髪「きたぞ! シャワーだあああ!」(23)

髪「うわあああ!」プチッ

髪「一本やられた!」

髪「こっちは二本だ!」

髪「シャンプー来るぞおおお!」

髪「うああ!」プチッ

髪「髪がッ!」

髪「両手、接近!」

髪「うわあああ!」プチッ

髪「うああ! 一本やられた!」

髪「こっちは二本だ!」

髪「シャンプー来るぞおおお!」

髪「うああ!」プチッ

髪「髪がッ!」

髪「両手、接近!」


髪達「うわああああ!」プププチッ

髪「三本やられました!」

髪「! シャンプー終了! 終了しました!」

髪「耐えた……のか」

髪「いや、まだだ」

髪「次の戦いに備えろ! 抜けそうな奴は頭脂をつけろ!」

髪「先程の戦いで頭脂はかなり消耗された。無駄にするな!」

髪「大丈夫か? ほら、頭脂を……」ペタペタ

髪「でもそれは貴方のじゃ……! それじゃあ抜けてしまいます!」

髪「俺はもうかなり細くなっている。先は短いさ」

髪「そんな……」

髪「ドライヤー来るぞおおおッッ!」

髪「ぐあっ……!」プ…チッ

髪「髪さんッ! ……あぁ、そんな……」

髪「3時の方向からタオル接近! うわああああ!」プチッ

髪「ぐぅ……!」

髪「髪さん……今行きます……」プチッ

髪「ぐ……うぅ……」

髪「終わった……?」

髪「ほ、報告……シャワータイム、終了。終了ッ!」

髪達「オオォーッ!」

髪「被害は!」

髪「前髪エリア三本、側面エリア四本、後頭部エリア同じく!」

髪「つ、つむじエリアより報告! つむじエリア十二本!」

髪「やはりつむじが……」

髪「最近拍車をかけて脆くなっているな……」

――

白髪「……さて、では始めますかな」

白髪「第三回白髪議会を」

白髪「む」

白髪「うむ。……しばらくぶりだが、少のうなったの」

白髪「仕方あるまいて」

白髪「さて、今回の議題は……?」

白髪「やはり最近の抜け毛問題でしょうな」

白髪「うむ。数年前はまだまだ大丈夫と思っておったが……まさかここまで早く進行するとはのぅ」


白髪「特にあのつむじエリアは早急に何とかせねばなぁ」

白髪「ワシらが出来ることは少ないが、な」

白髪「もう数年前と比べてかなり頭皮が露出しておる」

白髪「髪の砂漠化、とでも言おうかの?」

白髪「まさに不毛の地、というかな」

白髪「ほっほ、上手いこと言いなさるわ」

白髪「しかしまぁ、笑っている場合でも無かろうて」

白髪「わかっとるわかっとる、考えておるよ」

白髪「……」

白髪「白髪殿、先ほどからずっと黙りじゃが、どうかされたか?」

白髪「……なぁ、一つ提案があるんじゃ」

白髪「ほぅ、お聞かせ願おうか」

白髪「……」


白髪「つむじエリアを放棄せぬか?」

白髪「……冗談にしてはちと、いき過ぎてませんかな」

白髪「放棄なんて……のお?」

白髪「……四エリアを同時に維持するのはもう無理じゃ。ならば一つ切り捨てて、他に栄養を送った方が我らは当分は安泰ぞ」

白髪「そ、それはわかるが……ぬぅ……」

白髪「やはりこのまま維持出来るよう最大限の努力を……」

白髪「そんな保守的思想は捨てんと全滅じゃぞ?」

白髪「し、しかしつむじエリアに毛根をおく髪達にはどう説明を?」

白髪「……説明は無しじゃ。つむじエリア供給予定の栄養を四方に分散する。被害を出来るだけ食い止めるのじゃ」

白髪「説明無しとは……」

白髪「やむを得ん、彼等には……我等の未来への礎となってもらおう」

白髪「生贄、の間違いじゃろうが、な……」

髪「白髪議会より報告!」

髪「へぇ、白髪議会が」

髪「抜け毛の解決策でもあるのかね」

髪「だといいねぇ」

白髪「あー、ゴホン……今日、我々は新たな一歩を踏み出す」

白髪「その一歩はかなりの犠牲と、それ以上の救いがある一歩であり、我々の未来への一歩である 」

白髪「宣言」

白髪「これより我々は……つむじエリアを放棄する」

髪歴36年9月 つむじ放棄宣言

髪「おい……マジかよ」

髪「つむじを棄てるなんて……」

髪「……これも時代か」

髪「つむじエリアには俺の親友がいるんだ……」

白髪「ではつむじエリアへの栄養を後頭部、前髪エリアを重点的に分配する」

白髪「この事はつむじエリアに洩らさぬように。以上だ」


つむじエリア

髪「あー……なんか最近ダルいなー」

髪「んー……」

髪「最近栄養すくねーよな」

髪「だな……今日は残れるかね……」

髪「シャワー来るぞおおお!」

髪「……!」

髪「持ち堪えろ!」

髪「シャンプーきますッ!」

髪「!?」

同年11月 シャンプー事変

髪「おい! いつもとシャンプーが違うぞ! 」

髪「うわああああ!」プチッ

髪「両手、きま……!?」

髪「ブラシだ! ブラシ接近! 」

髪「頭脂がッ! あああ!」プチッ

髪「ぎゃあああ!」プチッ

髪「再度シャンプーッ!?」

髪「うぎゃあ!」プチッ

髪「おい! こっちに頭脂をッ!」

髪「もうねーよ! 精一杯だ!」

髪「そんな……ッ!」プチッ

髪「髪ッ!!」


――

髪「……ぐ」

髪「被害はぁ!」

髪「前髪エリア12! 側面エリア9! 後頭部エリア現在不明!」

髪「後頭部エリアより報告! 後頭部エリア10!」

髪「つむじエリアは!」

髪「現在調べている途中です! 」

髪「つむじエリアより報告!」

髪「つむじエリア……24! 24!」

髪「やはり…… 」

髪「あぁ、シャンプーは頭脂を取るのに特化している。それに加えてブラシときたもんだ」

髪「栄養のある我々でもこの有様……つむじエリアが24で済んだのは奇跡さ」

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