男「女子に優しくされたいから風邪引いたことにする」(6)


友「またバカなことを…」

男「俺は真剣に言ってるんだよ!」

友「そもそもこの時期に風邪引きは世間から煙たがれるだけだぞ」

男「それでも優しくしてくれる子は居るだろ!」

友「止めとけよ…」


男「よし…校門や下駄箱で自然に体調の悪さをアピール出来たな…」

友「おっさんみたいなでかい咳をわざとらしく振り撒いて自然と申すか」

男「クラスの女子数名にもすれ違ったからな、このまま教室に入れば…」

『男くーん、具合悪いの?』

『何か辛そうだよね、保健室行くなら言ってね?私、連れてってあげる!』

『んー、熱あるのかな?ちょっと熱いね』オデコナデナデ

『寒いの?じゃあ私が暖めてあげるっ』ギューッ

男「フヒ!フヒヒヒ!」

友「引くわぁ」


ガラッ

男「うぅ…皆、おはよう…」ヨロヨロ

友(大袈裟すぎる…)

委員長「あら、男くん…ちょ、何その歩き方、どうしたの?」

男「うん…ちょっと風邪気味なのかな…頭がフラフラして…咳も…」ゲホゲホ

委員長「帰れ!」

男「えっ」

友「えっ」


委員長「あなたね…あと2ヶ月足らずで何があるかわかってるでしょ?」

男「えっ…な、何だっけ…」

委員長「センター試験よ!」

男「なっ…!?」

委員長「いわば追い込みの時期の今…受験生にとって最後の締めの時期なのよ!」

男「うっ…」

委員長「そんな時期に風邪引いた人が学校に出てくるなんて、テロよ!バイオテロよ!」

男「ぐぬぬ…!」

友(だから止めろと…)


委員長「ほら、マスク!アルコール消毒!手を洗ってうがいもする!」ササッ

男「あっ、はい!」

委員長「今は追い込みの時期、授業を休めないのはわかるわ…だからせめて飛沫感染は防ぐ努力を!1人1人が気をつけなきゃ!」

男「はいっ!」

委員長「体調を崩して実力を出し切れなければ本末転倒、自分が泣くことになるの…体調管理だけはしっかりしてね?」ニコッ

男「はいっ!」

友(なんだこれ…)


友「ほらみろ、散々な言われようだったじゃないか」

男「あぁ…まさかセンター試験まであと2ヶ月を切っていたとはな…」

友「そこかい」

男「だがまだ諦めんぞ…絶対に女子に優しく介抱されたいんだ…!」

友「また怒られるだけだろ…」

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