【モバマス】モバP「ちひろにR-18な復讐をする」【R-18】 (73)



スレタイママ
まずはケミカルなお仕置きでちひろをいじめる話



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419600499


●00



CGプロダクション――芸能界では新興勢力であるものの、
既に“国民的”と呼ばれるアイドルを何人も輩出し、
驚異的なペースで存在感を増している芸能プロダクションである。

『そうですね! 素晴らしい成功です。
 でも、栄光が眩しいだけ、陰もまた深くなるものですよね』



一見順調に見えるプロダクションだったが、急激な成長の裏には、歪みも生じていた。
躍進を支えている要因は、プロデューサーたちの常軌を逸した営業攻勢であり、
それはアシスタントという不可解な肩書を持つ女・千川ちひろの強権によるものだった。

『このプロダクションは、ちひろさんが仕入れてくるいかがわしいドリンク使って、
 プロデューサーさんたちの気力、体力……お金まで搾り取って、のし上がったんです』



プロダクションの中は、怨嗟の声が日に日に高まっていた。

『こんなやり方に、いつまで甘んじるつもりですか?
 プロダクションは、あなたたちを使い倒して、生ゴミのように捨てるだけです』

ギリギリまで激務に身を捧げた挙句、脱落して廃人となるプロデューサーが出始めた。

『あなたたちには、ボロボロにされた心と体しか残らないんですよ?』



それでも、CGプロダクションは変わらなかった。

『そうなるぐらいなら、いっそ――』


●01



―――――――――――





深夜のCGプロダクション事務所。
200人近いアイドルを抱えている大所帯のビルも、
照明が点いている部屋はごくわずかとなっていた。

そのごくわずかの内の一室。
椅子と机、その上にはパソコンや書類、筆記用具が置かれている。
何の変哲もないオフィスの風景で、今その部屋に居る人間は二人きり。



「プロデューサーさん、あなた、何かしましたね……?」
「へぇ、もう気づくなんて。ちひろさん敏感ですね。それとも、この手のシロモノにお詳しいとか」

二人のうちの一人、Cute属性担当のプロデューサーは、平角の香水瓶らしきものを取り出した。

らしきもの――二人の内のもう一人・千川ちひろは、それを香水瓶かどうか疑った。
形は香水瓶ではあるが、成人男性の手にあまるほど瓶が大きく、
中で揺らめく半透明の液体は、香水に似つかわしくない鮮紅色だった。



「なんですか、その毒々しい……香水は?」
「毒々しいですか? コレ、スタドリやエナドリを元にして作ったって、アイツ言ってましたよ」

ちひろの疑わしげに細められた目が、はっと見開かれる。
ちひろの内心で、ただならぬ予感が確信に切り替わり、足が反射的に部屋の出口へ向かう。



「“スタドリやエナドリを元に”って聞いただけで、その反応かい。
 ああ、やっぱそういうシロモノだったんだ。アンタが俺たちに配ってたのは」

プロデューサーの態度が豹変した。

ちひろの遁走を、プロデューサーが入口の前に立ちはだかり、あっさり遮る。
プロデューサーはちひろの反応を予期していたらしい。

「プロデューサー、さん、すいません、ちょっとお花を摘みに……」
「まぁまぁ遠慮せずに。志希印のフレグランスを味わっていきなよ。
 製作者曰く――ヘンタイごっこ、したくなるんだと、さ!」

ちひろが顔を背ける前に、プロデューサーが香水瓶から噴出させた霧が舞い散った。
ちひろは眩暈に襲われ、すぐそばの壁に手をつく。体の変調は、今や歴然となった。


●02

「ぷ、プロデューサー、さんっ、これ以上近づいたら……大声出しますよ?」

壁に手をついたまま、荒い息で睨んでくるちひろを見て、プロデューサーは笑った。

「まぁ、こんな時間でも、他のプロデューサー連中ぐらいは残ってるとも。
 誰かさんが配ってくれたシロモノのおかげで。そのぐらいは知っているさ」
「だったら……んひぁあっ!」

プロデューサーの手が、ちひろの事務員用制服の上から胸を襲った。

「あーあ、ホント悲鳴は可愛らしいなぁ」

平手打ちか鷲掴みか、という乱暴なプロデューサーの手。
肌の下で波打った感覚に、ちひろは混乱する。
痛みをかき消してあまる疼きが、制服の内側に広がる。



「悲鳴なんて言わずに、気持ちいいのなら声をいくらでも出して構わないよ。
 アンタ、性格はガメつ過ぎて反吐が出るほどだったけど、カラダは好みだったんでね。
 だから抜け駆けして可愛がってやることにしたのさ」

ちひろがプロデューサーの呟きを理解する前に、プロデューサーが追撃を見舞い、
彼女は薬効で歪められた感覚に翻弄され、事務所の床に膝をついた。


●03

「んぁ……ああっ、胸、むねは、やめて、くださいっ……」

事務所の床に座り込んだちひろは、背中側からプロデューサーに82のバストを揉まれていた。
揉まれている本人は抵抗しようと、必死で手足を振ろうとしたが――

「ホントは自信あるんでしょ、ソレ。アイドルに張り合ってビキニになるぐらいなんだし」

天才化学アイドル謹製の香水は、ちひろの運動神経を侵していた。
後ろから組み付いてくるプロデューサーの拘束を逃れるどころか、
床に座り込んだまま足をバタつかせるのが精一杯のありさま。



(す、スタドリを元に志希ちゃんが……とか聞いたけど、これ、冗談じゃなくまずい……っ!)

千川ちひろは、焦っていた。
うまく操縦していた、と思っていたプロデューサーの背信。
薬効のせいで、抵抗もままならない四肢。

そして、

「ん……く、ふ、あぁああっ!」

まだ冷静さを残した脳裏を置き去りにして、暴走していく体の昂ぶりに焦っていた。



「これだよこの反応。のの字も書かぬおぼこ娘とは、やっぱり違う」

緑色の事務服の上で、プロデューサーの手が無造作に這いまわっているだけなのに、
ちひろの体は催情していく。指を少しでも立てられると、
肌の下に篭っていた熱が滲みでて、少しずつ汗が乗って、衣擦れに絡む。

「服の上からちょっと胸を弄られただけで、腰が立たなくなってしまったか。ちひろは淫乱だなぁ」
「な、何を――んんんぅっ!」



ちひろが、適当な愛撫にもかかわらず切羽詰まった反応をするのを見て、
プロデューサーは担当アイドルに作らせた媚薬と、
それの原料として渡したスタドリやキャンディの異常さを思い知った。

「アイツ、これはスタドリをちょっと弄っただけって言ってたが。それで、こんなに効くのか。
 とんでもないな。俺らみたいな凡人でも、あのふざけた仕事量回せるわけだ」

ちひろがプロデューサーたちに配っていたアイテムは、人の神経系に強く作用する。
劇薬と言っても差し支えない物だった。



「今まで他人に盛ってきたクスリ、自分が一服盛られたら、怖かったりするんだ」
「発情の副作用があるとは、存じませんでした……プロデューサーさん、アテられてますか」

(ドリンクはムチャを可能にするだけの薬品……それ単体で、深刻な薬効は無いハズ。
 最悪、朝までヤラれる程度。死にはしません。死ななければ、どうとでもなります)

「……こちらも不注意でした。今なら、ただのイタズラと思って、忘れますから……」

プロデューサーは、スタドリ中毒で頭のネジが飛んでしまっている。
少し管理をしくじっただけ。そうでなければ、こんな暴挙には出まい。

(だからこのヒトは、後で適切に処理してあげます……)

この時のちひろは、そう考えていた。


●04

ちひろは、部屋の床に腰を下ろしたまま、緑色の制服を肌蹴させられている。

「ん……う、んうっ……っ」

プロデューサーは、ちひろの“忘れますから”という慈悲深い口上を黙殺して、
ついにちひろの素肌へ指を伸ばしていた。

(んぅう……ねちっこいですね。サカってるなら、とっとと出してくれれば早く済むのに)

「俺、ただ指をつつーっとさせてるだけなのに、そんなに興奮してるんだ」



プロデューサーがちひろの素肌に触れる手つきは、
服を脱がす前と一転して、腫れ物を扱うようだった。

触覚の閾値スレスレの刺激が、薬に侵されつつあるちひろの神経を焦らしている。

「あ……っ、ん、んんっ」
「触って欲しかったのかな」

プロデューサーが、ちひろの背中側で肩口から覗き込むと、
現役アイドルにも引けをとらないちひろの体は、興奮の色を明らかにしていた。

「物欲しげな先っぽだなぁ。水着の時、勃ってなくて良かった」

プロデューサーの手に、心地良い弾力と体温を伝えてくるちひろの乳房。
その頂は血流が集まってしこり、高まってきた肉体のテンションを示す。

「薬のせいですよ……プロデューサーさんは、効いてないんですか」
「もう体が慣れちゃったんじゃないか」



プロデューサーの指が、ちひろの乳輪の間際をそろそろとなぞる。
一周する頃には、床に投げ出されたちひろの両腿が、黒ストッキングごしに力み、
足の指先がパンプスの内側でもぞつく。

「んんぅ……そんな触り方で、面白いんですか」
「普段はこんな手つきじゃないけど、アンタの反応が面白いから」

(うぐ……キマってるとはいえ、私の体、敏感になり過ぎでしょう……?)

ちひろは羞恥心からくちびるを噛んだ。

また一周、プロデューサーの指が肌と乳先の境をなぞる。
ちひろは両膝を落ち着かなげに右往左往させ、パンプスの踵が床を擦る。

「足癖悪いよ、ちひろ」

ちひろは、理性に命じれば声は殺せる。肩から上は、なんとか制御できている。
胸より下は、既に淫熱が燻っていて、プロデューサーの攻めに反射してしまう。

(いい気になって……いいですよ。今ぐらい、いい気分でいればいい)


●05

「んんっ……その、手つき、ダメ、ですってば……っ!」
「……これが、かぁ」

ちひろはくちびるの戒めを外し、艶声を漏らした。
細い首筋から肩にかけて、緊張と弛緩がせめぎあっている。
床に真っ直ぐ投げ出された二本足が、不満気に縮こまる。

「やっ、あ、んあ……あんっ……」

指の一周ごとに、快楽がむず痒さとともに血の巡りに乗って全身を廻る。
ちひろの感覚が張り詰めていく。理性は、それを押しとどめず心の奥へ退く。

(こんな醜態を引きずり出されるなんて……後で、高くつきますよ)

「ん……きゃあっ! ひ、んんああっ!」

十分に焦れたところで、プロデューサーがちひろの乳先に襲いかかる。

(いい気に、なって――んっ、くあぁ……っ!――ヒトの体で、遊ん、で、このっ――)

プロデューサーが指先でくりりと捻ると、ちひろの両脚が床で真っ直ぐ突っ張る。
腿どころか、ふくらはぎの膨らみまで緊張が浮き出る。
パンプスごしにも、足指がくねる様が見通せる。

「お気に召しているようで」

プロデューサーの囁きに、ちひろは頭を振って答えた。
サイドテールが、プロデューサーの頬をかすめた。

「んっ――くうっ、う、あ、ああっ、んああっ! んんんっ……!」

ものの数秒、ちひろが背中を反らせて、それから溜息が溢れ、汗の匂いと混じった。



「ああ、今イッたんだ。あっさりしたもんだめ」
「……ヒトのこと、勝手に弄っておいて、ひどくないですか?」
「よがってたくせに」

ちひろは息が整うと、首を後ろに曲げて、背中側のプロデューサーを恨めしげに見上げた。



(イッた後に波が落ち着くのは素面の時と同じ、ですか)

ちひろは、悔しさと羞恥を面相に貼り付けていたが、内心はほくそ笑んでいた。

(この調子なら、なんてことないですね)


●06


プロデューサーから床に突き倒され、タイトスカートをめくられ、
ストッキングを破られても、ちひろは冷静さを残していた。

(アフターピル、どこにありましたっけ……ど忘れしました、終わったら探しておきましょう)

四つん這いにさせられ、太腿まで陰水に湿っているのを揶揄されても、
ちひろはただの生理現象だと割り切っていた。
そう思うと、プロデューサーの陵辱がただの一人相撲に思えて、相手をする気もなくなった。



一方、プロデューサーも黙ったままのちひろを気にせず、
声もかけないまま無造作に後ろから突き入れた。

「んんっ……! ぐ、ふぁ、ん……っ」
「へぇ。知らなかったけど、いい感じのナカだ」

薬の熱が回っていたちひろの膣内は、プロデューサーのペニスに早くも食いついた。
容姿・才知に優れ、男たちを翻弄して憚らないちひろは、やはりそれだけの男性経験を持っていて、
その肉体は男の扱い方――快楽の貪り方を覚えていた。

「あっ……ふ、う、んんっ、くっ……!」
「シメ過ぎだって、気が、早いったら」

プロデューサーが怯むほど、ちひろの中は入れたそばからざわつき蠢く。
押しても退いても、内壁が熱さと潤みで媚びて、締め付けで追い詰めてくる。
当然その刺激は脊柱を走って、ちひろの意識まで届いている。

が、ちひろの意識は肉体に反して冷めていた。



(どこまで持つか、知りませんけどね……オトコなんて、出せば萎れるもの。
 まして過労状態の疲れマラなら、長持ちするとも思えません)

男を手玉に取ってきただけあって、ちひろは男の習性をある程度知っていた。
性感の波が脳裏に押し寄せても、おぼこ娘のようにうろたえたりしなかった。

(この……暑苦しいの……早く、終わってくれませんかね?)

ちひろは顔を床に突っ伏し、腕で髪を覆った。荒い吐息が事務所の床を這った。
催淫剤に煽られた女体だけが暴走して、プロデューサーの律動に小突き回されながら、宛もなく彷徨う。

(ん……う、く……薬のせい、とはいえ、こんな下手なテクで感じるなんて、癪です)

プロデューサーの動きは、単純で身勝手だった。
ちひろと肉悦を分ち合おうとか、あるいは痴態を弄んで楽しもうとか、
そういう意思は持たず、ただ自分が快楽に浸るだけのために前後していた。

「いやに割り切ってるね、アンタ。枕営業とか、やってたのか?」
「……下衆の勘ぐりには付き合いません」
「はは、結構なことで」


●07

ちひろの肌が、局所だけ破られたストッキングに絡まれながら、赤味を増していく。
体内の熱が浮き上がったのか、外からプロデューサーに足腰をぶつけられているせいか。

「アンタ、こんなぞんざいな動きでも、感じるんだねぇ」

いくら雑な抽送でも、当事者のちひろとプロデューサーは、薬に蝕まれた肉体。
擦れるところが続いていれば、神経を行き交う快感に苛まれ、徐々に高ぶっていく。

「息が荒れてるぞ……?」
「髪、掴まないでください」

プロデューサーが、ちひろのサイドテールを掴んで引っ張ってやると、
ちひろは低く抑えた声で悪態をついた。

「だから、引っ張るのをやめ――ひああぁああっ! んぐっ、ああっ! 何、するんですかっ!」

ちひろが喋ろうとしたタイミングを見計らって、プロデューサーはちひろの奥を乱暴に小突いた。

「声、我慢してたみたいだな。まあ、いいけど」

ちひろは手のひらで自分の顔を覆った。

(バカの一つ覚えやってればいいものを……っ)

ちひろの体が興奮を増していくごとに、心中の悪態も毒を増していった。
それでちひろは、どうにか平衡を保っていた。


●08


ちひろが、また床に顔を突っ伏した。
さらに陵辱が続いて、手で覆った頬と額が汗に塗れ、床に垂れ落ちていた。

プロデューサーの呻きが大きくなり、動きが不自然に途切れる。
感覚は無くとも、プロデューサーの反応の移り変わりで、ちひろは吐精を察する。

(遠慮なしに、中に出してくれてからに……最悪、です)

ちひろが息を付く前に、プロデューサーはまたピストン運動を再開する。
ペニスの勢いは、衰えていない。

(体ボロボロのくせに、粋がって抜かずの何発ですか? さっさと使い潰してやれば良かった)

出入りの度に立つ音が、精液混じりに濁っていく。
ちひろの内心と裏腹に、膣内はプロデューサーに靡いて涎を垂らす。

(本当に、いい気になって――んあっ……あっ、う……いや、嫌、よ)

男を締め付けて迎え入れる膣内の緊張が、腹や背中を伝って波及して、
ちひろの筋や腱をキリキリと痛めつける。体が、制御から外れていく。
瞬いては消える痙攣を晒す。

「イキそうなんだろ、ちひろ」

こうまで執拗に責め上げられると、さすがのちひろも口が回らなくなる。
抵抗といえば、床に伏せて、表情や嬌声を隠すのみ。

(んあっ、う……嫌だ、こんなので、イカされる、なんて)

奥は叩かれ、手前を撫でられ、ちひろはあられもない雌の顔を暴かれる。

「アンタ、ナカは分かりやすいな。イキそうだと、締まり方が変わるし」

プロデューサーの言が、ハッタリか、思い込みか、真実か。
もうちひろは考えなかった。

ちひろはただ、絶頂を声に出さないことに集中していた。
集中せざるを得なかった。



(イカされた、イカされた……やっぱり、嫌なものは、嫌……っ)

絶頂の線を超えて、そこから数秒とも数十秒とも思える時間の後、落ちる。
余韻で急速に醒めていく思考は、熱情が忘れさせた暗澹たる屈辱を思い出させた。


●09

「お、イッたか? あ、いや。まだかな……まぁ、どっちでもいい」

プロデューサーは、喘ぎ喘ぎするちひろの首根っこを掴みあげた。
ちひろの視界には、瓶に入った鮮紅色の液体が揺れていた。

「え……あ、あなた何を――っ」
「いや、志希が言ってたんだよ。人間って、オーガズム達すると急激に興奮度落ちて、
 この香水も抜けてしまうから、イク度にいちいち追加してやらんとダメだよ、って」



「追加、って、そんな、私――あ、ぐぅ――かはあっ!」

プロデューサーの指が引き金にかかり、第一射でちひろは噎せる。
手足をよじって逃れようとするちひろを、
プロデューサーは床に押し付けて、上から媚薬を吹き付ける。

(い、いや、また、こんなの――や、あ、ああ――あっ)

ちひろが床に垂らした粗相が、香水の赤と混じっていく。

「ほーら、シュシュッと、シュシュッとな。まだまだあるから、遠慮はいらない」

吹きつけられた香水と、性行為で励起していた血色が混じって、ちひろの顔が真っ赤に染まった。
その頃には、ちひろの四肢は力を失って床に伸ばされるままになった。



「さーて、ヘンタイごっこはこれからだな」


●10

(う、くっ……ナカが、どこ、やられてるか、分かるように、なって……っ!)

繰り返し中を責められたせいか、媚毒を重ねがけされたせいか、
ちひろの膣内は感度が上がってきて、プロデューサーのペニスの動きが、
どんどん鮮明に脳裏まで伝わってくるようになる。

「アンタのイイとこ、分かってきたよ……素直になったもんだな」

プロデューサーが、ちひろの腰のくびれを抱え直し、奥の奥を軽くリズミカルに突く。
ちひろは、息を荒らげるだけでなく、体液を垂らすだけでなく、明らかに悶絶していた。

「奥を、軽ーくやられるの、好みなんだ。知らなかった」

ちひろはプロデューサーに抗おうと、膣内の反応を見せまいとした。
が、却って膣内をえぐられる運動に意識が向いてしまった。

(ダメ、イッたと、思われたら……また、アレを、使われる……っ)

「素直になったのは、下の口だけかぁ。体だけでも堪能できれば良い、と最初は思ってたが」

プロデューサーも既に何回か達していたが、自分でも香水を服用して、未だ意気軒昂。
ちひろほど効果が劇的でないのは、スタドリの耐性ができていたせいか。

「やってみると、欲が出てくるな。上の口も、こじ開けたくなる……いつまでもゆっくりしてられんし」
「う、ぐ――あっ……は、離し、なさいっ――く、ぅああああっ!」

プロデューサーは、手でムリヤリちひろの口を開ける。
貫かれた感覚が、ちひろの声帯につながり、殺せない声が部屋にはっきり響く。
攻略のメドが立って、プロデューサーはさらに勢いづく。
女肉の蠢きと喘ぎの声音が、責めをちひろの弱点へと導く。

「キくだろ、ここ。ホラ、イっちゃえ。薬のせいだから、イッちゃったってしょうがないだろ?」

ちひろの背中が、ぎくしゃくと波立つ。
言語の体を成していない叫びが溢れだす。
やがてちひろの肉体が、内も外も引き攣りだす。

(あ――だ、め、い、イクっ、い、イッたら……あ、く、んおぁあ、あ、っ)



プロデューサーは、ちひろ何回目かの絶頂が終わるのを待たず、
鮮紅色の液体が入った瓶を手に握っていた。



●11


「ぅぅ……う、うぅう……んぅぅうあはあっ……」

ちひろは膣内をペニスで叩かれながら、事務所の床で溺れているようにもがく。

「あ、あっ、んあ……あ、あ、あ゛っ……!!」

達しまいとすればするほど、押し寄せてくる責めに捉えられる。
ちひろの嬌声は乱高下を続けた挙句、耳にも明らかに掠れてしまった。

「いぐ、いぐっ……う、ああ、いぐ、っぐううううっっ!」

ちひろの瞳孔が、目蓋の裏に隠れたり出たり、ふらふらと病的に震え始めた。
が、後背位で突くプロデューサーの関知するところではないし、
ちひろは最早視界が弾けていてる。しかも脳内が快楽と苦痛で飽和している。

「も……や、めっ……やめてっ、あたま、があぁッ……!!」

シュシュッ、シュシュッと赤い霧が散る。
瓶の中の水位は、数cmほど減っている。噴かれた回数は二人とも覚えていない。



「アンタのアタマなんか、どうだっていいんだよ」

スタドリ常習者で、尋常でない体力を持ったプロデューサーにも、消耗が見えてくる。

「アンタが俺たちを薬漬けにしていたのと、同じ目に遭わせてやる」
「わ……わたし、は、ただ……すすめた、だけ、でっ……!」

ちひろの弁解に、プロデューサーは赤い媚薬のスプレーで応じた。

「あ……が、ぐ、あはおアあッ! あ、あっうあっ!」

シュシュッという噴出音と、頬にかかる飛沫の冷たさを、ちひろの五感は感じ取ってしまった。
それに気づかないほど追い込まれていたら、まだ救いはあったが。

「はあっ、うぁっ、んはっ、あっ、うはぁあぉおお゛……っ!」

ちひろの意識は、絶頂とその彼岸を、また行き来し始めた。



●12

「抜け駆けは楽しかったですか、CuP」

ちひろが何十回目の絶頂まで突き上げられ、そこから薬効の退行で落ちている最中。
プロデューサーが――正確には、CuPが――ぜぇぜぇという呼吸とともにペニスを引き抜いた時。
いつの間にか扉が開いていて、そこに一人の男が立っていた。

「よお、CoPじゃないか……」

性交で膝立ちのままなCuPを、立ったままのCoPが見下ろしている。
CoPはCuPとちひろのそばまで寄った。
体液と香水の混じった匂いに襲われたのか、露骨に顔をしかめている。

ちひろは、顔を床から上げようとして、
その目線が90°も上がらない内に床へくずおれた。

「CuP、丑の刻まで待てって言ったじゃないですか。その方が面白いのに」
「……大丈夫だぁ。壊れちゃいないだろうから、まだ楽しめるって」



誰か三人目がこの部屋に現れて、それが自分の味方でないこと――を認識できる。
幸か不幸か、ちひろにもその程度の理性は戻ってきていた。




―――――――――――

CuP「ほーら、シュシュッと、シュシュッとな」編 (おわり)



CoPに何させようか決まってない。
おそらく下衆。

よろしければまた。


※CoPの出番です
都合により今回ルート分岐します

・●13-19 藁人形でオカルティックなお仕置きルート
(リョナ寄り、ただし流血も鬱血も火傷もないのでライトだとは思います)

・●20-25 マシンでサイバーパンクなお仕置きルート
(チキチキ的な機械で精神的にお仕置き、CoP×晶葉あり)

・●以降の数字はそれぞれの話の範囲を指します
話はどちらか読めば次につながるので
好みに近そうな方を読んでくださればと存じます

●CoP 藁人形でオカルトお仕置きルート13


「なぁ、CoPよ」
「何ですか?」

CuPは、ようやくちひろからペニスを引き抜いた。

「抜け駆けを正当化するつもりはないが、こんな遅い時間まで何やってたんだ?」
「CuPが天才化学アイドルからオモチャもらったように、俺もオモチャもらってきたんです。
 が、それがこの時間じゃないと、上手く使えなくて」

CoPが懐から取り出した物を見て、CuPは驚き呆れた。

「……藁人形か? お前、まさか丑の刻参りでもするつもりかよ」
「似たようなもんらしいですよ」

CoPが持っている藁人形は、身長20cmほどの『大』の字をかたどったシンプルなもので、
胴体に怪しげな模様の書かれた白短冊が巻かれていた。

「あとは……これが必要ですね」

CoPはさらに文房具のハサミを手に持ち、
まだ床から起き上がれないちひろのサイドテールを、無造作に持ち上げて引っ張った。
CoPの手に刃物のきらめきを見たちひろは、さすがに狼狽する。

「あ――いっ、痛っ――ちょっ、な、何するんですかっ」
「まだ元気そうで良かった。これ、ちひろさんがへばってるとつまらないんで」

CoPは、まるで届いた封筒を切って開封するように、
ちひろのサイドテールを事務的に切り落とした。
ざくり、という音がして、切り損ないの毛くずが舞った。
ちひろは切り落とされた髪束を“信じられない”と言いたげな面持ちで、言葉が出ない。

「CoP、五寸釘なんて今どき売ってるんだなぁ」
「分かりません、貰い物ですので。この髪を作法に従って藁人形と一緒に……机でいいや」



スーツ姿の男が、事務机の上で、藁人形と髪束を重ねて、
金槌を握り、その上から五寸釘を打ち付けようとしている。

「おい、机に穴開けていいのかよ。しかもそれ、貴船のご神木でもないし」
「大丈夫です。周子に聞いてみたら、そこまでしなくていいって言ってました」

CoPは、CuPやちひろの視線を意に介さず、金槌を釘の頭に添えた。



「さぁーて……よし! “――贄ガ髪ヲ触媒トシテ、踊ル藁人形ヲ傀儡トセシメヨ!”」

ちひろがCoPを見上げる目は、驚きから呆れへシフトした。

(……まぁ、CuPの目がこれに向いてる内は、薬が止むから助かりますが)



「なあCoP、今の呪文はなんだ?」
「これ、唱えなきゃいけないんですって。じゃなきゃ言いませんよこんなの」
「あー、蘭子ちゃんね」
「いや、小梅が」
「えっ」

CoPが金槌を軽く振り下ろすと、今さっき切り落とされたちひろのサイドテールと、
白い短冊と、藁人形がいっぺんに貫かれ、釘の先がほんのわずか机に食い込んで穴を開けた。

CoPとCuPは、沈黙のまま。

「ぁが――っ、は、な……そんな、あが……っ!」

ちひろは、横隔膜のあたりに突然痛みが突き刺さり、胎児のように体を丸めていた。

●14

「ああ、ちひろさん。心配しなくていいです。その痛み、すぐ収まるはずなんで」

CoPの言葉は、誰が聞いても馬鹿げていた。
藁人形に釘を打って、ちひろに痛みが発生することが異常なのだ。

「CoP……あなた、私に、何を……っ」
「見ての通りですよ、ホラ」

CoPは、ちひろに藁人形を見せた。
切り落とされたサイドテールと短冊に隠れているが、どうやら人形の腹に釘が刺さっているらしい。
CoPがちひろの髪を長く切りすぎたせいか、切られたサイドテールが三本目の足に見える。

「で、CoPよ。その釘をグリグリすると、またコイツがひぃひぃ言うわけか?」
「もっと面白い使い方ができるんですよコレ。そう、例えば――」

CoPは、藁人形の両脚をぐいと引っ張った。



「……いっ――っっううあああぁああああっっ!!」

事務所の中に、今夜一番鋭い悲鳴が、床をのたうつちひろから撒き散らされた。



「つまりですねCuP、この藁人形に釘が刺さっている間は、
 藁人形の手足・胴体の動きが対応するよう、ちひろさんの体が動くんですよ」

CoPの手の藁人形は『大』の字から『土』の字に形を変えていた。

(じょ、冗談でしょう……? こ、こんなオカルト、あるわけが……)

ちひろの理性は、CoPの言を必死で否定していたが、
現にちひろの下肢は、内腿がねじ切れる寸前まで開かれて硬直、
ちひろの体だというのに、ちひろの意思を無視して動かないまま。

「というか、ちひろさんってこんなに体やわらかいですね。
 180°開脚とか、アイドルでも穂乃香ぐらいしかまともにできませんよ」
「へぇ、結構無茶を効かせられるんだな! CoP、ちょっとそれ貸せよ」

ちひろは、快楽よりさらに得体の知れないものに、体の支配権を奪われた。
またそれを、否定しようのないほど明確に突き付けられていた。

ちひろの肌に浮かぶのは、脂汗か、冷や汗か。



「あ、CuP違います! 髪の毛を打ち付けられてるのが腹側ですって、そっちには曲がりませ――」

CoPがCuPをたしなめる声は、ちひろのやや濁った絶叫でかき消された。


●15

「CuP、やっぱり藁人形は俺だけが使います」
「どうしてだよ。いいじゃないかCoP、お前にも志希印の媚薬分けてやるからさ」
「あなたにこれを渡したら、ちひろさんの関節が全部イカれます」

CoPがCuPから藁人形を取り上げるまでに、ちひろの声は半ば嗄れていた。
ブラウスはちひろの肌にべったりと貼り付き、スカートはまくれ上がって、
先にCuPが破いたストッキングの裂け目もひどくなっている。

「ちひろさん。これで、この藁人形がインチキでない、とご理解いただけたと思います」
「……は……はい……」

ちひろは、プロデューサーたちが見たこともないほど神妙な表情と声で返答した。
消耗はまったく隠せていない。実際、特別な訓練も受けていないちひろには、
心身へ既にかなりの負担がかかっていた。が、内心では――

(あの藁人形……下手したら足の1、2本持ってかれる……でも、口ぶりからして、時間制限はあるはず)

――余裕綽々とは言えないものの、余力を残していた。



「さて、ちひろさんは、なぜ自分がこんな仕打ちを受けるか、お分かりですか?」

CoPはしゃがみこんで、床に転がったままのちひろの顔を見下ろしながら尋ねた。

(お前の罪を数えろ……ですか。そういうのは、南条ちゃんの担当じゃないんですかねぇ……?)

ちひろは、プロデューサーたちをスタドリ漬けにしてこき使ってきたこと、
得た金を自分の懐に入れていたことを、なるべく詳細に――冗長なほど――話し始める。

(えらく勿体つけていますが、夜が明ければこちらのものです……少しぐらい、楽させてもらいます)

CoPはちひろの言葉を、身動ぎもせず聞いていた。が、藁人形で遊びそこねたCuPが、

「おいCoP、退屈になってきたんだが」

と文句を挟んだ。


●16

「CuPが先に中出ししてなきゃ、俺も普通に遊ぼうかと思ったんですけどねぇ。
 何しようか考えてて。いくらなんでも、ちひろさんで穴兄弟は嫌ですから」
「はっはっ、悪いな。でもそりゃ一番槍の役得だろ? で、何するんだ」

ちひろは内心で――余計な口を挟みやがって、と――歯噛みした。
CoPはそれを知ってか知らずか、

「そうですね。一つ考えたのだと、逆エビ縛りとかどうでしょう」
「逆エビって、身体をどっちに曲げさせるんだっけか」
「それは……」

CoPは藁人形の胴を無造作に曲げた。

「うっ! ぐっ……ううあうっ、ううっ」

ちひろは、最初の一瞬だけ通る悲鳴を上げたが、後は蛙が潰されたような声になった。

「逆エビは、エビ反りにさせるんです。“逆”ってついてますけどね」

さらにCoPは、藁人形の手足を指でつまみ、

「で、こうして腰の後ろに両手首と両足首が来るように――っと」

まるで不可視の棒がついたマリオネットのように、ちひろはぎくしゃくと手足を動かされていた。
CuPは、ちひろをまだ女として扱っていたが、CoPに至ってはただのモノ扱いだ。
そのCoPも、口で言うほど人形扱いに慣れていなさそうだ、とCuPは思った。



「う……ううぁ……う……」

事務所の床の上、腹ばいの姿勢で逆エビに固められたちひろは、
無理に背中を曲げられた上、自分の体重で胸部を圧迫されて、囁きほどの声しか出せない。

また無理な力がかかっているのは、ちひろの手足も同様だった。
見えない拘束で後ろに縛られたちひろの四肢は、
腿や腕の筋を強引に突っ張らせていて、その肉は張力に慄いている。

ちひろから流れ落ちる汗が、また一筋。

「ちょっと地味だな」
「絵的には地味ですけど……何ならCuP、同じ格好してみます?」

CuPは、つまらなさそうにちひろオブジェを眺めていた。
一方ちひろは、たまったものではなかった。

身動きのできない態勢に戒められている、というのは、筋肉へ大きな負担をかける。
歩き続けるよりも、ずっと一箇所に立ち続けている方が辛いのと同じで、
人体は長時間にわたって姿勢を保持することができない。

ましてそれが、強引に体を引っ張った姿勢では、
たかが数分でも細胞組織が軋り出して、痛覚を引っ掻き回す。

「いや、俺らこれで何しろっての? これじゃケツもひっぱたけないじゃないか」
「しょうがないですね。じゃ、仰向けにひっくり返して……こんなのはどうです?」



CoPとCuPが机の上でごそごそと何かを探しまわっている様子を、
ちひろは音と気配だけで感じ取っていた。

(いずれにしても、碌なもんじゃないでしょうね……)


●17


「ひゃはっ! ふぁははははっ、きゃはああぁはははっ、ひっふひ、ひひぃいっ」

深夜の事務所、その部屋の一つに、若い女――ちひろの笑い声が響く。
声色だけなら、少々はしたないくらいの抱腹絶倒。特に残酷さは感じさせないのだが、

(ひっ――も、も、ダメ、い、いき、がっ、ひ、く、くる、し――)

ちひろは床で仰向け逆エビ縛りのままひっくり返っていて、
その脇腹や太腿を、CoPとCuPが羽箒でくすぐっていた。



「そもそもですね。笑い続けてると息が苦しくなる、ってのは――」
「や、やめ……ふひっ、あは、は、は、はひっ。駄目、死んじゃっ、あ、は、はっはっ」
「――笑い声が出ている間は、ずっと息を吐いていることになるんで、息が吸えないんですよ」

毛髪をべとべとの肌に張り付け、半狂乱になってちひろが笑い転げ――藁人形の呪縛で、
身を捩ったり、転がったりすることすらちひろは封じられていた。

「んんー、悪いCoP! こいつがうるさくて、よく聞こえないわ。
 ま、要はくすぐってりゃいいんだろ? それそれっ」

CuPはちひろの上着とブラウスを剥がして、脇腹とヘソを露出させると、
そこを埃でも払うように羽箒で撫でた。ピクピクと散発的に引き攣る腹筋が面白いらしい。



「ひっ……はっ……ひゃはは……ひぃっ」
「おいCoP、逆エビのままだと、脇の下が責められないぞ」
「あ、手際悪くてすいません。ま、腕を真横に広げさせるだけなんで……」

CoPは羽箒を止めて、藁人形の両手をゆっくりと動かした。

「き……ひっ、あ……や、やめてっ、そ、そこやめてえっ……!」

ちひろの哀願に反して、その両手は広げられ、急所の脇の下を晒してしまう。
今まで腕が支えていた分の体重が、両肩と後頭部にかかり、ちひろは鈍い加重に呻いた。

「脱がせるの面倒だから、さっきのハサミ借りるぞー」

服を剥ぎ取るヒマも惜しんだCuPによって、ちひろの両脇は無防備となる。

「んん、毛のお手入れはちゃんとしてるみたいだが……匂いは、なぁ」

CuPは、陵辱で滲み出て篭っていたちひろの淫臭を嗅いで煽った。だが、

「ひぃ、ひゃははは、はっ、はっ……は、は、あっ、あ」
「こうして見るとなぁ……せっかく美人の笑顔でも、ないわーって思っちまうな」

今のちひろの顔は、くすぐり責めで呼吸器をねじられているのと、
脳が心臓より下の姿勢のままなため頭に血が上っているのが重なって、赤ら顔で仁王のような形相になっていた。
もっとも、汗や涎や鼻水に塗れていて、威圧感はまったく無かった。

ちひろは血液の循環が滞り、目眩と嘔吐感で脳漿をぐるぐると混ぜられていた。
意識は混濁し、また眼球がうろうろと動きを乱して、ままならない呼吸で口から泡を垂らし――



「ちひろさーん、気絶にはまだ早いですよー」

くすぐり責めが重なり、本格的に挙動が怪しくなってきたちひろを見たCoPは、また藁人形を手に持った。

「それっ、サクサク行きますからねー」
「はぁ――んおっ、ぐ、あがっ……んおあ、おごっ、んおぁあああっ……!」

CoPが藁人形に刺さった釘を抜き差しする度に、
ちひろからクシャクシャに丸められた呻きがこぼれ落ちた。
程なくして、ちひろの陰唇から白く濁った液体が垂れ落ち、
破れたストッキングを汚しつつ腿や尻を伝っていった。

それが何の分泌物かは判然としないが、少なくともCuPの精液が混じっているのは明らかだった。


●18

「ちひろさーん、粗相はいけませんよー。ちひろさーんっ」

ちひろは、床で大の字になってうつ伏せで転がっていた。
手足は藁人形の拘束にしたがって真っ直ぐ伸ばされているが、
膝や肘などの関節はエビ縛り責めの余韻が残っていて、
まだ皮膚から筋をびくびくと浮き沈みさせている。

ちひろは、とりあえず今は酸素が吸える、ということ以外は意識になかった。

「CoP、行儀の悪い奴は、このぐらいしないとダメだって」

CuPは、必死でまともな呼吸を取り戻そうとするちひろの顔を、
ちひろが股間から床に零した“粗相”に押し付けた。

「ぐぶうっ、うぐっ……お、おっ、んっ、ぐぅうっ……」
「自分で出したものなんだから、自分で始末しろよなぁ」

ちひろは首も封じられていたが、それでも口を引き結んで抵抗した。
無駄だ、またプロデューサーたちが藁人形を手に取る前に、少しでも呼吸を――
と、酸素不足・高血圧で霞んだ理性が辛うじて判断しているのに、ちひろは抵抗した。

(く、るしい……このままじゃ……だ、誰か、た、助けて……っ)

が、表情筋から足の指まで、体中の随意筋という随意筋を痙攣させられたちひろは、
数秒も立たない内にCuPの圧力に屈した。逆に吐瀉物が出そうになるのをこらえながら、
自分が股間から漏らした混合物を舌に絡ませる。その味を知覚する余裕は無かった。

ちひろの目から、息苦しさ以外の涙が流れて、床に落ちて“粗相”のシミと混ざった。



「CuP、くすぐりとか……呼吸責めのいいところって、何だと思います」
「いいところ? そうだな。慣れない、ってところか。
 殴られたり炙られたり、ってのは痛覚が慣れていくが、窒息に慣れる奴はいないだろ」
「そこ重要ですね。それと、同じくらい重要なのが……ちひろさーん」

ちひろは、CoPの呼びかけを無視して、床に突っ伏したままだった。
CoPが黙って藁人形の釘を抜き差しすると、ちひろは奇声を上げながらシャチホコのように反り返った。

「お、意外と元気だな」
「呼吸を封じて責めるってのは、やられてる間だけはキツイんですが、
 呼吸が整うとかなり回復するんです。だから、いっぱいいじめることができますよ」

(じょ……冗談、じゃない……わ、私、こんなの……)

CoPとCuPは迂闊にも、ちひろに無理な開脚を強いたり、紐なしエビ縛りをかけて、
彼女の筋肉を断裂寸前にまで追い込んでいたことを忘れていた。



「お……お願い、だから……わ、私が、悪かったから……許して……ください……っ」

ついにちひろは、プロデューサーたちに許しを請うた。
どうせ朝になったら終わるんだから、気丈に耐えて――という意地を捨てた。

(今夜……今夜を死なずに凌ぐ、それだけ、あとは……っ)

それでもまだ、ちひろは心底までは屈服していなかった。
ちひろにも、今までプロデューサーたちを操縦してきた、という自負が残っていた。
この状況さえ脱すれば、形勢逆転の機会はいくらでもあった。



「……謝ってくれるのであれば、どーぞ。ちひろさん」
「どうせ搾取と薬漬けぐらいしかないだろ。もっとも、それがエグかったんだが」


●19

なお、ちひろの謝罪が3分を超えた頃、
CoPとCuPはエビ縛り・くすぐり責めを再開した。



CoP曰く、

“別に、許す許さないとか、ありません”
“ちひろさんに謝らせるのは、休憩中の暇つぶしにちょうどいいからです”
“夏に水鉄砲で子供みたいに遊んだのを覚えていますか。あれと同じです”

とのことだった。



「――申し訳ないと思うなら、謝ってください。休憩中なら聞いて差し上げます」
「――あまり謝ってばかりで、折れたらダメだぞ。PaPがガッカリするからな」

ちひろは責めによって、文字通り雑巾のように体中の水分を絞られていた。

(こ……この二人……は……)

何度目かに追いやられた意識と無意識の境界線で、ちひろはようやく確信した。

(……狂ってる……)



人をオモチャと扱って憚らない二人のプロデューサーは、
世間一般の価値観に照らせば、確かに狂っていた。

彼らは鵜飼いの鵜のごとくこき使われるのに慣れ過ぎて、
自分の行動と自分の意思を結ぶ責任感が希薄になった。

それを狂ったと言うのならば、彼らを狂わせたのはちひろであった。
少なくとも、彼ら自身はそう思っている。



謝罪と責め苦のループは、PaPが部屋のドアを叩くまで続いた。


――――――――――

CoP「夏に水鉄砲で子供みたいに遊んだのを覚えていますか」編 終了


(●26に続く)


(●12より分岐)

●CoP 20 エンジニアリングお仕置きルート

「なぁ、CoPよ」
「何ですか?」

CuPは、ようやくちひろからペニスを引き抜いた。

「抜け駆けを正当化するつもりはないが、こんな遅い時間まで何やってたんだ?」
「CuPが志希ちゃんからオモチャもらったように、俺も晶葉からオモチャもらってきたんです。
 が、使い道をほのめかしたら渋られましてね、説得に時間が……」

CoPは鞄の中から、オープンフェイスヘルメット型装具とノートパソコンを取り出した。

「なーんか大掛かりなのでてきたなぁ。さすが晶葉ちゃん謹製だ」
「あいつ、人間の感覚を電子的に同期させるマシンを作ってて、これが試作品なんですよ」



「はい、じゃあCuPは足持ってくださいね。俺が肩持って、せーので持ち上げますんで」
「へいへい。えんやこらー、どっこいしょーっと」
「……私、そんなに重くないでしょう……」
「何か言いました? ま、念のためです。椅子で頭が安定してないと、妙な動作するかもしれないので」

ちひろはCoPとCuPによって椅子に座らされ、ようやく装具の外見を見ることができた。

(普通のバイカーヘルメットに見えるけど……それにしても、感覚の同期?
 サイバーパンクじゃあるまいし……)

ちひろは、まだCuPに受けた責めの消耗が残っていたため、
装具で頭を覆われるのに抵抗しなかった。

CoPが両手で持つ装具の表面は、光沢のない樹脂の灰色。
無機質なそれがちひろにかぶせられ、彼女の後頭部から耳の下までを覆った。

「じゃ、ちひろさん。最初、ちょっとだけビリっとしますけど、それはすぐ終わります。
 これ、晶葉に土下座する勢いで借りてきたモノなんで、しっかり堪能してくださいね」

CoPが装具のシェイドを下ろすと、ちひろの視界が黒に閉ざされた。

(薬と違って、工学系は専門外だけど……晶葉ちゃん製作なら、そうそうヒドいものには――)



CoPが机の上にノートパソコンを広げて、いくつかキーを叩くと、
やがて小さなダイアログがポップアップされた。そこには、

――SET_UP
――SIMSTIM_DECK
――ACCESS_TO_ROM..."HAPPY_GENIUS"

という素っ気ない英単語の羅列と、作業進行度を示す横棒グラフだけがあった。
その意味をCuPが尋ねようとした瞬間、ちひろに異変が起きた。



(――あ、あ゛っ――な、ナニ、コレ、あ、ダメっ、や、やめ、コレは、あっ――)



「おいCoP、あのヘルメットもどき、何かチキチキ音とか出し始めたが故障か?」
「あれはそういう動作音なんですよ」

「なんか、アイツが歯をガチガチ言わせて震え始めたんだが、それは大丈夫か」
「今、神経接合やらせてますんで。呼吸が止まってなければ大丈夫です」

その会話の数秒前、既にちひろの意識は砂嵐じみたノイズでかき消されていた。


●21

―――――――――


ちひろの意識が覚醒した時、初めに感じたのは、少女の火照った体温だった。

『いくら助手と言えど……その、なんだ。気恥ずかしいな』

続いて、声帯から自分のものではない声が出た――出たように“感じ”た。

(え……この声は、晶葉ちゃん……?)

ちひろはその声音から晶葉を連想したが、しかし断定はできなかった。
ちひろの記憶にある晶葉の声と比べて、今聞こえたそれは少し低くこもっていた。


『目、閉じてるから……そっと、だぞ……?』



少女のくちびるに、少しかさついた別のくちびるが重ねられ、
その感触とともに“割り込んでくる”多幸感で、ついにちひろが気づく。

(こ、これ、私の体じゃ……ないっ……まさか、こんなのって!)


―――――――――


「なぁCoPよ。ちひろ、静かになったな」
「ちゃんとフリップできてるみたいですね。しっかりした実験結果を晶葉に報告しないと」
「フリップってなんぞ」

ノートパソコンのモニタには、CuPには意味不明なインジケータがいくつも表示され、
CoPはそれを眺めつつフンフンと頷きながら、またキーを叩くだけ。
これではCuPも面白くない。

「ちひろさんの意識を、ROMに記録した晶葉の記憶へ飛ばしてるんです。
 そのことを晶葉は転移(フリップ)って名づけてまして……」
「CoPも晶葉ちゃんの助手が板についてるなぁ」
「平たく言えば、このマシンで読みだした晶葉の記憶を、五感全てでちひろさんに追体験させてるんです」

CuPが装具を着けて座らされたちひろの体をよく見ると、
ちひろの肢体が微弱電流でも流されたかのように、時々ぴくんと動いていた。

「……ちなみに、アイツは晶葉ちゃんのどんな記憶を追体験させられてるんだ?」
「あー……俺が処女喪失させた時と、初めてイカせた時の晶葉です」

CuPは再びモニタとちひろを見比べた。

モニタで、線グラフが鋭く尖りを描く――ちひろの口が半開きになって、慌てて閉じられる。
棒グラフが突出して、色が緑から黄色に変わる――ちひろの手指が、アームチェアに軽く食い込む。

それらが、晶葉の記憶に刻まれた感覚なのか、とCuPは勝手に想像した。



「……CoP、よく晶葉ちゃんがその装置をちひろに使わせてくれたなぁ?
 自分のロストヴァージンの瞬間をちひろに大公開だぞ……天才の感性は分からん」
「いや、晶葉にも恥じらいはありますよ。でも“この装置を他の人間に試せる機会はそう無いよね”
 って感じで研究者の性をくすぐって、首を縦に振ってもらいました」


●22

―――――――――


『なぁ、助手よ……私の体、ヘンだったりしないか……?』
『アイドルになっておいて今更だが……やっぱり、助手の目から見たのが気になって……』
『かっ可愛いだとっ!? 今、そんな言い方するの、ズルいじゃないか……』

ちひろの意識は、晶葉の初体験の中に放り込まれたままだった。

(CuPも腐れ外道だと思いましたが、CoPめ……ついにJCアイドルに手を出しやがりましたか)

CoPの声を聞かされると、晶葉の脳裏は甘く痺れる。
CoPの手で撫でられると、晶葉の心拍はふわふわと浮つく。
CoPの匂いにくすぐられると、晶葉のくちびるがキスを恋しがる。

ちひろの意識は、それら晶葉の反応を押し付けられる。

(なんでそんな鬼畜の声や手で、こっちまでドキドキさせられなきゃいけないんですか、腹立たしいっ)

ちひろに届いているのは、あくまで晶葉の生理的反応までであり、
晶葉の人格まではちひろに波及していない。
だが、晶葉の興奮は――怒りを奮い立たせて自我を保たなければ――ちひろでも流されてしまいそうだ。

『なぁ、助手……私は、君のことが大好きだぞ……?』

(これは私の口じゃない、これは私の喉じゃない……)



『君になら、望むままにされてもいい……いや、望むままにされたい!』
『ふあぁっ……い、いや、ちょっとびっくりしただけだ……この感覚、初めてだからな……ぁ』
『や、やっぱり優しくしてくれると嬉しい……今は、ワガママが言いたくて仕方がないんだ……』

ちひろの意識に流し込まれる性感は、まだ二次性徴途中の晶葉のもの。
初々しく尖っていて、ちひろからすれば快楽と呼べるものではない。

(この喋り……だけじゃない。とにかく、晶葉ちゃんの動きをトレースさせられるのが……)

むしろ、ちひろからすれば、晶葉と同じ生理的反応をさせられることがダメージになっていた。
こんな見下げ果てたCoP相手に、初恋の少女じみた媚びをしなければならないのか。
ちひろは自分の処女喪失の記憶まで汚された気までしていた。

ちひろの意識は、少しずつ晶葉の感覚に引きずられていた。



―――――――――

「なぁ、CoPよ」
「何ですかCuP」
「……お前の責め、退屈だ」

ちひろを眺めるのに飽きたCuPが、
座ったままモニタをじっと眺めているCoPに声をかけた。

「別に、CuPを楽しませるためにやってるんじゃないですよこれ。
 晶葉にこの装具借りる条件として、使用した時のデータちゃんととるように言われてるんです」
「俺はそのグラフ読めないし、ちひろも大人しくなっちまったからつまらん」
「もうしばらくしたら、処女喪失の場面まで記憶が行くんで、そしたらマシな反応になりますよ」

またCuPがモニタを眺めていると、一番下にプレイヤーのシークバーのような表示を見つけた。
それがシークバーだとすれば、スライダーは半分を少し過ぎたところを指していた。

「CoP、その晶葉ちゃんの記憶って、音声や動画みたいにループ再生はできるのか?」
「できますけど、あまり長時間やってると脳への負担が」
「シークバー動かして、任意のフレーム間を連続再生するとか」
「CuP、それって」



「我らがアシスタントには、選り抜きの場面を重点的に堪能してもらうのがいいだろ、なぁ?」

●23

―――――――――


『助手よ……止めないでくれ。覚悟はできてる……何、私が怖がってるのか? なんて』

(あンの外道……本当に、初潮過ぎて何年も経たない華奢な女の子に、ぶち込むつもりで……)

晶葉の記憶は、晶葉自身はベッドに仰向けで寝転がり、
今まさに正常位で彼女の純潔を散らそうとするCoPを迎え入れる場面だった。

『怖い、という感情はな、それをはっきり知りたいのに知ることができない、
 ということが原因なんだ。私に、君のものを分からせて欲しい。そうすれば、怖くなくなるさ』

一方的に体験を押し付けられるちひろにとっては、たまったものではない。
が、今のちひろにできる抵抗は、怒りで意識を奮い立たせるだけ。
感覚も、これから起きることも、すべて端末の中で定められている。

(もっと力抜かないと、痛みが……晶葉ちゃんっ、無駄に強がらないでってば!)

ちひろは、晶葉に向かって八つ当たりのように心中で叫んだ。
それが虚しい呼びかけである、と薄々気がついていたが、叫ばずにはいられなかった。



『あっ……! ぐ、う、うぐう……っ! だ、だいじょうぶ、だから、私はっ――』

晶葉にとっては、心中深く記銘すべきものとして刻まれた破瓜の痛みが、
ちひろに対しては、成長途上の女性器を陵辱する拷問として襲いかかる。

(だ、だっ、大丈夫とか、あり、ありえないっ、こんな、あ、ぐ、うぎっ、ひぐぁあああっ!)

神経を奔るパルスは全て符合しているのに、二つの意識の受け止め方は全く違う。

(だ、ダメっ……痛みに、圧されて、弱気になっては……外道の思う壺は、嫌っ……!)

ちひろは痛みで怒りを裂かれて、その間隙に晶葉の多幸感が押し寄せる。

『泣いてるのは……痛みのせいじゃないよ、助手』

(こんなの、ありえないっ、私は……嫌だ、嫌なの、嫌だって言ってるでしょうっ)

『涙は拭わなくてもいいから、眼鏡は外さないでくれ……顔を、見たい』

打ち寄せてくる晶葉の意識を、ちひろは必死に心を張って防ごうとする。
そこに処女膜を裂く痛みが横から叩きつけられる。
装具で再生される晶葉の心と体が、槌と鉄床となってちひろを攻め立てる。

(やめなさいっ、やめっ……! こんな、男、絶対に、許しちゃ……あっ、ぐ、ぐぁあぅぅっ……!)

『私のこと……いいから、君の、す、好きなように、動いてくれ……っ』

やがて晶葉の記憶の中のCoPの堪え性が尽きて、まだ成熟しきってない女陰を蹂躙する。
焼け火箸で引っ掻き回されたかと思う痛みを、晶葉はむしろ喜びとして受け入れる。

(い、や……いたい、くるしいっ、痛み、でっ、なに、も、考え、られ、なくっ――)

CoPのペニスが勢いを増し、文字通り内蔵を右往左往もてあそばれ、
晶葉はたまらず両手足をCoPの背中に絡めた。

(あ゛っ、ぐ、ふ、ふか、いっ)

『中に……出して、くれ……わた、し、が……君の、おんなっ、だと、おし、えて……っ』

ついに痛みが晶葉の意識すら霞ませる。
嫌悪と痛覚に削られ苛まれたちひろの意識は、もう限界が見えてきた。

●24


(い、う、ぐぅう――あ、うあっ……ま、まさか、中、にっ……)

CoPが射精した瞬間は、皮肉にもそれを望まないちひろが、先んじて感知した。
行為が終わったという安堵が訪れて、はじめて晶葉とちひろの意識がぶつかり合わず並び立った。



事後、ちひろと晶葉の息が整い始めた。

(……信じられないわ……色んな、意味で……)

晶葉が口を開けて、何かCoPに囁こうとした。
その瞬間、ちひろの意識だけがぶつりと途切れた。



ちひろは、再び意識を取り戻した。
体をつんざいていた晶葉の痛みは、嘘のように消えている。

(これで、この悪趣味なサイバーパンクと、やっとおさらば……)



『止めないでくれ。覚悟はできてる……何、私が怖がってるのか? なんて』

(え、何、これ)

『怖い、という感情はな、それをはっきり知りたいのに知ることができない、
 ということが原因なんだ。私に、君のものを分からせて欲しい。そうすれば、怖くなくなるさ』

復帰したちひろが最初に聞いた音声は、まだ処女だった頃の晶葉の言葉だった。



―――――――――


「ほら、ちひろの奴、いい感じの顔になってきたじゃないか」
「目より下は隠れてしまってますけどね」

電子幻影の痛みに貫かれるちひろを見て、ようやくCuPは面白そうに笑った。

「何ループぐらいしたっけな」
「今4回目ですね。痛いのばかりではちひろさんが可哀想ですから、
 そろそろ、気持ちよくなってる晶葉の記憶もループに混ぜてあげましょう」
「おーおー、色男は女の扱い方が解ってることで」

●25

―――――――――

――晶葉の記憶。

『“綺麗だ”……か、ふふ、礼を言うよ。君なら何度言われたって嬉しい……ありがとう』
『最初に事に及んだ時は、私の身体が持つのか……と思ったが、すっかり君に馴らされてしまった』

偶像に祭り上げられていた少女の身代が、
虚飾を取り払われて、歳相応の姿をCoPにさらしている。

『君に触れられるの、すぐにクセになってしまった……そうなると、もう』
『他の……年下の子が撫でられているのを見るだけでも、私の内心は物欲しげにむずかる』
『浅ましいと思うかい?』



何も身を隠すものが無いと、不思議と心まで無防備になる。
しかもこの場には、どう動いたらいいか導いてくれるバックミュージックも振り付けも無い。

ただ湧き上がる衝動を、心身のままに晒し触れ合う。

『今は私の独り占めだよ。もっと強く……他の子にはできないことを』

そうした行為を繰り返して、いつしか晶葉の性が目覚める。

『あ……ふぁあっ! あ、いや、嫌じゃ、ないさ……ちょっと、驚いて……』
『非常に感覚的で曖昧な表現だと、分かってはいるのだが……切ないんだ』
『でも、君の手が離れた瞬間、名残惜しくて、たまらなくて』

骨の髄も、骨に巻き付く肉も、肉に張り巡らされた神経も、どんどんエスカレートしていく。

『このまま続けたら、何も考えられなくなる……経験は無いけど、分かる』
『そのぐらい、もっとして欲しいんだよ……CoPに、そうされたい』

高ぶりは冴えていた脳漿にも火を点け、晶葉の意識を燃やしていく。
焦がれながらくるくる踊る。舞って回って昇り詰める。

『あっ……何か、くる、CoP……もっと、もう少し、だからっ』
『んあっ! はぁっ……うあっ、んああっ! んんんっ……!」



初めて迎えた絶頂が、晶葉の意識に刻まれる。
その目映さが装具を通して、ちひろの精神にも襲い掛かる。繰り返し削られて摩耗していく。

余韻が浮かぶ間もなく、意識がぶつ切れて、ちひろの意識は別のフレームにまた投げ込まれる。


『止めないでくれ。覚悟はできてる――』


―――――――――


「CoPよ」
「なんですか、CuP」
「……陸に引き揚げられた魚って、あんな感じだよな」

CoPがモニタから顔を上げてみると、
椅子に座ったちひろは、口は開けても声は出せず、ただ虚しくぱくつかせていた。
手は肩から指先まで、ふらふらと縮んだり伸ばされたりを不規則に続けている。
時々両脚が硬直して、椅子の上で感電じみた痙攣を起こしているのも虚しい。

「お前がモニタをじーっと見てる間に、ああなっちまったよ」
「うーん。晶葉から聞いた安全基準によれば、、もう少しもつはずなんですが」
「晶葉ちゃんはお利口だから、処女喪失と絶頂の瞬間をループなんて実験、想定してないんだろう」
「そりゃ違いないですね」

CoPがシークバーのスライダーを動かすと、またちひろの四肢が椅子の上でのたうった。



――――――――――

CoP「呼吸が止まってなければ大丈夫です」編 終了

(続く)

次のPaPでトドメの予定です。
トドメの刺し方は未定です。

よろしければまた。

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