エレン「獄門塾?」(94)

金田一少年の事件簿「獄門塾殺人事件」のパロ
アニメ沿いで地獄の傀儡師は登場しません
殺人、いじめ描写あり
悪役を割り振られたキャラは外道化してるので苦手な方は注意

ミカサ「……エレン、この点数は何?」ヒョイッ

エレン「わああああ! 見るなって!」

アルミン「赤点だらけじゃないか! ひどい……」

ミカサ「エレン、このままじゃ留年してしまう。やはり塾に行くべき」

エレン「嫌だよ塾なんか!」

ミカサ「エレンにぴったりの塾がある」ヒラッ

エレン「獄門塾? すごい名前だな」

ミカサ「アルミンは獄門塾に通うようになってからさらに成績が伸びた」

アルミン「うん……限界まで厳しい勉強を強いられる塾だからね」

エレン「絶対行きたくねえ……」ゲンナリ

アルミン「この連休中も合宿に行くんだ」

エレン「合宿?」

アルミン「うん、合宿所は樹海の中にあって監獄みたいなんだ」

アルミン「逃げたくても逃げられない勉強漬けの日々が三日も続くのさ」


エレン「ひぃぃ……」ガクブル

ミカサ「エレン、私も申し込むから大丈夫。一緒に行こう」

エレン(ミカサと三日間一緒に過ごせるのか……でも勉強漬けって……)

~獄門塾~

ジャン「おっ! 何だよアルミン、可愛い彼女なんか連れてきやがって」ニヤニヤ

アルミン「そ、そんなんじゃないよ!」アタフタ

ジャン「へえ、そうなのか……」チラチラ

エレン「お前も獄門塾の生徒なのか? 俺は――

ジャン「俺はジャン・キルシュタイン。合宿で分からないことがあったら何でも聞いてくれよ」スッ

ミカサ「……私はミカサ・アッカーマン。よろしく」スッ

ジャン「へえ、ミカサって言うのか。綺麗な黒髪だな」デレデレ

ミカサ「……どうも」

エレン「おい! 俺は無視かよ!」

ジャン(こんな可愛い娘がいれば、あの地獄みたいな合宿も少しは楽しめそうだぜ)

エレン「何だよアイツ……!」

ジャン「よう、ユミル」

ユミル「ジャン? 誰だそいつら?」

ジャン「入塾希望者のミカサだよ。合宿にも参加するんだと」

ユミル「へえ……いかにもな優等生だな」

エレン「お、俺もいるぞ!」

ユミル「そっちはアッタマ悪そうだな」ケラケラ

エレン「なっ!」

アルミン「そんなはっきり言わなくても……」

ライナー「バカが増えるのは歓迎だぜ。俺より下ができるんだからな」

クリスタ「ふ~ん、何か面白そう♪」

エレン「何なんだよこいつら……」

ミーナ「気を付けてね、この塾怖いところだから……」

エレン「怖いところ?」

アニ「獄門塾は徹底した実力主義。出来るものしか生き残れないってことだよ」

アニ「弱い者は……脱落するのみ」

ベルトルト「……」コソコソ

ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ

エレン「!! 何だ!?」

エレン「非常ベルか……二階から鳴ってる! 急ごう!」ダダダダッ

ジャン「……何で非常ベルの鳴った方向に走ってるんだ?」

アルミン「そういうところは突っ込んじゃ駄目なんだ!」

コニー「なんだなんだ!? 火事か!?」

エルヴィン「どうした? このベルは一体……」

ハンジ「誰かがタバコでも吸ったんじゃないの?」

アルミン「先生!」

エレン「あそこだ! あの部屋から鳴ってるぞ!」

エルヴィン「今日は相談室は使ってないはずだが……」

ガチャッ

コニー「ダズ? 非常ベル押したまま固まってるぞ。何やってんだ?」

エレン「おい! しっかりしろ!」ユサユサ

ドサッ

エレン「し、死んでる……」

ミカサ「き、きゃああああ」

アルミン「ミカサ、無理しなくていいよ」

ピーポーピーポー

ハンネス「お前の行く先々で事件が起こるな……一体どうなってるんだ」

エレン「俺だって好きで事件に遭ってるわけじゃないよ……」

ハンネス「……被害者のダズ君は、この塾の塾生だったんですね?」

エルヴィン「いいえ刑事さん、彼は先月塾を辞めました」

エルヴィン「今日は外部生として、テストだけ受けに来ていたようです」

ハンネス「ふむ……鑑識によると、死因は毒物による心不全の可能性が高い」

ハンネス「また、指先には少量の出血が見つかっている」

ハンネス「床に落ちていたこの小冊子には、いくつもの毒針が仕込まれていた」

ハンネス「被害者はこれを手に取って針に刺されたと思われる……」

エルヴィン「そ、それじゃあ……」

ハンネス「ええ。つまりこれは殺人事件という事です」

ハンネス「犯行時刻、塾にいた皆さんにはいくつか質問に答えていただきたいんだが……」

ユミル「あたしは関係ないし、帰って良いか?」

ジャン「明日は模擬試験もあるしな」

エレン「お前ら! 人が死んでんだぞ!」

ハンジ「皆、刑事さんに協力しよう」

ユミル「ハァ……」

ハンネス「ゴホン! ……最後に被害者を見たのは誰だ?」

全員「……」

コニー「あっ! 俺ライナーとダズが喋ってるの見たぞ!」

ライナー「なっ!」

ハンネス「詳しく説明してくれたまえ」

~コニーの回想~

コニー「ダズは外部生テストが終わったころだったんだ」

ライナー「ダズ! お前なんで獄門塾を辞めちまったんだ?」

ダズ「ラ、ライナーだって分かってるだろ! あんな恐ろしいことがあったんだ……」

ライナー「!!」

ダズ「もう二度とこの塾と関わりたくないんだよ!」

ダズ「模範解答貰ったら帰るからああああ!!」

~回想終わり~

エレン「あんな恐ろしいこと?」

コニー「ダズは確かにそういったぞ! ライナー!」

ライナー「……さぁな」

ハンネス「とにかく、被害者は模範解答を貰いに行くと言っていたんだな?」

ライナー「あぁ、そうだ」

ハンネス「この小冊子がその模範解答だ」

エルヴィン「ま、待ってください! これは偽物です」

ハンネス「偽物?」

エルヴィン「今日は模範解答を配る予定はありませんでした。誰がこんなものを……」

アルミン「そうか! そういうことか!」キラーン

エレン「何か分かったのか、アルミン?」

アルミン「ダズは今日テストを受けにきた外部生の誰かに嘘を教えられたんじゃないでしょうか」

アルミン「この相談室で模範解答を配っているって……」

アルミン「そこでこの偽物を手に取り毒針に刺されてしまった」

ハンネス「なるほど……有名進学塾の学生とだけあってさすがの推理と言いたいところだが……」

ハンネス「残念ながらハズレだ」

アルミン「……どういう事です?」

ハンネス「これは被害者が握りしめていたメモだ」スッ

メモ「外部生徒の皆さんへ。試験終了後、模範解答を相談室にて配布いたします」

エルヴィン「そんなメモを配布した覚えはありません!」

ハンネス「犯人の仕業でしょうな」

ハンネス「今回の試験では、問題用紙は机の上にあらかじめ配られていた」

ハンネス「犯人はその中の一つに、このメモを忍ばせておいたのです」

ハンネス「被害者はそのメモを見てここへやって来た」

エルヴィン「でも受験者はたくさんいてそれぞれが好きな席に着いていたんですよ?」

ハンネス「被害者はたまたまその席に着いてしまったがためにやられてしまったんです」

ハンネス「つまりこれは無差別殺人という事ですよ」

全員「無差別殺人!?」

アニ「相手は誰でも良かったということ……?」

エルヴィン「犯人はなぜそんなことを……?」

ハンネス「おそらく勉強によって生み出された心の闇が――

エレン「そいつはどうかな?」

エレン「犯人は最初からダズに狙いを定めて殺したんじゃないかな」

エルヴィン「何だい君は? 塾生ではないようだが……」

ユミル「この塾のこと何も知らねえくせに」

ジャン「全くだぜ」

ハンネス「まあまあ、コイツの推理は聞く価値ありですよ」

ハンネス「……エレン、何か分かったんだな?」

エレン「ああ。これはマジシャンズ・セレクトなんだ」

ミカサ「マジシャンズ……セレクト?」

ミカサ(何回も聞いた気がするけど知らないふりをしておこう)

エレン「テレビのマジックショーでよくやってるあれだよ」

エレン「客に自由にカードを引かせて、後でいろんな場所からカードを取りだしてびっくりさせる」

エレン「あれって実はどうやってもマジシャンの思い通りにカードを引くよう仕組まれているんだ」

ジャン「バーカ、テストを受けたやつは何人もいるんだぞ」

ジャン「誰がどの席に座るのか誰にも分からねえ」

ジャン「そのメモを置いた席にどうやってダズを座らせるんだよ?」

エレン「簡単なことだ! なぜならすべての席にメモが仕込まれていたんだからな!」

全員「な、なんだってー!??」ザワザワ

ジャン「は? それなら全員この相談室に来るはずじゃ」

エレン「メモにはそれぞれ違う場所が指定されていたんだ」

エレン「犯人は受験生たちが来る前にメモの仕込みを終えた」

エレン「そしてダズがどの席に座るのかを見届け」

エレン「指定した場所――ここ、相談室の模範解答を毒針付きのものとすり替えた!」

ハンネス「なるほど! その手を使えば被害者一人を狙い撃ちにできる!」

ミカサ「そういえばさっきこれを拾った」スッ

メモ「外部生徒の皆さんへ。試験終了後、模範解答を108教室にて配布いたします」

全員「これは間違いないな……」ザワザワ

エレン「ミカサ! それ早く出せよ!」

ミカサ「……悪かった(エレンの推理に聞き惚れてた…//)」

エルヴィン「しかしなぜ犯人はダズ君を狙ったんだ」

エレン「その理由を知ってる者は、この中にいるんじゃないのか!?」

アルミン「!」

ユミル「!」

ジャン「!」

クリスタ「!」

アニ「!」

ライナー「!」

ベルトルト「!」

ミーナ「!」

コニー「!」

エルヴィン「!」

ハンジ「!」

サシャ「えっ私もですか!!?」モグモグ

???「ダズが殺された……」

???「まずいよ、やっぱりあの事が……」

???「お、俺たちも狙われてるって言うのかよ!?」

???「まさかぁ」

???「何でこんな時に合宿に行かなくちゃならないんだ……!」

???「あの監獄の中に入れられてしまったら逃げたくとも逃げられない……!」

???「ふん、面白そうじゃねえか」

???「次に殺されるのは誰だろうな?」

ミカサ「……」スタスタ

エレン「どうした? ミカサ? 何か気になることでもあるのか?」

ミカサ「……なぜ誰も模範解答が偽物であると気づかなかったのか……」

エレン「あぁ……おそらく、答えが合ってたからだろうな」

エレン「それなら誰も怪しまないだろ?」

アルミン「ってことは……まさか……」

エレン「ああ。事前に同じテストを受けて答えを知ってたのは、あそこにいたAクラスの連中だけだ」

エレン「つまり犯人はAクラスの生徒と二人の講師に絞られる」

アルミン「合宿……何も起こらないといいね……」

エレン「ああ……何か嫌な予感がするぜ……」

ミカサ(エレンは私が守る……でも今回は……)ザワザワ

~合宿当日~

エルヴィン「皆さん塾生には、ここで月光荘と太陽荘の二つの合宿所に分かれてもらいます」

エレン「月光荘? 太陽荘? なんだそりゃ?」

ミカサ「パンフレットに書いてあったはず……文系が太陽荘、理系が月光荘」

エレン「俺は文系だから太陽荘か。ミカサは?」

ミカサ「……月光荘。理系だから」シュン

エレン「ええっ!? 何だよ一緒じゃないのかよ!」

クリスタ「君も太陽荘なんだ?」

エレン「えっ?」

クリスタ「私、クリスタ・レンズ。同じ太陽荘だね! よろしく」ニコニコ

エレン「お、おう//」テレテレ

ミカサ「エレン……何しに来たか分かってる?」ゴゴゴ

エレン「わ、分かってるよ!」アタフタ

エルヴィン「初めての方もいると思うので、自己紹介をしておきたいと思います」

エルヴィン「私はエルヴィン・スミス。月光荘で物理化学の授業を担当させていただきます」

ハンジ「太陽荘で国語と英語を教えるハンジ・ゾエです! よろしく」

ハンジ「そして、新しい先生が……」

リヴァイ「月光荘で数学を教えるリヴァイだ。よろしく」

エレン(リ、リヴァイ警視!? 何でこんなところに!?)

ハンジ「リヴァイ先生はかつて受験の神様wwと呼ばれてたこともあるんだって!」

エレン(警察官が経歴詐称なんかしていいんですか!?)ヒソヒソ

リヴァイ(俺は昔予備校で講師のアルバイトをしてたことがある。詐称じゃねえ)ヒソヒソ

リヴァイ(今回はその時のコネを利用して潜り込んだ。また事件が起きないとも限らんからな)ヒソヒソ

エレン(何でもありかこの人)

ミカサ(あの刑事は何となく気に入らない)ムッ

ハンジ「イェーガー君? ちょっとその荷物見せてもらっていいかな?」

エレン「えっ!? ちょっとこれは……」

ハンジ「漫画にゲームにお菓子にエロ本まで! 全部没収させてもらうよ~」

エレン「そんなぁ……」

アルミン「エレン……」ハァ

ハンジ「指定以外のものは持ち込み厳禁なんだよ。もちろん携帯や着替えなんかもね」

エレン「えっ!? 着替えも!?」

ハンジ「……前に自殺を図った生徒がいたからね」

エレン「うへぇ……刑務所みたいだな」

エルヴィン「それでは、皆さん出発しましょう」

ミカサ「エレン……どうか、死なないで……」ウルウル

エレン「ああ! リヴァイ警……先生、ミカサをよろしくお願いします」

リヴァイ「何かあったらこの携帯で連絡を取り合う。いいな」コソコソ

ミカサ「分かった」コクッ

エレン(何不安になってんだ俺……ミカサにはあのリヴァイ警視がついてる! 大丈夫だ……)

エレン(俺、アルミン、ライナー、コニー、クリスタ、ミーナ、アニが文系グループ)

エレン(ミカサ、ジャン、ユミル、ベルトルト、サシャが理系グループか)

~文系グループ~

エレン「いったいどこまで行くんだ……? すっかり森の中だぞ」テクテク

ミーナ「塾生たちが簡単に逃亡できないよう、合宿所は樹海の真ん中にあるんだって……」

エレン「ええっ!?」

アルミン「それでも毎年過酷な環境に耐えられず、脱走者が後を絶たないんだ」

アルミン「噂では迷い込んで帰れなくなった人もいたとか……」

エレン「マジかよ……」

~理系グループ~

ジャン「ふぅ、やっと見えてきたぜ」

ミカサ「ここが月光荘……まるで監獄のよう」

ジャン「元々療養所だったのをエルヴィン先生が改装したそうだぜ」

ジャン「この浮き彫りも先生が作ったんだろうな」

ミカサ(太陽の光を受けて浮かび上がる"月光荘"の文字……)

ミカサ(謎解きの手がかりになりそう……)

~文系グループ~

エレン「はぁはぁ、やっと着いたのか」

アルミン「この川の下流に月光荘があるんだよ」

エレン「へえ……なぁアルミン! 夜中にこっそり抜け出してミカサの所へ遊びに行こうぜ!」ニヤニヤ

アルミン「無理無理! 片道だけで一時間はかかるし……」ブンブン

アルミン「夜中に迷ったら帰ってこられなくなるよ」

エレン「そっか……」

アニ「あんた達、3分後に一回の食堂に集合だよ」

アニ「スケジュールは分刻みだから、よろしく頼むよ」キリッ

エレン「やべえ、急ごうぜ」

~理系グループ 午後2時~

エルヴィン「靴はビニール袋に入れてロッカーの中へ」

エルヴィン「持ち物は荷物袋の中に入れて、各部屋の指定の場所に置くように」

ユミル「さーて、最初に独房送りになるのは誰だろうな?」ニヤニヤ

ミカサ「独房……?」

ジャン「自習室のことだよ」

エルヴィン「フーバー君、君はここ、自習室だ」

ベルトルト「えっ!?」ビクッ

ジャン「出た! 独房!」

ベルトルト「何でですか先生!?」

エルヴィン「君の今の成績では、この塾を辞めてもらうほかはない」

エルヴィン「だから自習室で特別カリキュラムをこなすんだ。食事もここで取ること」

ガチャッ

ミカサ「鍵まで……」

ユミル「さっそく独房送りとはな」ケラケラ

~文系グループ 午後2時30分~

ハンジ「授業は一コマ55分。合間に15分の休憩が入るから、その間にトイレとか復習を済ませておいてね」

エレン「それじゃ休憩できないんじゃ……」

ハンジ「マンネリ化を防ぐために一コマごとに教室を移動するから、時間厳守ね!」

エレン(マジで地獄だな……こうなったらメシだけが楽しみだ……)

~理系グループ 午後3時40分~

リヴァイ「次に、この公式について説明する」カキカキ

ジャン(超コエーよあの講師! 視線だけで人殺せそうだ)ガクブル

サシャ(おなかすいた……晩御飯なんだろう……)グーグー

ミカサ(……エレンは無事だろうか……)

~理系グループ 午後7時~

ミカサ(夕食後は一時間の散歩か……)

ミカサ(月光荘の浮き彫りがライトアップされて光っている)

リヴァイ「……エルヴィン先生がまだだな」

リヴァイ「散歩後にも授業があるから遅れが出るとまずいはずだが……」

エルヴィン「遅れてすみません、出発しましょう」

エルヴィン「まずはこのロープを握ってください」

リヴァイ「ロープ?」

エルヴィン「真っ暗な樹海を一時間も歩くのです」

エルヴィン「はぐれたら大変ですから、ロープから手を離さないように」

リヴァイ(深い闇だ……何事もなければいいが……)

エルヴィン「勉強の効率を上げるために散歩は欠かせません」

エルヴィン「足を動かせば血行が促進され脳の働きが活性化しますからね」

ミカサ(真っ暗で足元も見えない……)

ジャン「ミッミカサ! 怖かったら手をつなごう……

ミカサ「いえ、大丈夫」キリッ

ジャン「そ、そっか……」

ユミル「ハハッ、ざまあねえな!」

ジャン「何だよ? 性格悪いぞ、ユミル!」ムッ

ユミル「……じゃあ、お前は性格良いのかよ?」

ジャン「なっ……!」

ユミル「あたしたち6人は同じ穴の貉なんだよ。……あ、今は5人になったんだっけ?」ニヤッ

ジャン「お、おいユミル!」アセアセ

ミカサ「……何の話?」

ジャン「な、なんでもねえよ! ただのゲームだよ……」ハハッ

ベルトルト「……」ガクブル

サシャ「おなか……すいて……しにそう……」ガクブル

~文系グループ 午後7時30分~

エレン「これが夕食!? 寒天ゼリーかよ!?」ガーン

エレン「ああ……チーハン食べたい……」

アルミン「でもエレン、これは理にかなった勉強食なんだ」

アルミン「こってりした夕食なんか食べたら胃腸に血が行き過ぎて脳に回らなくなるからね」

アルミン「消化が良く、すぐに頭に栄養が回って集中できるように考えられたメニューなんだ」アルミーン

コニー「今の話が分かんなかったのは俺がバカだからじゃねーよな!?」

エレン「お前はなんでこの塾にいるんだよ!?」

ライナー「もう限界だ……こんな合宿……」イライラ

コニー「おいおい、やけにイラついてんな、ライナー」

アニ「……あんた、本当は怖いんじゃないかい? ダズがあんな殺されかたしたから」

アニ「この塾は呪われているんだよ、あの人の亡霊に……」

ライナー「!!」

エレン「あの人……? いったい何があったんだ?」

アルミン「……」

~理系グループ 午後8時~

ミカサ「……やっと到着した」フゥ

ミカサ(……月光荘のライトアップは相変わらず……)

リヴァイ(8時ちょうど……何とか無事に戻れたか……)

~文系グループ 午前0時~

エレン「もしもしミカサ、月光荘はどうだ?」

ミカサ「特に変わったことはない……でも少し気になることがある」

エレン「気になること?」

ミカサ「ユミルがジャンに言っていた……6人は同じ穴の貉。それが今は5人になったと」

エレン「6人が5人……? どういうことだ……?」

エレン(アニが言っていたことも気になる……あの人の亡霊?)

エレン(この塾で一体何があったんだ……?)

二日目

~文系グループ 午後0時6分~

ハンジ「はい、国語の授業終わり! 各自食堂で昼食を摂って、30分で戻ってくるように!」

エレン「え~っ!? 昼飯ってカロリーゲットだけかよ!」

クリスタ「あはは、ダイエットにはいいかも……」

クリスタ「やだ、お茶ってそば茶なの……?」

エレン「あれ? クリスタ、お茶いらないのか?」

~理系グループ 午後1時15分~

エルヴィン「このように物質1モルが完全に燃焼した時に発生する熱量を燃焼熱といいますが……」

エルヴィン「おや、チョークが切れてしまった」

エルヴィン「キルシュタイン君、すまないが廊下の奥のロッカーから新しいチョークを取ってきてくれないかね」

ジャン「えっ? ……はい」ガタッ

リヴァイ「……?」

ジャン「ったく、チョークくらい自分で取りに行けっつーの……」スタスタ

ジャン「えーと、確かこれだよな……」ガサゴソ

プスッ

ジャン「―――――――――ッ!!?」

エルヴィン「物質量を表すモルと質量の関係ですが……」

リヴァイ(チョークを取りに行ったにしては時間がかかりすぎている……)

リヴァイ「様子を見に行ってくる」ガタッ

エルヴィン「……はい、どうぞ」

リヴァイ(キルシュタインがチョークを取ったのは間違いなさそうだ)

リヴァイ(だが、当の本人がいない)キョロキョロ

エルヴィン「リヴァイ先生! キルシュタイン君は?」

リヴァイ「見当たらないな……2階の個室に帰ったのか?」

エルヴィン「階段には鍵がかかっているから上がれないはず……手分けして探しましょう」

リヴァイ「どこにもいないな」

エルヴィン「となると、また脱走か……」

リヴァイ「脱走?」

エルヴィン「毎年出るんですよ、厳しい合宿に耐えかねて逃げ出す生徒がね」

エルヴィン「そのうち半泣きで戻ってくるでしょう。もう2時15分です、リヴァイ先生の授業ですよ」

リヴァイ「……」

~文系グループ 午後2時15分~

ハンジ「では、『竹取物語』の一説を~

クリスタ「あ、あの……ハンジ先生」モジモジ

ハンジ「どうしたの?」

クリスタ「お腹が痛いので、トイレに行ってきてもいいですか?」サスサス

ハンジ「お大事にね」

エレン「クリスタ、どうしたんだ?」

アニ「緊張でお腹でも壊したんじゃない? 確かアレルギーもあるし」


エレン(クリスタ……遅いな……)

エレン(何だ……この胸騒ぎ……)

~文系グループ 午後2時25分~

ハンジ「さて! 竹取物語については各自復習をするように」

ミーナ「あの……ハンジ先生、クリスタが戻ってきてません」

ハンジ「そう……トイレだったね」

アニ「具合が悪そうだったし、見てきます」ガタッ

アニ「クリスタ、大丈夫?」ガチャ

ミーナ「……誰もいないわ」

ハンジ「レンズさんの具合はどうだった?」

ミーナ「先生、クリスタがいません」

ハンジ「あちゃー、今年も脱走者が出ちゃったか……」ヤレヤレ

ハンジ「しばらく様子を見よう。さあ、授業が始まるよ」

エレン(本当にこれでいいのか……?)

~文系グループ 午後5時05分~

ドンドンドン!

エレン「何だよ、自習時間にうるせーな……」ガチャ

ライナー「エレン! お前、俺のテキスト知らないか?」

エレン「知らねえよ!」

ライナー「そうか……アニ! ミーナ! コニー!」ドンドン

エレン「みんな無視かよ……」

ライナー「アルミン!」ドンドン

エレン「ん? アルミンも無視か?」

アルミン「僕はここだよ!」

エレン「アルミン、トイレに行ってたのか」

ライナー「アルミン、俺のテキストを知らないか?」

アルミン「いや、知らないよ」

ハンジ「何の騒ぎ? 今は自習時間だよ」

アルミン「ライナーがテキストを失くしたらしいんです」

エレン「おいライナー! お前の部屋にテキストあったぞ!」

ライナー「!? そんなはずは……」

ハンジ「まったく人騒がせだねぇ」ヤレヤレ

ライナー「……すんません」

~理系グループ 午後5時05分~

エルヴィン「DNAの構造について話してきましたが、最後にユミル君」

ユミル「はい」ガタッ

エルヴィン「この構造は、何が表現されていますか?」

ユミル「二重らせん構造です」ドヤァ

ミカサ(ドヤるほどの答えではない……が、突っ込んではいけない)

エルヴィン「よろしい。では今から小テストを行います。終わったものから出て行って構いません」

サシャ「やった! 早く終われば長く休憩できますよ!」

エルヴィン「では、始め」

ミカサ(……なかなか難しい……)

……カリカリ……

ユミル「……終わった」ガタッ

ミカサ「……!」

サシャ「えっ!? こんなに難しいのに!?」

ユミル「お先に」ドヤァ

リヴァイ(……5時20分……)

ユミル「ははっ、ちょろいもんだぜ」スタスタ

プスッ

ユミル「――――――――っ!!?」

~文系グループ 午後6時20分~

ハンジ「さて! ドフトエフスキーの悪霊について小テストを行うよ」

エレン「ドSの悪霊って何だ?」

アルミン「ドフトエフスキーの悪霊だよ。主人公が幻で自分の首つり死体を見るんだ」

エレン「うへぇ……」

ハンジ「では、始め」

ハンジ「……」ミマワリ

カサッ

ハンジ「? 誰かが消しゴムを……」

ハンジ「と、カンニングペーパー!?」

ハンジ「みんな、テキストの32ページを開いて! ページが破れている人が犯人だ」

パラパラ……

コニー「あっ! ライナーお前!」

ライナー「何っ!?」ガーン

ライナー「お、俺は知らないぞ!」アタフタ

ハンジ「全く……廊下で頭冷やしてきなよ」

ライナー「くっ……」ガチャ

ライナー(どうなってるんだ? 何で俺のテキストが……)

プスッ

ライナー「―――――――――ッ!!!」

~理系グループ 午後7時~

エルヴィン「さあ、二日目も夜の散歩に出かけましょう」

ミカサ「先生、ユミルが戻ってきていません」

リヴァイ「キルシュタインも見かけないな」

エルヴィン「脱落者に構っている暇はありません。さあ出発です」

~文系グループ 午後7時30分~

エレン「クリスタやライナーがいなくなっても無関心かよ! なんかおかしいよな、この塾」

コニー「案外二人でしけこんでたりしてな」ニヤニヤ

アルミン「……」モグモグ

コニー「……わり」

エレン「いや、いいんだ。それより、この塾で昔何があったのか教えてくれよ」

エレン「アニが言ってただろ、あの人の亡霊が何とか……」

アルミン「……マルコのことかな」

コニー「あぁ……」

エレン「そいつがどうかしたのか?」

アルミン「マルコは施設の出身で、通信制高校の生徒だったんだ」

アルミン「工場で働きながらこの塾に通ってたんだけど」

アルミン「凄い優秀で努力家だった」

コニー「イイ奴だったよな」

アルミン「でも、マルコには重い持病があって……」

アルミン「定期的に注射しなきゃ命に関わるほどだったんだ」

コニー「そうだったのか」

アルミン「うん。それが半年前……」

エレン「……亡くなったのか」

アルミン「……」コクッ

~理系グループ 午後11時50分~

リヴァイ「エレンよ、太陽荘でも生徒が消えたのか?」

エレン「ってことは、月光荘も……」

エルヴィン「リヴァイ先生! ちょっと来てください!」ドンドン

リヴァイ「すまない、一旦切る」

エレン「あっ……(ミカサは大丈夫なのか……!?)」ザワザワ

エルヴィン「窓から火が見えたんです。確かこっちの方角で……」ザッザッ

リヴァイ「……確かに焦げ臭いな」スンスン

エルヴィン「あっ、あれは!!」

エルヴィン「人が……燃えている!?」

リヴァイ「早く火を消せ!」

バシャアッ

リヴァイ(……なぜ足元に水をかけた……?)

エルヴィン「……まさか、キルシュタイン君が焼身自殺を図るとは……」

リヴァイ「いや、違うな」

エルヴィン「?」

リヴァイ「俺には多少法医学の見識がある」

リヴァイ「死亡推定時刻は恐らく11時間前……殺人だ」

エルヴィン「殺人……!?」

リヴァイ「キルシュタインはチョークを取りに廊下へ出た直後、殺害された可能性が高い」

ミカサ「先生! ユミルが……」ダッ

リヴァイ「!?」

~理系グループ 午前0時5分~

リヴァイ「……」ガチャッ

リヴァイ「ユミル……」

リヴァイ(体中に赤と青のガムテープが螺旋を描くように巻きつけられている……)

リヴァイ(こいつはまるで……)

~文系グループ 午前0時15分~

ハンジ「みんな大変! 集まって!」

コニー「何かあったんすか?」

ハンジ「キルシュタインとユミルが亡くなったそうだ」

全員「!! そんな……!!」

ハンジ「行方不明のレンズとブラウンが心配だ……手分けして探そう」

エレン「ライナー!! ライナー!! いるか!?」ドンドン

アルミン「うわぁぁぁぁああああ!!!」

エレン「どうしたアルミン!? 凄い顔だぞ!?」

アルミン「ま、窓の下……クリスタが……」

エレン「!! 竹が胸に刺さってるのか……!?」

ハンジ「うきゃああああああああ!!!!」

エレン「先生!! 凄い声だ!!」ダッ

エレン「……ライナー……」

ハンジ「何で首つりなんか……!? 自殺!?」

エレン「いや、自殺じゃない……」

エレン「椅子を蹴った跡もないし、死後誰かに首を吊られたんだ……」

エレン「竹やぶで死んだクリスタも、おそらく殺されたのは竹藪じゃない……」

エレン「……待てよ? クリスタが教室を出て行ったのは、竹取物語の授業中だ……」


リヴァイ「確か、キルシュタインがいなくなったのは、科学の燃焼の授業中だった……」


エレン「ライナーはドフトエフスキーの小テスト中に教室を出ていき……」


リヴァイ「ユミルが教室を出た時のテストは、遺伝子の二重らせん……」


エレン&リヴァイ「つまり……これは」

エレン&リヴァイ「見立て殺人!!」キラーン

~理系グループ~

リヴァイ「これは見立て殺人だ」

エルヴィン「見立て殺人……?」

リヴァイ「犯人は、授業の内容に見立てて犯行を演出している」

~文系グループ~

ハンジ「一度に4人も塾生が殺されるなんて……」ハァ

エレン「犯人は身近な人物かもしれないぜ」

ハンジ「!! どういうこと?」

エレン「リヴァイ先生と連絡を取り合ってたんだが、犯人は授業の内容を知ってる人物だということが分かったんだ」

コニー「つまり、この中に犯人がいるってことかよ!?」

エレン「……リヴァイ先生に教わって俺がやってみた検死によると……」

エレン「クリスタが殺されたのは、竹取物語の授業中」

エレン「ライナーが殺されたのは、悪霊のテスト中」

エレン「その時間帯、ここにいる全員が教室の中にいたんだ」

アルミン「完璧なアリバイだね……」

ミーナ「確かに……」

アニ「じゃあ、犯行は不可能ってことだね」

エレン「あぁ……同じことが月光荘での殺人にも言えるんだ」

コニー「じゃあ……月光荘の誰かがこっそり太陽荘に忍び込んでやったのか!?」

アルミン「ありえないよ。車やバイクだと山の反対側をぐるっと回るから時間がかかるし……」

エレン「そんなに長い時間誰かがいなくなったらすぐわかるだろうな」

アニ「じゃあ、太陽荘にも月光荘にも犯人がいないことになるけど……」

ハンジ「……待って! 一人だけアリバイのない生徒が……」

~理系グループ~

エルヴィン「フーバー君! すっかり忘れていたが、彼は一人で自習室にいてアリバイがない」

リヴァイ「……自習室には外からカギがかかっているはずだ」

エルヴィン「あの鍵は古い。ちょっとした道具で開けられるだろう」

エルヴィン「……とにかく、話を聞いてみよう」

エルヴィン「フーバー君? 入るぞ?」ガチャッ

リヴァイ「開いている……?」

エルヴィン「フーバー君、寝ているのか? 起きなさい」ユサユサ

ドサッ

エルヴィン「!! 死んでる……!!」

カラン

リヴァイ「これは……注射器か」

~文系グループ~

ハンジ「……今、月光荘から連絡があった。フーバーが自殺したそうだ」

全員「……!!」ザワザワ

ハンジ「彼のロッカーには赤と青のテープ、ライター、ロープ、笹の葉が数枚……」

コニー(笹の葉……!?)

アルミン(突っ込んじゃ駄目だ!!)

ミーナ「そんな……ベルトルトが自殺……!?」

アニ「4人を殺して自ら命を絶ったということ?」

コニー「一人だけアリバイもねえし……」

アルミン「もう、これで決まりだね……」

ザワザワ……

エレン(本当にそうなのか……?)


エレン「もしもし、リヴァイ警視。この結末についてどう思いますか?」

リヴァイ「まるで納得できねぇな」

エレン「ですよね……わざとらしいにも程がある」

リヴァイ「おそらく、奴はスケープゴートだ」

エレン「ええ。これは……犯人からの挑戦状だ」

リヴァイ「ハンネス達がこちらに向かっている。間もなく到着するだろう」

エレン「それまでに真実を暴いてみせる! じっちゃんの名にかけて!」イェーガー!

リヴァイ「……じっちゃんって誰だ」

エレン「分かりません」

三日目

~理系グループ~

エルヴィン「しかし驚きましたよ。まさかあなたが刑事だったなんて」

リヴァイ「……捜査に協力してもらいたい」

エルヴィン「ええ、もちろん」

リヴァイ「この月光荘の見取り図が欲しい」

エルヴィン「見取り図は……ありません」

リヴァイ「何だと?」

リヴァイ「……ではアッカーマン、見取り図の作成を手伝ってくれるか」

ミカサ(……このチビ刑事は気に入らない)

ミカサ(でも、エレンの推理の助けになるなら……)

ミカサ「……分かった」

リヴァイ「何かに触れるときには、念のため手袋をつけておけ」

リヴァイ「キルシュタインがチョークを取りに行った一階のロッカーに手袋がある」

リヴァイ「それを二重につけるんだ」

ミカサ「……あった。手袋」

ミカサ「……」

ミカサ(何だろう……何かがおかしい気がする……)

ミカサ(けどそれが何なのかがわからない……)

ミカサ(……とりあえず写真を撮っておこう……)パシャ

~文系グループ~

ハンジ「みんな、大変なことになったけど落ち着いて!」

ハンジ「月光荘にはリヴァイ警視もいるし、きっと大丈夫……」

アニ「まさかあの先生が刑事だったなんて……」

ハンジ「そのリヴァイ警視からの指示で、事件の捜査をイェーガ-君に一任することになりました」

コニー「エレンに!?」

ハンジ「彼は今までにも難事件を解決した実績があるそうだよ」

コニー「でも先生! ベルトルトの自殺で事件は解決したんじゃ……」

エレン「そいつはどうかな」

全員「!!?」ザワザワッ

エレン「まだ事件は解決していない。みんな、力を貸してくれ!」

エレン「アニ、まずはクリスタのことを教えてくれ」

アニ「彼女はそばアレルギーで、少しでもそば粉の入ったものを口にすると命に関わるほどだったそうだよ」

エレン「なるほど……じゃあライナーは?」

アニ「……あまり、関わらないようにしてたかな」

エレン「どうして?」

アニ「下手にアイツらに関わると、マルコみたいに……」ハッ!

エレン「マルコがどうかしたのか?」

アニ「……私は、何も知らない」

期待

っていうか最近なんか凄い書き込む人いるなあ
同一人物なのかな

エレン「ミーナ、ライナーについて教えてくれ」

ミーナ「……あまり、良く知らないわ」フルフル

エレン「じゃあ、テキスト騒ぎのことは?」

ミーナ「カンニングなら前にもやってたけど……」

エレン「そうじゃなくて、ライナーがテキストがないって騒いだときのことだよ」

ミーナ「ああ……ごめん、勉強に集中してて気づかなかったの」

ミーナ「あの人たち、よく他の人に嫌がらせしてたから……あまり近づかないようにしてた」

ミーナ「私も、前に標的になったことがあるし……」

エレン「私も? ってことは他にも誰かいたのか? ……マルコか?」

ミーナ「そのことは、あんまり話したくないわ……」

コニー「ライナーか……テキストがねーとかでめっちゃ壁ドンしてたよな?」

コニー「まっ、俺はシカトしたけどな!」

コニー「それよりエレン、俺気づいたことがあるんだ」ズイッ

エレン「何だ? 教えてくれ」

コニー「今回の殺人事件は、どうもマルコの死に関わってる気がするんだよなー」

エレン「どうしてそう思うんだ?」

コニー「マルコが死んだ日の前日、今回死んだ6人全員が塾を休んだんだよ」

エレン「ダズ、ジャン、クリスタ、ユミル、ライナー、ベルトルト……全員がか?」

コニー「ああ……ありゃぜってー何かあるぜ?」ニヤッ

エレン「アルミン、教えてくれ。殺された6人とマルコの間には何があったんだ?」

アルミン「マルコは……出来過ぎたんだ」

アルミン「全科目断トツの成績……勉強だけじゃない」

アルミン「持病がありながら、人柄も良くて完璧だった」

アルミン「あの6人にはそれぞれトップの得意科目があったんだけど……」

アルミン「マルコが来たことで、栄光の座から滑り落ちてしまったんだ」

アルミン「ベルトルトは成績が落ちて退塾の危機に見舞われるし」

アルミン「ライナーも追い詰められてカンニングをするようになった」

アルミン「そして、マルコは嫌がらせを受けるようになったんだ」

アルミン「それでもマルコは愚痴ひとつ言わなかった」

アルミン「あんないい人が死ぬなんて……」グスッ

エレン「……アルミン、マルコの本当の死因を教えてくれ」

アルミン「すり替えられてたんだ……マルコが毎日打ってた、持病の薬が……」グスグス

エレン「なんだって……!?」

ハンジ「ボットは誰よりも努力家だったよ」

ハンジ「一度仕事場を訪ねたんだけど、工場長も感心していた」

ハンジ「成績がずば抜けてるだけじゃなく、仕事もよくできる子だったって」

ハンジ「あんな優秀な生徒はもう現れないだろうね……」

エレン「……」

~理系グループ~

ミカサ「見取り図が完成した」

リヴァイ「ほう、悪くない」

ミカサ「(エレンの)役に立てたら嬉しい」

リヴァイ「この建物は病院施設だったのを先生が改装したとか……?」

エルヴィン「ええ、元は建築家志望だったもので」

エルヴィン「改装と言っても大したことはしていません」

エルヴィン「勉強の邪魔になりそうな装飾を取り払ったくらいですよ」

リヴァイ「……」

~文系グループ~

ハンネス「おう、エレン。もうすぐ俺たちも到着する。犯人に逃げ場はないぞ」

エレン「ああ頼んだぜ、ハンネスのオッサン!」

エレン「明らかに怪しい証言をしている人物が一人いるんだ」

エレン「けどそいつにも鉄壁のアリバイが……」

ハンネス「そうだ、大事な情報があるんだ」ゴニョゴニョ

エレン「何だって!? そりゃ本当か!? リヴァイ警視にかけ直す!」

リヴァイ「ああ、そいつは俺も聞いた……怪しい行動をしていたな……」ゴニョゴニョ

エレン「そんなことが……」

リヴァイ「エレンよ、ファックスは届いたか?」

エレン「月光荘のスケジュール表と見取り図ですね? 太陽荘のと合わせて検証します!」

エレン(あと少し……あと少しなんだ……何か掴めれば……)

クチクークチクー♪

エレン「お? メールだ。ミカサから……」

メール「ジャンがチョークを取りに行ったロッカーの中」

メール「上手く言えないけれど変な感じがする」

メール「月光荘の浮き彫り。ライトアップされている」

エレン「!! まさか……!!」ダッ

アルミン「どうしたの? エレン」

エレン「太陽荘のロッカー……」ガチャ

アルミン「何か書かれてる。漢数字の二……? に見えるけど、何だろう」

エレン「そうか……! そういうことだったのか!!」キラーン

アルミン「エレン!! 何か分かったの!?」

エレン「ああ……!! 謎は全て解けた!!」イェーガー!

つづく

犯人は一体誰なんだ(棒)

>>54
たぶん同じやつです

エルヴィン「我々を太陽荘に呼び出して何をするつもりだい? イェーガー君」

エレン「今回の連続殺人の謎が解けたんだ」

サシャ「とうとう謎解きが始まるんですね!」ワクワク

コニー「サシャの奴余裕ぶっこいてやがる……」

エレン「犯人はこの中にいる!」ビシッ

ザワザワッ

エルヴィン「何を言っているんだ? 全員にアリバイがあり犯行は不可能だったはず……」

エレン「犯人はそれを可能にしたんだよ。あるトリックを使ってね」

エレン「そもそもこの事件は、塾で起こったダズの死から始まっていたんだ」

エレン「殺された6人は、犯人にとって許し難い存在だった」

エレン「なぜなら、6人がある一人の生徒を死に追いやったからなんだ」

エレン「ダズは塾を辞めていたので、外部生テストの時を狙って殺害した」

エレン「そして残った5人を、この合宿所で次々に殺害していったんだ」

エレン「一見、ここにいる全員にアリバイが成立するように見える」

エレン「でも、太陽荘と月光荘のスケジュール表を見比べてみるとおかしいことに気づく」

アルミン「あれ? 時間割が微妙にずれてる……?」

エレン「そう。太陽荘で殺人が起こった時、月光荘は休憩や食事などで誰にもアリバイがない」

エレン「そして、月光荘で殺人が起こった時、太陽荘は自由時間などで誰にもアリバイがないんだ」

エレン「つまりこれは、殺人計画の時間割だったんだ!」キラーン

ナ、ナンダッテー!?

コニー「つまり、どういうことだってばよ!?」

エレン「犯人は二人いたんだよ」

エレン「太陽荘の犯人は、月光荘の犯人のアリバイが成立するタイミングを見計らって殺人を行った」

ハンジ「でも、キルシュタインとユミルは偶然教室を出て行ったんじゃ……?」

リヴァイ「それは被害者を誘い込むための罠だった」

リヴァイ「月光荘において偶然を演出できる人物は一人しかいねえ」

リヴァイ「エルヴィン・スミス。お前が月光荘の犯人だ」

エルヴィン「なっ……!!」ビクッ

アニ「エルヴィン先生が……!?」

エレン(台詞取られた……)

リヴァイ「ああ。キルシュタインにチョークを取りに行かせたのはお前だったな」

エルヴィン「……私が彼を殺させるために教室から出したと?」

エルヴィン「だったらユミル君はどうなる? 彼女はたまたま早くテストを終えて教室から出たんだ」

リヴァイ「たまたまじゃねえ。これはアッカーマンの問題用紙だ」スッ

リヴァイ「正直いってかなり難しい。時間内にすべて解くのは不可能だろう」

リヴァイ「だが、ユミルはあっさり解いて出て行ったな」

エルヴィン「……それがどうしたというんだ」

リヴァイ「ユミルの問題用紙にだけ、すぐに分かるようヒントが仕込まれていたんだ」

リヴァイ「それが出来たのはお前だけだし、あとで処分してしまえば証拠は残らねえ」

エレン(……そろそろ俺喋ってもいいですか?)チラッ

リヴァイ(ああ)スッ

エレン「……同じように、太陽荘の被害者たちも犯人によって教室から出されたんだ」

エレン「エルヴィン先生に殺されるとも知らずにな……」ギロッ

エルヴィン「……レンズ君はお腹を壊してトイレに行ったんじゃなかったか?」

エレン「クリスタは昼食に毒を盛られたんだ」

アニ「それは変だね。あの時みんな同じカロリーゲットを取ったはず」

アニ「誰がどれを選ぶのか分からないのに――ってまさか」ハッ

エレン「そう! 毒は全てのカロリーゲットに混ぜられていたんだ」

ミカサ(このパターン多い気がする……)

コニー「えっ? 俺は何ともなかったぞ! バカだから?」

アルミン「それはないと思う」

エレン「俺たちは毒物の中和剤を飲んでいたんだ」

アニ「そば茶……クリスタはそばアレルギーだったからトイレに行く羽目になったって事だね」

エレン「ああ。そしてライナーは」

アニ「太陽荘の犯人にテキストを盗まれページを破られ、テスト中にそれを落としてカンニングの疑いをかけ退出させた」

エレン「お、おう(マジかこいつ)」

ハンジ「前科があったのを利用したってことだね」

エレン「うん、うん。それで――

エルヴィン「大事なことを忘れているようだね」

エルヴィン「月光荘から太陽荘へ行くには一時間ほどかかる」

エルヴィン「休憩時間に殺人を犯して戻ってくることは不可能だ」

アルミン「確かに、あの道はバイクも車も使えないし――」

コニー「じゃあボートはどうだ?」

ハンジ「珍しく頭を使ったねスプリンガ-。でも無理だよ」

ハンジ「下りは良くても流れが速いから上りはエンジンを使っても上がってこられないだろうね」

エルヴィン「全くの不可能だ」

エレン「犯人はその不可能を可能にしたんだよ!」

エレン「あるトリックを使って太陽荘と月光荘との間の距離をゼロにしたんだ!」ビシッ

エレン(やっと決まった)ジーン

コニー「ZERO!? 何言いだすんだお前!?」

エレン「ミカサ。月光荘から太陽荘に来て、何か違うことに気が付いたか?」

ミカサ「……どちらも殺風景で、特に変わったところはない」

エレン「そうだよな。だから誰ひとり気づかなかった」

エレン「5人の殺害が起こった二日目の間」

エレン「俺たち文系グループもミカサたち理系グループも全員この太陽荘の中にいたんだ!」キリッ

ナ、ナンダッテー!!!???

リヴァイ「エルヴィン先生よ、お前は巧みに俺たちを誘導したな」

リヴァイ「一日目の夜、お前は生徒たちを集合させておいて素早く全員の荷物を集めた」

リヴァイ「出発が遅れたのはそのためだ」

リヴァイ「持ち込む荷物を制限したのも作業を手早く済ませるためだろうな」

リヴァイ「まんまと生徒たちを太陽荘に連れてきて、俺が授業を行っている間に荷物を二階の個室に置いて回った」

エルヴィン「……」

コニー「でもよ、同じ建物にいたら中でバッタリ会っちまうんじゃねえか?」

エレン「いや、それはない」キリッ

エレン「授業中、階段にはすべて鍵がかけられていた」

エレン「同じ二階にいたとしても、東と西で個室は完全に分断されていたんだ。もちろん階段も別々」

リヴァイ「加えて、二組のスケジュールは巧みにずらされていた」

リヴァイ「散歩や食事の時間を利用して、二組が同じ階に留まらないように仕組まれていたわけだ」

リヴァイ「そして二日目の晩、俺たちは再び月光荘へと連れてこられた」

サシャ「はい! 質問です!」ビシッ

サシャ「ジャンとユミルが太陽荘で殺されたんだとしたら、二人の遺体は何で月光荘で見つかったんですか?」

コニー「お前いつからそんなに頭良くなったんだ!? 空腹で壊れたか!?」ガーン

エレン(ほんとにこいつら何でこの塾にいるんだ)

エレン「太陽荘の犯人はジャンとユミルを丈夫なビニール袋に入れて」

エレン「浮き輪か何かをつけて川へ放り込んだんだ」

サシャ「うわ! 痛そうですねー」

コニー「もう死んでるけどな」

エレン「下流にある月光荘まで流れて行った二人は張っていたロープに引っかかった」

エレン「エルヴィン先生が引き上げて、あとはリヴァイ警視に発見させれば終わりのはずだった」

エレン「ところが、ここでアクシデントが起こったんだな」

ミカサ「アクシデント……?」

リヴァイ「ビニール袋の封が甘かったか破けたかしてキルシュタインの足が濡れてしまった」

リヴァイ「それをごまかすために遺体に火をつけた」

リヴァイ「足元から先に水をかけたのはその理由からだ」

エレン「そしてなぜ遺体が燃えているのか不自然さをごまかすために見立てを利用したんだ」

エレン「科学の燃焼、二重らせん構造、竹取物語、悪霊……」

エレン「二つ目以降の見立ては、全てジャンの遺体が濡れたのを隠すためのカモフラージュだったんだ!」キラーン

コニー「そ、それで!? もう一人の犯人は一体誰なんだよ!?」

エレン「それは……」

ゴクリ……

エレン「この中にいる!!」

コニー「まだ引っ張るのかよ!」

ミカサ「もう一人の犯人……」

エレン「ああ。そいつは太陽荘にいる」

エレン「まず夜の散歩で知らない間に理系グループは知らない間に太陽荘に連れてこられた」

エレン「合宿二日目、一階で科学の授業を受けていた時のことだった」

エレン「エルヴィン先生はチョークが切れたと言ってジャンを廊下に出した」

エレン「その時、文系グループにいたもう一人の犯人が廊下にやって来た……」

ジャン『えーと、確かこれだよな……』ガサゴソ

???『……』タタタタッ

プスッ

ジャン『――――――――――ッ!!?』

ジャン『お……お前……なんで……ここに……!?』

ドサッ

???『ハァ……ハァ……』ガタガタ

???『……!!』ダダダダッ

コニー「だから、その犯人って誰なんだよ?」

エレン「みんな、来てくれ」

エレン「俺の推理が正しければ、月光荘で起きたと思われていた殺人は、実は太陽荘で起きていたことになる」スタスタ

エレン「つまり、この廊下がジャンが殺された本当の現場なんだ」

ミカサ「何もかも同じ……月光荘と……」

エレン「ミカサ、お前は月光荘でロッカーの中を見た」

ミカサ「……」コクッ

エレン「その時、何かがおかしいと思ったんだよな?」

ミカサ「何がおかしいのか……分からないけれど」

エレン「これを見ればわかるはずだ」ガチャッ

ミカサ「……!!」

エレン「気づいたか?」

ミカサ「チョークの箱の包装が開いている……月光荘のほうは、一つも取ったあとがなかった」

ミカサ「リヴァイ警視は、ジャンがチョークを取ったのは確かだと言っていた」

ミカサ「ので、チョークが一つも無くなっていないのはおかしい」

エレン「そう。ジャンはこの箱からチョークを取ったんだ」

エルヴィン「それだけで、ここで犯行があった証拠になるのかい?」

エレン「だったらこれはどうかな?」スッ

ミカサ「漢数字の二……に見える」

エレン「これは死んだジャンが遺したダイイングメッセージなんだ」

サシャ「ダイイングメッセージ!! 被害者が死の間際に遺すあれですね!」ワクテカ

コニー「……お前、実はミステリ好きなの?」

ハンジ「うーん、何かの暗号かな?」

エレン「そんな余裕はなかったはずだ。シンプルに名前を書こうとしたんだよ」

エレン「その途中で力尽きたんだ」

エレン「書き加えるとしたらこうだ」カキカキ

アニ「……三?」

エレン「違う。名前なんだからカタカナだ」

ハンジ「ミ? ……まさか!!」

エレン「太陽荘で、ミから始まる名前の人物は一人しかいない」

エレン「さっきから全然喋ってないやつ……」

エレン「もう一人の犯人はお前だ!」

エレン「ミーナ・カロライナ!!」ビシッ

ザワザワッ

ミーナ「……!!」ビクッ

アニ「嘘! ミーナが二人を……!?」

ミーナ「……」ガクブル

コニー「ミカサLOVEって書こうとしたのかもしれねーぞ」

アルミン「コニー! 空気読んで!」

コニー「お、おう」

ミーナ「そ、そんなの何の証拠にもならない!」

エレン「証拠ならほかにもあるんだ」

ミーナ「!?」

エレン「取り調べの時、お前はこう言ったな」

エレン『そうじゃなくて、ライナーがテキストがないって騒いだときのことだよ

ミーナ『ああ……ごめん、勉強に集中してて気づかなかったの』

エレン「あれだけ壁ドンされて気づかなかったのか?」

ミーナ(私もエレンに壁ドンされたい……)

ミーナ(アニメではジャンがやられてた……うらやましい……)

エレン「ミーナはあの騒ぎを知らなかったんだ」

エレン「なぜならあの時、自分の部屋にはいなかったからだ」

アルミン「じゃあ、どこに……?」

エレン「ミーナは一階にいたんだ」

エレン「そしてエルヴィン先生の細工でテストを早く終えたユミルが廊下に出たところを――」

ユミル『ははっ、ちょろいもんだぜ』スタスタ

ミーナ『……』タタタタッ

プスッ

ユミル『――――――――っ!!?』

ドサッ

ミーナ『ハァ……ハァ……』ダダダダッ

エルヴィン「ぐっ……」

リヴァイ「もう観念しろ」

エルヴィン「……全員が太陽荘にいたとしたら、大きな矛盾があるはずだ」

エレン「矛盾?」

エルヴィン「太陽荘にも月光荘にも大きな浮き彫りの看板がある」

エルヴィン「散歩から帰って来た時それを皆が見ているはずだ」

サシャ「確かに! 月光荘の文字がライトアップされて光ってました!」ハッ!

ミカサ「エレン、私も見た」

エレン「……見せたいものがあるんだ。ついて来てくれ」スタスタ

ミカサ「エレン、何を探しているの?」

エレン「電灯のコードだよ……あった」ガサゴソ

エレン「点いたぞ」パッ

エレン「ここの看板に何て書いてあるか見てくれ」

コニー「ここは太陽荘なんだから太陽荘に決まって……あれ!?」

ハンジ「月光荘……!? なんで!?」

リヴァイ「この電灯の光は低圧ナトリウムランプだ」

リヴァイ「589ナノメートルと589.6ナノメートルの共鳴線による単色光を発して物の色合いをすべて同一色に見せる」

コニー「( ^ω^)?」

コニー「(^ω^ ≡ ^ω^)おっおっおっおっお」

サシャ「コニーが壊れました!」アセアセ

エレン「トンネルの中に入った時に赤い服と青い服がどっちもオレンジに見えることがあるだろ?」

エレン「あれと同じだよ」

エレン(正直細かい仕組みは俺もよく分からん)

コニー「おっ? おお……」

サシャ「復活しました」ホッ

エレン「もうすぐ夜が明ける」

ハンジ「あっ! 月光荘の文字が太陽荘に変わっていく!?」

リヴァイ「浮き彫りは赤と青のタイルで成り立っている」

リヴァイ「よく見ると、タイルが月光荘の文字に浮き出して彫られているのが分かる」

リヴァイ「真っ暗な夜低圧ナトリウムランプを当てると、赤と青はオレンジ一色になる」

リヴァイ「浮き彫りのタイルの影だけが強調され、月光荘の文字が浮き上がるという仕掛けだ」

コニー「くぁwせdrftgyふじこlp」

サシャ「コニーがまた壊れました!」ウワーン

アニ「まさかこんな仕掛けが……」

リヴァイ「この看板を作ったのもエルヴィン先生、アンタだったな」

エルヴィン「これだけでは証拠には……

エレン「いや、証拠はある。指紋だ」

エルヴィン「指紋?」

エレン「ずっと月光荘にいたはずの理系グループの指紋がここに残っているはずだ」

エルヴィン「我々はもう太陽荘に来てるじゃないか。指紋があってもおかしくはない」

ミカサ「なるほど……手袋が必要だったのはこのため……」

エルヴィン「?」

ミカサ「私は、太陽荘に来てからこの手袋を一度も外していない」

ミカサ「ので、指紋がつくはずはない」

エルヴィン「……!!」

ミーナ「……もう無理よ、先生」

エルヴィン「カロライナ君! 何を――

ミーナ「私がやったんです。私が――

エルヴィン「いいや違う! 私がやったんだ」

エルヴィン「あの6人はマルコを……私の息子を……」

全員「!!?」

ハンジ「む、息子!?(年齢設定どうなってんの!?)」

リヴァイ「……やはり復讐か」

エルヴィン「そうだ……マルコはあの6人に殺された」

エルヴィン「何の罪にも問えないことは分かっていたから、私がこの手で――

ミーナ「違う!」

エルヴィン「!?」

ミーナ「マルコを殺したのは……私」ガクブル

~ミーナの回想~

ミーナ「私は塾に入った当初からあの6人に嫌がらせをされていた」

ミーナ「もう死んじゃいたいって思ってた……」

カーンカーンカーンカーン

マルコ「危ないっ!!」

ミーナ「!?」

マルコ「何を考えてるんだ!? もう少しで死ぬところだったじゃないか!」

ミーナ「私なんか……死んでもいいの」

マルコ「……?」

マルコ「……そうか。辛かったんだね」

ミーナ「……」コクッ

マルコ「でも、死ぬのはダメだ」

ミーナ「えっ……?」

マルコ「死んでもいい人間なんて、いるわけないじゃないか」ニコッ

ミーナ「……!!」ウルッ


ミーナ「しばらくして、マルコと塾で再会した時……凄く嬉しかった」

ミーナ「彼は本当にすごい人で、働きながら全科目トップに立った」

ミーナ「でもトップの座を奪われた6人は、ターゲットを私からマルコに変えて嫌がらせを始めた」

ミーナ「そして、ある日――」

ユミル「ちょっとヤバい話聞いちまったんだよな。なぁ、ベルトルト」

ベルトルト「えっ……、そうそう、マルコのことで……」

ミーナ「えっ!?」

ジャン「あいつ、クスリやってるらしいぜ」

ライナー「覚せい剤だよ、覚せい剤」

ミーナ「そんな……! マルコに限って!」

クリスタ「知らないの? 結構ハマっちゃう人もいるみたいだよ~」

ライナー「このままじゃ身を滅ぼすぞ」

ミーナ「ど、どうしよう! 早くやめさせないと!」アタフタ

ジャン「そうは言ってもなかなかやめられないらしいぜ」ヤレヤレ

ユミル「それで考えたんだけどな、あいつのクスリの中身を入れ替えるってのはどうだ?」

ジャン「俺たちはあいつに距離置かれちまってるからできねーけどよ」

クリスタ「ミーナなら、マルコを助けてあげられるんじゃないかな」ニコッ

ミーナ「私はマルコを助けたい一心で……」

ミーナ「それから数日後……」


サシャ「ミーナ! 聞きましたか!? マルコが死んじゃったって……」アセアセ

ミーナ「えっ……!?」

サシャ「マルコには重い持病があって、定期的に薬を注射しないといけなかったそうなんです」

サシャ「その薬がすり替えられてたみたいで……」

ミーナ(そんな……)ガクッ

サシャ「ミーナ? どうしたんですか?」オロオロ

ミーナ(うそだ……)グスグス

ユミル「知らなかったんだよ。私たちもマジで覚せい剤だと思ってて」

クリスタ「私も~」

ベルトルト「ぼ、僕も……」

ミーナ「でもあれは……!」

ジャン「うるせぇな、何回も同じこと言わせんなよ」ハァ

ジャン「大体、言われてひょいひょいすり替えたのは誰だよ? お前だろ、ミーナ」

ミーナ「……っ!!」

ユミル「アッタマ悪いな、お前。いいか? 余計なこと喋んじゃねえぞ?」

ユミル「ここにいる全員、同じ穴の貉なんだからな」ニヤッ

ダズ「ミーナのやつ、ゲロったりしないよな?」オロオロ

ジャン「ゲロ担当はお前だろ」ケラケラ

ダズ「どういう意味だよ!?」

ユミル「こいつにそんな根性あるわけないだろ」ハハッ

ミーナ(私が……マルコを殺した……)

ミーナ(私が……)

ミーナ「私は、マルコの墓の前でエルヴィン先生と会った」

ミーナ「私は全てを話し、先生も全てを話してくれた」

ミーナ「そして、復讐を決意したのよ……!!」


全員「……」

コニー「そんなことがあったのか……」

アニ「ミーナ……気づいてあげられなくてごめん」

ミーナ「いいの、もう。私もここで――」スッ

エレン「駄目だ!!」ダッ

ミーナ「!?」

エレン「お前がここで死んだら、マルコの行動が無駄になっちまうだろ」

ミーナ「……!!」

マルコ『死んでもいい人間なんて、いるわけないじゃないか』

ミーナ「マルコ……ごめんなさい……私は……あなたに救われたのに」グスグス

エルヴィン「カロライナ君……」

エルヴィン「……私は、息子の死を知ってからずっと苦しんだ」

エルヴィン「生徒たちがみんな人の皮をかぶった悪魔に見えた」

エルヴィン「講師としても、父親としても駄目な男だったよ」

エルヴィン「……だが」

マルコ『先生、おはようございます』ニコッ

エルヴィン「マルコ……」

エルヴィン「私の息子にしては、出来過ぎた子だったな……」フッ

リヴァイ「……そろそろ行くぞ」

エルヴィン「ああ……」

ミーナ「……」スタスタ

エレン「ミーナ!!」ダッ

ミーナ「エレン……?」クルッ

エレン「お前はマルコを殺してなんかいない」

ミーナ「!!」

エレン「それは、天国のマルコが一番分かってると思う」

ミーナ「……!!」

ミーナ「エレン……ありがとう……」グスッ

~後日~

ミカサ「綺麗な空。……あんなことがあったとは思えないくらい」

アルミン「うん。ずっと晴れてる」

エレン「……ハンネスさん、ミーナとエルヴィン先生はどうしてる?」

ハンネス「あぁ。静かに暮らしてるよ。お前たちの手紙や差し入れも大切にしてるそうだ」

エレン「そうか……それは良かった」ホッ

ハンネス「ところでエレン、合宿を経て成績は上がったのか?」

エレン「うぐっ……」

アルミン「また赤点取っちゃったんだよね……」ハァ

エレン「い、言うなよ!」アセアセ

ミカサ「やはり、私の家で個人的な補習を――

エレン「うわああああ! 監獄並みの地獄だろそれ!」ダッ

ハンネス(……青春か。あの頃に帰りたい……)

おしまい

悪人連中を書くのが楽しかった
以下配役

エレン 金田一
ミカサ 美雪
アルミン 草太
リヴァイ 明智
ハンネス 剣持
ハンジ 厳島
アニ 式部
コニー 中屋敷 原作こんなアホじゃないけど
サシャ 川上
ユミル 海堂
ジャン 近衛
クリスタ 絵波
ライナー 鯨木
ベルトルト 霧沢
ダズ 茂呂井
エルヴィン 氏家
ミーナ 濱
マルコ 藍野

キャラがうまい具合にハマったのでやるしかねえと思った
セリフや展開など勝手に改変した部分あり

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