。それはまるで、某秘密兵器のような名前のつけ方なのだが、
何故に競泳水着なのだろうと首を傾げつつ、それを身に纏うことになる。

アイリ曰く、素材としても優秀で水の抵抗を全く受けないらしいが、そんな性能は勿論求めては居ない。
欲しいのはただ一つ、優斗を惚れさせる力を持つ水着かどうか、なのだが……。

「安心して。アイリ印は嘘つかないわ。ただ、やはり園宮優希程の力は発揮しない。精々数人を暫くの間めろめろにさせられる程度ね」

そうして、その競泳水着を身に纏い再び優斗の前に躍り出たところ……>>722

マモンが寄ってきた

そうして、その競泳水着を身に纏い再び優斗の前に躍り出たところ……マモンが寄ってきたのである。
同じ学年に所属する、小太り男子。余り目立たなく、ひっそりと学校生活を過ごしているといった様子の生徒であった。

「おほーっ!! 競泳水着女子が何故か教室にぃぃぃ!!」

「ちょ、あ、あんた何よ!? 放しなさいよ!?」

「おほーっ!! 抱きついた感触も素晴らしい!! この素材にこのもちもち肌、まさに奇跡のコラボレーションッ!!」

「だ、だから放せ、放せってばぁぁぁ!!」

「お嬢様、名は存じませんが、この真門有文、一目惚れを致しましたで存じましてうひぃぃぃ!!!」

「いい加減に――しろッ!!」

「ぎゃはぁッ!! 平手打ちの鋭さ、一品なりぃ……げふぅ」

アイリ印の競泳水着は、変態を呼び込んだ。私もこのような姿で一人の男子を誘惑しようと教室に忍び込む辺り、十分に変態扱いを受けるだろうが、
こいつのまた変態中の変態。まさか抱きついて頬ずりされるとは思いも寄らず、知らないうちに平手を打ってしまっていた。
しかし、それで倒れる変態ではなく、再び起き上がったと思えば体液塗れの髪を手で掻き分け、言うのだ。

「お嬢様、この真門有文、どうかお嬢様の下僕にしてくださいましぃぃぃぃ!!!」

「い、嫌よ、気持ち悪い……」

「おぉ、気持ち悪いとは……これ以上の無いお褒めの言葉ッ!!」

「あ、あのね、真門君。悪いんだけどあなたに用は無いんだ。あっちに用があって……」

「ほう、アレは……園宮ですな。園宮優斗、あいつぁ……危険ですぜ」

「どうして危険だと判断できるのよ」

「そいつぁ……>>724ですから」

イケメンリア充スケコマシ

親友の神様は

「そいつぁ……イケメンリア充スケコマシですから」

「それはまぁ、我が息子ながらげふんげふん、と、ともあれ余り良くは無いけれど……あなたよりマシよ?」

「いやいやいや! 俺の方が素晴らしいっすよ!? この強欲腹、見てください!!」

「太ってるだけじゃない」

「いいえ、この腹の中には色々と詰まっているんですぜ。そう……それを解き放てば、この世はどうなるやら」

「……あの、何を言ってるの?」

「解せないと、ほう……かつで魔神と呼ばれたあのバカ女を討ち倒した可憐な少女そのものとは思えませぬなぁ」

「あなた、まさか……」

「ようやくお気づきですか。マモンと呼ばれるこの俺こそ、強欲を掌る怨念なり。ですが今ではお嬢様の虜でごわすっ!!」

「……ごわすって……」

アイリ印の競泳水着は、まさかの大罪のひとつを呼び込むことになる。この事をアイリに報告すると、斜め上の結果だけれど上首尾だと私に告げた。
しかし肝心の我が息子優斗は既に下校したのか姿を眩ませてしまい、アイリと二手に分かれて息子を捜す羽目となってしまったのだ。

そして、拾ったのは自分なのだから責任を持てといわれた私は、泣く泣くこのマモン……真門有文と行動する羽目となる。

「ふっふっふ、お嬢様ご安心を、この真門が付いておりますぞぉぉぉ!! ああ、スカートから覗く太股も麗しい」

「いいから真面目に探して!!」

「んー……仕方がありませぬな。アレを用いますかの」

「アレ?」

「真門有文、我が秘めし強欲の力の一つを解放す―― 目覚めよ、>>727の強欲よ!! 園宮優斗に欲させよ!!」

ガリ勉

「真門有文、我が秘めし強欲の力の一つを解放す―― 目覚めよ、ガリ勉の強欲よ!! 園宮優斗に欲させよ!!」

「……それ、強欲の類なの?」

「知識欲を欲するもまた、欲そのものでありまする。さぁ、れっつずしょかんへ!!」

「図書館ってちゃんと言いなさいよ……。ハァ、全く……」

―― 母は行方不明となり、妹もまた行方不明となった。そして家には僕一人が取り残された。
これは罰なのか。母を失い、それでも妹の為にと自我を保ってきたが、妹が消えた途端、それは崩れ落ちた。
最近まともに食事も摂らず、ただ惰性に生きているような感覚。だった筈なのだが、今では図書館に篭り、知識を集めている。

「何故だか分からないけど、非常に色々と知識を詰め込みたくなった……」

色んな本を読み漁る。哲学から宗教、様々と流し読みするだけなのだが、意外とそれが頭の中に入ってくる。
冴えている、無駄に冴えており今でなら中間試験だって百点取れるくらいに冴えているのだ。

そうしてどこかズレている知識を一通り集めてはノートに記す中、ある事項が目に入る。

「色欲を掌るアスモデウス……、世界を滅ぼす象徴ともされ……って、こんな事はどうでも良いんだ。
 それよりも数学とかを……。……少女に乗り移ったそれは、最終的には……ふむふむ」

何でこんな事をノートに記して暗記しようとしているのだろうか、と疑問に思いながらも、妙な知識欲が膨らんでは止まらない。
そして、何故かこの事項が母と関係あるのでは、とすら認識してしまう中、妙な視線に勘付いてしまった。

痴女と同じ学年の喪男が何故か本棚の陰から僕の方をじっと見ているのだ。

「なんだ、あいつ等……。しかし痴女はほんっとしつこいな……」

自称僕の母と言うユーリカ・フォーンツベルグ。見た目は思いっきり日本人。しかしかなりの美少女。
だがあんな美少女が僕の母である訳が無く、更に言えば母はやはり小学生くらいの年頃の方が似合うとも思っている。

あぁ、小学生である母さんにナニされたい、なんてここらで普段は思う筈なのだが、今回に限り知識欲がそれを上回ってしまう。
視線を感じても関係なしと、只管本を読み耽っていると……>>729

かしこさが8上がった!

あぁ、小学生である母さんにナニされたい、なんてここらで普段は思う筈なのだが、今回に限り知識欲がそれを上回ってしまう。
視線を感じても関係なしと、只管本を読み耽っていると……かしこさが8上がった!

その知識欲も、かしこさがアップしたと直感した途端、一気に失せていく。
今まで何をしていたのだろうと我に返り、本を戻して帰宅しようと鞄を手に取ると……。

「あ、あの!! わ、私……!!」

「なんだよ痴女。僕にもう関わらないで欲しいんだけど」

「そ、そう言わずに……して、みない? 一度だけでいいから!!」

「する? 何を?」

「その、せ、せせせせ、せ……くす……?」

あぁ、聞くんじゃなかったと彼女を見下ろした。背は低くて妹よりも小さいかもしれない。しかし、思えば母の背丈も低めだったのを思い出す。
しかし母はクセ毛だ。マトモにお手入れをしてないのもあるだろうが、彼女のようなストレートでロングが似合うタイプではない。
更に言えば、その初々しさだ。痴女の割にはどこか初々しさを感じてしまい、純朴なイメージすら付き纏う。
しかし母は残念ながらそのようなタイプではない。そう、母はちょっとオバサン臭いのだ。

「……わ、私じゃ、ダメ、なのかな」

だが、仕草は時折母とダブってしまう。困ったとき前髪をくるくると指先で回すクセ、母そのものなのだ。
そして、間を持たそうとした最中に見せる腰を揺らすクセ。これもまた、母と似通っていた。

だからこそ、余計にこの少女には手を出せずに居る。寧ろ、出してはいけない的な何かを感じていたりする。

「あの、悪いけど僕、これから用事が……」

「そ、その後でもいい! 待ってるから、私。……だから、その後、しよ?」

そして更に言えば、この痴女振りが母ではないと否定をしている。母が例えこのような姿であろうとも痴女である筈が無いのだ。

しかし上目遣いでお願いをされてしまい、どうしたものかと悩んだ挙句、>>731

卓球の相手をされただけだった

しかし上目遣いでお願いをされてしまい、どうしたものかと悩んだ挙句、卓球の相手をされただけだった。
仕方なく頷いて連れられ、ラブホ代まで用意していないと財布を伺っていたのだが、卓球場に連れられ唖然となる。

そして更に、普通に卓球する羽目となり更に唖然となりつつラケットを振る僕が居た。
どうして卓球を。性行為に及ぶ雰囲気は一切無く、安堵と共にほんの少しだけ、残念にも思っていた。

「はぁ、はぁ……もう、いいだろう」

「まだまだ! この程度でバテるなんて、本当に私の息子……じゃなくて、優斗君なの!?」

「い、いや、バテるのと僕の存在、全く関係ないし……」

「いいから立ち上がりなさい! そしてラケットを振るうのよッ!!」

無駄に気合が入ったユーリカは、汗を制服の裾で拭い、サーブを打ち込もうとする。
その角度、間違いなくカットサーブだと思えば、何故かドライブ回転で打ち込まれる訳の分からないスペック振りを発揮。
この女、一次方程式を知らないくせに運動神経だけは抜群だ。……そう言えば母も数学は弱かったっけ。

「さぁ、次ィ!!」

「も、もう無理……。真門も何か言ってくれ……」

「俺はお嬢様に従う下僕なり! つまり何も言えん……」

「使えない喪男め! って、その魔球サーブはもうやめろおぉぉ!!!」

「まだよ、まだ―― 優斗、危ないッ!!」

え、と、一瞬真っ白となり、轟音が聞こえ、我に返った直後には真っ赤な雫が飛び散っていた。
卓上に、僕の制服に、彼女の血がふわっと浮いては散り、染み込むように広がっていく。

母を名乗る少女が撃たれた瞬間だった。僕は少女に抱きかかえられ、そして意識を失う彼女の胸の中で思うのだ。
これは二度目だ。一度目は、交通事故に遭いそうになった際、母が助けてくれて。そして……また、母に助けられたと何故か思い込んだのだ。

そして誰がユーリカを撃ったんだと、周囲を確認すると……高校生の女の子が、拳銃を持っていたのだ。


―――― つづきます

い、以上で終わります。なんか前のより重いような感じがしないでもなく……。
下手すれば打ち切りかもしれません。まぁ咄嗟の繋ぎみたいな形でしたし、それもそれで……。

ともあれ、お付き合いありがとうございましたー。

後、性的描写とかの類はsagaも面倒なので省きます。びっぷらとかなら別にいいんですがー。
というか、ねっとりやって大丈夫なのかもいざ知らずなのです。はふぅ。

おつー

<トライアングル・ハピネスとは?>
▼畜生過ぎるヒロインの第1話の所業はこちら
http://muriyari4th.rash.jp/site/matome/noname/irekawari01.html
 普通の高校生『東雲はい』と、超極悪外道天才犯罪者女子校生『藤寺そよぎ』の身体が入れ替えられたことにより起きた騒動のお話である。
 今更だけど、これ……佐々原海名義で書いてなかったね。失敗失敗。


 □ プロローグ □

史上最悪のお嬢様がいた。
彼女の所業の前では、かのブラド公爵やヒトラーですらも道を譲ると言われている。

詐欺、脅迫、殺人、強姦、略奪、密輸、人体改造……犯罪歴は種類だけでも片手では足りない。
しかし、警察ですら手を出すことは敵わない存在である。
なぜなら、彼女に歯向かった者は一様にこう口にするのだ。『頼む、もう死なせてくれ』と。

彼女の名は『藤寺 そよぎ』。叩けば埃のように犯罪歴が出てくる。
この世に不幸を振りまくためだけに生まれた悪魔の知恵を持つ女……!

そして……
それが今の自分であった。

本日、19:00より開始します

<ご挨拶>
 こんばんはです。名前を出すのが久しぶりの佐々原海です。
 今日も頑張ってやりまっしょい。

♪本日のおとも動画
世紀末のジュリエット達 全曲集
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm16978598
 比較的伝説のソフトです。このゲームを英雄伝説3のCD音源でプレイして全てを台無しにしたことがあります。



▼とらはぴ 春闘編

 自分の元の名前は『東雲はい』という普通の男子高校生だった。
 だが、とある日、本当に前触れもなくそよぎの非人道的とも言える改造手術を受け、強制的に肉体交換をされてしまった。
 ひ弱な女の子『そよぎ』になった俺は……あろうことか、『はい』になったそよぎに初めてを奪われる。
 あまりにも屈辱的な出来事だった。アイツは鬼畜生かと思った。
 現実は鬼畜生どころではなかった。
 地獄の閻魔ですら徹夜作業が必要なほどの悪行の数々は、彼女に接触した者全てが不幸になると言っても過言ではないほどだ。

 そんな藤寺家で働いていたメイドと執事。
 彼女らは衣食住が約束された環境下でありながら10万『円天』で働かされていたらしい。

 それではあまりにも可愛そうだということで、彼女らにもまともな給与を渡すように、
 交渉を始めることにしたのだ。
 それもこれもあの女のために人生を狂わされた人を助けるためだ。
 
 いや、もしかしたらあの女の身体に入っている自分がこれ以上あの女に毒されないようにするためなのかも知れない。

そよぎ「ねえ、つらい代さん」
つらい代「はい」

 彼女の名前は『十二指腸潰瘍 つらい代』さん。あまりにもあんまりな名前だけど、彼女は今の私のメイドさんだ。

そよぎ「春闘って具体的に何をすればいいのかしら?」
つらい代「それはですね、まず>>738をするんです!」

給料上げろデモ行進

ひるね

つらい代「それはですね、まずGoogleで検索をするんです!」
セバスチャン「そのようなことも分からないのだから、お前は元市民だというのだ」
そよぎ「アンタ達も分かってないんだね! だから、パソコンで今から調べるんだねっ!? お前ら社会人なんだから少しくらい知っておけよ!」

 つらい代とセバスチャンはそれぞれ携帯やらスマホで調べ物をする。

セバスチャン「この屋敷に住んでいるものが……そのような常識を持っていると、貴様本気で言っているのかっ!?」
そよぎ「ああ、確かにここは世界的にも金持ちなお屋敷だったな! そしてアンタ達の元ご主人様はとんでもなくエゲツない性格で、
    確かに一般常識を当てはめて考えようとは思わないだろうけど、だからと言って知識まで捨てる必要はないでしょうがっ!」

 ちなみにセバスチャンは唯一今の自分と東雲はいが入れ替わっていることを知っている人物である。

つらい代「マイクロソフトからのご解答によると、労働条件の改善を要求する活動をすることのようです」
そよぎ「あ、ああ……それは知ってるよ。具体的にどういう活動をするのって聞いてるの?」
つらい代「それはですね、まずひるねをするんです!」

 つらい代はメイドという職業で培った作業進行能力をフルに活動させ始める。
 彼女の手は見えないほどまでに早く動き、メールを拡散していた。
 私のところにも何故かメールが回ってきた。
 
 『これよりわれら、春闘のためひるねに入る。各自、ひるねせよ』

セバスチャン「これで……これでようやく私達は盗人疑惑の目に悩まされなくて済む……くぅうぅ苦節35年! 長かった!」
つらい代「きっと目が覚めた時には給料が普通に振り込まれるようになりますね!」
そよぎ「おい、寝言は寝て言えよ」

 私はつらい代とセバスチャンに向かって、護身用のスタンガンを押し付けた。

つらい代「ギャーアーーーーッ! や、やめてーおもらししてしまうーー!」
セバスチャン「ぐぬぅう……一般市民の分際でぇ……がぁ」

 私はこの人達を精神鑑定に出した方がいいのだろうか?

そよぎ「それじゃ何の請求にもなってないでしょうが! アンタ達の要求、なんだっけ? 給料を……」
つらい代「はい、給料を>>741にしてもらうことです!」

ジンバブエドル

全部10円

このシステムだと永遠に安価取れなさそうな気がする・・・。

セバスチャン「ぐぬぅう……一般市民の分際でぇ……中々お嬢様が板についてきたじゃないか」
そよぎ「っ!?」

 そ、れはイヤ過ぎる……!

つらい代「あとちょっとで大洪水でしたのに……さすがお嬢様。ギリギリの寸止めで止める。人間が苦しむポイントを熟知していらっしゃる」

 あれ、なんで私褒められてるの?
 私はこの人達を精神鑑定に出した方がいいのだろうか?

そよぎ「それじゃ何の請求にもなってないでしょうが! アンタ達の要求、なんだっけ? 給料を……」
つらい代「はい、給料を全部10円にしてもらうことです!」
そよぎ「あー……はいはい。全部10円ね……ってなんでよっ!?」
つらい代「あれ、お嬢様ご存じない? 私達がハマッているガチャガチャボックスのことを」
そよぎ「……興味もないわ」
セバスチャン「ならば教えてやろう。30円を入れるまわすと中からカードが出てくる仕組みになっているものだ」
そよぎ「興味ないって言ったでしょっ!? なんでわざわざ説明するの!?」

 つまりあれね、昔流行ったカードダスとかそんなものだと思えばいいのだと思う。

つらい代「あれなら、ガチャ法が抜けられるので最近見直されているんですよ?」
そよぎ「あー、あーそう……。で、あんたら本当にそんな要求でいいんだ? もっとガチで労働条件見直さなくていいの?」
セバスチャン「これ以上何を望むと言うのだ?」

 ふふんとのけぞりかえるセバスチャン。
 趣味に生きている人間ってのはよく分からない。

そよぎ「色々あるでしょう? 労働時間が>>744だったり、労働規約に>>745が盛り込まれていたり!」
つらい代「そんなのどこでもそうじゃないですか?」

妙にアバウト

自爆用爆弾を常に携帯

断食と神への祈り

そよぎ「あー、あーそう……。で、あんたら本当にそんな要求でいいんだ?」

 コンビニで買い物するとき、バイトの人泣くぞ。

そよぎ「もっとガチで労働条件見直さなくていいの?」
セバスチャン「これ以上何を望むと言うのだ?」
そよぎ「色々あるでしょう? 労働時間が妙にアバウトで週に180時間労働させても残業代ナシで大丈夫だったり、
    労働規約に自爆用爆弾を常に携帯が盛り込まれていたり!」
つらい代「そんなのどこでもそうじゃないですか?」
そよぎ「どこでもっ!?」
つらい代「はい、どこでもそうです! いまどき、自爆用爆弾を持っていないことの方が珍しいですよ」

 私は思わず頭を抱えてしまった。

 確かに、それらに目を瞑っても、藤寺家の待遇は他の会社とは違い、雇い主だけではなく、その家族までも生活を保障してくれるという太っ腹な面もある。
 しかし、それはオリジナルのそよぎが人質として使うためのまわした手であり、命だけでなく人生までも握られていることに等しい。
 歯向かったりしようものなら、家族ともども路頭に迷わせることが出来る。
 さらにそこから、自爆用爆弾の所持である。
 恐らくアイツの意思一つで爆発できるようになっているに違いない。
 だからこそ、そよぎは自分のメイドや執事に対して異常なまでの要求を通すことができるのだろう。
 ……末恐ろしい女だ。

そよぎ「分かった。貴方達がそこに関して目を瞑るというのなら私は何も言わない。給料を10万円天から、10円玉1万枚に変更するように、
    >>749に言ってあげる」
つらい代「お、お嬢様自らっ!? わ、私、嬉しくて……漏らしますっ!」

 びしゃー。

カブキロックス

私の母親

そよぎ「分かった。貴方達がそこに関して目を瞑るというのなら私は何も言わない。給料を10万円天から、10円玉1万枚に変更するように、
    私の母親に言ってあげる」
つらい代「お、お嬢様自らっ!? わ、私、嬉しくて……漏らしますっ!」

 びしゃー。
 思いっきり溢れ出す放尿。床の大理石が台無しである。

そよぎ(……ところで、そよぎの母とはどんな人物なのだろうか?)

 私は一度、つらい代を退室させると、セバスチャンに質問する。

そよぎ「セバスチャン……そよぎの母親ってどんな人物なのか、簡単に教えてもらえる?」
セバスチャン「そういえば、貴様は会うのが初めてだったな。ならば教えてやろう。
       簡単に言えば天使よりも>>751で、
       時に竜のごとき>>752を見せたかと思いきや、
       ペガサスすらも霞んでしまう>>753だ」
そよぎ「その厨二くさい説明なんとかしなよ……おじいちゃんでしょ?」

残酷

火吹き

空気の読めなさ(動物占いより)

そよぎ「セバスチャン……そよぎの母親ってどんな人物なのか、簡単に教えてもらえる?」
セバスチャン「そういえば、貴様は会うのが初めてだったな。ならば教えてやろう。
       簡単に言えば天使よりも残酷で、
       時に竜のごとき火吹きを見せたかと思いきや、
       ペガサスすらも霞んでしまう空気の読めなさ(動物占いより)だ」
そよぎ「その厨二くさい説明なんとかしなよ……おじいちゃんでしょ?」
セバスチャン「いや……冗談ではない。あのお方は本当にそうなのだ。
 救いの手を差し伸べる残酷さを兼ね備えつつも、物理的に火を噴いて大地を焼き焦がすのだ。
 そして何より、あのお方は空気が読めない」

 しかし、そんな人物に会わなければならないのか……。
 メイドたちの願いを持って。

セバスチャン「正直、お前が会うのは10年早い。もっと知略を巡らせられるようにならなければ、あのお方と話し合うなんてことは不可能だろう」
そよぎ「それが、この世に藤寺そよぎを産み落とした女」
セバスチャン「……覚悟はしておけよ。今まで彼女に会って五体満足で帰ってきた者はいない。……家族でさえもな」
そよぎ「どういうことっ!? ちょっとそれどういうことっ!? なんでそんな危険人物なのっ!?」

 家族を危険にさらすって、一体……というか、お父さんは命がけで子ども作ったってこと!?

セバスチャン「さあ、行くがよい。我々がなぜ春闘を行わなかったかが分かるハズだ! あと、お前はそろそろこの世から去るがいい」
そよぎ「お前、あとで本当のご主人様に絶望を教え込まれるがいい」

 しかし、約束してしまったものは仕方ない。ここまで、オリジナルそよぎが自分達を止めなかったのはきっとこういう展開が読めていたからだろう。
 悪夢だ……。

セバスチャン「さっそく、お目通りが適ったぞ。早く>>756に行ってこい。そこが貴様の土壇場だ」
そよぎ「呼び出す場所がすでにおかしいっ!」

大相撲名古屋場所

両国国技館

セバスチャン「さっそく、お目通りが適ったぞ。早く両国国技館に行ってこい。そこが貴様の土壇場だ」
そよぎ「呼び出す場所がすでにおかしいっ!」


 私はタクシーを使い、両国国技館までやってくると、ガードマンがおびえた表情を浮かべて道を開けた。
 その怯えた表情が気になって、ガードマンに視線を送ると、青い表情なって、奥歯をガタガタと震わせ始める。

そよぎ(ああ……この人もそよぎに人生をメチャクチャにされた人だったか……)

 そのまま施設の中へと入っていくと、中は静寂に包まれていた。
 不気味さが私の心臓の音を早める。
 まるでRPGでラスボスを目の前にしているような気分だ。
 一歩、また一歩と奥へと進んでいく。
 そして、観客席の入り口に立った。

???「トンッ、テテテン、トントン、テテン……」

 お相撲番組ではおなじみの太鼓のリズムを……口ずさむ女性が一人。
 神聖なる土俵の上に立ち、こちらを向いていた。
 そこにいるだけで明らかに背中が揺らいで見えるオーラを放っている。
 彼女が常人ではないと悟るには十分すぎた。

???「久しぶりね。そよぎ、貴方からの呼び出しと聞いたから、わたし>>759をほっぽってここに来たわよ。それで用件は?」

 やはり母のようだ。しかし、それを放棄してここに来るのは……どうかと。

人工透析

経済会議

和平会議

???「久しぶりね。そよぎ、貴方からの呼び出しと聞いたから、わたし人工透析も経済会議も和平会議も全部ほっぽってここに来たわよ。それで用件は?」

 やはり母のようだ。間違いなくそよぎの母だ。
 平然とそんなものを放り出せるのは全世界探してもそよぎの母くらいしかいないだろう。

そよぎ「久しぶりね、母さん」
母親「あら……貴方、どうして手足が回復しているの? 医者すらも匙を投げ、義足での生活を余儀なくされたと聞いていたわ」
そよぎ「……母さん、医療は進歩するものなの」

 まさか、本人が手術して治したなどとは言えない。
 私が、そよぎではないこともバレないようにしないと、いけない。

母親「良かったわ。わたしがあんなことしてしまったばかりに一生モノの傷を残してしまったと、少し後悔していたのよ。
   貴方も相当わたしを恨んでいると、セバスチャンからいつも聞かされていたわ。それで、急に会いたいなんてどんな風の吹き回しかしら?」

 義足生活にさせたことに対して、後悔は少しなんだ!? やっぱりこの人、おかしい!?

そよぎ「その……」
母親「ウソなんて言ったら>>763だからね?」

 ヒィイィィイッッ!
 な、なんて答えよう!?

そよぎ「その……>>764よ」

激おこプンプン丸

シャイニングウィザード

どろろの設定

天才外科医が足をマラソン選手のものと取り替えてくれたの

>>764
妖怪を一体倒すごとに身体の一部が戻るという設定

母親「ウソなんて言ったらシャイニングウィザードだからね?」

 ヒィイィィイッッ! Σ(°д°ノ)ノ
 な、なんて答えよう!?

そよぎ「その……どろろの設定よ」

 シ ャ イ ニ ン グ ウ ィ ザ ー ド 確 定 !

母親「ふっ……脅しに屈しないところはそよぎらしいわね。そういうふてぶてしいところは一体誰に似たのかしら?」

 きっと貴方だと思いますよ?
 とにかく、私は本物のそよぎに思われることに成功したようだ。

母親「まあもっとも……貴方なら妖怪の里の一つや二つ潰してたし、あながちウソを言っていないのかも知れないのですけど」

 アイツ、妖怪の里にまで手ぇ出してるの!?
 いよいよヤバい世界に足を突っ込んでいるような気がしてならない。

そよぎ「……挨拶はこのくらいでいいでしょう? 母さん、メイド達から春闘があったの。給料を全部10円玉でよこしてほしいと」
母親「ふぅん……そう。それで、貴方はどうしたいの?」
そよぎ「出来れば叶えてあげたくて」

 そう言った瞬間、そよぎの母親の表情が変わった。
 さっきまで赤に染まったウェーブが麗しいキャリアウーマンだったかと思いきや、
 まるでガラスの仮面に出てくる演技の婦人のようだ。

母親「…………あ、あなた……誰……!? 誰なの!? そよぎはそんなことは言わない! 一体貴方は誰なのっ!」

 何かスイッチを踏んでしまったようで、怯えながらも狂った表情で私ににじり寄ってきた。

そよぎ(……やばい、私、五体満足で帰られないかも知れない……)

 そんな不安が心に大きく広がっていった。<つづく>

<あとがき>
 そよぎ母の登場です。 昔 登 場 し て い る か も 知 れ ま せ ん が 、登場です。
 これは……また強烈なキャラですね……『火を吹く』って。(汗)
 そして、さすが母親。娘がおかしいことに気付きました。
 危険人物相手に、そよぎは正体がバレずに、また五体満足で無事帰ることができるのでしょうか?
 
 そんなこんなで、付き合ってくださった皆様、文を投げてくださったかた、誠にありがとうございました。
 少しでもお楽しみいただけたら幸いです。
 では。ノシ

お疲れ様。

【07/18 (木) 23:12時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

07/20 (土)
  21:05~/ ◆MOON69mNOA氏 - 予約入れるの忘れてたといふ。


 次の人もいるよー

乙!

>>768
お疲れ様ですー。

ではぼちぼち時間ということで、もう暫くお待ち下さい……。


どうでもいい話、PSO2ちゃんはもうだめな気がする……。はぁまじ。

~~~これまでの登場人物紹介~~~

【ユーリカ・フォーンツベルグ】(園宮 優理香)
本編主人公。元は三十を過ぎた専業主婦だが、若返りの呪いで中学生に。美少女に戻ったのにオバサン臭いのです。

【園宮 優斗】
主人公の息子で中学二年生。慎重で臆病で自分からは行動を起こさない草食系。但し学校では軟派男です。

【園宮 優希】
主人公の娘で中学一年生。表向きは優等生、しかし悪堕ちしては世界を混沌に陥れようと企みます。

【アイリ・フォーンツベルグ】
主人公の親友で、歳を経ずに姿を現した魔王の娘。主人公を溺愛し呪いを掛けた張本人。多分頭は弱い子です。

【三途 幽子】
アイリによって使役された幽霊の女性。まるで物語を進行補佐するように現れます。縁の下のなんとやら。

【フラン・フラン】
人造人間娘であり、やはりアイリに使役された女の子。おでこに縫い目があることをコンプレックスにしているようです。

【ベルフェゴール】
別名ベルちゃん。アイリと仲良くなり、何故か幼女化しております。基本やっぱり怠け者。

【真門 有文】
七つの大罪マモンの擬人化状態。相手に欲望を押し付けたりと便利な小太りあんちゃん。

【辺利 アル】
堕天使の一人ベリアルの擬人化状態。園宮優希の補佐をするのですが……。性的行為は苦手なようです。

~~~ 母×子=世界存亡 第三話 ~~~

その女性は抜群のスタイルの良さ、そして豊満な胸を持つというのにも関わらず、性行為に関しては興味を示さず、
ただ黙々と指示通りに動き、そしてその具合を報告するといった機械的な印象すら持ち合わせる存在。

そしてその存在は人間では無い。そんな存在がどうして私に加担するのかと言えば、私もまた怨念を宿す一人なのだからだ。

「園宮優希様、ご報告があります」

「今、エッチ中。忙しいの分かるでしょ?」

「う、うぅ、も、もう……出るッ!!」

「ちっ、また私の中で出して……、このクズ奴隷ッ!!」

「ひぃ、お、お許しを、お許しをぉぉ……キモチヨカッタ」

「……お忙しい中で申し訳ありませんが、急を要すると思いまして」

「で、何?」

私が苛立つような声色で辺利アルに声を掛けると、彼女は余り表情を見せない女性だというのは認識はしていた。
しかし、今回ばかりは少々眉を顰めた形で私にこんな報告をするのである。

「……マモンを発見致しましたが、既に……敵陣により陥落している模様で」

「ベルフェゴールに続き、マモンまで奪われたとなれば、残りは確実に奪わないといけないね?」

「ですが、未だにサタンやルシフェルといった残りの怨念も手がかりは無く……」

「それを見つけ出すのが貴女の仕事。性を蓄え、力を養うのが私の仕事。だよね?」

「左様で……。ですので、一つ提案が御座います」

彼女は、残りの怨念を必ず手中に収めるといった意味で、>>775という提案を私に示したのである。

悪魔の主張コンテスト

優斗誘拐

彼女は、残りの怨念を必ず手中に収めるといった意味で、悪魔の主張コンテストという提案を私に示したのである。
はぁ? と私が呆れた顔をして彼女に言えば、いたって真面目な表情でその内容を語るのであった。

「情報によれば、お台場で開かれるその悪魔の主張コンテストは、今回ニジテレビが関わっているそうで、
 大規模なコンテストになる事は勿論、昨今の世界で頻繁に事件事故が起こることは、何分悪魔の関係が強いのではという憶測もあり――」

「長いよ、一行で」

「……要するに、世論が悪魔を認識しようとしている状況を利用し、これを機に怨念を呼び寄せます」

「具体的にどうするって言うの?」

「……性行為をして貰います」

「AVに出た次は、まさかの生放送プレイとか……一気に難度を上げてきたわね」

「いえ、そういう訳でもなく、先ずコンテスト関係者を全員寝取り、アスモデウスでもある園宮優希様の僕と致します。
 その後、こちらの思惑通りにコンテストを動かし、電波を通じて怨念を誘き寄せるのです」

「そんな事、本当に可能?」

「……無駄な事はしない主義です」

「はぁ、まぁいいけど。……でもこれだけは分かって。何気にセクロスするのも体力使うのよ?」

「それは、重々と……。それと、もう一つ報告を」

辺利アルはマモンを見つけた際、私の兄の姿を確認したとその時の状況を教えてくれたのである。
そちらのほうが寧ろ重要だと、群れる男達を蹴飛ばし辺利アルに飛びつくようにして報告を聞いてしまう。

兄が、襲撃に遭った。厳密には一緒に居た少女が庇い、兄は無事。それはそれで安堵したのだが、
一緒に居たもう一人の少女って一体誰だと私が食いかかり、その相手があの妹にしたい候補ナンバーワンであるユーリカだと知った私は……>>778

彼女の通う学園にスパイを送り込んだ。

兄が、襲撃に遭った。厳密には一緒に居た少女が庇い、兄は無事。それはそれで安堵したのだが、
一緒に居たもう一人の少女って一体誰だと私が食いかかり、その相手があの妹にしたい候補ナンバーワンであるユーリカだと知った私は……、

彼女の通う学園にスパイを送り込んだ。それが益々失敗を呼ぶ事も知らずに。
そう、自分が普通に学校に通えばそれで良かったのだ。しかし私は男達から性を奪い、蓄える仕事が存在する。
その手間を省いた挙句が、失敗となる事を、この時の私はまだ予知出来ずにいた――。


―――― 病院。
白い部屋、白いカーテン、白いシーツ。真っ白尽くしなその個室で私は目を覚ました。
ふと掌を眺めてみる。指は動かせるし掌をひっくり返す事だって出来る。腕は無事だ。

右足に、重々しいくらいに包帯が巻かれている。どうやら銃弾は右腿に浴びたようだ。

「……目覚めた?」

そこで、私に声を掛けてきたのはマモンである真門有文でも、アイリ・フォーンツベルグでもなく、
勿論私の息子である園宮優斗や娘である園宮優希でもない、全く知らない少女だった。

「私が迂闊だった。申し訳がない……」

彼女は、私に頭を下げ、暫くの間ずっと同じ姿勢を保つのである。
己の行為を詫びに来たのだと思われるのだが、何故あの時、我が息子を狙ったのか突き止めなければならない。

私が声を発しようとすると、彼女は妙な事を口にした。

「貴女は……、いえ、人違いなのは間違いない。二十年も過ぎているのだから。
 だけど……似ている、似すぎている。私と共に戦ってくれた魔導士、優理香に……」

彼女はもしや、と、気付いた私は、それが今の自分だよとアピールする為に>>780。それにより彼女は判ってくれたのだ。

ベロチュー

>>780
過去に何をしたんだ・・・

彼女はもしや、と、気付いた私は、それが今の自分だよとアピールする為にベロチュー。それにより彼女は判ってくれたのだ。
濃厚なキス、唾液が混ざり合い、舌が絡み合い、互いを求めるように唾液を交換し、舌を絡め取る。
お互いの吐息が混じる中、そっと唇を離した彼女は、私を理解してくれた。

「……やはり別人、気のせいだった。貴女は優理香じゃない、ただの痴女。……となれば、今、優理香は何処に……」

「って、それが私だから!! 今のキスで分からないとかないでしょぉ!?」

「生前の優理香ならキスはフレンチ。ディープなんて愚行は一切しない。……貴女、何者?」

「だから私が優理香なの! 園宮優理香、かつて一緒に戦った貴女こそ、チャッピーなんでしょ!?」

「……その名は……もう捨てた……!!」

「どうしてよチャッピー! そもそも、銀毛ハムスターみたいな格好をしていた貴女が、どうしてそんな女子高生姿に!?」

「それはその、色々と……。しかし、その名を知っている人物は数少ない。となればやはり……」

「だから、私が優理香よ。……訳あって中学生の姿に戻っちゃったの」

私がようやくその本人だと理解したのだろう、銀髪の女子高生チャッピーは私の胸元に抱きついてきた。
それが甘えなのか、懐かしさから来たものなのかと思えば違う。……私を銃で貫いた事に、涙していた。

「本当に、ごめんなさい。こんなつもりじゃ……無かった……!」

「……どうして、私の息子を狙ったのか、教えてくれない?」

「アレ、優理香の息子? ……あの男との、子供?」

「ま、まぁ、そうね……。優斗って名付けたのよ」

「……ならば尚更危険、あの少年だけは必ず仕留めないと……後々、>>783となる」

バーサーカー

私の恋人

「……ならば尚更危険、あの少年だけは必ず仕留めないと……後々、バーサーカーとなる」

「バーサーカーって、狂人的な意味で……?」

「あの少年から禍々しくも、神々しい危険なモノを感じる。……女を手玉に取るなんて、それこそその力の存在の影響」

「そんなの、いくらチャッピーでも信じられないわ! 証拠とかも無いでしょう!?」

「私にもハッキリとは分からない。しかし、何もかもを超越した力を奥底に秘めている……。
 世界を、優理香と守ったこの平和を守りたいが為に、私は……あの少年を……。……後チャッピー言わないで」

彼女は、平和となった世界で、いつしか私の傍から姿を消していた。
それは、あの人と一緒になった直後の事でもある。アイリを失ったと思い込んだ私は放心の後、ふらふらと日本を歩き回る。

道中、チャッピーに何度も助けられた事があったが、それでも彼女の声が私に響くことは無く、
あの人と出会い、あの人と言葉を交わし、次第に人を取り戻していった私は、ある意味チャッピーを捨てた事にもなるのかもしれない。

「……で、何でチャッピー禁止なの?」

「……ダサイ、から……」

「貴女、私と離れ離れになってから、何をしてたのよ」

「……女の子として、暮らしてみたかった。そうしたら……JKになっていただけ」

「アイテムを導く精霊が聞いて呆れるわ。……元の世界には戻らなかったのね?」

「精霊界には帰れない……。何故ならあそこは……>>786

金利が低い

「精霊界には帰れない……。何故ならあそこは……金利が低い」

「……まさかのお金の為で残ってるっていうの?」

「お金は命、お金は大事。某CMだって歌にして大事だって言っていた」

「どこの生命保険のCMよそれ」

「閑話休題、やはり優理香は……荒んだ、以前の優理香じゃない……」

「ど、どうして以前の私じゃないって思うの?」

「私とあの時戦いの日々に明け暮れていた優理香は、もっと純粋だった。しかし今は……、やさぐれすぎ」

「や、やさぐれって……」

私はそうまで以前と比べて変わったのだろうか。アイリにも似たような事を言われた気がしないでもない。
何だか昔と比べ変わってしまったのは仕方ないとしても、ショックは隠しきれないと悲しみに暮れていると、そこへアイリが現れるのだった。

「良かった、無事みたいね。……その女は誰? まさかの浮気?」

「……アイリ・フォーンツベルグ……!」

「私の名を知っている!? 貴女何者? ……さては、復活した魔神の手先ね!?」

「いいえ、私は光ヶ丘みちる。……元の名をチャッピー……」

「……は? 貴女がチャッピー? あの銀毛淫獣のチャッピー!?」

彼女、もといチャッピーが淫獣と呼ばれているのにも、一応の理由がある。それは……>>788

野球選手だったから。ピッチャーをひっくり返してチャッピー

>>788
チャッピーじゃなくて淫獣と呼ばれてるわけでしたか。間違えた。

彼女、もといチャッピーが淫獣と呼ばれているのにも、一応の理由がある。
それは……野球選手だったから。ピッチャーをひっくり返してチャッピー、そう名付けたお父さんは、もう亡き存在。

―― 野球を見ていた父が、妙なハムスターを飼おうとしている私にこう言った。自分でちゃんと育てられるのかと。
そして鋭い眼光をその獣に向けたものだから、慌てたチャッピーは突然テレビの野球選手のモノマネをしてご機嫌を伺うのだった。

「がははは、なんだそのハムスター、傑作だな! よし、そいつの名前はチャッピーにしよう!
 さぁこっちにおいでチャッピー、お父さんだよー怖くないよーはよこいやっ!!」

「お、お父さん、そんな風に怒鳴ったらチャッピーだって怖がって―― きゃぁっ!」

「こ、こいつ! 愛娘のスカートの中に逃げ込んだだと!? お、お父さんが優しくチャッピーを取り除いてあげよう……げへへへへ」

「……お父さん気持ち悪い。来ないで変態」

「おのれ淫獣、お父さんは娘に変態と言われて嬉し悲しで複雑だぞぉ!?」

その父の影響により、チャッピーはよく私の下着の中で過ごす事が多くなる。
寒い日は必ずそこへ潜り込む彼女は、アイリと出会ってから、彼女の下着に潜り込もうとして……結局淫獣呼ばわりされるのだった。

「そんな淫獣が、元主でもあるユーリカを撃ったのね。なんて下劣な淫獣なのかしら」

「これには訳があって。……でも、本当に申し訳ないと……」

「謝るのなら警察なんて要らないわね?」

「なら、どうすれば私は赦されるのだろう……」

「決まっているわ、今すぐユーリカと>>791しなさい」

ベロチュー

「決まっているわ、今すぐユーリカとベロチューしなさい」

「もうしたわよ?」

「もうされた……」

「……へっ!?」

―― 私がチャッピーとフレンチキスを行ったのは、魔翌力を彼女に送り込み、アイテムを導いて貰う為である。
次第にそれがスキンシップともなっていったのだが、大元の理由とすれば、やはりマジカルステッキの存在であった。

魔導具、別名S級アイテム、それがマジカルステッキであり、私にしか引き出せないアイテムでもあった。

「ねえチャッピー、今ってアイテムを手繰り寄せることは出来るの?」

「恐らく可能。……はい、どうぞ」

「……流石は淫獣ね、パンツを脱いで四つん這いになっては、お尻から引っ張り出せって言っているわ」

「お尻って、まさかこっちの穴から……?」

「前からでも恐らく可能」

「アイテム出産とかちょっと凄いわね……。でも、指、本当に突っ込んで大丈夫?」

「こくこく」

「そ、それじゃ、思い切って……えいっ!!」

チャッピーからアイテムを引き出すには、獣状態の時はお尻を突けばそこからアイテムが現れたのであるが、
人の姿となったチャッピーもとい光ヶ丘みちるからアイテムを引き出すには、どうやら指を挿入しなければならないらしい。

恐る恐るといった具合で、そうして指を挿入してみると……>>793

サナダムシが自己紹介

恐る恐るといった具合で、そうして指を挿入してみると……サナダムシが自己紹介。
見えるような、見えないような、それくらいのサイズが指に付着、それが何やら喋っているのである。

「えー、そういう訳でありまして、マジカルステッキは現在お使いにはなられません」

「……ねぇ、チャッピー。サナザムシが喋ってるんだけど」

「私は光ヶ丘みちる、チャッピーではない……ぶつぶつ」

「って、マジカルステッキが無いと話が進まないじゃない! あぁ、もう、役立たずの淫獣!!」

「……私のせい? いいえ、サナダムシのせい」

喋るサナダムシは優しくそっと洗い流す事になり、何やらぎゃーぎゃー喚きながらそれは水道管に押し流されていくのであった。
改めてパンツを身につけたチャッピーは、サナダムシが付着していた事実に戸惑いが隠せない様子なのか、
私とアイリに一言いっては、逃げるように病室を飛び出していくのであった。

「あの淫獣、泣いていたわね」

「ま、まぁ……マジカルステッキを手にして、魔王を復活させるってのは、また今度ね」

「折角、もう直ぐ魔王の復活により……と思ったのに」

「でも、ベルちゃんも真門有文も、接してみると割りと悪さはしないような気も……」

「それが甘いのよ、彼等は結局怨念。最終的には除去しなければ、世界は保てないわ」

「そういうものなのかな……」

光ヶ丘みちるとなった淫獣も去り、アイリと二人病室で語り、その日も過ぎていく。
怪我の具合も大したことは無く、翌日にはあっさり退院、そして学校にも顔を出す事が出来たのだ。

が、桐ヶ谷中学校に訪れた途端、妙な生徒に絡まれるのである。それは、まるで>>795のようだ。

ゴーレム

が、桐ヶ谷中学校に訪れた途端、妙な生徒に絡まれるのである。それは、まるでゴーレムのようだ。

行く先々で通せんぼをされるような形で待ち受けているそれを、私はどう接してよいものか悩みつつ、今日もそれを避けつつ登校。
しかしやはり、そのゴーレムのような存在が腕を組み、待ち受けているのだ。

「貴様、今日も逃げるのか!」

「あのぉ……いい加減にしてくれませんか?」

「いいや、いい加減にしていない。まぁ待つのだ」

「意味が分かりません。通してください」

「通すわけにはいかんのだぁぁぁぁ!!」

もう、何なのこの男子生徒は、と、改めてそれを上からじっと眺めてみるのである。
髪はワックスか何かでガチガチに固めてあり、逆立ってしまっている。
そして夏の暑さがいけないのか、シャツを肌蹴させ、胸板が丸見えなのである。

その背丈も無駄に高く、二メートルはありそうな具合で、妙に鋭い眼光、暑苦しいといえばそれまでの存在であった。

「まぁ聞け、女よ」

「何なんですか、本当に……」

「我は、貴様が知りたいだけなのだ」

「……は?」

それは、ある意味告白なのだろうか。知りたいと言われ、背筋がすぅっと寒くなる。
コレは不味い、これ以上話を聞いてしまうと、なんだか面倒な事になる。ではどうやって逃げよう、と思案していると……>>797

高々と持ち上げられた。

それは、ある意味告白なのだろうか。知りたいと言われ、背筋がすぅっと寒くなる。
コレは不味い、これ以上話を聞いてしまうと、なんだか面倒な事になる。ではどうやって逃げよう、と思案していると……高々と持ち上げられた。

「ひ、ひぃっ!? な、何をするのよッ!?」

「ふむ、なんて軽い女だ。体重は恐らく四十くらいっと……」

「ひ、人を勝手に持ち上げて憶測で体重を測らないで!!」

「では違うというか?」

「ち、違うわよ! ……ちょっとだけ合ってるけど」

「では体重は四十後半っと……」

「こぉぉぉらぁぁぁ、離せ、離してぇぇぇ!!」

勝手に体重を感覚だけで測られ、もう嫌だと手足をじたばたとさせていると、その男に向けて声を発する生徒が居た。
妙に落ち着いた声色とその雰囲気を持ち合わせる金髪の生徒は、そのゴーレム男と比べ身長差があれど怯まない。

「キミ、下ろしてあげたまえ。……嫌がっているじゃないか」

「いいや、嫌がってはいない。コレは寧ろ、求愛の証である!」

「ふむ、求愛ね。……本当にそう見えるのかな?」

「ではどう捉えろと言うのだ」

「ボクにはこう見える。……キモくて臭くて暑苦しくて堪んないからさっさと下ろせ、とね」

「ぐぬぬ、貴様、我を愚弄するかぁぁぁぁ!!!」

そのゴーレム男は、私の心の一部を代弁した。そしてそれが彼の怒りを買うことになる。
私を投げるように下ろしては、その優男風の生徒に殴りかかろうとし、そして……>>799

盛大にスカった

見掛け倒しだな。

そのゴーレム男は、私の心の一部を代弁した。そしてそれが彼の怒りを買うことになる。
私を投げるように下ろしては、その優男風の生徒に殴りかかろうとし、そして……盛大にスカった。

そして盛大に転んで頭を打ったゴーレム男は失神、その後暫く起き上がることは無かったのである。

「キミ、大丈夫だった?」

「あ、はい……ありがとう……」

そして、私を助けてくれた少年に手を差し伸べられ、それを借りて立ち上がる。
その手に触れた瞬間、妙な感覚が私の中を駆け巡る。この少年、普通の人間じゃない、そんな感覚。

そもそもがおかしかった。ゴーレム男の拳は確実にこの少年を捉えていた。しかし、それが当たらなかった事になっている。
今も飄々といった感じで笑みを浮かべる彼に、私が警戒するような眼差しを向けていると、彼はニヤリと頬を歪めた。

「おや、その様子だと……もう気づかれたみたいだね。ボクが普通の人間じゃないという事に」

「やっぱり、手に触れておかしいって思ったの。貴方、人のようで人じゃない、幽霊に近い存在じゃないかって」

「レディに触れる前に、きちんと肉体を元に戻しておくのを忘れていたようだ。これは失礼したようで」

「……貴方は、何者?」

「ボクかい? そうだね……キミ流に言えば、傲慢なる怨念といった所だろうか」

それは、やはり飄々と語るのである。掴み所が無いようにも見えるその少年は、何故私の前に姿を現したのか。
下手をすれば命を奪われかねないと、いつでも逃げられるように構えていると、彼は私の考えを見透かしたように言う。

「安心してよ、ボクはキミに危害を加えない。……今の所はね」

「じゃあ、私の前に現れた理由を教えてくれない? じゃなければ、ゆっくりお昼休みも取れそうにないし」

「うん、教えてあげるよ。……それはね、>>802

愛のためだよ!(キラリン)

「うん、教えてあげるよ。……それはね、愛のためだよ!(キラリン)」

「はぁ!?」

「キミを見つけた時から、気にはなっていたんだ。しかしボクは疑問にも思う。果たしてキミは、ボクの夫として相応しいかどうかと……」

「……夫?」

「しかし、改めて話してみて気付いたよ。キミは僕の夫にやはり相応しい存在だ! ……愛の為に、清い交際を此処に申し込もう!!」

「ちょーっと待って。あの、私、女なんだけど」

「……ボクも女だ。何か不具合が?」

「大有りでしょうがぁぁぁぁ!!!」

「ハハハ、冗談がきついなぁ。性別なんて関係ないさ、そう、キミはただ、ボクの夫になれば良いんだ……!!」

それが、傲慢なる怨念、流詩布 エルとの出会いである。
しかし彼もとい彼女は、早々に交際を申し込んでは来たが、完全にこちら側に協力するといった意図は無く、
ただ単に私を夫にしたいが為に動くだけの存在。しかしそれが、また奇妙な出来事を呼び起こすのである。

「ねぇねぇ、最近ちょー激おこじゃない?」

「ほんと、もーマジ激おこ! カム着火ファイヤーってカンジ!」

「おこおこおこおこおこおこ……」

この時から、桐ヶ谷の生徒だけでなく、日本全土が怒りの感情に支配されていく事になる。
その違和感を真っ先に感じ取ったアイリは、自らの下僕に命じては調査をさせるのだが……。

「イライラする、本当にイライラするわ!!」

調査させていた下僕達もまた、怒りの感情に支配され暴走し、アイリもまたそれに釣られてイライラを私に発散させる日々。
それが、あの憤怒の怨念の仕業だとは、まだ私は気付いてもいなかったのだ――。


―――― つづくのです

お疲れ様!今日は人が少なくて大変でしたね。

いつもより早いかもですが、以上で終わりますー。
いつも以上に微妙だったかもですが、お付き合いありがとうございましたー。

【07/20 (土) 23:35時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

07/24 (水)
  22:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - 母×子=世界存亡 第四話


べっちょりっと

おつー

えー、遅くなりまして申し訳ありませんです。

更に申し訳ない話なのですが、今まで進めてきた 母×子=世界存亡 の方は打ち切ります。
よって、勝手ながら今回から新しいものに挑戦してみよーと思いまして、はい。

お見苦しいですが、どうぞよければお付き合い……デモダレモイナイ。


当人も素人なので稚拙になりますが、もう暫くお待ち下さい。

おまちかね


―― 『常に世を動かしてきたのは、一握りの天才だ!』と、木星帰りのあの人は言っていた。
確かにその通りかもしれないと、度々頷く事はあった。脚光を浴びるのは、努力が出来た天才だ。

ストン、ストン、と音が鳴る。今日も気まぐれにと、ダーツボードと午後の時間を過ごしていた。
誰も居ない教室、使われていないその場所を見つけ、そこにぽつんとあったダーツボード。
恐らく誰かが使用していたのだと思われるそれを、俺は無断で使用。懐かしいと思い、備え付けられていたダーツを指だけで握る。

「そういえば……」

これもまた、一人の天才が脚光を浴びて盛り上がることになった。昨今ではダーツが随分とブームだそうで。
西暦2050年、それまで大会は数少なく、余り日の目を浴びる事は無かったそれも、今では五輪種目に加えようという動きが強まっていた。

高校生の大会すら、最近では開かれるようになり、他校ではダーツ部なんて物が次々と誕生しているそうだ。

「ま、関係ないか」

無意識だった。俺がすっと投げたそれは、中央の赤いマークに吸い込まれるように刺さる。
最近では余り見なくなったアナログタイプのダーツボード。それ以外には何もないと言っていい具合の寂れた教室。
そのがらんどうな空間が俺は好きになっていた。好んで時間を此処で潰すようになり、早数日。

「でも、ま、鈍ってる……か」

昔、爺ちゃんが生きている頃はよく遊んだものである。用語も色々と教わったりもした。
ダーツの矢だって、実は四つの構成で出来ているなんて思いも寄らず、その話を目を輝かせて聞いていたものだ。

「ポイント、バレル、シャフト、フライト……」

それらに昨今は工夫が随分目立つようになり、中にはゲテモノのようなダーツも存在するらしいのだが、
生憎、最近の流行に疎い俺は、そのようなゲテモノにもお目にかかったことが無い。

「さて、帰るか」

気付けば放課後となり、結構な時間となっていた。午後六時前、夏が近い為なのか、陽射しがまだ明るく寂れた教室に差し込んでくる。
窓の外を見て瞼を軽く閉じ、軽い眩暈を覚えた後寂れた教室に振り返る。すると……>>810

戦時中の日本に逆戻り

今思ったんだけど新設校だったらただの野山だな。

気付けば放課後となり、結構な時間となっていた。午後六時前、夏が近い為なのか、陽射しがまだ明るく寂れた教室に差し込んでくる。
窓の外を見て瞼を軽く閉じ、軽い眩暈を覚えた後寂れた教室に振り返る。すると……戦時中の日本に逆戻りしたかのような、轟音が聞こえてきた。

第三次世界大戦、2028年に起こったそれは、各地で未曾有の被害を生み出すことになる。
全世界での死者はざっと数億らしく、数え切れない死者となり、負傷者もまた、今を生きるのに苦しみを覚えている。

その頃、俺はまだ生まれてもいない。幸い、日本は被害を免れた形になっていたが、
それでもやはり傷跡は深く、東京も区画整理が行われている真っ最中であり、都道府県の数も併合により三十にまで減っている。

「しかし、今の音は……!」

まさか、と身構えていた。実際、その戦時中を味わったわけではない為、どのような具合なのか判断が付かない。
しかし、爆弾のような音はハッキリと聞こえ、今も尚銃撃と共にハッキリと耳に聞こえてくるのだ。

誰も居ない教室、なのに戦時中と思わせられる爆発音や銃撃音、時折男の悲鳴すら混じっている。
おかしい、と寂れた教室を見渡すのだが、やはり何も……無かった筈なのだ。

「なんだ、これ……」

勘違いとは恐ろしいもので、その効果音が余りにもリアルだと感じたせいで、タイムスリップでもしたのかと思い込んだのだろう。
気付けば武器にと、ダーツを握り締めていたのだが、それがぽろりと落ちた瞬間でもあった。

「……旧式のテレビに、これは……再生機?」

今時、ブラウン型テレビをお目にかかるとは思わなかったそれが、何時の間に置かれたのかも疑問に思ったのだが、
その映像が第三次大戦ではなく、第二次大戦のものだと認識するのに数秒と掛かってしまう。

白黒映像で流れるそれを、ただ呆然と眺めてしまっていたのも数分、我に返った俺は、こんな悪戯をしたのは誰だと叫ぶ。

「誰だ! こんな悪戯をしたのは!! 趣味が悪い!!」

すると、声がした。「>>813」と意味不明な供述を行っている。

私です。アスモデウスです

>>813
前話のキャラクターですか?

すると、声がした。「私です。アスモデウスです」と意味不明な供述を行っている。
は? と首を傾げてしまう。なに? アスモデウスって、七つの大罪とか何かの話?

それとこの旧式テレビに流れる映像と、どう話が繋がるんだと唖然としていると、それは姿を見せることになる。

制服を着崩しており、ブラウスがスカートからはみ出している。首もとのボタンも外れており、
もう一つボタンを外せばブラジャーすら見えてしまうだろう、そんな格好をした少女は、肩まで伸びた髪を泳がせた。

「私です、アスモデウスです、と突っ込めば、当然……園宮優希は死んだ、何故だと突っ込んでくれないと」

「……つうか、誰?」

「園宮家の長女でしたが、悪堕ちして最終的に母親と死闘を繰り広げ、最期に改心して死を迎えるかわいそうな女の子。
 ただし打ち切られましたけどね」

「……というか、お前、誰?」

「私です、アスモデウスです」

「意味分からん以前に、お前、どうオチをつけるつもりだ……」

「……何時の時代も、戦乱は無くならないッ! どやぁ!」

「くだらん、帰る」

一瞬、昔に良く居た不良少女タイプの女の子だと思っていたのだが、昨今やはり流行してる電波系であったそうだ。
いきなり意味不明な話を並べ、一人で勝手に世界を作り、楽しんでしまうタイプ。所謂メンヘラー様だ。

生憎俺はそこまで暇ではないと、手を掲げて教室を出て行くのである。二度と関わりたくは無いと、俺は首を振った。

「なぁ、お前聞いたかぁ? この隆盛高校にも、ついにダーツ部が出来るんだとよ」

「……んで?」

「世界平和の一貫としてダーツが盛んになり、今では前代未聞の大ブーム! しかし我が校には未だにダーツ部が無く、
 経験者はおろか、有志すらおらず、いつまで経っても作られなかったそれが、とうとう出来るんだ!!」

翌日、友人の岸辺義孝が俺の席に乗りかかり、こんな話を繰り広げるのである。
しかし興味が無かった俺は、その話を流しつつ、>>816に興じているのであった。

Drスランプごっこ

>>816
知らない人のために

使用言葉「きーーん」「んちゃ」「ばいちゃ」うん○みつけて「つんつくつん」

翌日、友人の岸辺義孝が俺の席に乗りかかり、こんな話を繰り広げるのである。
しかし興味が無かった俺は、その話を流しつつ、Drスランプごっこに興じているのであった。

「それでよ、お前はどうなんだ、興味は無いのか?」

「うっほほーい、興味なっしんだよガッチャン!」

「くぴくぴぷー! じゃねぇ!! 何だよいきなりガッチャンって!!」

「Drスランプ、知らないのか? 故鳥山先生の名作だぞ」

「あー、それなら俺だとドラゴンボールかなあ。あれ、まさかの単行本で再連載があったじゃん!
 いやー、あれは良かったわー! もう中々手に入らないらしいけどな!」

「紙も貴重品の昨今だしな」

「しかし日本では授業で平気でプリントとして紙が配られ、紙飛行機となる。裕福な国はいかんね」

「そんな国で人生を過ごしているお前が言うか」

「悪い悪い。で、何か発明でもするのか則巻博士よ」

「うむ、今回は……貴重品である鉛筆を使用する!!」

「ひ、筆記用具を使用だと!? 今時シャーペンですら使わなくなったというのに、鉛筆だとぉ!?」

「くくく……私に不可能はないのだよ岸辺ェ……。見よ、これがサイコロ鉛筆であーる!!」

サイコロ鉛筆、用途があるとすれば、テスト時に問題に詰まった時、
コレを転がせば正解に導いてくれる……かもしれないスグレモノの発明品である。

それを見た岸辺は、>>819

クラスのゴスロリ部の少女との恋愛フラグについて占えとリクエスト

大便を漏らした

それを見た岸辺は、クラスのゴスロリ部の少女との恋愛フラグについて占えとリクエストを受けるわけで。
この発明品は、そのように使うものではないのに……と、やや落ち込みながらも、サイコロ鉛筆を転がしてみる。

「3、と出たが?」

「出たが? じゃねぇ! 俺と沢村についてどうなんだよ、蒼井!!」

「沢村ねぇ……、あのぱっつん姫カットだろ? 何が良いんだよ」

「ロリ巨乳具合が堪らん!」

「変態かお前は。……もう一回転がしてみても3だった。要するにお前は上手くいかん」

「おおおい、もっと真面目に占え、占えつってんだろ……って、なんだあの子」

「ん、どうした……って、こ、こいつは、昨日の……!!」

俺は目をぱちくりさせて、目の前に突然現れた少女を眺めてしまっていた。
岸辺義孝もまた、彼女を爪先からてっぺんまで眺めて、そして一つ、二つ程頷いた。

「巨乳ではないが……ロリだ、イケるぞ!!」

「……貴方は黙って」

「……ういっす……」

「蒼井君、と言ったかな。……これ、書いて」

「……なんだコレ、入部届けェ?」

それは紛れも無くこの隆盛高校で用いられる入部届けと呼ばれる用紙である。
紙すら勿体無いと言われる昨今で、入部や退部を用紙で手続きさせる学校なんて、今時この高校くらいでは無いかと思わせられる。

昨夜、妙な事を述べた電波女が、入部届けの用紙を持ってきた。
紙飛行機にするか、山羊のように口に含んで紙を味わうか、と悩んだ俺は>>822

入部届が普通のものと違うことに気づいた

昨夜、妙な事を述べた電波女が、入部届けの用紙を持ってきた。
紙飛行機にするか、山羊のように口に含んで紙を味わうか、と悩んだ俺は、入部届が普通のものと違うことに気づいた。

「馬鹿な……、生徒会認定だとッ!?」

「嘘だろ、あの生徒会認定用紙じゃ……お前、確定じゃないか……」

「私は絶対女神ワルキューレ。この用紙にサインをする事が、貴方の正義」

「……助けてくれ、岸辺ェ。俺は、俺はまだ帰宅部で居たいんだぁ!!」

「悪い友人、俺には、俺には、お前を救う事なんて出来ねぇんだよぉぉぉうわぁぁぁぁん!!」

「うぉ、嘘泣きしながら自分の席に戻りやがった! 裏切り者が!!」

俺が叫ぶも、ヤツは最早聞く耳持たずであり、傍に居た女子の尻を触り平手を喰らっていた。
スケベだがひょうきんで、人懐っこいところもあり、憎めないやつなのが岸辺だった。が、今、俺は奴を憎んでいる。

「岸辺、見損なったぞ! 俺は……お前だけは、友人を見捨てない男気のある奴だと思っていたッ!!」

「さぁ、早く」

「うおおぉぉぉ!! 俺は、俺は、猛烈に今、悲しみの十字架を背負った気分であるぅぅぅぅ!!」

「いいから早く」

「くそ、くそぉッ! それもこれも、全部生徒会が悪い。生徒会の会長、藤堂凛々香が悪いのだ!!」

「……書いてくれないのなら、生徒会長に相談するから」

「……書かせて、頂きます……」

入部届けにサインすること数秒、まさかサイコロ鉛筆を使用する羽目になるとは思いも寄らず。
何故に俺が部活動なんて、と涙を流していると、その入部届けを胸に抱いた少女は……>>824

「ダーツは世界を救う」とささやいた。

入部届けにサインすること数秒、まさかサイコロ鉛筆を使用する羽目になるとは思いも寄らず。
何故に俺が部活動なんて、と涙を流していると、その入部届けを胸に抱いた少女は……「ダーツは世界を救う」とささやいた。

まさか、と入部届けを奪い取り、改めてそれを眺めて呆然となる――。

―― 『ダーツ部』と書かれた用紙に、彼はサインをしてくれた。
そう、ダーツは世界を救う。今も尚、ダーツは世界を救い続けている。世界平和の象徴のスポーツとして何故か取り上げられたそれは、
今となっては誰もがそう信じるものであり、私もまた、そう信じる一人なのである。

「……もう、逃さないから」

逸材だった。それは、私以上の逸材、宝石の原石であった。
見た目はぱっとしない、ちょっぴりネクラでムッツリスケベそうな、つんつん頭の高校一年生。
これで二人目、あと一人は既に目星を付けており、早々にそちらに向かいたいと脚を動かした途端であった。

「おい、ちょっと待て」

「……何?」

「お前がダーツ部の発起人か。ならやめとけ」

「やめとけ、とは?」

「お前は、ダーツを知らない……。あの、円盤に描かれた異界の扉の最奥を知らないんだ……」

「……知っているの、それくらい」

中々面白い忠告をしてくれると、私は彼をじっと眺めてしまっていた。すると彼は、拗ねたようにぷいっと顔を背けてしまう。
ちょっぴり可愛いかもしれないと、もう少し彼の顔を間近で眺めてみると……>>826

鼻が3メートル伸びていた

>>826
ピノキオかよ!

中々面白い忠告をしてくれると、私は彼をじっと眺めてしまっていた。すると彼は、拗ねたようにぷいっと顔を背けてしまう。
ちょっぴり可愛いかもしれないと、もう少し彼の顔を間近で眺めてみると……鼻が3メートル伸びていた。

窓ガラスが割れていた。周囲も驚いた様子でこちらを眺めていた。勿論蒼井と呼ばれた彼もまた、こちらを驚きの眼差しで眺めている。
これはいけないと、鼻をとんとんと叩きながら教室をそっと出るのである。

「次は、この入部届けを……あの子にっと……」

やはり鼻をとんとんと叩き続けながら別の教室へ。とりあえず鼻は引っ込んでくれた為、いつでも伸ばせるようにスイッチを入れておく。
この仕込みは次の入部予定者である姫カットの少女、沢村さよりの為に用意したものである。

「一年三組の教室……」

その教室の中を覗いてみる。沢村さよりは何処だと、教室の扉から眺め続けてようやく発見する。
女子に囲まれ、その中央にお姫様のように君臨する少女が居た。その女子達を圧倒する胸を持つ少女、それが沢村さより。

「……思いっきり負けてる。けど、負けない」

胸の大きさがなんだ、心の強さが問題だと、その少女目掛けて鼻を向けては、スイッチをオン。
それはずいずいと伸びていき、その少女の額にこつんとヒット。当然、少女は何事かとこちらに視線を向けたのだ。

「ついでに鼻で彼女の頭を撫でてっと……」

「ね、ねぇ、この鼻、何?」

「手品の道具のアレじゃん? てか、さよっち頭撫でられてるぅ!!」

「ぐぬぬぬぬ、な、何よあの子! 私の頭を鼻で撫でるなんて許せないんだから!!」

沢村さよりは立ち上がり、ずい、ずいっとこちらに歩み寄ってくる。既に鼻はへし折られた状態であった。
お鼻が可哀想だけど、次の手段に移行する機会である。そう、次は>>829で沢村さよりを襲うのである。

釣竿

沢村さよりは立ち上がり、ずい、ずいっとこちらに歩み寄ってくる。既に鼻はへし折られた状態であった。
お鼻が可哀想だけど、次の手段に移行する機会である。そう、次は>>829で沢村さよりを襲うのである。

「れっつ、ふぃっしんっ……!」

「な、なぁっ!? 釣竿ぉ!? で、でもこの私がこの程度ではわわわわ!!」

「掛かった……釣り上げるッ!」

「はわ、はわわわわっ! って、食い込む、食い込んでるから!!」

「食い込みプレイがお好きなの……?」

「あ、あんたが私のぱぱぱ、ぱんつを釣竿で引っ掛けてるんでしょうがッ!!」

「そうなの、ならば……釣り上げるのみ」

「って、なんでそうなって――ひぃぃぃ、だれか、たぁぁぁすぅぅけぇぇてぇぇぇ!!」

そのまま私は釣竿で部室まで猛ダッシュ。そして下着に釣り針が掛かり、学校の廊下で下着を脱ぎ捨てられない彼女は、
私に成すがまま引っ張られ、部室まで連れ込まれる形になってしまう。

ある日、私は遣われていない教室に、ダーツボードを設置してみた。
そして、その日から毎日、誰かがそれを見つけて、遊んでくれないだろうかと隠れつつ、様子を見守っていた。
しかし、この隆盛高校に入学して早々に設置はしたものの、暫くの間、それは使われることは一切無かった。

だが五月過ぎ、それを初めて使用してくれたのが、沢村さよりなのである。
彼女はどう見ても初心者のような手つきで、それを眺め、ダーツに興じ、最終的にはボードをくるくる回して遊んでいたのであった。

「こ、此処って……空き教室……!? こ、こんな所に連れ込んで、私をどうするつもり!?」

「……これに、サインして欲しいの」

「これって、入部届け? 悪いけど私、既に手芸部に属していて……って、これは、生徒会印!?」

「手芸部は今日を持って退部、今日から貴女は私とダーツ部で世界を救うの」

私が沢村さよりにそう言えば、彼女は……>>831

地球儀の中国の部分にダーツを投げた。そしてその瞬間、中国はほろんだ

>>831
リアルを操る能力か・・・。

私が沢村さよりにそう言えば、彼女は……地球儀の中国の部分にダーツを投げた。

「そして中国はほろんだ!」

「……もう無いから、中国」

「あ、そうだったわね。……なのに日本は残っているなんて不思議なものね」

「けど、収集が付かないからと、アジア連合共和国として新たな拠点となっている……」

「で、どうして私をダーツ部に? それが一番の疑問だわ」

「……地球儀に中国をピンポイントで射抜く事ができるその集中力、そして嫌悪力が欲しかったの」

「べ、別に嫌いじゃないんだけど……」

「そして何より……!」

「何より……? ごくり……」

「……部員が欲しかったッ……!!」

「それが一番の理由でしょ、あんた……」

沢村さよりは溜息混じりに入部届けの用紙に名前を書き込んでいく。その様子は明らかに不本意そうであった。
しかし、手段が無かったと言う事もあり、かといって誰でも良いって訳でもなく、その中で選んだ一人である。
これで三人、後二人見つければとうとうダーツ部は正式に部活動として認められることになる。

それまでは、精々同好会止まりであり、そればかりは今も昔も変わらない風習であった。

「で、この蒼井……閃って、中ニ病的人物はだぁれ?」

「それは、私達の部の恐らくエースになる存在」

「こんな名前の人がエースねぇ……、どんな人か、ちょっと見てみたいんだけど」

という訳で、蒼井閃というぱっとせず、明らかにむっつりな生徒を沢村さよりに見せてあげると、彼女は……>>834

悪霊退散と叫び塩をまいた

という訳で、蒼井閃というぱっとせず、明らかにむっつりな生徒を沢村さよりに見せてあげると、彼女は悪霊退散と叫び塩をまいた。
その塩は見事に彼に降り掛かり、ぎょっとした彼はその塩を必死に払い除けようと試みる。

しかし、その塩攻撃が止む事は暫く無かったのだ――。

―― 一握りの天才は―― と、木星帰りのあの人は言っていた。何故、あんな素晴らしい男が、女みたいな名前の男に倒されなければならないのか。
俺には分からない。そして、塩攻撃を受けた理由も勿論分からない。世の中は……理不尽だ。

「はぁ、はぁ、はぁ……、ちょっと、コレは即退部モノでしょ!!」

「でも、次世代のエースの一人で」

「ほう……俺がニュータイプであると良く見抜いたな、女」

「戦女神だから、当然」

「……あの、さぁ……あんた達、何言ってるのよ……?」

「やはり、世を動かすのは女である貴様が相応しいか……」

「勿論、大天使としてこの世の理をダーツで司ります……!」

「……ついて、行けない……」

生徒会印の入部届け、藤堂凛々香の差し金であるそれは、無条件で生徒は受け容れる必要があり、
そして退部は一切認められない。もし、退部が認められる事があるとすれば……、それは、当人が死を迎えた時だけである。
恐るべし隆盛高校の生徒会、恐るべし藤堂凛々香。そう、俺はもう、逃げられないのである。

「で、三人部室に集まってるんだが、何するんだ」

「しゃ、喋るな悪霊!!」

「うっさいわ姫カット、ちょっと黙れ!!」

「……最初のダーツ部の活動、それは……>>836!!」

姉妹校とのダーツ対決

「……最初のダーツ部の活動、それは……姉妹校とのダーツ対決!」

あう、ショトカ押し間違えた!

「……最初のダーツ部の活動、それは……姉妹校とのダーツ対決!」

「……は?」

「あの、羽川さん? 展開速すぎじゃない?」

「沢村さん、今の世はスピードが大事な世の中。分かって」

「分かってって言われてもちょっと……。というか、ルールとかもさっぱりで……」

「俺はまぁ、少しくらいなら覚えているというか、どうだったか……」

「私に任せて。そして見事に敗北しましょう」

「「負ける事前提かよ!!」」

―― 隆盛高校の姉妹校である旺盛高校、そこは女子高である。
旺盛女子と言われ、何だかとても盛んそうであるが、実は何気に処女率が世界でナンバーワンという率が某雑誌に載っていた。
本当かは定かではないが、お嬢様が集うとも言われる高名な女子高が、我が隆盛高校から歩いて三分にある。

「……まさか、旺盛に来る事になろうとは」

「悪霊、下手に動いて変態だと思われないでちょうだいよ。こっちが恥ずかしいから」

「うっさいわ姫カット! はぁ、岸辺はなんでこんな女が良いんだ……?」

「付いてきて。この先に……私の姉が居るから……」

「「い、いきなりラスボスっぽい存在を仄めかしたッ!?」」

そうして羽川舞姫によって連れられた場所は>>840であり、そこに居た羽川姉と思われる存在は、何故か>>841の真っ最中である。

男湯

乱交

水着着てお客様の背中を流すサービス

そうして羽川舞姫によって連れられた場所は男湯であり、そこに居た羽川姉と思われる存在は、何故か乱交の真っ最中である。

「なぁ、姫カット……。旺盛って、女子高だよな……」

「そ、そうね……。でも、男湯よね、此処……」

「おまけに、男湯なのに女子ばっかりだよな……。しかも全裸……」

「悪霊、勃起させてるんじゃないわよ……」

「し、してねぇ! したいけどおかしな展開過ぎて出来ねぇ!!」

俺と姫カットもとい、沢村さよりと戸惑いを見せている中、中央に女を囲い陣取る生徒目掛けて、無言で歩み寄る羽川妹。
どうやら、長いウェーブが入った髪を揺らして数人の女子と乱交中なのが、彼女の姉であるらしい。

「……姉さん、勝負に来ました」

「他校の男湯に図々しく入ってきては、藪から棒ね。まさか……ダーツでって言うのかしらね」

「その通りです、姉さん」

「もしかして、その後ろで棒立ち状態の子相手に私が動かないといけないと? 冗談でしょう?」

「……私も含めてです」

「嫌よ。秘密の花園を楽しんでいるほうが、まだ随分と有意義な時間の使い方だわ。
 それでも尚も縋るのならば、そこの下っ端に相手をさせるわ」

「ハーイ、下っ端じゃないけど下っ端一号でっす!」

「ハーイ、下っ端になりたくない下っ端二号でっす!」

最早、どうリアクションを取って良いのか分からない俺は、呆然と展開を眺め続けるしかなかったのである。
恐らく、隣でやはり呆然となっていた沢村さよりもまた、それを眺め続けるしかなかっただろう。

桃尻が二つ揺れている。そして何故か、男湯に運び込まれるダーツ台。
教室にあったレトロなダーツボードタイプではない、全てマシンで行われるタイプが、一台用意されたのだ。

「それじゃ、それて適当に遊んでて頂戴。……さぁ、続きを始めましょう」

「ハイ、お姉様ぁ……あんっ、やだぁ……突起ばかり虐めないでくださいましぃ」

「……絶対に、引き摺り下ろしてあげます……」

羽川姉が再び宴に興じるのを目にし、ぎりっと唇を噛んでは睨みつける羽川妹。
何だか姉妹仲が良いのか悪いのかさっぱりだと思う中、下っ端軍団がこんな事を言う。

「「ルールは単純、カウントアップ制にしまっす! けど……それだけじゃ、足りないでしょ? だからぁ……>>844」」

1本外すたびに1枚ずつ脱いでもらいます

「「ルールは単純、カウントアップ制にしまっす! けど……それだけじゃ、足りないでしょ? だからぁ……1本外すたびに1枚ずつ脱いでもらいます!!」」

そう、それは男にとって圧倒的に不利な追加ルールである。
夏服である俺の格好は、シャツ、ズボン、ベルト、靴下、パンツ。たったの五つ。
しかし女子ならばそれにブラが入る。ズボンがスカートになる程度かもしれないが、隆盛の女子の制服はリボンが付いていたりする。

「くそっ、なんて理不尽なルールだ!!」

「な、なんで悪霊、こっちをジロジロ見るのよ!!」

「いや、枚数多くて羨ましいなーなんて」

「うっさいわね! そ、それより……本当に勝負しなければならないの? これ」

「当然。……必ず勝って」

「え、羽川さんは?」

「二対二って事で、私は静観」

「「ふっふー、私達が下っ端でない所をアッピルしますよぉっ!!」」

いつしか、下っ端一号も下っ端二号も、隆盛と似たようなデザインである女子の制服を身に纏っている。
しかしいかんせん男湯での決闘、どうにも湿気のせいか、どちらもややバテ気味なのであった。

「さ、さぁ、私から投げればいいのね。ふふん、こんなの余裕余裕!!」

カウントアップ制、それは単に高い得点を刻めば勝ちというルールであった。
8ラウンドで仕切られたそれに、1ラウンドに三本スローが出来る為、最終的に二十四回スローが可能。
しかし、それでは長丁場過ぎるため、ルールを改善して今回は4ラウンド、俺と沢村、そして下っ端一号、二号が交代に投げて終了である。

「さぁ……行くわよッ、滅びろ中国ッ!!」

沢村さよりの一投目、どう見ても野球投げを行った彼女は強引にスローし、>>846

ど真ん中に当てた

沢村さよりの一投目、どう見ても野球投げを行った彼女は強引にスローし、ど真ん中に当てたのだ。
なんであんなハチャメチャな投げ方で中央を射抜けるんだと、唖然となってしまう。

「フン、これくらい私に掛かれば余裕ね。さぁ、次ィィッ!!」

ただし彼女、何かを滅ぼす気概が無いとてんで駄目な女であった。
調子に乗って次々と投げ込んだそれは、全て的を外す事になる。よって、彼女はシャツとリボンを脱いで、ブラを見せた状態となっていた。

「納得いかなーい。……ジロジロ見るな悪霊ッ!」

「だ、誰が見るか! 見てないけど……小さいクセにでけぇ……!!」

「だから見るなぁぁぁぁ!!」

「それじゃ、次は下っ端一号こと、私っすねっ!」

「いっけー下っ端一号、いけいけ下っ端ッ!!」

「あんまり下っ端協調しないでほしいっすね……」

下っ端一号、中央を狙うも僅かに逸れる。それでもアウターブルを一つ獲得し、48ポイントを得るのであった。
そして、先に投げちゃおうと意気込んだ下っ端二号、ダブルを得て旺盛女子が116ポイントとリードする。

一方、こちらは沢村さよりが真ん中に一発、ブルズインしたのみでたったの50点。
つまり、このラウンドは俺が挽回しなければ敗北は必死。旺盛女子の下っ端の二人組みは、的を外す事は無さそうなのだ。

「……脱いで欲しいなぁ」

「何言ってるのよ悪霊。……次世代のエースの力、見せてみなさいよ」

「え、何それ。……良く分からないけど、そのブラ取ってくれれば見せるかも」

「だ、黙れ悪霊ッ! この……バカぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!」

―― 結果だけ言おう、この勝負は……>>848となった。

もう誰も居なさそうなので……ここで無理に切っちゃいます。

何となく連れられてダーツバーで遊ばせて貰って、ちょっとやってみたいなぁ、なんて思い立った次第なのですが、
知識を詰め込まないといけないのと、ちょっぴり表現が難しいのであります。

あ、ちなみに的にすら当たりませんでした。お酒のせいって事にしておきまっしょう。
ともあれ、ここまでお付き合いありがとうございましたー。

次からそろそろVIP+に復帰したいところであります。

乙ー

少々おまちをー

<トライアングル・ハピネスとは?>
▼畜生過ぎるヒロインの第1話の所業はこちら
http://muriyari4th.rash.jp/site/matome/noname/irekawari01.html
 普通の高校生『東雲はい』と、超極悪外道天才犯罪者女子校生『藤寺そよぎ』の身体が入れ替えられたことにより起きた騒動のお話である。


 □ プロローグ □

はい「そうか……あいつは母と接触したか。馬鹿なヤツだ……たかがメイドの給料を10万円天から、10円玉にするという余計なことさえしなければ
   もっと長生きでたものを……」

 天使のように残酷で、竜の如く火を吹き、ペガサスのごとく空気の読めない女。
 俺をこの世に産み落としつつも、手足を粉砕し、義手・義足生活を余儀なく

 いや、ちょっと待て。
 考えようによってはこれはチャンスかも知れない。

 東雲はい、中身はそよぎは悪魔の脳みそが高速回転する。

はい「…………よし、ここは俺も行くしかあるまい。両国国技館に」

▼とらはぴ 春闘編2

母親「ふぅん……そう。それで、貴方はどうしたいの?」
そよぎ「出来れば叶えてあげたくて」

 そう言った瞬間、そよぎの母親の表情がガラスの仮面に出てくる月影千草のように変わった。

母親「…………あ、あなた……誰……!? 誰なの!? そよぎはそんなことは言わない! 一体貴方は誰なのっ!」

 何かスイッチを踏んでしまったようで、怯えながらも狂った表情で私ににじり寄ってきた。

そよぎ(……やばい、私、五体満足で帰られないかも知れない……)

 そんな不安が心に大きく広がっていった。

母親「私の教育を受けたあなたが、なぜメイド達のために力を尽くそうとするの!?」
そよぎ「お、お母さん……?」
母親「いえ、私の教育は正しかったというべきかしら。ごめんなさい、取り乱してしまったわ」

 そよぎの母は軽く呼吸を整えると、こちらを向き直った。

母親「もし、メイド達の給料を変えたいというのなら、まず>>853しなさい」

経理のお勉強

母親「もし、メイド達の給料を変えたいというのなら、まず……」

 母親は自分の耳元で、条件を口にする。

そよぎ「え、えええっ……そんな……むちゃくちゃ過ぎますっ!」

 さすがに血は争えないとばかりの条件だった。

母親「むちゃくちゃ? そんなわけないでしょう? 昔の貴方ならこんなこと意図も簡単に朝飯前だったわよ?」
そよぎ「け、経理のお勉強だなんて……」

 勉強が苦手な自分にはそんな難しいことは不可能だった。

そよぎ「……わ、分かりました。経理の勉強をすれば」
母親「もちろん、満点よ。それ以外であれば新しくついたその手足、一本なくなると思ってね」
そよぎ「…………ちょっと待って。私は別に給料アップを申し上げているわけではないのだから、別に今、経理を覚える必要はないのでは?」
母親「(・3・)~♪」

 目の前の母親はわざとらしく口笛を吹き始める。

そよぎ(あ、危ない……ちょっとした思い付きで、手足を賭けられるところだった……)

母親「……でも、ただでお願いをきいてあげるのはなんだか面白くないわ」
そよぎ「愛する娘のために何かしてあげたいって思うのが普通の親だと思いますけどね!」
母親「うん……そうね。なら、私が特別に>>855してあげるってのはどうかしら?」

 ぇー?

ドケチ指南

そよぎ「愛する娘のために何かしてあげたいって思うのが普通の親だと思いますけどね!」
母親「うん……そうね。なら、私が特別にドケチ指南してあげるってのはどうかしら?」

 ぇー?

そよぎ「そ、それって……どういう?」
母親「いかにして、相手に給料を多く払わなくて済むような交渉をするかね? 主に脅迫と人質を使うんだけど」
そよぎ「ドケチ……!? それ本当にドケチなの!? 軽く脅迫はいってない?」
母親「大丈夫よ……藤寺家の人間だって分かれば警察は取り合ってくれないから」
そよぎ「その考え自体が大丈夫じゃないよっ!?」

 なにそのバレなければ犯罪じゃないみたいな考え?
 さすが極悪人そよぎの母親なだけあって、この人も普通の思考回路してない!

そよぎ「も、もう少し穏やかな指南はないですか? 私はそういうのもう得意だから……」

 ……実際、本物のそよぎは得意だったようだし。

母親「そうね。1円の大事さを知るってのはどうかしら?」
そよぎ「……?」
母親「つまり、あなたは今日から、1日1円で過ごせば……」
そよぎ「死ぬわーーーっ! 間違いなくそれは死ぬわーーーっ!」

 普通の高校生してたって、1日1円は不自由するよ!

母親「仕方ないわね。妥協して、>>857ね。それ以上はお金のありがたみを感じないでしょ?」

 どうしてこう、艱難辛苦を与えようとするのかな、この人?

全て物々交換、わらしべ長者的生活

母親「仕方ないわね。妥協して、全て物々交換、わらしべ長者的生活ね。それ以上はお金のありがたみを感じないでしょ?」

 どうしてこう、艱難辛苦を与えようとするのかな、この人?

そよぎ「最終的なゴールは家か何かなんでしょうかね……?」
母親「貴方の周りにはたくさんあるでしょう?」

 そう思いつつ、そよぎの身の回りにあるものを思い浮かべる。
 あのお嬢様お嬢様した部屋の中にあるものと言えば……意外と少ない。
 意外に質素だったはず。
 あるものと言えば、執事の黒歴史ノート100冊、世界破壊爆弾……他には何かあったかな?
 ……>>589とか>>590か。
 あと私の衣類なんかもいくらかにはなるハズ。

そよぎ「な、なんとかなる……かな……?」

 もう、なんでメイド達の給料を「円天」から「10円玉支払い」に変えるだけでこんな苦労をしなくちゃならないのか分からないけど、
 それで手を打てるならもういいかな、と思い始めていた。

間違えた。

 あるものと言えば、執事の黒歴史ノート100冊、世界破壊爆弾……他には何かあったかな?
 ……>>589とか>>590か。
 あと私の衣類なんかもいくらかにはなるハズ。
  ↓

 あるものと言えば、執事の黒歴史ノート100冊、世界破壊爆弾……他には何かあったかな?
 ……>>860とかかな?
 あと私の衣類なんかもいくらかにはなるハズ。

人魚のミイラ

うわー!安価が二つだと思って油断して、おもいっきり変な単語を書いてしまった!

そよぎ「人魚のミイラとかもあるし、なんとかなる……かな……?」
母親「そうそれなら大丈夫ね……って相変わらず貴方不思議なものもっているわね」

 本当、アイツ妖怪の村を滅ぼしただけじゃ飽き足らず、
 人魚まで釣り上げてるとかどういうことしてんだろう?

???「……こんな相撲くさい場所で密談とは、何をしているのかな?」

 商談がまとまりそうになった空気の中、
 両国国技館の中に、男の声が響き渡った。

そよぎ「そ、その声は……」

 私はギギギギッと油が切れたブリキ人形のように、ゆっくりと振り返った。
 そこには元私、オリジナルのそよぎがたっていた。

母親「そよぎ。何か食べたいものはないかしら?」

 しかし、母親はそれを無視して会話を続けている。
 さすが空気、読めてない! これがペガサスのごとく空気の読めない女!

はい「まさかお前がその人に会いに行くとは思わなかったよ」
そよぎ「私が、誰と会おうが自由でしょ」
母親「ねえ、そよぎ。何でも言ってちょうだい! お母さん、小切手何枚でも切っちゃうわよ」

 わらしべ長者をやれと言っておきながら、いきなりおごりとか、二重に空気読めてないな、この人。

そよぎ「お母さん、この人に火を吹いてあげて」
母親「え? この人……? どうして? この人は>>863でしょ?」
そよぎ「……え?」

 母親の言葉を聞いて、私は目の前が真っ暗になりそうだった。

未来から来た男 ジョン・タイター

そよぎ「お母さん、この人に火を吹いてあげて」
母親「え? この人……? どうして? この人は未来から来た男 ジョン・タイターでしょ?」
そよぎ「……え?」

 母親の言葉を聞いて、私は目の前が真っ暗になりそうだった。
 この人な何を言っているんだ?
 ジョン・タイターってなに?

はい「覚えていただき光栄です。麗しいマダム」

 ジョン・タイターと呼ばれて、はいは改まったように礼をした。

母親「あの夜は楽しかったわ。でもどうして貴方はこんな場所に……」
そよぎ「あの夜は楽しかったっ!?」
はい「子どもには関係のない話だ」

 や、ヤバイ……なんか取り返しの付かない人が手を組んできそうな気がする。
 この2人が手を組んだら……世界は滅亡する!

そよぎ「お母さん、私、お寿司が食べたいな! 銀座の適当なお寿司屋さんで!」
母親「そう……そよぎに呼ばれて……あらあら、娘にもついにいい人が……」

 母さん、その人、私を乱暴した人です。

はい「まあ、強いて言うなら>>865という関係かな?」

一貫の寿司を2人で握り合う

猫娘とねずみ男

母親「そう……そよぎに呼ばれて……あらあら、娘にもついにいい人が……」

 母さん、その人、私を乱暴した人です。

はい「まあ、強いて言うなら一貫の寿司を2人で握り合うという関係かな?」
そよぎ(……素人なので、ネタごとご飯を握りつぶす感じですね、わかります)

 今、寿司を私の人生だとすれば、はいに人生を握られているようなものである。
 この人達……本当に人の話を聞かない、空気読めない、そのクセ自分の主張だけは通し続けるひどい人種だなぁ。

母親「あらあら……うふふ。そこまで濃密な関係なのに……私とは一晩過ごしたのですね?」

 お前なにやってんだーーっ!?

はい「あまりにも美しい女性がいると、男が黙っていられないのです」

 うん。お前、肉体が違うとは言え、よく自分の母親とそういう関係になれるな? 素直に恐ろしいわ。

そよぎ「はい……ジョン・タイターって?」
はい「ああ、前に俺がぼったくり喫茶を公正した話はしたよな?」
そよぎ「公正したって言うよりは、事態を悪化させたんでしょ……」
はい「俺、その店で>>868なんだ」

出禁

用心棒

そよぎ「公正したって言うよりは、事態を悪化させたんでしょ……」
はい「俺、その店で出禁なんだ」
そよぎ「……一応高校生だから普通に入っちゃダメでしょ、そういうお店は」
はい「その腹いせで、その店つぶして、新しいお店をオープンさせたんだよ」

 腹いせでそっち系をつぶした挙句に、新しい店をオープンさせたって……。

はい「大丈夫だよ。顔は見られてないし、はい自身が逆恨みされることはない」
そよぎ「そういえば、私は組の人間に狙われているんだったわね、お前のせいで……」
はい「で、新しくオープンしたお店で名乗っている名前が、未来からやってきた男ジョン・タイターだ」
そよぎ「……本名でやらなかっただけ褒めておこうとしか言いようがないわね」

 私、頭痛い。

母親「じゃあ、三人でお食事しましょうか? 焼肉なんていかがかしら?」
はい「そうですね。>>871の肉とか割と好きです」

安価取れなかったけどこれが畑の肉(つまり大豆)だったら

母親「じゃあ、三人でお食事しましょうか? 焼肉なんていかがかしら?」
はい「そうですね。犬の肉とか割と好きです。近所の犬、おいしいです」
そよぎ「ちょ、ちょっと仲良さそうにしつつも、話を進めないで。ってか、近所の犬食べたっ!?」

 私の脳内に、幼い頃遊んでもらった記憶が蘇る。
 ああぁ、ジョージ……あんなに優しく微笑んでくれたのに……。
 楽しそうに遊んでくれたのに……。

そよぎ「お前は鬼畜生だっ! ジョージは優しくて賢いゴールデンレトリバーだったんだぞっ!」
母親「そうよ。ゴールデンレトリバーなんか食べてもおいしくないわよ。もっとおいしい犬はたくさんいるんだから」
そよぎ「そういう問題じゃないっ!」

 危険だ。この2人を引き離しておかないと、本当に危険な匂いがする。

そよぎ「せ、せっかくのお誘いだけど、やっぱりもう今日は帰ったほうがいいの!」
はい「では……行きましょうか。焼肉屋へ」
母親「そうですね。お腹いっぱい食べさせてあげるわね。はい君」

そよぎ(……いやーーーーーーっ! なんか娘の彼氏を見る目をしてるーーーーっ! やめてーーーーーーーっ!)

 こうして、私は……どんどん深みにハマっていくのを感じずにはいられなかった。

<あとがき>
 こんばんは。佐々原海です。
 先日、とある同人ゲームを8時間30分かかってようやくクリアしたと思ったら……

 EXステージ1「 は じ ま る た た か い 」

 佐々原「ここまではチュートリアルだったのか……!?」

 と衝撃を受けた佐々原です。このゲーム当分、クリアできそうにありません。
 ……世界樹はまだ簡単なゲームだったね。これも厳しいけど。

 では、本日もお付き合いくださりまことにありがとうございました。
 少しでも楽しんでいただけたら、幸いです。

【07/27 (土) 00:05時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

07/28 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - VIP+に復帰出来たらの まいすいーと☆だーつ 第二話

 次はダーツだ☆

おつー

なんかエラー吐かれてVIP+にすれ立て出来ません提督。

そして何で我が艦隊に皆のアイドル那珂ちゃんが来ないでありますか提督!
理不尽であります、川内は引いたのに……。後早くながもんちゃんも来て! ぜかましも(ry

って訳で、今日はこちらでもう暫くお待ち下さい……。

wktk

~~~ これまで出たありきたりな登場人物紹介 ~~~

【蒼井 閃】
ひょんな事から隆盛高校ダーツ部に所属する羽目になったぱっとしない人。基本むっつりさん。

【羽川 舞姫】
ダーツ部を設立した張本人であり、マイダーツを用いれば向かう所敵なし状態。基本くーでれさん。

【沢村 さより】
ひょんな事からやっぱりダーツ部に所属する羽目になった姫カット。基本つんでれさん。

【岸辺 義孝】
蒼井閃の友人であり、沢村さよりに好意を寄せる良い人止まり。基本へんたいさん。

【藤堂 凛々香】
隆盛高校の生徒会長さん。ダーツ部の後援として暗躍しているようです。基本ゆうとうせいさん。

~~~ まいすいーと☆だーつ 前話の続き+第二話 ~~~

誰も使われていない教室、空き教室には古びた机に椅子が幾つかしか置かれていない。
黒板なんて物は無く、ホワイトボードを用いていたと思われるそれも、随分損傷が激しい。

しかし、この隆盛高校において、このような場所は割りと貴重な存在であったりする。
お隣の旺盛女子高等学校が有名でお嬢様校である。そこのおこぼれや、思春期真っ盛りな男子を受け容れる器。
それがこの高校でもあり、生徒数は深刻な少子化でもあるというのに、千を軽く越えていた。

「あぁぁ、もう、なんであんな二人組みに負けなきゃならないのよぉ!!」

その場で姫カットが随分暴走気味にダーツに興じている。顔は既に茹蛸のように赤い。
彼女がお怒りな理由は一つである。旺盛女子との練習試合で、俺と彼女とコンビを組んだのだが敗れたのだ。
最終的には完敗に近く、彼女は下着一枚だけの姿とされ、俺に至っては……全裸に剥かれたのであった。

「はぁ、そこの悪霊的変態がもう少し使い物になれば……勝てたのに」

「お前だって、的に当てたの一投だけだったじゃないか」

「うっさいわね! あんた、見事に全部外していたじゃない! よくそれでダーツ部なんて入れたわね」

「入る気、元々無かったんだけどな」

「わ、私もよ!! あぁ、なんでこんな事に……。隆盛高校の姫となるべく、この髪型だって……ぶつぶつ」

「なんだその小さい野望は」

「小さくないわよ! ……それにしても、羽川さん、来ないわね」

「なんか、もう一人勧誘したいといってリサーチに出掛けたぞ」

「ふぅん……、随分頑張るのね、ダーツなんかに」

彼女はダーツにも飽きたのか、椅子にぺたんと座っては暇そうに端末を弄り出す。
携帯も進化し、腕時計のように巻くタイプから、様々なタイプが派生。そして彼女が用いているのはパネルが開閉するタイプ。

どうやら彼女は携帯端末システムを利用して、>>883に夢中のようだ。

ワルキューレ召喚

どうやら彼女は携帯端末システムを利用して、ワルキューレ召喚に夢中のようだ。

最近開発された、女神転生シリーズ最新作、なんと今作は現実に悪魔を召喚、
そしてその召喚された悪魔どうしてバトルが出来るという、そんな謳い文句が付いたゲームであった。

だが実際は、空間に擬似的に現れたそれらが、マスターと呼ばれる召喚者に話しかけたり、
お世話しようとゆらゆら動いては、勝手に転んだりと、随分とアットホームなゲームになってしまっている。

過去には、随分ハードな大作が多く、即ゲームオーバーになるというシステムは、2050年を過ぎた今、存在しないのだ。

「うぅん、上手く行かないわ。素材も大丈夫だし、マグネタイトもバッチリだし……、後は召喚コードが違うのかしら」

「……はぁ」

「何よ、人の事勝手にじろじろ見て、溜息とか失礼じゃない!?」

「そりゃーすいませんしたー。……姫カットさぁ、ゲームなら別の場所でやれよ」

「なんであんたに指示されなきゃならないのよ」

「だって此処、一応仮とはいえ、部室予定地なんだろう?」

「らしいわね。だからといって、部室でゲームしちゃいけないなんて理由ないでしょ?」

「俺がダーツで遊べん。……つうわけで、姫カットは他所でゲームをやるべきだ」

「あ、あんたね!? ダーツなら別に今出来るじゃない!! ……それとも、一人じゃないとダメな理由でもある訳?」

「それが、あるんだよ。……他人が居るとどうも調子が出ない」

「うわ、何その引篭もり属性。きんも~」

こいつ、ちょっと胸が大きいからって、いや、確かに大きいし下着越しとはいえバッチリ見ては興奮を覚えてしまったが、
若干調子に乗りすぎではないだろうかと、気付けば俺は立ち上がり、彼女にぎゃふんと言わせようと手を伸ばしていた。

が、その隙にワルキューレさんがゲーム内とはいえ完全に召喚され、マスターを守ろうと俺に>>885

身体が痺れる魔法をかけた

が、その隙にワルキューレさんがゲーム内とはいえ完全に召喚され、マスターを守ろうと俺に身体が痺れる魔法をかけた。
だが所詮はゲーム、そんなの真似事に過ぎないと思いきや……、俺は気付けば横たわる羽目となっていた。

身体が麻痺している、そう気付いた時には既に遅く、横たわる俺に仁王立ちで見下す姫カット、沢村さよりが居たのだ。

「ふふん、甘かったわね。最近のメガテンは緊急時にプレイヤーを守ってくれるシステムが備わっているのよ」

「んなっ、それってもうゲームじゃねぇだろ……って、舌まで軽く痺れて上手く喋れん!?」

「性犯罪者には死を! といっても、流石にそこまではこのゲームじゃ出来ないのよね。
 となると、直々に手を下す必要があるわ。さぁ……処刑の時間よ!!」

「ぬぉっ!? そ、その手に持っているのは、ダーツですよね?」

「ソフトタイプじゃない、アナログ型よ。……刺さると痛いと思うわ、くすくす」

「やめよう、とりあえずやめよう! ダーツは殺人に用いられる手段ではないでござるよ!?」

「変態的悪霊に問答無用ッ、覚悟ぉぉぉッ!!」

ああ、父さん、母さん、変態でごめんなさい。ダーツで命を奪われそうになっていると言うのにも関わらず、
俺は尚も姫カットのスカートの下を凝視し、太股から下腹部を眺めて愉しんでしまっている。
黒のレースって、子供みたいな体型の癖に大人振りやがって……しかし、それがいい!! でも、いっそ紐パンでも俺は――。

―― 悪霊は滅した。脳天に一発それをお見舞いし、本人は気絶状態に陥っている。
勝手にパンツまで覗いて、どこまで変態的な悪霊なんだろうと再び席に戻ったとき、彼女は現れた。

「……あれ、死んでる」

「今さっき、私が滅したのよ」

「そうなの。……貴重な戦力が」

「ねぇ、羽川さん、コイツのどこが戦力になっているのか、私に教えて?」

「それは……>>887

いるだけの命中率が30%あがるから

下着を的確に覗き見できること

「それは……いるだけの命中率が30%あがるから」

「何その補正……、どこのシミュレーションゲームよ」

「スパロボ的な意味でひとつ」

「それなら精神コマンドで十分でしょ。……って、ほんとにそれだけ?」

「……あの時の試合の様子を見て、気づいた事はあるの。……大丈夫、近い内にスーパーパイロットレベルに育ててみせるから」

「すーぱーぱいろっとって……。で、そのお隣に居るのは……?」

「……新入部員さん」

「は、はい……どうも、こんにちわ……」

名前は知っているし、顔も何度か見たことはあるその少女、同じ学年の娘だ。
遷宮寺 雅。名家のお嬢様と聞いている。その名はかなり有名で、本来なら旺盛女子高等学校に通う逸材とも言われている。

そんな彼女がどうしておこぼれ学校の隆盛高校に通っているのかは謎であり、
彼女に付き纏う噂はそれぞれあり、絶える事は未だに無い。そんな彼女がどうしてダーツ部にと、私は羽川さんに話を振った。

「うん、それは……フィッシュしたから」

「って、私の時みたいに釣竿で!?」

「ううん、今回は……コレ」

彼女がそこで取り出したのは、>>890である。どうやらこれで遷宮寺さんを引っ掛けた様子だ。

地引網

骨格標本

彼女がそこで取り出したのは、地引網である。どうやらこれで遷宮寺さんを引っ掛けた様子だ。

「基本、漁業スタイルなのね……」

「魚は貴重、素材も貴重、人材も貴重。つまり、漁業最高……!」

「地味にドヤ顔しないでちょうだい! で……、遷宮寺さん、本当に良いの? こんな出来損ないの部で」

「あ、あの、その……今日は見学に来ただけで……」

「見学?」

彼女はこくりと頷いた。見学に、と彼女は言ったが、羽川さんはどういうつもりで彼女を連れて来たのだろう。
そもそも、部活動らしい事をまだ一度しか行っておらず、何より部員が足りない為、正式に部活動としてはまだ認められていない。

なのに、活動を見学って随分難しいことではないだろうか、と私が悩んでる最中も、
羽川さんは遷宮寺さんをダーツボードの前に立たせ、妙な事を彼女に尋ねていた。

「このボード……かなり旧式のタイプだけれど、尤もポピュラーな形だったもの。……貴女には、これが何に見える?」

「何に、ですか……。ええと、例えるなら……渦潮ですね」

「……合格」

「あのさぁ羽川さん。……なんでそれで遷宮寺さんは合格なのよ」

「彼女にも、素質がある……。私の思惑通りなら、きっと……」

羽川さんはそう言って、遷宮寺さんにダーツを持たせるのである。
そして、ボードに向けて数回投擲して欲しいと彼女が言うと、遷宮寺さんはおろおろとした様子で、彼女に従った。

こうして私は知る事になる、遷宮寺さんの素質というものを。

「こ、これが、彼女の素質……>>893!?」

まるでナスの与一!

「こ、これが、彼女の素質……まるでナスの与一!!?」

それは、狙い定めても、素人では到底ヒットさせるのは難しいと呼ばれる場所、ブルとも呼ばれる小さなスポット。
その部分だけは色も違い、ボードによっては赤や緑等で表示される箇所である。

この部分だけに彼女はダーツを投げ終え、そして羽川さんが分析するのだ。

「……渦巻き状に狙えば、彼女はそれこそ与一そのもの。けど、この逆になると……ナス状態になる」

「え、ええと、それってつまり……?」

「特定条件が揃えば、沢村さん、貴女よりも遥かに強いのが遷宮寺さん」

「んなっ!? そ、そうまで言われると、一応数日先輩の私が引っ込みつかないわ!
 遷宮寺さん、勝負をしましょう。……カウントアップで、1スローだけでいいわ。……どう?」

「はわわ、ちょ、ちょっと待ってください! 私、まだ初心者で……」

遷宮寺さんは長い髪を揺らして必死に拒もうとするのだが、私と、そして羽川さんの説得もあり、
一度だけ、特定ルールでマッチングする事になったのだ。

「それじゃ、先行、遷宮寺さんで」

羽川さんがそう指示しては、彼女をスローラインに立たせるのである。
緊張している様子の遷宮寺さんは、ぎゅっとダーツを握り締めては、どう投げようかと眼を動かしていた。

あの様子じゃ、先ほどのように上手くヒットするわけが無い。それに、先ほどは距離がボードと近かった。
今は先ほどと比べ、ボードとの距離が見事に離れている。ナスの与一が発動するに決まっている。

そうして、遷宮寺さんの1スローは>>895という結果に終わる。

何故か自分の携帯のど真ん中へ

図星に当たる

そうして、遷宮寺さんの1スローは何故か自分の携帯のど真ん中へという結果に終わる。

ダーツボードから見事に離れた箇所、九十度にあった椅子の上に置かれていた小型携帯端末。
それは念波を感じ取り、自動で目の前にウインドウを表示させてくれる新型タイプでもあった。

指先大くらいの大きさのそれのコア部分に見事にヒットし、私は最早勝負どころじゃ無くなった。

「あぁぁぁぁ!! わ、私の携帯が、ケータイがぁぁぁ!!」

「はわわ……ご、ごめんなさい、ごめんなさい!!」

「わ、ワルキューレさんまで消えて……しまった! 痺れが解けてあの男が目覚めてしまうわ!!」

「あ、あの男、ですか……!?」

「……腕が動いた。瞼が開いた。あの男が……覚醒する……!!」

「……さ……わ……む……らぁっぁぁぁぁッッ!!」

「ひぃっ! た、助けて羽川さん! わ、私この男にセクハラされそうになって……」

「……つまり要約すると、この場はこの男を覚醒させた張本人である遷宮寺さんを差し出すべきだと?」

「そ、そうまで言ってないわよ!? で、でもあの携帯、10万円もしたのにぃ……」

「さぁぁぁわぁぁぁむぅぅらぁぁぁ……って、なんだ、このお嬢様は……なんて美人で麗しくて胸も大きく……!」

その悪霊で変態な男は、やはりと言うべきか、この場に見知らぬ存在がおり、
挙句にそれが美人で胸も大きく、スタイル抜群とくれば視線が泳がない訳が無かった。

彼の怒りはそこですっ飛び、今では遷宮寺さんとお近づきになりたいと、必死で>>898の真っ最中である。

沢村の尻をもみしだく

求愛ダンス

彼の怒りはそこですっ飛び、今では遷宮寺さんとお近づきになりたいと、必死で私の尻をもみしだく真っ最中である。
二つの感覚が尻肉を持ち上げ、こねるように指先を食い込ませてくる。

「んなぁっ!?」

「ほら、俺、上手でしょう? お尻のこりだって、こうして解消してやれるんですよ」

「ま、まぁ……、マッサージがお上手なのですね」

「マッサージじゃ、ん……ないでしょ……こんなのっ!」

「いやぁ、マッサージなんですよこれ。こうして、臀部を持ち上げて、そおっと緊張を和らげるようにして……!」

「ん、や、ぁ……こ、この悪霊! 変態! も、もう、触るなぁ!!」

「彼女はこう言っておりますが、しかし実際手を出してまで止めようとはしない。つまり……気持ちが良い証拠!」

「これが、貴方にだけ出来るという秘伝のマッサージなのですか……」

「どうですか、お嬢さんも一つ、このマッサージを――」

「も、もう……いい加減に……しろぉッ!!」

「―― ぶげらぁっ!!」

男は覚醒した後、再び深い眠りに落ちていく。こめかみに上段回し蹴りを受けては、早々再起は不可能であろう。
よくも私の尻を道具のように弄び、遷宮寺さんを口説く為の材料にしたものだと、その後の男の処遇を考えている最中であった。

「……遷宮寺さん、この書類にサインを」

「あら、紙なんて貴重品で……せ、生徒会印ッ!?」

「そう、半ば強制的に貴女を入部させるの。……これで、後一人――」

―――― 生徒会室、整理整頓されたその部屋は、機器の類しか目に入らない。
最新式モニターは頭上に数台展開されており、どれもパネル一つで開閉可能となっている。
紙が用いられなくなった時代、どれもこれも、小型記録媒体に情報を保存する時代ともなっていた。

その中で、私は堂々とコーヒーを啜りながら、ある書類を眺めていた。

「ダーツ部を設立……ね。どうしてこのような事を、今頃?」

その少女は、表情を一つも崩さずに言ったのだ。世界の平和の為に、そして……>>901の為にと。

日本国の再興のために

その少女は、表情を一つも崩さずに言ったのだ。世界の平和の為に、そして……日本国の再興の為にと。
瞳は真っ直ぐに、その肩まで伸びた髪も、そしてアホ毛も真っ直ぐに伸びていた。

「貴女、世界と戦うつもり? 世界を変えるつもり? ダーツ一つで?」

「……此処から始めるの、伝説を」

「認められないわ。……危険よ、そんなの!」

「でも、認めて欲しい。……だからこそ、コレを持ってきたの」

「ダーツ……! けど、生憎だわ。私もそれなりに経験があるのよ?」

「……知ってる。だから、私は今日の為にこれをマイダーツに選び、持ってきた……」

「木彫りのダーツ? シャフトまで木彫りのタイプだなんて……」

「……勝負して、藤堂凛々香。そして私が勝てば、ダーツ部の設立を応援して欲しい。
 でも、私が敗れれば……貴女の望みを私が叶えるから」

「……良いわ。勝負しましょう。……羽川さんが生徒会役員になってくれるのならば、私は受けて立つわ、この勝負を!!」

―― 結果、敗れた。
ゼロワン形式の勝負を挑んでみたのだが、彼女には一切ブレが無い。化物だとも思わされたぐらいであった。
最短でのポイント処理をされては、最早手も足も出ない。それはまるで精密射撃だと思わされる程であったのだ。

それから、彼女は着実に部員を増やし、ダーツ部を設立しようと奮闘している様子なのだが、
一応応援しなければならない立場である私が、こっそりその部室を覗き見ては憤慨することになる。

「あ、あの……バカッ!!」

蒼井 閃。家が近いこともあり、幼馴染でもあった彼がダーツ部に居ることは情報を得て知っていた。
しかしそれが、まさか金髪姫カットの女の子のお尻を揉みしだいているなんて。

許せない、後で>>903をする必要があると、心に決めた瞬間である。

性欲を消すためお寺で修行と座禅

揉み方の作法を一晩かけて教育

あいつの尻のハリネズミ化

許せない、後で性欲を消すためお寺で修行と座禅をさせる必要があると、心に決めた瞬間である。

そうして夜、生徒会の仕事を終えた私は、彼の家を訪ねる事になる。
そこの親御さん、そして妹さんとは既に仲の良いお付き合いをさせて貰っている。

「わぁ、お姉ちゃん、いらっしゃーい!!」

「こんばんわ、お邪魔するわね。……アレ、居るかな?」

「アレ? アレは今お部屋でしこしこしてる真っ最中……」

「し、しこしこ!? しこしこって、ままま、まさかっ!!」

「その、まさかなんだよね。もう呆れてモノが言えないくらい夢中で。……お姉ちゃんからも言ってあげて欲しいな」

「ふぇっ!? わ、私がアレのしこしこを止めるの!? 言わなきゃいけないの!?」

「しこしこを止められるの、お姉ちゃんしかもう居ないんだもん……」

「……分かったわ。光ちゃんのお願いだもん、私が頑張らないと……!!
 で、でも、しこしこを止めるなんて、そ、それって……私がアレのアレを見る事になって、い、良いのかな、良いのかなぁ!?」

「……お姉ちゃん? 中に入らないの?」

「ふぇ!? あ、そ、そうだったわね。中に出さないと子供は……じゃなくって!! 中に入らないとしこしこを止められないもんね。
 お、おじゃま……します……」

蒼井 光、アレの妹さんであり、良く出来た妹さんだとは思う。が、残念ながら優等生な割りに天然な彼女は、高校受験に旺盛を選んでいるらしい。
私に手を振った彼女は、自室に閉じこもり早速受験勉強に励むのである。

そうして、お隣にあるアレの部屋の前に立つと、何やら「しこしこ、しこしこ」と聞こえてくるものだから、私は>>907

ネズミ花火を投げ込んで扉を閉めた

そうして、お隣にあるアレの部屋の前に立つと、何やら「しこしこ、しこしこ」と聞こえてくるものだから、私はネズミ花火を投げ込んで扉を閉めた。
一瞬だけ開いた部屋の中、ベッドの上に座っていた彼は、やはりしこしこしている真っ最中であった。

だからこそ、ネズミ花火に点火、それを投げ込みその後の様子を伺うのである。

「ぬわぁぁぁっ! な、なんでネズミ花火が!! ちょ、やめ、俺の股間に迫ってくるんじゃねぇ!!」

股間に迫るネズミ花火、という言葉を聞いて妄想を広げてしまう。彼のアレを狙うネズミ花火は、余命幾許もない存在。
徐々にその命を削り、それでも尚も彼と結ばれようと一直線に迫っていくのだ。

「あぁ……やだ、何これ……凄い、良いじゃない……」

彼が悲鳴を発しているのも今の内だけであり、後にネズミ花火と結ばれる運命となるのだろう。
それは仕方のない事なのかもしれない、例え彼がネズミ花火に奪われようとも、私は応援しなければならない。

「ぎょわあぁぁ、こ、こいつ、俺のパンツの中に!! あ、熱い、熱いっつうの!!」

その言葉を聞いて更に妄想が広がってしまう。ああ、ネズミ花火に彼のアレが食べられてしまっている。
ネズミ花火の熱に、彼のアレが溶けてしまいそうな具合に、けれど、その熱に彼の情熱の迸るそれもまた、再び怒張し……。

「きゃぁぁぁぁぁ、暴発はだめ、中に暴発だけはだめよぉぉぉ!!!」

そうして、つい暴走しては彼の部屋に押し入った途端、小さな爆発音がしては、彼は横たわる結果となるのだった――。

―――― ご近所付き合いとはいえ、俺はこの女がニガテである。
藤堂凛々香、表の顔は名前の通り凛々しく、頼りになるお姉さん。しかし実は何でもカップリングさせてしまう喪女の素質を持ち、
挙句には電波を発し、わがまま放題するのが彼女である。こんな女、誰にも貰われんだろうと思われる程、それは酷かった。

「あ、あははは……だ、だって、しこしこって光ちゃんが言うから!」

「だからぁ、しこしこしてたのはバレルを磨いていただけだっつうの!!」

バレル、ダーツを構成するパーツの一種で、グリップ部分にあたる箇所である。

「そ、それなら早く言いなさい! てっきり勘違いして、私……>>909するところだったのよ!?」

証拠のチ○拓

盗撮の上、素人投稿

「そ、それなら早く言いなさい! てっきり勘違いして、私……証拠のチ○拓するところだったのよ!?」

「俺のチン○は魚拓じゃねぇぞ!?」

「で、でも、しこしこしたら、どれくらい大きくなるのか、興味があるというか、その……」

「……なに、お前……もしかして見たいのか?」

「ふんっ! 別に見たくはないわよ! それにどうせ、本当はあの金髪ちゃんの事を思い出してしこしこしていたんじゃないの?」

「金髪……? あぁ、姫カットのことか」

「……貴女、あの娘とどんな関係なの? ねぇ、教えなさいよ」

「どんなって……殺し殺される関係かねぇ」

「……ちょっとだけ期待した私がバカだったわ」

彼女はそう言って溜息混じりに俺の用いている椅子に座るのだ。
デスクチェアがぎしっと唸り、俺の助けを求めている。そうだ、こんな女に座らせていたら、俺のデスクチェアが悲しみのあまりに崩れ落ちてしまう。
しかし、そこは俺の席だと主張しようとも、彼女は絶対に動かない。何故なら、俺の物は私のもの、だからだそうだ。

「で、ダーツ部の方はどう?」

「あ? ダーツ部? ……別に、普通だろ」

「普通、ね。……それじゃ、羽川さんの事はどう思う?」

「羽川? 羽川舞姫をどうって……?」

「閃が受けた印象を教えて欲しいって言ってるの」

俺が彼女について受けた印象があるとすれば、それは……>>912だろうか。

色気0セクシーさマイナス魅力なし

俺が彼女について受けた印象があるとすれば、それは……色気0セクシーさマイナス魅力なしだろうか。

比べてみよう。羽川舞姫と沢村さより、彼女達は背丈がほぼ一緒であり、若干羽川の方が背丈を上回る。
だが所詮お子様体型、ならばロリ巨乳レベルである沢村さよりのほうが圧倒的優位。

そしてスタイルに関しては、残念ながら遷宮寺雅に逆立ちしたって及ばない。
つまり色気もセクシーさも、全てをひっくるめて魅力ゼロと言わざるを得ない。それを伝えたところ、幼馴染の凛々香は呆れてしまうのだった。

「はぁ、私が聞きたいのはそういう事じゃないの。……まぁ、ちょっと何を考えているのか分からない節はあるわね」

「確かにそんな点も見受けられるが、何分……ありゃダメだ、性的対象にならないわ」

「それなら、金髪ちゃんの方が好みな訳?」

「あいつは胸だけだからなぁ……。俺的にはやはり遷宮寺の方がふひひっ」

「そう、つまり羽川さんは性的には見れないと。……じゃあ、ダーツという意味合いでは?」

「さぁな。アイツ、言うほど上手くはないぞ。何とか的に当てられてるってぐらいだからな」

「あんたも、周りに人が居ればてんでダメでしょ、上がり症なんだから」

「う、うっせぇ。でも、それさえ無ければ俺は無敵だ。……だったんだけどな」

「で、ダーツを諦めて趣味だけに留め、それでも羽川さんに引き戻された。……その感想は?」

「最悪の一言に尽きる。……とはいえ、嫌いにはなれなかったんだよな」

爺ちゃんから学んだダーツを、俺は今でもひっそりとは続けてきた。しかし、昔ほど本気にはなれなかった。
上がり症、周りに人が居ると思うように成果が表れない為、俺は一線を退く覚悟をした。

しかしそれを引き戻してしまったのが羽川の存在である。正直に言えば、多少は彼女が憎いとも思ったりした。
だが、心のどこかで、また人と一緒にダーツで遊べるんだという気持ちが生まれ、弾み出している。

だが、俺のマイチェアに座る凛々香は、とんでもない事を俺に告げた。

「言っておくけど、羽川さん……ダーツ部には留まらない存在よ。ううん、それだけじゃない。彼女は……ダーツで世界を救うつもりよ。
 そんな彼女に、貴方はどう向き合っていくのか……楽しみね」

ダーツで世界を救うって、羽川が、しかもどうやって? そうして、何となく思い描いたのは>>914であった。

ウイリアム・テルの話

ダーツで世界を救うって、羽川が、しかもどうやって? そうして、何となく思い描いたのはウイリアム・テルの話であった。

林檎を射抜いた英雄。それは、林檎を射抜ければ死を待つしかなかった者の話。
しかし英雄は、見事に林檎だけを射抜き、林檎を頭の上に乗せた息子も、そして己の命も繋ぎ止める事になる。

そこから諸説があるとされるが、彼は結果的にスイスを独立に導いた存在ともされている。

だが、その英雄が用いていたのはクロスボウであり、ダーツではない。
しかし何故かこんな逸話が思い描かれ、羽川がダーツのみで世界を救うなんて、と鼻で笑ってしまうのだ。

「そうして笑ってられるのも、今のうちかもしれない。……ちょっと、外へ出ない?」

そういえば、ダーツは何故世界平和の象徴とされているのだろう。昔は、一切そんな事は無かった筈。
知名度も低く、脚光を浴びる事は無かったその存在が、三次大戦を経て民衆により噂されるようになり、
そして今では知らぬ者は最早罪と言われるくらいまでに知名度が上がっている。

「何処へ連れて行くんだよ」

「ちょっと、イイ所にね」

「……ラブホはマジ勘弁な」

「だ、誰がそんな場所に連れて行くっていうのよ!? ふざけないで!?」

「へぇ、凛々香も一応ラブホについては知ってるんだな」

「わ、私も一応高校二年生ですし!? それくらい知ってますし!? ……で、此処なんだけど」

「地下へ続く階段? こんな裏路地に……大丈夫なのかよ、これ」

「良いから、ついてきて」

そうして彼女に案内され、錆びた鉄扉を開くと……>>916

マジェスティックが止まらない

そうして彼女に案内され、錆びた鉄扉を開くと……マジェスティックが止まらない。

「ほぉ、藤堂さんが此処に来るとは珍しいですな」

「こんばんわ、マスター。……今日もあの子、来てる?」

「丁度、遊んでくれてるところですよ。ほら」

白髪のちょび髭主人が、何故かウインクしては指差したほうに視線を向けると、
確かにそこにはちびっこい存在が居た。しかしそれは、余りにも雄雄しく、雄大に見えて仕方が無い。
そこに居るのは、学校で勧誘と名ばかりの漁業を行っているあの羽川ではない、別人のように見えてしまう。

「すげぇ、何連続目だよブルズアイヒットさせたの」

「次で100だな……。記録に挑戦すると言っていたが」

「しっかし、あの子も好きだよなぁ、こんなレトロ台、今時誰も遊ばないんだが」

ダーツマシン、それもまたごく最近一気にバリエーションが広がっていく。
レトロなタイプは淘汰され、今ではエレクトリックなマシンばかりが目立つ中、
少しでも興味を惹こうと、ライトアップが激しいタイプから、物静かで和ませてくれるタイプも存在する。

最近ではヒノキで出来たマシンもあるそうで、その価格はなんと数億するらしい。
それくらいバリエーションが豊かなのだが、彼女が遊んでいるタイプは、それこそ五十年以上前に造られたタイプであった。

「すげぇ!! 百連続ブル達成したぞ!!」

「って、あの子まだやる気なのか!? それ以上は精神的にももう持たないんじゃ……!」

百連続中央だけを狙い、そして射抜いている彼女は、果たして何処へ向かっているのだろう。
俺はこんな彼女は知らない。学校で、的をギリギリ射抜ける程度の実力を持つ少女、それが彼女だった筈。

しかし、今目の前に居るのは別格の、それ以上の存在だ。人外じゃないかと思わせる精度を持つ少女を眺め、凛々香は言った。

「そ、彼女が……世界を救う矢……マジェスティック・プリンセスなのよ!!」

「……なんすかそれ」

「こほん、説明すると、要するに>>918ね」

魔法使い王女

「こほん、説明すると、要するに魔法使い王女ね」

「なんかすげぇ直訳臭いんだが?」

「こ、こほん! そもそもマジェスティック・プリンセスなるものも私の造語であるから仕方ないわ!」

「で、それが一体全体何なんだってー話なんだが?」

「念波、って知ってるよね? ESPとも最近では言われてるけど」

「あー、携帯とか、色々な物に組み込まれているな、そんなシステム」

「……人は皆、能力があるのよ。そう、これから描かれる物語は、サイキックでマジカルで世界平和を叶えようとする、
 時々ダーツで大会をしたい女子高生ドラマッ!!」

「なんだその話が既に破綻しているようなモンは……ダーツである必要性が皆無だが……」

藤堂凛々香の言っている話がさっぱり見えん、と、カウンターの席に俺が座ると、
ちょび髭主人がわざわざ用意してくれたのだろう、ジュースがグラスに入って運ばれてきた。
軽くお礼を言って、それに口を付けてみるのだが、何故か普通のオレンジジュースのクセに、凄い美味しく感じてしまう。

「特製でね。ちなみに、彼女が遊んでくれてるマシンも、実は特製なんだ。
 改良に改良を加えたアレは、もう彼女の持ち物だと言ってもいい」

「……しかしまぁ、アイツ、あんな上手かったのか……」

「才覚によるものだと言うが、彼女の資質はそれだけじゃない……。選ばれているんだよ、もう」

「選ばれている? 何に?」

「ふむ、いよいよ時間だね。さぁ、このダーツを……彼女に届けてやってくれないか?」

何故店主がそれを俺に託したのか、今となって肌でそれを感じ取れてしまい、イヤになる。

そう、羽川舞姫は店主から預かったダーツを用いて……>>920をしたのだ。

店中のゴキブリ退治

そう、羽川舞姫は店主から預かったダーツを用いて……店中のゴキブリ退治をしたのだ。

何で特製ダーツを用意してまでゴキブリ退治を行う必要があるのか。
対象は三匹、カサコソと這い回っていた。店が小汚いというのもあり、人が居るのにも関わらず、
店内を闊歩するそれに、無言で次々と必中させていく羽川。

「ダーツって、ゴキブリ退治に使うものだっけ……」

「凄いわ、やっぱり彼女こそ選ばれし存在なのね……!」

「いや、あれくらい俺でも出来るぞ……。周りに誰も居なければ……」

「それはどうかしら。何せあのG、ただのGではないわ。変異Gですもの」

「変異って……何だそりゃ」

凛々香と話を交える中、いつしか三匹のゴキブリをあっさり退治してしまった彼女、
こちらに改めて歩み寄っては、先ほど手渡したダーツを俺に返すのだ。

「退治完了。……マスターも、この程度でマイダーツを出さないで」

「いやぁ、悪いね。何分ゴキブリってすばしっこいし、最近の変異体はしぶといしで」

「……ところで、生徒会長に変態の蒼井君、このような場所まで来て、どうしたの?」

「お、俺はコイツに連れられて……って、変態じゃねぇ!」

「でも、彼ったら部屋でしこしこしていたのよ、変態よね」

「お部屋で、しこしこ……それはもう、変態中の変態」

何故か誤解された俺は、羽川に>>922されるのである。

ニコ生

尻もみ逆襲

何故か誤解された俺は、羽川にニコ生されるのである。

ニコニコ動画が四十周年を迎え、五十周年目指して相変わらずであり、動画サイトとしては未だに最大手であったりする。
そして、生放送という枠があり、その場も未だに健在。一時は法律による規制が掛かるも、大戦の影響で規制も沈静化。

その中で、何故か俺は学校内で女装させられ、生放送に応じなければならなくなっていた。

「では、隆盛高校ダーツ部のエースであり、新生なる英雄の矢、オリオンのメンバーを紹介します。
 その名も、蒼井 閃ちゃんです」

「何処の野球チームみたいな……もう、突っ込む気力がねぇ……」

「やはりオリオンには女の子と言う事で、私はこれを機にその他の勢力に宣戦を布告します。
 我々オリオンは、今日から抗争に加わります。……では、ご質問はボイスコメントで」

最近のニコニコは、声をデータ化しては文字に表し、それをコメントとして流す機能が備わっている。
それもまた、昨今のPCの発展による成長経過によるものだが、次々とそのコメントが流れていく。

抗争に参加するきっかけは、世界平和を成し遂げたいという気持ちは偽りないものか。
そして、蒼井閃ちゃんは本当に女の子なのか、こんな可愛い子が女の子の訳が無いとかなんとか。

「えー……、コメント多数につき、ピックアップして私、羽川がお答えします。
 蒼井閃ちゃんは本当に女の子です。こんな可愛い子でも女の子です、とお答えしておきます」

「いや、そっちはピックアップしなくてもいいだろ! もっと他のをだなぁ!?」

「えー、ご本人からのコメントですが、よろしくきゃぴるぅ~ん☆ミと申しております」

「も、もうやだ……死にたい……」

そうして、俺は隆盛高校ダーツ部の部員として、改めて羽川と共に活動していくのだが、
彼女の目的は、ダーツ部こそまた漁場に過ぎなかったのである。

彼女の本来の目的は、部員をオリオンの構成員として、世界平和の為に抗争に打って出る事――。

―――― つづきます

以上で終わります。とりあえず勢いでやった結果がこれですが、何時もの事ですね!

まぁ結果はどうあれ、お付き合いありがとうございましたー。


【07/29 (月) 00:27時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

07/30 (火)
  22:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - まいすいーと☆だーつ 第三話

火曜までには那珂ちゃんを……ぐぬぬぬ。

乙!

乙!

遅ればせながら乙

91 名前: ◆MOON69mNOA[] 投稿日:2013/07/31(水) 21:51:06
ごめんなさいい日曜まで延期しますう。

◆ご挨拶
 今日は短編1時間!
 短い時間ですが、どうかよろしくお願いします。
 本日はちょっくら永久脱毛してきました。痛くなかったです。

▼今日のお話の説明
『相棒~アフロ編~』
 舞台は現代・少し昭和よりかも知れない。
 いわゆる刑事モノ。
 はぐれ刑事純情派をよく見ていない自分が、イメージで勝手気ままに書いていくお話。

ではでは。20時までしばしお待ちを

◆葉暮井零示「アフロ刑事、むりやり派」

  第3話  取り調べ室の一幕

 灰色で統一された一畳の小さな部屋。
 小さな窓が一つと扉があるだけの部屋で、あとはオフィス机が二つあるだけの部屋。
 そこで一人の男がふてぶてしく座っていた。
 男の名前は「>>932」。20代の男性。
 黙ったまま目の前の刑事をにらみつけていた。

刑事「くそっ……黙ったままか」

 そこに扉が開いて、新しい刑事が入ってきた。葉暮井である。

葉暮井「どうした? 俺を呼び出したりして」
刑事「葉暮井さん、こいつがどうしても口を割らなくて」
葉暮井「ん? お前は……」
男「葉暮井さん! 葉暮井さんじゃないか! お願いだ、助けてくれ!」
葉暮井「どうした?」
男「じつは>>933なんだ!」
葉暮井「なんだって!?」

来ない!ww 明日にします。ノシ

遅かったか

◆ご挨拶
 昨日と同じです! さ、今日は続きができるかな……?

▼今日のお話の説明
『相棒~アフロ編~』
 舞台は現代・少し昭和よりかも知れない。
 いわゆる刑事モノ。
 はぐれ刑事純情派をよく見ていない自分が、イメージで勝手気ままに書いていくお話。


◆葉暮井零示「アフロ刑事、むりやり派」

  第3話  取り調べ室の一幕

 灰色で統一された一畳の小さな部屋。
 小さな窓が一つと扉があるだけの部屋で、あとはオフィス机が二つあるだけの部屋。
 そこで一人の男がふてぶてしく座っていた。
 男の名前は「>>935」。20代の男性。
 黙ったまま目の前の刑事をにらみつけていた。

刑事「くそっ……黙ったままか」

 そこに扉が開いて、新しい刑事が入ってきた。葉暮井である。

葉暮井「どうした? 俺を呼び出したりして」
刑事「葉暮井さん、こいつがどうしても口を割らなくて」
葉暮井「ん? お前は……」
男「葉暮井さん! 葉暮井さんじゃないか! お願いだ、助けてくれ!」
葉暮井「どうした?」
男「じつは>>936なんだ!」
葉暮井「なんだって!?」

ない

いまやってるむりやり小説が荒らされてる

 葉暮井は容疑者の男に見覚えがあった。
 それは昔、近所に住んでいた男の子だ。
 とても人柄がよく、礼儀正しく、娘の世話も何度か見てもらったことのある頼りがいのある男だった。
 いまどき珍しく、髪も染めておらず、服装も乱れたような感じはない。
 とても、警察のお世話になるとは思えない。
 
 しかし、どうしても名前が思い出せない。
 名前がない無いなんて、そんなことはありえない。
 それもそのはず、葉暮井は彼の名前を聞いた覚えが「ない」。


葉暮井「どうした?」
???「じつはいまやってるむりやり小説が荒らされているなんだ!」
葉暮井「なんだって!?」

 男の言葉に驚きを隠せなかった。

葉暮井「おい、それはどういうことなんだっ!? 書記!」

 葉暮井は現状の状況を確認する。

書記「は、葉暮井刑事、落ち着いてください! あらされるも何も、荒らしすら、このスレに確認できないじゃないですか!」
葉暮井「あ、ああぁ……そうだな。すまない」

 葉暮井は一度、スーツの襟を整える。

???「本当なんだ! むりやり小説が荒らされている! 信じてくれ!」

 男は必死で訴えてくる。その目は真剣で、嘘を付いているようには見えなかった。

葉暮井「具体的にはどういうことか、話してもらおうか? え~と……名前は……」
???「今、俺の名前はどうでもいいじゃないか! いま、むりやり小説では>>938という現象が起きてるんだよ!」

(・x・)むー 今日もやっぱりダメみたいっすね。中断。
21時からあるので、集まって下さいな。

【08/03 (土) 20:10時点でのタイムスケジュール】 : ttp://kmix.dabits.net/ts/

08/04 (日)
  21:00~/ ◆MOON69mNOA氏 - もうだめかもしれない

>>937
8時スタートだと思ってました。遅かったか。

>>938
乙でした…

今日は途中で風呂に行きそう。


金剛 「ヘーイ提督ぅ、舞鶴が轟沈連続で大変らしいヨー!?」

提督 「…………」

金剛 「アレ? どしました提督ぅ、もしかして金剛のコトを、ついに、ついにスキになっちゃったデース?」

提督 「……私は……舞鶴鎮守府出身だ……!!」

金剛 「オー、それは辛いですネー、そんな時こそこの私金剛が慰めて――」

提督 「だから陸奥ちゃん、この私を癒してくれ!!」

陸奥 「いや、悪いんだけどそれはちょっと」

金剛 「アノー、ワタシはー……」

提督 「ならば翔鶴ちゃん、キミに決めたッ!! 私を(ry」

翔鶴 「ごめんなさい、私、妹の瑞鶴を探さないといけないの」

金剛 「わ、ワタシはー……」

提督 「そうだ、加賀さんなら、おっかさんならきっと!!」

加賀 「悪いけれど、五航船の娘に頼ろうとする人は好きじゃないの」

金剛 「」(呆然)

羽黒 (私初期から居るけど、最近全く相手にしてくれない……)



という訳で何故か大人気の艦隊これくしょんなのですが、そろそろSSいっぱい増えてそう。
何せユーザー数30万人ですもんね!やったね! ……ネコオンラインで遊べないんですが!?

人が居ないかもなので、案外艦これSSしてもいいかもしれない……。とか思ったりもしましたが、
安価振れないにも程がある内容になりそう。まぁどちらか選んでくださいな。>>943

1:まいすいーと☆だーつ 第三話
2:人が居ないかも用短篇

1

という訳で平常運転でございます。もう暫くお待ち下さい。
尚、あまり人がいなさそうならば、自分で安価を取りに行く暴挙に出ます。待つのも辛いんだモン!?

それにしても、何であのゲームあんなに流行ったんだろう、不思議ィ!
ゲームバランスは結構難しいのに……。

>>944
俺が風呂の間よろしく頼むぜ

~~~ これまでのありきたりな登場人物紹介 ~~~

【蒼井 閃】
ひょんな事から隆盛高校ダーツ部に所属する羽目になったぱっとしない人。基本むっつりさん。

【羽川 舞姫】
ダーツ部を設立した張本人であり、マイダーツを用いれば向かう所敵なし状態。基本くーでれさん。

【沢村 さより】
ひょんな事からやっぱりダーツ部に所属する羽目になった姫カット。基本つんでれさん。

【遷宮寺 雅】
割と本人も興味がありダーツ部に所属する事になったお嬢様。基本おっとりさん。

【岸辺 義孝】
蒼井閃の友人であり、沢村さよりに好意を寄せる良い人止まり。基本へんたいさん。

【藤堂 凛々香】
隆盛高校の生徒会長さん。ダーツ部の後援として暗躍しているようです。基本ゆうとうせい改めくさってたさん。

~~~~ まいすいーと☆だーつ 第三話 ~~~~

ニコ生で大々的に宣伝を行った抗争グループの一つ、オリオン。
そもそも、抗争とは何なのか、ダーツで世界平和を目指すとか、羽川舞姫は何を考えているのか。
そして何故、俺が女装をさせられなければならなかったのか。

「そう、グリップは最初きちんと固定して、効き目の高さに合わせて……いい調子」

「わ、ダーツが真っ直ぐに飛びました。凄い……」

「姿勢は大事だから。きちんと背筋を正して、ポイントを定めれば真っ直ぐにダーツは向かう」

「そうなのですね、またお勉強になりました!」

「それと、遷宮寺さんは少し効き脚を前に出しすぎかも」

「こ、これくらい下げれば……大丈夫でしょうか」

「うん、それくらい……ふくらはぎ、柔らかい」

「って、何で触るんですかぁ!?」

今、部室には遷宮寺雅と、ダーツ部の設立者でもある羽川舞姫が居る。
羽川が、遷宮寺にダーツを投げる際の姿勢について色々と知識を披露している真っ最中である。

そして俺は、その様子をただ、怠けた面をして眺めるだけであった。

「むにむにしてて、けど弾力もあって……」

「さ、触られると、ダーツが投げれないままなんですが……!」

「良いから続けて。気にしてはダメ。……むにむに、むにむに」

「ひゃう、そ、そんなの無理ですってばぁ!!」

しかし、活動自体は最早どうでも良くなってきている俺には、彼女達の行動をただぼうっと眺めるしかなかったのだ。
理由は簡単だ。抗争に参加する羽目となったオリオンに、俺もまた加えられたからである。

しかも、その抗争グループのリーダーに指名された俺は、>>949という気分になってしまっているのだ。

魔王

遷宮寺家の婿になりたい

しかも、その抗争グループのリーダーに指名された俺は、魔王という気分になってしまっているのだ。
勿論戸惑いはある。寧ろその気分の方が強いのだが、どこか心の奥底で渦巻く感情があった。

征服欲とでも言うのだろうか、世界平和という名の支配を、何故か夢に描こうとしている。

「それじゃ、この辺りで休憩を」

「ふぅ……。それにしても、蒼井さん、ずっとあの調子ですね」

「……彼、バカだから」

「時々薄らと笑みを零してるし、ちょっと怖い……かも」

「それよりも、今日、沢村さんが来ない……」

「彼女、ちょっと用事が出来たとかいって、お休みするそうですよ?」

「そうなの……」

「それじゃ、少しお茶を買ってきますので、私は一旦これで」

俺がもし、オリオンというグループのリーダーとして、抗争グループを拡大させ、
更にその支配を広げ、自分の思うように事を運べるとしたら、どれ程面白いだろうか。

抗争自体はどのような内容なのかは定かではないが、もしそんな野望を叶えられるとするならば、と脳裏に描いた矢先であった。

「……じー」

「―― ぬわっ!? は、羽川、何だよ……」

「肌が白いなって……引篭もり?」

「ちげぇ! って肌の白さと引篭もりは関係ないだろう!?」

「大有り。だって日焼けしないから」

「……それもそうだが……」

羽川に凝視され、先ほどの魔王的な思考は吹き飛び、益々戸惑う自分が居た。
どうにも、彼女は俺を弄んでいるようにしか思えず、何となく俺はこんな事を口にしてしまっていた。

「なぁ、お前……なんで俺をオリオンのリーダーに据えたんだ?」

「それは、>>952

お前には幼女をレイプしたという重い過去があるからだ

ダーツの神に選ばれたからだよ

「それは、お前には幼女をレイプしたという重い過去があるからだ」

「はぁ? 幼女? んなもん俺はしたことねぇぞ!?」

「した、私は知ってる。良く知ってる……!」

何故かぐいっと身体を寄せるようにされては、顔を近づける羽川。
その余り感情を表に出そうとはしない彼女が、この時だけは妙に気迫を感じられ、眉を顰めているのである。

その威圧感に圧された形になった俺は、本当にそんな事があったかどうか、思い出そうとする。
しかし当然そんな記憶は無い。そもそも、俺はどちらかといえばお姉さんの方が好みなのである。
そう、あえて挙げるとするならば、生徒会長で一つ年上の幼馴染、藤堂凛々香のような――。

「……本当に、そんな記憶はないと言い張るの?」

「あ、あぁ。悪いが幼女をレイプするような危険な趣味は無いぞ!? あったとしても、二次元だけの世界の話だろう」

「……残念」

「な、何で残念がるんだ……?」

「それじゃ、私が思い出させてあげる。……十年以上前の記憶を引き出させてあげる」

彼女は突如、ダーツを取り出し俺に向けた。額に押し付けられるんじゃないかと思えるほど至近距離で掲げた彼女は、
暫くの間その様子で留まり、そして今度は俺の眼の方へポイント部分を向けたのだ。

危険な行為、その眼球を潰そうかと思えるような彼女の気迫のせいなのか、ある出来事を思い出すことになる。

―――― 子供の頃から、俺は祖父の影響でダーツを習っていた。
電子ゲームには全く興味が無く、次々と開発されていく子供の玩具をそっちのけで、俺は祖父と一緒にダーツを楽しんでいた。
その実力は祖父にも認められるようになり、子供ながら自慢したくなった俺は、外へ駆け出すことになる。

しかし、その先がどうにも曖昧だ。公園でダーツをしようと皆に持ちかけたが、公園は最早普通の遊び場ではない。
皆がそれぞれ、携帯端末を用いては通信対戦を行い、交流を行う場であったのだ。

誰もが、ダーツには見向きしなかった。以前より有名になったとはいえ、この時はまだ子供には受け容れられていなかったのだ。
しかし、とある子供が俺に興味を示し、そして……俺が、その娘に>>955をしたんだ。

恋の矢を突き刺すこと

ラブライブ!

誰もが、ダーツには見向きしなかった。以前より有名になったとはいえ、この時はまだ子供には受け容れられていなかったのだ。
しかし、とある子供が俺に興味を示し、そして……俺が、その娘に恋の矢を突き刺すことをしたんだ。

具体的にどうしたんだろう、記憶が曖昧で思い出せない。
ただ、その娘は常に呆然として俺のことを眺めていたようにしか思えないが、その娘と時折ダーツで競ったのは覚えている。

そう、俺はその娘に一度も負けなかった。圧勝しかしなかった。だが、どうしてそんな記憶が突然頭の中に……と、我に返る。
既にプラスチック製の安物ダーツを俺の眼前から退けていた羽川は、ふと、こう漏らした。

「……恋の矢」

「……そ、それって……まさか……!!」

「あの当時の貴方は、常に私をこてんぱんにしては、レイプしていた。……非道そのものだった。
 初心者の私に、貴方は常に貫禄を見せ続け、手を緩めることを知らなかった」

「い、いや、だからって……。……あの時の娘がお前だとは思わなかったぞ……」

「だって、追い掛けて来たから。私には貴方の力が必要だった。だけど、今ではもう牙の抜けた虎そのもの。
 腑抜けて、ダーツの腕も落ちて、以前のような貴方の面影は一切無い……」

「腑抜けた、か……」

「どうして、ダーツを諦めたの? どうして、そんなに……落ち零れてしまったの?」

諦めたのは正しい。だが、落ち零れるつもりは一切無かった。ただ、無理だった。
祖父が他界し、それでもダーツを続けていた俺に試練が訪れることになる。

大会に出てはどうかと、俺は最年少でとある大会に出ることになった。クリケットだろうが、ゼロワンだろうが、負け知らずの俺は勝ち上がる。
しかし、その場には数万という観衆が居た。ダーツ人気に更に火が灯った頃合でもあった。

ダーツは技術的な面よりも、精神的な面のほうが結果として左右される。一度手元が滑ると、二度、三度と続くもの。
それまで、手を滑らせることは無かった俺は、その数万の観衆に呑み込まれる事になる。

それからは散々だった。何をしても思うように飛ばせない。ただ、一人だけの空間で無心になれた時、かつての自分を取り戻せる。

「……さぁな」

羽川の問いに、俺はそう答えるしかなかったのだ。すると羽川は唇を噛み締めるようにしては、俺を睨む。

「……私は、絶対に貴方を昔のように変えてみせる。そうじゃないと、私……>>958

今の歴史から消えてしまう

あなたを転がして私は生きる!

島流しの刑になるから

「……私は、絶対に貴方を昔のように変えてみせる。そうじゃないと、私……今の歴史から消えてしまう」

「歴史って、また壮大だな」

「冗談で言ってるわけじゃない。それは……死を意味してるようなもの」

死? こいつは突然何を言い出しているんだ、と俺が口を開こうとした途端である。
彼女の携帯端末が、メールの着信を知らせることになる。彼女はやはり苦々しい面持ちでそのメールに目を通すのだ。

「……今夜、十二時、誰かが死ぬ……」

「何のネタだよそれは」

「抗争を申し込まれた。陣取りとなるから……死人が出るかもしれない」

「死人……だと……?」

「……十一時に、以前会ったダーツバーで待ってるから」

羽川はそう告げると、慌てた様子で部室を飛び出していく。
世界大戦もとうの前に終わり、抗争程度で人が死ぬものか、と、俺は高を括るのである。

「馬鹿馬鹿しい……。人殺しの抗争なんて、あって堪るものか」

俺が、無人となった部室でそう履き捨てるように言えば、そうでもないと答える人物が居たのである。
藤堂凛々香、俺の幼馴染であり、一つ年上の生徒会長。性格は社交的で優等生のように見えるが、腐っている。

「……抗争は、ただのお遊びじゃないの」

「生徒会長さんが、こんな所で油を売っていていいのかぁ?」

「今夜、オリオンが初抗争に出るんでしょう? ……実質は二度目となるのかしらね」

「二度目って、一度目は……羽川一人で?」

「そうらしいわ。……そして、一人で数人の男をダーツで>>962

処女喪失

服だけ脱がせて辱めるってさ。嘘か本当かは信じるのはあなた次第です。

「そうらしいわ。……そして、一人で数人の男をダーツで処女喪失させたらしいわ」

「男で処女ってどう言う事だってばよ」

「そんなの、私に言わせようとするの!? 決まってるじゃない……」

「ま、まさか……男の尻穴を、アイツが犯したというのか!? ダーツで!?」

「その通りよ。……しかも、再起不能にしたらしいわ。その男達は痔で苦しむ事になり今も尚悲痛の叫びをあげている。
 ある意味彼等のその……尻穴は死んだようなものね」

「なんて恐ろしい……! ……って、ちょっとした傷害事件じゃねぇのそれ!?」

「それが認められているのが今の世の中よ。抗争を申し込む形にすれば、それは受理され、警察も動かない」

「……なんだよ、それ」

「それが、裏社会で行われているゲーム。……抗争よ」

世界大戦後、二十年以上が経過する事となる間、ダーツは何故か妙な人気を得ることになる。
しかしその実態は、裏社会で行われている抗争が火種となり、次第に表沙汰になるのであった。

初期こそ、ダーツでその店、その土地を得ようとするゲームが行われ、普通に競い合っていただけのものが、
とうとう人を殺してまで争う武器となり、それは次第に進化してしまう事になる。

「PSI、聞いた事あるでしょ? 第三次の大惨事で次々と人々が覚醒していったあの事件」

「……新人類覚醒とも、危機能力過剰による出来事とも言われてるんだっけ。って、何気に駄洒落を混ぜるなよ」

「別に良いじゃない、駄洒落くらい。……ともあれ、人は能力を広げ、覚醒の時を向かえたのがその時。
 そして、同時に行われた闇のダーツゲーム。そう、それはもう、戦争なのよ」

「戦争……、そんなのに、俺が加われっていうのか……」

俺がその事実を知り、身動きが出来ない程衝撃を受ける中、凛々香は俺の手を取って言うのだ。
震えるその手を握り締め、そして俺に……「>>965」と、小さく呟いた。

このふんころがしをお守りにして参加してね

立ち上がれ、勇者よ!

俺がその事実を知り、身動きが出来ない程衝撃を受ける中、凛々香は俺の手を取って言うのだ。
震えるその手を握り締め、そして俺に……「このふんころがしをお守りにして参加してね」と、小さく呟いた。

何故ふんころがしなのか、それは最早嫌がらせそのものではないのか、と彼女を見るのだが、
妙に馬鹿にしたような笑みを浮かべた彼女は、そのまま手を振って去ってしまうのだ。

しかし、幼馴染で割りと付き合いの長い彼女が、何故そのような知識を持ちえていたのだろう。
疑問に思いつつも、去っていく彼女に声を掛けれなかった俺は、ふんころがしを掌で転がして遊んでしまっていた。

―――― 話が聞こえてきた。お茶を買いに行っては、ボトルを片手に戻ろうとしたのだ。
しかしその直後、生徒会長と蒼井さんとの話が耳に入り、私は立ち聞きする形となってしまっていた。

抗争、そして蒼井君はオリオンの構成員、寧ろ今となってはリーダーそのものの存在。
その話を聞いて私はつい、ボトルを握り締めてしまう。

「…………」

笑みが零れてしまう。やはりこの高校に通って正解だった。
羽川舞姫、そして蒼井閃が、オリオンを構成しては抗争に打って出ようとしている。

「父の仇、絶対に取る……」

この高校に入学する前、私は受験生として、旺盛女子を目指していた。
しかし、謎の少女の抗争参加に、私達の傘下であったこの第三東京区は奪われてしまうのだ。

私の父が、彼女によって痔に苦しみ、財閥から退陣する羽目となった。
その事実を知った私は、ある程度までその犯人を絞り込み、この高校に潜入する形で通う事になった。

羽川舞姫、彼女の腕は一流だ。しかし、PSIはどうだろう。私達のグループ『キューピット』が再び敗れる筈がない。
私を筆頭とする構成員は、旺盛女子の人々がメインである。そう、私達が敗れる筈がないのだ。

唯一の弱点、アレさえ仕込まれなければ――――。

―――― 何が起こっているのか、私にはさっぱり分からなかった。
用事といっても、ただ小学校時代の友達と久々に会う事になり、部活を休んだ私は、夜遅くまで彼女達と時間を楽しんでいた。
そして帰路に着いたのが0時半、偶然通りかかったその場所で、それは行われている。

「フフッ、今度も勝利は頂くっすよっ!!」

旺盛女子の制服を纏った一人が、ダーツを飛ばして一人の少女を狙っている。そして、そのダーツが目前に迫り、>>968となったのだ。

着ていたものを一瞬で脱がす

処女喪失

何者かに狙撃されて木っ端微塵

旺盛女子の制服を纏った一人が、ダーツを飛ばして一人の少女を狙っている。そして、そのダーツが目前に迫り、着ていたものを一瞬で脱がす事となったのだ。
何でダーツを飛ばして、人に直撃しようとする直前で妙な白煙を発し、着ていたものが脱げるのか。

理解が出来ない。しようとしても、頭の処理が追いつかない。
ただ言えることは、隆盛の制服を脱がされたスパッツ少女が、羽川舞姫そのものだということだ。

「さぁ、どんどんいくっすよ!!」

「くっ、そんなの、ルールにない……!!」

「ルールなんてあって無いようなモノっす! それにこれは、ただの足止めっすからね!!」

「卑怯ね、私を足止めして、蒼井君を連れ去り、そして第三東京区を奪おうというの?」

「その通りっすよ! それに、足止め要員は私だけじゃないっすからねぇ」

旺盛女子の一人がにやっと笑むと、違う角度から再びダーツが飛び込んでくる。
それを察したのか、羽川舞姫は自分の持つダーツを飛ばすだけで、相手の攻撃を防いでしまう。

投げたようには見えなかった。勝手に動き、勝手に防いだように見えた。何が起こっているのと、物陰からそれを凝視してしまう。

「ちぃ、しくじったっす!」

「何をしてるっすか下っ端B! ……いいえ亜子ちゃん!」

「真子だって、きちんと足止めしてないじゃないっすかぁ!」

「くぅ、手持ちも僅かっす、こうなったら一斉攻撃っす!! さぁ……脱げェェェェェ!!!」

下っ端と呼ばれたその二人組、それは以前私と蒼井閃と共に旺盛女子に挑んだ際に相手となった二人であった。
下っ端A、下っ端Bが投げた数本のダーツ、それが再び白煙となろうとする瞬間、それは起こった。

「……全矢掃射」

まるでそれは、意思を持つように、自由に動いたかと思えば、下っ端たちのダーツを砕き、
下っ端達へ襲い掛かった後……彼女達は>>972となるのだった。

欲求不満

アイドルのように派手な服装

まるでそれは、意思を持つように、自由に動いたかと思えば、下っ端たちのダーツを砕き、
下っ端達へ襲い掛かった後……彼女達は欲求不満となるのだった。

「か、身体が突然、熱くなって……な、何、これぇ!」

「だ、だめっす、疼いて疼いて……手が、勝手に動いて!!」

「欲望の念を篭めておいたの。……そのまま、尻穴で遊んでいなさい」

「で、でも、私達の役割は足止めで……だめっす、手が、手がぁぁぁ!!」

「下っ端B! 負けないでっす!! って、私も……やだ、き、気持ちイイっすぅ」

「下っ端B言うなぁ……や、ぁ、あぁぁっ!!」

何故このような状況に、と呆然となった私の足は、僅かに震えていた。
無理も無い、結果的に妙なことにはなってはいるが、それは彼女達の意思で行っているものではない。

羽川舞姫の数本のダーツが光を放ったかと思えば、彼女達は途端錯乱状態に陥ったとしか思えないのだ。
その様子に唾を飲み込み、ただ伺っていた私は、羽川舞姫に気付かれる事になってしまう。

「……沢村、さん……!?」

「こ、これ……どういう事なの? なんで貴女があんな、訳の分からない事をしているの!? というか、何これ!!」

「……ごめんなさい、今は急いでいるの」

彼女は私にそう告げては、逃げるように去っていく。それを追いかける気力も無い私は、
最終的に妙なコトを行う下っ端達を助ける羽目となるのだった――――。

―――― ルールは簡単、相手を痛めつけるだけ。

だが納得がいかない。何故抗争の相手が遷宮寺雅なのかと、俺は叫ぶ。

「お、俺は……こんな勝負、やらない! 何で遷宮寺さんがこんな事を!!」

「……言ったじゃないですか、私は父に代わり第三東京区を取り戻すべく、キューピットを動かす人間だと。
 そう、羽川舞姫は後でたっぷり遊んであげます。でも先に……貴方と勝負し、この土地を頂くのです」

「だからって! 俺と遷宮寺さんはダーツ部の仲間だろう! なのに何故……!!」

「たかが数日程度の仲じゃないですか。……もう面倒です、貴方を>>975にして差し上げます」

大[ピザ]

「たかが数日程度の仲じゃないですか。……もう面倒です、貴方を大[ピザ]にして差し上げます」

寂れた工事現場、そこに彼女の名で呼び出された俺は、突然抗争を行うと宣言された。
いきなりそんな話を持ちかけられた俺は、相手が相手だった為、訳も分からずルールを承諾してしまう。

ルール、抗争の際にどのように勝敗を決するか。そして、それに敗れたものは領地を奪われることになる。
しかし、その抗争相手『キューピッド』のリーダーが遷宮寺雅という事実に驚愕する俺は、身動きが取れないでいた。

「さぁ……大[ピザ]におなりなさい!!」

「く、ピザだろうがクソだろうが知らないが、そんなモンになって堪るか!!」

一本、ダーツが地に刺さる。途端穴が出来上がるのだ。まるで爆薬を積んでいるとしか思えない。
しかし、彼女の狙いは杜撰だった。狙いが適当であり、こちらに直撃するとは思えない。

「さぁ、さぁ、さぁ! さっさとなってくださいな!!」

次々にダーツが地に刺さり、再び穴が出来上がる。何でこんな事が出来るのか、それはダーツが特殊に作られたものであるからだ。
人のPSI能力を引き出す為の特注品。つまりそれはある種の媒体となっている。
そして、ダーツを好む人間達が、それを用いて争いを始めたのが切欠となり、それは武器になってしまった。

「……逃げ回るだけなのですか? それでも、羽川さんに認められた男なのですか?」

「そ、そんな事言われても!!」

「仮にもオリオンのリーダーなのでしょう? なのに逃げ回るだけって、ほんとクソですね、大グソですね!!」

「……頼むから、こんな事はやめよう。遷宮寺さん!」

「……オリオンと、そして羽川さんを痔以上の悲惨な目に遭わすまで、私はやめません!!」

いつしか、距離を詰められた。手を伸ばせば届くくらいにまで縮められたその足元に、彼女はダーツを刺そうとする。
このままだと、足元に大穴が出来てしまう。いや、足元が吹き飛ばされてしまうだろう。

どうする、と防御する姿勢を取った最中、お守りとして持たされたそれはふわっと宙に浮いて……>>977

爆発した

どうする、と防御する姿勢を取った最中、お守りとして持たされたそれはふわっと宙に浮いて……爆発した。
その爆発に巻き込まれる形となった俺もまた、身がふわっと浮いたと思えば地に顔を着ける形となっていた。

耳が痛い、妙な音が鳴っている。まさかふんころがしが突然爆発するなんて。
お守りとして持たされていたそれを手渡したのは、幼馴染の藤堂凛々香だ。

彼女が、それをふんころがしにしたのか、或いはふんころがしを爆薬にしたのか、或いは別の者が行ったのか。
思考が巡る中も、土煙が収まるのを待っていた。彼女は、遷宮寺さんはどうなったかと、固唾を飲んでいた。

「……せ、遷宮寺、さん?」

転がっていた。力なく、人形のように。大きな爆発では無かったが、彼女の目前で爆発したのだ。
怪我を負っていない訳が無いと、何とか立ち上がっては彼女の方へ駆け寄るのだ。

「遷宮寺さん、遷宮寺さん!! 頼む、返事を!!」

「…………卑怯、ですね」

「遷宮寺さん、生きて……」

「卑怯者に触られたくありません。……ふんころがしを持っていた手で触らないでください……、鳥肌が立ちます」

「ご、ごめん……って、そんな事言ってる場合じゃない! 血塗れなんだ、救急車を!!」

「いいえ、結構です……。まだ、勝負は……終わってません!」

「勝負って……、血が出てるんだ、もういいだろう、こんな事!!」

「こんな事……とは、随分ですね……。私は貴方を……軽蔑します」

全身傷だらけで、制服も所々破れ、額や腕、各所から血が流れているというのに、それでも無理に立ち上がろうとする遷宮寺雅。
どうしてそこまでしようとするのだと、俺が膝をついたまま彼女を見上げていた。
再びPSIダーツを手に取り、俺の目前に投げようとする彼女。……それを止めたのは、羽川だった。

「遷宮寺さん。……もう、勝負は終わった」

「ま、まだよ……まだ、私は戦える……!」

「私のダーツが貴女を包囲している。ルールは、貴女を痛めつければ勝ち。ならば、これで決着」

遷宮寺さんを取り囲む数本のダーツ。そして、それでも尚俺にダーツを打ち込もうとする遷宮寺さん。

どちらも止めようと俺が身を挺した結果、>>979

奴が後ろからナイフで刺された

大量のダーツの矢をアンリミテッドブレードワークスのように操る男が

ぎっくり腰に

どちらも止めようと俺が身を挺した結果、奴が後ろからナイフで刺された。
ぐったりと、力なく俺に寄りかかってくる。ふと、彼女を抱きかかえた掌の感触がおかしい事に気がついた。
更に彼女の背から血が流れ、俺の掌にべっとりと感触を与えているのだ。

「せ、遷宮寺さん……!? 遷宮寺さん!!」

「……蒼井君、気をつけて。……ナイフ状のダーツ……!」

「殺傷を目的とするなんて、ダーツを……舐めてるのかよ……!!」

遷宮寺さんを抱きかかえたまま暗がりに居たその存在に向けて言い放つ。
その存在は笑っていた。そして言った。ダーツを、抗争を舐めているのかと、嘲笑った。

「……今回は関係ないでしょう、姉さん」

「いいえ、関係大有りなの。確かに私はフリー、無所属そのもの。だけど、私の部に所属する仲間を弄んだ彼女は、赦されない」

「な、なんだよ、それって!?」

「先ほど、私が旺盛女子の下っ端達に足止めを喰らった。その事を言ってるんだと思う」

「ええ、そうなのよ。酷い話でしょう、お金で彼女達を買ったのよ、この女は」

「だからって……、だからって、遷宮寺さんを刺す事はなかったでしょうが!!」

気付けば絶叫していた。早く、病院に連れて行かないと。気付けば端末を動かし、救急にアクセスしようとしていた。
しかし、それもまた突然割れるのだ。何が起こったのか分からないと、愕然として壊れた携帯端末を眺めていた。

「これは裏社会で行われる、闇のゲームよ。救急車を呼ぼうだなんてさせるわけないじゃない。
 それに……、彼女には死んで貰わないと。遷宮寺雅には……!!」

再び、一本のナイフ状のダーツが飛んでくる。それは一瞬だった。
彼女を本能で庇おうとした俺がダーツを手に持ち行った、それが自分の力、>>983である。

ぬりかべダーツ男

防御無視、装甲貫通

>>983
説明するとぬりかべみたいにダーツも体内に取り込んで無傷。

再び、一本のナイフ状のダーツが飛んでくる。それは一瞬だった。
彼女を本能で庇おうとした俺がダーツを手に持ち行った、それが自分の力、ぬりかべダーツ男である。

名付けるならそうだろう、大地がせり上がり、壁が築かれてはそれが人形のように動き始める。
ゴーレムとも言うべきだろう土塊が、遷宮寺さんを、そして俺を守ってくれたのだ。

「……人形を造れるのですか、貴方は」

「……退いてくれ、羽川の姉さん。……さもなければ、こいつで俺はあんたを[ピーーー]かもしれない」

「あらあら、殺気立って……、良い眼差しですが、舞姫のテレキネシスダーツにも囲まれたようですし、
 この場は大人しく去ると致しましょう。……ですが、覚えておきなさい。これが……抗争なんです」

それは偶然だった。あのダーツバーで貰った特注矢、それがぽろりとポケットから落ちたのだ。
それがぬりかべダーツ男を呼び起こし、的となって俺達を防いでくれた。

この出来事が無ければ、遷宮寺さんは絶命していただろう――――。

―――― 羽川舞姫、彼女は何者なのだろう。
そして、どうして私をダーツ部に誘ったのだろう。私に才能があるから? それとも、あんな出来事に巻き込もうと考えているから?
分からないと、膝を抱えていた。下っ端達を正気に戻し、帰宅しては、先ほどの出来事を思い浮かべる。

「何で……あんな事」

素直に怖かった。恐怖と言う感情って、こういう気持ちを言うのだろうかと、変に考え込んでしまう。
思い出すとまた身体が震えだす。これから、羽川さんにどう接していけば良いのだろう。
ダーツ部、続けるべきだろうか、やめるべきだろうかと悩んでいると、インターフォンの音が鳴る。

夜中三時に来客、警戒しつつそのモニターを眺めていたのだが、誰も居ない。
悪戯だと安堵した瞬間、それは部屋の中に突如現れ、そして……>>987

薬を飲まされ体が縮んだ

ハエ男だと判明

夜中三時に来客、警戒しつつそのモニターを眺めていたのだが、誰も居ない。
悪戯だと安堵した瞬間、それは部屋の中に突如現れ、そして……薬を飲まされ体が縮んだ。

昔から探偵の男の子が主人公のアニメがあり、最近ようやく連載が終わったとされるそれのように、
私は幼くなり、小学一年生レベルにまで戻されてしまう。

油断とはいえ、不意を突かれたとはいえ、想定出来ない次元の話が、突如起こったのだ。

「……悪いが、キミにはオリオンを叩く為の駒となって貰おう」

「お、オリオンって……な、何よそれ!」

「オリオン、羽川舞姫が復活させた抗争グループ。かつては東京を統べる一大勢力だったそれも、
 今となっては構成員がたったの二人。笑えない話だ」

「それを、叩くって……」

「その通り、キミは人質だ。思った以上に彼が強力なのでね……」

クスリの影響なのだろうか、妙な睡魔が訪れる。それでも、何とか元に戻ろうともがくのだ。
じたばたと手足を動かし、その黒服の男から逃れようとする。しかしそれも、短い時間だった。

次第に睡魔に敗れた私は、深い眠りに堕ちる事となる――。

―― 夢を見ていたような気がする。何となくしか思い出せず、おぼろげなそれを掴もうと、頭を回転させていた。
真っ暗な部屋、扉は無い。灯りもなく、目が慣れるまでは随分と時間が掛かった。

その一室だけでしばらくは生活出来そうなくらい、食料の備蓄もあり、トイレ、風呂まで備わっている。
電気も水道も通っているのだが、電灯が一切無い。その真っ暗な中で、する事が無い私は夢を思い出そうとしていた。

まるで未来を予知したような夢だった。一人の少年、三人の少女、そしてそれに集った仲間。
それが、東京を、日本を、世界を救おうと、協力して敵に立ち向かっていく……。

その中の一人が、私だった――。


――――― つづきます

お疲れ様。

このスレ残り少ないけど次スレどうしますか?

なんだか色々と強引にも程がある中で、以上で終わります。
中途半端にスレ残っちゃって申し訳ないです、最近集中力も落ちちゃいまして。

仕事やめて榛名ちゃんお出迎えしたいんですがぁぁぁぁ!!
ともあれ、お付き合いありがとうございました。

次スレは流石に使う時に立てたほうが良いんじゃないかなぁ、と。
先に立てたほうがって言うならば、やっておきますがー。

なら使うときでいいです。◆MOON69mNOA氏もV+にも戻りたいようですし。

うーむ長門狙い撃ちしたいが普通の戦艦レシピだと率凄い低そうなんだよなぁ。
でもこれが出ないとイベント海域クリア出来ないし・・・。

普通の戦艦レシピで長門出した人って結構居るのかな?

ふにー間違えましたすいませんすいません。

▼ファミレスは戦場

 カランカラン、と軽いベルの音が鳴り響くと、店員が砂煙を上げながら客に向かって走りこんでくる。
 白い制服のシャツの上からでも筋肉が分かるほど十分に鍛えられた身体を持つ男は、
 店に入り込んできた客に向かって敬礼して、こう言うのだ。

店員「いらっしゃいませ! たった2人で来るとはいい度胸だな!」

 その脇を駆け抜けるように一人の客が走り抜ける。

店員「てんちょーーっ! 食い逃げですっ! 俺が追います!」
店長「分かった。逃がすなよ、必ず仕留めろ」
店員「了解! 行ってきます!」

 店員が追いかけ始める。
 俺が勤めているファミレスは戦場だった。

友人(>>997)「おい、>>996、客が来たぞーーっ! 今すぐ迎え撃て!」
俺(>>996)「了解っ! >>997、お前には負けないからな」

カルロス・山岸

渡伸輔

渡「おい、カルロス・山岸、客が来たぞーーっ! 今すぐ迎え撃て!」
カルロス「了解っ! 渡伸輔、お前には負けないからな」

 俺達は競い合うようにして、厨房を出る。
 狭い廊下をお互いの肩をぶつけ合いながら走る。

 まずい、ヤツの方がスピードに乗っている! このままでは接客はヤツに取られる!
 ならば、ここは妨害するしかない。

カルロス「くらええええぇぇっ!」

 俺の拳が空を切り、友人の顔面を捉えようとしていた。
 しかし、拳が当たる瞬間、彼は空高く飛んでいた!

渡「甘いぞっ! お前の考えていることはお見通しだ!」

 空中に浮かんだ彼は俺に向かってニヒルな笑みを浮かべる。
 ダメだ、このままヤツに客を任せたら……
 
 任せたらどうなる? >>999

ラテンのノリで陽気に接客

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