伊401「大切な予定?」 (23)



しおい「提督、今日は予定とかあるの?」

提督「あるとも」

しおい「さっすが提督!誰と過ごすの?」

提督「あ、いやそういう予定ではないな」

しおい「え、違った?」

提督「違うさ。でも……」

しおい「でも……?」


提督「でも、大切な予定だな」

しおい「そっかぁ……」


しおい「絶対に外せないの?」

提督「絶対に外せない」

しおい「んー、そっか…。残念」

提督「なんで?」

しおい「あ、ううん!なんでもない」

提督「そうか」


しおい「うん。じゃあ私は行くね!」タタッ

提督「…………」




提督「……予定は、ちゃんとあるさ」



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しおい「あ、ゴーヤちゃん!」

ゴーヤ「しおいちゃん!どうしたの?」

しおい「今日ってクリスマスでしょ?私ずっと楽しみにしてたの!」

ゴーヤ「ツリーも綺麗だからね!ゴーヤも楽しみだったでち」

しおい「だよねだよね!」


しおい「それでさ、今日一緒にツリー見に行かない?」

ゴーヤ「あー……ごめんね、今日は予定があるんでち」

しおい「え、ゴーヤちゃん予定って・・・!」

ゴーヤ「……ち、違うよ!そんなんじゃないでち」

しおい「じゃあどんな?」

ゴーヤ「それは言えないけど…。と、とにかく大切な用事でち!」

しおい「ゴーヤちゃんも?…提督と同じかぁ」


ゴーヤ「しおいちゃん、ツリーってどこまで見に行くの?」

しおい「んー、街に出てみようかなーって思ってるよ」

ゴーヤ「それはダメでち!今日はここに居たほうがいいよ!」

しおい「え?どうして?」

ゴーヤ「どうしても、でち!じゃあね!」タタッ


しおい「あ!…………行っちゃった」



木曾「よう、ここで何してるんだ?」

しおい「あ、木曾さん!みんな今日は予定があるって言ってて……」


しおい「ツリー見に行こうって誘うんだけど、大切な用事があるんだって言うの」

木曾「大切な用事、か……」

しおい「木曾さんは何か予定あるの?」

木曾「あるとも。俺も外すことのできない予定だな」

しおい「き、木曾さんも・・・?」

木曾「まあ、諸事情あって話すことはできない」


しおい「そんなに重要な用事?」

木曾「当たり前だとも」

しおい「そっか…。じゃあ木曾さんも無理なんだね……」

木曾「生憎な。じゃあ俺はこのへんで失礼するぜ」

しおい「うん…。じゃあね」



時雨「あ、しおい」

夕立「ここで何してるの?」

しおい「時雨さんと夕立さん……」


時雨「どうしたの?いつもの元気がないみたいだね」

しおい「今日はみんな予定があるって言って、付き合ってくれる人がいなくて……」

夕立「そんなに落ち込まなくてもいいっぽい!」

しおい「なんで?」



夕立「だって今日は───────」

時雨「────夕立」


夕立「…………」

しおい「・・・?」



夕立「き、今日はクリスマスだから、楽しんだ方がいいっぽい!」

しおい「え?」

時雨「きっと今日はいいことあるよ、しおい」

しおい「いいこと・・・?」

夕立「とにかく、落ち込むのはしおいちゃんっぽくないよ!」

時雨「そうだよ」

しおい「うん…。ありがとう」

夕立「うん!」

時雨「じゃあ僕たちも行こうか、夕立」スタスタ




しおい「…………」



瑞鶴「今夜、楽しみだね!」

翔鶴「美味しいものもたくさん食べれるわね、きっと」

しおい「翔鶴さん、瑞鶴さん!」


翔鶴「あ…………」

しおい「……どうかしました?」


翔鶴「あ、ううん!なんでもないの」

瑞鶴「しおいちゃん、どうしたの?」

しおい「お二人ともやっぱり用事があるのかなーって……」


しおい「今日はみんな、大切な予定があるって言うんです」

翔鶴「そ、そうね……」

瑞鶴「大切な予定、ってみんな言ったの?」

しおい「絶対に外せないんだって……」


翔鶴「…………」

瑞鶴「…………」

しおい「……あの…………」


翔鶴「な、なんでもないのよ。さあ瑞鶴、行きましょうか」

瑞鶴「あ、うん!」スタスタ

しおい「あ、ちょっと」

瑞鶴「しおいちゃん、良かったね!」


しおい「…………」




しおい「良くないよ……」



陸奥「あら、そこにいると寒いわよ?」

しおい「あ、長門さんに陸奥さん!」

長門「そんな窓際にいて、風邪を引くぞ?」

しおい「ううん、平気」


しおい「二人も、今日は予定あるの?」

長門「生憎な」

陸奥「絶対に外せないのよね」

しおい「やっぱりかぁ……」


陸奥「……でもねしおいちゃん、それは────」

長門「…………」フルフル

しおい「……長門さん、どうして首を振ったの?」


陸奥「な、なんでもないのよ」

長門「ああ。今日はみんな忙しいからな」

しおい「忙しい?」

陸奥「そうよ。『ある人の』ためにね♪」

長門「────陸奥」

陸奥「これくらいは平気よ」


長門「はぁ…。いいだろう、私たちはこれで失礼する。行くぞ陸奥」スタスタ

しおい「…………」




しおい「ある人の…ため……?」



しおい「ある人……誰だろう?」


雷「ん!しおいちゃんじゃない!」

しおい「暁型のみんな、こんにちは」

電「一人で出歩いてどうしたのですか?」

しおい「今日はある人のためにみんな忙しいって聞いて…」


電「はわわわわ!」

ヴェル「そ、それは……」



暁「……それは司令官のためよ」



電「……………え?」

しおい「提督のため?」


雷「そ、そうよ!今日は司令官の誕生日なのよ?」


しおい「今日は提督は大事な用があるって……」

暁「それは私たちが準備してることに気を遣ったのよ!」

しおい「そ、そうだったんだ……」


しおい「みんなありがとう!またね!」スタスタ








電「お姉ちゃんたちすごいのです……」

ヴェル「アドリブで息ぴったりとはね……」



しおい「今日は提督の誕生日かぁ……」

しおい「だからみんな忙しかったのね」

しおい「……でも、なんで私には教えてくれなかったんだろう…」


しおい「私、嫌われてるのかな……」

しおい「ここに来てから結構長いんだけどなあ……」


しおい「……………………」






しおい「あれれ、涙が出てきちゃった…」



那珂「あ、いたいた!しおいちゃーん!」

しおい「……那珂…さん?」

那珂「『ちゃん』でいいって言ってるじゃん!」

しおい「あ、ごめんさない…」


那珂「気を付けてよね!……ねえ、どうして泣いてるの?」

しおい「あ……すみません、なんでもないの」


しおい「それより、私に用があったんじゃないですか?」

那珂「あ、そうだった!」

那珂「あのね、提督が呼んでるから、すぐに来いって!」

しおい「提督が?でも提督は誕生日のパーティーで……」

那珂「んー、なんのことか知らないけど…。とにかく行ってきて!」

しおい「……わかりました」


那珂「あ、食堂だよ!」

しおい「…………食堂?」



しおい「なんで食堂なんだろ?」

しおい「あ、そっか。提督は誕生日を祝ってもらうのよね」

しおい「当たり前、か……」


しおい「私は抜きで祝ってもらうのよね……」




しおい「提督。伊400型潜水艦、伊401。入ります」ガチャ

しおい「提督、私に何かご用……」






  \パァン!/
              \パァン!/

      \パンパァン!/


















しおい「わあっ!?」


愛宕「ぱんぱかぱーん♪」






『しおいちゃん、着任一周年おめでとう!!』






しおい「…………え?」

提督「しおい、驚かせてごめんな」


しおい「て、提督これは・・・?」

提督「そのまんまだ。『しおいちゃん一周年の会』」

しおい「わ、私の?」


ゴーヤ「言ったでしょ?今日はここに居たほうがいいよ、って!」

しおい「ゴーヤちゃん……!」

長門「これが、絶対に外せない大切な用事ってやつだ」

しおい「え?じゃあみんな、用事って……」

夕立「もちろん、この素敵なパーティーのことっぽい!」

しおい「みんな…………私のためにありがとう!」


木曾「お前に最高のクリスマスを与えてやる!」




しおい「はい・・・!」



ワイワイ ガヤガヤ


しおい「そういえば、今日って提督の誕生日なんですか?」

提督「どっから沸いて出てきたんだよ…」

しおい「え、だって六駆のみんなが……」


雷「あー!それは嘘!嘘だったの!」

暁「しおいちゃんに悟られたくなかったから……」

電「司令官さん、しおいさん、ごめんなさいなのです!」ペコリ

ヴェル「мне жаль」ペコリ


提督「誰が言い出したんだ・・・?」

暁「…………」シュン


しおい「暁ちゃん、気を遣ってくれたのよね?ありがとう!」

暁「・・・!…い、一人前のレディとして当然のことよっ!」


提督「都合のいいやつだなおい」



しおい「そっかぁ……ちょうど一年かぁ……」

提督「早いものだな」


しおい「提督、私が来た時の思い出って、何かあります?」

提督「そりゃもうお前が着任したこととか」

しおい「それ以外で!」




提督「…………イオナ神のおかげで5-3を突破しました」


しおい「やっぱりそうだよね!霧のみんな、また会いたいねー」

提督「あの子たち燃費が恐ろしいんだよなぁ……」



時雨「しおい、楽しんでる?」

しおい「あ、時雨さん!うん!」

時雨「言ったろう?いいことあるよって」

しおい「……うん!」


提督「ごめんな。本当は昨日が着任の記念日だったのに、準備が間に合わなくて……」

しおい「ううん!みんなありがとう!」


木曾「それで、今年のクリスマスはどんな気分だ?」

しおい「もちろん…………」






しおい「最高のクリスマス、です!!」



瑞鶴「よかったね、しおいちゃん!」

しおい「瑞鶴さん!さっきの『良かったね』の意味、やっとわかりました!」

瑞鶴「みんなの大切な予定…。良かったでしょ?」

しおい「はい!」


瑞鶴「うん!向こうで何か食べましょう?」

しおい「いいんですか!?ご一緒します!」



────────────

─────────

──────

───







しおい「瑞鶴さん、これ美味しいですね!」

瑞鶴「…………」


しおい「……瑞鶴さん?」

瑞鶴「…………」プルプル

しおい「・・・?」








瑞鶴「し、七面鳥いやあああああああああああああああ!!!」








─────メリークリスマス─────

前作から随分と感覚が短い気もしますが、勢いで投下しました。後悔はしていない

クリスマスの予定はないけど、しおいちゃんの一周年を祝うことで紛らわせる気がします!!!
それではまたどこかで

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