士郎「少年ジャンプが聖杯……?」 (190)


気がつけば 僕は/俺は そこにいた。
あるはずのない、終わったはずの世界に立っていた。


いや、事実あの世界は終わったのだ。だから、ここはあの世界でも、あの世界の続きでもないんだろう。
まあ、過去だろうと未来だろうと、並行世界だろうと何も変わりはしない。


唯一つ、問題があるとするのならば。


ここに 僕/俺 という概念が、存在してしまっている事だろう。


僕は世界から僕を消そうとしていた。
俺は世界に俺を存在させようとした。


その 一致/不一致 が、この蛇足を生み出してしまったのかもしれない。



『……まあ、なんでもいいか』



ふと口を開いて出た言葉は、どこか格好つけたような、そんな開き直りの言葉だった。






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……………………




士郎「おーい遠坂ー、朝食ができてるぞー」


朝の7時00分。
昼食をつくり終えた俺は、我が家の離れにいるはずの遠坂を呼びに行った。
いや、正確にいえば呼びに来させられたのだが。


凛「んんー、……」


凛「もうちょっと、……なさいよ……」


部屋の外からの呼びかけに、遠坂は眠たげな声で否定する。
だが俺は、昨晩受けた任務を遂行する為、ドア越しから抗議する。


士郎「いや、遠坂が『朝食できたら呼んでくれ』って言ったんじゃないか」


凛「……………………」


返事を待つが、長い沈黙。
どうやら二度寝したらしい。

さて、この場合はどうしようか。日曜だし、学校もないから無理に起きる必要はない。
それに寝起きの悪い遠坂のことだ、無理やり起こせば不機嫌になるかもしれない。
しかしこのまま起こさなければ後で、「なんで起こしてくれなかったのよ!」という理不尽な責め苦が待っている事だろう。


……なら、無理やり起こしたほうがいいかもしれない。
後から不機嫌になられるのも面倒だし、約束は守ったほうが後腐れがない。


意を決してドアノブを捻ると、ベッドではなく床で眠っている遠坂凛がそこにいた。
スースーと寝息を立てる遠坂の姿は、寝巻ではなくいつもの赤服だった。


凛「ん、んん」


モゾモゾと寝返りを打つ遠坂に近づき、近距離で朝の挨拶をしようとしたその時。
床に散乱している本の中に、見慣れぬ雑誌が混ざっていることに気がつく。
背表紙のタイトルが目に入ると、思わず声に出していた。


士郎「『週刊少年ジャンプ』……?」


疑問形で口に出たのは、その雑誌を知らないからという訳ではない。
その雑誌が、あまりに遠坂の趣向と違っていたような気がしたからである。


しかもよく見ると、その雑誌は1冊でなく、何冊も転がっていた。
どうやら遠坂は、昨日からずっとこれを読んでいたらしい。
一体何の心境の変化だろうか?



凛「ん、んん? うぇええあ!?」


雑誌を訝しげに見ていると、後ろから寝ぼけ声で遠坂が叫び、


凛「ちょ、ちょっと士郎! なに勝手に入ってんのよ!」


士郎「あっだ!?」


あまりに理不尽な鉄拳が、ガツンと俺の後頭部に突き刺さった。
痛みをこらえながら抗議しようとしたが、


士郎「遠坂が、呼べって、言ったんじゃ……」


凛「う、ううううううるさい! いいから早く出て行きなさいよ!」


士郎「は、はい……」


第二の鉄拳が構えられたのを見て、即座に撤退することにした。
だが、やはり気になってしまったので部屋を出る前に聞いておく。


士郎「遠坂、その雑誌……」


凛「でてけーーーーーーー!!」


士郎「おわっ!?」


鉄拳の代わりに飛んでくる雑誌。
週刊少年ジャンプは拳よりも重かった。





ここまで
夜に続き
書きます

あ、昼食→朝食です
失礼しました

というかもし斬魄刀を投影できても刀に認められなきゃ名前教えてくれないし
すごく面倒だと思いましたまる
書けたとこまで投下

……………………



士郎「……遠坂、何か言うことがあるんじゃないか?」


黙々と朝食を食べる遠坂に対し、俺は冷ややかな目線を送る。
俺の額には、理不尽な暴力の痕跡が痛々しく刻まれているのだ。言い逃れはできまい。


凛「……そうね。この煮付け、ちょっと味が濃いんじゃない?」


士郎「お前なぁ……」


凛「何よ。だいたい衛宮くんが、さっさと出て行かないから悪いんじゃない」


士郎「……う、む。それはすまん」


怒るつもりが怒られてしまった。
いやしかし。
さっさと出て行かなかったのも、気になることがあったからであって……。



士郎「そうそう、あの雑誌は全部遠坂が持ってきたのか?」


凛「雑誌? ああ、『週刊少年ジャンプ』の事ね。……うん。その話はちょっと長くなるから、食べ終わってからでいいかしら」


士郎「長くなる? まあいいけど」


何か意味ありげな言い方だが、長くなる話とはなんだろうか。
……また厄介なことに巻き込まれていなければいいのだが。


凛「それより、セイバーはどこにいるの? 朝食の時間にいないなんて珍しいわね」


士郎「遠坂を起こしている間にとっくに食べ終わって、今は道場にいるよ」


凛「そう。じゃあ後でいいから呼びに行ってもらえる? セイバーも一緒に説明したほうが話が早いわ」


士郎「……? わ、わかった」


俺の皮肉は華麗にスルー、そして新たな任務を仰せつかりました。
とはいえ、セイバーも一緒ということは、本当に厄介事の気配がする。
俺は早々に立ちあがり道場へ足を運んだ。

…………………………



セイバー「おや、これは」


士郎「カレンにバゼットじゃないか」


セイバーを呼んで戻ると、いつの間にか"協会からの監督者"カレン・オルテンシアと"元執行者"バゼット・マクレミッツが卓に就いていた。


バゼット「お邪魔しています」


カレン「同じく」


凛「私が呼んだのよ。一緒に説明した方が早いから」


いつの間にか片づけられていた食卓には、1冊だけジャンプが置いてある。
その異様な光景に突っ込むだけの台詞は持ち合わせていないが、只ならぬ雰囲気は感じていた。
バゼットとカレンが同席しているということは、魔術関連の話である事に違いはないだろう。



俺とセイバーは、促されるままに卓に着く。
お茶でも用意しようかと思ったが、それよりも早く話がしたいと断れてしまった。


士郎「それで、話ってのはこの漫画雑誌と何か関係あるのか?」


バゼット「これは……よくコンビニに陳列されている娯楽本のようですね」


凛「そうよ。というかその雑誌、『聖杯』よ」


士郎「…………………………え?」


……はい!?
今何て言った? 俺の聞き間違いか?




バゼット「……聖、杯?」


カレン「……」


セイバー「……ふむ」


聞き間違いじゃないらしいことは、バゼットの反芻で察した。
セイバーは何故か、納得したような顔でうなずいている。
ということはつまりどういうこと?


凛「だーかーらー! その少年ジャンプが、『聖杯戦争』で使われる『聖杯』だって言ってんの!」


士郎「そんなバカな! いや、聖杯は壊したはずじゃ!?」


ジャンプがどうというよりも、聖杯が存在してしまっている事自体がおかしい。
第5次聖杯戦争戦争は、聖杯の破壊をもって終結した。だから、聖杯が破壊されていないということは……。




凛「落ち着きなさい、士郎。聖杯が破壊されたのは間違いはないわ。この聖杯は『あの時の聖杯』の残骸で作られた模造品。ただのパチモンよ」


士郎「模造品……?」


バゼット「その話、順を追って詳しく教えてください」


凛「わかってる。でも、私もちゃんとした経緯はわかってないわよ? あくまでわかっている範囲で話すけど」


士郎「頼む」


バゼット「お願いします」



ここまで
今日あと一回
投下します

雑談はこのSSに関係することだけでお願いします
ここまでの雑談内容は全然おkです
あかんと思ったら>>1が止めるので
荒れるような自治行為は止めてね

悟空や殺先生、DSとかの神外魔境が原作の強さで出たら人の英霊や惑星規模止まりの真祖如きでは打つ手が無くなる。弱体化はどの程度で考えているのでしょうか。

>>35
例えばカカロットが召喚されたとしても、DBで町や人を修復できないから本気では戦えないみたいな
英雄王が本気出せば最強だけど慢心してるから無敵じゃないみたいな
強い=無敵ではないと考えてます
何が言いたいかというと
そんなに細かい事考えないで頭空っぽにしてよんでもらえるといいかなって
             /)
           ///)

          /,.=゙''"/
   /     i f ,.r='"-‐'つ____   こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
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……………………………………


遠坂の話はこうだ。


1週間ほど前から、この街で強い魔力の余波を感じていた。
その魔力のを調査すると、魔力元は柳洞寺地下であることが判明。
キャスターの協力を得て共に魔力元を探した結果、
地下洞窟に落ちていた1冊の雑誌に、強い魔力が宿っていることが分かった。


士郎「その雑誌がこの『少年ジャンプ』か?」


凛「そう。いろいろ調べてみたんだけど、どうやら前回の聖杯と同質の魔力を確認できたわ。どうやったのかはわからないけど、何者かがこのジャンプに聖杯の残骸を無理やり当てはめて、擬似的な聖杯を作り出したみたい」


士郎「そんなことが……」


バゼット「いや、その話は少しおかしくないですか?」


バゼットは顎に手をやりながら発言する。


バゼット「1週間ほど前から魔力の余波を感じていたなら、柳洞寺に住んでいる『キャスター』が気づかないはずがない。気づいていて放置していたのならば、擬似聖杯を作り出したのはキャスターなのでは?」


士郎「た、確かに」


凛「いえ、たぶんそれはないわ。私が初めに話を聞きに行った時、キャスターは何者かによって欺かれていたのよ。『柳洞寺の地下に洞窟がある』という情報が、キャスターは忘れていたらしいわ」


士郎「……忘れていた?」


凛「正確には、『地下洞窟に関する情報を認識できなくなっていた』ね。どういう魔術かしらないけど、キャスターをだますなんて大したもんだわ」


士郎「だから、聖杯の存在にも気付かなかったのか……」


バゼット「にわかに信じがたい話ですね。キャスターが嘘をついている可能性はないんですか?」



凛「私も最初はそう思ったけど、聖杯を見つけた時にキャスターがダメ元で『サーヴァント』を召喚したのよ」


士郎「な……!?」


セイバー「……」


バゼット「なんと軽率な。しかし、なるほど。キャスターが黒幕なら、周りに誰かがいる状態でサーヴァントを召喚などしないでしょう。戦争を始めるには不利すぎる」


凛「ええ。それに、本当に召喚できると思ってないみたいだったわ。まあ、私もどうせ無理だと思ってたから面白半分で傍観してたんだけど……」


士郎「遠坂」


凛「わ、私だって軽率だと思ったけど仕方ないじゃない! あんな形をした聖杯が、ちゃんと聖杯の機能を果たしてるなんて思わなかったんだもん!」


セイバー「凛、それで召喚されたサーヴァントは?」


凛「今は柳洞寺にいるはずよ。ちゃんとキャスターとの主従関係は取れてるみたい」




セイバー「いえ、呼び出されたサーヴァントは何のクラスで、何の英霊だったのでしょうか」


セイバーはまるで、これから聖杯戦争を始めるつもりであるかのように、真剣に情報を促した。
でも確かに、どんな英霊が呼び出されたのかは気になる。


凛「何のクラスかはわからなかったけど、どうやら『週刊少年ジャンプ』のキャラクターらしいのよ。正確には、以前連載されていたことのあるキャラクターだけど」


…………いや、なんだって?


士郎「そんなバカな。漫画のキャラに英霊とかあるのか……?」


凛「知らないわよ。でも、出てきちゃったんだからしょうがないじゃない。その漫画を並行世界とでも捉えるしかないんじゃない?」


カレン「その本が聖杯であることは、この強い魔力から納得することはできます。聖杯の形は、その気になればどのようなものでもなりえますから。しかし、漫画のキャラクターがサーヴァントとなりえるのでしょうか」


凛「並行世界が存在するのなら、って話だけど。それを座として捉えて、ある程度の知名度があれば召喚できるんじゃないかしら」


無茶苦茶だ。



凛「まあ、さっきも言った通り私もちゃんとしたことはわかってないのよ。今わかっているのは、この聖杯はちゃんと起動するし、ちゃんと願望機として機能するって事よ。……まあ、本来の聖杯よりは力は断然劣るけどね」


士郎「劣るって、どのくらいだ?」


凛「一瞬でアインツベルンの城を5、6建てる程度が限界じゃないかしら」


それでも、無茶苦茶な魔力じゃないか。


セイバー「近頃この街で不穏な動きがあるように感じていましたが、まさかそれほどの魔力が……」


士郎「……」


俺は今すぐこの聖杯を壊したい衝動に駆られる。
しかし、まだ詳しいことはわからないし、そもそも聖杯戦争をするかどうかもわからない。
なるほど、バゼットとカレンを呼んだのは今後の方針を決めるためだったのか。


バゼット「面白い。それではその擬似聖杯戦争、私も参加しましょう」


士郎「……っておい!? なに乗り気になってんだアンタ!」


バゼット「すでにキャスターが参戦しているのなら、キャスターはおそらく乗り気になると思いますが? それに、以前の毒された聖杯と違って正しく起動する聖杯ならば、心配するようなことは起こらないでしょう」




士郎「願い自体がヤバイ事だったらどうすんだよ!?」


バゼット「以前ならいざ知らず、今の冬木市に邪な願いを望む魔術師はいないと思います」


た、確かに。いや、だからと言って……。
遠坂はバゼットの発言を意外そうに聞くと、そちらに向いて話し始めた。


凛「あなたが肯定するとは思わなかったけど、確かにキャスターは乗り気ね。もっとも、私が考えたルールを聞いた後では、の話だけど」


士郎「……遠坂が考えたルール?」


凛「もし『聖杯戦争』をするなら私たちできちんとルールを作ろうと思うの」


バゼット「なるほど」


というか、聖杯戦争を行うことはもう決定事項なんだろうか。
遠坂は全体に向き直り、指を折りながら説明する。



凛「1、聖杯戦争中は誰も殺してはならない。2、第5次聖杯戦争のサーヴァントは参戦してはならない。3、異常を感じたら即刻中止。大まかにはこの3つね」


士郎「いやまて、それ3つとも矛盾してないか?」


セイバー「そうですね。サーヴァントを倒さなければ聖杯は起動しないので、『1』と矛盾します。キャスターがマスターとして参戦している時点で、『2』と矛盾するでしょう。そして、強いて言うならばこの状況が異常だ。『3』のルールにのっとって、即刻中止すべきでは?」


凛「……順番に説明するわね。1つ目だけど、キャスターが召喚したサーヴァントが言うには、『サーヴァントが負けを認めた』時点でサーヴァントは魔力を聖杯に残して座に戻るらしいのよ。だから、無理に殺す必要はないってわけ」


士郎「……つまり、今回の聖杯には独自のシステムが作られているってことか?」


凛「どっちかというと、聖杯がジャンプに影響されているって言ったほうが正しいわね」


さすが友情・努力・勝利の代名詞。
ジャンプは騎士道にのっとった聖杯らしい。




凛「2つ目。これはしょうがないわ。キャスターは例外よ」


士郎「遠坂……」


俺はハァっと露骨にため息をついた。
セイバーは何やら納得のいかない表情をしているが、黙って話を聞いている。
それを見た遠坂は、ごまかし顔で言い訳を始めた。


凛「だ、だってもう召喚しちゃったんだもん。いまさらどうしようもないわよ。それに、第5次の時点でもう例外みたいなものだったんだから、今回もその枠でいいじゃない」


キャスターが乗り気なのは、どう考えても自分有利のルールのせいじゃないか。
さっきから聞いていれば、一番乗り気なのは遠坂なんじゃないか?


凛「3つ目! ……異常っていうのは、本格的に危険って感じた時よ。個人で対処できるレベルで止めれればそれに越したことはないけど、聖杯の構造上どんなイレギュラーが発生するかわからないし」


士郎「なら、なおさら止めといたほうがいいんじゃないか?」


凛「もったいないじゃない!」



本音はそれか……。
まあ、そんなことだろうとは思ったが。


凛「ちゃんと願望機として起動して、殺す必要もないなんて願ったりかなったりじゃないの! それを破棄するなんてもったいないわ!」


バゼット「そうですね。そのルールなら特に問題はないでしょう」


セイバー「……」


むしろ問題だらけな気がする。
俺は戦うこと自体反対だし、危険なことは少しでも少ないほうがいいとも思う。
第一、この聖杯の必要性に是非を問いたい。
俺があれこれ悩んでいると、カレンが含んだ笑みで語りかけた。


カレン「ふふ、何やら面白い事になりそうですね。では、私が監督役として立候補しましょう」


凛「参加はしないのかしら?」


カレン「私はどうにも。傍観者という立場があっているようですし、抑止力としては問題ないと思いますが?」


た、確かに。
カレンには実質、ギルガメッシュとランサーという2体の強力なサーヴァントが就いている。
抑止力には申し分ないだろう。



カレン「そうときまれば、私は早々に失礼します。多少、準備と躾けが必要なので」


躾け!? 
いや、気にしないでおこう。ランサーの幸運を祈る。


バゼット「それでは、私も事実確認をしてから帰るとします。何かあれば携帯に電話してください」


カレンもバゼットも、各々納得して帰り支度を始めた。
ちなみにバゼットは、今はこの近くのマンションに住んでいるらしい。
以前ここに住んでいたこともあるが、新たな住処を見つけたあとは迅速に引っ越していった。


凛「携帯!? あ、あんた魔術師のくせに携帯なんて使ってるの!?」


バゼット「……? 魔術師であっても、携帯電話は日常的に利用するものだと聞きましたが? そういえば今日の呼び出しも、魔術を利用していましたね。もしかして携帯を持っていないのですか?」


凛「け、携帯くらい持ってるわよ! ……で、ちゃんと使えるの?」


バゼット「質問の意図はよくわかりませんが、日常で使うことに何の支障もありません」


凛「そ、そう」





士郎「わかった。とりあえず何かあったら電話する」


遠坂の機械音痴については今はどうでもいい。
ただ、この状況の中で俺はどう動くか、どう考えるかを決めておく必要がある。


カレンとバゼットが帰った後、俺はセイバーと遠坂と共に再び卓について話し合った。


士郎「遠坂、この聖杯は破壊しちゃダメなのか? 正直、こんな誰が作ったかもわからないような聖杯を使うのは気が引ける。第一、本当に聖杯なのか? キャスターを騙せるような魔術師なんだから、罠って可能性もあるんじゃないのか?」


遠坂「その可能性はないわ。だいたいキャスターを騙したと言っても、認識をずらされた程度なのよ。私が話した時に魔術は解けたようだしね。解ける前は、まるで『はじめから洞窟なんてなかった』かのような認識になっていたみたいだけど、所詮それが限界だと思うわ」


士郎「目を欺いたのに違いないと思うが……」


遠坂「たぶんそれを作り出した奴、納得のいくものができなかったからあきらめて放置したんだと思うわ。このレベルの願望機なら正直容量の無駄だもの」


遠坂「それに私とキャスターで昨日ずっと調べていたけど、何か仕掛けられているなんてことはなかったわ。一応サーヴァントもひんむいて調べたけどね」


それはそのサーヴァントもお気の毒に……。

しかし、やはり遠坂の行動はいささか軽率すぎる気がする。
もしかしたら遠坂は、俺たちに話してないだけでもっと真相に近い事を知っているんじゃないだろうか。


セイバー「凛、そのサーヴァントの真名はわかりますか? クラスはわからなくても、名から推察できるかもしれません」


凛「あ、そうね。ええっと確か、昨日徹夜で調べたんだけど……」


遠坂はどこからかとり出した手帳をパラパラとめくりながら思い出す。


凛「あったあった。『ドラゴンボール』って漫画の、『ヤムチャ』って奴ね」





……………………………………


          トv'Z -‐z__ノ!_

        . ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
      ,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
    rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|:::  ,.、
    、  ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ   ミ ∧!::: .´
      ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf::::  ~
    r_;.   ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;.
       _  ::\,!ィ'TV =ー-、_メ::::  r、
       ゙ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ:::  ._´
       ;.   :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.::  ,.
       ~ ,.  ,:ュ. `ヽニj/l |/::
          _  .. ,、 :l !レ'::: ,. "
真名:ヤムチャ

登場作品:DRAGON BALL
クラス:???
マスター:キャスター

ここまで
気長に待っててください

サーヴァント(英霊)って人々のイメージによって外観とか能力とか結構左右されなかったっけ?

だとすると「雑魚キャラ」「やられ役」「噛ませ犬」のイメージが強いキャラだと実際の能力高くてもかなり下方修正受ける気がする

タカヤ「よっしゃあああツッ!THE ENDォォ!!」
焛童心亜「あ、迷惑Dethぅー蘇られても 死臭がヒドイ!! ゾンビかっての」
斬「武士らしく!」
吉備真備「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!」
なんていう夢の共演が見れるんですね?

懐かしい名前がぽんぽん出てきてワロタ
いろいろ話題になってるけどもちろん原作基準でアニメは判定されません
セルよりも強いパイクーハンより強いヤムチャなんていません
投下


夜中の柳洞寺では、いつも一人の侍が山門下に腰を掛け、
招かれざる客を待っている。


それは決して自らの意志ではないが、別段気に入らない訳でもない。
月を見上げながら独酌するのもまた風流であるとも考えている。


しかし今宵は侍の他にもう一人。
主に 招かれた/召喚された 戦士が山門の下で腰を掛けていた。


目と頬には修行の傷跡、背中に纏うは師の紋章。
戦士の着こなす橙の胴着は、月夜によく映えていた。




アサシン「……では、女狐の暴君ぶりに乾杯しようではないか」


アサシンのサーヴァント佐々木小次郎は、
乾いた笑いを浮かべつつそんな台詞を投げかけた。


ヤムチャ「暴君マスターに乾杯ぃ!」


それに対し新たに召喚されたサーヴァントは、
半分自棄になりつつも酌された物を飲み干した。
その姿は、すでに戦士の面影もないほど哀愁が漂って見える。
いや、もともと戦士らしくはないかもしれないが。


ヤムチャ「なんで呼ばれた突然、見知らぬガキに全身ひんむかれた上に尋問されなきゃなんねえんだよぉ!」


アサシン「それはなんとも、なかなかの歓迎ぶりだな」


ヤムチャ「おまけにこんな寒空で門の見張りってサーヴァント使いが荒らすぎんじゃねえのか!」


アサシン「いやはやまさしくその通りよ」


佐々木小次郎とヤムチャは同じ主に仕える被害者、もとい従者として、
談話に花を咲かせていた。主に愚痴だが。




アサシン「まあ飲め。酌めば大体のことに諦めがつく。現に、拙者はとうの昔に諦めておる」


ヤムチャ「……心の底から同情するぜ。一晩でもう参ってる俺なんかじゃ、アンタの苦労は想像もつかん」


アサシン「これもまた定めよ。暴君に仕えた者のな」


酒を飲んでもいつも独酌であるアサシンには、この対酌が新鮮であった。
それも、同じ立場の人間と交わす酒などこの時代ではまずあり得ない。
だからこそ、つい口が軽く、悪くなってしまうこともある。


アサシン「全部あの女狐が悪い」


ヤムチャ「そうだ!」


キャスター「へぇ。そう」


アサシン「そうとも」


ヤムチャ「その、通……り……?」


だからこそ、ついぞキャスターの接近に気付かないこともある。




キャスター「ずいぶん楽しそうねぇ、二人とも」


ヤムチャ「いや、それは、その」


アサシン「おお、女狐よ! ちょうど貴様の話をしておった所だ。女狐の暴君ぶりはいくら話しても尽きぬ種故な!」


ヤムチャ「ちょっ」


キャスター「一度死になさい」


ボゴッ。
とても痛々しい音がした後、アサシンは悲鳴を我慢して転げ回った。
ただ、キャスターは何時ぞやの時のように魔術を使わず、実力行使で制裁した。


金的である。


だがやはり痛いのか、アサシンは悲痛の叫びを放った。


アサシン「くっぉおおおおおおおお」


ヤムチャ「うわぁ」



キャスター「で、ライダー。貴方も私に何か言いたいことでもあるのかしら?」


ヤムチャ「いいいいいえいえいえいえ! 何もありませんマスター!」


キャスター「そう。ならいいけど」


それだけ言うとキャスターは、何も気にしてないかのようにさっさと話を切り上げた。
ヤムチャはほっとしつつも、痛々しいアサシンに気が向かないように気持ちを切り替えることにする。
アサシンが未だ転げまわっているが、無視して本題に入った。


キャスター「ちょっと貴方のクラスについて聞きたいことがあるのよ」


ヤムチャ「クラスってライダーのことか?」


キャスター「ええ。端的に言うと腑に落ちないわね」


ヤムチャ「……へえ。ちなみに俺のステータス? ってやつはちゃんと見えてるんだよな」


キャスター「見えてるわよ。だからこそ、貴方がライダーであることが疑問だわ」




ヤムチャのクラスはライダー。
クラススキルである『騎乗』はCで、『対魔力』はE。
ライダーを名乗るにはいささか足りていない気もするが、これだけでは疑問にはならない。


問題は、『気配遮断』A+を持っていることにある。
これは本来暗殺者(アサシン)のクラス特性であり、A+もあれば十分にアサシンを名乗れるだろう。


キャスター「アサシンもそうだけど、貴方の宝具を見ればアーチャーだって名乗れると思うわ。その中で、なぜライダーとして召喚されたのかと考えるとどうしても腑に落ちないのよ」


ヤムチャ「そりゃまあ、ステータスだけ見ればそう見えるのは仕方ないよな」


キャスター「何か特別な理由でもあるの?」


ヤムチャ「理由っていうほどでもないかもしれんが、心象の問題はある」


アサシン「ほう。なかなか興味深い」


いつの間にか元の位置に座っているアサシンを横目で見ながら、ヤムチャは自らを話し始めた。


ヤムチャ「まず俺がアサシンにならん理由としては、俺が『亀仙流』であることに起因する。」




ヤムチャ「俺の師匠は身体だけじゃなく、精神の育成にも主眼を置いていた。俺は今でもあのエロじじ……いや師匠の言う通り、力の悪用はしないと決めているからな。アサシンが言葉通りの役職じゃないことは分かっているが、心象的に拒んじまってるらしい」


アサシン「……師への敬意か」


ヤムチャ「まあ、そんなもんだな」


キャスター「じゃあ、アーチャーは? アサシンと違って立派な三騎士じゃない」


アサシン「……」


ヤムチャ「うーん、それはなぁ」


今度は少し言い渋っていたが、諦めて開口する。




ヤムチャ「俺の宝具は確かにアーチャーを名乗れるくらいのものはあると思う。自分で言うのもなんだけどな。でも、俺の世界ではこの宝具をもっと強力に、もっと自由に扱えるやつがうじゃうじゃいたんだよ」


キャスター「……それは、とんでもない世界ね」


ヤムチャ「俺もそう思う。まあ、そんなんだからこの宝具は俺にとって特別であっても、自信があるわけじゃなかった。たぶん、アーチャーにならなかったのはそのせいじゃねえかな。心象がそこまで関係あるかわかんねえけど」


キャスター「ふーん。でもそれじゃあ、ライダーになった理由はどうなのよ。まさか消去法?」


ヤムチャ「半分はそうじゃねえかな。『ファイター』みたいな分かりやすいクラスがあればよかったんだが……。でもまあ、俺がライダーとして扱えるものは割と多いから大船に乗った気でいろ」


ニヤリと笑ってそういうと、ヤムチャはポケットからカプセルケースを取り出した。
ケースには『ホイポイカプセル(CC)』というラベルが一つ。
この中に、おそらくは未来の技術が詰まっているのだと、ライダーは得意げに言ってのけた。





ここまで
お休みなさい

うーっす
感想サンクス
投下します

翌朝、俺はいつもの時間に目が覚めた
そしていつも通りに台所へ向かい、朝食の準備を始める。


しかしそこには、すでに先客がいるらしい。
部屋に入ると、台所からトントンという軽快な音が聞こえた。


士郎「おはよう、桜。今朝は早いな」


そういえば今日は桜が朝食を作ってくれる日だった。
などと考えながら、料理の邪魔にならないように注意して台所に入る。


桜「あ、おはようございます。先輩」


笑顔で挨拶を返す桜。
俺は桜の隣に立ち、朝食の準備を手伝い始めた。


いつも通りの朝。
ああ、こんなに平和な朝なのに。


聖杯戦争はまた、始ってしまうらしい。


昨日は結局、俺の意思も決まらないままに話は終わってしまった。
遠坂は『桜には私から話しておくわ』とだけ言い残し、さっさと家に帰っていった。
あの様子だと遠坂は、サーヴァントを遠からず召喚するだろう。


だけど俺は、未だにどうするのかは決めてない。
正直戦うのは反対だ。
だが、すでに始まってしまっているのならば。
『戦いを終わらせるために戦う』という選択肢もあるのかもしれない。


士郎「桜、遠坂から話は聞いてるか?」


料理がひと段落ついたところで、俺は話を切り出した。


桜「話……って、聖杯戦争の話ですよね」


桜「はい。昨日姉さんから聞きました。急な話でびっくりしちゃいましたけど、ライダーは何となく察してたみたいです」


士郎「ライダーもか。セイバーもそんな感じだったな」


桜「じゃあやっぱり、本当に始ってしまうんですね……」


士郎「……そうらしいな」




桜と状況を確認することで、この唐突な聖杯戦争は余計現実味が増してきた。
桜はこの奇妙な争いをどう思っているのだろうか。
そして、この戦いにどう向き合うのだろうか。


桜「私は、今回の聖杯戦争に参加する気はないです」


桜「姉さんは前ほどの危険はないって言っていましたが、そうは思えません。それに、私には聖杯でかなえたい願いはないですから」


桜はいつもの笑顔でそう言った。
ああ、良かった。
遠坂があんなんだから少し心配していたが、桜はいつもの桜らしい。


桜「先輩はどうするんですか? 姉さんは何も言っていませんでしたが」


士郎「……俺は――――」


『まだどうするか決めていない』と言い切る前に、ピンポーン、と呼び鈴の音が響いた。
こんな時間に誰だ?
藤ねえなら呼び鈴を押さずに入ってくるだろうし、他に思い当たらない。


士郎「ちょっと出てくる。朝食任せちゃっていいか?」


桜「あ、はい。……先輩、一応気を付けてくださいね」


士郎「……ああ」


状況が状況だ。
もしかしたら聖杯戦争に参加する奴かもしれないし、用心はしておいたほうがいいだろう。


玄関に行くまで少し間があったが、来訪者は2回目の呼び鈴を鳴らすことなく待っていた。
つまり遠坂という線は薄い。
じゃあ、一体……。


用心しながら扉をあけると、そこには少し、意外な相手がいた。
第5次聖杯戦争での、弓兵のサーヴァントだ。


アーチャー「…………」


いつもの赤い外套は身につけず、明らかに私服ととれる黒いシャツ。
そんな恰好でなぜか、神妙な面持ちで黙っている。


士郎「……何しに来たんだよ。こんな状況なのに、遠坂の所にいなくていいのか?」


アーチャー「時間がない。単刀直入に用件だけ言うぞ」


士郎「……え?」


アーチャーは俺の疑問には答えない。
代わりに、


アーチャー「衛宮士郎。未だサーヴァントを召喚していないなら、さっさと召喚してしまえ」


なんて、突拍子もないことを言い出した。

……は?
何を言ってるんだこいつは?


士郎「なんだってそんな事、しかもお前に言われなきゃいけないんだよ」


アーチャー「今回の聖杯戦争、1から10まですべてがおかしい。何者かが裏で糸を引いているのは間違いないだろう」


アーチャーはまたも俺の疑問をスルーして淡々と話す。
なにか重要なことを知っているようにも見えるが、焦りのほうが断然大きいらしい。
こいつがここまで焦っているのも珍しいし、とりあえず話だけは聞くことにした。


士郎「……まあ、この聖杯戦争がおかしいのはわかるけど」


アーチャー「普段の遠坂凛なら、危機感を抱いて慎重に動くであろう事案だ。だがなぜか、彼女はこの可笑しな現状に危機感を抱いていない」


士郎「遠坂が?」




……確かに昨日の遠坂は、軽率な行動と言動が目立っていた。
だがそれは、遠坂が聖杯戦争に関するもっと詳しい情報を知っているからじゃないか?
だからこそ、大胆に行動もできるって訳で。


アーチャー「貴様にはそう見えたのか?」


アーチャー「私には、まるで危機感そのものが欠如しているかの様に見えたがね。私の注意に聞く耳を持たない程に」


士郎「……!」


危機感そのものの、欠如?


士郎「それって、遠坂が魔術で操られてるってことか!?」


そんなこと考えもしなかった。
……いや。
よく考えたらキャスターをも欺く魔術師がいる時点で、
その可能性を危惧すべきだったのかもしれない。




アーチャー「さてな。少なくとも、普段の『冷静な彼女』ではない事は確かだろう」


アーチャー「とにかく、迷っているなら貴様は聖杯戦争に参加しろ。いつ現れるやもしれん見知らぬ魔術師が、サーヴァントを召喚してしまう前にな」


アーチャー「いや、もしかしたら既に……」


アーチャーはそこで言葉を切り、背中を向ける。
そういえばさっき、『時間がない』と言っていたが……。


士郎「お前はこれからどうするんだ?」


アーチャー「……」


アーチャーは答えない。
そのまま、道を探すように歩きだし、


アーチャー「衛宮士郎。問題を解決したければ、この現状をより理解しろ」


士郎「お、おい!」


唯一つ、言葉を残して。
振り返ることなく去って行った。








……………………………




その頃。

とある屋敷の地下部屋にて。
今回の聖杯戦争における五体目のサーヴァントが呼び出されていた。


呼びたしたのは老人だが、マスターは偽臣の書を持って代行する少年である。


慎二「……はは、あははははは! なんか強そうな奴が出てきたじゃんか! これは僕の時代が来たんじゃない?」


呼び出されたサーヴァントはそれを聞き、少年を見た。
いや、見下した。
見下しつつも問いただした。




「問うぞゴミ虫。貴様が吾輩の下僕(マスター)か?」


慎二「そうさ! この僕がお前のマスタ……え? 今ゴミ虫って言った? 僕の聞き間違いだよね?」


「フン、何かに導かれたと思えばこんな虫ケラとはな。まだ、どこぞのドラム缶の方がマシかもしれん」


慎二「む、虫けら!? お前本当に僕のサーヴァントか!?」


「忌々しいことにそうらしいな。……ふむ。クラスではキャスターとでも名乗りたいところだが、聖杯戦争において通常は人ならざる者は召喚されんらしい。例外として『ビースト』とでも呼ぶがいいい」


慎二「れ、例外? 人ならざる……?」


従者を理解できない少年と、状況を説明できない老人を無視して、サーヴァントは好き放題に解釈する。




「行くぞ下僕。吾輩が求めるものは如何なる時も唯一つ」


慎二「下、下僕!?」


そういうとビーストのサーヴァントは、少年の頭をつかんで外に繰り出した。
このサーヴァントが求めるものは、すでに意識の中にあるらしい。




「この聖杯戦争、謎の匂いがする」







ここまで

…………………………


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 `ー- L、
      `丶、
`丶、     ``てヽ、

真名:ネウロ
登場作品:魔人探偵脳噛ネウロ
クラス:ビースト
マスター:間桐慎二(代理)

すまん忘れてた
今から書くでござるよ
昼に更新するでござるよ

アーチャーが出て行った後居間に戻ると、料理はすでに完成して並べ終わっていた。
すでに食卓にスタンバイしているセイバーが俺の姿に気づくや否や、挨拶しつつも催促してくる。


セイバー「おはようございます、シロウ。早く食べましょう」


士郎「あ、ああ。そうだな」


さっきの玄関先での会話を、ここで話すべきだろうか。
食卓にはセイバーの他に、桜、ライダー、イリヤが付いている。
話すタイミングがいつなくなってしまうかもわからないし、相談するなら今かもしれない。
これからの方針を決める上でも、これ以上問題の先延ばしはできないだろう。


……あれ? イリヤ?
なんでイリヤがいるんだ?


今日起きてから今まで一度もイリヤの姿を見ていなかった。
そして、来客はさっきのアーチャーだけ。
イリヤが家に来るタイミングなんてあっただろうか?



士郎「イリヤ、いつの間に来てたんだ?」


イリヤ「さっきよ。おはよう、シロウ」


士郎「さっき……?」


桜「あれ? そういえば私が気付いた時にはもう居間にいましたけど……」


ライダー「私が居間に入った時には既にいましたね」


セイバー「先ほど塀を乗り越えてくるのは見ました」


士郎「じゃあ誰も見てないん……いや、え? セイバー今なんて言った?」


セイバー「……? 『早く食べましょう』と言いましたが」


士郎「いやそっちじゃなくて!」



イリヤ「塀を乗り越えてきたのを見たって言ったのよ」


士郎「ああ、なるほど。……ってなんで塀から!? 危ないじゃないか!」


イリヤ「平気よ。バーサーカーに頼んだら簡単だったわ」


士郎「そういう問題じゃないだろ……。行儀悪いから玄関から入りなさい」


イリヤ「はーい」


不満そうにも一応頷くイリヤ。
一歩間違えれば泥棒と間違えられかねないリスクを本当にわかってくれたんだろうか。
……待てよ? 
『バーサーカーに頼んだ』ってバーサーカーも一緒に来てるのか?


セイバー「シロウ。早く食べましょう」


士郎「あ、ああ、ごめんな」


セイバー「それでは、いただきます」





早く食べたいのはわかるが、塀から侵入してくるイリヤに注意くらいはして欲しいなぁ……。
そんな俺の不服も知らず、満面の笑みで食べ始めるセイバー。
今日も衛宮家は平和です。


桜「多めに作っておいて良かったです。イリヤさんもどうぞ」


イリヤ「ありがとう桜。せっかくだから頂くわ」


こっちはこっちで何事もなかったかのように食べ始めてるし!
……まあ話は食べ終わってからでいいか。
そういえば藤ねえの姿が見当たらないが、今日は寄らずに学校に行ったんだろうか?


桜「藤村先生ならさっき電話がありましたよ。テストの採点忘れたから先に行くと」


士郎「藤ねえ……」


…………………………………………………




イリヤ「ねえシロウ。今回の聖杯戦争参加するの?」


食事がひと段落ついたところで、イリヤは本題を口にする。


士郎「……やっぱりその件で来たのか。というか、イリヤも知ってたんだな」


イリヤ「リンから聞いたのよ。ずいぶんと雑な説明だったけどね」


士郎「もしかしてイリヤも乗り気なのか?」


イリヤ「私は、リン程乗り気じゃないわ」


はあ、よかった……。
その言葉を聞いて安心したよ。
イリヤも桜同様、戦う意思はないらしい。


イリヤ「特にイヤとも思ってないけどね。私が聖杯って訳じゃないもの」


士郎「……イリヤ」




イリヤ「ま、そんなことはどうでもいいわ。それよりシロウ、聞きたいことがあるの」


士郎「聞きたいこと?」


イリヤ「『今回の聖杯戦争』で、シロウに令呪の予兆は現れた?」


――――令呪。


聖杯戦争において、聖杯から認められた者に宿る証。
自らが呼び出したサーヴァントを御する絶対命令権。
……そして、自分とサーヴァントをつなぐ絆である。


第五次聖杯戦争でセイバーを呼びだす前には、俺の左手の甲に令呪の予兆である『聖痕』が現れていた。
だが、今回始まった新しい聖杯戦争で俺に聖痕は……。


士郎「……現れてないな」


そういうとイリヤは、「やっぱりね」と言ったように頷いた。




士郎「もしかしてイリヤには現れたのか?」


イリヤ「いいえ。もともと持ってるのだけよ」


士郎「……それって、俺達に資格がないってことじゃ」


イリヤ「私たちに資格がないっていうより、誰にも資格は必要ないんじゃないかしら」


誰にも?
と、俺が意味を問いただそうとする前に、今まで黙って聞いていたセイバーが口を挟んだ。


セイバー「必要ないとはどういう意味です、イリヤスフィール。マスターは聖杯によって選ばれるはずだ」


イリヤ「普通はね。でも今回の聖杯戦争、ルールも資格もないのよ。魔術師ならだれでもサーヴァントを召還できちゃう、早い者勝ちってわけ」


セイバー「そんな、馬鹿な」


イリヤ「だってそうじゃなきゃ、私に聖痕が宿らないわけないもの」




……確かに。
イリヤは見た目こそ幼いが、アインツベルンの魔術師だ。
単純に聖杯がマスターの資格を分配するなら、イリヤに渡らないはずがない。


士郎「いや、それが本当ならやばいんじゃないか? もし知らない魔術師に知られたら――――」


そういえば、さっきアーチャーは言っていた。
見知らぬ魔術師が、サーヴァントを召喚してしまう前に、と。
あの言葉は、そういう意味だったのか。
……アーチャーは一体どこまで情報を掴んでいるんだ?


イリヤ「それでもう一度聞くわね、シロウ。シロウは聖杯戦争に参加するの?」


イリヤは先ほどの質問を繰り返した。
しかし、先ほどとは質問の意図は違うだろう。


イリヤが聖杯戦争のシステムを俺に教えた理由。
その上で、参加するか否かを問う理由。
それは、この聖杯戦争を俺に止めて欲しいからじゃないだろうか。




セイバーは俺の考えていることを察したのか、すぐさま提言する。


セイバー「シロウ。リンの言うルールでは、私の参戦は難しい。戦いを止めたいのであれば、聖杯戦争に参加せずに介入すべきです」


イリヤ「そんなことして、他の陣営が黙って見てると思う?」


セイバー「ですが!」


イリヤ「シロウ。あなたがこの聖杯戦争を納めるために戦うなら、私も協力してあげる」


士郎「……協力?」


イリヤ「うん。シロウが勝ち残れるように、私がたすけてあげる」


セイバー「……!」


……そうか。
イリヤはそのために来たんだな。
確かに、現状をもっと把握するには1人でやるよりも協力したほうが良いに決まっている。


でも、駄目だ。


それではイリヤも戦うことになってしまうから。
戦うのなら、俺一人でやるべきだ。




イリヤ「何言ってるの? 私は戦わないわよ?」


……あれ?
でも協力するって……。


イリヤ「協力って言ってもいろいろあるでしょう? 私が協力するのは……」


ピンポーン


と、イリヤのセリフを遮るように呼び鈴が鳴った。
今日3人目の来客だ。
いくらなんでも多すぎないか?


俺が少し戸惑っていると、今まで黙っていた桜が立ち上がった。


桜「あ、わ、私出てきますね」


ライダー「待ってください桜。……士郎、サーヴァントの気配です」


……!




士郎「わかった。桜、俺が出る。もしかしたら、知らない奴かもしれない」


桜「そ、そうですね。……先輩、気をつけて下さい」


士郎「ああ」


セイバー「私も行きます」


士郎「イリヤ、ちょっと待っててくれ」


俺はそれだけ言い残すと、玄関に向かった。
今度はセイバーもついてきているが、戦闘になるとは限らない。
相手が新たに召喚されたサーヴァントだとしても、こっちはまだ新たなサーヴァントはいない。


それに、知り合いの誰かがアーチャーのように尋ねに来ただけかもしれないし。


そんな軟い考えを持ちながら扉の前まで来ると、今度は大きな呼び声が発せられた。


「たのもーーーーーーー!!」


……知らない声だ。



ここまで
済まぬ
忙しいから更新なかなかできぬ
済まぬ

見てる人いないかもしれないけど生存報告に来ますた
ついでに人生初めてのお祈りメール貰った報告
はたして>>1は就職できるのか!?
このSSを完結させることはできるのか!?
やめて!このSSを書くだけの気力はもう0よ!
次回、「>>1 死す」デュエルスタンバイ!

ほんとすまん

落ち着いたので近いうちに再開します
保守ありがとう

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