橘志狼「早押しは得意だぜっ!」橘ありす「正解しないと意味ないですよ」 (175)


橘志狼
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岡村直央
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姫野かのん
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『それではラストクイズ! 世界には三色旗という三つの色でできた国旗があります。ではその三色旗の中に赤色が入っている国は? 5つ答えてくださいっ』


志狼「うおおおっ!! なおーっ!! 早く答えろーっ!!」ダダダダダダッ!!!


『さぁ、志狼くんが走り続けている間に二人は答えることができるかー!?』


直央「えっと、えっと……黒・赤・金……ドイツ! それと、フランスと、イタリア!」

『3問正解! 素晴らしい!』

直央「それから……うぅ……確か……ロシアもそうですっ!」


『正解! しかし、スピードのレベルはどんどん上がっていくぞー!』

志狼「おおおおおおおおっ!! がんばれ!! あといっこだろ!!」ダダダダダダダダーッ!!


直央「わわわ……早く答えなきゃ!! えっとえっと……!! はやくしないといけないのにっ!」

『おっと最後のひとつが出てこない! これはクリア失敗かー!?』


かのん「えへへ、かのん知ってるよ!」

直央「えっ?」


かのん「【コロンビア】!!」


『正解ーッ!!』



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419770806


橘ありす
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結城晴
http://i.imgur.com/YuBYYYm.jpg



――『正解ーッ!! そして獲得ポイントにより、チームもふもふえん優勝決定ーッ!!!』

ワーッ!! ヤッター!!



晴「おおっ!! 勝ちやがったかあいつら! 志狼もがんばりやがって、なんかうれしいぜ。へへ……っ♪」

仁奈「やりやがります! ……さいご答えたの、すげーかっこよかったですよ……サスガは仁奈のソウルフレンドでごぜーます!」

千枝「あ、直央くんトロフィーもらってる。ふふっ、ハズがしがらないでいいのに。照れちゃって」


ありす「…………」


みりあ「あれ? どーしたのありすちゃん? ほら、テレビテレビ! もふもふえんが勝ったんだよ!」

ありす「オランダ、ルーマニア、メキシコ、アイルランド、ブルガリア」

梨沙「は?」

ありす「……他にも出てきます。最後の問題、カンタンでした」

みりあ「あ、あー! 問題の答え考えてたんだね! ありすちゃんすごいっ」

ありす「まぁ、このくらいは当然です。しかし、みなさん……少し自重した方がいいんじゃないですか?」

晴「あん、ジチョウ?」


ありす「そうです。別事務所の男性アイドルを褒めそやして。スキャンダルの元ですよ。男性に向かって好意的な素振りを見せるのは、控えた方がいいと思いますけどね」

晴「なんだよ、ただオレらと同じ子どもが勝ってくれて嬉しいってだけだろ?」

梨沙「これぐらい問題ないんじゃない? そんな気を張ってテレビ見たくないわよ」

千枝「そうだよ……逆に仲悪い方が、わたし良くないと思うよ……」

ありす「ですが、アイドルとして」

梨沙「てか前も、そんなこと言ってたわよ。アンタも志狼にライブのチケットプレゼントしたじゃない」

ありす「あ、あれは貸しですよっ」

晴「オレさ、わりと気が合うんだよ志狼とは。スパッとしてるし。トモダチ応援すんのダメってのはヤだぜ。言わせてもらうけどよ」

ありす「晴さん、ダメですよ……相手を認めるのはいいですが、あの男子は『敵』になるんですよ。気を引き締めてください」

みりあ「テキって……あ、そうだねっ!」


桃華「ええ、ありすさん。晴さん――あの方たちは私たちの対抗馬となったのですわ。ゴールデンタイムでの生放送クイズバトル……346プロの威信に賭けて負けられませんわね!」


仁奈「あ、桃華ー! デカいテレビでスゴかったのですよ!」

晴「ああ……招待してくれて、今日はアリガトな」



櫻井桃華
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――年末特番!! 最終決戦開幕!!


――ついに衝突!! 勝つのは男子か!? それとも女子か!?


――天才の称号を賭けてシノギを削れ! 若きアイドル達よ!!!



『アイドル・デスマッチ』!!  最高知能決定戦!! 年末特番を待て!!!




――

――――


TV局


ありす「なにか……ずいぶんと煽られてますね」

桃華「ええ。少々はしたない気さえいたすますわ」

晴「こんだけCMで盛り上がられたら、ちょっちキンチョーしちまうな」

ありす「大丈夫ですよ。油断はしちゃいけませんけれど……勝てる相手です。3人1組のチームで戦うにしても志狼くんは役に立ってませんから、実質3対2ですし」

桃華「ありすさん、どうしてそう志狼さんに辛らつなんですの?」

晴「まー、今までイロイロあったからよ。ライブのチケット渡す時のゴタゴタとか」


桃華「ふぅむ。所縁ある方ですのね」

ありす「別に……そんなものではないです」

晴「でもよ、ありす。オマエ、志狼は『敵』だから気をヒキシメろって言っといて、自分はユダンしてるじゃんか。志狼も警戒しとけよー?」

ありす「……そうですね。獅子はウサギを狩るのにも全力を尽くすものですよね。今のところは警戒――」



志狼「一番怖いのがありす? バカ言うなよー! ありすなんかに負ける気ゼンゼンしねーっての!」



ありす「――する必要ありませんね!!」

晴「あ、志狼だ」



直央「だ、ダメだよしろうくん、そんな言い方相手に対して失礼だよ……」

志狼「いや! なおもこんぐらいのキモチでいくベキだって! 勝負する前からビビってちゃハナシになんねーだろー? ……って、ありすたちじゃん!」

かのん「あ、ホントだー! おはようございまーすっ!」ペコリ

晴「よー、志狼! いよいよ勝負だな」

志狼「晴ー! へへっ、負けねーからな! チャンピオン、オレらがなるぜー!」

ありす「……自分では解答しないクセに、ずいぶん無責任に自信まんまんですね」


志狼「ベツに、いーだろっ!! ってかオレだって答えようとすれば答えられるし!」

ありす「あやしいものですね。あなたが正解したところ見たことないんですが」

志狼「う、うるせー! オマエだって……」

ありす「私の正解率は78%です。――データ、残しているんですよ」タブレットスッスッ

直央「え、す、すごいなぁ」

ありす「直央さん、あなたは71%です。優秀ですね」

直央「わぁ、ボクの正解率まで……」

かのん「ね、ね! かのんはー?」

ありす「……92%です」

桃華「まぁ! すさまじいですわね!」

志狼「おー! かのんスゲーッ!!」

かのん「えへへ~、でも分かったのしかコタえないからだと思うよ~」

ありす「……そうです。要所でしか出ないからこその数字でしょう。今回のチャンピオン決定戦は総力戦です。今までのようにはいきません。まぁ、答えられない人が活躍できないのは変わりませんが」

志狼「んだよーありす、オレのこと言ってんのか」


モバP「おーい! ありすたち、そろそろ顔合わせを……」

エムP「ってあれ? もうお話してるの?」


桃華「あらPちゃま」

志狼「ああっ! ゼンショーセン、こっちがアットーしてるぜ!」

ありす「勝利をねつ造しないでください」

モバP「まあ、顔合わせはすんでるみたいだな。ほら、ともかくアイサツしよう」

エムP「そうですね。ほら、みんな」


??「ほう、流石……みんな目に知性の輝きがあるねぇ」


桃華「あら、アナタは……確かアイドル・デスマッチの……」

志狼「オッサン、だれ?」

直央「しろうくーん! 番組のプロデューサーさんだよぉ!! シツレイだよ!」

志狼「ああ、前に見たことあんな、そーいえば」

桃華(大物ですこと)


エムP「す、すいません!」

番組P「いやいや、そうだよねぇ。こんなオジサンの顔を覚えてるヒマないよねぇ。クイズの勉強、しなきゃいけないもんね」

ありす(腰が低い……?)


番組P「いやー、君達がんばってね。子ども好きな人、テレビの向こうにいーっぱいいるから」

晴「え?」

番組P「いや、これヘンな言い方だったね。ゴメンゴメン。君達みたいなちっちゃい子がガンバってるとね、オジサンみたいな年の人はもうルイセンにぐーっとくるんだよ」

志狼「泣くようになるんすか?」

番組P「そうそう……優勝決定戦ってことでね。コッチもチカラいれるからね。司会者もアイドルにしようと思ってるし」

モバP「あ、あの件本当に良いんですか!?」

番組P「テストしましょう。――『紅茶のことを英語で何というか?』」

エムP「え?」

番組P「どう、わかるかな?」

志狼「紅茶? えっと紅だから、そんなのレッドテ」


ありす・桃華・晴・直央・かのん「ブラックティー」


志狼「えっ」

番組P「そう、正解! 流石やるね。期待できそうだ……司会の件、頼みましょう」

エムP「あ、ありがとうございます!」

モバP「年末特番の司会の仕事……やったぞ」


桃華「私たちは試されたようですわね。ですが簡単でしたわ!」

かのん「ヨーロッパじゃあ、ふつうにティーって言っても紅茶のコトになるんだよね~」

志狼「晴……ジュギョウで習ったっけ? 紅茶のことブラックティーだって」

晴「あー、オーストラリアいったときの飛行機で知って、覚えてた」

ありす「あなただけ、不合格のようですね」

志狼「ぐっ……! うっせー! オレはいずれビッグになって世界に」

ありす「こんなカンタンな英語の問題を間違えておいて世界に行けるんですか……?」

志狼「たまたま知らなかっただけだっての! ありすお前こそあんな苺パスタ世界じゃツウヨウしねーぞ!」

ありす「な……っ! 今苺パスタが何の関係があるというんですか! というか、あの味はむしろグローバル志向なんですよ! 世界のアイドルである私が言うから間違いありません!」


番組P「んー、仲ワルいのかな? まずいなー、収録中ギスられると」

モバP「いえ! そんなことは、ゼンゼン!」

エムP「ケンカするほど仲がいいんです!」


桃華「志狼さん…………あなたも男性なら、自分の弱さを認める強さを持っていた方がよろしくてよ?」

志狼「む!」

ありす「やはり、警戒するまでもないかもしれませんね。おそらくあちらは志狼くんを体力担当にして解答に参加させない作戦でくるでしょう」

志狼「な、なん、だと……!!」

直央「し、しろうくん、落ち着いて」

志狼「オマエこそ、体力ないくせに……!」

ありす「負け惜しみにしか聞こえませんよ」

志狼「――いいぜ、わかった。ミカエしてやる!」

晴「お、志狼、どうした?」

志狼「オレだって、オマエらのレベルぐらいすぐに追いつける。このしろー様をナめんなよ!!」

桃華「あら……決意に燃える瞳、ですわね」

ありす「追いつくって、本番まで時間がありませんよ? 教養や知識というのはいきなり身につくものではないんです」

志狼「オレは天才だから、そんな常識はツーヨーしねえの!!」

かのん「れんくんみたいなこと言ってる~」

ありす「……『音声や動画などのマルチメディアデータを、受信しながら同時に再生を行う技術のことをなんといいますか?』」

志狼「え? 問題かよ。……えっーと…………なんか聞いたことあるぜ……すと、すとりーきんぐ!」

モバP「それはハダカで走る行為のことだぞ」

ありす「正解はストリーミングです。……すでに持っている知識もあやふやなようですね」

志狼「く、くそー!!」


志狼「いいぜ、せいぜい今のうちに笑ってろ! 事務所のオトナの手を借りてでもゼッタイ強くなってやるからな!」

かのん「しろうくんが燃えてる~!」

直央「うん、がんばってね……!」

志狼「お前らもだよ! とくになお! これから猛ベンキョーだかんなっ!!!」

直央「え、ええっ!?」



晴「なんか火をつけちまったんじゃねーの?」

桃華「ありすさんたら……殿方を成長させる術を心得ておりますのね?」

ありす「ち、違いますよ! 別に志狼くんを成長させたかったわけじゃありません! 無謀なことをいいだすから――」

桃華「男子三日会わざれば、という言葉もあります。志狼さん化けるかもしれませんわよ?」

ありす「……逆に意地だけでどこまで成長できるか興味がありますよ」

晴「でも、オトナの手を借りてでもってのが気になんなー。マジでレベルアップしてくるぞアイツら」

桃華「わたくしたちも事務所のみなさまにさらなる協力を申し出ましょう。事務所の威信を掛けて負けるわけにはまいりませんもの!」

ありす「そうですね、向こうのオトナ達がどんなにスゴくても……こっちのオトナ達の方がきっと頼りになります」



エムP「では! よろしくお願いします!」

番組P「せいぜい頑張って数字取ってくださいね」

モバP「え?」

番組P「いや冗談ですよ。決勝戦大いに盛り上げてください。楽しみにしています! そうだ進行についてはこちらの指示に従っていただきたいんですが――」




桃華「礼などいりませんわ。さて、ありすさん研究は十分はできたかしら?」

ありす「単純なクイズは岡村直央くんが要ですね。ですが彼はプレッシャーに少し弱いみたいなのでつけいる隙は十分あります。姫野かのんくんは意外な知識を持っていますから伏兵として警戒すべきですね」

桃華「なるほど。ふふ……やはりいっしょに見て良かったですわ。わたくしと同じ考えです。……ちなみに志狼さんについてはどう思われます?」

ありす「…………」


ありす「穴ですね。体力はありますが、それだけです。知識・教養面は全然ダメです」


桃華「そうですか……ですが、一応気をつけておくことといたしましょう。勝つために! ――さて、では勉強を始めるといたしましょうか?」

晴「うぇっ~! やっぱりベンキョーするのかよ」

梨沙「きゃはは、晴もチームの一員なんだからガンバんなさいよ~。負けたらショウチしないんだからっ♪」

みりあ「応援してるよ~!」

千枝「小学生部門のチャンピオン決定戦は年末の特番になるんでしょ? すごいよね」

ありす「ええ。クイズ『アイドル・デスマッチ』の今年最後の王者……その名誉、勝ちとってみせます」

間違えた。>>3>>4の間に↑の>>14を入れてください


現時点でどれだけアイドル出るか自分ですらわからないんで、もし名前と顔が一致しない時があったら

こことか
http://wikiwiki.jp/sidem/?%B0%EC%CD%F7#kdd5f4b3

ここを参考に
http://nicoten.web.fc2.com/mobamas/c_index.html  




315プロ


志狼「――頼むっ!! なんとしてもあいつらに勝ちてーんだ!!」

信玄「そうか……熱意は伝わったぞ」

輝「言っとくけどかなりムチャするぞ」

志狼「カクゴの上だ!! シホーシケンとかいうムズいテスト、クリアしたんだろ! 鍛えてくれ!!」

輝「……よし!! 任せとけ!! 俺に任せればどんな問題もモーマンタイだ!」

信玄「精神と肉体の限界に挑むことになるが、いいな?」

志狼「おう!!」

信玄「よし……じゃあ、親御さんに外泊許可を取ってくるんだ。虎牙道にも声を掛けておくから」




翼「なんの話でしょう」

龍「なんでも秘密特訓するとか。事務所背負ってたたかうワケだから気合い入ってるんでしょーね」

英雄「しっかし、特訓って……あっちのインテリ組の勉強に参加した方がよっぽど効果ありそうだけどな」



道夫「うむ。地理と文化・スポーツ部門の知識はだいぶ付いてきたようだね。しかしまだ世界史関係が弱いな。今日は重点的にそこを詰めようか」

桜庭薫「ベタ問の見極めが甘いな。早押しとはいえ焦るな。むしろ君は誤答しない方に慎重さを傾けたまえ。3セット追加するとしよう」

玄武「また、問題集を作ってきたぜ。メインは苦手潰しだ。刻苦勉励――気張れよ」

次郎「うひゃータイヘンだねぇ。化学式の暗記グッズ、使うヒマある? でもゼヒ使って覚えてね。化学式は覚えたらそれで正解できるから」

直央「は……ぃ……」ブスブス…


龍「スパルタだぁ……」

翼「どんな難関中学にも合格できるぐらいに鍛えるっていってましたよ」

英雄「全員あっちで鍛えないのはなんでだ?」

信玄「インテリにはインテリの、フィジカルにはフィジカルのやり方があるということさ」

龍「いや、誠司さんは属性メンタルでしょ」

信玄「自分の力を必要としてくれたんでな。協力することにした」



幸広「そうそう、メキシコにはケソ・オアハケーニョっていうチーズがあって、これはさけるチーズの原型なんだ」

かのん「へぇ~」

卯月「ミルフィーユでカスタードと苺をいっしょに挟んだのをね、ナポレオンっていうんだよ。買ってきたから食べてみる?」

かのん「やったっ! いただきま~すっ!」

類「Oh! なんともsharpen one's appetite! 俺も食べていいかなっ!?」


龍「メンタル組は雑学教えてるみたいですね」

英雄「まぁ、信玄はああいう風に雑学を教えるよりはフィジカルの方に混ざった方が自然か」



エムP「さて……派手なアイドルを選ぶとしたら……High×Jokerちょっと来てくれる?」

隼人「ん? なにプロデューサー?」

四季「なんか仕事っすか!?」


――

――――


晴「うぁ~~~、もうムリ! ギブアップ!!」

桃華「晴さん、いけませんわ。今この時ももふもふえんは猛特訓してるはずですの。音をあげないで……」

あい「うん、着実に知識はついていっている。ここで記憶を定着させるといい」

晴「あー……サッカーしてぇー!! ボール蹴りてぇー!! ってかオレ、体力班じゃん? むしろカラダ動かした方がいいってゼッタイ!!」

真奈美「わかっている。サッカーは後で付き合おう。しかし、まだ今日の範囲は終わっていない。ここで踏みとどまりたまえ。紙一重の勝負になった時、決め手になるのは実にカッコいいぞ」

桃華「そうですわ。晴さんが一番のびしろがあるのですから」

晴「ちぇ……、わかったよ。サッカーゼッタイやってくれよな……。うぅ~。そういえば、ありすはなにしてんだ?」

真奈美「ああ、マキノ、晶葉、泉とともに実践形式でクイズを解き続けている。目を見張る集中力だよ。レナに勝負勘を研ぎ方なんてものを聞いていたようだし……優勝しようと揺るがぬ決意をしているようだな」

文香「私も……たくさん文学作品についての質問を受けました…………とても勉強熱心でした……」

晴「ふぅ~ん、そんなに力入れてるってことは、ありすのヤツ……もしかして志狼を気にしてんのかな?」

桃華「ともあれ、お勉強を続けましょう。わたくしたちはチームですのよ? いっしょにチャンピオンになれる様がんばりましょう!」

晴「ああ、また暗記やるよ……」

楓「そう。暗記をあんきらめちゃダメ……ふふっ」






クイズロボ『キリマンジャロは「白い山」を表す。ではその山』

ありす「――はいっ!」ピンポーンッ!!

レナ「そう、そこよ! 良い見極め!」

マキノ「でも……正解しなくては逸った蛮勇……」

ありす「――キリマンジャロは「白い山」を表す。ではその山を表す部分はどこか? 答えは『キリマ』です」

クイズロボ「正解正解!」


ありす「ふぅ……ふぅ……次!」

晶葉「よし、次だロボ!」

クイズロボ『日本道路公団が定義する渋滞は、並列が』

ありす「はいっ! 並列が1km以上の時です!!」ピンポーンピンポーン!

泉「……どんどん鋭くなっているわ」

ありす(チャンピオンになるのは、私たちです……負けません!)

レナ「しかし、ポーカーフェイスが崩れているわ。頭を使いすぎね。知恵熱が出ない内に休憩しましょうか」

ありす「い、いえまだ……っ」

楓「頭があったまってる……ふふっ」

晶葉「私が言うのもなんだが、詰め込み過ぎだ。少し休んだ方がいい。」

ありす「……わかりました。では5分だけ」

楓「クールダウンの時間は来ーるものよ……ふふっ」

レナ「あの、楓さん。和ませてくれようとしているんだろうけど、大丈夫だから……忘年会のプランでも練っていてくれるかしら?」

楓「あら。私が決めていいんですか……? では……お酒がおいしくて……掘りごたつで、テレビも見れるあのお店に……♪」



ありす(……私、レベルアップしてます。それがわかります)

ありす(協力してくれてるみなさんのためにも……がんばらなくちゃ)

中断します。年が明ける前に終わらせたいな


――……

――――…………


当日・TV局


エムP「……遅い」

かのん「いよいよホンバンなのに……しろうくん、どうしたんだろ~」

直央「あの、信玄さん達から連絡あったんですよね」

エムP「うん。事務所に寄らず直接ここまで志狼くんを送るってね。生放送だから色々指示があるのに。どんな特訓をしてるのか……」



モバP「あ、315プロのみなさん今日はよろしくお願いします!」

桃華「ごきげんよう。今日は正々堂々と白黒つけましょう!」

エムP「あ、どうも!」

かのん「今日はよろしくおねがいしまーす!」

晴「全力で来いよ、かのん! 直央! ……って志狼のヤツはどこだ?」

直央「そ、それがまだ来てないんです……」

ありす「なにをやってるんですか、あの男子は……巌流島作戦ですか?」

晴「マサカ、クイズの特訓がイヤになって逃げたんじゃねーだろーな。オレは耐えたってのに」

かのん「しろうくんは苦手なコトから逃げたりしないよ~。前の映画の時だってナイフをじょーずに投げられるまでずっとレンシューしてたもん!」

晴「そっか。まぁ、オレも本気で逃げたなんて思ってねーよ。ありすを見返すっていってたしな」

かのん「うん! きっと志狼くん、ありすちゃんのためにガンバってるって思う!」

ありす「わ、私のためって……っ! なんですか、それは」

桃華「ライバル、とみなされてるようですわね」

ありす「……確かに、前に私に勝ちたかったらもっとレベルアップすることですとは言いましたが……この短期間でどこまでできるというんですか」

晴「まーオレ、この短い間でかなりクイズに強くなったとは思うぞ。ずっと勉強と実戦の繰り返しだったからな。直央、オマエはどんな特訓したんだ?」

直央「ボクは、事務所の人たちとスケジュールを組んで、教えてもらいながらずっと勉強してた……」

桃華「なるほど。315プロダクション様の知性をすべて注ぎこまれたワケですわね……相手にとって不足はありませんわ!」



――「おい」


かのん「あ、この声しろうくん! ついたんだ~」クルッ

ありす「……!?」


志狼「よう…………またせたな」


エムP「し、志狼くんっ!?」

ありす「なんですか、その格好は!? タンクトップと短パンだけで……しかもところどころ破れていますし! それに泥だらけで……!」

かのん「わっ、すりキズもいっぱい! だいじょうぶ!?」

直央「こんなボロボロになって……! なにがあったの!?」


輝「山籠りしてたんだよ……」

信玄「過酷な自然の中、志狼は見事生き抜いた……もはや以前の志狼じゃあないぞ」


晴「うわっ!? アンタらもボロボロだな!?」

ありす「や、山籠りって……」


志狼「修行はカンペキだぜ……安心しろ、なお、かのん」

直央「う、うん……でもとりあえず、シャワーと着替えが必要なんじゃないかな」

エムP「生放送なんで格好、整えよう?」

志狼「おう……その前になんか食わせてくれね? キノコとレーションぐらいしか食ってねーんだ」


ありす「どんな特訓だったんですか」

桃華「一人だけ努力の方向が違いますわ……」

晴「でもやるな……! 志狼、なんかハランを起こしてきそうじゃねえか」


モバP「あ、準備ができたら段取りの確認に来てくださいね」


信玄「がんばるんだぞ! テレビで見てるからな!」

かのん「うんっ! がんばるよ~!」

輝「さぁ~て、俺らも次の戦場に向かうか」

直央「え?」

輝「あー、忘年会だ、忘年会!」

信玄「英雄からメールが……どうやら、良い店がとれたみたいだな」

輝「ファミレスじゃないだろーな?」

信玄「いや、酒がうまいし、掘りごたつで居心地がいい店らしい」

輝「テレビはあんのかな?」

信玄「あるそうだ。しっかりと見届けることができそうだな」


志狼「その酒、しょーりのビシュってやつにしてやるよ! 見ててくれよー!」

ありす(そういえば……こっち事務所の忘年会も今日やるって言ってましたっけ)

――

――――


四季「うぉおおーっ!! ゴールデンタイム! しかも特番! しかも生中継!! こんなとこで司会ができるなんて思わなかったっす!! テンションバリ上がってくるーっ!!」

志希「にゃははーっ、いんてり~じぇんすな番組の司会になることでファンがどんな反応をみせるか要観察~? メガネわんこ君、触媒よろしくね~♪」

四季「MCは得意っすよ~!! でも、わんこっすか。オレはどっちかってっとネコっちの方がいーんすけど!」

志希「ぶーっ! ダメダメーっ! “しきにゃん”はあ・た・し! キミには“しきわん”というラベルをやろう!」

四季「ケッテイすか! それ! オーボーっす! ぶーぶーっ!!」

志希「にゃーにゃー聞こえにゃーい」

四季「ボイスのボリュームあげるっすよ!! 聞こえないフリやめるっすー!!」


伊勢谷四季
http://i.imgur.com/leyc2eF.jpg

一ノ瀬志希
http://i.imgur.com/voTptcC.jpg



ありす「特番では司会が代わるって聞いてはいましたが……あのお二人ですか?」

モバP「ああ……バランスを取るために、こっちと315プロから一人ずつだ」

志狼「なんでしきなんだよ?」

エムP「ほら、クイズ番組って絵的に映えないところあるでしょ? それをカバーするためににぎやかな人を抜擢した」

モバP「アイドル同士のクイズバトルだから、華やかな方がいいと番組プロデューサーさんが言ってくれてな」

桃華「テレビ的にはいいかもしれませんが……大丈夫ですの?」

エムP「伊勢谷くんはしゃべりができるし、一ノ瀬さんはああ見えてすごい賢い人だからソツなくこなしてくれるはず……おそらくは」


四季「おっ、チビちゃん達来たっすねーっ!」

志希「くんかくんか……うぅ~ん! 体内に老廃物がちっともない、プラス、アポクリン腺が未熟なこのトシゴロ特有のイイ匂い~っ♪ もっとかいでいーい?」ガシッ

かのん「わ、つかまっちゃった~っ」

志希「ほっぺたもプニプニ~♪」

かのん「ぴゃっ! くすぐったいよぉ~!」

モバP「コラ志希、かのんくんを解放してやれ」

四季「じゃあ、段取りの確認オーケー? ちょっとこの台本読んでくれっす! 指示されてるんで」

志狼「あん? 台本? なんでそんなの要るんだよ。ただクイズで勝負するだけだろ?」

直央「このアイドル・デスマッチは、アイドルを出演者にしてるから、いろいろ演出するんだって……」

志狼「いらねーよ、そんなん」

ありす「子どもですね。お互いのイメージを守らなければなりませんから、こういうのも必要になるんですよ。台本貸してください。読みます」


四季「子ども同士のホホエマシサってのがほしいらしいっすよ」

ありす「ふぅん、そうなんですか。どれどれ」パラッ

――――――――――――――――――――――――――
【台本】


司会『今回、なんと“橘”が二人いるんですねー!』

司会『橘志狼くんと、橘ありすちゃん! 二人の橘がここで戦い合うワケですねー』


橘志狼『はいそうです! 負けないよ橘さん!』

橘ありす『ふふふ、こっちこそ負けませんよ橘くん!』


司会『君達橘って呼び合ってるの!? どっちがどっちかわからないよ!』

(一同笑い)


司会『もしかして君達、姉弟?』

橘志狼『いやいやいやいや』

橘ありす『姉弟じゃありませーん!』

司会『じゃ、夫婦?』

橘ありす『どうしてそうなるの!』

(一同笑い)


司会『ごめんごめん。でも、同じ名字だから意識しちゃうでしょ。ジッサイどう? お互いを結婚相手として見たら』

橘ありす『え、えー! えーっと……志狼くんは素敵なパパになると思います』

司会『おおー! 高評価! 志狼くんはどう?』

橘志狼(恥ずかしげに俯いて)『ありすさんは……すごく…………可愛い人だと思う』

司会『うわー! いいじゃんいいじゃん! 結婚しちゃいなよ、もう! 応援するよ!』

橘志狼『ええ! どうしよありすちゃん……する?』

橘ありす『あ、後でじっくり話し合お? クイズ終わった後に』

(一同歓声)

司会『おおー、それじゃクイズさっさと終わらせよ! それで人生という難問に取り組も!』

(一同笑い)

――――――――――――――――――――――――――


ありす「」


桃華「な、なんとまぁ」

ありす「こ、コレをやれというんですか……!!」

志狼「おい、なんだこれ」

モバP「……」

エムP「……」

志狼「目を逸らしてんじゃねー!!」

ありす「異議ありですよ! この台本!!」

モバP「大丈夫だ……子ども同士の微笑ましい掛け合いだ。誰も本気で結婚するとか思わないさ。だからオーケーしたんだ」

志狼「そう言うモンダイじゃねーっての!!」

エムP「世界一ビッグなスターになるためにはこういうのも乗り越えないといけないよ」

志狼「ぐぬぬ……!」

晴「この番組うまくいく気がしねぇ」




宴会場


ガヤガヤ  ワイワイ 


「「「カンパーイっ!!!」」」



礼子「ほらほら、先生。もっとグイッといきなさいな」

道夫「ありがとう……だが、酌は結構だ。ペース配分はすでに決めてある」

英雄「未成年はアルコールだめだからなーっ!」

早苗「ほらほら、握野くんカタいコトばっか言ってないで飲みなさいよ~無礼講無礼講っ♪!」

英雄「げっ……! もう二本も開けてんですか!」

翼「ポテトチーズ餅とだしまきとてんぷら盛り合わせと水菜のサラダお願いしまーす!! あれ、輝さん、飲まないんですか?」

輝「オレ気付いたんだけど、あんま酒強くねーんだよ。飲みたくなったら飲むわ。それまではいいや。店員さーんっ、サイダーをくださいだー! なんてな!」

楓「っ!?」

志乃「楓ちゃん、ダジャレに反応しないの~。はい、次郎さん、ここのワインおいしいんですよ。一杯召し上がってくださいな」

次郎「あー、うん、どうもね。おじさんキレイな人にお酌してもらえるのは嬉しいんだけど、そこまで飲めないんでお気遣いなくね」

美優「そうです……まだ始まったばかりなのですから、少しみなさんペースを押さえた方が」

龍「あれーっ? 俺の分のビールがいつのまにか無いーっ!? だ、誰か飲みましたか!?」


桜庭薫「なんだ、コレは……なぜいっしょに飲んでいる」

あい「主に忘年会開始前から聞し召してた方々の功績だろうね……声を掛けて巻き込んで……」



玄武「まぁ、目当ての番組が同じみてぇだし、いいんじゃねえか。……17歳の若造の身空にはちょっち酒のにおいがキツい場だがよ」

菜々「ですよねー、未成年だからちょっと落ち着きませんよねー! こっちでジュース飲んでましょうかー?」

レナ「番組、もうすぐ始まるでしょ。みんな見る前に潰れちゃダメよー」

文香「特訓の成果……実を結ぶといいですね……」


隼人「シキのやつ、司会大丈夫かな」

春名「まー、練習してたしできるだろ」

朱雀「おっ! 始まるみてーだぜ!」




――『クイズ・アイドルデスマッチ!! チャンピオン決定戦開幕――っ!!』



スタジオ


直央(いよいよ、始まった……うぅ、緊張してるけど……まず心配なのは志狼くんとありすさんだよね……)


四季「――今回、なんと“橘”が二人いるんすねーっ! ちょーグウゼン!!」

志希「橘志狼くんと、橘ありすちゃんね~。二人の橘がここでシユーを決すー!」


志狼「そうだぜ。 負けないぜ……橘さん!」

ありす「ふふ、ふ……、こ、こっちこそ負けませんよ橘……くん!」


四季「え、二人橘って呼び合ってるんすかwwwwwwwwwそれじゃどっちがどっちかわからねーっすよwwwwwww」

志希「ウケるwwwwwwwww」

志狼「――ぐ」イラッ

ありす「――む」イラッ

直央(ひゃあああああ…………っ!!)


・・・


宴会場


真奈美「む……志狼とありす、私の記憶ではもっと飾り気なく付き合っていたような気がするが……橘にくん、さんづけ?」

輝「あー、もしかして番組側の指示か?」

桜庭薫「どうやらそのようだな。視聴者に受けやすく作っているのだろう」


早苗「えー、あのダブル橘はケンカしてるぐらいがちょーどいーのにー! つまんなーい」

英雄「志狼のヤツ、ボロださないか心配だな」

信玄「大丈夫だ……と思うぞ。山籠りで精神を鍛えたからな。少しは自制するはずだ」


・・・


志希「もしかしてキミ達、姉弟かにゃー?」

志狼「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。違うに決まってんだろ」

ありす(……いやが多すぎますよ!! ――くっ、感情を殺して抑えるんです! 世界のアイドルの私なら出来ますっ)


ありす「姉弟じゃありません……」


四季「じゃ、夫婦?」

ありす「どうしてそうなるんですか!! ちゃんと頭の中に脳詰まってますか!? 同じ名字というだけで夫婦という発想今日び小学生でもやりませんよ!!! 冗談じゃありません!」

桃華「ちょっと、ありすさん……!」


四季「ご、ごめんっす……。でも、同じ名字だから意識するっしょ? ジッサイどんなカンジっすか? お互いを結婚相手として見たら』

ありす(しまった……怒りが出てしまいました! 軌道修正しないと――)

ありす「し、志狼くんは素敵なパ」

志狼「ありすは口うるさくて、偉そうなヤツだと思いまーす」

ありす「っ!?」


直央「しろうくん……っ!?」


ありす「…………!!」

志希「あはっ、これはアドレナリン分泌中かな~?」


志狼「そんでー、クールぶってるけど、かなりガキっぽいしー! 運動できないくせにオレらが遊んでいる時に文句言ってくるしー心がせめーしー!」


ありす「……そこまでですよ!! 黙ってください!」

ありす「言わせておけば好き勝手なコトばかり……っ!! 子どもっぽいのはそっちです!! その心がせまい人にチケットを貰った人は誰ですか! この恩知らず!!」

桃華「ありすさん! 抑えてくださいまし!?」


志狼「今さらムシかえすなよー! いちいちそんなの覚えてるから心がせまいっていうんだよ!」

ありす「じゃあ、最近受けた恩を忘れる人は記憶力が足りない単細胞ですねっ!」


かのん「おちついてーふたりともっ」

四季「ありゃー、まぁ、こりゃあれっすね。ケンカするほど仲がイイってヤツ」


ありす「仲良くなんか――」

志狼「――ねぇよ!!!」


・・・


信玄「…………」

真奈美「……………」

あい「今始まってからどれくらいだい?」

桜庭薫「4分12秒。まぁ……もった方だな」

英雄「全国放送だぞ、この番組」

早苗「あはははははははっ!! そうそうこれよこれ~あの二人はこれが面白いのよ~!!」

ちょっと中断。
次からクイズ

周子さんと東雲さんのSSも私ですよー
ダブル橘の他に書いたのいくつか上げときますと

北斗「趣味はヴァイオリンとピアノかな☆」
櫻井桃華「あら、あなた忘れ物をしておりますわよ?」 都築圭「ごめん、静かにして」
塩見周子「誕生日に」東雲荘一郎「想を練る」

若里春名「うわあああっ、今日のロケ弁ステーキ入ってるぅぅっ!!」

芳乃「むー…そなたは天照様でしてー?」紗枝「うちですか?」
芳乃「おやーこれは封印しなければなりませんねー」こずえ「えぇ~」

愛「『秋月涼』対『水谷絵理』」

とか今年は書いてました
自分が読みたいのを書いてるんでニッチなものばかりかもしれませんが


真奈美「く、くくく……っ、いいじゃないか。この方が彼ららしい。それに、メインはあくまでクイズ対決だ。そこまで神経質になることもないさ」

翼「でも見ててはらはらしちゃいますよ」

マキノ「司会が収拾してくれるといいんだけど」


『――はいはいはいはい!!! 二人のカンケーってのよーくわかったっす!!』

『まぁ、それはそれとして、クイズ始めよっかー。キミ達のコトもっと観察したいけど』

『集中しろよ! チビちゃん達!!』


泉「ずいぶんゴーインにまとめてるわ」

隼人「いや、すんません……ウチのシキが」

晶葉「まぁ、こちらのシキも大概だから」

楓「司会を“しっかい”やってほしい……なんて」

輝「司会はあの二人“しかい”ないんだからな!」

桜庭薫「……誰かこの二人を隔離しておいてくれ」


・・・


四季「えー、ではまずはローテーション・スリー!」

志希「お互い一人ずつ三択問題を答えていってね~」


晴「おい、ありす。切り替えろよ」

ありす「わかってます……!」

直央「じゃ、じゃあボクからまず答えるから……」

かのん「ケンカしちゃだめだよっ」

志狼「くそーっ、ゼッタイ勝ってやる……!!」


志希「まずは男子チーム、メガネ君からだねー」

四季「――んじゃ、問題!! 『東大寺正倉院に収められている遺品はなんという天皇のもの? ――1、天武天皇。2、聖武天皇。3、天智天皇』」

直央「えっと……2番、聖武天皇です!」ピンポーン!!

かのん「やった~! せいか~い!」


・・・

隼人「おー、正解だ。やるなー」

玄武「教科書にのるようなモンならものともしねぇハズさ。俺達が鍛えたからな」

あい「やるな、だが女子の方もナめてもらっては困るよ?」

・・・


志希「んじゃー次は女子チームのありすちゃんねー。ぶちかませー♪」

四季「『電流×電気抵抗は電圧を求める式。では0.24×電流×電圧×時間で求められるものは? ――1.電気容量。2、発電量。3、発熱量』」

ありす「カンタンです。3番、発熱量」ピンポーン!!


・・・


道夫「中々だな。彼女は」

志乃「うふふふっ、あの子たちとってもすごいんですよ……?、ずっと特訓してきましたから」

春名「……やべぇ、今オレわかんなかった」

旬「春名さん……」



――『次のうち、英語の表現で「互角である」という意味に使われるのはどれ? ――1、neck and neck。2、hand and hand。3、navel and navel』

――『1ばん~♪ neck and neck!』ピンポーン!!

――『季節を表すフランス語の単語で春のことを表すのは? ――1、hiver。2、printemps。3、automne』

――『2番。プランタン、ですわっ!』ピンポーン!!


類「Nice!! いいカンジだよ! かのんボーイ!」

千夏「hiverは夏。automneは秋。桃華ちゃん、さすがね」


美優「先生たちに教えられただけの事はありますね! みんなすごい」

早苗「ケッコウむっずかしいわね~。あの子たちほんとにやるわ」

信玄「次は、志狼か」

桜庭薫「ちゃんと鍛えたのだろうな? 天道」

輝「ああ、バッチリだ」


・・・


直央「しろうくん! がんばって!」

志狼「おう!」

ありす(さて……お手並み拝見です)

……

番組P「数字はいいな……ネットでのつぶやきの推移はどうだ?」

スタッフ「そっちも伸びてます! さっきのケンカひとまずはいい方に作用したようです」

番組P「そうか……。あの櫻井桃華というアイドル、やはり櫻井財閥の娘か?」

スタッフ「そのようです」

番組P「ふ、そうか」


……


四季「いい勝負っすね~!! テンションあがってくるー!!」

志希「次いってみよ~っ♪」

四季「おっけ! じゃあ次の問題! 『アイド……』」


志狼「はいっ!! わかった!!」ポーン!!


桃華「えっ」

直央「これは早押しじゃないよっ!?」

ありす「なんのマネですか……」

四季「おーっ!! このジョータイで答えられんの!? まだ選択肢だしてねーっすけど!」

志狼「ああ、もう分かったぜー!」



・・・


マキノ「問題の形式を無視……!?」

礼子「若いって向こう見ずで素敵ねぇ」

桜庭薫「フィジカル……恥をかかせるな」

輝「い、いや待てよ! 正解するかもしれねーだろ!?」


志狼「このアイドル・デスマッチ、『アイド』から始まる問題は今までアイドルにかんけーしてるやつしかでたことねぇ」

志狼「そんで年末番組だってことを考えると、この一年を振り返る問題のはずだ」

晴「意外とまともに考えてんのな」

志希「ふっふー、ユイツムニなるその答え、傾向カンサツだけで導きだせるとゆーのかなー♪」


志狼「問題は『アイドル事務所の中で一番納税額が多かったところはどこ』、だ!」


四季「ナマナマしくね!?」

ありす「そんな問題、出るわけないでしょう!」

志狼「そんでー答えは荒稼ぎしてる」


四季「ストーップ!! ストーップっす!!」

志希「キミ、ふせいか~い!!」


志狼「なんだよっ!! 答えさせろよ!!」

直央(……プロデューサーさんがすごい勢いで手でバッテンつくってる)


四季「いや、問題ジタイあってねーっすから」

志希「『アイドカの法則という、消費者が消費行動を行うまでの心理的な過程を表した消費者行動分析モデルの中で、『注目』から『購買活動』の間に入っていないプロセスはどれ』って問題で、選択肢は1、興味 2、確信。3、使命感 って問題だったんだ~」

志狼「えーっ!!」

ありす「推測外してますね」

四季「ってコトで男子チーム不正解で獲得ポイント0点ーっ!! オイオイ、頼むぜ~?」


あい「くくっ、残念だったね」

桜庭薫「形式を無視して、敵を増やしかけて、挙句の果てに推測を外して不正解か……」

輝「まぁ、こんなこともあらぁな!!」

旬「もう、なにやってるんだよ……!」

美優「て、テレビ的にはおもしろくて、いいんじゃないかしら」

玄武「…………」

朱雀「オウ、どうした玄武?」

玄武「さっきのさらっと流された問題、今までのよりさらに難しくねぇか……?」

マキノ「アイドカの法則はマーケティング用語……小学生にはなじみが無い。答えることは困難だったでしょう」

隼人「オレも問題聞いてもわかんなかったな」

玄武「答えは3番。Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Conviction(確信)、Action(購買行動)。それの頭文字を取ってAIDCAってなるんだ。使命感はねぇ」

早苗「うわ、君不良っぽいナリだけど知識あんのねー? お姉さんビックリよ」

春名「こんなのカンで答えるしかないんじゃねーの?」

玄武「まあ、3択だった分だけ可能性はあったがよ……」



――『サッカーブラジル代表のユニフォームの色は? 1、カナリア色。2、赤色と黒色。3、青色』

――『1番、カナリア色』ピンポーン!!


真奈美「おお、晴が正解したか。これで1ポイント差をつけたな」

道夫(……難度にバラつきがある?)

中断。
予想外に書くのに時間かかってる


・・・


四季「ローテーション・スリー終了~!! いまのとこ女の子チームが優勢っすねー!! ちなみにオレ問題出してるケド、ゼンゼン答えわかってないっす~!」

志希「このまま優勝できそうかにゃ~?」

桃華「そうですわね。今日のために事務所のお姉さま方にたくさん協力していただきましたので……必ず優勝してみせますわ!」

四季「おおっ、バリ気合い入ってるっすね~! 野郎ども! そっちはどうだ!?」

直央「え? あの、……勉強の成果を出せればと思います」

四季「控えめっすね~、こう言う時はもっとカマした方がいいんすよ」

志狼「そうだぞ、なお! ここは優勝以外ありえないって言っとくんだ!」

ありす「あなた……どうしてそこまで自信満々なんですか。正解していないのに」

志狼「オレらの中で一番オレが勝利への意志ってのを持ってるからだよ!!」

ありす「うらやましい性格をしてますね」

志狼「んだよ! その目は! オレは口だけじゃねーぞ!」


四季「んじゃ、ノってきたのところで、次いきますか!!」

志希「じゃ、ウンメイのコーナールーレットかもーんっ!!」


晴「ルーレット?」

志希「ホンジツはチャンピオン決定戦~な・の・で♪」

四季「よりパワーアップしたクイズをルーレットで決めてチャレンジしてもらうっす~!」

志希「にゃーはっは! フツーにやったらアタシも飽きて失踪しちゃうトコだけど、今回このランダム要素で集中力持続できるのだ~♪」

桃華「志希さん……アナタの都合ではないのですよね?」

志希「ちがうちがうっ。このチャンピオン決定戦の仕様だってー♪ んじゃ、負けてる男子チームから、ホイールオブフォーチュン、やっちゃって~!」

・・・


レナ「あら、ルーレット? ふふっ、望む未来を引き寄せられるかしら」

龍「頼むー! 得意なの来てくれー……あ、俺が祈ったらダメですね。きっと願い外れるから……」

英雄「龍……そんな悲しいこと言うなよ」

礼子「ほら、もっと飲みなさい。そして悪いことは忘れなさい」




――『おおっ!? ルーレットで選ばれたのは【リミットダッシュ】!!』



あい「これは……一人がランニングマシンで走っている間に、他の二人が解答するというあれだね」

道夫「よくあるランニングマシンを使ったクイズの派生だな」

春名「これなら志狼もカツヤクできるな」



・・・



志狼「よっしゃー!! コレ得意だぜ! 前これで優勝したし!」

ありす(アナタはただ走るだけですからね……)

四季「ちょっち待つっす! 今回はチャンピオン決定戦! このリミットダッシュはパワーアップしてるっす!!」

志希「今回はチーム全員で走って、みんなで答えるんだって~! 解答権を持っているのは走ってる人だけだからヨロシク!!」

直央「えっ」


かのん「かのんとなおくんも走るの?」

直央「ど、どうしよう……!?」

志狼「だいじょーぶだって! 速攻で解けば問題ねぇ!!」


――

――――


志希「準備カンリョウ? じゃっ、ダッシュ、スタート! 走れ走れ~! 10時間のランニングレッスンだ~♪」


かのん「そんなに走れないよ~!」ダダダダダッ!!

志狼「はやく問題言え!!」ダダダダダッ!!

直央「うわ、わわ! こんなに速いんだ……!」ダダダダダッ!!


四季「がんばるっす!! んじゃ、問題! えっと……『科学の法則に名前を残しているドイツ人を4つ答えよ』」

志狼「んだそれっ!?」


桃華(難しい。選択肢もなく口述でこれですの?)

ありす(科学に登場する法則名。それに関する周辺の知識を知らないと答えられない問題ですか)

晴(一つ当てるだけでもケッコウ難しいぞ。でもこのクイズはすべての答えきらないとポイントにならねーし……)



直央「バルクハウゼン!」ピンポーン!!


桃華「答えた……っ!?」



・・・


道夫「大丈夫だ……解ける」


晶葉「バルクハウゼン効果のハインリッヒ・バルクハウゼンか。11歳で知っているとは中々やるじゃないか」

あい「キミだって14歳だろう……」


・・・



直央「は……っ、は……っ! えっと……シュタルク!」ピンポーン!!

かのん「えーっとケプラーの法則の人! ケプラーさんっ!」ピンポーン!!

直央「それと……オーム!!」ピンポーン!!


四季「ブラボー!! 正解っすー!!」

桃華「やりますわね! あの方たち!」



・・・


真奈美「クリアしたか。あの直央という少年は優秀だな」

桜庭薫「あの程度なら解答できる。僕達が鍛えたのだから当然だ」


真奈美「ふ……だが、こちらも易々と敗れはしない。あの娘たちもまた私たちが手塩にかけて教えてきたのだからな」

楓「真奈美さん、お母さんですねぇ~」

真奈美「な、なに!? 初めて言われたぞそんなこと」

楓「マザーぷり、もっとまざまざと見せつけてください~マザーだけに~」

真奈美「……礼子さんすまないが、この25歳児をひきとってくれ」

礼子「いいわよ。この娘、年末が近づいてお酒を飲む機会が多くなるにつれて、自由人サイドがおっきくなるのよね」


楓「あ、輝さん、決着まだつけてませんよね。私達もどっちが世界王者か決めておきませんか?」

輝「あ、決着って、なんの勝負のことだ?」

桜庭薫(ダジャレだろ)

真奈美(ダジャレだろ)


道夫「……」

志乃「あら、先生。なにをそんな仏頂面で考えておられますの?」

道夫「この番組の問題の傾向を観察しているんだ。少しひっかかるのでね」



・・・



四季「さて、では次の問題いくっすよ!!」



直央「え、つ、続けてやるんですか、コレ!?」

かのん「あれ~? いままでは一回こたえたら、相手チームさんが答える番になってたよね~?」

四季「今日はチャンピオン決定戦でレベルアップして2回連続でやるモードになってるんす!! でもコレ、ポイント稼ぐチャンスっすから! キツイかと思うけど……がんばるっす」

志希「そんじゃ、ダッシュ開始~♪」


…ダダダダダダッ!!


直央「わ……! まだ息整えてないのに……!!」


晴「カコクになってんなー! がんばれよ」

ありす「問題は……?」


四季(……!! なんすか、この問題。ムズすぎねえっすか?)

四季「問題! 『十九世紀のロシアの作家ドストエフスキーの作品に登場するてんかん持ちの人物を、登場した作品名と合わせて4人答えよ』!!」


桃華「え」

晴「ど……」

ありす「ドストエフスキー!?」



・・・


道夫「……バカな。解答者は小学生だぞ。あまりに難度が高すぎる」

美優「作品名も合わせてって……チャンピオン決定戦にしてもこれは……」

スタッフ「これ難しすぎるのでは……?」

番組P「これでいいんだ。さっきの問題で脱落してくれればこんな問題を出さずに済んだんだがな。正解してしまったからには手心を加えずにいく」

スタッフ(スポンサーの櫻井財閥の企業に対してのゴマすりのためですか……)


・・・


隼人「ドストエフスキーって……わかんないぞこんなの」

礼子「ロシア……アーニャちゃんだったらわかったのかしら。これ解ける人、いる?」

桜庭薫「ドストエフスキーは非常に珍しい側頭葉てんかんを患っていた。その体験から自身の作品にてんかん持ちを登場させたと聞いたことがあるが……」

文香「確か……『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフがそうでした……」

早苗「おお! さっすが文香ちゃん! 答えられるのね!」

文香「いえ……すぐに思い出せるのはそれだけで、後は……えっと『悪霊』の…………」

玄武「キリーロフ、だ。文香さん」

文香「そ、そうです」

朱雀「お! 玄武! 知ってんのかよ!」

玄武「これでも本は色々読むんでな」

旬「……やりますね。でも、彼らは答えられるでしょうか」


――『誰も答えないまま20秒経過ー!! スピードはどんどんアップしてくー! がんばるっすー!!』


英雄「がんばれ……!!」


・・・


志希「ありゃりゃ、こりゃ答えるのムリっぽい~?」


直央(えっと……! えっとえっと……!! どこかで聞いたことある! お母さんが働いてる病院に行った時だ。お医者さんが雑談してて、それで……)ダダダダダッ!!

直央「は……っ! は……っ!」

直央(早く思い出さなくちゃ……!!! 勉強中に読んだ本でも)


かのん「……だいじょーぶだよ! おちついて!! なおくんゼッタイ思い出せるよ!! はぁはぁ……!!」ダダダダダッ!

直央(あ、かのんくんも走るの辛いのに……僕をはげますためにずっと走ってくれてる……!!)


直央「か、『カラマーゾフの兄弟』のスメルジャコフ!!」ピンポーン!!


桃華「答えましたわ!」


かのん「や、やったねなおくん、かのん……しんじて……たよ……」ダダダダ――

直央「え?」

かのん「……わぁー!!」ボスン!


・・・

類「あっ、かのんくんが後ろのクッションにDiveしちゃったよ!」

真奈美「ああ……っかのんくん……! 励ますために走り続けて……よくがんばったぞ、流石だ!」


直央「うぅっ……ボクも、もう……」ダダダダ――――


ありす(ここまでのようですね。意地は見ました。あなたたちを認めますよ)



志狼「『悪霊』のキリーロフ」ピンポーン!!


ありす「えっ」

晴「志狼が答えた!?」


志狼「『虐げられし人々』のネリー」ピンポーン!!

直央(し、しろうくん……?)


志狼「そんでもって、『白痴』のムイシュキン公爵だ」ピンポーン!!



四季「お……おおおおおっ!! クリアー!! すっげー!!!」

志希「意外~! こーゆーサプライズ、あたし大好き!」


ありす「まさか……本当ですか」


志狼「なお、大丈夫か。落ち着いて息を整えとけ。かのんもがんばったな」

直央「す、すごいよ! しろうくんも勉強したんだね!」

かのん「しろうく~ん!」ダキッ

志狼「へへっ、オレらはサイキョーのアイドルだろ。こんなとこで負けてたまるかよ」

中断。年末暇かと思ったら意外と忙しいよ! 時間くれ!



番組P「なん……だと……!?」



・・・



龍「うおっ!? あんな難しいの答えるなんて!!」

翼「輝さん達! 志狼くんになにをしたんですか!?」

信玄「……一種の臨界行だ。過酷な自然に身を晒し、体の潜在能力を解放し、認識能力を拡大させた」

輝「そして、脳を覚醒させたまま、休憩なしで知識を詰め込みまくったんだよ。特訓始めてから志狼ぜんぜん寝てねえよ」

桜庭薫「子どもになにをさせているんだ」

早苗「あーコレ、事案?」

輝「オレだって、止めたよ! ……だが、男には全てを投げ打ってやらなきゃいけねえコトもあるんだよ」

信玄「たった一夜。今日この日のためだけに志狼はこの特訓をやってくれと言った。手にした知識が、例え眠って朝起きれば消えてしまう儚い幻のようなものでしかないとしても」

輝「後に繋がらないムチャな一夜漬けだとしても、それでいいって言って、不眠不休で自分の思考と時間を差し出したんだ。……あんな決意男なら断れねぇよ」

楓「そこまでして優勝したかったのですか?」

輝「……ははっ、どうだろうな。ただ一人を見返したかっただけかもな」

次郎「そーだね、オトコが一念発起する時なんて……大抵そんな理由だよね」

あい「弁護士や教師をやめてアイドルになるのもすさまじい一念発起だと思うが? キミ達もそんな理由があったのか?」

桜庭薫「その話はやめてくれ。さんざん言われた」


レナ「……賭場は一度。勝負は一度きり。相手は宿敵――なけなしの財産を叩き売って、儚い賭け金を手に入れたあの幼いバクチ打ちさん、どんな未来を作るかしら」


礼子「王さまだぁ~れだ♪ あら~また、わ・た・し♡」

朱雀「な、なんだ! なにがきやがる! こいコラァ!!」

夏来「……さっきから一人だけ王様になってるけど、こういうゲームなの……?」

英雄「コラそこっ!! 高校生を捕まえてなに王様ゲームしてんだ!!」



・・・


志希「志狼くん、ミゴト正解~!! もふもふえんにポイント進呈~♪ ちなみに~……ありすちゃん!」

ありす「は、はい?」

志希「『不思議の国のアリス』のルイス・キャロルも側頭葉てんかん持ちだったみたいだよ~。井戸へ落ちるシーンなんて発作のジョータイそのまんまだよね」

ありす「そ、そうなんですか。勉強になります」

志希「あと、てんかん持ちの天才は画家のヴィンセント・ヴァン・ゴッホとかいるね! サヴァン症候群の人たちが発揮する能力とゆーのは右脳のチカラに関わってんのが多いんだけど、それは左脳が損傷してるとき右脳がその埋め合わせをしよーとしてがんばったケッカって一説に言われてるんだよね~。てんかんはその脳の損傷によるものなのかもしれないってワケ。でも、アタシが外国でTMSの教授にアタマの中を調べてもらった時聞いたハナシじゃ――あ、TMSって経頭蓋磁気刺激のコトね、エネルギーパルスあてて頭の特定の場所を刺激、抑制するヤツ――てんかんの発作が脳の特定部分に影響を与えて、サヴァン的な能力を獲得させるコトもあるらしいからドッチが先とはいえないみたーい。でも頭脳の働きのアンバランスさに天才のヒミツがかくされてるとゆーなら、左側頭葉の働きをTMSで抑制してみたらみーんなサヴァン的なチカラを持てるかもしれないねっ。それもコワイかにゃ~? でも他にFTDの患者にも例があるから――んぷっ」

四季「ストーップ、ストーップっす。ポカンとされてるじゃないっすかー!アメちゃん食べます?」

志希「あ、ちょーだい♪」

四季「はいっす」

志希「……♪」コロコロ


志狼「オンナの方のしきがいきなりベラベラ喋りはじめたと思ったら、オトコのしきがアメ与えて黙らせたぞ」

桃華「放送中ですのよコレ」


ありす「このフリーダムさが受けるというんですか……」


志希「シッケイな~! 司会として問題のホソクってのをやってあげよーとがんばったのにっ」コロコロ

四季「ほんじゃ、次! 女子達スタンバってくださいっす!!」


晴「お、オレらの番か。ありす、オマエ、走れるか?」

ありす「……すぐに解けば問題ありません」

志狼「へっへ~ん! まぁガンバレよ! 見ててやるから!」

ありす(これは、かっこわるいところ見せられません)




――ダダダダダッ!!


ありす「くっ……!」ダダダダダッ


志狼「走り始めたな!」

かのん「すぐ解かないとツラくなっちゃう……」


四季「問題! 『太陽系の惑星を4つ答えよ』!」


桃華「え……水星!」ピンポーン!

晴「火星!」ピンポーン!!

ありす「天王星、海王星」ピンポーンピンポーン!!


四季「クリアーっ!!」

志希「5秒もかかってないね」


志狼「んだそれっ!?」

直央「は、はやい……」


四季「それじゃ続けて、もう一問いくっすよー!!」

志狼「そうだ、もう一問あるんだ!!」


四季「問題、『島国を4つ答えよ』」

・・

――『え、日本!』ピンポーン!!

――『イギリス』ピンポーン!!

――『キューバ、シンガポール』ピンポーンピンポーン!!

――『正解!! 再び女子チームリード!!』





類「これは、easyすぎるね」

道夫「おかしい。やはり……これは今日この日のために鍛えてきた彼女たちにも失礼ではないか」

次郎「事務所のチカラってヤツかな」

真奈美「圧力をかけたと? そんなことは断じてしない。……だが、これはおかしいな」



――『ハクネツしてきたっすね~! それではひとまずCMへGO!』


龍「あ、CMにいった」

あい「今のうちにプロデューサーくんに連絡をとってみるか」

英雄「ことによっちゃ俺、TV局に乗りこむぞ」

早苗「コラコラ、握野くん、抑えなさいっての! 子どもたちが堂々と戦えないのが許せないのはわかるけど、たまたま簡単なのがきたのかもしれないでしょ」




礼子「王様ゲームから外されちゃったわ。ひどいわ、たまには若い男子に囲まれてみたい時もあるわよね~?」グビグビ

菜々「ど、どうしてナナに同意を求めるんですか~?」



夏来「おうさま…………だれ?」

玄武「オウ……俺だ」

マキノ「……確率的にそろそろアナタだと思ったわ」

文香「お手柔らかに……お願いします……」

玄武「じゃあ……2番に青汁でも飲んでもらおうか」


春名(なんだあのテンションの低い王様ゲーム)

朱雀「おっ!! みのり兄さん! 来たのか!!」

みのり「うん、みんな遅れてゴメンね。さぁ、楽しもう! ――――ってそこぉっ!! なにやってんのぉ!!!」


マキノ「えっ、私?」

玄武「いや、王様の命令で青汁飲んでもらうとこなんだがよ」

みのり「ダメダメダメー!! 写真は!? 撮ってないよね!? まずいよ元不良キャラの子とこんなことしちゃあ! ファンの人から疑われちゃうよ!!」

夏来「そう、なの……?」

みのり「そうなの!! いつの間にか飲酒してたってことになって! いつの間にか一対一でデートしてたことになるんだから!! というかダメだよ! なんで王様ゲームなんかしてるの!!! アイドルの自覚持って! もうちょっと距離あけて!!」

玄武「す……すまねえ……。だが、王様ゲームはオレ達が始めたわけじゃねえぞ」

マキノ「李下に冠を正さず……控えたほうがやはりいいのかしら。神経質すぎるとは思うけど」

みのり「一度張られたレッテルは中々とれないんだよ! 気をつけて! 今日の事ブログにも書かない方がいいよ!!」


・・・

ありす「――くしゅんっ」

桃華「あら? 風邪ですの?」

ありす「いえ、大丈夫です……」

志狼「くそー! 差が縮まらねぇ!」

晴「いや、さっきの難しいやつ答えたのはすげーと思うぞ」

ありす(ひっかかります。リミットダッシュでかっこわるいところ見せずにすんだのは幸いですが、拍子抜けするほど問題が簡単でした……)


モバP「……うーむ」

エムP「どうしました?」

モバP「いや、こっちへの問題がやさしすぎるような気がするんですよね。ホントに小学生なみというか。事務所の人から今それを指摘するメールが来ましたし」

エムP「逆にこっちは難しすぎる気が……」

モバP「番組プロデューサーに確かめてきます」


四季「あー、アメとりすぎっすよ!」

志希「もごもご……! ナメれるときにイッキにナメとかないとね~♪」

四季「それならオレだって――もごもごっ!!」


スタッフ「CMあと15秒であけまーす!」


四季「んぶふっ!?」

志希「にゃはは~♪ キミおもしろいね~」



桃華(あら、1カメも2カメも……私のほうに集中してらっしゃる?)

桃華(これが意味するところは――――)


桃華(きっとわたくしの魅力的なところを撮りたいのですわね! 仕方ありませんわね!)




直央(なんか、ちょっとフンイキがへんだよ……番組側からのこうなってほしいって思いを感じるっていうか……。子役やってた時になんどか体験したあの感覚が……)

志狼「なお! とりあえず、おいつくぞ!!」

直央「う、うん!」


――

――――





その後もイントロクイズ、地理クイズ、○×クイズ、ジェスチャークイズ。連想ゲーム……

チャンピオン決定戦らしいいろいろな種類のクイズをこなしていって、ボクたちは正解を積み重ねていきました。

が、女の子達もボク達が正解した分だけ、必ず正解してきました。


難問を解いて喜んでいるすぐ後に、女の子はさっと次の問題をクリアしていって……差が縮まりません。



志狼「くっそ~!!」

ありす「……」



直央(このままじゃ勝てない……どうしよう……)


――

――――


マキノ「ちょっと調べてみたわ。このクイズ『アイドル・デスマッチ』最初のころとずいぶん形を変えたみたい」

旬「そうなんですか?」

マキノ「アイドルが一対一で問題を解き合うというシンプルなものだったのに、今はコーナーも出演者も増やして……バラエティ寄りの作りになっているの」

みのり「ああ、初期の頃も好きだったなぁ」

マキノ「とある事務所がプッシュしてるアイドルを、強引に優勝させた疑惑もあると書かれているわね……真偽のほどは不明だけれども」

あい「だが、それが真実だったとして、今回私たちの事務所は番組にそんな汚穢な働きかけなどしてないだろう」

桜庭薫「……ならば、番組側が勝手にやっているんだろう。媚びを売っておいた方がいいと思わせる人物が、今回いるのかもしれん。なにしろ今回はゴールデンタイムでの特番だからな。注目が集まれば入れる力も大きくなる」

美優「媚びを売っておいた方がいいって……そんな子……」


恭二「――お、櫻井財閥のお嬢さんだ。2年くらい前にパーティーで会って以来だな。おっきくなってら」


みのり「あっ、恭二も来たんだね」

恭二「っていってもオレ酒飲めませんから、ジュースですけどね」


真奈美「桃華……なるほど、一応繋がりはしたな」

中断。多分年またぎです。年末の忙しさを計算に入れてなくて猛省。新年要素をいれるのでお許しを

しかもテレビ見てたら、考えてたプロット見直したくなってきたし…
必ず書ききります。2015年以内に

――

――――



番組P「私どもの番組は設問を多数用意し、状況を鑑みて、その中から一つを出題するという方法をとっているんです」

モバP「では、なんらかの意図を込める場合もあるということですか?」

番組P「ですから、状況を鑑みて、です。無論そのような場合もあり得るかもしれません。言えるのは、私どもは適宜どうすれば盛り上がるか、どうすれば最良かを判断して問題を出しているということです。そうして視聴者に楽しんで頂ける番組作りをしているわけです」

モバP(……なんてハッキリしない物言いだ。)


番組P「クイズ番組というのは難しいものなのですよ。最強のチャンピオンがいれば盛り上がるが、そればかりだと飽きられる。知識重視にしても大抵そんなものは評価されません」

エムP「耳にしたことがあります。番組内容を変更……いや、進化させ、人気を獲得したお話は。ですが……」

番組P「ですが、なんです」

エムP「あの子たちはクイズをするだけで十分番組を盛り上げることができるということは知っておいていただきたいと思います」

番組P「ははは、ああ。そうですね」


番組P(スポンサーは品位を口にする。そのくせ注目を集めていなければまた怒る。集めたら集めたで――気にいらない内容だった時にはまた文句だ)

番組P(ならば心地良い結果だけを聴かせるよう尽力してやろうじゃないか。そうすれば金を出してくれるというのなら)

番組P(文句は言わせん。これが私の営業さ)


桃華「答えは『あのことは永遠に秘密』ですわ! バラは3本の蕾と1本の花の時がいっしょになっているときは花言葉が変わりますの!」

四季「正解ーっ! よく知ってるっすねー!」

桃華「ふふふっ、薔薇についてはわたくし一家言ありましてよ? わたくしはお風呂にもバラを……」




番組P「おっと、点差がまた開きましたな。男子チームは3問分リードを許してしまっています。ははは、では逆転劇に期待しましょう」

モバP(桃華にカメラが集中している。嬉しいが……しかし……)



スタジオ


志狼「ぐぅぅ~!!!」ギリギリ

かのん「しろうくん、点差がひらいたからっておこらないでっ。おこったらきっとホントに負けちゃうよ!」


桃華「このまま、勝ちますわよ! ありすさん! 晴さん!」

ありす「ええ……」

晴「お、おおー~……! この勝負は勝利の女神フレッシュアイドルはるちんにオ・マ・カ・セ♪ だー……」

志狼「どうした晴!? コトバづかいがヘンだぞ!? ヘディングのしすぎでおかしくなったのか!?」

晴「バッ! ちげーよ志狼!」

かのん「あはは、カワイイ~」

晴「か、かわいいゆーなっ!!」

晴(言わされてんだよ。これ、台本ひどいんだよ……まだ志狼と夫婦だとかなんとか言われた方がマシだぜ、まったく……)

・・・



翼「また点差開いちゃいましたね……互角以上に解いてるのに……」

輝「なんとか公正な勝負に戻してやりてぇな」

道夫「局に抗議の電話を掛けよう」

美優「え、あの……それは……まずいのでは? もし掛けたのがアイドルである道夫先生だとわかってしまったらお仕事とかに影響がでちゃうかも……」

道夫「なにを言う。それしきのリスク、生徒のためならばいくらでも……」

龍「この状態で電話してもきっとシラを切られちゃいますよ! そんな気がするんです! 俺、悪い予感を当てるのには自信があるんです!!」

英雄「じゃあ……直接乗り込むか……!!!」ガタッ!!

早苗「ちょっとちょっと!! 握野くん冷静になりなって……って、酔ってるわねキミ!! もー、一旦とまんなさいっ」ガシッ!

英雄「はなしてくれよ、早苗先輩!! ゆるせねぇだろ! こんなん!」ググッ!

早苗「はなさないわよっ。止まらないと背負い投げくらわせるわよ――――って、うぉうっ!!?」グワッ!!

美優(早苗さんが投げられたっ!!?)

龍「えっ、ちょっ、俺のとこに」


ドスン!


早苗「……やってくれるじゃない握野。ヒサビサに受け身取ったわ。警官だったころより腕上げてるじゃな~い…………」ユラァ


龍「英雄さん、レッスンの終わりにレクリエーションで虎牙道の人達とかとよく柔道一本勝負をしてますから……あの、それと、重いんでどいてくれないですか。ごほっ」

早苗「いいクッションだったわありがとね。……握野め。手加減したわね。ナメられたもんねアタシも。さ~て、カクゴはいい? これからキミを……シメる♪」

真奈美「まて! 暴れてはだめだ!!」ガシッ

早苗「むっ」

信玄「英雄も抑えろ!!」グッ

英雄「ぐ、信玄……でもよ」

千夏「まだ状況を知るべき時だと思うわ。ほら、テレビに集中を」



『おー! 晴ちんカワイイってツイートめっちゃ来てるっすよー! 反響パネェっ!』

【かわいすぎ! 晴ちゃんのファンです! @chihiro_sakura】
【晴ちんカワイイ!! 妹にしたい!! ウチの子になって!!! @charismaJK】



春名「ネットの声拾い上げてんだな、この番組も」

あい「そうだ……これは利用できるんじゃないか?」


・・・



晴「や、やめてくれよっ!! みんななに書いてんだよ!? さすがにハズくなるからやめろって!!」

桃華「うふふ、純粋な感想なのですから、受け止めて差し上げなさい、晴さん」

志狼「オレらは!? オレらにはなんかきてねーのか!」


志希「んじゃ~、番組に寄せられたツイートを読んでいこっか~♪ 『オンナに負けてるのは情けない』、『男子の方は女子より勉強が足りないのかな? 今回負けても次がんばって!』だってさ」

四季「あと『男子の代表なのだからもう少し大和魂を見せてほしい』、『もふもふえんが負けてるから今アネキが弟のオレを馬鹿にしてる。ウザいから勝て』とかもきてるっすね~」

志狼「す、好き勝手いいやがってー……!! 見てろよ! このやろー! ってかもっとなんていうんだ、コーイ的なやつねーのっ!?」

志希「んーとね、あ、『天才子役は頭もいいんですね! 流石直央くん!』ってのがあるよ。やったね~♪」

直央「え……ボクですか? あはは……なんかてれちゃうけど……うれしいです。ありがとうございます」

四季「『カリスマ子役モデルの意外な知識に驚かされてます! かのん君への愛がマスマス増してきてます!』ってのもきてるっすね! 負けてても見る人は見てくれてるっすよ!」

かのん「わぁ、応援ありがとー、かのんもっと頑張るから見ててね~!」

四季「そんじゃ、次は女子に寄せられた……」


志狼「オイッ! オレは!? オレにはなんかねーのかよ!! なにスムーズに女子の方にシフトしてんだ!」


ありす「志狼くん。反響というのは自分から求めるものではないですよ」

四季「えっーと……し、ろ、うっと……あ、『シキシキコンビが司会としては軽すぎる』って書かれてるじゃん!! やったっす! バリバリ司会こなすから見ててくれよな!」

志希「ありがとね~♪ やっぱこーゆー仕事もシンセンでいーねっ」

志狼「自分らに寄せられたの読んでんじゃねーよ!」

晴「しかもベツに褒めてねーし……」


四季「そんで……女子の方は、『教養あふれる桃華ちゃまに家庭教師やってほしい』、『ありすちゃんが勉強に使ってるタブレットのと同じやつ買いました』とか書かれてるっすよ」

桃華「あら……家庭教師ですの? ふふっ、いいんですの? わたくし意外とスパルタですわよ?」

ありす「同じタブレット買ったんですか……大事なのは外見ではなくちゃんと機能を使いこなせるかどうかだと思いますが」

志希「あとねー、あははっ! リビドービンビン感じるやつも流れてきてるねー! 『桃華ちゃんの特製ローズティーを飲みたい』とかー、『ありすちゃん成分100%のイチゴジュースに溺れたい』とかー」

四季「あ、他にもあるっすよ。ナンカ意味深なヤツ。これとか。『晴ちんの晴ちんを……』――あれ? カンペ?」


【それ以上はNG!!!】


エムP(四季)

モバP(志希)


エムP・モバP(頼むからマジメにやって……!!!)

桃華「ローズティーが飲みたいんですの?」

ありす「私成分100%? 私が作ったイチゴジュースということを表すにしては変な言い回しですね」

晴「オレのオレって……なんだそれ?」


・・・



比奈「ようやく時間ができたんで飲み会来てみたら、いきなり生放送の暗黒面見せられちゃったっす。Twitter民平常運転っすね~」

旬「もう……四季君は本当に……! 恥をかかせるな……!」

夏来「ジュン……あんまり怒らないで……」オロオロ



輝「なるほどな、このネットの声を拾い上げてんのを利用すんのか」

あい「現状況では強引にいくことなどできないからな。番組側もチェックはしているはずだから……ここに公平性に疑いの目を持っているものが多くいると認識させる」

類「いいideaだね。ちょっと遠回りなサクセンの気もするけど」

真奈美「それでもテレビ局に殴りこまれるのよりはましだろうさ」


英雄「だって、許せないじゃねーか……ひっく……っ」

早苗「どうどう。握野くん。落ち着きな。…………酔いがさめたら、あたしの気が晴れるまで柔道の稽古してもらうからね」



真奈美「でもこの方法は、うまくいけばあの軽い司会二人が口に出して読んでくれる可能性もある」

翼「そうですね! あの子たちの軽さを信じましょう!」

マキノ「アイドル達がツイートしてると悟られてはいけないでしょう、あなた達にサブ垢を配るわ」

みのり「へー! サブ垢こんなに持っているのは、やっぱり趣味の諜報活動に使うからなのかいっ?」

マキノ「え、えぇ……」

みのり「やっぱり! 一度インタビューで諜報できるって言ってたもんね!」

あい「それでは、みんなつぶやき開始だ。大丈夫だ、シキシキコンビははきっと考えなしに口を滑らせてくれる!!」

隼人「シキ……これって……みんなに信じられてるのかな……」

春名「まー、ある意味信頼されてるだろ、これは」

次郎「んーと、カモフラージュのツイートも混ぜた方がいいかな?」

朱雀「は、ハッシュタグって何だコラァ!? わかんねーぞオラァっ!!」

晶葉「うろたえて叫ぶな! 教えてやるから!」



文香(大勢がいっせいに端末を操作して……なんとも奇妙な状況です……)

――

【このアイドル・デスマッチは初回から視聴しておりますが、最近はバラエティ色が強くなり過ぎていると感じます。公平性を疑うような構成も目につきます。あの頃のストイックな姿勢をもう一度見たいです @ibaraki_no_kijin】

【私17歳の女の子ですけど、男の子たちの方が微妙に難しい問題出てる気がします。ひいきしてません? @chiba_no_usamin】

【かのんくんカワイイ。正々堂々とした戦いが見たい @LadyWolf】

【小学生同士が鍛えた知能を披露する場である以上、公正な場を用意するのは大人の義務だ。問題のレベルの統一を @KIMAJIMEN】

【Amazing! この国のスクールチャイルドはホントに賢いね! :) それだけに番組がショーになっててフェアさが失われているのが残念だ @KENDAMA_eater】

【女の子達が賢くて可愛いと思う。自分にも姪がいるのだが、会うたびに知識をつけていて驚かされる。時々聞いているこちらがどきりとすることもある。しかし、そんなところも魅力的でやまない。自分は姪をこれからも大切にする所存だ @OneManArmy】

【若いっていいわね。でも熟れた三十路ボディも素敵よね @king_panther】

【寒風の候でございますが、皆様にはますますご盛栄の事とお喜び申し上げます。一つ当番組を視聴していて思いめぐらせたことを伝えたいと思い、初めて筆をとらせていただきます。何分こういったことは不慣れでありますが失礼のないようにいたしますので すいません文字数制限があるらしいのでここまでで @fumifumi】





菜々「おー! 私たちのツイート流れてますよっ!」

泉「なんというか……いろいろツッコミたい文面が多いわね」

春名「ふははっ、チェックだだ漏れじゃん!!」

マキノ「この番組普段は生放送じゃないから、双方向システムのチェック機構が甘いのかも。……こういうところにお金かけてないなんて甘いわね」

比奈(うわ、やっぱ実況スレ『ツイートがカオスwww』って話題になってる)


楓「今向こうは慌てているでしょうか?」

比奈「んー、と言っても、しょせんは流れては消えていくつぶやきっすからねぇ。そこまで影響力があるかっていうと……」

桜庭薫「ふん、だが番組内で話題になれば話は別だろう」

輝「いけ……っ!! 空気なんか読まずに口を滑らせろ!! ダブルシキ!!」




『おーっと、なになに? アレ? なんか、この番組不公平って言われてるっすね!』

『不公平? まー、インチキっちゃあインチキかな。問題、オトコの子とオンナの子でレベル差があるからねー、にゃはは~♪』



あい「――言ったっ!!」

信玄「やったぞ! 作戦の第一段階は成功だ!!」

志乃「かんぱーい」カァン

次郎「彼らのその場の勢いで動く若さにかんぱーい」カァン

ちょっと中断。やっと書けるようになりました


レナ「だけど、本当の賭けはここからよ」

龍「公平な勝負になってくれるといいですけど」



・・・


直央「え、レベル差があるって……!?」

直央(ボクもそう思っていたけど)

ありす(ここで口に出していいんですか!?)



桃華「な…………っ、本当ですの? 私たちの問題がやさしかったというのは」

志希「んー、ま、それはここにいるみんなも感じてることじゃないかなー。明らか解きにくいのバッカリ男子くんらに回ってるじゃん」

晴(おいおい……司会が言うコトじゃねーだろ……)

志希「桃華ちゃんに薔薇の問題とか、晴ちんにサッカー問題とかー、女子にポイント稼がせたいんだね~って感じるよねー? あれ、コレ感じたの、アタシだけ? レセプターの不具合かなー?」

桃華「いえ、わたくしも……少し、感じては……」

四季「ムズかったすからね~! オレでも難しさのレベル違うなって思ったすもん!」


番組P「……ちっ! 数字になると思って見逃してきたが、ここまで喋るとは……! 最後のコーナーで女子優勢のまま終わらせる段取りだったのに」

スタッフ「どうします!?」

番組P「司会の二人の話題を変えさせろ!!」


エムP「――否定はなさらないんですか? 難度の偏りについて」


番組P「あ……これは……」


モバP「桃華にばかりカメラを向けているのは……櫻井財閥の娘だからですか」


番組P「……ふ。ああ、そうだったんですか? ですがそんなのは関係ないと思いますよ? 子どもにしては品があって映えるからカメラが寄るんでしょう――」


モバP「……どうしてこんな工作をするんです。あの子たちなら普通にクイズバトルをするだけで十分見る人を楽しませます」

番組P「ですから……はぁ……」

エムP「私どもも番組の事情については知っているつもりです。しかし理解は出来かねます。そんなにあちこちに良い顔しなくとも……このアイドル・デスマッチは十分人気番組ではないですか」


番組P「…………」


番組P「深刻なレベルで終了の危機があったこと――それに直面した時の苦悩を理解していると? 私はね、お二人さん、生き残るためにはなんでもしなきゃいけないということを知っておるのです」

番組P「……どうか! どうか御理解いただきたい! あなた方の事務所とはこれからもいい付き合いを続けたいと思っているんです!」

モバP「えっ」

エムP「か、勝手な……!」

番組P「確かに今回の番組は出題の順序によって、偏っているように見えた部分があったかもしれません! しかし、これで私たちを見限るようなことはしないでいただきたいのです」

モバP(……! 偶然偏っただけで工作さえなかったというつもりか……!)

エムP「番組が大切なんですね…………ですが、あなたがそこまでするのは何のためです。この番組でなにをやりたかったんですか」

番組P「…………」

モバP「コンセプトを忘れてしまったんですか」

番組P「――っ!」


番組P(腰低く付き合っていれば偉そうに……! 私だって…………!!!)



番組P「フェアな勝負は無論追い求めているものの一つですよ。ですが――」



――――「そうか? これ十分フェアだろ!!」



番組P「……なっ」






ありす「え……」

志狼「どんな問題がきても解けるようになってりゃいいんだからよ。むずかしさがチガうってのは言い訳だろー!」

ありす「意外……ですね。一番文句言うと思いました」

志狼「なんで文句なんかいう必要あるんだよ!! 最後にはオレ達が勝つって決まってんのに!」

ありす「点差の原因になっておいて、なおそんな大言壮語をいいますか……」

直央「そ、そうだよね……! しろうくん、ボクたち勝てるよね……まだ結果は出てないんだ……そうだ……」

志狼「つーか、あんまり問題レベル違うって思わねーし! たまたま難しいのが来てもゼンブパパッと解いて逆転優勝!! これがもふもふえんのミライだぜー!!」

かのん「だぜー☆」

桃華「もふもふえんのみなさん……」

晴「ははっ」



番組P(あの子たち……まだフェアな勝負をしていると……信じているのか……。いや、それはそうだ。だが……)




志希「んー、あれ? ねーねーしきわん」チョイチョイ

四季「どしたっす、しきにゃん?」

志希(カンペでミッション指示きてるー)ゴニョゴニョ

四季(あ、ホントっす。サンキュー)ゴニョゴニョ


四季「はい、んじゃ流れぶった切って、次のトークに移りますか!! みんなどうやってベンキョーしたんすか!?」


桃華「え、本当に唐突……」

四季「オレらHigh×Jokerのベンキョー方は主にテスト前にジュンっちにすがるってやつなんすけどー、頼ってばっかりだとジュンっち怒るんすよね~!」

ありす「まぁ自分の中に残る勉強じゃないと意味がありませんからね」

四季「もふもふえんのみんなはどんな風にやってたんすか?」

直央「え……えっと、元先生だった人たちに教えてもらいました」

かのん「かのんもいーっぱい、お話聞いたよ~!」

志狼「山籠りだよ。山籠り以外ねーよ」

ありす「普通、山籠りがないですよ。勉強法としては」



直央「あ、神速一魂の玄武さんにも色々教えてもらいました。とても物知りな人で……あとはそう、恭二さんからは暗算のコツを教えてもらいまして……」

志狼「ああ、きょうじ電卓叩くの速いけど、暗算もできるんだ」

四季「コンビニバイトしてたって聞いたっすねー。だから計算スピーディーなのかも。レジ打ちもしてたんだっけ?」

かのん「そうだよー。控室でおべんとう渡してくれたとき『温めますか?』って言っちゃってた」

四季「あ、鷹城恭二は315プロのアイドルね。ユニットBeitに入ってるオレらの同僚っす」

ありす「鷹城恭二……」

桃華「え……それは、もしかして鷹城財閥の御令息ではありませんこと?」

志狼「あー、なんかモトモトすげー金持ちの家にいたって聞いたなー」

晴「なのに、コンビニバイトして……アイドルになったのか?」

志狼「家の力なんかで生きたくないんだろ」

桃華「え……家の力?」


桃華(あ――なにか、閃きが)

桃華(カメラがわたくしに集中していたのは、きっとミリョク的なわたくしの姿をおさめるためだと思っていました――けれどそうではなかったとしたら?)

桃華(わたくしが櫻井の娘だったからという可能性がある? もしかして問題のレベルが偏ったのも……)


桃華(わたくしが原因では……?)



四季「それじゃ、ラストコーナーに向かう前に、一旦CMっす!」

志希「ドトウの最終決戦を見逃すなー♪」



志狼「もう最後かよっ! ゼッタイ逆転してやる」

ありす「桃華さん? どうしたんですか。うつむいて」

桃華「…………みなさま、申し訳ありません。この勝負を歪められたのはわたくしが居たからかもしれません」

晴「あん?」



桃華「失礼致します! 確認をとってきますわ! このような疑念を抱いたままわたくしはクイズに臨めません!」タタッ


晴「おい! 桃華!?」

ありす「え、ま、待ってください!」

志狼「なんだなんだ」


番組P(“鷹城”だと……)



桃華「Pちゃま!」

モバP「も、桃華! スタジオを離れちゃダメだろう」

桃華「教えてくださいまし! 本当にこのチャンピオン決定戦は女子優位に進められていますの!?」

モバP「……っ! そんなことを思ったのか? ははは、まさか」

桃華「……気遣いは無用ですわ。目が泳いでいましてよ。――――わたくしが櫻井だからですの?」

モバP「…………あのな、桃華」

桃華「そうですの? 答えてくださいまし――番組プロデューサー様!」

番組P「わ、私、かね?」

桃華「気付いておりますわよ。カメラがわたくしの方ばかり向いているのは。……ありがたいこととは思いましたが、それは櫻井の家に向けられたものですのね?」

番組P「…………」

桃華「沈黙は肯定と受け取りますわよ! なぜですの!」

番組P「…………色々と、事情があるのだよ」

桃華「あぁ…!! やはり、そうでしたのね!」

番組P「込み入った話になりますが、これも必要なことなのです。聞きわけていただきた」

桃華「そのように!! 子ども相手に諭すような口ぶりで、間違った考えを押しつけないでいただけませんか!!」

モバP「おいっ、桃華っ!!」


モバP(怒ってる……!!)



桃華「家の力などで勝ちたくありませんわ!! わたくしたちが得る勝利は、わたくしたち3人と、わたくしたちを支えて下さった皆様の勝利であってほしいのです!!」

桃華「わたくし許しませんわよ!! これ以上櫻井の家を見損なうことは!! そのような卑劣なご機嫌取りなどで心動かされるとお思いですか!!

桃華「このような歪んだ勝利で――本当に嬉しい顔ができると思いますの!!! 本当に欲しいものはそんなものではございません!!」


番組P(――――本当に、欲しいもの、だと……)


番組P(ああ。私だって、こんなことをするためにこの番組を作ったわけでは……)



桃華「……うっ、ぐす……っ、はぁはぁ……正々堂々と、戦わせてくださいまし……望みは、それだけですの…………こんなことで足を引っ張りたくないですわ……」

番組P「…………」


ありす「桃華さん」

晴「桃華……」

モバP「あ、お前達……」


番組P(櫻井、鷹城……難しい話だ。しかももう工作がバレている、か。……このまま方針を押しとおしては、最悪番組ボイコットもあり得る)

番組P(……この気位の高い少女は、あらゆるリスクを飲みこんでそれぐらいはするだろう。生放送で致命的なキズだ)

番組P(馬鹿だったのか? 私は――いや、違う。そんなことはない。だが、しかし……)


番組P「わかりました。疑念を抱かせてしまい申し訳ありませんでした。後ほどあなた達の事務所に文書にて謝罪を」

桃華「それよりも、どうなんですの! わたくしたちへの贔屓をやめてくれますの!」

番組P「ですから、そもそも贔屓など…………いえ、そうですね。やめましょう」

桃華「え……」


番組P「ルーレットはこちらが結果を操作できますので、もう使わないことにします。伝統に沿ってラストコーナーは早押しクイズにしましょう」


ありす「一つの問題を取りあう形式……!」

番組P「ええ。完全な実力勝負です。これならどうです。プロデューサーのお二方も納得して頂けますか?」

エムP「はい。それなら。出題があまりにもどちらかの得意範囲に偏ったりしなければ」

番組P「それはこちらを信じていただくしかありません――信じてください」


スタッフ「あ、あと1分です!! 早くスタジオに――」


番組「わかっている!! ……どうですか信じていただけますか」

モバP・エムP「……信じましょう」


番組P「そうですか、では!」

モバP「はい。――さぁ、三人とも! 早くスタジオに戻るんだ!!」


晴「お、おう!」


ありす「急ぎましょう……って、え?」


志狼「よう。話、終わったかよ」

直央「ごめん……どこに行ったか気になって……」

かのん「スタジオ、しきちゃんとしきくんだけ置いて来ちゃった~。さ! 戻ってクイズやろ!」


晴「へっ、オマエら……」

桃華「アナタ達もわたくしのせいで……もうしわけ」

かのん「はいっ! ハンカチ」スッ

桃華「えっ」

かのん「涙ふいてはやくもどろ~♪」

桃華「……ありがとうございます」


ありす「贔屓の話、聞いたんですか」

志狼「ハァ? なんだそれ。オレらはただハンカチ渡しに行くかのんに付き合っただけだ」

ありす「……本当ですか?」

志狼「本当だっての!! ほら早く戻るぞあと12秒だ!! お前足遅いんだから急げ!!」ダダダッ

ありす「お、遅くありませんっ!!」タタッ



モバP「後は見守るだけですね……」

エムP「ええ、そうですね……あの子たち、きっと勝ちます」フフッ

モバP「いやいや~、勝つのはこっちですって」ハハッ

今日はここまで。次回ラストバトル




桃華「あの……お二人とも、提案がありますの」

ありす「……はい」

晴「ああ、言いたいことは分かってるよ。ゼンリョクで戦うために必要なコトだろ?」




スタジオに緊迫感が満ちていく。



晴(ありす、桃華。いいな?)

ありす(ええ)

桃華(……痛み入りますわお二方。あなた達とチームで良かった)






張りつめた空気の中、問題が読み上げられた。――真剣勝負開始のゴング。





四季「『1968年に公開された“アルジャーノンに花束を”を原作とするアメリカ映画のにほ』」



直央「はいっ!!」ピンポーン!!

直央(邦題を答える問題――わかる!)


志希「おっ、食い付いたね~♪ コタエをどうぞっ」


直央「はいっ!! まごこ……んぷっ!?」


・・・


『まごこ……んぷっ!?』



美優「直央くんの口を、志狼くんが塞いじゃったっ!?」

春名「え″……なにやってんのアイツ」

桜庭薫「天道……!!」

輝「ちょっ!? オレのせいじゃねーと思うぞ!?」

道夫「…………?」



・・・





志狼「   わ   か   り   ま   せ   ん   !   !   !   」




ありす「!?」

志希「あははーっ!! 声高らかにナニ言ってんのー♪」

四季「イサギイイっすね!! でもバカに見えるっすよ! 男子チーム不正解っすー!!」


直央「……ぷはっ、し、しろうくん!? なにを!? 解けたのにっ!」

かのん(あれ? ……志狼くん女の子たちのほうにらんでる……あ、そっかー)

晴「志狼、オマエなに考えてんだよ!?」


ありす「ウケ狙いですか。この期に及んで。少しはマジメに――」


志狼「マジメにやってねーのはオマエらだろ!!」


桃華「え……」

志狼「なんでボタンに手を置いてねーんだよ!! 答えない気マンマンじゃねーか!!」

ありす「こ、これは……!」



番組P「なにっ?」

番組P(そうか……!! あの少女たち、贔屓で開いた点差を戻そうと……!)



直央「あ……たしかに誰も手を置いてない」

志狼「ハンデなんていらねーんだよ!! んなまごころいらねーんだよ!! オレらは『真剣勝負』でオマエラに勝ちてーんだ!!」

桃華「で、ですから……」

ありす「はぁ……貴方という人は。こちらの気遣いを……」

志狼「おまえらが気を遣うんじゃねーよ! そっちはただゼンリョクでやってただけじゃねーか!! 自分の間違いじゃないんなら、堂々としてりゃいーんだよ!!」

桃華「……!!」

直央「そう……ですね! あの、やさしさはうれしいけど……状況に気を遣わないで。きっとキミ達が悩むことじゃないと思いますし……悩んじゃいけないことだと思います」

かのん「ふふーっ、心配することないよー。きっとジリキでおいつくからっ!!」

ありす(せっかくポイントをフラットにしようとしたのに……要らないと、いうんですか)



モバP「……そっか。そうだよな。あいつらの優しさは尊いけれど……子どもが大人の勝手な行動の責任を取らなきゃいけないなんて、間違ってるよな」

エムP「志狼くん、そこに怒ったのかなぁ」





ありす(志狼くん…………それも男の自己満足じゃないですか?)

ありす(まぁ、そういう愚直さ……嫌いじゃないですけどね)フッ


ありす「――勘違いしていませんか」

志狼「あん?」

ありす「私たちがボタンに手を置かなかったのは、ひとえに絶対の自信からです。あなた達への気遣いというわけではありません」

志狼「……へっ、そうかよ」

桃華「あ、あの」

ありす「桃華さん。オトコというのはこんな不合理な生き物らしいです。――もう変に気を回さず、いつもどおりにいく方がいいと思います」

桃華「そ、そうですの?」


志希「にゃははー、男の子が間違ったから、キミ達が答えていいよ?」

四季「『1968年に公開された“アルジャーノンに花束を”を原作とするアメリカ映画の日本でのタイトルは、“Charly”からなんというものに変更されている?』」

晴「あー、わかりません」

志希「おっ、女子も不正解~! しょっぱなから両チームダメダメだね~」

志狼「あ、晴! だから手を抜くなって」

晴「オマエだってわかりませんっていっただろ? ――次から、全力だ」




・・・




桜庭薫「……男の意地、か」

真奈美「はははっ、骨があるじゃないか!」

美優「ええ……女の子も、男の子もみんな良い子…………」


朱雀「うおおーっ!! いけー!! ここが関ヶ原だぞオイ!!」

レナ「決意と闘志が極まった大一番……さぁ、あなた達の強さを見せて!」


四季「『「ある色が、それを取り巻く周囲の色に似て見えてくる」という、色の同化』」

直央「はい! フォン・ベゾルト効果!!」ピンポーン!!



志希「『「ネットワークの価値は接続ユーザー数の二乗に比例する」とゆー』」

ありす「簡単です! メトカーフの法則です!」ピンポーン!!



四季「『エアーズロック・スフィンクス・マーライオン。次のうち猫の』」

かのん「はいっ! えっとねー、ネコさんの種類にあるのはスフィンクス、だよっ!」ピンポーン!!



志希「『アメリカの中華料理店で最後に出される運勢を』」

桃華「わかりましたわ! フォーチュン・クッキーです!」ピンポーン!!





モバP「一進一退……!」

エムP(だけど、これじゃあポイント差は埋まらない……! がんばって!)


番組P(なんだ……子どもがやっているからか。このように高揚と……罪悪感を感じてしまうのは。私は最低なことを……)



四季「いい勝負っすねー! こっちもテンションあがってくる! じゃ、問題! 『トランプでスペキュ』……」

志狼「スペキュレーションって呼ばれるのはスペードのAだ!!」ピンポーン!!


桃華「ふ……ふふっ、やりますわね……!」

桃華(不思議と、笑いが出てしまいますわ……ひりつくような緊張感。気遣いなどしていたら、このような興奮はなかったのでしょうか……)

ありす「次はこちらが解きます!!」

直央(連続して正解しなきゃ差が縮まらない……なんとかしないと)


志希「シーソーゲームで熱いねー♪ 次の問題いくよー、『ラテン語の「速さ」』――」


志狼「わかったっ!!」ポーン!!

ありす(速いっ!? 確定部分はまだでしょう!?)

桃華(見切り発車ではなくて!?)


四季「おーっ! メガ速い! でも今度もまた不正解なんてのはカンベンっすよ~?」

志狼「追いつくためには、これぐらい前のめりになんねーとダメだろ」


志狼「勝つために――――オレの答えは『ベロシティ』だ」ピンポーン!!


・・・


玄武「問題の確定部分を見極めていたら先んじることは難しい……だからリスクがあっても前に飛び込んだか」

隼人「間違いを恐れずに早押し! 度胸あるなー!」

旬「ベロシティ……音の強弱を表す情報ですね。鍵を叩くのが速いほど音は大きくなる……」

あい「……男子の勢いに負けるな。ここがふんばりどころだぞ」




・・・


かのん「わー! やったー、せいかいだよ!」

志狼「このままいくぞ、なお! かのん!」


ありす「1点ポイント差ですか」

晴「おいおい、追いつかれんじゃねーのか!?」

桃華「焦ってはいけませんわ。クレバーにいくんですの! 冷静さを欠いてはなりません」



志希「んふふ。みんなドーパミン、ドバドバ分泌されてるね! 次の問題いっくよー。『ガンマ線、X線、赤外線、電波。これら電磁波の中で一番』」


ありす(一番……どっちです!? 波長が長いか、短いか!)


志狼「はい!!!」ポーン!!


直央「え、しろうくんこれはっ!」

ありす「このタイミングで押しては長いか短いかどちらを問うているのかわからないじゃないですか!」


四季「無謀っすねー! でもオレそーゆーの好きだぜ!!」

桃華「焦りましたか……?」



志狼「て・ん・の・か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り! ……長いヤツ、電波だ」



…………



――ピンポーン!!






ありす「なっ……!」

晴「マジかよ」


四季「追いついたぁああああああああああああ!! 番組終盤にきて勝負はフリダシぃー――――っ!!!」


桃華(なんてことですの! 焦ってはダメではなく……焦らなくてはダメだった……!!)


・・・



――オオオオオオオッ!!


輝「よっしゃー!! 見たか! 追いつきやがったぜ!!」

桜庭薫「危うい……!! しくじればまた点差が開いていたぞ」

早苗「あはははは! なんて追いつき方よ!」

比奈「うわっ! 実況スレ、勢いすごっ!」

晶葉「まだ負けたわけじゃない!」

菜々「すごい……どっちが勝つんだろ」


・・・



ワァアアアアアア……!!


番組P「盛り上がっている――」

番組P「…………私は」


スタッフ「あの、クイズのことなんですが……!」

番組P「む、なんだ! なぜ私に聞きに来る。クイズは専門スタッフに任せろ。もう私は……口は出さん」


スタッフ「いえ。そのことなんですが薔薇、サッカー、苺に関する問題を使ってはダメかと言ってきておりまして」

番組P「なに? それは……ダメだ。得意範囲を偏らせてはまた文句がでる」

スタッフ「ですが、13問目からはサドンデスです。本来早押しクイズで決着をつけさせる予定ではありませんでした。それにいざという時はそうなっても薔薇、サッカー、苺など得意な問題で女の子達を勝たせる予定だったんです」

番組P「要するに」

スタッフ「それらの問題を全て使えなくなった今……問題数が足りなくなる恐れが」

番組P「なに!?」

番組P(なんてお粗末な話だ! ……クイズ番組だぞ! 無尽蔵に問題はストックしておけ! ――――いや、違うか)


番組P(私が偏らせ、贔屓のための問題を作らせてきたから……こうなっているのか)


スタッフ「どうします!? 最終コーナーを切り替えるのがいいという声もありますが!」

番組P「最終コーナー? 早押しから、何に替える?」


スタッフ「『アイドル・デスマッチ』です。エクストラコーナーに、それを」


番組P「なに……!」

番組P(……ここでか。引きずりだしたというのか。あの子どもたち)


番組P「……あの子たち、用意はあるな?」

スタッフ「はい! 打ち合わせの時に伝えておきましたので!」

番組「それでいこう。13問目で引きわけだった場合、エクストラステージだ」


――

――――


晴「逃げ切らせるかァっ!! ――答えは、『いくしあだーつさむろでぃーあ』だ!!」ピンポーン!!


志希「せいかーいっ!」

四季「よく歌詞覚えてたっすねー!」


ありす「やった! 一度は追い抜かれてしまいましたが……今度はこっちが追いつきました!!」

桃華「向こうにできてこちらにできない道理はございませんわ!」

かのん「ふぁ~! すごいねー!」


志狼「……ふぁぁ…………く、くそ!! ……ねみ……!!」

直央「だ、大丈夫?」


志希「これ『最後の問題はポイント10倍ー!』とかそーゆーゴツゴーシュギなのない感じかなー?」

四季「ないっす!! 13問目終了時点でポイントはゴカク!! これからはゼンジンミトウのエクストラステージっすよー!!」



・・・


マキノ「3ポイント差がある状態でスタートして……1問目男女とも不正解。2問目男子、3問目女子、4問目男子、5問目女子、6問目男子、7問目男子、8問目男子」

道夫「9問目女子、10問目男子、11問目男子、12問目男女とも不正解、13問目女子――全て終わってみたら、ポイントは同点になったな」

夏来「これで……決着つくかと思ったけど……」

文香「エクストラステージの『アイドル・デスマッチ』……番組名を冠しているクイズ、ですか……一体、どのような……」

楓「あれ、知りませんか? お互いが自分たちで作った問題を出し合うコーナーですよ」

真奈美「どんな問題にするか、相談されたな」

恭二「そういや、俺のところにも聞きに来てた……」

みのり「このクイズはターン終了時点で1ポイント差でもあったら勝敗がそこで確定するんだ。相手がこっちの問題解いたのに、相手の問題を解けなかった時はそこで負けってコトだね」

類「シビアだね!」



礼子「さてさて……簡単に決着がつくかしら」グビグビ

翼「すいませーん! 唐揚げとチーズ巻き追加お願いしまーす!」

志乃「ワインも追加してくださる? ……あら、ボウヤも飲みたいの? でも、ダメよ」

朱雀「すすすスマネエ!! 成人してねえんでさささ酒に付き合えねえで!! か、代わりにアレだ!! 小岩井コーヒーとメッツコーラ飲むぜぇえええ!」

次郎「あがらないあがらない。しっかしキミ達、よく飲んでよく食べるねぇ……おじさんもう胃が持たれてきてるよ」


――

――――


志狼「問題は作ってるか?」

直央「うん!」

かのん「しろうくん、だいじょうぶ? なんか頭ぐらぐらしてるよ?」

志狼「大丈夫……もたせる! キアイ入れていくぜーっ!!」



晴「ここまでもつれるなんてな……だが勝つのは、オレらだ」

桃華「さあ! いきましょうみなさん!」

ありす「ええ! あの男子達に勝って、胸を張って帰るんです!」



四季「後れを取ったらそこで終了! ギリギリマッチ!! テンション上げて――!」

志希「アイドル達のプライド賭けてー、シナプスはじけさせて――――」



「「 ゴーっ!! 」」


かのん「もんだ~いっ、『雪の結晶とか、トナカイとか、モミの木とか、北欧を感じさせるモチーフや幾何学模様を使った柄のことをなんていうでしょう』!」

晴「きかがくもよう……?」

桃華「ノルディック柄……ではなくて?」

かのん「あ、正解!! すごいすごい!! ちなみにルースコスタっていう点描の柄もノルディック柄に」

直央「わぁ! かのんくん、ストップストップ! 服のことになると止まらないよ~!」



ありす「ではこちらからの問題です。『ミステリ界にフェア・アンフェア論争を引き起こしたことで有名な「アクロイド殺し」ですが、この作品は犯人をある意外な人物に設定しています。ではこの作品の犯人と性質を同じくする犯人が登場する、ウィルキー・コリンズが著した作品の名前は?』」

志狼「なげーな……問題がよ。もうちょっと分かりやすくつくれねーの?」

ありす「べ、別にいいでしょうっ。さあ答えてください!」

直央(ウィルキー・コリンズ……確かイギリスの劇作家さん……代表作に推理小説作品があったはず。しろうくんが段々力を落としてきてるからボクが答えないと……!)

直央「The Moonstone……『月長石』です!!」

ありす「そうです! 正解です! よく知っていましたね!」



・・・


菜々「ちょっと思ったんですけど……あの子たち、もう絶対ナナより頭いいんじゃないでしょうか……」

あい「……私はまだ後れを取っていないはずだ。まぁ、解けないクイズも何問かあったが」

翼「かのんくん服の事になるとすごいなぁ。流石だなぁ」


春名「アクロイド殺しの意外な犯人と同じって……つまり、どういうこと?」

玄武「ネタバレになるんで言えねえな。いつか読んでみるといい……アガサ・クリスティのアクロイド殺し、ネタバレ無しに読めるのは羨ましいぜ」

文香「ふふ……そう、ですね。わかります。……私ももろもろの予備知識を消してから、もういちどまっさらな状態でアクロイドと月長石を読んでみたい……です……」

玄武「アンタ、推理小説を嗜むのかい? そりゃいいや。オレは古典から潰していったんだが、複雑極まる作品が多くてよ。社会派でも新本格でもいいから現代もので良いの教えてくれねえかい」

文香「そうですね……一度私の叔父がやっている書店にいらっしゃいますか……? 良ければいくつか用意しておきます……」


早苗「負けるなー、女の子ー!!」

英雄「いけっ! 勝つんだみんな! もう勝ったら、勝てる状態なんだからよ!」

真奈美「しかし、あの少年少女諸君……」


『正解ーッ!!』

『女子も正解ー! すげー! 両者一歩も譲らない!』


真奈美「あの知性と緊迫の瀬戸際でよく解く」

道夫「ここまで白熱するとは想定していなかったな」




・・・



番組P「いい勝負だ。……なんて、いい勝負だ」


『アイドル・デスマッチ』

互いに問題を出し合い、答え合う。


――元々、このクイズ番組はこの形式のみだった。



テレビ局の局長が変わった影響で番組編成が見直された時、このクイズ番組は打ち切るかどうかの岐路に立たされた。

そして番組プロデューサーである私はなんとしても継続させる方を選んだ。

多様なコーナーを設け、出演者を増やし、見て楽しいショーと姿を変えることで…………延命し、人気を得た。

成果は数字として表れて。今では年末特番を組めるまでになった。


結果論になるが、アイドルを起用する以上、そちらの方が適切なつくりだったのだろう。



スポンサーにゴマをすり、事務所にへつらい、視聴者に媚びて。

時には結果を操作した事さえある。



だが……往々にして浅学の謗りを受ける“アイドル”の彼女らが、純粋な知性の閃きを見せつけた時の興奮を……私は感じてもらいたかったのではなかったか。

ああ、私は臆病者だったのだ。あの硬派な音楽番組オールドホイッスルがバラエティの要素を入れてまで、延命した事に焦りを感じて。

なんとしても番組を守ろうとして……作り手としての信念まで売ったのだ。



だが今のあの子たちはそんなくだらぬ背景を打ち破って、『アイドル・デスマッチ』を本来の姿に戻してみせた。


――やってくれ。とことんやりあって覇を競え。小学生アイドル諸君。


君達は……情けない大人など気にせずに、存分に夢を魅せるのだ。



番組P「がんばれ……っ! ………………そして、すまない……」






直央「えーっと、『円周率で小数点762桁から始まる、6個9が連続する並びのことをなんという?』」

ありす「9,9,9,9,9,9,――その他いろいろ(アンド・ソウ・オン)。『ファインマン・ポイント』です。有名ですね」



桃華「『「ポーランド風の」という意味の言葉で、ショパンも曲を書き下ろしたことで知られる、ポーランドの三拍子の舞踊曲のことをなんというでしょう?』」

直央「あ、これ都築さんが言ってた……!」

かのん「『ポロネーズ』だよねっ!」






エムP「すごい……」

モバP「これで小学生か……」


――……

――――…………


才気煥発。繰り広げられる応酬に観る者は湧く。




律子「私の知ってるアイドル・デスマッチが戻ってきたわね。これよ、これ!」





絵理「すごい……あの子たち、こんなに高度な問題を出して……それで、解いてる。ふふ……うかうかしてられない?」





長介「もふもふえんーっ!! 女子なんかに負けるなよーっ!!」

かすみ「き、きっとありすちゃんたちが勝つよ! ね、お姉ちゃん」

やよい「うーん……きっと、いっしょーけんめいな方が勝つんじゃないかなーって」






みりあ「ありすちゃんたち、がんばってー!」

千枝「ふふっ」


千枝(ねえ。ありすちゃん。千枝たち、いい世界にいるよね)

千枝(頼りになるお姉ちゃんたちがいて、カッコいい大人の人たちがいて、仲良しな友達がいっぱいいて――それで、飽きないライバルさんもいて)

千枝(アイドルをぜーんぶ包み込んでる神さまがいるのかは分からないけれど、もしいたら、私達も直央くんたちもきっとその神さまの同じ手のひらにいるんだと思う)

千枝(それで、全力で戦える相手も、いっしょに支えあえる友達も、同じ世界の中にいるなんて……とってもステキだって千枝は思うの)


千枝「なにが幸せか……千枝、ちょっとわかったかも」


千枝「がんばって! 応援してる!」




――

――――


輝「まずいな……長引き過ぎだ」

翼「え、どうしたんです? 放送時間の事ですか?」

輝「まあ、それも心配だけどよ……志狼、ピークを越えてガンガン記憶した知識を忘れてきてる」

龍「えっ! そんな!」

信玄「こんな放送終了前までせめぎ合う前に……せめて得意だと言っていたあの早押しの時に趨勢を決しておくべきだった……」

桜庭薫「一夜だけの仮初の強さが剥がれて消えるか」

レナ「…………決着はあっさりとつきそうね」

・・・


志狼「………………」

ありす(志狼くん、ずっとうつむいてます)



勉強術と併用しない記憶術なんてしょせんは付け焼刃。


志狼はムリヤリ詰め込んだ膨大な知識を今この瞬間にも忘れていっている。



ありす(さっきからあくびをかみ殺したみたいに目に涙を溜めているのは……急な眠気のためでしょうか。おそらくそれは一夜漬けの反動)

ありす(山籠りなんて……そこまでして私たちに勝ちたかったんですか?)

ありす(……そのガンバリだけは認めてあげてもいいですが)



志狼「……問題、だ。そろそろ優勝を、もらう、ぜ…………」

ありす「えっ」

直央「しろうくん! だいじょうぶなの!?」

志狼「ん…………へへ、ありす。礼を言っとくよ…………問題を理解、できて……答えをみちびき……あれ? ああ、そうだ答えがわかるってのはキモチいいんだな……」

ありす「『アルジャーノンに花束を』のチャーリーですか、あなたは。語彙までなくなってきてるじゃないですか」

志狼「う、うるさい……! 問題、いくぜ」

晴「――おい、ありす集中しろ! 多分志狼がなけなしの全力をふりしぼってくるぞ!!」


志希「おおーっ!? ここまで長引いたこの勝負もついに決着がつく予感!!」

四季「さあ! 問題どーぞっ!! スピーディーに出題するっす!!」


志狼「――オレ達もふもふえんが秋のキャンペーンでキッズショーに参加した遊園地の名前は?」


ありす「は?」

桃華「それって……個人的なことに関するクイズでは!?」

志狼「オレらはアイドルだ…………芸能問題だよ」

志希「んー、だね。公開情報だもんねー♪ オーケーだよ!」


ありす「なんですかそれ! ず、ずるくないですか!?」

志狼「ずるくねーもーん!」

ありす「あ、わかりました! これ宣伝にするツモリですね!? なんてあざとい!」

志狼「あ、あざとくねーよ!! あざといアイドルなんてアイドル失格だろうが!!」


――ドンガラガッシャーン!



直央「あの、多分もうしろうくん、色んな知識が抜けちゃってて自分達に関することしか問題作れないんだと思います……」

晴「おい……わかるか?」

桃華「今思い出しております……わくわく遊園地というイベント名でしたかしら」

ありす「あ、あれですか? もしかして139㎝さんがジェットコースターに乗れなかったっていう悲しい思い出をつくったところですか?」

志狼「て、てめっ!! なんでそんなとこだけ!?」

ありす「ちなみに私は141㎝なのでそれには乗れますね」

志狼「聞いてねーよ!! ケンカ売ってるのかよー!」

四季「あーあー、ケンカは番組終わってからっすよ!!」



ありす(……でも名前、本当になんでしたっけ。私、遊園地に連れていってもらった経験が豊富だというわけではないですし……その方面に明るくはありません)

晴(んー……もふもふえんがイベントやったってことは知ってんだけど、なんでか遊園地の名前が出て来ねえ。ホントに公開されてたか?)

ありす(志狼くんが躍った場所)



ありす(どうして名前が出てこないんです)

ありす(もしかして――私は無関心だった? もふもふえんに……いえ、橘志狼という人間に)


ありす(私は、志狼くんがバッタを模した衣装で踊っている雑誌を見たことがあったはずでした)

ありす(その時私は……手にとって、ページをめくって、記事を読んで…………)



――ってなんで私が志狼くんの事を気にしなきゃいけないんですか!!



そうです。橘志狼の情報を集めている感じにとても腹が立って、途中で読むのを辞めたんでした。




ありす「…………」

ありす(あれはしょうがないです。ええ)





――『わかりません』


――『女子チーム不正解ー――っ!!』


きっとその問題を出したのは。志狼くんが載っていた雑誌を読まなかった引け目がほんの少しだけあったからだと思います。

知ろうとしなかったこと。

反発して頭から追いやったこと。


恐らくは私の言葉に発奮して山籠りまでした志狼くんに、ちょっぴりだけ悪いという気持ちがあったのです。



だから私は。


志狼くんが答えてくれなければ、例え時間切れで番組が終了しても『お互い様』で終われると思って……心の帳尻を合わすために、この問題を出したのでした。





ありす「『「幻想公演 黒薔薇姫のヴォヤージュ」で館の三姉妹として登場した3人のアイドルの内、一番身長が高い人は?』」

↑ミスです


四季「やったっすね野郎ども!! これであとはこっちが答えりゃ優勝っすよ!!」

直央「ははは、なんか、ちょっと心にくるリードですけど……」

かのん「正解はドリルランド、だよっ」


参考資料(パンフレット)
http://i.imgur.com/vsCQVyn.jpg



桃華「くっ! ここで答えなければ負けてしまいますわ!!」

晴「難問を出さねーと!」

桃華「教養を試す問題は答えられてきましたから……やはりわたくしたちも志狼さん達と同じように!」

ありす「はい、今度はこちらの番です!!」


志狼「ぐ……っ」ガク

直央(あ、さっき橘ありすさんとのケンカで目が覚めたと思ったのに……また眠りかけてる! はやく終わらせなきゃ!)



モバP「乗り越えるか、それとも……」



ありす「では問題です――」



きっとその問題を出したのは。志狼くんが載っていた雑誌を読まなかった引け目がほんの少しだけあったからだと思います。

知ろうとしなかったこと。

反発して頭から追いやったこと。


恐らくは私の言葉に発奮して山籠りまでした志狼くんに、ちょっぴりだけ悪いという気持ちがあったのです。



だから私は。


志狼くんが答えてくれなければ、例え時間切れで番組が終了しても『お互い様』で終われると思って……心の帳尻を合わすために、この問題を出したのでした。





ありす「『「幻想公演 黒薔薇姫のヴォヤージュ」で館の三姉妹として登場した3人のアイドルの内、一番身長が高い人は?』」





――そして、もちろん打算もありました。

“知らない”と答えてくるだろうと思ったのです。


直央「えっと……!」

かのん「なおくん! わからない?」

直央「ご、ごめん!」



志狼「………………」


志狼「雪美、小春といっしょに出たアイドルだ」


志狼「ドレス着て出てたヤツ」


志狼「セリフがあったのは雪美だったけど……しっかり笑ってた」


志狼「オレはあんま見たことない笑顔だったなー……」


志狼「まぁ……顔合わすとケンカばっかだしな、オレら…………」




志狼「なぁ。141㎝でジェットコースターに乗れる…………『橘ありす』…………!」




・・・

一瞬の静寂。


信玄「…………」

晶葉「…………」

輝「…………」

楓「…………」





そしてその静けさはテレビから響いてきた音声によって破られて




――――『チャンピオンチーム決定ー――――っ!!!!!』



オオオオオオオオオッッ!!!

歓声が湧き上がった。




隼人「おお!!! やったー!!!」

春名「いえーっ!!」ハイターッチ!

夏来「いぇい……?」パンッ

朱雀「よっしゃぁああああっ!!! それでこそオトコだ!!!」


旬「ふーっ」

真奈美「……番組終了ギリギリでケリがついたか」

桜庭薫「この辺りの時間の取り方はさすが芸歴が長いもふもふえんといったところか」

翼「もうっ! 褒めるとこはそこじゃないでしょ!」

類「イエーッッ!! さあみんなグラスになんでもいいからドリンカブルな液体注いで!! カンパイしよう!!!!」



志乃「そうよ。祝杯でしょう? どうぞどうぞ先生方」ドボドボドボドボドボドボ

次郎「あ、ちょっ、だめ。そんなもっのすごい勢いで注がないで。おじさん急性アルコール中毒になっちゃう」

早苗「おりゃー、飲まんかい!! 敗者の涙を飲み干す勢いで!!」ドバドバドバドバドバ

英雄「早苗先輩! アルハラですからねコレ!! ……オレなんかしましたか」

朱雀「プロテインドリンク飲むか、玄武? いっぱいあっからエンリョすんな。そこの前髪長い姉ちゃんもどうだ?」

文香「あの……いえ、私は」

玄武「俺だけもらおう。文香さん、悪いな。……烏龍茶おいておくから」

文香「あ、はい……ありがとうございます」


次郎「もー、いい結果なのに居心地悪いよこれー。総選挙結果発表のステージで高校生の中に放り込まれた時と同じ気分だよこれー」

菜々「ああ……その気分、すっごくよく分かります…………ってナナは17歳ですって!!」


レナ「よくがんばったわ、みんな」

みのり「うん、あの水谷絵理対秋月律子第三回戦に匹敵する名勝負だった! みんなを讃える気持ちを込めて……」



「「「   カ   ン   パ   ー   イ   っ   !   !   !   」」」


――

――――


直央「しろうくーん! ねえ、大丈夫っ!?」

志狼「――」クカー

かのん「寝ちゃってるね」

エムP「特訓の反動か……まったく、しまらないなぁ」

かのん「しろうくんらしいけどね!」



ありす「…………公式プロフィールで雪美さんは137㎝、小春さんは140㎝……そして、私は――」

桃華「……わたくしもまさか答えられるとは思いませんでした。あなどっていたのですわね」

晴「泣くなよ、ありす、桃華」

ありす「泣きませんよ。協力してくれたみなさんに申し訳ないという気持ちはすごくあるんですが……そんなに悔しくないんです」

桃華「また」

晴「えっ」

桃華「リベンジしてあのトロフィーを奪還しましょう。必ず!」

晴「お、おう! そーだな!」

ありす「もちろんです」


志希「オキシトシン、アタマに湧いて出てきてるー♪ んふふ、いーね、あの子たちっ! あ、しきわん司会おつかれにゃーん!」

四季「おつかれっすー!! いやー! オレら大活躍だったすね!! またどっかから司会のオファーくるかも! そうなったら困るぜ―! オレらバンドが本業なのになー!!」


モバP「終わりましたね」

番組P「……ああ、終わりました。私にとってはまた新しい始まりですが」

モバP「へえ?」

番組P「また…………方針を見直すことにします」


モバP「そうですね! それがいいと思いますよ! 普通に競い合うだけで面白いんですから! そうだ、次は高校生アイドル同士とか、20歳以上限定のオトナアイドル同士の戦いなんてのはどうです!!」

番組P「……! いいですねぇ! その時はぜひまた魅力的なアイドルを出場させてください!」

モバP「はい! ぜひ! やられっぱなしは嫌ですからね!」



晴「おーい!! プロデューサー! 頭使いすぎて甘いモンが食べたい!! どっか連れてってくれー!!」


モバP「お、おう! でも、もう遅いからなー」

晴「いいじゃんか! 午後8時過ぎたら働いちゃいけないってだけだろ! 打ち上げはオッケーだろ!」

かのん「あ、いいな~。かのんも甘いものたべたーい」

直央「え、でも……」

エムP「う~~~ん、親御さんに一度連絡とってみるね。それでもしOKでたら優勝祝いにパフェでも食べにいこうか! 今日だけ特別で!」

かのん「わー! やった~!!」

ありす「……行くとしても、志狼くんは寝かせておいてあげてくださいね。後で食べたパフェの感想でも聞かせてあげれば喜ぶんじゃないでしょうか」

桃華「ありすさんったら」






――『アイドル・デスマッチ』小学生部門チャンピオン決定戦


【優勝】男子チーム


【メンバー】
橘志狼

岡村直央

姫野かのん


問題レベルの高さ、劇的な展開、奔放な司会、ツイートによる双方向性、懸命に解答する子ども達のひたむきさなど多数な要因がからみ、今回の決定戦は番組最高視聴率を叩きだしたという。


そして年が明けて

――――

――――――

神社



市原仁奈
http://i.imgur.com/n5wiFdA.jpg



仁奈「おー! あけましておめでとーごぜーます!!」

かのん「あ、になちゃーん! あけましておめでとーっ!! えへへ、今年もよろしくね!」


志狼「げっ」

ありす「あっ」


晴「よー! もふもふえん! 冬休みもあとちょっとだな!!」

直央「うん。あの、あけましておめでとうございます」

桃華「おめでとうございます……今年中に、あなたたちからチャンピオンの座を奪って見せますわ! 覚悟しておいてくださいましね!」

直央「は、はい……!!」


志狼「なんだよ……晴と桃華はいいとして、なんでありすと神社で会わなきゃいけねーんだ!」

ありす「な! 新年早々失礼ですね! 私たちは新年の祈願にきただけですよ! あなたもそうじゃないんですか!」

志狼「オレはカフェパレが配ってる甘酒飲みに来ただけだし……それに、てる達が大祈願祭ってのをやってるって聞いたから見に来ただけだっての」

ありす「そうですか。……甘酒目当てって意地汚いですね」

志狼「べ、べつにいいじゃんかよ!」



ありす「…………まぁ、こんにちは」

志狼「…………おう」

ありす「…………」

志狼「……だーもーっ! なんだよ! オレの顔に何か付いてるか!?」

ありす「ああ、『イエーッ! オレらチャンピオンだぜー!! オンナどもをぶちのめして優勝したぜー!』とか、自慢しないのかなって。まだ勝ち誇ったセリフをあなたから聞いていませんから」

志狼「言うかそんなこと!」

ありす「言いますよあなたは」

志狼「断定すんなっ!」

ありす「……前のドッジの時は私の精神を逆なでするみたいに跳びはねて喜んでたでしょう」

志狼「あー……くそ、あれとは今回ちょっと事情がチガうんだよ……!」

ありす「事情?」


直央「あのね、しろうくん早押しクイズが終わったあたりから全然記憶ないんだって」

晴「え、マジかよ!」

ありす「えっ……」

志狼「覚えてんのは忘れていったカンカクのことだけだぜ、もう。ガンガン覚えていったことが消えまくってたやな感じしか覚えてねえ。なに言ってなに見たかもぜんぜん記憶にねーんだ」

桃華「ああ……あの語彙が少なくなってきた時ですわね。あの時頭の中そんなことになっておりましたの」

ありす「それじゃあ……最後の問題、ちょっともったいぶってカッコつけて答えたことも覚えてないんですか?」

志狼「覚えてねーけど! そんなキザっぽくやってねーだろ!」


仁奈「見てくだせー! 『大』の字を引いたですよー!!」

かのん「わーっ! さすがになちゃん! よし! かのんもひいてお揃いにする!」


ありす「……そんな状態で問題出して、こっちからの問題も答えたんですか。それじゃあ今、詰め込んだ知識ぜんぶ忘れてしまってるんですね」

志狼「わりーかよ。でもあの勝負に勝つためだったからいいんだよっ」

ありす「――ガンマ線と電波。波長が長い方の電磁波は?」

志狼「ハァ、波長?」

ありす「……。ドストエフスキーの作品を一つ挙げてください」

志狼「ど、どすとえふすき~? あ、知ってるぞ! あれだ! 戦争となんとかってヤツ!」

ありす「戦争と平和はトルストイです。本当にバカに戻っちゃったんですか」

志狼「バカ言うなっての!」

ありす「あ、すいません……つい」


ありす「最後のアイドル・デスマッチの時もこんな風に知識が抜け落ちていたなら、どうして最後『橘ありす』と答えられたんですか。変ですよ」

直央「あの、多分……しろうくん執念燃やしてたからだと思う。ありすさんを見返すぞって思う気持ちで山籠りしてたから、ありすさんに関することは中々忘れなかったんじゃないかな」

ありす「え…………」

桃華「執念ですか。わたくしたちも次戦う時はそれを持たないといけないかもしれませんわ」


ありす「志狼くん、私の身長わかりますか?」

志狼「んだよ、さっきから」

ありす「いいから答えてください。あなたには貸しがあるんですよ、チケットの」

志狼「まだ言うのかよ…………そーだな、ぱっと見138㎝?」

ありす「自分より1㎝小さくしないでくださいっ! ……番組中の情報まで抜け落ちてるみたいですね」


ありす(勝ち誇ってくるようなら、また論破しようもありましたが……これでは)


ありす「私の身長は141cmです。ジェットコースターに乗れます」

志狼「なっ! それがどうしたんだよっ!」

ありす「自己紹介の一環ですよ。あなたを……そうですね……ライバルになり得る人だと認識してあげます」

志狼「はぁ? ライバル」

ありす「今度あなたと戦う時はちゃんとあなたを見てあげますよ。……そうすれば、きっとクイズだって私たちの勝ちだったんです」

志狼「なんでそんなエラそーなんだーっ!?」


晴(もふもふえん……志狼が躍った遊園地の名前を知らなかったことが今回の負けの原因のヒトツだから……こりゃ、ありすの反省なんだな)

晴(まあ、こんな言い方できねーのかよって思うけど、それもあいつららしいか)


かのん「きぐるみじゃなくてもカワイイふくいーっぱいあるよっ!」

仁奈「おー! ちょっとずつ試してみるですよ!」


志狼「ってか、ありす、オレにあやまれよ!!」

ありす「は? なぜ謝らなくちゃいけないんです……」

志狼「オマエがなぁ、『橘ありす』を答えなんかにしたから、問題解いたオレ『ありす博士』って言われたんだよ!! ジョーダンじゃねーよ!」

ありす「なっ……!」

志狼「どうしてありすなんかの知識をつけなきゃいけねーんだよ!! ガッコウでからかってくるヤツいたらお前のせいだからなー!!」

ありす「なにを……!! それについては、こっちだってあなたに解かれたせいでヘンな誤解の種になっているんですよ! どうしてくれるんですか!」


桃華「お二人とも! 神社の前でケンカなどしてはいけませんわ!」

晴(で、こーなる)



ギャーギャー!!


楓「あら、みんな……なにを騒いでいるの?」


高垣楓
http://i.imgur.com/mjGXGUe.jpg


桃華「あ、楓さん! その……B型男子とA型女子は相性が悪いようで」

晴(オレも桃華もA型だけどな)

直央「アハハ……すいません」


楓「ねえ、二人とも……そんなに元気があるなら、またクイズやってきたらどうかしら?」

志狼「え」

ありす「クイズって……なんです?」

楓「もうすぐ境内の広場で、子どもだけ参加できるちょっとしたクイズ大会があるの。遊びみたいな感じなんだけど、新年の羊にからんだクイズを解いていったら賞品が出るみたい」

ありす「新年の催しごとですね」

志狼「べつに出てもいいけど」

楓「そう、良かったわ……私もやろうとしたらダメだと言われてしまったから、誰か代わりに参加してほしかったんです」

晴「いやなにしてんですか、いいオトナが」


志狼「そっか。まー任せろ、ねーちゃん! オレ早押しは得意だぜっ!」

ありす「正解しないと意味ないですよ。……覚えたことゼンブ忘れてしまっているでしょうあなたは」

志狼「ち、チームで勝てばいいだろ!! なお! かのん! 行くぞ!!」

直央「え、ボクも!? あんまり人が多いとこで目立ってだいじょうぶかな……」

かのん「かのんヒツジさん好きだから、いっぱい答えられるよ!」


かのん「そーだ! になちゃんも行こー?」

仁奈「しょーがねーですねー! キグルミなくてもヒツジのキモチになれるってところを見せてやるですよ!」


ありす「子どもな……」

桃華「さぁ!! ありすさん、晴さん! 参りますわよ!! 早速リベンジの機会に恵まれるとは今年は幸先いいですわね!!」

ありす「えっ! そんなホンキになるとこですかコレ!?」

晴「商品サッカーボールとかだったりしねーかな……オレ、トロフィーよりそういうのがいいや」

ありす「ちょっと、二人とも待ってください……まだこの服動きづらくて……」


志狼「バカだなありす。着物なんか着てくるからただでさえ遅い足がもっと遅くなるんだよ」

ありす「……あなたはっ!! 振袖姿の私にそれしか言うことないんですか! ほんとに子どもですね!」

かのん「あ、履物もちゃんと振袖草履にしてるんだー。こういうのはトータルコーディネートじゃないときらきら~ってならないもんね!」


志狼「おぶってやろうか?」

ありす「この衆人環視の中でそんな仕打ちを受けさせるつもりですかっ」



コドモタチ アツマレー!! クイズヲ ハジメルヨー!!

ワァアアアアア フヒヒ オオオオオオッ


晴「やべっ! もう始まるぞ」


志狼「しょうがねーな、晴! ありすの足持ってくれ! オレは上持つからよ!」

晴「おーけー」グイッ

ありす「ちょっ!? なにをするんですか!?」

晴「わりーな。でも暴れねー方がいいと思う。着物ってシワになったら困るんだろ?」タッタッタッ

志狼「はーい! すんませーん! 一名様通りまーす!」タッタッタッ

ありす「あ……運んでくれるんだ……って! おかしくないですか! こんな強制連行!」

晴「もふもふえんの連中にリベンジしたいだろ? だったらちょっとガマンしてくれ!」ダダダダーッ

ありす「それは……そうですが、だからってこんな……っ! ――ちょっと!! 速い! 速いです!!」

志狼「急げ急げ―!」ダダダダーッ


直央「うわぁ……なんか、すごいね……」

仁奈「仲いいですねー!」

桃華「で、ですわね。さて私達も急ぎましょう!」

かのん「振袖くずれてたら直してあげよーっと!」


楓「うふふ……いってらっしゃい」



志狼「まったくよー! 振袖着て大人ぶりたいなんて、ありすはガキだなーっ!」

ありす「こ、こ、こ、こっちの!! セリフです!!!」





完!

ようやく終わったー。難産だった。展開4回ぐらい没にしたし

お祭り騒ぎの雰囲気が大好きです
でも次はもっとさらっと書きたい

お付き合いありがとうございました

SideM今回のイベントなんだこれ。まいたると都築さんのカードにまた志狼映ってるよ!
いったいどれだけ背景に出りゃ気が済むんだ、もっとやれ

しかし危なかった…志狼がSRに何回でたかっていう問題も作ってたけどやらんでよかった…

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