提督「助けてアマえもん!」天津風「うるさいわね」 (54)


提督「うわあぁぁぁぁん!!助けてアマえもん!書類が終わらないんだぁ!」

天津風「見れば分かるわよ……はぁ。ちょっと出かけるとすぐこれなんだから」

提督「アマえもぉん!ドラえもんみたいに道具出してー!」

天津風「そんなものないわ。そんなことより早くそれ片付けましょ?」

提督「そんなぁー!寝てる間に書類を全部書き終える道具とか持ってないのー!?」

天津風「あのね……あたしは便利なネコ型ロボットじゃないのよ。何度言えば分かるのかしら…………」

提督「だってぇ!」

天津風「か、た、づ、け、ま、しょう!?」

提督「ウィッス」

天津風「全くもう…………」


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提督「アマえも?ん」

天津風「何よ?後、いい加減名前で呼びなさい」

提督「深夜になるまで頑張ったのに、書類が終わらないんだけど」

天津風「貴方のせいじゃないの」

提督「これやってー!」

天津風「関係ないのにわざわざ手伝ってあげてるあたしに対して、生意気ね」

提督「え?」

天津風「何?」

提督「天津風が手伝うのは当たり前のことでしょ」

天津風「…………一回その認識を改めた方がいいわよ」

提督「アマえもんはケチ、と」

天津風「怒るわよ?」


提督「うひー……」

天津風「これで終わりね。お疲れさま」

提督「疲れた疲れた……」

天津風「なんでサラッと抱きつくのよ」

提督「あーあったかいなー」

天津風「やだ……髪は触んないでよ!吹流しが取れちゃうでしょ!」

提督「ねーむーいー」

天津風「なら早く自室に行きなさいよ」

提督「運んでー」

天津風「はぁ……青葉、運んでくれない?」

青葉「え!?通りかかっただけでこの仕打ちですか!?」

天津風「このお馬鹿の寝顔が撮り放題よ」

青葉「いや、いらないんですけど」

天津風「貴方って撮れるものならなんでも撮りたいんじゃないの?あたしが知ってる限りだとそんな子ばっかりだったんだけど」

青葉「そんな人を撮るなら風景を撮った方がマシです!もしくは天津風さんにインタビューしていた方が実りがあると思います」

天津風「だそうよ」

提督「青にゃんやっぱ辛辣だなー」

青葉「司令官がだらしないだけですよぉ」


青葉「もう……司令官はいつもこんなんなんだから……」

天津風「ふわぁ…………そうね。全くだわ」

青葉「それにしても、天津風さんはどうして司令官をそこまで気にかけているんですか?」

天津風「んー……簡単よ?『提督』としての才能はちゃんと有るから」

青葉「そうなんですか?」

天津風「そうよ。貴方も彼と繋がってから能力が上がっているのを実感しているでしょう?」

青葉「それは……確かに、そうですけど」

天津風「だから、後はまともに仕事するようになってもらうだけよ」


天津風「ん……青葉の方も出たわね。これでゆっくり眠れそう」



ガチャ



金剛「…………」スヤァ…

天津風「ああ、うん。分かってたわ。落ち着いて寝させてくれる鎮守府じゃないもの…………はぁ」


多分、きっと、恐らく艦これの二次創作

すっごい変な設定が下地に有るけど、あんま考える必要はないと思いまする


初対面の頃――



天津風「こんにちは。陽炎型九番艦の天津風です。本日付で大本営からこの鎮守府に異動してきたわ。詳しくは…………」

提督「え……えーっと……」

天津風「どうしたのかしら」

提督「こ、金剛ー!」

金剛「ヘーイ、テートクー!」



バタバタバタ!!



天津風「…………」

提督「…………」



バタバタバタ!!



金剛「テートクー!どこですカー!」

天津風「…………もしかして、迷子?」


金剛「提督ゥー!返事して下サーイ!」

提督「僕はここだよー!」



バタバタバタ!!


バタバタバタ!!

バタバタバタ!!



金剛「テートクーが居なぁい!…………ハッ!もしかして、実は提督はもうこの世に居なくて、今聞こえてきているのは幽霊となった提督…………ヒエー!」

天津風「何回目の前往復してるのよ!?執務室くらい分かりなさいよ!」

金剛「テ、提督が女の子に!!」

天津風「どう考えたらそんな結論に行き着くのよ!」


金剛「し、失礼しまシたー!」

天津風「そんな畏まらなくても……」

提督「そうだそうだー!金剛失礼だぞ!」

天津風「…………はぁ。それで、どうして金剛、さんを呼んだのかしら?」

提督「あ、忘れてた。金剛、誰かが異動してくるとかそんな書類やら通話が来なかった?」

金剛「え?そんな話も書類も知らないデスよ?」

提督「あれー?確か金剛に任してたじゃん」

金剛「でも知りないものは知りませーん」

提督・金剛「「アレー?」」


天津風「ちょ、ちょっと!あたしはちゃんと連絡をしたって聞いたわよ!その後も了承を受けたって……!」

提督「…………んー。もしかして、青葉に試しに秘書官やらせた時かな?」

金剛「そうかもしれませんネー。一度呼んでみますか」

提督「青葉ー」

青葉「今居ませーん」

提督「居ないって」

金剛「うーん……困りましたネー」

天津風「……天井から声が聞こえてきたんだけど……というか、居るじゃない」

青葉「青葉のことは居ないものとして扱ってください!」


天津風「はぁ…………」



スパァン!!



青葉「にゃん!!」

金剛「あ、青葉が天井から落ちテきました!」

提督「しかも『にゃん!』だって!」

金剛「青ニャン!青ニャン!」

提督「大丈夫か青にゃん!」

青葉「あ、青葉です!うぅ……恥ずかしい」

天津風「甘かったわね、青葉……さん。そのくらいの隠密じゃあ深海棲艦も殺せないわ」

青葉「あ!あなたが『天津風』さんですか!?」

天津風「ええ、あたしが天津風よ」

青葉「わわ!青葉、私青葉です!」

天津風「見れば分かるから落ち着いて」


提督「落ち着く時には深呼吸だよね!」

金剛「ヒッヒッフー!ヒッヒッフー!デスよ!青ニャン!」

青葉「それは違いますよね。後、青にゃん言わないで下さい」

天津風「それで、あたしを見てなんで興奮したのかしら?」

青葉「それは勿論、『天津風』と言えば現状あなた一人だけじゃないですか!気になりますよね!?」

天津風「……あー……大本営に居る『青葉』にやられたわね。『天津風』自体は既に何人か居るわよ」

青葉「そ、そんな!?じゃあ、南方海域に少数で殴り込みを掛けて深海棲艦をボッコボコにした『天津風』さんじゃないのかぁ…………」

天津風「あ、それあたし」

青葉「にゃ、にゃんですってー!」


金剛「あざとい青ニャンですねー」

提督「ネコ型青葉ー」

青葉「むぐぐぐ…………!」

天津風「でも、殴り込みを掛けたのは事実だけど、ボコボコにした訳じゃないわ。はあ……『青葉』はいつも大仰に報道するから困ったものね」

青葉「でも青葉、他の『青葉』から聞いたとき、その天津風はすごい強いって聞いたんですよ」

天津風「あたし?全然強くないわよ。ほんと、貴方達はいつも話に尾ひれを付けるわね……」


青葉「うー……でも、少なくとも青葉より強いですよね?」

天津風「どうなのかしら……貴方の実力がどの位なのかあたしは知らないし」

天津風「…………って!話が進んでないじゃない!」

青葉「どんな話ですかー?」

金剛「何でしたっケ?」

提督「えーっと、青葉が可愛いって話だっけ?」

天津風「……青葉さんは、あたしがここに来ることを知ってたかしら?」

青葉「知ってたら天井から来ないで普通に入ってますよぉ!」

天津風「書類とか通話とかで誰か来るって話も知らないの?」

青葉「そんなことは知らない…………あ」

金剛「アールグレイ?」

提督「アンポンタン?」


青葉「そういえば、金剛が珈琲を零してしまった書類が有りましたね」

金剛「アー……ありましたネー」

提督「仕方ないからそのまま提出したやつだっけ」

青葉「それはやめましょうって言いましたよね……」

天津風「」

金剛「ゴメーンネ!(はぁと)」

天津風(ああ……嫌な予感がしてきた)



――――――――


天津風「ん…………いつの間にか寝てたみたいね」

間宮「アマえもん、起きたんならとっとと部屋に戻るなり注文するなりしてくりゃれ」

天津風「ドラえもんじゃないわよ……きつねうどんお願い」





天津風(異動して1ヶ月……まさか提督が金剛以外とまともに繋がらないでいたとは思わなかったわ)

天津風(それどころか、仕事を全部艦娘に任せて自分は何もしていなかったなんて…………)

天津風「はぁ……」

「ちょっとお隣に座っていーかな?」

天津風「何か話があるの?」

「べっつにー」

天津風「……まあ、座ればいいじゃない」

「いえーい!」


「アマえもんもしかして寝起きかー?目やにがすごいぞー」

天津風(この子はいつも元気。ハイテンション過ぎて下手に付き合うと疲れるのよね)

天津風「そりゃそうよ。ここで寝てたんだから……」

「あらら……なんかあったの?」

天津風「えぇ、部屋に戻ったら金剛が寝てたわ……」

「あの人いつもそんなんだよねぇー……ここに行こうとして工廠に着いたとかいつものことだしぃー」

天津風「お陰でこっちはいい迷惑よ。あの人が勝手に入ってきたのに何故かあたしを怒るんですもの」

「あっはっはっは!ドンマイドンマイ!」

天津風「人ごとだと思って……もぅ……!」


天津風(でも、意外だったわ……)

天津風(水色のような、緑色のような髪の毛、きさくな人柄で最上型の制服と言ったら)

「何考えてんの?」

天津風「ん?貴方のこと」

「え……私そんな気無いからね!」

天津風「あたしもそういう意味で言った訳じゃないのよ。ただ、貴方ってアレじゃない。最上型……」

「最上型三番艦、鈴谷だよ!」

天津風「最上型」

「鈴谷だよ!!」

天津風「最上」

「だぁーかーらー!鈴谷だってば!!そんなにしつこく聞かないでよ!」

天津風「……ハイハイ、分かったわ」

天津風(本当は最上型三四番艦、オシャレな処女ビッチ重巡熊谷…………)


天津風「ちょっと!いきなり干渉してあたしの思考に横槍入れるのやめなさいよ!」

「何のことーかなー?」

天津風「貴方自分を処女ビッチなんて自称するの!?バカなの!?」

「バカじゃないしぃー!鈴谷は純粋なんですぅー」

天津風「ああもう!最上型重巡四番艦、熊野!」

熊野「…………誰に向かって言ってんの?ねえ」

天津風「貴方に言っているのよ。熊野」

熊野「どこに熊野が居るのさー……やだなーアマえもん」


ガンッ ゴンッ



間宮「喧嘩は良いけんど、ウチん所でやらんで外でやってくりゃれ」

天津風・熊野「「…………」」

間宮「アマえもんはせかすなや。熊やんはもう少し寛容になりんせい。ええか?」

天津風・熊野「「……ハイ」」

間宮「なら、早う取りにきて。油揚げサービスしてやったのに無下にするのかや?」

天津風「ご、ごめんなさい」

熊野「す、鈴谷のカレーには入れてないよね?」

間宮「勿論入れちゃいんよ。入れるん?」

熊野「要らない!」


天津風(この子が居たから、嫌な予感が確信に変わったのよね……)

熊野「やっぱカレーは美味しいよねぇ!」

天津風「しょっちゅうカレー食べてるじゃない。飽きないのかしら」

熊野「飽きないよー。何言ってんのさ」

天津風(水色のような、緑色のような髪の毛。きさくな人柄。けれど、どんなに取り繕っても『私達』にある精神世界までは誤魔化せない)

天津風「たまには別の食べ物を食べなさいよ。貴方の知ってる『鈴谷』だってそんなにカレーを頻繁に食べてないでしょうに……」

熊野「……ケンカ売ってんの?アマえもん」

天津風「純粋に貴方を心配しているだけよ」

天津風(彼女は……熊野。どんなに取り繕っても、それが変わることはない)

天津風(けど、熊野は鈴谷を演じている。鈴谷であろうとしている)

熊野「ふーん…………」


天津風(きっと、彼女はこの鎮守府内でもかなり特殊だと思う。あたしがここにきた理由の一つかもしれない)

天津風「ご馳走様」

間宮「お粗末さん」

天津風「さて……金剛も流石に居ないだろうし、あたしの部屋に戻ろうかしら」

金剛「居た!アマえもんのHENTAI!」

天津風「…………なんで、こんなタイミングで貴方に捕まるのよ」

金剛「わ、私を部屋に連れ込むなんて最低デス!私は提督一筋なんだからネ!」

天津風「うっさいこのお馬鹿二号。貴方のせいでまたあたしはベッドでゆっくり眠れなかったのよ」

金剛「ビッチ!女狐!痴女!」

天津風「ハイハイ。あたしは部屋に戻るから。その方向音痴早くどうにかしたいわね」


金剛「待って――」



ガシッ



間宮「悪口言うんは良くないと思わんか?」

熊野「だぁれがビッチですってぇ……?」

金剛「」






ヘーーールプ!!



天津風「自業自得よ……もう」

今思ったらだいぶ訳わからん設定があるから意味不明なのは当たり前だった
ちょっと書き出してきますわ

天津風「さて、今日こそ艦娘のことを覚えてもらうわ」

提督「えー……やだ」

天津風「やだじゃないわよ。もぅ……」

提督「じゃあ、僕が興味あることを聞くよ」

天津風「む…………そうね、貴方は理解するつもりがないのか、あたしの話を全部右に流してたものね」

提督「アマえもんの話難しいし、一気に教えられたから頭がパンクしそうになったことしかないよ」

天津風「貴方が色々と知らな過ぎるだけよ。ある程度は仕方ないと思うけど、それでも艦娘のこととかそれに関連することくらい知ってて欲しかったわ」

提督「だって……金剛が必要ないってぇ…………」

天津風「ハイハイ、それはもう分かったから。それで、何を聞きたいのかしら?」

提督「その服スケスケだけどなんで?」

天津風「はぁ…………呆れた」

提督「ずっと気になってたんだけど、聞くタイミングが無かったなぁって思ったんだー。なんで?」

天津風「島風に適合する艤装を作る時に、試作としてあたしが選ばれたからよ。丁度、あたしの艤装は更新前だったから、どうせなら島風のプロトタイプとして作ってしまおうって流れになって、結果としてこうなったわ」

提督「変なのー……服くらい別に何着たって変わらないでしょ?」

天津風「この服含めて艤装なの。新しく作るのはホントに面倒なんだから仕方ないでしょ」

提督「じゃあ、島風って子もそんな感じなんだ」

天津風「あぁ……あたしの艤装、中身は島風に似てるけど、外見は雪風の艤装に近いのよ。だから、島風とは結構違うわ」


提督「そっか」

天津風「ええ……他には?」

提督「え?無いよ」

天津風「はぁ?」

提督「え?」

天津風「あたしの艤装の説明したって貴方が『提督』の知識を得たことにはならないの!」

提督「でも、『提督』って何なのか分からないし……」

天津風「……あたし達艦娘は深海棲艦にとても近い人間になるの。その時に、深海棲艦の記憶をあたし達の精神世界に入れるのよ。勿論、影響が出ないようにほんの少し入れるだけなんだけど」

提督「…………」

天津風「それに対して、『提督』は歴戦の兵士くらいに強くなるけど艦娘みたいに深海棲艦と戦う能力はないわ。それに、『提督』には深海棲艦の記憶を入れない。入れるのは、あたし達の名前の元になっている艦艇の記憶だけよ」

天津風「では、どうして『提督』が必要なのか、だけど、艦娘には深海棲艦の記憶が入っているって言ったわよね?」

提督「うん」

天津風「お陰で艦娘同士で連絡すると、あちらに色々バレることが多いのよ。だから、『提督』はそういったリスク回避とかが主な役割よ。他にも色々あるけど」

提督「へぇー」

天津風「分かった?」

提督「うん。分かんないことが分かったよ!」

天津風「…………」

提督「痛い痛い痛い!アマえもん痛いから!」

天津風「うるさい!後、アマえもん言うのやめなさい!」

提督「難しい話は無理だよぉ……」

天津風「これでも、あたしかなり簡略化して説明したのよ!これで分からないなんて有り得ないんだから!」

提督「でも……」

青葉「ずっと黙って盗み聞いてて悪いですけど、司令官に物事を教えるときにはもっと簡単な言葉を使った方がいいですよー」

天津風「いきなりね。あたしはだいぶ簡単な言葉を使っているでしょ?」

青葉「もっと伝える内容を少なくした方が良いかなって青葉は思いますよ」

天津風「まだ駄目なの?」

青葉「ええ、それと概念的な説明は避けた方がいいですねぇ……『提督』とか」

天津風「はぁ…………分かったわ。提督はあたし達艦娘を助ける為に居るの。分かる?」

提督「う、うん」

天津風「そのために、艦娘と繋がる方法を知らないといけない。そのために艦娘を知らないといけないの」

提督「僕には無理……」

天津風「貴方にはそれが出来るのよ。だから、こんなところで提督として居るんでしょ」

提督「そんなこと…………」

天津風「あたし、これでも貴方を高く評価しているのよ?自信を持ちなさいな」

提督「……分かったよ」

天津風「よろしい!」

天津風「はぁ…………」

青葉「どうしましたか?」

天津風「ホントにあの人は、あたしの言ったこと理解してるのかしら」

青葉「大丈夫ですよ、多分」

天津風「はっきり言わないのね」

青葉「なにせ、司令官は妙に忘れっぽいですからねぇ…………」

天津風「そうなの?」

青葉「えぇ、本当に……まあ、ちゃんと覚えてくれると期待してますよ。天津風さんは悪い人だって司令官は思ってませんから」

天津風「……ありがと、青葉。知ってる中でも、貴方は一番か二番くらいにはまともよ」

青葉「褒めているのか、バカにしているのか分からないこと言わないでくださいよぉ……」

多分しばらく意味不明なままになりそう……
ちょっとずつ説明してきます

金剛「ヘーイ!アマえもん昨日はよくも逃げてくれやがりましたねー!」

天津風「あら、どうかしたのかしら」

金剛「どうもこうもないデース!あの後、すっごく怒られたんだかラー!」

天津風「当たり前じゃない。禁句言ったらああいうことになるに決まってるでしょ?」

金剛「天津風のこと言っただけなのニー!」ダンダンダン!!

天津風「貴方……あたしよりも前から居るのにそれでいいの?」

金剛「私はテートクさえ居ればそれで問題Nothing!」

天津風「ああ……そう……」

金剛「……って、そんなことより!アマえもんはテートクに何を教えたのネー!提督にHENTAIなこと教えたらぶっ潰しマスよー!」

天津風「んなわけないでしょ。それに、大したこと教えてないわよ。第一、理解されなかったことの方が多かったし……」

金剛「それでも良いから教えて下サーイ!」

天津風「……分かったわ。まず――」





金剛「ほー……そうですカー。そんな感じでしたカ」

天津風「ええ。ただ、ホントに理解してもらえたのかあたしにはさっぱりだわ」

金剛「まあ、どうにか覚えててくれマスよ、きっと」

天津風「そう、ね。そうであれば嬉しいわ」

金剛「じゃあ提督の所に行ってくるネ!」

天津風「執務室は反対よ…………ってもう居ない」


――間宮――


「《おはよう》天津風」

天津風「あら、こんばんは。珍しいわね。貴方がここに居るなんて」

「あはは……《そうでもない》。ちょっと今日は久しぶりに帰ったら?ってあちらの『提督』に言われたから、《ゆっくり》戻ってきたのよ」

天津風「ふーん……でも、貴方が居ないのにあちらさんは大丈夫なのかしら」

「しばらく潜水艦が影響することなんてほとんど《ある》から平気よ。お陰で《忙しい》し」

天津風「それで、今回はどのくらいここに留まるの?」

「三日、四日ってところかな?」

天津風「……短いと思わないの?」

「十分《短い》わ。ここに仕事は《ある》んだし」

天津風「うっかり過労で倒れても知らないわよ」

天津風(彼女は伊168。イムヤと呼んで欲しいらしいわ。以前から付き合いがあって、二つの鎮守府を行き来しているって聞いたけど……)

天津風(まさか、こんな場所で会うとは思わなかったのよね……)

天津風(ちょっと見ない内に、一部言いたいことが逆になってたのはホントにびっくりしたけど、基本真面目だからそれに慣れるとそれほど付き合うのに苦にならないかな)

天津風(言いたいことが逆になる現象自体は、確か艤装の不具合……正式に潜水艦が配備されたのは最近だったし、仕方ないわね)

天津風(正式配備されたと言ってもまだイムヤ達潜水艦の頭数は少ないから、このくらいの不具合は無視してるのが現状よ。戦闘に支障は無いってイムヤも言ってたし)

天津風(ただ、早く不具合は直した方がいいのは確かね。放置したら後々面倒だもの)


熊野「おぉう、イムヤじゃーん!久しぶりー!」

イムヤ「《さっきぶり》熊やん」

熊野「……相変わらず、あべこべな口調は治らないんだねぇ」

イムヤ「代わりが《居ない》なら、すぐにに大本営に向かうわ。あそこに行けば、あっという間に《壊れる》んだから!」

熊野「代わりが居れば、治せるねぇ……すぐに治せないのは問題にならない?」

天津風「すぐには無理でも、イムヤの身体と精神に影響が出る前に代わりの潜水艦が来るわ。恐らく、問題ないと思うけど」

イムヤ「天津風と《違う》意見かな」

熊野「ほー……で、誰も来ない場合はどうするの?最悪、イムヤは心身に影響が出ても今の状態を維持しなければならない事態になるけど、どうするつもりで?」

天津風「誰かしら来る」

熊野「もしもの話よ、もしものは・な・し!」

天津風「そんなの……」

熊野「有り得ない、なんて有り得ないから」

天津風「…………」

イムヤ「…………そうね、どうしようもないくらいに《直る》かも。でも、それで私は今の状態を《始める》つもりはないから」

熊野「ふーん…………そう」

天津風「…………」

イムヤ「…………」

熊野「……そんな怖い顔しないでよ!もしも、なんてあまり確証のない話なんだしさー」

イムヤ「はぁ……食欲《湧く》話題をここでしないでよ……」

天津風「…………全くね」

熊野「ごめんねーぃ!」

提督「ね、眠そうだね」

天津風「さっきまで哨戒してたから仕方ないじゃない……ふあぁ」

提督「じゃ、じゃあ今日は勉強無しで」

天津風「駄目よ」

提督「ぶーぶー!」

天津風「昨日は金剛が秘書艦だったわね。なら、金剛は何も教えないで一人で仕事を全部やっちゃったんじゃないの?」

提督「それは……そうだけど」

天津風「貴方と金剛にとってはそれで良いのかもしれないけど、あたしは嫌よ。安心出来ないもの」

提督「……むー」

天津風「悔しいなら、今からでも勉強してぎゃふんと言わせてみなさい」

天津風「ということで、何を教えましょう……」

提督「決めてないの?」

天津風「決めてはいるの。ただ、貴方に理解してもらうにはどうすればいいか考えてるのよ」

提督「ウィッス」

天津風「…………あ、貴方はちゃんと前に教えたこと覚えてる?」

提督「僕がアマえもん達を助けるって話だったよね?」

天津風「……まあ、大体合ってるわね」

提督「でも、どうすればいいのか分からないんだけど」

天津風「その一つが『繋ぐ』って話だけど……んー」

提督「それを説明してくれればいいんじゃないの?」

天津風「その為には、艦娘のことを先に話す必要があるのよ……」

提督「そうなんだ」

天津風「こんなふうなら…………うん、まあまあね。貴方、覚悟は出来た?」

提督「No」

天津風「ハイかYes以外は聞いてないわ」

提督「そんなぁ!あんまりだよ!」

天津風「とりあえず、艦娘には……ちゃんと聞いてる?」

提督「問答無用…………うん、聞いてる」

天津風「艦娘には、記憶を入れる……って言ったことを覚えてる?」

提督「そうなの!?大丈夫!?」

天津風「え、えぇ……大丈夫。それで、記憶を入れるんだけど、艦艇の記憶を入れたのと、深海棲艦の記憶を入れたのが原因で、あたし達の精神に『全く同じ自分が居る』ようになるのよ。その精神側の世界を、あたしは精神世界って呼んでるんだけど…………」

提督「」プシュー…

天津風「…………」


スパァン!


提督「エーテルの風が……!エーテルの風がぁ…………はっ!」

天津風「この説明じゃあ駄目、と。んー……」

提督「あれ?さっきまでパルミアに向かってたと思ったんだけど」

天津風「あの短時間でどんな夢を見てるのよ……あたしの話、どこまで覚えてるの?」

提督「えーっと……船の記憶を入れた。後、深海棲艦の記憶も入れた、とかなんとか言ってた?」

天津風「やっぱりそこまでよね……あー、面倒だわ」

提督「精神がうんたらかんたらって言ってたけど心が何か関係あるの?」

天津風「そうね…………心と言うにはほんの少し語弊があるのかもしれないけど……心の声って有るじゃない?眠いなぁー、とか」

提督「う、うん」

天津風「そういうことを言う自分が見える?感じるのが正しいのかしら……?まあ、そういう自分が心の中に存在するのよ」

提督「な、なんていうか……それ平気なの?」

天津風「意識が二つ有るようなものだから、普通ならおかしくなるんじゃないの?」

提督「うへぇ……」

天津風「艦娘はそのくらいの負荷は大したことないからそこは安心して。もっと複雑なことをする方が多いし」

提督「例えば……?」

天津風「…………艦載機とかは代表的で分かり易いかしら」

提督「沢山出すもんね」

天津風「まだまだ話すことが有るけど…………今日はこのあたりでおしまい!」

提督「やった……!」

天津風「書類は一人でやりなさいよ?」

提督「アマえもんのケチ」

天津風「ケチじゃないわよ」

提督「痴女?」

天津風「それも違うわ」

提督「スケスケ?」

天津風「それも…………否定できないわね」

提督「じゃあ、僕の勝ちだね!」

天津風「何が勝ちなのよ……?」

相次ぐ原因不明の沈没事故が、世間を騒がしていた

テレビでは連日連夜話題にされて、被害に会った人たちの家族が国に訴えかけていた

国だって勿論色々と調べた。けれど、一年も経った今でもほとんど分からないでいた


「怖いわね―……」


あたしのお母さんがそんなことを言う

テレビのニュースでは、廃人になってしまった事故の生き残りの話をしていた

全員、『あの機械』に掛けるようにするとか、そんなものに掛けるなんてとんでもないとか……

その機械は、半ばファンタジーのような代物で、どんな障害でもあっという間に治してしまうなんて話だ

半月前のニュースでは船に乗っていた人が目を覚まし、詳細を聞いたとか言っていたのを覚えている

でも、正直あたしは今でも信じられないでいる。そんな物、どう信じればいいのよ


「そうだね」


母の一言に、相槌を打つ

現実感なんてどこにも無かった

「行ってきます」

「気を付けてね……最近は殺人も多いから。犯人も見つかってないし」

「大丈夫。変な人には近づかないから」


そんなやり取りをして、学校に向かう

新しい友達が出来て、中学校にも慣れてきた

中学でも、機械の話とか今の沈没事件とか、そして犯人の捕まっていない殺人事件の話がされている

ただ、それを真に受けるような友人はほとんど居なかった

あたしも含めて……




「今も殺人犯は捕まっていないから、まっすぐ帰るように」

「「「はーい」」」


「ねえ、今日どこに行く?」

「そうねー……」


学校が終わって、忠告を一部の人が聞かずにどこかに行こうとする

あたしも加わっても良いけど、今日はそんな気分ではない

まっすぐ帰ろう。遊ぶほどのお金も無いし

♪~♪~



「あれ?……母さんからだ」


母さんからのメール。メールにはこう書かれていた


今日は帰るのが遅くなるよ

それにお父さんも遅くなるって

家には何もないから自分で惣菜とか買って先に食べていてね

お母さん達の分は買わなくて良いよ



「そっか……面倒くさいなー。あ、でも野菜コロッケ沢山食べても怒られないのよね……やったー!」


そうして、良く行くデパートに向かう


――やめて――


未だに犯人とかは見つかっていないけど、自分が関係ある訳じゃないし


――行かないで――


最低限の食べ物を買ってすぐ帰ろう


――これ以上思い出したくない……!――


うーん、何買おうっかな?


――いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ







天津風「――ああああ!」

天津風「…………っはぁ!はぁ……はぁ……」

天津風「さいっ……あく!!なんでこんな夢見るのよ!!」

天津風「あぁ、もう……汗が酷いわ」

天津風「寒い……お風呂、入りなおさないと」

天津風「うぅ、服が張り付いて気持ち悪い」



コンコン



イムヤ「天津風、食堂に《散らばって》」

天津風「散らばるぅ!?…………ああ、イムヤか。うん、食堂に行けばいいのね。今からお風呂で身体を温めるから時間が掛かりそうって皆に伝えて」

イムヤ「寝癖が《おとなしい》の?」

天津風「別に、寝癖とかは……ちょっと汗が酷くって。お陰で身体がすっかり冷えちゃったわ」

イムヤ「分かった。《ゆっくりして》ね」

天津風「分かってる。早めに向かうから」

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