男「カッコいい台詞をいってみよう」友「はぁ………」(20)

友「またなんで?」

男「いや、ほら、もうすぐ文化祭じゃん?」

友「時期少し外れてるけどね」

男「で、劇やるわけだし」

友「やるね。男が主役だね」

男「でも素人の俺には劇の主役は大層恥ずかしい」

友「顔だけで選ばれたしね」

男「うるさい」

友「手伝わないよ」

男「あぁ、嘘ごめん手伝ってくれ友」

友「仕方ないなぁ」

友「してなんでパートナーに選んだの?」

男「雨降ってる教室に残ってるのがお前だったから」

友「はぁ……ん」

男「それとお前漫画とか小説とか読んでるだろ?」

友「まぁ、小説というか、ライトノベル多いけど………」

男「なぜ口ごもる」

友「だって、オタクってこう趣味隠したがるもんだし」

男「お前がどんな趣味だろうと俺は気にしねぇよ」

友「あれ?もう始まってる?」

男「いや、今の素なんだけど………」

友「必要ない気がしてきたよ………」

友「まぁとりあえず漫画や小説からお題出せばいいんだね?」

男「そういうこと」

友「………じゃあ、こんなのはどう?」

男「“クビシメロマンチスト”?」

友「そこからお題、いい感じに中二ってる決め台詞をどうぞ。」

男「あー、これを言うのか?」

友「簡単でしょ?」

男「………“殺して解して並べて揃えて――晒してやんよ”」

友「割りとすんなりだね」

男「これ、カッコいいか?」

友「決め台詞だけど、文脈が繋がらないと微妙だね」

友「じゃあ次は………」

男「“ブラパ”……漫画か」

友「このシーンのこの台詞何てどう?ポーズも一緒に」

男「お前どこからエアガンだした………」

友「護身用」

男「捕まってしまえ………はぁ。」

男「――“take aim”(構え、撃て)」ジャキ

友「あはは、似合ってる」

男「―――」パン

友「あいたっ!」

友「もう、酷いなぁ………」

男「人選ミスった気がする」

友「他の女の子なんかに頼んでたらもっと酷いこと言わされてたと思うよ?」

男「どうしてそう思う」

友「勘」

男「あっそ………で、次は?」

友「“ひぐらしのなく頃に”何てどう?」

男「これか………ん、ん。」

男「“運命なんて簡単に打ち破れるんだっ!!”」

友「微妙………」

男「やっぱり人選ミスったな」

男「それにしても案外一言でカッコいいというのはないもんだな」

友「そう、だね。シーンで見るとカッコいいものもあるけど、一部抜き出しだとどうしてもつまらなくなる」

男「物書きってすごいよな………」

友「だねぇ………」

男「“ワンピース”の“仲間だっ!!”って叫ぶシーンとか、そこ見るとカッコいいかもしれないけど………」

友「しれないけれど?」

男「“仲間だっ!!”」

友「あ、これは酷い」

男「それを考えると、漫画の名言集なんてのはかなり無駄になってしまうな」

友「まぁ同意かな」

男「カッコいい台詞ってのはシーン次第か」

友「そうだねぇ………じゃあシーンから作ってみる?」

男「そこまでしたくはないな」

友「まぁ面倒だしねぇ」

友「あ、こういうのはどう?」

男「………?“月が綺麗ですね?”」

男「意味はなんだよ?」

友「i love you」

男「ぶっ!」

友「夏目漱石の作中内でこの言葉を訳すときに、“月が綺麗ですね”とでもいっておけというのがあるんだよ」

男「なんかはめられた気分だ」

友「あ、ちなみに録音したから」

男「おいバカ何やってる」

友「いや、売れそうだしね。ついでにもうひとつ」

友「これは諸説なんだけど、死んでもいいわ、というのも訳としてあったりするよ………別の作品で全く関係のない作者というか訳者だけど。」

男「役に、たつのか?」

友「告白するときに使えば?」

男「………覚えておく」

ネタ切れた

男「あー、コホン。まぁそれはいいとしてだ」

友「いいとして?」

男「なんかいい台詞ないか?」

友「羞恥で悶え死ぬようなのなら用意してあげようか?―――告白台詞集だけど」

男「………悪意を感じるんだが」

友「善意なんて持ち合わせてないからね」

男「こいつ………」

友「まぁ、たかだか友人一人ごときに告白台詞も言えないようなら、主役なんてムリだろうね」

男「あ、なんかイラっときた。というか、俺とお前でそういうの言うっておかしくないか?」

友「仕方ない、ここは友人として主役の座を代わってあげよう」

男「あ、聞いてないなこいつ。」

友「ん、なんか言った?」

男「何も………しかしまぁ、お前に好き勝手言われるのもなんか嫌だから乗ってやる。お題を出せ。」

友「え、えぇぇぇ………」

男「おい待てなぜ引く」

友「いやだって練習とはいえ誰かに見られたら………というか聞かれたらドン引きものだよ?」

男「お前は俺にどんなこと言わせるつもりなんだよ」

友「それは………こういうのとか?」

男「………“殺したっていいじゃないか、君が嫌うあたしなんて”」

友「うわぁ………」

男「……………」

友「……………」

男「……………」

友「……………」

男「………これのどこが告白なんだよ!」

>>7
「あなたといると、月が綺麗ですね」な

友「え、いや、これ告白じゃない?」

友「“君があたしを愛してくれないならあたし死んじゃうぞ☆”的な!」

男「それもう脅迫だから、自分を人質にした脅迫だから!あと、なぜ語尾をあげた!」

友「今の時代ヤンデレが流行りなんだよ」

男「こんな重い愛はいらない………」

友「というかこれは歌詞の一部なんだけどね“モザイクロール”って言うの」

男「聞いたことないな」

友「まぁ、そうだろうね」

>>14
うろ覚えですまない

友「これなんてどう?」

男「“毎朝俺のために味噌汁作ってくれよ”」

友「躊躇いないなぁ」

男「遠回しだと恥ずかしくないんだよ」

友「婉曲表現って伝えやすい分伝わりにくいものだよね」

男「そうだな」

友「ちなみにこれを勘違いして、そのまま同棲したカップルがいるらしいよ」

男「なにその残念なカップル」

友「残念すぎるね」

男「背中押してやりたくなるな」

友「駅のホームから?」

男「なんでだよ!」

友「あ………へぇ。」

男「どうしたんだよ、なにか面白いものでも見つけたのか?」

友「いや、得意気に男に披露したのはいいけど、“月が綺麗ですね”って言うのはその前に“あなたといると”というのがつくらしい」

男「ふぅん。」

友「じゃあリテイク、いってみようか」

男「そのicレコーダーを下ろしたら考えてやる」

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