夜神月「ゲームをしよう」(24)

l「……ゲームですか?」

月「ああ。これを使ってな」ピシュ

そう言うと、ライトはデスノートを机に放った。
放られたノートは、「スススー」とlの元へと滑る。

l「……何ですかこのノーt……ッ!?」ビクッ

リューク「ククク。そいつはデスノートって言うんだ」

l「だ、誰だお前は!? いつからそこに……!」

月「ハハッ。この怪物なら最初からいたじゃないか」

月「その目は飾りかい? エル=ローライト君……」ニヤリ

l(な、何故私の本名を……!?)

月「ふゅーい」

lが思うのも束の間。すかさず部屋に口笛が響く。
どうやら合図らしく、奥から犬が入ってきた。

……犬? いや、よく見ると違う。

その正体は、4足歩行の夜神総一朗だった。

総一郎「わんわんわん。へっへっへっへ」

l「や、夜神さん! 何をしてるんですか!」

総一郎「くぅーん。くぅーん。ウッ……」バタッ

l「夜神さん……!? しっかりしてください! 夜神さん!」

月「ははっ。無駄だよl。そいつはもう死んでいる」

l「何……!?」

月「ノートの1ページ目を見てみろよ」

言われるがまま、表紙を捲るl。

l(【夜神総一郎 犬の真似をして死亡】……何だこれはッ!?)

月「ルールその①……デスノートに名前を書かれた人間は死ぬ」ニヤリ

l「!?」

l(ど、どういうことだ……)

l(非現実すぎて……何がなんだか……)

ワタリ「l……残念ながら、これは現実です……」

l「ワタリ……? 何だその格好は!?」

ワタリ「本当に、申し訳ありません……」

ワタリは全裸だった。
そして首にはロープを巻いていた。

ワタリ「私にはこうするしか……」

ワタリ「こうするしかなかったんです!」

叫んだワタリは、手に持っていたボタンを押す。
すると天井にある滑車が勢い良く周り、彼は宙へと上昇した。

ワタリ「あががが……が……!」ブクブク

l「こ、これはなんのマネだ! 今すぐ彼を降ろすんだ!」

月「ふふっ。もう間に合わないさ。デスノートの効果は絶対だからね」

l(【キルシュ=ワイミー 全裸で首吊り自殺】……ッ!?)

月「ルールその②……これは命を賭けたゲームである」ニヤリ

l「……ッ!」

あまりの出来事に、言葉を失うl。
するとようやく、怪物の口が開いた。

リューク「そういや、自己紹介がまだだったな」

リューク「俺は死神リューク。このゲームでは審判をやらせてもらう」

リューク「ルールを守れない奴には、1点ずつ、減点を課すつもりだ」

l「……」

もう、納得するしかなかった……。lはそう決めた。
だとすると話は早い。十中八九、キラは夜神月だろう。
名前を知ってさえいれば人を殺すことができるのだから……。

l「……ゲームとは何だ? 夜神月」

友人モードは、もう終わりだ。

月「ゲームは減点方式で行われる」

月「つまり、自分の持ち点が無くなった方が負けるんだ」

月「ちなみに僕の持ち点は3点で、君の持ち点は8点だよ」

l「……何故、5点も差がある? ハンデのつもりか?」

月「まぁそれもあるかな。ゲームの内容を決めるのは僕だし」

月「でもこの点差の意味はもっと別のところにあるんだ」

l「……何?」

月「まぁ、僕らの名前を思い出してみると分かると思うよ」

夜神月、文字数は3。
l=lawliet、文字数は8。

l「……なるほど、1文字ずつデスノートに書いていくわけか」

月「その通り。言わばこの数字は文字通りのライフポイント……」

月「死にたくなければ、ゼロになるのを阻止しなきゃならない」

l(くっ……悪趣味な奴め……)

l「……それで最初のゲームは何だ?」

月「ふふっ。一言で言うなら《ジャンケン》だよ」

月「ただ、普通のジャンケンとは少し違ってね……」

l「まどろっこしいな。早くルールを言え」

月「おほ。怖い怖い。じゃあお言葉に甘えて――」

~《ジャンケン》のルール~

①先に2回負けた方を敗者(1点減点)とする。
②基本的なルールはジャンケンと同じだが、アイコはlの勝ちとする。
③但し、夜神月はグー・チョキ・パー全てを出せるが、
④lが出せるのはグーのみである。

月「ルールはこの4つだけ。簡単だろ?」

l(確かに、ルールは単純明快。だが、思考を怠ると負ける)

l(いかにして相手の裏をかくか……そこがポイントだな)

l「分かった。その勝負、受けて立とう」

月「ふっ。君ならそう言ってくれると思ったよ……」

月(ククク……掛かったなl!!)

月(この勝負、お前に勝ち目はない!!)

確かにライトの思う通りであった。
lがグーしか出せない以上、ライトはパーを出せば必ず勝てる。
にも関わらずlは、幼稚園児でも分かるその不平等条件を飲んでみせた。

l(夜神月。今お前は勝利を確信しただろう)

l(だがその油断は、お前にとって必ず命取りになる!!)

そう――lには策があったのだ。

l(この勝負、夜神月はパーを出せば必ず勝てる)

l(また、パー以外を出すと必ず負けるって訳だ)

l(だから私がすべきは、奴がパーを出せない状況を作ること……)

l(だがそんなことは不可能。奴はそう思ってるに違いない)

月「じゃあ行くぞ。最初はグー、じゃんけん――」

「「ホイ!!」」

l(だからこそ私は――)

月「……な、なんだと……!?」

l(《チョキ》を出すべきなんだ!)

【月】パー vs チョキ【l】

勝者【l】1勝0敗
敗者【月】0勝1敗

つまり…どういうことだってばよ!?

月「な、何てことを……!」

月「お前はグーしか出せないと言っただろう!!」

l「そんなことは分かっている。私はあえてルールを犯したんだ」

l「だからマイナス一点の罰を、静粛に受ける義務がある」

月「こいつ……!」

l「だが1勝は1勝。パーとチョキでは、チョキの方が強い」

l「審判。デスノートに一文字、《l》と書いておいてください」

リューク「へへっ。了解了解」カキカキ

月「くっ……!(むかつく……!)」

【月】持ち点3【l】持ち点7

月「l……ルールを決めるのは誰だ?」

l「ん? それはお前だろう?」

月「ふっ。分かってるならいい。次のゲーム、お前にもっと不利なルールにしてやるからな!」

え?

lのルール無視行為により、《ジャンケン》はむしろライトに不利なゲームと化した。
その結果、lがあっけなく2連勝――それも次はグーを出して勝ったため、
このゲームではお互いマイナス1点という、lにとっては幸先の良いスタートになった。

【月】持ち点2【l】持ち点7

月「ちくしょう! 次のゲームに行くぞ!」

l「はい」ニヤニヤ

月「次はそう――《早漏勝負》だ」

l「……早漏勝負……ですか?」

lは思った。何やら好きな予感がする。

月「ああ。ルールは以下の3つ」

①先に射精した方を敗者(1点減点)とする。
④夜神月は一度射精を行なってからゲームに臨むこと
⑤lはゲームが始まるまで、avを見ておく(射精は不可)。

月「フハハッ! どうだl! この勝負、お前に勝ち目はないだろう!!」

l「……そうですね……私に勝ち目はなさそうです」ニヤリ

そして、勝負の時――

月「ふぅ……スッキリしたよ。さぁ始めようか」

l「ええ。そうですね……」ギンギン

月(クク……やはりlの奴、ギンギンに勃起してやがる!)

月(やはりavを見せておいて正解だった。これで僕の勝ちだ!)

リューク「よーい、スタート!」

l「……」スッ

<ビュルルルルルルルルルルル!!!!!>

月(……ぇ……?)ボファ

ライトが気がついた頃には、もう終わっていた。
口からはlの精液がボタボタと垂れている。
何が何だか……分からなかった……。

l「ふぅ……スッキリしました。ありがとうございます」

月(そういえばコイツ……さっきから口調が……)

l「さぁ、ここからが本番ですよ」ニヤリ

5時間後。

【月】持ち点2【l】持ち点1

l「ライト君。次のゲームは何ですか?」

月「……」

l「ライト君?」

月「……」

l「おやおや。これは困りましたね」

l「どうやらライト君には、戦闘意欲が残っていないようです」

リューク「おーいライト。このままだとお前の負けになっちまうぞ」

月「……待て。僕はまだ……やれる!」

月「次のゲームは……《将棋》だ!」

l「将棋……ですか?」

月「ああ。ルールは2つ……」

①将棋をして、負けた方を敗者(1点減点)とする。
②ただしlが使えるのは王将のみ。

月「このたった2つだけだ。分かりやすいだろう?」

l「そうですね。そして今までで一番不利かもしれません」

月「ああ。だが念のためもう一つルールを追加しておこう」

③夜神月が先攻で、尚且つ王手の状態から始める。

月「ふふっ……これでお前の負けは決まったも同然だ!」

l「はは……まぁいいですよ。それでやりましょうか」

月(な、何だとッ!? この条件で引き受けるのか!?)

ライトが驚くのも無理はない。
何故なら、何をどうしようとも、lに勝ち目はないからだ。
ルール違反をしようものなら、その時点でlの持ち点はゼロとなる上、
夜神月の一手だけで、勝負が決まってしまうこのゲームは――

もはやゲームですら、ないというのに……。

月(l……お前は今、何を考えている!?)

月(まさか喜んで死を受け入れるような奴ではあるまい)

月(すると何か、必ず何かを仕掛けてくるはずだ!)

月(よし……奴が何を提案しようと、僕は絶対応じないぞ!)

l「ではライト君。将棋盤を用意して下さい」

月「準備ならもう完了している。ほら、そこだよ」

l「これはこれは、ありがとうございます」

l「既に駒も並べてあるんですね」

l「……しかし困りました。僕は本当に玉将だけなんですか?」

月「ハハッ! 当たり前だ! それがルールなんだからな!!」

月「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

<パチン!>

掛け声とともに、ライトはlの玉将を取った。
そしてこの瞬間、lの敗北は決まったのである。

月「やった……勝ったぞ! 僕はlに勝ったんだ!!」

月「フハハハハハハハハハハッ!!」

l「……」クスッ

高らかに笑うライトを見て、lもまた微笑んだ。

月「な、何だ……何がおかしい!? お前は負けたんだぞ!!」

月「負けたのに笑うな! 笑うなぁああああああああ!!」

l「いえ。私は負けたから笑っているのではありません」

l「むしろその逆。勝ったから笑っているんですよ」

月「何ッ!?」

lが使えるのは王将のみなのに・・・玉将でルール(ry

l「滑稽ですね。ルール違反で2点も減点されるとは……」

月「ルール違反? 2点? どういうことだ!?」

l「簡単なことです。ライト君は《王将》を使って《玉将》を取った」

l「《王将》を使えるのは、ルール上、僕のはずですよね? これでまず減点1」

l「そして将棋のルール《相手の駒を使ったら負け》もまた適用され――」

l「あなたは勝負にも負けたんです」

月「!?」

l「そう――あなたは自分の作ったルールと将棋のルール……」

l「この2つを同時に破るというボケをかましてしまったんですよ」

月「し、しまった! くそっ……」バタッ

l「2012年11月5日0時16分……夜神月、死亡」

l「ワタリ、警視庁に電話だ。キラの正体が分かったと言ってくれ」

ワタリ「はい。かしこまりました」

~完~

色々とぶっ飛んでるなぁw
つーかワタリ死んでなかったっけ?

ワタリ(全裸ゾンビ)「はい」

ワタリ死んでたの忘れてた

読んでくれてサンクス


月はいつもアホの子だな

詰ませるまでが将棋
相手の玉・王をとってしまったら反則になります

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