【デレマスss】クラリスと亜季の中華な夜 (25)

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女子寮:ラウンジ

亜季「……」

亜季(暇であります……)

亜季(スケジュールの都合で早上がりしたものの、女子寮にはまだ誰1人として帰っておらずP殿もまだ仕事……)

亜季「……はぁ」

クラリス「どうかされたのですか? 溜息を吐いては幸せが逃げてしまいますよ?」スッ

亜季「く、クラリス殿!? いつの間に後ろに!?」ビクッ

クラリス「つい先程。それより、何かあったのですか? 私で良ければお話を……」

亜季「ああいやいや! ただ単に暇で暇で仕方なかっただけですよ! そんな悩んでるとか、何か不安だったとか、そういう訳ではありませんのでご安心を!」アセアセ

クラリス「あら、そうだったのですか。安心しましたわ」

亜季「……! そうだクラリス殿、今夜は私と一緒に出掛けませんか? 良い店を知ってるんですよ!」

クラリス「ご一緒しても良いのですか?」

亜季「ええ勿論! 先程も言ったように暇でしたし、クラリスとは一緒に出掛けた事がなかったと記憶してますから、交流を深める良い機会でもあります。どうですか、クラリス殿?」

クラリス「ふふっ、喜んでご一緒させて頂きますわ♪」

亜季「決まりですね。では早速行きましょうか、クラリス殿!」

都内某所:個人飲食店の前


亜季「ここが私オススメの料理店、その名も "中華厨房大和" であります!」ババーン!

クラリス「あら、亜季と同じ名前なのですね」

亜季「いやあ、驚きましたよ。この店を見つけた時、ちょっと運命を感じましたね。それで思わず店に入ってしまったのですが、これがまた絶品で……もう頬っぺたが落ちるかと思いましたよ!」

クラリス「まあ、それは楽しみですわ♪」ワクワク

亜季「存分に期待していて下さい、その期待を超える美味さですから! さあ、入りますよ」ガチャ

店員「いらっしゃいませ! お好きな席へどうぞー!」

亜季「なかなかに小洒落た内装でしょう?」テクテク

クラリス「はい。オリエンタルな雰囲気で、素敵です」テクテク

亜季「なんでも店主の奥さんがインテリアコーディネーターの資格を持っているそうで、内装には拘りがあるらしいですよ……っと、この席にしましょうか」ガタッ

クラリス「そうですね。入り口からは見えない場所ですから見つかり難いでしょうし、ここが良いですね」ガタン

亜季「んしょっと、ふぃー……。あ、これ、メニューであります」サッ

クラリス「ありがとうございます。……見た事の無い名前の料理がありますね」ペラッ

亜季「ここは個人飲食店の割にはメニューの種類が随分と豊富ですからね。この "雲白肉(ウンパイロウ)" や "油淋鶏(ユーリンチー)" なんかは某チェーン店には置いていないメニューですよ!」

クラリス「そうなんですか? ではその、 "うんぱいろう" ? と "ゆうりんちー" をお願いします。他には、どんな料理がオススメなのですか?」

亜季「そうですね……やはりあんかけ焼きそばでしょうか。大きめの具がたっぷり入っていて食べ応えがありますし、少々濃い目の味付けも相まって食べ始めたら止まらない美味さですよ!」

クラリス「本当ですか? でしたらあんかけ焼きそばも頼みましょう。それに餃子6個と小籠包に春巻4個、 "回鍋肉(ホイコーロー)" と "青椒肉絲(チンジャオロース)" と、あと麻婆茄子も……」

亜季「ちょ、ちょっとちょっとクラリス殿!? そんなに頼んで大丈夫ですか?」

クラリス「大丈夫ですよ、亜季さん。私はこれでも結構食べる方ですから」フフ-ン♪

亜季「いやしかし……」

クラリス「あ、この "棒棒鶏(バンバンジー)" も頼みましょうか。それとウーロンハイも…… 」

亜季(ほ、本当に大丈夫なのでしょうか? いざとなれば私が……あーでもこの量はちょっとキツイかも……)ウーン

ーーー
ーー



クラリス「これで、お料理は全部出揃いましたか?」

亜季「ですね。何に乾杯しますか?」

クラリス「では…… "私たちの出逢いに" なんてどうでしょうか?」

亜季「おお、それは良いですね! 是非それにしましょう」

クラリス「それでは…… "私たちの出逢いに" 」
亜季「"私たちの出逢いに" 」


「「乾杯」」カチン

亜季「さて、何から食べましょうか?」

クラリス「どれも美味しそうで、迷ってしまいますわ」

亜季「むむ、確かにそうですね……ではまず、雲白肉からいただきましょうか」

亜季「雲白肉はごく薄く切った茹で豚肉ときゅうりに、ニンニクの効いた辛味たれを掛けた料理であります。こちらですね」

クラリス「ありがとうございます。では……いただきます、はむっ」

亜季「いただきます、あむっ」

クラリス「これは……ピリッとした辛さとニンニクの風味がごはんに合いますね」モグモグ

亜季「酒の肴なんかにはちょうど良い味ですね。因みにですが、この雲白肉は割と簡単に作れますから機会があれば作ってみては如何です?」モグモグ

クラリス「まあ、それは本当ですか?」

亜季「ええ。なんでしたら、今度私が今度作って差し上げましょうか?」

クラリス「是非、お願いいたします」

亜季「お任せあれ! この店に負けないくらい美味しい雲白肉を作って見せましょう!」

クラリス「ふふっ、楽しみですわ♪」

クラリス「あら、もう無くなってしまいましたわ……」

亜季「では次の料理に移りましょう。次は……油淋鶏にいましょうか。油淋鶏は、こちらであります」

クラリス「これは、唐揚げ……でしょうか?」

亜季「そうですね、若鶏の唐揚げに甘めの酢醤油と刻んだ長ねぎを載せた料理であります」

クラリス「あむっ……これはごはんが進む味ですね」モキュモキュ

亜季「付け合わせのレモンを搾ると、また味が変わって良い感じでありますよ」ムグムグ

クラリス「はむっ、酸味が加わってよりサッパリとした味になりましたね」モキュモキュ

亜季「油淋鶏も簡単に作れますから、是非お試しを」

クラリス「なんだか料理番組の様な紹介の仕方ですね」モッキュモッキュ

亜季「さて、次は棒棒鶏を食べましょうか」

クラリス「心なしか、他のお店のものよりもたれが赤い様な気がしますが……」

亜季「この店で出しているのは日本で一般的な棒棒鶏ではなく、本場の四川料理の棒棒鶏ですからね。かなり辛いと思いますよ」

クラリス「はむっ……! こ、これは、確かに辛いですね……」ムグムグ

亜季「ですが、辛さに胡麻の風味も相俟って非常に美味ですね。辛いけどもっと食べたい、そう思わせる絶妙な辛さ加減が癖になる一品であります」モグモグ

クラリス「はふぁ、お箸が止まりません……!」モグモグ

亜季「この棒棒鶏も、胡麻ドレッシングなどを使えば簡単に作れますよ!」

クラリス(そういえば、そろそろドレッシングが無くなりそうだった気が……)モグモグ

亜季「さて、そろそろあんかけ焼きそばにいきましょうか!」

クラリス「亜季さんが太鼓判を押すあんかけ焼きそば……ふふっ、待ちきれませんわ♪」

亜季「いざ、ご賞味あれ!」

クラリス「では、はむっ……!」

亜季「どうでありますかクラリス殿!」

クラリス「濃い味のあんが、焦げ目がつくまでに焼かれた麺と良く合いますね。噛めば噛む程、口の中であんと麺が絡んで……これだけでもずっと食べていたい程です」モッキュモッキュ

亜季「そうでしょうそうでしょう! ですが、このあんかけ焼きそばの真骨頂は具と一緒に食べた時です。さあ、お好きな具と一緒に食べてみて下さい!」

クラリス「では、たけのこと一緒に、あむっ……! あんと麺に、たけのこの食感が加わって更に美味しく……!」モグモグ

亜季「私は小松菜と一緒に、はむっ……んむ、やはりこのパリパリモチモチの麺とシャキシャキとした小松菜のコンボは癖になる美味さであります!」モグモグ

クラリス「ふぁ、どの具材と一緒に食べてもお口の中が幸せです……神よ、この様な素晴らしい料理に出会えた事を感謝します……」ホワホワ

亜季「満足するのは早いですよクラリス殿! 餃子焼売エビチリエビマヨ、麻婆茄子に回鍋肉に八宝菜に青椒肉絲などなど! この場に残っている料理は全て有名店に勝るとも劣らない味ばかり! ここで満足されては困ると言うものであります! 今夜は私が奢りますから、じゃんじゃん食べて下さい!」

クラリス「そんな、奢るだなんて……この様な素晴らしいお店を紹介して頂いたのですから、私もお支払いますわ」

亜季「いやいや、クラリス殿を誘ったのは私なのですからここは私が払うのが道理であります」

クラリス「ですが……」

亜季「ではこうしましょう。ここは私が奢りますから、クラリス殿は時々で良いので私に付き合ってください。ね?」

クラリス「……分かりました。亜季さんがそう言うのでしたら、ここは亜季さんにお任せいたします」

亜季「はい、任されました!」

クラリス「それと、私はお誘い頂けたらいつでもお付き合い致しますから、遠慮せずに声をかけて下さいね?」

亜季「本当でありますか!? これは早速デートプランを練らなければなりませんね……」

クラリス「まあ、デートだなんて……」

亜季「クラリス殿の様な美しい女性と何処かへ出掛ける事が出来る……これをデートと言わずしてなんと言いましょうか!」クワッ

クラリス「う、美しいだなんてそんな……煽てても何も出ませんよ、亜季さん」テレテレ

亜季(この初々しい反応……どうやらクラリス殿は、この手の言葉は言われ慣れてない様ですね。顔を赤らめてモジモジとしている姿がまたなんとも可愛らしい……)

亜季「そんなに照れなくとも良いではありませんかクラリス殿。事実を言っているだけなのですから」

クラリス「ぅ、あ、亜季さんはお上手なのですね……」テレテレ

亜季(カワイイ)

ーーー
ーー



クラリス「ご馳走様でした」

亜季「ご馳走様でした。いやぁ、随分食べましたね」

クラリス「そうですね。どの料理もとても美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまいました」

亜季「クラリス殿の食いっぷりはなかなかでした。見てて気持ち良いくらいですよ」

クラリス「お恥ずかしいですわ」

亜季「さて、そろそろいい時間ですし帰りましょうか」ガタン

クラリス「あまり遅くなっては心配をかけてしまいますものね」ガタッ

亜季「すみませーん、お会計おねがしまーす」

<ハーイ!

クラリス「今日はありがとうございました。この様な素晴らしいお店に連れて来てもらってお支払いまでしていただけるなんて」ペコリ

亜季「なんのなんの! クラリス殿に付き合ってもらえるだけで充分どころかお釣りが来ますよ! こちらこそ、ありがとうございました」

店員「お待たせ致しました!えー……合計で三万四千六百円です!」チーン

クラリス「あら、随分とお安いのですね?」

亜季「安さもここの魅力の一つでありますからね」チャリン

店員「ありがとうございましたー!」

亜季「ご馳走様でしたー」ガチャ

クラリス「ご馳走様でした」パタン

亜季「ん〜、夜風が気持ち良いですね……」スタスタ

クラリス「あまり夜風に当たっていると風邪を引いてしまいますよ、亜季さん」スタスタ

亜季「大丈夫ですよ、クラリス殿。新年早々風邪を引くなんて無様は晒せませんからね、ちゃんと弁えていますよ」スタスタ

クラリス「本当ですか?」スタスタ

亜季「本当ですよ、クラリス殿。私の言葉はそんなに信用出来ませんか?」スタスタ

クラリス「いえ、そのような訳ではないのですが……その、失礼ですが亜季さんはお風呂上がりに髪も碌に拭かず、薄着のまま過ごしていそうなので……」スタスタ

亜季「」ギクッ

クラリス「……亜季さん?」

亜季「い、いやだなぁクラリス殿、流石にそんな……」

クラリス「亜季さん?」ムー

亜季「いやぁ、えっと、その……ごめんなさい。あ、でもクラリス殿に看病されるのなら風邪を引いても良いかなー、なんて……」タハハ

クラリス「もう、調子の良い事を言って誤魔化そうとしても駄目ですよ、亜季さん」

亜季「はい……」

クラリス「お風呂から上がったらきちんと髪を拭いて、温かい格好をして下さい。何かあってからでは遅いのですから」

亜季「了解であります」

クラリス「絶対ですよ?」

亜季「絶対です! 約束は必ず守りますから、ご心配無く! 」

クラリス「それなら良いのです。さあ、身体が冷えてしまう前に帰りましょう。帰ったら、私が紅茶を淹れて差し上げますわ♪」

亜季「本当ですか? クラリス殿が淹れる紅茶は美味しいと評判ですので、楽しみであります!」



亜季(クラリス殿……。もう少し硬い人物かと思っていましたが……話しやすくて可愛らしい、歳相応の女性でしたね。これは次にクラリス殿と出掛けるのが楽しみであります!)





おわり

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