美希「お参りに行くの!」 志保「はい?」 (62)

志保「用も告げず、いきなり家に来といて言う事がそれですか?」

美希「えー! ミキ、ちゃんと電話で伝えたでしょ? 志保だってこうして出迎えてくれてるし」

志保「『おはよ、志保! うぅん、こんばんはかな? 今家にいる? …うん。じゃあ、今からそっち行くから、ミキのこと待っててね!』で何を伝えたっていうんですか?」

美希「…………」

志保「…なんですか、黙りこくって」

美希「ミキの声真似上手だね! 今度、亜美たちと勝負してみて欲しいかも!」

志保「……はぁ。なんなんですかもう…」



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美希「むー。志保だって、どうせ予定ないんだしミキに付き合ってくれたっていいでしょ?」

志保「なんで私に予定がないと思ったですか?」

美希「志保って、友達とお参りに行くとか、そういうキャラじゃなさそうだもん!」

志保「……」

美希「あっ、ゴメンね! 志保が友達少なそうとかじゃなくて、そういうの嫌がりそうだなー、って! それだけだよ! ホントだよ?」

志保「別にいいです。美希さんの言う通りですし」

美希「怒っちゃやなの! 謝るから! ごめんなさいなの!」

志保「怒ってません。それより……」

美希「それより?」

志保「もし、私にこれから家族との予定があったりしたらどうするつもりだったんですか?」

美希「…んーと、その時はミキもご一緒させてもらおうかな? ってカンジ?」

美希「ミキだったら、きっと志保の家族とも仲良く出来ると思うしっ!」

志保「…………」

志保「とりあえず、家に上がりませんか? 玄関先で立ったまま話すのもなんですし」

美希「ダメだよそんなの! 今から行かないと、二年参りに間に合わなくなっちゃうかもしれないの!」

志保「ニネンマイリ?」

美希「大みそかからお正月の間くらいにお参りすると、二年分お参りした事になっておトクらしいの! だから、早く行かなきゃなの!」

志保「…聞いたことないです。そんなの、本当にあるんですか?」

美希「えーっ!? 律子、さんが教えてくれたから、嘘とかじゃないと思うんだけど……」

志保「普通のお参りじゃダメなんですか?」

美希「折角志保と行くんだし、ちょっとでも特別なカンジの方がいいんだけど…」

志保「そう、ですか」

志保「……」

志保「…どうして私なんですか?」

美希「ん? どういうこと?」

志保「いやだから、なんで私と一緒にお参りしようとするのかな、と…」

美希「んーとね…。…ミキと、一緒にお参り来てくれるなら教えてあげてもイイよ?」

志保「…っ。そういうのはずるいですよ、美希さん…!」

美希「何が? …それより、いい加減行かないと本当にまずいの! 走って行かなきゃ、間に合わなくなっちゃうの!」

志保「わ、分かりました! 母と少し話してくるので、そこで待って……いえ、先に行っててください。すぐに追いつきますから…」

美希「! それって、ミキと一緒にお参り行ってくれるってこと?」

志保「そういうことです。行き先は〇×神社で大丈夫ですよね? この辺で参拝する場所って言ったら、それくらいですし」

美希「~~っ!」プルプル

志保「…ちょっ、美希、さん……?」

美希「やったやったぁ! 志保が一緒に来てくれるの! 嬉しいなっ! 嬉しいなぁっ!」

志保「……早く行かないと間に合わなくなるんじゃないですか?」

美希「はっ、確かにそうなの! じゃあミキ、さっき志保が言った神社に先に行ってるね!」ダッ!

志保「あっ…」







志保「……もう。勝手に来たと思ったらすぐ行っちゃうし…」

志保「お母さーん? あのね、今聞こえてたかもだけど……うん。うん、そう」

志保「…分かってる。ちゃんと着込んでいくわよ。お母さん達の分もお参りしてくるから。……うん、」

志保「じゃ、行ってきます。……うん、大丈夫。ああ見えて、頼れる先輩だから…」

志保「美希さーーん……」タッタッタ...
 
美希「あっ、やっと来たの! 遅いよ志保!」

志保「すみません。上に着てく服が中々決まらなくて…」

美希「ふぅん。そのくらい、テキトーでいいと思うけどなぁ」

志保「ダメですそんなの! 美希さんと一緒に出掛けるんですから…」

美希「え? どーしてミキと一緒だとテキトーにしちゃいけないの?」

志保「あっ。 今のは、その……」

美希「……?」

志保「…すみません。今言ったのは、忘れてください」

美希「なんで? 気にしちゃうよ?」

志保「ですから……えっと……」

志保「…そう! 美希さんみたいな、その、可愛くてキラキラした感じの人と一緒だと、ちゃんとした服を着てないと悪目立ちしますから!」

美希「なんで? 志保はカワイイんだし、フツーにしててもミキと一緒でもおかしくないと思うよ?」

志保「!! ……そ、それより、美希さん!」

美希「ん?」

志保「さっきの続きですけど、どうして美希さんは私と一緒にお参り行こうと思ったんですか?」

美希「んーとね、理由は色々あるんだよ?」

志保「色々、ですか」

美希「うん!」

志保「あっ。話が長くなりそうなら、お参りした後でもいいですよ。別に、今すぐ聞きたいというわけでもありませんし」

美希「それって、やっぱり聞かなくてもいいってこと?」

志保「いえ、今すぐじゃなくてもいいってだけです」

美希「なら、どうしてここで訊いたの?」

志保「それは、その、なんとなくです」

美希「聞きたいんだ? ミキが、どうして志保を選んだか…」

志保「だから、話すのは別に後でもいいですよと言ってるんです。聞きたいとか、聞きたくないとかじゃなく」

美希(……素直じゃないの)

美希「それはともかく、時間的にちょっとアブなそうだし……早歩きしながらでいいよね?」

志保「はい、大丈夫です」

美希「ん。まあ、そんなに長くなるとは思わないんだけどね」

志保「はあ」

美希「簡単に言うと、志保と仲良くなりたいなっていうのが、ミキが今こうしてる理由なの」

志保「……簡単すぎて分からないんですが」

美希「人の話は最後まで聞くの。……いつだったかな。ハ…プロデューサーと、こういう話をしたことがあるの」

美希「ねえねえプロデューサー。翼って、ミキのことどう思ってるんだと思う?」

P「翼? なんだいきなり」

美希「なんかね、最近翼がミキによく付いてきてるような気がして…。……ミキのこと、好きなのかなって」

P「好きっていうか……美希に懐いてはいるよな」

美希「…ふーん。やっぱり、プロデューサーにもそう見えるんだ……」

P「どうしたんだよ美希。翼が鬱陶しいか?」

美希「そういうのじゃないけど…。…ミキのどういうところが好き? ていうか気に入ってるの? のかなって」

P「さぁなぁ。翼と美希は似た者同士だし、翼としては、美希に共感するところでもあるんじゃないか」

美希「ふーん……」

美希「じゃあじゃあ、プロデューサー的には翼のどういうところが美希にそっくりだと思うの? おっぱい?」

P「ん、まあ、スタイルも似てるけど……。明るい性格とか、お気楽なキャラとか、やたら俺にくっついて来る所とか…」

美希「む。女の子にベタベタされただけで浮気しちゃうヒトとか、ミキはヤダよ? しっかりしてね、プロデューサー!」

P「浮気も何もないだろ…。……後はそうだな~、やっぱり気ままで手がかかる所かな~」

美希「み、ミキは気ままだけどワガママじゃないよ? プロデューサーには、ちゃんと迷惑をかけないようにしてるの!」

P「ま、パッと思いつくのはそのくらいだな。美希はそういうので翼に特別な気持ちを持ったりしないのか?」

美希「ないの。ミキがトクベツな気持ちになるのは、今ミキとお話ししてる一人だけだよ?」

P「あははは。そういう意味で言ったんじゃないんだけどな…」

美希「?」

P「と言ってもあれか。同族嫌悪みたいに『似てるから嫌い』ってケースもあるし、一概には言えないかもな」

美希「ていうか、その前に、そこまで自分に似てる人ってあまりいないと思うな。翼とミキみたいなのが珍しいだけで」

P「どうかな? 俺的には、もう一人美希とそっくりな子がウチにはいると思うんだけど」

美希「誰のこと?」

P「や、まぁ。共通点が幾つかあって似てるかもってくらいなんだが…」

美希「いいから! 教えてプロデューサー!」

美希「まあそんなわけで、ミキは志保のことが色々気になったから、仲良くしてみようかなって思ったの」

志保「私が美希さんに……? あの人は、本当にそう言ったんですか?」

美希「ミキも同じこと思ったよ。訊いてる内に、プロデューサーも自信なさげになってたけど」

志保「…やっぱり違うじゃないですか」

美希「んー、でもね。プロデューサーの言うこと聞いてたら、なんとなく志保とミキが似てるって気にもなってきたの」

志保「どこがですか。強いて言うなら、年齢が近いことくらいしか思いつきませんが」

美希「そこまで言わなくてもいいのに…」

志保「言いますよ。大体…」

美希「あっ! ねえ志保! 見て見て!」

志保「へっ?」

美希「鳥居が見えたの! ほら、あそこ!」

美希「…って」

志保「あー……、これは……」

志保「結構並んでますね。……今、何時ですか?」

美希「あと五分もしないで日付が変わっちゃうの……。このまま並んだら間に合わない……。明けてもおめでたくないの……」

志保「……きっと、そこまで厳密じゃなくても何とかなりますよ。神様もそこまで狭量じゃないでしょうし」

美希「はぁ…。ちょっとは並んでるかと思ってたけど、これはちょっと予想外だったな……」

志保「……まあ、焦っても仕方ないですし。順番が来るまで大人しく並んで待ちましょうか」

美希「そうだね。そうするしかないか…」

美希「む~…! むむむ~…」

志保「……何やってるんですか。こんな人混みの中で拝み手作って…」

美希「こうなったら、気持ちだけでもお参りしとくの! 今年もあと少ししかないし、今の内にやらないと!」

志保「お参りって言っても。私たち、まだ境内にも入れてないんですよ?」

美希「それでも、気合でお参りするの。ミキも紗代子を見習って根性で頑張るの!」

志保「…確かに紗代子さんなら言いそうですけど。でも、お参りに根性って…」

志保「……美希さん?」



美希「…~。……~。………~~」ブツブツ



志保(本気でお参りしてる…。冗談じゃなかったのね)

美希「うん。これで今年分は終わったの! 志保も、早くやった方がいいんじゃない?」

志保「や、私は別に……。なんなら今年、じゃなくて来年一年分だけのお参りでも」

美希「ダメ!! ミキは、志保とちょっと特別な二年参りに来てるんだもん! 志保も二年分お参りしなきゃダメなの!」

志保「えぇ……」

美希「早く早く! 日が変わらない内に、神様に気合でお願い事を届けるの!」

志保「わ、分かりました。今、今やりますから…」

美希「それでいいの」ウンウン

志保(とは言っても急すぎてなんて願えばいいか……。…健康? 金運? 仕事運? 恋愛? それとも…)

志保(そもそも、今年はお母さん達と元旦にお参りしに行ったのよね。二重にお願い事しても大丈夫なのかしら?)

志保(ああもう時間が無い、とにかく気合い、気合……気持ちだけは込めてお参りした気分にならないと)

志保(えーと、とりあえず今年分の願い事というか……来年分のも願いを込める感じでやればいいのかしら?)

志保(…………)







志保「……~」ブツブツ

美希「…ふふっ」

美希「あ」

志保「今度はなんです?」

美希「今、十二時回ったの。新年だよ」

志保「そうなんですか。なんか、そんな気しないですけど」

美希「ミキもそんなカンジなの。なんでかなぁ?」

志保「さぁ。周りも別に、『あけましておめでとう』って感じでもないですね」

美希「うーん。それににしても、まさかこんなにあっけなく新年が来るとは思ってなかったの…」

志保「意外でしたね。こういうのも新鮮で、悪くないと思いますけど」

美希「んー…。……でもね、志保。一応……」

志保「ん? ……あ、はい。一応、ですけど」

 


美希「あけましておめでとうございますなの」



志保「あけましておめでとうございます」



皆さま新年あけましておめでとうございます。私は一旦寝ます。また戻って投下します。それでは

一旦乙です

>>1
星井美希(15) Vi
http://i.imgur.com/Hg1yDTc.jpg
http://i.imgur.com/4Ddaq13.jpg

北沢志保(14) Vi
http://i.imgur.com/iinWIGe.jpg
http://i.imgur.com/tfDGKx4.jpg

美希「中々進まないね~」

志保「そうですね」

美希「むー。志保、何か暇つぶしとかないの?」

志保「じゃあ、さっきの話を続けません? 私が美希さんと似てる似てないって話から」

美希「いいよ。志保はえっと、とにかく、自分がミキには似てないって思ってるんでしょ?」

志保「そうですけど…。……あ、美希さんは結局どうなんです?」

美希「ん? なにが?」

志保「だから、私は美希さんに似てるのか似てないのか、どっちだと思ってるんですか?」

美希「んー……」

美希「…志保とお話ししてから決めるの!」

志保「はぁ…。私の話といっても、美希さんとどのくらい似てないかってことを話し続けるだけになると思いますけど」

美希「それで構わないよ! 志保がどう思うのかなー、っていうのを聞ければそれでいいの」

志保「そうですか。……まあ、似てる似てない以前の話だと思いますけど」

美希「うん」

志保「まず、見た目が似てないですよね。顔はもちろんだけど、髪なんて全然違いますし」

美希「ミキは金髪で癖っ毛だけど、志保は黒でストレートな髪質だよね。サラサラなのはちょっと羨ましいな」

志保「そうですよ。似てないどころか、正反対と言ってもいいくらいです」

美希「確かに志保の言う通りなの。でも……」

志保「でも?」

美希「志保、身長いくつ?」

志保「……161です」

美希「ミキと一緒だね」

志保「……そうですね」

美希「スリーサイズは?」

志保「えっ。こんな、人のいる場所でそれは…」

美希「いいから。丁度ケイタイ持ってるし、分かんなかったらそれで調べればいいの」

志保「えぇと……は、83-56-84……です」

美希「ミキは……うん。86-55-83だから、これもほとんど一緒だね♪」

志保「はい…」

美希「ていうか今のやり取り、ミキがプロデューサーと話したのと大体同じカンジだったの」

志保「なるほど。だから、あんな風にスラスラ返してきたわけですか」

美希「そう。で、ミキも見た目については志保と似てるかもな、って思ったんだ」

志保「む……」

美希「それで、もっとないの? ミキと志保が似てないっていうところ」

志保「あ、ありますよ。 そもそも、こういう時の『似てる』っていうのは外見より内面のことを言う事が多いわけですし」

美希「じゃあ、教えてくれる? 志保がミキの内面をどういう風に見てて、どこが自分と違うと思うのか」

志保「分かりました。…まずですね、」

志保「美希さんは明るい性格で誰とでもフレンドリーです。私には、そういうのは無理です」

志保「それに、上手く言えないですけど……美希さんは、何に対してものびのびと取り組んでるイメージがあります。良くも悪くもですが」

美希「志保はどうなの? のび~…ってカンジで何かに取り組んだりしないの?」

志保「私は、その、いつも力が入っちゃうというか…。カタい方だって、自分でも分かってますし…」

美希「そうかもね。ミキ的には、それはそれでいいと思うけど」

志保「同じような事ですけど、美希さんは楽観的な所が強いですよね。そういうのも、私とは違います」

志保「あと、悪口みたいな言い方になりますけど、美希さんていつも寝てるっていうか、だら~っとしてますよね。いえ、やるべき所ではびしっとしてるので凄いと思ってますが」

美希「む~……。それを言われると立つ瀬がないの…」

志保「それに、美希さんは……」

美希「…ミキは?」

志保「……美希さんは、アイドルとして、女の子として、私よりずっとキラキラしてます。才能が違います」

志保「私なんて、美希さんについて行けているかどうかも分かりません。本当に……」

美希「……」

志保「……?」

美希「…おわり?」

志保「あっ、はい。今思いつく限りではですけど」

美希「ふぅん…」

美希「んーとね。今、志保が言ったの聞いて思ったんだけど」

志保「はい」

美希「やっぱり、ミキと志保ってそっくりさんかもしれないの!」

志保「えっ! ……具体的に、どの辺が」

美希「ヒミツ! こういうのは教えない方が面白いから、教えてあげないっ♪」

志保「独りだけそんなの…。ずるいですよ、美希さん!」

美希「あはっ♪ そんな風に怒ってもムダなの。ミキだけの秘密なの!」

志保「む~…」

美希「ねえねぇっ。志保は、どういうお願い事をするつもりなの?」

志保「言いませんよ。他人に教えると、叶わなくなっちゃうような気がしますし」

美希「…む。仕返しなんて、イジワルだと思うな」

志保「別にそういうわけじゃ…。美希さんの方こそ、どうなんですか」

美希「教えないの」

志保「仕返しは意地悪なんじゃないんですか?」

美希「別に教えてくれなくてもいーもん。ミキ、自力で志保が何を願ったか当てちゃうもんね」

志保「……それなら、私もそうします。美希さんが何をお願いしたか、本気で当てにいきますよ?」

美希「のぞむところなの!」

美希「志保のことだから、きっと家族の健康を祈ったに違いないの。弟さんのこととか、ミキたちにもたまに話してくるしね」

志保「美希さんは、そうですね……。…『もっとキラキラした女の子になりたい!』とかそういうふわふわした感じの事をお願いしてそうです」

美希「あと、アイドルのお仕事が上手くいくようにってお願いしたんじゃない? 志保はいっつも真剣だもんね」

志保「美希さんもそういうのお願いしてそうですけどね。私がしたような形じゃなくて、『春香には負けないの!』って感じで」

美希「他には……事務所の皆と仲良くなれるように、ってしたはずなの! 志保が前よりいっぱい皆と話そうとしてるの、ミキにはバレバレなの!」

志保「なっ…! 私は、『他人に対してもっと積極的に接することができますように』ってお願いするつもりなだけです! ……って、」

美希「やっぱり当たりなのー! しかも志保ったら、自分から言っちゃったの!」

志保「くっ…。……美希さんこそ、『プロデューサーがミキのことを振り向いてくれますように』みたいにお願いしたんでしょう? 違いますか?」

美希「むーっ! 恋愛方面のお願い事をバラすなんてずるいの! 志保は卑怯なの!!」

志保「あははっ! 美希さんも、願い事を自分で言っちゃいましたねっ」

美希「むぅ~!」

美希「…まあ、いいかな。もうミキたちは神社の中にいるんだし、ここで言っちゃってもお願い事は叶うはずなの」

志保「そうでしょうか…?」

美希「で、志保。正直に言って欲しいんだけど」

志保「なんですか? 実は、私も美希さんに訊きたいことがあるんですが」

美希「今ミキが言った志保のお願い事、どのくらい当たってたの?」

志保「私も美希さんに同じ言葉を返しますね。幾つくらい合ってたんですか?」

美希「む……」

志保「……」

美希「むー……」

志保「…………」

美希「……きっと、同じだね」

志保「ですね」

美希「ミキたち、何個くらいのお願い事言ったんだっけ?」

志保「三つか四つくらいじゃないですか? まあ、数はどうでもいいと思いますけど」

美希「そうだね。何個とかカンケーなしに、全部合ってるんだもん」

志保「そういうことです」

美希「ところでさ。お賽銭箱まで、あとどのくらいかな?」

志保「そろそろじゃないですか? もう四、五分くらいで着けるといいんですけど」

美希「あっ、見て見て。あっちの方で、すっごい大きな火をたいてるの」

志保「たき火……ではないですよね。後であたりに行きますか?」

美希「んー…。そんなに寒くないし、それはいいかな」

志保「そうですか。今は持ってきてないですけど、破魔矢とかあったらあの火で燃やしてもよかったですね」

美希「それよりほら、あっちで甘酒配ってるの! お参り終わったら絶対飲もうね!」

志保「…いえ。よく聞くと『お神酒です』って言って配ってるみたいですよ。甘酒とは違うのかも」

美希「どっちでもいいの! 飲むの! 初詣なんだし、そっちの方がそれっぽいの!」

志保「そうですね。美希さんの言う通りにしましょうか」

美希「なの!」

美希「もうすぐだね」

志保「そうですね」

美希「お賽銭、どのくらい入れる?」

志保「決めてないですけど。美希さんは、幾ら入れるんですか?」

美希「んー…じゃあね。ここまで一緒に来たんだし、志保ともっとご縁がありますように、ってことで五円にしよっかな」

志保「……!」

美希「でも、プロデューサーや事務所の皆とも仲良くしたいし…。…うん! 五円玉二枚入れるの!」

美希「志保はどうするの? ミキよりいっぱい入れる?」

志保「…そうですね、私は、」

志保「私……は、」

志保「…美希さんと同じにします。五円玉を、二枚」

美希「うん、志保もそうするといいの! 仲良きことは美しきかな、って言うし!」

志保「はい。事務所の皆や…プロデューサーさんと縁があるように」

志保「それに……。美希さんと、今まで以上に、縁があるように」

美希「じゃあじゃあ、ミキと志保が仲良くなれるようにぎゅ~ってするの! ぎゅ~…っ!」ダキッ

志保「ちょっ、美希さ…! ……ほら、もう来ますよ! 順番来ます! 順番来ますから、離れて!」

美希「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに…」

志保「べっ、別に恥ずかしかったわけじゃ…!」

美希「さ、どうしよっか?」

志保「? 参拝の時は、二礼二拍一礼が正しい作法だったと思いますけど」

美希「そっちじゃなくて、鈴をがらがらっ! って鳴らすのはどっちがやるのかなーって」

志保「代わりばんこにやればいいんじゃないですか?」

美希「でも、それだと二人で別々にお参りしてるみたいでヤなの。もっといいアイデアはないの?」

志保「あー…、それじゃぁ……一緒に鳴らします? 縄の所を、二人で持って、」

美希「それがいいの!」

美希(…ねぇ、志保)ボソボソ

志保(どうかしました? 美希さん)ボソボソ

美希(お辞儀とかするのと、鈴を鳴らすのってどっちが先なの?)ボソボソ

志保(…前の人は鈴が先だったし、鳴らしてから礼とかをすればいいんじゃ…)ボソボソ

美希(でも、もう一つ前の人はおじぎしてから鈴を鳴らしてたの)ボソボソ

志保(えっ? じゃあどうすればいいんですか!)ボソボソ

美希(…先に鳴らそっか? 多分だけど、神様を呼ぶのにがらがら鳴らすんだと思うし)

志保(本当ですか!? 美希さんの勘ですよね、それ)ボソボソ

美希(でも今更調べられないし、後ろの人を待たせちゃうのは嫌なの)ボソボソ

志保(…分かりました。それじゃ、やりましょうか)ボソボソ

美希(なの)ボソボソ

美希志保「…………」ガラガラガラジャラン!



美希「……」オジギ

志保「……」オジギ



(パン! パン!)



美希「……」オジギ

志保「……」オジギ



美希「…………」

志保「…………」

美希「あれっ? 志保、お神酒じゃなくて甘酒もちゃんとあるよ?」

志保「そうだったんですか。じゃあ、両方とも飲んじゃいます?」

美希「んー…、甘酒の方は去年プロデューサーと一緒に飲んだし、ミキはお神酒の方が飲んでみたいかも!」

志保「じゃあ、貰いに行きましょうか」

美希「うん。……あっ! あんな所でおでん食べてる!」

志保「売り物じゃないんですか?」

美希「違うみたいだよ? お神酒飲んだら、おでんも貰いに行くの!」

オミキデース
 


美希「なんか……大分少ないね。量」

志保「カップじゃなくて、杯…って言うんですか? その辺も甘酒と違いますね」

美希「変な味とかしないよね? 匂いで確かめてみるとか…」

志保「鼻が冷えてるのに、多分そんなの分かりませんよ」

美希「なの。一応、お酒っぽい匂いはしたけど」

志保「まあ、たったこれだけの量ですし。一気に飲んじゃいましょう」

美希「だねっ」







美希「~~~~っ!!!」

志保「…………っ!!!」

美希「にっ、苦い…! 前に飲んだ甘酒とは全然違うの!!」

志保「もしかしてこれ、相当強めなやつなんじゃ…。量が少ないのにも納得ですし」

美希「ていうか、お神酒って何のためにあるの? 甘酒と何が違うの?」

志保「確か、シャーマンとかが神様を降ろす時とかに飲むものだったような。百合子さんから聞いたことがあります」

美希「お酒はもういいや……。…志保! 甘酒はほっといて、おでん貰いに行くの!」

志保「そうしましょう!」

美希「あふっ、あふいっ、熱いのっ」

志保「れも……モグッ。…美味ひいでふよ、これ」

美希「…む、辛子つけすぎたの。ちくわ交換してくれる?」

志保「嫌ですよ。我慢して食べてください」

美希「お願い志保。あーん♡ してあげるから」

志保「……結構です」

美希「……」

志保「……」







美希「…今、迷ったでしょ」

志保「…迷ってません」

美希「迷ったでしょ」

志保「迷ってませんって」

志保「美希さん、これからどうするんです? 家に帰るんですか?」

美希「そうだねー。思ったより遅くなっちゃったけど、お姉ちゃんたちに帰るって言って来たんだし帰らなきゃなの」

志保「…よかったら、えと……。…私の家に、泊まっていきません?」

美希「えっ?」

志保「弟は、とっくに寝ましたし。美希さんのご家族にはきっと連絡すれば済みますし、朝まで寝るくらいなら…」

美希「んー、でもー。ミキ着替え持ってきてないし、シャワーもお風呂もできないのはイヤだな?」

志保「あ……。そう、ですよね……」

美希「そうなの。だから…」

志保「だから…?」

美希「志保の服を貸してもらえば、万事解決なの!」

志保「へっ!? 美希さ、こ、こんな所でからかわないでくださ…!」

美希「ミキは本気だよ?」

志保「……~っ! もぅっ!」

美希「そうと決まれば、走って帰るの! 新年初ダッシュなの~!」

志保「もー、美希さんったら! 待ってくださいってばぁ!」






美希「志保っ! 『今年もよろしく』、なのっ!」





(志保の寝室にて)





志保「……美希さん、寝ました?」

美希「……もー。あとちょっとで眠れるところだったのに…」

志保「すいません。寝る前に、どうしても訊いておきたいことがあるんですけど」

美希「なに…? 一つだけなら教えたげるから、そしたらもう寝かせてね……?」

志保「あの、参道に並んでる時、私と美希さんが似てる似てないって話をしたじゃないですか」

美希「うん」

志保「あの時、美希さんは『やっぱりミキと志保はそっくりさんなの』、って言ってましたけど…。…あれは、結局何故だったんですか?」

美希「んー? あれはねー…」

美希「むー…。とりあえず、ミキと志保が、見た目は似てるかもってのは認めてあげるの」

P「おっ、そうか。どうやら、美希からのお墨付きは貰えそうだな」

美希「まだなの! こういう時の『似てる』は、見た目じゃなくて性格のことを言ってるのが普通だと思うな?」

P「それなら、教えてくれるか? 美希が志保の性格をどういう風に見ていてて、どの辺が美希と違うっていうのか」

美希「わかった。まずね…」

美希「志保は、暗くはないけどあまり他人と話そうとしないの。ミキには、そういうのちょっと合わないんじゃない?」

美希「それに、上手く言えないけど……志保って、何でもすっごく真面目に取り組んでるよね。良い意味でも、悪い意味でも」

P「美希は真面目に取り組んでないのか? アイドルの仕事とか、何だかんだでいつも真剣じゃないか」

美希「ん、それは…。……ミキ的には、リラックスしてる方が慣れてるっていうか…。…自分でもフワフワしてるって、分かってるし」

P「まあ、そうかもな。俺としては、美希はそれでもいいと思うけど」

美希「同じことになるけど、志保って結構後ろ向きなところ目立つよね。失敗したらどうしよう~って、ミキとは全然違うと思うな」

美希「あと、こう言うと悪いけど、志保ってきっちりし過ぎっていうか、自分にも皆にも厳し過ぎると思うの。そういうの、すごく大事なことだっていうのは分かるけど…」

P「むぅ…。そう言われると立つ瀬がないな……」

美希「それに、志保は……」

P「…志保は?」

美希「……志保は、アイドルとしても、女の子としても、きっと私よりスゴイの。今は、ミキの方が先にアイドルしてた分リードしてるだけで」

美希「ミキ、負けないよ? ゼッタイゼッタイ、志保にも、春香にも、事務所の皆に負けるつもりはないよ?」

美希「…でも、志保は…。……ミキより、ずっとずっと真剣なの。いっぱいいっぱい努力だってしてるし」

美希「ミキ、スタートが同じだったら志保に追いつけなかったかもなの。本当に……」

P「…………」

美希「…………」

P「……終わりか?」

美希「…うん。とりあえず、だけど」

P「うーん。今、美希の話を聞いてて思ったんだが」

美希「うん?」

P「やっぱり、美希と志保は似た者同士かもしれないな」

美希「えーっ!? どこが? 今の話のどこが似てたの?」

P「秘密! と言いたいところだが……。志保に確かめて来い。そしたら、分かるはずだ!」

美希「どういうこと!? ますますわかんないよ?」

P「いや、根拠はあまりないけど。ただ、美希が今のと同じ話題で志保と話せば、何か分かるかもしれないぞ」

美希「怪しいの!」

P「そう言うなよ。今年の年初は二人とも仕事ないし、一緒に初詣でも行って来たらどうだ?」

美希「えーっ! 初詣なら、プロデューサーと一緒がイイの!」

P「俺は仕事があるから無理なんだ。ゴメンな」

美希「むーっ!!」

美希「………………」

志保「ちょ、美希さん。寝てないですよね?」ユサユサ

美希「起きてるよ…。……志保、やめて」

志保「ご、ごめんなさい」

美希「…んーとね。あの時ミキが言った、『あれ』はね……」

志保「はい…」

美希「『あれ』はね…」

志保「……」

美希「……」

志保「……」

美希「…やっぱりヒミツなの。説明するのメンドくさいし」

志保「えっ」

美希「というわけで、おやすみなさいなの。……くぅ」

志保「みっ、美希さん?」

美希「…すー。……すー」

志保「美希さん? 美希さん!?」







志保「美希さーーーーーーーん!!!」




以上で終わりです。ここまで読んでくださってありがとうございました

 
 
 
新年も美希と志保をよろしくお願いいたしますm(__)m

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