【Fate】オリキャラがエリザベートで混沌と化した聖杯戦争に挑む【安価】 (197)



※Fateシリーズのネタバレ満載注意

Fateシリーズの二次創作SSです

背景と時期は第五次聖杯戦争

Stay_night、Zero、EXTRA、CCC、Apocryphaに登場する多くのマスターとサーヴァント

参加するマスターは主人公を含め38人

そして11組の協力体勢が成立しています

オリキャラの主人公は11組の中、1組と契約し、共に聖杯を目指します

ルートによって、主人公やエリザベートが善性か悪性かに左右されます

周回も予定しています



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418038363



【マスターについて】

この二次創作SSでは、何の因果か

『参加者の全員が魔術回路を所持している』状態となっています

ご了承下さい

ワカメ、舞弥、葛木先生など原作にて魔術師では無い人達も

前者は次期後継者となる魔術師、後者の2人は運良く回路を持つ一般人です

また、ある人は家督を継いで生存していたり、死んでなかったり、設定がブッ飛んでたりとかツッコミ満載です

衛宮切嗣を例に、原作と違い新たなサーヴァントが与えられているマスターもいます



【EXTRAの魔術師、ウィザードについて】

このSSではPCを初めとし科学技術に手を出した魔術師、メイガスとします

演算処理、ハッキング、情報開示などを得意とする方向は変わってはいません

コードキャストは魔術として扱います

多くのEXTRAのマスターはゲーム原作で手に入る礼装、自身の使ってきたコードを扱ってきます

『空気撃ち』などと違い、礼装やコードはゲームでは描写が薄い為、礼装の名称の通りの仕様、運用する描写となります

例としては、『守り刀』

そのまま、近接戦向きの刀の魔術礼装として扱います



では、まずは主人公の契約先を安価で決めます

(END後の周回で契約先の変更可能)

3点先取とします↓

01【士郎】ルート (Normal)
02【凛】ルート (Normal)
03【桜】ルート (Hard)
04【イリヤ】ルート (Hard)
05【シロウ】ルート (Lunatic)
06【ジャンヌ】ルート (Easy)
07【白野】ルート (Normal)
08【エルメロイ】ルート (Easy)
09【ダーニック】ルート (Lunatic)
10【レオ】ルート (Normal)
11【ジーク】ルート (Easy)


どうぞ



絶対に笑えない聖杯戦争※グロ注意

【ダーニック】ルート

に決まりました



SSの主人公のパーソナルの安価を取ります

安価、3点先取↓


1・一般人、普通の男子高生
2・一般人、普通の女子高生
3・一般人、目が死んでる男子高生
4・魔術師、賞金稼ぎの男子高生
5・魔術師、賞金稼ぎの女子高生
6・魔術師、元代行者の女子高生
7・ 山 育 ち の男子高生
8・ 山 育 ち の女子高生


どうぞ



魔術師、賞金稼ぎの女子高生に決まりました



では、名前を安価で取ります(国籍は日本人)

>>32>>40の中から抽選

千家照

嬉木崎鬼紀



抽選結果発表…


01・宮瀬 琴音 (みやせ ことね)

02・紫野原 美月 (しのはら みつき)


安価、3点先取で決めます↓



宮瀬 琴音 (みやせ ことね)に確定しました


コトネという名前に因果を感じるのは気のせい


スレ上げ準備します


暫し待たれよ



【Prorogue】




ーー魔術とは『目的』だ


ーー誰かが、そう言った


ーー魔術とは『手段』だ


ーー誰かが、そう言った




ーー私の両親は魔術師だった


ーー日々、研究に没頭する典型的な魔術師


ーー2人は突然、幼き私に魔術刻印を託し、早々に世を去って逝った


ーー協会に殺されたという説が有力らしい


ーー後に聞けば、何を仕出かしたのか二人は魔術協会に追われていたと言う


ーー無理矢理な刻印の移植によって、幼き私は


ーー『声』を失った



ーー生前、両親が私に魔術について教えてくれた3つ


ーー1つ、私の属性は五大元素の『風』…と聞かされている


ーー2つ、私の起源は『共鳴』…らしい


ーーそして最後は、魔術行使の術


ーー私は、独学で鍛錬を重ね続け、結果、声帯を魔術で無理矢理振動させることによって辛うじて声を出すまでに至る


ーー声を出すと身体に尋常ではない程の苦痛が襲う副作用が憑き物


ーーそれでも鍛錬事態は、音を扱う魔術に対して精通する恩恵を与えてくれた


ーーだが、両親を死に追いやった協会の庇護は受けられない


ーー庇護を受けられない魔術師など、野垂れ死にを宣告されたも同然


ーー追われ独り身となった私は魔術を生計の手段とし生き続ける他なかった


ーー賞金稼ぎの魔術師、宮瀬琴音の誕生である



【穂群原学園2-A】


凛「ーーおはよう、琴音!」


琴音「…おはよ…凛ちゃん」


ーー冬木市、深山町


ーー17つの歳となった私は穂群原学園の生徒2年生として学園生活を歩んでいる


ーー此処での私は女子高生


ーー会話は苦痛に耐えつつ、悟られない為に口数は可能な限り減らしている


凛「…琴音だけにね、話があるの…放課後、いいかしら…?」


琴音「…うん」


凛「…ありがと、琴音」


ーー遠坂凛、私の唯一の友人


ーー本人は周囲や私に隠しているが、彼女は一流の回路、属性、血筋、あらゆるものが完璧に揃った魔術師である


ーー尤も彼女の家系、遠坂は、魔術師にとって著名過ぎる故だからではあるけれど



【穂群原学園・放課後】


凛「…私ね、明日から学校を休む」


琴音「…どうして?」


凛「…お父様のお仕事よ」


「…お父様がね、私が必要だって」


琴音「…そう」


「…それじゃ…仕方…無いね」


凛「…心配しないで、直ぐに戻って来るわよ」


琴音「…うん…怪我とか…しないで…ね」


凛「…お父様のお仕事上、怪我はしちゃうかもね(笑)」



琴音「…危ない…お仕事…なの?」


凛「え、いや、危ないけど、危なくない仕事よ!だ、大丈夫!ダイジョーブ博士よ!」


琴音「…地雷…処理?…テロリスト…鎮圧?」


凛「違うわよ!そんな、生易ーー」


琴音「…まさか…『戦争』…とか…?」


凛「………!………ひ、秘密よ!秘密!乙女の秘密!だから駄目!ゴメン!ホント、ゴメン!」


琴音「…フフッ…いいよ…凛ちゃん」


「…『秘密』…だもん…ね?…」


ーー彼女が赴くのは恐らく『聖杯戦争』


ーー私も、彼女と同じく資格者の1人


ーー万能の願望器に叶えて貰うに値する、崇高な望みは持ち合わせていない


ーー在るのは浅ましい小さき望み、野望


ーーそれが、宮瀬琴音の聖杯戦争への参加理由であり、


ーー『彼』と共にする理由でもある



【1ヶ月前・ハイアットホテル・1313号室】


ーー遡る事、1ヶ月前


琴音「…ごめんね」


ーー依頼を完遂した私は、血濡れながら頭部を失った人だった物を魔術で処理していた


琴音「…『Sonic_Operation(音界操作)』ーー」


ーー協会に追われる身であるとは言え、私は魔術師の端くれ


ーー独学での研究で風や音を中心とした魔術は網羅し、ほぼ完璧に扱いこなせる域に達した


琴音「ーー『Adjustment(調整)』ーー」


ーー神秘が漏洩しない様に隠蔽は掻かさず行っていた


琴音「ーー『Boom_Low(低音・衝撃)』」


スパパパパパパパパパーッ!


ーー寧ろ僅かでも痕跡を遺したりすれば、協会が私の存在に感付く恐れがある


琴音「…最終チェック、確認ーー」




ーーそんな流れ作業を続けている矢先にーー





???「ーーふむ、噂に違わぬ技量と手早さ」


ーー突如、後ろから声が発せられた


???「君がコトネ・ミヤセで間違いないか?」


ーー蒼い髪と白い制服


ーー杖を携えた高身長の20から30代程の男


ーー振り向いた先には、魔術師


琴音「………!」


ーー魔術師として直感した


ーーこの男は、大物だと


ーーそれと同時に警告した




ーー『敵に廻しては不味い』




???「…此方の質疑にお応えして頂きたい」


ーー今の処、男に敵意や殺意などは無い


ーーとすると、直々の依頼…?


ーー何にせよ、質疑には応える


琴音「…はい…宮瀬…琴音…です…」



ダーニック「私の名はダーニック・プレストーン・ユグドミレニア」


ーー男の瞳は冷め切っている


ダーニック「『千界樹(ユグドミレニア)』一族の長を務めている」


ーー然れど、冷めた瞳は遥か高みを見据えていて


ダーニック「君に折り入って依頼がある」


ーー凄まじい執念が込められた眼差しで、


ダーニック「コトネ・ミヤセーー」


ーー男は少女に依頼内容を告げた






ダーニック「『聖杯戦争』に参加し、私と共に『聖杯』を勝ち取らないか」






斯くして、この刻、少女の『運命』の物語は始まった







【1ヶ月前・宮瀬の隠れ家】


琴音「…ユグド…ミレニア…何故…私に…協力…を?」


「…ユグド…ミレニアは…大なり…小なり…」


「…優秀な…魔術師…が居る…とーー」


「ーーケホッ…ケホッ…!」(吐血)


「(すみません、ノートに文字を書いて会話しても宜しいでしょうか)」…カキ…カキ


ダーニック「…これは失礼した、先に告白してくれれば、配慮を考えたというのに」


琴音「(すみません)」…カキ…カキ


ダーニック「無理をして口を開くことなど無い」


「…君の質疑にお応えしよう」


「…大変、お恥ずかしい話だが、我が一族の男が事もあろうが裏切ってね」


「頼り無い挙げ句に愚者だが、此度の聖杯戦争に参加する資格を有する男でな」



琴音「(資格者は彼だけなのですか?)」…カキ…カキ


ダーニック「ユグドミレニアは、私を含め6人もの資格者を有することが出来た」


琴音「(協力者が4人も居れば充分では?)」…カキ…カキ


ダーニック「…あの男の裏切りだけであれば、些事で済んだ」


琴音「…?」


ダーニック「…男は、資格者のフォルヴェッジ姉弟を説き伏せ、共に逃亡を謀ったのだ」


琴音「…!」


ダーニック「当然、逃亡の阻止はした」


「だが、城内のホムンクルス共までもが反旗を翻し、此方の邪魔をしてきたのだ」


「ホムンクルス共々、奴等を逃がし、此方には尋常ではない被害を被る結果となった」


「最終的に、今では資格を有する我が味方の圏族は、1人だけとなってしまった」



ダーニック「…これが事の顛末だ」


琴音「(…理解はしました)」…カキ…カキ


「(しかし、私は肝心の資格を有していません)」…カキ…カキ


ダーニック「それには及ばない」


「私の余った令呪を君に依託しよう」


ーーダーニックはそう言うと手袋を外し、袖も捲った


ーー掌の令呪、三画に加え、腕にもう三画の令呪が刻まれていた


ダーニック「我が圏族に資格を有した女が居たのだが、一連の騒動の際中に、ホムンクルス如きにサーヴァントを奪われた挙げ句、瀕死の重症を負ってな」


「狂気に囚われた彼女は使いものにならない、よって彼女を切り捨てる判断をした」


「彼女の令呪を強制的に移植し、私の分として追加したものだ」



琴音「(その時に何故、サーヴァントを自害をさせなかったのですか?)」…カキ…カキ


ダーニック「無論、自害の強要も出来た」


「此度が7人のマスターとサーヴァントによる従来通りの聖杯戦争なら、そうした」


琴音「(…参加者が増えたんですか?)」


ダーニック「…然り、話が早くて何よりだ」


「此度の聖杯戦争は70年前の比ではない、大規模なもの」


「現時点で判明しているだけでも参加資格を有する魔術師は30人も下らない」


琴音「…っ…30…?!…」


ダーニック「重要なのは戦力」


「殺られては元も子もない」


「サーヴァントの1体を自害をさせる為に令呪を消費するなら、新たに協力者を集い令呪を依託し、戦力を増やすべきだ」


「正しく、此度の聖杯戦争は『戦争』だ」



ダーニック「理解してくれたか?」


琴音「(…資格については概ね)」…カキ…カキ


「(となるとサー)」…カキ…カキ


ダーニック「触媒は此方で用意している」


琴音「(…喰えない人です)」ジー


ダーニック「…出来れば、用意周到と呼んでくれ」


琴音「(報酬は如何お考えですか?)」…カキ…カキ


ダーニック「君の望むままに」


「金なら、前払いでも用意可能だ」


琴音「(もし、聖杯が欲しいと言えば?)」…カキ…カキ


ダーニック「我が一族として、ならば歓迎だ」


琴音「(私の様な溢れ者の魔術師が一族の仲間入りなんて、とても烏滸がましいです…)」…カキ…カキ


ダーニック「私は拒まないぞ、寧ろ歓迎する」


「元より、拒む理由など無いのでは?」



ダーニック「ユグドミレニアに血筋は無い」


「故に誰でも血族になれる」


「それが、代が途絶え衰退しようとする者、協会に爪弾きされた者、又は追われる者であれば尚のこと歓迎だ」


「君の両親については残念ながら素知らぬが、君自身の経歴、人生については網羅している」


「協会の庇護が求められないのなら、我が一族の傘下に入るのが良いだろう」


「生活費用、魔術の研究資金や資料も共有出来る」


「どうかね?」



ーーこの男は全てを見透かしている


ーー何処かで聞いたことがある


ーー曾て魔術協会の総本山、時計搭には『八枚舌』と呼ばれる最高位『王冠』の魔術講師が居たという話


ーーその魔術師は一族を率き連れ、協会から離反したという


ーー『八枚舌』ダーニック・プレストーン・ユグドミレニア


ーー男に係れば話の主導権は握られ


ーー嘘と真を混ぜた様な会話で


ーー信頼を勝ち取り、騙す


ーー上を蹴落とし、昇り積める


ーーこの男に口勝負で勝つことなど不可能


ーー只、それでも1つだけ分かる




ーーこの男は絶対に信用しては、いけないということ





琴音「(…その話については、保留にさせて下さい)」…カキ…カキ


ダーニック「…急ぐ必要は無い、それについては君自身、じっくりと考えてくれ」


琴音「(…しかし、やっぱり聖杯戦争への参加は出来ません)」…カキ…カキ


ダーニック「ほう、何故かね?」


琴音「(…万能の願望器に叶えて貰うに値する望みが無いからです)」…カキ…カキ


ダーニック「値する、ということは望み、その物はあるのだな?」


「君の望みは何だ?聞けぬことには、そう易々と引き下がれない」


琴音「………」




「………『声』」




ダーニック「………『声』?」


琴音「(…声です、私は痛く、苦しく、辛い思いをしないで、喋り、話し、会話を交わしたい)」…カキ…カキ


「(それが私の唯一の望みです)」…カキ…カキ


「(…浅ましいですよね)」…カキ…カキ



ダーニック「…そんなことはないと思うがね」


琴音「…え…?」


ーー心を掴まれる


ダーニック「…逃亡したフォルヴェッジ姉弟の姉は聖杯に託す願望を持っていた」


「願いとは不随の両脚を再生すること」


琴音「…脚…?」


ーー駄目だ、この男に呑まれては


ダーニック「脚を治す為だけを理由に聖杯戦争に赴く魔術師も居るのだ」


「君の願望も、そう恥ずかしいものではない」


琴音「…そう…ですか…?」


ーー心を許しては


ダーニック「…フッ」


「ーーあぁ、大丈夫だ、問題ない」


琴音「…ならーー」



ーー待って!


琴音「………」


ダーニック「…如何されたかね?」


琴音「(貴方には願いは無いのですか?)」…カキ…カキ


ダーニック「当然、己の願望はある」


琴音「(…お聞かせ下さい)」…カキ…カキ


「(…返答によっては、この件を降ろさせて頂きます)」…カキ…カキ



ダーニック「こう見えて切羽詰まっている」


「元より、嘘を話すつもりなど無い」


「私の聖杯戦争に掲げる望みは2つ」


「1つ、聖杯を獲得し、ユグドミレニア一族の象徴とし、新たな協会として設立し、その名を知らしめる」


「2つ、私自身が聖杯に懸ける望み」


「それは、ユグドミレニアの輝かしい栄光、繁栄在る未来だ」


「………魔術教会に対抗し得る力」


「それが、私の望むものだ」


ーー2つ目の願望、前者は兎も角、後者は本音が入り混じっていた…気がした


ーーそれは兎も角、熱意と執念が伝わってきたのは確かな事実


ーーどうしよう…



琴音「………」


ダーニック「………生憎と、私には時間が惜しい」


「1分1秒とも時間を無駄には出来ない」


「………残念ながら、この件に関して君に考えさせる猶予を与えることは出来ない」


「この場で決断をしてくれ」


「私に協力をするか、否か」


琴音「………私はーー」




安価・↓


1・ダーニックに協力し、参加する


2・ダーニックの協力は断り、参加しない





琴音「…分かり…ました」


「…依頼を…引き…受け…ます」


ダーニック「…フッ…そうか」


「…協力に感謝する」


「『君なら絶対に引き受けてくれる』」


「そう思った甲斐があったというものだ」


「我が本拠地の座標は後程、伝達をする」


「明日、我が城へ来てくれたまえ」


「其処で、令呪の受け渡し、サーヴァントの召喚を行う」


「では、おいとまさせて頂く」


「新たに協力者を集わなくてはならないからな」


「今宵は失礼したーー」




ーーどうしよう、引き受けちゃった





本日はここまで


尚、2で、ダーニックの協力を断った場合


半分キレ気味のヴラド候によって壁に磔されて城へ強制連行されるルートでした



【1ヶ月前・ユグドミレニアの管轄領・城内】


ダーニック「…収穫は1人のみか」


ーーダーニックは、焦っていた


ダーニック「…いや、1人でも確保が出来た」


「今日はそれで良しとするべきだ」


ーー魔術協会から離反した組織


ーーそんな組織に協力をし、肩入れしてくれる魔術師は、ほぼ居ないと言ってよいだろう


ダーニック「…この調子では、初戦は籠城を決め込むより他無いな」


「開戦すれば、各地の交渉は難しくなるだろう」


「『領王』以外は皆、『魔術師』のサーヴァント」


「接近に不利な以上、攻めに使う駒は敵を生け捕りにし従えるか…」



ロシェ「あれ?帰っていたんだ、ダーニック?」


ダーニック「…ロシェか」


ーー唯一、手元に残った圏族


ーーロシェ・フレイン・ユグドミレニア


ーー彼自身とサーヴァント、アヴィケブロンの創るゴーレムは貴重な戦力であり、重宝すべきだろう


ロシェ「『先生』がね、ダーニックが帰って来たら呼んでくれって、話したい事があると言ってたよ」


ダーニック「分かった」


ロシェ「なるべく、話は早く終わらせてね」


「『先生』も忙しいんだからさ」


ダーニック「手間は取らせんよーー」



【アヴィケブロンの工房】


ダーニック「…話の要件を聞かせろ、キャスター」


「…魔力不足の件か?」


アヴィケブロン「…察しが良いな、そうだ」


「僕のゴーレムは基本的には自立で動ける」


「魔力操作すれば精密度も上がる」


「だが、やはり彼等の動力源であり命の魔力が圧倒的に足りない」


「この数だ、マスターのロシェの優秀な回路と素質を以てしても厳しい」


ダーニック「…魔力供給に使うホムンクルスは半分以上、奴等に奪われたからな」


アヴィケブロン「…それでだ、用件はまだある、ダーニック」


ダーニック「…うん?」



アヴィケブロン「『奴等』に貴重な供給源のホムンクルスを、くれてやるのは止めて貰えないだろうか」


ダーニック「…その件なら、君もロシェも共に合意してくれた筈だが?」


アヴィケブロン「その時は、微塵も興味関心が無かったからだ」


「『奴等』は僕の工房に大事に保管してある数少ないホムンクルスを黙って勝手に持ち出す」


「非常に困っているんだ」


ダーニック「一応の戦力である『奴等』の機嫌を損ね、愛想尽かされては困るからな」


「我慢してくれないか」


アヴィケブロン「別にホムンクルスでなくとも良いだろう」


「『奴等』の求めているのは、人の子供だ」


「この間『奴等』が地下牢の工房に、マスターを連れ拐う処だった」


ダーニック「災難だな(笑)」


アヴィケブロン「…笑い事ではない」



ダーニック「残念だが、此度の戦争は魔術協会、聖堂教会、そしてルーラーの召喚により監督役が増員されている」


「規則も俄然、厳しくなった」


「一般人を巻き込み、もしも露呈した場合は失格として処理される可能性も高くなった」


「危険の恐れがある以上、容認出来ん」


アヴィケブロン「僕は人間が嫌いで苦手だが、『奴等』は増して苦手で嫌いだ」


「君と手を組んでいるのは、我が宝具を完成させる為の材料が必要だからだ」


「君が材料を提供する以上、僕はゴーレムを戦力として可能な限り提供をするが」


「僕としては、提供先が君でなくとも別段構わない」


「もしも君が材料の提供を拒んだ、その時は…手を切らせて貰う」


「その事実を忘れないで頂きたいーー」



【領王の間】


ーードッと疲れが吹き出る


ーーこれからのことを考えると頭が痛くなる


ダーニック「…只今、帰還致しました『領王』」


ヴラド「…無事で何よりだな、ダーニック」


「此度の成果の報告を」


ーー我がサーヴァント、ワラキア候、ヴラド3世


ーー我が陣営、唯一の槍兵


ダーニック「…朗報です、『領王』」


「貴殿の臣下になり得る女戦士を1人」


ヴラド「…ククク…そうか、大義であった」


ダーニック「城への招待を、宜しいでしょうか」


ヴラド「構わん」


「して、何を召喚させるつもりだ?」


ダーニック「それはーー」



龍之介「ーーよっ!お帰り、ダーニックの旦那!」


ジル「ご無事で何よりですぞっ!!!!」


ーー出た


ーーダーニックの抱える疲労要素、不安要素は大きく分けて3つある


ーー1つ、自分の手駒が中々集まらない


ーー2つ、ゴーレムの材料集め、その費用


ーー3つ、何とか説き伏せることに成功し、陣営に引き込んだものの


ーーそのマスターとサーヴァントが共に常軌を逸していることである


ーーダーニックは必ず、就寝前には治癒魔術に特化したゴーレムの疲労、頭痛回復の魔術を掛けてから眠りに着く様になった



ヴラド「…臣下を労うのも、務めだ」


「控えろ、ダーニック」


ダーニック「忝ない、『領王』」


ーー今はランサーに深く感謝をしよう


ーー防国の為、人を串刺しにした王


ーー己の悦の為、子を神に捧げる芸術品(と奴等は称している)に仕立て上げる男共


ーー奴等を連れて来た当初、ランサーの機嫌は頗る悪かった


ーーだが、不思議なことに機嫌は幾日かで戻った


ーー多少は気になり問い質した処



ヴラド「『ーージル・ド・レェ、奴も又、余と同じ』」


「『神を信じ、神に裏切られた者』」


「『しかし、尚も奴は主を敬い信仰している、独自の在り方でな』」


「『その姿に心打たれた』」


「『奴のマスター、雨竜龍之介も実際に話を交わしてみれば中々に面白い男だ』」


「『何より余を人として扱い、話を交わしてくれる』」


「『この国は危機感が足りない』」


「『我が子の死という恐怖の実感』」


「『奴等は、この平和の国に於いて立派な役割を担っている』」


「『何より臣下の儀礼を取る者を無下には扱わん』」


「『今や彼等は余の臣下だーー』」



ーー何とも酔狂なものだ


ーーともあれ、関係が良好であれば、此方としても扱い易くはなった


ーーいや、扱い難いことには変わらないのだが


龍之介「なぁ、ヴラドの旦那!青髭の旦那と一緒にさ何かスゲー作戦を考えたんだけど聞いてくれるかな!」


ヴラド「申せ、許可する」


ジル「私目の宝具で巨大な海魔を召喚しっ!この国の民を1人残らずっ、神への供物として捧げるのですっ!!!!」


ヴラド「…ふむ、しかし、余や貴公と同じ信徒も居ることだろう」


「彼等は生かすに値する信徒だ」

「…それよりも貴公等の考案した作戦では、異教徒共を神に捧げることと同義」


「残念ながら、提案の了承は難しい」



ジル「おぉっ!今生の我が仕えし王よっ!」


「彼等は迷える羊子なのですっ!」


「人は誰しもが、過ちを犯しますっ!罪に汚れた彼等の魂っ!しかし、我が神は彼等の救済すら望まれているっ!」


「彼等も救済されることによって気付く筈ですっ!自分が如何に愚かであったかをっ!!!!」


ヴラド「貴公等の提案は、その時が来たれば考慮してやろう」


「貴公等は信仰に励め」


ジル「ははーっ!!!!」


龍之介「超、COOL!だぜ!ヴラドの旦那っ!!!!ーー」



【後日・ユグドミレニアの管轄領・城前】


ーー宛先の書かれた招待状が届き、ダーニックの本拠地を訪ねた


琴音「…凄く…大っきい…!」


ーー多少、修繕した後が見受けられたが立派な城塞が聳え立っていた


ダーニック「ようこそ、我が城へ」


ーー硬い門と扉が開かれ、ダーニックが登場


ダーニック「連いて来たまえ、令呪の依託、召喚の準備は全て此方で済ましてある」


ーー門が閉じられ、扉も閉じられた


ダーニック「君の部屋は専用の個室を用意してある」


「フィオレの部屋の代用だが」



【領王の間】


ーー広間の中央にはダーニックのサーヴァントが腰掛けていた


ヴラド「よくぞ余の軍門に下り、招待に応じてくれた、歓迎しよう」


「名乗りを許そう、女魔術師」


「名乗れ」


ーー威厳と威圧、ダーニック以上に冷めた顔と目付きの、如何にも『王』を彷彿させる姿


琴音「…宮瀬…琴音…です」


ヴラド「…ふむ、宮瀬、貴公の望みは我が臣下から直に耳にしている」


「…貴公は余の剣となり、盾となることを、此処で誓え」


ーー断れば命は無いだろう、確実に



琴音「…はい…誓い…ます」


ヴラド「これで貴公は名実共に、余の臣下となった」


「褒美に余の真名を告げよう、構わないなダーニック」


ダーニック「えぇ、構いません『領王』、貴殿は真名看破が容易いが故に」


ヴラド「余はワラキア公、ヴラド・ツェペシュ3世」


「世は余を『串刺し公』と呼ぶ」


ーーヴラド3世…!


ーー英霊としては、とても著名な部類


ーー寧ろ世間に於ける彼の呼称はーー


琴音「…あの…ドラーー」


ヴラド「………」


ーー刹那、ヴラド公から冷徹な殺気を当てられた


ーーどうやら、彼の逆鱗(タブー)に触れかけたらしい


ーーどうしよう、ドラ○もん、とでも言おうか



ダーニック「…伝え忘れていたが『領王』は御自身の事を吸血鬼と呼ばれるのを非常に毛嫌いしている」


ーー 先 に 言 っ て 下 さ い


ヴラド「…余が生前の行いから『串刺し公』として人々から畏れられるのは如何仕方ないこと」


「…だが、神への敵対者である吸血鬼とされた挙げ句、我が功績を汚されることだけは我慢ならん、虫酸が走る」


「…余が聖杯に掲げる望み」


「それは、余が吸血鬼である、という事実を消し去ることだ」


ーーヴラド公は、その強い執念を厳かに告げた



ダーニック「ーーでは、令呪を依託しよう」


「手を差し出したまえ」


琴音「………」


キュィィィィィイイイイイーン…!


琴音「………っ…!」


ーー聖痕が刻まれ、痛みが生じる


ダーニック「………」


カッ…!


琴音「………!…」


ーー掌に紅く染まった令呪が刻まれた


ーー悪魔か竜の様な模様の聖痕が3つ


ーーなんというか…未だ実感が湧かない


ダーニック「…依託は成功した」


「おめでとう、これで君も愛でたく参加資格を得たという訳だ」



ダーニック「では、サーヴァントの召喚に移る」


ーー広間には既に血で描かれた魔方陣が敷かれていた


ーー台座や召喚に使う水銀も用意されている


ダーニック「…これが、召喚に使う触媒だ」


ーーダーニックが取り出したのは、一冊の古びた本


琴音「…これは…?」


ダーニック「エリザベート・バートリーの日誌だ」


琴音「…エリザ…ベート…バートリー…?!」


ーー『血の伯爵夫人』エリザベート・バートリー


ーー確か、ヴラド公と共に吸血鬼の原点とされる狂気にまみれた女貴族


ーー英雄として見れば、程遠く無縁な殺人鬼


ヴラド「………ダーニック、貴様…」


ーーヴラド公の機嫌が急激に悪化する


ダーニック「『領王』、どうかお怒りを静め、耐えては頂けないでしょうか」


ヴラド「………まぁ良い、召喚に移れ」



ーー可能性の高いクラスはキャスター、もしくは希少なファニーヴァンプだろうか


ーー後者に当たって欲しいが、そう上手くはいかないだろう


ダーニック「…詠唱中は君の負担が軽減される様、私が集中的に治癒魔術を掛ける」


ーー詠唱文は既に頭に入っているが、不安は拭えない


ーー覚悟を決め、魔方陣の中心に降り立つ


ダーニック「…では、始めてくれ」



琴音「ーー素に…銀と鉄…!」


「ーー礎に…石と…契約の…っ…大公…」


「ーー降り立つ…風には…っ…壁を…!」


「ーー 四方の…門は…っ…閉じ…王冠より…出で…っ…王国に…至る…っ…三叉路は…循環…せよ…っ…!」


ーーダーニックが治癒を掛けてくれているとは言え、とても辛い


ーー喉から口へ、絶え間なく血が溢れ滴る


ーーだが、まだ、半分も終わってない


琴音「ーー閉じよ(みたせ)…」


「ーー閉じよ(みたせ)…」


「ーー閉じよ(みたせ)…」


「ーー閉じよ(みたせ)…」


「ーー閉じよ(みたせ)…っ…!」


「ーー繰り返す…つどに…五度…!」


「ーーただ…満た…っ…される…刻を…破却する…っ…!」



琴音「ーーーー告げる…!」


「ーー汝の身は…!…我が下に…っ…我が命運は…!…汝の剣に…っ」


「ーー聖杯の…寄るべに…従い…っ…この意…この理に…従う…っ…ならば…応えよ…っ…!」






「ーー誓いを…此処に…」






「ーー我は…常世…総ての…善と…成る者…っ…!」


「ーー我は…常世…総ての…悪を…敷く者…っ…!」


「ーー汝…三大の…言霊を…纏う…七天」


「ーー抑止の…輪より来たれ…っ…!…天秤の守り手よーーーーっ!!!!」


カーーーーッ!!!!



ゴォォォォォオオオオオーーーーッ!!!!


???「ーーあら、随分と惨めで、何とも醜い、無様で可愛げのある栗鼠だこと」


ーー目の前に現れたのは巨大で禍々しい槍を携えた、10代位の少女だった


ーー頭には悪魔の様な角


ーー尻部には竜の尾


ーー派手でヒラヒラな黒い衣装(ドレス)…から漂う死臭


ーー人を家畜として見ていない眼差し


???「ーー1度だけ口を開くことを許すわ」


ーー余りの外見的なイメージ違いに一瞬、呆然とした


???「ーー私の質問に答えなさい、栗鼠」


ーー『血の伯爵夫人』、エリザベート・バートリーは問い質す






エリザ「ーー問おう、貴女が私のマスターかしら?」







今日はここまで

次から聖杯戦争が開戦され、安価が本格的に入ります

最後の文に抜けている箇所がありました

『人を家畜として(しか)見ていない眼差し』

申し訳ありませんが皆様で補完して下さい

この精神が病むこと必須のパーティーで、聖杯戦争を勝ち残れるのか!?(白眼)


少しだけ進行します



【聖杯戦争、開戦まで後、1時間】


ーーあの後、私は死地をさ迷いかけた


ーー召喚されたエリザベートは躊躇い無く堂々とヴラド公の地雷を踏み抜き、怒りを買った


ーー激昂した串刺し王と伯爵夫人の殺し合いを、ダーニックは止めもせず冷静に分析をし始めた


ーー城の崩壊を恐れたアヴィケブロンやロシェが見かねて、ヴラド公を諫めなければ今頃どうなっていたか


ーー私が臣下の儀礼を取っていたことで、何とか収めて貰った


ーーとは言え、ヴラド公とエリザベートは決して相容れないだろう


ーー1つ、2人が、真面目で遊びが入らない貴族嫌いの王であること・己の悦の為、遊び尽くし堕落する貴族であること


ーー2つ、2人が、熱烈な信仰を持つ信徒であること・無宗教克つ自分以外は皆、家畜扱いであること


ーーそして、何より決定的なのは


ーー2人が、吸血鬼そのものを拒む男であること・吸血鬼そのものを受け入れた女であること


ーー関係良好は、絶望的だろう


ーーこの調子が続くのかと思うと、安易に依頼なんかを引き受けるんじゃ無かったと後悔した



ダーニック「情報を整理する」


ーー参加を正式に判明している魔術師達


ーーアインツベルン、遠坂、間桐の御三家


ーー魔術協会から時計塔とアトラス院


ーー西欧財閥、ハーウェイ家


ーーそして、千界樹(ユグドミレニア)


ーーその他、参加表明をしたマスターが何人も居るらしい


アヴィケブロン「ダーニック」


ーーキャスターのサーヴァント、アヴィケブロン


ーーゴーレムの製作を得意とする魔術師


ーー恐らく、一番まともな人



アヴィケブロン「君に頼まれた諜報、探索専用のゴーレムが完成した」


ーーそう告げたアヴィケブロンは掌を広げ、私達にゴーレムを見せた


アヴィケブロン「かなりの材料と精密な作業が必要で、製作に時間もコストも掛かった」


ーー彼の掌に乗っていたのは、小人の様な土人形


ーー蚊よりも小さいサイズのゴーレム


ーーかわいい


アヴィケブロン「結果として完成出来たのは1体だけだ」


「その代わり、それに見合っただけの性能は保証出来る」


「感知は、不可能と言って良いだろう」


ダーニック「いや、上出来だ」



アヴィケブロン「では、何処へ向かわせるかは君が決めてくれ」


ダーニック「そうだな…」


安価↓↓


1・深山町の何処か(衛宮邸を捕捉)

2・遠坂邸

3・間桐邸

4・アインツベルンの森・城

5・冬木教会

6・柳洞寺

7・ハイアットホテル

8・ハーウェイの管轄領・邸



ダーニック「一先ず、西欧財閥のハーウェイの陣営だ」


アヴィケブロン「了解した、新都の方面か」


「捕捉するのに数時間は掛かる、開戦直後位に結果が出る筈だ」


ダーニック「頼んだ」


アヴィケブロン「では、私は工房でゴーレムの精密操作に移る」



ダーニック「君のサーヴァントが攻めに使えるランサー、それもBからAクラスの高英霊であったことは正しく天恵だ」


ーーそれについては幸運だったと非常に思う


ーー串刺し王と張り合い出来る程の実力


ーー途中、翼を生やし縦横無尽に飛び廻った際は別次元が其処には在った


ダーニック「戦闘では、常に先陣を切って貰うことが多くなるだろう」


「一先ずの方針は各陣営の様子見だ」


「異存は無いな」


琴音「…はい」


ダーニック「開戦まで30分を切ったか、気を抜くな」



【琴音の部屋】


エリザ「ーーねぇ、琴音」


ーーエリザベートが話しかけてきた


エリザ「貴女にお願いがあるんだけど」


「私の血風呂(ブラッドバス)に使う血、それを手に入れて来なさい」


琴音「…地下の…キャスター…からじゃ…駄目?」


エリザ「あれは駄目、お人形の血じゃ全然綺麗にならないもの」


「蛙のキャスターや龍之介も愚痴っていたけど、豚が必要なの」


琴音「…じゃあ…養豚場に…電話掛けて…頼むね」


エリザ「 そ っ ち じ ゃ な い わ よ !!!」


琴音「…だって…豚が…欲しい…って…言った」


エリザ「………言ったわね、確かに言ったわ、私」


琴音「………………」


エリザ「………………」


琴音「………………」


エリザ「………と、とっとと行きなさーーーーっい、子栗鼠っ!!!!」


琴音「は、はいぃーーーー!!!?」



【聖杯戦争・開戦・1日目】


ダーニック「…遂に始まったか」


琴音「…はい」


ダーニック「…城外にはゴーレムと結界」


「…城内には罠を幾つか仕掛けた」


アヴィケブロン「…ダーニック、報告だ」


ダーニック「キャスター、それにロシェか」


琴音「…早い…ですね」


ダーニック「…収穫はどうだ?」


ロシェ「ばっちりだよ」


アヴィケブロン「今から、ゴーレムが得てきた情報を開示する」



【ハーウェイの管轄領・邸】


???「レオナルド」


レオ「はい、何でしょうか?ブラックモア卿」


ダン「警戒をした方が良い、開戦間際だ」


???「恐れながら、その意見には同意致します我が主」


ダン「アサシンのサーヴァントが開戦と同時に襲って来るとも限らん」


???「アーチャーが外で罠を貼り、見張りをしているとは言え」


「ユリウス殿のアサシンの様に感知が不可能なサーヴァントが居るかもしれません」


レオ「その時はガウェインにお任せするしか、ありませんね(笑)」


ガウェイン「…それは当然です、私が居る限り、我が主へは指一本足りとも触れさせません」




「ゴキブリの1匹も邸へは入れさせません!」




レオ「さて、そろそろユリウス兄さんが帰って来る頃でしょうかーー」



ダーニック「ーーダン・ブラックモア…!…西欧財閥も本気という訳か」


ロシェ「ダーニックの知り合い?」


ダーニック「…第三次聖杯戦争にて、ナチスに雇われた私に対し、イングランドが差し出してきた軍属の魔術師、それが奴だ」


「奴の狙撃や魔術で倒れた者は数知れない」


「会話のユリウスという男は十中八九、ユリウス・ベルキスク・ハーウェイだろう」


「裏で財閥やハーウェイ一族に対する、反逆者、抵抗勢力を暗殺したとされる魔術師だ」


「兄弟と言う話は初耳だが、一番の要注意人物だ」



琴音「ガウェイン…円卓…の騎士」


「クラスは…セイバー…かな」


ダーニック「厄介だな、最優良のセイバー、三騎士のアーチャー、諜報と暗殺のアサシン」


琴音「オマケに…アーチャーは…罠が…貼れる」


「アサシンは…感知…不能の…スキルか…宝具を…所持…してる」


ダーニック「…どうしたものか」


琴音「………」


安価↓


1・当初の予定通り、拠点に籠り罠、結界を貼り工房建設に励もう

2・拠点から出て目的地を調査、偵察



琴音「私と…ランサーで…各地の…偵察を…します」


ダーニック「しかし、万が一君が倒れでもした場合の被害は甚大だ」


ロシェ「僕は良いと思うよ?ゴーレムから得る諜報力だけじゃ足りないと思うし」


「何処も、動いてはいないと思うけどな…」


アヴィケブロン「それで、どの辺りを伺うつもりだ」


安価↓


1・深山町

2・新都

3・中央



琴音「新都…の…」


安価↓↓


1・【センタービル・路地裏周辺】

2・【外人墓地・森林】



ダーニック「了承した、だが戦闘は控えろ」



【センタービル・路地裏周辺】


ーー魔力の痕跡は見当たらない


琴音「杞憂…だった…かな」


スゥーーッ


エリザ「早い処、帰りましょ琴音」


「それと私、新都で買い物あるから」


琴音「え、でも…角と…尻尾ーー」


スゥーーッ


ーー角と尻尾だけが霊体化した


エリザ「豚の社会に合わせるのも、癪だけど」


琴音「もし…かして…お代は…全額…私?」


エリザ「当たり前じゃない」


琴音「」


エリザ「さ、付き合って貰うわよ」





ーー魔力の痕跡が無いと言った




ーーでは、魔力の痕跡を残さない敵が居たとすれば?




ーー時、既に遅し




エリザ「ーーっ」


ドーーッ!!!!


ーー突如、エリザベートは壁に撃ちつけられた


エリザ「ーー嘘………でしょ………っ!?」


ーーエリザベートの胸部には拳でめり込まれた跡


エリザ「ーー気配も………感じ、させ………ない…なんーー」


シュゥ………………ッ…


ーー血ヘドを吐きながらエリザベートは呆気なく消滅した


???「呵々、呆気無さ過ぎて欠伸が出てしまう」


ーー声が聞こえる筈なのに発声場所が探知出来ない


???「………」


ーーーーバンッ…!


琴音「ーーあ……………っ」


ーー脳天が弾丸によって撃ち抜かれる


ーー意識する間も無く、少女は絶命した


ーーこれが、宮瀬琴音の『運命』である


【GAME_OVER】


>>123へ戻る



ダーニック「了承した、だが戦闘は控えろ」


【外人墓地・森林】


ーー魔力の気配がする


ーー気配は4つ


ーー遠くから会話を聞いてみよう


琴音「ーー『Sonic_Operation(音界操作)』」


キュィィィィィイイイイイーーン!



???「ーーしかし、お前と組む日が来るとは思ってもみなかったぞ、征服王」


???「いっそ、我が軍門に下る気は無いか?ランサー!」


???「断る、俺の主は今生で1人だけだ」


???「結構な女が居るなら、考えてやってもいいぜ」


???「誠か、トロイアの英雄よ!!!!」


???「…あ、あぁ…いや、考えてやってもいいってだけだが…」


???「此度の戦っ!!!!勝利したぞぉぉぉぉぉおおおおお!!!!我が世界征服も夢では無いっ!!!!何せ完全無欠、無敵最強の英雄が我が軍門に入れば、何者も恐れることは無ぁぁぁぁぁあああああーーーーいっ!!!!」


???「う、うるせぇ…」


???「何時もより、増してうるさくなった…」


???「■■…」



ーー耳が痛い


ーー頭が痛い


ーー遠くて姿は見えなかったけど、彼等の会話に出てきた単語を元に調べれば真名を割り出せるかもしれない


ーー取り敢えず、耳と頭が痛いので帰ろう


エリザ「なーんか、辺り一面、林、林でつまらないわ」


琴音「…帰ろ」


エリザ「そうね」



【ユグドミレニアの管轄領・城】


琴音「…?」


「気の…せい…かな」


【領王の間】


ダーニック「…征服王…トロイア戦争の英雄か」


琴音「会話は…それしか…」


ダーニック「…宮瀬琴音、ランサーの存在は確認出来たか?」


琴音「ランサー…」


「居ました…ランサー…と呼ばれた…男が…」


ダーニック「…征服王とランサーについては特定が出来た」


琴音「え…」


ダーニック「恐らく、征服王はライダーのイスカンダル、そのマスターはロード・エルメロイ2世」


「彼しか居ないだろう」


「ランサーはフィオナ騎士団の槍兵、ディルムッド」


「マスターは先代ロード・エルメロイ、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトだ」



ダーニック「彼等は半ばで中止に終わった第四次聖杯戦争に参加したマスターだ」


「…残りの2体のサーヴァントは、恐らく片方がアトラス院の魔術師がマスターだろう」


「…しかし、トロイア戦争の英雄か」


「候補としてはヘクトルか、アキレウスといった処か」


琴音「イスカンダルの…崇拝する…英雄…」


「イーリアスの…アキレウス…が妥当…です…」


ダーニック「…その可能性は高いな」


「しかし、踵以外が無敵と伝わる英雄となると一筋縄ではいかん」


「何か対策を講じなければならないが…私が考えておこうーー」



【琴音の部屋】


琴音「………」


スゥーーッ…


エリザ「ーー退屈で仕方ないわ、琴音」


琴音「………」


エリザ「っ…また、頭が痛くなってきた…っ!」


琴音「………」


エリザ「…ねぇ、貴女?私のマスターなんだから何か私を楽しませる様なものを持って来なさいよ」


「豚でも栗鼠でも良いわ、何でも良いから、私を退屈にさせないでくれるかしら?」


「私のマスターとして、その程度のことは完璧(パーフェクト)にこなしなさいよ!」


琴音「………感じた」


エリザ「………はぁ?」



琴音「………音が…聞こえた」


エリザ「音?何、意味不明なことを言って」


琴音「………この…城の人…じゃない」


「ーー『Sonic_Operation(音界操作)』」


エリザ「………ち、ちょっと!説明をしなさい!私に分かる様に説明をしなさいよっ!!!!」


琴音「………」


「………!!!!」


ダッーー!


エリザ「え?…ま、待ちなさいっ!何処へ行くのよ!?もうっ、もうホンットに訳がっ分からないわーーーーっ!!!!」


ダッーー!



【ダーニックの部屋】


ダーニック「…やはり、同盟は視野に入れるべきか」


「…人質を取り、脅迫をするか?…いや、効果は薄いだろうなーー」


PPPPPPPPPPーー!


ーーダイヤル式の受話器が鳴る


ーーダーニックは受話器を手に取った


ダーニック「…どなたかね」


???「…もしもし、此方は参加を表明されているユグドミレニアの方で間違いないでしょうか?」


ダーニック「…君は?」


ジャンヌ「私は此度の聖杯戦争に於いて喚ばれたルーラー、真名をジャンヌ・ダルクと申します」


ダーニック「君が件のルーラーか、何を伝えに?」


ジャンヌ「先程、御三家を始めとする参加表明をされた方を中心に報告に廻っているのです」


ダーニック「それは仕事熱心で、何よりだ」


ジャンヌ「そして皆様に、ご報告をしなければならない事がありますーー」


ーー聖女は事実を告げた




ジャンヌ「聖堂教会から派遣された聖杯戦争の監督役、言峰一族が裏切りました」





【城内・廊下】


琴音「ーー『Sonic_Operation(音界操作)』」


「ーー『Transmission(拡散)』」


「『ーー聞こえてますか、皆さん』」


「『城内に侵入者を確認しました』」


「『結界やゴーレムに感知されずに突破したことから、アサシンのサーヴァントかと』」


【領王の間】


ヴラド「…侵略者は直々に葬り去ってやろう」


「…死骸は城門に晒す」


【アヴィケブロンの工房】


ロシェ「先生!」


アヴィケブロン「そう取り乱すな、ロシェ」


「ゴーレムの警戒レベルを今、調整している」



【ジル・ド・レェの工房】


龍之介「やべーよ!スゲーよ!旦那ぁっ!」


「頭ん中にさ、声が聞こえて来たよ!旦那も聞いた!?」


ジル「龍之介っ!!!!神からのお告げですぞっ!憐れな異端者の救済に参りましょうぞっ!!!!」


龍之介「おうよっ!!!!」


【ダーニックの部屋】


ダーニック「ーー失礼、切らせて頂く」


ジャンヌ「え?!ち、ちょっとーー」


プツン、PーPーPー


ダーニック「…休む暇も考える暇も無いとはな」



【城内・階段】


琴音「………階段をーー」


安価↓↓


1・上がる

2・降る



ーー階段を上がり上層階に着く


ーー私が超音波で感知し捕捉した数は全部で3つ


ーーダーニックが仕掛けた罠や結界は、悉く解除されていた


ーー気配が1つ


琴音「ーー『Sonic_Operation_Boom_Sword(音界操作・音の剣)』」


ブーーーーン!!!!


ーー風と音の魔術が、敵に施された魔術を破り、その姿を現す


???「ーー我々が侵入してから、数分が経過している」


「随分とお粗末な警備体制だ、見直した方が賢明と判断する」


琴音「ーーあ…貴方は…!?」


???「何故、此処に居るか?という顔だな」


「君の疑問に応えよう、宮瀬琴音」


ーー彼とは面識がある


ーー私が、参加表明を告げに教会へ訪れた時


ーーその男とは会っている


ーー彼はーーーー




綺礼「私もサーヴァントのマスターだからだ」





【城内・最下層】


ダーニック「ーーき、貴様…!」


???「ーーお久しぶりですね、ダーニック」


???「第三次聖杯戦争以来でしょうか」


ダーニック「…何故、貴様が生きている」


「…天草四郎時貞!」


シロウ「簡潔に申しますと、あの時の決戦にて私は聖杯に一瞬でも触れることが出来ました」


「それによって、受肉を果たした…その後は話すと永くなりますので…一先ずお分かり頂けたでしょうか?」


ダーニック「…成る程な、だが、失策だったな」


「『領王』の怒りを買った時点で貴様は詰んでいる」


???「…ククク、我々を此処まで通しておきながら失策と抜かすか」


「…お主、我と同じく集団の執政には向いてないのではないか?」



【城内・最上層】


スゥーーッ


エリザ「城に鼠ならぬ豚が入り込んだって訳ね」


「琴音、今夜の血風呂は豚の血で我慢してあげるわ」


「今日の無礼講はチャラにするから、あの豚を生け捕りにし血を1滴残らず搾り取りなさい」


琴音「じゃあ…貴女は…サーヴァントを…お願い」


エリザ「はぁ?サーヴァントなんて何処に居るのよ」


琴音「分から…ない…けど…多分…アサシン…居る」


エリザ「はぁ…アサシンね…いちいち気を張って戦わなければ、ならないじゃないの」


「面倒なのは私、嫌いなの、琴音、作戦変更」


「私が即効で豚を殺してあげる」



ーー淡々と告げたエリザベートは槍に跨がった


エリザ「ーー『絶頂無情の夜間飛行(エステート・レピュレース)』」


ゴォーーッ!


ーー瞬時、人では絶対に追い付けない速度でエリザベートの跨がった槍は一直線に猛突撃した


ーー常人なら反応出来る筈もない


ーーましてや反応出来た処で、彼の持つ黒鍵はサーヴァントの槍に対抗出来る武器などではない




ーーそれこそ、黒鍵が『宝具でもない限り』では





ミシッーーピキッーー!


綺礼「ーーっ…間一髪といった処か、今の一撃は流石に死を覚悟したぞ」


琴音「…!?」


ーー何本かの黒鍵を犠牲に、辛うじて槍を受け止めている


ーー馬鹿な


ーー黒鍵というのは、悪魔や死徒を滅殺する為に聖堂教会が編み出した武器の1つ


ーー霊体に干渉が出来ることから、悪魔や死徒を始めサーヴァントにもある程度は傷付けられる


ーーとは言え、数ある武装と比べれば威力、耐久性は低く、半ば使い捨て感覚の武装


ーー確かに吸血鬼寄りのサーヴァントであるエリザベートに対しては僅かな恩恵はあるのかもしれない、尤も竜種の力で意味を為さないだろうが


ーーだが、それらを踏まえても、あの黒鍵は普通では無い


ーー祝福の力や耐久力、その他諸々が『書き変えられている』?


ーーまるで、あれは『そういう概念を持った武装である』と言っている様なーー



綺礼「私はランサーを対処する」


「お前はマスターをーー殺れ」


???「御意」


琴音「ーー!!!!」


ーー突如、殺気が背後にーー


安価↓


1・Boom_Sword(魔術で攻撃)

2・Accelerator(身体強化で回避)



ーー姿さえ現せば、迎撃出来る、宮瀬琴音は傲った


ーーその判断は早計だった


琴音「ーー『Sonic_Operation(音界操作)』」


「ーー『Boom_Sword(音の剣)』!」


ブーーーーン!!!!


???「ーー風の魔術か」




「ーー不運だったな、女魔術師」




琴音「ーーえ」


ーー風と音で構成された魔術を、アサシンは無効にした


ーー刹那、短刀が飛来し脳天、首、胸を貫かれる


ハサン「…他愛無し」


ーーハサン・サッバーハの『風除けの加護』


【Dead_END】


>>157に戻る



ーーサーヴァントには勝てない


ーー幸か不幸か、判断は命を繋げた


琴音「ーー『Sonic_Operation_Accelerator(音界操作・身体強化)』!」


ーー身体の固有速度を爆発的に上昇させ、音速を叩き出す


ーー追い風を起こし、必死に回避した


カ、カ、カーーッ!


ーー地に短刀が突き刺さる


???「避けたか」


ーー骸骨の面に黒い全身タイツ


ーー片方の腕は黒い包帯で巻かれていた


ーーアサシンのサーヴァント


ーー容姿から、ハサン・サッバーハだと直感した



ーーエリザベートは、とてつもない屈辱と怒りを感じていた


ーーサーヴァントでもない、マスターに自分の槍を防がれたことに対して、彼女は冷静ではいられなくなった


エリザ「折角、楽に死なせられる様に配慮してやったというのにーー」


「ーー豚の分際でっ…、私に楯突くなんてっ…」


「ーー1万光年っ…、早いわよぉぉぉぉぉおおおおお…っ!!!!」


ーー総ツッコミが来かねない台詞で激昂するエリザベート


ーー対し、ノーリアクションな言峰綺礼は警戒体制に入った


ーー冷静を失ったエリザベートの繰り出した技はーー


安価↓


1・『徹頭徹尾の竜頭蛇尾』

2・『絶頂無情の夜間飛行』



エリザ「『絶頂無情の夜間飛行(エステート・レピュレース)』!!!!」


ーーもう1度、同じ技を繰り出すエリザベート


ーーだが、対峙している男には


ーー同じ手は通じない


ヒュッーー!!!!


綺礼「………」


エリザ「ーーな…!?」


ーー言峰綺礼はエリザベートが槍に跨がる体制を取ったと同時に、人間離れの速さで間合いを詰めーー


ーー吸血鬼の首を刈り取った


ブシャァァァァァアアアアアーーッ!!!!


エリザ「ーーぃゃぁぁぁぁぁあああああーーーーっ!!!!」


ーー首が断末魔を叫びながら消滅する


ーー『あらゆる悪に負けず劣らず、それを討ち滅ぼす』


ーーそんな『概念』を持たされた武装によりエリザベートの再びの人生は終幕を告げた


【DEAD_END】


>>161に戻る



エリザ「ーー『徹頭徹尾の竜頭蛇尾(ヴェール・シャールカーニ)』!」


ーー背後を振り向くと同時に、エリザベートの竜の尻尾が言峰綺礼に振り落とされる


綺礼「………む…!」


ドォンーー!


ーー綺礼は瞬発的に回避した


ーー恐らく、概念武装として強化された黒鍵でも、打ち合えば竜の硬い鱗によって打ち負けていただろう


エリザ「そのまま、潰されなさい」


ーー冷ややかに告げると、尻尾は鞭の如く乱舞した


ーー尻尾を振り回す度々、彼女のピンクのストライプ模様の下着がモロ見えするのだがーー彼女の名誉の為に今は黙るとしよう


ドォンーー!ドォンーー!ドォンーー!


綺礼「………くっ」


ーー綺礼は代行者であり、確かに超人的だ


ーーしかし、人であることには変わりない


ーーサーヴァントの一撃をマトモに喰らえば、只の人間と同様に呆気なく死ぬ


ーーそのことを理解していた綺礼は回避に専念する



ハサン「ーー女魔術師よ、覚悟は…良いか」


ーーハサンと対峙する琴音


ーー相手は姿を晒している


ーー武器は片手に持つ何本かの短刀


ーー琴音の判断はーーーー


安価↓


1・「恐れても仕方がない、攻撃有るのみ」

2・「サーヴァントには勝てない、回避有るのみ」



琴音「ーー『Sonic_Operation_Accelerator(音界操作・身体強化)』!」


ビューーン!!!!


ーー相手は、あのハサンと言えどもサーヴァント


ーー傲りは死に直結する


ーーとにかく、エリザベートが言峰綺礼を始末するまで回避に専念しよう


ハサン「風の魔術で回避に専念をするつもりか」


「もし私に魔術で攻撃をしていれば、命は無かったな、女魔術師」


「我が主と貴様、どちらが先に根を挙げるかーー!!!!」







ーーエリザベートは苛つく


ーーたかが、最下層の家畜である人間に遅れを取るなど、上流階級である貴族としてのプライドが、それを許さない


ーーだからと言って宝具を使う気は無い


ーー寧ろ、豚畜生如きに自分の宝具を使うなど、以ての他


ーー痺れを切らしたエリザベートはトドメの一撃に移ろうとする


安価↓


1・『徹頭徹尾の竜頭蛇尾』

2・『不可避不可視の兎狩り』



エリザ「ーー『不可避不可視の兎狩り(ラートハタトラン)』!」


ーー尻尾を振り上げる動作からフェイントし、又から槍が一直線に突き伸びる


ジャキーーーーンッ!!!!


ーー綺礼は黒鍵を盾とし犠牲にすることで、紙一重に防ぐ


綺礼「ーーぐっ!!!!」


ーー黒鍵により、軌道が僅かに逸らされたが、綺礼の脇腹に槍が鋸の如く入り重症を負った


ブシャァァァアアアーーッ!!!!


ーー黒鍵は砕け散り、言峰綺礼は無防備となる



ーーエリザベートが、トドメを刺す体勢に入る


ダーニック「控えろ、ランサー」


ーーダーニック?


ーー隣には、もう2人の侵入者と思われるマスターとサーヴァント


シロウ「私達は降伏を致しました」


ーーマスターの青年は屈託のない笑顔で言う


琴音「…どういう…こと?」






ダーニック「我々は、この男達を取り引きの下に、匿うことにした」







【数分前の城内・最下層】


シロウ「ーー率直に申し上げましょう、ダーニック」


「我々を匿っては貰えませんか?」


ダーニック「ーー断る、ルーラーを敵になど回したくはないのでな」


シロウ「無論、タダなどとは言いません」


「貴方が喉から手が出る程、欲しいものと引き換えに」


ダーニック「…なに?」


シロウ「…もし、我々が、貴重な陣営の情報を逐一持っている、と言ったら…?」


ダーニック「………!!!!」


シロウ「貴方の欲す戦力の宛てを、私は知っています」




「どうでしょうか、私達と手を組みませんか?」





【領王の間】


琴音「………本当に…良かった…ですか?」


ダーニック「…何がだ」


琴音「…バレたら…最悪…ルーラーを…敵に…廻し…ますよ?」


ダーニック「…上手くやってやるさ」


琴音「…でも…あの人は…何だか…」


ダーニック「あの男達は必ず裏切る」


「そう言いたいのだろう?」


琴音「………はい」


ダーニック「だろうな、殊更、奴等を信用など到底出来ん」


「大方、我々を利用する腹なのだろう」


「千界樹の今の有り様から、我々が申し出を断れないと見計らっていた」


「…だが、向こうが我々を利用するなら、此方も奴等を存分に利用し尽くすのみだ」



エリザ「あの豚共は、一体、何処へ逃がしたの?」


ダーニック「奴等は今、間桐に向かっている」


琴音「間桐…ですか?」


ロシェ「あの微妙に衰退から持ち直しつつある御三家の?」


アヴィケブロン「間桐を説得しに向かわせた、ということか」


ダーニック「間桐の現当主は兎も角として、間桐臓硯を丸め込むなど至難だと思うが」


エリザ「で?豚共をタダで、わざわざ見逃した訳じゃないでしょうね…?」


ダーニック「無論、有益な情報を余すことなく得た」






「奴等が間桐を説得する間、我々はアインツベルンを攻略する」







琴音「…アインツ…ベルン?!」


アヴィケブロン「確かにアインツベルンの城を確保すれば、奴等のホムンクルス技術の施設や設備などが期待出来るかもしれない」


ロシェ「それに、もしも此処が落城しても代用の城として重宝も出来るしね」


アヴィケブロン「…だが、ダーニック…本気なのか?」


ダーニック「無論、無茶ではある」


「正直な処、勝算は余りにも低い」


「だが、明日中に攻略が出来なければ、我々は敗北するだけだろう」


「詳しい事は明日、追って説明するーー」



【ダーニックの部屋】


ダーニック「アインツベルンは攻略出来ると奴は言った」


「だが、出来るのか…そんなことが…?」


「奴等からの情報が正しいとすれば、アインツベルンのバーサーカーは何をしても傷付かない上、1度殺しただけでは死なないと言う」


「マスターの暗殺が一番の対処方法なのだろうが…それには、バーサーカーをマトモに相手取れるサーヴァント…生憎、該当者が居ない」


「そんな化け物をどうしろと…!?」






シロウ「ーー敵というのは、案外身近なものなのです」


「それは、貴方も良く分かっているのでは?」


「ーーですから、何も味方や仲間だけで戦わなくても良いのです」


「ーーまぁ、行けば分かるでしょう」




【1日目終了】



【開戦から2日目】


ダーニック「情報が軒並みに手に入れたとはいえ、敵の様子までは分からないからな」


ロシェ「最悪、此方の留守中を狙って待ち伏せとかあり得るもんね」


アヴィケブロン「では、宮瀬琴音、君が探索用ゴーレムの目的地を決めろ」


琴音「ふえぇ…!?」


安価↓↓


1・【衛宮邸】
2・【遠坂邸】
3・【間桐邸】
4・【アインツベルンの森・城】
5・【冬木教会】
6・【柳洞寺】
7・【ハイアットホテル】
8・【ハーウェイの管轄領・邸】
9・【ムジークの管轄領・邸】



琴音「魔術師…殺しの…衛宮…切嗣…」


「一番の…危険…人物…」


ダーニック「アインツベルンから破門され消息を絶ったと聞いていたが、奴が冬木に潜伏していたとはな」


「その上、奴のサーヴァントはセイバー、聖剣を携える騎士王アーサー・ペンドラゴン」


ロシェ「要注意だよね」


アヴィケブロン「今、奴等の潜伏先にゴーレムを送った、繋げるぞ」



【衛宮邸】


???「奏者~っ!!!!」


切嗣「………」


???「士郎~!奏者が口を聞いてくれぬ~!余は悲しい~!士郎が余の奏者に相応しい~!」


士郎「…いやぁ、それは…なぁ…」


アルトリア「なりません、士郎、暴君の戯言に耳を向けては」


???「アーサーよ…もし、余の奏者と、そなたの士郎を交換してくれたら、世にも楽しい一時を教えてやろう…余は、そなたのこともーー」


アルトリア「くどい!!!!」


ネロ「な、なんということだ…このネロ・グラディウスの渾身の口説きが真っ向から拒絶されたと…!?」


「うわああああああああああん、士郎が良いのだ、士郎が!!!!」


舞弥「…アタランテ、少し黙らせて下さい…と、切嗣が言ってました」


アタランテ「我は汝等の仲介役だな…完全に」


「士郎、弓の練習に付き合ってやるーーから、林檎を買って来てくれ、出来れば汝が調理したーー」


士郎「…あ、あぁーー」



ーー酷いエロゲを垣間見た


ーーまぁ、それは兎も角として、得られた情報は貴重だった


ダーニック「此度に於いて衛宮切嗣は、養子の息子に曾てのサーヴァントを与え、自身は新たにサーヴァントを召喚した…そう見て間違いないな」


アヴィケブロン「ネロ・グラディウス…ローマの暴君か、見た様子では、あれもセイバーのクラスだろう」


琴音「アタランテ…ギリシャ神話…の狩人…アーチャー」


ロシェ「推測込みとは言え、セイバーを2騎、揃えている上に援護の得意なアーチャーかぁ…」


ダーニック「あぁ、無駄が一切無いな、非常に侮れん」


アヴィケブロン「取り敢えず、暫くゴーレムを衛宮邸に張らして置く」


ダーニック「あぁ、そうしてくれ」



【日没後】


ダーニック「直接、向かうメンバーを選出する」


「私とランサー、宮瀬琴音と君のランサー」


「ロシェとキャスターは城に残り、いざとなった時にはゴーレムで支援してもらう」


「同時に城の留守を任せる」


アヴィケブロン「雨竜龍之介と彼のキャスターは?」


ダーニック「下手に外へ出して、悪戯に混乱や騒ぎを起こされたくはないからな」


「奴等に城の留守は期待出来ない、キャスター、君が監視をしていてくれ」


アヴィケブロン「………不服で仕方がないが、承知した」


ヴラド「では、いざ行かん、我が臣下達」


「聖戦へと参るぞ」


ーー私とダーニック、エリザベートとヴラド公


ーー開戦から2日、私達はアインツベルンの森へと足を踏み入れた



【アインツベルンの森】


ーー中世ヨーロッパの時代、幼子を持つ母親達の皆は、我が子が危険極まりない闇夜の森へ入らない様に子供に言い聞かせたという


ーー夜の森には恐ろしい狼や悪い精霊が住みついている


ーー森の中に入れば、貴方達は彼等に拐われ食べられるだろう、と


ーー今、正に私達が踏み入れている森は『それ』である


ダーニック「やはりとは思ったが、森の所々各地に罠が仕掛けられているな」


ーー私達は森の各地に散りばめられた罠を解除しつつ城へと向かっている


ーー向かっている…のだが…


琴音「一向に…着く…気配が…しない」


エリザ「はぁ…怠いわ…私も、そこの王様みたくダサい馬でも何でもいいから乗ってくれば良かったわ」


ーーヴラド公はアヴィケブロンに用意された馬のゴーレムに跨がっている


ーーそうこうしている内に、私達は別れ道に一つの立て看板を目にした



『右は、きらきら星、あなたはダァレ?』


『左は、薔薇の花輪、みぃんなころぼ』


『右は、追いかけっこ』


『左は、かくれんぼ』


『右は、あなたがオニ』


『左は、あのコがオニ』


『さぁ、皆でお茶会を始めましょう』


琴音「きらきら…星…?…薔薇の…花輪…?」


アヴィケブロン「『それは民謡だな、英国で流行った唄だ』」


琴音「唄…随分…可愛い…曲…」


アヴィケブロン「『後者の薔薇の花輪という唄は、英国で流行したペストが由来とされるマザーグースだな、薔薇はペストの発疹…みんなころぼの部分は最終的にペストで死亡してーー』」


琴音「あの、もういいです…っ」


ダーニック「どうも、聖杯戦争を遊びか何かと思い違いをしているようだ」


「灸を据えてやるとしよう」



ーー立て看板に別れ道


ーー天国か地獄か、とでも言った所か


ーーアインツベルンのサーヴァントは規格外の戦闘能力を持っているとダーニックは言う


ーー苦戦は出来る限り避けたい


ーー私達は、


安価↓↓


1・右に行く
2・左に行く
3・私とエリザだけ右へ
4・私とエリザだけ左へ

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