苗木「この三度笠、モノモノマシーンから出てきたんだ」戦刃「へぇ」 (120)


戦刃「モノモノマシーンかぁ……学校に居たの、もう一年くらい前だよね。懐かしいな」

苗木「うん、あれから色々あったからこれもすっかりボロボロに……あれ?」

戦刃「どうしたの?」

苗木「何か三度笠に貼ってあるお札の文字が変わってるような……えーと、『ネタバレ注意』はそのままだけど……」

戦刃「『スーパー2編では無い』『新世界樹の迷宮のネタバレも注意』『今の時期じゃなきゃ許されないと思った』? 何の事かな」

苗木「……さぁ……?」


※ 前スレ『苗木「モノモノマシーンから三度笠が出てきた」』前提。


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苗木(僕達が希望ヶ峰学園を解放し、不思議のダンジョンが世界中に蔓延してから一年と少しが経った)

苗木(今でもダンジョン化の波は留まる所を知らず、至る所にその入り口が生まれ続けている。とある建物、とある公園、とある天体……)

苗木(正直不気味な事この上ないけど、一度絶望により崩壊した社会。物資を得る場が増えるという意味では有難い事ではある。疑問や危機感を抱く人は居るが、表立って拒否反応を起こす人は少ないようだった)

苗木(実際、多くの人は不思議のダンジョンを受け入れ、風来人として日々ダンジョンに潜り続けているみたいだ。食料とか資材とか、やっぱり色々必要だから)

苗木(……そう言えば、何で風来人って呼ばれるようになったんだろう? いつの間にかそう広まっていたけど……)

苗木(…………)


苗木(……ともあれ、僕もまた風来人の一人として世界中を回り、旅仲間の戦刃さんと一緒にダンジョンへの挑戦を続けている)

苗木(海の向こうのジャバウォック島から、秘境の先の大きな塔まで。この一年で様々なダンジョンに潜り、経験を積み。気づけば僕ももう一端の風来人だ)

苗木(……何かが根本的に間違っている気もするけど、これはこれで希望があって良いんじゃないかな。少なくとも僕はそう思う)

苗木(まぁ、うん、兎にも角にもそんな感じ。僕達は今日も新しいダンジョンを求め、縞合羽をはためかせ西へ東へ風来の旅を続けていた――)


~ 街道 ~


ヒュゥゥゥゥ……


苗木「――へっくち! ああ、流石に寒さが極まってきたなぁ……」

戦刃「もう冬も半ばだからね。もしかすると、あと何日かしたら雪も降ってくるかも」

苗木「うーん、いい加減ちゃんとした防寒対策もしたいなぁ。今まで暖かい所ばかりに居たから、そこら辺忘れてたよ」

戦刃「じゃあ今度の街でしっかり準備しなきゃね。えっと、次はどこだっけ……」

苗木「今歩いてるのが国道だから……このまま行けば新宿方面だね。多分今日中にはつけると思うよ」

戦刃「新宿かぁ……ちょっと行くの怖いかな。絶望側として色々やっちゃったし……」

苗木「ま、まぁこれまで行った場所でも気付いた人居なかったから、きっと大丈夫――」

苗木(……いや、それは海外とか秘境だったからか? ここ日本だし、時間経ってるとは言えもしかすると結構ヤバイ……?)


戦刃「? 苗木君?」

苗木「……ああ寒いなぁ! これだけ寒いと女の人は大変だよね! 身体冷やすといけないから三度笠貸してあげるよ! ほら、ぐいっと目深にどうぞ! ね!」グイグイ

戦刃「え、あ、う、うん。ありがとう……?」


~ シンジュク ~


苗木「ふぅ、何とか日没までに着けて良かった」

戦刃「暗いと行軍し辛いからね、気温も今以上に落ちて動きも鈍るし、敵の気配は薄まるし……」

苗木(何か遠い目をしている)

苗木「それにしても、ここは意外と綺麗だね。ビルとか結構壊れてるけどそれなりに修復されてるし、街の体裁を保ってる」

苗木「首都圏だったし、てっきりもっと酷い事になってる物と……」

戦刃「……うう」

苗木「あ、いや、アハハ。と、とりあえず街を見て回ろっか! 戦刃さん!」

戦刃「……三度笠、深く被っとこう……」グスン


ワイワイ ガヤガヤ ソウダー、コッチダー ウーッス


戦刃「……あちこちにダンジョンがあるから復興は進んでないみたいだけど、住みやすいよう色々改造されてるね」

苗木「一部の建物は何かエライ事になってるような。逞しいと言えるのかなこれ。……っと、道具屋だ」

戦刃「銀行とか鍛冶屋さんも一緒みたい。宿屋と倉庫は……別の場所か、余り離れてると倒れてやり直す時ちょっと手間なんだけど」

苗木「まぁその辺りはおいおい考えようよ。今はとりあえず暖かい服を買おう、良いの売ってるといいなぁ」


カラン カラン


腐川「あ、お、お客さ……っげ」

十神「……フン、苗木か。久しいな」


苗木「あれ、十神君と腐川さん? 久し振りだね、何でここに……」

十神「何を言っている。この銀行は俺の私物だぞ、イレギュラーはむしろ貴様の方だろうが」

腐川「た、たまたま新宿支店に用事があったのよ。白夜様はアンタ達みたいなフーテン共と違って多忙なの、分かる?」

戦刃「フーテン……」

十神「……この時期にその格好、防寒具でも買いに来たか? せっかくだ、この俺手ずから金を引き出してやる。言え、幾ら必要なんだ」

苗木(それは光栄な事なのだろうか)

苗木「えっと、じゃあ――」


……………………


苗木「――うん、確かに受け取ったよ。ありがとう」

十神「ちっ、全くこんな端金にこの俺を使うとは……」

戦刃(申し出てきたの十神くんなのに……)

苗木「あ、そうだ。ついでに聞くけど、この辺りでお勧めのダンジョンってあるかな?」

十神「フン、ダンジョンに勧めも何もあるものか。探したいのならばそこらの掛け軸でも捲っておけ」

苗木「それはそうなんだけど……ほら、僕達しばらく海の向こうに行ってたから。前は都庁とか新宿駅が人気ダンジョンだったけど、今はどうなのかなって」

腐川「し、知らないわよそんなの……」


十神「……都庁や駅周辺は大分攻略が進んでいる、99Fまで到達した風来人は先月で三桁に乗った。最近ではRTAなぞやっている集団もあるようだが……理解出来んな、全く」

苗木「へぇー、すごい風来人達も居るんだなぁ」

十神「人が多く大体の攻略パターンが確立されている、という意味ではやりやすいだろう。何せ、そこの雌犬が引き連れて行った女友達を生かしたままクリアできる程だからな」

腐川「……ふぇっ!? あ、あたしがダンジョンに!? い、いぃぃ何時!? 何時の話ですか白夜様ぁ!?」

苗木(ジェノサイダーか……)

戦刃「えっと、それなら他のダンジョンは?」

十神「知らん。だが逆に言えば、その二つ以外のダンジョンは話題にもならん程度ものという事だろう」

十神「少なくとも、俺の耳には特に気を引く……、……」

戦刃「……気を引く?」

十神「……ああ、いや。特に語れる情報は届いていないな」


苗木「……そっか、ありがとう。とりあえずまた都庁に潜ってみるよ」

戦刃「新しいダンジョンが無いのは残念だけど、RTAっていうのも楽しそうだよ」

苗木「うん、まだまだやりこみ要素は沢山ありそうだ。じゃあ準備終えたら早速都庁にでも――」

十神「……苗木」

苗木「? どうしたの?」

十神「お前達が日本を離れてこちら、街の復興は遅まきながらも進んでいる。……純粋に復興しているのかは微妙な所だがな」

苗木「え、う、うん。まぁ、そうだね」

十神「無論、この新宿も例外ではない。俺の融資の下、街は確実に開発されている」

苗木「えっと……うん、銀行だもんね」

十神「……フン。暇があれば、街外れの建築群でも見てくるといい。お前の幸運ならば何か見つかるかもしれんぞ」

苗木「……?」


~ 街中 ~


苗木「ああ……暖かい。やっぱりこの季節に縞合羽だけじゃ無理があったよね」モコモコ

戦刃「でもあんまりモコモコすると銃弾の装填ミスが増えるから、関節部の可動範囲の把握には注意しないと」

苗木「だ、大丈夫だよ、僕銃なんて使わないし……」


苗木「まぁそれはともかく、これからどうしようか。ダンジョンに行くか、それとも十神君のアドバイスに従うか」

戦刃「街外れで何か見つかるかもしれない、だっけ。何があるんだろう」

苗木「十神君があんな思わせぶりな事言うくらいだから、きっとそれなりの物があると思うんだけど……」

戦刃「うーん……私はどっちでもいいから、苗木くんの気になる方で良いと思うよ。急ぎでもないし、タベラレルーと違ってダンジョンは逃げないもの」

苗木「あはは、それもそうだね。じゃあ街外れの方から見て回ろうか」

苗木「えーと、十神くんが教えてくれた道は……あっちだね」テクテク


~ 街外れ ~


苗木「この辺りかな? 街中から結構離れたけど、色々ビルとか建ってるや」

戦刃「面白いもの、変わったもの……」キョロキョロ

苗木「……特に何も見つからないね。やっぱり僕の幸運じゃ――」

戦刃「待って、誰か来る」


物々しい格好の男A「おい、怪我は大丈夫か?」

物々しい格好の男B「くそッ、やってられるかよあんなの。俺は風来人じゃ無いんだぞ……!」

タタタタ……


苗木「……何だろう、今の人達。随分物騒な感じだったけど」

戦刃「詳しくは分からないけど、多分どこかの軍人だと思う。それにあの怪我人を支える時の癖……アジアじゃなくてもっと西の……」ブツブツ

苗木(流石超高校級の軍人……)

苗木「にしても風来人がどうこう言ってたし、少し気になるね。ちょっと向こう行ってみようか」

苗木「わぁ……大きな建物だなぁ、何の施設だろう」

戦刃「この作りだと何かの研究施設じゃないかな、昔よく制圧してたよ」

苗木「そ、そうなんだ……。えっと、あの人達はここから来たのかな?」

苗木「軍人と研究施設なんてヤな組み合わせだなぁ、バイオハザードとか起こってないと良いけど……」

戦刃「あそこが入り口みたいだよ、特にロックとかはされてないみたい」

苗木「……見張りも一人も居ないし、幾ら何でもちょっと不用心すぎじゃ――」ヒョイッ


ピロッ


▼ レベル  : 1から

  持込   : 可能

  仲間同行 : 4人まで

  昼夜変化 : 昼と夜

  救助回数 : なし

  フロア数 : 5階


▼ 『グラズヘイム』へ 行くために 足を踏み入れますか?

  ニア 進む
    進まない


戦刃「ダンジョン!?」

苗木「ああ、うん。そりゃ警備いらないよね……」


戦刃「なるほど。さっきの人達はこの中で倒れて放り出されたんだ」

苗木「多分ね。でもまさかこんな所にまでダンジョンがあるとは思わなかったよ。十神君が言ってたのはここの事かな?」

戦刃「……あ、見て。あそこの柱の隅っこに『十神銀行出資』の文字があるよ」

苗木(何かやだなぁ)

苗木「レベル1で仲間と持込あり、それでいて全フロア5階かぁ……どうも特殊ダンジョン臭いなぁ」

苗木「道具が偏ってるのか、モンスターが恐ろしく強いのか……」


苗木「……まぁ何はともあれ、面白そうなダンジョンを見つけたのなら後の行動は一つだよね」

戦刃「え、行くの? せっかく持込ありなんだから、しっかり準備した方がいいんじゃ」

苗木「まぁまぁ。新しい場所に来たんだから、まずは裸一貫で勝負してみようよ」

戦刃(苗木くん厚着したのに……)

戦刃「……でも、最初にどんな感じか把握しておくのも重要かもしれないね」

苗木「よし! じゃあ早速!」


▼ ニア『進む』ピッ


~ グラズヘイムAreaⅤ 優しい夢の終わりし座 ~


ピョーレッペッペッペッペッペッペッペ ペーレリペーレリペーレリペーレッペー


戦刃「あれ、いきなり五階から始まってる……」

苗木「深部から上層に登ってくのかな。階数に副題みたいなの付いてるし、やっぱり特殊なダンジョンみたいだ」

苗木「優しい夢の終わりし座……さっきの人達も攻略に失敗したみたいだし、どんな仕掛けがあるのか分からない。とりあえず油断せずに進もう」

戦刃「うん」


……………………


▼ マコトはドラゴン草を拾った。

▼ マコトは82エンを拾った。


苗木「道具は識別されてるのか……やりやすいとは思うけど、これはこれで不安だな」

戦刃「識別が難易度に絡まないって事だもんね。他の部分はどうなってるんだろう」

苗木「それにしても雰囲気のある所だなぁ。所々壁が壊れて内側のコード見えちゃってるし、上方に開くドアとかSFパニック映画思い出すよ」キョロキョロ

戦刃「……この壁、かなり固い。これやったのが何なのか余り考えたくないかな、その映画が現実になりそう」コンコン

苗木「うーん、知らない敵と会ったら戦うよりも逃げる事を優先するべきかな。でもマムルも何も出てこないからレベルが、」


ターン ターン ターン ドドドド……


苗木「!? な、何!?」


戦刃「……銃声と何かの足音。しかもこっちに近づいて来る」

苗木「いきなり飛び道具持ちかぁ、ドラゴン草はあるけど温存したいし……」

戦刃「ならこのまま待ち構えよう。囲んで殴ってイザとなったら逃げる何時もの感じで」

苗木「そうだね、とりあえず僕が先頭に立つから、戦刃さんは様子を見て――」


――スドォォン!


少女「わああああああ!?」タタタタ

惨禍の宿刈り「ギ シャ ア ア ア ア ア!!」ドドドド


苗木(アカン)


苗木「うわあああ!? よ、予想外にデカくて強そう!? 無理無理ドラゴン草一個ぽっちじゃゼッタイ勝てないってこれ!!」ダッ

戦刃「私達の何倍も大きいね。流石に強い道具持ち込まなきゃどうにも出来ないかな」ダッ

苗木「幸い既に追われてる風来人が居るから、囮にして今のうちに通路に――」


少女「あっ!? 助けてそこの人! いや逃げて! でもやっぱり待ってぇ!!」タタタタ


苗木「どっちだよ!? わああああやめて来ないでこっち来ないで!!」タタタタ

戦刃「ドラゴン草で……いや、それだと完全に狙いが私達に来るかな。素直に逃げとこう」タタタタ

惨禍の宿刈り「キシャアアアアアッ!!」

少女「ひゃあああああああ!!」タタタタ……


……………………


プシュー ガコン

キシャアアアア ガン ガン ……


戦刃「……どうやら通路のドアを開けてまでは追ってこれないみたい。もう安全だと思う」

苗木「ぜーっ、ぜーーっ……!」

少女「かひゅー、かひゅー……!」オロロロ

戦刃「……お水……は、持ってなかった。えっと、自販機自販機……」キョロキョロ

少女「かひゅー、けほ、あ、ある訳無いでしょ……けほっ」

苗木(お、男としてもうちょっと鍛えた方が良いのだろうか……)ゼェゼェ


少女「……そ、それで。あなた達は何なの?」

苗木「? 何って?」

少女「だから何でここに居るのって聞いてるの。関係者でも無さそうなのに……」

苗木「関係者って……風来人ならダンジョンに挑むのは当然の事じゃないか、君だってそうじゃないの?」

少女「風来人……? そんな、入り口に警備の人が居た筈でしょう?」

苗木「いや、居なかった……よね?」

戦刃「うん……怪我して走り去っていく人とはすれ違ったけど」

少女「…………」

苗木「? どうかした?」

少女「……何でもない」

戦刃「…………」


少女「……分かった。逃げるのに巻き込んだのは謝るけど、あなた達は早く戻った方がいいわ」

苗木「え、戻るって……」

少女「さっきのモンスターを見て分かったでしょ、ここには弱いモンスターの代わりにあんなのが沢山居るの。奥に行く程数が増えて、」

苗木「いや不思議のダンジョンって基本一方通行だから、入った以上はクリアするか倒れるかしか無いんだけど……」

戦刃「持ち帰りも引き上げも持ってないしね」

少女「えっ」

苗木(……この子、風来人としては初心者なのかな)


苗木「えっと……そうだ、僕は苗木誠で、こっちが戦刃むくろさん。君は?」

少女「……何で自己紹介?」

苗木「え? だって君も巻物とか持ってないよね? なら一緒に進む事になるのかなって」

苗木「さっきの銃声からすると銃使うみたいだし、僕達が前衛に立てばバランスも取れるだろうしね」

戦刃「それに遠距離タイプなら前に出て経験値になる可能性も少なそう」

少女「経験値?」

戦刃「つよくなるよ」

少女「……良く分かんない」

苗木「ま、まぁそれはそれとして、どうかな。君さえ良ければ、旅仲間を組みたいと思うんだけど……」

少女「…………」


苗木(……うーん、何か警戒してるな。女の子の戦刃さん居るから安心しやすいと思ったんだけど、何でだろう)

戦刃(逆に敢えてタベラレルー代わりにされると思ってるとか)

苗木(ええっ!? そんな酷い事滅多にしないよ!)


少女「……フレドリカ」

苗木「! え?」

フレドリカ「私の名前、フレドリカ・アーヴィング。あなたの言う通り、私一人で進むより良いと思うから」

フレドリカ「ムクロの方は頼りになりそうだし、タビナカマ……パーティ組みましょ」

苗木(僕は頼りにならなそうなのだろうか……)


フレドリカ「――少しの間だけど、よろしく。二人共」


テンテケテンテンテケテケテンテン デンデン デンデン


▼ フレドリカが旅仲間に加わった。


フレドリカ「ひゃあ!? 何!? 何!?」ビクッ

苗木「ホント何なんだろうね、このファンファーレ」

ダメだ今日中に終わらなさそう。のでまた明日
一年前の続編とかまぁ色々とアレですが、どうか寛大な心でよろしくお願いしマッスルー


……………………


惨禍の宿刈り「…………」モソモソ


苗木「うわぁ、また居るよあのヤドカリ……」

戦刃「レベル3……いや4相当はあるよね、きっと」

フレドリカ「……うん。レベル4がどの位なのかは分からないけど、かなり強いみたい」

フレドリカ「銃を撃っても全然効かないし、殴られれば一撃で倒れるし……」

苗木「……? あれ、フレドリカさんにも仲間が居たの? 攻撃されたのって君じゃないよね?」

フレドリカ「…………」

フレドリカ「……一緒に来てくれるよう、雇った人達が居たの。もう皆いないけど」

苗木「……あ、もしかしてあのすれ違った人達……」

戦刃(やっぱり脱走兵だったか……)


フレドリカ「とにかく、無理して戦おうとしないで避けた方が良いわ。極力見つからないよう行きましょう」

苗木「やっぱりそうなるよね、見つからないように――おっと、アイテム発見」


▼ マコトはおにぎりを拾った。


苗木「へへ。やった、腐ってないや」

フレドリカ「な、何してるの? そんな、【こんな所に落ちてる食べ物拾うなんて……】」

苗木「! それは違うよ!」パリーン

フレドリカ「ひっ」


苗木「『こんな所』だからこそ僕達は拾わなくちゃいけないんだ! モンスターやワナならある程度納得できるけど、餓死で倒れたなんてやり切れないだろ!?」

フレドリカ「だろ!? って言われても……衛生的に……」

苗木「それは大した問題じゃないんだ! 生死がかかっている以上意地汚さは大切な――」

戦刃「……今! ヤドカリこっち見てない! ごーごーごー」タタタタ

フレドリカ「!」タタタタ

苗木「え待っ、ちょっと待って! 話してる途中――というかまだ道具全部拾ってないのに!!」タタタタ


▼ マコトはあかりの巻物を拾った。

   マコトは吹き飛ばしの杖を拾った。

  マコトは身代わりの杖を拾った。

  
  
フレドリカ「後にして! っていうか変なジグザグ移動やめて!」

  


惨禍の宿刈り「……! キシャアアア!」ピコーン


苗木「うわぁ見つかった!」

フレドリカ「もう、呑気に拾いものしてるからぁ!」

戦刃「大丈夫。ほら、すぐそこの部屋、入り口に階段が見えてる! このまま走れば追いつかれずに――!」


惨禍の宿刈りB「フシュルルルル……!」ピコーン


戦刃「ッ!」

苗木「そんな、二匹目!?」


戦刃「位置が悪い、階段前で誰か一人は一撃貰う!」

苗木「外れろ! 外してくれ僕の幸運ッ!!

フレドリカ「……ッ!!」チャキッ


ターン ターン!


▼ フレドリカは『レッグスナイプ』を使った! 惨禍の宿刈りBは3のダメージを受けた。


惨禍の宿刈り2「キィッ!?」バシン!


▼ なんと! 惨禍の宿刈りBは影縛り状態になった!


フレドリカ「やった……! 初めて当たった!」

苗木「ヤドカリが動けなくなったぞ、今の内に前に進むんだ!」タタタ

戦刃「…………」タタタ


ザッザッザッ


~ グラズヘイムAreaⅣ 天の炎が降り注ぐ参道 ~


苗木「あ、危ない所だった……誰か落ちるかと思った。助かったよフレドリカさん」ゼェゼェ

フレドリカ「……これに懲りたらもう少し真剣にやって。こんな所で倒れられたら、パーティを組む意味が……」


戦刃「――フレドリカちゃん、ちょっとこっち来て」


フレドリカ「っ」ビクッ

苗木「……戦刃さん?」


フレドリカ「……何。マコトの事、悪く言ったから?」

苗木「あ、あはは、それなら大丈夫だからそんな気にしないでも――」

戦刃「ううん、全然違う。いいからこっち来て」

苗木「…………」

フレドリカ(ちょっとかわいそう)

フレドリカ「そ、それで、何が言いたいの? ムクロ」ビクビク

戦刃「……さっきと同じように銃を構えてみて」

フレドリカ「? えっと……はい」チャキッ

戦刃「…………」

フレドリカ「……ムクロ?」

戦刃「……やっぱりダメ、そんな持ち方じゃロクに狙いも定まらない」

フレドリカ「え?」

戦刃「さっきは単に幸運が重なっただけ。もっと両手でしっかりグリップを握って、肘を伸ばして。視線はリアとフロントをまっすぐ貫く」

戦刃「それにその銃は回転式みたいだから、一発一発を意識。足を開いてどっしりと地面を踏みしめるの、そしてよく狙いをつけて」

フレドリカ「わ、わわわ、わわ」オロオロ

戦刃「ふらつかない」

苗木(……軍人の血が騒いだのだろうか、物凄い真剣さだ)

苗木「あの、何もこんな所で指導しなくても」

戦刃「……ごめんね苗木くん。FF程怖いものは無いから、せめてちゃんとした銃の撃ち方くらいは教えておきたいんだ」

フレドリカ「こ、これでも独学で練習は」

戦刃「ふらつかない」

フレドリカ「ひゃうっ」

苗木「……風が吹くまでには終わるといいなぁ、これ」


苗木(さて、とりあえず二人が何かしている間、少しこの階を見て回ってこようかな)

苗木(周りに敵は居ないみたいだし、余り離れなければ問題ないだろう。多分)

苗木「……一応あかりの巻物読んでおこう」


▼ マコトはあかりの巻物を読んだ。


苗木「えーと、右の方に幾つかアイテムがあって……あれ? このフロア敵の反応が一つだけだぞ」

苗木「ボス? いや、そんな早く出てくる訳は……いや、深部から始まってるからあり得なくはないだろうけど」

苗木「……大きく迂回するようにしよっと」コソコソ


……………………


▼ マコトは一時しのぎの杖を拾った。

▼ マコトは三本の木の矢を拾った。

▼ マコトは金の盾を拾った……。


苗木「あらかた見て回ったけど、杖以外にあんまり良い道具落ちてないなぁ」

苗木「あんなヤドカリみたいのが相手じゃ盾も意味ないだろうし、装備品より巻物系が欲しくなるよ」

苗木「後行ってない場所といえば……」コソッ


ギムレー「…………」ドドドド


苗木(何か凄い戦車が居る場所なんだけど、ヤドカリ以上にヤバそうだよね、アレ)

苗木「幸い階段は別の場所にある。あそこの道具に欲かかないで、さっさと上がっちゃおう」コソコソ


ギムレー「…………?」


苗木(おっととヤバイヤバイ)タタタ


……………………


戦刃「あ、苗木くん。どこ行ってたの?」

苗木「ちょっとこのフロアを見て回ってたんだ、拾えそうな道具は全部回収してきたよ。そっちはもう終わったの?」

戦刃「正直付け焼き刃も良いところだけど、一応修正できた。混乱状態にならない限りは結構命中率上がったと思う」

フレドリカ「うう、手と腰が痛い……」

苗木「そっか、じゃあこのフロアに残ってるのはガンコ戦車の親玉みたいのしか居ないし、もう階段上がっちゃおうよ」

戦刃「道具拾ったのならもうする事ないもんね」

フレドリカ「…………」


フレドリカ(戦車……きっとアレの事ね。マイクが居なきゃ起動しないはずなのに……)

フレドリカ(これも不思議のダンジョンになったせい? 何れにしろ、挑むような羽目にならなくてよかっ)


苗木「……あ、でもあの戦車なら中に入れば僕達で動かせるようにならな」

フレドリカ「行きましょ! 早く次の階に! 次の階にぃー……っ!」グイグイ

苗木「うわっ!? わ、わかったよ。分かったから押さないでよ!」


ザッザッザッ


~ グラズヘイムAreaⅢ 救世の兵器を求める旅路 ~


貪食の王者「グルルルル……」


苗木(上がって早々うわぁだよ……)コソコソ


フレドリカ(獰猛そうな巨大ワニね)コソコソ

戦刃(しかも二足歩行してる。仕留めて食料にするのはホネが折れそう)コソコソ

フレドリカ(……風来人って食い意地張ってないとダメなのかな)

苗木(とにかく気付かれないようこっそり行こう。静かに、気配を消して背後を通り抜けて……)ソソクサ

戦刃(あ、苗木く――)


貪食の王者「グルアアアア!!」ピコーン!


フレドリカ「マコトぉぉぉぉぉ!!」

苗木「あれぇぇぇ!? 僕のせい!?」

戦刃「後ろ取っても近ければ気配で分かっちゃうみたいだね、とにかく逃げよう」ダッ


貪食の王者「グオオオオ!」ダダダダ


苗木「怖い怖い怖い!」タタタ

フレドリカ「ひゃあああああああ!!」タタタ

戦刃(怪獣映画みたいで何か楽しい)タタタ

苗木「どうしよう、振りきれないよ! フレドリカさん、さっきの攻撃は!?」

フレドリカ「や、やってみる!」チャキッ


▼ フレドリカは『レッグスナイプ』を使った! 貪食の王者は4のダメージを受けた。


貪食の王者「グ……?」


フレドリカ「……ダメ! 決まらなかった!」

苗木「くっ、LUKが足りないッ!」


貪食の王者「グ……グ」ゼェゼェ


フレドリカ「あ、あれ。でも止まってる?」

戦刃「……持久力は無いみたいだね、でも目はこっち追ってるから諦める気は無いのかも」

苗木「何にせよ今がチャンスだ! これでも喰らえ!」ブン


▼ マコトは一時しのぎの杖を振った。


貪食の王者「ガッ――!?」シューン


フレドリカ「わ!? 消えた!?」


戦刃「一時しのぎの杖、振った相手を階段まで飛ばして金縛り状態にする道具だね」

戦刃「あのワニが何匹居るかわからないし、無闇に使いたくは無いけど……吹き飛ばしもあるし大丈夫かな」

苗木「うーん、見た目に反して結構鋭かったなアイツ」

フレドリカ「ええ、迂闊に近寄らないよう注意しなきゃダメね」ジロリ

苗木「うぐ……何か納得いかないなぁ……」ブツブツ


……………………


▼ 少し日が沈んできた。


戦刃「……そろそろ夜になりそうだね。落ち着ける場所探したいな」

フレドリカ「? 夜になると何かあるの?」

苗木「うん、夜になると周りが見え辛くなるし、何よりモンスター凄く強くなるんだ」

苗木「それこそ一撃貰うだけでお陀仏、攻撃も殆ど効かなくなって……」

フレドリカ「……それって今とどう違うの?」

苗木(……そう言えば何一つとして変わらなかった)


戦刃「まぁ視界が悪くなるのは確かだから、安全な場所で素振りするのが最善って事には変わりないよ」

戦刃「杖もあるから、今歩いてるこの通路が行き止まりや輪っか状になってると嬉しいんだけど……あ」テクテク

フレドリカ「残念。行き止まりじゃなくて部屋ね。あのワニが居ない事を祈りましょ――」ヒョイッ


大神「…………」ドドドド


フレドリカ「ひゃわあああああ!?」ビクッ


~ 店 ~

ペレペッペッペー ペッペッペー ペレペレペッペッ ペッペッペー


苗木「あれ、皆こんな所まで来てたんだ」

朝比奈「お、二人共いらっしゃーい! 今日は知らない子も一緒だね」

舞園「! 苗木くん、いらっしゃいませ! 元気そうで何よりです」

大神「……相変わらず珍妙な格好をしているな。いや、この時勢においてはそれが普通なのか……」


フレドリカ「な、何? 知り合いなの……?」

苗木「うんまぁ。僕の友達で、色んな所のダンジョンでお店屋やってるんだ」

フレドリカ「お店って、よりによってこの場所で――むぐっ」

朝比奈「ね、ね、それで苗木、この子誰? ちっこーい! かわいー!」ギュウウウ

フレドリカ「むー!? むー!」ジタバタ


苗木「……あれ、桑田くんと石丸くん(倍速状態)は? 今日は居ないみたいだけど」

大神「うむ、桑田はダンジョンの外での商品の仕入れ、それとチケットの配布に行っている」ピラッ

苗木「チケット? ……『舞園さやかコンサートライブ』……」

舞園「お店なら私達の他にも一杯ありますからね。それらに負けないための独自要素という訳です」

苗木(……舞園さんがアイドル活動したいだけじゃないかなぁ、これ)

舞園「勿論その点もありますよ。アイドル卒業にはまだ少し早いですからね」

苗木(ナチュラルに心を読まれた)

大神「そして石丸(倍速状態)ならば何時もの通り――」



――うおおおおドロボウは許さんぞぉぉぉぉぉ……!

――ああ、ボクは希望にとってのタベラレルー……!


▼ キヨタカ(倍速状態)はナギトに76のダメージを与えた。ナギトは倒れた。

ヨッ ドドドン ドン ハッ!

▼ キヨタカ(倍速状態)はレベル2に上がってキヨタカ2(倍速状態)になった。



大神「……今の通り、盗賊番の仕事中だ」

苗木「へー」


フレドリカ「うう……」フラフラ

朝比奈「あー堪能した。それで二人共、何か買ってく? ムカシのよしみって事で安くしとくよー?」

苗木「うーん、そうだなぁ。今日の品揃えは、と……」


▼ マコトは薬草の上に乗った。

▼ マコトはちからの腕輪の上に乗った。

▼ マコトはくさったおにぎりの上に乗った。


フレドリカ「」ビクッ


フレドリカ「な、何で一々上に乗るの……!? しかもくさったおにぎりって何!?」

苗木「余り欲しいの無いかな、まぁとりあえずこれ交換で」


▼ マコトは金の盾を置いた。くさったおにぎりを拾った。


フレドリカ「……!? ……!?」パクパク

舞園「まぁ、確かに一種異様な光景ですよね……」


▼ フレドリカは口が使えなくなった!


……………………


▼ あと少しで完全に日が落ちそうだ。


苗木「ありゃ、もうこんな時間か。大神さん、松明とかは……」

大神「残念ながら桑田の入荷待ちだ」

苗木「そっか……」

朝比奈「せっかくだから朝までここに居たら? 外よりは安全なんじゃない?」

大神「うむ、出入口は我と石丸(倍速状態)で塞いでおこう」

苗木「それは助かるけど……良いの?」

石丸2(倍速状態)「うおおおおお! 水臭い事を言うんじゃあない! 友達ではないかああああ!!」

朝比奈「あ、帰って来た」

苗木「あはは……ありがとう、じゃあお言葉に甘えようかな」


ワイワイ ガヤガヤ


~ 街中 ~


桑田「へっきし! ……何だ? ものすげぇ疎外感が……」

子供「なぁヒゲのおじさん! また野球やろうぜ! やきゅー!」

桑田「アホ! 誰がおじさんだっつーの! まだお兄さんだ、イケメンのお兄さん!」


▼ 夜になった。


朝比奈「じゃあ苗木、寝る所はそっちねー」

苗木「……何か狭くない?」

朝比奈「男女比考えなって、このエッチ!」

大神「ともかく、ゆっくりと休め。後は我らに任せておけ」

舞園「おやすみなさい、苗木くん」

苗木「うん、お休み。皆も気をつけてねー」


苗木(……とは言っても、迂闊に寝られる訳無いよな。もし途中で風が吹いたら急いで出なきゃならないし)

苗木(寝てる間に飛ばされたくは無いもんなぁ。さて、何して過ごそう……)

フレドリカ「……ねぇ、マコト。ちょっと良い?」

苗木「ん、何? フレドリカさん」

フレドリカ「うん、少し聞きたい事があって」

苗木「別にいいけど、戦刃さんは――」

フレドリカ「先にもう聞いた。でも『私はついて行ってるだけだから、そういうのは苗木くんに聞いたほうがいいかも』って返されたの」

苗木「あ、そう……」


フレドリカ「……それで質問だけど、マコト達はどうしてこのダンジョンに挑もうと思ったの?」

苗木「……と、言うと?」

フレドリカ「だってシンジュクには他にも大きなダンジョンがあるんだから、わざわざこんな目立たない所選ばなくたっていいでしょ」

フレドリカ(……せっかく極秘で進めてたのに)

苗木「うーん、そうだなぁ……」

苗木「攻略が楽しい、やり甲斐がある。珍しいダンジョンに挑戦したいって言うのも大きいけど……一番はやっぱり希望があるから、かな」

フレドリカ「希望?」


苗木「……世界をめちゃくちゃにした例の絶望的事件。あれからまだ少ししか経ってないのに、街は目覚ましい復興を遂げている」

苗木「その多くが不思議のダンジョンのおかげと言って良い。ダンジョンが活気を、希望を齎しているんだ」

フレドリカ「…………」

苗木「僕は色々なダンジョンに潜って、それを直接感じたいのかもしれない。だからこのダンジョンにも――なんて、それはカッコつけ過ぎかな。はは」

フレドリカ「ふぅん」

苗木(うう、何か気恥ずかしい……)

苗木「えーと、フレドリカさんはどうなの? このダンジョンに潜る理由とかさ」

フレドリカ「…………」


フレドリカ「……私ね、本当はダンジョンじゃなくてこの施設自体に用があったの」

フレドリカ「それはとても大切な用事で、絶対に果たさなきゃいけないものだったんだけど……」

苗木「……施設がダンジョンになっちゃったと」

フレドリカ「うん、マイク……施設に居た協力者と連絡も取れなくなって、仕方ないから新しく協力者を集めてダンジョンに登ろうと思った」

フレドリカ「でも結果はこの有り様。こんな事だったら、最初から風来人に頼めば良かったわ」

苗木「……もしかして褒められてる?」

フレドリカ「今日何したか、自分の胸に手を当てて考えてみれば」

苗木「ぐふっ」グサッ


フレドリカ「まぁ、私の理由はこんな所。……詳しく言えなくて悪いけれど」

苗木「ははは、話したくないなら別に良いよ。詰問してる訳じゃないんだからさ」

フレドリカ「……ありがと」

フレドリカ「とりあえずダンジョンの奥までもうちょっと、よろしく」テクテク

苗木「あ、うん、おやすみー」

苗木(大切な用事かぁ、聞かないとは言ったけど少し気になるな)

苗木「……まぁいっか、番付でも読んでよっと」


フレドリカ「…………」

フレドリカ(……希望、か。そんなに良い物なのかな、このまま来る未来は)


……………………


▼ 朝になった。


戦刃「……流石にここまで日が上がれば大丈夫だよね」

苗木「うん、そろそろ出発しようか」

フレドリカ「うぅ……にぇむい……」ウツラウツラ

舞園「ああ、ヨダレが垂れてますよ」フキフキ

石丸2(倍速状態)「うおおおおおお! たるんでいるぞおおおおおおおお!!」

フレドリカ「ひゃいっ! おきまひらっ!!」ビクッ


苗木「大神さん達もありがとう、おかげで安全に夜を越せたよ」

大神「フ……気にする事は無い」

朝比奈「そうそう、また次のダンジョンでお金落としてくれたらいいからさ!」

苗木「ははは、まぁこの店では絶対にドロボウしないって誓うって事で」

舞園「……実はもう盗んでたりして」ボソッ

戦刃「? 何を?」

フレドリカ(分かった、ムクロは空気読めない人なんだ)


苗木「ともかく、また次もよろしくね、皆!」

舞園「ええ、苗木くん達もお元気で」ニッコリ

朝比奈「フレドリカちゃんも、まったねー!」

大神「次に来た時は悲鳴を上げないよう修行でもしておく事だ」

石丸2(倍速状態)「また会おう! うおおおおおおおッ!!」ブンブン

フレドリカ「……うん、機会があったら」

朝比奈「ばいばーい!」


フレドリカ(次……)

戦刃「…………」


……………………


貪食の王者「」カチンコチン


戦刃「忘れてたね、そう言えば」

苗木「…………」


▼ マコトは吹き飛ばしの杖を振った。貪食の王者は5のダメージを受けた。


ザッザッザッ

ちょっくら休憩

朝日奈さんごめんなさい、でももう修正できるチャンスが無い……
ぬるっと再開


~ グラズヘイムAreaⅡ 千年の時を待つ漆黒の叡智 ~


苗木(やけにカッコいい副題だなぁ)

フレドリカ「……ここまで来たら最後の階まであと少し。マコト、油断しないで」

苗木「どうして僕限定なんだよ。いやまぁ、理由は分かるけどさ……」

戦刃「……それより二人共、あれ見て」

苗木「え?」


巡回する青蜂「…………」ブーン


フレドリカ「む、虫……かな。気持ち悪い」

戦刃「多分この階の強敵だと思う。これまでのより弱そうだけど……どうせ今の私達じゃ対処できないし、数が集まればワニ以上に厄介」

苗木「気づかれて仲間呼ばれたら本気でヤバイって事か。分かった、十分注意して……」

フレドリカ「……じとーっ」

戦刃「えっと、ワニみたいに気配に敏感かもしれないから……その、ね」

苗木「……注意、するよ……ッ。それはもう全身全霊の注意をッ」


巡回する青蜂「…………」ブンブン


苗木「……観察してると、一定ルートを往復してるみたいだね」

戦刃「おかげで隙が多いのは助かる……よし、今!」タッ

フレドリカ「っ!」タッ


巡回する青蜂「…………」ブーン


フレドリカ「……気付いてない、のかな?」タタタ

戦刃「やっぱり一体ずつならやり過ごすのもそう難しくないよ、これなら簡単に抜けられる」タタタ

苗木「……ねぇ、さっきハチの近くに巻物が見えたんだけどさ、これなら少し頑張れば、」


▼ フレドリカは『アームスナイプ』を使った! マコトは10のダメージを受けた。

   なんと! マコトは物を拾えなくなった!


苗木「うぉあああああああ! 手があああああッ!?」バシン

フレドリカ「物拾えないんだから、まっすぐ走りなさい」タタタ

戦刃「撃ち方合格」タタタ


……………………


▼ マコトは物が拾えるようになった。


苗木「うう、FFはしないって話だったじゃないか……」シクシク

フレドリカ「マコトが変なコト言うからでしょ」

苗木「だからって攻撃する事無いじゃないか……」

戦刃「まぁまぁ、とりあえず無事に進めたんだから良かったよ」

苗木「そうだけどさぁ……」ブツブツ


フレドリカ「そんな事より、問題はこれよ」


シャッター「…………」ズモモモ


苗木「……仕掛け扉だね、しっかり閉まってるや」

戦刃「こういうの、いかにも研究施設って感じがする」コンコン

フレドリカ「ここがダンジョンになる前は、このシャッターのロックを外す為には個別ごとに機械の操作が必要だったの」

フレドリカ「きっと今もそれは変わってないわ、むしろもっと不思議に、そして複雑になっているかもしれない」

フレドリカ「……先に進むためには、またあのハチをやり過ごして操作盤を探さないと――」


苗木「そりゃっ」ポカッ

シャッター「」ガシャコン

フレドリカ「えっ」


苗木「開いた開いた、じゃあ行こうか」

戦刃「あ、階段もあるよ。やったね」

フレドリカ「ちょ、ちょっと待って!? 何で一回殴っただけで開くの!? しかもムクロならまだしもマコトが!!」

苗木(何か引っかかるなぁ)

戦刃「どうしてって言われても……扉とか柵は殴って開閉するよね?」

フレドリカ「そんな訳ないでしょ!? さっき言った通り、このシャッターはちゃんとした操作しないと開かないはずで……!」


苗木「♪~(´ε` )」ポカポカ

シャッター「」ガシャガシャガシャ


フレドリカ「ぬあー!」


フレドリカ「……ううう、納得出来ない……!」

戦刃「拗ねちゃった。よしよし」ナデナデ

苗木「こういうの、敵が目の前に居ても攻撃できなくなるのがちょっとヤなんだよねー」ポカポカ

シャッター「」ガシャガシャ

フレドリカ「遊んでないで早く行くッ!!」


ザッザッザッ……


~ グラズヘイムAreaⅠ 世界が希望を託した遺跡 ~


戦刃「……いよいよ最後の階、か」

苗木「希望の遺跡……意味は分からないけど、いい題名だね」

苗木「ここまで来て倒れるのは格好付かないし、最後まで頑張ろう」

戦刃「うん」

フレドリカ「…………」


苗木「……見た所、モンスターの姿は無いね。というか妙に長閑で逆に不気味だ」キョロキョロ

戦刃「今までの階に比べて光が多くて明るいからかも」

フレドリカ「そうね。この辺りは人の行き来が激しかったから、それなりに過ごしやすく作られているもの」

苗木「へぇ、そうなんだ。じゃあやっぱりこの階は結構安全に――」


扉「…………」ズモモモ


苗木「……」チラッ

フレドリカ「別に、この階の扉は普通に開くもん……」


プシュー……ガコン


苗木「うわっ、暗っ!」

フレドリカ「電源が落ちてるのかしら、何とかして点けないと一歩先も見えない」

苗木「そうだね、一旦戻って調べ、」

戦刃「……待って、少し先に何か寝てるよ。この階の強敵かも」

フレドリカ「……やっぱりムクロって凄いなぁ……」

苗木「ひょっとすると大神さん以上に超人描写多いからね、彼女」


荒ぶる駝獣「ZZZ……」スヤスヤ


戦刃「……大きなラクダ、かな。凶悪そうな顔で穏やかに寝てる」

苗木「何か凄い矛盾してるけど、絶対強い事は分かった」

フレドリカ「でも寝てるなら何とかなるでしょう? 起こさないよう静かに通り過ぎれば……」

戦刃「うーん。残念だけど通路を塞ぐように寝てるから、ちょっと難しいかな」

苗木「よりによって厄介な……」


フレドリカ「無理やり起こして進むにしても、気づかれたら追ってきそうだし……どうしよう」

苗木「……まぁこっちには一時しのぎの杖があるから、何とかなるといえばなるんだけどね」

フレドリカ「あのワニを飛ばした杖? じゃあそれを使って進めば!」

苗木「でも使える回数が分からないし、あんまり使いすぎると後で面倒な事になるしなぁ……」

苗木「……あ、いやでも吹き飛ばしと身代わり。あと矢もあるしラクダの数次第ではゴリ押せる……かな?」

戦刃「うん、迷って無駄に敵と遭遇しなければ勝算はあると思う」

苗木「…………」


▼ マコトは身代わりの杖を振った。


フレドリカ「? どうしたの、壁に杖振ったりして」

苗木「いやちょっとしたチェックをね」

苗木(よし、呪われてないな)


苗木「……それでフレドリカさん、どうする? ちょっとした賭けになるんだけど」

フレドリカ「…………」

フレドリカ「……やる。ここまで来たら二人を信じる」

苗木「フレドリカさん……!」

フレドリカ「ムクロ9、マコト1」

苗木「一割ぽっちかよ畜生!」


戦刃「とにかく、決まったのならやろう。苗木くん」

苗木「分かった、あっちだね。えいっ!」


▼ マコトは一時しのぎの杖(-1)を振った。


荒ぶる駝獣「ZZZ――」シュン


苗木「……当たった?」

戦刃「バッチリ。じゃあ先に進もう」

フレドリカ「うん……!」


……………………


荒ぶる駝獣「ZZZ……」スヤスヤ


戦刃「また居る。前方まっすぐ」

苗木「よーし」


▼ マコトは一時しのぎの杖(-2)を振った。


シュン


……………………


戦刃「苗木くん」

苗木「よっと」


▼ マコトは一時しのぎの杖(-3)を振った。


シュン


……………………


戦刃「ラクダ発見伝」

フレドリカ「…………」ジーッ

苗木「……振ってみる?」

フレドリカ「! べ、別にそんな、私は……」


▼ フレドリカは一時しのぎの杖(-4)を振った。


シュン


フレドリカ「…………」ムフン

苗木(何となく嬉しそうな気配がする)


……………………


▼ マコトは一時しのぎの杖(-5)を振った。


フレドリカ「……? あれ、何も出ない」

苗木「まずいな、杖の回数が0になったんだ」

フレドリカ「それじゃあどうするの!? ここまで来たのに!」

苗木「……フレドリカさん。僕と戦刃さんと、命運を任せるならどっちに」

フレドリカ「ムクロ」

苗木「だよね! 戦刃さんよろしくッ!!」

戦刃「あらほらさっさ」


▼ ムクロは一時しのぎの杖(-5)を投げた。一時しのぎの杖(-5)は荒ぶる駝獣に当たった!


シュン


……………………


苗木「……さて、もう杖も無くなったし、これ以上ラクダが居るとマズイんだけど。大丈夫かなぁ」

フレドリカ「じゃあもう祈るしか無い訳ね……」

戦刃「……! 前方に扉。多分出口」

苗木「さて、鬼が出るか蛇が出るか。出来れば何も居ないで欲しいけど――」


ガコン……プシュー


荒ぶる駝獣×5「「「「「」」」」」カチンコチン


フレドリカ「ヒッ」ビクッ

戦刃「鬼でも蛇でもなく駝が出たね」

苗木「う、嬉しくはあるけどヤな光景……」


戦刃「どうやらこの先――ラクダ達の奥にある扉がゴールみたい」

フレドリカ「そ、それは良いけど、どうするの? これじゃ渡れない!」

苗木「……よし、この配置なら大丈夫だ。二人共ちょっと下がってて」

戦刃「分かった」

フレドリカ「……?」


苗木(よし。それなりに広い部屋、ラクダは全部で五体。そしてみんな手を出さない限りは動かない)

苗木(それならまず、端っこの一体を弓矢で撃って、起こす)ギシッ


▼ マコトは一本の木の矢を撃った。荒ぶる駝獣は3のダメージを受けた。


荒ぶる駝獣「グルォォォ……!」ピコーン


フレドリカ「!? マコト、あなた何を……!」

戦刃「大丈夫だよ、苗木くんなら」


苗木(そして少し引きつけて、吹き飛ばしの杖で距離を開ける)

荒ぶる駝獣「グオ!?」ブオッ


▼ マコトは吹き飛ばしの杖(-1)を振った。荒ぶる駝獣は5のダメージを受けた。


苗木(通路の扉は閉まってるから、部屋の端に叩きつけただけだ。このままじゃすぐに追ってくるだろう)

苗木(すかさず位置を移動して、もう一体を吹き飛ばし――身代わりだ!)


▼ マコトは吹き飛ばしの杖(-2)を振った。荒ぶる駝獣は5のダメージを受けた。

  マコトは身代わりの杖(-1)を振った。荒ぶる駝獣は身代わりになった。


ボフン!

苗木(荒ぶる駝獣)「グ、グオォ!?」オロオロ


フレドリカ「ら、ラクダがマコトになった!?」

苗木「よし!」


苗木「あとは木の矢で扉の前のラクダを刺激して終わり!」


▼ マコトは一本の木の矢を撃った。一本の木の矢は地面に落ちた。


荒ぶる駝獣「!?」パチン


戦刃「……ああー……」

苗木「別に起こすって目的は果たせたから良いもんね! それより二人共! ラクダが身代わりに気を取られてる内に扉に向かうんだ、早く!」タタタ

フレドリカ「!」タタタ


苗木(荒ぶる駝獣)「グォォォ!?」

荒ぶる駝獣A「グオアアア!!」ドドド

荒ぶる駝獣B「グアアオ!!」ドドド


▼ にせマコトは98のダメージを受けた。

   にせマコトは87のダメージを受けた。

  にせマコトは97の…………



戦刃(ひどい光景……)

苗木「と、とにかくゴールだ! さぁフレドリカさん、扉を!」

フレドリカ「え、あ……うん!!」カチッ


ガコン……プシュー…




フレドリカ「開いた……!」

フレドリカ(……これで、これで私は――!)



……………………



デン デン デンデンデンデンデン……

~ 風来番付 ~


▼ グラズヘイム 最奥
  マコトはフレドリカを連れAreaⅠまで辿り着き、未来への希望を繋いだ。


・LV 1  HP 15  ちから 6

エン 3032  経験値 0

・武器 『なし』

・盾 『ムクロハァハァ』

・腕輪 『なし』



……………………


~ ??? ~


苗木「……ここは? 最奥って言う割にはそんなに広い部屋じゃないね」

苗木「あれは……カプセルみたいな器具と電子機器、かな。それ以外には変わったものは無いし……」キョロキョロ

フレドリカ「…………」カタカタ ピッ

戦刃「……フレドリカちゃん?」


フレドリカ「……二人共、ここまで連れてきてありがとう」

苗木「え?」

フレドリカ「私一人じゃ多分――いえ、絶対ここまで来る事は出来なかったと思う」

フレドリカ「……本当、とても感謝してる」

苗木「は、ははは。いやぁそれ程でも……」

苗木(な、何かこれまでがこれまでだったから嫌に照れるな)

戦刃「と言う事は、やっぱりここが?」

フレドリカ「うん、私の目的地。大切な用事を果たさなくちゃいけない場所」

苗木「そっか……まぁ、役に立てたんなら良かったよ。僕は僕でダンジョンに挑戦してただけだったけど」


苗木「それで、フレドリカさんはこれからどうするの? もし良かったら、用事が済むまで待ってようか」

苗木「せっかくだし、終わったら三人でお祝いでもしようよ。クリア記念にさ」

フレドリカ「…………」


フレドリカ「……ごめんね、かなり長い時間かかると思うから無理だと思う。一日二日じゃきっと終わらない」

苗木「そうなのか……じゃあどうしようかな、終わるまで街で時間つぶしでも……」

フレドリカ「気持ちは嬉しいけど、良いの。物凄く忙しくなるもの」

苗木「えー、残念だなぁ……」

戦刃「…………」


苗木「……じゃあ仕方が無いか、ここで一旦お別れって事だね」

フレドリカ「うん。……重ね重ね、本当にありがと」

苗木「い、いや良いって。あんまり言われると恥ずかしいよ」

苗木「まぁ僕達は用事が何なのか分かんないけど、フレドリカさんも頑張って――」

フレドリカ「リッキィ」

苗木「……リッキィ?」

フレドリカ「私の愛称。仲の良い人からはリッキィって呼ばれてるから。……今度からそう呼んでも、いい」


苗木「……うん、分かったよ。じゃあまた会おうね、リッキィ!」

フレドリカ「マコト、ムクロ。短い間だったけど楽しかったわ、二人共元気でね」

フレドリカ(……私も絶対に。忘れないから)


戦刃「……ねぇ、リッキィ」

フレドリカ「?」

戦刃「さようなら」

フレドリカ「! …………」




フレドリカ「――……さよなら」



プシュー……ガコン


~ グラズヘイム前 ~


苗木「……ふぅ。やっと帰ってこれた」

戦刃「結構時間かかっちゃったね。一日と半分かぁ……」

苗木「苦労したけど、やりごたえのあるダンジョンだったね。特に強敵しか出て来なくて、もっと長かったら――」テクテク

戦刃「…………」


戦刃「…………」ヒョイッ


▼ ここにはもう、入れない。


戦刃「…………」


苗木「あれ? 何やってるのー? 戦刃さーん!」

戦刃「ううん、今行くよ」タッタッタ……


「それで、今度はどこに行くの?」

「そうだなぁ……そうだ、山田君が今度同人ショップ兼武器屋を開くそうだよ」

「あと霧切さんが人を探しに月のダンジョンに向かうとか何とか……」

「そうなんだ、なら……」

「うん――、――」

「――」


……


……………………


フレドリカ「…………」


『――よろしかったのですか?』


フレドリカ「! マイク、起きたんだ」

『イエス。先程まで施設のダンジョン化に伴い機能停止していましたが、無事再起動を行う事が出来ました』

『これも全てはあなたのお陰です、ご――』

フレドリカ「いいえ、私だけの力じゃないわ」

フレドリカ「マコトとムクロ。二人が居なきゃダメだったもの」

『……そうですか。それではこの場には居ないあなたの友人、マコトとムクロにも感謝を』

フレドリカ「うん」


『それでは数日程遅れてしまいましたが、計画を次の段階へと移行します』

『――よろしいですか?』

フレドリカ「……うん」

『イエス、それではコールドスリープを起動します。スーツを装着し、中央のカプセルへお入り下さい』

フレドリカ「…………」


フレドリカ(……マコト。あなたは昨日、ダンジョンが希望をくれると言った)

フレドリカ(確かにそれは間違いじゃない、街の復興が進んでいるのもそのおかげなのだから)

フレドリカ(――でも、それでも。あの史上最大の絶望的事件で壊れたまま戻らない物はある。環境汚染や土地の崩壊を始め、他にも色々)

フレドリカ(だから私達はそれらを再生させる為、ダンジョンに頼りきらず別のアプローチをしなければならないの)

フレドリカ(……そしてそれに伴い、ずっと先の未来で起きる災厄の処理。それが、私の大切な用事)


フレドリカ「……ねぇマイク、お願いがあるんだけど」

『何でしょう』

フレドリカ「もし私が起きて、あの二人の事も忘れちゃってたら。絶対に思い出させてね。約束よ」

『イエス、約束致しましょう』

フレドリカ「……良かった」



『それでは、装置を起動します』

フレドリカ「うん……おやすみ、マイク」

『イエス。私も目覚めの時を楽しみにしております――』




『――ご主人タマ』

フレドリカ(目覚めた時、直ってるといいなぁ。この呼び方……)






……………………

…………

……






~ 何時か ~


――――


少女(…………)


――――!


少女(……? なんだろう)


――ぇ――よ!


少女(なにか、聞こえる。声……?)


彷徨いし駱駝「グアアアアアアア!!」ドドドド


少女(あれ、は……なんだっけ。どこかで見たような……)


金髪の少年「ヤベェって! これヤベェってオイ!」

盾を持った女性「落ち着いて! 焦ったら余計ヤバくなるわよ……!」


少女(ひと……人? 何でこんな所に……)

少女(? あれ、そもそもここってどこだっけ……?)

少女(場所だけじゃない、私も、私も……)


少女(……何も、覚えていない。分からない……)


眉尻に傷のある青年「…………ッ!!」

ジャンピングしそうなサイモン「くっ、ここは戦うより他無いか!」


少女(……いいえ、今は考えてる時じゃない……?)

少女(たぶん、あの大きいのが敵で、あの人達は戦おうとしている。戦わないときっと死ぬ。あの人達も、私も)

少女(なら、私にも出来る事がある。じゅう……そう、銃があるんだもの)


プシュー……カシャ カシャン


少女「……ん……」

眉尻に傷のある青年「ッ!?」

盾を持った女性「カプセルから女の子が……?」


少女(銃の扱いも殆ど覚えてない。どこをどうすれば撃てるのかも)

少女(でも、何だろう。身体がちゃんと覚えている。そう、確かこんな感じで)チャキッ


『――両手でしっかりグリップを握って、肘を伸ばして。視線はリアとフロントをまっすぐ――』

『――足を開いてどっしりと地面を踏みしめるの、そして――』


少女(……そう、そして。そして――!)


彷徨いし駱駝「グオオオオオッ!!」

眉尻に傷のある青年「…………来るぞ!!」チャッ



少女「――狙いを、つけてぇッ――!!」




▼ ――――彷徨いし駱駝が現れた――――!



おしまい。多分この世界のマイクさんはあんな事にならない。

世界樹と不思議のダンジョンとか、その発表時生放送であった中村社長のおちゃめさんとか見て唐突に前作を思い出した。
そんで総合的に加味して、おそらく今の時期じゃないと出来ないと思ってつい衝動的に書いちゃった。ごめんね。

ともあれ、ここまで読んでくれてありがとうございましたー。



ロンパと風来のシレンのクロスってことでいいんだよね?
女の子や最後に出てきた人達もシレンの方のキャラ?

>>117
シレン+ダンロン×新世界樹の迷宮という無茶な構図。女の子達は世界樹のキャラっす
今度3DSでシレンと世界樹のコラボ作品が出るんだけど、その発表の時にモノクマ持ったチュンソフト社長が出てきたからイケると思った
やり切ったので全く反省はしていない、ハハハ

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