みずき「後輩と思い人が付き合っててつらい」【パワプロ】 (62)


聖「みずき、待たせてすまない」

みずき「ん、聖から遊びのお誘いなんて珍しいね。こうしてゆったり話すのって久々じゃない?」

聖「そうだな。最近はお互い練習で忙しかったからな」

みずき「どうしたの?なんか話したいことがあって呼びだしたんでしょ?」

みずき(ま、どうせパワプロくんのことでしょ。好きだってことに気付いてないとでも?)ニシシ

聖「えっと…だな」

みずき「ほらほら、お姉さんに話してみなさいな」

みずき(さんざんからかい倒してやろっと)

聖「…昨日、先輩に告白したんだ」

みずき「……」

みずき「うぇえ!?」ガタッ

みずき(さ、先を越された!まさか聖がそんな行動を起こすなんて…!)ガシッ

みずき「そ、それで!?」グイグイ

聖「お、落ち着けみずき」ガクガク

みずき(落ち着いてなんかいられないっての!)

聖「つ、付き合うことに、なった」カアア




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以下回想(聖)

パワプロ『ごめんね聖ちゃん。こんな遅くまで付き合わせちゃって』

聖『気にするな。バッテリーなんだから当然だ』

パワプロ『うん、ありがとね』

聖(先輩と二人きりだ…こんなこと滅多にないんじゃないか?もっと一緒に…)

パワプロ『遅くなっちゃったし、早く帰らないと。夏が近いとは言っても、この時間にもなるとさすがに暗いや』

聖『そう…だな』

パワプロ『そうだ!ねえ聖ちゃん、家まで送るよ』

聖『なー!』

聖『い、いや、それは悪いぞ。1人で帰れるから大丈夫だ!』

パワプロ『付き合わせたのは俺だしさ。暗い中を女の子一人で返させるわけにはいかないよ』

聖『そ、そうか。なら、お願いするぞ』

聖(お、女の子って…)カアア

パワプロ『じゃあ、いこっか』

聖『…うん』

聖(先輩は優しいな。でも、きっとこの優しさは私だけが特別というわけじゃないんだ)



聖『先輩はすごいな。日に日に球が重くなっていくのを感じる』

パワプロ『ほんとに?いやあ、聖ちゃんのおかげだよ』

聖『謙遜しなくていい。紛れもなく、先輩自身の力だ』

パワプロ『はは、俺には野球しか取り柄がないからね。がんばらないと』

聖『…野球だけ、ということはない』

パワプロ『ん?』

聖『先輩は優しい。いつもみんなに気を配ってくれているじゃないか』

パワプロ『キャプテンだからね。みんなのことに気を配れるようじゃないと駄目だよ』

聖(そういうことじゃない…。もっと、こう、なんと言えばいいのか…)

聖『…先輩は、彼女とか作らないのか?』

パワプロ『うーん…』

聖『す、好きな人とかはいたりするのか…?』

聖(な、なー!私は何を聞いているのだ!こ、こんなの好きって言ってるようなものじゃないか!)

パワプロ『…うん』

聖『!そ、そうか…』

聖(誰だろう…。みずきか?それとも、クラスメイトの誰かとか?)

聖(いつかは先輩も誰かを捕まえて、デートしたりするようになるのだろうか)

聖(なんというか、それはすごく…)

聖(…いやだぞ)



聖『…先輩』

パワプロ『…んー?』

聖『私じゃ、駄目だろうか』

パワプロ『…』

聖『私がそばにいては、駄目だろうか…。私じゃ、先輩の彼女には…なれないだろうか』

聖(ああ…言ってしまった。もう引き返せないところまで来てしまった)

パワプロ『えっ…』

聖『…好きなんだ。先輩のことがどうしようもなく、好きで好きでしょうがないんだ』

パワプロ『…聖ちゃん?』

聖『先輩はどうなんだ?嫌い、か?』ジワッ

パワプロ『そんなもん…』

パワプロ『大好きに決まってんだろ!』クワッ

聖『!?』

パワプロ『聖ちゃんとバッテリーを組んで、辛いときも楽しいときもずっと頑張ってきて、ようやく気付いたんだ』

パワプロ『…俺にとって、どれだけ大切な存在なのかって』

聖『せん…ぱい』

パワプロ『いつか真剣に話さなくちゃって思ってたんだよ。まさか聖ちゃんからしたくれるとは思ってなかったけどね』ハハハ

聖『じゃ、じゃあ…』

パワプロ『うん。改めて、よろしくね』



回想終了

聖「そのあとは家まで送ってもらって、そこで終わりだったが…あの幸せなひと時は忘れられない」ポワワーン

みずき「」

みずき(完全敗北じゃない…。まさか、こんな…)

聖「手をつないでみたりしてだな。先輩の手はとても大きくてあたたかくて…みずき、聞いているのか?」

みずき「う、うん。おめでとう…」アハハ

みずき(どうしよう。すごく死にたい)



パワプロ「じゃあ、ミーティングを始めるぞ」

部員「「おっす!」」

パワプロ「前から考えていたんだけど、甲子園の激戦の中を俺だけで投げ抜いていくのは難しいと思うんだ」

みずき「つまり私も?」

パワプロ「うん、俺と聖の正バッテリーだけじゃなく、みずきちゃんも聖との投球練習をしてほしいんだ。あくまで正捕手は聖だからね」

部員((呼び捨て!?))

聖「…」カアア

みずき(やっぱり本当に二人は…)

聖「パ、パワプロ、私は何も聞いていないぞ。勝手に決めないでほしい」カア

部員((パワプロ!?))

みずき(恥ずかしいなら呼ばなきゃいいのに…)

パワプロ「いやあ、ごめん聖。昨日の夜まで考えてたからさ。言う暇がなかったんだよ」アハハ

みずき(こいつは全く恥ずかしがるそぶりを見せないわね…)

矢部「ケッ、リア充がここにも、でやんす」ボソッ

パワプロ「よし、いつも通りウォーミングアップから取り掛かろう。そのあとは各自で練習に入ってくれ」

部員「「お、おっす…」」

パワプロ「あれ?みんなどうした?元気ないけど…」

矢部(お前のせいでやんすよ…)



みずき「どっちから行く?」

パワプロ「みずきちゃんからどうぞ。最近聖とは投げてないんだから、早めから勘を取り戻してほしい」

みずき「りょーかいっ」

聖「む、ではパワプロは誰と投げるというのだ?」

パワプロ「俺は田中と」

田中(補)「おう、任せとけ」

聖「なら、私が2人とも受け持つ必要はないんじゃないか?私がパワプロと、田中先輩がみずきと組めばそれで…」

みずき(愛しの彼氏だけに専念していたいんですか。ああそーですか!)イラッ

みずき「…それもそうよね。わざわざ聖の負担を増やすことはないんじゃない?最近私は田中と投げてることが多かったわけだし、配役も別におかしくないと思うけど」

みずき(なんで助け舟出しちゃうかなぁ私は)ハア

パワプロ「聖の負担を減らすってことには賛成かな。でも、そうなるとみずきちゃんと聖で組んでもらうことになるかな」

聖「!?な、なぜだ!?」

パワプロ「だって、みずきちゃんのスクリューを捕れるのって聖だけだし」

みずき「あ…そっか」

聖「し、しかしそれでは田中先輩が…」

田中(補)「それにまあ、ただ単純に六道の方が捕手として優秀だからな。俺がやるよりずっと2人を引き立てられるさ」



聖「田中先輩…」

パワプロ「昨日ずっと田中と話し合っててさ。夜中まで話してたもんだからもう眠くって」ファ…

田中(補)「まったくだ」フアァ…

聖「だから昨日は誘いを断ったのだな…。せっかくのオフだったというのに」ジトッ

パワプロ「ごめんごめん。でも、聖にとっても大事なことだったからさ」

聖「むう…。仕方がない。きんつば5個で許そう」

パワプロ「お安いもんだよ」ハハ

聖「…やっぱ10個で」

パワプロ「ええ!?なんで!?」

聖「先輩の犯した罪は重い」フンッ

パワプロ「呼び方戻ってるし…」ハハ…

田中(補)(あー、こいつ肩か肘に爆弾かかえないかなー…)

みずき(どう見てもお似合い…。こりゃ敵わないわけだ)ハア…

みずき「でも田中。よかったの?あんたがパワプロと正バッテリーを組むいいチャンスだったのに」

田中(補)「まあ、こいつの球を受けたい気持ちはもちろんあるさ。けど、やっぱり一番呼吸が合うのはこの二人だからな」

パワプロ「それに、聖と約束したからね。いきなり破ったりするもんか」

聖「約束…あう」カアア

みずき(…どんな約束したらこんな風に赤面するわけ?)

田中(補)(かかえた爆弾爆発しないかな…)



練習終了

聖「パワプロ、早く帰ろう。きんつばは待ってはくれないぞ」ソワソワ

パワプロ「いや、俺はこの後ちょっとみずきちゃんに話があってさ」

みずき「うえっ!?」ドキッ

みずき(は、話って何!?ま、まさか二股でもかけようってんじゃ…)ドキドキ


聖「話…ほう…」ゴゴゴゴ

パワプロ「いや、なんで怒ってるのさ…。変化球のことについてちょっと教えてもらいたいことがあるんだ」

みずき「え?ああ、変化球ね。うん、そうよね。そんな気がしてたわ」

聖「なら、私も付き合おう。捕手がいた方がやりやすいだろうしな」

パワプロ「いや、聖は今日のみずきちゃんとの投球練習を反復しておいてほしい。何球か取りこぼしもあったからね。今日は新しいことだらけで大変だろうけど、一つ一つ消化していこう」

聖「むう…。なら仕方がないな。でも」

パワプロ「でも?」

聖「浮気したら…許さないんだからな?」

みずき「だっ、誰がこんな甲斐性なしの鈍感野球バカなんかと…!」カアア

パワプロ「あはは、みずきちゃんは俺なんて相手にしてくれないよ。…それより、俺って鈍感かな?」

聖「うん。ものすごく。それはもう際限なしに鈍い」

パワプロ「そこまで…」ズーン

みずき「い、いいから早くやりましょ!陽が長くなってきたとはいえ、暗くなってきたらやりずらいんだから」

パワプロ「そうだね。じゃあ聖、また明日ね」

聖「くれぐれも浮気のないようにな」

みずき「なっ…」

パワプロ「浮気ならさっき田中としちゃったかな」ニヤニヤ

聖「なっ、ちがっ…。も、もう知らないぞ!パワプロなんてばーか!」タタタッ

パワプロ「ははは、何言ってるのか全然わかんないや」

みずき「…はじめましょうか」

みずき(もうやだ…)グスッ


今日はここまでです。
書きためが半分くらい消えた…怖い…


パワプロ「新しい変化球を覚えたいんだ」

みずき「はあ?今からやったって、空振り取れるような決め球が甲子園までに身に付くわけないでしょうが」

パワプロ「決め球じゃなくていい。相手の芯を外せるような、打たせて取る球がいいんだ」

みずき「へぇ~。投球数を減らして負担を軽減しようってこと?なかなかいいじゃん。パワプロくんにしては、だけどねん」

パワプロ「みずきちゃんはいつも一言多いんだよなぁ…。それで、その変化球なんだけど」

みずき「うん」

パワプロ「シンカーを覚えたい」

みずき「…私のクレッセントムーンは変化重視の球よ?」

パワプロ「わかってるよ。だからこそみずきちゃんの力が必要なんだ」

みずき「はあ?」

パワプロ「目指すものの逆を見れば、きっと方向性が見えてくる。だから、色々教えてほしいんだ」

みずき「なるほど…いいわ、協力してあげる」

パワプロ「ありがとうみずきちゃん!」

みずき「パワ堂のプリン10個ね」

パワプロ「出費がかさむ!?」ガーン



みずき「ちがーう!それカーブでしょうが!」

パワプロ「えぇ!?…あ、そうか。左右逆だ…」

みずき「アホか!手ぇかして!持ち方はこう…」

みずき(あ、パワプロくんの手、あったかい。それに、ちゃんと指先まで手入れされててすごくきれい…)

みずき(でもとってもおおきくて、なんとなくごつごつしてる。男の子の手だ…)

パワプロ「?みずきちゃん?」

みずき「へ?あ、な、なに?どうしたの?」

パワプロ「いや、それ俺のセリフ…。急に黙ってどうしたの?なんか顔も赤い気がする」

みずき「な、何でもないわよ!ほら、あんたは投げる!」カアア

みずき(ほんとだ…顔すごく熱い…)

パワプロ「…ちょっとごめんね」スッ…

みずき「え、な、なによ」

パワプロ「ん…」コツン…

みずき「あ…」

みずき(か、顔が近い…。パワプロくんの目が、鼻が、唇がすぐ近くにある)

パワプロ「ちょっと熱い…かな?でも熱ってほどじゃ…」

みずき「んっ…」

みずき(息が当たってくすぐったい…)

バクン、バクン、バクン

みずき(心臓すごくうるさい…。外まで聞こえちゃいそう…)

バクン、バクン、バクン

みずき(いっそ、聞こえちゃえばいいのに。パワプロくんが好きって、伝わっちゃえばいいのに…)ジワッ

パワプロ「いったん木陰で休んで…みずきちゃん?」

みずき「なによっ、ぐすっ」ポロポロ

パワプロ「泣いてるの…?」

みずき「ひっく、泣いてなんが!ない”んだがら!」ポロポロ

パワプロ「みずきちゃん…」

みずき「ぐすっ、ひっく、うえぇぇええ!」ボロボロ

みずき(ああ…私って本当にみじめだ)




パワプロ「ほら、語呂ティー」

みずき「…ちゃんとミルク?」

パワプロ「うん。俺もミルク派だから一緒だね」ハハ

みずき「っ…」ズキン

パワプロ「…落ち着いた?」

みずき「うん…」

パワプロ「突然どうしたの?体調が悪いって感じじゃなさそうだし…」

みずき「…話したくない」

パワプロ「そっか…。でも、辛いならだれかに相談するといいよ。聖とか――」

みずき「聖は絶対にダメ!」

パワプロ「」ビクッ

みずき「聖にだけは話しちゃダメなの!…わかった?」

パワプロ「…うん」ズズズ…

みずき「…」

パワプロ「飲まないの?せっかくなのにぬるくなっちゃうよ?」

みずき「…ねえ、一つ聞いてもいい?」

パワプロ「何でも聞いてよ」

みずき「聖との『約束』ってなに?」

パワプロ「へ?それがどういう――」

みずき「いいから」

パワプロ「…わかった。約束、とはいっても大したことはないんだけど――」



以下回想(パワプロ)

聖『…先輩の手、あったかいな。なんだか安心する』ギュッ

パワプロ『そう?聖ちゃんの手もなんだか柔らかくてほっとするよ』ギュッ

聖『そ、そうか。よかった、ぞ』カアア

パワプロ『ふんふふーん♪』

聖『なあ、パワプロ先輩!』クルッ

パワプロ『ん?』

聖「先輩にとって、私はどういう人間なんだ?後輩?ただのチームメイト?そ、それとも…」カアア

パワプロ『妻、かな』アハハ

聖『!?』ドキッ

パワプロ『…ずっと2人でやっていけたら、って思ってる。プロに選ばれても、同じ球団、正投手と正捕手としてずっと一緒にいたいんだ』ジッ

聖『せん…ぱい』ドキドキ

パワプロ「いろいろと大変だと思う。まだまだ二人とも足りない部分もいっぱいあるし、仮にプロになれたとしても同じ球団とも限らないからね」

聖『うん…』

パワプロ『もし聖ちゃんが他の男とバッテリーを組んでるかもって考えると、気が気でないんだよ。聖ちゃんの相棒は俺であってほしい。俺だけであってほしい』

聖『うう…』カアア

パワプロ『…俺、頑張るからさ。ちゃんと、聖ちゃんの夫として胸を張れるように、ずっとそばにいるから』

聖『…な、なら、その先輩後輩の、他人行儀な呼び方もやめにしないか』

パワプロ『へ?』

聖『夫婦なら夫婦らしく、ちゃんと呼び捨てで呼び合おう』カアア

パワプロ『そうだね、聖!』

聖『うん!パワプロ!』


回想終了


パワプロ「こんな感じで、俺と聖ちゃんはずっとそばにいること、名前で呼びあうことを約束したんだよ」

みずき「あはは、あんたもう『聖ちゃん』って言っちゃってるじゃない」ズキンズキン

パワプロ「あ…」

みずき「アハハ、アホか!」ズビシ

パワプロ「いてっ!」

みずき(胸が苦しい…。いいなあ、二人とも幸せそうで…)グッ

みずき「…それにさ、よかったの?私と聖にバッテリー組ませちゃってさ」

パワプロ「…それを補おうと思ってシンカーを覚えようとしてるんだ。投球数が少なくなれば、最後まで投げ抜けるかもしれない」

みずき「は?そしたら私の出番はどうなるわけ―?」

パワプロ「いやあ、はははは」

パワプロ「…それで、みずきちゃんはもう大丈夫なの?」

みずき(そう…だよね)

みずき「ん、平気。もうふんぎりがついたよ」

みずき(…もう、諦めるしかないよね)



数日後

田中(補)「よーし、来い!」スッ

パワプロ「おう!」ビュッ


みずき「さって、私たちもやろっか」グリングリン

聖「む?うしろに先輩たちがいるじゃないか。危険だからちゃんと平行になった方がいい」

みずき「へーきへーき!さ、一球目いくわよ~」スッ

聖「まったく…」スッ

みずき(パワプロくんの隣で投げろって?馬鹿言わないでよ)ビュッ


パァン!

田中(補)「ん、いいね!よく走ってる!」ビュッ

パワプロ「はは、今日は調子いいかも」パシッ

田中(補)「じゃあ、そろそろ特訓の成果を見せてくれよ」

パワプロ「まだ満足のいく出来ではないんだけど…でも、一回いってみようかな」スッ

田中(補)「どんだけ暴投しても捕ってやるから安心しろ」スッ

パワプロ「そんなこと、しないよ!」ビュッ

バシッ!

田中(補)「…少し曲がった、か?うん、シンカーだな」

パワプロ「ほんの少しだけね。でも、球威はかなり落ちちゃってるし、実戦で使えるレベルじゃない」

田中(補)「これから伸ばせばいいさ。何のために俺たち捕手がいると思ってんだ」ビュッ

パワプロ「ああ、頼りにしてるよ」パシッ



バシィ!

聖「…どうしたんだみずき。かなり乱れてるぞ」

みずき「わかってる…」

聖「肩に力が入ってるな。もっとリラックスしていこう」ビュッ

みずき「えぇ…」パシッ

聖(一体どうしたんだ…?パワプロの特訓を始めた次の日からずっとこの調子…。なにかあったにしてはパワプロの方は普通に見えるし…)

みずき(失恋くらいで何やってんのよ…。しっかりしなきゃ。パワプロくんを少しでも休ませられるようにならないと…)

みずき「次!クレッセントムーンね!」スッ

聖「…」スッ

みずき「ふっ…!」ググッ

聖「!」

んぼっ!

みずき(!大暴投だ…!そっちの方には…)

聖(パワプロが…!)キィィィィィィン

聖「っ!」バッ

スカッ

みずき「っ!パワプロくん!危ない!」

聖「くっ…避けろ!」


田中(補)「よしっ!次…あっ」

田中(補)(球がパワプロの方に…!)

パワプロ「じゃ、次はカーブを…」スッ

田中(補)「あぶねぇ!避けろ!」

パワプロ「え?なにg――」ゴッ

パワプロ「――ぁ」グラッ

バタッ



聖「っ!パワプロ!」ダッ

田中(補)「くそっ!」ダッ

みずき「あ…あ…」

みずき(嘘…硬球が頭に…)

みずき「ぱっ、パワプロくん!」タタッ

ガッ

みずき「あう…」ドテッ

みずき「うぅ…」

聖「しっかりしろパワプロ!死ぬな!死なないでくれ!」ジワッ

田中(補)「縁起でもないこと言ってんじゃねぇ!俺は救急車呼んでくるからそいつ頼むぞ!」

聖「パワプロ…!パワプロぉ!」ギュ…

パワプロ「……」

みずき(遠い…。届かない。近くにいるのはいっつも聖で、私はこうして、ただ眺めているだけ)ジワァ

みずき「…ん…なさい。ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさい…!」

ピーポーピーポー




病室

パワプロ「…」

聖「…ただの脳震盪らしい。大事にならなくて本当によかった」

みずき「ごめんね聖。大事な彼氏を…」

聖「気にするな。調子が悪いのをわかっていて止めなかった私に責任がある。それはもちろん、キャプテンであるパワプロにも言えることだが」

みずき「…聖は優しいね。どれだけののしられたって仕方ないのにさ」

聖「…もちろん、怒ってはいる」

みずき「うん。ごめん…」

聖「ただし、今回の暴投についてではなく、なんの相談もしてくれなかったことについてだがな」

みずき「え?」

聖「何かあったのだろう?そんなことは見ててわかる。あれだけ調子を崩しておいてばれないとでも思っていたのか?」

みずき「…1人でどうにかしなくちゃいけないことだから」

聖「ならば表に出すべきじゃないな」

みずき「?」

聖「あんなもの、気遣ってほしいとアピールしているようなものだ。自分1人で解決すべきと思っているなら、その悩みは押し殺さなければならない」

みずき「…」

聖「それができないなら私は干渉するぞ。もし野球にまで影響があるなら、それは放っておけることじゃないからな」

みずき「…駄目だよ。これは相談できるようなことじゃない」

聖「私は何かあったら相談するぞ。私は弱いから、多分1人じゃ抱え込めない。みんなに助けてもらって、できるだけ早く解決できる方法を一緒に探す」

みずき「…うん、任せなさい!」

聖「…何ができるわけでもないが、応援はするぞ。早く解決するといいな」

みずき「…もう、大丈夫だよ。本当に大丈夫。私1人で何とかする。絶対にプレーに影響なんて与えてたまるもんか!」

聖「そのいきだぞ」



パワプロ「う…」

聖「!目が覚めたか!」

パワプロ「ひじ…り?ここは…?」

聖「病院だ」

パワプロ「俺、どうしたんだっけ…」

聖「気絶していたんだ。頭にボールを受けて、脳震盪らしい」

パワプロ「のうしんとう…ってやばいやつなの?」

聖「いや、脳が揺れて気絶していただけだぞ。多少たんこぶはできてしまったようだが、心配はいらない」

パワプロ「そっか…」ホッ

パワプロ「みずきちゃんも、わざわざありがとね」

みずき「…ボールをぶつけたのは私よ」

パワプロ「…いつものみずきちゃんならありえないよね」

聖「…あまり責めないであげてやってくれ。みずきも反省しているんだ」

パワプロ「……」ジー

みずき「っ」プイッ

パワプロ「……」チラッ

聖「…?どうかしたのか?」

パワプロ「…なんでもない」

みずき(うぅ…。パワプロくんにも心配かけちゃってるぅ…)



ガチャッ

矢部「あ、パワプロくん生きてるでやんす」

田中(補)「よう、心配したぜ」

パワプロ「二人とも!…練習は?まだ終了には早い時間だと思うけど…」

矢部「みんな上の空で全然集中できてなかったから早めに切り上げてきたでやんす」

田中(補)「んで、みんなでお見舞いってのも騒がしいと思ったから3年生の俺たちだけで来たってわけ」

パワプロ「そっか…。はは、改めて言われるとうちの3年生少なすぎるな」

矢部「そういえばそうでやんす!しかも内半分はベンチ組って笑えるでやんす」

田中(補)「おい、まさかそのベンチ組って俺と橘のことじゃあるまいな」

矢部「さあ~?気のせいじゃないでやんすか?」

田中(補)「なめんなよ!自慢の肩を活かして外野でもやってやるよ!お前のポジションねーから!」

矢部「ぷぷ。鈍足の田中君じゃおいらに勝つのはムリでやんす」

田中(補)「んだとオタクメガネ!」

矢部「お、やるでやんすか?」

ぎゃーぎゃー!

聖「…結局騒がしいではないか。2年生に任せた方がよかったな」

パワプロ「もう二人ともベンチでいいな」

矢部「えー!パワプロクンひどいでやんす!」

聖「ふふ…。これはうかうかしてられないな、矢部先輩」

矢部「ちょっと走り込んでくるでやんす!」

田中(補)「真に受けんなよ…ん?」

みずき「……」

田中(補)「橘、どうかしたか?」

みずき「え?ううん、なんでもない。あんたもとっとと走ってきなさいよ、補欠」

田中(補)「ちょっ、その言いぐさはひどいと思うけど!?」

パワプロ「ぶははははは!」

田中(補)「笑いすぎだって…」

みずき(私はこいつの笑顔を守ろう。そのためにすることは一つだけ。迷いはもうない)

翌日、パワプロは練習に復帰し、みずきもいつもの様子を取り戻した。
特訓の成果もあり、パワプロの高速シンカーは見事完成。
田中は外野手としてスタメン入りを果たした。彼曰く、「リトル時代は外野守ってた」


以上です。
マジ田中便利…

過疎ってるなぁ…
以下投下


あるオフの日、ファミレス

聖「…」ズーン

みずき「どうしたの?」チュー

みずき(喧嘩でもしたのかな?もしかすると私にもチャンスが…いや、もうやめにしようって決めたじゃない)ハア

聖「…どうしたらいいのか、わからなくなってしまったんだ」

みずき「いいよ、話してみなって」

聖「うん…」



以下回想(聖)

聖『どうぞ、上がってくれ。自分の家だと思ってくつろいでくれていいぞ』

パワプロ『いやあ、練習終わりなのにごめんね?やっぱり一回帰って身支度した方が…』

聖『いや、いいんだ。少しでも長く一緒にいたいからな』

パワプロ『そっか。なら、お言葉に甘えさせてもらおうかな』

聖『ただいまー』

シーン…

聖『む?返事がない…』

パワプロ『あ、置手紙があるよ』

聖パパ『すまないが、用事が出来てしまったので片づけてくるよ。留守は頼んだ』

パワプロ『へぇ…住職さんも大変なんだなあ』

聖(いな…い?ということはパワプロと二人っきり…?)

パワプロ『あー、今日も汗かいたなあ。早く風呂に入りたいや』

聖『風呂!?』ビクッ

パワプロ『え?聖は先にご飯の方がいい?俺は別にそれでも…』

聖『い、いや、風呂に入るのは賛成だ。で、でも二人きりというのは…そのぅ』ゴニョゴニョ

パワプロ『ん?なに?』

聖『に、にゃんでもにゃい!沸かしてくりゅから待っていてくれ!』

聖(か、噛んだ…)カアア

パワプロ『いやあ、しかしいつ見ても和室っていいなあ…。憧れるよ』

聖(なんで私がこんなに緊張しているのにこの男はリラックスモードなんだ!?)

パワプロ『お、ちっちゃい大仏さんだ』ナムー

聖(なんでいつも通りなんだ!女の子と一つ屋根の下!しかも彼女とだぞ!?少しぐらいどぎまぎしたっていいじゃないか!)イラッ

パワプロ『あ、どっちから入る?』

聖『む、パワプロから入ってくれ。お客さんが優先だ』

パワプロ『そう?じゃ、お言葉に甘えまして』

聖『では、沸かしてくるから適当にかけて待っていてくれ』

パワプロ『はーい』ノビー

聖(…なんとしても緊張でガッチガチにしてやる!)イラァ


お風呂タイム終了

聖(よし、着物だ。ギャップ作戦だ。持っている中でも一番丈が短い、ふとももが少し見えるやつでアタックしてやる!絶対に度肝を抜いてやる!)スタスタ

聖『あ…』ピタッ

聖(し、しまった!下着を着けてない!)

聖(いつもの調子で付けずに来てしまった!まずいぞ。ただでさえ丈が短いのに、これでは気が気でない…)

聖(よし、戻って着替え…)シュル…

パワプロ『あ、上がったんだ』スタスタ

聖『ぎゃああああああああ!?』

パワプロ『うおっ!?』ビクッ

聖『こ、こんなところで何を…。ま、まさか覗きか!?私の風呂を覗いていたのか!?』ハッ

パワプロ『え、いや…トイレ借りてました…』

聖(…いや、覗けよ)イラッ

パワプロ『それより、お腹すいちゃったよ。俺も手伝うからさ、早くご飯作ろうよ』

聖『あ…うん、わかった…ぞ…』

聖(着替えるタイミングを逃してしまった…)ズーン


回想中断



みずき「へぇ…全然女として意識してくれない、と」

聖「…まあ、そうだな。少しくらい、何かあったっていいはずなのに…」

みずき(これに関しては同意見かな―…。この前のおでこコッツンだって、特に意識してる様子もなかったし)イラッ

みずき「それが現在のお悩み?」

聖「いや、違うんだ。そんなことは小さいことだ」

みずき「ふうん。じゃあ、あいつはもっとやばいことやらかしたんだ?」

聖「…やらかしたのは私の方だ」

みずき「?」



回想再開


パワプロ『いやあ、うまかったなー』ゲフッ

聖『喜んでもらえて何よりだ』

パワプロ『まさか肉じゃががあんなにおいしかったなんて』

聖『あれは圧力なべのおかげだ。味がよくしみこむ』

パワプロ『そうなの?でも、味付けは聖がしたんだから、やっぱり聖のおかげだよ』

聖『ふふ…そうか』

聖(幸せだ…こんなに幸せでいいのかと心配になるくらい…)

パワプロ『でも、正座で食べるのはちょっとつらかったかな…。足がしびれちゃったよ』

聖『それが食事の時のマナーだぞ。では、お茶を入れてくるから足を崩して待っていてくれ』

パワプロ『はーい…いててて。…ん?』

聖『ははは、なんだかマヌケだ』スクッ

パワプロ『あ、帯が緩んで――』

グッ

聖『え?』ガクッ

パワプロ『っ!危ない!』ガッ

ドサッ



聖『きゃっ』←下敷き

パワプロ『ごめん、足がもつれて…ブッ!?』←のしかかり

聖『え?…うあ!?』バッ

聖(前が全開じゃないか!くっ、パワプロがのしかかって閉じられない…)グイッグイッ

聖『ど、どいてくれ!これじゃ前を閉じることもできない!』カアア

パワプロ『…お腹いっぱい過ぎて動いたら吐きそう』ウップ

聖『なー!』

パワプロ『ごめん、ちょっとだけ我慢して…』

聖『うぅ…』

聖(裸見られちゃった…)カアア

聖(変じゃないか?貧相じゃないか?私の体は大丈夫なのか…?パワプロに見てもらうだけの価値があるのか…?)モジモジ

パワプロ『うっ…』ドキッ

聖『まだ…なのか?』ウルウル

パワプロ『う…やばっ』グググ

聖『!』ビクッ

聖(下腹部に当たってるこれはもしかして…)ドクンドクン

パワプロ『くっ、はあ…』ググ

聖『う…あぁ!?』ビクッ

聖(びくびく脈打ってどんどん大きくなる…怖い…!)ギュッ



聖『…』

パワプロ『うっ…ごめん、気持ち悪いよね…』

聖『…私はかまわないぞ』

パワプロ『え?』

聖『パワプロになら、私は、かまわない』

パワプロ『何を言って…』

聖『そういうことは、ちゃんとある程度の期間付き合ってからだと思っていた。でも、パワプロなら、私は喜んで受け入れる』

パワプロ『!』ドキッ

聖『っ…!』ビクッ

聖(また…大きく、なってる…。怖い…でも!)

聖『ほら、辛いんだろう?そんなに呼吸を乱して…。私なら大丈夫だから、だから――』

パワプロ『馬鹿なこと言うな!』



聖『っ!』ビクッ

パワプロ『全然大丈夫じゃないじゃないか。こんなに震えてるのに…』

聖『え…?』ガクガク

聖(あ…本当だ…。全然気がつかなかった…)ブルッ

パワプロ『そういうのは、結婚するまでちゃんと取っておきなよ。女の子が簡単に人に始めてを上げるなんて言っちゃだめだよ』

聖(パワプロ…)

パワプロ『っ、もう平気そうだ』スッ

聖『あ…』

パワプロ『ごめん、今日はもう帰るよ。お互い、ちゃんと頭を冷やそう』

聖『待って、待ってくれ!私は――』

パワプロ『…お邪魔しました』ガチャッ

バタンッ

聖『――っあ…』


回想終了



みずき「うわあ…それはなんというか…」

聖「パワプロにどんな顔して会えばいいんだ…」

みずき(お、重すぎる…!呼び出された時はどんな惚け話を聞かされるのかと思ってたけど、これはこれで辛い!)

聖「やっぱり嫌われてしまっただろうか…。汚らしい女だと思われただろうか…」

みずき「そんなことないって…」

聖「だって、付き合い始めてから初めてのデートだったんだ。大切な日だったんだ。そこであの失態は許されることでは…」イジイジ

みずき(あーめんどくさっ)イラッ

みずき「じゃあなに?パワプロくんと別れる?」

聖「そんなの嫌だ!嫌だ…ぞ…」

みずき「なら、こんな中途半端にぐずってないで、ちゃんと話しあってくること!…こんな終わり方なんていやでしょ?」

聖「でも、でも!あれから一度も好きって言ってくれたことはないし、誘いのメールも電話も一度も来ないんだ!きっともう私になんて興味なくて…!」

みずき「…言いたいことはそれだけ?」

聖「えっ…?」

みずき「ねえ、あんたが大好きなパワプロくんは、私たちを引っ張ってくれるパワプロくんはそんな根性無しなことをする人間なの?」

聖「みず…き?」

みずき「…これ以上パワプロくんのことを悪く言うなら、たとえ聖でも容赦しない」

聖「…ごめん」

みずき「…ほら、まずは会って話をすること。それからちゃんと気持ちを確かめあうこと。いい?」

聖「うん…うん…!」

みずき「がんばんなさいっ!」バシーン

聖「いたっ。叩かないでほしいぞ…」

みずき「変なことばっかり言ってるからよーん」

聖「…やっぱり相談してよかった。みずき、ありがとう」

みずき「いいってことよ!」

みずき(これでいいんだ。これで…)ズキズキ



翌日

パワプロ「全員いるかー?」

部員「「おっす!」」

矢部「待つでやんす。聖ちゃんがいないでやんす」

パワプロ「聖か…。だれか知ってる人いない?」

みずき「さっきメール来たよ。気分がすぐれないから休むってさ」

パワプロ「…そっか。じゃあ、他のみんなは各自ウォーミングアップを始めてくれ」

部員「「おっす!」」

パワプロ「とりあえず俺は走り込みでみずきちゃんと田中で投球練習で…」ブツブツ

みずき「ねえ、パワプロくん。ちょっと話があるんだけど」

パワプロ「ん、なに?」

みずき「大事な話だからさ、ちょっと物陰に来てくれない?」

パワプロ「今じゃなきゃダメな話?」

みずき「うん」

パワプロ「…わかった。いこっか」


矢部「ほう。なにやらただならぬ気配を感じるでやんす」

矢部(これは後をつけたらおもしろいかもしれないでやんすな)

田中(補)「お―い矢部~、柔軟手伝ってくれよー」

矢部「あ、了解でやんす~」

矢部(さっさと終わらせて尾行スタートするでやんす!)


以上でした。

みずきの口調に全く自信が持てない…


パワプロ「おーい、どこまで行くの?」

みずき「ほら、こっちきて」

パワプロ「何も旧校舎の裏にまで来なくたって…あ」

聖「…」

みずき「…じゃ、私は戻るから」

パワプロ「え、ちょっ…!」

聖「パワプロ、この前はすまなかった。気持ちもよく考えずに勝手なことばかりして…」

パワプロ「…そんな、謝るのは俺の方だよ。怖い思いをさせて本当にごめん。もう、できるだけ近づかないようにするからさ」

聖「…っ」ギリッ

パワプロ「ずっと一緒に、って約束は守れないけど、今更そんなこと言ってもどうしようもないよね。だから――」

聖「どうしようもなくなんてない!」


パワプロ「わかってるよ!怖がってた!震えてた!あんな思いさせるんだったら俺は…!」

聖「ちっともわかってないぞ!私は、パワプロのことなら何でも受け止めたいんだ!怖くたって、震えてたって、きっとパワプロとなら大丈夫だから!」

パワプロ「受け止めるって、あんなのただの欲望じゃないか!そんなものをお前にぶつけられるわけない!」

聖「言ってくれたじゃないか。何があってもそばにいるって。辛いときも一緒だって…。どうして私の痛みは受け入れようとするのに、私には痛みを見せてくれないんだ?」

パワプロ「…怖いんだよ。傷つけるのが」


聖「私だって同じだ。パワプロが傷ついている姿なんて見たくはないんだ。もっと頼ってほしい。なんでも話してほしい。傷付いたときは」ギュッ

パワプロ「!」

聖「私も一緒に傷つくから。パワプロを1人にはしないから」ギュッ

パワプロ「聖、聖!」ギュウッ

聖「ふふ、パワプロはあったかいなあ…。安心する」

パワプロ「ごめん、ホントにごめんな…」

聖「もう絶対に離さないぞ。約束だからな」

パワプロ「ああ。ずっと一緒だ。約束だぞ」

聖「ん…」コクッ




みずき「っ…うぅ…っ」ボロボロ

みずき(胸が痛い…痛いよ…)ズキズキ

みずき「痛いよ、苦しいよぉ…。パワプロくん…」ボロボロ

パワプロ「みずきちゃん?」

みずき「!」バッ

パワプロ「どうしたの?また…泣いてるの?」

みずき「あ、いやーね!あんたたちのドラマ活劇見てたらなんだか泣けてきちゃってさー」ハハハ

パワプロ「…」

みずき「早く戻りましょ?みんなも心配してるかもしれないしさー」

パワプロ「みずきちゃん」

みずき「ほら、聖との仲も解決したんだから、あとはさっさと練習を――」ガクッ

パワプロ「…みずきちゃん」ギュッ

みずき「…なによ、セクハラなんてして、どうなるかわかんないの?すぐおじいちゃんに言って――」

パワプロ「俺じゃ力になれないか?」

みずき「ぇ…?」



パワプロ「みずきちゃんの力になりたいんだ。1人で抱え込まないでほしい。苦しんでるところなんて見たくないんだよ」ギュウッ

みずき「ちょっ、痛いって…」

パワプロ「言葉にしないと伝わらないことだってある。黙ってたって何も分からない時だってある。…聖が教えてくれたことだよ」

みずき(聖が、か…)ズキッ

みずき「…なら、このままで正解じゃない。誰にも言うつもりなんてないんだから。1人で解決する。余計なことしないで」

パワプロ「…嫌だ」

みずき「っ!なんでよ!あんたには聖がいるでしょ!慰められたって、惨めになるだけなのよぉ…」ジワァッ

パワプロ「聖は関係ない。俺がみずきちゃんを心配してる、それだけだよ」

みずき「なんでよぉ…ほっといてよぉ…私に構わないで…」ボロボロ

パワプロ「…好きな子が泣いているのに見て見ぬふりなんてできるわけない」

みずき「…え?いま、なんて…」

パワプロ「みずきちゃん、好きだ」

みずき「…ふ、ふざけないで。ちょっと優しくされたくらいで私がなびくと思ったら大間違いなんだから」

パワプロ「好きだ」

みずき「なんでっ…なんでそんなこと言うのよぉ!諦めてたのに!1人で頑張ってたのに!そんなこと言われたらっ!」

パワプロ「俺が支えになるよ。だから、1人で抱え込まないで」

みずき「あんたは聖と付き合ってるんでしょ!?こんなの許されるわけがないじゃない!」



パワプロ「え…?」

みずき「な、なによ」

パワプロ「…俺、別に聖とは付き合ってないよ?」

みずき「…は?」

パワプロ「というか、え?なんで聖と?」

みずき「はぁ!?あんだけイチャついといてまだごまかせると思ってんの!?」

パワプロ「イチャっ…、違うって!あれはパートナーとしての会話であって別に…!」

みずき「…聖は確かに言ってたわよ。パワプロくんと付き合ってる、って」

パワプロ「い、いやいやいや!そもそも好きって言われたことすらもないよ!?」

みずき「…パワプロくんから告白してたって言ってたけどね」

パワプロ「はぁ!?聖ちゃんが!?」

みずき「…まだしらをきるつもりなのね」

パワプロ「ま、待って!聖ちゃんを好きだなんて考えたこともないよ!」

みずき「だったらなんだっていうの?聖が嘘をついているとでも?」

パワプロ「聖ちゃんがそんな嘘をつくとは思えないけど、俺は絶対に告白してない。みずきちゃんだけが好きだ。…まあ、これも最近気づいたことなんだけどね」ハハ

みずき「ば、ばっかじゃないの?そんなこと言ったってごまかせないんだから」カアア

みずき(なにこれ、嬉しすぎて死にそう…。でも――)

みずき「…思い出しなさいよ。聖を家まで送った日。田中とリリーフの話し合いをする前日。その日、あんたは聖に告白したの」

パワプロ「…うーん。確か、その日はずっと野球のことを話してたはずだけど――」




以下、回想(パワプロ)

聖『先輩はすごいな。日に日に球が重くなっていくのを感じる』

パワプロ『ほんとに?いやあ、聖ちゃんのおかげだよ』

聖『謙遜しなくていい。紛れもなく、先輩自身の力だ』

パワプロ『はは、俺には野球しか取り柄がないからね。がんばらないと』

聖『…野球だけ、ということはない』

パワプロ『ん?』

聖『先輩は優しい。いつもみんなに気を配ってくれているじゃないか』

パワプロ『キャプテンだからね。みんなのことに気を配れるようじゃないと駄目だよ』

パワプロ(そういえば、新規のバッテリーどうしようかな…。クレッセントムーンを捕れるのは聖ちゃんだけだから、みずきちゃんとのバッテリーは確定か)

聖『…先輩は、彼女とか作らないのか?』

パワプロ『うーん…』

パワプロ(そうすると、俺と田中がバッテリーを組むことになるか…)

聖『す、好きな人とかはいたりするのか…?』

パワプロ『…うん』

パワプロ(まあ、正直聖ちゃんとバッテリーを組んだ方が気持ちよく投げられるけど、そこまで負担をかけるわけにはいかないよな…)

聖『!そ、そうか…』

聖『…先輩』



パワプロ『…んー?』

パワプロ(あれ?でもそうなると先発はみずきちゃんになるのかな?彼女を先に回した方が後のスタミナ切れも調節して解消できるし)

聖『私じゃ、駄目だろうか』

パワプロ『…』

パワプロ(…なんか、悔しいな。聖ちゃんに負けてる気がする。みずきちゃんの隣にいるのって、すごく絵になってるんだよなぁ)

聖『私がそばにいては、駄目だろうか…。私じゃ、先輩の彼女には…なれないだろうか』

パワプロ『えっ…』

パワプロ(…どうして悔しいんだ?別に俺は捕手じゃないのに。悔しがる意味が…。っ!そうか)

パワプロ(…聖ちゃんに嫉妬してるんだ。みずきちゃんの隣にいることができる聖ちゃんに)

パワプロ(俺、みずきちゃんのことが好きだったんだな…)

聖『…好きなんだ。先輩のことがどうしようもなく、好きで好きでしょうがないんだ』

パワプロ『…聖ちゃん?』

パワプロ(あ、全然話聞いてなかった。さっきまで何の話をしてたんだっけ?野球…だったよね?)

聖『先輩はどうなんだ?嫌い、か?』ジワッ



パワプロ『っ!』ドキッ

パワプロ(…み、みずきちゃんのことじゃないよね、流石に。野球のことだな、うん。なら、愚問だ)ドキドキ

パワプロ『そんなもん…』

パワプロ『大好きに決まってんだろ!(野球が)』クワッ

聖『!?』

パワプロ『聖ちゃんとバッテリーを組んで、辛いときも楽しいときもずっと頑張ってきて、ようやく気付いたんだ』

パワプロ『…俺にとって、どれだけ大切な存在なのかって(野球が)』

聖『せん…ぱい』

パワプロ『いつか真剣に話さなくちゃって思ってたんだよ。まさか聖ちゃんからしたくれるとは思ってなかったけどね』ハハハ

聖『じゃ、じゃあ…』

パワプロ『うん。改めて、よろしくね(バッテリーとして)』

パワプロ(…うん、やっぱり聖ちゃんとのバッテリーがいいや。明日はオフだから田中に相談してみよう)

回想終了




みずき「」

みずき(い、意味分かんない…!どうしてこんな奇跡が起こっちゃうわけ!?)

パワプロ「ね?あの時は野球の話をして盛り上がっただけだよ。それで絆を確かめ合うために手を握ったり、呼び捨てで呼び合うようにしたんだ。聖がそういう話をしたのをみずきちゃんが勘違いしただけで…」

みずき「…本気で言ってる?」

パワプロ「え、と…告白しておいてこんな話をするのは変だったかな?」ハハ

みずき「そうじゃない!ホントに聖もそう思ってるって、本気で言ってるの!?」

パワプロ「い、いや、だってあの日色々話したから…」

みずき「…」

パワプロ「あ、あの…」
みずき「…このっ!」グイッ

パワプロ「うわっ!」

みずき「ん…っ!」チュッ

パワプロ「んむっ!?」

みずき「ちゅ…れろっ…ん…!」

パワプロ「ん…」

みずき「ぷはっ」

パワプロ「ぷはっ!はーっ、はーっ…」

みずき「…好き。私も好きだよパワプロくん」

パワプロ「み、みずきちゃん?」

みずき「でもね、きっと聖も負けないくらいパワプロくんのことが好き」



パワプロ「だからそれは…」

みずき「女の子はね、好きでもない男に始めてをささげようなんて思わないのよ」

パワプロ「!?な、なんでそれを…!」

みずき「いい?聖はあの日の話を野球のことだとは思ってない」

パワプロ「え…?」

みずき「あの話はね、あの子にとって愛の告白と結婚の約束なの。あの子の中では、あの日が2人が結ばれた記念日なの」

パワプロ「…どういうこと?」

みずき「あの時、聖の話をちゃんと聞いてなかったんでしょ?」

パワプロ「う、うん」

みずき「あの時聖はね、自分のことをどう思ってるか聞いたの。勇気を出してね。それに対してあんたはなんて答えた?」

パワプロ「す、好きだって、いいました…」

みずき「…そういうこと。わかった?」

パワプロ「た、大変だ!?早く聖ちゃんと話をしてこないと!」

みずき「…どんな言葉をかけてあげればいいんでしょうね」

パワプロ「…え?」

みずき「だってそうでしょ?さっきの話で、聖はパワプロくんとの絆を、愛を再確認できたと思ってる。それなのに、それは自分の勘違いで、しかも本当に好きなのは自分の親友なんだ。そんなの、耐えられないよ…」

パワプロ「…そうだとしても、俺はちゃんと言うべきだと思うんだ。傷つけると思う。でも、それでも嘘をついて付き合い続けるなんて俺にはできないよ」

みずき「…」

パワプロ「責任…は取れないけど、それでも殴られるくらいのことはできる。聖の為に出来ることは何でもする。…なんとしても償うよ」



みずき「…うん」

みずき(なんか、妬けるなぁ…。聖はやっぱりパワプロくんに愛されてる。方向性が違うだけで、多分私よりもずっと特別なんだ)t

パワプロ「…全部すんだらもう一度みずきちゃんに告白する。だからさ、その時にもう一度返事をください」

みずき「うん。待ってるからね…」

パワプロ「みずきちゃん…」スッ…

みずき(あ…顔近づけてきた。き、キス…よね)

みずき「ん…」




矢部「おーい!2人とも遅いでやんす!」

パワプロ「!?」サッ

みずき「!?」サッ

矢部「みんなとっくに練習に入ったでやんすよ。そんなに長い話は部活が終わってからするべきでやんす!」

パワプロ「そ、そう…だね、うん!早く戻ろうか!あははは」

みずき「ちょっ、聖はどーすんの!?」

パワプロ「い、いや、練習あるし。風邪引いてるのに家に押しかけたら聖に迷惑だし」

パワプロ(ばれたらまずいばれたらまずいばれたらまずい)グルグル

矢部「お見舞いの話をしてたでやんすか?それならこんなにこそこそしなくても…」

みずき「…ほ、ほら、大人数でおしかけたら迷惑でしょ?だから2人だけでいこうかなーとか考えてたのよ」

みずき(みんなにばれるのはあんまりよくないか…。ここはごまかしていこう)

矢部「まあ、風邪ならあんまり行かないほうがいいかもしれないでやんすね。2人も練習に戻るでやんす」

パワプロ「そ、そうだね。よし行こう」

みずき(…キス、できなかったなぁ)スッ

矢部「口なんてなでてどうしたでやんすか?」

みずき「な、なんでもない!こっち見んなメガネ!」カァァ

矢部「えぇっ!?」

パワプロ「…っ」カアア

矢部(…キス。とんでもないものを見ちまったでやんす…)

以上、書き溜め全放出。
次回はちょっと遅くなるかもです。忙しくなりそうなので…

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