勇者「……だから言ったんだよ」 (41)


思いつきです

すぐ終わらせます

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勇者「……」

王様「ま、まて勇者」

勇者「……なんで?」

王様「話せばわかるはずだ。あの頃はワシも必死で……」

勇者「……へー」

勇者「お前が必死ならあのことは許されるもんなの?」


王様「必要だったんじゃ!臣下のものたちも賛同していた!」

勇者「論点をズラすなよ王様。許されると思ってるのかを、聞いたんだ」

勇者「……」

勇者「魔王を倒した俺らがそんなに怖かったか?」


王様「……ッ」

勇者「……てめぇがまだ大臣だった頃に、俺は旅に出された」

勇者「それからひたすら戦い続け、この国のためにやっとの思いで魔王を倒した」

勇者「それが2年前のことだ」


勇者「最初の半年はチヤホヤされ続けたもんだ」

勇者「煌びやかな衣装を着せられ、豪華な食事を各国のトップたちと食した」

勇者「国民も俺らパーティを慕ってくれていたよ」

勇者「戦士はこの国の元帥に抜擢され、魔法使いは魔法大臣に推薦された」

勇者「……それが今はどうだよ?この俺を見てみろ」

王様「……」

勇者「逆賊の扱いを受け、身なりはボロ布1枚だ。人の目を避けるように、この1年間泥をすすって生きてきたよ」

勇者「……お前が俺らパーティに被せたクソみてえな罪のせいでな」

王様「ワシも……必死で……」

勇者「笑かすな」ズバッ

王様「ぎゃあああ!!」ブシュッ

王様「み、耳が……!!」

勇者「わめくなよ……」

勇者「まだ耳だけだぞ?」

勇者「この城で生きてるのは、もうお前だけだ」

勇者「みーんな、俺が殺した」

王様「ふぅ…!ふぅ…!」

勇者「お前、これおぼえてるか?」ポイッ

カランカランッ

王様「……ゆ、指輪……?」

勇者「……そうだよ。俺が、僧侶にプレゼントした指輪だ」

勇者「てめぇがこしらえたんだろ?」

勇者「国を挙げて祝福しよう、この特別な石を加工して僧侶にあげるといい、ってな」

勇者「飛びついちまったよ。絶対に僧侶が喜んでくれると思ったから」

勇者「特別な石なだけあって、あの爆発でもぶっ壊れずに残ってた」

勇者「……」ビキビキ

勇者「本当は…!こんな問答せずにてめぇをぶっ殺してやりたい……!」

勇者「死んだ戦士と魔法使いと僧侶への手向けにな……!!」

王様「……!」

王様「やつらは……残念じゃったよ……」

勇者「うるせえ!!!」

勇者「……僧侶が……言ってくれた言葉が離れねぇ……!そのおかげでてめぇは今生きてるんだ……!」

勇者「肉片1つ残らないはずの大爆発の中で……あいつは俺に笑ってくれた……」

勇者「教えろ……なんで俺らを追放した」

王様「……お、お前らの力が、強大すぎたんじゃ……」

王様「先代の国王は臆病な方で……たった4人でこの国の軍事力に匹敵するお前らが……」

王様「怖かったんじゃ……。コントロール出来ない力はいらない、とな……」

勇者「……そんなことだろうと思ってたよ」

勇者「……黒幕は国王だけか?」

王様「……そ、それは」

勇者「……はぁ」

勇者「ふん」ザグッ

王様「ぎゃああああああ!!!」ブシュゥッ

勇者「……もたつくな。次は小指だけじゃすまさねぇからな」

王様「はぁ…ッ!ッ…!ぐぅ……!」

王様「り、隣国の……ッ!参謀が……ッ!」

王様「話を持ちかけてきていた……ッはずじゃ!」

勇者「なーるほどね……」

勇者「……隣国かぁ……」

王様「…あそこは……軍事大国じゃからな…っ……お前らが現れるまでは……圧倒的優位にいた……」

王様「しかし……お前らが現れただけで……ひっくり返された……」

王様「それが許せなくて不安だったんじゃろう……!」


勇者「……1人でも……まぁやれるかな……」

王様「まさか……1人で乗り込んで潰すつもりか……?」

勇者「……」

王様「いくらお前と……いえども……隣国を1人で堕とすなど不可能じゃ……!」

勇者「……」

勇者「お前にも報告が上がってるだろ?」

勇者「戦士は1人で魔王城の軍勢を相手に三日三晩戦い続けた」

勇者「魔法使いは幹部を1人で倒し、僧侶は約2万人の人の命を救い続けた」

勇者「てめぇらが恐れていた力を、存分にふるいつくしてやるんだ」

勇者「てめぇを殺したら次は隣国だ」

王様「まっ、待ってくれ……!」

勇者「……天国には行けねぇだろうよ」

勇者「お前も……俺も」

王様「ま、まつのじゃ!ワシも

スパァンッ


参謀「……戦士の討伐から約半年」

参謀「勇者の行方は以前つかめぬままか……」

側近「腐っても勇者、といったところでしょう」

側近「戦士は単純でしたが、勇者は強かさを持っています……」

参謀「……魔法使いを餌に戦士が釣れたように、僧侶を使えれば良かったんだがな」

参謀「まさか……あの女……自害するとは……」

側近「……あそこで自害出来る……流石は勇者のパーティですね」

参謀「何を言っている。感心などするな」

参謀「我が国の繁栄には邪魔だった。それだけで、排除すべき対象なんだ」

側近「はっ…!」

参謀「とにかく……早く勇者を探し出せ」

参謀「やつは今に、この国に牙をむいてくるぞ」

勇者「よくわかってんじゃねーか」

参謀「!?」

側近「な、なんだ!?」

勇者「遅い」ズバズバッ

参謀「ぐっあああ!?」ブシュゥッ

側近「参謀様!!」

勇者「おめーも寝とけ」ザグッ

側近「ぎゃああ!!!」ブシュッ

参謀「だ、だれだ……ッ貴様……ッ!?」

勇者「……この身なりじゃわかんねーか」

勇者「おめーらの探してた勇者だよ」

参謀「ゆ、勇者だと……!?」

参謀「ふぅ…ッ!な、んでここに……!?」

勇者「心当たりないわけねぇだろ」

勇者「うちの王様から全部聞いたよ」

勇者「おそらく明日の紙面は大騒ぎだろうな」

勇者「各国のトップがいきなり死ぬんだ」

参謀「ま、まさか……真相をッ…嗅ぎつけたのか!?」

勇者「もうどうでもいいんだよ」

勇者「てめぇらの手前勝手な争いなんて」

勇者「うんざりだ……」

勇者「全部ぶっ壊してやる」

勇者「俺らを追放した国家も、迫害してきた国民も、全部ぶっ殺してやる」

勇者「まずは……てめえらだ」

参謀「ま、まて!私たちを殺せばくには

ザグンッッ!


勇者「まてまてうるせえよ……」

勇者「……あぁ……良かった……」

勇者「こいつらを殺して……満足しちゃうかなって……思ったけど……全然だ」

勇者「全然足りてない」

勇者「まだまだ……殺せるよ」

勇者「待っててくれ僧侶……」

勇者「隣国も、俺らの国も、俺らを死に追いやったやつら全員ちゃんと殺すから」

勇者「天国まで積み上がったら、そっちに渡るよ……」

勇者「こいつらを殺したら……満足しちゃうかなって……思ったけど……」

勇者「全然足りてない……」

勇者「この憎しみが薄れなくて良かった……」

勇者「待っててくれ……僧侶……」

勇者「隣国も…俺らの国も…俺らを死に追いやったやつら全員ちゃんと殺すから」

勇者「天国まで積み上がったら……俺もそっちに渡るよ」

ミステイク!


それから、勇者は隣国と自国を滅ぼした。

たった一人で約370万人を殺し、その強さは魔王を倒したときとは比べものにならない。


魔王をはるかに超える力。


もはや人類に勇者を止める手立てはない。

勇者「……」

勇者「…………」

勇者「あれ……」

勇者「思ってた……」

勇者「満足感がこない……」

勇者「もう、人もいない」

勇者「なんでだろう」

勇者「誰を殺せば満足できるんだろう」

勇者「はら……減ったな……」

ドサッ

勇者「……」

勇者「もう……いっか……」

勇者「飽きたし……」



勇者「……僧侶……」

勇者「もう一度……笑ってくれ」


焦土と化した自国の王宮のテラス。

そこで勇者は静かに目を閉じた。


魔界、人間界、その2つを滅ぼした勇者。

ある国で語り継がれていく物語に、勇者は勇者としてではなく、魔王として描かれていった。

終わります。

本当に思いつきでした。

オチもなんもなくてすみません。

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