結衣「不思議な砂時計」 (50)

あかり「お待たせ~」

ちなつ「あ、あかりちゃん来たー!」

結衣「お疲れ。お茶はいってるよ」

あかり「ありがと~」


あかり「何かやってたの?」

京子「これみんなで見てたの。うちから持ってきたんだー」

あかり「わぁ~、アルバムだあ!」

結衣「あかりの写真も結構あるよ。京子のお母さんが撮ってくれてたみたい」

ちなつ「みんな可愛いですね~、結衣先輩はこの頃からこんなにかっこよかったんですか!?」

あかり「結衣ちゃんは昔の方がやんちゃだったけど、今は昔よりも頼れる感じがあるよねぇ」

結衣「は、恥ずかしいな……///」


京子「あかりは昔からあんまり変わんないよなー。昔から変わった子というか」

あかり「えっ! あかり変わった子だったの!? というか今もなの!?///」

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結衣「あかりが変わった子だったかはともかく……京子は昔と今ですごい違うよな」

京子「そうかい?」

結衣「そうだよ。昔は人見知りで、弱気で、恥ずかしがり屋で……今の真逆じゃんか」

京子「失礼なー、今だって乙女な部分は持ち合わせておるぞ!」

ちなつ「私未だにその話信じられないんですけど……本当に京子先輩がそんな子だったんですかぁ?」

結衣「あかりは覚えてるよね? 昔の京子」

あかり「うん! 京子ちゃんはあかりの一個上だけど、あかりは京子ちゃんのこと、少し妹みたいって思ってた時もあったなぁ」

結衣「私も……京子があんな感じだったから、今の私があるというか。京子の分までしっかりしなきゃなって気持ちは昔からあった気がするよ」

ちなつ「じゃあ京子先輩……結衣先輩をこんなにかっこいい人に育ててくれて、今までありがとうございました」ぺこり

京子「礼を言われてるのかなんなのか……ってか今までありがとうって何だ! これからもよろしくね!?」

あかり「あはははは!」



結衣(昔の京子、か……)ふっ



京子「う~、寒いなー今日も」

結衣「ほんとだよ……帰ってすぐお風呂入りたい」

京子「どっち先に入る? ジャンケンしようぜ、じゃーんけーん……」


結衣「ぽい!…………ってぽいじゃねえ! え、今日泊まるのか?」

京子「は? さっき “今日泊まりに行ってもいい?”って聞いたら『んー』って答えたじゃんか。泊まってもいいんでしょ?」

結衣「え、マジで……?///」


京子「記憶にござらんのか!?」

結衣「き、聞いてなかった……ぼーっとしてたみたい。ごめん」

京子「しっかりしてくれい、まだまだピチピチの14歳でしょうに…………で、ごめんってのはどっちなの?」

結衣「ああ、泊まりに来ても大丈夫だよ。別に何もないしな。明日は土曜だし」

京子「なーんだ、よかった!」にしし

結衣「…………ふふっ」

京子「どうしたの結衣、さっきからずっとぼーっとしてるみたいだけど」

結衣「ああいや、別に大したことじゃないんだけどさ……さっきアルバム見てただろ?」

京子「うんうん」

結衣「そこで昔の京子の話になったじゃんか。そこから昔の京子の記憶をいっぱい辿ってたんだ」

京子「いやん、恥ずかちぃ///」

結衣「そんなことするような子じゃなかったぞ、昔は……」

京子「少女は大人になったのだよ」ふふん



結衣「別に、今の京子が嫌とかってわけじゃなくてさ?」


結衣「ちょっと懐かしくなって、できることなら昔に戻ってもう一度あの京子を見たいなーって思ったんだ」


京子「そんなに変わったとは自分じゃ思ってないんだけどねー」

結衣「いやいや……豹変とも言えるレベルだぞ」



京子「ただいまー」ガチャ

結衣「私さっきジャンケン勝ったから、私からお風呂入っていいんだな?」

京子「仕方ないねえ、我が家の一番風呂を楽しんでくださいお客様」

結衣「いや私ん家だろ…………ん?」




結衣「えっ、なにこれ、小包が届いてる!」


京子「これは……宅配便?」

結衣「いやでも、受け取った覚えはないぞ? 届けにに来て勝手に置いていっちゃったのかな」

京子「こういうのって勝手に置いてっていいんだっけ……というかドアの鍵閉まってたじゃん」


結衣「…………」

京子「…………」

結衣「えー怖い!! こわい!!///」

京子「ちょっ! あれだ、結衣のお母さんが昼間来て置いてったとかじゃない!? 大丈夫だって、怖いことないって!」

結衣「そ、そうだよな! 怖いことなんかないよな……どっかに宛名とかないかな」ごそごそ

京子「あっ、なんか書いてある!」



〈歳納京子様へ〉


結衣「なにこれ…………京子宛て!?」

京子「差出人の名前が無いや……歳納京子様へとしか書いてない」

結衣「なんで京子宛ての荷物が私の家に届いてるんだ……? うちのお母さんが京子に送ったってこと?」

京子「いやでも私まだ結衣の家に泊まるってこと誰にも言ってないぞ! どうして私がここに来るってわかったんだ? それにお母さんなら “船見母より” とか普通残すだろ?」

結衣「わ、わかんないことが多すぎる……!」


京子「…………」

結衣「…………」

京子「と、とりあえず開けるよ……?」

結衣「うん…………」


京子(爆弾とかじゃないよね……)ごそごそ



京子「ん? なんだこれ」

結衣「これは……ダンボールの中に、木箱が入ってるな」


京子「この木箱……中に何か入ってるみたい」



ぱかっ


京子「あっ、砂時計だ!」

結衣「ほんとだ……!」

京子「大きめだなーこの砂時計! 350のジュースの缶くらいあるよ」


結衣「一緒に入ってるこれはなんだろう……スタンドかな?」

京子「横に置く用の砂時計スタンドみたい。置いたときに転がらないようにするためかな」

結衣「砂時計って普通横に置くっけ……?」

京子「いやほら、砂がさーさー流れるのが気になる人は横に置くんじゃない?」


結衣「でもそんなの縦にしたって、砂が落ち切ったら静かになるじゃん」

京子「あーそっか」

京子「へー、なんか可愛いなあこれ!」かたん

結衣「可愛いのはいいけど……誰が何のために、どうやって送ったのかが未だに謎だぞ」


結衣(京子宛ての荷物を私の家に送るってことは、京子と私の関係を知ってる身近な人だよな……誰だろう……)



「う、ううぅ……」しゅうう



結衣「ん………………うわーーーーーーっ!!!///」びくっ



きょうこ「ゆい、ゆいぃ……」


結衣「京子!! どうしたんだ!! ちっちゃくなっちゃってるぞ!!」


きょうこ「ふえぇぇん……」ぽろぽろ

結衣「な、なんでだ!? 一瞬でこんなに小さく……」


結衣(はっ)


結衣「こ、この砂時計か……っ!?」ばっ

結衣「あれ!? 砂時計どこいった!? さっきまでここに……」


きょうこ「ゆい、あそこ……」じっ


砂時計「~♪」ぴょんぴょん


結衣「わーーー!! ぴょんぴょんしてるーー!!///」


きょうこ「あっ、にげちゃう!」

結衣「あれっ!? なんで窓開いてんの!?」


砂時計「…………」ぴょんっ


結衣「ま、待てっ!!」


砂時計「~♪」ぴゅーん

結衣「わああああっ! 逃げられた!!!」

結衣(家の外に逃げられたらおしまいだ……! どこまでいくかわかんないし、第一もう真っ暗だぞ!)

結衣「ごめん京子! 私あいつ捕まえてくる!!」だっ


きょうこ「ま、まって!」

結衣「!」


きょうこ「ゆい、まって……いかないで……」ぐすっ

結衣「で、でも……!」

きょうこ「ひとりぼっち、いやだよぉ……ふぇぇん……」ぎゅっ

結衣「きょ、京子……」


結衣(この京子を、一人にはできない……!!)

結衣(それにこんなに真っ暗な中じゃ、追いかけるどころか、見つけることすらできないだろう……)


結衣「京子が、幼児化した…………」がくっ



結衣「……きょうこちゃんは、何歳ですか?」

きょうこ「ろ、ろくさいです」

結衣「6歳…………」はぁ


結衣(夢なら早く覚めてくれ……頼む……!)


きょうこ「ゆい……」ぎゅっ

結衣「ああ、悪い……ごめんな」


結衣(私なんかより、京子本人の方が怯えてるよな……)



結衣「京子、なんでちっちゃくなっちゃったのか、わかる?」

きょうこ「わかんない……」

結衣「だよね……」

きょうこ「すなどけい、たてたら、こんなんなっちゃった……」

結衣「うん……あの砂時計ぐらいしか原因が考えられないよな」

結衣(あいつ……ひとりでに動いて家の外に逃げてっちゃったもんな。絶対ただの砂時計じゃないんだ)

結衣「人の時間を、巻き戻す砂時計なのかな……」


ぐ~っ


結衣「えっ」

きょうこ「…………///」


結衣「京子……お腹すいたか?」

きょうこ「んー……///」


結衣「そ、そうだよな。もう夕飯の時間だもんな。すぐに用意してやるから、待ってて!」

結衣(これからどうしよう……)とんとんとん

結衣(京子の親に、報告するか……?)ちらっ


きょうこ「~♪」ぱたぱた


結衣(で、できない……! 何て言えばいいかもわからない! 京子をこんなにしちゃった責任はどう取ればいいんだ!?)

結衣(でも事は私一人で解決できるのか……早く大人に相談した方がいいのか……)


きょうこ「ゆい、おかあさんみたい!」

結衣「えっ、おかあさん?」


きょうこ「ゆいおっきい! おかあさん!」にこっ

結衣「ふふ、そっか……お母さんか……///」


結衣「…………」


結衣(お母さんみたいに、私がしっかりしなきゃ……!)

結衣「京子、たのむ」ぎゅっ

きょうこ「ふぇっ?」

結衣「1日でいい、1日だけ、私にチャンスをくれ……! 明日私がなんとしてでも、京子を元に戻すよ!」


結衣「……できなかったら、ちゃんと周りの人に事情を話さないとだけど……」


きょうこ「ん……ゆい、ありがとう……!」そっ

結衣「っ!」


きょうこ「ゆいはすごいから、だいじょぶだとおもう!」

結衣「京子……///」


じゅーっ

結衣「わっ! やべえ焦げる!///」


きょうこ「ふふ、うふふふ……///」くすくす

結衣「あははは……///」



結衣「おいしいか?」

きょうこ「おいしいー♪」

結衣「ふふ……///」


結衣(可愛いな、この頃の京子も……)


結衣「…………あれ」


結衣「ってこれ! もしかして私が今日 “もう一度昔の京子に会いたい” とか思ったからこんなんなっちゃったのかな!?」


きょうこ「?」

結衣「私のせいかもしれない……! どうしよう、変なこと思わなきゃよかったなぁ」

きょうこ「ゆい……ゆいのせいじゃないよ」

結衣「えっ……」


きょうこ「ゆいは、がんばってるもん……!」


結衣「がんばって……るのかな……」

結衣「いや、頑張らないといけないんだよな……!」

結衣(なんとしてでも明日、京子を元に戻すんだ!)


結衣「京子、ごはんいっぱいあるからお代わりしていいぞ。ついいつものくせでたくさん作っちゃったけど……六歳ってこれしか食べないんだな」

きょうこ「うん、いっぱいたべる!」

結衣「おう、食え食え」

結衣(ごはん食べてでかくなってくれないかなぁ……)



きょうこ「おふろ?」

結衣「そう。一緒に入ろうか」


結衣「服脱がすぞー」

きょうこ「んー」すぽーん


結衣「なんだこれ、ちっちゃい制服になっちゃってる……! 人の時間を巻き戻すときは、着てる服までちっちゃくなっちゃうのか」

きょうこ「おもしろいー」くすくす

結衣「あんまり笑えないけど、確かに面白いな……ははは」


きょうこ「ゆい……おっぱいおっきい!」

結衣「えっ!?///」

きょうこ「すごい! おかあさんみたーい!」ぽよん

結衣「だ、ダメだって……! あとおかあさんもやめて、お姉さんにしといてそこは……!」

結衣「ちゃんとあったまるんだぞ?」

きょうこ「んーあつい……」

結衣「じゃあ30秒でいいや。肩まで浸かってな」


きょうこ「いーち、にーぃ、さーん、しーぃ……」


結衣(なんか……子供の頃もこうやって一緒にお風呂に入った気がするな)

結衣(砂場で遊んで……どろんこになって……)

結衣(京子のお母さんに怒られて、お風呂にいれられて……)

結衣(京子……)


きょうこ「……にじゅーきゅー、さんじゅー!」じゃぱっ

結衣「うわっ」

きょうこ「あ、あつい~……」

結衣「ん、偉い偉い。お風呂出たらアイスあるから」

きょうこ「えっ、アイス?///」

結衣「京子が食べると思って買っておいたんだ。頑張ったから食べてもいいぞ」

きょうこ「やったぁ……! ゆいすきー……♪」

きょうこ「~♪」もくもく

結衣(こんな小さい頃からラムレーズン好きだったんだっけ)


きょうこ「ゆいはたべないの?」

結衣「えっ? わ、わたしは大丈夫だけど……」

きょうこ「…………」


きょうこ「ゆいもたべて?」すっ

結衣「いいのか? 京子が全部食べていいんだぞ」

きょうこ「ゆいにもたべてほしいのー」

結衣「じゃあちょっとだけ貰おうかな」


きょうこ「はい、あーん」ひょいっ

結衣「えっ」どきっ

きょうこ「たべていいよ?」

結衣「う……///」

結衣(な、何を恥ずかしがってるんだ、子供相手に……誰が見てるわけじゃなし)ぱくっ


きょうこ「ふふー♪」にこにこ

結衣(ふふ……///)



結衣「電気けすぞー」

きょうこ「んー」

ぱちっ


結衣「早めに寝て、明日は二人でお出かけだ」

きょうこ「おでかけ?」

結衣「ああ。砂時計をなんとしても見つけるんだ」

きょうこ「ん、がんばる」

結衣「頑張ろうな……」なでなで

きょうこ「…………///」


結衣(確かに私はこの頃の京子に会いたかった、けど……こんな形では会いたくないよ……)


結衣(絶対もとに戻してやるからな……)


結衣(ぜったい……)


結衣「zzz……」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

結衣「ごめんな京子、昨日と同じちっちゃい制服着せることになっちゃって……」

きょうこ「んー、だいじょぶ」


結衣「でもほら、奇跡的に靴はちょうどいいのがあるんだぞ? まりちゃんのやつなんだけど」


きょうこ「ぴったり!」

結衣「よかった……寒いから、私の上着をコート代わりにしてくれ。よし、それじゃいくか」



結衣「昨日は確か、あそこの窓から飛び出していったから……」

きょうこ「あっちかな?」

結衣「うん。とりあえずあっちの方にいってみよう」

結衣(これ……やみくもに歩いて見つかるものなのかな……)

結衣「…………」

きょうこ「…………」よちよち



結衣「…………」

きょうこ「…………」よちよち



結衣(お、遅い……!!///)

結衣(京子のペースで歩いてたら日が暮れちゃう……!)


結衣「悪いな京子! お姫様だっこでいくぞ!」ひょいっ

きょうこ「えっ?」

結衣「今日中になんとしてでも見つけるんだからな……!」だっ

きょうこ「はっ、はやーーい!!///」



結衣(あんな変な砂時計なんだ、きっとどこかで他の人も騒ぎに巻き込んでるはずだ)

結衣(頼む、出てきてくれ……!)


「あれっ、結衣先輩じゃないですか~!」

結衣(げっ!!!)びくっ


ちなつ「奇遇ですね~こんな早くから! おはようございますぅ♪」

結衣「お、おはようちなつちゃん……」

結衣(まずいーーー!!)


ちなつ「わあ可愛い女の子! どうしたんですかこの子」

結衣「いや、えっと、違くて……その……」

結衣(いくらちなつちゃんでも説明できない! 説明してる時間もないし、信じてもらえる気もしない……!)


きょうこ「あ、あ……///」おろおろ

ちなつ「なんだかこの子、よく見ると京子先輩によく似て……」

結衣「ごめんちなつちゃん! また今度~!」ぴゅーっ

ちなつ「あっ、結衣先輩!?」


結衣「ちょっと急いでるんだ! じゃあねー!」

ちなつ「あっ、はーい! お気をつけてー!」


ちなつ「……迷子のお母さんを探してるのかな?」

結衣(うかつに知り合いにも会えない……気をつけないと……)はぁはぁ


「あらっ、船見さん?」

結衣(えっ!?///)


綾乃「どうしたの? そんなに息を切らして……」

結衣「綾乃……!!」

結衣(綾乃もだめだ……というか誰が来てもだめだろ今は!)

結衣(いや、待てよ……?)



綾乃「こんにちは~」

きょうこ「こ、こんにちはっ」


綾乃「お名前はなんていうのかしら?」

きょうこ「と、としの……」

結衣「あ、綾乃さー! なんかどこかに砂時計が落ちてるのとか見なかった!?」

綾乃「えっ、砂時計?」

結衣「この子の宝物なんだけど、どこかに落としちゃったんだって! 私それを探してるんだよ」

綾乃「まあ大変、でも見てはいないわね……私もさがし

結衣「ありがと! じゃあ他のとこ探してくるね!」たたたっ


綾乃「えっ? あの、私も探しましょうかー!」

結衣「いや、大丈夫ー!」ぶんぶん



綾乃(さすが船見さん……小さい子の頼みも全力で応じてあげる……)


綾乃「幸せ者ね、あの女の子。きっとすぐに見つかると思うわ」くすっ

結衣「な、なんでこんな日に限って知り合いにばっかり会うんだ……」はぁはぁ


きょうこ「ゆ、ゆいぃ……」

結衣「ん、どうした?」

きょうこ「と、といれ……いきたい……」

結衣「トイレ!? えーっと、この辺には……あ、確か公園があったな!」



結衣「ここで待っててやるから、してこい」

京子「んー」



結衣「はぁ……全然収穫ないや……こんなことで大丈夫なのかなあ」


結衣「もし今日見つからなかったら……どうなるんだろ、私たち……」

結衣(学校始まったら京子が普通じゃないことなんてすぐにバレちゃうし、というか中学生から幼稚園の年長さんになっちゃったし……ああ、京子の親にもなんて説明すればいいんだ……!)

結衣「ま、まだだ……まだ諦めるのは早い! 大騒ぎになってないってことは、たぶんそう遠くまで行ってないってことだもんな」

結衣「目撃証言とかあればいいんだけど……よし、次は聞き込みしてみるか」



きょうこ「ゆい、おわった!」

結衣「おお、終わったか。じゃあちょっと私も済ませておこうかな……京子、ちょっと待っててな?」

きょうこ「わかったぁ」



ぴょんぴょん

きょうこ「あっ……あ~~!///」


砂時計「~♪」ぴょーん

きょうこ「まって~!」よちよち

結衣「よし、お待たせ……って…………」


結衣「あ、あれ!? 京子!?」きょろきょろ

結衣「京子ーー! どこに行っちゃったんだーー!?」



結衣「…………」




結衣「う、嘘だろ……!!!」ぞぞぞ



きょうこ「まって~~!」とてとて


???「あっ、すなどけいさん! おかえりなの!」

きょうこ「あっ……」


???「ん……? すなどけいさん、この子は?」

きょうこ「あっ、あの! そのすなどけい……その……」もじもじ


???「まず、おなまえをおしえてほしいの!」

きょうこ「えっと……としのうきょうこ……」


「きょうこちゃん、はじめまして。ふるたにかえでなの!」

きょうこ「う、うんっ。 よろしく」

きょうこ「それで、そのすなどけいなんだけど……」

楓「このとけいはね、ふつうのすなどけいじゃないの。ちょっとかわったとけいなの!」

きょうこ「し、しってる! わたし、それでちっちゃくなっちゃったから……」

楓「えっ、つかっちゃったの!?」

きょうこ「うん……」

楓「たいへんなの! ほうっておいたらすぐににげちゃうから、ちゃんとつかまえておかなきゃなの!」

きょうこ「ご、ごめんなさい……うぅ」


楓「な、なかないでなの……だいじょうぶ! これをひっくりかえせばもとにもどれるの!」

きょうこ「ほんと!?」

楓「ほんとなの!……さぁ、もとにもどるじゅんびはだいじょうぶ?」

きょうこ「あ、まって!」

楓「?」


きょうこ「あ、あれ……? あれ?」きょろきょろ


きょうこ「ゆいがいない……!」

楓「おかあさん?」


きょうこ「ゆい、ゆいぃ……」じわっ

楓「あぁぁ、またないちゃったの……!」おろおろ



「ーーーぅこーー!!」

楓「ん……?」



結衣「京子ーーっ! どこ行っちゃったんだーー!!」たったっ

結衣(あの状態の京子がどこに行くのか……全然想像がつかない……!)


結衣「そう遠くへは行ってないはずだけど……」


結衣(わからない、もしも誘拐とかされちゃってたら……!)


結衣(そんなの……そんなのありえないっての……!!!)


結衣「京子ぉーーー!! 返事してくれええええっ!!」


結衣「頼む……頼むよぉ……!」がくっ



「あっ、あのっ!」

結衣「わっ、な、なに?」どきっ


「もしかして、ゆいさんですか?」

結衣「えっ!? そ、そうだけど……」

「きょうこちゃんはこっちにいるの! はやくきてほしいの!」

結衣「ほっ、本当に!? ありがとう! ありがとう!///」



結衣「あっ、京子!!」

きょうこ「ゆ、ゆい……!」


結衣「急にいなくなっちゃダメだろ! 私から離れないでいてくれよ……!」ぎゅっ

きょうこ「ご、ごめん、なさい……」えぐえぐ

結衣「でもよかった、よかったぁ……」



楓「きょうこちゃんはこれをおいかけてきたの!」


結衣「え? ……あ、ああああぁ~~~っ!!!///」


きょうこ「ゆい、すなどけい、みつけたよ……?」


結衣「よくやったーーー!! さすが京子だ!!」

きょうこ「う、うん……!///」


結衣「これ見つけたのかぁ……なら仕方なかったんだな。ありがとう京子、ありがとう……!」

楓「さあ、もとにもどるじゅんびはできた?」


きょうこ「ひっくりかえせばいいの?」

楓「そうなの!」


きょうこ「い、いくよ……!」そーっ


結衣「あっ、ちょ、ちょっと待ってくれるか?」

きょうこ「?」


結衣「きみ、本当にこれをひっくり返すだけで、元どおりになれるの?」

楓「なれるの。きょうこちゃんを元居た時間に戻せるの!」

結衣(じゃ、じゃあ……///)

結衣「…………」じっ

きょうこ「な、なに……?///」


結衣「いや、よく目に焼き付けておこうと思って……」


結衣「この頃の京子の顔も、身体の軽さも、優しい声も……」ぎゅっ


結衣「どうせ元に戻ったら、小さい時の記憶は無くなってるんだろうしさ……///」すりすり


きょうこ「ゆ、ゆいっ?///」どきっ


楓(ふふ……♪)

結衣「よーし! ひっくり返してみよう!」

きょうこ「い、いくよ……」



くるんっ


きょうこ「あ、あぁぁ……!」ぐぐぐ

結衣「うわぁ……!」




京子「…………」ぽかん

結衣「も、戻った…………」


京子「結衣……」

結衣「戻ったぁーーーー!!」ぎゅっ

京子「うわっ! な、なんだよ……///」なでなで

結衣「よかった、よかったぁ…………!///」

京子「あははは!! そんなに心配だったの?」

結衣「当たり前だろ! 一時はどうなることかと……」

京子「別に私は8歳差カップルでもよかったけどなー」

結衣「嫌だろそんなの……こっち中2で相手幼稚園生って」

京子「えー面白いと思うけど?」



結衣「…………あれ?」


結衣「京子、小さい時の記憶あんの……??」


京子「バリバリあるよ」

結衣「えーーーーーっ!!?///」


京子「なんかさっきやってたよなー。どうせ記憶は無くなるからって頬ずりしてきたよなぁ?」ニヤニヤ

結衣「い、いやあれは……!///」


京子「も~~! 結衣がその気ならいつでもしてあげるのに~~~!///」すりすり

結衣「や、やめろ! 人が見てるだろ…………って、あれっ!?」

京子「あれ? 楓ちゃんは?」きょろきょろ

結衣「楓ちゃんって言うの? さっきの子?」


京子「あーっ! 砂時計も無い!!」

結衣「うそっ、さっきまで持ってたじゃんか!」



京子「…………」


結衣「…………」



京子「いや、もう深いこと考えるのはやめにしますか……」

結衣「そうだな……よくわからないけど、もうこの件からは手を引いた方が良さそうだ……」

京子「またなんかあっても困るしな……」



京子「結局なんだったのかなあ、あの砂時計は……」

結衣「あんなものが存在するんだな……もうなんか全て夢だったんじゃないかと思うよ」


京子「あっ、写真撮った!?」

結衣「写真?」

京子「証拠の写真だよ! 私がちっちゃくなった証拠写真!」

結衣「ごめんそれは撮ってないや。写真なんて撮る余裕無いくらい焦ってたからさ」

京子「ちぇー、結局今回の騒動の証拠になるものは何にも残らないのかぁ」


結衣「楓ちゃんもいなくなっちゃったし……あの子はなんだったの?」

京子「私もよくわかんないけど、砂時計のこと知ってたみたいで……なんか持ち主っぽかった気もしたなあ」

結衣「じゃあ楓ちゃんが京子宛にあの砂時計を送ったってこと?」

京子「えー……なんか違う気がするけど。楓ちゃんと会ったのは今日初めてだし、あの子が私に砂時計を送る意味もわかんない」

結衣「もう何にもわかんないな、今回のことに関しては……」

京子「あーさぶっ!」ぶるぶる

結衣「今日も寒いよな……早くお風呂はいりたい」

京子「どっち先に入る? ジャンケンいくぞ、じゃーんけーん……」


結衣「ぽい!………………ってだからポイじゃねえ!! 今日も泊まるのか!?」

京子「あったぼうよ! 昨日のなんか泊まったうちに入らないでしょ、私徹夜でポケモンやりに来たんだから!」

結衣「まあ確かに楽しめることは全然無かったな……」



京子「で、泊まってもいいの?」

結衣「……いいよ。どうせ明日も何もないし」

京子「結構暇人なんですな、結衣殿」ぷぷー

結衣「悪かったなぁ……」


京子「しゃーない、じゃあお風呂は昨日みたいに一緒に入りますか!」

結衣「えっ!?///」

京子「また今日も結衣の作ったご飯食べて、結衣と一緒にお風呂入って、結衣と一緒にアイス食べて、結衣と一緒に手繋いで寝ますか」

結衣「おい! 飯はいいけど風呂と布団は違くてもいいだろ!///」

京子「なんでよー、なんで小さい時の私は良くて、今の私はダメなのさ」

結衣「だって、なんか…………恥ずかしいじゃん……」



京子「ふーんそっかぁ、結衣は今の私より昔の私の方が好きで、昔の私のことは頬ずりするくらい好きなのに、今の私とは手を繋ぐことも嫌なのかぁ……」しゅん


結衣「そっ、そんなわけないだろ!!///」ばっ

京子「うおおおっ!///」ぎゅっ


結衣「そんなに言うならわかったよ、ずっと手繋いでてやる! 風呂も一緒に入るし、アイスも食べさせてやるし、一緒の布団で寝てやるよ……!」

京子「わ、わかったわかった! ムキにならんでも……」

結衣「ったく…………///」



結衣「あーもうやけに疲れた……すごい走ったし、昨日から変なこと続きで全然休まらなかったからなぁ」


京子「なんだったんだろうねぇ、この1日は……」

結衣「今となってはもう何も残ってないし、誰にも信じてもらえない話だし……」


ガチャ


京子「なーんか長い夢を見てたみたい。妙にリアルで、忘れられない長い夢……」


結衣「幻覚をずっと見させられてたって感じだ……実際そうだったんじゃないか? 昨日このドアを開けた瞬間から、私たちはずっと幻を見てたんだよ」

京子「…………結衣、そうでもないみたいだぞ」

結衣「え?」



京子「わ、私の履いてた靴を見ろ……」

結衣「あ……あーー!! まりちゃんの靴が中学生サイズになってる!!」


京子「…………」

結衣「…………」



京子「夢じゃない! 幻じゃないーー!///」

結衣「おいこれどうすんだ! 次まりちゃん来た時なんて説明すればいいの!?」

京子「そこ今重要じゃなくね!?」



~fin~

【おまけ「かえでと ふしぎなすなどけい」】


櫻子「そういや向日葵さー、なんで昨日私の家に来たとき髪型すこし変えてたの?」

向日葵「……は?」


櫻子「あれなの? イメチェンしたいけどいきなり学校でやるのは恥ずかしいから、私の家で試してたの?」

向日葵「え、なに言ってるんですの……? なんのこと?」

櫻子「だからイメチェンなんでしょ? 髪型だよ」

向日葵「イメチェンなんてした覚えありませんわよ。いつの話?」

櫻子「昨日だって言ってんじゃん! 私の部屋に突然来たじゃん! 宿題手伝ってくれたじゃん!」

向日葵「昨日は私ずっと自分の家にいましたわよ! 何言ってるんですの!?」

櫻子「なんで嘘つくんだよー! 別に良いよイメチェンしたって! 恥ずかしくないよ可愛かったよ大丈夫だから!」

向日葵「いやだからイメチェンなんてしてま……!」


「おねえちゃん、喧嘩しちゃダメなのー!」とてとて

櫻子「あれっ、楓!?」

向日葵「ど、どうしてこんな所に…… 一人でここまで来ちゃったんですの!?」


楓「ごめんなさい、楓はおねえちゃんたちに喧嘩してほしくないの! でも櫻子おねえちゃんはいつも楓とたくさん遊んでくれるから、楓は大きくなって櫻子おねえちゃんのお手伝いがしたかっただけなの!」


櫻子「ど、どゆこと? なに言ってんの……?」

向日葵「楓、落ち着いて? どういうことかゆっくりと教えて……」


楓「つまり……こういうことなの!」じゃーん


櫻子「砂時計……?」

向日葵「これは?」

楓「えへへへ……///」くるんっ


向日葵「え、え、え!?///」

櫻子「わっ、うわああーーー!!!」



楓「すなどけいさんのおかげで、楓もおねえちゃんと同じくらいの年になれるの♪」


向日葵「」

櫻子「」


ばたっ



楓「ああっ! 二人とも気絶しちゃったの!」

砂時計「やっぱり楓にはまだ、上手な使い方がわかんないみたいだな……」

楓「ご、ごめんなさいなの……えへへ……///」


~fin~

ありがとうございました。

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