【仮面ライダーディケイド】士「PSYCHO-PASSの世界・・・?」【PSYCHO-PASS】 (88)

【注意点】
・夏海やユウスケたちはおそらくほぼ空気
・公安一係は二期のメンツ
・だけど、霜月はいません
・PSYCHO-PASS2に近いけど、一応パラレルということで

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420204352

士「で、ここは何の世界なんだ?」
夏海「タペストリーには、ものすごく高いビルが建っていますよね?」
士「何でもいい。外にでりゃ、何かわかるだろ。」スタスタ
ユウスケ「ちょっと待てよ、士。俺も行くって。」

士「ここは…」
夏海「近未来的、ですね。」
ユウスケ「てか、士。その服なんだよ?」
夏海「レイドジャケット…警察ですか?」
士「前にも警官になったが…こっちの方がセンスがいい。ま、俺は何でも着こなすがな。」
プルルルル プルルルル

なんだ冬休みか

夏海「腕時計が鳴っていますよ?」

士「こんな腕時計、着けてなかったんだが」ポチッ

常守『門矢監視官、常守です。渋谷でエリアストレスの急激な上昇を確認しました。配属初日で悪いけど、いますぐ現場に来てください。』

ユウスケ「ここは東京なのか!」

夏海「って言うか、エリアストレスって何でしょうか?それに監視官て…」

士「だいたいわかった。」

ユウスケ「わかったのかよ?!」

士「とりあえず、渋谷に行ってあの常守って女に会えばいいんだろ?お前らは来るな。俺一人で行く。どうやら、警察の仕事らしいからな。」

ユウスケ「…」

渋谷

士「常守か。」

常守「配属初日に現場に呼び出して申し訳ないわ。でも、刑事課は人手不足なの。新人扱いはできないわ。」

士「何をすればいい。」

常守「エリアストレスの急激な上昇。その原因は、エリア内の何者かが、犯罪係数を悪化させたから…唐之杜さん。」

唐之杜『はいはい、来ると思ってたわよ。えーと…あ、いたいた。そこのセントラルビルに、すごく真っ黒な色相の子がいるわ。その男のデータ、送っておくわね。』

常守「九条光彦、二八歳。メンタルケア施設の事務員。彼がエリアストレス悪化の原因ね。」

士「つまり、そいつを捕まえればいいって事か。」

常守「ええ。でも、街頭スキャナーがとらえた色相はブラック。完全な潜在犯よ。確保には危険を伴う。」

士「潜在犯、か…」

常守「ええ。この社会では、犯罪を事前に防ぐため、シビュラシステムによってはじき出された犯罪係数を元に『潜在犯』を捕まえるの。場合によっては即時処刑。」

士「ふうん・・ディストピア、だな。」ボソッ

常守「何か言った?」

士「いや、何も。」

ゴオオオ

士「あれは何だ?護送車のようだが。」

常守「これから会う連中は、あなたとは異なる行動基準で犯罪に当たっていく。頼りにするだけ、用心しなさい。舐めてかかると、大怪我するわよ。」

士「ああ、だいたいわかった。」

ゾロゾロゾロ

常守「対象のデータには目を通しましたね?これから、九条光彦を確保します。不測の事態に備え、ドミネーターの使用を許可します。」

プシュー ガチャン

士「この銃をとればいいのか?」

常守「ええ。ドミネーターの扱いは、訓練所でやったでしょ?」

士(やってないんだが)

『携帯型心理診断鎮圧執行システム・ドミネーター・起動しました。ユーザー認証・門矢士・公安局刑事課所属。適正ユーザーです。現在の執行モードはノンリーサル・パラライザー。落ち着いて照準を合わせ、対象を無力化してください。』

士「しゃべる銃だと?」

常守「それは志向性音声だから、持っているあなたにしか聞こえないわ。はじめはうるさいだろうけど、すぐ慣れるから。」

常守「東金さんと雛河くんは私と来てください。宜野座さんと六合塚さんは門矢監視官とともに。門矢監視官のフォロー頼みましたよ。」

宜野座・六合塚「「了解だ(です)」」

常守「東金さん、雛河くん、行きましょう。」

雛河「りょ、了解です…」

東金「了解。」

士「俺は何をすればいい。」

宜野座「あんたがここで待機を命令してくれれば、それで問題はない。」

六合塚・士「」

宜野座「…冗談だ…」

六合塚「滑ってるわよ」

宜野座「とりあえずだ。俺たち執行官は監視官なしでは動けん。あんたの仕事は、俺たちがヘマをしないようにしっかり見張ることだ。」

士「文字通り、監視だな。」

六合塚「苦情が逃げ込んだビルの西側の道路はドローンが封鎖しています。東側には常守監視官が向かっています。となると、警備の穴はビルの地下です。このビルの地下フロアは、地下鉄の駅に直結しているので、いくらでも逃走が可能です。」

士「なら、俺らは地下鉄で待ち伏せしていればいいな。」

宜野座「そううまくいくといいが…とにかく急ごう。」



すいません、今日はここまでです。続きは明日書きます。

乙ー
期待

おはようございます、主です。続き書いていきます。

また仮面ライダークウキか…

渋谷セントラルビル 地下二階

宜野座「ここが地下鉄駅の入り口だが…」

士「やたらと人がいるな…」

六合塚「志恩、九条は?まさか地下鉄に乗って逃げた訳じゃないわよね?」

唐之杜『ええ、監視カメラの映像だと、九条はビルの三階のカフェでコーヒーを飲んでるわ。色相が真っ黒なのが信じられないくらい普通の人っぽく見えるわ。』

士「シビュラシステムがどんなもんかは知らないが、バグってんじゃないのか?」

宜野座「それはありえん。それよりも監視官、シビュラを疑うようなことを言わないほうがいい。あんたの色相が濁るぞ。」

士「安心しろ、俺はこの世界の誰よりもクリアな自信がある。」

宜野座「」

六合塚「とにかく、九条の位置がわかったなら、確保に向かいませんか?」

士「ま、それが上策だな。常守、それでいいよな?」

常守『わかりました。門矢監視官は九条の確保に向かってください。』

士「了解。」

渋谷セントラルビル 三階

士「九条がいるカフェの前まで来たが…」

宜野座「俺と六合塚が先に入る。監視官は後に続いてくれ。」

士「俺の方が上司だよな?ま、いいが。」

ダッ

宜野座「九条!」

『犯罪係数・398。執行対象です。執行モード・リーサル・エリミネーター。』

九条「な、何なんですか!あんたたちは!」

士「公安局だ。あんたの犯罪係数が規定値を大きく逸脱したんでな、ちょっと来てもらうぞ。」

九条「そんな…嘘だろ…」

渋谷セントラルビル前

常守「流石ですね、門矢監視官。あそこまで迅速に潜在犯を確保できるなんて。」

士「いや、それほどでもない。」ドヤッ

東金「しかし妙だ。エリミネーターが出るほどの犯罪係数を出しておきながら、公安の要請に応じるとは…」

常守「詳しいことは、九条に聴取で聞いてみましょう。門矢監視官、ありがとうございました。報告書は明日で構いませんので、今日はゆっくり休んでください。」

士「りょーかい。お疲れさん。」

光写真館

士「ふう…」

夏海「士くん、大丈夫ですか?」

士「こりゃ、面倒な仕事だ。」

ユウスケ「この世界の警察って、そんなにめんどくさいのか?」

士「面倒だ。」

夏海「そんな士くんに、はい、コレ。」

士「何だ、この薬。」

夏海「ストレスケアのお薬ですよ。この世界ではみんなこういうの飲んで幸せに暮らしてるらしいです。」

士「いらん。」

ユウスケ「えー。士はマジで感情ケア必要だと思う。」

士「変s」シャキン

夏海「ストップストップ!全く士くんは…笑いのツボッ」コキッ!

士「あははははははははははははははははははははははははははははははははははっははは!!!!!!」

ユウスケ「やれやれ。」

>コキッ
何か折ってるんですがそれは

翌日 公安局取調室

常守「九条光彦、あなたは特に犯罪行為を行っていないのに、犯罪係数が300を大きく上回った。思い当たる節はない?答えなさい。」

九条「俺…何もしていませんよ…監視カメラとか観れば、わかるんじゃないですか?」ガクブル

常守「唐之杜さん。」

唐之杜『はいはい。ちょっと待ってね。うん。ありとあらゆるデータを調べても、何ら変なところは見つからないわね。九条の証言通りよ。』

常守「僧ですか…」

唐之杜『あ、ちょっと待って。一つだけ変なところを見つけたわ。九条は『ラクラス』という向精神作用のある市販薬を二時間に一回ほど飲んでいたわ。この薬の用法には…一日一回一錠って書いてあるんだけど、彼は二時間に一錠…ちょっと異常よね。』

常守「ありがとうございます。九条、それは間違いないの?」

九条「ええ。確かに、俺はラクラスの用法を守らずに使っていました。」

常守(おかしい。ただ単純に薬の使い過ぎなら、ここまで犯罪係数が上昇することはない…何故?)

公安局一係大部屋

士「お前ら仕事しないのか?」

六合塚「今は別に忙しくありませんから。(電子書籍で雑誌を見ながら)」

宜野座「そうだ。あんたも報告書まとめたなら、ゆっくりしてていいんじゃないか?」

士「そういえば、宜野座。お前はどうして上司の俺を『あんた』呼ばわりするんだ?」

宜野座「あんたには変な気を遣わなくていい。そう判断したからだ。言っておくが、俺は常守に対してもこんな感じだ。」

士「ま、お前の見立ては当たってるな。(笑)」

プシュー

常守「全員そろっているわね?みんなに頼みたいことがあります。」

1期しかサイコパス見てないけど概ね楽しめてる

>>17
(首の折れる音)

常守「今回確保した九条光彦。彼の行動を調べられる限り調べたけれど、犯罪につながるようなことは一切なかった。ただ一つ、薬物の過剰な投与を除いて。」

東金「ということは、その薬物が九条の犯罪係数を上昇させた要因になっていると?」

常守「私はそう考えている。そこで、雛河くんには、唐之杜さんと協力して、その薬物『ラクラス』の成分を調べてほしいの。できるよね、雛河くん。」

雛河「やり…ます…お姉ちゃん。」ボソッ

常守「門矢さんと東金さんは、雛河くんたちの成分結果が出て、異常があった場合、製薬会社の調査に向かって。」

士「わかった。」

東金「了解です。」

常守「宜野座さんと六合塚さんは、ラクラスを取り扱っていた販売店をチェックして、購入した人をできる限りリストアップしてください。」

宜野座「…わかった。」

六合塚「了解です。」

常守「私は九条の聴取を続けているから。何かあったら連絡して。」

プシュー

士「なかなか切れる女だな、あいつ。」

東金「常守監視官は、なかなかのやり手ですよ。」ニヤリ

公安局食堂

士「この世界の飯はブロックか麺類か。久々に『誰でもエースランチ』を食いたくなってきた…」ズルズル

???「ご一緒していいかな。監視官殿。」

士「…ちょ、おまw」

???「やあ、士。」

士「海東…」

海東「この世界は実につまらないね。料理もまともなものがないし。」

士「それは俺も同感だ。で、何のようだ。」

海東「この世界のお宝、いいものを見つけたんだよ。」

士「何だ?」

海東「そりゃ、ドミネーターに決まっているだろう。これから盗むのさ。」

士「ちょっとそこ動くな。」スキャン

士「犯罪係数168。潜在犯じゃないか。」

海東「まさか僕を捕まえる気かい?」

士「当たり前だ。お前をかばって潜在犯になったってどうしようもないからな。」ガチャン

海東「」

公安局分析室

雛河「この薬…やばい…」

唐之杜「どうやばいの?翔くん。データ見せて。」

雛河「普通の薬は色相をクリアにするための物質が入ってるんだけど、この薬は…」

唐之杜「確かに酷いわね…蓄積すると色相や犯罪係数が悪化する物質と、強い依存性のある物質が相当量混入されてる。」

雛河「コレ、確か販売されたの一年前…」

唐之杜「九条がいつから用法を守らなくなったかわからないけど、販売されてから飲んでる人たちが一斉に色相を悪化させる可能性は高いわね。」

雛河「お姉ちゃんたちに知らせないと…!」

公安局一係大部屋

常守「雛河くん、ありがとう。」

雛河「ど、どういたしまして…」

常守「とにかく、ラクラスに違法な成分が含有されていることはわかったわ。これに基づき、さっきの指示通りに皆さんには動いてもらうわ。門矢さん。」

士「何だ?」

常守「雛河くんと東金さんを連れてラクラスの製造を行っている『ヒガシ製薬』の調査に当たって。」

士「わかった。おい、赤毛ともみ上げ、行くぞ。」

雛河「赤毛って…りょ、了解…」

東金「了解です。」

常守「宜野座さんと六合塚さんはメンタルケア施設や薬局でラクラスを購入した人をリストアップしてください。」

宜野座「了解だ。」

六合塚「了解です。」

???

???「遂にラクラスにまで目をつけたか…常守朱。さて、君はどのように捜査を攪乱してくれるのかな?」

鳴滝「ご心配なく。すでにヒガシ製薬には『ライダー』を送りました。」

???「ライダー、か。どれほどの力を持っているんだい?」

鳴滝「ドミネーターを使う前に、敵を抹殺できるほどには。」

???「十分でしょう。それに、こちらには『ドミネーターが一丁』いる。いざというときには、それで闇討ちもできる。」

鳴滝(ディケイド…お前の命も、あとわずかだ…)

ヒガシ製薬

士「ヒガシ製薬、か…ずいぶんでかい建物だな。」

東金「ええ。東金財団がバックにいますので。それなりの規模にもなるでしょう。」

雛河「…?!」

東金「雛河…!?監視官!危ない!」

士「!」

ズドォン!

士「ライダーか!」

雛河「あ、あっちからも!」

東金「何者なんだ、こいつら!」

士「左から順に王蛇、リュウガ、カイザ、サイガ、グレイブ、ザビー、ケタロス、コーカサス、エターナル、邪武か…分が悪いにもほどがあるだろ。」

東金「監視官、彼らを知っているんですか?」

士「ああ、ちょっとだけな。お前らもドミネーターを持て!」

雛河「か、監視官は?」

士「俺には別の力がある。」

主です。続き書きます。

士「変身!」

『カメンライド・ディケイド!』

東金「監視官…その姿は…」

士「ぼさっとすんな、もみ上げ!」

東金「…了解。雛河!」

雛河「わ、わかった!」

カイザ「ディケイド…邪魔なんだよ…お前。」

タッタッタッ

ディケイド「いいぜ、カイザ。かかってこい。」

『アタックライド・スラッシュ』

ディケイド「っはあ!」ザピンザピン!

カイザ「うああ!」

ディケイド「その程度か?そろそろ決めるぜ?」

『ファイナルアタックライド・ディディディディケイド!』

ディケイド「はああああ!」

(首の折れる音)

カイザ「うああああああああ!嫌だ…俺は死なない…生きて…生k(ry」

ドカーン

ディケイド「とりあえず一体か。」

王蛇「イライラするんだよ…ディケイド!」

東金「監視官!避けてください!」

『犯罪係数オーバー500・執行モード・リーサル・エリミネーター』バシュン

王蛇「な、なんだこれうわあああああ!」

雛河「し、執行です!」

『執行モード・リーサル・エリミネーター』バシュン

ザビー「完全調w(ry」

ディケイド「あと七体か!一気に片付けるぞ!もみ上げと赤毛は連中を一カ所に引きつけろ!」

東金・雛河「了解!」

『執行モード・リーサル・エリミネーター』

『執行モード・リーサル・エリミネーター』

タッタッタッ

ディケイド「さて、派手にやるか。」

『クウガ・アギト・リュウキ・ファイズ・ブレイド・ヒビキ・カブト・デンオウ・キバ・ファイナルカメンライド・ディケイド!』

東金「姿が、変わった?」

『カメンライド・カブト・ハイパー』

ディケイド「もみ上げ、赤毛!よくやった!あとは下がれ!」

『ファイナルアタックライド・カカカカブト!』

ディケイド「であああああ!」

敵ライダー「うわーーーー!」

チュドーン

ヘンシンカイジョ

士「やれやれ、だな。」

雛河「か、監視官!今の、すごいよ!」キラキラ

士「まあな。」ドヤッ

東金「監視官、こんな事をして、大丈夫なんですか?」

士「めんどくさくはあったが、大丈夫だ。行こう。」

東金「…了解です。」

スタスタ

東金「…」

『犯罪係数48・刑事課登録監視官。警告・執行官による反逆行為は、記録の上、本部に報告されます。』

東金(あいつが異世界から来た、というやつか。何はともあれ…黒く染める。)

ヒガシ製薬本社受付

士「公安局だ。」

受付「は、はあ。ところで、一つ聞いてよろしいですか?」

士「何だ?」

受付「さっき、でっかい音があったのは…?」

士「気にするな。このもみ上げがでかいおならをしただけだ。」

東金(こいつ…染める!染めてやる!一週間以内に、確実にっ!)

士「それよりも、あんたのところで出してる『ラクラス』にやばいもんが入ってたからな。関係者を出してくれないか?」

受付「はい、担当の浅田を出します。少々お待ちください。」

五分後

浅田「浅田です。公安の方々、今日はどのようなご用件で?」

士「あんたのとこのラクラス、これって、薬って言うよりは、麻薬なんじゃないか?」

浅田「いきなり、何をおっしゃいますか!当社の薬は厳重な管理をしています!そのような発言は、慎んで頂きたい。」

士「だが、このデータにもあるように、蓄積すると色相や犯罪係数に悪影響を及ぼす物質や、依存性を引き起こす物質が相当量混入されている。メンタルケア施設や薬局など、販売店10店をサンプルに調べたが、どれも同じ結果だ。」

浅田「…とりあえず、応接室にどうぞ。詳しい話は、そこで。」

ゾロゾロゾロ

士「待て!」

東金「監視官?」

士「そいつに、ドミネーターを向けてみろ。」

『犯罪係数オーバー130。執行対象です。執行モード・ノンリーサル・パラライザー。落ち着いて照準を定め、対象を無力化してください。』

浅田「!」

士「おそらく、俺たちをこれから電波暗室にでも連れて行く算段だったんだろうが、残念だったな。雛河!」

雛河「執行です!」バン!

バタリ

東金「監視官、どうしますか?」

士「とりあえず、増援の要請だな。こいつを放っておくわけにもいかねえし。確か、二係とかってあるんだろ?」

雛河「う、うん…」

士「じゃ、呼ぶか。」

東金「では、私は周囲の警戒を。いつの間にか受け付けも消えていますし。」

士「頼んだぜ。常守、応答しろ、門矢だ。」

常守『常守です。何かあったんですか?』

士「どうやらヒガシ製薬は俺たちを罠にはめるつもりらしい。増援を頼めるか?」

常守『二係の青柳監視官に聞いてみます。しばらくそこで待機を。』

士「了解。」

ヒガシ製薬一階男子トイレ

東金「…はい。まもなく増援もくるかと。そうなると、私一人の離反程度では門矢士の抹殺は不可能。常守をおびき出すのも難しいでしょう。」

???「つまり、増援を潰してほしいと?」

東金「頼めますか?」

???「いいだろう。現場の対処は?」

東金「警備ドローンをクラックすれば、一発でしょう。デコンポーザーの弾数は三発。七体ほどいれば、奴らは追い詰められます。あとは、門矢士が持つベルトを押さえれば。」

???「しかし、門矢は頭が切れるのだろう?お前が動く前に察知される可能性もあるのでは?」

東金「ご心配には及びません。ここは製薬会社。いざとなれば薬品を空気中にばらまき、判断力を鈍らせればいい。それに…」

???「私は執行官であり、潜在犯です。危ない匂いを出すのも当たり前でしょう、母さん。」

禾生「そうね、期待しているわ。朔夜。」

車内

青柳「まさか、製薬大手のヒガシ製薬が…」

プルルルル プルルルル

青柳「青柳です。」

禾生『私だ。今すぐ公安局に戻ってきてほしい。』

青柳「しかし、今私たちは一係の要請でヒガシ製薬に…」

禾生『そんなことはわかっている。しかし、こちらも大変でね。なんと、公安局内の職員が多数、一斉に色相を悪化させた。彼らは突然の色相悪化にパニックを起こし、犯罪係数が300を超過しているものも出ている始末だ。現在、公安局内にいる刑事課総出で対処に当たっているが、鎮圧には至っていない。君たち二係の力が必要だ。今すぐ戻ってきてくれ。』

青柳「…わかりました。公安局には酒々井監視官と山門屋執行官、蓮池執行官を向かわせます。他に、二係の人員としては公安局内に波多野執行官を残していますので、戦力には問題ないでしょう。」

禾生『できれば君と須郷くんにも戻ってきてほしかったんだが…まあ、不足はないだろう。』

青柳「現場にまもなく到着しますので切ります。お気をつけて。」

青柳「公安局内で事件発生。酒々井監視官は山門屋と蓮池を連れて公安局に至急戻って!」

酒々井『了解です。』

青柳(おかしい…このタイミングで公安局内で事件…まるでこちらの動きを妨害するような…まさか公安に内通者が?いや、そんなことを考えてはダメ。色相が濁ってしまう。)

公安局

宜野座「畜生!どうなっているんだ!」

『犯罪係数214。執行モード・ノンリーサル・パラライザー。』バン!

職員A「!」バタン

常守「公安局内でサイコハザード…」

六合塚「前代未聞ですね。」

『執行モード・リーサル・エリミネーター』バシュン!

グシャ

宜野座「エリミネーターの弾数はフル充電で四発。もう残弾が殆どない。万事休すか?」

常守「仕方ありません。公安局内の職員にもう一度投降を呼びかけた上で、ドミネーターを使用します。エリミネーターの使用ができなくなった時点でドミネーターの使用を放棄。以後はスタンバトンで気絶させ、確保します。」

六合塚「それが最善のようね。志恩、局内の職員で、犯罪係数が規定値を逸脱したものはあと何人ほどいる?」

唐之杜『ざっと見て百人は下らないわ。うち三十人くらいは300ぶっちぎっちゃってる。これは、もう、やばいわね。分析室はロックかけたから、私はひとまず安心だけど。』

六合塚「そんなに…!志恩も気をつけて。」

唐之杜『ありがとね。あとで気遣ってくれたお礼はするわ。』

六合塚「…///」

常守「唐之杜さん!後ろ!」

職員B「うわああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

六合塚「っ!」

『執行モード・リーサル・エリミネーター』バシュン!

グシャ

六合塚「残弾は一発…厳しいわね。」

ヒガシ製薬一階ロビー

青柳「門矢監視官!状況は。」

士「状況も何も、こいつをパラライザーで眠らせてからずっと待機してた。」

青柳「そう。須郷、この寝ぼけた潜在犯を護送車に持っていって。」

須郷「了解です。」

東金「とりあえず、手当たり次第調査していきましょう。」

青柳「そうね。じゃあ、二手に分かれて…」

士「いや、ここは全員で動いた方がいい。」

青柳「何で?」

士「おかしいと思わないか?静かすぎる。何か、嫌な予感がするんだが…」

青柳「そうね…わかったわ。門矢監視官の言うとおりにする。」

東金「この建物は地下三階、地上十七階の計二十階建て。うち、地上フロアはオフィスとなっています。」

雛河「地下はどうなってるの…?」

東金「地下が製造工場になっているようです。ただ…」

青柳「ただ?」

東金「地下一階は研究室になっているので、構造上調査には楽なのですが、地下二階・三階は広大な生産工場になっていて、入ったら広すぎて出るのが困難な作りになっています。」

士「そこで襲われたら撤退も難しいな。ディケイドの力とは違って、ドミネーターには弾数制限があるからな。」

雛河「め…目印つけてくのは…どうかな…?昔読んだ童話でも、帰れるようにパン落としてった描写あったし…」

青柳「でもどうするの?私たちはパンなんて持ってないわよ?」

士「簡単だ。俺がライドブッカーで床に弾痕残していけばいい。」

青柳「それは器物破損でアウトよ。あなた、そんな発想でよく色相が濁らないわね。」

士「じゃあどうしろと?」

東金「それは歩きながら考えましょう。こうも言います。迷わず飛べよ、飛べばわかるさ。と。」

士「じゃ、仕方ない。行くか。」

タッタッタッ

青柳「!」

須郷「遅くなり、申し訳ありませんでした。」

士「よし、じゃ、出発だ。」

久しぶりに見た 期待してる

おはようございます、主です。続き書いていきます。
一点訂正です。
>>32
???「私は執行官であり…」の???は東金です。訂正し、お詫び申し上げます。
その他誤字等、失礼しました。

ヒガシ製薬地下一階第一研究室

青柳「寒いわね…」

士「そりゃ、研究施設だからな。」

東金「まずは、コンピュータに保存されたデータを解析しましょう。」

士「ああ、任せた。俺たちは他を捜索する。」

ゾロゾロゾロ

東金「…」ニヤリ

【警備ドローン・起動・武装レベル・MAX】ポチッ

士「工場のフロアも広いらしいが、ここもずいぶんと広いな。」

青柳「そうね…ちょっと気が滅入る。」

雛河「あ、あの部屋…!明かりがついてる!」

須郷「我々が先に突入します。」

青柳「ちょっと!待ちなさい!」

ズドン!

須郷「ぐぅ!」

青柳「須郷!?」

須郷「問題ありません…少し、かすり傷を負っただけです。」

士「爆薬か!こいつら…やる気だな!」

ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!

雛河「ひぃ!ド、ドローン…!」

士「何だって!」

青柳「本当ね。」

須郷「反対方向からも来ます!」

ガシャン!ガシャン!ガシャン!ガシャン!

士「おいおい、マジかよ…仕方ない!変s」

バン!

士「ディケイドライバーが!」

???「監視官であるあなたに、これは過ぎた玩具だ。」

士「東金…裏切ったのか!」

青柳「反逆者は即執行よ!東金朔夜!」

『犯罪係数724。公安局登録執行官・任意執行対象です。執行モード・リーサル・エリミネーター。』

東金「おやおや、怖い。しかし、私もドミネーターの扱いに長けた人間であると言うことをお忘れなく。」

『犯罪係数142。公安局登録執行官・任意執行対象です。執行モード・ノンリーサル・パラライザー。』バン!

バタン

士「雛河!」

東金「それ、もう一発。」

『犯罪係数136。公安局登録執行官・任意執行対象です。執行モード・ノンリーサル・パラライザー。』バン!

青柳「須郷!」

東金「最高レベルの武装をした警備ドローン七体、そして俺。執行官がいないお前らに勝機はない。」

士「こいつは…やばいな。」

青柳「絶体絶命ね。何か手はある?」

士「ない!とりあえず、ドローンをぶっ壊すしかねえ!」

『対象の脅威判定が更新されました。執行モード・デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します。ご注意ください。』ズドン!

東金「デコンポーザーは三発。こちらは七体。どう見てもお前らの負けだ!」

士「そうとも限らないぜ。青柳、後ろを頼む!」

タッタッタッ

青柳「ちょっと、どうするつもり?」

士「こういうことさ!」

『携帯型心理診断鎮圧執行システム・ドミネーター・起動しました。ユーザー認証・門矢士・公安局刑事課所属。使用許諾確認・適正ユーザーです。』

東金「雛河のドミネーターを使う、だと!」

青柳「なるほどね!」

士「青柳!須郷のだ!」バッ

青柳「ナイスパス!」キャッチ

『携帯型心理診断鎮圧執行システム・ドミネーター・起動しました。ユーザー認証・青柳璃彩・公安局刑事課所属。使用許諾確認・適正ユーザーです。』

『執行モード・デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します。ご注意ください。』

『執行モード・デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します。ご注意ください。』

『執行モード・デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します。ご注意ください。』

『執行モード・デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します。ご注意ください。』

ズドン!ズドン!ズドン!ズドン!

東金「くそが!そんなやり方があるか!」

士「あるんだな。さて、あと二体。さっさと仕留めるか。」

東金「畜生…貴様らに!母さんを!汚させるものか!」

『犯罪係数アンダー50。公安局登録監視官。執行対象ではありません。警告・執行官による反逆行為は、記録の上本部に報告されます。』

士「青柳!このもみ上げの始末は任せた!俺はドローンをやる!」

青柳「了解。」

『執行モード・デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します。ご注意ください。』

『執行モード・デストロイ・デコンポーザー。対象を完全排除します。ご注意ください。』

ズドン!ズドン!

東金「まだ…まだだ!俺はこんなところでは…!」

士「ご愁傷様、だな。」

『犯罪係数852。刑事課登録執行官。任意執行対象です。執行モード・リーサル・エリミネーター。』バシュン!

東金「があっ!」

士「少し外したか!」

東金「覚えていろ!貴様ら公安を壊滅させてやる!」

タッタッタッ

青柳「待ちなさい!」

士「いや、追わなくてもいい。どうせ失血死するだろう。それよりも、ドミネーターの充電がこんなザマじゃ、捜査にもならんだろ。一回引き上げよう。青柳は雛河を担いでくれ。俺は須郷を担ぐ。」

青柳「考えてるのね、あなた。」

士「まあな。」

公安局

常守「…とりあえず、制圧は完了しましたね。」

宜野座「しかし、損害は大きい。二係の酒々井監視官は目を負傷。山門屋執行官と波多野執行官、三係の鏑木監視官は殉職。おまけに公安局職員の七割が執行か隔離施設行きだ。公安も大変なことになった。」

プルルルル プルルルル

常守「常守です。」

士『俺だ。青柳に聞いたが、公安局、やばいらしいな。』

常守「局内の暴動は鎮圧しました。今どこに?」

士『車で、そっちに向かっている。』

常守「全員で現状の報告をしたいので、至急戻ってきてください。」

士『わかった。』

常守「…どうなっているの…?」

光写真館

夏海「遅いですね、士くん。」

ユウスケ「刑事だからな、士も。事件があるんだよ。」

夏海「でも、大丈夫ですよね、士くんなら。」

ユウスケ「そう!あいつは無駄にタフだからな。それに、あの銃、ドミネーターがあるんだろ?あれ、かっこいいよなあ~俺も使ってみたい。」

栄次郎「ユウスケくんにはユウスケくんなりの力がある。別にドミネーターなんてなくても大丈夫だよ。こんな世界だからこそ、ユウスケくんのような優しさと強さのある心が求められると私は思うんだけどなあ。」

ユウスケ「そ、そうですかねえ…」

キバーラ「そうよ~ユウスケくんは優しいわ~」

バタン!

ユウスケ「だ、誰だあんた!?酷いけがじゃないか!」

東金「門矢監視官が…!危険なんだ!今すぐ来てくれ!」

ユウスケ「何だって!夏海ちゃん!」

夏海「わかりました。今すぐ行きます!」

東金(これで、材料は揃った…あとは…)

公安局大ホール

禾生「さて、刑事課で動ける人間は全員揃ったようだし、始めるか。」

禾生「現在、刑事課に4名の空席と1名の負傷者がいる。この状況で、ラクラスの作用によるサイコハザードを乗り切るのは厳しい。まずは欠落した人員の補填に関してだが、三係の監視官に史上最年少の霜月監視官を加える。霜月くん、出たまえ。」

霜月「本日付で三係に配属となりました、霜月美佳です。よろしくお願いします!」ビシッ!

禾生「本堂監視官、彼女の指導はよろしく頼んだよ。」

本堂「了解です。」

禾生「それと、二係の執行官として、新たに海東大樹執行官に入ってもらう。」

士「海東?!」

海東「本日付で二係の執行官となりました、海東大樹です。よろしくお願いします。」

禾生「とりあえず、今現在確保した人員はこれだけだ。次に、サイコハザードに対する予防策を…」

士「どうやって執行官になった!?」ヒソヒソ

海東「適性が出ただけさ。」ドヤッ

士「お前のような盗人が刑事になれるんだ、この世界も終わりだな。」ヒソヒソ

海東「あまり下手な軽口たたくと、執行されるよ?」ヒソヒソ

士「身分上は俺が上司だと言うことを忘れるなよ?」イライラ

海東「なら、君を濁らせて執行官堕ちさせればいい。」ヒソヒソ

士「そうなったらドミネーター抜きでぶっ飛ばすが、いいのか?」ヒソヒソ

海東「その瞬間にはエリミネーターでぶっ飛ばされてると思うよ?」ニヤリ

士「…」イライラ

ペチン!

士「痛っ!」

禾生「…」ジロリ

士「も、申し訳ありません局長。」

士「加減は出来ねえのか?常守!」

常守「今は会議中ですよ?私語は慎んでください。」

士「…」

シビュラが仮面ライダーという格好の玩具を発見して興味を持たない訳がない

公安局大ホール入り口前

常守「門矢さん。少しお話が。」

士「何だ?」

常守「東金さんのことで…ちょっといいですか?」

公安局食堂

士「暴動のあとじゃ、どこも荒れてるな。」

常守「でも、食堂がこの程度で済んで良かったですよ。」

士「で、東金の何が聞きたい?」

常守「私は、まだ彼が反逆行為を行ったことが信じられません。詳しく、その時のことを話してくれませんか?」

士「青柳たちと合流して地下に調査に行くまでは問題なかった。だが、あいつがコンピュータで調査を行い、俺たちと別れてからドローンが襲ってきた。今思えば、あいつはドローンを動かす命令を出していたに違いない。」

常守「その証拠は?」

士「ないが、そのあと雛河と須郷を撃ち、俺たちに対して明白な敵意を向けたのは紛れもない事実だ。」

士「それと、あいつは追い詰められて取り乱すと、こんな事も口走っていたな。貴様らに母さんを汚させてなるか、と。」

常守「母さん…資料によると、東金さんの母親は東金美沙子。現在は死亡しています。」

士「死者を汚すもクソもないだろ。」

常守「私に、一つ思いあたりがあります。」

士「何だ、それは。」

常守「それはいえませんが、事と次第によってはとんでもないことになるかも…!」

ダッ!

士「おい!常守!待て!」

常守「ちょっと!門矢さん!追いかけないでください!」

士「そんな言い方すんな!まるで俺がストーカーみたいだろ!」

常守「はい!門矢さんはストーカーです!」

士「ちょ、おまw」

プルルルル プルルルル

士・常守「局長?」

禾生『常守監視官、門矢監視官を連れて、厚生省ノナタワーに来たまえ。彼にも、真実を話そう。』

士「真実?」

禾生『そうだ。この世界の秘密を、世界の破壊者たる君に教えようというのだよ。仮面ライダーディケイド。』

士「俺を…知っているのか。」

禾生『とにかく、早く来たまえ。事態は切迫している。いつサイコハザードが起きるとも知れん。』

士「了解。常守、頼んだぜ。」

常守「ええ。行きましょう。」

やべぇ面白い

アドレスをぶち込むガキにしては面白い
つまりもっとやれ

おはようございます、主です。
続き書いていきます。
劇場版公開までに終わればいいなー…

おはようございます。主です。
続き書いていきます。
劇場版公開までに終わればいいなぁ…

今、スマホで投稿してるため、↑がすぐに反映されず、重複投稿してしまいました。ごめんなさい。
なにせSS書くのは初めてでして。こんな主ですが宜しくお願いします。

厚生省ノナタワー脳みそ部屋

士「これは…何だ?」

『門矢士、これが、シビュラシステムの正体です。』

士「この脳みそが、この世界を支配してるってのか?」

常守「…ええ。」

『本来ならば、一監視官に開示するような情報ではありません。この情報を知っているのは、ごく僅かな公安直属の医療スタッフ、国のトップ。そして、一部の特別な存在のみ。』

士「特別な存在だと?」

『はい。それは、常守朱とあなた、そして、東金朔夜です。』

士「東金だと?」

常守「シビュラシステム、あなたたちの中に、かつて東金美沙子と呼ばれた人間の脳はあるの?」

『はい。いえ、あった、というのが適切でしょう。東金美沙子の脳は、つい先程排除しました。』

常守「排除した?」

『はい。彼女は重大な背任行為を働きました。それについて、これから説明します。』

『東金美沙子は、犯罪係数を正常に数値化できない免罪体質者の一人でした。そこで、我々は彼女をシステムに組み込むことで新たな完全性を獲得した、はずでした。』

士「はずだった?」

『はい。公安局局長禾生壌宗がシビュラシステムの端末として機能する義体の一つであることは、常守朱はご存知でしょう。システムの一部に組み込まれている脳は義体にアクセスしている間は、生前の人格がある程度戻るようになっています。東金美沙子はそれを利用し、息子の東金朔夜や傘下のヒガシ製薬と結託して大規模なサイコハザードを計画しました。』

士「なぜそんな真似をする?」

『シビュラシステムの崩壊が狙いです。』

常守「システムの崩壊?なぜ?東金美沙子はシステムの一部だったんでしょう?」

『もとより、東金美沙子は先天的な免罪体質者を意図的に作ることでシステムを間接的に崩壊させようとしていました。今回は一般市民のサイコパスを急激に悪化させ、大規模なサイコハザードを起こし、都市機能の麻痺、ひいてはシビュラシステムの機能停止を引きおこそうとしていました。』

士「そんなことして、東金美沙子になんの得がある。」

『東金美沙子は東金財団という大きな医療・薬剤関係の財団を抱えていました。大規模なサイコハザードを起こした後、東金財団が自社の薬剤でそのサイコパスを浄化し、財団への支持を集める。その後、シビュラシステムに敵対する一大勢力を築き上げ、システムを破壊する。その後、新たな社会の頂点に君臨する。それが、東金美沙子の狙いでした。』

士「だが、東金美沙子は死んだだろ。」

常守「まさか、東金美沙子の意思を継いだのが、東金朔夜なの?」

『はい。東金美沙子の熱心な信奉者であり、息子である東金朔夜もまた、先天的な免罪体質者の臨床実験で生まれた人間です。しかし、彼は東金美沙子がシステムに組み込まれる直前に東金美沙子を刺しました。東金美沙子はかろうじて一命を取り留め、無事システムに組み込まれましたが東金朔夜は犯罪係数を急激に悪化させ、観測史上最大値の犯罪係数を叩き出してしまいました。その後、執行官として公安局に登用されましたが担当監視官を潜在犯にし、執行したために免官処分となりました。』

常守「そんな記録、私のところには来てないわ!」

『隠蔽するに越したことはない事実ですので、あえて伏せさせていただきました。』

常守「冗談じゃないわ。」

『その後、東金美沙子がシステム内で何度も東金朔夜の復帰を提案したため、経歴を偽造したうえで刑事課一係に配属しました。』

常守「結局、あなた達の身から出た錆ね。」

『今回の一件に関し、責任の一端があることは事実です。しかし、東金一派による大規模なサイコハザードの種はばらまかれてしまった。そこで、門矢士、あなたに頼みがあります。』

士「何だ?」

『東金朔夜の抹殺、及び、東金財団の制圧です。東金朔夜はヒガシ製薬での戦闘後も生存しているようです。あなたの当時の状況判断には誤りがありました。しかし、私達はあなたの特異な精神構造と変身能力に非常に興味を示しています。そして、その力があればこの一連の事件も解決できると信じています。』

士「悪いが、俺は指図されるのが一番嫌いでね。次に嫌いなのがお前らだ。脳みその塊なんて気味が悪くてしょうがねえ。それに、俺はお前も知ってるように通りすがりの仮面ライダーだ。断る理由ならいっぱいある。だが、俺も仮面ライダーを名乗る以上、目の前で消えそうな命を見過ごすことはできない。今回ばかりは従ってやる。」

『協力的な姿勢に感謝します。』

常守「言いたいことはそれだけかしら?シビュラシステム。」

『はい。』

常守「あなたたちもそろそろ新たな変革を考える必要があるんじゃないかしら。」

『現状、そのような必要性はありません。』

常守「そう、責任を感じはするけど取りはしないってことね。勝手にもほどがあるわ。」

『勝手などというものは、個人の主観です。この社会では、私たちが頂点に立ち、わたし達の裁きが全てです。それを忘れないでください。』

常守「わかってるわ。門矢さん、行きましょう。」

士「ああ。」

プルルルル プルルルル

士「なんだ?」

東金『東金だ…お前の仲間、光夏海と小野寺ユウスケは俺が預かった。開放して欲しければ、ディケイドライバーをもって廃棄区画に来い。一人で、ドミネーターもなしだ。守れなかったら、こいつらの命はない。』

士「そりゃまた、随分と古典的なやり方だな。」

東金『期限はあすの日没までだ。』

ブチン

士「ちくしょう!」

常守「門矢さん…」

士「行くしか、ない。」

常守「危険です!門矢さんはまだ刑事としては…」

士「新人扱いはしないんじゃなかったのか。それに、俺はデカとしちゃ経験はないが、いろんな世界で死にかけるような目に何度もあった。でも、こうして生きてる。今度も大丈夫だろ。」

常守「で、でも…」

士「安心しろ、ユウスケも捕まってるが、あいつも一応仮面ライダーだ。何とかなるさ。」

常守「…わかりました。もう止めません。こんなに無茶する人、久しぶりです。あの人みたいで…」

士「恋人、か?」

常守「ち、違いますよ!元同僚です…」テレ

士「そいつは今、どうしてるんだ?」

常守「刑事であることもやめて、あの人は多分どこかで…どこかで生きてると思います。」

士「そうか…」

常守「…しんみりしちゃいましたね!あ、突入するならスタンバトン、どうぞ。お守り程度にはなるかと思います。」

士「ありがとな、常守。」

常守「い、いえ…」

士「常守…」

常守「…はい?」

士「サイコハザードはいつ起こるかわからない。死ぬなよ?」

常守「私も二年以上デカをやってるんですよ?死にかけるような目に何度もあってます。大丈夫ですよ!」

士「こりゃ、参ったな(笑)」

廃棄区画 旧商業施設用ビル三階

東金「気分はどうだ?小野寺ユウスケ。」

ユウスケ「最高だよ…こんな気分、初めてだ…」ウツロ

夏海「もうやめて!私、こんなユウスケ見たくない!」

東金「お前もやって見ればわかるだろう。俺は正気でないといけないから、やらんがな。」つ注射器

夏海「嫌あ!」

ユウスケ「東金さん…隣の女の子…誰?」ウツロ

東金「光夏海だ。お前の仲間、だろう?薬のせいで忘れてきたか?」

ユウスケ「光夏海…思い出せるような、出せないような…でも、どうでもいいや。」ウツロ

東金「そうだ、それでいい。」

東金(聞けば、コイツも仮面ライダーらしいからな…これでこいつは薬があれば操れるいい猟犬になった…門矢士もコイツには本気でぶつかれないだろう…まして、ベルトも手放したあとでは、コイツに勝ち目はない。)

鳴滝「小野寺くんがこうなってしまったのは少し残念だが、これでディケイドを仕留められるなら悪くない。東金くん、お手柄だよ。」

東金「いえいえ…」ニヤリ

光写真館

栄次郎「士くん!大丈夫だったのかい!?」

士「夏みかんとユウスケがさらわれた。あのもみ上げ野郎に騙されてたんだ…」

栄次郎「なんてことだ…あぁ…夏海…」

士「じいさんと白コウモリは死にたくなかったらここから出るな。」

栄次郎「で、でも、夏海は…」

士「安心しろ、俺が助ける。」

キバーラ「ユウスケ空気ー」

士「ユウスケもだ。」

栄次郎「頼むぞ、士くん。」

士「ああ。」

常守宅

常守(私たちは、大切なことを見逃している気がする…)

タバコモクモク

常守の中の狡噛『それなら、まず普通ありえないことだが、起こってしまったことを挙げてみろ。』

常守(まずは九条の一件。そして、公安局内でのサイコハザード。九条の件はラクラスの成分で説明がつく。でも、公安局内でのサイコハザードは…)

狡噛『考えられる原因を考えてみろ。』

常守(まずは、九条のように公安局の職員がみんなラクラスを過剰に服用しているという説。でも、それはありえない。公安局の職員は何百人といる。全員が同じ薬を飲むなんてことは考えられない。)

狡噛『なら、他に何がある?』

常守(何者かが、サイマティックスキャンのデータを改ざんした。でも、それは…)

狡噛『だが、公安局の職員全員がラクラスを服用するよりは可能性がある。それに、この世界には今、ほかの世界からの侵入者がいる。その侵入者が、シビュラシステムの秘密を知る者と結託していれば、サイマティックスキャンを改ざんすることは容易だ。』

常守(その線で調べてみよう…)

翌日 公安局刑事課一係大部屋

士「局長命令により、俺は東金朔夜の確保に向かう。お前らは常守の指示に従って動いてくれ。」

宜野座「あんた一人だけか?危険だ!」

士「実は東金から連絡があってな、どうも俺とデートをしたいらしい。悪趣味なことこの上ないぜ。」

宜野座「奴は犯罪係数がぶっ飛んだ犯罪者だ!執行官もつけていくべきだ!」

士「人質がいるんだ!」

宜野座「な…お前、まさか…」

士「大丈夫だ。なんなら、俺の犯罪係数、測ってみろ。」

宜野座「…」

常守「端末でスキャンしますね。」スキャン

宜野座「犯罪係数、32…」

士「今の俺は、システムの望み通りの人間なんだ。安心しろ。」

宜野座「…気をつけろよ…」

士「ああ、行ってくる。」

タッタッタッ

宜野座「青柳か?宜野座だ。頼みがある…」ヒソヒソ

廃棄区画 旧商業施設用ビル三階

士「約束通り来てやったぞ!東金!」

東金「ああ、来たか。待ってたぞ、門矢士!」ニヤリ

士「ディケイドライバーを渡す!夏みかんとユウスケを返せ!」

東金「ほら、二人を返してやるよ…」ククク

士「夏みかん!ユウスケ!」

タッタッタッ バキッ

士「ぐぅ!」バタン

ユウスケ「あんたを倒せば東金さんが薬をくれるんだ…恨みはないけど…変身…」

士「ユウスケ…!東金!ユウスケに何をした!?」

東金「ちょっと強めの薬を与えただけだ。そしたら、こいつ、コロッと堕ちやがった。」ニヤリ

士「くそっ!」

東金「そうそう、光夏海にも薬を一発打っておいた。もう一発打てば、完全に薬の、いや、俺の奴隷だ。」

士「ちくしょう…!」

夏海「東金…さん…さっきの薬は…?」ウツロ

東金「後でたっぷりあげますよ。あなたの欲しい分だけ…」ニヤリ

士「夏みかんっ!」

夏海「士…くん…?!士くん!」

東金「ちっ、理性がまだあったか!」

チュウシャキブスッ

夏海「!」ウツロ

士「夏みかん!東金、お前は…!」

東金「憎いか?門矢士。俺のことが憎いか?なら、門矢士、お前にチャンスをやろう。」

カランッ

士「ディケイドライバー?」

東金「ディケイドに変身して俺を倒すか、それとも小野寺ユウスケに殴られるか。どちらか選べ。3分待とう。」

士「俺は…」

士「俺は…」

ポケットカラスタンバトン

士「はぁ!」

東金「そんな玩具がどうした!」

ボカッ

士「っ!」ドサッ

東金「二択を三択にしたその発想の面白さは評価するが、勝てなきゃ意味ないぞっ!監視官殿!」ドスッドスッ

士「ぐはっ!」

東金「さあ!やれ、仮面ライダークウガ!」

クウガ「…」

士(この世界が、俺の旅の終点か…常守に宜野座、青柳…面白い奴もいたし、まぁ、死に場所にしては悪くないか…)

『執行モード・ノンリーサル・パラライザー』バン!

クウガ「!」

ヘンシンカイジョ

ユウスケ「…」バタン

海東「ギリギリで間に合ったようだね、士。」

士「海東…」

青柳「だいぶピンチじゃない。でも、死ぬのはまだ早いわよ。」

士「青柳…」

海東「士、部下によっぽど好かれてるみたいだね。嫉妬したくなるくらいだよ。」

士「部下?…てことは、宜野座の差し金か?」

青柳「正解。さぁ、立ちなさい。」

士「こんな怪我人に立てとは酷なことを言うな。」

青柳「でも、あなた、仮面ライダーなんでしょ?」

士「仮面ライダーだってケガぐらいする。ま、立つさ。」ヨロヨロ

東金「お前ら!いつまで喋ってるんだ!」

士「どうした、もみ上げ野郎。入れて欲しいのか?でも悪いな、このコミュニティには犯罪係数800出すような危ない奴は入れられないんだ。」

東金「嫌味を言ったつもりか?門矢士…だが、もはや貴様の犯罪係数だって普通じゃないはずだ!」

士「なら、お前の持ってるスキャナで、俺の色を見てみろよ。」

東金「…」スキャン

東金「!サクライロ…!?馬鹿な!殴られて蹴られたやつが、そんなに色相をクリアに保てるはずが…!」

士「だが、これが現実だ。受け入れろ、東金朔夜。」

青柳「投降しなさい、そうすれば、命の保証はするわ。でも、しなければドミネーターであなたを撃つ。」

『犯罪係数オーバー910。執行モード・リーサル・エリミネーター。』

東金「…」キョロッ

海東「逃げ道はないよ。」

『犯罪係数オーバー910。執行モード・リーサル・エリミネーター。』

東金「…俺の…負けか…」ドサッ

士「終わった…ユウスケ…夏みかん.」

プルルルル プルルルル

青柳「青柳よ。常守監視官?」

常守『ついに、起こりました…サイコハザードが…』

青柳・士・海東「「「!?」」」

東金「はははははははははは!!!来たか…よくやったぁ、鳴滝ぃ…」ニヤリ

士「鳴滝?」

東金「最初にライダーが全滅した時には無能かと思ったが、シビュラシステムのデータを、それも公安局の連中はおろか一般市民のサイコパスまで改ざんするとは…口が達者なだけではないようだ…」

士「まさか、あの時の暴動も!?」

東金「そうだ、鳴滝だ…あいつが公安局職員のサイコパスを改ざんし、パニックを引き起こさせた。改ざんしたデータはそのうち本当のものになっていった!」ニヤリ

士「ラクラスだけじゃなかったのか…!」

東金「ラクラス?あぁ、ヒガシ製薬のか…あれは目くらましに過ぎん。まぁ、サイコハザードを助長する役割もあるがぁ…」ヒッヒッヒッ

常守『青柳さん、はやく東金を連行して公安局に。』

青柳「わかったわ。東金、来なさい。」

東金「こうなったら、話は別だ!」ゲシッ

青柳「うっ!」バタン

タッタッタッ

海東「逃がさないよ!」

『執行モード・リーサル・エリミネーター。』バシュン!

東金「ごほっ!」

海東「手だけか!」

青柳「どうする?門矢監視官。」

士「ユウスケと夏みかんが心配だ…特に、ユウスケが今起きたらまずい…あいつらだけでも、セラピーに…」バタン

青柳「門矢監視官!?」

海東「大丈夫、気を失ってるだけだ。」

青柳「門矢監視官もこれじゃあね。仕方ない。戻ろっか。海東、門矢監視官とユウスケって男の子持ってって。私はあっちの女の子担ぐから。」

海東「了解。」

東京都内某所

市民A「お前もか!?お前も色相真っ黒か!?」

市民B「あぁ…俺、ちゃんとケアしてたのに…どうしてなんだよ!」

市民C「こうなったら、薬を飲むしかねえ!」

都内薬局

ガサゴソガサゴソ

店員「ちょっと!やめてください!」

市民D「あんただって、色相は真っ黒だろ?なら、あんたも薬を取れよ!」

店員「…もう、ヤメだ!」

ガサゴソガサゴソ

都内某所その二

市民E「ここまで色相が濁っちまえば、何やったって同じだ!公安に裁かれるまで、好き勝手やろうぜ!」

市民F「おう!なら俺は気に食わねえやつをぶん殴る!」

市民G「やめろよ!いくら色相が濁っても、人間らしさがなきゃ…」

市民F「あんた、なに聖人ぶってんだ?」

市民G「な、なんだよ…」

ボカッバキッ

隔離施設

雑賀「こいつは…エライことになったな…」ズズズ

雑賀「市民の色相が一斉濁ったことで、逆に公安に対する恐怖や理性のタガが外れたか…あまり嬉しくないことだね…」ズズズ

公安局

常守「青柳さん、お疲れ様です。」

青柳「ありがとう。車で市街地を見てきたけど、酷いわね。」

海東「まさに暴動、そんな感じだったよ。」

常守「今、三係には鎮圧に当たってもらっています。酒々井監視官の怪我はどうですか?」

青柳「義眼にしたけれど、しばらく眼帯は外せなさそう。ただ、もう動けるらしいわ。」

常守「そうですか、青柳さん、任務の直後で申し訳ありませんが、すぐに二係の人員を連れて暴動の鎮圧に向かってください。私たちも門矢さんを唐之杜さんに預けてから向かいます。」

青柳「わかったわ。」

常守「一人にスタンバトン一本、催涙弾が五個支給されています。有効に使ってください。」

青柳「わかったわ。ありがとう。海東、行くわよ。」

海東「了解。」

都内某所

霜月「ちょっと…マジなんなのこいつら…!」

『犯罪係数245。執行モード・ノンリーサル・パラライザー』バン!

市民A「!」バタン

堂本「手が負えないな…」

市民B「公安がいるぞ!やっちまえ!」

市民C「おおー!」

堂本「くそっ!ドミネーターでは…スタンバトンを…」

新庄「監視官!危ない!」

市民B「オラあああっ!」ハンマーブンッ!

ドサッ!グチャ

新庄「監視官!?クソっ!クソオオッ!」

『犯罪係数オーバー320。執行モード・リーサル・エリミネーター。』バシュン!

市民B「うあああああっ!」グシャ

市民C「い、嫌だっ!こ、公安局が市民を…やられる前にやっちまえ!」

市民D「そうだな、やるぞ!」

ゾロゾロ

新庄「霜月監視官…」

霜月「む、無理…私…こんなの無理です…誰か助けて…」

キキィーッ!バタン!

青柳「霜月監視官!新庄執行官、大丈夫!?」

霜月「私にはもう無理です私にはもう無理です私にはもう無理です私にはもう無理です…」

新庄「こ、こいつら、全員執行だなんて…三係は俺たち以外市民にやられちまったし…」

青柳「…あんたたちは下がってなさい。ここは私たち二係で対応するわ。酒々井監視官、いけるわね?」

酒々井「はい。」

須郷「自分たちも、大丈夫です。」

蓮池「ったく…サイコハザードなんて骨が折れぜ。」

海東「それじゃ、行きましょうか、監視官殿。」

タッタッタッ

青柳「公安局です、今すぐ両手を頭に組み、その場に伏せなさい!」

シーン

市民たち「「「公安局だあっ!やれええええ!」」」

海東「落ち着きのない市民たちだ。監視官、突入許可を。」

酒々井「仕方ないわね…全員突入!」

公安局 医務室

常守「門矢さん…?」

士「常守か…」

常守「大丈夫ですか?」

士「体中あちこち痛いな。骨が何本か折れてる…あのもみ上げ野郎、よくやるぜ。」

常守「今、街ではサイコハザードが起こっています…」

士「なんとなくわかってる。さっさと行け。」

常守「…そうですよね…でも、怖いんです。」

士「あんたが怖がるなんて、珍しいな。」

常守「前にも、似たようなことがあって…執行官が一人死んじゃって…」

士「なら、尚更早く行け。今はお前だけが一係を引っ張れる。手遅れになる前に、急ぐんだ。」

常守「私だけが…一係を…。」

士「サイコハザード、これによって予想できるのは、公安局が市民を次々と執行していくってことだ。もちろん、エリミネーターも出てくるだろう。そうなれば、市民を守るべき俺たち刑事は、市民に牙向く犯罪者になる。それは、あんたの意思に反するだろ?」

常守「…はい。」

士「あんたが、守るんだ。市民を、公安を、この社会を。」

常守「…!」

士「急げ。手遅れになるぞ。」

常守「…はい。ありがとうございました。」

プシュー

宜野座「大丈夫か?常守。」

常守「はい、行きましょう。」

六合塚「青柳監視官の報告によると、三係は霜月監視官と新庄執行官を除き全滅。その二人も、今は戦意を喪失。現在は二係が対応しているそうです。」

常守「大切な命を守れなかった…もう、時間がありません。一係も行きましょう!」

六合塚・宜野座・雛河「「「了解!」」」

タッタッタッ

都内某所

常守「これは…」

宜野座「地獄絵図、だな…生きている人間は俺たちだけか。」

六合塚「おそらく、市民同士で戦闘になったのでは?」

常守「遺体を放置しておけば、感染症が広がります。そうなれば、ますますエリアストレスは上昇します。ドローンを動員して、遺体の撤去を行いましょう。」

プルルルル プルルルル

常守「常守です。」

青柳『常守監視官、現場に着いた?』

常守「はい。私がいるところはもう市民が全滅しています。ドローンを動員して遺体の撤去を進めていますが…」

青柳『今、江東区では激しい戦闘が行われてるわ。できればそっちに来て欲しい。』

常守「わかりました。すぐに向かいます。」

青柳『頼んだわ。』

常守「人が…足りない…このままだと…」

プルルルル プルルルル

常守「常守です。」

禾生『私だ。局長権限でドミネーターを装備した国境警備ドローンを十五体動員することにした。』

常守「…」

禾生『国境警備ドローンの到着までには今しばらく時間がかかる。とにかく、刑事課の人員をこれ以上減らすな。』

常守「わかりました…」

常守(シビュラシステムがついにドローンにまで市民の制圧を任せるなんて…)

???

東金「ついにドローンを動員したか、シビュラシステム…」

枡嵜「これで、公安局と市民の衝突は、市民が制圧される形で集結するだろうな。」

東金「そんな簡単には終わらせませんよ。鳴滝がドローンのクラッキングで執行官を潰したあと、犯罪係数の上昇に怯える監視官を市民が倒す。こうして、シビュラは牙を失い、私が復讐を果たす。」

枡嵜「頑張ってくれ。私も、この薬を生み出すまではシビュラの奴隷だった。君がこの偽りの平和に終わりをもたらすと信じている。」

東金「母さんにもらった身体を捨てるのは辛いものがありました。ですが、脳さえも機械にしたおかげでドミネーターはもはや怖くない。」

枡嵜「私もこんな手術は初めてだったが…やはり、シビュラを倒す君に協力したい思い、そして東金美沙子先生に恩返しをしたいという思いがこのような難しい手術を成功させたのだろう。」

東金「ありがとうございました。それでは。」

都内某所

蓮池「ひゃーっ!やっぱドローンはスゲエな!俺らが手こずってた市民をスゲエ勢いで制圧してる。」

青柳「この状況ではしゃげるなんて、あなた相当やばいわよ。」

須郷「…」

青柳「須郷、どうしたの?」

須郷「自分の前の勤め先でドローンを整備していたので…少し、思い出してしまいました。」

青柳「そうだったわね…」

ピコーン

青柳「!?」

『執行モード・ノンリーサル・パラライザー。』バン!

須郷「!」バタン!

青柳「ドローンが執行官を!?なんで!」

海東「青柳監視官、これ、相当やばいですよ。」

唐之杜『まずいわね、ドローンの操作権が誰かに奪われたみたい。今急いで取り戻そうとしてるんだけど…』

青柳「乗っ取り…そんな!」

『犯罪係数オーバー340。執行モード・リーサル・エリミネーター。』バシュン!

蓮池「なあっ!」グシャ

青柳「このままだと全滅よ!海東、一旦離れて!」

海東「離れませんよ、僕も、仮面ライダーなんで。変身!」

『カメンライド・ディエンド!』

青柳「海東が、仮面ライダー?!」

ディエンド「青柳さんは須郷を担いで逃げて!ここは僕が対応します!」

『カメンライド・ライオトルーパー!』

ライオトルーパー「はあっ!」タッタッタッ

『アタックライド・ブラスト!』ダダダダ!

ドカーン!

ディエンド「ドローンは15体配備してるって言ってたな。骨が折れそうだ。」

『カメンライド・カブト!ザビー!ドレイク!サソード!ガタック!ダークカブト!』

ディエンド「君たちは2体ずつドローンを破壊してきてくれ。僕も同じ数やるから。」

ディエンド「青柳さん、常守監視官たちの退避要請、お願いしますね!」

青柳「わかったわ。」

常守「ドローンのクラッキング…暴動は鎮静に向かってるのに…!」

宜野座「完全にタイミングを狙っているな。敵は公安局がドローンを動員することを読んでいた。その上で、俺たちが油断した隙にドローンに襲わせた。」

常守「現状、動ける監視官は私と青柳さんだけ。執行官がやられてしまえば、暴徒化した市民たちは私達を襲いにかかるはず。そうなれば、公安局は全滅です。」

ドシン ドシン

宜野座「まずい!ドローンが近づいてる!」

『クロックアップ』

ザピン ザピン ザピン

『クロックオーバー』

ドカーン

宜野座「今、一瞬でドローンが…」

六合塚「もしかして、仮面ライダー?」

常守「多分、海東執行官が呼び出したライダーです。」

東金「そこまでだ!体制側のクズどもがっ!」

常守「東金朔夜!?」

雛河「ぜ、全身サイボーグ化してる…」

東金「なあ、公安局ども…俺の犯罪係数、測ってみろよ…」

宜野座「…」

『犯罪係数1258。執行対象です。』

常守「信じられない数値…」

東金「そのまま撃ってみろ、宜野座…」

宜野座「!」バシュン

東金「…」ニヤリ

六合塚「ドミネーターが、効かない!?」

東金「エリミネーターは体液を沸騰させて執行する仕組みだ。この体にはそんなものはない。貴様らは犯罪係数を計測できながらも俺を執行することはできない!」

宜野座「っ…」

東金「国境警備ドローンは執行官とそのライダーによって破壊されるだろう…そうなれば、再び市民どもの攻勢は強まる。どう足掻いても貴様ら公安に勝ち目はない!」フハハハハハ!!

東金「俺が憎いか?なら、お前らの手で、自らの意思で俺を裁くといい。やってみろ。」カラカラカラ

六合塚「拳銃?」

東金「やってみろ。お前ら公安局がこの状況でシビュラに背くか従うか、俺に見せてみろ。」

常守「東金朔夜…」

東金「なんだ?常守朱。」

常守「あなたはこの破壊の先に何を見るの?」

東金「東金財団が作り上げる、新たな世界。シビュラシステムに頼らない、人間が自らの意思で行動する、光ある未来。それが、俺と母さんの望んだ世界!」

常守「あなたは、その世界を作り上げるために多くの人を犠牲にした。そんな人間が、世界の頂点に立つ価値があると思うの?」

東金「世界の頂点に立つ者は、強く、狡猾で、時に冷酷でなければならない。」

常守「あなたのその犠牲を強いるやり方、それは、この社会とさほど変わらないものではないかしら?」

東金「違う!俺は…」

士「全く同じだな!」

常守「門矢監視官!?ケガは!?」

士「この世界はクソだが、医療だけは完璧だ。おかげさまで、治った。」

東金「今更一人増えたところで、何も変わらん!」

士「もみ上げ、お前、この世界をぶち壊して新たな世界を作りたいんだったな?」

東金「それがどうした。」

士「俺も、同感だ。この世界は本当にクソだ。シビュラシステムに怯え、メンタルケアに依存して生きる。俺はそれになんの魅力も感じない。だが、俺はお前のように強引に世界を壊そうとは思わない。そもそも、社会とは人が集まってできている。そこにいる人の思いで、社会の形は変わっていった。社会主義、資本主義、そして、この、シビュラシステムによる最大多数の最大幸福が実現された社会。シビュラシステムによる社会が肯定されているのは、社会に生きる人間がそれに満足しているからだ。だが、それも永遠じゃない。いずれ、この世界は形を変えるだろう。その時、世界を動かすのはそこに生きる人々だ。その前提を無視したお前に、社会と世界を壊す価値なんてない!」

東金「…お前は…何者だ…!」

士「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ!変身!」

『カメンライド・ディケイド!』

決め台詞いただきました。
東金さん、電脳化は別のアニメっすよwww

東金「俺と、母さんの夢が!ここで潰えていい筈がない!やれっ!ドローン」

ガシャンガシャンガシャンガシャン

ディケイド「常守は俺と来い!ほかの連中はドローンを片付けてろ!」

宜野座「わかった!青柳!」

青柳「わかってるわ。総員、ドローンの撃破にあたって!」

都内某所

東金「貴様ら…公安がいる限り、社会は変わらん!貴様らは…この俺が!」

ディケイド「確かに、公安局がいれば社会の改変は困難だろう。だが、それは社会を暴力で改変するものを裁くためのふるいにもなるはずだ。」

常守「東金財団が支配する社会はないかもしれない。でも、私もあなたのようにより良い社会の実現を望んでいる。私たちが正しく生きて、より良い社会の実現を望めば、社会は自然と変わっていく。」

東金「…俺は…」

常守「投降しなさい、東金朔夜。」

東金「…でも、それじゃあ母さんがっ!」

ディケイド「いつまでマザコンを引きずってやがる!お前はお前の人生を生きろ!」

東金「!俺の…人生?」

ディケイド「自分の人生を生きることも出来ない人間が、社会を変えることなんて到底無理だ。常守、ドミネーターを貸してくれ。」

常守「え?あ、はい。」

ディケイド「これから、東金を裁く。」

『ファイナルフォームライド・シシシシビュラ!』

『執行モード・ジャスティス・エクスキューター。刑事課登録監視官および執行官以外の全執行対象を強制執行します。運用には細心のご注意を。』

常守「これって…」

ディケイド「俺にも良くわからん。だが、これがシビュラの出した答えだ。常守、お前はかけてみるか?」

常守「ドミネーターの効かない東金に、果たして効くんでしょうか?」

ディケイド「ま、やって見なきゃわからんな。お前は、この執行の先に、未来を望むか?」

常守「…暴動の鎮圧。東金事件の集結。人命救助。そのためにも…引き金を、引いてください。未来は、私たちが作ります。」

ディケイド「わかった。」

『ファイナルアタックライド・シシシシビュラ!』バン!

翌日 公安局食堂

常守「まさか執行対象を全員パラライザーで裁くなんて…」

士「シビュラも粋なことをするな。」

常守「それじゃ、そろそろ行きましょうか。」

士「ああ。」ガタッ

公安局地下牢

常守「東金朔夜…」

東金「常守…」

士「元気か?東金。」

東金「俺を見て、元気だと思えるか?」

士「思えねえな。まるでゾンビだ。」

東金「ハハハハハ。面白いたとえだ。で、何のようだ?」

常守「刑事課の人員不足はこの一件でさらに顕著になった。新しい執行官が必要なの。」

東金「?」

士「お前に公安の適性が出ている。来い。ったく、シビュラもアホだな。」

東金「しかし、俺は…」

士「お前の目は機械の目だが、ちょっとだけ変わった気がするぞ。今のお前なら、ちゃんと公安の職務を全うできる気がする。」

東金「…」

士「とはいえ、俺のこの世界での仕事は終わった。夏みかんやユウスケがあと数日で薬抜けるそうだから、それが終わったら俺はまた旅立つ。その時、常守を支えてやれ。」

常守「ど、どうして私なんですか?!」

士「三係の霜月、あいつは多分一係に来るだろう。だが、あいつはメンタルが弱すぎる。そのお守りまで抱えたら、お前もパンクするだろう。」

常守「…」

士「で、東金、どうだ?お前の返事を聞かせろ。」

東金「…あなたは、なかなかのやり手だ。いいでしょう、社会を変えるため、社会を守る手伝いをさせてください。」

数日後 公安局局長室

禾生「では、もう旅立つということか。」

士「そうさせてもらうぜ。」

禾生「君にはこの社会で働いて欲しかったが。」

士「あいにく監視社会は嫌いだからな。それに、この世界は俺の死に場所ではなかったようだし。」

禾生「そうか。海東執行官も辞めたことだし、新たな人材を探さなければいけないな。」

士「それはお前らの得意技だろ?それと、ひとつ聞きたいことがある。」

禾生「なんだね?」

士「なぜ、東金を裁く時に全員をパラライザーで執行した?」

禾生「これ以上の人口減少は、社会の維持に支障をきたすと考えたからだ。」

士「甘いな。お前らが我が身可愛さに法の裁きを下さないなら、いずれお前たちは死ぬ。」

禾生「だが、正解でもある、そう思っているのも確かなんだろう?門矢士。」

士「まあな。結局、この問にたった一つの正解なんてもんはないんだろう。」

禾生「我々にも学習の必要がありそうだな。」

士「それが賢明だな。じゃ、失礼するわ。」

光写真館前

士「見送りなんていらなかったんだが。」

六合塚「私たちのわがままです。付き合ってください。」

士「しょうがねえな…東金はいないのか?」

常守「彼は公安局に残っています。」

士「そうか…」

宜野座「あんたといて、なかなかに充実した時間を過ごせた。礼を言う。」

士「ああ、どうも。」

雛河「変身…かっこよかった…また、会える?」

士「旅を続けていれば、な。」

青柳「寂しくなるわ。」

須郷「自分も、命を助けてもらった恩をまだ返していません…」

士「そんな寂しそうな目をするな。またいつか会える。だから、お前たちも生きろ。この社会で。」

常守「はい。先の一件でインフラも立ち直っていません。今ここで油を売る余裕も、本当はないくらいです。」

士「なら、すぐ行け。」

常守「はい。青柳監視官、執行官を伴って公安局に向かってください。」

青柳「了解。」

士「それと、このカードを東金に渡してくれ。」

常守「これって、この間の…」

士「シビュラが人間らしさを持っている証さ。東金に持っていて欲しい。」

常守「わかりました。」

士「じゃ、さよならだ。」

常守「はい、また、会いましょう!」

公安局分析室

唐之杜「仮面ライダー、かぁ…この世界にもいてくれたらいいんだけど…てか、作っちゃおうかしら?」

隔離施設

雑賀「暴動も終わったか…俺の出番が近いような気もしてくるな…」

光写真館

ユウスケ「士!その…」

士「何も言わなくていい。ほら、次の世界にいくぞ。」

夏海「次はなんの世界なんでしょうか…」

士「ま、なんでもいいさ。じいさん、頼む。」

栄次郎「じいさん…失礼だね、士くんは…じゃ、行くよ。」

ガラガラガラ ピカーン!!

やっとこさ感想しました。
読んでいただいてくれた方には感謝してしもしきれません!

余談ですが、このSS終了後の後日談的PSYCHO-PASS SSを書きたいと思っています。その時はまた宜しくお願いします!

乙ー面白かった
続きも頑張れ

乙です


雛河と青柳の出番があって良かったです

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