勇者「妹が魔王になった!?」(115)

魔法使い「さっき王様から通達があったわ」

僧侶「確か勇者様の妹さんて二年くらい前から行方不明なんですよね?」

勇者「あぁ。でもどうしてあの優しかった妹が…」

戦士「どうしてあの超絶かわいかった妹ちゃんが…」

魔法使い「黙りなさいレズ女」

戦士「ひどい!でもそんな魔法使いちゃんも愛せる…!」

僧侶「もしかしたら勇者様の一族に伝わる呪いが原因なのではないでしょうか?」

魔法使い「…ありえるわね」

戦士「さすが僧侶ちゃん賢い!私と結婚して」

僧侶「勇者様はどう思います?」

魔法使い「圧倒的スルーッ!!でも感じちゃう」ビクンビクン

勇者「ちょっと待って」

勇者「えーっと、呪いって何?」

僧侶「えっ、勇者様は呪いについて何も聞いてないんですか?」

勇者「なんも知らんけど」

戦士「そういえば勇者のお母さんは妹ちゃん産んでそのまま亡くなったんだっけ?」

勇者「そうだ。父親は元々みた記憶がない」

僧侶「なるほど、そういうわけでしたか」

魔法使い「まぁでも割りと有名な話なんだけど」

戦士「私達と出会うまで山奥の村にいたんだし知らなくても不思議ではないかもね」

勇者「で、なんなんだ呪いって」

魔法使い「勇者の一族は神の加護を受け力を得るかわりにある代償を払ってるの」

勇者「代償?」

魔法使い「えぇ。それが呪い」

勇者「それでそれはどんな…」

「助けてー」

四人「!?」

勇者「とにかく様子を見に行こう!」

勇者「どうしたんですか?」

村娘「淫魔達が突然襲ってきたんです」ガクガク

サキュバス「おやおや飛んで火に入るなんとやらね勇者様」

勇者「どういうことだ!」

サキュバス「あなたに用があるのよ」

サキュバス「村の男達を返してほしかったらおとなしくついてきなさい」

僧侶「勇者様人質を助けにいきましょう!」

サキュバス「あなた達には用はない。勇者一人で来るのよ」

魔法使い「断ると言ったら?」

サキュバス「村の男達が永遠に帰ってこなくなるわね」

戦士「淫魔…素晴らしい響き。わ、私がかわりに」

サキュバス「さぁどうします勇者様ぁー?」

戦士「あれー?淫魔にまで無視された」

勇者「わかった。従おう」

魔法使い「勇者!」

僧侶「勇者様…」

戦士「勇者ズルい!」

魔法使い・僧侶「・・・」ゲシゲシ

戦士「無言で蹴らないで!痛い」

サキュバス「決まりね。淫魔達勇者を連行しなさい」

とある洞窟
勇者「さて大人しくついてきたわけだがどうするつもりだ?」

サキュバス「そうねぇ私たちのお人形さんになってもらいましょうかしら」

サキュバス「魔王様の作る世界にあなたは不要なの」

勇者「…人質の無事は保証するんだろうな?」

サキュバス「それはもちろん。あなたが大人しく言うことを聞く限り無事よ」

勇者「なら抵抗はしない。だけど人形になるつもりはないぞ」

サキュバス「フフフ。いつまでそんな強がりを言ってられるかしらね」

サキュバス「淫魔達!勇者様を楽園に導いてあげなさい」

淫魔の群れ「「「はーい」」」ドタドタ

勇者「!」

サキュバス「淫魔の舌技は気が狂うほどの快楽を与える」

淫魔の群れ「「「ペロペロペロペロ」」」

勇者「くっ…」

サキュバス「そして淫魔の名器は精を絞り尽くす。全てが枯れ果てるまで」

サキュバス「安心して勇者様。きっとあなたほどの人なら命を落とさないわ」

サキュバス「永遠に脱け殻となったあなたを可愛がってあげる」

サキュバス「それじゃあね勇者。またあとで来るわ」

>>2
魔法使い「圧倒的スルーッ!!でも感じちゃう」ビクンビクン

これは魔法使いの台詞じゃなく戦士の台詞でいいのかな?

>>12
その通りです
間違えました

一時間後

サキュバス「さてそろそろ見に行ってみましょうかね」スタスタ

サキュバス「淫魔達勇者はどう?なんなら私が直々に引導を渡しても…」

淫魔「申し訳ありませんサキュバス様!この男・・・勃起すらしません!!」

サキュバス「なっ、なんですって!?そんなはずは」

勇者「言ったはずだ。人形になるつもりはないと」

サキュバス「こいつぅ・・・」ギリギリ

勇者「神の加護を、勇者を、そして俺をなめるな!!」ドーン

サキュバス「勇者ァァァア!君がッ!勃つまでッ!シゴくのをやめないッ!!」ジゴジゴジゴジゴ

僧侶「はーい、そこまでですよ」

サキュバス「!!」

魔法使い「みーつけた♪」

サキュバス「なぜお前らがっ。淫魔達早くこいつらを…」

魔法使い「淫魔達ならあっちで戦士と戯れてますわよ」

戦士「凪ぎ払う!そして私の奴隷になるのだー!」トゥヘァー

淫魔達「チーン」

サキュバス「こうなったら逃g」

勇者「逃がさないよ?」ゼンラー

サキュバス「ちょっ、待っ」

勇者「だが断る!」バチコーン

僧侶「勇者様、人質全員解放しました」

勇者「ご苦労様。ありがとな」

僧侶「いえいえお安い御用です」テレテレ

魔法使い「で、こいつらどうする?」

勇者「とりあえず縛っておいて明日近くの軍にでも引き渡せばいいんでね?」

魔法使い「そうしましょうか。もう遅いし帰りましょう」

戦士「だね!そして私とめくるめく夜を…」

魔法使い「・・・」ギュッギュッ

戦士「ちょっとぉ!淫魔達と一緒に縛って放置しないでよー」

勇者「一件落着だな」

僧侶「・・・」

深夜・とある洞窟

サキュバス「くそー勇者め、あとちょっとだったのに」

サキュバス「まぁ捕まっても逃げてまた勇者を狙えばいいか」

僧侶「それは聞き捨てなりませんね」

サキュバス「お前は勇者一行の…。何をしに来た?」

僧侶「あなた達はその汚い体を使って勇者様を穢しました」

僧侶「許せるわけがないでしょ?勇者様は私だけのものなのに」

サキュバス「はい?」

僧侶「だからあなた達を滅ぼしに来たんです」

サキュバス「お前頭大丈夫か?」

僧侶「もちろん正常ですよ。いつでも勇者様のことだけを考えてます」

サキュバス「お前のその考えだと他の仲間もアウトなんじゃないか?」

僧侶「勇者様は魔法使いも戦士も大切な仲間だと言ってます。だから…」

僧侶「最終的にはあの二人も消えてもらいます」

僧侶「勇者様のそばにいていいのは私だけなんです。他の女は私たちを遠くから眺めていればいいんです。近づきすぎた戦士と魔法使いは断じて許しません。でもまずは魔王を…妹さんを倒さないといけませんからね。それまでは我慢します。みんないなくなれば勇者様は私に依存するでしょう。ふふっ、素晴らしい世界。待ち遠しいわぁ」

サキュバス「」ゾクッ

僧侶「そういうわけでさよなら。あの世で後悔してくださいね♪」

僧侶「毒魔法最大」

サキュバス「こ…の…イカれ女」グフッ

僧侶「そうそうあと五時間くらいは生きていられますよ。思い残すことがないよう残りの人生を謳歌してくださいね」

サキュバス「ああぁぁあぁあぁあぁ」ジタバタ

僧侶「勇者様、二人だけの世界きっとつくりましょうね」

翌日

勇者「さてそろそろ出発するか」

魔法使い「昨晩近くの軍に報告したし淫魔の問題は大丈夫でしょう」

僧侶「次は大きな町でしたね」

戦士「魔法使いちゃん、僧侶ちゃん、そこで私たちの結婚式を挙げよう!」

魔法使い「ザキザキザキザキザキ」

僧侶「ニフラムニフラムニフラム」

戦士「やめたげて、私死んじゃう」

魔法使い「そういえば神の加護って勇者一族でも男の人だけ受けれるんだっけ?」

僧侶「正確には男の人がより強い力を得るだけで、女の人にも一応あるらしいですよ」

戦士「それで男だけ呪いにかかるのか」

勇者「そうだ!呪いについて教えてくれよ」

魔法使い「うーん。正直魔王討伐には支障ないしこの旅が終わってからでもいいんでね?」

僧侶「確かに勇者様に自信をなくされてもらってはむしろ支障が出かねません」

勇者「えっ、自信なくすようなことなの?」

戦士「自殺とかされたら困るしなー!」

勇者「そんなに!?」

僧侶「そういうわけで呪いとは旅が終わってからゆっくり向き合いましょう」

勇者「スゴい気になるけど、スゴい聞きたくない」

僧侶「そういえば妹さんどうやって魔王になったんでしょうかね?」

魔法使い「神の加護の恩恵もあんま受けれないのにね」

勇者「そうだ…妹はただの女の子だ」

勇者「俺が救ってあげないと!」

戦士「でも妹ちゃん勇者より全然強いよね?」

勇者「うっ…」

戦士「武術大会でボコボコにされてるとこ私見たよ」

勇者「うぅっ…」ズーン

魔法使い「確かにあの子の強さは桁違いだったわ」

魔法使い「あれを相手にすると思うと今から気が重くなる」

僧侶「町につきました」

勇者「とりあえず宿をとろうか」

魔法使い「そうね。あそこの宿はどう?」

戦士「魔法使いと一緒なら私どこでもいいよ?」

僧侶「疲れましたー、早くお風呂入りたいです」

魔法使い「私はお腹が減ったわ」

勇者「よし、じゃああの宿で決定だな」

戦士「うん、この感じもう慣れた」

宿屋

勇者「しかし今更だけど、四人同じ部屋ってどうなんだ?」

勇者「俺も年頃の男だし何か間違いが起きるかもよ?」

三人「・・・」

勇者「えっ何?」

魔法使い「ま、まぁ私たちは勇者のこと信頼してるし」

僧侶「そ、そうです!勇者様なら安心です!」

戦士「というか心配する必要がないって言うか…」

勇者「あやしい…」

魔法使い「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ、とにかくいつも通りでいいじゃない!」

僧侶「さぁさぁ部屋の鍵もらってきましたから荷物おきにいきましょう」

戦士「ご飯にする?お風呂にする?それともあ・た・し?」

魔法使い「私はご飯がいいなぁー」

僧侶「わ、私は戦士さんがいいですっ!」

戦士「相変わらず二人とも手厳しい!だがそれがい…、えっ?」

勇者「どんだけテンパってるんだよ…」

僧侶「それはさておきこの町は最後の町です」

戦士「ここから魔王城まではろくな所がないらしいからな」

魔法使い「しっかり準備して万全の状態で挑みましょう」

勇者「ついにここまで来たか…。俺たちの旅の終わりは近いな」

魔法使い「絶対に…、絶対に平和な世界にしなくてわね」

勇者「そういえば魔法使いが一番平和な世界を望んでたな」

僧侶「確かにそうですね」

僧侶「私は勇者様と一緒ならなんでもいいですし」ボソッ

戦士「私は世界中の可愛い女の子を満喫できれば全て良し!」

勇者「俺だって正直勇者の血をひいてなかったら、魔王討伐しようと思ったかわからない」

魔法使い「私のパパとママは魔物との戦争に巻き込まれて死んだの」

魔法使い「お姉ちゃんも私を庇って死んでしまった」

僧侶「そうだったのですか…」

魔法使い「だからね、大切なものを奪ってしまう戦争が許せないの」

魔法使い「この世界を絶対に変えて見せる…!」

戦士「よーし、戦士ちゃん気合い入っちゃったぞ!」

僧侶「頑張りましょう!」

勇者「とりあえず、今日はもう寝て準備は明日にしよう」

僧侶「確かこの町にはお城がありますが、王様に挨拶していきます?」

勇者「そうだな。この町は最前線だし軍も強いと聞く」

魔法使い「戦力の足しにはなりそうね」

戦士「そうと決まれば、風呂はいって、飯食って、愛の営みを…」

僧侶「麻痺魔法」

戦士「あれっ…、体が動かない」ガクッ

魔法使い「さて近くの川に捨ててくるわね」

僧侶「焼却炉でいいんじゃないですか?」

戦士「私ってば魔王より憎まれてない?」

深夜

戦士「僧侶は私の嫁になるのだー」ムニャムニャ

僧侶「ニフラムニフラムニフラム」スースー

勇者「夢の中でまでこのノリなのかよこいつら…」

勇者(ついにここまできたな)

勇者(果たして俺は魔王に…妹に刃を向けることができるのだろうか)

勇者(そもそも戦うべきなのだろうか…)

魔法使い「勇者起きてる?」

勇者「ん?魔法使いか。起きてるよ」

魔法使い「寝れないの?」

勇者「あぁ…。今になって色々不安になっちゃってな」

魔法使い「・・・」ゴソゴソ

勇者(魔法使いが俺の布団に入ってきた!?)

魔法使い「あなたならきっと大丈夫よ」

魔法使い「これまでどんな困難も乗り越えてきたじゃない」

勇者「魔法使い…」

魔法使い「大丈夫、きっと私が守ってあげるから」

魔法使い「だから、ねっ?安心して」ギュッ

勇者「ありがとう。おかげでよく寝れそうだよ」

魔法使い「ふふっ、よかった。おやすみなさい」

勇者「あぁ、おやすみ」

翌朝

僧侶「・・・」

僧侶「これは一体どういうことなのでしょう」

僧侶「なぜこの雌豚が勇者様の布団で、勇者様を抱いて眠っているのですか?」

僧侶「やはり今すぐにでもコイツを消すべきなのですかね」

僧侶「そうだ!コイツを消したらいっそのこと勇者様を山奥にでも監禁してそこで死ぬまで愛を囁くのもいいですね。正直世界なんてどうでも良いですもんね。フフフ、待っててくださいね勇者様。とりあえず障害となる…」

僧侶「コイツを神のもとに送りますから」スッ

ドアガチャッ

僧侶「!?」

戦士「僧侶ちゃんおはよー!どうしたのナイフなんてもって」

僧侶「…早く目が覚めてしまったので装備の確認をしてました」

僧侶「戦士さんこそこんな朝早くから剣を持って何してたんです?」

戦士「私も目が覚めちゃったからさ、素振りでもしようかなってなっちゃったわけですよ!」

僧侶「ふふっ、知ってますよ。実は戦士さんが毎朝早起きして訓練してるのを」

戦士「ありゃりゃ、ばれちゃってたか」

僧侶「頑張り屋さんなんですね」

戦士「僧侶ちゃんに褒められた!?」ホッペギュー

僧侶「勘違いしてるかもしれませんが、私戦士さんのこと好きですよ?」

戦士「ホントに!?」

僧侶「もちろんloveじゃなくてlikeですが」

戦士「ショーック!いや、やっぱり嬉しい!」

魔法使い「うーん、さわがしいわね」

勇者「ん、もう朝か」

僧侶「・・・」

城門前

勇者「ふぇー、近くで見るとこの城でかいな」

魔法使い「流石最前線ってだけあるわね」

門番「むっ、お前ら見ない顔だが何のようだ」

勇者「俺たち勇者一行でして王様に挨拶しようと思って来ました」

門番「これはこれは勇者様でしたか、大変失礼しました」

門番「では王様に知らせてきますので暫しお待ちを」

戦士「・・・」

僧侶「どうしたんですか戦士さん?そんな深刻そうな顔して」

戦士「あっ、あぁ…。こんなでっかい城入ったことないから緊張してるのかなぁ?」

魔法使い「あなたはいつものアホ面の方が似合ってるわよ」

戦士「うん…。そうだよな」

魔法使い「どうしたの本当に?そんな反応されると心が痛むのだけれど」

勇者「戦士?」

門番「許可がおりました。ささ、中へどうぞ」

戦士「大丈夫大丈夫!さぁっ、はりきっていこう!」

城内部

勇者「ひぇー、すごい豪華な内装だな」

僧侶「おやっ?あの大きな肖像画はなんでしょう?」

?「あれは初代勇者の肖像画です」

魔法使い「あなたは誰?」

?「申し遅れました。私は王子です」

王子「この国は初代勇者の産まれ育った場所なんですよ」

勇者「へぇー初代勇者はこの国出身だったんですか」

勇者「それにしてもこの顔どこかで見たような…」

魔法使い「確か大賢者様もこの国の人でしたよね?」

王子「はい。初代勇者と同じ時代の人です」

僧侶「大賢者様ってあの神の化身とまで言われたものすごい人ですよね」

王子「はい。あの人の残した研究成果は今もこの城で保管されてます」

王子「禁術の類いも多いので一部しか公開されていませんが」

戦士「・・・」

王子「さてでは王のところまで行きましょう」

王の間

王「ゴホゴホ…、よく来たな勇者よ」

勇者「お体の具合がよろしくないんですか?」

王「うむ…。最近調子悪くてのう」

王「とにかく歓迎するのでなゆっくりしていってくれ」

勇者「ありがとうございます」

王「何かあったらそこの大臣に言ってくれ」

王「ではこれで失礼する」ゴホゴホ

大臣「国王は病におかされており、また行方不明事件もあったりで我が国は中々大変な時期なのですよ」

大臣「ともかく城の見物でもしていってくだされ」

王子「私が案内しましょう」

大臣「ではお願いしますぞ」

王子「まかされました。では皆さん行きましょう」

勇者「しかしこの城本当にでかいですね」

王子「兵士達の住居や研究施設、図書館など色々ありますからね」

魔法使い「この国は魔法がとても進んでると聞きましたが、やはり国をあげて研究してるんですね」

王子「…実はその事で皆さんに相談があるんです」

王子「最近の行方不明事件が気になって個人的に調べてみたんです」

王子「その結果我が国はとても世に出せないような実験をしていることが判明しました」

魔法使い「人体実験とか?」

王子「そうです。行方不明者達は様々な魔法や薬の被験者となっていたのです」

僧侶「何てひどいことを…」

王子「昔は奴隷を使ってやっていたみたいですが、今は奴隷制度は廃止されましたからね」

王子「もちろん止めようとしたのですが、どうやら首謀者が国王と大臣みたいで私の力ではどうにも…」

勇者「そこで俺たちの力を借りたいと」

王子「不躾なのはわかっています。ですがどうか力を貸していただけないでしょうか?」

勇者「困ってる人は放っておけないな」

勇者「みんないいか?」

魔法使い「もちろん」

僧侶「それでこそ勇者様です」

戦士「…うん、絶対止めよう」

王子「ありがとうございます」

王子「では詳細を話したいと思います」

王子「なぜ最近になって行方不明者が目立ち始めたか」

王子「今までの気づかれないくらいのペースでなく、なぜリスクをおかしてまでペースをあげたか」

王子「それには国王の病が関わってきます」

王子「国王の患っている病は、不治の病なんです。もう先は長くないでしょう」

僧侶「王様も相当焦ってるんでしょうね」

王子「はい。そしてそれを直すのに必要なのが“賢者の石”なんです」

勇者「空想上のものだとばかり思ってたが、本当に賢者の石って存在したんだな」

王子「詳しくは大賢者様の残した資料を見ながらお話ししましょう」

図書室禁書コーナー

僧侶「すごそうなタイトルの本がいっぱいです…」

魔法使い「噂には聞いてたけどすごいものね」

王子「あったあったこの本です」ペラペラ

勇者「ここに載ってる蒼い石が賢者の石なんですね?」

王子「正確に言うとこの石は触媒にすぎません。これだけではただの石ころです」

王子「力を発揮するには賢者の石の核が必要です」

王子「噂によると、元々は存在したらしいのですが約千年前、初代勇者の時代に失われたらしいです」

魔法使い「それで賢者の石の核と行方不明事件が関係してくるわけね」

王子「鋭いですね。完全な核の作り方は何故か残されていませんでした」

王子「しかし擬似的な核の作り方は残っていたんです」

王子「それは…、千人の命を賢者の石に吸わせること」

勇者「ってことは行方不明者達は賢者の石の材料になってるのか」

王子「おそらく人体実験を終え用済みになった被験者達は最終的に賢者の石の材料になっているでしょう」

僧侶「許せません!」

戦士「でっ、王子様は最終的にどういう結末がお望みなんだい?」

王子「王や大臣を含めこの件に関わった人間を捕まえること、そして…」

王子「賢者の石の破壊です」

勇者「なるほど。では具体的なことを決めちゃいますか」

王子「私は派手な行動がとれないので城への侵入経路の確保くらいしかできないです」

勇者「十分ですよ」

戦士「はいはーい、戦士ちゃんは賢者の石破壊ミッションがしたいでーす!」

魔法使い「脳筋にはぴっ
たりの仕事ね、良いと思うわ」

勇者「賢者の石はどこにあるんです?」

王子「地下の研究施設にあります。そこには見張りの門番がいますが…」

勇者「戦士の強さなら大丈夫でしょう」

戦士「戦士ちゃんにまっかせなさーい!」

勇者「俺は王様と大臣を捕まえる役をやりたいと思います」

王子「気を付けてくださいね。王は自らの護衛として強化人間を側においているらしいので」

勇者「そこら辺は任せてください。しかし人間の強化まで研究していたとは」

王子「なんでも大賢者様の時代からその実験はあったらしいですよ」

王子「王は女の人を強化したアマゾネス部隊に護衛させてるらしいです」

僧侶「」ピクッ

魔法使い「なら勇者のサポートが一人くら…」

僧侶「私が勇者様のサポートをします」

僧侶「勇者様に指一本でもそいつらが触れたら未来永劫子々孫々まで呪い続けてやります」ブツブツ

勇者「なんか悪寒がするけど頼むわ」ブルッ

僧侶「まかせてください!」

魔法使い「じゃあ私は騒ぎを起こして兵士達をひきつけるわ」

魔法使い「適当に火でも放つ」

戦士「私のハートに火をつけて!」

魔法使い「火炎魔法」

戦士「ニギャー」パチパチ

勇者「決行は今日の夜にしましょう」

王子「よろしくお願いします」

魔法使い「あのー、少しここの本みせてもらってもいいですか?」

魔法使い「魔法を扱う者として興味があるんです」

王子「えぇ。かまいませんよ」

魔法使い「ありがとうございます」

魔法使い「皆先に帰ってていいわよ」

勇者「おーし、じゃあ色々準備しときますか」

夜・裏門前

勇者「じゃああらかじめ城の中にいる魔法使いが火をつけてある程度騒ぎが大きくなったら俺と僧侶は王の間に、戦士は地下研究室に向かおう」

戦士「わかりました、大佐!」ビシッ

僧侶「はいっ!」

ドカーン!
イッタイナンノサワギダ!?
ドコカデバクハツガアッタミタイダゾ!!
ドタドタドタ
シンニュウシャダー!!
オウエンヲヨベハヤク!!

勇者「おしっ、頃合いだ!行こう」

城内一階

勇者「戦士はあっちだな、頑張れよ」

戦士「おうともよ。あんさんたちも上手くやりや!」

戦士「震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!おおおおっ!刻むぞ血液のビート!」ドドドドドド

僧侶「クスッ。こんなときでも騒がしい人ですね」

勇者「よし俺たちも急ごう」

王の間

王「今宵は騒がしいのう」ゲホッ

大臣「すぐに収まるでしょう」

大臣「なにせ我が軍の兵士達は強化人間ですからね」

王「うむ。して賢者の石はどうなっておる?」

大臣「まもなくです。今月中には完成するかと」

王「頼んだぞ。わしの命はもう長くない」

勇者「残念ながら賢者の石は完成しませんよ」

大臣「!?」

王「勇者か…。どういうことじゃ?」

勇者「俺達が阻止すると言っているんです」

大臣「貴様等そんなことしてただですむと思うなよ」

大臣「アマゾネス隊来い!」

アマゾネス隊「見参!」

大臣「こいつらを捕らえろ。命さえあればどんな状態でも構わない」

アマゾネスa「わかりましたわ」

アマゾネスb「あらー、良い男じゃない」

アマゾネスc「たっぷり可愛がってあげましょう」

僧侶「・・・」ゴゴゴゴゴゴ

大臣「さぁ王はこちらへ。避難しましょう」

僧侶「勇者様はあの二人を追ってください」

勇者「大丈夫か?」

僧侶「ええ…、なんの問題もないですよ…」

勇者「じゃあ頼んだぞ」タタタ

アマゾネスd「あらっ、いかせないわよ?」バッ

僧侶「麻痺呪文」

アマゾネスd「くっ!?」

アマゾネスe「あーぁ、いっちゃったよ」

アマゾネスf「まぁこいつ倒してとっとと追いかけましょう」

アマゾネスg「この人数相手にしようなんて勇敢なのねお嬢ちゃん」

アマゾネスh「でも勇敢と無謀は違くてよ?」クスクス

僧侶「…あなたちは汚い声で勇者様の鼓膜を震わせました」

僧侶「そしてあろうことか勇者様を傷つけようとしました」

僧侶「もう謝っても許しませんよ?二度とそんなことができないよう、喉を引き裂き、手足を潰し、目を抉り、耳を引きちぎり、鼻を潰し、音も光も臭いも希望も未来も過去も全て奪います。待っててくださいね勇者様。こいつらを豚の餌にしたらすぐ追いかけますから。アハッ!!アハハハハハハハハ!!!!」

アマゾネス隊「」ゾクッ

アマゾネスa「かっ、かかれー!」

城内・武器庫前

魔法使い「少し派手にやり過ぎたかしらね」

ドタドタドタ

兵士長「貴様が侵入者か小娘」

魔法使い「・・・」

兵士長「結構な美人さんじゃねぇか」

兵士長「捕まった後のことは心配しなくても大丈夫だぜ」

兵士長「兵士全員で朝も昼も夜もなくたーっぷり可愛がってやるからよ」ペロッ

兵士達「おぉーっ!」

魔法使い「・・・」

魔法使い「服従魔法」

兵士長「!?」

兵士達「」ダラリ

兵士長「貴様それは禁術の…」チャキッ

魔法使い「兵士長をおさえなさい」

兵士達「」ガバッ

兵士長「くっ、貴様どういうつもりだ」

魔法使い「少しお話をしましょう」

魔法使い「ねぇあなた、魔王を倒した後の世界ってどうなると思う?」

兵士長「そんなの平和な世界になるに決まってるじゃないか」

魔法使い「果たしてそうかしら?」

魔法使い「おそらくね、魔王という驚異がなくなったら今度は人間同士で争うと思う」

魔法使い「人間なんて所詮他者と争うことをやめられない生き物なの。それは歴史が証明してるわ」

兵士長「だとしたらどうなんだよ」

魔法使い「結局平和な世界を作るには強制力が必要だということよ」

魔法使い「だから…、だから私はね…」

魔法使い「勇者を服従させることにしたの」

魔法使い「魔王を倒せば勇者は名実ともに戦争の大きな抑止力になるわ」

魔法使い「それでも戦争をしようという愚か者は魔法で服従させる」

魔法使い「勇者ほどの魔力で服従の魔法を使わせれば、かなりの強度、範囲で服従させることができるはず」

兵士長「どうかしてやがる…」

魔法使い「私には勇者が必要なの。でも勇者はそんなの許してくれないだろうし、これはやむを得ないことなのよ」

魔法使い「ふふっ、ついでに勇者には私に愛情を目一杯注いでもらいましょうか」

魔法使い「私は幼くして家族を失ったから愛情に飢えてるの」

魔法使い「可哀想な子でしょ?」

兵士長「そんな偽りの平和で…、偽りの愛情で幸せになれるわけないだろう」

魔法使い「だったらあなたは戦争のない世界を作れるというの?無理でしょ?」

魔法使い「戦争のない世界以上に幸せな世界なんてあるわけないじゃない!!」

魔法使い「それに私はね、依存できれば誰でも良いの。愛情を注いでもらえれば偽りでも良いの」

魔法使い「人間なんて所詮多かれ少なかれ自分を偽ってる生き物なのだから」

兵士長「狂ってやがる…」

魔法使い「…そろそろさよならの時間ね」

魔法使い「全員で殺し合え」

城内地下

戦士「どけどけどけどけー」ブンブン

兵士「こいつ強…グハッ」

戦士「はっはー!みねうちだ!」

戦士「見張りは全員倒したぜ!」

戦士「さてとここが研究施設か」ガチャ

戦士「うはー、いろいろヤバそうなものがありますこと」

戦士「そして一番奥にあるこの蒼い石が…」

戦士「賢者の石でありますな!」

戦士「・・・」

戦士「大丈夫な筈大丈夫な筈大丈夫な筈」

戦士「スーハースッスッハー」

戦士「よしっ!」コトッ

パァァァアッ!!

戦士「やった!紅く光った!」

戦士「遂に遂に遂にやりとげたんだ!」

戦士「永かった…、これでやっと」

戦士「呪われた血筋を絶やすことができそうです、姫様」

城・屋上

勇者「観念してください、王様、大臣」

大臣「ふんっ、すぐにアマゾネス隊が追い付いてくるわ」

大臣「それに他のお仲間も今ごろ我が兵士達が捕らえてる頃だろう」

勇者「俺の仲間をなめないでいただきたい」

勇者「あいつら普段はおちゃらけてるかもしれないけど、やるときはやる奴らなんですよ」

勇者「決して強化人間なんかに負けたりはしない!」

王「…強化人間なんか、か」

王「強化人間の親玉的存在がよく言うわい」

勇者「なに!?」

王「呪われし一族の末裔よ、お主等一族は強化人間だと言うておるのじゃ」

勇者「確かに呪いはあるかもしれない…」

勇者「でもそれは魔を滅ぼすための力を得るためのものじゃないか!」

勇者「この神の加護の力は人々のための力であって、あんた達の都合で産み出された強化人間とは違う!」

王「何も知らぬのか、無知なるものよ」

王「神の加護など存在するわけなかろう」

勇者「えっ…」

王「お主等一族のその力は、初代勇者が大賢者と交わした契約の力…」

王「つまり、魔法により強化されたゆえの力なのじゃよ」

勇者「そんな…」

勇者「じゃあ俺は選ばれし者じゃないのか?」

勇者「この力はご先祖様の都合で得た自分勝手な力なのか?」

王「その通りじゃ」

王「所詮お主は強化人間。人々を不幸にこそせよ、幸せになどできるはずがない」

勇者「俺は…、俺は今まで一体…」

僧侶「惑わされないでください勇者様!」

勇者「!?」

魔法使い「そうよ!例えその力が初代勇者の都合で得たものだとしても、あなたはそれを人々のために使ってきた」

戦士「勇者の今までの行動を否定するような奴がいたら、私がぶっとばしてやるっ!」

勇者「みんな…」

王「ちぃっ…、余計なことを」

王「大臣ひとまず逃げるぞ」

大臣「承知!とりあえず隣国に亡命しましょう」

戦士「あっ!上から気球が」

勇者「くそっ!ここからじゃ追い付かない」

魔法使い「勇者と話してる間に用意していたのね」

僧侶「私もう魔力が…」

王「さらばじゃ、また会えるといいのう」バッ

王「…どうした!早く気球をださんか」

王子「残念ながらこの気球は飛びたちませんよ」

大臣「王子!なぜ気球の中に!」

王「これはどういうことじゃ」

王子「あなたの時代は終わったということですよ」

王子「あなたは自分の都合であまりに多くの命を奪いました」

王子「もうおしまいです。せめておとなしく捕まって下さい」

王「貴様…、貴様ァ!!」シャキン

王子「残念です…」スバッ

王「く…そ…、あと…少…しだった…の…」ガクッ

翌日

王子「皆さん本当にありがとうございました」

王子「今回の件で数多くの犠牲者が出てしまいましたが、これでこれ以上の被害を出さずにすみます」

勇者「王子は王になるんですか?」

王子「はい。とりあえず適任の者が見つかるまでは王として頑張りたいと思います」

戦士「王子様なら大丈夫さー、きっと!」

僧侶「復興するのは大変だと思いますが頑張ってくださいね」

王子「ありがとうございます」

魔法使い「そろそろお暇しましょう」

勇者「そうだな。では王子俺たちはこれで」

王子「皆さん、魔王を倒して平和な世界を取り戻してくださいね!」

四人「「「「任せてください!!」」」」

勇者「それじゃ今日一日で準備をすませて、明日には出発しよう」

勇者「まともな町は最後だからな、各々しっかり準備をするように」

勇者「じゃあ一旦解散」

僧侶「ではまた宿屋で」スタスタ

魔法使い「図書館でも覗いてみましょうかしらね」スタスタ

戦士「今宵に備えて精のつくものでも食べに行きますか」ウヒヒ

勇者「さてと、俺はどこに行くかな」

勇者「まずは旅に必要な道具類を揃えるか」スタスタ

道具屋

勇者「これとこれと…」

僧侶「あっ、勇者様!」

勇者「別れてすぐ会うとは思わなかった」

僧侶「ふふっ、きっと運命の赤い糸で結ばれているのですよ」

勇者「そうかもな」

僧侶「もし良かったら教会にお祈りしに行きませんか?」

勇者「おお、いいぞ」

教会

勇者「・・・」

僧侶「・・・」

勇者「…さて行くか」スッ

僧侶「勇者様はどんなことをお祈りしたのですか?」

勇者「神の加護をお与え下さいってとこかな」

勇者「今まで神の加護を受けれるのは当たり前のように感じてたからな」

勇者「それが違うとわかったら急に心細くなってさ」

僧侶「…きっと神様は力を貸してくださりますよ」

僧侶「今まで勇者様は頑張ってきたんですから」

勇者「ありがとな」

勇者「僧侶はどんなことを祈ったんだ?」

僧侶「私は…大好きな人とずっと一緒にいられますようにって」

勇者「へぇー、僧侶は好きな人がいるのか?」

僧侶「えっ!?」

僧侶「ここまで鈍感だとは思ってもいませんでした」ブツブツ

勇者「ん?」

僧侶「ええ、いますとも!とっても強くて優しくて素敵なお方です」

勇者「僧侶にそう思ってもらえるなんてその人は幸せだな」

勇者「俺は全力で応援するよ!」

僧侶「むーっ」

勇者「そのためにも…大好きな人と一緒にいられる世界にしような」

僧侶「…はいっ!」

勇者「さて次は…初代勇者の肖像画をもう一度見に行くか」スタスタ

肖像画前

勇者「短髪で凛とした顔立ち」

勇者「スラリとした体躯」

勇者「そして何より特徴的なのが…」

魔法使い「二刀流。そして肩からのぞく大きな傷」

勇者「魔法使い、ここにいたんだ」

魔法使い「図書館の帰りよ」

魔法使い「綺麗でかっこいい人よね」

勇者「…なぁこの人どこかでみたことないか?」

魔法使い「千年も前の人だからねー、見たことあるはずはないのだけれど…」

勇者「やっぱそうだよな…」

魔法使い「ねえ勇者、あなたは平和になった世界で何をするつもり?」

勇者「うーん、考えたこともなかったな」

勇者「そうだな、平和になった世界をゆっくり旅したいかも!」

魔法使い「そう…。そしたら私のおすすめの場所をたくさん教えてあげるわ」

勇者「おっ、イイネ!」

魔法使い「きっと意識がなくなるくらい気に入ると思うわ」

魔法使い「そしてね、そこはみんながとーっても仲良く暮らす場所なの」

勇者「なんか言い回しは気になるけどよろしく頼むわ!」

魔法使い「そのためにも魔王を…妹さんを倒さなきゃね」

魔法使い「勇者…、あなたは優しいから心を痛めるかもしれないけど非情にならなくてはいけなくなる場面が来ると思うわ」

魔法使い「それだけは覚悟しておいてね」

勇者「…あぁ」

勇者「さてそろそろ宿屋に帰るか」

宿屋

勇者「・・・」

戦士「むぐーっ!」

勇者「なんで全裸で縛り付けられてるんだよ?」ホドキホドキ

戦士「ぷはーっ」

戦士「いやね、魔法使いちゃんと僧侶ちゃんが風呂に入ろうとしてたから勇んでついていったわけですよ!」

戦士「そしたら気を失ってて、気づいたらこの様ですよ、はい」

勇者「戦士は最後までぶれないな」ハァ

戦士「エッヘン」プルン

勇者「しかしよく見ると傷一つない綺麗な体してるな」

戦士「私の治癒力なめるな!」

戦士「お股の裂け目だけは直らないのだけれど」クパァ

勇者「…そういう言動さえなければ、髪も長くて綺麗だし魅力的な女性なんだろうけどな」ヤレヤレ

戦士「…ところで勇者、大事な話がある」

勇者「なんだ?」

戦士「お風呂覗きにいかない?」

勇者「・・・」

次の日勇者一行は魔王城へむけて出発した

勇者「うぉぉぉぉお!切り裂くっ!」ザシュ

魔法使い「雑魚は消えろー!火炎魔法」

戦士「貧弱!貧弱ゥ!」

僧侶「補助は任せてください!睡眠魔法」

時に苦戦しながら

戦士「やめりゃあよかった…こんなタフガイに喧嘩ふっかけるなんてよぉ」グフッ

勇者「戦士ィィィィ!」

魔法使い「悲しいけどこれ戦争なのよね」

僧侶「普通に大丈夫なんですけど…。回復魔法」

どうにかこうにか魔王城についたのである

魔王城

勇者「ここが魔王城…」

魔法使い「ついにここまで来たわね」

僧侶「決着の時です」

戦士「今日の私は阿修羅さえ凌駕する存在だ!」

ギィィィッ バーン

勇者「扉が…開いた?」

魔法使い「早く自分のとこまで来いということかしら」

勇者「何にせよ進むしかないだろう」

僧侶「ですね」

勇者「魔物の気配がまるで無いな」

戦士「しっかし辛気臭いとこだなーまったく」

魔法使い「何か罠があるかもしれないから油断はしないようにしましょう」

僧侶「動く床とか落とし穴とかパズルっぽいのとかないんですね」

勇者「まぁ一生に一回しか勇者はこないからな」

魔法使い「そのために永い時を不便に暮らさなきゃならないとか私なら嫌だわ」

戦士「仮にも自分の仕向けた刺客を退けてきてるやつらだからな」

僧侶「結局魔王のとこまでたどり着いちゃいますもんね」

勇者「とかいってる間に着いたみたいだ」

勇者「この扉の向こうに妹が…」

勇者「さぁ…行こう!」

ギィィィィィィィ

魔王「待ってたよお兄ちゃん」

魔王「いや…勇者と言うべきかな?」

勇者「魔王…いや妹どうしてこんなことを…」

魔王「あなたたちはどこまで知っているの?」

勇者「初代勇者が大賢者と交わした魔法の結果…」

勇者「勇者一族の男は代々呪われることになった」

魔法使い「その呪いは男性として不能になること」

勇者「えっ?」

戦士「つまり子孫を残せないってわけだ!」

勇者「ええっ!?」

僧侶「その結果勇者様の生まれ育った村ではある風習ができた」

勇者「あれー、なんか取り残されてるー」

魔法使い「勇者一族の男は魔を滅ぼすための存在」

勇者「トリアエズクビツッテコヨウカナ」

魔法使い「そして勇者一族の女は…」

魔法使い「勇者の血を絶やさぬため、子供を産む道具として扱われることとなる」

僧侶「毎年村から近い城下町で行われる武術大会は父親を決めるため行われてきました」

僧侶「より優秀な子孫を残すためです」

勇者「ってことは子供を作るためだけに好きでもない男と…」ギリギリ

戦士「妹ちゃんがいなくなったのはちょうど妹ちゃんの初めての相手を決める大会だったね」

勇者「つまりそういった風習が嫌になって全てを壊すために魔王になったのか…?」

魔王「…半分正解かな」

魔王「あなた達の知識は不完全よ」

魔王「最後だし全部教えてあげる」

魔王「まず力と呪いは勇者一族の女にもあるんだ」

魔王「力は、圧倒的な治癒力」

魔王「確実に子孫を残すための…呪いを受け継がせるための力だと思う」

魔王「そして呪いは、男一人女一人しか子供を産めないこと」

魔王「逆に男一人女一人は確実に産める」

魔王「そして二人の子供を産むまでは半不老不死なの」

魔王「普通の人間よりは長い寿命を全うすれば死ねるらしい」

魔王「まあ今までそんな人はいないはずだけど」

魔王「それとね子供を二人産みきった女はね…」

魔王「年四回儀式と称して村中の男どもに犯されるの」

勇者「そんな…ひどい…」

魔王「私はそんな風習に従うなら死んだ方がマシ」

魔王「でも自殺はできない」

魔王「誰も私を殺せない。一人を除いて」

魔王「私を殺せるのは…」

魔王「お兄ちゃんだけなんだよ?」

勇者「ど、どういうことだそれは!?」

魔王「勇者一族の男は子孫を残せない呪いと引き換えに…」

魔王「全てを滅ぼせる力を持っているの」

魔王「それは半不老不死の勇者一族の女でさえ滅ぼせる」

魔王「私さえ死ねば勇者一族の血筋は絶え呪いから解放される」

魔王「私も苦しみから解放される」

魔王「でも普通に頼んだんじゃお兄ちゃんは私のこと殺してくれないでしょ?」

魔王「だから私は魔王になったんだよ」

魔王「勇者と魔王…この構図ならお兄ちゃんは私を倒すしかない」

魔王「それにロマンチックだと思わない?」

魔王「お互いを愛する兄と妹が殺し合うって」

勇者「お前の苦しみはわかった。でも…」

勇者「多くの人を不幸にする権利は無いはずだ!」

勇者「俺はお前を…討つ!!」

魔王「わかってくれたみたいだね」

魔王「さぁ私を殺してよお兄ちゃん!」

魔王「私の存在は多くの人を不幸にする」

魔王「このままだと世界はどんどん不幸になっちゃうよ」

魔王「生半可な力じゃ私を消し去れない」

魔王「お兄ちゃんが躊躇しないように私も…」

魔王「お前ら全員全力で滅ぼしにいくからっ!!」

勇者「うぉぉぉぉぉりぃやぁ!」キーン

魔王「甘い…甘いよお兄ちゃん!」ドカッ

勇者「くっ…、雷魔法」

魔王「無駄無駄無駄ァ!」ヒョイ

魔王「雷魔法極限」

勇者「ぐあっ」

魔王「昔から変わらないね」

魔王「お兄ちゃんは私の足元にも及ばない」

勇者「確かに俺一人じゃ敵わないかもしれない…」

勇者「でも俺には仲間がいるんだ!」

魔法使い「火炎魔法」

魔王「ふん」ヒョイ

僧侶「守備力低下魔法」

魔王「それがどうした!」ブン

戦士「おっと勇者はやらせないぜ!」キン

魔王「クソッ」ドカッ

戦士「うわっぷ」ゴロゴロ

魔法使い「攻撃力増加魔法」

僧侶「今です勇者様!」

勇者「ここは…俺の距離だ!」ズバーン

魔王「ぐふっ、なかなかやるじゃない」ポタポタ

魔王「でも勝負はまだこれからよ!」

勇者「望むところ!」

勝負はお互い一歩も引かず…

魔王「風魔法極限」

魔法使い「魔法障壁」

魔王「ならば直接斬るっ!」ズバッ

戦士「させないよ、ぐぅっ」ブシュー

僧侶「回復魔法」

戦士「サンキュ!」

勇者「一撃必殺!」スパーン

魔王「チェストー!」フォン

数時間が立ちお互い満身創意となったのだった

勇者「ハァハァ…」

魔王「フーフー…」

勇者「ベタだけど次の一発が最後だ」スッ

魔王「ベタだけど一瞬で決まりそうね」スッ

勇者「雷魔法最大」

魔王「えっ、剣で勝負する流れじゃ…」ビリビリ

勇者「もらったぁぁぁあ!」ズババーン

魔王「くっ、あ…ありが…とう…お…兄ちゃ…ん」バタッ

勇者「妹…」

魔王「ほんとは…ね…、いつまでも…お兄ちゃんと…平和…な世界で…暮らしたかっ…た」ポロポロ

勇者「俺は、俺はぁぁぁあああああ」ダキッ

魔王「お兄…ちゃ…んの腕の…中で死…ねるなんて…幸…」ガクッ

勇者「うわぁぁぁぁぁぁぁ妹ぉぉぉぉぉ」

魔法使い「…お疲れさま」

僧侶「辛かったですね…」

戦士「これで終わりだ勇者!」

勇者「ぐすっ…あぁ終わったのか…」

勇者「これで平和な世界に…」

勇者「泣いてなんていられないな!」

勇者「さぁ皆帰…」

僧侶・魔法使い「睡眠魔法」

勇者「えっ…」

勇者「zzz」

僧侶「あらっ、気が合いますね」ニコッ

魔法使い「ふふっ、ホントね」ニコッ

僧侶「氷雪魔法」

魔法使い「火炎魔法」

ドカーン

僧侶「毒魔法」

魔法使い「風魔法」

シュパーン

僧侶「魔法使いさん、もうあなたはいらない子なんで早く消えてください」

魔法使い「平和な世界にあなたのような危険分子は不必要よ、消えなさい」

僧侶「勇者様と私のための平和な世界です。むしろ他のものすべてが不必要ですよ」

魔法使い「勇者は私の人形になるのよ。あなたみたいなキチガイに渡せるものですか」

僧侶「この雌豚ぁ…」

魔法使い「本性現したわね狸女ぁ…」

魔法使い「そうだ、戦士私の味方をしなさい」

魔法使い「そうすれば私が全身全霊をかけて愛してあげるよ」

僧侶「戦士さんは私のこと好きですよね?私も好きですよ。loveです」

僧侶「さぁ私の方へ来てください」

戦士「いやぁー、こんな可愛い子二人に求愛されるなんて嬉しすぎるっ!」

戦士「迷っちゃうなー」

僧侶・魔法使い「「さぁ、どっち!?」」

戦士「うーん、決めた!私は…」












戦士「勇者を守るよ」

僧侶「はい?」

魔法使い「こんな時にふざけないでくれるかしら」

戦士「真面目だよ、いたって真面目だ」

戦士「あななたちのような人にまかせたら勇者は幸せになれない」

戦士「勇者一族の不幸をそろそろ断ち切らなきゃ」

僧侶「本気なのですね?」

魔法使い「つまり私たちを敵にすると?」

戦士「残念ながらそうなるね」

戦士「そしてこれが私の正真正銘最後の戦いだ!」ジャキッバサッ

僧侶「はい?」

魔法使い「こんな時にふざけないでくれるかしら」

戦士「真面目だよ、いたって真面目だ」

戦士「あななたちのような人にまかせたら勇者は幸せになれない」

戦士「勇者一族の不幸をそろそろ断ち切らなきゃ」

僧侶「本気なのですね?」

魔法使い「つまり私たちを敵にすると?」

戦士「残念ながらそうなるね」

戦士「そしてこれが私の正真正銘最後の戦いだ!」ジャキッバサッ

僧侶「髪なんて切っていったい……!?」

戦士「覚悟を決めたってことさ」リンッ

魔法使い「その髪型…その顔…」

戦士「勇者剣を借りるよ」

魔法使い「二刀流…あなたまさか…」

僧侶「そんな…初代勇者は千年前に死んだはず」

戦士「・・・」

戦士「言っておくけど私は…強いよ!」シュン

魔法使い「くっ、服従魔ほ」

戦士「遅いっ!」ズバッ

魔法使い「そ…んな…」ゲフッ

僧侶「麻痺魔法、毒魔法、幻惑魔法」

戦士「数打ったってあたりはしないよ!」ザクッ

僧侶「こんな…はずで…わ…」カフッ

戦士「ふぅ…」

魔法使い「か…ぜ…まほう」

戦士「!?」スパッ

魔法使い「肩の…傷がな…い?あなたは一体…」

戦士「…私は初代勇者なんかじゃないよ」

戦士「私に名前なんか無い…」

戦士「あえていうなら、そうだな私は…」

戦士「賢者の石だ」

ーーーーーーーー
ーーーー
ーー

千余年前

奴隷「おなかすいた…」グゥー

?「あらあなた気分でも悪いの?」

奴隷「…誰?」

?「私はこの国の姫よ」

姫「気軽に姫様もしくはヒメリンと呼ぶことを許すわ」

奴隷「・・・」

姫「あなた…よく見るととっても可愛い顔してるわね」

姫「結婚しましょう!」

奴隷「私…女ですよ?」

姫「知ってるわよ。何も問題ないじゃない」

奴隷「問題しかないよぉ…」

奴隷「・・・」モジモジ

姫「…驚いた」

姫「風呂入れて綺麗な格好させてみたら私にそっくりじゃない!」

奴隷「うー、恥ずかしいよぉ」

姫「可愛すぎる」キュン

姫「ますます気に入ったわ!」

姫「あなたは今日から私のお嫁さん兼妹ちゃんよ!」

奴隷「ふぇぇ…やっぱりこの人変だ」

姫「妹ちゃんの夢って私と結婚する以外に何かある?」

奴隷「前提がまずおかしいですよ姫様」

姫「やっぱり姉妹で結婚っておかしいかな?でも大丈夫!私たち血繋がってないから」

奴隷「もうつっこまないぞー」

姫「つまり私に突っ込まれたいのね!」

奴隷「…夢なんて無いですよ」

姫「どうして?」

奴隷「明日も生きてる保証なんて無いじゃないですか」

姫「…決めたわ。私がきっと明日に希望を持てるような世界にする」

奴隷「姫様…」ウルッ

姫「平和で平等な同姓婚のできる世界に!」

奴隷「一言余計なんだよなーこの人」ガックシ

姫「今日はあなたに剣術を教えるわ」

奴隷「必要ありますかね?」

奴隷「私にこの国を出る機会なんて無いと思いますけど」

姫「任せなさい。私が平和な世界にしてあなたを外に連れ出してあげるわ!」

奴隷「ほ、ほんとに?」パァッ

姫「笑顔可愛すぎるっ!」

姫「そうと決まったら特訓よ」

奴隷「はいっ!」

姫「まず剣を二本持って構える!」

奴隷「こ、こんな感じでいいですか?」シャキッ

姫「上出来よ!そしたら今度はこう叫ぶの」

姫「“お姉ちゃん結婚しよう!!”」

奴隷「・・・」ブンブン

姫「危ない!危ないから私に向かって剣を振らないで」

王「魔王の驚異がだんだん迫ってきとるのう」

大臣「このままではこの国はもう…」

姫「お父様、私例の強化人間になります」

王「なっ、それはいかん!あれには多大なリスクが…」

姫「このままではどの道滅びる運命です」

姫「私一人が犠牲になってすむならそれでいいです」

王「しかし…」

姫「私は本気です。もう覚悟も決めました」

王「…やれやれ、こうなったらもう何を言っても無駄じゃな」

王「大臣、大賢者を呼んでこい」

姫「ありがとうございますお父様」

大賢者「本当にいいんだね?」

姫「もう決めたことだわ」

大賢者「君だけじゃない、子々孫々に渡りずっと苦しむことになるんだよ?」

姫「…それは心苦しいことだけど仕方ない」

大賢者「決意は変わらなそうだね」

大賢者「じゃあ詳しい契約内容の確認といこうか」

大賢者「あらゆるものを滅ぼす力、具体的には身体能力、魔力の大幅な上昇等と圧倒的な治癒力これを手に入れる」

大賢者「そのかわりに子孫を残すための能力に制限がかかる」

大賢者「子孫の数は常に最低限しかし確実に残さなくてはならない」

大賢者「具体的には君の子孫、男は生殖能力を無くし、女は男一人女一人しか産めず産むまで死ねない」

大賢者「そしてこのシステムをより確実にするため、非人道的な風習が生まれる可能性も高い」

大賢者「最後にもう一度確認するよ」

大賢者「君は自分自身も、君の子孫も犠牲にしてまで力を望むんだね?」

姫「その通りよ」

大賢者「これから未来永劫苦しむことになるよ?」

姫「望むところ」

姫「平和な世界はあの子との約束だから」

姫「あの子が笑って暮らせる世界にするためなら、喜んで私の永遠を差し出すわ」

大賢者「君のことを後世の人は勇敢なる者として称えるだろうね」

大賢者「さぁこの魔法陣の中に入って」

大賢者「この契約が終われば君は…」

大賢者「“勇者”になる」

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