弐大「こやつを鍛えろと?」腐川「命令なのよ…!」 (48)


◆弐大の部屋

弐大「はっはっは、今日もクソが快調じゃあ!」じゃーっ

<ピンポン

弐大「んむ?朝から誰かのう」

<ピンポンピンポンピンポン

弐大「なんじゃあ、なんじゃあいきなり?今行くわい!」

がちゃ

腐川「……」

弐大「……あ?お前さんは」

腐川「ふ、腐川冬子よ……」

弐大「そうじゃ、腐川!いきなりわしの部屋にきてどうしたんじゃあ?」

腐川「あ、あの、あたしを、あたしを……」

弐大「応、焦らずゆっくり喋れ」

腐川「あたしを女にして欲しいの!」

弐大「は?」

腐川「……ま、間違えたわ、あたしを鍛えて欲しいのよ」

弐大「お前さん、どうやったら間違えるんじゃ」

腐川「きいいっ!ま、間違え方なんてどうだっていいじゃない、それとも何?揚げ足取るのが上手いの?肉体派なだけに?」

弐大「お前さんが何を言うておるのかさっぱりじゃがのう」

腐川「とと、とにかくこれは命令なのよ!あたしを鍛えなさい!」

弐大「誰から命令されたんじゃ…」

腐川「そそ、そんなの白夜様以外いるわけないでしょう!?」

腐川「ほら、3日でりんごひとつ破壊出来る筋肉をつけさせなさい!」

弐大「ちと厳しいのう、わしの力でも3日では結果が出ないと思うが……」

腐川「だからっ!それをやんなさいって言ってるじゃないの!!」きいい

腐川「ほら、さっさと始めなさい……大抵の事は泣き言言いながら挑戦するから……」

弐大「……無茶苦茶を言うのぉ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418309280

※このスレは、
【リレーSS】苗木「ダンガンロンパでリレー!」日向「企画用だ」
【リレーSS】苗木「ダンガンロンパでリレー!」日向「企画用だ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406542758/)
で決定したお題のリレーSS4週目本編投下スレです。


◆体育館

弐大「さっそくトレーニングじゃ!まずは走り込みからじゃ!!」

腐川「はあ……はあ……もう駄目……」

弐大「まだ1kmも走っておらんぞぉ!気合が足りんわぁ!!」



ーーーーーーーーーーーーーーー



◆トレーニングルーム

弐大「次はこれを持ち上げるんじゃぁ!!」

腐川「ぐぎぎ……こんなの……持ち上がるわけないじゃない……」

弐大「気合じゃぁああ!!3日で筋肉を付けたいならこれくらいできんと話にならんぞぉ!!」



ーーーーーーーーーーーーーーー


◆武道場

弐大「次はワシと組み手じゃ!!かかってこんかい!!」

腐川「な、何をどうすればいいのよ……」

弐大「かかってこないのであればこっちからいくぞっ!」

腐川「ちょ、ちょっと待ちな……」

弐大「墳っ!遅いっ!」ドスッ

腐川「ぐぐ……もう……駄目……」バタッ

弐大「……む、ちとやりすぎたかのぉ」


◆保健室

腐川「……うう……ここはどこ……?白夜様は?」

弐大「応、気がついたか。ここは保健室じゃ」

腐川「……ああ、思い出したわ。武道場でぶっ倒れたんだったわね」

弐大「うむ。しかしお前さん、まったく駄目駄目じゃな」

弐大「この調子だと3日どころか1ヵ月経ってもりんごを握りつぶすことはできんぞ?」

腐川「し、しかたがないじゃない!あたしはあんたみたいな体育バカとは違うんだからっ!」

腐川「それにあたしの目的はりんごを握りつぶすことじゃなく……」

弐大「握りつぶすことではなくて……?」

腐川「……と、とにかくあたしは白夜様についていけるように筋肉をつけなくちゃいけないのよ」

弐大「しかしのぉ……1ヶ月ならまだしも3日で筋肉をつけるのはやはり無理があるぞ」

弐大「どうして3日で筋肉をつけなきゃならんのじゃ?」


腐川「そ、それはその……そういう命令だからよ……」

弐大「むう……その白夜様とやらはずいぶんと無茶な命令をするんじゃのぉ」

腐川「無茶でもやるしかないのよ……で、どうなの?あたしのこと鍛えられるの?」

弐大「まあ……不可能ではないはずじゃ」

腐川「ほ、本当に!?」

弐大「ワシが見たところ……お主はとんでもない素質を秘めているとみた」

弐大「その素質を目覚めさせることができればその白夜様についていけるだけの筋肉をつけることができるじゃろう」

腐川「ま、まさかあいつに変われとでも言うんじゃ……」

弐大「ん?なんか言ったか?」

腐川「な、なんでもないわよ……」

弐大「しかたがない。少々荒療治ではあるがあの方法を使うか」

腐川「あの方法って何よ……?」

弐大「それはじゃな……」



――――
――


◆武道場


弐大「命を賭けた真剣勝負をすることじゃ」

腐川「は、はあ!?何でそんなことしなきゃならないのよ!?」

弐大「戦いの中でお主の中に秘めている潜在パワーを目覚めさせるんじゃ!」

腐川「もうめちゃくちゃじゃないのよ……もはやただの神頼みみたいなものじゃない……」

弐大「そもそもお主の要求自体が無茶苦茶じゃからのぉ……」

弐大「これくらいしないと3日でなんとかするのは無理がある」

腐川「……ちなみにその戦う相手は誰なのよ?」

弐大「それはじゃのぉ……お、もうやってきたみたいじゃぞ」

腐川「え……も、もしかしてあんたが……?」

ここまで、次はメカソーダさんお願いします


罪木「あのぅ…弐大さん…お呼びですかぁ…?」

弐大「無ッ、時間通りじゃあ!腐川をよろしく頼むぞぉっ!」

罪木「あ、あのぉ…きょ、今日はよろしくお願いします…」

腐川「……何よ、この昆布みたいな髪のこいつがあたしの対戦相手だっていうの?」

腐川「ふ、ふん…どう見てもあたしより弱そうじゃない…」

腐川「どうせアンタ『コイツもやしなんだから適当でいいか』とか思ったんでしょ…」

罪木「ひぃっ!こ、昆布みたいでごめんなさぁい!!」

腐川「すぐに卑屈になる奴にまともな奴はいないのよ…、あたしがそうだもの」

腐川「そうよ……なにが超高校級よ……まともに運動も出来ないくせに…」

弐大「あーお前さんら、そこまでにせんかのう」


弐大「腐川よ、人間は変わろうと思えば変われるんじゃ」

弐大「わしはその為の後押しをしているだけに過ぎん…結局は願いの強さなんじゃ」

弐大「腐川…お主の願いはその程度で終わる様なもんなのかのぅ?」

腐川「う、う、上から目線で色々と語ってんじゃないわよぉ!」

腐川「そ、そもそもこんな弱そうな相手連れて真剣勝負とか言い出したあんたが悪いんじゃない!」

弐大「…腐川よ、もしかしなくともお主こやつが相手と勘違いしとるじゃろう」

腐川「…え?そうじゃないの?」

弐大「罪木はもしもの時の為に呼んだに過ぎん、お主の言うとおり罪木は運動は苦手じゃからのう」

罪木「す、すみませぇん!紛らわしく出てきてしまいましたぁ!」

腐川「全くよ!全部あんたのせいじゃない!」

弐大「喧嘩はそこまでにせんか…お、やっと来たようじゃ」




終里「おーっす!悪ぃオッサン!忘れちまってたぜ!」


弐大「無ッ…念の為部屋にメモを入れといて正解じゃったわい」

腐川「な、何よこの見るからに頭が悪そうで力は強そうなのはぁ!?」

終里「あ?なんだこの干されたヒジキみてーなの」

腐川「干されたひじき!?」

終里「オッサン…オレはバトれるって聞いたから来たんだぜ?」

終里「オレを騙すたぁいい度胸してるぜ!つー訳で早速…」

弐大「破ッ!待たんかぁ!」ガシィ

弐大「終里よ、お主はこの腐川と戦ってもらうぞぉっ!!」

終里「ヤだよ、面白くなさそうだしよ」

腐川「こ、こっちこそお断りよ!こんな脳筋相手は!」

終里「ノーキン?なんだそりゃ、食えんのか?」

腐川「あ、あんたそれ本気で言ってるんじゃないわよねぇ!?」


罪木「ち、ちなみに先ほどの『脳筋』とは…」

罪木「『脳味噌まで筋肉で出来ている様』という意味のネットスラングで…」

罪木「単純な思考や熱血な人を揶揄する意味の言葉ですねぇ…」

罪木「ですがぁ…筋肉と脳では構成される物質が違うのでぇ…」

罪木「医療科学的にはありえないので安心してくださぁい!」

腐川「急に語りだすんじゃないわよ…、そんな事はどうでもいいのよ……」

罪木「す、すみませぇん!」

終里「なー、すらんぐって何だよ、後ヤユって食えんのか?」

腐川「あんたもしかしてそれ持ちネタなの!?」

弐大「無ッ!どうやらもう打ち解け合った様じゃのう!」

腐川「打ち解けたんじゃなくて打ち砕かれてんのよ!!」


終里「おいオッサン!さっきから面倒くせぇ!四の五の言わずさっさとバトりやがれ!」

弐大「…先も言った様に、お主の相手は腐川じゃあ」

弐大「しかぁぁぁしッッッ!!必ず手加減をする事じゃあぁぁぁぁッ!!」

弐大「それを守ればお主と戦ってやるわあぁぁぁぁッッ!!」

終里「わーってるってオッサン!様は生きてりゃ良いんだろ?」

終里「心臓が動いてて首が胴体から離れてなきゃ良い訳だからよぉ…」

終里「手足の三本や四本は覚悟してもらうぜぇ…!」

罪木「五体満足で終わらせる気は無いんですね!!そうなんですね!!」

腐川「な、なんかこいつらおかしくない…?一期上ってこんなのしかいないの…?」

終里「それじゃあ…いくぜッ!!」ダッ

腐川「は……?ま、待ちなさいよ!まだ心の準備が……!?」

投下終了。
次は三番目のアクアさんです。よろしくお願いします。

今書き終わったので投下いたしますm(__)m

終里 「よっと」

腐川 「きゃあ!」 ドサッ

罪木 「い、いきなり足払いですか?」

弐大 「終里もさすがにいきなり殴りかかるということはなかったか」 ホッ

終里 「おいおい、受け身もとらず倒れたのか?」

腐川 チーン

終里 「ったく、早く起きろよ」 ユサユサ

腐川 「......」

終里 「起きろー」 ペチペチ

罪木 「あ、あの弐大さん、様子がおかしくないですか?」

弐大 「無ゥ......確かに倒れきり動かんのはおかしいのぉ」

罪木 「私、様子を診てきます!」 タッタッタ

弐大 (足払いだけで気絶......見込みはあったはずなんじゃがのぉ......)

罪木 「腐川さぁん! 大丈夫ですかぁ!」 ユサユサ

腐川 「......」 チーン

罪木 「しっかりしてください!」 ペチペチ

キラン

終里 「ん? おい、そこなんかないか?」

罪木 「ふぇ?」

終里 「いや、今足元でなんか光ったんだよ」 ゴソゴソ

終里 「あ、あった」 シャキーン

罪木 「ひゃっ! ってこれ、鋏ですか?」

終里 「食えるのか?」

罪木 「食べられません!」
   
終里 「食えねぇのか、つまんねぇな
   おっさぁーん! こいつの足元に鋏が落ちてたぞー!」 ヒュン

弐大 「ぬわっ! 刃物を投げるな!」

腐川 ピクッ

罪木 「あぁ! 腐川さんが気がつきました!」

終里 「マジか! おーしもっかい勝負しようぜ!」

腐川 「......」 クル

終里 「おいどこ向いてんだ? お前の相手は俺だろ!」

弐大 「無ゥ......この鋏、何かの写真で見たような気がするが......」

腐川 ダッ

終里 「おい! どこ行くんだよ!」 

罪木 「あわわ、安静にしててくださーい!」

弐大 「うー......あれは確か何かの事件の記事だったような」

腐川 「......なにあたしの道具取ってんだよ!」 ブンッ

弐大 「無ッ!」 ガシ

弐大 (いきなり殴ってくるとは......しかしこやつ、スカートの上からでは分からなかったがかなり足の筋肉が整っておるな.....それに)

腐川 「うらぁ!」 ゴスッ

弐大 (なにより目の色が違う
   先ほどと別人に感じるのぉ......) ガシッ

弐大 「お主......本当に腐川か?」

腐川? 「はぁ? あんな根暗と一緒にしないでくれる?」




ジェノサイダー 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン、超高校級の殺人鬼のジェノサイダー翔でーす!」ゲラゲラ





弐大 「殺人鬼......それがお主さんの素質の正体か
   厄介じゃのぉ......」

以上です。
次は四番手の粉河埠頭さん、よろしくお願いします。

終里「……ちょっと待て、何が起こってんだか状況が飲み込めねーぞ!」

ジェノ「だーかーらッ!超高校級の殺人鬼だっつってんだろッ!」

終里「なるほどサツジンキか……俄然やる気が湧いてきたぜ……!」

罪木「……って、ええええっ!?殺人鬼ってことは驚かないんですかぁ!?」

終里「別にサツジンキが居てもおかしくねーだろ!」

罪木「だいぶおかしいですよぉ!」

終里「……ところてサツジンキってなんだ?有名人か?」

罪木「人殺しの事ですよぉ!」


弐大「……じゃが終里、殺人鬼と戦えるのか?」

終里「あったりめーだろおっさん!死なねえ程度にバトればいいんだろ!」

弐大「無ッ!その通りだっ!」

ジェノ「不良崩れが勝てるとでも思ってんのかぁ!」

終里(カチッ)

罪木「……あわわ、終里さんが怒ってますよぉ……」

終里「……なあ、おっさん」

弐大「云?」

終里「前言撤回するぜ……」


終里「ぜってー許さねえぞ……」

罪木「あわわ……どうしましょう……」

弐大「観ていることしか術はないッ!」

罪木「そんなぁ……」

ジェノ「ギャハハハハ!殺れるモンなら殺ってみろってーのッ!」

終里「……」ガッ ダッ

ジェノ「チッ……」ヒュン シャカッ

終里「……」ドガッ バザッ

ジェノ「なめんなぁ!」シャキッ

終里「がっ……」

罪木「だ、大丈夫ですか終里さん!?血が……」

終里「こんなもん平気だ!」

弐大「無ゥ……」

ジェノ「チッ、掠っただけか!」

終里「オラァッ!」ドゴッ

ジェノ「ぎっ……」

罪木「腐川さんも大丈夫ですか!?」

ジェノ「外野は黙ってろっつーの!」

罪木「す、すみませぇん!」

一時間後


罪木「……ふ、二人とももう止めてくださいよぉ!」

終里「はぁ、はぁ……」

ジェノ「はぁ、はぁ……」

終里「おい腐川……早く降参しろ……」

ジェノ「それはこっちのセリフだっつーのッ……」

弐大「罪木、十神を呼んでこい」

罪木「はっ、はいいっ!」

終里「くそっ……これでっ!」ムギュッ

ジェノ「ギャッ!痛いじゃねーかっ!」

終里「やっぱり舌が長えのが仇になったな!」

ジェノ「くそっ……んならこれでっ!」

終里「うわっ……よくもやりやがったな!」

弐大(二人ともばててきて最初の頃の威勢が嘘のようじゃのお)

罪木「に、弐大さぁん!十神さん連れてきましたよぉ!」

弐大「応!……云?」

ジェノ「なっ……白夜様ッ!?……は?」

終里「あぁん!?」






豚神「……何故呼んだ!」

弐大「お前さんじゃないわああああっ!ワシが求めてるのは78期生の十神白夜だあああああッ!」

罪木「す、すみませええええええんっ!」

と言うわけで奇跡的に書けました。ちなみにGMさんのレス見て即行で寝ました。ごめんなさい。
結局正午に起きてスパートかけてました死にそうです。

お次は五番手の残姉s……残念さん、宜しくお願い致します。


豚神「なんだと……貴様ら、この俺を人違いで呼んだというのか……?」

豚神「おやつの時間を邪魔するなど本来なら許されることではないが、もうすぐ4時……昼夕食の時間だ。特別に見逃してやる」

罪木「あ、あのぅ……十神さん……さすがに一日九食も、しかもそんなに食べられては体に悪いと……」

豚神「今回の標的である西地区はなかなか手強いようだからな。なんでも質はイマイチだが量で押しつぶしてくるとか……クックックッ」

罪木「き、聞いてくださーいッ!!」

終里「お? 飯食いに行くのか!? オレも連れてけよ!」

弐大「待たんかッ! 終里よ、お前さん一度引き受けた事を中途半端で投げ出す気か?」

ジェノ「あーおっさんおっさん、もういいって。その乳でか二号弱すぎてダメだわ。殺さないように手加減してやんのがつれぇわ」

ジェノ「手加減なんてアタシのガラじゃねーのに……白夜様と約束しちまったからなぁ」

終里「な、なんだとテメー!」

ジェノ「でも、ああ……二度と殺さないという誓いを守った暁には……暁にはぁ……」

弐大「(若干混じって来ておるのかのぉ……これなら或いは)」

弐大「ほう。ちなみに白夜様とはどんな約束をしたんじゃあ?」

腐川「き、聞きたいの? 聞きたいのね? き、聞いて驚きなさい! 白夜様はね……誓いを守ったら、あたしにプルタブをくださると約束してくれたのよッ!!」

終里「はぁ? プルタブだぁー? お前そんなもん欲しいのかよ。オレも昔は集めて金に換えたもんだがよ……今はさすがにしてねーぞ?」

弐大「ふぅむ、見た目に似合わんが寄付でもする気か?」

腐川「ち、違うわよ! これだからあんた達みたいな脳筋は……プルタブを贈ると言えば、アレしかないじゃない。アレよ!」

腐川「…………こ、ここ、こ婚約指輪よ!!」

弐大「……発想が古いのぅ。ソニア辺りが好きそうな話じゃあ。お前さん、それでも今をときめく恋愛小説家か?」

腐川「び、白夜様は物凄く高貴なお方だから、一周回ってきっとそういう習慣なのよ!」

罪木「羨ましいですぅ……私もいつかは素敵な人と……ひぅ! ごめんなさいごめんなさい、こんなゲロブタが夢見たって気持ち悪いだけですよね……」

弐大「うーむ、たぶんそういうつもりではないと思うが……それもわかってて言ったとしたらその白夜様もなかなか酷いことをしおる……」

弐大「(そもそも、二度と殺さないというのに期限はないのじゃろう? それはつまり……まぁ、それより今はこやつのことじゃな)」

弐大「(いつの間にか完全に腐川に戻っておる。やはり制御の鍵は白夜様、か)」

弐大「無ッ……そうじゃ十神よ。お前さんもちぃとばかし手伝ってはくれんか? 最近は大食いでばかり活躍してると聞くが、たまにはその本来の才能を活かしてみたくはないかのぉ?」

豚神「……どういうことだ?」

弐大「なぁに単純なことよ。ちと耳を貸せい!」

豚神「……」

豚神「フン……なるほどな、悪くない話だ。いいだろう任せておけ……その役割果たし切ってやる。この十神の名にかけて、だ!」



豚神「腐川よ……」ファサァ

終里「な、なんだぁ!? 急に周りに花が咲きやがった!」

腐川「びゃ、白夜様!? どうしてこちらに……?」

豚神「そんなことはどうでもいい。いいか、腐川」

豚神「皮革製品の手入れをする時、意外な物が役に立つんだ」

豚神「それはな……バナナの皮だ。バナナの皮の白い方の部分で革を擦ってみろ」

腐川「た、丹精込めて念入りに擦らさせて頂きますぅ……」ハァ……ハァ……

豚神「その後しばらく時間を置いてから、丁寧に布で拭き取れ……においやべた付きが残らないようにな」

腐川「白夜様に御奉仕をするように……舐めてでも、い、いいえ……舐めるように綺麗に拭き取らさせて頂きますぅ!」アアア……

豚神「するとどうだ。汚れが取れるだけでなく、艶まで出て見事な仕上がりになるんだ」

豚神「ただしホワイトレザー等では色むらが出来てしまう可能性があるからせいぜい注意しろ」

腐川「あ、あぁ……これであたしも十神家の靴磨きになれる日も遠くはないのですねぇ……」

豚神「もしお前にその時が来たら……俺の靴は常にピカピカにしておけよ」

腐川「は、はいいいいい……」



腐川「ありがとうございます……ありがとうございますぅ……」

豚神「ところでどうだ、わざわざ超高校級のマネージャーを一日付けてやったんだ、もうそれなりの成果も出ただろう?」

腐川「そ、それがぁ……い、いえ、取っ掛かりは……そのぅ……」

豚神「どうした? はっきりしないな。……まぁいい。お前には期待している、せいぜいその期待を裏切るなよ」

腐川「も、勿体無いお言葉でございますぅ……ッ!!

豚神「いいか。この俺の為に使いこなせ……貴様のその能力を」

腐川「あぁ……こ、これは夢? 夢なのかしら……ッッ!!」

豚神「む、気絶してしまったようだな」

弐大「今日一日、体に掛けた負担は計り知れんからのぅ……」

豚神「それで、お前の策とやらはこれで良かったのか?」

弐大「応ッ、さすがは超高校級の……本物の白夜様以上に白夜様に見えたようじゃあ」

弐大「いや……こやつの望む白夜様に……か……」

豚神「フン、今やこいつの内にあるジェノサイダー翔はあちら側の最高戦力と言える……それを懐柔出来れば、それはこの上ないことだ」

弐大「ワシらはまだ目立つわけにはいかんからのぅ……中から崩せるだけ崩しておければ僥倖よ」

豚神「フ……ジェノサイダー自身は絶望には屈しない程のメンタルを持っているようだと聞いたが……主人格はどうだろうな?」

弐大「それと平行して人格の統合も出来れば……面白いことになるじゃろう」

罪木「あ、それは私に任せてくださぁい。専門ではないですが、壊してもいいならかーんたーんでーす! うふ、うふふふふふふふふふふふふふ」

終里「オイ十神! 終わったんならとっとと行こーぜ! また食い潰しに行くんだろ? オレもう腹減っちまってリキが出ねぇよ……」

豚神「慌てるな、一仕事終えた後の飯はまた格別だろう……今なら備蓄庫の十や二十、物の数では無い」


豚神「往くぞ! この俺が導いてやる……カロリーの到達点、そしてその先へ……ッ!」

さぁ続いてはいよいよ真打・大取りの……

DABEMI先生! DABEMIせんせーい!!

お年玉だよ。

◆遡ること、この日の朝


がしゃあんっ
どたっ


腐川「ひっ」

十神「違う…何度言ったら分かるんだ、この雑巾…」

十神「俺達の命運がかかっているんだぞ、腐川?3日後は近いんだ」

腐川「あ、その……すみま……」ふるふる

十神「若干不愉快だが……だが、決まったものは仕方がない。お前は俺を守れ。」

腐川「ひゃいぃぃぃ…守らせていただきます、守らせていただきますぅぅぅ……」

十神「だが今のお前では無理だ、むしろお前では無理だ」

腐川「なッ……」

十神「ふん……まぁ、握力があれば話は変わるだろう。せいぜい───」

十神「りんごを握って潰せる程度の握力がお前にあれば、話は変わっただろうな」

腐川「!」



この時───腐川は思った。
つまりこれはあたしに対する命令ッ!
そう!この3日でりんごを握って潰せる程の筋肉をつけてこいと言う意味ッ!
それがひいては、愛する白夜様を守るために使える筋肉になるッ!
わずかな会話の合間に彼女はそれを理解し……そして行動したッ!まさに黄金の精神の持ち主!



腐川「ずびばぜん白夜様ぁぁ!あたし、あたしっ、りんごもキティちゃんも握り潰せるようになって帰ってきますぅぅぅぅ!!」
ずたたたたたたた


十神「………これであの煩い声をしばらく聞かずに済む」

大和田「キティちゃん握りつぶしたらまずくねーか?」

朝日奈「そうだよ!動物虐待だよ!」

十神「煩い、黙れ」

朝日奈「……でも、絶対勝ちたいもんね」

十神「ああ、そうだ。俺が指揮するからには負けは許されん。十神の名にかけてな」

◆時は戻って、腐川と罪木


罪木「うふふふふふ大丈夫ですよぉ、ちょっとちくっとするだけですからぁ……」

腐川「」

罪木「それにしても、簡単に騙されちゃうんですねぇ~?愛って恋って、結局お薬には勝てないんですよぉ~~~?」

罪木「うふふふふふふふ、楽しいからネタバラししちゃいますぅ……」

腐川「」

罪木「腐川さんはぁ、幻覚剤を吸引したんですよぉ?じゃないとあんなにおっきな豚神さんと、十神さんを見間違えるわけないじゃないですかぁ」

────────────

罪木 「私、様子を診てきます!」 タッタッタ

弐大 (足払いだけで気絶......見込みはあったはずなんじゃがのぉ......)

罪木 「腐川さぁん! 大丈夫ですかぁ!」 ユサユサ

腐川 「......」 チーン

罪木 「しっかりしてください!」 ペチペチ

────────────

罪木「この時にぺちぺちしながら、粉末を少しだけ腐川さんに食べさせましたぁ…」

罪木「中米メキシコ原産のテオナナカトル……俗に言うマジックマッシュルームですぅ……うふふふ、アメリカではこれを精神病に用いて一定の効果を出した事もあるみたいですねぇ」

罪木「あいにく私達、国外の製品を手に入れるルートがありますからぁ…うふふふ」


※注:マジックマッシュルーム(俗称であり多くのキノコを含む)は、日本国内では取り扱いを厳しく制限される麻薬原料植物です。
※厚生労働大臣の許可なく所持、製剤、輸出入などは出来ません。また、非常に危険なキノコですので、絶対に使用しないでください。


腐川「」

罪木「でもでも、よく考えたらぁ…あんなに愛していたのにたった少しのお薬で全然違う人を愛する男性に思ってしまうってこれって絶望的ですよね?ですよね?ですよね?」

腐川「」

罪木「あれあれあれあれあれ?腐川さんの愛ってその程度だったんですかぁ?」

腐川「」

罪木「まぁいいです、どっちでも……腐川さん……あなたには……」



罪木「インフルエンザで休んでもらいますぅ!」



腐川「」

◆同時刻、西地区



<ぎゃああああああ




豚神「おかわりだ」からんっ

弐大「食わんと大きくなれんからのぉ!」がつがつ

終里「なー、おっさん?そこにあるのも食っちまっていいか?」

「ひっ……やめろ!それは俺の!」

「予備学科Aー!」

「だめだよ……あいつ……もう、助からない……」

弐大「しっかり焼くんじゃあ。生焼けで食って腹を壊すと笑えんぞ!」

終里「おう!分かってんだよ!」

じゅううううううう

「ぎゃあああああー!!」

「やめて、やめてぇぇ!予備学科Aが!予備学科Aがああああ!!」

終里「つべこべうるせぇんだよ!」

弐大「次はどれを食うてやろうかの……」ずっ

豚神「これをデザートにするか……」ひょいぱく

「俺の大事なものが……ぁぁぁあああ!」

終里「へへっ……うめぇなぁ……うめぇなぁ……」がぶがぶがぶ

弐大「焦らんで良い。ゆっくり食えば」



ばんっっっっ「扉」



弐大「………無ゥ、ワシらの食事に割り込むとは、お前さんは?」

霧切「あなた達の蛮行を止めに来た……探偵よ」

終里「バンコウ……って鶏肉か?」

豚神「バンバンジーか?」

終里「あ、それだ!それの事か?」

霧切「違うわ」

弐大「なんじゃ探偵、霧切響子?ワシらは飯を食うとるんじゃが」

霧切「何を言っているの?あなた達」

霧切「だって、今の悲鳴がただの食事なのかし……」


じゅううう

霧切「ら………」


はふはふっ
もぐっ、もぐもぐっ

終里「おう、西地区の焼肉がうめーって聞いたから来てみた」もぐ


霧切「………」

霧切(おかしい…私の得た情報と違う……)



霧切「だって今、予備学科A君を焼こうと」

豚神「予備学科の肉をもらったんだ」

霧切「さっき叫んでいたのは」

弐大「あやつの肉じゃからの、出血大サービスすぎて叫びもあげるじゃろう」

霧切「大事なものって」

終里「このもちか?」ひょいぱく

「ぐわあーっ!父さんに買ってもらった最高級草餅ー!」

霧切「……それは大事ね、ええ……」


霧切(思てたんと違う……!!)

◆罪木と腐川


罪木「このインフルエンザウイルスでぇ……うふふふふ、3日後は完全に病欠ですよぉ~」

罪木「そして今度のレクリエーション大会は休んでもらいますぅ…そうすれば」


罪木「騎馬戦は私達77期が勝てますぅ!」


罪木「そのためにあんなこと(絶望的な)やこんなこと(絶望的な)をして来たんだから……」

罪木「勝者のご褒美は焼肉食べ放題なんですってぇ、私みたいなグズが役に立てるのはこのくらいしかありませんし……」

腐川「」

罪木「ズルじゃありませんよ?うふふふふ、これも戦略と言ってくださぁい」

罪木「食べ放題になれば店は貸切。そうすればさらに色んなことが……うふふふふ」

腐川「」

罪木「……それにしても30分経過しても体温が上がりませんねぇ?おかし」

がし

罪木「」!

腐川?「……ふふ、ふふふ……はは、馬鹿めが!」

罪木「え……?」

しゅたっ

ジェノ「アタシは今季の予防接種済みだっつーの!」

罪木「な……それじゃインフルエンザにはならないんですか!?」

ジェノ「やる事がやべーんだかこすいんだか分かんねーんだよボケぇ!」

罪木「そ、そんなぁ……それじゃあ」

罪木「もう…こうなったらあなたの精神をぶっ壊してぶっ壊してぶっ壊してあげるしかないじゃないですかぁぁぁぁぁっ!!」豪ッ

ジェノ「かかって来な、昆布……アンタじゃ出汁は出ねーけどよォオオ!」



カッッッ

◆そして例の3日後


『希望ヶ峰学園、77期生と78期生によるレクリエーション大会を行いまーす』
うおおおおおおおおお!!

『優勝したチームには、ご褒美として西地区の『焼肉コサック』1年間食べ放題の権利が与えられまーす』
うおおおおおおおおおおおおお!!

『みなさん頑張ってくださーい』



豚神「まさかと思ったな」

終里「だよな。急に邪魔しに来やがって……」

弐大「まぁワシらはまだ表に出るわけにはいかん。周りの予備学科もフォローしてくれたおかげでなんとか超えられた」

豚神「罪木が負傷したのが残念だったよ」

終里「でも罪木は今頃食ってんだろ?『焼肉コサック』で」

豚神「ああ、予備学科Aのバラ肉をな…予備学科は既に懐柔済み、他の生徒や教員に勘付かれる事はないだろう」

弐大「まさか霧切も思わんじゃろうな、あの食事が予備学科Aが死ぬためのものだとは」

終里「ああやって叫んでくれると雰囲気出てうめーんだよな!」

弐大「今日はもう首だけになっているかもしれんがのう」

豚神「あんまり話すな…誰かに聞かれたらどうする。このレクリエーション大会のどさくさに紛れて、パレードを成功させなければいけないんだぞ」

終里「パレード終わったら食えるかな、肉」

豚神「そうなったら花村に処理させよう。きっと美味い料理を作るぞ……くくっ」

豚神「俺が導いてやる……十神の名にかけてな!!」びしぃ


腐川「待ってなさい絶望共…あたしは自分の力で、アイツを使いこなせるようになったの……」

腐川「この騎馬戦、絶対に勝つ!!」

十神「そう───十神の名にかけてな」











腐川「と言う事が昔あったのよ」

こまる「それが絶望的事件の始まりなんですね!」

苗木「うちの妹にウソ教えるのやめてくれないかな、腐川さん」

◯まさかの不完全燃焼エンド

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