雪女「こたつぬくぬく」(19)

タイトル:雪女「こたつ、ぬくぬく�・」

本文:雪女「こたつの季節です」
男「それでいいのか? 雪の妖怪」

雪女「いいのいいのー、みかんいただきますね」ムキムキ
男「お前さ、スキー場のバイトは?」

雪女「もぐもぐ……さすがにスキー場も、まだ始まってませんから。12月に入ったら忙しくなりますけど」
男「……それまでずっと居るつもりかよ」

雪女「いいじゃないですか どうせ今年も暇なんでしょ?」
男「むぐ……ああ、もうわかったよ。でも部屋中氷づけは勘弁してくれ」

雪女「もう、信じてくださいよ。はい 即席の冷凍みかん」
男「……いま作ったのか。うまい」

雪女「でしょー? ……ねえ、男さん、雪がふったら雪だるま作りましょうよ」
男「降ったらな……降らすなよ?」

雪女「うう……はい」
男「よろしい。冷凍みかん、もういっこくれ」

雪女「はい、どうぞ。……ねえ男さん」
男「んー?」モグモグ

雪女「平和ですねえ」
男「そうだなー」

誰もたてないので、自分で立てた。

続けろください

雪女「はあ、あったかい」

男「まあ、こたつだからな」

雪女「温まると痒くなりますよねー」

男「なにが?」

雪女「かゆかゆ」ポリポリ

男「ああ……霜焼けか。あんまり掻くなよ」

雪女「これもまた、快感です」カリカリ

男「だから掻くなって」

男「しかし、お前さー」

雪女「はい、何でしょう?」

男「雪女としての自覚はあるのか?」

雪女「それはもちろん。雪降らせますし!」

男「いや、そうじゃなくて」

雪女「……はい?」

男「雪女って、雪山で気に入った遭難者を助けて、でも雪女に会ったことは秘密にさせて……」

雪女「ああ、それで、助けられた男の人が、何年か後に結婚相手に雪女のことを喋ってしまい……」

男「実はその結婚相手、雪女が化けていて、怒って男を氷付けにしたり。既にふたりの間に子供がいるなら、子どもが不憫だって泣きながらその家を去る……」

しんちゃんか

雪女「ふむぅ、なんとも昔ながらの雪女像ですねえ」

男「いや、お前のことだろ」

雪女「いえいえ、お婆ちゃんくらいなら、そういうことしたかもしれませんけど。最近、そんな事する子なんて居ませんて」

男「えー、そうなの?」

雪女「はい。そもそもどうして 雪女であることを隠さないといけないんですか? 最近はもっとオープンですから」

男「オープン?」

雪女「はい。妖怪であることをカミングアウトしたり、人間社会との共存を模索したり、けっこういろいろやってます」

男「まるで民族問題か同性愛みたいだなあ」

雪女「妖怪も似たようなものです。人間ではありませんが、とても古くからの隣人ですから」

男「うむ……そうか」

雪女「だから男さん、私は学校に連れてってもいいんですよ?」

男「ん? いや、連れてってどうするんだよ」

雪女「そりゃあ、皆さんにご紹介をお願いしますです」

男「あー……友達がほしいって?」

雪女「いえ、自慢です」

男「自慢って、おまえをか?」

雪女「はい。だめですか?」

男「だめとか、それ以前に目的が分からん」

雪女「ええー? 自慢したくなりません? 『僕の彼女、雪女なんでーす!』って」

男「いや、ならん」

雪女「なりませんか」

なんかいいな

ふむ

男「というか、彼女ってなんだよ?」

雪女「おや、ご存じありませんか? 友人以上の特別な関係にある女性で、結婚までは至っていないのを……」

男「いや、彼女の定義ではなくてだな。いつからおまえが俺の彼女になった?」

雪女「なにをいまさらー。先の冬では、同じ屋根の下、寝食をともにしましたよね?」

男「そりゃあ、まあなぁ……」

雪女「年頃の男女、行ってらっしゃい、お帰りなさいの声の掛け合い、ともに過ごした時間……これがおつき合いでないなら、いったい何だと?」

男「俺は、親戚の女の子が下宿してるとか、居候とか、そう言う認識だったけどな」

雪女「へ? ……彼女ではないと?」

男「うん」

雪女「……」ピシッ

男「あ、凍りついた」

雪女「……」

男「ショックを受けて凍り付くエフェクトは、こたつの中だと地味にキツイからやめてくれ」

雪女「……」

男「ああ、コタツが冷たくなってきた」

雪女「……」

男「……まあ、かわいいとは思うよ」

雪女「ですよね!」パアァ!

男「溶けた! 復活はやいな!」

雪女「ふふふー、かわいいですか? どんなところが?」

男「んー? まあ、全体的に」

雪女「もっと、具体的にお願いします」

男「えー、そう言われても」

雪女「じゃあ、髪はどうですか?」

男「ん? 銀色の絹糸みたいな長髪だな。人間の白髪とはぜんぜん違って輝きがある」

雪女「そうでしょうとも! お肌は?」

男「雪のような白ってのが、よく似合う色合いだな」

雪女「おめめはいかがです?」

男「んー……やっぱり銀色だけど、怖い感じはしないな。やっぱりかわいい」

雪女「ならば、彼女に!」

男「それとこれとは話が別だ」

雪女「ガーン」ピシッ

男「だから、凍るな」

雪女「なんで彼女はダメなんですか? ……妖怪だから?」

男「んー、まあな」

雪女「ううぅ、ひどい。男さんといっしょに暮らしたいだけなのに。このレイシスト!」

男「いや、そうじゃなくて、おまえ、寝床に忍び込んでくるだろ」

雪女「お嫌ですか?」

男「当たり前だ!」

雪女「もしや、男さん……」

男「言っておくがホモではないぞ」

雪女「じゃあ、どうして?」

男「おまえ、寝床に潜り込むたびに、俺を凍り付かせるだろが! しもやけで大変なんだぞ!」

雪女「えー、でもお」

男「んだよ」

雪女「しもやけになるのは、男さんがさわってくるからで……私の責任じゃないです」

男「……」

雪女「私は、いっしょに寝たいだけなんですよ? 男さんあったかいし」

男「いや……目の前にかわいい女の子が寝てたらさ……な?」

雪女「んー……でもでも、あまりひどく触られると、冷気がガマンできなくなっちゃうからやめてって言っても、男さん触ってきますよねぇ」

男「うぐ」

雪女「指がしもやけになっちゃうのだって、私のナカに……」

男「うあー! あー! もう、わかったよ」

雪女「……何がです?」

男「そりゃさ、好きでもない相手を居候させたり、触ったりするわけないだろ?」

雪女「え……それじゃあ」

男「おまえかわいいし……でも、だから不安なんだよ」

ちんちんはしもやけにならないの?

ランスは温泉で癒してたな

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