勇者「魔物がGを落とさない……」(47)

勇者「とりゃ!」ズバッ

スライム「ぷぎっ」

勇者「はぁ……もう10匹目か……」

勇者「なんか落とさないもんかね……」ゴソゴソ

兵士「あー、キミ、キミ」

勇者「? はい」

兵士「キミ、今まで何してたの? 」

勇者「あ、あのモンスターを倒して……」

兵士「あー、うん。いやね、街の近くで剣振り回して魔物を倒してる奴がいるって通報がきたわけよ」

勇者「!?」

兵士「キミ、魔物を倒してたんだよね? 間違いない?」

勇者「は、はい」

兵士「あー、じゃあロイスに引き渡すからね?」

勇者「ロイス……?」

兵士「ん、ロイス知らない? 他国からきたのかな?」

勇者「あぁ、いえ……」

兵士「ロイスはね、この街の治安維持と差別撤廃、犯罪行為の取り締まりを目的に動いてる組織だよ」

兵士「ま、とりあえず来てね?」


職員「あ、君?」

勇者「は、はい……あの」

職員「大体は聞いてるよ」ペラッ

職員「あ、君勇者なの?」

勇者「え、はい」

職員「ダメだねー、勇者さん……」

勇者「えっ」


職員「勇者さんアンタ、アレある?」

勇者「アレ?」

職員「あーやっぱり。魔物討伐許可証、持ってないんだね」

職員「この街の条例でねー、魔物保護共存条例ってあるんだよ。わかる?」

勇者「は、はぁ」

職員「で、魔物を討伐するには役所に行って」

職員「何枚か書類書いて申請して、魔物討伐許可証もらわないとダメな訳よ」

職員「で、それをしないとさっきの条例に違反する事になるから……」

職員「10万g以下の罰金か2週間の謹慎なんだけど……」

勇者「そ、そんな……」

職員「ま、見たところ知らなかったみたいだし、初犯ってのもあるから今回はお咎めなしでいいけどさ」

勇者「あ、ありがとうございます!」


職員「でもさ、君は今まで何してたの?」

勇者「はい? あの、特訓とか……」

職員「あー、そう。でもさ、特訓するのは勝手だけどね、この条例は子供でも知ってるわけよ」

勇者「そ、それは……すいません」

職員「いやね、怒ろうとか言う訳じゃないのね? ただまぁ……ね」ハァ…

職員「ま、コッチも仕事があるから。じゃ、次は気をつけて」

勇者「は、はい!  すいませんでした」



勇者「はぁ……」

勇者「……とりあえず役所、行くかね……」

勇者「あ、あの……」

受付「はい?」

勇者「魔物討伐許可証をもらいたいんですが……」

受付「あ、それなら階段を上がって右側の受付にお伺い下さい」

勇者「は、はい!」

ここから役所名物

『たらい回し地獄』

が始まるんだな

よっぽど魔物だよ……

黒い悪魔のことかと思った

>>11おれがいた

勇者「あの……」

受付(別)「はい、魔物討伐許可証の申請でしょうか」

勇者「あ、はい」

受付「じゃあ……この書類をあちらで書いてきて下さい」ピラッ

勇者「はい」

勇者「……」カリカリ

勇者「書きましたけど……」

受付「はい、ではこの項目から当てはまるものにチェックしていってください」ピラッ

勇者「あ、はい」

勇者「……」カリカリ

受付「はい、ではこの書類に書いてある事に同意できましたらここに判子お願いします」ピラッ

受付「また、魔物討伐許可証発行後の魔物が原因の怪我、死亡などは保険の適応外となりますのでご注意下さい」

勇者「あ、あの……判子持ってないです……」

受付「……」

受付「……でしたら指紋でよろしいので親指をここに。朱肉はここにありますので」ハァ…

勇者「あっ、はい……すいません」ペタッ

受付「はい、確かに確認いたしました」

勇者「じゃあ……!」

受付「この書類を城に送り審査をしますので、3日後またここに来てください」

勇者「み、3日後ですか!?」

受付「はい」

勇者「……」

勇者「ハァ……3日間どうするかな……」

勇者「gは……」パカッ

勇者 1200g

勇者「うぐ、キツイなぁー……」

勇者「……野宿かな……」

?「ハイハイ、そこの兄ちゃん!」

勇者「はい?」

?「何か困ってない? 困ってるよネ! オー、待った待った。当ててみせようじゃない!」

?「ズバリ、gが無いね?  はいその顔当たりだネ!」

勇者「は、はあ……まぁ。貴方は誰ですか?」

?「俺はしがない紹介人さ!  兄ちゃん運がいいネェ! いい仕事、あるよ!」

勇者「仕事ですか! ……あ、でもまだ魔物討伐許可証ないんですけど……」

紹介人「そんなのいらないよ! さ、さ! コッチコッチ!」

勇者「はあ……」

勇者「い、いらっしゃいー……可愛い娘揃ってるよー……」

紹介人「声が小さい!」

勇者「1プレイ二人まで指名オーケーで3500gポッキリだよ!」

紹介人「イイネ! 一人お客さん入ったら500gね! 交代は3時間後だからヨロシクゥ!」

勇者「はいお一人様3500gで二人まで指名オーケー! レベルも高いの揃えてるよー!」

勇者「あ、はい! 1名様ご案内でーす!」

勇者「……はぁ」

はぁ…とか言いながらなかなか板に付いてるじゃないか

紹介人「お疲れさん! ほい、給料の3000g!」

勇者「どうも……」

紹介人「アンタなかなか筋が良さげだネ! gに困ったら……」

紹介人「この住所に来ぃや! いい仕事紹介するよ!」ピラッ

勇者「あ、はい。ありがとうございます!」

紹介人「ハハ、夜鷹にかかるなよ!」

勇者「さて……ある程度懐も温まったし……」

勇者「夕飯だ!」

パン屋

勇者「んー……」

勇者(カレーパンが500g……クリームコロネと合わせたら1100gか……)

勇者(いや、高くね?)

勇者「……胡桃パン3つ下さい」

店員「300gになりまぁす」

勇者「はい」

店員「ありがとうございました!」


勇者「さて、宿はどうするか……」モグモグ

勇者「あ、すいませんグリーンティー一杯下さい」

おばちゃん「はいよ、50gだよ」

勇者「どうも」

勇者「あの、この辺に安い宿とかありますか」

おばちゃん「旅の方かい? んだね、この辺りなら……」

おばちゃん「三丁目の服屋の二件隣にボロいけど安い宿があるよ」

勇者「三丁目ですか。ありがとうございます!」

おばちゃん「あいよ、気をつけてね」

パン高ぇ…(´・ω・`)

勇者「すいません、一泊……はい、一人で」

受付「はい。お部屋は202号室となります。」チャリ

勇者「ありがとうございます」


勇者「うへぇ……狭いなぁ」

勇者「ま、屋内で眠れるだけ重畳……かな」

勇者「さ、トイレいって寝よう……」


受付「おはようございます。昨晩はよく眠れましたか?」

勇者「あぁ、そりゃもう」

受付「それはよかったですね。500gになります」

勇者「はい」

受付「またいらっしゃって下さいね」

勇者「さて、今日はどうするか……」

勇者「うーむ、武具をちゃんと揃えたいな」

勇者「確か武具屋がアッチに……」


店員「どうも! イイの揃えてるよ!」

勇者「どれどれ……」

ショートソード5000g

スチールメイル3500g

勇者「……」

勇者「はいお一人様通常価格5000gのところをナント! 今日だけ3500g!」

勇者「人気no.1のミホちゃんや人気急上昇中のカナちゃんも特別奉仕!」

勇者「はい! お二人様ご案内でーす!」

――……

紹介人「おぉ! お疲れちゃん!」

紹介人「いやー、五時間もやるなんてネ! 中々様になってたよ! ホイ、給料!」

勇者「10000g……? そんなに客来てませんよ?」

紹介人「気持ちや気持ち! 貰っときなよ!」

勇者「あ、ありがとうございます!」

明らかに勇者じゃなく客引きとしてのlvがアップしてるな

金を落とさない魔物に異常な物価の街とか何かのマッチポンプか?

勇者「いやぁ……疲れた」

勇者「今日は少し贅沢に……カレーパン2つ買ったぞ!」

勇者「野菜不足になりそうだな……あ、グリーンティー下さい」

おばちゃん「あいよ、お疲れさん。50gだよ」

勇者「どうも」

勇者「うぅ、体がベタつくなぁ……大衆浴場にでも行くかな」

勇者「すいません、大人一人」

番台「300gね」

勇者「はい」


勇者「あぁ……生き返る……」

勇者(今日もあの宿に泊まって……明日武具屋にでも行くかな)

勇者「その後、仕事かあぁ…」ハァ

?「兄ちゃん、兄ちゃん」

勇者「あ、はい?」

?「疲れてそうやな。仕事帰りか」

勇者「あぁ、はい。そうなんですよ」

?「その疲れ、すぐに無くしたいなーなんて考えへんか?」

勇者「あー、確かに思いますね」

?「やろ? ……そこで、や。疲れが一瞬で吹き飛ぶ薬草があるんや」ズイッ

勇者「は、はい」

売人「へっへ、欲しいやろ? 欲しいよな。そらそうや」

勇者「いや、あの」

売人「でもまぁ、そんなホイホイやるわけにゃいかんのよな」

売人「ちょーっち頼まれて欲しいねんけどな……いや、そない難しい事やれとは言わんわ」

売人「やってほしいのは……宅配や、宅配。な、簡単やろ?」

勇者「いや、あの別に……」

売人「ま、ま。そら疑うわな。そや、ほんなら先にちょっとだけあげるわ」

勇者「ホントにいいんで……」

売人「法の心配はないで。ホンマはコレ、ごっつ高いねんけどな……今回はタダや、タダ」

勇者「タダ……」

物価の高さと生活に疲れて勇者が裏街道へ…

売人「あ、副作用とかはないで。ワシもたまに使うけどなーんもあれへん」

勇者「……」

売人「どや、やってみんか?」

勇者「……まぁ、そこまで言うなら……」

売人「おお! 流石やで!」

売人「ほな、一回上がろか。そこで詳しく話そやないの」

勇者「はぁ」

売人「じゃ、先に一つ、渡しといたるわ」

勇者はヤク草を手に入れた!

勇者「……見た目は普通ですね」

売人「せやろ。ま、食ってみ食ってみ?」

勇者「……っ!」パクッ

勇者「……」モグモグ

勇者「おぉ……」

売人「どや?」

勇者「凄いですね……疲れが消えましたよ。ハハ」


売人「せやろ?」

売人「さて、宅配やけどな、三丁目の宿あるやろ?」

勇者「ああ、今から行く予定ですよ」

売人「お、なら丁度えぇわ。そこの301のドアを3回ノックしてドアノブを2回ガチャガチャするんや」

売人「ほんなら客が出てくるからそんときに……コレを渡すんや」ドン

勇者「このケースは……?」

売人「ま、色々とあるわ。成功報酬は……あの薬草10個でどうや?」

勇者「あぁ、はい。やりますよ」

売人「ほな、ワシはココおるから行ってきぃな」

受付「こんばんは。またいらっしゃって下さったんですね」

勇者「はい、まぁ」

受付「お部屋は105号室となります」チャリ

勇者「どうも」

受付「? そちらは階段ですよ?」

勇者「友人が泊まっていると聞いたので、少し」

受付「あぁ、そうでしたか」


勇者「……」コンコンコン

勇者「……」ガチャガチャ

『……はい、どうぞ』

勇者「失礼します」

「あれ、新しい運び屋さん?」

勇者「はい? あぁ、まぁ」

「ま、いいや。ヘヘ……さ、それをコッチに」

勇者「はい」

「ん……よし、揃ってるな。お疲れさん。」

「はい、コレ代金ね」

勇者「あ、どうも」


「あと……はい。10000gでいいかな」

勇者「え、いいんですか?」

「チップだからね。貰っときなって」

勇者「はい、ありがとうございます」

「じゃ、お疲れさん」

勇者「はい」バタン

勇者「チップ……ね」

売人「お! お疲れさん。」

勇者「あの、コレ……代金です」

売人「ん。じゃあ報酬や!」

売人「薬草10と……20000gでいいな」

勇者「えっ!?」

売人「お、安いってか? ま、そうやな。50000gくらいか」

勇者「いやいやいや、そんなに受け取っていいんですか?」

売人「まぁ儲かる商売やからな。それ位は出せるで。ホイ、50000g」

勇者「……」

売人「また連絡くれたら仕事やるで! なんせ人手不足やさかいな」ピラッ

勇者(……何か色々と怪しいけど)

勇者(gは稼ぎたいしな……)

勇者(明日も行ってみるかね)

勇者「105……105と、あったあった」

勇者「なんかボーっとするなぁ……風邪かな」

勇者「ま、早く寝るかね……」

受付「昨晩はよく眠れましたか? 500gになります」

勇者「はい」

受付「またいらっしゃって下さいね」


勇者「……住所はこの辺のはずだけど」

勇者「なんか人だかりが……」

勇者「すいません、どうしたんですか?」

兵士「あぁ、いつぞやの。いやー、なんか違法薬物を捌いてる売人がいたらしくてね」

勇者「!」


兵士「これからの尋問と家宅捜索で取引先も芋づる式に捕まるだろうね」

勇者「あぁ、そうなんですか。ハハ、頑張ってください」

兵士「ん、じゃあ君も気をつけてね」

勇者(ヤバい……絶対あの人じゃないか……)

勇者(この街を離れないと魔王とかそんな問題じゃなくなる)

勇者(あぁ、でも魔物討伐許可証……取りに行かないと不自然だよなぁ)

勇者(明日までならなんとか……大丈夫だろう)

勇者「……とりあえず武具屋行こう……」

勇者ヤバい!

おおゆうしゃよ、つかまってしまうとはなさけない...

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