憂「夜の夢こそ…」梓「ちがうってば?!」 (15)


おおひろま!


梓「うーん・・・さすがにホテルのモーニングは違うなぁ」モグモグ

憂「ねえねえ、梓ちゃんスクランブルエッグたべた? すっごいよ」

梓「えっまだだけど・・・って、ここ人前だからっ、」

憂「えーおいしいよー? 一回ケチャップつけないで食べてみなって」うりうり

梓「うぅ・・・あむっ・・・・・おおっ」

憂「ね? すっごいなあ、プロだよねー」


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梓「・・・憂のもそれなりじゃん。甘さとか、絶妙でさ」

憂「んー・・・お砂糖の甘さとはちがうかな・・・バターいいの使ってるのかも」モグモグ

梓「・・・・・」

憂「・・・ほえ?あずさちゃん?」

梓「あーうん、なんでもない。ってか研究熱心だよね」

憂「んー、職業病?ってかんじ? えへへ」

梓「あー。いつもお姉ちゃんに作ってあげてたから?」

憂「うん、最近でもお父さんたちや梓ちゃんのお弁当作ったりするもんね」

梓「あ・・・うん。ありがと」


憂「ねぇ梓ちゃん、このソテーどう思う?
  梓ちゃんはちょっとしょっぱさ薄めの方がすきだよね?」ズイッ

梓「え、あむっ・・・・・うん、そうだね。ってか、そんな気にしなくたって」

憂「あ・・・ごめんね。せっかくの旅行なのに」しゅん

梓「・・・ま、まあ次のお弁当期待してるから! 楽しみだからっ!」

憂「・・・うんっ!」

梓「えーとそれで、ええっと・・・そだ、昨日の舞台どうだった?」

憂「すっごく楽しかったぁ! あの落ちはびっくりだよね、昨日も話したけど」

梓「夜中の二時近くになってたもんね、話してたら・・・」


憂「ひさしぶりにうーーんと夜更かししちゃったね」

梓「あっそうだ聞いて憂、あの落ちって要は夢落ちだったわけじゃん?」

憂「うんうん」

梓「わたし朝起きたらベッドの隣に憂がいて、すごいびっくりしたよ」

憂「えへへ、なんだか、そばに梓ちゃんがいると、抱きしめて寝たくなっちゃって」

梓「いや、そうじゃなくて・・・ええとね?夢だと思ったの、憂がいるのが」


憂「・・・・・あは、梓ちゃんも夢落ち?」

梓「そうそれ! なんか最近変な夢みること多かったから、よけいにね」

憂「へえ、どんなどんな?」

梓「ほら、焼きそばウォータースライダーとか話したでしょ? あとホラー映画の」

憂「うわ、懐かしい・・・っていうか、それ去年のじゃない?」

梓「よくおぼえてるね・・・」


憂「ほんとはどんな夢見てるの?」

梓「・・・・・昨日の舞台の話なんだけど」

憂「あ、話そらしたー」つんつん

梓「やめて。ほっぺた、こそばゆい」ズイッ

憂「正直にいわないとこうだぞー」つんつん

梓「・・・昨日の舞台でさ、息子さん、役者だったって落ちだったでしょ?」

憂「うん。お父さん、ハラハラものだよねー」

梓「そりゃあ、自分の息子がいろんな国の女と浮気して歩いてたらね」

憂「でも、全部それは舞台の上の出来事でした、っていう」


梓「それでね、・・・憂が将来、どんな仕事してるかなって気になったの」

憂「・・・当ててみて、梓ちゃん!」

梓「それ、正解分かるの遅すぎない?」

憂「でもいずれ分かるでしょ? だったら今から当ててみてよ!」

梓「そこまでわたしと居るのは前提なんだね・・・」

憂「ちがうの?」

梓「ちがってないけど。うん。・・・ええと、看護婦さん?や、看護師、だっけ?」


憂「あー。むかし律さんに言われたことあるかも」

梓「・・・律先輩と同じかぁ」

憂「え、やだった?」

梓「いや、あの人みてないようでいろいろ見てる人だし・・・うーん、でもくやしいな」

憂「わたし、それ聞いて、なんかいいかなって思ったの」

梓「結構ハードワークだって聞くよ? そりゃあ、イメージに合うけど」

憂「うーん、でもわたしは誰かが元気になる仕事って、いいなって思うよ?」

梓「そうだね。・・・合ってるかも」

憂「うん。じゃあ今度の進路希望調査で――」

梓「待って待って待って!! 決断早いってば!? ていうかわたしと同じだいが」


憂「もー、冗談だってばぁ」

梓「憂のは冗談に聞こえないんだって・・・」

憂「それで、梓ちゃんの夢は?」

梓「・・・PAとかミックスとか、いずれ音楽関連で食べていけたらって」

憂「もう、それは知ってるの! そっちじゃなくて、寝てたときの夢っ!」

梓「逃げられなかった・・・!」


憂「さあさあ、おじょうさん、早くはいちゃいなさい?」つんつん

梓「・・・いや、ウインナーでつんつんするのはさすがに油が、」

憂「あっごめんね、つい」フキフキ

梓「・・・私たち、すごい子どもっぽく見られてそう」

憂「せっかくドレス着てきたのにねー、あはは」

梓「今は着てないもんね・・・」

憂「さあさあ白状しなさい、梓ちゃんの夢」

梓「って、どうしてそんな聞きたがるのさ」

憂「えっ・・・いや、なんとなくだよ、うん」


梓「はぁ・・・・憂がね、」

憂「うん」

梓「・・・逮捕してた。わたしを」


憂「・・・・・・げほっ、こほっけほっ」

梓「ちょっ、水あるよ?!」


憂「ごくごくっ・・・・・ああごめん梓ちゃん、ええとなんだっけ」

梓「・・・うん。もう忘れて」

憂「わすれらんないよ?! あー・・・そっか、そうだね、たしかにうん・・・」

梓「・・・何を納得してるのかわかんないけど、すごい怖いんですけど」

憂「えっいや、なんとなくだよ、うんっ」

梓「それ聞いた!ってか顔が“なんとなく”って言ってない!」

憂「どうしてそんな聞きたがるの!?//」

梓「それわたしの台詞! ていうかそんな恥ずかしい話なの!?」


憂「・・・・・・梓ちゃん、ちょっとこっちきて」

梓「えっ・・・あ、はい・・・・・」

憂「・・・・・・///」

梓「・・・・っ・・・///」

憂「・・・はい、おしまいっ///」

梓「・・・一生のお願い。昨日の寝言、忘れて///」

憂「・・・・・かんがえておきますっ!///」


おわり。

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